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男「俺の名前は『オズ』。君は?」エメラルド「……」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆gO9QdRWdUw :2012/06/29(金) 02:05:24.34 ID:5/M9tCyb0
エメラルド「……」じーっ

男「……?」

男「(まだ警戒されてんのかな)ほ、ほら自己紹介。君の名前だよ」

エメラルド「……」じーっ

男「と、とりあえず壁に隠れてないで出てきてくれないか? 色々、君に聞きたいことがあるんだけど」

エメラルド「……れない」ボソッ

男「……え?」

エメラルド「出れない。ていうか出たくない」

男「……(あーあ、完全に警戒されてんなこれ)」

男(まあ相手が知らない男だし、当然っちゃあ当然か。にしてもちょっとショックなんですけど……)

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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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2 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/29(金) 02:07:23.90 ID:5/M9tCyb0
エメラルド「……」じーっ

男「(……こっちから近づいてみるか)そ、そんなに怪しまなくても大丈夫だって」ザッ

エメラルド「!? あ、あわわわ……こ、こっちくんな!」ササッ

男「ちょ、そんな逃げることないだろ!? 俺は決して怪しいヤツなんかじゃないぞ、むしろこの家の――」

エメラルド「そーいうことじゃない!」

男「……? そ、『そーいうことじゃない』って、なにが?」

エメラルド「着てないの!」

男「?」

エメラルド「だーかーらー! 着てないの! 服!」

男「……は、はぁ?」
3 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/29(金) 02:24:41.36 ID:5/M9tCyb0
エメラルド「……キミ、この建物、ていうか家(?)に住んでるの? これキミの?」ペシペシ

男「そ、そうだけど……え、それよりもなんで君は服着てないの?(もしかして結構ヤバイ子?)」

エメラルド「……っ! 誰のせいで裸のままでいると思ってるんだ!」

エメラルド「このっ、変な家がっ、こいつのせいで……っ!」ガッ ガッ

男「お、おい人ん家になにしてんだ! ていうか俺ん家のせいで服着てないってどういうことだ。意味わからんぞ!」

エメラルド「私だってわけわかんないわよ!」ガッ ガッ

男「蹴るのやめろって!(うわ、身体半分見えてる!)」

エメラルド「……!」ピタッ

男「……とりあえず落ち着いて、説明してくれよ」

男「君が裸でいる理由。俺ん家のせいって……なんのことだ?」
4 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/29(金) 02:25:56.46 ID:5/M9tCyb0
短いですが家に帰るので今日はここまでー
5 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/29(金) 08:10:44.23 ID:ME+g+6bC0
エメラルド「……」ジロッ

エメラルド「その先にある湖で水浴びしてたの、私」

男「うん?(……湖? 水浴び?)」

エメラルド「そしたらね、突然おっきな音が聞こえてきて。なんだろって、様子を見に戻ったら……」

エメラルド「さ、さっきまでは確かになかったのに、この変な家が! いつのまにか建ってたの!」

エメラルド「ここに! 私の服とか置いてあったこの場所に!」ガッ ガッ

男「お、落ち着けって! わかったから、頼むからこれ以上蹴るな!」

エメラルド「じゃあはやくこれどかしてよ! この下に私の服あるんだから! それに大事な魔法石だって――」

エメラルド「あ……」

男「?」
6 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/29(金) 08:16:16.15 ID:ME+g+6bC0
エメラルド「……! な、なんでもない。と、とにかくこれ……はやくなんとかしてよ」

男「なんとかしてくれって言われてもなあ……そっか、そういうことか……」

男「事情はなんとなくわかった。けど、俺にはどうすることもできないぞ。悪いが」

エメラルド「はぁ!? な、なんでよ。これキミの仕業でしょ?」ペシペシ

男「いやだって家とか動かせないし。あとこれ俺の仕業じゃない」

エメラルド「……へ?」ポカーン

男「俺も『へ?』って感じだよ。家が……ていうか自分がなんで『ここ』にいるのかわからないんだから」

エメラルド「? ?」

男「はぁ……」

男(……我ながら今の状況下でよく落ち着いていられるな、とは思う)
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/29(金) 08:20:33.44 ID:YgYKL9rDO
オズの魔法使い@本編開始前
とかな感じかな

ちょっと面白そう
期待
8 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/29(金) 08:59:13.37 ID:ME+g+6bC0
男(人間、こういうときには意外と冷静になるってよく聞くけど本当だな)

男(あるいはこの『異常』を目の当たりにして、いまだ現実味が感じられないせいかもしれん)

男「(だけど、なぁ……)夢じゃないんだよな……こういうことって、マジであるんだ」

エメラルド「……? だ、大丈夫なのキミ、さっきからなに言ってるのか……」

男「この家は突然ここに現れたわけじゃないんだ。もちろん俺が建てたわけでもない」

男「多分……(いや、あの時の衝撃……間違いない)空から落ちてきたんだ」

エメラルド「……はぇ?」

男「と、いうわけで君には色々聞きたいことがあるんだけど、まずは1つ教えて欲しい」



男「あのさ、ここって……どこ?」

(これは知っとかなきゃ。だって、俺は『家』に帰らないといけないからね)
9 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/29(金) 10:10:47.92 ID:ME+g+6bC0
______________

男「……ウチには女物なんてないから、悪いが俺の服で我慢してくれ」

男「上着だけだけど、俺でも少し大きいくらいのやつだから多分大丈夫だと思う」

エメラルド「ん、ありがと」

ゴソ ゴソ

男「……」

男(しっかし家の中グチャグチャだったもんなぁ……月明かりが差し込んでなきゃ服なんて探せなかったぞ)

男(当然電気も通ってなさそうだし、見渡す限り一面生い茂る木々。これって森の中だよな)

男「……」

男「は、はは……ホントどこなんですかここ」ヒク

エメラルド「お待たせー」

男「……ん? お、おぉ……!?」
10 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/29(金) 11:30:09.69 ID:ME+g+6bC0
エメラルド「……ど、どうかな? 変じゃない?」

男「……! へ、変じゃないぞ、うん。結構……似合ってる、な(む、むしろ可愛い……!)」

エメラルド「そ、そう? 見たことない服だったから……よかった。ありがとね」ニコ

男「う」ドキッ

エメラルド「〜〜♪」

男「……!」

男(や、ヤバイぞこの子。人ん家を平気でガシガシ蹴るからどんな性格してんだよって内心思ってたけど……)

男(意外と素直! ていうか間近で見るとメチャクチャ可愛い顔してるじゃないか……!)

男(暗くてしかも半身だけだったとはいえ……こ、この子の裸をさっき見ちゃったのか)

男「……(惜しいことをした)」ゴクリ
11 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/29(金) 13:10:04.05 ID:ME+g+6bC0
エメラルド「?」

男「……あ。そ、そうだったごめん、さっきの質問の続き」

エメラルド「ん」

男「えーと、まず聞きたいのが『ここがどこなのか』ってことなんだけど……」

エメラルド「『ここ』って、この森のこと?」

男「あー、まあそれでもいいけど……ついでにどこの国の森なのか教えていただけるとありがたいなあ」

男「ていうか一応確認なんだけどここって日本じゃないよね? どう見ても」

エメラルド「……にほん?」

男「そ、俺の住んでる国の名前。知らない?」

エメラルド「にほん……? 聞いたことないけど。この大陸にそんな名前の国あったかな」
12 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/29(金) 13:57:31.38 ID:ME+g+6bC0
エメラルド「うーん、おばあちゃんにも教えてもらった記憶がない……」

エメラルド「ね、そのニホンって……どんな魔法石が採れるの?」

男「……はい?」

エメラルド「あ、ち、違うよ? 私は魔法石なんて、も、持ってないんだから。誤解しないで」アセ アセ

エメラルド「た、ただね、それを聞けばどこの国なのか、もしかして思い出すかもーって……」

男「……」

エメラルド「ほ、ホントだよ?」チラ

男「……」

男(う、うわー、別の意味でもヤバイぞこの子。なるほど、『そっち系』の子か。いるんだなあ外国にも)

男(となるとさっきのはスルーしたほうがいいな。なんか時間かかりそうだし。ていうか今それどこじゃないし!)
13 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/29(金) 14:37:55.10 ID:ME+g+6bC0
男「……そ、そうなんだ。うん、大丈夫だぞ。信じてる」ニコ

男「でさ、ここってどこなのかな?」

エメラルド「……」

エメラルド「ここは東の大国『アメジスト』に属する辺境の森よ」

エメラルド「確かえーと、位置は南の方だったかな。あ、さすがに『アメジスト』はキミも知ってるよね?」

男「うん」ニコ

男「でさ、ここってどこなのかな?」

エメラルド「だーかーらー! 今説明してるでしょ。もう、ちゃんと最後まで聞いてよ」

男「……」

エメラルド「ゴホン。でね、この森なんだけど、なんて呼ばれてるか知ってる?」
14 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/29(金) 15:43:44.21 ID:ME+g+6bC0
エメラルド「……って、知らないから聞いてるんだった。あ、じゃあさ、なんて呼ばれてるか教えて欲しい?」ワク ワク

男「……いえ、位置はわかったんでもういいです。どうもありがとう。これで帰れます」

エメラルド「ちょ、ちょっと待ってよ! 聞くだけ……聞くだけでいいから……っ!」ガシッ

男「え、ええー……」

エメラルド「……オッホン。実はこの森には昔、『とある』偉大な魔女が住んでいたの」

エメラルド「その魔女は魔法石の錬成技術の高さはもちろんのこと、すっごく心の優しい人でね」

エメラルド「いつも大陸中を飛び回ってて、困ってる人たちをその魔法で助けてあげたり、時には争いを鎮めたり」

エメラルド「いつしか大陸でその名を知らない者がいないくらい有名になって、みんなに慕われていたわ」

エメラルド「でね、人々はその魔女への尊敬と畏敬の念を込めてこの森を……」

エメラルド「『エメラルドの森』と呼ぶようになったの! キャー! 格好いいー♪」
15 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/29(金) 15:45:11.90 ID:ME+g+6bC0
ここまでー
16 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/30(土) 04:21:26.12 ID:sM6NxQ9y0
男「……」

エメラルド「えへへー、驚いた? キミも当然知ってるでしょ? 魔女『エメラルド』。今や伝説になってるもんねー」

男「……(俺、今どんな顔してるんだろ。頭痛い)」

男(ここまで頭がアレな子だったとは……ひどすぎる。まったく会話にならないぞ)

エメラルド「ね、ね、キミも実は話の途中で気付いてたんじゃない?」

男「……」

男(……? 会話……?)

エメラルド「そうなの。何を隠そう今キミがいるこの森に、あの『エメラルド』が住んでたのでした!」

男「……!」

男(うわ、今気付いた。俺この子と普通に会話してる。言葉が……通じてる!?)
17 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/30(土) 05:00:11.09 ID:sM6NxQ9y0
男(いや通じてるどころかこの子も間違いなく日本語を喋ってるぞ。俺が理解できてるんだし)

男(……え? この子もしかして日本人?)ズイッ

エメラルド「?」

男「……」じーっ

男(月明かりだけじゃそこまで詳しくわからないけど……この髪と瞳の色、どう見ても違うよな)

エメラルド「ちょ、ちょっと……急になに? そ、そんなに見つめないで///」

男「……」

男「ジャパン」

エメラルド「?」

男「ヨーロッパ、アメーリカ」
18 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/30(土) 06:01:45.51 ID:sM6NxQ9y0
エメラルド「? ?」

男「……どうなってるんだ(この子の頭、あるいは俺か……?)」

エメラルド「……キミ、この森のことも知らないなんて、ニホンってそこまで閉鎖された国なの?」

エメラルド「それともやっぱりここ最近の風潮なのかな……『エメラルド』の名前を呼ぶことさえ禁止されてる国もあるもんね」

男「……」

男「あー……率直に言うよ。どうやら俺は君たちの住んでる大陸、こことは違う大陸から来たみたいなんだ」

エメラルド「……え?」

男「だからさ、ずっと黙ってたんだけど、さっきから君の言ってることがさっぱり理解できてない」

男「唯一わかるのは『アメジスト』とか『エメラルド』……宝石の名前くらいだ」

エメラルド「ほうせきじゃないわ、まほうせき。あと『アメジスト』は魔法石の名前じゃない。国の名前よ」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/06/30(土) 06:42:48.62 ID:TBrIF7kZo

オズの魔法使いと関連性はあるのかな
20 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/30(土) 06:57:02.98 ID:sM6NxQ9y0
エメラルド「え、ていうか『アメジスト』も知らないって……違う大陸……? ウソ、それ本当なの?」

男「ホント。正確には大陸っていうか島だけど。魔女とか、魔法石とか……そんなファンタジーが実在しない国」

エメラルド「……! す、すごい……は、初めて会った。違う大陸から来た人なんて……!」

エメラルド「す、すごいすごい! どおりでなにも知らないはずだわ! キャー、初体験♪」

エメラルド「そっか、そっかぁ……空から落ちてきたとか言ってたからてっきり……」

エメラルド「そうよね。あんな家ごと動かす強大な魔法、人目も気にせず派手に使うなんて」ブツ ブツ

男「……」

エメラルド「じゃ、じゃあキミって魔法石持ってる人がいても通報したり、魔女狩りなんかもしたりしてないよね?」

男「しねーよ! いつの時代の話だそれ!?」

男「うわー! もう意味わからん! 魔法石ってなに、魔女ってなに、キミは誰、ここはどこなんだああああ!」
21 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/30(土) 07:34:51.43 ID:sM6NxQ9y0
エメラルド「……よかったぁ。キミが違う大陸から来たんだったらもう隠す必要はないわね」

エメラルド「私の名前は『エメラルド』。あの偉大なる魔女の名を継ぐ正当後継者」

エメラルド「ゆくゆくはその名に恥じぬよう立派な魔女になるために日々精進中!」

エメラルド「伝説の『エメラルド』はね、私のおばあちゃんなの♪」

エメラルド「……キミの名前は? 最初のほうでなにか言ってた気がするけど」

男「……」

男(ああ……もう、なんでこんなことに……)

男「俺は……俺の名前は『オズ ケイスケ』」

エメラルド「じゃあ『オズ』でいいかな? ふふっ、オズ、歓迎するわ」



エメラルド「美しくも不思議な魔法石が輝く大陸――――『ブリリアント』へようこそ!」



22 : ◆gO9QdRWdUw [saga]:2012/06/30(土) 07:40:40.26 ID:sM6NxQ9y0
プロローグ的なものはここまでー

>>7>>19
説明が遅れました
このSSは『オズの魔法使い』を完全モチーフにしたSSとなっています
あの有名な登場人物たちも出てくる予定ですので、どうぞお暇なときでも軽く流す感じで読んでいただけたら嬉しいです

※注意事項
いわゆる「異世界チートもの」です
ですが主人公が無双にならないようなバランス設定はあります
また、軽度ではありますが残酷な描写・性表現もありますのでご注意下さい

あと早くもミスを
『エメラルドの森』は大陸の中央に位置するべきでしたOrZ
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/30(土) 08:07:00.94 ID:I8TKhSzIO
主人公チートか
本編のオズとは正反対になりそうだなwwww
期待
24 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/01(日) 14:02:20.15 ID:Soj/RYzq0
この度、某サイト様にSSをまとめていただきました。大変感謝するとともに嬉しく思っています。

『男「目ぇ見えないクセにウロチョロすんなよ」 女「じゃあ、男くんの側にいるね?」』
今書いてるヤツとはまったく異なる雰囲気ですが、よろしければ暇なときにこちらもお読みいただけたら嬉しいです。

では少しだけ投下します
25 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/01(日) 14:04:57.90 ID:Soj/RYzq0
______________

エメラルド「……元気だしてよ。気持ちはわかるけど」

男「……」ブツ ブツ

エメラルド「ね、ほら。大丈夫よ、キミはこうして無事でいるんだから。きっと帰れるって」

男「……」ブツ ブツ

エメラルド「……(う、うーん……どうしよう)」

エメラルド「ち、違う世界かぁ、魔法石のない世界。私も一度行ってみたいなー、オズの住んでる国」

男「……そ、そうだ! その魔法石、魔法だよ!」

男「キミの言ってることが本当なら今、俺の見てる前でその魔法とやらを使ってみせてくれ! 魔女なんだろ!?」

男「そ、そうしたら……こ、ここが違う世界、という可能性が……」ブツ ブツ

エメラルド「んー、残念。今は無理」
26 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/01(日) 14:11:19.65 ID:Soj/RYzq0
男「ほ、ほらやっぱり使えないじゃん! は、はは、そりゃそうだよな、魔法なんてあるわけ……」

エメラルド「ちーがーうーの。オズは勘違いしてるわ」

エメラルド「確かに私は魔女よ。けどね、だからといって魔法石なしで魔法を使うことはできないの」

男「は、はぁ? じゃ、じゃあその魔法石とやらを!」

エメラルド「……あのね、キミ。もう忘れたの? あれ」

男「あ……」

エメラルド「そうよー、あそこには私の大事な魔法石も下敷きになってるんだから、もう」

男「……」

男「ま、魔法石って……なに? さっきからその言葉を口にしてたけど」

エメラルド「魔法石っていうのは、この大陸で採れる石のことよ」

27 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/01(日) 15:04:14.61 ID:Soj/RYzq0
エメラルド「すっごく綺麗な色をしてて透き通っていて……眺めてるだけでも魅了されちゃいそうな不思議な石」

エメラルド「各地方、国によって採れる魔法石は異なっていてね。色、形、性質、そして匂いもさまざま」

エメラルド「例えば今いる『アメジスト』で採れる魔法石なんかは紫色をした独特の結晶体で、魔法石としては愚か」

エメラルド「錬成されていない石のままでも装飾品や調度品として人気が高いわ」

男「……錬成?」

エメラルド「そ、錬成。採掘された魔法石もそのままの状態では魔力を発揮することができないの」

エメラルド「膨大な時間、卓越した技術、そして職人の……文字通り『魂』を注いで錬成することが必要」

エメラルド「そしてそれらを可能とするが……この大陸で唯一、私たち『魔女』の一族のみってわけ」

エメラルド「ただ、逆に言ってしまえばその魔法石さえあれば誰でも魔法を使うことが可能……」

エメラルド「つまりオズ、キミだって魔法使いになれるんだから♪」
28 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/01(日) 16:15:50.56 ID:Soj/RYzq0
男「お、俺が……魔法使いに……?」

エメラルド「ふっふーん、どう? ちょっと魅力的な話なんじゃない?」

男「いや、それは……そう、だけど(確かに魔法とか、魔女とか、そういうのに憧れてた時期もある)」

男「……じゃなくて! 俺は家に帰りたいんだよ! ニホンに……こことは違う世界に!」

男「魔法なんて、今はそれどころじゃない!」

エメラルド「……う、うーん。そう言われても……私にはどうしていいのか」

エメラルド「……」

男「う、うぅ……頭が、どうにか……なりそう(ヤバイ、ちょっと泣けてきた)」ガクッ

エメラルド「……っ、そ、そんなに落ち込まないで。家に帰れないなんて、まだ決まったわけないじゃない」

エメラルド「確かに私はオズの住んでる国がどこにあるかなんてわからないけど、都に行けば誰か知ってるかも」
29 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/01(日) 16:44:55.73 ID:Soj/RYzq0
エメラルド「知ってる人がいれば、家に帰る方法だって見つかるかもしれないわよ? ね?」

男「……」

男「都……(いわれてみれば、そうだ……確かにエメラルドの言うとおりだ)

男(まだ家に帰れないと決まったわけじゃない。そうだよ、なにを諦めてるんだ俺)

男(こんなところで……落ち込んでる場合じゃない、可能性を探さなきゃ……!)

男「……!」グッ

男「……エメラルド。都……その都ってどこにあるんだ? 頼む、教えてくれ」

エメラルド「……! う、うん! そうそう、その調子♪(よかったぁ……)ふふ、都はね、ここから――」


??「おーい、あったぞー! 見つけた、ここだ!」


男・エメラルド「「!?」」
30 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/01(日) 16:45:57.38 ID:Soj/RYzq0
ここまでー
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/01(日) 17:23:05.60 ID:3Gpae+9Mo
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/01(日) 23:33:31.05 ID:wPPjQ80ro
>>24
それ書いてた人か
期待
33 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/03(火) 08:07:08.82 ID:krTcSHU00
??「例の建物らしきものを発見! 隊長、こちらです!」

男「……な、なんだ……? 誰か来たみたいだぞ。それも一人じゃないっぽいけど」

エメラルド「あわ、あわわわ……た、多分都の兵士たちよ。誰かが通報したんだわ、きっと」

エメラルド「か、隠れなきゃ……! オズ、見つかったら大変よ! キミも隠れて!」

男「え……? な、なんで? 都の兵士ならちょうどいいじゃん。事情を説明して都に案内してもらえば」

エメラルド「……! そ、それはそうなんだけど……私が……」

??「誰かいるみたいだぞ!」

エメラルド「……っ!」

ダッ

男「お、おい、エメラルド!? なんで逃げ――」

??「おい! 貴様! ここで何をしている!?」
34 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/03(火) 08:40:49.73 ID:krTcSHU00
??「隊長! やはり人がいました、男が一人です!」

ザッ

エメラルド国警備隊隊長「……」

男「……あは、あははは……ど、どうもこんばんわー……」

隊長「……」ジロッ

男「……!」

隊長「……」チラ

隊長「……近隣の住民から、この森で激しい衝撃音があったとの通報を受けた」

隊長「見たところ、どうやらこの家らしき建物が原因みたいだが……これは貴様の仕業か?」

男「え、ええ、まぁ……俺の仕業っていうか、仕業じゃないというか……」

隊長「その珍妙な格好……この国の者か? この場所でなにをしている。答えろ」
35 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/03(火) 09:02:42.84 ID:krTcSHU00
訂正
>>34 2行目
エメラルド国警備隊隊長→アメジスト国警備隊隊長
>>27 8行目
そしてそれらを可能とするが→そしてそれらを可能とするのが
>>28 9行目
まだ決まったわけないじゃない→まだ決まったわけじゃないじゃない
36 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/03(火) 09:05:45.44 ID:krTcSHU00
男「は、はい。え、えーとですね、まず……俺はこの国の人間ではありません」

男「というより、『ブリリアント』……でしたっけ? とは違う国(世界)から……来たみたいなんです」

兵士「……?」

ざわ ざわ 

隊長「……『ブリリアント』と違う国?」

男「はい。次にですね、『この場所でなにをしているか』、という質問なんですが……」

男「実はそのことについて考えていたというか、むしろ俺がそれを教えて欲しいくらいで。あは、あはは……」

隊長「……?」

男「と、とにかく、起こったことをありのまま説明するとですね」

男「実は俺、理由はわかりませんが空から落ちてきたみたいなんです。ここにある家ごと」

男「……気付いたらこの森にいて、ホント自分でもよくわからないんです! なんで俺がここにいるのかも!」
37 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/03(火) 09:39:30.17 ID:krTcSHU00
男「本当なんです、信じてください! 俺の住んでる国、日本っていうんですけど誰か知りませんか!?」

男「誰でもいいんです、知ってる人……お願いです! 俺、家に帰りたいんです!」

ざわ ざわ 聞いたことないぞ ヒソ ヒソ

兵士「……隊長」

隊長「……」

隊長「今の話だが、2つ疑問に思うことがある」

男「……なんでしょうか」

隊長「1つ目。貴様、さっき『ブリリアント』の名を口にしたな」

隊長「異国から来たという貴様がなぜこの大陸の名前を知っている。答えてもらおう」

男「……! そ、それは……」チラ

男(エメラルドのやつ……逃げたってことは、なにかワケがあるってことだよな……)
38 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/03(火) 10:48:38.23 ID:krTcSHU00
男「それは……その、お、俺たちの国でも『ブリリアント』の名は結構有名なんですよ」

男「魔法とか、魔法石とか……俺たちの国にはそういうのなくて。だ、だからみんな憧れてるっていうか……」

男「だ、ただ詳しい場所とか知らないんで、俺みたいなヤツは滅多に来ないと思いますけどね」

男「俺自身、さっき言ったようにどうやってここまで来たのかはわかんないですし。はは……」

隊長「……」

隊長「2つ目。その『どうやって来たのか』、だが。……そこにある家ごと空から落ちてきたと言ってたな」

男「そ、そうみたいです、ね」

隊長「……そんな馬鹿な話があると思うか?」

隊長「この大陸の人間ならまだしも、貴様、今自分の国では魔法石がないとも言ったな」

隊長「魔法石なくして、魔法が使えなくて……どうやってこの家を宙に浮かすことができるというんだ!」
39 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/03(火) 11:50:43.23 ID:krTcSHU00
男「知るかよ! 俺が聞きたいくらいだ!」

隊長「!?」

ざわっ

兵士「……!」ザザッ

男「……あ。す、すいません」

男「け、けど……ホントに知らないんです」

男(ホントに……あの時、突然家が揺れたと思ったら、そのまま部屋の壁に頭をぶつけて気を失って……)

男(目を覚ましたときにはすでにこの森に着いてたから)

男(意識を取り戻す直前、わずかに感じた浮遊感。あれはジェットコースターに乗ってるときの感覚に似ていた)

男(そして直後、あの叩きつけられたような衝撃は間違いじゃない、家ごと地面に落ちたとしか考えられないんだ)

男(不思議なのは……家がまったく壊れていないということと、なぜか俺も無事でいるってこと)
40 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/03(火) 12:46:28.41 ID:krTcSHU00
男「(あとは……)なんで家が浮いたのか、なんでこんなとこに来ちゃったのか……」

男「もう一度言います、俺にもわかりません。答えられません!」

隊長「……」

兵士「た、隊長……」

隊長「むぅ……(この男。この目、この感じ……嘘を言っているようにはみえん……)」

隊長(しかし、魔法も使わずにこれ程大きな家を浮遊させるというのも信じられん話だ)

隊長「……」

隊長「今の話、完全に疑うわけではない。が、信じるに足る話ではないこともまた事実」

隊長「悪いが、貴様を一旦都に連行させてもらう。詳しい話はそこでゆっくり聞こう」

男「な……!」
41 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/03(火) 13:08:54.10 ID:krTcSHU00
隊長「おい、この男を捕縛しろ! 残りの者は建物内を捜索、怪しいものがないか徹底的に調べろ!」

兵士「はっ!」ザザッ

男「ちょ、ちょっと待ってください……!」

男(た、確かに都には行きたかったけど、こんな犯罪者みたいな扱い……!)

兵士「大人しくしろ!」グイッ

男「……っ、は、離せよ!」バッ

兵士「……! て、抵抗するか貴様! おい、手伝え!」

ザザザザッ 

兵士「貴様っ、大人しくしろ!」ググッ

男「ぐ、ぎ、ぎ……は、離せ……!」

兵士「このっ、まだ抵抗する気か……!(こ、コイツ、なんて力だ……!)」グググッ



42 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/03(火) 13:31:18.76 ID:krTcSHU00
エメラルド(お、オズ……! ど、どうしよう、どうしよう……)オロ オロ

男「ぐぬぬぬ……!」

兵士「ぬ、お、おおお……!」

隊長「……お前たち、数人がかりでなにをしている。さっさと捕まえろ。フザケている場合ではないぞ!」

兵士「そ、それが……コイツ、とんでもない力で……!」ググググッ

兵士「き、貴様ぁ……抵抗して、後でどうなるか……わかってるのか……!」グググググッ

男「ぐ、だ、誰が大人しく捕まるか……お、お前らこそ……」

男「離せっつってんだろーが!!」バッ

兵士「「!? う、うわあっ……!?」」

ドサ ドサ ドサドサッ

男「……え?」
43 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/03(火) 14:05:53.49 ID:krTcSHU00
エメラルド「……へ?」ポカーン

隊長「……!」

兵士「お、おい大丈夫か!」

兵士「う、ぐうぅ……」

男「……な、なんだこれ?(お、俺、こんなに力あったっけ……)」ポカーン

兵士「た、隊長……気をつけてください。この男、尋常な力じゃ……ぐ、痛ぅ……」

隊長「……!(あ、あの体躯で鍛えられた兵士数人をなぎ払っただと?)」

隊長(馬鹿な。この俺でも無理だ、信じられん。この力……まさかこの男……)

隊長「……全員剣を抜いて囲め!」

ザザザザッ チャキッ

男「う……」
44 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/03(火) 14:37:01.82 ID:krTcSHU00
隊長「そのまま距離を置け。気をつけろ、もはや一個人が相手だと思うな」

隊長「お前たちも見ただろう、あの『力』。この男……『トパーズ』産の魔法石を所持している可能性が高い!」

ざわっ 

兵士「と、トパーズ産……!」ざわ ざわ

兵士「で、ではこの男が言っていた『家ごと空から落ちてきた』というのは……」

隊長「うむ、まさかとは思っていたが……『トパーズ』の『力』なら合点がいく」

ざわっ 

隊長(だとすれば、かなり厄介な相手だぞ……我々だけで抑えることができるか……)

隊長(くそっ、こちらも魔法石の使用を女王様にお許し願うべきだった!)

兵士「……っ」じり じりっ

男「う、うぅ……(おいおい、ウソだろ……生身の相手に武器かよ。しかもこの人数って)」

男(さ、流石にヤバすぎる……! 抵抗しないほうがよかった……)ガクッ
45 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/03(火) 14:37:59.91 ID:krTcSHU00
ここまでー
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/07/03(火) 15:05:27.79 ID:rS1jNRYw0
宝石によって何か属性みたいなのがあるのか。やばいかなり面白そう

期待!
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/03(火) 19:34:32.08 ID:rJyC9vBmo
おもしれえええwww

シエンタ
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 22:35:48.24 ID:280lCiqIO

ワクワク感半端ない
49 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/04(水) 12:46:07.91 ID:CGaMZ+AS0
隊長「……やはり貴様は嘘をついていたな。異国から来たなどと……たわけたことを!」

男「ウソじゃねーよ! ホントだって! お願いだから、信じてくれっ!」

隊長「黙れ! 魔法石を無許可で所持している可能性がある以上、どの道貴様は連行される身だ!」

男「持ってないから……頼むよ……っ」

隊長「俺が合図を出す。一斉にかかれ。もし『力』を使うようであれば……かまわん、殺せ!」

チャキッ カチャ カチャ

男「お願い……します……ウソなんかじゃ……」

兵士「……!」ゴクッ

隊長「……」スッ

隊長「よし! 今だかか――」



エメラルド「ダメーーーーーーーーーーーー!!」
50 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/04(水) 12:49:11.78 ID:CGaMZ+AS0
隊長・兵士「「!?」」

男「!? ……!(え、エメラルド……!?)」

エメラルド「だ、ダメっ! ダメなんだから! そ、その人に乱暴なことしないで」ガタ ガタ

エメラルド「その人の言ってることは本当よ! 彼は魔法石なんて持ってないわ!」ガタ ガタ

ざわっ

隊長「……誰だ貴様。こんな所でなにをしている」ジロッ

エメラルド「ひ、ひ、光らなかったじゃない、彼の体……!」ガタ ガタ

隊長「!」

エメラルド「ま、魔法を使ったなら光るはずよ! 体のどこかにある魔法石が……輝くはずでしょ!」

エメラルド「あの強い輝き、どんなに隠そうとしたって隠しきれるものじゃないわ」

エメラルド「いい年齢した大人ががこんなに集まって……なんでそんな簡単なことに気付かないのよ!」
51 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/04(水) 13:03:52.50 ID:CGaMZ+AS0
隊長「……!」

ざわ ざわ 確かに 言われてみれば 光らなかったぞ それより誰だ ひそ ひそ

エメラルド「そ、それにもし、さっきのがトパーズの『力』だっていうのなら……」

エメラルド「家と自分に、彼は少なくとも2つの魔法石を持ってるってことになるわ」

エメラルド「……これがどういう意味か、あなたたちにもわかるでしょ?」

隊長「う……」

エメラルド「このご時勢、そんなことが普通にあると思う?」

エメラルド「1つだけならまだしも、個人が2つ……しかも1つはあんな大きな家を浮遊させる程の魔法よ?」

エメラルド「そんな貴重な魔法石を所持していて、それを人目も気にせず使う人物……」

エメラルド「彼がトパーズ王室関係者だったらどうするつもりなの! 大問題よ!?」

ざわっ

エメラルド「さ、さっき『殺す』とか言ってたけど……もしあの軍事大国を敵に回して、あなた責任とれるの!?」
52 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/04(水) 14:21:09.66 ID:CGaMZ+AS0
隊長「う、ぐ、ぐぅ……!」

兵士「た、隊長……!」

隊長「と、とりあえず剣を収めろ」

兵士「「はっ!」」カチャ チャ チャ

男(ほっ)

隊長「……伺いたい。き、『貴殿』はトパーズ王室の関係者なのか?」

男「いえ、違いますけど」

隊長「……! ど、どうだっ! 本人が違うと言っている!」

エメラルド「だーかーらー! その本人が自分は異国から来たって言ってるでしょ! 魔法石も持ってないって!」

エメラルド「なんでそれは信じてあげないのよ!」
53 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/04(水) 14:56:24.29 ID:CGaMZ+AS0
エメラルド「いい? 私がさっき言った『彼が王室関係者の可能性がある』って話……」

エメラルド「きっと女王様だって同じことを懸念されるに違いないと思うんだけど」

エメラルド「あなた今回のこと、女王様にどう報告するつもりなの?」

隊長「そ、それは……」

エメラルド「本人が自分は異国から来たと必死に訴えていましたが、『それは信じませんでした』」

エメラルド「ただ彼がトパーズ王室関係者であることを否定したのは『信じました』」

エメラルド「魔法石が輝いていない以上、彼が魔法を使っていないことは明白なのに『命を奪いました』」

隊長「……」ガタ ガタ

エメラルド「こんな筋の通ってない話、女王様が聞かれたらどうお思いになられるかしら。きっと激怒されるわよ?」

エメラルド「……まさか、ウソの報告なんてしないわよね?」
54 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/04(水) 16:22:08.01 ID:CGaMZ+AS0
隊長「す、するわけないがないだろう! 嘘の報告など……できるわけがない!」

エメラルド「そりゃそうよね、『例の魔法石』がある限り……女王様に『嘘』は通用しないもの」

隊長「そういう意味ではないっ! 俺はこの国に、女王様に忠誠を誓っているのだ」

隊長「その女王様に嘘をつくなど……許されることではないっ!」

兵士「隊長……」

隊長「く、ぐぅ……っ! し、しかしさきほどの異常な『力』といい、家のことといい、一体どう説明すれば……!」

エメラルド「ありのまま説明すればいいじゃない。今さらなによ」

エメラルド「この大陸にだって、あんなにたくさんの不思議な魔法石があるんだから」

エメラルド「外の世界にはまだまだ私たちの知らない不思議があるってこと! ただそれだけ」

エメラルド「現に『彼』が私たちの目の前にいるじゃない。ちっとも驚くことなんてないわ! ね、オズ♪」ニコ

男「……!」ドキッ
55 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/04(水) 16:23:51.60 ID:CGaMZ+AS0
ここまでー

訂正
>>44 11行目
生身の相手に武器かよ→丸腰の相手に武器かよ
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/04(水) 22:28:41.43 ID:JenpGKebo
おつん
57 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/05(木) 20:28:49.49 ID:0MsaboWf0
タタッ

兵士「た、隊長! 大変です!」

隊長「……どうした」

兵士「報告します! さきほどから建物内を捜索していましたところ……こ、こんなものを発見しました!」

隊長「!? こ、これは……!」

男「げ」

隊長「これは……魔法……石……?」チャラ

ざわっ

エメラルド「……!」

兵士「はっ、我々もこれを見つけたときは驚いたのですが、この質感、透き通るような美しさは間違いありません!」

兵士「た、ただ……」

隊長「……見たことのない色をしている」

兵士「そ、その通りです! このような色をした……『緑色』の魔法石を見るのは我々も初めてです!」
58 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/05(木) 21:21:39.84 ID:0MsaboWf0
隊長「……貴様、これは一体どういうことだ」ジロッ

隊長「自分は異国から来たと……魔法石など存在しない国から来たと、そう言ってたではないか!」

男「(またこのパターンかよ! め、メンドくせー)……はぁ、それは魔法石なんかじゃありません」

男「俺たちの国では『宝石』と呼ばれている、ただの装飾品ですよ」

男(ホント、ただの宝石。親父が結婚記念日だかなんだかでお袋に買ってあげたネックレスだし)

隊長「とぼけるな!」

男「とぼけてねーよ!」

男「あ……じゃあさ、そんなに魔法石ってことにしたいなら……それで魔法使って逆に証明してくれよ」

男「この大陸じゃ魔法が使えるんでしょ?」

隊長「……それは無理だ」
59 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/05(木) 21:48:14.22 ID:0MsaboWf0
男「はぁ?」

隊長「当たり前だろう。俺はこの魔法石にどんな魔力が込められているのかを知らないのだからな」

隊長「第一、こんな色をした魔法石を見るのは初めてだ。『特性』すらわからん」

隊長「そもそも錬成されている石なのかも……」じっ

隊長(この見事なまでに均一に磨かれた楕円形……一応錬成はされているように見えるが、確実にはいえん)

隊長(それこそ魔女でない限り判断はつかないだろう)

隊長「……」ゴクリ

隊長(……そ、それにしても美しい。この美しさ、これこそが魔法石であるなによりの証拠ではないか)

エメラルド「……」

エメラルド(私にはわかる……あれは間違いなく魔法石だわ。で、でも……なんでオズがアレを……)ギュッ
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/05(木) 22:43:55.66 ID:p9Jf/XFI0
普通の宝石が全部力を持ってんのか
夢が広がるな
61 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/05(木) 22:46:48.18 ID:0MsaboWf0
男「……(ん? 見るのが初めて?)」

男「! そ、それって俺が外の世界から来た証明になりませんか?」

隊長「?」

男「だって、あなたたちはその宝石を見たことがないんでしょう? つまりこの大陸にはない石です」

男「それを俺が持っていた。どうです? これこそ異国から来たという動かぬ証拠じゃないですか!」

ざわ ざわ

隊長「……」

兵士「た、隊長、実は建物内にはこの他にも……確かに、我々が初めて目にする物が多数見受けられました」

隊長「なに!?」

兵士「またあの建物自体、どうやらこの大陸には存在しない物質で造られているようです」

兵士「もしかしたら、この男の言っていることは本当なのかも……」
62 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/05(木) 23:13:45.82 ID:0MsaboWf0
隊長「な……ば、馬鹿者! なぜそれをもっと早く言わない!」

男「……ね、言った通りでしょ」

隊長「う」

男「ちなみに、さっきは無理やりだったから抵抗しましたが、ホントは俺も都に連れて行って欲しいんですよ」

男「俺も家に帰りたいので、誰か日本の存在や場所を知ってたり、帰る方法を知ってる人がいないか探したいんです」

男「だからお願いです。俺の話を信じて、都まで案内してください!」

ざわ ざわ

エメラルド「連れて行ってあげればいいじゃない! これ以上彼の話を疑うものなんてないでしょ!」

エメラルド「それに女王様だって、その緑の魔法石をご覧になられたらきっと彼に興味をお持ちになるわ!」

男(……へ? 女王様?)

隊長「むむむ……た、確かに……!」
63 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/05(木) 23:52:49.96 ID:0MsaboWf0
隊長(男が魔法石を所持していた場合、女王様が直接お会いになられることはない。我々の行う調べだけで十分だ)

隊長(だが今回は違う。この魔法石……あの小娘の言うように、恐らく女王様はこの男に会いたいと申されるだろう)

隊長(そうなるとやはりこの場で勝手に俺が処分を下すのは……非常にマズイな)

隊長(それに女王様がお会いになられるとすれば、異国から来たという話の『真偽』もはっきりする)

隊長「ふむ……」

男「……」ドキ ドキ

隊長「……よし、わかった。貴様を都まで連れて行ってやる!」

男「ほ、ホントですか! あ、ありがとうございます!」

隊長「その代わり、この魔法石はしばらくの間、我々が預からせてもらうぞ」

男「……あ、後で返していただけるなら(ていうか魔法石じゃないって)」
64 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/06(金) 00:12:07.12 ID:0b+PqX3s0
エメラルド「良かったぁ……オズ、都に連れて行ってもらえてホントに良かったねー」

男「……」

隊長「……」

兵士「……」

エメラルド「……ん?」

隊長「……貴様もついでに連れて行ってやる」

兵士「……」ガシッ

エメラルド「へ?」

男「ちょ、ちょっと待ってくださ――」

隊長「よぉーし! それでは全員、都に引き上げるぞー!」 


エメラルド「ぎゃーーーーーーー!!」
65 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/06(金) 00:13:05.85 ID:0b+PqX3s0
ここまでー
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/06(金) 00:31:59.53 ID:CiynF0Hso

この世界にはエメラルドがないのかな
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/07(土) 05:40:02.25 ID:7rsCTCcX0
ふむ
アメジスト→東の大国→紫の宝石が採れる
トパーズ→軍事大国→色は不明、宝石は採れるらしい
エメラルド→魔女の名前(国ではない?)→?

こんなところか
特性とやらが気になるな

68 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/08(日) 15:23:54.96 ID:Dh0Bogip0
_________________

アメジスト国警備隊屯所・宿舎

男「……ふぅ」ぼふっ

男「……」

男「……(疲れた……)」

男(やっと落ち着けた……こんなに長く感じた夜は、初めて……今日は色々ありすぎた……)

男「……」

男「……」

男「はぁ……(しっかし……冗談じゃないっつーの)」ゴロン

男(突然変な世界に来ちゃったかと思えば、魔法とか、魔法石とか……危うく殺されるとこだったし!)

男(なんだって俺がこんな目に……くそっ)

男(こんな危ない世界、いつまでもいるわけにはいかないぞ……マジではやく日本に帰らなきゃ)
69 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/08(日) 15:49:19.85 ID:Dh0Bogip0
男「……」

男(とは言ったものの、俺の住んでる世界のこと知ってたり、帰る方法を知ってる人がホントに見つかるのかな)

男(もし見つからなかったり……そもそも帰る方法がなかったとしたら……)

男「……!」ゾクッ

男(いやいや考えるな、探す前から悲観的になってどうする。エメラルドも言ってたろ、まだ可能性がないわけじゃない)

男(そうだよ、大丈夫だって。現に俺はこの世界に来てるわけだし、逆に帰れないってことはないでしょ……多分)

男「……」

男「……」

男(う、うぅ……でも、それでも……流石に、不安だよな……)じわ

男「(帰りたい……親父やお袋、クラスのみんながいる国に……)はやく帰りてぇ……」ぐすっ
70 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/08(日) 16:22:14.30 ID:Dh0Bogip0
コン コン

男「……? あ、はい。どうぞ」ゴシゴシ

隊長「失礼します!」ガチャ

男「……」

隊長「先ほどは大変失礼致しました。まずは森で我々が働いた貴殿への数々の非礼、隊を代表してお詫び申し上げます」

隊長「どうか……お許し下さい!」ペコ

男「い、いえ……なんとか無事だったので、大丈夫です。気にしてません」

男「むしろこちらこそ……寝床を用意してくれてありがとうございます」

隊長「……」

男「あの、それで……他になにか?」

隊長「……実は、森での出来事を城に報告したところ、」

隊長「やはりと言いますか、女王様が貴殿の話に大変興味をお持ちになられまして……」
71 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/08(日) 17:54:28.12 ID:Dh0Bogip0
隊長「緑の魔法石のことも含め、貴殿にお会いして直接話を聞きたいと申されております」

隊長「つきましては明朝、貴殿を城までご案内するようにと仰せつかっておりますゆえ、何卒ご理解いただきたい次第」

男「……! 女王様が、俺に……!?」

隊長「ご心配召されるな。この国の女王様は心お優しき方、それも大変聡明でいらっしゃいます」

隊長「貴殿が異国から来たという話もご承知のゆえ、帰国の件、必ずやお力添えを頂けるに違いありません」

隊長「ですのでどうかご安心を」

男「……」

男「……女王様、か……」

男(確かに……町に出て闇雲に人を探すよりはまず国の一番偉い人に話を聞いてもらったほうが良さそうだよな)

男(それにこの人の言うように、お願いすれば人探しも手伝ってもらえるかもしれん……むしろ願ったりだぞ)
72 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/08(日) 18:19:42.92 ID:Dh0Bogip0
男「……」

男「わかりました。明日お会いします。女王様に、どうかよろしくお伝え下さい」

隊長「はっ!」

男「……」

男「あ、あの、1つだけ聞いてもいいですか……?」

隊長「?」

男「俺と一緒に連れてこられた……女の子のことなんですけど」

男「今、どうしてるのかなって……もしかしてヒドイ目にあわされたりとかは……してないですよね?」

隊長「……あの娘に関しては、この後すぐにでも取調べを行う予定です」

隊長「通常の場合ですと、魔法石を所持しているかどうか、それさえ確認できれば後の処分・手続きは簡単なのですが」
73 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/08(日) 18:43:05.17 ID:Dh0Bogip0
隊長「あの娘の場合、本人が女であること、そしてあの時間、あの森に一人でいたという疑問点があります」

隊長「仮に魔法石を持っていなかったとしても十分怪しい、魔女である可能性が極めて高いのです」

男「……魔女……」

――私の名前は『エメラルド』。あの偉大なる魔女の名を継ぐ正当後継者――

男「……」

男「も、もしあの子がその……魔女だった場合、どうなっちゃうんですか……?」

隊長「『ブリリアント』では現在、魔女を見つけ次第即刻処分する決まりとなっております」

男「しょ、処分って……まさか、殺すとか……!?」

隊長「……原則、そうです」

男「……! そ、そんな……(エメラルド……俺を助けてくれたばっかりに……!)」

男「あ、で、でも! どうやったら魔女とかわかるんです!? 本人が違うって言ったら……」
74 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/08(日) 19:11:07.32 ID:Dh0Bogip0
男「まさか拷問とか……無理やり口を割らすような乱暴なことは……しないですよね」ゴクリ

隊長「……そういう手段を用いる国も確かにあります」

隊長「ですが、我が『アメジスト』ではそのようなことはしておりません。というより……必要ないのです」

男「……?」

隊長「ふふっ、貴殿がなぜあの娘の心配をされているのかはわかりませんがご安心くだされ」

隊長「魔女である可能性がある者には決して手荒な真似はするなと、この国では女王様に厳命されています」

隊長「その者が魔女であるかどうかの判断は女王様の手によって行われますので……」

男「……女王様ならわかるんですか?」

隊長「ええ、確実に」ニヤ

男「……それで、もし魔女だとわかった場合は……」
75 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/08(日) 20:09:39.47 ID:Dh0Bogip0
隊長「さきほども申し上げましたように、『原則』処分することになりますな」

男「……!」

隊長「(ふふ……)まぁ、あの娘のことよりもご自身の心配をされたほうがよろしいかと」

隊長「貴殿も見知らぬ土地へ来てなにかとご不便なこともあるでしょう、これからが大変だと思いますぞ」

男「……」

隊長「それでは……明朝の件、確かにお伝えしましたので私はこれにて失礼します」

隊長「……貴殿が無事、国許へ帰れるよう願っておりますぞ、では」

バタン

男「……」

男「……」

男(そんな……エメラルド……)
76 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/08(日) 21:01:14.16 ID:Dh0Bogip0
男(俺のせいで……エメラルドが……)


男(俺のせいで……)


男(俺が……)


ズキッ

男「う……」

男(た、助けなきゃ……)

男(女王様に……お願いして……命だけは……)

ズキッ

男「う、うぅ……」

男(す、救って……貰うよう……)

ズキッ

男(お、お願い……して……)

ズキッ

男「ぐ、うぅ……!(あ、『アイツ』だけは……)」
77 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/08(日) 21:12:01.43 ID:Dh0Bogip0
男「エメラルドだけは……」

男「助け……な、きゃ……」ふらっ

ドサッ

男「……」

男「……」

男「……」







――――『ナゼ王ガ願ウ必要ガアルノダ』












78 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/08(日) 21:15:11.31 ID:Dh0Bogip0
ここまでー
79 : ◆gO9QdRWdUw [saga sage]:2012/07/08(日) 21:24:11.47 ID:Dh0Bogip0
文脈のおかしいところが多々ありますね
一度推敲したほうがよさそうです。長編は難しいorz
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 21:32:49.43 ID:QEootnkOo
おつ
そんな気にしなくてもいいんでない
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/09(月) 00:06:55.26 ID:QRHA8nLao
乙っす
鈍感な俺は読んでて違和感感じなかったよ!
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/09(月) 12:08:19.23 ID:0Te9QQO2o
違和感の有無よりエメラルドさんの容姿をはよ!はよ!
83 : ◆gO9QdRWdUw [saga sage]:2012/07/09(月) 18:37:20.70 ID:P7F+sM6I0
_______________

翌朝

男「……ふぁ〜〜……」

男(……昨夜はいつの間にか寝ちゃってたな。床に寝転がってたせいか身体中が痛い)

男(せっかくベッドも用意されてたのに……やっぱ相当疲れてたのか)

男「……」

男「むぅ、それにしても……」キョロ キョロ

男(女王様に会うっていうから、なんか謁見の間みたいなすごい場所を想像してたけど……)

男(意外と普通の部屋に通されたぞ。それに……机の上に置いてあるの、これって食器だよな)

男(なんだろ、料理でもご馳走してくれんのかな……そういえば昨夜からなにも食べてなかった)ぐぅ〜

シーン

男「……」

男(ま、まだか。流石に緊張してきた)
84 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/09(月) 18:39:45.27 ID:P7F+sM6I0
男(大丈夫なのか俺、こういう時の礼儀作法とかまったく知らないぞ)

男(も、もし知らず知らずの内に女王様の気に触るような無礼な振る舞いとかしちゃったら……)

男「……!」ゾクッ

男(や、ヤバすぎる。俺さっき欠伸しちゃったよ……腹も鳴ったし、き、気をつけなきゃ)

男(家に帰りたいとか、エメラルドを助けて下さいとか、お願いする前に首が飛ぶぞ……!)

ガチャ

男「!?」ビクッ

??「……」

男「……?」チラ

??「……」ニコ

男「……!(き、来た! 女の人……こ、この人が……!)」
85 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/09(月) 18:43:53.97 ID:P7F+sM6I0
ツカ ツカ

男「あ……(た、立たなきゃ!)」ガタッ

アメジスト「あ、いいのですよ。どうぞそのままお掛けになって」

男「い、いえ、あの……は、初めまして! お、俺、『オズ ケイスケ』といいます!」

男「本日は、えと、し、城にお招きいただきまして誠にありがとうございます!」

アメジスト「……あらあら、いけませんわね。お客様に先にご挨拶などをさせて……大変失礼致しました」

アメジスト「私、東の国『アメジスト』を統治しております、『クイーン・アメジスト』と申します」

アメジスト「さぁ、どうぞお掛けになって下さい、オズ殿」ニコ

男「は、はい……」

アメジスト「……」スッ

男「……(こ、この人が女王様……)」ゴクリ
86 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/09(月) 18:54:59.91 ID:P7F+sM6I0
男(想像してたイメージと全然違う。国のトップっていうから、もっと年齢のいってる人かと思ってた)

男(この物腰と口調。女王様なだけあって確かに落ち着いた雰囲気はあるけど……若い、見た目が若すぎる)

男(……何歳なんだろ。これ下手すると俺とそんなに変わらないんじゃないか?)

男「……」チラ チラ

アメジスト「ふふっ、どうかなさいましたか?」

男「あ、い、いえ(……聞けるわけがない。ていうか! ジロジロ見ちゃダメだって!)」

アメジスト「本日はこんな朝早くからお呼び立てして申し訳ございません」

アメジスト「昨夜に至っては、我が国の警備隊の者たちが大変無礼を働いたとかで……」

アメジスト「こちらも合わせてお詫び申し上げます」ペコ

男「きょ、恐縮です」ペコ
87 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/09(月) 20:00:19.69 ID:P7F+sM6I0
アメジスト「さて、早速なのですが……」

アメジスト「聞くところによりますと、なんでもオズ殿は異国からいらっしゃったということで」

男「はい、その通りです」

アメジスト「……私といたしましても、そのような方をお迎えするのは初めてのことでして」

アメジスト「寝耳に水と申しますか……正直、そのお話を素直に受けきれていないというのが実情なのです」

男「……」

アメジスト「加えて、お預かりしておりますこの緑の魔法石……」チャラ

アメジスト「すでにお聞き及びかと存じますが、この魔法石についても我々が目にするのは初めてのことでして」

アメジスト「なぜオズ殿がこの魔法石をお持ちになられているのか……」スッ

男「……(指輪……?)」
88 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/09(月) 20:30:25.78 ID:P7F+sM6I0
  カッ !!

男「!? ……っ!(う、っく……眩しい……っ!)

アメジスト「……失礼」

アメジスト「ですが、この2点についてもう一度お聞かせ願いないかと思い本日はお招きした次第なのです」

アメジスト「さあ、オズ殿……お願いします」

アメジスト「お話を……この魔法石の前で……この輝きの前でもう一度!」

ぱぁあああああああ……

男「……!(こ、この光は……まさか、使ってるのか……魔法!?)」

アメジスト「……ええ、その通りです」

男「!?(な、なんで……! 俺、今喋って……)」

アメジスト「ふふっ、喋らずともわかるのですよ?」

男「……!」ゾクッ

アメジスト「ですが、喋っていただいたほうが『伝わり易い』のは事実です。さあ、どうぞお話を」ニコ
89 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/09(月) 20:39:10.30 ID:P7F+sM6I0
ここまでー

主人公を含め、メインの登場人物に関しては容姿の描写は必ずいれたいと思っています。
ですが、一応エメラルドだけ先に紹介です……

エメラルド:毛先に強いウェーブのかかったクリーム色の髪とエメラルド色の瞳が特徴
      背はあまり高くはないが年頃の女の子らしく「出るところは出てる」
      現在、裸の上に黒のパーカー1枚を着ただけの状態。フードをかぶると「っぽく」なる
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/09(月) 21:26:40.34 ID:liAjtDNV0
女王様強すぎワロタ
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/10(火) 01:51:14.44 ID:1mn2Uw7Qo
乙っす

なるほど、だから魔女かどうかの判断を女王がするのか
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 09:40:43.99 ID:wjRrl/Vwo
あれだろ、嘘をつくと、このまま頭部にシャイニングフィンガーなんだろ?
93 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/10(火) 20:02:10.12 ID:ihNqQ6ta0
_______________

男「――――とまあ、そんな感じで今に至るというわけなんですが……ど、どうでしょうか」

アメジスト「……」

アメジスト「……なるほど。確かに、オズ殿の仰っていることは全て事実のようです」

男「信じてもらえましたか!」ガタッ

アメジスト「ええ、お話の内容と思考に齟齬はなく、よって嘘偽りはまったく見受けられませんでした」

アメジスト「もっとも、お考えになられていることさえ伝わればそれで十分でしたので」ニコ

男「い、今のってやっぱり……(俺の心を……)」

アメジスト「はい。仰る通り、『読心』の魔法を使わせていただきました」

男「……独身」

アメジスト「心を読む。『読心』です」ピク
94 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/10(火) 20:18:28.41 ID:ihNqQ6ta0
男「あ、ああ……ですよね(そっちか……)」

アメジスト「……そっちか、とは?」ピキ

男「!? いやいやいや! ちょ、すいません! なんか勘違いしちゃっただけで!」

男(え、ウソ、なんか地雷踏んだ!? まさかこの人……!)

アメジスト「……!」

男(ていうかもうその魔法はやめてくれ! 違う世界から来たことは十分伝わったはずだぞ!)

アメジスト「……」

――フッ

男「ほっ(光が消えた)」

アメジスト「……」

男「は、はは……」タラー
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/11(水) 05:10:31.81 ID:MAaVU1cdo
女王様きゃわわ
96 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/11(水) 18:37:51.36 ID:2/VkeQCC0
アメジスト「……ゴホン、『心を読む』魔法」

アメジスト「魔法石についてはオズ殿も多少の知識はお持ちのようですが、特性についてはいかがでしょう?」

男「い、いえ全く」

アメジスト「……この大陸に存在する魔法石には産地(色=種類)によって異なる特性があるのです」

アメジスト「通常、魔法石を錬成する際には個別・具体的な魔力」

アメジスト「すなわち使用したときに現れる魔法の効果を錬成中に設定することが必要となりますが」

アメジスト「その内容は錬成者……魔女と呼ばれる者たちの無限の裁量によって行われるわけではありません」

アメジスト「それぞれの魔法石、その特性に沿った内容の魔力を込めなければ錬成は成功しないといわれています」

男「ふむ……」

アメジスト「例えば、我がアメジスト領内でのみ採れますこの魔法石の特性は【 伝 達 】」
97 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/11(水) 19:03:05.71 ID:2/VkeQCC0
アメジスト「魔法の効果といたしましては主に遠く離れた場所での会話、風景」

アメジスト「その他様々な出来事の伝達を可能にさせることが挙げられます」

アメジスト「これら『伝達』の魔法によって収集された大陸中のあらゆる情報……」

アメジスト「すなわち知識を武器として、この国は大国と呼ばれるようになるまで発展することができました」

男「……なるほど(情報が武器、ね)」

アメジスト「さきほどオズ殿に使用させていただきました『心を読む』魔法ですが」

アメジスト「これも正確にはオズ殿の思考の伝達を受けたに過ぎないのです」

男「『過ぎません』って……いえいえ十分すぎるのでは(ていうか凶悪すぎだろ)」

アメジスト「くすっ、ですわね」ニコ

アメジスト「私が把握している限りでも、人の思考にまで影響を及ぼす『伝達』は未だ他に聞いたことがありません」
98 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/11(水) 19:29:23.87 ID:2/VkeQCC0
アメジスト「我が国の秘法石。これを錬成した者の卓越した技術、そして独自性のある発想を窺い知ることができます」

男「あ……これを錬成した人……」

アメジスト「?」

男「その人も魔女なんですよね?」

アメジスト「……そうですが、それがなにか?」

男「い、いえ、そんなにすごい魔法石を錬成することができる人たちを……」

男「な、なんで捕まえたりしてるのかなぁ、って……」チラ

アメジスト「……」

男「……殺すとも聞きました」

アメジスト「……」
99 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/11(水) 19:32:48.84 ID:2/VkeQCC0
なぜか昨夜速報にアクセスできなくなりましてブツ切りですが……ここまでー
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 01:45:10.11 ID:Rlnq0jRIO

設定がしっかりしてるからすごく面白い
どうか完結させてくれ
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/12(木) 02:14:32.35 ID:Wdj+yQlg0
同じく期待
エメラルドとのイチャラブも期待してるぞ
102 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/13(金) 02:09:07.07 ID:2XLt9NZV0
アメジスト「この大陸ではそう決まっているから……いえ、『私たち』が法によってそう定めたからです」

男「……っ、だからっ、なんでですか」

アメジスト「……」

アメジスト「魔女の存在が大陸に混乱をもたらすから……とでも申しておきましょうか」

アメジスト「もっと言えば彼女たちが錬成する魔法石、魔法の存在が、です」

男「……?」

アメジスト「……怪訝な顔をされるのも無理はありません」

アメジスト「確かに魔法の存在は、長きに渡りこの大陸に住む人々に多大な恩恵を与えてきました」

アメジスト「事実、この国も魔法による助力なくしてここまで成長することは叶わなかったでしょう」

アメジスト「ですが……一方でその魔法が人々を魅了し、異常なまでの独占欲、支配欲を駆り立てる……」
103 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/13(金) 02:23:47.73 ID:2XLt9NZV0
アメジスト「それが原因となり、一部の人間による凄惨な魔法石の奪い合いが繰り広げられてきたこともまた事実」

アメジスト「歴史上、そういった者たちの争いがそのまま国家間の争いにまで激化した事例も少なくはありません」

男「つまり、戦争……?」

アメジスト「……」コク

アメジスト「ですからそのような事態を未然に防ぐために、魔法石の管理を厳格に定める必要があったのです」

アメジスト「現在、魔法石の管理・保有は各国によって一任、王室によって一元化されており」

アメジスト「使用の際は、当該産地国の王室が発行する女王捺印の入った許可状を得ることが義務付けられています」

アメジスト「また、装飾品など嗜好品として扱われている『錬成されていない魔法石』についても同様」

アメジスト「こちらにつきましては錬成後の魔法石か否かの判断は魔女でなければ出来ませんので」

アメジスト「法制定から施行までの間に許可を得なかった石は全て没収。その後の所持は一括して禁止となっています」
104 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/13(金) 02:28:19.91 ID:2XLt9NZV0
男「……」

アメジスト「おわかりですか? 各国の女王が自国の事情も考慮しつつ協議を重ねた結果、やっと出来た大陸法」

アメジスト「それを……たった一人の魔女が新たに魔法石を錬成することによって全て台無しになるのです」

アメジスト「争いの原因、魔法、魔法石。……元凶である魔女は全て排除しなければなりません」

男「だからって、なにも殺さなくても……」

男「あ、じゃ、じゃあ『魔法石を錬成したら罰せられる』みたいな法にするとかはダメだったんですか?」

アメジスト「……」フル フル

アメジスト「無理です。彼女たちは古来よりそれで生計を立てていましたから」

アメジスト「今さら魔法石を錬成するなと言われても大人しくそれに従うとは思えません」

男「……!」
105 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/13(金) 02:39:04.41 ID:2XLt9NZV0
男「く、食ってく術を奪われた上に、保護もされず……ただ、殺される?」

男「それも、自分たちの錬成した魔法石の恩恵を受けてたヤツらに……?」 

男「……っ、無茶苦茶だなあんたらっ!」バンッ

アメジスト「……」

アメジスト「無茶苦茶……ですか」

アメジスト(そんなことはわかっています。そもそも……)

(この法自体が表向きに取り繕われたものに過ぎないのですから……)



――……はぁ? 命を奪うな国で保護しろだぁ? なに言い出すんだいクイーン・アメジスト――

――そんな金どっから出すんだい、うちはゴメンだよ。第一あんなヤツらを食わしてやってくメリットがないねえ――

――それともなにか、あんたんとこが金出してくれるってのかい? ええ? ポッと出の新興国さんよぉ――
106 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/13(金) 03:14:59.29 ID:2XLt9NZV0
――私もクイーン・サファイアと同意見ですわ。ブリリアントにどれだけの魔女がいると思っているのです――

――手厚く保護したところで彼女たちは口を割りませんよ。この法の目的、『本来の趣旨』をお忘れなきよう――

――感情に走るのはお止めなさい若きクイーン。亡くなられた母君はもっと話のわかる方でしたよ?――



――……ふぁ〜〜……――



アメジスト「……っ」ギュッ

アメジスト(今思い出しても悔しい……)

アメジスト(あの時、この国に、私にもっと力があれば……こんな悪法には……っ)

男「……?」

アメジスト「……とにかく、これは私の一存で決めたことではありません。各国了承済みの大陸法です」

アメジスト「失礼ですが、異国からいらっしゃったオズ殿にこれ以上の異論を唱えられる筋合いはありませんので」
107 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/13(金) 04:44:07.60 ID:2XLt9NZV0
男「そ、それは確かに……そうなんですが、でも……(それじゃエメラルドが……)」

アメジスト「……」

アメジスト(そう、確かにあの時は力がなかった。あの3人、いや、2人に対抗し得る力が……)

アメジスト(でも今は違う。あれから国は成長を遂げ大国と呼ばれるようになった。発言権も増した)

アメジスト(それに、切り札が……今まさに切り札となりうる状況がここに転がり込んで来ている……!)

アメジスト(問題は……)チラ

男「?」

アメジスト(このことをどう切り出したものか……ですわね)チャラ

アメジスト「……」

アメジスト「それはそうとオズ殿、このお預かりしております緑の魔法石なのですが――――」
108 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/13(金) 05:19:22.19 ID:2XLt9NZV0
コン コン

男「……?」

アメジスト「……」

男「あ……ど、どうぞお構いなく」

アメジスト「ゴホン、申し訳ございません。……中に」

ガチャ

隊長「失礼します!」

男「お……(警備隊の隊長さん)」

アメジスト「……一体どうしました。今お客様がお見えになられているのですよ?」

隊長「は、はっ! ですが至急、女王様のお耳にいれなければいけないことがございまして……」

隊長「その……確認といいますか、そちらの方が恐らく関係していることかと」

男「?」
109 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/13(金) 05:48:16.79 ID:2XLt9NZV0
アメジスト「なんのことです?」

隊長「おい、入れ!」

スッ

エメラルド「……」

男「あ……(え、エメラルド……!)」

アメジスト「その子は確か……昨夜の」

隊長「はい! 我々がそちらの方と、その……接触した際、現場の森にいた娘です!」

アメジスト「……その子がなにか?」

隊長「はっ! 実は取調べにおきまして身体を改めましたところ……この娘、なんと魔法石を身につけておりました!」

隊長「それも驚くことに、そちらの方がお持ちになられていた魔法石……緑の魔法石と全く同じ物です!」

男「!?」

アメジスト「なんですって!?」ガタッ
110 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/13(金) 05:50:41.79 ID:2XLt9NZV0
ここまでー
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/13(金) 07:58:19.10 ID:Q5sOSSGno

魔女狩りの目的は金の節約だけではないのかな
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/07/13(金) 19:27:33.50 ID:BWD3GJS6o
物凄い俺得
支援にょ
113 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/15(日) 15:45:34.72 ID:gfsl/G0i0
男「……!(マジかよエメラルドのやつ、全然気付かなかった……!)」

男(家の下敷きになったっつーから、てっきり全部……その点では大丈夫だって思ってたのに……!)

隊長「こちらが娘の所持していた魔法石です」チャラ

アメジスト「……! た、確かに」

アメジスト「周りの意匠は若干異なりますが石自体はオズ殿がお持ちだったものと全く同じ色……」

アメジスト「この魔法石はどうしたのです」

エメラルド「……」ガタ ガタ

アメジスト「この魔法石は一体どうしたのかと聞いているのです。お答えなさい」

エメラルド「……」ガタ ガタ

アメジスト「……」
114 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/15(日) 15:52:47.05 ID:gfsl/G0i0
アメジスト「……取調べではなにか喋りましたか?」

隊長「いえ、それが全く口を割りません」

隊長「それどころか名前、住んでいる場所、あの森にいた理由、その他一切について黙秘を続けている状態です」

アメジスト「……なるほど」

アメジスト「名前くらい答えなさい。黙っていても私にはすぐわかるのですよ?」

エメラルド「……」ガタ ガタ

男(エメラルド……)

――私の名前は『エメラルド』。あの偉大なる魔女の名を継ぐ正当後継者――

――元凶である魔女は全て排除しなければなりません――

男「……」ギュッ
115 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/15(日) 16:01:09.56 ID:gfsl/G0i0
隊長「女王様の御前だ、質問にお答えしろ! 名前は!」

エメラルド「……」ガタ ガタ

アメジスト「……(使ったほうが早そうですね)」スッ



男「『トト』」




アメジスト「……え?」ピタ

隊長「?」

男「『トト』です。その子の名前は『トト』。昨夜森で会ったとき俺にそう言ってました」

アメジスト「……『トト』?」

男「確かそうだったよね、『トト』。あれ、違ってたっけ?」

エメラルド「え……あ……(お、オズ……?)」オロ オロ
116 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/15(日) 16:24:10.40 ID:gfsl/G0i0
男「(こら、そこは素直に頷いとけ!)ちなみにその緑の魔法石、宝石は俺がこの子にあげたものです」

アメジスト「……あげたもの? オズ殿がですか?」

男「はい。俺があの森に家ごと落ちてきたのは女王様もすでにご存知のはずですよね」

アメジスト「……ええ」コク

男「そのとき、ちょうどあの時間トトは湖で水浴びをしていた最中で……これが彼女があの森にいた理由なんですが」

男「偶然にも彼女の着替えが置いてある場所に家が降りてきちゃったみたいなんです」

男「当然彼女は困りました。けど俺たちの力じゃ家を動かすことはできない」

男「だからその代わりとなる服と、迷惑をかけたお詫びの印に宝石を彼女にあげた、とまぁこういうわけなんです」

男「ほら、彼女が着ている服。どう見たってこの世界にはない服でしょ? その宝石だってそうです」

男「2つとも俺のもの。ていうかトトにあげたものなんで、彼女に返してやってください」
117 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/15(日) 17:09:38.58 ID:gfsl/G0i0
エメラルド「……!」

隊長「じょ、女王様、実は我々もそうではないかと思い、その確認の為この娘をここに連れてきた次第なのです」

アメジスト「ちょ、ちょっと待ってください」

男「?」

アメジスト「さきほどのお話からするとオズ殿は警備隊と出会う以前にこの子と面識があったということになりますが」

男「ええ、そうですよ」

隊長「はい。我々が現場に着いたときにはすでに隠れていたようですが……」

隊長「森での会話を聞く限り確かにそういう口ぶりでした(オズ、と名前も呼んでいたはず)」

アメジスト「……? ど、どういうことです?」

アメジスト「オズ殿、最初に私がお尋ねした際、そのようなことは一切お話していただいておりませんが」
118 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/15(日) 18:55:56.62 ID:gfsl/G0i0
ここまでー

>>111すいませんわかりにくかったですね

魔女狩りの目的(現時点での)
表向きは争いの原因になる魔法石を錬成する魔女たちの排除
なのですが、それとは別に「本来の目的」がある?って感じです

金がかかる云々の話は法制定時に異論を唱えたアメジストに対する他国の一意見ですねー
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/15(日) 19:59:13.14 ID:RVryciipo
>>118
あ、そうか
ていうか普通に>>102-104で書かれてた...

なにはともあれ乙
120 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/16(月) 15:59:52.13 ID:BSEJ6/eN0
男「ええ、あえて言わなかったので」

アメジスト(そ、そんなはず……! 『あえて言わなかった』程度で思考が伝わらないなんて、そんなことが……)

アメジスト(思考とはある意味その人の記憶でもあります。意図的に隠そうとしても隠し切れるものではありません)

男「というより隠してました。彼女を庇うために」

アメジスト「(隠しきれるものでは……)え、え……!?」

隊長「?」

アメジスト「……か、隠していた、とは? 庇うとは……どういう意味なのです?」

男「トトが魔女だってことです」

アメジスト「は?」

隊長「え?」

エメラルド「!?」
121 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/16(月) 16:12:19.09 ID:BSEJ6/eN0
男「いやでもこれって女王様ならすぐわかることですよね? だったらこれ以上隠しても意味ないなーって」

隊長「お、おい! 彼の言ったことは本当か!」

エメラルド「あ……あ……」ガタ ガタ

アメジスト「ど、どうなのです?」

エメラルド「う……ひっく、は、はい……」コク

アメジスト「……!」

隊長「……!」

男「ね、言った通りでしょ」

男「俺はウソは言いません。 だってウソつく理由なんてありませんから。異国の人間だし」

エメラルド「う、うぅ……ひぐ、ぐすっ、うえええええええん」ポロ ポロ
122 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/16(月) 16:22:57.09 ID:BSEJ6/eN0
男「……(すまん、エメラルド)」

男(でも伝説の魔女の孫であるお前じゃダメなんだ。それじゃきっと助からない)

男(助命をお願いするなら一介の魔女、『トト』でいてもらわないと)

男(この人に魔法を使われて全てバレる前に、情報はこっちから与える。その代わり……)

男(魔法石を使う理由は与えないぞ! なんせ本人が『魔女』だって認めてんだ!)

アメジスト「う……こ、これは……」タジ

男(そして考える暇も与えちゃダメだ! 今しかない、何かしらの矛盾点に気付く前に……勢いで押せ!)

男(『交渉道具』は理解した。あとはお願いするのみ……!)

男「女王様!」

アメジスト「は、はいっ」ドキッ
123 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/16(月) 16:48:25.92 ID:BSEJ6/eN0
男「お願いがあります」

アメジスト「な、なんでしょう」

ガバッ

男「率直に言います。ここにいる『魔女』を……トトを見逃してやってください!」

隊長「な……!?」

エメラルド「!」ビクッ

アメジスト「……!」

男「お願いします! もちろんタダでとは言いません!」

男「もし見逃してやってやってくれたら2つある『俺の』魔法石のうち」

男「1つはすでに彼女にあげたものなのでもう片方……そちらにある魔法石を女王様に差し上げます!」

アメジスト「!? な……そ、それは本当ですか……!?」
124 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/16(月) 17:05:44.75 ID:BSEJ6/eN0
隊長「……」

アメジスト「あ……」

隊長「じょ、女王様……」

アメジスト「……ゴホン、警備隊長、外してください」

隊長「は、はっ!」

隊長「……失礼します」

バタン

アメジスト「……」

アメジスト「オズ殿、頭をお上げ下さい」

男「……」スッ

アメジスト「さ、さきほど仰いました緑の魔法石の件、これを本当に間違いなく私に頂けるのでしょうか」
125 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/16(月) 17:44:01.61 ID:BSEJ6/eN0
男「トトの命を救っていただければ」

アメジスト「……!(ね、願ってもない申し出……!)」

アメジスト(むしろ3日後に備えてもう少し借りることができないものかと思案していた所)

アメジスト(まさかあちらから切り出してくれるとは……! そ、それも一時的なものではなく完全な譲渡)

アメジスト(断る理由などありません!)ニヤ

男「……」

アメジスト「……1つだけ伺ってもよろしいでしょうか」

男「なんでしょう」

アメジスト「理由……オズ殿がそこまでして彼女を助けようとする理由をお聞かせください」

男「簡単です。それは彼女が……俺の命の恩人だからです」
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 18:01:25.20 ID:VIonslTD0
「こんな純粋な子からほぼ脅迫なやり方で宝石を奪っていいのかよッ!なぁ、女王様よぉ!」とか言ったらダメージがありそうだ
127 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/16(月) 18:35:02.57 ID:BSEJ6/eN0
アメジスト「……なるほど。昨夜のお話を聞く限りでは確かにそうですわね」

男「はい。こんな無茶苦茶な法がまかり通ってる状況で、それでも彼女は自分の身を省みず俺を救ってくれました」

男「捕まったら自分が殺されるってのに……」ギュッ

男「あなたたちにとってはただ捕まえて殺すだけの対象かもしれませんが、俺にとっては大切な命の恩人なんです」

男「その恩人が命を奪われそうってときに、黙って指くわえて見てるわけにはいかないんですよ! 人として!」

アメジスト「……」

男「もう一度お願いします! 緑の魔法石と引き換えに彼女を助けてやってください! この通りです!」ガバッ

エメラルド「オズ……」ブワッ

男(頼む……っ!)

アメジスト「……」
128 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/16(月) 19:27:23.32 ID:BSEJ6/eN0
アメジスト(人として、ですか……確かに伝えていただきました、その情け)

アメジスト(ふふっ、もっとも私には必要のないことでしたが……)

アメジスト「わかりました。その申し出に応じましょう」

アメジスト「緑の魔法石と引き換えに彼女を、『魔女』トトを……不問といたします」

男「!? ほ、ホントですか!?」バッ

アメジスト「ええ、本当です」

アメジスト「私もオズ殿と同様……嘘をつく理由なんてありませんもの」ニコ

男「……! や、やった! やったぞエメ――(じゃなかった)トト! 助かったぞ!」

エメラルド「あ……お、オズ……」ポロ ポロ

男「よかったなぁ、トト。ずっと言いたかったんだ。あのとき、森で助けてくれてありがとう」

エメラルド「あ、う、うぅ……わ、私……私も、ありが、と……」ポロ ポロ

エメラルド「ありがと、オズ……助けて、くれて……オズ、う、う、うわああああああああああん」ギュッ



男「……ありがとうな(エメラルド……)」ナデ ナデ


129 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/16(月) 19:28:04.30 ID:BSEJ6/eN0
ここまでー
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/16(月) 19:34:57.69 ID:Hp/TGAQ5o

今更だけどトトってあの犬か
131 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/17(火) 21:54:39.98 ID:ADvHs4ik0
_______________

アメジスト「どうしましたトト? 貴女も召し上がっていただいてよろしいのですよ?」

アメジスト「昨夜の取調べでお腹も空いているでしょう。さ、遠慮なさらずに」

エメラルド「は、はい……ありがとうございます」

アメジスト「……ですが気を失っていらしたのでは無理もありませんわね」

男「ええ、困ったことに。その所為でどうやってここまで来たのかがさっぱりなんです」

エメラルド「……」じーっ

男「それさえわかればある程度の解決方法を探れるはずなんですが……」

アメジスト「魔法を使用せず家が宙に浮いていたというのも確かに不思議な話です」

アメジスト「私自身はニホンという国の名前を耳にしたことはありませんが、一度城の者たちにも聞いてみましょう」

男「助かります」
132 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/17(火) 22:17:31.13 ID:ADvHs4ik0
アメジスト「それで、オズ殿はこの後どうなさるおつもりなのですか?」

男「一旦町に出て色々情報を集めるつもりです。誰か知ってる人がいないか。……今のところそれくらいしか」

アメジスト「それでしたら私もお手伝いを」

アメジスト「手の空いている者たちを使ってそちらに関する情報収集に当たらせることにします」

男「ほ、本当ですか!? それ、すっごく助かります!」

アメジスト「ですがかなりの時間を要すると思っていただいたほうが」

アメジスト「なにぶん外の世界の情報に関してはこれまで一度も取り扱ったことがありませんので……」

アメジスト「その点を考えますとオズ殿もしばらくはこちらで生活することになると思いますが」

男「……はい、実はそのことについてもどうしようかなと」

アメジスト「ふふっ、ご安心下さい。当面の生活資金は私がご用意させていただきますので」
133 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/17(火) 22:56:30.54 ID:ADvHs4ik0
男「え!?」

アメジスト「誤解なさらずに。国のお金には一切手をつけるつもりはありません。すべて私の個人資産から、です」ニコ

男「……! じょ、女王様……!」

アメジスト「あとは食事や気候、文化の違いといった問題があると思いますが……」

アメジスト「どうかオズ殿がこの世界を気に入っていただけますよう。せっかくいらしたのですから♪」

男「あ、ありがとうございます……俺、失礼なこといっぱい言ったのに……ここまでしていただけるなんて……」

アメジスト「あら、私は気にしてませんわよ」

男「ありがとうございます! 本当に……ありがとうございますっ!!」

男(……っ、こんなに善い人だったとは……! 感謝してもし切れん!)

アメジスト「……ふふっ、それよりも気になっていたのですが、トト?」
134 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/17(火) 23:17:40.21 ID:ADvHs4ik0
アメジスト「さきほどから一向に手をつけていないようですが、もしかして苦手なお料理がありましたか?」

エメラルド「あ……い、いえ、あの……」ビクッ

男「?」

エメラルド「ご、ごめんなさい……その、私、使い方が……わからなくて……」

アメジスト「あ……」

男「お、お前、ひょっとしてナイフとフォークの使い方知らないのか?」

エメラルド「……」コク

男「え……普段はどうやって食べてるんだ?(まさか箸とかなわけねーよな)」

エメラルド「いつも、は……スプーンとか、木の枝で食べてて……」

男・アメジスト(……木の枝!?)
135 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/17(火) 23:51:44.87 ID:ADvHs4ik0
男「い、いやでも大体でわかるだろ……ほら、こうやって」

エメラルド「で、でも……女王様の御前だし、も、もし変なことしちゃったらって……思って……」

アメジスト「い、いいのですよ。私も気付きませんでした。どうぞスプーンをお使いになって」

アメジスト「そ、それと串を用意させます」

エメラルド「あ、ありがとうございます……」シュン

男「う……(お、俺も気ぃ使ってやればよかった。可哀想なこと言っちゃったな)」

エメラルド「……」シュン

アメジスト「……あの森で水浴びをしていたそうですが、普段はこの国で生活しているのですか? 家はどちらに?」

エメラルド「はい……この国に住まわせていただいてます。あの森で暮らしていて……家は、特にありません」

アメジスト「……!」
136 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/18(水) 00:36:39.10 ID:HKvnV0Dr0
男「い、家がないって、お前……マジで……?(あんな何もなさそうな森で一人暮らし……!?)」

エメラルド「……」

アメジスト「……」

アメジスト「そういえば、あの森にちょうど新しい家が建ちましたわね」

男「……え?」

アメジスト「そうでした。オズ殿にもう1つ」

男「?」

アメジスト「今回、特例ではありますが、オズ殿が我が国の王室関係者である旨の書状を発行いたします」

アメジスト「これさえお持ちになれば情報収集などあらゆる面での活動が行いやすくなるはずです」

アメジスト「きっとお役に立つかと」
137 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/18(水) 00:47:08.74 ID:HKvnV0Dr0
ここまでー
この辺りから男のエメラルド呼称は「お前」になります

>>126
ありそうですねダメージ。むしろそういう熱い台詞を主人公に喋らせてみたいですねー
>>130
です。一人目(一匹目)は犬のトトです。エメラルドの性格というか属性的にモデルを犬にしました。
なぜ主人公がトトと呼んだのかは次の投下で。大した理由ではないのですが……

ではまたノシ
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/18(水) 00:55:02.74 ID:/nK2Zy+Yo


一人目ってことはカカシとか木こりも出るの?
139 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/18(水) 01:01:34.74 ID:HKvnV0Dr0
>>138
出ます
ドロシー、カカシ、木こりのモデルは全て登場予定です
140 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/18(水) 05:41:46.99 ID:HKvnV0Dr0
男「……重ね重ね感謝します。ホント、これ以上なんてお礼を言っていいのやら……」

アメジスト「ちなみに、その書状さえあれば本人でなくとも、ご一緒されている方にも十分効果は見込まれます」

アメジスト「例えば……仮にお連れの方が女性だったとして、その方が魔女であることを疑われたり……」

アメジスト「魔法石を所持していないかを疑われて身体を改められることも、ないでしょうね」

男「……」

アメジスト「あくまで、例えばのお話ですけど」

アメジスト「あまり悪用なさらぬようお願いしますわね」ニコ

男「は、はい……」

エメラルド「?」

アメジスト「……くすっ(しっかり守って下さいね、オズ殿)」



(その緑の魔法石が、人目につかぬよう――――)


141 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/18(水) 05:52:38.69 ID:HKvnV0Dr0
_______________

メイド「お呼びでしょうか、女王様」

アメジスト「……これを」チャラ

メイド「!? そ、それは……魔法石……!」

アメジスト「ええ、これを貴女たちに調べていただきたいのです」

アメジスト「明日からの給仕の仕事は多少疎かになっても構いません」

アメジスト「この魔法石が錬成後のものなのか、そうであるのならば込められている魔力、特性……」

アメジスト「特に腕の良い者を中心に総出で解析に当たって下さい」

メイド「かしこまりました」

アメジスト「……ふふっ。残念でしたわね」

メイド「?」

アメジスト「いえ、貴女たちの仕事仲間が1人増えるはずでしたのに、異国の殿方に連れて行かれましたの」ニコ
142 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/18(水) 05:56:43.85 ID:HKvnV0Dr0
_______________

男「ん〜……疲れたぁ……」

男「でも助かったなぁ。女王様があそこまで全面的に支援してくれるなんて」

エメラルド「う、うん」

男「これで家に帰る方法もすぐ見つかるといーんだけどな」

エメラルド「……」

エメラルド「……あ、あのね、オズ」モジ モジ

男「ん?」

エメラルド「助けてくれて……ありがとう」

男「……いいって。俺の方こそ助けてもらったんだ。そのお礼」

エメラルド「ま、魔法石のことも、ありがとう」

男「ああ、だってそれ大事なものなんだろ? 全然気付かなかったよ俺。家の下敷きになったんじゃなかったっけ?」
143 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/18(水) 06:10:10.36 ID:HKvnV0Dr0
訂正

>>141 9行目
アメジスト「……ふふっ。残念でしたわね」 →アメジスト「……ふふっ。それにしても残念でしたわね」
144 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/18(水) 06:12:34.93 ID:HKvnV0Dr0
エメラルド「これは……これだけはずっと身につけてるの。おばあちゃんの……大切な形見だから」ギュッ

男「……そっか。ん、ならこれからも大事にしなきゃな」

男(あれ? この大陸にない石とか言ってなかったっけ?)

エメラルド「……」

エメラルド「あ、あとね、ずっと気になってたんだけど……名前、どうして『トト』なの?」

男「あー……それか、スマン。服に書いてあんの見てそのまま言っただけ」

エメラルド「?」

男「お前の着てるパーカー、ほらここ。『トト』って書いてあるんだよ。……読めるか?」

エメラルド「? ?」

男「読めねーか。ていうか読めちゃったらウソがバレたかもしんねーしな(アルファベットは存在しないのか)」
145 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/18(水) 06:17:12.77 ID:HKvnV0Dr0
エメラルド「……」

男「……」

エメラルド「……」

男「……?」

エメラルド「……」モジ モジ

男「……(きゅ、急に黙るなよ……!)」

男「そ、そういやお前、これからどーするつもりなんだ?」

エメラルド「わ、私はあの森に帰って……それから、いつものように生活するの」

男「……1人で? 仲間の魔女とかいねーの?」

エメラルド「い、いない。ずっと1人よ」
146 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/18(水) 06:22:54.78 ID:HKvnV0Dr0
男「ふーん、家は?」

エメラルド「な、ないって言ったでしょ」

男「……」

エメラルド「……! い、偉大なる魔女(になる予定)の私は1人でも十分なの!」

エメラルド「じゅーぶん! お、オズなんていなくてもちゃーんと生きていけるんだから!」

男「……」

エメラルド「……」

エメラルド「う、うぅ……で、でも、魔法石が……だ、誰かさんの所為で……」ゴニョ ゴニョ

エメラルド「あ、あれがないと……私も困るっていうか、どうしてくれんのっていうか、その……」ゴニョ ゴニョ

エメラルド「……」チラ
147 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/18(水) 06:30:02.15 ID:HKvnV0Dr0
男「ぷぷ」

エメラルド「な、なんで笑うのよ! 私の大事な魔法石がなくなっちゃたんだからね!///」かぁあああ

男「えー、じゃあどうすればいいの? 俺」

エメラルド「え……」ドキッ

男「家の下敷きになった魔法石の責任、とったほうがいい?」

エメラルド「え、あ、その……べ、別にオズを責めてるわけじゃ……ないんだけど……」

エメラルド「ご、ごめんなさい」シュン

男「……」

――こちらが当面の生活資金になります。どうぞ、オズ殿のお好きなようにお使い下さい――

――あ、ちなみに。これは一応私のお金ですので決して『他人』に譲り渡すなどしないで下さいね――

男「……(金渡してさよならだけはすんなってことだよな、これって)」
148 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/18(水) 06:50:38.44 ID:HKvnV0Dr0
男(でもなぁ……問題は女の子だってことなんだよなぁ……)チラ

エメラルド「……」シュン

男(いや、女の子だからこそか。あんな森で、1人で暮らしてるとか知っちゃったら)

男(それに、家の下にこいつの魔法石があるのも事実だし……)

男「……あのさ、トト」

エメラルド「……?」

男「俺さ、この世界に来たばっかりだし、色々とわからないことが多いと思うんだ」

エメラルド「……」

男「今だって正直森に行く道があやふやで、誰かと一緒じゃなきゃ家にも帰れない」

男「明日からも町に出て話を聞いたり、生活に必要なものを買い揃えたりしたいんだけど……」
149 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/18(水) 07:19:09.64 ID:HKvnV0Dr0
男「もし誰かが案内してくれたら助かるだろうなーって、考えてる」

エメラルド「わ、私そーいうの得意!」

男「ははっ、そっか。じゃあ、お願いしよーかな」

男「トト」

エメラルド「は、はいっ」ドキッ

男「帰る方法が見つかるまででいいんだ、しばらくの間……俺と一緒に暮らしてくれないか? お前さえよけ――」

エメラルド「暮らす!」

男「お、おう(早っ!)」ドキッ

エメラルド「私も……オズと一緒がいい」

男「あ……う……そ、そう///」かぁあああ

男(な、なんなんだコイツのこのストレートな感情表現は!?)
150 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/18(水) 07:35:46.10 ID:HKvnV0Dr0
男「え、えーと、それじゃあとりあえず……家に帰るか」

エメラルド「あ……お、オズ」

男「ん? どうした?」

エメラルド「……」

――俺の名前は『オズ』。君は?――

エメラルド「じ、自己紹介……」

男「? 自己紹介って……あの森で済ませたろ。俺の名前は『オズ』。で、お前は『エメラルド』」

エメラルド「も、もう1回」

男「……?」

男「(ま、まぁいっか……)俺の名前は『オズ ケイスケ』。今日からよろしく頼む。……お前は?」
151 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/18(水) 07:58:15.42 ID:HKvnV0Dr0
――数百年の刻を経て、物語が動き出す

エメラルド「わ、私は……私の名前は『トト』。『トト』です」

(あなたに貰った名前……)

エメラルド「ふ、不束者ですが、きょ、今日からよろしくお願いします!」ペコ

男「(なるほどね……)ふふっ」

男「ん、こちらこそよろしくな、トト」

エメラルド「……」コク

男「よーし! それじゃあ一緒に帰るぞ! 俺たちの家に!」

エメラルド「うん!」



男と魔女、二人の出逢いが……
 
そしてエメラルドの輝きが……再び大陸を混沌へと導く――
152 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/18(水) 08:09:02.83 ID:HKvnV0Dr0
第一部的なものはこれで終わりです。後半ちょっと急ぎすぎました

いかがでしたでしょうか? 長編ファンタジーに挑戦してみましたが、かなり手探りの状態で……
なにか見づらい部分があったり、意味不明な箇所があればお願いします。今後の参考にしたいと思っています。

ここまで呼んでくださった方、またレスしてくださった方、大変感謝しております。
しばらく間が空くと思いますのでまた次の投下の際はぜひm( )m

それではここまでー またノシ
153 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/18(水) 08:22:14.51 ID:HKvnV0Dr0
訂正
>>150
それじゃあとりあえず……家に帰るか」
      ↓
それじゃあ一緒に暮らすってことで……とりあえず家に帰るか」
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/18(水) 09:30:44.51 ID:/nK2Zy+Yo

面白いんで是非とも完結させてほしい

そしてトトってつまりTOTOってことかwwww
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 09:47:27.04 ID:dO8yKbNpo
これはロマンチックがとまりませんな(ごくり)
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 09:47:55.32 ID:dO8yKbNpo
>>154
トレイメーカーのデザインのユニクロのコラボTシャツか…
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/07/18(水) 09:59:21.75 ID:eTQPCm4yo

オズの魔法使いを詳しく知らないけど、おもしろいね
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/18(水) 13:33:19.26 ID:7pED1EN6o
乙でした

続きはよ
159 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/21(土) 18:55:55.94 ID:HWfwIh/o0
_______________

男「……ふぅ、こんなもんでいいかな? 見られちゃマズイ物はあらかた隠せたし……」

男「おーい、トト! もういいぞー!」

ガチャ

エメラルド「……終わったの?」

男「おう、だいぶ片付いたはずだ。今日からここがお前の部屋。好きに使ってくれていいぞ」

エメラルド「……」じーっ

男「一応俺が使ってた部屋だから、ちょっとゴチャゴチャしてるけど我慢してくれ」

エメラルド「……オズが使ってた……あ、あれってベッド!?」

男「ん、ベッドも好きに使うがいい。布団は……悪ぃけど今替えのやつがないんだ。明日洗濯するから――」

ボフッ

エメラルド「キャー、ふっかふかー♪」バタ バタ

男「……」
160 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/21(土) 19:11:01.98 ID:HWfwIh/o0
エメラルド「私ベッドで寝るの初めてー! キャー、キャー♪」バタ バタ

男「そ、そっか……そりゃ良かったな。ちょ、ちょっと汗臭いかもしんないけど……」

エメラルド「……!」ピタ

男「う」

エメラルド「……」

すん すん

男「……」

エメラルド「……」

エメラルド「〜〜!///」バタ バタ

男「なにその反応!? こ、こら! あんまバタバタすんなよ、ホコリが立つから……!」

男「――って、うわ!? うわぁっ!?」ドキッ

エメラルド「?」
161 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/21(土) 19:29:26.74 ID:HWfwIh/o0
男「お、お、おおお前……っ!///(そ、そういやそうだった……!)」

男(コイツ、下に何も着てない……ていうか何も穿いてなかった!!)かぁあああ

エメラルド「……オズ? どうしたの?」

男「な、なんでもない」プイ

エメラルド「?」

男「あ、明日……町に出たらさ、い、『色々』買いに行こーな……」

エメラルド「……? う、うん」

男「……ゴホン、じゃ、じゃあ俺は下の片付けしてるから。ごゆっくり」

エメラルド「私も行く!」ガバッ

男「……!」
162 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/21(土) 19:56:56.89 ID:HWfwIh/o0
カァー カァー バサバサッ


男「……結構薄暗くなってきたな。しまった、照明くらい先に買っときゃ良かった」

男「メシも……」ぐぅ〜っ

男「なんか食う物あったっけ。冷蔵庫は……飲み物しか入ってないと」バタン

男「カップ麺もお湯がないとダメだし……お、これは?」

男「お菓子……ポテトチップスか。まぁ、今日の夜はこれで我慢するか(城でご馳走食ったし)」チラ

エメラルド「……すぅ、すぅ……」Zzzz

男「……うーん、トトの口に合うかどうか。……そもそもコイツいつもなに食ってるんだろ」

男「……」

――ヒーヒッヒッヒ。蛙。ポチャ 蝙蝠。ポチャ キノコ(危ない色)。ポチャ いーいスープになりそー♪――

男「……(ま、まさかね)」

エメラルド「……ぅん、むにゃ……」Zzzz
163 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/21(土) 20:26:15.75 ID:HWfwIh/o0
男「……にしても、せっかく部屋用意してやったのに。そんなトコで寝てたら風邪引くぞー」

エメラルド「……すぅ、すぅ……」Zzzz

男(やっぱ相当疲れてたんだろーな。無理もない、昨夜の取調べでロクに寝てなかったみたいだし。精神的にも……)

男「ふっ、それとも珍しい物いっぱい見てはしゃぎ疲れたか?(確かタオルケットあったよな)」

ファサッ

男「……片付け、手伝ってくれてありがとな」

エメラルド「……すぅ、すぅ……」Zzz

男「……」

男(しっかしホント……こう、なんていうか……可愛い顔してんなぁコイツ)じーっ

男(このちょっとクセのある髪の毛も……すっげー綺麗な色。なんだろ、金? 銀? その間くらいの色)

男「……」ゴクリ
164 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/21(土) 21:52:08.90 ID:HWfwIh/o0
男(か、考えてみりゃ女の子の顔をこんな間近で見んのはトトが初めてだな……)

男(しかもコイツと暫く二人っきりなんだよなぁ……う、うぅ、ほっぺた柔らかそー)

男(ちょ、ちょっとだけ触ってみたい気が……)

エメラルド「……むにゃ、むぅ……」ゴロン

男「……」

男(いかんいかん、そういうのはいかんぞ! トトは命を救ってくれた恩人なんだ!)ブン ブン

男(アホなこと考えるなよ! 第一、コイツは住む家を確保できる。俺はこの世界のことを色々教えて貰える)

男(ある意味そういう契約のもと一緒に暮らすことにしたんだからな)

男「へ、変な真似して逃げ出されたら困るのは俺なんだし、あんま意識しないようにしねえと……」チラ

エメラルド「……すぅ、すぅ……」Zzz

男「……」


(す、少し外で頭を冷やすか)

165 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/21(土) 21:54:06.90 ID:HWfwIh/o0
訂正

>>140 9行目
エメラルド「?」→エメラルド「……」

ここまでー
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/21(土) 21:58:18.76 ID:qh77pn4mo
オズはロリコンなん?
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/22(日) 03:17:23.36 ID:B+7ZO510o
エメラルドにまさかの匂いフェチ疑惑
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/23(月) 13:47:26.43 ID:S3e9Z90Qo

魔法使いだから童貞のはずだロリコンを拗らせてたっておかしくない
169 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/23(月) 22:13:22.34 ID:x7TU47Nd0
_______________

次の日

エメラルド「……ふぁ〜……」

男「……あれだけ寝たのにまだ眠いのか?」

エメラルド「むー……ちゃんと起きてるじゃない」

男「起きてるじゃないって、俺が起こさなきゃずっと寝てたろ。ほら見ろ、太陽がもうあんな位置に」

エメラルド「そういうオズは早起きだったの?」

男「さあな。時計が止まってるから正確にはわからんが、多分早かったんじゃねーかな。外出たらなんか霧出てたし」

男「まぁ、お前が寝てる間にシーツ干したり残りの部屋の片付け出来たからいいんだけどさ」

男「それよりお前、腹減ってないか? 町に着くまでこれでも食べてろよ」

エメラルド「? なにこれ?」

男「ジャガイモを薄く切って油で揚げた食い物。ジャガイモってわかるか?」
170 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/23(月) 22:39:25.90 ID:x7TU47Nd0
エメラルド「それくらいわかるわよ。……ふーん、変わった袋に入ってるのね。美味しいの?」

男「好みの問題かな。むしろそれ食ったお前の反応が見てみたい」

エメラルド「……」じーっ

パリッ

エメラルド「……」モシャ モシャ

男「……ど、どうだ?」

エメラルド「ちょっほしおはらいへどおいひい」モシャ モシャ

男「……」

エメラルド「……」パリッ モシャ モシャ

男「……え? そんだけ?」

エメラルド「?」モシャ モシャ
171 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/23(月) 23:05:32.28 ID:x7TU47Nd0
男「い、いや……もっとこう、お前ならキャーキャー言いながら食うもんだと……」

エメラルド「……?」パリッ モシャ モシャ

男「む(もうちょっとはしゃいでくれると思ったんだけどな、つまらん)」

エメラルド「それよりオズ、今日はどうするの? やっぱり情報集め?」

男「それもある。けど今日はどっちかっていうと買い物主体かな。とりあえず生活に必要なものを揃えないと」

エメラルド「必要なものって?」

男「うーん、まずは基本的なところで水、食料……あとは照明とかかな」

男「食べ物に関しては町に出たときに外食で済ませるつもりだけど、一応買いだめ」

男「水がなあ……ないと地味に困るんだが。飲むだけじゃなくて他にも色々使うし。水って売ってんのか?」

エメラルド「売ってないわよ水なんて。井戸がそこらじゅうにあるんだから、そんなの商売にならないわ」
172 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/23(月) 23:26:15.12 ID:x7TU47Nd0
男「っつっても、その井戸がないんだけどな、あの森に」

エメラルド「その代わり近くに湖があるじゃない。あそこの水もすっごく綺麗よ?」

男「ああ、そういえば水浴びしてたとか言ってたな。もしかして風呂代わりにしてんのか?」

エメラルド「……」コク

男「そういや風呂にも入りてえなぁ……この世界では風呂っていわゆる水風呂なのか?」

エメラルド「? それ以外のお風呂があるの?」

男「え? お湯に浸かるとか」

エメラルド「なにそれ!?」ギョッ

男「い、いやお前がなに想像してんのか知らないけどあれだぞ、お湯って言ってもちょっと温かいくらいのやつな」

男「俺の住んでる世界ではそういう温かいお湯に浸かって疲れを癒したりするんだよ。それが風呂」
173 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/24(火) 00:10:40.28 ID:X0m9dfxC0
エメラルド「そ、そうなんだ……ビックリしたぁ(……そういう拷問があるって、聞いたことあるから)」ブルッ

エメラルド「あ、でもそれって『トルマリン』産の魔法石があれば可能かも」

男「マジで!?」

エメラルド「うん。あそこの魔法石なら水を温かくすることができるわ。照明にだって使われてるし」

エメラルド「生活する上においては、あれば確かに便利よねー。あればの話だけど」

男「すっげえ欲しいんですけど。……手に入らないかな?」

エメラルド「うーん、ちょっと厳しいわね」

男「法律的にってことか?」

エメラルド「それもあるけど……そうね、まずは使用許可を貰わないといけないもの」

男「これじゃダメなの? 女王様に貰った書状」
174 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/24(火) 00:24:51.19 ID:X0m9dfxC0
エメラルド「それはあくまでも王室関係者である証明だから。通常の魔法石使用許可状とは違うわ」

エメラルド「トルマリンの魔法石を使いたければトルマリンの王室……まぁ、あそこはちょっと違うけど」

エメラルド「とにかくその国が発行する許可状を得ないとダメなの。まずそこから」

男「そういえば女王様もそんなこと言ってたような……む、これじゃダメか」

エメラルド「確かに王室関係者も自国の魔法石なら自由に使えるんだけどね」

エメラルド「この場合、オズだってアメジスト産の魔法石なら自由に使えるのよ? これってすごいことなんだから」

男「……【伝達】かぁ……トルマリンのがいいな」ボソッ

エメラルド「……」

男「で、でもこれがあれば身体検査されないとか言ってたし、隠れて使っちゃえば――」

エメラルド「ダーメ! 悪用しちゃダメって女王様にも言われたでしょ!」
175 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/24(火) 01:37:05.50 ID:X0m9dfxC0
男「う」

エメラルド「万が一そんなことしてるのが見つかっちゃったら女王様にご迷惑がかかるのよ?」

エメラルド「いい? 今の法律下、魔法石は各国の自治管理……保管責任が定められてるって言うけどね」

エメラルド「これって捉えようによってはある種の独占権が認められてるってことなの」

エメラルド「魔法石だって、必要があればそれこそ国同士が貸し借りをすることだってあるわ」

エメラルド「その際、魔法石はその国にとって政治的駆け引きの道具としてかなり重要な意味を持つことになるの」

エメラルド「基本的にはね、使用許可の見返りとして権利国に莫大な対価を支払うことになるんだけど……」

エメラルド「その見返りもお金だけじゃなくて人、土地、通行権や徴税権など様々な権利が絡んでくるから」

エメラルド「貴重な魔法石が採れる国によっては最初からそれが目的で使用権利をちらつかせることだってあるの」

エメラルド「そんな状況で、例えばオズが。アメジストの王室関係者が」
176 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/24(火) 02:05:46.88 ID:X0m9dfxC0
エメラルド「どこで手に入れたかわかんない他国の魔法石を不正所持してるのがバレたりしたらどうなると思う?」

男「……怒られちゃうね」

エメラルド「うん。その後首とぶけど」

男「……!」

エメラルド「それだけで済む問題じゃないわ」

エメラルド「女王様はもちろん、その国の信用が一気に失われて最悪国交が断絶することだってあり得るんだから」

エメラルド「王室関係者であればその辺のことはちゃーんと理解してるはずよ」

エメラルド「だからね、オズ。女王様にせっかく頂いた書状を悪い事に使っちゃダメ。ね?」

男「わ、わかった……つーか、これ危ないな。諸刃の剣じゃん。基本見せないほうがいいんじゃね?」

エメラルド「う、うーん……悪用しなきゃ便利だと思うんだけど」
177 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/24(火) 03:55:08.89 ID:X0m9dfxC0
男(……ふむ、やっぱこれは情報収集の時と、トトを庇う時だけに使ったほうが無難だな)

男「それじゃあトルマリン産の魔法石、もとい温かい風呂は諦めるか……」

エメラルド「う、うん……(そもそもどうやって入手する予定だったのかしら)」

男「水は湖ので我慢するとして……あとは照明と……あ、そうだ、服」

エメラルド「服?」

男「そ、服。しかもお前のやつ」

エメラルド「え……な、なんで? 私……これでいい」

男「これでいいってお前、一枚じゃ足りないだろ。そ、それに服っていうか……その、アレもだ」

エメラルド「?」

男「こ、この世界の女の子、っていうか男もだけど……あの、し、下着とか……穿かないのか?///」かぁあああ

エメラルド「 」
178 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/24(火) 03:55:47.12 ID:X0m9dfxC0
ここまでー
179 : ◆gO9QdRWdUw [saga ]:2012/07/24(火) 04:29:50.34 ID:X0m9dfxC0
訂正

>>173 4行目
あそこの魔法石なら水を温かくすることができるわ
         ↓
あそこの魔法石なら火を使わなくても広範囲の水を温かくすることができるわ
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/24(火) 05:49:08.26 ID:8lDf+lHZo
乙ん
181 : ◆gO9QdRWdUw [saga sage]:2012/07/25(水) 22:40:10.76 ID:F1e1jrEO0
大変申し訳ございません。
ずっと悩んでいたのですが一度このスレを立て直したいと考えています。

主な理由としましては@長台詞を無理やり行ごとにわけるやり方に限界を感じたこと
(これが一番大きいです。改行を使うことでもう少しコンパクトで見易くなるかなーと)
A脱字が多いので修正したいB>>22のような致命的な設定ミスがあることです
ストーリー自体はまったく変えるつもりはないのですが……

ここまで読んで下さっている方には大変ご迷惑をおかけしますが。一度立て直しをさせて下さいm( )m
続きを含め、修正後のスレは明日中にも立てる予定です。その際はよろしければまたお付き合いをぜひ。
本当に申し訳ございませんでした。
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/25(水) 23:59:37.56 ID:3YQCKPmWo
>>1の好きなようにやりんさい
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/07/26(木) 00:30:47.70 ID:riLjy9WQo
別にこのままでもかまへんのに・・・
お疲れ様でした
184 : ◆gO9QdRWdUw [saga sage]:2012/07/26(木) 00:43:44.07 ID:ZGXlQcNP0
>>182>>183
本当にすいません。建て直し後、新スレのurlはここに貼ります。
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/26(木) 01:00:23.15 ID:EHPd372No
明日まで全裸待機?
その程度なら余裕だ、楽しみにしてる
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/07/26(木) 06:31:24.48 ID:LGGrCdbAO
誘導してくれるなら問題ない、待ってるよ
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/26(木) 09:28:17.26 ID:j/xmdGFro
誘導あるならOK^^
188 : ◆gO9QdRWdUw [saga sage]:2012/07/27(金) 00:14:43.12 ID:D2ZELviF0
新スレのurlです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343313935/
しばらく再投下してますのでもう暫くお待ちくださいm( )m
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