照「もうこの卓嫌だ……」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/06/27(水) 10:38:34.50 ID:3J2qWoWC0

照さんが実はヘタレで、対局中は緊張して点数報告以外は話せなかったり、周りの3人の視線で内心ビクビクしてるような性格だったら良いなと思う。



──準決勝開始45分前、大会会場。

照「…………ケホッ」

菫「まったく、お前は何をやっているんだ」

淡「なんで夜中に一人で出歩くんですか……しかもパジャマで」

照「…………うるさい」

菫「いい加減自分が方向音痴であることを理解しろとあれほど」

照「私は方向音痴じゃない」ｷﾘｯ

菫「どの口がそれを言うか。結局朝になって私達が探しに行くまで部屋に帰ってこなかったじゃないか」

照「…………部屋番号を忘れただけ。別に迷っていたわけじゃない」ﾊﾅﾐｽﾞｽﾞﾙｽﾞﾙ

淡「とにかく今後出歩くときは私に言ってください。何かあってからでは遅いですから」

照「なんで淡に言う必要が」

淡「なんでって……それは無防備にそんな格好で出かける先輩を襲え……げふん、心配だからです」

照「…………」

菫「…………」

淡「…………と、とにかく。そろそろ試合が始まります。ほら今日は本なんて良いから、代わりにこれを持ってください」

照「魔法瓶……なに、これ」

淡「お茶です。尭深先輩からぶんど、いえ、お願いして淹れてもらいました」

菫「渋谷……」

淡「終わったらまた迎えに来ますので、くれぐれも無理はしないように」

菫「まぁ、体調が悪いくらいでお前が負けるとは思わんが。淡の言うとおりだな。今日は特別にオーラス連荘はしてもしなくても良いぞ」

照「……それは別。飛ばせる相手は、飛ばせるときに飛ばす」

──ｶﾞﾔｶﾞﾔ　

菫「それだけ言えれば大丈夫だな。じゃあまた後で」

淡「それでは！」



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愛が一層メロウ ＠ 2024/05/08(水) 03:54:20.22 ID:g+5icL7To
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ハルヒ「最近わたしのss見かけなくなったわね」 ＠ 2024/05/07(火) 15:04:17.64 ID:FJQjQ6ct0
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2 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/06/27(水) 10:39:55.21 ID:3J2qWoWC0

東1局　ドラ：7p

東家：照
3p3p4p5p8p 3s 6m6m8m9m 白発中東
（ドラなし5向聴……起家はこれだから嫌だ）　打8p

南家：煌
1m1m2m 1p6p8p 1s6s6s7s 発南西

西家：玄
1m2m9m 4s【5s】6s8s 【5p】7p9p 西東中

北家：怜
2m9m 2s7s8s9s 2p2p6p8p 北北発

──４巡目

怜「リーチ」(ﾘｰﾁﾎﾞｳﾀﾃｯ

照(なんでこの人リーチ棒立ててるんだろう。というかどうやってるんだろう)

怜「……ツモ。2,000・4,000」

煌「すばらっ」

照(この人も前回からすばらすばらうるさいし……なんかこの卓嫌だなぁ)

照：96,000点　煌：98,000点　玄：98,000点　怜：108,000点

照(東1局とはいえ4位か。嫌だなぁ)

東2局　親：煌　ドラ：発

照(またドラなし4向聴……はぁ)

照(下家の人は小声でもすばらって言ってる。なんなんだろう)

照(対面の人は大人しそうだけど、上家の人は時々私のことチラチラ見るし。やりづらいなぁ)

照(ん。んん。んー。何か忘れてるな。何だろう)

照(……)

照(…………あ。皆の癖見抜くの忘れてた……！)

照(あ。あぁ。あぁぁ。どうしよう。どうしよう。あ、張った、けど。リーチはいいや。今はどうしようか考えよう)

照、5-8s待ちでテンパイ。

──煌、1m切り。

照(どうしよう。この中にまさか咲と同じかそれ以上の特殊な人がいるとは思わないけど……準決勝だし、単純に強い人もいるだろうし。しまった、しくじった、これはしくじった)

──玄、8s切り。

照(うーん。うーん。うー……あ。と、とりあえずあがろう)

照「ロン。1,000」

玄「は、はいっ！」

照(とりあえず一つあがって落ち着こう。4位のままだけど)

照(これでも私、チャンピオンだし。なんとかなる、はず！)



※※※


菫「親被りこそしたが、まぁあいつの出だしはいつもあんな感じだからな」

淡「……私思うんですけど」

菫「なんだ」

淡「先輩はもう少しピンク系統のパジャマを着るべきだと思います」

菫「黙ってろ」

3 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/06/27(水) 10:41:41.76 ID:3J2qWoWC0

東3局　親：玄　ドラ：2p

照(またドラがない……1枚くらい来てくれても良いのに。まぁ3向聴だし、なんとかなるか)
怜(連続和了なんて、させへん！)
照(上家が睨んでくる……怖い)

──6巡目

怜「リーチ」
2m2m 7p8p9p 4s5s6s7s8s 北北北　南ツモ切りリーチ

玄(園城寺さんのツモ切りリーチ……！)

煌(これはまた一発かなぁ)

怜(次に9s引いて一発ツモ。点数はあんま高ないけど、まずは連続和了を止めるのが先や)

照(うーん。私もテンパイはしてるんだけど、待ちがよくないなぁ)
西西西 3p3p3p 2s3s4s 8p8p 6m8m　ツモ2s

照(役牌のみだし、リーチしても裏が乗らないと3,200。ちょっと分が悪いな。一旦西を落として、タンヤオかドラ周り、それかイーペーコーが出来る形になれば勝負か……な……!?)

──照、3p切り

照(間違えた。西切るはずが隣の3p切っちゃった……！)

怜「……」

煌(すばらっ!　安牌なくて困ってたけど、助けるねー！)

──煌、3p合わせ打ち

照(うー。あー。こうなったら一発消しってことにしよう。やばい、私焦ってるのか
?)

照「ポン」

煌・玄・怜「っ!?」

照(あぁぁぁ。皆の目線が痛い。意味なんてないから見ないで!)

恒子『宮永選手、自分で切った3pを鳴き返したー!?』
健夜『おそらく園城寺選手の一発消しだとは思いますが……狙っていたかは分かりません』

玄(園城寺さんが一発ツモを予見していたとしたら……)

──玄、ツモ9s

玄(これが園城寺さんの当たり牌……)
玄(これは切れないよぉ……)

──玄、打8m

怜(うちの一発が食いとられた。過去のデータを白糸台が見てるとして、それで一発を消すにしても、暗刻を落としてまで鳴くなんて、普通はできへん。これが……チャンピオンか)

──怜、7mツモ切り

照「ロン。1,300」

怜「はい……」

怜(初顔合わせやっちゅうのに、もう完全に見透かされとる)
照(確かに変なあがりだけど、そんなに睨まないで欲しい。怖い)

※※※

菫「千里山の一発消し、か。あいつが他校のデータを覚えていたなんてな」ｽﾞｽﾞｯ

淡「基本的に他人の話は右から左に抜ける人ですからね。しかも機械音痴だから自分では絶対データなんて見ないですし」ｽﾞｽﾞｯ

菫「後者はまだしも、前者をお前が言うか」ｽﾞｽﾞｯ

淡「夜中に先輩の枕元で千里山のデータをささやき続けた甲斐がありましたね」ｽﾞｽﾞｯ

菫「……お前は私と照とは別部屋だったはずなんだが」ｽﾞｽﾞｯ

淡「さて、なんのことやらです」ｽﾞｽﾞｯ

尭深「…………私のお茶なんですけど…………」

4 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/06/27(水) 10:46:44.86 ID:3J2qWoWC0

──局は進み、南1局。親：照

煌(親に連荘されたら敵わないから、ここは速攻で流しますね！)

煌「リーチ!」

照「ロン。7,700」

煌「すばらっ!?」

照(この会場、7月とはいえ、少し冷房が強い気がする。お茶も良いけど風邪薬買ってきてくれればよかったのに。寒くて腕が震える……)

玄(チャンピオン、表情が怖い……やっぱり私じゃ勝てないのかな……)

怜(このままじゃまずいわ)


南1局・1本場　親：照　ドラ：2s

照(なんでドラが来ないの……いや、来ないだけじゃない、河にすら出ていない。どういうことなの)

照(あ、テンパイした。けど……ドラが1枚も見えてないし、なんか怖いな。リーチは保留)

3m3m3m 2p2p 7s8s9s9s9s 中中中　4m切りテンパイ

怜(次巡に宮永が6sで親満ツモ)

怜「ポン」

怜(鳴いてツモをずらした上に、待ち牌までわかっとる)

照(むぅ……あんまりツモ巡ずらされるの好きじゃないのにな……あ、ツモった)

照「ツモ。4,100オール」

怜「!?」

怜(ずらしてもあがるんか……!?)

照(うわ、すごい視線。偶然なんだから仕方ないのに。下家も対面もすごい見てくる……)

照(あ、やばい。寒い。早く温かいお茶が飲みたい)


※※※

淡「今、先輩が凄く鼻をかみたそうにしています」

菫「えっ……あぁ、そうなんだ」

淡「前半戦が終わったらティッシュを私にいきましょう」

菫「一人で行ってくれないか」

菫(この年で下級生に面倒見られる照……お気の毒に)

5 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 10:47:38.23 ID:3J2qWoWC0

南1局・2本場　親：照　ドラ：白

照(うわ。2巡で高め親跳張っちゃった。……あいかわらずドラは来ないけど。なんでだろう)

──照、4sツモ切り

怜(この1巡後に6,000オール!?　鳴いてずらすことも出来へん……！)

照(鼻かみたいな。喉も苦しいし。はぁ。対面の山は遠くて面倒だな、っと)ｶﾞｼｯ

照(そうだ、少し大げさに動いて体を温めよう。このままじゃ凍死しかねない)ｺｰｽｽｸﾘｭｰ!

照(あ、つもった。しかも高めだ。やった)

照「ツモ。6,200オール」

怜(これはまずいな)

玄(チャンピオン、やっぱりすごいよ)

煌(これはすばらじゃないですね)

照(私が連続和了してるから、皆の目線が冷たい……大会だから仕方ないけど、全然会話とかないし。ちょっとくらい何かあっても良いのに)

怜「んんっ、けほっ」

照(私の風邪が移ったかな。なんだか申し訳ないな……あんまり連荘したくないけど、ツモっちゃうんだから仕方ないよね)


南1局・3本場　親：照　ドラ：1m

煌「8mチー」

煌「2pポン！」

煌「6sポン!」

照(ツモ番が来ない。ドラも来ない。おまけに下家の人はすばらすばらうるさいし……はぁ。早く終わらないかな)

怜(なら、ここか)

煌「ロン!　1,000点の3本場は1,900です」

煌「ようやくお気づきになられたみたいで。すばらです。この卓は2人だけのものではありません。そのことをお忘れなきよう」

玄「？？？」

照(今のあがりをみるに、上家は差込にいったのか。ということは、え、なに?　私1人だけ敵扱い?　それはなんか……凹む。うん、凹む)

恒子『南1局は親の3連荘で終了！』

健夜『実際以上に長く感じた連荘でしたね』





※※※


淡「あれと……これと……」ｶﾞｻｺﾞｿ

菫「聞くのも億劫だが……何やってるんだ？」

淡「南2局ですし、そろそろ一度迎えに行く準備をしとかないと」

菫「それは良いんだが、なんでそんな荷物があるんだ？」

淡「先輩の鼻をかむティッシュと、汗を拭くおしぼりと、風邪薬と、乱れた髪を直す櫛と、着替えの制服と──」

菫「ああ、分かった。もう良い、好きにしろ」

淡「はい、行って来ます！」

尭深(なんで他人のサイズぴったりの替えの制服なんて持ってるんだろう……今日だけで茶葉だいぶ減っちゃったし)

6 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 10:48:50.31 ID:3J2qWoWC0

南4局(オーラス)　親：怜　ドラ：8p

照(えー……結局ドラが1枚も来なかった。いや、1枚も“見ていない”と言うべきか)
照(……いや。よく考えると、私以外の2人のあがり──上家と下家の手牌にもドラは1度もなかった。河にもない)
照(すると考えられるのは──対面の彼女、なのかな)
照(ここまで1度も和了なし。どころか、副露もなし。この半荘は、ドラは彼女のところに集まったのかな……あ。これ……)

配牌：1s2s3s 4p5p6p7p7p7p8p 発発西 ツモ：発

照「リーチ」

玄(ダブリー……!?)

怜(せっかくのラス親やけど……これはもうどうにもならへんな)

煌「安牌ないし……こんなもん、当たったら事故だってーの！」
──煌、打9p

照「ロン。8,000」

照(申し訳ないけど……スルーするわけにもいかないし。それにしても裏も乗らないなんて……)

恒子『前半戦終了ー！』

照(お茶……!　それと、鼻かみたい!　ティッシュ取りに行かないと)


──会場スタジオ脇通路

照「…………」ﾊﾅﾐｽﾞｽﾞﾙｽﾞﾙ

照(スタジオを出てすぐに千里山のメンバーと鉢合わせたけど……じろじろ見られた。というか睨まれた。特に白いニーソックス履いた子の目線が尋常じゃなく怖かった)

淡「先輩」

照「……ん。淡。何」

淡「いえ。先輩が鼻をかみたいだろうと思いまして、ティッシュを」ﾈﾋﾟｱｰ

照「ん。助かる」

淡「それと風邪薬も持ってきました。あとおしぼりと、替えの制服と……」

照「……一気に言われても、困る。後最後のはおかしい」

淡「え、そうですか?　あ、私の制服がよかったですか？」

照「そういうのはいいから。……ふぅ。たまには温かいお茶も良い」

照「……。……、ねぇ、淡」

淡「はい、何ですか？」

照「なんで私が鼻をかんだティッシュを、ポケットに仕舞うの」

淡「えっ」

照「えっ」

淡「……」

照「……」

淡「…………」

照「…………」

淡「さ、後半戦頑張ってくださいね！」

照「いや、ごまかせてな……」

アナウンス『後半戦試合開始5分前です。選手の方は速やかに会場スタジオまでお越しください』

淡「さぁ、さぁ」ｸﾞｲｯｸﾞｲｯ

照「ちょっ、いや、だから……」

淡「ここで待ってますから、さぁ!」ﾆｺｯ

照「…………」

7 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 10:49:25.30 ID:3J2qWoWC0

──準決勝終了後、ホテルにて

照「…………うーん」ﾊﾅﾐｽﾞｽﾞﾙｽﾞﾙ

淡「あー、もう。ほら先輩、鼻かんでください」ﾈﾋﾟｱｰ

照「嫌だ。鼻痛い」

淡「確かに先輩の鼻赤くなってトナカイみたいで可愛いですけど。布団がべちゃべちゃになっちゃいますって」

照「んー」ﾓｿﾞﾓｿﾞ

淡「布団被らないでくださいよ、もう」

菫「淡。風邪もそうだが、こいつは麻雀を打った後は大抵こうだぞ」

淡「え？　それってどういうことですか？」

菫「こいつ、見た目こそこうだが、中身はポンコツだからな」

淡「は？」

照「……ポンコツじゃない」

菫「前半戦、こいつ一度あがりを見逃してるだろう」

淡「あぁ、南3局の、阿知賀の9mをスルーして、自分で三色になる高め6mをツモった時ですね。でもあれは別段おかしくはないと思いますけど。平和1,000点スルーしたところで痛くない点数でしたし」

菫(……細かく覚えすぎだろ)

菫「見逃したんじゃなくて、見落としたんだよ、こいつの場合」

照「……ポンコツじゃない」ﾆｭｯ

淡「あぁ、もう。鼻水出ちゃってるじゃないですか。ほら、かんでくださいってば」

照「んん。んー」ｽﾞﾋﾟｰ

菫(自分でかませろよ……過保護だな)

菫「照がテンパイする度に、千里山と新道寺が鳴こうとしてツモをずらしたりくいとったりしてるのに、こいつツモってただろ。おかげで他の3人から凄くじろじろ見られてた」

淡「はぁ。それは確かにそうでしたけど。というか、あれだけ圧倒されたらそうなるんじゃないですか？」

照「……ポンコツじゃ」

菫「うるさいな。ポンコツじゃなければヘタレだ、じゃあ。ともかくこいつが内心びくつきながら打ってたのは確かだよ」

淡「えぇー……そうなんですか？」

照「……そんなわけない」

菫「で、本当は？」ｼﾞﾛｯ

照「……」

菫「……」

照「…………」

菫「…………」

照「……」ﾓｿﾞﾓｿﾞ

菫「隠れるな」ﾌﾄﾝﾊｷﾞｯ

照「ぐぬぬ」

淡「あぁ、乱暴しないでくださいよ。風邪引いてるんですから」

菫「お前がそうやって甘やかすからこいつが成長しないんだぞ」

淡「成長しなくて良いです、十分可愛いじゃないですか」

菫「あっそ……」

8 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 10:49:57.86 ID:3J2qWoWC0

照「場が」

淡「？」
菫「？」

照「場がおかしかった」

淡「と、いうと？」

照「ドラが……一度も来なかった」

菫「阿知賀の先鋒だな。特異体質なんだろう、ドラは全部あそこにいっていたし」

照「下家の人はすばらすばらうるさいし……私のツモ番飛ばすから嫌い」

淡「途中から明らかにあがりよりも先輩の和了阻止を意識してましたからね」

照「上家の人は途中から泣き出すし……私が悪者みたいで辛い」

菫「向こうからしたら、まぁ悪者そのものだろう」

淡「先輩を苛めないでください」ｱﾀﾏﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

照「対面は目を閉じたり見開いたりぶつぶつ何か言ってるし……明らかに途中から虚空を見てたし……凄く怖かった」

菫「千里山の先鋒は、確かに途中倒れそうだったな」

照「私の風邪がうつったのかな」

菫「いや、あれは風邪云々どころじゃないと思うが……たぶん元々病弱なんだろう」

淡「そうですよ、先輩のせいじゃありませんって」

照「んん。そうなら良いんだけど」

淡「落ち込んでる先輩もこれはこれで……うん」

菫「結局なんでもありなんだなお前」

照「後は、淡も」

淡「え、私……ですか？」

照「スタジオまできてあんなことされたら……恥ずかしい」

淡「恥ずかしい、って……風邪引いてるんですから、心配もしますよ」

照「淡は過保護。私は一人でも平気。それに、年下に色々してもらうのは、なんだか嫌だ。特に、淡にしてもらうのは……落ち着かない。なぜかは分からないけど、むずむずする」

淡「先輩……」

照「ねぇ、淡」

淡「は、はいっ」

照「ティッシュ、ちゃんと捨ててね」

淡「……」

照「……」

菫「淡……お前……」

おわれ

9 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 10:52:33.32 ID:3J2qWoWC0

団体戦決勝終了後──17時00分

淡「……というわけで大会が終わったわけですが」

照「……」

淡「元々この時期は学校も夏休みでありません。つまり暇なわけです」

照「……」

淡「そして今私達は二人きりで街中にいるわけで」

照「……」

淡「これはつまるところ、遊んでしまっても良いと言えるのではないでしょうか」

照「……いやぁ、それはどうだろう」

淡「つれない反応ですね。夜には寮に帰れば大丈夫だと思いますよ？」

照「帰って寝たい」

淡「先輩から麻雀を取ったら何も残らなさそうですね……あ、もしかしてまだ風邪が続いてますか？」

照「少し。でもだいぶ楽になった。先鋒でよかった」

淡「？　それはどうしてですか？」

照「自分の試合が終わった後、寝てた」

淡「薄情な人ですね……もしかして、私の試合も観てなかったとか」

照「それより、暑い」

淡「むぅ。まぁ、確かに炎天下ですからね。喫茶店にでも行きましょう」

照「電車に乗れば良いと思う」

淡「まぁまぁ。そう言わずに。ほら、行きましょう」

照「強引……」

10 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 10:54:03.98 ID:3J2qWoWC0

17時30分

照「何も同じもの頼まなくてもいいのに」

淡「いやまぁ、先輩に敬意を表して」

照「別に敬意になってない」

淡「それに、同じアイスコーヒーでも、先輩はブラックで、私は砂糖もミルクも入れてますし」

照「子供」

淡「先輩にだけは言われたくないです」

照「私より年下なんだから間違ってない」

淡「年はそうでも、中身は私のほうが上です。少なくとも私は夜中にパジャマで出歩きませんし、ましてや迷子になんてなりません」

照「うるさい」

淡「それに私は方向音痴じゃないですし、機械音痴でもないですし──というか、今思ったんですけど」

照「何」

淡「あのホテルって、カードがないとは入れないオートロック式ですよね。仮に先輩が部屋に戻れたとしても、入れないじゃないですか」

照「……もうその話題は禁止」

淡「あ、拗ねた。ふふふ……分かりました、この話はもうしません。私は先輩より大人ですから」

照「……」ﾌﾟｲｯ

淡「ふふ」

11 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 10:54:52.26 ID:3J2qWoWC0

18時00分


照「そろそろ帰る」

淡「まぁもう少し良いじゃないですか。どうせ帰っても何かあるわけでもないんですし」

照「……菫、怒ってる」

淡「あぁー……その可能性は高いですね。というか、絶対怒ってます。携帯に一切連絡来ないですからね」

照「菫が本気で怒ったときは、大抵そう。自分からは一切何も言わない。だから怖い」

淡「こうなったら二人でエスケープしません？　ほとぼりが冷めるまで」

照「それは、できない」

淡「ですよね」

照「菫が怒ってる理由が分かるから」

淡「そうですねー……このアームの設定、絶対緩すぎますって。このキャッチャー外れですね」

照「というか、まず景品が意味不明」

淡「景品なんてついでですよ。キャッチャーで何かを取ること自体が快感なんですから」

照「やけにテンションが高いけど」

淡「人は獲物を前にするとこうなるものなんです」

照「意味が分からない」

淡「んー……あぁ、ダメだ。取れない。さ、次行きましょう、次」

照「まだ帰らないの」

12 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 10:55:28.17 ID:3J2qWoWC0

20時00分

淡「前々から思ってたんですけど、先輩の私服って地味なのが多いですよね。もったいないと思います」

照「どこから突っ込めばいいのか分からない」

淡「先輩ってあんまりそういうことに気を使わなさすぎだと思います。素材はいいんですから」

照「それはどうも」

淡「あぁ、このネグリジェどうですか。可愛いと思いますよ」

照「嫌だ、絶対嫌だ」

淡「とりあえず試着しましょうよ」

照「いや、それは試着するものじゃないと思う」

淡「んんー。あ、これも良いですね。こっちは……ちょっとサイズが大きいですね。これのワンサイズ小さいのがあればいいんですけど。そしたら私も色違いで同じのを買いますし」

照「なんで私の服のサイズを知ってるの」

淡「たまたまです」

照「ネグリジェのお揃いとか嫌なんだけど……というか、そんなフリフリしたの着たくない」

淡「えぇ。似合うと思うんですけど」

照「淡って普段もそんな感じなの」

淡「わりかしそんな感じです」

照「Oh......」

淡「今度先輩の部屋に泊まりに行きますね。そしたら見せてあげますよ」

照「ご免こうむる」

淡「またまた。遠慮せずに。あ、すいませーん。これ下さい」

照「えぇー……」

13 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 10:59:36.93 ID:3J2qWoWC0

22時00分

淡「さて、じゃあ次はですね」

照「淡。もう駄目。もう帰る」

淡「まぁ、そう言わずに。後一箇所お願いします」

照「嫌だ。私は先に帰る」ﾂｶﾂｶ

淡「お願いします。後……一箇所だけ」

照「……」ﾋﾟﾀｯ

淡「……お願い、します」ｷｭｯ
　(照の制服の裾を摘む)

照「……分かった。後一箇所だけなら付き合う」

淡「あ……はいっ。ありがとうございます」


──歩くこと、十数分。

照「……」

淡「……」

照「…………」

淡「…………」

照「淡」

淡「はい。なんでしょう？」

照「後どれくらいでつくの」

淡「もうすぐでつきます……というか、もう着いてます」

照「うん？　……ここは」

淡「はい。大会の会場です。さすがに中には……入れないみたいですけど」

照「……」

淡「さっきまで──といっても、5時間以上前ですけれど──ここで、この中で、全国大会に出てたんですよね」

照「……そう」

淡「あとちょっとで、優勝だったんですよね」

照「……」

淡「本当に、本当にあとちょっとだったんです。私の──大将戦のオーラスまで、勝ってたはずなのに」

照「……淡」

淡「私が最後の最後に……台無しにしちゃいました」ｼｬｶﾞﾐ

淡「3連覇、止めちゃってごめんなさい。皆がリードして渡してくれたのに……ごめんなさい。私が、私が止めちゃい、ました……!」

照「淡」

淡「皆今頃、怒ってるでしょうね……帰りたくないなぁ……帰りたくないです……どうしていいのか、分からないです。もう、私どうしていいのか……」

14 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 11:00:34.73 ID:3J2qWoWC0

照「淡。立って」

淡「……はい。せんぱ、いっ……？」

照「淡一人の責任じゃない」

淡「え、えっと。あの？」

照「抱きしめちゃ駄目だった？」

淡「い、いえ。嬉しい……はずです。多分」

淡(せ、先輩が私の腰に手を回してる……頭も撫でてくれてる。でも、なんでだろう。嬉しいはずなのに、なんで落ち着かないんだろう)

照「負けたからこうしてるわけじゃない。勝っててもこうしてた……と、思う」

淡「そ、それはどういう？」

照「淡に私の風邪が移ってるっていうのもあるけど、それを差し引いても、その、なんというか。淡は、一応、大事な仲間……だと思う」

淡「思う、って……そこははっきり言ってくれないと悲しいです。それに、風邪のこと、気づいてたんですか」

照「今日もずっとはしゃいでたし、それに──」

淡「それに？」

照「……なんでもない。嶺上開花からの責任払いで逆転なんてそうあるものじゃない。だから、気にしすぎちゃいけない」

淡「うー。はぐらかされた気がします」

照「そろそろ本当に帰らないと、電車がなくなる」

淡「先輩、温かかったのに、残念です」

照「今日は、特別。もうこんなことしない」ｿｿｸｻ

淡「あ、待ってくださいってば」

照「終電逃したら、歩いて帰ることになる。それは嫌だ」

淡「タクシーだってあるじゃないですか……あっ」

照「？　なに？」

淡(あぁ──そうか)

淡(嶺上開花――なんだ、要するに)

淡(先輩、私の試合、ちゃんと見てくれてたんだ。だから、風邪に気づいてくれたんだ)

淡(先輩――ありがとうございます)

淡「終電というか、これ、完全に寮の門限過ぎてますよね」

照「……。……あ」

淡「忘れてたんですか？」

照「淡が悪い。私は何も悪くない」

淡「ひどい、打ちひしがれる後輩に全て責任を背負わせるなんて」

照「っ……まだ気にしてるの」

淡「暫くは、引きずりそうですね。なので先輩。今日は先輩の部屋に泊めてください」

照「いいよ」

淡「今日くらいはいいじゃないで……えっ？」

照「今日は特別。さっきそう言った」

淡「あ。えっと。その」

照「早く帰ろう。菫に怒られるけど、一人より二人」

淡「は、はいっ！」

おわれ

15 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/06/27(水) 12:24:18.16 ID:kYbDk4sa0

つづけ

16 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/06/27(水) 13:57:11.21 ID:wA71hDgIO

次はエピローグだ

17 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]：2012/06/27(水) 14:20:46.06 ID:2eVOl7fAO

大会編の次は日常編だ

18 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/06/27(水) 16:18:35.13 ID:3J2qWoWC0

淡「うーん」

照「どうしたの」

淡「あ、先輩。いえ、ちょっと腕を怪我してしまいまして」

照「何でまた。よりによって利き腕を」

淡「先輩のせいですよ」

照「は？」

淡「先輩が昨晩激しくしたからです///」ｸﾈｸﾈ

照「……」

淡「冗談です。冗談ですからそんな冷たい眼差しで見ないでください」

照「そういう冗談は嫌だ」

淡「とはいえ、あながち間違いではありません」

照「覚えがない」

淡「……でしょうね」


淡「昨日、あのあと寮に帰って、二人してこっぴどく怒られたじゃないですか」

照「……怒られてたのは主に淡のせいなんだけど」

淡「弘世先輩めっちゃ怖かったですね。私あの人だけは怒らせないようにします」

照「私も先輩なんだけど」

淡「まぁそれはさておき。それでそのあと一緒に寝たじゃないですか」

照「……流された」

淡「で、二人して夜中まで正座で怒られてたから、先輩すぐに寝入っちゃって」

照「色々と疲れてた」

淡「にしたって少しはどきどきしてくれても良いのに」

照「いちいち淡のちょっかいに反応してたらきりがない」

19 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 16:19:47.29 ID:3J2qWoWC0

照「それで、なんでそこから淡が私のせいで怪我をするかが分からない」

淡「……先輩って、自分の寝相とか気にしたことあります？」

照「ない。いつも一人で寝てるから気にならない」

淡「そうですか。そうでしょうね」

照「……淡。まさか私」

淡「えぇ……先輩、寝相悪すぎです。思いっきり蹴っ飛ばされた挙句ベッドから落ちてこの有様です」

照「嘘」

淡「残念ながら本当です。私、先輩にキズモノにされてしまいました」ﾖﾖﾖ

照「その言い方はどうかと思う」

20 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 16:20:51.92 ID:3J2qWoWC0

淡「まぁ、幸い骨折はしてませんでしたけど」

照「良かった」

淡「ただ、まぁ、何日かは肩から上には上がらないですね」

照「悪かった」

淡「いえ、別に。なんてことはありません。ただ……」

照「ただ？」

淡「治るまでの間介抱して欲しいなぁ、なんて」

照「嫌だ」

淡「あー、腕が痛い。昨日宮永先輩に酷い事されて、骨が軋むなぁ」ﾁﾗｯﾁﾗｯ

周り『大星さん、宮永さんに折檻されたんだ……可愛そうに』ｻﾞﾜｻﾞﾜ

照「くっ……卑怯者」

淡「策士といってください」

21 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 16:21:32.00 ID:3J2qWoWC0

淡「先輩って料理できないんですか？」

照「寮の食堂で十分だと思う」

淡「まぁそうなんですけど。でもほら、今後ここを卒業して、将来的には私と……げふん、誰かと一緒になるわけじゃないですか」

淡「その時のために練習しておいたほうが良いんじゃないですか？」

照「余計なお世話。そういう淡はどうなの」

淡「私は一通り出来ますよ。今までだって何度か先輩に作ってきたじゃないですか」

照「そうだったっけ。……そうだったかもしれない。あんまり覚えてない」

淡「まぁ、先輩のことだからそうだとは思いましたけど」

照「混む前に食堂に行く」

淡「なんでこの流れでそうなるんですか」

22 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 16:22:10.89 ID:3J2qWoWC0

照「料理なんて、面倒なだけ」

淡「まぁそれでもいいですけど。食堂で皆が見る中で食べさせてもらえるなんて、周りに私達の仲を見せ付けるようなものですからね」

照「……は？」

淡「だって私利き腕怪我しちゃいましたし」

照「箸やスプーンくらいは持てる筈」

淡「あー痛い。腕が痛いよう。腕が痛いよう」

照「分かった、分かったからやめてくれ」

淡「じゃあ食堂へ行きましょうか」

照「お前やっぱり本当は怪我してないんじゃないか」ｶﾞｼｯ

淡「いっ、痛いです！　本当に……痛いんです……」ｸﾞｽｯ

照「分かった、信じる……すまない」

淡「いえ、別に……そんな」

照「……」

淡「……」

照「……よし。分かった。ちょっと待ってろ」

淡「え、あ、はい」

23 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 16:23:10.98 ID:3J2qWoWC0

照「よし、行くか」

淡「あ、先輩。どこに行ってたんですか？」

照「ちょっと鍵をもらいにな。ほら、いくぞ」ｸｲｯ

淡「あ、えっと……はい」

──調理室

照「着いた」ｶﾁｬｶﾁｬ

淡「調理室ですか。さては先輩、私のために手料理を」

照「そうだな」

淡「あぁ、やっと私のアプローチが届いたんですね……感激です」

照「淡には、まったく料理をしたことのない私の実験台になってもらおう」

淡「身も蓋もない言い方は止めてくださいよ」

24 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 16:23:42.19 ID:3J2qWoWC0

照「で、だ」

淡「はい」

照「冷蔵庫の中には卵と調味料しかないんだが」

淡「そうですね」

照「これでなにをすればいいんだろう」

淡「卵焼きでいいんじゃないですか、もう。材料があったところで、先輩じゃ無駄に廃材にしそうですし」

照「悔しいが、言い返せない……で、淡」

淡「はい？」

照「このコンロ、火がつかないんだが」

淡「元栓を開けましょうよ」

照「元栓？　これか？」

淡「そのまえにつまみを元に戻してください！　爆発しちゃいますよ！」

照「爆発は大げさだろう」

淡(料理作らない人って、皆こうなのかな)

25 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 16:24:09.95 ID:3J2qWoWC0

淡「ところで先輩」

照「なんだ」ﾀﾏｺﾞﾊﾟｶｯ

淡「なんでまた心変わりしたんです？」

照「何が」ﾀﾏｺﾞﾊﾟｶｯ

淡「確かにこの怪我は先輩に蹴飛ばされたからですけど」

淡「でもだからって、何も本当に料理までする必要は……」

照「別に、いい」ﾀﾏｺﾞﾊﾟｶｯ

照「確かに淡は後輩の癖にやたらと私にお節介焼くし、押しが強くて面倒な性格してるけど」ﾀﾏｺﾞﾊﾟｶｯ

淡「それ本人の前で言うことじゃないと思うんですけど」

照「でも別に、嫌いじゃなくなってきた」ﾀﾏｺﾞﾊﾟｶﾂ

淡「えっ……」

照「卵、無くなった」

淡「って、1パック全部入れたんですか。ボールから零れそうじゃないですか……」

照「さぁ、いざ投入」

淡(あ、これ絶対失敗するな)

26 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 16:24:38.39 ID:3J2qWoWC0

照「……」

淡「……」

照「…………」

淡「…………」

照「…………さぁ、召し上がれ」

淡「いや。いやいや。まずは先輩からどうぞ」

照「何を言う。私が淡のために作ったんだから、淡が食べるのが当たり前」

淡「うぐ、こんなときだけ正論……」

照「私は常に正論しか言わない。さ、どうぞ」ｽﾞｽﾞｲｯ

淡「う、うぅ」

照「淡。ほら。あーん」

淡「うぅぅ。嬉しいはずなのに、手放しで喜べない……ええぃ、ままよ！」ﾊﾟｸｯ

照「どう？」

淡「んー……んー……んー？」

淡「あれ……おいしい」

照「えっ」

淡「えっ」

27 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 16:25:04.79 ID:3J2qWoWC0

淡「い、いえ、意外にも甘くておいしいです」

照「意外じゃない、当然の結果」ﾄﾞﾔ

淡「偶然って恐ろしいですね」

照「ん。ほら、まだあるから口あけて」

淡（先輩のガードが緩んでる。嬉しいけど、いつもと逆の立場になってて、やりづらい……)

淡「え、はい。……あむっ」

照「淡、顔赤い」

淡「あー。うー。はい」

照「お腹いっぱいになるまで食べさせてあげるからね」

淡「真顔で言わないでくださいそう言う事」

淡(あぁ、もう。普段は私が迫ってばっかりだったから、どうしていいか分からない……)

照「……淡」

淡「はい？」

照「食べさせづらいから、もっとこっち来て」

淡「え、十分真横だと思うんですけど」

照「淡」

淡「わ、分かりましたよ……これで、良いですか？」

照「もうちょっと。こう」──左腕を淡の腰に回し、右手でフォークを持つ

淡「」

28 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 16:26:10.82 ID:3J2qWoWC0

淡「さすがにもう食べられないです」

照「結構頑張った」

淡「なのでそろそろ放してくれても良いかなぁなんて思ったり」

照「まだ私が食べてない。今度は淡が私に食べさせる番」

淡「でしたら尚更放して欲しいんですけど……」

照「淡は怪我してるんだから、大人しくしてて良い」

淡「あ、あの。矛盾してる気がするんですが」

照「そんなことはない。淡、口あけて」

淡「えぇ？　もうお腹いっぱいなんですけど」

照「食べなくて良い。咥えてくれれば」

淡「くふぁえ？　ほれってほういう……」

照「……いただきます」

淡「―――!!??」

29 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 16:26:38.69 ID:3J2qWoWC0

照「……甘い。淡の好みに合わせたから仕方ないか」

淡「あ、あ、あの!?」

照「耳元で叫ばないで欲しい」

淡「す、すみません。いや、いやいや、そうじゃなくて。なっ、ええ？」

照「落ち着け」

淡「は、はい」

照「私は思ったんだ」

淡「？」

照「今まで淡は私に対して色々と過保護だったりちょっかいを出してきたりした訳だけど」

淡「ちょっかいというか……なんというか……」

照「それはつまり、私に対して好意を持っていると考えていいんだろうか」

淡「あ、えっと。その」

照「どうなんだ？」

淡「あー。あー……」

照「俯かないで私の目を見て答えて欲しい」

淡「……はい。持ってます。好意……」

照「それは先輩後輩としてのものか？」

淡「……それは、意地悪だと思います」

照「別に怒ってるわけじゃない。ただ、聞きたいなと思っただけ」

淡「うー……」

照「淡」

淡「……はい、好きです。先輩後輩じゃなくて、恋愛感情として、です」

照「そうか。まぁ、知ってたけど」

淡「ひどいです」

30 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 16:27:14.73 ID:3J2qWoWC0

照「まぁ、そう拗ねるな。で、だ。何が言いたいかというと、私は今までこういう経験がなかったからな」

淡「先輩って結構もてそうなイメージがあったんですけど」

照「いざ対面すると怖いらしくてな。手紙とかメールをもらったことは何度かあったが、ここまで面と向かってアプローチされたのはお前が初めてだ」

淡「あぁ、なるほど」

照「だから、お前に対してどう接していいのか分からなかったんだけど。それならいっそ同じ行動をしてみようかと思ったわけだ」

淡「同じ行動……ですか」

照「あぁ。馬鹿みたいに甘えてきたり世話したりなんだりいつもされてて癪だったから、同じことして見返してやろうと思ったんだな。いわば意趣返しだ」


淡「それで今日はこんなに優しい、というか、変なんですね」

照「それで思ったんだが、これはただ単にこっ恥ずかしいだけだ」

淡「はい。私もです」

照「だがこのまま引きあげるのはもっと気に入らない。よって……続ける。食べろ。間違えた、くわえろ」

淡「ふぇ？　ふぇんふぁい、ふぁってくあ、」

照「ちなみにだが」

淡「？」

照「私は、好きでもない相手にこんなことはしない」

淡「え。ほえって……」

照「再び、いただきます」

おわれ

31 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]：2012/06/27(水) 19:39:05.36 ID:LVNI/avlo

乙

32 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/06/27(水) 21:19:30.10 ID:wA71hDgIO

二期お願いします

33 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]：2012/06/27(水) 21:28:54.52 ID:ORYOrC4qo

咲は照と仲直りできたのか？

34 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/27(水) 21:42:31.51 ID:3J2qWoWC0

>>33
明日あたりまた投下したいと思います

35 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) ：2012/06/27(水) 22:17:19.79 ID:9fOd5X6n0

乙

36 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/06/29(金) 02:58:10.69 ID:mbeWW9130

>>33

照椅子on淡


淡「そういえば、先輩って妹さんと仲直りできたんですか？」

照「唐突に何」

淡「いえ、ちょっと気になっただけです」

照「一応した。つもり」

淡「つもり、って。随分煮え切らない表現ですね」

照「というのも、大会以来、会ってない」

淡「あぁ……東京と長野ですからね」

照「泊めようにも、寮は無理」

淡「規則厳しいですからね……まぁこの間ぶっちぎりで破りましたけど」

照「あれは淡のせい」

淡「はい、そのとおりです。すみませんでした」ﾍﾟｺﾘ

37 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 02:59:03.54 ID:mbeWW9130

淡「でしたら、こっちから会いにいったらどうです？」

照「外泊許可を取る、って事？」

淡「面倒ですけど、それが良いんじゃないですか？　長野から来てもらって日帰り、っていうのも可哀想ですし」

照「……嫌だ」

淡「妹さんは実家暮らしなんですから、丁度里帰りになるんじゃないですか？」

照「嫌だ、って言ってる」

淡「っ……」

照「……」

淡「……すみません」ｼｭﾝ

照「……今のは私が悪かった。淡は悪くない」

淡「いえ、勝手に他人の家庭の事情に入り込んだ私が悪いです」

照「淡は悪くない。心配で言ってくれてる事くらいは分かる」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

淡「なんで頭撫でるんですか」

照「なんとなく」

38 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:00:04.84 ID:mbeWW9130

淡「でも、よく考えたら先輩が長野に行くのは、ありえませんね」

照「なんで」

淡「いや、だって、先輩方向音痴じゃないですか」

照「私は方向音痴じゃない」

淡「いやいや……まぁ、それでもいいですけど。じゃあ、電話とかメールしてみたらどうです」

照「咲、携帯持ってない」

淡「今時珍しいですね」

照「咲は機械苦手だから。情けない」ﾄﾞﾔ

淡「いや、先輩も十分機械音痴ですからね」

照「？」ｷｮﾄﾝ

淡「可愛……じゃなくて。先輩だってほとんど携帯使わないじゃないですか」

照「使う必要がないだけ。大抵は書類に纏めて菫が渡してくれる」

淡「弘世先輩可哀想……」

照「……」ﾎﾎﾌﾆﾌﾆ

淡「ひゅいまへんひゅいまへん」

39 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:00:34.83 ID:mbeWW9130

淡「でしたら、文通になるんですかね」

照「それも嫌だ」

淡「あー……じゃあ、妹さんがいるご実家に電話するのも駄目ですよね」

照「駄目」

淡「すみません」

照「淡は悪くない、ってさっき言ったはず」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

淡「んぅ」

照「淡、これから私に謝るの禁止」

淡「なんでですか」

照「さっきから謝ってばっかり。淡に落ち込まれると……私も落ち着かない。なんとなく」

淡「ええっと」

照「はい決定。次謝ったら……うーん。どうしよう」

淡「考えてなかったんですか」

照「考えてなかった」

40 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:01:21.99 ID:mbeWW9130

淡「それで、実際問題、どうするんですか？」

照「どうしようか」

淡「お互い泊められないのであれば、どこかホテルでも取るしかないと思いますけど」

照「その通り」

淡「というか、その前に外泊許可を貰わないとですね」

照「その通り」

淡「そうすると問題は交通費や宿泊代なんですけど、そのあたりどうするんですか？」

照「その通り」

淡「……」

照「……」

淡「先輩。まさか私にやらせるつもりじゃないですよね？」

照「まさか。私はそこまで鬼じゃない」

淡「私の目を見ていってください」

照「月が綺麗ですね」ﾌﾟｲｯ

淡「まだ昼なんですけど」

41 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:01:51.86 ID:mbeWW9130

淡「まぁ、百歩譲って外泊申請書やホテルの予約は私がやってもいいですけど、そのお金まではちょっと、私には出せませんよ」

照「それは大丈夫。賞金つきの大会でせしめたのがある」

淡「嫌な表現しますね……」

照「なので、これを」

淡「通帳、とカード。なんですか、これ」

照「通帳とカード」

淡「……」ｼﾞﾄ

照「……冗談」

淡「……分かってます。これって先輩のですよね。まさか私が引きおろすんですか」

照「頼んだ」

淡「えー……あ。なるほど。分かりました。さては先輩、自分でお金下ろしたことないんですね？」

照「……」ﾌﾟｲｯ

淡「やっぱり図星ですね。本当先輩って生活面は駄目駄目ですよね」ｸﾙｯ

照「こっち見るな」ﾌﾟﾆ

淡「みゅ。(前を向かされる)　へへへ」

照「淡のくせに、生意気」

淡「すみま、あっと。謝っちゃいけないんですよね。ふふふ」ｱｼﾊﾟﾀﾊﾟﾀ

照「ぐぬぬ」

42 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:02:26.35 ID:mbeWW9130

照「とはいえ、こっちだけ日程を空けても、咲の都合がつかなければ意味がない」

淡「それはその通りですけど。でもどうするんです？　妹さんは携帯を持っていませんし、ご実家に電話するのも嫌なんですよね？」

照「……。……！　思いついた」ｶﾞﾀｯｶﾞﾀｯ!

淡「ひゃんっ」ｶﾞｼｬｯ ｽﾞﾃｯ

照「直接咲に会いに行く」ﾌﾝｽ

淡「……そ、それでどうするんですか」ﾖﾛﾖﾛ

照「……携帯を買ってあげる」ﾄﾞﾔ

淡「あ、あぁ。なるほど。それは名案だと、思いますけど」

照「けど？」

淡「私の心配もしてください」

照「悪かった、さぁ座って」ﾎﾟﾑ

淡「そういえば、なんでさっきから私は先輩の膝の上に座ってるんでしょう」

照「嫌？」

淡「い、嫌じゃないですけど」ﾃﾚﾃﾚ

照「私も嫌じゃない」

43 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:02:58.96 ID:mbeWW9130

数日後

淡「はぁ、疲れた」ﾀﾝ

照「まだ今日2局目だけど」ﾀﾝ

淡「そうじゃなくてです。先輩のせいですよ。外泊申請書だして、新幹線のチケットとってそれを妹さんに送って、ホテルの予約とって……全部本当に私に任せるんですから」ﾀﾝ

菫「照……お前……少しは自立しろよ」ﾀﾝ

尭深(んー。私には関係ない)ﾀﾝ

淡「しかもなぜか私がついていく羽目になってますし……というか、やっぱり私が一緒に行くのは辞めたほうが良いと思うんですけど。せめて待ち合わせ地点までにして、あとは姉妹水入らずの方がいいんじゃないですか？」ﾀﾝ

照「……いきなり二人きりだと、何を話していいか分からない」ﾀﾝ

菫「おいおい、それじゃいつまでたっても改善しないぞ」ﾀﾝ

尭深(んー。テンパイだけど、リーチして会話を止めるのも悪いし。ダマ)ﾀﾝ

44 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:03:42.77 ID:mbeWW9130

淡「そういえば先輩、通帳お返ししますね」ﾀﾝ

照「そのまま持ってて」ﾀﾝ

菫「おま……それは駄目だろう」ﾀﾝ

尭深(んー。それロンなんだけど。まぁこの会話終わるまでは大人しくしてる)ﾀﾝ

淡「いや、それはさすがに荷が重いといいますか。……はっ。待てよ、それって考えようによっては私が先輩の女房役ということになるんじゃ……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ ﾀﾝ

尭深「……ん。大星、ロン」

淡「へっ」

尭深「ん。16,000」

淡「い、今弘世先輩が切ったじゃないですかぁ。部活ですらないのに山越しなんて酷いですよぉ」

菫「会話が馬鹿っぽかったからだろ」

淡「なんですかその理由……」ﾃﾝﾎﾞｳｼﾞｬﾗｯ

尭深「んー。そんな感じ」ｵﾁｬｽﾞｽﾞｯ

淡「渋谷先輩まで……意外と渋谷先輩って、毒舌ですよね」

照「尭深は割りとそう」

45 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:04:10.31 ID:mbeWW9130

さらに数日後

菫「まぁ大変だろうが、頑張れ大星」

淡「はい、行ってきます」

照「なんで私には言ってくれないのか」

菫「お前に振り回される大星の姿がこの時点で目に浮かぶからな」

淡「というか、先輩一人だと駄目で、私が付き添いで行く条件でおりたんですからね、外泊許可」

照「皆見る目がない」

菫「はぁ。まぁ気をつけていってこい。くれぐれも問題行為を起こすな。大星に迷惑をかけるな。単独行動をするな。いいな？」

照「私は子供じゃない」ﾑｽ

淡「ふふ。拗ねてますね」

菫「拗ねてるな」

照「先に行く」

淡「あぁん、待ってくださいって。それじゃ弘世先輩、行ってきます」

菫「あぁ、照を頼む」

淡「はい！」

46 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:04:40.47 ID:mbeWW9130

──東京駅

照「……」ｿﾜｿﾜ

淡「先輩、みっともないから落ち着いてください」

照「あいつ、迷子になってないかな」

淡「先輩じゃないんですから……って、妹さんも方向音痴でしたね、そういえば。血は争えないんでしょうか」

照「私は方向音痴じゃない」ﾌﾆﾌﾆ

淡「はいはい、ひゅみまへ」

照「今謝った」

淡「謝ってないです」

照「謝った」

淡「謝ってないです……って、あれ妹さんじゃないですか？」

照「ん？　……そうだな」ｿｿｸｻ

淡(速っ)

47 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:05:31.52 ID:mbeWW9130

咲「うーん、この辺りだと思うんだけど……」

照「咲」

咲「あ、お姉ちゃん」

照「ああ、うん。お姉ちゃんだ」

咲「……」

照「……」

咲「ええと」

照「うん」

淡(ぎこちないにもほどがある)

咲「お姉ちゃん。その、隣の方って確か……」

照「えっ、ああ、うん。団体戦でお前と打った大星だ」

淡「お久しぶりです。大星淡です。あの時の事は忘れてませんよ」

咲「え、ええ？」

淡「冗談です。それと、私と宮永さん――いえ、咲さんは同い年なんですから、敬語はやめましょう。初対面というわけでもないですし」

咲「ええと。はい、じゃあそうしますね。じゃなくて」

淡「ふふ、麻雀打ってとるときは大違い」

咲「うう。それよく言われます。じゃなくて、言われる、よ」

淡「徐々にでいいからね」

照「……」ﾑｽｯ

淡「あれ、先輩。さっきから黙ってどうしたんです？　まさか私と咲ちゃんの仲に嫉妬してます？」

照「……してない」

淡「本当かな〜？　うりゃっ」ｳﾃﾞﾀﾞｷｯ

咲「わっ、大星さん？」

淡「ノンノン、淡。淡ちゃんだよ」

咲「え、えぇぇ。恥ずかしいよ」

淡「咲ちゃん可愛いなぁ」

咲「せめて淡さんで許してよぉ」

淡「うーん。仕方ないなぁ。今はそれでいいにしてあげる」

照「……」ﾋﾞｼｯ

淡「先輩顔引きつってますけど、大丈夫です……あ痛っ！」

照「……咲、行くぞ」ｶﾞｼｯ

咲「淡さん大丈夫ですか？　い、良いのかな……」

照「構わん」

淡「構いますって！　しかもそっちじゃないですって！　もう、待ってくださいよぉ！」

48 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:06:40.28 ID:mbeWW9130

ｲﾗｯｼｬｲﾏｾｰ　

照「さぁ咲、好きなのを選べ」

咲「好きなの、って言われても……どれが良いのか全然分からないよ」

照「携帯なんて、大体どれも一緒だ。電話してメールするだけなんだからな」

咲「昔はお姉ちゃんも全然機械駄目だったのに、いつの間にか携帯買ったんだね。やっぱり東京に住むとそうなるのかな」

照「私は大人だからな」ﾌﾌﾝ

淡（何一つ分からなくて、結局私と同じ携帯にしたのは内緒にしておいたほうがいいのかな）

咲「お姉ちゃんはどんな携帯使ってるの？」

照「私か？　私は……これだ」

咲「あ、このデザイン私も好きだなぁ。私もこれにしようかな」

照「良いだろう」

淡（私が選んだんだけどね）

咲「お姉ちゃんのは黒だけど、他には何色があるんだろう？」

照「これは白と黒、あとは青か赤がある」

淡（それも私が教えたんだけどね）

咲「お姉ちゃんは黒かぁ。じゃあわたしは白にしようかなぁ」

照「そうするといい」

淡（本体も契約内容も全部私が選んだんだけどね……店員さんの前でフリーズする先輩、今思い出しても面白かったなぁ）

咲「すいませーん、これくださーい」

店員『ﾊｰｲ　ｱﾘｶﾞﾄｳｺﾞｻﾞｲﾏｰｽ』

照「良いのか、そんなにすぐに決めて」

咲「うん、お姉ちゃんとお揃いに出来るなら悩む必要はないかなって」

照「……そうか」

咲「？　どうしたの、お姉ちゃん」

照「……いや」

咲「もしかして、一緒にしてほしくなかった……とか？」

淡「咲ちゃん、これはそうじゃなくて、多分嬉しいんだと思うよ」

咲「え、そうなの」

照「淡、余計なことは言わなくて良い」

淡「ほら」

咲「うわ、お姉ちゃん顔赤いよ」

照「うるさい。ほら、さっさと買うぞ」

咲「はーい」

淡（ふふ。まぁでもこれで、気兼ねなく電話できますね）

49 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:07:11.83 ID:mbeWW9130

淡「お互いの電話番号とアドレスも登録したし、これでいつでも連絡できますね」

咲「ありがとう、淡さん」

照「どこか行きたいところはあるか」

咲「うーん。特に思いつかないかなぁ……あ」

照「どうした。……映画のポスターだな」

咲「うん。これ、小説を実写化したやつなんだよね」

照「そうなのか。……今日、やってるみたいだな」

咲「え、本当に？」

照「よし、観に行くぞ」

咲「ありがとう、お姉ちゃん」

照「……いや、別に。この小説は私も読んだから、ちょっと気になっただけだ」

淡「照れ隠し照れ隠し」

照「……」ﾍﾟｼｯ

淡「あ痛っ」

照「全く。咲、行くぞ」

咲「淡さん、大丈夫？　あ、待ってよお姉ちゃん！」

淡「うん、大丈夫だよ……って、だから映画館はそっちじゃないですってば！」

50 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:07:40.88 ID:mbeWW9130

照「咲、トイレは今のうちにすませておけ」

咲「もう、私はもう高校生なんだから大丈夫だよ」

照「私からすればまだまだ子供だ」

咲「む」ｼﾞﾄ

淡「なんで二人が一階席で私だけ二階席……」

照「二つまでしか空席並びがなかったんだ、仕方ないだろう」

咲「ごめんね淡さん」

淡「いえいえ、今日は二人がメインだから。気にしないで」

咲「なんだったら淡さんと二人で観ようかなー」ﾁﾗ

照「ぐ……分かった、さっきの発言は取り消そう」

咲「えへへ」

淡「先輩……咲ちゃんに良いように扱われてません？」

照「そんなことはない、姉として妹のわがままを聞くのもだな」


ﾏﾓﾅｸﾊｼﾞﾏﾘﾏｽﾉﾃﾞ ｾｷﾆﾂｲﾃﾅﾝﾁｬﾗｶﾝﾁｬﾗ


咲「あ、そろそろ始まっちゃう。ごめんね淡さん、一人にさせちゃって」

淡「ううん、いいよ。私この小説読んでないから良く分からないし。あと、終わっても私が行くまで席立たないでね。特に先輩は」

照「なんで私なんだ。方向音痴なのは咲だろう」

淡「自覚があるだけ咲ちゃんのほうがマシか……」

咲「あ、あはは……」

51 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:08:13.64 ID:mbeWW9130

──一階席側

ﾜﾀｼｶﾞｲﾂﾓﾄﾞｵﾘﾅﾗ、ﾐﾝﾅﾓﾄﾞｯﾃｷﾃｸﾚﾙｶﾅｯﾃ

咲「ここの友達が昔した掃除当番の約束を一人で二年以上も続けてたシーン、いいよね」

照「ああ。私はこのあとあの子が仲間に戻ってきてくれるシーンが好きだな」

咲「『まず一人、ここにいる！』ってところ？　うん、あそこも好きだな。徐々に昔の仲間が集まるのって、わくわくするよね」

ﾆﾜｶﾊｱｲﾃﾆﾅﾗﾝﾖ

照「小説を読んでない人が見たら、さぞかし強いライバルに見えるんだろうな」

咲「あはは。まぁ、実際は、ねぇ」

ｻﾝｼﾞｭﾝｻｷ……ﾄﾘﾌﾟﾙﾔ！

照「ここのシーンは感動するなぁ。小説で読んでてもドキドキした」

咲「うん。改めて映像で観ると、余計じーんときちゃうよね」

照「回想シーンが余計胸を締め付けるな」

咲「うん」






──二階席側

ﾜﾀｼｶﾞｲﾂﾓﾄﾞｵﾘﾅﾗ、ﾐﾝﾅﾓﾄﾞｯﾃｷﾃｸﾚﾙｶﾅｯﾃ

淡「健気だなぁ……ぐすっ」

ﾆﾜｶﾊｱｲﾃﾆﾅﾗﾝﾖ

淡「ぐぬぬ、ついにライバル出現かぁ。頑張れ主人公！」

ｻﾝｼﾞｭﾝｻｷ……ﾄﾘﾌﾟﾙﾔ！

淡「あかん、やめて死んでまう！」

客((((こいつうるせぇ……))))

52 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:11:15.87 ID:mbeWW9130

咲「うーん。どっちにしよう」

照「何を悩んでるんだ？」

咲「ええっと。これ良いなぁって。でも似合いそうにないし」

照「一度試着してみたらどうだ」

咲「うん、そうする」

淡「先輩、この白いワンピース可愛いと思いません？」

照「知らん」

淡「なんでですか!?」

照「お前の服を買いにきたわけじゃない」

淡「それはそうですけどぉ」

咲「あ、あはは……あ、どうかな」

淡「おぉ。似合ってるよ、咲ちゃん」

照「あぁ、うん。私もそう思う……うん。似合ってる」

淡「照れてますね先輩」

照「うるさい」

咲「本当に？　えへへ」

照「淡、お前は少し静かにしてろ」

淡「はーい」

照「で、咲。欲しいのはそれだけか？」

咲「え……う、うん」

照「本当にそうなのか？　遠慮しなくていいんだぞ」

咲「そんな。もう十分だよ。携帯買ってもらって映画も観させてもらって、その上服まで……これ以上は悪いよ」

照「妹が姉に甘えることの何が悪い。今までのことを考えたら、これでもまだまだ足りない」

咲「でも……」

照「勿論、物を買ってあげれば良い訳じゃない事も分かってる。ただ、その。申し訳ないことに、今はこうしてあげること以外に姉の顔をしていられる方法が思いつかない。お前のして欲しいことを出来る限り叶えてあげることくらいしか、今の私には思いつかない。……すまない」

咲「お姉ちゃん……。うん、分かった。でも、今はその気持ちだけで十分嬉しい。だから今日お姉ちゃんに買ってもらうのは、この服が最後」

照「咲……」

咲「だって、そうしないと、また明日来たときに買って欲しいものがなくなっちゃうから」

照「おい」

咲「っていうのは冗談。でも、今日はもう本当に十分なほどだよ。これ以上欲しがったり与えたりしてたら、私達きっと駄目になると思う」

照「……」

咲「だから今日はもう十分。少し疲れちゃったから、ご飯食べてホテルに行こう？」

照「……分かった」

淡（不器用だなぁ、どっちも。だから姉妹なんだろうけど）

照「……」ﾍﾟｼｯ

淡「な、何も言ってないじゃないですかぁ!?」

照「なんか失礼なこと考えてた気がする」

淡「気がするで叩きますか普通」

照「咲にはしない。淡だからした」

淡「どういう基準ですかそれ……」

咲「あ、あはは……」

53 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:11:43.84 ID:mbeWW9130

ｲﾗｯｼｬｲﾏｾｰ　ｺｰﾋｰﾐｯﾂﾄﾞｳｿﾞｰ

淡「まだ頭がじんじんします」ﾌﾟｰ

照「お前が悪い」

淡「何も言ってないのに」

照「言いたさそうな顔してた。それも失礼なこと」

淡「それは先輩の心が狭いからそう見えるだけです」ﾏﾄﾞﾗｰｸﾙｸﾙ

咲「あ、あはは……」

照「没収」ﾋｮｲｯ

淡「そっ、それは困ります。砂糖がないと苦くて飲めません」

照「淡が悪い」

淡「うー。謝りますから返してくださいー」

照「駄目。それに、淡は私に謝らない約束」

淡「ずるいです」

咲「淡さん、甘党なんだね」

淡「うん。苦いのも辛いのも駄目なの」

照「子供」

淡「先輩に言われたくないです。そうだ咲ちゃん聞いてよ、うちの学校、外泊するのに申請書を出して許可を貰わないといけないんだけどね、それがね……ﾌﾟﾌﾟｯ」

照「淡」

淡「先輩、麻雀以外はてんで駄目で、方向音痴だし機械音痴だし無愛想だし口下手だしで、一人での外泊に許可が出なかったんだよ。咲ちゃんに送った新幹線のチケットだって私が取ったんだし。ふふっ」

照「淡」

淡「だからこうして私が付き添うことでやっと許可がおりたんだよね」

咲「そうなんだ。もうお姉ちゃん、だらしないなぁ。東京に行く前と、全く変わってないね。あはは」

照「……それをいうならお前だってそうだろう、咲。聞いたぞ、お前あの会場で何度も迷子になってたそうじゃないか」

咲「な、なんでそれを」

照「私は一度も迷子になっていない」ﾄﾞﾔ

淡「それは私がそうならないように毎回対局室に案内してたからじゃないですか……」

54 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:12:19.26 ID:mbeWW9130

照「……」ﾌｲｯ

淡「あ、拗ねた」

咲「拗ねたね」

照「……」

淡「これは完全にヘソ曲げちゃいましたね」

咲「お姉ちゃんも子供だね」

照「子供じゃない」

照「……あ」

淡「ふふっ」

咲「あはは」

照「……むぅ」ﾃﾚ

咲「でも、良かった。お姉ちゃんとこうしてまたちゃんと話せて」

照「……」

咲「あの時、会場で会ったときは、私が試合直後でふわふわしてたから言えなかったけど」

咲「お姉ちゃんにまた会えて、本当に良かった」

照「咲……」

咲「……なんか、恥ずかしいな」

淡「あー……あの、先輩」

照「何」

淡「二人で、積もる話もあるでしょう。私は一度、外に出ます。終わったら、携帯に電話してくださいね」ｶﾞﾀｯ

照「淡」

咲「淡さん」

淡「要は行き帰りに迷子にならないようにしろって事なんですから、なにも一日中一緒にいる必要はないじゃないですか。さすがにお二人も、喫茶店の中で迷子になるなんて事はないでしょう」

照「私を馬鹿にしてる」

淡「私も遊びに行きたいですし、一度別行動にしましょう！　それでは」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ

咲「あ、淡さん……って、行っちゃった」

55 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:12:46.24 ID:mbeWW9130

照「淡のやつ、突然なんなんだ」

咲「私達に気を利かせてくれたんだよ。良い人だよ」

照「私からしたら生意気な後輩なだけだ。……まぁ、その。気は利くのは間違ってない、かもしれない」

咲「お姉ちゃん、照れてる」

照「照れてない」

咲「淡さん可愛いし、気が利くし、明るいし。お姉ちゃん良い人見つけたね」

照「……!?　げほっ、げほっ」

咲「だ、大丈夫お姉ちゃん？」

照「お、お前が変なこと、いうからだ」

咲「えー？　私は本当の事言っただけだけどなぁ。多分淡さんも、お姉ちゃんのこと意識してると思うけど」

照「それは……」

咲「あ。心当たりあるんだ。むしろ、本人にそう言われた……とか？」

照「う、うるさいな。私の事はいい、お前はどうなんだ」

咲「え、私？」

照「そうだ、お前はどうなんだ。今……いや、高校生活、楽しいか？」

咲「それは……」

照「……正直、お前がまた麻雀をやっているのは、意外だった。嫌いになったと、思ってた」

咲「……うん。私も、高校に入ったときは、そうだった」

咲「そこで、無理矢理部活に入れられて……最初は辞めたかったけど、そこで友達に会えたから」

照「……友達」

咲「うん。友達。それと、先輩。皆麻雀が好きで、一生懸命だった」

咲「それで、一緒に打ってく内に、気がついたら一生懸命になってる自分がいることに気がついたの」

咲「最初はそんな自分がいたことに凄く驚いたよ。だって、私は麻雀が嫌いで、そんな私が嫌いでお姉ちゃんは家を出て行ったのに、そんな私がまた麻雀を好きになるなんて、それって良いのかなって」

咲「だから、私は全国に行って、そこでお姉ちゃんに聞きたかったんだ。
　　私は、また麻雀が好きになってもいいのかって。
　　私と、また麻雀をうってくれるのかなって」

咲「それだけが、聞きたかった」

56 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:13:15.65 ID:mbeWW9130

──side淡

淡「半ば強引に店を出てきたけど。何もすることないや」

淡「久々の外出とはいえ、何か目当てがあるわけでもないし」

淡「はぁ……私、なにしてるんだろ」

淡「咲ちゃんの引き立て役になることは分かってたのに」

淡「……断ればよかったのかな」

57 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:13:42.19 ID:mbeWW9130

照「──良いも何も。お前が麻雀を好きになろうが嫌いになろうが、それを私がどうこう言える事じゃない。それはおまえ自身が決めることだ」

照「一度嫌いになったものを再び好きになっちゃいけないなんて決まり、どこにもない」

照「妹が姉に甘えちゃいけないなんて決まり、どこにもない」

照「ただ、私は麻雀が嫌いなのに無理して卓につくお前と打つのが申し訳なかっただけで」

照「別にお前のことが嫌いで、家を飛び出したわけじゃない」

咲「でも、それって。結局あの時の私が嫌いだったってことだよね？」

照「違う。全然違う咲」

照「私は、生まれてこの方、お前を嫌いになったことなんて、ただの一度もない」

照「あの時だって、今だって。勿論これからだって」

照「私はずっと、お前を大切な妹だと思ってるし、そう思い続けてる」

照「それに……私はあの時既に、高校になったら東京に出てくるつもりでいたんだ」

咲「そ、そうなの？」

照「ああ。白糸台から、スカウトを受けてたんだ。でも麻雀のプロになるのに親に反対されてさ。それで家を出てきた」

照「だから、お前のせいじゃない。お前は全く、悪くない」

咲「な、なんだぁ……そうだったんだ……」

照「そうだったんだよ」

咲「だったら、そう言ってくれればよかったのに。東京に行くときに、家を出る前に」

照「それは……単に忘れてたんだよ」

咲「えぇ〜……」

照「半ば親と喧嘩した勢いで出てきたようなものだったから……お前に話すっていう発想が頭から抜けてたんだよ。それに、あの時お前は家にいなかったし」

咲「そうだったかな。そうだったかもしれないけど」

照「ともかく、そういうことだ」

咲「なぁんだ……なんか、一気に力抜けちゃった」

照「誤解が解けて何よりだ」

咲「全然何よりじゃないよ、もう……」

58 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:14:08.28 ID:mbeWW9130

──side淡

淡「……暑い」

淡「外から二人の様子を伺うなら、店内で別席に座ればよかった」

淡「っていうか、別にこんな事しなくてもいいのに」

淡「……先輩、ずっと話してる。いいなぁ」

淡「……先輩、楽しそうだな」

淡「……先輩のあんな表情、はじめて見た」

淡「……なにやってるんだろ、私」

淡「……ばかみたい」ｸﾞｽｯ

59 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:14:39.71 ID:mbeWW9130

咲「こんなにお姉ちゃんと話したのは久しぶりだなぁ」

照「私もそう思う」

咲「東京と長野だし、また暫くは会えないけど、冬休みにまた遊びに来るね」

照「そうだな……ああ、いや。そのときは、私が行くよ」

咲「え、でも。いいの？　お父さんもお母さんもいるのに」

照「当たり前だろう。だから帰るんだ……自分の家に」

咲「お姉ちゃん……」

照「いい加減、向き合わないとな」

咲「……うん。待ってる」

照「ああ」

咲「その時は、淡さんも連れてきてね」

照「なんでそこで淡が出てくるんだ」

咲「だって、お姉ちゃん一人じゃどうせ迷子になるでしょ？」

照「ならない」

咲「なります。今日だって何回道間違いを指摘されたことか」

照「むむ」

咲「にもかかわらずあの扱いは、ちょっと可哀想だと思ったよお姉ちゃん」

照「……」

咲「いくら学校がそうしろって言ったって、普通休みの日に道案内なんてしないよ。しかも新幹線のチケットとか、ホテルの予約までしてくれるなんて、例え先輩の頼みでも普通は断ると思うよ？」

照「……それは」

咲「お姉ちゃん。淡さんがお姉ちゃんの事好きなことくらい、さすがに分かってるでしょ？　応えてあげてとは言わないけど、もう少し優しくしてあげたほうがいいと思うよ」

照「……分かってる」

咲「そろそろ行こう。淡さん待ちくたびれてるよ」

照「そうだな。じゃあ、呼ぼう」

60 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:15:07.87 ID:mbeWW9130

淡「……はぁ。あ、電話……」

淡「……あ、先輩ですか？　はい、すぐに戻ります。はい、それじゃあ」ﾋﾟｯ

淡「……やばい、目赤いかも……まぁ、もう暗いし大丈夫か。どうせ先輩の事だから、気づかないだろうし」

淡「いつも通りに戻らなきゃ」

淡「いつも通り、いつも通り……」

淡「……よしっ」

61 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:15:34.31 ID:mbeWW9130

淡「ただいま戻りました、ちゃんと約束どおり席で待っていてくれて何よりです。勝手に動かれてまた迷子になられては面倒ですからね」

照「迷子になんてならない」

咲「……淡さん」

淡「うん？」

咲「……ううん、何でもないよ」

淡「何それ。それじゃ、そろそろホテルに行きましょうか」


ｱﾘｶﾞﾄｳｺﾞｻﾞｲﾏｼﾀｰ


淡「ホテルは、こっちです。何か買うものがあれば、途中コンビニがあるんで、そこで買いましょう」

照「私は何もない」

咲「……ごめん。やっぱり私、長野に帰るね」

照「えっ」

淡「なんでまた」

咲「私はもう十分に楽しんだし、それに、どうしてもやらなきゃいけない用事があるのを忘れてたよ。本当にごめんね！」

照「……分かった。駅まで送る」

照（余計なお節介を……）

淡「うーん。それは残念。まぁそういう事情じゃしょうがない、駅まで送るよ。新幹線のチケットも……（携帯で確かめる）うん、まぁ取れそうだし」

咲「何から何までありがとう淡さん」

淡「いやいや。先輩が役に立たないんだからしょうがないよ」

照「……」ﾎﾎﾌﾆﾌﾆ

淡「ひょうふぁんえすよぉ」

咲「あはは」

62 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:16:02.01 ID:mbeWW9130

ﾃﾞﾝｼｬｶﾞﾃﾞﾙﾃﾞｰ

咲「急にごめんね、それと今日はありがとう。帰ったらメールするね」

淡「うん、またね」

照「また冬に」

咲「うん」

淡「冬？」

咲「えっと、今度は冬休みにお姉ちゃんがこっちに来ることになったんだ。淡さんも一緒に来てね」

淡「えっ……いや、それはさすがに遠慮しとくよ。だって、家に行くって事は……その、ご家族と、でしょ？」

照「……行くんじゃない。帰るんだ」

淡「え？」

照「実家に帰るだけだ。だから別に、遠慮することはない。来たければ、別に来ても、いい」

咲「もう素直じゃないなぁ。一緒に来て欲しい、って言えばいいのに」

照「別にそういうのじゃない」

咲「照れてる」

照「照れてない」

咲「もう。……そろそろ発車するから。じゃあ、またね？　……あ、そうだ。淡さん」

淡「うん、なに？」

咲「(耳元で)お姉ちゃんと、頑張ってね」ﾎﾞｿｯ

淡「へっ」

ｷｯﾌﾟｶｼｬｺﾝ

咲「(改札の向こうで)じゃあね」ﾊﾟﾀﾊﾟﾀ

淡「あ、え？　え？」

照「咲に何を言われた」

淡「い、いえ。たいしたことじゃないですっ！」

照「気になるな。教えろ」

淡「す、すいません。それは無理ですっ！」

照「……まぁいい。それじゃ、帰るぞ」

淡「あ、はいっ。って、ですから、そっちじゃなくてこっちですってば」

照「いや、こっちで合ってる。いいから着いて来い」ｸﾞｲｯ

淡「あ、わわっ」

63 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:16:31.41 ID:mbeWW9130

淡「あ、あのっ。これってどこに向かってるんですか？」

照「行けばわかる」

淡「帰る電車、あっちなんですけど？」

照「電車には乗らない」

淡「の、乗らないって。まさかタクシーで帰るつもりですか？　それはさすがにお金がもったいないですよ」

照「帰らない」ﾋﾟﾀｯ

淡「へ。……むぐっ」（背中にぶつかる）

照「ホテル、取ったんだよな」

淡「え、ええ。取りましたけど。本当は咲ちゃん泊まるはずでしたから」

照「そこに行くぞ」

淡「あ、はい」

淡「……」

淡「…………」

淡「…………は、え？」

淡「え？　え？　ホテ……え？」

照「うるさい。何度も言わせるな。ホテルに泊まって、明日帰る。外泊許可はとってるんだから、問題ない」

淡「そりゃまぁ、とりましたけど。いや、とったのは私ですけど。いや、そうじゃなくて」

淡「私と先輩がですか……？」

照「他に誰がいる」

淡「い、いませんけど……」

照「別にやましい理由はないんだからいいだろう。ただ泊まるだけだ」

淡「そうですけど……こ、心の準備というものがですね」

照「そんなもの歩きながらしろ、さっさと行くぞ……の前に、もう一箇所寄るところがある」

淡「うぅぅ……」

64 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:16:57.91 ID:mbeWW9130

淡「あ、あのっ。これってどこに向かってるんですか？」

照「行けばわかる」

淡「帰る電車、あっちなんですけど？」

照「電車には乗らない」

淡「の、乗らないって。まさかタクシーで帰るつもりですか？　それはさすがにお金がもったいないですよ」

照「帰らない」ﾋﾟﾀｯ

淡「へ。……むぐっ」（背中にぶつかる）

照「ホテル、取ったんだよな」

淡「え、ええ。取りましたけど。本当は咲ちゃん泊まるはずでしたから」

照「そこに行くぞ」

淡「あ、はい」

淡「……」

淡「…………」

淡「…………は、え？」

淡「え？　え？　ホテ……え？」

照「うるさい。何度も言わせるな。ホテルに泊まって、明日帰る。外泊許可はとってるんだから、問題ない」

淡「そりゃまぁ、とりましたけど。いや、とったのは私ですけど。いや、そうじゃなくて」

淡「私と先輩がですか……？」

照「他に誰がいる」

淡「い、いませんけど……」

照「別にやましい理由はないんだからいいだろう。ただ泊まるだけだ」

淡「そうですけど……こ、心の準備というものがですね」

照「そんなもの歩きながらしろ、さっさと行くぞ……の前に、もう一箇所寄るところがある」

淡「うぅぅ……」

65 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:17:25.81 ID:mbeWW9130

淡「先輩。こっちは、その……ホテルじゃないです」

照「分かってる。もう一箇所寄るところがあるといっただろう」

淡「言いましたけど、先輩が自力でたどり着ける場所なんですか、それって。寮みたいに通いなれてないんですから、場所を言ってくれれば私が案内しますよ？」

照「直に着く……着いた」

淡「ここって……夕方咲ちゃんと寄ったお店じゃないですか。どうして今更ここに」

ｲﾗｯｼｬｲﾏｾｰ

照「……さっきは悪かった」

淡「え？」

照「妹に会うということで、少し緊張していた……舞い上がっていたといってもいい。ちょっと、今日はお前に対して強く当たりすぎた」

淡「いえ、そんなことは。別に気にしてません」

照「私が気にする。お前、喫茶店を出た後、泣いてたんじゃないのか」

淡「な、なにを」

照「戻ってきたとき、少し目が赤かった。無理に話していたようにも感じた」

淡「そんなこと……」

照「──これだったか。お前が欲しがっていた服」

淡「あ……」

照「ちょっと、着てみてくれないか」

淡「えっと……」

照「嫌か？」

淡「い、嫌じゃないです。ちょっと待っててください」

66 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:18:38.99 ID:mbeWW9130

淡（先輩が覚えててくれたんだ……）ｷﾞｭｯ

淡（嬉しい──）

照「開けてもいいか？」

淡「だ、駄目です駄目です。ちょっと待ってくださいってば！」

照「そうか」

淡「というか、何で開けようとするんですか……」

淡（あああ、緊張する緊張する。似合ってるのかな……ええい、ままよ！）

淡「ど、どうぞ。とくとごらんあれ！」ｶｰﾃﾝｼｬｯ

照「んおっ」

淡「ど、どうですか……？」ｶｵﾏｯｶ

照「……うん」

淡「……駄目ですか？」ｳﾜﾒﾂﾞｶｲ

照「いや、駄目じゃない」

淡「そ、そうですか」

照「むしろ、その。うん」

淡「は、はいっ」

照「……そのままレジに行くぞ」ｸｲｯ

淡「え、えっ、感想は……？」

照「そこの店員。この服を買いたい。このまま、脱がさずに、この状態で、着たままだ。……そう。値札は取ってくれ。あと、着ていた服を仕舞う紙袋を一つ」

淡「あ、あの」

照「……今まで見たお前の中で一番良い。……これでいいか？」

淡「あばばばば」

67 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:19:08.45 ID:mbeWW9130

照「さて、ホテルに行くか」

淡「は、はい……」ｳﾂﾑｷ

照「……淡」

淡「はい？」

照「手、繋ぐか」

淡「は、はいっ」

照「ん」

淡「ど、どうぞ」

照「どうぞっておかしくないか……熱っ」

淡「す、すみません」

照「……お前顔真っ赤じゃないか。さては照れてるのか？」

淡「はい、照れてます！」ｶﾞﾊﾞｯ

照「びっくりした……」

淡「す、すみません！」

照「いや、いいよ……それじゃ、行くか」

淡「ひゃい！」

照「ガチガチじゃないか……道はこっちでいいのか？」

淡「あっ、ええと。こっち、です」

照「そっちか」

淡「あ、違いました。こっちです」

照「……落ち着け。深呼吸でもしろ」

淡「そうします。……すー。ふー」

照「落ち着いたか？」

淡「全然落ち着かないです」

照「そうか……なら、ゆっくりでいい。ゆっくり歩こう」

淡「すー。はー。はい」

68 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:19:37.68 ID:mbeWW9130

ホテル到着

照「たいした距離じゃないのに、結構かかったな」ﾎﾞﾌﾝ

淡「すみません……」

照「いや、いい」

淡「……」

照「淡」

淡「はいっ！」

照「そんなところに突っ立ってないで、座ったらどうだ」

淡「は、はいっ」ｿﾛｿﾛ

淡「し、失礼します（隣のベッドの端っこに腰掛ける）」ﾁｮｺﾝ

照「私はシャワー浴びるけど。淡はどうする？」

淡「あ、後からでいいです！」

照「そうか。……淡」

淡「はいっ」

照「一緒に浴びるか」

淡「そっ、そんな。だだ駄目です！」

照「駄目か」

淡「駄目です」

照「そうか、駄目か……」

淡「そんなの、恥ずかしいです……」

69 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 03:20:05.43 ID:mbeWW9130

照「……ところで淡」

淡「はい？」

照「確か淡は、私と約束してた事があったはずなんだけど」

淡「や、約束……ですか？」

照「そう。約束。破ったら……えーと。特に決めてなかったんだけど。まぁ、約束」

淡「えっと。そんな約束した覚えがないんですけど……」

照「ついこの間したばっかりなんだけどな」

淡「な、なんでしたっけ。すみません」

照「それ」

淡「へ？」

照「今、約束破った」

淡「え、ええ？　……あ」

照「そう。謝らない、って約束。したよね？」

淡「あ、あ、えっと」

照「破ったらどうするか決めてなかったんだけど、決めた。一回謝るごとに、私の命令を聞くことにしよう」

淡「そ、そんなぁ……」

照「大丈夫。酷いことは命令しない。淡は今日私に五回謝った。だから、私の言うことを五回聞いてもらう」

淡「えぇぇ!?　そんな言ってませんよぉ……」

照「いいや、言った。とりあえずまず一つは決まってる」

淡「ま、ま、まさか……」

照「一緒にシャワーを浴びよう、淡」

淡「あばばばばば」


おわれ

70 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]：2012/06/29(金) 03:52:38.31 ID:nBMld3FR0

乙

71 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) [sage]：2012/06/29(金) 12:02:53.09 ID:4cdnXZYA0

乙
ここで終わるのもいいけど、もう少し続いてもいいのよ

72 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/06/29(金) 12:23:21.29 ID:mMhwLmrIO

もうちょっと見たいなぁ〜
見たいんだけどなぁ〜(ﾁﾗｯ

73 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/06/29(金) 23:43:46.45 ID:mbeWW9130

のんびりだらだらいろいろと書いていきたいと思います。まぁスレタイから離れすぎてもアレなので、照淡くらいになりますが

74 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/06/30(土) 00:14:51.09 ID:rOhUBpjIO

>>73
把握
期待してる

75 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]：2012/07/01(日) 22:03:34.32 ID:6IOXJFypo

>>73
やった！
期待してます

76 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/07/01(日) 23:23:54.77 ID:jBOzhlQX0

お風呂

──脱衣所

淡（どうしようどうしようどうしようどうしよう！？）

照『淡、早く』（風呂場の中から）

淡「は、はいっ！　分かってます！　ちょっと待ってください！」

淡（なんとかお願いしてシャワーじゃなくてお風呂にしてもらったけど……）

淡「それでも十分恥ずかしいよ……」

照『何か言った？』

淡「何も言ってません！」

照『そう』

淡（どうしてこんな事に……っていうか、これってどう考えても）ﾊﾟｻｯ

──お姉ちゃんと、頑張ってね

淡（絶対咲ちゃんのせいだよぉ……！　変な事言うなって思ったけど、先輩に入れ知恵したに決まってるじゃん！）ﾊﾟｻｯ

淡（今思えば急に長野に帰ったのも、こうなる事を考えてにしか思えないし……）ﾊﾟｻｯ

淡（もう、どうしてくれるのよー！）

照『淡ー、まだ？』

淡「い、今行きますってば！」

77 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:24:38.66 ID:jBOzhlQX0

照『私より軽装なんだから、早く』

淡「分かってます。分かってますけど……心の準備というものがですね」

淡「（うぅ、どうしよ……）……あっ」ﾋﾟﾀｯ

照『どうした？』

淡「い、いえ。何でもないです！」

淡（……先輩の服）

淡（……）ﾄﾞｷﾄﾞｷ

淡（……）ｿﾛｰ

淡（……）ﾂﾏﾐ

淡「いやいやいや！」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

淡（先輩の私服、イメージ通りで格好良いなぁ）

淡（……この、服の下に）ﾜﾅﾜﾅ

淡（先輩の、し、し、下……）

淡（……）ｿﾛｰ

淡「あああ、だから駄目だって私ー！」

照『……なにしてるんだろ』

78 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:25:07.90 ID:jBOzhlQX0

照『淡。まだ？』

淡「今行きます、今度こそいきます」

照『その台詞、もう四回目なんだけど』

淡「……あの。先輩」

照『何』

淡「タオル巻いても、良いですよね……？」

照『駄目』

淡「な、なんでですかー！」

照『私がしてないから』

淡「えっ……でも、恥ずかしいんですけど……」

照『……、あと四回あるお願い権、一回使う』

淡「えぇぇ。ずるいですそれ」

照『早く来ないとそっちに行く』ｻﾞﾊﾞｧ

淡「分かりました今行きますからこっちにこっちに来な、ドアも開けちゃ駄目ですー！」

79 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:25:42.27 ID:jBOzhlQX0

淡（深呼吸。大丈夫だ落ち着け大星淡。白糸台一年生エースなんだぞ私は！）

淡「し、失礼しましゅ！」ｶﾞﾗﾗ

照「遅い」

淡「す、すみません」

淡（良かった、向こうむいてくれてる）ﾎｯ

照「……、また謝った。これでまた四回に増えた」

淡「もう良いにしてくださいよぉ……」

照「駄目。淡のそのすぐ謝る癖がなくなるまで続ける」

淡「誰にでも謝るわけじゃないです。……先輩だから謝るんですよ……」ｵﾕｻﾞﾊﾞｯ

照「……知ってる」ﾎﾞｿｯ

淡「？　何か言いました？」

照「何も。それより、髪洗ってあげる」ｻﾞﾊﾞｯ

淡「い、いきなり立ち上がらないでくださいよ！」

照「良いから横向いて」

淡「は、はい」

淡（危うく見ちゃうところだった……勿体な、じゃない。何考えてるんだ私）

80 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:26:42.98 ID:jBOzhlQX0

〜リンスインシャンプーという体にして一回に纏めます。それ以外に女性が何するかなんて知らん〜

照「じゃあ洗う」

淡「はい」

照「……」ｼｬｶｼｬｶ

淡「……」ﾋﾟｸｯ

照「今更だけど、淡って髪長いね」

淡「本当に今更ですね」

照「手触りも良い。淡の髪、好きだ」

淡「あ、ありがとう……ございます……」ｶｧｧ

照「俯かれると洗いづらい」

淡「す、すみません」

照「六回になった」

淡「うー……」

照「お湯かけるから目瞑って」

淡「はい」

照「……」ｻﾞﾊﾞｰ

淡「……」ｻﾞﾊﾞｰ

照「じゃあ次は背中」

淡「えっ！？」

照「……、淡は体を洗わない人？」

淡「違いますよ！　そうじゃなくて……えーと……」

照「なに」

淡「……は、恥ずかしいです」

照「……次は恥ずかしいを禁止に使用かな」

淡「や、やめてくださいよ。私話す言葉なくなっちゃいます」

81 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:27:21.07 ID:jBOzhlQX0

淡「本当に洗うんですか？」

照「お風呂に入ってるんだから体を洗うのは当たり前」

淡「それはそうですけど……」

照「それじゃあ洗う」

淡「んっ……」ﾋﾞｸｯ

照「まだ何もしてない」

淡「だ、だって」

照「さっきから震えてる。緊張しすぎ」

淡「こんな状況に慣れてるほうが不自然、ですよっ」ﾋﾞｸｯ

照「……（首筋を洗う）」

淡「んぅ……」ﾋﾞｸｯ

照「……（背中を洗う）」

淡「……」

照「……（首筋を触る）」

淡「……っ」ﾋﾞｸｯ

照「……。……、淡って、首筋弱い？」

淡「へ？　知りませんよそんなこっ、ひゃんっ！」

照「淡の弱点見つけた」

淡「お、お願いですからやめてください」ｳﾙｳﾙ

照「…わ、分かった。やめる」

照「……今は」

淡「今だけじゃなくて、これからずっとです！」

82 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:27:56.00 ID:jBOzhlQX0

照「……」ｺﾞｼｺﾞｼ

淡「……」

照「腕、あげて」

淡「は、はい」

照「くすぐったいだろうけど、我慢して」

淡「はい……んぅ」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

照「脇くすぐったい人？」

淡「そ、そうですね。足の裏とかは平気なんですけど、脇とか脇腹は、くすぐ、ん、くすぐったい、です……んんっ」ﾋﾞｸｯ

照「……凄い反応」

淡「だって、くすぐったいんです」

照「……」ﾂﾂｰ

淡「ひゃあっ!?」ｶﾞﾀｯ、ﾋﾟﾀｯ

照「手が滑った、謝る」

淡「……」ﾍﾟﾀﾝ

照「……なんで今中腰で止まったの」

淡「べ、別に何でもないです」

淡（だって立ったら見えちゃう……）ｸﾞｽﾞｯ

照「……」ﾑﾗｯ

淡「先輩、もう許してください……お願いします(ｳﾜﾒﾂﾞｶｲ」ｳﾙｳﾙ

照「分かった。じゃあ前は……」

淡「ｸﾞｽｯ」

照「……自分で洗っていいから」

照（……やりすぎた）

照（……優しくするのは、難しい）

83 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:28:40.17 ID:jBOzhlQX0

淡「……終わりました」

照「はい」

淡「今度は先輩の番です」

照「いや、私はもう自分で洗ったから」

淡「えっ、なんですかそれ。ずるいです」

照「淡が脱衣所でもたもたしてるから悪い」

淡「だって……もう。ずるいです」

照「ずるくない。淡がのんびりしてるから悪い」

淡「もう、それで良いですじゃあ。それで、あの」

照「なに」

淡「……入るんですよね」

照「そうなる」

淡「……あの」

照「なに」

淡「どっち向いて入ればいいんでしょうか」

照「好きなほうで良い。淡に任せる」

淡「む、向かい合うのは……ちょっと」

照「じゃあ私に寄りかかればいい」

淡「は、はい。分かりました」

淡「……」

淡「…………」

淡「……うぅ、恥ずかしい」

照「もうこれ以上恥ずかしいことなんてないはず。開き直ればいい」

淡「なんで先輩はそんなに平然としてるんですか」

照「……これでも一杯一杯」

淡「全然そうは見えないです」

照「だったら、確かめればいい」

淡「……っ」

照「私に寄りかかって、聞いてみればいい」

照「これでも、心臓破裂しそうだ」

84 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:29:18.50 ID:jBOzhlQX0

淡「……すー。はー」

淡「……すー。はー……」

淡「……すー。……へくちっ」

照「風邪引くから、早くおいで」

淡「……はい。入ります」

照「ん」

淡「……失礼します」ﾁｬﾌﾟ

淡「は、入りました」ﾁｮｺﾝ

照「そんな端っこじゃなくても」

淡「いえいえ。わ、私はここで結構ですので」

照「淡」

淡「はいっ!?」ﾋﾞｸｯ

照「おいで」ﾊﾟｼｬﾊﾟｼｬ

淡「あ、え、いえ、その」

照「そこで私の心臓の音、聞こえる？」

淡「……聞こえないです」

照「じゃあ、おいで」

淡「で、でも」

照「……『お願い』」

淡「うぅ」

照「この『お願い』を聞いてくれたら、今までの貯金はなしにする」

淡「ずるいです……」

照「ずるくない。破格の条件」

淡「いえ、そうじゃなくてですね」

照「？」

淡「なんでもないです」

淡「それじゃあ……その。失礼します」

淡（先輩に『お願い』なんて囁かれたら、例え強制じゃなくても聞くに決まってるじゃないですか）

淡（本当もう……ずるいです）

85 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:29:52.33 ID:jBOzhlQX0

淡「それでは……寄りかかりますね」

照「ん」

淡「……っ」ﾎﾟﾐｭ

淡（先輩の……柔らか、いやいやいや。考えるな私）

淡「先輩、大丈夫ですか？　重いなら言ってくださいね、すぐにどきますから」

照「大丈夫、重くない。むしろ軽い」

淡「あ、ありがとうございます」ｶｧｧ

照「淡、緊張しすぎ」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

淡「んぅ。すみません……あっ」

照「いいよ、もう終わりにしてあげる。淡が不憫になってきた」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

淡「哀れまないでください……んー……」ﾎﾞｰ

照「どうかした？」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

淡「いえ、別に……」ﾎﾞｰ

照「気になる」ﾋﾟﾀｯ

淡「あっ……」

照「？　もしかして、頭撫でるの駄目だった？」

淡「いえ、その……むしろ逆といいますか」

照「？」

淡「ですから、駄目じゃなくてですね。むしろ落ち着くといいますか」

照「落ち着く」

淡「ええ。先輩に頭を撫でられると、その……嬉しい、です」

照「……」

淡「ですから、その、ええと。続けて欲しいなぁ、なんて」

照「……」

淡「思ったり……するわけで……ですね……」ｼｭｩｩｩｩ

照「……」

86 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:30:33.92 ID:jBOzhlQX0

淡「な、なにか言ってください……」

照「あ、ああ」

照「あー。うん」

照「……」

照「…………」

淡「……」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

照「……可愛い」

照「……あ」

淡「」ﾌﾞｸﾌﾞｸ

照「ちょっと」ｸﾞｲｯ

淡「げほっ、げほっ！　い、いきなり何を言うんですか!?」

照「いや、何か言えっていったから」

淡「そ、それは……そうですけど……」

淡「だからって、そんないきなり脈絡もなくそんなことを言わなくてもいいじゃないですか……」

照「淡」

淡「はい……」

照「可愛い」

淡「」ﾌﾞｸﾌﾞｸ

照「ちょっと」

87 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:31:04.79 ID:jBOzhlQX0

淡「からかわないでください」

照「からかってない」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

淡「あっ……んぅ……」

照「淡の髪、いつもふわふわしてて触ってて気持ちいい」

淡「ありがとうございます。……先輩の心臓、凄く速いですね」

照「今更」

淡「だって、そんな余裕なかったんですからしょうがないじゃないですか」

照「淡だって、顔真っ赤だし、体熱い」

淡「それはお風呂に入ってるからです。先輩だって似たような感じじゃないですか」

照「うるさい。撫でるのやめる」

淡「あっ、すみません。……やめないでください」ｼｭﾝ

照「……」

淡「……先輩。本当に怒ったんですか？　だとしたら、謝りますから……」

照「別に怒ってない」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
（左腕で淡を抱きしめて、右手で撫でる）

淡「あ……きょ、今日の先輩変です」

照「どこが？」

淡「いつもはこんなに優しくしてくれないじゃないですか。無表情で無口で、私の言葉の半分も応えてくれないのに」

照「淡が喋りすぎなだけ。いちいち応えてたらきりがない」

淡「それは」

照「それは？」

淡「……それは」

淡「……先輩の馬鹿」

照「えっ」

88 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:31:40.84 ID:jBOzhlQX0

照「……なんで私が悪いのか分からない」

淡「先輩はそういう人ですもんね」

照「淡、怒ってる」

淡「怒ってません」

淡「……怒ってません」

照「怒ってｒ」

淡「今までどれだけアピールしても全然聞いてくれなかったのに、今日だけおかしなくらい優しいなんて不自然です」

照「……」

淡「どうせ咲ちゃんに何か吹き込まれたに決まってます。大方少しは優しくしろだのなんだのって言われたんでしょう」

淡「結局のところ先輩は、咲ちゃんに言われたから優しくしてくれてるだけで」

淡「本音は私のことなんか、」

照「淡」ｷﾞｭｳ

淡「……っ」

照「それ以上言ったら、本当に怒る」

淡「……それは、図星だからですか」

照「違う」

淡「なら、なんで怒るんですか」

照「……分からない」

淡「私、迷惑ですか？」ﾎﾟﾛﾘ

淡「うるさい後輩は、やっぱり嫌ですか？」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

淡「しつこい後輩は、やっぱり嫌ですか？」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

淡「私は、先輩を……」ｳﾂﾗ

淡「私は、先輩が……」ｳﾂﾗｳﾂﾗ

照「……？」

淡「──」ﾊﾞｼｬﾝ

照「！」

照「淡っ」ﾀﾞｷｯ

照「熱い……」

淡「……」ｸﾞｯﾀﾘ

照「……のぼせたのか」

89 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:32:21.99 ID:jBOzhlQX0

淡「……」

淡「…………」

淡「………………んぁ」

淡「…………んー」ﾎﾞｰ

淡「……んー」

淡「んー。んー……？」

淡「……ここ、どこだっけ……」

照「ホテルだよ」

淡「ひゃっ!?」ｶﾞﾊﾞﾂ

淡「あっ」ｸﾗｯ

照「急に起きるな、そのまま寝てたほうがいい」

淡「あ。先輩。えっと……」

照「……淡はさっきまで、私と一緒にお風呂に入ってた」

淡「……。……、……っ！」ｶｧｧ

照「淡の髪を洗って、背中を洗って、首筋と脇下が弱いのを教えてもらって、一緒に湯船に浸かって──」

淡「お、思い出したのでもういいです！　それに教えたわけじゃありません！」

照「そうだったけか」

淡「そうです！　……んっ」

照「あんまり大きな声を出さないほうがいい。頭に響くだろうし、隣の部屋からクレームが来ないとも限らない」

淡「誰のせいだと思ってるんですか……」

照「私のせいではないな」

淡「……」ｼﾞﾄｯ

照「……まぁ、ここには二人しかいないわけだから、少しは私が責任を負ってやっても良いだろう」

淡「はぁ。もうそれでいいです」

90 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:32:51.59 ID:jBOzhlQX0

淡「……ところで、先輩」

照「なんだ」

淡「少しばかりお尋ねしたいことがあるのですが……」

照「なんだ、改まって」

淡「いえ、別にたいしたことではないんですけど。ただ、ちょっと、私個人としては気になるといいますか」ｱｾｱｾ

淡「別に深く掘り下げて聞くつもりはないんですけど、どうしても、これだけは確認しないような気がしましてですね」ｱｾｱｾ

照「まだるっこしい。聞くなら聞いてくれ」

淡「あ、すみません。では、率直に」ｺﾎﾝ

淡「ええと。私と先輩は、一緒に……その、お風呂に入ってたんですよね？」

照「ああ」

淡「で、そこで私がのぼせたので、こうして先輩がベッドに運んでくれたと」

照「ああ」

淡「そして今私は、バスローブを着ているわけで」

照「そうだな」

淡「髪は……まぁ少ししっとりしてますけど、体は濡れてません」

照「当然だ」

淡「ええと。つまりですね。これらを纏めると、のぼせて気絶した私の、かっ、体を拭いて、バスローブを着せてくれたのは、先輩ということですよね？」

照「ああ。それで合ってる」

淡「そうですか。ありがとうございます」

照「そんな事が聞きたかったのか？」

淡「いえ、違います。そうではなくてですね。その、何が聞きたいかといいますと」

淡「……み」ｶｧｧ

照「み？」

淡「見ました、か……？」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

照「……な、何を」

淡「ですから、その……私の、体……です」ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ

照「……あぁ。えっと。それはだな」

淡「はい……」ｳﾙｳﾙ

照「……ミテナイ」ﾌｲｯ

淡「見たんですねー！　うわーん！」

91 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:33:18.36 ID:jBOzhlQX0

照「いや見てない。断じて見てない」

淡「嘘だ、騙されません」ｼｸｼｸ

照「本当に見てない」

淡「だってさっき目を逸らしたじゃないですか。ぐすっ、あんまりです」

照「気にするな、減るものじゃない」

淡「やっぱり見たんじゃないですか！」

照「あ」

淡「しくしく」

照「えっとだな」

淡「しくしく」

照「まぁ、その、なんだ」

淡「しくしく」

照「……悪くなかったぞ？」

淡「嬉じぐないでず」

照「はい」

92 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:33:56.62 ID:jBOzhlQX0

淡「ぐずっ」

照「なぁ淡。そっち行っていいか？」

淡「ぐずっ。ぞっちって、どっちでずか」

照「淡の隣」

淡「隣……え、隣ですか？」

照「そう。一緒に寝たい」

淡「えぇ、そそそれはですね」

照「前にも一緒に寝たことがあるんだから良いはず」

淡「あ、あの時とは状況が違いますよ！　そんな、こんなホテルで一緒に寝るなんてですね!?」

照「じゃあ勝手に入る」ﾓｿﾞﾓｿﾞ

淡「ひゃあっ!?　じゃ、じゃあ私が出ます！」

照「駄目」ｶﾞｼｯ

淡「あわわ。は、放してください」

照「嫌だ。放さない」

淡「そんなぁ……」

照「淡が寝るまでずっと撫でててあげる」

淡「あぅ……そんなことされたら眠れません」

照「そしたら朝まで撫でてあげる」

淡「そんなの……先輩が疲れちゃうから駄目です」

照「私がそうしたくてそうするんだから関係ない」

淡「でも……」

照「……私が、好きでそうしたいから言ってる。咲に何を言われたとかじゃなくて、私自身が淡と一緒にいたいと思ってるからこうしてる」

淡「そ、そうですか……」

照「さっきのお風呂で、なんで私が怒ったのかだけど」

淡「はい」

照「ええと。悪かった」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

93 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:34:41.36 ID:jBOzhlQX0

淡「な、なんで先輩が謝るんですか？」

照「巧く表現できない。ただ、なんというか」

照「淡が私のことを好いてくれてるのは、分かってる」
（淡の髪を手で梳く）

淡「あっ……はい」

照「それが先輩後輩じゃなくて、恋愛感情だと言う事も分かる。そして、それに私は応えてあげるべきだということも分かってる」

照「でも、うまく言葉に出来ない。気の利いたこととか、淡をほめてあげる言葉とかが中々出てこない。そんな自分が、私は嫌だ」

照「──そうだ、それが一番しっくり来るな。私は、自分が嫌だ。うん。これが言いたかったんだと思う」

淡「先輩……」

照「自分の感情をうまく言葉に出来ない。そのせいで両親や咲と喧嘩して、ようやくそれが前に進みそうなのに、性懲りもなく今度は淡を悲しませてる自分が嫌だ」

照「淡に好意を寄せられて嬉しいはずなのに、それを伝えられない自分が嫌だ」

照「なぁ、淡」

淡「はい」

照「これでも私は、淡が私を好きなくらいに、淡のことが好きだ」

淡「……っ」

照「うまく伝えられなくて悪いと思ってる」

照「いや、むしろ、こんな勝手なことばかり言う私にもう愛想が尽きててもおかしくはない」

照「だとしても──」

淡「それはありえません！」

94 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:35:14.14 ID:jBOzhlQX0

淡「私は、私は今までもこれからもずっと先輩のことが好きです」

淡「だから……自分を責めないでください」

淡「先輩は確かに口下手で、無表情で、何を考えてるのか分からない人ですけど」

淡「方向音痴で機械音痴で、まともに料理も出来ない、麻雀意外はてんで駄目駄目な先輩ですけど」

照「おい」

淡「でも、それを全部ひっくるめて、私は先輩が好きなんです」

淡「先輩が口下手な分、私が一杯話しますから」

淡「先輩が出来ない分、私が一杯笑いますから」

淡「だから、先輩は今までどおりで構いません」

淡「こうやって私の頭で撫でて、髪を梳いて、時々抱きしめてくれれば、それで私は十分幸せです」

淡「それだけで私は――十分です」

照「……淡」

淡「はい」

照「好きだ」

淡「私もです」

照「明日は、何時にここを出ればいい？」

淡「えっと。午後から部活とミーティングがありますし、支度を考えたら九字くらいだと思います」

照「そうか」

淡「それがどうかしたんですか？」

照「ああ。ルームサービスに言って、明日のその時間に起こしてもらう。多分、目覚ましだと起きないだろうから」

淡「と、言いますと」

照「淡が眠るまで、こうしてたいから」

淡「う、嬉しいですけど。それじゃいつ眠れるか分かりませんよ？」

照「別に、朝になってもそれは構わない」

照「とにかく今はこうしてたい」ｷﾞｭｳ

淡「んぅ……はい。もう、先輩のされるがままになります」

照「そうしてくれると嬉しい……淡」

淡「はい？　……って、えっ、せんぱっ、んむっ」

照「決めた。むしろ寝かさない」

淡「はぅぅ」

95 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/01(日) 23:36:27.56 ID:jBOzhlQX0

>>94　九字→九時

菫「で？　私は惚気話をしろとは一言も言ってないんだが？」

淡「えっとですね。そ、それでですね。気がついたら案の定朝になっていたわけでして」

照「急いで電車に乗った」

淡「のは良いんですけど、反対方向に乗ってしまってですね」

照「慌てて乗りなおした」

淡「ところまでは良かったんですけど、安心して二人で眠ってしまってですね」

照「……端の駅まで行ってた」

淡「そうなんです。そういうやむを得ないトラブルが重なってしまいましてですね……」

菫「やかましい、なにがやむを得ないだ。完全に自業自得じゃないか！」

淡「あの、弘世先輩」

菫「なんだ」

淡「先輩、凄く寝相が悪いんですけど、どうしたら治りますかね？」

菫「は？」

淡「朝方うとうとしたときに、先輩寝ぼけて私の首元噛むもんですから、もう大変でした」

淡「ああ、噛むといっても、強くじゃないですよ？　弱くです。甘噛みっていうんですかね。それが一時間くらい続いたんですけど、もう……大変でした」ﾃﾚﾃﾚ

淡「あれが二人っきりのときだから良かったものの、電車の中だったらと思うと冷や汗ものですよ」

菫「……るか」

淡「はい？」

菫「知るか馬鹿やろぉぉぉぉ！！！！！！」

淡「」

照「」


おわれ

96 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]：2012/07/02(月) 00:36:08.84 ID:NPrriKRoo

乙
ちなみにまどろっこしいな

97 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]：2012/07/02(月) 02:12:36.42 ID:WKvQvRUwo

乙
淡照いいね
続く？

98 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/02(月) 16:45:59.44 ID:Qfirq/R80

>>96
ﾚｽﾄﾝ
まだるっこしい→手間取ってじれったい様子
まどろっこしい→することがのろく苛々する

なので、どちらでも似たような感じなんだけれど、淡に対して苛々っていう強めのマイナス感情を持ってないと思ってくれれば。まだるっこしいのほうがソフトな感じ。まぁ俺が生まれてこの方上しか使ってこなかったって言うのがほとんどの理由なんだけれど。方言か何かなんだよきっと（震え声）

>>97

同じくﾚｽﾄﾝ
のんびり色々と書いていくつもりです。

99 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]：2012/07/02(月) 18:58:31.95 ID:EEl2hyOvo

できれば先鋒戦がおわるところまで書いて欲しいなーなんて…


(ちらっ

100 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/02(月) 20:39:45.16 ID:Qfirq/R80

>>99
アニメでいう12話終了の部分ってことでしょうか？

101 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]：2012/07/02(月) 20:45:28.95 ID:WKvQvRUwo

>>100
99じゃないけど、そこまで書いてくれたら
嬉しい
更に先まででも、もっと嬉しい

102 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]：2012/07/02(月) 22:37:03.25 ID:EEl2hyOvo

>>100
せや！
うちが頑張ったとこや阿智賀の和了とか書いてくれると嬉しいなぁ！

103 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]：2012/07/03(火) 12:12:26.28 ID:ZygEsubAO

携帯から失礼します、>>1です。

TV放映も終わり、また複数のリクエストを受けましたので、自分なりに頑張って先鋒戦終盤(アニメ12話相当)と以降の次峰〜大将戦＋αを書きたいと思います。

それなりに長くなりそうなので、今までは完成してから投下してましたが、それだといつになるか分からないので、折を見て機を見て適度に投下したいと思います。


新道寺の次峰と中堅の名前が分からないなんて泣き言は吐いてはいけない(戒め)

104 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]：2012/07/03(火) 12:14:25.49 ID:ZygEsubAO

連レス失礼します。

>>102
あなたは大人しく病院で寝ていてください。脱走は(アカン)

105 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]：2012/07/04(水) 00:43:53.45 ID:o8HYwxZho

やったー！
期待してます

106 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]：2012/07/05(木) 15:12:40.28 ID:G6eEnxkMo

支援

107 ：ななし ：2012/07/05(木) 18:58:44.48 ID:wkHzFkVAO

楽しみ！

108 ：次鋒戦前半 01/17 [saga]：2012/07/05(木) 23:22:15.38 ID:nA4Rw59+0

　次鋒戦前半終了部分まで。
　次鋒戦を観戦しつつ先鋒戦を振り返るという形にしました。

アナウンス『まもなく次峰戦が始まります、選手の方は速やかに──』


淡「ただいま戻りましたー」

尭深「ん」ｽｯ

淡「あっ、渋谷先輩。ありがとうございます。ささっ先輩、私の隣へどうぞ。亦野先輩、場所変わってくださいね」

誠子「お前ホントわがままだよな」

照「貰う」

誠子「また大星に迎えに来てもらったのかよ」ﾆﾀﾆﾀ

照「……私が頼んだわけじゃない。淡が勝手についてきた」ｽﾞｽﾞｯ

淡「放っておいたら先輩どこ行くか分かりませんからね。ちゃんと手綱を引かないと……あちち」

誠子「なっさけねぇ。そんなんだから倍満振り込むんだよ」ｹﾗｹﾗ

淡「あれはリーチしてたんだからしょうがないじゃないですか。事故ですよ事故」ﾑｯ

誠子「事故、ねぇ」

淡「そうですよ。じゃなければあんなへっぴりロングに先輩が振るわけないですし」

誠子「お前だってロングだろ……」

照「あれは事故じゃない」ｺﾄｯ
（お茶は残り半分ほど）

淡「え？」ｺﾄｯ
（未だ一口も飲めていない）

尭深「……」

淡「うぅ。だって猫舌なんですもん。もうちょっと冷めたら飲みますよー」

尭深「……ん。別に私は何も言ってない」

淡「何か言いたそうな目です」

尭深「気のせい」

淡「むー。分かりました、気のせいで良いですー」

淡「それで先輩。あれが事故じゃないって言うのは、どういうことですか？」

照「あれは私が振り込むべくして振り込んだ」

淡「？　それってどういう……」


恒子『さぁＡブロック準決勝、次鋒戦の始まりです！』

109 ：次鋒戦前半 02/17 [saga　sage]：2012/07/05(木) 23:23:19.40 ID:nA4Rw59+0

次鋒・前半戦　※【】＝赤ドラ
起親：菫（白糸台）196,200
南家：泉（千里山） 80,900
西家：宥（阿知賀） 74,700
北家：新道寺　　　 48,200

東1局　親：菫　ドラ：8ｐ

──6巡目

菫（テンパイ……）
菫（ただの平和だが、この巡目での親が先制リーチをしない手はないな）
菫「……リーチ」

手牌：5ｍ6ｍ7ｍ8ｍ9ｍ 1ｐ2ｐ3ｐ 【5ｓ】6ｓ7ｓ 南南
捨牌：2ｍ東北6ｐ1ｓ 9ｓ（リーチ）

──7巡目

宥（一向聴……でも）

手牌：3ｍ3ｍ3ｍ【5ｍ】6ｍ7ｍ8ｍ9ｍ 4ｐ4ｐ【5ｐ】6ｐ8ｐ　ツモ7ｐ

宥（安牌は6ｐだけ……でもそれを切っちゃうと、あがれなくなっちゃう……）
宥（……)
宥（最後に玄ちゃんがドラを切ってまで取り返した点棒）
宥（お姉ちゃんも頑張って取り返してあげるから……！）

──宥、打4ｐ。続く次巡に8ｐを引いてテンパイ。

宥「リ、リーチ……！」

手牌：3ｍ3ｍ3ｍ【5ｍ】6ｍ7ｍ8ｍ9ｍ 【5ｐ】6ｐ7ｐ8ｐ8ｐ
捨牌：南北2ｓ4ｓ1ｐ 発4ｐ4ｐ（リーチ）

泉（二軒リーチはさすがにしんどいわ……かといって阿知賀にあがられて三位に落ちるのもアカンし）
泉（流局してくれるのがベストか）

──流局

菫「テンパイ（同じ場所だったか）」
宥「テ、テンパイ（振り込まなくて良かった……）」

泉「ノーテン」
新道寺「ノーテン」

白糸台：196,700
千里山： 79,400
阿知賀： 75,200
新道寺： 46,700

泉（現状で一番優先することは、二位を守ること）
泉（園城寺先輩が守ってくれたこの順位を守らな）
泉（園城寺先輩……大丈夫やろか）

110 ：次鋒戦前半 03/17 [saga　sage]：2012/07/05(木) 23:24:23.82 ID:nA4Rw59+0

──白糸台控え室

淡「振り込むべくして振り込んだって。どういうことですか？」ﾁﾋﾞﾁﾋﾞ

照「……千里山と新道寺が、途中から意思疎通して私の連荘を阻止しようとしていたのは分かるか？」

淡「ああ、まぁ。それくらいは」

誠子「特にお前の下家に座った奴は、一発けしやらお前のツモ飛ばしやらで露骨だったからな」

尭深（……、私には関係ないから端っこにいよう）

淡「でもトップの連荘を阻止する為の副露や差込は、そこまでおかしいことじゃないと思いますけど」

照「……一巡先を見る」

淡「？」

照「千里山の先鋒だ。二回戦で解説にそんな事を言われていたから気にはなっていたが……おそらく本当に一巡先が見えるときがあるんだろう」

淡「へぇ、そんなあだ名があったんですか」

照「……対戦高校の試合を見るように、菫から言われてたはずなんだけど」

淡「えー、あー、その」ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

誠子「こりゃあとで菫に説教だな」ｹﾗｹﾗ

淡「お願いですから言わないでくださいよー!?」

111 ：次鋒戦前半 04/17 [saga　sage]：2012/07/05(木) 23:25:02.02 ID:nA4Rw59+0

──東3局　親：宥　ドラ：2ｍ　※丸数字が鳴いた牌。左が上家、中央対面、右下家

宥(6種7枚……せっかくの親なのに、これじゃあがれない……)

配牌：1ｍ2ｍ9ｍ 6ｓ7ｓ9ｓ 2ｐ6ｐ 東西西発中 第1ツモ：4ｓ

宥(とりあえず2ｐから……)　打2ｐ


──11巡目

宥(やっと3向聴……でもリーチが入ってるし、新道寺の人が筒子を二副露してる。ここはもう駄目だよね……)

手牌：1ｍ2ｍ3ｍ6ｍ9ｍ 6ｓ7ｓ9ｓ 6ｐ8ｐ 東西西 ツモ：2ｍ

宥(うぅ……)ﾁﾗｯ

泉捨牌：北東1ｍ9ｍ中 2ｐ3ｐ8ｐ1ｓ8ｓ(リーチ)
新道寺捨牌：3ｍ9ｍ1ｓ西1ｓ 2ｍ6ｍ9ｓ北発 1ｐ　副露(�Ap3p4p)(9p9p�Hp)

宥(とりあえずここは、西を落として……)

泉(ここで手出しの西……降りたか。阿知賀が降りてくれるのは好都合や、新道寺とのサシ勝負やな)


──その後新道寺が南ホンイツの5,200点をツモ和了

泉(和了りたかったけど、しゃーないか。しかしこれで3連続でリーチ蹴られとるな)
手牌：2m3m4m5m6m 4s4s4s 北北北 発発

112 ：次鋒戦前半 05/17 [saga　sage]：2012/07/05(木) 23:25:59.48 ID:nA4Rw59+0

東4局　親：新道寺　ドラ：南

白糸台：211,800
千里山： 69,500
阿知賀： 68,800
新道寺： 49,900

宥(ま、また6種7枚……玄ちゃんに頑張るって言ったのに、これじゃ何にも出来ないよ……)

泉(二位はキープしとるとはいえ、あがれてないのは嫌や。ダマでも何でも、一つあがったほうがええな)

宥手牌：8m9m 3p3p7p9p 4s7s 西北白中中
泉手牌：2m4m6m 3p4p6p9p 2s4s8s 南南発


──4巡目

宥(全然進まない……どうしよう) 1sツモ切り

泉(ん、ドラか。一向聴とはいえ急所が二箇所、それに阿知賀も新道寺も手が進んでなさそうや。面前に拘らずに行ったほうがええな) 南ツモ、9ｐ手出し

宥手牌：8m9m 3p3p7p9p 4s7s8s 北白中中
泉手牌：2m4m6m 2p3p4p 2s4s 南南南発発

──7巡目

宥(3s……4s切っちゃったからいらないよ……) 3sツモ切り

泉「チー」�Bs2s4s 打6m


──11巡目

宥(全然手が進まない……温かい牌もあんまり来ない……寒いよ……)ﾁﾗｯ

泉捨牌：西白8s9p9s 1s6m6p1m5m 1p

宥(うぅ……これ)　打3m

泉「ロン」

宥「はう……」

泉「三色ドラ3、親満ですわ」

宥「は、はい……」

泉手牌：2m4m 2p3p4p 南南南発発 (�B24)チー

宥(く、玄ちゃん……ごめんね……)

泉(園城寺先輩、待っててください。必ず決勝行きますから)

113 ：次鋒戦前半 06/17 [saga　sage]：2012/07/05(木) 23:26:46.48 ID:nA4Rw59+0

──白糸台控え室

淡「つまり、その一巡先を見れるとかいう千里山の先鋒が、先輩の振込みを誘導したと？」

誠子「でもお前、それならお前の和了自体阻止できるんじゃねーの？　ましてやあいつ、お前に振り込んでるじゃねーか」

照「毎回毎巡先を見ているわけではないということ。それに、一巡先を見たところで、私がツモったり他の二人からあがるのまでは止められない」

照「……それに、あの時千里山の先鋒は、どこか変だった。対局後のことを考えると、恐らくあの時点で体調に異変があったのかもしれない」

淡「さすが先輩。相手のことまで思いやれるなんて」

淡「あ、渋谷先輩。そんな端っこにいないで、お代わりください」

尭深「……ん、自分でやればいい」

照「……別に思いやったわけではない。客観的にそう見えただけ」ﾌﾟｲｯ ｽﾞｽﾞｯ

照「……空だ。渋谷、私にも頼む」

淡(照れてる)

誠子(照れてやがる)

尭深「……ん。嫌です」

照「……」

尭深「冗談」

淡「前から思ってたんですけど、渋谷先輩って結構黒いですよね」

誠子「やっと気づいたか」

照「……」

114 ：次鋒戦前半 07/17 [saga　sage]：2012/07/05(木) 23:27:23.44 ID:nA4Rw59+0

──南3局　親：宥　ドラ：1m

白糸台：202,800
千里山： 93,600
阿知賀： 62,800
新道寺： 40,800

泉(後2局か。点数も稼いで阿知賀との点数も開けたし、余裕が出てきたな)

宥(……)

泉手牌：3m4m5m6m 2p7p9p 5s7s8s9s 西発
宥手牌：1m6m8m9m 3p7p8p9p 2s9s 北白中中

菫(流れは千里山か。だが……一番気になるのは阿知賀だ)
菫(大人しすぎる。南場に入ってから、急に静かになった)
菫(おどおどした様子もなくなったし、集中しているのかもしれない)
菫(……点数的に余裕はあるが、その阿知賀の親番だ。警戒をしておくにこしたことはない)


恒子『次鋒戦前半も残すところあと二局となりましたが、依然として白糸台が圧倒的にリードしています』

健夜『先鋒の宮永選手、大将の大星選手が注目されがちですが、この弘世選手もかなりレベルが高いですね。さすがは白糸台です』

恒子『二位の千里山も点数を伸ばして、三位の阿知賀女子との点数を広げています』

健夜『先鋒の園城寺選手があのような形で退いた事がどう影響するのか不安でしたが、今のところは問題はなさそうです』

恒子『今のところは？』

健夜『時折裏目になることが目立ちますね。判断を急ぎすぎているというか……』

恒子『さすがは小鍛治プロ。若い子には厳しいですね！』

健夜『ええっ!?　別にそういうつもりはないんですけど』

恒子『一方の阿知賀女子と新道寺はどうですか？』

健夜『新道寺は、点数的に少し苦しいですね。阿知賀女子は……どうなんでしょうか。なんともいえません』

恒子『？　そうですか』

健夜(普通に考えたら、一番苦しいのは実は阿知賀なんだけど。松実さんは姉妹揃って変わった選手だから、なんとも言えないなぁ)

115 ：次鋒戦前半 08/17 [saga　sage]：2012/07/05(木) 23:28:02.28 ID:nA4Rw59+0

──白糸台控え室

誠子「それにしても、一巡先が見えるってうらやましい話だな」

淡「？　そうですか？」

誠子「そりゃお前は決め打ち派だからそうでもないだろうけどよ。普通はそうだろ」

淡「そんなもんですかね」

照「……千里山の先鋒だけじゃない。むしろ、新道寺が千里山に加担したのが大きなきっかけだった」

淡「きっかけ？　なんのですか？」

照「……私が振った理由」

淡(あ、まだ気にしてたんだ……)

誠子(意外とこういう人なんだよ。お前が何とかしろ)

淡(なんで私が……まぁいいですけど)

淡「えっと、新道寺って、後半戦先輩の下家に座ってた人ですよね？」

照「そう」

照「彼女が多少無理に仕掛けてでも私の和了を阻止しようとしたのを見て、千里山はそれに協力することにした」

淡「まぁ、一巡先ってのが見えるならその配役は丁度良いですよね。座ってる位置的にチーは出来ないのに、頑張って鳴かせてましたし」

誠子「三副露四副露までしてたからな」

淡「しかもクイタンだけっていう。というか、なんですかあの阿知賀のドラ馬鹿女は」

誠子「ありゃ異常だな。結局半荘二回ドラごっそり抱えてたからな」

淡「まぁ、抱えてても和了れなきゃ意味ないんですけどね」

照「それがあったから、千里山と新道寺は結託できたといえる」

淡「そうなんですか」

照「千里山と新道寺は、ドラが阿知賀に集まることに気づいた。だから躊躇なく差込にいけた」

淡「まぁ、高かったら差し込みたくないですからね。ましてや赤四枚のこの大会ルールだと、鳴いてても平気で高い手作れそうですし」

誠子「つまり新道寺は鳴いて流す役、千里山はそれをサポートしつつ自分も鳴いてツモをずらす役。で、阿知賀はドラを抱える役か。さすが高校チャンピオン様となると相手も必死だねぇ」ｹﾗｹﾗ

照「……亦野は後輩なのに私に対して礼儀がなさ過ぎる」ｼﾞﾄｯ

誠子「麻雀やってるときのあんたは尊敬してるけど、普段を見てるとどうしてもねぇ」ｹﾗｹﾗ

照「……」ﾌﾟｸｯ

淡「まぁまぁ。慕われてるということで」
淡(先輩可愛いなぁ)

尭深(アホっぽい)

116 ：次鋒戦前半 09/17 [saga　sage]：2012/07/05(木) 23:28:36.13 ID:nA4Rw59+0

──同時刻、阿知賀控え室

玄「お姉ちゃん……」

穏乃「大丈夫だよ玄さん、宥さんならなんとかしてくれるって」

憧「とはいっても、あの配牌じゃあねぇ」

灼「さっきから6種とか7種ばっかりだからね。あんまり流れとか言いたくはないけど」

穏乃「和だったら“そんな岡持ちありえません”って言いそうだ」

憧「岡持ちじゃなくてオカルトだからね」

穏乃「ええっ、そうなの？　ずっと岡持ちだと思ってた」

憧「いやいや……アンタって本当に馬鹿だよね」

穏乃「ぶー。どうせ私の頭じゃ晩成に入れませんでしたよーだ」

憧「あんたまだそんな事根に持ってたんか」

憧(って言ってもね。阿知賀に来なかったらこうしてシズと……じゃなくて、皆と全国に来れなかったのよね)ﾌﾌｯ

穏乃「笑うことないじゃんか！　憧のバカ。……ちょっと飲み物買ってくる」ﾊﾞﾀﾝ

憧「へっ？　いや、今のはそういうんじゃないんだけど……」

玄「だったら私も行くよ、お姉ちゃんに飲み物渡したいし」ﾊﾞﾀﾝ

玄『まってよ穏乃ちゃーん』

憧(やば、やっちゃったなー)ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

灼「憧ってさ」

憧「うん？」

灼「意外に不器用だよね」

憧「は？　な、何言ってんの？」

灼「別に私には関係ないけどさ。このままギクシャクされても嫌だし。誤解くらい解いてくれば？」

憧「誤解って、別に私とシズはそういうんじゃないし……」ﾌﾟｲｯ

憧「……あー、なんか喉渇いたな」ﾊﾟﾀﾊﾟﾀ

憧「私も飲み物買ってこよう、かなぁ」ﾁﾗｯ

灼「別に私を見る必要はないでしょ。行ってきなよ」ｸｽｯ

憧「……。……、行ってきます」

117 ：次鋒戦前半 10/17 [saga　sage]：2012/07/05(木) 23:29:06.93 ID:nA4Rw59+0

──同時刻、新道寺控え室

煌「さって、そろそろ前半戦が終わりますし、飲み物でも買っていってあげますか」ﾖｯｺｲｼｮ

姫子「そいぎー、うちが行くっとよ」

煌「いえいえ。試合が終わって暇な私が行きますのでお気になさらず」

哩「花田」

煌「はい？」

哩「……あぁ、うん」

煌「？」

哩「……なんでもなか。これで全員の分ば買ってきとくれ」ﾋﾟﾗｯ

煌「おお、太っ腹。すばらです。では行ってきます！」ﾊﾞﾀﾝ

姫子(四本持って帰ってくるの大変やから、ついてってあげればええのに)

哩(……)ﾓﾝﾓﾝ

哩(……)ﾓﾝﾓﾝ

哩(……)ｱﾀﾏｶｶｴ

姫子(後悔しとる。素直じゃなかとねぇ)

118 ：次鋒戦前半 11/17 [saga　sage]：2012/07/05(木) 23:31:31.13 ID:nA4Rw59+0

──南4局(オーラス)　親：新道寺　ドラ：中

──14巡目

宥「……」ﾀﾝ

泉「ロン。3,900の一本場は4,200」

宥「はい」ﾁｬﾗｯ

宥「……」ﾃﾊｲﾊﾟﾀﾝ

菫「……お疲れ様」

泉「お疲れっした」ｶﾞﾀｯ

新道寺「お疲れ様です」ｶﾞﾀﾂ

宥「ありがとうございました」

菫「……」

菫(阿知賀は戻らないのか……)

宥「……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

菫「？？？」

菫(まぁ、おいておこう。……ん、あれは)


──ｵﾈｴﾁｬﾝ ｺｯﾁｺﾅｲﾉｶﾅ ﾊｲﾘﾂﾞﾗｲﾖﾈ ﾕｳﾈｴｷﾂﾞｲﾃｸﾚﾅｲｶﾅ


菫「……おい、阿知賀の。迎えが来てるぞ」ﾁｮｲﾁｮｲ

宥「ふえっ？　み、皆。すみません、ありがとうございます」ﾃｺﾃｺ

菫(のんびりしてるのか単に変なのか。まぁ慕われているのはいいことだ)
菫(あいつらのことだから、今頃私の試合そっちのけで照の放銃の話をしているに違いない)

菫(まぁ、別に。それで構わないんだがな)

119 ：次鋒戦前半 12/17 [saga　sage]：2012/07/05(木) 23:33:48.55 ID:nA4Rw59+0

菫「……」

菫「…………」

菫(とはいえ、やはり少し気になるな。あの阿知賀の様子。最後は手牌と河を見て何か独り言を言っていたし)
菫(さすがに伏せた手牌を見るのは良くないか。カメラも回っているし)
菫(せめて河だけでも記憶に留めておくか)
菫(といっても、阿知賀は一度も和了なし、副露さえなし。特に流れがあるようには見えないが……)

菫「……」

宥手牌：??????????????
宥捨牌：白発西1p2s 4s8s2m西北 9s6s4p4m

新道寺手牌：1m2m3m4m【5m】 5p6p7p8p8p 2s2s中
新道寺捨牌：北南2p6p9s 8m東1s2m白 9p4p7s2m

菫「……ん？」

泉手牌：2m3m5m6m7m 3p3p 2s3s4s【5s】6s7s (宥の4mで和了)
泉捨牌：北発9p9p8p 東7p3s南6s 8s2s白2p

菫(まて。確か私の手牌は……)

菫手牌：5m7m7m7m8m 1p2p【5p】7p7p 1s1s3s中
菫捨牌：西発8s7s4s 9m3m東1m5p 9s8s6s4p

菫「……」ﾊｯ

菫(やたら阿知賀が大人しかったのは、そういうこと……なのか？)
菫(しかし、事前に調べた情報とは異なるような気がするが……)

菫(……あぁ、いや。間違ってはいないのか)
菫(確かに阿知賀の姉は、赤い牌を集めている。それは、間違っていない)
菫(5,6巡目で索子のカンチャンを払ったりしているし、思えば序盤に私のリーチに対して4pトイツ落としからの追っかけリーチなんかまさにその通りだ)

菫(……一応、少しだけ警戒しておくか)

120 ：次鋒戦前半 13/17 [saga　sage]：2012/07/05(木) 23:34:22.01 ID:nA4Rw59+0

恒子『次鋒戦前半終了ー！　相変わらず白糸台が圧倒リード、二位の千里山との点差は十万点を超えたままです！』

健夜『この点差だからというのもありますが、白糸台の弘世選手は落ち着いた打ち回しで一度も振り込みませんでしたね』

恒子『その白糸台を追う千里山は一年生ながら泉選手が健闘し、原点の十万点近くまでチームを引き戻しています』

健夜『ただ、時折不用意な捨て牌で和了られていますので、そこを気をつけたいですね』

恒子『反対に三位の阿知賀と四位の新道寺は点数を減らしています。特に阿知賀の松実宥選手はここまで一度も和了できていません』

健夜『配牌・打牌共に流れが良くないですが……まだ後半がありますから、巻き返しに期待したいですね』

恒子『小鍛治プロでしたらこういうとき、どうやって打破しますか？』

健夜『えぇ、私？　うーん、私は、ここまで自分の点数を減らしたことがないから……』

恒子『さすがは小鍛治プロ。自分より二十年も若い高校生など歯牙にもかけていないようです！』

健夜『だから、二十年じゃなくて十年だよ!?』

121 ：次鋒戦前半 14/17 [saga　sage]：2012/07/05(木) 23:34:51.19 ID:nA4Rw59+0

──白糸台控え室

誠子「──にしてもだ。阿知賀の先鋒。最後の最後にドラ切りリーチってのは、どういう心境の変化だったんだろうな」

淡「いや、むしろそれまで一度も切ってないのがおかしいんですって。さっさとドラ切ってればって場面、何度もありましたよ」

誠子「数合わせの素人を先鋒に持ってくるわけないしな。なんかしらドラが切れない理由があったんだろ」

淡「なんですかそれ」

誠子「照さんが打点制限をしたり、お前がバカ高い手ばっか目指すように、スタンスっつーか打ち方っつーか、なんかそういうものがあったんだろ」

照「……そう」

照「だから私は、オーラスのあの場面で、4pを切ってリーチした」


照手牌：5p6p6p6p7p7p7p8p 北北中中中


淡「5-8p待ち」

誠子「4pじゃなく8pを切ってれば3-6p-北の変則3面張だったな」

淡「でも3pはドラで、阿知賀が抱えてるだろうからほぼないです」

誠子「6pと北にいたっては純カラだ。……新道寺は偶然だとしても、千里山は分かって早切りしてたんだろうな」

照「……新道寺と千里山が結託していることは分かっていた」

照「でも、阿知賀については、私は判断を誤ったといえる」

淡「ドラ切り……ですか」

122 ：次鋒戦前半 15/17 [saga　sage]：2012/07/05(木) 23:35:25.61 ID:nA4Rw59+0

照「私は、阿知賀はドラを抱えているだけで役割が終わりだと思っていた」

淡「まぁ、実際、縮こまってましたからね。半泣きでビクビクしてましたし」

照「だけど、実際は違った。……新道寺が4副露した局を覚えてる？」

淡「あぁ、はい。確か最初が2mを千里山から鳴いて」

誠子「次が8pだっけか。対面だったから……阿知賀からだ」

照「そう。その次が9sを千里山から鳴いた」

淡「はい」

淡「……ん？　9s？」

誠子「……そうか」

照「……もし阿知賀が単純に縮こまって、ドラを抱えることしか出来ない状態だったのであれば、2mと、8pと、9sを鳴いた相手に白は切れない」

淡「1,000点振り込むだけでビクビクしてたあの子が、自分からとはいえ6,400点を差し込むに行くとは思えませんけど」

照「それでも、白を切った」

照「差し込む覚悟で、白を切った」

淡「……」

照「あの時点で気づくべきだったのかもしれない」

照「──阿知賀が、後半戦の間に覚悟を決めたことに」

123 ：次鋒戦前半 16/17 [saga　sage]：2012/07/05(木) 23:36:02.31 ID:nA4Rw59+0

──同時刻　会場廊下・自動販売機前

玄「お姉ちゃん」

宥「玄ちゃん……ごめんね、点棒取られちゃった」

穏乃「大丈夫ですよ、まだ後半戦があります！」

玄「これ、飲み物」

宥「ありがとう。あったかい」ﾎﾜｯ

憧「ちょっと手が苦しそうですけど、頑張ってください」

宥「……うん。えっと、あのね？」

玄憧穏乃「「「？」」」

宥「……うぅん、やっぱり何でもないよ」ｺｸｺｸ

玄(お姉ちゃん可愛いなぁ)


アナウンス『間もなく次鋒戦後半が始まります。選手の方は速やかに……』

穏乃「あ、そろそろか。宥さん、頑張ってください」

玄「お姉ちゃん、ファイト！」

宥「うん、行ってきます」

憧「それじゃ私達も控え室に戻ろうか」

憧「……シズ、さっきのことなんだけど……」

穏乃「さっき？　なにが？」ｷｮﾄﾝ

憧「えっ、ああ……ううん。別に何でもない」

穏乃「？？？　変なの。まぁいいや、戻ろっ」ﾆｺｯ

憧「っ……うん」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

玄(お姉ちゃん可愛いなぁ)


宥(……)

宥(玄ちゃん、皆。私、頑張るからね)

124 ：次鋒戦前半 17/17 [saga　sage]：2012/07/05(木) 23:38:39.45 ID:nA4Rw59+0

──ほぼ同時刻　新道寺控え室

煌「たっだ今戻りましたー」

姫子「おかえりー」

煌「ささっ、飲み物をどうぞ」

姫子「ありがとー」

哩「……私の分は？」

煌「ありますよ。両手で持てなかっただけです。おつりと一緒にポケットに入ってますので、とってください」

哩「ポケット……って、スカー……」

哩「……」

哩「アホな事さ言わんと、さっさと出し！」ｶｧｧ

煌「そんな怒らなくても良いじゃないですか」ｺﾞｿｺﾞｿ

煌「すばらじゃないですねぇ……はい」ﾎﾟｽﾝ

哩「ん」

哩「……」

哩「…………」

哩「…………熱！　なんで真夏におしるこさ買ってきよっとよ!?」

姫子「ブフッ」

煌「いや、間違えて隣の押しちゃいまして」

哩「あぁもう……自分で行けば良かったさ」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

煌「飲むんですね」

姫子(そりゃ花田に買ってきてもらったんやからなぁ)

姫子(片方は素直じゃなか上に、片方が気づいてなかとね。こりゃ進展しないわけやね)ﾔﾚﾔﾚ


まとめ

次鋒戦前半終了時点の点棒

白糸台：201,300
千里山： 99,300
阿知賀： 57,100
新道寺： 42,300

125 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/05(木) 23:41:30.54 ID:nA4Rw59+0

方言難しすぎィ！　途中まで姫子さん1年生だと思ってたけど、あれ確か煌さんのこと花田って言ってたような気がする……って考えて間違いに気づいた。

126 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]：2012/07/06(金) 00:05:59.38 ID:0biNK/G5o

どいつもこいつも阿知賀が勝ち抜けるでーとか言ってるけど俺は新道寺を信じてる

127 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/07/06(金) 00:19:20.27 ID:0j7rMopDO

トキが病院にいる千里山をメインにした方がドラマ性が出るじゃないの？


俺、トキ好きだもん

128 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/06(金) 00:24:42.27 ID:pqNMoizA0

>>127
その手のssは結構でてるので、ちょっと違う書き方をしたかったのです。
あと、次鋒戦〜大将戦を書きたかったというのと、その間に仲間の試合ほっぽり出して病院に行くのはイカンよな、と思ったので追い描写に。

試合が全部終わったらちゃんと(生きてる)怜もバリバリ出てきます。出すつもりです。怜好きだもん

129 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]：2012/07/06(金) 00:52:57.57 ID:ea5Q5US2o

きてたー！
麻雀部分も書いてくれるとか嬉しすぎだわ
怜が出る予定なんも嬉しすぎ

130 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/07/06(金) 02:08:11.05 ID:avVjWqBI0

乙！
最近は千里山と白糸台のssに溢れてる中、
阿知賀と新道寺にもスポットが当たってて嬉しい

131 ：ななし ：2012/07/06(金) 18:50:22.17 ID:TSpsjflAO

真面目系もいいのですが、是非デレを！
デレをお願いします！

132 ：次鋒戦後半 01/17 [saga]：2012/07/07(土) 20:28:38.18 ID:+QjCPfJs0

──次鋒戦後半

起親：宥(阿知賀) 57,100
南家：新道寺 42,300
西家：泉(千里山) 99,300
北家：菫(白糸台) 201,300

──東1局 7巡目 ドラ：東

新道寺「リーチ」

新道寺手牌：2m2m3m4m【5m】 2s3s4s6s7s 南南南
新道寺捨牌：西発1p9p3p 1s6p(リーチ)

新道寺(満貫確定、ツモって裏が乗れば跳ねて阿知賀を抜けるとよ)

泉(早いな……こちとらまだ4向聴やっちゅうんに。まぁ、3位の親を流してくれるんやったら、それでええわ)

泉手牌：1m2m6m7m 3p8p9p 2s2s7s 西発中 ツモ5s……打西

菫(愚形の2向聴で強打する理由もなし。降りだ)

菫手牌：6m8m9m 2p4p8p 1s2s3s4s6s 北北　ツモ3m……打1s

宥(……)ﾀﾝ 打東

泉(生牌の東……張ってたんか？)

菫(いや、違う。あれは……)

133 ：次鋒戦後半 02/17 [saga]：2012/07/07(土) 20:29:39.60 ID:+QjCPfJs0

──次巡

宥(……)ﾀﾝ

泉(ドラのダブ東トイツ落とし。ベタ降りやったんか)

菫(確かに阿知賀が振り込めば、点数次第では逆転だが……)

新道寺(もう後半戦なのに、弱気やね)


──さらに続く次巡

宥(……)ﾀﾝ

泉(ダブ東──)

菫(暗刻落とし──！)

新道寺(弱気すぎとね。こりゃつもれっとよ)


──結局新道寺はあがれず、流局となった

新道寺「テンパイ」

泉「ノーテン」

菫「ノーテン」

宥「……」ﾁﾗｯ

菫「？」

宥「……ノーテンです」ﾊﾟﾀﾝ


宥手牌：????????????東 ｺﾛｯ


菫「……ん」

菫(阿知賀の手牌……端に東……？)


白糸台 200,300
千里山 98,300
阿知賀 56,100
新道寺 44,300

134 ：次鋒戦後半 03/17 [saga]：2012/07/07(土) 20:30:23.78 ID:+QjCPfJs0

東2局(流れ1本場) 親：新道寺 ドラ：4m


──14巡目

宥「……」ﾀﾝ 打9s

泉(手出しで9s)

菫(その前が7s8s、いずれも手出し。ダマテンを警戒して、メンツ落としか？)

新道寺(3位4位のうちらがやることじゃなかとね)


──流局

泉「テンパイ」

菫「テンパイ」

新道寺「テンパイ」

宥「ノーテン」

宥(もう少し……もう少しでなんとかなりそうなの)


白糸台 201,300
千里山 99,300
阿知賀 53,100
新道寺 45,300

135 ：次鋒戦後半 04/17 [saga]：2012/07/07(土) 20:31:08.79 ID:+QjCPfJs0

東2局・2本場 親：新道寺 ドラ：7s

新道寺(2,000オールのツモでも3位。テンパったら即リーやし、鳴いてでもあがっとよ)

新道寺配牌：2m【5m】7m8m 1p4p 2s3s5s8s8s 東白白 打1p


泉(そろそろ白糸台との点差も考えんとアカンか。役牌から早目にあがれればベスト)

泉配牌：3m5m6m6m6m 2p4p7p7p9p 南南発


菫(基本的に私が前に出る必要はない。……が、唯一気をつけるとしたら……)

菫配牌：1m4m8m9m9m 3m7m 1s7s9s 東西北中


宥(あったかい牌、来て……)

宥配牌：1m3m8m 2p【5p】6p8p 4s6s9s 南白北

136 ：次鋒戦後半 05/17 [saga　sage]：2012/07/07(土) 20:32:22.14 ID:+QjCPfJs0

sage忘れてたでござるの巻

──10巡目

新道寺「……リーチ！」打8m

新道寺(赤5sば引いてのテンパイ、カン6mやけど親満確定！)

新道寺手牌：【5m】7m 3p4p5p 2s3s4s5s【5s】8s8s8s
新道寺捨牌：1p2m東白白 1m8p3p中8m(リーチ)


泉「チー」打南

泉(一発消し、和了は……まぁ運が良ければやな)

泉手牌：5m6m6m6m 7p8p9p 8s9s 南 (�Fm8m9m)


菫(親リーは流したいところだな。上家は……ここで自風が手出しということは、トイツ落としだろうか。役牌から鳴き三色、もしくは一通に切り替えたか？)

菫(……今ので張ったのかは分からないが、親に通る範囲で上家に差し込みに行くか)

菫手牌：4m8m9m9m 3p5p7p7p 6s7s8s 東東西西 ツモ3m 打東


宥(……)打1p

新道寺(一発がなくとも、裏が乗れば変わらんね)

新道寺「……ツモ! リーヅモタンヤオドラドラ。裏……1で6,200オール！」

泉(ラス牌の6mツモられてもうたか。これはきついな)

宥(……)ﾊﾟﾀﾝ

白糸台 195,100
千里山 93,100
新道寺 64,900
阿知賀 46,900

137 ：次鋒戦後半 06/17 [saga　sage]：2012/07/07(土) 20:33:02.74 ID:+QjCPfJs0

──東4局 親：菫 ドラ：中

泉(ドラが中、か……)

泉(船久保先輩のデータ通り、中はしょっちゅう阿知賀が持っとる。とはいえ)ﾁﾗﾂ

宥「……」ｶﾁｬｶﾁｬ

泉(ここまでノー和了、どころか東1局以来リーチさえしてこーへん。テンパイさえ入らんようやな)

泉「……ん」

泉(っと。手が索子に寄っとるな。これは……阿知賀から直撃できるかも知れへんわ)

泉配牌：2p7p 1s3s4s4s6s6s7s9s 北北発


──3巡目

菫(私もいいほうだが……千里山の方が早そうだな)

菫手牌：2m4m6m 2p3p3p4p7p7p8p8p 3s4s


宥(……あったかい牌、来て……)

宥手牌：1m3m【5m】9m9m 3p9p 1s6s 南西発中


新道寺(チートイツ2向聴、か)

新道寺手牌：1m1m8m8m 2p【5p】6p6p7p 2s2s西発


泉(よし、1向聴。この巡目なら周りを押さえつけるために即リーやな)

泉手牌：2p 1s2s3s4s4s6s6s7s9s 北北北

138 ：次鋒戦後半 07/17 [saga　sage]：2012/07/07(土) 20:33:38.61 ID:+QjCPfJs0

──5巡目


泉「リーチ」

泉(シャンポンから両面に待ちが変化した、高めツモで倍満。これはもろた)

泉手牌：1s2s3s4s4s【5s】6s6s7s7s 北北北
泉捨牌：7p4m白2p9s(リーチ)


新道寺(チートイツ1向聴。張ったら勝負すっとよ)打7p

新道寺手牌：1m1m8m8m 2p2p【5p】6p6p 2s2s西発


菫(現物でも良いんだが、まぁタンヤオ三色1向聴。3pくらいはおすか)

菫手牌：2m4m6m 2p3p4p7p7p8p8p 2s3s4s


宥「……ふぅ」ﾁｬｯ

宥「……すみません。すこし考えさせてください」

泉「どうぞ」

菫(……ここでか)

宥(玄ちゃんから7万点くらいでっもらったバトン……)

宥(それが今、46,900点)

宥(ごめんね玄ちゃん、皆)

宥「……」

宥手牌：？【5m】？？ ？3p4p？ ？？ ？？中中 打3p


泉(阿知賀は悩んだ挙句現物かい)ﾀﾝ 打5m

菫「……チー」打2m

菫(タンヤオだけだが、このリャンカンをのんびり待っていてもな)

菫手牌：2p3p4p7p7p8p8p 2s3s4s (�Dm4m6m)
菫捨牌：南西9p2m6m 3p2m


宥「……」ﾀﾝ 打【5m】

泉(赤切って降りか？)

新道寺(テンパイ。西か発、どっちも危なか。ばってん、役にならん西の方がまだよか)

新道寺「……。通らばリーチ！」打西

新道寺手牌：1m1m8m8m 2p2p5p【5p】6p6p 2s2s発
新道寺捨牌：1p東6m4m8p 7p西(リーチ)

139 ：次鋒戦後半 08/17 [saga　sage]：2012/07/07(土) 20:34:35.21 ID:+QjCPfJs0

泉(新道寺の追っかけ。出来ればこれはあがりたいねんけど……生牌のドラ中)ﾋﾔｯ

泉(ほっ、通った)

宥「……」ﾀﾝ 打中

泉(やっぱ持っとったか) ﾀﾝ 打4p

宥「……」ﾀﾝ 打中

泉(トイツ落とし。降り確定やな)

宥「……」打4p

泉(3p4pのターツ落としにドラ3丁落としねぇ。河が豪華やで)

宥捨牌：8s発南3m6s 3p【5m】中中4p


菫(……)

菫(千里山のリーチ。本命は索子だが、9sが4番目から出てきたな。だとすると、あの左の3枚は……)

菫「……ん」ﾁｬｯ

菫(これか……ふっ) ツモ？ 打4p

宥「……」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ 2mツモ切り

菫(……おいおい、今更震えるか)


泉「……」ﾁｬｯ

泉(北か。カンしても三倍満になる確率は高ないんやけどなぁ。ただまぁ、低めのロンでも跳ねてくれるかもしれへんな)

泉「カン」

菫「──」

宥「……です」

泉「カンドラは……」

宥「……ロ、ロン。です……」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

泉「……は？」

パタン

泉(暗槓でロンって……まさか！？)ｶﾞﾀｯ

宥「32,000……です」ｶｧｧｧｧ

新道寺(こ、国士無双……できとったんか)

泉「そんな……」

菫(果たして、何度目指して何度テンパイしてたんだろうな……)ﾆｶﾞﾜﾗｲ

白糸台 195,100
阿知賀 80,900
新道寺 63,900
千里山 60,100

140 ：次鋒戦後半 09/17 [saga　sage]：2012/07/07(土) 20:35:18.98 ID:+QjCPfJs0

──白糸台控え室

淡「おー国士。やっぱり麻雀は火力ですよ」

誠子「火力馬鹿」

淡「なにをう」

誠子「まぁでも新道寺もリーチしてたし、いずれあがれただろうな。ツモられなくてよかった」

照「菫は気づいてたみたいだけど」

淡「あー。テンパイ崩して直前に引いた白止めてましたからね」

誠子「つーか阿知賀、さっきも国士テンパイしてなかったか？」

淡「そうでしたっけ？」

誠子「そうだよ。ドラの東を連打してた局があったろ。なぁ渋谷？」

尭深「……」ﾌｲｯ

誠子「見てなかったんかい」

141 ：次鋒戦後半 10/17 [saga　sage]：2012/07/07(土) 20:36:18.71 ID:+QjCPfJs0

──同時刻、阿知賀控え室

玄「お姉ちゃん！　おねえちゃああああん！」TVﾄﾞｸｾﾝ

憧「はいはい画面から離れる」ｸﾞｲｸﾞｲ

玄「憧ちゃん放して、お姉ちゃんが役満あがったんだよ!?」ﾌﾝｽ

憧「知ってるって……というか、本当に目悪くなるから離れなさいっての。……しず、手伝って」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

穏乃「ほい」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

玄「あぁん、お姉ちゃん！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

灼「それ以上騒ぐとテレビ消すよ」

玄「はい」ﾋﾟﾀｯ　ｽﾁｬｯ

穏乃「見事な正座……」

憧「せめてソファに座ってよ……」

玄「あぁ……お姉ちゃん……お姉ちゃん……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

憧(いつになったら姉離れするのか)

穏乃(多分しないんじゃないかな……)

142 ：次鋒戦後半 11/17 [saga　sage]：2012/07/07(土) 20:37:11.19 ID:+QjCPfJs0

──同時刻、新道寺控え室

煌「なんで2回も飲み物を買いに行かないといけないんでしょうか……って、何かあったんですか」ｶﾞﾁｬｯ、ﾊﾞﾀﾝ

姫子「阿知賀が国士さあがったんや」ｿﾃﾞﾌﾘﾌﾘ

煌「役満ですか。それはすばらですが……出和了ですか、ツモですか？」

哩「千里山が暗槓さしようとした北が刺さったとよ。……で、今度はちゃんとしたの買うてきたんやろな？」ｼﾞﾛｯ

煌「そんな睨まないでくださいませんかね……はい」ｵﾁｬ

哩「ん。さっさと座っとき」

煌「はいはい、おー怖」

哩「やかましい」

哩「……」ﾌﾟｼｭｯ

哩「…………」ｺｸｺｸ

哩「…………ありがと」ﾎﾞｿｯ

煌「確か次鋒戦が終わったら昼食休憩がありましたね。今日は何を食べましょうかねぇ」ｷｲﾃﾅｲ

哩「……」ﾑｽｯ

姫子(笑いたい……思いっきり部長さ指さして笑ってやりたい……！)

143 ：次鋒戦後半 12/17 [saga　sage]：2012/07/07(土) 20:37:48.36 ID:+QjCPfJs0

──南1局 親：宥 ドラ：1p


──13巡目

宥「……」ﾀﾝ 打南

宥捨牌：4s8s西8p1m 白7s6p9m2p 5s6m南


新道寺(この巡目に手出しで南……まさか、また国士？)ﾁｬｯ
新道寺(う……初牌の発。これは切れんとね。折角のタンピン系2向聴やけど、回すしかなか)ﾀﾝ 打8s

泉(僅差とはいえラス転落……せっかく園城寺先輩が守ってくれた順位)ﾁｬｯ
泉(あがりにいかなアカンのに、発も中も初牌や……おまけに阿知賀の捨牌がまた国士っぽい。どないすればええねん)ﾀﾝ 打2m

宥「ロンです」ﾊﾟﾀﾝ

泉「えっ……」

宥手牌：2m3m3m5m5m6m6m8m8m 東東中中


宥「メンホンチートイツ。12,000です」

泉(国士やない──けど)

新道寺(この放銃は、かなり痛いんじゃなかとね？　千里山)


白糸台 195,100
阿知賀 92,900
新道寺 63,900
千里山 48,100

144 ：次鋒戦後半 13/17 [saga　sage]：2012/07/07(土) 20:38:29.69 ID:+QjCPfJs0

──南1局1本場 親：宥 ドラ：5m


──12巡目

宥「……リ、リーチ」ﾀﾝ 打5m

宥捨牌：6s3p東2s白 1m2p6p発4m 中5m(リーチ)


菫(ドラ切りリーチ)
新道寺(また……変な捨牌……)
泉(しかもこの河……)

三人(4枚見えてるヤオチュー牌が、一つもない……！)

泉(いや、国士はもうないと思ったほうがええ。あんなん、まぐれや……)ﾁﾗｯ
泉(……でも、もしまた国士やったら。今度は親の役満に、1本場……)ｿﾞｸｯ
泉(持ち点が48,100点……)
泉(飛んでまう、やんか)

泉「……！」ﾁｬｯ

泉手牌：3m3m6m7m 1p2p3p4p5p6p7p 白白 ツモ1s


泉(1枚切れの1s……だめや。いけへん。例え国士やなくても、ただでさえ親リー。次振ったらいくらセーラ先輩たちでも、きつい)ﾀﾝ 打白

新道寺(千里山は手出しで現物の白。回ったんかね)ﾀﾝ 打2s

菫(しかしその白は後1枚山の中、もしくは……阿知賀か)
菫(元からツモや捨牌に偏りがあるタイプの子なのは分かっていたが、これは面倒だな)ﾀﾝ 打1m

宥「……」ﾀﾝ 4sツモ切り

宥手牌：2m3m4m8m9m 1s1s 5s6s7s7s8s9s　


──16巡目

宥「……」ﾀﾝ 白ツモ切り

泉(4枚目の白。国士やなかった)

新道寺(そう国士なんてなかとね)

菫(とはいえ、一度手を崩して回してしまった以上、今からテンパイするのは無理だな)


──流局

宥「テ、テンパイ」

泉「ノーテン(国士やなかったんか)」

新道寺「ノーテン(棒テン即リー、しかも2枚切れの7m待ちとね)」

菫「ノーテン(普通に打って追っかけていたら、恐らく勝てただろうが。一巡でも国士を考えて回した時点で、この局は阿知賀の勝ちだな)」


白糸台 194,100
阿知賀 94,900
新道寺 62,900
千里山 47,100

145 ：次鋒戦後半 14/17 [saga　sage]：2012/07/07(土) 20:39:26.23 ID:+QjCPfJs0

──南1局2本場 親：宥 ドラ：2p


宥「……」ﾀﾝ 打6s

宥捨牌：4p4s6s


新道寺(また……)

泉(ブラフや)

菫(染め手か国士か、いずれにしてもそう早くは出来上がらないだろう。この場合の対処法は)


新道寺・菫(鳴いて早く終わらせる)


菫「……ん」ﾁｬｯ

菫(席順的に、私が新道寺から鳴いて和了らせてもらうべきなんだろうが。3位の新道寺としても、それは喜ばしくないだろう)

菫(こういうのは私ではなく、渋谷の役目なんだがな。まぁ、良い)ﾀﾝ 打発

泉(生牌)

新道寺「ポン」

菫(次は……ここか)ﾀﾝ 打8p

新道寺「ポン」

泉(阿知賀に何かされる前に早和了……それは間違うてないけど。せやけど4位のウチはそれでええんやろか)

泉「……」ﾁｬｯ

泉手牌：1m4m7m9m 2p2p3p【5p】6p6p 西西中 ツモ8m


泉(……先輩、すんません)

泉「……」ﾀﾝ 打4m

新道寺「チー」

菫(千里山。4位で協力なんてしたくはないだろうが、鳴かせたか)

泉(せめてこの阿知賀の親を流すのは協力したる。そこから残り3局で出来る限り取り返す)

菫(……)


──その後、8巡目に新道寺が役牌ドラ1をツモ和了。


宥「……」ﾊﾟﾀﾝ

宥手牌：1m2m3m4m5m6m7m8m9m9m 中中中


白糸台：193,400
阿知賀： 93,700
新道寺： 66,500
千里山： 46,400

146 ：次鋒戦後半 15/17 [saga　sage]：2012/07/07(土) 20:40:45.26 ID:+QjCPfJs0

──南3局 親：泉 ドラ：9s

宥「……」ﾁｬｯ

新道寺捨牌：北1s西9m8m 3p中2m7p発 3m(リーチ)1s東4p


宥「……」ﾀﾝ 打5s

新道寺「ロ、ロン。立直平和ドラ……裏1。7,700」

宥「はい」ﾁｬﾗｯ

泉(親番が……)

菫(きつい所をあっさりと切ったな。おかげでオーラスだが)

宥捨牌：南2m4s8s2p 西白1m7p9m 3m6s1p5s


菫(まさか、な)ﾌｯ

宥「……」ﾊﾟﾀﾝ

宥手牌：1m9m 1p9p 1s2s9s 東南西白発中


宥(ヤオチュー牌もあったかい。風牌はあったかくないけど、風牌が最初にあって、あったかいヤオチュー牌が来てくれれば……頑張れる)

宥(玄ちゃん、お姉ちゃん頑張ってるよ)

白糸台：193,400
阿知賀： 86,000
新道寺： 74,200
千里山： 46,400

147 ：次鋒戦後半 16/17 [saga　sage]：2012/07/07(土) 20:41:20.82 ID:+QjCPfJs0

──南4局(オーラス) 親：菫 ドラ：7m


宥「……リ、リーチ」ﾀﾝ 打7m

宥捨牌：4s6s5p6m2s 2p6p7m

新道寺(……これは、どっちとね)

菫(ブラフか、本命か。あるいは、横道にそれたか)

泉(8巡目で、1枚も被らず国士なんてありえへんわ)

泉(オーラスで、4位がベタ降りしてたらアカンやろ。先輩にしばかれるわ)

泉(降りて怒られるんなら、振って怒られたほうがええわ)

宥「……」

新道寺(ここは我慢やね。あとは部長たちに任せっとよ)ﾀﾝ 打2p


泉(ウチかて1向聴) ﾀﾝｯ打1s
泉(ここは突っ張る) ﾀﾝｯ 9pツモ切り
泉(跳満ぶちあてて3位に降ろしたるさかい)ﾀﾝｯ 東ツモ切り
泉(……よし！　おいついた！)

泉「……通らばリーチや」ｽﾀﾝ! 打9m

泉手牌：1m2m3m4m5m6m7m8m9m 4p5p5p【5p】


泉(ツモなら跳満確定、ロンでも3‐6pなら同じや)

宥「……」ﾀﾝ 2pツモ切り

泉「……っ」ﾁｬｯ

泉(あっ、この牌は……アカン……) ﾄﾝ 打中

宥「ロ、ロン」ﾊﾟﾀﾝ

泉「──」

泉(まさか……)

宥手牌：1m1m5m【5m】6m6m7m7m 3p4p5p 中中


泉(こ、国士やなかったんか)ﾎｯ
泉(でも中で振ってもうたから跳満……)ﾊｯ

宥「裏は……」

泉(トイツ以上が5種……のったら倍満になる確率が……！)ﾋﾞｸｯ
泉(乗らんといて！)

宥「……ないです。12,000です」

泉「……はい」

泉(乗らんかったけど……これはしんどいなぁ)


白糸台：193,400
阿知賀： 99,000
新道寺： 74,200
千里山： 33,400

148 ：次鋒戦後半 17/17 [saga　sage]：2012/07/07(土) 20:41:54.34 ID:+QjCPfJs0

恒子『次鋒戦終了ー！ まさかの大波乱、2位の千里山が大きく沈み、4位に転落です！』

健夜『阿知賀の松実宥選手の国士無双直撃が響きましたね。そのせいで南場は手作りに悩んでいるようでした』

恒子『やっぱり一度振ると意識するものなんでしょうか』

健夜『えっと、私は振ったことがないので分かりませんけど、聞く話ではそのようですね』

恒子『さすが小鍛治プロ、さらりと自慢を挟んできますね！』

健夜『ええっ!? そんなつもりはないからやめてよー!』

恒子『3位の新道寺はじわりと点数を伸ばして、2位の阿知賀との点数を縮めていますね』

健夜『えっ、ス、スルー？』

恒子『そして何といっても、阿知賀の松実宥選手の、国士無双の和了ですが』

健夜『……コホン。前半戦の自身の配牌とツモが、そういう形に偏っていたんでしょうね。それでもこの大一番で和了に持っていったのは素晴らしいと思います』

恒子『そうなんですか？　確かに実際に和了したのは1回ですけど、何回かテンパイしそうでしたよ』

健夜『難しいから役満なんですよ、もう……。前半戦のオーラスにテンパイ、後半戦の東1局に1向聴。更に南3局にも1向聴でした。しかもいずれも純カラではなく、局が進んでいれば或いは、といったような……』

恒子『(よく分からないけど)そーなんですかー。次鋒戦と中堅戦の間には昼食休憩が40分ありますので、TVの前の皆さんも今のうちにトイレに行っといてくださいねー』

健夜『そこは食事じゃないの!?』

149 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/07(土) 20:51:38.68 ID:+QjCPfJs0

と、いう訳で、次鋒戦でした。
次回は昼食シーンだったり怜サイドだったり、一度麻雀描写がない形になりそうです。
>>131の期待に沿えるようなイチャラブになるかは分かりませんが、できる限り頑張ります。

……流れに全く関係ない、ただ自分が好きな二人で百合を書きたい。

150 ：ななし ：2012/07/07(土) 23:08:09.18 ID:YUjTtKSAO

怜が命削って残した結果が…

151 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/07/07(土) 23:15:52.05 ID:AFOYEyza0

流石の照さんや

152 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/07/07(土) 23:18:44.80 ID:aKfSTSII0

乙
宥お姉ちゃんはもっと評価されるべきの逸材だわ

153 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/07/08(日) 01:10:34.37 ID:KkO93EmIO

健夜可愛い

154 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/07/08(日) 12:38:40.92 ID:QP9kqGB7o

乙

155 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/07/08(日) 13:15:54.30 ID:sGz7PyeIo

おつ

156 ：昼食休憩 01/12 [saga　]：2012/07/10(火) 01:59:27.39 ID:HAs55Ame0

──大会会場フードコート

淡「先輩、ここ空いてます」

照「ん」

菫「やっと座れたな」

照「天ぷら定食なんて時間のかかりそうなメニューを頼む菫が悪い」

菫「……珍しく自分の方が早かったからって」

淡「そういえば先輩、今日は頼むの早かったですね。いつもなら三十分くらい悩むのに」

照「……」

照「……別に」ﾒｦｿﾗｼｰ

淡「ははーん。先輩、そんなにこれが──このオムライスが食べたかったんですか？」ﾕﾋﾞｻｼ

照「……」

淡「券売機見た瞬間即押しでしたからねー。もう他のメニューなんか目もくれないって感じで！」

菫「……大星」

淡「あ、そういえば先輩、オムライスの他にも食券買ってませんでした？ 場所的にデザートっぽかったですけど。パフェだったかケーキだったか、ちょっと見てなかったので分かりませんでしたけどー」

菫「……大星」

誠子「……(ｸｸｯ、腹が)」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

淡「っていうか、先輩さっきからテーブルの下で何をごそごそやってるんです？」ﾋｮｲｯ

照「べ、別に何もしてない」(背を向けて隠す)

淡「む。気になりますね。見せてくださいよ」ﾋｮｲｯ

照「嫌だ」ﾋｮｲｯ

淡「むー」

菫「淡、放っておいてやれ」

淡「えー」

菫「別にいいじゃないか、誰が何を頼もうと」

淡「ぶー」

菫「昼食休憩だって長いわけじゃないし、店が混んでるから早く席を空けてやらないと」

淡「はぁい。分かりました」

照「……」ﾎｯ

淡「……」

淡「……と見せかけて！」ﾊﾞｯ

照「!?」ﾋﾞｸｯ ｻｯ

淡「甘い！ 逃がしませんよ！」ｶﾞｼｯ

照「」

157 ：昼食休憩 02/12 [saga　sage]：2012/07/10(火) 02:00:39.18 ID:HAs55Ame0

淡「あ」

淡「プリンだ」ﾌﾟｯﾁﾝﾌﾟﾙﾝ

照「……」

淡「先輩、まさかこれを隠してたんですか？」

照「……」ﾒｦｿﾗｼ

淡「うわ、先輩照れてます。可愛いー！」

菫「おい大星……お前少しは周りの目というものをだな」

淡「えーだってそう思いません？ 別に堂々と頼めばいいのに、こそこそプリン頼むんですもん！」

誠子「だ、駄目だ……もう我慢できな……ﾌﾞﾌｯ」

菫「ともかく、静かにしろ。でないと……」


ﾈｪ、ｱﾚｯﾃｼﾗｲﾄﾀﾞｲｼﾞｬﾅｲ?
ﾎﾝﾄﾀﾞ、ｼﾗｲﾄﾀﾞｲﾖ
ﾁｬﾝﾋﾟｵﾝ、ｵﾑﾗｲｽﾀﾍﾞﾙﾝﾀﾞｰ ｼｶﾓﾌﾟﾘﾝﾀﾞｯﾃ-
ﾅﾝｶｲｶﾞｲｰ ｶﾜｲｲｰ


照「……」ｶｧｧ

菫「……照が溶けていなくなるぞ」

淡「あー、えっと。そのー……」

淡「何だかすみませんでした」

照「……淡はデリカシーがない」ﾌﾟｲｯ

淡「拗ねた」

菫「拗ねたな」

誠子「あ、あはは、ひー、ひー！」ﾊﾞﾝﾊﾞﾝ


尭深(アホっぽい)ﾁｬｿﾊﾞｽﾞﾙｽﾞﾙ

158 ：昼食休憩 03/12 [saga　sage]：2012/07/10(火) 02:01:14.32 ID:HAs55Ame0

──同時刻、大会会場玄関ホール

浩子「そろそろ戻ってくるころやな」

泉「そうですね……」

浩子「いつまで落ち込んでんねん。もう終わったことやないか」

泉「そうですけど……ホンマにすいません」ｼｮﾎﾞﾝ

浩子(こういうののフォローはウチの役割やないからなー)

浩子「ええってホンマに……あ、戻ってきたな」

セーラ「戻ったでー！ いやー、重いわ暑いわしんどいわー」(両手にビニール袋)

浩子「おかえり。持つで」ｶﾞｻｶﾞｻ

セーラ「助かるわー」

泉「……おかえりなさい」

セーラ「泉もお疲れや。浩子からメールで結果聞いたけど、気にすんな」

泉「でも……」

セーラ「でもやないで。終わったことを言うても点が増えるわけでもなし、そういうんはやめや」

泉「本っ当に、すんませんでした……！」ｶﾞﾊﾞｯ

セーラ「やめー言うとるやろ。次謝ったら本気で怒るで」

泉「先輩……」

セーラ「チームやろ、俺らは」

セーラ「それとも泉は、俺らがたかが16万点差をひっくり返せんとおもっとるんか？」

泉「えっ……」

セーラ「どないや？」ｽﾞｲｯ

泉「い、いえ、先輩なら出来ます。余裕です！」

セーラ「せやろ！ よし、ならこの話はこれで終わりや。はよ部屋に戻って買うてきた昼飯食うで。アイスも溶けてまうしな」

泉「はい！」

159 ：昼食休憩 04/12 [saga　sage]：2012/07/10(火) 02:01:51.86 ID:HAs55Ame0

セーラ「ほな行くかっ……っと」ﾄﾞﾝ

？？？「あ、すみません」
？？？「ゴメンナサイ」

セーラ「すまんなー」ﾋﾗﾋﾗ

浩子「江口先輩、ちゃんと前見て歩いてや」

セーラ「ちょっとぶつかっただけやん」

浩子「まぁそうやけど。ところで江口先輩。お一人っちゅうことはあれか」

セーラ「……せやな。竜華はまだ病院や。ぎりぎりまで怜の傍にいるんやって。浩子の試合が始まったくらいでメールすればええやろ」

浩子「どんな様子なん？」

セーラ「どっちや？」

浩子「どっちもや」

セーラ「……怜は、とりあえず命に別状はない。目ぇ覚ましてへんからそれ以上のことは分からん。まぁ、決勝になったら叩いてでも起こすけどな」

泉「それはひどいんちゃいます……？」

セーラ「冗談や冗談」

浩子「で、もう一人の元気なほうは？」

セーラ「……あぁ。下手したら、そっちのほうがアカンかも分からんなぁ」

泉「えっ、それはどういう……？」

セーラ「大体想像できるやろ。心ここにあらずや」

泉「……」

セーラ「ちょっと泣いては怜に話しかけて、の繰り返しや。見てるこっちの気が滅入るわ」

泉「そんなんで大将戦来られるんでしょうか」

セーラ「来るに決まっとるやろ。怜が何のためにあないな無茶した思っとんねん」

浩子「自分が命削ってまで2位でバトン渡したのに、大将が自分のベッドから離れずに棄権しました、なんて知ったらショックやろな」

セーラ「俺やったらしばき倒すわ。竜華もそれくらいは分かるやろ」

セーラ「まぁ、どうしても不安っちゅうんなら、あれやな」

セーラ「俺と浩子が他を飛ばせばええだけの話しやけどな」

泉「飛ばす、って……準決勝ですよ？」

セーラ「でけへんとおもっとんのか」

浩子「16万点とるんとどっちの方が楽なんやろな」

セーラ「分からん。まぁともかく、俺らに任せとけばええねん！」

160 ：昼食休憩 05/12 [saga　sage]：2012/07/10(火) 02:02:27.81 ID:HAs55Ame0

──同時刻、大会会場外・表通り

哩「いただきます」

煌「いただきます」ﾜﾘﾊﾞｼﾊﾟｷｯ

姫子「いったきまーす。やけど、まさか阿知賀と同じ店で会うとは思わんかったっとですよ」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

煌「しかも結局譲ってもらってしまいましたね」ｽﾞﾙﾙ

哩「……仕方なか。対局中の相手さ一緒に食事は気まずかよ」ｽﾙｽﾙ

姫子「そいぎー、うちはどこでも良かったとですけど。まぁ関東のラーメン食べてみたかったとですし」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

哩「……姫子。食べてる時さ袖から手出せっていつも言っとるね」

姫子「うえー。はーい」ｿﾃﾞﾒｸﾘ

煌「姫子さんはいつも袖ふりふりさせてますけど、邪魔じゃないですか？」

姫子「うんにゃ、別にそんなことなか。むしろ落ち着くっとよ」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

哩「子供っぽいけ、直したほうがよかとよ」ｽﾙｽﾙ

姫子「別によかですやんー」

哩「将来社会さでて困るんは姫子や。そいけん今のうちさ直したほうがよか」

姫子「ちぇー」

煌「まぁまぁ部長」

姫子(自分だって花田に素直になれんで意地張っとるんに。棚上げとるね)

姫子(これは少しくらい仕返ししても良かとねぇ)

姫子(ちょっとからかってみっとね)ﾆﾏ






中堅の子「うちらだけ別席なんやね」

次鋒の子「5人分空いてないんやからしかたなか」

161 ：昼食休憩 06/12 [saga　sage]：2012/07/10(火) 02:03:04.24 ID:HAs55Ame0

姫子「そいや、花田が打ってる時さこんな話になったんやけど」

姫子「……花田ってどういう人がタイプなん？」

哩「げほっ」ﾋﾞｼｬｯ

煌「はい？」

哩「けほっ、姫子、いきなり何さ、けほっ、言っとる」ﾑｾﾑｾ

姫子「やー、たまたまそんな話になったっとよ」

哩「けほっ、けほっ」
哩(そんな話さ、一切してなかとよ！)

煌「あ、部長、ティッシュどうぞ」

哩「あ、うん。ありがと」ｹﾎｹﾎ

姫子「！」

姫子(部長、動揺のあまり普通にありがとうって言えとっとよ)ｵﾒﾒﾋﾟｶｰ

煌「背中さすりますよ」ｻｽｻｽ

哩「……っ」ﾋﾞｸｯ

姫子(おおお！ 花田、そのまま続けるとよ！)ﾆｷﾞﾘｺﾌﾞｼ

姫子「やー、別に。ちょっとしたお話さ。黙々食べるのつまらなかとね」

煌「そーですねー。部活の大会とはいえ、せっかくこうして外食してるんですからねぇ。ちょっとくらい女子高生らしい会話をしなければなりませんね。すばらです」ｻｽｻｽ

哩「……。……、花田、もういいから」ｶｵﾏｯｶ

煌「何言ってるんです。全然大丈夫そうに見えません」ﾉｿﾞｷｺﾐ

哩「……っ、本当にもういいから」ｿﾗｼ

哩「……」(姫子と目が合う)

姫子「……」ﾆﾔﾆﾔ

哩「……」ｷﾞﾛｯ

姫子「うお……(怖ぇ)」

162 ：昼食休憩 07/12 [saga　sage]：2012/07/10(火) 02:03:38.28 ID:HAs55Ame0

姫子「で、花田のタイプさどんな？」ｺﾞﾏｶｼ

煌「うーん。いきなり聞かれると悩みますねぇ(思案顔)」ｻｽｻｽ

哩「……」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

煌「……」ｻｽｻｽ


煌(いや、本当に特に何も考えてなかったですね)
煌(小……中……高……あれ)

煌(あれ。ん。あれ？)ﾊｯ
煌(……)

煌(冷静に考えると、私今までまともにお付き合いした相手がいないじゃないですか)ｶﾞﾋﾞｰﾝ
煌(こっ、これは……すばらくないですね……)ｽﾞｰﾝ

姫子「や、そこまで真剣に考えんでもええって」

哩(さっきから花田が顔ば上げたり下げたりするたびに、さする力が変わってくすぐったい……)ｳﾙｳﾙ

煌「え、ああ。あはは。これは失礼しました。ちょっと別の考え事を」

煌(まぁ適当に誤魔化すとして。ここは二人の顔を立てましょうか)

※

煌「コホン。そうですねぇ。実は私、今までまともに恋愛というものをしていなかったものなので。かなり大雑把といいますか、曖昧になりますが」

姫子「前口上はええって」ﾜｸﾜｸ

煌「急かさないでください。……部長みたいに大人で冷静な方なんか良いんじゃないでしょうか？」

哩「」

姫子「！」

煌「私ってばすぐ調子乗りますからね。窘めてくれる人とか良いですね」

姫子「へー、へー。そーなんや」ﾁﾗｯ

哩「」ﾋﾞﾁｬｰ

姫子(アカン……レンゲでスープをすくっては零しとっと)

163 ：昼食休憩 08/12 [saga　sage]：2012/07/10(火) 02:04:26.11 ID:HAs55Ame0

煌「ああ、それか真逆でも良いですね」

姫子「真逆？」
姫子(……なんかいやな予感がすっとよ)

煌「ええ。部長みたいに私を窘めてくれる人もいいですけど、」

哩「」ｽｰﾌﾟﾋﾞﾁｬｰ

煌「姫子さんみたいに一緒にはしゃいでくれる人も良いかもしれませんね」

姫子「あー……」ﾁﾗｯ

哩「」ﾋﾟﾀｯ

姫子(はい、アウトー)
姫子(やっぱり花田は花田やったか)ﾔﾚﾔﾚ

煌「姫子さんはいつも明るくて笑顔も似合いまs」

哩「」ﾊﾞﾝ!
(テーブルを叩いて立ち上がる)

煌「す……し……」

哩「……そろそろ昼食休憩も終わる。私は先に戻る。これで全員の会計さしといて」

姫子「あーい」

煌「ぶ、部長？」

哩「……」ﾌｲｯ

姫子(馬鹿やねもう……)


煌「私、何か失礼なこと言いましたかね」ﾁﾝﾌﾟﾝｶﾝﾌﾟﾝ

姫子「やー。どーだろ」ｱｷﾚ


──

哩「……」

哩「…………」

哩「…………」ｼﾞﾜ

哩「……馬鹿」

164 ：昼食休憩 09/12 [saga　sage]：2012/07/10(火) 02:04:56.85 ID:HAs55Ame0

──同時刻、大会会場外・表通り

宥「あったかい」ﾎﾟﾜﾎﾟﾜ

穏乃「宥さん、よくこの時期鍋焼きうどん食べられますね」

憧「いや、アンタだってラーメン食べに行こうって言ってたじゃない。しかも二日連続で。おかげで新道寺とバッティングするし」

穏乃「あれは……夜だったからセーフだよ」

憧「いやどんな理屈それ」

灼「スープバーを頼まなかっただけいいと思うべきじゃないかな」

穏乃「それは……」

憧「確かに……」

灼(それにしても、普通こういうファミレスって数ヶ月毎にメニューが変わるはずなんだけど。なんであるんだろう、鍋焼きうどん)

玄「おねーちゃん、本当にすごかったよ。私がとられちゃった点棒も取り返して、役満あがっちゃうなんて……もう、本当に……」ｳﾂﾑｷ

宥「く、玄ちゃん？　泣かないでね？」

玄「……本当に、おねーちゃん可愛いよお！」ｶﾞﾊﾞｯ

宥「ひぃっ」ﾋﾞｸｯ

灼「玄。周りのお客さんの迷惑になるよ」

玄「うぅ。そこをなんとか。お願い灼ちゃん、私と席を替わって。おねーちゃんの隣に行かせて！」

灼「絶対」

春絵「駄目だ」

玄「うぅ……そんな……がくっ」

165 ：昼食休憩 10/12 [saga　sage]：2012/07/10(火) 02:06:03.34 ID:HAs55Ame0

灼(そういえば、憧と穏乃、隣に座ってるけど。いつの間に仲直りしたんだ)

憧「……」
(灼と目が合う)

灼「……」ﾁﾗｯ ﾁﾗｯ
(憧と穏乃を交互に見る)

憧「……」ﾃﾚ

灼「ふふっ」

憧「はは」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

灼(まぁ、そうだろうと思ったけど)

憧(全然怒ってなかったし。本当もう……なんだかなぁ)

穏乃「なに二人で笑ってんの？」ﾋｮｲｯ

憧「んー別に。……ってあんた、口の周りにソースつけすぎ」

穏乃「えっ、本当に？」ｻｯ

憧「こら、手で拭こうとしない。ほらこっち向いて」ﾌｷﾌｷ

穏乃「んー」

憧「フォークとナイフ逆だし。箸の持ち方も変だし。本当世話が焼けるわねぇ」ﾔﾚﾔﾚ

穏乃「ん？　こう？」ﾓﾁｶｴ

憧「そうそう。もうハンバーグ頼んだときからこうなる予感はしてたのよねぇ」ｸｽｸｽ

穏乃「ぐぬぬ。そういう憧はサラダとチーズケーキとか、そんなんで足りるの？」

憧「あたしは少食だからこれでいーの」

穏乃「中堅なんだから、もうちょっと食べないと。ほら肉、お肉食べなよ」ﾌｫｰｸﾌﾞｯｻｼ ｽﾞｲ

憧「いや、良いって」

穏乃「なにおう。私のお肉が食べられないってか？」

憧「いや何キャラそれ」

166 ：昼食休憩 11/12 [saga　sage]：2012/07/10(火) 02:06:38.29 ID:HAs55Ame0

憧「分かった、分かったから食べるから。あんまりフォークにさしたまま動かさないでよ、ソースがたれるでしょ」

穏乃「最初からそういえばいいんだよ」ﾑﾌｰ

憧「なんで満足顔なのよ……そんじゃはい、フォークかして」

穏乃「えっ」

憧「えっ」

穏乃「？？？」ｷｮﾄﾝ

憧「……あぁ、はいはい。そうしたいのね。ん、あーん」

穏乃「うん！」ｱｰﾝ

憧「(むぐむぐ……)はいありがと。もういいからね」

穏乃「えー。まだあるのに」

憧「いいよ、穏乃が頼んだんだから穏乃が食べなよ」ﾌｷﾌｷ

穏乃「あ。水なくなっちゃった」

憧「また？ 何杯目よそれ」

穏乃「4杯目かな」

憧「あんまり飲むとお腹壊すわよ。私のあげるから、もうそれで最後にしなさい」

穏乃「はーい」


灼(……)

灼(ナチュラルにアーンしてるし。相手の口拭いたおしぼり使ってるし。飲みかけの水あげてるし)
灼(仲良いっていうか、いや、そういうレベルじゃないよね)

灼(これで恋人でもなんでもないっていうのがおかしい)


玄「おねーちゃんがお餅を食べてる……おねーちゃんがおもち……おねーちゃんのおもち……おねーちゃん……おもち……」

玄「……」ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

ｵﾏﾀｾｼﾏｼﾀ-、ｺﾞﾁｭｳﾓﾝｦﾄﾞｰｿﾞｰ

玄「この磯辺焼きを二つください」

灼(いや、だからなんであるのさ。なんなのこのファミレス)

167 ：昼食休憩 12/12 [saga　sage]：2012/07/10(火) 02:23:48.09 ID:HAs55Ame0

──同時刻、大会会場放送室

恒子「ふー。疲れた」ﾏｲｸｵﾌ

健夜「おつかれ」

恒子「じゃあお弁当食べますか」ﾊﾟｶｯ

健夜「うん。あ、飲み物あるよ」ﾍﾟｯﾄﾎﾞﾄﾙｿｰｲ

恒子「ありがとー」

恒子「(ｺｸｺｸ) ……ふぅ」
(窓から対局室を見下ろして)

健夜「どうしたの。珍しくまじめな顔して」

恒子「珍しくとは失礼な。私はいつも真面目だよん」

健夜「えー……」

恒子「……なんか、良いなぁって思ってる自分と、勿体ないなぁって思ってる自分がいるんだよね」

健夜「？」

恒子「こうして、憧れのすこやんと一緒の仕事が出来るのは凄い嬉しいんだけどさ」

恒子「なんかだんだん、“なんでもっと早く麻雀を覚えなかったんだろう”っていう自分がいるんだよね」ﾀﾊﾊ

健夜「こーこちゃん……」

恒子「あー。ガラじゃないなぁ。もう。忘れよう、はい終わり、いただきまーす」

健夜「……今度、一緒に麻雀打とうね」

恒子「へっ」

健夜「教えてあげるから」

恒子「さては日ごろの恨みを晴らすべくケチョンケチョンにする気だなー？」ｳﾘｳﾘ

健夜「なにそれ!?　そんなことしないよー。ちゃんと手加減するから」

恒子「すこやんって結構辛いよね……」

健夜「えっ、何が？ このお弁当、局のだから私が作ったわけじゃないよ？」

恒子「いや、うん。なんでもないよ」

健夜「？？？」

恒子「まぁ、折角プロが教えてくれるって言うんだし。精一杯甘えるからよろしくね」

恒子「私こう見えて甘えん坊だからね」

健夜「お、教えるのは麻雀だからね!?」

恒子「おんやぁ？ すこやんは何を私にするつもりだったのかな？」ﾆﾏﾆﾏ

健夜「わー！ わー! もうやめてー！」

168 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]：2012/07/10(火) 02:48:16.51 ID:quIka730o

新道寺の部長ってなんか人妻っぽいよね

169 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga]：2012/07/10(火) 14:42:05.27 ID:L3XRlqzc0

照さん、流石やで

170 ：番外編 01/14 [saga　]：2012/07/11(水) 02:58:54.96 ID:vzrk82rD0

──11：45 2F 観戦室外西階段

佳織「うーん、この会場広いからトイレに行くのも一苦労だよ」

？？？「ｸﾞｽｯ……」

佳織「うん？

？？？「ミンナドコ……」ｸﾞｽｸﾞｽ

佳織「……なんだろう。ベンチで泣いてる子がいる」

佳織「周りに同じ制服の人はいないし……迷子なのかな」

佳織「放っておくわけにもいかないよね……？」

佳織「あの……」

？？？「ｸﾞｽｯ……ハイ？」

佳織「えっと、どうしたんですか？」

？？？「(ゴシゴシ) エット」

佳織「あの、間違ってたらごめんなさい。道に迷ったとかでしょうか？」

？？？（コクン）

佳織「そうでしたか。ええと、よろしければ、お友達を探すの手伝いましょうか？」

？？？「イイノ……？」

佳織「ええ。特に予定もありませんし」

佳織(清澄の応援がありますけど、放っておくわけにも行かないし。後で智美ちゃんにメールしておこう)

佳織(それに……)ﾁﾗｯ

？？？「ﾒｿﾒｿ」

佳織(どこかで見たことあるようなないような気がします。どこだったんだろう。つい最近だったと思うんだけど。うーん)

？？？「アノ」ｸｲｸｲ

佳織「あ、はい？」

？？？「ナマエ」

佳織「あっ、私の名前ですか？　私は妹尾佳織です。佳織でいいですよ」

？？？「カオリ、カオリ」

佳織「ふふ。それであなたの名前はなんていうんですか？」

？？？「ワタシノナマエ、エイスリン」

171 ：番外編 02/14 [saga　sage]：2012/07/11(水) 03:00:04.00 ID:vzrk82rD0

──11：50 1F 玄関ホール

佳織「エイスリンさん、ですね。外国の方なんですか」
佳織(やっぱりどこかで聞いたことある名前だ。結構有名な子なのかな)

エイスリン「ニュージーランド」
（流暢な発音）

佳織「え、にゅー……あ、ニュージーランドですか。むむむ、英語の成績は悪くないですけど、実際に話すのは初めてです」

佳織「ところで、その板？ はなんですか？」

エイスリン「ボード。コレニ、エ、カク。ツタワル」

エイスリン「ワタシ、ニホンゴヘタダカラ」

佳織「なるほど」

エイスリン「……デモ、ペンカケナクナッタ。エ、カケナイ。ツタワラナイ」ｼﾞﾜｯ

エイスリン「デンワモ、デンチキレタ。ミンナ、ハナレバナレ」ｸﾞｽｯ

エイスリン「ミンナニアイタイ……」ﾎﾟﾛｯ

佳織「はわわわ……ええっと」

佳織「よ、よしよし」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

エイスリン「カオリ……」

佳織「私が見つけてあげますから、エイスリンさんのお友達」

佳織「だから泣かないでください。ねっ？」ﾆｺｯ

エイスリン「……ウン。アリガト」ﾆｺｯ

172 ：番外編 03/14 [saga　sage]：2012/07/11(水) 03:00:45.29 ID:vzrk82rD0

──12：00

佳織「エイスリンさんが最後に皆と一緒にいたのはどこですか？」

エイスリン「ゲンカンホール。フロアデゴハンタベルッテ」

佳織「つまりここですか。じゃあ、フードコートに行ってみましょう」

エイスリン「ワカッタ」

佳織「あ、そうだエイスリンさん」

エイスリン「？」

佳織「はぐれないように、手、繋ぎません？」

エイスリン「Um」

佳織「またエイスリンさんが一人になったら大変ですから」

エイスリン「ム。ワタシコドモジャナイモン」ﾑｽｩ

佳織「あ、ごめんなさい。そういう意味で言ったんじゃないんですけど」ｵﾄﾞｵﾄﾞ

エイスリン「……ジョーク。カオリ、イイヒト。ワカル」ｸｽｯ

佳織「もう。びっくりしましたよ」

エイスリン「ハイ！」ｵﾃﾃｽｲｯ

佳織「あ、はい」ｷｭｯ

エイスリン「カオリノテ、ヤラカイ」

佳織「そうですか？ エイスリンさんの手も小さくて可愛いですよ」

エイスリン「ム。カオリ、マタコドモアツカイスル。ホワイ」

佳織「あわわ、そういうつもりじゃないんですよー」ﾜﾀﾜﾀ

エイスリン「ハヤクイク」ﾃｺﾃｺ

佳織「わ、わ、わ。引っ張らないでくださいよー!?」

173 ：番外編 04/14 [saga　sage]：2012/07/11(水) 03:01:28.52 ID:vzrk82rD0

──12：07 2F フードコート

エイスリン「ツイタ」ｼｭﾀｯ

佳織「一杯人がいますねー。ちょっとすぐには見つけられそうにないかも……」ｷｮﾛｷｮﾛ

エイスリン「セイフクイッパイ」ｷｮﾛｷｮﾛ

佳織「そういえば、エイスリンさんはどこの高校なんですか？」

エイスリン「ミヤモリ」

佳織「ミヤモリ……みやもり……宮守!?」

エイスリン「Wow」ﾋﾞｯｸﾘ

佳織「あ、ごめんなさい。びっくりさせちゃいました。実は私、応援で来たんですけど、その応援しているところが確か昨日宮守と戦ったんですよ」

エイスリン「Hum」

佳織「それで思い出しました。昨日、次鋒で戦ってた子ですよね？」

エイスリン「……ウン」ｳﾂﾑｷ

佳織「？ エイスリンさん、どうし……」ﾊｯ

佳織(あっ、確か2回戦勝ったのって、清澄と大阪の姫松……)
佳織(つまり宮守は……)

佳織「ごめんなさい、その。無神経でしたね……」

エイスリン「……イイ。カオリハワルクナイヨ」

佳織「エイスリンさん……えっと」

ｻﾞﾜｻﾞﾜ

佳織「？」
エイスリン「？」

ﾈｪ、ｱﾚｯﾃｼﾗｲﾄﾀﾞｲｼﾞｬﾅｲ?
ﾎﾝﾄﾀﾞ、ｼﾗｲﾄﾀﾞｲﾖ
ﾁｬﾝﾋﾟｵﾝ、ｵﾑﾗｲｽﾀﾍﾞﾙﾝﾀﾞｰ ｼｶﾓﾌﾟﾘﾝﾀﾞｯﾃ-
ﾅﾝｶｲｶﾞｲｰ ｶﾜｲｲｰ

エイスリン「ナニカサワガシイ」

佳織「そうですねー。……あ、あれって白糸台じゃないですか？」

エイスリン「シライトダイ」

佳織「ええ。優勝候補再筆頭だとか。実際に試合を見たわけじゃなくて、話で聞いただけですけど」

エイスリン「ミヤモリ、Bブロック。シライトダイ、Aブロック」

佳織「そうですね。決勝に行かないと当たらなかったんですね」

エイスリン「……ウン」

佳織(しばらく麻雀と大会の話は避けたほうがいいですね……ごめんなさい)

174 ：番外編 05/14 [saga　sage]：2012/07/11(水) 03:02:12.71 ID:vzrk82rD0

── 12：15 1F 玄関ホール

佳織「フードコートにはいないみたいですね」

エイスリン「デモ、ミンナデゴハンタベルッテイッタ」

佳織「でも、この会場に他に食べ物がある場所なんて……」

エイスリン「デモ、イッタ……」ｼﾞﾜｯ

佳織「エイスリンさん……」

エイスリン「ミンナイッショダッテ、イッタ……！」ｶｷｶｷ
(かすれて絵は見えない)

エイスリン「……ミンナイッショ、ズットイッショダッテ、イッタノニ……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

エイスリン「ワタシノセイデ、シアイニマケタカラ。ワタシ“イラナイ”サレタノカナ……？」

佳織「……」ｷﾞｭｯ

エイスリン「カオリ……？」

佳織「そんな筈ありませんよ。試合に負けたら友達じゃないなんて、そんなの最初から友達なんていいません」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ

エイスリン「……」

佳織「エイスリンさんのチームメイトさんは、そんなに非道い人ばかりなんですか？」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ

エイスリン「……ウウン。ミンナ、ヤサシイ。ワタシ、ミンナダイスキ」

佳織「そうでしょう。皆もエイスリンさんの事が大切な筈です。だからきっと、何か理由があってはぐれたんです。皆今頃、エイスリンさんを必死に探してますよ」

エイスリン「ワカルノ？」

佳織「分かります」

エイスリン「Why?」

佳織「友達がいなくなった友達を探さないなんて、ありえませんから」

エイスリン「……トモダチ」

佳織「はい。友達です。理由はそれだけで十分です。友達って、そういうものです」

エイスリン「……カオリモ、トモダチ？」

佳織「はい。私とエイスリンさんも、友達です」

エイスリン「トモダチ。トモダチ……」ﾌﾆｬｯ

佳織(抱きしめてるからどんな表情をしているか分からないけど、多分喜んでくれてるんですよね)

エイスリン「……」ﾓﾌﾝ ﾓﾌﾝ

佳織「？？？」

エイスリン「……カオリ、オオキイ？」

佳織「ふえっ!?」

175 ：番外編 06/14 [saga　sage]：2012/07/11(水) 03:02:52.27 ID:vzrk82rD0

──12：19

佳織「ななな何言ってるんですかぁもう！」ﾋｷﾊﾅｼ

エイスリン「カオリヤラカイ」ﾆﾍ

佳織「はわわわ」ﾜﾀﾜﾀ

エイスリン「アッ、カオリ、ウシロ」

？？？「ほな行くかっ……っと」ﾄﾞﾝ
佳織「あ、すみません」ﾄﾞﾝ

エイスリン(Oh……ユレタ……)

エイスリン「ゴメンナサイ」


？？？「すまんなー」ﾋﾗﾋﾗ
？？？「江口先輩、ちゃんと前見て歩いてや」

────
──

佳織「エイスリンさんがへんな事言うからですよ、もう」

エイスリン「カオリ、カオアカイ」ｸｽｸｽ

佳織「もう手繋いであげません」ﾌﾟｲｯ

エイスリン「ゴメンナサイ」ﾍﾟｺﾘﾝ

佳織「うー。今回だけですからねー……。とりあえず、ここだと人の邪魔になるので、あそこのソファに座りましょ……う……？」

エイスリン「？」

佳織(あれ。何だろう、この感じ)

176 ：番外編 07/14 [saga　sage]：2012/07/11(水) 03:03:31.93 ID:vzrk82rD0

佳織「ええと。エイスリンさん、ちょっと気になったことがるんですけど、いいですか？」

エイスリン(コクリ)

佳織「エイスリンさん、今日はお友達と一緒に試合を観戦してたんですよね？」

エイスリン「イエス」

佳織「私と最初に会った、2Fの西観戦室で？」

エイスリン「イエス」

佳織「それで、次鋒戦が終わったから、ご飯を食べに行くつもりだった」

エイスリン「ウン」

佳織「だったらなんで──1Fにいったんですか？」

エイスリン「？？？」

佳織「観戦室も、フードコートも、両方2Fですよね。わざわざ1Fに降りてくる必要、なかったと思うんですけど」

エイスリン「……」ﾊｯ

佳織「それってつまり、会場を出て、外で食べるつもりだったんじゃないでしょうか？」
佳織「これだけ会場が広いんですから、実は互いにすれ違ってる可能性というのもあるでしょうけど、それより私、一度外に出てみたいです」

エイスリン「ソト、モットヒロイ」

佳織「もちろん闇雲に探すつもりはないです」

エイスリン「ヤミ……？」

佳織「ああえっと。つまり、寄るところは決まってます」

エイスリン「ドコ？」

佳織「携帯ショップ、それかコンビニです。まずはエイスリンさんの携帯電話を使えるようにしないと」
佳織「ただ、会場の近くにないかもしれませんので、そしたらコンビニで充電器を買って、とりあえずはそれで凌ぎましょう」

エイスリン「ペンモ！」

佳織「ふふ、そうですね」

エイスリン「アッ……デモ、ワタシオカネナイ」

佳織「良いですよ、それくらいは私が出しますから」

エイスリン「デモ……」

佳織「友達でしょう？　私とエイスリンさんは」
佳織「友達が困ってるときは、助けてあげないと」ﾆｺｯ

エイスリン「……アリガト」ﾌﾆｬｯ

佳織「はい。それじゃいきましょうか」ｽｯｸ

エイスリン「……カオリ」

佳織「はい？」

エイスリン「……テ、ツナギタイ」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

佳織「それはもう、喜んで！」ｷｭｯ

177 ：番外編 08/14 [saga　sage]：2012/07/11(水) 03:04:10.58 ID:vzrk82rD0

──12：30

佳織「暑いですねー」

エイスリン「アツイ」

佳織「ニュージーランドは、この時期は冬なんですよね」

エイスリン「カオリ、ヨクシッテル。エライ」

佳織「ふふ、ありがとうございます。気温はどうなんですか？」

エイスリン「オナジ。デモ、ニホンノアツイ、チョットイヤ」

佳織「ああ、それは分かります。湿気が多いですからね、日本は」

エイスリン「イエス。ムコウノアツイ、サッパリ。ニホンノアツイ、サッパリジャナイ」


ｶﾞﾔｶﾞﾔ

ﾌﾞﾁｮｳﾊﾅﾆｦｵｺｯﾃﾀﾝﾃﾞｼｮｳｶ
ﾊﾅﾀﾞﾆﾊﾜｶﾗﾝｺﾄｯﾄﾖ

ｱｺ、ﾁｭｳｹﾝｾﾝｶﾞﾝﾊﾞｯﾃ
ﾓﾁﾛﾝﾖ
ｵﾈｰﾁｬﾝ、ｵﾈｰﾁｬﾝ


佳織「制服の子が会場に戻ってく……昼食休憩もそろそろ終わりみたいですね」

エイスリン「カオリハマージャンウツノ？」

佳織「私ですか？　そうですね、まだまだ始めたばっかりの初心者ですけど。大会も、県予選で負けちゃいました」

エイスリン「……ソーリー」

佳織「あぁ、ううん。気にしないでください。……こんな言い方したら、智美ちゃんや加治木先輩は怒るだろうけど、ルールを覚えて席に座るだけで一杯一杯だったから、負けたときは悔しいとか、勝ちたかったとか、そういうのを感じなかったんです」

エイスリン「ソウ、ナンダ」

佳織「はい。……でも、ここでこうして全国の試合をみて、もしあそこに自分達が出てたらって考えて気づいたんです。ああ、やっぱり、悔しかったんだなって」ｷｭｳ

エイスリン「……」

佳織「もっと早く麻雀を覚えてたら、なんて。言っても仕方ないことですけど」


佳織(もう加治木先輩や、智美ちゃんと大会には出られないんだなぁ……)
佳織(桃子さんと睦月さんと私、3人になっちゃうから、部員集めから始めなくちゃいけないけど、智美ちゃんも加治木先輩もそうしてきたんだ……麻雀が好きだから)
佳織(だから今度は、私が頑張る番。私も今は、麻雀が好きだから)

178 ：番外編 09/14 [saga　sage]：2012/07/11(水) 03:04:45.45 ID:vzrk82rD0

ｲﾗｯｼｬｲﾏｾｰ
ｱﾘｶﾞﾄｳｺﾞｻﾞｲﾏｼﾀｰ


佳織「はい、エイスリンさん。ペンと充電器です」ｶﾁｯ ｶﾁｬｶﾁｬ

エイスリン「アリガト。……ウゴイタ！」

──着信37件 留守番電話6件 新着メール67通──

エイスリン「Oh……」
佳織「うわぁ……」

佳織「ま、まぁ、皆それだけ心配してくれてたということですよ。良かったじゃないですか。それじゃあ、電話して合流しま」

Prrr Prrr Prrr

エイスリン「！ シロカラダ」

佳織「丁度良かったですね」

エイスリン「Um……デンワ、ダメ」

佳織「？ どうしてですか？」

エイスリン「デンワ、コエダケ。カオワカラナイ。イメージデキナイ。ワカラナイ」

佳織(なんとなく分かったような分からなかったような)
佳織「でしたら、私が代わりに電話に出ますので、貸していただけますか？」

エイスリン「ハイ」ｽｯ

佳織「ありがとうございます」

佳織「……もしもし」

白望『……誰？』

179 ：番外編 10/14 [saga　sage]：2012/07/11(水) 03:05:15.25 ID:vzrk82rD0

佳織「えっと、私、妹尾佳織といいます。道に迷ったエイスリンさんをみかけてですね」

白望『……エイスリンは？』

佳織「横にいます。電話だと言葉がイメージできない？ らしくて……すみません、私にもちょっと分からないんですけど、とにかく無事です」

白望『……ん。ホテルにいるって、伝えて』

佳織「ホテル……ですか？」

白望『あなたも一緒にお願い』

佳織「え、私もですか？」

白望『そう。皆感謝してるから』

佳織「感謝だなんて、別に何もしてないです」

白望『……ありがとう。それじゃ、また』ﾌﾟﾂﾝ

佳織「あっ、えっ」ﾂｰﾂｰ
佳織(クール……なのかなぁ)

エイスリン「？ シロ、ナンダッテ？」

佳織「あぁ、えっと。ホテルにいるそうです」

エイスリン「ホテル」

佳織「はい。ホテルで食べるつもりだったんですね。だから1Fに降りてきた」

エイスリン「ナルホド」

佳織「さて、それじゃ行きましょうか。案内お願いしても良いですか？」

エイスリン「ガッテン!」ｷｭｯ

佳織「ふふ、はい」ｷｭｯ

180 ：番外編 11/14 [saga　sage]：2012/07/11(水) 03:05:50.31 ID:vzrk82rD0

佳織「……」
佳織(この道……まさか)

佳織「もしかして、この十字路を右に行きます？」

エイスリン「？　イエス。デモ、ホワイ？」

佳織「私達も部でホテルに泊まってるんですけど……同じホテルだったんですね」

エイスリン「Oh．ウンメイ」ﾌﾆｬｯ

佳織「ふふ、そうですね」

エイスリン「……アノ、カオリ」

佳織「はい？」

エイスリン「……」ﾊﾟｯ ｶｷｶｷ
(手を離して絵を描く)

佳織「？」

エイスリン「……」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

佳織「私、と……エイスリンさん、でしょうか」

エイスリン(コクコク)

佳織「夜で、ホテル……」ﾋﾟｺﾝ

佳織「夜に遊びに来るってことですか？」

エイスリン「! ……ッ」ｺｸｺｸ ｶｧｧｧ

佳織「もちろん、いいですよ。大歓迎です」ﾆｺｯ

エイスリン「! ウレシイ!」ﾀﾞｷｯ

佳織「はわわわ」

エイスリン「カオリ、ダイスキ!」

佳織「う、嬉しいですけど、恥ずかしいですよぉ」

181 ：番外編 12/14 [saga　sage]：2012/07/11(水) 03:06:26.65 ID:vzrk82rD0

？？？『あー！ エイスリン！』

エイスリン「？」
佳織「？」


？？？『ホントだーエイスリンさんだー！ うわー、ぎゅってしてるよー！』
？？？『良かった、悪そうな感じの人じゃないね』
？？？『エイちゃんがあんなにベッタリしてるの白望以外にはじめて見た』


佳織「い、行きましょうか……」ｶｧｧｧ ﾊﾅﾚ

エイスリン「Um……」ｶｧｧｧ ｳﾂﾑｷ


────
──

エイスリン「ミンナ、ゴメンナサイデシタ」ﾍﾟｺﾘ

胡桃「無事でよかった」

豊音「心配したよー」

塞「ええと。妹尾さん……でしたっけ？」

佳織「あ、はい」

塞「どうもありがとうございました」ﾍﾟｺｯ

佳織「いえ、そんな。私は何もしてませんから」

白望「妹尾さん」

佳織「はい？」

白望「……さっきは電話でどうも」

佳織「あ、えっと。シロさん……でしたっけ？」

白望「ん。小瀬川白望。好きに呼べば良い」

佳織「は、はぁ」

塞「私は臼沢塞。こっちは鹿倉胡桃」

豊音「姉帯豊音だよー」

佳織「改めて妹尾佳織です」

エイスリン「エイスリンデスッ」

佳織「ふふっ、はい。ありがとうございます」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

塞(おぉ……)

豊音(嬉しそうだよー)

182 ：番外編 13/14 [saga　sage]：2012/07/11(水) 03:06:56.88 ID:vzrk82rD0

白望「……それで妹尾さん。お昼食べた？」

佳織「え？ いえ、まだです」

白望「そうだろうね」

佳織「？？？」

豊音「じゃあ、一緒に食べようよー」

エイスリン「! ナイスアイディア!」

佳織「え、でも……」

胡桃「まぁ、妹尾さんもチームメイトがいるか」

佳織「いえ、そうではなく。お邪魔でしょうから」

塞「そんな事ないですよ」

エイスリン「カオリ、トモダチ」ｶｷｶｷ
(佳織を含めた6人で食事をしている絵)

エイスリン「イッショガイイ。……ダメ？」ｼﾞｯ

佳織「ええと……」

白望「……強制はしない」
白望「でも」
白望「私達はあなたに感謝していて、エイスリンはあなたと一緒にいたがってる」
白望「それだけは分かって欲しい」
白望「……(喋りすぎた、ダルい)」

佳織「白望さん……」ﾁﾗｯ
エイスリン「……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

佳織(かなしませちゃ、いけないよね)

183 ：番外編 14/14 [saga　sage]：2012/07/11(水) 03:07:27.47 ID:vzrk82rD0

佳織「……分かりました。お邪魔でなければ、ご一緒させてもらいます」

エイスリン「ヤッタ!!」ｷﾞｭｯ

佳織「わっ。もう」ﾖｼﾖｼ

エイスリン「ﾌﾆｬｰ」

佳織「あ、それと、私のことは呼び捨てにしていただいて構いませんので。皆さん何年生なんですか？」

胡桃「全員3年だよ」

佳織「えっ……」

胡桃「……なんで私を見て驚く？」

佳織「いえ、別に、他意はないんです。いや本当に」

胡桃「本当にー？」

佳織「はわわ」

エイスリン「クルミ、ノー! カオリモトモダチ」

胡桃「分かってるって。冗談だから」ﾊﾊ

豊音(すごくなついてるよー。可愛いー)
塞(よっぽど一人で寂しかったんだね。後でちゃんとエイスリンに謝らないと)

白望「……」

胡桃(シロ、もしかして妬いてるんじゃ)
塞(むしろあれは、飼ってたペットが自分以外の人間に懐いてるのにショックを受けてるんじゃないかな)
胡桃(なにそれ……バカみたい)


佳織(なんだろう。何か忘れているような)
佳織(凄く大事なこと……)

佳織(……)
佳織(…………)
佳織(…………あ)

佳織(私、智美ちゃんにも加治木先輩にも連絡してない!?)
佳織(しかもずっと携帯が鳴ってない……これってまさか!?)ｶﾞｻｺﾞｿ

佳織(……あぁ)
佳織(やっぱり……電池、切れてた……)

佳織(これは絶対、後で怒られる、よね)ｶﾞｸｯ

184 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) [sage]：2012/07/11(水) 07:22:01.06 ID:TZmTWQ7c0

乙！
皆いちゃいちゃしてて可愛いすぎるｗｗ

185 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/07/11(水) 07:35:52.83 ID:nukdgGiko

乙

186 ：ななし ：2012/07/12(木) 00:36:25.84 ID:FwVHY2wAO

照の天然ヘタレから、こんなガチの麻雀ネタに進むとは思わなんだ。

187 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/07/12(木) 05:25:39.13 ID:LDzdxbcao

乙

188 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/07/12(木) 11:53:43.45 ID:m7Qs7O0zo

エイドリアンかわいい

189 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/07/12(木) 15:51:19.49 ID:AmCpjgNA0

今全部読んで追いついた。
ガチのマージャン描写もキャラの描写も実にすばらです！期待

190 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:04:04.54 ID:FgtDD1j70

感想レスに対して、ロクに返信をせず申し訳ありません。

>>186
カッとなってやった感じです。まだ先になりますが、お約束どおり怜さんと照さんでゆったりと先鋒戦を語るお話も用意するしだいですので、もう暫くお付き合いくださいませ。

>>188
最初に出てきたのが映画のロッキーに出てくる妹さんでした。何故かは分かりませんが。

>>189
ありがとうございます。麻雀でキャラを魅力的に書けたら、それはすばらなことだと思います。
本編がどのような形で決着を迎えるのかは分かりませんが、「こういう話も悪くないよね」と思ってもらえるように頑張りたいと思います。

191 ：中堅戦前半戦 01/18 [saga]：2012/07/14(土) 15:28:24.46 ID:FgtDD1j70

──白糸台控え室

淡「先輩、いい加減機嫌直してくださいよ」

照「……」ﾌｲｯ

菫「お前達、まだやってたのか」ｱｷﾚ

誠子「いやー、他校にばっちり見られちゃいましたねー」ｹﾗｹﾗ

淡「亦野先輩ももう」

照「……」ﾑｽｯ

淡「あー、ますますいじけちゃったじゃないですか」

淡「先輩も堂々と買ってくれたらよかったのに。なんで隠れて買ったんです？」

照「……淡の事だから、きっとからかうに決まってる」

淡「そんな事しませんよ。先輩がこそこそしてるから気になっただけで。私だってプリン好きですもん」

照「本当にそう思ってる？」

淡「私が甘党なのは知ってるでしょう」

菫「甘党というか、子供舌だろ大星の場合は」

誠子「コーヒーは砂糖とミルクたっぷりじゃないとダメ、寿司もさび抜きじゃないとダメなんだもんなぁ」ﾌﾟｷﾞｬｰ

淡「ぐぬぬ……と、とにかくそういうことです。別に先輩がフードコートで全国生徒に見られながらオムライスとプリンを食べたって、誰も何も言いませんよ」

菫(その言い方はどうなんだ)

照「……ん」

誠子(あっ、それでいいんだ)
菫(良いのかそれで)

淡「さっ先輩。渋谷先輩の応援しましょうか」

照「ん」

菫「まぁ、渋谷なら心配することはないだろう」

誠子「そうっすね。半荘二回、何分で終わるか予想してみます？」

菫「休憩を除いて、まぁ丁度1時間というところか」

淡「普通に考えて、かなり早いですよねーそれって」

照「1半荘30分……東風でみれば15分」

誠子「普通はもっとかかるだろうけどね」

菫「まぁ、渋谷だしな」

淡「そうですねぇ。渋谷先輩ですし」

照「ん」

192 ：中堅戦前半戦 02/18 [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:29:16.12 ID:FgtDD1j70

──同時刻、阿知賀控え室

穏乃「憧、大丈夫かな」ｿﾜｿﾜ

灼「まだ始まってもないんだから、落ち着いて」

玄「憧ちゃんなら大丈夫だよ。ね、おねーちゃん」ｽﾘｽﾘ

宥「うん、私もそう思うよ」

春絵(なんで二人を一緒にしたのさ)

灼(無茶言わないでよハルちゃん……)

穏乃「そうじゃなくてですね……何ていえばいいんだろう」

玄「？」
灼「？」
宥「……」

穏乃「なんかさっきの憧は、いつもと違ったって言いますか……」

玄「そうかなー」

灼「いつも通りだったと思うけど」

春絵「……サラダ、残してたな」

穏乃「そういえば、そうですね」

玄「でも、憧ちゃん元から少食って言ってたよね？」

灼「それにしても食べなさすぎ……憧の事だから、体型がどうのとか言いそうな気もするけど」

穏乃「そんな変わってないけどなぁ……昨日お風呂入ったときもそんな話しなかったし」

玄「……」
宥「……」
灼「……」
春絵「……」

穏乃「ん？　なんですか？」

玄「ううん、なんでもないよ……」
宥「お風呂、あったかくていいよね、うん……」
灼「そ、そろそろ試合始まりそうだね……」
春絵「さ、応援するか」

穏乃「？　？？？」

4人((((一緒に入ってるんだ……))))

193 ：中堅戦前半戦 03/18 [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:30:01.67 ID:FgtDD1j70

──同時刻・新道寺控え室

哩「……」ｺﾞｺﾞｺﾞ
(真ん中のソファで腕組み)

姫子(花田、何とかすっとよ)ﾋｿﾋｿ

煌(そういわれましても。私が何をしたんでしょうか)ﾋｿﾋｿ

姫子(おま……本当に分かっとらんか)ﾋｿﾋｿ

煌(ラーメンがお気に召さなかったとかですかね？)ﾋｿﾋｿ

姫子(……)ｱｷﾚ

哩「……おい」

姫子「はいっ!」ﾋﾞｸｯ
煌「なんでしょう!?」ﾋﾞｸｯ

哩「部屋の隅で何さ話とる。座れ」

姫子「……」
煌「……」

哩「聞こえなかったか」
哩「す、わ、れ」ｷﾞﾛｯ

姫子「……はい」ﾁｮｺﾝ
煌「……はい」ﾁｮｺﾝ

煌(なんでこっちに来るんですか。反対側空いてるじゃないですか)
姫子(皆まで言わんとよ。盾や盾)
煌(酷くありませんか!?)

哩「……」ﾁﾗｯ

哩(……何を八つ当たりしとるんね、私は)ﾊｧ
哩(花田がああなのは、今に始まったことじゃなかとね)ﾌｩ


姫子(空気ば少し落ち着いたっけ？)
煌(みたいですねぇ)

194 ：中堅戦前半戦 04/18 [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:30:52.02 ID:FgtDD1j70

──中堅戦・前半

──東1局 親：新道寺 ドラ：7s

起親：新道寺(新道寺) 74,200
南家：セーラ(千里山) 33,400
西家：尭深(白糸台) 193,400
北家：憧(阿知賀) 99,000


新道寺(2位の阿知賀とは25,000点差。この立ち親は大事ね)ﾁｬｯ ﾁｬｯ

新道寺配牌：2m【5m】7m8m 2p2p6p9p 4s6s9s 東発中 打中


セーラ(……泉はなんも悪ない。チームの責任は、チーム全員で負うもんや)ﾁｬｯ ﾁｬｯ
セーラ(ただまぁ、阿知賀には悪いけど、今回は遊んでる暇はないわな)
セーラ(せやから……)
セーラ(潰させてもらうわ)

セーラ配牌：3m7m8m9m 1p1p4p6p8p 1s6s8s 西


尭深(……ん)ﾁｬｯ ﾁｬｯ ｵﾁｬｽﾞｽﾞ
尭深(……)ﾁﾗｯ
(視線の先は憧)

尭深配牌：1m2m4m5m 2p【5p】5p7p9p9p 6s6s8s


憧(……)ﾁｬｯ ﾁｬｯ
憧(2戦終わって、ほぼ原点の2位、か)
憧(トップとは10万点、3位とは25,000点差)
憧(2位まで抜けられるんだから、無理にトップを狙うんじゃなくて、3位との点差を考えて打ったほうがいいか)

憧配牌：2m6m8m9m 1p3p4p8p8p9p 北白中

195 ：中堅戦前半戦 05/18 [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:31:29.37 ID:FgtDD1j70

──7巡目

尭深「……」ﾀﾝ 打【5p】

憧「チー」ﾀﾝ 打9p


──8巡目

尭深「……」ﾀﾝ 打7m

憧「チー」ﾀﾝ 打2m


──9巡目

尭深「……」ﾀﾝ 打6s

憧「ロン」

憧手牌：8p8p 4s5s 北北北 (�Fm6m8m)(【�D】p3p4p)


憧「2,000」

尭深「……ん。はい」ﾁｬﾗｯ

尭深「……」ｸｽｯ ﾊﾟﾀﾝ

尭深手牌：1m3m4m5m 2p5p7p 【5s】6s8s9s 東発


新道寺(親ば流された……)

新道寺手牌：1m2m3m4m6m7m8m 4p4p6p8p 東東


セーラ(3副露させて親流し。エグいでホンマ。多分、そのくせ役牌はきっちり抑えとるんやろな)

セーラ手牌：7m8m9m 2p3p 1s1s3s5s 西西発発


白糸台：191,400
阿知賀：101,000
新道寺： 74,200
千里山： 33,400

196 ：中堅戦前半戦 06/18 [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:32:44.23 ID:FgtDD1j70

──東2局 親：セーラ　ドラ：1m

──6巡目

尭深「……」ﾁｬｯ
尭深「……」ﾁﾗｯ
(憧の河を見る)

尭深「……」ﾀﾝ 打4m

憧「ロン」

憧手牌：3m【5m】8m8m 2p3p4p6p7p8p ((中)中中)


憧「2,000」

尭深「……ん。はい」ﾁｬﾗｯ

憧(……和了してるのに、しっくりこない)
憧(この上家……私を利用して早く終わらせようとしてる、のかな)
憧(……)
憧(いや、気にしても始まらない。例えそうだとしても、2位のうちが1位から直取りして悪い筈がない)
憧(利用するならすればいい、私もその分利用──和了らせてもらう)

尭深「……」ﾊﾟﾀﾝ

尭深手牌：1m2m3m5m6m7m8m9m 4p5p7p 西北


白糸台：189,400
阿知賀：103,000
新道寺： 74,200
千里山： 33,400

197 ：中堅戦前半戦 07/18 [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:33:40.54 ID:FgtDD1j70

──白糸台控え室

誠子「9分で東3局……本当あいつらしいな」

淡「露骨な抜き打ちですよねー。ここで手牌見てるとなおさら」

菫「下家が鳴き麻雀をしてくれる奴だったのが渋谷にとってはより有利だな」

照「これで、渋谷の親番」

淡「差し込んだ分を回収する番ですね」

菫「まぁ差し込むだけだったら、1軍でこうして打ってないからな」

誠子「子で差し込んで親であがる。本当大人しい見かけしてエグい奴っすよ」

菫「合理的と言ってやれ」

198 ：訂正です [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:37:46.17 ID:FgtDD1j70

18話ではなく、20話に分かれそうですので、分母を訂正して投下を続けます。

199 ：中堅戦前半戦 08/20 [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:40:24.91 ID:FgtDD1j70

──東3局 親：尭深 ドラ東

──8巡目

憧「……」ﾁｬｯ

憧(今度は一転して鳴けなくなった。さすがに親を捨ててまで差し込んではくれないか)
憧(1向聴……だけどこの東は生牌なうえにドラ)

憧(……張ったら、押す)ﾀﾝ 打9s

憧手牌：3m4m【5m】 2p3p4p【5p】 3s4s5s6s7s 東


尭深「……」


新道寺「……」ﾁｬｯ

新道寺(テンパイ、ばってん生牌ば切らんとならんね)
新道寺(……3位やけん、ここは押す！)

新道寺「……リーチ!」ﾀﾝ 打東

新道寺手牌：3m3m3m7m7m 3p3p6p6p6p 4s【5s】6s

新道寺捨牌：南白9s8p中 2p白東(リーチ)


憧(東は通るのね。これはイケる)

尭深(……)


セーラ「追っかけや。リーチ」ﾀﾝ 打5m

セーラ手牌：7m8m8m9m9m 7p8p9p 1s1s 7s8s9s

セーラ捨牌：北発4p6s中 5p1m5m(リーチ)


憧(危険牌……きついわね)

尭深「……」ﾁｬｯ

尭深「……リーチ」ｽﾄﾝ


新道寺(えっ……)

セーラ(ど真ん中の危険牌をツモ切りリーチ──……)

憧「チー!」

憧手牌：3m4m【5m】 2p3p4p【5p】 3s4s5s 東 (�Gs6s7s)


憧(これでテンパイ。東は1枚切れ、現物とその筋)

尭深捨牌：北4s南1p5m 1p5p8s


憧(親も通りそうだし、ここは2p切って2色確定させる!)ﾀﾝ 打2p


尭深「……ん。ロン」ﾊﾟﾀﾝ

憧「えっ──」

200 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]：2012/07/14(土) 15:43:40.68 ID:YM3CDHQyo

うひゃーきてるー

201 ：中堅戦前半戦 09/20 [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:44:45.80 ID:FgtDD1j70

尭深手牌：1m1m1m2m2m2m 2p2p4p【5p】6p 東東


尭深「……ん。立直ドラ3、裏はなし。12,000」

憧「なっ……」

憧(新道寺の東で上がればダブ東ドラ4で18,000なのに、それを見逃しして、ツモ切り立直……!?)
憧(しかも、2pと東どっちを切っても当たってる……)
憧(偶然なの……？)


白糸台：203,400
阿知賀： 91,000
新道寺： 73,200
千里山： 32,400


──東3局1本場 親：尭深 ドラ：8p

──11巡目

尭深「……」ﾀﾝ 打8p

新道寺(ドラ……張ったっと？)
セーラ(関係あらへん。俺が和了ればいいだけや)

尭深手牌：3m3m4m4m【5m】5m ???????


憧(鳴けば1向聴……だけど、ドラを鳴いたら警戒されるだけ。せめて1鳴きテンパイでないと)ﾁｬｯ

憧手牌：6m7m8m 1p2p3p4p8p8p9p 3s4s6s ツモ6s


憧(これで1向聴。辺7pと8p6sのポンテン、どちらを取るか……)
憧(……)ﾁﾗｯ

新道寺捨牌：発北1s東1m 4p2m中白9p

セーラ捨牌：南西2p9p白 7p3s西北1s


憧(7pは1枚切れ……だけど、序盤に4pを切ってる新道寺と今ドラを切った親が持っててもおかしくはないか)
憧(だとしたら、萬子に手が寄ってそうな千里山からの8p6sポンテンを取る)ﾀﾝ　打1p


新道寺(やっとこさ2向聴。ここは大人しくしてた方がよさげやね)ﾀﾝ 南ツモ切り

セーラ(……)ﾁｬｯ
セーラ(張った。ダマでも十分なんやろうけど……)

セーラ「リーチ」ﾀﾝ　打6m

セーラ(ここは周りを降ろす。下がってろ！)

セーラ手牌：2m3m4m5m6m7m8m9m 東東東中中

202 ：中堅戦前半戦 10/20 [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:45:37.60 ID:FgtDD1j70

尭深「……」ﾁｬｯ
尭深「……」ﾀﾝ 打8p

新道寺(今度はドラのトイツ落とし……？)
セーラ(なにやってるんや、この親は……!)

憧「……ポン!」

憧(何やってるのか知らないけど、鳴かせてくれるなら好都合)
憧(満貫あがって、プラマイ0に戻す！)ﾀﾝ 打9p



尭深「──ん。ロン」



尭深手牌：3m3m4m4m【5m】5m 【5p】5p6p6p7p7p9p


尭深「……ん。9,900」

憧(そ、んな──)ｶﾞﾀｯ
憧(だって今、ドラをトイツ落とししたのよ!?)

尭深捨牌：西1s南2m7m 発5s2s中2s 8p8p


憧(タンヤオも平和も二盃口も捨てて、なんで七対子……しかも9p地獄単騎に!?)


新道寺(……そんな理由、ひとつしかなか)
セーラ(お前からラス牌の9pが出ると思ったから……なんていっても、信じられへんやろな)


白糸台：214,300
阿知賀： 81,100
新道寺： 73,200
千里山： 31,400

203 ：中堅戦前半戦 11/20 [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:47:44.12 ID:FgtDD1j70

──阿知賀控え室

穏乃「憧……」

宥「憧ちゃん、狙われてる……」

玄「親倍満をすてて9p地獄単騎なんて、おかしいよ」


春絵「……憧が最後の9pを持ってるって分かってたんだろうな」


灼「ハルちゃん。それってどういう……」

春絵「これまでの牌譜から、憧の副露率が高いことはすぐにわかる」
春絵「実際、東1・2局はそれで早和了りしたしね」

春絵「でも、それで却って副露した余り牌を狙われる形になった」

穏乃「……8pを鳴いてタンヤオに向かえば、9pはどうしても使えなくなる」

春絵「8pを鳴く前に逡巡したのを合わせて、見抜かれたんだろうね」
春絵「でも、点棒を失うより、もっとマズい事は……」

穏乃「……これで憧が、鳴くのをためらうこと」

春絵「そうだな」

春絵(憧、折れるなよ)

穏乃(憧……)

204 ：中堅戦前半戦 12/20 [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:49:09.28 ID:FgtDD1j70

──東3局2本場 親：尭深 ドラ：2s

──13巡目

尭深「……」ﾁｬｯ
尭深「……」ﾀﾝ 打4m

憧「……っ」

憧(2枚目の4m。鳴けばテンパイ……だけど)

憧手牌：3m5m6m7m8m 6p7p 4s4s【5s】6s7s8s


憧(赤5sを切らないとテンパイできない)
憧(もう13巡目、張っててもおかしくない。しかも、私は狙われてる)
憧(……)
憧(……だめ、鳴けない)


セーラ(テンパイ。やけど、さっきからリーチ蹴られとるからな。俺のリーチに目がいった阿知賀が白糸台に振り込む、さっきからその流れや)ﾁｬｯ

セーラ手牌：4m4m5m 3p4p5p 2s2s2s3s4s5s6s ツモ4s


セーラ(……4mで阿知賀が止まった。鳴きたかったんやろうけど、悪いな。4mはもう純カラやねん)
セーラ(弱いもんイジメみたいで悪いけど、許せや)ﾀﾝ 打4m

憧(3枚目──)
憧(……いや、鳴いて赤5s切って振るなら、これは面前で仕上げたほうがいい。私は間違ってない)


新道寺(テンパイ……やけん、リーチする必要はなか。放っておけば、阿知賀が勝手に脇に振り込むやろ)ﾀﾝ 打5s

憧(5s……通ってたの……!?)
憧(……結果論を言っても仕方ない。食いタン、3色がついても2,600をつくるなら、面前で赤5s残しての変化のほうが期待できる)
憧(ここは我慢……)

尭深「……」

尭深手牌：1m2m3m 9m9m 7p9p 7s9s 東東西北 ツモ8p

205 ：中堅戦前半戦 13/20 [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:49:49.22 ID:FgtDD1j70

尭深「……」ｸｽｯ
尭深「……」ﾀﾝ　8pツモ切り

憧(あ……)
憧(4mを鳴いてれば、8pツモってた……!?)

憧(鳴かないで後悔なんて、何やってるんだあたしは……)ﾁｬｯ

憧手牌：3m5m6m7m8m 6p7p 4s4s【5s】6s7s8s ツモ【5m】


憧(赤5m! これで3枚切れの4mに頼る必要がなくなった)
憧(高目3色も見えてきた。とられた分は取り返す！)ﾀﾝ 打3m

セーラ「ロンや」

憧「……っ」
憧(千里山がダマだなんて……!?)

セーラ「タンピン三色ドラ4つ」

セーラ手牌：4m5m 3p4p【5p】 2s2s2s3s4s4s5s6s


セーラ「……高目は16,600やな」

憧「……はい」

憧(ダマで倍満……)

憧(これで、3位転落)

憧(あれ……)

憧(あたし、これで何点振り込んだんだっけ……)

憧(あたし、今日何点あがったっけ……)

憧(今、東場だっけ……？ 南場だっけ……？)

憧(あたしは、どうすればいいの……？)

憧(……)

憧(しず……)

白糸台：214,300
新道寺： 73,200
阿知賀： 64,500
千里山： 48,000

206 ：中堅戦前半戦 14/20 [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:50:33.71 ID:FgtDD1j70

──東4局 親：憧 ドラ：北

──8巡目

憧(親番……なのに、この配牌)
憧(ツモも酷い……4巡連続ツモ切り)ﾁｬｯ
憧(また字牌……全く手が進まない)

憧手牌：1m3m3m 8p9p9p 2s4s6s 東東白中 西ツモ切り


新道寺(2向聴)ﾁｬｯ
新道寺(何もせんで2位さなれたね)
新道寺(きっとまた白糸台は鳴かせて差込なりするんやろ)
新道寺(なら……)
新道寺(少し露骨やけど、乗らせてもらいましょうかね)

新道寺手牌：【5m】 2p 1s1s3s【5s】6s7s7s8s 北中中 ツモ1s 打2p


セーラ(阿知賀はツモ切りが続いとる。連続放銃やからな、そらツキも落ちるやろ)ﾁｬｯ
セーラ(この手のタイプは、調子に乗るとメンドイけど、一度崩れると立ち直れへんタイプ。もう一押しやな)

セーラ(新道寺は……索子か。放っておいたら白糸台に協力されてまうな)
セーラ(阿知賀を追い詰めつつ、白糸台と新道寺の早流しを止める)
セーラ(そのためには……)

セーラ「リーチ」ﾀﾝ 打北

セーラ(こっちから勝負をふっかける！)

セーラ手牌：6m7m7m8m8m9m 3p3p3p 【5p】5p 南南


新道寺(ドラ切りリーチ……!)
白糸台(ん……)
憧(くっ……)

尭深「……」ﾁｬｯ

尭深手牌：4m5m5m6m 4p6p 2s3s4s 東北白白

セーラ捨牌：西1p1m9s発 1p8p北(リーチ)


尭深「……」ﾀﾝ

──尭深、打5m

207 ：中堅戦前半戦 15/20 [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:51:25.95 ID:FgtDD1j70

憧(リーチに対して、無筋の5m……)
セーラ(振っても痛くも痒くもないっちゅうことかい……その余裕、気に入らんな)


──10巡目

憧手牌：1m3m3m 8p9p9p 2s4s6s 東東白中 ツモ7p


憧(やっと有効牌)
憧(でも、下家の新道寺は索子の染め手……白も中も危ない)
憧(通りそうなのは1mか9pくらいだけど……そこで白糸台に待たれてるかも)
憧(何なら通るんだろう)
憧(どうしよう……ここしかない)ﾀﾝ 打1m


セーラ(迷ってんなぁ。二回戦とはえらい違いやな)
セーラ(そのまま縮こまっとってくれや)


新道寺(白糸台が危険牌ばきってくれたおかげで、勝負さいけるようになった)ﾁｬｯ
新道寺(カン4s！ これは行くしかなかとね！)

新道寺「リーチ!」ﾀﾝ

新道寺手牌：2p 1s1s1s3s【5s】6s7s7s8s9s 中中 ツモ4s 打【5m】


セーラ(追いつかれた、けど関係あらへん。その点棒も貰ったる)ﾁｬｯ
セーラ(索子……! くっ)9sツモ切り

新道寺(そこやない。やけどこの3面張、山におるよ！)


尭深「……」ﾁｬｯ
尭深「……ん。リーチ」ﾀﾝ 打北


憧(そんな……)
憧(3軒リーチ──)ﾁｬｯ

208 ：中堅戦前半戦 16/20 [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:54:28.06 ID:FgtDD1j70

──12巡目


憧手牌：3m3m 7p7p9p9p 2s4s8s 東東白中 ツモ5p


憧(……現物が、1枚もない……)
憧(それどころか、手牌全てが生牌……)
憧(こんなことって、ありえるの……？)


新道寺手牌：1s1s1s3s4s【5s】6s7s7s8s9s 中中
新道寺捨牌：2m9m南4m6p 8p1m2p北【5m】(リーチ) 8m


セーラ手牌：6m7m7m8m8m9m 3p3p3p【5p】5p 南南
セーラ捨牌：西1p1m9s発 1p8p北(リーチ)3s9s 7m


尭深手牌：4m5m6m 4p5p6p 2s3s4s 東東白白
尭深捨牌：西2p2m発9m 8s5s5m4p北(リーチ) 7s


憧(字牌と索子は絶対切れない……)
憧(そうすると、3mか筒子、合わせて7枚から選ばないと……)

憧(3mは……)ﾁｬｯ

憧(……通れば2巡凌げるけど、無筋すぎる)ﾓﾄﾞｼ

憧(筒子は……8pが3枚見えてるから9pは通りそうだけど)ﾁｬｯ
憧(1枚も見えてないって事は、千里山か白糸台がトイツで持ってる可能性が高い)
憧(だとしたら、字牌と同じで生牌は切れない。シャンポンになってるかもしれないから)ﾓﾄﾞｼ

憧(そうすると、結局この5pをツモ切るしかない……)
憧(2p8pが通ってるから、他の生牌に比べればまだマシかもしれないけど……)


憧(……)
憧(…………)
憧(これしか、ない……)


──憧、5pツモ切り

209 ：中堅戦前半戦 17/20 [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:55:18.67 ID:FgtDD1j70

セーラ「……」

憧(通った……？)

尭深(……ん)

新道寺(生牌……よっぽど行き詰ったっとね)ﾁｬｯ 3mツモ切り


セーラ「……」ﾁｬｯ

セーラ「……ツモ!」ﾊﾟﾁﾝ

セーラ手牌：6m7m7m8m8m9m 3p3p3p【5p】5p 南南 ツモ【5p】


憧(えっ……)
新道寺(阿知賀の5pば見逃しやって……!?)
尭深(……)


セーラ「リーヅモドラ2……裏2丁。3,000・6,000」

憧(……)ﾊﾟﾀﾝ
憧(ラス、転落……)ｳﾂﾛ

セーラ(出和了やと裏のらんと抜けへんからな)
セーラ(見逃しされて親被りツモ……)
セーラ(大分心折れたんちゃうか？)


尭深(……ふぅん)

白糸台：210,300
新道寺： 69,200
千里山： 62,000
阿知賀： 58,500

210 ：中堅戦前半戦 18/20 [saga　sage]：2012/07/14(土) 15:56:03.09 ID:FgtDD1j70

──南2局 親：セーラ ドラ：9m

──流局

尭深「テンパイ」

セーラ「ノーテン」

新道寺「ノーテン」

憧「ノーテン……」

憧(……私の捨牌で和了れたはずなのに、和了らなかった)
憧(なんで……千里山も白糸台も、何考えてるの？)

セーラ(理解が早くて助かるわ、ホンマに)
セーラ(このメンツと二回戦のメンツを比べてもしゃーないけど、1回トップとられたのは事実やからな)
セーラ(潰せるときに潰さなアカン思っただけや。スマンな)

尭深(……)


──南3局 親：尭深 ドラ：6m

──12巡目

セーラ「ツモや。1,300・2,600の1本漬け」

新道寺「はい」ﾁｬﾗｯ
尭深「……ん」ﾁｬﾗｯ
憧「はい……」ﾁｬﾗｯ

憧(また、あたしの和了牌を見逃してツモ……)
憧(これで3回目……あたしが何したって言うのよ)

憧(ほぼ原点でタスキもらって、なんでこんなことになってるんだろ)
憧(控え室戻りたくないなぁ……)
憧(春絵もこんな気持ちで打ってたのかな)

憧(……はは。そりゃ、麻雀嫌になるわ)

憧(あぁ、もう……帰りたいなぁ)
憧(こんなことなら、素直に晩成に行けば良かったな……)
憧(晩成に行ってれば……)

憧(……)


白糸台：210,600
新道寺： 66,800
千里山： 66,500
阿知賀： 56,100

211 ：中堅戦前半戦 19/20 [saga　sage]：2012/07/14(土) 16:00:17.86 ID:FgtDD1j70

──南4局(オーラス) 親：憧 ドラ：1m

──9巡目

セーラ「──い。おい」

憧「……」

セーラ「おーい」

憧「……あ、はい？」

セーラ「ツモ番やで」

憧「あ……すいません」ﾁｬｯ

憧「……」

憧手牌：3m7m9m 2p2p6p7p 1s4s4s6s 北発 ツモ：【5s】

憧(……晩成に行って、そこそこ麻雀頑張ってたとして)
憧(そこそこの大学行って、そこそこの会社に就職したとしても)
憧(それがそこそこ幸せだったとしても)


憧(──そこに、しずはいない)


憧「……」ﾁﾗｯ


新道寺捨牌：東中9s南8p 6s(リーチ)9p5s

セーラ捨牌：西1p南中5m 2m西7s(リーチ)

尭深捨牌：9p8m6m東6m 9p5p5s


憧「……ちょっと失礼します」ｷﾞｼｯ

憧「……ふぅ」
(ため息を吐いて目を瞑る)

憧「……」ｿｯ

憧(56,100点……大分削られちゃったな)

憧(普通ならもうとっくに飛んでる)

憧(でも、飛んでない。まだ生きてる)

憧(まだ、生きてる)

憧(生きてる限り、あいつなら、きっと諦めない)

憧(これは、個人戦じゃないんだ)ﾀﾝ 【5s】ツモ切り

憧(玄と宥姉があたしに託したバトンを)ﾀﾝ 6s

憧(今度はあたしが、後ろにつながなきゃいけない)ﾀﾝ 2p

憧(あたし1人が、勝手に諦めるわけにはいかない！)ﾀﾝ 2p

212 ：中堅戦前半戦 20/20 [saga　sage]：2012/07/14(土) 16:01:47.04 ID:FgtDD1j70

──流局

新道寺「テンパイ」

新道寺手牌：1m1m4m【5m】6m7m8m 1s2s3s 7s8s9s


セーラ「テンパイ」

セーラ手牌：2m3m4m 6p7p8p 2s2s3s3s4s 6s6s


尭深「……ん。テンパイ」

尭深手牌：2p3p4p4p4p 北北北白白白発発


憧「……ノーテン」

憧手牌：3m6m6m9m 1p1p6p7p 1s4s4s 北発


新道寺(この3面張さあがれんとね……阿知賀に抱えられとっとかね)

セーラ(東3局から鳴かなくなって、折れたかと思ったんやけどな……3人の和了牌執念で抱えよったんか)

尭深(……)


憧(手牌の中、10枚が当たり牌……)

憧(振り込めってばかりに引かされたわねー)

憧(でも)

憧(振らなかった。ツモらせなかった)

憧(ここで諦めたら、しずに合わす顔がないもの)

憧(あたしは、諦めない)


憧(……)

憧(…………)

憧(……や、本当はちょっと泣きそうだったけどさ)

白糸台：213,600
新道寺： 66,800
千里山： 66,500
阿知賀： 53,100

※オーラス流局時のリーチ棒はトップに渡されます。

213 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/14(土) 16:03:02.75 ID:FgtDD1j70

以上、中堅戦前半戦でした。次はインターバルを挟んで後半戦です。

214 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]：2012/07/14(土) 16:07:33.79 ID:YM3CDHQyo

シズアコいいよーシズアコ

215 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/07/14(土) 17:09:20.13 ID:78hu/Kujo

色々と間違えてるぞ

216 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/07/14(土) 17:58:01.88 ID:4DgksByDO

緊張感あり、あり！


いいーな！

217 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/14(土) 19:56:13.37 ID:FgtDD1j70

>>215に基づき、自分で気づける限りの修正・フォローをします。

>>199について
8sをど真ん中という表現は正しくないですね。正しくは5sを鳴いたものとお考えください。

>>204について
セーラの4m切りに対して、憧は鳴けば〜と心の中でつぶやいていますが、当然セーラ(対面)の牌を憧はチーできません。
あくまで「3枚目のカン4mが出てしまった、これならさっきの白糸台(上家)の4mを鳴いておけば」、という意味です。
ちなみに食いタンドラ1で2,600なのは、2本場だからです。

>>205について
3色とはなんだったのか。
正しくは　4m5m 3p4p【5p】 2s2s2s3s3s4s4s5s で憧の3mをロン和了したものとお考えください。

今後できる限りこういったミスは減らしていきたいと思います。失礼しました。皆さんも遠慮なくミス等を指摘してくだされば幸いです。

うーんこの>>1。管理体制はボロボロ。

218 ：ななし ：2012/07/14(土) 20:28:47.13 ID:6DB3UEYAO

麻雀まったく分からないけど、なんとなく面白いのは分かる。
でもぶっちゃけ早く打ち終わって照照祭を期待する。

219 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/07/14(土) 20:28:58.10 ID:78hu/Kujo

あと>>202もリャンペーつくと思う

220 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]：2012/07/14(土) 20:47:58.28 ID:po+AgJrAO

>>202はﾘｬﾝﾍﾟｰ赤2じゃないか?ﾁｰﾄｲはつかんよ確か

221 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/14(土) 20:48:14.35 ID:FgtDD1j70

>>219
ありがとうございます。
以下のように変更します。

中堅戦前半戦 10/20

尭深「……」ﾁｬｯ
尭深「……」ﾀﾝ 打8p

新道寺(今度はドラのトイツ落とし……？)
セーラ(なにやってるんや、この親は……!)

憧「……ポン!」

憧(何やってるのか知らないけど、鳴かせてくれるなら好都合)
憧(満貫あがって、プラマイ0に戻す！)ﾀﾝ 打9p



尭深「──ん。ロン」



尭深手牌：3m3m4m4m【5m】5m 【5p】5p6p6p7p7p9p


尭深「……ん。12,300」

憧(そ、んな──)ｶﾞﾀｯ
憧(だって今、ドラをトイツ落とししたのよ!?)

尭深捨牌：西1s南2m7m 発5s2s中2s 8p8p


憧(なんでタンヤオも平和も捨てて……9p地獄単騎に!?)


新道寺(……そんな理由、ひとつしかなか)
セーラ(お前からラス牌の9pが出ると思ったから……なんていっても、信じられへんやろな)


白糸台：216,700
阿知賀： 78,700
新道寺： 73,200
千里山： 31,400


加えて、中堅戦前半戦終了時の点数を以下のように訂正します。

白糸台：216,000
新道寺： 66,800
千里山： 66,500
阿知賀： 50,700

222 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/07/16(月) 19:51:56.51 ID:aTbEgk+Q0

がんばれ

223 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/07/17(火) 17:03:08.02 ID:606/M0DZo

萬子　一〜九
筒子　�@〜�H
索子　１〜９

の方が読みやすいと思うが

224 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/17(火) 21:46:21.78 ID:wSI63Ewj0

>>223
アドバイスありがとうございます。
しかし大変心苦しいのですが、実は私、その牌の分け方だとちっとも区別がつかなくなるポンコツなのです。
許してください、ｵﾅｼｬｽ! 何でもしますから!

225 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/07/18(水) 14:06:14.94 ID:voRGj3p+o

ん？今なんでもするって言ったよね？

226 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]：2012/07/19(木) 11:06:26.15 ID:BYnBBsZXo

手牌だと「1m」とかのほうがみやすいし、
河だと「一」のほうが見やすい。


個人の意見です。

227 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/19(木) 18:01:26.68 ID:6Gl7b5tl0

複数の意見をいただきましたので、牌の書き分けについて変更いたします。

もう既に書き終えてしまった中堅戦後半は従来の通り、萬子＝m 筒子＝p 索子＝s とし、
副将戦以降は 萬子＝一〜九 筒子＝�@〜�H 索子＝１〜９ としたいと思います。

よろしくお願いしたします。

228 ：中堅戦後半 01/29 [saga]：2012/07/19(木) 23:38:55.64 ID:6Gl7b5tl0

──会場内トイレ個室

憧「……ふぅ」
(壁に寄りかかる)

憧(ついつい一人になりたくてトイレ来ちゃったけど。皆探してたりするかな)
憧(あー……まぁいいか。灼さんがフォローしてくれるでしょ)
憧(それより今は、ちょっと静かに休憩したい)


憧(……白糸台には鳴いたところを直撃狙い)
憧(それはまだ分かるけど、結局当たり牌をスルーしてたのは何でなんだろ)

──こー……

憧(……まぁ、それはいいや。何か企んでたんだろうけど、どうでもいいや)
憧(それよりも今は点差を考えなくちゃ)

──あこー……

憧(面前で早くテンパイできればベストだろうけど)
憧(面前で速度と点数を両立できるほどあたしは強くない)
憧(かといって、鳴けば白糸台に狙われる)

？？？「憧ー……？」ｺﾝｺﾝ

？？？「……いや、違うっとね。よそ行き、よそ」

？？？「あっ、すいません」


憧(でも、面前でのんびり仕上げるのは尚更あたしには向いてない)
憧(…半荘1回狙われたくらいで凹んでたら、上になんていけない)

？？？「憧……？」ｺﾝｺﾝ

憧「……」

？？？「憧……？」ｺﾝｺﾝ

憧「だー、うるさい！」ﾄﾞｱﾊﾞﾝ ｶﾞﾁｬｯ

？？？「ぴっ」

憧「あ」

穏乃「ご、ごめん……」ｼｭﾝ

憧「あー、いや……ちょっと考え事してただけだから、うん。気にしなくていいから」

穏乃「本当に……？」

憧「あー、うん。ホントホント」

憧(全っ然気づかなかった。いつからいたんだろ)

229 ：中堅戦後半 02/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:39:40.99 ID:6Gl7b5tl0

憧「んで、なんでまたこんなところにまで」ｵﾃﾃｱﾗｲ

穏乃「それは……その」

憧「うん？」ｷｭｯｷｭｯ

穏乃「探してたんだけど、見つからなくて……もしかしたら、ここにいるかなって」

憧「探してた？ あたしを？」ﾌｷﾌｷ

穏乃「うん」

憧「なんで？」ｸﾙｯ

穏乃「……。……、だって」ﾒｾﾝｿﾗｼ

憧「……」

穏乃「……」ﾁﾗｯ

憧「…………」

穏乃「…………」ｸﾞｯ

憧「……嘘。ごめん、ちょっとからかっただけ」ﾌｯ

穏乃「なっ……なんだよもー！」ﾑｷｰ

憧「心配してくれたんでしょ。ありがと」

穏乃「……。……、うん……」ｶｧｧ

憧(うーん。むず痒いな)

230 ：中堅戦後半 03/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:40:10.06 ID:6Gl7b5tl0

憧「んー、いや、正直途中は心折れかかったけどさ」

穏乃「白糸台の人……」

憧「うん。鳴いて出る余り牌を狙われてたね。おかげで南場はちっとも鳴けなかったわよ」ｸｽ

穏乃「憧……」

憧「どうせならもう少し面前で仕上げる練習しておくべきだったかなー。なんて」ﾀﾊﾊ

穏乃「……」

憧「まぁ、でも。心配しなくていいから。後半は、」

穏乃「……憧！」

憧「……うぉう……な、なに」ｷｰﾝ

穏乃「うぁ、えっと……んっと」ｱﾀﾌﾀ

憧「いや、考えてなかったんかい」

231 ：中堅戦後半 04/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:40:42.28 ID:6Gl7b5tl0

穏乃「えっと。だから、なんていうか、ええと」ﾓｼﾞﾓｼﾞ ｿﾜｿﾜ

憧「はーい止まれ」

穏乃「んぅ」

憧「あんたはそのじっとできない癖をなんとかしなさい」
(穏乃の額を手で押さえ)

穏乃「うー……」

憧「……あんまり時間があるわけじゃないけど、ゆっくりでいいから」ｱﾀﾏﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

穏乃「……うん」


アナウンス『中堅戦後半開始15分前です。選手の方は速やかに──』


穏乃「……ぁ」

憧「良いから」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

穏乃「……」

憧「待つから」

穏乃「……」ｱｼｿﾜｿﾜ

憧「はーい動かない。じっとする癖をつける」

穏乃「うー」

憧「……待つから」

穏乃「……」ｼﾞﾜ

憧「？」

穏乃「……うゅ」ｼﾞﾜﾜ

憧「ちょ、ちょっと。何で泣くのよ」ｱｾ

232 ：中堅戦後半 05/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:41:14.33 ID:6Gl7b5tl0

アナウンス『中堅戦後半開始10分前です。選手の方は速やかに──』

穏乃「だって。ホントは憧の方が辛いはずなのに。憧のこと励ましに来たのに」ｸﾞｽ

憧「うん」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

穏乃「なのに、なんでこうなるのかなって」ｸﾞｽﾞ

憧「うん」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

穏乃「ごめん……全然言いたいこと言えてない」

憧「うん」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

穏乃「……、何か言ってよ」

憧「待ってるんだよ、しずの言葉を」


アナウンス『中堅戦後半開始5分前です。阿知賀女子の選手は速やかに──』


穏乃「……憧、時間──」

憧「良いから。しずの言葉を聞かせてよ」
(両肩に手を置き見据える)

穏乃「……っ」

憧「頑張れでも何でも良いから。あんたが今思ってることを言ってくれれば良いから」

憧「……、あたしが後半頑張れるようにさ」

233 ：中堅戦後半 06/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:41:48.42 ID:6Gl7b5tl0

穏乃「……。……、憧」

憧「うん」

穏乃「が……頑張れ」

憧「うん」

穏乃「……」

憧「……」

穏乃「……うん」

憧「……え。えぇぇぇ。それだけ？」

穏乃「うわぁぁ、だって本当に何言っていいのかわかんないんだもん！」

憧「はは。まぁあんたらしいといえばらしいけどさ。……それじゃ行ってくる」

穏乃「うん。……あっ、憧」

憧「ん？」

穏乃「そこまで、手繋いでこ！」ｷﾞｭｯ ﾀﾀｯ

憧「えっ、ちょ、ちょっと！」

穏乃「ほら、急がないと失格になるかも！」

憧「分かったから引っ張らないでって！」



憧(……ありがと、しず)

234 ：中堅戦後半 07/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:42:18.45 ID:6Gl7b5tl0

──同時刻・白糸台控え室

尭深「……」ｺﾎﾟｺﾎﾟ

淡「渋谷先輩、前々から一度言いたかったんですけど」

尭深「……ん、なに」ｺﾎﾟｺﾎﾟ

淡「控え室に戻るなり、何も言わずにポットに直行するのはどうかと思います」

尭深「ん」ﾏﾎｳﾋﾞﾝｲｯﾊﾟｲ

菫「……大星。残念ながらもう1年以上言い続けてこれだ。これはもう治らん」

淡「そ、そうですか」

尭深「ん」ﾎｯｺﾘ

照「……それで」

尭深「？」

照「試合はどう？」

235 ：中堅戦後半 08/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:42:51.99 ID:6Gl7b5tl0

尭深「……」ﾒｶﾞﾈﾌｷﾌｷ

淡「まーさすがに余裕でしょうけど。阿知賀の子可哀想ですねー狙われちゃって」

誠子「本当陰湿だよなぁお前って」

尭深「……」ﾒｶﾞﾈｿｳﾁｬｸ

菫「合理的とかクレバーとか、言い方があるだろお前達……」

誠子「いやでも」

淡「でもですねぇ」

菫「仮にもチームメイトなんだぞ。打ち方は人それぞれじゃないか」

誠子「そうは言っても」

淡「本人が気にしてませんからねー」

菫「さすがにそれはな……」

尭深「ふぁ」ｱｸﾋﾞ

菫「Oh......」

照「で、渋谷」

尭深「……ん。どうでしょう」ｼﾚｯ

菫「まぁ、本人が気にしてないなら良い……のか……？」

淡「？ 渋谷先輩、それってどういう……？」

照「……そう」

淡「え、先輩まで何を……」

尭深「……ん。それじゃいってきます」

照「油断は禁物」

尭深「ん。分かってます」ﾊﾟﾀﾝ

照「……ふぅ」ﾋﾀｲﾌｷﾌｷ

淡「いや、ふぅじゃないですよ。何ですかそのやりきったような表情は」ﾋﾟｼｯ

236 ：中堅戦後半 09/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:43:26.07 ID:6Gl7b5tl0

照(渋谷なら大丈夫だと思うけど。でも、取り違えたら困る)

尭深(……オーラス、3軒リーチに対して彼女はおそらく、当たり牌を一人で抱えきった)

照(彼女はプライドが高いのか我が強いのか、それは知らないけど、これまでベタ降りは一切なかった)

尭深(それは今の対局だけじゃなくて、過去の対局でもそうだった。だからこそ前に出る鳴き麻雀が武器なのかもしれないけど)

照(オーラスであれだけ手牌を崩して降りきった彼女の目)

尭深(阿知賀はまだ、諦めてないみたいですね)

尭深(……、まぁ、だからといって私のやることは変わらないけど。前半戦で稼げた分、後半戦は自分の親さえ流しても構わないんだし)ﾌｯ

237 ：中堅戦後半 10/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:43:57.56 ID:6Gl7b5tl0

──同時刻、新道寺控え室

姫子「部長、遅いとですね」

煌「ええ。まさか差し入れにいった私の方が先になるとは」

姫子「そんなに東京の料理合わんかったっとね？」

煌「さぁ……なんだったら、私見てまいりましょうか？」

姫子「えっ……」

煌「というか、見てまいります。何かトラブルがあったのかもしれませんし」ﾃｸﾃｸ

姫子「い、いやいや。そっとしといたほうがよか」ﾋｷﾄﾒ

煌「なぜです？」ｷｮﾄﾝ

姫子「やー、ほら、うん。トイレしとっとる時に人に来られるんさ嫌な人もおるやろうし」

煌「なるほど。それもそうですね。つい焦ってしまいました」ﾀﾊﾊ

姫子「そそ。そいけん座りー」ﾊﾟﾀﾊﾟﾀ

煌「そうしましょう」

姫子(したって部長も遅いね。どこで油ば売っとるんよ)





哩(さっきノックしてきよった阿知賀の奴らまだトイレの前で話しとる……早く行ってよもう……)ﾅﾐﾀﾞﾒ

238 ：中堅戦後半 11/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:44:38.27 ID:6Gl7b5tl0

──中堅戦後半戦

起親：憧 50,700
南家：セーラ 66,500
西家：尭深 216,000
北家：新道寺 66,800

──東1局 親：憧 ドラ：8s

憧「……」ﾁｬｯ ﾁｬｯ

憧(起親……丁度良いわね)
憧(自分らしく打つ決心をして、しずに背中を押してもらったところだったし)
憧(どこに座っても、2回しかない親番)
憧(意地でも和了る！)

憧配牌：2m2m4m6m8m9m 1p2p4p5p 4s8s 発中 打発


新道寺(阿知賀の様子が……最初の感じと同じね)

セーラ(……戻っとるやないか、雰囲気が)ﾌｯ
セーラ(意外としぶといんやな)
セーラ(それならそれでええわ。白糸台に狙われてこのまま宙ぶらりんの3位で終わることはなくなりそうやし)

尭深(……。……、この親は、流さないと嫌な感じがする)


──5巡目

憧「チー!」


──8巡目

憧「ポン!」


──10巡目

憧「……ツモ、1,000オール」


新道寺(早か……)

セーラ(こーれは……しんどくなりそうやな)


白糸台：215,000
新道寺： 65,800
千里山： 65,500
阿知賀： 53,700

239 ：中堅戦後半 12/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:45:50.42 ID:6Gl7b5tl0

──東1局1本場 親：憧 ドラ：西

──12巡目

憧「……」ﾁｬｯ

憧(とりあえず一つ和了れたけど、決して配牌は良くないわね)
憧(っと……ドラの西がトイツか)

憧手牌：1m1m2m3m4m5m7m8m 3p3p4p 【5s】 西 ツモ：西


憧(一通に行くか345の三色か。難しくなっちゃったわね)
憧(12巡目で赤5sを切れるほど特徴的な場じゃない。典型的な順子場)
憧(……)ﾁﾗｯ

新道寺捨牌：北中9s1s南 8s2p中2m東

セーラ捨牌：南9p2s1s4p 白2p4m8s6s

　尭深捨牌：北7s8p9p白 東3p1p北南


憧(……新道寺の2pと2mは手出し。……赤を持ってきてからの345に移行が本命)
憧(そうすると、一通は捨てて三色にするべきか)
憧(……)ﾁｬｯ 2mﾓﾂ

憧(……いや。違う)ﾓﾄﾞｼ

憧(白糸台は北も南も手出し。まだ張ってないと思って良いけど、萬子が高いのが気になる)
憧(千里山も8s6sが手出し。カンチャンを整理してテンパイか1向聴)
憧(なら、山にありそうな25pの為に一つ無理を通す！)ﾀﾝ 打【5s】


新道寺(テンパイ。阿知賀の5ｓ……一歩間に合わずか)

新道寺「……リーチ」

新道寺手牌：3m4m5m 1p1p1p3p4p【5p】 3s4s 発発

240 ：中堅戦後半 13/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:47:09.59 ID:6Gl7b5tl0

憧(ギリギリセーフだったみたいね)
憧(ん、6m。これで1向聴)ﾀﾝ 打1m

──14巡目

セーラ(間にあわへんな……これはアカンな)ﾀﾝ　打2p

憧「チー！」ﾀﾝ　打1m

憧(鳴き一通だから9mでしか和了れないけどテンパイ)


尭深「……」

尭深(……手牌に25sはない。差し込めない)
尭深(しかも、その1mを鳴くと……阿知賀が2巡後に9mでツモ和了る)
尭深(この親は流さないといけない)
尭深(ここは鳴かないで、9mは私が抱える)
尭深(その上で……)

尭深「……」ﾀﾝ 打3m

憧(和了れないところ……やっぱり白糸台相手に片和了はまずかったかな)


セーラ(1mは白糸台が欲しそうなところやけど、鳴かへんかった)
セーラ(鳴かへんかったんやのうて、鳴けへんかったんちゃうやろか)
セーラ(ツモ順がズレるのがアカンっちゅうことか？)

セーラ(とすると……阿知賀の和了牌を白糸台が掴む、っちゅうことやな)
セーラ(せやから対面からは鳴けへんかった。鳴いたらツモられるからな)

セーラ(……白糸台が今一番されて嫌なんは、親の連荘)
セーラ(やったら、こうや)

憧「……」ﾀﾝ 打8p

セーラ「チー」ﾀﾝ 打1p

尭深「……っ」

尭深(千里山……)

セーラ(筒子は鳴けへんやろ。仮に鳴ける手牌でも、出来へんよ)

尭深「……」3sツモ切り

セーラ(2回チーが入るっちゅうことは、対面からポンするんと一緒やからな)

新道寺「くっ……」9mツモ切り

憧「ロン、5,800の1本場は6,100」

セーラ(4位の阿知賀に和了られるんも嫌やけど、俺らからすれば2位の新道寺にツモられる方が嫌やねん)

尭深(千里山……出来メンツから鳴くなんて)

セーラ手牌：4p5p【5p】7p9p 2s2s【5s】6s6s8s9s 西

白糸台：215,000
千里山： 65,500
阿知賀： 60,800
新道寺： 58,700

241 ：中堅戦後半 14/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:47:52.24 ID:6Gl7b5tl0

──東1局2本場 親：憧 ドラ：1s

──6巡目

憧(とりあえず3位浮上)ﾁｬｯ
憧(尤も、2位でバトンを貰ってたことを考えると、全然喜べる状況じゃないけど)
憧(でも、まずはいつもの自分で打つところに戻って来れた)
憧(スタートラインから再出発ってところかな)

憧手牌：4m6m7m9m9m 1p2p7p 3s8s 東東発 ツモ：1s


憧(ドラ……とはいえ、両面1箇所の3向聴じゃ苦しい)
憧(……)
憧(こう、か)ﾀﾝ　打4m


──15巡目

憧「……」ﾁｬｯ

憧手牌：6m7m8m9m9m 1s2s3s 東東 (�Bp1p2p) ツモ：9m


憧(あちゃー……形式テンパイで鳴いたのが悪いとはいえ、和了れないほう引いちゃったか)
憧(中盤だったら6m切ってチャンタにいったけど、後2巡で流局)
憧(しかも千里山のリーチに対してこの6mはちょっと危ない)

憧(ここは……1枚切れの東かな)ﾀﾝ 打東

尭深(……)

──次巡

憧(5m……一応テンパイ維持になるわね)ﾀﾝ 打東

尭深「……ん。ロン」ﾊﾟﾀﾝ

憧「っ!」

尭深手牌：2m2m4m4m 6p6p8p8p 3s3s 東中中


憧(対子落としを見抜かれた、か)
憧(これで親番は後1回、しかも僅差とは言え、また4位)
憧(前半戦はこれの積み重ねにやられたのよね)
憧(でも、後半戦はそうはいかないわよ)

尭深(……早く、終わらせよう)


白糸台：218,200
千里山： 64,500
新道寺： 58,700
阿知賀： 58,600

242 ：中堅戦後半 15/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:48:34.31 ID:6Gl7b5tl0

──東4局 親：新道寺 ドラ：8p

──3巡目

憧(3,900を2回差し込んで親で2,600オールをツモ和了……結局白糸台の点数は殆んど変わらず、局だけが過ぎたことになる)ﾁｬｯ
憧(白糸台からすれば、早く終わらせたいんでしょうけど)
憧(そう簡単に逃げられても困るのよね)
憧(とはいえ……)ﾁﾗｯ

セーラ「リーチ」ﾀﾝ 打6m

憧(やっぱり来たか……3巡目リーチ。ここは我慢して、南場の親に賭ける)

セーラ手牌：2p2p3p3p4p【5p】6p7p 3s3s7s8s9s

セーラ捨牌：西8m6m


尭深「……ん。チー」ﾁｬｯ

新道寺(一発さ消してくれとっとね。助かるわ)

憧(白糸台からすれば、千里山に差し込んで東場を終わらせても別に構わない、か)
憧(でも、ある程度点数の予想できる鳴きに対してならまだしも、3巡目リーチに対したまではさすがに……)

尭深「……」

尭深手牌：1p2p5p6p7p 6s7s 北北発中 (�Em5m7m)


尭深「……」ﾀﾝ 打1p

新道寺(一発消したとは言え、そんな厳しいところ……)
憧(あくまで親を流せればそれで良いって事？)


セーラ「……」ﾀｵｻｽﾞ


尭深(……そう)

セーラ(一発まで消されて、そんな安目で和了るわけないやろ)
セーラ(あくまでツモや)

新道寺「……」ﾁｬｯ

新道寺(安牌……今出た1pしかなか)ﾀﾝ 打1p

セーラ「……」

憧(さすがにそれは鳴けないわね)ﾀﾝ 打6m


セーラ「……ツモ！」

セーラ手牌：2p2p3p3p4p 【5p】6p7p 3s3s7s8s9s ツモ：4p 裏ドラ：9s


憧(白糸台の1p見逃し……！ 確かに一発を消された上に1pは安目だけど)

新道寺(出和了りなら7,700。それでも十分やけんに)

尭深(……無理矢理高目を引かれた)

セーラ「3,000・6,000や」


白糸台：214,900
千里山： 73,900
阿知賀： 56,900
新道寺： 54,300

243 ：中堅戦後半 16/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:49:09.83 ID:6Gl7b5tl0

南1局 親：憧 ドラ：2m

憧(何とか3位……だけど、あの跳満は痛い)ﾁｬｯ ﾁｬｯ
憧(2位の千里山とはこれで17,000点差。1回でつめるには……9,600の直撃か親満ツモ。いずれにしても楽な条件じゃない)
憧(だからこそ……この親番は、絶対に放しちゃいけないんだけど)

憧配牌：1m2m6m9m 3p7p7p 2s8s 東西北発中


憧(最速で七対子5向聴か……しんどいわ)ﾌｯ
憧(……でも、約束したんだ。諦めないって、約束したんだ)
憧(みっともない鳴きをしてでも、この手をテンパイにもってく！)ﾀﾝ 打9m


セーラ(……あの跳満で大分手が良くなったな)ﾁｬｯ
セーラ(白糸台も今は阿知賀の親流しが最優先やろうから、差し込んでくれるやろうけど)
セーラ(俺はそういうの好かんねん)
セーラ(自力で和了る！)

セーラ配牌：4m【5m】7m8m8m 4p6p9p 1s2s4s6s 西 ツモ：2s 打西


尭深(……)ﾁｬｯ
尭深(阿知賀の親。これを蹴るのが第一優先)
尭深(とはいえ、恐らく千里山は差込を拒否する)
尭深(そうすると、新道寺に差し込むか私が和了るかの2択か)

尭深手牌：2m5m7m9m 2p4p5p8p9p 3s7s 南白 ツモ：白 打7s


新道寺(親被りで4位さ落ちとっとよ……しかも配牌も悪か)
新道寺(ここは自分の和了りやなくて、阿知賀に鳴かれんようにするんが正解やね)

新道寺手牌：3m6m 1p2p8p8p 【5s】5s8s9s 東南北 ツモ：発 打北

244 ：中堅戦後半 17/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:49:46.30 ID:6Gl7b5tl0

──9巡目

セーラ「リーチ」ﾀﾝ 打7m

憧(来ちゃったか……)
憧(こっちは未だ3向聴。普通なら降りなんだけど……ラス親だし押せるところは押す)

セーラ(悪いけど、その親流させてもらうで)

セーラ手牌：4m【5m】8m8m 4p5p6p 1s2s3s4s5s6s


尭深「……ん。チー」ﾁｬｯ
尭深「……」ﾁﾗﾂ

セーラ捨牌：西9p中西9s 9m1s3p7m(リーチ)

尭深手牌：2m5m 2p4p5p8p9p 南南白白 (�Fm8m9m)


尭深「……」ﾀﾝ 打5m

セーラ(辛い所きよんなぁ。でもそっから3mが出ても和了らへんで)


新道寺(一発消して危険牌まで切ってくれるんは嬉しいんやけど、その筋さ持ってなか)ﾁｬｯ

新道寺(とりあえずは現物で凌ぐかね)ﾀﾝ 打9s


憧(この局は鳴かせてもらえないわね……)ﾁｬｯ
憧(ドラ……)

憧手牌：1m2m 3p7p7p 2s6s6s7s8s 東東中 ツモ：2m


憧(とりあえずは中切り)ﾀﾝ 打中


尭深「……」ﾁｬｯ

尭深(……)ﾀﾝ 打白


新道寺(生牌の白……？)


──次巡

尭深「……」ﾁｬﾂ ﾀﾝ 打白

憧(白の対子落とし……？)

新道寺(今更降りたんか？)

セーラ(いや、降りるくらいなら差し込みに来るやろ……つまりあれは)

憧(何かやろうとしてる……のかな？)


尭深手牌：1m2m 2p3p4p5p8p9p 南南 (�Fm8m9m)

245 ：中堅戦後半 18/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:50:23.61 ID:6Gl7b5tl0

──12巡目

憧(やっと1向聴……)ﾁｬｯ

憧手牌：1m2m2m 7p7p 2s6s6s7s8s (東東(東)) ツモ：3s 打6s


セーラ(くそっ、ツモれへん)ﾀﾝ 7pツモ切り

尭深「……ん。チー」ﾀﾝ 打2m

新道寺(ここでドラ……)

憧「……ポン!」

セーラ(ドラポン……!)

憧(これでテンパイ)1mを掴む

憧「……? ……っ」

憧(何……この感じ。目線……？)

尭深「……」ｼﾞｯ

憧「……!」

憧(白糸台の人……私の手牌をじっと見てた。2mを鳴かせて1m狙い……ありえるの？)ﾁﾗｯ

尭深副露牌：�Fm8m9m �Fp8p9p


憧(……チャンタか三色がある)ﾊｯ
憧(でも、ドラのペンチャンを払う理由がない。チャンタ系なら尚更)
憧(それとも3mを受け入れられない事情が何かあるか……)
憧(……)

憧(……そうか、千里山のリーチを3m、あるいは3-6mだと思ってるんだ)

憧(これまでの白糸台からすれば、とっくに差し込んでてもいいはずなのに、それをしてないって事は、今の手牌に千里山の当たり牌がない)
憧(その3mで自分がツモ和了れるならそうするんだろうけど、それができない形)

憧(つまり頭がなく、今の7p鳴きで単騎待ちになる形)
憧(12mからの2m切りで、私から1mを狙う形になったんだ)

憧(……役牌は……南がまだ1枚しか出てない。多分そこが暗刻になってる。南が暗刻に、何かしらのメンツが1つ……これは中張牌での面子。もしここが端牌でのメンツなら南を頭にして3mで自分がツモって言えるから)

憧(つまり暗刻の南を落とすと役がなくなる形で、1m単騎にせざるを得なかった)

憧(そしてその1mは……私から出るのを狙った)

憧(……目線に気づかなかったら、間違いなく切ってたわ)
憧(偶然とは言え、なんとか気づけた。この1mは……絶対に切らない！)


──憧、7p切り


尭深「……!」

尭深(1mじゃない……?)

尭深手牌：1m 2p3p4p 南南南 (�Fm8m9m)(�Fp8p9p)

246 ：中堅戦後半 19/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:50:55.87 ID:6Gl7b5tl0

──流局

憧「テンパイ」

憧手牌：1m 2s3s4s6s7s8s (東東(東))(2m�Am2m)


セーラ「テンパイ」

セーラ手牌：4m【5m】8m8m 4p5p6p 1s2s3s4s5s6s


尭深「……ん。テンパイ」

尭深手牌：1m 2p3p4p 南南南 (�Fm8m9m)(�Fp8p9p)


新道寺「ノーテン」


憧(本当に1m単騎だった。それに千里山のリーチも3-6m)

セーラ(2mポンさせて1m単騎。その1m……止まるんか)

尭深(……阿知賀)


白糸台：215,900
千里山： 73,900
阿知賀： 57,900
新道寺： 51,300

247 ：中堅戦後半 20/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:51:27.72 ID:6Gl7b5tl0

──南1局1本場 親：憧 ドラ：南

憧(なんとか親続行。だけど正直なところ、牌勢は苦しい)ﾁｬｯ ﾁｬｯ

憧配牌：1m3m8m8m9m 2p【5p】7p 6s9s9s 東南西


憧(両面ターツなしの4向聴……か)ﾆｶﾞﾜﾗｲ
憧(ふー……やってやろうじゃないの)ﾀﾝ 打2p


セーラ(好形2向聴。ツモも悪ない)ﾁｬｯ

セーラ手牌：3m6m7m 3p4p5p 2s2s3s4s7s7s 南 ツモ：7m 打：3m


尭深(……流れが、よくない)

尭深手牌：【5m】5m9m 1p7p8p9p 1s1s5s6s 西北 ツモ：発 打：北


新道寺(あ。七対子2向聴スタート)ﾁｬｯ

新道寺手牌：2m4m4m6m6m 3p6p9p9p 6s 南白白 ツモ：8s 打：6p


憧「……」

憧(初打に3mと6p……)
憧(このままのんびりやってても、千里山と新道寺の方が先にテンパイする)
憧(……腹をくくるしかないか)ﾌｰ


憧「……チー!」ﾀﾝ 打西

248 ：中堅戦後半 21/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:52:02.30 ID:6Gl7b5tl0

セーラ(いきなりチーかいな。手が早いんか？)ﾁｬｯ
セーラ(中……いらんわ)ﾀﾝ 中ツモ切り

尭深(……)ﾁｬｯ
尭深(8m……千里山の本来のツモ)ﾀﾝ 打1p

新道寺(7s……んー)ﾀﾝ 打2m


憧「チー」ﾀﾝ 打6s


セーラ(嵌2mやて？)

新道寺(染めもチャンタもないから、あるとしたら三色か一通。それか……)

尭深(……役牌バック)

セーラ(しまった……)

新道寺(いずれにせよ、)


セーラ(この南は切れへん)
新道寺(この南さ切れんとね)


尭深(……、両脇の2人が和了る流れだった、はず)
尭深(それが……あのチーで変わった？)


憧(……役牌バックどころか、何もないわよ)ﾌｯ

憧手牌：8m8m9m 9s9s 東南 (�Ep【5p】7p)(�Am1m3m)


憧(脇がドラを引いて止まってくれたらそれでラッキー。ただの形式狙いみたいなもん)
憧(こうでもしないと、きっと誰かに和了られる。ただでさえ白糸台が差し込みに行っちゃうんだから)

憧(まだまだ、取られた点棒取り返さなくちゃいけないんだから)

249 ：中堅戦後半 22/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:52:31.55 ID:6Gl7b5tl0

──16巡目

憧(東……)ﾁｬｯ

憧手牌：7m8m9m 9s9s 東南 (�E【5p】7p)(�Am1m3m) ツモ：東


憧(南を切ればテンパイ……)
憧(でも、それをしたら、何のために早鳴きしたのか分からない)
憧(もしかしたらまだ山に1枚くらいあるかもしれないし)
憧(それと、1枚切れの東は出てこなさそうだから……ここは9sポンテンを狙う)ﾀﾝ 東ツモ切り


セーラ(テンパイ、やけど)ﾁｬｯ

セーラ手牌：6m7m 3p4p5p 1s2s3s4s5s7s7s 南 ツモ：5m


セーラ(南を切ってまで突っ張る手やないな)
セーラ(くそっ。ここは回さなアカンか)ﾀﾝ 打1s


尭深(……6s)ﾁｬｯ
尭深(……本来なら、とっくに差し込めてるはずなのに)
尭深(脇の2人が南を切れずに手を回してる)
尭深(……面倒なことになった)ﾀﾝ 打9m


新道寺(東かぁ)ﾁｬｯ
新道寺(1枚切れやけん、東南のシャンポンもありえるとね)

新道寺手牌：4m4m6m6m 9p9p 6s6s9s9s 南白白 ツモ：東 打9s


憧「──ポン」ﾀﾝ 打東


セーラ(まだ張ってなかったんか……!? 南を切ってれば……)
新道寺(テンパイさ崩したんは失敗やったっとよ……!)
尭深(……まさか)

尭深(このまま行くと……)

250 ：中堅戦後半 23/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:53:03.75 ID:6Gl7b5tl0

──18巡目

セーラ(3副露……南と何かのシャンポンくらいしか役があらへん)ﾁｬｯ
セーラ(役牌は南以外全部2枚以上出とるから、実質片和了り)
セーラ(それか南が暗刻で何かの単騎か……だとしたら考えても分からへん)
セーラ(現物以外は切れへんな)ﾀﾝ 打3p


尭深(鳴けない……)ﾁｬｯ
尭深(んっ……)ﾏﾕﾋｿﾒ
尭深(新道寺が鳴けそうなところ……)ﾀﾝ 打5m


新道寺(5m……？ テンパってないから、和了れんとよ)ﾀﾝ　打白


尭深(誰も鳴かない……駄目か)ﾊﾟﾀﾝ

憧(……ん、海底はあたしか……)
憧(なんとかテンパイは維持できっ……)ﾁｬｯ
憧(……あ……)


憧(こんなところに、いたんだ……)


憧「──ツモ」

セーラ(シャンポンでも暗刻でもない……)

新道寺(南単騎……!?)

憧手牌：7m8m9m 南 (�Ep【5p】7p)(�Am1m3m)(�Hs9s9s) ツモ：南



憧「……海底、ドラ3。4,100オール」


新道寺(自分が和了る鳴きやなくて、私達ば止める鳴き)
セーラ(小綺麗な鳴きしかせーへんと思っとったけどな……)

憧(こんな泥臭い和了、初めてだわ)
憧(……しずのおかげかな)
憧(……)
憧(いやいや。それはさすがに恥ずいわ)ｶｧｧ

憧(いずれにしても。取られた点数を取り返して、ついでにより多く奪う！)

白糸台：211,800
阿知賀： 71,200
千里山： 69,800
新道寺： 47,200

251 ：中堅戦後半 24/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:54:07.94 ID:6Gl7b5tl0

────
──

恒子『中堅戦終了ー！』

恒子『後半戦は阿知賀女子の新子選手が一気に追いあげ、前半戦の失点を取り返しました！』

健夜『前半戦は鳴きを封じられた部分があったので不安でしたけど、見事に払拭したと思います』

恒子『白糸台は前半戦に比べ、やや勢いがありませんでしたね。特に南場は3回の振込みがありましたし』

健夜『それは差込だから……前半戦も渋谷選手はそういう打ち方をしてましたし』

健夜『でも、差込をしたり、相手の余り牌を狙って和了る、というのは本当に高度な実力と集中力が必要とされます』

健夜『……恐らく、南場の新子選手の連荘で、かなりバテてしまったのではないでしょうか』

恒子『はぁ。そんなもんですか。一方3位の千里山は、江口選手が2半荘で4万点に迫る稼ぎ、一気に浮上しましたね』

健夜『もともと実力は高い選手ですから。あれだけ高い手が入るのは、やはり脅威ですね』

恒子『反対に新道寺は4位になりました』

健夜『新子選手の副露と江口選手の面前、そして渋谷選手の変則的な打ち回しに翻弄される結果になりましたね』

恒子『いよいよAブロック準決勝も副将戦、小休憩の後すぐに行います！』


中堅戦終了

白糸台：197,000
阿知賀： 85,700
千里山： 72,600
新道寺： 44,700

252 ：中堅戦後半 25/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:55:09.97 ID:6Gl7b5tl0

──白糸台控え室

尭深「……」ｶﾞﾁｬｯ

淡「あ、戻ってきました」

照「お疲れ」

尭深「……ん。はい、疲れました」ｿﾌｧｽﾜﾙ

淡「渋谷先輩にしては時間かかりましたねー」

尭深「ん。疲れた」

淡「バッテリー切れみたいですね」ﾀﾊﾊ

尭深「寝ても良いですか」

菫「……いや、駄目だろ」

尭深「……」ﾊｧ

菫「なんで私が悪いみたいになってるんだ」ﾋﾟｷ

淡「ま、まぁまぁ弘世先輩。渋谷先輩の言うことですから」

菫「……そうだな。渋谷だからな」

尭深「……」

淡「……」

菫「……」

尭深「……ふゎ」ｱｸﾋﾞ

菫(全く気にしてないなこいつ)

淡(全く気にしてませんね……)

照「……渋谷は、実はかなりマイペース」

淡「えっ……あぁ、はい」

菫「まぁ、そう……だな」

照「？」

淡(それを先輩が言いますか)

菫(それをお前が言うか)

253 ：中堅戦後半 26/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:55:39.72 ID:6Gl7b5tl0

菫「こほん。まぁ、それはともかく。阿知賀が立ち直ったのが意外だったな」

淡「まー私からすればあんなんで凹むほうが弱っちいんですけどねー。私が渋谷先輩の茶葉を床にぶちまけたときなんかそれはもう……」ﾄｵｲﾒ

菫「あー、そんな事もあったな……」ﾄｵｲﾒ

照「あの時の渋谷は怖かった」

淡「7連続で直取りされるとか悪夢以外の何物でもないですよ」

照「見逃しだけじゃなくて、自分でツモっても和了らないで手変わりさせてたくらいだから、よっぽど恨んでた」

菫「照を抑えてぶっちぎりのトップだったしな……普段からそれくらいやる気を見せれば、とも思うが……」

淡「しかも箱割れナシとか酷すぎません？ 私マイナス4万点くらいいきましたよ」

尭深「……ふぁ」ｱｸﾋﾞ

淡「ちょ……まるで聞いてないですよこの人」ﾋｸ

菫「言うな」

尭深「……」ｳﾄｳﾄ

淡「寝始めましたよこの人!?」

菫「言ってやるな」

照「淡。先輩なんだから“この人”なんて失礼な言い方は良くない」

淡「あっ、はい。すみませ──って、今それ関係ないですよね!?」

尭深「……ん。大星、少し静かにして」

淡「誰のせいだと思ってるんですか!?」

菫「大星、落ち着け……もう、今更この2人にどうこう言っても仕方ないだろ」

淡「……そうですけど」ﾌﾟｸｰ

照「……」

淡「……ﾑｽｰ」ﾌﾟｸｰ

照「……」ﾎﾎﾂﾂｷ

淡「……」ﾌﾟｼｭ

照「……」

淡「……」

照「……」ﾎﾎﾂﾂｷ

淡「……うわぁぁん! なんなんですかもー!」ﾌﾟﾝｽｶ


菫(ふっ……くくっ……やばい、ツボに入った)

254 ：中堅戦後半 27/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:57:05.50 ID:6Gl7b5tl0

──同時刻 廊下〜阿知賀控え室

憧「ふー……」ﾃｸﾃｸ

灼「……憧」

憧「灼さん」

灼「お疲れ」

憧「あはは、本当疲れた」ｸﾞﾃｰ

灼「うん。疲れそうな試合してた」

憧「もう懲り懲りだわ」

灼「らしくない……とは違うか」

憧「ん？」

灼「頑張ってた」

憧「……そりゃ、頑張るでしょ。準決勝なんだし」

灼「あぁ、いや。そうじゃなくて。なんというか、ひたむきって感じがした」
灼「いつもは憧、そんな感じじゃないからさ」

憧「あー……」

灼「でも、なんだろ。良かったよ」

憧「なにそれ」

灼「なんなんだろね」

憧「いやいや……」

灼「ね。穏乃に休憩のとき、何言われたの？」

憧「へっ？」

灼「いや、てっきり穏乃に励まされたのかなって」

憧「別に、特には何もなかったけど」

灼「へぇ。その割には、戻ってきた穏乃は凄くにこやかだったけど……」

憧「……あの馬鹿」

灼「やっぱり何かあったんだ」ﾆﾔ

憧「なっ……別に、何もなかったってば」ﾌﾟｲ

灼「えー本当に？」ﾆﾔﾆﾔ

憧「本当だってば……っていうか、灼さんそんなキャラだったっけ」

灼「いや別に」ｽﾆﾓﾄﾞﾙ

憧「えっ。ていうか怖っ」

255 ：中堅戦後半 28/29 [saga　sage]：2012/07/19(木) 23:59:51.47 ID:6Gl7b5tl0

灼「で、実際のところはどうなの？ さすがに何も言わなかったって事はないでしょ？」

憧「……まぁ、そうだけど」

灼「ていうか、アナウンスでうちの学校だけ呼ばれてたけど、ギリギリまで何してたのさ」ﾆﾔ

憧「えっ」

灼「穏乃にどうやって励ましてもらったの？」ｽﾞｲ

憧「別にそんなんじゃないし！ ホントただ話してただけだから！」ｱｾｱｾ

灼「やっぱり穏乃に励まされたんだ」ﾆﾔ

憧「いやほんと、当たり障りのない感じだったし」

灼「なんだ」ｽﾒﾝ

憧「……笑うか無表情かどっちかにしてくれない？ ホント、怖いんだけど……」ﾀｼﾞ

灼「じゃあいつものほうで」ｽﾒﾝ
灼「で？」

憧「……」

灼「憧？」

憧「……ほんと、何もなかった」ﾆｶﾞﾜﾗｲ

灼「……」


憧「あいつ、ひとがトイレにいるのに押しかけてきてさぁ。“憧ー”“憧ー”って」
憧「そのくせ、ロクに何も言わないで勝手に泣き出すし」
憧「ホント、何しにきたんだって。そのくせ何とか宥めて聞き出した言葉が“頑張れ”の一言だけ」
憧「そんな言葉だけを言いにきたのかよ! って。何か他に色々、色々……」

憧(言って欲しいこととか、あったのにさ……)


灼「……」

憧「……」

灼「……でも」

憧「？」

灼「穏乃が来てくれて、嬉しかったでしょ？」

憧「……っ」
憧「そ、れは……」
憧「……」ｶｧｧｧ

灼(食べ移ししたり一緒にお風呂入ったりは平気でするのに、そういうのは恥ずかしいんだ……よくわからないなぁ)

灼「……まぁ、今頃控え室で皆待ちわびてるだろうから。行ってあげなよ」

憧「あ、あぁ……うん」

灼「それじゃ、行ってくる」ｽﾀｽﾀ

憧「あっ、灼さん」

灼「？」ｸﾙｯ

憧「……後は、よろしくおねがいします」ﾍﾟｺｯ

灼「……」ﾎﾟｶﾝ
灼「……」ｸｽｯ
灼「……うん。頑張ってくる」

256 ：中堅戦後半 29/29 [saga　sage]：2012/07/20(金) 00:00:27.16 ID:41RNzqpc0

憧「……もう、なんなのよ」ｽﾀｽﾀ
憧「灼さんってあんな愉快な人だったっけ」ｽﾀｽﾀ
憧「あたしと同じ常識人だと思ってたんだけどな」ｽﾀｽﾀ


(穏乃が来てくれて、嬉しかったでしょ？)


憧「……」ｶｧｧ
憧「……そりゃ、まぁ」ｽﾀｽﾀ
憧「……嬉しかったけどさ」ｽﾀｽﾀ ﾋﾟﾀｯ

憧「……あぁ、もう」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ
憧「やめやめ。こんなんあたしらしくないわ」
憧「いつも通り、いつも通り」ﾍﾟﾁﾍﾟﾁ

憧「ただいまー」ｶﾞﾁｬｯ

穏乃「憧ー！」ｶﾞﾊﾞｯ
玄「憧ちゃーん！」ｶﾞﾊﾞｯ

憧「なっ、何!? ちょ、暑いから!」

穏乃「憧、お疲れ！」ｽﾘｽﾘ
玄「憧ちゃん凄かったよー！」ｽﾘｽﾘ

憧「いや、だから。暑いんだけど!?」

穏乃「憧ー」ｽﾘｽﾘ
玄「憧ちゃーん」ｽﾘｽﾘ

憧「ほんとっ、離れっ……」

宥「憧ちゃん……」

憧「ゆ、宥姉……ま、まさか」ｱｾﾀﾗｰ

宥「あったかそう……」ﾌﾗﾌﾗ

憧「い、いや、宥姉は本当にシャレにならな……」ﾀｼﾞｯ

宥「……私も」ﾓﾌﾝ

憧「ちょっ、待っ……！」ﾓﾌﾝ


憧「」ｶﾞｸｯ

257 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/20(金) 00:04:13.19 ID:41RNzqpc0

以上、中堅戦後半終了です。
次回からは牌の書き分けが>>227のように変わりますので、ご留意ください。

258 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/07/20(金) 04:02:20.66 ID:jinZSRpBo

乙です！

闘牌もいいね！

259 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/07/21(土) 13:06:02.34 ID:Sn5tJ/vTo

おつ

260 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/07/23(月) 07:55:11.21 ID:ybdRNDxt0

ロン

261 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]：2012/07/23(月) 23:59:34.95 ID:+rLc7U9AO

追いついた
ここまで闘牌描写しっかりしてるSSを初めて見た気がする

262 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/07/25(水) 20:00:02.85 ID:fTfudfOko

問題は灼だな
どうしたものか

263 ：副将戦前半戦 01/26 [saga]：2012/07/26(木) 01:28:49.74 ID:MEGgX6PP0

──病院

怜「……すぅ」ｽﾔｽﾔ

竜華「……」
(怜の手を両手で包んでいる)

竜華「……」ﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞ

竜華「……」ﾁｬｯ ｶﾁｶﾁ
(片手で携帯を取り出し、もう片方の手は怜の手を握ったまま)

竜華「……副将戦、始まったんか」

竜華「……」

竜華「…………」

竜華「……ごめんな、怜」

竜華「ちょっと、離れるからな」

竜華「すぐ、戻ってくるからな」

竜華「すぐ、帰ってくるからな」

怜「……」ｽﾔｽﾔ

竜華「……」ｽｯ
(怜の手を離す)

竜華「それじゃ、ちょっと行ってくるからな」頭撫

竜華「……」ﾊﾟﾀﾝ




竜華「……絶対。勝って帰ってくるからな」

264 ：副将戦前半戦 02/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:29:42.72 ID:MEGgX6PP0

──副将戦前半戦

起親：新道寺・哩　 44,700
南家：白糸台・誠子 197,000
西家：阿知賀・灼　 85,700
北家：千里山・浩子 72,600


──東1局 親：哩 ドラ：�F

哩「……」ﾁｬｯ ﾁｬｯ

哩手牌：二四八 �@�B�E�E�H ７７８ 東西西 第一ツモ：【五】

哩(44,700点。姫子の事さ勿論信頼しとっとけど、そいけんこのままやったら厳しか)
哩(かといって焦って高い手ば目指しても和了れんとよ。自分の打ち方だけは変えん)
哩(……阿知賀の副将。あんた個人に恨みさないけんど、出来ればそっから直取りしたいっとよ)ｼﾞｰ

灼「……？」ｷｮﾄﾝ

浩子「？」ﾏﾕﾋｿﾒ

哩(あの後やっとこさ控え室さ戻ったら、めっちゃ花田に……し、心配されたっとよ)ｶｧ
哩(心配してくれるんは嬉しいけど、あんな近寄られたら照れるわ、あの馬鹿は)ﾑﾑﾑ
哩(……まぁ、花田は何も悪くなか。あいつがお節介でお人よしなんは前から分かっとった事やね)

哩(……だから、好……)

哩(……)ﾎﾞｯ
哩(……)ｶｵﾏｯｶ
哩(いやいや、何阿呆な事言っとるんよ)ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

誠子「……おーい、新道寺さんよ」

哩「ひゃっ」ﾋﾞｸｯ

誠子「うぉ……」

哩「な、なんやね？」ｱｾｱｾ

誠子「いや、親が切ってくれないと始まらないんすけど」

哩「あ、あぁ。失礼しました」ﾄﾘｱｴｽﾞｲﾁﾊﾞﾝﾐｷﾞﾉﾃﾞｲｲﾔ


スパァン


哩「あ」

誠子「……」
灼「……」
浩子「……」

恒子『えーっと、これは……』
健夜『なんでしょうね……』


──哩、赤五萬ツモ切りスタート

265 ：副将戦前半戦 03/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:30:35.86 ID:MEGgX6PP0

──11巡目

哩「……ツモ。700オール」

哩手牌：二四 �A�B�C�E�E ６７８ 西西西


浩子(……一打目の赤五萬は間違いだったと仮定して。それ以外は概ねデータ通りやな)
浩子(基本的にはタンピン系をつくる、教科書打ち。嵌張辺張はよほどのことがないかぎりリーチせーへん)
浩子(新道寺の中では一番振込み率が低いから、きっちり回すタイプやな)


灼「……」ﾊﾟﾀﾝ

灼(最初は、こんなものかな)

灼手牌：�B�B�B�D�F�G�H １１１４６ 西



哩(……間違って赤五萬切っとっとよ。恥ずかしい)ﾏﾀﾞｶｵｱｶｲ


白糸台：196,300
阿知賀： 85,000
千里山： 71,900
新道寺： 46,800

266 ：副将戦前半戦 04/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:31:37.41 ID:MEGgX6PP0

──東1局1本場 親：哩 ドラ：３

──9巡目

誠子「……ん」ﾁｬｯ

誠子手牌：五五六七 �A�C�E�F�G ３３３６ ツモ：八


誠子(嵌三筒か……五筒引いての3面張が理想だね。ドラ3だしとりあえずはダマでいい)ﾄﾝ 打６


灼「……チー」

灼手牌：三三三四五七 �A�C�G�G ９ ((６)５７)　打９


浩子「……」

浩子(対面が、張ったな)
浩子(僅かやけど、打牌音が違かった。確信を持つほどデータをとったわけやないから、信頼度はせいぜい60％っちゅーとこやけど)


誠子捨牌：西北九９２ 中二�@６


浩子(……ドラ表が5巡目。ドラが対子か、下手したら暗刻まであるな)ﾁｬｯ
浩子(鳴いた阿知賀はテンパイか1向聴)
浩子(うちからすれば、他の2人より、スタンスの分からんこの子の方が気になんねん)

浩子(プログラミングされたAIやっても打ち方には特徴やパターンがあるからな)
浩子(それが人やったら尚更や)
浩子(……前回はそれが分からんじまいやったけど、今回は解析させてもらうで)
浩子(そのためには……)


浩子手牌：一三四【五】六 �B【�D】 ２４４４ 西西


浩子(まずはその手牌、開けてもらうで)ﾀﾝ 打三

灼「ポン」ﾀﾝ 打七

浩子(これで阿知賀はテンパイ。問題は当たり牌やけど……)ﾁｬｯ
浩子(河からすると、筒子の二五八あたりになるんかな。けどうちが持っとるんは赤五筒、か)

浩子「……」

浩子「……！」


哩捨牌：北発一�C２ 南八中３



浩子「……」ﾀﾝ 打【�D】

灼(赤五筒……)
哩(張ったんか？)

267 ：副将戦前半戦 05/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:32:18.20 ID:MEGgX6PP0

浩子(うちが四索を暗刻にしとるんやから、残りは1枚。白糸台が持っるんなら、二索の出が早すぎる。あそこは持ってない)

浩子(阿知賀も多分持ってない。持ってるんなら、４５７９……最低でもこういう形になる。ここから六索チーはありえへん)

浩子(他に索子を持っとるんとしたら、２３４５７９、３４５５７９……この形が六索を鳴く形やけど、それもない)

浩子(よく見たら、二索はうちが1枚、白糸台の河に1枚、新道寺の河に1枚……それと、ドラ表示牌。つまり、純カラやん)

浩子(それに新道寺はこの巡にドラを切っとる。二索を早切りしていてポンしないっちゅうことは、白糸台はドラを暗刻にしとるっちゅうことや)

浩子(やったら、阿知賀の手牌にドラはない。あっても赤が1枚、これで和了られても3,900や)

浩子(3,900でその手牌晒してくれるんやったら構へん、先行投資や)

268 ：副将戦前半戦 06/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:32:48.92 ID:MEGgX6PP0

──13巡目


灼「……ツモ。300・500の1本場」

浩子「……」ﾁｬﾗｯ


灼手牌：三四五 �A�A�G�G ((６)５７)(三三(三)) ツモ：�A

灼捨牌：�H中白１南 �E八�F９七 �D�C�@�B


浩子(……あれだけ筒子を切っといて、筒子待ちやて？)
浩子(それも嵌張や両面を捨てて、シャンポン待ち……？)
浩子(フリテンになる両面を嫌うんはまだ分かる。せやけど……)

浩子(なんやろ、この違和感)

浩子(……まぁええ。手牌と河、インプットしとくで)


白糸台：195,900
阿知賀： 86,400
千里山： 71,500
新道寺： 46,200

269 ：副将戦前半戦 07/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:33:27.34 ID:MEGgX6PP0

──東2局 親：誠子 ドラ：南

──16巡目

灼「……ツモ。400・700」


灼手牌：七八九 �B�B�H�H ２３４ (発(発)発) ツモ：�H


浩子(……またや。また筒子のシャンポン。待ち変え出来そうな五筒も七筒もツモ切りしとる)
浩子(別にシャンポンでもおかしくはあらへん。あらへんけど、なんやろこの違和感)


──東3局 親：灼 ドラ：９

──流局

灼「テンパイ」

哩「ノーテン」

誠子「テンパイ」

浩子「ノーテン」


灼手牌：一一一【五】六七 ４５６７８ 南南


浩子(……これや。一回戦二回戦の牌譜を見ても癖が分からんかったんは、こうやって筒子以外でも普通にテンパイしとるからなんや)
浩子(筒子がなくてもテンパイできると見るべきなんか、筒子待ちやないから3面張でも和了れなかった、と見るべきか。分からんなもう)

浩子(この前半戦の間に解析せなアカン。半荘5回、内3回は同卓しとるんやからな)


白糸台：196,700
阿知賀： 89,400
千里山： 69,600
新道寺： 44,300

270 ：副将戦前半戦 08/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:34:00.31 ID:MEGgX6PP0

──東3局1本場 親：灼 ドラ：四

──7巡目

灼「リーチ」ﾀﾝ 打�D


灼捨牌：�H�G一�B�E ２�D(リーチ)


浩子(一見筒子は大通り、に見える)ﾁｬｯ
浩子(でも、こんな形の河見たで)
浩子(……そや。二回戦やったな)
浩子(あん時もあんな河で筒子待ちやった)


浩子手牌：二三六八 �@�@�C�E�F １３南南 ツモ：�G


浩子「……」

浩子(本命は筒子の1-4-7筋、それに出てないのはあと二筒か)
浩子(せやった。確か、二回戦のリーチも1247筒の変則4面やったわ)
浩子(�A�B�B�B�C�D�E……こうか)
浩子(となると、この四筒は使えへん上に切れへんっちゅうことか)

浩子(そしたら、この手は降りやな)
浩子(新道寺は張っとるけど、ダマか。待ちが良くないんやな)

浩子(……せやったら、ここか)ﾀﾝ 打�E

誠子「ポンッ」


誠子手牌：四四九九九 ４４４ 発発中 (�E(�E)�E) 打中


浩子(これで白糸台もテンパイか)


灼「──ツモ」

271 ：副将戦前半戦 09/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:34:28.67 ID:MEGgX6PP0

灼「1,000オールの1本場は1,100オール」


灼手牌：七七七 �A�B�B�B�C�D�E ７８９ ツモ：�F 裏ドラ：西


浩子(ホンマに1247筒待ちかいな)
浩子(河の筒子使うたらチンイツやって出来るやんか)
浩子(なんでや……)


哩「……」


哩手牌：三五八九 �@�A�F�F�G ２３ 白発


哩(欲しいところば全て持たれとる……)
哩(苦しいわ……)ﾊﾟﾀﾝ


白糸台：195,600
阿知賀： 92,700
千里山： 68,500
新道寺： 43,200

272 ：副将戦前半戦 10/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:34:59.31 ID:MEGgX6PP0

──南1局 親：哩 ドラ：白

──4巡目

哩「……」

哩(東1局で和了って以来、ずっと失点か。小場とはいえツモられで削られとる)
哩(この親で連荘せんといか──)


誠子「リーチ」ﾀﾝ 打中


哩「……！」

哩(4巡目リーチ……)


誠子手牌：一三【五】五五 �A�B�C ６７８ 西西


誠子(嵌張だけど即リーだね。新道寺も千里山も立直に対して回す癖がある)
誠子(阿知賀はよく分からんけど、親が降りてくれるんなら押せ押せだ)


哩(2向聴……セオリーなら降りやけど、4位の親番。押すべきなんか？)
哩(……次の自分のツモで1向聴になったら、押す。そうでなかったら、回す)


哩手牌：二二二七九 �G�G １３４６ 東東


灼「通らば、追っかけます」ﾀﾝ 東


哩(二軒リーチ──……)
哩(鳴く……？ いや、リーチにポンさ駄目やね。仮に鳴いても嵌張での勝負さ辛かよ)ﾁｬｯ

哩(あ……)
哩(生牌の白)

哩(折角の親やけど……これは駄目やね……)ｼｭﾝ

273 ：副将戦前半戦 11/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:35:28.94 ID:MEGgX6PP0

──8巡目

浩子「……」ﾁｬｯ

浩子(ベストはこのまま流局してくれることやけど。さすがに4巡目リーチやったら、どっちかが和了るやろ)
浩子(せやったら振り込みあってくれるんがベスト)
浩子(今回は大人しくしとくで)ﾀﾝ 三ツモ切り


哩「……」ﾁｬｯ

哩(共通の現物さなくなったっとよ)

哩手牌：二二二七 �E�F １２３４５６ 白発 ツモ：【５】


　灼捨牌：三発�B東�D(リーチ) ９六一

誠子捨牌：九�G４中(リーチ)三 ８南


哩(発と四索が片方の現物やけど、もう片方に通る保証さなか)
哩(ドラの白なんてもってのほかやね)
哩(……)ﾁﾗｯ


浩子捨牌：南２９中�D 北北三


哩(千里山は降りとっとるみたいやけん、3枚見えの三萬の壁……)ﾀﾝ 打二


誠子「それロン」ﾊﾟﾀﾝ

哩「……」


誠子手牌：一三【五】五五 �A�B�C ６７８ 西西 和了：二 裏ドラ：五


哩(嵌二萬……)

誠子「っと。裏3で満貫」

哩「……はい」

哩(……これで、4万点以下)
哩(……)ｸﾁﾋﾞﾙｶﾑ


白糸台：207,200
阿知賀： 91,700
千里山： 68,500
新道寺： 32,600

274 ：副将戦前半戦 12/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:36:00.98 ID:MEGgX6PP0

──新道寺控え室

姫子「部長、らしくなか」

煌「……ですね。少し迷っているといいますか」
煌「でも、部長なら何とかしてくれますよ」

姫子「お気楽やなー」

煌「いえいえ。これは信頼と言うものです」

姫子「ふーん」

煌「……とはいえ。私にも責任の半分はあるでしょう」

姫子「うん？」

煌「何しろ、点棒を取られすぎました。あれはすばらくないです」ﾀﾊﾊ

姫子「んー、まぁそりゃそうかもしれんけど」

煌「ささ、また差し入れに行きましょう。そうしましょう」ｽｯｸ

姫子「んー……それは花田に任せっと」

煌「おろ。それはまたどうしてでしょう？」

姫子「んー。や、ほら。今部長ナーバスやから、大人数でいっても却って気苦労かけっとよ」

煌「おお、さすがは姫子さん。すばらですね。そうとも知らず私は……ぐむぅ」ﾑﾑﾑ

姫子「んー、あー、でも花田は行ってやったほうが良か」

煌「？ なぜです？」ｷｮﾄﾝ

姫子「んー、あー、ええっとー……」


姫子(……っとうにこいつは。鈍感すぎるんも罪やと思うんやけどなー)

275 ：副将戦前半戦 13/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:36:40.66 ID:MEGgX6PP0

──千里山控え室

竜華「……ふぅ。やっと着いたわ」

竜華「暑いなぁ。汗止まらんわ」

竜華「……戻ったでー」ｶﾞﾁｬｯ

セーラ「お、竜華。遅かったやん」

泉「お帰りなさい。先輩、凄い汗ですよ」

竜華「外は暑っついわぁ」ﾊﾟﾀﾊﾟﾀ

泉「……あの。先輩」

竜華「うん？」ｱｾﾌｷﾌｷ

泉「えらいすんませんでした。自分、点とられてもうて」ﾍﾟｺﾘ

セーラ「いーずーみ。それは言わん約束やなかったか？」ｼﾞﾄｯ

泉「それでも、一回は言っておかんと」

竜華「来る途中に携帯で結果見ただけやから、詳しくは分からんけど。気にせんでええって」ﾆｺｯ

泉「先輩……」

竜華「後はうちと浩子がなんとかするから、安心しぃや」

泉「……はい」


セーラ「それで、怜の様子は？」

竜華「ん、平気や。まだ寝とったけどな」

セーラ「そっか」

竜華「そや」

セーラ「竜華ー」

竜華「んー？」

セーラ「あんまり気負んなや」

竜華「分かってるでー」ﾌﾆｬｯ

セーラ「ならええわ」ﾆｯ


泉(それで通じるんですか)
泉(……羨ましいですわ)

276 ：副将戦前半戦 14/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:37:13.55 ID:MEGgX6PP0

──南3局 親：灼 ドラ：�E

──10巡目

灼「リーチ」

浩子(来た、阿知賀の立直……)


灼捨牌：�A北西一�H 中�B�@六発(リーチ)


浩子(また、一見筒子は安く見える)ﾁｬｯ
浩子(せやけど、そういうときに限って筒子待ちやねん)

浩子手牌：二三四【五】六六 �F�G�G�H ４ 南南 ツモ：３


浩子(出来れば八筒を切りたい場面やけど。この八筒は恐らく当たる)
浩子(他の2人はまだ張ってないようやし、ここは親の現物やな)ﾀﾝ 打六

灼「……」

哩「……」ﾁｬｯ

哩手牌：一一二三三 �@�A�B�C�E�G 西西 ツモ：二


哩(テンパイやけど……両嵌か)
哩(取り合えず親の現物で一筒ば合わせるか……)ﾄﾝ 打�@


灼「──ツモ。3,900オール」

灼手牌：【�D】�D�D�E�F�F�F ２３４７８９ ツモ：�G 裏ドラ：七


哩(……いずれにしろ、この手は和了れんかったってことやね)ﾊﾟﾀﾝ
哩(4万点どころか、3万点切り。子の役満親の3倍満で飛び、か)
哩(辛かよ……)


灼(原点の10万点復帰。まずは一つ、目標クリアかな)ﾌｩ

浩子(やっぱり筒子の多面張。45678か)
浩子(45678……5面張……)


灼「……」ｸﾞﾛｰﾌﾞｻﾜｻﾜ


浩子「……」
浩子「…………？」

浩子(グローブ……ボウリング……筒子の多面張)
浩子(……いや、それはさすがに、非論理的ちゃうんか、自分)

浩子(……せやけど、松実姉妹や園城寺先輩、白糸台のチャンピオンのように特殊体質を持つモンは、確かに居る)
浩子(馬鹿馬鹿しいかもしれへんけど。もしかしたら、そういうことなんかな)

浩子(確かあれって、なんか色々名前があったような気がするわ)
浩子(ようやっとやけど、その尻尾掴みかけたで、阿知賀の)

277 ：副将戦前半戦 15/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:38:08.99 ID:MEGgX6PP0

──南3局 親：灼 ドラ：１

──9巡目

浩子「……」ﾁｬｯ

浩子(テンパイか)

浩子手牌：一二三六六七七八 �D�F ８８８ ツモ：�F


浩子(五筒切ればテンパイ。やけど、これは親に当たる)


灼捨牌：�H北３二西 �E四７�H


浩子(白糸台も一筒をポンしとる)
浩子(……ここやな)ﾀﾝ 打六


誠子手牌：八九 １１１７８９ 北北 ((�@)�@�@)


──10巡目


浩子手牌：一二三六七七八 �D�F�F ８８８ ツモ：七 打：六


──11巡目


浩子手牌：一二三七七七八 �D�F�F ８８８ ツモ：�D


浩子(張った。けど出和了りは出来へん。かといってリーチは分が悪い)
浩子(阿知賀は筒子の多面張で、白糸台はドラ暗刻のチャンタ系。ツモり三暗刻なんかで突っかかる手やないわ)


誠子捨牌：一西南三�C 六中�D３八


浩子(……白糸台の八萬は手出し。辺七萬待ちの所に九萬重ねたんやな)
浩子(っちゅうことは、九萬と何かのシャボ、多分中か北や)

浩子(筒子に字牌、それと九萬。ここを引いたら回すで)
浩子(そのためにも、ここは一旦テンパイ外す)ﾀﾝ　打七

278 ：副将戦前半戦 16/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:38:41.29 ID:MEGgX6PP0

──15巡目

浩子「……ツモ。800・1,600の1本漬けですわ」

浩子手牌：七七九九 �A�A�C�D�D�F�F ８８ ツモ：�C


灼(私の待ちが……)

灼手牌：�A�B�B�B�B�C【�D】�E�F�G　中中中
※12458待ち


誠子手牌(潰された……！)

誠子手牌：九九 １１１７８９ 北北 ((�@)�@�@)


哩「……」ﾊﾟﾀﾝ

哩手牌：三四【五】六 �A�E�H １２６８ 北中


白糸台：198,500
阿知賀：101,700
千里山： 72,000
新道寺： 27,800

279 ：副将戦前半戦 17/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:39:11.99 ID:MEGgX6PP0

──南4局(オーラス) 親：浩子 ドラ：５

──7巡目

哩(私1人だけ、蚊帳の外)

浩子「……」ﾀﾝ 打中

誠子「ポン」

哩「……」ﾋﾟｸｯ

哩(ツモ番も飛ばされ)


──8巡目

浩子「……」ﾀﾝ 打二

誠子「ポン」

哩「……」ｲﾗｯ


──9巡目

灼「リーチ」

哩「……」

哩(ツモば飛ばされ、おかげにリーチ)ﾁｬｯ
哩(一方私は3向聴)

哩「……ちょっと失礼」

哩(……)ﾊｧｰ
哩(……これじゃ、何の為に花田さ先鋒置いたんか分からん)ｳﾂﾑｷ

哩手牌：一一二四六六八九 �B�D 【５】 北北 ツモ：２


哩「……」ﾋﾟｷｯ
哩「…………」ﾋﾟｷｯ ﾋﾟｷｯ

灼「……？」
浩子「？」
誠子「新道寺？」

ブチン

哩「……」ﾕﾗｧ
哩「……」ﾀﾝ 打【５】

280 ：副将戦前半戦 18/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:40:01.88 ID:MEGgX6PP0

灼捨牌：西北八１�A ３発５�G(リーチ)


浩子(ダブドラ手出し。張ったんやないな。降りたか)

誠子(リーチの現物とはいえ、ドラドラか。貰っとくかね)

誠子「チー」ﾀﾝ 打２


灼「……」ﾀﾝ �Bツモ切り
哩「……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ 打２

灼「……？」ﾀﾝ �Dツモ切り
哩「……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ 打�B

灼「……」 ﾀﾝ 一ツモ切り
哩「……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ 打�D


誠子(テンパイ。新道寺が親の現物連打してるから、そこ狙いがベストかね)

誠子手牌：【五】六七八 �B�C�D�E�E�G ((【５】)４６) ツモ：�F　打：�E


浩子(白糸台もテンパイか)ﾁｬｯ
浩子(2向聴やしここは降りなんやけど、何切りますかね)

浩子手牌：五六六八九 �@�A�A�B�C ５６７


浩子(親の現物やし八萬切……)
浩子(……)


哩捨牌：北東�@白白 �F【５】２�B�D 北北


浩子(……あかん)

浩子(これ、当たるわ)

浩子(……こっちか)ﾀﾝ 打�B


哩「……ツモ」

哩手牌：一一二二三三四五六七九九九 ツモ：八
※1478待ち


哩「……4,000・8,000」

誠子(倍満……同テンどころか、チンイツかよ。降りてたんじゃなかったのか)ｱｾﾀﾗｰ

浩子「……お疲れさんでした」ﾁｬﾗｯ ｶﾞﾀｯ ｽﾀｽﾀ

灼「……お疲れ様でした」退席



哩「……」ﾋﾄﾘﾎﾟﾂﾝ

煌「部長ー」ﾋｿﾋｿ
(対局室の入り口からこっそりと声をかける)

哩「……」ｳﾂﾑｲﾀﾏﾏ

煌「むぅ。部長ー」

哩「……？」ｽｺｼｶｵｦｱｹﾞﾙ

煌「お気づきになられましたかね。部長、私ですよー」ｵﾃﾃﾌﾘﾌﾘ

哩「あっ、えっ。花田……？」ﾐﾂｹﾙ

煌「差し入れに参りました。取り合えずこちらに」ﾃﾏﾈｷ

哩「……ん」ﾃｺﾃｺ

281 ：副将戦前半戦 19/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:40:35.66 ID:MEGgX6PP0

──廊下

煌「ささ、どうぞ。冷たすぎず熱すぎず、見事なまでに常温のコーヒーです」ｻｼﾀﾞｼ

哩「えっ、何その微妙な……」ｵｽﾞｵｽﾞ

煌「最初は普通のアイスコーヒーだったんですけどね。この猛暑のせいで氷が溶けてしまいました」ﾀﾊﾊ

哩「……温か」ﾏﾕﾋｿﾒ

煌「すみません。対局に手に汗握っていたせいで、予想以上に温まってしまったようですね」

哩「……」

哩(ということは、花田はこれを両手に、こんな感じで……)ﾓﾝﾓﾝ


きらめ「ぶちょう、がんばってください！」ﾘｮｳﾃﾆｺｯﾌﾟｷﾞｭｯ


哩「……んんっ」ｾｷﾊﾞﾗｲ

煌「？ どうかしましたか？」ｷｮﾄﾝ

哩「いや、なんでもなか」

煌「その割にはお顔が赤いようですが」ﾉｿﾞｷｺﾐ

哩「っ……気のせいやけん、気にせんとね。それより、姫子たちさ来てなかと？」ｶｵｿﾗｼ

煌「？？？ ええ、そうですね。何でも大勢で行くよりは、との事で」

哩「……そう」

煌「そのお気遣い、実にすばらです。尤も、その大役を任されるのがなぜ私なのかが良く分かりませんが」

哩「……分からんやろうな」ﾎﾞｿｯ

煌「？ 何か言いましたか？」

哩「何も」

煌「そうですか。しかし姫子さんのあの様子はどこか変でしたね……まさか」ﾊｯ

哩「……っ」ｷﾞｸｯ

煌「姫子さん、面倒臭がりですからね。体よく押し付けられましたかね」

哩「……まぁ、お前はそういう奴やけんな」ｶﾞｸｯ

煌「？」

282 ：副将戦前半戦 20/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:41:10.02 ID:MEGgX6PP0

煌「思えば、次鋒戦から、差し入れに来ているのは私だけですね」

哩「……」

煌「やはり半荘2回の間に色々と割り込むのは、集中力が乱れるのでしょうか」

哩「……」

煌「だとしたら、私はチームの足を引っ張っていると言うことになるのでは」ﾑﾑﾑ

哩「……そんなことはなか」

煌「……そうでしょうか」

哩「……お前のインターバルの時に誰も行かんかったのは悪かった」

煌「そんな部長。私全く気にしてませんよ。今言った通り、それが普通です」

哩「白糸台の宮永照に、あれだけ暴れまわられて、その。なんて声さ掛けていいんか分からんかったっと。4人を代表して謝る」ﾍﾟｺﾘ

煌「ああ部長。よしてくださいそんな事。すばらくないです」ﾕｻﾕｻ
(哩の両肩を持ってゆする)

煌「私は私の役割を果たした……とは、正直言いきれませんが、少なくとも皆さんを信頼して試合に出ているんですから。そんな瑣末なことお気になさらないでくださいな」

哩「……？ 役割？」ﾋﾟｸｯ

煌「ええ。私は先鋒として、あのチャンピオンを前に飛……」

煌(……あれ)

煌(そういえば、私が捨て駒として先鋒に選ばれた事。私は偶然聞いて知りましたが)

煌(それを部長から直接は聞いていない……ような……)ﾋﾔｱｾﾀﾗｰ

煌(もしかしてこれは、言ってはいけないことだったのでは……？)

哩「……花田。お前、もしかして」ｶｵｱｹﾞﾙ

煌「い、いえそんな。何かの聞き間違いです」ﾃｦﾊﾅｽ

哩「まだ何も言ってなか」

煌「私は何も聞いてませんよ。本当です。ええ本当ですとも」ｱﾄｽﾞｻﾘ

哩「……」

283 ：副将戦前半戦 21/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:41:44.45 ID:MEGgX6PP0

哩(……花田の奴、聞いとったんか、あの会話)
哩(ってことは、自分が捨て駒やと分かった上で今日まで打ってきたんか)
哩(文句の一つも言わんと、愚痴の一つさこぼさんとっと)
哩(……)

哩「……そっか」

煌「そ、そうです。私は何も聞いていません。ですから部長、頑張ってくださいな」

哩「……」ｶｯﾌﾟﾉﾌﾀｶﾊﾟｯ

哩「……んくっ……んくっ……」ｲｯｷﾉﾐ

煌「お、おぉ。すばらな一気飲みです」

哩「……ふぅ」

煌「あ、捨てておきますよ」

哩「……ん。ありがとう」ﾜﾀｼ

煌「へ」ﾎﾟｶﾝ

煌(部長にストレートにお礼を言われたのは、初めてですね)

哩「なにさ？」

煌「いえ、何でもありません。頑張ってください」

煌(なんていったら、また怒られそうですからやめておきましょう)

哩「ん。行ってくる」ｽﾀｽﾀ

煌「……」


煌「笑いました……よね。今」

煌「お綺麗な表情でしたねぇ。普段からもっと笑ってくださればいいのに、勿体ない」

煌「……」

煌「……はて。何が勿体ないのでしょう？」

煌「……よく、わかりませんね。取り合えず、部屋に戻るとしましょう」


──ん。行ってくる


煌「……」ｷｭｯ

煌「ふぅむ。なんでしょう、この感じ。落ち着きませんね」
煌「でも、不思議と悪いものではないということは分かります」
煌「戻ったら、姫子さんに相談してみましょう」

284 ：副将戦前半戦 22/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:42:19.81 ID:MEGgX6PP0

──千里山控え室

浩子「……」ｱｲﾊﾟｯﾄﾞｲｼﾞｲｼﾞ
竜華「ぐすん」

浩子「……」ｱｲﾊﾟｯﾄﾞｲｼﾞｲｼﾞ
竜華「ぐすん」

浩子「……なるほど。わかったで」
竜華「ぐすん」

セーラ「おお、何が分かったん？」

浩子「阿知賀の副将のことですわ」

泉「分かったって、何がです？」

浩子「ずばり結論から先に言いますと、あの子も松実姉妹と同じく、特異体質ですわ」

セーラ「ホンマか？」

泉「牌の偏りいう奴ですか。今調べとったのはそれですか？」

浩子「いや、さすがにあれを今やる余裕はなかったんやけど。直接打って分かりました」

浩子「あの子は筒子に対して特殊な体質を持っとるみたいですね」

セーラ「筒子……」

浩子「この半荘での彼女の和了った手です。うちが記憶した範囲ですけど」ｱｲﾊﾟｯﾄﾞﾐｾ

セーラ「これは……」


東1局1本場
灼手牌：三四五 �A�A�G�G ((６)５７)(三三(三)) ツモ：�A
灼捨牌：�H中白１南 �E八�F９七 �D�C�@�B


セーラ「こんなんよう覚えとるなぁ」

泉「東1局って、一番最初じゃないですか。流石です先輩」

浩子「そらどうも。それより、このツモどう思う？」

セーラ「えらい狭い待ちやけど、仕方ないんちゃうか？」

泉「ええ。六筒きりの時点では張ってなくて、ポンテンに備えたのかもしれませんし」

セーラ「その後の筒子も、結局はシャボと枚数変わらん嵌張を拒否ただけかも分からんやん」

泉「四筒切ってる以上、三筒を残してもフリテンですしね」

浩子「この待ちが通常において正しいかどうかは横において、この河と待ちを覚えといてほしいんや」

浩子「そんで、次や」

285 ：副将戦前半戦 23/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:42:50.82 ID:MEGgX6PP0

東2局
灼手牌：七八九 �B�B�H�H ２３４ (発(発)発) ツモ：�H

浩子「これはちょっと河を忘れてしもたんやけど、相当筒子も連打しとった」


東3局1本場
灼捨牌：�H�G一�B�E ２�D(リーチ)
灼手牌：七七七 �A�B�B�B�C�D�E ７８９ ツモ：�F 裏ドラ：西


浩子「んでこれや。ここでうちは推論を自分の中で確証に変えた」

セーラ「1247待ちか。ええ待ちやな」

泉「これで筒子待ちとか、すごすぎますわ」


南3局
灼捨牌：�A北西一�H 中�B�@六発(リーチ)
灼手牌：【�D】�D�D�E�F�F�F ２３４７８９ ツモ：�G 裏ドラ：七


浩子「で、ラストがこれや」

セーラ「多面張好きやなぁ。45678待ちか」

泉「……船久保先輩、これってもしかして」

浩子「気づいてくれたんか」

セーラ「え？ なんや、どういうこと？ 多面張を作る体質とか、そういうことか？」

浩子「まぁ、あながち外れでもないですわ」

泉「江口先輩、東1の彼女の筒子の捨牌覚えてます？」

セーラ「忘れた」

浩子「……そんな事やと思った。はい」

セーラ「サンキュー。……ええと。一筒と三筒と……ちゅうか、二筒八筒以外やん」

浩子「で、その時の彼女の待ちは？」

セーラ「……二筒と八筒やけど」

セーラ「……同じやな」

286 ：副将戦前半戦 24/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:43:22.50 ID:MEGgX6PP0

浩子「じゃあ次。東2は飛ばして、東3やな」

セーラ「捨牌が35689で」

泉「待ちが1247」

浩子「南3」

セーラ「……1239」

泉「45678」

浩子「っちゅうことですわ」

セーラ「……いや。いやいや。何を言うてんねん」

セーラ「河にないから待ちなんやで。河に待ちがあったら、フリテンやないか」

浩子「そこで、これです」ｱｲﾊﾟｯﾄﾞｲｼﾞｲｼﾞ

セーラ「……なんやこれ」

浩子「彼女、ボウリングのグローブはめとったでしょう」

セーラ「せやな。実家かなんかが経営しとるんちゃうか」

浩子「で、これですわ」

セーラ「せやから、なんやこれ」

浩子「見て分かりませんか」

セーラ「分からんから聞いてんねん」

浩子「そらそうですわな。これは失礼しました」

浩子「これ……ボウリングのピンです」

287 ：副将戦前半戦 25/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:44:06.76 ID:MEGgX6PP0

セーラ「いや、それは分かってんねん」

セーラ「俺が聞きたいのは、なんでそれを今見せたのかっちゅうことやねん」

セーラ「ちゅうかボウリングって10本ピンが立っとるもんやろ。これ、なんで倒れて……」

セーラ「……あっ」

浩子「ようやっと気づいてくれはりましたか」

浩子「ボウリングのピンの残り方って、名前があるんやて」

浩子「この、左列の4つが斜めに残った奴。これ、“ワッシャー”言うらしいんですけど」

泉「同じですね」

浩子「そうやねん。これ、1247番ピンが残って、残りが倒れてるときに言うらしいんや」

セーラ「……麻雀でも、その多面張は出来るな」

浩子「�A�B�B�B�C�D�E……彼女の東3局の待ちですね」

セーラ「他は、何があんねん」

浩子「……これとか」

泉「インザダーク……ピンの真後ろにピンがある残り方」

セーラ「1番ピンと5番ピン、2番ピンと8番ピン。それと、3番ピンと9番ピン」

浩子「東1東2が、そんな待ちでした」

288 ：副将戦前半戦 26/26 [saga　sage]：2012/07/26(木) 01:44:36.75 ID:MEGgX6PP0

泉「でも、45678番ピンが残る形はないみたいですよ」

浩子「5番ピンはないねん」

セーラ「ない？」

浩子「あん時五筒は彼女が自分で3枚使うて、残りの1枚は……」

泉「……ドラ表示牌でしたね、そういえば」

セーラ「純カラやったんか」

浩子「せやから、結果的には4678でしか和了れへん」

泉「4678……これですか。ビッグファイブ。でもこれ、10番ピンも入ってますよ」

浩子「麻雀に10はないさかい」

泉「それはまぁ、そうですけど」

浩子「……まぁ、正直100％断定できるほど確実性はない。けど、少しは考慮してもよさそうやとは思う」

セーラ「で、これどうすんねん。結構名前あるで」

浩子「もう覚えました」

セーラ「えっ」

泉「えっ」

浩子「データ派にとって、それくらいは朝飯前です」ﾒｶﾞﾈｸｲｯ

セーラ「データってすごいんやなぁ……」

浩子「……ところで」

泉「はい？」

浩子「清水谷先輩は、なんであんな端っこでメソメソしとるんです？」

セーラ「なんでって……そらお前」

泉「船久保先輩が構ってあげへんから……」


竜華「……ぐすん。ええもん、さっぱり何言うてんのか分からんかったうちの事なんか放っておいて、3人だけで盛り上がったらええやんか」ｲｼﾞｲｼﾞ


泉「あー、いじけちゃいましたよもう」

セーラ「のの字で床が穴開くんちゃうか」

浩子「しゃあないじゃないですか。清水谷先輩に構うより、彼女の特異体質を解析するほうが優先順位が高いんですから」

泉「あー……」

セーラ「またそんなはっきりと……」

竜華「ふえーん、浩子のアホー！ データマニアー！」ｷﾞｬｰｽｷﾞｬｰｽ

浩子「なんやねんもう……」

中堅戦前半戦終了

白糸台：194,500
阿知賀： 94,700
千里山： 66,000
新道寺： 44,800

289 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/26(木) 02:01:26.52 ID:MEGgX6PP0

副将戦前半でした。
灼さんの霊圧薄すぎて能力が分からないンゴ状態。

290 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/07/26(木) 02:26:35.71 ID:FJct8NsJo

乙

291 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/07/26(木) 12:32:32.65 ID:/hlTHDa+0

乙

292 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]：2012/07/26(木) 12:59:37.86 ID:N+e6F7lVo

乙
続きも待ってる

293 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]：2012/07/26(木) 13:59:22.99 ID:kEseaS1Uo

おつ〜

294 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/07/26(木) 14:33:49.90 ID:OkswiAp10

乙！阿知賀編の漫画版もせめて3年前辺りから始めていたらここまで闘牌に力を入れてくれただろうか……

295 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]：2012/07/26(木) 14:54:25.51 ID:JkGdQj1AO

乙乙
灼さんの能力解析面白いわ
早く原作で判明してほしいね

296 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/07/28(土) 01:34:22.40 ID:vUNh66d00

感想レスありがとうございます。いつも励みになっております。
長々とここまで書いてきましたが、残りは副将戦後半戦と大将戦前半後半、そして＋αです。
最後までお付き合いのほどよろしくお願い申し上げます。

297 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/07/31(火) 09:52:01.77 ID:kydpnynDO

楽しみにしてるよ

298 ：副将戦後半戦 01/26 [saga]：2012/08/01(水) 01:15:39.39 ID:nnRejkKR0

副将戦後半戦

起親：灼(阿知賀) 94,700
南家：哩(新道寺) 44,800
西家：誠子(白糸台)194,500
北家：浩子(千里山) 66,000

──東1局 親：灼 ドラ：３

──10巡目

灼「……」ﾁｬｯ

浩子(阿知賀が起親か。インターバルで組み立てた仮説を確認するのに、丁度ええわ)
浩子(ボウリングのピンの残り方は色々名前があるようやけど、麻雀の多面張と一致してる形はあんま多かない)
浩子(河に出てへん筒子で出来る多面張が、ピンの残り方とそのまま一致したらそれで確定)
浩子(一見では一致せぇへん時も、純カラで勝手に“ピンが倒れとる”場合もあるから、新道寺と白糸台の河も良うみること)
浩子(まぁ何より現物を切る、それが一番簡単で確実な対策や)

浩子(……とはいえ)


灼「リーチ」ﾀﾝ 打�C

灼捨牌：北�G�F東９ 三�@五中�C(リーチ)


哩「……」ﾀﾝ 打４


浩子(やっぱり心理的には筒子を切りたくなるわな……)
浩子(この浮いた九筒なんかまさにそうや)
浩子(でも、この九筒は通らへんわ)
浩子(切ってへん牌は�A�B�D�E�H。……その形になる多面張は)

浩子(……�A�A�B�B�C�C�D�D�E�E�E�F�G……か？)

浩子(多分、これで合ってる、と思うけど)
浩子(つーかこれ、メンチンやないか。そないなもん迷わずさっと作りおって)

浩子(で、新道寺と白糸台の河は……)
浩子(……二筒が2枚切れ。阿知賀の手がさっき仮定したとおりになるんなら、�Aは純カラ。つまり厳密には�B�D�E�H待ち、っちゅうことになる)

浩子(あとはそれがピンの残り方に一致すれば筒子待ち、そうやないならそれ以外の待ち)
浩子(今回は……ある。バケット、とか言うんがそういうピンの残り方や)

浩子(つまり今回は筒子の多面張、�B�D�E�H待ち。これで確定や)
浩子(せやったら……新道寺が今切った四索の筋か)ﾀﾝ 打１

299 ：副将戦後半戦 02/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:16:24.94 ID:nnRejkKR0

哩「……ポン」

哩「……」ｽｯ

哩「……」ﾀﾝ 打�H

浩子(�H……！)

灼「ロン……24,000」

灼手牌：�A�A�B�B�C�C�D�D�E�E�E�F�G ロン：�H 裏ドラ：８


哩「はい」ﾁｬﾗｯ

浩子(新道寺……まだ阿知賀の特異体質には気付いてへんのか)
浩子(それは助かるけど……そこに飛ばれたらかなわんで)

哩「……」ﾊﾟﾀﾝ

哩手牌：一一一九九 �@�@ ８９９ (１(１)１)


哩(……花田はこれしきじゃへこたれかった)
哩(うちやって、諦めへん)
哩(花田は胸張って自分の役割ばやり終えた)
哩(それをうちらが取り返す)
哩(そういう戦い方を決めたんは、うちらや)
哩(後でそれについて謝るとか、色々と考えたりすることさあるけど)

哩(今は、胸張って副将戦を戦い抜く)


白糸台：194,500
阿知賀：118,700
千里山： 66,000
新道寺： 20,800

300 ：副将戦後半戦 03/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:17:07.86 ID:nnRejkKR0

──東1局1本場 親：灼 ドラ：南

──6巡目

浩子(そういえば、阿知賀の特異体質に対して、実はもう1つ対策があるっちゃあるんやな)
浩子(河に筒子並ばされる前に早和了するっちゅうことなんやけど)
浩子(副露は苦手やし、現状3位。目先の点数稼いでる場合やないねんな)

浩子(──それに)
浩子(とても今の清水谷先輩が、冷静とは、思ってへんからな)

浩子(園城寺先輩がああなって、一番辛いんは清水谷先輩や)
浩子(インターバルの時にわざとらしく泣いとったんは、病室で本当に泣いてたのをごまかすためやろな)

浩子(せやからうちが、ある程度点差を縮めておかなアカンわけか)
浩子(……はぁ)
浩子(こんなんうちの役割やないねんけど)
浩子(たまには、先輩方の気持ちを汲み取りますか)

浩子「リーチ」ﾀﾝ 打九

浩子手牌：�A�B�C�D�E ４４【５】５５６７８


哩「ポン」

哩「……」ﾀﾝ 打�@


浩子(新道寺……よりによってそこからかいな)
浩子(4位から、しかも一発消されて安目の�@。そんなん、和了るわけな……)

哩「……」ｼﾞｯ

浩子「……？」

哩「……」

浩子「……」


灼捨牌：�C�F�H北西 四


哩「……」

浩子「……ロン。裏はなし。1本場で2,900ですわ」

哩「はい」ﾁｬﾗｯ

浩子(……これで新道寺は2万点切り。せやけど、あの目は……差込、やったんやろか)
浩子(これまでのパターンからすると、確かに阿知賀のあの捨牌は筒子の多面張になりそうな切り方や)
浩子(筒子を切れば切るほど筒子が来るとか、わけわからんでホンマに)
浩子(そのくせフリテンにはならんとか、どういうことやねん)
浩子(ホンマ、面白い奴やわ……これがインハイやなければな)

灼「……」ﾊﾟﾀﾝ

灼(……あまり、いい流れじゃない)
灼(少し、変えていこうかな)

灼手牌：【五】 �@�@�@�A�B�C【�D】�F�G�H 東東


哩「……」ﾊﾟﾀﾝ

哩手牌：２２２３３３４４７ 南南南白


白糸台：194,500
阿知賀：118,700
千里山： 68,900
新道寺： 17,900

301 ：副将戦後半戦 04/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:17:40.63 ID:nnRejkKR0

──東2局 親：哩 ドラ：東

哩「……」ﾁｬｯ ﾁｬｯ

哩(いよいよ18,000点さ切ったか)ﾌｯ
哩(この親さ手離したらもう終わりやっちゅうんにこの配牌)

哩配牌：一一三六九 �@�D�G ４６ 東西発中


哩(……)
哩(でも)
哩(こんなんじゃ諦めんよ)

哩「……」ﾀﾝ　打４


誠子(四索切りスタート……早そうじゃんか)

誠子「チー」ﾀﾝ 打北


灼「……」ﾁｬｯ

灼手牌：一二 �@�@�B�C�C�E�G ２９西発 ツモ：�A 打：�C

浩子(阿知賀は筒子切りスタート……っちゅうことは最終的には筒子になるんか？)

302 ：副将戦後半戦 05/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:18:12.56 ID:nnRejkKR0

──5巡目

哩手牌：一一三五六六九 �@�D 東西発中 ツモ：二 打：西

灼手牌：一二 �@�@�@�A�B�C�E�F�G 西発 ツモ：�F 打：西


──7巡目

哩手牌：一一二三五六六九 �@�D 東発中 ツモ：東 打：中

灼手牌：一二 �@�@�@�A�B�C�E�F�G 発発 ツモ：�G 打：二


誠子(2人の手が──)

浩子(止まらへん……)


──9巡目

哩手牌：一一二三四五六六九 �@ 東東発 ツモ：六 打：発


灼「……」ﾋﾟｸｯ

灼「……」

灼手牌：一 �@�@�@�A�B�C�E�F�F�G 発発 ツモ：発 打：一


哩「……」


浩子(……2人とも1色手。阿知賀は発に反応したし、ホンイツやろうけど)
浩子(新道寺は……分からんな。今ツモッたドラ東も生牌やし、ここは流石に追えんわ)

303 ：副将戦後半戦 06/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:18:42.10 ID:nnRejkKR0

──11巡目

灼「……」ﾁｬｯ

灼「リーチ」ﾀﾝ 打�F


誠子(阿知賀のリーチ)

浩子(来たか……)


灼捨牌：�C９２白西 ５二七一八�F(リーチ)


浩子(セオリーなら�C�F以外の七面張……)ﾁｬｯ
浩子(……)
浩子(……いや、それはない。そんな形の待ちは無い)
浩子(せやったら、今回は普通のテンパイなんか？)
浩子(……)


哩捨牌：白３�A西６ 中�D発九１

誠子捨牌：北南９�B９ 南白２１中 �F


浩子(……いや)
浩子(これ、阿知賀は筒子の多面張や)

304 ：副将戦後半戦 07/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:19:13.73 ID:nnRejkKR0

浩子(よう見たら、河に一筒が出てへん)
浩子(これは──阿知賀が一筒を抱えとる)

浩子(槓子使いか、或いは暗刻で残りの1枚を白糸台か新道寺が止めたんか)
浩子(それかもしかしたら王牌なんかはわからんけど、これが例の純カラを残りのピンに含めないルールに則ってるんやとしたら)
浩子(�@�C�Fを除いた六面張……になる)

浩子(一筒を3枚以上使うて2-5-8、3-6-9の6面張……それやったら、出来る)
浩子(�@�@�@�A�B�C�D�E�F�Gの10枚使い……この形や)
浩子(これやったら、発に反応したんにも説明がつく)
浩子(鳴こう思た後に暗刻になったんやな)

浩子(……でも)

浩子(そないな形のピン残りに名前は、ない)

浩子(……うちの分析が間違うてるんか？)
浩子(そないなけったいなもんやなく、単純に筒子に手が寄りやすいだけなんか？)
浩子(ボウリングは何も関係ないんか？)

浩子(……)
浩子(確かめたい)
浩子(せやけど──ここは)ﾀﾝ 打２

浩子(副将として、この点棒を減らさへん事を優先する)


哩「……」ﾁｬｯ

哩「リーチ」ﾀﾝ 打�@


浩子(一筒……！)

誠子(染め手が2箇所とか。これは無理だっつーの)ﾀﾝ 打９

灼「……」ﾁﾗｯ

灼手牌：�@�@�@�A�B�C�D�E�F�G 発発発
※�A�D�G�B�E�H待ち

305 ：副将戦後半戦 08/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:20:03.46 ID:nnRejkKR0

灼「……」ﾁｬｯ ﾀﾝ 打八

哩「……」

灼(通った……)

浩子(3位のうちからしたら、阿知賀が新道寺に振り込んでくれるんがベスト)ﾀﾝ 打３

浩子(逆に一番嫌なんは、新道寺が阿知賀に振り込むパターンや)
浩子(2位の阿知賀と点差が離れるのもそうやけど、新道寺の点数もあかん)
浩子(これ以上新道寺がゼロに近づいたら、下手したらこの先新道寺から直撃はおろか、ツモも出来なくなってまう)

哩「……」ﾁｬｯ

浩子(とはいえ、同じ染め手言うても新道寺はドラの東を暗刻にしとるやろうしな。ツモやったら──)


哩「……ツモ」

哩手牌：一一一二三四五六六六 東東東 ツモ：【五】 裏ドラ：６
※一四七二五三六待ち


哩「リーヅモメンホン東三暗刻、ドラ4……12,000オール」


誠子(高めで親の三倍満かよ……)ﾋﾔｱｾ

浩子(これで新道寺との点差は2,000点、か)

灼(……)


哩(阿知賀との点差さこれで5万点。まだまだ離れとるけど、諦めんね)
哩(ここさ勝って、今度は──決勝は、皆で戦いたか)
哩(捨て駒やなくて、仲間として、花田を決勝に送り出したかよ)

哩(そんなの今更──ムシさ良すぎるんかもしれんけど)
哩(それでも)
哩(そうすることが、唯一花田の頑張りさ見合う応えやろうから)


白糸台：182,500
阿知賀：105,700
千里山： 56,900
新道寺： 54,900

306 ：副将戦後半戦 09/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:20:35.69 ID:nnRejkKR0

──東3局1本場 親：誠子 ドラ：八

──8巡目

灼「リーチ」

哩「……ツモ。2,100・4,000」


誠子(この2人、本当止まらねぇなおい)

浩子(テンパイ速度は阿知賀が上。せやけど新道寺が強引にツモっていきよる)


──南1局 親：灼 ドラ：三

──流局

灼「テンパイ」

灼手牌：�@�A�B�C�D�E�F�G�G�G ２３４
※�@�C�F�B�E�H待ち


哩「テンパイ」

哩手牌：一二三 �@�@�A�A�B�B�H�H ９９


誠子「ノーテン」

浩子「ノーテン」

浩子(これは……かなりしんどいわ)ﾌｰ
浩子(せやけど、このままジリ貧になってもアカン)

307 ：修正 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:28:39.26 ID:nnRejkKR0

ああ。今気付いたら、東はダブ東でしたね……しまった。
このままだと数え役満になってしまいますので、赤五萬ではなく、普通の五萬でのツモ和了に変更いたします。

正しくは、

一一一二三四五六六六 東東東 ツモ：五

立直・ツモ・メンホン・ダブ東・三暗刻・ドラ3で12翻、12,000オールとさせてください。

失礼いたしました。

308 ：副将戦後半戦 10/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:29:52.58 ID:nnRejkKR0

──南1局1本場(供託棒2本) 親：灼 ドラ：七

──11巡目

灼「リーチ」ﾀﾝ 打�A

浩子「……」

浩子(またリーチかいな。きついなホンマに)


灼捨牌：西�A七�E発 ２三中西９ �A(リーチ)


浩子(序盤の筒子切りからして、筒子のテンパイ)
浩子(残った筋は147に5839やけど……そないなテンパイはとれへん)
浩子(せやったら、また純カラがあるんやろか)
浩子(言うても、河を見た限りでは純カラかどうかなんて分からんから、あんま解決にはならんな)

浩子(しいて言うなら二筒がうちから4枚見えてるっちゅうことくらいやけど)

浩子(そいや、阿知賀の河に同じ筒子の牌が並ぶんは滅多に見……)ﾊｯ

浩子(2枚目……特異体質……ボウリ……ング……？)

浩子(ちょっと待ってや……)

浩子(ボウリングやったら、同じとこに2回投げてもオープンフレーム……スペアならずや)
浩子(阿知賀の特異体質が、河に出てへん筒子を待ちにすることやったとしたら、河が倒したピン、待ちが残ったピンっちゅうことになる)
浩子(せやったら、切った筒子を引き戻したりするなんて、ありえへん)
浩子(ありえへんっちゅうか、やったらアカンことやないんか？)
浩子(それはつまり……)

浩子(そうなった河やったら、筒子待ちやないっちゅうことやないか)

灼「……」

灼手牌：二三四【五】六 �C�D�E ２３４４４


浩子(ようやく、ホンマにようやくやけど……)ﾁｬｯ
浩子(攻略法が見えたで)

浩子手牌：二三四六 �A�A�D�E�F�G ４４４ ツモ：七


浩子「リーチ」ﾀﾝ 打�G


誠子(阿知賀のリーチに無筋の筒子？)

哩(千里山がリーチに無筋で張り合っとっと)

灼「……っ」ﾀﾝ 八ツモ切り

浩子「ロンですわ。裏無しで8,300」

灼「……はい」ﾁｬﾗｯ

浩子(清水谷先輩。副将戦の間に元通りになってくださいよ、ホンマに)
浩子(うちは攻めるのは苦手なんですから)


白糸台：170,300
阿知賀： 95,500
新道寺： 68,400
千里山： 65,800

309 ：副将戦後半戦 11/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:30:21.05 ID:nnRejkKR0

──南3局 親：誠子 ドラ：西

──8巡目

哩「リーチ」ﾀﾝ 打南

浩子「……」

浩子(阿知賀のテンパイ法則は大分分かった)
浩子(そうなると厄介なんは新道寺なんや)
浩子(単純に手が早い上に高いからな)


灼捨牌：�@�A東１五 中�C�A

哩捨牌：北一三９�E 中１南(リーチ)


浩子(阿知賀は二筒を2枚切っとるから、今回は筒子でのテンパイはない)
浩子(五萬の早切りといい、全体的に678か789の三色の捨牌)

浩子(問題は新道寺か)
浩子(自風切りスタートから見るに、そこそこ手はいいんやろな)
浩子(南手出しリーチやし、ドラの西を重ねてる可能性が高いしな)
浩子(……ここはこうか)

浩子「……」ﾀﾝ 打二

誠子「ロン。2,900」

浩子「はい」ﾁｬﾗｯ

哩(逃げられとっと)

哩手牌：五六六七七八 �B�B�C【�D】�E 西西


浩子(差し込む順位やないんやけど、新道寺にドラがトイツ以上であると仮定したら、ほぼ満貫確定やからな)
浩子(新道寺がリーチ棒を出しとるから、実質的には1,900点しか開いてないからええやろ)


白糸台：172,200
阿知賀：103,400
新道寺： 63,500
千里山： 60,900

310 ：副将戦後半戦 12/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:30:50.21 ID:nnRejkKR0

──南3局1本場 親：誠子 ドラ：�D

──13巡目

浩子(テンパイ……)ﾁｬｯ

浩子手牌：三三四五 �F�F�F ２３４６６８ ツモ：【五】


浩子(八索切って嵌四萬の満貫確定)
浩子(せやけどこれは新道寺のリーチに対して危険牌)


哩捨牌：西二�B１白 発２２九(リーチ)東 発�G

灼捨牌：発�E�F�H二 中�G七(リーチ)白東 九４


浩子(阿知賀の河は、被りのない筒子早切り。多分筒子の多面張や)
浩子(�@�A�B�C�Dの5面張……)
浩子(�A�A�A�B�C�C�C、か)
浩子(ドラ表示が四筒やから、和了は実質�@�A�B�Dの4面張)
浩子(いずれにせよ、張り合ってリーチする手やないな)
浩子(ここは一旦回すで)ﾀﾝ　打�F


──次巡(14巡目)

浩子(赤五筒……)ﾁｬｯ
浩子(突っ張っとったら、これで振ってたわ。よりによってドラドラかいな)
浩子(うちは南家やから、残り4巡。一応は聴牌できなくもない)ﾀﾝ　打�F


──次巡(15巡目)

浩子「──」

浩子(これは……)ﾀﾝ　打�F

哩(七筒暗刻落とし)

灼(千里山の人には、私の癖がばれてるのかもしれない)
灼(だけど、もう南3局)
灼(新道寺の人のリーチに皆目が行ってくれたから、なんとか誤魔化せたのかな)


──次巡(16巡目)

浩子「……」ﾁｬｯ ﾀﾝ 打２

哩(あと2巡か。この多面張がさツモれないんか)

灼(千里山の人……降りてる、んだよね？)

311 ：副将戦後半戦 13/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:31:20.81 ID:nnRejkKR0

──17巡目

浩子(……)ﾁｬｯ ﾀﾝ 打４

哩(この巡がうちのラスヅモ……)

哩手牌：一二三四五五六六七七 北北北


灼(これが私の最後のツモ)

灼手牌：一二三 �A�A�A�B�C�C�C ６７８


灼「……」ﾁｬｯ

灼(三索……結局ツモれず)
灼(……三索？)ﾀﾝ ３ツモ切り

浩子「ロンですわ」

灼「えっ……」


浩子手牌：三三四四【五】五 【�D】�D ３６６８８


浩子「12,300」

灼「っ……」

哩(七筒ば暗刻落とししといて、七対子……しかも二索四索さ落として、三索待ち)

誠子(私でも振ってたな)


白糸台：172,200
阿知賀： 90,100
千里山： 75,200
新道寺： 62,500

312 ：副将戦後半戦 14/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:31:49.89 ID:nnRejkKR0

──南4局(オーラス) 親：浩子 ドラ：�@

浩子(これでいよいよオーラス)
浩子(うちが和了るか流局以外は終了や)

浩子手牌：一四八 �E １２２４【５】７９ 東西西発 打一


浩子(ドラが筒子でうちの手牌に筒子は1枚だけ。これは阿知賀に寄りそうな流れやないか)
浩子(無理に勝負に行くよりは、流局で終わりっちゅうんも視野に入れなアカン手やな)


灼「……」

灼(これは……)
灼(……)ﾀﾝ 打三


哩(配牌で2面子完成の2向聴……悪くはなか)

哩手牌：五七八 �@�@�@【�D】�D�E�F ３８ 中 ツモ：８ 打：中


──6巡目

浩子「……」ﾁｬｯ

浩子(阿知賀が河に一切筒子を捨ててへん。今回は普通なんか？)
浩子(……分からんけど、意外に手も伸びてきたし、まぁええやろ)ﾀﾝ 打�E

浩子手牌：四 １２２３４【５】５７９ 東西西


灼「……」ﾁｬｯ

灼手牌：六六八 �B�B�C�D�E�F�G�G 白中 ツモ：�B


灼(全体的に対子場)
灼(二択になると思うんだけど……取りあえずは字牌処理)ﾀﾝ 打白


哩(八索……)
哩(対子場なんかな)
哩(やったら、この手、面前で行き切れんかもしれん)
哩(そいけんここは八萬切ってタンヤオだけ考えっとよ)

哩手牌：五七八 �@�@�@【�D】�D�E�F�F ８８ ツモ８ 打：八

313 ：副将戦後半戦 15/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:32:21.57 ID:nnRejkKR0

──8巡目

浩子(索子に寄せきった)
浩子(でも、仮に張ったとしても、リーチはせえへんで)
浩子(こないな見え見えの染め手で出和了り出来るとは思ってへんし……)
浩子(なにより、阿知賀が気になんねん)

浩子手牌：四 １２２３４【５】５７９ 東西西 ツモ：７ 打：四


灼(千里山の人は索子の染め手)
灼(新道寺の人は筒子が多い感じ。この巡目で1枚も切られてないなら、多分新道寺がドラを対子にしてる)
灼(それは、別に構わない。この手は最終的に、ドラじゃ待てないから)
灼(だけど……)

灼手牌：六六八 �B�B�B�C�D�E�F�G�G 中 ツモ：七 打：中


灼(もし、一筒以外の牌を抱えられていて)
灼(自分で“ここ”を引いてきたら)ﾁｮﾝﾁｮﾝ 牌触る
灼(皆には悪いけど、ちょっと我侭な打ち方をするかもしれない)


哩(六筒……これで聴牌)
哩(一筒か八索さ切って、嵌六萬)
哩(それでも良か、けど……)
哩(対子場を考えるなら……こうや)

哩手牌：五七 �@�@�@【�D】�D�E�F�F ８８８ ツモ：�E 打：七


──10巡目

浩子(西、自分で引いたか)

浩子手牌：１２２３４【５】５７７９ 東西西 ツモ：西


浩子(辺三索に両嵌残り、あんまいい形ではないな。鳴きは苦手やけど、それもせなアカンか)ﾀﾝ　打東


灼(引いた……)ﾁｬｯ

灼(ドラの一筒は新道寺の人が抱えてる)
灼(同じく筒子の真ん中あたりも持たれてる)
灼(そして、今ツモって来た牌)
灼(ここは……さっき決めた通り)

灼手牌：六七八 �B�B�B�C�D�E�F�F�G�G ツモ：？ 打：�D


灼(自分を信じる)

浩子(ここで筒子切りやて……？)

314 ：副将戦後半戦 16/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:33:42.79 ID:nnRejkKR0

恒子「こ、これは……」

健夜「……ありえません」

恒子「鷺森選手、4面張を捨てて、1向聴に逆戻り。果たしてこの狙いはなんでしょう？」

健夜「4面張といっても、七筒は純カラで、残りも実は殆んどないのですが」

健夜「……狙いに関しては、一つしかないでしょう。今つもった牌を手牌に入れたということは」

恒子「いやー、ですが小鍛治プロ。4面張を捨てて、そんな確率の低いことに賭けるって言うのは、どうなんですか？」

健夜「……4面張どころでは、ないと思います」

恒子「？ と、言いますと？」

健夜「四筒を切りつつ、ツモった牌で発声をしなかったということは、彼女の頭の中では、もう一つある牌をツモってくる予定なんだと思います」

健夜「鷺森選手の特徴からして、それは多分私が予想している牌と同じだと思うんですが……」

恒子「？？？」

健夜(それを使えば、8面張になったはずなのに)
健夜(でも……いずれにしろ、その待ちは多くない)
健夜(和了れるかな？)

315 ：副将戦後半戦 17/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:34:32.17 ID:nnRejkKR0

浩子(張った……のはええけど、辺三索かいな)

浩子手牌：１２２３４【５】５７７９ 西西西 ツモ：５ 打：９

灼(あと、1つ──)ﾀﾝ 打�C


哩(──)

哩手牌：五　�@�@�@【�D】�D�E�E�F�F ８８８ ツモ：【�D】


哩(立直？)
哩(いや……安目の五筒はもう阿知賀が切って純カラ。ダマの出和了でも倍満確定しとる手や)
哩(白糸台からでも2位になれっとよ)
哩(千里山さ索子の染め手、白糸台も聴牌さしとる)
哩(ここは静かにさしとくんよ)ﾀﾝ 打五



誠子(やっと聴牌)

誠子手牌：三四五 �A�A�A�C�H�H ７８９９ ツモ：�H


誠子(九索切れば三筒四筒の変則2面待ち)
誠子(四筒切れば6-9索の両面待ち)

誠子(九索も四筒も、切られたばかりの牌だから安全といえば安全だけど)
誠子(どっちも結局和了牌は抱えられてる気がするんだよな)
誠子(ここは今阿知賀が切ってくれた四筒切り、それでリーチはなしだ)
誠子(親に抱えられてて和了れませんでした、なんてシャレになんねぇからな。索子を引いたら降りる)ﾀﾝ　打�C

316 ：副将戦後半戦 18/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:35:14.91 ID:nnRejkKR0

浩子(……生牌の九筒)ﾁｬｯ


浩子捨牌：一八一中�C �E発四四東 ９

　灼捨牌：三二４南発 白二中六�D �C

　哩捨牌：中白１３東 八５七九三 五

誠子捨牌：九西南発南 ４東二中南 �C


浩子(筒子が高すぎる。四筒が3枚見えてるっちゅうことは、七筒が手牌で5-8筒が山って良う言うけど)
浩子(この場合は、それが当てはまらん気がするわ)
浩子(……これは、切れへん)
浩子(暗刻の西を落とすか)ﾁｬｯ 打西


誠子(二筒……)

誠子手牌：三四五 �A�A�A�H�H�H ７８９９ ツモ：�A


誠子(ツモ切りはないにして、槓するか聴牌を諦めるか)
誠子(ここは……)

誠子「槓」
誠子「新ドラは……お」


──ドラ表示牌は、一筒。


灼(ドラ4確定……)

浩子(これで二筒が純カラ)

哩(一筒も純カラ)

誠子「嶺上はなしだ」ﾀﾝ　打九

浩子(二筒が純カラ、それに河に四筒と五筒)ﾁｬｯ
浩子(�@�B�E�F�G�Hが候補やけど、そないな待ちはない)
浩子(ましてや、二筒が純カラで一筒が浮いとるなら尚更や)
浩子(でも、ドラ表示牌が初めて見えた一筒っちゅうことで思ったんやけど)

浩子(もしどこかが一筒も暗刻にしとるんなら)

浩子(実際は�B�E�F�G�H……になる)
浩子(でも、これもさっきと一緒で、そないな聴牌は組めへん)
浩子(他にも純カラがあって、実際の阿知賀の聴牌はもっと狭いんか？)
浩子(それとも単純に、筒子待ちやないんか？)

浩子(白糸台も槓してノーテンっちゅうことはないやろうからな)ﾀﾝ 打西


灼「……」ﾁｬｯ

灼「槓」


哩(阿知賀も……)

浩子(槓やて……？)

317 ：副将戦後半戦 19/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:35:53.65 ID:nnRejkKR0

灼手牌：六七八　�B�B�B�B�E�F�F�G�G�G ツモ：�G


──灼、ツモった八筒ではなく、その前から槓子になっていた三筒を暗槓

──新ドラは七萬。


哩(五筒四筒落として、三筒暗槓……？)

浩子(これで、三筒も純カラ)
浩子(�E�F�G�H待ちなら)
浩子(麻雀でもボウリングでもありえるやないか──)


灼「……ツモです」

灼手牌：六七八 �E�F�F�G�G�G�G (�B�B�B�B) ツモ：�E ドラ：�@９七


灼「嶺上開花ツモ、ドラ1……1,300・2,600です」


浩子(ありえへんわ……)
浩子(その手牌やったら、四筒五筒を残して�B�B�B�C�D�E�F�G�G�G)
浩子(こうすれば一筒以外の全てで和了れる、8面張やないか)
浩子(阿知賀が多面張を間違える訳がない)
浩子(せやのに、なんでわざわざ679筒の変則3面張やねん)

浩子(ホンマに……わけわからんわ)


副将戦後半戦終了

白糸台：170,900
阿知賀： 95,300
千里山： 72,600
新道寺： 61,200

318 ：副将戦後半戦 20/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:36:31.86 ID:nnRejkKR0

恒子「副将戦後半戦、最後は阿知賀の鷺森選手が嶺上開花を和了って終了しました！」

健夜「そうですね」

恒子「しかし小鍛治プロ。あの手でしたら、五筒四筒を切るのは勿体ないと思うんですけど」

健夜「……その場合、�B�B�B�C�D�E�F�G�G�G、この形での8面張が最終的な形になるでしょう」

恒子「そうなんですか？(はちめんちゃん？)」

健夜「そうなの！ ……こほん。ですが、その形ですと、和了はなかったでしょうね」

健夜「亦野選手が二筒を暗槓。四筒は河に3枚、自分で1枚。五筒は白水選手が3枚、自分で1枚」

恒子「六筒は……2枚白水選手が使ってて、1枚が河」

健夜「七筒は白水選手と鷺森選手が持ち持ち、そして──」

恒子「九筒は船久保選手が1枚、亦野選手が3枚。つまり」

健夜「例え8面張に受けても、鷺森選手の和了牌は、六筒1枚だけだった」

恒子「しかもそれは嶺上牌……これって、相当な確率では？」

健夜「ええ。そして彼女はそれでしか和了がないと思った」

恒子「それって、さきほど小鍛治プロが言っていた……でも、そんな。8面張の和了牌が残り1枚で、しかもそれが嶺上牌なんて」

健夜「……まぁ、鷺森選手も、確証があってという槓ではなかったでしょうけどね。運もあったんだとおもいます」

恒子「そーですかー。さて、いよいよ次は大将戦ですが──」

健夜(狙って嶺上開花が出来る。狙って連荘が出来る。狙って海底で和了れる……)

健夜(そういう話は、今のこーこちゃんに言っても、まだ分からないだろうからなぁ)
健夜(まずはちゃんと麻雀を教えないと駄目かな、やっぱり)


恒子「……聞いてますかー、実家暮らしの小鍛治プロ」

健夜「き、聞いてるよ！ それ今関係ないよね!?」

319 ：副将戦後半戦 21/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:37:11.28 ID:nnRejkKR0

──白糸台控え室

淡「んー、やっと私の出番かぁ」

淡「大将の唯一嫌いなのは、試合が遅いことですよねぇ」

菫「まぁ、そういうな。早く終わって何もすることがないというのも面倒だぞ。一長一短だ」

淡「まーそーですけど」

照「淡」

淡「はい、なんでしょう？」

照「手、出して」

淡「はい？」

淡(なんだろう。おまじないでもしてくれるのかな)ﾜｸﾜｸ

照「……イチゴ牛乳」ﾁｬﾘﾝ

淡「……は？」

照「イチゴ牛乳、買ってきて。試合が終わってからで良いから」

淡「……」

照「？」

淡「先輩に期待した私が馬鹿でしたよ！」ｽﾞﾝｽﾞﾝ ｶﾞﾁｬｯ　ﾊﾞﾀﾝ

照「？？？ なんで淡は怒ったんだ？」

菫「いや……お前、なんでって」

照「？？？」

菫「……大星、運が悪かったと思って諦めろよ」


────
──

淡「……しかもよく見たら、これ」

淡「10円足りないじゃないですか」

淡「さいあくださいあくだ、あのひとさいあくだ」ﾌﾟｸｰ

320 ：副将戦後半戦 22/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:37:57.62 ID:nnRejkKR0

──阿知賀控え室

灼「ただいま」ｶﾞﾁｬｯ

玄「おかえり灼ちゃん」

憧「灼さんおかえり。流石だね」

灼「あぁ、うん。ありがと……」

玄「？ どうしたの？」

灼「あぁ、うん。緊張したのと、疲れたのとが、今どっと来た」ｿﾌｧｽﾜﾘ

憧「全然対局中はそんな風に見えなかったけど、やっぱり緊張してたんだ」

灼「冷静に考えたら、全国に放送されてるわけだから」

玄「そうだねー。こども麻雀クラブの皆、観てくれてるかな」

晴絵「灼」

灼「はるちゃん」

晴絵「お疲れ。お見事だったよ」ｱﾀﾏﾎﾟﾝﾎﾟﾝ

灼「うん。ありがと……」ﾃﾚ

玄「灼ちゃん照れてる」

灼「そういうこと言わなくて良いから。……ところで、さっきから気になってたんだけど」

憧「ん？」

灼「そこで、部屋の隅で呪文を唱えてる穏乃は一体なに？」

玄「あー……」

憧「あれねー……」


穏乃「……やばい……緊張してきた……お腹痛い……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

宥「穏乃ちゃーん……」ｵﾛｵﾛ ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ


晴絵「ああ見えて、責任感とか強いからねぇ……」

灼(というか、お腹痛いのはお昼に水をガブ飲みしてたからじゃ)

321 ：副将戦後半戦 23/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:38:25.87 ID:nnRejkKR0

宥「憧ちゃん、やっぱり私が励ましても駄目みたい。憧ちゃんじゃないと……」

憧「もー、しょうがないなぁしずは」

憧「はいはい、あんたなら大丈夫だから、さっさと行ってきなさい」

穏乃「……本当に？」

憧「ん。皆あんたを信じて打ってきたんだから。例え負けても、あんたの責任じゃないし、誰のせいでもない」

穏乃「うん……」

憧「しず。胸張って行ってらっしゃい。そんで、勝っても負けても、ちゃんとここに帰ってくること」

憧「皆あんたを信じてるし、あんたを待ってるから」
憧「だから、勝っても負けても、楽しかったって言える麻雀をしてきなさい」
憧「分かった？」

穏乃「……うん！」

憧「分かればよろしい。それじゃ、行ってきなさい」

穏乃「行ってくる！」ｶﾞﾁｬｯ ﾊﾞﾀﾝ

憧「世話が焼けるんだから、全く」

宥「……でも、そんな穏乃ちゃんだから好きなんでしょ？」ﾎﾞｿ

憧「……まぁ、そうなんだけど」ﾎﾞｿ

玄「？ おねーちゃん憧ちゃん、何か言った？」

宥「ううん、何も言ってないよー」

憧「そ。それじゃ大将戦、応援しますか」

322 ：副将戦後半戦 24/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:39:10.81 ID:nnRejkKR0

──新道寺控え室

煌「お帰りなさいませ」

哩「……ん」

煌「お見事でしたよ、部長。これで阿知賀との点数も縮まりました」

姫子「そうやねー。あとはうちが頑張るだけやっとー」ｿﾃﾞﾌﾘﾌﾘ

哩「姫子、また袖に手ば入れとるんか」

姫子「いーじゃなかですかー。そいぎーいってきますー……の、前に」

哩「？」
煌「？」

姫子「ぶちょー、ちょっと」ﾃﾏﾈｷ

哩「だから、その袖……それで、なにさ？」

姫子「……勝って、決勝さ行きましょうね」ｷﾗﾝ

哩「？ そのつもりやけど……なにさ急に？」

姫子「やー、それじゃ入って来ますー」ﾊﾟﾀﾝ

哩「？ 何さ姫子の奴、急にやる気さ出して」

煌「部長、それはむしろ良いことなのでは？」

哩「まぁ、そうなんやけど……」

煌「それはそうと部長、私部長に相談したいことがございまして」

哩「？ 相談？」

煌「はい」
煌「姫子さんにも相談したのですが、部長本人に聞いたほうが良いというもので」

哩「まぁ、ええよ。どんな内容？」

煌「ええ、実は先ほどインターバルに部長にお会いしたときの事なんですが──」

哩「ちょ……えっ……」


次鋒(それを本人にするんか……)

中堅(いっそ告白したら良か思うんやけど、多分花田さ気付いとらんからなー)

次鋒(不憫やね……)

中堅(観てて楽しか)

次鋒(まぁ、そうなんやけど)

323 ：副将戦後半戦 25/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:41:19.18 ID:nnRejkKR0

──千里山控え室

浩子「戻りました」

竜華「おかえりー」

浩子「もう機嫌直ったんですか」

竜華「セーラがアイスくれたんやー」

セーラ「たまに竜華がホンマに同い年か怪しゅうなるときあるわ」

竜華「えーなんでー？」

泉「先輩、基本天然ですからね」

浩子「おーよう言うなー」

泉「ええ？ 今そう言う流れやったんちゃいますの!?」

竜華「それより浩子凄いな。これ、見てみぃ」

浩子「なんです？」

竜華「副将戦の得点収支や」

浩子「はぁ。……あら」

竜華「72,600でバトンもろて、前半戦は-6,600の66,000点」

泉「で後半が、+6,600の72,600ですね」

セーラ「半荘2回で、プラマイ0かいな」

竜華「凄いやん浩子ー」

浩子「……いや、偶然に決まってますやん」

竜華「そうなん!?」

浩子「なんで団体戦で3位4位のうちらがプラマイ0せなアカンのですか」

竜華「そ、そういえばそうやな」

浩子「アッパラパーなのも大概にしてくださいよホンマに」

竜華「やっぱ浩子のアホー！ データマニアのオタンコナスー！」

浩子「ホンマなんなんですかもう……」


浩子(まーいつもの清水谷先輩っぽいからええのかも知らんけども)
浩子(……しかし、プラマイ0か)
浩子(もうちょっと早く阿知賀の特異体質を全部見抜けてたらな)
浩子(なんだかんだで結局先輩頼りかいな)

浩子(先輩が抜けた来年が、大変やな)
浩子(もっと、頑張らんと──)

324 ：副将戦後半戦 26/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:56:01.85 ID:nnRejkKR0

竜華「……」

竜華「…………」

竜華「緊張は……してへんなぁ」
竜華「意外やなぁ。自分で言うのもなんやけど、不思議な気持ちやわ」

竜華「怜……観てくれてるかな」
竜華「頑張れーとか言うてくれてるかな、テレビの前で」
竜華「そんで看護師さんにうるさーいとか言われてたらウケルなぁ」ﾌﾌ

竜華「あぁ、でも……」
竜華「……やっぱり、まだ寝ててくれたほうがええなぁ」
竜華「ほんで、起きた怜に勝ったでーって言うのもええなぁ」
竜華「そしたらきっと、怜びっくりしよるやろなぁ」

竜華「……怜」
竜華「……頑張るからな」
竜華「うち、頑張るからな」



穏乃「……」

穏乃「…………」

穏乃「ああ……緊張する緊張する緊張してる」
穏乃「自分で言うのもなんだけど、もう一杯一杯だよ……」

穏乃「憧……観てるだろうなぁ」
穏乃「頑張れなんて、言わないだろうなぁ。そう言うのは玄さんの役目っぽいし」
穏乃「そんで憧がうるさーいとか言ってそう」

穏乃「あぁ、でも……」
穏乃「……やっぱり、その方が良いかな」
穏乃「それで、控え室で待ってる憧に勝ったよーって抱きついてやろう」
穏乃「そしたらきっと、憧びっくりするだろなぁ」

穏乃「……憧」
穏乃「……頑張るから」
穏乃「私、きっと逆転してみせるから」

325 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/08/01(水) 01:58:02.87 ID:nnRejkKR0

以上、副将戦後半戦でした。

控え室での各校の会話を書いているところで浩子さんのプラマイゼロに気がついた。咲さんもびっくり。

次は大将戦です。それでは失礼します。

326 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]：2012/08/01(水) 02:59:35.98 ID:t7JdgbLAO

新道寺をここまで書いてくれる人も珍しいな……
すばら！

327 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]：2012/08/01(水) 03:07:16.13 ID:CtRhgmG9o

新道寺マジがんばれ

328 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/08/01(水) 03:08:57.97 ID:FskxgK+Vo

>>317
＞灼「嶺上開花ツモ、ドラ1……1,300・2,600です」

満貫じゃね？

329 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/01(水) 05:03:38.13 ID:eD7GCHuLo

しずさんが勝てるビジョンが見えへん……！
乙！

330 ：修正多すぎィ！ [sage saga]：2012/08/01(水) 05:09:15.37 ID:ch8eXR3AO

携帯から失礼します。>>1です。

>>328のご指摘どおり、良く見るとイーペーコーが抜けてますorz

よって、オーラスのドラを�@９七から�@９７に変更し、灼の点数は変わらず嶺上開花・ツモ・イーペーコーで40符3翻の1,300・2,600のままと致します。

本当に本当に申し訳ありません！ そして気付いて下さって誠にありがとうございます。>>1の見逃しを瞬時に気づく>>328は雀士の鑑。

331 ：修正多すぎィ！ [sage saga]：2012/08/01(水) 05:43:05.68 ID:ch8eXR3AO

なにいってだこの>>1……ドラは�@�A七から�@�A７です。
重ね重ねご面倒だとは思いますが、ご容赦下さいませ。

332 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/08/01(水) 06:18:49.99 ID:FskxgK+Vo

>>330-331
ドラなくても満貫じゃね？

333 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/01(水) 08:12:44.24 ID:FQ1tED7h0

乙
穏憧もっと増えてほしいなー

334 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/08/01(水) 09:15:40.21 ID:nnRejkKR0

修正が複数になってしまったので、オーラスの訂正した部分を再度投下いたします。
今後はこのようなことがないように、細心の注意を払います。大変失礼いたしました。

335 ：副将戦後半戦修正版 14/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 09:17:08.41 ID:nnRejkKR0

──南4局(オーラス) 親：浩子 ドラ：�D

浩子(これでいよいよオーラス)
浩子(うちが和了るか流局以外は終了や)

浩子手牌：一四八 �E １２２４【５】７９ 東西西発 打一


浩子(ドラが筒子でうちの手牌に筒子は1枚だけ。これは阿知賀に寄りそうな流れやないか)
浩子(無理に勝負に行くよりは、流局で終わりっちゅうんも視野に入れなアカン手やな)


灼「……」

灼(これは……)
灼(……)ﾀﾝ 打三


哩(配牌でドラ入り2面子完成の2向聴……悪くはなか)

哩手牌：五七八 �@�@�@【�D】�D�E�F ３８ 中 ツモ：８ 打：中


──6巡目

浩子「……」ﾁｬｯ

浩子(阿知賀が河に一切筒子を捨ててへん。今回は普通なんか？)
浩子(……分からんけど、意外に手も伸びてきたし、まぁええやろ)ﾀﾝ 打�E

浩子手牌：四 １２２３４【５】５７９ 東西西


灼「……」ﾁｬｯ

灼手牌：八八九 �B�B�C�D�E�F�G�G 白中 ツモ：�B


灼(全体的に対子場)
灼(二択になると思うんだけど……取りあえずは字牌処理)ﾀﾝ 打白


哩(八索……)
哩(対子場なんかな)
哩(やったら、この手、面前で行き切れんかもしれん)
哩(そいけんここは八萬切ってタンヤオだけ考えっとよ)

哩手牌：五七八 �@�@�@【�D】�D�E�F�F ８８ ツモ８ 打：八

336 ：副将戦後半戦修正版 14/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 09:18:58.29 ID:nnRejkKR0

──8巡目

浩子(索子に寄せきった)
浩子(でも、仮に張ったとしても、リーチはせえへんで)
浩子(こないな見え見えの染め手で出和了り出来るとは思ってへんし……)
浩子(なにより、阿知賀が気になんねん)

浩子手牌：四 １２２３４【５】５７９ 東西西 ツモ：７ 打：四


灼(千里山の人は索子の染め手)
灼(新道寺の人は筒子が多い感じ。この巡目で1枚も切られてないなら、多分新道寺がドラを対子にしてる)
灼(それは、別に構わない。この手は最終的に、ドラじゃ待てないから)
灼(だけど……)

灼手牌：八八九 �B�B�B�C�D�E�F�G�G 中 ツモ：七 打：中


灼(もし、一筒以外の牌を抱えられていて)
灼(自分で“ここ”を引いてきたら)ﾁｮﾝﾁｮﾝ 牌触る
灼(皆には悪いけど、ちょっと我侭な打ち方をするかもしれない)


哩(六筒……これで聴牌)
哩(一筒か八索さ切って、嵌六萬)
哩(それでも良か、けど……)
哩(対子場を考えるなら……こうや)

哩手牌：五七 �@�@�@【�D】�D�E�F�F ８８８ ツモ：�E 打：七


──10巡目

浩子(西、自分で引いたか)

浩子手牌：１２２３４【５】５７７９ 東西西 ツモ：西


浩子(辺三索に両嵌残り、あんまいい形ではないな。鳴きは苦手やけど、それもせなアカンか)ﾀﾝ　打東


灼(引いた……)ﾁｬｯ

灼(ドラの一筒は新道寺の人が抱えてる)
灼(同じく筒子の真ん中あたりも持たれてる)
灼(そして、今ツモって来た牌)
灼(ここは……さっき決めた通り)

灼手牌：七八九 �B�B�B�C�D�E�F�F�G�G ツモ：？ 打：�D


灼(自分を信じる)

浩子(ここで筒子切りやて……？)

337 ：副将戦後半戦修正版 16/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 09:19:46.51 ID:nnRejkKR0

恒子「こ、これは……」

健夜「……ありえません」

恒子「鷺森選手、4面張を捨てて、1向聴に逆戻り。果たしてこの狙いはなんでしょう？」

健夜「4面張といっても、七筒は純カラで、残りも実は殆んどないのですが」

健夜「……狙いに関しては、一つしかないでしょう。今つもった牌を手牌に入れたということは」

恒子「いやー、ですが小鍛治プロ。4面張を捨てて、そんな確率の低いことに賭けるって言うのは、どうなんですか？」

健夜「……4面張どころでは、ないと思います」

恒子「？ と、言いますと？」

健夜「四筒を切りつつ、ツモった牌で発声をしなかったということは、彼女の頭の中では、もう一つある牌をツモってくる予定なんだと思います」

健夜「鷺森選手の特徴からして、それは多分私が予想している牌と同じだと思うんですが……」

恒子「？？？」

健夜(それを使えば、8面張になったはずなのに)
健夜(でも……いずれにしろ、その待ちは多くない)
健夜(和了れるかな？)

338 ：副将戦後半戦修正版 17/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 09:20:40.86 ID:nnRejkKR0

浩子(張った……のはええけど、辺三索かいな)

浩子手牌：１２２３４【５】５７７９ 西西西 ツモ：５ 打：９

灼(あと、1つ──)ﾀﾝ 打�C


哩(──)

哩手牌：五　�@�@�@【�D】�D�E�E�F�F ８８８ ツモ：【�D】


哩(立直？)
哩(いや……安目の五筒はもう阿知賀が切って純カラ。ダマの出和了でも倍満確定しとる手や)
哩(白糸台からでも2位になれっとよ)
哩(千里山さ索子の染め手、白糸台も聴牌さしとる)
哩(ここは静かにさしとくんよ)ﾀﾝ 打五



誠子(やっと聴牌)

誠子手牌：三四五 �A�A�A�C�H�H ７８９９ ツモ：�H


誠子(九索切れば三筒四筒の変則2面待ち)
誠子(四筒切れば6-9索の両面待ち)

誠子(九索も四筒も、切られたばかりの牌だから安全といえば安全だけど)
誠子(どっちも結局和了牌は抱えられてる気がするんだよな)
誠子(ここは今阿知賀が切ってくれた四筒切り、それでリーチはなしだ)
誠子(親に抱えられてて和了れませんでした、なんてシャレになんねぇからな。索子を引いたら降りる)ﾀﾝ　打�C

339 ：副将戦後半戦修正版 18/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 09:21:33.92 ID:nnRejkKR0

浩子(……ん？)ﾁｬｯ
浩子(生牌の九筒かいな)


浩子捨牌：一八一中�C �E発四四東 ９

　灼捨牌：三二４南発 白二中八�D �C

　哩捨牌：中白１３東 八５七九三 五

誠子捨牌：九西南発南 ４東二中南 �C


浩子(筒子が高すぎる。四筒が4枚見えてるっちゅうことは、七筒が手牌で5-8筒が山って良う言うけど)
浩子(この場合は、それが当てはまらん気がするわ)
浩子(……これは、切れへん)
浩子(暗刻の西を落とすか)ﾁｬｯ 打西


誠子(二筒……)

誠子手牌：三四五 �A�A�A�H�H�H ７８９９ ツモ：�A


誠子(ツモ切りはないにして、槓するか聴牌を諦めるか)
誠子(ここは……)

誠子「槓」
誠子「新ドラは……お」


──ドラ表示牌は、一筒。


灼(ドラ4確定……)

浩子(これで二筒が純カラ)

哩(一筒も純カラ)

誠子「嶺上はなしだ」ﾀﾝ　打九

浩子(二筒と四筒が純カラ、それに河に五筒)ﾁｬｯ
浩子(�@�B�E�F�G�Hが候補やけど、そないな待ちはない)
浩子(ましてや、二筒が純カラで一筒が浮いとるなら尚更や)
浩子(でも、ドラ表示牌が初めて見えた一筒っちゅうことで思ったんやけど)

浩子(もしどこかが一筒も暗刻にしとるんなら)

浩子(実際は�B�E�F�G�H……になる)
浩子(でも、これもさっきと一緒で、そないな聴牌は組めへん)
浩子(他にも純カラがあって、実際の阿知賀の聴牌はもっと狭いんか？)
浩子(それとも単純に、筒子待ちやないんか？)

浩子(白糸台も槓してノーテンっちゅうことはないやろうからな)ﾀﾝ 打西


灼「……」ﾁｬｯ

灼「槓」


哩(阿知賀も……)

浩子(槓やて……？)

340 ：副将戦後半戦修正版 19/26 [saga　sage]：2012/08/01(水) 09:23:18.10 ID:nnRejkKR0

灼手牌：七八九　�B�B�B�B�E�F�F�G�G�G ツモ：�G


──灼、ツモった八筒ではなく、その前から槓子になっていた三筒を暗槓

──新ドラは六萬。


哩(五筒四筒落として、三筒暗槓……？)

浩子(これで、三筒も純カラ)
浩子(�E�F�G�H待ちなら)
浩子(麻雀でもボウリングでもありえるやないか──)


灼「……ツモです」

灼手牌：七八九 �E�F�F�G�G�G�G (�B�B�B�B) ツモ：�E ドラ：�D�A六


灼「ツモ嶺上開花、一盃口……1,300・2,600です」


浩子(ありえへんわ……)
浩子(その手牌やったら、四筒五筒を残して�B�B�B�C�D�E�F�G�G�G)
浩子(こうすれば一筒以外の全てで和了れる、8面張やないか)
浩子(阿知賀が多面張を間違える訳がない)
浩子(せやのに、なんでわざわざ679筒の変則3面張やねん)

浩子(ホンマに……わけわからんわ)


副将戦後半戦終了

白糸台：170,900
阿知賀： 95,300
千里山： 72,600
新道寺： 61,200

341 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/08/01(水) 09:39:48.06 ID:nnRejkKR0

以上のように訂正し、お詫び申し上げます。

>>326->>327
新道寺の魅力に一人でも気がついてくだされば幸いです。惜しむらくは全員に名前がないところ。

>>329
2位までは決勝にいけるから……(震え声)
正直な話、現時点でどこが決勝にいくのか、決めかねております。まぁ原作者でもない私が悩んでも仕方ないのですが。
ギリギリのギリギリまで考えますゆえ。

>>333
単行本2巻208ページの、憧が穏乃を優しく見守る表情が全てを物語っていると思います。
あれは女神か何かでした。

342 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) ：2012/08/01(水) 12:38:57.07 ID:YYpS/Y2AO

えらい難しいｓｓっすな。
麻雀知らないとチンプンカンプン

343 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/01(水) 13:17:40.49 ID:7S2PDFoDO

いやしっかり闘牌シーンを書いてくれるのはありがたいよ
乙乙

344 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]：2012/08/01(水) 18:57:13.82 ID:/3fDT0K0o

乙乙
しかしこんなけ細かく闘牌シーン書けるって凄いよな

345 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/08/01(水) 22:55:35.71 ID:VWE1jSoqo

麻雀しらんので読み流してしまって申し訳ない

346 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/08/01(水) 23:23:57.61 ID:nnRejkKR0

準決勝を書くというリクエストにお応えできているかは分かりませんが、偶には麻雀で皆の魅力を語るスレがあってもあってもいいかと思いました(小並感)

これが書き終わって、どなたからリクエストがあればそれを書きますし、ないならないなりに自分が書きたいものを書こうかと思っております。

347 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) ：2012/08/02(木) 18:15:54.09 ID:IGRwD0SAO

リクエストあります！
怜照お願いします！

348 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/02(木) 20:16:19.84 ID:LrQMMYzv0

憧穏もっとみたいです！

349 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]：2012/08/02(木) 23:59:25.58 ID:IGRwD0SAO

怜照!

350 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]：2012/08/03(金) 11:50:03.59 ID:fckoBWHAO

哩煌も是非！

351 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/08/03(金) 20:54:04.35 ID:X+mhNZmY0

リクエスト承りました。お時間いただきますが、希望に添えられるよう努力いたします。
もはや俺得でしかない麻雀描写は必要ないんじゃなかろうかとか考えたけれど、空しくなるだけだということに気がついた。

352 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]：2012/08/03(金) 23:37:03.41 ID:fckoBWHAO

闘牌はむしろ楽しみにしてるよー
あなたのお好きなように書いてください！

353 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]：2012/08/04(土) 17:42:17.55 ID:ZgqTcy0n0

ロン！

354 ：大将戦前半戦 01/35 [saga]：2012/08/09(木) 20:41:39.42 ID:SfbbJH0x0

──大将戦前半戦

起親：穏乃(阿知賀) 95,300
南家：姫子(新道寺) 61,200
西家：淡(白糸台) 17,0900
北家：竜華(千里山) 72,600


──東1局 親：穏乃 ドラ：�F


穏乃「……」ﾁｬｯ ﾁｬｯ

穏乃(3位との点差は2万点くらい)
穏乃(この点差を半荘2回で守りきれば、決勝に行ける)
穏乃(2万点を、守りきれば……)

穏乃配牌：三七九 �@�C�C�G ２４６７ 東発中


穏乃(面子無しの5向聴。降りに徹して字牌はとっといたほうが良いのかな)
穏乃(少し決め打ち気味にして、中盤になったら降りにしよう)

穏乃(──皆が2位で渡してくれたこの点棒。絶対に減らしちゃいけないんだ)

穏乃(勝って、決勝に行くんだ)ﾀﾝ 打三


姫子(やー。阿知賀ば三萬切りスタートっとー？)ﾁｬｯ

姫子配牌：二二五五八 �A�B�D�F�H ３８ 西 ツモ：発


姫子(やー。花田さ先鋒に置いたうちらは、ここまで逆転ばっかやったっと)
姫子(そのおかげで、2位の阿知賀の気持ちさ良ー分かっと)
姫子(その三萬は……和了る為じゃなか。逃げるためやね)
姫子(んー。決め打ちさしつつ安牌抱えるんやろー？)
姫子(そいぎー、それ狙っとよー)ﾀﾝ 打西


淡(……)ﾁｬｯ

淡配牌：一一四六九　�B【�D】�G　１【５】９ 東南 ツモ：西


淡(2位争いで頑張ってる人たちには悪いんだけど)
淡(普通にやったらどうせ私が勝つんだろうし)
淡(この3つのどこが上がってこようが、正直別にどうでもいい)
淡(……決勝の本命は、Ｂブロックのあそこだけ)
淡(……先輩の)
淡(……)ﾀﾝ 打九


竜華「よいしょ、っと」ﾁｬｯ

竜華配牌：三四七八 �@�E�F ２５７ 北白中 ツモ：�H


竜華(うーん。5向聴かぁ。とほほ)
竜華(ほんでもドラ含みターツに役牌3種。ここがうまい事いってくれたらいけるかも分からんで)
竜華(怜、観てくれとるかなー？)ﾀﾝ �@

355 ：大将戦前半戦 02/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:42:24.82 ID:SfbbJH0x0

──9巡目

穏乃「……」ﾁｬｯ

穏乃手牌：七八九 �B�C�G ４５６６７ 東発 ツモ：【五】


穏乃(赤五萬……)
穏乃(普通ならいらないんだけど)ﾁﾗｯ


姫子捨牌：西八８白３ ６七�G


穏乃(白糸台の人も千里山の人も、手出しが多いからまだ張ってないはず)
穏乃(新道寺の人の捨牌はタンヤオ系、この赤五萬は切っちゃ駄目だよね)
穏乃(とりあえずは八筒を合わせる)ﾀﾝ 打�G


姫子(んー。阿知賀さ牌ば切るのに河ば良うみとる)
姫子(普通そういう仕草ばするんは、張ったか降りたかのどっちかやけんにー)
姫子(……)


穏乃捨牌：三�@二２�H 中�C白�G


姫子(やー。阿知賀さ明らかに降り打ちしとっと)
姫子(2位とはいえ、起親がこんな序盤から降りなんて……させへんよ)ﾀﾝ �A
姫子(攻めてるときに振り込むんはなんともなか)
姫子(でも)
姫子(降りてるときに振り込むんは……凹むはずや)ﾆﾔ


淡「……」ﾁｬｯ

淡手牌：一一一二四六 �B�C【�D】�E 【５】８ 東 ツモ：五


淡(9巡目でこれか)

淡(……新道寺)

淡(……)ﾀﾝ 五ツモ切り

356 ：大将戦前半戦 03/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:42:56.07 ID:SfbbJH0x0

穏乃(五萬……)

姫子「ポン」ﾀﾝ三

淡「……」ﾀﾝ 打二

姫子「そこもポンやよ」ﾀﾝ 打一


穏乃(二副露……苦しくなっちゃったな)


淡(……)ﾆﾔ

淡「槓」

淡「新ドラは……一筒」

淡「……」ﾀﾝ 打【�D】

姫子(やー……一萬を明槓？)

竜華(……)

竜華手牌：三四七八 �E�F ２２３５６７ 北


竜華(二萬も五萬も鳴かれたら、この手アカンやんかもー)ﾌﾟｸｰ

357 ：大将戦前半戦 04/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:43:30.84 ID:SfbbJH0x0

穏乃(どうしよう……)ﾁｬｯ

穏乃手牌：【五】七八九 �B�C ４５６６７ 東発 ツモ：１


姫子捨牌：西八８白３ ６七�G�A三
　淡捨牌：九西南�G９ 発�H２【�D】

穏乃(ドラは七筒と一筒)
穏乃(白糸台の人……一萬を明槓して、赤五筒を手出し)
穏乃(二萬と五萬を鳴かせてるから染め手はないにしても、チャンタか役牌、三色同刻もありえる)

穏乃(そうなると、今ツモった一索は絶対に切れないし、初牌の東なんてもってのほか)
穏乃(でも……)

穏乃(反対に新道寺の人は食いタンだよね)
穏乃(一二二三の面子を崩して二萬を鳴いてるし)
穏乃(もしも東か南を暗刻にしてるなら、そんな必要ないし)
穏乃(それだったら、白糸台の人の現物……)ﾀﾝ 打発


姫子「んー。ロン」

穏乃「ぇ……」

姫子手牌：�B�C�D�F�F 発発 (二二(二))(五五(五))


姫子「やー。5,200−」

穏乃「は、はい……」

穏乃(発の片和了り……)
穏乃(狙われたのかな……)


淡「……」

淡手牌：四六六 �B�C�E 【５】８ 東 (一(一)一一)


淡(先輩達だったら、これくらいのブラフ見破るだろうけど)
淡(この面子じゃ、やっぱりその程度か)
淡(決勝以外に興味は無いけど)
淡(少しは先輩に追いつくための経験値になってくれないと困るんだよね)


白糸台：170,900
阿知賀： 90,100
千里山： 72,600
新道寺： 66,400

358 ：大将戦前半戦 05/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:44:06.31 ID:SfbbJH0x0

──東2局 親：姫子 ドラ：二

──4巡目

姫子(やー。2位で逃げ切りささせへんよー)
姫子(緊張もしとるみたいやし、ガタガタな内に狙わせてもらっとよー)

姫子「リーチ」ﾀﾝ 打５

姫子捨牌：�E三８５(リーチ)


穏乃(4巡目……早い)

淡(……)ﾁｬｯ ﾀﾝ ８ツモ切り

竜華「早いわー」ﾁｬｯ ﾀﾝ　打三


穏乃手牌：一二七九 �A�C�G ２２７ 東白発


穏乃(三萬……鳴いて、一発を消すべき？)
穏乃(でも、鳴いても安牌があるわけじゃない)
穏乃(今後一萬二萬が安牌になるかもしれないし、やめよう)ﾁｬｯ

穏乃(……っ。赤五萬)
穏乃(これは切れないよ)
穏乃(現物はないし……)
穏乃(河にヤオチュー牌が1枚もないから、端牌も切りにくいし)

穏乃(……ここは八索五索って切ってるから、筋で二索を切って、2巡凌ぐしか)ﾀﾝ 打２

姫子(ふふん)


姫子「一発っとよー」ﾊﾟﾀﾝ

姫子手牌：二二七八九 �A�B�C １３９９９ 裏ドラ：�C


姫子「裏1つで12,000やね」

穏乃「はい……」

穏乃(……300点差とはいえ……)
穏乃(3位転落……)
穏乃(しかも4位とは5,500点差)
穏乃(1,300・2,600ツモられても抜かれるし、3,900の直撃でも抜かれる)
穏乃(9万点で点棒貰ったのに……)
穏乃(どうしよう……)

穏乃(憧……)


竜華(……阿知賀の子、緊張しとるんかなぁ)
竜華(大丈夫かなぁ)
竜華(うーん。応援してあげたいけど、さすがにいまうちがそれを言うたらアカンよなぁ)
竜華(怜やったらなんて言うかなぁ)


淡(両嵌からのモロ引っ掛け)
淡(そんなんに一発で降るとか、テンパりすぎでしょう阿知賀)
淡(そんなの例えハコらせたところで、何の経験値にもならないんだよね)
淡(2回戦での最後の逆転くらいの面白い事をやってもらわなくちゃ)ﾁｯ


白糸台：170,900
新道寺： 78,400
阿知賀： 78,100
千里山： 72,600

359 ：大将戦前半戦 06/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:44:36.61 ID:SfbbJH0x0

──東2局1本場 親：姫子 ドラ：７

──10巡目

姫子(んー？)ﾁｬｯ

姫子手牌：二四七八八八 �@�A�B�C�C�E�F ツモ：�G

姫子捨牌：西中３�H発 東２４�@


姫子(七萬さ切って聴牌。やけど、役なし嵌三萬)
姫子(しかもその三萬さもう2枚切られとっと。後2枚しかなか)
姫子(普通やったら、筒子ば伸ばしに行くんやろうけど)
姫子(今は阿知賀さ弱気になっとっと)
1姫子(立直さえしとけば阿知賀は降りる)
姫子(白糸台は大人しいし、千里山はまだ張ってなか)
姫子(そいけんその間にツモらせてもらっとよー)

姫子「んー。立直」ﾀﾝ 打七


淡「……」ﾀﾝ 東ツモ切り


穏乃(降りてばっかじゃ追いつけない。それは分かってる)
穏乃(今のリーチで2位になったとはいえ、何を和了られても逆転だし、ノーテンでも逆転)
穏乃(でも……)

穏乃手牌：三【五】五七 �A�A�B ３４５６７７ ツモ：６


穏乃(ここから聴牌に持ってくのは……)
穏乃(点数しだいでは、振ったら4位もある……)

穏乃(……とりあえず、現物の七萬や三索を切って七対子に行くしかないか)ﾀﾝ　打七


淡「……」

淡手牌：四五六七 �D�E�F ２３４４５６


淡(阿知賀……)

360 ：大将戦前半戦 07/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:45:05.06 ID:SfbbJH0x0

──流局

姫子「んー。テンパイ」

姫子手牌：二四八八八 �@�A�B�C�C�E�F�G


穏乃「ノーテンです」

竜華「ノーテンやー」

淡「……」

姫子「？」

竜華「どないしたん？」

淡「なんでも。テンパイ」

淡手牌：四五六七 �D�E�F　２３４４５６


竜華「2人テンパイかー……」

姫子「……」

姫子(あれ……白糸台さうちが立直してから全部ツモ切りやった気が……)

竜華(見逃し……？ 確かに新道寺の立直牌で和了っても1,300やけど)

姫子(その後の阿知賀の牌も当たり牌やなかと？)


淡「……」ｼﾞｯ

穏乃(何も出来てない……どうしよう……)

淡「……はぁ。つまらない」ﾎﾞｿｯ


白糸台：172,400
新道寺： 78,900
阿知賀： 76,600
千里山： 71,100

361 ：大将戦前半戦 08/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:47:30.28 ID:SfbbJH0x0

──東2局2本場(供託棒1本) 親：姫子 ドラ：南

──9巡目

姫子(聴牌。今度は平和の3面張)
姫子(高目三色で親っ跳やし、即リーや)

姫子「んー。立直」ﾀﾝ　打三

姫子手牌：四【五】六 �A�B�C�D�E ４５６ 南南


淡「……」ﾁｬｯ ﾀﾝ　打２


穏乃(親のリーチ……)ﾁｬｯ

穏乃手牌：三四五六七 【�D】�E�F�G ５ 発発発 ツモ：７

姫子捨牌：西北１８�H �A中一三(リーチ)


穏乃(切りたい所が、通りそうな気がしない……)
穏乃(普段だったら少し遠くても567の三色とか見るのに)
穏乃(和了れるイメージが全く湧かない)

穏乃(……)ｸﾁﾋﾞﾙｶﾑ
穏乃(……くぅ)


──穏乃、打発


淡「……」

淡「……はぁ」溜息

淡「……面白くないなぁ」


穏乃「え……？」

姫子「……？」

竜華「……」

362 ：大将戦前半戦 09/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:48:17.26 ID:SfbbJH0x0

淡「……」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

淡「3位が暗刻落としって……面白くないなぁ……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

穏乃「え、えっと……？」

淡「いや、別にいいんだけどさぁ……でもなぁ……」ﾁｬｯ

淡手牌：一一八九九 東東南南白白発中 ツモ【５】


淡「……いや、やっぱり面白くない」ﾀﾝ 【５】ツモ切り


姫子(赤五索ば迷わずツモ切り)

穏乃(私の事、言ってるんだよね……暗刻落としって)

穏乃(でも、他に切る牌なんてないよ……)

穏乃手牌：三四五六七 【�D】�E�F�G ５７ 発発 ツモ：四 打：発


淡「……初出場だかなんだか知らないけど」ﾁｬｯ

淡「たかだか準決勝でアガってみっともない打ち回しするならさぁ」ﾀﾝ 打八


姫子(また無筋……)


淡「もう棄権しちゃいなよ」

363 ：大将戦前半戦 10/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:50:00.01 ID:SfbbJH0x0

穏乃「え……？」

淡「それとも、そっちの先鋒といい、奈良では泣きながら麻雀を打つのが流行ってるのかな」

穏乃「そんなこと、ありません」ｷｯ

淡「へー。まぁ別にどうでも良いんだけど。あんまグズグズしてる人見るの、嫌なんだよね」
淡「ドラ1つ切るくらいで泣いてたら、日本が沈没しちゃうよ」ﾌｯ

穏乃「……」

竜華「ほーら、あんま揉めんといてや」

淡「……」ﾌｲｯ

竜華「高鴨さん、あんま気にせんとってなー」


穏乃(白糸台の人の言ってる事は間違ってない)
穏乃(私だって、普段は絶対こんな麻雀しない)
穏乃(でも……)
穏乃(普段とは違うんだもん……)
穏乃(皆で、決勝に行くには、点数を失っちゃいけないんだ……)
穏乃(私は……)ﾁｬｯ

穏乃(あっ……)

穏乃手牌：三四四五六七 【�D】�E�F�G ５７ 発 ツモ：６


穏乃(発を残してれば、三色で和了れてた……!?)
穏乃(いつもみたいに真っ直ぐにいってれば……)

穏乃(……)
穏乃(…………)
穏乃(……駄目だよ……)
穏乃(一度逃したこの手に、もう和了目なんて、ない……)

穏乃「……」ﾀﾝ 打発


淡「……」


姫子(147筒の3面張、これがツモれなかと……？)ﾀﾝ 中ツモ切り


淡「立直」ﾁｬｯ ﾀﾝ 打発

姫子(ツモった牌ば手中に入れずに即リー？)

竜華(張ってたんは、1巡前から)
竜華(しかも多分やけど)
竜華(……)ﾁｬｯ ﾀﾝ 打三


姫子(うちの147筒さどこにおるたいっ)ﾀﾝ 北ツモ切り


竜華(すまんなー)

竜華手牌：三四五 �@�@�@�B�B�C�C�D�F�F



穏乃「……」ﾁｬｯ

穏乃手牌：三四四五六七 【�D】�E�F�G ５６７ ツモ：中


姫子捨牌：西北１８�H �A中一三(リーチ)９ ２白北

　淡捨牌：�E�B２４１ 四７�G２【５】 八発(リーチ)

364 ：大将戦前半戦 11/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:50:32.38 ID:SfbbJH0x0

穏乃(中は……1枚切れ。親の現物だけど)
穏乃(白糸台の人の捨牌……赤五索を切ってるから七対子はないとしても)
穏乃(チャンタ系か萬子の染め手くらいは、ありえる)
穏乃(リーチ宣言の発も、手出しだし……この中は切れない)
穏乃(とすると……)

穏乃(これしか……)ﾀﾝ 打５


姫子(阿知賀……)

淡「……面子崩しとはご苦労なことで」ﾁｬｯ

穏乃「……っ」

淡「……ツモ」

淡手牌：一一九九 東東南南白白中中北 ツモ：北 裏ドラ：七


淡「裏無し。2本場で6,200・12,200」

姫子「三倍満……って。やー、ちょ、ちょっと待って」

淡「何か？」

姫子「その北さ、今うちが切ったじゃなかとですか」

淡「あぁ……そうだね」

姫子「なんでうちので和了らなかったと……」

淡「別に。ツモれると思ったからだけど。いけない？」

姫子「……や。やー、別に悪くなか」

淡「……それに、一回した以上二回も三回も変わらないでしょ」

姫子「？」

淡「……なんでもないよ。さっさと終わらせよ」


穏乃「……」

穏乃(私は……)

竜華(高鴨さん、気付いとるんかな)
竜華(大星さんは、北を手牌に入れてへん。一巡前から張っとったんや)
竜華(……つまり)
竜華(鶴田さんの北だけやなく、あんたの発も見逃してるんやで)
竜華(こうして対局している以上、表立っては言えへんけど)

竜華(……自分、このままやったら潰れてまうで)


白糸台：199,000
阿知賀： 70,400
新道寺： 65,700
千里山： 64,900

365 ：大将戦前半戦 12/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:51:04.34 ID:SfbbJH0x0

──東3局 親：淡 ドラ：�H


淡(さっきの三倍満)
淡(裏が乗れば数えだったけど、乗らなかった)
淡(先輩だったらなんなく数えにしてただろうけど)
淡(その辺がまだ私と先輩の差だな)
淡(その差を詰めるために、少しでも温くない相手と打ちたいんだけどさ)ﾁﾗｯ


穏乃(一応、これでまた2位……だけど)
穏乃(一度も和了ってないし、2万点削られてるんじゃあ喜べないよ)


淡(……ここはまだ駄目か)ﾊｰ
淡(仕方ない)


姫子(んー、今の親支払いは痛か)
姫子(とはいえ、阿知賀に手さ入ってなか)
姫子(千里山に気ぃつけてけば、か)


淡(まずはこっちからたきつけるか)

366 ：大将戦前半戦 13/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:51:34.81 ID:SfbbJH0x0

──7巡目

姫子(んー、嵌張引いて聴牌)

姫子手牌：七八九 �F�F�G�H�H ８９９ 北北 ツモ：�G


姫子(チャンタ三色イーペードラ。ダマでも立直でも跳満やけん)
姫子(ここはダマで阿知賀から和了るんが理想かー)ﾀﾝ 打９


淡(新道寺が張った。ダマってことは、阿知賀から出和了狙いか)
淡(放っておいても良いんだけど)ﾁｬｯ
淡(ん……)

淡手牌：七七七 �B�B�C�D 西西白白発発 ツモ：�D


淡(七萬は新道寺の当たり牌。西を落とすのが普通なんだけど)
淡(ここは……)ﾁｬｯ

淡「……」ﾀﾝ 打七

姫子「んー、それロ……」

淡「はい」ﾁｬﾗｯ

姫子「ン……」


姫子(12,000、ぴったりって)

竜華(分かってて、降ったんか)

淡「……これであと、35,300点」ﾆﾔ

姫子(……？)

竜華(……)


穏乃(これで、また3位……)


白糸台：187,000
新道寺： 77,700
阿知賀： 70,400
千里山： 64,900

367 ：大将戦前半戦 14/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:52:45.01 ID:SfbbJH0x0

──東4局 親：竜華 ドラ：４

──9巡目

姫子(んー。白糸台の事は深く考えんほうが良かと？)

姫子手牌：１１２３７７８９ 東東発発中 ツモ：４

姫子捨牌：九�A北二�C 西一�E


姫子(ドラば引いて1向聴)
姫子(とはいえ、さすがに染め手はバレてるやろしー)
姫子(東も発も生牌やから、被ってたら最悪っとー)ﾀﾝ 打中


──10巡目

穏乃(聴牌……)

穏乃手牌：三三四四【五】 �E�F�G １２３４５ ツモ：２


穏乃(一索を切ればタンピンドラドラの7,700確定だけど……)
穏乃(新道寺にこの一索は……)
穏乃(中は生牌、張ったのかもしれないし)

穏乃(2位とは7,300点差)
穏乃(4位とは5,500点差)
穏乃(和了れれば2位だけど、降ったら4位……)

穏乃(……)ｺﾄ


淡(三萬切りで聴牌取らず。まぁ良いよ。今は新道寺をたきつけるのが先だから)ﾁｬｯ

淡手牌：五七九�E�E�F�F�G�G 東東発発 ツモ：八


淡(……)ﾌｯ
淡(……)ﾀﾝ 打東

姫子「んー、ポン」ﾀﾝ 打７

姫子(これでテンパイや。持ち持ちとは思っとったけど、こげんあっさり切っとは……白糸台、一体何を──)


淡「……」ﾀﾝ　打発


姫子「……ロ、ン」

淡「はい」ﾁｬﾗｯ


姫子手牌：１１２３４７８９ 東東東 (発発(発))

　淡手牌：五七八九 �B�E�E�F�F�G�G 東発


姫子(東も発も手出し、それも手牌の右から2番目と4番目)

竜華(持ち持ちの東と発を、両方切ったっちゅうことか)

姫子(狙いはなんと)

竜華(さっさか勝ち抜けたい、っちゅうタイプの子には見えへんけどなぁ)


淡「……あと27,300点」


姫子(こんカウントダウン、なんの意味のあっけ……？)

竜華(……)


白糸台：179,000
新道寺： 85,700
阿知賀： 70,400
千里山： 64,900

368 ：大将戦前半戦 15/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:53:19.80 ID:SfbbJH0x0

──南1局 親：穏乃　ドラ：七

──7巡目

姫子(んー、悪形の2向聴)

姫子(形は良くなかばってん、これまでんパターンからやと、聴牌さえすれば白糸台が振り込んでくれる……んかいな)

姫子手牌：一三六八八九 �E�E�E 【５】 南南南 ツモ：３


姫子(対戦相手ん言葉ば鵜呑みには出来んばってん、もしほんな白糸台のいっち31,800点振り込んでくれるんやったら)
姫子(2位抜けばってんころか1位抜けばってん見えてくるなんやね)

姫子(なんにしぇちゃ、動ける形にしてからおこう)ﾀﾝ 打九


淡「……」ｸｽｯ

淡手牌：一二三四五六七八九九 北北北


淡(倒さないよ)

淡「ポン」

淡(新道寺はタンヤオか役牌暗刻の1向聴か2向聴)
淡(ちまちまやっても気付かないだろうし、ダメージにならない)
淡(早く気付いてくれないと困るんだよね)ﾀﾝ　打北


淡捨牌：�H�G西３６ 中北


姫子(白糸台は萬子の染め手やか)
姫子(嵌二萬が引けんなら負けか)


竜華(三萬……)ﾁｬｯ
竜華(これは本来大星さんのツモ)
竜華(鳴きで和了を逃すような打ち手やないしな)
竜華(となると、この三萬は切ったらアカンな)

竜華手牌：�@�@�A�A�B�B【�D】�D ６６７７８ ツモ：三


竜華(悔しいけど、回すか)
竜華(七対子にしながら、他の萬子引いたら降り確定ってとこやな)ﾀﾝ　打：８


穏乃(北……)ﾁｬｯ

穏乃手牌：四【五】七七 �B�C�D ３４４４５６

穏乃(さすがにこれは、今白糸台の人が切ったばっかりだから良いよね)ﾀﾝ 北ツモ切り


淡「ポン」

穏乃「え……」

姫子(今自分で切った牌ば──)

竜華(鳴き返した──？)

369 ：大将戦前半戦 16/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:53:49.04 ID:SfbbJH0x0

淡手牌：一二三四五六七八 ((九)九九)(北(北)北) ﾀﾝ　打八


淡(147萬でフリテン解消……だけど、別に和了る為に鳴いたわけじゃない)
淡(こんな安手を和了っても、何の足しにもならない)


竜華(うちのツモ番……)ﾁｬｯ

竜華手牌：�@�@�B�B�C�C【�D】�D ６６７７ 三 ツモ：５


竜華(三萬切ってれば和了やったなんて、酷い話やな)
竜華(せやけど、今更三萬を切るなんてありえへんわ)
竜華(大星さんの鳴きは、意味がある)
竜華(それも、自分の和了やのうて、もっと嫌ーな感じのや)

竜華(これは、本来なら高鴨さんのツモ牌)
竜華(……切れへん。見た感じ、真ん中に寄せとる感じやし)
竜華(一度八索切って回した以上、出和了できへんフリテンのために怪しい牌をツモ切るんは愚行や)
竜華(焦らんでも、必ずどっかにチャンスはある)
竜華(これくらいで泣き言言うたら、怜に申し訳がたたんからな)ﾀﾝ　打�@


淡(三萬はまだしも、そこも止めるかぁ)
淡(予定が狂ったな)
淡(目立ってないけど、受けがうまいと言うかなんと言うか)
淡(有体に言って、面倒だなぁ)
淡(新道寺を煽り終わったら、こっちの番だね)

姫子(急所の二萬……！)

姫子手牌：一三六八八 �E�E�E ３【５】 南南南 ツモ：二


姫子(ここの引けるかの勝負やったばってん、引けたんなら立直するしかけん)
姫子(萬子は危なかばってん、どこまで白糸台のわざっちうちに振り込む気なんかも確かめる！)

姫子「やー。立直」ﾀﾝ 打六


竜華(萬子切り立直。白糸台が和了よりも差込を選んでると見ての立直か)


淡「……チー」ﾀﾝ 打七


姫子(一発消し……なんて性格やなかとね)

竜華(意味があっての鳴き、か)

370 ：大将戦前半戦 17/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:54:15.88 ID:SfbbJH0x0

竜華(七索……)
竜華(……そういえばこれは、本来のツモ巡なんか)
竜華(結局元のツモ巡に戻した意味はなんやろなぁ？)


淡手牌：一二三六 ((九)九九)(北(北)北)((六)四五)


竜華(自分で切った北を鳴き返したりしてるあたり、大星さんは和了るために鳴いとるわけやない)
竜華(ほんなら考えられるんは、ツモ巡をずらす為の鳴きやけど)
竜華(それで結局元に戻ったら意味がないやんか)
竜華(しかも鶴田さんが立直しとるし……)

竜華(……ん)
竜華(立直……？)
竜華(あっ……)ﾊｯ

竜華(まさか……新道寺に聴牌させるための鳴きやったんか？)

竜華(理由は分からんけど、なぜか大星さんは鶴田さんにわざと振り込んどる)
竜華(せやけど、振り込むには相手が聴牌しとらんとアカン)
竜華(そのために鳴いたっちゅうんか？)
竜華(鶴田さんに都合よく有効牌を引かすために？)
竜華(そんなん……怜と同じかそれ以上に詐欺くさい話やで)

竜華手牌：三 �@�B�B�C�C【�D】�D ５６６７７ ツモ：７


竜華(いや……もう、全国の準決勝やで。ありえへんとかで片付けたらアカン)
竜華(怜っていう分かりやすいんが傍におるのに、それを考慮せーへんのは盲目もいいところや)

竜華(このままやったら、大星さんがまた鶴田さんに振込みにいく)
竜華(現時点で19,800点差。仮に満貫やったとしたら、28,800点差や)
竜華(それを残り3局と1半荘でひっくり返すんは、ちょっと厳しいで)
竜華(次のツモで大星さんが振り込む前に、……)
竜華(……前に)
竜華(前に？)


竜華(いや、いやいや。まてまて)
竜華(そもそもおかしないか)
竜華(なんで、うちにツモ巡が回ってきとんねん)


竜華(大星さんは鶴田さんの下家なんやで)
竜華(差し込もう思たら、立直に対して即振り込めるやんか)
竜華(なのに、なんでそうしなかったんや？)
竜華(当たり牌をもってへんかったからか？)
竜華(狙って鳴いて他人に聴牌入れる事が出来るんなら、当たり牌位もっとるもんやないのか？)
竜華(……)
竜華(それとも……)ﾀﾝ　打�@


淡(……)
淡(へー)

371 ：大将戦前半戦 18/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:54:43.22 ID:SfbbJH0x0

穏乃(あっ……)ﾁｬｯ
穏乃(聴牌……)

穏乃手牌：四【五】七七 �B�C�D ３４４４５６ ツモ：七


穏乃(三索か六索切りで聴牌)
穏乃(六索切って立直すれば高目三色で倍満)
穏乃(三索も六索も、安牌じゃないけど……)

穏乃「立直です」ﾀﾝ 打６

穏乃(新道寺とは14,300点差。これ以上離されたら、追いつけない！)


竜華「……ポン」ﾀﾝ　打５

竜華手牌：三 �B�B�C�C【�D】�D ７７７ (６６(６))

穏乃「っ……」

竜華(大星さんが一発で鶴田さんの当たり牌を切らんかった理由が、持ってなかったからやとすると)

穏乃(槓は出来ない……！)ﾁｬｯ ４ツモ切り

竜華(ここでツモ巡をずらさな、大星さんにそれをツモられ──)

姫子「んー、ロン。……裏ドラ3つで8,000やね」

穏乃「……はい」

竜華(なんやて……!?)

竜華(なんでや……それは大星さんがツモるはずやなかったんか?)
竜華(鳴かなかったら、あの四索はそのまま鶴田さんがツモってた牌や)
竜華(これやったら鳴いても鳴かなくても大星さんが振込みには行けへんやないか)


淡(……)ﾆﾔｯ

淡「……あと、18,300点」


竜華(……)
竜華(やられた……)
竜華(そのカウントダウンは、自分が差し込む予定の点数やなくて)
竜華(単純に鶴田さんに和了らせる予定の点数やったんか)
竜華(序盤に大星さんが振込みを続けたせいで、勘違いしてたわ)

穏乃「……8,000です」ﾊﾟｶｯ ﾁｬｯ

穏乃「あっ」ｶｼｬｯ 自分の牌を倒す

穏乃「すみません……はい」

姫子「はい」

竜華(高鴨さんの手牌……)
竜華(……！)

372 ：大将戦前半戦 19/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:55:12.37 ID:SfbbJH0x0

竜華(高鴨さんの待ちは3-6萬で高目三萬)
竜華(もしうちがあの時三萬をツモ切りしとったら……)

竜華手牌：�@�@�B�B�C�C【�D】�D ６６７７８ ツモ：三　打：三


竜華(リーチの時に入れた牌は左から三番目、七萬や)
竜華(つまりこういう形)


穏乃手牌：四【五】七七 �B�C�D ３４４４５６


竜華(これやったら、三萬をチーして四索切りに取るはず)
竜華(ほんで、そうしとったら)


姫子手牌：一三六八八 �E�E�E ３【５】 南南南


竜華(鶴田さんにとっては嵌四索。鳴かへん理由はない)
竜華(そうすると、……高鴨さんがツモ切りしとった北をツモるんは)

竜華(……)
竜華(大星さん、か)


淡手牌：一二三四五六七 ((九)九九)(北(北)北) ツモ：北


竜華(こうなるわけやから)

竜華(……)
竜華(あっ)
竜華(加槓……！)ﾊｯ
竜華(まさか──)ﾃｦﾉﾊﾞｽ


──ガシャン


竜華「……っ!?」

淡「なにか？」ﾆﾔ

竜華「……うんや。なんでもないでー」ﾆｺｯ

竜華(……嶺上牌、見せてくれへんかったか)
竜華(でも、それでかえって疑いが濃くなったわ)

竜華(多分あの嶺上牌は二萬)
竜華(大星さんはその二萬をそのままツモ切って振込みに行ってたはず)

竜華(つまり、うちが三萬をツモ切ってたら大星さんが差し込んでた)
竜華(ほんで、うちが三萬を止めた結果がこれ)
竜華(どっちにせよ鶴田さんが和了ることになってたわけとはいえ)
竜華(鶴田さんのツモでもなく、大星さんの振込みでもなく……)ﾁﾗｯ


穏乃「……」ｳﾂﾛ


竜華(一番あかん選択肢になってもうたか)


白糸台：179,000
新道寺： 94,700
千里山： 64,900
阿知賀： 61,400

373 ：大将戦前半戦 20/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:55:52.90 ID:SfbbJH0x0

──南2局 親：姫子 ドラ：一

──11巡目

姫子(んー。これで千里山とは29,800点差)ﾁｬｯ
姫子(うちのさっきの和了な、白糸台からやなくて阿知賀から出和了やった)
姫子(だけん、白糸台んカウントダウンはきっちり減った)
姫子(って事は、あのカウントダウンは白糸台が振り込む点数やなくて、純粋にうちの収支に対してから)

姫子手牌：一二二三四 �A�C�E�G�H 【５】６６ ツモ：七


姫子(ここまでんうちの収支は+33,500点)
姫子(で、カウントダウンの残り18,300点)
姫子(合わして51,800点が、カウントダウンの点数)ﾀﾝ 七ツモ切り


淡「……」

淡手牌：四四五五六六 東白白白発発中


淡「チー」ﾀﾝ 打中


竜華(中……)

竜華手牌：�@�A�B�C【�D】�F�G　３４ 東発中中


竜華(頭が中しかあらへん以上、鳴く必要はあらへん)
竜華(……それに、その中を鳴いたら、大星さんのツモが高鴨さんに行くことになる)

竜華(カウントダウンが、純粋に鶴田さんの点数に対してだとしても、それをスムーズにやるには)
竜華(やっぱり大星さんが鶴田さんに差し込みに行く可能性が一番高いし、確実や)
竜華(せやったら、大星さんのツモを高鴨さんに回すのは、危険や)
竜華(明らかに意気消沈しとるし、次振り込んだら、立ち直れへんようになるかも分からん)

竜華(対戦相手とは言え、全く知らん子やないんやし)
竜華(怜のように、辛い麻雀を打つ子は見とうないわ)
竜華(ここは、鳴かへん)ﾁｬｯ

竜華(……東)
竜華(結果的には鳴かなくてよかったんかもしれんけど)
竜華(代わりに出ていくんが、生牌の発か)


姫子捨牌：北９２西南 八９西３�H (七)

　淡捨牌：�F３�E南北 ２�@九１一 中

穏乃捨牌：�B９�E４�A 北九�@五�G


竜華(……)
竜華(良う考えたら)
竜華(大星さんの鳴きが、自分の和了の為やなく)
竜華(ツモ巡をずらすことにあるんやとしたら)
竜華(この状況で、うちからは鳴けへんはずや)
竜華(上家から鳴いてツモ巡をずらしたのに、下家のうちから鳴いたらまた戻ってまうからなぁ)

竜華(そうなると、この局も大星さんに和了る意思がないんやとしたら、多少は無茶してもええのかもしれん)
竜華(本当はこの捨牌なら、高鴨さんも警戒せなあかんのやろうけど)ﾁﾗｯ


穏乃「……」


竜華(この様子やと、とてもやないけど聴牌はしてへんやろうな)
竜華(鳴いて手牌を短くするとも思えへんし)

竜華(堪忍な高鴨さん)ﾀﾝ 打発

淡(へー。ここで生牌の発)
淡(ぼけぼけしてそうな人だけど、見るところは見てるんだね)
淡(それじゃ、まぁ)
淡(そろそろこっちもたきつけるかな)


淡「ポン」

374 ：大将戦前半戦 21/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:56:24.59 ID:SfbbJH0x0

竜華(なっ……)


淡手牌：四四五六 東白白白 ((七)五六)(発発(発)) 打東


竜華(中に続いて今度は東やて？)

竜華手牌：�@�A�B�C【�D】�F�G ３４ 東東中中


竜華(ツモ巡を結局元に戻した理由はなんや、大星さん)
竜華(……)
竜華(うちがツモった東は、元々大星さんのツモ)
竜華(大星さんが鳴いてへんかったら、この東は大星さんが対子にしてた)
竜華(っちゅうことは……うちにこの東をツモらせることが狙いやったんか？)
竜華(せやったら、その東を鳴くのは、罠なんか……？)

竜華(……)

竜華(鳴かれへんわ)
竜華(仮に罠やないんやとしても、客風鳴いてホンイツドラ1なんて嫌やわ)ﾃｦﾉﾊﾞｽ

淡「……ねぇ」

竜華「？」ﾁｬｯ

竜華(六筒……)
竜華(鶴田さんとの点差を考えると、三索四索落としてメンホンに行くべきなんやろうなぁ)四索を掴む


淡「先鋒の人、元気？」


竜華「……は？」ﾀﾝ　打４

375 ：大将戦前半戦 22/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:57:00.42 ID:SfbbJH0x0

淡「いや、だから。倒れた先鋒の人、大丈夫だった？」

竜華「……それを今、答える道理はないと思うねんけど」

淡「いーじゃん別に」

竜華「……まぁ、別に特に問題はなかったで」

淡「ふーん。良かったね」

竜華「そらどうもやでー」

竜華(急に何や……？)

淡「……あぁ、でも」ﾆﾔ

淡「決勝いったら、また宮永照と打つんだよねぇ、そっちの先鋒」

竜華「……何が言いたいん？」


穏乃(……)ﾁｬｯ

穏乃手牌：一二三八八九 【�D】�G�H １１７７ ツモ：１


穏乃(9万点の2位でバトンを貰ったのに、3万点取られて4位……)
穏乃(……)
穏乃(萬子も筒子も危ない)


淡「2位抜けでもいいのに、何を無茶してあんな事したのかは分からないけど」

淡「2回も倒れられても面倒だし、次は点滴しながら打ったら？」

穏乃(……)ﾀﾝ 打７

竜華「はぁ？」

穏乃「」ﾋﾞｸｯ

竜華「あっ……ごめんな。高鴨さんやないで」ﾆｺ

穏乃「は、はい……」

姫子「……んー。白糸台の人。あんまし対局中に、しかも不謹慎っちゆうか失礼なこつばゆうもんやなか」

竜華「……」

淡「そうだねー。失礼だったねー」

淡「298,00点差で3位の焼き鳥さんが、決勝なんていけるわけないもんねぇ」

竜華「……」

姫子「おい、白糸台の」

竜華「……いや、ええで、鶴田さん」

姫子「千里山……」

竜華「大星さんの言うことが間違うとるわけやないからな」
竜華「それに、あんまり事を大きくしたないし」
竜華「せやから、続けようや」

姫子「……んー。分かった」


淡(挑発に乗ってくれたのかどうか)

竜華(挑発やろうけど、乗らんで)

376 ：大将戦前半戦 23/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:57:43.59 ID:SfbbJH0x0

──16巡目

姫子(んー。白糸台はなんば考えとうんやろ？)
姫子(ただん挑発なんか、そいっちもそーゆう性格なんか)
姫子(二回戦で打ったっちきな、特に喋らなかったけん、こげんカウントダウンもなかった)
姫子(となると、やっぱりこれらには意味のあっけんちゃろー)
姫子(千里山ば挑発してから、わざっちうちに和了らせるメリットはなんやろう？)

姫子(うちば2位抜けさせるため……だっちしたばいら、随分となめられたもんやけど、そんでから決勝にいけるんはなんっちゆうか、皮肉だなー)

姫子(やー、そーいえば)

姫子(千里山ん先鋒ん人)
姫子(大将ん人はよかよかばってん言うてるばってん、白糸台んゆうっちおり、決勝にいったらまた宮永照っちうつこつになるんか)


淡「……」ﾁｬｯ

淡手牌：四四五六 白白白 ((七)五六)(発発(発)) ツモ：三 打：白


姫子(まぁ、そいばいったら、花田なんて3連続になるわけっちゃけど)
姫子(あれと半荘6回も打たさるるげな、ほんなごと花田には頭の上がらんけんね、まるっきし)
姫子(そんためにも、ここは花田ん取られた点数取り返さな──)

姫子(……あ)
姫子(……あれ)
姫子(……ひょっとして、こんカウントダウン)


姫子(……花田の先鋒で取られた点数じゃなかか？)


姫子(……そうや)
姫子(間違いなか。こんカウントダウン、丁度花田の取られよった点数や)


姫子(原点ん10万点やったら、カウントダウンは38,800点ですむはず)
姫子(原点ばってんなく、いやに中途半端で具体的な数字)
姫子(うちらん点数や順位ばいじるためっちも思えなか)
姫子(なんか、51,800点っちゆう数字に意味のあっけんはず)
姫子(そいのなんだか今一がとがらなかったばってん、そんなら納得の来る)


竜華手牌：�@�A�B�C【�D】�E�F�G ３ 東東中中 ツモ：中 打：３



姫子(要な、千里山だけやなくて、うちも挑発されとうっちこつだ)
姫子(思えば、東場で阿知賀に対してからぼやいよったんも同じなんかもしれんけん)
姫子(なんでやろ白糸台はうちら全員ば挑発しとる)
姫子(理由は……さすがにわからんばいなー)
姫子(こん際理由はおいとくにしてから、カウントダウンのしまえる前に気付けた今、そいにどげん対応するかの問題っちゃけど)

姫子(こんままうちの残り18,300点ば和了った場合の気になる)
姫子(うちば挑発したばいいだけなら、千里山や阿知賀っち同じで、言葉で構わんけんわけで)
姫子(うちだけ点棒ば渡すなんてせからしか方法ば取りなのらん挑発ばするんにな、意味のあっけんはず)


淡(……そろそろ気付いてくれたみたいかな)ﾌﾌ


姫子(阿知賀にな、ドラ爆体質ん先鋒ば利用してからん挑発)
姫子(千里山にな、倒れた先鋒ば利用してからん挑発)
姫子(そいでこんカウントダウン)

姫子(間違いなく白糸台な、花田ん取られた点棒についてなんか言おうとしとる)
姫子(……そいのどげんゆう内容であい)
姫子(花田ば馬鹿にしゃれとうこつには違おらん)

姫子(白糸台……)

377 ：大将戦前半戦 24/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:58:16.54 ID:SfbbJH0x0

穏乃(ノーテン罰符でも払いたくないし、聴牌は取りたいんだけど)
穏乃(ツモは後1回……)

穏乃手牌：一二三七八九 【�D】�G�H １１１７ ツモ：�C 打：７


姫子(聴牌……)ﾁｬｯ

姫子手牌：二二三四 �A�C�E�F�G ４【５】６６ ツモ：�B


姫子(二萬切って3-6索か、六索切って3-6萬か)
姫子(萬子は白糸台に危険だけん、白糸台に和了る気は内容に見える)

姫子(今16巡目やけん、うちん残りんツモは2回やから立直はなぁ)
姫子(筒子に染まってそーな千里山に対してから、そこまで突っ張る手じゃなか)

姫子(筒子ば引いて回せるごと、ダマでよか)ﾀﾝ 打二


淡「チー」

淡手牌：四五六 白白 ((七)五六)(発発(発))((二)三四) 打：白


竜華(これでまたうちに大星さんのツモがくるんか)ﾁｬｯ

竜華手牌：�@�A�B�C【�D】�E�F�G 東東中中中 ツモ：�F 打：�F


竜華(仮にうちがあの東を鳴いとったら)
竜華(こんな手牌にはなってなかったんやろな)


穏乃(七筒……鳴く？)
穏乃(ツモは残り1回……これを鳴いたらフリテン)
穏乃(でも……ラスヅモで聴牌できないかもしれないし、なにより)
穏乃(海底が私になる)
穏乃(この手、和了れるとしたら、海底ツモだけ)

穏乃(3位とは2,500点差)
穏乃(もし自分1人だけノーテンだったら、6,500点差)
穏乃(2位とは37,300点差)
穏乃(……)
穏乃(……私は)

穏乃「チー」ﾀﾝ　打１

穏乃手牌：一二三七八九 �C【�D】 １１ ((�F)�G�H)


竜華(大星さんと高鴨さんが鳴いて流れてきた七筒)
竜華(いや)
竜華(大星さんが鳴かへんと高鴨さんには絶対に行かへんかった七筒)
竜華(これで、うちの牌が鶴田さんに)

378 ：大将戦前半戦 25/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:58:43.79 ID:SfbbJH0x0

姫子(海底は……阿知賀か)ﾁｬｯ

姫子手牌：二三四 �A�B�C�E�F�G ４【５】６６ ツモ：�H


姫子(これは……切れんけんなー)
姫子(しょんない、六索切ってノベタンん形式やなー)


淡「……」ﾁｬｯ ﾀﾝ 打白


──18巡目

竜華(これがラスヅモ)ﾁｬｯ
竜華(六索……さっき鶴田さんが切ったばっかりの牌)ﾀﾝ ６ツモ切り

姫子(ツモ切り……白糸台が鳴いてなけれんば、うちの牌やった)


穏乃(海底なんて、そうはないか)

穏乃手牌：一二三七八九 �C【�D】 １１ ((�F)�G�H) ツモ：八 打：八


姫子(三索……は今更要らなか)ﾀﾝ ３ツモ切り


淡「……」ﾀﾝ ５ツモ切り


竜華「流局、かー。テンパイ」

竜華手牌：�@�A�B�C【�D】�E�F�G 東東東中中


穏乃「テンパイです」

穏乃手牌：一二三七八九 �C【�D】 １１ ((�F)�G�H)


淡「テンパイ」

淡手牌：四五六 �F ((七)五六)(発発(発))((二)三四)


姫子(皆テンパイか……)

姫子「テ……」ﾀｵｼｶｹﾙ

姫子手牌：二三四 �A�B�C�E�F�G�H ４【５】６


姫子(これで1本……場……)

竜華(待ってや……1本場)

姫子(……あ)
竜華(……あ)

379 ：大将戦前半戦 26/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:59:12.07 ID:SfbbJH0x0

姫子(カウントダウンまで残り18,300点)

竜華(この局は全員テンパイやから点棒移動はなし)

姫子(1本場で、親はまたうち)


姫子(親っ跳で、丁度18,300点だ──！)
竜華(親っ跳で、丁度18,300点や──！)


姫子(いや、むせんね、こん局に全員テンパイでなかったっと、きっかり18,300点ん和了は出来ん)

竜華(その為に鳴いて全員にテンパイを入れさせたっちゅうんか？)

姫子(……)

竜華(親っ跳を和了られたら、48,100点差)
竜華(親役満でも届かへん)
竜華(さすがに、デッドラインや)
竜華(どうやって止めたら……)


姫子「……ノーテンや」


竜華「えっ……？」

淡「……」

姫子「親流れやね」ﾁｬﾗｯ

姫子(もう白糸台の言う通りにはいかん)
姫子(うちの自力で、そこから点棒ばぶん取っちやる)

淡(……ふーん)


白糸台：180,000
新道寺： 91,700
千里山： 65,900
阿知賀： 62,400

380 ：大将戦前半戦 27/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 20:59:40.43 ID:SfbbJH0x0

──南3局(流れ1本場) 親：淡 ドラ：８

淡「気付いたみたいで」ﾁｬｯ ﾁｬｯ

姫子「……カウントダウンはせんでよかと？」

淡「もう必要ないでしょ」ﾁｬｯ ｽｯ

姫子「そ」

淡「やる気を出してくれた様で、なにより」ﾊﾟｶｯ

穏乃(？ なんで点棒……？)


淡「それじゃ、南3局のスタートといきますか」ﾀﾝ

淡「リーチ」

淡手牌：一二三四六 �B�B ６７８９ 西西西 打：９(リーチ)



姫子(なっ)

穏乃(ダブリー……!?)

竜華(……)


淡「──一発」

淡手牌：一二三四六 ６７８ 西西西中中 ツモ：【五】 裏ドラ：中


淡「赤と裏裏で8,000オール」

淡「……あぁ」

淡「流れ1本場、だったっけ。8,100オール」ﾆﾔ

姫子「……くっ」


白糸台：204,300
新道寺： 83,600
千里山： 57,800
阿知賀： 54,300

381 ：大将戦前半戦 28/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 21:01:04.95 ID:SfbbJH0x0

──南3局2本場 親：淡 ドラ：発

淡「……」ﾁｬｯ ﾁｬｯ

淡「……」ﾀﾝ 打１


竜華「……」ﾁｬｯ

竜華手牌：三五七八 �@�A�A�F ４６９ 東北 ツモ：西


竜華(配牌は悪い。けど、この親は流さなアカン)
竜華(かといって、差し込んだりツモらせたりできる順位でもない)
竜華(ここが勝負どころやな)ﾀﾝ 打西

穏乃(3向聴……)

穏乃配牌：六六八九 �C【�D】�F�G ２４４５ 西 ツモ：�E 打：西


姫子(ん……)

姫子手牌：二三【五】六 �B�C�D ６７７８８９ ツモ：五


姫子(張った……！)
姫子(意趣返ししたる)

姫子「リーチ！」ﾀﾝ 六

穏乃(今度はこっちがダブリー!?)

竜華(それは……予想外やけど)
竜華(きなくさくないか？)


淡「……」ﾁｬｯ

淡「……槓」

姫子(トップで槓してくれるんか)
姫子(打点が上が、って……)


ﾊﾟﾀﾝ(四四四四) 嶺上ツモ：発 新ドラ：�@


姫子(四萬──うちの和了牌……！)

淡「リーチ」ﾀﾝ　打�@

竜華(ドラ切って追っかけかいな……)ﾁｬｯ
竜華(ツモ巡をずらそうにも、鳴けへん)ﾀﾝ �@

穏乃(ダブリーと2巡目リーチ、これはさすがに追いつけない)ﾁｬｯ ﾀﾝ １ツモ切り


姫子(まさか、このダブリーは罠やったんけ？)ﾁｬｯ
姫子(あ……)
姫子(ドラ……)

淡「ロン」

淡手牌：一一一 �@�A�B�C�D�E 発 和了：発 裏ドラ：一・七


淡「立直ドラ2に一発と裏3つ追加で18,600」

姫子「……」

穏乃(3面張捨てて発単騎……!?)

姫子(しかもうちの14萬は純カラって……)

竜華(これは……やばいな)

白糸台：223,900
新道寺： 64,000
千里山： 57,800
阿知賀： 54,300

382 ：大将戦前半戦 29/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 21:01:31.93 ID:SfbbJH0x0

──南3局3本場 親：淡 ドラ：�H

淡「折角点棒あげたのに、もうなくなっちゃったね」ﾁｬｯ ﾁｬｯ

淡手牌：二 �C�D�F�G ７ 東東白白白発発中


姫子「……」ｸﾞｯ

淡「先鋒の人とどっちが失点するか、競争してみる？」ﾀﾝ　打二

姫子(こいつ……！)

竜華「……」

竜華手牌：一三九 【�D】�E�F ４６８９９ 南西


竜華(このまま大星さんを放っておいたらあかん。一人走りしてまう)
竜華(それだけならまだしも、こんな麻雀のさばらしてるのがもっと問題や)
竜華(鶴田さんも高鴨さんも……いや、2人だけやない。2人のチームメイトも傷つくだけや)
竜華(新道寺の先鋒、玄ちゃん、それに)
竜華(──怜)

竜華(ここでこの子を、大星さんを止めな)

竜華「……チー」ﾀﾝ 打�E


姫子(親の一打目嵌二萬を鳴いて)

穏乃(六筒切り……？)


穏乃「……」ﾁｬｯ

穏乃手牌：二五六六八 �@�A�C ３３５ 南南 ツモ：�B


穏乃(嵌三筒)
穏乃(……千里山の人のチー)
穏乃(流れに乗ってる白糸台の人のツモ巡をずらす為……なのかな)
穏乃(だとしたら私は、この南)
穏乃(下家からは鳴かない方が良い……のかも知れない)


姫子(これで千里山と6,200点差。満貫1回でひっくり返る点差)
姫子(そったらより、今はこん白糸台ん親さ蹴る)
姫子(下家ん白糸台からは鳴かん)
姫子(んで同じく鳴かせん)

姫子手牌：一二五七 �@�B�F�F ３８ 東北中


淡(……)
淡(ようやく、近い形になってきたかな)
淡(先輩を追い越すために)
淡(いい経験値にしないとね)

383 ：大将戦前半戦 30/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 21:02:01.08 ID:SfbbJH0x0

淡「……」ﾁｬｯ ﾀﾝ　打７

竜華「チー」ﾀﾝ 打【�D】

穏乃(嵌二萬の次は辺七索チー)

姫子(しかも六筒赤五筒手出し)


竜華手牌：九 �F ３６９ 南西 ((二)一三)((７)８９)


竜華(これはどうやって和了れば良いんやろなぁ)苦笑
竜華(とはいえ、これ以上大星さんに和了られたら──)


淡「……」ﾁｬｯ

淡「リーチ」ﾀﾝ 打中

淡手牌：�B�C【�D】�E�F�G 東東白白白発発


姫子(3巡目……)

穏乃(早いよ……)

竜華(ほんま、しんどいわ)


──6巡目

竜華(東……)ﾁｬｯ


　淡捨牌：三四西中

穏乃捨牌：二８西三１

姫子捨牌：８３五１二


竜華(……)
竜華(ここは)
竜華(こうやな)ﾀﾝ　打６


穏乃「……」ﾁｬｯ

穏乃手牌：五六六八 �@�A�B�C ３３５ 南南 ツモ：七


穏乃(1向聴……だけど)
穏乃(この一筒は……さすがに切りづらい)
穏乃(折角点差が縮まったのに、ここで振り込むわけにはいかない)ﾀﾝ 打３

384 ：大将戦前半戦 31/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 21:02:34.18 ID:SfbbJH0x0

──10巡目

竜華「……ツモ」

竜華手牌：七八九 �F�G�H 東 ((二)一三) ((７)８９)

竜華捨牌：�E【�D】４６西 ８９南１


竜華「チャンタ三色ドラ1、3本場で1,300・2,300」


姫子(赤面子ば崩してチャンタ)

穏乃(一索を残せば純チャンなのに)

淡(一索以外は全部手出しか。ふーん)


竜華(とりあえず大星さんの親は流せた)
竜華(とはいえ、親を流せばええわけやないし、ツモ巡をずらすだけで対策になるほど、白糸台の大将が低い地位なわけやない)
竜華(あくまで、この場を凌ぐだけの応急処置みたいなもんや)
竜華(むしろ、挑発やら遊びやらをやめたこの子がどれほどのもんか)
竜華(この数局だけで異常さがよう分かるだけに)

竜華(このオーラス、少しは稼いでおきたいんやけど……)


白糸台：220,600
千里山： 63,700
新道寺： 62,700
阿知賀： 53,000

385 ：大将戦前半戦 32/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 21:03:26.50 ID:SfbbJH0x0

──南4局(オーラス) 親：竜華 ドラ：５

竜華(配牌1向聴……)

竜華手牌：二二二四六 �A�B�C�C�D�G�G 【５】７


竜華(普通に考えたら、良い手なんやろうけど)
竜華(さっきの鶴田さんを考えると、素直には喜べんわ)
竜華(もしこれが渡された配牌なんやとしたら)
竜華(この嵌六索は……待ったらあかん気がする)
竜華(2連続で嵌張待ちが暗槓で潰される可能性なんて、考えたくはないけど)
竜華(何があってもおかしないと見るべきやな)

竜華(せやったら……)
竜華(このターツは、例えドラドラでもはずす)ﾀﾝ 打【５】


姫子(一打目ダブドラ……？)

淡(……)

淡手牌：三四六六八 �@�A�E ６６６ 白中


穏乃(千里山の人……明らかに白糸台の人のツモ巡をずらそうとしてる)
穏乃(この一打目赤五索)
穏乃(私が鳴けば、ツモ巡はずれる)
穏乃(2位との点差は10,700点)
穏乃(……)

穏乃「チー」

穏乃手牌：四八八 �B�F�H ２ 白白発 ((【５】)６７) 打２

穏乃(後半戦の半荘1回が、本当にラスト)
穏乃(少しでも点差を詰めておかないと)


淡「……」ﾁｬｯ

淡「……」ﾀﾝ　打白

穏乃「……ポン」

穏乃(白糸台の人からなら鳴いてもツモ巡は元に戻らない)
穏乃(ツモ巡を元に戻さない程度には動いてく)ﾀﾝ　打発

386 ：大将戦前半戦 33/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 21:03:55.45 ID:SfbbJH0x0

──3巡目

竜華(聴牌)ﾁｬｯ

竜華手牌：二二二四六 �A�B�C�C�D�G�G ツモ：�B


竜華(索子を嫌って正解やったようやな)

竜華「立直」ﾀﾝ　打六

淡「……」ﾆﾔ

竜華(え──)


淡手牌：三四六六六八 �A�E ４６６６ 中


淡「ポン」

竜華(……ツモ巡は、ずれたままや)
竜華(これで、鶴田さんのツモがうちにくる事になる)


──4巡目

竜華「……」ﾁｬｯ ﾀﾝ ６ツモ切り

淡「ポン」

淡手牌：三四六八 �A�E ４６ (六六(六))(６６(６)) 打�A

竜華「……！」

穏乃(これで、ツモ巡は一つずれ)

姫子(うちのツモが、白糸台に)

竜華(うちから鳴けば、元に戻る)
竜華(白糸台の大将が、鳴かれて和了れなくなる程度のわけやない)
竜華(とはいえ、和了れるに越したことはないんやけど)
竜華(あの大星さんの鳴きは、これまでと違って、和了にいってる鳴きや)
竜華(このオーラス、うちか大星さん、どっちかが和了ることになるんやろうけど)

竜華(……)

竜華(分水嶺、やな)

387 ：大将戦前半戦 34/35 [saga　sage]：2012/08/09(木) 21:04:26.38 ID:SfbbJH0x0

──7巡目

淡「……」

淡手牌：三三四五六 �E ６ (六六(六))(６６(６)) ツモ：�E


淡「槓」

──新ドラは東

穏乃(六索加槓……！)

姫子(んー、やー、その六索……)

竜華(手出しやないか)
竜華(暗刻をポンして加槓って)

淡「……」ｸｽ

淡(たかだか満貫なんかに興味はないなー)

竜華(まさか、嶺上──)


淡手牌：三三四五六 �E�E (六六(六))(６６(６)６)ツモ：�E


淡「──槓」

穏乃(連続で加槓……)

姫子(しかもまた手出し)


竜華(……この手は、和了れず、やな)ﾊﾟﾀﾝ


淡「……ツモ」

淡手牌：三三四五 �E�E�E　(六六(六)六)(６６(６)６) ツモ：三

ドラ：５・東・七


淡「嶺上開花タンヤオ、三槓子三色同刻。3,000・6,000」


穏乃(六萬を加槓する前に、もう和了ってたのに)

姫子(和了ば拒否して、無理矢理加槓)


竜華(……最初の槓で和了っても、満貫やのに)
竜華(無理矢理跳満に持ってったか)
竜華(親っ被りも痛いけど)
竜華(同じような待ちで和了られたダメージの方が、でかいなぁ)


淡(先輩だったらドラ乗せて倍満なりそれ以上なりにしてるんだろうか)
淡(もっと、追い詰めてよね)


大将戦前半戦終了

白糸台：233,600
新道寺： 59,700
千里山： 56,700
阿知賀： 50,000

388 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga　sage]：2012/08/09(木) 21:05:52.02 ID:SfbbJH0x0

数を数え間違えていました。以上34レスで大将戦前半戦は終了です。

389 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/08/09(木) 22:08:17.32 ID:LRBmb3aGo

乙！
まだまだ白糸台が圧倒的すぎるｗｗ

390 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/08/09(木) 22:20:02.40 ID:LiaVxa5Do

乙です

391 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]：2012/08/09(木) 23:05:52.56 ID:fz0S4Q7AO

ただのクンカクンカしてるHENTAIじゃなかったのか！

392 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]：2012/08/10(金) 02:47:47.41 ID:k0kFGPPQ0

乙
見終わってから色んなとこ見てたら誤爆しててワロタ

393 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/08/10(金) 06:06:20.59 ID:Q0/kzlCVo

>>387
三槓子はつかなくね？

394 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage saga]：2012/08/10(金) 06:25:23.03 ID:aa4hbNHAO

携帯から失礼します。>>1です。

>>392
気づいてしまわれたか……見逃して下さいｵﾅｼｬｽ！

>>393
修正し忘れてたンゴ……。カンドラを一つ六筒に変更し、嶺上開花タンヤオ・三色同刻ドラ3の3,000・6,000とさせて下さい。

395 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]：2012/08/10(金) 17:13:51.67 ID:dHkizwPAO

乙乙
それぞれのキャラがよく動くというか、見てて飽きないな

396 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]：2012/08/13(月) 07:47:40.87 ID:a3t6xxd6o

これはいい舐めプ
ほえずらかかせてやりたい

397 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/08/14(火) 20:35:56.57 ID:VbU98arLo

舐めすぎだよあわあわ

398 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/14(火) 20:47:57.32 ID:1sevpQ2fo

咲さんに打ちのめされるんだから

399 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/17(金) 14:07:17.70 ID:3Cz5Hl1n0

hkjukbbjhk,k

400 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/20(月) 14:18:21.94 ID:PuGWNZFCo

otu

401 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]：2012/08/28(火) 12:25:48.13 ID:Vzndb18eo

ローマ字でおk

402 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]：2012/09/06(木) 08:22:10.38 ID:Gg1QsvBAO

おつおつ

403 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/08(土) 19:38:08.26 ID:QNN6wzcFo

そろそろ

404 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]：2012/09/18(火) 13:11:35.51 ID:NLj06SiAO

続きが気になる

405 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/10/07(日) 13:18:31.00 ID:pSemKMdbo

もうアカンね