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キリコとコブラでむせる - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:11:28.42 ID:n3CjMYIK0
 悪魔がホルンを吹き鳴らす時刻、街に立ち並んだ巨大なビル群は、峻厳とした山々の峰のように如く天高く聳え立っていた。

 時計の針が午前一時を指した頃、バイケンは、チクタクと静かに回る秒針の音とともに、路地裏にたむろするギルドの売人どもから、月のアガリをせしめていた。
 バイケンは売人にロド麻薬を売らせ、売人はバイケンに売った麻薬の金の二割を上納金としておさめるのが、ここでの取り決めだ。

 闇金、賭博、売春宿、殺し──この街での非合法なビジネスは、全てバイケンの息がかかっている。
 悪党のバイケン、それがここでの通り名だ。口に咥えた葉巻が、グレーの煙をゆらゆらと立ち上らせる。

 バイケンは海賊ギルドの中堅幹部だ。魔女のように伸びた鷲鼻は痘痕だらけで、右目には眼帯が巻かれている。
 失った右目──かつて一匹狼の海賊に奪われた。海賊の名はコブラ、宇宙最高の賞金首と呼ばれた男だ。

 もっとも、数年ほど前にぷつりと消息を絶ち、今ではもう死んでいるだろうというのが、もっぱらの噂だった。
 死んだ?奴が?あの不死身の海賊が?バイケンはそんな噂話なぞ信じてはいなかった。

 そうだとも、奴はどこかで生きているはずだ。あいつはそんなヤワなタマじゃない。 
 奴は地獄の住民だ。悪魔を友にし、死神と連れ歩く、それがあの男だ。

 ぼんやりとした薄明かり、外灯の回りでは、季節外れの蛾が飛び回っていた。
 ロド麻薬は金になる。買った奴はやがて廃人になる。売人は新しい客を捕まえて、ロド麻薬を売りつける。
 売った金はバイケンの懐へと転がり込む。



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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:12:08.38 ID:n3CjMYIK0
 灰色のコンクリートでできた街路、壁に貼られた賞金首のポスター、

 方眉をつりあげ、バイケンが不機嫌そうに灰になりかけた葉巻を吐き捨てる。

 「ナット、最近売り上げが落ちてねえか」
 「バイケンさん、この頃、銀河パトロールの目がうるさくて、ロド麻薬が思うように売れないんでさァ」

 言い訳がましい売人の元締めにバイケンは一発蹴りをくれてやった。それも睾丸のど真ん中にだ。

 身体をくの字に曲げ、呻くナット──バイケンが引き抜いた拳銃をナットの額に押し付けた。
 「ナット、お前が手下の売人どもから金をチョロまかしてんのは知ってんだ」

 恐怖のあまり、ナットの全身が硬く強張った。バイケンが三十八口径の銃口を額の皮にぐりぐりと押し付ける。
 ネズミをいたぶる猫のように、サディスティックにネチネチと。
 「か、勘弁してください、バイケンさん、出来心だったんです……」
 ナットは胸の辺りで両手を握り合わせ、バイケンに許しを求めた。それに対するバイケンの返答。

 「勘弁できねえな、ナット、俺はそこまで心の広い男じゃねえ」
 銃口が火を噴いた。銃弾がナットの額から後頭部へと突き抜ける。血と脳漿がザーメンのように派手に吹き飛んだ。

 髪の張り付いたピンク色の肉片が、壁に付着する。地面に散らばったナットの砕けた頭部を踏みつけ、バイケンはせせら笑った。
 「ひひひっ、俺の金をチョロまかそうなんざ、百年早えんだよ、なあ、ナット」

 「また派手にやったもんだな、バイケン」
 突然後ろから何者かに声をかけられ、バイケンは驚きながら振り返った。全く気配を感じなかった。それこそ微塵もだ。

 「そこにいるのは誰だッ」
 バイケンは叫んだ。振り向きざまに叫んだ。
 暗がりから、こちらを覗く一体の影法師──影法師がジッポーライターに火をつけた。

 ライターの炎で、葉巻の先を炙る男の素顔──バイケンは、映し出された男の顔に見覚えがなかった。
 男の髪は短めのブロンドヘアで鼻は丸っこい団子鼻だった。目は垂れ下がって、口元がしまりもなく、にやついている。

3 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:12:49.55 ID:n3CjMYIK0
 愛嬌のある顔ではあるが、お世辞にもハンサムとはいえない。
 「おいおい、俺を覚えてないのか。冷たいなあ」

 男が親しい友人に話しかけるように、バイケンに向かって気さくに声をかける。

 記憶の糸を手繰り寄せてはみたが、やはり身に覚えはない。なるほど、銀河パトロールの犬ってとこか。
 恐らくは犯罪現場を押さえる為に、こちらをつけ回していたのだろう。それなら納得がいく。
 「兄ちゃん、人殺しを見られたとあっちゃ、生かしておけねえ。悪いがここで死んでもらうぜ」

 バイケンが引き金を引いた。路地裏に閃光が走った。
 闇夜を引き裂く銃声──死の間際、バイケンの瞳に黒光りする男の左腕が焼きついた。

 鈍色に輝いた紡錘形のフィルム──それはまるで死神の鎌を彷彿とさせた。
 「サ、サイコガン……」
 バイケンの瞳から命の灯火が、ふっと消えうせた。前のめりに崩れ落ちる。

 サイコガン──最後に遺したその言葉が、バイケンの墓碑銘となった。


4 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:13:28.74 ID:n3CjMYIK0
 闇に沈んだ廃屋で、キリコは赤ん坊を優しく抱きしめた。夜風のせせらぎと静かな月の光。
 キリコ・キュービィー、それがこの男の名だ。キリコ──神の後継者と呼ばれ、神を殺し、そして神の赤ん坊を連れ去った男。

 その半生は神秘と伝説に彩られ、マーティアルですら恐れおののいた。

 カインは森にある一際大きな老いた杉の木に登り、二百メートル離れた廃屋の壊れた窓から、暗視スコープ越しにキリコの様子を覗った。
 異能生存体/不死身の男/触れ得ざる者──本当にそうなのか。元レッドショルダーだけあって、確かに腕は立ちそうだ。

 スコープドッグを扱わせれば、超一流の腕前を誇るのだろう。だが、今はどうだ。足手まといの赤子をつれ、武器は一丁の銃のみ。

 奴を消せば、名があがる。カインは愛用のライフルを手に取り、構えた。自作したステンレスの銃身が、カインの眼に頼もしく映る。
 スコープのピントをあわせ、汗で蒸れた掌で、グリップを握った。ストックに右頬を張り付かせる。ライフルの照準が、キリコの頭部に狙いを定めた。

 カインは胸の奥底で、小さなざわめきを感じた。ざわめきを振り払うように遊底をスライドさせ、チャンバーにライフル弾を送り込む。
 
 激しく胸を打つ心臓の鼓動、血管を駆け巡る血潮──ゆっくりと息を吐き、カインはライフルの引き金を絞った。
 反動──ライフルの床尾が、カインの肩に食い込んだ。やったかっ!?カインはスコープを通して、一筋の血が宙に舞うのを見た。

 廃屋の床に倒れるターゲット──呆気ないものだ。所詮は相手も生身の人間、伝説には尾ひれがつくものと相場は決まっている。
 カインが通信機のスイッチをいれた。

 『やったぞッ、キリコを仕留めたぞッッ!』
 応答はなかった。通信機のダイヤルを回し、カインがマイクに何度も呼びかけ続ける。だが、帰ってくるのは雑音だけだった。
 『おいっ、ボブっ』
 数秒後、森にバハウザーの銃声が木霊した。

5 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:14:13.08 ID:n3CjMYIK0
 
 惑星アルディーンはザ・ゴザと並ぶ戦場の星だった。金に目が眩んだ命知らずの傭兵と、賞金首のお尋ね者が集う星、
 それがアルディーンだ。巨大なドームが割れ、次々と宇宙船が飛来していく。
 
 空中に掲げられた航路標識を小型の飛行艇が横切った。ここはアルディーンの首都だ。
 傭兵達が雑多で薄汚れたメインストリートを行きかう。

 通りの角に備え付けられたシャワールーム──曇りガラスから湯飛沫の音が聞こえた。
 熱い湯を浴び終え、キリコがシャワーのコックをひねって、湯を止める。
 タオルで身体を拭き、オレンジ色の耐圧服を着込むとキリコがシャワールームから出る。

 「ああ、さっぱりした。これで綺麗な姉ちゃんでもいればなあ」
 キリコと同時に隣のシャワールームから男が出てきた。肩から湯気を立ち上らせ、陽気に鼻歌をうたいながら、男が髪の毛を指でぬぐう。
 「よう、キリコ」

 男がキリコにウインクし、今から飲みに行かないかと誘った。キリコが無言で頷く。
 それじゃあ、いこうぜと男が葉巻を唇の端に咥え、ジッポーで火をつけた。男の陽気な振る舞いと出で立ちは、キリコに若い頃のバニラを思い起こさせた。
 「それじゃあ、いこうか、コブラ」


6 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:14:59.41 ID:n3CjMYIK0
 激しいドラムとベースのリズム、耳を聾するエレキギターの咆哮。カウンターに並ぶスティールにふたりは腰を下ろした。
 コブラがバーテンにライトビールを二つ注文した。キリコはあまり酒が飲めない。ビールを嗜む程度だ。
 この前、コブラがバーボンを奢ってやったら、酒の度数にキリコは顔をしかめていた。

 薄暗い照明、天井からつり下がった裸電球は、絞首台にぶらさがった死刑囚のように音もなく揺れていた。
 ふたりが知り合ったのは、ほんの二週間前だった。

 ATの訓練場で、右も左もわからず困り果てていたコブラにスコープドッグの操縦を教えてやったのはキリコだ。

 眼を見張るばかりの吸収力だった。コブラは凄まじい集中力と適応力を見せ、一週間もしない内にATの完璧な操作技術を身につけた。
 最初は全くの素人だった。当たり前だ。コブラはこれまで、ATを見たこともなかったのだ。

 異能者──それがキリコの脳裏に浮かんだ言葉だった。
 「ここの酒場は華がないね」
 「それは言いっこなしですぜ、旦那」

 バーテンが運んできたビールグラスをコースターと一緒にふたりの前においた。
 「でもよ、色気ってもんがないぜ。男ばっかで、むさ苦しいったらないね。悪い事は言わない。可愛い子をウエイトレスに雇いな」
 バーテンに軽口を叩きながら、コブラがグラスのビールを半分ほど飲み干す。
 「ま、ビールの味は悪くないがね」

 「そういえば、おふたりさん、サラマンダーの噂はご存知ですか?」
 グラスを磨きながら、バーテンがふたりに尋ねた。
 「サラマンダー?なんだ、そりゃ?」
 コブラがバーテンに聞き返す。バーテンが声をひそめて喋りだした。キリコが静観したまま、バーテンの話に耳を傾ける。
 「たった一機で二十機のATを仕留めたっていう、化け物の話ですよ」
 「へえ、そいつはおっかねえな、くわばら、くわばら」
 
 「旦那、あっしの話を信じちゃいないでしょう。でも、こりゃ本当のことなんですよ。
 サラマンダーっていうのは赤いATに乗ってるから、そんな名前がつけられたそうなんですがね。金さえ貰えりゃ、どの陣営にもつくっていう流れ者でさ」
 「なるほどね。まあ、用心はするよ」
 コブラがグラスを傾けながら答えた。


7 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:15:46.78 ID:n3CjMYIK0
 低い空、暗雲が重く圧し掛かってくる。森と森を隔てる川──黒い急流を二体のスコープドッグが泳ぐように突き進む。
 水深に足を取られないように注意しながら、岩床の裂け目に流れ込む、強く引っ張るような川の力をふたりの男は感じていた。

 川岸にたどり着き、泥濘を踏みつけながら、キリコは辺りに敵兵が潜んでいないか警戒した。
 地面から突き出た岩場の影、生い茂った茂みの中、苔むした倒木にカモフラージュし、敵はどこからでも飛び出してくる。
 何の前触れもなく、飛び出してくる。何気なく落ちている枝、松の木から伸びた葉、何気げない自然物でさえ、敵は利用する。

 葉のこすれる音、踏みつけた枝の折れる音、これらの鳴らす音が敵にこちらの存在を告げるのだ。
 ──おい、キリコ、そっちはどうだ?
 コックピット内の通信機からコブラの肉声が飛び出す。
 ──問題ない。
 ──OK、こっちもだ。
 
 互いに背を張り付かせ、死角を補いながら、ふたりはすすむ。目的の場所へと。
 山の冷たい風が、木々の間を通り抜けた。ふたりが深い谷底へと降りていく。
 急な勾配な岩肌を駆けおりると、だだっ広い平地に出た。

 断崖に囲まれた谷間には、障害物や隠れられるような場所はなく、ふたりは敵に会うこともなく目的地へとたどり着いた。
 ──おい、キリコ、なんだか妙な胸騒ぎがしやがるぜ。敵さんは一体全体、どこにいるってんだ。

 コブラは拍子抜けするほど無用心な敵を逆に気味悪がっていた。それはキリコも同感だった。
 ──もしかしたら、罠かもしれない。
 ──俺もそう思うね。それじゃあ、こっちから燻りだしてやるとするか。

 パネルを眺めていたコブラが、おもむろにヘビィマシンガンを乱射する。弾丸を浴びせられた岩壁が砕け、地面が抉られる。
 渓谷に大きく響き渡る銃声、硝煙の匂いが一陣の風に吹き抜けた。
 ──へへ、どうやらおいでなすったぜ。

 地面が盛り上がり、土にまみれた四機のツヴァークがその姿を現した。ローラーダッシュの鋭い回転音。
 轟音をあげ、岩棚から飛び降りた六機のスタンディングトータスが、ふたりの目前へと迫る。
 敵は十機、こちらは二機だ。
 ──面白くなってきやがった。

8 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:16:12.53 ID:n3CjMYIK0

 ふたりが左右に旋回しながら、敵の銃弾を回避する。キリコの撃った数発の弾が敵の装甲を貫いた。
 ポリマーリンゲル液に引火し、一機のツヴァークが回りの仲間を巻き込んで爆破した。

 鼓膜を震わせる爆音、吹き上がる紅蓮の炎、機体の破片が岩肌に突き刺さる。ゴーグル越しにキリコは敵を見据えた。

 アルディーン──そこはもっとも地獄に近い惑星だ。コブラが、断崖から突き出た岩に向かってアサルトライフルを発砲する。
 まるでビリヤードのように跳びはねる弾丸が、二機のスタンディングトータスのタレットスコープにヒットした。
 スタンディングトータスのコックピット内で、血が派手にぶちまけられた。

 ──これで敵さんは半分に減ったな。おまけに相手は及び腰だぜ。
 敵が怯んだ隙をつき、キリコとコブラが示し合わせたように同時に動く。

 右腰に装着したミサイルランチャーをキリコが立て続けに発射し、二機を吹き飛ばすと、ターンピックを地面に打ち込み、反動を利用する。
 キリコへと追いすがるように接近するツヴァーク──顔面にアームパンチを浴びせた。

 バウンドするツヴァーク。焦げるようなモーター音──後方へと吹き飛び、ツヴァークは炎に飲み込まれた。
 ──おい、キリコ、ありゃなんだ?
 
 キリコが谷を見上げた。崖からこちらを見下ろす深紅の機体。突然、深紅の機体がこちらに攻撃をしかけてきた。
 唸りあげるロケット砲が断崖に炸裂した。瀑布の如く降り注ぐ岩盤が、残った敵の機体をスクラップにした。
 深紅の機体がキリコとコブラに向き合い、再びロケット弾を撃った。

 発射された小型ミサイルが、キリコの乗ったスコープドッグ目掛けて襲い掛かる。
 コブラがコックピットの蓋をはねあげた──ミサイルが空中で花火のように爆発した。

 キリコは見た。コブラの左腕を。そこに腕はなく、肘から先にあったものは銃だった。
 キリコは動揺した。それは深紅の機体も同じだった。身を翻し、深紅の機体がふたりの前から姿を消す。
 「なるほど。奴がサラマンダーか」

 コブラが葉巻を咥えた。
 「コブラ、引き返すぞ」
 銃撃戦を聞きつけた敵の傭兵がこちらに群がってくるのがわかった。あいよと返事をし、コブラがコックピットの蓋をしめる。
 それからふたりは森の奥へと戻った。

9 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:16:52.41 ID:n3CjMYIK0
 ミッター橋が強い突風にあおられて、グラグラと揺れるように傾いだ。キリコが橋の中央までいくと、橋下を見おろす。
 打ち寄せる汚水の波が、コンクリートの壁を引っかいている。
 排水溝が垂れ流す廃棄物──ヘドロの川から昇る異臭がキリコの鼻腔を撫でた。

 コブラの左腕は義手だった。義手の中に仕込まれていたのは銃だ。

 帰還した後のキリコは、コブラの左腕については何も尋ねなかった。元来が口数の少ない男だ。
 尋ねる必要などなかったし、誰しも他人に聞かれたくない事情がある。それはキリコ自身が良く知っていた。
 
 血に染まった戦場を生き抜いてきた男達だ。何も語らずとも察する事ができる。
 バイマン──レッドショルダー部隊に所属していたキリコの戦友のひとり。

 バイマンもまた、戦場で右手を失った男だった。
 伊達男の右手にはまった銀色の精巧な義手の輝きを、キリコは今でも覚えている。

 キリコは嗅いだ。コブラの身体に染み付いた硝煙と血の臭気を。
 キリコは見た。死の陰りを纏わせたコブラの後姿を。 
 キリコは感じた。コブラもまた、己と同様に戦いの中でしか生きられぬ男であるという事を。

 ふたりは性格は違えど、似た者同士だった。まるで兄弟のように。

 通行人が投げ捨てたタバコの吸殻が、真っ黒く染まった河面に吸い込まれていった。
 星一つ見えない夜空、排気ガスの黒い人口雲、タール舗装の道路を横切り、キリコは近くにある食堂に入った。

 キリコはウエイターにブラックコーヒーを注文した。ニコチンの匂いが滲む食堂で、キリコは運ばれてきたコーヒーを飲んだ。
 ここは血と暴力が渦巻く戦場の星アルディーン──キリコが飲むアルディーンのコーヒーは苦い。



10 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:17:33.80 ID:n3CjMYIK0
 コブラとキリコが良く集う、その酒場の名前は「ハッシュ・ハッシュ・ハッシュ(マリファナだらけ)」といった。
 何故、そんな名前なのかは誰にもわからない。バーテンですら知らなかった、
 
 酒場に陽気なサックスが響いた。赤々と燃えた葉巻の煙を吐き出し、コブラが空になったグラスをコースターに置く。
 溶けかかった氷がグラスにぶつかり、カランと音を鳴らした。
 「お次は何を飲みますか、旦那」

 灰皿に葉巻の灰を落とし、それじゃあ、タルカロスをくれとコブラがバーテンに告げた。
 「なんですか、そりゃ?」
 バーテンが聞き返す。コブラがやれやれといわんばかりに軽く首を振った。

 「いいんだ。忘れてくれ。んん、そうだな、じゃあ、ウイスキーのミルク割りをくれ。ミルクを抜いてな」
 仰せのままにと、バーテンがグラスに琥珀色の液体を注ぎ足す。
  
 バーのボックス席は傭兵達が陣取り、ポーカーに興じながらギャンブルの勝敗に一喜一憂していた。
 「ひひ、そういや、聞きましたよ、旦那」
 バーのボトル棚に並んだ酒を入れ替えながら、バーテンが愉快そうに笑い声をあげた。

 「何のことだ?」
 「またまた、とぼけちゃって。ちゃんとこっちの耳にゃ、届いてるんですからね。
 なんでもたったふたりで、敵さんのATを十数機も吹っ飛ばしてきたそうじゃないですか。
 まあ、旦那方が凄腕のボトムズ乗りだってのは、薄々気づいちゃいましたがね」

 「なんだ、その事か。ありゃ、敵の傭兵達が勝手に自滅したんだよ。
 奴さん達は、どうやらATライフルの扱い方がわからなかったようでな。何度もトリガーを引いたんだが、弾がでなかったんだ。
 それであいつら、何で弾がでないのか不思議がって銃口を覗いたのさ。
 その時、たまたまライフルが火を吹いてな。それで奴さんたちの頭が、半分ほど無くなっちまったってわけだ」

 「そりゃまた、随分と間抜けな傭兵もいたもんだ」
 「全くだ」
 バーテンがグラスを拭き、コブラがグラスを掲げ、ふたりはさもおかしそうに笑いあった。

 ふたりが与太話を飛ばしていると、バーのドアが勢い良く開いた。それは眼も覚めるような美女だった。
 水気をたっぷりと吸ったメロンのようなグラマラスなバスト、
 光沢のある黒いTバックに、包まれた悩ましげに突き出たヒップにキュッと引き締まったウエスト。

11 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:19:21.65 ID:n3CjMYIK0
 ファッションモデルのようなスタイルだ。

 腰から垂れ下がった弛んだガンベルトが、美女の白い尻の辺りで止まっていた。

 コブラの視線が女の相貌を射抜く──ジェーン──女は殺されたジェーンと瓜二つだった。張り詰めるコブラの鼓動。
 たわやかな金髪、コブラを魅了した大粒のエメラルドの瞳、全てがジェーンと同じだ。
 
 いいや、ジェーンは死んだ。そして、ドミニクもロイヤル三姉妹は、もうこの世にはいない。

 表情を硬直させたコブラを見て、勘違いしたバーテンが気付かれぬように忍び笑いをもらす。
 「ビールを一杯頂戴」
 ハスキーボイスだ。女にしては、やや低い声だった。
 「ちょっと待ってな」

 バーテンがビールサーバーから、ジョッキグラスにビールをなみなみと注いだ。
 泡立つビールが、グラスから少し溢れる。バーテンがジョッキをカウンターの端まで滑らせた。
 タイミング良く女がキャッチする。

 「景気はどうだい、ナチ?」
 「まあまあってとこね。そちらのお兄さんは?」

 ナチがコブラのほうを向いた。必死で笑いを堪え、バーテンがシンクに溜まった食器を洗う。
 いつものように陽気な笑みを浮かべ、コブラがナチにいった。

 「ただの二枚目さ」と。
 ナチが呆れかえった。それから楽しげに笑い出す。
 「おかしな人ね。自分から二枚目だなんて言い出すなんて」
 ナチがコブラの隣に座り、ビールを一口啜る。ビールの苦味と炭酸が、ナチの口腔内に広がった。

 「ナチっていったっけか。君はどんな仕事をしてるんだい。銃をぶら下げてる辺り、ただのショーガールにゃ見えないが」
 「何に見える?」

 「そうだなあ、女賞金稼ぎってとこかな?」
 自然とコブラの唇から、賞金稼ぎという言葉がこぼれる。かつてのジェーンもバウンティーハンターだった。
 ナチを一目見たとき、コブラの胸裏深くに沈んだジェーンやドミニクとの思い出が、浮かんでは消え去った。

12 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:21:38.93 ID:n3CjMYIK0
 「賞金稼ぎ兼ボトムズ乗りってとこかしら。この星にはお尋ね者も多いし、傭兵仕事も腐るほどあるから、稼ぐには持って来いよ」
 コブラがスツールの背にもたれかかり、ヒューっと口笛を吹いた。

 「女のボトムズ乗りかあ、渋いねえ」
 突然、バーテンの笑い声がカウンターに響いた。腹を抱えてひゃっひゃっひゃと笑い続ける。
 「おいおい、何がそんなにおかしいってんだ?」
 「ひっひっひ、おかしいもおかしくないも、ひっひ、そいつは男ですぜ、旦那ッ!」
 コブラが呆気に取られる。

 「驚いた。君は男だったのかい?」
 コブラが新しい葉巻を口に咥えた。マッチの頭を爪でこすり、ナチが火をつける。
 そのまま、コブラの葉巻に火を移した。
 「まあね」



 
 ストリートに立ち並んだ露店の行商人達が大声を上げ、客を呼び止める。

 行商人のひとりが、背中にイボを乗せた大きな牛蛙の足を引っつかみ、純粋な蛋白源はいらねえかっ、と威勢良く声を張り上げた。
 酒と女に浮かれ騒いだ傭兵達が行商人を冷やかす。ドラッグのキレたヤク中がショットガンをぶっ放す。
 
 
 毒々しくも色艶やかなネオン──その下を通る路上の人込みは絶える事を知らなかった。
 安物の香水/濃い化粧/泣き黒子/路地の一角に集う娼婦達。
 
 通行人に小銭をせびる老婆、路地裏にあるポリバケツの生ゴミを漁るホームレスと孤児。
 周りから声をかけられ続ける。キリコは気にもかけずに歩き続けた。
 
 たどり着いた「ハッシュ・ハッシュ・ハッシュ」のドアをくぐる。居た。コブラ、それと見知らぬ女がひとり。
 コブラがキリコに気付き、一杯どうだと誘った。
 
 皿に盛られたピーナッツのチップスを頬張り、コブラがウイスキーで流し込む。
 「あら、いい男じゃない」
 ナチが目ざとくキリコを見やる。キリコはナチを無視した。
 「何にしますか、兄さん」
 「酒はいらない。コーヒーをくれ」

 了解と応え、バーテンがコーヒーを沸かす。
 おーい、こっちにはバーボンをくれと、コブラが空になったグラスをかかげて酒を催促する。
 コーヒーが沸く間にバーテンがバーボンのボトルをコブラの目の前に置いた。

13 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:22:18.25 ID:n3CjMYIK0
 「ナチ、一杯どうだ?」
 「頂くわ」
 キリコが酒の相手をしないとわかると、コブラはナチを酒の相手に選んだ。コブラがナチを見て、溜息を漏らす。
 「はあ、しかし勿体ねえな。こんな美人だってのに、男とはね」
 「残念だったわね」
 
 ルージュ色に輝く薄い唇をグラスにつけ、ナチはバーボンを口に含んだ。

 

 
 アルディーンの首都──クルンテープ──意味は神の都だ。
 神の都──なんとも皮肉の利いた名前だ。ここでは誰もが死の恐怖に晒されている。
 男も女も老人も幼子も人はいつか死ぬ。問題なのは、その死に方だ。

 愛する者に見取られて死ぬか、それとも戦場の炎に巻かれて死ぬか。
 クルンテープではまともに[ピーーー]る者は少ない。それでもここの住民達は銃を手に取り、ATに乗り込んでは戦い続ける。
 
 酒場から西へ十二ブロック離れた地域を二人は歩いていた。アルディーンはどこもかしこも物騒だ。
 頭のイカレたならず者が、突発的に通行人を銃で撃つ。
 ホルスターに手をかけ、暗がりからこちらの様子を覗っているチンピラ──コブラがウインクを投げた。

 コブラに毒気を抜かれたチンピラが、暗がりへスゴスゴと退散する。
 
 どこの路上にも家を焼け出され、親を失ったストリートチルドレン達がいる。
 配線に止まるカラスのように、横に並んで物欲しそうにこちらを見ている。

 コブラがポケットを探り、小銭を掴むとストリートチルドレン達に向かって放り投げた。
 ばらまかれたギルダン硬貨に孤児達がわっと群がる。

 「そういえば、キリコ、バトリングって知ってるか?」
 「ああ、知ってはいるが、それがどうしたんだ」

 「バーテンから聞いたんだが、ここで行われる闇バトルってのは、えらく儲かるらしいな」
 「出場する気か?」
 「いいや、ただ、ちょっとばかし金庫に興味があるだけだ。闇バトルの賭け金が詰まったな。何も盗もうってわけじゃないぜ。少しの間、借りておくだけさ」

 「やめておけ」
 素っ気無いキリコの態度にコブラは小さく頭を振ると、両手で後頭部を揉んだ。
 「ああ、どっかに儲け話は転がってないもんかね。こう、どかっと大金が転がり込んでくるような」
 「そんなに金が欲しいなら、バトリングに出て、自分に金を賭けるといい」
 「ふーん、そいつも結構悪くないな」

 こいつは名案だとコブラが手を叩く。隣では、錆びた給水塔からこぼれた水を野良犬がぴちゃぴちゃと舐めていた。


14 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:23:07.31 ID:n3CjMYIK0
 特大スクリーンの向こう側では、顔面にアームパンチを叩き込まれたスタンディングトータスが、派手に転倒した。

 変形したコックピットのハッチから、夥しい血が溢れ出す。スタンディングトータスに乗っていた奴は間違いなく即死だろう。

 「くそっ、くそっ、くそったれっ、これで有り金全部スっちまったっ」
 汗ばむ掌のチケットを握り潰し、冴えない顔色をした中年の男が悔しそうに地団太を踏む。

 僅かに残っていた気力も萎えていった。乾いた唇から青い吐息を吐き、男が力なく肩を落とす。
 「おい、おい、どうしたんだい、とっつぁんよ。辛気くせえ顔してよ」
 
 後ろから声をかけられ、ムッと不貞腐れた顔を浮かべ、男が振り返る。
 「どうしたもこうしたもあるかッ。大穴狙いで新米のボトムズ乗りに金を賭けたらよ、たったの一分で全財産が水の泡さっ」
 葉巻をくゆらせ、コブラが肩をすくませて答えた。
 「そいつはご愁傷様だな、まあ、元気出せよ。その内良い事もあるさ」

 「そうだといいんだがな」
 「なんなら、とっつぁんよ。次の勝負は俺に賭けてみな。たっぷりと儲けさせてやるぜ」
 中年男が胡散臭げにコブラをじろじろと眺めた。

 「お前さんがだって?」
 「ああ、そうさ」
 男がコブラの身体つきに気付く。

 なるほど、肩幅は広く、がっしりとした筋肉に覆われた身体は素人から見ても鍛え抜かれているのがわかる。
 厳しい戦場を渡り歩く歴戦のワイルドギース──大方そんな所だろうと中年男が検討をつけた。

 「いいだろう。お前さんの言葉を信じよう。次の試合はお前さんに賭けるとするよ。だがな、ここで一つ問題があるんだ」

 中年男が声を潜めて、コブラの耳元に呟く。
 「問題だって、何の問題だ?」
 「オアシの問題さ。なんせ有り金全部突っ込んだせいで、一ギルダンも持ち合わせがないんだ。
 これじゃあ、賭けたくったって賭けられねえ」

 中年男の話に耳を傾けていたコブラが、なるほどねと、カールされた金髪をぽりぽり掻いた。

 「いいだろう。俺がとっつぁんに少しばかり貸してやろう」
 コブラの申し出に中年男がいやらしく、相好を崩す。
 「へへ、すまねえな」

15 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:23:37.17 ID:n3CjMYIK0
 ハンモックから身を起こし、キリコは揺りかごで眠る赤ん坊を見た。ハンモックから降りる。
 それから赤子を起こさぬように、キリコは椅子にかかった耐圧服を静かに着た。

 埃で汚れた窓から、黄金色に輝く太陽の陽射しがまばゆいている。キリコは軽い眩暈を覚えた。
 安普請な作りの宿屋の階段をおりて、食堂にいく。

 キリコより一足先に、食堂のテーブルに座っていたコブラが、野菜と合成肉を挟んだサンドイッチを頬張っていた。
 温くなったコーヒーを一息に飲み干すと、コブラがコーヒーのお替わりを頼む。
 キリコはコブラと同じメニューを頼んだ。

 「おはよう、コブラ。今日も調子が良さそうだな」
 「ああ、絶好調さ。なんせ、朝起きて鏡を覗くたびに、この顔に益々磨きがかかってるんだからな。 
 いや、ハンサムになっていくのも大変だぜ。もてない男どもが嫉妬するからな」

 ウェイターが、ペッパータオルで包んだサンドイッチをコーヒーを一緒に運んできた。
 「昨日の夜はバトリング会場で、随分と派手に暴れたようだな」
 「ありゃ、俺が暴れたんじゃない。俺の乗ったスコープドッグが勝手に暴れたのさ」

 コブラが減らず口を叩きながら、葉巻に火をつけて、食後の一服を楽しむ。
 キリコはサンドイッチを一口齧った。
 齧った合成肉の味は、香辛料と調味料が利きすぎて、やけに塩辛かった。



16 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:24:12.73 ID:n3CjMYIK0
 赤い酸の雨が降り注いだあとの街中は、いつも嫌みったらしく空気がじめついている。
 クエント人の大男が、雨上がりの路地をノシノシと歩いていた。
 「ル・シャッコ、あんたの古い知り合いってのは、ここら辺の近くにいるのか」
 「そうだ」
 シャッコが、隣にいる男の問いかけに簡潔に答えた。クエント人は総じて寡黙である。
 「伝説の男、キリコか……」
 立ち止まった男にシャッコが急かす。
 「急ぐぞ、メロウリンク」
 ふたりはキリコとコブラの逗留する宿屋へと向かった。
 

 
 絶望的な痛みが脳神経を貫いた。
 血に染まった衣類、焼け爛れた顔を浮かべ、亡者達の群れがゆっくりと、サラマンダーの目の前を通り過ぎていく。

 サラマンダーは震えた。かつて己が殺した民間人達の怨念に。幻覚だ。いつもの幻覚だ。
 頭の中ではわかっているつもりだった。だが、慣れる事ができずにいる。混濁する意識。

 ポケットからドラッグケースを引っ張り出し、口に放り込んだ錠剤を奥歯でガリガリと噛み砕いた。
 消えろっ、俺の前から消えうせろっ、このくそったれた亡者どもめっっ!!

 サラマンダーは心の中で罵りながら、ドラッグを嚥下した。
 急激に冷えていくサラマンダーの脳細胞──いつのまにか、亡者達が消えていた。

 「また、いつもの幻覚にうなされたようだな、カン・ユー」
 「俺をその名で呼ぶな。今の俺はサラマンダーだ」
 「ふふ、そうだったな」

17 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:26:59.28 ID:n3CjMYIK0
 なめした黒革のソファーに深く身体を預け、影法師がブランデーグラスを掌で暖める。異様な風体だ。
 黒ずくめの外套を頭から被せて、全身を隠している。
 
 影法師がもう一つのグラスに琥珀色の液体をなみなみと注ぐと、カン・ユーに手渡す。
 グラスを黙って受け取ると、カン・ユーがブランデーを胃の臓腑に流し込んだ。
 「そんな酒の飲み方をしていると、いつか身体を壊すぞ」
 「放っておけ」

 「何をそんなに荒れているんだ」
 眉間に皺を寄せ、カン・ユーが口惜しそうに吐き捨てる。
 「キリコを殺りそこなった。邪魔が入ったせいでな」
 「ほう、邪魔が入ったのか」

 「ああ、そうだ。左腕に銃をつけた男にな」
 影法師がカン・ユーの言葉に反応した。突然、ソファーから身を乗り出すように立ち上がる。
 「左腕に銃だと……そうか、奴は生きていたのか……」

 影法師がフードを脱いだ。現れたのは黄金で作られた精巧なマネキンの顔だ。影法師は人間ではなかった。サイボーグだった。

 クリスタルボーイの神経回路から呼び起こされる記憶の数々──感情の起伏を表さぬはずのクリスタルボーイのマスクが、
 カン・ユーの眼には微かに歪んだように見えた。

 電子声帯を震わせ、クリスタルボーイが高笑いをあげた。乾いた笑い声が室内に冷たく響く。
 
 「準備をしろ、サラマンダー。キリコとコブラを仕留めに行くぞ」

18 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:27:47.19 ID:n3CjMYIK0
 激しい熱気がバトリングドームを包んだ。絶叫、怒号、声援、あらゆる叫びがドーム内で反響した。
 観客達のギラつく視線が、頭上に高々と上がったパネルの文字にに絡みつく。
 「負けるなっ、コブラッ」

 「やっちまえっ、ガーランドッ!」
 誰もが血に飢えていた。日頃の鬱憤を晴らす為に、観客の誰もが血を求めていた。

 改造したダイビングビートルのハッチを閉め、ガーランドは客の待つドームへと飛び込んだ。
 ざわめく観客達が次々に声援をあげる。続いて、向こう側からもスコープドッグが飛び出してきた。
 一晩で破竹の十連勝を遂げた新人のコブラ、対するはバトリングチャンピオンのガーランドだ。

 否が応にも期待は高まる。押し寄せた観客でごった返す会場は人、人、人の人だかりで埋め尽くされた。
 ガーランドが舌打ちをする。バトリングの王者は俺のはずだ。なのに声援の数は奴のほうが多い。
 二階から身を乗り出したナチが、コブラに投げキッスをした。

 面白くねえとガーランドが、コブラの乗った機体を睨みつける。

 あのニヤついた顔も二枚目気取りの態度も何もかもが胸糞悪い。

 ガーランドはバトル開始の合図とともに、コブラ目掛けてありったけのミサイルポットをぶっ放した。
 「おっとっと」
 脚部のグライディングホイールを素早く回転させ、コブラが横に逃れた。

 獲物を見失ったミサイルがむなしく空を飛び、壁に激突して爆発する。爆風に何人かの客達が巻き添えを食らった。
 それでも観客達は驚くような素振りもみせず、逆にヒートするように声を張り上げた。

 「くそっ」
 ガーランドが毒づきながら旋回しつつ、コブラにミッドマシンガンの弾をばら撒く。
 「おい、どうした、でくの坊。さっぱり当たらんぞ」

 ガーランドは焦った。いくら撃っても弾が当たらないのだ。何発かの弾がスコープドッグにかすり、火花を散らしただけだった。

 そうしていている内にスコープドッグが、お返しとばかりにこちらに向かってマシンガンの雨を降らせてくる。
 ダイビングビートルの前腕部が、マシンガンもろとも空中に舞い上がった。誰の眼にも勝負は決まっていた。
  
 その鮮やかな手並みに観客達が姦しい嬌声をあげた。
 「どうした、まだやるか?」
 「ううっ」
 ガーランドが呻いた。その刹那、ガーランドの乗っていたダイビングビートルをロケットランチャーが吹き飛ばした。
 
 唖然とする観客達──それを尻目に深紅の機体が、会場の選手ゲートから悠々と姿を現す。
 「ありゃ、サラマンダーだぜ……」
 客のひとりが呟きを漏らした。
 「あいつがサラマンダーか……飛び入り参加ってこたあは、ひょっとして……」
 死んだように静まり返っていたバトリング会場が、突如として息を吹き返すように唸りあげた。
19 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:28:31.99 ID:n3CjMYIK0
 「コブラに三千ギルダンだっ!」
 「サラマンダーに五千ギルダンっ!」
 「こっちはコブラに八千ギルダンだっ!」
 「俺はサラマンダーに全財産賭けるぞっ!」
 「それなら俺もコブラに全財産賭けてやるぜっ!」

 観客達とは対照的に、コブラは落ち着いていた。サラマンダーを前に微動だにせず、葉巻を咥える。
 ──驚いたな。あの時の奴か。
 サラマンダーがコブラの問いかけに返した。
 ──何故、海賊の貴様がボトムズ乗りなどしてるんだ。
 ──ほう、驚いた。俺を知ってる奴がいたとはな。

 ──貴様の事はクリスタルボーイから聞いた。宇宙最高の賞金首、海賊コブラっ、それが貴様の正体だっ!
 カン・ユーの言葉に、コブラが驚愕の表情を浮かべる。
 ──クリスタルボーイだってっ?!、奴がここにいるのかッッ
 ──ああ、そうだ。今頃はお前の相棒のキリコと遊んでいるはずだ。
 ──くそっ、キリコっっ!

 コブラの乗ったスコープドッグが、猛烈な勢いでゲートまで戻ろうとする。
 ──コブラッ、貴様の相手はこの俺だぁッッ!
 カン・ユーがロケットランチャーのトリガーを引いた。



 
 三人の男達が待合室にいた。シャッコに座られたスチール製の椅子が、ギイッと重苦しい悲鳴をあげた。
 「シャッコ、お前も惑星アルディーンに来ていたのか」

 「赤ん坊の事も、お前の事も気になった。お前の泊まっている宿の親父に聞いたら、ここにいると言われた」
 待合室に壁に背中をもたれかけながら、メロウリンク・アリティーがふたりを遠巻きに眺める。
 「そうだ、キリコ、紹介しよう。途中で知り合ったメロウリンクだ」

 メロウリンクが壁から身を起こす。
 「メロウリンク・アリティーだ。第十八メルキア方面軍プランバンドール機甲大隊シュエップスにいた」
 「キリコ・キュービィーだ」
 ふたりは簡潔に自己紹介の言葉を交わした。音もなく、待合室のドアを黒いフードを被った影法師が通った。
 「キリコ・キュービィーか」
 
 ドアの前で佇む影法師がキリコに問いかける。一切の感情を排した底冷えするような無機質な声だ。
 影法師の周りの空気だけが違う。異様であり、異質だった。
 シャッコとメロウリンクが身構える。

 無言のキリコ──影法師が跳躍し、キリコに躍り掛かった。
 風を切り裂く鋭い音──タイルに転がり、キリコは寸前でかわした。
 金色の鋭い鉤爪が三人の瞳に映る。影法師が外套を脱ぎ捨てた。

 黄金色の超合金でできた骨格を包み込むライブクリスタルの身体──クリスタルボーイの特殊偏光ガラスが光に反射した。
 「新たなネクスタントか」
 「冥土の土産に教えておいてやろう。俺の名はクリスタルボーイ、海賊ギルドの殺し屋だ」



20 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:29:19.86 ID:n3CjMYIK0
 カン・ユーは動く標的を見極めようと目を凝らした。コブラがカン・ユーを巧みに掻き乱す。
 鼓膜を打つ甲高い衝撃音──カン・ユーの右頬を粘つく血が伝った。こめかみに浮かぶ血管が脈動した。

 体内で過剰に分泌されるアドレナリン──沸騰する血液。カン・ユーの身体が火照った。熱い。なんて熱さだ。
 
 身体が疼いた。その癖、頭だけが妙にはっきりと冴えきっている。舞い上がった砂塵が二人の機体を飲み込んだ。
 観客達が、砂煙の向こうで繰り広げられる戦いに固唾を呑む。
 スモッグの中で、狂ったように飛び交う弾丸の嵐──これでは埒が明かないと、カン・ユーはマシンガンのトリガーから指を離した。

 視界を奪う砂塵が口惜しい。カン・ユーは背後に注意しながら、見えなくなったコブラの姿を探した。
 意識を集中させる。一瞬、横からスコープドッグの気配を感じた。素早く半回転し、カン・ユーがトリガーを引く。

 耳をつんざくようなスコープドッグの悲鳴──激しい銃弾が火花を散らし、鉄の装甲を食い破った。
 ──やったかっ!?
 カン・ユーがスクラップと化したスコープドッグにターレットレンズを向ける。

 レンズを拡大し、スコープドッグの残骸を見回すが、コブラの死体はどこにも見当たらなかった。
 ──奴め、どこに消えおった。
 「ここさ」
 カン・ユーはカッと眼を見開いた。おぼろげな人影──砂塵に乾いた銃声とまばゆい光線が交錯する。

 サイコガンがカン・ユーの眉間を穿った。

 操縦者を失った機体が停止する。操縦席に前のめりになり、カン・ユーは虚空を見つめたまま絶命した。

 「俺のサイコガンは気配だけで相手を射抜くのさ」

21 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:29:50.56 ID:n3CjMYIK0
 キリコの放ったバハウザーの銃弾をかわし、クリスタルボーイは獲物へと迫った。クリスタルボーイに飛び掛るル・シャッコ。
 「邪魔をするな」
 クリスタルボーイが右腕を振り払うように薙いだ。シャッコの巨体が壁に激突する。激しい衝撃にシャッコは昏倒した。

 「シャッコッ」
 「馬鹿め、どこを見ている」
 クリスタルボーイがキリコに向かって鉤爪を発射した。鋭い鉤爪が怪鳥の如くキリコの首筋に飛来する。

 床に転がり、鉤爪をかわすと腹ばいになった状態でキリコはバハウザーを構えた。バハウザーのマズルが火を噴く。
 クリスタルボーイの膝に亀裂が走った。
 クリスタルボーイの動きが止まった瞬間、そのチャンスを狙い、メロウリンクがクリスタルボーイの脇腹にATライフルを撃ち込んだ。

 炸裂する弾丸、クリスタルボーイの脇腹を貫通するライフル弾。硝煙がメロウリンクの鼻先を掠めた。
 
 被弾した箇所を押さえ、思わぬ伏兵にボーイが苦笑する。
 「この俺としたことが、ついつい油断していたな」
 その時、けたたましい音を上げ、待合室のドアが吹き飛んだ。変形したドアが、壁にぶつかる衝突音にシャッコが眼を覚ます。

 「久しぶりだな、クリスタルボーイ」
 待合室に躍り出たコブラが、クリスタルボーイにサイコガンを向けた。
 「貴様がここにいるということは、サラマンダーは死んだか」

 「安心しろ、お前もすぐに後を追う事になるさ」
 「貴様ら四人を相手にするのは、少々分が悪い。ここは引かせてもらうぞ」

 クリスタルボーイが瞬時にして煙幕に包まれた。
 「させるかよっ!」
 コブラがサイコガンを乱射する。だが、クリスタルボーイの姿はすでにそこにはなかった。
 
22 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:30:16.21 ID:n3CjMYIK0
 酔漢やホステスでごった返す路地を通り抜け、ごみごみした雑居ビルとケバケバしいピンクのネオンに囲まれた酒場<カサブランカ>に四人が入った。
 タバコの煙と安物の香水の匂いが充満する店内──端にある一番奥まったテーブル席に四人は座った。
 「コブラ、あの化け物は一体何者だ」

 最初に口を開いたのは、ル・シャッコだった。
 
 「あいつはクリスタルボーイ、海賊ギルドの最高幹部で冷酷な殺し屋でもある。そして俺から左腕を奪った男さ」
 コブラが左腕を撫でてみせる。そして、もっともと前置きをおくと最後に台詞を付け加えた。

 「あいつから生身の身体を奪ったのは、この俺だがな」
 葉巻を唇に差し、コブラが指を鳴らしてホステスに四人分のビールを頼む。

 キリコとメロウリンクは沈黙したままだった。
 脇を通りかかったホステスのヒップを目で追いながら、コブラが鼻の下を伸ばす。
 頬をだらしなく弛緩させるコブラの横顔に、メロウリンクは怪訝そうな表情を浮かべた。
 
 つい先ほどまで敵と命のやりとりをしていた男とは到底考えられなかった。
 メロウリングが今まであったどのような人物にも、コブラのようなタイプはいなかったからだ。
 メロウリンクはある種の苛立ちを覚えた。コブラに尻を撫でられたホステスが、艶めかしい嬌声をあげる。

 眉間に皺を作るメロウリンク、ホステスを口説くコブラ──そんなふたりを見て、キリコが薄笑いを唇に浮かべた。
 いつもの事だからだ。

 シャッコが表情を変えずに、ホステスから受け取ったビールに口をつける。
 「なあ、いいだろう。一晩だけさ」
 「うーん、どうしよっかな」
 ホステスがざっくりと開いた胸元のドレスをうねうねと揺らした。コブラの視線が胸元に釘付けになる。

 「何にもしないって、ベッドの上以外じゃな。それにしても可愛いオッパイだこと」
 「ふふ、ありがとう」
 「こっちはどうなってんのかね」

 丈の短いタイトスカートに手を忍ばせ、コブラがホステスの太股を触れるか触れないかの指使いでソフトに撫でる。
 「あん、どこ触ってるのよ」
 ホステスが、スカートに入ったコブラの手の甲をぎゅっと抓った。

 「おお、いてて、酷いなあ、君もその気だったんじゃないのか?」
 わざと痛がるような素振りをしながら、抓られて赤くなった部分にコブラがふうふうと息を吹きかける。

 「まあね、お触りも凄く上手だし、他の男達と違って、あなたって垢抜けてる感じね。でも、今はお仕事中だから駄目よ。だから……」
 ホステスがマッチにペンを走らせ、コブラの掌に握らせる。

23 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:31:23.93 ID:n3CjMYIK0
 「仕事が上がったら逢いましょう。そこに名前と連絡先を書いておいたから」
 「お、いいね。それじゃあ、店が終わったら、ふたりでどっか感じのいい場所にでもいこうか」
 「期待してるわ」

 コブラの頬にキスマークをつけると、ホステスが四人のテーブルから去っていく。
 ホステスの後姿を拝みながら、コブラが二ヒヒと笑った。

 メロウリンクの突き刺さるような視線に晒されながら、それでもコブラは意に関さずと言わんばかりに受け取ったマッチを指で弄ぶ。
 キリコとシャッコは、ただコブラにあきれ返っている様子だった。
 「ん、どうしたんだ、三人とも?」

 あきれた顔のふたりと、怒ったような顔をしたひとりにコブラが不思議そうに聞く。
 「別に」
 コブラの態度に業を煮やしたメロウリンクが舌打ちする。

 「おいおい、人生は一度切りなんだぜ。せいぜい楽しまないと勿体無いぞ」
 口笛を吹き、コブラが三人に向かって笑い飛ばした。
 メロウリンクにはコブラのおどけた道化師じみた真似は理解することはできない。

 だが、リラックスしながらも、いつでもマグナムパイソンを引き抜けるように、つねに手元に空けている用心深さだけは理解できた。

 低く落とした店内の照明が、明かりを増しながらホールの中央を映す。ナチが姿を見せた。
 「お、ありゃ、ナチじゃないか。こんなとこであいつ何してんだ」
 裾に深い切れ込みの入った白いチャイナドレスを揺らし、太腿の素肌を客に拝ませながら細い指でマイクを握る。
 黒服の男がピアノの鍵盤に指を走らせた。ナチが歌いだす。
 

24 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:32:07.37 ID:n3CjMYIK0
 もっと搾り出してくれよとあんたがあたしにいうの

 あんたからレモンの果汁を搾り出して、それからソーセージをあたしのパンに挟んだ

 鍋のスープがことこと煮えてるわ 痩せた女の鶏がらスープね

 二メートルも飛んだヒキガエルが空を見上げていうの

 俺にも羽があったらなあって 羽があっても愛の欠片は見つからない

 男って無い物ねだりするものね いつか見つかるといいわね

 古びたジャズはいかが それともブルースがお好きかしら

 夕焼けに向かってディガじいさんが死んだ女房を恋しがってる
 
 

 四人は一言も喋らず、ナチの歌声に耳を澄ませた。清澄な歌声が、カサブランカにいつまでも流れていく。
 酒場の忙しない喧騒と傭兵達の消えた夢と欲望を乗せて、歌はどこまでも続いていく。

 ただ、葉巻の煙だけが静かにたゆたっていた。

 
 
 
 イプシロンは混乱した。赤い水たまりに浮かぶ己の姿に。何も思い出すことができない。
 記憶が頭からごっそりと抜け落ちている。俺は誰だ、誰なんだ。漆黒の装甲が蠢いた。脳内に鈍痛が走る。
 イプシロンは顔に触った。硬質な金属の肌触りが伝わる。

 今のイプシロンの肉体は生身ではなく、金属だった。身体も以前よりもずっと大きくなっていた。

 二の腕は子供の胴回りほどはあるだろう。身長も身体の厚みも全てが記憶と違う。
 おぼろげに残った記憶を辿り、ある結論に達するとイプシロンは大声で叫んだ。これは俺の身体なんかじゃないっ!
 イプシロンの叫びを人々の雑音がかき消す。イプシロンは自分が何故、薄暗い路地にいるのかも、わからなかった。
 
 打ち捨てられたローブを拾い、身体に被せる。イプシロンは考えるのをやめた。
 いくら自問した所で答えは見つからないからだ。路地裏の奥深くへと進んでいるうちに袋小路に当たる。
 
 袋小路には先客が居た。ストリートチルドレン達だ。
 自分達の寝床に現れた闖入者に一瞬たじろぐが、相手が何もしてこない所を見て落ち着きを取り戻す。

 (どうにでもなれだ)
 袋小路の片隅に座り、イプシロンは瞼を閉じた。


25 :S・エルロイ :2012/06/30(土) 22:34:10.74 ID:n3CjMYIK0
投下終了
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/06/30(土) 22:56:24.15 ID:WvvWuWOAO


なんというか……濃いな
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/06/30(土) 22:58:09.04 ID:Zef+TgRSo

コブラとか俺得
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [saga sage]:2012/06/30(土) 23:00:39.96 ID:F73T1KXz0
これはなんと渋いSS
続きを楽しみにしてます!
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/06/30(土) 23:44:38.56 ID:Kuc4UhwQo
これはむせる
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/06/30(土) 23:51:33.53 ID:sKdTfUQYo
どうしよう。ゾクゾクする。
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/07/01(日) 01:23:55.46 ID:GW/cFI5SO

どっちの雰囲気も出てて良い意味でSSっぽくないSSだ、期待!
あとメール欄にsaga(≠sage)と入力すると"殺す"とか"死ね"が規制外れるよ
32 :S・エルロイ :2012/07/01(日) 05:51:05.49 ID:FiCMgbbE0
>31

どうもありがと。ちなみにコブラ単体バージョンもあるよ。
33 :S・エルロイ [saga(≠sage)]:2012/07/01(日) 05:57:19.57 ID:FiCMgbbE0
 荒れ狂う強風と地面を強く叩いていた豪雨が通り過ぎると、春先だって言うのに酷く底冷えしてきてたまらなかったよ。
 そんなわけで俺は行きつけのバーに飛び込むと、マスターからタオルを受け取って雨で濡れた髪を拭った。
 それからウイスキーを一杯注文して、酒で身体を温めたんだ。マスターがツマミによこしたビーフジャーキーを齧りながらな。
 店内は小さな作りで、ボックス席が二つとそれから一枚板のカウンターの下にスツールが六つばかり置いてあるだけだった。
 シンプルなバーだ。客の入りもまばらで静かだった。聞こえてくるのは音量を低くしたロバート・ジョンスンのブルースだけだ。
 グラスに入った丸い氷を揺らし、俺は酒を半分ほど胃袋に流し込んだ。もの哀しいブルースのリズムが俺の耳を聾する。
 俺が葉巻を咥えると、マスターがそっとマッチの火を差し出してきた。礼を言いながら、俺は火をつけた葉巻をゆっくりと吹かした。
 俺はこの店が好きだ。
 マスターは口数の少ない男で、神経質そうにいつもグラスを磨いているだけだったが、マティーニを作る腕は超一流だ。
 俺はマスターのマティーニに惚れたのさ。ウイスキーを飲み終えるとマティーニを頼んだ。
 味わうようにゆっくりとマティーニを楽しんでから、俺はマスターに声をかけた。
 「マスター、勘定を頼む」
 スツールから腰を上げ、カウンターの上に金を置くと俺はバーを出た。短くなった葉巻を唇から飛ばし、口笛を吹く。
 俺は自分が誰であるのかを知らない。正確には覚えていない。一ヶ月以上から前の記憶がすっぽりと頭から抜け落ちている。
 右手に握られていた、やけにしっくりと掌に馴染むパイソン七七マグナムだけが、俺自身に残された唯一の手がかりだ。
 俺は安アパートの自室に戻った。ハンモックに身体を横たえると俺は瞼を閉じた。眠りはすぐに訪れた。
 それから数時間ほど経ち、目も覚めるような美女との夢での逢瀬を打ち切り、俺は暗闇の中で目を覚ました。静かに淀んだ空気。
 揺れるハンモックから降り、俺は眠気覚ましに葉巻を一本咥えて火をつけた。
 カプチーノ色をしたモンテクリストの先端がじんわりと赤く燃える。
 ニコチンの苦味/燻る甘いスモーク/覚醒する脳内。身支度を済ませてアパートを出る。
 金を稼がなくちゃならない。


34 :S・エルロイ [saga(≠sage)]:2012/07/01(日) 05:57:50.92 ID:FiCMgbbE0
 相手の顎に右フックを叩き込む。いつもと同じだ。それでお終い。血反吐を吐きながらゴリラが床の上にぶっ倒れた。
 試合をさっさと終わらせて、ラスのいるテーブルに近づく。
 ラスは青白い顔をした撫で肩で、背の高い痩せた体つきをしている三十絡みのギャングだ。
 剃刀で刻んだコカインを鼻腔から吸い上げ、鼻の下を白くしたラスが俺に向かって紙幣を投げてよこした。
 俺はファイトマネーを受け取ると無造作にポケットに突っ込んだ。ラスが口を開く。
 「なあ、ジョー。俺の店でバウンサー(用心棒)をする気はないか。お前みたいに骨のある奴が欲しいんだ。
  最近の連中はどいつもこいつも使えねえ奴らばかりでな」
 「残念だが、そんな柄じゃない」
 舌打ちするラス。どうやら嫌われたらしい。
 俺はラスが嫌いだ。こいつは信用できない。俺の知る限りじゃ、ラスに泣かされている人間は多い。
 ジャンキーのラス、ろくでなしのクソヤロー……こいつに何人もの女達が骨の髄までしゃぶり抜かれている。
 ラスの稼ぎはドラッグの売買と立ちんぼ達のアガリ、それから賭け試合の寺銭だ。
 ラスはここら一帯の売春宿とポーカー屋、そして高利貸しどもを仕切っている。
 チンピラどもの元締めのラス──俺にとって、ラスは目障りな奴でしかない。
 そしてラスにとっても、ファイトクラブで勝ち続ける俺は目の上のタンコブにしか見えないだろう。
 午前三時──俺はファイトクラブを出て、途中でタクシーを拾った。
 ローザのアパートへとタクシーを走らせる。目的地につくと運転手に金を渡してタクシーを降りた。
 階段をのぼっていき、廊下を歩いていくと、俺はローザの部屋の前で足を止めた。
 鍵穴に鍵を差し込んで捻る。ノブに手をかけ、ドアを開ける。部屋は暗く、何も見えなかった。
 俺は明かりのスイッチを探り当て、ボタンを押した。
 赤いカーペットの上には彼女が──ローザが横たわっていた。俺は彼女の前に屈んだ。
 眼窩から眼球を抉り取られ、空洞になった両眼にコインが一枚ずつ置かれている。
 特徴的な殺しだった。こいつはラス子飼いの殺し屋の手口だ。
 ローザ/娼婦/気の良い女/彼女の尻とハートは人一倍でかかった。俺は彼女のくすんだ銀髪を撫でつけた。
 お休み、ローザ──仇は俺が討ってやる。俺は静かに立ち去った。ラスの奴に落とし前をつけなくちゃならない。
 殺意が闇を満たす。ローザは殺された。ラスにアガリを支払うのを拒んだせいだ。
 そういう意味ではローザは馬鹿な女だったかもしれない。
35 :S・エルロイ [saga(≠sage)]:2012/07/01(日) 05:58:17.10 ID:FiCMgbbE0
 ラスのような男にとって、アガリを支払わない娼婦をひとりでも放っておくのは死活問題だ。
 周りに示しがつかなくなる。ギャングは舐められたらお終いだ。ラスの後釜を狙う連中はうようよいる。
 ラスは組織のボスから見れば、ただのチンピラだ。だが、ただのチンピラから見ればラスはボスだ。
 上等なコカインを好きなだけ吸って、高級車を便所スリッパのように乗り回し、良い女達を傍らにはべらせるラス……
 金の無いチンピラ連中にとってみれば、それは王様の暮らしぶりだ。
 ラスを消して自分が王になろうとする者、あるいはラスの縄張りを奪いたい奴──そんな連中が虎視眈々と狙っている。
 だからこそラスはつねに目を光らせ、そういう傲慢な考えを持った連中を徹底的に叩き潰した。
 金と地位を奪われない為にもだ。俺だってする。誰だってそうする。ちょっと隙を見せれば、奴らは付け上がってくるだろうからな。
 そしてラスに金を払わなかったローザは奴の顔を潰したってことだ。
 女にしゃぶらせるのが好きなラスは、だけど女から舐められるのは許せなかったんだろうよ。
 だからラスは彼女に金の代わりに命を払わせた。よくある話だ。
 そして俺が今から、ラスを撃ち殺すにいくってのも、これまたよくある話だ。

 
 タクシーに乗った。運転手にチップを払い、飛ばさせた。ファイトクラブの前で降りた。
 鋼板張りのドアを蹴破り、店内へと躍り出る。
 〇・一秒=目の前に突っ立っていたバウンサーの顎を叩き割る。
 〇・三秒=引き金を引いてラスの手下を三人同時に撃ち殺した。
 〇・四秒=残った弾丸をありったけラスの身体に叩き込む。
 この腐った街からさっさと逃げ出せ──俺の頭の中で誰かが呟いた。硝煙と鮮血の匂い。
 この腐った街からさっさと逃げ出せ──再び、俺の頭の中で誰かが呟いた。
 通りでは麻薬中毒者がたむろし、スローで通りかかる車に向かってジャンキーと売春婦が買っていかないと声をかけている。
 


36 :S・エルロイ [saga(≠sage)]:2012/07/01(日) 05:58:46.64 ID:FiCMgbbE0
こんな感じ
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(青森県) [sage]:2012/07/01(日) 06:57:06.25 ID:Re3C+/bf0
理想郷から移ったの?
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/07/01(日) 13:54:33.25 ID:XeCwTbgF0
ブラックソード・イプシロンが読めると聞いて
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/01(日) 13:57:05.74 ID:SbunEKV4o
スレタイ見てVIPでやれと思ったら神SSだった
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/02(月) 11:00:15.29 ID:MI2K0axIO
死体と金と憎しみの糞溜め、ここは惑星アルディーン
男は紫煙を漂わせ、男は硝煙の匂いが纏わりつく
ある者は過去に怯え、またある者は過去に立ち向かう
女の形をした怨念が街の光に鈍く輝く
宝石達が砕ける時魅せる光は何なのか?
次回「夢せる」、過去の栄光も破滅も死体になれば皆同じ。
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/02(月) 22:39:11.08 ID:J8Z6I/l/o
超期待
42 :S・エルロイ [saga(≠sage)]:2012/07/03(火) 00:33:58.54 ID:5rYqMdO90
 クルンテープの南にあるスラムの酒場──チンピラとゴロツキども御用達の店。
 ディザルボが石のように硬そうな顎を動かし、力強く咥えたタバコのフィルターを噛み千切った。
 二つに切れたフィルターを唾とともに吐き出す。
 ディザルボは羅紗の敷かれた台に屈み、剛毛が密集した太い親指と中指でしっかりとキューを握ると白いボールをついた。
 ナンバー入りのボールがいくつかポケットへと転がり落ちていく。
 「それでダンの奴を殺ったのはどこのどいつなんだ?」
  ディザルボに聞かれ、モヒカン刈りの男が首の後ろを撫でながら言う。
 「そいつなんですがね、ディザルボさん。皆目検討がつかねえんですよ。
  ダンの野郎、昨日の夜にいつものストリートチルドレン狩りに出かけていったんですがね、
  それでまあ今朝になっても帰ってこねえから」
 キューの先端にチョークをつけていたディザルボがモヒカンの代わりに答えてやる。
 「お前が路地裏に様子を見に行ったら、転がってたのは浮浪児どもじゃなくて、仏になったダンだったんだろう」
  モヒカンが首を縦に振る。
 「大まかにいやあ、そういうことです」
 「ダンは俺達のファミリーの一員だぜ。仇を取ってやらにゃあなるめえよ」
 シルバーのシガレットケースを開けると中からタバコを取り出し、ディザルボが新しく咥える。
 モヒカンが火をつけたジッポーライターをタバコの手前に差し出した。
 「ダンの首には五千ギルダンの賞金がかかってやした。ディザルボさん、
  もしかしたらダンを始末したのはバウンティーハンターかもしれませんや」
 狼めいた灰色の瞳をモヒカンに向けて、ディザルボが煙を吐き出しながら言う。
 「それならここらの賞金稼ぎどもを洗い出せ」

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43 :S・エルロイ :2012/07/03(火) 00:34:57.81 ID:5rYqMdO90
 湿気と埃を含んだ黴臭い熱風がバザールの通りを吹きぬけた。
 建物の陰に入ると地べたに座り、ストリートチルドレン達が午後の熱気をやり過ごす。
 トミーが飴玉の袋をストリートチルドレン達に差し出した。子供達がわっとトミーの周りに群がる。
 崩れたガーゴイルの像、教会とは呼べぬ教会の路地裏、薄暗い袋小路、そこははぐれ者達の隠れ家だった。
 空になったキャンディーの袋を投げ捨て、トミーがイプシロンの傍らに座り込む。
 「これ、残りの金だけど」
 トミーがギルダン金貨の詰まった財布をイプシロンの目の前に差し出した。
 差し出された財布を手で遮り、イプシロンがトミーにいった。
 「トミー、その金はお前が持っていろ」
 「でも、ダンの奴を片付けたのはあんただ。この金はあんたのもんだ」
 「俺に金はいらない」
 「あんた、変わってるなイプシロン」
 懐に財布を入れ、トミーがイプシロンを見返した。黒く濁り、熱を帯びた輝きを放つイプシロンの無機質な瞳。
 トミーはストリートチルドレン達のリーダーだ。親も家も無い孤児達の面倒を見ている。
 トミーはひょんなことから袋小路に居座り始めたイプシロンと知り合い、今では寝食を共にしていた。
 とはいっても、イプシロンは食事はしない。眠りもしない。何故なら彼はサイボーグだからだ。
 
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44 :S・エルロイ :2012/07/03(火) 00:35:35.25 ID:5rYqMdO90
 ナチのヒワ色がかった滑らかなアイボリーの触感を持つ尻朶に頬を押し付け、アーノルドが獣のように荒く息を吐いた。
 脂肪に覆われた太い両腕でナチの太腿をがっちりと掴み、黒い肌をしたアーノルドが白い尻肉に軽く歯を立てる。
 「なあ、いいでねえか、ナチよォ、俺ら、お前の事が前から気になってたんだよォ。
  だってよ、お前最高にいかしてるからよ、男だってわかっててもやりたくなっちまうんだよ」
 うすらボケた頭と口調でナチに懇願するアーノルド──ナチのTバックに包まれた尻肉にアーノルドが鼻を埋めていく。
 「残念だけど、あんたってあたしの好みじゃないのよね」
 オカマに素っ気無い返事をされたアーノルド……哀れなモテないノンケ。うすらあほ。
 ナチの肛門の回りを野良犬のように嗅ぎまわるのを止めて、アーノルドが立ち上がる。
 でっぷりとしたコレステロールにとりつかれた百八十キロの巨体。
 縦の長さはクエント人ほどではないが、横の幅は間違いなくクエント人以上だ。
 「なあ、ナチ、おらあ、お前とファックがしてえんだよ、俺のディックとお前のケツの穴を使ったファックだよ」
 ロド麻薬のせいで黄色く濁ったアーノルドの眼球は正気の光を失いかけていた。呂律の回らぬ舌で繰り返し何かを呟く。
 「ふーん、ところでアーノルド、あんた四千ギルダンの賞金がかかったそうね」
 ナチに飛び掛るアーノルド──腰にぶらさげた改造ショットガンを引き抜き、ナチがアーノルドのぶよついた腹部に鉛玉を炸裂させた。

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45 :S・エルロイ :2012/07/03(火) 00:36:27.43 ID:5rYqMdO90
 キリコが飽きもせずにスコープドックを整備する。エンジンを切り、再びかけては又切る。
 ただ、黙々とスコープドックを点検し、コックピットの開け閉めをすると次は並んだ配線を見渡す。
 これがキリコの日課だ。
 そしてたっぷりと四時間かけ、スコープドックの整備を終えると、キリコはコーヒーを飲む為にいつものバーへと向かった。
 
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 バーの中央にあるテーブル席には三人の男が座っていた。
 ひとりはクエント人の大男で、もうひとりは擦り切れたカーキ色の外套を羽織った男、
 最後のひとりは団子鼻のにやけた口元を浮かばせた赤い服の男だ。他に客の姿は見えなかった。
 あとはカウンターにバーテンがひとりいるだけだ。
 窓の外から覗き込み、店内の様子を窺っていたリノがドアが開きっぱなしになったバーの中へと踏み入る。
 そして中古で買った三十八口径の拳銃を両手に掴み、リノが鈍色に光る銃身を持ち上げた。
 リノの発した最初の一言──「お前ら金を出せっ!」
 叫ぶと同時にリノがトリガーを引く。銃口から発射された弾丸がガラスのクーラーケースに当たった。
 ケースのガラスを粉々に砕いた弾丸が更に奥にあるボトル棚の酒瓶まで砕く。
 ウイスキーとガラスの破片が水飛沫のように舞い散った。さっさと金を出せとリノがわめく。
 再び拳銃の引き金を引き絞るリノ──突然、リノの後頭部が吹き飛んだ。
 「大丈夫だったか?」
 バーのドアに立ち、バハウザーを構えたキリコが三人に尋ねる。
 「ああ、なんてことはないぜ」
 口に咥えた葉巻を振り、コブラは答えた。
46 :S・エルロイ :2012/07/03(火) 00:37:04.96 ID:5rYqMdO90
今日はここまで。
47 :S・エルロイ :2012/07/03(火) 00:48:12.17 ID:5rYqMdO90
ところでボトムズとコブラ、みんなはどの曲のほうが好き?
個人的にはどれも名曲だと思うけど、あえて言えば松崎しげるの「DAYDREAM ROMANCE」が一番好き。
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/03(火) 01:15:01.14 ID:+iwqRD/Oo
これは期待
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/03(火) 01:17:43.20 ID:+iwqRD/Oo
バイバイブラザーが好きです
50 :S・エルロイ :2012/07/04(水) 21:22:34.66 ID:lfajK0Du0
バイバイブラザーにもカン・ユーがいましたよね。
つまり大尉は重要なキャラなんですよ!
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [saga sage]:2012/07/04(水) 22:15:21.84 ID:BXnKyH+/0
第2次スパロボZ再世篇でもなんだかんだあっても結局生き残ってるしなぁ
カン・ユー大尉は間違いなくスパロボスタッフに愛されてるw
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/07/15(日) 01:21:01.47 ID:Kagvd8QJo
>>371
うーん
コブラの方はいいんだけど、
ボトムズの方、もしかして本編あんま
見てない?
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/07/15(日) 01:22:09.50 ID:Kagvd8QJo
ありゃ 変な安価ついた
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/07/19(木) 00:31:33.12 ID:nxP7zKkk0
キリコと聞いてブラック・ジャックかと思いきや肩を赤く塗る方だった。
そりゃあむせるわww
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