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死にすぎ仕上 と 虹の理后 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :OP ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/03(日) 22:48:34.25 ID:ZsEC9t8L0








――― 俺は遂に、王女が幽閉されているという、魔王の本拠地にたどり着いた。









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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/

アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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2 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/03(日) 22:49:33.31 ID:ZsEC9t8L0
死にすぎ王子と虹の王女

 インタラクティブフィクション(iFiction)ていう種類のゲーム[@鳶嶋工房]


↑の登場人物を禁書キャラに置き換えて進みます



ルート分岐点で安価が入ります

なお、最初に安価方法を決定(自由安価or選択肢)して頂きます。※途中で変更可能



性質上、元ネタの攻略・ネタバレ激しいのでご注意
3 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/03(日) 22:50:00.30 ID:ZsEC9t8L0
王子編と王女編が交互に展開します



【王子編】※安価進行

 分岐点毎に安価

 行動選択を誤ると高確率でBAD END≒様々な方法で死亡してしまいます

 クリア=唯一の生存ルートです。頑張って生き延びて下さい



【王女編】

 王子編をクリアする毎に1話進みます

 同じ話数では時系列が王子編とほぼ同じになっています


4 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/03(日) 22:50:43.25 ID:ZsEC9t8L0


ここまでで危険を感じたら即撤退推奨


特に、
 
 キャラ崩壊必須 特に一方通行がキャラ崩壊甚だしい

 窒素通行が浜面も認めるウザっプル(元ネタ仕様)

なので地雷の方はご注意を






そんな感じで以下本編です

安価にご協力をよろしくどうぞ


5 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/03(日) 22:51:33.16 ID:ZsEC9t8L0
6 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/03(日) 22:52:14.28 ID:ZsEC9t8L0









     死にすぎ仕上

        と

      虹の理后








7 :第一章 王子編「いざ行かん天空の城 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/03(日) 22:54:17.33 ID:ZsEC9t8L0
 


 俺は遂に、王女が幽閉されているという、魔王の本拠地にたどり着いた。



持ち物
[フレ,書状,ソード,アーマー]




 俺は、勇者に相応しいアーマーとソードに身を固めている。

 厚い鋼の鎧が、この命を守ってくれるだろう。

 俺に所有される事により、なまくらですら勇者の剣となる。


 俺は、国王からの姫の救出を求める書状を見た。

「王家の血を引く者には、姫との婚約を認める」

 そのような条件はなくとも、俺は姫をお救いするために立ち上がったろう。

 気高き乙女を救出する事こそ、真の勇者の使命だからだ。



 俺は国王がつい先日発行したフレの書かれた羊皮紙を見た。

「姫を助けた者には爵位と城を与える」と書いてある。

 さらに「身分を問わぬ」などと書くから、下賎の輩が集まるのだ。

 卑しい血の者が、いくら集まったところで烏合の衆。ものの役には立つまい。



 
8 :第一章 王子編「いざ行かん天空の城 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/03(日) 22:55:01.62 ID:ZsEC9t8L0
 



 まぶしい空の下、草一本ない荒野には多くの男が所在なくうろついている。


 群れをなすのは、山賊まがいのごろつきや、うさん臭い山師。

 どの男も、国王の出したフレを手に持っている。


 俺は、そこらにたむろする男の一人に話しかけた。

「お前には、姫を救うのは無理だな。だが、俺には可能だ」

 男の、根拠なく漲る自信が不愉快だ。



 俺は、男の一人に状況を聞いてみる事にした。

「分からん、何とも言えん」

 まったく…なんの知恵もない能無しめ。



 
9 :第一章 王子編「いざ行かん天空の城 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/03(日) 22:57:19.05 ID:ZsEC9t8L0
 


 悪逆なる魔王の本拠を見上げている、という事自体が腹立たしい。

 だがその島は空に浮いていたので、見上げるしかなかったのだ。


 奇岩で構成されたその島は、不可思議な力によって中空に漂っている。

 そして荒野には、島が巨大な影を落としている。


 此処から少し離れた場所には、島の影を調べている男達がいる。

 あそこに行くと、何か手がかりを見つけられるかもしれない。




 さて、どうしようか?


>行動選択 (安価+2)

 a.影に近付く
 b.影から離れる
 c.家に帰る
 d.男に攻撃
 e.鎧を脱ぐ



 
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/03(日) 23:00:43.57 ID:VYiQQA+vo
b
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/06/03(日) 23:06:47.38 ID:0BCRWQzAO
a
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/06/03(日) 23:07:56.14 ID:pees4QMwo
d
13 :第一章 王子編「いざ行かん天空の城 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/03(日) 23:10:55.85 ID:ZsEC9t8L0
 

◆a.影に近付く

 俺は少しでも手がかりを得ようと、島の落とした影に向かった。

 と、その時である。


「おいっ! 島が落ちてくるぞっ!!」

 影を調べていた連中の一人が叫んだ。


 既に岩肌が目の前に迫っている!もう逃げることはできない!!

 島の底面に突き出た岩が、次々と男たちを吹き飛ばしていく。


 俺も例外ではなかった!! 岩に跳ね飛ばされ、体中の骨が砕かれる!!

 その一瞬、視界に島への入口が飛び込んだ。


「馬鹿な! 「乙女の祈り」がなければ、【妖精機関】が停止する事はない筈だ!!」

 俺は薄れいく意識の中、魔王のしもべの叫び声を聞いた。



 無念! 俺の冒険は、ココに幕を閉じた! ゲームオーバー「1:粉砕死」


 
14 :第一章 王子編「いざ行かん天空の城 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/03(日) 23:16:03.70 ID:ZsEC9t8L0
 

残念ながら、王子は死亡してしまいました

ゲームオーバー時には選択肢の直前から再度挑戦ということで





では、以下より再開です


 
15 :第一章 王子編「いざ行かん天空の城 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/03(日) 23:18:05.39 ID:ZsEC9t8L0
 




 悪逆なる魔王の本拠を見上げている、という事自体が腹立たしい。

 だがその島は空に浮いていたので、見上げるしかなかったのだ。


 奇岩で構成されたその島は、不可思議な力によって中空に漂っている。

 そして荒野には、島が巨大な影を落としている。


 此処から少し離れた場所には、島の影を調べている男達がいる。

 あそこに行くと、何か手がかりを見つけられるかもしれない。




 さて、どうしようか?


>行動選択 (安価+2)

 b.影から離れる
 c.家に帰る
 d.男に攻撃
 e.鎧を脱ぐ


 
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/06/03(日) 23:18:46.45 ID:pees4QMwo
d
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/03(日) 23:19:59.62 ID:VYiQQA+vo
b
18 :第一章 王子編「いざ行かん天空の城」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/03(日) 23:21:02.24 ID:ZsEC9t8L0
 


◇b.影から離れる



 そのとき俺は、背筋にいいようのない怖気を感じた。

 類い稀なる勇者としての勘が、危険を告げているのだ。


 俺は踵を返すと、一目散に駆け出した。周りの有象無象が、俺に嘲りの目を向ける。

 勇者として選ばれる事のなかった、哀れな者どもの目…。


 まさしく、俺の勘は正しかった!!恐怖は恥ではない。

 恐怖を知るものだけが、強くなる資格があるのだ。


 未来永劫に天にあり、地に触れることはないと思われた島が。

 魔王の本拠と目される禍々しい島が、今や大地と熱い抱擁を交わしている。


 大地が島の落下の衝撃で、轟音とともに振動する!

 荒野は、島に押しつぶされる者たちで、阿鼻叫喚の巷と化した!


 なんという…なんという無慈悲な所行!!

 俺の中に、魔王に対する新たな怒りが込み上げてきた。





 つづく。



 
19 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/03(日) 23:24:50.09 ID:ZsEC9t8L0
 

おめでとうございます、見事クリアです



王子編が終わるごとに王女編が進みます

こちらは安価はありません

王女編が終わればまた王子編に入りますのでよろしくどうぞ




では、以下より本編(王女編)です


 
20 :第一章 王女編「乙女の祈り」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/03(日) 23:25:52.79 ID:ZsEC9t8L0
 



 魔王の島が落ちるすこし前、姫は見知らぬ部屋に閉じ込められていました。

 部屋は壁も床も全て、ぴったりと組まれた石でできています。

 ドアや窓はなく、天井の丸い穴だけが、この部屋の出入り口のようです。


 天井の穴をしばらく見上げ、姫はぴょんと跳んでみました。

 もちろん届くはずもありません。

「はしたない、って、ばあやに怒られちゃうかな…」


 姫は穴に向って大声で叫ぼうとしましたが、やめました。

「大きな声なんか出したことないから、上手くできない…」


 
21 :第一章 王女編「乙女の祈り」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/03(日) 23:26:29.45 ID:ZsEC9t8L0
 



 姫は改めて部屋をぐるりと見回しました。

 宝石や黄金、様々な宝物が並んだ部屋には、壁一面の不思議な機械があります。

 不思議な琥珀色の機械の、棒や歯車が忙しく動いています。

 中央の大きな水晶の中には、妖精が閉じ込められています。



 妖精は、手のひらにすっぽり入ってしまいそうな大きさです。

 そのきらきらと光る羽を見ていると、吸い込まれてしまいそうです。


 
22 :第一章 王女編「乙女の祈り」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/03(日) 23:27:03.62 ID:ZsEC9t8L0
 



「こんにちは、おチビさん」

 姫が話しかけても、妖精は何もいいません。


 妖精の入った水晶を叩いてみました。

 妖精が動いたような気がします。



 姫は、妖精が自由になれるように祈りました。

 胸の前で組み合わされた右の人差し指には、ルビーリングがはめてられています。

「おチビさんが、空を飛び回れますように…」


 すると、なんということでしょう。

 妖精の入った水晶が、太陽のように輝きだしたのです。


「わ、まぶしい…」

 姫は両手で目をおおいましたが、手を通しても光が届いてきます。


 
23 :第一章 王女編「乙女の祈り」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/03(日) 23:27:39.60 ID:ZsEC9t8L0
 



 少しして光が弱まると、水晶は霧となって消え去ってしまいました。

 姫は機械から落ちてきた妖精を、その手に受けとめました。


「だいじょうぶ? おチビさん」

 妖精に声をかけたその時、姫の体がふわりと宙に浮きました。


「何?」姫は不思議そうに辺りを見回しました。

「あほかァーっ!! この城が超落ちてるンですよォーっ!!」

 突然、姫の手の中にいた、妖精が叫びました。


「わぁ、おチビさんなのに、大きな声」と姫。

 妖精は、ずっこけました。


 
24 :第一章 王女編「乙女の祈り」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/03(日) 23:28:37.28 ID:ZsEC9t8L0
 



「と、とにかく体が超軽くなった今なら、穴から出られますよ。

 床を蹴って跳ぶんです!!」

 妖精は天井にぽっかり開いた穴を指差しています。



 姫は妖精にいわれた通り、床を蹴りました。

 すると不思議な事に、姫の体はしゃぼん玉のように、ぐんぐん登って行きます。


 そして妖精と姫は、するりと天井の穴をくぐり抜けました。

 警備の魔物達が、空中でじたばたともがいています。


「魔法をかけるから、超動かないで下さい!」妖精は叫びました。

 すると、妖精から出た黄金の光が、姫の体を包みこみます。


 
25 :第一章 王女編「乙女の祈り」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/03(日) 23:29:05.92 ID:ZsEC9t8L0
 



 ちょうどそのとき。下の方から、とても大きな地響きが聞こえてきました。



 部屋の中に浮いていた物が、凄い勢いで床にぶつかって砕けます。

 魔物達も次々と床にぶつかり、気を失いました。


 落ちてきた石は、黄金の光にはじかれて、姫に触れることすらありません。

「これは精霊魔法だね」姫は妖精の魔法に、たいへん感心しました。


「お願い超もって下さい、わたしの魔法っ!!

 あーっ、こんな事なら、ちゃんと超修行しておくんでしたーっ!!」

 妖精は、必死で姫に光を注ぎ続けています。


 
26 :第一章 王女編「乙女の祈り」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/03(日) 23:29:50.97 ID:ZsEC9t8L0
 



 しばらくすると、地響きがおさまりました。

「よーしっ、それじゃ超逃げますよ!」妖精が額の汗を拭きながらいいました。


「でも、ここで大人しくしてなさいって、魔王さんが…」

 姫は首をかしげました。


「アー
 ホー
 かーっっっっっっっ!!!」

 妖精は、腕を振り回しながら、力一杯叫びました。







 つづく。




アイテム

 滝壺[ルビーリング]


 
27 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/03(日) 23:34:15.70 ID:ZsEC9t8L0


王女編終わり

こちらは王子編の裏話みたいなものだと思って頂ければ


 
28 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/03(日) 23:39:18.66 ID:ZsEC9t8L0


>>2で安価方法選択〜とありますが忘れて下さい…消すの忘れてましたorz



あとコレ↓入れ忘れてました


<主な登場人物>

 王子 … 浜面仕上

 王女 … 滝壺理后

 妖精 … 絹旗最愛

 ※CP ⇒ 浜滝 with 窒素通行 ルートによっては浜麦表現有



色々抜けてばかりでスミマセン

見捨てずお付き合い頂ければ幸いです


 
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/03(日) 23:40:39.24 ID:VYiQQA+vo
元ネタ知らないけど面白そう
期待してます
30 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/03(日) 23:40:53.20 ID:ZsEC9t8L0
 



それでは続きに参ります

以下より、王子編第2章です。よろしくどうぞ



(なお、この幕間文はこれ以降基本的に表示されません)

 
31 :第二章 王子編「魔城への潜入」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/03(日) 23:46:05.49 ID:ZsEC9t8L0
 



 俺は文字通り地に落ちた、魔王の本拠地に乗り込むことにした。



>持ち物
[フレ,書状,ソード,アーマー]



 魔城へ這い登ろうと、男達が蟻のように岩に群がっている。


 多くの男達が、無策に岩山を登っては、城の守備兵にやられている。

 まったく、苛々する連中だ。


 
32 :第二章 王子編「魔城への潜入」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/03(日) 23:46:49.94 ID:ZsEC9t8L0
 



 俺は、魔城の建つ断崖を登り始めた。

 たまに俺にも矢が降り注ぐが、鎧はものともしない。

 しかし、重い鎧を付けたままでは、大して登ることもできない。



 ふと思い立ち、俺は剣を自分に突き刺したが、剣は鎧にはじかれた。

 これを着ていれば大抵の攻撃は防げるだろう。

 もしこの断崖から岩が転がり落ちてきても問題ない。

 勇者を守るに相応しい鉄壁のアーマーだ。

 


 さて、どうしようか?



>行動選択(安価+2)


 a.男に攻撃
 b.鎧を脱ぐ
 c.他の道を探す


 
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/03(日) 23:47:24.12 ID:VYiQQA+vo
c
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/03(日) 23:51:20.26 ID:XF5a5hi1o
a
35 :第二章 王子編「魔城への潜入」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/03(日) 23:57:22.32 ID:ZsEC9t8L0
 


◆a.男に攻撃



 俺は不快な気分を取り除くべく、男の一人に突然襲いかかった。

 すると、その男は奇声を上げて、俺を殴り返してきた。


 あろう事か、周りの連中も一緒になって、俺を殴りつけた。

 痛い、痛い!! こいつら容赦がない。殴り続けられ、遂に俺は息絶えた。


 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた! ゲームオーバー「3:撲殺」


 
36 :第二章 王子編「魔城への潜入」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 00:00:41.52 ID:bvwBbzpB0


 ▽Continue!




 俺は、魔城の建つ断崖を登り始めた。

 たまに俺にも矢が降り注ぐが、鎧はものともしない。

 しかし、重い鎧を付けたままでは、大して登ることもできない。



 ふと思い立ち、俺は剣を自分に突き刺したが、剣は鎧にはじかれた。

 これを着ていれば大抵の攻撃は防げるだろう。

 もしこの断崖から岩が転がり落ちてきても問題ない。

 勇者を守るに相応しい鉄壁のアーマーだ。

 


 さて、どうしようか?



>行動選択(安価+2)



 b.鎧を脱ぐ
 c.他の道を探す


 
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 00:03:46.43 ID:UieqSzP0o
c
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 00:05:42.04 ID:9GtvbSY4o
39 :第二章 王子編「魔城への潜入」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 00:09:57.04 ID:bvwBbzpB0



◇b.鎧を脱ぐ

 俺は鎧を脱ぎ捨てた。これからは重い鎧を付けての行動は、むしろ危険だ。

 新たな気持ちで幽閉された王女に誓う。必ず俺は、あなたを助けると。




 今身につけているものは一振りのソードだけだ。

 防御面で不安はあるものの、これで大分身軽になった。

 断崖を登ることも出来るだろう。




 さて、どうしようか?



>行動選択(安価+2)


 a.断崖を登る
 b.他の道を探す
 c.剣を握る


40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 00:11:35.25 ID:UieqSzP0o
a
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 00:11:52.22 ID:9GtvbSY4o
42 :第二章 王子編「魔城への潜入」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 00:13:35.33 ID:bvwBbzpB0
 


◆c.剣を握る



 俺は鎧を脱いだ軽装に、ソードを持っている。


 俺は、誰かに操られたかのように、剣を自分の体に突き立てた。

 遠い異国の行者が、俺に祈っている。


 魔王とその軍団の殲滅のため、この身を捧げた呪殺行為。

 そう思ったのかもしれない…。そうあってほしいものだが…


 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた! ゲームオーバー「6:割腹自殺」


 
43 :第二章 王子編「魔城への潜入」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 00:14:53.18 ID:bvwBbzpB0
 


 ▽Continue!




 俺は鎧を脱ぎ捨てた。これからは重い鎧を付けての行動は、むしろ危険だ。

 新たな気持ちで幽閉された王女に誓う。必ず俺は、あなたを助けると。




 今身につけているものは一振りのソードだけだ。

 防御面で不安はあるものの、これで大分身軽になった。

 断崖を登ることも出来るだろう。




 さて、どうしようか?



>行動選択(安価+2)


 a.断崖を登る
 b.他の道を探す

 
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 00:15:20.21 ID:9GtvbSY4o
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 00:15:34.59 ID:UieqSzP0o
b
46 :第二章 王子編「魔城への潜入」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 00:21:30.54 ID:bvwBbzpB0
 


◇b.他の道を探す


 とはいえ、守りの備えもなしに矢の降り注ぐ断崖を登るのは危険だ。

 他に道は無いかと俺は辺りを探る事にした。




 岩をよく見ると、かなり地面との間に隙間がある。

 城の入り口が上にあると考えるのは常識だが。

 空に浮いていた城の入り口が、上にある方がおかしい。


 俺は、地面と岩の間の隙間に体を滑り込ませた。

 そして、暗い岩と岩の間を進んでいく。


 大きく、辺りが揺れて岩が崩れてきた。

 まだ、落ちたばかりで、安定していないのだ。


 だが、幸いにも俺は岩の間にできた、細い隙間に入り込み助かった。

 俺は体の幅ぎりぎりに落ちた岩を見つめ、戦慄した。


 鎧を着ていたら、動けなくなっていたかもしれない。

 魔王の本拠で、あえて鎧を脱ぐ勇気を持つ者のみに与えられた幸運だ。


 更にしばらく進むと。俺は見事入口らしき構造物を見つけた。

 ただ闇雲に正面から攻めるのは蛮勇。勇者は、賢者でもある。




 つづく。


 
47 :第二章 王女編「虹の王女」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 00:23:48.84 ID:bvwBbzpB0
 



「さっ、これで超当分は大丈夫」

 妖精は見張りの魔物がいた部屋の、扉にかんぬきをかけました。


 そして姫と妖精は、長い長い階段を上り始めました。

「超自己紹介でもしましょうか? 色々聞くといいですよ」妖精はいいました。


 
48 :第二章 王女編「虹の王女」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 00:25:09.87 ID:bvwBbzpB0
 


 見上げると、石の螺旋階段が、どこまでも続いています。

 この階段も、壁や床と同じようにぴったりと組まれた石でできています。








 妖精は、姫の肩に止まって足をぷらぷらしています。

 ひとつなぎの黄色い服、左腕にオパールの腕輪をしています。


「さすが超王族。見ただけでオパールって分かるわけですね」

「王族でなくても、分かるよ」

「わたしは、これ以外にオパールって見たことないんですけど…」


 
49 :第二章 王女編「虹の王女」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 00:29:37.79 ID:bvwBbzpB0
 




 疲れたように呟く妖精を見つつ、姫はぺこりとお辞儀をしました。

「こんにちは、おチビさん」

「はいはい、じゃ気になること、超色々聞くといいですよ」

 独特のテンポで会話を展開する姫に、妖精は今更挨拶かよ、というツッコミはしませんでした。


 
50 :第二章 王女編「虹の王女」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 00:30:31.97 ID:bvwBbzpB0
 


「おチビさんの名前は、何?」

「わたしは絹旗、絹旗最愛です。てゆーかチビチビゆーンじゃねェですよ、でかぶつ!」

 妖精は肩に腰掛けたまま姫に食って掛かります。

「わたしがチビなんじゃないです。あなたたちが超大きいんですっ!!」


「あ、それは新しい考え」「ち…超疲れます」


 
51 :第二章 王女編「虹の王女」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 00:31:07.07 ID:bvwBbzpB0
 


「わたしは風の妖精。使命の為に此処にいるってわけです」

「わたしは、なんで此処にいるのかな?」姫は疑問に思いました。


「なんだか、わたしとあなたは魔王にとって超必要らしいんです。

 長老のいうこと、ちゃんと聞いてなくて、超よく分かんないですけど…」

 
52 :第二章 王女編「虹の王女」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 00:31:33.68 ID:bvwBbzpB0
 


「わたしたち妖精は、みんな超使命を持ってるんですよ。

 使命といっても、名前じゃあないですよ」妖精はおどけました。

「あ、おもしろい」「…こいつ究極の芸人殺しです」



「長老がいうには、虹の王女を導き敵を超滅ぼす、のが使命なんですって」

「虹の王女さまは、どこにいるのかな?」

「この状況で、あなたじゃなかったら、わたし超泣きますよ!」



「敵の魔王を滅ぼすとかいっても、超どうしたものでしょうか…」

「仲良くしたらどうかな?」

「アホかっ、魔王と仲良くして超どーするンですっ!」


 
53 :第二章 王女編「虹の王女」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 00:33:07.10 ID:bvwBbzpB0
 


「時々いってる、アホか、ってどんな意味なの?」

「げ、超恐るべしお姫さま。えーと、口癖だから超気にしないで下さい」




 そんな会話を続けるうちに、だんだんと階段の先が明るくなってきました。

「やっと、出口につきましたー。いつでも外に出ることができますよ」

 妖精の絹旗は、姫にいいました。


 
54 :第二章 王女編「虹の王女」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 00:33:48.24 ID:bvwBbzpB0
 


 姫と絹旗は、やっと階段を上りきって外に出ました。

「大変だったね」「まったく、ずいぶん歩いたから疲れたましよ」


「…ここは、あなた歩いてないでしょ!、って超つっこまなきゃ」

「…? つっこむ…?」


 姫には無理だと気づいて、絹旗は話題を変えました。

「まぁいいです、とりあえず休みましょうか」

「うん」姫は出口に手をついて一息つきました。


 すると、さっきの地震で、もろくなっていたのでしょう。

 姫が手をついた出口の石は、ぽろりと崩れてしまいました。


「わあ、あぶないね」

 姫は、姫なりに慌てて出口から離れました。


「ほんと、上ってる時に階段が崩れなくて超よかったです、っと!」

 そういって絹旗は、崩れてきた小さな石を出口に蹴り入れました。


 
55 :第二章 王女編「虹の王女」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 00:34:15.94 ID:bvwBbzpB0
 


 絹旗が蹴った石が階段を、落ちていく音が聞こえます。

 こん、こん、がらり、がらがら、がらがらがらがら…


「あれ…小石って、超あんな音たてましたっけ?」絹旗がいったその時です。

 もの凄い音をたてて、一気に出口が崩れて地面が揺れました。

「うわっ!!」

「わあ」


 地面の揺れは、どんどん大きくなっていきます。

 ふたりはその場にしゃがみ込んで、揺れがおさまるのを待ちました。


 しばらくして揺れがおさまると、姫はいいました。

「わぁすごい。これって、おチビさんの魔法だね」

「あ…アホかぁ…」絹旗は小さく言いました。






 つづく。




アイテム

 滝壺[ルビーリング]

 絹旗[オパールリング]


 
56 :第三章 王子編「恐るべき罠」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 00:36:34.82 ID:bvwBbzpB0
 


 俺は岩の間を通り抜け、魔城の入口にたどり着いた。


>持ち物
[フレ,書状,ソード]


 岩にに囲まれた薄暗い空間だ。目の前に入口らしき構造物が見える。

 恐ろしい竜の口をかたどった姿をしているが、扉らしきものはない。

 そもそもは空中の入口だ、これで十分の防備とも言える。


 そして、後ろにはこの場所への通路となった隙間―――岩と地面との間に、俺をこの場所まで導いた隙間がある。

 戻るには、いつまた崩れるか分からない、この通路を通るしかない。




さて、どうしようか?




>行動選択(安価+2)


 a.隙間に戻る
 b.石の竜を斬る
 c.入口へ進む


 
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 00:37:31.65 ID:9GtvbSY4o
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 00:38:04.98 ID:UieqSzP0o
c
59 :第三章 王子編「恐るべき罠」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 00:43:58.41 ID:bvwBbzpB0
 

◇c.入口へ進む



 俺は、暗い魔城の入口へ踏み込んだ。

 辺りは暗く、手を広げると両壁に届く幅の上り階段が続いている。

 壁や階段は全て石造りのようだ。



 階段は所々黒ずみ、苔が這っている。

 俺は足を滑らせないよう、慎重に上る事にした。



 しばらく進み見上げるが、まだまだ階段は続くようだ。

 先は長い、急いだ方が良いだろうか。このまま慎重に上るべきか。或いは―――


 何だか嫌な予感がする。




 さて、どうしようか?



>行動選択(安価+2)


 a.階段を慎重に上る
 b.階段を駆け上る
 c.階段を駆け下りる


 
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 00:46:21.35 ID:UieqSzP0o
c
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 00:46:34.65 ID:9GtvbSY4o
62 :第三章 王子編「恐るべき罠」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 00:50:00.01 ID:bvwBbzpB0
 


◆c.階段を駆け下りる


 俺は、暗い階段を全力で駆け下りた。


 しかし、ただでさえ暗い石段を下りるのは危ないのに。

 駆け下りるのは無謀すぎた!!


 俺は、見事に階段を踏み外し、盛大にひっくり返った。


 石に打ち付けた後頭部から、暖かい流れを感じる。

 血だ!! 意識が遠のく…。


 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!




 ゲームオーバー「11:転倒死」


 
63 :第三章 王子編「恐るべき罠」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 00:51:02.66 ID:bvwBbzpB0
 


 ▽Continue!




 階段は所々黒ずみ、苔が這っている。

 俺は足を滑らせないよう、慎重に上る事にした。



 しばらく進み見上げるが、まだまだ階段は続くようだ。

 先は長い、急いだ方が良いだろうか。このまま慎重に上るべきか。或いは―――


 何だか嫌な予感がする。




 さて、どうしようか?



>行動選択(安価+2)


 a.階段を慎重に上る
 b.階段を駆け上る


 
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 00:51:21.41 ID:UieqSzP0o
a
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 00:52:18.25 ID:9GtvbSY4o
a
66 :第三章 王子編「恐るべき罠」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 00:53:33.91 ID:bvwBbzpB0
 

◆a.階段を慎重に上る


 ごぼごぼとおかしな音が、上の方から、どんどん近づいてくる。

 そして地下というのに、ごうと風が吹き抜けた瞬間。


 突然、上から通路いっぱいに水が流れ込んできた!

 この通路は出入り口であると同時に、水の排出口だったのだ。


 しかも侵入者を排除するための、罠をも兼ねているとはっ!!

 このっ、この悪知恵ばかり発達した魔物どもめっ!!


 この狭い階段では、どこにも逃れられない。

 奔流に足を取られ、俺は下へ下へと流されていく。


 こんなことなら、恐れず階段を一気に駆け上がるのだった!!

 太陽の光の届かぬ場所で、大量の末期の水に囲まれようとは。



 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「10:溺死」


 
67 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/04(月) 01:02:22.87 ID:bvwBbzpB0
 


しまった…

こういう場合の取り決めをしていませんでした


生存ルートのみ残った場合、安価無しで自動的に進めさせて頂きます


進行方法その他、何かご意見あればよろしくどうぞ



では、以下本編です

 
68 :第三章 王子編「恐るべき罠」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 01:03:49.69 ID:bvwBbzpB0
 

 ▽Continue!




 階段は所々黒ずみ、苔が這っている。

 俺は足を滑らせないよう、慎重に上る事にした。



 しばらく進み見上げるが、まだまだ階段は続くようだ。

 先は長い、急いだ方が良いだろうか。このまま慎重に上るべきか。或いは―――


 何だか嫌な予感がする。




 さて、どうしようか?



>行動選択(安価無し)


 b.階段を駆け上る


 
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 01:04:01.70 ID:UieqSzP0o
了解
70 :第三章 王子編「恐るべき罠」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 01:04:41.14 ID:bvwBbzpB0
 

◇b.階段を駆け上る



 俺は、暗い階段を全力で駆け上った。

 俺が階段を上りきった、その時である。


 後ろからの強風に吹き付けられ、俺は前方に投げ出された。

 振り向くと、轟音とともに大量の水が、奔流となって階段に注いでいる。


 危ないところだった、危機一髪とはまさにこのことだ。

 もし、駆け上がる決断をしていなかったら、そう思うとぞっとする。


 それにしても、城の中に、このような死を呼ぶ罠が仕掛けられているとは。

 俺は、魔王の本拠に潜入したのだということを、改めて肝に命じた。


 王女よ、今しばらく勇者の到着をお待ちください。

 俺は隠しに入れておいた書状を握りしめ、慎重かつ大胆に歩みはじめた。




 つづく。


 
71 :第三章 王女編「太陽の光」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 01:06:43.52 ID:bvwBbzpB0
 


 ふたりはここが、広い池の中の小島だということに気づきました。

「超すっごー。城の中に池があるってことですかー」絹旗は目を見張りました。


「白鳥の城が、こういう作りだよ」

「超一応聞きますけど、それって、お父さんの城ですか?」

「ううん、わたしの誕生日にもらったの」姫は答えました。

「わたしの想像超ぶっちぎられましたっ、超稲妻の速さでっ!!」


 
72 :第三章 王女編「太陽の光」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 01:07:33.60 ID:bvwBbzpB0
 


 ふたりのいる小島は、池の真ん中にあります。

 池の水を越えた先には、四方を囲む城壁と扉が見えます。

 小島には、崩れた出口があるだけです。




「あの、どうしよう?」

「ちょっと、上の方超見てきますね」

 そういって、絹旗は高く飛びました。


「超いったーっ!!」


「な、なんかあって、超先に行けないですっ!」

 絹旗は頭を押さえながらいいました。


 
73 :第三章 王女編「太陽の光」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 01:08:11.03 ID:bvwBbzpB0
 


 この池のある場所からは、あの扉からしか出られないようです。

 池の水は澄んでいて、水底までよく見えます。

 池の底を覗き込むと、黄色い紋章が見えます。

 黄色の太陽の絵が描いてあります。



「太陽ですか。そういえばこれ、超太陽の腕輪っていうんですよ」

 絹旗は腕のオパールを、自慢げに見せました。

 絹旗の左腕輪は、金の台座に明るい黄色の宝石がついています。


 
74 :第三章 王女編「太陽の光」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 01:08:49.46 ID:bvwBbzpB0
 


 姫は、絹旗のオパールの腕輪をこすりました。

「こーらー、超なにすんですかっ!」絹旗は怒りました。

 それでも姫は、腕輪をこするのをやめません。

 すると、なんということでしょう。腕輪が光りはじめたのです。

 そして、それに応えるように池の底の紋章が輝きだしています。

 輝きは太陽の紋章の上で、黄金の光の柱となりました。




「…な、なんであなた。腕輪の使い方、超知ってんです?

 わたしも、知らないのに…」

「魔法の指輪はこすると発動するって、城の魔法使いがいってたから」

 姫は、何事もないように答えました。

「そういえば…長老が超いってたかも…え、これ指輪なんですか?」

 絹旗は、姫に聞こえないくらいに呟きました。


75 :第三章 王女編「太陽の光」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 01:09:34.87 ID:bvwBbzpB0
 


 見ると太陽の紋章があった場所に、大きな渦巻きができています。

 その渦巻きに向かって、池の水が凄い勢いで吸い込まれています。

 池の水は、みるみるうちに減っていき、ついには無くなってしまいました。

 不思議なことに、池の底にはもう、太陽の紋章も孔[あな]もありません。


 どうやらこの場は、城壁に見える扉に向かうしかなさそうです。

 ふたりは、すっかり水が退いた池の底を、歩いて渡ることにしました。


「ち…超ごめんなさい。正直、あなたのこと馬鹿にしてました」

 絹旗は小さな体を、もっと小さくしていいました。

「うふふ、いいよ。わたし、馬鹿娘って、よくいわれるもん」

 姫は、笑って言いました。




「アホか…やっぱ、こいつ超馬鹿かもです」




 つづく。




アイテム

 滝壺[ルビーリング]

 絹旗[オパールリング]


76 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/04(月) 01:15:28.94 ID:bvwBbzpB0
 


本日の投下はこれで終了です

安価にご協力ありがとうございました

少しでも楽しんで頂けたなら幸いです



明日も22-23時ぐらいから始めたいと思います(日付的には今日ですが)

開始前に予告とかした方が良いのでしょうか…

お暇があれば、またお付き合い頂ければありがたく


それでは


 
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 01:19:33.64 ID:UieqSzP0o

前日に言ってくれたら大丈夫だと思うよ
期待してます!
78 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/04(月) 22:44:43.31 ID:bvwBbzpB0
 

予告の時間になりましたので参上です

今宵もお付き合い頂ければ幸いです



しかし…ここまでの投下分をざっと読み返してみただけでも

誤字脱字文量の配分その他、酷い所が多々あって穴に入りたい気分ですorz

見直し修正しながら投下していくつもりですが、脳内修正推奨という事で…気を付けます





それでは以下本編、本日は第4章より参ります

安価にご協力をよろしくどうぞ

 
79 :第四章 王子編「魔人との邂逅」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 22:51:50.40 ID:bvwBbzpB0
 

 俺は、剣を手に魔城の通路を進み始めた。


>持ち物
[フレ,書状,ソード]


 二人がすれ違える程の幅の石造りの廊下だ。

 右のテスリの外は、目もくらむ断崖となっている。

 廊下は緩く左に弧を描いて前に続いている。


 魔城の一番外の通路で、遠くまで景色がよく見える。


 通路の床は、石で作られている。

 石造りだが、簡単に崩れてしまうそうな、細いテスリ。

 左の壁には、大小さまざまな石が敷き詰められている。



 俺は辺りを警戒しつつ歩を進めた。





 しばらく進んだ俺は、ふと何かが耳元を掠めた気がして静かに歩みを止めた。

 物理的な感覚ではなく、気配と言った方が良いだろうか―――あるいは予感のようなもの。

 警戒を緩めず辺りを探りながら、俺は再び足を踏み出そうとした。その時。



「…だぞ!」上の方で、何者かの咆哮じみた声が聞こえた。




 さて、どうしようか?



>行動選択


 a.右へ飛ぶ
 b.前に進む
 c.後ろに下がる

 
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 22:52:17.20 ID:9GtvbSY4o
81 :第四章 王子編「魔人との邂逅」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 22:53:11.63 ID:bvwBbzpB0
 

失礼、安価先が抜けました

↓+2でお願いします

 
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 22:53:23.23 ID:0eU7uB3Mo
a
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 22:53:33.92 ID:9GtvbSY4o
84 :第四章 王子編「魔人との邂逅」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 22:59:16.54 ID:bvwBbzpB0
 

◇c.後ろに下がる



 背筋を走る悪寒にも似た感覚が危険を告げる。

 俺は咄嗟に通路を後退した。


 その時である。俺の眼前に信じられない光景が出現した。

 石の天井が崩れ、緑の巨人が落ちてきたのだ!


 その岩のような肌、不格好に四肢の末端が肥大した姿。

 話に聞く魔王の眷属、トロルに違いない。


 こうなっては、もはや戦うしかあるまい。

 俺は、突然現われた脅威に、身構えた。



 緑色の岩のような肌をした魔物だ。俺の背はやつの胸までしかない。

 その人に近く最も遠い生物は、今にも襲いかかってきそうだ。



 トロルは、俺の言葉を無視した。


 俺は、トロルに向かって叫んだ。

「うおーーーっ!!」トロルも叫び返した。

 互いの視線がかち合い、睨み合う。

 一歩も譲らぬ意思を見取って、俺はいつでもどうとも動けるように腰を落として身構えた。





 さて、どうしようか?



>行動選択(安価+2)


 a.床に伏せる
 b.懐を探る
 c.後退する
 d.突進する
 e.剣で斬る

 
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 23:01:23.45 ID:2oxRYPTC0
d
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 23:01:26.65 ID:9GtvbSY4o
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 23:01:37.76 ID:0eU7uB3Mo
b
88 :第四章 王子編「魔人との邂逅」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 23:03:55.83 ID:bvwBbzpB0
 
◆d.突進する


 俺は、トロルに向かって突き進んだ。

 トロルは、ひょいと俺の頭を掴むと無造作に放り投げた。


 崖、空、崖、空、崖、目まぐるしく景色が入れ替わる。

 俺はぐるぐると回転しながら宙を舞った。


 舞ったといえる程の美しさがあったかどうか…

 投げられた当人である俺には、分からないのではあるが。


 俺は、トロルに無策で特攻したことを後悔した。

 そして、それが人生最後の後悔となった。


 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!




 ゲームオーバー「17:墜落死」

 
89 :第四章 王子編「魔人との邂逅」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 23:05:01.91 ID:bvwBbzpB0
 

 ▽Continue!


 俺は、トロルに向かって叫んだ。

「うおーーーっ!!」トロルも叫び返した。

 互いの視線がかち合い、睨み合う。

 一歩も譲らぬ意思を見取って、俺はいつでもどうとも動けるように腰を落として身構えた。





 さて、どうしようか?



>行動選択(安価+2)


 a.床に伏せる
 b.懐を探る
 c.後退する

 e.剣で斬る

 
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 23:05:25.06 ID:0eU7uB3Mo
b
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 23:05:58.59 ID:9GtvbSY4o
e
92 :第四章 王子編「魔人との邂逅」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 23:09:57.79 ID:bvwBbzpB0
 
◇e.剣で斬る


 勇気! 振り絞るべきは勇気!!

 それが勇者と凡人を、天と地ほどにわかつ資格!!


 俺は、渾身の力で剣を振り抜いた。

 トロルはその剣を、何の防具もない右腕で受けた。


 勝った!俺はそう確信した。しかし!

 まっ二つになったのはトロルの腕ではなく、剣だった!!


 一撃はトロルに致命傷を与えなかった、だが! だがそれは、無駄ではなかった!!

 トロルは、たたらを踏んでよろめき、そのままテスリを破壊して墜落したのだ。


 歓喜! 絶望から一転して歓喜!!

 俺は己の勇者としてのもうひとつの資格を確認した。


 それは、運命の女神に愛されているということだ。

 俺は、役に立たなくなった剣を捨て、更に先に進むことにした。




 一先ずの脅威は去ったが、俺は尚も慎重に歩を進めた。

 通路は終わり、前方に入口が見えた。


 石造りの入口は、暗く狭い。しかし進むしかない。


 俺は、狭い入口を少しかがんで通り抜けた。


 勇者の持つ最も強い武器、それは勇気!

 たとえ剣が折れようと、心が折れぬ限り俺は進む!




 つづく。

 
93 :第四章 王女編「トロルの自慢」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 23:11:48.37 ID:bvwBbzpB0
 

 ふたりは、扉を抜けて通路を進み、明るいバルコニーに出ました。

 魔王の城の外に出たようです。遠くまで見通せます。



 バルコニーは崖に突き出すように作られています。

 バルコニーの下は、地面が霞むほどの高さの断崖です。

 姫は跳ぼうとして、でもやっぱりやめました。

「ここで跳んだら、崖に落ちちゃいそうだね」

 ここから落ちたら、どんなに丈夫でも助かりそうにありません。

「おチビさんは飛べるし、ここから逃げられるね、良かった」

「なにいってんですか。わたしには、あなたを超導く使命があるんですから」

  
94 :第四章 王女編「トロルの自慢」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 23:12:39.85 ID:bvwBbzpB0
 

「お前、逃げる気だな。そうはいかないぞ」

 突然ふたりは背後から声をかけられて、びっくりしました。


 岩のような肌をした、緑色の巨人がこちらを睨んでいます。

 姫の倍以上の背丈です。絹旗の何倍でしょう。




 バルコニーには、トロルが仁王立ちしています。

 池に続く通路の出口があり、トロルの後ろには扉があります。


 姫は、とことこ歩いていって、扉の把手に手をかけました。

「通るよー」姫は、こんこん扉を叩きました。

「うおっ、こいつ当たり前に先に行こうとしてるぞ!」

 トロルは驚いて姫を抱え、元の場所に戻しました。

「油断も隙もねぇぜ」「残念」

「す…すごい。ある意味、超尊敬できますよ」

 
95 :第四章 王女編「トロルの自慢」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 23:14:32.82 ID:bvwBbzpB0
 

 池に続く通路の出口は、蔦の彫刻で装飾されています。

 姫はそちらに一歩踏み出してみました。

「アホかっ!! 戻ってどーすンですか!」

 妖精は腕を振り回して、凄い剣幕で怒りました。

 姫は池に戻るのを止めました。



 扉の方を見ましたが、トロルがいるので、通してくれそうにありません。

 さっきあのまま通れなかったのが本当に残念です。

「困っちゃったね」

「あなたの欠点は、超困ったように見えないことですね」



 姫は、トロルと話してみる事にしました。

「こんにちは、トロルさん」

「お、こんにちはだぜ」

 初めて会った相手と挨拶をするのは大事な事ですね。



「のんきと、とんまの衝撃の出会いです…」

 
96 :第四章 王女編「トロルの自慢」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 23:21:07.91 ID:bvwBbzpB0
 

「あなたの名前は、何ていうの?」

「トロルには、名前はないんですよ。知らないんですか、姫さま」

 トロルより先に、得意げな顔で絹旗が答えます。

「トロルは生まれの土地を超名前代わりに使うんですよ」

「そうなんだ、面白い」姫は手を合わせて感心しました。


「トロルさんはどこの生まれなの?」

「ごろごろ岬のじゃぶじゃぶ岩だぞ」

「じゃあ、海の方の生まれなんだね」


「でも…ごろごろみさきのじゃぶじゃぶいわさん、はちょっと長い」

 姫は珍しく困ったような声を出しました。
 

「ん? 名前か? 俺は削板軍覇というんだ」

「じゃあ、そぎいたさんて呼べば良いんだね」

「ええっ? 超普通にあるじゃないですか、名前! 何でですかー?」

 絹旗は一言で表せないような顔をしましたが、トロルは特に答えませんでした。

 
97 :第四章 王女編「トロルの自慢」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 23:22:49.65 ID:bvwBbzpB0
 

「そぎいたさんは、妖精を知ってる?」

「ああ、俺も妖精だ。土の妖精だぞ」

「じゃぁ、きぬはたさんと、お仲間だね」

「断じて超違いますから!」


「きぬはたさんのことは知ってるの?」

「なんだそりゃ…しらねぇぞ」

「わたしの超勇名も、トロルにまでは伝わってないようですね」




「そぎいたさんはどうしてここにいるの?」

「お前を逃がすなと、ボスにいわれた」

「扉を通してくれるだけで、いいんだけど」

「そうか、それならいいぞ…


 良くない! 逃げる気だな、お前油断ならないぜ」

「超惜しいですっ」絹旗は小さく舌打ちしました。

 姫は意外と策士のようです。

 
98 :第四章 王女編「トロルの自慢」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 23:23:33.65 ID:bvwBbzpB0
 

「そのボスって、どんな人なの?」

「ボスは怖いぞ。ボスの言葉には逆らえないんだ」

「そんな図体なのに、超勇気がないんですねぇ」

 絹旗は調子に乗ってからかいました。

「違うんだ。体がいわれた通りに動いてしまうんだ」

 削板は、首をひねりながらいいました。


「言霊を使った呪いだね」姫は小さくいいました。

「そ…そうですね」絹旗は適当に相づちを打ちました。




「とにかく、俺の使命はお前を逃がさないことだ。でも、ひねり潰したら駄目だ」

 削板はそういって、扉の前に仁王立ちしたまま退いてくれる気配はなさそうです。


「どうしよう?」

「超単純ですから、上手く乗せれば超どうにかなると思いますよ」

 ひそひそと相談すると、絹旗はさらっと言ってのけました。

 
99 :第四章 王女編「トロルの自慢」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 23:24:09.86 ID:bvwBbzpB0
 

 よく見ると、緑色の巨人の大きな大きな手には、ターコイズの指輪がはまっています。

 明るい青緑の、海を思わせる指輪です。

「トロルのくせに、超おしゃれなんかして」

「む、トロルは、おしゃれなんだぜ」

 絹旗がからかうと、削板は指輪をはめた指を掲げて見せました。

「これは、一族に伝わる秘宝なんだぞ。

 俺が勇者だから持てるんだ」

 削ぎ板は絹旗の腕輪に目を止め、得意げに鼻を鳴らしました。

「俺のターコイズの方がきれいだぞ。ふふん」



 姫は、削板の横に行って指輪をこすりました。

 でも、何も起きませんでした。

「何も起きないね」

「怖いもの知らずって、超本当にいるんですねぇ…」

 でも削板も特に気にしていないようです。



 姫は自分の指輪をこすりましたが。ここでは何も起きませんでした。

 ついでに絹旗の腕輪もこすってみましたが、何も起きませんでした。

「うーん、超何も起きないですね」

 
100 :第四章 王女編「トロルの自慢」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 23:25:38.31 ID:bvwBbzpB0
 

 更に、姫は絹旗をこすりました。

「背中をさすってくれるのかい、超すまないねぇ。

 じゃねェですっ!! わたしは、ばァさまですかっ!!」

 見事な、のりつっこみです。



 腕を振り上げた絹旗をそのままに、姫は、削板の腕をこすりました。

「俺の立派な腕に、触ってみたくなる気持ちは分かるぜ」

 削板は得意げに胸を張ります。

「トロルさんの腕って、岩みたい」

「あなた、超何でもありですね…」



 姫は、トロルをこつん、と叩いてみました。

「俺は丈夫だぞ。そんなの、ちっともこたえないぜ」

「トロルさんって、とっても固い。すごいよ」

「超いきなりトロルを叩く、あなたのほうが、超すごいですよ…」

「俺は頑丈なんだ。怪我なんかしたことないぜ。根性があるからな!」

 どうもどこかずれた2人です。相性は良いのかもしれません。

 
101 :第四章 王女編「トロルの自慢」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 23:27:09.46 ID:bvwBbzpB0
 

 そういえば、と姫は外に目をやりました。

 相変わらず、バルコニーの下は地面が霞むほどの高さの断崖です。

 ここから落ちたら、どんなに丈夫でもやっぱり助かりそうにありません。


 姫は削板を見上げて言いました。

「そぎいたさんは、ここから落っこちても大丈夫なの?」

「姫さま、なにいってんですか絶対むり、超大丈夫なわけないですって」

「俺をなめるんじゃないぞ」削板は鼻息を荒くしました。


「これは大事なものだから、ちょっと持っててくれ」

 トロルはターコイズリングを姫に預けました。


「お前ら、よく見てるんだぞ!!」

 削板はそう叫んで、バルコニーを乗り越えて飛び降りました。


「超やりました! トロルがいなくなったから先に行けますよっ」

「でも…そぎいたさんに、この指輪を返さないといけないよ」


「超アホか。とりあえず、預かっておきましょうよ」

 絹旗も、だんだん姫ののんきぶりに馴れてきたようです。


「そうだね。そぎいたさん、あとで返すよー」

 姫はそういって、ターコイズリングを左腕にはめてみました。

「おっ、超ぴったりじゃないですか。あつらえたみたいですね」

 まるで買い物に来た女子高生ののような会話です。

 スルースキル万歳。




 つづく。




アイテム

 滝壺[ルビーリング,ターコイズリング]

 絹旗[オパールリング]

 
102 :第五章 王子編「絶命の回廊」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 23:28:37.49 ID:bvwBbzpB0
 

 トロルをやり過ごすと、俺はなだらかな斜面が上に続く細い回廊を進み始めた。


>持ち物
[フレ,書状]


 左に緩く弧を描いて廊下が上っている。

 右の壁にはまばらに明かり取りがあるものの、薄暗い。


 出口には、トロルが挟まっている。


 この出口は、トロルには小さ過ぎたようだ。

 緑の巨人は奇妙な格好で、もがいている。



 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 a.トロルを叩く
 b.先を急ぐ

 
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 23:29:22.27 ID:0eU7uB3Mo
a
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 23:30:33.99 ID:9GtvbSY4o
a
105 :第五章 王子編「絶命の回廊」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 23:32:22.48 ID:bvwBbzpB0
 

◆a.トロルを叩く


 俺はトロルを叩いてみた。まったく鉱物としか思えない固さだ。

「俺は丈夫だぞ。そんなの、ちっともこたえないぞ」


 そして次の瞬間。


 突然、俺は転倒した! トロルが俺の足を掴んだのだ!

「うおぉぉぉ! 俺は強い!」トロルは吠えた!!


 俺は棒切れのように振り回され、壁と床にしこたま打ち付けられた。

「うおぉぉぉ! おまえは弱い!」そこで、俺の意識は途切れた…。



 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「19:全身打撲」

 
106 :第五章 王子編「絶命の回廊」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 23:33:39.70 ID:bvwBbzpB0
 

 ▽Continue!


 この出口は、トロルには小さ過ぎたようだ。

 緑の巨人は奇妙な格好で、もがいている。



 さて、どうしようか?


>行動選択(安価無し)


 b.先を急ぐ

 
107 :第五章 王子編「絶命の回廊」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 23:37:08.44 ID:bvwBbzpB0
 

◇b.先を急ぐ

 俺は慎重に歩を進めた。

 前の方で、何か大きな物が転がる音が聞こえる。



 俺は警戒を強めつつ更に先へ進んだ。

 球状の大岩が転がりながら、こちらに近づいてくる!


 それは凄まじいスピードで転がり―――球状の大岩が、目の前に音をたてて迫ってくる!!



 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 a.横をすり抜ける
 b.床に伏せる
 c.後ろへ逃げる

 
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 23:37:44.87 ID:9GtvbSY4o
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 23:40:12.01 ID:0eU7uB3Mo
a
110 :第五章 王子編「絶命の回廊」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 23:46:53.11 ID:bvwBbzpB0
 

◆a.横をすり抜ける


 轟音を立てて迫り来る大岩。

 俺はその横をすり抜けようと踏み出し―――大きな間違いに気付いた。

 この壁や床には目の錯覚を引き起こすような仕掛けがあったのかもしれない。

 大岩と壁の間には、どうあっても人がすり抜けられるような隙間は存在していなかった。


 妙に不自然にゆっくりと流れる視界。

 右も壁、左も壁、上は天井、下は床!!!

 この四角い通路の、どこに逃げればいいというのだ!!


 四角い通路に丸い大岩…閃いた!しかし遅い!

 俺は助けを呼ぶ声を出すこともできず、大岩に轢かれてしまった。



 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「18:轢死」

 
111 :第五章 王子編「絶命の回廊」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 23:47:58.21 ID:bvwBbzpB0
 

 ▽Continue!


 俺は警戒を強めつつ更に先へ進んだ。

 球状の大岩が転がりながら、こちらに近づいてくる!


 それは凄まじいスピードで転がり―――球状の大岩が、目の前に音をたてて迫ってくる!!



 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 b.床に伏せる
 c.後ろへ逃げる

 
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 23:48:20.09 ID:9GtvbSY4o
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/04(月) 23:54:30.22 ID:0eU7uB3Mo
b
114 :第五章 王子編「絶命の回廊」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/04(月) 23:55:26.01 ID:bvwBbzpB0
 
◇b.床に伏せる



 大岩が俺を轢き殺そうと襲いかかってくる。もう逃げ場はない!!


 決断! いま必要なのは、決断力!

 俺は思い切って、通路の端に体を横たえた!

 俺の上を、巨石が唸りを上げて通りすぎる!!


 ほんの一瞬の決断が遅れれば、俺は轢き肉になっていたろう。

 そう考えるとぞっとする。


 俺は起き上がって埃を払うと、深呼吸をした。

 罠に次ぐ罠。だが魔王の卑劣な策などに怯むものか!




 俺は慎重に歩を進めた。

 左に緩く弧を描いて廊下が上っている。

 右の壁にはまばらに明かり取りがあるものの、薄暗い。

 通路は終わり、前方に入口が見えた。


 今までと違って、蔦の装飾が施されている。

 いよいよ魔城の中心部のようだ。



 俺は回廊を抜け、次の場所の入口へと向かった。

 確実に王女の元へ近づいている、という確信が俺にはあった。


 しかし、それは次の魔物の出現も意味している。

 俺は慎重かつ大胆に入口を抜けた。




 つづく。

 
115 :第五章 王女編「助けを呼ぶ声」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 23:56:29.04 ID:bvwBbzpB0
 

 バルコニーからの通路を抜けると、そこは中庭でした。

 壁に囲まれた空が見え、明るい光が射し込んでいます。


「ちょっと、出入り口が全部超塞がっちゃってるじゃないですか」

「岩が沢山崩れてきた、みたいだね」


 姫の言葉の通り、あたりの石組みが崩れて、中庭はすりばちみたいです。

 そのとき「…やでぇ」どこからか、弱々しい声が聞こえてきました。


「超岩の下からじゃないですか? あの声」

「だれか、生き埋めになっっちゃってるのかな?」


 中庭には沢山の岩や小岩が転がっています。

 塞がっていないのは、バルコニーからの出口だけのようで、幸い岩で塞がらなかったようです。


 声が聞こえた場所へ行くと、そこにあったのは姫の背よりずっと大きな丸い岩でした。

 とても動かすことはできそうもありません。

 岩の他に、一抱えもありそうな小岩も転がっています。

 
116 :第五章 王女編「助けを呼ぶ声」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 23:57:36.69 ID:bvwBbzpB0
 

「えいっ」

 姫は迫力の無い気合いを入れて、岩を動かそうとしました。

「おっ! 超すごいですっ! 動きそうですよ」

 不思議なことに、姫のターコイズの腕輪が光っています。

「もう少しで動きそう、なんだけど…」

「超壁際ですし、岩の向こうが開いてるかも…」



「えいっ」

 姫は迫力の無い気合いを入れて、岩を押しました。

 なんということでしょう、岩が揺れています。そして!

 姫の背の高さよりもずっと大きな岩が、向こう側に動き出しました!

 姫の左腕のターコイズの腕輪が強く光っています。

「すごいすごいっ! 超頑張って下さい姫さまっ!」

「えいっ!」姫は、渾身の力を込めました。

 ターコイズの青緑の光が、中庭いっぱいに広がって、海の底みたいです。


 ついに、大岩はごろりと前に転がって、姫が押さなくても動き出しました。

 ごろりん、ごろりん、岩は坂を転がり落ちて行きました。



「超やりましたーっ!! 超すっごいです、あんな大岩、動かしちゃいました!!」

 絹旗は両腕を、ぶんぶん振り回して大興奮です。
 
117 :第五章 王女編「助けを呼ぶ声」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/04(月) 23:58:49.30 ID:bvwBbzpB0
 

「いやいや、えらい力持ちの、女の子やなー」

 下のほうから声がしました。


 おやおや、なんだか可愛らしい生き物がいます。

 にぎりこぶしぐらいの…種といえば形がわかるでしょうか。

 種には短い手足と、双葉が生えています。


「ほうほう、絹旗ちゃんやないか。するとこの娘[こ]は、虹の王女やね」

 種は絹旗と姫を、うなづきながら見ました。


「あれ、きぬはたさんのお知り合い?」

「は? 超知りませんよ、こんな奴」絹旗は素っ気なく答えました。


「何をいっとるん。僕は風の村の神樹やで」

 種は偉そうに言いましたが、声が甲高いので迫力がありません。


「アホか。神樹様は、すんごいすんごい、超大きいんですよっ!」




 つづく。




アイテム

 滝壺[ルビーリング,ターコイズリング]

 絹旗[オパールリング]


 
118 :第六章 王子編「巨樹の鞭」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/05(火) 00:00:32.85 ID:yfyhwgt70
 

 回廊を抜けると、そこは中庭だった。そして、その奥に女が居る。


 俺が中庭に足を踏み入れたその時。

「アークイリスレイオーラ!」女の声が聞こえた。



>持ち物
[フレ,書状]


 中庭には岩や小岩が転がっている。


 女の周りが黄金の光に包まれた。

 光の中から蔦のような物が天空に向かって伸びていく!


 その高貴な佇まい…姫! 彼女は虹の王女に相違ない!!


 蔦は瞬時に幹に変わり、枝が女を抱え上げた。

 まさにその瞬間、床を割って太い根が俺に走ってきた!!



 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 a.前
 b.後
 c.右
 d.左


 
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/05(火) 00:01:26.02 ID:Uh+5q1yMo
a
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/05(火) 00:02:09.11 ID:Mj+RfwXvo
d
121 :第六章 王子編「巨樹の鞭」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/05(火) 00:03:23.16 ID:yfyhwgt70
 
◇d.左



 その太い根は、鞭のようにしなりながら伸びてきた!

 間一髪だ! 俺は間一髪で、その攻撃を左に避けることに成功した!!


 しかし、木の根はさらにしなり俺を打ち付けた!

 俺は吹っ飛ばされて壁に激突し、肺の息を全て吐き出した!


 薄れいく意識の中で、黄金の光に包まれ登っていく女を見た。

 ああ…美しい。神話の中の光景のようだ。

 俺は、そう思いながら気を失った。




 つづく。


 
122 :第六章 王女編「アークイリスレイオーラ」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 00:06:15.46 ID:yfyhwgt70
 

「ほうほう。虹の王女は、なかなか可愛らしい娘やねぇ」

 種はちょこちょこと歩いて、姫の膝の上に乗りました。


「わあ、猫みたい」姫は種を撫でました。

「…若い娘が好きなのは、神樹様と超一緒ですね」


「こら絹旗ちゃん。一緒も一緒、僕こそ神樹やっていうとるのに」

 種は、ぷんぷん怒りました。

「けどま、ちょうど良かったで。僕に魔法をかけるんや。

 何しろ光にずいぶん当たっとらんかったから、弱ってしもて。

 絹旗ちゃんの魔法と太陽の腕輪があれば十分な力や。

 それに呪文を知る、虹の王女もおるし」

「はぁ? 魔法は、あと超一回しか使えないんですよ。

 なんで、あなたなんかに使うんですかっ!」



 絹旗と種の言い合いを聞きながら、姫は周りをぐるっと見回しました。

 中庭には沢山の岩や小岩が転がっています。

 バルコニーからの出口と、回廊への入口が開いています。


 膝には種が、肩には絹旗がいます。

 にぎりこぶしぐらいの種が、姫の膝で手足をぱたぱたさせています。

 絹旗は、姫の肩に止まって足をぷらぷらしています。

 ひとつなぎの黄色い服、オパールの腕輪をしています。


 
123 :第六章 王女編「アークイリスレイオーラ」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 00:07:12.70 ID:yfyhwgt70
 

「魔法を使ってあげたらどう?」

「超本当に神樹様だったら、使ってもいいですけど」

 絹旗はジト目で種を見詰めています。

「…確かに、喋りは超神樹様っぽいですけど」

「神樹様じゃないの?」

「少し話したらまた聞いてよ。

 本当に神樹様かどうか判定するから」

 そういうと絹旗は姫の肩でまた足を揺らし始めました。

 どうやら傍観するようです。


 
124 :第六章 王女編「アークイリスレイオーラ」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 00:08:28.70 ID:yfyhwgt70
 

「あなたの名前は、何?」

「名前とかはないんやけど、絹旗ちゃんは神樹様と呼んでくれとるよ」

「超呼んでないっつーんですよ」絹旗はあきれ顔です。

「あとはー、青髪ピアス、とかやなぁ」

「…超偽名臭いですね…って言うかもうそれ超名前じゃないです」



「どうしてあおがみさんは種なの?」

「おおう、早速略称やね。ええ響きやなぁ…」

 うっとり呟く種、というのも中々シュールです。

「うんまあ、この姿はな。体を焼かれたりして、危機に遭遇した時にやな。

 僕らトレントは、転生して種の形になるんや」

「くそーっ。魔王が、うちの村の神樹様を超焼き払ったンです!!

 此処のボスを倒して、神樹様の超かたき討ちです!」

「僕、死んだことにされとるで…」

 青髪が何か喋るたびに小コントが繰り広げられているようです。


「とれんと、っていうのは?」

「木も長く生きると、僕らのように意志を持つんや」

「あなた、完璧に超生まれたばっかじゃないですか! 超種じゃないですか!」

「昔、天界から落ちて、風の村に根を張ったんや。

 もっとも、僕が落ちてきた時は、風の村無かったけどなぁ」

「ふん、超いってます」

 絹旗は脊髄反射で突っ込んでいるとしか思えません。


「きぬはたとはお知り合いなの?」

「まったく、生意気盛りで困ったもんやで」

「むきー、あなたの方が超生意気ですっ」

 何だか親戚のおじさんのようです。


 
125 :第六章 王女編「アークイリスレイオーラ」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 00:11:22.22 ID:yfyhwgt70
 

「わたしは、なんなのか、わかる?」

「姫こそ、虹の王女に間違いないで。僕が保証する」

「あなたに保証されても、それこそ超何の保証にもなんないですよ」



 青髪は何だか少し、疲れているように見えます。

「何しろ大地から遠い場所にあったんでなぁ。

 僕には、ちょいと此処は、つらい環境やったん」

「じゃあ、あおがみさんはどうしてここにいるの?」

「魔王の奴、つまり此処のボスやね。

 僕の力を恐れて、空中に僕を閉じ込めたんよ」

「じゃあ、強いんだね」

 絹旗は姫の真似をしていいました。

「う…絹旗ちゃん、そこはかとなくむかつくでぇ…(けどそれもご褒美や!)」

 後半ほとんど聞こえないほど小さな声で言うと、種は小さい拳を握りしめました。



 そういえば削板もボスとやらの話をしていました。

「魔王…あれは永遠に、僕らと相容れる事はないで!」

「そーです!魔王は超敵ですっ!超絶対倒します!!」


「ううん、魔王さんとも、仲良くできるはずだよ」

 姫は珍しく、強い口調でいいました。


「その志は尊いけどなぁ。魔王は滅びしか呼ばんのや」

 重々しい口調で種はいいました。


 
126 :第六章 王女編「アークイリスレイオーラ」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 00:12:22.56 ID:yfyhwgt70
 

「……あおがみさんは、「敵」って何だと思う?」

「敵とは常に己の中におる」

「敵と思わなければ、敵は居ないってこと…かな?」


「さすがやね姫。中々その境地にはなれるものやない」

「敵は超敵ですよ!」絹旗は認めません。



「きぬはたさん、どう? わかった?」

 姫は気持ちを切り替えるように絹旗に話を振りました。

 それを汲んで絹旗も軽妙に軽口を叩きます。

「若い娘が超好き、ぎゃぐが超寒い、超回りくどい。

 これが、神樹様を超判定する基準ですよ」


「絹旗ちゃん、君は僕をなんやと…」

「じゃあこの種さんは、かなり高い率で神樹様だね」

「おおっ、姫さま超鋭いです!」

「…若い娘、嫌いになりそうや」

 流石にがっくりと肩を落としましたが、生憎あまり本気には見えません。

 おそらく日頃の行いの所為でしょう。


 
127 :第六章 王女編「アークイリスレイオーラ」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 00:13:51.95 ID:yfyhwgt70
 

「僕らのことを、森の妖精という者もおるんよ」

「ちなみに、わたしは風の妖精ですよ」

「こら絹旗ちゃん、魔法をかけるんや、はヨウセイ」

「親父ぎゃぐの寒さじゃ、神樹様を超抜きましたね、こいつ」

 実は気が合うんじゃないかなぁ、と姫は心の中だけで思いました。実は意外と空気読める子。



「絹旗ちゃんの使命のためにも。

 僕に魔法をかける必要があるんや」

 青髪は急に真剣な顔付きになって話を切り替えました。というか戻しました。脱線しすぎです。

「こいつ、超適当なこといって…」

「かけてあげたら、どうかな?」

 絹旗はジト目のまま肩を跳ね上げますが、対照的に姫はアッサリとしたものでした。

「おお、さすがは美しく聡明なる姫や。

 ほれ、早うかけんかい、絹旗ちゃん」

「こいつ神樹様にそっくりすぎて、超むかつきます」


 
128 :第六章 王女編「アークイリスレイオーラ」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 00:14:35.79 ID:yfyhwgt70
 

 それよりも姫は青髪の台詞で思いだしました。

「あおがみさんにも使命はあるの?」

「そうやな。世界の調整者、それが使命といえるな」

「超でっかく出ましたねまた」


「種だけに、でタネ、や」

「あ、おもしろい」姫は手を叩きました。

「せ、せんす超悪っ!」

 絹旗は驚愕の表情で姫を眺めています。若干引いてもいるようです。

 そして、疲れたような溜息とともに判定を下しました。

「どーにも、超神樹様っぽすぎます。

 少なくとも、親戚かなにかですね」

「本人、いやさ本樹とゆーに。

 本樹と書いてまじ、やとゆーに」

「この超寒さ…神樹様?」

「そこで判定されるのも、いややねえ」


 
129 :第六章 王女編「アークイリスレイオーラ」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 00:17:51.79 ID:yfyhwgt70
 

 その時、光の加減でしょうか。

 きらりとオパールが輝いたのを見て種は得意げに鼻を鳴らしました。

「君に渡すまで、妖精王から預かっておったのは僕や。

 だから、いま太陽の腕輪を、僕に使うのが当然なんや」

「こいつ、また口から超でまかせを…」

 絹旗はいい加減嫌そうです。


 腕輪を使う、といわれて姫は絹旗の腕輪をこすりましたが、ここでは何も起きませんでした。

「うーん、超何も起きないですね」

 ついでに自分の指輪をこすりましたが。ここでは何も起きませんでした。

 更に削板から預かった青緑の腕輪もこすりましたが、やっぱり何も起きませんでした。


 そしてお決まりの流れで姫は、今度は青髪をそっとこすりました。

「背中をさすってくれるのかい、すまんのう」

「うわっ、完璧に超じいさまですっ!」

 暢気な事をかます青髪に容赦ないツッコミが飛びます。


 更に、姫は種を叩いてみました。

「こらこら、目上のものは敬うもんやで」

「いいですよ、こいつ超叩いちゃって」絹旗も種を叩きました。

「若い娘にかわるがわる叩かれて、新たな何かに目覚めそうや」

「超きもっ!」絹旗は種から離れました。


 
130 :第六章 王女編「アークイリスレイオーラ」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 00:20:15.12 ID:yfyhwgt70
 

 肩の淵からそっと覗く絹旗を指先で宥めつつ、姫はもう一つの質問を青髪に尋ねる事にしました。

「呪文ってなぁに? 何て言えばいいの?」

「そうや呪文や。

 君が虹の王女なら、唱えることができるやろう」


「えっと…どんな呪文なの?」

「僕ぁ知らんで」 青髪はアッサリと言い切りやがりました。

「超知らねーンですかっ!!」絹旗は種に手刀を浴びせました。

「絹旗ちゃん…相変わらず、つっこみに容赦がないんやねー」


 姫は絹旗にも尋ねてみました。

「種さんがいった、呪文ってなにかな?」

「姫さまが知らないんなら、あいつの超でまかせですよ」



 しばらく無言で首を傾げていた姫は、きゅ、と拳を握って息を吸い込みました。そして、

「わ…、わー」姫は、できるだけ大きな声を出してみました。

「姫さま、超何やってんです?」

「えっと、わからないからとりあえず、何か叫んでみようかと思って…」

「今の超叫んだつもりですかっ!!」絹旗は、姫の何倍も大きな声を出しました。

 
131 :第六章 王女編「アークイリスレイオーラ」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 00:21:33.36 ID:yfyhwgt70
 

「もう…超間違いないですよ。

 こいつ…もとい、このお方は超神樹様ですよ」


「おおっ絹旗ちゃん、分かってくれたんか」

 種…神樹様は、ぴょんと姫の膝から降りました。


「超もっと早く分かってたけど、超大事な魔法ですからね。

 できれば姫さまのために、超取っておきたかったんです」

「うん、その心がけ。あっぱれやで」

「最初から、使ってあげるように、いったのに」


「お人好しも超いい加減にしないと、大変なことになりますよ!

 特に魔王と仲良くなろうなんて、超とんでもないことですよ」


「でも、わたしは…」


「僕の趣味が若人の観察といえ、喧嘩なんか見とうないで」

「…でも、神樹様」絹旗は不満そうです。


「喝!! でもも機動隊もないで!!」

「超意味分かんないですよ!!」間髪を入れぬ、つっこみです。


 
132 :第六章 王女編「アークイリスレイオーラ」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 00:22:27.24 ID:yfyhwgt70
 

「ご…ごほん。では絹旗ちゃんは魔法をかけるんや。

 そんで、姫は呪文を唱えるんやで」


「…あの、わたし、呪文を知らないんですけど」

 姫は情けない顔をして、絹旗と神樹様を見ました。


「案ずるんやない、虹の王女ならばできるはずや。

 できなかったら、そうやなかったいうだけのこと…」


「姫さまが虹の王女じゃないと、超どうなるんでしょうか。

 えーと、あの、超参考までに」絹旗は恐る恐る聞きました。


「世界が滅びるだけのことや!」

「もー、神樹様ってば、超緊張させンじゃないですよっ!!」


「あ、あの、本当に知らないんです呪文なんて…」

 姫は、真っ青な顔をして、がたがた震えています。


「ふむ、笑いで緊張をほぐす作戦、大失敗やな」

「アホかーっ!! あれじゃ超緊張しますーーっ!!」


 絹旗は、腕で空を飛ぶ気じゃないでしょうか。

 そんな、勢いで両腕を振り回しています。


「うふふふ…」姫は笑い出しました。

「姫さま、超緊張しすぎて、おかしくなっちゃいましたー?!」


「お父様がいってたの。

『大事な決断の前には笑いなさい』って」


「うわっはっはっは!」神樹様は笑いました。

「はーっはっはっは!」絹旗も慌てて笑いました。


「うん、姫の父君は、なかなかの傑物や!」

「だーっはっはっは!」「絹旗ちゃん、もうええよ」


「じゃあやろう」「やろうか」「せーの、精霊よ超力をー!!」

 絹旗の腕から出た黄金の光が、神樹様を包み込みます。


「よし今や、呪文を唱えるんやー!!」

 神樹様が、姫に合図を出しました。


 
133 :第六章 王女編「アークイリスレイオーラ」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 00:23:24.50 ID:yfyhwgt70
 

「アークイリスレイオーラ!」


 姫は、はっきりと力強く、呪文を唱えました。


 呪文に応えて、神樹様の頭の双葉が、ぐいぐい伸び始めました。

 滝が上に登っていくような勢いです。


「虹の王女ですっ、姫さまは超虹の王女ですーっ!!」

 絹旗は神樹様に太陽の力を注ぎながら、叫びました。


 その間も、神樹様は中庭いっぱいに枝を広げていきます。

 そして、枝は優しく姫を包み込んで、上へ上へと持ち上げます。


「わあ、まるで飛んでるみたい!」

 姫は、すっかり感激して手を叩きました。

 
134 :第六章 王女編「アークイリスレイオーラ」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 00:24:05.18 ID:yfyhwgt70
 

 姫と絹旗は神樹様に運ばれて、壁の上に出ました。

 眩しい光が、ふたりを迎えます。



「絹旗ちゃん、よくやったで。これを持っていくんや」

 すっかり貫禄のある声になった、神樹様がいいました。


「超琥珀の腕輪…ですね、神樹様」

「せや、それがあれば妖精の道が開けるで」


 絹旗はアンバーリングを右腕につけました。

「よお似合うで、絹旗ちゃん」「うん、似合ってるよ」


「これ以上魔法をかけると、絹旗ちゃんの命にかかわるからなぁ」

「…神樹様が超かけさせたくせに」「なんやと」「いえいえー」


「ふむ、よく聞くんやふたりとも。

 魔王を倒すためには「斬るべきものを斬る剣」が必要なんや。

 そのためには一度妖精の道を通り、妖精界に行く必要がある。

 そこで姫、絹旗、妖精の踊りを踊るんや…そうすれば…」

 それきり、神樹様の声は聞こえなくなってしまいました。





 つづく。




アイテム

 滝壺[ルビーリング,ターコイズリング]

 絹旗[オパールリング,アンバーリング]


 
135 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/05(火) 00:28:18.48 ID:yfyhwgt70
 

本日の投下はこれで終了です

安価にご協力ありがとうございました

少しでも楽しんで頂けたなら幸いです



絹旗の「超」の使い所と青髪のエセ関西弁は特に難しいですね…

その他諸々含め、おかしい所はご指摘下さい。出来るだけ修正して行きます




明日も22-23時ぐらいから、というか基本的にはいつもその辺りから始めたいと思います

お暇があれば、またお付き合い頂ければありがたく


それでは

136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/05(火) 00:28:51.36 ID:Mj+RfwXvo
乙!
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/05(火) 00:29:23.09 ID:Uh+5q1yMo
おつ
138 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/05(火) 22:23:42.70 ID:yfyhwgt70
 

時間になりましたので参上仕ります

今宵もまたお付き合い頂ければ幸いです



物語は中盤

これから終幕へ向けて色々と話が展開して行きます

それと、改めて述べさせて頂きますが…キャラ崩壊注意、です



それでは以下本編、本日は第7章より参ります

安価にご協力をよろしくどうぞ

139 :第七章 王子編「風の妖精」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/05(火) 22:26:08.91 ID:yfyhwgt70
 

 俺は、頬を撫でる風で目が覚めた。

 ぼやけた視界に浮かんでいるのは小さな人影のようなもの。

 焦点が合うに連れてそれは明確な形を作っていく。

 淡い色彩の細い体躯に明るい色合いの衣服、背中にはちらちらと光を零す透き通った羽。

 間違いなく妖精だ。この城に、なぜ?!



>持ち物
[フレ,書状]


 俺は、視線だけを巡らせ辺りを見回した。

 岩や小岩が転がり、前に太い幹を持った木がそびえている。

 壁には巨樹の根が這い回り、気絶する前とは様子が一変している。

 右の壁は木の根が壊してしまったようで―――驚くべき巨樹の力が、厚い壁を突き抜いてしまっている―――、城の外が見える。


 俺は中庭の地面に体を横たえている。

 骨が何本か折れているのは間違いない。当分起きるのは無理だ。

 そして、目の前には妖精が俺を見つめている。


「超すごいですね、あなた。血色が良くなってきましたよ」

 妖精が俺の顔を覗き込みながら言った。




 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 a.起き上がる
 b.妖精を見る


 
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/05(火) 22:28:33.81 ID:Mj+RfwXvo
a
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/06/05(火) 22:53:32.84 ID:pfYGTvOso
b
142 :第七章 王子編「風の妖精」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/05(火) 23:02:05.20 ID:yfyhwgt70
 

◇b.妖精を見る


 
 確かに、羽が生えたチビの妖精がいる。

 魔城とおかしな取り合わせだが、天国からの使いではないようだ。

「大丈夫ですか? とりあえず、動けるようになるまで、いてあげますよ」

 俺を心配してくれている。悪い奴ではなさそうだ。



「長老に超聞いたことあります…降魔の剣を操る一族の話」

 この妖精、何を言っているのだろう。



 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 a.起き上がる
 b.妖精と話す


 
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/05(火) 23:03:30.30 ID:Mj+RfwXvo
b
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/05(火) 23:04:43.26 ID:Uh+5q1yMo
a
145 :第七章 王子編「風の妖精」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/05(火) 23:06:28.71 ID:yfyhwgt70
 
◆a.起き上がる


 妖精の話が気にならないと言ったら嘘になる。

 だが、俺は姫を助けに行かなければならないのだ。

 こんなところでゆっくりしている場合ではない。

 俺はかなり無理をして、軽く体をひねった、しかし!


 俺自身の肋骨が! 折れた肋骨が鋭利な槍と化して、胸を刺した。

 大量の血が俺の口から、ごぼごぼと溢れた。

 目の前が暗くなる、妖精の悲痛な叫びが聞こえる。

 それが思わぬ形での、そして永遠の妖精との別れだった。


 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「23:肺損傷」


 
146 :第七章 王子編「風の妖精」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/05(火) 23:08:01.31 ID:yfyhwgt70
 

 ▽Continue!


「長老に超聞いたことあります…降魔の剣を操る一族の話」

 この妖精、何を言っているのだろう。



 さて、どうしようか?


>行動選択(安価無し)


 b.妖精と話す


 
 
147 :第七章 王子編「風の妖精」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/05(火) 23:11:15.24 ID:yfyhwgt70
 

◇b.妖精と話す



「あなた妖精が超珍しいんですね。超そういう顔してますよ」

 目の前に浮かぶ妖精はふふん、と得意げに胸をそらした。

 大仰な態度だが、全体像が小さいので全く威圧感は感じない。

「ちぇっ。あなたも、あの女みたいに。

 わたしのこと超チビって呼ぶんですか?」

 超、とまでは言ってない。……確かに小さいが。


 それよりも。

 妖精が先ほど言った「あの女」とは…もしや。

「あなたは姫さまを超探してるって訳ですね。

 いいところまで来てるから、超頑張ってください」

 この妖精…王女の居場所を知っているのか?

 俺はそう尋ねようとして、身体がずいぶん楽になっている事に気がついた。


 不思議なことに、先ほどまでぼろ屑同然だった体が。

 俺の体が確実に回復している。これならもう起き上がれるかもしれない。





 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 a.起き上がる
 b.妖精に尋ねる


 
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/05(火) 23:13:13.59 ID:Mj+RfwXvo
b
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/05(火) 23:15:53.14 ID:Uh+5q1yMo
150 :第七章 王子編「風の妖精」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/05(火) 23:20:38.66 ID:yfyhwgt70
 

◇b.妖精に尋ねる



「超間違いないです、「斬るべきものを斬る剣」を使えるのは、あなたですね。

 手に入れたら、あなたに超託してやりますよ」

 正直説明にはなっていないが、それがとても重要な事だと言う事だけはわかった。

 真っ直ぐな妖精の目が俺にそれを信じさせてくれる。



「もう、起きる事ができるんじゃないですか?」

 そう言われると、ずいぶん痛みも引いた気がする。

 それどころか。

 不思議なことに、先ほどまでぼろ屑同然だった体が。

 俺の体が確実に回復している。妖精の仕業か?


 俺は、まだふらつく足で起き上がった。

 そして、荒い息をどうにか整える。

 妖精が目を見開く。

「ほ…本当に立っちゃいました、超立っちゃいましたよ、この人」


 
151 :第七章 王子編「風の妖精」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/05(火) 23:21:14.56 ID:yfyhwgt70
 

「…さーん。きぬはたさーん!」誰かが叫んでいる。

 叫び声というのに、鈴を転がすようなその声。


 姫!


「ふふふ。あなたは姫さまを超探してる。

 その姫さまは、わたしを超捜してるって訳ですね」

 やはり、この妖精は王女と行動を共にしていたのか。

 さっき光に包まれていた女が姫に違いない!! 足下から力が湧いてくる。


「やっぱり、超すごいですねあなた。あなたは独りでも超大丈夫ですね。

 でも姫さまは駄目。超甘ちゃんですから、わたしがついてないと!」

 俺にそう告げると、妖精は巨木の幹を巡りながら飛んでいった。

 あの先に王女がいる!! くそっ、俺に翼があれば!!


 今はあの生意気な妖精に任せよう。

 しかし腐るまい。最後に姫が必要とするのは、勇者なのだから。





 つづく。



 
152 :第七章 王女編「妖精との別れ」  ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 23:22:13.59 ID:yfyhwgt70
 

 ふたりは懸命に呼びかけましたが、神樹様は黙ったままです。


「こうなったら超しょうがありません、妖精の踊りですよっ」

「神樹様が、いってたね」

「そう、人間を妖精界へ超導く、妖精の道が開けるんです…

 えっと、姫さまは、踊りはできるんですよね?」

「そうはいっても、ステップが分かんないと」

「超見てて下さい、ステップはこうですよ」

 絹旗は、空中で軽やかにステップを踏みました。

「わぁ、上手だね」

「踊りは村でも超一番なんです」絹旗は得意満面です。


「じゃなくてですねっ! 姫さまもステップを踏むんですよ。

 神樹様の言葉に従って、魔王を超倒さなくちゃいけないんですから」


「魔王さんを倒す以外に、方法はないのかな?」

「超まーだ、そんなこといって!」絹旗は怒ったようです。


 
153 :第七章 王女編「妖精との別れ」  ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 23:23:09.02 ID:yfyhwgt70
 

 絹旗は、姫の前に飛んでいます。

 右腕にアンバーリング、左腕にオパールリングをつけています。

 絹旗の右腕輪は、輪の部分も含め、全て琥珀でできています。


 姫は先ほど渡されたばかりのアンバーリングをこすりましたが、何も起きません。

「超もしかして、とりあえずこするのが癖なんじゃ…」

 絹旗は、ちょっと不機嫌です。

「これがあれば、神樹様の力で妖精の道が超開けるはずです」

 絹旗は、心配そうな目で神樹様を見ました。

「妖精の道にひとりで入ると、もう帰って来れないんです。

 でも、今はわたしがいるから超心配ないですよ」


 
154 :第七章 王女編「妖精との別れ」  ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 23:24:14.42 ID:yfyhwgt70
 


「超よく見てて下さいよ」

 そういうと、絹旗は軽やかにステップを踏みました。


 姫は、絹旗の見せたステップを踏みました。

「おっ、超うまいじゃないですか。でもちょっと違いますよ」

 絹旗はもう一度ステップを踏んでみせました。

 姫は、絹旗の見せたステップを踏みました。

「最後がちょっと違いますけど、覚えるの超早いですね、姫さま」

 絹旗は最後のステップだけを踏んでみせました。

 姫は、最後の部分に注意して、もう一度ステップを踏みました。

「超すごいですね、もう完璧ですよ」絹旗はいたく感心しました。

「舞踏会に出るのも、わたしの公務だから」

「なるほどー。姫さま家業も意外に超大変です」



「じゃあ、私と手をつないで、さっきのステップを超繰り返すんですよ」

 ふたりは手をつないでステップを踏みながら、まわりだしました。

「よーし、いいよー」絹旗の腕のアンバーが光っています。


 
155 :第七章 王女編「妖精との別れ」  ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 23:25:05.57 ID:yfyhwgt70
 

 姫と絹旗は、続けて妖精の踊りを踊りました。

「あれ、超おかしいですね?」「どうしたの?」

「ふたりの気持ちが超揃ってないんですよ!

 姫さまが、魔王と仲良くしようなんていうから!」

「仲良くなれるかも、しれないじゃない?

 きぬはたさんとわたしも、仲良くなれたでしょ」


「わ・た・し・とっ!!

 魔王を一緒にすンじゃねェですよォーー!!!」

 姫の手を振りほどくと、絹旗は絶叫しました。


「超やってらンないですよ! 姫さまなンか! 使命なンか超知りませンっ!!」

 絹旗は神樹様の下へ、飛んでいってしまいました。

 姫は、あまりのことに、しばらく動けませんでした。

「ど…どうして、きぬはたさん」


 
156 :第七章 王女編「妖精との別れ」  ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 23:29:07.80 ID:yfyhwgt70
 

 広場は、ひとりでは広すぎるぐらいの広さです。

 隣には大きな樹が枝を広げ、遠くに城の中心と尖塔か見えます。

 葉っぱがない神樹様は、とても寂しげです。



 姫は、一生懸命ステップを踏みました。

「ほらきぬはたさん、わたしいい生徒でしょ…

 だから…帰ってきて…きぬはた」

 姫は、今にも泣きそうです。



 ルビーの指輪を撫でますが、それは穏やかに陽の光を弾いているだけです。

「お母様…。絹旗さんと、仲直りさせてください」



 姫は樹の枝に手を当てて呼びかけました。

「神樹様、神樹様…絹旗さんを呼び戻してください」



 とうとう姫は座り込んでしまいました。

 地面に蹲ったまま、姫は何度もしゃくりあげています。

 小さく握った拳で、自分の頭を強く叩きました。

「馬鹿、わたしの馬鹿…」


 
157 :第七章 王女編「妖精との別れ」  ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 23:30:33.04 ID:yfyhwgt70
 

 しばらく泣きながらしゃがみ込んでいた姫は、やがてごしごしと目元を拭いて立ち上がりました。

 真っ赤に泣き腫らした目をそのままに、姫は、きゅ、と拳を握ります。

 そして背筋を伸ばすと、すう、と息を吸い込みました。



「きぬはたさん」

 姫は叫ぼうとしましたが、うまくできません。



「きぬはたさん!」

 姫は、まだ小さい声ですが叫びました。



「きぬはたさーん!」

 姫は、少し大きな声で叫びました。



「きぬはたさーん!!」

 姫は、強く叫びました。



「きぬはたさーーん!!!」

 姫は、強く強く叫びました。



「きーぬーはーたーさーーーん!!!」

 姫は、お腹の底から叫びました。


 
158 :第七章 王女編「妖精との別れ」  ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/05(火) 23:32:00.05 ID:yfyhwgt70
 

「そんなに超大きな声で呼ばないで下さいよ、魔物に気づかれるじゃないですか」


 後ろからしたのは、絹旗の声です。

「きぬはたさん!!」姫は振り向きました。

 そして姫は、ぽろりと涙を流しました。

「アホか、もー。超泣かないで下さいよー」

「でも、でもきぬはたさん。わたし…」


「姫さま、超鼻水でてますよ」

「えっ、ほ…ほんと? や、やだな」

「超うっそでーす」絹旗はおどけてみせました。

「お…怒っちゃうよ。きぬはたさん…でも

 帰ってきてくれて、嬉しい」


「姫さまは。肩の座り心地だけは超いいですからね」

 絹旗は、姫からちょっと目をそらしていいました。

「うん。ありがとう」

「アホか…なに、お礼いってんです。じゃ、もー、超踊りますよっ!」

「うん」姫は、涙をふきました。


 姫と絹旗はふたたび手をつないで、妖精の踊りを踊りました。

 ふたりのステップはぴったり合って、その姿はたいそう美しく見えました。

 神樹様の琥珀の腕輪は光りだし、その光はどんどん大きくなります。

 姫と絹旗は次第に光の輪に変わってゆき…。


 辺りが真っ白になるほど光っていた輪は、突然消えました。

 そして広場には、姫も絹旗もいなくなっていました。


 ふたりがいた場所には不思議なことに、きのこが輪になって残っていました。




 つづく。


 
159 :第八章 王子編「死を呼ぶ詠唱」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/05(火) 23:35:11.01 ID:yfyhwgt70
 

 壁を崩した巨樹の根をつたって、この中庭まで男達が登ってきた。



>持ち物
[フレ,書状]



 岩や小岩が転がり、前に太い幹を持った木がそびえている。

 右の壁は木の根が壊してしまったようで、城の外が見える。

 壁は木の根がびっしり覆っている。

 そして、数人の男たちが辺りを調べている。

 男どもは、どうやら宝を探しているようだ。

 なんたる俗物!



 俺は中庭の右手の、壁に開いた穴を抜けて外に出た。

 俺は城壁から突き出した、太い木の根の上に立っている。

 ここから下へ行けそうだ。もっとも、太いのは確かだが、人が二人すれ違うのは難しいだろう

 前、右、後ろ、は何もない…つまり奈落へ一直線というわけだ。

 左の壁には今通ってきた穴が開いている。その先は目を覚ました中庭だ。

 右手の遠く遙かには山脈が見える。



 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 a.木を降りる
 b.中庭へ戻る


 
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/05(火) 23:35:40.12 ID:Mj+RfwXvo
a
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/05(火) 23:57:41.06 ID:Uh+5q1yMo
162 :第八章 王子編「死を呼ぶ詠唱」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/05(火) 23:58:39.50 ID:yfyhwgt70
 

◇b.中庭へ戻る


 
 俺は、左に開いた穴を抜けて中庭に入った。

 庭の中程まで戻ったところ、誰かの低く唸るような声がする。

 聞こえてきたのは、低い囁き―――詠唱―――祈り…。

 声の方を見ると、巨樹の根元には異国の行者がいる。


 俺の周囲の男達は次々と剣を引き抜き…。

「念じろ!」その行者の声を合図に、信じられない行動を取った!

 男達は一斉に、自らに剣を突き立てたのだ!!

 馬鹿な! そんな馬鹿な! なぜそのようなことを!!

 彼らの顔は見る間に土気色に変わっていく。

 辺りには、濃い血の匂いが充満した。


 もう、彼らには絶命以外の選択肢は用意されていまい。

 いないはずだが…だが、そいつらは、のろのろと立ち上がった。

 血まみれで、体に剣を刺したまま。目はまったく前を見ていない!

 そうだ、俺はこいつらのことを知っている!

 あの行者こそ死霊術士[ネクロマンサー]、そしてこいつらはゾンビ!!

 もはや、それは疑いなき事実!


 
163 :第八章 王子編「死を呼ぶ詠唱」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/05(火) 23:59:57.90 ID:yfyhwgt70
 

 異国の行者…しかし、魔物の仲間。

 ゾンビどもの後ろで不敵な笑いを浮かべている。

 数体のゾンビが、ゆっくりと俺の方に寄ってきている。

 土気色の肌、こうして見ている間にも、肉が腐り落ちている。

 死んだばかりというのに、腐臭がただよう。


 最早死を知らぬ異形の魔物。

 戦おうにも既にこの手に剣は無い。

 これだけの数を相手に素手で立ち向かうしかないというのか。

 無論、勇者である俺に格闘の心得が無いわけがない。だが…



 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 a.強行突破
 b.殴り付ける
 c.蹴り倒す


 
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 00:00:48.16 ID:owengqWBo
c
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 00:01:24.73 ID:UnEvBD0Ro
a
166 :第八章 王子編「死を呼ぶ詠唱」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 00:03:06.63 ID:P9OSEpsK0
 

◆a.強行突破



 俺は、ゾンビの包囲を突破しようと試みた。


 だが、俺はそれ以上の行動を起こせない、なぜなら!

 なぜなら不覚にも、一体のゾンビに俺の体を掴む事を許したからだ。

 ゾンビたちはゆっくりと、だが確実に俺の行動を奪い。

 ゆっくりとゆっくりと、俺の首筋を噛み切った。

 噴水のように俺の血が飛ぶ。意識が遠のく。

 少し…あと少し、時間を稼ぐ事はできたはずだ…。



 気がつくと、暗い部屋の中だ。行者が目の前にいる。

「魔王の兵として、存分に働くが良い」

 俺は何も言わず、その言葉にただうなずいた。

 周りのゾンビ達も同じようにうなずく。

「ふははは! 友達同士、仲良くするんだぞ」

 そこにはただ、死霊術師の哄笑が響いているだけ。


 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「25:死霊化」


 
167 :第八章 王子編「死を呼ぶ詠唱」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 00:04:21.61 ID:P9OSEpsK0


 ▽Continue!


 最早死を知らぬ異形の魔物。

 戦おうにも既にこの手に剣は無い。

 これだけの数を相手に素手で立ち向かうしかないというのか。

 無論、勇者である俺に格闘の心得が無いわけがない。だが…



 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 b.殴り付ける
 c.蹴り倒す


 
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 00:06:39.63 ID:owengqWBo
c
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 00:06:42.23 ID:UnEvBD0Ro
170 :第八章 王子編「死を呼ぶ詠唱」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 00:09:55.28 ID:P9OSEpsK0
 

◇c.蹴り倒す



 思い切り蹴ると、ゾンビはもんどりうって倒れた。だが!

 そいつは何も無かったように起き上がる。

 包囲の輪と多少は離れられたが、これでは時間稼ぎにしかならない。

 再びゆっくりとゾンビどもが近付いて来る。



 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 a.強行突破
 b.殴り付ける
 c.もう一度蹴り倒す


 
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 00:12:10.73 ID:owengqWBo
c
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 00:12:10.98 ID:UnEvBD0Ro
173 :第八章 王子編「死を呼ぶ詠唱」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 00:16:28.55 ID:P9OSEpsK0
 

◇c.もう一度蹴り倒す



 更に思い切り蹴ると、ゾンビは再びもんどりうって倒れた。だが!

 そいつはやはり何も無かったように起き上がる。

 何度も倒れては立ち上がり迫り来るゾンビどもは尽きない。

 それでも僅かながら時間を稼げてはいるが、いずれこのままでは―――悪い予想しか思いつかない。


 くそっ、もうゾンビを蹴り付けるだけでは対処できない。

 天よ! 俺に力を! 絶望的な状況に、くじけぬ勇気を!!


 ゾンビどもはゆっくりと、更に包囲を縮める。一歩踏み込めば手が届く距離だ。

 再び蹴りを放つタイミングを計りつつ、腰を落として身構える。

 いかにここまで危険な局面を切り抜けてきた俺といえ、もはや祈るしかない!




 つづく。


 
174 :第八章 王女編「友達どうし」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 00:18:28.75 ID:P9OSEpsK0
 

 ふたりは、紫の淡い光でみたされた、姫の頭が付くぐらいの狭い部屋にいます。

 おわんをかぶせたような形なので、壁がそのまま上まで覆っています。

「超変なところに来ましたねぇ」

「わたしを導くっていうから、ついてきたんだけど…」

「まぁ、超そうなんですけどね…」絹旗は頭をかきました。

「そうなんだけど…?」姫は答えを待ちました。

「此処がどこだか、ぜっ…んぜん超分かんないです!」

 絹旗は、高らかに宣言しました。

「導くつもりが、迷ってるの?!」

「ううっ、超的確なつっこみ!」

「おそれいります」姫は、丁寧におじぎをしました。

「ぼけ倒すだけと思っていたら、超意外っ!!」


「それにしても、不思議なお部屋だね」

 姫はきょろきょろと、辺りを見回しました。

「妖精の道は、その妖精に超必要な場所に導くんですよ。

 だから、まぁ…ここがその超必要な場所のはずです」



 柔らかな床に、干し草でできた壁。

 薄紫の光に包まれた、おわん型の部屋です。

 絹旗を見ると、何だか困ったような顔をしています。

 姫は、頭をこつん、と叩きました。

 それから絹旗の頭を、指で撫でるように、ぽんと叩きました。


 
175 :第八章 王女編「友達どうし」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 00:20:25.35 ID:P9OSEpsK0
 

「此処が妖精界なのは超確かですし。超安全なのは保証しますよ」

「じゃあ色々、お話しでもしよっか」

「そうですね。姫さまに、超聞きたいこともありますし」



「わたしの村は、魔王に焼かれちゃって、何人も仲間が死んだんです。

 長老も死んじゃいましたし。生き残った仲間も、今は超散り散りです」

「そんなことが、世界のあちこちで起きてるんだね。

 わたしのお母様も、魔王軍が攻めて来た時、殺されちゃった…」

「えっ! 姫さまのお母さんが…」



「だから。わたしは魔王を超倒したいんです! 分かるでしょ」

「とても…分かるよ。痛いくらい…それでも。

 それでも、できれば魔王さんと仲良くしたいと思ってる」

「できれば? 超どーしても、魔王を倒さなきゃってときは?」

「男の人にやってもらうよ」

 姫は、あっさりきっぱり答えました。

 絹旗は言葉を失っています。



 やがて、絹旗は気が抜けたような、感心したような調子で笑いました。

「…姫さま、超いい性格してますよ」


 
176 :第八章 王女編「友達どうし」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 00:21:06.79 ID:P9OSEpsK0
 
「じゃ「斬るべきものを斬る剣」を手に入れるのは超文句ないわけですね」

「お父様はいってた。『誰もが敵だと思うのは愚かだ。

 だが備えをしないのは、もっと愚かだ』って」

 絹旗は、微妙に意味が分かってないようです。

「備えが、つまり武器を指している、とは思わないけど。

 その剣は必要になる予感がする」

「予感…ですか。さっきの呪文のこと考えると。

 姫さまの、その「予感」って超信用できますね」

 絹旗は腕を組んで、うなずいています。


「ああいうことは、小さいころからあるの。

 それでみんな神託の巫女って、わたしを呼んだ」

「ふんふん。姫さまは王女で巫女なわけですねー。

 じゃあ国じゃ。みんなの超人気者ですねー」

「確かに、誰もが競って、わたしの周りに集った」

「なのに姫さまってば、わたしひとり戻ったぐらいで超泣いちゃって」

 絹旗は目に手を当てて、泣くふりをしています。


 
177 :第八章 王女編「友達どうし」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 00:22:02.04 ID:P9OSEpsK0
 

「笑われても仕様がないのかもしれないけど…

 わたし…怖かった」

「怖かった?いっちゃなんですけど。

 魔物が襲ってきても、わたしじゃ超どうしようもないですよ」

「ううん、そういうことじゃないの。

 また宮廷にいた時みたいにに「ひとり」になることが怖かったの」


 絹旗は「んー」と首をかしげました。

「また…って、ひとりになるのが超大変なぐらいじゃないんですか?

 姫さまっていったら、みんな超かしずいてくれて」

「お父様はいってた。

『宮廷は世界でもっとも孤独を感じる場所だ』って」

「は? 超分かんないですねぇ。宮廷なんていったら。

 それこそ世界で一番、超にぎやかな場所じゃないんですか?」

「わたしも『宮廷はお父様がいるし、お友達も沢山いるよ。

 だから寂しくなんかないよ』っていったの。

 するとお父様は、わたしを撫でて『前は妻が、今はお前がいるから。

 だから…この孤独に耐えられる』って。とても…とても寂しそうな顔だった」


 絹旗は、次の言葉を待っています。

「確かに、わたしには、心からの友達、といってくれる人が…

 それこそ何百人もいた。ひとりひとりの顔を覚えきれないぐらい」

「何百人! 「なんびゃくにん」って超何人ですかー?!

 あ、今わたし、超おかしなこといってるー」

「ううん、おかしなことじゃないよ、絹旗。

 何百人も友達がいるってことは、ひとりも友達がいないってことだったの」

「う、ますます超分かんない??」

 絹旗は頭をくりくり動かして、不思議がっています。


 
178 :第八章 王女編「友達どうし」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 00:23:00.91 ID:P9OSEpsK0
 

「ある日、わたし聞ちゃったの、「お友達」の会話を…。

 王女じゃなかったら、あんな高慢ちきは願い下げだって…

 親が仲良くしろっていうから、付合ってるだけだって…

 世間知らずの、変人の相手をするのも疲れるって…

 ば…馬鹿娘は、適当に持ち上げておけば、いいんだって…

 先のことが分かるなんて気持ち悪い、やっぱり化け物だって…」


「そんな、超ひどいです…」

 絹旗は、それ以上何も言えなくなってしまいました。

「わたし、いくら船遊びしても、船酔いしたことないだよ」

 姫は、悲しげに笑いました。

「でもあの日の夜、わたしは苦しくて悲しくて、吐いちゃった。

 ああ、人って病気でなくても吐くんだ、って思った…」

「そんな超嫌な奴ら、追っ払っちゃえばいいんですよ!

 なんなら、わたしが超追っ払ってやりますよ!」

 絹旗は、勇ましく腕を振り回しました。本当に追い払う気のようです。

「それはできないよ。

 わたしに追い払われた人は、その人の両親はどうなるの?」

「そんな、超やな奴らのことなんか、考えてやることないですよ」

「お父様はいってた。

『王族は我の望みではなく、民が望むことをなさい』って」

「自分のやりたいこと、しちゃいけないんですか!? 超姫さまなのに!」



「わたしはもう、自分がどんな人間なのかも、分かんない」

 姫は、ふーっと、ため息をつきました。


 
179 :第八章 王女編「友達どうし」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 00:24:58.28 ID:P9OSEpsK0
 

「分かんないなら、わたしが超教えてあげますよっ!

 姫さまはね、超頑固で超分からず屋で、超寂しがりで、そして…」

 絹旗は、にやりと笑いました。

「わたしの超友達ですっ!! これからも、ずっとですよっ!」

 絹旗は姫に向かって、片目を閉じてみせました。


「きぬはたさんっ!」姫は、小さな友達を抱きしめました。

「こらっ、超加減して下さいよ、でかぶつ!」

「ごめんなさい、おチビさん」


「ぷっ…あはははははは!!」

 ふたりは顔を見合わせて、思い切り笑いました。

 絹旗は、床を転げ回っています。


「あー超おかしー。友達なんですし、これからわたしのことは。

 絹旗、って呼び捨てにして下さいよ」

「わたしも、さま付けはやめて」

「じゃあ、姫さまじゃなくて、姫っ!」

「きぬはた!

 …きぬはた…わたし…」

 姫は腕を抱えて、うずくまりました。


「ど、どうしたんですか。超震えて…寒いですか? 苦しいんですか?」

 絹旗は床に降りて、心配そうに姫の顔を覗き込みました。

「いっ…一緒に笑って…けんかして…それに、それに…。

 身分も気にせず、怒って…叱ってくれて…」

 姫は、顔をくしゃくしゃにして、ぼろぼろ泣いていました。


「わたし嬉しい…嬉しい…きぬはた…」

 姫の目から流れた涙は、いく筋も頬をつたい、雫となり床を濡らしています。

「嬉しいなら超泣かないで下さいよう…姫ぇ…今度は本当に超鼻水でてます…よぉ…」

 そういった絹旗も、ぐちゃぐちゃの顔で泣いていました。

 絹旗は姫を見上げていたいのに、いくつも涙がこぼれてしまうのでした。





 つづく。


 
180 :第九章 王子編「雷の勇者」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 00:27:34.13 ID:P9OSEpsK0
 

 多数のゾンビが、俺の周りを取り囲んでいる。

 ゾンビどもは倒しても倒しても起き上がる。

 絶望の二文字が俺の頭をかすめる。


 そのとき!


「この剣をー!!」聞こえてきたのは、麗しき姫の声!

 声の方角、壁の上を見上げると、確かにあれは黄金の光に包まれていた女。

 その手から紫の稲妻が放たれた! ソードだ!!

 稲妻のように飛んでくる剣!

 あれが、妖精がいっていた「斬るべきものを斬る剣」か!


 虹の王女が、俺を見つめている。

 閃光は虹の王女の手から一直線に伸び、俺の方に飛んでくる!

 ソードは、今まさに俺の眼前を通過しようとしている!

 その研ぎ澄まされた切っ先は真っ直ぐに眼前のゾンビを貫かんと迫っている!



 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 a.剣を受け流す
 b.剣を掴み取る


 
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 00:28:12.16 ID:owengqWBo
b
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 00:29:12.17 ID:UnEvBD0Ro
a
183 :第九章 王子編「雷の勇者」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 00:31:26.81 ID:P9OSEpsK0
 

◆a.剣を受け流す


 紫の光に包まれた剣は俺の目の前を通り過ぎ、ゾンビに突き刺さった。

 驚くべきことに、剣の刺さったゾンビは一瞬にして光の粒に変わった。

 間違いない、妖精の言っていた降魔の剣だ!

 俺は、剣に手を伸ばした。


 しかし、俺の手は空を切った。

 ゾンビ使いが、俺より先に剣を手に入れたのだ。

「お前が雷の勇者とも思えねぇが、この【雷鳴の剣】を持たれちゃ困るんだよ」

 死霊術師は、もう一方に持った剣を、無慈悲に俺の首に振り下ろした。



 無念!俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「26:斬首」


 
184 :第九章 王子編「雷の勇者」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 00:32:34.42 ID:P9OSEpsK0


 ▽Continue!


 虹の王女が、俺を見つめている。

 閃光は虹の王女の手から一直線に伸び、俺の方に飛んでくる!

 ソードは、今まさに俺の眼前を通過しようとしている!

 その研ぎ澄まされた切っ先は真っ直ぐに眼前のゾンビを貫かんと迫っている!



 さて、どうしようか?


>行動選択(安価無し)


 b.剣を掴み取る



 
185 :第九章 王子編「雷の勇者」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 00:33:27.14 ID:P9OSEpsK0
 

◇b.剣を掴み取る

 
 俺は雄叫びをあげて、姫が与えてくれた剣を掴んだ。

 俺の体に今までにない力が漲る、そして勇者の血が滾る!!

 剣が飛んできた勢いを殺さぬよう、俺はそのまま一回転した。

 紫のまばゆい光を放ちながら、次々とゾンビを薙ぎ払う!


 俺が回転を止めたとき、辺りのゾンビは全て消え去っていた。

 ただ、彼らの腹に刺さっていた剣が落ちた音が、周囲に響く。


「なんだと! お前が…お前が雷の勇者だというのか!」

 行者は声を震わせ、叫んだ。

 死霊術士は踵を返すと、巨樹の脇を抜け、壁の中に消えていった。

 …あそこに、秘密の通路が?


「うわーーーっ!! 姫ーーーっ!!」

 壁の上から、妖精の叫びが聞こえる。

 見上げると、蝙蝠の羽を持った人型の妖魔に、姫が連れさられている。

 姫の姿はみるみる小さくなり、巨樹の向こうに見える塔の中に吸い込まれた。


 
186 :第九章 王子編「雷の勇者」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 00:34:02.49 ID:P9OSEpsK0
 

 大樹に登ってみようと試みたが、意外に滑りやすく無理だ。

 俺は、巨樹の脇に開いた入口を見つけた。

 巨樹の根に覆われた壁、右は穴が空いている。

 そして、よほど慌てていたのか、前の壁には入口が開きっぱなしだった。

 どうやら壁がどんでん返しになっていたようだ。

 狭いが十分通れる入口が開いている。

 あの行者が消えたのは、この入口のようだ。

 先には、人気のない暗い通路が続いている。



 今この手には心強き騎士の魂、ソードを持っている。

 俺は心強い相棒の柄を握り直すと、慎重に通路へ踏み入れた。




 つづく。


 
187 :第九章 王女編「雷鳴の剣」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 00:36:27.26 ID:P9OSEpsK0
 

「お前ら、笑ったり泣いたり、忙しいなァ」

 ふたりしかいないはずの部屋で、若い男の声がしました。

 いつの間にか、絹旗と同じ種族の妖精がいます。

 白いふさのついた、紫の外套を羽織った、涼やかな顔の青年です。

 若く見えますが、同時に上品さと風格も感じます。

 なんだか、絹旗の瞳がきらきらしています。

 姫は、青年に手を伸ばそうとしました。

 でも、絹旗が服を引っ張って睨むのでやめました。



「此処は感情のるつぼ。短い間に沢山入ったもンだ…憎しみ、怒り、悲しみ…。

 喜び、親子愛に、友情か、ン…いま恋が入ったよォだな」

「し…質問ですっ! 超独身ですかっ!!」

 絹旗は手を挙げて、青年に聞きました。

「あ…と、俺に妻はいねェけど」

 青年はちょっと、絹旗の勢いに圧倒されています。

 絹旗は、あからさまに嬉しそうです。

 絹旗には悪いのですが、青年はちょっとひき気味にみえます。



「わたしは絹旗、絹旗最愛です。お名前は?」

 絹旗は裾をつまんで、おしゃまに淑女の礼をしました。

「妖精王・一方通行[アクセラレータ]」そう青年は告げました。

 そのとき、小さな青年の後ろから、風が巻き起こったような気がしました。

「よ…妖精王…さま」絹旗は目を丸くしました。

「お初にお目にかかります。妖精王よ」姫は完璧な作法で礼をしました。

 絹旗は、ぽかんと口を開けています。


 
188 :第九章 王女編「雷鳴の剣」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 00:39:50.68 ID:P9OSEpsK0
 

 一方通行は、妖精王に相応しい、気品と風格を持った青年です。

「よく来た虹の王女、そして風の妖精・絹旗最愛」

「あ…わたしの名前知ってるんですね!」絹旗は喜びました。

「さっき、名乗ったよ…」

 絹旗は姫の冷静なつっこみを無視して、うっとりとした声で尋ねました。

「妖精王さま…ということは、オパールの腕輪は一方通行さまが私に…」

「そォだ、元は指輪だったンだが、お前に合うよォに腕輪にしたのさ。

 気に入ってくれたか?」妖精王は微笑みました。

「…すっごい、超すっごい気に入ってますです」

 絹旗は頭をぶんぶん振って、うなづきました。

「あの、超ご趣味は? わたしは小鳥と競争…じゃない蜘蛛の糸で超編み物を…」

 絹旗は頭に血が昇って、ひとりでぺらぺら喋り続けています。

 女の子っぽく見せようと、変にくねくねしています。

 一方通行はちょっと困った顔をしています。



 妖精王は、軽く手を挙げて絹旗のおしゃべりを止めました。

 凛、と空気が澄み渡ります。

「『このるつぼに溢れた熱き感情で、全き剣を鍛えん!!』」

 辺りの紫が妖精王のもとに集まっていきます。

 そして真っ暗な部屋の中に、一条の光が生まれ…弾けました。


 妖精王は、アメジストのはめ込まれた剣の上に立っています。

「絹旗。よく虹の王女を此処に導いた。

 そして、あらためて使命を与える」

「はっ、はいっ!」

「この「斬るべきものを斬る剣」を、雷の勇者に与えよ。

 しかる後に、魔王を滅亡せしめよ!」

「はいっ!」


 
189 :第九章 王女編「雷鳴の剣」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 00:41:17.79 ID:P9OSEpsK0
 

「この剣は絹旗には大きすぎる。虹の王女が持っていけ」

 妖精王は、アメジストソード指差していいました。

 風の妖精は妖精王の動きをひとつも見逃すまい、と見つめています。



 姫は、アメジストソードをそっと掴みました。

「斬るべきものを斬る剣…」姫は手に入れた剣を眺めました。

「そォだ、その剣は俺が傷つけたくねェもンは、絶対傷つけねェ…。

 例えば絹旗、お前とかな」

「ち、超素敵な剣…ですね」

 妖精王に見つめられた絹旗は、しどろもどろです。


「じゃァ、お前らを雷の勇者のところへ送るぜ」

「え、もう超お別れですか、一方通行さま…」

「俺ァ、その腕輪とともにいるぜ絹旗」

 妖精王の言葉に、絹旗は頭のてっぺんまで真っ赤になりました。



 妖精王は、両手を頭の上で交差させました。

 そのとたん景色は入れ替わり、広場の端にふたりはあらわれました。

「がぜん、やる気が超出てきましたね姫っ」

「はいはい、わたしも頑張るよ。きぬはたのためにもね」


 
190 :第九章 王女編「雷鳴の剣」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 00:43:02.65 ID:P9OSEpsK0
 
「ちょっと姫、超見て下さいあれ!」絹旗は指差しました。

 広場の下、神樹様の向かいに、ひとりの男が見えます。

 男は、のろのろした動きの灰色の魔物に囲まれています。

 その若い男は、何も武器を持たないみたいです。

 このままでは魔物にやっつけられてしまいそうです。

 絹旗は男を指差しています。

「わたしも少し話したし、一方通行さまが超近くに送るって…。

 そうおっしゃったから、雷の勇者に超間違いないですよ!」


 姫は、手に持ったアメジストソードに目を落としました。

「それそれ、それを投げるんですっ!」

 姫は剣の柄をぎゅっと握り締め、眼下の男を見つめました。そして、

「この剣をー!」姫は叫びました。

 男はこちらに気づいたようです。


 姫は剣を男に向かって投げました。

 ターコイズが光り、剣は稲妻のように飛んでいきます。

 若者は、飛んできた剣の柄をがっちり掴みました。

 そして男は、そのまま剣の勢いに任せて一回転しました。

 剣が放った紫の光が、円を描いたとき…


 なんと辺りの魔物は吹き飛んで、光の粒に変わってしまいました!


「ち…超すごい。さすが一方通行さまの剣」

「…ここは、あの人を褒めるべきじゃないかなあ」

 姫がそういったときです。姫の両足が床から離れました。

「わあ、何?」

 蝙蝠の翼を持った女に、姫は抱え上げられていたのです。

 みるみるうちに、姫は小さくなっていきます。

「うわーーーっ!! 姫ーーーっ!!」

 絹旗は慌てて、姫を追いかけました。





 つづく。




アイテム

 滝壺[ルビーリング,ターコイズリング]

 絹旗[オパールリング,アンバーリング]


 
191 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/06(水) 00:54:37.81 ID:P9OSEpsK0
 

本日の投下はこれで終了です

今回の安価、少々クドい部分もあったと思うのですが、飽きずにご協力頂き感謝です

少しでも楽しんで頂けたなら幸いなのです



多分本来ならいい話になるはずの>>179なのですが(きぬはたさん→きぬはた)、

修正不足で滝壺が絹旗を呼び捨てにしてる箇所がある所為かイマイチ演出が…orz

あと一方通行があんなんでスミマセン

が、元ネタ仕様なので最後までこのままですスミマセン



明日も22-23時頃に出没すると思います

その時にもまたお付き合い頂ければありがたく


それでは
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 01:22:44.85 ID:owengqWBo
乙〜
193 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/06(水) 22:41:00.75 ID:P9OSEpsK0
 

いつもの時間になりましたので参上です

今宵もまた暫時お付き合い頂ければ幸いです



物語はいよいよ佳境です

魔王の元へと迫る彼らを最大の難関が待ち受けています




それでは以下本編、本日は第10章より参ります

安価にご協力をよろしくどうぞ


 
194 :第十章 王子編「捕われの王女」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 22:42:40.43 ID:P9OSEpsK0
 

 通路に踏み込んだとたん辺りは完全な闇となった。通路が塞がれたようだ。


>持ち物
[フレ,書状,アメジストソード]


 辺りを見るが、真っ暗だ。

 壁や床を触る。苔が生えているようだ。慎重に行動しなければ、滑ってしまうな…。




 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 a.慎重に先へ進む
 b.一旦入口に戻る
 c.剣を握り直す


 
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 22:43:36.91 ID:owengqWBo
a
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 22:48:26.98 ID:UnEvBD0Ro
197 :第十章 王子編「捕われの王女」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 22:52:41.44 ID:P9OSEpsK0
 

◇c.剣を握り直す


 剣に触れると柄のアメジストが暖かい。


 アメジストに触ると、ソードの刃がぼうっと光った。

 薄紫の光が辺りを照らす。


 これはいい、松明いらずだな。そう思っていると…。

 前方から絹を裂くような女の声が!

 まさか、姫の身になにか!


 明かりを頼りに辺りの様子を探る。

 細い廊下が前方に続いている。後方はカベだ。

 薄紫の光では少し先までしか見えない。

 先ほどの声はこの先から聞こえて来た。急がなければ!

 
198 :第十章 王子編「捕われの王女」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 22:55:12.97 ID:P9OSEpsK0
 

 俺は、慎重かつ迅速に先を急いだ。

 しばらく進むと細い廊下の先が開けて部屋になっている。

 その部屋には光取りがあるようで、薄暗いながら部屋の様子が分かる。

「動くな! 雷の勇者」左から男の声がした。


 そこにいたのは、異国の行者…いや憎むべき死霊術師。そして…。

 なんという事! 虹の王女が、その男に後ろから首を絞められている!!

 それに姫の姿は、胸当てと腰布しか付けぬ肌も露な格好だ!

 姫の受けている二重の辱めに、俺の血が滾る。

 女を盾にするとは、匹夫が! …斬る!

 死霊術師!! 今、この剣と俺が貴様の死神となったと知れ!


 俺に睨まれた男は、姫の首に腕をまいたまま、俺の前に移動した。

「剣を捨てろ、姫がどうなってもいいのか」

 行者を見る。

 見たこともない暗い色の服、しわ深い顔、細い体躯。

 右手に持つのは斬首刀、左腕は姫の首を締め上げている。




 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 a.辺りを探る
 b.体勢を整える
 c.特攻を仕掛ける
 d.剣を捨てる
 e.王女を避けて行者を斬る
 f.王女ごと行者を斬る


 
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 22:57:04.38 ID:UnEvBD0Ro
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 23:02:31.93 ID:owengqWBo
e
201 :第十章 王子編「捕われの王女」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 23:05:33.94 ID:P9OSEpsK0
 

◇e.王女を避けて行者を斬る


 俺は、あえて姫を傷つける危険を犯してでも。

 この場は、死霊術師を倒すことを優先した。


 だがその瞬間、気丈にも姫は男の腕から逃れ、脇に避けた。

 もう何の気兼ねもない!!

 俺は、驚きの表情を浮かべる男に斬りつけた。


 俺の剣は狙い違わず、死霊術師の体を引き裂いていく。

 そして、男は剣に触れた部分から光の粒に変わっていく。

「ごッ、がぁああああああああああああッッ!!?」

 それが、恐るべき死の運び手の最後の叫びとなった。


 俺は、アメジストの剣の驚嘆すべき威力に、改めて慄然とする。

 これがあれば、魔王すら倒すことが叶うのではないだろうか。


 姫は少し驚いた様子だったが、自分が解放されたのを知って微笑む。

 美しい笑みだ…ただ、ちょっと目のやり場に困る格好だが。




 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 a.王女を見詰める
 b.王女に口付ける
 c.王女を剣で斬る


 
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 23:06:55.39 ID:UnEvBD0Ro
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 23:07:40.08 ID:owengqWBo
b
204 :第十章 王子編「捕われの王女」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 23:09:21.79 ID:P9OSEpsK0
 

◆b.王女に口付ける


 俺はおもむろに、姫の唇を奪った。勇者の役得というものだ。


「あは! こんなところで大胆なのね…あなた」

 王女は喜色満面で、俺を抱きしめた。

 姫の躯から、妖しくも甘い香りが立ち上る。そして巧笑。

 こうなっては俺も男だ、姫のすべらかな肌に指を這わせる。


 俺たちは、獣のようにお互いを求めあった。なんども…。

 ああ、天上の快楽とは、まさにこの事であろうか、すっと意識が遠のく…


「あんた運がいいよ、最後に鏡の夢魔と楽しいことできたんだからさ。

 あっははははは!!」女は妖しく腰をくねらせ、甲高い声で笑った。



 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「33:腹上死」


 
205 :第十章 王子編「捕われの王女」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 23:10:57.28 ID:P9OSEpsK0
 

 ▽Continue!


 俺は、アメジストの剣の驚嘆すべき威力に、改めて慄然とする。

 これがあれば、魔王すら倒すことが叶うのではないだろうか。


 姫は少し驚いた様子だったが、自分が解放されたのを知って微笑む。

 美しい笑みだ…ただ、ちょっと目のやり場に困る格好だが。




 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 a.王女を見詰める

 c.王女を剣で斬る


 
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 23:11:43.99 ID:owengqWBo
a
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 23:16:13.11 ID:UnEvBD0Ro
208 :第十章 王子編「捕われの王女」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 23:19:39.55 ID:P9OSEpsK0
 
◇c.王女を剣で斬る


 危険!! そう勇者の勘が俺に告げている。

 俺は今まで、この勘に全幅の信頼を置いて生きてきた。

 ならば此処でもその心の声に従おう!! この剣が姫を傷つける事はない!!

 これが妖精の言った通りの「斬るべきものを斬る剣」だと信じる。


 俺は、一瞬の逡巡の後、剣を女に振るった!!

 女の顔が驚愕に歪む!!


「なっ、なんでーーーっ!!」

 姫の体が光の粒に変わっていく、そしてそれと同時に!

 女の顔が変わっていく、背中に蝙蝠の翼があらわれる。

「あっはははははは!!! おかしーっ! なんで!! なんでーーーっ!!」

 半狂乱の妖魔は、訳の分からない言葉を叫びながら、光に変わっていく。

 そして、女は完全に光となって消えた。


 
209 :第十章 王子編「捕われの王女」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 23:20:16.83 ID:P9OSEpsK0
 


 光取りがあるものの、かなり薄暗い部屋だ。

 端には階段が見え、後ろには廊下が続いている。

 石壁は、落下の衝撃で、所々崩れている。


 俺は、石の階段を上った。

 そして新たな目標を思い、武者震いした。

 この剣があれば、魔王が倒せる! 確信に近いものがある。

 姫から与えられたこの剣が「斬るべきものを斬る剣」があれば!!


 しかし姫を助けること、それが第一に優先させるべき俺の使命だ。

 姫をさらったのが、いまの妖魔ならば、姫が連れさられた塔は近い。




 つづく。


 
210 :第十章 王女編「鏡の夢魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 23:21:37.01 ID:P9OSEpsK0
 

 姫は赤毛の蝙蝠女に抱え上げられ、尖塔に向かって飛んでいます。

「うわあ、あの男の人があんなに小さく…」

 姫を抱えた女は、尖塔の最上階に開いた窓から、部屋の中に入りました。

 すぐ後に、絹旗も続きました。

「ふん、変なのがくっついてきちゃったね」

「変なのじゃないです! 姫を超返して下さい!」絹旗は女に殴り掛かろうとしています。

「もう、喧嘩はだめだよ」

 姫はふたりの間に入って、いいました。

「…」「…」

 女と絹旗は一緒に姫を見ました。

「ここまで落ち着かれると、ちょっと気味悪いけど…。

 ま、騒がれるよりいいかな」



「わたしの名は麦野沈利…、ちょっと虹の王女に用があるのよ」

 女…麦野はそういって、姫の頬をなでました。


 
211 :第十章 王女編「鏡の夢魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 23:22:26.26 ID:P9OSEpsK0
 

 窓以外なにもない部屋です。階段すらありません。

 かなり大きな窓で、外への出入りは此処からするようです。

 窓から外を眺めると、魔城の中心が見えます。

「城の屋上に豪華な建物が見えるだろ。あれがあの方の居室よ」

 麦野は潤んだ目で、建物を眺めています。


 姫は窓から部屋を出ようとしました。

 下の城壁に囲まれた広場までは、とんでもない高さです。

「あっは。そっから出て行くつもり?」

 麦野は笑いました。姫はもちろんやめました。




 蝙蝠のような羽、血のような赤くて長い巻き毛。

 服装は、黒い胸当てと腰布だけの、はしたない格好です。

 顔立ちは整っていますが、きつい目つきです。

 そして、赤すぎるほど赤い唇をしています。

「す、すごい格好だね…あの人」

「まったく、魔族は超恥を知らないですよ」

 絹旗は、姫の肩に止まって麦野を睨んでいます。


 
212 :第十章 王女編「鏡の夢魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 23:23:51.97 ID:P9OSEpsK0
 


 姫は麦野と話してみることにしました。

「こんにちは、むぎのさん…だっけ?」

「貴族の社交場じゃないんだから、挨拶なんかいらないよ」

 麦野は姫の言葉をばっさりと切り捨てます。

「確か、そういう名前だったと思うんだけどね、この顔」

「どういうこと?」姫は首をかしげました。

 麦野は答える気は無いようです。


「ここは、わたしのために、あのお方が作ってくださった塔よ」

 麦野はうっとりとした表情を浮かべました。

「へん、此処のボスも超趣味が悪いですね」

「なんですって!」

 麦野は一瞬怒りの表情を見せましたが、すぐに瞳を蕩けさせます。

「あのお方の言葉には、強い魔法の力がある。

 その言葉に従うことが、わたしの何よりの快楽なのよ」

 麦野は、いやらしく腰をくねらせました。

「ち…超下品な女です!」絹旗はいいました。

 姫は麦野を見ないように、うつむきました。


 
213 :第十章 王女編「鏡の夢魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 23:26:13.56 ID:P9OSEpsK0
 


 話を聞く限り、どうやら麦野は魔王に近しい存在のようです。

「ねぇ姫。この女、魔王の超弱点とか知ってないですかね?」

「あっはは。教えてあげようか、うちのボスの弱点」

「うわ、超びっくりしました!」絹旗は姫の肩で跳び上がりました。

「魔王さんには、弱点はないって本当?」

「ところが、あの方が「驚愕の叫び」をあげたときは、命が奪えるのよ」

「おー、超いいこと聞きました!」絹旗は指を鳴らしました。

「もっとも、魔王さまに近いわたしでも。

 ちょっとでも驚いたところなんか、見たことないんだけどねぇ」

「ち…超だめですぅ…」絹旗は肩を落としました。


「魔法はもう超使えないですしね…」

「もし使うと、どうなるの?」

「超死んじゃうかも…魔王相手に無理に魔法使って死んだ仲間がいましたから」

「じゃあ、絶対使っちゃだめだね」



 姫は、麦野の姿が気になり、趣味を尋ねてみました。

「男を抱くことよ、特に生きのいいのをね」

 麦野はぺろりと、したなめずりをしました。

「ちっ、超恥知らずですっ!」絹旗は赤くなりました。

「…」姫は、ただうつむきました。



 いつの間にか、麦野の背から蝙蝠のような羽がなくなっています。

 それに、最初に見たときより目つきが和らいだ気がします。


 
214 :第十章 王女編「鏡の夢魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 23:27:32.41 ID:P9OSEpsK0
 


 そういえば、と今度は麦野が切り出します。絹旗を見ています。

「わたしらサキュバスを、闇の妖精っていう奴もいるわね」

「風の妖精は、闇を超認めないですよっ!」

「チビ助に認めてもらう必要なんかないさ。あっはははは」

「むきー、チビってゆーな!」

 妖精ならば使命があるはずです。

「自由と愛を運ぶ、夢の使者、それがわたしよ」

 麦野は髪をかきあげました。

「ふんだ、ずいぶん超自分勝手な解釈ですねっ!」

「そっか、博愛主義者なんだね」

「あは。そういうことになるかしらね」

「姫! 超違いますからね、超騙されないで下さいね!」



 会話が途切れるたびに、麦野は窓の向こうを見つめています。

 魔王に近しいのならば、麦野にとって敵とは誰になるのでしょうか。

「敵ねぇ。わたしはそんな面倒くさいこと気にしないわよ」

「そうだよね、本当は敵はいないもん」

「姫、姫。こいつは超そういう意味でいってないですよ」

 絹旗は、姫のお人好しが心配です。


 
215 :第十章 王女編「鏡の夢魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 23:28:57.00 ID:P9OSEpsK0
 


 麦野はふと絹旗を見て鼻で笑いました。

「黄色に黄色合わせるなんて、趣味が悪いわね」

「一方通行さまの腕輪を悪くゆーンじゃねェですよっ!」

「きぬはた…そこを怒るんだね」

 絹旗はオパールリングを掲げて見せました。

「あら、その宝石くれるのかしら?」

「これは一方通行さまから超頂いたんです。死んでもあげません!」

「あらあら」

 揶揄うような笑みを浮かべる麦野を睨むと、絹旗は無意識にオパールの腕輪をこすりました。

 でも何も起きません。絹旗は少しむっとした表情をしていました。不安そうにも見えます。


 姫はそんな絹旗を見て、自分のはめているルビーの指輪をこすりましたが。

 今は何も起きませんでした。

「ちょっとまさかそれ…サキュバスの涙じゃ…」

 麦野が、小さくつぶやきました。

 お母様の形見の、真っ赤なルビーの指輪です。

 麦野が興味深げに見ています。

「その指輪…わたしの種族に伝わっている秘宝…。

 サキュバスの涙にそっくり、いやそのものね」

「超嘘つきです! 長老がいってましたよ。

 姫の持ってる魔法の紅玉は、超聖なる命の石だって」

「ふぅん。だったら、まさにサキュバスの涙じゃないの」

「そう…だね」姫は小さくうなづきました。


 
216 :第十章 王女編「鏡の夢魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 23:30:26.57 ID:P9OSEpsK0
 


「あんたからは、わたしと同じ匂いを感じるんだけどね」

「姫は超ちょっとも、あなたとは似てないですよ!」

「そう…だね」姫は口ごもりました。

「ふん…。しかしなんでこんな小娘に、あのお方が…」

 麦野は姫を睨んで、ぎりぎりと歯を鳴らしました。



 姫は不思議そうに麦野を見つめました。

 黒い胸当てと腰布をつけ、背中の羽は消えています。

 そういえば、顔がかなり若くなっている気がします。

 いえ、むしろ―――


 なんということでしょう。そこにいるのは、姫そのものです!

 ただ違うのは、黒い胸当てと腰布という格好だけ。

「わあ、鏡みたい。だけど…

 わたしが、そういう格好してるみたいで、恥ずかしい…」

 姫と同じ顔ですが、黒い胸当てと腰布だけの、はしたない格好です。


「…思い出したよ。二十年前に人間とくっついちまった仲間がいたの。

 まさか王様をたぶらかしていたとはね、大したもんだわ」

「たぶらかす…なんて、お父様はお母様を愛してた。

 本当に心から。そしてお母様も…」

「え…え? じゃあ姫は、その…超魔物の…」

「あっは! 娘ってことね。どうりで化けやすいわけだ。

 半分は、わたしらの仲間なんだからね」

「だから…魔王とも超仲良くしたいなんて。

 でも、姫のお母さんは、魔王に殺されたんでしょ」

「違うわよチビ助。あの国の女王は人間に殺されたの!

 あっはは! 不思議には思ってたのよね…。

 なんで人間どもが女王を殺したのか。でも、合点がいったわ。

 あの方との繋がりを恐れて、人間が殺したのよ!」


 
217 :第十章 王女編「鏡の夢魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 23:32:54.86 ID:P9OSEpsK0
 


「やめて!!」姫は耳を塞ぎました。

「殺したのよ! わたしの仲間をね! 滅亡寸前の哀れな種族を!!

 人間なんかに嫁ぐもんじゃないわね。おお怖い怖い」

「超ほんと…なんですか姫」絹旗は、思い切って聞きました。

「うん…でもきぬはた、お父様はいってた。

『恨むな、憎しみや怒りで決断をするな』って」

「おやじはそういうわよ! だって人間だもの! あっはははははは!!」

 麦野は姫の顔で、甲高く笑いました。



「あんたは半分はわたしの仲間、だけど…あの方は…あんたを…」

 麦野は、自分に言い聞かせるようにつぶやきました。

 そして姫の姿をした麦野は、姫に唐突な質問をしました。

「虹はなぜ美しいのかしらねぇ…」

「え…何をいって?」


「それは、すぐに消えてしまうからよ!

 死んでおしまい、虹の王女!!」

 にせの姫の爪が針のように伸びて、本物の姫に襲いかかりました。


「精霊よ! 姫を助けて!!」絹旗は力の限り叫びました。


 絹旗の体から、黄金の光がほとばしりました。

 部屋の中に小さな太陽が生まれたようです。

「ぎゃーーーっ!!」

 闇の種族サキュバスは、強い光に顔を覆いました。

「消えろォーっ!!」絹旗は腕を振り下ろしました。

 小さな太陽はサキュバスに叩き付けられ、そのまま床を打ちました。

 なんとふしぎなことでしょう。麦野は床をすり抜けていきました。

 ただ、その場所には黒いしみが残っているだけです。


 
218 :第十章 王女編「鏡の夢魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/06(水) 23:33:49.08 ID:P9OSEpsK0
 


「姫ぇ…超ぶじですかぁ…」


 絹旗は、ふらふらと姫の手の中に落ちてきました。

「なんでっ!! なんでわたしを!!

 使命なんかに! そんなのに縛られて!」

「最初から使命なんて、超気にしちゃいないですよ…」

 力なく、絹旗はいいました。

「じゃあ、なんで?!」

「アホかぁ…姫が…超友達だからですよ。

 もう…仲間が…いな…くなるのは…いや…」


 絹旗は、それ以上喋れないようです。





 つづく。




アイテム

 滝壺[ルビーリング,ターコイズリング]

 絹旗[オパールリング,アンバーリング]


 
219 :第十一章 王子編「魔城の血戦」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 23:35:53.14 ID:P9OSEpsK0
 


 階段を上がると塔の上階ではなく、意外にも外へ出た。

 石造りの広場の角だ。後ろは地下からの出口、右はすぐ壁に当たる。

 左前方には魔城の入口、すぐ後ろには地下からの出口が見える。

 右の壁の先には、門とその扉が見える。



>持ち物
[フレ,書状,アメジストソード]



 どうやら此処は閲兵場のようだ。四方は壁に囲まれている。

 広場は兵士が一個師団…つまり二千人は優に入る広さだ。

 俺の身長の四倍はある高い石壁はかなり堅牢な作りだ。

 落下の衝撃で崩れた様子は、どこにもない。

 広い閲兵場に敷き詰められた石も、落下の衝撃でずれた様子すらない。


 城門の扉は右前方に見える。

 魔城の入口は、左前方に見えるが、かなり遠い。



 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 a.地下に戻る
 b.入口へ急ぐ
 c.城門へ向う


 
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 23:38:07.76 ID:UnEvBD0Ro
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 23:40:22.95 ID:owengqWBo
b
222 :第十一章 王子編「魔城の血戦」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 23:42:58.98 ID:P9OSEpsK0
 

◆b.入口へ急ぐ


 魔王の居城…なんと禍々しい。あそこに俺の倒すべき敵がいる。

 だが、壁伝いに入口へ行くには距離がありすぎる。

 俺は壁際を離れて、閲兵広場の中央に向けて進んだ。


「おい、あそこに侵入者がいるぞ!」

 城壁の上で、魔物らしき声がする。

 その魔物の姿を確認する間もなく、何本もの矢が俺を貫く。

 此処はもう魔城の中心部に近い、警備も万全…というわけか。



 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「35:射殺」


 
223 :第十一章 王子編「魔城の血戦」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 23:44:11.17 ID:P9OSEpsK0
 

 ▽Continue!


 城門の扉は右前方に見える。

 魔城の入口は、左前方に見えるが、かなり遠い。



 さて、どうしようか?


>行動選択(安価+2)


 a.地下に戻る

 c.城門へ向う
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 23:46:40.47 ID:owengqWBo
c
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 23:47:10.11 ID:UnEvBD0Ro
226 :第十一章 王子編「魔城の血戦」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 23:52:34.79 ID:P9OSEpsK0
 

◇c.城門へ向う


 俺は、壁際を前進した。行く手にあるのは高くそびえる城門だ。

 広場の中程…つまり門の正面までやってきた所で、アメジストソードが輝いた。

 剣から出た光が、上空の前後二方向に伸びていく。

 城の屋上にある館と、尖塔の上から出た光が巨大な三角形を作っている。

 その三角形の上の辺、塔と魔城の中心部の間に、七色の光の橋が架かった。


 そう…あれは虹だ…。美しく光る虹の橋が二つの建物をつないでいる。

 塔の上に女の人影が見える…あれは…王女だ、虹の王女!

 姫は虹を渡りはじめた。虹の橋を渡る麗しき乙女。

 これ以上の神秘的な光景が、他に存在しようか…。


 扉の向こうから、大勢の人間のものらしき歓声がどっと沸く。

 城門の外にも、その神秘の光景は見えたようだ。

 しかし、姫の行く先には魔王!

 俺の心は焦る、疾く! 疾く行かねば! 姫のもとへ!


 俺が魔城の入口に急行しようとした、その時!

 その入口から、大量の守備兵達が一斉に躍り出てきた!

 その数は軽く見積もっても千…俺一人対魔物千頭の群れ!!

 魔物の群れはまだ遠いが、あっという間にその距離は縮められてしまうだろう。

 かといって、群れにつっこんでは、死以外の結果は期待できない。



 さて、どうしようか?



>行動選択(安価+2)


 a.他の道を探す
 b.門の扉を開く
 c.強行突破する


 
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 23:53:59.92 ID:UnEvBD0Ro
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/06(水) 23:55:44.64 ID:owengqWBo
a
229 :第十一章 王子編「魔城の血戦」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/06(水) 23:59:57.03 ID:P9OSEpsK0
 

◆a.他の道を探す


 俺は魔物の群れを避けて城へ辿り着く方法を探ろうとした。

 だがここは高い壁に囲まれた広場だ。身を隠す場所も無く、他の道など在ろうはずもない。

 今もなお迫り来る魔物の群れは、もう次の瞬間には、俺にたどり着くに違いない。

 翼を持たぬ俺は、飛んで逃げるわけにも行かない!


 完全に囲まれた!! 様々な魔物達。

 一人対千頭…

 俺は何頭かの魔物を屠り、奮戦をしたが、限度がある!

 一頭の魔物が、俺の足をすくった。

 俺は魔物の群れのまっただ中、無様に倒れる。

 最後に見上げた空に、俺は虹の架け橋を見た…



 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「36:虐殺」


 
230 :第十一章 王子編「魔城の血戦」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/07(木) 00:01:07.77 ID:dXrxOOG00
 

 ▽Continue!


 俺が魔城の入口に急行しようとした、その時!

 その入口から、大量の守備兵達が一斉に躍り出てきた!

 その数は軽く見積もっても千…俺一人対魔物千頭の群れ!!

 魔物の群れはまだ遠いが、あっという間にその距離は縮められてしまうだろう。

 かといって、群れにつっこんでは、死以外の結果は期待できない。



 さて、どうしようか?



>行動選択(安価+2)


 b.門の扉を開く
 c.強行突破する



 
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/07(木) 00:02:00.65 ID:f6u2RHq8o
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/07(木) 00:13:08.34 ID:ZWdZu0a8o
b
233 :第十一章 王子編「魔城の血戦」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/07(木) 00:16:35.62 ID:dXrxOOG00
 

◇b.門の扉を開く


 扉を叩くと、人間の男らしき、応[いら]えがあった。

「誰かそこにいるのか、なら閂[かんぬき]を外してくれ!」



 魔物の群れは、こちらに向けて殺到してくる。

 いくら俺が一騎当千の勇者といえ、まともに向かっては、死は確実だ!!

 魔物の群れは、もう次の瞬間には、俺にたどり着くに違いない。

 翼を持たぬ俺は、飛んで逃げるわけにも行かない!



 城門の扉には、太い閂がかかっている。

 太い閂だが、俺一人でもどうにかなりそうな大きさだ。

 迫り来る魔物の気配を背にひしひしと感じながら急いで閂を外すと、すぐに門が開いた。

 援軍に違いない! 九死に一生とはこのことだ!


 だが俺の期待は脆くも裏切られた。

 なんと、先頭を切って入ってきたのは魔王の手下、トロルだ。


 
234 :第十一章 王子編「魔城の血戦」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/07(木) 00:18:22.82 ID:dXrxOOG00
 

「うおぉぉーっ、俺は騙されてたぞー! くそー魔王めー!!」

 そう吠えると、トロルは魔城の兵隊どもを、その腕で掴んでは投げた。

 事情はよく分からないが、援軍には違いなかったようだ。

 トロルの後から、正規軍の鎧に身を固めた騎士が突入してくる。


「うおぉぉー、お前ー! お前、すごい根性だな。びっくりしたぞ!」

 トロルが俺を見つけて、近づいてきた。

「見ろ! 俺の体に傷をつけたのは、お前がはじめてだ!」

 彼が見せた手には、ほんのちょっぴり、創傷がある。


 なぜ、この緑の巨人が魔王を裏切ったか分からぬ。

 だが今は心強い。どうにか姫のもとへたどり着けそうだ。

「お、お前、あのチビどものところへ行きたいんだな、わかるぞ」

 トロルは俺の心を察したようだ、意外に知能がある。

「俺の手に乗るといい。あそこまで放り投げてやる」

 緑の魔物は巨大な手のひらを、俺の前に出した。



 さて、どうしようか?



>行動選択(安価+2)


 a.トロルを斬る
 b.トロルを信じる
 c.トロルから離れる


 
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/07(木) 00:19:00.62 ID:ZWdZu0a8o
b
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/07(木) 00:19:09.52 ID:f6u2RHq8o
237 :第十一章 王子編「魔城の血戦」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/07(木) 00:24:14.54 ID:dXrxOOG00
 

◇b.トロルを信じる


 俺は手を差しのべる緑の魔物に恐れなく近付いた。

 理由は解らない、だが、信じてもいいのだと勇者の感が囁くのだ。

 俺の挙動を見てトロルは大きく頷く。

「俺の手に乗れば、どかーんと飛ばしてやるぞ」

 俺は、緑の巨人の手の上に乗った。

「いくぞーっ!!」トロルは吠えながら、魔城に向かって走る。


 トロルの上に乗った俺に、もの凄い加速が襲う。

 一瞬、目の前が真っ暗になる。そして風きりの音。

 俺は、トロルの手を離れ、矢のように飛んだ!

 前方の魔王の館のバルコニーに、ちらりと姫の姿を見る。

 瞬間、神秘の剣から薄紫の羽が広がる!

 その羽の力で滑空しつつ、俺は屋上に着地した。





 つづく。


 
238 :第十一章 王女編「虹の架け橋」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/07(木) 00:25:47.16 ID:dXrxOOG00
 


「きぬはた、きぬはた!」

 姫の手の中で、絹旗は冷たくなっていきます。


「きぬはたー!」姫は叫びました。

 絹旗は応えません。


 姫は、冷たくなった絹旗の手足をこすりました。

「起きて、起きてきぬはた」

 でも、絹旗はぐったりしたままです。


 姫は、絹旗の胸をとんとん叩きました。

 でも、何も起きません。

「胸を叩くと、蘇った人がいたって聞いたのに…」



 姫は、絹旗の胸に当てた自分の手に目を落としました。

 お母様の形見、サキュバスの涙。

 絹旗は、聖なる命の石、といっていました。

 姫は、お母様の形見の指輪をこすりました。

「お母様、助けて。きぬはたを、助けてください」


 とつぜん。ルビーから、いく筋もの真っ赤な光が、放たれました。

 光は壁や床に反射して、部屋は赤い線でいっぱいです。

 そして絹旗の体が、赤い光に引き上げられるように浮きました。

 赤い光の糸が集まって絹旗を包み、まゆを作っていきます。

「きぬはたの鼓動を感じる…」

 それと同時に、姫はひどい疲れを感じました。


 
239 :第十一章 王女編「虹の架け橋」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/07(木) 00:27:06.51 ID:dXrxOOG00
 


 真っ赤だったまゆの色は薄くなり、だんだん白に近づいていきます。

 まゆが純白になったとき、ぱりぱりと音をたててまゆが割れました。

 割れ目からは、うずくまった妖精の羽と背中が見えます。

 絹旗はゆっくり背をそらせ、まゆの中から出てきました。

 純白のまゆから生まれる妖精…なんと幻想的な光景でしょう。

 絹旗のきらきら光る羽は、ゆっくり開いていきます。


「すごい、きれい…」

 姫は、思わずつぶやきました。


「面と向かっていわれると、超てれますねー」

 絹旗は、赤い顔をして頭をかきました。

「やだな…気づいてたんだね」

 姫は、ちょっとも嫌な顔はしていません。

「でも…なんで超まゆ作ってんでしょう?…もぐもぐ」

 絹旗は自分が入っている、まゆを食べています。

「そ、それ食べられるの?」姫は驚いて聞きました。

「ええ、超おいしいですよ。姫も食べたらどうです?」

「妖精のまゆを食べるなんて…もしかしたら、はじめての人間かも」

 姫は、そうっと、まゆをちぎって口に運びました。

「わぁ、やわらかくて、ほんのり甘くて…おいしい」

 姫はちょっとずつまゆを食べながら、絹旗にいきさつを説明しました。


「なるほどっ。じゃ姫はわたしの超命の恩人です。もぐもぐ」

「ううん、きぬはたこそ。わたしを助けてくれた。だから…」

「ありがとうの、超おあいこですっ!」絹旗は微笑みました。

「うん、ありがとう。きぬはた」姫も微笑みました。

 絹旗は、ずいぶん元気になったようです。

 姫の肩の上で、足をぷらぷらさせています。

 姫は、絹旗の頭をなでました。

「もー、やめなって」そういっても、ちょっと嬉しそうです。

 姫と絹旗は、こつんとにぎりこぶしを合わせました。


 
240 :第十一章 王女編「虹の架け橋」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/07(木) 00:28:22.33 ID:dXrxOOG00
 

 改めて見回しましたが、やはり窓以外なにもない部屋です。階段すらありません。

「だーれーかーっ!」姫は叫びました。

「魔物しか来ないと思うから、超やめて下さい」



 すっかり光の収まったルビーをこすりましたが。もう何も起きませんでした。

 オパールやターコイズをこすっても、何も起きません。

 姫は、神樹様から渡された腕輪―――アンバーリングをこすりました。

「あー、絹旗ちゃんか、僕や神樹や」

「うわっ! 超びっくりです!」

 絹旗はきょろきょろと辺りを見回しました。

 でも、どこにも神樹様らしき姿はありません。

「そのアンバーリングを通して話しとるんやで」

「わぁ、すごい。いま神樹様はどこに?」

「どこにも何も、いちど樹となっては動けんのやで」

「それで神樹様は、いままで超何やってたんです」

「城の地下におった、魔物を退治しとったん。

 死霊どもで、ちょっと食あたりしてしもうたでー」ゲフ

「とにかく、いまは無事なんだね。よかった」

「それにしても君達、妖精界から帰ってくるのが早いで」

「超もっといたかったんですけど…一方通行さまが」

「おお、一方通行くんとも会うたか。で「斬るべきものを斬る剣」は?」

「魔物に囲まれて困っている人がいたから、渡しちゃったよ」

「あららー、いい加減に渡してしもうたんか…」

「もうっ!! いい加減じゃないですよ、わたしも超確認しましたし。

 それに一方通行さまも、おっしゃったから超間違いないですよ」

「…絹旗ちゃん、一方通行くんの扱いがえらく丁寧やねえ。

 君が「おっしゃった」なんてゆーたのを、はじめて聞いたで」

「きぬはたは、あくせられーたさまのこと、大好きみたい」

「ばっ、超ばかっ、姫っ! そんな超恐れおおいでござんす」

「…絹旗ちゃん、使い慣れん言葉はやめた方がええで。

 とにかく、まず勇者を探すんや。近くにいるようやで」

 
241 :第十一章 王女編「虹の架け橋」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/07(木) 00:29:26.48 ID:dXrxOOG00
 


 窓から外を眺めると、魔城の中心が見えます。

「姫、超見て下さいよ! あそこに勇者がいますよ!」

 塔の下に広がる石造りの広場に、あの剣を持った若者が見えます。

 その剣が、きらりと光りました。同時にルビーリング、アンバーリング。

 さらに、オパールリング、ターコイズリングも光りました。

 勇者の剣から放たれた紫の光が真っ直ぐこちらに伸びてきます。

 おもわず、ふたりは目を覆いました。


 そして目を開いた時には。窓につながった虹ができていました。

「おお、ここからもよう見えるで。その虹の橋を渡るんや」

「え、虹に乗れるの? すごい…わたし…。

 虹を渡ってみたかったの。小さいころから」

 姫はひょいと虹の上に乗りました。

「少しは確かめてから乗って下さいよ! 超あぶないですねぇ」

「神樹様がいってるもん、間違いないよ」

 姫はにこにこと笑って、虹に乗れたのが本当に嬉しそうです。

「おお、おお。姫は素直で良いのう。…絹旗ちゃんと違って」

「超うっさいです」


 ふたりが虹を渡りはじめると、下の方で地響きのような声が聞こえました。

 魔城から沢山の魔物達が、次から次へと出てきます。

 それと同時に門が開かれ、沢山の騎士達が一斉に入ってきたのが見えます。

「あれは、お父様の軍隊だよ。この機に魔王と魔物を滅ぼすつもりだね」

「うわー、姫のお父さんも、姫が超人質に取られてるってゆーのに…」

「お父様は、娘の命と世界の平和と、どちらが大事か分かってるから」

「そんでもって、その娘は、魔王と超「話し合い」に行こうってんですからねぇ…」

 絹旗は、肩をすくめました。

「お父様はお父様、わたしはわたしだよ」

 姫はしっかりした足取りで、広場の上にかかった虹を渡るのでした。





 つづく。




アイテム

 滝壺[ルビーリング,ターコイズリング]

 絹旗[オパールリング,アンバーリング]


 
242 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/07(木) 00:41:44.96 ID:dXrxOOG00
 

今までより話数が少ないですが、本日の投下はこれで終了です

安価にご協力ありがとうございました

少しでもお楽しみ頂けたならば幸いです



この物語は明日の投下分で終幕を迎えます



明日もまた同じ頃の時間帯に参上の予定です

最後までお付き合い頂けましたらありがたく


それでは


 
243 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/07(木) 00:53:36.70 ID:dXrxOOG00
 

今気が付いた、>>193の煽り文間違えてました…orz

最大の難関は明日投下です

でも最終章も明日投下です

どうしていつも何処か修正抜けするんでしょうか恥ずかしいスミマセン


 
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/07(木) 00:53:49.21 ID:f6u2RHq8o
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/07(木) 02:55:48.83 ID:ZWdZu0a8o
乙〜
246 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/07(木) 22:40:45.98 ID:dXrxOOG00
 

時間になりましたので参上仕ります

この物語も今宵で終幕です

どうぞ最後までお付き合い頂ければ幸いです



待ち構える最後の難関

魔王との対峙

王子は無事に王女を救い出す事が出来るのか―――



それでは以下本編、本日は第12章より、最終章まで参ります

安価にご協力をよろしくどうぞ


 
247 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/07(木) 22:44:48.35 ID:dXrxOOG00
 

 トロルの助けで屋上の中央に着地した俺は、空に赤い悪魔を見た。

 蜥蜴の肌、蝙蝠の翼、雄牛の角。サラマンダー! 俺はその種族を知っている。

「我が名はアックア―――セキゾウのアックア!

 我はお前を待っていた! よくぞここまで来たのである、勇者よ!

 そして、この先に行く資格があるのは、真の勇者だけだ!」

 ならば! 俺にはその資格がある!! 俺こそが真の勇者だからだ!!

「面倒な話はいらぬ! 剣で語れ、勇者よ!」

 火竜サラマンダーは、その角を振り、その翼を広げた。


 望むところ!!

 俺は、屋上の端に降り立ったサラマンダーを睨みつけた。

 辺りからは音が消え失せ、世界は俺と奴だけしかいない空間に変わっていく。

 何度か味わったことがある…集中しきったこの感覚。

 奴が、最強の戦士だということの証左だ。


 赤い鱗を持ち、雄牛の角と蝙蝠の羽を持つ脅威の種族。

 その種族の中でも、奴は間違いなく上位の気を放っている。

 赤い魔物は胸を反らせ、周囲の空気を吸い込んだ。

 まずい、屋上の端の遠距離から攻撃してくる気だ!

 予想通り、赤い魔物は口から直線の炎を吐き出し…。

 その首を横に振った!!




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 a.前に飛び出す
 b.横に避ける
 c.後ろに下がる
 d.飛び上がる
 e.床に伏せる
 f.剣を振るう
 g.剣を投げる
 h.殴り掛かる


 
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/07(木) 23:14:50.89 ID:f6u2RHq8o
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 00:11:30.65 ID:60UhbVeBo
c
250 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 00:14:56.57 ID:1oXI8Z7F0
 

◆c.後ろに下がる


 俺は、迫り来る炎から逃れようと咄嗟に身を引いた。

 サラマンダーの口から出た光線のような炎が、あたりを薙ぎ払う。

 扇状の攻撃範囲を持つ火炎は、奴の口の高さにあるものを全て焼く!

 つまりこの場合は俺だ!!

 灼熱の炎が俺を包む。その炎は熱すぎて、もはや熱くない!!


「こんな攻撃でくたばるとは伝説の血族とは思えんのである。

 どうやら、見込み違いだったようであるな…」赤い悪魔は、嘆息を漏らした。



 無念! 俺の冒険は、ココに幕を閉じた!



 ゲームオーバー「38:刧炎滅殺」


 
251 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 00:16:30.93 ID:1oXI8Z7F0
 

 ▽Continue!



 赤い魔物は胸を反らせ、周囲の空気を吸い込んだ。

 まずい、屋上の端の遠距離から攻撃してくる気だ!

 予想通り、赤い魔物は口から直線の炎を吐き出し…。

 その首を横に振った!!




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 a.前に飛び出す
 b.横に避ける

 d.飛び上がる
 e.床に伏せる
 f.剣を振るう
 g.剣を投げる
 h.殴り掛かる


 
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 00:22:03.50 ID:60UhbVeBo
e
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 00:23:11.70 ID:fDPPhgbPo
254 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 00:28:28.90 ID:1oXI8Z7F0
 

◆h.殴り掛かる


 俺は、拳を硬く握り締め、赤い悪魔へと突進した。

 だが間に合わない! 俺の健脚が距離を詰めるより早く、高温の炎が辺りの空気を焦がす。

 サラマンダーの口から出た光線のような炎が、あたりを薙ぎ払う。

 扇状の攻撃範囲を持つ火炎は、奴の口の高さにあるものを全て焼く!

 つまりこの場合は俺だ!!

 灼熱の炎が俺を包む。その炎は熱すぎて、もはや熱くない!!


「こんな攻撃でくたばるとは伝説の血族とは思えんのである。

 どうやら、見込み違いだったようであるな…」赤い悪魔は、嘆息を漏らした。



 無念! 俺の冒険は、ココに幕を閉じた!



 ゲームオーバー「38:刧炎滅殺」


 
255 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 00:29:19.21 ID:1oXI8Z7F0
 

 ▽Continue!



 赤い魔物は胸を反らせ、周囲の空気を吸い込んだ。

 まずい、屋上の端の遠距離から攻撃してくる気だ!

 予想通り、赤い魔物は口から直線の炎を吐き出し…。

 その首を横に振った!!




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 a.前に飛び出す
 b.横に避ける

 d.飛び上がる
 e.床に伏せる
 f.剣を振るう
 g.剣を投げる


 
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 00:31:11.74 ID:60UhbVeBo
f
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 00:36:45.32 ID:fDPPhgbPo
258 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 00:40:25.42 ID:1oXI8Z7F0
 

◆f.剣を振るう


 俺はアメジストソードを振りかざし、炎の魔物へと飛び掛った。

 だが間に合わない! 切っ先が標的を捉えるよりも早く、凄まじい熱気が吹き荒れる。

 サラマンダーの口から出た光線のような炎が、あたりを薙ぎ払う。

 扇状の攻撃範囲を持つ火炎は、奴の口の高さにあるものを全て焼く!

 つまりこの場合は俺だ!!

 灼熱の炎が俺を包む。その炎は熱すぎて、もはや熱くない!!


「こんな攻撃でくたばるとは伝説の血族とは思えんのである。

 どうやら、見込み違いだったようであるな…」赤い悪魔は、嘆息を漏らした。



 無念! 俺の冒険は、ココに幕を閉じた!



 ゲームオーバー「38:刧炎滅殺」


 
259 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 00:41:11.90 ID:1oXI8Z7F0
 

 ▽Continue!



 赤い魔物は胸を反らせ、周囲の空気を吸い込んだ。

 まずい、屋上の端の遠距離から攻撃してくる気だ!

 予想通り、赤い魔物は口から直線の炎を吐き出し…。

 その首を横に振った!!




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 a.前に飛び出す
 b.横に避ける

 d.飛び上がる
 e.床に伏せる

 g.剣を投げる


 
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 00:42:28.25 ID:60UhbVeBo
a
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 00:45:37.08 ID:fDPPhgbPo
262 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 00:51:55.51 ID:1oXI8Z7F0
 

◆g.剣を投げる


 俺はアメジストソードを振り上げると、赤い魔物へ向けて全力で投擲した。

 だがしかし! 燃え盛る炎はあろう事か、光を纏った剣を飲み込み更に勢いを増して迫り来る。

 サラマンダーの口から出た光線のような炎が、あたりを薙ぎ払う。

 扇状の攻撃範囲を持つ火炎は、奴の口の高さにあるものを全て焼く!

 つまりこの場合は俺だ!!

 灼熱の炎が俺を包む。その炎は熱すぎて、もはや熱くない!!


「こんな攻撃でくたばるとは伝説の血族とは思えんのである。

 どうやら、見込み違いだったようであるな…」赤い悪魔は、嘆息を漏らした。



 無念! 俺の冒険は、ココに幕を閉じた!



 ゲームオーバー「38:刧炎滅殺」


 
263 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 00:52:36.77 ID:1oXI8Z7F0
 

 ▽Continue!



 赤い魔物は胸を反らせ、周囲の空気を吸い込んだ。

 まずい、屋上の端の遠距離から攻撃してくる気だ!

 予想通り、赤い魔物は口から直線の炎を吐き出し…。

 その首を横に振った!!




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 a.前に飛び出す
 b.横に避ける

 d.飛び上がる
 e.床に伏せる


 
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 00:53:13.69 ID:fDPPhgbPo
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 00:53:47.31 ID:60UhbVeBo
c
266 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 01:09:25.62 ID:1oXI8Z7F0
 

スミマセン、「Continue」からの再開の場合、以前に選択された行動は選択肢から消されているので選べません

その場合は安価下という事でお願いします


相変わらず説明が抜けていて毎度ながら申し訳ありません

此方の不手際なので今回は連投も受付致します。よろしくどうぞ


  
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 01:10:49.67 ID:60UhbVeBo
あ、すみません
dと打とうとして間違えました…
268 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 01:17:52.14 ID:1oXI8Z7F0


◆d.飛び上がる


 俺は地面を強く蹴って高く飛び上がった。一瞬ならば炎をギリギリ越えられる高さだ。

 だがしかし! 俺に妖精のような羽はない、炎が通り過ぎるまでこの高さを維持する事はできない!

 サラマンダーの口から出た光線のような炎が、あたりを薙ぎ払う。

 扇状の攻撃範囲を持つ火炎は、奴の口の高さにあるものを全て焼く!

 つまりこの場合は俺だ!!

 灼熱の炎が俺を包む。その炎は熱すぎて、もはや熱くない!!


「こんな攻撃でくたばるとは伝説の血族とは思えんのである。

 どうやら、見込み違いだったようであるな…」赤い悪魔は、嘆息を漏らした。



 無念! 俺の冒険は、ココに幕を閉じた!



 ゲームオーバー「38:刧炎滅殺」


 
269 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 01:18:58.87 ID:1oXI8Z7F0
 

 ▽Continue!



 赤い魔物は胸を反らせ、周囲の空気を吸い込んだ。

 まずい、屋上の端の遠距離から攻撃してくる気だ!

 予想通り、赤い魔物は口から直線の炎を吐き出し…。

 その首を横に振った!!




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 a.前に飛び出す
 b.横に避ける

 e.床に伏せる


 
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 01:19:40.47 ID:60UhbVeBo
b
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 01:21:59.56 ID:fDPPhgbPo
e
272 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 01:23:19.49 ID:1oXI8Z7F0
 

◇e.床に伏せる


 俺はとっさに、床に体を投げ出した。

 俺の上を、地獄の火炎が通り過ぎる。

 そして俺は次の攻撃に備え、素早く起き上がった。


「いでよ、我が僕ども!」アックアが両拳を前方へ突き出した。

 同時に、俺の周囲に何十もの炎が現われた。それは火炎の鳥!

 炎に包まれた鳥が、俺に向かって一斉に包囲を縮める。

 一気呵成の攻め! 容赦なしか!!




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 a.前に飛び出す
 b.横に避ける
 c.後ろに下がる
 d.飛び上がる
 e.床に伏せる
 f.剣を振るう
 g.剣を投げる
 h.殴り掛かる


 
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 01:23:30.88 ID:fDPPhgbPo
h
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 01:25:55.98 ID:60UhbVeBo
a
275 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 01:31:24.95 ID:1oXI8Z7F0
 

◆a.前に飛び出す


 俺は包囲網を突破しようと全力で駆け出した。

 だがしかし! 無数の炎はそれぞれが意思を持ったように次々と襲い掛かってくる!

 炎の鳥に囲まれていたのだ。一気に倒せねば意味がない!

 敵に囲まれた場面を、この剣で切り抜けた事があったのに!

 俺は、鳥から吹き出す火炎に包まれて、あっという間に火だるまになった。

 普段は焼いて食っている鳥に、己が焼かれてしまうとは…


「どこだ! どこにいるのだ、伝説の血族の勇者は!」

 俺は最後に、この身を焼く炎を作り出した、火竜の嘆きを聞いた…



 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「39:絶命紅輪」


 
276 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 01:32:38.91 ID:1oXI8Z7F0
 

 ▽Continue!


 炎に包まれた鳥が、俺に向かって一斉に包囲を縮める。

 一気呵成の攻め! 容赦なしか!!




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 b.横に避ける
 c.後ろに下がる
 d.飛び上がる
 e.床に伏せる
 f.剣を振るう
 g.剣を投げる
 h.殴り掛かる


 
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 01:35:08.83 ID:60UhbVeBo
f
278 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/08(金) 02:04:34.91 ID:1oXI8Z7F0
 

途中で失礼致します


私事情で恐縮なのですが、急用でこれから出掛けなければならなくなりました

戻りの時間の見当もつかないので、申し訳無いのですが此処で一旦中断させて頂きます


折角頂いたので今回の行動選択は「f」を安価として進行し、

続きは明日また同じ頃の時間に再開、という事でお願い致します(流石にそれまでには戻れるはずなので)


本当に申し訳ありませんが、どうかご了承願います



では、短いですが、以下本編です


 
279 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 02:05:45.09 ID:1oXI8Z7F0
 

◇f.剣を振るう


 俺は、剣を横様に一気に振った。その勢いを利用して一回転する。

 剣先から紫の光が迸り、その光は俺の周囲で輪となった。

 炎に包まれた鳥は、剣圧に吹き飛ばされ、全て光となって消えた。

 戦場は、一瞬の静寂に包まれる。


「唸れ大地!!」アックアは両腕を床に叩き付けた。

 奴を中心として、深紅の衝撃波が広がる!

 衝撃波は、石の床までも切り裂いている!

 石の欠片を巻き上げながら、真っ赤な死の使いが迫ってくる!


280 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/08(金) 02:09:45.68 ID:1oXI8Z7F0
 

中途ですが、本日の投下はこれで終了です

安価にご協力ありがとうございました

私用で中断させて頂きます事を、重ねてお詫び致します

明日はこの続きから再開となります

またお付き合い頂けましたら僥倖です



それでは取り急ぎここまで

乱文にて失礼致します


 
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 02:42:46.80 ID:60UhbVeBo
了解です
こんな遅くから大変ですね
乙〜
282 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/08(金) 22:36:56.36 ID:1oXI8Z7F0
 
今宵も時間になりましたので参上です


昨夜は私用で急遽中断する事となり、大変失礼致しました

ここしばらく夜間のコールが無かったので油断してました…orz

今日は確約を貰って来たので大丈夫なはずです




では、改めまして

本日は前回の続きより開始させて頂きます

どうぞ最後までお付き合い頂ければ幸いです



それでは以下本編、第12章の途中から参ります

安価にご協力をよろしくどうぞ


 
283 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 22:38:58.71 ID:1oXI8Z7F0
 

◇f.剣を振るう


 俺は、剣を横様に一気に振った。その勢いを利用して一回転する。

 剣先から紫の光が迸り、その光は俺の周囲で輪となった。

 炎に包まれた鳥は、剣圧に吹き飛ばされ、全て光となって消えた。

 戦場は、一瞬の静寂に包まれる。


「唸れ大地!!」アックアは両腕を床に叩き付けた。

 奴を中心として、深紅の衝撃波が広がる!

 衝撃波は、石の床までも切り裂いている!

 石の欠片を巻き上げながら、真っ赤な死の使いが迫ってくる!




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 a.前に飛び出す
 b.横に避ける
 c.後ろに下がる
 d.飛び上がる
 e.床に伏せる
 f.剣を振るう
 g.剣を投げる
 h.殴り掛かる


 
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 22:41:28.17 ID:60UhbVeBo
d
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 22:49:33.43 ID:fDPPhgbPo
286 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 22:55:38.03 ID:1oXI8Z7F0
 

◆h.殴り掛かる


 俺は、拳を硬く握り締め、赤い悪魔へと突進した。

 だがそれは余りにも無謀! 迫り来る刃に自ら飛び込むが如き自殺行為以外の何物でもない!

 衝撃波は屋上に立つものを全て、なぎ倒さずにはおかないだろう。

 俺もその例外ではない!

 床を走ってきた切り裂き魔は、容赦なく俺に襲いかかった。

 俺は、衝撃波に切り刻まれ、赤い竜より赤い姿となった…


「この男も伝説の血族ではなかったということか…」

 サラマンダーは火の粉と共に、深い吐息をもらした。



 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「40:衝撃円斬」


 
287 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 22:56:40.15 ID:1oXI8Z7F0
 

 ▽Continue!



 「唸れ大地!!」アックアは両腕を床に叩き付けた。

 奴を中心として、深紅の衝撃波が広がる!

 衝撃波は、石の床までも切り裂いている!

 石の欠片を巻き上げながら、真っ赤な死の使いが迫ってくる!




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 a.前に飛び出す
 b.横に避ける
 c.後ろに下がる
 d.飛び上がる
 e.床に伏せる
 f.剣を振るう
 g.剣を投げる


 
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 22:59:39.80 ID:60UhbVeBo
a
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 23:03:23.72 ID:fDPPhgbPo
a
290 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 23:09:29.67 ID:1oXI8Z7F0


◆a.前に飛び出す


 俺は、赤い悪魔を目指し全力で駆け出した。

 だがそれは余りにも無謀! 幾ら強靭といえど、生身の肉体ではこの攻撃を防ぐ事は不可能!

 衝撃波は屋上に立つものを全て、なぎ倒さずにはおかないだろう。

 俺もその例外ではない!

 床を走ってきた切り裂き魔は、容赦なく俺に襲いかかった。

 俺は、衝撃波に切り刻まれ、赤い竜より赤い姿となった…


「この男も伝説の血族ではなかったということか…」

 サラマンダーは火の粉と共に、深い吐息をもらした。



 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「40:衝撃円斬」


 
291 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 23:10:02.60 ID:1oXI8Z7F0
 

 ▽Continue!



 「唸れ大地!!」アックアは両腕を床に叩き付けた。

 奴を中心として、深紅の衝撃波が広がる!

 衝撃波は、石の床までも切り裂いている!

 石の欠片を巻き上げながら、真っ赤な死の使いが迫ってくる!




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 b.横に避ける
 c.後ろに下がる
 d.飛び上がる
 e.床に伏せる
 f.剣を振るう
 g.剣を投げる


 
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 23:10:57.04 ID:60UhbVeBo
f
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 23:15:03.18 ID:fDPPhgbPo
294 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 23:24:57.89 ID:1oXI8Z7F0
 

◆f.剣を振るう


 俺は、握り締めたアメジストソードを鋭く薙ぎ払った。

 神秘的な紫の光が円状に放たれ、閃光とともに深紅が掻き消されて行く。

 だがしかし! 再び死の刃が俺に迫って来た。第二波が放たれていたのだ!

 読まれていたというのか…何と周到な!

 衝撃波は屋上に立つものを全て、なぎ倒さずにはおかないだろう。

 俺もその例外ではない!

 床を走ってきた切り裂き魔は、容赦なく俺に襲いかかった。

 俺は、衝撃波に切り刻まれ、赤い竜より赤い姿となった…


「この男も伝説の血族ではなかったということか…」

 サラマンダーは火の粉と共に、深い吐息をもらした。



 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「40:衝撃円斬」


 
295 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 23:25:56.44 ID:1oXI8Z7F0
 

 ▽Continue!



 「唸れ大地!!」アックアは両腕を床に叩き付けた。

 奴を中心として、深紅の衝撃波が広がる!

 衝撃波は、石の床までも切り裂いている!

 石の欠片を巻き上げながら、真っ赤な死の使いが迫ってくる!




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 b.横に避ける
 c.後ろに下がる
 d.飛び上がる
 e.床に伏せる

 g.剣を投げる


 
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 23:26:10.20 ID:fDPPhgbPo
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 23:37:35.97 ID:60UhbVeBo
d
298 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 23:40:31.59 ID:1oXI8Z7F0
 

◇d.飛び上がる


 俺は床を走ってきた衝撃波を、跳んで避けた。

 衝撃波は避けたものの、風圧に押され後ろへ飛ばされる。

 瞬間! 雷鳴の剣から羽が広がり、俺は滑空する。

 そして、サラマンダーに接近しつつ着地した。


 俺の意表を付く回避行動を見た火竜は、驚きの表情を見せた。

 だが、まだ彼奴に剣が届く距離ではない。

 このままでは、遠距離からの攻撃だけでやられてしまう!

 どうにかして近づくか、こちらも遠距離攻撃するしかない!


 アックアは、さらに次の攻撃を行なおうと、両腕の先に赤い球を作っている!

 戦慄が走る! 勇者の予感が告げる! あの攻撃は避けられない!!



 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 a.前に飛び出す
 b.横に避ける
 c.後ろに下がる
 d.飛び上がる
 e.床に伏せる
 f.剣を振るう
 g.剣を投げる
 h.殴り掛かる


 
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 23:40:54.52 ID:fDPPhgbPo
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 23:43:18.57 ID:60UhbVeBo
g
301 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 23:45:24.15 ID:1oXI8Z7F0
 

◇g.剣を投げる


 俺は剣を振り被り、サラマンダーに向って鋭く投げ放った。

 剣は一条の稲妻となって、赤い魔物に襲いかかる。

 しかし、奴はとっさに攻撃の手を止め、稲妻を避ける。

 紫の光の尾を引きながら、剣は生き物のように俺の手に戻った。


「くはぁっ! 真の勇者に対しての攻撃としては…。

 まったく失礼だったのである!! 遠くから攻めるとは」

 まさに今、俺は彼奴に強敵として認められた。

 そして俺も、目の前の紅の魔物を、最強の戦士と認めざるを得ない。


「真の勇者に対しては、最高の礼を尽くそう!いざ!!」

 赤い竜から喜びの気が、そして闘気が吹き出した。

 翼を広げた火竜は、低空を飛んで一気に距離を詰める。

 そして赤い翼を畳んで、体をひねりながらつっこんできた!!




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 a.前に飛び出す
 b.横に避ける
 c.後ろに下がる
 d.飛び上がる
 e.床に伏せる
 f.剣を振るう
 g.剣を投げる
 h.殴り掛かる


 
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 23:47:10.51 ID:fDPPhgbPo
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 23:49:55.76 ID:60UhbVeBo
f
304 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 23:58:03.05 ID:1oXI8Z7F0
 

◆f.剣を振るう


 俺は再び手にした剣を構え、突っ込んで来る火竜にタイミングを合わせて斬りかかった。

 だがしかし! 輝く刃が届くより早く、魔物の纏う鋭い風の塊が俺の腕を弾き飛ばす!

 大きく崩れる体勢に、眼前に迫った赤い竜―――避けきれない!!

 強烈な衝突! 力任せの追突!! 容赦ない激突!!!

 雄牛の角に突き上げられ、俺は上空に吹っ飛ぶ。

 俺の身体は錐揉みしながら、屋上の石の床に叩き付けられた。


「うおお…伝説の血族は、真の勇者はいないのか…」

 俺は、背中を向けたサラマンダーの、落胆の声を聞いた…


 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「42:激竜巻角」


 
305 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/08(金) 23:58:58.72 ID:1oXI8Z7F0
 

 ▽Continue!



  翼を広げた火竜は、低空を飛んで一気に距離を詰める。

 そして赤い翼を畳んで、体をひねりながらつっこんできた!!




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 a.前に飛び出す
 b.横に避ける
 c.後ろに下がる
 d.飛び上がる
 e.床に伏せる

 g.剣を投げる
 h.殴り掛かる



 
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 23:59:41.62 ID:fDPPhgbPo
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/08(金) 23:59:58.26 ID:60UhbVeBo
b
308 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 00:01:41.86 ID:mcLgH+pT0
 

◇b.横に避ける


 俺は、高速で回転しながら突進する、一陣のつむじを咄嗟に横に飛び退いて避けた。

 その赤い暴風が巻き起こす気流に引き込まれ、おもわずよろける。

 俺の後方へ通り抜けた赤き戦士は、今は真上に飛んでいる。

 何という速さ! 常人では、その姿を追うことも叶うまい。


「これで終わりである!雷の勇者よ!!」

 サラマンダーは赤き奔流となり、急降下をはじめた。




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 a.前に飛び出す
 b.横に避ける
 c.後ろに下がる
 d.飛び上がる
 e.床に伏せる
 f.剣を振るう
 g.剣を投げる
 h.殴り掛かる


 
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 00:04:14.74 ID:532TxfN6o
c
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 00:04:25.70 ID:LWg345KCo
311 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 00:11:08.91 ID:mcLgH+pT0
 

◆f.剣を振るう


 俺は、凄まじい速さで迫る火竜を迎え撃つべくアメジストソードを薙ぎ払った。

 否―――薙ぎ払おうとした。

 だが間に合わない! 俺が剣を構えるよりも更に早く、赤い悪魔は俺を捉えていた!

 速い! 何という降下速度!!

 俺は、サラマンダーの、かぎ爪のついた足に踏みつけられた。

 そして、かぎ爪は石の床を破壊し、俺をその場に埋葬した。


「避けて…欲しかった、お前が伝説の血族であって欲しかった」

 敵を倒したというのに、アックアの口から出たのは慟哭であった…



 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「43:冥界直葬」


 
312 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 00:12:17.57 ID:mcLgH+pT0
 

▽Continue!


「これで終わりである!雷の勇者よ!!」

 サラマンダーは赤き奔流となり、急降下をはじめた。




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 a.前に飛び出す
 b.横に避ける
 c.後ろに下がる
 d.飛び上がる
 e.床に伏せる

 g.剣を投げる
 h.殴り掛かる


 
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 00:13:35.15 ID:532TxfN6o
c
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 00:14:42.49 ID:LWg345KCo
315 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 00:20:22.19 ID:mcLgH+pT0
 

◆b.横に避ける


 俺は、迫り来る火竜から逃れるべく、咄嗟に横に飛び退こうとした。

 だがしかし、何と言う不運―――否、これは俺の愚行!

 衝撃波にめくれあがった床に足を取られ動きが止まる。それはほんの一瞬、だが余りにも大きな隙!

 速い! 何という降下速度!!

 俺は、サラマンダーの、かぎ爪のついた足に踏みつけられた。

 そして、かぎ爪は石の床を破壊し、俺をその場に埋葬した。


「避けて…欲しかった、お前が伝説の血族であって欲しかった」

 敵を倒したというのに、アックアの口から出たのは慟哭であった…



 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「43:冥界直葬」


 
316 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 00:21:18.63 ID:mcLgH+pT0
 

▽Continue!


「これで終わりである!雷の勇者よ!!」

 サラマンダーは赤き奔流となり、急降下をはじめた。




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 a.前に飛び出す

 c.後ろに下がる
 d.飛び上がる
 e.床に伏せる

 g.剣を投げる
 h.殴り掛かる


 
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 00:22:02.68 ID:LWg345KCo
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 00:22:05.28 ID:532TxfN6o
a
319 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 00:28:44.82 ID:mcLgH+pT0
 

◆a.前に飛び出す


 俺は、迫り来る火竜から逃れるべく、大きく足を踏み出した。

 だが間に合わない! 俺の身体が移動するよりも早く、赤い悪魔が俺に迫る!

 速い! 何という降下速度!!

 俺は、サラマンダーの、かぎ爪のついた足に踏みつけられた。

 そして、かぎ爪は石の床を破壊し、俺をその場に埋葬した。


「避けて…欲しかった、お前が伝説の血族であって欲しかった」

 敵を倒したというのに、アックアの口から出たのは慟哭であった…



 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「43:冥界直葬」


 

320 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 00:29:31.28 ID:mcLgH+pT0
 

▽Continue!


「これで終わりである!雷の勇者よ!!」

 サラマンダーは赤き奔流となり、急降下をはじめた。




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 c.後ろに下がる
 d.飛び上がる
 e.床に伏せる

 g.剣を投げる
 h.殴り掛かる


 
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 00:30:55.42 ID:532TxfN6o
c
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 00:31:29.32 ID:LWg345KCo
323 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 00:33:22.80 ID:mcLgH+pT0
 

◇c.後ろに下がる


 俺は間一髪で飛び退り、上空から襲いかかった必殺の爪を後ろに避けた。

 竜族の戦士は目前に着地し、その鋭い爪で石床を粉々に砕いた。

 なんという威力! しかし!!


 好機! それは全力の攻撃の後! まったくの無防備!




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 a.前に飛び出す
 b.横に避ける
 c.後ろに下がる
 d.飛び上がる
 e.床に伏せる
 f.剣を振るう
 g.剣を投げる
 h.殴り掛かる


 
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 00:34:28.85 ID:532TxfN6o
f
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 00:35:04.86 ID:LWg345KCo
326 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 00:43:32.06 ID:mcLgH+pT0
 

◆h.殴り掛かる


 俺は拳を硬く握り締めると、全力でサラマンダーに殴り掛かった。

 しかし!

 確かに今は攻撃するに最大の好機―――だが、何故だ! 何故、俺は素手で!!


 ほんの一瞬の差!

 だが遅い! 俺がサラマンダーを視界に捉えた時!

 奴は死神の大鎌にも似た、その腕を振り下ろすところだった!


「脆い…このような種族にしか伝説の血族はいないというのか…何故」

 俺の血が、サラマンダーの赤い肌を更に赤く染めた…



 無念! 俺の冒険は、此処に幕を閉じた!



 ゲームオーバー「44:竜爪裂殺」


 
327 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 00:44:48.79 ID:mcLgH+pT0
 

▽Continue!


好機! それは全力の攻撃の後! まったくの無防備!




 どうする!?



>行動選択(安価+2)


 a.前に飛び出す
 b.横に避ける
 c.後ろに下がる
 d.飛び上がる
 e.床に伏せる
 f.剣を振るう
 g.剣を投げる


 
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 00:45:49.86 ID:532TxfN6o
f
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/06/09(土) 01:03:52.21 ID:VrMb4wgB0
f
330 :第十二章 王子編「焔の悪魔」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 01:05:54.46 ID:mcLgH+pT0
 

◇f.剣を振るう


 俺の「斬るべきものを斬る剣」は、遂に強敵を捉えた!

 斬撃の勢いは止まることなく、赤い悪魔の身体を通り抜けた。

 おかしい! 手応えがなさ過ぎる!!

 まさか、この火竜は「斬るべきもの」ではないのか?!!


「ふはっ、ははははっ…うはっ…いたぞ!! いたぞ!!

 伝説は…予言は本当だった…我は成した!」

 サラマンダーの笑いは、しかし俺には泣いているように聞こえた。

 彼の体から迸っていた闘気が、完全に消えたのを感じる。

「我は、この宝玉を託せる戦士を待っていたのである…魔王を倒せる勇者を」

 赤い魔物は、俺の頭にサファイアサークレットをかぶせた。


「石化して以来止まっていた時が動き出したようだ、我が盟友[とも]よ」

 サラマンダーの体は、大気に溶けるように薄くなっていく。

「父よ母よ、弟たちよ! 兄ちゃんは見つけたぞ、真の勇者を!

 ははは、やっぱり兄ちゃんは勇者ではなかったのだなぁ…」

 違うぞアックア! お前もまた勇者だ!! 強敵[とも]よ!!

 俺の気持ちが伝わったのか、消え行く奴の顔に微笑みを見た。


 アックアと俺は、闘いの中で幾万の言葉にも勝るものを交わした。

 彼の無念は、俺に新たな力を沸き上がらせる。


 俺は、屋上に建つ魔王の館へと歩を進める。彼の無念を濯ぐために。

 姫を救出するために。俺が真の勇者であることを証明するために!




 つづく。





持ち物
[フレ,書状,アメジストソード,サファイアサークレット]


 
331 :第十二章 王女編「伝説の血族」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/09(土) 01:07:46.18 ID:mcLgH+pT0
 

 姫と絹旗は、魔王の館のバルコニーに降りました。

 虹の架け橋は、姫が歩き出すと同時に消えていきます。

「たぶん、魔王は超すぐ近くにいるはずです。空気がぴりぴりしてますよ」

 絹旗は、辺りを見回しながらいいました。

「うん、城の作りからすれば、王の部屋はあの向こうだね」

 姫は、石像の埋め込まれた扉を見ました。



 このバルコニーは、城の屋上に立てられた建物の一部です。

 半円形のバルコニーは、テスリで囲われています。

 金で蔦の象眼が施された、豪華なテスリです。

 テスリは丈夫そうです。


 建物の壁に設置されたかなり大きな扉には、石像が埋め込まれています。

 叩いても、特に変化はありません。

 人の姿をしていますが、雄牛のような角と蝙蝠のような羽が付いています。

 赤紫色の、なんだか恐ろしげな石像です。


 姫はちょっと考えて、アンバーリングをこすってみました。

「もしもし神樹様。聞こえますか?」

「…ひ…よう…魔王…じゃま……じ…」

「なんですかもー、神樹様は超役立たずですねぇ」

「聞こ…るで…きぬ…」「げ、微妙に超聞こえてます」

 酷いノイズが掛かっています。


 
332 :第十二章 王女編「伝説の血族」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/09(土) 01:09:31.54 ID:mcLgH+pT0
 

 姫は扉に近付くと、こんこんと石像を叩きました。流石にノッカーではないと思います。

「む、馴れ馴れしく叩くんじゃあないのである」

 おおっと、怪物の石像が喋りだしました。

「我が目覚めたということは、時が来たのだな」

「どわっ、超びっくりしましたっ!!」

「わぁ、びっくりした」

「姫は超本当にびっくりしてんですかねぇ…」

 姫は、興味深そうに石像をこすりました。

「うむ、ちょっとした喜悦を感じるぞ、娘よ」

 絹旗は相変わらずの姫の行動に溜息を吐こうとして、石像の発言にどん引きしました。




「こんにちは、石像さん」

「よく来たのである、娘よ」

「石像さんにお名前はあるの?」

「我が名はセキゾウ!」セキゾウは誇らしげに答えました。

「超そのまんまですかっ!!」「そのまんまだね!」

 絹旗と姫は、すかさずつっこみました。

「正確に言うならば、セキゾウのアックアという。

 わが一族に代々伝わる冠名のひとつなのである」

 彼の言う「セキゾウ」とは古代言語で「右方」を表す言葉です。


 姫と絹旗はこそこそと言葉を交わします。

「変なやつですよねー超扉に埋まっててー」

「趣味かな?」

「超それはない…と思います」

「じゃあ訊いてみよう」

「へっ?」

「あっくあさんの趣味は何?」

「ふむ。謎かけが好きだったな…弟達と楽しんだものだ」

 アックアは遠い目をしていいました。


 
333 :第十二章 王女編「伝説の血族」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/09(土) 01:10:10.73 ID:mcLgH+pT0
 

「石となったのは、伝説の血族へ我が一族の宝玉を渡すため。

 そして、決して魔王に宝玉を渡さぬためなのである」

 アックアは姫や絹旗の身に着けている宝石を示して言いました。

「それらもまた、魔王を倒すのに必要な、ななつの宝玉のひとつである」


 アックアの目が姫の肩に座る絹旗を見ました。

「風の妖精だな。昔、共に行動したこともある」

「そうなんだ…」「超一応いっておきますけど、わたしじゃないですよ」

「…知り合いじゃないんだね」

「我らサラマンダーを、炎の妖精と呼ぶものもいるのである」

「なんとも、超ごっつい妖精ですね」

「炎と風の妖精との相性は悪くないぞ」

「超ごめんなさい、わたしには一方通行さまという、超心に決めたお方が…」

「た…たぶん属性のことを、いってるんだと思うけど」


 姫が扉を見上げているのに気付いてアックアが告げます。

「此処は、魔王の玉座にほど近いのである」

「超やっぱりですね。さっきからである寒気がしますもん」

「世を乱すもの、つまり魔王は的と言えよう。

 そして我は、伝説の血族の盟友である」

「それが、なんで超こんなところにいるんですか」

「石となって宝玉を守った我を、魔王は見せしめとしたのである」

「かつて隆盛を誇った我が一族は、魔王に滅ぼされた」

「我は魔王を倒そうとしたが叶わなかった…。

 魔王は伝説の血族でないと倒せぬのだ」


 
334 :第十二章 王女編「伝説の血族」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/09(土) 01:10:50.57 ID:mcLgH+pT0
 

 姫は扉を開けようとしました。

 でも、アックアが押さえているのか開きません。

 どうしたら通して貰えるのでしょうか。

「もし、お前が伝説の血族ならば、徴[シルシ]があるはずだ」

「徴…?」

「そうだ、蝶の徴である。それを見れば、我はお前の盟友[とも]となろう」

「蝶みたいなアザなら…あるけど…」「じゃ、超見せてみましょうよ」

 姫はなぜか、ぽっ、と赤くなりました。

「あ…あんまり見ないでね」

 そういって姫は服の胸を開き、乳房を見せました。

 そこには、蝶の形をしたアザがはっきりと現われています。

「おおっ、まさしくそれは蝶の徴!! 我は嬉しいのである」

「…なんに喜んでるんだか超微妙な気がするのは、わたしだけですかね?」

 絹旗は、疑惑の目を向けました。


「我が身体を石櫃として守ってきた宝玉を、お前に渡そう」

 アックアはエメラルドティアラを姫の頭に載せました。

「超すっごい似合いますよ、姫にはやっぱり王冠がないとね!」

 絹旗は時分の事の様に嬉しそうです。

 アックアは、扉を壊して埋まっていた体を引き抜きました。

「うわわっ! 超めちゃくちゃです!!」「わぁ、大変」

「我には、もうひとつ使命が残っている。姫の武運を祈るのである!」

 そういって、サラマンダーはバルコニーを飛び立ちました。


 アックアが埋まっていた扉は、壊れてしまっています。

「…さて。超いきましょうか、姫」大きく息をして絹旗はいいました。

「うん…この先に魔王さんがいるんだね」

 姫も大きく息をして、扉の先へと向かいました。





 つづく。




アイテム

 滝壺[ルビーリング,ターコイズリング,エメラルドティアラ]

 絹旗[オパールリング,アンバーリング]


 
335 :最終章 ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/09(土) 01:13:23.53 ID:mcLgH+pT0
 
 
 
 
 
336 :最終章 王女編「気高き乙女達」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/09(土) 01:14:45.99 ID:mcLgH+pT0
 

 姫と絹旗は、アックアが閉ざしていた扉を抜けました。

 二階建てと思っていた建物の中は、広い広い部屋がひとつだけ。

 ふたりが立っているのは、建物の内側へ突き出たバルコニーです。

 此処で、空を飛ぶ魔物が魔王への報告をしているのでしょうか。

 バルコニーの下から、宙に浮いた長い階段が上に続いています。

 その階段は、広い広い部屋の真ん中の玉座につながっています。


「よく来たな、虹の王女、そして風の妖精」

 大地の底から響いてくるような、低い声がしました。


 大きな大きな石の玉座に、大きな大きな人が座っています。

 玉座の肘掛の黄の剥製は、獅子に違いありません。

 厚い筋肉に覆われた腕は、赤紫の血管が走ります。

 黄金色の肩当ての飾りは、熊が丸々乗っています。

 口から吐き出される息は、緑色の毒々しい煙です。

 その男の二つの目は、真っ赤に光っています。



「魔王ーーーーっ!!」

 絹旗が叫びました!

「いかにも…矮小なるものよ」

 魔王は、びりびりと響く落ち着いた声で答えました。


「魔王さんっ! お話っ…お話しよう!」

 姫は思い切っていいました。

「良かろう…そなたと話すのも、一時の座興にはなろう」

 その言葉を話す間も、魔王の口からは緑の毒の煙が吹き出ています。


 
337 :最終章 王女編「気高き乙女達」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/09(土) 01:15:22.50 ID:mcLgH+pT0
 

 広い広い部屋の真ん中に宙に浮いた玉座があります。

 そこには、大きな男…つまり魔王が座っています。

 その正面には姫と絹旗がいるバルコニー。

 バルコニーの下から玉座までは階段が続いています。

 半円形のバルコニーは、テスリで囲われています。

 金で蔦の象眼が施された、豪華なテスリです。

 バルコニーの下から、魔王の玉座へつながっています。



 男は、石の玉座に悠然と座っています。

 絹旗は姫の肩に乗ったまま魔王を睨み、ぎゅっと手を握り締めています。


「もしもし神樹様。聞こえますか?」姫は、腕輪をこすりました。

「……」「うわーっ、超完全に聞こえなくなっちゃっいました」

 魔王の魔力が濃いからでしょうか、ノイズすら入りません。



 姫は一歩踏み出して立ち止まり、男に話しかけました。

「こんにちは、魔王さん」

「ふむ、それで何を話したいのだ王女よ」



「わたしは、虹の王女。…魔王さんの名前を、教えて」

「魔族は真の名を明かさぬ…姫もそうではないかな」

「姫は魔族じゃないですよっ!!」絹旗はいいました。

 姫は、唇を噛み締めて、なにもいいません。


 
338 :最終章 王女編「気高き乙女達」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/09(土) 01:16:19.84 ID:mcLgH+pT0
 

 魔王は、淡々とした仕草で、ゆるりと手を広げました。

「此処は、真の王の玉座。そして虹の女王の居城となるべき城」

「…わたしに、妻になれ…ってこと」

「そなたは飲み込みが早くて嬉しいぞ、姫…いや吾が愛しき妃よ」

 魔王は、ちょっとも嬉しそうではなく、煙を吐きました。

「げげっ! おさな妻が趣味! …神樹様より超たち悪いです」


「予は、滅びを予える。全てのものに。

 予の使命は、時をせき止めぬ事」

「なら、わたしは守りたい! 命を!」

「吠えるわ。だが命の簒奪なしに生きる命などないのだ姫よ。

 …王族となれば尚更よ」魔王は緑の煙を吐きました。

「それでも! ううん、だからこそ、守りたいの!」


「虹の王女よ、予の伴侶となれ。

 そして、より強い滅びを産み出すが良い」

「もし…わたしが魔王の妻となる事で、滅びが止むなら…。

 そう思ってたけど、甘い考えだったね」

「え…魔王と結婚する気でいたんですか姫!

 まるっきり…超想像してなかったです、そんなこと…」


 
339 :最終章 王女編「気高き乙女達」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/09(土) 01:17:12.08 ID:mcLgH+pT0
 

「妖精は元素。つまり、この世の理そのもの…。

 生まれかつ消え行くのが定めよ」

「む、難しい事言ってごまかそうったって、超そうはいかないですよ」

「理は分かるよ…でも、あなたは理を壊してる」

「…もしかして、わたしだけ超分かってない?!」



「だが…トレントは妖精の住処になるので邪魔だ…。

 さりとて、神に近すぎて滅ぼすこともできぬ…。

 憎々しい事よ」魔王は、ごうっと緑の息を吐きました。

「こっちは、千倍お前が超憎たらしいんですよっ!」

「千倍が、どれほどか知らぬのにか…痴れ者が!」

 魔王は、つっこみも容赦ありません。

 絹旗は、こぶしを握りしめて黙ってしまいました。

「じっ…十の十倍の、そのまた十倍だよっ!!」

「はっ、可愛らしい事をいう。だが賢しくもある」


「トレントの力を奪っていたのは、【妖精機関】の力だ。

 なんとも、恩知らずな風の妖精である事よ」

「くそっ! くそっ!! ふざけンじゃないですっ!! 超ふざけンじゃねェですよ魔王っ!!」

「…」姫は、ぐっと、にぎりこぶしを作りました。


 
340 :最終章 王女編「気高き乙女達」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/09(土) 01:18:09.45 ID:mcLgH+pT0
 

「予には一切の魔法は効かぬ」

 突然、魔王は言いました。

「そこの妖精は、魔法を使う気のようだがな」

「ち…超ばれてます! なんで…」

 絹旗は、無意識に一方通行から送られた腕輪に触れました。

「きぬはた! もう…魔法は使わないで…おねがい」

 姫は、目に涙を浮かべていいました。


 絹旗の手に姫が指を添えると、オパールから雫のように光が零れます。

「妖精王……あやつには何度か煮え湯を飲まされた事がある」

 魔王は珍しく、苦々しい表情をしました。

「超さっすが一方通行さまっ!」

 絹旗は自分の事のように得意げです。

「だが、今度は女子供を送って高見の見物か…。

 あやつも、所詮その程度。器が知れたな」

「むきーっ!! 一方通行さまは超此処にいるんですよっ!!」

 絹旗は、左腕の太陽の腕輪を指差しました。



「風の妖精・絹旗最愛、お前は【妖精機関】の核。

 殺しはせぬ、安心するが良い」

 言葉とは裏腹の、切り捨てるような冷たい声です。

「死ンでも、あなたの手助けなンか超しませンよっ!」

「きぬはた、死ぬなんていわないで、もう…」

「ご…ごめん姫」


 
341 :最終章 王女編「気高き乙女達」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/09(土) 01:19:33.96 ID:mcLgH+pT0
 

 絹旗は姫に寄り添うようにその肩に座り込みました。

 姫の腕には削板から預かったままの腕輪がはまっています。

 姫は鮮やかなターコイズを見つめて呟きました。

「トロルさんは、本来は優しい種族って聞いてるのに…」

「確かに、魔王の番兵なんかやってるのは超変ですよ」

「里を滅ぼしたのは、姫の父だと教えてやっただけだ」

「そんな! 嘘、お父様はそんな事しない!!」

「まこと、姫の言葉は真実に溢れているな」

 魔王は、くくく、と嫌な笑い声をたてました。

「ふふふ、一族を滅ぼしたのが予と気づかずに…。

 間抜けも、間抜けである故に役立つ事もある」

「くっそーっ! トロルの里も、あなたがっ!!」

「そんな…ひどい」姫はターコイズを付けた腕を抱えました。



 哀しみに俯いた姫の頭上で、繊細な緑玉の冠が揺れました。

「あの火竜も結局は予のために、宝玉を大事に守ってくれていた…。

 という事よ」魔王は、緑の息を吐き出しました。

「あれも強情な奴。親族を殺されても宝玉を渡さず。

 あまつさえ、石になどなりおって」魔王は、更に深く緑の息を吐き出しました。

「姫、もう分かったでしょ…神樹様の超いう通りですよ。

 魔王は滅びしか呼ばないんです」



 堪えるようにきゅ、と握られた姫の右手には深紅の宝玉が煌きます。

「夢魔も死んだ…ようだな。使える女だったがな」

「え?! わたしの魔法じゃ、生き物は超殺せないんですよ!」

「人間に殺されるようでは、所詮その程度…という事よ」

「そんな…仲間を道具みたいに…」

「まさか…お母様やむぎのさんの一族もあなたが…」

「え?! 魔王がサキュバスも超滅ぼしたってことですか?」

「…そうだったら。

 どうだというのだ、サキュバスの娘よ」魔王は、緑の息を吐きました。

「許せない…お父様、わたし許す事ができないよ」

 絹旗は、姫が怒った顔をはじめて見ました。


 
342 :最終章 王女編「気高き乙女達」 ◆a6qh.01v1w [saga !桜_res]:2012/06/09(土) 01:29:26.43 ID:mcLgH+pT0
 

「姫、もう座興は終わりだ」

 魔王は玉座から立ち上がり、その手を姫の方へ伸ばしました。

「吾が妃となるが良い、虹の王女よ。そして風の妖精よ、その力を我に」

 魔王は、呪いの力の込められた恐ろしい声で、ふたりに呼びかけました。

 絹旗は震えながら、ふらふらと魔王のほうへ進もうとしています。

 姫も、絹旗を追うように玉座へ踏み出しました。


 その時、姫の頭のエメラルドティアラが輝きました。

 姫は、はっと我に返りました。


「きぬはた。あの言葉の意味、分かってきたよ」

「え、あの言葉、って?」絹旗は目をしばたかせました。

「こういう時に叫ぶんだよね?」

 姫はいたずらっぽく笑いました。

 もう絹旗の体の震えは止まりました。

 そして、笑いながら両腕を振り回しました。

「そうですっ! 一緒に超叫ぶんですよっっ!!」

 ふたりは大きく息を吸い込みました。



「アー

 ホー

 かーっっっっっっっ!!!」



 姫と絹旗は、お腹のそこから叫びました。


「姫っ! あなた超最高ですよっ!! ほンと、超いかしてます!」

 絹旗は姫に向かって、片目を閉じてみせました。


「なっ…何だと! 定命のものが、予の声に逆らうか!!」

 魔王は「驚愕の叫び」をあげました!! …そのとき!



 バルコニーの下の扉が開く音がしました。

 そしてひとりの若者が、雄叫びとともに広間に飛び込んできました。




 → 最終章 王子編「勝利への階段」

 
343 :最終章 王子編「勝利への階段」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 01:31:19.63 ID:mcLgH+pT0
 

 俺は戦いの雄叫びをあげ、階段を駆け上った!

 アメジストソードから薄い紫の羽が勢い良く広がる!

「あれは、超アクセラレータさまの羽!!」

 生意気な妖精の声が、俺の背を押す。

 今やこの剣と俺は一心同体!!

 俺は魔王めがけ、飛ぶように階段を突進する。



 ひとつ、王子の額のサファイアサークレットが輝くと、魔王の顔は青ざめ。


 ふたつ、乙女のターコイズのリングから迸る碧緑に、魔王は片膝をつき。


 みっつ、姫のエメラルドの王冠から飛びだす翠に、魔王は両膝をつく。


 よっつ、妖精のトパーズの腕輪が突き刺す黄に、魔王は肩を落とし。


 いつつ、羽あるもののアンバーが放つ琥珀に、魔王は片手をつき。


 むっつ、王女のルビーの深紅が鋭く射抜き、魔王は両手をつく。


 ななつ、勇者はアメジストの剣を翳し、魔王の額をにらむ。



 そして―――





>行動選択(安価+2)


 a.斬る
 b.突き立てる
 c.薙ぎ払う


 
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 01:34:47.73 ID:LWg345KCo
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/06/09(土) 01:39:49.65 ID:VrMb4wgB0
a
346 :最終章 王子編「勝利への階段」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 01:42:14.92 ID:mcLgH+pT0
 

◇a.斬る


 そして、勇者の剣に紫雷の力が宿り、魔王の体を切り裂いた!!


「ありえぬ…、 予が、予が、こんな矮小なるものどもに!!」

 魔王の巨大な身体が、一気に虹の光に変わる!

 俺は吠えた、その滾る勇者の血にまかせて!

 滅せよ!! 滅びの王よ!! いま滅びるのはお前自身だ!!


「呪われよ! 呪われるがいい! 愚かで賢しき娘よ!」

 なんと! 光に変わったまま、魔王は竜巻となり姫に殺到した!!

 姫の叫びが広間にこだまする!

 しかし間一髪、魔王は虹の王女への到達を待たずに四散した。


 勝利! 達成!! 栄光!!!


 やったのだ! 俺は真に英雄的行為を成し遂げた!

 そして麗しき姫! 生意気な妖精! 地上で最も気高き乙女達よ!!


 
347 :最終章 王子編「勝利への階段」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 01:44:17.92 ID:mcLgH+pT0
 

 妖精が光の尾を引いてこちらに飛んでくる。

 おや…何か抱えている。桃色のカエル…ヒキガエルだ。

「あああ一方通行さま、勇者様、姫が…超姫が…」

 姫が一体どうしたというのだ?! 俺は妖精の次の言葉を待つ。

「超ヒキガエルになっちゃいましたー!!」妖精がカエルを俺の手に降ろす。

 なんだと! 魔王の呪いは成功していたのか!!



「絹旗。こいつァ、困った事になっちまったな」

 ソードが喋った…かと思うと、男の妖精に姿を変えた。

「一方通行さま!! 剣に…超宿ってらしたのですか!」妖精…絹旗は言った。

「そォだ。それにしても絹旗、頑張ったな」


 その男の妖精…アクセラレータというのか。彼はカエルを調べて言った。

「魔王も慌てていたよォだな。こりゃァ大した深い呪いじゃなさそォだ」

 静かな青年の声が俺の焦りを払拭する。

 そうだ。落ち着け、勇者よ。

 まずは状況を整理しよう。


 我々は広間の中央に浮かぶ、玉座のそばにいる。

 つまり二人の妖精と俺、そして手のひらのヒキガエルだ。


 
348 :最終章 王子編「勝利への階段」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 01:45:42.77 ID:mcLgH+pT0
 

 絹旗を見る。

 黄色いひとつなぎの服を着た、可愛らしい妖精。

 妖精と言われて想像する姿そのものだ。


「絹旗は、妖精の歴史書にその名を刻まれる事だろォな。

 それほどの事をなしとげたンだ」

「歴史書よりも、一方通行さまの心に超刻まれたいでーす」

「もォ刻んであるぜ、絹旗」

「やですようー、うふふー」

 こいつらの会話…もの凄く腹が立つのだが…。

 俺は、超人的な忍耐でどうにか殺意を押さえた。


 次に一方通行を見る。

 妖精であるからには手のひらに乗るほどの小ささだ。

 だが俺には分かる。この男もまた勇者だという事が。

「一方通行さまは、妖精の超王様、妖精王なんですよ」

 なるほど、道理でただ者ではないと思ったわけだ。



 そして、カエルを見る。手の中にちょこんと鎮座するカエル。

 桃色のヒキガエルというのは初めて見たが…。

 これが、あの美しい姫だというのか。


 
349 :最終章 王子編「勝利への階段」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 01:48:53.07 ID:mcLgH+pT0
 

「ほんとに、このカエルが超姫なんですって」

「早く、姫の呪いを解いて下さいよ! 超ぐずなんですから」

 相変わらず生意気だな、この絹旗という妖精は。


「解呪の方法は、実に簡単な事だ。

 思いつかなきゃヒントをやるぜ」

 一方通行は揶揄うような笑みを浮かべてそう言った。

 頬を朱に染めた絹旗が蕩けたような瞳で妖精王をみつめている。

 深刻さが感じられないのは助かるのだが、この桃色の空気はどうにかならないものか。

 それを涼しい顔で受け流す一方通行にしてもそうだ。

 解っているなら教えてくれれば良いものを。


 俺の思考を読み取ったかのように一方通行が俺に向けるは静謐かつ真摯な眼差し。

 青年は王の名に相応しい荘厳さで告げる。

「解呪の資格があるのは、お前だけなンだ。

 王女の呪いを解いてやれ」


 そう、勇者だけが姫を救えるのだ。

 これは俺がやり遂げなければならない使命なのだ。

 俺は脳をフル回転させて考え込んだ。


 姫の呪いを解く方法、か……




>行動選択(安価+1)


 a.カエルに話し掛けてみる
 b.妖精にヒントを尋ねる
 c.絹旗に八つ当たりする
 d.一方通行に八つ当たりする

 ex.コマンド入力(自由安価)


 
350 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/09(土) 03:23:25.38 ID:mcLgH+pT0
 

最後の投下から1時間を超過しました

話の切りもまぁ良いかなと思いますので、此処で一旦中断させて頂きます


そんな訳で、本日の投下は終了です

王子編第12章での安価は連続かつ条件が細かくて結構大変だったかと思いますが、

飽きずにご協力下さいまして本当にありがとうございます

少しでも楽しんで頂けたなら幸いです



明日もまた同じ頃の時間に参上予定です

最後までお付き合い頂ければありがたく


それでは


 
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/06/09(土) 03:28:19.79 ID:UlfUIiA/o
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 18:37:08.01 ID:532TxfN6o
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 18:38:17.31 ID:LWg345KCo
おつ
354 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/09(土) 22:40:09.28 ID:mcLgH+pT0
 

いつもの時間になりましたので参上です

今宵もまたお付き合い頂ければ幸いです


魔王の最期と引き換えにカエルに変えられてしまった王女

王子は無事に姫の呪いを解くことが出来るのでしょうか



それでは以下本編、最終章の途中から参ります

安価にご協力をよろしくどうぞ


 
355 :最終章 王子編「勝利への階段」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 22:42:42.29 ID:mcLgH+pT0
 

「ほんとに、このカエルが超姫なんですって」

「早く、姫の呪いを解いて下さいよ! 超ぐずなんですから」

 相変わらず生意気だな、この絹旗という妖精は。


「解呪の方法は、実に簡単な事だ。

 思いつかなきゃヒントをやるぜ」

 一方通行は揶揄うような笑みを浮かべてそう言った。

 頬を朱に染めた絹旗が蕩けたような瞳で妖精王をみつめている。

 深刻さが感じられないのは助かるのだが、この桃色の空気はどうにかならないものか。

 それを涼しい顔で受け流す一方通行にしてもそうだ。

 解っているなら教えてくれれば良いものを。


 俺の思考を読み取ったかのように一方通行が俺に向けるは静謐かつ真摯な眼差し。

 青年は王の名に相応しい荘厳さで告げる。

「解呪の資格があるのは、お前だけなンだ。

 王女の呪いを解いてやれ」


 そう、勇者だけが姫を救えるのだ。

 これは俺がやり遂げなければならない使命なのだ。

 俺は脳をフル回転させて考え込んだ。


 姫の呪いを解く方法、か……




>行動選択(安価+2)


 a.カエルに話し掛けてみる
 b.妖精にヒントを尋ねる
 c.絹旗に八つ当たりする
 d.一方通行に八つ当たりする

 ex.コマンド入力(自由安価)


 
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 22:45:33.74 ID:532TxfN6o
a
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 22:54:08.84 ID:LWg345KCo
358 :最終章 王子編「勝利への階段」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/09(土) 22:57:37.41 ID:mcLgH+pT0
 
◇.一方通行に八つ当たり


 どうしても解呪の方法が分からない。

 俺は一方通行に八つ当たりすることにした。


 その瞬間、後頭部に鈍痛。

「あなた一方通行さまに、超手を上げようとしましたね」

 絹旗の鮮やかな後ろ回し蹴りだった。

 俺には分かる…確かに、この妖精も勇者だ。




 改めて、俺は脳をフル回転させて考え込んだ。


 姫の呪いを解く方法、か……



>行動選択(安価+2)


 a.カエルに話し掛けてみる
 b.妖精にヒントを尋ねる
 c.絹旗に八つ当たりする

 ex.コマンド入力(自由安価)


 
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/09(土) 22:59:32.98 ID:532TxfN6o
c
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/06/10(日) 00:10:16.59 ID:93cuczIm0
a
361 :最終章 王子編「勝利への階段」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/10(日) 00:18:11.70 ID:YY0wx6y30
 

◇a.カエルに話し掛ける


 俺は手元のカエルを見つめた。澄んだ瞳も俺を見つめている。

 姫よ。必ずこの俺が貴方の呪いを解いてみせます…!

 決意を込めた声で力強く宣言すると、カエルが口を開いた。

 俺はその声を聞き逃すまいと神経を注ぐ。

 そして、


「けろろ」

 …何を言っているか分からん。

「けろけろり」

 …やっぱり何を言っているか分からん。


 残念だがやはり人の言葉は話せないようだ…

 しかし、声は姫のそれを思わせる。




 改めて、俺は脳をフル回転させて考え込んだ。


 姫の呪いを解く方法、か……



>行動選択(安価+2)


 b.妖精にヒントを尋ねる
 c.絹旗に八つ当たりする

 ex.コマンド入力(自由安価)


 
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 00:18:36.64 ID:wFvxojIao
c
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 00:23:48.51 ID:5BaLOZ2go
364 :最終章 王子編「勝利への階段」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/10(日) 00:33:57.37 ID:YY0wx6y30
 

◇c.絹旗に八つ当たり


 どうしても解呪の方法が分からない。

 俺は絹旗に八つ当たりすることにした。


 その瞬間、側頭に鋭い痛み。

「いけねェなァ。紳士の態度じゃねェぜ」

 一方通行の神速の手刀が、俺のこめかみを捉えている。

 この男、戦闘妖精として、やっていけるのでは…。


「いやぁん、一方通行さま。ゆーしゃが超いじめるんですー」

「俺がいるンだ、怖かねェよ絹旗」

 こめかみがぴくぴくするのは、手刀を受けたから、だけではあるまい…。

 俺は、超人的な忍耐でどうにか殺意を押さえた。




 改めて、俺は脳をフル回転させて考え込んだ。


 姫の呪いを解く方法、か……



>行動選択(安価+2)


 b.妖精にヒントを尋ねる


 ex.コマンド入力(自由安価)


 

365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/06/10(日) 00:35:40.85 ID:93cuczIm0
b
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 00:36:07.53 ID:wFvxojIao
キス
367 :最終章 王子編「勝利への階段」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/10(日) 00:40:21.80 ID:YY0wx6y30
 

◇ex.キス


 古来より、勇者が姫君の呪いを解く方法はこれと相場が決まっている。


 俺は、桃色のヒキガエルに、そっと口づけた。

 手の上のヒキガエルが急に重くなる、俺は慌てて両足を踏ん張った。

 ヒキガエルだったものは、激しい光を放ちながら、みるみる大きくなる。

 しだいに光は弱くなり、そこには女性の裸体があらわれた。


 裸体! そこにあらわれたのは、瑞々しい姫の一糸まとわぬ姿!

 役得! 勇者に与えられるべきものは役得!!


 姫は俺に抱えられたまま、慌てて胸と大事な部分を隠した。

 一瞬だけ見えた姫の乳房には、俺と同じようなアザがあった。

 この世に生を受けた時には既に胸元に刻まれていた、蝶のような形のアザだ。

「あ…あの、降ろして…」

 姫は体全体を薔薇色に染めつつ、恥じらいの声を出した。

 姫は、俺にしばらく後ろを向くよう指示した後。

 一方通行と絹旗が運んできた服を身につけた。


 
368 :最終章 王子編「勝利への階段」 ◆a6qh.01v1w [saga !蒼_res]:2012/06/10(日) 00:41:06.15 ID:YY0wx6y30
 

 俺と姫、一方通行と絹旗はそれぞれ手を取り合った。

 そして、主のいなくなった魔城を後にした。

 歓喜の声とファンファーレに迎えられるために…








 …その後、二人は結婚して、超幸せに暮らしましたとさ」

 絹旗は、冒険の最後の行を本に書き加えた。

「あ、二人ってのは、わたしと一方通行さまですからね」

 絹旗は姫に言った。

「はいはい、そうなるといいね」姫は答える。

「なるんですっ!! 超決まってるんですっ!」絹旗はふくれっ面だ。



 そして、俺は新たな冒険に旅立つ!

 冒険! そうとも、勇者に必要なのは休息ではない! 冒険だ!!







 おしまい。


 
369 : ◆a6qh.01v1w [saga]:2012/06/10(日) 00:54:40.22 ID:YY0wx6y30
 

そんな訳で、この物語は無事終幕です

おめでとうございます


安価にご協力下さった方々、読んで下さった方々

最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございます


また、誤字脱字の修正不足や文量配分ミス、私用により途中で中断してしまったりと、

色々至らない部分が多々ありまして、大変失礼致しました

それでも無事終えられたのは皆様のお陰です

重ねて、心から感謝の意を捧げます


この一週間、とても楽しい時間を過ごさせて頂きました

皆様にも少しでも楽しんで頂けましたなら僥倖です

どうもありがとうございました


 
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 00:56:19.62 ID:wFvxojIao
乙です!
初日から楽しませていただきました
投下速度も速くありがたかったです
371 : ◆a6qh.01v1w [sage]:2012/06/10(日) 00:58:07.95 ID:YY0wx6y30
 

ここから先は裏話やら何やらをこっそり投下して行きたいと思います

大した物ではありませんが、興味があれば覗いてみて下さい


372 : ◆a6qh.01v1w [sage]:2012/06/10(日) 01:23:15.59 ID:YY0wx6y30
 


と、その前に


最後までレスとか一切しませんで申し訳ないです。勝手がわからなくて

安価頂くのは勿論、期待や乙の一言もとても嬉しいです

本当にありがとうございます




あと、ちょっと本編の訂正を

目に付いた箇所だけですが、流石にこれはどうなんだろうと思った部分を

  >>332
   アックアは「右方」じゃなくて「後方」ですね…何という酷い間違いorz

  >>333
   魔王は「的」じゃくて「敵」です。的って何だ。


見直している筈なのに修正ミスが多くて困り物です…orz

細かい誤字脱字は脳内修正願います、という事でご容赦を


 
373 : ◆a6qh.01v1w [sage]:2012/06/10(日) 01:41:32.68 ID:YY0wx6y30
 

とりあえず、本日の投下はこれで終了です

裏話その他はまた日を改めてより、細々と、基本sageで書いて行こうと思います



それでは


 
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 02:10:06.00 ID:5BaLOZ2go
おつ
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/06/10(日) 02:12:56.45 ID:gU7TzKwl0

裏話楽しみにしてますね
376 :dramatis personae ◆a6qh.01v1w [sage saga !美鳥_res]:2012/06/10(日) 23:10:10.48 ID:YY0wx6y30
 


【dramatis personae】(配役表)


浜面仕上 … 雷の勇者 ※死亡率高過ぎるけど正直フラグ率で言えば通常運転にしか見えない

滝壺理后 … 虹の王女 ※何処へ行っても安定の浜面の嫁



絹旗最愛 … 風の妖精/「妖精機関」の要 ※最愛マジ最愛

一方通行 … 妖精王 ※キャラ崩壊最大の犠牲者だと思いますゴメン



削板軍覇 … 土の妖精・トロル ※浜滝との関連一切無いけど他に似合うキャラが思い付かなかった

麦野沈利 … 闇の妖精・サキュバス/鏡の夢魔 ※どうあってもBADENDな悲劇のキャラですマジゴメン

アックア … 炎の妖精・サラマンダー ※浜面にライバルキャラっていないよなぁ、と悩んだ末の人選でした。似合うとは思う

青髪ピアス… 種→神樹/トレント ※主に性癖を理由に大抜擢。一番どーしようもないけどほぼ通常運転



垣根帝督 … 異国の行者/死霊術師 ※実はこっそり配役。無くても良いくらいですが一応

アレイ☆ … 魔王 ※禁書でラスボスといったらこの人しかいない。多分


  
377 : ◆a6qh.01v1w [sage saga]:2012/06/10(日) 23:16:44.21 ID:YY0wx6y30
 

そういえば入れるの忘れてたなぁ、と思いまして

偶然ですが、禁書および超電磁砲の主役陣が見事に不在ですね…

浜滝にアイテム以外のキャラ立ってる人達との絡みが少ない所為だとは思いますが

出来るだけ関係者で固めてみたかった。青髪とか削板は例外という事で



元々3Hで色々キャラ回して考えてたので上イン版と通行止め版の配役案もあるにはあったりします

どうしても埋められない役が有って書こうにも書けなかったんですけれども

とりあえず晒しておきます

 
378 :dramatis personae-上条編ver.- ◆a6qh.01v1w [sage saga !美鳥_res]:2012/06/10(日) 23:28:55.09 ID:YY0wx6y30
 

【dramatis personae】-上条編ver.- ※CP:3Hを基に構想したので上イン



上条当麻 … 雷の勇者 ※主人公修正半端無いフラグ乱立ヒーローだけどこの話じゃ立てる相手がいないですね。幻想殺しnot偽善使い

禁書目録 … 虹の王女 ※3Hだとヒロインはインデックスになるようですので



     … 風の妖精 ※決まらないその1。…打ち止めとかですかね?

     … 妖精王 ※決まらないその2。そうすると一方通行…? でもセロリネタ嫌いなんで無理



削板or浜面… 土の妖精 ※迷うところ。関わりで言えば浜面が良いんですが、キャラ的には削板

御坂美琴 … 闇の妖精 ※上琴派に超叩かれそうですが

ステイル … 炎の妖精 ※他の選択肢など、無い!

青髪ピアス… 種→神樹/トレント ※最早固定



     … 異国の行者/死霊術師 ※垣根は絡み無いので却下。誰だろう…剣も呪術も使える万能だけどどうしても拭えないカマセ感がすr


アレイ☆ … 魔王/ボス ※禁書でラスボスといったらこの人しかいない。多分。固定その2



上条はCP論争が激しいようなので中々恐ろしいものがある気がします。大丈夫かこの配役

ステイルは外せません

 
379 :dramatis personae-一方通行編ver.- ◆a6qh.01v1w [sage saga !美鳥_res]:2012/06/10(日) 23:44:01.26 ID:YY0wx6y30
 


【dramatis personae】-一方通行編ver.- ※CP:3Hを基に構想したので通行止め…一応



一方通行 … 雷の勇者 ※キャラが似合わないにも程があるんですが、浜滝編の妖精王とどっちがマシなのか…

打ち止め … 虹の王女 ※3Hだとヒロインは打ち止めになるようです…ので。………一応



滝壺理后 … 風の妖精 ※突っ込み役は難しい気かな…いやむしろ淡々と突っ込むのが似合うかもしれない

浜面仕上 … 妖精王  ※浜滝編の一方通行に比べてキャラ崩壊度は低いかもしれないですが、肩書きが似合わない事この上無い



削板or駒場… 土の妖精 ※迷うところ。元ネタでの単純馬鹿設定が最大のネック

番外個体 … 闇の妖精 ※ヒロインが打ち止めなら多分鉄板

垣根帝督 … 炎の妖精 ※このやり取りが本当は1番燃える展開だと思います

青髪ピアス… 種→神樹/トレント ※固定です



天井亜雄 … 異国の行者/死霊術師 ※一方通行に傷を付けられるけどどうしようもないカマセ、といったらこの人しか出て来なかった


アレイ☆ … 魔王/ボス ※固定その2



3Hだとヒロインは打ち止めになるわけですが、正直ロリペド嫌いなので無理…

前提から成り立たない事態になるので却下余裕でした


 
380 :dramatis personae-一方通行編ver.- ◆a6qh.01v1w [sage saga !美鳥_res]:2012/06/11(月) 13:52:46.97 ID:jyhSbgqW0
 

妖精CPの配役、考えてみたら

 上条編 土御門兄妹

 一方編 上イン

で良いような気もして来ました。そうすると配役がほぼ埋まる…

二番煎じにも程があるので書きませんけど。当てはめて遊ぶには良いのではないかと


いやでもこれだと御坂一族の報われなさが目に付いてちょっと難ですね

アレイスターに心酔してる御坂とか番外個体ってのもちょっと難ですね

麦野もそうですが


 
381 : ◆a6qh.01v1w [sage saga]:2012/06/11(月) 13:58:51.33 ID:jyhSbgqW0
 

タイトルやメル欄もミスってばかり…orz

 
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/06/13(水) 02:21:20.10 ID:sAcBSgIE0
ドンマイ
自分は浜滝の配役が一番好みだなー

☆は…人望がないから仕方ない
383 :BAD END complete ◆a6qh.01v1w [sage saga !美鳥_res]:2012/06/14(木) 00:04:54.48 ID:iP3mLye00
 

【BAD END complete】 20/44


1.粉砕死    >>13
2.
3.撲殺     >>35
4.
5.
6.割腹自殺   >>42
7.
8.
9.
10.溺死     >>66
11.転倒死    >>62
12.
13.
14.
15.
16.
17.墜落死    >>88
18.轢死     >>110
19.全身打撲   >>105
20.
21.
22.
23.肺損傷    >>145
24.
25.死霊化    >>166
26.斬首     >>183
27.
28.
29.
30.
31.
32.
33.腹上死    >>204
34.
35.射殺     >>222
36.虐殺     >>229
37.
38.刧炎滅殺   >>250,>>254,>>258,>>262,>>268
39.絶命紅輪   >>275
40.衝撃円斬   >>286,>>290,>>294
41.
42.激竜巻角   >>304
43.冥界直葬   >>311,>>315,>>319
44.竜爪裂殺   >>326



 
384 :BAD END complete ◆a6qh.01v1w [sage saga !美鳥_res]:2012/06/14(木) 00:07:56.35 ID:iP3mLye00
 

「追伸、王子編のゲームオーバーの種類は全部で44です」


……正直な話

元ネタのゲームでは、クリアするよりゲームオーバーコンプリートの方が遙かに難易度が高かっt


 
385 : ◆a6qh.01v1w [sage saga]:2012/06/14(木) 00:20:04.43 ID:iP3mLye00
 

>>382
ありがとうございます
こんな蛇足な部分まで目を通して頂いて恐縮の限りです
個人的に1番しっくり来るのはやはり浜滝編かなと思って選んだので、大変嬉しいです


 
386 :epilogue-後日談的小噺- ◆a6qh.01v1w [age saga !美鳥_res]:2012/06/15(金) 23:22:31.47 ID:mWSfWXFx0
 


【epilogue】 -後日談的小噺-




 そして、俺は新たな冒険に旅立つ!

 冒険! そうとも、勇者に必要なのは休息ではない! 冒険だ!!




 ………

 ……

 …






「あっ! 一方通行さま! 見て下さいアレ、超きれいな花がいっぱいです!」トテトテ

「…オイ、絹旗」ヤレヤレ

「この色合いは超ハイセンスですね……あっ、この形なんて超スタイリッシュですよ!」キラキラ

「ったく。ちったァ落ち着けよ、絹旗。花は逃げやしねェ」ナデナデ

「でもでも! 本当にすっごく超キレイなんですもん…」テレテレ

「それは否定しねェよ。だが――」クスクス

「?」キョトン

「1番美しい華はここに『いる』だろォが。俺の目の前に、なァ?」フッ

「え? …! あ、あのっ、そそそそれってもしやそのっ」ドキドキ

「そォだろ『最愛』。――俺の花嫁」チュ

「っ!!!! …っあああああああああ一方通行様ぁ…っ!」カァァァァァ////

「ン?」サワヤカー

「ち、超……超素敵ですゥーーーー!!」ダキシメッ ギュゥゥゥゥゥ





 キャッキャウフフイチャイチャラブラブハグハグチュッチュエトセトラエトセトラ…





「――何でオマエラいるのっ!? そして主役は俺っ!!」ウガー!

「大丈夫。わたしはそんな主役なのに影の薄いはまづr…あ、違う…勇者さまを応援してる」ヨシヨシ

「ううっ。やっぱり俺の癒しは一人だけだ滝つb、じゃなかった、姫ぇぇぇぇっ!!」シクシク




 -fin.-


 
387 : ◆a6qh.01v1w [sage saga]:2012/06/15(金) 23:36:45.54 ID:mWSfWXFx0
 

おぉう…何で上がってるのかと思ったらsageのsが抜けてる…

どうしてこう、最後の最後まで何かしら抜けているんでしょうかorz



本当はもっと面白げな後日談的何かを書きたかったんですが、

どうしても最初に浮かんだ画が消えてくれなくてこんな感じになりました

ありがちネタで落としてスミマセン

でも浜面にはこんな扱いが似合うと思うんです

原作唯一の公式夫婦なんだから不憫でも良いよねとか思います

滝壺が公式嫁とか羨ましい。原作でも揃って幸せになる事を願います




なんだかgdgdになってしまいそうなのでこの辺りで切り上げる事にします


改めまして、

最後までご参加・ご拝読頂きました事に心より感謝の意を捧げます

自己満足にも程があるスレでこんなにも楽しませて頂いて、自分はとても幸せ者です

本当にありがとうございました



それでは


 
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/15(金) 23:38:11.48 ID:e7cCfy5ao
乙!
後日談も楽しませてもらいました
一方通行の(いい意味での)キャラ崩壊wwww
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/18(月) 02:45:31.16 ID:AFqTiVzso
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