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一方通行「俺たち、」番外個体「結婚しようと思うんだ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [saga]:2012/07/01(日) 00:59:19.42 ID:Kf0Im6Ie0
 
 番外通行であれこれ。ほのぼのしてたり甘ったるかったり、一方通行さんが恋してプロポーズまで頑張れるといいなっていう俺得な話です。

  ・番外個体が乙女思考

  ・スローペースだったり更新速度はマイペース

  ・場合によってはキャラ崩壊もやむなし

  
 つまりは番外通行いちゃいちゃを目指すスレだということです。

 今日はプロローグ的なものなので本格的な更新は次ぐらいからで。

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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [saga]:2012/07/01(日) 01:02:15.42 ID:Kf0Im6Ie0

 一生の中で一度言われるか言われないかの、決定的な一言を口にされた。





  「もうそろそろそろ、このミサカをお嫁にしてよね」




 ソファの上で微睡んで適当にチャンネル回していたところに柔らかく仄かな甘い香りを携えた少女の体がのしかかっているのに気づくと、意図を悟ってのことかクセなのかわからない舌打ちを鳴らした。不愉快を含んだ動作でさえ彼女、番外個体の表情を曇らせる理由には足りないしむしろ少女の年相応ではない悪意たっぷりの笑みが深みを増すだけだった。
 栗色の髪の毛が頬に触れるくらい距離を近づけたことに満足したのかと思えば、吐き出した砂糖をそのまま混じらせた言葉に今までにない厄介さを感じた。これなら以前のように命のやり取りをする嫌がらせの方がよっぽど対処の仕方だってあっただろうに。
 よりにもよって一方通行の苦手分野を突いてくるなんて、やはり自分のことは知りつくされているのかもしれない。
 腹の上にぴったり太ももを密着させて行き場のない手を掴んで指を絡めて雰囲気を出す辺り、かなりシミュレートでもしてきたのだとしたらご苦労なことだ。
 そんな一方通行の腹の内を知ってか知らずか言葉は続いた。

  「このミサカなりにあなた好みの女になる為に努力したんだよ?さすがに体は最終信号みたいなちんまい体みたいにはいかないけどさ、もういいよね。ミサカ心の準備はいつでも出来てるよ?」
  「・・・・・オマエ、とォとォ頭イカれやがったか?つい最近まで寝こみ襲って首絞めてよォとしやがったり突然料理作り出すとか言えば俺のだけ毒々しいカレー作ったり、殺す気満々だったじゃねェかよ」

 番外個体がする行動の発端は、大抵一方通行が原因だ。
 つまりは嫌がらせ目的という、くだらないもの。

  「愛情の裏返しって言えば恋愛脳がうすっぺらいあなたにもわかるかな」

 一方通行の色素の抜けた真っ白な髪の毛を手に取り弄びながら、恍惚をした声色で語る。
 さながら恋の知りたてである乙女のように。そう比喩してしまうのも想像に困るだろうが、今番外個体はそういう顔つきをしていた。
 悪意を持っていても、眼前の人間を殺す為に生まれたとしても。
 恋は出来るのだと証明されているかのようだった。

  「・・・・・わりィ。オマエが恋愛っつゥ言葉を口にするとは思わなかったンだが」

 失礼と思うが、口に出さずにはいられなかった。
 
  「うん。でもね、ミサカこういうの初めてなんだよ」

 戸惑いを孕ませた調子が冗談だという予測を見事に打ち消してくれた。
 そして一方通行の中で何かがゆっくりと、音を立てずに揺らがせていくものがあった。熱と理性がせめぎ合う感覚に一瞬胸を抑えそうになった。
 瞳をそらせずにいるまま、返す返事も思いつかなかった。 



3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [saga]:2012/07/01(日) 01:04:26.98 ID:Kf0Im6Ie0
 
  「誰かを好きになるっていう、まともな気持ち。それがよりにもよってあなたなのは皮肉だけど、それはこの恋心を諦める理由にはならないんだよねえ」 
  「俺がオマエを好きになる可能性があるとでも思ってやがンのか?同情で好きって言われても嬉しくも何ともねェだろォが。それにプロポーズは両想い前提でするモンで順番が逆になってねェか?」

 結婚はお互いの思いを通い合わせてこの先も一緒に生きていくことを誓った、しかも恋人同士が条件である二人の最終地点。
それが結婚するということなのに、一方通行と番外個体は好きどころかお互い命を奪うか奪わないかの狭間で現在進行形で止まっていたはずだ。
 殺したいくらい嫌いならまだしも。
 好きだなんて思われることは絶対ないと思ってきたのに。その線引きもして近づかないよう気も配ってきたつもりだった。
 それをあっさり彼女は踏み越えて口にした。人の気も知らないで。

  「じゃあ、好き」

  (じゃァって、・・・・いやそこ気にするとこじゃねェって)
 躊躇いもなく純粋に思ったことを口に出来るのは打ち止め譲り、なのかもしれない。

  「オマエなァ・・・・・ちったァ恥じらい持って言え。いや、そォじゃねェな・・・・もォホントいい性格してやがンな」

  「だからさあ、第一位ももっとちゃんとミサカを見てよ。外面のミサカだけじゃなくて、中を余すことなく見て感じて触って、ミサカを好きになってよ。その為ならミサカ、一肌脱いじゃうサービスもしちゃうよ?」




  ねえ、だからさあ、第一位。




  「ミサカをお嫁にもらってよ」









4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [saga]:2012/07/01(日) 01:06:56.90 ID:Kf0Im6Ie0
 
 次に目を開けると、目に入ったのはカーテンから滲む柔らかめの陽光だった。
 目線だけを動かした先の時計は、一方通行にとっては朝よりも早い時刻で体は起きることを望んではいない。

  「・・・・・夢か。・・・・時間も早ェし、二度寝すっか」

 今見た夢の内容を忘れられるような、強烈な夢でも見てしまえというふて寝に近いものだった。








 

  「ねえねえ、夢は願望の表れだってさ」

 黄泉川と芳川、そして打ち止めは昼間からデパートで買い物らしくテーブルの上にあったメモで番外個体と仲良く留守番をしてろとのことだった。不規則な人間でも少しは役に立つのが留守番、という役目だったのでそれを無糖コーヒーをすすりながらソファで寝転がってその役目を全うする。
 二人でいるからといって必要もない会話はしないし、番外個体だっていつでもどこでも一方通行に嫌がらせをしてくるわけではない。機嫌の悪い時、眠たい時、気分じゃない時は大人しいもので買いだめしておいたスナック菓子を開けては一気に口に放り込んで指についた欠片をぺろぺろ舐めたりしていた。
 至ってわりと異常な平和の中で、投げかけられた話題。
 それも今一方通行が忘れようとして、でも忘れられないピンポイントの話題だ。

  「・・・・・・どォしてそこで俺に話を振ンだよ」
  「えー?だって今隣にいるの第一位しかいないじゃん。何、じゃあミサカに独り言を呟く痛い奴を演じろと?」
  「俺に話し相手を求めンじゃねェ」

 反応を面白がっているのだろうが、こっちはたまったものじゃない。
 人との会話に不慣れではなく、不必要だと思っている一方通行ならなおさらのことだった。
 ただし彼女にそれを話したら必ず便乗するので飲み込んで、単純に否定だけにとどめておく。

  「ミサカだって話し相手くらい欲しいんだけど。けけ、こぉんなモヤシっこでも首振り人形みたいなことは出来るんじゃないかなーって」

 とりあえずスルーして、聞き直してみる。 

  「・・・・で?その夢は願望の表れって、オマエも心当たりがあって言ってンだろォな」
  「聞いてどうすんの?」
  「言いだしっぺが聞き返すンじゃねェ」
 
 膝を抱えてクッションを抱いていた番外個体が、むぅ、と唇を尖らせて軽い音と共にクッションに顔を埋めた。
 照れ隠しなのかそれともめんどくさいだけなのか読心術を心得ていない自分にはわからない。

  「・・・・・・・秘密、かな。おしえにゃーい」
 
 前者の言葉が本音で、後者の言葉が照れ隠しだというのはわかった。

  「正直な回答ありがとォ。聞いた俺がバカだったな。俺からの要望にンな簡単に素直に答えられねェツンデレにゃ難しい問題なよォで、悪かったなァ?」
  「ミサカがこうなったのはあなたにも原因があると思うんだけど、まあいいや。ねえミサカもソファに入れてよ、そのモヤシみたいな足邪魔」

 伸ばしていた足を折ることを強要されると、ため息をつきながら一人分のスペースを空けてやった。ところが一方通行の配慮は無視してリモコンをぶん取るとスイッチを切りぐんと二人の距離を狭めた。
 夢の中と同じ、女性特有の甘ったるい香りと柔らかい感触に一方通行の何かがまた、ぐらついた。均衡を保っていたはずのものが綱渡りをしかけているような。
 知らない感覚が這い上がっていった。
 重なる視線に先に降参したのは一方通行で、呆れ気味になって少しの間を設けた。

  「狭くなンだろ、・・・・オイテレビ見てたンじゃなかったのかよ。俺見てどォする」
 
 番外個体もそろそろ限界だったのか、下を向いて視線をそらした。

  「・・・・・やっぱ何でもない。うん、でもあれだ。人と見つめ合うって何だかどきどきするね。こんなあなたでもさ、やっぱ性別的には男なんだなあって思うよ」
  「そォいうことは、この先好きになる男にでもしてやれ。俺相手に実践しよォとすンな」
  「・・・・・そーゆー可能性も、なくはないと思うんだけどねえ」

 聞き返すな。
 そう危険信号が鳴らすというのに口を開かずには、真意を知りたがっている自分を抑え込めなかったのは。
 きっと、こんな顔をしているこいつが悪いだけだと言い聞かせた。
 真面目な顔で心にも迫ってきて、身動き出来ないようにしているからだ、と。

  「何が言いてェンだ」
  「うん、」

 そして思った。
 やっぱり、聞かなければよかった、と。



「ミサカさ、あなたのところにお嫁さんという形で永久就職しようかなあなーんて」


5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [saga]:2012/07/01(日) 01:08:28.53 ID:Kf0Im6Ie0
 
 どこぞのドラマの定番フレーズを恥ずかしげもなく言ってみせる番外個体に、人を困らせる言葉を吐く彼女に半ば感心した。
 そのまま力が抜けたようにソファにもたれかかり、遅めの動揺が襲ってきた。

  「・・・・・・・・は、何・・言ってンだオマエ」
  「だってほら、ミサカってあなたへの嫌がらせが生きがいみたいなものだしもし第一位がいなくなったらミサカの存在理由がうすっぺらくなっちゃうでしょ。それならミサカ、大っ嫌いなあなたのそばで死ぬ老後を望むよ」

 自分の為だけに生まれ、死ぬことを前提として生まれたクローン。聞こえはいいが結局は彼女も使い捨てが出来る量産体クローンであることは変わりはない。殺す時に殺され、生かしたい時に生かして利用する人間扱いとは縁遠い生き方をしてその過程で一方通行と出会った番外個体の唯一の生きる希望。
 それを失わずに、ずっと手元に置いておける方法を彼女なりに模索した結果なのかもしれない。
 結婚だなんてアバウトではあるものの、根底にあるのは理由はどうであれ一方通行と一緒にいたいことなのだろう。

  「・・・・リアルな将来予想してンじゃねェ。そしてそれに俺を勝手に当てはめてンじゃねェぞ」
  「ミサカ、あなたのお嫁さんになりたい」

  (くっそ、だからその目をやめろっつってンだよ)

  「だから、そォ軽々しく・・・・言うんじゃ「・・・・・ぶっひゃ」

 突然の下品な笑い声に一気に場の雰囲気が冷めていった。
 見れば番外個体はあっさりソファから降りて腹を抑えて爆笑寸前状態でぷるぷる震えていた。
 そしてついに爆発。

  「あひゃひゃひゃひゃ!!何々ミサカがそんなこと言うでも言うのかと思ったのかよ!ねえから!百パーねえから地球滅んでもないから安心しちゃってよ第一位!ミサカドッキリの付き合ってくれてありがとねえ、間抜け面ご提供あっりがとうございましたあ!!乙女第一位クッソ笑える!ミサカ今なら死ねる!笑い死ねる!!
  乙女第一位純情ちゃあん!?ぶっ、ぎゃはははははははは!」

  (・・・・今、わかった)
  (俺、たぶンこいつ好きになンねェ)
  (・・・・ちょっとでも、マジにしちまった俺がバカだったンじゃねェかよクソッタレ)
  







 ひたすら笑い転げている、フリをした番外個体が自室に辿り着くと一気にベッドにも向かわずにその場に座り込んだ。
安堵からのため息をつくと、自分の顔を触りながらまたため息。今度はあの一方通行を思い出して愚痴る意味でのため息で向けようもない思いが巡って、むず痒かった。
 いつものように冷たく否定してくれればよかった。
 平然と返してほしかった。
 なのに、何だあれは。
 あんな本気に受け止めて、反応してくれる様を見せつけてくれちゃって。

  「・・・・ばっかじゃないの、あんのモヤシ第一位が」

 頭を抑えながら零れた。

  「まんざらでもない、みたいな顔するなっての。反応に困るじゃん。・・・・ばっかじゃねえの」

 しばらく「ばか、ばか、ばかばーか」と言ってちょっとだけ満足すると、ベッドが恋しくなってきた。

  「寝てやる。二度寝してやろ」







 それでも、意識してしまったのなら、もうすでに始まったいた。
 その名は、まだ誰も知らないまま。










6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [saga]:2012/07/01(日) 01:10:11.13 ID:Kf0Im6Ie0
 今日の更新はここまでとなります。
 番外個体だって花嫁に憧れる女の子だって信じてる。

 では、見てくださった方ありがとうございました。乙です。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/07/01(日) 01:21:05.02 ID:JHx6BHd/0
乙!

番外通行ktkr!
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/01(日) 07:36:42.09 ID:fiD9LWYC0

そして期待
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/01(日) 07:37:18.06 ID:ToHNCW7v0

期待しかできない
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/07/01(日) 09:22:22.06 ID:LKBmQk0T0
乙乙
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/07/01(日) 11:01:57.20 ID:MtDYkplDo
番外個体乙女乙
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) [sage]:2012/07/01(日) 13:48:03.33 ID:z5dusY2U0
可愛い番外個体とか大好物すぎる 乙!
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/01(日) 15:27:29.02 ID:WY/VbjHHo
>>1

既にwktkが止まらないんだか
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/01(日) 21:18:49.30 ID:YK9TFjlDO
乙です
とても楽しみです
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/01(日) 23:44:47.98 ID:h25fSZMG0
 レスありがとうございます、乙です。
 番外通行はもっと増えればいいと思うよ、的なノリで進んでいくんで見守ってもらえたら嬉しいです。

 では、本日の分を投下しますね〜
16 :イーモバイル対策 [sage]:2012/07/01(日) 23:51:50.69 ID:C3CuOwAIO
.
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/01(日) 23:53:21.02 ID:h25fSZMG0

 目覚めたのは帰ってきて早々膝に乗っかってきた打ち止めの声で、時計も見れば夕方で結構な時間をソファの上で過ごしていたらしい。それだけ自分がこの穏やかな平和を受け入れて、馴染んでいるということだから喜ぶべきことだろうが素直に喜べない心境でもあった。
 飲みかけのコーヒーが冷めてしまっていたことに気づき、ワンラインの入ったマグカップに口をつけると視界が鮮明になった。眠気としばし戦ってから瞬きを数回してから欠伸をすると鼻腔をくすぐる家庭の香りが入ってきた。黄泉川の夕飯の支度の準備でもしているのだろう。おおよそ彼女の自負する炊飯器手料理が振舞われるのは毎日のことで一方通行にとっての日常の一部でもあった。ちなみに今日は和食。味噌汁の味噌のほんわかした香りがするからだ。
 一方通行の顔を見られて上機嫌な打ち止めはテーブルの上にお土産らしきものを並べていく。
 そういえば、昨日彼女が楽しみに黄泉川たちについていった理由も鼻息荒くして聞かせられていたんだったか。
 最初はくるんくるん絶好調のアホ毛モードであった打ち止めが丸い瞳をきょろきょろさせて、一緒にアホ毛もうねっていた。
  (・・・・相変わらずどォいう構造してンだこのアホ毛)

  「あれ、番外個体はまだ寝てるの?ってミサカはミサカはお土産片手に問いかけてみる」

 そういえば昼間に散々一方通行をおちょくりまくった張本人は部屋に引きこもりっぱなしだ。確か昨日は夜更かししたから二度寝するとか言い残していたがまだ寝ているのだろうか。
 一方通行としてもあんな発言をされた後では顔を合わせにくいので番外個体には悪いが、内心ほっとしていた。
 だからと言ってそれをこの小さな少女に悟られたくはないし特に純粋さとは別種の大人気ない感情はまだ知って欲しくない。
 つまりはやせ我慢なのかもしれないが。

  「ンなカエルグッズに俺がきゃっきゃうふふでもすると思ってンのかよ。そォいや今日はそのゲコガエルのイベントで留守にしてたンだったな」
  「ゲコ太なのよ?そしてこれは番外個体へのお土産であなたへのお土産は学園都市限定ゲコ太コーヒーなんだよ、ってミサカはミサカは紙袋の中身の正体を明かしてみる」

 学園都市製のメーカーマークの入った紙袋の中身は缶コーヒーがぎっしり詰まっていた。
 しかもただの銘柄コーヒーではなく愛らしく舌を出した某カエルキャラクターのイラスト入りの一見大人の渋い飲み物とは思えない見た目だった。
 連動キャンペーンでの限定コーヒーらしいが素直に喜べずに、むしろ顔を引きつらせて手に取った缶コーヒーをまじまじと見つめる。

  「・・・・カエルのコーヒーって、これ明らかに商業目的から外れてねェか?ガキがコーヒー飲むとか言い出したらどォすンだか」
  「ふふ、もう遅いのだー!ってミサカはミサカは自分の分のコーヒーを買い込んでいることを告白してみる!」
  「ったく、こンなに飲めねェぞ。一日何本飲めばいいンだろォなァ。あとこれ無糖らしいンでお子様味覚には即ギブアップだと思うンだけどなァ」

 以前打ち止めも大人の仲間入りをすべく無糖コーヒーにチャレンジしたことがある。しかし結果は惨敗で半分以上残ったコーヒーは一方通行の胃の中で消化された。かろうじて砂糖を何杯も入れたら一口ずつではあるが飲めるらしがそれはもうコーヒーとは呼べない飲み物で試しに飲んだ一方通行は、苦手な甘ったるいコーヒーをむせて吐き出したこともありトラウマ気味にもなっていた。
 かといって子供のチャレンジ精神あなどりがたしで一方通行が日課で飲んでいるブラックをよこせよこせ、とうるさかったりもする。
 大人でさえもブラックコーヒーを好む人間も少ないのだから、特にお子様味覚な打ち止めの口にはまず合わないだろう。 
 それでも大人ぶってみたい年頃なので微笑ましかったりもする。
 いつもの会話を交わした後、台所から黄泉川が顔を出した。
  
  「でもそろそろ夕飯だし番外個体起こしてこいじゃんよ。今日はハンバーグって言っておくじゃん」
  「・・・・・ンなハンバーグごときに俺をこき使えるとでも思ってやがンのか」
  「そんじゃ一方通行だけ豆腐ハンバーグにしてやってもいいじゃんよ」

 一方通行の額に血管が浮かび、ひくひく震える。

  「・・・・肉の入ってねェハンバーグはハンバーグじゃねェ。ただの肉ミンチじゃねェか」
  「だったら早く起こしにいくじゃん」
  「・・・・あァくっそ、余計な手間かけさせやがって。ガキじゃあるまいし」

 まんまと乗せられてしまった一方通行はめんどくさいながらも未だ眠りこけている同居人を起こしにいった。


  






18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/07/02(月) 01:05:17.35 ID:xaeBp3FB0
 
 ノックもせずに部屋に入るとベッドの上で頭だけ出してシーツを抱きしめて健やかな寝息を立てている番外個体が眠っていた。
 頬に落ちる前髪から覗く瞳は柔らかく伏せられ、いつも見る人間の負の感情剥き出しの瞳とは別人みたいだった。手が伸びてさらりとすり抜ける前髪を掻き上げながら夢の中から目覚めない少女に声をかける。
 胸の中で抱きしめているシーツを奪い取って、耳元で起こしてやる。ただしそこに優しさは含まずに抑揚のない声で。
 
  「番外個体さァん?おねむの時間は終わりですけどォ?」

 もぞもぞ、投げ出している足がわずかに動きながら瞳が見えた。
 眠気の混じった声で目尻を擦りながら、顔を上げて唇を尖らせているのがわかった。
 手を伸ばしてくるのを逃れるように体を引かせて、彼女の愛しのシーツをよこさないようにする。

  「・・・さむいから、毛布ひんむかないでってばあ」

 彼女にしては珍しい、眠たさで気が抜けているのか甘い声で懇願されるもハンバーグの為に動く一方通行の意思は固かった。
 そして日常的に彼女が自分にする嫌がらせに比べればまだまだ可愛いものである。
 ほんの仕返しのつもりで、ふと笑みが落ちた。ひっそりと。

  「メシの時間だ。今日はハンバーグだとよ。豆腐ハンバーグになるかモノホンのハンバーグになるかがかかってンだ。ぐずってねェでさっさと顔でも洗ってしゃきっとしやがれ」
  「うっさいなあ。寝起き弱いのはあなただって同じじゃん。昼起きして顔洗うまで色んなところで転んで壁に衝突してたクセに。ミサカ見てたんだからね」

 元々一方通行の生活は昼も夜もさして関係ない生活に身を寄せていたせいか、誰かが関わる生活とは無関係だったせいか寝起きにはとことん弱かった。なので黄泉川たちとの生活の序盤はよく学園都市第一位らしからぬ人間らしい失敗をしてきた。周りは可愛いの一言でおさまるが番外個体にはからかいの材料にしかなりえない。
 いつだって彼女の眼中には一方通行が中心にしかないのだ。
 それが最近になって慣れてきたのか、軽く受け流せる自分がいる。彼女なら別にいい、という弱みが滲み出てきた。
 今日がいい例じゃないかとも思える。
 かといって例外の一つや二つ存在していてもおかしくはないのだ。 

  「今すぐオマエの顔に水でもぶっかてやろォか?目ェ覚めンぞ」
  「・・・・・まず一人で起き上がるのが一番の問題なんだってば。こう、何て言うのかな。ふにゃあ、って力が抜けちゃうから目覚めてもしばらく動けないっていうかさあ」
 
 ちょっと思考を働かせて眠気対策に一方通行が思いついた妥協策を与えてみる。

  「ンじゃ、俺につかまりながらでもいいから起きりゃいい話だろォが」

 多少目が慣れたのか怪訝そうに見つめる視線が向けられた。
 寝ながら頬杖をつきながらありえない、といった失礼な目にいらっとくる。

  「・・・・貧弱なあなたにミサカを支えられるとは思えないんだけど」
  「女一人の体重で倒れるほど学園都市第一位はヤワじゃねェよ。まどろっこしいンなら一人で起きる努力しやがれ」

 ベッドに座って様子見をしているとベッドの上に這い寄ってきた手が一方通行の裾を掴んだ。
 若干不満げな声で、要望を告げる。

  「・・・・手、握って」
  「ン」
  「腰も支えて。あ、尻触ったら首絞めて窓から吊るしてやるから」
  「うるせェな」
 
 文句と返しを繰り返しながら、番外個体を支えてやると意外と軽いという感想が漏れた。栄養不足ではないのは一緒に食事して生活をしている仲なのでわかる。だとしたら、やはり女性というものは見た目以上に軽く弱い生き物だということだ。少なくとも男に比べるとずっと腰回りのラインも細いし体格差も差が出てくる。
 おまえけにふわりとした女性だけが持ついい香りまでついてくるのだから、これで男がケダモノなどと揶揄されても理由が理由なのだから致し方ない部分も出てくるようにも思える。
 顔を上げたところで、番外個体が何かに気づいて顔を背ける。

  「んしょ、っと・・・・あ」

 おまえけにうろたえて目が泳いでいるときた。

  「どォしてそこで顔を背けンだよ」
  「・・・・睫毛長い。ミサカよりちょっと、ほんのちょっと。あと髪もさらっさらしてんの・・・・女としてミサカの立場がないっていうかジェラシーってヤツかねえ」

 もしかして意識されているのかもしれない、などという甘い雰囲気ぶち壊しの一言にどことなくこいつらしいと反論の口を閉じた。
 こうやって軽口を叩ける関係にまでおさまったのは進歩だと思う。今まで一方通行を[ピーーー]ことに執着し、ナイフを隠し持っていた彼女が平和に浸かって本来普通の人間が感じるはずの感情や環境に恵まれるにつれて嫌がらせという可愛らしいものになったのだ。
 悪意をプログラミングされた番外個体にとってはそこに至るまでどれだけ迷って、受け入れるまで時間がかかったのだろうか。 
 その姿を決して誰にも見せないまま、こうして思うだけでも憶測にすぎないかもしれないが番外個体はクローンである前に妹達である前に一人の人間として見てやるべきなのだ。一人の、女の子としてはまだ遠い話になるかもしれないがそういう日もいつかは来る。
 その為の努力には一方通行も協力するつもりだ。その邪魔をする存在がいるなら、何をしてでも排して彼女を守り通して生きていく覚悟もとっくの昔に出来ている。
  (ンなこと、誰かに言うこともねェと思うがな)
 自分が決めた、勝手な意思にすぎないとわかっているからというのもあってだ。

  「シャンプーもリンスも同じモン使ってンだからそこまで差なンざねェと思うがな」
  「女としてジェラシー感じる・・・・髪の毛ひっこ抜いてやりたい」

 わきわきと動く手が本気そうで、恨めし気な雰囲気をまとっている。

  「はっ、ンなことしてもすぐ生えてくンだよ。第一位舐めてンじゃねェぞ」
  「丸坊主の第一位とか見たらみーんな拝んでお金恵んでくれるんじゃないの?おめでたやーおめでたやー、って。ねえバリカンで頭きれーに剃ってあげるから今度それでお経唱えながら外出てきてよ」
  「・・・・オマエ頭剃って外で歩いてるヤツらみンな高僧坊主だと思ってンのか。生き恥さらせっかよ、アホ」

 とりあえず起き上がった番外個体はわざとらしくせき込みながら、口を開いた。
 ちょうど一方通行がドアノブに手をかけようとした時だ。


19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/07/02(月) 01:07:14.46 ID:xaeBp3FB0

  「・・・・さっきの話。戻してもいいかな?」

 さっきの話とはいつの話なのか。
 とりあえず最新の話題ということで返してみる。

  「頭坊主にしねェぞ」
  「そうじゃなくってさ、ミサカ少し女を磨こうと思って。服もこんなアオザイばっかじゃなくてファッションとかも気遣っていこうと思うんだよね。せっかくミサカも女の子なんだからいい女になれる可能性十分あることだし」

 芽生え始めた女としての意識。
 決して悪くはないいい方向に彼女が目を向けようとして、努力を見せることを宣言した初めてのことだった。
 これは一方通行としても喜んでやってもいいことで、見栄えするアオザイもいいがもう少し女の子らしいワンピースやキャミソールもよく似合うと思う。髪の毛もアップにしてやればもっといいんじゃないかと頭の中で見立ててみたりした。

  「・・・・・そォ、だな」
  「へ?」
  「元があいつだ。それなりに整えりゃ結構いい感じにまとまるンじゃねェの?」

 きょどった反応で照れ臭そうな返事だった。

  「・・・・そそ、そーかな」

 我慢出来ずに漏れている笑みが見えているのはあえて言わないままにしておいた。
 そこは我慢なんかするところではないのだが。彼女なりの意地というヤツなら仕方ない。

  「俺なンかの言葉で喜ンでも当てになンねェかもしンねェぞ。そォいうのは別のヤツに相談しろ。俺は女物の流行まではよくわからねェしな」
  「・・・・じゃあ、そうだね。第一位がそこまで言うんならミサカ頑張るよ」

 首を縦に振って自分に言い聞かせるようにして、これにはさすがの一方通行も目を見張った。 
 ここで冗談でしたあ、とか言ってもおかしくなかったというのに。

  「・・・・おォ、何か聞き分けいいじゃねェか」
  「今のミサカはすこぶる機嫌がいいから、あなたのアドバイスも素直に聞けちゃうよい子ちゃんだよ?」
  「はいはい、わかったらさっさと行くぞ。その後はあの・・・あーゲコ太?の特番を予約つき生で見るンだろォが」
  「そうだった!やっば、そういうこと早く行ってよ空気読めってのマジでさあ・・・・ミサカ先行ってるからあなたも早く来なよ」

 横を通り過ぎた番外個体の背中を見送ってから、彼女がいなくなった部屋でぽつりと呟いた。


  「・・・・・もォちょい、あとでな」

 また、だ。
 また胸の中で意識を揺さぶって、自分の知らない一面が顔を出しかける。
 何回も押しこめてきた感情がここぞとばかりにじわりと広がって、正体不明のそれに呆れそうになる。
 そうして知らぬフリをして口にする。

  「何なンだよこれ。病気かァ?」

 勘弁しろ、と言わんばかりに。
  

  「タチ悪すぎだろォがよ・・・・」







20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [saga]:2012/07/02(月) 01:27:23.36 ID:xaeBp3FB0
 
 休日も平日も関係ない生活のものの、日曜日に舞い込んできた外出の話だった。

  「美味しいケーキ屋の商品券だァ?おいオマエ俺が甘いモン死ぬほど嫌いってわかって言ってンだろ。あのガキでも誘ってけばいいだろ。そもそもこォいう女々しいモンは女友達とか恋人が行くって決まりきってンじゃねェかよ?」
 
 女子共通の甘いもの好きはどうやら番外個体にもきっちり受け継がれているらしく、最寄りのケーキ屋を巡ってリサーチすることがあった。
雑誌に赤丸をつけては自分のお気に入りの店の雰囲気や味を覚えて打ち止めたちへのお土産を片手に帰ってくることもしばしばで一方通行は
あらかじめ甘いものを好まないので横目で見ていた。女子たちの談義会、やっぱりケーキについて体重計を見るのが怖いだとかでも甘いものはやめられないだのくだらない会話の内容でそれ以上は耳を傾ける気にならなかった。
 それに大抵こういったことに男が疎外されることは珍しくもないことなのである。いわゆる男子禁制というもの。
 常時持参の悪い笑みをひきつれて、ちらつかせる二枚の券を見つめながら頭を面倒そうに掻いた。
  (・・・・もしかして、新手の嫌がらせかァ?)
 今日は相も変わらずまったりしようとした自堕落精神まっしぐらな一日を堪能してやろうと予定していたのにこれだ。
 すこぶる嬉しそうな表情を崩さないまま番外個体がずずいっと迫ってくる。

  「だから、そういう券なんだってば。ミサカさっき黄泉川から譲ってもらったもので男女限定でケーキが割引になるんだって。で、今ミサカの周りで履歴上は男って第一位ぐらいしかいないしまあいいかなって。ミサカあそこのケーキ好きだし」
  「好きなケーキ食いながら嫌いな相手の顔見るのってどォいう気分だよ?」

 そんなのプラマイゼロではないだろうか。
 しかし一方通行の正論をものともしない番外個体が得意げに胸を張り挑発してきた。

  「まあまあ、この機会に第一位も甘党の気持ちを知るいいチャンスだと思ってさあ。このままだとピーマン食べれないおこちゃまと同レベルに落ちぶれるぜ?」
  「ケーキなンざあンなモン砂糖の塊だろォが。あンな甘ったるいモンをこぞって食う女の味覚は理解不能だっつってンだよ。それにそこに行っても俺はコーヒーしか飲まねェぞ」
 
 男限定の付き添いとはいえ自分が適任とは思えない。会話に不自由するような性格でもなく、楽しいケーキタイムには自分ほど向かない人間
もそういないと自覚している。
 でも否定すればそこら辺の男を口説いてケーキ屋に誘導しかねない危険さもあって強く言い出せずにいた。
 耳を貸さない一方通行に番外個体が静かに、自分に聞かせるつもりもないのか消え入る言葉を囁いた。

  「・・・・・重要なのそこじゃないし。口実さえあれば、ケーキ屋じゃなくったって、」 

 よく聞き取れずにいると、慌てて我に返った番外個体が口元を抑えた。

  「はいィ?よく聞こえなかったからリピートお願いしまァす」
  「なな、何でもないってば!とにかく女の子からのお願いを却下する男は死ねばいいと思うね!!たとえばここにいる第一位とかモヤシとかさあ!?だだ・・・だから、四の五の言わず・・・・うんって言ってよね。ミサカがバカみたいじゃん恥かかせんな」

  (忙しいヤツだな)
 同時に一番言いたいことを明らかに隠していることは今の言葉で察した。言及する気も起きないが、口を閉じたり開いたり負の感情が邪魔して言葉にならないのか顔を赤らめて俯いている。人間何かしら特定の感情を吐き出す時には相応の勇気が必要となる。彼女もそんな感じの厄介な感情と戦っている最中だとしたら見守ってやるより他ない。
 そして打ち勝った彼女は、口元をくぐもらせながら言った。

  「うう、よくわかんないけどミサカは今日はあなたといたいなあ・・・・とか、思ってるの。よくわかんないけど、気分」
  「気分で俺といてェとかとンだ物好きだなオマエ。大抵は嫌がるぞ」
  「・・・・そうだね。ミサカも実はあんまりよくわかってない」
 
 言っていることが矛盾しているものの、わからないのだからそれしかないのだ。

  「何だそれ」
  「・・・うるさい、もううるさい。これ以上ミサカを羞恥プレイするのやめて」

 これ以上問い詰めると苛めにもなってしまうので、そこまで意地悪でもない一方通行は息をついた。
 番外個体に対しても、時間が過ぎるにつれて優しく甘くなりがちなのを重々承知しながら。

  「別にいいけどよォ・・・・ホントにコーヒーしか飲まねェぞ?あと周りから恋人って思われンのを我慢出来ンなら今日一日、・・・・・
  オマエの我儘付き合ってやらンでもねェがな」
  「そっか。・・・・よかった」
  
 今度こそ一方通行は目を丸くして、驚きの声を漏らした。

  「は?」
  「何でもないよ。ミサカちょっと着替えるから第一位はそこで待ってて。あと遅いとか早くとかデリカシーのない文句言わないよーに」
  「寝て待ってるから言わねェよ」
  「・・・・・それも何だかなあ」

 いつもとは違う休日がどうやら今日は待ち構えていたようだった。
 一人の少女を引き連れて。






21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [saga]:2012/07/02(月) 02:01:03.46 ID:xaeBp3FB0
 
 いってきます、という言葉と共にマンションを出て徒歩でしばらく歩いた近くにあった例のケーキ屋。
 外国語で形作られたオシャレな看板の下をくぐった後、アンティークや洋人形に出迎えられてレコードから店内に流れるクラシック音楽など雰囲気が統一されていて彼女が入る直前まで自慢していた通り品の良い心休まる空間となっていた。
 一通り店内を見渡すと外国産のコーヒー豆も一方通行お気に入りの銘柄も含めて揃えており、いいティータイムを過ごせそうだと口には出さないものの番外個体に感謝した。客は案の定恋人同士の二人きりの時間を求めたり、一人で仕事疲れを癒そうと足を運ばせる社会人など大人仕様の店だけあって客層も限定されていた。だがそれだけの価値がある店ということなのだろう。
 店員がやって来たところで、鞄から例の券を取り出してにっこりとしている女性の店員に手渡す。

  「ええっと、恋人割引お願いします」

 案内された席からは道行く一般人が窓越しに見え、用意されていたメニューに目を通した。かといって注文するものは決まりきっているのだが。

  「・・・・・ふゥン。ここのメニュー全品割引たァ余程人気あるのかこの店」
  「内装もいい感じだよね。落ち着いててBGMもクラシックだしケーキと甘さがマッチングしてるから、一時期このミサカも体重計と悪戦苦闘したものだよ。それに引き替えあなたはいくら食べても太らなさそうなイメージあるよ。その栄養どこにいってるワケ?乳じゃないだろうけど」
  「体質的な問題だろ。多分」

 男と違って女は体型に敏感なので一方通行が羨ましいのかもしれない。かといって自分もある程度肉付きのいい筋肉で締まった体を目指しているので褒め言葉にはならない。
 何よりその目的達成の為には常日頃からの適度な運動、一日中ニートという生活から脱しなければどうにもならない問題でもあるので自分にとっては深刻であり近々筋トレも始めようかと思っていたりもした。
 会話をいくつか交わしてから注文したコーヒーと番外個体の苺ダブルショートが来て、フォークにぷっすり刺した熟れた苺を一口で含んでからクリーム付きのケーキの甘さを噛み締めながら子供のように力の抜けた表情で味わっていた。番外個体いわくクリームの甘すぎない甘さと挟み込んである苺との絶妙なバランスが女の味覚をがっちりとらえている、とかグルメレポーター並みの感想を聞かされた。
 どんどん形を崩していくケーキを見ながら、口を突いて出た。

  「・・・・でもよォ、テレビでやってンのとかがあるが目の前で食べてるの見てっと嫌いなモンでも美味そうに見えるンだな」 

 コーヒーの苦さに口をよくしながら、番外個体がにやりとした。
 一口分刺したケーキを一方通行に差し出すと、トーンを上げた声色で思った通りの行動で口元を結んでいる。

  「第一位あーんでちゅよぉ?」

  (何て言うンだろォな。もォこういう類の嫌がらせは慣れっこなンだよ)
 仕返しとばかりに抵抗もなく番外個体のケーキを口にして、口元を抑えながら舌を出した。
 普通の人間からしたらさほどの甘さではないものの耐性がない一方通行にとっては砂糖をそのまま口に入れたイメージだった。
 口直しにコーヒーで和らげてようやっと言葉を出せるまでになった。

  「・・・・・・・あっま、激あますぎっだろこれ。コーヒー飲ンでねェと食ェねェじゃねェかよ、拷問だろマジ」
 
 ちらりと見た先の番外個体は、縮こまって小さくなってしまっていた。
 もしかしなくとも自分の言ったことを気にしてしまったのか、顔を覗き込むもそうではないらしかった。
 言いにくそうに、唇を噛んで指先を絡めてもじもじとしている。
 何だかとってもいじらしい彼女の姿があった。

  「・・・・ごめん、謝っとく先に」
  「はァ?オマエが謝るって何事だよ・・・・まさか、敵襲か?くそ、学園都市のクソヤロウがまだ邪魔してきやがンのか・・・・っ!オイオマエは先に家に戻って、」
  「そぉじゃなくって!」

 一言待ったをかけてから。
 そろり、と指でフォークを指差した。

  「・・・・間接キスじゃないの?これ」

 お互いの空気が張りつめて、耐えられなくなって赤面し合う二人はついには。

  「・・・・そォ、だな。そォなるよな」
  「「はははははははははははは」」

 現実逃避まがいに乾いた笑いが響き合い、数分してから二人して黙り込んでしまった。
 笑うよりどうしようもなく残ったケーキを見つめながら、切り出したのは番外個体であった。

  「・・・・帰ろっか」
  「あァ」










22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [saga]:2012/07/02(月) 02:39:47.41 ID:xaeBp3FB0

 昼間すぎの街並みを景色にしながら先を一歩歩く番外個体が、店を出てから愚痴を零しはじめる。

  「あーあ、ミサカまだ全然満腹じゃないのに損した気分だね。あーあーこれも全部第一位のせいだ、今度また奢ってくれないとわりに合わないね。結局あなたは一口でコーヒーがぶ飲みしたりしてこっちは思い出したら胃が痛くなりそうだよ」
  「会計の時に黄泉川共にお土産っつって買い占めたヤツの言うセリフじゃねェよなァ?」

 一方通行の片手、番外個体の片手にはお土産用のケーキたちあった。モンブランに苺のミルフィーユ、ココアナッツショコラにフルーツタルトなど甘いもの好きにはあたまらない種類のケーキを端から端まで注文してテイクアウトしてもらったのだ。
 なのでこうして手に持っているだけで甘い気の抜けてしまう香りが漂ってきて早く帰ってコーヒー飲みてェ、と足早になりつつもあった。
 帰ったら帰ったらであの打ち止めのカエル印のコーヒーが山ほど積み重なっているので当分コンビニに行く手間は省けている。毎回飲む度にあの茶目っ気たっぷりなカエル顔を見ながらコーヒーに舌鼓を打てはしないのでマグカップに移してしまおうと対策を練っていた。
  (・・・・まァ、たまにはカップで飲むのもいいか)
 その月々によってマグカップに注いだり缶コーヒーで味を楽しむのだが、まあいいだろう。

  「いくら何でも買いすぎだろォが。割引にしたって食いきれる量じゃねェぞ?」
  「だって頼まれちゃってたし、こりゃ毎日食べないとダメだね。あぁ、そうそうテレビで見たけどケーキって胸の谷間に挟むとえろっちいよねえ。こうさ、クリームが溶けてだらだらぁーってなるの。もったいないから彼氏が落ちないように舌で艶めかしくさあ「それ以上公害発言しやがったらそのケーキ全部捨てて残飯処理してやるからな」
  「鬼畜、サディスト。童貞第一位」
  「いくらでも言え」

 









 大人しくなった番外個体が手を擦り合わせながら、風に髪の毛を揺らして率直な感想を述べた。

  「うにゃー、もう肌寒い季節だねえ」

 季節の変わり目といっていい時期、あれだけしつこかった太陽光線は落ち着き代わりに突き抜けるような風が吹き抜けるようになった。
まだ衣替えも終わっていないので薄手で外出した上に遺伝子譲りでの体質か冷え性の番外個体にはこの気温でも寒いというものだった。
 一方通行も決して寒くはないと言えないわけではないが、口に出して言うほどのものではなかった。

  「夏終わりゃ寒くもなンだろ。そう思うンなら厚手の上着くらい着てくりゃよかったじゃねェか」
  「だって夏くらいしか肌出せないしミサカも日焼けとか憧れだったんだよ?こんがり焼いて小麦色とかさあ、憧れちゃうもん」

 そのわりに白さが目立つ肌を見ながら、彼女の不機嫌さの滲む声の理由を知った。

  「じゃァ寒い寒い言うンじゃありませェン」
  「はーい。ならあなたのポケットに手、入れさせてよ。ぬくぬくしたい」
  「自分のポケットに手ェ突っ込ンで暖取りゃいいだろ」
  「だってミサカのポケットは飾りでワンポイントだから狭っちいんだもん。第一位のはおっきいからミサカの手も入るし、ポケットはこういう二段活用も出来るから便利だよねえ。今度はそういうとこも気をつけて服買おっかな」

 ふざけた口調の中でわずかに自分の体を抱きしめる番外個体を視界に入れてしまった一方通行は、割合の大きくなりつつある良心に呆れ加減になりながら譲歩の選択を選んだ。

  「・・・・風邪引かして帰ったら、黄泉川もうるせェだろォな」
  「そおそ」

 便乗して頷く番外個体に完全に一方通行が降参した。
  (たまには、いいか)
 心の中でそう納得させて。






23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [saga]:2012/07/02(月) 02:44:35.71 ID:xaeBp3FB0
 
  「・・・・もォ好きにしろ」
  「んじゃ、遠慮なく入れさせてもらうかにゃーん」

 一方通行のジャケットのポケットに手を突っ込むと、あったまるう、と腑抜けた声で何だかどうでもよくなってしまった。
 周りの視線からして間違いなく恋人のする行為であることは露知らず、温さに鼻歌を歌う番外個体を尻目に歩く速さを合わせて並んであるけるようにした。
 これで満足したように思えたのだが、番外個体は一方通行の手をまじまじ凝視していた。前置きするとさっきまでは一方通行がポケットに手を突っ込んで歩いていたのだが、今は引っ込めている。そのせいか若干かじかんではきていた。今日は天気予報でも珍しく冷え込むという天気予報士の言葉をすっかり忘れていた。
 なのでおずおずとして番外個体が一応の心配の素振りをしてきた。

  「・・・・あのさ、第一位も入れないの?それじゃ手冷えて風邪とか引くんじゃないのかねえ」
  「人のポケット占領しといて言えるセリフじゃねェな。それに入れたら・・・・触れるじゃねェか。手とかよ」

 そんな恥ずかしいこと出来るか。
 人並みの羞恥心を備えている一方通行にはもちろん彼なりの常識だって持ち合わせている。 

  「へー、そうなんだ。第一位も異性に対する恥じらいっつーかわゆい認識とかあったんだあ?あなたは小学生のランドセル姿にしかときめかないかと思ってたよ。ロリコン属性でもまだノーマルって残ってるんだね」
  「勝手に人を変態扱いしてンじゃねェぞ」

 面白がり小さく笑いながら、

  「あなたでも、このミサカにどきどきするんだね」

 悪意の取れた顔で首を傾げた。
 心中なら誰も知らない、そう思って一方通行は今思った正直なことを言ってみる。
  (・・・・可愛いじゃねェか、とか思う俺って)
  (・・・おかしいだろどォ考えたって)
 気を緩めたら絶対違う意味で笑われることを悟った一方通行は、もう諦めた。

  「・・・・・・しねェし。わかったよ、クッソたれが文句言いやがったら置いて帰ってやるからな」
 
 片方のポケットに手を入れると当然番外個体の指に触れ、絡まった。
 確信してなのかぎゅっと握って、少しだけ体を強張らせた。さわさわと一方通行の手の感触を確かめながら彼女の調子が何故か萎んでいった。

  「・・・・・でかっ」
  「成長期舐めンな」
  「ごつごつしてる」
  「男は大体こォいう手してンだ」
  「しかもつめたい」
  「誰のせいだと思ってやがる」
  「ん、でも・・・ひやってして気持ちいーかもねえ。もちっと、マンション着くまでこのまんまね」
  「知り合いに会わねェことを祈るな」
  
 そうしたら、手を離さずに済むんじゃないか。
 隅っこに思い浮かんだ馬鹿馬鹿しい希望を、切り捨てて。
 一方通行の方の手にも力がこもった。

 そう、帰るまでは。

 もう少しこのままでいたい。

 その思いの理由の片鱗をこの時すでに実感していた。










24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [saga]:2012/07/02(月) 02:49:47.96 ID:xaeBp3FB0
 今日の更新はここまでです。気づいたらもう三時近いのでこれから寝ようとか、睡眠時間の心配してみたり。
 大体こんな感じで進んでいくので感想などあれば言ってください。素でもいちゃつける番外通行もいいけど、恋人同士で恥ずかしがりながら好き好きとくっつく番外通行もいいのでそこを目指せるように頑張りますよ。うん、いつになるかはわからないけれどハッピーエンドまでしっかり続けていけるようにしようと思ってます。 

 それでは、見てくださった方乙でした!
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/02(月) 04:00:17.34 ID:rw11KpTn0

こう……もう……あめぇ……口の中が甘ったるいwwwwww
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]:2012/07/02(月) 05:27:02.90 ID:BgS/Esmao
読みづらい
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 19:38:46.80 ID:IGBpGfeDO
にやけてしまう……

乙!
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 19:41:38.91 ID:7ixq7zqIO
>>26
アドバイスありがとうございます……書いてる最中が夜中だったもので読みにくいなあと後に気づいたので次から気をつけますね。睡眠って大事ですね。
本当にすいませんでした。
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) :2012/07/02(月) 22:21:06.66 ID:+uBc4YKc0
地の文がうまくて参考になるレベルで勉強になるわ。
そして甘ぇ………。
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 22:28:01.45 ID:pNeR1PPDO
超期待
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/02(月) 23:05:54.65 ID:lKeh2UPlo
番外個体かわいい
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]:2012/07/03(火) 02:25:11.61 ID:UElC2Cdzo
>>28
内容はすごく面白い
がんばってください
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/07/03(火) 21:48:36.63 ID:FNAQ0p5r0
山無し谷無しの、付かず離れずでいいから一生続けて下さい
番外通行こそジャスティス過ぎる
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/07/04(水) 20:01:43.37 ID:LtZ1+jyl0
乙です。
とても面白いのですが、読点をもう少し多くしてもらえませんかね……。
内容はとても良いです。
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 09:40:59.03 ID:MduR7CXDO
初々しくて2828する
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/23(月) 20:45:07.24 ID:by4KSFlSO
続きまだか
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/28(土) 04:17:21.24 ID:t/DfDvhSO
はよ
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/01(水) 23:03:16.81 ID:0dTGBs9SO
はよう致せ
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/05(日) 00:02:50.94 ID:GTzsEdndo
はよ
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/05(日) 06:52:01.84 ID:lkxqg9lIO
もどってこーい
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/05(日) 19:24:40.43 ID:8zwhKB3SO
まだか
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/11(土) 13:04:49.00 ID:DSgqMUnSO
はやく
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/11(土) 13:49:56.31 ID:aU9vSE+Jo
逃げたんだよ
お前らもわかってるだろ
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/11(土) 15:03:13.45 ID:HEtsj88r0
一月だろ
まだ待てよ
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/15(水) 19:37:53.47 ID:YHeVp375o
ううむ
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/08/15(水) 23:27:24.06 ID:/6fYZM7B0
あまーーい
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/18(土) 19:30:35.97 ID:fSKYHvFmo
まだか
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/02(日) 13:14:44.19 ID:wqDNzLB7o
まだかね
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/09/06(木) 18:30:32.77 ID:icKqI7jAO
もう書く気ないだろ
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/07(金) 08:42:07.75 ID:XPjS5DOmo
はやく
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