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自衛隊員「異世界に飛ばされちまった………」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/10(日) 04:54:56.89 ID:eJWNC2jS0
自衛「…………」

同僚「おい、おい起きろよ!」

自衛「んが、なんだよ……あれ、何で俺、装甲戦闘車の中で寝てんだ?」

同僚「そんなことどうでもいい!早く外に出て見ろ!」

自衛「なんだ、一体何が……あれ、景色が違う?」


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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/10(日) 04:58:18.59 ID:eJWNC2jS0
自衛「草原?…演習場から移動したのか?」

同僚「こっちも最初はそう思ったよ、でも見てみろ。」

自衛「……車両も、荷物も……テントやコンテナもそのまま……」

同僚「気付いたか?」

自衛「なんだこれ?何かおかしくねぇか……どうなってんだよ」

同僚「知るか、私も他の奴らも、さっき気がついたばかりなんだ……」

自衛「一曹は?」

同僚「指揮車で無線連絡を試みてる」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/10(日) 04:59:56.97 ID:eJWNC2jS0
隊員A「マルヒト、マルヒト、こちらヒトヒト、ヒトヒト送れ!…駄目です」

一曹「他で試せ、くそ、どうなってやがる……」

自衛「一曹!」

一曹「自衛、気がついたか。」

自衛「一体何がどうなってんですか?」

一曹「それはこっちが聞きたいくらいだ、いつのまにか倒れてて、気がついたらこの状況だ。」

自衛「無線は?」

一曹「片端から試しちゃいるんだが……」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 05:02:00.79 ID:eJWNC2jS0
隊員A「マルハチ、マルハチ、こちらヒトヒト……どこも応答しません……」

一曹「駄目か畜生!」

自衛「……そういや他の部隊は!?隣の区域に第五中隊がいたはずだろ?」

同僚「姿形もないよ、私達のいた場所だけが切り取られたように存在して、
   後は辺り一面草原の海だ。」

自衛「なんだよこれ……俺等神隠しにでもあったのか?」

一曹「自衛、あんまり変なことを言わないでくれ、皆、不安になってるんだ。」

自衛「ああ、すんません……」

一曹「一分隊と二分隊をジープで偵察に出した、それを待とう……」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 05:05:22.76 ID:eJWNC2jS0
自衛「(小声で)なぁ、これってもしかするとよ……」

同僚「私もたぶん同じこと考えてる……」

自衛「やっぱし?……けど、まさか……」

隊員A「一分隊が帰ってきました!」

自衛・同僚「!」

ブロロ……

一曹「どうだった!?」

隊員B「けっこう先まで飛ばしたんですか、演習場の形跡はおろか、
   家も道路もありませんでした……ただ一つ収穫が」

一曹「何だ?」

隊員B「あれを」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 05:07:21.52 ID:eJWNC2jS0
ブロロロロ…

自衛「トラックだ」

補給隊員「いやあ、よかった!我々だけかと不安になりましたよ。」

一曹「あなたは?」

補給隊員「失礼、補給中隊の二曹です、」

一曹「普通科の一曹です。そちらはトラック一台だけか?」

補給隊員「いえ、岡の向こうの補給陣地にトラックが数両と自走迫撃砲が、
     我々は陣地ごと“飛ばされてきた”ようで…」

一曹「我々と同じか…」

補給隊員「一体何が何やら…」

一曹「現在、自分の部隊から偵察を出してます、それを待つしか…」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 05:09:20.85 ID:eJWNC2jS0
隊員A「一曹、二分隊が戻ってきました!」

ブォォ!キィィ!

自衛「えらい慌てて飛び込んできたな」

一曹「どうした?何か見つけたか?」

偵察「集落です!森の向こう、4kmほど先に集落らしきものが!」

一曹「何だと?」

同僚「そんなバカな!周辺10km四方は完全に演習場内だぞ?」

偵察「ああ、集落なんて存在するわけが無い…でも、あるんだ」

自衛「………」

同僚「………」

隊員A「一曹、どうします…?」

一曹「その集落を調べたほうがよさそうだ…偵察部隊を再編成し、その集落を調査する」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/10(日) 06:08:15.75 ID:ItbYs4ORo
戦国自衛隊的な何かか
期待
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/06/10(日) 08:32:03.01 ID:oi0Mr7Qmo
ドリフターズ
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/06/10(日) 08:33:02.15 ID:TR804rhAO
期待
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 08:37:02.83 ID:eJWNC2jS0
ブォォォォォォ…

自衛隊は調査に五名を選抜
旧73式小型トラックにて、集落へ接近中

同僚「………」

隊員B「士長…武器、必要になると思いますか?」

自衛「変なこと聞くな…」

隊員B「すんません…」

衛生「………」

同僚「見えてきた」

自衛「…何か、妙な雰囲気の集落だな」

偵察「よしてくれ!気味が悪い!」

自衛「いや、霊的な云々じゃなくてよ、なんかこう…現実離れしてるっていうか?」

偵察「なんだそりゃ…?」

自衛「あ、隊員B、入り口の前で一度止めろ」

ブォォ…キィ…

自衛「同僚、衛生と俺は降りて警戒する、偵察、MINIMIにつけ。」

偵察「了解」

自衛「よし行くぞ。」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 08:40:52.98 ID:eJWNC2jS0
?「………スゥ」


自衛「………」

同僚「…人の気配が感じられない…」

偵察「ゴーストタウンか?」

自衛「そうとは思えないぜ、家の中を見て見ろ。」

同僚「ちょっと!悪趣味だな…」

自衛「そんな場合か!見ろ、生活してた感がはっきりと残ってる」

同僚「確かに…それも数時間前まで人がいた感じ…」

偵察「俺達と入れ替わりにどっかに飛ばされてたりしてな」

隊員B「………」

衛生「…あー…」

同僚「…やめてよ、笑えない」

偵察「…悪い…」

自衛「そう言ってやるなよ、偵察は空気を和まそうと思…ッ!」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 08:45:41.97 ID:eJWNC2jS0
?「――(詠唱)――貫け!炎の矢!」

自衛「隠れろ!!!」

同僚「え?」

偵察「は?」

衛生「あ?」

隊員B「何が!?」

ボァァァァァァァァァ!!!

偵察「おわぁッ!」

隊員B「熱っつ!何だ!?」

同僚「炎が!いったい何だ!?」

自衛「あそこだ!二時の方向、民家の屋根の上!」

?「しまった、はずした!」

同僚「一体何?火炎瓶!?」

偵察「そんなレベルじゃなかったぞ!」

隊員B「焼夷ランチャーの類かもしれません!」

自衛「何でもいい!検証より先にやることがあるだろが!」ジャキッ
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 10:05:28.38 ID:eJWNC2jS0
同僚「ちょ!何する気だ!」

自衛「決まってるだろ!何のために銃を持ってきたと思ってる!?」バッ

同僚「まて、相手の正体もわかってないんだぞ!?」

自衛「同僚、そういう考え方は死人を出すフラグだ!!!」

ボウボウボウ!!!

?「うわっ、痛っ!な、何だ!?」ダッ

自衛「逃げやがった!当たったとおもうが…」

同僚「なんてこと…」

自衛「考えるのは後だ!あいつは先に攻撃してきた、少なからず敵意があるぞ!
   交戦準備!」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 10:07:25.41 ID:eJWNC2jS0
偵察「なんだってんだ、くそが!」

隊員B「あ!ま、前!前を!」

自衛「今度は何だ?」


??「僧侶ー!!しくじった分は今夜の飲み代で払ってもらうぞー!!」ダッ


衛生「何だアレ…?」

隊員B「甲冑と、斧?…っていうか、こっちに突っ込んできますよ!?」

自衛「撃て!あんなのでどたまかち割られたら、ただじゃすまんぞ!」ボウボウボウ

??「うわっち!?へへ、見たこと無い魔法だな…楽しめそうじゃん!」

同僚「何だ今の…人間の動きじゃないぞ!」

自衛「見たろ!常識は通用しそうにないぞ!撃つんだ!」

偵察「糞が!死んでも恨むなよォ!!!」ガチャ

バララララララララララララ!!!!!

??「おわっ!とっ!?やばっ!?」

偵察「当たらねぇ!ふざけてやがる!」

自衛「右側に撃ち続けろ!俺が狙う!」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/06/10(日) 10:08:56.38 ID:eJWNC2jS0
??「だっ!うひーっ!なかなかスリリングだな!でも、あたらんよ!」

自衛「よし、左に飛べ…よしっ!」バスッ

??「!?ッ、痛った!?」ドザザッ

自衛「止めだ!

バッ!

自衛「!?、消えた!?」

同僚「陸自!左だ!」

自衛「…嘘だろ?」

隊員B「人間の跳躍力じゃない」

???「戦士、大丈夫か!?」

??「痛てて…へへ、あたしも借り作っちまった…」

衛生「逃げる!」

自衛「逃がすかよ!」ジャッ
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/10(日) 10:46:20.99 ID:9oTUToAW0
期待
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/10(日) 10:52:52.89 ID:+W2drrGNo
世界観からしてドリフターズ的なアレなのか
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/06/10(日) 10:57:01.75 ID:gvQ57FEEo
戦国自衛隊的な
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 11:15:31.37 ID:eJWNC2jS0
ベースは戦国自衛隊です
ドリフターズは知らなかった、ググったらテンション上がった
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 11:19:25.48 ID:eJWNC2jS0
同僚「自衛!お前の真上だ!」

自衛「は?」

????「はあああああああああ!!」ヒュゥゥ

自衛「おぁぁぁぁ!?」ガシッ

ガキャッ!

????「ッ!鉈で受け止めるとは!」

自衛「ジープに積んどいてよかった…だらぁっ!!!」グオォッ

????「ッ!」(後ろに跳ぶ)

自衛「くそが!なんだあの冗談みたいな大剣は………おらぁぁぁ!」ダッ

同僚「ちょっと、自衛!」

偵察「刺突する気か?」

????「来るか!」

陸自「おぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

????「はぁぁ!」ブンッ

自衛「危なッ!」ヒュッ

衛生「避けた!」

偵察「心臓に悪い!」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 11:22:33.77 ID:eJWNC2jS0
自衛「だぁぁぁぁぁ!」(刺突)

????「ッ!」ヒュン

自衛「野郎!」ボウボウボウ

????「うわっ!?な、なんだこの奇怪な武器は!?」

自衛「[ピーーー]ぇぇ!!!」

????「くっ!」

ガッキィン!

????「く………!」ググ

自衛「………!」ググ

同僚「鍔迫り合いに…」

衛生「一歩違えば、真っ二つだったぞ…」

????「なかなかの腕だ…!ただのゴロツキではないようだな…!」ググ

自衛「ああ?誰がゴロツキだよ・・・!何様のつもりだ!」ググ

????「聞き分けがあるなら言っておく。
     この村は貧しい、襲撃しても大した収穫はないぞ。」

自衛「意味わかんねぇ事ほざくな!襲い掛かってきたのはそっちだろうが!」ググ

????「・・・何?」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 11:25:11.11 ID:eJWNC2jS0
そうか規制かかっちゃうのか、忘れてた


ッバ

????「…君達は、賊の類ではないのか?この村に目をつけたのではないと?」チャッ

自衛「馬鹿いうな、仮にも自衛隊員がそんなことするわけねぇだろ!」ジャキ

????「じえいたい…?よくわからないが、その言葉に偽りはないか?」

自衛「そう言ってるだろ、面倒臭ぇ。」

????「………わかった、信じよう。」スッ

自衛「ああ?」

????「私の名は“君路の勇者”。魔王を討つべく仲間と共に旅をしている者だ。」

自衛「………はぁ?」

偵察「………あいつ、なんつった今?」

隊員B「たぶん、勇者って…」

君路の勇者「よければ君の名前を。」

自衛「え、あ、ああ…」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 11:56:18.64 ID:SeT6i7JQo
ジエイ君なのかオノレ マモル君なのか気になるな
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 12:19:23.35 ID:eJWNC2jS0
ビッ

自衛「…陸上自衛隊、北部方面隊、普通科連隊所属、自衛陸士長だ。」

君路の勇者「…えっと…すまないもう一度…」

自衛「いや…いいよ、一応言って見ただけだから。自衛でいい。」

君路の勇者「そうか、この度はすまなかった、てっきり盗賊団がこの村を
      襲撃しにきたものかと思ってな…」

自衛「まあいいぜ、こっちに怪我人は出なかったんだ、
   それよりそちらさんは…」

???「勇者!」バッ

自衛「うおっ!」

???「勇者無事か!」

君路の勇者「ああ、騎士。僕は無事だよ。」

聖腕の騎士「そうか、よかった。しかし…こいつらは…?」

君路の勇者「誤解だったんだ、彼らは賊じゃないし、この村を襲いに来たわけでもない。」

聖腕の騎士「信用できるのか?」

君路の勇者「ああ、どうやら彼らも規律ある組織の人間らしいしな。」

聖腕の勇者「そうか、勇者が言うなら信じよう」

君路の勇者「自衛、紹介しよう。僕の仲間の騎士だ。」

聖腕の騎士「聖腕の騎士だ、この度は無礼なことを。」

自衛「あ、いえ、こちらこそ…」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 12:22:10.42 ID:eJWNC2jS0
>>24 ジエイでお願いします


君路の勇者「それと…来たみたいだな。」

??「勇者ー!大丈夫かー!?」

?「戦士さん待ってください!まだ治療が!」

自衛「あ、さっきの」

??「あれ、一体どうなったんだ?」

君路の勇者「自衛、僕の仲間の戦士と僧侶だ。二人共、彼は自衛。

    我々の誤解で、彼らはこの村を襲いに来たわけではないんだ。」

碧明の戦士「ありゃ〜、なんだそうだったのか〜。
      そりゃ、悪いことしたな!」ビッ

導きの僧侶「なんてことだ、私はとんでもないことを…」

碧明の戦士「魔法をはずして正解だったな、僧侶!」

導きの僧侶「う、うるさいな!」

自衛「ははは…」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 12:38:25.53 ID:kAyFYn8DO
>>23
規制はメ欄にsagaと入れるとかからなくなるぞ
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 13:09:31.93 ID:eJWNC2jS0
偵察「…おい、自衛。どうなってんのか説明してくれ…」

自衛「あ、ああ、どうやら彼らは敵ってわけじゃないらしい…、
   俺等を賊と勘違いしたようだ…」

偵察「賊って…まぁ、見えなくもないが…特にお前の強面はな。」

自衛「喧嘩売ってんのか…」

衛生「“盗賊じゃぞ、孫一〜”ってか」

隊員B「“同族”だよ、それ…」

衛生「あれ、そうだっけ?」

同僚「…ともかく、こっちも名乗っておいたほうがよさそうだな…
   普通科連隊所属、同僚陸士長です」

衛生「あ、同じく衛生一等陸士」

隊員B「隊員B一等陸士です」

偵察「特科連隊所属、偵察陸士長」

碧明の戦士「よろしくぅ!」

導きの僧侶「ほら戦士さん、治療の続きを…」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 13:13:33.15 ID:eJWNC2jS0
>>27 サンクス

自衛「そうだ、さっきの戦闘でそっちの二人を負傷させちまったんだ、
   衛生、彼らを見てやってくれるか?」

衛生「了解」

導きの僧侶「ああ、大丈夫です、もう治療は終わりますから。」

衛生「え?」

導きの僧侶「――(詠唱)――」ポゥ

衛生「!?」

同僚「これって…!?」

偵察「…傷が、塞がってく…?」

碧明の戦士「よし、治った!サンキュー僧侶!」

僧侶「あまり無茶しないで下さい」

自衛「お、おい、今のは…」

僧侶「初期の治癒魔法ですよ、私はまだ修行中の身なのでこの程度ですが。」

衛生「ま、魔法…?」

偵察「嘘だろ…」

同僚「なんなんだ、一体…」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/06/10(日) 13:42:56.59 ID:N+V7fiq0o
これは期待
戦国自衛隊とかゲートみたいなシュチュは好物だから嬉しい
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 13:46:19.84 ID:eJWNC2jS0
聖腕の騎士「勇者、我々は村の人達に心配ないと伝えてくる。」

君路の勇者「ああ、頼むよ。村の人達は安全のために、
      村の中央に避難してもらっているんだ。」

自衛「ああ…それで人の気配がなかったのか。」

君路の勇者「僕らもさっきこの村に辿り着いたばかりなんだが、村の人に
      “奇妙な荷車に乗った妙な連中が、この村を狙っているようなので
       助けて欲しい“と、頼まれてね。」

偵察「それ俺だな、さっきこの村に近づいたのを見られてたのか。

隊員B「斥候が裏目に出ましたかね…」

同僚「不可抗力だ、こんな事態が予測できると思うか?」

自衛「そうだな…村の代表者と話がしたい。よければ取り合ってもらえないか?」

君路の勇者「わかった、よければ僕らも同席させてもらっても?」

自衛「村の人の同意があれば、ぜひとも。そのほうがこちらとしてもありがたい。」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 13:52:49.26 ID:eJWNC2jS0
村の中心 村長の家

村長「この度は大変無礼なことをいたしまして、いやはや…」

自衛「気にしないで下さい、村を守るべき立場であれば、当然の判断です。」

村長「そう言っていただけるとありがたい。それで、失礼を重ねますが、
   あなたがたはいったい…?」

自衛「あー、なんといいますか…“漂流者”とでもいいましょうか…」

村長「漂流…ですとな?」

自衛「的確な表現ではないのですが、正直我々も自分達の状況を
   把握しかねていまして…」

村長「そうですか…」

同僚「とにかく、我々はあなた方に危害を加えるつもりはまったくありません。
   それだけは心配しないで下さい。」

自衛「それと、申し訳ないのですが、よければ地図を貸してもらえませんか?」

村人「地図ですか?」

自衛「はい、この近辺の地理がわかる物と、世界地図を。」

村人「申し訳ない、近隣の物はありますが、世界地図のような物はこの村には…」

自衛「そうですか…」

君路の勇者「いや、世界地図なら僕らが持ってる。よければそれを。」

自衛「本当か、それはありがたい。」

村長「では近隣の地図を用意させましょう、しばしお待ちを。」

自衛「お願いします。」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/06/10(日) 14:06:28.35 ID:ymqS9NqN0
自分を殺そうとするキチガイをスルーすんなよwwww
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/10(日) 14:57:19.61 ID:cND+VJReo
そのうち一曹が
なーがいくーんあーそびましょーとか言い出して股からでかい顔が出てくるんだろ
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 14:57:58.18 ID:eJWNC2jS0
君路の勇者「えっと、あったこれだ」

自衛「ありがとう………ッ!?こいつは…」

同僚「やっぱりか………」

自衛「俺等の世界地図とまったく違う!日本も、アメリカもユーラシア大陸もない!」

同僚「聞いたことも無い国や地名ばっかり…、ここは一体どこになるの?」

君路の勇者「ここは“五森の公国”の領土の一番西端の所だな」

自衛「おいおい…」

同僚「大陸がいくつかあるけど、どれも見たことも聞いた事も…、
   ?なぁ、この地図、端が全部海になってるけど…」

自衛「言われて見れば…おい、この先を示した地図ってないのか?」

君路の勇者「…?何を言っているんだい?」

自衛「は?」

君路の勇者「海の端は世界の終わりになっているに決まってるじゃないか。」

自衛「天動説かよ!」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 15:02:46.30 ID:eJWNC2jS0
村の空き地

自衛「はい、ここが現在地、これが北海道に見える人。」

偵察「………」

衛生「………」

隊員B「………」

同僚「…よせよ」

自衛「…悪ぃ」

偵察「…つまり、俺達は地球じゃないどこぞにいるってことか?」

隊員B「薄々そんな気はしてましたけど…」

自衛「…他にも色々と聞き出せたが、詳しくは本隊に戻ってからにしよう。」

同僚「そうだな…ん?」

村人「た、大変だー!」

偵察「なんだ?」

君路の勇者「どうしました?」

村人「ああ、ゆ、勇者様!」

君路の勇者「落ち着いて、何があったんです?」

村人「か、怪物です!北の空から怪物が空を飛んで、こ、こっちに向ってきます!」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 15:05:04.05 ID:eJWNC2jS0
路の勇者「なんですって!?」

バラバラバラバラ…

偵察「ん、おいこの音…」

衛生「まさか…」

バラバラバラバラ!

村人「で、出た!怪物だ!」

同僚「やっぱり!」

自衛「ありゃ空自のCH-47Jだぜ!」

聖腕の騎士「な、なんだあれは!?」

碧明の戦士「うひゃー、なんかとんでもないのが出たな!」

君路の勇者「あんなモンスター見たこと無いぞ…皆、戦闘の用意を…」

自衛「待て!あれは俺達の同胞だ!」

君路の勇者「な、何?あの怪物が?」

自衛「ああ、心配ない、だから攻撃しないでくれ!
   隊員B、ジープを出せ!ヘリを村の外に誘導する!」

隊員B「了解!」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 15:58:05.26 ID:eJWNC2jS0
ブォォォォォォォォ!

自衛「車輪で円を書いて着陸ポイントを示してやれ!」

隊員B「わかりました!」

自衛「終わったら退避しろ、機首に出ると真っ二つにされるから気をつけろ!」

バラララララ!

君路の勇者「うぉ…ものすごい音だ…」

導きの僧侶「翼の羽ばたきで風が…」

衛生(翼じゃなくてブレードなんだが…まあ、いっしょか…)

キュィーーーーン、ヒュンヒュンヒュン………

二尉「よっと…助かった。航空自衛隊、入間基地所属の二尉です。」

自衛「北部方面隊、普通科連隊の自衛陸士長です。」

二尉「どうなることかと思ったよ、飛行中突然光に覆われて、
   気付いたら見知らぬ世界が広がってたんだ…一体何が…」

自衛「我々も似たような状況です…自分達は本隊から偵察に出て、
   先程この村と接触したばかりなんです。」

二尉「そうか、ともかく君達と会えただけでもほっとしたよ…」

自衛「それはよかった、詳しい話はあとにしましょう、本隊に案内します。」

二尉「助かるよ。」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 16:01:43.54 ID:eJWNC2jS0
自衛「そういうわけで、我々は一度仲間の所へ戻ることにします。」

村長「そうですか、なんのお役にも立てず、申し訳ない…」

同僚「いえ、こちらこそ騒ぎを起こしてばかりで申し訳ありませんでした。」

君路の勇者「自衛、僕らも準備が整い次第、この村を発つことになった。」

自衛「そうか、いろいろ迷惑掛けたな、話してない事もまだたくさんあるが…」

君路の勇者「仕方が無いさ、もしまた会う機会があったらその時はゆっくり話そう。」

自衛「そうだな、じゃあまたの機会に!」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 16:38:56.14 ID:8Nd5/Z+oo
早くOILを確保しないと詰むな
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 16:54:57.10 ID:eJWNC2jS0
ブロロロロロロロ…

自衛「クレスト21、こちらが確認できますか?まもなく本隊に合流します。」

二尉『こちら21、問題ない。』

自衛「了解、丘が視認できたら、むこうから誘導がありますのでそれに従って下さい。」

偵察「…なーんか、まだ実感沸かねーなー」

自衛「みんな同じだろ、そんなすぐに受け入れられるかよ…」

衛生「…士長、どうしたんです。妙な顔で地図を睨みつけて…」

同僚「妙な顔は余計だ…なぁ、これなんて読む?」

自衛「ああ、さっきも見ただろ。“五森の公国”とかいう聞いた事も無い国名だ。」

隊員B「それがなにか?」

同僚「これ文字さ、どう見ても日本語じゃないのに私達どうして読めるんだ…?」

自衛「!!!」

衛生「あ…そういえば…」

自衛「貸してみろ!」バッ

自衛「………なんだこれ、日本語でもねぇ、英語でもキリル文字でもねぇ……、
   それなのに…なんで、分かるぞ…なんて読むのか…」

同僚「どういうことだ…」

衛生「くそ!頭がおかしくなりそうだ!」

自衛「…やめだ、考えるのはよそう…」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 16:56:15.38 ID:eJWNC2jS0
バイトなので落ちます
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 16:56:44.92 ID:93nFPeiW0
結局何人くらい飛ばされてきたんだろう?
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 17:05:38.82 ID:8Nd5/Z+oo
一連隊まるごとだと1000人以上になるが
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/10(日) 17:27:33.10 ID:ItbYs4ORo


戦国自衛隊がベースなら補給で苦しむ話になりそう
ファンタジー世界だと現代兵器の火力もそこまで圧倒的優位じゃなさそうだし
どうなるのか期待
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 17:42:12.36 ID:tIlUlFRMo
めっちゃ面白そうだな、期待
ヘリの燃料とか設備なしで作れんのかな
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/10(日) 19:01:47.92 ID:8Nd5/Z+oo
軽質油が湧く油田が見つかればガソリンやジーゼルくらいはなんとかなる
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/06/10(日) 20:41:03.90 ID:o9ckOiTso
剣と違って弾が主力なんだから攻撃手段が尽きて徒手空拳集団になるのが萎える。
休憩や薬草で回復ってわけにもいかないからな。
魔法で複製してくれたらいいんだが。
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 01:57:22.24 ID:St2CtvZE0
ワレ キカンセリ
眠いので長くは持たないかも


自衛隊は丘の上に陣地を構築
陣地内のテントにて会議中

一曹「本当だ…地名は聞いた事も無いが、確かに読めるな。」

自衛「それに先程話したように、自分たちは魔法のような物を目撃しました。」

同僚「さらには、交戦した彼らは勇者一行と名乗り、
   魔王討伐のために旅をしているとか……」

二尉「普通だったら、こんな話をしたら病院送りだな。」

一曹「しかし、現状我々はそれを否定しきれない状況にある……」

偵察「まるでゲームの世界に放り込まれた気分だ…」

衛生「この先どうすりゃいいんだよ!」

一曹「落ち着かんか、わからないことを考えても仕方が無い。
   それより、できることを考えよう。
   まずは、現状確認しようか。」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 02:02:16.63 ID:St2CtvZE0
長く落ちてるとIDも変わるのか…

特科「我々特科隊は丘の上に陣地を張って、対抗部隊の連中を監視することになってたんだ。」

自衛「そして俺達がその護衛についてたわけだ。」

補給「私達の部隊は演習に参加している部隊への補給、整備を担当していました。」

二尉「俺の機体は三沢まで、整備隊と整備機材を運んでいる最中だった。」

同僚「そして、全員がこの別世界に飛ばされてきた…」

一曹「それ以外の部隊は確認できず、どの無線も通じず、衛星からの応答も無しと。」

二尉「………ははは、終わっちまったな。」

隊員A「二尉!」

二尉「すまん、つい…」

一曹「仕方がありません、確かに情報が少なすぎる…」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 02:03:50.58 ID:St2CtvZE0
隊員A「こうなると一番の問題はやはり食料です、糧食にも限りがあります。」

一曹「自衛、あの集落からの補給は望めそうか?」

自衛「それは無理だと思います、あの村は小さすぎる。」

同僚「例の勇者から聞いた話しによると、ここから東北東の方向に比較的大きな街が
   あるそうです。」

一曹「距離はどのくらいだ?」

同僚「彼らは歩いて三日といっていました。超人的な能力を持つ彼らも、
   歩く速度は変わらないようだったので、
   ジープを飛ばせば二時間もかからないでしょう。」

一曹「よし、その街で物資の補給と情報収集を行う。
   自衛、よければ実績のあるお前達に任せたいが、いいか?」

自衛「いいでしょう、何もわからないまま籠もってるよりはいい。」

同僚「自衛に同意します。」

一曹「ジープと装備は用意しておくが、なにか必要なものがあれば言うように。
   では、本日は解散。夜間警備の者は十分に警戒するように!」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 02:29:39.50 ID:St2CtvZE0
『現段階での自衛隊の状況』

隊員達のセリフ内で説明しようと思ってましたが、
ごちゃごちゃしてきたので、
ここに書き出したいと思います。

・陸上自衛隊

普通科隊員(自衛たち) 25名
 
 89式装甲戦闘車 一両
 73式小型トラック 三両(旧二両 バーーーローー両)

野戦特科隊員(偵察もここに所属) 20名

 203mm自走榴弾砲 一両
 82式通信指揮車 一両
 87式砲側弾薬車 一両

ここまでが最初の面子

野戦特科隊員(途中参加) 五名

 96式自走120mm迫撃砲 一両(車両の不具合により補給所で点検を受けていた)

補給隊員(施設・武器・需品・輸送科混合 隊員Bが発見した) 30名

 高機動車 一両
 73式大型トラック 五両
 73式中型救急車 一両
 施設作業車 一両
 その他燃料・弾薬・物資

・航空自衛隊

ヘリコプター空輸隊 三名
 
 CH-47J輸送ヘリコプター 一機

航空機整備隊 五名

 整備機材一式


選定基準は全て書いてる人の趣味です
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 02:33:45.24 ID:St2CtvZE0
同僚「やっと交代だ…塹壕は入ってるだけで疲れる…ん?」

自衛「………」ガチャガチャ

同僚「お前まだ起きてたのか?っていうか、夜中に銃ばらすのやめろよ…」

自衛「眠れるかってんだ…考えるなって言われても考えちまうしよ…」

同僚「そうだけどさ、徹夜なんかしたら明日もたんぞ。」

自衛「わかってる…それより、空…見たか?」

同僚「見たよ…」

自衛「気味が悪りぃ………月が三つもある…」

同僚「綺麗だと思うがな。」

自衛「ゲテモノだなおい。」

同僚「ひどい言われようだな!…まあいいや、お休み。」

自衛「ああ、お休み。」


バーローって…新型一両が、”型”抜いたらバーローって…
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/06/11(月) 02:39:13.90 ID:Bl+iIoRZo
メール欄に「saga」って入れないと、一部の単語が勝手に伏字的なものに変わる
sageじゃないよ、sagaね
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/06/11(月) 03:05:59.56 ID:St2CtvZE0
>>54 gaーーーーーーーー!!!!!(感謝してる)
>>27 よく見てなくてごめんお

?「………」ガサゴソ


自衛「異常なし!って当たりか、夕飯前に点検したばっかだもんな…」

自衛「ふがぁぁぁ…いい加減寝るか…」

ピィィィィィ!ピィィィィ!

自衛「おわっ!?歩哨の警笛?なんかあったのか!?」

ダーンダーン!ボウボウボウ!

自衛「銃声!?クソッ!」ダッ


塹壕

隊員B「なんなんだあいつらは!」ダンダンダン

自衛「隊員B、無事か!?何があった!?」ザザッ

隊員B「て、敵襲です!森の出口から、なんだよあれ!?」

自衛「落ち着け!ナイトスコープをよこせ…なんだありゃ…」

ゴブリンA「ギュィィ!」

ゴブリンB「キィィ!」

自衛「…ゴブリンってやつか?斧持ってやがる…

ゴブリンC「キッ!」シュッ

隊員C「!?ぐぁぁぁぁ!?う、腕がぁ!」

隊員B「た、隊員Cの腕に斧が!」

自衛「落ちつけ!かすっただけだ、止血しろ!」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/06/11(月) 14:28:06.50 ID:St2CtvZE0
一曹「自衛!状況は!?」ザッ

自衛「森の出口からゴブリンの襲撃です!数、およそ20!隊員C二等陸士が負傷!」

一曹「ゴブリンだと…本当にゲームの世界だな、応戦準備!
   軽機を設置して奴らを掃射しろ、手空きは隊員Cを後ろへ!」

隊員B「くそっ、当たれ!」ダンダンダン

自衛「闇雲に撃つな!よく狙え!」ダン

ゴブリンC「ギィ!?」バシュ

自衛「次だ…」

同僚「どけどけ!軽機を設置する!」

自衛「うお!来たか。」

同僚「しっかり固定しろ!」

隊員A「弾薬準備よし!」

同僚「撃ち方始め!」

ドドドドドドドド!!!

ゴブリンA「ギ!」

ゴブリンB「ギュィィ!?」

ゴブリンC「ギァ!?」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 14:33:11.56 ID:St2CtvZE0
自衛「まだ突っ込んでくるぞ!」ダンダン

隊員B「士長、FVが前に出ます!」

キュラララララ…

FV車長「ナイトビジョンに異常なし、弾薬は?」

FV砲手「装填完了しました。」

FV車長『総員へ、目標を機関砲で掃射する。
     付近に展開中の隊員は耳を塞げ。』

FV砲手「照準よし、発砲開始。」

ボウボウボウボウ!

ゴブリンE「ギギャッ!?」

ゴブリンF「ギャッ!」

隊員B「こ、粉々に吹き飛んだ…」

同僚「奴らが逃げ出します!」

一曹「逃がすな!処理を、可能なら捕獲しろ!」

┣¨┣¨┣¨┣¨

自衛「見ろ、シキツウだ。」

同僚「機銃についてるのは偵察か。」

偵察「逃がすかよ!」ドドドド

ブォォォォ!

自衛「装甲車が両翼から回る、照明弾を上げろ!奴らを追い詰める!」

ヒュルルルルル、バーン!

ゴブリンG「キキッ!」

ゴブリンH「キキィィ!」

自衛「やつらパニックを起こしてるぞ、前へ!奴らを処理しろ!」

ドドド!ダンダンダン!
キュラララララ…___

58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 15:08:00.36 ID:5wUstE++o
おもしれぇwwww

けどFVってなんだ?
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 15:51:03.00 ID:0HOit3Aio
多分
Fighting Vehicleで戦闘車両
60 :名無しNIPPER [sage]:2012/06/11(月) 15:54:52.63 ID:ApD13XJAO
こういうのは楽しいですな ワクワクしてきますぞ
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 16:15:46.36 ID:5wUstE++o
>>59
サンクス

FVで略されてる乗り物ないし
何かなと思ってた。でも知らなくても面白く読めてる。
続きはよはよ!
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 16:16:46.47 ID:St2CtvZE0
89式装甲戦闘車のことを部隊ではFVと呼ぶそうな ウィキペディア調べ

翌朝__

自衛「こりゃ、ひどいな…」

偵察「吐きそうだぜ…」

隊員A「一曹、彼らの中に生存者は確認できませんでした。」

一曹「そうか…しかたあるまい、こちらの被害は?」

隊員A「一名が軽傷、二名が体調不良、それ以外に人員、装備に損害はありません。」

一曹「わかった、ありがとう。」

隊員A「では、失礼します。」

一曹「自衛、どうする?こんなことになったし、街の調査は延期するか?」

自衛「いえ、大丈夫です。むしろこんな事態が起こった以上、
   より早急に情報を入手しないと、ヤバイかもしれません。」

一曹「それもそうだな、わかった頼むぞ。こっちは陣地を強化しないといかんな…」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 18:55:32.27 ID:hbMxLpKIO
特科FHないんか
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 19:55:02.24 ID:l0vGhgHIO
特車無いのか
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 20:07:54.20 ID:u2tDqffjo
ミリオタがいっぱい来そうなスレ
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/06/11(月) 20:11:11.47 ID:Ie8fxBV40
トリつけといたら?
名前に「#」半角シャープで好きな文字入れればつけられるから
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/11(月) 21:03:04.47 ID:OzxclOljo
やっぱ面白いわ
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [sage]:2012/06/11(月) 22:47:58.26 ID:St2CtvZE0
二時間後、偵察部隊は街へ向け出発。
ジープ一両で向う予定だったが、万一に備えFVが同行することとなる。

ゴォォォォ…

自衛「FVへ、こちらジープ。視界に不審物無し。」

FV車長『FV、了解。』

隊員B「で、結局あいつらはなんだったんでしょう?」

自衛「知るかよ、食いもんでも狙ってきたんじゃねぇのか?」

隊員B「あの光景…しばらく夢に出そうですよ…」

同僚「でもあれでよかったかもな。昨日の村は無事だったらしいけど、
   奴らが私達の所に流れてこなかったら、
   きっとあの村が教われてたな…

隊員B「まあ、そうかもしれませんけど…」

偵察「…あ、おい、あれじゃねーか?目的の街って。」

同僚「ちょっと待て…ああ、あれだな。周辺の地形が、教えてもらった特徴と一緒だ。」

隊員B「何かわかればいいですね。」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/11(月) 22:52:28.73 ID:St2CtvZE0
>>66 情報感謝

自衛「…おいちょっと待て。」

偵察「どうした?」

自衛「よく見ろ…あれ、煙あがってないか?」

偵察「何!?」(双眼鏡を覗く)

同僚「どうなってる?」

偵察「…マジだ、街から煙がいくつも上がってる!」

自衛「FV、停車してくれ!目標の街から煙が上がってる!」

FV車長『なんだと!?』

キュラララ…ガコッ…

FV車長「どういうことだ!?」

自衛「わかりません…ですが、十中八九厄介ごとでしょう…どうします?」

FV車長「…行ってみるしかあるまい」

自衛「了解、自分達がジープで先に行きます!隊員B、お前はFVに移れ!」

隊員B「はい!」

FV車長「気をつけろ、無理はするな!」

自衛「了解!」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/06/12(火) 00:45:42.25 ID:u/Uo1GZzo
うわぁああ追いついてしまった

楽しみだからはよ
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/12(火) 01:07:54.23 ID:ZKAvvGT1o
これは期待
完結させてくれよ
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/12(火) 01:18:58.45 ID:oWVkGW4Lo
これは面白いな 期待してる
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/06/12(火) 01:54:09.39 ID:muJAoR9uo
弾なくなったらどうするん?錬金術とかでつくれるん?
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/12(火) 09:16:14.33 ID:oRTMUr2+0
街の入り口

偵察「………ひっでぇ」

同僚「…倒れてるのは、この街の衛兵か…」

自衛「警戒しろ、何が出てくるかわかんねぇからな。」

ブォォォォ!

偵察「ここも人の気配がないぜ…」

同僚「なぁ、あれ…」

ゴブリンA「キキィ」

ゴブリンB「キィー」

偵察「また奴らか、クソッ!」ジャキッ

同僚「待て…あいつらなにしてるんだ…?」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/12(火) 09:20:11.66 ID:oRTMUr2+0
ゴブリンA「キキキィ」

ズルッ、ゴロッ…

同僚「うッ…!?」

偵察「な、人の…首だ…!」

ゴブリンB「キキー」

同僚「なんてこと…痛!?」

ギュィィィィィ!

偵察「おわっ!?」

同僚「ちょ、自衛?」

自衛「そのままアクセル踏み続けろ!跳ね飛ばしてやる!」

同僚「ちょっ!?」

ボカァッ!

ゴブリンA「ギュギッ!?」

ゴブリンB「ギッ!」ゴガ

同僚「一匹ボンネットに!」
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/12(火) 09:21:57.92 ID:oRTMUr2+0
自衛「俺がやる!」

ゴブリンB「ギュ…ギ!?」ムンズ

自衛「野郎!」ゴッガッ

ゴブリンB「ギュガッ!ギュゥ!」ゴチュグチャ

同僚「お、おい、お前…!」

ゴブリンB「ギゴ…」

自衛「…あばよ」ブン

ゴキッ、ゴロゴロゴロ…

同僚「何もそこまで…」

自衛「感傷に浸るのは後だ!まだ来るぞ!」

ゴブリンC〜K「キィィキィィィ!!」

偵察「おわーッ!どんだけ沸いて出てくんだよ!?」

自衛「掃射しろ!同僚、奴らに向って突っ込め!」

同僚「またか!?くそ!」

ブォォォォ!

偵察「くらえオラァァァァ!」

ドドドドドドドド!

ゴブリンF〜I「ギュキィ!?」

自衛「そーれ、贈り物だ!」キンッ

ヒュッ___ボッガァァァァン!

ゴブリンC〜K「ギャギュィーーー!!!」

キィィ!ブォォ…

自衛「処理完了だ。」

偵察「嫌になるぜまったく…」

同僚「はやいとこ通り抜けよう…」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/12(火) 09:31:53.24 ID:oAYzwOGQo
な、何が起こっているんだ……
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/12(火) 09:32:54.62 ID:L8dKpjj4o
火薬と弾丸はドワーフが居れば略 とか思っちゃう
ただ銃自体が壊れると…
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/12(火) 10:18:14.69 ID:117Suk0SO
おっとそれ以上の予想はやめておこうか
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/12(火) 10:24:15.38 ID:L8dKpjj4o
そうだなすまない…
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/12(火) 13:29:37.83 ID:oRTMUr2+0
ゴブリンC「ギュ…ギュギィ!」ダッ

同僚「あ、一体逃げる!」

偵察「なんつー生命力だ、クソッ!」ジャッ

ヒュッ

ゴブリンC「ギュ…!」バタッ

偵察「なんだ?俺まだ撃ってないぞ?」

自衛「勝手に倒れやがった。」

同僚「何かが飛んできたように見えたが…」

?「何者だ、あんた達?」

同僚「!?」

ダッ

偵察「おわっ、民家の上から!」

自衛「高い所好きだな、ここの連中…」

?「上から見させてもらってたが、ずいぶん奇特な魔法を使うんだな、
  それになんだいその勝手に動き回る荷車は?」

偵察「魔法じゃねぇんだがな・・・」

同僚「あの、すまないが君は?」

?「失礼、俺は猟師、旅の者だ。あんたらこの街に何のようだ?」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/12(火) 13:31:45.73 ID:oRTMUr2+0
自衛「ああ、この街で物資の調達ができないかと思ってな。」

猟師「じゃあ、あんたらも旅人か?」

自衛「そんな所だな。」

猟師「その割には色々と奇妙な気がするが、まあいいか。」

同僚「なあ、この街でいったい何があったんだ?」

猟師「この街は山賊の襲撃にあったのさ…」

同僚「山賊の襲撃!?」

猟師「昨晩のことだ、街が寝静まった頃合を見計らって、
   襲撃を仕掛けてきたんだ。」

自衛「そういうことか…あのゴブリンも山賊の仲間なのか?」

猟師「ああ、正確には山賊共が利用してっるて感じだがな。
   どうにも、山に潜んでたゴブリンの縄張りの長が死んだらしい。
   それで、分裂したゴブリンの一部が山賊に協力してるみたいだ。」

偵察「…なあ、昨日陣地を襲ったゴブリンって…」

自衛「分裂した奴等の一部だろうな。」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/12(火) 13:39:45.59 ID:oRTMUr2+0
猟師「ともかくそんな状況だ、この街で物資の調達はあきらめて、
   ここを離れたほうがいいぜ。」

自衛「…待て、あんたは昨晩からずっとこの街にいるのか?」

猟師「正確には二日前からだ。俺はこの街とはいろいろあってな、
   黙って出て行くわけにはいかねぇんだ。」

同僚「いろいろって…?」

猟師「話が長くなったな…とにかくあんたらはとっとと帰れよ。」バッ

同僚「あ、おい!…行っちまった…」

偵察「見ろよ、屋根伝いに…すげぇ身体能力だ。」

同僚「どうする、自衛?」

自衛「このまま帰るわけにはいかねぇだろ、もう少し調べるぞ。」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/12(火) 17:21:01.19 ID:oRTMUr2+0
街の中心部

同僚「……酷いな」

偵察「死体がそこらじゅうに…煙と混ざって酷い臭いだ…」

自衛「死体はなるべく轢くな…」

偵察「さっきの奴は山賊が襲ってきたって言ったけどよ、
   山賊どころが生きてる人間は見当たらないぜ…」

同僚「もう、略奪しつくして引き上げたとか。」

自衛「かもしれないが…あ、同僚、そこ右に曲がれ。」

同僚「はいよ。」

バッ

少年「う、うわッ!」

同僚「どわッ!?」

キキィ!

同僚「あっぶな!…え、子供?」

自衛「あだだ…お、おい坊主、急に飛び出してくるんじゃねぇよ…」

少年「あ、あ…」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/12(火) 17:23:25.09 ID:oRTMUr2+0
自衛「いや、そんなビビらんでも…」

偵察「待てよ、向こうからなんか来るぜ…」

山賊A「待ちやがれ小僧!」

山賊B「逃がすな!」

同僚「あれは…!」

偵察「たぶん見たまんまだぜ!」

少年「き、来た、うわ…!」

自衛「坊主、乗れ!」ガシッ

少年「え?わぁ!?」ブンッ

山賊A「おいなんだ、あいつら?」

山賊B「妙なナリだぜ…まあいい、おい!そのガキ渡せやぁ!」

少年「ひっ、く、来る!」

偵察「隠れてろ、失せろだらぁぁぁ!」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/12(火) 17:23:59.39 ID:oRTMUr2+0
ダダダダダ!

山賊A「ゲッ!?」

山賊B「ガァ!」

少年「あ…え…?」

バタバタ

山賊C「おい、ガキはどうし…なんだこりゃ!?」

山賊D「見ろ、なんだあれ!?」

自衛「同僚、発進させろ!」

ギュィィ、バォォォォ!

山賊C「うわ!?なんだ向ってくるぞ!」

ドドドドド!

山賊C「ぎゃ!?」

山賊D「ぐぁ!?」

自衛「そのまま走り抜けろ!」

ブォォォォ!
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/12(火) 17:40:54.67 ID:TAvDF0abo
今更ながら専守防衛ェ……
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/12(火) 19:03:05.55 ID:/mHwADbz0
こまけえこたぁいいんだよ!

マジレスするとそんなもん律儀に守るのは死亡フラグだ
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/12(火) 20:11:10.82 ID:fRB2RiGlo
全部擬音ばっかで何をしてるのか分かり辛い
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/12(火) 21:01:39.35 ID:AF1a1VCmo
だらあって山陰の方言ですかね
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/06/12(火) 21:27:25.05 ID:OWO7C+szo
地の文というやつか。取り入れると一気に大人びるというあの。
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/12(火) 22:40:00.40 ID:oRTMUr2+0
表現方法を工夫しないといかんな
ちなみに一番最初の一発目は、僧侶から先に攻撃されてるよ

少年「………」

自衛「坊主、大丈夫か?」

少年「!…は、はい…」

同僚「心配するな、君の敵じゃない。君はこの街の住人か?」

少年「はい…あ、あの!助けてください、お、お兄さんが!」

自衛「お兄さん?君の兄貴か?」

少年「い、いえ!僕を山賊から逃がしてくれた猟師のお兄さんがいるんです!
   でも、お、お兄さんが山賊に囲まれて!」

偵察「おい、それってもしかしてさっきの…」

自衛「それはどのあたりだ?」

少年「市役所、あの大きな建物の近くです!」

自衛「…あれか、同僚、飛ばせ!」

同僚「了解!」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/12(火) 22:45:13.64 ID:oRTMUr2+0
市役所付近

猟師「ぜぇ…ぜぇ…!」

山賊リーダー「なんて奴だ、ひとりで十人も伸してくれやがって…
       だが、そろそろ限界みたいだな、傷も痛ぇだろ?」

猟師「くそッ!」

山賊リーダー「あのガキも捕まってる頃だろう、いい加減終わりに
       させてもらうぜ。」

山賊E「へへ、たっぷりいたぶってやる。」

猟師「ッ!」

山賊F「り、リーダー!」

山賊リーダー「どうした?」

山賊F「向こうからなんか来ますぜ!」

山賊リーダー「何だと?」

ブォォォォォォォ!

山賊リーダー「なんだありゃ…?」

猟師「あれは…!」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/12(火) 22:46:23.76 ID:oRTMUr2+0
自衛「猟師!頭下げろ!」

猟師「!」(その場にしゃがむ)

ドドドドドドドド!(MINIMIの射撃音)

山賊G「ぎゃぁぁ!?」

山賊H「ガハァ!」

山賊I「うぎゃっ!」

山賊リーダー「なんだぁ!?何が起こった!?」

キキキキキィ!(急ブレーキで停車する)

自衛「どけや、オラ!」

ダダダダダ!(小銃の発砲音)

山賊J「ぐぁ!」

山賊K「がああ!」

猟師「すごいな…」

ごちゃごちゃするな…
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/12(火) 22:47:42.74 ID:xIK5yAzSo
地の文を使うんだ!
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/06/13(水) 06:52:48.33 ID:UuCXPvvmo
そうだ!地の文を使え!

瞬間、耳をつんざく大音量とともに、辺り一面土埃が舞い上がった。
よく聞くとその中に、山賊たちの悲鳴が紛れ込んでいた。

的な!
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/06/13(水) 07:38:32.45 ID:j+fO3wyAO
あと本編投下するときはageてもいいのよ
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/13(水) 08:06:18.76 ID:9XdkuGY60
地の文かー、最低限の状況説明でもいいだろうか?
>>97 そういうものなのね、把握


自衛「おい、猟師!無事か!?」

猟師「あ、ああ、なんとかな…」

自衛「乗れ、ここを離れるぞ!」

山賊E「り、リーダー…なんなんすかあいつら!」

山賊リーダー「知るか!くっそ、逃がすと思ってんのかよ!」

ピィィィィィィィィ!(笛の音)

偵察「何してんだアイツ?」

同僚「あ、おい!道の先を見ろ!」

ドカドカドカ!
山賊の集団が音を立て迫ってくる

山賊L「こっちだ!」

山賊M「急げ!」

偵察「げ、増えやがったぞ!」

猟師「おい、屋根を見ろ!」

ゴブリンD「キィ!」

ゴブリンE「キキィ!」

猟師「ゴブリンの群れだ!」

偵察「なんつー数だ、やばいぞ!」

自衛「突破するしかねぇ!同僚、出せ!」

同僚「クソッ!」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga]:2012/06/13(水) 08:12:04.61 ID:9XdkuGY60
FV車長『(無線)ザザザ…自衛、聞こえるか?こちらFV、今どの辺りにいるんだ?』

自衛「FVか!?こっちは今、山賊の大群と交戦中!
   そっちこそどこにいるんだ!?」

少年「!?」

猟師「な、なんだ突然?」

FV車長『山賊だって?こっちは市街地を進んでる、すぐ近くに
     左右対称の大きな建物が見えるな。』

自衛「それだ!俺達はその建物のすぐ真下だ!」

FV車長『何、こっちも近くにいるぞ。えーと…ああわかった待ってろ、
    そっちに向う、何すぐだ。』

山賊リーダー「なんだあいつ?一人で意味わかんねぇことを…
       かまわねぇ、殺せ!」

山賊E「リーダー…な、なんか妙な音が…!」

山賊リーダー「何?」


ageるのは一定の間隔でもいいかな?
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/13(水) 08:13:00.13 ID:H2A2tPTZo
1レス目だけでいいんじゃね
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/06/13(水) 08:59:57.31 ID:S+5sy7vAO
台本が簡単だと思ってる人が多いけどそれは大間違い
普通の小説なら地の文数行で済む状況説明も台詞で表現しなきゃならなくなるから難易度は大差ない、むしろ難しいくらい
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/13(水) 09:07:58.60 ID:7hXGw3Uro
ヒント:個人差
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga]:2012/06/13(水) 09:24:30.65 ID:9XdkuGY60
書きながら色々試してみます

ミシミシミシミシ…

猟師「なんの音だ…?」

ゴアッシャァァァァァン!!!

山賊リーダー「おわぁぁぁぁぁぁ!!!?」

少年「ひっ!?」

猟師「!?」

民家が盛大に崩れて、FVが現れる

山賊E「ば、化け物だー!!」

FV車長『大当たりだ!自衛、発砲するから下がれ!』

自衛「同僚、後退しろ!」

急速後進で後退するジープ

偵察「どっから出てくるんだよ、あいつは!」

同僚「民家を破壊して、突っ込んでくるなんて…」

ボウボウボウボウ!!!

FVが山賊に向けて機関砲を撃つ

山賊リーダー「ぎゃぁぁぁぁ!?」

山賊E「ぎゃばぁ!?」

山賊F「ぎぇふっ!」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/13(水) 16:47:08.64 ID:9XdkuGY60
少年「うぁ…あ…!」

猟師「一体なんだ、あの化け物は!?」

自衛「落ち着け、あれは俺達の仲間だ!」

猟師「仲間…?あれが?」

FV砲手「左から十数名が接近中。」

FV車長「砲塔旋回、捉えたら発砲しろ。」

FV砲手「了解。」

ウィィィィ…(砲塔旋回音)

FV車長「発砲!」

ボウボウボウボウボウ!!!

山賊L「ぎゃぁぁ!」

山賊M「ぎゃはぁぁ!?」

山賊十数人がはじけ飛ぶ

FV砲手「着弾を確認。」

FV車長「同軸機銃で制圧射撃、操縦手、車体を旋回させろ。
    隊員を降車させる。」

FV操縦手「了解。」

キュラララララ…

車体が旋回し、後部扉が開く

隊員B「降車戦闘だ、ゴブリンを撃退する!」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/13(水) 16:51:34.79 ID:pILu8cc9o
アニメ化まだぁ?
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/13(水) 16:51:41.65 ID:9XdkuGY60
衛生「建物の屋根だ!降りてくるぞ!」

衛生がゴブリンに向けて発砲

ゴブリンD「キィィ!?」グシャ

衛生「まだ来るぞ!」ダダダ

ゴブリンE「ギッ!」バシュ

降りてくるゴブリンを迎撃するも、数体が突っ込んでくる

ゴブリンF「キキィ!」

隊員B「まずい、接近してくる!」

隊員D「俺がやる!」

ボン!(散弾銃の発砲音)

ゴブリンF「ギェッ!?」

隊員D「次!」ボン

ゴブリンG「ギョァ!」

衛生「まだ、屋根の上にいるぞ!」

隊員B「吹っ飛ばします!」

隊員Bが市役所の屋根に向けて、てき弾を発射

ドシュッ…ズガァーーーン!

ゴブリンH「ギョァーー!」

ゴガッ!ドサドサ!

崩れた瓦礫とゴブリンの死体が降り注ぐ

隊員B「わっ!やばっ、危な!」

隊員D「あだっ!お前…もうちょっと考えて撃てよ!」
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/13(水) 16:56:45.33 ID:jt7mDFy6o
…はじけ飛ぶよなぁ、そりゃ撃たれたらww

FVは兵隊さんも輸送できるのか
と無知ですまん
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/13(水) 17:13:53.32 ID:9XdkuGY60
>>107

89式装甲戦闘車 でググるとFVさんがもっと好きになるよ!
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/13(水) 17:16:00.93 ID:jt7mDFy6o
>>108
かっこいい!!って戦車みたいな見た目で乗員10名…だと…?
スレぶったぎってすまねぇ
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/13(水) 18:05:13.96 ID:9XdkuGY60
猟師「…なんて奴らだ」

偵察「南から山賊がくるぞ!」

ダダダダダダダダ!(偵察がMINIMIを撃つ)

山賊N「ぎゃぁ!」

山賊O「がっ!」

衛生「手榴弾行くぞ!」キン

ヒュンッ…ドッガァーーーーン!!!

山賊集団「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

手榴弾の爆発で山賊の集団は沈黙した

少年「………」

猟師「………」

自衛「…周辺に敵影なし…状況終了!」

隊員B「士長!大丈夫ですか!?」

自衛「おかげさまでな、助かったぜ。」

猟師「…あんたら…本当に何者なんだ…」

自衛「話すと長くなるが…その前に、この街の生存者は他にいないのか?」

猟師「生き残った住民は北側の避難所に非難させてある…」

自衛「よし、先にそこに向おう。衛生、こいつの怪我をみてやってくれ。」
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga]:2012/06/13(水) 18:12:49.61 ID:9XdkuGY60
避難所


住人「市長!何か妙な物がこっちに向ってきます!」

市長「妙なもの…な、なんだあれは…!」

ギュララララララララ…

住人「山賊共の用意した怪物でしょうか!?」

市長「なんということだ…応戦だ!女子供を隠せ!」

住人「あ、市長!待ってください!」

猟師「おーい!市長さん、俺だ、猟師だ!」

市長「あれは…猟師さん、それに少年も!」

猟師「心配しないでくれ!山賊共は撃退した!もう大丈夫だ!」

ガララララ!(バリケードの開く音)

少年「市長さん!」

市長「少年!よかった無事だったか!飛び出していったときは心配したぞ…」

少年「すみません…でも…」

市長「わかってる、ともかく無事でよかった…」

猟師「市長さん、そちらは大丈夫でしたか?」

市長「おお、猟師さん我々のほうは大丈夫です、あなたも無事でよかった。」

猟師「ありがとうございます。」

市長「ところで…彼らは?それにあの怪物は一体…」

猟師「正直、私にもさっぱり…しかし、彼らがいなければ私も危なかった。
   山賊を撃退してくれたのも彼らなんです。」

市長「なんと…」

自衛「どうも、あなたがこの街の代表者か?」

市長「はい、この街を治めています、市長と申します。あなた方は…?」

自衛「失礼、陸上自衛隊、自衛陸士長です。」

市長「…は?…りくじょう…?」

自衛「いえ、自衛で結構です…」

同僚「もう、自衛隊は言わなくてもよくないか?」

自衛「一応な。」
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/13(水) 20:53:21.23 ID:9XdkuGY60
避難所内民家


市長「…そうですか、物資の調達が目的で。」

自衛「ええ、ですがこんな事態になっているとは。」

市長「申し訳ございません、せっかく足を運んでくださったのに…
   今回のことは全て私の責任です…」

猟師「何を言うんです!奴らが襲撃してこなければ、こんなことにはならなかった!
   市長さん、あなたのせいじゃない!」

市長「山賊の噂は前々から耳にしていました、もっとはやくに
   対策に乗り出すべきだった…」

自衛「…ちょっといいですか、あの山賊の集団はいったいどこから?」

市長「おそらく、南東の山の頂上にある村からでしょう…」

自衛「山って…こっから見えてるあれか!?」

同僚「街から3kmくらいしかない…目と鼻の先だぞ…」

市長「いえ、もともと山頂の村はこの街のものでして、
   山に入る猟師たちの拠点として使っていたんです。」

同僚「それがなんでまた?」

猟師「あの山賊は元々、隣国の“月詠湖の王国”から流れてきた連中だ。
   こっちに来る途中でゴブリン達を吸収して戦力を増強、
   拠点としてあの村を奪ったんだ。」
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/13(水) 20:56:40.24 ID:9XdkuGY60
市長「一昨日、村からの定期連絡がこなかった時点で、気がつくべきでした…」

自衛「つーことは、その村にはまだ山賊がいるわけか。」

市長「おそらく…」

猟師「村を襲ってきたのは全体の三割くらいだろう…」

偵察「げ、そんなにいるのかよ…」

市長「さらに悪いことに、住民のうち何人かが奴らに
   連れて行かれてしまったんです…」

偵察「最悪だな…」

同僚「どこかに…たとえば国とかに救援を求められないんですか?」

市長「もちろん、襲撃と同時に伝令を出しました、しかし一番近い騎士隊のいる街まで、
   馬をとばして丸一日かかります…往復の時間を考えると…」

同僚「八方塞がりか…」

市長「悪いことはいいません、なるべく早くこの街を離れたほうがよろしいかと…」

自衛「………」
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga]:2012/06/13(水) 20:59:02.53 ID:9XdkuGY60
避難所


自衛「…以上が我々が今いる街のだいたいの状況です。」

一曹『なんてこった…』

自衛「この世界は、我々が予想しているよりも遥かに物騒な世界のようです。」

一曹『だな…それで、お前はどう見る?
   正直、俺は荒事は極力避けたいと思っているが…』

自衛「自分も同意見ですが、救援が来るには時間がかかりすぎます。
   究極この街を見捨てたとして、その後奴らが我々の元に流れてくるのは明らかでしょう、
   早いか遅いかの違いです。」

一曹『仕掛けるしかないか…わかった、増援をそっちに向わせる。
   それまで待機しろ。』

自衛「了解、交信終了。」

ザザー

自衛「そういうわけだ。」

偵察「だろうとは思ったよ。」

同僚「増援がくるのに一時間と少しか…」

FV車長「その間に飯でも食うか。」

同僚「ご自由に…」
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2012/06/13(水) 22:15:58.69 ID:yywypg8ro
果たして演習で携帯する分と補給部隊一隊の積載量で
どれくらいの弾薬と燃料があるのかね

軍事は詳しくないもんで……
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/14(木) 00:28:12.09 ID:bnuRNfxRo
真面目に考えたらもう弾がなくて戦闘はできないだろうな

117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/14(木) 00:32:52.42 ID:rrLrO4+lo
バカスカ撃ち過ぎだしな
簡単に発砲許可出し過ぎだし
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/14(木) 00:42:47.51 ID:/55sBmkro
だが専守防衛にこだわるのは元ネタ的に考えて死亡フラグだからな
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/06/14(木) 00:44:36.26 ID:eYeFcq8mo
面白いなこれ
装備類尽きかけてからにすごく期待
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/14(木) 00:56:27.45 ID:7t+YHwWvo
その点ゲートでは補給がしやすい設定にしてたな
挙げ句の果てには戦闘機まで持ち出してきてたからな
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/14(木) 01:57:38.71 ID:KJwNJu0DO
だが近接もいけると思うから剣とか斧装備したら戦士にジョブチェンジ出来るはず
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/14(木) 02:41:13.81 ID:quJ+xjFeo
千恵と句風で河馬〜。 トラップを何処まで工夫、工作できるか?

空城の計 もイイな
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/14(木) 03:38:19.38 ID:08jH2X/ko
近代的な戦術も使いようよっては強力な武器になるよな
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/14(木) 08:04:44.70 ID:1s1F4Q7No
演習中に飛ばされた設定なら、まだ弾も燃料もある筈
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/14(木) 11:11:37.74 ID:cf25dmuc0
補足すると、このお話の自衛隊は
現実よりも少し未来(2015年以降くらい?)から飛ばされてきた
という設定があったりなかったり


猟師「………」ウロウロ

自衛「どうした猟師、探し物か?」

猟師「ああ、物っていうか人なんだが…この街に一緒に来た連れがいるんだ。」

自衛「そうか…ん?」

少年「………」ググ

自衛「どうした坊主、山のほう睨みつけて?」

少年「…少女が…少女があいつらに…」

同僚「少女?」

猟師「その子の友達さ。市長の娘で、襲撃の時に山賊共にさらわれたんだ。
   市長もつらいだろうに…」

同僚「そんな…」

偵察「じゃあ、あいつが街の中をうろついてたのは。」

猟師「その子を取り返そうと、飛び出してきたんだろうな…」

自衛「………」

?「少年!」

少年「!…母さん…」

母「よかった!…もう、心配かけて…!」

少年「母さん、僕…何もできなかった…少女が…!」

母「大丈夫、大丈夫よ…ほら、少し休んでいなさい。」

少年「うん…」コツコツ
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/14(木) 11:14:58.47 ID:cf25dmuc0
母「…あの!猟師さん、大事なお話が!」

猟師「はい、何か?」

母「剣士さんが!剣士さんが少女ちゃんを助けに山賊たちの所に!」

猟師「な…なんですって!?」

母「私が、私が剣士さんに話さなければ…!」

猟師「落ち着いて!どういうことです!?」

母「私が少女ちゃんがさらわれてしまったことを、剣士さんに相談したんです…
  そしたら剣士さん、山賊のアジトに乗り込んで助けてくる、って!」

猟師「な、無茶だ!あいつなんてことを…!」

自衛「剣士って、お前さんの連れか?」

猟師「ああそうだ、正直俺よりもかなり強い奴だが…それでも…
   剣士は一人で行ったんですか!」

母「いえ、何人か同行を名乗り出る人達がいて、その人達と一緒に…」

偵察「だとしても無謀だぜ、やつらは十人や二十人じゃねぇんだぞ。」

母「ごめんなさい、わたしのせいで…」

猟師「なんてこった…くそっ!」バッ

自衛「あ、おい!」

偵察「まーた、行っちまった…」

衛生「どうします?なんか、放って置くわけにはいかない雰囲気ですけど。」

自衛「代弁してくれてありがとうよ…三曹、移動準備をしてください!」

FV車長「何!?またなんかあったのか?」モグモグ

自衛「早急に山頂を制圧しなければならなくなりました、
   とりあえず麓まで移動します。」
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/14(木) 11:31:40.86 ID:cf25dmuc0
ダッダッダッ!

猟師「くそっ!剣士の奴なんて無茶を!お前に何かあったら
   あいつに顔向けできないだろ…!」


数十分後 山の麓


自衛「彼らの手前言わなかったが、正直どうかしてるぜ…」

同僚「何が?」

自衛「色々さ、街の住人もあの猟師や乗り込んでいった剣士も、
   こんな物騒な世界なのに、どうにも危機管理能力に欠ける…」

偵察「それでいて結構無茶をするよな。」

同僚「まぁ、私達の常識はここでは当てにならないし…
   それに、人ってそんなもんじゃないか?」

自衛「こんな大惨事が起こってんだ、その一言じゃ片付けられないぜ。」

120車長『ザザ…偵察分隊、聞こえるか?こちら自走120、展開を完了した。
     目標の村を射程に捉えてる、いつでも砲撃できるぞ。』

自衛「了解、合図があるまで待機願います。」

隊員E『偵察分隊へ、こちら第一小隊。まもなく山の麓に到着する。』

自衛「了解、状況が切迫しているため、当分隊は先行して攻撃を開始します。」

隊員E『了解、健闘を祈る、交信終了。』

自衛「よし、状況開始。発進しろ。」

ブォォォォォ…
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/14(木) 11:32:16.57 ID:A3gnxjx5o
ちょい未来か!これは萌える
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/14(木) 16:59:47.00 ID:cf25dmuc0
山頂の村

山賊見張りA「へへ、今日はまったくもって大収穫だったな、
       笑いが止まらねぇぜ。」

山賊見張りB「それによ、さっき乗り込んできた連中の中に
       上玉がいたよな。」

山賊見張りA「ああ、やたら強くてびびったが、捕まえたガキを餌にしたら
       あっさり降伏しやがったしな。」

山賊見張りB「へへへ、今夜が楽しみだ、ぐぇ!?」ブシュッ

山賊見張りA「な!?おいどうし、ぎゃっ!?」バシュッ

山賊二人は血を噴出しながら倒れた

猟師「…この下衆共が…捕まってる人達を探さないと…!」

猟師は物陰に隠れながら村内を探す

猟師「!」

山賊見張りC「くっそ面倒臭ぇなあ、捕まえた連中に飯やりなんてよ…」

猟師「…あの小屋か…」

山賊見張りC「どうせ男はいらねぇし、女は上等なの以外売っちまうんだしよぉ…
       面ど…むぐ!?が!?」バシュッ

猟師「…よし、死体を隠さないと…」
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/14(木) 17:05:47.05 ID:cf25dmuc0
小屋の中

住民A「…畜生、俺達どうなるんだ…」

住民B「もしかして、みんな殺されちゃうのかな…」

住民C「やめてよ!そんなこと…」

住人D「くそ、意気込んで乗り込んで来たのにこのざまとは…」

雷跡の剣士「………」ジャラ

少女「…おねぇちゃん…」ギュ

雷跡の剣士「おいで、大丈夫だ…くそ、この手枷さえなければ…」

ガチャガチャ…

雷跡の剣士「!?」

ガチャン

住人C「ひっ!?」

住民B「な、何だ!?」

猟師「みんな静かに…大丈夫だ、助けに来た。」

雷跡の剣士「猟師…!?来てくれたのか…!」

猟師「剣士か!?まったく、お前なんて無茶を…!」
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/14(木) 17:09:04.21 ID:cf25dmuc0
雷跡の剣士「すまない…どうしてもじっとしていられなかったんだ…」

猟師「…まあいい、今はここから…」

雷跡の剣士「!、猟師、後ろ!」

猟師「!?」

村の山賊A「オラァ!」

猟師の頭に斧が振り下ろされようとする

猟師「クソッ!」

ドッ

村の山賊A「ゲッ!」

猟師はとっさに山賊の腹に蹴りを叩き込み、
山賊と距離をとった

村の山賊B「いたぞ、侵入者だ!」

村の山賊C「野郎、ぶっ殺せ!」

猟師「囲まれたか!」

村の山賊B「死ねやぁ!」

猟師「せっ、はぁ!」ドスッ

村の山賊B「ぐはっ!?」ブシュ

村の山賊C「この野郎!」

猟師「だっ!」

村の山賊C「ぎゃ!」ザシュ
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/14(木) 19:42:43.06 ID:rGonDjIIO
普通科じゃねーからわからんが普通の演習じゃ実弾なんて持たないと思うぞ
やって空砲じゃねーの?
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/14(木) 20:17:52.29 ID:KJwNJu0DO
憲法や法が改正されたんじゃない?
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/14(木) 20:19:33.96 ID:t1EHPfoGo
未来の話って書いてあるし 現在と差異があっても不思議じゃない
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/14(木) 22:54:44.94 ID:bnuRNfxRo
第七師団のやつらかな
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/14(木) 23:27:05.89 ID:UYIIYcZmo
漁師強いな
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/14(木) 23:37:24.30 ID:3Ftz9ydko
熊相手にする奴は違うな
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/14(木) 23:39:59.38 ID:cf25dmuc0
ザッツライト
彼らがいた日本とその周辺は、かなりきな臭いことになってます
そのへんの設定は本編とは別に説明したいと思ってます


村の山賊D「くっそ強ぇぞ!」

村の山賊E「調子に乗るな!」

猟師「ッ!?」

雷跡の剣士「猟師!」

ドカッ

村の山賊E「ぎゃぁ!」

猟師「剣士!」

剣士はとび蹴りで猟師に襲い掛かった山賊を倒した

剣士「危なかった…」

猟師「すまない剣士、助かった!」

村の山賊D「この女!手枷をしてあるのに!?」

村の山賊F「やべぇぞこいつら!」

猟師「このまま皆を連れて脱出できるか…」

?「おいおい、景気のいい夜だってのに、さっきから面倒が多くねぇかぁ?」

猟師「!」
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/14(木) 23:44:23.91 ID:cf25dmuc0
村の山賊D「お、お頭!」

村の山賊F「お頭!」

山賊たちが道を空けると、奥から大男が現れた

山賊頭「なんだなんだぁ、さっきの女と…そっちの野郎はなんだ?
    まあいい、ずいぶんと派手なことになってるじゃねぇか。」

村の山賊D「しかし、お頭…こいつらなんかやたら強くて…」

山賊頭「まったく、情けねぇ手下共だぜ…俺が相手をしてやるよぉ」

猟師「ッ…クソッ!」ダッ

猟師が山賊頭に飛び掛る

ガキィ!

猟師「な!?」

しかし猟師の短剣は山賊頭の斧で止められた

ガシッ

猟師「がっ!?」

そして山賊頭は片手で猟師の首を掴み、締め上げる

猟師「ぐが…くそ…」

山賊頭「なんだ、大したことねーなー。おら、そっちの女も捕まえろ!」

剣士「猟師!く、やめろ放せ!

山賊G「へへへ、さっすがお頭だぜ。」

山賊頭「さーてと、なめた真似をしてくれたなぁ、
    さっきの乗り込んできた連中のこともある。
    こいつには見せしめになってもらうとしようかぁ?」

猟師「ぐぁぁ…」

剣士「やめろ、猟師ぃ!!」
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/06/15(金) 00:25:35.28 ID:WZgwFkLQo
>>125
実は未来とか隠し設定(?)は>>1のレスよりSS内で明かされてほしいな
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/15(金) 00:37:13.45 ID:R9a4KRF60
>>140
申し訳ないけどちょっとそれは厳しい
設定はあくまで
異世界で自衛隊員たちを活動させるための
補足みたいなもんだから

142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/06/15(金) 00:41:40.74 ID:WZgwFkLQo
それはちょっと残念だな。
そういう設定がチラりと見える伏線でもあると嬉しかったんだが、無理そうならすまんかった
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/06/15(金) 00:42:46.80 ID:WZgwFkLQo
けど続きは楽しみにしてる!すごく面白いしなww
連投失礼
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/15(金) 00:47:32.25 ID:R9a4KRF60
>>143
ありがてぇ ありがてぇ


村の見張り櫓

山賊見張りD「おい見ろよ、お頭がネズミを締め上げてるぜ。」

山賊見張りE「さすがお頭、まったく連中も馬鹿だよな。無駄に逆らわなければ
       苦しむこともねぇのによぉ。」

山賊見張りD「まったくだぜ、がはは…おい、なんか聞こえねぇか?」

山賊見張りE「ん?そういえば…」

ブォォォォン!

山賊見張りD「な、なんだ!?」

山賊見張りE「今なんか通り過ぎたよな!?」

山賊見張りD「け、警笛を…」

ドゴォ!

山賊見張りD「うわぁ!なんだ今度は!?」

山賊見張りE「や、櫓に何かがぶつかった!た、倒れるぞ!」

山賊見張りD・E「わぁーーーーー!?」

ドォォォォン!!

山賊見張りD「…ぺっ、い、一体何が…ひっ!?」

山賊の目に、唸りながら自分に向って進んでくるFVが映った

山賊見張りD「ばけも…!た、助け!」

ギュラララララ

山賊見張りD「ギャァァァァァ!!!」

ゴキッ プチッ
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/15(金) 04:09:03.87 ID:IhHTM1eIO
糞中国とか糞韓国とか糞北朝鮮が暴れ始めた時間軸だな
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/06/15(金) 05:14:21.66 ID:IeHdAikno


無線交信とかの自衛隊側の内容が聞いたことない用語ばかりで、これからも楽しみ
FVとかはじめて知った
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/15(金) 09:34:12.11 ID:tF6BJFS1o
確かに用語はわからないのもあるけど

でもそれを踏まえても楽しいよ。
知らない用語は聞くかもしれないけどでも楽しいぜ>>1続き楽しみにしてるので
はよ!
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/15(金) 12:59:40.87 ID:R9a4KRF60
あ、ごめん
無線内容に関しては調べてもわからなかったから
全部それっぽくごまかしてるだけ
思いっきり間違ってると思うから、決してこれが本物だと信じないで下さい
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/15(金) 13:05:12.43 ID:4QVOkPeDo
89式装甲戦闘車はまあ装甲車とか軽戦車とかにカテゴライズされる車両だな
愛称はライトタイガー、部隊じゃ専らFVと呼ばれてる
導入数が少なくて富士教導隊と北海道の第七師団にしかいない、ハズ。
詳しくはググってね。写真もあるよ。
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/15(金) 13:12:26.08 ID:R9a4KRF60
『カランタン攻略』は当時の私にはトラウマでした


山賊頭「な、なんの音だ!?」

音に反応した山賊頭は、猟師を放した

ドサッ

猟師「ゲホッゲホッ!」

村の山賊D「お、お頭、なんか変なモンがこっちに!」

山賊頭「ああ!?」

猟師「あ、あれは…」ゴホ

ダーン!

村の山賊D「ぎゃ!?」ブシュ

山賊頭「うぉぉ!?なんだぁ!?」

自衛「よーし、当たった。」

偵察「猟師達が近くにいるぜ。くそが、これじゃ掃射できねぇな。」

山賊頭「なんなんだぁ、畜生!お前らかかれぇ!」

村の山賊F「へ、へい!」
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/15(金) 23:25:51.85 ID:nSAEsHOJo
ゴッドハンマーマダー?
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/16(土) 02:42:43.08 ID:ykyHKUMQ0
>>151 
もうしばらく待ってね


山賊達「「「うおぉーーーっ!!!」」」

一斉に向ってくる山賊達

偵察「お、こいつはいい!自分達から離れてくれたぜ!」

自衛「いい的だ、やっちまえ!」

ドドドドドドドド!

山賊達「ぎゃぁぁ!?」「うぎゃっ!」「痛ぇ!」

機銃の掃射により山賊達は次々と倒れていく

同僚「左からも来るぞ!」

山賊達B「「「おがぁぁぁ!」」」

自衛「てき弾を使う!」

バシュッ…ドガァーーーーン!!!

山賊達B「「「うぎゃぁぁぁぁぁ!」」」

てき弾の爆発で山賊達はまとめて吹き飛んだ

山賊頭「なんだこのふざけた野郎共は…おい、魔道士!いるか!?」

土の魔道士「およびですか?」シュタッ

山賊頭「やつらをなんとかしろ!お前ならできるだろぉ!?」

土の魔道士「おまかせを。」
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/16(土) 02:50:44.89 ID:ykyHKUMQ0
同僚「正面!」

自衛「おい、キリがねぇぞ!」ダンダン

偵察「くっそ!再装填…んん?」

自衛「おいどうした!?」

偵察「はずれになんか妙な奴がいるぞ、ほらアレ!」

偵察は奥に見えるローブを被った男を示す

同僚「何だあいつ…他の連中と格好も違うし、何だあの構えは?」

自衛「…!同僚、発進させろ!」

同僚「え?」

自衛「早く!」

自衛は同僚の足の上からアクセルを踏みつけ、
ジープが急発進する

同僚「痛!おま、今日で二回めだ__」

ズォォォォォン!

同僚が言い終える前に、ジープの後ろから衝撃が来た
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/16(土) 02:51:45.11 ID:ykyHKUMQ0
同僚「!?」

偵察「なんだぁぁ!?」

振り返ると、2mはあろうかという岩の柱が地面に突き刺さっていた

同僚「一体何だこれ!?」

自衛「魔法だ!あのローブの男が魔法を使ったんだ!それ以外考えられねぇ!」

偵察「冗談じゃねぇぞ…おい、上!!!」

ジープの前方直上にまたしても岩の柱が現れる

自衛「ハンドル切れ!」

落下してくる岩の柱をジープは既の所でかわす

偵察「ふざけてやがる!」

同僚「どうするんだこれ!?」

自衛「知るか!とにかく止まるな!出てきた柱を見逃すな!」
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/16(土) 22:33:44.04 ID:ykyHKUMQ0
土の魔道士「ふふふ、せいぜい逃げ回りなさい。じっくりと追い込んであげますよ。」

ゴゴゴゴゴ…

土の魔道士「ん?何の音ですか?」

グワッシャーーーーン!

土の魔道士「な!?」

FVが体当たりで小屋を破壊して、魔道士の前に現れる

土の魔道士「な、なんですかこいつは!?」

FV車長「なんだこりゃ?自衛、一体どうなってんだ!?」

自衛『FVか!?説明は後だ、ローブの男が見えるか?そいつを仕留めろ!』

FV車長「ローブの男?あれか、わかった!」

土の魔道士「ええい、化け物め!私の魔法で仕留めてくれる!」

岩の柱がFVの直上に現れFV目掛けて落下、直撃する

ゴゥーーーーン!

しかし、岩の柱は鈍い音を立てると、そのまま砕け散った
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/16(土) 22:34:42.45 ID:ykyHKUMQ0
FV車長「うぉぉ!?なんだこの衝撃は!?」

衛生「何事です!?今の衝撃は!?」

FV車長「わからん!」

土の魔道士「なんだと…!馬鹿な、ええいもう一度!」

再び岩の柱が直撃するも、柱はまたも砕け散った

土の魔道士「そんな!?」

FV車長「うぉぉ…なんとなくわかったぞ!砲手、損害は!?」

FV砲手「大丈夫です、35mm砲に異常無し、システムも正常です!」

FV車長「よーし、発砲しろ!」

ボウボウボウボウ!!!

土の魔道士「馬鹿な…ギャァァァァァ!?」

砲撃を受け、土の魔道士の体はちぎれ飛んだ
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/16(土) 23:04:26.32 ID:lWsFN+62o
35mmを対人使用とはまたエグいな
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/17(日) 01:26:18.82 ID:2pSJNtn1o
つーか勿体ないよな
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/17(日) 01:27:36.63 ID:syoCOivuo
実際は悲鳴も上げる暇もないよな
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/17(日) 01:57:33.98 ID:EPeI/u88o
適当にCal.50でも撃てばとか思ったけどそういや89式には搭載されてなかったんだな
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/17(日) 02:03:29.36 ID:YsD33+mX0
っていうか、同軸機銃でいいよな


FVの後部ハッチが開き、隊員B達が降りてくる

隊員B「残りの奴らを掃討します!」

FV車長「はぁ…自衛、無事か?」

FV車長は車長用ハッチを開け、自衛たちに話しかける

自衛「なんとか…」

FV車長「とんでもねぇな…しかし、今の岩じゃなくて鉄の柱とかだったらやばかったぞ…」

自衛「こっちとしては岩でも十分脅威ですよ…」

猟師「あんたら…来てくれたのか…」

同僚「ここの山賊達は我々としても脅威だったし、放って置くわけにもいかないだろう?」

偵察「それよか無謀すぎんだろお前、人のこと言えねーぞ…」

猟師「すまない…」

雷跡の剣士「猟師…!どうなってるんだ!?この人達は一体…?」

猟師「俺も詳しいことは知らない…だが、今日だけで俺は二度も彼らに助けられた。
   命の恩人だよ…」

雷跡の剣士「そうか…」

衛生「士長、誰か怪我は?」

自衛「俺達は大丈夫だ、それより猟師達を頼む。」

衛生「了解。」
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/17(日) 17:13:03.33 ID:YsD33+mX0
グォォォォォォ…

自衛「お、第一小隊が来たな。」

音と共にジープとトラックが一両ずつ、村の中に走りこんできた

隊員E「第一小隊展開しろ、一分隊は建物の無力化、
    二分隊、周辺警戒。」

トラックから隊員が降車し、展開してゆく

隊員E「自衛陸士長、状況は?」

自衛「周辺の掃討は完了しましたが、まだ大勢の山賊が残っていると思われます。
   それと、向こうの小屋に捕まった街の住民が。保護と退避をお願いします。」

隊員E「わかった。」

隊員B「士長!山賊の内、数人が村の奥に逃げていきました!」

自衛「なにぃ?連中残ってる奴らと合流する気か…」

偵察「おい、そういやあのお頭とか呼ばれてた男もいないぜ!」

自衛「逃げやがったか、追いかけるぞ!
   二曹、我々は逃げた敵を追撃します。」

隊員E「わかった、隊員を一組つれていけ。指揮は君に任せる。」

自衛「了解、よし行くぞ!」
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/17(日) 17:14:28.01 ID:YsD33+mX0
バンッ

自衛「…ここにもいねぇか。」

自衛たちは村の家屋を一軒一軒クリアリングしていく。

偵察「こっちももぬけの殻だ。」

自衛「連中、けっこう奥まで逃げてったな…」

隊員D「もしかして、もう山を降りちまったんじゃねぇですかね?」

自衛「ありえない話じゃないが…ッ!隠れろ!」

バシュバシュバシュ!

瞬間、隊員達に向って弓矢が降り注いだ

隊員D「痛ってぇ!?」

同僚「危な!くそっ!」

偵察「弓矢か、どっから!?」

自衛「あそこだ!左前方、民家の屋根!」

隊員D「野郎…ッ!」
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/17(日) 17:16:27.64 ID:YsD33+mX0
隊員Dは腕に刺さった矢を引き抜く

「くたばりやがれ!」

ダダダダダ!

そして山賊達に向けて撃ち放った

山賊弓兵A「ぎゃぁ!」

山賊弓兵B「ぐはっ!」

隊員D「ざまぁみろ!」

偵察「隊員D、まだ来るぞ!身を隠せ!」

別の家屋の屋根にも弓兵が現れる
さらに正面からは十数名の山賊が迫る

自衛「隊員B、隊員D、弓兵に集中しろ!
   隊員Fは後ろを警戒、残りは正面に集中砲火だ!」

自衛の指示と同時に一斉射撃が始まる

支援A「蹴散らせ!」

ドドドドド!

村の山賊H「げっ!」

村の山賊I「ぎゃふ!」
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/18(月) 11:05:07.54 ID:HyI/AWT60
自衛「掃射は機銃に任せろ、小銃手はよく狙え!」

隊員B「右の家屋にも弓兵!」ダーン

山賊弓兵C「がっ!?」

隊員D「右奥!次々出てきやがる!」

同僚「正面の勢いが弱まったぞ!」

自衛「こっちも押さないとラチがあかん、前進するぞ!
   同僚、偵察、通信、俺と来い!他は支援しろ!」

支援射撃の中、自衛たちは次の遮蔽物へと前進する
隠れた瞬間再び弓矢が降り注いだ

偵察「危ね!寿命が縮まりそうだ!」

自衛「へたすりゃ、即効ゼロになるぞ!」

同僚「奥からさらに来る!」

二十名近い山賊が増援として現れる

村の山賊J「オラァ!」

ドスッ!

偵察「おわっ!?」

山賊が投てきした手斧が偵察の足元に突き刺さった
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/18(月) 11:06:35.99 ID:Sxko16V8o
来たわ!乙
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/18(月) 11:12:38.64 ID:HyI/AWT60
自衛「手斧だ!気をつけろ!」

偵察「やべぇ!当たれば痛ぇじゃ済まねぇぞ!」

山賊達は戦法を変え、手斧を投げては身を隠す

自衛「そりゃ、いつまでも馬鹿正直に突っ込んではこねぇか…」

同僚「どうする、このままじゃジリ貧だぞ!?」

自衛「待ってろ、てき弾で燻り出す。」

自衛は小銃にてき弾を装着すると、高い角度でそれを構えた

自衛「当たれよ!」バシュッ

高い角度で撃ち出されたてき弾は、やがて弧を描いて落下

物陰の奥に着弾する

村の山賊J「うぎゃぁ!」

村の山賊K「わぁぁ!」

爆発に燻り出された山賊が物陰から逃げ出す

偵察「逃がすか!」ダンダンダン

影から出てきた山賊を撃ち抜いていく
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/18(月) 11:14:49.48 ID:HyI/AWT60
村の山賊L「なんだよあいつら…に、逃げろぉ!」

同僚「見ろ、連中逃げ出して行くぞ!」

偵察「山に逃げ込む気か…」

自衛「逃がすかよ、通信!自走迫撃砲に連絡しろ、連中の退路を断つんだ!」

同僚「待て自衛!もう奴らに戦意はない、何もそこまで!」

自衛「今はな、だが逃がせばそのうち徒党を組み直す。」

同僚「でも…」

自衛「通信、山の裏側を焼き払う。迫撃砲に座標を送れ!」

通信「了解。ソブリンズ、こちらジャンカー2、砲撃支援を要請!
   目標座標___」
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/18(月) 16:09:40.52 ID:kpadI+UOo
もうマッピング済んでんのかスゲェ
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/18(月) 17:18:10.78 ID:HyI/AWT60
山頂から5km地点


120通信「__了解、ジャンカー2、これより砲撃支援を開始する。」

120砲手「座標設定終わりました。」

120車長「着弾予定地点は村から距離を離したか?普通科の連中がもらってきた地図は
     少し荒いからな。」

120砲手「大丈夫です、少なくとも普通科の連中の頭上には
     降り注がないでしょう。」

120車長「よーし、初弾装填しろ!」

120装填手「はっ!」

装填手が120mm砲弾を砲口から装填する

ボシュッ!

次の瞬間には初弾が砲口から飛び出した

120車長「弾着まで5秒…2、1…」

ゼロと同時に山の向こうで爆炎があがる

120砲弾「着弾確認!」

120通信「山頂の部隊より通信。着弾地点の修正要請。」

120車長「少し遠すぎたか…角度3度修正、次弾装填!」

120装填手「次弾装填!」

ボヒュッ!

発射音の数秒後、再び爆炎が上がる

120通信「再度、山頂の部隊より通信。着弾地点は正常、次弾要請。」

120車長「よし、次だ!タラタラすんな!」
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/18(月) 17:25:10.57 ID:HyI/AWT60
山の中


村の山賊L「くそっ!畜生!なんなんだあいつら…!?」ザッザッザ

ヒュゥゥゥゥゥゥ…

村の山賊L「あ?何だこの音…」

ボッガァァァァァァァン!

村の山賊L「うぎゃぁぁぁぁ!!熱ぃぃぃぃ___」ジュッ


迫撃砲弾が次々と山の裏側に着弾していく

偵察「爆炎がすげぇな…」

隊員B「山の中から悲鳴が…」

同僚「もう十分だろう、砲撃を中止しろ!
   見ろ!逃げなかった奴らも完全に戦意を失ってる、殺さずに捕縛するべきだ!」

同僚は隊員数名を連れ、山賊達の捕縛にかかった

隊員E「自衛士長!今、どうなってる?」

自衛「山賊の退路を断ちました、生き残った者が投降をはじめています。」

隊員E「わかった。第二分隊、確保にかかれ。」

自衛「街の住人は?」

隊員E「それなんだがな、ほとんどはトラックで避難を完了したが…
    どうにも女の子が一人いなくなってるらしい。」

自衛「何ですって?」

偵察「おい、それまさか…」

隊員E「それで、男女二人が探しに行くと言ってな。
    止めようとしたが、すごい身体能力で飛んで行っちまった…」

同僚「猟師と剣士の二人だ…!」

偵察「しかねぇよな…」

自衛「次から次へと…同僚、隊員B、村の南を捜索しろ!
   偵察と通信は俺と北側だ、行け!」
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/18(月) 17:26:13.88 ID:BHNCDbg7o
あれだ!飯炊き専用車両は一緒なのか!?
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/18(月) 21:36:34.38 ID:6HLZz9oZo
まっずいまっずいレーションだけなんだろ?
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/18(月) 23:22:01.97 ID:GByW0eaPo
陸自の戦闘糧食は世界一うまいと聞いたが
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/18(月) 23:26:10.40 ID:icfv5BDAo
>>174
トップクラスには入るだろうが伊,仏には勝てないだろうよ
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/18(月) 23:47:14.29 ID:OmQIeKkko
>>175
そりゃ伊は飲料水全部使ってパスタ作るほどだもの
結果、その部隊は戦えなくなって降参したらしいが
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/06/18(月) 23:49:35.61 ID:6HLZz9oZo
これを貼れってことだろ
http://blog-imgs-47.fc2.com/d/q/n/dqnchannel/14_20111122131813.jpg
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/06/19(火) 00:06:38.13 ID:OSywTDFao
>>177
韓国軍うそ…だろ……
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2012/06/19(火) 00:24:20.30 ID:mrz9oVjIo
画像のではないけど米軍の食ったことあるぜ
肉より大豆肉の方が美味かった
あとパスタ系は割とイケる
お菓子上手いがなぜ奴らはあんなにシナモンが好きなの?
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/19(火) 01:26:03.61 ID:r/NI+o480
残念ですが一号君は一緒じゃないです
別の調理機材があります


村のはずれ


猟師「くそ!俺達が目を離さなければ!」

雷跡の剣士「少女ちゃん、どこだ!」

猟師と剣士は村の通りを駆け抜けながら少女を探す

猟師「おい、あれは!」

村の山賊M「お、お頭ぁ、一体どうなってんですかぁ…!?」

山賊頭「俺が知るかバカ!なんなんだぁ、あのわけわかんねぇ奴らはぁ…?」

村の山賊N「さっきの爆発も収まったみたいですし、とっととにげましょうぜ…!」

山賊頭「そうだな…お前ら行くぞ!」

猟師「待て!」

山賊頭「ああ?」

村の山賊N「ひ!?お、おまえら!?」

雷跡の剣士「貴様ら、逃がさんぞ!犯した罪は償ってもらう!」

村の山賊N「お、お頭ぁ…」

山賊頭「馬鹿野朗、何びびってやがる!何のために保険をつれてきたと
    思ってんだ!」
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/19(火) 02:03:12.91 ID:r/NI+o480
猟師「何をいっている!さあ、おとなしくするんだ!」

山賊頭「へへ、おとなしくするのはどっちかなぁ?おい、連れて来い!」

猟師「な!」

雷跡の剣士「!?」

少女「お、おねぇちゃん…!」

雷跡の剣士「少女ちゃん!」

山賊頭「変な真似をするなよ、すればどうなるかはわかるよなぁ?」

猟師「くそ、下衆野郎が…!」


隊員B「!、士長、いましたあそこです!」

同僚「あれは!」

隊員B「子供が人質に…?チッ!」ジャキ

同僚「よせ!あの娘に当たったらどうする!?」

隊員B「しかし!」

猟師「放してやれ!その子はまだ子供だぞ!」

山賊頭「だからだよ、派手にやってくれたおかげで俺の山賊団はめちゃくちゃだ。
    こいつを売れば建て直しの足しにはなるだろう。
    こいつにかせいでもらうって手もあるがなぁ!がはは!」

猟師「貴様ぁ…!」

山賊頭「おおっと動くなよぉ、それと…そこの剣士の女!
    お前もこっちに来てもらおうか。」
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/19(火) 02:07:06.54 ID:r/NI+o480
猟師「!?」

雷跡の剣士「……」

少女「おねぇちゃん…だめ…」

村の山賊M「うるせえ、お前は黙ってろ!」ググ

少女「ぐぅ…!」

雷跡の剣士「わかった!そっちにいく、だからその娘を傷つけるな!」

猟師「な、剣士よせ!奴ら何をするかわからないぞ!」

雷跡の剣士「わかってる、でもこれしかないんだ…」

剣士は剣を捨て、山賊達の元へ歩く

隊員B「士長!発砲許可を!」

同僚「駄目だ!危険すぎる!」

山賊頭「へっへっへ、利口な選択だ。」

山賊N「おらっ!散々面倒かけやがって!」ドコッ

雷跡の剣士「がっ!?」

剣士は拳を食らい、地面に膝をついた

山賊頭「手枷をつけとけ。さて、女も手に入ったし、ここはもう使えねぇし
    ずらかるとするか。てめぇはそこで指でも咥えてるんだな、がはは!」

猟師「くそぉ!剣士ぃ!」
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/19(火) 02:08:15.48 ID:r/NI+o480
バォォォォォォォン!

猟師「!」

唐突に音がしたかと思うと、次の瞬間家屋の影からジープが現れた

隊員B「あれは!」

山賊「あ、あいつはぁ!?」

同僚「自衛!」

自衛「備えろ、フラッシュ弾行くぞ!」

ジープ上の自衛は手を振り上げ、フラッシュ弾を思いっきり投げ放った

猟師「な!」

雷跡の剣士「!?」

山賊頭「バカな!まさか、あいつらこのガキごと…!」

次の瞬間、轟音と閃光が辺りを支配した

山賊頭「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!?」

山賊M「ぎゃぁぁぁ!?」

山賊N「うぎゃぁぁぁ!?」

少女「きゃぁぁ!」

真近で衝撃を受けた、山賊達と少女は大きな悲鳴を上げる

雷跡の剣士「ぐぁぁ…!」

剣士も至近距離で閃光もを受け、その場にうずくまる
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/19(火) 06:02:37.02 ID:GFO5pDDDO
射撃モサいねーのかよ。
対人狙撃銃とか、狙撃銃とか、多用途ガンとか、評価試験中の高威力銃とか出て欲しいわ。
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/19(火) 08:49:21.80 ID:fyvrXUd+o
多用途ガンってお前カールグスタフじゃなかったか?
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/19(火) 19:29:47.54 ID:GFO5pDDDO
そだよ。
対装甲や対人以外にも、照明弾や発煙弾も撃てたりして便利な奴
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/19(火) 22:21:18.51 ID:K78JKpXn0
猟師「ぐ…なんてことを…!少女ちゃん…!剣士…!」

同僚「落ち着け猟師!大丈夫だ!」

猟師「大丈夫だって!?二人は爆発に巻き込まれたぞ!?」

同僚「落ち着くんだ!今のは音と光だけだ、二人共生きてる!」

錯乱する猟師を同僚は落ち着かせる

猟師「何?」

二人の横をジープが走り抜ける
途中で隊員Fが降り、剣士の安否を確認する

山賊頭「目が…耳が…一体何が…げぶっ!?」

今だ感覚の無い山賊頭を、自衛は銃床で殴りつけた

自衛「野郎!こいつが頭か?」

地面に倒れた山賊頭を偵察と二人がかりで押さえつける

他の山賊も同様に無力化されていく

山賊頭「て…てめえらなにしやが、ぎゃ!」

隊員D「黙ってろ!」

隊員Dが山賊頭の横腹を蹴る

自衛「衛生、その娘と剣士の女を避難させろ、同僚!お前も搬送を手伝え!」

同僚「わかった!」

同僚と衛生は、気絶した少女と足どりのおぼつかない剣士をジープに乗せると、
その場を後にした
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/19(火) 22:34:28.37 ID:K78JKpXn0
入れ替わりにもう一両のジープが滑り込んでくる
乗っているのは隊員Eだ

自衛「二曹、救護対象の搬送を完了、それと敵の親玉らしき男を捕らえました。」

隊員E「了解、この大男か?」

偵察「おそらく。おい、ここの頭はお前なのか?」グイ

山賊頭「そ、そうだ!てめぇらよくもこの俺様に…びゃっ!?」

偵察「余計なことは言わなくていいんだよ。」

偵察は山賊頭の顔面を地面に叩き付ける

隊員E「街を襲撃させたのもお前が命令したのか?」

山賊頭「ああそうさ、食いモンも女も大収穫だったのによぉ!
    てめぇらが邪魔さえしなければよぉ!」

自衛「………」

山賊頭「そうだ!見逃してくれれば分け前をやるぜぇ!
    食いモンに金目の物、捕まえた奴等の中にはいい女もたくさ、げぇっ!?」ブシュッ

言い終わる前に、山賊頭は奇妙な声を上げ、白目をむいた
山賊頭の後ろ首には鉈が振り下ろされていた

自衛「死んどけ」

振り下ろしたのは自衛だった

山賊頭「ご…こふ…ごひゅ…!」

一振りでは首の骨を貫通できず、山賊頭は苦しそうにもがいている

隊員E「はぁぁ…止めは刺しておけ、第一分隊は生き残りがいないか村の中を調べろ。」

自衛「二曹、見つけたら必ず処理してください。」

隊員E「もちろんだ、分かっている…」

自衛「さて、同僚が戻ってくる前に終えちまわないとな。」

偵察「同僚を行かせたのは、やっぱりそのためか…」

自衛は再び鉈を振り下ろす。

山賊頭「かっ…!?ぎゃ…!?」

何度か振り下ろし、やがて首が落ちて山賊頭は絶命した

山賊M「ひぃぃ!お、おかし、ぎゃ!?」

山賊N「ぎゃぁぁ!?」

残りの山賊達は別の隊員が銃剣で刺し殺してゆく

自衛「…手空きは第一分隊を手伝え。終わり次第、死体を処理し撤収する。」

偵察「とんでもねぇ世界に来ちまったぜ…」
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/19(火) 22:41:15.92 ID:K78JKpXn0
街の避難所内 診療所


少女「………うん…?」

少年「少女!」

少女「…少年?」

市長「気がついたか!」

少女「お父さん…?あれ、わたし…」

市長「ここは街の診療所だ、お前は助かったんだよ…!」

少年「少女…ごめんよ、僕が…僕が…」

少女「………」ソッ

少年の頬に少女の指が触れる

少年「!」

少女「泣かないで、少年…ありがとう…」

少年「少女…よかった、本当によかった…!」
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/19(火) 22:55:56.71 ID:K78JKpXn0
避難所


市長「本当に、なんとお礼をいっていいか…」

同僚「いえ、あの山賊達は我々にも脅威となり得ました、
   我々は自分達の安全を確保したに過ぎません。お礼なら我々より猟師達に。」

市長「それはもちろんです、猟師さんと剣士さんがいなければ、
   我々は生きてはいませんでした…」

猟師「よしてください!それを言うなら我々だって、彼らがいなければどうなってたか…」

市長「本来ならなにかお礼を差し上げたいところなんですが…」

隊員F「御気になさらず。それに、助けるべき立場の人々から、物品を巻き上げるなど、
    我々の理念に反します。」

偵察「この辺の情報は手に入ったしな。」

市長「とにかく、本当にありがとうございました!」

猟師「俺と剣士は騎士隊の到着までここにいるつもりだ。」

自衛「たのんだぞ、だが無謀なことはするなよ。」

猟師「肝に銘じておくよ。」

市長「それでは、お元気で!」
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/20(水) 00:03:11.62 ID:nLH3VHXCo
秩序が崩壊していく
秩序なき軍隊など山賊と変わらんというのに…
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/20(水) 00:09:42.74 ID:jleUBcv30
岐路


FV車長『先頭、FVより各車へ。進路に異常なし、まもなく陣地に到着する。』

自衛「こちらジープ、了解した。」

同僚「よかったな、あの街が助かって。」

自衛「あの街はな…」

同僚「…含みのある言い方だな?」

自衛「どうやら俺達はかなり物騒な世界に飛ばされてきちまったらしい…
   それだけならまだしも、近代兵器で暴れまわった。」

偵察「結構な奴らが俺達を目撃しただろうな。」

自衛「この世界がどれ程の広さかは、まだ今一掴めんが…、
   俺達は今後、高確率で面倒事に巻き込まれるぞ。」

同僚「………」
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/20(水) 00:13:33.06 ID:jleUBcv30
野戦テント内


一曹「確かにな…この世界の世界観からすれば、我々は目立ちすぎる。」

二尉「だが、行動しないわけにはいかないだろ?」

隊員A「食料が容易に確保できないとなると、より遠くに足を延ばす必要があります。
   それも早急に。」

自衛「それはわかってる。俺が言いたいのは、
   状況に対する見方を改めて欲しい、ということです。」

一曹「つまり?」

自衛「“ためらわずに撃て”これを今後、全隊員に徹底させて下さい。
   ここは安全な日本じゃありません、躊躇が残るようであれば、遠からず隊員から死人がでます。」

二尉「………」

隊員A「………」

同僚「………」

一曹「やはりそうなるか…わかった、所属問わず全ての隊員に通達する。
   武装の確認と、再編成も実施もする必要があるな。」

二尉「整備隊の連中にも、武装するよう言っておかないとな。」

自衛「お願いします。」

同僚「…では、私から今後の補給についてなんですが…」

一曹「何かめどはたったか?」

同僚「先程、隊員A三曹が言われたとおり、あの町での補給が望めなくなった以上、
   足を延ばさざるを得ません。これを…」
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/20(水) 00:18:34.27 ID:jleUBcv30
同僚は机に地図を広げる


同僚「その場合、補給が望めそうな比較的近い街はここから二箇所。
   一つはここから東に向かい、連峰を越え、さらに進んだ所にある街。
   かなり大きな街のようなので補給が期待できますが、
   山と国境を越えなければなりません。」

一曹「ハイリスク、ハイリターンか…」

同僚「もう一つはここから北西に進んだ所にある街。
   この街は、先程の山賊に襲われた街が救援を求めに使者を送った街です。
   規模は中程度ですが、地図上では障害らしき物は確認できません。
   何より街は騎士団の常駐地にもなっているそうなので、
   治安の高さが期待できます。」

一曹「成程…安全性を考えるなら後者だな。君としてはどう考える?」

同僚「私も最初はそう考えましたが、状況に余裕があるとは言えません。
   ここは思い切って、両方に部隊を向けるべきかと思います。」

二尉「両方か、それもアリなんじゃないか。で、部隊編成はどうする?
   どうせなら山側はヘリで向うか?」

同僚「いえ、山といっても馬車での往来ができるそうなので、
   連峰方面には装甲車を送りたいと。
   それに、何かあった時に緊急展開できるのはヘリコプターだけです。
   申し訳ありませんが待機をお願いします。」

二尉「そらそうか。」

一曹「もう一方は軽車両だけで大丈夫そうか?」

同僚「はい、ただ念のため重火器を装備したほうが良いかと。」

一曹「分かった。三曹、補給二曹を呼んでくれ。編成と装備を相談をしたい。」

隊員A「わかりました。」

一曹「頼む、自衛と同僚は今日はもう休んでくれ。」
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/20(水) 00:36:30.66 ID:I7cRXEv1o
自衛隊が自衛隊で無くなっていくがそこがリアルだな
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/20(水) 00:58:34.38 ID:KHdxk/Xko
生き残る為、を理由にしてどんどんモラルが無くなっていく・・・怖いな
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/20(水) 01:31:17.42 ID:jleUBcv30
同僚「はぁ…疲れたな…」

自衛「ありえねぇ一日だったぜ…」

同僚「もう辺りが暗くなり始めてる…」

FV車長「おろ、お前らもう報告は終わったのか?」

同僚「あ、ええ。」

自衛「三曹こそなんです?その両手の水いっぱいのバケツは?」

FV車長「FVを洗ってやってるんだよ、今日一日で相当数の死体を轢いたからな…」

同僚「ああ、そういえば…」

FV砲手「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

言いかけた途端、FVの方向から悲鳴が聞こえてきた

自衛「なんだ!?」

FV車長「あれは砲手の声だ!」

FV車長が走り出し、自衛と同僚もそれに続く

FV車長「どうした!」

FV砲手「あ、あ、あれ!あ、あし、あ…!」

自衛「足だぁ?」

FV車長「落ち着け、砲手。足がどうした?」

FV操縦手「あー…、これですよ…」

FV操縦手がFVのキャタピラの奥から何かを取り出す
同僚「何が…う!」

自衛「…人間の足か?」

FV砲手「う、うぇぇ!」ダッ

FV砲手は口を押さえてその場から走り去った

FV車長「まぁ、無理もねぇか…」

自衛「誰の足だろうな…市民か山賊か?」

FV操縦手「ぐっちゃぐちゃで検討もつかねぇよ…」

同僚「それより、どうするんだそれ?」

FV車長「陣地の外にでも埋めとくしかあるまい。」

FV操縦手「ですよね…埋めてきます」

FV車長「一応拝んどけよ…」

同僚「飯食う前で良かった…」
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/20(水) 01:35:21.56 ID:jleUBcv30
FV車長「まったく…はやいとこ洗い流すか…」

自衛「…?フロントに岩が、そういやFVにはあの岩の柱が直撃してたよな…」

同僚「え、ああそうだな。」

FV車長「ああ、車体に特に影響はなかったが、あれは結構な衝撃だったぞ。
     岩だったから良かったようなものを…」

自衛「今後は、岩以外の物を相手にすることもあるかもな。」

同僚「おい、また不安を煽るような事を…」

自衛「十分にありうる話だ、現に俺達が最初に遭遇した魔法は、
   勇者達一行の炎の魔法だったろ?」

同僚「…確かに…」

自衛「ここが俺達が想像してるような世界なら、さらに強力な魔法を使う連中が
   出てきても全く不思議は無い。」

FV車長「でも、実際出てきたとしてどう対処するんだ?
     魔法なんてわけの分からんもん、どうしようもないぞ?」

自衛「今後の探索で、何か使える物を見つけられれば…」

同僚「…そんな簡単にみつかるような物か?」

自衛「確証はない、だがなんとかしなけりゃ最悪全員あの世行きだ。
   ここが俺達の考えてるような世界だとしたら、近代火器の力も
   いつまでも当てにはできない。」

同僚「………」

FV車長「暗い話はよそう、ただでさえみんな不安な上に疲れてるんだ。
    休める時に休んどけよ。」
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/20(水) 01:51:42.62 ID:LA7tU0ySo
自衛が活き活きしてるな
やはり主人公は伊庭ポジか
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/20(水) 02:16:02.15 ID:p5h00H6Wo
実は学生時代は厨二患者でそれがまた再発したとか
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/06/20(水) 07:01:04.30 ID:VN95GCNAO
映画の流れに忠実らしいな
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/20(水) 19:23:42.23 ID:jleUBcv30
翌日


自衛隊、偵察部隊は二方面に向けて出発
一方は82式通信指揮車で越境し東の街を
もう一方は高機動車で北西の街を目指す


昼前 東方面偵察隊


グォォォォォォォ

偵察「よかったのかねぇ、シキツウ(82式通信指揮車)に乗ってきちまって?」

82車長「大丈夫だろ、203mm砲はしばらく出番がなさそうだし、
    こいつを使って指揮する程の事態にはならなさそうだしな。」

82操縦手「それに、機動性と装甲の両方を兼ね備えてるのは
     こいつだけですからね。」

偵察「普通科のLAV(軽装甲機動車)か96(96式装輪装甲車)でもあれば
   いいんだがな。」

衛生「無いものねだりしてもしょうがないでしょう。」

自衛「おい偵察、上がって来い。」

会話の途中で、車外から自衛の声が聞こえてくる

偵察「ああ、どうした?」

偵察は近くのハッチから車外へと半身を乗り出す。

偵察「なんかあったか?」

自衛はシキツウの屋根に座り、双眼鏡を構えている

自衛「連峰が見えた、山肌は結構深い森になってる…
   念のため、山に入ったら常時二名を監視として車上に上げる。」

偵察「わかった、82車長にも伝える。」

自衛「頼む。」
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/20(水) 19:29:02.80 ID:jleUBcv30
同時刻 北西方面偵察隊


隊員B「すごいですね…一面平野で遠くの山脈まではっきり見える。」

同僚「北海道でも見れる光景だけどな。人工物がまったくないから違和感は感じるけど…」

支援A「…そういや隊員C、もう怪我はいいのかよ?」

隊員C「ああ、なんとかな。けど、あのしわくちゃ連中のせいで
   危うく片腕になる所だったぜ…」

隊員B「しわくちゃ連中?」

隊員C「あのゴブリン共だよ、この借りはいつか返してやる。」

支援A「襲ってきた連中は全滅したけどな。」

同僚「やめとけ隊員C、辺に根に持つより、腕がついてたことに感謝するほうが
   建設的だと思うぞ?」

支援A「だってよ隊員C。」

隊員C「へいへい…」
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/06/21(木) 00:07:45.81 ID:rECFxwgHo
無知で申し訳ないんだが
自衛って階級高いの?
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/21(木) 00:49:52.56 ID:JVMAZk2Yo
バイトリーダーみたいなもんだな
下からたしか三つ目
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/21(木) 07:01:56.40 ID:w2MnedBV0
東方面偵察隊

 
連峰の入り口へ到着


ブォォ…

82操縦手「たぶんここからでしょう、馬車の通った道が出来てる。」

82車長「よし、上がるぞ。偵察、前のMINIMIにつけ。」

偵察「了解。」

82車長と偵察が車上に上がる。

82車長「よっ…と、自衛、交代する。中に入って地図を見てくれ。」

自衛「わかった、頼む。」

交代で自衛は車内へと戻った

82操縦手「出します。」

シキツウは再び走り出し、山道を登り始める

自衛「えーと…この道だな、高等線がないから傾斜がどの程度かわかんねぇ…」

衛生「正直不気味な山ですね…なんか出てきそうだ…」

自衛「出てきそうじゃなくて、出てくるらしいぜ。
   街の市長から聞いたが、護衛無しでここを通るのは危険すぎるってよ。」

衛生「まじかよ…」

自衛「だからシキツウに乗ってきたんだ、うおっ!えらい揺れるな…!」

82操縦手「我慢して下さい、道といっても全然整備されてませんからね。」

衛生「山越えにどのくらいかかるんです?」

自衛「距離だけで見るなら、半日で三つの峰全てを越えられるはずだ。
   できれば暗くなる前に越えたい所だな。」

衛生「できれば何も起こって欲しくないぜ…」
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 01:16:25.64 ID:1Hgrs5bH0
数時間後


シキツウは二つ目の峰を越え、最後の峰に差し掛かろうとしていた

自衛「っと、82車長、見張りを交代する。」

82車長「おお、頼む。気を張りっぱなしだったが、結局何もなかったな。」

自衛「その方がいいだろ?あの峰を越えれば隣国の
   “月詠湖の王国”って国の領土に入れる。」

82車長「この調子なら、何事もなく辿り着けそうか?」

偵察「…おい、自衛。最後の峰の入り口に何か見える。」

自衛「何?」

自衛は双眼鏡を構える

自衛「あれは…集落か?」

偵察「そう見えるが…なんかおかしくないか…?」

82車長「遠目にも寂れてる感が伝わってくるな…」

自衛「衛生、地図を確認しろ。この近くに集落はあるか?」

衛生「えーっと…一応地図には表示されてますね。この地図自体が
   どれくらい前の物なのかは知りませんが…」

82車長「すでに打ち捨てられた可能性もあるってことだな…」

偵察「どうする?無視して進むか?」

自衛「…いや、一応調べておこう。82操縦手、あの集落に近づいてくれ。」

82操縦手「了解。」
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/22(金) 01:18:26.85 ID:1Hgrs5bH0
集落


自衛「………」

82車長「まーた、分かりやすい寂れ具合だな…人の気配もないぞ…」

偵察「なんでこう、行く先々で必ず人がいないのかね?」

自衛「知るかよ、とりあえず…指揮車は一度ここから離れてくれ。」

82車長「え、なんで?」

自衛「指揮車に何かあれば事だ、ここは見通しも悪い。
   ここに来るまでが坂になってただろう、そこからこの集落を監視しててくれ。
   探索は俺と偵察だけで行く。」

衛生「大丈夫なんですか?」

自衛「何かあれば連絡するが、十分経っても連絡がなければ突入してくれ。」

82車長「わかった、気をつけろよ。」
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/22(金) 01:19:53.31 ID:1Hgrs5bH0
指揮車は一度村を離れ、自衛と偵察は村を探索する

集落は不気味なまでに静まり返っていた

偵察「おい、いつのまにか空が曇ってるぜ…風も止んでるし…
   なんか嫌な予感がしないか…?」

自衛「予感というより確信だな。」

偵察「あ?」

自衛「あれをみろ…」

自衛は一軒の家屋を指差す

偵察「なんだ…?家の壁になにかが…げっ!?」

家の壁には何かの生き物の首がぶら下がっていた

偵察「まさか人間か!?」

自衛「いや…人間じゃないな。熊の頭に似てる気がする。」

偵察「なんだってそんなもんが…」

自衛「つるさげとくと、鬼がよりつかないんじゃないのか?」

偵察「鰯の頭じゃねぇんだぞ…」

自衛「とにかく進むぞ、なにかあったのは確からしい。」

自衛と偵察は物陰に隠れ、お互いをカバーしながら集落内を進む
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/22(金) 01:21:16.44 ID:1Hgrs5bH0
自衛「戦場での鉄則は、“カヴァー命“”だ」
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/22(金) 18:50:33.98 ID:1Hgrs5bH0
偵察「おい、そこらじゅうの民家に動物の首がつるさがってるぜ…」

自衛「何かの風習って可能性もあるが…」

偵察「こんな風習のあるトコ、ろくなモンじゃ…」

オオオオオーーー…

偵察「な、なんだ今の!?」

自衛「人の声か…?」

オオオオオーーー…

偵察「…にしては、ずいぶんホラーテイストだな…!」

自衛「十字路の先からだ!」

自衛と偵察は十字路にある角の家の壁に隠れる

オオオオオーーー…

オオオオオオーーー…

ザッザッザッザ…

自衛「近づいてるぞ!」

偵察「待った!ちょっと待った!俺達、これ大丈夫なのか!?」

自衛「もう、手遅れだ!」ジャキッ

自衛は小銃を構え、十字路の先を窺おうとする
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/22(金) 20:26:41.39 ID:1Hgrs5bH0
君路の勇者「うわぁっ!?」

自衛「おわッ!?」

次の瞬間、走ってきた人物と衝突しそうになった

君路の勇者「くそッ!回り込まれ…って、君は!?」

自衛「お前…勇者か?」

偵察「何、勇者!?」

君路の勇者「君達、どうしてこんな所に…?」

偵察「それはこっちのセリフだぜ!それに…」

自衛と勇者の視線は勇者の後ろに注がれる

?「ううっ…」ビクッ

そこにいたのは十代後半と程と思われる娘だった

君路の勇者「大丈夫、村娘さん。彼らは僕の知り合いなんだ。」

村娘「は、はい…」

勇者は怯える彼女に安心させるように言う

自衛「誰だそれ?村で会った時にはいなかったよな…?」

勇者「ああ、この娘は…ッ!!話は後だ、今は逃げるのが先だ!」
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/22(金) 20:27:49.93 ID:1Hgrs5bH0
偵察「逃げるって…」

オオオオオーーー…

君路の勇者「ッ!来たか!」

自衛「ああ?…なんだありゃ…!?」

村人A「オオオオオーーー…」

村人B「オオオオオーーー…」

村人C「オオオオオーーー…」

道の向こうから、何十人もの人間がゆっくりと近付いて来る

その中にはクワやシャベルなどを持つ者もいた

偵察「おいやべぇだろあれ!」

自衛「ッ!」ジャッ

自衛は小銃の引き金に指をかける

君路の勇者「駄目だ、やめてくれ!あれはここの村人なんだ!」

自衛「村人!?」

偵察「でもあれ、どう考えても殺す気満々だぜ!?」

君路の勇者「詳しいことは分からない…とにかく今は逃げるんだ!」

偵察「最悪だ糞ったれ!」

偵察の悪態と同時に四人は走り出した
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/23(土) 05:49:10.54 ID:KrbQYBRO0
自衛「一体何があったんだ!?」

君路の勇者「わからない!僕達も先程この村に着いたばかりなんだ!」

自衛「そういや、お前の仲間はどうしたんだ!?」

君路の勇者「騎士と僧侶とは別行動中なんだ!戦士は…囮になって
      最初に遭遇した村人達を…!」

偵察「まじかよ…やばくねそれ…」

自衛「今は俺達もやばいけどな!右の路地から来るぞ!」

路地から村人の集団が現れる

君路の勇者「左からも!」

偵察「進路を塞がれたぜ、おい!」

合流した村人達により前方の道が塞がれてしまった

自衛「屋根だ、屋根に上がれ!勇者、その娘をつれて飛べるか!?」

君路の勇者「え、ああ。」

自衛「上がったら目を閉じて耳を塞ぐんだ、急げ!」

君路の勇者「わ、わかった!村娘さん、つかまって!」

村娘「は、はい!」

勇者は村娘を抱えると、屋根に目掛けて跳躍した。
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/23(土) 05:51:52.23 ID:KrbQYBRO0
自衛「偵察、壁越えの準備を。」

偵察「わかった。」

自衛はスタングレネードを取り出す。

自衛「昨日から大活躍だな、効いてくれよ。」

自衛はスタングレネードのピンを抜き、村人達の足元へと転がした

自衛「よし、目と耳を塞げ!」

次の瞬間響き渡る閃光と轟音

村人D「あああああーーー…」

村人E「あああああーーー…」

村人達は変わらず低い声で呻いているが、
動作が支離滅裂になり、その場に倒れる者もいた

自衛「効果はあったみたいだな、偵察、上げてくれ。」

偵察「あいよ。」

自衛が偵察の補助を受け、民家のベランダへ登る

そして上がった自衛が、今度は偵察がよじ登るのを手助けする

それをもう一度繰り返し、二人は屋根の上へと上がった

自衛「勇者、大丈夫だな?」

君路の勇者「ああ、だが村の人達は大丈夫なのか…?」

自衛「あれは目くらましだ、音と光だけで一時的に錯乱してるだけだ。」

君路の勇者「そうか、ならいいが…とにかく今は村を出よう。」
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/23(土) 05:53:50.86 ID:KrbQYBRO0
自衛「そういや、戦士のねーちゃんは大丈夫なのか?」

君路の勇者「当然心配だが…戦士は自ら囮になってくれたんだ、それを無碍にはできない、
      この娘を安全な所まで連れていくのが最優先だ。」

自衛「わかった、とにかく村を出るぞ。」

君路の勇者「さあ行くよ、足元に気をつけて。」

村娘「は、はい。」

四人は屋根伝いに村の出口を目指す

自衛「…!?勇者、伏せろ!」

君路の勇者「!?」

自衛の声に反応し、勇者は村娘を抱えてその場に伏せる

村娘「きゃっ!」

次の瞬間、二人の頭上を黒い物体が飛び去った

偵察「今度は何だよ!」

君路の勇者「…あれは!」

物体が飛び去った方向を見る

そこにいたのはコウモリのような翼を持った暗い灰色の物体だった

偵察「…コウモリ…なわけねぇか」

君路の勇者「ガーゴイル!どうしてこんな所に…!」

偵察「見ろ、一匹だけじゃねぇぞ…!」

四人の周辺には十数匹のガーゴイルが飛び交っている

そのうちの一匹がこちらに向けて飛び掛ってくる
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/23(土) 06:29:27.82 ID:KrbQYBRO0
偵察「おい、こいつは撃ってもいいよな!?」

君路の勇者「あ、ああ!」

偵察「野郎!」ボウッ

偵察は間近に迫っていたガーゴイルに向けて、ショットガンを撃つ

被弾したガーゴイルは粉々の石片となって降り注いだ

偵察「だっ!?痛でッ!何だこれ!?」

自衛「こいつら岩でできてやがる!」

偵察「岩の人形かよ…サプライズに事かかねぇな…!」

ガーゴイル達は四人のの上空を飛び回り、こちらを狙っている

君路の勇者「僕がやる!自衛、この娘を頼む!」

言うと勇者は足に力を入れ、上空に飛び上がった

偵察「すげぇ、10mは飛んだぞ…」

飛び上がった勇者に一匹のガーゴイルが襲いかかる

君路の勇者「はぁぁ!」

勇者は空中で剣を引き抜き、ガーゴイルを真っ二つに切り裂いた
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/23(土) 06:32:06.05 ID:KrbQYBRO0
君路の勇者「はっ!次だ!」

勇者はガーゴイルの断片を足場にさらに飛ぶ

君路の勇者「だぁぁぁ!」

ザンッ!

そして別のガーゴイルを両断した

自衛「あいつも十分化けモンだ…」

偵察「おい、こっちにも来るぞ!」

ガーゴイル数匹が自衛たち目掛けて襲い掛かる

自衛「頭を下げてろ!」

村娘「わ、わかりました!」

ダダダ!ダダダ!ダダダ!

自衛はガーゴイルに向けてバースト射撃を行う

最後の三発が翼の付け根に命中し、ガーゴイルは体勢を崩す

自衛「おわッ!?」

村娘「きゃあ!」

ガーゴイルは自衛たちの側を掠め、そのまま向かいの家屋に激突した

自衛「やばかった…無事か?」

村娘「だ、大丈夫です…」

偵察「まだ来るぞ!」

次のガーゴイルが真上から突っ込んでくる

ボウッ!

偵察の発砲した散弾が命中

ガーゴイルはそのまま落下し隣の家屋の屋根に激突

そのまま屋根を突き破り一階へと落ちていった
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/24(日) 06:42:50.35 ID:TgAihHZh0
さらに別のガーゴイルが左翼より襲い掛かる

偵察「しつけぇんだよ!」ボウッ

散弾に翼を撃ち抜かれ、ガーゴイルは墜落する

自衛「勇者が戻ってくる。」

ヒゥゥ…

君路の勇者「っと!」ダッ

勇者が屋根の上に着地する

その直後、三匹のガーゴイルが地面へと落ちていった

偵察「ほんとすげぇなあんた…」

君路の勇者「ありがとう…でも数が多すぎる、全てを相手にするのは無理だ…」

村娘「あ、あの!下を!」

偵察「なんだ…げっ!村人がわんさかいやがる!」

君路の勇者「くそっ、追いつかれたか!」

自衛「逃げるぞ、ここにいたらやばい。」
君路の勇者「僕が先に行って、進路切り開く!」

自衛「俺は後ろを見張る、偵察!その娘の周りを警戒しろ!」

偵察「了解!」
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/24(日) 06:44:18.93 ID:TgAihHZh0
四人は再び屋根の上を進みだす

途中、襲い掛かる敵を勇者と自衛が撃退

接近してきたガーゴイルは偵察が撃ち落とし、隙を見て走り抜ける

偵察「キリがねぇぜ!」ボウッ

君路の勇者「がんばれ!もうすぐ村の出口だ!」

しかし、村までもう少しという所で広場に出て、家屋が途切れてしまう

君路の勇者「ああ、くそっ!」

自衛「下に降りるしかねぇな…」

偵察「少しでもモタつくとやばいぞ!」ボウッ

自衛「勇者、こっちが先に降りて援護する、もう一度その娘を頼む。」

君路の勇者「わかった、気をつけろ。」

自衛が家屋の窓や庇を利用し、先に道へと降りる

自衛「…よし、急げ!」

次に勇者が村娘を抱えて飛び降り、最後に偵察が降りる

自衛「よし走るぞ!」

全員が道に下りると同時に、四人は走り出す

すぐに広場を抜け、再び住宅街に足を踏み入れる
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/24(日) 06:48:34.56 ID:TgAihHZh0
偵察「おい、また屋根に上んねぇのか!?」

君路の勇者「あそこの角を曲がれば出口はすぐだ!走ったほうが速い!」

次の瞬間だった、家屋の直上から一匹のガーゴイルが現れ

勇者目掛けて突進してくる

君路の勇者「!!」

村娘「勇者様!」

ドンッ

君路の勇者「…ッ…どうなったんだ…?」

村娘「…痛っ…」

君路の勇者「村娘さん!?」

先程まで勇者のいた場所に、村娘は倒れていた

ガーゴイルは襲撃をあきらめ反転、上昇して行く

偵察「逃げんな!」ボウッ

しかし偵察により撃ち落された

君路の勇者「村娘さん、大丈夫か!?」

村娘「だ、大丈夫です…襲われてはいませんから…痛っ!」

自衛「足を挫いてるぞこりゃ…」

君路の勇者「くそっ、僕を庇ったばっかりに…!」

自衛「悲観するのは後だ!偵察、ショットガンをよこせ。この娘を頼む。」

偵察「了解。」

偵察は自衛へショットガンを渡す。

偵察「嬢ちゃん、ちょっと我慢してくれよ。」

村娘「は、はい…ひゃっ!」

偵察は村娘を抱え上げる
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/24(日) 13:45:35.83 ID:LwUXiS9bo
ふむ
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/24(日) 13:55:24.25 ID:Sd+TKowNo
これは偵察と村娘のラブロマンスクルー? ベタ過ぎるか・・・
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/24(日) 14:02:52.50 ID:5aa7YIbUo
飛んだ先で恋仲になるとか死亡フラグまっしぐらじゃねーか
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/25(月) 02:46:47.72 ID:NMmJSwBw0
君路の勇者「すまない…」

自衛「悔いるのも後だ、突破にはあんたが必要…ッ!」

偵察「おいどうし…げぇ…!」

彼らの目に最悪の光景が飛び込んできた

村人F「オオオオオーーー…」

村人G「オオオオオーーー…」

君路の勇者「しまった…回りこまれた…!」

角の先から大量の村人が迫ってくる

村娘「う、後ろを!」

偵察「うそだろ、おい!」

反対側の道も村人の大群で埋め尽くされている

勇者「屋根の上にもいるぞ!」

村娘「ろ、路地からも出てきます!」

偵察「冗談じゃねえぞ馬鹿野朗!」

自衛「家の中だ!家の中に入れ!」

四人はすぐ近くの家屋の中に飛び込む

偵察「嬢ちゃん、奥に隠れてろ!」

村娘「は…はい…!」

自衛「入り口を塞げ!」

勇者、自衛、偵察の三人は家の中の物を手当たり次第
入り口に積み上げた。
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/25(月) 02:51:27.44 ID:NMmJSwBw0
偵察「冗談きつすぎるぜ!」

自衛「家の反対側に出るぞ!」

村娘「きゃぁぁぁ!」

君路の勇者「!、村娘さん!?」

家の奥から村娘の悲鳴が聞こえる

村人H「おおおーーー…」

村人I「おおおーーー…」

君路の勇者「くそっ!反対側にも!」

偵察「おい、待て…こいつらおかしくないか…?」

自衛「そんなもん、今に始まったことじゃ…あぁ…?」

偵察と自衛は初めて村人を間近で見た

その肌は変色し、皮膚が所々崩れ落ち、眼球は血走っていた

偵察「これって…まさか…」

自衛「だろうな…!」ボウッ

自衛は入り込んできた村人に発砲する

村人H「おお゛っ…!」バシュッ

村娘「ひぃっ!?」

君路の勇者「な、なんてことを!」

偵察「邪魔するな勇者!それに、きっとこいつら全員とうの昔に死んでる…」

君路の勇者「はぁ!?な、なんだって…?」

ボンッ!ボンッ!

自衛は入り込んだ村人を撃ち殺してゆく
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/25(月) 04:21:18.35 ID:+KapU2+4o
きたきた
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/25(月) 04:32:22.08 ID:NMmJSwBw0
自衛「裏口を塞げ、急げ!」

君路の勇者「わ、わかった!」

勇者と偵察が裏口をバリケードで塞ぐ

自衛「偵察、二階を見てきてくれ。」

偵察「オーケー。」

自衛「ああ、それとショットガンを返す。」

偵察にショットガンを渡すと、自衛は村人の死体に目をやる

村娘「………うぅ」

自衛「下がってろ、しかしえぐいな…」

君路の勇者「なぁ、どういうことだ…彼らはすでに死んでいるだって…?」

自衛「ああ、こいつの体を見ろ、すでにあっちこっちがかなり腐食してる…」

君路の勇者「だが、ありえない…なぜ、死んでいる人間が僕らを襲ってくる!?」

自衛「それを聞きたいのは俺達のほうだぜ、こっちには死者を生き返らせたり、
   ゾンビにする魔法とかがあるんじゃないのか?」

君路の勇者「ありえない、アンテッドは伝承上で語られる存在で実際にそんな魔法も方法も
      聞いたことが無い…いや、僕が存在を知らないだけかもしれないが…」

自衛「…(あるかもしんねぇ、ってのが怖ぇんだよな…)、まぁいい、
   今はこの状況を何とかするのが先だ。」
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/25(月) 04:33:34.47 ID:NMmJSwBw0
偵察「おい!二階も塞いできた、だがそんなに長くは持たないぞ!」

自衛「どうする…」

ミシミシミシ…

偵察「な、何の音だ!?」

君路の勇者「表のほうの壁から…!」

バリッ、ガシャーーン!

次の瞬間、表通りに面した壁が突き破られた

村人F「おおおおーー…」

村人G「おおおおーー…」

偵察「げぇ!?」

君路の勇者「壁が耐え切れなかったのか!なんて数だ…くっ!」

勇者は自分の剣に手をかける

君路の勇者「くそ…!」

ダダダッ!

村人F「お゛ッ!」ビシュッ

自衛「勇者、躊躇うな!」

君路の勇者「ぐ…でやぁぁぁ!!」

勇者は意を決し、剣を振り払う

その一閃で、十人近くの村人が一気になぎ払われた
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/25(月) 08:38:10.37 ID:gjJShzXIO
異世界バイオハザード
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/25(月) 08:40:27.06 ID:+KapU2+4o
勇者強いな……多分
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/25(月) 13:17:17.07 ID:LFYi/1RYo
オッパイベラベラソース
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/25(月) 17:25:38.60 ID:NMmJSwBw0
偵察「…すげぇ…」

自衛「撃ち続けろ!」

自衛たちは、屋内に迫る村人達を撃退する

勇者「はぁぁ!!ハァハァ…まだかっ…!」

偵察「数が多すぎるぜ!」

ガシャアアン!

村娘「う、裏の壁が!」

自衛「隠れてろ!」キンッ

自衛は裏から侵入した集団に手榴弾を投げ込む

ボグァァン!

村人J「あ゛あ゛ーー…!」

村人K「あ゛ーー…!」

奥の方の村人達は吹き飛んだが、手前の村人達は変わらず迫ってくる

自衛「近すぎて使えねぇ!」ダンダン

ミシミシ…ガラガッシャーン!

村娘「ひゃぁぁ!?」

村人L「おおおおおーー…」
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/25(月) 17:31:00.33 ID:NMmJSwBw0
村娘「ひっ!」

ボウッ!

村人L「お゛っ!」バシュッ

偵察「上から降ってきやがった!」

君路の勇者「二階も破られたのか!?」

自衛「野郎!」キンッ

自衛は天井に開いた穴から、二階に手榴弾を投げ込む

ボガァッ!

ボサボサッ!

爆発音、そして二階から村人の死体が降ってくる

君路の勇者「村娘さん!隅に隠れて!」

偵察「いよいよもってやばいぜこいつは!」

自衛「手を休めるな!攻撃を続けろ!」

村娘「うう…!?あ、あの、何か聞こえませんか!?」

偵察「何かって…?」
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/26(火) 01:05:40.14 ID:LSWQiSRG0
グシャァァァン!

次の瞬間、裏から見える家屋が倒壊し指揮車が現れた

君路の勇者「あれは!?」

自衛「シキツウだ!」

指揮車は村人の集団を跳ね飛ばし、こちらへと走り込んで来る

ガシャァァン!

偵察「おわっと!」

村娘「きゃあ!?」

指揮車は屋内に突っ込み停車、左側のハッチが開く

衛生「士長、探しましたよ!…あれ?そちらは村で会った…」

自衛「衛生、後だ!そこの娘を指揮車に乗せろ!」

衛生「わかりました!」

村娘「あ、あの、これは一体…!?」

自衛「大丈夫だ!とにかく、助かりたければ早く乗れ!」

村娘「ひぅ!は、はい!」

衛生「頭ぶつけないよう気をつけて!」

82車長「おいおい!何がどーなってんだ!?」

自衛「いいから、キャリバーで掃射してくれ!」

82車長「クッソ!」

ドドドドドドドドド!!!

村人M、N、O「オボッ!」「あ゛がっ!」「お゛っ!」
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/26(火) 01:07:22.13 ID:LSWQiSRG0
自衛「勇者、離脱する!お前も指揮車に乗れ!」

君路の勇者「あ、ああ、わかった!」

偵察「急げ!」

勇者と村娘を収容する間、偵察と自衛はまとわりつく村人を退ける

衛生「収容完了しました!」

自衛「よし偵察、飛び乗れ!」

偵察と自衛は指揮車の屋根に飛び乗る

82車長「離脱だ!」

82操縦手「はい!」

指揮車はエンジンを吹かし、後進する

ドサッ!

偵察「!」

村人P「おおおおおーーー…」ノソッ

82車長「おわっ!?車体の上に!」

自衛「無賃乗車すんじゃねぇ!」

自衛は村人の頭に鉈を振り下ろす

村人の首と胴体は離れ、首だけを残し胴体はそのままずり落ちていった

自衛「こいつは乗車賃だ…」

指揮車は村人の大群を跳ね除け、村を後にした
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/26(火) 02:09:44.51 ID:2qHG04tno
きたあああ
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/26(火) 02:28:59.49 ID:LSWQiSRG0
村から1km地点


衛生「落ち着いた?」

村娘「はい…」

衛生「足はすぐによくなる、他に怪我がなくてよかった。」

偵察「さっそくで悪りぃが教えてくんねぇか、一体あの村で何が?」

村娘「…ごめんなさい、私にもわかりません…月橋の街までの使いに村を発って、
   今日の夕方前にやっと帰ってきたら…!」

自衛「あの事態か…君はどれくらい村を離れてたんだ?」

村娘「一週間ほどです…」

偵察「その間になんかあったんだな…」

自衛「勇者、お前は何かわからないか?」

君路の勇者「すまないが何も…正直、さっき目にした光景だって
      まだ信じきれていないんだ…」

偵察「それに関しちゃ俺達も同じだけどな…」

君路の勇者「それよりも、一番心配なのは戦士の安否だ…」

偵察「戦士…って、確かあの甲冑着た短いポニテのねーちゃんだったよな?」

衛生「そういえば、あとの二人を見てないが…」

君路の勇者「騎士と僧侶の二人は別ルートを使ってる」

自衛「別ルートがあるのか?」

君路の勇者「かなり遠回りになるけどね。途中にある町への使いを頼んだんだ。
      僕と戦士は最短ルートで月橋の街へ向かい情報を収集し、
      街で二人と落ち合うことになっていた…」

自衛「その道中であの村を見つけたわけか。」
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/26(火) 21:45:15.00 ID:LSWQiSRG0
君路の勇者「休憩目的でね、でも村に入るなり
      村人に追いかけられてる村娘さんを見つけて、逃げ回る羽目になってな。
      戦士は途中で囲まれた時に、時間を稼ぐと言って囮に…」

村娘「ごめんなさい…私のせいで戦士さんが…」

君路の勇者「よしてくれ、あの判断を下したのは戦士自身だし、
      それを受け入れて君を連れ出したのはこの僕だ、君のせいじゃない。」

偵察「…で、その後、逃げる途中で俺等と鉢合わせしたってか…」

自衛「あの村がどうしてああなっちまったかは、誰もわからねぇわけだな…」

衛生「情報が少なすぎます…」

君路の勇者「ああ、だが僕の立場としては、このまま放って置くわけにはいかない。
      それにあそこは村娘さんの住む村だし、戦士も助け出さなければ!」

82車長「俺達はどうする?正直言えば関わりたくない山だが…」

自衛「あれを見ちまった以上、素通りするわけにもいかねぇだろう。」

偵察「もう一度乗り込むしかねぇか…」

82車長「異論のある奴は………良し、決まりだ!」

自衛「各自装備を整えろ。じき暗くなる、暗視スコープを忘れるなよ。」

君路の勇者「すまない、本来君達には関係の無いことなのに…」

自衛「村では助けてもらったしな、困ったときはお互い様だ。」

240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/26(火) 21:47:32.57 ID:LSWQiSRG0
指揮車の近く


衛生「これが動いてたなんて信じられませんよ…」

偵察「だが、こいつらは歩いて俺達に襲い掛かってきたんだ、お前も見たろ?」

村娘「?…あの、なにを…ひっ!?」

衛生「あ、いけね…」

村娘は悲鳴を上げて後ずさる

衛生の手に、先程自衛が切り落とした村人の生首があったからだ

衛生「悪い悪い、今隠すから。」

衛生は生首をビニールで包み、指揮車の中に隠す

偵察「大丈夫か?」

村娘「は、はい…あ、あの…一体な、何を…?」

衛生「そんなにビビるなって、ちょっと検死をしてただけだからよ。」

偵察「無茶言うなよ、普通生首見たらビビるだろ…」

村娘「あ、あなた、お医者様なんですか…?」

衛生「そんな大層なもんじゃねぇよ、心得が少しあるだけだ。」

偵察「よく言うぜ…」

村娘「あの…村の人達、本当に……死んじゃったんですか…」

衛生「…ああ、おそらく…さっきの首はけっこう腐敗が進んでたからな、
   少なく見積もっても二日前には…」

村娘「……」

衛生「彼らが動いていたのは個人の意思じゃないだろう、
   何かはわからないが別の原因によるものだと思う。」

村娘「そうですか…あ、ありがとうございます…」

村娘はその場から去った
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/27(水) 03:06:25.94 ID:uBFwCgneo
ふむ
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/27(水) 07:03:10.82 ID:sf+jp/bP0
偵察「本当にあの娘を連れて行くのか?」

自衛「他に安全な場所があるか?ここに置いて行くよりは
   シキツウの中のほうがよっぽど安全だ。」

偵察「そりゃ、そうだがよ…」

自衛「わかってる、82車長。終わるまであの娘には外を見せないようにしてくれ。」

82車長「わかった。」

自衛「よし、全員乗車。行くぞ。」


村の中心
ある家屋の地下室


碧明の戦士「ん…んん?どこだここ…はっ!」

?「気がついた?」

碧明の戦士「だ、誰だ!あ、あれ…?手が、縛られてる?」

?「残念だったわねぇ、せっかくがんばったのに。
  でも、おかげでいいデータが取れたわ。」

碧明の戦士「誰だよお前!勇者はどこだ!?っていうかあたしをどうするつもりだぁ!」

?「あの勇者様と娘がどうなったかは私にもわからないわ。
  勇者様の魔力が感知できなくなった所を見ると、
  逃げ出したか、それともわたしのアンテッドに殺されたか…
  そうなると娘もまず生きてないわね。」

碧明の戦士「そ、そんな…そんなことあるかぁ!勇者は無敵だぞぉ!」

?「うふふ、元気ねぇ、それになかなか健気だこと。
  いいわぁ、良質な研究材料になりそう。」

碧明の戦士「うう〜、何をわけわかんないことを!」

?「そのうちわかるわ、まあ、今はおとなしくしててね。」

碧明の戦士「あ、待て!…くっそぉ、勇者〜!」
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/27(水) 07:05:53.83 ID:sf+jp/bP0
村の入り口


アンテッドA「おおおーー…」クチャクチャ

アンテッドB「おおおーー…」クチャクチャ

グォォォォォ!

アンテッドA「おおーー…びゃっ!」グチャッ

アンテッドB「お゛っ!?」ゴチャッ

ゴォォォ!

82車長「跳ね飛ばしたか今!?」

自衛「気にしてる場合じゃねぇ、それより周囲に気を張れ。」

衛生「後ろ見てみろ、あいつら…鹿の死体を貪ってたみたいだ…」

偵察「おえ…」

自衛「…まず、勇者が戦士とはぐれた場所まで向うぞ。
   あいつらが出たら、指揮車に近づけるな!」

82車長「了解。」

自衛「状況開始だ。」


指揮車は道を突き進み、自衛たちは車上から指揮車の周囲を警戒する


偵察「っていうかよ、はぐれた所にあのねーちゃんが残ってると思うか?」

自衛「それ以外目星がつかねぇからな、にしても…
   さっきの団体さんはどこいっちまったんだろうな…?」

82車長「定時で上がったんじゃねぇか?俺達と同じ公務員なんだよ。」

自衛「だといいがな…」

偵察「自衛隊に定時なんてあって無いようなもんだ…」

指揮車はやがて広場へと出る

偵察「うげ…」

82車長「うじゃうじゃいやがるな…」

広場には30体以上の村人のアンテッドがうごめいていた

君路の勇者「切りこむか?」

自衛「いや、こっちでやる…」キンッ

自衛は手榴弾をアンテッドの中心に投げ込む

ボガァッ!

アンテッドC「あ゛あ゛ーーッ!」

アンテッドD「あ゛っ!」

程よく密集していたアンテッド達はみごとに吹き飛んだ
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/27(水) 07:08:58.21 ID:sf+jp/bP0
自衛「残った奴を片付けろ!82操縦手、前進を続けろ!」

82操縦手「了解。」

衛生「右に一体!」ダーン

82車長「端のほうに残ってる、掃射する。」ドドドドド

偵察「今ので敵さんも気付いただろうな…」

自衛「目標地点まで急ぐぞ、警戒を怠るな!」

指揮車は前進を続ける

82車長「おい、前方見ろ。きやがったぜ…」

前方からアンテッドの群れが現れる

衛生「えーと、何体いるんだ…」

偵察「数えるだけ無駄だ、それより上見ろよ…」

上空を灰色の物体が飛行している

君路の勇者「ガーゴイルか…!」

偵察「割と月明かりではっきり見えるもんだな。」

自衛「さっきよりは少ない、勇者!上は任せていいか?」

君路の勇者「問題ない!」ダッ

勇者は上空へと跳躍した

自衛「良し、地上、正面に集中しろ!突破口を開く!」

82車長「ぶっ放すぞ!」

ドドドドドドドド!

指揮車のキャリバー50がアンテッドの集団に向けて火を吹く

アンテッド集団「あ゛っ!」バシュッ

       「お゛げっ!?」ビシャッ

       「びゃっ!」グシャッ

偵察「路地からも来たぞ!」

自衛「指揮車に近づけるな!」ダダダ

アンテッドE「あ゛あ゛!」ブシュッ
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/27(水) 07:11:56.04 ID:sf+jp/bP0
衛生「左!再装て…」

ガシャーン!

衛生「おわっ!?なんだ今の!?」

家屋の一つで土煙が上がる

自衛「勇者が仕留めたガーゴイルだ、上は任せて大丈夫そうだな。
   行け!止まるな!」

ゴォォォォ

偵察「連中、追いかけてくるぜ!」

自衛「追いつけやしねぇ。後ろは足止め程度でいい、前に集中しろ!」

指揮車は残りのアンテッドを退け、前進を続ける

君路の勇者「っと!」ダッ

勇者が近くの屋根に着地し、車上へ戻ってくる

自衛「勇者、戦士とはぐれたのはこの先って言ったよな?」

君路の勇者「ああ、その角を曲がって少し行けば十字路がある。」

自衛「よーし、急ぐぞ!」

246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/27(水) 09:19:03.84 ID:+V3viZZDO
ストーリーのテンポは良いし、台詞や掛け合いのセンスも凄く良い、滅茶苦茶面白いです。
本当、漫画とかアニメで見てみたいです。
アンテッドじゃなくてアンデッドですね。
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/27(水) 19:30:27.49 ID:uBFwCgneo
アンテッド…アンデッド……。
カタカナの並びは一度間違って覚えてしまうとなかなか気づかないよな。
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/27(水) 20:23:07.44 ID:i+aEmyEXo
undeadだからね
元を見ると覚えやすいよ
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/28(木) 00:41:25.95 ID:piX5Ywu1o
しかし士長なのに偉そうだな…
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/28(木) 06:24:53.12 ID:M9k72/lF0
アンデッドだったのか、知らんかった…
自衛の階級はもう少し高くしておくべきだった


十字路


ゴォォ…

82車長「操縦手、停車しろ…ここだな?」

自衛「とりあえず辺りの家屋を調べる。偵察、お前は指揮車を守れ!」

偵察「了解。」

自衛「行くぞ。」

勇者、自衛、衛生の三人は角の民家へと入る。

君路の勇者「…ひどい。」

衛生「荒れ放題だな…」

自衛「とにかく隈なく探せ、何か手がかりを…」

オオオオオーー…

衛生「!?」

自衛「今のは…チッ!」

自衛は十字路へと出る

自衛「今のどっちから聞こえた!?」

82車長「北の方角だ、割と近いぞ!」

自衛「衛生、俺は左の家屋を調べる!」

衛生「了解!」

自衛は道を横切り、別の家屋へと入る

自衛「くそが…こっちもひでぇ散かり様だ…!」

自衛は屋内を漁るが、手がかりらしき物はみつからない

自衛「次だ。」

自衛は再び十字路へ出る

82車長「自衛、奴らが着た!十字路の北に見える!」
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/28(木) 06:31:10.49 ID:M9k72/lF0
アンデッドF「オオオオオーー…」

アンデッドG「オオオオオーー…」

自衛「近寄せるな、時間を稼ぐんだ!」

82車長「急げよ!」ドドドドド

自衛はさらに別の家屋へ飛び込む

自衛「げほっ!埃だらけじゃねぇか!」

衛生「士長、まずいです!反対からもアンデッドが!」

自衛「マジかよ!勇者は?」

衛生「勇者は最後の家屋を調べています!」

自衛「よし、お前はこっちを手伝え!」

自衛と衛生は家中をひっくり返したが、結局手がかりらしき物は見つからない

衛生「何もありません!」

自衛「仕方ねぇ、引くぞ!」

家屋を飛び出し指揮車へと向う

反対の家屋からは勇者が飛び出してきた

82車長「急いでくれ!」ドドドドド

数体のアンデッドが指揮車の間近まで迫っていた

偵察がショットガンでそれを払っている

偵察「近寄るな!」ボンッ

アンデッドF「あ゛っ!」ボシュッ

自衛「よお、大人気だな!」

偵察「冗談はよせや!早く乗れ!」ボウッ

自衛「衛生と勇者は中に乗れ!」
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/28(木) 10:22:16.17 ID:M9k72/lF0
82車長「82操縦手、出す準備をしろ!」

82操縦手「はい!」

82操縦手は9mm機関拳銃での射撃をやめ、操縦席へと引っ込む

自衛「っと、やべえぞ、四方からきやがる!」

82車長「誰だよ定時退勤とかいったのは!」ドドドドド

偵察「お前だろボケが!82操縦手、はやく出せ!」

82操縦手「どっちに!?」

自衛「どこでもいい、こっから離れろ!」ダダダ

指揮車はアクセル全開で急発進する

82操縦手「大群に突っ込みますぜ!?」

自衛「轢き殺せ!かまわねぇ!」

指揮車はアンデッドの大群に突っ込み、突き進む

ドガッ グチャッ

アンデッドG「おーー…」ガシッ

偵察「おわっ!?」

一体のアンデッドが指揮車の側面にしがみつく

自衛「糞が!」ダンダンダン

アンデッドG「お゛っ!」ブシッ

弾丸が命中しアンデッドの頭が爆ぜる

自衛は今だしがみつく胴体を蹴落とした

自衛「ここから離れろ、全速力だ!」

グォォォォ!
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/28(木) 10:56:18.77 ID:GRaduwIco
相変わらずのクオリティーで毎日の楽しみでス。
合いの手は程々に入れさせて頂きます
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/29(金) 16:47:42.49 ID:XAcp7/7J0
自衛は指揮車内へ移る

自衛「っと、全員無事か?」

衛生「大丈夫です、けが人は今の所いません。」

自衛「しっかし、結局収穫はなしか…」

君路の勇者「いや、一つだけあったよ。」

勇者の手に持った巨大な斧を軽く掲げて見せる

自衛「それは、確か戦士が持ってた斧か?」

君路の勇者「ああ、最後に調べた家屋で見つけた、少なくとも一度はあそこに
      逃げ込んだんだ…」

衛生「けど、それだけじゃどうしようも…」

村娘「あ!」

自衛「どうした?」

村娘「いえ、あの、ちょっと失礼します…」

村娘は斧に近づくと、指先で斧をなぞる

村娘「これ…」

君路の勇者「それは、魔法結晶の欠片か?」

自衛「魔法…結晶だ?」

君路の勇者「ああ、これは光の結晶の欠片だよ。」
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/29(金) 16:51:39.31 ID:XAcp7/7J0
衛生「光の結晶…」

君路の勇者「…あの、村で会った時にも思ったんだが
      君達もしかして魔法を知らないのかい…?」

村娘「え!?」

自衛「ああ…」

衛生「正確には、我々の世界にも魔法って言葉はあるが、
   あくまで創造上の物なんだ。」

君路の勇者「なんてこった…えっと、簡単に説明すると、さっき言った魔法結晶には
      それぞれ炎なら炎、水なら水に関係した力が詰まってるんだ。」

衛生「で、その欠片は光の力を宿してると?」

君路の勇者「そういうことになる、欠片だから微々たるものだけど。」

自衛「…その話は後にしよう。で、その斧に付着してた欠片がどうした?」

村娘「これ、たぶん私に家にあった物です。」

君路の勇者「何?」

自衛「どうして分かる?」

村娘「この村にある魔法結晶は私の…村長の家で保管しているものだけなんです。」

君路の勇者「それがどうして戦士の斧に…?」

自衛「考察は後だ、村長の家の場所は!?」
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/30(土) 07:27:44.01 ID:ud33S/N50
村長の家


ゴォォォォ…

村娘「ここです!」

指揮車は門を越え、敷地内へと走り込む

自衛「他の家より広いな…」

偵察「本当にお嬢だったわけだ。」

村娘「そ、そんなんじゃ…」

君路の勇者「ともかく、ここに戦士がいるかもしれない…戦士!」バッ

自衛「あ、おい!」

衛生「どうしてこの世界の人間はすぐに飛び出して行っちまうんだ…?」

偵察「俺達も行こうぜ!」

村娘「あの!わ、私も…」

82車長「待った!あれ見ろ…」

82車長は門の先を示す

アンデッドH「おおおおおーー…」

アンデッドI「おおおおおーー…」

偵察「またあいつらか!」

自衛「これじゃ探すどこじゃねえぞ、先に入り口を塞ぐんだ!」
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/30(土) 07:29:14.16 ID:ud33S/N50
家屋内


君路の勇者「戦士!戦士―!どこだ…!」

勇者は屋内を探し回る

君路の勇者「!、この扉は…?」

ギィィ…

君路の勇者「地下への階段か…よし…」チャキ

勇者は剣を構えなおし、ゆっくりと階段を降りる

やっとのことで階段を降りるも、地下は真っ暗だった

君路の勇者「暗いな、くそっ…」

碧明の戦士「また来たな!おい、こっからだせぇ!」

君路の勇者「!?」

碧明の戦士「もっぺん言うぞ!出せ!ってか、この縄ほどけぇ!」

君路の勇者「その声…!」ボッ

勇者は自分の手のひらに魔法で小さな炎を出した

碧明の戦士「うわっ!いきなり灯りを…って!?」

君路の勇者「戦士!やっぱり君か!」

碧明の戦士「ゆ、勇者!?な、なんで…!?」

君路の勇者「なんでって…助けに来たに決まってるだろう…」

碧明の戦士「あ、そっか…」

君路の勇者「とにかく、ここから逃げるぞ!」
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/06/30(土) 07:37:30.93 ID:ud33S/N50
?「あらー、感動的なご対面だこと。まるでおとぎ話みたい。」

君路の勇者「!?」バッ

碧明の戦士「ぬあっ!お前!」

?「うふふ、ごめんなさい、お邪魔しちゃって。」

君路の勇者「…誰だお前は…!」

魔術師「あら、私としたことが…
    申し送れました、私、魔術師と申しますわ、勇者様。」

魔術師は纏っているローブの端をスカートのようにつまみ、お辞儀をする

君路の勇者「…戦士をここに拘束したのはお前か?」

魔術師「ええ、私の作ったアンデッド達を相手に、思いのほか奮闘してくれましたので
    ぜひともサンプルにと。」

君路の勇者「!?、なにを…まさかこの村の有様も、お前の仕業だというのか!?」

魔術師「あらあら、そんなに怖いお顔をなさらないで。
    魔術を扱う者としての好奇心を実践したまでですわ?」

君路の勇者「黙れ!何が好奇心だ!人を犠牲にしてまで行っていい所業じゃないぞ!」

勇者は怒りを込めて言い放ち、魔術師に剣を向ける

魔術師「うふふ、さすがですわ勇者様。あなたの前進から漲る魔力と怒気…」

魔術師は舌先で自らの下唇を軽く舐める

魔術師「あなたもいいサンプルになりそう…」

君路の勇者「ふざけるなーーッ!!」グァァ

勇者は魔術師に切りかかる
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/01(日) 00:21:19.84 ID:4rvBXUDho
ちょくちょく見てる
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/01(日) 08:33:40.41 ID:ah4apJQ70
ガキィィィン!

しかし、勇者の斬撃は突如現れた物体により止められた

君路の勇者「なっ!?」

ガーゴイルA「ギャァ、ギャァ!」バッサバッサ

魔術師「ふふふ、加えてその力強さ…すばらしいわ…」

君路の勇者「ガーゴイル…!これも貴様の!?」

魔術師「ええ、でもこの子達は他のガーゴイルちゃんとは違いますわ。」

君路の勇者「この子達?、…!!」

勇者は殺気を感じ後ろへ跳躍する

ドガァァァ!

次の瞬間、天井を突き破り、別のガーゴイルが突っ込んできた

ガーゴイルB「ギャァ、ギャァ!」

君路の勇者「なんてやつだ!」

魔術師「この子達は私の魔力を媒体にしていますから、他の子達より強力ですわよ?」
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/01(日) 08:34:48.95 ID:ah4apJQ70
ガーゴイルB「ギャァァ!」ブンッ

ガーゴイルは翼で勇者を攻撃する

君路の勇者「危ない!」バッ

横に飛んだ勇者目掛けてガーゴイルは突進する

魔術師「ここで暴れまわると、身動き出来ない戦士ちゃんが大変なことになりますよ〜?」

君路の勇者「く…上だ!」バッ

バガァン!

勇者は跳躍し、ガーゴイルとは逆に地下室の天井を突き破り突進を回避

さらに一階、二階の天井を突き破り、そのまま夜空へと飛び上がる

勇者を追い、ガーゴイルたちが地下室から飛び上がってくる

君路の勇者「来るか…!」

ガーゴイルはさらに一匹増え、三匹のガーゴイルが勇者を空中で囲む

ガーゴイルA「ギャァァァ!」

一匹のガーゴイルが勇者向けて飛び掛る

君路の勇者「来い!」バッ
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/01(日) 08:36:37.65 ID:ah4apJQ70
偵察部隊はガラクタをかき集め、どうにか入り口にバリケードを構築した

アンデッドH「おおおーー…」ガンガン

アンデッドI「おおおーー…」ガンガン

バリケードの向こうではアンデッドが暴れる音が聞こえる

82車長「どうするよこれ、本隊ならともかく俺達だけであれを
     全滅させるのはちょっと難だぞ。」

衛生「携帯放射器を持ってくるべきでした。」

自衛「おいねーちゃん、ここになんか大きな炎を上げられるような物はないか?」

村娘「え!?わ、わたしじゃそんな大規模な魔法は使えません…!」

自衛「別にあんたに炎を上げてくれってたのんだわけじゃねぇよ…
   そうじゃなくて、ガソリンとか油とか可燃性の物はないのか!?」

村娘「がそ…?」

衛生「ガソリンなんてあったら苦労しませんよ!」
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/01(日) 08:37:35.71 ID:ah4apJQ70
村娘「がそりん…っていうのはわかりませんけど、油なら料理や食べ物の加工に
   使うものが…」

自衛「そいつはどこに?」

村娘「離れの倉庫の壷の中に…」

バガァン!

村娘が言いかけたと同時に、家屋から何かが飛び出した

村娘「ひぇ!?」

偵察「なんだぁ!?」

さらに続いて、大きな物体が三体飛び出す

衛生「あれ…ガーゴイルですよ!」

自衛「最初に飛び出したのは勇者か…家の中でなんかあったな…!」

村娘「まさか…お、お父さん!お母さん!」ダッ

82車長「あ、おい!」

偵察「俺が追う!」

駆け出した村娘を、偵察が追って走る

自衛「衛生、油をここまで持ってくるぞ!指揮車はここの見張りを頼む!」
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/02(月) 07:50:18.08 ID:XQ2uurSv0
ドリフターズを読んだら
テンションがイィヤッホーーー!!!!!


ドカァ!

君路の勇者「ぐぁぁ!」

勇者はガーゴイルの羽に吹き飛ばされる

ガーゴイルB「ギャァァ!」

君路の勇者「くっ、舐めるな!」

ドガッ!

ガーゴイルB「グェェ!」

背後から襲い掛かったガーゴイルを蹴り飛ばし、

その勢いで正面のガーゴイルに切りかかる

君路の勇者「はぁぁぁぁ!」

ガーゴイルA「ギャッギャ!」

しかし、勇者の斬撃はまたしても弾かれる

君路の勇者「くっそ…」バッ

ドカッ!

君路の勇者「ぐぁぁ!?」

攻撃後、隙のできた勇者を別のガーゴイルの翼が襲った

碧明の戦士「勇者ぁ!」

地下室の屋根の穴からもそれははっきりと見えた

魔術師「さすがの勇者様の三匹相手は苦しいみたいねぇ、
    わざわざガーゴイルちゃん達の得意な空に出ず、
    あなたを見捨ててここで戦えばよかったのに。」
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/02(月) 07:51:42.77 ID:XQ2uurSv0
碧明の戦士「くっそぉ、この卑怯者!」

魔術師「本当に健気なのねぇあなた、大切な勇者様を誰かに傷つけられるのが
    そんなにイヤ?」

碧明の戦士「当たりまえだろぉ!」

魔術師「ふふ」

魔術師は妖艶な笑みを浮かべると、小さな包みを取り出す

碧明の戦士「な、なんだ?」

魔術師「これをあなたに試して見るのもいいかもしれないわ。」

碧明の戦士「な、なんだよ、何する気だ!」

魔術師「これがなんだかわかる?ここの人たちをアンデッドにした薬よ。」

碧明の戦士「な!?」

魔術師「ただこれは、より服用者の身体能力を反映するよう改良してあるわ、
    あなたに使ったらどうなるかしら?」

魔術師はナイフを取り出し、ゆっくりと戦士へ近づく

魔術師「勇者様を傷つけられたくないなら、あなた自身が手を下せばいいわぁ」

碧明の戦士「ふ、ふざけるな!よ、よせ…来るなぁ!」

魔術師「ふふふ、怯えた顔もすてきよ…」

魔術師はゆっくりと戦士に手を伸ばす

村娘「そこの人、止まって!」
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/02(月) 08:07:47.96 ID:XQ2uurSv0
魔術師「!」

碧明の戦士「…へ?」

声を上げたのは村娘だ、手には短剣が握られている

村娘「そのまま動かないで、刺しますよ…!」

村娘は短剣を構え、階段を降り、ゆっくりと接近する

魔術師「あらあら、今日はお客さんがいっぱいね。」スッ

魔術師は振り返る

村娘「う、動かな…え?」

しかし、動きを止めたのは村娘のほうだった

村娘「え…うそ……」

魔術師「あら?」

村娘「………おねぇ…ちゃん?」
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/04(水) 04:57:59.58 ID:pMNG6bNx0
魔術師「あら?あらあら…ひょっとして村娘ちゃん?
    あらー、勇者様と一緒に逃げてた娘って村娘ちゃんだったのねー。
    大きくなってて遠目には気がつかなかったわ〜。」

魔術師は純粋に再会を喜ぶように話す

しかし、村娘は違った

村娘「なんで…お姉ちゃんは旅に出て…旅先で病気で死んだって…」

魔術師「あら〜、村娘ちゃんにはそう教えてたのね〜。
    まぁ当然か、姉が邪法に触れて勘当されたなんて言えないものね〜。」

村娘「勘当…邪法って…?」

魔術師「ああ、分かりやすくするために邪法なんて言葉を使ったけど〜
    本当は全然そんなことないの、とってもすばらしい物なのよ?」
    村娘ちゃんも見たでしょう、村の人たちを?
    あの人たち、今はみーんなお姉ちゃんの言うとおりに動いてくれるのよぉ?」

村娘「…どういうこと…」

魔術師「村の人たちをガーゴイルちゃん達で襲った後、
    お姉ちゃんの作った薬でアンデッド化してもらったの〜。
    す・る・と、なんとガーゴイルちゃんたちと同じようにお姉ちゃんの魔力で
    命令を送れるようになるので〜す。」
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/04(水) 05:02:49.69 ID:pMNG6bNx0
村娘「うそ…そんなことのために…?…お父さんとお母さんは…!?」

魔術師「ああ、パパとママは二階で、お・や・す・み・中よ、
    でも心配しないで、すぐにまた会えるから…まあ、お話するのはちょ〜っと
    無理かもしれないけど。」

魔術師は頬に指をあて、悪びれも無く言った

村娘「く…う…あああああー!!」ダッ

村娘は短剣を逆手に持ち替え、魔術師目掛けて切りかかる

魔術師「おおっとぉ。」ヒラッ

魔術師はそれを避けるが村娘は間髪いれずに再び切りかかる

村娘「あぁぁぁぁ!」バッ

魔術師「あらあら〜、パパの短剣術は村娘ちゃんが受け継いだのね〜、
    太刀筋がそっくりだわ〜。」

村娘「うぁぁぁぁ!」ダッ

魔術師「でもね〜」グッ

村娘「っあ!?」

村娘は短剣を持つ右手を掴み上げられ、そのまま魔術師に抱き寄せられる

村娘「そんなに興奮してちゃぁ、お姉ちゃんは倒せないわよ?」

魔術師は村娘の手から短剣を取り上げる

そして、村娘に顔を近づける

村娘「…ぅ…あぁ…!」

魔術師「かわいそうに、村娘ちゃん…つらかったのね〜。
    ならお姉ちゃんが助けてあげる〜、すぐにパパやママといっしょになれるわ〜。」
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/04(水) 05:11:18.61 ID:XG9VpbIWo
ふむ
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/04(水) 11:20:15.26 ID:pMNG6bNx0
グォッ!

偵察「だっ!!!」

ゲシャッ!

魔術師「がっ!?」

次の瞬間だった
魔術師に真横から偵察の膝が叩き込まれ、二人はそのまま吹っ飛び、転がった

村娘「!?」

碧明の戦士「え!な、何!?」

先に偵察が起き上がり、魔術師にショットガンを突きつける

村娘「え、け、けいさつ…さん?」

偵察「偵察だ、嬢ちゃん!端っから床の大穴使って降りりゃぁよかったぜ、
   思いのほか広くて迷うわ、暗くてぶつけるわで散々だ!」

魔術師「ぐ…本当にお客さんの多い日ね…怪しい格好して、強盗さんか何かかしら…?」

偵察「うっせぇ、不審者はお互い様だろうが!薄気味悪いねえちゃんだぜ…!」

魔術師「うふふ…」

魔術師は痛みを堪えつつ、不適に笑う
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/04(水) 11:23:05.74 ID:pMNG6bNx0
そして魔術師は右手を動かす

村娘「偵察さん!」

偵察「!」

村娘の声で振り返る

ガーゴイルD「ギャァァ!」

偵察の背後にはガーゴイルが召還されていた

偵察「やばっ!」

ガーゴイルの翼が偵察を打ち払おうと迫る

ボウッ!

ガーゴイルD「ギェッ!」ドガッ

しかし、偵察の発砲のほう一瞬速く
ガーゴイルは吹き飛び、胴体から上下に真っ二つに砕けた

魔術師「ッ!」

偵察「危ねぇ!スラッグ弾にしといてよかったぜ!」

魔術師「ガーゴイルちゃん!」シュッ

魔術師は右腕を振り、別のガーゴイルを召還する

偵察「うぉッ!?」ボウッ

ガーゴイルE「ギュァッ!」

偵察「これはあれか、召還ってやつか…?」

魔術師「んも〜!ガーゴイルちゃ…」

偵察「いい加減に知ろ!」ボウッ!

バギィッ!

魔術師「ッ!?…あぁぁ…!!」

スラッグ弾が魔術師の右腕に命中し、関節より下が吹き飛ぶ
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/04(水) 14:16:39.17 ID:zGbTeeuIO
そういや自衛隊の所持してるショットガンって何だろな
SPAS12とかM3とかかな
というかガス圧使ってんのか?
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 00:10:27.94 ID:qU8R6xPIO
ゴム弾にしとけよ
腕吹っ飛ばしちゃうのかよ
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 01:10:30.06 ID:Rfx7ndDeo
化け物相手に、生きるか死ぬかの状況なのに、非殺傷の弾を使う余裕なんて無いだろうな
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 02:18:54.76 ID:JLutchSIO
偵察なのにポイントマンみたいな装備やね
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/05(木) 02:39:44.62 ID:rRqkqJMd0
陸自のショットガンの情報は口外厳禁らしく
ググっても、形式わからなかった


村娘「!…うぅっ!」スッ

村娘は思わず魔術師から目を背けた

魔術師「っ…ふふ、ずいぶん変わった武器を持ってるのね、強盗さん。」

右腕からボタボタと大量の血を流しつつも、魔術師は笑みをうかべる

偵察「強盗でも警察でもねぇ!偵察だ!にしたって、なんつーねえちゃんだ…!」

魔術師「う〜んでもでも〜、強くても普通の人なのよね〜、
    サンプルには不適格かな〜?」

偵察「ああ?なんかわかんねぇけど、気色悪りぃこと考えてんなお前?」

魔術師「うふふふ〜」

偵察の問いかけに、不気味な笑みを浮かべる魔術師

村娘「……おねぇちゃん…いい加減にして…!」

偵察「あぁぁ!?この、パッパラパーねえちゃん、嬢ちゃんの姉貴なのか!?」

魔術師「あらあら、怖い顔しないで村娘ちゃん。」

村娘「なんでなの…これだけのことをしておいて、どうして笑っていられるの!?
   おかしいと思わないの!?」

魔術師「あら〜わからない?村の人たちを見てみて?おねえちゃんが居たころはみ〜んな、
    不安と不満をかかえながら生活してたのよ〜、今もたぶん同じだったんじゃない?
    それに、毎日他人同士ギスギスしててほんとやんなっちゃうって感じ?」
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/05(木) 02:48:31.64 ID:rRqkqJMd0
魔術師「でも〜、今はおねえちゃんの薬の力で、み〜んな悩みも不安もなくなって、
    何に対しても一致だんけ〜つ!ね、すばらしいでしょう〜?」

魔術師は傷ついた身でありながら、子供のように楽しげに話す

村娘「…」

魔術師「今はまだ、アンデッドになってもらう前にちょ〜っとねむねむしてもらう
    必要があるけど、いずれは空気感染可能にして、そんな問題もばっちり解決!
    いずれは世界中のみんながアンデッドになって〜、戦争も憎みあいも
    なくなって素敵な世界になるわ〜。」

碧明の戦士「うぇぇ…」

偵察「…考えは立派かもしれねぇが、辿り着いた手段がこの有様かよ…
   ねーちゃん、てめぇの脳みそ確実に虫食ってるぜ!」

魔術師「だって〜、人間のまんまじゃ仲良くするにも限界があるもの?
    アンデッドになれば〜…」

村娘「もういい!!!」

村娘は一喝すると、落とした短剣を拾う

偵察「嬢ちゃん?」

村娘「お姉ちゃんはずっと前に死んだ…あなたはお姉ちゃんじゃない!」ダッ

言い切った村娘は、魔術師向けて突貫する

魔術師「おっと。」

魔術師は上に飛び、そのまま一階へと逃げる

村娘「!」

村娘はそれを追い、天井の穴の端にしがみつき、よじ登っていった

碧明の戦士「えっ!?」

偵察「…ありえねぇだろ」

あっけにとられていた偵察だったが、すぐに二人を追いかけようとする

碧明の戦士「だ!ま、待って!これほどいてって!」

偵察「え、ああ、悪りぃ!」
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/07(土) 06:10:32.66 ID:TF63IcbD0
一階


魔術師「うふふ〜、かっこいいわ村娘ちゃん。」

一回で魔術師と村娘は戦いを続けていた

村娘「うぁぁ!」バッ

魔術師「おっと」

負傷している身にも関わらず、魔術師はかろやかに短剣を避ける、しかし

村娘「捕まえた!」

魔術師「え、きゃあ!」

魔術師がよけた瞬間、村娘は魔術師のローブを掴み、そのまま床に引き倒した

村娘はそのまま倒れた魔術師の頭をおさえ、短剣を突きたてようとする

魔術師「いてて…なかなか強引になったわね、村娘ちゃん?」

村娘「…ッ!」

村娘は短剣を突き立てようとする、しかし…

魔術師「あら、どうしたの?絶好のチャンスよ〜?」

村娘「……できない…」

村娘は短剣を下ろし、へたり込み泣き出してしまう

魔術師「うふふ、やっぱり村娘ちゃんね〜」

魔術師は起き上がると、村娘を抱きしめる

魔術師「いい子、いい子」

魔術師は一度村娘の頭を撫でると、村娘の手から短剣を取る

魔術師「大丈夫、おねえちゃんが大切にしてあげる」

村娘「え、えぅ…」

村娘は抵抗せず、静かに涙を流す

魔術師は村娘の首に短剣をあてる…

ドスッ
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/07(土) 07:55:39.90 ID:TF63IcbD0
刃先が肉に突き刺さる音、ついで鮮血が噴出す

魔術師の首から

村娘「…ぅ…え?」

魔術師「…ぇ…な、が…」

魔術師の首から銃剣が引き抜かれ、魔術師は倒れた

偵察「聞いてなかったのか…嬢ちゃんの姉貴は死んだ…」

偵察は床に倒れた魔術師の亡骸向けて言った

村娘「偵察…さん…」

偵察は開いたままの魔術師の亡骸の目を閉じる

偵察「だが、嬢ちゃん…あんたが手を下さなかったのは…たぶんそれでいい…」

村娘「…う…は…い…、う…うぁぁぁぁぁぁぁん!」

偵察「………」


上空


君路の勇者「っつ、ハァ…ハァ…防戦一方だ…このままじゃ…!」

ガーゴイルA「ギャァァ…」

ガーゴイルB「ギャァ…」

しかし、先程まで活発だったガーゴイルの動きが、急に鈍くなる

君路の勇者「なんだ…罠か…?」

ガーゴイルC「ギャァァ…!」

ガーゴイル達は鈍くなった動きでも、今まで道理勇者に襲い掛かる

君路の勇者「来る…いや、これなら!」

勇者は迫り来るガーゴイルに向けて剣を振るう

ズバァッ!

ガーゴイルC「ギェエエ…!」

ガーゴイルは真っ二つに切り裂かれ、地上へと落ちていった

君路の勇者「急に手ごたえが、あの魔術師に何か…?とにかく、これならいけるぞ!」
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/07(土) 09:13:42.65 ID:TF63IcbD0
敷地の入り口


バゴォ!

アンデッドH「おおおーー…」

アンデッドI「おおおーー…」

アンデッド達はバリケードを破り、敷地内へと侵入してきた

衛生「来ましたよ…!」

自衛「引き付けろ、まだだ。」

入り口周辺がアンデッドの集団で溢れかえる

自衛「よっしゃ、今だ!」

自衛の合図と共に、火の尽のついた木片がアンデッドの集団へと投げ込まれる

アンデッド達の足元には油が敷き詰められており、火は油へと燃え移る

ボァァァァ!

油に移った火は大炎上を起こし、アンデッドたちを包み込んだ

アンデッドH「あ゛あ゛あ゛ーー…!!」

アンデッドI「あ゛あ゛あ゛ーー…!!」

アンデッド達に燃え移ったことにより、炎はさらに大きくなり、
敷地外にいるアンデッドたちにも燃え移る

82車長「すげぇ…」

82操縦手「あ、アンデッドが炎の中から…」チャキ

自衛「いい、撃つな…焼け死ぬ。」

炎の中から数体のアンデッドが出てきたが、その場に倒れるとやがて動かなくなった
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/08(日) 01:06:50.81 ID:QCieuWoWo
みている
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/08(日) 13:57:43.98 ID:5+Ao6uEk0
ヒュゥゥゥ…

君路の勇者「っと!」ダッ

勇者が上空から戻ってきた

82車長「おっ、勇者の兄ちゃん。やばそうに見えたがなんとかなったのか?」

君路の勇者「ああ、正直危なかったが、急にガーゴイル達の動きが鈍くなってね、
      それでなんとか助かったよ。」

衛生「自衛士長、偵察士長たちが。」

衛生が家屋の方を示す

家屋内から偵察、村娘、戦士の三人が出てくるのが見えた

戦士は二人に両脇から支えられている

偵察「終わったか?」

自衛「ああ、そっちもみたいだな。」

偵察「ああ…」

君路の勇者「戦士!怪我は?」

勇者は偵察と村娘から戦士の身を引き受け、支える

碧明の戦士「あー、なんとか大丈夫…」ビッ

君路の勇者「あの魔術師はどうなったんだ?」

村娘「…」

偵察「死んだよ」

君路の勇者「そうか、それでガーゴイルたちが…」

偵察「家の中に魔術師と、嬢ちゃんの親御さんの亡骸がある。弔ってやらねぇと…」

自衛「…わかった、こっちで回収する。お前らは休んでろ。」

偵察「頼む…」
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/08(日) 14:18:27.26 ID:5+Ao6uEk0
敷地内に村娘の両親と魔術師の亡骸が運び出される
地面にもう一度油を撒き、その上に三人の亡骸をねかせ、衛生が油に火をつけようとする

村娘「あ、待ってください」

村娘は衛生を制止すると、三人の亡骸へと近づいた
父親の手に自分の短剣を持たせ、母親の頬に口付けをする
そして魔術師の亡骸へと近づく

村娘「あ…」

村娘は魔術師の首元から下がるペンダントに気付いた
それは、彼女たちが幼い頃に両親から渡された物だ
村娘の首からも色違いの同じものが下がっている
そして、魔術師の持つペンダントはほとんど劣化していなかった

村娘「お姉ちゃん…本当は村に…家に帰ってきたかったの?」

村娘は魔術師の頬を軽く撫でる

村娘「…わからないや…」

村娘は魔術師の首から下がるペンダントをはずし、変わりに自分の首から下がるペンダントを
魔術師の首に付け直した

村娘「……すみません、大丈夫です。」

村娘は魔術師から離れる

衛生は油に火をつけた

ボォォ!

三人の亡骸が炎に包まれる

自衛「…よし、撤収するぞ。」

82車長「ああ?ちょっと待て、この村ほっといていいのか?」

自衛「俺達だけでこれ全部片付けられると思うか?」

82車長「…無理、っつーかゴメンだな…」

君路の勇者「月橋の街まで行ってこのことを伝えよう。
      そうすれば、この村に調査隊が派遣される。」

自衛「だ、そうだ。俺達はここで引き上げだ。」

自衛たちは撤収準備にかかった

村娘「…」

村娘は炎を眺め続けている

偵察「…今のは手向けか?」

村娘「はい…」

偵察「…嬢ちゃんはここで休んでな。」

村娘「……ありがとうございます…」

村娘は亡骸が完全に燃え尽きるまで、炎を見つめ続けていた
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/09(月) 11:00:31.29 ID:ZMLvMegv0
異世界ハザード編は道中の小事件のつもりだったが
予想以上に長引いてびっくり


勇者達と自衛隊は村を離れた
最初に村を発見した高所で陣を張り、朝を待つ
自衛たちは焚き火を囲み、話をしていた

君路の勇者「なるほど…あの魔術師はそんな考えを…」

偵察「ああ、とんでもねぇ姉ちゃんだったぜ…」

偵察は魔術師から聞いた、村での事態の全容を皆に話した

自衛「平和のために人類をゾンビ化とはな…まぁ、村を出て色々知りたくないことを
    知っちまったんだろうな…」

自衛はテッパチを脱ぎながら苦い口調で言う

村娘「………」

衛生「しかし、下手をすればあの魔術師の人の研究は
    裏目にでるかもしれませんよ…?」

衛生が指揮車の後部ハッチから出て、歩いてくる

偵察「あぁ?どういうこ…」

君路の勇者「戦士の容体はどうだった!?」

偵察の言葉を遮り、勇者は衛生に差し迫った

衛生「落ち着いて、多少怪我はありますが体調は健康そのものですよ。」

碧明の戦士「あったりまえだ!この程度、屁でもないぞ!」

戦士が後部ハッチから顔を出し、腕をブンブンと回す

勇者「よかった…」

衛生「屁でもないのは結構ですが、念のため朝までは安静にしていてください。」

碧明の戦士「ふぇぇい…」

戦士は顔を引っ込めた
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/09(月) 13:42:03.40 ID:ZMLvMegv0
自衛「…裏目に出るって言うのは?」

衛生「魔術師…村娘のお姉さんの研究は死者を復活…とはとても言えないでしょうが、
    死んだ人間をもう一度動かすということ…
    こんなものが世に広まれば確実に軍事転用されます。」

君路の勇者「!」

偵察「だろうな…」

衛生「彼女は薬になんらかの手を加えて、自分の命令しか聞かないというプロテクタを
    かけていたようですが…彼女が死んだ今、そのプロテクタは無意味となりました。
    そして、この薬の存在がこうして明らかになった以上、時期に仕組みも解明されるでしょう。」

自衛「そんな代物、できれば表に出さずに葬り去りたい所だが…」

君路の勇者「そんなわけにいくか!それに、この薬の事を伝えなければあの村の惨事を説明できない!」

衛生「でしょうね…」

自衛「あの魔術師が、人類ゾンビ化を達成していれば浮き上がらなかった問題だな。」

君路の勇者「な、自衛!不吉なことを言わないでくれ!」

自衛「ああ、だがあのねーちゃんのやり方を頭ごなしに否定はできなくてな。」

君路の勇者「やめよう、そういう話は…!ともかく、この件は包み隠さず月橋の街へ
       報告を上げる。」

衛生「それが妥当でしょうね。俺はもう少しこの薬を調べて見ます。」

自衛「気をつけろよ。」

衛生は指揮車へと戻っていった
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/09(月) 16:20:30.13 ID:9SwjQRk3o

287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/09(月) 19:23:20.12 ID:ZMLvMegv0
村娘「…」

偵察「…嬢ちゃん、大丈夫…なわけねぇよな…」

村娘「い、いえ…」

自衛「そういやあんた、村がああなっちまったが、他にどこかあてはあるのか?」

村娘「それは大丈夫です、月橋の街の姉の家に…」

偵察「姉?」

村娘「あ、正しくは下の姉です。私達は三人姉妹で、下の姉が月橋の街で
    研究者をやってるんです、そこを頼ろうかと…」

自衛「ならちょうどいい、俺達の目的地もその月橋の街だ。
    勇者、お前らの目的地も同じだったよな?まとめて送ってってやる。」

君路の勇者「それはありがたいが、いいのか?」

自衛「いいもなにも、目的地が一緒でおまけにシキツウなら早く辿り着けるんだ。
    わざわざ別行動すんのもバカみてぇだろ?」

君路の勇者「まぁ、確かにそうだな。」

偵察「旅は道連れだ、遠慮すんなよ。」

村娘「す、すみません。」
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/09(月) 19:24:59.69 ID:ZMLvMegv0
自衛「そんじゃ、二人はもう休んどけ。夕方からずっと逃げまわってたんだろ?」

君路の勇者「ありがたいが…それは君達も同じだろう?」

自衛「俺達はここまでシキツウで来たから、お前達ほど疲れちゃいない。
    見張りは俺達が交代でやるから、眠れる時に眠っとけ。」

偵察「嬢ちゃん、こんな目にあった後であれだろうが、少しでも休んでおけ。」

村娘「でも…(ウトウト)…すみません、そうします…」

偵察「シキツウの中にザックがあるからそれを使いな。」

村娘は立ち上がると、指揮車へと歩いていった。

君路の勇者「…わかった、その言葉に甘えよう。ただ、何かあったら叩き起こしてくれ。」

偵察「あんたなら、起こさなくても自分で飛び起きてくるだろ?」

君路の勇者「念のためさ、頼むよ。」

勇者は指揮車の横に張った天幕の下に入り、その場に座り目を瞑る

偵察「おいおい、ザックならお前の分もあるぞ。」

君路の勇者「このほうが慣れてる、心配無用だ。お休み…」

そう言うと、ものの数分で勇者は眠りについた

偵察「…変わった奴だぜ。」

自衛「向こうも俺達に対して、同じことを思ってるだろうよ。」

自衛はテッパチを装着しなおし、立ち上がる

自衛「82操縦手と交代の時間だ、行って来る。」

偵察「ああ…」

自衛が立ち去った後も、偵察はしばらく焚き木の炎を見つめていた
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/10(火) 08:38:27.34 ID:3KAaaBEz0
翌朝


偵察「朝っぱらからレトルトだもんな…」

自衛「カンメシじゃないだけマシだろ、あれを朝飯に食うのは御免こうむる。」

衛生「味濃いってレベルじゃないですからね、まずいわけじゃないんですけど…」

82車長「長期保存と栄養補給が前提のカンメシに質を求めるな、っつー話。」

文句を口にしながら自衛たちは朝食をかっこむ

碧明の戦士「変わった味だけどうまいよこれ!」ハグハグ

君路の勇者「珍しい保存形式だな…この米ってやつも興味深い食感だ。」

自衛たちとは対照的に、勇者と戦士は楽しげに糧食を頬張っていた

自衛「そういや村娘のねーちゃんはどうした?」

偵察「飯はいらねーってよ、食欲が沸かないそうだ…」

君路の勇者「…無理もない、ご両親とお姉さん、生まれ育った故郷を一晩で全て失ったんだ…」

自衛「無茶しなきゃいいがな…衛生、あの娘の体調管理を頼む。
    無理に食わせるわけにはいかねーが、ぶっ倒れられたら事だ。」

衛生「了解。」

偵察「頼むぜ。」
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/10(火) 10:47:07.19 ID:3KAaaBEz0
同時刻
北西方面偵察隊は特に障害もなく、道中での夜営をはさみつつ、
目標の街へと近づいていた

隊員B「見えましたよ、おそらくあれです。」

隊員Bが示した先を、同僚は双眼鏡で確認する

同僚「ふむ…確かに中規模の街だが、ちゃんと城壁で囲まれている。
    期待できそうだな。」

支援A「煙もあがってねぇしな。」

茶化すように言う支援A

隊員B「もうあんな場面に遭遇するのは御免だよ…」

隊員C「…おい待て、なんか近づいてくるぜ。」

隊員Cが前方を指し示す

接近してくるのは三頭の馬だった

同僚「あれは…騎兵か?」

隊員C「厄介事じゃなけりゃいいがな!」ガシャ

忌々しそうな口調で言いつつ、隊員CはMINIMIに着く

同僚「待て隊員C、命令するまで撃つな!」

隊員C「わかってる。」

同僚「隊員B、停車しろ。」

高機動車はその場に停車し、近付いて来る騎兵の様子を伺う

?「おーい、おーーい!」

驚いたことに接近してくる騎兵の一人が、こちらに向かって手を振ってきた

同僚「?、私達に向けて振っているのか?」

支援A「だろうな、他には回りに何もない。俺達に見えてないだけかもしれねぇが。」

隊員B「やめてくれよ、変な事言うの!」

隊員C「言ってろ。」

隊員Cは照準を騎兵達からはずさない
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/10(火) 10:52:32.96 ID:3KAaaBEz0
やがて彼らは高機動車の手前まで来て停止した

?「ちょっといいかい?東の街を山賊から守った連中がいると聞いているんだが、
  もしかして君達、関係者かい?」

おもむろに尋ねてきた騎兵の男に、同僚は警戒しつつ答える

同僚「あ、ああ、守ったかどうかはともかく、その街に介入し山賊と交戦したのは私達だ…」

?「やっぱりか、こうしてお目にかかれるとは!」

騎兵の男は屈託のない笑顔で言う

同僚「あの、すみませんがあなた方は?」

?「おおっと、これは失礼。私は“木洩れ日の街”に駐留している騎士隊に所属しています騎兵長と申します。」

同僚「私は陸上自衛隊の同僚といいます、私達の事をご存知で?」

騎兵長「昨日、東の街に派遣された騎士隊が早馬を飛ばして来まして、あなた方に関する報告を聞きました。
    変わった乗り物を使い、物資確保のために探索を行っていると聞きましたから、もしやと思いまして。」

同僚「そうですか…」

騎兵長「あなた方の目的地は私達の街で?よければご案内しましょう。」

同僚「え、ああ、すみません。お願いします。」

騎兵長達は反転し、馬を走り出させる。

隊員C「おい、奴らを信用して大丈夫なのか?」

同僚「敵意は感じられないし心配ないだろう。隊員B、彼らを追え。」

高機動車は騎兵長達を追い、発進した。
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 16:02:22.66 ID:N8PNN1DDO
面白すぎて眠れん
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 23:38:24.72 ID:5Atoq/REo
マジで面白いなw
漫画化かアニメ化するべき
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 09:37:36.03 ID:kAuJQqNvo
漫画かしたら買うわww
その時はちゃんっと注釈で自衛隊の装備とか説明して欲しい。
むしろ自衛隊の広報誌にのせて欲しいわww
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/11(水) 09:42:40.84 ID:K521mclQ0
一方、東方面偵察隊は移動を再開、村を通り越え最後の峰を越えつつあった


ブォォォォ!

碧明の戦士「ひゃー、速い速い!」

指揮車の車上で戦士が風を受け、はしゃいでいる

碧明の戦士「すげーなこれ!馬車よりもずっと速いぞ!」

82車長「おい、ねーちゃん。はしゃぐのはいいが勢い余って落っこちたりすんなよ?」

碧明の戦士「わかってる、わかってる!」

衛生「本当に大丈夫かよ…」


指揮車内


村娘「…」

偵察「大丈夫か?」

村娘「お、落ち着かないです…」

偵察「あまり俯いてると酔うから気をつけろ。」

君路の勇者「初めて会った時にも思ったが、君達の装備はすごいな。他にも似たような物が?」

自衛「まぁな、あまり多くは話せないが。」

君路の勇者「そうか…最初に会った時、君達は自分のことを漂流者と名乗ったが…
       やはり、元いた世界では軍に準ずる組織に属していたのかい?」

自衛「ああ、それで俺達は演習の最中だった。その最中に“何か”が起こって、
    元居た世界から、この世界に飛ばされてきた。」

君路の勇者「…すまないが、にわかには信じられない…」

自衛「一番信じきれてないのは俺達さ、今でも夢なら覚めて欲しいと思ってる。」

君路の勇者「そうか…そうだろうな、僕が君達の立場でもそう願うだろう…」
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 09:43:59.57 ID:/PItnEOIO
スレチだが似たような異世界in自衛隊モノのラノベ?ならあるぞ
割と面白いし元自衛官?が書いてる

「ゲート 自衛隊彼の地にて斯く戦えり」で調べれば幸せになれる
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 09:52:53.83 ID:kAuJQqNvo
ちょっと幸せになってくる^^
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/11(水) 10:12:45.99 ID:K521mclQ0
自衛「そうだ、聞いていいか?」

君路の勇者「なんだい?僕で答えられることなら何でも。」

自衛「むしろお前以外に適任がいないような質問だ。
    お前ら、最初に魔王討伐のために旅をしていると言ったな?
    …この世界の魔王ってのは、どういう存在なんだ?」

君路の勇者「この世界の…君達の世界にも魔王が…?」

自衛「いや、俺達の世界にはいない。
    強大な人や物を表す比喩的な言葉として存在してるだけだ。
    魔王の名で祭り上げられる奴は五万といたが、
    実態を持った本物魔王なんざ、存在したことはない。」

君路の勇者「そうか、わかった答えよう。
       この世界の魔王は、おそらく先程君の行った比喩としての魔王を、
       そのまま実体化したような存在だ。
       腕力、魔力共に比にならない程の力を込めた強大な存在であり、
       地上に存在するほとんどの魔物を従えている。
       数千年に一度、魔王が現れ人間界を滅ぼしにかかるという伝説があった。
       それが現実になったのが五年前だ…」

村娘「…」

君路の勇者「世界の最北東端に“終界の誓国(せいこく)”という国がある。
       そこに突如魔王が誕生し、そこに集った配下と共に国を制圧した。
       さらに、魔王誕生と同時に世界の各地で強力な魔物が誕生し、野に潜んでいた魔物達も凶暴化した。
       魔王は各地へ侵略の手を伸ばし、近隣の国々は次々と落とされるか、滅ぼされていった…」
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/11(水) 10:17:42.28 ID:K521mclQ0
偵察「…まさにRPGの世界観そのものだな…」

村娘「あーる…何ですか?」

自衛「気にするな、勇者、続けてくれ。」

君路の勇者「あ、ああ。それで、各国は連合を結成し魔王軍に対抗したんだ。
       しかし防戦一方で、被害も甚大。防衛線も日に日に押されている。
       やがてこちらを裏切り、魔王側に加担する国まで出る始末だ。」

偵察「ボロクソだな…」

君路の勇者「まったくその通りだ…士気も下がり、国々は疲弊するばかり。
       そんな状況に藁にもすがる思いだったのか、連合はもう一つの伝説に頼る事にした。」

自衛「大体予想はつくが…」

君路の勇者「おそらく君の思っている通りだ、
      “魔王がこの地に降りるとき、力持つものが現れ必ずや魔王を打ち砕くであろう“
      それが勇者だ。この伝説にすがった各国は国の中から勇者を選び出し、
      魔王討伐の命を与えた。」

偵察「その一人がおめーさんってわけか。」

君路の勇者「僕は西にある“栄と結束の王国”から選び出された勇者だ。
       ただ…一応自警団には参加していたけど、本職は図書管理士なんだ…」

自衛「図書管理士って…いったいどういう経緯で選ばれたんだ?」

君路の勇者「国の巫女が選び出したらしい、三ヶ月前になるかな…
       突然王宮からの使いが来て何事かと思ったよ…
       そして王宮に出向くなり、勇者として魔王討伐の旅にでてくれないか…だ。」
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/11(水) 13:08:55.37 ID:K521mclQ0
偵察「滅茶苦茶じゃねーか、んなもんよく引き受けたな?」

君路の勇者「魔王による惨劇はよく聞かされていたからね、断りきれなかったんだ。
       それに、騎士と僧侶が仲間として志願してくれる事になったから、決心がついた。」

自衛「村で会った二人だな?」

君路の勇者「そうだ、騎士は王宮騎士団でもっとも優秀な存在だし、
       僧侶も高い能力の治癒魔法を誇る。」

偵察「ん?あの、斧のねーちゃんは?」

君路の勇者「ああ、彼女だけは僕らの国の出身じゃないんだ。
       途中立ち寄った町の酒場で出会ってね、
       話をしたら『おもしろそうだから同行させてくれ』って。」

偵察「あー、なんか想像できるわ…」

君路の勇者「彼らがいなけければ僕はとっくにどこかで倒れていただろう。
       今回、その仲間を助け出してくれたことには、本当に礼を言う。」

自衛「俺等から見りゃ、お前も十分化け物だけどな。」

君路の勇者「国の協会から加護を受けているからさ。
       僕は加護を力として変換できる人間だから勇者に選ばれたらしいけど、
       それでも加護がなければただの人だ。
       それに僕はまだ未熟だからね、もっと強くならないと…」

偵察「これ以上強くなんのかよ…」
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/11(水) 17:30:38.17 ID:K521mclQ0
偵察が呟いたその時だった

ギュァァァァ!

偵察「どわっ!?」

君路の勇者「わ、な、なんだ?」

指揮車が急ブレーキをかけたため、自衛たちは体制を崩した

自衛「どうした!?」

82操縦手「前方に、へ、蛇が…!?」

自衛「蛇だぁ?んなもんで…」

言いながら自衛はハッチをくぐり車上に上がる

自衛「げ!?」

大蛇「シャァァァァー!」

そこにいたのは全長3mはあろうかという巨大な蛇だった

横幅も広く、さらに普通の蛇と違いツ剣の先のような鱗が体を覆っている

自衛「衛生、何やってんだ撃て!」

操縦席横のMINIMIに着く衛生に指示を飛ばす

衛生「そうしたいのは山々なんですが、戦士の姉ちゃんが

飛びかかって行っちまいまして!」

自衛「あぁ!?」
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/11(水) 17:31:55.37 ID:K521mclQ0
見れば、今まさに戦士が空中から、大蛇に斧を振り下ろそうとする瞬間だった

碧明の戦士「だぁぁぁぁ!」

大蛇「シャァァッ!」

しかしその一撃は見事に回避された

碧明の戦士「げ、速い!?」

戦士の攻撃を回避した大蛇は、そのまま戦士に噛み付こうとする

碧明の戦士「やばっ!」

ガキィ!

だが、大蛇は金属音と共に大きく仰け反った

碧明の戦士「おろ?」

君路の勇者「くそ!鱗が硬い!」

勇者の斬撃が大蛇を跳ね飛ばし、戦士を救った

だが、鱗に阻まれ決定打にはならなかった

君路の勇者「戦士!ただ飛び掛るんじゃなく、相手の動きを読むんだ!」

碧明の戦士「へへ、悪い悪い!でも、助かったぜ!」

大蛇が体勢を立て直し、二人を睨みつける
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/12(木) 00:37:09.57 ID:w9n3YH6C0
君路の勇者「来るぞ!戦士!」

碧明の戦士「わかってるって。」

大蛇は二人目掛けて襲い掛かる

君路の勇者「はっ!」

碧明の戦士「よっ!」

二人は噛み付かれる直前で左右に跳躍、大蛇は地面に激突する

82車長「どんな動体視力してんだあいつら…」

起き上がった大蛇は勇者のほうを向き、再び襲い掛かる

君路の勇者「はぁぁ!」

迫る大蛇に勇者は再び剣を払う

ガキィン!

斬撃はまたしても鱗に防がれる
大蛇は仰け反るが、すぐに起き上がり勇者を食い殺そうと飛び掛る
しかし、勇者はその場から動かない

グシャァ!

そして鈍い音がする

君路の勇者「…ナイスタイミングだ、戦士。」

碧明の戦士「当然!」

大蛇の頭には戦士の斧が振り下ろされ、大蛇は音を立ててその場に倒れた

偵察「…やっぱりバケモンだぜあいつら。」
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/12(木) 00:43:39.95 ID:w9n3YH6C0
二人は武器に異常がないか確認しながら、指揮車へと戻ってきた

君路の勇者「やぁ、お待たせ。」

衛生「とんでもない腕前ですね、さすがは勇者一行。」

君路の勇者「そんなことないさ…それより君達、物資の調達が目的らしいが、
       金銭は持ってるのかい?」

自衛「こっちの世界の通貨は何も…隊員の中から貴重品の提供を募って、
   それで物々交換ができないかと思ってるが。」

君路の勇者「なら、それは仲間に返してあげるといい、あの大蛇の鱗は貴重品で高く売れるんだ。
       普通なら遭遇したら逃げ出すか、もし倒せても死体は置いてくはめになるんだが、
       君達のシキシャ…を使えば余裕だろう?」

自衛「ありがてぇけど、あれを倒したのはお前達だろ?」

君路の「昨日から何度も助けられてるんだ、これくらいのお礼はさせてくれないか?」

自衛「わかった、そういうことなら。偵察、衛生、82操縦手、あのデカ物を車上に乗せるぞ。」

82車長「俺は周囲を見張ってるぜ。」

自衛「頼む」

自衛たちは大蛇を車上へと乗せる作業に入る

偵察「…なぁ、そういや村に動物の首が吊ってあっただろ?
    その中にこいつと同じ大蛇の頭があった気がするぜ。」

自衛「ありゃ、なんだったんだろうな。」

村娘「あ…それ、災厄とかが来た時にする厄除けなんです。」

偵察「厄除け?」

君路の勇者「この地方にある、代表的な厄除け方法さ。
       狩ったモンスターの頭を剥製化して家屋に吊るすんだ。」

衛生「…けっこう悪趣味なことすんだな…」

君路の勇者「襲い来るものに対する警告の意味があるからね、
       こうなりたくなければ近付くな!って。」

偵察「怖ぇ怖ぇ…」

自衛「鰯の頭ってのも間違いじゃなかったな。」

話しながら大蛇の体を乗せ終え、偵察隊はその場を後にした
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/12(木) 14:58:30.36 ID:w9n3YH6C0
さらに数十分後、東方面偵察隊はついに連峰を越え
月詠湖の王国領内へと足を踏み入れた

山を降りると、一面の草原が広がっており、指揮車はその真っ只中を走っている

村娘「…あの、ちょっと外に出てきてもいいですか?」

自衛「ああ、気分でも悪くなったか?」

村娘「いえ、そういうわけじゃないんですけど、ちょっと風に当たりたいなって。」

自衛「別にかまわねぇが、転落だけはしないでくれよ。」

村娘「き、気をつけます…」

村娘はハッチをくぐり、車上へと上がる

村娘「わ…!すごい風…」

偵察「君がもしも、いなくなっても平気なように〜」

村娘「?」

振り返ると、偵察が車上の後ろに居た

後方を見張りながら、歌の歌詞を口ずさんでいる

偵察「昨日よりも、大またで進もう、いつも〜よりも〜…?」

気配に気がつき、偵察は振り返る
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/12(木) 14:59:32.79 ID:w9n3YH6C0
偵察「おお、嬢ちゃんか、どうした?」

村娘「ちょっと風にあたりたくて…変わった歌ですね。」

偵察「そうか?こっちの世界にはこういう歌はないのか?」

村娘「リズムが独特だと思って…」

偵察「ああ、確かにアニメのオープニングだからな…嬢ちゃんには変に聞こえるか。」

村娘「あにめ…?おーぷにん…?」

偵察「悪いな、変な気分にさせちまって。」

偵察は歌うのをやめ、監視を再開する

村娘「…あ、あの…!」

偵察「んー?」

村娘「よ、よければその歌、教えてもらえませんか…?」

偵察「嬢ちゃんにか?」

村娘「はい、なんていうか、元気になれそうな…気がして…」

偵察「…いいぜ、歌があれば暗い気持ちも吹っ飛ぶだろう。」

偵察は村娘に向き直り、再び歌い出す
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 15:42:18.83 ID:HzSOSHFJo
やはりフラグが立ったか・・・
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/13(金) 02:33:32.07 ID:eGrFHDb70
北西方面偵察隊は途中で出会った騎兵達に案内され
目標地点“木洩れ日の街”へ到着した


騎兵長「ようこそ、ここが私達の街です!」

同僚「近付いて見ると、けっこう大きな街だな…」

隊員B「見てください、塀の上。等間隔で弓兵が配置されてる…」

支援A「こりゃ案内無しで近付いてたら面倒なことになってたな。」

騎兵長は門番に何かを話している

門番「ようこそ、木洩れ日の町へ。歓迎いたします。」

同僚「これはどうも…」

門番「お噂はお聞きしていますが、念のため入国審査をさせていただけますか?
   武器の所持などは…」

隊員C「見りゃわかんだろ、全員揃って完全武装だよ!」

隊員Cは高機動車据え付けのMINIMIを叩きながら言い放つ

同僚「隊員C!…すみません、こいつ少し苛立ってて…」

門番「い、いえ…この街では、武器の持ち込みは
   護身に最低限必要と認められた物のみとなっています。
   それ以外はお預かりすることになっています。」

同僚「そうですか…」
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/13(金) 02:36:20.28 ID:eGrFHDb70
隊員C「冗談だろう、ここの連中に武器を預けるだと?ありぇねぇぜ!」

同僚「黙るんだ隊員C!」

隊員C「ケッ」

支援A「だがよぉ同僚。隊員Cの言うことも最もだぜ。
    武器を押さえられちゃ、イニシアチブを失っちまう。」

隊員B「まだ彼らが味方と決まったわけではありません…、
    それに、下手にこちらの装備を見せるのは…」

支援Aと隊員Bは周りに聞こえないよう小声で同僚に言う

同僚「仕方がない…隊員C、支援A、ここに残って高機動車と武器を見張れ。
   私と隊員Bで街に入る。武器は銃剣と拳銃のみで、それなら問題ないですか?」

同僚は銃剣と拳銃を門番に見せる

門番「ええ、ナイフは結構です…で、こちらの物は…?」

騎兵長「通達にあった、弓よりも早く敵を射抜く武器か?」

同僚「ええ、その中でも最も殺傷能力の低い物です。」

門番「…わかりました、ただ、街に滞在中は監視の物を同行させていただきます。」

支援A「そこまでしなきゃいけねぇのか?」

騎兵長「一応、関係者には緘口令を敷いてあるが…君達のことは少なからず噂になってる。
     君達の安全の為でもあるんだ。」

同僚「わかりました、そういう理由あるのならば、こちらからもぜひともお願いします。」
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/13(金) 02:38:49.25 ID:eGrFHDb70
門番「ありがとうございます、では街に入られるのはそちらのお二人のみということで?」

同僚「ああ、皆問題ないな?」

隊員C「あーいいよいいよ、ゆっくり観光してこい…」

支援A「お土産楽しみにしてるぜ、へへ」

騎兵長「ではせっかくだ、同行は私がしよう。君、すまないが私の馬を頼む。」

門番「わかりました。」

騎兵長は馬から下りると、はじめて兜を脱ぐ

隊員B「わぁ…」

兜の下から現れたのは髭もじゃの男だった

騎兵長「そうだ、お二人の格好では目立つでしょう、予備のローブは無いかい?」

門番の一人がローブを持ってきて、二人に渡した

隊員B「あ、どうも…」

騎兵長「では、行きましょうか。」

同僚「あ、はい、お願いします。」

三人は門をくぐり、街へと足を踏み入れた

隊員C「…見たか、あの顔?」

支援A「天然のギリースーツだな。」
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/14(土) 12:34:35.40 ID:2EWDS3lo0
門をくぐり、少し歩くとすぐに人だかりに出くわした
商店が立ち並び、人々が行き交っている

隊員B「すごい賑わいですね、今までが今まででしたから少し、ほっとしました…」

同僚「これなら物資の調達も期待できそうだな。」

騎兵長「あの、大変申し訳ないのですが、その前にあなた方にあっていただきたい
    お方がいるのです…」

同僚「会ってもらいたい人…ですか?」

騎兵長「ええ、どうしてもあなた方にお会いしたいとのことで。
     お手数をおかけするお詫びに、物資調達に必要な資金はこちらでご用意いたしましょう。」

同僚「それは願っても無い事ですが…なぜそこまで?」

騎兵長「それは、そのお方ご本人から直接お聞きになられたほうがよろしいかと、
     申し訳有りませんが、私の口から話せることではありません。」

同僚・隊員B「?」
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/14(土) 12:43:19.29 ID:2EWDS3lo0
十数分歩き、三人は街の中心部へ足を踏み入れた
中心部の家屋は城壁近くの家々よりも丁寧で立派な作りをしている
そのなかでも比較的大きな建物に案内される
入り口の前には槍をもった番兵達が立ち、周辺も兵士が巡回していた

同僚「…ずいぶん物々しいですね。」

騎兵長「ええまぁ、さ、こちらへ。」

騎兵長は二人を中へと案内する

入り口をくぐるときに、番兵達が一斉に姿勢を正した

隊員B「なんなんだ?」

騎兵長「しばしお待ちを。」

中に入ると、騎兵長は同僚と隊員Bを待たせ、奥のほうにいる侍女らしき人間に近付く

騎兵長「お二人をお連れした、案内を頼む。」

侍女A「わかりました。」

侍女は同僚達のほうへと歩いてくる

侍女A「ご案内する前に、申し訳ありませんが、
    そちらの殿方はここでお掛けになってお待ちいただけますか?」

隊員B「え、わ、わかりました…」

侍女A「ではそちらの方、ご案内いたします。」

同僚「あ、ああ…」

侍女が先導し、奥にある階段を上っていく

同僚は彼女のあとを追った
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/14(土) 22:39:14.29 ID:uvO2Bo4Ro
同僚女かよ!!
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/14(土) 23:08:27.01 ID:SwiQeBIgo
なんでそうなるの
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/15(日) 00:10:26.40 ID:QovP1TQ00
侍女B「よろしければどうぞ。」

隊員Bの前に紅茶が運ばれてきた

隊員B「あ、おかまいなく…」

侍女B「……」

建物内は複数の休憩用のソファとテーブルが置かれ、所どころに装飾品がある

隊員B「…ここってなんのための建物なんですか?」

侍女B「何というわけではありませんが、公共の建物です
     一般に開放されることもあれば、要人の方々の公務のために使われることもあります。」

侍女はあくまで事務的な口調で答える

隊員B「そうですか…あの、すみませんがお手拭ってお借りできますか…?」

侍女B「お待ち下さい。」

言うと侍女はその場から離れる

隊員B「………」

隊員Bは侍女が離れると、胸元のポケットをまさぐる

隊員B「あった…」

出てきたのはリトマス紙のような細長い紙だった
周りの目を盗み、その紙を紅茶に軽く浸ける

隊員B「…変色無しか、薬とかは入ってないみたい…」

その紙は、衛生が偵察隊全員に渡した薬物検査紙だった
隊員Bは侍女が戻ってくる前にそれをしまう

隊員B「ここの人たちに敵意は無いと思いたいけど…」
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/15(日) 00:22:40.22 ID:QovP1TQ00
同僚は上階の一室の扉の前に案内された

侍女A「申し訳ありませんが、所持されている武器をお預かりいたします。」

同僚「え、武器をか…?」

侍女A「ご安心下さい、この建物内は安全です。武器は退室時にお返しします。」

同僚「…わかりました。」

同僚は銃剣と拳銃を渡す

侍女は知る由もないが、拳銃に関しては弾装を抜き、無力化してあった

同僚(奪われるなんて考えたくもないが、念のためだ…)

コンコン

侍女A「お連れしました。」

侍女はノックをし、室内へ知らせる

?「どうぞ。」

侍女A「では、お入り下さい。」

同僚はドアノブを捻り、ドアをくぐった
室内はそれほど広くはない個室だったが、赤いカーペットがしかれ、
高価そうなテーブルやソファが一組、そのほか申し訳程度の家具や装飾品が置かれている

同僚(あれは?)

窓際に一人の女性が佇んでいる
派手すぎず、地味すぎでもないドレスを身に纏い、気品溢れる姿で外を眺めていた

同僚(…私達は本当に御伽噺の世界に放り込まれたらしい…)
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/15(日) 00:24:51.80 ID:QovP1TQ00
?「はじめまして、お会いできて光栄ですわ。」

彼女は同僚へと振り向く

同僚(!…なんとまぁ…)

同僚の目に映ったのは、見たことの無いタイプの美人だった

肌はとても綺麗で白い、そしてなにより目を引くのは真紅の長い髪

?「あら、お噂を聞いていましたから、どんなお怖い方かと思ってましたが…」

彼女は同僚へと近付くと、同僚の頬を指先で軽く撫でる

同僚「!…(おいおい)」

?「こんなに綺麗な方だなんて…」

彼女は同僚に顔を近づける
瞳は同じく真紅で、この世界独特の顔立ちとの組み合わせは
感じたことの無い美しさを同僚に与えていた

?「それに、こんなに綺麗な黒髪…見たこともない…」

彼女は今度は同僚の髪を梳こうと手を伸ばす

同僚「…私達との面会を希望されたのはあなたか?」

同僚は少し顔を引きながら聞いた

?「あ、やだ!申し訳ありません、私としたことが…」

一歩下がり、彼女は照れ笑いを浮かべる

?「あなたがあまりにも綺麗だったので、つい本題を忘れてしまいましたわ。」

同僚「はぁ…あの、失礼ですがあなたは一体…?」

?「やだ!私ったら興奮のあまり自己紹介を忘れるなんて!
   ふふ、あなたの魔力は相当なもののようですね。」

同僚(なんだんだこの人…)
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/15(日) 00:34:13.97 ID:b0f+P5lLo
>>314
Bをワザワザ殿方と言ってたからそうなのかと

というかこいつら幹部でもないのに拳銃所持してるんだな
つーか階級一番高いのヘリパイロットか、やるせねぇな
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/15(日) 17:06:45.86 ID:QovP1TQ00
?「コホン…申し遅れました。私、この五森の公国を治める五森王の娘、
   五森姫と申しますわ。」

同僚「私は陸上自衛隊、普通科連隊所属、同僚陸士長と申します。」

同僚はその場で脱帽時の敬礼をする

五森姫「うふふ、私の正体を知っても驚きませんのね。」

同僚「身なりから身分の高い方であろうことは想像できましたので、
    ご気分を害されましたか?」

五森姫「いいえ、その冷静な対応は評価に値しますわ。
     それで…あなた方が東の街を救ってくださったとか。」
     
同僚「救ったかどうかはわかりませんが、事態に介入したのは私達です。」

五森姫「ご謙遜を。それと、堅苦しいのは抜きにしましょう。
     お掛けになって、お話を聞かせてくださいな。」

五森姫は同僚にソファを勧め、自身も腰掛ける

同僚「失礼します。」

同僚は五森姫の向かいのソファに座る
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/15(日) 17:09:31.23 ID:QovP1TQ00
五森姫「初めて報告を聞いたときは驚きましたわ。
     わずか十数人の兵力で百人を超える山賊達を壊滅させたとか。」

五森姫は話しながら、手馴れた様子で紅茶をティーカップに注ぐ

五森姫「今回の件で、東の街から多くの犠牲が出てしまいました。非常に心苦しいことです…
     しかし、あなた方がいなければもっと被害が出ていたでしょう。」

五森姫は同僚の前に紅茶の入ったティーカップを差し出す

五森姫「あなた方には本当に感謝しています。」

同僚「いえ、そんな…我々は偶然その場に居合わせ、自分達の安全のために
    行動しただけです…」

五森姫「あくまでご謙遜なさるのね、ふふ…でもその姿勢もまた美しい…」

同僚「いえ…(ちょっと苦手だなこの人…)」

五森姫「お仲間にはあなたのような考えの方が多いのですか?」

同僚「なんとも言えません…私は組織の姿勢に基づいての言動をとっていますが、
    違った思想を持つ者もいます。」

五森姫「なるほど…」
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/15(日) 17:12:04.15 ID:QovP1TQ00
同僚「あの、こちらからもお聞きしてよろしいでしょうか?」

五森姫「あら、何かしら?」

同僚「一国の姫ともあろうお方が、なぜ直に私とお話を?
    自分で言うのもなんですが、我々は得体の知れない存在です。」

五森姫「好奇心よ〜、突然現れた謎の力を持つ一団なんて、
     聞いたらワクワクしませんこと?」

同僚「…そのためにあなた御自身がわざわざ王都から、なんてことはありえないですよね?」

五森姫「…ふう、せっかく綺麗な女の子とお茶を楽しめると思いましたのに…
    やっぱりきな臭い話は避けられないですわね…」

同僚「…話していただけますか?」

五森姫「わが王国は豊かな自然に囲まれた平和な国…と名乗りたい所ですが、
     実際にはそう名乗るにはいささか厄介ごとが多すぎますの。
     いえ…昔は本当に平和でしたのよ…魔王誕生までは。」

同僚「魔王…」

五森姫「魔王についてはご存知かしら?」

同僚「いえ、詳しいことは何も…」

五森姫「ではそれも含めて説明させていただきますわ。
     少し長いお話になりますの、楽にしていてくださいな。」
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/15(日) 17:31:53.62 ID:B5MxO+3no
やっぱり同僚って女だったのか
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/15(日) 17:56:26.94 ID:BX8mxIcro
>>318すげぇ洞察力だな
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/15(日) 19:53:17.13 ID:0iCiuPLzo
最初のほうで言葉遣いが女っぽかった時があったからその時は女かなと思ったんだが
その後普通の口調だったから早とちりだったのかと思ってたわ
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/16(月) 04:48:44.82 ID:egwmPX+z0
同時刻
東方面偵察隊はついに目標地点、月橋の街へ到着した

82車長「やーっと着いたな、やたら長く感じたぜ。」

偵察「途中で何度もドンパチやったからな。」

道の先に見える街を眺めながら、偵察たちは呟く

82車長「久しぶりにうまい飯にありつけるかもな。」

自衛「…82操縦手、停車しろ。」

唐突に自衛が停車を指示し、指揮車はその場に停車した

82車長「なんだ?一体どうしたんだ?」

自衛「見ろ。」

自衛は街の入り口を示して、82車長に双眼鏡を渡す

82車長「なんだぁ?」

入り口付近を見ると、
武装した兵士達がなにやら慌てて駆け回っていた

偵察「陣を張ってるぜ、なんかあったのか?」

衛生「違うな…あれは俺達を警戒してるんです…」

偵察「ああ…」

82車長「言われて見りゃ、こんな鉄のデカ物が迫ってきたら普通慌てるよな…」

偵察「大蛇の死体も乗っかってるしな。」

衛生「どうします?このまま接近したら、最悪戦闘になります。」

自衛「誰かが先に行って、説明するしかねぇだろ。」

君路の勇者「それなら僕が行こう。」

勇者が名乗りをあげる

自衛「大丈夫か?」

君路の勇者「ああ、勇者の名前を出せば攻撃されることはないだろう。」

勇者は車上から飛び降りる

自衛「気ぃつけろ。」

君路の勇者「任せてくれ。」
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/16(月) 04:52:02.40 ID:egwmPX+z0
勇者は大きく手を振りながら、入り口まで歩いて近付く

一方、城壁の上では弓兵が展開を始めていた

自衛「野郎…偵察、衛生、車体の後ろで待機。何かあったらすぐに動けるようにしろ。
    ねーちゃん達は外に出るなよ!」

勇者は一定の距離まで近付くと、立ち止まり口を開いた

君路の勇者「聞いてください!危害を加える者ではありません!
       私は魔王討伐のため、栄と結束の王国より派遣された、
       君路の勇者という者です!」

勇者の一声に、街の兵士達がざわつき始めた

君路の勇者「この街へは物資の補給と休憩のために立ち寄らせていただきました!
       滞在の許可を頂きたい!」

勇者が言い終わると、数人の兵士が勇者の下へと駆け寄ってくる

君路の勇者「代表の方はいらっしゃいますか?」

月橋兵A「私ですが。」

一人の兵士が歩み出る

君路の勇者「これを、わが国の王から預かった証明の書類です。」

勇者は兵士に書の入った包みを渡す

月橋兵A「…これは…間違いない!」

その声と同時に、兵士達は姿勢を正した

月橋兵A「大変失礼いたしました!まさか栄の国の勇者様とは…」

君路の勇者「いえ、こちらこそ驚かせてしまったようで、申し訳ありません。」

月橋兵A「とんでもありません!勇者様、月橋の街へようこそ、歓迎いたします。
     …ところで、失礼ですがあちらの方々は…?」

兵士は不安の表情で指揮車を見る

君路の勇者「ああ、彼らは………、
       彼らは道中で危機に陥った私を、強大な力で救ってくれた“神兵”です!」

327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/16(月) 04:52:33.64 ID:egwmPX+z0
藍より蒼き大空に大空に 忽ち開く百千の
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/16(月) 07:46:36.41 ID:4CiPW3ZEo
そうくるか
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/16(月) 12:41:39.79 ID:mRzhnjrko

そう繋げるかww
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/16(月) 17:12:07.35 ID:egwmPX+z0
勇者は指揮車へと戻ってきた

攻撃の気配は消えたが、兵士達のざわめきは先程よりも大きくなっていた

君路の勇者「話をつけてきた。」

偵察「とんでもねぇ説明をしてくれたなお前。」

82車長「神兵とはまた皮肉もいいとこだな、俺等と神なんて小指の先程の縁も無ぇぞ?」

君路の勇者「そうなのかい?まあ、許してくれよ。
       変に一から説明するより、色々都合がいいかと思ってね。」

偵察「ああ、そうかい…」

自衛「で、街に入る許可は下りたのか?」

君路の勇者「ああ、ただ少し待って欲しいとのことだ。」

衛生「無理もないぜ。」

自衛「とりあえず入り口近くで待機だ。操縦手、発進させろ。」
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/16(月) 17:16:50.71 ID:egwmPX+z0
数分後、
偵察隊は街の門をくぐった
レンガ作りの家と石畳の道が並ぶ中世風の街並みを、
迷彩色の装甲車両が進む光景はかなり異様だった

市民A「お、おいなんだあのでかいのは!?」

市民B「ま、魔物が街中に入ったのか!?」

月橋兵B「市民の皆さんは下がってください!大丈夫です!」

安全のために兵士が住民達を道の脇へと下げる

偵察「こりゃ迷惑ってレベルじゃねぇな。」

自衛「しゃーねぇだろ、車上のデカブツを運び込むにはこれしかねぇからな。」

眺める住民達の多くは、不安と困惑の表情を浮かべている

市民C「勇者様と神兵様だってよ!」

市民D「神兵様だって!?」

市民E「…ママ、怖い…」

市民F「大丈夫よ…」

偵察「…まるで占領軍だぜ。」
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/17(火) 00:18:46.80 ID:t4Vbdohx0
同僚が女ってことを踏まえて読み直してみると確かに所々口調や性格が女っぽいな
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/17(火) 05:22:15.40 ID:7FK5C/uJ0
指揮車はなんとか街路を通り過ぎ、兵士に案内され
市庁舎前に到着した

勇者が市長のところへ向かい、話をつけてくれている

衛生「あ、戻ってきました。」

正面の扉が開き、勇者がこちらへ歩いてくる

偵察「どうよ?」

君路の勇者「滞在許可はもらえたよ。それと、村への調査隊の派遣も依頼しておいた。」

82車長「じゃあ、とっととこのデカブツを金に換えちまおうぜ。」

衛生「待ってください、薬のことも報告してくれましたか?」

君路の勇者「ああ、それに関してなんだが、街の北に市が支援してる研究者がいるそうだ。
       薬はそこに持ち込んでくれと。」

村娘「!」

偵察「ん?なぁ、もしかしてその研究者って…」

村娘「たぶん…下のお姉ちゃんのことです。」

君路の勇者「村娘さんの?」

衛生「なんとまぁ…」

自衛「じゃあ、先にそっちに向かうか。ねーちゃん、案内してくれ。」

指揮車は村娘の姉の家向けて、発進する
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/17(火) 05:23:51.23 ID:7FK5C/uJ0
82操縦手「さっきより道幅が狭いな…」

自衛「気ぃつけろ。」

指揮車は車幅ギリギリの街路を通り抜けていく

住民G「おい、なんだあれ!」

住民H「たぶん噂の勇者様と神兵様だ!」

噂はすでに街中に広まっているらしい

住民達は騒いでいるが気にせず進む

衛生「はいはい、どいてくれー。轢かれたら痛いじゃすまないぞー。」

自衛「勇者、お前が神兵なんて言うから騒ぎが大きくなってっぞ。」

君路の勇者「そうかい?たとえ神兵と名乗らなかったとしても、
       君達じゃ騒ぎは避けられなかったと思うよ?
       それならいっそ、ああ名乗っておいたほうが都合がいいと思ったんだ。」

82車長「一理あるけどよ、でも神兵は誇張しすぎじゃねぇか?」

君路の勇者「誇張も何も、君達は神兵と呼べるような力を持ってるじゃないか?」

82車長「…もうなんでもいいぜ。」

村娘「…あ、そこを右に曲がればすぐです。」

指揮車は狭い街路をなんとか通り抜け、村娘の姉の家に辿り着いた
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/17(火) 17:33:22.34 ID:7FK5C/uJ0
後部ハッチを開き、降車する
コンコン

偵察「…あれ、出てこねぇな」

村娘「あ、それじゃ駄目なんです。」

偵察「え?」

村娘「危ないんで下がってください。」

衛生「何が?」

次の瞬間

バゴォン!

村娘は玄関扉にむかって思いっきり体当たりをかました

君路の勇者「!」

自衛「おいおい」

村娘は扉ごと家の中に倒れこみ、盛大に土煙が上がる

村娘「よいしょ。」パッパッ

偵察「嬢ちゃん…」

村娘「たぶんお姉ちゃん、この時間は睡眠中ですからこうでもしないと…」

偵察「あっそ…」

研究者「ん〜、どちらさま〜?」

家の奥から眠そうな声が聞こえてきた
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/17(火) 17:34:19.78 ID:7FK5C/uJ0
出てきたのは、よれよれの服装でボッサボサの髪の女性だった

村娘「あ…」

研究者「ん〜?あり、村娘ちゃん?どしたの、三日前に出発したばかりなのに?
     もしかして忘れ物?」

村娘「…ぅ…え…」

研究者「んん?」

村娘「研究おねぇちゃーーん!!」

研究者「わぁ!?」

村娘は研究者に抱きつくと、大声で泣き出した

村娘「おねえちゃ…うぇ、ひぐ…!」

研究者「ちょちょ!ど、どうしたの!?なんかあったの!?」

突然の事態に研究者はとまどう

自衛「失礼、あんたが村娘ねーちゃんの姉でいいのか?」

研究者「ふぇ?そ、そうですけど…あの、どちら様?」

自衛「話すと長い、その娘が落ち着いたら詳しく話す。」
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/18(水) 14:30:34.65 ID:+u3yn7Df0
研究者「…嘘でしょ、父さんと母さんが、それに魔術姉が…」

村娘「研究お姉ちゃん…」

村での一件の説明を受けた研究者は、
両手で顔を覆い、深く息を吐いた

君路の勇者「すまない…僕が至らなかったばかりに…」

研究者「…いえ…こうして村娘を連れてきてくれたんだもの、
     勇者様には感謝しなきゃね。」

君路の勇者「お礼なら彼らに言ってくれ。彼らがいなければ、
       村娘さんを助けるどころか、僕も戦士も危なかった。」

研究者「えっと、ジエイタイさん…だったよね?
     ほんとありがとう、この娘が無事でよかった…」

自衛「よしてくれ、俺達は自分の身を守っただけだ。
    それより、あんたに頼みたいことがあるんだ。」

研究者「何かな?あたしには研究くらいしか役立てることはないけど?」

自衛「まさに適任だと思うぜ、衛生。」

衛生は村で回収した薬の包みを、研究者に渡す。

研究者「これって、さっき話に出た…」
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/18(水) 14:34:05.70 ID:+u3yn7Df0
衛生「あなたのお姉さんが作った、死体をゾンビ化させ
    自在に操れるようにする薬です。」

自衛「あんたに頼みたいのは、この薬の解析と対抗策の発見だ。
    事情が事情だから、色々複雑かもしれないが…」

研究者「いや、任せてちょうだい…身内が蒔いた種よ、
     こんな物はこの世に存在してちゃいけない…」

自衛「頼んだぜ。」

研究者「よっしゃ、そんじゃ早速始めるよ!
     任せといて、一晩もあれば仕組みはわかるっしょ!」ガタッ

言うなり研究者は立ち上がり、薬を持って奥の部屋へと籠もってしまった

偵察「早いな…」

村娘「一度火がつくとああなんです。」

村娘は溜息混じりに言う

偵察「で、一晩だってよ、どうすんだ?」

衛生「俺もせめてあの薬の仕組みくらいはしっておきたいですね。」

自衛「なら、今日はこの街で夜営だな。」

君路の勇者「そんなことしなくても宿を借りたらどうだい?」

自衛「俺達は指揮車を見張らなきゃならないし、金銭は物資調達のための物だ。
    宿に泊まる余裕は無い。」
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/18(水) 14:36:18.15 ID:+u3yn7Df0
82操縦手「なんにせよ、まずはあのデカブツを金に換えねぇと始まりませんよ?」

82車長「だがよ、あんなもんどこで買ってくれんだ?」

君路の勇者「大蛇丸ごと一匹だと、いくつか回る必要がある。
       背のツララや鱗、牙は武器店、皮は服屋、内臓なら肉屋や薬屋ってね。」

82車長「そんなにか…」

君路の勇者「僕が案内しよう、僕らも宿を探さなきゃならないし。」

碧明の戦士「あたしもいいかい?腹減ったし、何より久々に飲みに行きたい!」

82車長「元気なねーちゃんだ…ま、案内はありがてぇ、頼むぜ。
     っつーわけで、自衛。俺達はあのデカブツを金に換えてくるぜ。」

指揮車は勇者達の案内で再び街へと繰り出した

偵察「で、俺達はどうする?」

自衛「とりあえず夜営の準備をしたい所だが…ねーちゃん、この辺に
    空き地とかは?」

村娘「このあたりに空いてる土地はちょっと…」

研究者「よければ、家に泊まってもらえばー?」

いつの間にか村娘の後ろに研究者が立っていた
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/18(水) 14:38:03.55 ID:+u3yn7Df0
村娘「わ、お姉ちゃん!?」

研究者「ごめん、驚かした?ちょっと必要な機材があってさ。」

研究者は壁際の階段を使い、二階へと上っていく

研究者「でかい家じゃないけど、一人暮らしにはやっぱり広くてさー、
     二階とかほとんど物置状態だし。えっと確かこの部屋…」

言いながら研究者は二階の一室の扉を空ける
次の瞬間だった

ドカドカドカ!

研究者「ひゃぁぁ!」

村娘「あ、お姉ちゃん!?」

研究者は荷物の雪崩に飲み込まれた

自衛「おいおい」

自衛たちが二階へ上がり、荷物をどけていく

衛生「大丈夫ですか?」

研究者「あはは…こんなふうに、ほとんど使ってないからさ…よければ好きに使って…」

研究者は立ち上がると、機材を持ってヨロヨロと一階に戻っていった

偵察「…嬢ちゃんとしてはどうなんだ?」

村娘「わ、私は皆さんがよければ是非…ただ…」

村娘は際ほどの部屋をちらりと見る

自衛「よし、お言葉に甘えよう…っつーわけで、俺達は二階の掃除だ。」

偵察「やっぱし」
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/19(木) 02:06:46.21 ID:wOslQ4bGo
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/19(木) 03:51:31.40 ID:Te6PmZR80
木洩れ日の街 入り口


支援A「Yo Babyeeeeee!!最高だぜ!!」

高機動車上では支援Aが上機嫌に歌い散らしている

隊員C「うるせーんだよ!支援A!ちっと黙ったらどうだ!?」

支援A「いいじゃねぇか、退屈なんだしよ?」

隊員C「お前のクソヴォイスのせいで集中できやしねぇ、少し黙ってろ!」

支援A「っつーかよ、お前さっきから何してんだ?」

後部座席で地図や書籍と睨み合う隊員C

隊員C「文字の解読ができねぇか試してんだ。」

支援A「解読?んなことしなくたって読めてるじゃねぇか、どういう理屈かは知らねぇけどよ」

隊員C「俺が言ってんのは、ここの言葉がどういう文法で成り立ってんのか、ってことだよ。
    得体の知れない力で言葉や文の内容はわかってるが、
    厳密には“読めてる”わけじゃねぇんだ、俺達は。」

支援A「ああ?よくわかんねぇけど、それでなんか問題あんのか?」

隊員C「お前には無いだろうな、だが、俺は気色悪くてしょうがねぇんだよ。」

支援A「ああそうかよ。」
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/19(木) 03:58:17.00 ID:Te6PmZR80
中心部
建物の一室

五森姫「…と、現在の世界情勢はざっとこんな感じですわ。」

同僚「なんという…」

五森姫「では、本題に入らせていただきますわ。
     魔王軍に加担する者たちもいる、と説明したのは覚えていまして?」

同僚「はい、魔王の力に恐怖し、魔王側につく国も後を絶たないと…」

五森姫「恥ずかしながら我が国内にもそういった考えの一派がおりまして…
     先日、魔王派の政治家と兵が王都を脱走。
     逃走の末、ここから北にある国境近くの砦を占拠し、立て篭もっていますの。」

同僚「…」

五森姫「あの砦付近は北の“雪星の瞬く公国”との大事な国交ルートとなっていますの。
     それに、砦の兵とその時近くにいた商人一行が、人質となっているとの情報もありますわ。 
     両方の面から考えても、一刻も早く砦の反抗分子を制圧しなければなりません。」
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/19(木) 04:03:26.05 ID:Te6PmZR80
同僚「軍は派遣されたのですか?」

五森姫「もちろん、私が王都から連れてきた第1騎士団と、
     この街の第37騎士隊が今も砦を囲っていますわ。
     しかし、魔王の侵攻を食い止めるために、わが国もかなりの兵を出していますの。
     私が派遣されたのも本来の将軍である五森王子…私の兄様が対魔王軍部隊を率いて出兵しているから。
     それに事態に派遣できる軍にも限りがありまして、今現在は膠着状態。
     こんなありさまでとても困っていましたの。」

同僚「そこに私達が現れた、と?」

五森姫「うふふ、もうお察しいただけてるようですわね。
     今回の事態にあなた方の力を貸して欲しいんですの。」

同僚「やはりそうきましたか…他国に協力を要請すれば、国の信用を失います。
    しかし、私達は流浪の民…」

五森姫「そういうこと、もちろんタダとはいいませんわ。
     協力していただければ、今後の物資、食料などはわが国が約束しましてよ?
     どう、悪い話ではないでしょう?」

同僚「…私の一存では決められません。
    時間をいただけますか?一度戻って、上長と話し合ってみます。」

五森姫「いいですわ。でもこちらとしてもあまり余裕はありませんの。
    よいお返事、期待していますわ。」
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/20(金) 15:26:56.40 ID:cPo4dpgu0
部屋を出て、武器を返してもらい、一階のホールに戻る同僚
隊員Bの姿を探す

隊員B「あ、同僚士長。こっちです。」

見れば、隊員Bはソファに腰かけ
出されたお茶菓子を遠慮無しに食っていた

隊員B「どんな話だったんです?」

同僚「あ、ああ、長くなるから後で話す…」

隊員B「そうですか。」バクバク

同僚「おまえ、ちょっとは遠慮したらどうだ…?」

隊員B「もらえるもんはもらっとかないと損ですよ?」ガツガツ

同僚「割とがめついのな…」

騎兵長「やぁ、話は終わったかい?」

騎兵長は二人のもとへと歩いてくる

同僚「ええ、まさかこの国の姫君とお会いするとは思っても見ませんでしたが…」

隊員B「ええ!?同僚士長、この国の姫と会ったんですか?」

騎兵長「すまんな、姫様のお達しで、君達がこの街に来ることがあったら
     まず、姫様のもとへご案内しろと言われていたものでな。」

同僚「ああ、なんとなくわかります…」

騎兵長「ははは…、で、これを君達に渡すよう言われている。」ドサッ

騎兵長はテーブルの上に袋多く

袋の口を開けると、大量の硬貨が顔を出した

隊員B「これって…!」

騎兵長「これで大体の物資は揃うだろう。」

同僚「しかし、姫君は物資提供は協力してくれたらと…!?」

騎兵長「ああ、勘違いしないでくれ。こいつはあくまで前金だ。
     協力をしてくれたら、国全体で君たちを支援しよう。」

同僚「………」

騎兵長「と、まあこの話はここまでにしよう。
     馬車を用意した、物資の調達ついでに街を案内しよう。」
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) :2012/07/21(土) 00:55:22.29 ID:zXJT6x880
なにこれおもしろい
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/21(土) 04:13:28.99 ID:GQrO9DZH0
二時間後


偵察「でー!」

偵察は近くの椅子に座り込む

自衛「どうにか、マシになったな。」

偵察「どんだけほっときゃ、あんなカオスな空間が出来上がるんだよ。
    ゴミ屋敷一歩手前だったぞ…」

村娘「あはは…」

ゴォォォォ…

外でエンジン音が聞こえ、扉が開いた

82車長「戻ったぜ。」

偵察「どうだった?」

82車長「なんか、結構すげぇらしいんだけどよ、いまいちピンとこねぇんだ…」

82車長は持っている袋の中身を、テーブルの上に空けた

袋からは大量の硬貨が流れ出てきた

村娘「わ…!」

村娘は驚きの声を上げる

偵察「これっていくらあるんだ?」

82操縦手「15万ヘイゼル、だってよ。」

村娘「じゅ!?」

村娘は目を丸くする
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/21(土) 04:16:34.08 ID:GQrO9DZH0
自衛「ヘイゼルだ?」

82車長「こっちの世界の貨幣単位だそうだ。」

偵察「そんな、聞いたことねぇ単位で言われてもな…」

自衛「ねーちゃん、これどんくらいのモンなんだ?」

村娘「えっと…この街では住人一人の平均収入が30〜40日で5000ヘイゼル前後なんです。」

自衛「それで、ある程度の生活はできるのか?」

村娘「はい。」

偵察「じゃあ5000ヘイゼル、10万(円)として…300万くらいか!」

82操縦手「うへー…」

82車長「なかなかの大金じゃねぇか。」

自衛「これなら物資調達もなんとかなりそうだな。」

偵察「勇者も大層なもんを譲ってくれたもんだ。」

自衛「そういや、勇者はどうした?」

82車長「戦士のねーちゃんが、調子こいてベロンベロンになっちまってよ、
     宿に送り届けてきた、お前らにお礼を言っといてくれ、ってよ。」

偵察「あいつも大変だな。」
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/22(日) 04:48:28.66 ID:CidcHFRT0
82車長「ところで衛生は?」

自衛「あれだ。」

自衛は部屋の奥を示す
そこに大量の本が積まれ、その真ん中では衛生がそれらを読み漁っていた

82車長「よーやるな…」

衛生「少しでもこの世界の情報や知識が欲しいですからね、
    せっかく字も読めるんですし。」

偵察「その辺のことはこいつに任せるとしようぜ、
    俺達が無い頭捻るのとは、天と地ほどの違いだ。」

82車長「そうだな…」

偵察「じゃあ、俺達はどうするかね?」

82操縦手「そういや、結局今晩はどこで陣を張るんです?」

自衛「この家の二階を使わせてもらえることになった。
    たった今掃除が一段落ついた所だ。」

82車長「指揮車を外においといて大丈夫なのか?」

村娘「あ、ここの通りは住人以外ほとんど通らないんで、そういう点では大丈夫です…」

自衛「見張りは当然二時間交代でつける、それまで十分休んどけ。」
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/22(日) 04:53:12.66 ID:CidcHFRT0
偵察「物資調達は明日だな、勇者がいねぇと訳わかんねぇからな…」

村娘「あの、よければわたしが案内しましょうか?」

偵察「嬢ちゃんがか?」

村娘「は、はい、夕食の買出しにも出かけなきゃいけませんし…
    あ!もちろんお邪魔ならいいんです!」

偵察「いや、そんくらい別にいいだろ?」

自衛「かまわねぇよ。やっかいになるんだ、買出しくらい手伝おう。」

村娘「す、すみません。」

自衛「82操縦手、悪いがもう一度指揮車を頼む。」

偵察「今度は俺達も行くか。荷物も増えそうだしな。」

自衛「衛生、お前はどうする?」

衛生「あ、行きます。医薬品代わりになるものがあるかもしれない。」

衛生は読んでいた本を山に戻し、立ち上がった

村娘「お姉ちゃーん、ちょっと買出しに行ってくるー!」

研究者「そんなら、ついでに果実酒買って来てー!」
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/22(日) 04:55:23.94 ID:CidcHFRT0
自衛隊は三度、街へと繰り出す

時刻は夕方、商店街はごった返していた
指揮車は商店街の方脇で停車し、物資調達のため自衛達は商店街をうろつく


八百屋娘「はい、青菜玉三つで3ヘイゼルね。」

村娘「あ、はい。」

八百屋娘「でも驚いたわよ。村娘ちゃん、三日前に帰ったはずだったのに
      噂の神兵様といっしょに現れるんだもの。」

村娘「あはは…いろいろあって…」

偵察「嬢ちゃん、ここにいたか。」

村娘「あ、偵察さん。自衛さんは?」

偵察「肉屋で塩漬肉を買い占めてる。何買ったんだ?」

村娘「青菜玉です。」

偵察「青?ってレタスのことか。」

村娘「れたす?」

八百屋娘「お、その人が神兵様?変わった格好してるね〜。」

偵察「そんな大げさなもんじゃねぇんだけどよ。」

八百屋娘「そうなの?まあいいや。せっかくだし、なんか買ってってよ。」
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/22(日) 04:56:16.77 ID:CidcHFRT0
偵察「ああ、日持ちのする野菜か果物を探してるんだが。
    出来れば栄養価の高い奴を。」

八百屋娘「ふむ、それならジャガイモか辛球根(たまねぎ)かな?
      地下保存すれば大抵のものはそこそこ持つけどね。」

偵察(一部の名前が違うが、俺達の世界の野菜と同じだな…マジで変な世界だぜ。)

八百屋娘「長期間保存するならやっぱり塩漬け物になるけど?」

偵察「わかった、とりあえずこれで包めるだけ包んでくれ。」ドサッ

八百屋娘「はいは…って、うへぇ!?」

差し出された金額、2500ヘイゼル(約5万円)に八百屋娘は驚く

八百屋娘「ちょ、ちょっとお待ちを…と、父ちゃーん!!」

偵察「こんな成金みたいな真似、したくなかったぜ…」

村娘「このお店、からっぽになっちゃいますよ。」
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/22(日) 09:51:46.94 ID:qXD+tT3K0
2500だと計算合わない上に持ち金半分消費しちゃってるから250の誤植かな?
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/07/22(日) 12:07:42.39 ID:Ne80KjRVo
>>353
15万持ってるんだよ?
5000は平均
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/07/22(日) 23:03:16.76 ID:57zJUM5AO
>>354
ああそうか
すまんかった
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/23(月) 04:55:42.71 ID:NElvK0Rp0
参考までに、この世界(というか現在いる大陸)の通貨

硬貨は三種類

1ヘイゼル硬貨=20円
10ヘイゼル硬貨=200円
100ヘイゼル硬貨=2000円

平均収入
5000ヘイゼル=10万円

自衛隊の持ち金
15万ヘイゼル=300万円

自分で考えといてあれだけど
すっごい分かり難い!
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/23(月) 05:48:19.34 ID:NElvK0Rp0
八百屋での買出しを終え、二人は指揮車へと戻る

偵察「マジですっからかんになっちまったな、あの八百屋…」

偵察は八百屋で借りた、野菜と果実が満載された荷車を押している

村娘「まあ、もうすぐお店も閉まる時間ですし、大丈夫だと思いますけど…」

偵察「ならいいんだけどよ。」

村娘「…あ、あの、偵察さん!」

偵察「ん?」

村娘「…ありがとうございました。魔術お姉ちゃんの事…」

偵察「…よせよ、俺は嬢ちゃんに礼を言われるような立場じゃない。
   理由はどうあれ、嬢ちゃんの姉貴を手にかけたのは…
 
村娘「違います!」

偵察「………」

村娘「本当は私がやるべきことだったのに…私が…わた、う…」

村娘「うぇぇぇぇ…」

偵察「………」

偵察は泣き出した村娘の頭に手をのせ、わしわしと撫でた
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/23(月) 05:50:23.85 ID:NElvK0Rp0
自衛は塩漬肉の入った、ドラム缶のような容器を指揮車に載せる

自衛「くそったれ、重てぇ!」

全てを乗せ終わり
悪態を吐きつつ、地面に重ねた小麦粉の袋に腰掛けた

自衛「…この世界も人で結構で賑わってんな。」

人で溢れかえる商店街
笑顔で歩く者もいれば、疲れた顔をして帰る者もいる
手元の小銃越しに、しばらく漠然とその光景を見つめていた

自衛「………多い」

唐突に呟いたかと思うと、自衛は自分の胸にある手榴弾を握った

そして手榴弾のピンを抜こうとする

衛生「士長!」

掛けられた大声で、自衛は手を止めた
気付けば、いつのまにか目の前に衛生が立っている

自衛「ああ…悪りぃ。」

自衛は手榴弾を戻し、立ち上がった

衛生「“久しぶり”ですね…ここの所治まってたのに。すっごい形相でしたよ…」

自衛「気を抜いちまった…やばかったか?」

衛生「ええ…」
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/23(月) 05:54:12.44 ID:NElvK0Rp0
顔をしかめ、親指でこめかみを押さえる自衛

衛生「気をつけてください…躊躇が全く無いんですから…」

自衛「ああ、大丈夫だ…お前のほうはどうだった?医薬品は手に入ったか?」

衛生「一応いくらかは…ただ、この世界は病気や怪我も魔法に頼る所が多いらしくて、
    我々が使っているような医薬品はありませんでした。」

自衛「だろうな、手に入れた材料で薬を作れそうか?」

衛生「難しいですが、一応試して見ます。」

偵察「よぉ、そっちは大体買い揃ったか?」

偵察が、野菜と果物が詰まった荷車と一緒に戻ってきた

偵察「おわ…こりゃまた盛大に買い込んだな。」

村娘「すごい…」

指揮車周りに積み上げられた袋や箱の山に、偵察達は目を丸くする

自衛「85人分だからな。これでも十分とは言えねぇが、
   これ以上積むと山越えができねぇからな。」

衛生「トラックを一緒に連れてくるべきでしたね…」

偵察「こんなに資金ができるとは想像してなかったしな。」

自衛「言ってもしょうがねぇ、それに収穫が少ないよりずっとマシだ。
    一通り買い揃ったし、戻るとしよう。」
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/23(月) 11:06:40.16 ID:ivIbsnMDO
自衛士長PTSD持ちだったんか…
自衛はなんか台詞回しと強面って設定からGOWのマーカスのイメージがあるな。
勇者はもとは学者肌、なんとなくダイ大のアバンのイメージ。
ゲートも面白いけどあっちはちょっとハーレムの匂いがな、この作品は硬派な雰囲気が凄い好きだわ。
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/23(月) 23:31:34.39 ID:xdOIPDmFo
そのうち「なーがいくーんあそびましょー」とか言い出すな
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/24(火) 03:43:52.36 ID:hrRAuVZB0
一方、北西方面偵察隊
木洩れ日の街 入り口


同僚は五森姫と話したことを、隊員C達へと伝えていた

隊員C「なんだそりゃ!つまりこの国の面倒事を俺達が片付けろってことか!?」

同僚「そうじゃない、彼らは私達に助けを求めてるんだ。
   見返りに物資や食料の援助を約束すると言ってくれている。
   見ろ、証拠としてすでにいくらかの援助を受けているんだ。」

同僚は馬車に積まれた物資や食料を示す

隊員C「そんなもん突っ返しちまえ!連中は俺達を利用しようとしてるんだよ!」

同僚「隊員C、口を慎め!どうするのかは一曹の考え次第だ。
   私は無線で指示を仰ぐ、その間に物資を高機動車に移しておくんだ。」

同僚は高機動車の無線へと向かう

隊員B「なぁ隊員C。一体何が気に入らないんだ?」

隊員C「さあな?当ててみろよ。」

不機嫌さを隠すこともせず、言い放つ隊員C

支援A「もし当たったらノーベル賞かもな、うへへ。
    ほっとけよ隊員B、隊員Cはファンタジーって奴が大層嫌いでご立腹なのさ。」

支援Aは茶化すように隊員Cを示す

隊員C「うるせぇ!さっさと運んじまうぞ。」
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/24(火) 03:58:16.87 ID:hrRAuVZB0
研究者の家の前


自衛は指揮車内にて、無線で陣地と交信をしている

自衛「…以上が道中であったことの全てです。いささか時間を食いましたが、
    補給先の目処は立ちました。」

一曹『そうか、大変だったようだな…』

自衛「全くです…ところで同僚達の部隊からは、何か報告がありましたか?」

一曹『ああ、ついさっきな。向こうも食料確保には成功したらしいが…、
    一緒に厄介ごとを持ち帰ってくるそうだ。』

自衛「厄介ごと?」

一曹『詳しいことは直接話す。そっちもいろいろあったんだろ?
    まずは無事に帰還する事に専念してくれ。』

自衛「了解、交信終了します。」

交信を終え、自衛は後部ハッチから指揮車を降りる
車体側面に出ると、サイドハッチの側で車長と操縦手が何やら話し合っていた

自衛「どうした?」

82車長「自衛か。指揮車の燃料が思ったよりも減ってるみたいでな。」

自衛「んだとぉ?」

自衛はサイドハッチから頭をつっこみ、操縦席のメーターを見ようとする

82操縦手「ちょ、落ち着いてください!何もすぐになくなるとは言ってませんよ!」
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/24(火) 04:01:33.96 ID:hrRAuVZB0
自衛「っだよ、驚かすな。」

82車長「まぁ、心配になんのもわかるぜ。この二日であっちこっち走り回った上、
     山越えまでしたからな。」

82操縦手「今回みたいなペースがずっと続くとあっという間になくなっちまう、
      って話をしてたんですよ。」

自衛「ああ、そうだな…今は補給部隊が保有してた燃料があるが、
   それも多いとは言えねぇしな。」

82車長「この世界じゃ、ガソリンなんて気の利いたもんありゃしねぇだろうし…」

半ば愚痴になりながら言い合っていると、村娘がその場に現れた

村娘「あの、みなさ…ど、どうしたんです?こ、怖い顔になってますよ…」タジッ

82車長「だってよ、自衛。」

自衛「黙れ。で、なんか用かねーちゃん?」

村娘「あ、あの、夕食ができたんで呼びに来たんですけど…お邪魔でした?」

82車長「夕食?何、俺等の分も作ってくれたのか?」

村娘「も、もちろんです!お客さんに、まして私を助けてくれた人達に
    何も恩返しをしないなんて…!ですから、せめてお夕飯をと…」

82操縦手「マジかよ、ラッキー!」

82車長「今日も糧食かと思ってたからありがてぇぜ!」

82車長達は家の中へと駆け込んでいく

自衛「………」

村娘「あの、自衛さん?」

自衛「ああ悪い、すぐ行く…燃料か…」
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/24(火) 12:07:18.76 ID:7fS89xgDO
割と死活問題だよなぁ
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/24(火) 12:14:04.60 ID:K4IZGBAIO
ついに来たか
これは松根油さんの出番ですなら
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/24(火) 12:50:59.08 ID:Gu7yQuRdo
お客様の中で燃える黒い水がわく不思議な沼を知っているお客様はいませんかー
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/24(火) 15:40:09.93 ID:ZrQ1O4lgo
石油があったとしても蒸留?しなきゃだからまず手に入らんな
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/24(火) 16:43:57.23 ID:Stismc5go
魔法で作れないのかな
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/24(火) 16:45:28.85 ID:Gu7yQuRdo
あんまり予想しすぎると>>1に怒られそうなので・・・
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/24(火) 18:45:28.17 ID:hrRAuVZB0
夕食後

一名は指揮車の見張りにつき、他の者は交代に備えて眠りに入った
ただし衛生だけは薬を解析を手伝い出したため、見張り番を免除された

数時間後

自衛は目を覚まし、ポケットをから時計をつかみ出す

自衛「…時間か…」

この世界での時間の流れがどうなっているのかは知らないが、自衛の時計は午前2時を示していた
自衛は起き上がり、部屋を出て階段を下る

研究者「おろ、どうしたの?」

リビングに当たる部屋に出ると研究者と出くわした
ソファに座り、コーヒーをすすっている

自衛「見張りの交代の時間だ、あんたは?」

研究者「ちょっと休憩、普段は休憩なんてしないんだけど、
     衛生君に休めって言われちゃった。」

自衛「あいつは役に立ってるようだな。」

研究者「そんなどこじゃないよ。彼、一体何者?
     知識が豊富ってレベルじゃないし、見たことも無い技術で解明を進めてっちゃうし。
     魔術が関わってなかったら、あたし多分いらないよ?」

言葉に反して、研究者はワクワクした表情を浮かべている
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/24(火) 18:49:31.41 ID:hrRAuVZB0
研究者「ジエイタイって軍隊に似たトコだって聞いたけど、彼みたいな人も多いの?」

自衛「あいつは特別だ、自衛隊に入る前は医者だったらしいが。」

研究者「へー、お医者さん?それがなんで?」

自衛「俺も知らん。なんかしら理由はあるんだろうが、あいつは話そうとしない。
    必要以上の詮索は厄介ごとしか呼ばないからな。」

研究者「そうかな…少なくとも話してくれていれば魔術姉は…」

自衛「………」

研究者「ううん、ごめん…なんでもない…」

研究者は再びコーヒーを啜る

自衛「…そうだ、聞きたいことがあるんだが。」

研究者「ん、なーに?」

自衛「この世界に石油の採掘や精製を行っているところはないか?」

研究者「せきゆ…なにそれ?」

自衛「地中深くに埋まってる、黒くて粘り気のある可燃性の液体だ。
    まぁ…油の一種と考えてもらっていい。」

研究者「植物油ならともかく、そういうのは聞いたことないなぁ…」

自衛「そうか…」

研究者「あ、待ってよ。この国の北に工業で栄えた町があるの。
    “灯り火の町”って言うんだけど、そこに行けばなんかわかるかもしんない。」

自衛「灯り火の町…わかった、ありがとう。」

礼を言うと、自衛は指揮車の見張りへと向かった
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/25(水) 01:57:50.94 ID:af63VZRw0
翌朝


偵察隊は早朝から帰還の準備を始めていた

偵察「衛生、なんだそれ?」

衛生「研究者さんに古い研究機材を譲ってもらったんです。
    これで簡単な検査や解析なら陣地でもできるようになりますよ。」

衛生は機材の入った木箱を、指揮車に積み込んだ

偵察「至れり尽くせりだな、ホント。」

研究者「こっちもけっこう助けてもらったかんね、これくらいはお礼しなきゃ。」

偵察「そういや、薬の解析は結局できたのか?」

衛生「ある程度は。詳しくは道中で話します。
    薬そのものは研究者さんに保管してもらうことになりました。」

研究者「あの薬を無力化する方法も見つけなきゃなんないからね、
     解明できたら薬そのものは処分するよ。」

衛生「お願いします。」
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/25(水) 02:11:09.54 ID:af63VZRw0
偵察「そういや、嬢ちゃんは?」

研究者「んー?なんか朝から台所に籠もってるみたいだけど?」

衛生「あ、出てきた。」

バタバタと音を立てて飛びだしてくる村娘
しかし、足がもつれて転倒しそうになる

村娘「きゃっ!」

偵察「おっとぉ。」ボフッ

幸い、目の前に居た偵察が村娘の体を支えた

村娘「す、すみません!よかった間に合って…」

村娘の腕にはバスケットが抱えられていた

偵察「嬢ちゃん、それは?」

村娘「お弁当です、よかったら皆さんで食べてください。」

偵察「マジか、こりゃありがてぇ。サンキュー嬢ちゃん。」

村娘「いえ、他にも何かお役に立てたらいいんですけど…」

偵察「…それじゃ、今度また夕飯つくってくれよ。」

村娘「え?」

偵察「また、なんかの用でこの街による事もあるだろう、その時にな?」

村娘「…はい!」

村娘は会って出会って初めて、満面の笑みを見せた
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 02:15:15.78 ID:/moOSMqBo
順調にフラグを立ててやがる・・・
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/25(水) 03:20:25.53 ID:y1QNFDLVo
>>375
両方のフラグがやばいな
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 08:54:48.57 ID:AN8K4kLCo
恋愛フラグと死亡フラグは紙一重・・・
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 11:32:02.21 ID:2NV9rk/IO
《これで戦争も終わる》
《俺、実は基地に恋人がいるんすよ》
《戻ったらプロポーズしようと》
《花束も買ってあったりして》

≪警告!アンノウン急速接近中!≫
≪ブレイク!ブレイク!≫

《イ゛ェアアアア!!?》
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/25(水) 13:20:02.10 ID:mE5WE8bDO
ゲート買っちまった…
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 14:37:21.99 ID:ysXEFZBpo
最近投下数多くて嬉しい
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 18:48:01.78 ID:Ucy2DLXSO
久々に見てみたらめっちゃ投下されてた

たまにはageて欲しいな
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 19:00:30.42 ID:ktuM4o+bo
ageとかsageとか関係なくレス増えてたらわからない?
専ブラ使ってないだけ?
専ブラ使わず2chとか使いにくすぎるだろ
それとも外部板の追加を知らない情弱?
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/07/25(水) 20:54:01.55 ID:BJATTEXNo
投下時にはageろとか言うのが意味がわからないな
ageだろうとsageだろうとレスがついたら見に行けばいいだけのことだと思うんだけど
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/25(水) 21:57:57.58 ID:af63VZRw0
申し訳ありませんが、>>1は基本sage進行で行きたいと考えています
今後、エグい描写も増える予定なので


82操縦手「これで全部積み終わりました。」

自衛「よし、全員乗車だ!」

碧明の戦士「おーい!」

82車長「ん?」

道の先から声がする
見ると、勇者と戦士が小走りで駆け寄ってきていた

君路の勇者「よかった、間に合ったみたいだね。」

自衛「どうした?」

君路の勇者「どうしたって…」

碧明の戦士「見送りに来たに決まってるじゃん!」

君路の勇者「しつこいようだけど、君たちには本当に助けられた。感謝しているよ。
       僕らは騎士と僧侶を待つために、まだしばらくこの街に滞在するけど…」

自衛「たぶん、またどっかで会いそうな気がするな。」

君路の勇者「確かに。じゃあ、それまで元気でな!」

碧明の戦士「またなー!」ブンブン

村娘「お気をつけて!」

偵察「嬢ちゃんたちも元気でな!」

勇者や村娘達の見送りを受けながら、指揮車は発進した
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 23:23:39.30 ID:ysXEFZBpo
書いてくれればageとか関係ない。
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/27(金) 03:21:56.67 ID:LTzLz+XR0
偵察隊が去り、勇者達も宿へと帰った

研究者「…さてと、薬の退治法を見つけなきゃね。」

魔術師は、“ヨシ!”と気合を入れながら研究室へと戻ってゆく

村娘「…」

魔術師「どしたの?」

村娘「…ううん、ちょっとね…」

村娘は魔術師を追って家に戻る

村娘「…」タタッ

村娘は二階へ上がると、窓を開け放った
空はよく晴れている
村娘は偵察隊の去った方角を見つめる

村娘「…スゥ」



村娘「遥かな空に誓え 終わらない希望と勇気を__」



以降『SKY GUNNER』のOPを脳内再生していただけると幸いです
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/27(金) 03:26:26.95 ID:LTzLz+XR0
東方面偵察隊は街を出て、陣地への帰路に着く
車上や車内では大量の物資が揺れていた


指揮車内


82車長「物資の確保だけで、こんなに苦労するとは思わなかったな。」

衛生「この世界では、今後も一筋縄ではいかない事があるでしょうね…」

82車長「だな…」

偵察「よそうぜ、気の重くなる話題はよ。それよか、朝飯もまだだし、
   嬢ちゃんにもらった弁当をいただくとしようぜ。」

偵察はバスケットの蓋を開ける

82車長「わお。あのねーちゃん、えらく張り切ったもんだ。」

バケットにはサンドイッチや揚げ物、惣菜がバランスよく入れてある

偵察「じゃ、さっそく。」

偵察はサンドイッチをつかみ、おもむろにほお張る

偵察「…やっぱ嬢ちゃん、いい腕してるぜ。」モゴモゴ

82車長「こっちの揚げ物もいける。」

衛生「大分手間をかけたんでしょうね。」

偵察「82操縦手にも持ってってやらねぇと。」

偵察は中身のいくらかを蓋に移し、操縦席へと向かった

衛生「…あの村娘のねーちゃん、ずいぶん偵察士長になついてましたね。
   村では偵察士長が結構面倒見てたから、わかるっちゃ、わかるんですが…」

82車長「あんまりよろしい兆候じゃねぇよなぁ…」

衛生「こっちの世界の住人に必要以上に情が移るのは、好ましいとは言えません…」

二人は食べる手を止め、顔を見合わせる

自衛「正直言っちまえば、ねーちゃんがどういう心境だろうと知ったこっちゃねぇ。」

上から声がする
自衛がハッチをくぐり、車上から降りてきた

自衛「だが、それに引っ張られて偵察が隊員として使いモンにならなくなったら
    目も当てられねぇぞ。」

衛生「偵察士長に限ってそれは無いと思いたいですけど…」

82車長「やめようぜ…俺達が口出しすることじゃない。本人達に覚悟があるならな…」
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/27(金) 03:28:24.20 ID:LTzLz+XR0
一方、北西方面偵察隊も帰路についていた
高機動車には物資が満載されている

隊員C「あーあ、こんなにもらっちまって。
    これで俺達はめでたく連中のお仲間、いや、露払いってわけだ。」

後部座席で物資に埋もれた隊員Cが愚痴る

同僚「隊員C、いい加減にしないか。彼らは私達の協力を必要としているし、
    私達も彼らの支援が必要なんだ。」

隊員C「違うね、そりゃ俺達にしてみりゃどっかからの支援が必要なのは確かだ。
    だが、連中は違う!
    聞きゃ、立てこもってる連中は百人程度、それを五百人以上が包囲してるって話じゃねぇか。
    本当に俺等の協力が必要か?奴らは異邦人である俺達を盾に使う気だ!
    俺等の孤立無援の立場を知って利用しようとしてんだよ!」

同僚「もういい、黙ってろ!」

隊員B「隊員C、お前よくそんなこと思い浮かぶよな…」

支援A「二人共、隊員Cの気持ちも分かってくれや。ガラスのハートの秀才様は、
    常に疑ってかからないと不安でしょうがねぇんだ。」

支援Aはふざけた調子で二人に説明した

隊員C「うるせぇ、お前は黙ってろ支援A!」
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/27(金) 03:32:44.27 ID:LTzLz+XR0
再び、東方面偵察隊


自衛「それでよ、結局あの薬はどういう理屈だったんだ?」

自衛が地図を見ながら衛生に聞く

衛生「魔法による効力が大きいので、全部は説明できませんが…
   薬の成分の大半は雷属性の魔法結晶の粒子らしいんです。
   使用には、まず大前提として対象者が死んでいる必要があります。
   そして死体の傷口から薬を投与、粒子を全身に行き渡らせます。
   全身に行き渡った粒子は電線と同様の働きをします。
   そこに術者が電撃魔法を送り込めば、粒子が継続的に神経と筋肉を刺激し、
   死体は再び動き出す。意思なくして動くゾンビの誕生です。」

自衛「もっともらしく聞こえるが…かなりのトンデモ理論だな。」

衛生「全くです、本来なら電気ショック程度で死体が再び活動できるわけが無い。」

自衛「だいたい死んで血流が止まってるのに、どうやって薬を全身に
    行き渡らせてるんだ?」

衛生「術者の念動により、粒子そのものを操れるらしいですが。」

自衛「ふざけてやがる。」

衛生「本当に…」

偵察「そういや、あの魔術師のねーちゃん、いずれは空気感染可能にするとか言ってたぞ。
   死んでることが前提だってのにどうする気だったんだ?」

衛生「おそらく気化性にして毒物でも混ぜ込む気だったんでしょう。
   なんにせよ、早期に事態をとめられたのは不幸中の幸いでした。
   勇者が村で回収されたものは、全て焼却処分されると言ってましたから。
   もう、世に出ることもないでしょう。」

偵察「あれでも、世界を思っての行いだってんだから…やりきれねぇ話だな…」



『SKY GUNNER』ここまで

正直、ゾンビ化の原因は中途半端に原理を考えず、
呪術とかにしとけばよかったと後悔
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/27(金) 07:53:03.07 ID:8cOch7PSO
おい死者が蘇ったぞ
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/27(金) 10:00:12.11 ID:R7W9yFrCo
ラクーンシティーではよくあること^^
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/27(金) 10:56:10.70 ID:slRScqTgo
研究者じゃなくて魔術師になってるぞ
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/27(金) 17:31:48.54 ID:LTzLz+XR0
やべぇ、魔術師と研究者がときどき区別つかなくなる
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/27(金) 23:45:40.36 ID:JHOxt1XS0
>>393
そういう時は、コーヒーかお茶でも飲んで頭をリフレッシュさせるんだ
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/28(土) 01:47:30.93 ID:mvkCR/9v0
二日後
東方面偵察隊は陣地へと帰還

陣地は往復四日間の間にさらに強化されていた
壕が張り巡らされ、現在も施設作業車が、木材と土を使った簡易トーチカを構築している


陣地内に入ると、物資を満載した高機動車が止まっていた

82車長「報告します。東方面偵察隊、帰還しました。」ビッ

一曹「長旅ご苦労。道中色々あったみたいだが、無事に帰ってきて何よりだ。」

自衛「同僚達はもう帰ってきてるようで。」

一曹「ああ、あいつらも一時間前に帰ってきたばかりだ。
    帰って早々で悪いが、報告を聞かせてくれるか?」

自衛「報告は自分が。話しておきたいことがいくつかあります。」

82車長「じゃあ俺は荷降ろしを手伝うとするか。」

自衛「頼むぜ。」

82車長は一曹に敬礼をし、その場を後にした

一曹「自衛、先に行っててくれ。俺は二尉を探してくる。」
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/28(土) 01:49:39.64 ID:mvkCR/9v0
司令テント内


自衛「よぉ、お早い到着だな。」

テント内にはすでに同僚いて、机の上の地図を睨んでいた

同僚「自衛か、そっちは大変だったみたいだな。」

自衛「ああ、どこぞの製薬会社と事を構えることになるのかと思ったぜ。
   そっちこそ、食いモンと一緒に厄介ごとを持ち帰ってきたらしいじゃねぇか。」

同僚「よしてくれ、隊員Cにさんざん愚痴られて、参ってるんだ。」

自衛「あいつが愚痴るってことは、少なからず面倒事だってことだな。」

同僚「自衛…」


やがて基幹隊員が到着し、報告が始まった

自衛「__と、我々の偵察活動での報告は以上です。」

二尉「おもしろい体験をしてきたな。死人が動く光景ってのはぞっとしねぇ話だが。」

一曹「物資、食料の他にこっちで使える金銭を確保できたのは大きいな。
    自衛、よくやってくれた。」

自衛「感謝ならここにいない勇者達に言ってやってください。
    あいつらはマジの化け物だ。」

一曹「そうだな、彼らにも感謝しなければ…」
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/28(土) 02:57:59.94 ID:mvkCR/9v0
二尉「でだ、本題は同僚士長が持ってきた案件だな。」

同僚「はい、先程も説明しました通り、私は木洩れ日の街で
    この国の姫君である五森姫と接触。
    彼女から軍事的な面での協力要請を受けました。」

二尉「北の砦に立て籠もる反政府勢力の鎮圧、だったよな?」

同僚「はい、彼女は東の街での我々の活動を聞きつけ、
    どこにも属さない我々に目をつけたようです。」

一曹「国内のゴタゴタを収めるのに、他国の力なんて借りたら国の面子がパァだからな。
    そこに俺達のような存在が現れたら、利用したがるのは当然だろう。」

二尉「で、俺達に協力させるために、高機動車いっぱいの物資をよこしてくれたと。」

同僚「あれだけではありません、彼らは今回の件に協力してくれれば、
    国からの継続的な支援を約束すると言っています。」

隊員A「…逆を言えば、“この国に居座るならそれ相応の態度を見せろ”ということですね…」

隊員Aは苦い表情をしてみせる

自衛「隊員Cが機嫌を悪くするわけだ。」
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/28(土) 03:12:38.35 ID:mvkCR/9v0
一曹「しかし、我々としてもこれは好機だ。この国に助力し、それなりの力と態度を見せれば、
   この国に対して発言力を持つことができる。」

隊員A「しかし、国に関わって戦闘を行えば、私達の噂があっという間に広まってしまいます。」

二尉「三曹、もうそんなことを気にする段階はすぎたと思うぜ?」

隊員A「それは…そうかもしれませんが…」

同僚「余計な騒ぎを起こしたくないのは私も同じです。
    しかし、すでに我々はこの世界で十分目立っている。
    今後、身を守るにはこの世界に協力者が必要です。」

一曹「…いいだろう、我々、陸上自衛隊は五森の公国を支援するために、部隊を編成し派遣する。
    隊員A、全隊員にこのことを通達してくれ。」

隊員A「は!」

隊員Aはテントから飛び出していった
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/07/28(土) 15:49:59.33 ID:cRb3TMAG0

ついに出撃か...!!
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/28(土) 23:28:35.41 ID:ifdmZ6bho
戦国自衛隊でも結局一番の敵はすぐ側にいたからな
リメイクの方みたいに実権掌握してしまえばこっちのもんなんだろうが
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/29(日) 02:12:06.34 ID:cg5qVeGg0
そのうちドラゴンやゴーレムとのゴジラ映画ばりの対決もあるんかな
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/29(日) 09:23:55.95 ID:DzdlPjub0
一曹「いずれはこうなると思っていたが…」

自衛「一曹、よろしいですか。」

一曹「なんだ?」

自衛「派遣部隊とは別に探索部隊の編成をお願いしたいのですが。」

二尉「探索部隊?一体何の?」

自衛「燃料確保のためのです。」

一曹「燃料?」

同僚「何を言っているんだ?この世界に我々の車両に使える燃料があると思うか?」

自衛「そりゃあ、ガソリンや航空燃料そのものがあるとは俺だって思っちゃいない、
    だが、原油ならどこかに埋まっているはずだ。
    それに、魔術師や研究者みたいな人間もいたんだ
    精製する技術を持つ人間もどこかにいるかもしれない。」

同僚「それは、まぁ…」
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/29(日) 09:31:58.89 ID:DzdlPjub0
自衛「一曹、今回の偵察活動で確信しました。
    この世界は今、動乱の中にあります。今後、我々は確実に戦いに巻き込まれていくでしょう。
    この広い世界での我々の強みは機械化されていることです。
    その強みを失えば、わずか85人の温室育ちの人間など塵も同然です。
    我々は力を維持し続ける手段を見つけなければなりません。」

一曹「…燃料確保の当てはあるのか?」

自衛「当てと呼べるほどではありませんが、月橋の街よりさらに北北東に行った所に、
    工業で栄えた町があるそうです。
    この世界の“工業”がどの程度のレベルなのかはわかりませんが。」

同僚「待てよ、そんな不確かな情報を頼りに、あるかどうかもわからない物を
    探してさまよう気か?」

自衛「じゃあ、このままお使いのためだけに燃料を消費し続けるか?
    俺達は原子力空母ごと飛ばされてきたわけじゃないんだぜ?」

同僚「そうは言ってないけど…」

二尉「自衛の言うことも最もだな、いずれはぶち当たる問題だ。
    とっかかるなら早いほうがいい。」

一曹「わかった、燃料捜索部隊の派遣を許可しよう。」

自衛「ありがとうございます。」

一曹「もう昼だ、一度飯休憩にしよう。
    午後から具体的な編成を行う。解散!」
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/29(日) 09:35:33.21 ID:DzdlPjub0
野外炊具によって作られた昼食を受けとるため、隊員達が列を作っている
同僚と自衛はその最後尾についた

同僚「おい、燃料なんて本当に見つかると思うのか?」

自衛「見つけるんだ、今の保有燃料だけじゃ一月たらずで行動不能になっちまう。
   そうなりゃ戦闘行動どころじゃない。
   この広い世界だ、移動すらままならんぞ。」

同僚「そりゃそうだが…」

昼食をもらい、適当な所に腰掛ける二人

自衛「この世界にゃ魔法やらバケモノやらが、ありえねぇ物がしこたまあるが、
    自然環境は俺達の世界と似通ってる。
    原油が埋まってる土地がきっとあるはずだ、それを見つけ出さなけりゃ俺達に未来は無い。」

同僚「………」

自衛「食わねぇのか?冷めるぞ。」

同僚「あ…ああ」
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/30(月) 07:16:28.80 ID:PtqPwS2s0
午後 司令テント内

隊員A「五森の公国への支援には一個小隊を派遣します。
    各科から隊員を選抜し30名の小隊を編成、
    内訳は二個分隊と火力支援を一組です。」

二尉「そんだけか?」

同僚「我々の仕事はあくまで公国騎士隊の支援です。
    それに、敵の数は100名程度と聞きました、
    我々の火力を考えれば十分と思われます。」

一曹「隊員E二曹、小隊の指揮はお前に一任するが、異論は無いか?」

隊員E「大丈夫です。」

隊員A「第7師団の自走迫撃砲が火力支援として随伴しますので、
    連携を忘れないで下さい。」

隊員E「わかった。」

一曹「それでだ、燃料探索部隊のほうだが…」

自衛「燃料捜索はかなりの長期行動が予想されます。
    おそらく2週間以上は帰還できないでしょう、
    それ相応の準備が必要と思われます。」

隊員E「ちょっといいか、その探索活動は公国の支援が終わってからじゃダメなのか?」

自衛「今回の派遣が終われば、我々の名は世界に広まります。
   そうなれば、より大事になるのは明確です。」

同僚「しかし避けては通れない道だ。」

自衛「だからこそ、早急に下地を築いておく必要がある。
    燃料、弾薬、時間、そして状況に余裕がある今のうちにだ。」

隊員E「成程な…」
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/07/30(月) 20:44:54.51 ID:0pTFtFHV0
追いついた>>1ありがとう
国を挙げての支援・・・wktk
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/31(火) 06:39:06.74 ID:zsK/fSQ90
隊員A「燃料捜索隊は指揮車と車両数量で編成します。
    長期行動を見越して、人数は一個分隊程度で抑えようかと。」

一曹「それが妥当な所だろうな。」

同僚「指揮は誰が?」

一曹「補給二曹だ。物資の仕分けで今はいないが、話はしてある。
    今回の探索も補給活動の延長だ、彼が適任だろう。」

自衛「あと、できれば施設科隊員を数名、編成に組み込んでいただけると助かります。」

一曹「わかった。細かい人選は二曹両名に任せる、各員はそれを補佐するように。
    以上だ、本部隊員以外は解散!」


夜 トーチカ内


不審番交代のため、同僚と隊員Dがトーチカ内へと入る

同僚「自衛、交代だ。引継ぎを…」

自衛「ああ…もうそんな時間か。」

暗いトーチカ内で自衛はライトで照らされた一点を睨んでいた
光の先にあるのは、ばらされた5.56mm弾だ

同僚「なにをしてるんだ…?」

隊員C「見ての通りさ、弾をばらして調べてんだよ。」

隊員D「…なんで?」

隊員C「なんでもなにも…自衛の奴、弾をこっちの世界で作れないか
    とか言い出しやがってよ。」
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/07/31(火) 06:44:01.23 ID:zsK/fSQ90
隊員D「弾薬をか?」

同僚「燃料の次は弾薬か?お前本当にどこまで考えてるんだ…」

自衛「弾薬の確保を考えるのはあたりまえだ。
    燃料がなけりゃ移動が移動ができんし、弾薬がなけりゃ戦えない。」

隊員D「そりゃ最もですが…実際作れるモンなのか?」

隊員C「無理に決まってんだろ。火縄銃じゃあるまいし、
    ただ鉄を丸めりゃいいってもんじゃねぇんだぞ?
    フルメタルジャケット弾頭を作るには鉛と真鍮がいる、無煙火薬だって必要だ。
    だが、それ以上に雷管や薬莢をどうするつもりだ?
    たとえ材料が見つかったとしても、薬莢や雷管を職人芸みたいに一発ずつ作っていく気か?
    この世界に弾薬を量産できる技術があるとは、到底思えないがよぉ。」

自衛「説明ありがとよ隊員C、少し静かにしてろ。」

隊員C「へーへー、じゃあ俺は先にお休みをいただくとしようか。」

隊員Cは自分の装備を持ち、トーチカを出る

自衛「なんにせよ、弾薬は無限じゃない。その時までに、どんな手段であれ
    戦う手段を見つけないと俺達はお陀仏だ。お前らも何か考えといてくれ。」

同僚「わかったから、早く不審番の引継ぎを済ませてくれないか…」

同僚はうんざりとした口調で言い、頭をおさえた
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/01(水) 01:02:30.19 ID:CWJlCRNQo
自衛以外があまりその辺気にしてないみたいでノーテンキすぎる気もするんだが、
みんな漠然と元の世界に帰ることを考えてるけど
自衛はこの世界に腰を落ち着けて生きていくことを考えてる
この辺の意識の違いかね
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/01(水) 09:40:52.77 ID:VyPXWsx80
翌朝早朝


霧がうっすらと陣地を覆う中、エンジン音が響く
陣地の外で、燃料探索隊の車列が待機していた
指揮車を先頭に、補給物資を搭載したトラック(以降補給トラック)、
武器弾薬を登載したトラック(以降武器トラック)と並び、最後尾に旧ジープがつく


自衛「これで最後だ、支援A。」

武器トラックの荷台にいる支援Aに迫撃砲を渡す

支援A「重てぇ…迫撃砲なんて必要かよ?」

隊員C「なくて困るよりマシだろ、ほらどけ。」

支援Aを押しのけ、隊員Cが荷台へよじ登った

補給「自衛、他はもう準備が終わった。そっちはどうだ?」

自衛「火器、並びに弾薬。全て搭載完了しました。」

補給「わかった、全員乗車しろ。一曹へ報告したらすぐに出発だ。」

自衛「了解。」

二曹がその場から去り、自衛はジープの助手席へ座る

隊員C「なぁ、自衛。ホントに燃料なんて見つかると思うか?」

隊員Cが武器トラックの後部から話しかけてくる

自衛「見つけるんだ、無くなっちまえば、この世界での俺達はただの不審者だからな。」

隊員C「今でも十分不審者だろ、いや危険人物だな。」
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/01(水) 09:51:55.50 ID:VyPXWsx80
隊員D「うるせーぞ隊員C、お前の声は頭に響く。」

ジープの後席で横になっている隊員Dが抗議の声を上げた

隊員C「それは悪うござんした。ずっと、そうやってくたばってろボケ。」

隊員D「言われなくても。」

隊員Dは顔に帽子を被せ、眠りに入る

衛生「やめとけよ、朝っぱらから…」

衛生がだるそうな声で仲裁をする

一方、指揮車の側では、補給が一曹へ出発の報告をしていた

補給「燃料探索隊、補給二曹以下16名。0500時、出発します。」

一曹「了解、気をつけて行って来い。」

補給「は!」

補給二曹が指揮車に乗り込む

補給「全車に通達、出発だ。82操縦手、出せ。」

82操縦手「了解。」

ヘッドライトが霧を照らし、指揮車が動き出す
それにトラックが続き、車体が揺れる

支援A「おおっとぉ、出発だな。」

隊員C「あーあ、エンジンがいい音たててら。」

自衛「俺等もいくぞ。」

自衛の合図で、ジープが走り出し
燃料探索隊は一路、灯り火の町を目指す
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/01(水) 09:55:25.45 ID:YEnJe1L1o
燃料探索隊が全ての命運を握ってるよなぁ
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/01(水) 12:19:41.71 ID:VyPXWsx80
燃料探索隊が出発してから数時間後


隊員A「第一分隊、乗車開始!」

隊員G「第二分隊乗車開始。」

各分隊長の号令で隊員がトラックに乗車していく

偵察「くっそ、トラックの座席は相変わらず乗り心地悪いな。」

隊員B「士長、もうちょっと奥に詰めてください。」

支援B「これで到着まで二日もかかるのかよ…」

隊員B「最初は昼出発して、観測活動をしながらだったから二日かかったけど、
    今回はたぶん夕方には着くと思うよ?」

支援B「それでも御免だぜ、狭い荷台に何時間も座ってるのは。」

隊員F「………」

同僚「全員乗ったか?装備品の忘れが無いか確認しろ。」

偵察「まるで遠足だな。」

支援B「こんなきな臭い遠足、願い下げですよ。」

隊員A「静かにしろ!二曹、第一分隊乗車完了です!」

隊員G「第二分隊、乗車完了。」

120車長『ザザ…、自走120だ、こっちはいつでも出れる。』

隊員E「了解。」

報告を受けた隊員Eは、一曹に向き直る

隊員E「派遣小隊、隊員E二曹以下35名。0840時、派遣活動に向け出発します。」

一曹「了解。すまんな、本来なら二曹のお前に押し付けるような事じゃないんだが。」

隊員E「仕方ありません、陸自幹部が一人もいない状況なんですから。では、言ってまいります。」

一曹「頼むぞ、くれぐれも無茶はするな。」

隊員E「わかっています。」

隊員Eがトラックに搭乗する

隊員E「輸送A一士、出発だ。」

輸送A「了解。」

先頭のトラックが走り出し、もう一両のトラックとジープ、そして最後に自走迫撃砲が続く
派遣部隊は木洩れ日の街へ向けて出発した
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/01(水) 12:21:21.27 ID:UdAVnR1uo
いまさらだけどディーゼル燃料なら植物油から精製できるんじゃない?
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/01(水) 18:54:28.53 ID:VyPXWsx80
燃料捜索隊は勇者に教わった連峰迂回ルートを通り
再び月詠湖の王国領内へ踏み入った
車列は荒野のど真ん中を進んでいる


支援A「よぉ、自衛!ちょいいいか?」

武器トラック上の車両越しに、声を掛ける

自衛「あ?」

支援A「ずいぶんなげぇ事陣地を離れるみたいだけどよ?大丈夫なのか?」

自衛「ああ、何が?」

支援A「もし離れてる間になんかあったらよ、俺達置いてけぼりを食らっちまうかもしれないんだぜ?」

隊員D「何が言いたいんだ?」

隊員C「つまりだ、俺等はよくわかんねぇ現象でこの奇妙な世界に飛ばされて来ちまった訳だ。
    支援Aは陣地を離れてる間に揺り戻しが起こって、
    陣地だけ元の世界に戻っちまうんじゃねぇか、って事を心配してんだよ。」

衛生「確かに…あるかもしれねぇな…」

自衛「俺達だけ置いてけぼりを食らうってことはねぇと思うがな。」

支援A「なんで分かるんだ?」

自衛「俺達(普通科と特科)はともかく、補給中隊は離れた場所に、
    空自の連中にいたっては飛行中にこっちの世界に飛ばされて来たんだ。
    こんだけバラバラに飛ばされてきて、戻るときは陣地だけってことは考えられねぇ。」
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/01(水) 19:08:57.56 ID:VyPXWsx80
隊員C「ああ確かに、もし戻るんならどこにいようとまた飛ばされるはずだ、
    本当に揺り戻しなんかが起こればの話だがな!」

自衛「ああ、言えてるぜ。」

隊員C「自衛、お前は正直なとこどう考えてんだ?どうにも元の世界に戻ることになんて、興味なさそうだけどよ?」

自衛「さぁ、どうだかな。」

隊員D「燃料、弾薬の件といい、むしろ率先してこっち(異世界)に殴り込む気なんでしょう?」

支援A「ハッハー!そりゃ、最高だな!」

自衛「さあな、楽しみにしておけよ。」

衛生「同僚士長はまったくもって反対の考えみたいですけどね。」

支援A「あぁ?どういうことだよ?」

隊員C「同僚の奴、あの国に泣きつかれて多少覚悟ができたみたいだけどよ、
    ドンパチに抵抗があるのは丸分かりだ。」

支援A「マジかよ?そんなようには見えなかったぜ?」

隊員C「お前の頭じゃわからねぇだろうな。」

支援A「あ?」

自衛「いや、あいつなりに隠してたんだろう。あれで中隊の三曹昇進候補だからな。」

衛生「ただ、野心的な人ではないですからね。究極、武器を捨てて
    この世界に溶け込んでいく、くらいのことは考えていたでしょう。」

自衛「そんなこったろうとは思ってたぜ。」

隊員C「どうかしてるぜ!同僚も、お前もな自衛!俺はどっちもごめんだね!」

自衛「俺だって、戻れりゃそれに越したこたぁねぇと思ってるさ。
    だが、陣地で丸まってるわけにはいかねぇだろ。
    まずは腰を落ち着けて考えられる環境をつくらねぇとな。」

隊員C「勘弁してくれや…」
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/01(水) 20:09:02.14 ID:vWOMNw5zo
俺は自衛派かなー
自衛の人格はどうかと思うけど、戻る方法がわからない、戻れるのかもわからないっていう状況におかれているわけだから、燃料や弾薬の確保は最優先に近い

同僚的な考えは長期的になればなるほど自分の首を絞めることになる
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/08/02(木) 01:19:29.61 ID:vyvlJWbAO
致命的な危機がくる前に最大限の対策を考えて行動に出る展開はいいな
しかし弾薬確保できなかったら槍と弓でも習わんとどうしようもないな
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/02(木) 01:28:48.22 ID:oM8JHsqGo
場合にもよるが自衛隊の研修期間に叩き込まれる武道(空手、柔道、CQCとか)全般は見たことない相手には初見殺しも生ぬるいぐらいに効くらしいぞ
特に柔道
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/02(木) 07:41:15.59 ID:Zk/vCMx7o
異邦人の自衛隊を戦力としてあっさり受け入れたってことは、
自衛隊のほうが脅威って状況になったらあっさり潰しに来るだろうと簡単に想像できるからな
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/02(木) 10:24:09.53 ID:8Dh9VDmqo
戦国自衛隊みたいなことにならないといいけどなぁ
俺なら陣地を周辺に展開して成るべく動かないな
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/03(金) 06:46:27.10 ID:ojQIkAdZ0
五森の公国領内 北の砦
公国第一騎士団と第37騎士隊は砦を包囲していた


五森騎士「…」

五森兵A「隊長…砦の連中、動きを見せませんね…」

五森騎士「ふん、どうせ逃げ込んだはいいが、それ以上何もできなくて
     手をこまねいているんだろう。」

伝令「隊長、団長が指揮所まで来てくれと。」

五森騎士「わかった、ここを頼んだぞ。」


指揮所 天幕内


五森騎士「五森騎士、参りました」

騎士団長「おう、来たか。」

天幕内には各隊隊長や参謀が揃っている

37隊長「全員揃ったようだな。」

五森騎士「一体なんです?砦に動きはまったくありませんよ?」

騎士団長「違うんだ、今回は別の話だ。東の街を救った一団の噂は聞いているか?」

五森騎士「はい…一応は。しかし、それがなんだというのです?」

37隊長「今、街から伝令が到着した。伝令の報告によれば、
     その一団が物資補給のためにが木洩れ日の街を訪れたとの事だ。」

五森騎士「…それがなにか?物資補給など旅人なら誰でもすることです。」

37隊長「肝心なのはここからだ、その一団に姫様が接触を図り、
     ここの一掃を手伝ってくれないかと頼んだそうだ。」

五森騎士「な!?」

五森騎士をはじめ、多くの人間がざわめきだす
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/03(金) 06:52:19.79 ID:ojQIkAdZ0
37隊長「姫様がおっしゃるには、どうやら好感触らしい。彼らは協力してくれるだろうと。」

五森騎士「馬鹿な!姫様は一体何を考えておられるのだ!?」

隊長A「このような問題自体、恥ずべきことなのに…よりにもよって外部の者に…!」

37隊長「落ち着くんだ、どうにもその一団は所属を持たない流浪の身らしい。
     姫様はそこに目をつけられたのだろう。」

五森騎士「だからといって、そのような得体の知れない者たちに協力を仰ぐなど!」

参謀A「姫様は私達を信用しておられないのか…?」

騎士達のざわめきは一層大きくなる

五森騎士「団長!奴等の討伐など我々だけで十分です!
      そのような得体の知れない者達の手助けなどいりませぬ!」

37参謀「落ち着かないか。我々だって助けが大いに越したことはないんだ。」

五森騎士「何を言っている!異邦の者を介入させるなど…騎士としての誇りがないのか!?」

五森騎士を初めとする第一騎士団の騎士や参謀が騒ぎ出す

騎士団長「落ち着け!まだ、異邦の一団がこの件を受け入れると決まったわけではない。
      今回はあくまでそういう事があったと伝えただけだ!
      …わざわざすまなかった、各自持ち場に戻ってくれ。」

騎士団長の一言により、不満を漏らしつつも第一騎士団の騎士達は解散してゆく

騎士団長「はぁ…」

五森騎士「団長!」

騎士団長「うおっ!五森騎士か…どうした?」

五森騎士「私は納得いきません!どこの者ともわからない得体の知れない一団の協力を得るなど、
      我が第一騎士団の恥です!」

一団長「私だって納得しているわけではない!だが、これは姫様御自身のお考えなのだ!」

五森騎士「姫様…一体何を考えておられるのだ…」

一団長「ともかく、お前も自分の隊へ戻れ。」

五森騎士「…はい…」
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/04(土) 07:36:35.33 ID:/hxr57Hs0
五森騎士「くそ…」

五森騎士は天幕を出る

それを少し離れた所で見ている人物が二人

37隊兵A「また出てきたぜ。」

37本部書記「なんで第一騎士の人たち、みんな怖い顔してるの…?」ビク

37副隊長「あちらさん、噂の一団のことでご立腹なんだよ。」

言葉と共に一人の人物が近付いてくる

37隊兵A「副隊長!噂の一団って…」

37本部書記「東の街を助けてくれたっていう?」

37隊兵A「その一団がどうかしたんですか?」

37副隊長「木洩れ日の街にその一団が現れて、滞在中の姫様が彼らと接触したらしい。」

37隊兵A「本当ですか!?」

37副隊長「ああ、だが驚くのはそこじゃない。姫様はその一団にここの制圧に
      協力してくれるよう頼んだらしい。」
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/04(土) 07:37:39.50 ID:/hxr57Hs0
37本部書記「!」

37隊兵A「それで…彼らはなんて?」

37副隊長「明確に受け入れを表したわけではないが…姫様いわく好感触だとか。」

37隊兵A「すげぇ…」

37本部書記「でも…それでどうして第一騎士団の人たちが不機嫌になってるんですか?」

37副隊長「第一騎士団の連中としては、よそ者が事態に介入してくるなんてゆるせないんだろう。」

37本部書記「そんな…でも東の街を助けてくれた人たちなんですよ…?」

37副隊長「そうなんだよな…だが、連中は中央の精鋭だし、
      プライドがそれをゆるさないんだろう。」

37本部書記「そんな…」

37隊兵A「人の命とプライドのどっちが大切なんだよ…」

37副隊長「37隊兵A!それ、第一の連中の前では言うなよ。」

37隊兵A「わかってます…」

37副隊長「ほら、二人共持ち場に戻れ。」
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/04(土) 18:50:13.02 ID:UPfkIUTDO
騎士が邪魔するんなら厄介だな
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/05(日) 02:03:03.08 ID:k8OoefGR0
木洩れ日の街 街中心部
隊員E、隊員A、隊員Gの各曹と同僚は、建物内の応接室へと招かれていた


五森姫「はじめまして、五森の公国を治める五森王の娘の五森姫と申しますわ。」

隊員E「派遣小隊指揮官の隊員E二等陸曹です。」

五森姫と隊員Eは握手を交わす

五森姫「お越しいただけて光栄ですわ。もちろん、助けていただけると
     信じていましたけど。」

五森姫は隊員Eの後ろにいる同僚に視線を送る

同僚「…」コクッ

同僚はその視線に軽い会釈で返した

五森姫「ふふ…それでえっと、隊員E様?一団をまとめていらっしゃるのはあなた様で?」

隊員E「いえ、それは私の上官が。私は上官から一個小隊を預かっているに過ぎません。」

五森姫「では事が終わりましたら、そのお方にも伝えておいて下さいな。
     “今回の協力、心から感謝しております”と。」

隊員E「わかりました、伝えておきましょう。それで、さっそくで申し訳ありませんが、
    現在の状況を教えていただけますか?」
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/05(日) 02:05:35.15 ID:k8OoefGR0
五森姫「わかりましたわ、侍女Aさん、地図を持ってきて下さいな。」

脇に居た侍女が地図を持ってきて、机の上に広げる
地図は砦を中心にその付近の地形が書き記されていた

隊員E「これは…」

五森姫「本来は砦を守りやすくするために書き起こさせた物でしたのよ。
     まさか、攻め落とすために使うとは思っても見ませんでしたわ…」

五森姫は軽く溜息をつく

五森姫「騎士団は砦の南側を完全に包囲していますわ。
     南側は…残念ながら砦が谷の入り口に置かれていますので…」

同僚「騎士団では回りこめない…と。」

五森姫「軽装兵を山側から送り込んで監視はさせていますわ。
     特に目立った動きはないようですけど。」

隊員G「連中はいったいどれくらい前から立て籠もってるんです?」

五森姫「本日で調度一週間となりますわ。包囲を完了したのが四日前。
     同僚さん達が最初にお越しになられた日ですわ。」

隊員E「割と長いこと立て籠もってるな…あの砦に食料の備蓄は?」

五森姫「多少はあるでしょうけど、さすがにこれ以上篭城を続けるような余裕はありませんわ。
     おそらく彼らもかなり疲弊し出していることでしょう。」

隊員G「そんならいい加減、打って出て来るなり逃げ出すなりの
    動きを見せてもいいもんだがな。」
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/05(日) 02:09:23.59 ID:k8OoefGR0
五森姫「私もそこが疑問なんですの、打って出てこないのは
     それほどまでに士気が低下しているからかもしれませんわ、
     もともと彼らは寄せ集めですし…」

隊員A「ただ…逃げ出す者もいないと言うのが気になります…」

五森姫「念のため騎士団には様子を見るよういってありますの、
     でも、捕らわれている者たちの事を考えれば、
     これ以上の猶予はありませんわ。」

隊員G「確かにな…」

五森姫「私から話せることはこれくらいですわね…
     その他の詳しいことは、現地の隊長達と話されたほうが良いと思いますわ。」

隊員E「わかりました。では、我々は準備が整い次第現地へ…」

五森姫「ああ、お待ちになって。何も今すぐ出発なされることはありませんわ。」

隊員E「?、しかし…」

五森姫「この街から砦までは半日もかかりませんし、
     今出発しても到着は真夜中になってしまいますわ。」

隊員E「そうですか…」

五森姫「明日の明朝に食料を運ぶための馬車が出発しますわ、
     よろしければ、あなた方にその護衛についてもらいたいんですの。」

隊員A「護衛ですか。」

五森姫「もちろん今夜一晩の滞在費用はこちらでお世話させていただきますわ。」

隊員E「…わかりました、引き受けましょう。ただ、滞在の支援は結構です。
    変わりに街の外に陣を張る許可をいただきたいのですが?」

五森姫「あら、用心深いんですのね。」

隊員E「そういうわけではありませんが、隊員もそのほうが慣れてますので。」

五森姫「わかりましたわ、哨兵に伝達しておきましょう。」
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2012/08/05(日) 21:08:46.13 ID:VURsT4ct0
続きが気になります。とても面白いです!
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/06(月) 10:42:34.63 ID:UZoUv/WG0
五時間後
木洩れ日の町 近郊
派遣小隊は野営陣を設営し朝を待つ


普通科 曹用テント内


隊員G「猶予がないとか言っといて、朝まで待てとはね…」

隊員E「こんな世界観だからな、夜間に規模の大きな戦闘を行うって考えがないんだろう。」

隊員G「にしてもあの姫さん、ずいぶんと太っ腹ですよね。どうせならお言葉に甘えたかったぜ。」

隊員A「…本気で言ってるの?」

隊員G「…なわけねーだろ。条件は魅力的だが、あの姫さん裏で何考えてるかわかりゃしねぇ。」

隊員E「羽振りがいいのは、なんとしても我々を引き込みたいからだろうな。」

隊員G「二曹、どっかの協力が必要なのは確かですが、本当にこの国でいいんですか?
    俺達はこの世界の情勢をほとんど知らないんですよ?」

隊員E「知らないからこそさ。もしこの国が我々にとって不都合な国だったとしても、
    他に安全な場所が見つかるまでは不用意に動くべきじゃない、それに…」
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/06(月) 10:44:06.44 ID:UZoUv/WG0
同僚「もし、下手な素振りを見せたら殺しかかってくるでしょうね、私達が敵対する前に…」

隊員A「!」

いつの間にかテントの入り口に同僚が立っていた

同僚「失礼しました、人員点呼が終わりましたので報告に。」

隊員E「ああ、ご苦労。」

隊員G「しかし同僚よぉ、いくらなんでも殺しになんて…」

隊員E「いや、味方で無くなれば、我々はこの国にとって脅威以外の何者でもない、
    その時は全力をもって叩きにくるだろう、そうなれば戦闘は避けられまい。」

隊員G「………」

隊員E「…あくまで今のは最悪の事態を考えた場合だ。今回の派遣はこの国の実態を見極める目的もある。
     この国が我々が腰を据えるのにふさわしい国なのかをな。」

同僚「…できれば私は、この国がいい国だと信じたいです…」

隊員G「みんなそう思ってるだろうよ…」

隊員E「せっかく時間ができたんだ、休める時に休んでおけ。」
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/07(火) 00:44:44.86 ID:g0bJCd69o
その可能性わかっててこの対応か同僚ェ…
平和ボケ組と現実主義者組で分裂しそうだな
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/07(火) 08:53:47.55 ID:2tbaIvdk0
同時刻、燃料捜索隊は灯り火の街へ到着した


灯兵A「た、たた、大変だー!」

灯兵B「ば、バケモノが!」

入り口に近付くと、見張りの兵士達が騒ぎだす

隊員C「あーあ、またこれかよ。町に近付くたびにこの騒ぎだ。」

自衛「ああ、退屈しねぇな。」

車列の前方で、補給が兵士達に話しかけている

補給「落ち着いてくれ!俺達は危害を加えるモンじゃない!
   ここの代表者と話をしたいんだ!」

番兵A「…す、少し待ってくれ!」

番兵の一人が奥の兵舎らしき建物へ走っていった

隊員C「どうなってんだ?」

自衛「念のため周囲を警戒するぞ、隊員C、支援A、降りるぞ。」

隊員C「マジかよ…」

自衛達は車両から降りて、前方の指揮車まで向かう

82車長「よう、自衛。」

自衛「どんな感じだ?」

82車長「連中の一人が奥に走ってた、たぶん上の奴を呼びにいったんだろう。」

しばらくすると、兵舎から複数の人間が駆け寄ってきた

灯兵長「私がここの代表者です、あ、あなた方は…?」

補給「大丈夫です、我々は危害を加える者ではありません。
   この町への立ち入り許可をいただきたいのですが?」

灯兵長「は、はい、よろしければ目的を聞かせていただけますか?」

補給「探し物を、石油というものを探しているんですが。」
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/07(火) 08:55:12.17 ID:2tbaIvdk0
灯兵長「セキユ…?」

兵士達は顔を見合わせる

補給「あ、いえ、知らないんであれば結構です。
    この町でどこか情報を集められる所はありませんか?」

灯兵長「それなら役所か酒場になりますが…あの、失礼ですが後ろの化け…
     いえ、大きな物体ごと町に入られるのは…」

補給「ああ、まずいですか…」

灯兵長「すみません…」

補給「武器に関しては?」

灯兵長「武器は結構です、冒険者の方が訪れる事も多いですから。」

補給「わかりました、しばしお待ちを。」

補給が指揮車へと戻ってくる

82車長「なんつってました?」

補給「車両ごと町に入られるのは困るそうだ、武器は構わんらしいが。」

隊員C「そらそうだろうよ。」

自衛「数名で町に入りましょう、残りで車列の見張りを。」

補給「そうだな、それがいい。82車長、車列の指揮はお前に任せていいか?」

82車長「了解。」

補給「頼む。自衛、人員の選抜をしてくれ。お前のほうが詳しいだろう?」

自衛「了解。」
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/07(火) 14:27:04.79 ID:2tbaIvdk0
8名で分隊を編成し、町へと入る探索隊

隊員C「で?どっかアテはあるんですか?」

補給「役所と酒場に情報が集まるらしい、手分けして当たって見よう。」

隊員C「こんな時間に役所があいてんのかよ…?」

補給「いいから、衛生、特隊A、施設A、俺と役所を当たるぞ。自衛、そっちは酒場を頼む。」

自衛「了解。」

補給「当たったらもう一度町の出入り口に集合だ、解散。」


自衛達は酒場を目指して進む

隊員C「よぉ、自衛。ハチヨン(84mm無反動砲)なんて必要かよ?
    邪魔くさくてしょうがねぇ!」

隊員D「対戦車隊員が対戦車火器を持ってなくてどうすんだ?」

隊員C「どうせこんな町でぶっ放す機会なんざねぇよ。」

自衛「ああ、ぜひそう願いたいね。」

支援A「おい、自衛。あれじゃねぇか?」

支援Aが前方の建物を示す
いかにもゲームの世界に出てきそうな酒場だった
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/07(火) 14:28:37.38 ID:2tbaIvdk0
隊員C「冗談みてぇに分かりやすい酒場だ。」

四人は酒場へと近付く
酒場は外からでも内部の喧騒が聞こえており、時おり酔っ払った客が出てくる
周辺には馬鹿騒ぎをする者や酔って眠りこけている者がちらほらと見受けられた

隊員C「あー、お気楽でうらやましい限りだぜ…」

支援A「うへへ。」

隊員D「久しぶりに酒をかっ込みたいぜ。」

自衛「ああ、所でお前ら、安全装置は解除しとけよ。」

支援A「ああ?」

自衛「酒あるところ面倒事ありだ、いつでも撃てるようにしとけ。」

隊員C「やな言うんじゃねぇよ…」

四人は酒場へと入ろうとする、その時酒場の戸が開いた

?「おっと。」

大剣を背負った男が出てきた

?「悪ぃな。」

自衛「ああ、こっちこそ。」

謝ると男は通り過ぎ、奥から別の人間が続く

??「収穫なしだったな。」

?「仕方ない、次に行こうぜ。」

???「………」
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/07(火) 14:29:32.74 ID:2tbaIvdk0
ドンッ

最後尾の男の肩と隊員Cの肩がぶつかる

???「…周囲をよく見よ…」

隊員C「ああ!?」

男と隊員Cが睨みあいになる

隊員C「絞め殺すぞ糞野郎?」

???「…貴様にできるのなら…」

隊員D「おい、隊員C!なにやってんだ?」

?「賢者!どうした?」

零審の賢者「…気をつけるが良い…」

そう言うと、賢者と呼ばれた男はその場を去った

隊員C「なんだあの野郎は?」

隊員Cは眉をひそめつつ酒場へと入った
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/07(火) 14:33:05.37 ID:01CfTk2vo
隊員Cが不穏分子すぎる 何時か何かやらかしそうだ・・・
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/08/07(火) 14:44:31.40 ID:k5yKJLoVo
でもこのくらい敵意出してる方が良いだろ
同僚の方がよっぽど……
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/07(火) 15:20:46.65 ID:Z3BspeXAO
とても面白い。楽しみにしています。
区切りのいい所で登場人物の整理をして下さると嬉しいです。
同僚と隊員Aが女性?

442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/08(水) 00:39:49.37 ID:Oo14Ab9c0
酒場内は喧騒に溢れている
自衛は正面のカウンターへと向かう

店主「いらっしゃ…い?」

自衛達を見た店主は一、瞬戸惑った表情を浮かべる

店主「失礼、えっとご注文は?」

自衛「悪いが客じゃない、情報を集めてるんだ。このへんに採掘物に詳しい奴はいるか?」

店主「採掘物…?どうだろう、お客さんの中にいるかどうか…」

自衛「そうかい…ありがとよ。」

隊員D「どうします?」

自衛「手当たり次第に聞いてみるしかねぇな。」

隊員C「おいてめぇ!なんだその面は!」

次の瞬間、店の入り口から隊員Cの怒鳴り声が聞こえてきた

客「ああ?なんだよてめぇ?」

隊員C「なんだじゃねぇ、あからさまに馬鹿にしたような面をこっちに向けてただろが!」

客「馬鹿にされるような奇妙なナリしてるからだろ、何が悪い?」

隊員C「ああ!?」

隊員Cは客の胸倉を掴み上げる

自衛「おいよせ、隊員C。」

自衛は隊員Cの肩を掴み、制止する
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/08(水) 00:43:28.57 ID:Oo14Ab9c0
?「おい、見習い!何してやがる!?」

一方、客の後ろからも別の男が現れる

見習い「お、親方…」

親方「せっかく飲みに来たってのに、よそ様と問題起こしてんじゃねぇ!」

親方と呼ばれた男は、見習いという名らしい客を下がらせる

親方「すまんな、こいつはどうにも口が悪くて。」

自衛「こっちこそ悪ぃな、こいつも何分厄介な奴でよ。」

隊員C「おい!」

隊員D「やめとけって隊員C。」

親方「しかし…ああ、気分を悪くしたらすまん…おたくら変わった格好をしてるな、どこから来たんだ?」

自衛「どういったらいいか…遠い所からだ。」

親方「遠い所?外の大陸からか?」

自衛「そんな所だ…それより、聞きたいことがあるんだがいいか?」

親方「なんだ?」

自衛「俺達、石油ってもんを探してるんだが、あんた知らねぇか?」

親方「セキユ?」

自衛「地中から採掘できる、可燃性で黒い粘り気のある液体だ。」

親方「…さぁ、悪いが聞いた事ねぇな…」
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/08(水) 01:06:51.44 ID:Oo14Ab9c0
隊員C「ほれ見ろ、ここの連中に来たって時間の無駄だぜ。
     いっそダウジングでもした方が早ぇんじゃねぇか?」

支援A「あー、そりゃいい案だぜ…」

隊員D「隊員C、お前のミラクル脳で電波を受信できるかもしれねぇぜ?
     電波が“石油はここだよ隊員C君、ピピピ〜!”ってな。」

隊員C「ああ、最高だぜ!ついでに電波でお前の頭も粉砕してやるよ!」

自衛「…面倒かけて悪かったな、お前ら行くぞ。」

親方に礼をいい、その場を去ろうとする自衛

親方「待てよ、同じようなモンをどっかで見たぞ。」

自衛「あ!?なんだって!?」

自衛は驚いて振り返る

自衛「それはどこでだ!?」

自衛の剣幕に親方は少し後ずさる

親方「お、落ち着けって、知り合いの鍛冶屋の所へ言ったと時、
    今言ったような液体で、火を大きくしてる所を見た気がするんだ。」

隊員C「おい、自衛。それって…」

自衛「可能性は高い、そいつはどこに居るんだ?」

親方「ええと、地図はあるかい?」

自衛「おい。」

隊員D「待ってください…あった。」

隊員Dが地図を広げる
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/08(水) 01:11:08.65 ID:Oo14Ab9c0
親方「ああ、ここだ。国境沿いにある山脈の麓だ。」

親方が示したのは、月詠湖の王国の一番南東だった。

隊員C「げ、こっから全く正反対の所じゃねぇか!」

親方「ああ、だが途中に特に障害はねぇから、四日ほどで辿り着けるはずだぜ。」

隊員D「それは歩いてか?」

親方「あ、ああ。そりゃそうだが…あんたら馬車でも持ってんのか?」

隊員C「いいや、装甲車とトラックだ。」

見習い「は?」

親方「?」

親方と見習いは首をかしげる

隊員D「士長。」

自衛「車両なら、飛ばせば明日の昼には着けるだろう。」

親方「はぁ?あんたら何言ってんだ?明日の昼なんて無理に決…」

自衛「こっちの話だ、気にしないでくれ。ありがとよ、こいつはほんのお礼だ。」

自衛はポケットの中から硬貨をいくらかつかみ出し、親方に渡す

自衛「補給二曹達と合流だ、行くぞ。」

自衛達は慌しく店から出て行った

鍛冶屋「…なんだったんだ?」

親方「さあ、分けがわか…うお!?」

親方は自分の手にある10枚以上の100ヘイゼル硬貨を見て、驚きの声を上げた
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/08(水) 01:27:55.37 ID:UYcfKCRpo
自衛もしたたかに見えて結構抜けてるんだよな
面倒事起こしそうな奴をメンバーに入れるとか
こういう時無警戒に大金持ってますアピールとか

いやむしろトラブル起こすことが目的なのか
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/08(水) 12:51:42.23 ID:Oo14Ab9c0
翌早朝
月詠湖の王国の隣国、紅の国 領内


院生「はぁ、はっ!」

一人の女性が林の中を走っている

院生「な、なんで、どうして…!?」

荒い呼吸の中で呟き、院生は後ろを振り返る
彼女の後ろを追いかけてくる人間が複数

追っ手A「待ちやがれ!」

追っ手B「獲物だ、逃がすな!」

追ってくる者の手には武器が握られている
捕まれば唯ではすまないだろう

院生「なんでよぉ…!」

悲観の声を上げながらも彼女は走る、彼女の悲観も最もだ
彼女は少し前まで、都内の大学院内の資料室にいたはずなのだから
資料を棚から下ろそうとした時に、脚立から足を踏み外し落下
そのまま気絶したはずだった
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/08(水) 12:53:49.17 ID:Oo14Ab9c0
しかし、目が覚めたら見知らぬ林の中にいたのだ
携帯も通じず、しばらくさまよっていたら所で彼らと出くわし、そして追われだした

院生「どうしてこんな目に!」

叫んだ次の瞬間

院生「あっ!」

院生の足がもつれ、転倒してしまう

院生「痛い…」

足を押さえる院生に、影がかぶさる

院生「!?」

追っ手A「くそ、手こずらせやがって!」

追っ手B「おら、こい!」

院生「や、いや!」

服をつかまれ、引きずられる院生

追っ手C「なんだこいつ?妙な格好してやがる。」

追っ手A「ああ、それに見たこともねぇ顔立ちだ。だが上玉には違いねぇぜ。」

追っ手B「高く売れるぜきっと。」

院生(何、なんなの…!?)

突然襲ってきた者たちに捕まえられたかと思えば、恐ろしげな会話が聞こえてくる
状況は把握できないが、院生ははっきりとした恐怖を感じていた
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/08(水) 13:13:56.87 ID:Oo14Ab9c0
追っ手A「さて、行くとしようぜ。」

追っ手B「おら、来るんだよ!」

院生は腕を引っ張られる

院生(い…いや…)

院生「いやぁ!!」

ザシュッ!

院生「…え?」

追っ手B「…が…ああ!?」バシュッ

何かを切り裂く音とがしたかと思うと、
院生を掴んでいた追っ手Bが、血を噴出して倒れた

追っ手C「な、なんだ!?」

突然の事態に残りの追っ手も困惑し出す

追っ手A「あ、あいつだ!」

追っ手Aが指差した先、大きな岩の上に一人の少女が立っていた
少女は大剣を構え、追っ手達を見下ろしている

追っ手C「クソが!なめやがって!」

追っ手Cが握った得物で少女に襲い掛かろうとする
その次の瞬間だった

バッ!

追っ手の真横を何かが通り過ぎる

追っ手C「な…ぎゃああ!」ブシュッ

そして追っ手Cは、背中から血を噴出しながら息絶えた
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/08(水) 15:05:03.26 ID:Oo14Ab9c0
院生「あ…」

現れたのは馬に乗った、少女とは別の女性だった
剣を振り払い、こちらを振り返り、馬上から追っ手を見下ろす

追っ手A「い、一体な…」

ヒュン!

追っ手A「ひ!?」

女性は馬上から、剣先を追っ手Aに突きつける

?「その人から手を引け、さもなくば貴様を真っ二つにするぞ!」

女性は凛とした声で言い放った

追っ手A「ふ、ふざけんな!だ、だれが…」

ザシュッ!

追っ手A「ぎゃぁぁぁぁ!」

女性は追っ手Aの右目を切り裂いた

?「最後の警告だ、その女性から手を引いて貰おうか」ギロ

追っ手A「ひっ!?…う…くそおおお!」ダッ

追っ手Aは後ずさると、林の中へと逃げていった

?「ふん、軟弱者が。」

院生「…」
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/08(水) 15:06:15.48 ID:Oo14Ab9c0
??「あーあ、逃げちゃったね。」

言いながら少女が近付いてくる

?「どうせこのあたりに根付いたはぐれ者だろう、あの傷ではやっていけまい。」

??「君、大丈夫?」

少女が院生に近付き、顔を覗き込む

院生「え…あ、は…い…」

??「災難だったね。でも、もう安心だよ。」

?「しかし、変わった出で立ちをしているな…?旅人の格好とは思えないが…」

??「君、名前は?どうしてこんな所に?」

院生「い…院生っていいます…」

?「珍しい名前だな…」

院生「あ、あの!ここってどこなんですか!?都内じゃないんですか!?」

??「?、ここは紅の国の領内だけど…」

院生「く、くれないの…国…?」

全く聞いたことも無い国名に、院生の顔が青くなる
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/08(水) 15:07:19.29 ID:Oo14Ab9c0
?「顔色が悪いぞ、大丈夫か?」

院生「…だ、大丈夫です…」

??「とにかくここを離れよう、騎士、彼女を馬に乗せてあげて。」

?「わかった。」

??「院生さん、ここは危ないから移動しよう、立てるかい?」

院生「は、はい…あ、あの…」

??「ああ、まだ名乗ってなかったね。
   ボクは燐美の勇者!そして彼女が…」

?「麗氷の騎士だ。」

燐美の勇者「よろしくね、院生さん。」

院生「は、はい…」

全く状況がつかめないが、他に頼れる当ても無く
院生は二人についていく事にした
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/08(水) 18:38:04.40 ID:D/imdwqAO
『日本国民』登場。元ネタ転覆。
さぁ先が読めなくなってきた!期待

454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/08(水) 22:15:48.74 ID:BebBytfmo
驚きの展開期待
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/09(木) 03:14:24.52 ID:jaKpa0Zl0
人物のまとめとかはwikiを使えればと思ってんだけど
自分でまとめてもいい物なんですかね?
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/09(木) 07:27:48.67 ID:SaYBOFaWo
どうまとめようが>>1の勝手だと思うよ
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/09(木) 08:30:33.61 ID:jaKpa0Zl0
五森の公国 北の砦


天幕内

五森騎士「…それは本当ですか…!?」

騎士団長「ああ、木洩れ日の街から早馬が到着した。
      一団が今度は部隊で街を訪れ、明確に事態への協力を申し出たらしい。
      今現在、馬車を護衛しながらこちらへ向かっているそうだ。」

五森騎士「馬鹿な…」

隊長A「よそ者にこの事態に介入させるなど…あっていいのか…」

五森騎士「いいわけないだろう!ただでさえ今回の事態は不名誉な事だというのに!」

37隊長「落ち着けよ。俺は別にいいと思うがな、助けてくれるってんだからさ。
     あんたらは何をそんなに躍起になってんだ?」

五森騎士「あなた方にはわからないのか!?今回のような事態によそ者が介入するなど、
      恥さらしもいい所だぞ!」

37隊長「でも、姫様の意向だってんだからよ…」

五森騎士「だからこそだ!姫様は我々のことを信用なさっておられないのという事なんだぞ!」

37参謀「考えすぎだ、眉間にしわ寄せて…綺麗な顔が最無しだぞ。」

五森騎士「ええい、うるさい!団長、いっそ一団が到着する前に、我々だけで砦を
      押さえてしまうべきです!」

五森騎士はすさまじい剣幕で騎士団長へと迫る
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/09(木) 08:35:47.12 ID:jaKpa0Zl0
騎士団長「しかしだな…」

五森騎士「姫様は王子の出兵で不安になっておられるのです!
      それに姫様は、一団に協力を仰いだだけで、我々が一団との協力を命じられたわけではありません。
      奴等は一週間なんの動きも見せていない、我々なら制圧など容易いはずです!」

37隊長「お、おいおい!」

隊長B「そうだ!よそ者の助けなどいらない!」

参謀「我々だけで十分だ!」

五森騎士の言葉に、各隊長達も賛同し、声を上げる

騎士団長「…いいだろう!」

37隊長「はぁ!?」

騎士団長「これより、第一騎士団は砦に対し攻撃を行う。
      各隊は出陣の用意をしろ、かかれ!」

第一騎士団「「「ハッ!」」」

答えと共に、各隊長達は天幕を飛び出していった

37隊長「ま、待てよ!おいおいおい、何考えてんだあんた!」

騎士団長「すまないが、決定権は私にある!それに、私にも譲れないものはあるんだ…」

騎士団長はその場から去った

37隊長「…本気かよ」
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/09(木) 08:41:23.11 ID:jaKpa0Zl0
天幕の外


37副隊長「隊長、どうなってんです!?第一騎士団の連中が出陣の準備を始めてます!」

37隊長「ああ、ダメだあいつら…忠誠心とプライドが暴走して正常な判断ができてない。」

37隊兵A「一体何が?」

37参謀「例の一団が正式にこっちへ向かっているって連絡があったんだが…、
     第一騎士団の連中、よっぽど彼らに事態に踏み入って欲しくないらしい。
     一団の到着前に砦を押さえちまうつもりだ。」

37副隊長「はぁ!?本気かよ!?」

37本部書記「なんでそこまで…?」

37隊長「…対魔王戦線のために、内の国からも多くの隊が王子と一緒に出兵しただろ?
     でもあいつらは近衛隊だ。王都を守るのが任務だから出兵できなかったんだ。
     それで不満と不安がたまってるんだろうな…」

37参謀「だからってあれはないでしょう…」

37隊長「そうだな…」

37副隊長「どうするんです?」

37隊長「躍起になってるとはいえ、連中は国の最精鋭だ。それに、言っても聞きゃしねぇだろ…。
     どっちにしろ、明後日の第33騎士隊到着と共に、あいつらが突入する手はずになってたからな、
     少し早まるだけさ…副隊長!」

37副隊長「はい?」

37隊長「第一騎士団の包囲網を引き継ぐ必要がある。
     第1、第2部隊から兵を引き抜いて、包囲を再構成しろ。」

37副隊長「…わかりました。」

37隊長「参謀、第3部隊を召集、何かあればすぐに出れるようにしといてくれ。」

37参謀「了解。書記、手伝ってくれ。」

37本部書記「は、はい。」

37隊兵A「…どうかしてますよ。」

37隊長「言われなくてもわかってるさ。ほれ、お前も配置に着け。」

37隊兵A「わかりました…」
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/10(金) 10:09:06.75 ID:07uo4VLf0
木洩れ日の町―北の砦間

派遣小隊は馬車を護衛しつつ、砦へと接近していた
馬車の列の前後を、幌をはずしたトラックが警戒している


偵察「なぁ、なんで自走迫撃砲はあんなに離れた所を走ってるんだ?」

偵察は後方のトラックよりもさらに後ろを走っている自走迫撃砲を示す。

同僚「馬が自走迫撃砲を怖がるらしいんだ。」

偵察「トラックは平気なのかよ?」

同僚「ゆっくり走っていればな、あまり大きく動けばトラックにも怯えるみたいだけど。」

支援B「それで、ずーっとこんなにトロトロ走ってるわけだ。」

同僚「いいから、ちゃんと周囲を見張っていろ。」
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/10(金) 10:10:29.21 ID:07uo4VLf0
再び紅の国 領内


院生は麗氷の騎士の愛馬に乗せられていた
麗氷が馬を引き、三人は林の中を進む

燐美の勇者「ふーん…つまり院生さんは、ここと違う世界から来たってことなんだね?」

院生「は…はい、たぶん…」

麗氷の騎士「にわかには信じがたい事だ…」

燐美の勇者「でも、聞いた話や、院生さんの身なりを考えると、
       そう考えたほうが納得がいくよね。」

麗氷の騎士「そうだな、それに…あんなものは見たことが無い。」

院生は携帯電話を操作していた
なぜか近くにおいてあったカバンだけ、一緒に飛ばされてきていたのだ
電話機能だけではなく、メール、ネットへの接続など全ての機能を試す

院生「…ダメ…全部通じない…」

院生はあきらめて携帯をカバンに戻す

院生「あの…燐美の勇者さん、今はどこに向かっているんですか?」

燐美の勇者「燐美でいいよ。今はここから一番近い風精の町に向かってる。
       近いといっても丸い一日はかかるけどね。」

院生「そうですか…」

麗氷の騎士「君も混乱しているだろうが、まずは一度落ち着ける所に向かう。
       考えるのはそれからにしよう。」

院生「ありがとうございます…」
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/10(金) 10:13:03.16 ID:07uo4VLf0
燐美の勇者「気にしない気にしない、困ったときはお互い様さ!」

麗氷の騎士「…私は勇者様を助けてばかりで、助けられたことは一度もないが…」

燐美の勇者「や、やだなぁ、それは麗氷が強すぎるから…」

麗氷の騎士「戦いのことで文句は言わない。ただ、簡単な料理や衣服のほつれを
       直すくらいは自分でして欲しいものだ。」

燐美の勇者「やめてよー!はずかしいなぁ!」

院生「あはは…」

二人のやりとりで、院生の顔に少し笑みが戻る

院生「ところで、燐美さんって勇者さん…なんですよね?」

燐美の勇者「うん、そうだよ。」

院生「っていうことは、目的は…」

燐美の勇者「…そうだよ、ボクたちは魔王討伐のために旅をしてる。」

院生「魔王…」

燐美の勇者「この世界は魔王の脅威に晒されているんだ。
       魔王の軍勢はあちこちに侵攻し、人々を苦しめてる。」

麗氷の騎士「魔王のいる深封の大陸は完全に魔王の支配下だ。
       深封の大陸に接する二大陸も魔王の配下が侵攻を始めている…」

燐美の勇者「魔王はなんとしても打ち倒さなければならない!みんなのためにも…!」

院生「…」

燐美の勇者「…と、ごめんごめん。その前に、まずは院生さんの事を考えないとね。」

院生「す、すみません…」

燐美の勇者「謝っちゃだめだよー。ほら、元気出して!」

院生「…はい!」
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/11(土) 22:05:30.03 ID:q1nsqzvAO
ボクっ娘勇者期待。

五森騎士も女なのか。

第一騎士団はロビンソンクルーソー症候群てやつだな。自衛隊も既になりかかってる。

464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/12(日) 02:45:07.50 ID:t+Jn4gsr0
数時間後、派遣小隊は北の砦へ到着


37隊兵B「おい、なんだありゃ?」

37騎士隊の陣近くに、派遣小隊に護衛された馬車の列が現れる

37参謀「たぶん、あれが例の一団だ。なるほど変わった乗り物に乗っているな…」

37隊兵B「あれがですか…」

37参謀「隊兵B、隊長か副隊長を呼んで来い。」

トラックは馬車の列から離れ、陣の近くで停車する

隊員E「降車だ、迅速にな。降車後は分隊ごとに整列、分隊長は点呼を。」

指示を出している途中で、隊員Eはこちらへ駆け寄ってくる人物に気付く

37隊長「すみません!あなた方が、派遣されてきた一団ですか?」

隊員E「はい、そうですが…あなたは?」

37隊長「失礼。木洩れ日の街駐留、第37騎士隊の隊長を務めます、37隊長です。」

37隊長は姿勢を正す

隊員E「陸上自衛隊、派遣小隊指揮官、隊員E二等陸曹です。」ビッ

隊員Eが敬礼を返し、その後二人は握手を交わした
挨拶を終えた所へ、各分隊長が報告に来る

隊員A「二曹、報告します。第一分隊点呼完了、異常なし。」

隊員G「第二分隊異常なし。」

隊員E「分かった。ああ、紹介します。私の部下の隊員A三曹と隊員G三曹です。」

隊員Eの紹介に会わせ、両名は敬礼する。
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/12(日) 02:47:05.29 ID:t+Jn4gsr0
37隊長「これはご丁寧に…そうだ、参謀!来い!」

37隊長は近くにいた参謀を呼ぶ

37参謀「はい?」

37隊長「コイツ…失礼、彼が参謀を務めます37参謀です。参謀、こちらが一団の指揮官の隊員E殿。
     それから隊員A殿と隊員G殿だ。」

参謀「37参謀です、今回はよくお越しいただきました。」

37隊長「副隊長もいるんですが、今は少し出払ってまして…申し訳ない。」

隊員E「とんでもありません。それでは、ここを指揮されているのは
    あなたということでよろしいですか?」

37隊長「あ…いえ、正確には私の上に最高指揮官がいるのですが…と?」

37参謀「ん?」

話の途中で、37隊長達は微かな地響きを感じた

ギュラララララ…

37隊長「な、なんだ?」

隊員E「ああ、ご心配なく。我々の同胞が近付く音です。」
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/12(日) 02:48:56.28 ID:t+Jn4gsr0
音は次第に大きくなり、やがてジープに護衛された自走迫撃砲が姿を現した

ギュララララララ!

37隊兵A「うぉぉ!?なんかすげぇのが来たな…」

37魔法兵A「バケモンだぜ…」

やがて自走迫撃砲は適当な位置に停車

120車長「このへんでいいだろう。120操縦手、車両を旋回させろ。
     他は測距の準備だ、モタモタするなよ!」

乗員が降車し、砲撃の準備を始める

隊員E「隊員G、小隊も戦闘準備を。終わったら何人か自走120を手伝わせろ。
    残りは待機だ。」

隊員G「了解。」

隊員Gは小隊の所へと戻ってゆく

隊員E「ああ、失礼しました。それで、その最高指揮官殿は?」

37隊長「ああ、なんといいますか…少し面倒なことになりまして…」

隊員E「面倒なこと?」

37隊長「とりあえず、本部にご案内します。そこで詳しくお話しましょう。
     参謀、引き続きここを頼む。」

37参謀「分かりました。」
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/08/12(日) 11:11:15.80 ID:bOir0WMto
37隊長優秀だな
たった今紹介された複数人を紹介するなんて俺には無理だわ
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/12(日) 17:10:06.12 ID:t+Jn4gsr0
一方 月詠湖の公国 領内の最東南


鍛冶妹「大量大量!このへんは薬草の宝庫なんだよね〜。」

一人の少女が丘の麓で薬草を集めていた

鍛冶妹「さてと…そろそろ帰ろっかな?」

ゴォォォォ…

鍛冶妹「うん?」

丘の向こうから音がする

グォォォォ!!!

と、思った瞬間、丘の影に隠れた道の先から指揮車が現れた

鍛冶妹「ぎょぇぇぇぇ!?」

指揮車はエンジン音を唸らせ、鍛冶妹の横を通り過ぎる

鍛冶妹「な、何!?って、きゃぁぁ!?」

さらに補給トラック、武器トラックと続き、最後にジープが側を通り過ぎた

支援A「はぁぁ〜お前〜俺のカレ〜パン〜返せよ〜!」

そして最後に妙な歌のような物が聞こえ去った

鍛冶妹「…な…なんだったのー?」

鍛冶妹は集めた薬草を地面にばら撒き、しばらくボーゼンと立ち尽くしていた
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/12(日) 17:11:32.95 ID:t+Jn4gsr0
支援A「うるせ〜よ〜てめぇ〜月に〜帰れよ〜!」

隊員C「うるせぇのはおめぇだよ、支援A!こっから放り出されてぇのか!?」

耳を塞ぎながら文句を言う隊員C

支援A「いいじゃねぇか、天気も景色も最高なんだぜ?絶好の喉自慢日和だ!」

隊員D「歌詞がゴミ溜めのゲロレベルだけどな…」

衛生「…それより今、誰かいませんでした?」

隊員D「いたか?」

自衛「いたぜ、鳩が豆鉄砲食らったような顔してたぞ。」

隊員D「しょうがねぇや、車列に支援Aの騒音公害のおまけつきだからな。」

補給『ザザ…こちら指揮車、後方警戒車応答せよ。』

自衛「へい、こちら後方警戒車。」

補給『そっちは特に異常ないか?』

自衛「今、人がいましたがそれ以外は何も。」

補給「旅人かなんかか?」

自衛「おそらくは。それより、このままこの道を進み続けると
    国境の町のほうにいっちまいますよ?」

補給『分かってる。地図にはないが、1km先に小道が分岐してるからそっちを進む。
    各車には伝達済みだ、間違えんなよ。』

自衛「了解、切ります…っつーことだ、衛生。」

衛生「分かりました。」

支援A「なんだと〜そんなお前の〜ほくろがワイわ〜大好きやねん〜!」

自衛「…支援A、黙ってろ。」

支援A「マジかよ!?」
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/12(日) 17:18:24.52 ID:t+Jn4gsr0
北の砦 天幕内
 

37隊長「もともとは第一騎士団がここを固めていたのですが…
     現在、第一騎士団各隊は横隊で展開。突入の準備を進めています。」

37参謀「我々、37騎士隊は2隊をさらに四つに分け、第一騎士団の後方を固めています。」

隊員E「第一騎士団の隊列配置は?」

37参謀「彼らはまず、重装歩兵を前方に三部隊並べています。
     その後ろに騎兵隊を一体、軽装兵二隊、最後尾に支援魔法の魔法隊が一隊。」

37隊長「砦は城壁に囲まれ、内部に砦そのものがある構造になっています。
     まず重装歩兵が城門を開き、騎兵が城壁内部に突入、城壁の内側を制圧します。
     それに軽装兵と魔法隊が続き、砦そのものを制圧。
     彼らはこういった方法を考えているようです。」

隊員E「数は?」

37参謀「半数以上は重装兵に振られています、およそ150名。
     騎兵が50に、軽装兵90、魔法を使える者は10名程度です。」

隊員E「合計300?聞いた話では500名ほどがいると。」

37隊長「内150は我々37騎士隊です。残り50名は後方要員ですので。」

隊員E「そういうことですか。」

37隊長「本来は増援の第33騎士隊の到着を待ってから突入する手はずだったのですが…」

五森騎士「増援など必要ない、我々第一騎士団だけで十分だ!」
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/12(日) 17:23:01.09 ID:t+Jn4gsr0
37隊長「!」

隊員E「?」

いつの間にか天幕の入り口に、一人の女性が立っていた

隊員E「失礼だが、あなたは?」

五森騎士「第一騎士団、騎兵隊隊長の五森騎士だ!どこの者とも知らない連中の助けなどいらん!
      今回の問題は我々だけで解決してみせる!」

37隊長「お、おい!五森騎士!」

五森騎士「ふん!」

五森騎士はそれだけいうと、その場から立ち去った

隊員E「これはまた、嫌われたもんだな。」

37隊長「申し訳ない…!どうにも第一騎士団はあなた方の介入をよく思っていないようで…
     なんとお詫びしていいか…」

隊員E「仕方がありません、よそ者をよく思わないのは当然のことです。」

37隊長「ですが、東の街を救って下さったのはあなた方と聞いています…
     我々にはその恩がある!」

隊員E「我々は自分達の身の安全のために動いたに過ぎません、どうかお気になさらず。
    しかし…そうなると我々はどうにも出番がなさそうですね…」

隊員A「でも、何があるかはわかりません。戦闘が終わるまで待機しておくべきでしょう。」

37隊長「私からもお願いします。第一騎士団は皆、躍起になっています。
     考えたくはありませんが、万が一のことが起こりえないとも限りません。」

隊員E「わかりました、我々は戦闘準備を整え待機します。」
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/13(月) 09:45:31.55 ID:kF56G1gAO
鍛治妹 期待。
支援Aの変キャラも進行しとる
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/14(火) 01:54:02.63 ID:3GfylrXC0
隊員E「と、いうわけだ。我々は戦闘終了まで、不足の事態に備えここで待機する。」

隊員Eは一度隊員達を集め、天幕での出来事を説明した

支援B「なんだそりゃ。」

偵察「燃料の無駄もいいとこだぜ…」

隊員A「そこ、うるさいぞ!静かに聞け!」

偵察「いっ…!」

隊員E「そう目くじら立てるな隊員A、皆の言いたいこともわかる。」

隊員A「しかし…」

隊員E「一組を選抜し砦の監視を行う、残りは簡易陣地を構築だ。
    それと、各自装備の点検を怠らないように。隊員G三曹、陣地構築の指揮を任せる。」

隊員G「わかりました。」

隊員E「よし、各員かかれ。」
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/14(火) 01:56:58.03 ID:3GfylrXC0
陣地構築にかかる派遣小隊


同僚「まさかここまで来て待機することになるとは…」

隊員B「まぁ、出番がないんじゃしょうがないですよね。」

支援B「いいんゃねぇか?連中が助けはいらないって言ったんだ。
    これで、前払いの食料はもらえてんだ、おいしい話だと思おうぜ。」

同僚「そうであればいいが…」

同僚「…?」

同僚は、離れた所からこちらを見る人影に気付く

37隊兵A「わ、気付かれた。」

37本部書記「あたりまえでしょ!こんな所でじっと見てれば!」

同僚「君達、何か用かい?」

同僚は二人へと近付く

37本部書記「あ、いえ、その…そういうわけでは…すみません…」

同僚「君達もここの兵士なのか?」

37隊兵A「はい、37騎士隊所属、37隊兵Aです。」

37本部書記「37騎士隊、本部付きの37本部書記です…」

同僚「私は同僚陸士長だ。しかし、君達ずいぶん若く見えるが…?」

37隊兵A「そうっすか?俺もこいつももう15歳ですけど?」

同僚「15!?」

同僚は驚きの声を上げる

37本部書記「ひえ!…ど、どうしたんですか…?」

同僚「ご、ごめん…しかし15で戦いに…」
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/14(火) 02:00:36.82 ID:3GfylrXC0
隊員E「別に驚くことじゃないだろう。」

同僚「二曹…!」

脇から隊員Eが会話に割り込む

隊員E「中世の時代には、それくらいの年齢で兵士になるのが当たり前だったそうだ。
    こっちの世界でも同じなんだろう。」

同僚「まぁ、確かに…」

隊員E「ところで君達、ずいぶん軽装だな。第一騎士団は軽装兵でもちゃんと甲冑を纏っていたが?」

隊員Eの言うように、37隊兵A達の身なりは武器と簡単な防具をつけている以外は、
町の住民の服装とほとんど変わらない

37隊兵A「そりゃあ、第一騎士団は正規の騎士隊ですからね。」

同僚「君達は違うのか?」

37本部書記「はい、私達は元々木洩れ日の街の自警部隊だったんですけど…
       対魔王戦線への出兵で国内の防備が薄くならないように、臨時騎士隊として編成されたんです。」

37隊兵A「隊長や参謀は元々ちゃんとした騎士ですけど、
     俺達は好き好んで集まった、ただの街人なんすよ。」
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/14(火) 02:04:09.50 ID:3GfylrXC0
隊員E「そういうことか。騎士団の人達と、37隊の君らで雰囲気が違うのにも納得がいった。」

37隊兵A「でしょ?俺達はただのペーペーですから。」

隊員E「そうじゃない、君達の方が人当たりが良いと言いたかったんだ。
    どうにも第一騎士団の人々は我々に良い印象を持っていないようでな…」

37隊兵A「そ、そうっすか?」

37本部書記「わ、私達は感謝してるんですよ!
       東の街には家族や親戚がいる人も多いんです、それを助けてもらったんですから!」

隊員E「ああ、君達の隊長からもお礼を言われたよ。だが、隊長にも言ったが我々は自分の身を守ったに過ぎない。
    気にしないでくれ。」

37本部書記「で、でも…」

37副隊長「隊兵A、書記!第一騎士団が突入体勢に入ったぞ、お前らも配置につけ!」

37隊兵A「は、はい!」

37本部書記「すみません、失礼します!」

同僚「あ、ああ。」

二人は配置へ戻るため走り去った
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/15(水) 09:04:52.28 ID:CuXFzEFb0
昼過ぎ


隊員G「砦までの遮蔽物が何もねぇな…」

隊員G達は観測用の壕を掘り、その中から一帯を見回す

偵察「連中はこの中を突っ込む気か?」

隊員G「まぁ、それしかないだろうな。」

偵察「せめて迫撃砲で事前砲撃くらいしてやらないんですか?」

隊員G「本来ならそうすべきなんだろうが…あちらさん、
    俺達に手出しされたくないらしいからよ。」

偵察「面倒だなおい…」

隊員F「………」

第一騎士団は整列を完了、突入の準備に入っていた

騎士団長「皆聞け!砦に立て籠もるのはわが国の恥さらしだ!
     これより我々は砦に切り込み、奴らを一掃する!
     我々の手で、奴らに天誅を下すのだ!!」

騎士団「「「オォォーーー!!!!!!」」」

ビリビリ

隊員G「うぉ…!」

偵察「まさに騎士団って感じだな。」

隊員F(なーにが“オー”だ、気色悪い………)
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/15(水) 09:06:30.20 ID:CuXFzEFb0
騎士団長「重装歩兵、全隊前へー!!」

隊長A「第1隊、前進!!」

掛け声と共に重装歩兵隊が前進を始める

隊員G「おい見てみろ、砦の城壁の上。」

偵察「…弓兵が出てきたぞ。」

城壁に敵の弓兵が整列し、弓を構えている

偵察「放ったぞ!」

放たれた無数の矢が、重装歩兵隊に降り注ぐ

隊長A「怯むな!この程度では我らが引くと思うのか!!」

さらに次の矢の雨が重装歩兵を襲う、しかし彼らは怯むことなく前進する

隊長B「勇気ある重装歩兵達を援護せよ!弓兵隊、放てー!」

騎士団の弓兵隊が城門に向けて矢を放つ
放たれた矢は城門へ降り注ぎ、敵の弓兵達を貫いた
やがて、重装歩兵隊は城壁の門へと到着する

隊長A「門を開けろ!道を切り開け!」

重装歩兵達が門へ何度も体当たりを行い、やがて城門は開かれた
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/15(水) 09:09:01.37 ID:CuXFzEFb0
五森騎士「道は切り開かれた!騎兵隊よ、私に続け!」

五森騎士率いる騎兵隊が、城門内側の広場へと突入する

砦兵A「くそ、来たぞ!」

砦兵B「戦え!戦うんだ!」

突入した騎兵隊と砦の兵達との間で戦いが始まる

五森騎士「はぁぁ!」ヒュッ

砦兵A「ぐぁ!」バシュッ

五森騎士は馬上から敵をなぎ払う

砦兵B「くそっ!やぁぁ!」

五森騎士「甘い!」キンッ

砦兵B「なっ…がぁ!?」ドシュッ

騎兵隊は次々と砦の兵達を打ち倒してゆく
門からは軽装兵と魔法兵が騎兵に続いて突入し、城壁内の砦へと突入してゆく

五森騎士「ふっ!」

砦兵C「ぎゃぁ!」ブシュッ

五森騎士は周辺にいた敵兵をすべてなぎ払った

騎士団長「五森騎士!」

五森騎士の所へ騎士団長の乗った近付く

騎士団長「順調のようだな、軽装兵隊が砦を制圧中だ。お前達は谷側の門を抑えてくれ。」

五森騎士「は!騎士隊続け!」

五森騎士は騎兵隊を引き連れ、谷側の門へと向かった
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/15(水) 18:32:01.16 ID:CuXFzEFb0
砦内部


砦兵E「ぐぁぁ!」ブシュッ

敵兵士が軽装兵により切り倒される
砦内部もすでに制圧されつつあった

官僚「ば、馬鹿な…!」

軽装隊長「大人しくしろ、我が国の恥さらし共!貴様らに勝機など元々有りはしなかったのだ!」

官僚「く…!」

軽装隊長「こやつを捕えて、部屋の中を調べろ。」

軽装兵A「…ん、なんだ?」

軽装兵B「どうした?」

軽装兵A「いや…なんか音がしないか?」

軽装兵は近くの窓から外を覗く

軽装隊長「おい、何をしている!お前も手伝え!」

軽装兵A「…た、隊長…!」

窓を覗いていた軽装兵Aは、震えながら窓の先を指差した

軽装隊長「一体なん…な!あ、あれは!?」

彼らの目に映ったのは、谷側から迫る騎兵の軍勢だった


砦の広場


谷側に回った五森騎士達の目にも、迫り来る軍勢が映っていた

五森騎士「…ば、馬鹿な…」

騎兵A「た、隊長、あれは味方ではありません!」

五森騎士「そんなもの見ればわかる!くそ…奴等これを待っていたのか!」

騎兵B「あ、あんなにたくさん…」

五森騎士「うろたえるな馬鹿者!おい!敵はどのくらい見える!?」

五森騎士は城壁の上に上がった弓兵に問いかける

弓兵A「ここから見える限りでは、騎兵およそ100!歩兵200!他にも…ぐが!?」

伝え終える前に、敵の矢が弓兵Aを襲った

五森騎士「くそ!」

騎兵A「隊長、このままでは!」

五森騎士「落ち着け!この砦の用途を忘れたか!重装歩兵隊が展開すれば
      抑えられない数ではない!それまで時間を稼ぐぞ!」
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/15(水) 18:38:31.49 ID:CuXFzEFb0
派遣小隊 監視壕


隊員G「…なんか砦からの喧騒が大きくなってねぇか?」

偵察「一度は収まったと思ったんですが…」

隊員E「どうした?」

隊員G「二曹、どうにも砦の様子が妙です。一度ドンパチが収まったはずなのに、
    先程からまた喧騒が。」

偵察「あ、あれを。」

砦から一騎の騎兵がこちらへと走ってくる
騎兵は37隊の陣へ駆け込んだかと思えば、馬上の兵はそのまま地面に倒れ落ちた

隊員E「…何かあったな。隊員G、分隊ごとに整列して待機を。」

隊員G「了解。」


37隊陣地


37隊兵B「そっち抑えろ、血を止めるんだ!」

37隊の兵士達は、駆け込んできた騎兵の手当てに追われていた

37隊長「おい、しっかりしろ!何があった。」

騎兵C「ぐ…と、砦に…」

その場に隊員E達が近付く

隊員E「こいつは酷い。衛隊A、手伝ってやれ。」

衛隊A「了解!」

隊員E「一体何があったんです?」

37隊長「わかりません…おい、砦で何があったんだ!?」

騎兵C「と…砦…敵の援軍が…500以上…」

37隊長「な、なんだと!?」
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/15(水) 18:40:40.21 ID:CuXFzEFb0
隊員E「援軍?」

騎兵C「すでに仲間の半数近くが…重装歩兵隊が抑えているが…長くは持たない…」

衛隊A「これ以上しゃべっちゃダメだ!この人を手当のできる所へ!」

37隊兵B「分かった、布をもってこい!こいつを奥へ運ぶ!」

騎兵Cは奥の天幕へと運ばれていった

37隊長「クソ!なんてこった…!」

隊員E「篭城をしていたのはこれを待っていたからか…
    ただの悪あがきじゃなかったって事だな。」

37副隊長「隊長、すぐに救援に向かうべきです!」

37隊長「落ち着け!聞いただろう、砦内は制圧されかかってる。
     今ヘタに飛び込めば、最悪、連中も俺達もそろって全滅だ…」

37副隊長「しかし!」

37隊長「敵の数も聞いただろう!?砦が制圧されれば奴等は打って出てくる!
     ここで俺達が時間を稼がなきゃ、次に襲われるのは木洩れ日の街だ…」

37副隊長「…」

37隊長「33騎士隊に伝令を出せ!緊急事態発生、行軍速度を上げられたし、とな。
     各隊は防戦に備えろ。参謀、何人か選抜して斥候を出せ!」

37参謀「は!」

37隊長「…くそ…」

37隊長は頭をかかえる

隊員E「あの、少しよろしいか?」

37隊長「はい?」

隊員E「よろしければ、砦への救援には我々が向かいましょう。」
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/15(水) 18:55:26.42 ID:ND+6ighwo
中世での戦争で自衛隊の「勿体ない」の精神から放たれる迫撃砲はヤバイな
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/15(水) 21:45:54.45 ID:/ob35c1IO
自衛隊怒りの96式自走120mm迫撃砲初弾命中
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/15(水) 22:05:15.50 ID:9eCH6AEYo
自衛隊の撃つ迫撃砲ってやたら精度高いんだっけか
面制圧する砲で精密射撃とか自衛隊の錬度はすげぇな
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/08/15(水) 23:20:38.11 ID:lFopN8Gqo
まぁ、お伽話ですしおすし
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/16(木) 03:01:08.46 ID:rF24bykKo
騎士達無駄死にだよな
プライド重視で強行軍を支持した五森騎士達恨まれなきゃいいが…
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/16(木) 04:41:42.41 ID:bbc5yfh6o
中世戦争モノの騎士は戦術とか計略とかはからきしで
万歳突撃しか基本できない連中という役回りだからしょうがない
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/08/16(木) 19:36:20.62 ID:Ff3ThyXfo
史実はそんなことないのにな…
敵を排除するために考案された戦術や建物は美しい
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 11:58:16.97 ID:QoFxZzCLo
そして砦に送り込まれるのは 自衛隊屈指のコック だな
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 18:29:10.41 ID:4hITJyqao
ゲートって自衛隊&異世界物の漫画あるらしいな、ここと似てんのかな
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/17(金) 18:37:31.33 ID:Pzq9v0nIo
>>491
ゲートとこれは全然ちがう
あっちは日本に異世界へ繋がるゲートができて地球と異世界で交流しとる
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 22:38:47.55 ID:4hITJyqao
>>492
そうなのかサンクス
まぁ、読んでみるか
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/18(土) 07:06:03.79 ID:Xa3/tfrJ0
数分後

ブロロロロロ…

新型ジープ一両とトラック二両がエンジンを吹かす

隊員E「全員聞こえてるか?もう一度確認するぞ。
    南門付近はまだ重装歩兵隊が押さえているらしいが、油断はするな。
    突入したらトラックを盾に展開、広場を安全化する。
    安全化後、第二分隊一組は城壁を確保、二組は城門付近を固守。」

隊員G『第二分隊了解。』

隊員E「第一分隊は、砦内へ突入だ。」

隊員A『第一分隊了解。』

隊員E「…1250時、派遣小隊出撃。」

出撃の合図と共に、先導のジープが発進
トラックがそれに続く
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/18(土) 07:07:19.34 ID:Xa3/tfrJ0
砦内 谷側の門付近


五森騎士「やぁぁ!」ザンッ

敵兵A「ぎゃ!」ブシュッ

何人目かの敵を切り倒す五森騎士

騎兵A「くそ、多すぎる!」

五森騎士「馬鹿者!弱音を吐くな!」

五森騎士達の周りは完全に敵の集団に囲まれていた
彼女達は、重装歩兵隊が防御隊形を整えるまでの時間を稼ぐため、敵中に残ったのだ

敵兵B「でやぁぁ!」

五森騎士「甘い!」シュッ

敵兵B「ぐわぁ!」バシュッ

敵兵C「くそ!こいつら手練れだぞ!」

敵側はすでに数十名の死傷者を出しており、敵兵達は怯み始める

五森騎士(よし、敵は怯み出したな…これならば…)

?「ほう、これだけの数を相手に立ち回るとは、さすがは近衛部隊といったところか。」

五森騎士「!」
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/18(土) 07:12:40.71 ID:Xa3/tfrJ0
五森騎士達を囲っていた敵兵が割れたかと思うと、敵の将らしき人物がそこから現れた

敵将軍「しかしまぁ、ずいぶんとたくさん伸してくれたもんだ。」

五森騎士「貴様がこの軍勢の大将か!?」

敵将軍「そんな大層なもんじゃないが、一応こいつらの頭だ。」

五森騎士「ふふ…ならばノコノコ出てきたことを悔いるがいい、その首もらい受ける!」ザッ

五森騎士は地面を蹴り、敵将軍に切りかかろうとする

敵将軍「おっとお、大人しくしたほうがいいと思うぜ?こいつらの為にもな。」

敵将軍は一歩下がると、後ろを示して見せる

五森騎士「!?」

五森騎士は飛びかかろうとしていた体を止めた

魔法兵A「騎兵隊長!すみません…!」

魔法兵B「やだ!放して!」

後ろには敵兵に捕まえられた、魔法隊の兵士達の姿があったからだ

五森騎士「な!魔法隊の…この卑怯者!」
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/18(土) 07:14:18.88 ID:Xa3/tfrJ0
敵将軍「基礎だよ、戦いの基礎。捕虜はこいつらだけじゃない、砦の中もほとんど制圧済みだぜ。
     聡明な隊長さんならどうすればいいか分かるよな?」

五森騎士「ッ…皆武器を捨てろ…」

騎兵A「そんな…!」

五森騎士「早く!」

騎兵B「…くそ!」

五森騎士たちは武器を捨て、投降した

敵将軍「捕まえろ。」

敵兵C「オラ、来い!」ドン

五森騎士「ぐっ!」

五森騎士達は捕らえられ、砦へと連れて行かれる

敵将軍「やれやれ、向こう側の門はどうなってる?」

敵兵D「敵の重装騎兵が抵抗していますが、まもなく砦を完全に再制圧できるでしょう。」

敵将軍「無駄なことを…3隊を増援に回せ。第二派の連中が来るまでにここを
     抑えないとな。」
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/08/19(日) 08:46:07.59 ID:sClgb0Eno

自衛隊無双が楽しみ
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/21(火) 15:02:14.48 ID:ySguq/Fso
いいとこで焦らすね
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/21(火) 15:57:59.34 ID:Khwo91Wt0
第一騎士団は南側の門の直前まで押し返されていた

重装歩兵A「敵が多すぎる!」ガキィン

重装隊長「踏ん張れ!ここを突破されれば国内に侵攻されるぞ!」

重装歩兵A「しかし…ぐぁぁ!?」ドスッ

重装隊長「おい!くそ…隙を作るな!」

重装歩兵B「ダメです、押し込まれます!」

重装歩兵隊の防御は今にも崩れようとしていた

ブォォォォ!

重装歩兵B「な、何だ!?」

音と共にジープが
そしてトラック二両が城壁内に走りこんで来る

重装隊長「あれは…!」

隊員E「まだ持ってるな、各隊降車!迅速に展開、急げ!」

降車した隊員は車両を中心に展開して行く

偵察「すげぇ…まるで映画の中だぜ…!」

隊員H「うっはっは!こりゃ、どえらい事になってんな!」

巻き起こる戦闘の様子に、隊員達は驚きの声を上げる

隊員H「二曹、もうぶっ放してもいいんですか!?」

隊員E「馬鹿、少し待て。今撃ったら第一騎士団の兵達に当たるぞ。
    てき弾用意!準備の完了した者から撃て!」
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/21(火) 15:59:38.01 ID:Khwo91Wt0
同僚達数名の隊員がてき弾の発射体制に入る

同僚「てき弾いくぞー!」

ドシュ、ドシュ!

高い角度で撃ちだされたてき弾はやがて弧を描き落下
第一騎士団の隊列を通り越え、敵の頭上へと着弾した

ズガーン!ズオーン!

敵兵E「うぎゃぁぁぁ!?」

敵兵F「な、なんだぁぁ!?」

敵集団のやや後方で爆炎が上がる

偵察「おらよ!」

支援B「吹き飛びやがれ!」

偵察達が手榴弾を投てき

ボッガァーン!

敵兵F「ぎゃぁぁぁ!」

手榴弾はてき弾よりも近い場所で爆発した
敵集団の勢いが少し弱まる

重装隊長「これは…」
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/21(火) 17:24:04.39 ID:Khwo91Wt0
隊員E「失礼!ここの指揮官はどなたか?」

隊員Eは重装歩兵隊の隊列へ近付き、指揮官を探す

重装隊長「わ、私だ!今のは一体…?」

隊員E「説明は後で。今から敵兵を掃射します、隊列の一部を開けてもらえませんか。」

重装隊長「な、何を言っておられる!?この状況で隊列を開けるなど…!」

隊員E「驚かれるのも無理はありません、しかしこのままでは犠牲が増えます!
    開いた箇所から雪崩れ込んだ敵は我々が一掃します。」

重装隊長「…だが」

隊員E「信じてください、この国を守りたいのは我々も一緒です。」

隊長A「…わかりました、やりましょう!」

隊員E「ありがとうございます。」

隊員Eは車列へと戻る

隊員H「なかなか演技派じゃないですか、二曹。」

隊員E「うるさい、それより準備をしろ。ジープを隊列の後ろへ。」

隊員H「了解。」
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/23(木) 06:18:00.09 ID:4emr2ZhI0
数分後


隊長A「まだだぞ…よし、今だ!」

合図と共に重装歩兵隊の一部が後退、隊列に穴が開く

そこから敵重装歩兵が一斉に雪崩れ込もうとする

隊員H「待ってたぜー!ハッハーー!!!」

ジープ上の隊員Hは、掛け声と共に敵重装歩兵に向けて引き金を引いた

ドドドドドドドド!!!

敵兵G「うぎゃっ!」

敵兵H「ひぎ!?」

雪崩れ込もうとした敵は弾幕に晒され、次々と倒れていく

隊員H「ハッハッハーー!!!」

隊員Hは敵集団に向けて撃ちまくる

隊員E「一人も入れるなよ!」

隊員B「分かってます!」ボウ

軽機の弾を逃れた敵兵は、他の隊員が小銃で仕留めてゆく

偵察「手榴弾もっぺん行くぞ!」

再び手榴弾が投てきされ、後続の敵が吹き飛ぶ
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/23(木) 06:24:10.28 ID:4emr2ZhI0
偵察「しかし、なんつー数だよ…」

ザクッ!

偵察「おわっ!?」

突如、偵察の足元に矢が突き刺さった

偵察「危ねぇなくそ!」

同僚「馬鹿!隠れろ!」

同僚は偵察を引っ張り、トラックの影に隠れる

同僚「見てみろ、城壁の上!」

同僚が示した先、城壁の上に敵の弓兵が見えた

偵察「糞が、あんな所にから撃ってきやがって!」

同僚「私達が言えた義理じゃないだろ…ちょっと待ってろ。」

同僚は小銃に新しいてき弾を付け、構える

同僚「当たれよ…!」

ドシュッ
ボガーン!

てき弾が命中し、敵の弓兵が城壁の一角ごと吹き飛んだ
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/23(木) 06:28:45.67 ID:4emr2ZhI0
偵察「やるじゃねぇか。」

同僚「これくらいならな…二曹、城壁上にも敵を確認!」

隊員E「分かった。こっち(広場)はそろそろ落ち着いてきたか…
    隊員G、一組連れて城壁上を確保しに行くんだ!」

隊員G「了解、第二分隊一組行くぞ!」

隊員G指揮する一組(7名)が城壁へ向かう

隊員A「二曹、彼らが前進します。」

敵の勢いが弱まり、重装歩兵隊は隊列を組みなおし
押し返しの体勢に入っていた

重装隊長「奴等を踏み入らせるな!重装歩兵隊、進めー!」

重装歩兵隊は前進を開始、幾度も矛先を交えながら敵兵を押し戻してゆく

隊員H「すげぇ迫力だぜ…」

隊員E「隊員H、第二分隊二組とジープを連れて、
    隊列についていけ。彼らを支援するんだ。」

隊員H「分かりました。輸送C、連中にくっついてくぞ!」

輸送C「了解!」

第二分隊二組とジープは重装歩兵隊を追いかける

隊員E「第一分隊、砦に入るぞ。室内戦の準備をしろ!」
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/23(木) 07:37:24.68 ID:1j0PgrwQo
まだ魔法使ってくるのはいないのか
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/24(金) 09:21:13.11 ID:1g4tiwGp0
なにこれおもしろい
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/24(金) 12:19:57.64 ID:AcT+twyM0
第二分隊一組は城門脇の階段から城壁上に上がる

武器A「うぇ、上がって見ると高ぇな…」

隊員G「余所見してんな、そこに軽機を設置しろ。」

武器A「ったく…なんで俺等まで普通科まがいのことをしなくちゃならねぇんだ…」

文句を言いながら、武器Aは近くの木箱の上にMINIMIを設置する

隊員G「普通科が圧倒的に足りてねぇんだから、しょうがねぇだろ。
    それに、普段からばらし組み立てを繰り返してんだから、銃の扱いは得意だろ?」

武器A「お前ら程じゃねぇよ。」

武器B「三曹、前から来ます!」

城壁の先から敵兵がわらわらと現れる
谷側の門から上がり、回ってきたのだろう
ほとんどは弓兵だが、先頭には軽装兵らしき者が数人確認できる

武器A「多すぎじゃね…?」

隊員G「落ち着け。まだだ、引き付けろ…」

隊員Gは手の平で組員を制する
軽装兵達は剣を抜き、こちらへ迫ろうと駆け出していた
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/24(金) 12:21:12.82 ID:AcT+twyM0
隊員G「…よし、撃て!」

合図と共に発砲が始まった

ダダダダダ!

小銃の発砲で軽装兵達は倒れ、何人かは城壁上から落下してゆく

武器A「クソッタレー!!!」

ドドドドドドドド!

武器Aはその後ろの敵弓兵隊に無我夢中で弾を撃ち込み続ける
こちらに向けて射ろうとしていた弓兵達は次々と倒れていった

武器A「だらあああああ!!!」

隊員G「武器A、もういい!撃ち方やめだ!」

隊員Gの怒鳴り声で武器Aはようやく引き金から指を離した

武器A「糞が…!」

隊員G「城壁上を占拠して下の部隊を援護するんだ、行くぞ!」

二分隊一組は城壁上を進みだす

武器A「………」

武器Aは進もうとした足を止め、足元に転がる死体を見た

武器A「…夢に出るぜ絶対…」

呟くと、武器Aは隊員G達の後を追った
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/26(日) 03:43:32.32 ID:/O1PtnmAO
補給のアテも無いのに派手なアクションが続くと違う意味でハラハラ
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/26(日) 04:07:24.05 ID:UUiyeTWgo
自衛隊なんだし貧乏根性全開で89式に64式とかM2に光学照準器乗せて狙撃してもいいくらいだよな
文面的にかなり地味だけど
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/26(日) 22:58:50.75 ID:qwOwDXH20
砦の入り口


第一分隊は砦の入り口両脇に配置している

隊員E「準備できたか?接近戦は敵のほうが得意だからな。決して油断するな!
    施設C一士、爆薬を。」

施設Cが砦の大きな扉に爆薬を仕掛ける

施設C「爆発に備えてください!」

隊員E「全員備えろ…起爆だ!」

施設Cが起爆スイッチを押し、爆薬が起爆
ドアが粉みじんに吹き飛んだ

隊員E「行け行け行け行け!」

ドアが吹き飛ぶと同時に、同僚を含む四名が内部へ先行して突入
内部では敵重装兵と弓兵が二段構えで待ち構えていたようだったが
爆発に巻き込まれ、最前列の兵士は血を流して横たわっていた
生きている兵士も難聴を起こしたり、大きく咳き込んでいる

同僚「無力化しろ、撃て撃て!」

ダダダダダ!
ボウ!ボウ!

爆発に混乱しながらも、応戦しようとする敵兵を無力化してゆく

偵察「奥にもう一塊いるぞ!」

通路の先にはもう一隊、同じ構成の敵防衛部隊がいた
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/26(日) 23:03:01.21 ID:qwOwDXH20
敵重装兵A「押し返せ!」

掛け声と共に、横隊を組んだ敵重装兵第二陣が押し進んでくる

同僚「接近させるな!」

同僚たちは近くの遮蔽物に身を隠し、敵重装兵を迎え撃つ

ドドド!
ボウ!

敵重装兵B「ぐぅ…!」

敵重装兵A「怯むな、進め、進むんだ!」

敵重装兵達は臆さずに前進して来る

偵察「マジかよ、おい!」

重装兵の装甲は厚く、5.56mm弾数発や散弾では致命傷を与えられていなかった

同僚「ダメージは通ってるはずだ、撃ち続けるんだ!」

そこに後続で突入した隊員E達が到着する

隊員E「どうした!?」

同僚「敵の装甲が厚くて、小銃弾数発では致命傷を与えられません!
    軽機の支援を!」

隊員E「支援B、MINIMIを!」

支援B「了解!」
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/26(日) 23:05:52.46 ID:qwOwDXH20
支援BがMINIMIを構え、敵に向けて発砲を開始

ドドドドドドド!

敵重装兵A「ぐ!?」

敵重装兵B「うぁ!」

敵重装兵C「いっ!?ぐはっ…!」

弾幕により敵重装兵が次々と倒れていく
しかし、その奥からさらに別の重装兵が迫る

支援B「また来るぜ!」

同僚「第三陣か…!」

隊員E「弾幕を絶やすな、火力を集中しろ!」

迫る敵重装兵隊に砲火を浴びせ続ける

ドドドドド!
ボウ!ボウ!ボウ!

敵重装兵D「ぐ…がぁ…!」ドサリ

二度に渡る敵の突撃
そして迎撃により、通路には敵の死体が溢れかえった
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/26(日) 23:07:32.13 ID:qwOwDXH20
隊員E「今ので最後か…二組、前方に出て警戒。
    その間に一組は弾薬を再装填しろ。」

偵察「多数相手なら散弾が有効だと思ったんだけどな…」

愚痴をこぼしながら偵察は、ショットガンに詰めた散弾を
村娘の故郷でも使っていたスラッグ弾に交換していた

同僚「…二曹、室内で敵の装甲兵と戦うには、小銃では不利かと思われます。」

隊員E「そうだな…だが、ショットガンは全員に行き渡る数は無いぞ…」

同僚「せめて前後を守る隊員にはショットガンを持たせましょう。
    鉢合わせさえしなければ、ショットガン以外でも対処は可能です。」

隊員E「分かった、そうしよう…全員装填は終わったか?」

偵察「完了しました。」

支援B「問題無し。」

隊員E「一階の安全化し、上階への階段を探す。行くぞ。」
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/27(月) 09:37:24.06 ID:vnPD9yTfo
自衛隊ってミニミとか支給されるん?
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/27(月) 10:37:21.26 ID:pq70BqRHo
>>516
住友がライセンス生産したヤツ持ってたはず
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/27(月) 12:36:34.84 ID:vnPD9yTfo
マジで?自衛隊凄いな…と言うか住友凄いな
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/27(月) 12:57:35.43 ID:pq70BqRHo
>>518
5.56mm機関銃
ttp://www.mod.go.jp/gsdf/equipment/fa/0_23.html
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/28(火) 02:43:00.31 ID:vlQKyZlAO
89式実包を跳ね返す鎧も凄いな。
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/08/28(火) 15:58:17.23 ID:nIM1Opfzo
いがいと5.56ミリは貫通力さほど大きくないのよ
しかも鎧は鉄板で出来てるし、距離も離れてる。盾着きときた。
貫通は出来ないんじゃないかな
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/08/28(火) 16:14:30.08 ID:9wQ09HXCo
FMJ弾を使おう(提案)
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/28(火) 16:48:02.97 ID:1KFZCU64o
つまりここではサイトが勝手に倒れる某小銃か某言うこと機関銃が最強ということか
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/28(火) 17:30:18.20 ID:+M29b+Kf0
ボウ!

敵重装兵E「ぐぉぉ…」

スラッグ弾の直撃を受け、敵の重装兵がまた一人倒れる

その先には上階への階段があった

偵察「あったな。」

隊員E「ここから上がれるか?偵察士長、何人か連れて先行しろ。」

偵察「了解。隊員B、施設C、支援B、俺と…」

言いながら階段を上ろうとした時

偵察の目の前を、ヒュッ、と何かが横切る

偵察それが何かを確認する間もなく、その何かが大量にその場へと降り注いだ

バヒュバヒュバヒュ!

隊員B「隠れろ!」

施設C「何だ!?」

偵察たちは大慌てて階段元から離れ、階段脇へと隠れる

ドスッ!

偵察「痛ッ!?」

支援B「なんなんだ畜生!」

同僚「おい偵察、大丈夫か!?」

なんとか遮蔽物に逃げ込んだものの、偵察のわき腹には何かの切り傷があった
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/28(火) 17:32:06.07 ID:+M29b+Kf0
偵察「痛ってぇ、なんだってんだ…!」

隊員E「衛隊A!」

衛隊A「分かってます!」

衛隊Aが偵察の傷の手当にかかる

隊員E「何が起こったんだ?」

同僚「二曹、あれを。」

同僚が何らかの物体が降り注いだ、階段の先を示す

階段先の床や壁には大量のツララのような物が突き刺さっていた

隊員E「なんでこんな物が…?」

隊員B「分かりません、階段の先から急に…」

シュンシュンシュン!

隊員B「ひぇ…!」

階段先を覗こうと、ほんのわずかに顔を出した瞬間、再びツララが降り注ぐ

隊員B「これじゃ何もわかりませんよ!」

隊員E「誰か、トラックからバックミラーを持って来い。」

隊員A「行って来ます!」

隊員E「護衛に何人か連れてけよ!…偵察の傷はどうだ?」

衛隊A「わき腹を掠ってますが、深い傷ではありません。」
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/29(水) 12:21:03.54 ID:p9d9XA5D0
偵察「痛ー…同僚、これたぶん魔法だぜ。」

同僚「ああ…」

同僚は地面に刺さらず、足元に転がってきたツララを拾う

同僚「…冷たい、これは氷だ。」

偵察「今度は氷の魔法かよ、退屈しないぜホント…。」

やがて隊員A達が戻ってくる

隊員A「どうぞ。」

隊員E「ありがとう。衛隊A、テープをくれ。」

隊員Eは、バックミラーを銃剣の先にテープで固定した

支援B「ここはノルマンディーかよ…」

隊員E「黙ってろ。」

隊員Eはバックミラーつき銃剣を壁から覗かせる

隊員E「あれは…?」

階段の先にはバリケードに身を隠した敵兵士と、軽装の女性らしき姿がいた
その女性が片手を振り上げ、口を動かす
次の瞬間、彼女の頭上に無数のツララが現れ、こちらに向かって飛び掛る

シュンシュンシュン!
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/30(木) 17:30:49.81 ID:dY/ClCny0
隊員E「うぉ!」

支援B「危な!」

ツララは反対側の壁へと突き刺さってゆく

そのうちの一本がバックミラーへ命中し、鏡にヒビを入れていた

隊員E「…」

隊員Eはバックミラーを銃剣からはがし、両方をしまう

隊員B「てき弾ぶっこんでやる!」

隊員Bがてき弾を装着した小銃を遮蔽物から覗かせようとする
次の瞬間、再びツララの嵐が降り注いだ

隊員B「痛ッ!」

隊員Bはツララで軽く手の切った

同僚「大丈夫か?しかし…完全に後手に回ったな。」

支援B「撃ちまくって、押し切っちまえばいいじゃねぇか?」

同僚「危険すぎる。階段前は何も隠れるものが無い。
   それに押し切ったとして、奥にも同じ魔法を使うような奴がいたら
   終わりだぞ。」

支援B「めんどくせぇ…」

隊員E「なんとか回りこめるルートを探す、数名俺と来い。隊員A三曹、ここを任せるぞ。」
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/08/30(木) 17:32:11.05 ID:dY/ClCny0
上階へのルートを探しに出た、隊員E率いる組は一度砦の外へと出ていた
壁伝いにどこか入れる所がないかを調べている

施設C「二曹、あれを。」

施設Cが壁の上のほうを示す

おそらく二階であろう高さに位置する所に、小さな窓がいくつか並んでいた

隊員E「弓兵用の小窓か…」

施設C「今は弓兵自体は配備されてないみたいです。」

隊員E「あそこから入れるか…俺が上がる、隊員I、ブーストしてくれ。
    他は付近を警戒!」

隊員I「了解。」

隊員Iは小窓の真下で屈み、両手をレシーブを打つときのように重ねる

隊員E「行くぞ!」

隊員Eは勢いをつけながら隊員Iの手のひらに足をかける
それと同時に隊員Iは両手を真上へと振り上げた

隊員E「よっ!」

隊員Eはその勢いで跳躍し、小窓の端をつかむ

隊員E「よし!届いた!」
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/09/02(日) 01:53:08.48 ID:s+Z3EPVAO
登場人物の整理が必要
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/09/02(日) 02:48:09.27 ID:n6G/EjzRo
それと、キャラ名と作中での呼び名が合ってないのを統一して欲しい
自衛隊内の位?で呼び合ってるのに隊員○とか
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/02(日) 08:26:55.52 ID:K4PdEpPQ0
突然ですがPCの不具合により、当SSを始めとするデータがいくつか
吹き飛びました
復興のため、次の更新まで時間が空くと思います
ご理解の程、よろしくお願いいたします
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/02(日) 10:22:13.09 ID:u4S6vxx6o
完結してくれりゃ全然おk
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/09/03(月) 01:54:27.42 ID:Bjplvqvno
異世界召喚物を書こうとして悩むのが補給の問題なんだよな
自分もSS書こうとしてそれが自分の納得のいく理由付けが出来なかったから途中で破棄したことがある

その点ではゼロ魔とかはたまに発見されるで解決したし、ゲートもきちんと補給路があって解決してたから流石出版される作品だな

>>1がどんな風に補給問題を考えたのか今からすごく楽しみにしてます
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/09/03(月) 06:08:55.97 ID:KSfTFUDxo
援護兵が「新鮮な弾だぞ!」とか言って弾薬箱投げてくるからそれ使って補給したらいいんだろ
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/04(火) 07:39:14.53 ID:jVSSf1pIO
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/09/05(水) 18:31:03.36 ID:NiH4I7Abo
>>534
それなら燃料も無限だから補給問題は食糧だけだな
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/05(水) 21:56:45.06 ID:ClmkDtuQo
ケツの穴を増やしてやるぜー
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/09/06(木) 00:06:50.62 ID:auYAFAaFo
戦国自衛隊ベースなんだから補給で苦労する話にしてほしいな
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/08(土) 00:06:52.38 ID:OMkETxxzo
続き気になるー
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/10(月) 02:38:57.43 ID:I7POTklV0
やっと復興した、十日も経ってやがる…


壁に足を掛けてよじ登り、窓から砦内部を除く

隊員E「ここは廊下か…誰もいないようだな。」

隊員Eは下に向けて手招きをしてから中へ入った

隊員E「っと…」チャキ

床に足をつけると共に、小銃を構え周囲を警戒する

ダッ!

窓の外で物音がしたかと思うと、隊員Fが続いて入って来た

隊員F(ったく、こういう事はレンジャーの仕事だろうが…)

隊員E「隊員F、反対側を見張れ。」

隊員F「分かってます。」

廊下の反対側に銃口を向ける隊員F

施設C「よっと!」ガシッ

さらに続いて施設Cが窓をくぐり、
最後に上がってくる隊員Iのために手を伸ばしている

施設C「誰もいねぇようですね。」

隊員E「油断するな…待て!」

コツコツ…

廊下の先の曲がり角から、足音が聞こえる
そして敵兵が数名姿を現した

敵軽装兵A「な!し、侵入者!?」
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/10(月) 02:41:00.71 ID:I7POTklV0
隊員E「隊員F、撃て!」

隊員F「最悪だ!」

ドドド!

敵軽装兵A「ぎゃぁ!」ドシュ

銃弾が命中し、一人の敵兵が倒れる

隊員F「施設C!早く隊員I三曹を引き上げろ!」

施設C「分−ってるよ!」

施設Cは身を乗り出し、隊員Iを引き上げている

敵軽装兵B「くそっ!」ダッ

他の敵兵達が抜剣し、こちらへと走り出す

隊員E「撃て!」

ドン!

敵軽装兵B「ひがっ!?」ブシュ

ドドド!

敵軽装兵C「ぎゃ!?」バシュッ

隊員F「来んな、ボケ!」ドドド

銃撃により敵兵達は全員倒れ、彼らの血が床に転がった

隊員E「片付いたか。」

隊員Eが呟く一方で、施設Cが隊員Iを中へと引き込む

隊員I「っと…ありゃ、終わってる。」

隊員E「まだ他にもいるだろう、油断はできん。行くぞ。」
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/10(月) 03:45:47.03 ID:I7POTklV0
四人は廊下を進む

隊員E「待て。」

曲がり角に差し掛かった所で隊員Eは制止をかけた

隊員E「確認する。施設C、後ろを見張ってろ。」

施設C「了解。」

隊員Eは曲がり角の先を慎重に除く

隊員E「…あったぞ、階段だ。」

覗いた先には、一階に通じているであろう階段があった
辺りには敵兵数名、武器や物資が置かれている

隊員E「隊員A、応答しろ。こちら隊員E。」

隊員A『こちら一階、隊員Aです。』

隊員E「二階に上がり階段を発見した。おそらく位置的にそっちの真上だ。
    確認のために、敵に魔法を撃たせてくれ。」

隊員A『分かりました。』

数刻置いて、階段の先からガラスの散らばるような音が聞こえてきた。

隊員E「…間違いない、これより階段の上から攻撃する。下から支援を頼む。」

隊員A『了解、気をつけて下さい。』
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/10(月) 05:33:21.37 ID:I7POTklV0
隊員E「よーし、階段付近を押さえるぞ。備えろ。」

隊員Eはフラッシュ弾のピンを抜き、曲がり角の先へ転がす

ボッガァァァァ!

隊員E「行け行け行け!」

爆音が鳴り響くと同時に、隊員Iを先頭に突入してゆく

敵軽装兵C「あああ…!」

敵弓兵A「な、なにがぁ…」

突入した先では、フラッシュの直撃を受けた敵兵たちが
よろめきながら歩き回っていた

隊員I「…」

ドンドン!

敵軽装兵C「ぐぁ!?」バシュッ

敵弓兵A「が!?」ドシュ

フラッシュ弾により感覚を失った敵を撃ち殺してゆく

隊員I「悪いな…確保しました!」

施設C「確保!」

隊員E「隊員I、施設C!そのまま見張ってろ!
    隊員F!階段下に向けて攻撃するぞ!」
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/10(月) 06:53:32.46 ID:J6NBA0hvo
生きてて良かったぜ
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/11(火) 02:03:52.05 ID:3KBIx1Wj0
階段入り口から、下の踊り場に向けて銃口を向ける

敵魔法兵「な!敵!?」

敵重装兵F「くそっ!」

踊り場にいた魔法兵達はそれに気づき、応戦しようとした
しかし、一階への注意が削がれると同時に、
一階の第一分隊が突入してくる

敵魔法兵「しまっ…!」

ドドドドド!

敵魔法兵「ぐあっ!?」ドシュ

ドン!ドン!ドン!

敵重装兵F「がぁぁ!」バシュ

上下からの挟撃を踊り場の敵兵達は防ぎきれず
銃撃により倒れていった
一階にいた隊員が階段を上がってくる

隊員E「上がったら付近を警戒しろ!」

すれ違う隊員に指示を飛ばす隊員E

隊員A「二曹、大丈夫ですか?」

隊員E「ああ、大丈夫だ…隊員A、数名をここの見張りに残せ。
    お前は一組を指揮して、二階を安全化しろ。」

隊員A「分かりました。」
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/11(火) 02:08:05.91 ID:3KBIx1Wj0
隊員Eは隊員Aを見送ると、踊り場に倒れた魔法兵に目をやる
同僚が魔法兵を調べていた

偵察「こいつか、ツララを放ってきたのは?」

偵察が傷を抑えながら覗き込む

同僚「まだ子供だ…37隊にいた子達と同じくらいか…?」

魔法兵は十台半ばと思われる年齢の少女だった

偵察「…嫌な感じだぜ…」

同僚「ああ…」

同僚は魔法兵の開いたままの目を閉じる

隊員E「やな気分だな。だが、感傷に浸ってばかりもいられないぞ。
    最上階への階段を探し出して押さえるぞ、同僚、偵察、隊員F、俺と来い。」

同僚「了解!」

隊員F(かったりぃ…)

隊員E「どうした、隊員F?」

隊員F「別になんでも。」

隊員E「気を抜くな、行くぞ。」
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/12(水) 02:38:42.61 ID:oOTABI8/0
砦の最上階の一室


敵将軍「なかなかの抵抗を見せてくれたものだ。さすがは近衛の第1騎士団といった所か?」

騎士団長「く…!」

敵将軍は皮肉めいた口調で騎士団長に話しかける
騎士団長は椅子に拘束されていた

騎士団長「貴様ら、雲翔の王国の騎士団だな!紋章を消して隠したつもりだろうが、
      その鎧には見覚えがあるぞ!」

敵将軍「ご名答、さすが騎士団長殿。」

騎士団長「なぜ貴様らが雪星瞬く公国の領土から…!一体雲翔の王国は何を
      考えている!?」

敵将軍「いずれわかる。それと勘違いなされるな、
     我々は雲翔の王国の命で動いているわけではない。
     紋章も、あのような腰抜け国家の物をつけておく趣味はないものでな。」

騎士団長「なんだと…貴様ら、騎士の身でありながら国を裏切ったというのか!?」

敵将軍「聞こえの悪いことを言ってくれるな、正しいと思う選択をしたまでだよ。」

官僚「騎士団長、よく考えろ。世界は変わりつつあるんだ…」

騎士団長「…魔王か…」ギリ

その場が一時沈黙する
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/12(水) 02:39:49.09 ID:oOTABI8/0
五森騎士「ふざけるな!何が正しい選択だ、笑わせるな!」

唐突の叫び声は、騎士団長の隣で拘束されている五森騎士だった

五森騎士「貴様らはただ臆病風に吹かれているだけではないか!
      それを正しい選択だと?甚だおかしいわ!」

五森騎士は敵将軍を思いっきり睨みつけて言い放った

敵将軍「威勢のいいお嬢さんだ。だがな、口の利き方には気をつけたほうがいいぞ?」グッ

敵将軍は五森騎士のあごを掴む

五森騎士「くっ…!」

その時、部屋の扉が開き、敵兵が慌てて飛び込んできた

敵兵C「しょ、将軍!大変です!」

敵将軍「一体何事だ?騒々しい。」

敵兵C「て、敵の残存兵力が巻き返しを行い…我が方は北門まで押し返されています!」

官僚「な!?」

敵将軍「何!?たわけ!三個部隊も回して一体何をしている!」

敵兵C「そ、それが…敵は見たことも無い魔法を使ってきまして…」

敵将軍「なんだと…?」

敵兵C「と、とにかく来てください!」
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/12(水) 02:42:08.39 ID:oOTABI8/0
敵将軍は部屋を出て、近くの階段から屋上に上がる
屋上からは北門周辺が一望できた

敵将軍「な、何だこれは…」

第1騎士団の倍はいたはずの敵部隊は、第1騎士団の残存兵力と同じ程度にまで減り、
北門まで押し返されていた
敵部隊は後退を続け、時折連続的に何かがはじけるような音が聞こえる
それに合わせて敵兵が倒れてゆくのが見えた

敵将軍「何だあれは!?何があったのだ!?」

敵兵C「まったくわかりません…先程から今のような音がするたびに、
    兵が倒れてゆくのです…!」

敵将軍「そんな馬鹿なことが…」

唖然とする敵将軍の下へ、別の兵士が駆け寄る

敵兵D「将軍!北の門から第二派が到着しました!」

敵将軍「何!」

見れば門の向こうの谷から、第一陣を越える数の増援が接近しつつあった

敵将軍「よぅし…!どんな手を使ったか知らんが、これで奴らも終わりだ!」
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/09/12(水) 08:58:10.01 ID:gyycBr7AO
乙です。
さげなくていいんじゃ?
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [age]:2012/09/12(水) 21:41:36.39 ID:oOTABI8/0
>>550
できればsage進行で行きたいと思っていまして…
しばらく来なかったので今回はageておきます
ご理解ください


第二分隊一組は城壁上を伝って、砦の北側へと到着

武器B「城壁上、敵影ありません。」

隊員G「警戒を続行!」

武器A「見ろ、騎士の連中が奴らを押し込んでるぜ。」

城壁上からは広場での戦いがよく見えた
第一騎士団重装歩兵隊はしだいに敵兵部隊を追い込んでゆく
剣や槍が交わる金属音の中、時折、散発的に銃の発砲音が聞こえてくる

武器A「やっぱ接近戦は連中に部があるな。」

隊員G「彼らを盾に使うようで、少し気分が悪いな…」

武器A「しょうがねぇだろ、適材適所ってやつだ。」

武器B「隊員G三曹!」

隊員G「あ、どうした?」

武器B「た、谷側を見てください!」

慌てながら手招きする武器B

隊員G「どうした…げ!」

城壁の縁に駆け寄り、谷側を眺めると
目に映ったのは谷の先から迫る敵増援の大群だった

武器A「おいおい…さっきまで戦ってたのより多いぜ…」

隊員G「二組、応答しろ!こっちに向けて敵の増援の大群が迫ってる!」
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/12(水) 21:43:13.19 ID:oOTABI8/0
地上 北門付近


隊員H「ああ、分かってるよ。こっからでもよく見える。
    アリのようにうじゃうじゃ迫ってきやがる。」

地上のジープからも、城門の向こうに迫ってくる敵の大群が見えていた

重装歩兵B「せっかく押し返したと思ったのに、まだあんなに…」

重装隊長「なんてこった…!」

騎士隊の間に動揺が広がる

隊員H「落ち付くんだ、隊長さん。」

重装隊長「何を言ってる!?落ち着けだって?君達はあれが目に入らないのか!?」

隊員H「いいから!あんたの部下に門から遠ざけてくれ。
    連中はこっちでなんとかする。」

重装隊長「なんだって…?」

隊員H「通信、第7の連中へ無線を開け。」

通信「了解。」

隊員H「隊員G!地図は持ってんな?そっから座標を教えろ。」

隊員G『わかった、少し待て…』

重装隊長「一体何をするつもりなんだ…?」

隊員H「まぁ、見てろ。」

隊員G『座標確定、2_8_0だ!』

通信「了解…ソブリンズ、ソブリンズ!こちら、アルマジロ!
    砲撃支援を要請!目標座標、2_8_0、送れ!」
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/14(金) 02:28:45.56 ID:m7FvkVf/0
37隊陣地付近


120車長「派手にやってるみたいだな。」

自走迫撃砲の車長用ハッチ上から砦を眺める120車長

37隊兵A「…な、なぁ」

120車長「ん?」

車体の下から声がする
視線を降ろすと37隊兵Aと37本部書記がいた

120車長「どうした、坊主に嬢ちゃん?」

37隊兵A「いや。あんたたちは一緒に行かなくてよかったのか?
      いかにもすごそうな、モンに乗ってんのに…」

120車長「ああ、一緒に殴り込んでもいいんだが、俺等にはそれよりも大事な役割が
      あるんでな。」

37本部書記「大事な役割?」

120通信「車長!アルマジロより砲撃要請です!」

120車長「来たか!用意しろ!座標設定急げ!」

途端に乗員達は慌しく動き始める

37隊兵A「な、なんだんだ…?」

37本部書記「さぁ…?」
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/14(金) 02:36:35.95 ID:m7FvkVf/0
谷側


敵軍の第二派が谷間の道を進んでいる
砦は第一波が制圧する手はずになっているので、第二派の道足は
余裕のあるものだった

敵騎兵「こーんなところでわざわざ戦争しなくても…」

敵騎兵の一人は、本来はのどかな所であろう谷を見渡しながら呟く

ヒュゥゥゥゥゥゥゥ__

敵騎兵「?」

ボガァァァァァン!!!!

敵騎兵「わぁぁぁぁぁぁぁ!?」

突然の爆音と衝撃
部隊は混乱に陥り、敵騎兵は自分の馬から落馬してしまった

敵騎兵「な、な…なんだ一体…!?」

体を起こした敵騎兵の視線の先で、爆炎が上がっっていた
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/14(金) 03:02:14.63 ID:m7FvkVf/0
谷間の敵部隊の上へ、次々と迫撃砲弾が降り注ぐ
爆炎は土砂を巻き上げ、歩兵や騎兵、重装備歩兵等を区別無く吹き飛ばす
砲撃により敵は混乱し、隊形を乱していった

隊員G「目標座標の変更を要請!0_9_0!」

隊員Gは地図と実際の地形を見比べつつ、インカムに向けて叫ぶ

通信『了解。ソブリンズ、目標座標を変更、0_9_0、送れ。』

座標は通信の扱う無線で、自走迫撃砲へと送られる
そして、その情報が反映され、迫撃砲弾はばらけた敵を追いかけるように着弾する

隊員G「…一門だけじゃ、やっぱ制圧力に限界あるな。」

武器A「だが、連中にしてみりゃ、これでも十分脅威だろうよ…」

隊員G「連中が密集戦法なのが幸いしたな。」

着弾するたびに、人間が飛び散り四散してゆく
門の近くにいた敵は砦内へと逃げ込んだが、
そこで待ち構えていた軽機と重装歩兵隊の餌食となった

隊員G「数は減ってきたな…連中の退路を断とう。
    再度座標の変更を要請!5_2_2…」

眼下には大量の死体と、負傷して倒れ、もしくはさまよいながら悲鳴を上げる人間が
量産されてゆく

武器A「…見てられん。」
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/09/15(土) 00:09:58.92 ID:J2NlBqqc0
UAVオンライン!!
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/09/15(土) 00:27:46.90 ID:R5F1Xapso
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/15(土) 20:43:11.14 ID:nl9EQb9K0
砦屋上

敵将軍「…なんだ…なんだこれは…?」

敵将軍は突然の事態に思考が追いついていなかった
増援であったはずの第二派の大部隊が
突然降り注いだ爆風によって塵となってゆく

敵将軍「こんな馬鹿なことが…」

敵兵C「しょ、将軍!た、大変です…!」

敵将軍「…今度はなんだ?」

敵将軍には、これ以上大変なことなどあるようには思えなかった

敵兵C「て、敵が下層を制圧し、すぐそこまで迫っています!」

敵将軍「…階段入り口を塞いで立て籠もれ…」

敵兵C「わ、わかりました!」
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/15(土) 21:06:04.83 ID:nl9EQb9K0
最上階へ通じる階段の入り口


同僚「そうか、わかった…二曹、北側から敵の増援が現れたそうですが、
   迫撃砲の砲撃で撃退。
   現在、退路を断つために阻止砲撃を実施中とのことです。」

同僚は無線で伝わってきた内容を、隊員Eへ伝える

隊員E「この音はやっぱり迫撃砲の音だったか。」

阻止砲撃の音が、砦内にも聞こえてきていた

ドン!ドン!

一方、すぐ側では何かを叩くような音が聞こえる

偵察「クソ!かなり頑丈に固めてやがる。」

最上階へ上がる階段にはバリケードが築かれていた
偵察がバリケードを叩きながら悪態を吐く

隊員E「施設C、爆薬を用意しろ。」

施設C「あの、お言葉ですが隊員E二曹…このバリケード、
    おそらく奥のほうまで固めてあります。
    爆薬で吹き飛ばすのは非効率かと。」

偵察「じゃあ、どうすんだよ?」

施設C「手作業で破壊してくのが確実でしょう。」

偵察「マジかよ…」
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/15(土) 21:07:03.57 ID:nl9EQb9K0
支援B「いっそ、この建物ごと爆破しちまうのはどうだ?」

隊員E「馬鹿か!上階には五森国の騎士が捕まってるかもしれないんだぞ?」

施設C「それにそんな事ができるほど爆薬に余裕はねぇです。」

支援B「おいおい、言ってみただけだって…」

同僚(自衛なら問答無用でやりそうで怖い…)

隊員E「誰か、消火斧とスコップを持って来い。
    隊員A、ここの指揮を任せる。」

隊員A「は?わかりました…隊員E二曹はどうされるんですか?」

隊員E「全員でここで燻っててもしょうがないだろう。
    どっかから上階に上がれないか探す。隊員I、隊員F、一緒に来てくれ。」

隊員F(またかよ。)

隊員E「隊員A。バリケードが撤去できたら、お前の判断で突入しろ。」

隊員A「分かりました。」
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/17(月) 14:21:37.35 ID:1Ksiz8PDO
盛り上がってます
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/17(月) 14:53:05.95 ID:2xCm2moIO
はやく続きくれー
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/18(火) 09:32:02.55 ID:znwL02kd0
本隊から離れ、三階に上がれそうなところがないかを探す隊員E達

隊員I「どうです?」

隊員Eは窓から身を乗り出し、外壁を調べている

隊員E「…ここは駄目だな、掴めるところがほとんど無い。」

隊員I「隊員F、そっちはどうだ?」

隊員F「…上れないって事はないでしょうが…」

隊員Eは隊員Fと場所を変わり、覗き込む

隊員E「あー…なるほど。」

隊員Fが調べていた方の外壁は、かなり荒くなっており
所々にとっかかりがあった

隊員E「確かにいけそうだが、少し不安定だな…
    それに三階に窓が無い、一度屋上まで上がるしかないか。」

隊員F「やめといたほうがいいんじゃないですか?」

隊員E「いや、モタモタしててもしょうがない。ここを上るぞ。」
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/18(火) 11:09:38.10 ID:znwL02kd0
隊員A「準備はいいか?施設C、やれ!」

施設C「オラッ!」

ドガッ!

施設Cが最後のバリケードを蹴り飛ばす

隊員A「よし行け!GOGOGO!」

そして施設Cが退くのと入れ替わりに、偵察を先頭に四人が突入する

敵兵E「う、うわ!」

蹴り飛ばされたバリケードの下敷きになっていた敵が、
慌てて応戦しようとする

ボウ!

敵兵「ぎゃ!」グシャ

しかし、それもかなわず偵察のショットガンを正面から浴びた

ドンドンドン!

敵兵F「来…ぎゃぁぁ!?」

偵察の目の前にも敵兵がいたが、同僚が偵察の肩越しに発砲
無力化する
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/18(火) 11:13:57.97 ID:znwL02kd0
出た先は廊下で通路は左右に延びていた

同僚「隊員B、支援B、左を!」

左側を隊員Bと支援Bに任せ、同僚と偵察は右側に銃口をむける
左側廊下には木箱や机が遮蔽物として並べられ、
一番先頭の遮蔽物から敵兵が乗り出し、切りかかろうと迫る

偵察「野郎!」ボウ

敵兵G「がはっ!」ブシュッ

襲い掛かってきた敵兵を撃退し、同僚と偵察はそのまま
遮蔽物へと走り込む

偵察「まだ来るぜ!」

同僚「迎え撃つんだ!」

さらに奥の遮蔽物から、敵兵が迫る
偵察と同僚は迫り来る敵兵を迎え撃つ
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/19(水) 10:11:23.47 ID:AUjaNVIb0
隊員A「援護射撃開始!」

ドドドドド!

隊員Aたちが後方から支援射撃を開始
廊下の先へと弾幕が張られる

同僚「オーケー…偵察、行くぞ!」ダッ

遮蔽物から飛び出し、次の遮蔽物へと前進する同僚と偵察
頭を下げ、支援射撃を受けながら次の遮蔽物へ飛び込んだ
その場を奪い返そうと敵は攻撃の手を強める

偵察「奴らも必死だぜ!」

ボウボウ!ドドド!

同僚「…ッ!リロードする、援護を!」

偵察「急げよ!」

同僚は遮蔽物に身を隠し、リロードを行う
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/19(水) 10:14:12.23 ID:AUjaNVIb0
敵兵H「うぉぉ!」

弾幕の隙を突き、一人の敵兵が迫り来る

偵察「まずい…!同僚!!」

同僚「!」

敵兵は遮蔽物を乗り越えて同僚へと切りかかった

同僚「ッ、だぁぁ!」

ドスッ!

敵兵H「がっ!?」

同僚は立ち上がる勢いを利用して、敵兵を刺突した

同僚「だっ!」ドカッ

敵の死体を足で押して銃剣を引き抜き、再び身を隠す

偵察「無事か?」

同僚「…どうにか。」

偵察「曲がり角を押さえるぞ、行けるか?」

同僚「大丈夫だ、行くぞ!」バッ

再び遮蔽物を飛び出し前進する
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/20(木) 12:10:31.66 ID:n1+czUYJ0
曲がり角の前までたどり着き、壁に背を向けて張り付く同僚と偵察

同僚「備えろ。」

同僚は手榴弾のピンを抜き、曲がり角の先へと転がす

ボグァァァン!

同僚「行くぞ。」

曲がり角の先へと飛び出す同僚と偵察

同僚「…大丈夫だ。」

廊下の先には複数の敵兵の死体が転がっていた

偵察「狭いと効果絶大だな…見ろ、扉だ。」

曲がり角の先には扉があった

隊員A「同僚陸士長、無事か?」

後ろから隊員A達が追いついて来る

同僚「大丈夫です。それより、おそらくこの扉の先が指揮所だと思われます。」

隊員A「よし、全員突入準備!」

突入に備える隊員達の脇で、同僚はインカムに呼びかける

同僚「隊員B、応答しろ。通路の先で扉を確保した。
    そっちはどうなってる?」

隊員B『隊員Bです、こちら側でも廊下を制圧、扉を押さえました。』

同僚「分かった…隊員A三曹、向こうでも扉を確保したそうです。」

偵察「よーし、タイミングを合わせて同時に行こうぜ。」

隊員A「同僚陸士長、爆破の合図はお前に任せる。」

同僚「了解。」
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/20(木) 12:12:08.21 ID:n1+czUYJ0
砦の外壁


隊員E達は外壁をよじ登っていた

隊員E「っと…中でおっ始まったな。」

壁の内側からは微かに戦闘の音が聞こえて来た

隊員F「糞ったれが…飛んだ貧乏くじだ!」

隊員Eの斜め下から続く隊員Fが悪態を吐く

隊員E「中で戦闘が始まったらしい、急ぐぞ。」

隊員I「了解。」

隊員Eと隊員Iは登る速度を上げる

隊員F(簡単に言いやがって…登れそうだ、なんて言うんじゃなかったぜ!)
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/20(木) 12:15:17.33 ID:n1+czUYJ0
再び砦内部


扉の前で突入に備える隊員達

同僚「隊員B、そっちは?」

隊員B『準備オーケーです。』

同僚「了解、カウントに合わせて爆破しろ…向こうは大丈夫だ、発破準備。」

施設C「了解!」

施設Cが起爆スイッチに指を掛ける

同僚「…3、2、1…発破!」

ボグワァァァァン!!!

同僚「GO!GO!」

ドアが吹き飛ぶと同時に同僚が突入
偵察と隊員Aがそれに続く
突入先は指揮所であろう大部屋だった

騎士団長「!?」

敵兵I「ひ!なん…ぎゃ!」ブシュッ

同僚は入って右側にいた敵兵を射殺

敵兵J「敵か!?こんな…」

ボウ!

敵兵J「ぎぇっ!?」グシャ

同僚の左側をカバーしていた隊員Aが別の敵兵を撃ち殺した
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/20(木) 12:20:00.38 ID:n1+czUYJ0
騎士団長「い、一体何が…わ!?」グォ

突如、騎士団長は拘束されている椅子ごと床に倒れる

騎士団長「っ…痛たた…!き、君達は…!」

偵察「我慢してくれ!」

偵察が付近を警戒しながら言う
身を低くして近づいた偵察が、戦闘に巻き込まれないよう
騎士団長を引き倒したのだ

敵兵K「うぁぁ!」

一人の敵が叫び散らしながら同僚達へ向けて迫る

敵兵K「ぐはっ!?」ドシュ

しかし反対側の扉から突入した隊員B達が、その敵を無力化した

同僚「クリア!」

隊員B「クリアー!」

支援B「こっちもクリアだ!」

偵察「保護対象確保!」

室内は完全に制圧され、
隊員達が各々の状況を報告する

隊員A「警戒続行、油断するな!」
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/09/20(木) 16:51:11.44 ID:9Np4mnHAO
同僚も人を撃つの平気になってきたな…
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/20(木) 17:37:04.67 ID:dQMWAqS3o
無双しすぎじゃね?
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/09/20(木) 17:58:26.26 ID:AaJG2BR/o
銃の存在考えたら普通の足軽レベル相手には無双してもいいんじゃね?
勇者パーティには反応出来てなかったんだし丁度良いと思うよ
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/20(木) 17:59:14.87 ID:BkmFxl/IO


敵にこちらの情報が何もないんだから無双にもなるわ
これで、向こうに生き残りが出て対策をされると無双も出来にくくなるけどな
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/09/20(木) 23:16:51.83 ID:LwzUAUDZo
武装の差では無双で問題ないけど
実戦で生身の人間撃つのにまったく戸惑いがないのがすげえな
と思ったら元の時代が既にかなりキナ臭くなってる設定だったっけか
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/21(金) 11:29:37.01 ID:wBGc2uTw0
偵察「悪かったな、大丈夫か?」

偵察が騎士団長を引き起こし、拘束を解く

騎士団長「…なんというすばやさだ…」

室内は20秒もかからずに制圧
敵も残り少なかったとはいえ、
騎士団長はその素早さに、驚く以前に呆けることしかできなかった

隊員A「大丈夫ですか?」

隊員Aが騎士団長へ近づき、声を掛ける

騎士団長「き、君達は確か例の東の街の…いやそれよりも、奴を追わなくては!」

偵察「奴?」

騎士団長「ここを攻めてきた連中の将軍だ!私の部下を連れて屋上へ逃げたんだ!」

騎士団長は階段へと繋がる奥の扉を示した

同僚「なんてこった…!」

偵察「追っかけるぞ、隊員B!」

偵察は隊員Bを連れて駆け出した
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/21(金) 11:31:06.41 ID:wBGc2uTw0
一方、隊員Aはインカムを隊員Eへと繋ぐ

隊員A「隊員E二曹、応答してください。」

隊員E『ザザ…どうした?』

隊員A「三階を確保しましたが、敵の指揮官が人質と共に屋上に逃げたそうです。」

隊員E『本当か?厄介だな…誰か追いかけたか?』

隊員A「偵察陸士長と隊員B一等陸士が。どうされますか?」

隊員E『すまんがこっちはまだ壁を登ってるから、どうにもできん。
    もし、やばければ多少手荒な手段になってもいい。判断はお前に任せる。』

隊員A「…わかりました。」

隊員E『頼むぞ、こっちもすぐに上がる。』

隊員A「…」

同僚「三曹?」

隊員A「大丈夫だ、私達も敵を追うぞ。」
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/09/21(金) 13:13:19.06 ID:HeHAvwH8o
対物ライフルで狙撃してもらってさ、終わりでいいんじゃない?
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/21(金) 13:32:34.84 ID:TFy5v1RIO
>>579
君は突入作戦にまで狙撃ライフルを持って行くのか…がんばれよ
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/21(金) 14:18:41.96 ID:mNS+0Cclo
FPSのやりすぎなんだよ…
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/09/21(金) 17:36:25.38 ID:h0Xh84nso
というか自衛隊は対物ライフル持ってるのか
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/09/21(金) 17:42:47.05 ID:76s7VWBTo
M24しか持ってないんじゃなかったっけ
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/21(金) 19:08:12.96 ID:BhgBVozDo
狙撃銃自体が千丁程度と少なかったような……
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/22(土) 13:03:08.66 ID:+sqESJyA0
屋上への階段


五森騎士「は、放せ!」

敵将軍「うるさい!くそ、くそが!」

敵将軍は五森騎士の腕を引っ張りながら階段を登っていた
その後ろから官僚が続く

官僚「敵将軍殿、一体何が起こっているのだ!?あなた方の兵は?増援は!?」

敵将軍「何起きているか知りたいのは俺の方だ!
    くそぉ!なんだってんだ!!」

悲鳴にも近い声を上げる敵将軍

隊員B「いました!階段の上!」

偵察「そこ、止まれ!」ジャキ

そこへ階段の下から偵察と隊員Bが追いついた

官僚「ひ!?」

敵将軍「ッ!あいつらは…五森国の残党と一緒にいた…!」

敵将軍は、屋上から様子を見た時に
騎士団と一緒に、似たような服装の人物がいたことを思い出した

敵将軍「…くそ!来い!」グイ

五森騎士「あっ!」
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/22(土) 13:14:52.64 ID:+sqESJyA0
敵将軍は五森騎士を引き寄せ、彼女の首元にナイフを突きつけた

偵察「げ!」

敵将軍「見ろ!下手に動けばこいつの喉首を掻っ切るぞ!」

偵察「だぁぁ!またこのパターンかよ!」

頭を抱える偵察の元へ、同僚達が追いつく

同僚「どうした…あ!」

騎士団長「五森騎士!」

同僚達も、敵将軍と五森騎士の状態を見て現状を把握する

五森騎士「団長!私のことなどかまわずに…むぐっ!?」

敵将軍「黙れ!動くなよ、こいつの命が惜しければな!」

騎士団長「くそ!卑怯な…!」

騎士団長は動けずに、敵将軍を睨みつける
その一方で、同僚や偵察はうんざりした表情を浮かべていた

同僚「二度もこんな場面に遭遇すると、さすがに嫌になるな…」

偵察「俺は戦士のねーちゃんの件も含めりゃ三度目だぜ…」

隊員B「のんきなこと言ってる場合じゃないでしょう!フラッシュ弾投げますか!?」

同僚「馬鹿、階段だぞ!下手してこっちに転がってきたらどうする!」

隊員A(くそ、撃たせるべき?どうすれば…!?)
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/22(土) 13:24:49.43 ID:+sqESJyA0
敵将軍「何をごちゃごちゃと話している!そこを開…!?」

唐突に敵将軍の言葉が止まる
ムズッ、と自分の首を何者かがつかむのを感じたからだ

敵将軍「ひ!?」

同時にナイフを握る手も掴まれる

ドガッ!

そして敵将軍は仰向けに床へと引き倒された

敵将軍「ぐぁぁ…何が…!?」

引き倒され、痛みに悶える敵将軍の目に映ったのは隊員Eの姿

ドゴォ!

敵将軍「ぐぇぇ!?」

そして腹部への鈍痛を最後に、敵将軍は意識を失った

隊員E「…よぅし。」

気絶を確認すると、隊員Eは敵将軍の体をひっくり返し
後ろ手に拘束した
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/22(土) 13:35:21.01 ID:+sqESJyA0
官僚「う、ああ…」

ジャキ

官僚「ひ!?」

隊員I「動かないように、手を頭に。」

隊員Iが官僚に銃を突きつける
敵将軍達の無力化と同時に、同僚達が駆け上がってきた

隊員A「二曹!」

隊員E「間に合ってよかった…周辺を警戒!同僚、彼女を頼む。」

同僚「了解!」

同僚が五森騎士へと駆け寄る

五森騎士「だ、大丈夫だ…」

同僚の手を払いのける五森騎士

五森騎士「あっ…」フラッ

同僚「おい!」バッ

しかし足元がふらつき、結局同僚に支えられる形となる

同僚(!…華奢な体だ…こんな娘まで戦っていたのか…)

隊員E「どっかで休ませてやったほうがいいな。」

同僚「下の部屋を使いましょう。歩ける?」

五森騎士「だ、大丈夫だ…」

五森騎士は同僚に支えられ、階段を下っていった
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/22(土) 13:36:36.70 ID:+sqESJyA0
隊員E「偵察。一組を連れて、残敵がいないか片っ端から洗え。」

偵察「了解。」

隊員E「隊員B、衛隊A、他にけが人がいないか調べてくれ。」

隊員B「分かりました。」

隊員I「こいつらはどうします?」

隊員Iは敵将軍等を示す

隊員E「どこかに閉じ込めて見張りを立てろ。
    他にも投降者いたら、一まとめにしておくんだ。」

隊員I「了解。」

隊員達は各々の作業へと移っていった

隊員A「…」

隊員E「隊員A、どうした?」

隊員A「い、いえ。何も…」

隊員E「お前は同僚と一緒にあの娘を見てやれ。」

隊員A「分かりました…」
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/22(土) 20:13:30.07 ID:cpjsHIxIO
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/09/23(日) 15:55:27.16 ID:DUggZjqAO
今更ながら>>579->>584の流れワロタwwwwww

だけど実際の突入作戦とかって狙撃手のバックアップとかつかないのかね
映画の見過ぎかもしれんが
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/23(日) 16:34:19.82 ID:QovOnpMIO
>>591
今回は後方に自走砲撃隊がいるだけっぽいし
アサルトライフルしかないだろうから狙撃は無理だろう

仮にあっても建物の中でしかも人質がいるのに対物ライフルとか馬鹿かと
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/09/23(日) 16:39:03.13 ID:gmAJ0h/AO
この場合の支援はミニミで正解じゃないかな。機関銃はいざとなればライフルより精密な狙撃できるそうだし。
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/23(日) 22:37:54.68 ID:ZXATxeyIO
ゴルゴ13はm16で狙撃してました(迫真)
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/09/23(日) 23:28:01.77 ID:ZHplEAf9o
M16は精度がいいからな
不可能ではない
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/09/24(月) 00:09:23.22 ID:D0/tT7Aro
自衛官は全員ゴルゴ並みの腕前とか思ってんの?
それとも都合よく狙撃の腕がゴルゴ並みのやつがスタンバイしてるとでも?
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/09/24(月) 01:00:35.37 ID:T2a32YYVo
狙撃銃に5.56mmNATO弾って実際どうなんだろう?
7.62mmNATOやら.338ラプアやらに比べて風に流されやすかったりしてかなり命中精度落ちると思うんだが
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/24(月) 02:16:18.39 ID:wuBSwDZa0
隊員Eは屋上から一体を見渡す
迫撃砲の砲撃により門の先の地面は穴だらけになり、
大量の人や馬のようなものが転がっているのが、屋上からでも見えた

偵察「わーお…」

隊員E「派手にやったもんだ…」

騎士団長「これは…」

隊員G『ザザ…隊員E二曹、応答してください。隊員Gです。』

隊員E「こちら隊員E、砦内部はほぼ制圧した。」

隊員G『やっぱりですか。こっから二曹の姿が見えますよ。
    こっちは門の西側の城壁上にいます。』

城壁上にはこっちに向けて手を振る隊員Gの姿があった

隊員E「ああ、見えてる。そっちはどうだ?敵の増援は大丈夫だったのか?」

隊員G『第7の連中の砲撃でほとんど片付きました。生存者がいくらら投降してきまして、
    隊員H等と騎士たちが地上で対処してます。』

隊員E「分かった、そっちに何人か送る。お前たちはそのままそこで見張りを続けろ。」

隊員G『了解。切ります。』
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/24(月) 02:24:12.14 ID:wuBSwDZa0
隊員Eは交信を終えると、今度は通信へとインカムを繋ぐ

隊員E「通信、聞こえるか?」

通信『こちら通信一士。』

隊員E「砦内の制圧を完了した。自走迫撃砲にそのことを伝えてくれ。
    それと37隊から人手をよこしてもらってくれ、ともな。」

通信『分かりました、伝えます。』

隊員E「頼む。」

インカムを切る隊員E

騎士団長「これが噂に聞く力だというのか…」

騎士団長はいまだに一帯を見つめていた

隊員E「騎士団長さん、すぐに37騎士隊が到着します。
    あなたも休まれたほうがいい。」

騎士団長「!、あ、ああ。かたじけない…そうさせてもらう…」

隊員E「偵察、一組はどうした?」

偵察「今やらせてますよ、それより屋上をカラにしていいのか気になったもんで。」

隊員E「心配ない。隊員F、屋上で見張りにつけ。何かあればすぐに報告しろ。」

隊員F「了解。」

隊員E「さ、騎士団長さん、行きましょう。」

隊員Eと騎士団長は、砦内へと入っていった
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/25(火) 16:42:22.03 ID:2Cj/9uI10
時間は遡り、昼過ぎ
月詠湖の王国 領内最南東


82操縦手「車長、前方に民家らしきものが。」

82車長「ああ、見えてる。」

指揮車の進行先に一軒の民家があり、
それを中心に、芝を刈った小さな敷地が広がっていた

82車長「補給二曹。」

補給「ああ、あれっぽいな…全車に告ぐ、500m先に目標らしき建物。
    一応警戒しろ。」


家屋内


鍛冶兄「親父、来週の納品分が一本足りねぇんだけど?」

鍛冶「最後の確認中だ、待ってろ。」

鍛冶は諸刃の剣の刃を鋭い眼で睨んでいる

鍛冶兄「またやってんのか!?どうせ親父の剣は、どっかの物好きが
     飾り物として買うくらいだろ?無駄な手間かけるなよ…」

鍛冶「うるせぇ、そういうもんじゃねぇんだ!!…まだかかるからお前は夕飯の用意でもしてろ。」

鍛冶兄「さっき昼過ぎたばっかだろ。」

鍛冶「じゃあ洗濯物だ。」

鍛冶兄「とっくにとり込んだよ。」

鍛冶「なら終わるまで待ってろ!」

鍛冶兄「へいへい…」
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/25(火) 17:21:55.73 ID:2Cj/9uI10
鍛冶兄「…なぁ親父、いつまでこんな僻地に籠もってる気だ?」

鍛冶「…なんの話だ?」

鍛冶兄「しらばっくれんなよ…昔は俺らをほっぽりだして、
     世界中で無茶をやってたくせに。」

鍛冶「…」

鍛冶兄「親父、今の世界情勢知ってるか?
     魔王軍は“命郷の大陸”のほとんどを制圧。
     “伝脈の大陸”でも同盟軍がかなり押されてるらしいぜ。」

鍛冶「ああ。」

鍛冶兄「…各国から出た勇者もいくつもやられてるらしい。
     一昨日、荒道の町まで行ったけどよ、皆どっか不安そうな顔して
     そんな話ばっかしてやがる。」

鍛冶「そうかい。」

鍛冶は鍛冶兄に背を向けて、剣の加工を続けている

鍛冶兄「…ほんとに興味なさそうだな…」

鍛冶「だいたい、そんなこったろうとは思ってたよ。」

鍛冶兄「はぁぁ…」

鍛冶兄は溜息を吐きながら、近くの窓の窓枠に寄りかかった

鍛冶兄「…そういや、町で妙な噂を聞いたぜ。
     月橋の町に、栄の国の勇者が立ち寄ったらしいが
     その勇者と一緒に神兵が現れたんだってよ。」

鍛冶「…なんだそりゃ?」

鍛冶兄「わかんねぇ。話によると、全員が奇妙な服装で、
     車輪をいくつも持つ鋼鉄の怪物に乗ってたんだってよ。」

グォォォォォ…

その時、窓の外に指揮車が停車するのが見えた

鍛冶兄「そうそう、話を再現するんならたぶんあんな感…」

一瞬沈黙する鍛冶兄

鍛冶兄「!!?」
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/25(火) 17:25:33.19 ID:2Cj/9uI10
一応、城壁上の部隊が敵将軍を狙撃する、という案はありました
諸事情でボツになりましたが
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/25(火) 18:55:27.85 ID:SgBjDTgIO
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/26(水) 16:29:13.47 ID:S5+y/WoI0
衛生「着きましたね。」

自衛「隊員D、そのまま軽機についてろ。後は降車だ、周辺を警戒しろ。」

自衛達はジープを降り、敷地周辺を警戒する

隊員C「ほんとにこんなトコに原油があんのか?
    家一軒だけで、採掘施設らしいモンはみあたらねぇぞ。」

自衛「ここの住人に尋ねてみりゃ、わかるだろ。」

自衛は家屋から出てきた鍛冶兄を示した

鍛冶兄「ほんとかよおい…」

玄関前で唖然とする鍛冶兄

補給「ここの家の方ですか?」

補給近づくと、警戒感を与えないよう、なるべく穏やかな口調で話しかけた

鍛冶兄「あ、ああ、そうだけど…」

補給「心配しないで、危害を加える者じゃありません。
    我々は陸上自衛隊の者です。」

鍛冶兄「じ、じえいたい…?…それで、何の用なんだ…?」

補給「探し物をしていて、ここを訪ねさせてもらったんだ。」

鍛冶兄「探し物?」

補給「石油というものを探してる。黒くて粘り気のある液体で…
    ここで使われているのを見たと聞いてきたんだが…」
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/26(水) 16:30:37.06 ID:S5+y/WoI0
鍛冶兄「ああ、地下油のことか?」

補給「あるのか!?」

鍛冶兄「あ、あんたらが探してる物と同じかどうかはわらねぇけど…
    それより、あんたらもしかして噂の神兵か?」

補給「し、神兵?」

不可解な顔をする補給に、自衛が近づき説明する

自衛「街で勇者の野郎が、俺達をそう説明しちまったんです。
    この数日で噂が広がったんでしょう。」

補給に説明すると、自衛は今度は鍛冶兄へと話しかける

自衛「俺達からそう名乗ったわけじゃねぇんだが、
    その噂んなってる神兵ってのは俺達のことだろう。」

鍛冶兄「やっぱりか…」

自衛「話を戻していいか?その地下油ってやつを、よければ見せてもらいたいんだが。」

鍛冶兄「あんなものを探してるなんて変わってるな…待ってくれ、
     親父にも話をしてみないと。」

補給「私達も同行していいか?突然押しかけたんだ、挨拶くらいはしておきたい。」

鍛冶兄「まぁ…いいでしょう。」

補給「ありがとう。」
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/26(水) 17:31:24.42 ID:S5+y/WoI0
鍛冶家内


鍛冶「どうした鍛冶兄、突然飛び出して行っちまって?」

鍛冶はあいかわらず背を向けて作業を続ける

鍛冶兄「親父、お客さんだ。」

鍛冶「客?」

鍛冶兄「なーんと…たった今話した神兵さん達だってよ。」

鍛冶「何…?」

鍛冶はここで初めて振り向いた

補給「始めまして、陸上自衛隊の補給といいます。
    突然おしかけて申し訳ありません。」

鍛冶「ああ…」

現れた奇妙な身なりの男に、さすがに鍛冶も表情を変えた

鍛冶兄「よくわからんが、この人たち地下油を探してるらしいんだ。」

鍛冶「地下油だぁ?あんなもんに何の用が…」

?「どっひゃぁぁぁぁ!?」
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/26(水) 17:33:40.97 ID:S5+y/WoI0
言いかける途中で、突然外から気の抜けた叫び声が聞こえてきた

補給「なんだ?」

鍛冶兄「今の声は…」

鍛冶兄と補給達は再度外へと出る

隊員C「だれだコイツ?」

鍛冶妹「あわわわわわ!?」

車列を前に尻餅をついて、目を丸くしている少女がいた

支援A「ご近所さんとかじゃねぇのか?」

隊員D「ここ一軒しかねぇだろ。」

彼女を遠巻に見ながら、そんなことを話す隊員C達

鍛冶兄「おい鍛冶妹、こっちだ。」

鍛冶兄が声をかけると、鍛冶妹は立ち上がり、こちらへと駆け寄って来る

自衛「あ?あれは…」

鍛冶兄「俺の妹だ。」

鍛冶妹「ひょぇぇ…兄貴、ど、どうなってんの?なんでこの人たちがぁ?」

鍛冶兄「この人たち?お前彼らを知ってるのか?」
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/26(水) 17:38:44.24 ID:S5+y/WoI0
鍛冶妹「薬草を集めに行った先で見たんだよぉ…突然へんなモンが現れるし。
    めっちゃビビッたよ〜。」

自衛「ここに来る途中ですれ違ったんだ。見覚えがあると思ったら、
    やっぱりあんただったか。」

鍛冶兄「なるほど。あのな、月橋の町で神兵が現れたって噂が広まってたろ?
     なんとこの人たちがその神兵様達なんだと。」

鍛冶妹「…えぇー?」

補給「…まぁ、神兵云々はおいとくとして…少し気になったんだが?」

自衛「ええ、今聞こうと思ってた所です。こっからさっきの場所まで20kmはあるぜ。
    俺達でも20分はかかったのに、どうやってこんなに早く戻ってきたんだ?」

鍛冶妹「どーやって…って、転移魔法を使ったんだよ…?」

自衛「出やがった、また魔法か…。ほんと、なんでもありだな。」

隊員C「バリエーション豊富で飽きねぇよな!
    おい、んな事より原油はどうなったんだよ?」

痺れを切らしたのか、隊員Cが文句を言いながら近寄ってくる。

補給「一応、それらしき物はあるらしい。今、確認させてもらうところだ。」

隊員C「じゃあ、とっとと確認しましょうぜ。
    ここまできて、実はイカスミでした、なんてオチだったら目も当てられねぇ!」

鍛冶妹「何の話?」

鍛冶兄「ああ、どうにも彼らは地下油を探してここまで来たらしい。」

鍛冶妹「地下油ぅ?あんなもんどうすんのー?」

鍛冶兄「さぁな…少し待ってくれ、話をつけてくる。」
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/26(水) 19:05:58.61 ID:fJN0gtQIO
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/26(水) 19:06:15.09 ID:3/tpwMKJo
さぁ、どうなる?
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/27(木) 00:51:59.91 ID:SY5Gc2k+o
相良油田並みの軽質油でないなら積載技術がいるよな
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/09/27(木) 01:09:00.61 ID:FsZBf84uo
戦国自衛隊1549では石油プラントの簡易版みたいなの構築してたよな
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/28(金) 12:11:28.93 ID:Rlg+XAIx0
SS wikiに繋がらないのはなぜなんだろうか…?
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/28(金) 12:12:03.12 ID:Rlg+XAIx0
鍛冶兄と鍛冶妹は屋内へと入っていく

鍛冶妹「ただいまー…って、あああ!」

鍛冶妹は唐突に声を上げた

鍛冶妹「とーちゃん!また薬飲まなかったの!?」

部屋の中央にある机の上には、薬の入った包みが三つほど
手付かずのまま置かれていた

鍛冶兄「俺も飲むようには言ったんだがな…」

鍛冶妹「飯の後に飲んでっていつもいってるのにー!」

鍛冶「うるせぇ!好き好んでそんな糞まずいモン飲めるか!
   そんなもんなくても俺は平気だ!」

鍛冶妹「そんなこと言ってー!この間だって立ちくらみ起こしてたじゃない!」

鍛冶兄「親父、もう若くねぇんだから…少しは体に気を使ってくれよ。」

鍛冶「うるせぇ奴らだ…お前等こそいい年なんだ。
   俺にへばりついてないで、独立するなり、嫁にいくなりしたらどうだ!」

鍛冶妹「ああ、ひっでぇ!かわいい娘がこんなに心配してんのにー!」

鍛冶兄「自分でかわいいとか言うな…そんなだから男がよりつかねぇんだ…」

鍛冶妹「兄貴まで…ムキー!」
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/28(金) 12:15:32.23 ID:Rlg+XAIx0
自衛「おい、話が進んでねぇみてぇだが?」

鍛冶兄「うぉ!?」

鍛冶妹「ひゃぁぁ!?」

割って入ってきた自衛に驚き、二人は飛びのいた

自衛「親父さんよ、さっきも言ったが俺たちゃ、石油を探してここまで来た。
    あんたらの言う地下油ってのが、それと同じモンな可能性が高い。」

鍛冶兄(この人顔怖ぇ…)

鍛冶妹(ていうかギョボい…?)

鍛冶「そんで、それを譲ってほしいってか。」

自衛「話が早ぇじゃねぇか、そういうこった。」

補給「おい自衛…何か条件はおありで?」

鍛冶「別に、あんなもんでよければ好きにしな。
    ただ一つ言っとくと、汲み上げるための機械は壊れて使い物になんねぇぞ。
    そこは自分達でなんとかするんだな。」

鍛冶妹「ちょ、とーちゃん!そんな言い方…」

補給「大丈夫だ…ありがとう。で、それはどこに?」

鍛冶「…鍛冶兄、案内してやれ。」

鍛冶兄「え、おれがかよ!?」

鍛冶兄がいささか不服めいた声を上げるが、鍛冶は再び作業に戻り
声は返さなかった
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/09/28(金) 13:12:11.52 ID:Mdx02ZoSo
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/28(金) 16:42:42.07 ID:2Dy9rfXIO
機械あるんだ良かったおつ
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/09/29(土) 16:26:43.47 ID:nSXJHAzAO
機械って言っても文明レベルを考えたら井戸みたいな物じゃないの?
まさか採掘用ポンプなんて無いだろうし
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/09/29(土) 17:13:48.35 ID:/UcNTWiko
井戸でも圧力かかってりゃ自噴するからかなり楽
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/30(日) 19:19:06.03 ID:1+ifmjoe0
鍛冶兄「やれやれ…」

自衛「悪ぃな、厄介ごとのとばっちりを食らわせちまって。」

鍛冶兄「いや、別に案内するのはいいんだけど…」

自衛「?」

鍛冶妹「こっから地下油の井戸まで3スチルはあるんだよー。」

補給「スチル…?」

自衛「ヘイゼルの次はスチルかよ…おい、スチルってのは一体…」

隊員C「約5kmだよ!1スチルが1.5〜8kmくらいだ。」

言い放ったのは、玄関の縁にいらついた表情で寄りかかっている隊員Cだった

隊員C「ついでに言っとくと、単位はスイチ、スイリチ、スチルの三つだ。
    スイチが7.6cm、スイリチが52cm、たぶん王族かなんかの指と腕の
    長さだろうよ。スチルの起源は知らん!」

補給「隊員C、どこでそんなことを…?」

隊員C「食料と一緒に持ち帰った書物に書いてありましたよ。
    スイチとスイリチは図もあったからそれを測ったんだ。」

自衛「そうかい、そりゃご苦労だったな。」

隊員C「ったく、どいつもこいつも…せっかく本を大量に持ち帰ったんだから
    少しは目を通せってんだ!」

一通り言い放つと隊員Cは車列へと戻っていった

鍛冶兄「…なんの話しだ?“せんち”がどうとか…」

自衛「後で話す、それよりその地下油の場所は?」

鍛冶兄「まぁ待ってくれ。歩かなきゃならないから支度をしないと。」

自衛「それなら心配ない。俺等が送ってく。」

鍛冶兄・鍛冶妹「?」
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/09/30(日) 19:20:53.87 ID:1+ifmjoe0
ゴォォォォォォ!

自衛達はジープと物資を降ろした補給トラックに分乗し
荒地を進んでいる

ゴガッ!ゴォッ!

隊員C「だっ!?糞!道がかなり悪いぜ!」

ジープは衛生に変わり隊員Cがハンドルを握っている

鍛冶兄「わっ!おぁっ!」

鍛冶妹「ひえ!ひゃぁぁ!?」

補給「大丈夫か?」

後席には補給と鍛冶兄妹が乗っている
ただでさえ始めての車に驚いているのに、荒地の影響で車体は揺れ
二人は軽く青ざめている
鍛冶妹は興味本位でついてきたことを後悔していた

自衛「振り下ろされんなよ!この地面の硬さじゃ、下手すりゃ死ぬぞ。」

鍛冶妹「えっ!?」

補給「自衛、不安をあおるようなことを言うな。
    二人ともちゃんと座ってれば大丈夫だ。」

鍛冶兄「あ、ああ…」

ゴッ!

鍛冶妹「うえっ!」

隊員C「いくらジープでも、ホイールが痛むぜ、こりゃ!」
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/01(月) 12:23:51.69 ID:F1ZwbugL0
鍛冶兄「…あ!み、見えた…あれだよ、あれ!」

鍛冶兄が示した先
乾いた荒地のど真ん中に、櫓のようなものがあった
ジープとトラックは櫓の脇まで近づき、停車する

自衛「…こいつか?」

ジープを降り、櫓へと近づく

補給「遠目には採掘用のプラットフォームに見えたが…」

そこにあったのはポンプ式の井戸のような物と
その上に築かれた木で出来た櫓だった

補給「まるで地下水用の井戸だな…」

鍛冶兄「そりゃそうさ。始めは本当に地下水用に掘ってたらしいからな。」

自衛「何?」

鍛冶兄「ここからもう少し行った所に昔の鉱山がある。
     その拠点のためにここで井戸を掘ってたらしいんだけど…
     水の変わりに地下油が湧き出てきたんだ。」

補給「なるほど、それでこの穴をそのまま利用したのか。」

鍛冶兄「鉱山が栄えてる内は、火種や油の代わり、
     鉱山の補強のために詰め物としてそこそこ使われてたみたいだけど、
     鉱山が採掘されつくされて、引き上げると同時に放棄されたらしい。」

鍛冶妹「火種になるのはいいけど、臭いがきついし、使い勝手もいいとは言えないしね…」
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/01(月) 14:29:54.96 ID:WGlDAGVIO
乙?
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/01(月) 23:32:11.47 ID:V4EAIuJgo
タールに精製する技術はあるのか
これは期待できる
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/01(月) 23:37:20.83 ID:F1ZwbugL0
隊員Cや施設A達が井戸の付近を調べている

施設A「こいつが汲み上げレバーか?…ッ!くそ、動かねぇぜ…」

ポンプ用と思われるレバーは押しても動く気配を見せない

補給「錆付いてるのか?」

施設A「それか、何かが引っかかってるのか…
    どちらにせよ、これじゃ埋まってるのが原油なのか確認できませんね…」

隊員C「いんにゃ、ここに埋まってんのは原油で間違いないみたいだぜ。」

隊員Cが会話に割って入る

施設A「何で分かる?」

隊員C「こいつを見てみろ。」

隊員Cは井戸の近くに転がっていたバケツを持ち上げ、その中身を見せる
底のほうには黒色の液体が少したまっていた

補給「こいつは…」

隊員C「粘り気があるし微かに硫黄の臭いもする、間違いなく原油でしょうよ。
    排液口の内側にも、おんなじモンが付着してるはずだぜ。」

施設Bが井戸の排液口の内側を覗き込む

施設B「…ああ、確かにこっから流れてきたんだ。」

自衛「ここまでの努力は無駄にならなかったわけだ。」
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/01(月) 23:39:31.96 ID:F1ZwbugL0
補給「しかし、壊れてるなら直す必要があるな…」

自衛「施設A三曹、こいつを直せますか?」

施設A「どうだろうな…この下がどうなってるのか分からんことには…」

自衛「おい、ここの点検とかはどうやってたんだ?」

鍛冶兄「ああ、それなら…」

鍛冶兄は井戸から少しはなれると、しゃがんで土を払う
すると地面に木で出来た蓋のようなものが現れた

鍛冶兄「えーと…何かテコの変わりになるようなものはないかい?」

補給「誰かスコップを。」

施設Aが補給トラックからスコップを持ち出し、蓋の隙間へと入れ込む

施設A「よっ!っと…」

スコップを引き倒すと蓋が開き、地中へと続く穴が現れた

自衛「こいつは?」

鍛冶兄「最初に井戸を掘ってた時の、作業用の横穴だ。
     完成後も点検用として残してあったらしい。」

隊員Cがライトを点灯させ、中を覗き込む

隊員C「相当深いぜ…どんくらいあんだよ?」

鍛冶兄「80スイリチくらいって聞いてるけど。」

隊員C「…約40mか。」
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/10/02(火) 12:07:50.56 ID:G9UPxISAO

順調だな。
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/03(水) 20:52:11.60 ID:MapJ9RjS0
施設B「おい、この梯子…かなり痛んでるぜ…」

施設Bがかかっている梯子をつつく

鍛冶兄「長いこと誰も入ってないから、かなり荒れてると思う。」

施設A「こりゃ全部調べるだけでも、ちょいとかかりますよ…」

補給「どれくらいだ?」

施設A「おおよそ3〜4時間はかかるかと。」

補給「仕方があるまい。自衛、俺達は今から調査を始める。
   彼らを家まで送り届けてくれ。」

自衛「いいでしょう。隊員C、お前もここに残って補給二曹達を手伝え。」

隊員C「へーへー、了解了解…」

自衛「さ、二人とも行くぜ。」

鍛冶妹「うう…」

鍛冶兄「またあれに乗るのか…」

鍛冶兄妹は自動車に苦手意識ができたらしい
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/03(水) 20:54:21.81 ID:MapJ9RjS0
自衛「補給二曹。夕方までかかるなら、いっそここで夜営をしましょう。」

補給「そうだな…ここまでろくすっぽ休憩もせずに来たからな…。
    鍛冶兄君、迷惑でなければ近くで夜営をさせてほしいんだが?」

鍛冶兄「え?ああ、別にかまわんよ。時々キャラバンとかが立ち寄ってくし。」

補給「ありがとう、自衛、82車長達にも伝えてくれるか?」

自衛「了解。さて、行くか。」

自衛はジープに乗り、エンジンをかける

鍛冶妹「…あ、兄貴から先にどうぞ〜…」

鍛冶兄「いや、ここは女の子優先だ!お前こそ先に…」

自衛「…」

鍛冶兄妹はお互いに譲り合い、なかなか乗り込もうとしない

鍛冶妹「いやいや、やっぱり年長者から…!」

鍛冶兄「ははは、何を遠慮しているんだい?妹よ…」

鍛冶妹「あ、あ、兄上こそ…」

自衛「早くしねぇか、ボケ!」

鍛冶兄「うぇ!?」

鍛冶妹「ひぇ!?わかったよぉ…」

渋々後席に乗り込む二人だった
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/04(木) 00:23:35.78 ID:ckw+sY7q0
自衛達は鍛冶一家の家へと戻ってきた

衛生「戻ってきたぞ。」

隊員D「自衛士長とここの兄妹だけみたいだぜ?」

ジープは指揮車の真横に停車した

鍛冶兄「つ…着いた…」

鍛冶妹「生きた心地しなかったよ〜…」

二人は青ざめた顔でジープを降りる

82車長「どうよ?」

自衛「的中だ、原油を汲み上げてる井戸があった。」

隊員D「補給二曹達はどうしたんです?」

自衛「鍛冶の親父が言ってたように、井戸がぶち壊れてやがってよ。
    修繕できないか補給二曹達が調べてる。」

82車長「成程。」

自衛「施設A三曹が言うには、3〜4時間かかるそうだ。
   俺達はここで夜営の準備をする。」

82車長「いいのか?ここで陣を張っちまって?」

自衛「大丈夫だ、許可はもらった。」

82車長「よし、ほんならかかるか。」
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/04(木) 00:35:58.09 ID:ckw+sY7q0
紅の国 領内


精風の町へ続く道を、二台の馬車が進んでいる
その馬車の荷車の上で、院生達は揺れていた

燐美の勇者「すみません。助けてくれた上に、乗せてもらっちゃって…」

商人A「なぁに、これも旅の醍醐味さ。
    しかし、まさか魅光の王国の勇者様とは、驚いたよ。」

院生達は森を抜けてしばらく進んだところで、この商人達と出会った
そして院生の怪我のこと、目的地が一緒ということを受けて、
風精の町まで乗せて行ってくれることとなったのだ

商人B「それに騎士様もいっしょときた。これは心強い限りだ。」

麗氷の騎士は愛馬にまたがり、馬車の列と並んで進んでいる

商人B「…よし、できた。しばらく安静にしてね。」

院生「あ、ありがとうございます…」

足首の手当てを受け終わった院生は、辺りを見渡す

院生「……」
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/04(木) 00:37:16.86 ID:ckw+sY7q0
荷台の後ろに一人の女性が座っていた
商隊の護衛らしく、身軽そうな服を身にまとい、剣をさげている
しかし、最も気になる所が別にあった

院生(頭から耳は生えてる…)

女性の頭からは狼のような耳が生えていた
そして衣服から覗かせるしっぽを揺らしながら、周囲を見張っている

狼娘「?」

院生の視線に気づいたのか、狼娘はこちらに振り向いた

狼娘「どうかしたかい?」

院生「い、いえ!その…」

狼娘「?」

狼娘は耳としっぽだけでなく、体の所々が毛で覆われており
さらに目や牙も狼のそれだった

院生(わぁ…ゲームのキャラクターみたい…)

狼娘「…もしかして、人狼を見るのは初めてかい?」

院生「え!?あ…!」

無意識にじろじろと見てしまったらしく、慌てる院生

狼娘「ははは、そんな慌てなくてもいいよ。別にあんたが始めてじゃない。」
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/04(木) 00:39:49.24 ID:ckw+sY7q0
院生「す、すみません…っていうことは、ホンモノなんですか?」

狼娘「もちろん、確かめてみるかい?」

狼娘は院生に近づき、しっぽを差し出してみせる

院生「…じゃ、じゃあ…」

恐る恐るしっぽに触れてみる院生

院生(うわ…フワフワしてる…)

その手触りの良さに、両手でわさわさと触りだす院生

院生「…」モフ

狼娘「…!」ビクッ

院生「…」ワサワサワサ

狼娘「…ちょ、ちょっと…くすぐったいって…!」

院生「あ!す、すみません!」パッ

院生は慌てて手を離す

狼娘「ふー…しかし、あんたもなんか変わってるね。
    格好といい雰囲気といい…どっから来たんだい?」

院生「えっと…その…異世界から…」

狼娘「…えっと…おもしろいよ…」

院生「いえ、冗談じゃなくて…」
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/04(木) 00:43:45.92 ID:ckw+sY7q0
燐美の勇者「本当だよ。」

二人の会話に勇者が加わる

燐美の勇者「彼女は本当に異世界から来たんだ。」

狼娘「…って言われてもなぁ…」

燐美の勇者「じゃあ、院生さん。あれ見せてあげたら?
       えっと、ケー…なんとか…」

院生「携帯ですか?」

燐美の勇者「そうそれ。」

院生はカバンから携帯を出す

狼娘「なにそれ?」

院生「私の世界で使われてる…なんていうか、いろんな機能が詰まった機械です。
    たとえば…」

院生は携帯の音楽機能を起動する
すると携帯から曲が流れ始めた

狼娘「わ!?」

燐美の勇者「へぇ…こんなこともできるんだ。」

狼娘「な、何これ!?中に妖精とか入ってるわけじゃないよね!?」

院生「そうじゃなくて…人の声や楽器の音を記録して、
    好きな時に流すことができるんです。」

狼娘「…すごいな。」

燐美の勇者「これで信じた?」

狼娘「う、うん。こんな魔法見たことないよ…」

院生「ま、魔法じゃないですよ…」

そんな会話を繰り広げながら、院生達は風精の町を目指す
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/05(金) 02:23:55.97 ID:NcK5TdGJ0
夕方
鍛冶一家の敷地から100m地点


設営された宿営地に、補給達が戻ってきた

隊員D「すげぇ顔だな隊員C、怪人みてぇだ。
    そのままテーマパークかどっかで、美人をさらって来てくれよ。」

隊員C「自分でやれ。原油ランドは24時間開園中だぜ。
    お前も漬かって来たらどうだ、えぇ?」

隊員D「遠慮しとくよ。」

長時間の作業で、補給二曹達は全員原油まみれになっていた

82車長「二曹、お疲れさんです。」

補給「ああ、ありがとう。そっちもご苦労だったな。」

82車長「向こうはどうでした?」

補給「一応、大体の構造と破損箇所は分かった。
    直せないことはないんだが…」

自衛「だが、なにか?」

隊員C「破損箇所が多すぎんだよ。長いことほっといたせいで井戸そのものも弱くなってる。
    一度、可能な限りバラして、構築しなおさないとダメだ。」
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/05(金) 02:38:49.64 ID:NcK5TdGJ0
施設A「できれば施設作業車をこっちに回してもらいたい所だ。
    クレーンもあれば楽なんだが…」

82車長「クレーンなら砲側弾薬車に付いてるのがあるぜ。可能ならそいつも寄こしてもらおう。」

自衛「本格的な補修作業は少し先になるな。」

隊員C「ちょい待て、まだ肝心なことがある。」

自衛「あぁ?なんだ?」

隊員C「補修のための材料が足らねぇんだよ。木材は適当な所から切り出すにしても、
    他にも足らねぇモンばっかだ!」

施設A「この辺りで材料が調達できそうな所があればいいんだが…」

自衛「鍛冶兄達に聞い来よう。支援A、一緒に来い。」

支援A「へいよ。」

補給「頼む、他はそれぞれの作業に戻ってくれ。」

報告が終わると、隊員達は各々の作業に戻ってゆく

82車長「二曹、湯が沸かしてありますから、風呂とはいきませんが体を拭くぐらいは。
     そのままでいるよりよっぽど良いでしょう。」

補給「ありがたい。それじゃあ、お言葉に甘えるか。」

隊員C「やっと油を流せるぜ…」

隊員D「なんだよ、原油怪人隊員Cとはお別れか。」

隊員C「うるせーんだよ、そのネタは二度と言うな!」
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/10/05(金) 07:07:14.98 ID:8FK8KMA8o
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/10/05(金) 20:35:04.64 ID:va+bC7qAO
院生サイドにケモ耳来たー♪乙
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/06(土) 00:50:29.26 ID:Qh9Kzmxz0
一方、五森の公国 北の砦


砦に37騎士隊が到着し、負傷者の救護活動と敵捕虜の拘束が本格的に始まっていた
外はすでに薄暗くなり始め、手空きの者が砦内のランプに火を灯してゆく

37隊長「…よし点いた。」

三階の指揮所でも、37隊長がランプに火を灯す

37隊長「すみません、中断して。」

隊員E「いえ。じゃあ、続けてくれるかな?」

37本部書記「あ、はい。」

三階の指揮所にて、隊員E達は書記の報告を聞いている最中だった

37本部書記「こちらの被害は死者93名、負傷者60名です…
       死者の内訳は元々の砦の兵が17、第一騎士団が76…です。」

37隊長「…一緒に捉えられていた商隊は?」

37本部書記「衰弱こそしていますが、彼らに死者はありませんでした。」

37隊長「そうか…不幸中の幸いだな。」
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/06(土) 00:51:47.27 ID:Qh9Kzmxz0
隊員E「敵の情報はどれくらい判明したか、教えてもらえるか?」

37本部書記「あ、はい。格好から見るに敵は雲翔の王国の兵士のようです。
       ただ、離反兵なのか正規兵なのかはまだ…」

37隊長「正規兵だとは思いたくないがな…」

隊員E「その雲翔の王国、というのは?」

37参謀「この、地翼の大陸の東に領土を持つ国です。
     雪星瞬く公国と領土を接していますので、
     今回は領土を通過して、ここへ押し込んできたのかと。」

隊員E「国をまたいで攻め込んでくるなんて…無茶苦茶をするな…」

37隊長「もしくは、雪星瞬く公国にも攻め込んでいるか…
     くっそ、嫌な考えしか浮かんでこないな…」

37参謀「本来ならすぐにでも斥候を出すところなんですが、この状況では…」

指揮所の空気が辛気臭くなった所へ、突如廊下からバタバタと音が聞こえてくる
そしてドアから37隊兵Aが飛び込んできた

37隊兵A「た、大変です!」
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/06(土) 23:29:01.97 ID:Qh9Kzmxz0
砦の一室


その部屋は捕まえた敵将軍を一時的に拘置するために使われていた
しかし、その敵将軍は部屋の中で、口から血を流し死体となっていた

37隊長「なんてこったい…舌を噛んだのか?」

37隊兵A「いえ、一応口も塞いであったのですが…」

衛隊A「…」

衛隊Aが死体を調べている

隊員E「分かるか?」

衛隊A「おそらく毒です。あらかじめ、歯か口の裏にでも仕込んであったのではないかと。」

37隊長「くっそ…」

隊員E「大事な情報源だったのにな…聞き出す前に死なれるとは…」

隊員B「他の兵士じゃだめなんすか?」

隊員G「馬鹿、コイツは総大将だ。そりゃ、ほかの奴も多少はなんか知ってるだろうが、
    こいつしか知らないこともあっただろうよ。」

隊員E「37隊長、もう一度敵の幹部の身体検査を行ったほうがいいでしょう。」

37隊長「そうだな…参謀、2隊を集めてくれ。」
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/07(日) 00:05:34.61 ID:rNfH7tSd0
二階の一室


その部屋は女性負傷者の救護のため使われている

五森騎士「ッ…」

その部屋の片隅で五森騎士が、満身創痍の体をマットから起こそうと奮闘していた

同僚「あ、おい!」

別の兵を診ていた同僚がそれに気付き、止めに入る

同僚「また無茶しようとして!おとなしくしてなきゃ駄目だ!」

五森騎士「放せ…!失態を犯した身で、ただ黙って休んでなど…あっ…!」

しかし足に力が入らず、五森騎士はその場に座り込んでしまう

同僚「ほらみろ…おとなしくしてるんだ。」

五森騎士を強引に横にする同僚

五森騎士「く…」

五森騎士は少し抵抗したが、結局、おとなしくマットに横になった

37本部書記「失礼します。すみません、ジエイタイの同僚兵士長はいらっしゃいますか?」

声に振り替えると、部屋の入り口から37本部書記が手招きしている

同僚「え?ああ、待ってくれ。君、彼女を見ててくれるか?」

救護兵「分かりました。」
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/07(日) 00:20:13.65 ID:rNfH7tSd0
五森騎士を近くにいた救護兵に任せ、部屋を出る
部屋の外では隊員Eが待っていた

隊員E「兵士長じゃなくて陸士長な。」

37本部書記「あ、すみません…」

同僚「どうしました?」

隊員E「ああ、悪いな仕事中に。少し面倒なことになってな…さっき捕らえた敵将軍がいたろ?」

同僚「はい、何かわかったんですか?」

隊員E「事態としては真逆だ…そいつが自殺してるのが、たった今発見された。」

同僚「自殺!?」

隊員E「拘置していた部屋の中で、口から血を流して死んでいた。
     衛隊Aによると、口内に仕込んでた毒で自決したものだと。」

同僚「どうしてまた…?」

隊員E「わからん。よほどこっちに知られたくない情報でも持ってたのか、もしくは個人的な動機か…
     ともかく、37隊長がその件も含めて、姫さんに直接報告したいらしくてな。
     医薬品の補充もしなきゃならんから、そのついでに木漏れ日の町へ送ってくことになった。
     お前、ここを離れられそうか?」

同僚「多少は落ち着きましたんで、引継ぎだけすればなんとか。」

隊員E「じゃあ、1〜2人、誰でも良いから集めてトラックを用意しといてくれ。」

同僚「分かりました。」

隊員E「すまんな。あーっと…あの騎兵隊長の娘はどうだ?」

同僚「先程から、自分にも働かせろと何度も無理に起き上がろうとして…
    そのたびに押さえつけてますが…」
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/08(月) 03:52:00.40 ID:VbrQnYly0
騎士団長「あいつらしいな、見張っておかないとまた無茶をするかもしれませんよ。」

隊員E「?」

唐突に会話に割って入る声

隊員E「騎士団長さん。」

通路の先から騎士団長が歩いてくるのが見えた

騎士団長「あいつは真面目な娘なんですが、時々周りが見えなくなりましてね。
      ま、私も人のことを言えた身ではありませんが…」

隊員E「休んでいなくて大丈夫なんですか?」

騎士団長「なんとか…それより、木漏れ日の町へ行くとおっしゃられましたか?」

隊員E「ええ、37隊長殿が直接報告に行きたいとのことで。」

騎士団長「もしよろしければ、私も同行させていただけないか?」

隊員E「同行ですか?」

騎士団長「もちろん、あなた方にお願いなどできる立場でないとは分かっています。
      しかし、今回の件は私が判断を見誤ったのが原因だ。
      その責任を、姫様の前でとらなければならなりません。」

隊員E「我々は別に構いませんが…」
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/08(月) 04:43:48.61 ID:VbrQnYly0
五森騎士「それは私の役目です!!」

五森騎士の叫び声が隊員Eの言葉を遮った

救護兵「すみません!押さえ切れなくて…駄目ですって動いちゃ!」

五森騎士の腰には救護兵がしがみついている

五森騎士「うるさい!姫様には私が頭を下げます!私を連れて…ッ!」

言いかける途中でその場に崩れる五森騎士

同僚「ああ、もう世話のやける…!」

同僚と救護兵が二人ががりで支えにかかる

騎士団長「五森騎士。気持ちは分かるが、今回は私にまかせてくれ。」

五森騎士「しかし!」

騎士団長「今のお前のそんな姿を見せたら、返って姫様のお心を煩わせることになるぞ。」

五森騎士「…分かりました。」

言われると五森騎士はおとなしくなり、救護兵に支えられ戻っていった

隊員E「急におとなしくなったな?」

同僚「彼女と姫様は何か関係が?」

騎士団長「ええ、五森騎士は五森姫様の血縁の物でして。
      あいつは姫様のことを姉のように慕ってましてな…」

同僚「血縁者か…」

騎士団長「ともかく、これで少しはおとなしくなるでしょう。」

隊員E「そうだといいが…我々は町に向う準備をしますので、そちらも身支度を。
    物資の搬送もありますので、同行者は最低限でお願いします。」

騎士団長「わかりました、すぐに整えましょう。」
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/10/08(月) 11:15:16.74 ID:kzmuvJNPo
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/09(火) 23:27:28.43 ID:d02ekASV0
砦の南城門付近


トラックが一両、エンジンをふかしている
辺りは完全に暗闇につつまれ、砦の所々で松明が灯されていた

隊員E「…来たな。」

砦の入り口から騎士団長と37隊長、護衛の兵二名が歩いて来た

隊員E「こちらの準備はできてます。」

騎士団長「私達も大丈夫だ。」

隊員E「では、後ろに乗ってください、同僚、偵察、頼む。」

偵察「了解。」

同僚と偵察の手を借りながら、騎士団長達は荷台へと乗り込んでゆく

同僚「頭ぶつけないよう気をつけて。」

騎士団長「ああ…」

護衛A「唸ってるけど大丈夫なのか…?」

エンジンの振動に護衛の兵はいささか不安を感じているようだ

偵察「大丈夫だ、ほら手を貸せ。」

偵察は護衛兵を荷台へ引っ張り上げてやる

隊員E「じゃあ、隊員G。戻るまで頼んだぞ。」

隊員G「了解。」

37隊長「だいたいのことは副隊長に引き継いであるから
     何かあれば、奴に聞いてくれ。」

隊員G「分かりました、お気をつけて。」

隊員Gが敬礼し、隊員Eがそれに返す
37隊長も騎士団式の敬礼で答えた
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/09(火) 23:29:27.72 ID:d02ekASV0
隊員E「それじゃ、行きましょう。」

隊員Eは助手席へと乗り込み、37隊長は偵察の手を借り、荷台へと乗り込んだ

37隊長「よろしくたのむ。」

偵察「お任せを、なるべく奥に詰めて下さい。」

37隊長たちにはなるべくフロント側に詰めてもらい、
同僚と偵察は荷台の端に座って後方と車内を監視する

隊員E「輸送A、出してくれ。」

トラックはエンジンの唸りを上げ、走り出した

37隊長「うわっと…」

輸送A「えー、本日は陸上自衛隊観光へようこそ。
    真っ暗闇でなんも見えませんが、トラックの揺れくらいはご堪能下さい。
    なお、当車は全席禁煙と…」

隊員E「黙って運転しろ。」

輸送A「いっぺん言って見たかったんですよ。」

悪びれも無く言う輸送A

門を抜けたトラックは、37隊陣地を横切る
陣地には少数の兵しか残っていないが、その脇では自走迫撃砲が鎮座し
今現在も周辺全域を射程に捉えていた

陣地を通過し、トラックは木漏れ日の町を目指す
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/10(水) 09:38:29.11 ID:Mla9BtXBo
ファンタジーの世界だったら居残りも考えちゃうだろうなぁ
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/10(水) 10:01:11.32 ID:/uuIxzSPo
乙!
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/10/13(土) 00:17:24.49 ID:Oh+CUH5AO
乙。
登場人物の整理ほんとにお願いします。
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/13(土) 03:08:01.55 ID:gCvKA1Jq0
>>651 

もう少しで五森国派遣編が終わるので
そしたら人物一覧を作ります
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/13(土) 03:47:51.38 ID:gCvKA1Jq0
夕刻過ぎ


院生達は風精の町へと到着した
それぞれの馬と馬車を町の入り口の厩舎に預け、町へ入る

院生(すごい…絵本やゲームで見るような町…)

燐美の勇者「さて、まずは宿を探さないとね。」

商人A「燐美さん。この町には我々がよく世話になる宿屋があります。
     よければ燐美さん達もいらっしゃいませんか?」

狼娘「なかなか待遇のいい宿屋なんだよ。」

燐美の勇者「えーっと、そうしたいのは山々なんですが…
       ちなみに、そこの料金はどれくらい…?」

商人A「料金ですか?えーと…」

商人は宿代を示してみせると

燐美の勇者「あう…」

燐美の勇者はうな垂れた

狼娘「どうしたんだい?」

麗氷の騎士「お恥ずかしい話なんですが、私達は若干金欠気味でして…」

燐美の勇者「ちょーっと、良い宿に泊る余裕は…あはは…」

麗氷の騎士「まったく、前の町で後先考えずに新しい剣など買うから…」

燐美の勇者「だ、だって…!鋼竜の巨大鱗から削りだした剣なんだよ!出物なんだよ!
       麗氷も院生さんを助けた時に、これの切れ味見たでしょ!?」

燐美の勇者は自分の剣をかかげて、そのすばらしさを訴えている

麗氷の騎士「それは分かるが、武器に資金を全部吸い上げられたら元も子もないだろう?」

燐美の勇者「うー…」

麗氷の騎士にしかられ、燐美の勇者は縮こまってしまった
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/13(土) 03:49:30.04 ID:gCvKA1Jq0
院生(麗氷さんって、燐美さんのお母さんみたい。)

麗氷の騎士「まあ、私達は安宿を探すとして…院生さんはどうしたい?」

院生「…へ?」

麗氷の騎士「少し落ち着きたいだろう?院生さん一人分くらいの宿代ならなんとかなる。
       よければ商人さん達と同じ宿に泊まるといい。」

院生「え!で、でも…」

燐美の勇者「うん。疲れてるんだし、安宿じゃやだよね。そうしなよ院生さん。」

狼娘「こっちとしては大歓迎だよ。色々話も聞かせて欲しいし。」

院生「えっと…」

しばらく考える院生

院生「…せっかくですけど、私は燐美さん達と一緒がいいかな…なんて…」

燐美の勇者「え、あたしたちと?」

院生「あ、足手まといならいいんです!ただ、燐美さん達と一緒のほうが安心するっていうか…」

燐美の勇者「足手まといだなんて、そんな!元々は一緒の宿の予定だったんだし!」

申し訳なさそうにする院生を、あわててフォローする燐美の勇者

狼娘「あっはっは、フラれちゃったな。」

院生「す、すみません。」

狼娘「そんな謝ることないさ。仲間と一緒にいたいってのは良くわかるよ。」

麗氷の騎士「申し訳ない、せっかくお気遣いをしていただいたのに。」

商人B「とんでもない。それより、うまい料理を出してくれる酒場を知ってるんだ。
    宿が見つかったら、来るといい。」

商人Bはそう言うと地図を渡した

燐美の勇者「ありがとうございます。」

麗氷の騎士「院生さんも、すまなかった。そういったことも考えるべきだったな…」

院生「い、いいんです!私のワガママなんですから!」

狼娘「ははは、仲いいな。じゃ、後で酒場で会おう。」

そう言って、院生達と商人一行は一度別れた
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/13(土) 07:30:33.75 ID:gCvKA1Jq0
隊員E達の乗るトラックは、木漏れ日の町へと到着


騎士団長「もう着いたのか…なんて早さだ…」

隊員E「輸送A、門の脇で止めろ。」

輸送A「了解。」

門の前で停車すると、詰め所から騎兵長が駆け寄ってきた

騎兵長「皆さん!無事でしたか!」

騎兵長の声を聞きつけ、37隊長が荷台後部から顔を出す

37隊長「よぉ、騎兵長。」

騎兵長「37隊長、お前も無事だったか!」

37隊長「ああ、彼らのおかげさ。五森姫様に取り次いでくれ。
     早急に報告したいことがあると。」

騎兵長「報告?お前自らか?」

37隊長「色々と厄介になってるみたいでな…俺が直接来たんだ。」

騎兵長「そうか…分かった。報告がきたらそのまま通すように言われてる。
     門を開けるから待ってくれ。」

騎兵長はトラックを離れると、門を開けるよう部下に指示を出す

輸送A「このまま待ちに乗り入れちまって大丈夫なのか?」

37隊長「日も落ちたし、人通りは少なくなってるから大丈夫だ。」

数刻待つと、門が完全に開いた

騎兵長「どうぞ、通ってください!」

トラックは門をくぐり、町の中心へと進む
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/10/14(日) 03:20:49.35 ID:1Dn92ECno
これぐらい面白くキャラが立ってると、名前があったほうが良いと思うなあ
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/14(日) 03:48:44.39 ID:0uURwvK10
町の中心部へと到着した隊員E達
偵察と輸送Aをトラックの見張りに残し、建物内へと入る

侍女A「お、お待ち下さい!姫様!」

隊員E「ん?」

扉をくぐったとたん、階段の上から声が聞こえてきた

五森姫「かまいませんわ!」

そして一同の目に映ったのは、階段を駆け下りてくる寝巻き姿の五森姫だった
侍女Aが追いつき、カーディガンを羽織らせる

五森姫「騎士団長!」

その様子にあっけにとられていた騎士団長だったが、
五森姫に名を呼ばれ、あわてるように膝を突き、頭を垂れた

騎士団長「まことに申し訳ございません!今回の損害は私の責任です!
      姫様の騎士団に損害を出したばかりか、公国をも危険にさらしました…
      この騎士団長、いかなる罰も受ける所存にございます!」

五森姫「…命を落とした者の数は?」

騎士団長「…93名にございます。砦の兵17名に、我が騎士団から…76名が…」

報告を聞いた五森姫の顔が歪みかけるが、彼女はそれをこらえた

五森姫「…騎士団長。」

騎士団長「!」

五森姫の近寄る気配に、騎士団長は体をこわばらせた…が

五森姫「…よくぞ無事に戻って参りましたね…」

騎士団長「ははぁ!!大変申し訳…は…?」

想像もしていなかった言葉に、騎士団長は顔を上げる

五森姫「早馬で最初の報告を聞いた時には最悪の事態も覚悟しました。
     実際に93名もの勇敢な者たちの命が失われてしまいました…
     でも、あなた達は返ってきてくれました。」
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/14(日) 03:50:53.59 ID:0uURwvK10
騎士団長「で、ですが…!」

五森姫「…確かに、あなたの下した判断は決して褒められる物ではありませんわ…
     しかし、王子と共に出兵できず、それを悔いていたあなた達の元へ、
     私は、追い討ちをかけるように彼らを送り込んだ。」

騎士団長「姫様…そのような!」

五森姫「いいえ、あなた達の気持ちを汲み取れなかった私にも責任はありますわ。
     あなた達はこんなにも忠誠を誓ってくれていたのに、私はそれを裏切ってしまいました…」

騎士団長「姫様…」

五森姫「…それと…あの娘は…」

何かを聞こうとして、口ごもる五森姫

騎士団長「…ご安心を、五森騎士も無事でございます。」

五森姫「!」パァ

それを聞いた瞬間、五森姫の表情が一気に和らいだ

五森姫(よかった…!)

侍女A「…姫様。」ボソッ

五森姫「…はっ!と、とにかく、込み入った話は後で。今はお休みなさい。
     侍女Bさん、彼をお願いしますわ。」

五森姫は侍女に命じ、騎士団長を別室へ案内させた
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/14(日) 03:55:41.66 ID:0uURwvK10
それを見届けたのち、五森姫は37隊長へと向き直った

五森姫「失礼、私的な事情を挟んでしまいまして…それで、報告はあなたが?」

37隊長「は。お初にお目にかかります。木漏れ日の町駐留、第37臨時騎士隊
     隊長を務めます、37隊長と申します。」

五森姫「まぁ、隊長自ら報告に?」

37隊長「は。いかんせん事情が事情なものですから、
     他の者を通さず、直接お話するべきと思いまして。
     砦は副隊長が指揮をしております。きわめて優秀な男ですのでご安心を。」

五森姫「なるほど…ではここでは難ですわね。別の部屋を用意いたしますわ。
     侍女Aさん、お願いします。」

侍女が部屋を用意しに階段を上がってゆく

五森姫「それと…隊員E様。」

五森姫は今度は隊員Eへと向き直る

五森姫「今回は私の騎士たちを、そしてこの五森の公国を守っていただき本当に感謝しておりますわ。
     あなた方がいなかったらと思うと、背筋が凍る思いですわ…」

隊員E「いえ、我々はあくまで依頼された任務を遂行したまでです。
    それに、この国になにかあれば我々も居場所を失うことになりますから。」

五森姫「そう言っていただけると助かりますわ…」

侍女A「姫様、お部屋のご準備が整いました。」

五森姫「ありがとう、では皆さんをご案内して差し上げて。」

隊員E「あの、今更ですが…国に関わるお話に、我々が同席しても良いのですか?」

五森姫「もちろんですわ。今回の件はあなた方のおかげで最悪の事態が回避できました。
     ですからあなた方には知る権利があります。
     いえ、私達としても知っておいてもらいたいのです。」

言うと、五森姫は階段を上がって行った

侍女A「どうぞこちらへ。」

隊員E「…どうやらあの姫さん、とことん俺達を巻き込む気らしいな。」

同僚「…」
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/10/14(日) 08:46:39.57 ID:reuCu2wAo
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/15(月) 09:52:12.98 ID:hEj2nFXIO
乙!
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/16(火) 09:56:21.35 ID:wneEFAiH0
建物内の一室


37隊長は五森姫に 砦で起こったことを一通り説明した

五森姫「…むぅ、なるほど…」

37隊長「具体的な事はわかりませんが、雲翔の王国で何か起こっているのは間違いないでしょう。
     それに奴らと同じような勢力が、雪星瞬く公国にも攻め入っている可能性があります。」

五森姫「そうですわね…それに、騎士団長が自殺した敵将軍から聞いたそうですね…魔王の名を…」

37隊長「ええ。」

五森姫「これをどう見るべきかしら。ただ単に、雲翔の国の一部の将兵が、
     魔王の恐怖によって疑心暗鬼に駆られ、先走り暴挙に出たのか…それとも。」

37隊長「すでに雲翔の王国に魔王軍ないし、それに追従する勢力の息がかかっているか…」

その不吉な考えに、苦い表情を浮かべる二人

五森姫「どちらにせよ、早急に自体を把握する必要がありますわね…侍女Aさん。」

侍女A「はい。」

五森姫「王都に今回の件の報告書、雲翔の王国、雪星瞬く公国の両国への内偵派遣依頼を。
     それと、五月晴れの街の17騎士団、五月雨の町の34騎士隊に国境への派遣要請。
     これらをまとめて早馬を出してくださいな。」

侍女A「かしこまりました。」

そう言うと侍女Aは部屋から出て行った
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/17(水) 10:24:36.28 ID:QsO2q9ld0
五森姫「33騎士隊は到着にどれくらいかかるかしら?」

37隊長「こちらから緊急事態を伝える伝令をだしましたので、
     明朝にはこの街に到着するかと。」

五森姫「防備が調ったら国境ギリギリの所まで斥候を出したいところですわ。」

37隊長「37隊から志願者を募り、斥候部隊を編成しましょう。」

五森姫「お願いしますわ。」

話が一段落すると、五森姫は隊員Eへと向き直る

五森姫「隊員E様。しつこいかもしれませんが、今回のご協力には大変感謝しております。
     お約束道理、我が国はあなた方への食料、物資の支援を約束いたしますわ。」

隊員E「ありがとうございます。」

五森姫「それと、お願いがありますわ。これ以降も私達にあなた方の力を貸していただきたいんですの。」

隊員E「?、もちろん、増援の到着まで我々も警戒を続けますが、
     一度補給のために陣地へ帰らなければなりませんので…」

五森姫「失礼、言い方が適切ではありませんでしたわね…私は言いましたのはもっと長期的なお話ですわ。
     今回のことから見るに、遠からずまた敵対する者たちと刃を交えることになるでしょう。
     その際、私達と共に戦っていただきたいんですの。」
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/17(水) 10:30:33.72 ID:QsO2q9ld0
隊員E「…協定というわけですか?」

五森姫「“同盟”と思っていただいても結構ですわ。」

同僚「少し大げさでは…」

五森姫「本当にご謙遜なさりますのね。
     本来、今回のような事態に出くわせば、歴戦の傭兵といえども迷わず逃げ出すはずですわ。
     でも、あなたがたはたった30名程度で1000人近い敵を撃退してしまいました。」

同僚(それは、今回は地形が有利に働いたし、騎士達の協力もあったからだ…)

五森姫「あなた方の力をもってすれば、小国…たとえばわが国をひねり倒す程度、
     なんともないのではなくて?」

隊員E「…」

一個中隊程度では、たとえ相手が小国であってもかなり難のある話だが、
隊員Eはあえて何も言わなかった

五森姫「ともかく、あなた方とは長期にお付き合いしてゆきたいと思っていますわ。
     そのためにも関係も確固たるものとしておきたいのです。」

隊員E「もちろん、こちらとしても支援を受ける以上、なんらかのご協力はさせていただきますが…
     長期的な話となりますと、上官…いえ、同胞全員の同意を得なければなりません。」

五森姫「わかっております。十分にお考えいただいた後に、お返事をいただければ。」
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/18(木) 04:33:18.90 ID:8yNpgtQn0
話が終わると、ちょうど良く侍女Bが部屋に入って来た

侍女B「皆様、医薬品を積んだ馬車が玄関前に到着いたしました。」

隊員E「ああ、ありがとうございます。
     じゃあ、トラックに積み替えるとするか。同僚、行くぞ。」

同僚「了解。」

五森姫「ああ、お待ちになって。」

同僚「?」

五森姫「少しの間だけでかまいませんの、同僚さんをお貸しいただけないかしら?」

同僚「はい?」

五森姫「お話がしたいだけですわ。積み込みには他のものを手伝わせに向わせます。」

隊員E「同僚、どうする?」

同僚「…まぁ…かまいませんが。」
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/19(金) 11:58:34.66 ID:GyItgEyr0
同僚は別の部屋に招かれる
そこはこの街で、五森姫が私室として使っている部屋だった

五森姫「どうぞ、おかけになって。」

同僚「失礼します。」

座った同僚に、五森姫は紅茶とお茶菓子を差し出す

五森姫「ふぅ…」

そして自身もソファに腰を降ろした

五森姫「…ふふ、おかしいですわよね。ただ待っていただけの私が
     疲れたような溜息をついて。」

同僚「いえ、お気持ちは分かります。待つ立場というのも辛いものです…
    まして、親族の方がその中にいらっしゃるのであれば、当然でしょう。」

五森姫「あら?五森騎士のこと、すでにご存知でしたの?」

同僚「騎士団長殿からお聞きしました。」

五森姫「そう…指揮を預かった者として、親族だけ特別扱いするなど、
     本来はあってはならない事なんですけど…」

同僚「仕方の無いことです。あなたもお若い身なのですから、
    情を押さえ込むのもお辛いでしょう。」

五森姫「ええ、私はまだまだ若輩者ですわ…」

同僚「あ!いえ、そういう意味で言ったのでは…」

五森姫「ふふふ、わかっております。お気遣いありがとうございますわ。」
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/19(金) 12:01:46.88 ID:GyItgEyr0
同僚「すみません…そういえば、失礼かと思いますが、五森姫様はおいくつなんですか?」

五森姫「私?今年で18になりましたわ。」

同僚「18…では、五森騎士さんは…?」

五森姫「あの娘は確か16のはずですわ。」

同僚(信じられない…こんな若さで、軍を指揮したり、前線に立ったりしてるのか…)

同僚「…あの、この世界の成人はいったいどれくらいなんですか?」

五森姫「世界?他の国ではわかりませんが、わが国では16で成人と認められますわ。」

同僚「16…ですか…」

同僚(じゃあ、あの騎士の子も37隊の子達も皆成人扱いなのか…)

五森姫「ちなみに同僚さんはおいくつ?」

同僚「え?わ、私は20になります。」

五森姫「あら、では同僚さんのほうがお姉さまということになりますわね。」

同僚「お、お姉さま、って…」

五森姫「うふふ…普段あの娘は、従姉妹の私のことをお姉さまと慕っておりますの。
     それが、どんな感じなのかと思いまして。」

同僚「従姉妹!?そんなに近い続柄で…でしたら前線になど立たずに、
    王室にいるべきなのでは?」

五森姫「本来はそうあるべきかもしれませんわね…しかし、何分わが国は小さな国ですし…
     それに、あの娘の望みでもありますから。」

同僚「望み…ですか。」
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/19(金) 12:11:09.81 ID:GyItgEyr0
五森姫「あの子は騎士が性に合っているのでしょう。
     今回もどうしても皆と前線に立つと聞きませんでしたのよ。
     …まぁ、当たり前ですわね、苦楽を共にした仲間なのですから。
     戦いに身をおく人は、そういうものなのでしょう?」

同僚「まぁ…そうですね。」

五森姫「でも…あの娘の性格を考えれば、やはり私の身辺警護に
     戻ってもらったほうがいいかもしれませんわね…」

同僚「身辺警護?」

五森姫「ええ、普段は五森騎士には、侍女たちや他の女性騎士と共に、
     私の身辺警護をさせていましたの…。」

同僚「侍女さん達も…ですか?」

五森姫「侍女と言いましても、武術を心得えさせておりますのよ。
     警護の騎士もあの娘を始め、皆、騎士団の中から厳選した者ばかりですわ。」

同僚「御自身でですか?」

五森姫「ええ、自分の身を守らせるんですのも。他人には任せれませんわ。」

同僚「それもそうか…」

五森姫「そばに置いておくには優秀で…そして、かわいい娘でなくちゃ。あなたも思いません?」

同僚「え?…は…はぁ…」

確かに、思い返せば五森姫の周りには容姿の良い者が多かった
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage ]:2012/10/19(金) 12:13:28.71 ID:1snyN89uo
ごくり...
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/19(金) 12:27:13.00 ID:9Zw0iD/Ho
僕と契約して魔法少女になってよ!ですねわかります
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/19(金) 12:31:18.99 ID:GyItgEyr0
同僚は返答に困り、五森姫から目をそらす

五森姫「たとえば…同僚さんみたいな。」

同僚「はい?」

言ったかと思うと、五森姫は同僚に顔を近づける

同僚「ちょ、ちょ!」

そして同僚の髪をその手で梳いた

五森姫「いい手触り…これで軍人だなんて、信じられませんわ。」

同僚「い…!」

離れようとするも、絡められているので、下手に動けない

五森姫「よろしければ私の元に来ていただけませんか。ね、お姉さま…?」

同僚の耳元で囁く五森姫

同僚「あぅ…そ、それは…」

コンコン

侍女B「姫様、よろしいですか?」

同僚「!」

ドアがノックされ、廊下から侍女の声が聞こえてきた

五森姫「お入りになって。」

五森姫は同僚から離れた

五森姫「ふふ…冗談ですわ…」

悪戯っぽく笑うと、五森姫はドアへと歩いていった

侍女B「失礼します。」

ドアが開かれ、侍女Bが隊員Eを室内へ通した

隊員E「お話は終わりましたか?」

五森姫「ええ。わがままを聞いていただいてしまって、申し訳ありませんでしたわ。」

隊員E「我々は砦へ戻りますが、明日の朝には一度撤収させていただく形となります。」

五森姫「わかりました。支援の件につきましては、こちらから使者を遅らせていただきますわ。」

隊員E「お願いします。よし同僚、積み込みは終わってる。砦に戻るぞ。」

同僚「は、はい…!(た、助かった…)」
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/19(金) 15:18:03.23 ID:wdB+N4O3o
キマシ
673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/10/19(金) 18:25:53.70 ID:wjgwWbPAO
タワー
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/10/20(土) 02:18:43.95 ID:TcvGono5o
キマシタワー
675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/21(日) 00:24:31.18 ID:TpKlYEFIO
やったわ!レズスレですわ!(歓喜)
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/21(日) 08:12:47.49 ID:UU9Ncg1c0
建物の前


偵察「荷台が半分以上、医療品で占められちまったな。
    こりゃ帰りはちと窮屈だぞ。」

輸送A「いや、あのサバサバした隊長さん以外は、明日の朝まで町にいるらしいっすから、
     大丈夫でしょう。」

輸送Aは37隊長へと目を向ける
そこでは、37隊長が集まってきた住民達と話をしていた

37隊長「皆に心配かけちまったな。」

木洩住民A「いいって。砦でなんかあったって聞いてたが、無事でよかったよ。」

木洩住民B「他の皆は無事なの?」

37隊長「俺達は無事だったが…第一騎士団に死傷者が何人か出てる。」

木洩住民C「おいおい、大変じゃねぇか…」

木洩住民A「町の手空きの奴に声かけとくから、なんかあったら言ってくれ。」

37隊長「ああ、ありがとう。」

住民と二三言葉を交わした後、37隊長は戻ってきた

37隊長「すまん、待たせてしまったかな?」

偵察「いや、丁度いいぜ。同僚も今戻ってきたしな。」

隊員E「よし、乗車だ。37隊長さんも荷台へお願いします。」

全員が乗り込み、トラックが走り出す
街路をゆっくりと通り抜けるトラックに、住民達が手を振って来た
37隊長は荷台から手を振り、それに返している

隊員E(この町では軍民の関係は良好みたいだな…)

一方、同僚は荷台で渋い顔をしていた

同僚「…」

偵察「同僚、妙な顔になってるぞ。大丈夫か?」

同僚「いや、ちょっとな。」

同僚(…さっきの、もしかしてやばかった…?)
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/21(日) 10:17:21.92 ID:UU9Ncg1c0
再び風精の町
宿の一室


院生「ふぅぅ…」ドサッ

院生はベッドに腰を降ろす
あまり良いベッドではなかったが、疲れた体にはそれでも心地よかった

燐美の麗氷の二人は一階で情報を集めている

院生「…」ドサッ

院生はベッドに上半身を倒した

院生「…とんでもない事になっちゃったなぁ…」

正直な所、院生は起こったことを未だに信じきれていなかった

院生「わけの分からない場所に来たと思ったら、いきなり襲われるし、
    まるでゲームの中みたいなことが次々起こるし…
    どうなっちゃうんだろ…?」

少しこの先のことを考えてみた院生だが、あまりよくない光景しか浮かばず、考えるのを止めた

院生「…そうだ。」

院生はベッドの脇に放り出したカバンを手繰り寄せ、中身をひっくり返した

院生「…あんまり使えそうなものはないなぁ…」

出てきたのは参考書やルーズリーフ、筆記用具。ハンカチ、ets…
後、お菓子が少し…

院生「はぁ…」

院生はルーズリーフを手に、再び横たわる
そしてルーズリーフをパラパラとめくる

院生「…久しぶりに見直したけど、変な内容ばっかり…
    教授、妙な講義ばっかりするんだもん…
    この前も油まみれになるし…」

ガチャ

燐美の勇者「院生さん?」

院生「あ、勇者さん。」

燐美の勇者「これから夕飯に行こうと思ったんだけど…
       もしかして疲れちゃってる…?」

院生「あ、大丈夫です!今行きます!」

院生はカバンの中身を戻し、部屋を出た
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/21(日) 10:19:35.48 ID:UU9Ncg1c0
宿を荷物を置いた院生達は、
商人Bに紹介された酒場に来ていた

燐美の勇者「商人Aさん達、遅いなぁ…」

院生「あ、来ましたよ。」

麗氷の騎士「ん、何か妙じゃないか?」

向ってくる商人一行は、皆荷物をかかえたままで
それに皆困惑した表情を浮かべていた

商人A「やぁ、燐美さん。待たせてしまって申し訳ない。」

燐美の勇者「いえ、それよりどうかしたんですか?荷物を持ったままみたいですけど…?」

商人A「ええ、それが…。先程話した宿屋が無くなっていまして…」

麗氷の騎士「無くなっていた?」

狼娘「近くで尋ねてみたら、三月ほど前に突然夜逃げしちまったっていうんだ。」

商人C「あそこの主はそんな下手な経営をする人間じゃなかったんだがな…」

商人達は納得がいかない様子だった

商人A「ああ、失礼。ともかく、他の宿を探さなくてはならなくなりまして…」

院生「あ、それなら私達の宿なら、空き部屋がまだありましたよ。」

燐美の勇者「ただ、ぼろっちいですけどね。」

麗氷の騎士「そのぼろっちい宿に泊る羽目になったのは誰のせいだと?」

燐美の勇者「う…」

狼娘「いいじゃないか、せっかくだし、あたしらもそっちの宿に泊るとしようよ。」

商人B「そうだな、そうするか。」

麗氷の騎士「では、一度宿に…」

商人A「いえ、先に夕食を済ませましょう。こちらからお誘いしたわけですし。」

麗氷の騎士「いいのですか?」

商人C「いいっていいって!俺達も腹減ってるしな。」

一行は酒場へと入っていった
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/24(水) 22:05:59.52 ID:jimcji2Go
まだー?
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/25(木) 17:04:23.15 ID:2n2l7mAb0
狼娘「ぷはっ!うまい!」

狼娘は酒を一気に飲み干す

燐美の勇者「うん、これおいしいよ!」ハグハグ

一方、勇者はテーブルの上に並ぶ料理を次々と平らげてゆく

狼娘「おかわり持ってきてー!」

院生「…」

二人の様子をあっけにとられながらみていた

院生「二人ともすごいですね…」

麗氷の騎士「ああ、勇者様の大食いのせいで、いつも出費がかさむんだ…」

燐美の勇者「むぐ!?だ、だって、町に寄ったときじゃないと、
       おいしい料理なんて食べられないし!」

麗氷の騎士「はいはい、分かったから食べてる最中にしゃべらない。もっと行儀よく!」

燐美の勇者「むぅ…」

商人A「しかし…やはり腑に落ちないな…」

グラスを飲み干した商人Aが呟く

麗氷の騎士「先程の宿の件ですか?」

商人A「ああ、以前訪れたのが半年前だったんだが、そのときにはとても
     経営難に陥ってるとは思えなかった。」

商人C「それなんだけどさ。」

カウンターで何か話していた商人Cが、酒を片手に戻ってきた

商人C「カウンターでちょっと聞いてみたんだが、どうにもこんなことが
     続いてるみたいなんだ。」

商人A「こんなことって…?」

商人C「経営の順調だった所が突然倒産したり、知らずの内に夜逃げしてたりさ。」

院生「不景気なんですかね…」
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/25(木) 17:05:55.46 ID:2n2l7mAb0
商人C「にしては妙なんだ。無くなるところがある一方、今まで芳しくなかったところが
     急に活気立ったりしてるみたいなんだ。」

麗氷の騎士「それは…妙ですね…」

商人A「少し調べてみたほうがいいかもしれないな…」

狼娘「うんにゃ〜?どうしたんだ、みんな〜?」

院生「ひゃ!お、狼娘さん!」

酔いの回った狼娘が院生に絡んでくる

狼娘「辛気臭いしちゃって、綺麗な顔がだいなしだ〜。」

院生に抱きつき、もたれかかる狼娘

狼娘「わう…」パタ

そしてそのまま気を失ってしまった

院生「あやや…」

商人B「またか…しょうがないな…」

商人Bは院生にもたれかかる狼娘を抱え上げる

商人B「先に麗氷さん達の宿に行って、部屋をとっとくよ。
     ついでにこいつを放り込んどく。」

商人A「すまん、たのむ。」

麗氷の騎士「手を貸しましょうか?」

商人B「いや、大丈夫さ。そっちはゆっくり食事を楽しんでくれ。」

そう言うと、商人Bは狼娘をかかえて酒場を出て行った

院生「大丈夫なんですか?」

商人A「いつものことさ。酔いの回りやすい体質なのに、
     いつも調子に乗るもんだから…困ったもんだ。」

麗氷の騎士「お気持ちはお察しします。」チラ

燐美の勇者「むぐむぐ…ん〜?何の話?」

麗氷の騎士「…はぁ。」

燐美の勇者「?」
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/29(月) 17:35:00.66 ID:H5ce00mC0
鍛冶一家近く 燃料探索隊陣地


普通科小隊の面子は、陣地を見張りやすい場所で焚き火を囲っている

そこに自衛が加わった

自衛「第二中隊、全員いるな?」

支援A「あぁ?中隊?」

隊員C「五人で中隊も糞もねぇだろうよ。」

隊員D「原隊が(※54普通科連隊の)第二中隊の奴ってことだろ。」

隊員C「んなこた分かってんだよ、いちいち補足すんじゃねぇ!」

衛生「俺は原隊、2後支連(第二後方支援連隊)なんすけど…」

自衛「黙って聞け。陣地から施設作業車と砲側弾薬車を回してもらえるそうだ。
    だが、施設部隊が到着するのは早くて明日の夕方だ。」

隊員C「ああ、そりゃいいね。ようやくゆっくりできそうだ。」

皮肉な口調で言う隊員C

自衛「馬鹿か。その間にできることをやるんだよ。
    鍛冶一家から少し騒がしくすることも了解をもらった。」

隊員C「そんなこったろうとは思ったよ。」

支援A「できること、って具体的に何すんだ?」

自衛「今から説明する。衛生、お前は補給二曹等を手伝って、
    井戸周辺の整備、並びに居住区その他の構築をしろ。
    普通科は俺と周辺の散策か、特科の連中と木材の切り出しだ。
    どっちも鍛冶兄妹のどっちかが案内してくれることになってる。」

隊員C「で、誰がどっちに行きゃいいんだよ。」

自衛「それを今からお前らで決めろ。衛生以外で2:1で分かれるようにな。
    ちなみに切り出しが2だ。」

言い終えると、自衛は焚き火の前で小銃の整備を始めだす


※ 彼らの世界に存在する、第2師団にある架空の連隊
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/29(月) 21:41:03.52 ID:z4CYgCURo
続きはよ
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/29(月) 23:31:43.98 ID:H5ce00mC0
隊員C「…どうすんだ?正直、切り出しに行くのはごめんだぜ。」

隊員D「じゃあ、トランプかなんかやって決めようぜ?」

隊員C「頭のネジでも飛んだか?んなもん持ってるわけねーだろ。」

衛生「普通にジャンケンすりゃいいだろ。」

隊員C「ああー、それじゃ平凡すぎだ平凡すぎ。」

手をヒラヒラとさせ、衛生の案を却下する隊員C

隊員D「平凡でなんか問題あんのか…?」

支援A「秀才様な隊員Cの脳みそは、こういう、どうでもいい時でもフル回転なんだろ!
     うへへへへ!」

衛生「…凡庸な人間ほど平凡を避けたがるんだ。」ボソッ

隊員C「ああん?お前らホントに殺されてーのか?」

隊員D「落ち着けって。」

自衛「おい、いつまでやってんだ?」

隊員D「あー、いえ…隊員Cが妙なこと言い出して、ごねるもんで…」

自衛「馬鹿共…しょうがねぇ…」

自衛はポケットからトランプを出し、隊員C達の前に放り出した

自衛「こいつで決めろ。」

支援A・衛生・隊員D「…」

自衛「どうしたお前ら?」

隊員C「…お前、数秒前までの俺等の会話聞いてたか?」

自衛「ああ、適当放題に聞き流してたぜ。」

隊員C「なんで偉そうなんだよ。」

衛生「…適当放題って日本語として正しいんですかね?」
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/31(水) 01:12:21.17 ID:yba+S2wo0
隊員C、隊員D、支援Aの三人はババ抜きで役割を決めることにした

支援A「ところで、今更だけど精製ってなんじゃらほい?」

ババ抜きのかたわら、支援Aがそんなことを口にする

隊員C「…原油を軽油やガソリンに加工することだ。
     それがわかんなきゃ、原油もただの臭ぇ泥水だ。」

自衛「隊員C、お前精製法を知ってるっていったな?」

隊員C「ああ、“知ってはいる”。だが、実際に装置を作ったことなんかねぇぞ。」

支援A「なんだ?そんな面倒臭ぇのか?ガソリン作んのって?」

隊員C「当然だ!鍋で原油煮詰めりゃできるとでも思ってんのか?
     専用の蒸留機器が必要だし、高温で加熱できる釜もいる。
     それがここで作れるかは甚だ疑問だがね!」    

隊員D「おいおい…大丈夫なのかよ?」

自衛「大丈夫かどうかじゃない、なんとかするんだ。
    隊員C。お前の頭に詰まった、普段は悪態吐くにしか役に立ってない知識でな。
    じゃなきゃ、誰がお前みたいな問題隊員連れてくるかよ。」

隊員C「ああ、お褒め頂き光栄だね…こんな事ならとっとと除隊しとくんだったぜ。」

自衛「だったら一層、こんなハッピーな場所でくたばりたかぁねぇだろ?
    その為には、力の維持が最優先だ。」

隊員C「分ーった分ーった…材料そろえたらなんか試してみるよ。」
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/10/31(水) 01:24:24.76 ID:yba+S2wo0
一方 五森の公国、北の砦


砦へと戻ってきた隊員Eは、
ジープに積んだ無線で、陣地と通信している

隊員E「…といったことから、予想以上に弾薬を消費しましたが、
    隊員から死者は出ていません。」

一曹『そうか、ご苦労だったな。弾薬の消費は仕方あるまい。
    燃料と違って多少の余裕はあるしな。』

隊員E「そういえば、燃料探索隊の方はどうなっているんです?」

一曹『そうそう、それなんだ。夕方、無線連絡があってな、
    隣国、月詠湖の王国の端で原油を発見したそうだ。』

隊員E「本当ですか!?」

一曹『ああ、月詠湖の王国の端に原油を汲み上げてる井戸があったそうだ。
    応援の要請を受けて、今、施設部隊の準備をしてる。
    で、その関係で陣地の人数が減るから、正直言うとなるべく早く戻ってきてほしい。』

隊員E「分かりました、明日の夕方にはそちらに帰還できると思います。」

一曹『頼む。』

隊員E「では、切ります。」

通信を終える隊員E

隊員G「なんですって?」

隊員E「燃料探索隊が原油を発見したそうだ。」

隊員G「マジですか!?」

偵察「よく見つけたな、あいつら…」

隊員E「それで、向こうに施設部隊を送るから、我々はなるべく早く帰還しなければならない。
     隊員G三曹。手空きの連中を集めて、できる限りで撤収準備をしておいてくれ。」

隊員B「了解。」


城壁脇


隊員F「…」

不寝番交代のため、城壁へと向う

騎士団兵A「くそ…こいつ、まだ人生はこれからだったっていうのに…」

騎士団兵B「言ってやるな、こいつは騎士として国を守って死んだんだ…」

広場の片隅にもうけられた遺体安置の場から、そんな会話が聞こえてきた
彼らの他にも仲間の死を悼む声が聞こえてくる

隊員F「…チッ」

隊員Fは少しの間その光景を眺めていたが、
やがて、小さな舌打ちをした後、その場を後にした
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/31(水) 09:07:45.92 ID:Pi1vw6IIO
石油組が海兵隊みたいなノリだなw
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/10/31(水) 09:46:37.72 ID:NdWFQqCEo

どうでもいいけど終わりが明確じゃないから乙しにくい
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/01(木) 02:01:28.49 ID:Yqll2sPe0
紅の国 風精の国
院生達の宿


燐美の勇者「はふ〜、満足。」ボスッ

宿の部屋に戻ってきた燐美の勇者は、ベッドに身を投げ出した

麗氷の騎士「靴をはいたまま寝転がらない!」

燐美の勇者「うう、は〜い…」

麗氷の騎士に注意され、燐美の勇者は半身を渋々と起こすし、靴を脱ぐ

燐美の勇者「…そうだ、院生さん。」

院生「はい?」

燐美の勇者「疲れてるかもしれないけれど、寝る前に話しておきたいことがあるんだ。」

院生「話…ですか?」

麗氷の騎士「ああ。前に話した通り、私達は魔王討伐のために旅をしている。
       とても長く、そして危険を伴う旅だ。」

燐美の勇者「正直、この先の旅で何が起こるかはボクたちにもわからない。
       だからね…」

麗氷の騎士「安全を考えるなら、院生さんはここで分かれたほうがいいかもしれない。」
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/01(木) 02:04:33.89 ID:Yqll2sPe0
院生「え…」

麗氷の騎士「この町で身を寄せられそうな所を見つけるという手もあるし、
       商人さん達に同行させてもらえるよう頼み込むという手もある。
       もちろん私達も手伝うが…」

院生「あ、あの!待ってください!」

麗氷の騎士「ん?」

院生「その…燐美さん達と一緒に行くのは…駄目なんですか…」

燐美の勇者「え、ボクたちと?」

麗氷の騎士「それは…」

院生「あ…すみません、勝手なこといっちゃって…ご迷惑ですよね…」

院生はそのまま押し黙ったが、その表情はみるみる不安に染まっていった

麗氷の騎士「!」

燐美の勇者「あわわ、そんな悲しそうな顔しないで!」バッ

院生「す、すみま…ひゃわ!?」

燐美の勇者は院生に思いっきり抱きついた

燐美の勇者「大丈夫だよー!院生さんを置いていったりしないから!」

そして院生をワシワシとなで回す

燐美の勇者「だからそんな、捨てられた子猫みたいな顔しないでー!」

院生「わ、わかりました!だから…」

麗氷の騎士「勇者様、院生さんが戸惑ってる。」

燐美の勇者「へ?」

院生「あわわ…」

燐美の勇者「あ。ご、ごめん。」

燐美の勇者から解放される院生
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/01(木) 02:06:55.11 ID:Yqll2sPe0
院生「ご、ごめんなさい…急に不安になっちゃって。」

麗氷の騎士「いや、こちらこそ配慮が足りなかったな…誤解しないでくれ。
       あくまで一つの案として言って見ただけなんだ。」

院生「じゃ、じゃあ燐美さん達と一緒に行ってもいいんですか…?」

麗氷の騎士「もちろん、当初はそのつもりだったしな。
       院生さんが望むなら何も問題はあるまい。」

燐美の勇者「ごめんね、変なこと行って不安にさせちゃって…」

院生「いえ、わがまま言ってすみません…でもちょっと安心しました。」

燐美の勇者「よかったー。」

麗氷の騎士「では、どうする?予定では明日に出発するはずだったが。」

燐美の勇者「もう一泊していこうか?」

院生「そ、そこまで迷惑かけられません。これからは私が燐美さと麗氷さんに合わせます。」

燐美の勇者「いいの?大変だよ?」

院生「大丈夫です…たぶん。」

麗氷の騎士「では予定道理、明日出発しよう。ただ、出発前に院生さんの分の用具を
       用意しないとな。」

燐美の勇者「でも、僕達と一緒に行くなら覚悟してね?麗氷の馬は基本は荷物用だから、
       冒険中はずっと歩きになるよ?」

院生「が、がんばります。」

燐美の勇者「それに、道中でこわ〜いモンスターに出会うことも…むぺ!?」

麗氷の騎士「必要以上に脅かさない!大丈夫だ、院生さんの身は私達が守るから。
       そうだろう、勇・者・様?」

麗氷の騎士は怒気をこめて、燐美の勇者を睨む

燐美の勇者「ふぁい…がんばりまふ…」

院生「あはは…」
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/01(木) 02:09:34.41 ID:Yqll2sPe0
>>688

ある程度整った所から、随時投下してるので
明確にどこが区切りっていうのは無いんです
わかりにくくてホントすまん
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/01(木) 02:49:04.87 ID:I8S8mOvyo
>>692
今日はここまで、とかがないからすぐにレスしていいのかわかりづらいってことじゃないかな?

とりあえず乙です!
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/01(木) 17:27:30.15 ID:Yqll2sPe0
>>693
ああ、それは…

今日こそここまで書いて投下するザマス→寝落ち→やべぇ遅刻する

みたいなことを繰り返してるから…明確に今日はここまでって言えないんですね…
自分としては、いつでもレスしてもらっても特に問題はないです
ただ、それが所以で読み難くなったら、ほんとゴメンとしか言えない
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/01(木) 17:28:23.36 ID:YDPSJX51o
読みづらいと言うか、続きが来るとおもってまってしまうww

>>1乙!今日は此処までくらいはほしいかもしれない
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/01(木) 17:32:57.08 ID:Yqll2sPe0
隊員C「またかよ!糞ったれ!」

隊員Cは手に残ったジョーカーを投げ出す

衛生「やっぱりババ抜きは効率いいよな。」

支援A「隊員C、いい加減あきらめろよ。」

隊員C「やり直しだ、やり直し!」

隊員D「ふざけんなよ、一発勝負って言い出したのはお前だろ?」

衛生「もう四回目だぞ?」

隊員C「切り出しに行くのははともかく、ビリッケツなのが納得いかねぇんだ!」

自衛「納得いかねぇのは結構だが、そろそろ巡回の時間だぞ。
    支援A、隊員D、行って来い。」

支援A「わりぃな隊員C、そういうこった。」

そう言うと支援Aと隊員Dは銃を持ち、巡回に向った

隊員C「ああ、気分悪ぃ…」

衛生「お前、こっち来てからさんざんだな。」

隊員C「ああ、まったくだ。腕は千切れかかる、糞野郎共に難癖つけられる、
     おまけにババ抜きで連続ビリケツ。最悪のフルコース、豪勢なことだ!」

衛生「難癖つけたのはお前だろ…?」
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/04(日) 05:23:30.18 ID:5Mqngbv20
隊員C「うるせぇ。こんなんがこの先も続くと思うと、嫌になるねホント。」

衛生「不安の抱えてるのは皆同じさ。こっちに飛ばされてもう一週間になるからな。」

言いながらコーヒーを口にする衛生

衛生「…向こうでは騒ぎになってるかもな。」

隊員C「そうかねぇ?もしかしたら、向こうの世界じゃ
    まだ数分と立ってないかもしれねぇぜ?」

衛生「…は?何言ってんだ?」

隊員C「おめぇ、こういう方面は疎いな…こっちの世界と俺達の世界で、
    時間の流れが一緒だっていう保障もねぇんだぜ。」

衛生「ああ、まぁ…言われてみれば…、ってことは、
    同じ時間に戻れる可能性もあるってことか?」

隊員C「それまで俺等が無事ならな。けど、この先なんか違えば、
    フィラデルフィアやメアリー・セレストの仲間入り、なんてことになるかもな?」

自衛「それもおもしれぇじゃねぇか。」

冗談めいた口調で言い放つ自衛

隊員C「バカこけ、オレはゴメンだね。」

衛生「フィラデル…?何だ?」
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/04(日) 05:29:12.34 ID:5Mqngbv20
隊員C「大戦中にアメクソ共がやったステルス艦実験だよ、都市伝説だがな。
     詳細は端折るが、駆逐艦エルドリッジをレーダーから消す実験だった。
     ところが、エルドリッジはレーダーどころか船体そのものが
     完全に姿を消しちまったわけだ。
     その後、再び現れたはいいが…
     クルー共の体は燃えあがってるは凍ってるは、
     挙句船体に体が溶け込んでた奴までいる有様。
     生き残ったクルーも全員頭がパーになりましたとさ、めでたしめでたし。」

隊員Cは卑屈な言い回しで言ってみた

衛生「それって…」

衛生は背中が薄ら寒くなるのを感じた

隊員C「まぁ、どこまでホントかは知らねぇけどよ、
     もしかしたら、エルドリッジの奴らも異世界に投げ出されて、
     そこでファンタスティックな目にあって帰って来たのかもな?」

衛生「俺達も駆逐艦エルドリッジみたいになるっていいたいのかよ?」

隊員C「“自衛隊、一個中隊壊滅!空白の数時間に何があった!?”ってか?」

新聞の一面でも考えるかのように言う隊員C

衛生「やめてくれ!気味悪くなってきた…」

自衛「だが、最悪ありうる話だ。だからこそ隊員C、
    それを他の奴等の前で言うんじゃねぇぞ。」

隊員C「あー、分かった分かった。はいはいはい…」

衛生「冗談だろ…」

自衛「言ったろ衛生。そうならねぇためにも、やるべき事は大量だ。
    支援Aじゃねぇが、まず、原油を煮詰めるなりなんなりしてでも
    使えるようにするぞ。」

隊員C「無茶言うぜ、ったく…」
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/11/05(月) 11:53:36.45 ID:uyRFkcWAO
そういえばここって500KB制限あるのか?
今もう470KBだが
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/11/05(月) 12:29:46.55 ID:WiYkmn1ko
ついこないだまで1.3MB超もあったから大丈夫じゃない?
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/11/05(月) 15:40:02.62 ID:uyRFkcWAO
そうなのか
ついつい専ブラ使っているから本家と混同しがちなんだよな
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/06(火) 02:29:17.99 ID:vPp8Av810
翌朝

紅の国 風精の国
院生達の宿

院生「…ん…」

院生は窓から差し込んだ光で目を覚ました
しかしまだ眠く、毛布をたぐり寄せようとする

院生「…!?」ガバッ

しかし次の瞬間、違和感により院生は飛び起きた

院生「あ、あれ!?こ、ここ…!?」

見慣れぬ風景に困惑する院生だったが、すぐに昨日のことを思い出した

院生「…あ、そうか…そうだった…」ドサッ

力が抜け、再びベッドに倒れこむ

院生「…あれ、燐美さんと麗氷さんは…?」

隣のベッドで寝ていたはずの二人の姿が無いことに気づき、再び半身を起こす
部屋内を見渡していると、ドアが開いた

燐美の勇者「あ、起きた?」

院生「燐美さん、おはようございます。」

燐美の勇者「うん、おはよう。ごめんね、声かけようかと思ったけど、
       ぐっすり眠ってたから。」

燐美の勇者はすでに着替えを終えていた

院生「あ、ごめんなさい…すぐに着替えます!」

燐美の勇者「あ、いいよ。そんなに慌てなくて。
       朝ごはんまでにはまだ時間があるし。」

そう言われながらも、院生はせかせかと着替えを始めた
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/06(火) 06:11:59.06 ID:vPp8Av810
宿の一階


麗氷の騎士「…そうですか。」

商人A「どうにも国内で妙な動きがあるようだ。国を抜けるまでは、
     気をつけたほうがいいだろう。」

一階のホールでは、麗氷の騎士と商人Aが何かを話し合っている

麗氷の騎士「わかりました、情報ありがとうございます。」

会話が一度区切られると同時に、院生と燐美の勇者が階段を降りて来た

院生「あ、麗氷さん、商人Aさんも。おはようございます。」

商人A「ああ、おはようございます。」

麗氷の騎士「昨日はちゃんと眠れたかい?」

院生「はい、おかげさまで。」

麗氷の騎士「それはよかった。」

院生「すみません、寝坊しちゃったみたいで…」

麗氷の騎士「そんなことないさ、私達にはまだ余裕があるからな。」

院生「私達?」

商人A「ああ、私達の方は、月詠湖の王国で大事な商談があって、
     朝食の後、すぐに出発しなくてはならなくてね。」

院生「あ…そうなんですか…」

少し寂しそうな顔になる院生

商人A「ところが…一人、未だに起きて来ない奴がいてね…」

院生「え?」

麗氷の騎士「どうやら、来たみたいですよ。」

麗氷の騎士が示した廊下の先に、狼娘の姿が見えた

狼娘「わぅぅ〜…」

狼娘は頭を押さながら、よろよろと歩いてくる

商人A「やっときたか。」

狼娘「あ〜、院生ちゃん…おはよ…」

院生「お、おはようございます…。だ、大丈夫ですか…?顔色が…」

狼娘「頭いた〜い…」

商人A「いつもこうなんだ。飲みすぎて、翌朝は決まってこうなる。
     ほら、とりあえず顔洗って来い。」

狼娘「わかったから大声ださないで〜…」
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/08(木) 05:36:17.49 ID:lKHiWwdu0
北の砦〜木洩れ日の町間


朝を向えてから数時間後、派遣小隊は砦から撤収
その再、町まで搬送される負傷者を護衛することになり
来た時と同じように、馬車の列の前後を警戒している

偵察「…長ぇ列だな…」

一方、小隊が護衛する列と次々にすれ違い、砦へと向ってゆく行列があった
歩兵に騎兵、それに荷物を満載した馬車
増援として到着した33騎士隊の面々だ

彼らは、小隊のトラックや後ろから続く自走迫撃砲に目を丸くしながらも、砦への道を進んでゆく
時々手を振ってくる者もいて、隊員達はそれに返していた

偵察「これでようやっと一安心って所ですかね。」

偵察はトラックの荷台から身を乗り出し、
助手席の隊員Eに話しかける

隊員E「姫さんの話だと、他の町の駐留部隊にも派遣要請を出したらしい。
     北の国境線をできるかぎりカバーする気だろう。
     それと、事後処理はあちらさんが全部やってくれるとさ。」

偵察「そりゃよかった、正直くったくたですからね。」

隊員E「俺達は、帰還して報告と補給だ。
     まぁ、お客さんを送り届けてからだがな。」
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/08(木) 05:40:57.83 ID:lKHiWwdu0
隊員Eと偵察は荷台に目をやる
荷台には負傷した騎士が何人か乗せられていた
馬車の数が足りなかったため、一部の騎士をトラックで搬送しているのだ

五森騎士「…」

その中には五森騎士の姿もあった
彼女はムスッとした表情で、ずっと車外を眺めている

同僚「…朝からずっと不機嫌な顔のままだな。」

五森騎士「…ふん」

五森騎士も負傷と衰弱のため、町に送り戻される事となったのだが、
トラックに乗せる際、彼女は砦に残ると言い抵抗し、ひどく苦労したとか

同僚「五森姫さんにも顔を見せてあげたほうがいいだろう?」

五森騎士「!…馬鹿を言うな、こんな失態を犯した身で、
      姫様の前に顔を出せるわけないだろう!」

同僚「そう言うな。彼女、君のことをかなり心配してたぞ。
    昨日の夜も、報告で出向いた時に寝巻きのまま飛び出して来たんだ。」

五森騎士「そんなこと…姫様がこんな愚か者の心配など…」

同僚「本当だ。」

五森騎士「…」

同僚「君も慕ってるそうじゃないか。だったら、会ってあげたほうがいい。」

五森騎士「…ふん…」
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/09(金) 03:25:06.56 ID:pIMUqJPh0
再び 紅の国 風精の町
入り口近く


商人一行は町を立つ準備を整え、馬車はいつでも出発できる状態となっていた
院生達もそれを見送るため、町の入り口まで来ている

麗氷の騎士「本当に色々とお世話になってしまって…」

商人A「なに、お互い様さ。」

商人B「短い時間だったが、なかなか楽しかったよ。」

院生「…」

狼娘「ほら、そんな悲しそうな顔しないの。」

院生「は、はい…」

狼娘「これ、大事にするからさ。」

狼娘がかざしてみせたのは、100円硬貨
院生が狼娘に譲ったものだ

狼娘「それに、またどっかで会うかもしれないっしょ?」

院生「うん…そうですね!」

院生はしんみりとしていた気持ちを振り払い、笑顔を作って見せた
別れの言葉を交わし、商人達と狼娘は馬車へと乗り込む

商人A「では、皆さん。お元気で!」

燐美の勇者「そちらも、良い旅を!」

狼娘「またどっかでな!」

院生「はい!」
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/09(金) 03:27:31.48 ID:pIMUqJPh0
商人一行を見送った院生達は宿へと戻ってきた


麗氷の騎士「さてと…じゃあ、院生さんの装備を揃えに買い物に行くか。」

燐美の勇者「まずは服装と靴だね。今の院生さんの服装だとちょっと…」

院生「で、ですよね…」

院生の格好はYシャツに上着にスカート、靴はローファーと、
大学に行くならともかく、旅をするにはかなり厳しい

燐美の勇者「じゃあ、早速行こっか。」

院生「あ、ちょっと待ってください。バッグを取ってきます。」

院生は荷物を取りに、部屋へと駆けて行った

燐美の勇者「…ねぇ、さっき商人Aさんと話してたこと…」

麗氷の騎士「ああ、昨日の夜逃げしてしまった宿にかかわる話だ。」

燐美の勇者「どうなってるの?」

麗氷の騎士「どうにもこの町だけのことではないようだ。
       半年前から、このような不可解なことがいくらか続いていると…」

燐美の勇者「繁盛していたお店が潰れたり、その逆が起きたり…
       国の方針が変わったのかな?」

麗氷の騎士「いや。ここ一年で、国からそういった発表はなかったそうだ。
       それに、事態は商店に限ったことではないらしい。
       その土地の有権者が突如、その立場を他の者に譲ったりとな…」

燐美の勇者「…妙だね…っていうか、この国の人たちはどう思ってるの?」

麗氷の騎士「皆、違和感は感じているようだが…
       去年は国全体的で収穫が少なかったらしい。
       その影響だと考えているみたいだし、
       何よりそのせいで、皆余裕がないのだろう…」

燐美の勇者「でもさぁ…」

麗氷の騎士「分かっているさ。国を抜けるまでは気をつけたほうがいいな…」

話が終わると同時に、院生が戻ってきた

院生「お待たせしました…あれ?何かありました?」

燐美の勇者「ううん、なんでもないよ。さ、いこ。」
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/11(日) 14:22:25.82 ID:xR+VE+R80
木洩れ日の町


町に到着した派遣小隊は、負傷者の搬送に手を貸し、
町の中に設けられた救護所に、負傷者を運び込んでゆく

五森騎士「だ、大丈夫だ!一人で歩ける!」

同僚「まだ心配なんだよ…ん?」

同僚は五森騎士を支えて救護所に向う途中、
道の先から近づいてくる人影に気づいた

五森姫「同僚さん!」

近づいて来る人物は他でもない五森姫だ

五森騎士「な!?」

同僚「ああ、五森姫さ…どわっ!?」

同僚は五森騎士に突き飛ばされる
一方の五森騎士は、五森姫の前で膝を突き、大声で言い放った

五森騎士「姫様!このたびの件!大変申し訳ございませんでした!
      騎士団長殿に意見を具申したのは、私であります!
      全ての責任は、全ての処罰はこの私が!!」

五森姫「五森騎士…」

五森騎士「は!姫様の御前におめおめと
      顔を出せる身でないことは、重々承知しております!
      しかし、せめてこの愚か者に最後のけじめを…!」
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/11(日) 14:24:41.37 ID:xR+VE+R80
五森姫「五森騎士!!」

五森騎士「!?」

気迫の込められた声に、五森騎士声を切った

五森姫「…」スッ

五森騎士「っ!」ビクッ

そして五森姫の近寄る気配に体を縮こまらせる
彼女は叱責、もしくは体罰を覚悟した

フワッ

五森騎士「…え?」

しかし次の瞬間、五森騎士は五森姫の腕に包み込まれていた

五森騎士「ひ…姫様?」

五森姫「…よかった…」

五森姫は五森騎士の耳元でそう呟く
そして、顔を離すと今度は凛とした声で言った

五森姫「馬鹿!あなたに何かあったらどうしようかと…!」

五森騎士「も、申し訳ございません!私の勝手で…いかなる罰でも…」

五森姫「そういうことではありませんわ!
     出陣前にあれほど無茶をするなと言い聞かせたのに!
     今回だって、彼らに応援を依頼したのは
     あなた達の負担を少しでも減らそうと思ったから…!
     もう!これでは本末転倒ですわ!!」

涙交じりの声で言い放つ五森姫

五森姫「あなたが望んだからあなたを行かせたけど、
     本当は私の元を離れて欲しくはなかったの!」

五森騎士「…姫様…申し訳ございませんでした…」

五森姫「本当よ…本当…よかった…」
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/12(月) 03:16:11.20 ID:HZJHF9gb0
負傷者の運び込みが終わり
派遣小隊は全ての事項の五森国騎士団への引継ぎを完了した

隊員G「報告します。第一、第二両分隊、点呼完了。異常なし。」

同僚「同じく全ての作業、状況の五森国側への引継ぎ、完了しました。」

隊員E「了解。俺達は撤収だ、分隊ごとに乗車。完了次第陣地に帰還する。」

同僚「は。」

隊員G「了解。よし、乗車開始。」

隊員Gが指示を出し、隊員達は乗車を開始する

隊員A「迅速にだ!無駄な話はするんじゃないぞ!」

支援B「ったく、いちいちうるせーな…」

偵察「いつものことだろ。」

隊員Aが口うるさくするのを聞き流しながら、乗り込んでゆく偵察達

隊員A「…隊員E二曹。活動が一段落した影響で、隊員達の気が緩んでいます。
     今一度注意をしておくべきかと。」

隊員E「そういうな隊員A、皆疲れてる。お前もそうだろう?
     帰ってからもやることはたくさんあるんだ。
     少し気を抜くくらい、大目に見てやれ。」

隊員A「しかし!」

隊員E「それより、報告の内容をある程度整理しておいてほしい。頼めるか?」

隊員A「…は!分かりました!」

言うと隊員Aはきびすを返し、トラックへ歩いていった

隊員G「あいつ、もうちっと丸くならねぇもんかね?」

同僚「まぁ…初任幹部も驚くほどの生真面目さですからね…」

隊員E「言ってやるな。あいつなりに精一杯やってるんだ。
     それより、お前らも早く乗車しろ。」
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/12(月) 03:23:41.66 ID:HZJHF9gb0
そう言われ、トラックに向けて歩き出そうとした時

五森騎士「ま、待ってくれ!」

声をかけられ振り返ると、救護所から五森騎士が歩いてくるのが見えた
隣には五森姫の姿もある

同僚「どうした?まだなにか…」

五森騎士「…いや…その…」

何か言おうとするも、なかなか言い出せない様子の五森騎士

五森姫「ほら、しっかり。」

脇から五森姫がそれを後押しする

同僚(本当に姉妹みたいだな…)

五森騎士「その…お前には…あ痛!」

五森騎士は五森姫にはたかれる

五森騎士「…貴殿には付きっ切りで手当てをしてもらったのに、御礼も言っていなかった。
      こんな愚かな騎士を助けてくれて、本当に感謝している。」

五森騎士は顔を赤らめながらそう言った

同僚「別に感謝されるほどのことはしてないさ。」

五森騎士「いや、しかし。貴殿には無礼な態度を働いてしまった…」

同僚「気にしないでくれ。少なくとも、私はあの場で
    自分にできることをしただけだ。」

五森騎士「そうか…と、ともかく、ありがとう…」
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/12(月) 03:25:48.63 ID:HZJHF9gb0
五森騎士が言い終えると、今度は五森姫が前へと出る
五森姫「皆様…その、先ほどはお見苦しい所をお見せしてしまいましたわ…

その、この娘の姿を実際に見たら、つい…」

気恥ずかしいのか、言い訳のように言葉を濁す五森姫

五森姫「んん…失礼…。それから隊員E様、あなたに感謝の言葉を
     伝えさせてくださいな。」

隊員E「ん、私ですか?」

五森姫「お聞きしましたわ。直接、五森騎士の危機を
     救ってくださったのは隊員E様だと。」

隊員E「ああ、いえ…偶然です。敵の隙をつける場面に、偶然居合わせたにすぎません。」

五森姫「ふふふ、どこまでもご謙遜を。ともあれ、今回の件…国の代表として、
     そして一人の姉として感謝させていただきます。
     それと、支援の件につきましては、後日こちらから使者を送らせて頂きますわ。」

隊員E「お願いします。」

会話が終わり、最後に両者は握手を交わした


全てを引き継いだ後、町の住民の見送りを受けながら
自衛隊派遣小隊は木漏れ日の町を後にした

隊員E「どうにか派遣活動も無事に終わったな…」

異世界における自衛隊の最初の派遣活動は、ここに完了した
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/11/12(月) 04:38:20.98 ID:CeNI059Xo
714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/12(月) 05:24:47.15 ID:HZJHF9gb0
五森の公国派遣編はこれで終了
これより、人物一覧が入ります
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/12(月) 05:32:08.72 ID:HZJHF9gb0
 
 陸上自衛隊

 『第2師団』

  ・第54普通科連隊 第2中隊 随伴小隊

    自衛 陸士長(28)

    この話は自衛の視点で主に進んでいく
    士の中では最年長
    行動に躊躇がないが、時に度を越えた暴行、過激で礼儀を欠いた言動が目立つ
    曹に昇進する気はなく、最後の任期の後、退職金をもらって辞めるつもりだったらしい
    時に先任士長として、曹の補佐や組の指揮を行う


    同僚 陸士長(20)

    自衛の同僚の女性隊員
    まじめで温厚、正義感溢れる人物だが、いざという時弱腰
    意外とダメなところのある娘
    士長のため、組を任されることもある


    一曹 一等陸曹(38)

    第2中隊の中隊長補佐で、中隊指揮の経験がある
    ちょうど幹部が本部に召集されている時に、こちらの世界に飛ばされたため
    代理として、彼が全体の指揮を執ることとなる


    隊員A 三等陸曹(21)

    三曹にあがったばかりの女性隊員
    妙に生真面目で幹部以上に口うるさく、他の隊員からは煙たがられている
    主に第一分隊を率いる


    隊員B 一等陸士(22)

    垢抜けた感じの新隊員
    おとなしい風体だが、意外とがめつい


    隊員C 二等陸士(26)

    割とギリギリの年齢で入隊してきた隊員
    知識は豊富なようだが、それ以上に嫌味な態度と口の悪さが目立つ
    補生入隊で、本来なら一士に昇進しているはずだが
    あまりの素行の悪さに昇進を見送られた問題児


    隊員D 一等陸士(24)

    長身の隊員、格闘術が得意
    少し血の気が多い


    隊員E 二等陸曹(26)

    落ち着いた雰囲気の二曹
    レンジャー資格持ち
    全体の指揮を執ることになった一曹の変わりに、小隊等を指揮する
    優秀な隊員で、来年には幹部候補生過程に行くはずだった
    若い幹部、曹全員に言えたことだが
    自衛等、年上の古参隊員に対して
    やり難さや居心地の悪さを感じている模様


    隊員F 二等陸士(26)

    隊員C同様、ギリギリで入隊してきた隊員 
    新隊員入隊
    大抵辛気臭い顔をしていて、異世界への介入にもいい顔をしていない様子
    身体能力は高い様子

716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/12(月) 05:37:48.47 ID:HZJHF9gb0

    隊員G 三等陸曹(25)

    主に小隊の第二分隊を率いる三曹
    任務以外では軽い性格


    隊員H 三等陸曹(24)

    テンションの高い三曹
    レンジャー資格持ち


    隊員I 三等陸曹(24)

    口数の少ない三曹
    レンジャー資格持ち


    支援A 一等陸士(26)

    彼も年齢ギリギリの新隊員
    やたらと叫びまくり、はっちゃけまくる
    うるさい隊員


    支援B 一等陸士(22)

    面倒くさがりの隊員
    思ったことは口に出すタイプ


    FV車長 三等陸曹(37)

    装甲戦闘車の車長、40になるまでに
    二曹に上がらなければと焦っていた


    FV砲手 陸士長(25)

    装甲戦闘車のガンナー
    グロ耐性が無い様子


    FV操縦手 陸士長(24)

    装甲戦闘車のドライバー
    割とえぐい物でも平気


    衛生 一等陸士(24)

    衛生隊から派遣され、小隊に同行している衛生隊員
    入隊する前は医者だったらしいが、詳細は不明
    原隊は第2後方支援連隊


    通信 一等陸士(22)
    通信隊から派遣され、同行している通信隊員
    原隊は第2通信大隊
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/12(月) 05:46:23.70 ID:HZJHF9gb0
  
  ・第2偵察隊

    偵察 陸士長(24)
    
    偵察隊所属の偵察隊員
    軽い性格の隊員で、他の科の隊員との交友も多い


  ・第2施設大隊

    施設A 三等陸曹(27)

    施設科は彼と施設作業車の車長がまとめている


    施設B 三等陸曹(24)

    現在燃料探索隊に同行中


    施設C 一等陸士(22)

    派遣小隊に工兵として同行


  ・第2後方支援連隊

   〔輸送隊〕

    輸送A 一等陸士(24)

    派遣小隊に同行
    異世界の騎士たちを乗せた際に
    観光バスの真似事をする


    輸送B 一等陸士(22)

    派遣小隊に同行
    もう一両のトラックの運転手
    名前未登場


    輸送C 一等陸士(25)

    派遣小隊に同行
    派遣活動中は新型ジープの運転手を担当


   〔補給隊〕

    補給 二等陸曹(40)

    陸曹最年長の二曹、温厚な性格だが
    苦労が多いのか、実年齢より老け込んでいる
    需品科隊員


   〔第1整備大隊〕

    武器A 三等陸曹(27)

    普通科隊員不足のため、戦闘に借り出されるが
    戦場を目の当たりにし、気分を悪くしている


    武器B 一等陸士(22)

    同じく、普通科隊員不足にため戦闘に参加


   〔衛生隊〕

    衛隊A 一等陸士(21)

    補給中隊に同行していた衛生班に所属する隊員
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/12(月) 05:53:51.95 ID:HZJHF9gb0
 
 『第1特科団』

  ・第4特科群 第120特科大隊 第1中隊

    特科 二等陸曹(34)

    特科部隊の中隊補佐
    第2師団と同じく幹部不在のため、
    特科中隊は彼がまとめている


    82車長 三等陸曹(27)

    指揮車の車長
    自衛とは教育隊の同期


    82操縦手 一等陸士(24)

    指揮車の操縦手
    割と運転が荒い


 『第7師団』

  ・第11普通科連隊 重迫撃砲中隊

    120車長 二等陸曹(33)
    
    120砲手 三等陸曹(30)

    120操縦手 一等陸士(24)

    120装填手 二等陸士(20)

    120通信 三等陸曹(25)

    今現在の所特記事項は無し

719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/12(月) 06:03:49.32 ID:HZJHF9gb0
 
 航空自衛隊

 『航空救難団』

  ・ヘリコプター空輸隊

    二尉 二等空尉(28)
    
    輸送ヘリコプターの機長
    最高階級者でなおかつ唯一の幹部隊員のため、報告や重要な決定の時には立ち会うが
    パイロットのため、全体の指揮は一曹に任せている


 民間人

    院生(19)

    都内の大学に通う学生
    飛ばされた先で賊に追われていた所を
    燐美の勇者達に助けられた


 君路の勇者一行

    君路(くんろ)の勇者(20)

    栄と結束の王国出身の勇者
    魔王を打つために旅をしている
    元は図書管理士だったとか


    碧明(へきめい)の戦士(19)

    君路の勇者と旅をしている女戦士
    あまり深く考えない性格
    彼女だけ栄と結束の王国の出身ではないらしい


    聖腕(せいわん)の騎士(23)

    栄と結束の王国の騎士
    勇者の護衛を命じられ、共に旅をしている


    導きの僧侶(18)

    栄と結束の王国の僧侶
    君路の勇者は、国の教団に勇者として選び出されたが
    僧侶はその教団に所属している
720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/12(月) 06:16:27.40 ID:HZJHF9gb0

 燐美の勇者一行    

    燐美(りんび)の勇者(17)

    魅光の王国で選び出された勇者少女
    基本的にマイペース
    賊に襲われていた院生を助ける


    麗氷(れいひょう)の騎士(20)

    燐美の勇者と共に旅をする魅光の王国の騎士
    燐美の勇者の保護者的な立ち位置


 謎の一行

    零審(れいしん)の賢者(?)

    灯り火の町の酒場で隊員Cとぶつかった大柄の男
    見た目と違い厳格な口調で話す
    仲間と旅をしているのではないかと思われる


 月橋三姉妹

    村娘(16)

    月橋三姉妹の三女
    山間にある壊滅した村に住んでいた娘
    気が弱いが身体能力は高く、短剣術に秀でる
    村での一件から、偵察に好意を抱いている


    研究者(19)

    月橋三姉妹の次女
    月橋の町で研究者として生計を立てている
    研究に関わることには頭が切れるが、
    それ以外はかなりだらしない


    魔術師(?)

    月橋三姉妹の長女
    山間の村で起きた惨劇の元凶
    元々は山間の村で妹達と暮らしていたが
    数年前に禁忌の魔術を研究しようとし、村から追い出された


 月詠鍛冶屋

    鍛冶(47)

    月詠湖の王国のはずれで鍛冶師をやっている男
    昔は世界をまたに駆けていたようだが…


    鍛冶兄(22)

    鍛冶の息子 
    僻地に引き篭もった父を心配し
    共に暮らしている
    鍛冶の手伝いのほか、近くの荒道の町へ働きに行くこともある


    鍛冶妹(18)

    鍛冶の娘
    鍛冶兄と同じく父である鍛冶を心配し
    同居している
    転移魔法が使える他、多少の医学の心得もある模様
721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/12(月) 06:25:45.34 ID:HZJHF9gb0

 五森の公国

    五森姫(18)

    自衛隊が陣を置いている、五森の公国の王女
    国内で発生した問題を解決するために、自衛隊に接触する


    五森騎士(16)

    五森国、第一騎士団に所属する女性騎士
    自衛隊の介入に反対し、第一騎士団だけでの問題解決を強行する


    37隊長(33)

    五森国、第37騎士隊隊長
    自衛隊を穏便に受け入れる


    騎士団長(43)

    第一騎士団団長
    騎士達の不満を感じ取り、強行案を許可する


 商人一行

    狼娘(?)

    商隊を護衛する人狼の女性
    院生と意気投合する
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/12(月) 06:29:46.20 ID:HZJHF9gb0
以前から要望のあった登場人物整理を行いました
遅くなって大変ご迷惑おかけしました

とりあえず組織と人物名、年齢、自衛隊員は階級
それと簡単な説明文を箇条書きにしました

というかこれ、整理した事になってんのだろうか?
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/11/12(月) 14:19:17.75 ID:+zf8zzkAO
乙!
ありがとうございます〜!>>715〜は貴重な道標。
改めて、飛ばされた自衛隊が若者ばかりで幹部がいないという状況が見えてきた。
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/11/13(火) 01:17:57.30 ID:YF9t7vGNo
人物紹介乙です
こうしてまとめてみると結構出たメンバーが個性的でいいね
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/13(火) 19:07:23.20 ID:mrzUGKmLo

いかんせん名前が似てるから、これは嬉しい
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/14(水) 11:38:20.56 ID:CaVTBzrIO
しかしすげー登場人物の数だな
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/19(月) 14:10:09.12 ID:TKlysacL0
月詠湖の王国 
燃料捜索隊 野営地付近


自衛、隊員Dは鍛冶兄の案内で、朝から周辺の地形調査を行っていた
昼前にはそれも大方終わり
ジープは今現在、野営地へと戻る道を進んでいる

隊員D「感情強情欲情そりゃこりゃもう想像道理にゃ進まねぇー!」

ハンドルを握る隊員Dが上機嫌に歌い散らしている

自衛「おい。上機嫌なとこ悪ぃが、ちゃんと前見ろよ。」

隊員D「分かってますって…撃ち出されるダンガンは涙〜!」

自衛は後席で、鍛冶兄に細かい部分を確認しつつ、
調べた情報を地図に記入している

鍛冶兄「にしても悪かったな、買出しを手伝ってもらっちゃって。」

ジープの左右には、荒道の町で買った食糧やら雑貨やらの入った袋が大量に下がっていた

自衛「かまわねぇよ。いきなり押しかけて騒がしくしてんだ。こんくらいはな。」

鍛冶兄「そのへんは、立ち寄るキャラバンとかで慣れてるからいいけど、
     まぁ、助かったよ。
     こんな大量の買出しは、普段じゃなかなかできないから。」

自衛「しかしよぉ、お前らの家、集落や川から大分離れてるが
    水の確保とかはどうしてんだ?」

鍛冶兄「うちは鍛冶妹が転移魔法を使えるから、それと雨水で
     なんとかなってる。」

隊員D「ほぉー、便利なもんだ。」
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/19(月) 14:51:39.88 ID:TKlysacL0
自衛「聞こうと思ってたんだが、お前らなんであんな辺鄙な場所に住んでんだ?」

鍛冶兄「あー、確かに疑問に思うよな。
     どっから話すか…
     うちの親父さ、昔は世界中を歩き回ってた身なんだよ。」

隊員D「冒険者ってやつか。」

鍛冶兄「そんな立派なもんには見えなかったけどな。」

隊員D「ところでお袋さんは?」

鍛冶兄「お袋は俺等がガキの頃に死んだ。だから、親父も昔はそこそこ家にいたんだが…
     俺等が成長すると、俺や妹を親戚に押し付けて、長期間の旅にでるようになってな。
     我が親父ながら呆れ返るよ。」

自衛「で?」

鍛冶兄「ああ、そんで俺と妹はそれまで親戚と王都に住んでたんだが…
     五年くらい前かな…?
     それまでで一番長い旅に出てた親父が、ある日突然帰ってきたんだ。
     それまでは、帰るときには前もってキャラバンに伝言を託したりしてたのに。
     そして、理由もいわずにここに家を建てて、一人で暮らし始めたんだ。」

隊員D「はぁ?なんでだ?」

鍛冶兄「分からない。何か抱え込んでるのは確かだが、
     何度問いただしても話そうとしないんだ。
     それどころか、口数は極端に少なくなって、年々皺が増える一方…
     で、ほっとく訳にもいかないから、俺と鍛冶妹が一緒に住み着いてるってわけ。」

隊員D「ほぉー…」

自衛「ドブみたいに迷惑な親父だな。」

隊員D「ぶっ!し、士長…」

鍛冶兄「いや、俺もそう思うよ…でも、親父であることに代わりはないし、
     不服な話だが、町の連中からは良く似た家族だなんて言われる。
     だから、何があったかは分からないが、ほっとくわけにはいかないんだ…」

隊員D「よくできたお子さんだな、お前。」

鍛冶兄「ああ…ありがとう。」
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/19(月) 15:33:49.20 ID:TKlysacL0
一方

原油の沸く荒地からさらに東へ約4km
荒地を越えた先にある森


隊員C「ああ、糞歩きにくい森だ!」

人の手のほとんど入っていない森の中を、
隊員C、鍛冶妹、支援Aの三人は進んでいる

鍛冶妹「ねー、何もこんな奥までこなくても…」

支援A「森の入り口で切り出した奴じゃダメなのかよ?」

隊員C「当たり前だ。あの細さじゃ、加工した後の強度がたかがしれてる。
     頑丈な木が最低でも3〜4本はいる。」

三人は頑丈な巨木を探しに森を探索しているのだった

鍛冶妹「正直、あんまりここに長居はしないほうが…」

隊員C「んなこたぁ、言われるまでもねぇんだよ!」

鍛冶妹「うー、そんなに噛み付いた言い方しなくても…」

支援A「気にすんなよ。隊員Cは常に嫌味を吐いてないと呼吸が止まっちまうんだ。」

隊員C「言ってろ。」

隊員Cは銃剣で邪魔な草木を切りつつ、先行する
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/19(月) 15:37:29.55 ID:TKlysacL0
ズゥゥゥン…

支援「あ?」

進もうとした瞬間、遠くから鈍い振動が聞こえた

ズゥゥゥゥゥン…

隊員C「!」

鍛冶妹「う!?な、何!?」

隊員C「黙れ!動くな…」

隊員Cが静止をかけ、周囲が静けさに包まれる

ズゥゥン…! ズゥゥン…!

振動の間隔が狭くなり、音は次第に近づいてくる
さらに、ミシミシと木の倒れる音も

支援A「おぉい…やばいんじゃねぇか?」ジャキッ

軽機を構え、辺りを見渡す支援A

隊員C「おい!この音はなんだ?」

鍛冶妹「わ、わかんないよぉ!」

隊員C「糞が!この役立たずガイド!」

鍛冶妹「ちょ、ひでぇ!言わせておけば!!」

反論しようとした鍛冶妹だったが…

ミシミシミシ…

鍛冶妹「!?」

視界の先の木々が左右に割れてゆく、そして…

ズゥゥゥゥゥン!!

隊員C・鍛冶妹・支援A「!!!!?」
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/20(火) 19:01:11.53 ID:O7Px9K8D0
燃料探索隊 野営地


ブロロロロ…

隊員D「あー、ついたついた。」

鍛冶兄「…すげぇな、あれだけ回って半日もせずに帰ってきたのか…」

自衛達のジープが野営地に帰還する

自衛「ん?」

エンジン音が消えると、野営地が妙に騒がしいことに気づいた

自衛「なんだ?」

ジープから降りると、指揮車の近くにいた衛生が駆け寄ってくる

衛生「士長!戻りましたか!」

自衛「なんかあったのか?」

衛生「とにかくこっちへ。」

補給が切り出しに向ったトラックと通信をしている

補給「…わかった、応援をそっちに向わせる。それまで下手に動かないでくれ。」

自衛「補給二曹、何があったんで?」

補給「ああ自衛、戻ったか。切り出しの連中から無線連絡があったんだが、
    森に入った隊員C達との通信が途切れたらしい。」

自衛「…んだと?」

衛生「数分前から応答がないそうです。それと、鍛冶妹さんも一緒だそうで…」

鍛冶兄「え!」

鍛冶兄の顔に焦燥が浮かぶ

隊員D「何があったってんだ…?」

補給「わからん。ただ通信機が故障しただけかもしれんが…楽観はできまい。」

指揮車の車上ハッチから82車長が出てくる

82車長「二曹、指揮車は準備完了です。いつでも出発できます。」

補給「分かった。自衛、必要な装備、人員を揃えて
    指揮車と一緒に向こうまで行ってくれ!」

自衛「了解。ったく、厄介ごとに事欠かねぇぜ。」
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/20(火) 21:59:16.71 ID:O7Px9K8D0
ジープと指揮車は森の入り口へ向けて走る

自衛「あそこ、なんかやばい生き物でも生息してんのか?」

鍛冶兄「いや、あの森は獣の類もほとんどいないはずなんだが…くそ、鍛冶妹…」

隊員D「あ、あそこです。」

切り出しに向ったトラックが、森の近くに止まっている

特隊A「おーい、ここだ!」

ジープと指揮車はその脇に停車した

自衛「おい、どうなってんだ?」

特隊A「わからん。隊員C達、頑丈な木を探しに森の奥に入っていったんだが…
     20分ほど前から、定時連絡に応答しなくなったんだ。」

自衛「やばいな…」

自衛達は森に視線を向ける

82車長「しかし、鬱蒼とした森だな…これじゃ車両は入れねぇぞ…」

隊員D「指揮車でも無理っすか?」

82車長「強引にいけなくもないが…下手すると、
     どっかに引っかかって行動不能になる可能性がある。」

自衛「しゃあねぇ、俺と隊員Dで森に入る。隊員D、携帯放射器を持て。」

隊員D「うす。」

自衛達は装備を持ち、ジープを降りる

82車長「随時連絡をよこせよ。」

自衛「わーってる。」

鍛冶兄「待った、俺も一緒に行かせてくれ!妹が心配だ…」

自衛「別にいいが、なんかあったら安全は保障はできねぇぞ。」

鍛冶兄「大丈夫、これでも戦える身だ。」

鍛冶兄は背に背負っていた斧を手にとって見せる

自衛「分かった、行くぞ。」
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/22(木) 14:33:52.57 ID:Ylp6+44g0
森の中へと進入する自衛達


隊員D「なんつー森だ、全然人の手が入ってないんじゃねぇか?」

生い茂る草を鉈で切り、
そこらじゅうに伸びた木の枝を掻き分けながら進む

隊員D「視界が悪い…」

自衛「よーく目ん玉見開けよ。」

ガサガサ…

鍛冶兄「ん?」

隊員D「何だ今の?」

鍛冶兄「何か物音が…たぶん左から…」

バサッ!

隊員D「あぁ!?」

突然、草むらから何かが飛び出して来る

ドガッ!

鍛冶兄「がっ!?」

そして飛び出してきた何かは、鍛冶兄へ突進をかました
鍛冶兄は体勢を崩し、草むらへ倒れる

ゴブリンA「キキィ!」

隊員D「げ!これ、ゴブリンだぜ!」

鍛冶兄「く、くそ!」

鍛冶兄はゴブリンを退けようとするが、草木に阻まれ思うように動けないでいる
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/22(木) 16:41:38.58 ID:Ylp6+44g0
自衛「どけ!!」

ドガッ!

ゴブリンA「ギュゲッ!?」

自衛は、鍛冶兄に覆いかぶさったゴブリンを横から蹴り飛ばした

ドドド!

ゴブリンA「ギョ!?」ブシュッ

そして地面に転がったゴブリンにバースト射撃を食らわせる

鍛冶兄「え…!?」

自衛「隊員D、警戒しろ!」

隊員Dの指示をとばしつつ、鍛冶兄に手を貸し、彼を引き起こす

自衛「大丈夫か?」

鍛冶兄「あ、ああ…」

返事を返しつつも、鍛冶兄の視線は頭部が弾けたゴブリンに向けられている

鍛冶兄「すまない…しかし、今のどうやったんだ…?」

自衛「後だ!近くの木に隠れろ、他にもいるぞ!」

鍛冶兄を近くの木の後ろに押し込み、
自衛は別の木へカバーし小銃を構える

ボウ!

ゴブリンB「ギョギ!?」

ショットガンの発砲音とゴブリンの悲鳴

隊員Dが別のゴブリンを射殺した音だった
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/22(木) 16:47:25.32 ID:Ylp6+44g0
隊員D「またこいつらかよ…!士長、正面からわらわら来ます!」

自衛「蹴散らせ!接近させるな!」

自衛達は迫り来るゴブリンを迎撃しにかかる

ドドド!ドドド!ドドド!

ゴブリンB「ギュ!?」ドチュッ

ゴブリンC「ギャ!」バッ

自衛は小銃のバースト射撃でゴブリンを蹴散らしてゆく

隊員D「野郎!」ボウッ

ゴブリンD「ギュイ!?」

その弾幕を潜り抜けて接近してきた固体は、隊員Dが射殺

鍛冶兄「すげぇ…」

隊員D「おい、右から来るぞ!」

鍛冶兄「ッ!くっそ!」ドガッ

鍛冶兄はゴブリンの落とした手斧を掴み、投擲する

ゴブリンE「ギュゴッ!?」ブシュッ

手斧はゴブリンの顔に直撃した

鍛冶兄「よし!」

自衛「あいつで最後だ!」ドッ

ゴブリンF「ギビッ!」ブシュッ

最後のゴブリンの頭が銃弾で弾け、周囲は再び静かになった
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/24(土) 16:02:09.47 ID:EWXhw7Oq0
隊員D「…敵影無し!」ジャキ

隊員Dがしばらく周囲を見渡した後に、報告を上げる

自衛「これで終わりか。」

鍛冶兄「…あ、あんたら…どうやったんだ?なんの魔法だそれ?」

隊員D「魔法じゃねぇ、こういう武器なんだ。」

鍛冶兄「それが武器…?」

まじまじと隊員Dの持つショットガンを見つめる鍛冶兄

自衛「後だっつたろ。交信ができないのはこいつらが関わってるかもしれねぇ。
    隊員C達を探すぞ。」

ゴブリンたちが向ってきた方向に向けて、前進を再開する



・お知らせ

 wikiにアクセスできるようになったので、編集させてもらいました
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/24(土) 17:00:30.85 ID:EWXhw7Oq0
自衛達はしばらく森の中を進む

隊員D「…何か聞こえませんか?」

自衛「あ?」

しばらく歩いた所で、
木々の先から、散発的に何かが爆ぜる様な音が聞こえてきた

パパパ・・・

自衛「ありゃ銃声だ。」

隊員D「隊員C達か!?」

音の方向に向けて走り出す

パパパ!パパパ!

自衛「この先だ!」

ゴブリンG「キキィ!」

隊員D「どわっ!?」

走っている途中、突然木の陰から現れたゴブリンと鉢合わせる

自衛「邪魔だ!」

ドガッ!

ゴブリンG「ギッ!?」

自衛はゴブリンを再び蹴飛ばす

自衛「死ねや!」

ドス!

ゴブリンG「ギョォォ!?」

そして体勢を崩したゴブリンに銃剣を突き刺した

ゴブリンG「ギュ…」

息絶えるのを確認し、銃を放り出すようにして
ゴブリンの体から銃剣を引き抜く
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/24(土) 17:04:15.50 ID:EWXhw7Oq0
隊員D「くそ、ビビらすなよ…!」

鍛冶兄「おい、あれ!」

鍛冶兄が示した先に、ゴブリンが複数見えた

隊員D「どこに行くんだあいつら?」

ゴブリンたちは自衛達に背を向けて、反対方向に走っていく

自衛「逃げ出してるって雰囲気じゃねぇな、追うぞ。」

ゴブリンたちを追って木々を抜けると、そこには小さな窪地があった

バババババ!

鍛冶兄「うお!?」

支援A「うぇえっへっへぃー!どうしたどうしたブッサイク共!さぁ、かかってきやがれ!」

窪地の中央には支援Aの姿があった

隊員D「なんてこった、あいつ一人だけだぞ!」

支援A「おらおら!気合入れねぇとお友達とおんなじように、
    口から泡吐いて“あうぇ〜”ってなっちまうぜぇ!?おぉい!!!」

叫び散らしながら、四方から襲い掛かるゴブリンに向け、軽機を撃ちまくっている
彼の周囲にはゴブリンの死体が無数に転がっていた
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/27(火) 02:48:30.59 ID:QxqXBp3J0
鍛冶兄「…すげぇ。」

自衛「馬鹿が!カバーもしねぇで撃ちまくってやがる!」

バババ!バババ!バババ!

ゴブリンH「ギュギョ!?」ビシュッ

ゴブリンI「ギェッ!」グチュッ

支援Aの挙動は見ていてひやひやする物だが、
割と確実に襲い掛かるゴブリンを撃ち抜いている

支援A「うへへへい!森ん中でトマト祭り開催中だぜ!Babyeeeeeeeeee!!!!」ドドドド

自衛「隊員D!窪地の隅にある一際でかい巨木が分かるか?
    あそこで窪地全体をカバーしろ!」

隊員D「了解!」

隊員Dは沸いて出てくるゴブリンを牽制しつつ走る

自衛「鍛冶兄、俺と来い!あの撃ちまくってるバカを援護する!」
    姿勢を低くしろ、奴が銃口を向けてる先には絶対に出るな!」

鍛冶兄「わ、分かった!」

自衛「死ねコラ死ねぇぇ!」ドドド

支援Aに接近つつ、木立から現れるゴブリンに向けて掃射を加える

ゴブリンの群れA「ギュ!?」「ギェビ!?」

鍛冶兄「ッ!すげぇ…お、おいあんた!無事か!?」

支援A「おーう!やっと助けが来たか!うれしぃぜぇ!」ドドドド

自衛「バカかお前は!カバーもしねぇで!来い!」

支援Aを引っ張って、近くの倒れた巨木に隠れる

隊員D「正面からわらわら来るぞ!!」ボウッ

自衛「支援A!木立に撃ちまくれ!」

支援A「オーイェー!!!」ドドドドド

自衛「隊員D、脇から奴らに食らわせろ!十字砲火だ!」

ゴブリンの群れB「ギュ!」「ギェェ!?」

掃射によりゴブリンの群れは次々と倒れていった
740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/28(水) 00:07:56.33 ID:fg4zofQn0
隊員D「…今ので最後か。」ジャッ

自衛「集まれ。」

窪地の中央で集合する

支援A「イェィ、助かったぜ!ファンに囲まれて難儀してたんだ。」

隊員D「よくいうぜ。」

自衛「こんな開けた所で撃ちまくりやがって、おめぇ本当に教育隊出てきたのか?」

支援A「ついついハイになっちまってよぉ、次から気をつけるぜ。」

自衛「ったく、で、隊員Cとあの娘はどうした?」

支援A「あー、それが逃げ回ってる途中ではぐれちまってよ…」

隊員D「逃げ回る?こいつらからか?」

支援A「いんや、もっとバカでけぇ、なんつーか蜘蛛っつーか蟹っつーか
     そんなようなバケモンと鉢合わせちまってよ。」

自衛「なんだと?蜘蛛だぁ?」

支援A「何かはしらねぇけど、とにかくバカでけぇ奴だった。」

自衛「おい、そいつが何かわかるか?」

鍛冶兄「いや、聞いたこともない…それどころか、この森にはゴブリンだって
     いないはずだぞ…」

隊員C「ホントかよ、一体どうなってんだ…」
741 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/28(水) 00:09:29.43 ID:fg4zofQn0
自衛「おい、無線はどうした?」

支援A「俺が持ってるぜ、さっきのドンパチで使う暇はなかったけどなぁ。」

支援Aは背負っていた無線機を差し出す

自衛「貸せ。」

無線機を地面に置くと、隊員Cのインカムへと呼びかける

自衛「おい隊員C、応答しろ。聞こえるか、隊員C!…野郎、応答しねぇ。」

隊員D「なんかあったのか…?」

自衛は隊員Cへの呼びかけを中止し、指揮車へと繋ぐ

自衛「ハシント2-1、シキツウ応答しろ。こちらジャンカー4-2。
    4-1の支援A一等陸士を発見した。」

82車長『こちらシキツウ。支援A一人だけか?』

自衛「ああ、どうにも蜘蛛の化け物に襲われてはぐれたらしい。」

82車長『蜘蛛の化け物ぉ!?なんだそりゃ!?』

自衛「俺が知るか。それと、森の中にゴブリンの群れがうろついてる。
    そっちに行くかもしれねぇから、十分警戒しろ。
    俺達は引き続き4-1の隊員C達を捜索する。」

82車長『…わかった、野営地にはこっちから報告しとく。無理すんじゃねぇぞ。』
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/29(木) 15:13:36.41 ID:QK/Nkb0W0
数分前 森の中のある場所


隊員C「…どうやら追って来てはいねぇようだ。」

隊員Cと鍛冶妹は木の陰に身を隠し、周辺の様子を伺っている

鍛冶妹「ひぃ〜…死ぬかと思った…」

隊員C「おい!一体なんだあの蜘蛛みてぇなバケモンは!?」

鍛冶妹「だから知らないってばぁ!あんなのこの森にいるなんて聞いたことないよぉ!」

隊員C「糞ったれが!支援Aはどっかいっちまうし、無線もあいつが持ってんだぞ!
     どーすんだ!?」

鍛冶妹「そんなこと言われても〜…」

ガサ!

鍛冶妹「いっ!?」

突如、背後の草むらがわずかに揺れ動いた

鍛冶妹「な、何…!?」ソォッ

鍛冶妹は確認にため覗き込もうとする

ゴブリンK「キィィ!」バッ

鍛冶妹「ひゃぁ!?」

隊員C「ゲッ!」

だが、覗き込む前に、草むらからゴブリンが飛び出して来た
ゴブリンは手斧で鍛冶妹に切りかかろうとする

鍛冶妹「ひっ!…うわっ!?」グイッ

隊員Cは硬直する鍛冶妹を押しのけ

隊員C「野郎!」ボグッ

ゴブリンK「ギュッ!?」ドザァ

空中にいるゴブリンの腹部に蹴りを入れた
ゴブリンの体はは近くの木に叩き付けられる

隊員C「おらぁっ!」ドスッ

ゴブリンK「ギュヒィ…!?」ブシュ

そしてゴブリンに向けて走り込み、腹部に銃剣を突き刺した
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/29(木) 15:32:55.58 ID:QK/Nkb0W0
隊員C「こいつらか!糞が!!」

隊員Cは悪態を吐きながら、ゴブリンの死骸を脇へ蹴りへ転がす

鍛冶妹「こ、これ…もしかしてゴブリン…?ちょ、どういうことなの…!?」

鍛冶妹は恐る恐る死体を覗き見ながら、疑問の声を上げる

隊員C「はぁ?なんで俺に聞くんだ?こいつらここを住処にしてんじゃねぇのか?」

鍛冶妹「この森にはゴブリンなんていないはずだよ!わけわかんない!
     何が起こってるのー!?」

隊員C「知るか!泣き喚いてる場合じゃねぇ、他にも来るぞ…!」

鍛冶妹「うぇ!?」

周囲からガサガサと草むらや木の枝の揺れる音が聞こえてくる

ゴブリンL「キュィィ!」バッ

そしてまたしてもゴブリンが襲い掛かってきた

鍛冶妹「うひゃぁ!?」

隊員C「うぜぇんだよ!」ドガッ

ゴブリンL「ギュッ!?」

隊員C「死ね糞!」ドッ

ゴブリンL「ギュヒィ!?」バシュッ

飛び掛ってきたゴブリンを蹴り倒し、銃剣を突き立てる隊員C

隊員C「わめいてないで戦えボケェ!その斧は飾りモンか!?えぇ!?」

隊員Cは鍛冶妹の背中にある斧を示しながら怒号を飛ばす

鍛冶妹「ううう…分かった分かった!」スッ

ゴブリンM「キュィ!」バッ

別のゴブリンが現れ、鍛冶妹へと襲い掛かる

鍛冶妹「ええいッ!」

自分に迫るゴブリン向けて、鍛冶妹は斧を振り下した

ドスッ!

ゴブリンM「ギュゴ!?」ブシュッ

斧はゴブリンの頭部を真っ二つにし、鮮血と脳髄があたりに飛び散る

鍛冶妹「ひぃっ!?ち、血と脳みそがぁ!」

隊員C「ビビるなボケ!お前の右から来るぞ!」

ゴブリンN「ギュギュ!」

鍛冶妹「うぅ、やぁぁ!」シュッ

ゴブリンN「ギュヒ!?」

横に払われた斧がゴブリンの腹を切り裂く
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/11/30(金) 02:33:47.92 ID:g+IGDJmk0
隊員C「おい逃げるぜ、来い!」

ゴブリンからの襲撃が止んだ隙を突いて、その場から走り出す二人

隊員C「なんだってんだチクショウ!?」

鍛冶妹「ち、血が体中に〜!」

隊員C「んなもん気にしてる場合か!それよりなんだお前、そのへっぴり腰はよぉ!?」

鍛冶妹「ひでぇ!?なによぉ!お前こそ、そんなナイフ一本しか持ってないくせに!」

隊員C「…9mm弾は数が少ねぇのによぉ…よっし、スライドは問題ねぇ!」

鍛冶妹「無視しないで聞けよぉ!この…ぶ!?」

鍛冶妹は突然停止した隊員Cの背中に顔をぶつけた

鍛冶妹「きゅ、急に止まんないでよ!」

鍛冶妹は抗議するが隊員Cはそれを無視し、来た方向へ振り返る

隊員C「おいお前、俺の後ろと周辺を見張ってろ!」

鍛冶妹「な、何言ってんの!?あいつらが来るよ!」

隊員C「奴らを迎え撃つから見張ってろって言ってんだよ!」

鍛冶妹「迎え撃つって…?」

言っている間に、視線の先からゴブリンが迫る

隊員C「よっしゃ!バカ正直に直線で追っかけてきやがった!」

隊員Cは姿勢を低くし、9mm拳銃を構える

鍛冶妹「ちょ、ちょっとぉ!何してんの!?っていうかそのそれ何!?」

隊員C「黙れ!気が散る!」

隊員Cは鍛冶妹を怒鳴りつけつつも、照準を合わせる
そして引き金に力を込めた

バン!

ゴブリンO「ギュヒ!?」

先から接近するゴブリンの頭から血が噴出す

鍛冶妹「へ?」

バン!バン!

ゴブリンの群れD「ギュイ!?」「ギェ!」

等間隔での発砲音に合わせ、ゴブリンが地を噴出し倒れてゆく

鍛冶妹「え、な、何?どうなってんの!?」
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/01(土) 00:30:21.53 ID:NCsgvV1x0
困惑する鍛冶妹を尻目に、隊員Cは最後のゴブリンに照準を合わせる

隊員C「…お前で最後だよ、不細工チビ!」

バーン!

ゴブリンP「ギュ!?」ドシュ

最後のゴブリンが銃弾を頭に食らい、後ろに弾け飛んだ

隊員C「…よっしゃ!さすが俺様!」

軽口を叩きながらも隊員Cは周囲に気を張り続ける

鍛冶妹「…え?ちょっと、お前今のどうやったの!魔法!?
     にしては詠唱もなんもなかったけど!?」

隊員C「いちいちうっせぇガキだな…あのなぁ、こいつは…」

ズゥゥン…

隊員C「あ!?」

鍛冶妹「ふぇ!?」

隊員Cの言葉を遮るように、唐突な地響きが響き渡る

鍛冶妹「こ、この音…」

隊員C「ふざけんじゃねぇぞ…おい…」

ズゥゥゥゥゥン…

接近する地響き

ミシミシミシ…

付近の巨木が悲鳴を上げている、そして

ボッゴォォォォォン!!!


巨大蜘蛛「ギシャァァァァァァッ!!!」


隊員C「糞がぁ!!!」

鍛冶妹「ひゃああああああああ!?」

巨木をなぎ倒し
彼らの目の前に、全高10mはあろうかという巨大な蜘蛛が姿を現した
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/01(土) 00:33:05.70 ID:NCsgvV1x0
隊員C「逃げっぞぉぉ!!」

鍛冶妹「また出たぁ!なんなのよぉ!?」

二人は反対方向へ全速力で走り出した

巨大蜘蛛「ギャァァァァ!!」ズズッ

巨大蜘蛛は左右の木々をなぎ倒し、二人を追いかけだした

隊員C「追っかけてきやがる!」

鍛冶妹「いやぁぁぁ!」

巨大蜘蛛「ギシャァァァ!」

ドォン!ドォン!ドォン!

巨大蜘蛛はその巨大な多数の足を器用に動かし、
見かけに反した速さで二人を追う

隊員C「ヤバイ!あいつけっこう早いぞ!?」

鍛冶妹「やぁぁ!」

二人は地面が草むらのためあまり速い速度で走れない

自衛『ザザ…おい隊員C、応答しろ。聞こえるか、隊員C!』

その時、隊員Cのインカムに通信が入った

隊員C「こんな時にかけてくんじゃねぇよ!!」

だが、もちろん応答する余裕などない
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/01(土) 00:36:52.09 ID:NCsgvV1x0
鍛冶妹「ね、ねぇ!さっきやったみたいに、なんとかなんないの!?」

隊員C「あ!?」

鍛冶妹「だから、さっきの変な道具使ってあの蜘蛛倒せないの!?」

隊員Cの手にある9mm拳銃を示して鍛冶妹は言う

隊員C「脳みそ腐ってんのかお前は!?あんなバケモンに9mm弾が聞くわけねぇだろ!」

鍛冶妹「そんなの知らないよぉ!とにかく、なんとかならないの!?」

隊員C「俺にばっか頼るんじゃ、どわっ!?」

鍛冶妹「へ?って、ひゃぁ!?」

二人は逃げるのに夢中で、前方が斜面になっていることに気づいていなかった
足を滑らせ、そのまま斜面を滑り降りてゆく

隊員C「べ!」ボサッ

鍛冶妹「むみゅ!」バサッ

そしてその先の草むらに突っ込んだ

ズゥン!ズゥン!

巨大蜘蛛「ギャァァ!」

斜面の上に巨大蜘蛛が現れる

巨大蜘蛛「…ギャァァ!」

ズゥン!ズゥン!

しかし、巨大蜘蛛は二人を見失ったのか、別の方向へ行ってしまった
748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/12/01(土) 03:49:43.99 ID:YStW7Z80o
隊員C余裕無さ過ぎだろうww
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/01(土) 05:45:46.36 ID:NCsgvV1x0
ガサガサッ

二人は巨大蜘蛛が去ったのを確認し、草むらから出た

隊員C「…行っちまったみてぇだ」

鍛冶妹「死んだ…あたし死んだ…」

鍛冶妹は斧を支えに地面にへたり込む

隊員C「ああそうかよ、じゃあ死体は置いてっても問題ねぇな」

鍛冶妹「ちょ、ひどい!」

隊員C「オラ、冗談言ってる暇があったら動くぞ。奴から離れるんだ」

移動しようとした時、再びインカムに通信が入った

自衛『ザザ…隊員C応答しろ。聞いてねぇのか?それとも死んだか!?』
750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/04(火) 05:09:15.83 ID:i3ugzJ8Z0
窪地から数十メートル地点


隊員C『生きてるよバカ!勝手に殺すんじゃねぇ!』

再度隊員Cへの通信を試みた結果、応答が返ってきた

自衛「生きてんならちゃんと応答に答えろ」

隊員C『ふざけんな!こっちゃ今さっきまで、どえらい目にあってたんだぞ!?』

自衛「ゴブリンか?それとも蜘蛛のバケモンか?」

隊員C『両方のお得なセットだよ!ホントにやばかったんだぞ!?
     たった今さっきまで蜘蛛のバケモンと鬼ごっこしてたんだからな!』

自衛「そいつは大したもんだ」

隊員C『うるせぇ。それよか、逃げてる最中に支援Aがはぐれちまったんだけどよ?』

自衛「奴なら今さっきこっちで拾った。巨大蜘蛛の件も支援Aから聞いた所だ」

隊員C『ああそうかい、ならぜひとも早急にお助け願いたいもんだね!
     こっちだけじゃどうにもならねぇ!』

自衛「お前ハチヨンはどうしたんだ?使わなかったのか?」

隊員C『使う余裕なんざあるわけねぇだろ!周りは遮蔽物だらけで
     鬼ごっこしながら、お一人様で射撃体勢に持ってくなんざ自殺行為だ!
     ああ、お一人様じゃなかったな。足手まといをもう一名様追加だ。』

鍛冶妹『あ、足手まといってあたしのことか!?』

無線の向こうから鍛冶妹のギャーギャーとわめく声が聞こえる
751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/04(火) 05:45:52.56 ID:i3ugzJ8Z0
鍛冶兄「待て!今の鍛冶妹の声!?鍛冶妹は無事なのか!?」

聞こえてきた鍛冶妹の声に鍛冶兄は食いついた

自衛「おい隊員C、一緒にいたねーちゃんもそこにいるのか?」

隊員C『ああ、糞わめき散らしてうるせぇのなんのって…』

自衛「わかった隊員C。とにかくねーちゃんにインカムを渡せ。」

隊員Cの愚痴を押さえ込み、自衛は無線機のマイクを鍛冶兄へ渡す

自衛「こいつに向けて喋れ、そうすれば向こうに声が届く」

鍛冶兄「時々、箱に向けて一方的に話して、何をしてるのかと思ったら…
     こういうことだったのか…」

とまどいながらも鍛冶兄はマイクを手にとった

鍛冶兄「…鍛冶妹?聞こえてるか?」

鍛冶妹『うわわ!』

無線の向こうで鍛冶妹の驚く声が聞こえる

鍛冶妹『すっげーほんとに聞こえてきた!ホントに兄貴の声だ!』

鍛冶兄「お、おい鍛冶妹、大丈夫なのか?怪我はしてないか?」

鍛冶妹『あ、えっと大丈夫。色々大変だったけど大きな怪我はしてないよ。』

鍛冶兄「そうか、よかった…」

安堵の息を吐く鍛冶兄
752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/08(土) 03:52:03.16 ID:NJFwNgRA0
鍛冶妹『っつーかこれすごいよ!音響を扱う魔法なんて初めてだよ!』

鍛冶兄「あ、ああ…そうか」

鍛冶妹『まるですぐ側で話してるみたい!ねぇ、これ他にもなんかできたり…』

隊員C『要点だけ言ったら早くはずせ、馬鹿!まだ、近くに奴がいるんだぞ!』

鍛冶妹『わっ!?』

鍛冶妹の声が途中で切れ、雑音が入る

隊員Cが鍛冶妹の着けるインカムを強引に奪ったらしい

隊員C『ザザ…とにかく!こっちじゃどうしようもねぇ。
     今は無事だが早くなんとかしねぇとバケモンの腹ん中だぞ!』

自衛「落ち着けって、今どこにいるか分かるか?」

隊員C『検討もつかねぇ、あっちこっち逃げ回ったからな。
     今、分かるのは方角…あとは、逃げ回った時間を考えても、
     たぶんお前らよりは東にいるはずだぜ。』

隊員D「見つけ出すのはは難しそうだな…」

支援A「信号弾あげりゃ一発だろ?」

自衛「あのブッサイク共とパーティーがしたけりゃ、好きにしろよ」

支援A「イェィ!じゃあまたトマト祭りと行こうぜ!」

隊員D「…ダメだこいつ」

自衛「しょうがねぇ。隊員C、一度西を目指して森を出ろ」

隊員C『結局それかよ』

隊員Cはウンザリとした台詞を吐く
753 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/10(月) 21:14:57.66 ID:o3a4w8qXo
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/12(水) 11:14:46.49 ID:pRKgWJCA0
鍛冶兄「待ってくれ、方角がわかるのか?」

自衛「ああ、コンパスがあるからな」

鍛冶兄「コン…?」

自衛「こいつだ」

自衛はコンパスを鍛冶兄に見せる

鍛冶兄「これは?」

自衛「赤い針が常に北を示し続けるようにできてる」

鍛冶兄「成る程、こんな道具が…」

自衛「で、なんか思いついたか?」

鍛冶兄「あ、ああ…
荒道の町近くに川があったろ?あの川がこの森にまで続いてるんだ。
     方角が分かるんならまず川に出て、
そこから川沿いに伝っていけば合流できるかも」

隊員D「その川はどっちだ?」

鍛冶兄「南の方角。戻って森を出るよりは早いはずだ。
     ただ…その巨大蜘蛛がうろついてるなら、
     本来なら一刻も早く森を出たい所だけど…」
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/12(水) 11:20:48.99 ID:pRKgWJCA0
自衛「俺等は、隊員Cのやつを回収するまで森を出るわけにはいかねぇ」

隊員D「あんたはどうする?無理はいわねぇけどよ」

鍛冶兄「妹を放って逃げられるわけないだろう、一緒に行くよ」

支援A「決まりだな」

自衛「隊員C、森の南に川が流れてるらしいから、そこに向え。
    たどり着いたら川沿いで待機しろ。俺達が川に沿ってお前らを捜索する。」

隊員C『了解。是非とも急いでくれよ』

言うと隊員Cは無線を切った

自衛「俺達も川を目指すぞ」

鍛冶兄「ところで、またその蜘蛛の化け物に出くわしたらどうするんだ?
     君達の武器でなんとかできるのか?」

自衛「奴に合流すれば対戦車火器が使える、それでなんとかするしかねぇ。
    支援A、予備弾は持ってるな?」

支援A「ああ。栄えあるハチヨン射手である隊員Cしゃまの代わりに、
     たーっぷり持ってるぜ」

隊員D「あいつにでかい花火を上げてもらうとしようぜ」

鍛冶兄「…よく分からないが策はあるんだな?」

自衛「ああ。時間が少ない、行くぞ」
756 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/13(木) 07:46:07.06 ID:YX9CaN4p0
再度隊員C視点


隊員Cと鍛冶妹は木や草むらに身を隠しつつ、川を目指す

隊員C「糞見晴らしが悪ぃ…急げ、次行くぞ」

鍛冶妹「ちょ…待ってよ!」

隊員Cが木から木へと走り、鍛冶妹がそれに続く

隊員C「もうちっとキビキビ動けねぇのかお前?」

鍛冶妹「ぜぇ…しょうがないじゃん!あたしあんまり体力ないし、
     普段は長い距離に移動は転移魔法使ってるし…」

隊員C「ったく…そうだ、その転移魔法とやらで森から脱出できねぇのかよ?」

鍛冶妹「使えたらとっくに使ってるよぉ…
     遠くに行くにはあらかじめ魔方陣を用意しておかないと無理。
     魔方陣無しだと目で見える距離が精一杯だよ。」

隊員C「マジで役にたたねぇなお前」

鍛冶妹「また言った!ほんとなんなのよお前!」

隊員C「見えたぞ、川だ」

鍛冶妹「無視すんなぁ!」
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/13(木) 07:55:26.84 ID:YX9CaN4p0
しばらく進むと森が開け、川沿いに出た

鍛冶妹「ひぃぃ〜…走ってばっかり…」

隊員C「自衛、聞こえるか?一足先に川縁に着いた」

自衛『こっちが到着するまでそこで待機してろ。十分警戒しろ』

隊員C「分かってる、そっちこそ急げよ」

通信を切り、隊員Cは周囲を見渡す
川縁周辺は木が生えておらず、遮蔽物も少ない

隊員C「ここじゃ、飛び道具のいい標的だぜ…」

そうぼやいた瞬間だった

ヒュルル…

鍛冶妹「ん?」

隊員C「ッ!隠れろ!」ドンッ

鍛冶妹「ぎゃ!?」

隊員Cは鍛冶妹を近くの岩陰へと突き飛ばした
そして自らも岩陰へと飛び込む

ドスッ

そして先程までいた場所に手斧が突き刺さった
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/13(木) 10:04:48.87 ID:yI5djfE4o
鍛冶妹がうぜぇ
Cがいないと死ぬレベルなのに文句言い過ぎ
759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 10:27:21.15 ID:wgzS9FwIO
一般人だからまぁ多少はね?
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 10:36:17.28 ID:KhxHAr/co
なんだかんだ良いペアだと思うがな
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 12:52:33.92 ID:xugsXcaIO
パンピーなら愚痴りたくもなる状況っしょ。
乗り切ったら吊り橋効果でフラグとか立つか・も。
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 00:58:59.02 ID:9m/i7472o
そういえば方位磁石使えるんだな
細かい事気にしたら負けな気するが
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 01:00:03.17 ID:OyJLbhd2o
天体である限り地場はあるから問題ないだろ
764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 01:39:34.89 ID:n+aEWtNAO
隊員Cが戦国自衛隊のかまやつひろしのポジションになりつつある…

765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/14(金) 04:49:55.03 ID:v0yy7gDy0
鍛冶妹「ひ、ひどい…なにすんの!?」

顔面からダイブした鍛冶妹は抗議しようとするが

隊員C「馬鹿!頭を出すな!」グッ

鍛冶妹「うぎゃ!?」

起き上がろうとした瞬間、隊員Cに頭を押さえつけられ、
再び地面に顔をうずめた

鍛冶妹「厄日だ…」シクシク

隊員C「泣くのは後にしろ!森から沸いてきやがる!」

鍛冶妹「またぁ!?」

自分の顔を抑えながら、鍛冶妹は森のほうに目をやる

ゴブリンQ「キィィ!」

ゴブリンR「キュィ!キュィィ!」

見れば、森からゴブリンの群れが次々に沸いて出てくる

隊員C「応戦すっぞ!」

隊員Cは身を乗り出し、発砲を開始する

バン!

ゴブリンQ「ギュギャ!?」ブシッ

間近に迫った一体の顔面を打ち抜く
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/14(金) 04:52:13.46 ID:v0yy7gDy0
隊員C「次、お前だ!」

バン!

ゴブリンR「キュィ!?ギュ!」ダッ

次に奥のゴブリンに向けて発砲したが、命中弾とはならなかった

隊員C「糞が!」バンッ

ゴブリンは左右にちょこまかと動き、銃弾を回避する

隊員C「野郎ブサイク!フラフラすんな!」バンッ

ゴブリンBB「ギュゥ!?」ブシュッ

奥のゴブリンも倒れるが、さらに後続のゴブリンが迫る

ゴブリンの群れE「キュィ!」「キキッ!」「キッ!」

鍛冶妹「いっぱい来たぁ!」

隊員C「おい!ボケッとしてんな!こいつで戦え!」

先程の地面に突き刺さった手斧を鍛冶妹に渡す

鍛冶妹「…もぉー!なるようになれ!」

鍛冶妹は手首のスナップを利かせて手斧を投擲

ゴブリンS「ギョッ!?」ドシュッ

手斧は一匹のゴブリンの顔面に突き刺さった

隊員C「自衛達が来るまで持ちこたえっぞ、気張れ!」


>>764
かまやつひろし演じる根本二士ってどんなキャラだっけ…?
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 05:02:44.00 ID:mjHtK0AIO
>>762
金属が存在しているから第二世代以降の恒星系の惑星なのは自明。
それで固体惑星ならほぼ核は質量の大きい金属。
金属核が有るなら、外核部は液体金属が循環してて摩擦から磁場が発生する。

磁極が地球と同じかは五分五分だけど、
まあ南北は最低限分かるから方位磁針は使える。
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 10:17:34.97 ID:9m/i7472o
>>763
>>767
惑星なら異世界でも使えるのか
方位磁石本当すげえな
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/14(金) 10:34:42.04 ID:XZWeCPRxo
細かいこと気にすんなよ……
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 10:55:45.15 ID:MDxglQ8IO
まーた揚げ足を取り出してしまうのか
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 12:48:11.17 ID:n+aEWtNAO
>>766
かまやつそのまま。
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 13:37:14.97 ID:wZiq9qf+o
というか魔法が存在する以外は地球と大差無いしこの世界
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 14:11:01.04 ID:nqUb0UaIO
>>772
お前すげぇな
俺今のところゴブリンと巨大蜘蛛見たこと無いわ
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 14:19:56.48 ID:ZUISk3Bq0
>>773
鏡見ればゴブリンに会えると思うよ
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 14:27:41.94 ID:nqUb0UaIO
>>774
遭遇した
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 15:14:08.42 ID:3RFDmG9IO
おれ鏡見たらオークだったんだけど、
黒エルフ陵辱してもいいという事でよろしいか?
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 15:42:33.90 ID:3J8mtMg6o
>>776
あぁ、うん、そうだな・・・
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/15(土) 00:26:45.16 ID:ODL+tfq/0
追いついてしまった。
院生がどういう活躍をするのかなかなか見えてこないね。
教授が油まみれってことは資源関係?あるいは工業機械系か。

ていうか誰も突っ込まへんけど院生(19)って誤植?
飛び級しまくった天才少女ってかw
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/15(土) 17:29:47.90 ID:g5ODpT7AO
いつから院生が二十代後半でなければいけないと勘違いしていた?
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/15(土) 17:48:05.08 ID:ODL+tfq/0
>>779
いやいや、そこはせめて二十代前半というべきだろ。

まあ、学部2年で教授に才能を見初められていきなり飛び級した設定かもしれないし。
描写は今のところあんまり天才っぽくないけど。
781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/15(土) 18:54:09.30 ID:0/h0nZ/3o
日本に飛び級制度ってあるの?
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/15(土) 20:43:37.56 ID:/P2FzXmEo
>>781
設定思い出せ
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/15(土) 23:26:59.76 ID:mntbmNpIO
なんでNIPPERのお兄ちゃんたちは揚げ足を取りたがるの?
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/15(土) 23:31:30.01 ID:HxtFmr5no
>>783
ガキばっかだから
785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/15(土) 23:44:25.70 ID:eGNTZjIp0
揚げ物好きな[ピザ]ばっかだから
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/15(土) 23:58:48.50 ID:F2EzlIXCo
作品が面白いから微妙な違和感が気になるんだろうな
787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/18(火) 11:52:40.35 ID:pD9sa8wy0
川の上流(西側)


自衛達は川沿いに、隊員Cと鍛冶妹を捜索していた

自衛「おい、この音」

下流から散発的な破裂音が聞こえてくる

鍛冶兄「なんだ?」


隊員D「士長、これ拳銃の発砲音じゃ?」

自衛「ああ、近いぞ」

自衛達は進む速度を速める
しばらく進むと、視線の先に人影らしきものが見えた

支援A「おい、見ろやあれ!」

隊員D「いたぞ、隊員Cだ!」

隊員C達が岩陰に隠れて、ゴブリンと交戦しているのが見えた

鍛冶兄「森のほうを見ろ、ゴブリンに襲われてる!」

自衛「走れ!」

自衛達は交戦地点に接近
ある程度近づくと、付近の倒木や岩に身を隠した
788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/18(火) 12:14:44.14 ID:pD9sa8wy0
自衛「隊員C、無事だろうな!?そっちの脇まで来てるぞ!」

隊員C『やっとかよ、とっととブサイク共を追っ払ってくれ!
     いい加減、糞うざくてたまんねぇぜ!』

自衛「待ってろ。支援A、森に向けて撃ちまくれ!」

支援A「オーイェー!!!」

支援Aが森から出てくるゴブリンの群れに向けて、発砲を開始

ドドドドドドドド!

ゴブリンの群れE「ギュギュ!?」「ギヒッ!」「ゲヒッ!?」

突然襲いかかって来た5.56mm弾の雨に、
ゴブリンは次々と血を噴出し倒れてゆく

鍛冶妹「い!?な、何!?」

隊員C「頭下げてろ!」

驚く鍛冶妹の頭を抑えつつ、隊員Cはその様子を見守る

自衛「支援A、ハチヨンの予備弾をよこせ!」

支援A「おらよ!」

弾薬袋を支援Aから受けとる

自衛「よし、お前は森の側面に移動しろ!出てくる奴らを真横から殴れ!」

支援A「了解!」
789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/20(木) 08:07:19.67 ID:FyFl+UR20
自衛「隊員D、鍛冶兄。支援Aが配置についたら移動するぞ!」

支援Aは森の側面へと移動し、再び射撃を開始した

支援A「イヤッホォーーーーウ!!」ドドドドド

ゴブリンの群れF「ギュ!?」「ギョィ!?」

ゴブリン達は森から出た瞬間に、軽機の銃弾を浴びて倒れてゆく

自衛「よぉし、合流するぞ!」

鍛冶兄「…すっげぇ…」

自衛達は遮蔽物を飛び出し、隊員C元へと走る
そして隊員C達の近くにある岩に駆け込み、隊員C達と合流した

自衛「よぉー、元気か」

隊員C「やっと来やがったか!」バーン

肉薄するゴブリンを退けながらも、悪態を吐く隊員C

鍛冶兄「鍛冶妹、無地か!?」

鍛冶妹「な、なんとか…」

隊員D「ファンがいっぱいだな、いつの間にやら有名人じゃねぇか隊員C」

隊員C「うらやましいか?こんなうぜぇファン願い下げだよクソッタレ!」

自衛「じゃ、あの世へお帰りいただくとしようぜ」ジャキ
790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/20(木) 08:25:56.95 ID:FyFl+UR20
…無地か!? ってなんじゃい


自衛「食らいやがれ!」ドドド

隊員D「より、ブッサイクにしてやるぜ!」ボウッ

自衛達が発砲を開始

支援A「どーだ!鉛の雨は心地良いだろ?ブサイク共!」ドドドドド

側面からは支援Aの銃撃も続いており
ゴブリン達は十字砲火に晒されることとなった

ゴブリンの群れG「ギュヒィ!?」「ギュゥゥ!」

弾幕により倒れていくゴブリン達
しかし、中には弾幕を掻い潜り、迫ってくるゴブリンも居た

鍛冶兄「くそ、また迫ってくる!」

隊員D「多すぎるんだよ、ゴキブリかこいつら!?」ボウッ

自衛「右っ側に固まってやがる!隊員D、チャンスだ吹っ飛ばせ!」

隊員D「了解!」キンッ

ボグァ!

ゴブリンの群れH「ギュヒッ?」「ギュッ!?」「ギャゥ!?」

放り込まれた手榴弾により、数匹のゴブリンがまとめて吹っ飛んだ
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/20(木) 16:36:08.26 ID:FyFl+UR20
鍛冶兄「おわっ!?」

鍛冶妹「ひゃ!…ば、爆炎魔法!?」

隊員C「違ぇよ!ったく、あれなは…」

ゴブリンT「キュィ!」バッ

説明しようとした所に、ゴブリンが岩を乗り越え襲い掛かって来た

隊員C「チッ!」

ボウ!

ゴブリンC「ギュ!」キン

咄嗟に撃ち出された弾丸は、ゴブリンの手から手斧をはじけ飛ばした

隊員C「らぁっ!」

ゴブリンT「ギュヒ!?」グチャ

バキッ!

隊員Cはゴブリンの頭を鷲掴みにし、岩にその顔面を叩きつける

隊員C「おらよ!」ドスッ

ゴブリンT「ギュ…!」ブシュ

そして後頭部に銃剣を振り下ろた

隊員C「ざまぁみろ!しわ屑が!」

隊員Cは銃剣を引き抜くと、ゴブリンの死体を放り出した
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/20(木) 17:16:25.76 ID:FyFl+UR20
隊員Cが仕留めたのが最後のゴブリンだったらしく、
川辺は静かになっていた

自衛「全員集まれ。隊員D、森の方を見張ってろ」

隊員D「了解」

全員が川の近くに集合する

支援A「よぉー!隊員C、感動のご対面だな!」

隊員C「ああそうだな。この感動空間に合うBGMが欲しい所だよ、糞野郎」

鍛冶兄「鍛冶妹!大丈夫か!?」

鍛冶妹「あ、兄貴〜…」フラフラ

鍛冶兄にもたれかかる鍛冶妹

鍛冶妹「走りまわってフラフラだよ〜…」

鍛冶兄「…相変わらず体力無いなお前」

鍛冶妹「…ひどい…」バタム

鍛冶妹は脱力し、鍛冶兄の体に突っ伏した

隊員C「お兄さんよぉ?以降、そいつのお守はお前さんに任せるぜ?
     もうこりごりだ…!」

鍛冶兄「あ、ああ。しかし…この森になんだってこんなにゴブリンが?」

鍛冶兄は一帯に転がるゴブリンの死体を見てつぶやく

隊員D「俺らの拠点にも、こいつら難癖つけてきたんだけどよ、
聞けば、イレギュラーな場所にこいつらが現れることが
多いらしいじゃねぇか?」

鍛冶兄「この森だけじゃないのか!?なぜ、そんな…」

自衛「話は後回しだ、移動するぞ」

隊員C「だな、とっととズラかろうぜ!ぼやぼやしてっと…」
793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/21(金) 22:08:58.40 ID:CSXNzsaAO


無地か…ワンポイントリボンも捨てがたい
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/22(土) 08:58:12.71 ID:fjNtHxhso
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/22(土) 09:09:21.78 ID:X7WUyq0IO
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/23(日) 17:28:47.96 ID:qORmJfWR0
ズズゥゥン…

隊員C「げ!?」

鍛冶妹「ひ!?」

森の奥から突如、地響きが伝わってきた

自衛「何だ今のは?」

隊員C「奴だ、さっき言った蜘蛛のバケモンだ!」

ズゥゥン…!ズゥゥン…!

地響きはだんだんと近づき、
森の木々はミシミシと悲鳴を上げる,
そして

ドグァァッ!

巨大蜘蛛「ギシャァァァァ!!!」

木々を薙ぎ倒して、巨大蜘蛛が現れた

隊員D「うげぇ!?」

支援A「おいでなすったぜ!」

鍛冶兄「な、なんだこいつは!?」

各々は大慌てで、森から距離をとるために駆け出す
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/24(月) 15:14:00.30 ID:IhCZs/Ay0
巨大蜘蛛「ギャァァァァ!!!」

姿を現した巨大蜘蛛は一帯に向けて叫び声を上げた

鍛冶兄「ッ!」

鍛冶妹「ひぅ…!」

辺りの空気が、叫び声によりビリビリと振動する

隊員D「信じらんねぇ…」

自衛「糞うるせぇ虫だ…おい!ボケっとしてんな!」

自衛は隊員Dに予備弾の袋を押し付け、指示を飛ばす

自衛「隊員C、ハチヨンを用意しろ!急げ!」

隊員C「わーってるよ!おい、隊員D、行くぞ!」

隊員Cと隊員Dは岩陰に隠れ、無反動砲の射撃準備を始める

自衛「鍛冶兄、お前は妹と隠れてろ!」

鍛冶兄「ちょ、まて!一体どうする気なんだ!?」

自衛「いいからさっさとしろ!支援A、時間を稼ぐぞ!」

支援A「オーイェー!」
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/24(月) 16:59:31.23 ID:IhCZs/Ay0
自衛と支援Aは巨大蜘蛛の注意を反らすため
両脇へ展開する

支援A「さぁ巨大蜘蛛ちゃん、こっちだこっち!」

ドドドドド!

軽機で巨大蜘蛛に攻撃を加えるが、
巨大蜘蛛は注がれる銃弾を、その分厚い殻でことごとく弾いていく

巨大蜘蛛「ギャァァァァ!」

支援A「鉛玉は御気にめさねぇみてぇだな!」

自衛「贅沢な野郎だ、眼球のあたりに撃て!」

ドドドドド!

多数ある眼球の辺りに、再び発砲する支援A

巨大蜘蛛「ギシャァァ!」

巨大蜘蛛は銃撃を加えた支援Aの方を向いた

支援A「おーっと、痛かったかぁ?まぁ、まずは軽いスキンシップからってな!」

巨大蜘蛛「ギャァァァァ!!」ゴォォ

支援A向けて咆哮を放つ巨大蜘蛛

支援A「ワーォ!怒っちまったかぁ!?ハッハァー!!!!!」

テンションが上がったのか、支援Aは巨大蜘蛛の咆哮に大声で笑い返した
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/24(月) 20:23:29.05 ID:D2cUX7GIO
コールくんかよ
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/24(月) 22:05:49.61 ID:2H9C/EL1o
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/25(火) 05:15:35.70 ID:hNfQ/auJ0
799>>
支援Aはアドレナリン中毒スラッシュボール選手のオマージュです、実は
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/25(火) 14:57:37.39 ID:hNfQ/auJ0
ダダダ!

巨大蜘蛛に今度は自衛のバースト射撃が降り注ぐ

自衛「どうした、来いや!かわいがって欲しいんじゃねぇのか!?あぁ!?」

巨大蜘蛛「ギュァァァァ!」

巨大蜘蛛が今度は自衛のほうに振り向く
そして、巨大蜘蛛足の一本を思いっきり振り上げた

自衛「おぉ!?」

自衛目掛けてその足を振り下ろす

自衛「危ねぇ!」

横に跳躍し、それを避ける

ドゴォン!

先程までいた場所に巨大蜘蛛の足が突き刺さり
砂埃が上がった

支援A「おい、こっちだ!おぉい!」ドドド

再び支援Aが銃撃を加え、巨大蜘蛛を引き付ける

巨大蜘蛛「ギシャァァッ!」

今度は支援A向けて、再び足を振り下ろそうとする巨大蜘蛛

自衛「支援A!ギリギリまで見てから横に飛べ!」

ドゴォンッ!

支援A「ウワァーオッ!」

まるでアトラクション感覚で攻撃を避ける支援A
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/25(火) 21:47:44.79 ID:hNfQ/auJ0
自衛「かわいげのねぇ虫野郎だ。隊員C急げ!」

隊員C「やってるさ、黙ってろ!」

ハチヨンの射撃準備を進める隊員Cと隊員D

鍛冶兄「…くそっ!」ダッ

その一方で、自衛達を見守っていた鍛冶兄が

突如、岩から飛び出そうとした

鍛冶妹「ちょ、兄貴!?」

あわててそれを止める鍛冶妹

鍛冶兄「放せ、俺も行く!」

隊員C「何してんだ馬鹿かお前ぇ!?じっとしてろ!」

鍛冶兄「じっとしていろだって!?彼らは戦ってるんだぞ!?
この状況でよくんなことが…!」

隊員C「いいから黙ってここにいろ、ボケが!」

鍛冶兄「そんな!だいたい、君達さっきから何をやってるんだ!?」

鍛冶妹「その筒みたいなのなんなの…?」
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/25(火) 21:51:03.93 ID:hNfQ/auJ0
隊員D「…おし、完了!二人とも離れるぞ!」

鍛冶兄妹の疑問に答える前に、無反動砲の装填準備が完了した

鍛冶兄「は、離れる?」

鍛冶妹「なんで?」

隊員D「説明は後だ、急げ!」

隊員Dは疑問を抱えたままの鍛冶兄妹を
別の遮蔽物へと連れ出した

隊員C「自衛、準備できたぞ!そこをどけ!」

大蜘蛛をからかう自衛達向けて言い放つ

自衛「とっとと撃て!支援A、離れるぞ!」

自衛は言いながら巨大蜘蛛から退避する
それを確認してから隊員Cはハチヨンを構え
照準をつける

隊員C「無駄にでけぇ図体しやがって」

支援Aを追いかけようとした巨大蜘蛛は、
その巨大な胴体の横腹を隊員Cに見せる形となっていた

隊員C「死んでろ!」

悪態を吐き、隊員Cは引き金を引いた
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/26(水) 00:08:04.44 ID:vP3Wwo0e0
ボグワァ!!!

構えたハチヨンが爆音を上げる

鍛冶兄「わ!?」

鍛冶妹「ひゃあ!?」

砲口から弾頭が飛び出し、隊員Cの背後にバックブラストが広がる
弾頭は直進しそのまま巨大蜘蛛の巨体へと直撃


ボッガァァァァァン!!!


巨大蜘「ギャァァァァ!!!」

直撃した弾頭は爆裂し、巨大蜘蛛を爆炎で包み込んだ

隊員C「よっしゃぁ!!!」

鍛冶兄「え…」

鍛冶妹「…うそぉ…」

その光景に鍛冶兄妹は呆けるしかなかった
爆炎が収まり、焼け焦げ、地面にへたりこんだ巨大蜘蛛の姿が現れる

支援A「ハッハーッ!焼き蟹一丁あがりだな!」

鍛冶兄「うそだろ…」

鍛冶妹「今の何…?高位の攻撃魔法…?」

隊員D「違う、ああいう武器なんだ。ともかく、なんとかなったな…」

隊員C「ざまぁみろ、糞バケモンがぁ!」

隊員Dが呟く脇で、隊員Cは巨大蜘蛛に罵声を浴びせる
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 01:55:44.20 ID:RAyaPDbIO
やっぱりデルタじゃないか
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 07:04:09.74 ID:a0rz0Ftho
なんか平和だな
ちょっと起き上がってみたりして欲しい
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 12:00:46.79 ID:VpqZO4IAO
ようやく追いついた
このスレ見て久々にゲート読んだらいつの間にか外伝出ていたのな
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/26(水) 15:23:56.75 ID:4a/vt5V9o
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 18:25:59.03 ID:F/3E+StH0
おつ
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 20:39:16.13 ID:Xp3cXBKAO
支援Aがトリガーハッピー過ぎる…
弾の残りは大丈夫なのか
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 15:02:29.34 ID:Rs4hYsIAO
>>812
鍛冶関係の人が弾丸作ってくれれば大丈夫なのかね…
現代の弾丸がそんなに簡単に作れるのかは知らんが
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 15:41:40.91 ID:Hff1t0SBo
>>812
鉛などの金属材料はともかく、精密な形状加工と火薬の現地生産が難しいと思う。
下手に作っても暴発の危険性がすごく高い。
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/27(木) 16:46:09.49 ID:VugbpCvY0
巨大蜘蛛「ギィィ……」

隊員D「おいおい、まだ息があるぜ」

巨大蜘蛛はまだ生きていた
しかし、その体は満身創痍でとても動ける状態ではない

隊員C「おおぃ、いい加減くたばれよ!」

巨大蜘蛛「ギ…」

支援A「あ?」


巨大蜘蛛「ギョォォォォォォォォォ!!!」ゴォォ


突如、巨大蜘蛛は森全体に響き渡るような叫び声を上げた

隊員C「どわッ!」

鍛冶妹「きゃ!?」

今までに無いほどの叫び声を上げたかと思うと、
巨大蜘蛛は完全に地面に鎮座し、絶命した

隊員C「ッ…!糞うるせぇんだよボケ!」

隊員D「なんつー鳴き声だ…断末魔か?」

自衛「…お前ら、ちょっと黙れ」

唐突に全員に黙るように言う自衛

支援A「あぁん?なんだよ急に…」
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/27(木) 17:20:52.56 ID:VugbpCvY0
ズゥゥン…

支援A「あ?」

支援Aの疑問の言葉を区切るように、振動が聞こえて来た

隊員D「…なんだ?」

ズォン…!

音は川の対岸の森から聞こえてくる

隊員C「…かんべんだぜ、おい…!」

対岸から次第に近づいてくる振動

それに合わせ、木々が次々に倒れれいく音がする

ドゴォォォン!!

支援A「ワォ!」

隊員D「げぇ!?」


超巨大蜘蛛「ギャォォォォォォォ!!!」


対岸の木々が爆発でもしたかのように倒れ
先程の巨大蜘蛛の倍以上はある
超巨大蜘蛛が姿を現した
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/28(金) 18:43:11.55 ID:Yo4SrnJ10
超巨大蜘蛛「ギュォォォォ!!!」ゴォォォ

鍛冶兄「ぐ…!?」

現れるなり、超巨大蜘蛛は咆哮を吐き出す

隊員D「仲間!?いや親蜘蛛か!?」

鍛冶妹「お、怒ってる…?」

支援A「PTAのお出ましだな!!ハッハー!」

隊員C「ふざけんな糞!隊員D手伝え!再装填すっぞ!」

隊員Cと隊員Dは無反動砲の再装填にかかる

超巨大蜘蛛「ゴギャァァァァァァッ!!」

超巨大蜘蛛はその体躯に見合わぬ器用な足裁きで、
中州や川に鎮座する岩を足場に、こちら側へと渡ってくる

自衛「下がれ、渡って来やがる!」

ドォォン!

巨大蜘蛛「ギャォォォォ!!」

渡って来た超巨大蜘蛛は再び鳴き声を上げた

隊員C「糞ごみ虫が!ふざけやがって!」

隊員D「おし!装填完了!」

隊員Dが隊員Cのテッパチを叩き、その場から離れる

隊員C「くたばりやがれ!」カチッ

ドォッ!


ボッガァァァァァ!!!


超巨大蜘蛛「ギャォォォォ!」

爆炎に包まれる超巨大蜘蛛
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/30(日) 18:46:43.38 ID:eyo8GoR6o
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/31(月) 00:14:11.22 ID:ed1o23kW0
カールグスタフの弾喰らって死なない蜘蛛って一体…………
何れぐらい堅い外郭なのだろうか……
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/31(月) 02:05:47.02 ID:4ju4XCgjo
今黄金伝説でクモ食ってるところみた。
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/31(月) 03:18:33.77 ID:CNMUcVtq0
隊員C「一匹見たら30匹ってか?糞が!!」

爆炎が晴れ、超巨大蜘蛛の亡骸が現れると思われた

超巨大蜘蛛「……ギュォォ!」

しかし砲弾の直撃を受けたはずの超巨大蜘蛛は、再び動き出した

隊員C「あぁ!?」

隊員D「嘘だろ…?」

超巨大蜘蛛は表面の殻こそ少し焦げていたが、
致命傷を受けた様子は無く、川岸で踏み縮まっていた

隊員C「ふざけやがって!おい、再装填!」

隊員D「間に合わねぇよ!」

超巨大蜘蛛は体勢を整え、突進しようとしている

自衛「退避だ!」

言いながら、自衛は巨大蜘蛛目掛けて煙幕を投げ放つ
超巨大蜘蛛の周りに煙が立ち込める

自衛「逃げるぞ!森に入れ!」

全員が森の中へと走った
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/31(月) 04:28:00.25 ID:CNMUcVtq0
川沿いから数十メートルの森の中


隊員D「…撒いたか?」

隊員C「少なくとも見失ったみてぇだ…」

森の奥に逃げ込んだ後、各々は木々に身を隠しつつ周囲を警戒する

鍛冶兄「ぜぇ…くそ…!」

鍛冶妹「ひぃぃ〜…」

鍛冶兄妹はかなり体力を消耗しているようだ

隊員C「どこまでふざけてやがんだ!ハチヨン食らわせてもピンピンしてたぞ!?」

自衛「あぁ、主力戦車の正面装甲くらいはあるな」

隊員C「冷静に分析してる場合か!どーすんだ!」

隊員D「おい隊員C、焦るのもわかるがあまり叫ぶな…」

頭に血が上っている隊員Cを隊員Dがなだめる

支援A「しっかし、とーちゃんだかかーちゃんだか知らねぇが、
     大層お怒りのようだったな!」

自衛「ああ、なってねぇ糞親は死体袋へご案内しねぇとな」

隊員C「その死体袋へぶち込む方法を俺は聞いてんだよ」
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2012/12/31(月) 04:29:19.64 ID:CNMUcVtq0
自衛「…おい鍛冶兄、この森に奴を沈められる大きさの池か沼はねぇか?」

鍛冶兄「え、池?」

支援A「急に何言い出してんだお前ぇ?」

鍛冶兄「えっと…2スチルちょっと下流に行けば滝があって、
     その下が湖になってるけど…」

隊員C「で、それがなんだってんだ?」

自衛「簡単だ。やつをそこに誘い込んで、湖にダイブしてもらう」

鍛冶兄「…え!?」

隊員C「はぁ!?」

自衛の発言に一同は驚きを隠せなかった

支援A「正気か自衛!?」

自衛「奴は水に浸かるのを避けてるようだったからな、見てりゃ分かっただろ」

支援A「ああそうかい…」

隊員C「そりゃ…虫が水に弱いのは定石かもしんねぇけどよ?」

隊員D「危険過ぎでは…?」

自衛「他にいい案があるなら言ってみろ、絶賛募集中だ」

一人冷静な口調で、唖然とする一同を見渡す自衛

隊員C「…わーったよ、その最悪なまでにありがてぇプランを試すとしようぜ…」
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/02(水) 05:22:00.82 ID:+K/uFCodo
複合装甲蜘蛛
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/02(水) 13:30:23.03 ID:En8h3wrY0
蜘蛛硬過ぎワロタwwww
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/02(水) 14:41:07.88 ID:sDhpKeMxo
戦車の主要装甲なみの硬さの蜘蛛を現地人はどうやって撃退するんだろうな
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/02(水) 15:57:14.26 ID:ucL5WdOK0
120mmクラスの火力を持つ魔法を使うんじゃね?
村の魔法使いAとかが普通に。
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/02(水) 20:46:23.15 ID:PI/Ht7x5o
普通に水系の魔法だろ。窒息でもなんでも
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/02(水) 22:34:01.02 ID:ucL5WdOK0
いや、馬鹿みたいな速度でに動き回るでけぇ蜘蛛に対して、窒息するまで捕らえ続けられるかと言うことと。
蜘蛛だって必死に暴れるだろうから、そうすると水系はキツいかなと……
829 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/02(水) 23:21:37.60 ID:KHdvmP2mo
感電させればいいんじゃね?
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/02(水) 23:31:23.00 ID:TWmnczUgo
お前らどうでも良いこと気にしすぎ
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/03(木) 03:15:02.53 ID:9fTqIxcAO
普通は森を立ち入り禁止にして放置だろうな
討伐は強騎士団か勇者の仕事だ
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/04(金) 13:45:15.41 ID:t6Z/mGiX0
それ以前に巨大蜘蛛の眼をみたら気絶する。怖い
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/04(金) 22:43:23.01 ID:S7XF3Dqyo
普通にどっか柔らかいところとか
酸に弱いとか弱点があって
現地の人はそこを攻めて倒すんじゃないかな
100人単位の犠牲とトレードで
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/05(土) 03:14:36.72 ID:nUiUO9Wao
何でお前らそんなに蜘蛛倒したいの?
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/05(土) 04:00:31.55 ID:VrBlI3UIo
ロマンだろ
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/05(土) 09:37:24.02 ID:v0/P3w2AO
益虫なんだけどなあ
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/05(土) 10:47:25.10 ID:6TflEopto
>>1もびっくりだろうな
強いモンスター出して、自衛隊に苦戦させたら異世界の人はこれをどうやって倒すのかっていうバカみたいな議論が始まったんだから
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/05(土) 13:26:36.15 ID:6iBxmTyx0
ピクミンのダマグモとかやばかったな
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/05(土) 17:52:32.61 ID:AcJbDqCoo
普通にあのサイズで
しかも人を襲ってくるんだから
人間にとって脅威だろ
小さい街なら壊滅しそう
現地の人に倒す手段がないなら大きい街や王都ですら危うい
文明が今の形態とは違うモノになるレベルの災害クラスだ
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/05(土) 19:49:22.65 ID:ze409pK8o
だからこんなん森に居なかったと驚いてるんじゃん
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/05(土) 21:18:46.71 ID:HUI6T1uM0
俺はピクミンの何だっけ……
腹の下から、弾撃ってくる蜘蛛……

取り敢えず、あいつは狩りがいがあって楽しかったわ。

……やべぇ。殺りたくなってきたわ。
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/06(日) 03:45:35.03 ID:tbAvevll0
しばらく森を進むと、再び開けた場所に出た

鍛冶兄「着いた、ここだ」

開けた場所は崖の上だった
そして崖の下には大きな湖が広がっていた
崖は湖に沿うように弧になっている
先程の川や、視線の遠く先には別の川が
滝になって湖へと流れ込んでいる

支援A「絶景ってやつだなおぉい!」

隊員D「予想以上に広いな…」

自衛「今は観光してる余裕なんざねぇぞ。
    隊員C、支援A、川の向こうに渡ってハチヨンを撃てるようにしとけ。
    それと、二人を安全な場所に退避させろ」

隊員D「俺等はどうすんです?」

自衛「あのバケモンをここまでおびき寄せる」

鍛冶兄「本気なのか?かなり危険だぞ?」

支援A「あんまりいい案とは思えねぇんだよなぁ…」

自衛「殺らなきゃ死ぬぞ、とっとと準備しろ。
    時間は多くねぇからな」

隊員C「だとよ、ありがたいお言葉に従うとしようぜ」
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/07(月) 05:05:17.17 ID:y1ItMNCl0
自衛と隊員Dは超巨大蜘蛛をおびき出すため、再び森へと入っていった

隊員C「さて、かかるとすっぞ」

支援A「川を渡んねぇとなんねぇよなぁ、面倒臭ぇ…」

隊員C「待った。おい、確かお前見える範囲ならジャンプできるっつったよな?」

準備を始めるようとする支援Aを止めつつ、鍛冶妹に尋ねる

鍛冶妹「へ?じゃ…?」

隊員C「転移魔法のことだ。向こうまで俺らを運べるかって聞いてんだよ」

鍛冶妹「あ、ああ…それくらいならできるよ。
     ただし転移の直前と直後は無防備になるけど…」

隊員C「支援A、予備弾よこせ。向こうは俺が先に行って警戒する。
     お前はこっち側から援護しろ」

支援A「分−った」

支援Aは弾薬袋を渡し、軽機を構える

隊員C「転移中はあいつが見張る」

鍛冶妹「分かった、ちょっと待って。兄貴、これ持ってて」

鍛冶妹は自分の斧と荷物を鍛冶兄に渡す

鍛冶兄「慎重にやれよ」

鍛冶妹「分かってるよ」

鍛冶妹は荷物を渡すと、少し離れた場所へと歩く
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/07(月) 05:07:08.23 ID:y1ItMNCl0
鍛冶妹「一緒に転移する人はできるだけあたしの近くに立って」

隊員C「あぁ?」

装備を持ち、鍛冶妹の目の前に立つ隊員C

隊員C「こんくらいでいいかよ?で、一体どうするってんだ?」

鍛冶妹「ん、そっから動かないで。あと詠唱中は変にうるさくしないでね?」

隊員C「へーへー、善処しましょうか」

鍛冶妹「ホント頼むよ…」

言うと鍛冶妹は自分の体を抱くような体勢をとる

鍛冶妹「スゥ…」

そして目を瞑り、軽く息を吸い込むと詠唱を始めた

鍛冶妹「…………」

しばらく詠唱し続ける鍛冶妹を、隊員Cは懐疑的な目で見ている

鍛冶妹「…………」

支援A「…よぉ、何も起こんねぇぞ?」

鍛冶兄「もう少しだ」

その次の瞬間だった

鍛冶妹「……ッ!」

バシュゥッ!

支援A「ウワォッ!?」

鍛冶妹の口が止まると同時に、風が切るような音がし
突然隊員Cと鍛冶妹の姿が消えた

支援A「おい、ヤツらは?」

鍛冶兄「対岸に出てくるはずだ」

一拍置いて、皮の向こう岸に二人の姿が現れた

支援A「…アンビリーヴァヴォーだぜぇ…!」
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/07(月) 05:11:10.12 ID:y1ItMNCl0
対岸では詠唱を終えた鍛冶妹が体勢を解く

鍛冶妹「…っ、無事着いたよ」

隊員C「あ?別に何も起こって…
     ホントかよおい…!」

隊員Cが立っているのは確かに川の対岸だった

隊員C「一瞬視界が揺れたような気はしたけどよ…マジでジャンプしやがった…」

支援A「ヘーイ!隊員C、見えてるか!?」

対岸では支援Aが大笑いしながら手を振っている

支援A「結構心臓に悪い消え方しやがったなぁ!」

隊員C「勘弁してほしいねぇ、本気でありえねぇぜ!」

悪態を吐きながら頭を掻き毟る隊員C

鍛冶妹「…何に怒ってるのか知んないけど、あたし達からすれば
     ありえないのは君達の方だかんね?」

隊員C「ああそうかい、じゃあお互い様だな?
     こっち見張ってっから、とっとと向こうの二人を運んで来い」

鍛冶妹「はいよー…」
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/09(水) 01:20:25.77 ID:FA4KEg6X0
自衛と隊員Dは来た道を戻りつつ、超巨大蜘蛛を探す

自衛「ハシント応答しろ。ジャンカー4だ」

自衛は蜘蛛を探しつつ、指揮車と通信を行っていた

82車長『自衛か!?おい、大丈夫なのか!?さっきから爆音やら妙な叫び声みたいなのが
     ここまで聞こえて来てるぞ!?』

自衛「ああ、例の巨大蜘蛛は黙らせたが、その親みたいなのが出てきてな。
    こっちは今、一時退避中だ」

82車長『ホントかよ…待ってろ。川沿いから森に指揮車が入れそうだ。
     そっちに応援に向う。』

自衛「やめとけ。こんな狭い森の中で奴相手じゃ、
指揮車じゃ返って危険だ」

82車長『そんなにヤバイ相手なのか…?お前らはどうすんだ!?』

自衛「わめくな、こっちはこっちでプランがある。
それより武器を揃えて森の出口を見張ってろ。
    蜘蛛のバケモンだろうが皺のブサイクだろうが、とにかくそこを通すな!」

82車長『わかったわかった…だが、なんかあったらすぐに連絡をよこせよ?』

自衛「了解、交信終了」
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/09(水) 03:50:41.36 ID:FA4KEg6X0
隊員D「…士長、いいっすか?」

自衛「あ?」

隊員D「正直な話、俺は無理にあいつを倒さなくても良いと思うんですが?」

自衛「なんでそう思う」

隊員D「最初の蜘蛛もあの親蜘蛛も、体中に土やコケがついてました。
     んでもって鍛冶屋のにーちゃんは、この森であんなバケモンは見たことねぇと言ってた。
     あの蜘蛛共、かなり長いこと眠りについてたんでしょう」

自衛「おそらくな」

隊員D「あいつらきっと起こされて上に住処を荒らされたから
     腹立ててるんだと思います。
     俺達が森から出て行けば、それ以上は手を出してこねぇんじゃないですか?」

自衛「確証が無ぇ。起きた原因が俺達やあの皺共とは限らねぇぞ。
    第一、あいつの仲間だかをあの世送りにしちまってるしな」

隊員D「まぁそうですが、奴と真正面からぶつかんのは…っとぉ!?」
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/09(水) 03:55:15.31 ID:FA4KEg6X0
言いかけた隊員Dは、自分の足裏にグニッという妙な感覚を感じた

隊員D「なんだぁ?…げ」

隊員Cが踏んだのは、生き物の腕だった
肘と思われるあたりで千切れ、血液が地面に染み出ている

隊員D「なんじゃこりゃぁ…」

自衛「皺共のパーツだな。見ろ、そこらじゅうに転がってる」

周囲にはゴブリンの体の一部らしき物が複数転がっていた

隊員D「…悲惨だなおい…こいつらも襲われたのか?」

周囲を見渡していたその時だった

ガサガサ

近くの草むらが音を立てて揺れる

隊員D「ッ!…おいおい」

バッ!

ゴブリンの群れ「キィィ!」「キキッ!」

草むらから複数のゴブリンが飛び出し、襲い掛かって来た

隊員D「また出やがった!うぜぇ!」

自衛「自分の命を大事にしねぇ奴らだ」ジャッ
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/10(木) 12:37:20.36 ID:+sZfuc38o
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/11(金) 03:50:59.17 ID:VNRb+CR+0
ゴブリンを迎撃しようとしたその時だった

ズォォン…

自衛「…糞ったれが」

聞きなれた地響きに、自衛は悪態を吐き
ゴブリン達も動きを止める

ズォォォン…!

森の中のせいか、地響きの方向がいまいちはっきりしない

隊員D「どっちからですか!?」

自衛「わからん、よく聞き分けろ」

その次の瞬間だった

ドゴォォォォォン!

超巨大蜘蛛「ギャォォウ!」

ガブゥッ!

ゴブリンの群れ「ギ!?」「ギョ…」ブシュッ

隊員D「げぇ!?」

木々を薙ぎ倒し姿を現した超巨大蜘蛛は、
そのまま大口を空けてゴブリンの群れに突進
数匹いたゴブリンの群れを一のみにした

自衛「笑えねぇ冗談だな」

ドォン!ドォン!

こちらに向き直る超巨大蜘蛛

ゴギュ…ゴギュ…ボトリ

不気味な音を立てて動く超巨大蜘蛛の口から、
ゴブリンの体の一部がこぼれ落ちる

隊員D「あの野郎…ゴブリン食ってやがる…!」
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/11(金) 11:46:33.62 ID:OiJQbpvF0
コレは既に”自衛”隊じゃないだろう・・・
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/11(金) 12:17:48.10 ID:TZPn8Yf8o
>>851
君は自衛隊が防衛戦をしてたら
これは自衛隊じゃないっていうんだね
自衛隊をただの置物かなんかだと思ってる人?
なに、軍靴の幻聴でも聞こえんの?
精神科閉鎖隔離病棟のいいとこ調べて教えてあげるから行ってきなよ
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/11(金) 13:47:42.25 ID:6zpG7dpIO
例えば支那から対艦ミサイル撃たれて護衛艦が超法規的措置で確認無しに迎撃したりしたら
>>751は憤死してしまいそうだわ!
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/11(金) 13:48:24.44 ID:6zpG7dpIO
>>851だったわ。恥ずかしい。
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/11(金) 13:59:47.04 ID:lvkcNukMP
気にするな
安価違いより>>853のレスの方が恥ずかしい
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/12(土) 02:36:27.98 ID:pjT7VHar0
ゴブリンが最近可哀そうに思えてきたww
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/13(日) 00:47:38.38 ID:vhDTIFzO0
超巨大蜘蛛「ギャァァァァァァ!」

向き直った超巨大蜘蛛は、口内の噛み砕かれたゴブリンと共に咆哮を吐き出す

隊員D「どわっち!」

自衛「食ってる最中にさけぶんじゃねぇ、糞虫が!」ジャッ

自衛は小銃に装填しておいたてき弾を超巨大蜘蛛の顔に向ける

ボウッ!

ズガァァン!

超巨大蜘蛛「ギュァァァァ!」

てき弾が頭部に命中し、超巨大蜘蛛は一瞬怯む

自衛「走れ!」

その隙に自衛達は超巨大蜘蛛から離れ、湖の咆哮へと走った

自衛「隊員D、お前の意見は却下だ。あの肉食のバケモンを森から出すわけにゃいかねぇぞ」

隊員D「あー、わかりましたよ…なんとかしましょう!」
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/13(日) 23:57:24.78 ID:GqTHEXmk0
湖の咆哮ww話の上げ足とってすまん
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/14(月) 01:02:46.87 ID:/9f2U5QIO
>>858
じゃあ、死のうか
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/14(月) 13:50:21.85 ID:fmW2BxsUo
>>859
ワロタ
デカい蜘蛛ってよく考えてみればかなりキモいなwwwwww
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/14(月) 16:18:42.59 ID:txS4he0wo
The地球防衛軍2を思い出すな
実際にあんなんに迫られたら…
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/14(月) 17:51:36.61 ID:ZbaXizCno
こいつの死骸が回収できたらものすごい便利な気がする
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/14(月) 17:59:26.17 ID:o+maL85uo
>>862
外骨格だけじゃなくて
角度と内部生体部分による衝撃吸収
また複数ある脚のサスペンション
などなどによる複合効果でしょ

でもまぁ物資が限られる現状では色々使えそうではあるよね
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/15(火) 00:48:19.88 ID:+TDYu0AIO
ワロン
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/15(火) 18:18:00.07 ID:cs1p3bmV0
ヤバい、糞面白いの見つけたわ
自衛隊側に
こんだけ人数が多いと、いつか死人も出るんかな。
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/15(火) 18:21:09.20 ID:ElGXn2Gg0
10式、90式、自走高射砲後で登場しないの?
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/15(火) 22:49:02.93 ID:ElGXn2Gg0
続きマダー?
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/16(水) 06:11:32.86 ID:pzAB/h170
自衛と隊員Dは超巨大蜘蛛をおちょくりつつ森を移動、
やがて崖へとたどり着いた

森から飛び出した自衛達は、森のほうに振り返る

自衛「隊員C!そっちは準備できてるだろうな!?ヤツがもうすぐ来るぞ!」

隊員C『いちいち言わんでも分かってるよ。こっちは対岸だ、いつでも撃てる。』

川の向こうに隊員C達の姿が見える

自衛「鍛冶兄妹は退避させただろうな?」

隊員C『後ろの岩に隠した。そのまま突っ立たせとくよりはマシだろ?』

自衛「いいだろう。射撃のタイミングはそっちに一任する、ヤツが隙を見せたら撃て」

隊員C『言われるまでもねぇよ』

自衛「とにかくヤツの息の根を止めることだけ考えろ、頼むぞ。」
    隊員D、携帯放射器をよこせ」

隊員D「へい…よっと、どうぞ!」

隊員Dは背負っていた携帯放射器を降ろし、自衛へと渡す

自衛「森から出てきたあいつを炎でビビらす。ヤツが怯んだら、後は手筈通りにだ」

隊員D「了解」

ドゴォォォン…

森の奥から、もはや聞き飽きた振動が聞こえて来た

隊員D「っと」

自衛「来やがったな」
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/16(水) 06:38:05.53 ID:pzAB/h170
ドッゴォォォォォン!

超巨大蜘蛛「ギシャァァァァ!!!」

超巨大蜘蛛は木々や草を薙ぎ倒し、土煙を纏ながらその姿を現した

自衛「よぉー、元気か?」

超巨大蜘蛛「ギャァァ」ズッ

自衛達を見つけ、その巨体を身構える超巨大蜘蛛

隊員D「怒れるタイタンのおでましだ」

自衛「さぁて、ビビッてもらうとしようぜ」ジャキ

超巨大蜘蛛「ギシャァァッ!」グォッ

超巨大蜘蛛が攻撃に移ろうとした瞬間、超巨大蜘蛛の頭部目掛けて火炎放射器のトリガーを引いた


自衛「ウォラァァァァァァッ!!!!」

ゴォォォォォォォォォォ!!!!!


超巨大蜘蛛「ギャゥゥゥ!?」ザザッ

突然の炎に超巨大蜘蛛は体勢を崩し、数歩退いた

ダメージは殻の表面が少し焦げた程度だったが、牽制としての効果は覿面だった
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/16(水) 08:32:34.25 ID:xrlLXHbFo
わっ… く わく
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/17(木) 10:23:44.15 ID:Fx0BFxcAO
自衛隊って実際に火炎放射器持ってるけど本当に何に使うんだろうと思う。
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/18(金) 23:42:56.25 ID:mA9IogM1o
>>871
汚(染)物の消毒
細菌兵器の処分
過去に外国産バナナに付着したコレラだかなんだかを焼却してる
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/19(土) 03:50:48.94 ID:zCVL+f9p0
自衛「走れ!」

超巨大蜘蛛が怯んだ隙に、自衛と隊員Dは崖に向けてダッシュした

超巨大蜘蛛「ギュゥゥ…ギャォォォォ!」ドォォッ

体勢を立て直した超巨大蜘蛛は、驚かされたことに腹を立てたのか、
叫び声を上げながら猛突進して来る

隊員D「来やがった!」

自衛「よぉし、左右に飛べ!!」

崖際少し手前までダッシュした自衛と隊員Dは、
超巨大蜘蛛がギリギリまで近づいた所で両脇に飛んだ

超巨大蜘蛛「ギャォォ!?」

突然の事態に驚く超巨大蜘蛛

ドガッ!

超巨大蜘蛛は自分の足を地面に突き刺し、ブレーキを掛けた

ズズズズズッ!

そしてその巨体をしばらく引きずったのち、ギリギリの所で踏み留まった
地面に超巨大蜘蛛の足の後が残る

隊員D「あーあ…」

自衛「そう簡単にダイブしちゃくれねぇようだな」
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/19(土) 04:45:55.44 ID:zCVL+f9p0
超巨大蜘蛛「ギャォォ!」グォ

踏み止まり体勢を立て直した超巨大蜘蛛は、自衛の方を向く

隊員D「士長、こいつに懐かれたみたいっすよ」

自衛「生き物には、俺様の魅力がよくわかるのさ」

隊員C『言ってろ』

超巨大蜘蛛「ギャァァァァァァ!」グォォ

超巨大蜘蛛は前足を振り上げると、自衛目掛けて振り下ろした

自衛「危ねぇッ!」ダッ

ドガッ!

跳躍し攻撃を逃れるが、さらに別の足が襲い掛かる

自衛「のろまがぁッ!」バッ

ドゴォッ!

しかし次の攻撃も横転して避けて見せる自衛

自衛「っと、そんなんじゃ退屈だぞ!あぁ!?」

体勢を整えた自衛は、さらに超巨大蜘蛛を挑発する
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 18:11:14.35 ID:21B+oaduo
 乙乙乙乙
     乙   
    乙  
   乙   
  乙    
 乙       乙 
  乙乙乙乙乙乙 
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/20(日) 10:22:36.74 ID:N/eFNcwK0
超巨大蜘蛛「ギャガァァッ!!」グォォッ

痺れをきらしたのか、超巨大蜘蛛は体全体を振り上げ
前足を一斉に振り下ろそうとする

ドッゴォォォォォォ!!!

超巨大蜘蛛「ギャォォォォォォ!?」

だが振り下ろす前に、超巨大蜘蛛の胴体は爆炎に包み込まれた

隊員D「おわっと!?」

隊員C『腹が丸出しなんだよ、糞虫が!』

対岸から隊員Cがハチヨンを撃ったのだ

超巨大蜘蛛「ギギ…ギュァァ…」

ドゴォォッ!

バランスの悪い体勢で攻撃を食らった超巨大蜘蛛は、
土煙を上げ、地面へへたり込んだ

自衛「おー、やべぇやべぇ」

隊員C『どうだ自衛!?そいつ死んだか!?』

自衛「いんや、まだ生きてやがる」

超巨大蜘蛛は表面の殻こそ焼け焦げているが、
その体をゆっくりと起き上がらせようとしている

隊員C『どこまでふざけてやがんだ!』

自衛「だが、いいタイミングだった。普段からそれくらい気をきかせたらどうだ」

隊員C『じゃあお前の給料全部よこせよ、糞ったれ』
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/20(日) 13:47:37.58 ID:N/eFNcwK0
対岸

自衛『お前ぇにやるくらいなら燃やして捨てるさ。それより次の射撃準備をしとけ!』

隊員C「ああ、分かったよ糞が。支援A、手ぇ貸せ」

支援A「全然くたばんねぇなあの野郎?」

隊員Cと支援Aは無反動砲の再装填を始める

鍛冶兄「…ありえねぇ…」

鍛冶妹「夢でも…みてるのかな…」

一方、後ろの岩陰に隠れるよう言われた鍛冶兄妹が
そこから対岸の戦闘の様子を見ていた

鍛冶兄「さっきの見たか…?」

鍛冶妹「自衛って人…ブレスを吹いたよ…?」

隊員C「おいお前ら、下手に頭出すな!おとなしくしてろ!」バックドラフトで黒焦げになりてぇか!?」

鍛冶兄「そうは言われても…あんたら本当に何者なんだ!?
     俺にはもう分けがわからない!」

隊員C「後でうんざりするくらい説明してやるよ!いいからじっとしてろ!」

支援A「おい、あいつ見ろや!」

支援Aが超巨大蜘蛛を示す
起き上がった超巨大蜘蛛はこちらに気がついたのか、頭をこちらへと向けた

鍛冶妹「ひぃ…!」

隊員C「ああ糞!」

支援A「こっちに気がつきやがったぜ!」

その瞬間、超巨大蜘蛛に火炎が襲いかかった
炎を浴びせかけられ、
超巨大蜘蛛の注意は、再び対岸の自衛達に向いた

隊員C「おし!今のうちだ、さっさと装填しちまうぞ!」

鍛冶兄「……神兵……」
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/20(日) 19:46:32.83 ID:U3zLx0ZU0
GoWっぽい…?
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 20:58:22.77 ID:RBUCKfH1o
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 02:14:59.68 ID:BYLfcQA1o
バックドラフト・・・
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/21(月) 16:13:52.20 ID:okyIVV3f0
oh バックドラフト違った
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/21(月) 17:22:29.26 ID:okyIVV3f0
再び自衛側

自衛「余所見厳禁だボケ!」

再び火炎を浴びせかけ、超巨大蜘蛛の注意をこちらに戻させる

超巨大蜘蛛「ギャァァ…ギシャァァァァ!!」

超巨大蜘蛛は一瞬どちらを優先すべきか悩んだようだったが
結局こちらへと向き直った

隊員D「ハンパに脳みそ使ってんじゃねぇよ!」

超巨大蜘蛛「ギュァァァ!」ゴァッ

向き直った超巨大蜘蛛は再び突進を仕掛けて来た

隊員D「おわッ、来る!」

自衛「飛べ!」

ドッゴォ!

隊員D「どわっ!?」

超巨大蜘蛛「ギャァァ…ッ!」ズズズッ

しかし超巨大蜘蛛は、ほんの数メートル進んだ所で突然体勢を崩し
その巨体を地面に引きずった

隊員D「勝手に倒れやがった!?」

超巨大蜘蛛「ギュァァァ…!」ノソッ

超巨大蜘蛛は体を起こすが、その動作は目に見えて鈍くなっていた

自衛「隊員Cいい知らせだ。どうやらハチヨンのダメージは通ってるみてぇだぞ」

隊員C『見えてる。二発もぶち込んだんだ、殻は無傷でも内臓は無事じゃねぇだろうよ。
     そうでもなきゃやってられっかよ!』
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/21(月) 17:27:33.36 ID:okyIVV3f0
超巨大蜘蛛「ギュォォォ…ギャゴォォォォ!」

ドガッ! ドガッ! ドガッ!

隊員D「どわぁ!」

自衛「やべぇッ!」

起き上がった超巨大蜘蛛は突如、めちゃくちゃに足を振り下ろし始めた

ドゴォ! ドガッ!

隊員D「めちゃくちゃに攻撃して来やがるぜ!」

自衛「ぶちキレやがったな。隊員C、こいつを黙らせろ!」

隊員C『待ってろ!』

対岸で隊員Cは無反動砲を構える

隊員C『…ああ糞が、動き回んな…』カチッ

ゴァッ!

対岸から再び無反動砲弾が発射される

ボッガァァァ!

隊員D「うおッ!?」

しかし弾頭は大きく動く超巨大蜘蛛には命中せず、超巨大蜘蛛の足元で爆破した

隊員D「馬鹿、ちゃんと撃てよ!」

隊員C『文句言うんじゃねぇ、糞が!』
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/21(月) 21:02:50.28 ID:okyIVV3f0
超巨大蜘蛛「ギャァァァァァァ!」

ドゴォ!

超巨大蜘蛛は最後の一撃を振り下ろした後、
攻撃を止め、数歩引き下がった

超巨大蜘蛛「ギャァァァッ!!」ゴォォ

超巨大蜘蛛もかなり疲弊しているようだが、
それでもは退く気配はまったく見られず、叫び声を上げる

自衛「いい加減くたばれよ!おいコラぁ!?」

咆哮に対して怒り返したその次の瞬間だった

ゴゴ…

自衛「…あ?」

隊員D「ん?」

突如、付近から伝わってくる微かな振動音

ゴゴゴゴゴ…!

隊員D「な、なんだぁこの音?またお仲間か!?」

自衛「いんや、…こいつは違う」

ゴゴゴゴゴ!

ピシピシピシ…

振動音は次第に大きくなり、地面に微かに亀裂が走る

隊員C『おい、自衛!』

自衛「分かってる、わめくな!」

わずかに走った亀裂は瞬く間に全体へ広がってゆく

そして
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/21(月) 21:08:15.49 ID:okyIVV3f0
ビシッ

ゴッシャァァァァ!!!!!

自衛「げぇッ!」

隊員D「うぉぁッ!?」

超巨大蜘蛛「ギシャァァァァァ!?」

自衛達のいる崖際一体が崩壊した

無反動砲による衝撃や、暴れまわる超巨大蜘蛛の重圧に、
湖際の水気を含んだ地面は耐え切なかったのだ

崩壊した一体は土砂となり、雪崩のように湖へと流れ落ちてゆく

超巨大蜘蛛「ギシャァァァァァ!!?」ズズズ

土砂に流され、超巨大蜘蛛は崩壊によってできた斜面を滑り落ちて行く

隊員D「やばッ!あっぶねぇな!って…士長!?」

自衛「ふざけやがってッ!!」

隊員Dはなんとか崩れた範囲外へ逃れたが、
自衛は地面の崩壊に巻き込まれ、土砂と共に数メートル流される

自衛「どぉらッ!」ドスッ

途中で地面の裂け目に鉈を突き立て、どうにかで留まった
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/22(火) 12:10:37.26 ID:JZOVqCPwo
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/23(水) 17:32:40.40 ID:tekhDOoD0
自衛「やっべぇやっべぇ」

隊員C『おい自衛無事かよ!?』

自衛「一応な!愉快じゃねぇアトラクションだ!」

一方の超巨大蜘蛛も、落ちるギリギリのところで斜面に足を突き立て
落下を間逃れていた
上ろうにも斜面の土は脆く、別の足を突き立てようとしてもすぐに崩落してしまう
今、超巨大蜘蛛の足を掴み支えている地面も長くは持たないだろう

超巨大蜘蛛「ギシャァァ!!ギィギャァァァァオ!!」

超巨大蜘蛛はその怒りと悔しさをぶつかるかのように
目の前にいる自衛に対して叫び上げる

自衛「なんだ馬鹿ヅラでファビョりやがって。
楽しいダイビングを用意してやったんだぞ?」

超巨大蜘蛛「ギャァァ!」ガブッ バクッ

挑発が理解できるのか、超巨大蜘蛛は自衛を食い殺してやりたいとばかりに
そのおぞましい口内を覗かせながら、バクバクと口を動かす

自衛「気色悪ぃモン見せやがって、俺がお食事中だったら殴り倒してる所だ」

趙巨大蜘蛛「ギュォォォォォォォ!!!」
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/23(水) 17:56:59.97 ID:tekhDOoD0
自衛「俺の優しさに感謝しな。空腹のお前にいいもんをご馳走してやるよ」

そう言うと自衛は手榴弾を掴みだした
ピンを抜き、それを大きく開かれた超巨大蜘蛛の口目掛けて放り込んだ

超巨大蜘蛛「ギュ…?」

手榴弾はいとも容易く口の中へと入り込み
そのまま超巨大蜘蛛の喉の奥へ

そして数秒後


ボゴォッ


超巨大蜘蛛「ギュゴォォォォォォォ!!!?」

超巨大蜘蛛の体内から鈍い爆発音が聞こえ、
それと同時に、超巨大蜘蛛は今までに無い苦痛の叫び声を上げた

趙巨大蜘蛛「ギャシャァァ!?ギギュァァァァ!!?」

痛みにもがき苦しみ、大きく暴れる
それに耐え切れず、ついに趙巨大蜘蛛の足を掴んでいた地面が崩壊した

趙巨大蜘蛛「ギャァァァァァァァァァァ!!!」

その巨体は崖を離れ、超巨大蜘蛛は大量の土砂、
そして森中に響き渡るかのような断末魔と共に
眼下の湖へと落下していった
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/25(金) 09:34:39.94 ID:Cc30JU0g0
ボッシャァァァァァン!

盛大な音と水しぶきを上げて湖に沈む超巨大蜘蛛

超巨大蜘蛛「…ギャァァ…!ギシャァァァ!」バシャバシャ

沈むまいと必死にあがく超巨大蜘蛛だったが、
仰向けになり、なおかつ内外共にダメージを負った体ではそれも無意味な行為だった

隊員C『どうするよ!?どてっ腹にもう一発叩き込むか!?』

自衛「必要無ぇ、じき沈む」

超巨大蜘蛛「ギャァァッ!ギャッ…!ギュォォォ……」ボシャッ グブッ

死に物狂いでもがいていた超巨大蜘蛛だったが
数十秒後には、その巨体を完全に湖へと沈めた

自衛「…あばよ」

言うと自衛は銃剣と鉈をピッケル代わりに、崩れた斜面を上る

隊員D「士長!」

自衛「隊員D、手ぇ貸せ」

隊員Dの手を借り、自衛は崖の上に登り付いた

隊員D「肝が冷えましたよ…やりましたね」

自衛「ああ、かなりサプライズだったが、結果オーライだ」

振り返ると、湖では未だに不規則な波が起こっている
湖には超巨大蜘蛛のシルエットが浮かんでいた
超巨大蜘蛛は沈んでもなお、湖のそこでもがき続けているようだ

隊員D「なんて生命力だよ…」

自衛「ああ、ぞっとしねぇ。だが、じき息絶える」

シルエットの動きは見る見る内に鈍くなり、やがて完全に動きを止めた
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/25(金) 22:54:44.88 ID:Cc30JU0g0
自衛「くたばったか」

隊員D「南無阿弥陀仏…っと」

支援A『おい、下見てみろよ』

隊員C『こりゃ選び放題だな。探す手間が省けた』

対岸の支援A達が眼下を覗き込んでいる

眼下の湖の周りには今まで以上の草木が生い茂り、巨大な木も多数見受けられた

隊員D「まさに大自然!ってな」

隊員C『だがよ自衛、切り出しはさすがに明日に回してもらうぞ。
    じゃなきゃ俺はこの場で辞表を書き出すからな!」

自衛「お前が辞めようと知ったこっちゃねぇが、前半は尊重してやるよ。
  記録写真を撮って撤収だ」


wikiを少し追加訂正しました
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/26(土) 13:47:13.21 ID:AsSo+rTgo
乙りんこ
自衛達のノリがアメリカンでワロタ
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/26(土) 23:47:17.01 ID:VISIo2ac0
↑全くだw

情景が字幕映画で脳内再生されるわ
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 00:11:33.52 ID:CBQiDgnbo
>>891
お前がそんなこというから自衛隊が自衛隊じゃなくなってきたぞどうしてくれる
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 00:29:35.28 ID:ma8IGUH6o
乙っすー

ここの自衛隊は、元の世界でもキナ臭いことになっていて争いに慣れているだけだから(震え声)
あぁ、コイツらが筋骨隆々の海兵隊で脳内再生されるw
895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/27(日) 16:58:52.36 ID:qh8hwAol0
弾の問題はどうするんだろう?
追々自衛隊の応援来るのだろうか?
ロングボウやイージス参戦して欲しい
896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 17:08:36.60 ID:oegc7kgqo
>>895
その辺も物語が進んだら判ること
弾どうするかは俺なりの予測はあるがそれを口にすると作者の邪魔になるから
弾問題が話されたら俺の予想を口にしようと思っている

気持ちは解るがグッと堪えることも読ませて貰ってる立場には必要だ
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 17:29:04.80 ID:4xtW5cvNo
いや、ずっと口にしなくていいからな。
そんなのはblogにでも書いてくれ。
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 17:43:57.32 ID:pM0oOhP0o
>>896
弾について作中で言及されても予想は書かなくていいから
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 18:31:34.61 ID:Of/h9Bino
黙ってろボケ
どうしてもレスしたい時は乙の一文字だけ許可する
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/27(日) 19:43:31.02 ID:t0Sv6ltc0
数十分後 燃料探索隊野営地

自衛達は森を出て82車長達と合流
野営地へと帰還した


補給「…信じられん…」

補給はデジタルカメラの画面を見ている
画面には最初に倒した巨大蜘蛛が映っている

補給「本来なら合成写真を疑うところだ…」

巨大蜘蛛の横には対比の目安にと、
勝手にキメポーズを決めた、自信満々の顔の支援Aが写っている
ボタン操作で次の画像に移ると
今度は崖の上から写した、湖に浮かぶ超巨大蜘蛛のシルエットの画像

自衛「信じられねぇのも無理はありませんが、こいつらは全部ホンモンです。
    デカい方に関しちゃ、殻の固さは戦車並みはあります」

補給「そんなにか…?」

自衛「84mm弾を食らわせても貫通できませんでした。
    もっとも、内臓にダメージは入ってましたが」

82車長「とんでもねぇな…」

自衛「幸いにも帰り道で遭遇はしませんでしたが、他に居ないとも言い切れません。
    増援が到着したら捜索したほうがいいでしょう。
    それまでは、森の入り口に対戦車火器を集中して、見張っとくべきです」

補給「そうだな…分かった、交代で監視を行おう」
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/27(日) 20:23:52.04 ID:t0Sv6ltc0
82車長「そういや、適当なデカさの木が見つからねぇって聞いたけどよ?」

自衛「それは問題ねぇ。親玉を沈めた湖の周辺に
バーゲンセールみたく巨木が生えてたからな。
補給二曹、明日は捜索と平行して運び出しを」

補給「なんにせよ本格的にかかるのは増援が到着してからか…
    所で、あの兄妹は大丈夫だったのか?」

自衛「ああ、疲労こそしてましたが、怪我等は特には。
    一応、衛生に見させてから家に送り届けました」

補給「本当に犠牲が出なかったのは何よりだったな…。
    よし、82車長。施設A三曹と監視組の編成をしてくれるか?」

82車長「了解、すぐにかかります」

補給「頼む」

82車長は返答後すぐにその場を後にした

補給「自衛、ご苦労だったな。他の作業は引き続き行うが、
そっちは夕方まで休憩してくれ」

自衛「どうも」
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 21:47:44.50 ID:4NJa5JOoo
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 22:33:49.76 ID:omBry82mo
さすがに曹に対してはちゃんとしてるな
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/27(日) 22:38:07.67 ID:t0Sv6ltc0
野営地内


自衛「っつーわけだ、俺等は夕方までフリーだ」

野営地内で休憩しつつ待機していた隊員C達に
その報を伝える自衛

支援A「やったぜ!」

隊員C「あー、ありがてぇ…どうせならこのままリゾートで休暇といきたい所だなぁ!」

ジープの後席でだらけていた隊員Cはそんなことを言う

自衛「おめぇみたいなのが行ったら、公共公害もいいとこだ」

隊員C「うるせぇ!」

隊員D「とにかく飯にしようぜ、飯」

隊員C「よーやっと昼飯だぜ…」

各々はテント内からパック飯を引っ張り出したり、
焚き火や鍋の用意にかかったりと昼食の準備にかかった
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/27(日) 23:17:16.89 ID:t0Sv6ltc0
数分後


支援A「っつーかよ、結局なんだったんだ?あの化け物蜘蛛ちゃんはよ?」

隊員Dがパック飯を口にしつつ、そんなことを言い出す

隊員C「知るかよ、知りたくもねぇ」

隊員D「鍛冶の兄ちゃんは、あの森で巨大蜘蛛どころかゴブリンも
     見たことは無かったみたいだが」

自衛「東の街での件もある。ゴブリン共はまたどっかから移動してきたんだろうが」

隊員C「民族大移動ならぬゴブリン大移動だな!糞迷惑この上ねぇよな!」

隊員D「まぁ…ゴブリン共に関しちゃ、奴らにも都合があるんだろうけどよ」

支援A「じゃあ蜘蛛のバケモンも、どこぞからお引越ししてきたってのか?」

自衛「どうだかな。その可能性もあるが、ここらの連中がヤツの存在を
    知らねぇだけかもしんねぇ。隊員D、お前言ってただろ?」

隊員D「ええ。ヤツ等、体に大量にコケがへばり付いてましたし、
    地中かどっかで長いこと眠ってたって事も考えられます」
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/27(日) 23:18:13.18 ID:t0Sv6ltc0
支援A「そのおねんねしてた大蜘蛛ちゃん達が、なんで起き出してきたんだよ?」

隊員C「どうせあの皺共がちょっかいだしたんだろ?こっちゃいい迷惑だ!」

隊員D「そうかねぇ?…そういや士長。鍛冶んトコの親父さん、
    昔はあっちこっち冒険してたって、あの兄ちゃん言ってましたよね?」

自衛「あ?あぁ、言ってたな」

隊員D「もしかしたらあの蜘蛛について、なんか知ってるかもしれませんよ?」

隊員C「アテになるかよ、んなもん」

自衛「聞いてみれば分かる。隊員C、飯食ったらもっぺん鍛冶の所を訪ねるぞ」

隊員C「あぁ?なんで俺なんだよ!?」

自衛「最初に遭遇したのはお前だろ。そん時のことを話せ」

隊員C「ああ分かったよ…面倒臭ぇ」

支援A「相変わらずの貧乏クジだな、隊員C」

隊員C「ああそうだな、今なら絶賛大凶増量中ってか?クソッタレ」

愚痴りながら、隊員Cは残りわずかの糧食の味噌汁を飲み干した
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 15:11:06.95 ID:GqCzL3SAO

しかし20mの蜘蛛か
タカアシ軍曹なんて目じゃないな
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/28(月) 15:50:26.88 ID:cvPRd0fT0
アメリカ海兵隊もこっちにとばされ魔王サイドに転覆
自衛隊VS海兵隊wktk
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 16:28:29.62 ID:FmeVZj7wo
>>908
黙ってろよ屑
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 17:02:00.41 ID:Ge3UPsrIO
その言い方は無いと思うけど展開予想も無いな
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 17:13:43.34 ID:obpvV4Dmo
予想厨氏ね
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 19:03:26.85 ID:8pskhtJ90
どんなくだらない思いつきの糞予想だろうがさ、作者にとってはその前後のストーリー展開まで考えて、
お話として成立するように苦労して昇華させたアイデアをだよ?たった1レスの予想と
たまたま被ってしまったとしたら、どれだけ萎えるか想像できないのかよ。

そのくせ予想厨は、俺の予想が当たったぜ?とブヒブヒ喜んだ糞レスを垂れてまた作者を傷付ける。
結果、更新が滞ったりする。

マジで予想厨は消えろ。嫌なら乙以外のレスはするな。
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 19:39:38.15 ID:ooqBvc4yo
ガン切れおじさんやめちくり〜
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/28(月) 19:43:46.99 ID:cvPRd0fT0
すいませんでした・・・
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 21:29:26.93 ID:BbiSjvFbo
逆ギレして荒らさないだけマシだわな
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 21:59:08.02 ID:EpHNnPMno
脊髄反射でブチ切れる方もどうかとは思うがなぁ
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 22:42:17.10 ID:SsKxct2Ro
俺は知らんが、書いたことのある奴は予想厨を疎ましく思うんじゃない?
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/29(火) 03:07:47.38 ID:OLAN94yAO
面白かった〜乙!
続き楽しみにしてます
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/29(火) 17:23:45.79 ID:SFfni4HEo

予想はよそう(真顔)
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/29(火) 19:25:34.89 ID:G3W0GcD8o
構うのもこれまた…
とにかく乙
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/29(火) 22:05:50.44 ID:eU6UoIJL0
鍛冶一家の家


コンコン

自衛は玄関のドアをノックする

鍛冶兄「…はい?ああ、君達か」

数秒置いて、ドアが開き鍛冶兄が姿を現した

自衛「ワリィな、さっきの今で。お前らの親父さんに聞きてぇことがあってよ」

鍛冶兄「分かってる。巨大蜘蛛のことだろ?俺も親父に話そうと思ってたんだが…」

鍛冶兄は家の奥に振り向き、裏口の扉を見る

鍛冶兄「親父は今、鉄を打ってる最中なんだ。邪魔するとうるさいもんだから、
少し待ってくれるか?」

自衛「ああ、かまわん」

鍛冶兄「入って待っててくれ」

屋内に入り、家の中を見渡す

自衛「ねーちゃんはどうした?」

鍛冶兄「自分の部屋だ。走り回ってへばったみたいでな」

隊員C「そいつはご心配なことだ。俺達だってクソみてぇにダリィんだ! 
    とっとと親父殿を引っ張って来て欲しいんだがなぁ?」

自衛「隊員C、黙ってろ。壊れたラジオよりうるせぇ」

隊員C「ああ、分かった分かった。クソだぜマジで…」

悪態を吐きながら、隊員Cは勝手に近くの椅子にドカッと座る
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/29(火) 22:09:17.28 ID:eU6UoIJL0
その時、裏口のドアが開き、木箱を持った鍛冶が入ってきた

鍛冶兄「お、親父。終わったのか?」

鍛冶「なんだ帰ってたのか」

鍛冶兄「少し前にな」

鍛冶は自衛達の存在に気がつき、あまり歓迎的ではない表情を浮かべたが
すぐに顔を反らし、打ち終えた鉄の入った木箱を置く

鍛冶「鍛冶妹は?」

鍛冶兄「部屋で休んでるよ」

鍛冶「はぁ?案内だけでそんなにへばったのか?
いくら貧弱だからって、しょうがねぇヤツだ…」

鍛冶兄「あー、それなんだけどよ…ちょっと話しがあるというか…」

鍛冶「?」

鍛冶兄「どっから話すか…」

どう切り出すか悩んでいる鍛冶兄に代わって、自衛が切り出した

自衛「親父さんいいか?あんたに聞きてぇ事がある」

鍛冶「あん?今度はなんだ?地下油の次は何の探し物だ?」

自衛「俺達は森ん中で、馬鹿デカい蜘蛛のバケモンに襲われた。
そいつについてなんか知らねぇか?」

その言葉に鍛冶はますます妙な表情になった

鍛冶「蜘蛛の化け物だぁ?何を妙なことを…あの森には小動物くらいしかいねぇはずだぞ」
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/29(火) 22:13:37.98 ID:eU6UoIJL0
自衛「所がな、どっこい居たんだこれが。隊員C、カメラよこせ」

隊員C「ほらよ」

隊員Cからデジタルカメラを受けとると、
自衛はボタンを操作し、蜘蛛の写った画面を表示させ

鍛冶の目の前にやや強引に差し出した

自衛「こいつを見ろ」

鍛冶「あ?な、なんだ?」

デジタルカメラを目の前に出され、やや困惑する鍛冶

鍛冶「…なんだこりゃ…!?」

だが、画面を見た次の瞬間には驚きの表情に変わった

鍛冶「絵かこいつは?しかし…」

デジタルカメラ画面に写った、川原の情景をまじまじと見つめる

鍛冶兄「あー、彼らの使う道具らしいんだ。ソレを通して見た物や風景を
     寸分違わず絵にして記録する、って物らしいんだけどよ…」

鍛冶「…」

自衛「で、俺等が言ってるバケモンってのは、そん中に写ってるヤツだ。
    画面の左に蜘蛛が写ってるだろ?で、その隣で馬鹿やってんのが内のヤツだ。
    分かるか?こいつがどんだけ馬鹿デケェか」

自衛は画面の巨大蜘蛛と支援Aを見比べさせながら説明する

鍛冶「本当かよ…」

自衛「トリック無しのホンモンだ。隊員Cとおたくの妹さんが
    いきなり現れたこいつに追い掛け回された」
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/29(火) 22:17:42.41 ID:x4mt7+kh0


>>五森姫「あなた方の力をもってすれば、小国…たとえばわが国をひねり倒す程度、
     なんともないのではなくて?」
遠まわしに「俺らの首輪しないってことは敵になるかもしんないから殺しちゃうかもよ」ってか
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/29(火) 22:18:10.05 ID:eU6UoIJL0
自衛は画面を操作し、湖に沈んだ超巨大蜘蛛を表示させる

自衛「その後にこいつだ。親蜘蛛らしいコイツが現れて、こいつとドンパチになった。
    沈めてぶっ殺したから、画像じゃわかりにくいと思うが」

鍛冶「…さっきのを見せてくれ」

再び先程の画像を表示する

鍛冶「こいつは…」

自衛「他にもあるぞ」

自衛は他の角度から写した画像を表示してゆく

鍛冶「間違い無い…こいつはダイチグモだ」

鍛冶兄「だ、だいち蜘蛛…?」

隊員C「土蜘蛛じゃなくて大地蜘蛛か。大層な名前だな?」

自衛「ああ、確かにな。で、こいつに関して知ってんなら教えてほしいんだが?」

鍛冶「ダイチグモ。こいつは一生のほとんどを地中で過ごす生き物だ。
    他の生き物の少ない所で親蜘蛛が地中に巣をつくり、数匹の幼体産みを育てる。
    幼体はある程度育つと、夜間に他の生き物の目を避けつつ、
    他の地へと旅立つ、これがほぼ唯一外に出る瞬間だ。親はそこで生涯を終える。
    だからこいつらを人が目にする事はほとんどない。
    …なるほど、コイツなら住んでても気付かねぇえわけだ」

自衛「親はこの沈んでるヤツか?」

鍛冶「これは父蜘蛛だな。こいつらは、正確には体の大きい母蜘蛛が
    地中でそのまま巣になって幼体を育てるんだ。
    そして、父蜘蛛と子蜘蛛の中でも早く成長したやつが巣を守る」

鍛冶兄「最初の蜘蛛はその早く成長した蜘蛛かか…」
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/29(火) 22:21:56.50 ID:OLAN94yAO
リアタイ遭遇とか嬉しいすぎて変な声デタ
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/29(火) 22:27:04.84 ID:eU6UoIJL0
隊員C「…あ?おいちょっと待て。つまりこいつよりデカいヤツが
    まだ森ん中にいるってことかよ、冗談じゃねぇ!?」

鍛冶「言ったろ、母蜘蛛が直接巣になるって。
    母蜘蛛は番になって幼体を生んだ時点でほとんど動けなくなる。
    どこかで地面と一体化してるはずだ。それを父蜘蛛達が守るんだ」

隊員C「大自然の中の家族愛ってか。こっちゃ涙じゃなくて血を流すところだったがよぉ」

自衛「一応、生態系はだいたい分かった」

鍛冶「そうか…所で、こいつが襲って来て、追い掛け回されたっつってたな?」

自衛「ああ」

鍛冶「ダイチグモは図体はでかいが穏やかな生き物だ。
    こっちから手を出さない限り、攻撃してくることはないし、
    たとえ手を出しても敵を追い払うだけで、
    追って来るなんてことはしないはずだぞ…」

隊員C「ああそうかい、じゃあその知識を書き換えるんだな!
    こいつは向こうから突然現れたかと思うと、
    いきなり追っかけてきやがって、その場でマラソン大会だ!」

鍛冶兄「お、落ち着けよ…!」

鍛冶「そもそも巣から離れることすらしないはずなんだが…どうなってんだ?」
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/29(火) 22:33:56.04 ID:eU6UoIJL0
隊員C「こっちが知りてぇよ、クソッタレ」

自衛「なんにせよ、俺等からは別に難癖付けちゃいねぇ。
    ゴブリン共が何やらかしたかは知らねぇけどよ」

鍛冶「は、ゴブリン?」

鍛冶兄「あ、ああ。森に現れたのは蜘蛛だけじゃないんだ。
     ゴブリンの群れがそこらじゅうから現れてよ」

鍛冶「なんだと…嘘だろ?」

自衛「悪ぃ冗談に聞こえるかしんねぇが、本当だ。
    あいつらどうにも異常発生してるみてぇだ。
    ゴキブリみてぇにな」

鍛冶「…」

鍛冶兄「一体どうなってるんだろうな…こんなこと今までなかったのに」

鍛冶「……まさかな……」

鍛冶兄「?」

自衛「しかしあんた、ずいぶん詳しいようだが?」

鍛冶兄「俺もビックリだ。今まで鉄や武器にしか興味が無いと思ってたのに?
     どこでそんな知識を仕入れたんだよ?」

鍛冶「…昔、本で読んだだけさ」

自衛「とにかく、あんたの話からすると、これ以上のデカブツが現れる事はねぇってことだな?」

鍛冶「ああ、状況を聞く限りじゃ。必ずとは言えないが…」

自衛「十分だ、後はこっちでなんとかする。悪かったな押しかけて。
    隊員C、行くぞ」

隊員C「やっとかよ…」

自衛と隊員Cは野営地へと戻っていった


一区切り
レス早いね、皆の衆
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/29(火) 22:37:09.35 ID:OLAN94yAO
乙乙!

レス数減らしたほうがよろしいか?
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/29(火) 22:55:30.05 ID:x4mt7+kh0
レス1000まで書く?
次スレいく?
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/29(火) 22:57:01.52 ID:OLAN94yAO
950いったら立てればいいかも
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/29(火) 23:04:32.91 ID:RxfrkKHwo
専ブラに変えてから、sage進行でもすぐにわかるようになったよ
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/29(火) 23:06:44.45 ID:FkCandhLo
>>1の話が面白いから議論したくて仕方ないのさ、1乙。
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/29(火) 23:19:19.95 ID:1ED1ZrAHo
乙!

面白いから、つい言っちゃうんだ☆
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/01/30(水) 00:24:52.14 ID:7isrlasW0
レスは今まで通り自由にしていただいて大丈夫です
ただ、一つわがままを言えば、できるだけsage進行でお願いいただければと

次スレは頃合を見て、立てさせていただきます
936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/30(水) 00:51:23.12 ID:wpLbc1oRo
937 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/30(水) 12:28:30.01 ID:fELHVADAO

更新いつも楽しみにしてるよ
938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/30(水) 19:22:40.10 ID:/aVcccYt0
自衛隊員たちの掛け合いがアメリカンでおもしれえw

字幕映画だったら、数秒ごとにシットとかファックって単語が飛び交いそうだよ
939 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/30(水) 22:26:29.63 ID:Q98QFX0no
>>938
>>891皆思ってるんだなwwwwww

940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/31(木) 04:52:04.78 ID:MyBKXKBr0
所有火器詳細希望
941 :774 [sage]:2013/01/31(木) 20:09:23.16 ID:GczOFNvo0
主を含め周りもsageレス進行で且つ、次スレは>>1が建てるって事だな
了解だ、楽しみにしてる
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/31(木) 23:39:43.11 ID:ULvjcgWVo
追いついた
>>1
キャラ立ってるし話も面白くて大好きだ
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/01(金) 15:08:53.33 ID:926kWCny0
紅の国 領内


燐美の勇者一行は、次の目的地を目指して風精の町を出発
院生もこちらで揃えた旅人服に身を包み、
燐美たちと話をしながら歩いている

燐美の勇者「多くの勇者が各国から旅立ってるけど、みんな一直線に魔王の本拠地を
       目指してるわけじゃないんだ」

院生「え、どうしてですか?」

燐美の勇者「勇者は皆それなりの理由があって選び出されるけど、それでも魔王の力には到底およばないんだ…
       ボクたちだってこのまま考えなしに挑んでも、
魔王に触れるどころかその配下にさえ勝てないと思う…」

院生「じゃ、じゃあ…」

麗氷の騎士「そのために、私達は各地を旅しているんだ」

院生「?」

燐美の勇者「あのね、言い伝えでは千年前にも魔王軍の侵攻があったらしいんだけど、
その時には、一度封印に成功したそうなんだ」

麗氷の騎士「そして、その時に使われた力が世界中に残されているという話もね」

院生「力…ですか?」

麗氷の騎士「具体的にどういう形で存在しているかは分からないんだ。
       武器かもしれないし、魔道書とか、なんらかの方法を記載した書物かもしれない。
       とにかく、それらが世界各地に封印されているという文献がいくつか残っいるんだ。
そして、その内のいくつかはすでに他国の勇者により発見されたそうだ。
       力を手に入れた彼らは対魔王軍戦線に合流し、戦っている」

院生「そうなんですか?なら、魔王軍も…」

麗氷の騎士「いや、それでも魔王軍は日に日に押し迫ってきている。
       前線の勇者達や各国の軍隊も奮戦しているが…
       魔王軍は強大すぎて、一つや二つ力を集めただけでは駄目なんだ…」

燐美の勇者「もっと大掛かりに捜索できればいいんだけどね〜…」

麗氷の騎士「どこの国も現在は対魔王軍戦線への派兵と、国を守るだけで手一杯だからな…
       だから私達のような少数のパーティーが各国から出されているんだ」

燐美の勇者「魔王や魔王軍との戦いの他に、各地にある力の捜索もボクらの仕事ってわけ」
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/01(金) 15:20:35.81 ID:926kWCny0
院生「その力を見つけられれば、燐美さん達も魔王軍と…?」

麗氷の騎士「いや…ただ見つけるだけでは駄目だ」

院生「え?」

麗氷の騎士「さっきも言った通り、存在するとされている力は何種類もある。
       たとえ見つけ出せたとしても、それが見つけた者の能力に合わなければ意味が無いんだ」

院生「能力…ですか?」

燐美の勇者「そっ。たとえばボクなら剣術と、ちょっと攻撃魔法も使えるかな。
       麗氷は剣と槍が得意だよね」

麗氷の騎士「ああ、それと低位の強化魔法なら使える」

院生「強化魔法?」

麗氷の騎士「一時的に魔法をかけた対象者の能力を…
       たとえば私の場合は攻撃魔法の威力を少し上げることができる」

院生「へ〜」

麗氷の騎士「それで…勇者は各国より選抜されているが、何を得意とし
        どういった能力を秘めているかは、それぞれまったく違うわけだ」

燐美の勇者「だからもし見つけ出せても、自分の特技や能力に合わない物だったら、
       使えないってことになっちゃうんだ」

麗氷の騎士「まぁ、絶対に使えないとは言い切れないが、自身の能力に合わない力では、
       ナマクラも同然だ」

院生「な、なるほど…(ゲームのシステムそのものだ…)」

麗氷の騎士「今、前線で戦っている勇者達はそれを成し得た精鋭たちだ。
       その精鋭たちが押される程の相手…」

麗氷の騎士の表情が少し暗くなる

院生「麗氷さん…?」

麗氷の騎士「私のような若輩者が力になれるのだろうか…」

燐美の勇者「ダメだよ!そんな弱気になっちゃ!」

院生「!」

燐美の勇者「そのためにこうやって修行しながら旅をしてるんじゃない!
       国のみんなのためにも、がんばってボクらも精鋭に加わらなきゃ!」

麗氷の騎士「そうだな…弱気になっている暇などないか」

燐美の勇者「そうだよ!麗氷はそうやって悪いほうに考えちゃうんだから!」

麗氷の騎士「すまない、空気を変にしてしまったな」

院生「い、いえ。そんなこと」

燐美の勇者「さ、行こ!ボクたちも早く戦ってる勇者達に追いつかなきゃね!」

言うと燐美は意気揚々と歩くのを再開した

院生「燐美さん…なんかすごいですね」

麗氷の騎士「ああ、あれに助けられることも多くてね」

先を歩く燐美の勇者を見つめる二人

燐美の勇者「うわっ!?」ドテッ

院生「あ、コケた…」

麗氷の騎士「……」

麗氷の騎士は頭を抱えた
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/01(金) 23:41:13.12 ID:926kWCny0
昼過ぎ 自衛隊陣地


陣地の一部に広く場所を確保した所があり
そこにCH-47J輸送ヘリコプターが駐機している

その輸送ヘリコプターの後部ランプでは、
隊員がキャリバー重機関銃を据え付けを行っている
現在、航空自衛隊員と一部の陸上自衛隊員が
本格的な出撃に備えた、輸送ヘリコプターのガンシップ化を行っていた

整備A「…ああくそ、付かねぇぞ?」

隊員J「おい、いつまでかかってんだ?」

整備A「あー、すんません。ここの部品がうまく付いてくれなくて」

隊員J「貸せ、俺がやる」

隊員Jは難儀している整備Aを退かし、据付を行う

整備A「すんませんね」

隊員J「スパナ寄越せ。軸を調整する」

隊員Jはキャリバーの据え付け部を調整
実際にキャリバーを構え、照準に支障が無いかをしらべる

整備A「しっかし、陸上さんは大変そうですね。
こっちに飛ばされて来てから西へ東へ」

隊員J「他人事みたいに言ってんな、一等空士。お前らの食い扶持も確保してんだぞ?」

整備A「わーってます、わーってます。だからせっせと慣れない
     武器据付をやってるわけで」

隊員J「こっちは終わった。俺は搭載弾を持ってくる
お前は向こうを手伝いに行け」

整備A「うっす」
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/01(金) 23:46:06.66 ID:926kWCny0
隊員Jは機体から出て、弾薬集積場へと向っていった
整備Aは機体右側のキャビンドアへ歩く

整備B「こんなもんだな。チェックは後で陸自の誰かに頼むか」

そこでは整備Bが40mmてき弾の据付を行っていた

整備A「やー、勘弁だねこりゃ」

整備B「ん?整備Aそっちは終わったか?」

整備A「ええ、だからこっちを手伝うようにと」

隊員B「こっちもてき弾の据え付けは終わったぞ。
    残りは反対側に車載機銃を据え付けるだけだ」

整備Bは機体左側の非常脱出ドアを示しながら言う

整備A「分かりました。しっかし勘弁してほしいですよ。
     あの陸士長やたら神経質で」

整備B「彼は確か普通科だろ?他のヤツが暴れまわってんのに
     ここに残ってるから機嫌が悪いんだろ」

普通科は緊急展開に備えたヘリ要員、および陣地の防衛指導のために、
数名を陣地に残していた

整備A「そんなもんですかねぇ?」

整備B「陸上のことはよく知らん。それよりとっとと終えちまおうぜ」
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 02:58:20.88 ID:SkQtcivAO
待ってましたア 乙!
948 :黒酢 :2013/02/03(日) 07:16:57.03 ID:IWgOwhJw0
乙!
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 13:25:34.23 ID:nvs5DVXv0
まだかなー
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/06(水) 16:18:32.34 ID:vDIEhscr0
臨時ヘリポートの側


整備長「そっちもカバーしろ。絶対野ざらしにするな!」

ヘリポートの側では、整備長をはじめとする数名がなにやら作業をしている
そこには、宿営用の天幕が複数、なぜか一直線に並べてあった

整備長「よし、防水チェックだ。完璧に頼むぞ」

整備C「うす」

整備長「やれやれ…」

一曹「空曹長、いいですか?」

作業が一区切りした所に、一曹が現れた

整備長「ああ、一曹さん。そっちは大丈夫か?」

一曹「ヘリから降ろした物資は品目ごとに集積しておきました。そっちは?」

整備長「あとは防水チェックだけだ。しかしよ一曹さん…
     仕方ねぇのは分かるが、整備士としてこいつはよろしくねぇ状態だぜ…」

整備長は連なった天幕の一番端から中を見る
その中に納まっているのはT-2練習機用のジェットエンジンだ
輸送ヘリの本来の任務は、このジェットエンジンをはじめとする機材、物資を
基地まで届けることだった

整備長「心臓同然のこいつをこんな保管の仕方をすんのは、正直目に痛い」

一曹「大変申し訳ない。しかし、我々としては唯一の航空機を
    できる限り最高の状態で使えるようにしておきたいんです」

整備長「分かってるさ。こんなデカブツ積んだままじゃ、燃費がダダ下がりだ。
     安心しな。いつでも最高の状態で駆けつけられるようにしとく」

一曹「恩にきります」

空曹長「何。正直、今の俺たちゃあんたら(陸自)におんぶにだっこの状態だからな」

一曹「それに関しては、自分も今はほとんど部下に頼ってばかりです」

整備長「だったな…悪いな、へんな愚痴聞かせちまって」

一曹「いえ。では自分は失礼します。」

一曹はその場から立ち去った
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/06(水) 19:32:58.00 ID:vDIEhscr0
夕方
月詠湖の王国 野営地


FV操縦手「夕方がったん戦車が通るよ、他所の敷地の中を〜」

FV車長「歌詞勝手に変えてんじゃねぇよ、オイ」

FV砲手「ついでにコレ戦車でもねーし」

FV操縦手「ボキャブラリーだよ、ぼきゃぶらりぃ。ほ〜ら〜、もぉ〜とおちゃくだよぉ〜」

増援部隊が野営地へと到着

装甲戦闘車を先頭に、
施設作業車、砲側弾薬車、中型救急車、大型トラックと
続いて野営地内に入ってくる

テントの側で、ダラけつつそれを眺める隊員C等

隊員D「救急車までこっちに送ってきたのか」

隊員C「何にせよこれで本格的に作業開始だ、あーありがてぇ…」

台詞とは裏腹にウンザリした様子の隊員C
一方で、鍛冶兄妹も家の外に出て、増援の車列を眺めていた

鍛冶兄「…もう、何見ても驚かんぞ俺は…」

鍛冶妹「今日一日で驚き飽きた…」
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/07(木) 02:58:40.08 ID:Yip1AD1q0
装甲車や車両は隊員の誘導で、各所に停車していく

FV操縦手「そっと〜停車してあ〜げたくって…」

FV砲手「しつこいわ、名曲が台無しだ」

装甲戦闘車は野営地の一番端に停車

FV車長「FV砲手、車体のチェックを任せるぞ」

FV砲手「あ、了解」

FV車長が車長ハッチから出る
そして車体から地面に降りると、近くまで来ていた補給に対して敬礼した

FV車長「増援部隊、燃料探索隊へ合流します」ビッ

補給「了解。合流を許可する。良く来てくれた、道中は大丈夫だったか?」

FV車長「特に問題はありませんでした、こっちの状況はどんな感じで?」

補給「あー、そうだな。話すことは山程あるんだが…どこから話すか…」

施設A「補給二曹、先に野営地の拡大整備に手を貸してもらったほうが。
     夕暮れも近いです」

補給「それもそうか…よし、各隊の曹に人員の点呼、並びに再編成をするよう伝えてくれ。
    再編成の完了後、各隊ごとに野営地の拡大整備にかかってくれ」

FV車長「了解」
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 09:49:18.45 ID:UotjYOJJo
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 16:59:46.30 ID:jJRU4AB50
乙!
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/12(火) 00:53:50.12 ID:WiDUSNZe0
衛隊B「ん〜…!つっかれた〜!」

中型救急車から降りてきた隊員が、大きく伸びをし
肩をぐるぐると回しながら歩いてくる

支援A「よーぉ、衛隊B!」

衛隊B「ども〜」

隊員D「お前と救急車まで送り込んで来たのか?陣地の方はいいのかよ?」

衛隊B「ええ、陣地には衛生長がいますし、衛隊Aさんも戻ってきますからね。
それより、こっちにもある程度の人と機材が必要だろうって」

隊員D「まぁ、こっちもそれなりの規模になるだろうから、必要だとは思うけどよ」

自衛「おい、お前ら全員いるな?」

その場に自衛が現れる

隊員C「ああ、キャンペーン中だから一人多めにいるぜ」

衛隊B「何のキャンペーンですか」
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/12(火) 00:56:09.61 ID:WiDUSNZe0
自衛「衛隊Bか。まぁいい、お前も一緒に聞け。
フリーの時間は終わりだ。野営地の範囲がでかくなるから、
    壕を新しく作るぞ」

隊員C「おいおい、せっかく施設作業車まで持って来たんだろ?
     施設の連中にやらせろよ」

自衛「施設の連中は野営地内で手一杯だ。
    外の監視も兼ねて、俺等普通科が新しい壕を作るんだ」

隊員C「やれやれ…」

自衛「野営地の西と東にそれぞれ構築する。俺達は東側だ。
    西側はFV車長達がやってくれる。
    それと昨日の壕はつかわねぇから埋めちまうぞ」

隊員C「じゃあ、そのついでに花の種でも蒔くか?」

支援A「わーぉ、隊員Cは庭師に転職するらしいぜ」

隊員C「ああ、今日一日でファンタジーを堪能したからな。楽勝だよボケ」

自衛「黙らねぇと今夜ぶっ通しで歩哨をさせるぞ。
    衛隊B、お前は衛生から何したらいいか聞け」

衛隊B「分かりました」

自衛「あと、それが終わったら衛生科は、怪我人でもでない限り俺等と一緒に行動だ。
    衛生にも伝えといてくれ」

衛隊B「了解、伝えます」

自衛「よし、かかれ。暗くなると厄介だ」

隊員C「とっとと終わらせようぜ」
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/12(火) 07:51:31.27 ID:NWGIfauR0
考えてみたら衛生部隊いなくなったら深刻だよな
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/12(火) 19:43:49.85 ID:WiDUSNZe0
紅の国


風精の町を出発後、道中特に問題も無く歩き続けた院生達
現在は木陰の元で休憩をとっていた

麗氷の騎士「大分日が暮れて来たな…」

太陽は後少しで地平線の向こうに沈もうとしていた

燐美の勇者「どうする?今日はこのへんで野宿にしよっか?」

麗氷の騎士「いや、待て。地図によればこの近く、少し進んだ所に草風村という村がある。
       よければそこを尋ねてみるのはどうだろう?」

燐美の勇者「う〜ん村かぁ…」

麗氷の騎士「少し歩くことになるが…」

燐美の勇者「院生さん、大丈夫?」

院生「へ?」

燐美の勇者「たぶん村で休んだほうが体にはいいと思うんだ。
       ただ、これ以上歩くのが辛いのならここで野宿って手もあるけど」

院生「あ、わたしはまだ全然大丈夫です。まだ余裕もありますし」

麗氷の騎士「よし、それなら村を訪ねてみよう」
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/12(火) 19:52:24.80 ID:WiDUSNZe0
数十分後

燐美の勇者「あれだね」

しばらく北上した院生達の視界の先に、集落が見えてきた

麗氷の騎士「なんだ…?」

院生「どうしたんですか?」

麗氷の騎士「いや…外枠を妙に頑丈に固めてるな…」

村は柵ではなく、突貫工事だが木板などで城壁のように囲われている

燐美の勇者「まぁ、今のご時勢じゃ珍しいってわけでも…ッ!」

院生「燐美さん?どうし…きゃっ!?」バサッ

次の瞬間、燐美の勇者は唐突に院生を抱え上げると、その場から飛び退いた

バッ!

そして先程まで彼女達がいた場所を何かが通り過ぎた

麗氷の騎士「な!?勇者様!」

燐美の勇者「院生さん、大丈夫?」

院生「は、はい…」
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/12(火) 20:34:44.72 ID:WiDUSNZe0
燐美の勇者は院生を降ろすと、飛び掛ってきた物体の方へ目をやる

燐美の勇者「こいつは…!」

ナイトウルフA「グルルル…」

そこにいたのは不気味な紫色の体毛を生やした大きな狼だった

麗氷の騎士「ナイトウルフか!?」

燐美の勇者「院生さん、離れて!」

燐美の勇者はナイトウルフの注意を自分に引き付けつつ、院生を遠ざけさせる

ナイトウルフA「ガゥゥッ!」バッ

ナイトウルフは再び燐美の勇者へと飛び掛って来た

院生「燐美さん!」

ナイトウルフが燐美の勇者の眼前に迫る

燐美の勇者「ッ!」スッ バシュッ

燐美の勇者がわずかに動いたかと思うと、一瞬光線のようなものが走った
そして燐美の勇者に攻撃を加えず、そのまますれ違うナイトウルフ

ドサッ

ナイトウルフは地面へと倒れ、地面に血溜りができてゆく
向き直った燐美の勇者の手には、彼女の剣が握られていた

院生「た、倒したの…?」

麗氷の騎士「勇者様!」

燐美の勇者「分かってる」

気がつけば、あたりには複数のナイトウルフが集まり、院生たちを囲んでいた
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/12(火) 22:53:26.75 ID:WiDUSNZe0
院生「あ…」

燐美の勇者「院生さん、大丈夫。麗氷!院生さんを村まで!
       ボクが援護する!」

麗氷の騎士「分かった!院生さん、行くぞ!」グィッ

院生「ひゃっ!」

いつの間にか愛馬に跨っていた麗氷の騎士は、馬上に院生を引き上げた

麗氷の騎士「はぁっ!」

そして掛け声と共に愛馬を走り出させる

ナイトウルフB「グルルッ!」

追いすがろうとするナイトウルフの前に、燐美の勇者が立ちはだかる

燐美の勇者「いかせないよ〜」

ナイトウルフB「ガゥゥッ!」バッ

襲い掛かるナイトウルフに向けて、燐美の勇者は剣を振るう

ナイトウルフB「ギャゥゥ!?」ブシュッ

地を噴出し倒れるナイトウルフ

院生「麗氷さん!燐美さんは!?」

麗氷の騎士「勇者様ならすぐに追いついてくる、大丈夫だ!」

言いながら村の入り口目指して、馬を走らせる麗氷の騎士
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/12(火) 22:58:18.95 ID:WiDUSNZe0
麗氷の騎士「もう少し…」

ナイトウルフC「ガゥゥッ!」バッ

院生「ひ!?」

別の方向から回り込んだナイトウルフが、目の前に現れ飛び掛ってきた

麗氷の騎士「どいてもらう!」シュッ バシュッ

ナイトウルフC「ガゥゥ!?」ブシュッ

麗氷の騎士は愛馬を操り攻撃を回避

そしてすれ違いざまにナイトウルフを切り裂いた

麗氷の騎士「しっかりつかまって!」

そのまま速度を落とさずに、村の入り口までたどり着く

麗氷の騎士「おい!誰か、誰かいないか!?」

麗氷の騎士は門の前で愛馬を止め、入り口に向けて大声で呼びかける
その声が届いたらしく、門の側の櫓に一人の男が現れた

村の見張り「な、なんだあんたらは!?」

櫓に出てきた男は、突然現れた彼女達に困惑している様子だった

麗氷の騎士「中に入れてくれ!ナイトウルフに追われている!」

村の見張り「な、何!?」

見張りの表情が強張る

麗氷の騎士「急いでくれ!」

見張りの男「しかし、門を開ければ村にナイトウルフが…
       それにあんたらは何者なんだ!?」

麗氷の騎士「そんな事を言っている場合か!こっちには…」
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/12(火) 23:03:04.62 ID:WiDUSNZe0
燐美の勇者「麗氷!焦っちゃダメ!」

院生「!」

後ろから燐美の勇者の声がし、振り返る院生

院生「あ、あれ?」

しかしそこに燐美の勇者の姿はない

院生「燐美さ…え!?」

頭上に気配を感じ、視線を上に向けるとそこには
地上から10m以上も跳躍し、院生達を飛び越える燐美の勇者の姿があった

燐美の勇者「はいゴメンね!」タンッ

村の見張り「お、おわっ!?」

院生「燐美さん…すごい…」

燐美の勇者はそのまま、見張りの立つ櫓のてっぺんへと降り立った

村の見張り「な、なんなんだ!?」

燐美の勇者「驚かせてごめんなさい、ボクたちは魅光の王国の勇者一行です」 
      
困惑する見張りに向けて、燐美の勇者は説明する

村の見張り「ゆ、勇者…!?」

燐美の勇者「突然の事で申し訳ありません。ナイトウルフの群れは仲間を失って怯んでいます。
      今の内にボクの連れ達を村に入れてはもらえませんか?」

村の見張り「本当か…?」

院生「あ…!」

院生は再び後ろを振り向いたが、追って来るナイトウルフの姿は見受けられなかった

村の見張り「わ、分かった!」

あわてて門の内側へと回る見張りの男

やがて門が開き、三人は中へと駆け込んだ
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 21:01:55.89 ID:2yktwOdHo
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/15(金) 21:08:59.75 ID:/kYxq7a30
草風村 村長の家

草風村長「そうですか…魅光の国の勇者様御一行とは…」

村に駆け込んだ三人は、村長の家へと案内された

草風村長「お入れするのが遅れて申し訳ない、危険な目に会われていたと言うのに…」

燐美の勇者「いえ、この状況では正しい判断です。こちらこそ突然おしかけて
       驚かせてしまって申し訳ありません」

言うと燐美の勇者は麗氷の騎士のほうを見る

燐美の勇者「麗氷はすぐ熱くなっちゃうんだから、いざと言う時ほど冷静にね?」

麗氷の騎士「面目ない…」

草風村長「まぁ、お怪我などがなくてよかったです」

燐美の勇者「ところで、村中に見張りが立っていたり、村周りが妙に頑丈になのは…」

草風村長「ええ、ナイトウルフへの対策です。村の者総動員でどうにか作り上げたのですが…」

麗氷の騎士「というと、ナイトウルフの出没はやはり…」

草風村長「ええ、異常事態なのです…ほんの二月ほど前から
      急にこの村周辺に出没するようになりまして…」

草風村人A「奴等は夜だけじゃなく昼間も少数のグループが徘徊するから、
       ろくに猟や収穫にも出れないんだ。それに田畑もかなり荒らされてる。
       ただでさえ不安定な情勢で供給が安定しないのに…」

燐美の勇者「…」

草風村長「恥ずかしながら私達の村はこの有様です。
      明け方には出没するナイトウルフも少なくなりますから、
      あなた方は明朝、その隙に出発されるのがいいでしょう。」

燐美の勇者「…あの」

草風村長「はい?」

燐美の勇者「差し出がましいかもしれませんが…
       その件、ボクたちがに任せてもらえませんか!」
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 23:20:37.34 ID:otGW+3jxo
いつも乙

967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/16(土) 21:25:37.82 ID:N6OxQwOHo

ここからどう自衛たちとどう絡んでいくか楽しみです
968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/17(日) 12:29:19.15 ID:DfAB/hoy0
自衛隊陣地


太陽が沈む少し前に、派遣小隊は陣地へと帰還した
車列は車両用に設けられた塹壕の切れ目を抜け、
配置された障害物を避けつつ丘を登る

同僚「ん?」

偵察「なんだありゃ?」

一番内側の塹壕を越える時、射撃壕の横に
一枚の木板が立っているのが目に入った

『五森分屯地』

木板には明朝体でそう彫られていた

偵察「分屯地だってよ」

隊員H「よくあんなの作ったな」

車列は陣地内の車両用区画に乗りつけ停車する

隊員G「よぉし、全員降りろ。人員点呼するぞ」

トラックから降車し、整列すて行く隊員
派遣小隊の到着に合わせて、
陣地内の業務用テントから、一曹他数名の隊員が出てくる

隊員A「第一分隊、異常なし!」

隊員G「第二分隊異常なし」

120車長「重迫撃砲中隊、第一分隊異常なし」

隊員E「了解」

点呼の報告を受けると、隊員Eは一曹へと向き直る

隊員E「報告します。派遣小隊、隊員E二曹以下35名。
    1740時、任務完了に伴い帰還いたしました」

一曹「了解。各隊ごとに整備点検を実施」

報告が終わると、隊員Eは再び隊員のほうへ向き直る

隊員E「聞いたな。各隊員は所属ごとに武器、車両の整備点検を実施。
    それと各隊の代表曹は報告を上げるように。かかれ」

点呼が完了し、各員はそれぞれの作業へとかかっていった

一曹「ご苦労だったな二曹。色々不測の事態もあったようだが、よくやってくれた」

隊員E「ええ、それに関してお話すべきことがいくつか」

一曹「分かってる。作業が落ち着いたらでいい、各曹を集めてくれ」

隊員E「分かりました」
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/17(日) 12:36:28.88 ID:DfAB/hoy0
一方で武器、車両の整備にかかる隊員達

偵察「だぁー、疲れてんのによ…」

整備用の道具を運ぶ偵察

偵長「よぉ偵察。戻ったか」

その偵察の元に、一人の隊員がオートバイを押しながら近寄ってきた

偵察「偵長」

偵長「どうにも、予想外の大変さだったらしいじゃねぇか」

偵察「ええ、軽ーくお手伝いするだけのはずだったんですがね…
    偵長こそ、オートバイ引っ張り出してどこ行くんです?」

偵長「定時巡回だ。お前らから物騒な知らせが届いたからな、
    陣地の半径10kmを定期的に巡回するようになったんだ」

偵察「成程。あ、そういや陣地と言えば、
    入り口に不思議な看板が出てましたが、あれは?」

偵長「ああ見たか?普通科の本部要員のヤツが作ったんだってよ。
    五森の字は当て字らしいが」

偵察「はーん」

偵長「まぁ、いつまでも陣地のまんまじゃ決まりが悪ぃからな。
   いいんじゃねぇの?
   さてと、俺は巡回に行って来るぜ。
   ガソリン節約っつーから、あんま飛ばせねぇけどよ」

言うと、偵長はオートバイに跨りエンジンを起動

偵長「じゃぁな!」

ブロロロロロ!

オートバイはトーチカの脇を抜け、巡回へと出て行った
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/17(日) 15:08:35.16 ID:DfAB/hoy0
本部用業務テント内

作業が一段落し、隊員E等は派遣活動中の一連の出来事を報告した

一曹「なるほどな」

一通りの報告を聞いた一曹はしばし考え込む

隊員E「全体的な状況は見えませんが…我々の想像以上に事態は大きいかもしれません」

隊員G「こいつはもう戦争ですよ」

一曹「だな…五森姫っつたか?その姫さんは、それを見越して
    どうやってでも俺達の力を手にしたいんだろう」

隊員E「彼女は同盟と言っていましたが」

一曹「…状況が不明瞭だ。これじゃ、下手に動けんな」

隊員E「可能ならば国内の町、たとえば木洩れ日の町などへ
    隊員を数名常駐させるというのは?
    その方が情報も早く入ってくるかと」

一曹「そうだな。燃料の方が落ち着いたら、それも考えるか…」

隊員E「それと、例の雲翔の王国、もしくはそれに賛同する勢力が
    他の場所から入り込んでいる可能性もあります。
    念のためにしばらく警戒を厳に」

一曹「それに関しては心配するな。昨日の無線連絡の後に、歩哨は厳にしてある。
    陣地周辺の定時巡回も始めてるしな」

隊員G「さっき偵長が出てったのもそれか」

一曹「明日からもやるべきことは大量にある。
    派遣に参加した者は今日はゆっくり休むようにな」

隊員E「分かりました。では、失礼します」
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/17(日) 15:55:58.45 ID:DfAB/hoy0
月詠湖の王国領内
星橋の街より数km南


商人C「暗くなって来ちまったな…」

燐美の勇者一行と別れ、風精の町を出発した商人達は
国境を越え、目的地を目指していた

狼娘「星橋の街に寄らなくてもよかったの?」

商人A「食料や物資はまだ十分にあるから大丈夫だ」

商人B「それに今、星橋の街は出入り時の検閲を厳しくしてるらしいからな」

狼娘「なんで?」

商人B「紅の国が妙な感じだってのは昨日から言ってるだろ?
    こっち側も薄々感づいて、警戒を強めてるんだろう」

商人A「別に私達にやましい事などないが、時間をとられて
    砂道の街での商談に間に合わなくなったら事だ。
    今回は割りとギリギリの行程だからな」

狼娘「それもそっか」

商人C「けど、あんまり長いこと夜道を走るのもあれだぜ?」

商人A「分かってる。もう少し走ったらどこか適当なところで夜を…」

商人B「おい、なんだあれ?」

商人Aの言葉を遮り、商人Bが声を上げる

狼娘「何?」

商人B「前だよ、あの光」

商人Bが進行方向の先を示す
進む先には森が見え、その手前に複数の明かりが漂っているのが見えた

商人A「松明…?他のキャラバンがキャンプでも張ってるのか?」

商人B「それにしては半端な場所だな…」

疑問に思いながらも、その場所に近づくべく、名馬車を進める

狼娘「…違う…あれは…」

ある程度近づいた所で、目を凝らしていた狼娘が呟いた

近づく毎にその情景が鮮明に浮かび上がる
一台の馬車がそこに止まっているが、肝心の馬は地面に倒れている
そして明かりの正体は松明を手にした複数の男達だ
男達は馬車に群がり、積荷や馬車の持ち主であろう人間を引きずり降ろしていた
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/17(日) 15:59:17.72 ID:DfAB/hoy0
狼娘「襲われてる!」

商人A「何!?」

それを聞いた商人Aは馬車を停止させた

商人A「野盗か…なんてこった」

商人B「どうするんだ!?」

狼娘「決まってる!」

商人C「だよな!」

そう言うと、狼娘と商人Cは各々の剣を抜き、
馬車から飛び降りて、襲われている馬車へと駆け出した

商人A「お、おい!」

狼娘「二人はここにいて!」

商人B「まったくあいつらは!」

商人C「狼娘、俺は右っ側をやる」

狼娘「ならあたしは左!」

二人は左右に割れ、走る速度を上げる

一方で野盗達は戦利品に夢中で、二人の接近には気づいていない

野盗A「へへ、大量だぜ!」

野盗B「しっかし、乗ってるのは男ばっかじゃねーか」

野盗A「ああ、ここんトコ女が捕まらねぇよな」

野盗C「くっそぉ、今度は女が乗ってそうなヤツ等を襲おう…」

狼娘「はぁっ!」ヒュンッ

ブシュッ!

野盗C「ぜ?」

野盗A「…は?」

その瞬間に、野盗の半身に巨大な裂け目ができ、血が噴出した

野盗C「あ?あ、ぎゃぁぁぁ!?あ…」ドサッ

野盗は悲鳴もわずかにその場に倒れ、絶命した
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/17(日) 16:00:40.66 ID:DfAB/hoy0
野盗B「う、うわ!?なんだぁ!?」

狼娘「まず一人!」

駆け抜けざまに一人を切り倒した狼娘は、他の二人に向き直る

野盗A「や、野盗Cが!お前がやったのか?」

狼娘「見ての通り!」

野盗B「て、てめぇぇっ!」バッ

野盗Bは狼娘に向って、怒りに任せて剣を振り下ろそうとする

狼娘「せっ!」シュッ

しかし、それよりも早い速度で、狼娘は剣をはらった

野盗B「は…ぎゃはっ!?」バシュッ

狼娘「大振りすぎ、隙だらけだよっと!」

野盗Bの首から血が噴出す

野盗A「畜生ォ!ふざけんじゃねぇ!」ブンッ

狼娘「おおっとぉ!」フッ

狼娘は野盗Aのなぎ払った一撃をひらりとかわす

狼娘「甘い甘い!」

尻尾を一度ゆらりと揺らし、狼娘は野盗を挑発する

野盗A「馬鹿にしやがってぇ!」

狼娘に切りかかろうとする野盗A

野盗A「げっ!?」ドシュッ

狼娘「おろ?」

しかし、その前に野盗Aは横から首を突かれて絶命した

野盗A「が…」ドサッ

商人C「よっし三人目!」

その突きは商人Cの剣だった

狼娘「ああ、ずるい!」

商人C「遊びすぎなんだよ。お前は二人で俺が三人、俺の勝ちだな」

狼娘「もー」

そんなことを言い合いながらも、二人は馬車のところへと戻る

商人A「二人とも大丈夫か!?」

狼娘「へーきへーき」

商人B「いきなり飛び出して行きやがって…」

商人C「こういう時は、先手必勝だろ?」
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/17(日) 16:03:04.47 ID:DfAB/hoy0
商人A「まったく…それで、誰か生き残ってたか?」

商人C「いや、みんな殺されてた。かわいそうにな…」

馬車を振り返りながらそう言う商人C

狼娘「ん?」ピク

その時、狼娘の耳がかすか物音を捉えて反応した

商人C「どうした、狼娘?」

狼娘「いや、何か…!伏せて!」バッ

商人C「わ!」

狼娘は商人Cをつかんで地面に伏せる
次の瞬間、先程までたっていた場所を矢が通り過ぎた
矢は馬車に突き刺さる

商人C「矢!?どこから…!?」

狼娘「見てあれ!」

進行方向の森の方を示す狼娘
森の中から、多数の野盗の仲間と思われる男達が迫っていた
中には弓を持つ者の姿もある

商人C「こいつらの仲間か?くそ!」

商人A「多すぎる…逃げるべきだ」

そう思い、手綱を握りなおそうとした瞬間だった

ドシュッ ブシュッ

ヒヒィィィィ!

馬車を引いている馬が、複数の矢を受けて地面へと倒れてしまう

商人A「しまった!」

商人B「くそっ!あいつら、キャラバンを襲うのに慣れてやがる!」

商人C「来るぞ!」

狼娘「これはやるしかないよ!商人B、強化魔法を!」

商人B「わ、分かった!」

商人Bは短く呼吸を整えると、詠唱を開始
彼の強化魔法は対象者の速度や瞬発力を一時的に上昇させる
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/17(日) 16:11:16.48 ID:DfAB/hoy0
狼娘「よし、いくよ!」

商人C「おう!」

二人はその効力を生かすため、会えて敵中に突っ込む

狼娘「でやぁぁぁぁ!」

商人C「はぁぁぁぁ!」

野盗D「あいつらこっちに来やがるぞ?」

野盗E「へへ、かなわねぇとふんで降参しにき…」

ザシュッ!

野盗E「た…?」ブシュゥ

野盗D「は…?」

商人C「せいっ!」

野盗D「な、ぐがッ!?」ドシュッ

一瞬の間に二人の野盗が血を噴出す

野盗E「は、早いぞこいつら!」

狼狽する野盗を尻目に、二人は次々と野盗に切りかかってゆく

野盗F「ぎゃぁぁ!?」バシュッ

狼娘「まだまだ!」

野盗弓兵A「野郎ふざけ…ぐが!?」ドスッ

商人A「当たった!」

野盗の一人が弓を引こうとしたが、
それよりも早く商人Aが放った弓が野盗を仕留める

野盗E「野郎!クソッ!」キンッ キンッ

狼娘「おっとと、それじゃあたしは倒せないよぉ?」

次々と遅い来る野盗たちを見事にあしらってゆく二人



商人A「二人ともなんとかやってるみたいだな…!」

商人B「ああ、だが数が多すぎ…」

ドスッ

商人B「っ!?」

言いかけた商人Bの胸に、突如一本の矢が突き刺さる

商人A「な!?商人B!」

商人B「く…そ…」

その言葉を最後に、馬車の上に倒れる商人B

商人A「商人B!クソッ、どっから!?」

見渡せば、やや遠くに別の弓兵の姿
そして、一部の野盗が馬車の周りへと群がり出していた
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/17(日) 16:20:23.76 ID:DfAB/hoy0
野盗E「ぎゃはぁっ!?」ブシュッ

狼娘「やった!」

商人C「ああ、だが次々沸いてくるぞ!」

狼娘「そうだね、隙を見て後退を…え…?」

多数相手に立ち回っていた二人だったが
急遽、瞬発力が目に見えて落ち始める

狼娘「嘘、これって…」

商人Bの詠唱が途絶えたことで、魔法の効果が切れたのだ

狼娘「しょ、商人B!」

商人C「まずい!」

事態を察し、振り返れば
馬車は野数の野盗に囲まれていた

商人A「くっそ!」キンッ

商人Aは剣を握り、馬車の上から群がる野盗たちを払っている

ヒュンッ

商人A「ッ!?がぁ!?」ブシュッ

狼娘「あぁ!?」

しかし群がる野盗たちを裁ききれず、ついに商人Aの体を一本の剣が貫いた

狼娘「商人Aまでぇ!くそぉっ!」

商人C「まずいぜ、囲まれ出した!」

敵中で魔法の恩恵を受けられなくなった二人は、次第に四方を囲まれてゆく

狼娘「ぐ…うわぁぁぁ!」

商人C「な、狼娘!」

だが、狼娘は敵に向けて突進していった

商人C「狼娘、落ち着け!」

制止の声は狼娘の耳には入らず、怒り狂う彼女は剣を振り回す

野盗G「このっ、ぎゃ!?」ブシュッ

野盗H「いい加減おとなしく…ぐはっぁ!」バシュッ

怒りと狼の本能がない交ぜになり、近くの野盗たちを夢中で切り裂く狼娘

狼娘「このぉ!みんな切り殺してやる!!」

しかし、その怒りが判断を鈍らせた

キラッ

狼娘「!」

狼娘に襲い掛かかる一本の斧

狼娘「しまっ!」

回避しようとするも、到底間に合わない
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/17(日) 16:21:42.78 ID:DfAB/hoy0
ドンッ ドスッ

狼娘「…え?」

鈍い音がするも、狼娘の体に異変はない

商人C「ぐ…」

狼娘「え…商人C…?」

狼娘は商人Cに突き飛ばされ、
商人Cの背中には大きな斧が突き刺さっている

野盗ボス「おおっと、野郎に刺さったか。まぁいい…」

目の前には斧の主らしき大男
大男が斧を引くと、商人Cの体から鮮血が噴出し
商人Cは地面へと倒れた

狼娘「え…」

野盗ボス「こいつ最後にいいトコでも見せたかったのか?まぁ、無駄死にも同然だがな!」

商人Cの亡骸に向けて言いながら、斧を担ぎ直す野盗のボス

狼娘「う…うわぁぁぁ!」

怒りが最高潮に達した狼娘は、野盗ボスへと切りかかった

狼娘「あああああ!」

野盗ボス「ははは、元気なワンちゃんだ!」

がむしゃらに剣を振り回すが、悲しくも大振りで荒い動きの剣は
簡単にあしらわれてしまう

野盗ボス「よっ!」ヒュッ

ガキィンッ!

狼娘「あ…」

ついに狼娘の剣は、斧によって弾き飛ばされた

野盗ボス「へへへ、おいたはお仕舞いだぜ」

狼娘「く…くそぉぉぉぉぉ!!」バッ

狼娘は八重歯をむき出しにし、野盗ボスに飛び掛った

ドスッ

狼娘「がっ!?」

しかし狼娘の腹部に斧の柄が叩き込まれる

狼娘「が…あ…」

狼娘は脱力し、地面へと突っ伏した

野盗I「ボスさすが!」

野盗のボスをはやし立てつつ、狼娘を囲いだす野盗達

野盗J「この犬っころが!手間かけさせやがって」

野盗ボス「まぁ待て。見てみろ、犬っころだがなかなかの上玉だ
      連れて帰れば楽しめるぜ」

狼娘の髪を掴み、顔を覗き込む野盗達

野盗I「ひさびさの女だぜ!」

野盗J「今夜は楽しめるなぁ!」

野盗たちの声は狼娘の耳にも入っているが、やがて彼女の意識は遠のいてゆく

狼娘「く…そぉ…」

その声を最後に、狼娘は気を失った
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/17(日) 17:09:39.72 ID:w2hHkdgAO
狼娘が…
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 20:33:06.84 ID:w49ds36n0

そろそろ次スレいかんと
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/20(水) 11:15:06.51 ID:SELDR0JP0

草風の村


院生達は民家の一室を貸してもらい
そこで話し合いをしていた

燐美の勇者「聞いた話しをまとめると、ナイトウルフの活動拠点は
       北にある山の麓だね」

広げた地図を示しながら言う燐美の勇者

麗氷の騎士「ナイトウルフには集団で行動する生き物だ。
      まして、こんな人里にまで下りてきて活動しているということは、
      それを統括しているボスがいるはずだ」

院生「それを倒せば…」

燐美の勇者「少なくとも、人里での活動はできなくなるはずだよ」

麗氷の騎士「数もなかなかの物だ。とすると、住処の場所は自然と限られる」

燐美の勇者「明日の朝は山の麓にある洞窟と、その周辺を探したいと思うんだ」

院生「朝ですか?」

麗氷の騎士「ナイトウルフは主に夜間に行動する生き物だ。
      だから、明け方の活動を終えて、奴等の比較的疲労している時間帯を狙うんだ」

院生「成程…」

燐美の勇者「といっても危険な事に代わりはないからね。
       院生さんはここにいて。ボクと麗氷で解決してくるから」

院生「あ、はい…」

麗氷の騎士「そんなに心配そうな顔をしないでくれ。大丈夫だ」
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/20(水) 11:35:00.72 ID:SELDR0JP0
話し合いが終わった後、二人は村人達へ報告に行った

院生「…すごかったな、燐美さんも麗氷さんも…」

院生は椅子に腰掛け、今日のことを思い出していた

院生「すごく強かったし…勇者と騎士か…」

考えていた所で部屋の扉が開き、燐美の勇者へと部屋に戻って来た

燐美の勇者「ただいま〜」

院生「お帰りなさい。あれ、麗氷さんは?」

燐美の勇者「寝る前の鍛錬に行ってる。麗氷の日課なんだ」

院生「すごいですね…」

燐美の勇者「麗氷、真面目だからねー」

言いながら燐美は上着を脱ぎ、三つ編みしていた後ろ髪を解こうとする

燐美の勇者「んー、うまくいかない」

院生「あ、わたしが」

院生は燐美の勇者をベッドに座らせ、燐美の勇者の後ろ髪を解いてゆく

燐美の勇者「あはは、ありがと。いつもは麗氷にやってもらってるんだけどさ」

院生は解いた燐美の勇者の髪を、櫛で梳かしてゆく

院生「…っと?」

梳かしている最中に、櫛の先に紐が引っかかり
燐美の勇者の首から下がる紐に気が付いた

燐美の勇者「ああ、ごめんごめん」

紐は燐美の首から下がる、ペンダントの物だった
燐美の勇者はペンダントをはずす
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/20(水) 11:35:44.71 ID:SELDR0JP0
院生「綺麗なペンダントですね」

ペンダントは銀で形作られ、小さな赤い結晶が付いている

燐美の勇者「お守りなんだ。国をでる時に、ボクのお姉ちゃんが持たせてくれたんだ」

言いながらペンダントを脇へ置く燐美の勇者

院生「燐美さん、お姉さんが?」

燐美の勇者「うん、二つ上のお姉ちゃんが一人ね」

院生「へぇ…」

話を聞きながら、燐美の勇者の髪を梳くのを再開する
そこへ、麗氷の騎士が部屋に戻って来た

燐美の勇者「あ、おかえり〜」

麗氷の騎士「ああ、ただいま…ほう」

院生をまじまじと眺める麗氷の騎士

院生「な、なにか?」

麗氷の騎士「いや、そうしていると、院生さんが勇者様の姉君のようだと思ってな」

院生「へ?」

燐美の勇者「あ、そういえばそうかも。院生さん、お姉ちゃんとなんか雰囲気も似てるし」

院生「そ、そうですか?」

燐美の勇者「えへへ…おねえちゃ〜ん!」ガバッ

院生「ふわっ!?」

髪を梳き終わったタイミングで、燐美の勇者は院生の膝元に転がって見せた

麗氷の騎士「おいおい、院生さん戸惑ってるぞ」

燐美の勇者「えへへ〜」

院生の膝元に顔を埋める燐美の勇者

院生「…ふふ」
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/20(水) 11:50:12.01 ID:SELDR0JP0
月詠湖の王国 鍛冶一家の家


鍛冶兄「…ッ!」ブンッ

家の裏手で、鍛冶兄は自分の斧を振り回している

鍛冶兄「ハッ!」

重たい斧をうまく保持し、一振り一振りを最小限の動作でこなしてゆく

鍛冶兄「だぁぁっ!」

最後の一振りの後、斧を地面へと着く鍛冶兄

鍛冶兄「…くそ…これじゃなぁ…」


屋内

鍛冶妹「ふぁぁ…」

鍛冶妹は夜中にあくびをしながら居間に下りてくる

ガチャ

鍛冶兄「はぁぁ…」

そこで裏口から入ってきた鍛冶兄と出くわした

鍛冶妹「あれ?兄貴まだ起きてたの?」

鍛冶兄「ああ…ちょっと体を動かしてた」

鍛冶妹「なんでまたこんな時間に?毎朝やってるのにさ?」

鍛冶兄「…あんなんを見ちまったからな…」

鍛冶兄は斧を立て掛けると、近くの椅子へと腰掛ける

鍛冶兄「あんな力がこの世にあるとはな…」

鍛冶妹「すごかったよね〜…ホント何者なんだろ?
     今日、新しく増えた中には女の子もいたけど」

鍛冶兄「…非力だった」

鍛冶妹「兄貴?」

鍛冶兄「…俺もそれなりに鍛えてたし、戦えるつもりでいた…
     けど今日、彼らの前ではお荷物同然だった…!」

鍛冶妹「そりゃあ…しょうがないって。あんな分けわかんない人たちと比較してもさ。
     それに人によって力なんて違ってくるんだから」

鍛冶兄「お前は魔法が使えるからいいかもしれない。
     でも、俺にはこれしかないんだ!」

鍛冶妹「兄貴…」

鍛冶兄「…すまん、お前に当たるなんてどうかしてるな…」

鍛冶兄は斧を片付けに、隣の部屋へと入っていった

鍛冶妹「真面目なんだから…」
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/20(水) 13:06:14.90 ID:SELDR0JP0
次スレ立てました

自衛隊員「異世界に飛ばされちまった………」【弐型】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361332596/

お待たせいたしました
ストーリー中の日付変更に合わせたかったので
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/20(水) 13:09:25.73 ID:SELDR0JP0
【注意】当スレッドは、まとめblogその他への転載はお断りさせていただきます

言っておくに越した事はないよね…?
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/20(水) 13:38:02.53 ID:pAjr/L8ko

言っておかないと絶対転載される
言っても自動掲載のところには載るけどね
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/20(水) 19:46:41.54 ID:IRhyOLlAO
乙乙!
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/21(木) 15:24:09.93 ID:mLX2oRFi0
残ったレスでなんかしようかと…企む…
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/23(土) 14:14:48.72 ID:zUc5dqEJo
雑談スレとかでいいんじゃないかな
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/23(土) 14:22:17.58 ID:d6if0ygfo
飛ばされる前に自衛隊達が何をしてたかとか
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/23(土) 15:25:51.04 ID:uuW6nUSl0
樺太が日本の領土ってなってるから日本全体の領土でリアルと違うところを教えてほしい
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/23(土) 18:26:42.87 ID:SFDWX8aso
残りレス数も少ないし次スレ移行しているのだからさっさと埋めちゃうのに限ると思うのだが
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/23(土) 23:04:53.22 ID:OlEJmqTA0
現実の日本と自衛達の日本は、歴史その他がかなり異なります

中国との関係が最悪の状態になり、
九州方面の部隊はすでに臨戦態勢に
それに伴い、北海道、東北の部隊は牽制も兼ねた
長期間の大規模実弾演習を行っていました
その最中に自衛達北部方面隊の各部隊は、こっちの世界へ飛ばされてしまった

という設定です

正直、我々の知る“自衛隊”から大きくズレてしまうので
この設定で行って良いものか悩みましたが、
こうでもしないと、色々無理が生じて来るので
設定として入れ込みました

見切り発車の弊害です

自衛達の世界もまた、パラレルワールドだと思っていただければ幸いです
具体的な現実との違いは、本編中で書いて行こうと思ってますが


994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ◆QTgLSjqNKs [saga sage]:2013/02/23(土) 23:32:44.71 ID:OlEJmqTA0
超悪ふざけ


                       『特放』




衛生「…士長…月の数が違います…!」

謎の現象に巻き込まれる自衛隊


                              FV砲手「…お、俺、ションベン行きたなってきた!」

                              隊員D「馬鹿野郎ふざけてる場合か!」

                              自衛隊員の間に走る動揺




偵察「村娘―――――――――!!!」

ある者は愛する者のところへ駆ける



                              同僚「私達は村を襲って食料と女を入れ替える」

                              ある者は欲望のままに歩む




隊員C「あいつらの兄貴になってやるって約束しちまってよ」

ある者はこの世界で居場所を見つける




                              82車長「銃くれ銃!何でもいい、早く!」

                              戦乱の渦中で戦い続ける自衛隊



FV操縦手「もう、燃料が無いよォ!!!」

逼迫する物資
自衛隊は生き残れるのか!?




                ファンタジーは俺達に何をさせようとしているのか!?



       
          自衛「討ち取ったぞぉ…魔王の首ぃ!!!フゥーハハハハハァーーーーー!!!」




                  『劇場版 ファンタジー自衛隊』

                     3220年 32月 2日
                     全国一斉ロードショー






やってみたかった
凄まじくゴメン

以下、雑談か埋めで
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/23(土) 23:39:22.03 ID:VvsiB/Pmo
乙です
埋め
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/23(土) 23:50:51.73 ID:rWX2Oyrzo
スマホの専ブラだとすげぇみづれぇwwwwww
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/23(土) 23:54:26.81 ID:QbTl1EvWo
2chmateという便利な物があってだな
埋め
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 00:19:15.26 ID:6GKhQZ1Ao
うめ
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 00:53:20.65 ID:HUmWQef0o
1000ならパート10ぐらいまで続く!
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 00:53:44.72 ID:uxIcvO7yo
1001 :1001 :Over 1000 Thread
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    '.o  r┐   *   ヽ、 ヽ、_     ,..-=ニ_
    =@   ノ       ノヽ、,  !..□ /     ヽ
     ヽ        .ィ'.  ,!    ハ/    、   `!、    七夕に…
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TPPを越える世界戦略を生み出すためにTPPを学ぶスッドレ @ 2013/02/24(日) 00:48:15.26
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[安価]街に幼女がいるようです @ 2013/02/24(日) 00:48:11.06 ID:9QWsa9px0
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響「応答願ウ」 @ 2013/02/24(日) 00:13:43.58 ID:nUbVdVCH0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361632423/

四月一日「スタンド?」 @ 2013/02/24(日) 00:09:04.87 ID:VTSzUW7a0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361632144/

【安価】主人公「まどか☆マギカオフライン」 ★59【コンマ】 @ 2013/02/24(日) 00:05:25.65 ID:bK+l2FEVo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361631925/

キョン「ハルヒに人工呼吸しないと」 @ 2013/02/24(日) 00:04:30.63 ID:cnHy3cfDo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1361631870/

昔、秀?とか言う人がここでSS的な思い出話を @ 2013/02/24(日) 00:01:37.43
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4vip/1361631697/

P「貴音・十三夜」 @ 2013/02/23(土) 23:58:36.36 ID:xelpnz+30
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