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岩沢「オペレーション・レクイエム?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 20:48:48.94 ID:Lzakgiqo0
Angel Beats!のSSです。投下開始前にいくつか

・本編の三話の途中からの分岐で話が始まります

・タイトルの通り岩沢の話になる予定なので、扱いが不遇なキャラが出て来るかもしれませんが多めに見てやってください

次から投下開始です

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1340970528(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713613334/

ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/

旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 20:50:31.25 ID:Lzakgiqo0
岩沢と分かれた音無は、思いついたことをリーダーであるゆりに頼もうと思い、作戦本部のゆりを訪ねていた。

音無「なぁ、ゆり」

ゆり「ん、音無くん。どうかした?」

音無「ちょっと、頼みたいことがあるんだ」

ゆり「頼みたいこと?」

音無「あぁ。今回の天使エリア侵入作戦なんだけど、悪いけど俺をメンバーから外してくれないかな?」

ゆりにそう頼むと、見る見るうちに不機嫌そうな顔に変わった。

ゆり「なによ、音無くん。怖気づいたの?」

音無「いや、そういうわけじゃない。ただほら、今回はさ、ガルデモの方にも護衛?がついた方がいいんじゃないかなと思ってさ。
    ほら、ゲリラライブじゃなく告知ライブだったら、もしかしたら天使だけじゃなくNPCの先生も止めに来るかもしれないだろ?そういった時の為の予防策だよ」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 20:51:39.82 ID:Lzakgiqo0
ゆり「……なるほどね。確かにNPCへの対策は必要かもしれないわね」

ゆりはなんとなくだが納得してくれているみたいだった。

音無「だろ?それに俺、正直ガルデモの事をよく知らないからさ。その護衛のついでにどんな風な陽動をしてるのかも見ておきたいし」

ゆり「……ん、そうね。わかったわ。今回の天使エリア侵入作戦、音無くんはメンバーから外してあげる。
   その代わり、きちんとガルデモのみんなを守ってあげなさいよ?」

音無「ああ、任せとけ!」

なんとかゆりを説得することができた。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 20:52:43.81 ID:Lzakgiqo0
〜〜〜

ゆりの承認を得ることが出来た俺は、その事を伝えるために再度練習している教室を訪ねた。
中は相変わらず練習中だ。
先ほど了承を取れたこともあり、教室の中に入りその練習風景を見せてもらう。

岩沢「ふぅ……」

ひさ子「岩沢、今日はこれで終わりにする?」

岩沢「うん、そうだな。もう日も落ちてきたし、後は時間まで休憩だ」

ひさ子「了解」

どうやら練習は終わったようで、ひさ子らは道具をもって解散していった。

音無「お疲れさん、岩沢」

岩沢「ああ。で?なんでまた戻ってきたんだ?」

俺の隣に腰掛けながら、再度訪ねて来た理由を聞いて来る。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 20:53:42.11 ID:Lzakgiqo0
音無「いや、今日の天使エリア侵入作戦の時に、お前達の護衛も必要なんじゃないかって思ってな。
    それで、ゆりにその了承を貰いに行ってたんだ」

岩沢「あたしたちの護衛?なんでまた」

音無「作戦実行中にお前達が捕まったら大変じゃないか?」

岩沢「……まぁ、一応ここは学校だし、捕まったところで大したことにはならないと思うけれど」

音無「そう言うなよ。俺の行動の意味がなくなるじゃないか」

岩沢「ははっ、それもそうだな。なら、頼りにしてるよ、護衛くん!」

笑顔を見せながら、背中をポン、と叩いて来る。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 20:54:45.90 ID:Lzakgiqo0
音無「それより岩沢」

岩沢「うん?」

音無「前に、新曲だとかで作戦本部で歌ってた歌、あるだろ?」

岩沢「ああ、ゆりに却下を食らった奴だな」

音無「あの歌、聴きたいなーって思ってさ」

俺がそう言うと、岩沢は一瞬だけ驚いた顔をして、その後すぐに笑顔になる。

岩沢「気に入ってくれたのか。それはあたしも嬉しいよ。うん、待ってな。今、歌ってやるから」

そういうと立ち上がり、セットの方へと向かう。俺はその場に座ったまま、岩沢の姿を眺めていた。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 20:56:09.09 ID:Lzakgiqo0
岩沢「………〜〜♪」

歌い始める。ゆりはバラードはしんみりするからダメだと言っていたが、これはこれで注目を集められていいと思うんだけどな。
でも、確かに俺たちSSSの一員が聞き入ってしまう危険性はある。

岩沢「………。どう?」

歌い終えて、感想を求めて来る。
俺はそれに対し、拍手をしながら答えた。

音無「いい歌だな。ライブの最後に、サプライズでそれも歌えばいいんじゃないか?」

岩沢「それはダメだな。リーダー様が許しちゃくれない」

音無「うーん……俺からゆりに話をしてもいいんだけど」

岩沢「遠慮しておくよ。それに今回は告知ライブだ。盛り上げてナンボのライブだからな、どっちにしてもこの歌は毛色が合わない」

音無「そうか……残念だな」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 20:56:55.63 ID:Lzakgiqo0
〜〜〜

日が暮れ、天使エリア侵入作戦の時間になった。

ゆり「それじゃ音無くん。ガルデモのみんなをよろしく頼むわよ」

音無「ああ。そっちも、気をつけてな」

見たことのない天使エリアへと、ゆりたち作戦実行班は向かって行った。

音無「……さて、俺も体育館に行かないと」

踵を返し、体育館へと向かう。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 20:57:50.63 ID:Lzakgiqo0
『体育館―――』

ワァァァァ―――

音無「うおぉぉっ……まだ始まってないってのに、なんて熱気だよっ……」

体育館の中は、その半分以上がNPCで埋まっていた。
探せば、この中にも人間がいるかもしれない、なんて考えてしまう。

音無「いや、今回の目的はそれじゃない。あくまで、ガルデモの陽動の援護だぞ、俺!」

パン、と自分の両頬を叩き、気合いを入れる。

音無「うしっ!来るなら来い、NPC!」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 20:58:37.84 ID:Lzakgiqo0
――――――

岩沢「……特等席、だぜ」

あたしの大切なギターを立てかけ、そう声を掛けてやる。

岩沢「よし、時間だ。派手にやろうぜ!」

ギターを軽く鳴らすと同時に、ステージの幕が開く。
舞台下には、大勢のNPCが集まっていた。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:00:10.07 ID:Lzakgiqo0
――――――

音無「始まったか……」

明るい曲調の歌を、楽しそうに歌っている。

ユイ「あ、先輩!今回は作戦からハブられたんですか?」

音無「ん、ユイ?お前、なんでここに」

ユイ「そりゃ、わたしはガルデモの追っかけですから!」

音無「いや、理由になってねーけど」

ユイ「そういう先輩こそ!何やってるんですか?」

音無「ああ、俺はガルデモの護衛だよ。今回はとにかく派手にやらなきゃならないからな。
    途中で邪魔が入ったりして中止になったら、作戦実行に支障が出る」

ユイ「はぁ〜……なるほど、考えましたねぇ」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:01:12.36 ID:Lzakgiqo0
音無「それよりも、お前がいてくれて助かるよ」

ユイ「え?」

音無「NPCの先生が止めに来た場合、俺一人じゃ守り切れる自信がちょっとなくってな。ユイと二人ならなんとかなるかもしれない」

ユイ「わ、わたしがですか!?」

音無「なんで驚いてるんだよ?」

ユイ「そりゃ無理ですよ!だってわたし、ガルデモの見習いみたいなもんなんですよ?」

音無「……つまり?」

ユイ「陽動班の一員なんです」

音無「だから?」

ユイ「先輩酷い!こんなか弱い女の子に大の大人を食い止める手伝いをしろって言うんですか!?」

音無「いや、でも一応お前もSSSの一員だろ?」

ユイ「それはそうですけど……」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:01:48.18 ID:Lzakgiqo0
――――――

岩沢(人が少ない……なんでだ、もっと集まってくれ!)

歌いながら、人の入りに不安を覚える。

岩沢(いや……それを成し遂げるのは、他でもないあたしたちの力でだ!)

心の中で決意の言葉を呟くと同時、導入曲のCrow Songを歌い終える。

岩沢「……すぅ……はぁ……」

一度深く深呼吸。そして、次の曲の演奏を始める。

ひさ子「!」

ひさ子(Alchemy……!?こんな序盤で!?)
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:02:39.41 ID:Lzakgiqo0
――――――

ユイ「え……?Alchemy……なんでこんな序盤に……」

音無「前に言ってた、ガルデモの一番盛り上がる曲か?」

ユイ「はい。普通は最後を飾る曲なんですけど……」

音無(岩沢……?)

舞台の下から彼女の顔を窺う。微かに、焦りの色が見て取れたような気がする。

音無「なぁ、ユイ」

ユイ「なんですか?」

音無「もしかして、だけど……客の入り、足りないのか?」

ユイ「そんなことは……あ、でも今回は告知ライブですから、そう考えると確かに少ない……かもしれないです」

音無「………それでか」

ユイ「え?」

音無「岩沢、ちょっと焦ってるように見える」

ユイ「岩沢さんが……?」

ユイと二人、舞台上の四人の姿を見守る。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:03:14.86 ID:Lzakgiqo0
と、不意に体育館のドアが勢いよく開けられた。

先生1「こらぁ!!こんなところで何をやっている!!」

先生2「大人しく寮に戻らんかぁ!!」

生徒1「やだよ!!ぜってぇ見てぇもん!!」

音無「っ!来た……!天使も一緒か!!」

思考を停止し、入口に向かう。

ユイ「あ、音無先輩!?」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:04:14.52 ID:Lzakgiqo0
先生1「ん?なんだお前は!?」

音無「いや、すんません!ただ、今いいところなんで邪魔しないでくれますか!?」

先生2「お前も早く寮に戻らんか!」

音無「いや、俺たちみんなこのライブを楽しみにしてたんですよ!な、みんな!?」

生徒1「そうだそうだ!」

生徒2「彼女達の邪魔をしないであげてください!!」

NPCの生徒達に発破をかけると、それは瞬く間に辺りへと広がる。

天使「………」

NPCの先生と生徒が言い争いをしている中、天使は相変わらず体育館の入り口でただステージの上を見ていた。

音無(なんのつもりだ……?このライブを止めるつもりで来たんじゃないのか?)
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:05:25.52 ID:Lzakgiqo0
――――――

岩沢(音無……天使やNPCの先生を食い止めてくれてるんだな。ならあたしたちは、その護衛に甘えさせてもらうよ!)

Alchemyを歌い終わり、あたしは次の曲の演奏を始める。

岩沢(大丈夫だ……歌詞は、頭の中にある!題して、『Hot Meal』!!)

ひさ子(……これ、は……前に作曲してた、新曲?)

入江(岩沢さん、まだ歌詞が出来てないって言ってたのに、どうして…?)

不安そうにしているメンバーに目配せをし、『大丈夫だ』と言うことを伝える。



ワァァァァァァ―――

ユイ「聴いたことの無い曲だ……まさか、新曲!?」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:06:01.97 ID:Lzakgiqo0
――――――

先生1「ええい、どかんか!」

音無「ここは、通させないっ……!」

俺を押しのけて体育館の中へと入ろうとするNPCの先生を、必死に抑え込む。

音無「っ……まだだ、もう少し……!!」




ユイ「ガルデモ最高〜〜!!」

ワァァァァァァ―――
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:07:46.74 ID:Lzakgiqo0


遊佐「ゆりっぺさん、作戦の進捗はどうですか?」

ゆり『もう少しよ!そっちはどうかしら!?』

遊佐「今、護衛についた音無さんが必死にNPCの先生を押さえこんでいるところです。ライブの方の盛り上がり自体に問題はありません。
    NPCの生徒も更に人が増えてきています」

ゆり『上々、と言ったところね!音無くんの判断に感謝しなくっちゃ!』

遊佐「ですが、一人で押し留めるのも限界があります。なるべく急いでください」

ゆり『了解!そういうことよ、竹山くん!さくさくやってちょうだい!』

竹山『クライストとお呼びくださいっ!』

トランシーバーの向こうから、小気味のいい音が聞こえて来る。
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:08:38.01 ID:Lzakgiqo0
竹山『これで後はデータのコピーが終わるのを待つだけです!時間にして10分!』

ゆり『聞こえた、遊佐さん!?あと10分、持ちそうかしら!?』

遊佐「あと10分ですね、了解しました」

トランシーバーの電源を切り、舞台の上で戦いを続ける岩沢達に合図を送る。

遊佐【あと、10分】



岩沢(あと10分……なら、これの他にもう一曲ってところか……!)

ひさ子(頑張ってくれ、新入り……!)
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:09:45.04 ID:Lzakgiqo0
――――――

先生1「ええい、どけっ!」

とうとう業を煮やしたのか、乱暴に俺をはねのける。

音無「ぐっ……まだだ!」

少しだけ弾き飛ばされたが、すぐに態勢を立て直して中へ押し入る先生の腰に食らいつく。

先生1「うおっ、この……!」

しかしそれも少し時間を稼いだだけに過ぎなかった。すぐに振りほどかれる。

音無「くっ、くそ……」

そうこうしているうちに、次の曲へと移る。激しいロック調の曲だ。

生徒1「やめろよ、先生!」

音無「! NPCの生徒が……」

ステージへ向かおうとする先生に、何人かの生徒が立ちはだかる。

先生「ええい、学園祭でもなし、こんなことは認められん!!」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:10:39.05 ID:Lzakgiqo0
――――――

最後の曲『Run with Wolves』を歌い終わると同時、幕が下りて来る。

岩沢「よし、陽動の任は終わった!撤収だよ!」

完全に幕が降り切ったのを確認したあたし達は、ステージの上を手早く片付け、舞台を降りる。

ひさ子「こっちはダメだ、みんな!もうすぐそこに先生が来てる!」

岩沢「あんたたちは体育館の逆側を回って行け!」

ひさ子「岩沢は!?」

岩沢「あたしは護衛くんを助けてから行くよ!」

ひさ子「っ、了解!無事に戻って来いよ!」

岩沢「ああ、わかってる!」

ひさ子達と別れ、NPCの生徒の間を抜けて、新入りの姿を探す。
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:11:17.26 ID:Lzakgiqo0
岩沢「っ……新入り!」

いた。数人の先生の後を追うようにして、最後尾の先生の腰に食らいついている新入りの姿があった。

音無「岩沢!?ライブは終わったのか!?」

岩沢「ああ!すぐにここから撤収だ!」

ユイ「待ってくださいよ岩沢さーん!」

岩沢「!? あんたは陽動班の下っぱの……」

ユイ「ユイですよ!撤収ですか!?」

岩沢「ああ、そうだよ!」

先生1「お前が主犯格か!ちょっとこっちに来い!」

岩沢「ちっ……」

先生の中の一人がこちらに向かって来る。
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:12:27.96 ID:Lzakgiqo0
音無「おらっ!」

と、新入りがその先生に向かってタックルを仕掛けていた。

先生1「うぐっ、この……」

新入りのタックルを食らった先生が態勢を崩し、よろける。

音無「今のうちに、逃げるぞ!」

そうして、音無を先頭にして。
あたしたちは無事に体育館から撤収することが出来た。
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:13:23.62 ID:Lzakgiqo0


次の日、作戦本部で結果報告の会議が行われた。

ゆり「ありがとう、岩沢さん。あなたたちのおかげで、今回のオペレーションは無事成功したわ」

岩沢「そりゃどうも。で?何かわかったこと、あるのかい?」

ゆり「ええ……どうやら天使は、自分で自分の能力を開発しているようなの」

音無「どういうことだ?」

ゆり「天使エリアにあったコンピュータを、竹山くんのハッキングによってパスを解析、中身を拝借したのだけれど……その中に、この世界に干渉することの出来るプログラムがあったの」

高松「……それが意味する事とは?」

ゆり「……今は、まだ答えを出すことは出来ないわ」

ゆりはそう言って、窓から外の景色を眺めていた。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:14:25.40 ID:Lzakgiqo0
〜〜〜

岩沢「なぁ、新入り」

音無「なんだ?」

岩沢「どういうことだ?あんたも、何か考えてることがあるんだろ?」

音無「……多分だけど。ゆりは、天使が人間なんじゃないかって考えてるんだと思う」

岩沢「………」

音無「天使があの武装を用意する手段は、俺たちが武器を用意する手段と似通っていた。
    なぜそうする必要があるのか……そう考えると、辻褄が合うだろ?」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:15:36.08 ID:Lzakgiqo0
岩沢「なるほどね……戦線のリーダーとして、それを認めるわけにはいかないってわけか」

音無「ああ。なにしろ、俺たちは神を引きずり出す為にこうして戦いを繰り広げてるわけだからな」

そうだ。戦線としては、天使が神と繋がっていなければならない。
もし本当に天使が人間だとしたら、神へと繋がる道筋がなくなってしまうのだ。

岩沢「あたしたちの目的、か……」

岩沢はそうつぶやき、傍らに置いてあるギターに手をやる。

音無「……岩沢?」

岩沢「…………。あたしたちの運命、それに抗う為に、だったっけか」

音無「……」

岩沢「こうしてさ。死んだ後でも、歌を歌えるってのは幸せなことなのかもしれないな。
    そう考えると……報われない人生だったかもしれないけれど。今は、楽しんでるよ、あたしは」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:17:09.29 ID:Lzakgiqo0
音無「岩沢は……満足、してるのか?」

岩沢「どうだろ。あたしもよくわかんないよ。でも、こんなあたしを頼りにしてくれてるゆりっぺには、感謝してる。
    そして、頼りにされてる以上は、あたしはそれに答えるだけさ。今までも、これからも、な。………こいつと一緒に」

慈しむような優しい顔をしながら、ギターを撫でつづける。

岩沢「さて、と!そろそろ、練習の時間だな」

ひとしきり胸の内を吐きだした岩沢は、ギターを肩に掛けて立ち上がる。

岩沢「あんたも来るかい?」

音無「いや、練習の邪魔になっちゃ悪いから、今日はいいよ」

岩沢「そうかい。そんじゃね、新入り。あたしたちの護衛も結構なことだけど、作戦実行班としても頑張んなよ!」

俺の肩をポンと叩いて、岩沢は練習教室へと向かって行った。
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本) [saga]:2012/06/29(金) 21:17:55.29 ID:Lzakgiqo0
音無「……満足、か」

俺は……どうなんだろうか。依然、俺の記憶は失われたまま。
俺は、この世界でゆり達とドタバタやって、満足してるのだろうか?

音無「……考えても、答えなんて出るわけないっか」

思考を途中で遮断し、缶コーヒーを飲み干す。
30 : ◆uOSHePfhFc [saga]:2012/06/29(金) 21:25:09.02 ID:Lzakgiqo0
以上、ここまで
本人確認が出来るよう、酉を残しておきます
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/06/29(金) 22:31:17.68 ID:4M3qPQsNo
数少ないABSS、期待してます
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/06/29(金) 22:47:37.22 ID:Q1eCUb8AO
これは期待
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/06/29(金) 22:54:14.99 ID:kROn8uMHo
最後まで書ききってくれよ?
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/06/30(土) 16:30:03.52 ID:HQyzi/wBo
うむ
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:10:24.12 ID:Z1QfIM2w0


『作戦本部―――』

ゆり「さて、次の作戦を立てましょうか」

翌日、新しい作戦を立てる為の会議が行われた。

ゆり「球技大会に合わせて、大々的な作戦を行いたいと思っているのだけど……」

音無「球技大会?そんなのがあるのか」

ゆり「そりゃ、普通の学校ですもの、あるわよ」

音無(……そうか、考えてみりゃそうだよな)

いくら死後の世界だと言っても、ここは学校なのだ。
こいつらと一緒に色々な作戦を実行しているから、そんな気がしない。

音無(いいこと……なのかねぇ)

複雑な心境だった。
他のみんなは生前の記憶があるからこそこうして理不尽な人生に抗う為に戦っているのだろうが。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:11:51.10 ID:Z1QfIM2w0
ゆり「話を戻すわよ。今回は、チームをいくつかに分けるわ。球技大会に参加するメンバー、天使の動向を探るメンバー、それと、天使の取り巻きの動向も探りたいところね」

日向「天使の取り巻きを?なんでまた」

ゆり「天使と一緒に行動してる中で、副会長がいたわよね?」

岩沢「あー……そういや、いたな。名は覚えてないけど」

ゆり「わたしの見立てが正しければ、彼は人間、あるいは彼も天使の一員かもしれないわ」

音無「天使の一員って……根拠はあるのかよ?」

ゆり「どうも、他のNPCとは雰囲気が違う気がするのよね。明確な根拠があるわけではないわ。
   だからこそ、今回の球技大会に乗じてその彼の動向を探ろうってことよ」

音無「……なるほど」

筋は通っていた。
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:13:25.03 ID:Z1QfIM2w0
岩沢「あたしたちは今回どうすればいいんだ?」

ゆり「今回は陽動は必要ないわ。だからガルデモのみんなは今回はお休みね。作戦に参加したいのなら、組み込むわよ?」

岩沢「他のメンバーと相談してみることにするよ」

ゆり「ええ、お願い。でも、天使の動向を探る方は下手したら戦いになるわ。だから、参加するのなら球技大会の方になるけれど……」

岩沢「そりゃ、ひさ子が喜びそうだね」

音無「ひさ子?あいつ、球技が好きなのか?」

岩沢「ひさ子は運動神経がいいからね。大会で体を動かせるとなったら、ひさ子なら喜んで参加しそうだ」

ゆり「それじゃ、岩沢さんたちガルデモのみんなは球技大会の方に参加ってことにしましょうか。
   他の詳細なメンバー分けだけど……参加したいって人、他にいるかしら?」

音無「俺は、前回のこともあるからな。岩沢たちと一緒に、球技大会に出ようと思う」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:14:13.87 ID:Z1QfIM2w0
日向「んじゃ、俺も球技大会かねぇ」

ゆり「入江ちゃん、関根ちゃん、岩沢さん、ひさ子さんに……陽動班見習いのユイも、球技大会かしらね。
   それに音無くんと日向くんが参加だから…後二人ね」

日向「ん?九人で一チームなのか?」

ゆり「言ってなかったかしら?参加してもらうのは、野球なのよ」

日向「野球……?」

野球と聞いて、日向の顔に少し影が差す。

音無「……どうした、日向?」

日向「……いや、なんでもねぇよ」

音無「………」

生前の事、だろうか。それなら、気軽に聞いていいもんじゃないな。
深く追求するのはやめておこう。
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:15:44.78 ID:Z1QfIM2w0
ゆり「後二人。誰か、参加するって人いないかしら?ガルデモのみんながお女の子だから、出来るのなら男が望ましいのだけれど」

TK「OK!I'm playing baseball!!」

松下「俺も野球のほうに参加するとしよう」

ゆり「わかったわ。それじゃ、あなたたちは球技大会に向けて練習に励んでちょうだい。今回は、これが陽動と言うことになると思うわ」

音無「あ、ひとついいか?」

ちょっと気になったことがあった。

ゆり「何かしら?」

音無「学園生活を普通に送ってたら、消えちまうんじゃなかったっけ?それなのに球技大会に参加しても大丈夫なのか?」

ゆり「もちろん、正式なチームとして参加するわけではないわ。ゲリラ参加、と言う形を取ってちょうだい。そうして、天使の出方を見るのも作戦のひとつよ」

そこで一区切り付け、

ゆり「この大々的な作戦、題して『オペレーション・フェイントベースボーラーズ』!成功すればわたし達の今後の動きも大きく変わるわ!期待しているわよ、みんな!」

戦線のみんなに、そう激励を送る。

岩沢「ん、了解。そんじゃ行こうか、新入り、日向、松下、TK」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:17:30.79 ID:Z1QfIM2w0
〜〜〜

『グラウンド―――』

岩沢「まずは、守備のポジションと打順を決めようか」

グラウンドの一角に陣取った俺たちは、岩沢を中心にして話を始める。

ひさ子「まず、見るからに運動神経の無さそうなあんたは外野だな」

ユイ「うぇ!?ひさ子さん酷い!あたし、運動神経は悪くないですよ!?」

ひさ子「それならそれで外野を硬く守ってくれればいいよ」

ユイ「むぅ……なんだか甘く見られてるような気がします……」

入江「わたし達も、ユイと一緒に外野ですかね?」

ひさ子「うーん、入江も関根も大丈夫?外野だって、それなりに重要な守備位置なんだぞ?」

関根「大丈夫です、ひさ子さん!外野はわたし達に任せてください!」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:18:41.84 ID:Z1QfIM2w0
ひさ子「ん、それなら外野はガルデモの下級生組ってことで。あとは?音無たちは、入りたいポジションとかはある?」

音無「いや、俺は別に……どこでもいいよ」

TK「Fooooo!」

松下「俺も特に拘りは無い。どこだろうと、俺の責務を果たすだけだ」

日向「………」

岩沢「……日向?」

日向「! え、ああ、なんだ岩沢?」

岩沢「なんだ、じゃないよ。ボーっとして、なんかあったか?」

日向「いや……なんでもねぇよ」

音無「………」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:19:43.06 ID:Z1QfIM2w0
ひさ子「バッテリーはあたしと岩沢で組もうと思うんだけど、それでいいかな?」

松下「ガルデモとして普段から息がバッチリ合ってる二人なら大丈夫そうだな」

岩沢「ひさ子、あんたがピッチャー?」

ひさ子「ん、そのつもりだけど?なんだ、岩沢、ピッチャーやるか?」

岩沢「いや、ひさ子の方が適任だろ?それで構わないよ」

ひと通りのポジションが決まると、ひさ子は紙を片手に発表を始める。
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:20:30.26 ID:Z1QfIM2w0
ひさ子「えーそれじゃ、打順とポジションを発表するぞ!まず一番、音無!ポジションはファースト!」

音無「ああ、任せてくれ!」

ひさ子「二番、日向!ポジションはセカンド!」

日向「お、おう!」

ひさ子「三番、松下五段!ポジションはサード!」

松下「ああ、任されたぞ」

ひさ子「四番はあたし、ポジションはピッチャー。五番、TK!ポジションはショート!」

TK「Yeah!」

ひさ子「六番、岩沢!ポジションはキャッチャー!」

岩沢「どうせやるなら勝ちたいよな」

ひさ子「七番、ユイ!ポジションはセンター!走り回れるぞ!」

ユイ「おっしゃー!!」

ひさ子「八番、入江!ポジションはレフト!」

入江「わかりました!」

ひさ子「九番、関根!ポジションはライト!」

関根「頑張ります!」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:21:37.42 ID:Z1QfIM2w0
ひさ子「しっかり練習して、本番に備えてくれ!」

最後のひさ子の一喝で、メンバーは練習を始める。

岩沢「………新入り」

俺も日向と練習をしようと思ったところで、岩沢に声を掛けられた。

音無「ん?なんだ、岩沢?」

岩沢「日向の奴……なんか、様子おかしくないか?」

音無「あ、あぁ……俺も、そんな気がしてた。けど……聞いていいものかどうか、ちょっと躊躇っちまって」

岩沢「うーん……何事もなければいいんだけど」

松下五段やTKらとキャッチボールをしている日向を見て、岩沢が呟く。
何事も……な。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:22:55.50 ID:Z1QfIM2w0
〜〜〜

音無達が練習しているところを作戦本部から見ていたゆりは、改めて本部に残っているメンバーに視線を移す。

ゆり「それじゃ、残ったわたし達も二手に分けるとしましょう。天使の動向を探るメンバーと、副会長の動向を探るメンバー」

野田「俺はもちろん天使の動向を探る」

ゆり「そうね、天使の動向を探るメンバーはそれなりに戦う準備をしておいて。野田くんと、椎名さん、それと連絡役として竹山くんが同行してちょうだい」

椎名「浅はかなり……」

竹山「了解しました。それと僕の事はクライストとお呼びください」

ゆり「副会長の動向については藤巻くん、高松くん、大山くんにお願いするわ。何かあった場合、すぐに連絡をちょうだい」

高松「了解しました」

藤巻「あのいけすかねぇ野郎の動向を、ねぇ……」

大山「わかったよ、ゆりっぺ」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:23:43.79 ID:Z1QfIM2w0
ゆり「遊佐さんは当日、グラウンドの端から試合の様子を教えて欲しいわ」

遊佐「了解しました。ゆりっぺさんは当日、どこにいるのですか?」

ゆり「わたしはこの本部で、それぞれの作戦の報告を待っているわ」

野田「わかったぜ、ゆりっぺ」

ゆり「球技大会は明日よ。各自、健闘を祈るわ!」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:24:39.74 ID:Z1QfIM2w0


翌日。
球技大会で賑わうグラウンドの中を歩く、九人の姿があった。

日向「話は付けて来たぜ。この次の試合に進めるのは俺らと、トーナメントに参加してる一チームが試合して勝った方ってことになった」

ひさ子「ま、このメンバーならそう簡単に負けることはないだろうな」

ユイ「わたし張り切っちゃいますよー!」

日向「張り切るのはいいが、空回りすんなよ?」

ユイ「む、わたしを見くびってもらっちゃあ困りますねひなっち先輩!」

日向「はいはい、期待してますよーっと」

ユイ「ぐぬぬ……見てろよー!!」

岩沢「ははは、頼りにしてるよ、ユイ」

ユイ「岩沢さん!はい、任せてください!」

音無「よし、それじゃ行こう、みんな!」

音無たち戦線メンバーは、うまい具合にゲリラ参戦することに成功していた。
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:25:53.41 ID:Z1QfIM2w0
〜〜〜

遊佐『ゆりっぺさん、音無さんたち戦線野球チーム、無事球技大会へ参戦しました。これから試合が始まるようです』

ゆり「了解、遊佐さん。そのまま音無くん達の様子を見ていてちょうだい」

遊佐『了解しました』

トランシーバーを机に置き、ゆりはどっしりと作戦本部に構えていた。
今、戦線は大規模な作戦を展開している最中だ。
音無たちによる球技大会へのゲリラ参戦。
野田、椎名、竹山による天使の動向を探る作戦。
藤巻、高松、大山による副会長の動向を探る作戦。
それら全てを指揮するには、リーダーが一人作戦本部に残るのが最も効率がいいと判断した結果だった。

ゆり「あのバカどもはちゃんと作戦を実行しているのかしら……未だに連絡が入ってこないけれど」

机の上には三つのトランシーバー。
左から順に、遊佐、野田、藤巻と繋がっている。

ゆり「この作戦がうまく行けば、今後は天使だけに標的を絞ることも無くなる……頑張ってよね、みんな」

題して、『オペレーション・フェイントベースボーラーズ』。
戦線の主要メンバーのほぼ全てが参加しているこの作戦に、ゆりは少なからず期待を寄せていた。
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:28:27.14 ID:Z1QfIM2w0
〜〜〜

『食堂―――』

野田「ゆりっぺ、聞こえるか?こちら天使尾行チームだ」

ゆり『報告遅いっ!!天使は今何をしているの!?』

野田「わ、悪いゆりっぺ!しかし、特に怪しい素振りは見せて無いから報告するのも躊躇われていたんだ。今は、食堂で飯を食っている」

ゆり『食堂でご飯を?……まぁ、わかったわ。恐らく、球技大会で音無くん達が順調に勝ち進んで行けば、生徒会長である天使は何らかの動きを見せると思うわ。注意して監視して』

野田「ああ、了解だ」

最初の報告を終え、無線の電源を一度切る。

竹山「しかし、のんきなものですね。仮にも生徒会長なはずなのに、こうして時間外にご飯を食べているなんて」

椎名「浅はかなり……」

野田「ゆりっぺに言われただろう。この行動にも、何らかの意味が隠されている可能性がある。一挙手一投足を見逃すな」

竹山「はい、それはもちろんです」

野田達天使尾行チームは、天使にぴったりと付き尾行を続けていた。
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:29:34.30 ID:Z1QfIM2w0
〜〜〜

『屋上―――』

藤巻「おいおい……なんだよこれ」

大山「うわっ……酷い」

高松「やりたい放題ですね……」

藤巻達副会長尾行チームは、屋上へと来ていた。

直井「―――」

生徒1「―――っ―――!」

ゆりの言うとおり、副会長に標的を絞った結果だった。
副会長・直井文人は、人目の無い屋上にNPCの生徒を連れてきて暴力をふるっていた。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:30:52.19 ID:Z1QfIM2w0
大山「ふ、藤巻くん!これ、ゆりっぺに報告すべきなんじゃ……」

藤巻「ああ、それはわかってるが……見てて気分のいいもんじゃねぇな」

高松「そうですね、わたしも藤巻さんに同意です」

藤巻と高松の二人は、物陰から直井の前へ姿を現す。

直井「む?貴様らか……何の用だ?」

藤巻「おーおー偉そうな副会長様で。こんなところで何をしているんですか副会長様は?」

高松「仮にも生徒の見本であるべき生徒会の一員が、こんな人目の無い所で一般生徒相手に暴行を振るっているわけを聞かせてもらいたいですね」

大山(ああ、大変だ……ゆりっぺに報告しなきゃ……あ、ああでも無線の機械は藤巻くんが……ど、どうしよう!?)

藤巻と高松が直井のところへ向かったのを、物陰から大山が見守っていた。
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:32:27.77 ID:Z1QfIM2w0
藤巻「っつーかてめぇ、NPCじゃねえな?」

高松「差し詰め、学内では真面目に振舞いながら、影でこうして悪事を働くことで消滅するのを防いでいる、と言ったところですか?」

直井「……ふん、見られたとあっては仕方あるまい。本来の計画通りには事が進まなくなるだろうが……」

言いながら、直井は藤巻と高松の眼を真っ直ぐ捉える。

藤巻「あン?なんだ、やろうって……」

高松「………っ?」

直井「貴様らには、少しばかり働いてもらうとしよう……」

―――――
―――
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:33:37.21 ID:Z1QfIM2w0
『作戦本部―――』

ゆり「さて、大まかな地盤を築く事が出来たけれど……」

椅子にどっしりと構え、机の上に足を組んで乗せた態勢のゆりは、続く報告を待ち続けていた。
並べられたトランシーバーのウチのひとつから、声が聞こえて来る。

遊佐『ゆりっぺさん、報告です』

声が聞こえて来たトランシーバーを手に取り、聞こえて来た声に返事をする。

ゆり「球技大会の方はどう?順調に勝ち進んでいる?」

遊佐『はい、トーナメントに割り込むことには成功しています』

ゆり「さすが、ガルデモのみんなは運動神経がいいわね」

遊佐『ガルデモの皆さんもそうですが、日向さんが予想外の活躍をしています』
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:34:41.04 ID:Z1QfIM2w0
ゆり「あら、日向くんが?」

遊佐『はい。野球経験があるのかどうかは定かではありませんが、慣れた様子でひさ子さんと二人、チームを引っ張っています』

ゆり「意外ね……日向くんが。とりあえず、把握したわ。その調子で、引き続き大会の様子を見守って頂戴」

遊佐『了解しました』

通信の途切れたトランシーバーを机に置く。
と。

大山「ゆ、ゆりっぺ!!大変dうわあああああああ!!?」

慌てた様子で作戦本部の扉を開けた大山が、トラップによって外へと放り投げられた。

ゆり「……大山くん?」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:35:21.66 ID:Z1QfIM2w0
しばらくした後、フラフラと大山が作戦本部へやってきた。

ゆり「合言葉」

大山「か、神も仏も、天使もなし……」

ゆり「はい、解除。開けていいわよ」

ゆりの承諾を受けて、力なくドアが開けられる。

大山「た、大変なんだゆりっぺ……」

ゆり「どうしたの?って、副会長の動向を一緒に探っていた藤巻くんと高松くんは?」

大山「そ、それが、それが……」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/07/01(日) 00:38:22.50 ID:Z1QfIM2w0
おたおたと要領を得ない大山の言葉を遮り、トランシーバーのひとつから緊急報告が入ってくる。

遊佐『ゆりっぺさん、緊急報告です!』

珍しく少しだけ荒げた遊佐の声が作戦本部内に響く。
ゆりは入り口から机へ勢いよく近づき、トランシーバーを手に取る。

ゆり「どうしたの!?」

遊佐『グラウンドに、藤巻さんと高松さんが現れ、暴れています!』

ゆり「はぁ!?あのバカ二人、何をやっているのよ!?」

遊佐『現在、野球に参加していた音無さん、日向さん、松下さん、TKさんにユイさんがその二人と交戦している最中です!』

大山「あ、あぁ……やっぱり……」

ゆり「くっ!わたしも今グラウンドへ向かうわ!」

それだけ叫ぶとトランシーバーを放り投げ、拳銃を持っていることを確認したゆりは、グラウンドへ向けて駆けだした。
57 : ◆uOSHePfhFc [saga]:2012/07/01(日) 00:39:32.01 ID:Z1QfIM2w0
今日はここまで
これで書き溜め全て投下したので、以降は更新頻度が落ちるかと思われます
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/01(日) 01:09:24.07 ID:Uag00gXMo
おつおつ
完結さえさせてくれればそれで
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/07/29(日) 01:21:41.42 ID:3MkSFn9AO
消えそうなので保守
60 : ◆uOSHePfhFc [sage saga]:2012/08/18(土) 17:59:46.42 ID:wShPANMO0
すみません、続きを書くのが遅くなりそうなので、このスレは一旦打ち切りとさせてもらいます
楽しみにしていた人にはもうしわけないです
機会があればまた立てて次は完走させます
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