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春香「私、なにしてるんだろ?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 12:38:17.65 ID:PhI4uOfc0
アイマスSS ifの世界
時期はアニメアイドルマスター24話のニューイヤーライブ前
プロデューサーが無事で春香が765プロを辞めると言い始めたらどうなるか
基本一人称で春香の語り

SS初挑戦なので温かい目で見守ってください

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暇人の集い @ 2024/04/12(金) 14:35:10.76 ID:lRf80QOL0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 12:39:10.18 ID:PhI4uOfc0
私は何をしたいのだろうか?

その答えを探している


美希に『春香は何をしたいの?』と言われてから数日

もうすぐライブだと言うのに私は家に引きこもっていた

今、私はベッドの上に横になっている

プロディーサーさん達に迷惑かけちゃってるなぁ……
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 12:40:15.15 ID:PhI4uOfc0
「私は何の為にアイドルをやっているのだろ? 私は何をしたいんだろう?」
何度も自問した言葉

だけど答えは帰って来ない


みんなで楽しみたいなら高校に行けば良い話なのに
何故私はアイドルをやっているのだろう?
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 12:40:48.48 ID:PhI4uOfc0
『歌が好きだから』?
『踊りが好きだから』?

判らない……
判らないよ……

これ以上考えても無駄だ

仕事をしないなら……



春香「辞めよう、か。」

辞めると決意した瞬間だった
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 12:41:22.80 ID:PhI4uOfc0
私は久しぶりに外に出た

事務所に向かう為だ

久しぶりに動いたと感じた

たまに身体を動かすのもいいかも知れない
そんなことを考えていた

そして電車に乗り、私たちの事務所、765プロへ向かった
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 12:42:33.06 ID:PhI4uOfc0
事務所下の階段

私はそこで立ち止まっていた

右手には紙を握りしめている
退職届だ


これでもう全てが終わる
そういう開放感と共に辞める恐怖感も出て来た

しばらく事務所の下に立ち尽くしていた
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 12:45:33.00 ID:PhI4uOfc0
??「春香……? 来たの……!?」

突然後ろから声がした

驚いて後ろを振り向くと、
千早ちゃんが事務所に来たようだ


千早「あ……、えっと、だ、大丈夫……?」

千早ちゃんは私を傷つけないように言葉を選んでいるようだった

春香「うん。もう大丈夫だよ。だってこれ。」

私は右手に掴んでいるものを見せた


そうしてから気付いた
しまった、千早ちゃんのことだから止めて来るだろう

せっかく心に決めたのにそれを歪ませたくは無い

もう悩みたく無い
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 12:48:35.36 ID:PhI4uOfc0
千早「春香、アイドルを辞めたらもうみんなの前で歌も踊りも出来ないのよ? それでもいいの?」

千早ちゃんは私のことを必死で止めようとしている

千早「もう……、ファンのみんなとも会えなくなるのよ?
   こんなに人気になったのに、その人達の好意を踏みにじる様なことは、少なくとも私はもうしようとは思わない。」

そんなこと言われても……
言われても……

春香「私はそれでもしっかりと考えたんだよ! 考えたけど……。なんで私はアイドルをやってるんだろうなって考えちゃったんだよ!
   千早ちゃんは弟さんの為にアイドルをやってるから良いと思う。他のみんなもそれぞれ色々あってアイドルをやってる。
   私も楽しいからもっとやりたいよ? やりたいけど、もう判んなくなって……。」

私は心の声を千早ちゃんにほぼ全て流してしまった

千早ちゃんも少し驚いたようだった
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 12:49:45.25 ID:PhI4uOfc0
――プロデューサーの車――

P「ん、もうすぐ事務所に着くから、とりあえず準備しとけよ。」

美希「あふぅ、はいなの。ハニー。」

P「一応、事務所に着いても30分ちょっとは休憩取れるからな。」

美希「判ったの。……ん? ハニー、先に事務所に戻っててなの。」

P「ん? 別に構わないがどうかしたか?」

美希「この公園で降りたいの。 たまには散歩もしてみたいかなって。」

P「そうか、ここなら近いからあずささんじゃない限り大丈夫だな。但し、なるべく早く帰ってくるんだぞ。」

美希「はーいなの。やっぱりハニーは律子……さんとは大違いなの!」

P「はいはい、そんなこと無いからな。じゃあ、先に事務所に行ってるからな。くれぐれも気をつけろよ。」



美希「あそこで春香と千早さん……、なにしてるのかな?」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 12:51:55.41 ID:PhI4uOfc0
―――公園―――

春香「ごめん、少しだけ感情的になり過ぎたかも……。」

私は心の中を一気に打ちまけたことによって少しだけ楽になった

千早「ううん、大丈夫よ。実際その通りだと思うわ。」

春香「でも……、弟さんのこと……。」

これを言ってしまったのは失敗だ
千早ちゃんに嫌われたかな?

千早「それも大丈夫よ。優の為に頑張っているのは事実だし。」

良かった、そんなことは無かったみたい

春香「……でも、私は、」

??「何やってるのかと思ったら、春香、アイドル辞めるの?」

!?
誰かから声を掛けられた
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 12:54:08.42 ID:PhI4uOfc0
その方を向くと
美希だった

春香「う、うん……。私、何をしたいのか判らなく」
美希「じゃ、なんでこんな所にいるの?」


春香「え?」

美希……?
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 12:55:49.51 ID:PhI4uOfc0
美希「辞めるなら早く辞めた方がいいって思うな。後になるにつれ辞めたく無くなってくんだし。」

春香「私、千早ちゃんに連れられて……。」

美希「千早さんと話して何がしたかったの? 辞めればもう何も考えることはないんだし、そんなの後で話せばいいって思う。」

千早「美希、その言い方はないと思うわ。私と春香は今、相談してるの。」

美希「千早さんは黙ってて。春香、ミキは楽しければ何だっていいと思ってるの。でも春香は楽しくても、よくないの? 春香はアイドルをやりたくないの?」

春香「やりたい……、やりたいけど!」

美希「やりたいならしっかりと事務所に来て、お仕事してると思うの。でも春香はしてない。
   やる気が無いなら早く辞めてもらった方がミキも的にもライバルが減っていいし、事務所的にもいいって思うな。
   前にも言ったかも知れないけど春香、やっぱり変だよ。」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 12:57:27.55 ID:PhI4uOfc0
千早「美希、いい加減にしなさい。美希の方がおかしいわ! 春香は今、混乱してるの。
   美希は春香の仲間じゃなかったの? 春香を追いつめて何がしたいの?」

春香「いいよ……千早ちゃん。ありがと。美希もありがとね。辞める決心が付いたよ。」

美希はどうしてしまったのだろうか?

美希はこんなに変わってしまったのだろうか?

これは美希の本心なのだろうか?

疑っても美希が言ったことには変わりない

私はどこか変なのかな?

辞める決心はついた
千早ちゃんの所為で歪んで来てたけど美希のおかげでまた決心が強くなった
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 13:00:53.39 ID:PhI4uOfc0
でも、でもどうして……


泣いているのだろう?

千早「春香、大丈夫?」

美希「あ……。」

千早ちゃんはハンカチで私の
涙を拭いてくれた
それと同時に美希のことを睨んだ

美希「……なに?」

千早「美希がそんなに最低な人だとは思わなかった。もう美希はそう言う目でしか見れない。
   今までありがとうございました今後一切関わらないでください。」

千早ちゃんは私の為に、私の所為で美希に怒っているようだ
ごめんね……
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 13:03:34.49 ID:PhI4uOfc0
美希「ふ、ふーん……。まあどーでもいいってカンジ。あふぅ、眠くなって来たの。
  早く事務所に向かってハニーの所に行かなきゃだから。バイバイ。」

美希はそう言って去ってしまった

千早ちゃんは悔しそうな顔をしていた

春香「さてと、私はもう行くね。今までありがとう。あと図々しいかも知れないけど、これからも友達で居てね。」

私は立ち上がり千早ちゃんとは反対方向に向いた

千早「春香……、まだ考えましょう? 時間はまだあるわ。大体、辞めるほど悩むことじゃないと思うわ。みんなで一緒に練習ならまた集めれば出来るわ。」

辞める程悩むことなのか?
今考えると確かにそうかもしれない

だけど……


でも何度集めようとしても無駄だった……
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 13:07:21.16 ID:PhI4uOfc0
春香「いいよ。千早ちゃんもお仕事、在るでしょ。行かなきゃね。じゃあね。」

千早「あ……、待って! 春香!」

私は事務所まで走って行った

すると先ほどは登れなかった階段もすんなりと登れた
美希のおかげだろうか?

そして765プロの扉を開けた

久しぶりに吸った空気だ

中には小鳥さんの姿が見えた

小鳥さんは入って来た私にすぐ気がついたようだ
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 13:10:25.45 ID:PhI4uOfc0
小鳥「は、春香ちゃん!? 久しぶり、調子は大丈夫?」

やっぱり小鳥さんは優しい
しばらく来ていなかったと言うのにいつも通り接してくれる

こうやってここで話してると昔を思い出してしまう

春香「は、はい、お久しぶりです……。」

話しているとまた躊躇ってしまうので、早速本題に入る

春香「あの、社長は今、どこにいらっしゃいますか?」

私がそう言うと小鳥さんは

小鳥「社長? うーん、今日は見てないかなぁ。何かあるなら後で伝えるけど。」

小鳥さんに任せて大丈夫かなぁ?
絶対止められそうだけど

まあ、いいかな
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 13:11:15.48 ID:PhI4uOfc0
春香「は、はい、じゃあ宜しくお願いします。」

私はそう言って退職届を渡した
こういう時は勢いだ

小鳥「はい、受け取りま……、ってええ!? 春香ちゃん!? ちょ、待って!」

渡した瞬間、私はすぐに事務所の外に出た

そして先ほどの公園の近くを通り、駅前まで走った

……大丈夫かな?
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 13:18:22.41 ID:PhI4uOfc0
―――プロデューサーの車―――

Piiii,Piiii

P「ん? 電話か。美希、少し車、止まるな」

美希「はいなの。」

P「はい、765プロです。って音無さんか。どうかしたんですか? はい? はい!? 春香が!?」

美希「……!」

P「はい、はい、判りました。」Pi

P「美希、今音無さんから連絡が在ったんだが、春香が事務所に来たらしい。
  しかもどうやら辞表を突きつけてすぐ帰ってしまったらしいんだが、」

美希「ミキ、知らないの。」

P「まだ言い終えてないんだがな……。美希は知らないんだな?」

美希「知らないの。」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 13:19:14.56 ID:PhI4uOfc0
P「そうか…。ん? そう言えばさっき公園で何してたんだ? チラと見たら人と話してる感じだったけど」

美希「!? 見てたの? あ、え、と千早さん! 千早さんと話してたの。」

P「そうか。千早あそこにいたのか。そうだ、春香の事で何か知ってるかも知れないな。」

美希「千早さんは何も知らないって思うな。」

P「ん? なんでそう思うんだ?」

美希「えっと、だってさっき会った時はフツウだったの!」

P「うーん。また春香から電話貰ってるかも知れないし、聞いておくよ。」PiPi

美希「……」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 13:21:45.83 ID:PhI4uOfc0
千早『はい、如月千早です。』

P「俺だが、少し聞きたいことが在るんだけどいいか?」

千早『なんでしょうか? 今少し忙しくて…。』

P「春香のことなんだが、音無さんから電話が在って……。
  どうやら春香は辞表を出したそうなんだが……。」

千早『!?』

P「そのことについてなにか知らないか?」

千早『あ、えと……。』

P「ん? どうした?」

千早『美希が……。』

P「美希?」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 13:27:10.22 ID:PhI4uOfc0
美希「…………」

千早『はい……。その、事務所の近くの公園、判りますよね? そこで私、春香から相談を受けていたんです。』

P「それでどうしたんだ!?」

千早『聞いてると、美希が突然出て来て。「やる気がないならやめろ」と言って来て……』

P「それ、本当か?」

千早『はい。あまりに酷過ぎる物言いでした……。あの言い方は春香を追いつめることにしかなりませんでした。
   プロデューサー、どうすればいいですか……?』

P「……判った。美希に確認してみる。千早は春香に連絡を取ってみてくれ。あと、もし探せたら探してくれるか?」

千早『はい。もちろんです。プロデューサーももし春香を見つけたら絶対に連絡くださいね。』

P「ああ、じゃあまた何かあったら。」Pi
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 13:28:28.62 ID:PhI4uOfc0
P「さて、美希」

美希「ん……」

P「俺に何か嘘を付いていないか?」

美希「付いて、ないの。」

P「今、千早から連絡があった。美希、あの公園で春香と会ったらしいな。」

美希「……」

P「喋る気ないのか? すまんが、俺は今、怒ってるんだ。正直に言ってくれ。」

美希「……った……。」

P「なんだ?」

美希「会…ったの。春香と……千早さんと。」

P「そうか。会った時にお前はなんて言った?」

美希「あ、ぁ……」

P「喋る気が無いのならもういい。千早の言ったことが本当なのか。」

美希「春香に……少し酷いこと言ったの。」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 13:32:42.90 ID:PhI4uOfc0
P「どんなだ。」

美希「春香に、悩んでるならアイドル辞めろって言ったの……。」

P「はぁー……、それがどういう意味か判ってるのか!?」

美希「!」

P「アイドルを辞めると言うことは可能性、未来を壊すことなんだ。夢を壊すことなんだ!
  春香はいつもみんなをまとめたり、レッスンも人一倍に努力してる。それを知らないで言ったのか?」

美希「知ってるけど……。」

P「知ってるなら尚更だ! 春香は人をまとめるのが好きな訳じゃない。みんなが好きなんだよ。
  みんなが好きだからまとめてるんだよ。だからレッスンもみんなと一緒にやろうって声掛けていたじゃないか!
  美希はその声が聞こえなかったのか?」

美希「だって……春香がみんなとやりたいなんて甘いこと言うから……。」

P「確かに春香は甘いかも知れない。でもその甘さが春香のいい所なんだ。
  春香のあの優しさが魅力なんだよ! 大体、律子から聞いたが元々春香が来なくなったのは美希の一言が原因だそうじゃないか。
  美希は春香を苛めたいのか?」

25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 13:34:27.66 ID:PhI4uOfc0
美希「違う……! 美希も春香の事大好きなの!」

P「好きならなんでそんなに酷いことが言えるんだ! 俺はもう美希のことは軽蔑した。
  好きな人に向かってそんなことをするんだな。なら俺もされるかもだから気をつけないと。そう思われても仕方ないぞ?」

美希「千早さんも美希のことそう言う目でしか見れないって……。
   それにハニーまで……。なんで……? なんで美希ばっかり……」

P「美希が悪いことをしてるからだ。美希にはその自覚はないのか?」

美希「美希ばっかり……美希ばっかり……ヒック」

P「美希が泣いたら春香の心は癒されるのか? だいたい全部美希の所為で……。
  いや、もういい。話にならない。美希に自覚がないって言うならこれまでだ。」

美希「自覚…あるの……。少し言い過ぎたの…。」

P「少しどころじゃないぞ。かなりだ。」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 13:38:31.61 ID:PhI4uOfc0
美希「うん……。かなり酷いこと言っちゃったの……。謝りたいの……。
   許してくれるかなぁ……。」

P「そんなもんお前の態度次第だ。なにがどう悪いのか、言ってみろ。」

美希「春香に、やる気がないなら辞めろって言っちゃったの。
   事務所に来ないのは春香がやる気がないからって言ったの……。辞めるなら早く辞めろって……。」

P「判った。判ったから泣くな。俺も少し強く怒り過ぎたかも知れない。いや、強すぎた」

美希「ううん……。ハニーは悪く無いの。ミキが全部悪いの。」

P「いや、考えてみると美希はまだ中学生だもんな……。
  まだ子供だ。道を間違えても仕方ないと言える歳だ。だから、その、軽蔑するなんて言って済まなかった。」

美希「ミキもハニーのこと怒らせちゃったの……。ごめんなさい。」

P「俺はいいから、とりあえず千早に謝りの電話を入れてやれ。
  千早のことだから心から謝れば許してくれるさ。その後は春香に電話かメールをしてやれ。
  多分電話は入らないと思うからメールを打ってあげてくれ。」

美希「……! はいなの!」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 13:41:02.40 ID:PhI4uOfc0
―――駅前―――

春香「とうとう、終わっちゃったなぁ……。」

全く実感が湧かない

でも、本当に辞めちゃったんだよなぁ……

これからどうしよう

ちゃんと高校に行って、勉強して、大学行って……

とりあえず明後日くらいから高校に行ってみようかな

まだ不安だ
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 13:44:59.64 ID:PhI4uOfc0
そして私は電車に乗り込んだ

どこか遠くの宛もない旅に出たくなったのだ
時々どこか遠くへ出掛けたくなるのは私だけかな?

電車にしばらく揺られていた

1時間以上経っただろうか?

聞き覚えのある駅に到着した

どうやらかなり田舎に来てしまったようだ

駅名を確認してみる

『降郷村駅』

ここって……!
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 13:52:05.98 ID:PhI4uOfc0
確かプロデューサーさんが初めて取って来てくれたライブの場所だよね

駅は近くに一応在ったんだね

私は降郷村駅で降りた

そして少し歩くと

春香「あ……!」

昔ライブをしたステージ跡地があった

ライブ会場は解体されてるからないけど、ちゃんと広場になってる

前に雪歩達と「ALRIGHT*」歌ったことを思い出した

雪歩、パンクな衣装着てたなぁ

子供達がそこで遊んでいるようだ

もしかしたらあの時にサインをあげた子も居るかな?

そう思いながらその辺を歩こうとした
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 13:55:08.08 ID:PhI4uOfc0
「あれってアイドルの天海春香じゃない?」
「ホントだー。赤いリボンだし、テレビで見たことある!」
「オレ、少し前のここのライブで本物見たこと在るから判るぜ。」

ひそひそ声が聞こえて来た

どうやら早速広場で子供達に気付かれてしまったようだ

変装してないから当然か
電車は人が少なかったから問題なかったけどなぁ

私が子供達の方を向くと、その子達は手を振って私の所に来てくれた
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 13:55:44.41 ID:PhI4uOfc0
「ねぇねぇ!アイドルの天海春香!?」
「本物!?」

囲まれてしまった

春香「……うん。本物だよ。」

アイドルを辞めたなんて言って子供の夢を壊しては行けない

それを思いながらそう返した

「スゲー!サインください!」
「オレ、もう持ってるぜ。」
「えー、いいなー。私もー」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 13:58:25.20 ID:PhI4uOfc0
みんなサインを欲しがっているようだ

まだアイドルを辞めたのは受理されてない筈だ

最後の仕事にちょうどいいかも知れない

春香「うん。いいよ。どこに書けばいいのかな?」

そう言うとみんな一列に並んでくれた

偉いなぁ

そして全員分のサインが終わると

「よっしゃー!これで明日みんなに自慢出来るぜ。」
「私、宝物にする!」

みんな私のサインで喜んでくれたようだ

やはり嬉しい
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 14:14:28.66 ID:PhI4uOfc0
……でも、私はもうアイドルを辞める

もしサインを求められてもこれから拒否しなきゃ

私はみんなに挨拶を済ませて、再び電車に乗った

また適当な場所へ向かおう


そう思い、再び電車に乗り、1時間それ以上電車に揺られた


「次は〜」

春香「んん……?」

はっ、いけない

少し眠っていたようだ
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 14:22:03.44 ID:PhI4uOfc0
周りを見ると海が広がっている

ここ、どこだろう?

日はもうすぐ沈みそうだ

時計を確認すると五時頃だ

どうやら降郷村から二時間以上乗っていたようだ

ふと周りを見て気がついた

この海も来たことが在る

電車は到着した

私は電車を降り、駅を出た
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 14:52:54.46 ID:PhI4uOfc0
春香「やっぱり……。」

そこは夏、みんなと海に来たときと同じ場所だ

二度も偶然はあるものなのか

私は世界を疑った

でも降りてしまったものは仕方がない

海を見に行こう

そう思った
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 14:53:44.90 ID:PhI4uOfc0
流石に冬の少し暗くなっている時に海に入っている人は居ないようだ

私は誰も居ない砂浜を歩いていた

昔は、みんなが集まって、はしゃいで、楽しかったなぁ

またみんなで楽しみたい

でも、この海で泊まった時に話したことは全部本当になってる

だから……、もう無理かな

しばらく歩いてふと周りを見渡してみる

もう日は殆ど沈んでしまってポツポツと星空が浮かんでいた
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 14:58:29.03 ID:PhI4uOfc0
春香「私はなにをしてるんだろう。なんでこんな所にいるんだろう。」

口に出してみた

でも答えは帰って来ない

答えは、望んでない

本当に旅しちゃったなぁ

でもそろそろ帰ろう、か

春香「……あれ?」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 15:33:53.51 ID:PhI4uOfc0
ここって確か私の家の逆方向じゃなかったっけ?

しかも事務所まで3時間以上も掛かるのに、それから2時間って終電が来ちゃうんじゃ……?

……帰れない!?

春香「はぁーあ……。こんなことなら来るんじゃなかった……。」

帰りたいけど、中途半端な所で変えれなくなったら大変だ

流石に親をこんな所まで車で来させる程、迷惑は掛けたくない

こういう時不便だよなぁ、家が遠いと……

少し考えた末
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 15:37:26.93 ID:PhI4uOfc0
春香「すいませーん。即日で泊まれますかぁ?」

前回来たときの宿に泊まることにした

幸い、お金は沢山持っていたので、泊まることは出来た

一応アイドルは職業なので給料はもらっている

人気になってからは本当に使えるお金が増えた

まあお母さんに『一ヶ月1万円以下』しか使っちゃだめって言われちゃったけどね

でも、もしお金を持ってなかったらどうなったんだろうか?

どうなるか想像もつかない

春香「本当ですか!? ありがとうございます!!」

聞いてみるとたまたま当日にキャンセルが在ったそうで、その部屋に泊まることになった

本格的に泊まることが決まってよかった
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 15:39:03.48 ID:PhI4uOfc0
私が泊まる部屋は前の大部屋とは違い、小さな一人、二人用程度の小さな部屋だった

確か、あの時にプロデューサーさんが泊まっていたところがこういう部屋だったはずだ

私は部屋に入り、殆ど何も入っていないバッグをその辺に投げ捨てて、畳の上に伏した

春香「疲れたー」

久しぶりに横になれた気がする

朝から色々在った所為で、きっと疲れているのだろう

ここでバッグから電源を落としていた携帯電話を取り出した

さっき投げちゃったけど大丈夫かな?

……うん、付いた
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 15:40:19.49 ID:PhI4uOfc0
……メールが23件も来てる

着信も10件来ていた

メール読んでみようかな?

メールはプロデューサーさん、千早ちゃん、小鳥さん、美希とその他みんなから来ていた

ん……?

春香「美希から……?」

あれだけ言いたい放題だった美希からメールが届いていた

今度は何を言うつもりだろうか?

私は気になり、それを始めに開いた

42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 15:45:05.29 ID:PhI4uOfc0
送信者:美希
 件名:本当にゴメンナサイ

 本文:春香、本当にゴメンナサイ
    ミキ、春香に酷いこと言っちゃった…
    泣かせちゃった時、ちょっと言い過ぎたと思ったんだけど
    素直になれなくて謝れなかったの…
    それからミキは悪くないって思って
    ハニーに怒られるまでミキの言ったことが悪いって思ってなかったの
    だからゴメンナサイ
    春香、何でもするから帰って来て!
    ミキ、土下座でも何でもするの
    だからお願いしますなの
    帰って来て!
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 15:49:08.35 ID:PhI4uOfc0
美希は素直だ

自分が悪いと思ったら本当に反省してくれる娘だと私は思っている

だから許してあげたい

美希も美希なりの『アイドル』の考え方があったんだよね

でも、やっぱり傷ついたなぁ……

って、いけないいけない

私はアイドルを辞めたんだった

これ以上見たら……

でも手が勝手に動いた
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 15:50:35.38 ID:PhI4uOfc0
送信者:プロデューサーさん
 件名:メール寄越してくれ

 本文:春香、美希にはキツく叱っておいた
    だが、それだけが原因じゃないんだろ?
    春香の相談に乗ってやれなかった俺もその原因の一つだ
    今ならまだ間に合う
    だから連絡をくれ
    みんな、春香のこと待ってるぞ
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 15:57:44.25 ID:PhI4uOfc0
プロデューサーさんも大変だよね

みんなのプロデュースしなきゃならないのに私の方にも気をつけなきゃいけないんだもん

私は心の中で謝っておいた

また手が知らない間に動いていた

千早ちゃんからのメールだ
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:01:13.29 ID:PhI4uOfc0
送信者:千早ちゃん
 件名:春香…

 本文:さっきは止められなくてごめんなさい
    春香、戻って来て
    私には春香が必要なの!
    私が辛いときは春香が私を支えてくれたから歌えた
    春香がもし居なかったら私はここに居なかった
    だから次は私が春香を支えたい
    みんな事務所にいて春香を待ってるの
    私だけじゃない、みんなも春香を待ってる
    美希なんて目を真っ赤にしながら私に謝って来た
    だから早く戻って来て!

47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:08:30.89 ID:PhI4uOfc0
千早ちゃんも優しい

だから千早ちゃんは大好きだ

さっきチラと見た時、電話をくれたのも殆ど千早ちゃんだった

だからありがとう

美希もやっぱり本当に反省してるみたいだね
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:09:47.60 ID:PhI4uOfc0
送信者:小鳥さん
 件名:受け取れないよ…

 本文:春香ちゃん…
    私はあの文を受け取れません
    だから一度事務所に戻って来て相談しましょう?
    私もプロデューサーさんもみんなも待ってます
    また事務所でいっぱい喋ろう?
    出来れば返信してください
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:10:44.04 ID:PhI4uOfc0
他にもみんなからメールが届いていた

手がつい、動いてしまう

おかしいな……

目からは涙がこぼれて来た

春香「なんで……、みんな……。」

私はもう携帯の画面を見ることが出来なかった



しばらくしたら落ち着いて来た

私は深呼吸を何度かした

これを最後のチャンスにしよう
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:12:13.07 ID:PhI4uOfc0
私は携帯のお気に入りから『ブログを投稿』を選んだ

一応個人でやっているブログだけど、みんな見てくれているらしい

時々話に出されて恥ずかしい思いをしたりする

もし、ここに現在地を書き込んだらどうなるかな?

私は悩んだ

少し悩んだ末、書こうと思った

どうしよう、だんだん決心が歪んでいるのかも知れない

でもブログを書く手は止まらなかった

やっぱり私はまだ辞めたくないんだ……

そして投稿
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:15:51.57 ID:PhI4uOfc0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ブログタイトル:旅
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皆さん、お久しぶりです

一週間近く更新してなかったかな?

私がテレビとかに出てない理由を考えてくださったファンの方々も沢山居ると思います

公式で発表されているのは『体調不良』だそうですね

でも私は身体は大丈夫です

心が判らなくなっています

私は何の為にアイドルになったのか
私は何をしたかったのか
私はなんなのか

判らなくなってしまったのです

皆さんはそれぞれ様々な目標が在ると思います

私もトップアイドルが目標でした

でも、トップアイドルになるだけじゃダメみたいです

もうよく判らなくて…
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:17:02.25 ID:PhI4uOfc0
今日、久しぶりに外の空気を吸いました

ここ一週間近く家にいたのでとても久しぶりです

そして事務所に少しだけ顔を出して

それから電車で何処かへ行こうとしました

事務所に行った理由はまだ内緒にしていたいです

電車に乗り、揺られて着いたのは、昔、まだ売れていなかった頃にミニライブをした場所でした

みんなからサインを求められたので少し困りましたけどね…

あ、みんなと言っても子供達ですよ


その後、また電車に揺られました

気がついたら寝てしまっていたようで
海に来てしまいました

どうやら二時間近く乗ってしまったようです

そして珍しいことにその海も少し前に765プロのみんなと一緒に来た場所でした

偶然が二回も続いたのは驚きました

そして海を眺めて、昔泊まった旅館に泊まることになりました

一人旅だったのでもちろん一人ですよ?

あ、私の居る場所を探しに来ないでくださいね(笑)

今日はここに泊まりたいと思います

とても長かった一日でした

では、またいつか更新する日が在ることを願って…
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:21:50.53 ID:PhI4uOfc0
まだ辞めるってことは内緒にしてた方がいいよね

ファンの人たちを困らせちゃうだろうし



……ふぅ

お風呂から帰って来るともう布団が敷いてあった
少し早い気がするけどキャンセルした人が早く敷いて欲しいって注文したのかな?

そう言えば受付で

『食事は食堂まで来ていただければお作り出来ます』

って言ってたっけな

まだあんまりお腹は空いてないけど行って来よう
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:23:15.21 ID:PhI4uOfc0
食事も食べ終わった私は部屋に戻ると同時に布団に倒れ込んだ

この柔らかさが心地いい

やはり畳より布団の方が寝るにはいいかな

今すぐにでも眠れそうだ

横になりながら携帯を開いた

新着メール1件

誰からだろう?

55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2012/06/23(土) 16:24:33.14 ID:PhI4uOfc0
送信者:プロデューサーさん
 件名:ブログ読んだぞ

 本文:春香、どこに行ったと思ったらそんな遠くまで行ったのか!?
    たまには俺も春香みたいな旅、してみてもいいかもな
    …迎えに行ってもいいか?
    やっぱり俺は春香が少し心配だ
    返信してくれないからどんな調子なのかもいまいち把握出来てない
    社長もアイドルを辞めるのはまだ認めてない
    少なくとももう一度会いたいそうだ
    連絡寄越してくれ

56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:25:24.64 ID:PhI4uOfc0
少し前に届いたようだ

携帯は部屋に置きっぱなしだったから気付かなかったんだ

プロデューサーさん……

来るのかな?

春香「なんで待ってるんだろ? 私は辞めるつもりなのに……。どうして?」

布団に横になりながらそう呟いた

案の定、答えはどこにも帰って来ない

私はやっぱりまだ辞めたくないのかな?

メールの返信は返せなかった
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:27:43.88 ID:PhI4uOfc0
トントン

春香「!」

突然扉が叩かれた

うとうとしていたので今は何時か判らない

急いで携帯の時計を見た

すると意外と時間はそんなに過ぎていなかった

??「すいません。天海春香さんの客室でしょうか?」

男の人の声だ

私の部屋だって判ってるくせに

どうせ受付の人に聞いたんでしょ

どうやって聞き出したかは知らないけど
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:33:24.76 ID:PhI4uOfc0
私の反応がないからか、扉の前の人、プロデューサーさんから反応が無くなってしまった

P「おーい? 春香だよな? 返事してくれ。しないと勝手に入るぞ。」

もし違う人だったらどうするんですか!

ついそう答えてしまいそうになったが堪える

P「まあ俺の顔なんて見たく無いか。千早とかの方が良かったか?」

プロデューサーさんじゃないと嫌だ

そう口に出せない自分が辛い

P「まあ、うん。じゃあそのまま聞いてくれ。多分メールで来ただろうけど、美希は本気で謝ってる。
  春香が帰って来なかったら辞めるとも言い始めてる。
  それだけ反省してるんだ。許してやってくれ。」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:39:13.08 ID:PhI4uOfc0
美希、そんなことしなくてもメールで誠意は伝わったよ

『あんなこと』って千早ちゃんが教えたのかな?

P「それと春香がこんなになったのは全て俺の責任だ。
  俺が春香の様子をしっかりと見ていたら、相談にしっかりと乗れていればこんなことにはならなかった。
  本当にすまなかった。」

春香「そんなこと……そんなことないです! プロデューサーさんは何も悪く在りません。」

プロデューサーさんの所為にはしたくない

だからつい声が出てしまった

P「ん、そっか。やっぱり春香は優しいよな。そんな春香が俺は大好きだ。」

え? あ? え?
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:42:15.36 ID:PhI4uOfc0
……ああ、プロデューサーとアイドルの関係としてってことかな?

一瞬、驚いちゃったよ……

春香「あ……。はい! プロデューサーさんも優しいです。いちいち私に構ってくれますし。
   感謝しきれない程です。私もプロデューサーさんのこと大好きです。」

もう思いっきり声だしちゃってるけどいいよね

P「構うのは当たり前だろ! 大切な……、えっと、そう! 仲間なんだからな!」

一瞬、溜めがあったのはなんだろうか?

春香「そうですね。プロデューサーさんも私たちの仲間です。でも私はもう……。」

765プロを辞めたら仲間じゃなくなっちゃうのかな?
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:46:26.57 ID:PhI4uOfc0
P「春香、春香はまだアイドルをやりたいんだろ? 仕事を沢山やりたい。でもみんなとも沢山会いたい。
  で、俺の予想だと春香は気付いたんだ。『アイドルをやらなくても、みんな、友達とは楽しめる。』と思ってしまったんだ。
  だから、その思いが積み重なってこうなってしまったんだと思う。」

うーん
ちょっと違うかな?

P「……あれ? 返事が無くなったってことは違うのか。」

P「もし違うなら原因は春香自身が語ってくれないと判らないぞ。」

一度返事を返さないとなんとなく返事は返しにくくなる

P「はぁー。春香、よく聞いてくれ。春香は何事にも気を張り過ぎなんだ。
  確かにライブをみんなで練習するのは大切だ。でもな、目の前の仕事も同じように大切なんだ。」

そう言えば私はライブの練習のことで悩んでたってんだっけ?
途中からそんなことも忘れるくらい『アイドル』って言う概念に捕われてたのかな

P「だからな、春香。周りに気を配りすぎるな。
  気を配るのは俺の仕事なんだから、春香はしっかりと目の前の仕事をやってくれればいい。
  あ、でももちろん俺が出来ない様なことはしっかりといつも通り引っ張って欲しい。」

62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:48:30.62 ID:PhI4uOfc0
周りに気を配らない……?

私はライブを成功させる為にみんなと練習がしたかっただけ

でもそれは間接的に周りに気を配ってたことにもなるのかな?

P「で、だ。春香はライブを成功させたかったんだよな? じゃあ春香はこんな所で何してるんだ?」

春香「!?」

そうか、この間まで私がライブを成功させようとしたのに今は私がライブを失敗させようとしてるのか

私は『アイドル』と言う枠に捕われ過ぎていたのかも知れない

今やることは、目の前に在ることしかなかったのに

63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:50:15.44 ID:PhI4uOfc0
春香「……プロデューサーさん。」

P「なんだ?」

―――もう一度、アイドルについて考えてみよう

春香「私は、」

――――私は何をしたいのか、その答えは

春香「もう一度、アイドルを」

―――――みんなで楽しく

春香「やりたい、です。」

――――――歌って踊りたかっただけなんだ

だから私が今こんなことをいたらダメなんだ

64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:51:56.64 ID:PhI4uOfc0
P「春香、よくもう一度アイドルをやることを決意したな。今までの想いはしっかりと俺が聞いてやるぞ。」

想いって、愚痴のことですか?

P「お! ちょうどいい時間だ。春香、TVを付けてくれ。と言うか部屋に入っていいか?」


なんだろう

そう言えばプロデューサーさんは外でずっと扉に向かって話していたんだ

端から見れば少し怪しく見える気が……

私はプロデューサーさんに『入っても良いですよ』と返事をして、リモコンでテレビを付けた
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:56:36.78 ID:PhI4uOfc0
『と言う訳で! 765プロニューイヤーライブよろしくお願いしまーす!』

春香「ええ?」

思わず素っ頓狂な声を出してしまった

今日、ライブの告知だったんだ

しかもLIVEと書いてある様子から生放送の様だ

みんな、凄く元気そうでよかった

真美『って! あれあれ→? 誰か一人足りませんぞ。』

「ぁ……!」

それってもしかして……?

『『『『春香ー!』』』』

みんな……!

66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 16:57:57.80 ID:PhI4uOfc0
真『春香、今まで待たせてゴメンね。』

雪歩『私たち……いつもの場所にいるよ。』

やよい『みんなで待ってます!』

響『会っていっぱい話そう!』

美希『待ってるよ!』

千早『私たちの場所で!』


春香「みんな……!」

P「今日はもうすぐニューイヤーライブがあるだろ? その告知を事務所で生放送してるんだ。」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 17:00:22.16 ID:PhI4uOfc0
春香「プロデューサーさんはその場に居なくて良かったんですか?」

P「当たり前だろ! 仕事と春香、どっちの方が大事だと思ってるんだ。」

春香「はい……。ありがとうございます!」

P「ああ! 春香にはやっぱり笑顔が一番だ!」

そう言えば最近あんまり笑ってなかったなぁ
そりゃ愛想笑いは仕事中とかずっとしてたけど

春香「当たり前ですよ! 女の子には笑顔が一番似合うんです!」

これからは本当に笑える日々が続くことを祈ります
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 17:01:51.11 ID:PhI4uOfc0
あの後、私は結局旅館に泊まることになった

プロデューサーさんは事務所に行ってみんなと会って来るみたい

まあ会う前に連絡しちゃってると思うけど

私は携帯を開き、まずは千早ちゃんに電話を掛けた

千早ちゃんには一番心配かけちゃったからなぁ
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 17:03:23.31 ID:PhI4uOfc0
『もしもし、如月千早です。』

いつも通りの千早ちゃん

「千早ちゃん……! ゴメンね。」

千早ちゃんへの第一声
心配かけちゃったのは本当に反省しないとなぁ

『春香……!? 本当に心配したのよ! 何か危ない目に遭ってないかとか、本当に……。』

「うん。本当に迷惑かけちゃったね。今日はもう会えないけど明日、また会おうね!」

『うん!』

それからしばらく色々話した

どうしても電話だと長電話になっちゃうんだよなぁ
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 17:04:23.40 ID:PhI4uOfc0

次は小鳥さんに掛けよう

『はい、音無です。』

「小鳥さん……、そのすいませんでした!」

小鳥さんには突然に迷惑を掛けちゃったからなぁ
とにかく謝っておこう

『その声! 春香ちゃん!?』

「はい、天海春香です!」

『………………』

ん?
どうかしたのかな?

『よかっったあぁぁ!!』

んんッ!?
耳が……
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 17:08:20.62 ID:PhI4uOfc0
『春香ちゃん、本当に物凄く心配したんだからね? 事務所のみんなも本当に心配してた。』

「はい……。本当にすいませんでした!」

『はぁ……。プロデューサーからも電話来ましたけど、まだアイドルは続けるのね?』

「はい! まだ続けます!」

『うん。それならよろしいです。もうそんなこと言っちゃダメよ。』

「はい!」


また長電話になってしまった……

最後は……
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 17:09:57.85 ID:PhI4uOfc0
春香「美希か……。」

今は落ち着いたとは言え、美希と話すのは少し戸惑うなぁ

でも掛けなきゃ

『はい、ミキなの。』

出た
え、えっと……

「その、美希。」

『あっ、……春香、さん。』

美希に『さん』をつけられたのは初めてだろう

「そんな『さん』なんて他人行儀は止めてよ。」

『ごめんなさい……なの。』

まずい、少し語調が強くなってしまったか

「あ、いや、その。」

ダメだ、何と言えば良いんだろうか
とっさに浮かばない

もっとちゃんと考えておけば良かった……
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 17:11:17.99 ID:PhI4uOfc0
『ごめんなさい!』

私が考えていると電話の奥、美希から大きな声でそう聞こえて来た

『春香のこと言ってごめんなさい。早くアイドルやめろなんて言ってごめんなさい。本当にごめんなさい……。』

その声と共に少し泣き声が混ざっていた

美希も本当に反省してるんだ

『だから、図々しいかもしれないけど、ミキのこと嫌いにならないで! お願い……。』

「わ、判ったから! 美希、泣かないで!」

『ううん、春香ごめんなさい、ごめんなさい。』



美希はそう繰り返し、中々泣き止まなかった

そしてやがて落ち着いたのか、少し話をして電話を切った
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 17:12:08.92 ID:PhI4uOfc0
「はぁ」

もう一度布団に横になる

今日は色々在ったなぁ

どうせする事無いしブログのコメント欄でも見てようかな

「うわぁ……!」

コメント5000件も来てるよ

ファンの人たち凄すぎ

こう見ると本当に人気のアイドルになったんだなぁって実感する
初めの方なんて10件もなかったのになぁ

頑張って片っ端から見て行こう
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 17:14:29.15 ID:PhI4uOfc0
……ふむふむ、私がアイドルを辞めたって説はもうネットにあったんだね
残念ながらまだ辞められそうにないや

あとは『実は死んでしまった』とか
勝手に[ピーーー]なー!

でもファンのみんな、優しいなぁ

やっぱりアイドル続けて良かった!


よし、明日はなるべく早く事務所に行こう

みんなに謝らないとね

終わり

76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/06/23(土) 17:19:07.00 ID:PhI4uOfc0
と言う訳で全て書きだめをしていたので
早く終わることが出来ました
もし見ていただいたら嬉しいです

初めは頭の中からの妄想だったのに
文に出来て嬉しいです
ではまたいつか会いましょう

その日までさようなら
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/23(土) 18:12:24.76 ID:F5mniImHP
うむ
悪くなかった
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/06/23(土) 18:22:11.29 ID:u1MYXcHSo
悪くなかった
かと言って良くもなかった、普通
まあ乙
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2012/06/23(土) 21:10:55.90 ID:M1+o6qTP0
乙でした。
なかなかの初SSだったと思います。楽しめました。
また書いて欲しいなー。
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/06/24(日) 09:41:45.61 ID:U1jkGCQD0
書くときはメール欄にsagaって入れたほうがいいよ
あとsageは消しておいたほうがいいとも言っておく
お初にしてはなかなかよかったと思う
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