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妹「ねえねえお兄ちゃん、今日はどこ行くの?」 -
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1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/06/15(金) 04:33:30.37 ID:2bs61o2r0
兄「今日もそのへんをぶらぶらしようと思う」
妹「えぇ?またぁ?」
兄「嫌か?」
妹「嫌じゃないけど、何かもっと目標を持とうよ」
兄「そんな事言ったって、俺達はもう目標は持てないだろ?」
妹「うぅ、そうだけどぉ…」
兄「な。わがまま言わないの」
妹「はぁい」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1339702410
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冒険者育成学校 @ 2025/07/18(金) 01:36:01.28 ID:PkrtUMnv0
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たてづらい部!! @ 2025/07/17(木) 23:24:46.15 ID:o3A0TqwG0
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ゼンレスゾーン淫夢要素ゼロ @ 2025/07/16(水) 18:57:50.86 ID:RQSyJ1Qxo
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【ギルデッドエネミー】ウルフ「まるでじゃんけんだ」 @ 2025/07/16(水) 01:49:20.03 ID:ryYxoR/vO
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■ 萌竜会 ■ @ 2025/07/15(火) 00:40:24.35 ID:LBAUOkqwo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1752507623/
■ 萌竜会 ■ @ 2025/07/15(火) 00:39:16.20 ID:qbAcbrETo
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猫饅頭 @ 2025/07/14(月) 19:14:21.34 ID:1knELuPaO
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(安価&コンマ)コードギアス・・・ @ 2025/07/13(日) 22:27:49.60 ID:9f2ER2kw0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1752413269/
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/06/15(金) 04:36:43.35 ID:2bs61o2r0
兄「きょうも道に沿って歩こうな」
妹「わーいやったぁ」
兄「こらこら、走り回るんじゃない妹。家の人に迷惑になるだろ?」
妹「大丈夫大丈夫。聞こえないよお兄ちゃんっ」
兄「聞こえる。やめなさい」
妹「むぅ…。お兄ちゃんは、私が何かすると止めなさいってそればっかり」
兄「やんちゃな妹を持つと、口うるさくなっていけないな」
妹「えへへ。やんちゃなのは、お兄ちゃん譲りなのだぁ」
兄「親譲りな」
妹「そうとも言うね」
兄「そうとしか言わない」
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/06/15(金) 04:39:37.31 ID:2bs61o2r0
妹「わあ、見てお兄ちゃん。あそこの家から人がたくさん流れこんでくるよ」
兄「本当だ。あそこに何かあるのかな」
妹「きっと居心地がいいんだよ。私達も行ってみよう?」
兄「でも、家の人に迷惑にならないかな」
妹「ならないならない。私達は絶対に迷惑になりませんっ」
兄「あっ、こら待て妹」
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/06/15(金) 04:44:19.60 ID:2bs61o2r0
妹「わぁぁ」
兄「へえ。なかなか大きなお屋敷じゃないか」
妹「いいねいいね。私も一度はこういうおうちに住んでみたい」
兄「広い家か」
妹「もちろんお兄ちゃんも一緒にね」
兄「いやぁ。俺達だけにこの広さは困っちゃうなぁ」
妹「どして?」
兄「掃除に洗濯、維持管理。これらを全部俺たちがやるんだぞ」
妹「それもまたお兄ちゃんと親睦が深められそうでいいよ〜」
兄「あはは」
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/06/15(金) 04:53:37.51 ID:2bs61o2r0
妹「うわっ。お風呂は沢山の人でぎゅうぎゅう詰めだね」
兄「参ったな。これじゃあ通れない」
妹「仕方ない。ここは一旦外に出て別の道を探そう?」
兄「そうだな。そうしよう」
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
:2012/06/15(金) 04:59:54.18 ID:yU9nUx0P0
おちんぽっぽ
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/06/15(金) 05:08:02.23 ID:2bs61o2r0
妹「結局お外の大通りを使うことになったね」
兄「そうだな」
妹「私的には、さっきのお屋敷とか狭い道とかのほうが面白いんだけどなぁ」
兄「お前冒険好きだもんな」
妹「うんっ。お兄ちゃんと一緒に行く冒険は、すっごく楽しいよ」
兄「お前はほんとに素直だ」
妹「えへへ〜」
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/06/15(金) 05:10:35.99 ID:2bs61o2r0
兄「妹はどうして素直なままで居られるんだ?」
妹「うーん。どうしてかな」
妹「…やっぱりお兄ちゃんと一緒に楽しくお散歩できるからかな」
兄「俺と?」
妹「うん。お兄ちゃんと一緒に居られるのなら、私は何も怖くないし、要らないよ」
兄「そうか」
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/06/15(金) 05:18:48.92 ID:2bs61o2r0
妹「そういうお兄ちゃんも、いつまでも元気で明るいよね」
兄「そうだろうか」
妹「そうだよ。やっぱりお兄ちゃんも私がいるからいつまでも元気なのかな?」
兄「ま、まさか。俺は」
妹「あ〜、お兄ちゃん顔あかーい」
兄「お、お、俺は別にっ…」
妹「ムフフ。ブラコンシスコン、二人揃ってドウシヨウモナインジャー!」
兄「戦隊風に言うの止めろ」
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/06/15(金) 06:27:07.06 ID:2bs61o2r0
妹「はい出ました。お兄ちゃんの止めろ発言」
兄「くっ」
妹「えへへ、今日からお兄ちゃんの止めろの回数を数えるね」
兄「や、やめろよ」
妹「2」
兄「ぐぅ…」
妹「(・∀・)」
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/06/15(金) 08:31:47.71 ID:V0QKGAxj0
幽霊兄妹か
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中部地方)
[sage]:2012/06/15(金) 09:11:35.62 ID:pmEov7+O0
それっぽいな
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 09:21:03.96 ID:2bs61o2r0
妹「わぁぁ」
兄「へえ。なかなか大きなお屋敷じゃないか」
妹「いいねいいね。私も一度はこういうおうちに住んでみたい」
兄「広い家か」
妹「もちろんお兄ちゃんも一緒にね」
兄「いやぁ。俺達だけにこの広さは困っちゃうなぁ」
妹「どして?」
兄「掃除に洗濯、維持管理。これらを全部俺たちがやるんだぞ」
妹「それもまたお兄ちゃんと親睦が深められそうでいいよ〜」
兄「はは」
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 09:23:06.76 ID:2bs61o2r0
妹「うわっ。お風呂は沢山の人でぎゅうぎゅう詰めだね」
兄「参ったな。これじゃあ通れない」
妹「仕方ない。ここは一旦外に出て別の道を探そう?」
兄「そうだな。そうしよう」
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 09:26:58.58 ID:2bs61o2r0
妹「結局お外の大通りを使うことになったね」
兄「ああ」
妹「私的には、さっきのお屋敷とか狭い道とかのほうが面白いんだけどなぁ」
兄「お前冒険好きだもんな」
妹「うんっ。お兄ちゃんと一緒に行く冒険は、すっごく楽しいよ」
兄「お前はほんとに素直だ」
妹「えへへ〜」
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 09:32:28.51 ID:2bs61o2r0
兄「妹はどうして素直なままで居られるんだ?」
妹「うーん。どうしてかな」
妹「…やっぱりお兄ちゃんと一緒に楽しくお散歩できるからかな」
兄「俺と?」
妹「うん。お兄ちゃんと一緒に居られるのなら、私は何も怖くないし、要らないよ」
兄「そうか」
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 09:35:17.17 ID:2bs61o2r0
妹「そういうお兄ちゃんも、いつまでも元気で明るいよね」
兄「そうだろうか」
妹「そうだよ。やっぱりお兄ちゃんも私がいるからいつまでも元気なのかな?」
兄「ま、まさか。俺は」
妹「あ、お兄ちゃん顔あかーい」
兄「お、お、俺は別に…」
妹「ムフフ。ブラコンシスコン、二人揃ってドウシヨウモナインジャー」
兄「戦隊風に言うの止めろ」
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 09:37:53.95 ID:2bs61o2r0
妹「はい出ました。お兄ちゃんの止めろ発言」
兄「くっ」
妹「えへへ、今日からお兄ちゃんの止めろの回数を数えるね」
兄「や、やめろよ」
妹「2」
兄「ぐぅ…」
妹「(・∀・)」
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 09:39:46.47 ID:2bs61o2r0
妹と二人で道を通る。
人はいるが気にしない。
兄「なあ妹」
妹「なあに?お兄ちゃん」
兄「前はさ、苦しくなかったの?」
妹「え?何が?」
兄「だからさ。来るとき苦しくなかったのかって」
妹「あぁ。来るときね」
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 09:41:43.30 ID:2bs61o2r0
兄「どうだったんだ」
妹「そりゃあものすごく痛かったよ」
兄「おい、大丈夫だったのか」
妹「何言ってるのお兄ちゃん。大丈夫じゃなかったからこうなってるんだよ?」
兄「お、おう。そうだったな…」
妹「ふふっ。お兄ちゃんは、どうだった?」
兄「俺?俺はあっという間だったんでしばらくは分からなかった」
妹「私がお兄ちゃんを見つけた時に、やっと理解してたもんね」
兄「ああ」
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 09:44:25.75 ID:2bs61o2r0
妹「あのまま私が見つけてなかったら、お兄ちゃんはどうなっていたのかな…」
兄「今と同じように道を歩いていたさ」
妹「一人でも?」
兄「多分な」
妹「そっか。お兄ちゃんらしいね」
兄「それよりも、俺はお前がここに来たのが許せない」
妹「そ、それはもうたくさん謝ったじゃん」
兄「謝ったって元には戻らないんだぞ」
妹「私はこれでいいの!お兄ちゃんと一緒に居られれば、それで」
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 09:47:35.07 ID:2bs61o2r0
兄「はぁ…。全く困ったやつだ」
妹「まんざらでもないくせにっ」
兄「まんざらです」
妹「私は全然嬉しいよ。お兄ちゃんは違うの…?」
兄「嬉しい。ただ、こうしてしまった俺に腹が立つ」
妹「それは仕方がないよ。自分では決められない」
妹「でも、こうして二人でいれば、何が起こっても怖くはないよ」
兄「……」
妹「わたしは、これでいいと思う。二人でいるから今のままなんだと思う」
妹「だから、このまま散歩を続けよう?」
兄「ああ、そうだな」
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 09:51:15.55 ID:2bs61o2r0
塩の香りが鼻を突く
これは海だな
もうそんなに歩いたのか
妹「うわあ、海だぁ」
兄「真っ暗だな。昼の間に着ければよかったんだけれど」
妹「だけど、人はいっぱいいるよ」
兄「だな」
妹「うーん。私も泳ごうかな」
兄「朝になって明るくなるまで待ってろよ」
妹「えー!やだぁ、待てないよぅ!」
兄「明るいほうが面白いよ。それまでは砂で城でも作って待っていよう。な」
妹「うぅ、はぁい」
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 09:55:02.96 ID:2bs61o2r0
妹「お兄ちゃんお兄ちゃん」
兄「ん?なんだ」
妹「穴を、そっちから掘ってくれない?」
兄「穴?トンネル作る気か」
妹「そう!トンネルが出来れば一段とかっこよくなるよ!」
兄「はあ。いいけど、崩れても何も言うなよ」
妹「うんっ」
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 09:57:21.70 ID:2bs61o2r0
妹「………」
兄「………」
妹「崩れた…」
兄「すまん…」
妹「ま、まぁいいよ。崩れても何も言わないっていう約束だったからね」
兄「はい」
妹「ただし!崩れたらもう一度手伝ってって言ってはいけないとは言ってなかったから、もう一度作るの手伝ってもらう!」
兄「なんと」
妹「さあお兄ちゃん、朝まで砂のお城を作るよ!」
兄「はぁ。はいはい」
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 10:03:42.87 ID:2bs61o2r0
兄「妹。そろそろ次の場所にいこう」
妹「え?もう行っちゃうの?」
兄「ああ」
妹「うーん。でももう少し海にいたかったな…」
兄「海以外にもいいところはいっぱいある。それらを見に歩こうじゃないか」
妹「じゃあ、お兄ちゃんはどこに行きたい?」
兄「おれ?俺はな」
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 10:05:13.00 ID:2bs61o2r0
妹「わぁ、大きな街!」
兄「人がたくさんいるだろ」
妹「うん、そうだね。こんなにいるとどちら側だか見分けがつかないよ」
兄「いや。わかるんだなこれが」
妹「え?どして?」
兄「ほら、あの人達は地下鉄の真っ黒いトンネルに向かって歩いている」
兄「あそこに道があるんだ」
妹「わあ、ほんとだ。さすがお兄ちゃんっ」
兄「ふふん」
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 10:06:58.99 ID:2bs61o2r0
妹「じゃあ、あそこの道にそって歩いていこうか」
兄「大丈夫か。怖くないか」
妹「お兄ちゃんと一緒に手を繋げば大丈夫だよ」
兄「手って。この年頃で兄弟で手をつなぐのは」
妹「仲良きことは美しきかなだよお兄ちゃんっ」
兄「そうか」
妹「そうだよ。さあ、私の手を握って?」
兄「…」
ギュ
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 10:07:47.32 ID:2bs61o2r0
妹「お兄ちゃんの手、温かくも冷たくもないけど、とっても温かい」
兄「お前のもそんな感じだな」
妹「ふふっ。手を握るって、何かとても特別なことなんだね」
兄「そうだな」
妹「ところで今日は、散歩を始めてから何日目?」
兄「多分、11日目くらいかな」
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 10:08:38.71 ID:2bs61o2r0
妹「ひゃあ、もうそんなに経ったの」
兄「ああ。俺的には3日4日くらいなんだが」
妹「時間が立つのは早いね…」
兄「だな」
妹「…地下鉄の線路の上は、ひんやりして冷たいね」
兄「妹は冷え性だな。大丈夫か」
妹「手は温かいんだけど」
兄「分かった分かった。分かったから手を繋いでることを強調しないでくれ。恥ずかしい」
妹「ふふっ」
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/15(金) 17:07:09.28 ID:Hw619MuIO
シエンタ
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 20:23:40.42 ID:2bs61o2r0
兄「トンネルを出たな」
妹「うん」
妹「でも、やっぱり出た先は駅だね」
兄「地下鉄だからな」
妹「だね」
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 20:25:55.21 ID:2bs61o2r0
兄「まずは俺が先に上に上がるよ。その後俺が妹を引っ張ってやるから」
妹「分かった」
兄「よいしょっ…っと」
兄「おし、妹、手を出せ。引き上げる」
妹「うん」
兄「ふんっ…!」
妹「よ…っこいしょーっ!」
兄「だぁーっ!」
ドシャアッ
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 20:35:12.39 ID:2bs61o2r0
妹「あいたたた…」
兄「………」
妹「あっごめんお兄ちゃん!バランス崩して倒れちゃった」
兄「い、いからど、け」
妹「う、うん」ヒョイ
兄「っぷは!はぁっはぁっ…」
妹「ごめんね、お兄ちゃん…」
兄「い、いいってことよ」
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 20:43:08.69 ID:2bs61o2r0
妹「ホームへの段差、結構高くて困ったの。ごめんなさい」
兄「俺がいなかったら、妹は上がるのにもっと手間取ったろうなあ」
妹「……身長低い?」
兄「低い」
妹「///」
兄「ははははっ」
妹「もうっ!笑うなー!」
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 20:44:28.22 ID:2bs61o2r0
ごちゃごちゃのホームを歩いていると、妹が肉の塊を踏んだ。
グシャッ
妹「うわあ、な、な、なに?」
兄「まぐろ」
妹「えっ…まぐろ?」
兄「前は人だったものだよ」
妹「人…。なんでこんな所に置きっぱなしなの?」
兄「きっと誰かが片付けたさ。でも、まだ残ってるんだ」
妹「こんなに街の人が歩いているのに?どうして?」
兄「…」
兄「妹、ちゃんとこの人に謝っておけ。この人は俺たちと違って歩くこともできないんだ」
妹「ご、ごめんなさい……」
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 20:47:16.55 ID:2bs61o2r0
兄「済んだか、妹」
妹「うん…」
兄「よし。それじゃあそろそろお手洗いの鏡へ行こう」
妹「えっ。お兄ちゃん、鏡の道を使うの?」
兄「ああそうだ」
妹「えー…。鏡使うのぉー…?」
兄「何が不満なんだ」
妹「だってぇ…。人の前で鏡使うとたまに映るんだもん、前の姿格好が」
兄「自分の姿が見られたくないのか」
妹「うん」
兄「なんで」
妹「……人にはすごい姿で映ると思うから」
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 20:49:54.60 ID:2bs61o2r0
兄「それを言うなら俺のほうが凄いと思うがな」
妹「ええー…?」
兄「全身真っ赤っ赤だ。多分このあたりからね」
妹「…」
妹「……私だって、首に跡が残ってるだろうし。それに顔面蒼白だよ、きっと…」
兄「はぁ…。今更直後の姿を悔やむとか。もっといい姿で終わる方法は思いつかなかったのかよ」
妹「そ、その時はお兄ちゃんに会いたいの一心で何も考えられなかったの!」
兄「ははははははははははは」
兄「そうかそうか、会いたかったのか。妹は優しいな」
妹「…」
兄「妹、なにも思い悩むことなんか無いよ。妹は綺麗な顔のままなんだから」
妹「うぅ…///」
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 20:57:21.93 ID:2bs61o2r0
兄「さあ、入るぞ妹」
妹「うう…お兄ちゃん。やっぱりあそこの人腰抜かしてるよぉ…」
兄「おやおやほんとだな。見える人だったか」
妹「どうして、向こうの人達にはすごい姿のままで映るの?」
兄「分からん。俺には妹は普段通りの姿に見えるんだけれど」
妹「…はぁ。あの人に写ってる私の顔ってどんなんだろうね…」
兄「気を落とすなよ妹。もう俺達には関係ないさ」
妹「…うん」
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 21:02:16.31 ID:2bs61o2r0
自分の姿があちこちから見えるその空間を抜けると、合わせ鏡になっている所に出た。
妹「わっ、廃屋だ」
兄「ここにはひとがたくさんいるな」
妹「ここもぎゅうぎゅう詰めだよ…」
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/15(金) 21:07:29.45 ID:2bs61o2r0
兄「あちこちが荒らされている」
妹「あっ。お兄ちゃんお兄ちゃん、これを見て」
兄「ん?」
妹「ほら、これ」
兄「なに?割れた仏具…?」
妹「ほら、こっちは写真立てが割られてる」
兄「…いたずらか」
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 21:09:55.91 ID:2bs61o2r0
妹「ひとの家なのに…ひどいよ」
兄「この家の主は一体どこにいるんだろう」
妹「もうここには居ないんじゃないかな…」
兄「そうだろうか。こんなにひとがぎゅうぎゅう詰めなのに」
妹「うーん…」
兄「何もなければ人はこんなに集まらないだろう。閉じ込められているひとがいるんだ」
妹「閉じ込められているひと…」
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 21:12:24.35 ID:2bs61o2r0
兄「あった」
妹「これ…お札?」
兄「ああ」
妹「ひどいよ…。こんなにいっぱい貼り付けて。これじゃあ出られない」
兄「誰かが出られないようにしたんだ」
妹「どうして…?」
兄「分からない。聞こうにも本人は閉じ込められている」
妹「ここのぎゅうぎゅう詰めのひと達は、この人を助けようとしているの?」
兄「きっとそうだ。俺たちも手伝おう」
妹「うんっ…!」
44 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 21:15:28.16 ID:2bs61o2r0
少女「止めて下さい。余計なことをするのは」
兄「!」
妹「えっ、女の子…?」
少女「…止めなさい」
兄「……」
兄(こいつ…)
少女「あなた達は、いつまでもここでぶらぶらしててもいいと思っているの?」
兄「だ…誰だお前は!俺たちになんの用だ…!」
少女「これ以上歩きまわって、好き勝手するのを止めて下さいといっているんです」
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 21:23:41.15 ID:2bs61o2r0
妹「あ、あなたはだれ?どこからきたの?」
少女「死後の世界から」
妹「死後の世界…?」
少女「そう。人々が安定と清浄へと還るところから」
兄「…そんな意味のわからない奴が、俺達に何のようがあるんだと聞いている!」
少女「わたしは、あなた方お二人を向こうへ送り出すためにここにつかわされた使いです」
兄「使いだと…」
少女「そうです」
妹「ど、どうして…?」
少女「ふふふふふふ。よく状況が飲み込めないのであれば率直に申し上げます」
少女「早く完全に死ね。あなた方はもうここの世界の住人ではないのだから」
46 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 21:27:23.03 ID:2bs61o2r0
妹「お、お兄ちゃん…」
兄「………」ギュ
少女「あなた方には、死んだという自覚がある」
少女「にも関わらず、あなた方はこの世界でのうのうと半分になって好き勝手に生きていますね」
少女「自覚があるのにこの世界にとどまることがいかに罪が重いものか知っている」
少女「なのに散歩などといい、生きているか死んでいるか分からずに悩み苦しむ死者の通り道を」
少女「好き勝手に踏みならし、自由に使い、理などそっちのけで兄妹二人仲良く遊んでいる」
兄「………」
妹「………」
少女「馬鹿なことは止めなさい。くだらない自己満悦を今すぐやめて死者の世界へ還れ」
47 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 21:30:02.37 ID:2bs61o2r0
兄「…。お前にどうこう言われる筋合いはない」
少女「…なに?」
兄「くだらないことなんかじゃないといっているんだ」
少女「何を言っているの。理に反して自由勝手に遊び回るこれのどこが馬鹿な行為でないと?」
兄「俺達にとって、遊び回ることはとても特別な時間だ」
兄「生き別れた俺達兄妹にとって、これは大切な時間なんだ」
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 21:35:57.60 ID:2bs61o2r0
兄「顔も名前もバラバラな兄姉弟妹の中で唯一、こいつが俺の実妹で、心から信頼出来る血の繋がった肉親なんだ」
妹「…お兄ちゃん……」
兄「俺が事故で死んだ時、連絡先を教えてはならない約束を破ってまで、おばさんは妹にこっそり教えてくれた」
兄「そしたら、妹は俺を追いかけるように首を吊って死んだ」
妹「……」
少女「……」
兄「そうでもしなければ一緒になれなかった。そうでもしなければずっと一緒にいられなかった」
49 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 21:46:00.77 ID:2bs61o2r0
少女「兄ともあろうものが、妹の自殺に対して何も咎めないの」
兄「…」
兄「…咎めたさ。でも妹は会いたかったからって」
少女「それはお前のただの独り善がり」
50 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 21:54:48.66 ID:2bs61o2r0
少女「お前の妹は、自殺という大罪を犯して兄に会うという、生からの逃避を図った」
妹「…」
少女「好き勝手な行動、理への抵抗。生への軽視、自殺」
少女「これらは、お前たちに生を与えたもうた天への不義理な行為に他ならない」
妹「…で、でも、私とお兄ちゃんには…」
少女「四十九日も六道輪廻の世界も与えられない。与えられるのは無だけ」
妹「そ…んな」
51 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 23:29:39.45 ID:2bs61o2r0
兄「……………」
兄「結局は全部間違いだったのか」
少女「さあね、汚れた魂」
俺と妹は、ただただ一緒になりたかっただけなのにな
52 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 23:30:48.47 ID:2bs61o2r0
俺たちは真っ暗な空間に閉じ込められた
真っ黒いトンネルの中で妹が何かを言う
お兄ちゃんごめんなさい
私たちは全部間違っていたんだね
だから神様が怒っているの
親も居ないの。神様までもがそばに居ないの
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 23:37:30.38 ID:2bs61o2r0
次第に声が消えて行く
お兄ちゃんはいつまでもそばに居てくれたね
離れる前も、離れたあとも
だけどそれももうお終い
もっとお兄ちゃんとお話ししたかった
もっとお兄ちゃんといろんな景色を見て回りたかった
もっとお兄ちゃんと手を繋ぎたかった、もっと
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 23:39:45.77 ID:2bs61o2r0
真っ暗な中、妹の声は聞こえなくなっていき、やがて消えた
死んだのか
だけど俺の意識はいつになっても消えない
全く何もない真っ暗な景色。自分の姿も声すらもないのに意識ははっきりとある
これが無か
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 23:42:38.57 ID:2bs61o2r0
気づいた時から今までに、俺は中劫の時を過ごしていた
それは具体的な数字に表せない
自分が今、考えているのかいないのかの境が分からなくなってきた頃
自分という形がなくなってきた頃
真っ暗な中に、ひとつの光の筋が縦に切れた
56 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 23:49:29.32 ID:2bs61o2r0
少女「出てきなさい、兄」
兄「………」
少女「お前に、一時の自由を与えられることになった」
兄「…じ、ゆ。……だ、と……」
少女「ふう。声であって声でないね」
兄「…」
少女「まあ仕方ないか。なんせ数字で表せないくらいの時間をそこで味わったのだから」
57 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 23:50:34.38 ID:2bs61o2r0
〜補足〜
『中劫』とは
一辺が7kmある正方形の巨大な岩を、100年に一度雲の合間からお釈迦様が
現れて岩の天辺を綿棒の先で軽く払うという行為を続けて、その岩が磨耗して消滅する時間
よりも長いとされている年月
58 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/15(金) 23:59:21.73 ID:2bs61o2r0
兄「が、…っが、がッ」
少女「まずはこれを飲みなさい。その後に話をしてあげる」
兄「…ッッ!!!」
ガッ!!
少女「ぐぅっ!?」
ガチャンッ
59 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/16(土) 00:03:28.49 ID:Bx/IT/2b0
兄「馬鹿にするのもいい加減にしろ…!いもうとは、いもうとはどこだ!!答えろ!!」
ギチギチギチ
少女「かっ…、かはっ!!」
兄「答えろ、答えろ答えろ答えろ答えろ答えろ!!」
少女「が…ぁ、い、も…とは、……げか、い…いる…ぅ…っ!」
兄「外界…!?」
少女「…!…!」コクコク
60 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/16(土) 00:07:54.57 ID:Bx/IT/2b0
パッ
少女「っはあ!!はぁっ、はぁっ、はぁっ…」
兄「……」
少女「うっ…、が、がはっ」
兄「…妹は下界にいるって、一体どういうことだ。このクソガキ」
少女「ぐっ…、六道輪廻の世界を再び回るということ………ゲホッゲホッ!」
兄「六道輪廻だと?」
少女「六つあるうちの一つの世界、人間界で…もう一度人となって生きることになったの…」
兄「それはいつの話だ」
少女「あなたが無に閉ざされてより三年………ぐぅっ!?」
兄「馬鹿を言うな。そんなに短いはずがない」
少女「無、と…天界、は、ちが…う、……時間が…あッ!」
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/16(土) 00:11:13.81 ID:Bx/IT/2b0
兄(ここは天界か)
少女「うぅっ…」
兄「おいクソガキ」
少女「な…なに……?」
兄「俺は何故釈放された。妹は何故生まれ変わった」
少女「それは…」
兄「答えろ」
少女「……」
62 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/16(土) 00:17:30.90 ID:Bx/IT/2b0
少女「あの娘は、六つの世界を廻ることを放棄した」
少女「だから、以前よりももっと苦しい負を持って、人間界を過ごすことを再び強制されたの」
兄「俺の釈放は」
少女「…あなたは、大罪を犯した妹を受け入れ、理に反して現世を歩きまわった」
少女「だから無の世界が与えられた」
兄「……」
少女「けれど、長い審議の結果、主はそれだけでは無を与えるに至らないと判断を仰がれ」
少女「お前に、妹を見つけるまで実体の無いまま人間界を彷徨わせる荷を与える。という結論を導き出された」
63 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/16(土) 00:22:27.97 ID:Bx/IT/2b0
兄「俺が妹を見つけたら、そのあとはどうなる」
少女「お前は贖罪を全うしたとして、妹の兄として下界に生まれ変わる」
兄「負は?」
少女「一切無く、また事故などのような急な死を与えないことを約束する。このわたしが」
兄「……随分と気前が良いなクソガキ」
少女「…本当のことを言うと、わたしも主からお前と共に贖罪することを定められたの」
兄「何故だ」
少女「お前たち二人の魂。尊く扱われるべき魂というものに対し、きつくものを言ったため」
兄「ああ、お前の贖罪内容は俺のお世話係を全うすることか。ご苦労なことだな」
少女「…ふんっ」
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/16(土) 00:27:52.54 ID:Bx/IT/2b0
少女「で?お前は妹を探すの、探さないの?」
兄「探す。探すに決まってる」
少女「ならさっさと風呂に入って準備しなさい。そのボロ衣姿は我慢ならない」
兄「なら風呂場に案内しろよクソガキ」
少女「クソガキじゃない!わたしは主に仕える天上の使者、しょう」
兄「死んだ俺達の前に現れたのも、主とやらから連れてくるよう言われたってわけか」
少女「…そうだよ!お前みたいなふらふらしてるひとを見つけ連れて行くのが仕事なの」
兄「したっぱが」
少女「中階層だこのシスコン!」
65 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/16(土) 00:31:10.73 ID:Bx/IT/2b0
兄「いいからさっさと案内しろクソガキ。俺は妹を早く探し出したいんだ」
少女「クソガキっていうのをやめたらね!」
兄「……少女」
少女「……………」
兄「…」
少女「///」
兄「早くしろ。ガキ」
少女「お前!ちょっといい人って思ったら!」
66 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/16(土) 00:31:43.03 ID:Bx/IT/2b0
少女という子供に風呂まで案内される
なるほど、天界とは絵に描いたような神殿がたくさん建っている
風呂場までローマの大浴場のようだった
少女「…もういいの?」
兄「ああ。さっさと下界に連れて行け」
少女「うるさいな!何度も言わなくたって連れて行くよ!」
兄「………」
67 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/16(土) 00:34:48.51 ID:Bx/IT/2b0
少女「ここ。ここが下界への入り口」
兄「しょんべん小僧の泉か」
少女「しょんべん小僧じゃなくって、ジュリアン!」
兄「いいから早く下に連れて行け」
少女「あーもー連れてけ連れてけうるさいなあ。ちょっと待っててよ」ゴソゴソ
兄「…」
少女「えと、確かここに…。あ、あった」
少女「はい」チャリン
兄「…何だこれは」
少女「コインだよ。下に行きたいのなら、行きたい国を頭に浮かべてこれを泉に投げればいいの
68 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/16(土) 08:16:36.71 ID:u8l+okvIO
おっつん
五億年ボタンより長いんじゃね?
69 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/16(土) 09:30:11.00 ID:aeKZIzIIO
>>68
遥かに長い
70 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/16(土) 13:04:42.87 ID:Bx/IT/2b0
下手すると1000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000年
よりも上かもしれませんね。無神論者の俺をウズウズさせた仏教さんマジパネェっす
このお話に出てくる世界観は、知っている限りの世界的宗教をごちゃ混ぜにして出来たものですので
教徒の方が居りましたら、この場を借りて深くお詫び申し上げます
71 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/16(土) 13:07:25.81 ID:Bx/IT/2b0
兄「行きたい国…」
少女「そう」
兄「お前は、妹がどこに生まれ変わったのか知っているのか」
少女「知らない。わたしが聞いたのは、前と同じ姿でいるってことだけ」
兄「前と同じ姿…」
兄(と言うことは、少なくとも姿形は前のままで、日本人なのか)
少女「おそらく今も日本人だから、日本か日系人が多くいる国かのどちらかだね」
少女「おまえ、どうするの?どこ行くの?」
妹『お兄ちゃん、今日はどうする?どこに行く?』
兄「………」
72 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/16(土) 13:19:13.52 ID:Bx/IT/2b0
兄「日本に行く」
少女「日本?言っとくけど、お前の家はもう無いよ」
兄「俺の街にいるとは思えない」
少女「ならどうして日本なの?」
兄「何もわからない国を探すよりはやりやすいだろう。言葉も知っているし」
少女「あー言葉ね。でもそんなものは関係ないよ。どこの言葉も意味がわかるから」
兄「何故だ」
少女「そうじゃなきゃ探すの不便でしょ」
兄「…」
少女「それに海外に行くのに飛行機も船もいらないよ。魂だから海なんてひとっ飛びだもん」
兄「そうか。なら行くぞ」
少女「あっ、ちょっとおまえ、待ってよ!」
チャポン
73 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/16(土) 13:29:42.01 ID:Bx/IT/2b0
少女「ねえ、お前」
兄「兄だ」
少女「あ、あに…?」
兄「何だ」
少女「さっきからこの街を適当に歩いてるけど、アテはあるの?」
兄「少しはな」
少女「どこに」
兄「広い屋敷だ」
74 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/17(日) 15:11:49.84 ID:Coi//WSt0
少女「広い屋敷?なんで屋敷なの」
兄「…あいつは、妹は、いずれ大きなお屋敷に住みたいと言っていた」
少女「ふうん」
兄「だから、生まれ変わっているのなら大きな屋敷に住んでるはずだ」
少女「それって、わたしとお前が出会ったあの屋敷のこと?」
兄「ああ」
少女「あそこね。あそこは魂が風呂場にひしめき合ってたけど、今はどうなってるかな」
兄「幽霊屋敷のままだろうか」
少女「さあ。でも、万が一あの子がそこに生まれ変わってたら、普通の家になってるかもね」
75 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/17(日) 15:15:41.16 ID:Coi//WSt0
しばらく歩くと、近くに原爆ドームが見えた
ここは広島か
兄「だいぶ見当違いなところに降りてしまったみたいだな」
少女「ねえおまえ、ここはどこなの」
兄「広島だ」
少女「お前と妹が見つけたあの屋敷は、どこなの」
兄「神奈川」
少女「それって、どれくらい遠い?」
兄「何百キロも」
少女「…」
76 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/17(日) 15:21:45.00 ID:Coi//WSt0
兄「でも距離なんて関係ない。魂なんだから」
少女「あ、あの……おまえ?」
兄「なんだ」
少女「えと…せっかくなんだし、わたしと一緒に観光しようよ」
兄「観光?」
少女「いっいや、いや、あのそのっ、特に理由はないんだけど…」
兄「理由もないのにどの口が言ったんだ」
少女「え…ええと、その、理由は……」
兄「…」
少女「わ、わたしとおまえの距離を縮める…」
少女「……って訳じゃないけど仲良くっていうかそのせっかくだからいいでしょ?」
77 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/19(火) 10:50:40.55 ID:MWz1uVWJ0
兄「…なんなんだよお前は。出会い頭に罵倒したり、お茶持ってきたり唐突に騒いだり」
少女「は、初めてあったときは悪霊かと思ったから」
兄「ふざけるな。勝手に俺と妹を悪霊扱いしやがって」
少女「……」
少女「ごめんなさい。わたし、お前にとても悪いことをした」
兄「……なに」
少女「お前は、ただ理を無視して歩く悪霊じゃなくて、妹を思いながら歩く普通の魂だって」
少女「悪いことなんか何一つ考えてなかった、ただの優しい魂だったんだなって…」
少女「おまえを無に送った後の三年間、そう思ったの」
兄「………」
78 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/19(火) 22:17:23.70 ID:UGUYM/VEo
少女のキャラ崩壊がはんぱない
79 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/19(火) 22:21:11.84 ID:MWz1uVWJ0
今はデレているんだ邪魔しちゃい関与
80 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/19(火) 22:22:24.15 ID:MWz1uVWJ0
少女「わたし、使者である自分自身が正しくて、おまえが悪いやつなんだって思ってた」
少女「でも、そんなことなかった」
兄「なんで、急にそんなこと」
少女「わたしは、お前を閉じ込めてから三年間、ずっと悪いことしたって後悔した」
兄「…」
少女「優しい魂のおまえに、汚れた魂と言葉を投げかけた。二人に、最期まで絶望を与えた」
少女「だから、二人きりの今この時に、わたしはおまえに謝りたいの。…本当にごめんなさい」
兄「……」
81 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/19(火) 22:30:25.19 ID:MWz1uVWJ0
兄「…駅に行く」
少女「え…?」
兄「駅に行くんだ」
少女「……」
兄「お前は…その、観光したいんだろ」
少女「…!いいの…!?」
兄「あぁ」
少女「でも、おまえはわたしを許してくれるの…?」
兄「それ以前に、俺はお前を許す許さない言える身じゃない」
兄「無から出た後は良くしてもらってるのに、俺は幼いお前の首を絞めたのだから」
少女「…」
兄「すまなかった。本当に」
82 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/19(火) 22:42:11.05 ID:MWz1uVWJ0
少女「…おまえの言う観光は、自分とわたしへの罪滅し?」
兄「今の俺に出来るのはそれくらいしかないから」
少女「…」
少女「なら、おまえとわたしは同じだね。悪いところも、謝罪の意も、出来る事も」
兄「俺のほうがひどいことをしたよ」
少女「それじゃあ…っていうのは変だけど、一つだけわたしの言うことを聞いてくれる?」
兄「ああ」
少女「じゃあ、お願い」
少女「わたしのこと、お前じゃなくて、『少女』って呼んで」
83 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/19(火) 22:48:30.23 ID:MWz1uVWJ0
唐突に、妹との喧嘩の後の、あの懐かしい感じを思い出した
こいつも妹みたいに気まずそうに目を泳がしていて、なんだかちょっと恥ずかしくなった
兄「……少女」
少女「なに?」
兄「ありがとう」
少女「………」
少女「虫が良すぎるところはあるけれど。許してくれたおまえ、わたしは好き」
兄「そうか」
少女「うん」
84 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/19(火) 22:55:14.28 ID:MWz1uVWJ0
ゴミゴミとした人だかりをかき分けることもなく、改札口を素通りする
少女「おいおまえ」
兄「なんだ」
少女「もっとゆっくり歩いてよ。そんなにせかせか歩かれたら見れるものも見れないでしょ」
兄「先は長いんだからいちいち楽しまなくても十分だろうが」
少女「おまえアホなの?その土地を楽しむことも出来ないほど妹の事でいっぱいなの?」
兄「アホはお前だ。ちょっとはマシな性格かと思えばもう我儘全開かよ、クソガキ」
少女「くそがき!?ちょっと、わたしとおまえはもう仲直りした仲でしょ!?」
兄「だからってどうこうなるもんでもない」
85 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/19(火) 23:02:57.94 ID:MWz1uVWJ0
少女「…ふん。初めてあった時にシスコンだろこいつって思ったけど、それは今も変わりないようね」
兄「うるせえ。てめえだって何にも変わってねえだろうが。その生意気な態度とかがな」
少女「うるさい!このシスコンたまし」
兄「神様〜こいつ俺のことシスコン魂って言おうとしてるんすけど〜」
少女「………」
兄「黙ってりゃ可愛いんだからそのままにしてろ。行くぞ」
少女「ばーかばーか!」
86 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/19(火) 23:11:44.32 ID:MWz1uVWJ0
兄「旅行ルート考えるのは面倒くさいしこのパンフレットにそって観光するか…」
少女「おい、おまえ」
兄「小便したくなったなら向こういってしてこい」
少女「違う!」
兄「じゃあ何」
少女「わたしは、この白長い乗り物は何なんだって聞きたかったの!」
兄「これは新幹線。線路の上を高速で走る乗り物だ」
少女「ふ、ふーん」
兄「満足か」
少女「ま、まあね。知りたいことは分かったし」
87 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/06/28(木) 00:54:03.46 ID:l+PgvdrT0
兄「なら少しは大人しく座っていてくれ」
少女「初めてのものに関心を示しちゃいけないの?」
兄「そうじゃなくて、うろちょろされると落ち着かないんだよ」
少女「ははぁ。それは妹の面倒見てた頃の名残だなー。きゃーシスコーン!」
兄「何でお前は妹のことになるといちいち突っ掛かって来るんだよ。鬱陶しいな」
少女「べ、別に突っ掛かってなんてない!」
兄「突っ掛かってるわ。ああ、もううるさいしお前の前では妹の事は話さない」
少女「ふん!シスコーンの思い出話なんて聞かないもんね!そもそも何でそんなに妹の事が好きなのか全くもって理解できないしそれに…」
兄(ああうるさいうるさい)
88 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/07(土) 04:11:21.03 ID:XkPv0mT70
その頃、妹は
女子「でさー、あそこのカフェのバイトさんがすっごいイケメンでさー」
女子「えっちょっマジ!?」
女子「マジマジ。今度一緒に見に行く?」
女子「行く行くー絶対行くー」
女子「んじゃあ明日の帰りに寄ってこうよ」
女子「うっしゃ決まり!約束だかんね!」
女子「はいはい」
妹「………」
89 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/07(土) 04:37:33.69 ID:XkPv0mT70
妹「……あ、の」
女子「あ?」
女子「なに?何か用?」
妹「……あ、あの、窓拭きたいから…そこ、どいて欲しいな…って」
女子「……」
女子「……」
妹「え、えと…迷惑だったら、後回しにするけど…」
90 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/07(土) 04:45:55.14 ID:XkPv0mT70
女子「ねえ。誰なのこれ」
女子「んー、なんか最近になってここらに引っ越してきた奴だって。隣のクラスで話題になってた」
女子「ふーん」
妹「………」
女子「噂では、居もしない兄貴のことを四六時中ブツブツ言ってる気狂いらしいよ」
女子「うっわーうそ信じらんない。気持ち悪ー」
妹「…お、お兄ちゃんのことを、悪く言わないで」
女子「……うっわ。ほんとに言い始めたよこの子〜」
女子「マジバナだったんだ〜」
女子「きんもー」
91 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/07(土) 04:57:50.89 ID:XkPv0mT70
妹「お…お兄ちゃんは、今は見えないけど、でも、確かに私のそばに居るの…!」
女子「見えないのになんでそんなのが居るのが分かるんですかー?」
妹「えと…よくは、分からない、けど…」
妹「けど、確かに居るの…!きっと今も居る。私のそばに立って、こうして私を眺めてくれて…」
女子「そしてコイツもうダメだと、兄にまで見捨てられる電波ちゃんなのでした〜」
女子「きゃはははっ!!」
妹「…違うよ。お兄ちゃんはそんな事言わない。だって、いつも私を励ましてくれるもん」
妹「いつも頭を撫でてくれるもん」
妹「いつも一緒に寝てくれて、朝までぎゅって、抱きしめてくれるんだもん」
女子「あーあー高校生にもなって居もしない兄との添い寝の幻覚を見るなんて、いよいよ末期ですね〜妹さ〜ん」
女子「ね〜♪」
92 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/07(土) 05:08:58.95 ID:XkPv0mT70
女子「うちのおや精神科医だから、友だちのよしみで見てもらおうっか?」
妹「……」
女子「そうすれば、夢と現実の境がようやく見えてくるんじゃない?」
妹「違う……幻なんかじゃない」
女子「いやいやwwwどう考えても幻っしょそれー」
女子「いつも励ましてくれるとか、頭撫でてくれるとか寝てくれるとかさぁ」
女子「そんなものは存在しないんだよ。あんたの勝手な思い込み」
女子「夢だよ」
妹「…違う……違うよ…、違うよぉ…っ」
女子「いや〜ん泣きそおー♪」
女子「ちがう、違う!あたしのお兄さんは、困ったときに白馬に跨って、即座に助けてくれるのですッ!」キリッ
女子「ロマンチックですねぇ〜いもちゃーんwwwww」
女子「あはははははははははは!!」
93 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/07(土) 05:28:56.80 ID:XkPv0mT70
妹「違う…違うよ……お兄ちゃん助けて…助けて…」
女子「あーあーしゃがみこんじゃったよ」
女子「もしもーし。転校生さーん?」
女子「あ、頭が割れるッ!なんちゃってー♪」
女子「ねえねえ、そんな子もうどうでもいいからさ、明日のイケメン鑑賞の計画練ろうよ〜」
女子「いいね」
女子「さんせ〜い」
妹「…違う、違う、違う、違う」
女子「じゃあね妹さん。せいぜい夢見てフラフラと道に飛び出さないようにねー」
女子「死んじゃうよ?」
アハハハ キャー バカミターイ
妹「…」
94 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/07(土) 05:31:01.87 ID:XkPv0mT70
妹「……違う、違う…ちがう………ちがう」
妹「………」
妹「…うん。わかってるよお兄ちゃん」
妹「ううん、そんなことないよ。私は全然平気。なんともないよ」
妹「さっきのはちょっと意地悪なひと達が絡まってきただけだから」
妹「ま、待って!いいよ追いかけなくても…!私は平気だから…!」
妹「………」
妹「えへへ。お兄ちゃんは優しいね」
妹「さあ、今日はもう帰ろう?うん、放課後の掃除はもう終わった」
妹「今日はお兄ちゃんの大好きなカレーをごちそうするね」
妹「わたしを励ましてくれた、お礼だよ?」
妹「えへへ、お兄ちゃん大好き♪」
95 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/07/07(土) 09:47:31.60 ID:AYdFxWcXo
むう。期待。
96 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/07/08(日) 15:03:22.81 ID:oCi2lTSu0
学校からの帰り道
妹「あははっ」
妹「もう、お兄ちゃんったら変なこと言わないでよー」
妹「だからーそんなこと無いって言ってるでしょー?」
妹「…えー。やだよ、私そんな事出来ないよ、きっと…」
妹「うん。……うん」
妹「でもなぁ…どうだろう」
妹「うーん…。お兄ちゃんが居れば大丈夫かな?なんちゃって♪」
ドンッ
妹「わっ!?」
97 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/08(日) 15:13:24.59 ID:oCi2lTSu0
妹「あいったたた…」
お姉さん「ごっごめん。大丈夫?」
妹「あっ、いえ。こちらこそごめんなさい…」
お姉さん「ううん。私よそ見してたから…。お尻大丈夫?怪我してない?」
妹「大丈夫です。ちょっと打っただけです」
お姉さん「そう。良かった…」
妹「あ、あの…それじゃあ、私急いでるんで…失礼します」スッ
ズキン
妹「いっつ!?」
98 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/08(日) 15:35:27.79 ID:oCi2lTSu0
姉「あーあー…全然大丈夫じゃないじゃないのー。ちょっとおしり見せてご覧?」
妹「あっ、あの……!」
姉「ちょっと失礼するね…」ツンツン
妹「いたた…!」
姉「わっ、太ももちょっと赤い」
妹「そんな…」
姉「歩ける?」
妹「え、えと…」ヨタヨタ
妹「い、いたたたたっ……」
姉「駄目じゃまいか」
99 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/08(日) 15:41:34.78 ID:oCi2lTSu0
妹「だ、大丈夫です。これくらいならなんとか歩けます」
姉「寄り掛かりながら言われても説得力無いよ」
妹「あぅ…」
姉「あなた、うちは何処?もし良かったらあたしがそこまでおぶっていってあげる」
妹「そんな、えっと…その………さんに、悪いです…」
姉「姉だよ」
妹「あ、姉さん…に、悪いですから…」
姉「でも歩けないでしょう。遠慮しなくていいから、さ、おぶっておぶって」
妹「あ、あの、えと………」
姉「ん?」
妹「なんか…ごめんなさい……」
姉「ん」
100 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/08(日) 15:51:42.08 ID:oCi2lTSu0
妹「………」モジモジ
姉「ほらほら。おんぶおんぶ。飛びつけ抱きつけ」
妹「は、はい…」ギュ
姉「よっ…こいしょっと」
妹「…」
姉「ふう。なかなかしっかりとしてるね。中学生?には見えないなぁ…」
妹「こ、高校生…です」
姉「高校生か。何年生?」
妹「二年…」
姉「二年!やりたい放題の時期だぁ」
妹「あ、あの、姉さんは…?」
姉「大学。書道の色々をやってる」
妹「そうですか…」
101 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/08(日) 16:11:49.33 ID:oCi2lTSu0
姉「ってあたしのことはどうでもいいよ。家は何処?えっと…」
妹「妹です」
姉「妹ちゃん。何処?」
妹「…向こうの大きな木が見えますか」
姉「あー……木?」
妹「はい。あの辺りに」
姉「あーあー!見えた見えた」
妹「あそこ辺りが、私の家です」
姉「そうかそうか」
テクテク
102 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/08(日) 16:19:36.36 ID:oCi2lTSu0
いつもより視界が広くて高い
姉さんが生きているのが分かる
妹(姉さん、あったかいな…)
妹(前にもこんな風に、誰かにおぶってもらった気がする)
妹(私より広い背中)
妹(……お兄ちゃん?)
姉「どうかした?」
妹「あっ、いや…ちょっと、懐かしいな、って」
姉「おんぶが?」
妹「はい。昔誰かにこんなかんじでしてもらったなぁって、思い出して…」
103 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/08(日) 16:24:24.20 ID:oCi2lTSu0
姉「誰か…ってことは、その人はもう居ないの」
妹「居ないっていうか…居たというか…」
妹「よく、分かりません」
姉「……」
妹「…」
姉「……もし今の妹ちゃんが寂しいって感じてるのなら、あたしがなんでも相談に乗ってあげるよ」
妹「相談?」
姉「うん」
妹「でも、なんで」
姉「妹と弟に似てるから放っておけない……のかな」
姉「まあよく分からないけどとにかく相談だ!なんでも言ってご覧!」
妹「……」
104 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/08(日) 16:28:16.19 ID:oCi2lTSu0
妹「えっと、それじゃあ、わたしのお兄ちゃんのことを」
姉「…うん。いいよ」
妹「…」
妹「姉さんは、今私たちの後ろをお兄ちゃんが付いて来てるって言ったら笑いますか」
姉「笑わない」
妹「笑わないんですか…?」
姉「うん」
妹「どうして?わたし、おかしいことを言っているのに」
姉「おかしくなんてないよ」
妹「なんでですか…?みんなおかしいって、気が狂ってるっていうんですよ…?」
姉「それは、他の人にはそのお兄ちゃんが見えないからじゃないかな」
105 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/08(日) 16:29:34.49 ID:oCi2lTSu0
妹「じゃあ、姉さんはお兄ちゃんが見えるの?」
姉「うん。見えるよ」
妹「ほんとに…!?」
姉「本当」
妹「嘘…じゃないですよね?」
姉「もちろん。嘘なんかじゃない」
妹「どうして…、どうして姉さんにはお兄ちゃんが見えるんだろう」
姉「不思議?」
妹「はい」
姉「なんで?」
妹「だって…今までお兄ちゃんが見えた人なんて、一人も居ないし…」
姉「…」
妹「どうして…お兄ちゃんが見えるんですか?」
姉「……それはね」
姉「あなたがわたしの妹で、お兄ちゃんと呼んでいるその人がわたしの弟だから」
106 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/08(日) 16:52:21.32 ID:oCi2lTSu0
妹「え……?」
姉「…妹」
妹「え…?え…?」
姉「ずっと探してたよ」
妹「……お姉ちゃん?」
姉「そう」
妹「でも…わたしの後ろに、お姉ちゃんは…」
姉「あなたは私を知らなかったから、だから前世のヒントが存在しないの」
妹「…でも、わたしに血の繋がったお姉ちゃんなんて…」
姉「居た」
姉「前世の弟とあなたが生まれる前に、流産となった姉が」
107 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/08(日) 17:20:28.60 ID:oCi2lTSu0
妹「ぜんせ…?」
姉「妹ちゃんは、弟くんが事故で亡くなったのが耐えられなくて自殺したの」
妹「お兄ちゃんの後を追って…?」
姉「そう」
姉「今の妹ちゃんの人生は、自殺と死後に現世に留まった罪を償うために用意された第二の人生」
姉「そして、いずれ弟くんがあなたを見つけるために用意された第二の人生なの」
妹「………お姉ちゃんは…?」
姉「私は、自分が死んだ後も二人の弟妹から離れられなくて、遂に接触を図ろうとした罪な魂」
妹「自分が死んだ後も、私達を見守ってくれていたの?」
姉「……うん」
姉「でもね、それが神様には良く思えなかったんだって。だから私は探し続けることになったんだよ。生身の体で」
108 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/08(日) 17:56:58.16 ID:oCi2lTSu0
妹「もし見つけることが出来なかったら、お姉ちゃんはどうなってたの」
姉「寿命が来て死んだ後、そのまま未来永劫無の世界に閉じ込められてた」
妹「そんな!ひどいよ…!」
姉「ふふっ。でも大丈夫。ようやく妹ちゃんが見つかったから」
妹「お姉ちゃん……」
姉「…もう自殺なんてしちゃ駄目よ?小さな女の子にその事を知らされた時はどうにかなりそうだったんだから」
妹「ご、ごめんなさい」
109 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/08(日) 17:59:25.17 ID:oCi2lTSu0
姉「それと、弟くん」
兄『………』
姉「ありがとうね」
兄『………』ニコ
フッ
妹「あっ……、お兄ちゃん…」
姉「大丈夫よ。今度は本当のお兄ちゃんに会いに行きましょう。お姉ちゃんと一緒にね」
妹「…うん」ギュ
110 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/08(日) 18:06:34.35 ID:oCi2lTSu0
旅館の空き部屋
兄「それじゃあ、俺には姉がいるってのか」
少女「そうだよ」
兄「何で黙ってたんだ、そんな大事なこと」
少女「頃合いを見て教えてやろうと思ったの」
兄「……そう。俺に姉が」
少女「シスコン魂発動ー?」
兄「うるせえばーか」
少女「なんだと!わたしはその姉とかいう人にお前の事故とか妹の自殺とかを、報告としてわざわざ教えに行ったんだよ!?」
兄「へー。天界のお勤めご苦労」
少女「こっのぉ〜…!!」
111 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/07/08(日) 18:08:33.61 ID:oCi2lTSu0
兄「ところで少女、聞きたいことがある」
少女「なによ」
兄「俺にはどうして、妹や姉の残像がない」
少女「おまえの姉妹探しのヒントはわたしでしょ。だからそれは必要ないの」
兄「じゃあ、なんで姉には俺達がついてない」
少女「主が姉さんにヒントを与えようと思わなかったんでしょー?」
兄「なんで」
少女「さあ。主の裁きの基準なんてわたしにはわかんないよ」
兄「気まぐれな人だな」
少女「そうかもね。お陰でわたしたちは苦労するよ」
兄「その気まぐれで、俺達は妹と姉を探してるんだからな」
少女「おまけにシスコーンのお世話までだよ?あー骨が折れるぅ」ゴロゴロ
兄「やめろ。シーツがぐしゃぐしゃになるだろが」
少女「ふふん、おまえのもぐしゃぐしゃにしてやる〜!」ゴロゴロ
兄「テメェ!!」
112 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/07/08(日) 22:34:01.49 ID:MJ4fCniso
本当に見えてたのか
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[ Aramaki★
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