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男「俺のお姫様」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/31(木) 00:37:10.67 ID:W1/u/iazo
月。

月の上で、兎が跳ねている。

ぺったん、ぺったん。

餅を撞く。

杵が、臼を穿つように。

ぺったん。

ぺったん。

月には、兎が居る。

月には、老婆が住まう。

月には、蟹が潜む。


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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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2 : ◆ad0dfGYgcY :2012/05/31(木) 00:37:49.47 ID:W1/u/iazo

少女も。
少年も。
女も。
男も。
ワニも。
トカゲも。
犬も。
ライオンも。
泥棒も。
本も。
南瓜も。

月には、沢山の物がある。

ここには、何があるだろう?
3 : ◆ad0dfGYgcY :2012/05/31(木) 00:38:18.06 ID:W1/u/iazo
望遠鏡を覗く。

そうすると、どこからともなくあいつがやって来る。

「今日も月を見ているのかい?」

いつもと同じ質問。それに俺が返す言葉も、いつも通り。

「ああ」

素っ気なく返事をする。

だが、望遠鏡から目を離すことはない。

「今日は、満月だね」

「ああ、そうだな」

「綺麗だね」
4 : ◆ad0dfGYgcY :2012/05/31(木) 00:38:44.29 ID:W1/u/iazo

「ああ、そうだな」

「私とどっちが綺麗かな?」

「さあな」

そうかい、と言って、あいつは黙る。

「………………」

「………………」

沈黙。

「今日は、寒いな」

沈黙に負けて、話しかける。

「ん?ああ、そうだね」
5 : ◆ad0dfGYgcY :2012/05/31(木) 00:39:51.52 ID:W1/u/iazo

「雪、今年も降るかな」

「さあ、どうだろうね」

「雪は嫌いか?」

「うーん……君はどうだい?」

「俺は、わりと好きだな」

「なら、私も好きかな」

なんだそりゃ。

「答えになって無くないか?」

「そうかな」

「そうだろ」
6 : ◆ad0dfGYgcY :2012/05/31(木) 00:41:23.61 ID:W1/u/iazo

そうでもないよ、とあいつは言う。

「月明かりの下で降る雪なんて、幻想的で、美しいしね」

「随分具体的だな」

その意見には賛成だが。

「月が沈むまで、そうしているつもりかい?」

「まさか」

「そんなことしたら、風邪を引いてしまうよ」

「いやだから、そんなことはしないっつの」

「おや、そうなのかい?それは残念」

残念?
7 : ◆ad0dfGYgcY :2012/05/31(木) 00:42:05.67 ID:W1/u/iazo

「……どういう意味だ」

「だって、君が月を見るのを止めたら、今日はもう話せなくなってしまうだろう?」

「…………」

ふーん。へーえ。ほーお。

「…………」

「真っ赤だね、顔が」

「……知らん」

知らん。

「寒いからじゃないのか?」

「ふーん」
8 : ◆ad0dfGYgcY :2012/05/31(木) 00:42:34.72 ID:W1/u/iazo

楽しげな声を出すな。

不愉快だ。

実に、不愉快だ。

「ん」

と、不意に奴が空を仰いだ。

……まあ、望遠鏡を覗いてるから、見たわけじゃないけど。

そんな感じがした。

これもまあ。

いつものことだ。

「今日はここら辺でお開きかな」
9 : ◆ad0dfGYgcY :2012/05/31(木) 00:43:11.52 ID:W1/u/iazo

「なんだ、帰るのか」

「うん。まあね」

「そうか」

「引きとめてくれても、いいんじゃない?」

「んなことするか、バカ」

「ふふっ」

なんて、あいつは笑って。

まるで神隠しにでも遭ったかのように、姿――気配を消した。

そうしてようやく、俺は望遠鏡から目を離して、直接空を見上げた。

あいつはいつもそうだ。
10 : ◆ad0dfGYgcY :2012/05/31(木) 00:44:01.15 ID:W1/u/iazo

俺が見ると、どこかに消えてしまう。

だから、嫌だ。

あいつを見るのが、俺は。

嫌だ。

月は、雲に隠れて見えなくなってしまっていた。
11 : ◆ad0dfGYgcY :2012/05/31(木) 00:45:51.68 ID:W1/u/iazo
今日はこのへんで
書き溜めは終わってるんでちょいちょい手直ししながら投下します
毎日来れるはずなので1週間ぐらい50レスもかからずに終わります
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/05/31(木) 12:25:18.97 ID:k4s9L6sYo
何か面白そうだ
乙期待
13 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/01(金) 22:51:33.65 ID:iZewhOS1o
今日も月面観測。

「やっぽー」

あいつが変な掛け声とともにやってきた。

「なんだそりゃ」

「今考えてみた。かわいい?」

「全然」

「なーんだ、残念」

せっかく考えたのに、と言って、立ち止った……感じがする。

「…………」

「…………」
14 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/01(金) 22:52:12.34 ID:iZewhOS1o

「きれいだね」

「ん?」

「月がさ」

「ああ」

確かに、綺麗だな。

……でも。

「…………でも」

「…………」

「お前の方が綺麗だ」

「…………」
15 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/01(金) 22:52:55.98 ID:iZewhOS1o

「…………」

「……似てねぇよ」

俺の声真似のつもりか。

「そうかな?」

「1ミクロンも似てねぇ」

「そうかな?」

「そうだよ」

「でも、一瞬思ったよね?」

「…………」

なんのことやら。
16 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/01(金) 22:53:24.83 ID:iZewhOS1o

「沈黙は肯定と受け取るよ」

「……黙秘権の行使中だ」

「強がっちゃって」

あいつは楽しそうに笑う。

俺は、眉間に皺を寄せて不愉快を表現する。

「あ」

「どうした」

と、言ったときにはもう遅かった。

あいつの気配は、もうない。

望遠鏡から顔を上げる。
17 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/01(金) 22:54:06.87 ID:iZewhOS1o

「…………ふん」

挨拶もなしで帰りやがって。

空を見上げると、雨粒が頬に当たった。
18 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/01(金) 22:54:32.47 ID:iZewhOS1o
短いですがこれで
また明日
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) :2012/06/01(金) 22:57:06.57 ID:L8o2J6g50
スレタイ見ただけで期待をした僕がいます
20 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/02(土) 22:33:58.18 ID:iRHqxb+Eo
「今日は、三日月だね」

「…………」

「……前は、いきなりいなくなってごめんなさい」

「まったくだ」

あいつが、ビクッとしたのがわかる。

思ったより大きな声が出てしまっていたようだ。

「……ごめんなさい」

「いや、もういい」

俺がそう言うと、あいつは黙ってしまった。

そんで、俺も黙る。
21 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/02(土) 22:34:43.22 ID:iRHqxb+Eo

2,3分ぐらい、二人して黙る。

俺には、それが限界。

「……おい」

「え?」

また、ビクッとした。

「なんか……なんか喋れよ」

「えっと……でも」

「いいから」

少しだけ、強めに言う。

22 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/02(土) 22:37:15.77 ID:iRHqxb+Eo

「あ……うん。えー……今日は、三日月だね」

「……そうだな」

そっからか。

まあ、仕切り直しみたいなもんだから、いいか。

「満月に、早くなるといいね」

「……いや、三日月は三日月で、いいもんだ」

「ふうん?」

わからない、という感じに相槌を打たれる。

「わかんなくてもいいんだよ、お前にはな」

「ふうん」
23 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/02(土) 22:37:38.42 ID:iRHqxb+Eo
別に興味もない、という感じだ。

「ん……そろそろかな」

「そうか」

「うん、さよなら」

「ああ、じゃあな……………………いや」

「ん?」

なんか、恥ずかしいけど。

言っておかないと、ダメな気がする。

「……また、な」

ちょっと驚いたみたいだったけど。
24 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/02(土) 22:38:15.48 ID:iRHqxb+Eo

「……あはっ……またね!」

あいつは笑って、気配を消した。
25 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/02(土) 22:39:02.34 ID:iRHqxb+Eo
今日はこのへんで
後3回
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/03(日) 01:38:38.22 ID:ZYcgyIaco

後3回で新章突入ですね分かります
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/03(日) 20:24:11.96 ID:uEtm06sAo
後三回でテコ入れでバトル展開だよ
28 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/05(火) 00:45:11.67 ID:AoguHqsQo
「少し見ない間に、大きなビルが出来たもんだね」

「…………一ヶ月ぶりにやって来てそれかよ」

そう、一ヶ月。

あいつは、一ヶ月もここに来なかった。

そりゃビルも完成するわ。

「今日も、結構無理してきたんだよ」

「知るか」

「む…………」

二、三日ならいいけど、一ヶ月も来れないなら。

「そういうのは、先に言え」
29 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/05(火) 00:45:37.72 ID:AoguHqsQo

「…………もしかして、毎日来てた?」

「………………」

知るか。

知るか。

「沈黙は肯定と受け取るよ」

「……好きにしろ」

ぶっきらぼうに言い放つ。

これも……まあ、肯定みたいなもんだな。

あいつは、クスッと笑って。

「箱入り娘でね。そんなに外出できないんだ」
30 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/05(火) 00:46:05.23 ID:AoguHqsQo

「なんだ、お嬢様かよ」

「お姫様……ってところかな」

「お姫様? お前が?」

あいつはむっとして。

「あ、笑うなよ」

「いや…………似合ってるんじゃないか? お前綺麗だし」

あいつの驚いた顔が目に浮かぶ。

……顔見たことないから知らないけど。

今も俺の眼球は望遠鏡に釘付けだし。

「…………いきなりすぎて吃驚したよ」
31 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/05(火) 00:46:43.38 ID:AoguHqsQo

「俺もやるときはやるんだよ」

ふふん。

「…………卑怯だね。きみは」

「なんとでも言え」

「全く…………そろそろ帰るよ」

「おう」

「…………次は……いつ来れるか分からない」

………………。

「そうか」

そうか。
32 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/05(火) 00:47:51.64 ID:AoguHqsQo

「素っ気ないんだね」

「しょうがない。お姫様だからな」

「………………」

これを言うのは、結構緊張するけど。

「また、ここでな」

あいつはやっぱり柔らかく笑って。

「うん。またね」

消えた。

やたら背の高いビルに隠れて、月は見えない。
33 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/05(火) 00:48:39.16 ID:AoguHqsQo
遅れて申し訳ない
今日の文は今日の文で投下します
おやすみ
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/05(火) 20:12:41.08 ID:xJLuh05To
35 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/06(水) 01:04:18.42 ID:G17HHHHFo
「久しぶり」

久しぶりも久しぶり。

「半年か」

「ごめんね。待った?」

「ああ」

待った。

本当に。

長い間。

人生で、一番長い時間だった。

「待ちくたびれたよ」
36 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/06(水) 01:04:49.48 ID:G17HHHHFo

「あはは、素直だね」

「そりゃそうだ」

こんだけ待たされたら、誰だって何か言いたくなる。

「……待っててくれると、思わなかった」

「そうか」

「ごめん」

「言いたいことがいっぱいあるから、待ってただけだ」

「………………ごめんね」

「ん……まずはそうだな」

あいつが俯くのが分かる。
37 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/06(水) 01:05:16.31 ID:G17HHHHFo

見えなくても。

あの煌々と輝く満月より。

俺は、あいつの方が、綺麗だと思う。

だから。

「……お帰り」

………………。

「ん……ただいま」

………………。
38 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/06(水) 01:06:07.15 ID:G17HHHHFo

違うだろ。

「違う。間違えた」

「え? は?」

「最初に言おうとしてたのはこれじゃない。テイク2だ」

「え? え?」

「よし、いくぞ」

その前に、深呼吸。

半年も溜め込んできたんだ。このぐらい余裕だ。

せーのっ。

39 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/06(水) 01:06:42.73 ID:G17HHHHFo



「好きだ」



「ぁ…………」

40 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/06(水) 01:07:26.26 ID:G17HHHHFo
「お前のことが、好きだ」

言っちまった。

ITO☆HAZUKASHI。

「そっ……か……」

「……おう」

「なんて言う割に、目はレンズに釘付けだね?」

「照れてんだよ」

照れてんだよ。
41 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/06(水) 01:08:21.16 ID:G17HHHHFo

言わせんな、恥ずかしい。

「ねえ」

あいつが、一歩。

遠のいた。

「こっち、見てよ」

「…………」

「私を見て」

「…………おう」

俺は、初めて顔を上げて。

『こいつ』を。
42 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/06(水) 01:08:50.78 ID:G17HHHHFo

初めて、見た。

「…………」

「…………」

「…………」

「……どう…………かな?」

「綺麗だ」

「……期待に応えることができて、良かったよ」

照れてやがる。

「月みたいに、綺麗だろうなって、思ってた」

俺も、照れてる。
43 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/06(水) 01:09:18.09 ID:G17HHHHFo

「……ふふ」

「でも」

でも。

言わずには――口に出さずには、いられない。

「お前は、月よりも綺麗だ」

そんな美しさだ。

「…………」

目をまんまるに見開いて、驚いてる。

その顔も、さっきまでの照れてる顔も。

「思ってたよりも、ずっとずっと」

想像も、妄想もしたけれど。

「綺麗だよ」
44 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/06(水) 01:10:39.16 ID:G17HHHHFo

「…………〜〜っぁあー……」

顔を隠して、蹲る。

そんな姿も。

綺麗で、可愛い。

「君はさぁ……」

「なんだ?」

「…………」

君は……なんだよ。

気になるだろ。
45 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/06(水) 01:11:11.47 ID:G17HHHHFo

「おい、こっち見ろ」

「無理」

「いいからこっち見ろって」

「むーりー。今は無理」

可愛い奴だな。

「しょうがないな」

肩を掴んで、無理やり立たせる。

………………柔けえ。

46 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/06(水) 01:11:52.59 ID:G17HHHHFo
こんなにも躰は華奢で。

背は低くて。

髪は長くて綺麗で。

綺麗な瞳で。

そしてこんなにも。

「お前のことが好きだ」

一世一代の告白だ。

悔いはない。

あとは返事を待つだけだ。

47 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/06(水) 01:12:23.34 ID:G17HHHHFo
「………………」

「………………」

「………………」

「………………はぃ」

なんだそりゃ。
48 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/06(水) 01:12:58.30 ID:G17HHHHFo
今日も遅れた…
次で終わりです
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/06(水) 01:38:11.57 ID:Q0tQsl1F0
なんか幻想的だなぁ
乙です
50 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/07(木) 01:59:36.57 ID:OFVGLmJIO
今日は無理ぽ
明日きます
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 21:17:39.90 ID:Gwsv0cMjo
明後日になったわけだが
52 : ◆ad0dfGYgcY [sage]:2012/06/10(日) 20:10:24.06 ID:jPcJLwYXo
今週もちょっと忙しいんで来週半ばぐらいにきます
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/10(日) 20:17:29.25 ID:0wO5GhSEo
了解待ってる
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 22:27:45.40 ID:20yaDCGfo
承知
55 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/17(日) 13:40:43.58 ID:6KDEVPzoo
同日。

「輝夜姫だと思ってたぁ!?」

「…………うるせぇ」

思ってたんだよ。

ついこの前までな。

「思いの外……ロマンチストなんだね」

「…………」

うるさい。

そんなイタズラっぽい顔するな。

ドキドキするだろ。
56 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/17(日) 13:41:12.98 ID:6KDEVPzoo

「どうしてそう思ってたの?」

「満月が好きとか言うし、曇りとかで月が出ない日は来ねえし……しょうがねえだろ」

「なるほどねえ……」

楽しそうに、うんうん、と頷く。

可愛い。

「だから、ずっと望遠鏡を覗いてたの?」

「…………」

「いなくなっちゃうと思った?ねえねえ。いなくなっちゃうと思って怖かったの?」

楽しそうに俺の体を揺するな。

胸がぷにぷにあたってんだよ。

ドキドキするだろ。
57 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/17(日) 13:41:38.97 ID:6KDEVPzoo

「そんなことより」

そう、そんなことより。

「返事は?」

「え?」

「返事、くれよ」

くれよ。

さっきから生殺しか。

「え、え。だ、だって、さっきのが返事みたいなものだし…………」

そうかもしれんけども。

58 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/17(日) 13:42:04.93 ID:6KDEVPzoo

「なんだ、俺にだけ言わせて、お前は言わないつもりか」

卑怯なり。

汚い、流石お姫様汚い。

「そ、そんなつもりは…………」

「じゃあほれ。どうぞ」

ずいっと。

耳を傾ける。

「ぅ…………」

「…………」
59 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/17(日) 13:42:30.97 ID:6KDEVPzoo

「ぁ、ぅ、す、すっ…………す……」

「…………す?」

「むりっ!」

むこうを向いて、顔を両手で隠す。

これが見たかった。

「可愛い奴だな」

「ぅう……満足した……?これが見たかったんでしょ……」

見たかったけど。

それとこれとは違うのだ。

「しょうがねえな」
60 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/17(日) 13:42:56.85 ID:6KDEVPzoo

肩を抱いて、逃げられないように、頭を固定する。

くっくっく。

逃げられまい。

「好きだ」

俺も逃げられないけど。

「お前は?」

お前も、逃がさない。
61 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/17(日) 13:44:09.87 ID:6KDEVPzoo
月。

月の上で、兎が跳ねている。

ぺったん、ぺったん。

餅を撞く。

杵が、臼を穿つように。

ぺったん。

ぺったん。

月には、兎が居る。

月には、老婆が住まう。

月には、蟹が潜む。

少女も。
少年も。
女も。
男も。
ワニも。
トカゲも。
犬も。
ライオンも。
泥棒も。
本も。
南瓜も。

月には、沢山の物がある。

ひょっとしたら、世にも美しい輝夜姫だって、いるかもしれない。

でも。

ここには。

俺の隣には。
62 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/17(日) 13:44:41.27 ID:6KDEVPzoo






「だいすきっ」












「俺もだ」






63 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/17(日) 13:46:12.66 ID:6KDEVPzoo





俺のお姫様がいる。





だから






これからは






付ばかり見るのは止めにしよう
64 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/17(日) 13:47:21.49 ID:6KDEVPzoo





俺のお姫様がいる。






だから






これからは






月ばかり見るのは止めにしよう
65 : ◆ad0dfGYgcY :2012/06/17(日) 13:51:32.82 ID:6KDEVPzoo
おわり








最後の最後に誤字とか死にたい

これはGood Endです
次はBad EndかTure Endか悩んでますがどちらも途中からの分岐です
書き溜めしてないのでだいぶかかると思いますが
そのうちまた来るので削除依頼は出さないでください

では
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/17(日) 13:57:26.89 ID:HtKvLBKeo

上げて下げてまた上げるということか
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/17(日) 15:09:01.98 ID:UP/3Z7+Zo
付で吹いたwwww

>>1 乙!

別ルート待ってるよ
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/25(水) 12:34:21.67 ID:qMqSs5YOo
まだかな
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