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先輩「無駄話は好きかい?」後輩「…程々に」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 18:28:36.54 ID:ObTjuD/v0
―1―


先輩「つい最近君と花見をしたと思っていたら、もう梅雨だね」

後輩「時間が過ぎるのは早いですね」

先輩「年齢を重ねるほどに体感時間が加速していくのは不思議なもんだ」

後輩「同感です」

先輩「こうやって漫然と時を過ごしていると、いつの間にやら腰が曲がっていそうだね」

後輩「まぁ漫然と過ごせる時間があるだけでも良いじゃないですか」

先輩「いいこと言うね、君は。そういう所が好ましいよ」

後輩「……はいはい」

先輩「さっきのは腰が曲がるまで一緒にいよう、というプロポーズにも取れる発言と捉えていいのかな」

後輩「どう捉えたらそう聞こえるんですか」

先輩「お、そうそう! プロポーズと言えば、私には理想のシチュエーションが一つあるんだ!」

後輩「…先輩。話題転換が急すぎて、話の腰が折れちゃってます」

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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 18:32:21.07 ID:ObTjuD/v0
―2―


先輩「クシャミが可愛い子っているじゃないか」

後輩「確かにやたら可愛くクシャミする人いますよね」

先輩「へぷちっ、とか」

後輩「ちゅんっ、とか」

先輩「ああいうのって素の可愛さが出ていいよね」

後輩「先輩はどういう風にくしゃみするんですか?」

先輩「試してみようか」


コショコショ……コショコショ……


先輩「へ、へくちんっ!」

後輩(あ、なにそれ可愛い)

先輩「………まもの」

後輩「まもの!?」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 18:34:31.01 ID:ObTjuD/v0
―3―


先輩「最近新しくヘッドフォンを買ったんだ」

後輩「へぇ」

先輩「君から借りた曲を、もっといい音で聞こうと思ってね」

後輩「それはまた貸した側としては冥利に尽きますね」

先輩「でもヘッドフォンにも沢山種類があって、最初は何を買おうかと迷ったよ」

後輩「そういう時は店員のお薦めを選ぶのが無難かと」

先輩「私もそう思って、無難に店員に訊ねてみたんだ。そしたら予想よりも値が張ってね。
   多分聞いたら君も驚くと思うよ」

後輩「いくらだったんですか?」

先輩「試しに値段言ってご覧。当たったらこのヘッドフォンのレシートをプレゼントしようじゃないか」

後輩「心から要らないプレゼントですが…そうですね、1万円くらいですか?」

先輩「3500円」

後輩「割と妥当じゃないですか」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 18:37:58.25 ID:ObTjuD/v0
―4―


【後輩の自室にて】


先輩「お腹空いたね」

後輩「そうですね」

先輩「なにか食べたいものはあるかい?」

後輩「その言い方だと作ってくれるような期待しちゃうじゃないですか。
   変な期待を抱かせるのは勘弁してください」

先輩「これは失敬。でも別に作ってあげてもいいんだよ?」

後輩「遠慮しておきます」

先輩「遠慮しなくていいって」

後輩「あ、なんか胸いっぱいになりました。僕は何も食べなくていいかな」

先輩「それ結局お腹を満たしてないじゃないか」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 18:40:20.62 ID:ObTjuD/v0

先輩「むぅ。それとも何かい、私が作る料理は不服とでもいうのかい?」

後輩「作ってくれるのは正直とっても嬉しいです。
   でも、また焦げ付いた野菜炒めを食べさせる気ですか?」

先輩「せっかくこういう時の為にオリーブオイル買ってきたのに」

後輩「某番組に影響されすぎです、先輩」

先輩「高い打点から塩をまぶす特訓もしてきたんだよ」

後輩「某番組に影響されすぎですって」

先輩「せっかく書店で『はるみキッチン』の本も買って勉強したのに」

後輩「今の流れからどう間違えてその番組の本買っちゃったんですか」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/13(水) 18:41:19.47 ID:ltEDf0ZSO
おおお前か

今コパール王国の大臣ががいたぞ
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 18:42:10.39 ID:ObTjuD/v0

後輩「はぁ……全く。それで、何か食べたいものはありますか?」

先輩「肉じゃが!」

後輩「はいはい。今からだと、飲み物の買出し含めて少し時間かかっちゃいますが…いいですか?」

先輩「いいよ。新婚妻の気分で君の帰りを待ってるからさ」

後輩「そこは貴女が買出しに行くところでしょう」

先輩「おやおや、先輩を使いっパシリにするとは」

後輩「僕が料理作るんだから妥当です、妥当」

先輩「仕方ないねぇ。じゃあ少し行ってくるよ」

後輩「宜しくお願いします」

先輩「で、私は肉じゃがの惣菜を買ってくればいいのかな?」

後輩「それ買って来ちゃったら本末転倒でしょうが」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 18:45:37.96 ID:ObTjuD/v0
―5―


先輩「お酒の酔い方には色々あるけれど」

後輩「はぁ」

先輩「君は酔ったらどうなるんだい?」

後輩「眠くなりますね」

先輩「ああ、確かにメグたんは飲みすぎたら目がしょぼしょぼしているなぁ」

後輩「お酒自体は嫌いじゃないんですが、眠気の方が勝っちゃうんですよ」

先輩「そういう所は可愛いね」

後輩「はいはい」

先輩「可愛くてプリティだ」

後輩「おにぎりごはん、みたいな言い方ですね」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 18:48:03.80 ID:ObTjuD/v0

後輩「先輩は、お酒に酔ったらどうなるんですか?」

先輩「君も充分知っているじゃないか」

後輩「いや、お酒の席で先輩が飲んでいるのってウーロン茶かコーラしか知りませんから」

先輩「ああ、そうだっけ?」

後輩「酒の席が一緒の機会は何度かあります。けれども、先輩がアルコール飲んでいた覚えはないですね」

先輩「じゃあ教えてあげよう。私はね、お酒をたらふく飲んだら……」

後輩「飲んだら?」

先輩「強くなるよ」

後輩「分解酵素とか、お酒への免疫とかが?」

先輩「いや、物理的に」

後輩「それは流石に予想外の回答でした」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 18:51:52.94 ID:ObTjuD/v0
―6―


先輩「雨が降ると外に出かけるのが面倒になるじゃないか」

後輩「確かに。億劫になりますね」

先輩「そういう意味では雨が嫌いかな」

後輩「まぁ、雨降った日に出かける用事作る人なんて珍しいですよ」

先輩「でもね、雨が降ったときの薄灰色に染まった空模様と町並み。
   傘の上から聞こえてくる硬い雨音のリズムは嫌いじゃない」

後輩「なんとなく分かります、その感覚」

先輩「それに、雨上がりの凛とした空気の気持ち良さは最高だね」

後輩「同感です」


後輩「先輩」

先輩「ん?」

後輩「……オチは?」

先輩「ないよ?」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 18:55:28.60 ID:ObTjuD/v0
―7―


先輩「ついさっきの事なんだけれど、やたら可愛いうっかりさんがいてね」

後輩「ほぅ」

先輩「凄く胸キュンするうっかりさんの話なんだが」

後輩「可愛いくて胸キュンですか」

先輩「そうなんだ。その上にとってもセクシーな人なんだよ。どうだい、聞いてみたくないかい?」

後輩「はぁ、まぁ長くならない程度になら」

先輩「君も素直じゃないねぇ。話を聞いてみたいなら、私に一言そう伝えてくれるといいじゃないか」

後輩「話を誰かに伝えたいなら、そう言えばいいじゃないですか……」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 19:02:06.12 ID:ObTjuD/v0
先輩「それで本題なんだが」

後輩「はい」

先輩「その人は先日の休みに服を買ったんだろうね。
   意気揚々と新しい服を着て学校へ来たのはいいんだけれど」

後輩「ふむふむ」

先輩「上下の服全てにタグが付いたままだったんだ」

後輩「へぇ」

先輩「周りからの注目を視線で感じていた彼女は何を勘違いしたか、
   友人からの指摘があるまではドヤ顔で授業を受けていたそうで」

後輩「ああ、なるほど。これはまた何というか残念な人ですね」

先輩「どうだい、可愛らしいエピソードだろう?」

後輩「可愛らしいかどうかは置いといて、なかなかのうっかりさんというのは分かりました。

先輩「そこはきっと彼女も否定できないだろうね」


後輩「……ところで先輩」

先輩「うん?」

後輩「タグがまだ一箇所だけ切れてないですよ」

先輩「あれ? さっき全部切った筈なんだけれど?」

後輩「……」

先輩「か、可愛いらしい話だろう?」

後輩「……はいはい」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 19:17:52.65 ID:ObTjuD/v0
―8―


先輩「本当はメガネを普段かけていたのに、突然コンタクトにした子にさ。
   コンタクトに変えるキッカケは何だったのか聞いてみたいと思わないかい?」

後輩「いえ、別に」

先輩「でもそれには、まず目の悪い子を探すのがインタビュー対象となるよね」

後輩「はぁ」

先輩「それを踏まえた上で既にコンタクトの子。このパターンが条件付けとして当て嵌まる」

後輩「さいですか」

先輩「そこでふと思ったんだけど、メグたん」

後輩「何ですか」

先輩「君ってひょっとしてコンタクt……」

後輩「期待しているところ恐縮ですが、違います」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 19:20:59.72 ID:ObTjuD/v0

後輩「あれ? 先輩って確か出会った当初、メガネをかけていたような気がするんですが」

先輩「うん、そうだよ。普段はコンタクトなんだ」

後輩「……」

先輩「また何で腑に落ちない顔をするのかな?」

後輩「……ひどいブーメランを見てしまったからですね、きっと」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 19:22:18.86 ID:ObTjuD/v0

後輩「一つ質問いいですか?」

先輩「なんでもどうぞ」

後輩「先輩、なんでメガネからコンタクトにしたんですか?」

先輩「君がメガネ無しの方が良いって言ったからだよ」

後輩「……」

先輩「でも理由を思い返してみると、私はまるで恋する乙女のようだね。いやぁ、気恥ずかしい」

後輩「……」

先輩「あれ、メグたん照れてる? なんで?」

後輩「……ホントもう自重してください」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 19:24:48.88 ID:ObTjuD/v0
―9―


先輩「疲れたときには甘いものが一番だね」

後輩「同感です」

先輩「今日はチョコレートの気分だなぁ」

後輩「先輩はよく甘いもの食べているのに、不思議と太りませんよね」

先輩「あまり気にした事なんて無かったけれど、言われてみればそうかも知れない。
   食べても太らないとか、多分そういう体質なのかな?」

後輩「……いいなぁ」

先輩「メグたんは細すぎるから、むしろもっとお肉をつけるべきだよ」

後輩「細身の人が言っても説得力ないですよ……」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 19:33:29.35 ID:ObTjuD/v0
―10―


先輩「ふと思ったんだが」

後輩「何ですか?」

先輩「『不毛』っていう言葉を考えた人は、予言者かも知れない」

後輩「……」

先輩「字の成り立ちからして、毛生え薬が発明されたその瞬間に
   不毛という言葉は総じて意味を無くす。
   それでも未だ『不毛』というワードが消えていない」

後輩「……」

先輩「その言葉がいつ出来たのかは言語学者に任せるとして、少なくとも結構昔だろう。
   しかして時が進んだ今でさえ、毛を生やす医学は一向に進展していない」

後輩「……」

先輩「もし『不毛』を考えた人が予言者なら…未来永劫、毛生え薬は完成しないのかも知れない」

後輩「先輩」

先輩「ん?」

後輩「……この話題、とても不毛です」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 19:39:05.37 ID:ObTjuD/v0
―11―


後輩「最近どうにも寝つきが悪くて困っていまして」

先輩「それはあまり宜しくないね」

後輩「ゆっくり眠れる良い方法を知りませんか?」

先輩「そうだね。私からアドバイスとしては……」

後輩「しては?」

先輩「目を瞑ってみるとかどうだい?」

後輩「さすが先輩、いいアイデアですね」

先輩「その上部屋を真っ暗にして、深呼吸。これで完璧と思うんだ」

後輩「ありがとうございます。聞いた相手を間違えました」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 19:48:06.80 ID:ObTjuD/v0
―12―


後輩「ついさっきの話、というか通学中の話なんですが」

先輩「ん?」

後輩「道に迷っている人を助けている知人を見かけまして」

先輩「へぇ」

後輩「ああいう優しさって大事ですよね」

先輩「確かにそうだね。でも、それは優しさではなく本来は当たり前の事なんだよ。
   困った人を助けるという当たり前は、忘れちゃいけないね」

後輩「それには同意です」

先輩「うむ」

後輩「それに、人助けを行なったという事柄を誰にも言わない。そういう美徳を持つ人は素敵です」

先輩「……」

後輩「ね、先輩」

先輩「……み、見ていたのなら、声くらいかけてくれても良いじゃないか」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 19:56:04.81 ID:ObTjuD/v0
―13―


先輩「君には忘れられない人っているかい?」

後輩「それって、恋人とか好きな人って事ですか?」

先輩「いやいや、一概にそれだけじゃなくてだね。友人や親戚とかも含めてさ」

後輩「そうですね…。知り合いが妙に濃い連中ばかりなので、みんな忘れられそうにないですね」

先輩「いいね。忘れられない事が多いというのは充実している証拠だよ」

後輩「……こんな話を振ってくるということは、先輩には居るんですね」

先輩「ん?」

後輩「忘れられない人」

先輩「うん、いるよ」

後輩「どんな人なんですか?」

先輩「高校時代の同級生。その人からさっき久しぶりに連絡があってさ」

後輩「へぇ、先輩の忘れられない人ですか。ちょっと興味ありますね」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 20:00:36.09 ID:ObTjuD/v0

先輩「別段面白くない話だよ」

後輩「まぁ、無理に聞こうとは思わないので」

先輩「……そう言われると話したくなるのは不思議な心理だ」


先輩「初めて彼と話したのは…そうだね。赤い夕暮れの差し込む、黄昏色の教室だった」

後輩「ロマンスの予感しかしない情景ですね」

先輩「英語の宿題で使う辞書を取りに教室に戻ると、ベランダに立ちすくんでいる後姿が見えたんだ」

後輩「話しかけたんですか?」

先輩「うん。何しているの、って感じでね。そうしたら彼、何て言ったと思う?」

後輩「簡素な挨拶とかじゃないんですか?」

先輩「『くっ! この教室は一時的に結界で封印している筈なのに…なぜ君はココに居る!?』」

後輩「あいた」

先輩「鍵かかっていなかった旨を説明すると、彼は言った。『そうじゃない!ここは獣の…いや、何でもない』」

後輩「あいたた」

先輩「野良犬にでも侵入されたのか聞くと、『君は早く逃げろ』の一点張りさ」

後輩「あいたたたた」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 20:03:46.20 ID:ObTjuD/v0

先輩「いやぁ、中々のインパクトだったねぇ」

後輩「そうですね」

先輩「なんで君が優しそうな目をしているのかは甚だ疑問だが、今はまぁいいや」

後輩「類は友を…いや、なんでもないです」

先輩「『右目に獣を宿している同級生』はどうしているのかな、と思って先日連絡したら留守電でね。
   それがついさっき折り返しで電話かかってきたのさ」

後輩「その人の第一声が気になる所ですね」

先輩「『俺のこと……忘れてくれたんじゃなかったんですか……?』だとさ」

後輩「……」

先輩「私が君の事を忘れるわけないじゃないか、って答えたらむせび泣いていたよ」

後輩「……身も知らない人ですが、彼の事はそのくらいで勘弁してあげてください」

先輩「?」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 20:09:33.08 ID:ObTjuD/v0
―14―


先輩「最近は勉強中の気晴らしがてらにラジオをよく聴いているんだが」

後輩「へぇ」

先輩「これがまた意外と面白いんだ」

後輩「僕も耳寂しいときや新しい音楽発掘するときに聴くんで、気持ちは分かります」

先輩「君はどんな感じの番組を聴くんだい?」

後輩「音楽番組ばかりですよ。先輩は?」

先輩「その時間帯に流れている番組全部かな」

後輩「……聖徳太子でも目指しているんですか、貴女」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 20:13:20.98 ID:ObTjuD/v0
―15―


先輩「いつも思うんだが」

後輩「はい」

先輩「なんでEカップ以上の下着って、ちょっと値が張るんだろうね」

後輩「知りません」

先輩「しかも可愛いデザインの物はカップが上がっていくにつれて反比例するんだ」

後輩「それは確かに疑問ですね」

先輩「この前見たAカップのブラ、淡いパウダーピンクにフリル付きで凄く可愛かったんだよ」

後輩「……へぇ」

先輩「思わず買っちゃった」

後輩「なんで全然違うサイズのブラ買っちゃったんですか」

先輩「思わず付けちゃった」

後輩「何をどう思って付けちゃったんですか」

先輩「今すごく息がしづらい」

後輩「ブラがさらしみたいな扱いになってるじゃないですか」

後輩「ん?」

後輩「…今!? なんで今つけているんですか!?」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 20:15:38.40 ID:ObTjuD/v0
―16―



先輩「人を好きになる順番、知っているかい?」

後輩「いえ、知りません。むしろ好意を抱く順番付けがあるなんて初めて知りました」

先輩「これは全員に当て嵌まる事じゃなくて、統計学の話になるんだけれどね」

後輩「へぇ」

先輩「この話、興味あるかい?」

後輩「少しくらいは」

先輩「よし。それじゃあいずれかの機会で教えてあげよう」

後輩「……今教えてくれるんじゃないんですか」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 20:17:20.68 ID:ObTjuD/v0
―17―


先輩「昔の夢を見たんだ」

後輩「どんな夢ですか」

先輩「兄さんの夢」

後輩「……そういえば、もう梅雨でしたね」

先輩「うん」

後輩「僕は、こういう時にどんな声をかければいいか分からないので」

先輩「うん」

後輩「夢の話くらいしか、聞いてあげられません」

先輩「それだけで充分さ」


先輩「メグたん」

後輩「はい」

先輩「ありがとう。君のそういう所、私は愛してやまないよ」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 20:30:06.97 ID:ObTjuD/v0
―18―


先輩「この前、図書館で本を借りたんだ」

後輩「相変わらず図書館通いに精が出ますね」

先輩「精が出るとかいやらしいね、君は」

後輩「そういうワードに反応するとか思春期真っ盛りですか貴女」

先輩「冗談だよ。それで、話を戻すとだね。普段読まないジャンルに手をつけてみたんだよ」

後輩「へぇ…先輩は結構なんでも読んでいるイメージなので、読まないジャンルにピンと来ないですね」

先輩「私はどうにも『恋愛モノ』を敬遠している節があってね。まぁでも、物は試しに読んでみたよ」

後輩「どうでした?」

先輩「壮絶だった」

後輩「本の感想で滅多に聞かない言葉ですよ、それ。どんな本読んだんですか」

先輩「ねぇ、メグたん。恋愛小説の最後はどうしても彼氏か彼女が死ななければならない決まりがあるのかい?」

後輩「僕から一つ言えるのは、きっと読む本のチョイスを先輩が間違えてしまっていることだけです」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 20:38:16.59 ID:ObTjuD/v0
―19―


先輩「あー、肩が痛い」

後輩「肩こりですか?」

先輩「うん。最近は論文やら課題やらで、机に向かうことが多くてね」

後輩「僕で良ければマッサージしましょうか」

先輩「お、本当かい?」

後輩「あんまり上手じゃありませんが……」

先輩「いいよ。上手下手よりも、私は君の心意気が嬉しいんだ」

後輩「そ、そう言って頂けるなら嬉しいです」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 20:40:15.29 ID:ObTjuD/v0
後輩「……」

先輩「あはっ、ちょ、くすぐったい、優しく、もっと」

後輩「……」

先輩「あっ、そこそこ、いい、いいよ」

後輩「……」

先輩「あふっ、うっ、ん、ふぅっ、くっ」

後輩「……痛くないですか?」

先輩「痛くない、よ。 君、凄く、上手だからっ」

後輩「……わざとですか?」

先輩「な、にがっ、あっ、そこ、ツボ……!」

後輩「何でもないです。いえ本当に……」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 20:40:58.72 ID:ObTjuD/v0

先輩「ふーっ、気持ち良かったよ。 なんだか肩甲骨から翼でも生えている気分だ」

後輩「……さいですか」

先輩「君はなんで疲れているんだい?」

後輩「……別に」

先輩「まぁ、確かに私ばかりがマッサージされるのも不平かな。
   ほらメグたん、横になってご覧。私が揉んであげようじゃないか」

後輩「そう言ってくれるなら、お言葉に甘えさせて頂きます」

先輩「任せてくれ。こう見えても私はツボの知識が結構あるんだぞ」

後輩「へぇ、意外ですね」

先輩「私からマッサージを受けた人は、至福の眠りに就くことが殆どでね」

後輩「そんなに気持ちがいいんですか。ちょっぴり楽しみです」

先輩「周囲からよく呼ばれていたよ。『北斗○情破○拳の使い手』とね」

後輩「よりにもよって北○神拳使いの呼び名ですか。不安で胸が高鳴ります」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 20:42:36.55 ID:ObTjuD/v0

先輩「それっ!」

後輩「いた、いたい、いたたたたっ! せ、先輩! 痛いです!」

先輩「ここはどうだ!?」

後輩「いったぁぁぁぁ! そ、そこ骨! 骨をダイレクトに押してますから!」


先輩「んぅー?間違ったかな?」

後輩「に、偽者の方でしたか……」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 20:52:10.24 ID:ObTjuD/v0
―20―


先輩「諸事情で一週間ほど保育園でボランティアをする事になったんだ」

後輩「先輩が保育士、ですか」

先輩「似合っているだろう?」

後輩「まぁ、否定はしません」

先輩「せっかくだからメグたんも一緒にやろうよ」

後輩「ありがたいお誘いですがお断りします」

先輩「まぁでも、メグたんが保育士なら男の子に泣かされそうで心配だ。今のは聞かなかった事にしてくれ」

後輩「いやいや、聞き捨てならない事を言われたような気がするんですが」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 20:53:39.96 ID:ObTjuD/v0

後輩「しかして、なんでまたボランティアする事になったんですか?」

先輩「たまたま掲示板で短期のボランティア募集してたから、何となくやってみようと思い立ってさ」

後輩「気まぐれですか」

先輩「そうとも言うね」

後輩「そうとしか言いませんよ」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 21:01:51.76 ID:ObTjuD/v0

先輩「機会あって子どもを相手にするわけだから、何か喜ばれるような事をしたいと思ってね」

後輩「ほぅほぅ」

先輩「色々考えてみたんだが、後のインドア予備軍を量産するために絵本を作ってみたんだ」

後輩「物は言い様ですね。『本好きな子どもを増やすため』って言えば聞こえがいいのに…」

先輩「とりあえず園児に読ませても遜色ないか、メグたん読んでみてくれないか」

後輩「先輩が考え付いた物語ですか。絵本どうこうを抜きにしても興味がありますね」

先輩「おお、そう言ってくれるのは嬉しいね」

後輩「ちなみにタイトルは?」

先輩「『いとしのまおうさま』」

後輩「……よりにもよって題材のチョイスが魔王ですか」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 21:06:02.05 ID:ObTjuD/v0

むかしむかし、そのむかし。



にんげんとまものがてをつなげなかったころ。

てをつなぐ、ということをしらなかったころ。


さいてちるためにうまれたしょうじょと、もえつきるためにうまれたせいねんがであいました。


……

………

…………



先輩「どうだった?」

後輩「思わず泣くところでした。最後の方は魔王の心情を思って読むと切なすぎます」

先輩「おお、評価は上々だね」

後輩「ただ、これは園児には優しくないでしょう」

先輩「む、なんでまた?」

後輩「……400ページ近い絵本は最早小説ですから」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 21:15:38.87 ID:ObTjuD/v0
―21―



先輩「最近はすっかり蒸し暑くなってきたなぁ」

後輩「じっとしているだけでも汗ばんでしまうのは難点ですね」

先輩「そろそろ夏のファッションを考えるべきか」

後輩「例えば?」

先輩「パレオとかどうだろう」

後輩「部屋着でもどうかと思います」

先輩「いや、もちろん学校で着るつもりだが」

後輩「尚更どうかと思います」

先輩「流石に冗談だよ。いくらなんでもパレオは難しいねぇ」

後輩「パレオ『は』って何ですか、パレオ『は』って」

先輩「まぁメグたんがビキニで通学してくれるなら、私のパレオ通学は諦めるとするよ」

後輩「なんで僕をさり気なく巻き込んでいるんですか」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/13(水) 21:20:17.21 ID:ObTjuD/v0
無駄話を書き連ねるのは存外楽しいものでして。
こんな具合で書けるときにダラダラと綴らせて頂きます。
読んで頂いて恐悦至極。

保守がてらに無駄話や世間話のネタでも貰えると有り難い。
書かれている分はSSネタで還元させて頂きます。
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/13(水) 21:45:40.85 ID:i7I1Kj4co
これは大学生のコンビだよな?
いっしょのバイト先での光景なども見てみたい。
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/13(水) 21:46:12.64 ID:ltEDf0ZSO
お前もこのシリーズが好きだな
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/14(木) 11:28:50.97 ID:87ezwJ8Jo
こっちに来てたー!乙!
バイトと言えば最近クレーマーがorz
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/06/14(木) 14:08:24.53 ID:rUaFzmde0
小話みたいでとても面白いです
テンポもいい

19の北斗○拳の有○○顔拳は決して背中をマッサージするものではないがww
でもニセモノのほうならいいかww
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/14(木) 16:01:10.18 ID:gKBYHQ2IO
後輩は男?
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) :2012/06/17(日) 14:37:40.36 ID:9RbynuFT0
こういう話大好きだ
先輩がいい味出してる

世間話なら好きな漫画のネタとかよく話すわ
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/17(日) 19:24:06.92 ID:dLlDHQ7DO
どこか読んだ覚えのある作風だな
過去作とかあったら教えて?
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/25(月) 22:35:24.01 ID:hmE6nGA8o
付き合って いまさら?

みたいなやつ
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/05(木) 11:49:07.32 ID:lj0qfbG50
―22―


先輩「雨だね」

後輩「雨ですね」

先輩「こういうときに限って、出かける前の天気予報を見逃すんだよなぁ」

後輩「同じく。まさか午後から天気悪くなるなんて思いもしませんでした」

先輩「まぁ授業も終わって暇なことだけが救いかな」

後輩「そうですね。それに夕方過ぎからは雨上がるみたいですし」

先輩「それまで時間を持て余すね」

後輩「ええ、暇ですね」

先輩「こういう時こそ」

後輩「こういう時こそ?」

先輩「無駄話、しようじゃないか」

後輩「……はいはい」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/05(木) 12:05:17.23 ID:lj0qfbG50
―23―


先輩「2つ以上の欲求や障害が同時に存在することを何と言うでしょう?」

後輩「『葛藤(コンフリクト)』ですね」

先輩「正解。博学だね」

後輩「ついさっきの授業で習ったばかりですから」

先輩「おぉ、そうだったのかい」

後輩「それで、葛藤がどうかしたんですか?」

先輩「さっき学んだばかりなら、葛藤には幾つかの段階があるのは知っているね?」

後輩「良い事が二つある『接近の葛藤』、嫌な事の二つで悩む『回避の葛藤』」

先輩「そして良い事の中に嫌な事が混ざる『接近と回避の葛藤』だね」

後輩「どの葛藤に悩んでいるんですか?」

先輩「そうだね、『接近と回避の葛藤』が一番近いかな。複雑な話だけれど聞いてくれるかい?」

後輩「…僕で良ければ」

先輩「君だからいいんだよ。それでその葛藤の内容だけれど」

後輩「はい」

先輩「君とずっと喋っていたいけれど、授業補佐の準備が面倒でゼミに行きたくない」

後輩「…ちなみに、その準備の期限はいつですか?」

先輩「3時間後かなぁ」

後輩「もう回答出ているでしょう、それ。どこが複雑なんですか」

先輩「君と話していたい、と思ってしまう私の乙女心以外に何があるというんだい?」

後輩「アンタ真顔で何言ってるんですかホント……」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/07/05(木) 12:08:38.87 ID:2+nhnRVGo
きてた
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/05(木) 12:16:19.62 ID:lj0qfbG50
―24―


先輩「暇なときはしりとりに限るね」

後輩「年がら年中ヒマしているみたいに言わないでください」

先輩「いつにも増してつれないねぇ。可愛い顔が台無しじゃないか」

後輩「可愛くなくて結構です。そんなに暇ならバイトにでも行ってくださいよ」

先輩「曜日的にも今日は休みさ。それに私のはバイトじゃなくてボランティア。履き違えないように」

後輩「似たようなものと思うんですが」

先輩「がっくりだよ、メグたん。金銭の有無だけが仕事の型じゃないんだよ」

後輩「よく言いますよ。
   この前なんて『もし時給850円と仮定して今日の分を換算したら……』なんてぼやいていたじゃないですか」

先輩「買いたいものがあるんだ。ちょっと値の張るものがね。
   目的の為にお金が必要になれば、そんな考えが不意に浮かんできても不思議じゃないだろう?」

後輩「うーん、そう言われると返す言葉も無いですね」

先輩「値が張るものだけに、そろそろ私もボランティアじゃなくてバイトを始めようと思うんだ」

後輩「だとすれば大変ですよ? 先輩が今請け負っているのは二足の草鞋どころじゃないでしょう?」

先輩「うん、確かに。だからこそ、なんだかんだ言いながら傍で助けてくれる君の存在が嬉しいよ」

後輩「よく言いますよホント……」

先輩「とっても可愛いな、君の照れ顔」

後輩「お、お、お、……もう、知りません」


先輩「よっし、私の勝ち」

後輩「語尾の『う』や『お』は切り替えしが難点ですね……」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/05(木) 12:19:55.32 ID:lj0qfbG50
―25―



先輩「無駄話というか世間話の枠組になるとは思うけれど、一ついいかな?」

後輩「どうぞ」

先輩「最近ハマっているものとかあるかい?」

後輩「僕ですか…。そうですね、強いて言えば紅茶です」

先輩「へぇ、どんな感じに楽しんでいるの?」

後輩「大したことじゃないですよ。適当に茶葉を買って、淹れた紅茶を片手に手作りのお菓子飲んでるだけの道楽です」

先輩「メグたんは女子力高いなぁ……」

後輩「普通ですよ。そんな先輩は、最近の趣味とか無いんですか?」

先輩「私は特に無いかな。あ、でも、これから一つ増えそうな予感がするね」

後輩「それは?」

先輩「美味しい紅茶を淹れてくれる後輩と一緒に、お菓子を食べる事かな」

後輩(……今度から少し大目に茶葉の準備しておこう)
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/05(木) 12:35:12.36 ID:lj0qfbG50
―26―


先輩「うーん、どうしようか」

後輩「先輩、何か悩み事ですか?」

先輩「メグたん、丁度いい所に来てくれたね」

後輩「?」

先輩「ほら、この前の話でバイトの件が出たじゃないか」

後輩「ああ、しりとりしていた時の」

先輩「そうそう。私も一つ本格的にバイトしようか思案していてね」

後輩「え、あれってその場の勢いで適当に言ったことじゃなかったんですか!?」

先輩「確かに最初は適当だったんだけれどねぇ。
   可愛い洋服見つけちゃったし、長期休暇前に実入りが欲しくなっちゃってさ」

後輩「先輩は今年の夏にどこか行く予定でもあるんですか」

先輩「うん、温泉にでも行こうかと思って」

後輩「へぇ、なんか学生っぽくていい計画ですね」

先輩「君と」

後輩「また何か突拍子もないこと言い出したよこの人」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/05(木) 12:39:24.56 ID:lj0qfbG50

先輩「それで迷っていたのが二点あって、まずどんなバイトをしようかというのが一点」

後輩「どこに旅行へ行くのかというのがもう一点ですね」

先輩「察しがいいね」

後輩「こういう結論にしか行かないでしょう」

先輩「それで、勿論メグたんは今年の夏空いてるだろう?」

後輩「なんで勝手に僕を暇人化してるんですか」

先輩「え、じゃあ恋人とどこか行く予定でもあるのかい?」

後輩「……無いです。そもそも恋人いませんから」

先輩「じゃあ私に付き合い給え」

後輩「拒否権は無い、ですよねぇ……」

先輩「はっはっは。分かっているじゃないか」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/05(木) 12:46:10.51 ID:lj0qfbG50

先輩「それでだね。私たちがする予定のバイトなんだが、どれがいい?」

後輩「え、『たち』って何ですか『たち』って」

先輩「折角二人で行くのなら、金銭的にも帳尻を合わせた方が面白いだろう?
   今回稼いだバイト代で満喫という縛りの元でやってみると、色々捗りそうじゃないか」

後輩「まぁ確かに、遊ぶ為に働くのは良いかも知れません。
   ある意味で労働の一番いいところを学べる機会にもなりますね」

先輩「お! 珍しくメグたん乗り気だねぇ」

後輩「やるからには全力でと開き直っただけですよ」

先輩「いい心がけだね。好ましいよ」

後輩「それじゃあ、バイト代と相談しながら行き先は決めましょうか」

先輩「そうだね。お互い良いバイトを見つけたら報告し合おうか」

後輩「分かりました」



先輩「ちなみに今のバイト候補だと…」

後輩「はい」

先輩「こんな感じかな」



・地質調査

・土器発掘

・○○川の生態調査

・治験

・短期土木作業員



後輩「全部却下で願います」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/05(木) 12:56:28.71 ID:lj0qfbG50
―27―


先輩「メグたんはさ」

後輩「はい」

先輩「異性に間違えられる事とかあるかい?」

後輩「僕が、ですか?」

先輩「意外と君はそういう傾向にあるからさ」

後輩「傾向、って誤解を招きやすいって事ですよね」

先輩「そうそう」

後輩「……とは言っても、善処するのは難しいですね。あまり自覚ないもので」

先輩「むぅ、それはそうだ。この問題はメグたんを一目見ればすぐ分かるのにねぇ」

後輩「なんというか…先輩。僕じゃない誰かにも話しかけていませんか?」

先輩「気のせいだよ、気のせい」


先輩「でも、安心してくれ」

後輩「?」

先輩「君が男の子でも女の子でも、私は君の事が大好きだよ」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/05(木) 13:25:35.71 ID:lj0qfbG50
―28―


??「おーい、授業サボって何してるの?」

先輩「ん? ああ、誰かと思えばバイソンじゃないか」

梅田「う・め・だ! そのあだ名で呼ぶの止めてって言ってるでしょー!」

先輩「このやり取りも、何だか君との形式挨拶じみてきたなぁ」

梅田「はぁ…まぁいいか。で、何してたの?」

先輩「別に何もしてないさ。それに今日は休講だからね。暇潰しを考えるという暇の潰し方をしていたよ」

梅田「なんともひねくれた時間の持て余し方ね…」

先輩「自覚はあるさ」

梅田「そうねぇ、じゃあロマンチッククイズでも一つどう?」

先輩「ほぅ…そんな無謀な挑戦する辺り、『宇宙』を『そら』と読む私のロマンチストっぷりを知らないと見えるな」

梅田「知らないわよそんな事……」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 13:30:23.96 ID:4g988ecIO
こっち来てたのか、気付かなかった

前にまとめで見ただけなんだが、最初に読んだ時からこのSS大好きだ

続き超期待してる
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/05(木) 13:31:07.43 ID:lj0qfbG50

梅田「それじゃあ問題」

先輩「どんと来い」

梅田「人を好きになる『心』って、どこにあるでしょう?」

先輩「なんだ、簡単じゃないか」

梅田(ふふふ…このクイズは回答で胸を指す人がロマンチストにして無知と露見するものなのよ……。
   ハートはここですー、なんて指した瞬間に全力で笑い転げてやるわ……!)



先輩「見たもの全て、聞いたもの全て、触れたもの全て、即ち五感により人は恋に落ちる。
   それを語るにはまず人間の意識そのものを保持する器官である脳幹が主流となってくるね。
   そして知覚情報を大脳へ送る間脳を辿り、情報の分析・統合を計る大脳へと到る。
   情報を整理して、恋を『恋』と理解する為の重要な役割を果たしている。
   そういう意味では脳が恋そのものの基盤となってくるんだろう。
   しかして、恋する為のファクターとなる情報が脳に到る為の過程を疎かにしてはおざなりな検討だ。
   物事はプロセス無しに結果を求めると…」


梅田「ロマンチッククイズつってんだろ」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/05(木) 13:37:45.83 ID:lj0qfbG50

〜数時間後〜


梅田「おっす、メグたん」

後輩「バイソン先輩、お疲れ様です」

梅田「う・め・だ♪ リピートアフターミー♪」

後輩「う、梅田先輩、奇遇ですね…」

梅田「うむ、宜しい。 それで、メグたんは何してるの?」

後輩「ああ、今日はもう授業終わったんで帰ろうかなと。
   先輩にメール送っても帰ってこなかったんで」

梅田「アイツなら今頃図書館に居るわよ。なんでも探し物があるとかで」

後輩「はぁ、探し物ですか。 とりあえず僕はこの辺で失礼します」

梅田「あれ? メグたん。そっち校門とは逆方向だよ」

後輩「間違えました」

梅田「…ホント君は忠犬だねぇ。アイツが可愛がるのも分かるわぁ」

後輩「…誤解ですよ」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/05(木) 13:43:39.82 ID:lj0qfbG50

梅田「じゃあ最後に、私の暇つぶし兼ねて一つクイズでもいい?」

後輩「まぁ時間は充分あるんで、別にいいですよ」

梅田「それじゃあロマンチッククイズ! 人を好きになる『心』って、どこにあるでしょう?」

後輩「…これはまた難問ですね」

梅田「ホラ、思った通りの事を言えばいいのよ。さぁさぁ!」

後輩「何でニヤニヤしてるんですか。 そうですね、僕の回答としては…」

梅田「しては!?」


後輩「そもそも人は五感の情報によって恋に落ちると言われています。
   まず五感を語る上で欠かせないのは脳の働きですね。
   人間の意識そのものを保持する器官である脳幹、そして知覚情報を大脳へ送る間脳があります。
   それを辿って情報の分析・統合を計る大脳へと到るのですが……」


梅田「アンタ達ってホント似たもの同士だわ……」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/05(木) 13:50:54.35 ID:lj0qfbG50
―29―


先輩「今日は暑いねぇ」

後輩「湿気もひどくて、正直やってられないです」

先輩「お、メグたん今日はなんだか髪がモコモコして可愛いね」

後輩「ネコっ毛なんで、こういう天気の時は髪がまとまらないんですよ」

先輩「ゆるふわパーマみたいで私は好きだよ」

後輩「そんな先輩は、直毛ストレートの綺麗な髪でホント羨ましいです」

先輩「もっと褒めてくれてもいいんだよ?」

後輩「そう言われると褒める気なくすのは不思議ですね」

先輩「天邪鬼だなぁ」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 14:01:09.66 ID:DAsBR//Bo
男なのか女なのか、それが問題だ

そう考えていた時期が俺にもありました
性別:後輩(メグたん)
これで万事解決だな!なに、ビキニ云々の話があっただって?知らんなぁ……知らんなぁ!
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/05(木) 14:06:32.86 ID:lj0qfbG50
―30―


【in 後輩の部屋】



先輩「ねぇ、ラジオ聞いてもいいかい?」

後輩「構いませんよ」

先輩「なんだか静か過ぎる空間は眠くなって仕方なくてねぇ」

後輩「別に寝ても構いませんよ」

先輩「そうやって、君が甘やかすから眠くなるんじゃないか」

後輩「さいですか」

先輩「こういう時こそラジオから聞こえるロックな音楽が恋しいねぇ。
   このタイミングでゆったりした曲なんて聴いたらまどろんでしまいそうだ」

後輩「普通にロックな曲かければ早いと思うんですが…」



< 続いてのリクエストは、山本美絵 で 「外は雨だよ」 >

http://www.youtube.com/watch?v=tI_lIpVNGrw



先輩「……zzz……zzz……」

後輩「また凄いタイミングでスロウな曲が流れるなぁ……」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 14:10:27.56 ID:X6lpHuRDO
続き来てたのか…!
先輩マジ可愛いくてたまらん
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 18:22:54.80 ID:lQyKQPmSO
>>61
お前天才
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/09(月) 17:34:34.23 ID:FOFWlsRb0
―31―


友人「さっきのテスト、どうだった?」

後輩「どうだろうね。まぁ無難に回答できたんで、単位落とす事は無いと思う」

友人「はぁ……」

後輩「その様子だとテストの出来は中々危うそうだね。教授に黄金色のお菓子の準備でもしてみる?」

友人「うっせ、ほっとけ」

後輩「冗談さ」

友人「……なんかお前、どんどん先輩に似てきたな」

後輩「ん?」

友人「こういう話の時のお前って以前はもっと適当に相槌うってたのに、冗談すら交えるようになりやがって」

後輩「そうだったっけ?」

友人「ま、好きなものには影響受けやすいってのが人ってもんだからな。そういう傾向は悪くねぇぜ」

後輩「どうだろうね。よく分からないよ」


後輩「でも好きかどうかは置いといて、影響は受けてるかもね」

友人「先輩に?」

後輩「先輩の無駄話に、さ」

友人「……さいですか、ごちそうさん」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/09(月) 17:44:54.85 ID:FOFWlsRb0
―32―


先輩「じゃんけんで一番強いのは何だと思う?」

後輩「いや、あれって各々の強さが均等だからこそ成り立つ遊びでしょう」

先輩「分かってないなぁ、君は」

後輩「また意味深ですね」

先輩「いいかい? あの手のゲームには確かに必勝法は無い」

後輩「だが、勝率が上がる方法は存在する…ですか?」

先輩「ご名答」

後輩「興味深いですね。もし宜しければ聞かせてください」

先輩「教えてあげてもいいけれど…タダだと面白くないなぁ」

後輩「僕としてはタダだと大変有り難いんですが」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/09(月) 17:53:12.53 ID:FOFWlsRb0

先輩「その前に、さっきのは言い方に少し御幣があったね。
   正確には『じゃんけんの初手で出すと高確率で勝てる手はある』かな」

後輩「じゃんけんは大抵一手目で勝敗がつくのに、それって本当に存在するんですかね」

先輩「では、それを踏まえた上でゲームをしよう」

後輩「ゲーム?」

先輩「まず君にじゃんけん最強の手札を教える。
   それを知った上で私と君がじゃんけんをして、負けた方が買った方にコーヒーを奢るというのはどうだい?」

後輩「受けて立ちましょう」

先輩「よし、まずじゃんけんの前にグー・チョキ・パーで一番強いものを教えよう」

後輩「是非とも聞かせてください」

先輩「答えは『グー』だよ」

後輩「え、それって何故グーが一番強いんですか?」

先輩「私が教えるのは手札までさ。 それじゃあいくよ、最初はグー!」

後輩「え、あ、ちょ、ちょっと……!」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/09(月) 17:59:29.33 ID:FOFWlsRb0

先輩「じゃん!」

後輩(グーが強いという事は、初手グーは先輩にとって鉄板と考えるのが妥当)

先輩「けん!」

後輩(しかして、『それを踏まえて』と念押ししてのこの勝負…。必ず裏がある。
   多分先輩は最初にグーを出すことは無い。むしろ裏をかいてチョキ・パーの方が確率的に高い)

先輩「……っ」

後輩(チョキ・パーの二択、そして『グーが強い』という真偽の程が分からない、この条件での最善は…!)


先輩「ぽんっ!」

後輩「ぽんっ!」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/09(月) 18:14:20.59 ID:FOFWlsRb0

【喫茶店にて】


先輩「いやぁ……奢ってもらうコーヒーの美味しさは格別だねぇ」

後輩「……」

先輩「ん? どうしたんだい、メグたん。せっかく頼んだカプチーノが冷めちゃうよ?」

後輩「……この手の心理戦で勝てた試しって、僕全然無いんだよなぁ」

先輩「はっはっは。相手が悪かったと思っておくんだ。
   君は頭の回転が速いけれど、それは時に仇になるんだよ」

後輩「地味に褒めてもらってますね、それはどうも」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/09(月) 18:21:19.29 ID:FOFWlsRb0

後輩「それはそれとして、先輩」

先輩「なんだい?」」

後輩「まるで勝つのが分かっていたかのような素振りでしたが、理由はあるんですか?」

先輩「ああ、大した事ないよ。仕草に関してはブラフさ。
   それに、あの時は引き分けを狙っていただけ。勝てたらラッキーくらいだったんだから」

後輩「……?」

先輩「聡明な君は勝負の前段階から考えを巡らせて、状況をこう捉えていたかも知れない」


・初手グーは普通のじゃんけんでは在り得る
・だが先輩はグー最強説を事前に伝え、それ故に性格上グーを出さない
・むしろチョキ・パーを出す確立が高い


先輩「その思考に、一つノイズが生まれる。それは『本当にグーが強いのか』という不鮮明な事柄。
   しかもそれを自信満々に伝えるから、さらに疑惑の芽が撒かれる」

後輩「……」

先輩「しかも『グーが強い』というのを疑ってかかるものだから、あえてその手を選ばない。
   無意識下でグーを出す考えが思い浮かばなくなる。まさに視野狭窄だね」

後輩「……確かに。あの時の自分はグーを出そうとは考えもしませんでした」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/09(月) 18:28:38.96 ID:FOFWlsRb0

先輩「そして残る二手はチョキとパー。どちらかを選ぶのは完全にランダムになるが……ここでも生きてくるんだ」

後輩「何がですか?」

先輩「『グーに関する疑心暗鬼』さ。
   無意識に刷り込まれると、考えとは裏腹でそれに関する安全策を取ろうとするのが人の性分だよ」

後輩「……グーが強いなんて間違っている、と最初に考えた瞬間に勝負はついていたんですね」

先輩「まぁ、人の思考なんて読もうに読めないもんだ。今のは私が勝負の結果に適当に付け足した戯言だよ」

後輩「むぅ。負けちゃった僕としては何か引っかかる物言いですよ、先輩」

先輩「はっはっは。いいかい、メグたん。
   じゃんけんなんて単純さ。こういう心理戦になったら引き分けを狙ってみればいい」

後輩「引き分け、ですか?」

先輩「強いて言えば、それこそがじゃんけんにおける初手の勝率を上げる方法なんだから」


先輩「大体ね、こういう事を言ってしまうと本末転倒だが」

後輩「?」

先輩「じゃんけんの手札に最強なんてある筈ないだろうに」

後輩「……ごもっとも」



<勝敗>

先輩:チョキ ○

後輩:パー  ×
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/09(月) 18:33:50.87 ID:20zF+p3DO
不思議な雰囲気のSSで面白い
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/09(月) 18:44:18.93 ID:FOFWlsRb0
―33―


先輩「いよいよ夏が迫ってきているね」

後輩「そうですね」

先輩「前に言ってた事、覚えているかい?」

後輩「常日頃から先輩に色々言われているんで、思い当たる節が多すぎますよ」

先輩「旅行の件だよ」

後輩「ああ、確かに言ってましたね」

先輩「それに伴って、私たちもそろそろバイトを本格的に始めようじゃないか」

後輩「そうですね。そろそろ働かないと旅費が稼げません」

先輩「と、いう事で…バイト公募していたものを幾つかピックアップしてみたんだが」

後輩「ほぅほぅ」


・塾講師

・喫茶店

・交通整備

・イベントスタッフ


後輩「おお……まともなラインナップだ……!」

先輩「君はどこに感動しているんだい?」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/09(月) 18:53:20.54 ID:FOFWlsRb0

先輩「君は何か希望とかあるかい?」

後輩「そうですね…希望とかではないのですが、僕は教える柄じゃないし休み取りづらそうなので塾講師はパスで」

先輩「OK」

後輩「先輩は何かありますか?」

先輩「私としてはウエイトレスとして働いてみたいな」

後輩「そうなると喫茶店ですね」

先輩「じゃあ早速連絡だね。二人で一緒に働けるかは分からないから、面接は複数受けてみようか」

後輩「了解です」

先輩「しかして、私はメグたんと働いてみたい気持ちもある。
   とりあえず私が受けようと思っている喫茶店の番号を2つほど教えておくよ」

後輩「何から何まで至れり尽くせりで有難う御座います」

先輩「構わないよ。普段の私が君から至れり尽くせりだからね、こういう時くらい先輩風を吹かせてみたいのさ」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/09(月) 19:06:01.19 ID:FOFWlsRb0

〜数日後〜


オーナー「えっと、君が希望してきた人かい?」

後輩「はい、宜しく願います」

オーナー「そんなに緊張しなくてもいいよ。接客業に興味はあるかい?」

後輩「…はい」

オーナー「誰かに尽くすという事に意義はあると思うかい?」

後輩「……はい」

オーナー「それが身も知らぬ人であっても?」

後輩「………はい」

オーナー「その方々を主人と捉えることにもかい?」

後輩「…………それはどうでしょう」

オーナー「よし、まずは慣れだ。早速メイド服の準備を始めるね」

後輩「すみません今回は色々思う節がありますので謹んで辞退させて頂きますお時間取らせて申し訳ありませんでした」


ダダダダダッッ……!


オーナー「凄い勢いで喋って出ていってしまった…逸材だったのに勿体無いなぁ……」
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/09(月) 19:15:08.34 ID:FOFWlsRb0

後輩「……」 ピッピッ


prrr〜♪ prrr〜♪


< 『お、メグたん。お疲れさん。首尾はどうだい?』

後輩「……まさかのメイド喫茶ですか」

< 『可愛いじゃないか、あの衣装。アレを着てご主人様とか言う自分を想像してご覧。面白いだろう?』

後輩「僕にとっては生涯背負うトラウマ級ですよ、それ」

< 『その調子だと駄目だったみたいだね』

後輩「謹んで断らせて頂きました」

< 『う〜ん。そりゃ残念』

後輩「先輩もあそこの面接受けたんですか?」

< 『先日行ってきたよ。二言三言話してOK貰えたから、なんとまぁ緩いことかと思っていたところさ』

後輩「とりあえず今日は教えてもらったもう一つの所にも行ってきます。
   面接受かったらとりあえずそこで僕は頑張りますね」

< 『メグたん、たまには私のメイド姿を見に来てもいいんだよ?』

後輩「そこで働くのは止した方がいいですよ、先輩……」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/09(月) 19:21:27.21 ID:FOFWlsRb0

〜さらに数日後〜



後輩「……やっぱりこうなるわけですね」

先輩「バイトでは同僚になったね、メグたん」

後輩「もう一つの喫茶店はどうしたんですか?」

先輩「確かに面白そうだったけれど、君が居ないと私にとっての楽しさというのは半減するからね。
   辞退してこっちで働かせることにしたよ」

後輩「……さいですか」

先輩「お? 照れてる?」

後輩「気のせいですよ」

先輩「素直じゃないなぁ」

後輩「それより、僕はキッチンで希望を出したのにホール担当になっているのは何故でしょうね」

先輩「ほら、なんていうの。看板娘的なポジションは一人でも多い方が店側としても良いからじゃないかな」

後輩「いまどき看板娘とか久しく聞きませんよ」

先輩「あ、お客様が来たよ。 …さぁ、今後に備えてしっかり稼ごうか」

後輩「はいはい」
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/09(月) 19:27:24.51 ID:FOFWlsRb0
今日はここまで。無駄話成分やや少なめで恐縮です。
読んで頂いて感謝。>>41>>53のような一言を貰えるのは嬉しいですね。
不定期にまったり進行で書いているので、思い出した頃にでも見て頂ければ光栄。


SSテーマ曲 その2
http://www.youtube.com/watch?v=vlwHgqeOd6I
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/09(月) 21:45:42.97 ID:SwElOmZvo

体育会系ではない先輩後輩って良いよな…
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/10(火) 18:39:22.09 ID:+jVMO+Ba0
乙です。
先輩×後輩モノ大好きだわ
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 23:54:29.90 ID:l/xJwn0to
書き込み無しは一ヶ月だっけ?
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 11:57:54.73 ID:JgsarK9R0

―34―


先輩「たまらんね」

後輩「何がですか?」

先輩「この気候だよ」

後輩「概ね同意です」

先輩「まだ時期的に考えても、ようやく夏に両膝まで浸かった程度なのに。これじゃあ先が思いやられるね」

後輩「そうですね。そろそろ暑さでどうにかなりそうです」

先輩「涼しいのは財布だけ。いやはや困ったもんだ」

後輩「座布団一枚没収で」

先輩「……やっぱり上手くなかったか」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 12:05:35.06 ID:JgsarK9R0
―35―


先輩「私が小さい頃は、この時期になると怖い話特集とかよくTVで放送されていたものだけど」

後輩「はぁ」

先輩「ここ近年はめっきりそういう特番が放送されていないねぇ」

後輩「言われて観れば僕の幼い頃もそんな感じでしたね。
   お昼の特番で稲川淳二を見ながら素麺すすっているのは夏の一コマでした」

先輩「まぁそういう番組が減った理由は色々考えられるけれど、多分一番の要因は……」

後輩「要因は?」

先輩「子どもが怖がるからじゃないかな」

後輩「それこそ今更ですね。心霊番組を見て大人になった僕らは何だっていう話ですよ」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 12:14:25.24 ID:JgsarK9R0

先輩「そもそも幽霊なんているのかね?」

後輩「いないでしょう。非科学的です」

先輩「君には浪漫が足りないねぇ」

後輩「事象も説明できない事柄に浪漫も何もないでしょう。合理的と言ってください」

先輩「事象、ねぇ」

後輩「そんな先輩は幽霊の存在を信じているんですか?」

先輩「うん」

後輩「……即答ですか」

先輩「まぁ正確には、存在する可能性を信じていると言う方が正しいね。 いたら素敵じゃないか」

後輩「素敵ってほどロマンチックなものじゃないですよ、幽霊なんて」

先輩「いいかい、幽霊は要するに死者の名残として定説されているだろう?
   しかしてどうだい? 実際は死んだ後に何があるかは定説として存在しない」

後輩「『観測者のいない事象は机上の空論』とかいうやつですね」

先輩「逆説的に言えば、幽霊という存在が本当に確証されたら死後の世界が定理として捉えられるようになる。
   幽霊が実在したら、『死んだら終わり』なんていう概念全てが覆されるんだよ?」

後輩「……確かに浪漫は感じるけれど、ロマンチックとは程遠い考え方だなぁ」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 12:22:32.98 ID:JgsarK9R0

先輩「さ、それを踏まえて納涼の夏を楽しもうじゃないか」

後輩「先輩、その手に持っているのはDVDですか?」

先輩「ご名答。なんか適当にホラービデオを借りてきたんだ」

後輩「……まぁ、別にいいですけれど」

先輩「よし、じゃあ早速観てみよう!」


<劇場版 怪談新耳袋>


後輩「うっはぁ……また何とも言えないB級の臭いが……」

先輩「何気に私はこういうDVDを観るのは初めてだな。さて、どんな話があるのか楽しみだ」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 12:27:23.89 ID:JgsarK9R0

〜3話まで視聴〜


後輩「……先輩」

先輩「ん?」

後輩「……先輩が借りてきたんですから、飽きずにちゃんと見てくださいよ」

先輩「ん、ん〜。 まぁ善処してみるよ。思ったよりも怖くなくてねぇ」

後輩「あ、次の話始まった」

先輩「むぅ。 ま、気楽に観るとしますか」


http://www.youtube.com/watch?v=eaBmHf4jIuw



後輩「うわっ!!」

先輩「きゃあああああああああああああああ!!」

後輩「……」

先輩「……こ、コホン。 きょ、今日はこれくらいにしておこうか。 続きはまた後日にしよう」

後輩「……」

先輩「ま、まぁ今までの話が怖くなかっただけに、緩急差にやられた感じかな。
   うん、程ほどと言ったところか。 だいたいこの映画の話も分かったし、目的達成は果たしたね」

後輩「あ、次の話始まりましたよ」

先輩「ごめんなさい怖いですこの辺りでお開きにしてください」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 12:42:11.96 ID:JgsarK9R0
―36―


先輩「〜〜♪ 〜〜♪」

後輩「先輩、なにか良い事でもあったんですか?」

先輩「ん。いやね、良いものを見たのさ」

後輩「?」

先輩「登校中に小学生くらいの男の子が、横断歩道を渡る年配女性を助けていたんだ」

後輩「それが?」

先輩「ん、それだけさ。知らない誰かが知らない誰かに優しくしているのは、素晴らしい光景と思わないかい?」

後輩「相変わらず不思議な人ですね」

先輩「よく言われるから慣れたもんさ」

後輩「でも……僕も、同意です。そういう風景の大切さ、割と分かる気がします」

先輩「ふふ、君のそういう内面の屈託無さは好ましいなぁ」

後輩「先輩に言われたくはないもんですがね」

先輩「常日頃のひねくれっぷりが無ければ尚可愛いときたもんだ」

後輩「こういう時でも一言多い貴女も大概のもんですよ……」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 13:05:46.50 ID:JgsarK9R0
―37―


先輩「メグたんは歌を聞くときに、基盤とするのはどこだい?」

後輩「曲の雰囲気と、歌声ですね」

先輩「なるほど」

後輩「先輩は?」

先輩「私は歌詞かな」

後輩「歌詞、ですか?」

先輩「そう。そこに着眼点を置いている。とても美しい言葉を歌う人が私は大好きでね」

後輩「へぇ」

先輩「折角だから、何かメグたんのお薦め曲でも聞かせておくれよ」

後輩「そうですね……先程まで聞いていた男性アーティストから一つ」

先輩「どれどれ……」


http://www.youtube.com/watch?v=QGkrsndScr8&feature=related


先輩「おお、往年の名曲をまた見事にカバーしているなぁ」

後輩「この人の楽曲は音作りが丁寧なので、先輩にお薦めしたかったんです」

先輩「ふむ、それはラブコールと捉えていいのかね?」

後輩「どういう思考でそう捉えたのか非常に興味深いですが、それはとてつもない曲解です」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/27(金) 13:08:04.62 ID:a68xTCieo
この時間に更新きたー!
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 13:23:40.50 ID:JgsarK9R0

後輩「さっき言ってた先輩の好きなアーティストって誰なんですか?」

先輩「『天野月子』という人だよ」

後輩「へぇ、初耳です」

先輩「一部界隈では有名なんだが、まぁそれは置いといて。
   この人が書く詩はね、……凄く美しいんだ」

後輩「少し興味が湧きました。お薦め曲は?」

先輩「全部、と言いたいが流石にそれは節操なしか。私は好きな曲が気分によって流動するからね。
   とりあえず最近よく聞く曲でも挙げておこうか」


http://www.youtube.com/watch?v=qFyjORC4CHE


後輩「……良いですね」

先輩「なんとも切なく前向きな歌だろうと、聞くたびに感心するよ」

後輩「今度ゆっくり聞いてみます」

先輩「私も君が薦めてくれたアーティスト、聞いてみるよ。
   しかしてアレだね。こうして二人で片方ずつのイヤホンを共有していると」

後輩「?」

先輩「一昔前の使い古された歌詞のフレーズみたいで、妙に笑えてしまうね」

後輩「……僕は、割とこういうの、嫌いじゃないですよ」

先輩「私も好きだよ。君とこんな風に、何かを共有するのは」

後輩「……そりゃどうも」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 13:33:17.52 ID:JgsarK9R0
―38―


先輩「海が恋しいなぁ」

後輩「まぁ時期的にも旬の場所ですからね」

先輩「あー、海が見たい」

後輩「電車で揺られたらあっという間に行けるじゃないですか」

先輩「いやいや、あんな干潟の海じゃなくてだね。
   沖縄やサイパン、グアムみたいなスカイブルーの海が見たいのさ」

後輩「……そんなに泳ぎたいなら市民プールにでも行けばいいじゃないですか」

先輩「いや、泳ぎたいわけじゃないよ」

後輩「えっ?」

先輩「言っただろう? 海が見たい、って。 そう、あの海の風景を私は今非常に熱望しているんだ」

後輩「百歩譲って本当に海に行ったとしましょう。 ……どうするんですか?」

先輩「どうするもこうするも。見たら帰るよ、直帰直帰」

後輩「泳がないんですか?」

先輩「肌弱い私に夏の日差しは厳しすぎるよ。それに泳ぐと疲れるし」

後輩「見るだけ?」

先輩「見るだけ」

後輩「……Googleマップでどうぞ堪能してください」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 13:40:44.27 ID:JgsarK9R0
―39―


先輩「お腹空いたと思わないかい?」

後輩「先輩、今まだ午後3時ですよ」

先輩「イギリス人ならアッサムティーとスコーンを嗜む時間じゃないか」

後輩「なんですかその凝り固まった概念は」

先輩「ほら、午後のおやつもそろそろ恋しいだろう?」

後輩「……僕は結構です」

先輩「おや?」

後輩「その、まぁ、お腹空いてないので」

先輩「でも普段ならこの時間帯に一緒にケーキを食べに行ったりしているだろう?」

後輩「生活費の節約もありますし、それにこの時間食べちゃうと夕飯が入りませんし」

先輩「ほほぅ」

後輩「……」

先輩「メグたん」

後輩「はい?」

先輩「多少肉付きが良くなっても、それはそれで可愛いじゃないか♪」

後輩「分かっているなら食べ物の話振らないでくださいよ……」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 13:59:19.47 ID:JgsarK9R0
―40―


先輩「この暑さを吹き飛ばすための手段として」

後輩「クーラーでも点けますか?」

先輩「お、頼んだよ……ではなく、怖い話でもしようじゃないか」

後輩「怖い話ですか?」

先輩「身も心も冷えるためには、怖い話が手っ取り早いだろう」

後輩「手っ取り早くはないと思いますが、まぁ時間も持て余していたんで賛成です」

先輩「では、まず私から語らせてもらおうかな」

後輩「どうぞ」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 14:02:14.61 ID:JgsarK9R0

先輩「これは、大学の先輩から聞いた話なんだが」

後輩「ほぅほぅ」

先輩「研究棟の2階に幽霊が出るという噂が、当時囁かれていたんだと」

後輩「初耳ですね」

先輩「私も聞いたときは驚いたもんさ。で、だ。その幽霊は色々と目撃証言があってね。
   曰く、一人で残っていると遭遇する。曰く、夜中に準備室に現れる。曰く、黄昏時に現れる」

後輩「へぇ」

先輩「目撃する条件は違えど、その噂には二つの共通点があった」

後輩「……それは?」

先輩「『ハイヒールの足音』と『トレンチコートの女性』」
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 14:09:51.57 ID:JgsarK9R0

先輩「そう、目撃した人が言うのは『ハイヒールの足音が聞こえてきて、その音先にはトレンチコートの女性が居た』」

後輩「……なぜ女性と分かるのかが気になるところですね」

先輩「いい所に目を置くね。目撃者のほとんどが『髪の長い』人影と証言したんだと」

後輩「なるほど」

先輩「ま、そんな噂が一部で囁かれてしまっては、おちおち学校に一人では残れない。
   しかも話が広がり始めた時期が卒業研究の正念場というから大変だ」

後輩「災難ですね、当時の先輩方」

先輩「そこで幽霊否定派である私の先輩は一つ考えた。
   『とりあえず事態を沈静化させる為に、トレンチコートの女をでっち上げてネタにしてしまおう』と」

後輩「つまり?」

先輩「先輩の友人にそれっぽい衣装を着てもらって人前に出てもらい、
   今回の一件は実は不特定多数を狙ったドッキリだったという事にしたのさ。
   ご丁寧にレジュメに『突発的恐怖に対する人体の反応と心的状況の考察』と、それっぽい研究内容まで作ってね」

後輩「はぁ……大変ですね」

先輩「暇だったんだろうさ、私の先輩も」
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 14:22:36.97 ID:JgsarK9R0

先輩「で、実際に困っていた方々に向けて説明したら非難半分爆笑半分。
   まぁ上手い具合に沈静化されたってワケさ」

後輩「良かったじゃないですか」

先輩「そうだね」


先輩「この話を聞いて、珍妙な事もあるもんだと私は受け流していたんだが。
   幾月が経過してふと思い出したんだ」

後輩「何をですか?」

先輩「メグたん、卒業研究の忙しさがピークを迎えるのは何時頃が知っているかい?」

後輩「文系なので分かりませんね。ただ、時期的には冬じゃないですか?」

先輩「ご名答」

後輩「それが何か?」

先輩「その当時大学1年生だった私は、実家からの贈り物でトレンチコートを貰ってね。
   寒い日はそれをよく来てバイト上がりに先輩の下へ実験の見学に行ってたなぁ」

後輩「……まさか」

先輩「当時はバイトの上がり時間が不定期だったから、向かった時に人気がほとんど無かった事もざらにある。
   しかも踵の高いブーツを愛用していたから、廊下によく自分の足音が響いたもんさ」

後輩「……」

先輩「慣れないバイトと数多の課題、さらにはボランティアにサークル。 当時の私の顔色はどうだったんだろうな」

後輩「……」
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 14:30:32.37 ID:JgsarK9R0

先輩「世の中には傍迷惑な話もあるって事で、上手くまとまる話かな」

後輩「散らかし放題の話に何を言ってるんですか貴女」

先輩「ただ、ね」

後輩「はいはい、まだ何かあるんですか?」

先輩「私は流石に夜中に研究棟に向かう事なんて無かったよ。
   それに、実は目撃者の共通点が三つあった事を最後に先輩から聞いたんだ」

後輩「?」


先輩「『トレンチコートの女は、時折右手に鎌を持って立ち竦んでいた』」


後輩「……」

先輩「果たして、皆は何を見たんだろうね?」


後輩「……これ、迷宮入りになりますよね」

先輩「昨今よろしく、私気になります、というなら解明してみようか?」

後輩「いえいえ、触らぬ何かに何とやらです」

先輩「懸命だ。私もそう思うよ」
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 14:34:57.56 ID:JgsarK9R0

先輩「おっと、長くなってしまったね。次はメグたんの番だよ」

後輩「僕ですか? う〜ん、別に怖いという事は無いんですが、最近気になる事なら」

先輩「どんな事だい?」

後輩「いえ、別に大した事じゃないんですが」

先輩「ま、話してご覧よ。もしかするとゾッとする話かも知れないじゃないか」

後輩「家から帰ってくると、必ずトイレからノック聞こえるんですよね」

先輩「……え?」

後輩「おかしいな、と思ってトイレを開けても誰もいないし。
   そしてドアを閉めたらまたノック聞こえてきたりするんですよ」

先輩「……」

後輩「最近は無視しているんですが、夜中に聞こえてくるのはちょっと迷惑ですね」

先輩「……参ったなぁ。 そういう地味にクるのは勘弁してほしいもんだよ」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 14:45:26.59 ID:JgsarK9R0
毎度の事ながら、最近の忙しさにかまけて投下が遅くなって失礼致しました。
ダラダラ続く物語なので、気が向いた頃にでもまた目を通して頂けると光栄ですね。
レスでの無駄話ネタも随時待っています。むしろ誰か書いてくれても一向に構わない所存。

何はともあれ、お付き合い頂き有難う御座います。 またの機会に。

http://www.youtube.com/watch?v=vOaytkOe-UI
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/27(金) 17:44:11.56 ID:8cOch7PSO


101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/27(金) 20:32:06.08 ID:1XiPoSGGo
乙乙
のんびり構えてみてるからのんびり長く続けてほしい
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 21:09:42.89 ID:aPySec2SO
乙!
今日も先輩可愛い
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/27(金) 21:39:34.25 ID:P+nY/f8Ho
たまに覗きに来るからゆったり進めてほしい
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/27(金) 22:07:39.91 ID:fA4lR5jDO
続きキテター!
相変わらず隠れた良作みたいな感じがたまらんSS
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/06(月) 00:57:42.82 ID:lb9XBWxIO
ホント良いSSだわたまんねぇ
何気に>>1のたまに挟む音楽もセンス良いね
特に眠りの浅瀬はスレで見て始めて聴いてから一発で気に入ってずっと聴き続けてるわ。

最近した無駄話なら最近夏に冷房かけながらする一人鍋が楽しい的なチラ裏話をしたな
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/08/13(月) 12:32:59.21 ID:ToIIX8xAO
>>1ってvip+で殺しやの話書いてた人?
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/15(水) 10:04:44.36 ID:Xe1KVPAJo
ここの>>1はABのオペレーションの人だけど+で書いてるのは見たことないな。
書いてるの>>1
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 04:41:48.78 ID:7os9fowy0
色々と忙しない日々を送るとついSSを書く事から遠ざかってしまいますね
不定期ながらにまったり続けようと思いますので、皆様の暇なときにでも覗いて読み返してもらえると嬉しい限りです
変わらぬご愛顧の程宜しくお願い致します

そして一つ返答ですが、>>45>>106のSSを書いた事はありません
簡素な内容にも関わらず答える事が遅くなって申し訳ない
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/22(水) 22:30:46.95 ID:nj3lhSb90
これ本当面白いな
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/24(金) 09:02:31.35 ID:EHzMLO+60
―41―


先輩「シャーロック・ホームズを読んだ事あるかい?」

後輩「少しくらいなら」

先輩「小説のキャラクターとはいえ、彼は本当に魅力的に思えるよ」

後輩「基本ホームズって何でも出来ますからね」

先輩「万能であるが故の嫌みっぽさが無いのも特徴かな」

後輩「そうですねぇ」

先輩「そんなホームズなんだけれど、どうして彼が何でも出来るか知っているかい?」

後輩「いえ、そもそも万能のキャラ付けに理由があったなんて知りませんでした」

先輩「ホームズはね、嫌ったんだとさ」

後輩「何をですか?」

先輩「退屈」

後輩「……そりゃまたどこぞの誰かとは対極に位置していますね」

先輩「ホームズは自分の脳髄が退屈するのを嫌って、色んな事柄に取り組んだみたいだね」

後輩「先輩は是非とも見習うべき所じゃないですか」

先輩「退屈と寄り添いあって生きている身としては考えられないね。
   そもそも内容的には退屈を飼い慣らせないなんてホームズもまだまだ二流、って話をしたかったんだよ」

後輩「……詭弁だなぁ」
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/24(金) 09:22:37.16 ID:EHzMLO+60
―42―



先輩「あの辺りにデネブ、アルタイル。お、多分あそこにベガがあるね」

後輩「先輩」

先輩「どうしたんだい?」

後輩「『今夜星を見に行こう』だなんてメールくれたのはいいんですが」

先輩「うん」

後輩「思いっきり曇ってますよね」

先輩「うん」

後輩「それを踏まえたうえで、あえて聞きますが」

先輩「うん」

後輩「……何をしているんですか?」

先輩「エア天体観測」

後輩「よし、もう帰りましょう」
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/24(金) 09:42:42.46 ID:EHzMLO+60
―43―


先輩「メグたん、今日は暇かい?」

後輩「暇ですけど。どうしたんですか?」

先輩「私とデートでもしてみないかい」

後輩「はぁ……何か目論見というか企みでもあるんですか?」

先輩「失敬だな君は。可愛い後輩を愛でようとする先輩なりの心遣いを見せているだけというに」

後輩「そういう心意気を表す余裕があるなら、もっと何か色々あるでしょうに」

先輩「例えば?」

後輩「……そう言われると思いつかないものですね」

先輩「だったら今日一日は私に付き合ってくれ」

後輩「はいはい、分かりました」
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/24(金) 09:43:53.77 ID:EHzMLO+60

〜〜


後輩「さて、待ち合わせ場所に早く着いたはいいけれど」

後輩「先輩のデート服ってどんな感じなんだろうか」

後輩「……どうせまた奇抜な服装なんだろうなぁ」


< おーい! メグたーん!


後輩「ん、この声は……」

先輩「ゴメン、待たせたね。ちょっと準備に手間どっちゃって」

後輩「いえ、時間どおりですよ。せん、ぱ、い………?」

先輩「どうかしたのかい?」

後輩「あ、いえ、なんでもないです」

先輩「変な子だね、君は」


後輩(麦わら帽子、白いワンピース、鞄の代わりにバスケット…。
   こんなテンプレファッション着る人なんて初めてみたぞ……!)


後輩「先輩」

先輩「ん?」

後輩「今度は何の悪影響を受けたんですか?」

先輩「いきなり真顔で何を訊ねてくるんだ君は」
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/24(金) 09:52:54.92 ID:EHzMLO+60

先輩「いやぁ、来るときまでに色んな人から見られちゃったんだけど。これってそんなに変な服装かな」

後輩「少なくとも、僕が街の中で見かけたらしばらく目で追いかける程度には」

先輩「モテモテだったぞ、私。写真まで撮られたからね」

後輩「その格好をそこまで着こなされたら、そりゃ写真だって撮られますよ」

先輩「そのカメラマンから『ハンドルネームは?』なんてよく分からない事まで聞かれたけれど、
   はてアレは一体何だったのか?」

後輩「きっとコスプr……素敵な格好だから、つい何かと間違えられたんでしょう」


先輩「それで、メグたん。何か言い忘れていることは無いかい?」

後輩「……似合ってます。凄く、素敵です」

先輩「うむうむ。上出来の返事だよ」


後輩「ちなみに今日はどこで遊ぶ予定なんですか?」

先輩「ボウリング、ビリヤード、あとはバッティングセンター巡ってから、適当に牛丼屋にでも入ろうか」

後輩「……その服装で、ですか?」

先輩「なにか不都合がある感じかな? ほら、見てくれ。バスケットの中にマイボウルまで入れてきたんだよ」

後輩「……はい。うん、はい。」

先輩「……なんでちょっと哀れみ含んだ優しい目で見つめてくるかね?」
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/24(金) 10:08:20.02 ID:EHzMLO+60
―44―


先輩「記憶というのは、どれだけしっかり覚えようとしても曖昧になってしまう事が多いよね」

後輩「そうですね。でもそれは記憶のメカニズムから考えても仕方ない事ですよ。」

先輩「『符号化』・『貯蔵』・『検索』・『忘却』が記憶するための大前提だったか」

後輩「そこに『短期記憶』と『長期記憶』の概念まであれば、
   そりゃ完全に覚えていられる記憶なんてごく僅かになってしまいますね」

先輩「でもね、メグたん。こういう話は知っているかい?」

後輩「?」

先輩「『世界は5分前に出来ている』という仮説だよ」

後輩「……いえ、初耳ですね」

先輩「簡単な話さ。<私たちの世界は5分前に完成して、5分1秒前の記憶からは全て偽の記憶や知識になっている>。
   今度時間に関する哲学書を貸してあげるから、読んでみるといい。興味深くて面白いよ」

後輩「面白そうな話ですね」

先輩「だからこそ、ふと思うんだ」

後輩「何をですか?」

先輩「この前借りた『グッド・ウィル・ハン○ィング』を延滞しているのも
   5分前に完成した世界の意思的な何かに私が操られていたからでは……」

後輩「厨二病を患っている暇があったら早急にTSU○AYAに走ってください」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/24(金) 10:17:15.09 ID:EHzMLO+60
―45―


先輩「夏の醍醐味と言えば」

後輩「言えば?」

先輩「クーラーを効かせた部屋で熱いものを食べることだね」

後輩「……いきなり買い物袋を持って遊びに来たと思ったら、そういう事ですか」

先輩「食べ終えたら薄着になって、羽毛布団に包まって眠るのも醍醐味だね」

後輩「なんでそれ僕の家でする必要あるんですか」

先輩「おっと、失敬。流石にそれはあんまりだね」

後輩「分かって頂けたようで何よりです」

先輩「温度を下げすぎていたね。冷房のリモコンを21度に設定したから、安心して鍋を食べようじゃないか」

後輩「いけない、この人1ミクロンたりとも理解を示していない」


先輩「まぁ、でもアレだよ」

後輩「何ですか。クーラーの温度28度にしておきますからね」

先輩「私も存外寒がりなのに、自発的にこんなことするのは本当に稀有でね。
   君がこうして構ってくれるから、つい理由を託けちゃって甘えちゃうんだ」

後輩「……24度が妥協ラインですからね。それ以上下げたら怒りますよ」

先輩「メグたんは本当に抱きしめたくなるくらいツンデレだなぁ」
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/24(金) 10:41:28.25 ID:NvPut7i6o


これからもよろしく
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/24(金) 10:46:58.23 ID:EHzMLO+60
―46―


先輩「最近困っている事があってね」

後輩「僕で良ければ相談に乗りますよ」

先輩「実はね、悩みというか相談を打ち明けられたんだけれど、それがなかなか解決できなくて……」

後輩「むぅ、相談内容にもよりますね」

先輩「打ち明けてくれた本人のプライバシーもあるから、ぼやけた話で失礼するね。
   まぁ掻い摘んで言うと恋愛事なんだが」

後輩「これはまた、僕にも先輩にも向いていない内容になりそうな予感しかしません」

先輩「その人、私のことが好きなんだそうだ」

後輩「それ相談じゃなくて告白じゃないですか」
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/24(金) 10:49:19.41 ID:EHzMLO+60

先輩「いや、またそれが存外複雑でね」

後輩「はぁ」

先輩「その人の初恋の相手が、どうやら私にそっくりとの事で」

後輩「また何ともコメントしづらい投影をされていますね」

先輩「つい最近知り合った1年生なんだけれど、色々要求されていて応対が難しいんだよなぁ……」

後輩「先輩が困るほどの人とは、何というかまた難癖ありそうですね」

先輩「最近だと『お姉さんと呼んでいいですか』と結構グイグイ来られてねぇ。
   アグレッシブなのは割と好ましいんだけれど」

後輩「……は?」

先輩「メグたん、女子高出身の女の子というのは皆こんな感じなのかな?」

後輩「共学高出身の僕にそんな事言われても知りませんよ」

先輩「仕方ない。まぁ、おいおい考えて返事を返すことにしようか」

後輩「ちなみに、どういう返事をするか決めているんですか?」

先輩「ん? 『メグたんという素敵な人が居るのでスイマセン』と伝えようかと」

後輩「いやいや、それ僕全力で巻き込まれるじゃないですか! 勘弁してくださいよ!」
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/24(金) 11:11:04.94 ID:EHzMLO+60
―47―


後輩「僕の友人の話なんですが」

先輩「何かあったのかい」

後輩「いえ、大した事じゃないんです。
   その友人、彼氏にフラれたってこの前言ってたのに、もう新しい彼氏を作っているんですよ」

先輩「へぇ、いいじゃないか。昨今の若者らしいというか何というか」

後輩「恋なんかしない、なんてそれまで話していたのに、もう次の恋へ目を向けれるってある意味凄いですよね」

先輩「一概に凄いと言い切れるかどうかは、また別の話になりそうだけどね」

後輩「先輩」

先輩「ん?」

後輩「人間って、どうして思い出したかのように恋をするんでしょう」

先輩「…うん、無駄話のテーマとしては最適だね」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/24(金) 11:23:08.29 ID:EHzMLO+60

先輩「ちなみに君は、人間が恋をしたく理由についてどう思う?」

後輩「僕は…そうですね。それこそ人によりけりだと思うんですが」

先輩「まぁね。一概に一つの理由で惚れた腫れたが成立するほど単純な話ではないだろう。
   とすれば、今回の件に焦点を絞って考えよう」

後輩「その子が何故恋をするか、ですか?」

先輩「そうだね。その点を君はどう捉えている?」

後輩「……寂しいから、恋しているんじゃないでしょうか」

先輩「なるほどね」

後輩「寄り添う相手が今まで居たからこそ、空っぽだと耐えられない。
   無味乾燥な日々を過ごして、ふと隣に相手が居たのを思い出し、自分の空乏を埋めたくなる」

先輩「その為の恋、というわけか」

後輩「先輩はどう思います?」

先輩「私は君よりもっと簡素な意見になってくるね」


先輩「その子はきっと、忘れるために恋をしているのさ」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/24(金) 11:27:13.25 ID:EHzMLO+60

先輩「恋愛における事柄で自分の心の負担を軽減するためには、忘却と新たな刺激が一番いい。
   代わりに、今まで付き合った人を少しずつ心から追い出していくんだ」

後輩「それは不毛ですね。黒い紙に墨で絵を描いているようなものです」

先輩「そう、不毛なんだ。とても賢くて、寂しい恋さ」

後輩「まぁ……本人がどう思っているかは僕らの知りえる所じゃないですから」

先輩「ああ。せめて次の恋は更に良い恋であるのを願うばかり、かな」

後輩「先輩」

先輩「ん?」

後輩「なんか真面目だと急に胡散臭いですね、貴女」

先輩「……話を振っておきながら言うねぇ、君も」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/24(金) 11:45:21.85 ID:EHzMLO+60
―48―


先輩「昨今は日常系ミステリーが話題になっているそうだね」

後輩「日常系ミステリー?」

先輩「人の生死とは縁遠い、日々に溢れる謎を解いていく物語の事をそう表すんだって」

後輩「へぇ。例えば学校の怪談とかですか」

先輩「まぁそんな感じだね」

後輩「また地味なジャンルが流行しているんですね」

先輩「気楽に読む分にはこれ以上ない無駄話のタネになると思うんだけどね」

後輩「ちなみに先輩は、そういう日常に溢れたミステリーってあります?」

先輩「よくぞ聞いてくれた! 早速一つ疑問に感じていることがあるんだよ!」

後輩「それは一体?」

先輩「メグたん、離れにある学食で夏限定のメニューがあるのを知っているかい?」

後輩「ああ、『カキ氷』ですか」

先輩「この時期から察してもかなり売れることは間違いないのに、私はあそこでカキ氷を注文している客を見た事がない」

後輩「……言われてみればそうですね。僕もたまに利用するんですが、あそこで注文している人を目撃したこと無いです」

先輩「メグたん、私……気になります!」(ドヤァ

後輩「何ですかその『ああ、ようやくこの台詞が言えた』みたいなドヤ顔は」
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/24(金) 11:49:34.37 ID:EHzMLO+60

先輩「思い立ったが吉日生活。では早速行ってみようじゃないか」

後輩「行ってどうするんです?」

先輩「事の真相を確かめるのさ」

後輩「……本音は?」

先輩「カキ氷食べたい」

後輩「了解」



〜学食前〜


先輩「あ〜、なるほどね」

後輩「これは確かに頼む人見かけない筈ですよ」

先輩「うん、納得だ」

後輩「どうします?」

先輩「帰りのコンビニでカチ割り氷系アイスでも食べようか」

後輩「賢明な案ですね」



《特別フェア・期間限定カキ氷 大ボリュームにつきお値段なんと1200円》
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/24(金) 12:00:28.63 ID:EHzMLO+60
夏の日差しを避けて木陰で涼むように、SS速報の片隅でまったり続けているこちらのネタ。
こうしてたまに徒然なるままに書かせて頂いております。
皆様の書く乙レスやネタ提供レスに活力と和みを感じる今日この頃。
また気が向いたときにでもこうして覗いてくれると嬉しいですね。
遅筆な身ではありますが、今後とも宜しく願います。


<SSテーマ曲>
http://www.youtube.com/watch?v=x6uVeiU-xOk&feature=related
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/24(金) 12:09:48.14 ID:+fO+fYkdo
おつおつ
毎度素晴らしくまったりできるので感謝
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/08/24(金) 12:13:29.92 ID:ZJNyXiM/o
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/24(金) 12:25:50.17 ID:k5FwohyDO

いつもホント楽しませてもらってます
今みたいな風にゆっくり長く続けてほしい
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2012/08/24(金) 12:35:30.50 ID:avkJ+HLVo
おつ
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/24(金) 13:15:00.07 ID:9r//L9XTo
乙乙
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/24(金) 14:48:47.72 ID:L6PORR2IO
夏の鍋サンクス乙
ホントにこのSSの空気いいなぁ
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage saga]:2012/08/24(金) 23:23:42.11 ID:cpZgJwVI0
適度にニヤニヤできる素晴らしいSS

そして残念美人ぶりを存分に発揮する先輩かわいい
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/25(土) 02:19:22.59 ID:kz4Ta3C5o
バスケットにマイボウルでクソワロタ
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/08/25(土) 13:30:59.23 ID:fmvtCBNl0
ありがとう、またニヤニヤさせてもらった
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/25(土) 14:14:34.87 ID:BJjez3CIO
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage saga]:2012/08/26(日) 12:26:49.71 ID:3TjkJsTx0
いいねーいいねー
たまに、ほっこりもっこりさせてくれるこのSS好きだは
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/04(火) 07:33:29.40 ID:jVSSf1pIO
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/11(火) 06:27:44.31 ID:5nEtoeeSO
嬬恋
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/17(月) 22:45:14.40 ID:5QIICU4h0
時間がある際に1話だけ投下、というスタンスでやってみましょう。
以後はナンバリングのみで進めてみます。
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/17(月) 22:46:37.78 ID:5QIICU4h0
―49―」


後輩「いかん……風邪ひいた……」


trrrr〜♪ trrrr〜♪ 


後輩「先輩、から……?」


ピッ

< やぁ。メグたん。

後輩「どうしたんですか?」

< どうしたもこうしたも。

後輩「今日は何かまた面倒事でもあったんですか?」

< 違うよ。

後輩「じゃあ先日貸した本の返却予定日でも決めてくれるんですか?」

< それはまた今度。今日は違うよ。


< メグたん。

後輩「はいはい」


< 元気かい?


後輩「……今、ちょっとだけ元気になりました」
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/18(火) 23:57:27.85 ID:54kTYO790
―50―


先輩「最近とある本を読んだ影響で憧れるものがあるんだ」

後輩「憧れるもの、ですか?」

先輩「そうだよ」

後輩「一言で言えば?」

先輩「大人のアダルトな雰囲気満載の行為」

後輩「よし、ロクなものじゃない事だけは分かりました。この話はこの辺でお開きに」

先輩「いやいやいや、待った待った! そんなに難しい事じゃないんだ!」

後輩「はぁ……で、その憧れというのはどんな内容なんですか?」

先輩「なに、至極簡単な事さ。成人を迎えている私達だからこそ可能になることだけどね」

後輩「もったいぶらずに教えてくださいよ」

先輩「端的に言うと、アレだよ。 タバコの先端と先端を合わせて火を点けるっていうアレ」

後輩「……まさかのシガーキスですか。 ひょっとするとその読んだ本って」

先輩「漫画のブラッ○ラグーンに決まっているだろう」

後輩「そんな胸張って言う事じゃないでしょうに」
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/18(火) 23:58:45.77 ID:54kTYO790

先輩「と、いうワケで既に現物は用意済みさ」

後輩「おお。先輩からタバコを差し出されるなんて、何気に稀有な光景ですね」

先輩「まぁタバコ吸った事なんて皆無だし、どんな味がするのか興味もあるんだ」

後輩「僕も吸ったことなんて無いですよ……」

先輩「はい、君はコレを一本」

後輩「え、コレって……」

先輩「どうかしたのかい?」

後輩「あ、いえ。 その……何でもないです」

先輩「何だいその一抹の不安を隠しきれていない表情は」
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/19(水) 00:00:01.40 ID:RKlrj/810

先輩「さ、君はこっちを銜えて」

後輩「はいはい」

先輩「そして私はこっちを銜えて……あ、これフィルターを口にする時点で既に苦いんだ」

後輩「早くしてください。なんか苦味で舌がバカになっちゃいそうです」

先輩「焦らない焦らない。 どれ、これの先端に火を点けて、と」 シュボッ




【閑話休題】



先輩「ぜーっ、ぜーっ……ぜーっ、ぜーっ……。」

後輩「危うく119番をプッシュしそうになるくらいムセていましたね」

先輩「げっほ、ごほっ…。 さ、最初の段階でハードル高くないかい、これ……?」
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/19(水) 00:02:37.14 ID:RKlrj/810

先輩「よ、よし! 気を取り直して再度挑戦だ!」

後輩「なんでそんなに頑張れるのか、今の僕には理解できません」

先輩「つ、次は君が火を点けて待機していてくれ。 私がそこに先端を中ててみせるから」

後輩「……はいはい」 シュボッ




【閑話休題】



後輩「…………げっほ、げほ」

先輩「だ、大丈夫かい? ネブライザー(吸入器)でも買ってこようか!?」

後輩「…………医療器具が必要な程度にはムセてしまってましたか、僕は」



後輩「先輩、一つだけ…たった一つだけツッコミを宜しいでしょうか?」

先輩「うん?」

後輩「タバコ吸った事ない人の初シガーキスに……葉巻使用は……流石に、無いと思います……」
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/19(水) 00:07:24.19 ID:RKlrj/810
―51―


後輩「先輩が好きな人に一番聞きたい事って何ですか?」

先輩「それは恋人とか将来を約束した相手に、ということかな」

後輩「ええ」

先輩「ならば答えは一つだね」

後輩「それは?」

先輩「預金の残高」

後輩「……」

先輩「どうしてまた苦虫を噛み潰したような顔をしてるんだい?」
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/19(水) 06:37:02.14 ID:wB4ngMuWo

後輩ちゃんかわいい
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/22(土) 02:47:22.02 ID:/+NMHd9IO
更新来てたー!
本当に雰囲気が良い作品だわ

しかしよりにもよって葉巻て
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/22(土) 04:05:41.53 ID:YwM3qqvto
葉巻って肺に入れずにふかして味わうもんなんだっけ
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/23(日) 00:26:19.10 ID:xJYJaXgz0
―52―


先輩「毎年5月23日は何の日か知っているかい?」

後輩「いいえ、知らないです」

先輩「『恋文の日』だってさ」

後輩「へぇ、また随分と古風というかロマンチックな日というか」

先輩「と、いうわけで! さっそく君宛てにラブレターを書いてきたんだ」

後輩「先輩。 非常に申し上げにくいのですが…今日は9月23日ですよ」

先輩「さぁ、愛やら真心やら重圧やら籠ったこの恋文。私から君へプレゼントフォーユー!」

後輩「季節感って何だったけなぁ……」
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/23(日) 00:34:10.45 ID:xJYJaXgz0

先輩「はい、ラブレター」

後輩「回覧板みたいに貰うものでしたっけ、こういうのって……」

先輩「何だい何だい。君も結構シチュエーションにこだわるタイプだったのかい?」

後輩「いえ、別にそういうわけじゃないんですが」

先輩「仕方ないなぁ。じゃあ可愛い後輩の為に一肌脱いでみようか」

後輩「結構です」

先輩「よっし。 それじゃあ『恥じらいを隠しながら、帰国前に思いを告げる外国人』でいいかな?」

後輩「結構ですって」

先輩「コ、コレ……read、イヤ、ヨ、ヨンデ! ナイジェリアニカエッテモ、ズット、ズットキミヲ……」

後輩「ツッコミが渋滞してどこから手をつけるべきか迷いますね」
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/23(日) 00:38:28.36 ID:xJYJaXgz0

先輩「むぅ、じゃあどうすれば受け取ってくれるんだい?」

後輩「普通でいいですよ、普通で」

先輩「それは駄目だ」

後輩「また何故に?」

先輩「だって普通に渡したらアレじゃないか」

後輩「アレって?」

先輩「ほ、本当にラブレター渡すみたいで緊張するだろう……」

後輩「もう回覧板を渡す感じでいいですから、ホラ、早く渡してください」

先輩「……メグたん、顔真っ赤だよ」

後輩「少なくとも貴方から言われたくはない台詞ですね」
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/23(日) 00:48:29.52 ID:xJYJaXgz0

先輩「それじゃあ、はい、どうぞ」

後輩「有難う御座います……ん?」

先輩「どうかしたのかい?」

後輩「なんで便箋がこんなパンパンに膨らんじゃってるんですか?」

先輩「ふっふっふ。それは開けてみてからのお楽しみさ」

後輩(嫌な予感しかしないなぁ……)


〜10分後〜


後輩「……マトリョーシカ形式で恋文が来るのは流石に予想外でした」

先輩「苦労したんだよ、作るの」

後輩「その情熱をもっと別の方向に生かせば、先輩はきっと大成しますよ」

先輩「まぁ、アレだ。その最後に出てきた言葉が私から君への愛のメッセージって事で」

後輩「……またえらく深い言葉ですこと」



《長生きしようね》
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/23(日) 01:01:43.08 ID:xJYJaXgz0
―53―


後輩「今日は9月23日ですが、一般的には『秋分の日』ですよね」

先輩「そうだね。ちなみにメグたんは『秋分の日』と言えば何を想起する?」

後輩「昼と夜の長さがほぼ同じになる日、じゃないんですか」

先輩「まぁ時期的にも間違ってないんで、それは一つの正解としては有りかな」

後輩「じゃあ先輩が思う『秋分の日』って何ですか?」

先輩「そうだね、私としては……」


先輩「『故人を偲ぶ日』、さ」
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/23(日) 01:03:55.50 ID:xJYJaXgz0

先輩「時期的にも彼岸の中日だからね。私としては特にそう思うかな」

後輩「……」

先輩「時にメグたん、今日は暇かい?」

後輩「まぁ、予定は無いですね」

先輩「丁度いいや、折角だから付き合ってくれ」

後輩「どこにですか?」

先輩「兄さんの墓参りさ」

後輩「……いいんですか?」

先輩「うん」

後輩「じゃあ、遠慮なく」

先輩「ありがとう。 ……君のそういうところ、私は非常に好ましく思うよ」

後輩「とんでもないです。いや、本当に」

先輩「あ、でも一つだけ注意」

後輩「?」

先輩「他の人のお墓にあるお供え物を食べちゃ駄目だよ」

後輩「阿呆ですか、以外に思い浮かばない素敵な一言を有難う御座います」
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/23(日) 01:14:26.50 ID:xJYJaXgz0

〜墓参り後〜


先輩「いやぁ、美味しかったね」

後輩「買ってきた牡丹餅、供えてすぐに食べるとは思いもしませんでした」

先輩「だってあのまま吹き晒しの場所に置いてたら傷んじゃうだろう?
   供えるのは物も大事だろうけれど、一番は気持ち。それだけを置いていけば墓参りとしては十全さ」

後輩「そんなもんですか」

先輩「そんなもんさ。私は死後の世界なんて信じてないんで、墓参りは生者の行事と捉えてるからねぇ」

後輩「生者の行事、ですか」

先輩「心の整理をつけるため、死者を忘れないという意味での弔いのため。理由は人それぞれ。
   その理由付けをするのは、結局のところ生きている人間だけなんだよ」

後輩「相変わらずドライというか、クレバーというか」

先輩「不心得者、と呼んでくれ」

後輩「いや、それ褒め言葉じゃありませんよ先輩」


先輩「まぁでも、有難う。来てくれて助かった」

後輩「?」

先輩「君が居なかったら、きっと一人で泣いていたよ」

後輩「……どういたしまして」
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/23(日) 01:23:47.77 ID:xJYJaXgz0
―54―


〜学食にて〜


??「あんた達、ホントいつも一緒にいるのね」

後輩「ん?」

先輩「お、バイソン。奇遇だねぇ」

梅田「う・め・だ! いい加減バイソンってあだ名やめなさい!」

先輩「ゴメンゴメン。 ところでバイソンは今授業上がりかい?」

梅田「はぁ…もういいわ。授業終わったのはずっと前なんだけれど、今まで友達と話こんじゃってね」

後輩「サークルの友人ですか?」

梅田「いいえ、高校時代の友人よ。昔話に花が咲くと盛り上がっちゃうものねぇ。
   時間を忘れて今の今までずっと空き教室で喋ってたわ」

先輩「ガールズトーク(笑)」

梅田「何か言った?」

先輩「いいや、別に」

後輩「……相変わらず仲が良さそうで何よりです」
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/23(日) 01:35:16.06 ID:xJYJaXgz0

先輩「まぁまぁ、昔話とは得てして無駄話になってしまうものさ。
   ちなみにどんな内容だったんだい?」

梅田「それこそ取るに足らない話よ。昔の担任だった美術の外村とか」

先輩「おお、懐かしい。筋肉質な外見なのにソプラノボイスだったあの教員か」

梅田「あとはサッカー部の中島とか」

先輩「それまた懐かしい名前だね。同じサッカー部だった磯野くんと一緒にいると、
   皆から『いいからお前ら野球しろよ』と鉄板のツッコミを三年間受けていたね」

後輩「……そういえば先輩と梅田先輩って、同じ学校でしたっけ」

梅田「そうよ。しかも三年間ずっと同じクラスっていう腐れ縁もオプションで付いてきてたわ」

先輩「なんだかんだ言いながら、私達の付き合いも長いのか」

梅田「残念ながらそういう事になるわね。 ……あ!」

後輩「どうかされたんですか?」

梅田「一つ凄いネタを思い出したんだけど、さっきの同級生達とはこれ喋ってなかったなって」

先輩「へぇ。どんな話だい?」

梅田「アンタこの噂知ってるかしら?」

先輩「話してくれないことには判断がつけられないよ、バイソン」


梅田「『放課後に現れる狐面のセーラー服』、っていうウチの学校の七不思議」


先輩「ほぅ」

後輩「……へぇ」
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/23(日) 01:51:27.47 ID:xJYJaXgz0

梅田「これがまた一時期学校中の話題になった話でねぇ」

後輩「いやそれ普通に気になりますよ。なんですかその妖怪じみた怖い話は」

先輩「当時は新聞部がネタを掴もうと躍起になっていたのを思い出すよ」

梅田「何だ、アンタもやっぱり知ってるんじゃない」

先輩「そりゃそうさ」

後輩「僕は知らないというか思いっきり部外者なんですが、もし良かったらその話を教えてください」

先輩「欲しがりさんだなぁ、メグたんは」

梅田「アンタが言うと妙に意味深になるから止めなさい」

後輩「それで、その『狐面のセーラー服』って何者なんですか?」

梅田「残念ながら、結局何者なのか正体は分からなかったのよ。
   ただ、生徒の悩みを悉く解決していく謎の存在で、恋の悩みから受験・金銭問題までなんでもござれ」

後輩「万能ですねぇ」

梅田「その噂を知った人たちは、狐面の女の子を一目見ようと色々画策していた時期があったくらいよ。
   生徒どころか教師の悩みも解決したって話が流れて、当時は大変な騒ぎだったわ」

先輩「当事者探しの意味合い兼ねて、一時期は持ち物検査が毎日のように行なわれていたっけか」
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/23(日) 01:55:30.24 ID:xJYJaXgz0

梅田「そして目撃者の話によると、学校の到る所で姿を見かけたらしいわ」


・曰く、実習棟の二階北階段に座り込んでいる

・曰く、放課後の屋上で黄昏ている

・曰く、放課後の空き教室でカーテンに包まるように隠れている

・曰く、鍵のかかっていない女子トイレに潜んでいる



後輩「……なんともまぁ、ミステリアスというか都市伝説っぽいというか」

先輩「こうして羅列されると奇妙な存在として認識されていたんだねぇ」
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/23(日) 02:02:35.49 ID:xJYJaXgz0

梅田「ま、結局のところ正体は分からず仕舞い。
   噂は噂のまま、我が母校に一つの伝説が出来たってだけの話ね」

後輩「なんともまぁ……濃い学校ですね」

梅田「でもウチは進学校だったから、むしろこういう話題が受験勉強の気晴らしにもなっていたわ」

先輩「へぇ、そりゃ重畳」

梅田「あら……もうこんな時間? 悪いけどこの辺で先に上がるわね」

先輩「お疲れ、バイソン。また明日」

後輩「梅田先輩、お疲れ様です」

梅田「はいはい、また明日ね。メグたん、お疲れ様」


後輩「嵐のように去っていきましたね」

先輩「ま、たまには私達の間にもバイソンのような新しい風は取り込まなくちゃ。
   無駄話にも良いネタがあったようだし、上々かな」

後輩「ああ、さっきの『狐面のセーラー服』ですか」

先輩「そうそう」



後輩「あれの犯人というか当事者、先輩でしょ?」

先輩「……バレてた?」
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/23(日) 02:08:43.67 ID:xJYJaXgz0

先輩「どうしてまたそう思ったんだい?」

後輩「会話の節々に『当事者が目の間にいるのに気づかないのかね』みたいなニュアンスを含むから、どうなのかなと」

先輩「まぁね。あの子には一度姿を見せているから気づいているのかと思ってたけど…杞憂だったみたい」

後輩「先輩にしてはえらく素直に白状しましたね」

先輩「まぁ、君に隠したところで仕方ないからね。ここは正直になってみようかと」


先輩「いやぁ…まさか遊び半分で始めた『暇潰し請負人』があんな風に広がっているとは」

後輩「今の自分の心境としては幽霊の正体見たり枯れ尾花、ってやつです」
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/09/23(日) 03:01:31.03 ID:Gmj8p4Qfo
前作っていくつくらいあるのかな?
程々と人並みとそれなりは読んだんだけど
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/09/23(日) 06:38:36.13 ID:yMica8/v0
Wikipediaより、
「2012年の秋分の日は116年ぶりに9月22日になる」
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/23(日) 08:14:26.70 ID:yjFtxsQs0
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/09/27(木) 23:14:17.96 ID:vehM4YO+o

             ___
            r´       `ヽ 
            /   _____ヘ
         j  ̄ ̄      ∞゛i、_
       <`vー´ひ-へ 〜、_,-v 、,〜ニ=
        `〃::N:∧N、Mノ ヾリ| l::::::::ヾ、
        ル:::从>    < 从::::::::::N
         レリ l⊃ 、_,、_, ⊂⊃W'ヽ{  
        /⌒ヽル.ヘ   ゝ._)  .从/⌒i   トゥットゥルー♪
      \  ヽ >,、 __, イ、/  /   支援なのです♪
        \シ. i L〜〜〜//.ヾ、/
        !、  `ー----ー´ミ   .,}
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/09/30(日) 18:51:56.66 ID:n/7tnDK10

乙!

ところでこの二人の専攻とかって
決まってるのかな

話の内容とかから心理学っぽい気がする
葛藤とか。

野暮ですかね
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/30(日) 20:58:27.59 ID:xUcmTJtDO
昔同じクラスだった「梅村」さんもバイソンって呼ばれてたっけ。
美少女だったのにw
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/04(木) 00:56:36.33 ID:4cNhrs5+0
―55―


>>162


先輩「まぁ、それなりかな」

後輩「?」

先輩「あとは人並み」

後輩「先輩?」

先輩「そして、程々の三つくらいか」

後輩「なぞなぞにしては妙に難易度高そうですね」

先輩「ん? 私と君の軌跡の話さ」

後輩「……余計に謎が深まったんですが」
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/04(木) 01:06:03.62 ID:4cNhrs5+0
―56―


先輩「先日は中秋の名月だったねぇ」

後輩「台風が近づいてきたときはどうなるかと思いましたが、無事に見れて良かったですね」

先輩「台風一過で雲ひとつ無い空模様のおまけつきと来たもんだ」

後輩「そのおかげで綺麗でしたね」

先輩「何が?」

後輩「いや、だからお月様がですよ」

先輩「つまり?」

後輩「つまりも何も、月が綺麗でしたよねって……」

先輩「大胆だね、君」

後輩「……あっ!!」

先輩「おいおいおい、急に古風な告白とは穏やかじゃないなぁ」

後輩「無理やり言わされた感満載ですけどね……」


先輩「ところでさ」

後輩「ん?」

先輩「返事、聞きたいかい?」

後輩「まぁ、気が向いたときにでも」
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/04(木) 01:13:17.91 ID:4cNhrs5+0
―57―


>>163


先輩「先月の話になるんだが」

後輩「何かあったんですか?」

先輩「君との話の流れで、秋分や彼岸に関する事をのたまっただろう?」

後輩「ああ、そんな事もありましたね」

先輩「その際に『秋分の日は9月23日』とか言ってたの覚えてる?」

後輩「さも当然のような顔して言ってましたね」

先輩「よくよく調べてみると、本当は今年の秋分の日って『9月22日』だったってさ」

後輩「へぇ」

先輩「なんと116年振りの暦ズレが生じたらしいよ。これって凄いタイミングで間違えたと思わないかい?」

後輩「それは確かに珍しい事柄には含まれるでしょうね」

先輩「ね、そうだろう!?」

後輩「ちなみに一つ訊ねていいですか?」

先輩「……」

後輩「間違いに気づいた瞬間、どう思いました?」

先輩「……は、恥ずかしかった」
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/04(木) 01:30:23.32 ID:4cNhrs5+0
―58―


>>166


後輩「貴女の授業の取り方を聞くと、たまに『この人何を専攻してたっけ?』と思うときがあります」

先輩「何だい、藪から棒に。私と君は同じものを専攻しているだろう?
   それを忘れるとは失敬だな、メグたんは」

後輩「いや、忘れているわけじゃないんですよ。ただ、先輩の講義時間割って結構メチャクチャですから」

先輩「そうかい? 無駄なく入れていると思うけどなぁ」

後輩「では、明日の2限目は?」

先輩「知識処理論だよ」

後輩「次の3限は?」

先輩「人類科学概論が2講義分だね」

後輩「明後日の1限と3限は何でしたっけ?」

先輩「言語処理系論と確立統計学だね」

後輩「今から行く授業は?」

先輩「応用情報学を聴講さ」

後輩「……専攻、何でしたっけ?」

先輩「心理学だよ」

後輩「文系詐欺じゃないですか」
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/04(木) 01:42:31.16 ID:4cNhrs5+0
―59―


後輩「そういえば、梅田先輩のことなんですけど」

先輩「お、バイソンに気があるのかい?」

後輩「えげつないレベルで話が飛躍しましたね…そうじゃなくて」

先輩「ん?」

後輩「やっぱりバイソンってあだ名はどうかと思いますよ」

先輩「むぅ、いいと思うんだがなぁ」

後輩「頑なにバイソンって先輩が呼び続けているのは理由があるから、じゃないですか?」

先輩「そう見えるかい?」

後輩「そうは見えませんが、そう思います」

先輩「……まぁ、君にならいいか」

後輩「何がですか?」

先輩「彼女、昔は『梅村』性だったんだ。もう随分と昔の話だけどね」

後輩「へぇ」

先輩「梅村の頃に知り合って、そのあだ名で私の中では定着している。
   それに彼女は梅村の方に本当はついていきたかったんだとさ」

後輩「そう、だったんですか……」

先輩「せめて私だけは梅村時代の彼女の事を覚えているよ、そういう意味でのバイソンさ」

後輩「単純そうに聞こえますけれど、割と複雑な話なんですね」

梅田「ええ、そうね。特に嘘の部分が誇張されているから余計そう感じるわ」

後輩「!?」

先輩「やぁ、奇遇だね。バイソン」

梅田「アンタ私がこっち近づいてきたくらいから、ワザと聞こえるようにさっきの話始めていたでしょ!?
   気づかなかったとは言わせないからね!」

先輩「ゴメン、気づけなかった」

梅田「……………」プルプル

後輩「せ、先輩! お、落ち着いて! その握り拳は治めましょう、もしくは政治にぶつけましょう!」
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/04(木) 01:53:05.74 ID:4cNhrs5+0

梅田「ハァ……いい、メグたん。コイツと一緒にいるのはいいけれど、感化されて性悪になっちゃダメだからね!」

先輩「おお、性悪が何か言ってるなぁ」

梅田「アンタは口を堅く閉じる素振りをそろそろ覚えるべきね」

先輩「はいはい」

後輩「なんだ、さっきのは冗談だったんですか」

梅田「ま、半分冗談ってところね」

先輩「そうそう。半分嘘ってヤツだね」

後輩「……なるほど、そういう事ですか」

梅田「察しが良くて助かるわ」

後輩「先輩にとってはバイソン、僕にとっては今後も梅田先輩って事ですね」

先輩「ね。メグたんは賢い子だろう?」

梅田「そこで何でアンタが自慢顔してるのよ」


後輩「そうだ、梅田先輩。もし良かったら今から一緒にご飯でも食べませんか?」

先輩「うん、そうだね。バイソンもおいでよ。美味しいモノ今から食べに行くんだ」

梅田「へぇ、何食べる予定なの?」

先輩「豚足だよ」

後輩「豚足ですね」

梅田「……止めとくわ」

先輩「えー、美味しいのに」

後輩「そうですよ。炭火焼で作ってくれるところだから、美味しさも一塩ですよ」

梅田(……メグたん、変なところは既に感化され始めているのね)
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/04(木) 02:09:21.06 ID:4cNhrs5+0
―60―



後輩「この前の授業で、『人間が生きる意味について貴方なりの考えを述べよ』という宿題が出たんです」

先輩「へぇ、また随分と大雑把な命題だね。 それで、君の事だから宿題自体はもう済んでいるんだろう?」

後輩「はい。 適当に文献漁って本文から言葉を引用しつつ、それっぽい言葉でまとめてみました」

先輩「そりゃ重畳。 本気で取り組んだら堂々巡りになる内容でもあるからね」

後輩「でも、無駄話にはいい内容かな、と思いまして」

先輩「ほぅ」

後輩「先輩は、人が生きる理由についてどう思いますか?」

先輩「う〜ん、そうだねぇ……じゃあ、まずは」

後輩「?」

先輩「無駄話の一環として、突拍子もない事を一ついいかい?」

後輩「どうぞ」

先輩「私はね、気が向いたら世界を救っているんだ」

後輩「……は?」
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/04(木) 02:12:49.48 ID:4cNhrs5+0

後輩「えっと、どういう事ですか?」

先輩「どういう事もなにも、言葉の通りさ。その気になれば君にだっていつでも出来る」

後輩「そんな馬鹿な。荒唐無稽もいいところですよ」

先輩「今日も世界を救う一歩をしてきたところさ」

後輩「……具体的に、どういう方法でそれを行なったんですか?」

先輩「そうだねぇ。 ……お、またタイミング的にはバッチリだな」

後輩「何か見つけた顔ですね」

先輩「ほら、メグたん。世界を救うチャンスだよ」

後輩「……?」

先輩「向こうの公園で泣いている子がいるだろう?
   その子を助けてみてご覧。それが一番分かりやすい」
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/04(木) 02:17:37.35 ID:4cNhrs5+0
〜〜


先輩「それで、首尾はどうだった?」

後輩「どうやら公園で母親を探していたようでして……見つかった途端に泣き止みましたよ」

先輩「うん、お疲れ」

後輩「そりゃどうも」

先輩「これで君も世界を救うキッカケを作ったね」

後輩「……先輩、そろそろどういう事か教えてくださいよ」

先輩「了解。じゃあメグたん、こういう理論を聞いたことはあるかい?」


『カオス理論』


後輩「いえ、名前くらいしか」

先輩「では、『バタフライ・エフェクト』くらいは聞いた事あるだろう」

後輩「それは流石に聞いた事ありますね。ふとした事柄が大きな事象になる現象、で認識は合っていますか?」

先輩「うん、だいたいそんな感じ。その『バタフライ・エフェクト』も『カオス理論』の一環でね」

後輩「ほぅほぅ」

先輩「ぶっちゃけると予言を完全に否定する理論なんだ、これが」
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/04(木) 02:28:56.79 ID:4cNhrs5+0

先輩「かいつまんで説明すると、こうさ」

 人間は、たとえ全ての物理現象を完全に解明したとしても、
 初期値を完全に観測できないので、決して未来を予測することは不可能だ


後輩「つまりどういう事ですか?」

先輩「分からないかい?」

後輩「サッパリです」

先輩「じゃあ一番身近な未来予知で考えてみればいい。君がよくテレビで見る未来予知があるだろう?」

後輩「……天気予報ですか?」

先輩「正解。アレって予測はするけれど、例え降水確率100%の日でも晴天が見える日だって稀にあるだろう。
   逆に0%の日に夕立が降る日だってある」

後輩「まぁ、言われて見れば」

先輩「雨が降るシステムが分かっても、何がキッカケで雨が降るのかは絶対に分からない。
   もしかすると何気なく吹いた風が影響しているかも知れないし、
   道に落ちている飲みかけのジュースが蒸発して要因の一つになっているかも知れないだろう」

後輩「それは確かに、最初の原因となる事象を見れる観測者がいなければ絶対分からない事柄ですね」
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/04(木) 02:37:18.45 ID:4cNhrs5+0
先輩「まぁこの話は深く語ると時間を食うだけだし、この辺はかいつまんでおくとして。
   さっき助けた子どもがどう繋がるかって事に話を戻そうか」

後輩「そうですね」

先輩「つまりだね、さっき助けた子が君の優しさに触れて、それがヒーローになる動機になるかも知れない。
   その子が本当にヒーローになって、私達の知らないどこかで地球を守っているかも知れない」

後輩「また何ともスケールの大きい話ですね」

先輩「カオス理論の曲解とも言えるかな。でも、生きる意味ってのはそういうものさ」

後輩「?」

先輩「存在するだけで不確定事象の塊。凝縮された可能性の産物。それが人間。そう捉えるなら……そうだね」


先輩「人というのは、生きているだけで意味がある」


先輩「以上が私の生存理由と存在意義におけるでっち上げ論さ」

後輩「自分でそう言ってちゃ世話ないですよ」

先輩「まぁ、無駄話としては良い題材だったねぇ」

後輩「先輩」

先輩「ん?」

後輩「僕は……そういう考え、嫌いじゃないですよ」

先輩「そうかい? それは嬉しいね。君から好きって言葉を貰えるだけで、以外と嬉しいもんだね」

後輩「一言も好きって言ってないですよ、僕は」

先輩「照れ隠しかい?」

後輩「……お互い様でしょう」
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/04(木) 02:43:06.03 ID:4cNhrs5+0
―60.5―


先輩「カオス理論についてかなり強引にまとめちゃったなぁ」

後輩「語り足りないんですか?」

先輩「いや、伝えたい10のうち3か4くらいしか伝わらなかったと思ってね」

後輩「まぁ、確かに全部が全部分かったわけじゃないです」

先輩「むぅ……」

後輩「だから、また先輩と話を交わしながら今回で足りなかった部分を汲み取っていきたいですね」

先輩「言うようになったねぇ、君も」

後輩「誰かさんの影響かも知れません」
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/04(木) 02:55:08.27 ID:4cNhrs5+0
―61―


〜後輩の自室〜


先輩「眠くなるとさ、文章の推敲が難しくなるよね」

後輩「概ね同意です。頭の回転が鈍くなっているのが実感できる瞬間ですよね」

先輩「その解決法を知っているかい?」

後輩「素直に寝ることでしょうに」

先輩「正解」

後輩「それにしても先輩、目の下にクマ出来てますよ」

先輩「むぅ、最近は論文やらにかまけてあまり寝てなかったからなぁ」

後輩「どのくらい寝てないんですか?」

先輩「今日で3日目に差し掛かるくらい」

後輩「……ベッド、使っていいですよ」

先輩「お、有り難いね。 でも、私はこっちがいいかな」

後輩「ちょ、うわっ、いきなり抱きついてこないでください」

先輩「……zzz……zzz」

後輩「の○太くん並の早さで眠っちゃった……」

先輩「……zzz……zzz」

後輩「全く、今日だけですよ」

先輩「……zzz……zzz」

後輩「お疲れ様です、先輩」

先輩「……zzz……zzz……ありがと」

後輩「……狸寝入りはズルイですよ」

先輩「……zzz……zzz……寝てるよ……zzz……超ぐっすり……」

後輩「ピンポイントで返答できる寝言とは画期的ですね」
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/04(木) 10:49:54.50 ID:Y4CtPw/IO
メグたんペロペロ
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/06(土) 00:09:02.14 ID:hZcazSsIO
そういやSS内だと中秋の名月見れたっぽいけど>>1は見れたの?

俺は台風直撃だったぜ…
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/07(日) 00:26:59.48 ID:387zgeHDO


秋分の日を素で間違えていたっぽい>>1もとい先輩可愛い
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) :2012/10/07(日) 14:08:14.09 ID:X/FPHi850
相変わらずまったり続けてくれているようでなにより
こういう雰囲気のSS凄く好きだわ
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/10/31(水) 17:45:09.03 ID:xYgZtTrAO
まだー?
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/06(火) 01:14:44.72 ID:yeFxu0pIO
そろそろまた読みたくなってきた
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/11/08(木) 00:20:56.59 ID:a+Zcbf9C0
おまいらそう急かすな

のんびりまったりがこのssの醍醐味だろう
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2012/11/08(木) 15:01:30.54 ID:rXBAW3/4o
のんびりまったりsageろ
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/11/27(火) 08:41:07.81 ID:ctklGPtIO
そろそろ続きが読みたくなってきたage


…というかもうすぐ二ヶ月だぞ、続きはよ
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/11/27(火) 13:10:09.49 ID:ULSlOXjAO
無駄に上げんなカス
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/11/28(水) 09:05:48.81 ID:vQrkeYVIO
そろそろヤバいぞage

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