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天井亜雄「今は……いつなんだ?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/02(月) 08:03:05.78 ID:3f2C3mCo0


「それはもはや、強さだよ――」


乾いた破裂音。

自分は甘いだけだ、そんな自嘲が口癖の、かつての同僚に宛てた賛辞を掻き消すように。
比喩でなく胸に差し込む痛み。
心臓に向け穿たれた穴からだくりと噴き出す血液。

次の瞬間には苦痛が失せた。
脇腹に受けた銃撃、車ごと押し潰された痛みまで全て。

つまり身体が生存本能を放棄したのだ。
もう助からない。
引き伸ばされた思考が淡々と答えを出す。

眼前で血染めの白衣がゆるりと崩れ落ちた。
はは、そうさ、こいつは道連れだ。
私が死に、この女も死に、どちらの主義主張も死ぬ。
優しさも強さも、ただ保身に足掻いた私と共に消えて無くなる。

ははは、はは、ざまあみろ。
少しは気が晴れるというものだ。

この女が死に、私も“死”――





――嫌だ

死にたくない

やめろ助けてくれ

どうして私が嫌だ寒い

血があふれる死にたくない
嫌だ死にたくない助けてくれ
私が何をした嫌だ熱い寒い嫌だ
全部あいつが悪いんだあの第一位
死にたくない欠陥電気共が悪いんだ
嫌だどうして嫌だ嫌だ借金なんて私は
どうして最終信号のせいで私がどうして
あれが死ねば良いんだくそ嫌だ助けてくれ
嫌だ嫌だどうして私だけこんな死にたくない
嫌だ嫌だ嫌だ助けてくれ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
死にたくない嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ寒い嫌だ嫌だ
嫌だ死にたくない嫌だ嫌だ嫌だ嫌だやめろ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ死にたくない――――!!!




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2 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/02(月) 08:03:48.04 ID:3f2C3mCo0


「――ッ!!?」

がばりと跳ね起きた。

明るい。
死んで、いない?

――死?
私は――私は、

「――ゆ、め…………」

ぶわり、と汗が浮かぶ。
馬鹿のように心臓が跳ねている。
室内の滞った空気が忙しなく肺に出入りして、喉にひり、と鉄の味がした。

「どこから、だ」

第三位の体細胞クローンによる超能力者量産プロジェクト、失敗。
失敗作を流用し第一位を被験者とした絶対能力進化実験、失敗。
軍用クローンの暴走および学園都市敵対組織との取引、失敗。
第一位の殺害、失敗。
最終信号の殺害、失敗。
元同僚の殺害、成功?

「どこから……どこまでが、夢だ」

転落の記憶はあまりにも鮮やかだ。
本来あるべき記憶と混同するほどに。

「今は……いつなんだ?」


3 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/02(月) 08:04:16.52 ID:3f2C3mCo0

・タイムリープした天井亜雄が安価で幸せになりたい

・幸せの定義=目的は展開や心境によって変動します
 金銭、名誉、愛、復讐、享楽、etc……
 初期は「保身」です

・死亡、廃人化、タイーホ等で目的達成不可になった場合、記憶を引き継いで過去に戻ります

・原作に明言されていない時系列(各実験の期間とか)はアバウトです
 必要になったら適宜決定します

・本編は台本+ちょっと地の文の予定

・Q.なんで天井なの?
 A.天井たんは小物可愛い

・まったり進行になりますがよろしくお願いします


【2周目・開始時点】
目的:「保身」身を脅かされない安定した生活・立場を確立する
開始:>>+2

※どこまで過去に戻ったか指定
 学園都市で研究者になった後〜あの8月31日の朝 の範囲で


4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 08:21:08.45 ID:P3KQj4K1o
これは期待せざるを得ない。ksk
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/02(月) 09:08:30.76 ID:6RjaLWbAO
学園都市に来てすぐ
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/02(月) 09:09:31.59 ID:6RjaLWbAO
学園都市に来て(研究者になって)すぐ という解釈でお願いします

期待ksk
7 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/02(月) 09:54:13.01 ID:3f2C3mCo0

・連投、連続で安価を取るのはとりあえずOKです

・無効安価は下です

・禁書目録小説、超電磁砲漫画の単行本刊行分は既読
 DVD等の特典SS、ドラマCD、超電磁砲アニメ、ゲームの知識はwiki頼り

・時間が不定だったり来れない日もあるのでゆるくお付き合いください


ゆらりと頭を振りベッドから出る。

天井「……この部屋は」

見渡してみて目眩がした。
知っている場所だ。
確かに自分が住んでいたマンションの一室だ。

天井「違う。住んでいたんじゃない、住んでいるんだ」

デスクのPCを起動。
一瞬、真っ暗なディスプレイに映り込んだ自分の顔は、敢えて意識から外した。

天井「くそっ、早くしろ……!」

無意識にぎちぎちと爪を噛む。
果たして、PCの隅の日付表示も、ネットで検索した時事ニュースも、同じ頃を示していた。

天井「は、はは。そうだよな。そうだよ、あんなことは無かったんだ」

丁度、天井がこの比較的手狭で低賃金の部屋に住み、若々しい表情をしていた頃を。

天井「全部夢だ。一方通行も、芳川も。……しかし」

それにしてはあの記憶は「厚過ぎる」。
カレンダー上の「昨日」のことをまるで思い出せない。
それほどの情報量を、たった一晩の夢で見るのか。

天井「精神系の能力、あるいは記憶障害……?」

と、ベッド脇の携帯がピピピと電子音を鳴らす。
今日の曜日は平日で、出勤するなら支度を始める時間だ。
そして状況から得た年月日を信じるなら、まだ私設の研究所など持っておらず、
新入りの研究員として遺伝子系の研究所に勤めに出ていたはずだ。

天井「……」


天井は……>>+1
※行動安価


・量産能力者計画における(1周目の)天井の立ち位置を決めておきます
 計画の立案に関わっているか>>+2
 美琴にDNAマップを提供させた件に関わっているか>>+3

※この安価の決定は周回を跨って適用されます
 当スレ内における設定を決める安価だと思ってください


8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 09:57:25.20 ID:Kj+TJC/xo
出勤準備
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/02(月) 10:22:48.09 ID:tej2/9DU0
関わってるむしろ立案者
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga sage]:2012/07/02(月) 10:28:43.41 ID:64ZqC5pco
DNAマップは既に他者が入手している
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/07/02(月) 10:28:55.16 ID:6RjaLWbAO
それには関与していない
12 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/02(月) 11:14:24.74 ID:3f2C3mCo0


天井「ひとまず行くか。この内装だけなら、バーチャルの可能性もある」

買い置きのシェービングクリームの場所が分からず苛立ちながらも、
適度に準備を済ませ、天井は部屋を出た。


勤め先は第五学区、バスで10分、そこから徒歩5分ほどの位置にある。
バス停までには数本の街路樹の傍を通ったが、濡れたような緑の匂いはリアルなものだった。

天井「この街全体がバーチャルとは思えない。ふはは、そうだよな。これが、こっちが現実だ。
   ……と、このバスはデザインが変わったんじゃなかったか?」

「旧型」のバスの窓から見る風景にも、ちらほらと時代遅れの乗用車や型落ちした家電の広告があった。
そもそも自身が使っている携帯だってあの夢の中では数回機種変更していたはずである。

天井「もし……数年後に知っているデザインの製品が発売されたら」

意味も無く何度も奥歯を噛み締める。
そうだ、しばらくしたらあの夢が正しいか分かるのではないか。

何だったら数年も待たなくて良い。
天井がこの時期所属している部署では、動物と人間の遺伝子を比較し能力の由縁を探る研究をしている。
だがその後秘密裏に人体クローニング技術を扱う部署に異動し、能力者の実験用クローンの研究で成果を挙げて、

天井「くそっ、信頼性など知ってどうなる」

あの記憶が現実とリンクしていたら。
予知能力に近いようなものだとしたら。

その研究の末路は――。


そして昼休み。

上司「天井君。実は複製医療臨床研究チームに増員の話があってね。良ければそちらに行ってみる気はないか」

天井「な――!!」

上司「どうした? 君の専門からすれば適した部署だと思うが。まぁ来週の今日までに結論を出してくれれば良い」

天井「……」


今後の方針>>+2
※大まかでも具体的でも


・安価協力ありがとうございます
 このスレの天井(1周目)はDNAマップの存在を知って計画を立案した感じになりました


13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/02(月) 11:23:10.29 ID:WZor5TUa0
ksk
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/02(月) 11:23:38.39 ID:WZor5TUa0
研究チームに行く
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/02(月) 11:35:11.63 ID:Ac4gP2qg0
能力開発用のクローンの研究を中心としているように見せかけながら、医療用のクローンの方に力点を置く
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/02(月) 12:09:47.75 ID:Ac4gP2qg0
どうにかして御坂美琴の能力開発担当になり、妹達の研究を生かして彼女を学園都市第二位以上にできないか考える
17 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/02(月) 12:21:06.10 ID:3f2C3mCo0


天井「…………」

深夜の研究室。
クローニング部門でも新参である天井は事務処理を請け負うと称して一人残業している。
つるりとした実験台の上に、書類仕事には不必要な実験器具。

培養した細胞株を並べ、試料のアンプルを折る。
かちかちとガラスが鳴っている。

天井「っ、ふざけた実験室だ、窓の建付けもなっていないのか!」

器具を繰る自身の手が震えていることに気が付かない。

かちり。
一際大きくスポイトの先がぶれ、シャーレのへりを伝い液体が落ちる。

天井「あ…………うあぁぁ……っ!!」

しずくを受けたゼラチンがじわりと赤く染まる。
成功を示すその色は何故か流れ出る血液を思わせ、静かに円形に広がっていった。


「成長促進剤を使用した際の遺伝子欠損の低減について」。
それは、あの記憶の中で自身が纏めた研究だ。
着手から完成に14ヶ月を費やし、天井がクローニング研究で一定の地位を築くきっかけとなるはずのもの。
その全てを天井は既に知っていた。

きっと他の理論も正しいのだろう。
細胞分裂速度のコントロールによる先天異常の発生防止。
学習装置の使用を前提とした脳の均一化。

服の背に泥を投げ込まれたような心地がする。
機材とDNAマップさえ揃えば天井は今すぐにでもあの忌々しいクローンを量産できる。
年単位で先の技術を知っているなど、もはや偶然でもオカルトでも済まなかった。

天井「ど、どうすれば良い。どうすればあの結果を避けられる」

記憶よりも早く研究を実証できているのだから、あれは予知の類ではないのだろう。
同じ過程さえ辿らなければ結末は変わるかもしれない。


今後の方針>>+2
※大まかでも具体的でも


18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/02(月) 12:21:32.09 ID:1tzDqW4Vo
kskst
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/02(月) 12:28:28.16 ID:Ac4gP2qg0
能力開発用のクローンの研究を中心としているように見せかけながら、医療用のクローンの方に力点を置き、徐々に研究対象・専門分野を関連領域にシフトする
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga sage]:2012/07/02(月) 12:50:36.50 ID:yfqlyA67o
逃げの天井か
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県) [sage]:2012/07/02(月) 13:06:19.49 ID:btVQxIG10
どこまで逃げれるだろ?
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/02(月) 13:15:36.62 ID:yNToLyei0
妹達は製造されるの?
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/02(月) 13:19:16.69 ID:Ac4gP2qg0
クローニングと能力開発が専門だったから「能力者のクローン」を研究したのだろうし、どちらかの分野を切れば今はまだ無名なはずだからいけると思うんだが…
24 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/02(月) 13:54:21.28 ID:3f2C3mCo0


天井「そうだ……借金さえ、借金さえなければ!」

実験台に拳を叩き付けた衝撃で、赤い細胞株がふるりと揺れた。
それをシャーレごと引っ掴み薬剤の中和の後、焼却処分する。

天井「あの計画にさえ手を付けなければ良い! あれが実施直前に頓挫などしなければ、余計な辛苦も負わなかったのだから!」

記憶の中では功を急ぐあまり「樹形図の設計者」の演算を待たずに計画を強行し、自分の首を絞めてしまった。
大成したいという願望など死の恐怖に比べれば塵に等しい。
それに研究面とて手堅く進める方向にするだけだ。

天井「ふん……記憶の中にある研究は実用化しない方が良いのだろうか」

自身が立案しなくても、腕を見込んで似たような計画を持ちかけられるかもしれない。
責任者さえにならなければ大丈夫だろうか。
しかしスケープゴートとして招集された布束の例もある。

がちゃがちゃと、しかし破損しないように器具を片付けながら思案する。
ひとまず超能力者のクローニングから最大限に距離を取りたい。
しかし自身の職能を考えればクローン研究者として生きていくしかなかった。

天井「第三位のDNAマップが流出している以上、この研究を続ければいずれ――」

ぼさぼさの髪を掻き毟り実験室を辞した。
センサーが人体を感知し、ぽん、と廊下に明かりが灯る。

「複製医療第二実験室」のプレートがちかりと目に飛び込んだ。


同じクローンでも、分野によってその形態は異なる。

因縁の軍用クローンの場合、当然兵として投入できる人間形のクローニングが求められる。
能力研究の素体用なら突き詰めれば脳のみに集約される。

逆に医療用のものだと、破損部位を補うための各パーツがあれば良いのだ。
公的には人体の複製が禁じられていることもあり、腕だけ、臓器1つだけを培養する研究が盛んに行われている。

天井「二重の隠れ蓑、か。それなら立場的にもやりやすいかもしれない」

この部署では、医療用のクローン研究を建前に能力者を複製する技術を追っている。
逆に言えば、外向けに売り込む医療分野で一定の利益を上げられれば、研究所としても天井を切るのは難しい。
例え能力研究としては重要でない腕や脚ばかり培養槽に並べていても、だ。

天井「まぁ始めからそれでは拙いな。『遺伝子欠損の低減』は頃合いを見て発表するとして……」

あのマンションで目覚めて以降一番に足取りが軽い。
心情としてはまさに首が繋がったような思いで、天井は今後の算段を立てるのだった。


・医療用クローニング分野でどれくらい頑張るか>>+2
※参考:
(うっかりクビになるくらい)
   ↑
  手抜き
   ↑
   |
   ↓
  頑張る
   ↓
(未来知識で他人の研究をパクる勢い)

・しばし離脱します
 ついでに今後の方針を妄想してくるので後で安価だけ増やすかもしれません


25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/02(月) 13:56:23.69 ID:rzI8ur0O0
ksk
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/02(月) 13:56:50.38 ID:rzI8ur0O0
めっちゃめちゃ頑張る
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/02(月) 14:11:23.76 ID:Ac4gP2qg0
確かにめっちゃ頑張って、医療用クローニング分野で自分の研究所を持てる位になれば安泰だな…問題は頑張りすぎてアレイスター辺りに怪しまれないかだな
28 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/02(月) 15:42:20.02 ID:3f2C3mCo0


・復帰ました

・安価追加:
 医療用の技術とはいえ後ろ暗い研究手段も存在します
 どのくらい闇に足を突っ込むか>>+1
※参考:
(小萌てんてーレベルで清廉潔白)
   ↑
   光
   ↑
   |
   ↓
   闇
   ↓
(暗部編序章でグループに潰される程度)


29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/02(月) 15:48:38.18 ID:Ac4gP2qg0
できる限り避ける…それでも成果は上がるだろうし、脛に傷は持たない方が良い
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/02(月) 15:48:38.43 ID:hmGDYrP/0
小萌先生レベル
31 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/02(月) 16:10:19.05 ID:3f2C3mCo0


あれ以来、記憶にある研究を小出しにして時間を稼ぎ、医療分野の論文を読み漁る日常が始まった。
専門ではないものの前の未来で目を通していたものも多い。
その中から見繕って適切なタイミングで発表するなり、画期的な論文の後に逸早くその応用を展開していけば、
コンスタントに成果は上げられるように思える。

金で身を滅ぼした生々しい経験があるのだ。
経済力と発言力は持っておくに越したことはないと強く思う。

同僚「おう天井、欠損防止のやつ進度どうよ?」

天井「……ぼちぼちだ」

あとは、能力開発分野を志したものの別の方面に才能を発揮し――と、そう見えるように心掛けるくらいだ。


天井の立ち回りの上手さ>>+1
※コンマ判定  ★修正+20
- 4:ファンブル
5-49:失敗
50-94:成功
95- :クリティカル
ただしコンマ自体が0-4/95-99の場合、修正の値によらず必ずファンブル/クリティカル


32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 16:12:50.35 ID:JY2M+aqjP
ファンブルファンブルファンブルファンブル(呪い)
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/02(月) 16:21:50.84 ID:Ac4gP2qg0
これで再生医療の研究が進めば、原作で身体欠損のあるキャラに変化が出そうだな…
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/02(月) 16:47:23.51 ID:3vKp9mWS0
きたい
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/02(月) 17:12:07.50 ID:Hg0r/JK90
天井は研究者として現実感があるから好きだな。
一方さんとの和解が見てみたいな。
36 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/02(月) 17:17:41.64 ID:3f2C3mCo0


チーフ「天井君、皮膚培養の簡易化の件は――」

天井「はい。現状で目標の80%まで時間短縮を図りました。
   加えて新薬のj04-edwdを液中に含ませることで――」

戦略は概ね上手くいっていた。
この部署における医療研究が副次的なせいもあるが、異動から1年半程で「建前」のかなりの部分を担うようになった。
さらにその役割から外部向けに発表することが多く医療分野でも精力的な研究者として認知されてきている。

天井(面白いのは、数年先の技術が突然現れることで記憶とは違う潮流が生じることだな)

突飛なところでは四肢の複雑骨折等の治療で、「治す」のではなく「付け替える」方法が真面目に論に上っていたりする。
天井の知る未来の技術でもリターンに対してリスクが大きいように思えるが、
異なった発展を見せつつある「今」の5年後なら、実用化まで漕ぎ着けているのかもしれない。
それは単純に研究者として興味深かった。


デスクに散らばったメモを拾い集め、粉砕機に投げ込む。
都市製のOA機器は音も無く思考の欠片を噛み砕いていった。
シュミレーションソフトを停止、PCをシャットダウン。
無愛想な挨拶には居残りの同僚から軽く手を挙げ返される。
若干暗いトーンの声を誰も聞きとがめない程度には、天井はその場に馴染んでいた。

通い慣れたバス停までの道を行きながら、口の中だけでぽつりと呟く。

天井「問題があるとすれば、ここ自体がグレーゾーンの研究をしていることか」

そう、自身は危うげなものに極力近寄らないようにしていた。
といっても未来の知識にある他人の研究成果を拾ってきているあたり、大層な倫理観を持っている訳ではない。

例の借金のことといい、単にその手の後ろ暗い話には全く身の保障が無いのだ。
あるいは研究者として一線を越えたと判断されればより深い闇に呑まれて終わり。
絶対能力進化実験の上層部が雇っていた連中が、妙に印象に残っている。

万が一にでも、研究所や部署ごと目を付けられることがあったら。

天井「……独立、か。もう少し機を見るか。それとも――」


天井は……>>+2
※リクナビNEXT的な意味で


37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 17:19:19.02 ID:XgLsPTUSO
天ァァァァァ井くゥゥゥゥゥンンンンン!!!!!!
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/02(月) 17:23:02.88 ID:Ac4gP2qg0
「後ろ盾になってくれそうなクリーンな人物はいないものか」とよく考える
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 17:24:23.19 ID:XgLsPTUSO
連投OK?独立で。
天井くンには家族つくって子宝に恵まれて欲しい
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/02(月) 17:54:15.11 ID:Hg0r/JK90
就活中の俺には独立できるだけの技術力が羨ましすぎワロリーヌ。
天井くンっていくつくらいなんだろね?
個人的には30台前半をイメージしてたわ。このくらいだと20台後半か、30ちょいかな?
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 18:01:54.19 ID:cw7s5RaWo
連投OKにすると同じ奴しか取らない
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/02(月) 18:14:29.57 ID:OCRnAK3V0
連投OKって書いてあるが
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 18:19:10.52 ID:XgLsPTUSO
あっほんとや
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/02(月) 18:19:37.29 ID:Ac4gP2qg0
「とりあえずOK」だし、人が増えれば変更されるんだろう…しかし、連続はまだしも連投はなぁ…
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 18:29:09.91 ID:mAsVIfkDO
まあ>>1に判断して貰えば良いでしょう
46 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/02(月) 19:18:23.92 ID:3f2C3mCo0


天井「や、やはり割りを喰うのは御免だ」

自身は危うげなものに「極力」近寄らないようにしていた。
だが組織全体の気風から、提携して研究を進める相手にも薄暗いものが混じることがある。
そういった連中は当然のようにこちらに綱渡りを求める。
それで全てを失ったら、提携先が、研究所が、どうにかしてくれるのか。

天井「……切られるのが目に見えているじゃないか」

実体験したことだ。
発案・責任者共に自分だったとはいえ、瓦解が知れた時には皆逃げ去った後だった。
意識せず、吐いた息は陰鬱なものになる。
研究施設の密集した風通しの悪い一帯はこうした空気がずっと澱んでいるようだ。

ならば独立。

天井「独立すれば組織の問題を被ることは無くなる」

角を曲がるときつい街灯が目を灼く。
口端を歪めて面を伏せる。

……即決できない理由があった。
金と立場。
知識のアドバンテージをもって地道に蓄えてきたが、今すぐというには心許ない。

天井「くそっ……」

せめてどちらかでも、信用できるパトロンか後ろ盾がいればと歯噛みする。

不意の突風が、ごう、と抜けていった。


47 :PCのネットが切れて手打ちの>>1 ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/02(月) 19:54:04.14 ID:a9HbzzuDO


十数日後。

??「――君が、天井亜雄君だね?」

天井「……」

知らない相手にフルネームを呼ばれたところで気にはならない。
さっきまでの研究発表会の参加者の誰かだろう。

と、夕闇の中に浮かぶ姿は、少し予想の範囲外だった。
恰幅が良い癖にこじんまりとしたイメージ、それでいて雰囲気には力強さを感じさせる。
つまり「底の読めない老人」だ。
あと蛙に似ている。

冥土「おっと、失礼したね? 僕は冥土帰しなどと呼ばれている、まぁ、一介の医者だね?」

天井「は……冥土帰し!?」

その名だけなら何度も耳にした。
治せない患者は居ないとまで言われる名医。
また皮膚培養のプロジェクト関連で調査した中にあった、そのまま人工皮膚になるというとんでもない包帯の開発者、だったはずだ。
その割に、あくまで本分は医者だからか学会や発表会にはほとんど現れない。

天井「何でしょうか」

冥土「あまり畏まらないで欲しい。僕が主治医を務めている患者の治療に、君の知恵を借りたくてね?」

天井「! しかし、あなたなら私よりも――」

冥土「いいや。僕は患者の為なら何でも用意したい、でも実際に僕一人に出来ることなんて限られてるんだね?
   それに君は――僕達より先のパラダイムを持っているように感じる」

ざぁっ、と音を立てて血液が落ちていった。
パラダイム:ある研究分野等における共通認識、考えの枠組み。
しばしば例に出されるのが天動説と地動説。
冥土帰しは言う、皆が天動説を信じている中で、私が地動説を知っていると。

心臓の体積が収縮する。


天井は……>>+3
※行動安価
 台詞、大まかな指針もOK


・安価とは別に1周目とかで面識のあるクリーンな人を書いて頂けると
 天井に電波として飛んでいくかもしれません

・連投、連続について
 期待以上に見てくれている方が多かったので暫定で連投NGにしてみます
 人の少ない時間にも安価しそうなので、連続で取るのはOKのままに

>>40 天井の年齢
 >>1 は本編30後半、このスレ30前半くらいのイメージです
 逆行のせいで精神的にはもう少し年食ってますね
 各位お好きな外見年齢で読んで頂ければ

・手打ち辛いので今日はこのレスで終了です
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/07/02(月) 19:56:22.96 ID:EkTYeJX80

天井くンの人生に幸あれ
ksk
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 19:57:26.32 ID:XgLsPTUSO
ksk
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/02(月) 19:58:12.04 ID:epA4/3sz0
協力する
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 20:10:54.21 ID:JY2M+aqjP

安価スレの中じゃ正直面白いわ
しかし天井が原作で関わったクリーンな人間なんていたっけ…?
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 20:13:25.92 ID:XgLsPTUSO
芳…川?
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 20:17:51.93 ID:DCYQrkvho


たしかに芳川ならまだ例の研究はじまってないし、クリーンかもね。
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 20:22:26.51 ID:3hryOGRRo
あとは布束?
一方通行を上手いこと味方に出来れば心強いけど、アレイスターに目つけられるリスクもあるか
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/02(月) 20:25:50.27 ID:Ac4gP2qg0
乙ー
この時期に身体欠損ある原作キャラって、誰かいたっけな…
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/02(月) 20:40:23.45 ID:XgLsPTUSO
あんまり身体欠損て言葉は使いたくないが黒夜ちゃン、俺の女神病理さんくらい?
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/02(月) 20:48:12.75 ID:Ac4gP2qg0
会ったことがなくても、親船と貝積は知っててもおかしくはないかな…
学外の人間だと、旅掛のことは仮に知ってたとしても天井の方が避けそうだな…
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/02(月) 20:52:36.62 ID:Hg0r/JK90
天井くン……!幸せになってくれ!
禁書は大人は基本的に悪役にされがちだからなー。少年たちを導く、格好良い大人であれ!
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/02(月) 23:05:51.62 ID:Ac4gP2qg0
そういえば、天井と面識のあるレベル5って一人だけだよな…
まぁ、レベル5にトラウマできててもおかしくないような目に遭ってたし、
レベル5と親しくても後ろ盾は無理だろうからあまり意味はないか…
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/02(月) 23:27:33.66 ID:qQlhfY7fo
冥土返しと協力するならぜひ一度冥土返しの患者になっておきたい所
あんまりにもひどい場合じゃなければ冥土返しの患者ということである程度の庇護が得られる気がする
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/07/02(月) 23:30:27.22 ID:0NvXk1lho
なんか西新宿の魔界医師みたいだな
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2012/07/02(月) 23:58:16.64 ID:c9ayg4U70
>>58
禁書は子供が主役の物語だからどうしても木原くんみたいな悪人や、黄泉川みたいな子供に都合のいい大人しか出せないんだよな
一人くらい子供を導いてくれるような大人がいてもいい気がする
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 01:31:09.09 ID:WYIbbx1SO
小萌てんてー、木山てんてー、加群か?
64 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/03(火) 09:10:12.34 ID:sGmHi7qJ0


ごきゅり。

唾を飲む音が身体の中に嫌に響いた。
全身を冷たい汗が覆っている。

どうする、どうする、どうする。
最高の医者は真剣に、しかし穏やかにこちらを見詰めている。
何を言うでもなく静かに返事を待っているようだった。

上手くやっていたはずだ。
気付かれたのは年の功か、あるいはあの記憶のことを知っている――?
まさか、流石にそれは。

天井「……具体的にはどういった話だ――ですか。どうして私ならできると?」

冥土「左腕が動かなくなってしまったんだね? 今ある腕の治療はほぼ絶望的なんだが、本人が義手や、半端なクローニングを拒否している。
   やるならあらゆる意味で本人の身体と齟齬が無いように、だそうでね?」

それが出来ないなら現状のままで良いとまで言うんだよ、と医者はぼやく。

天井「何というか――注文の多い」

冥土「まぁちょっと特殊な事情があるんだね? 君に頼む理由は、まず1つ、この分野の新鋭として知人が名前を挙げていたこと。
   2つめは、研究の進め方が、到達点を確信しているようだと思ったからだね?」

僅かに息を漏らす。
あくまで知名度と勘か。
こちらが後のことを知っているなどと確信している訳ではないらしい。

冥土「天井君が研究所所属なのは知っている。治療さえできるなら、方法はある程度僕にも秘匿して良いし、僕が知ってしまったことは他言しないね?」

当然、勤め先に隠れて情報を流したとなれば問題になる。
現在着手している研究とはあまり関係の無い内容であってもだ。

天井「――――分かった」

しかし手の内が少しでも感付かれていること、またコネクションとしても協力関係を持って損は無いと思った。

簡単に今後について打ち合わせし、連絡先を交換した。
先ほどの理由により、協力の際は関係が漏れないように、もしくは逆に完全に研究所を通じて依頼してもらうことにする。
同様に協力の対価も要相談ということになった。
知識を取引をして金銭を得るのは、禁止されている副業に当たる。

冥土「ありがとう、受けてもらえて嬉しいよ」

最後に冥土返しは天井の右手を、同じく右手で握る。

天井「いや――いえ」

冥土「詳細は次に、また。ああ後、僕とは気軽に話してくれて良いね?」

不思議と堂に入ったウインクなどを見せ、彼は去っていった。
はぁぁ、と詰めていた息を吐いた。


冥土帰しへの協力は>>+1
※周囲には伏せるor正式に依頼してもらう

要求する対価>>+2


65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/03(火) 09:12:10.54 ID:FnVytq4w0
正式に
66 :名無しNIPPER [sage]:2012/07/03(火) 09:21:47.82 ID:xJSa8BsG0
1億
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga sage]:2012/07/03(火) 09:39:41.16 ID:VnKTlZ69o
意外とがめついな、天井くン。
68 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/03(火) 10:42:47.78 ID:sGmHi7qJ0


研究所、応接間。
自然採光を取り入れた清潔な室内で1つの会談が持たれている。

冥土「――と、いうことです」

チーフ「分かりました。患者さんのために、私達も手を尽くしましょう!」

天井「……よろしくお願いします」

冥土帰しは立ち上がり、複製医療臨床研究チームのチーフと天井にそれぞれ握手をする。
帰る彼をホームの二人は立ち上がって見送った。

チーフ「全く、凄いものを連れて来たな。医療における不世出の天才じゃないか」

天井「いえ。以前発表したものが偶然彼の要求に合致しただけです」

チーフ「ははは、それが充分とんでもない話だよ。しばらく忙しくなるだろうがよろしく頼む」

そう言うと上司は、天井の背中をばしりと叩いて去っていった。

結論としては、やはり正式な依頼として持ち掛けてもらうことになった。
研究所のグレーゾーンを厭い独立を計画してはいる。
だからこそ敢えて組織と問題を起こすのは避けたかった。
また独立後のことを考えても、解雇同然に前任を去ったか円満に離職したかで周囲の目が違う。

天井「しかし、本当にあの額が通るとは」

事前の口裏合わせで1億という対価を要求したのだが、存外にあっさりと先方は頷いた。
どうやら患者とやらがそれなりの人物らしいのだが。
研究所の利益分を差し引いても充分要求を満たすだけの金と共にこちらにも条件が提示され、それには既に了承している。

まず、患者に合わせた特殊な治療環境に同意すること。
本人の意向により面会ができないというのだ。

そして、可能な限りでも、徐々にでも良いから、今回の治療で使用する理論を公開してほしいということ。
研究所としては報酬額と公開の段階化をもって。
天井個人としても他に未出の知識のストックはあるため頷き、契約は成立した。

天井「しかし、まぁ見上げた医者根性ではあるな」

2つ目の条件を聞いた上司の、「理論は公開するな」ではないのかと言わんばかりの目に、冥土帰しは言ったのだ。
僕の望みは患者に元気でいて欲しいだけだね? 例え直接担当している患者でなくとも、と。


69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/07/03(火) 11:13:32.56 ID:3gXB3f1m0
流石のメイドさんやで
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/03(火) 11:42:52.72 ID:gVEsmUaL0
この調子だと、那由他辺りにも変化が出そうだな…この技術って、もろに義体と競合してるよね
71 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/03(火) 12:00:40.56 ID:sGmHi7qJ0


冥土帰しの研究室での治療は、想像を絶するものだった。

初めて見る形の培養槽に腕が浮いていたのだ。
それだけなら冥土帰し自身が試してみたものだろうと思う、が。

冥土「あぁ、それは本人のものだね? それと同一で、かつきちんと動く腕を作って欲しいそうだ」

天井「は、はぁ!?」

面会できないと聞いた時点でサンプルの採取は冥土帰しがするのだとは思っていた。
しかし腕ごと先に切り取ってくるなど!

冥土「僕としても本意ではないよ。現物を見ずにどうして全く同じにできる、と訊いたら、なら持って行けとのお答えでね?」

やれやれと首を振る医者を前に、天井は思考を止めることにした。
さっさと採取しよう。

腕は均整が取れ、あの化け物じみた超能力者より作り物めいていた。
骨と筋と脂肪と皮の完璧なバランスを保ち性の判別がし難い。
皮膚を僅かに剥がす瞬間、何か良くないことをするような背徳を覚える。
また針を刺す時には何故か毒薬を注入する処刑官になったような気分だった。


またあるときは。

天井「……経年処理?」

冥土「そう」

本人の腕とほぼ同じ腕の形を成してから、さらに代謝を経て体組織を入れ替えたいという。
ある程度ならともかく、やり過ぎれば人体の老化と同様の劣化に繋がるのだが。

冥土「患者の希望でね……」

もはや意味の分からない求めをしてくるその患者にも、呆れた声でそれを伝える医者にも慣れてしまった。
つまりは自身も諦めた。

しかも指示された経年処理の時間が実年代換算で100年を超えるものだから、酷く頭が痛む。
「現物と同様に」作るのではなかったのか。
結局作業時間の大半が、この処置に要したものだった。


72 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/03(火) 12:02:17.21 ID:sGmHi7qJ0


天井「やっと、だな」

冥土「あぁ。縫合、その後の処置については僕に任せて欲しいね? もしかしたらまた知恵を借りるかもしれないが」

仕事量以上に疲れた二人が部屋の片隅で軽い祝杯を上げたのが、数ヶ月後のこと。
必要部以外の明かりを落としてしまったため多くの実験器具が闇に沈んでいる。

天井「ここでの作業も終わりか」

この研究室にある器具は驚いたことに冥土帰しが自作したものも多い。
独特な培養槽含め、他でこの光景を見ることはないだろう。
初めのころはうっかり破損しないよう気が気ではなかった。

ちなみに防菌性、気密性等で部屋は分かれており、飲食などしているこの場は管理が甘い一室である。

冥土「なに、また別件でも依頼するかもしれないよ」

天井「今度は我侭の少ない患者にして欲しいものだ」

出向扱いで週の大半をここで過ごしていたため、生ける伝説のような医者とも大分馴染んでしまった。

天井「そういえば3週後の学会は――どうせ来ないんだろうな」

冥土「悪いね。会に出るとなると患者に向き合う時間が減ってしまうからね?」

次の学会では、作業と平行して纏めていた今回の理論を発表するのである。
研究所の名を冠してはいるが、協力者という名目で彼とほぼ共著だ。

天井「なら次に会うのは大人しい患者の治療で呼ばれた時か、私が骨折でもした時か」

冥土「全く縁起でもないことを言うんじゃないね?」

聞き慣れた冥土帰しの呆れ声と共に、長かった共同治療が終わる。
部屋を去る前にもう一度振り返る。
医学と薬学と化学と工学に埋もれて、初老の名医が手を振った。


・遅筆スミマセン、安価は次のレス時に出ます

・多くのレスありがとうございます
 天井こんなにも愛されているとは


73 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/03(火) 12:34:37.63 ID:sGmHi7qJ0


天井「失礼しました」

研究所内の会議室から退出する。
経過報告は毎週行っていたものの、終盤は先方にほぼ詰めていたため上司に総括を伝えてきたのだ。
自身用のレジュメをはらはらと捲りながら歩く。

上司からは報告後にある打診を受けた。
ここで天井が主にしている医療系クローニングを部門として独立する気はないか、という。
対外的には複製医療臨床研究チームを第一と第二に分ける形だ。

天井「部署の分割、か……」

十中八九、その場合の中心は自分になるだろう、また何人か部下も付くだろうか。

かつん、かつん。
人工の白光が等間隔に灯る廊下を意図してゆっくり進む。
すれ違った別部署の研究者と目礼を交わした。

かつん。

丁度、通路が十字に交わる箇所に差し掛かった。
左手はエントランスホールに続いている。
正面には所属する部署、天井のデスクもそこにある。
右側は普段あまり使われない会議室などがあるが、もし新部署が立ち上がるならあの辺りになるだろうか。

天井「――どうするか」


天井は……>>+2
※今後の研究生活的な意味で


74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/03(火) 12:39:57.57 ID:Wj/+W+8D0
ksk
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 12:42:08.60 ID:XpSfTI1Oo
健康に気を使って一日三食。バランスの良い食事を心掛ける
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/03(火) 12:43:36.54 ID:/vgrq+Mm0
例の実験に関わることになりそうだから、これからの研究に関する具体的な内容を聞きだし、それから考える。
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 12:45:23.14 ID:XpSfTI1Oo
何か勘違いした悪寒。アレなら下で
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/03(火) 12:48:01.26 ID:gVEsmUaL0
独立を見越して、人脈・人付き合いについて考える
また、部下の人選に気を使う(違法研究に手を出していないか、独立した場合ついてくるか等)
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/07/03(火) 13:00:04.67 ID:3gXB3f1m0
スイートブルーカンパニー設立
80 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/03(火) 13:31:52.17 ID:sGmHi7qJ0

・アレではないですが>>75 テイストで>>76


天井(早急に決めるのも危険かもしれないな――っ!?)

ぐらり。
物思いに耽りながら踏み出した床がぐにゃりとぶれた、ように感じた。
咄嗟に壁にもたれると視界の周囲がモザイクのように狭まってくる。

天井「――――ふぅ」

程なく目眩は治まったが、別の意味で気が重い。
どう考えても貧血の症状。
医者と同席していた分身体には気を付けていたが、前の作業中にはかなり根を詰めていたのだ。

天井「これでは骨折ではなく内科で世話になりそうだな」

外的な危機を排除することに気を取られ過労死などしたくない。
先のことを考えるあまりがむしゃらにやってきたが、少し身近にも気を配る必要がありそうだ。


デスクに戻りPCのロックを解除。
ついでに自動販売機で購入した野菜ジュースにぷすりとストローを差した。

天井「明日からはきちんと昼も食べるか……」

同僚「弁当作ってくれる相手が欲しいよなぁ……」

天井「…………」

しばらくは所内および学会での報告、発表の準備が主になる。
組んだ相手が有名所だったため他の部署からも興味を得ているようだった。
カタカタと説明のアウトラインを組みながら別のことを考える。

新部署に入るなら、自分がリーダーとして研究の方針をコントロールしやすくなる。
提携先の要求で嫌々危険を冒すようなことは避けられるだろう。
しかし研究所の上層レベルで決定した事項には、所員として従わざるを得ない。

天井(例の実験に触れる可能性は排除したいが……)

現部署、新部署共に、細かく見てどの分野に展開する戦略なのか。
また意思決定に自身がどの程度関与できるのか。

天井(決定を下すのは具体的なことを聞いてからだな)

肩を落としてカロリーメイトの箱を捨てる同僚を尻目に、天井は今後の方針を固めていた。


81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/03(火) 14:25:22.49 ID:Wj/+W+8D0
>>79

ブルーシーリングコーポレーション
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/07/03(火) 14:28:27.24 ID:UEOPAN3AO
こっそり性欲処理用に御坂クローンを製造なんて安価をとったらどうなるのっと
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/03(火) 14:32:29.77 ID:Wj/+W+8D0
エロなんざいらねぇんだよぉぉぉ委員会の皆さんが
叩きに来る
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 14:39:08.87 ID:WYIbbx1SO
じゃあ芳川との性的な意味での絡みは?
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/03(火) 14:39:23.63 ID:gVEsmUaL0
トラウマになってるような存在なんだから、性欲の対象になるとは到底思えないんだが…
86 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/03(火) 14:46:17.52 ID:sGmHi7qJ0


チーフ「具体的な展開について、か」

翌日、タイミングを合わせて上司に話し掛けてみた。
数種類の観葉植物の並ぶスペースでチーフが吐き出した煙は、綺麗に壁の隅に吸い込まれていく。

天井(こんな分煙機構もしばらく後に超小型化されるんだったな)

チーフ「新部署のことならかなり君の裁量によるよ。最初は今取り組んでいる部分医療の効率化と高品質化が主になるだろうけど。
    ただし独立化して人員を増やす以上、手広さは求められるだろうね」

そうすると、現在進めている方面から広げるか、新規に手を付けるか。
最近クローン体からの脳以外の全身移植が非合法に目を向けられつつあるのが引っ掛かるが、それ以外にも流行の分野はある。
他に気をつけるべきは第三位のDNAマップ取得時に名目とされていた筋ジストロフィー治療か。

天井「現時点ではどこかと提携は……」

チーフ「ああ。後で伝えようと思っていたが、能力行使部位の損傷治療について打診が来ている。
    受けるにせよ蹴るにせよ学会の準備と平行で概要を纏めておいてくれ」

これは現部署に居ても君が担当することになるからな、と付け加えられた。
例えば「腕から炎を出す」などのような、特に行使部位が限定されている低位能力者の治療に関するものだろう。
作業が増えたことに内心うんざりした。
二重窓の外の芝生を今日も野鳥が啄ばんでいる。

チーフ「現部署なら、まあ定例の通りだね。君は今まで通り部分医療メイン、チームとしては能力の種類別の研究がしばらく主の予定」

能力関連で現行のプロジェクトとして大きいものは2つ。
「異種の能力者間の移植による影響」と長期で取り組まれている「電極等による脳への直接的刺激の能力別有用箇所」だ。
もっともこちらにはほぼ関わっていないのだが。

チーフ「新部署を立ち上げるにしても学会の後になるが、できれば返事は早めに頼むよ」

上司は携帯灰皿で煙草を押し消し、立ち上がった。
自身も慌てて席を立つ。

天井「お時間ありがとうございます」

チーフ「良いよどうせ休憩中だし。さっきの件、よろしくな。詳細はメール転送するから」

資料室の方に去っていく上司を見送り、天井は再度ソファに沈んだ。
まだ休憩時間は残っている。
匂いまで再現された合成皮革に凭れ目を閉じた。


天井は……>>+2
※キャリア的な意味で


87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 14:50:08.49 ID:WYIbbx1SO
ksk
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/03(火) 15:01:09.06 ID:XUkXk3yj0
筋ジストロフィー治療に全力投球
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/03(火) 15:03:45.90 ID:gVEsmUaL0
名目をつけて冥土返しに会いに行き、「将来独立して、グレーゾーンに手を出さずに医療系クローニング分野を専門に研究したいこと」「勤務している研究所が近い将来危険な領域に手を出しそうなのが気にかかること」「自分のような人間を必要としているクリーンな人・組織に心当たりはないか」といったことを相談する。
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/07/03(火) 15:05:39.40 ID:3gXB3f1m0
縺繧
91 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/03(火) 15:34:09.47 ID:sGmHi7qJ0


天井「――DNAマップ、か」

第三位は不治の病の治療のためにそれを提供したということだったが。


・時系列について
そろそろ実験関係の時系列を決めておこうと思います。

全体はこんな感じに固定
2週目スタート├─2年弱─┤今ここ├──4年半位──┤絶対能力進化実験

(1周目の)量産型能力者計画着手〜頓挫>>+2
※3ヶ月〜1年半

(1周目の)絶対能力進化実験着手〜頓挫>>+3
※6ヶ月〜2年半


・DNAマップ提供時期について
提供時期は>>+5
※現在より前or現在より後


・それはそれとして異動の件どうしましょうか>>+6


92 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/03(火) 15:37:17.04 ID:sGmHi7qJ0


・注意書きを忘れました
※↑の決定(異動の件以外)は周回を跨って適用されます
 当スレ内における設定を決める安価だと思ってください

安価なら↓


93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/03(火) 15:40:07.11 ID:mg7f68850
ksk
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga sage]:2012/07/03(火) 16:00:46.58 ID:rNYF8EDAo
加速
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/03(火) 16:19:09.45 ID:/vgrq+Mm0
加速。
そろそろ登場人物増えるかね。
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/03(火) 16:21:50.45 ID:7KDhkQIs0
現在より後
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/03(火) 16:22:59.93 ID:gVEsmUaL0
>>89
無理なら 異動する
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 16:31:31.72 ID:Arw9JqOmo
頓挫まで半年
99 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/03(火) 16:38:39.17 ID:sGmHi7qJ0


・実験期間も安価でした見づらくてすみません

>>+1
(1周目の)絶対能力進化実験着手〜頓挫
※6ヶ月〜2年半


100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/03(火) 16:41:29.78 ID:OdJ0Oxfe0
頓挫まで2年半
101 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/03(火) 17:17:05.83 ID:sGmHi7qJ0

・安価協力ありがとうございます

大まかな時系列

1) スタート〜現時点:2年弱
2) 現時点〜量産型能力者計画着手:3年半
3) 量産型能力者計画着手〜頓挫:半年
4) 絶対能力進化実験着手〜頓挫:2年半

です
(2)の期間中に美琴のDNAマップ提供が起こります



天井「筋ジストロフィー研究に関わっていれば、その辺りの動向を察知できるだろうか」

ふ、と目を開いた。
記憶の中で保存されていた第三位のDNAマップは「今」よりも後に採取されるはずだ。
第三位のクローン研究に繋がることは避けたいが、情報を得ることでより適切に行動できるかもしれない。

一つ頷く。
それと同時に、白衣の下のジーンズから携帯電話を取り出した。


 For: 冥土帰し
 Sub: 次の学会発表の件について

 ご無沙汰しています、天井亜雄です。

 実は学会で発表する内容についていくつか確認したいことがありまして、

    :
    :
    :


幸いにも、明日は休日である。
相手の職を考えれば曜日などあまり関係ないが、こちらは予定を合わせられる。

窓の外の鳥が飛び立つのを眺めながら、天井はメールを送信した。



★目的の変更判定

自ら筋ジストロフィー研究に近付いた天井は心境が変化しているのかもしれません

>>+1
目的の変更先
 a. 学問
 b. 金銭
 c. 名誉
 d. 貢献
※上記以外でも行動に沿ったものなら

>>+2
コンマ判定
 -19:上記で決まった目的に変更
20- :変更無し


102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/03(火) 17:24:13.01 ID:050N8+yO0
d
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/03(火) 17:25:22.02 ID:OdJ0Oxfe0
他者からの賞賛
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 18:15:38.96 ID:qOc9kaxDO
天井が輝いてみえるな。
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/03(火) 18:16:47.75 ID:OdJ0Oxfe0
冥土返しに感化されたんだろうな
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 18:28:35.36 ID:WYIbbx1SO
天井くンがかっこいい大人してる所超見てェェェェ!!!!!
107 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/03(火) 18:52:45.39 ID:sGmHi7qJ0


【2周目・スタートから2年弱時点】
目的:「保身」→「貢献」自らの研究を医療分野に役立てる


それから2日後、日曜日の夕方。

冥土「久しぶり……と言っても1週間も経っていないけどね?」

天井「患者として会う羽目にならなくて良かったよ」

進められるままコートを吊るす。
ここは冥土帰しの研究室に併設された応接用スペースで、共同研究中は半ば仮眠室だった場所だ。
ストーブなどは見当たらないが床暖房が効いているようだ。

天井「それで、発表のことなのだが。序論で述べている細胞分化率が――」

冥土「ふむ。それは――」

何しろ相手も忙しい。
挨拶も程々に確認に入ることにした。
向かい合うようにソファに座った冥土帰しは何度も見た研究者としての顔になり、適切に質問に答えていく。

天井「――分かった。これで聞きたかったことは全部だ」

ふ、と声が途切れる。
暖炉の音がしたりはしない。
自身も相手も喫煙者ではない。
話題に生まれた間隙を、天井は埋めかねた。

冥土「……それで発表は大丈夫かい。君にそちらを全て任せてしまって申し訳ないね?」

天井「あ、あぁ。今日もほぼ最終確認のようなものだ」

冥土「ふむ。では本題は何だい? その位の確認ならわざわざ来ずとも出来ただろう」

天井「――!」

相変わらず勘が鋭い――いや、この状況なら彼でなくても察知しただろう。
今まで話してきた内容は重要性のあるものだったが、言ってみればメールでも済む話だった。
確かに傍受を警戒してメールをほぼ用いない研究者もいる。
しかしこの都市の学術施設の電子的セキュリティは一般に信頼できるレベルだ。

天井「私はあの研究所を出ようと思っている」

そうして、ぽつりぽつりと話し始めた。


108 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/03(火) 18:53:33.59 ID:sGmHi7qJ0


天井「研究環境も待遇も悪くない、のだが。全体としてや部署の――気風がどうしてもそぐわなくてな」

冥土「……ふむ?」

厳しくはない、しかし強さのある目がこちらを覗き込む。

天井「元々独立を考えていたこともある。風通しの良い環境で、医療系の研究に打ち込みたいと思う」

冥土「専門の部分医療を極めたい、という訳だね?」

天井「……いや。それもだが、遺伝子病――筋ジストロフィーについて、私の分野からできることが無いかと考えている」

冥土返しは首を捻るように一度周囲を見渡した。
思考と同期しているのか、パーテーションの中をぐるりと辿る。

冥土「限定的だね。別の研究所に入る形にはなるが、それなら水穂の病理解析が専門だが――」

ふ、と息が止まる。
その研究所は、まさに第三位にDNAマップ提供をさせた所だ。

冥土「ああいう風じゃない場所を探しているのか」

一段低く、通る声。
肯定の意を込めて、深く頭を下げる。

天井「お願いします。一度治療を共にしただけで図々しいとは思う。
   だが、誰か理解のある人間か信用できる組織に心当たりは無いだろうか」

ふぅ、と息を吐く音が聞こえて、ぎしりと指を握り込んだ。
これが無理なら、自分の力だけで無理矢理独立するか、せめて新部署に移るか。

冥土「前にも言ったね? そんなに畏まらなくて良い。すぐとはいかないが、それでも大丈夫かい?」

天井「――! あ、あぁ。今の研究所を退職するにもしばらく掛かるはずだ」

苦笑を浮かべ冥土帰しは立ち上がった。

冥土「いくつか当たってみるよ。独立することになった場合、資金は?」

天井「それも問題無い。どこかの医者と共同研究した時の分でかなり補填できるからな」

次いで天井もソファを離れ、自然に手を取る。

天井「ありがとうございます、冥土帰し」

冥土「畏まらないでくれと、何度言わせるんだね? 状況が進展したら連絡するよ」

手に力を込める。
老いているはずの医者の手は、力強く握り返してきた。


109 :前略手打ちの>>1 [saga]:2012/07/03(火) 19:47:21.19 ID:ZCW8YVdDO


翌日、退職の意志をチーフに伝えた。
理由に関しては興味分野とのずれ、独立への意欲と無難なものにしたが。
その反応は、そうか、という簡潔なものだったが、声音には惜しむ色が混じっていた。
非合法なことに手を染めている研究所とはいえ期待を無にするのは少し心苦しい。

何度も行き来した通路を歩く。
事務的事項の話し合いにより退職時期は1ヶ月半後と決まったため、ここを通るのもそれまでだ。

研究の引き継ぎに関しても方針は決まっている。
冥土帰しとの理論は段階的に公開することになっているため、3週後およびもう1回の発表は自身で、
残り3回分は天井の名は載るものの研究所名義で後任者が発表することとなる。
能力行使部位の治療に関しても、部署の中である程度医療分野に携わっていた同僚が担当し、在所中は適宜相談を受けることになった。

がこん。
自動販売機から紫の野菜ジュースを取り出す。
そのまま休憩スペースに移動し、立ったままストローに口を付けた。
朝に降りた霜が解けたのか、外の芝生がちらちらと光を反射している。

天井「ふぅ……。一区切り、だな」

引き継ぎと学会の準備があるため、またしばらくは忙しくなるだろう。
しかし少しくらいは、と壁に寄り掛かる。

あの朝から、下手をしたらこの都市に来てから初めて、天井は何にも急かされず風景を眺めた。


・今日もネットが切れたので明日に続きます
 学会まで行きたかった……

・ちょっと最後に安価が出来なかったのですが、
 安全そうな人物、組織の候補を冥土帰しに電波で送って頂けると助かります
 自分もwikiで探してはいますが


110 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/03(火) 19:49:21.96 ID:ZCW8YVdDO

・酉を忘れた>>1 です


111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 19:55:44.12 ID:XpSfTI1Oo
グループの連中は一応主人公側だし大丈夫かと
雲川と駒場の兄貴と博士はどうなんだろう
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 20:01:57.91 ID:KD5KhUCOo
駒場だと、下手したらアイテムに繋がらないか? フレメアで
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/03(火) 20:32:49.22 ID:OdJ0Oxfe0
常盤台とか学園の園って、特性上専門の病院等の施設を持っていると思うんだけど、そこはめっちゃクリーンなんじゃないかな…霧ヶ丘は怪しいみたいだし、長点上機はどうなんだろ…
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/03(火) 20:34:31.37 ID:/vgrq+Mm0
いっそ親船最中。
常盤台とかにくいこむのもありだな
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/03(火) 20:50:37.95 ID:hcGvH+nfo
親船はクリーンで善人だけど雲川がいない分貝積より脇が甘く危なっかしくね?
常盤台はよさそうな気がする
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 20:52:08.35 ID:fJs4PxXnP
親船クラスになると大物すぎてもうゴール同然だな
しかし禁書で医療関係の登場人物とかそれこそカエルぐらいだしぶっちゃけ詰んでないかこれ
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/03(火) 20:52:30.06 ID:OdJ0Oxfe0
考えてみれば、アンチスキルにも専門の病院がありそうだ
後、仮にキリスト教系の病院があったら、魔術師の隠れ蓑なってそう…
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/03(火) 20:53:01.53 ID:XpSfTI1Oo
そもそも全てアレイスターに筒抜けの時点で(ry
119 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/04(水) 10:44:32.26 ID:hssvE+VN0


カタカタカタ、カタ、カタカタ。

久しぶりに一人の残業だった。
学会発表まで残すところ2日。
今は、スライドと口頭説明内容、想定される質疑への回答の最終確認を行っている。

椅子の背に反るようにして伸びをすると、色々な骨がバキバキと鳴った。

天井「少し身体を動かすか……」

何となく気を削がれ部屋を離れる。
足取りに合わせて点いては消える電灯。
ぽつりと奥の暗がりにも光が見えるのは、他の部署にも同じように残業組がいるのだろう。

と、ズボンのポケットが震えた。
携帯電話のサイドボタンを押すと背面パネルには冥土帰しの名。
電話着信ではなくメールが届いただけだったが、念のため近くの非常口から外に出た。

室温がコントロールされている所内に比べ冷たい外気は肌に染みる。
細かく震え始めた指で電話を操作。


 From: 冥土帰し
 Sub: Re:次の学会発表の件について

 学会の直前に済まないね。
 この間の確認事項なんだが、一つ訂正しなければいけないことがあった。

    :
    :
    :


私用のアドレスとはいえ念を入れたようで表向きは別の用事を装っている。
読み進めた結果、遠回しにいくつかの選択肢が提示されていた。

一つ、ある学校付属の研究施設に入ること。
施設全体の方向性と天井の研究したい分野とは多少異なるが、それなりの設備、環境を持っているようだ。
また冥土帰しが挙げた以上、グレーゾーンの研究を強要されたりすることは無いだろう。

一つ、同分野のクリーンな研究者と共同で研究所を立ち上げること。
研究所として、単独で独立した場合よりも安定でき、外部の圧力には呑まれ辛くなりそうだ。
知人の中からそういった研究者を紹介してくれるということだろうが――天井は浮かび掛けた名を振り払う。

一つ、ある有力者の援助を借りて独立すること。
かなり多忙な人物らしく援助といっても大きなものは期待できないが、「息が掛かっている」だけでも一定の意味があるような人物らしい。

天井「……どれも固有名詞が抜けているではないか」

傍受などを用心してのことだろうが。
本文の最後は今度また酒でも飲もう、と締められており、学会の3日後が指定されている。
詳しいことはその時に、ということか。

天井「まぁ、会うまでに考えの整理などしておくか」

これなら屋外に出た意味は無かったな。
白い息を見詰めながら、ゆっくりと来た道を戻っていった。


>>+1
天井は……
※冥土帰しに会うまでにすることがあれば


120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/04(水) 10:53:03.43 ID:Nr9OH34l0
芳川探してみる

同分野のクリーンな研究者と共同で研究所を立ち上げ

121 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/04(水) 11:35:13.56 ID:hssvE+VN0


天井「…………」

仕事を切りの良いところで中断し、帰宅。
私用のPCの電源を入れた。
おもむろに次回の発表会の参加者用ページを開く。

天井「奴自身は医療系にはそこまで触れていないはずだが」

表題と発表者、所属組織などが列挙されたページをスクロールしていく。
ディスプレイのライトが眼球の中に雪崩れくる。

記憶の中の女の経歴を思い返せば、

天井「あった……!」

この時期に所属しているはずの研究所から、別の人物が一人、発表するようだ。
念のため女の発表論文を検索すると、確かに研究所名は一致した。

環境による行動パターン変化の遺伝子的側面による制限。
成長促進剤を用いた複製体の調整処置。

天井「まだ危険な領域には踏み込んでいないか……?」

過去の論文の傾向を見ると、少なくとも人体の全身クローニングには未だ触れていないように思える。
あの記憶でも初めて会ったのは絶対能力進化実験に否応無く参加してからだった。

曖昧な表情を浮かべながら淡々と業務をこなし、時にはクローンに名を与えるなどの酔狂を見せ、そして実験崩壊後に――、

天井「う……グっ」

胸部を押さえ蹲る。
こめかみをじとりとした液体が流れていった。


122 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/04(水) 11:38:00.68 ID:hssvE+VN0


研究者「培養過程の制御で、一度温度を下げているのは従来の――」

天井「これは現状で主流となっている方式に――」

学園都市には研究発表、講演などのための会場が豊富に用意されている。
その一つで、天井は冥土帰しとの治療に用いた研究を説明していた。
ちなみに使いどころの微妙な経年処理ではない。

天井「――以上です」

かくりと頭を下げる。
お決まりの拍手を背に壇から退場した。


ごそごそとレジュメを仕舞い込む。
あの記憶の中とは活動分野が少し違うこと、天井の行動により流行が変化していることから、充分に知的好奇心を満たす会だった。

天井(しかし、私は同所の連中以外とはほとんど交流を持ってこなかったのだな)

小グループを形成している研究者達を眺め回す。
そっと顔ぶれを窺いながら、柔らかなカーペットの敷かれた会場内を歩いてみる。
常なら終了後エントランスに直行していたのだが。

天井(縦横の繋がりが枷になることもあるが、得るものもあるのだろうな。それに――)

その矢先だった。

数人の集団の中にさらりとしたセミロングの頭があった。
その人物はそつなく談笑し、隙を見て輪を離れる。

天井「よ、し……かわッ……」

もしかしたら見付かるかもしれない、と想定していたにも関わらず、ぎしりと足が止まった。

まだ。
こちらに歩いてくる彼女はまだこちらを見てはいない。

当然、その相手にとって天井は何の縁も無い一研究者なのだから。


>>+1
トラウマ が あらわれた!
※コンマ判定  ★修正-15
- 4:ファンブル
5-49:失敗
50-94:成功
95- :クリティカル
ただしコンマ自体が0-4/95-99の場合、修正の値によらず必ずファンブル/クリティカル


>>+3
それはそれとして芳川にどのように対応(しようと)するか


・安価協力&前日に引き続き人物、組織の候補をありがとうございます
 モブパトロンとかにならなくて済みそうです


123 :名無しNIPPER [sage]:2012/07/04(水) 11:39:16.59 ID:kxxXZHki0
ksk
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/04(水) 11:43:16.56 ID:KZZKT2fSO
爽やかに挨拶。トラウマ克服し、友達以上にはなる
125 :名無しNIPPER [sage]:2012/07/04(水) 11:43:55.23 ID:CGJCbUCs0
>>124

126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/04(水) 12:30:52.84 ID:KZZKT2fSO
天井「私は、君に会う為に生まれて来たのかもしれない」キリッ

芳川「オェッ」

とかならなきゃいいが
127 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/04(水) 13:11:03.15 ID:hssvE+VN0


ふと、芳川がこちらを向いた。
明らかに焦点が自分に合わされている。

何故だ。
何故だ。
お前と私は面識が無いはずだ!

芳川「初めまして、天井博士。芳川桔梗と言います。いつも研究、興味深く拝見しています」

ごとり。
手から鞄が滑り落ちる。

芳川「あの?」

天井「あ、あぁ、失礼……っ」

散らばったレジュメを拾うという名目で屈み込んだ。
クリーム色の敷物の上に散らばる白い紙。
一枚、二枚。

ばくんばくん、と内臓の一つが激しく存在を主張している。
落ち着け。
この余所余所しい話し方。
こいつは拳銃を向けてきたあの女ではない!
五枚、六枚、

細い手が目前に現れた。

天井「!!!」

芳川「どうぞ」

1mほどの距離に少し不思議そうな表情の芳川がしゃがみ、紙の束を差し出している。
ひ、と声を上げるのを何とか飲み込む。
その拍子に喉がぴくりと痙攣した。

天井「っ、ありがとう。私も、あなたの功績は、分野を越えて耳にしている」

芳川「それは光栄ね。だけど……具合は大丈夫かしら。凄い顔色よ」

気遣う口調からは儀礼の色が抜け、それが逆に恐怖を煽った。
平気だ。
そう応えかけたところで、

天井「……そう、申し訳ないが、っ、発表中から体調が悪くてな」

180度方向転換を図り、ついでに立ち上がった。

芳川「あら。こちらこそ呼び止めてしまってごめんなさい」

天井「い、いや問題無い。できたら今度……もう少し落ち着いて、意見交換など、したいが」

眉間。
目ではなく眉間を見るんだ。

相手は軽く首を傾げ小さな紙片を手渡してくる。

芳川「でしたらこちらを」

天井「……ありがとう」

天井も慌てて懐を探り、何とか名刺を交換した。

お大事に、との声を背に会場を去り、タクシーを呼ぶ。
ワイシャツがびしょびしょに濡れて気持ちが悪い。
運転手に自宅の場所だけ告げ、ぐったりと振動に身を任せた。


・コンマ判定に失敗しているので、gkbrしながら頑張った結果がこれです


>>+2
天井は……
※冥土帰しに会う(3日後)までにすることがあれば


128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/04(水) 13:12:27.18 ID:KZZKT2fSO
よく頑張ったよ天井くン…ksk
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/04(水) 13:13:03.91 ID:wXXN2jMx0
学校付属の研究施設について情報収集
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga sage]:2012/07/04(水) 13:36:07.11 ID:K6faaMN0o
天井くンは頑張ったンだよォ…
131 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/04(水) 14:24:58.08 ID:hssvE+VN0


くすんだ青がある。

ゆらりと意識が浮上し、拡がった視界を確認すれば、天井はスーツで自宅のベッドに倒れこんでいたのだった。

天井「あのまま眠ってしまったのか」

がりがりと頭を掻く――まだ出勤には時間があるな。
馴染んだ室内の様子を視線でなぞると、再度青灰色のマットに突っ伏す。
この部屋で目が覚めた当初は違和感ばかり覚えたが、今は落ち着ける我が家だ。

ちら、と鞄に目を遣る。
その中にはある研究者の連絡先。

天井「……他の選択肢も検討しておくか」

冥土帰しの寄越した可能性の内、まずは複数人で研究所を立ち上げるというものに目を付けていた。
その方法なら似たような力を持つ者同士が集まる。
外部の圧力にはメンバーの力で耐えるしかないが一人よりは心強いし、上司や支援者など上の立場から何かを強いられることが無いのだ。

天井「だが、まぁ冥土帰しの紹介する組織なら無理は言われまい」

もぞりと寝具を這い出てデスクの前に移動。
思いのほか室温が冷え切っていたためおもむろに掛け布団を羽織った。

先日もらったメールを読み返し、「ある学校付属の研究施設」についてのワードを拾う。
元々内容が偽装されているとはいえ、所在学区や主要分野などを洗い出し検索を繰り返した。
結果。

天井「長点上機……これか?」

最も条件に当てはまったのは、都市内でも五本の指に入る名門校だった。
教育施設としてはある意味学園都市らしく能力の育成に特化し、またそれ以外にも特化した才能を重んじる傾向にある。
また運営は若干保守寄りらしい。
公式のサイトは硬いイメージで、校門に向かい歩く学生達の写真が掲載されている。

天井「ん、この制服」

妹達の製造時、とある若い研究者が白衣の下にこんな服を着ていたことがあるような。

天井「あれは……布束、だったか」

自身と比べても無愛想な部類だった。
そして、進化実験が屋外に範囲を広げた頃に不祥事を起こし解雇されたはずだ。

天井「と、問題は付属の研究施設の方だ」

校名が絞れたため、掲示板、データベースなどから気風や研究の傾向を探る。
目立つのは、名門校に併設されているだけあり能力関係の研究。
だが所属する研究者の専門はかなりばらけており、かつその分野で一定の成果を上げている者が多い。

思えば布束も「学習装置」に関わっていたとはいえ、能力面よりも行動、思考のプログラミングに特化していた。
つまり校風と同様、ある方面への突出性を重視しているようだ。
成果を出す限りそれなりに自由にできるということだろうか。

天井「くそっ、目が痛む……」

学会のために残業続きだった上、因縁の相手との再会までしたのだ。
正直疲労が溜まっている。

ひとまず目薬を差し、天井はバスルームに向かった。


132 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/04(水) 15:46:54.81 ID:hssvE+VN0


今日は急患も入らなくてね? と連絡があり、太陽の沈まぬうちに医者のところに向かう。
とはいえ日の短い季節である、左手にはふるふると橙の光が建物から見え隠れしている。

ぶるぉん。
ガードレールを隔てたすぐ、バスが走り抜ける。
はっとなってリアガラスを目で追うと、それは「新型」のものになっていた。
確かめるまでもなく知っているデザインだ。

天井「ついにこの型が導入されたか」

自棄になり、第一位に追われ、芳川を道連れにしたあの時まで、あと6年半。
その瞬間へ徐々に近付いてはいるが、自分は以前と全く違う道を辿っている。

初めは死を遠ざけるためだけに藻掻いていたが……。

天井「――――私は、これから」

呟いた声は無機の街に微かに響き消えていく。


133 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/04(水) 15:47:21.97 ID:hssvE+VN0


もう何度だろうか。
冥土帰しとテーブルを挟み向かい合う。
今日は本当に時間に余裕があったのか、着席してすぐにコーヒーを出してもらった。
到着予定に合わせ準備していてくれたのだろう。

冥土「砂糖だけで合っていたかい?」

天井「よく覚えているな。目の前でコーヒーを飲んだことなど数回しかないのに」

ふぅ、と黒い液面を吹く。
良い香りだ。
少なくともインスタントではない。

天井「美味い」

冥土「それは良かった。――早速だが」

互いに姿勢を正す。
メールに曖昧に書かれていたことを、冥土帰しは具体名を交え話し出した。


「学校付属の研究施設」は調べた通り長点上機学園のことだった。
追加に得た情報としては、そこで医学系を取り纏めている人物には面識があり、まずまっとうな人格だとのことだ。

冥土「で、似た分野の研究者のことだがね?」

そう言ってごそごそと、小さく、四角く、何かが印刷された白いものを取り出す。
――待ってくれ。

冥土「能力も成果も着実にあり、安定性を重視するところも君と……ん、どうしたかな?」

その名刺はごく最近見た。

天井「……あ、続けてくれ」

冥土「新規の立ち上げに関しても、しっかりとしたプランが練れれば乗り気になってくれるんじゃないかな?
   ちなみに前の治療の時、僕に君の名を出したのも彼女だね?」

思い返せば知人から評判を聞いた、などと初対面の時に言っていた。
しかしこの医者とあの女に面識があるなど想像できるか!

天井「そうだったか。いや、こちらも研究の概要くらいは目にしている」

冥土「そうかい。あと他にも数人心当たりは居るね? それぞれの知人を辿ればもう少しメンバーも集められるだろう」

無言で頷き先を促す。
いずれにせよ考えるのは話を全て聞いてからだ。


134 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/04(水) 15:47:51.01 ID:hssvE+VN0


冥土「最後に理解のある有力者だが……親船という人物は知っているかい?」

天井「まさか、理事会の親船最中か!?」

別ベクトルの驚愕が襲う。
統括理事会と言えば学園都市を動かしている政治家のトップだ。
半ば独立国家と化している都市にあって、地方の議員などとは全く格が違う。

冥土「もちろん、大物も大物だからね。資金と援助を潤沢に受けて直属の研究者になったりするのは逆に難しいよ?」

さもありなん、親船は理事会で医療部門を担当している訳ではない。
それでなくとも新設の小さな研究所に過剰に目を掛ければあらぬことを疑われるだろう。
互いに。

冥土「しかし、相手を平和的に雁字搦めにする政治手法は他の上層部にしたら脅威だね? 親船と関わりがある――その事実だけで手を出せなくなる者も多いだろう」

そして、と予想を超えた人脈を持つ名医は言葉を継ぐ。

冥土「何より、あの人は清い人物だ」

胸に重石のようなものを感じる。
親船最中は学生を傷付けることを嫌い、全うに政治を行う。
過去、その目を潜り抜ける側として多少なりとも意識していたことだった。


しばし無言でコーヒーを啜る。
驚きの連続で存在を忘れていたため少し冷めてしまっている。
が、良いコーヒーはそれでも味があるものだ。

天井「……分かった、ありがとう」

冥土「どうするかは決まったかい? 君自身の問題だし、君が急がないなら返事は今でなくとも良いけどね?」

傾けたカップからは何も流れてこない。
本当に、この部屋で生まれた間は如何ともしがたかった。


>>+2
天井は……
※保留可
 その場合は無職の期間ができます(退職時期が決まっているため)


135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/04(水) 15:53:18.94 ID:KZZKT2fSO
やるしかないじゃないksk
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/04(水) 15:53:52.90 ID:wXXN2jMx0
長点上機学園へ(今は経営に気を取られるより、研究に集中したい)
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/04(水) 16:38:13.83 ID:al9AFggGP
独立は死臭がする反面親船がノーリスクで安定感ありすぎる件
長点上機にしても通ったら大分安心だな
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga sage]:2012/07/04(水) 16:45:23.81 ID:7AYkZwZNo
長点上機かァ…天井くン頑張れよォ
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/04(水) 16:51:10.36 ID:wXXN2jMx0
親船は頼みにしてると、肝心なときに「暗殺された」とかありそうで怖い…
140 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/04(水) 17:07:24.95 ID:hssvE+VN0


沈黙。
冥土帰しは急かすこともなくこちらの回答を待っている。

熟考。
これからの立場、為せること、それを決定する分岐路だ。
軽い気持ちで決めることはできない。

しかし、無為に返事を引き延ばす気も無かった。

天井「――長点に、行きたい」

真っ直ぐに正面の顔を見据え、噛み締めるように言葉に出した。
医者は然りと頷く。

冥土「分かった。……君の研究が多くの患者を救うことを、心から願っている」

人々を救い続けてきた冥土帰しの言葉を、天井は大事に受け止めた。


141 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/04(水) 17:08:40.27 ID:hssvE+VN0


冥土帰しの紹介や過去の研究成果もあって話はすんなりと進んだ。
あれから2週後、長点の研究施設の一室に呼ばれ簡単な面接を受けている。

とはいえ採用試験よりは相互の確認の意味が強いものだ。
業務規定、勤務時間、給与などの説明に対し了承していく。
提示された条件は妥当なものだった。

壁掛けの抽象画に見下ろされながら、面接官――冥土帰しの知人で医学系の纏め役である研究者と言葉を交わす。
彼は研究、医学系の管理、教育と多業務を兼任しているらしい。

教授「では、初めはここに慣れてもらうとして、いずれ教育の方には関わりたいですか?
   まぁ現時点での意思確認になりますが」

天井(学園の生徒に対する指導、か)

長点上機学園を含め学園都市の教育施設は外部の学校とは異なる制度のものが多い。

この学園では研究と教育が平行して行われているが、「外」における大学のように研究者=教育者ではないのだ。
両者はある程度分離されている。
イメージとしては運営元を共にする別の機関がそれぞれ同じ敷地にある、といった形か。
現在会話中の教授のように双方を兼ねていたり、学生が研究者として一線で活躍していたりもするのだが。

天井(私がまともに教えられるのは電気系能力者の開発指導くらいだが……)

電気系能力者に関してなら、強引な手段だが異能力者の00000号を大能力者相当まで引き上げた経験はある。
それ以外の科目になると、先に研究と平行して「教育のための勉強」をしなければ難しいだろう。


>>+2
天井は……


142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/04(水) 17:18:27.77 ID:wXXN2jMx0
ksk
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/04(水) 17:20:50.88 ID:kk0DRHI/0
電気系統で良いのならたまには教える
144 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/04(水) 18:24:59.78 ID:hssvE+VN0


天井「そうですね。電気系統の能力開発でしたら知識もありますし、いずれ関わってみたいと思います」

すると、教授は眼鏡を掛け直しながら訝しげな表情になった。

教授「電気系統、ですかな。失礼ですが経歴を見る限りあまり能力開発には触れられてこなかったのでは」

確かにそうである。
提出した履歴書には医療用クローニングに注力してきた部分しか書かれていない。
それに「未来の記憶」などという突飛なものでなくとも、能力者の違法クローンに関する研究など話せるはずが無かった。

天井「いえ。研究所でのものとは別に、個人で調べていまして」

教授「…………ふむ」

失敗したか。
眉間に皺を寄せて考え込んでいる面接官を尻目に、背筋に伝う汗を数えた。
沈黙が痛い。

と、おもむろに教授は退室し、別の人物を伴って戻ってきた。
一人で居る間は鉢植えの緑を眺め必死に胃痛と戦っていた。

開発官「初めまして。わたくしの方からもいくつかご質問させて頂いて良いでしょうか?」

天井「は、はい」

開発官「ではまず、指先などから電気を発生させる場合の演算法で――」

それからしばらく知識確認ための問答が続く。
開発官の方も興味を持ったのか、後半は単純な答え合わせを超えて議論のようなものになっていた。
流石にやんわりと教授に止められ二人目の面接官は去っていく。

教授「良いでしょう、充分そちらの方面の知識はおありのようです。
   事前に指導についての研修を受けて頂いた上で、お願いすることになるかと思います」

天井「分かりました」

どっ、と緊張が抜ける。
「経歴書に書けない違法研究」の線でもう少し疑われると危惧していたが、冥土帰しを通したことに助けられたようだった。

教授「では、再来週からになりますが、よろしくお願いしますね」

天井「はい。長点上機の名に恥じないよう努力します」

意図せず久しぶりに綱渡りをしてしまったが、こうして長点上機付属の研究施設に移籍が決まったのだった。


145 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/04(水) 18:56:43.85 ID:hssvE+VN0


現所属の研究所では淡々と身辺整理が進み、無事退職日を迎えた。
仕事の切れ間で退職の相談ができたためということもある。

同僚「じゃあな。次の職場でも頑張れよ。こっちも例の治療の件、何とかなってるしな」

振られた手に、ああ、と返す。
以前打診のあった医療系の業務はこの同僚が引き受けており、ここしばらくはその件でミーティングを持ったりしていた。
自身が抜ければこちらの分野は縮小するかもしれないが、看板として「複製医療」を掲げている以上無くなりもしないだろう。

そういえば彼には餞別と称して大量のカロリーメイトを贈られたので、箱買いしたウィダーを押し付けた。

保存していた書類は全て粉砕が終わり、文房具の類も適切に処分なり持ち帰るなりした。
簡単な挨拶をし、上司に添われてエントランスへと向かう。

実験室。
休憩所。
自動販売機。
それぞれの脇を過ぎていく。
エントランス。

チーフ「元気でな。身体に気を付けてやれよ」

天井「ありがとうございます。チーフもお元気で」

思えばここで働いたのは2年ほど。
その短さを象徴するように、あっけなく天井は研究所を去った。


天井(これからは筋ジストロフィーの研究一筋か)

新型のバスに揺られ、今後について思う。

ここまでは力を蓄えるため未来の知識を研究に流用してきた。
だが天井の知る限り、絶対能力進化実験があったあの時点で有用な治療法は確立されていない。

天井(一から十まで自分の手でやらなければならない)

それは労することであり、研究者として当たり前のことであり、また意欲の湧くことだ。

またこのまま行けば第三位のDNAマップ提供の件がいずれ起こる。
そちらの動向もうまく捕捉できれば良いが。

天井「まあしかし、まずは引越しだろうな……」

収容容積を超えて専門書が積まれつつある部屋。
自身でも知らないうちに薄く笑みを浮かべながら、バスの外の木々に意識をやった。


・ネットが切れる前に今日は退散します
 また明日は諸事情によりほぼor全く来れないと思います、すみません


・設定安価
 長点絡みの人について設定を決めておきます

※これらの安価の決定は周回を跨って適用されます
 当スレ内における設定を決める安価だと思ってください

 布束砥信(現在小5くらい本編高3)
 >>+1
 いつから長点(高校入学前なら研究所)に出没しているか
 ※もういる〜本編の3年前(現在の3年半後)

 一方通行
 >>+3
 グループ所属時は長点に名義置いてましたが、軍隊とドンパチ事件〜0930事件の間も置いているか
 >>+4
 そもそも本編のとき何年生相当か
 ※中2〜高3

 ゲームに出るらしい西東さんとかは口調が不明なのでパスで


・安価外で、筋ジストロフィー治療法の方針のインスピレーションを
 天井に送って頂けると助かります
 (上手く書けそうなものがあればお借りします/無ければどうにかひねり出します)


146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/04(水) 19:07:23.72 ID:CQ3dF12f0
もういる
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/04(水) 19:15:38.05 ID:8dho0D4do
いる
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/04(水) 19:27:01.86 ID:CH+x4ntDO
いるよー
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/04(水) 19:34:08.18 ID:8dho0D4do
高二
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/07/04(水) 20:58:30.83 ID:LMXu02h4o
とりあえずこのままいけば何事もなくすみそうだが・・・
統括理事長殿に腕の事での借りが・・・出来てたとしても気にするかはわからんが・・・ともかく実験については別に天井じゃなくてもいいわけだしな
まあそううまくはいかないんだろうけどww
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/04(水) 21:06:36.59 ID:KZZKT2fSO
小型の人工脳を作り、みこっちゃんの演算パターンを入力、被験者の脳と直結させる。小型の人工脳と筋肉を繋げ、被験者の自由に動かす………無理か?筋ジストロフィーて筋肉そのものの変性だっけ?原作手元に無いからわからんがみこっちゃんのDNAmapでどーやったら助かるんだっけ?
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/04(水) 21:47:01.82 ID:CQ3dF12f0
筋ジストロフィー研究一筋とかいってるけど、医療用クローニング分野の研究はやめちゃうのかねェ
5年後なら実用化するかもしれないと言ってた「付け替える」方法の理論と実践も発表したのに、
あまりにももったいないんじゃねェ…それに専門外の研究だけで成果上げんと解雇される危険を抱えるのは不味いのでは
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/04(水) 22:15:19.15 ID:CQ3dF12f0
情報を得るための研究だったのに、主客転倒してるってことは調べる過程で何かあったんだろうな…
遺伝性疾患でDNAマップが役に立つということは遺伝子治療なのかな…芳川の専門だよな
医療用クローニングで延命して生命予後を延ばすとか…全身の筋肉の異常だから、流石に無理があるか
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/05(木) 00:58:41.46 ID:oSul3qjP0
まず全身の様々な筋肉のクローニングを行い、それに手を加え比較しながら、「筋力低下・筋萎縮」の進行を妨げる手段及び「筋力低下・筋萎縮」が起こるメカニズムを解き明かす
155 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/05(木) 09:59:22.60 ID:6rkBv53H0

・安価、インスピレーションありがとうございます

 ろりたば(現在小5)
 既に長点付属の研究施設に顔を出し研究にも参加している
 一度第七薬学研究センターに移籍後、高校入学年度に長点上機学園に復学する

 ショタセラ(現在小4相当)
 絶賛たらい回し中
 近い内に例の事件を起こし、その後書類上は長点付属の研究施設に身柄を置くことになる

 ※現在起こっていない事項については1周目の場合です

 治療法
 皆様発想が凄いです……
 頂いたものから色々妄想してきます


>>152 天井の研究分野について
 紛らわしい書き方をしてしまいましたが、クローン研究の方向から治療法を探っていきます
 あくまで専門は医療用クローニングです

>>150 ☆「」ナンノコトカナー


研究員「えーっと、こっちがミーティングスペースねー」

研究施設で与えられたデスクは自分専用の個室にあった。
狭いながら入り口正面に窓を大きく取った、自身の「研究室」を持てた訳である。
共同研究が多いといった理由で申請すれば2人以上で共有の研究室にすることもできるようだが。

そこには荷物だけ置き、医療系のメンバーと顔合わせをした後は歳の近い研究者に施設内を案内してもらう。

研究員「で、ここが第二臨床医学実験室。クローン系の設備は大体ここだから」

天井「うむ」

研究員「天井さんの他には使っても数人だけどねー。競合しないように予約はきっちり取って」

医療系というくくりだけあり解剖室や、放射線を扱う部屋の物々しいドアなど多様な実験室があった。
他に複数の会議室、通路から直に広がっているミーティングスペース、歓談スペースなど。
廊下は壁や上部がガラス張りのところが多い。
正午過ぎの白い日光が、足元にもやりと影を作る。

研究員「食堂はこの研究棟に2つ、学園の方に1つ。
    こっちには弁当の移動販売が来るのと、向こうには購買部もあるけど――最後のは昼時に近寄らない方が良いよ、戦場だから」

天井「そ、そうか」

学園との複合型施設であるせいかそもそも規模が大きい。
また教師と兼任している者も居るため食堂などの一般設備は双方に利用制限が無いようだ。

研究員「わざわざ時間もずらしたし、じゃあそろそろ食事にしようか。昼飯とランチ、どっちが良い?」


>>+1
天井は……
※食事的な意味で


156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/05(木) 10:07:46.14 ID:0MgVoKW8o
いずれ教職もやることだし研究所だけでなく学校の方も回って構造を把握しながら
向こうの食堂で昼食

出来ればショタセラ、ろりたばと面識やコネを作りたい所だが……
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/05(木) 10:07:47.77 ID:WO6GbIyN0
豚カツ定食が、食いたい
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/05(木) 11:05:35.43 ID:ESk+CxIX0
木原那由他や木原脳幹を見るに、木原一族なら全身義体化で解決してしまいそうだな
筋肉に異常が出るなら、筋肉が必要のない身体にしてしまえばいいという意味で
天井が義体化技術に詳しければ、義体化と医療用クローニングを組み合わせることで
生命予後をかなり延ばせそうだ
159 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/05(木) 11:22:47.58 ID:6rkBv53H0


天井「できれば、なのだが。こちらの棟は大体見て回ったことだし、学園棟の食堂に行ってみたい」

研究員「うん、良いよー。ただ名門校とはいえあっちは学生向けだからね。値段とランクは少し落ちるぞ」

天井「不味いのか?」

研究員「いや、付け合わせが平均1品減る。ラーメンだとチャーシューが一枚しか乗らない」

ラーメンの味談義に始まり注目している研究分野まで、とりとめも無く喋りながら棟を移る。
カップ麺のシーフード一択という主張はあっけなく棄却された。

構内は事前の印象通り硬さと清潔感のある雰囲気で統一されている。
建物に囲まれた広いスペースでは芝生が綺麗に刈り込まれ、白い石の彫刻から水が噴き出していた。

研究員「学生のほとんどは授業中だから、こっからは静かにねー」

天井「ほとんど?」

研究員「そう。この学校って基本能力至上主義だけど、それ以外に特化した生徒も多いからさ」

つまりそういった者は、能力強化用に組まれたカリキュラムをある程度無視して自分の専門を追求することが許されているようだ。


とはいえ食事に見回った校舎内では、教室や実験室、トレーニング施設以外に生徒の姿は無かった。

研究員「今日は静かだねー。酷い時になると工学系の生徒がグラウンドで駆動鎧にロケット撃ち込んでたりするんだけど」

天井「普段はそんななのか?」

研究員「日によっては。まー専攻によっては研究等に個室持って引き篭もってる生徒も居るし」

ふぅん、と気の抜けた声が出た。
厳しいのか緩いのか不思議な校風だ。
いや、研究施設の方と同じで、自由の対価に成果を求められているのか。

天井「……ん?」

研究員「どうした?」

天井「いや、あそこに……」

ひとしきり散策し研究棟に戻るさなか、行きも通った噴水広場に動く影があった。

研究員「あー。折角だ、話してみたらどうだ?」

何故かにやりと笑みを浮かべ天井を人影の方に押し出す。
不承不承、さくさくと芝を踏み付けそちらに向かった。

それは少女だった。
黒を基調とし、白いレースとフリルをこれでもかとまぶした服。
背中ほどまであるウェーブの黒髪。
本人の小柄さも相まって人形を連想させる。

??「――――」

ふと少女が顔を上げる。
訂正だ。
フランス人形でもこんなに眼光は鋭くない。

天井(だが、いや、……うん?)

彼女はベンチの上にハンカチを敷いて腰掛けており、傍のバスケットからサンドイッチを取り出したままの姿勢でじっとこちらを見ている。

髪型は違うが、この服装、感情の見えない目線。


天井は……>>+2
※??への対応


・<O> <O>

 これから用事なので今日はこれまでです
 余裕があれば携帯から1レスくらい書くかもしれませんが
 明日は平常運転です


160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/05(木) 11:26:43.51 ID:ESk+CxIX0
ksk
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/05(木) 11:29:25.58 ID:xNQYAzeJ0
優しく話しかける
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 13:30:36.46 ID:DA5Ts7g2P
通報した
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/07/05(木) 14:22:05.82 ID:88Wd0L84o
まさかの天井さんロリコン疑惑
とりあえず乙
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/07/05(木) 14:41:33.61 ID:c/2C0xsw0
優しく話しかけたらロリコン扱いされるこんな世の中じゃ
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/05(木) 14:49:03.56 ID:9aD0uJga0
police
166 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/05(木) 22:07:18.63 ID:ehsBJL8P0


できるだけ穏やかな表情を心掛けながら黄緑を踏み分ける。
少女は怯えもしない無表情だ。
さらりと冷風が彼女のスカートの裾を揺らしている。

天井「こんにちは。こんな所にいて寒くないのか」

すっ、とレタスサンドが籠に戻った。

布束「寒いといえば寒いけれど。However, いつもここで皆と食事しているから、つい癖で来てしまったのよ」

今日は熱中し過ぎて食事の時間が遅れてしまったのだけど。
そう続ける、歳の割に低めの、落ち着いた声。
それに特徴的な話し方は間違いなく天井の知るものである。

天井「そうか。研究施設の方に新しく入った天井亜雄という。君は……」

布束「Surprising. ご丁寧ね。布束砥信、未熟ながら脳医学の研究をしているわ」

量産型能力者計画でプロジェクトを共にした時も、よくこの歳でと思ったものだが、中学にも入らないような頃からこの道にあったのか。
能力開発に用いられる薬剤、暗示、はたまた演算力を強化するための教育によってか、この都市ではしばしば幼くして才を発揮する学生がいる。
彼女はその実例という訳だ。

天井「私は複製医療、クローン技術が専門だ。よろしく頼むよ」

と、遠くで見守っていた男がつまらなそうに向かってくる。
大方、迷子とでも勘違いして一悶着起こるのを期待したのだろう。
そのために寒空の下立ち止まってご苦労なことだ。

研究員「なんだ、布さんが所員だって気付いてたのか」

布束「Besides, 私も新しく誰かが来ることは聞いていたわ。顔までは知らなかったけれど」

そもそも医療系のメンバーくらいには伝わっていておかしくない。
同じ方向に帰るのなら、と3人並んで歩き出した。
飛沫を上げる噴水から離れれば肌寒さはましになる……あの場所は冬のランチには不向きではないだろうか。


167 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/05(木) 22:08:06.60 ID:ehsBJL8P0


天井「そういえば朝会の時に居なかったのは何故だ?」

布束「Well, 私は常勤じゃないの」

天井「あぁ……それはそうか」

何せどう見ても小学生である。
脳医学を専攻するような少女に基礎教育が必要かは甚だ疑問だが、形式上学校にも行っているのかもしれない。

ひらひらした頭飾りを見ながら取りとめも無く思考していると、不意に眇めた視線がぶつかってきた。
流れるような動作で天井の腹に少女の手が触れ、するりと撫でる。

布束「――――寿命中断《クリティカル》。Alas. 子供相手とはいえこの街の学生に対して無用心ね?」

天井「な……何を」

血管がきゅう、と縮まる気がした。

違う、布束砥信は危険度の高い能力など持っていなかったはず。
触れただけで害を及ぼすような、あんな、

布束「私の能力は触れた対象のAIM拡散力場を記録し、いつでも命を絶てる。Althouth, あなたがどこに逃げてもね」

天井「……私にAIM拡散力場、あるのか?」

ふ、と丸みを帯びた頬に朱が射した気がした。

布束「――寿命中断(物理)ッッ!!!」

ごうんっ!! と。
天井の脛に小さなエナメルの靴がめり込んだ。


・色々あってPCから投下できました
 みんながロリコン言うから向こうにさわさわしてもらったぜ

・ところで
>>+1
一方通行の1周目の経歴をどの程度知っているか
後の行動選択に関わるかもしれないので決めておきます

※コンマ判定  ★修正+5
  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル
ただしコンマ自体が0-4/95-99の場合、修正の値によらず必ずファンブル/クリティカル

成功度により情報量が変わります


168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/07/05(木) 22:10:46.69 ID:BRPij3A0o
ワロタ
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/05(木) 22:11:05.64 ID:KvtiKybD0
ksk
170 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/05(木) 22:18:52.25 ID:ehsBJL8P0

・現時点での天井の知識

 一方通行が軍隊と衝突した大まかな時期(【1年半後】くらい)
 事件後、長点付属の研究施設に書類上の籍を置いていること

 以上のことを知っています

 事件の日時・場所や、事件以前のえげつない経歴の詳細は知りません


ブラインドをばこん、と開け午後の陽を取り込む。
空調は集中管理されており程良い暖かさを保っている。

デスクに付属したリクライニングチェアはラム皮を模しており、全身の体重をゆったりと受け止めた。
購買に戻り購入した湿布を左脚に貼る。
そのついでに新発売らしき缶タイプの野菜ジュースを呷った。

天井「しばらくは何もかも手探りだな……」

設備の使い勝手も分からないし、この施設の方針にも慣れなければならない。
前の研究所は組織として研究開発や依頼の受注を行う傾向にあった。
だがこちらではテーマ、進め方をかなり自由に設定でき、代わりに自身の研究に大きな責任を負う。

なお初めは研究環境に慣れることを優先し、学園生徒への指導は担当しないという話である。
半年ほど研究に専念、その後状況を見て最短で9月から教育方面に携わるようだ。
もっとも開始時期についてはこちらの判断も考慮してくれるとのこと。

天井「治療法の方は、まずは発症箇所の再現から始めるか」

患者の腕など一部を複製。
そこから効果的な処置を探っていこうというのが現在の計画である。

天井「細胞サンプルの確保は……水穂で募るのが手っ取り早いが」

何せDNAマップ流出の原因となる機関であり、裏で非合法クローンを取り扱っているのである。
他の機関に協力依頼をするか、申請を出して都市外まで赴くか……。

考えることは多い。


>>+2
細胞サンプルをどこから確保するか

>>+3
研究の進度

※コンマ判定  ★修正なし
  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル
ただしコンマ自体が0-4/95-99の場合、修正の値によらず必ずファンブル/クリティカル

成功度により進度が変わります
(失敗=研究オワタ、ではないです)

>>+4
>>+5
その他、この半年でしたいこと
※もっと長期間掛かること(着手するだけ)なども可
1レス1つまで、複数書いてあった場合最初のを採ります


・今日はここで終了です、明日もよろしくお願いします


171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/07/05(木) 22:24:09.40 ID:WoGw/Knzo
踏み台
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/05(木) 22:27:37.36 ID:KvtiKybD0
都市外まで行く
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 22:30:21.06 ID:kEk+MdJIO
ksk
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/07/05(木) 22:31:08.82 ID:WoGw/Knzo
筋肉トレーニング
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/05(木) 22:33:09.82 ID:NTbYNStY0
誰にも知られないように、系統的脱感作を用いて、、芳川と一方通行に対するトラウマを改善する
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/05(木) 22:33:37.48 ID:0MgVoKW8o
関係者との積極的な共同研究
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga sage]:2012/07/05(木) 22:43:22.55 ID:tgsAOorSo
ムキムキな天井くンかァ…
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/05(木) 22:47:40.42 ID:NTbYNStY0
女子小学生相手に、無様な姿を晒してしまったんだろう…
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/05(木) 23:20:59.45 ID:iTILyLUAO
天井いなくても妹達は作られるのかな?

関係ないけど個人的には天井の事をお父さんと呼んでくれる妹達がいても良いと思うの(提案)
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 23:31:46.22 ID:DA5Ts7g2P
妹達は作らせてはならない(戒め)
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/05(木) 23:33:59.52 ID:NXyZo8pso
…………(傍観)
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/06(金) 00:06:05.83 ID:kZNFRImN0
カオスにならない安価スレがあるなんて…
>>1の技量と良い観測者に恵まれていて感動した。
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/06(金) 01:13:32.40 ID:B7x7I+uy0
妹達からお父さんと呼ばれるなんて、
実験から逃げられてないじゃないですか!やだ───!

184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/06(金) 02:58:24.99 ID:smT8COUSO
でもぶっちゃけ妹達はアレイスターがプランの為に造らせるだろうなー…芳川とか木原一族の誰かとか…
185 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/06(金) 11:07:54.62 ID:qH7lc2in0


雪混じりの雨が降っている。
手袋をしていても、繊維の間に染みた水分が容赦無く体温を奪う。

日本国、某県のバス停。
器具や色々が詰まった鞄と傘を手に天井は帰りの足を待っていた。
自身でも知覚はできないが、体内には現在地把握のためのナノマシンが循環しているだろう。

天井「……あっさりと頷いたものだな」

かたかたと揺れる荷物には、丁寧に梱包した細胞サンプルも収まっている。
提供者は少年と青年の中間のような男性だった。

学園都市から来たこと。
彼の細胞を元に身体の一部をクローニングしたいこと。
それを検体として治療法を探そうとしていること。
相手は静かに話を聞き、採取に同意した。

ぼつりぼつりと傘を持つ手に振動が響く。

天井「私は、死を避けようとしていたのではなかったのか」

わざわざ都市外の医療機関を探し、協力を求め、予定を合わせ、遠路はるばるやってきた。
それは内部の水穂を始めとする違法な研究機関を通じてあの実験に関わるのを恐れたため。
理に適っている。

そもそも何故筋ジストロフィーの研究に手を付けたのか、その一点を除いては。

やりすぎない程度に未来の研究を小出しにしていれば、しばらくは安全だったのではないか。
記憶の中でさえ天井はいつも恐怖から距離を取ろうとしていた。
壮絶な力を持つ被験者からも。
都市の闇に引き摺り込もうとする借金からも。

天井「私は何をしようとしているのだ」

どうして今、恐怖に目を向け、あまつさえ克服せんと思ったのか。
研究の起点となるサンプルと共に、鞄には都市の外で購入した一冊の書籍が入っている。

みぞれは止むことなく踏み固められた雪の上に落ち、人の足跡には水気が溜まっている。
それらは液体も固体もなく入り乱れ、もはや元が何だったのかさえ分からなかった。


186 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/06(金) 11:41:45.49 ID:qH7lc2in0


天井「芳川の書いた論文を読む……これは平気だな。会話、は……くそっ。電話だと……」

がりがりと乱暴にペンが走りくすんだ紙の上に恐怖が塗りこまれる。
深層に位置するのは、あの銃口と射抜くような瞳。
あるいは血に濡れた能力者が最後に伸ばした指先。

「心的外傷と行動療法」と題された本によれば、要は対象に関わる状況のうち恐怖度の低いものから慣らせばいいらしい。
だが、シチュエーションを整理し恐怖に順序を与える時点でも相当の苦痛を伴っている。

天井「う……ぐっ、第一位に……」

具体的な息苦しさでなく、どこかからの脅迫観念により服の胸の辺りを握った。
痛くはない。
呼吸も荒いができている、はずだ。

脂汗が紙にぽたりと垂れ、インクを巻き込んで滲んでいった。


半年でどのくらいトラウマが癒えたか
>>+1
芳川  ★修正-10
>>+2
一方通行  ★修正-20

※コンマ判定
  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル
ただしコンマ自体が0-4/95-99の場合、修正の値によらず必ずファンブル/クリティカル


・ググった程度の知識で書いています
 系統的脱感作法に興味がある方はきちんとしたソースをご確認ください
 この文中の事項を信用しちゃダメ絶対

・ちょっとご飯で離脱します
 今日は進度が遅くてすみません


187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/07/06(金) 11:43:25.68 ID:ARUo82+AO
御坂クローンを製造してレイプしたいくらい
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/06(金) 11:49:36.56 ID:y23RyNHL0
逆に好感度が増えてたり
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/06(金) 13:41:24.59 ID:a8KR6Qrt0
>>179
pixivでそれっぽい画像見たわ。可愛かった
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [saga sage]:2012/07/06(金) 13:47:21.50 ID:E6AnVYr1o
天井くンがお父さンかァ…
191 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/06(金) 13:59:50.15 ID:qH7lc2in0


天井「……ふぅ」

試液を始末して、身体の力を抜く。
作業内容によっては白衣を羽織らないこともある中で、今日はきっちりと臨戦態勢だった。
銀色のテーブルの上に明るい影が映っている。

腕や脚といった部分培養までは順調に進んだが、発症の再現に未だ至っていない。
現在、冥土帰しとの治療で使用した経年処理を用い一種の老化を促しており、
患者の財力によって資金に恵まれたあの時に比べ、使える選択肢が限られてしまっているのだった。

天井「そもそもこの手法が役に立つ日が来るとは思わなかったが」

仕方が無かった。
限られた予算内で代替できる薬剤や処置を探すしかないだろう。
そもそも治療法の確立が一朝一夕でできるはずもない。
これから探す代替案のように、小さい成果を積み上げていかなければならないのだ。

一度首を振り、天井は培養槽に覆いを掛けた。
こぽりと音を立てる気泡に慰められたような気分だった。


192 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/06(金) 14:00:15.22 ID:qH7lc2in0


午後3時、歓談スペースには人の姿が無かった。
硬めの椅子に腰掛け、かぽんと飲料のビンを開ける。

天井「ままならないものだな」

背もたれに従って首を後ろに反らせばごきごきと嬉しくない音がする。
着手したばかりでそこまで急かされはしないだろうが、研究が進まないのはフラストレーションだ。
朝会や週会で経過と作業予定を報告する度に苛立ちが募るのだ。

合間を縫って繰り返しているトラウマの治療で改善の兆しが見えているのが唯一の救いか。
何もかもが停滞している訳ではない。

携帯で芳川桔梗の名を検索し、どこぞの所員紹介の画像に目を落とす。
怯えはある。
しかし、例えば彼女と会話することを想像しても、パニックを起こすことは無くなった。
画面の中の研究者は曖昧な笑みを浮かべている。

天井(第一位に関してはどうしても恐怖心が勝ってしまうが……)

と、背後から軽い足音が聞こえる。

布束「Dr.天井。私もここで休んで良いかしら」

天井「あぁ、気兼ねなく」

丁度こちらと直角になるような位置にモノトーンの少女が腰掛け、きぃと椅子の足が鳴る。。
踵が床から離れているのを見ないよう、天井は目を逸らした。

現在の天井は脳のクローニングを行っていないため、彼女の研究領域とは重なるところが少ない。
とはいえ所内で人数が多い訳ではない医療系研究者として、しばしば会話の機会はあった。

布束「Incidentally, それ、どういうつもりなの?」

視線の先にあるのは飲み掛けのドリンク。
――ラベルには、「1日1本で全身を補強するプロテインドリンク」とある。
キャッチコピーではなく商品名だ。

天井「……興味本位で買ったのだが、正直酷い味だ」

布束「Er, ……あぁ」

天井「腹を見るな」

例の行動療法だが、事前準備として筋の緊張、弛緩を利用してリラックス状態を再現する段階があるのだ。
あれは言ってみれば芳川達とは別種の恐怖である。
何故力を入れているのに腕がふにふにしているのだ!

布束「野菜ジュースといい健康食品に傾倒するのは自由だけれど。Of course, それだけじゃ身体は鍛えられないわ」

天井「……そうだな」

それに最近、研究とトラウマの改善に打ち込み過ぎて休息を取っていなかったかもしれない。
適度に運動することで気晴らしにもなるだろう。

布束の呆れたような表情から、壁全面を切り取った窓の外に視線を逃がした。
木々は蕾を緩ませつつあり、枝の間を鳥が伝う。
新しいことを始めるには適した季節かもしれない。


>>+2
どんな筋トレをしよう


・コンマ判定って分かりにくかったですね、すみません

>>189 あれは色んな意味で可愛すぎる


193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/06(金) 14:08:55.40 ID:QdvQ9pBB0
しっかりしたインストラクターのいる場所に行き、トレーニングプログラムを組んでもらう
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/06(金) 14:13:44.96 ID:FAeeHg6Ho
>>193
195 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/06(金) 15:39:04.90 ID:qH7lc2in0


第二学区には治安維持組織のための訓練施設が集中している。
その中には、さらに自主トレーニングを重ねたい警備員や一般の学生のためのジムも紛れているのだ。
運動慣れしていない自分一人でやるよりも本職の人間に任せた方がいいだろう。
職場を出る間際に調べてきたデータを持ち、薄闇の空の下を歩いていく。

受付「はい、3ヶ月契約ですね。では現在の状態のチェックから行っていきましょう」

ここは幾つかあるジムの中でも、インストラクター、器具、プログラムなど質の高いものが揃っている。
その分契約料も相応だが期間中はいつでも利用できるようだ。
もっとも効率的に鍛えるためには専門家と相談したプログラムに沿って行うことになるのだが。

職員「まずは簡単な計測から行います。身長・体重を量りますので計測台に乗ってください」

天井「あ、あぁ」

貸し出しのウェアに着替え幾つかの機器で体質を数値化。
食事が多くないので肥満ではないが、筋肉量は残念な結果だった。
他にも目指す体型や重視したい部位、空き時間を相談し、週2〜3回のトレーニングを続けることになった。
睡眠や食事といった生活習慣にもアドバイスを受ける。

職員「今日はあまり負荷を掛けずに、器具の使い方を覚えましょう」

ジム内は暖色系に統一されており、強めの明かりが高い天井から降りてきている。
端の方にはエアロバイクが並び、一見して用途の分かるベンチプレスから持ち方さえ想像できないマシン、
エアロビクスなどを行うためのスペースもある。
――もろもろの固有名詞はたった今聞いたばかりなのだが。

職員「そうです、肩が強張らないように。背中を寄せるようにしてゆっくり腕を上げてください」

天井「う、ぐ……むっ」

職員「息は吸わない、止めない。ゆっくり吐き出しながら――」

説明を受けながら、1時間半。
最後にも簡単な柔軟を行い終了である。
初回の軽いトレーニングで既に疲れきってしまい、顔を上げれば照明が目に刺さった。

天井(筋トレは早まったか? しかし契約してしまった以上続けなければ勿体無いぞ)

遠くの方では女性2人組が、片方がもう1人を叱咤しながら脚を鍛え、すぐ傍では布束と同じ位の少年が元気にウェイトを持ち上げている。
……あんな歳から筋肉に負荷を掛けては成長に影響が出ないだろうか。

職員「お疲れ様でした! 連日ですと身体を壊しますから、明後日以降にまたいらしてください」

帰り際に初回のサービスです、とドリンクを渡された。
それは例の不味いプロテインだった。

天井「明日、筋肉痛にならないと良いが……」

目の前を腕章を付けた少年達が行き過ぎる。
天井は星空を見上げ、飲料を呷った。


ちなみに筋肉痛は翌々日に現れた。


>>+1
何度か通っていると、たまたまよく見掛ける人がいるようです

※コンマ判定
  0-39:女性2人のうち、眼鏡の方
 40-79:女性2人のうち、髪がとても長い方
 80-99:小学校高学年くらいの少年


196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/06(金) 15:48:33.42 ID:ks4OnIO2P
小学校高学年くらいの地雷を踏みたい
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/06(金) 15:49:09.29 ID:KWGHaMEu0
うりゃ!
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/06(金) 15:57:57.38 ID:QdvQ9pBB0
小学校高学年くらいの少年…誰なんだ
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/06(金) 16:04:53.57 ID:smT8COUSO
アルビノショタ…ゴクリ
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/07/06(金) 17:34:30.78 ID:aSNEpLX3o
じゃん、か?
201 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/06(金) 18:05:13.66 ID:qH7lc2in0


とある土曜の夜、いつものように第二学区を歩く。
日中は休日返上で培養槽、計測器と睨み合い、今も目を閉じるとじわりと生理的な涙が分泌される。
しかし苦労した甲斐あり、安価な薬品の使用で経年処理の一定の進行が確認できた。

天井「次の発表はこれだろうな」

そう、疲労はあるものの気分は軽い。
大目標として筋ジストロフィーの治療法の確立を掲げているが、それを完遂するまでの間も進捗を論文にしていかなければならない。
今回、経年処理の代替的手法について一つの纏まった成果が上がったため、所属組織に対しても胸を張れるというわけだ。

二重のガラス戸がふぃんと開く。
夏に向けて気温を溜めている外と違い、ジムの中は適度に空調が効いていた。
休日は昼間の方が繁盛するのかトレーニングに興じているのは10人もいない。

??「おぅオニーサン。今日は遅かったじゃん?」

声は知ったもので、タイミングが合うのかしばしば見かける女性だった。
名は黄泉川。
トレーニングの合間や休憩時間に何となく言葉を交わす相手である。
大抵いつも同じ、持参の緑ジャージを着ている。
というか着てくる。

天井「仕事だ。オニーサンって、大して年齢違わないだろう」

黄泉川「な、なんて事言うじゃん!? 私の方が10歳は年下だ!」

天井「い、痛、何をするっ!」

一つ縛りの長髪を振り乱し、ばしばし! と人の背を叩く。
ふざけた仕草だが、一撃ごとに骨がびりりと震える。
何せこの女は普段から、天井がとても動かせないような重量を掛けてトレーニングをしているのだ。

天井「年下というなら敬意を払え敬意を!!」

黄泉川「おぉっと悪い悪い。しかしお前ももうちょっと硬くなるべきじゃん? そんなんじゃもしもの時にポキっといっちゃうじゃんよ」

天井「……ホワイトカラーにもしもの時などあるか」

えー、などと口を尖らせる黄泉川を尻目に、更衣室へと足を向た。
研究員がホワイトカラーの範疇に入るかは微妙であるし、自身の経歴、特に未来の記憶はもしもの時の連続な訳だが、詮無きことだ。

黄泉川「いやー、知り合いの研究者の奴がいっつもお腹の肉気にしててな。デスクワーク系は気をつけなきゃ鈍るじゃんかー」

天井「うるさいな、最近は脂肪量も減ったわ!」

スポーツドリンクを吸いながらにやにやと笑い掛けてくる。
耳に痛いお言葉を、女子禁制の扉で断ち切った。


202 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/06(金) 18:07:50.94 ID:qH7lc2in0


黄泉川「ねーねー天井のオニーサン、ホワイトカラーって何やってるじゃんー?」

何故だろう、今日はやけに絡んでくる。
あれから更に人も減り、職員もスタッフオンリーの奥に引っ込めばやたらと喋る女と2人、取り残される。
プログラムを全てこなしシャワーで汗も流した後で、時間はもう10時を回っていた。

天井「しがない研究者だ、悪いか」

黄泉川「そっか、研究者だったか。あー、私の知り合い、運動も食事制限も面倒臭がってしないのに傍目にはスタイル良いじゃん?
    お前もお腹とか気にし過ぎない方が……」

天井「何の話だ!?」

あっはっは、と容姿を裏切る豪快な笑いが響く。
もっとも普段の言動からは何ら違和感が無い。
壁際のベンチに座るこちらを見下ろすように、タオルを首に掛けた黄泉川はしばし押し黙った。
ラジオでも流しているのか、どこかで聞いた音楽が細く流れている。

黄泉川「あ、ちなみに私は教師じゃん。体育の」

思わず、最後のは言わなくても分かる、と口に出そうになりプロテインと一緒に飲み下した。
表情で察したのか黄泉川の眼光が恐ろしく鋭い。

天井「このジムに居るということは、警備員か?」

黄泉川「そう。警備員は身体が資本じゃん。殴って済めば武器持たずに済むしな」

天井「それは――」

同じく能力者に関わる職業でも、研究者なら、特に裏側に近い人間ならそのようなことは考えない。
能力を求め、恐れ、信奉しているからだ。
「能力者」ではなく、「能力」を。
それで大人しくなるなら麻酔だろうと実弾だろうと打ち込むような世界だ。

す、と一度だけ鋭い呼吸が聞こえた。

黄泉川「おぉっと、もう結構な時間!? 付き合わせてごめんじゃん、お前も早く帰れよー」

勝手に吐き出したいことだけ吐き出して、どういう了見だ。
反論の隙も寄越さずにばたばたとジムを出て行く。

辺りに人が居ないのを知って、ふぃんとドアが閉まった。


203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/07/06(金) 18:19:56.03 ID:prjuIPc8o
布束と同じくらいの少年って、もしかして根性さんだったんだろうか?
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/06(金) 18:41:19.75 ID:QdvQ9pBB0
駒場か浜面と見た…土御門は流石にまだいないよな
205 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/06(金) 18:57:21.75 ID:qH7lc2in0


7月末の研究発表では予定通り培養したクローンの経年処理、人工的な老化促進の新手法を纏めた。
用途が限られるため大きな注目を集めることは無いが、上手く応用すれば面白い技術、として一般には受け入れられた。

天井(とはいえ想定より研究の進行は遅れている。気を抜くわけにはいかんな)

そういえば、この手法が成功した日にはやたらと黄泉川と話したが、それからも会えば声を掛けたり、立ち止まって雑談したりはしている。
また黄泉川は別の女性を伴って来ることがあり、その場合は大抵そちらと話す、もといしごいていた。

現在、天井は研究施設の自室でゆっくりコーヒーを飲んでいる。
と、PCの端に丸いポップアップが飛び出す。
前後してポン、と軽い音が鳴った。

天井「メール……教授か」

内容は開発担当を兼任する件についてだった。

以前の打ち合わせの際にあまり頻度が高くならないよう頼んでいたため、基本的に週1回、系統別の能力実習で数人の生徒を持つ形になる。
9月――二学期の始めに合わせるならばそろそろ簡単な研修を受けなければならないため、この学期から始めるか回答を出すようにとのことである。
今保留にしても、遅くとも来年度からは開発に当たって欲しいとのことだが。


>>+1
天井は……
※二学期から能力開発に参加するか


・ところで
>>+2
1周目のDNAマップ提供時期についてどの程度知っているか
後の行動選択に関わるかもしれないので決めておきます

※コンマ判定  ★修正+10
  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル
ただしコンマ自体が0-4/95-99の場合、修正の値によらず必ずファンブル/クリティカル

成功度により情報量が変わります


206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/06(金) 19:02:00.66 ID:U2VgIF6DO
参加する
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/06(金) 19:07:08.69 ID:6DLRJ0WAo
いっけー!
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/07/06(金) 19:35:15.69 ID:CKfapZ4Io
公式で相手がいない巨乳ジャージをGETして、炊飯器料理を毎日作ってもらおう。
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/07/06(金) 19:55:18.43 ID:iE6YSLxC0
天井亜雄は静かに暮らしたい

ってなるかと思ったけど結構自分から動いてるから違うな
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/06(金) 20:13:40.08 ID:smT8COUSO
黄泉川×天井………グッ
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/06(金) 20:14:03.65 ID:5KrNFwGAO
なんでもかんでも恋愛が幸せとはかぎらんだろ
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/06(金) 20:23:38.65 ID:HPWHnwyUo
黄泉川とは飲み友くらいが天井にとってちょうどいいガス抜きになるんじゃないかな
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/06(金) 20:30:24.07 ID:QdvQ9pBB0
天井の年だと、年齢差一回りじゃすまない相手ばかりだからなぁ…
黄泉川の周囲を考えると、一方通行と芳川へのトラウマ解消が必須だし、
狙うのなら、鉄装の方が楽だっただろうな…
小萌って黄泉川より年上だったよな…違法研究も一切してないし、紹介されたのなら狙い目かも
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/06(金) 21:43:49.95 ID:ks4OnIO2P
お前ら何言ってんだ布束一択だろ
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/07/06(金) 21:52:23.86 ID:CKfapZ4Io
>>214
おさわりまんこちらです。
216 :手打ち>>1 ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/06(金) 22:36:27.46 ID:S0oQRLgDO

・天井の知識

 美琴がDNAマップを提供した大まかな時期(【1年3ヶ月後】くらい)を知っています
 日時の詳細は知りません


研修といっても、本当に簡易的なものだった。

長点上機学園の能力開発は完全に「能力を伸ばす」一点に特化している。
学校組織も生徒も開発官にそれを求めているのだ。
つまり教え方の上手下手はあれど、教師としてのスキルより能力への知識、理解が重視される。

ということで、不必要に生徒の肉体や精神を傷付けない、といった最低限の事項のみを押さえ、そのまま実地に入ることになった。


二学期初の授業。
第七実習室という名の、高位能力に耐えうるシェルターのような一室。
広さと高さも充分にあり、壁などは通電素材と絶縁素材を重ねた明灰色のパネルで覆われている。

天井「今日から君達の担当になる天井だ。しばらくの間、よろしく頼む」

能力の細分と開発官の相性、成長のフェイズにより時間割りが随時修正されるため、担当関係は流動的である。

男子・女子「よろしくお願いします」

男子生徒は大能力者で、空気中にあたかも見えない電線があるように継続的に電流を流す能力である。
もちろん一般的な電撃使いとしての能力も備えている。
女子生徒は強能力者。
最大出力は男子生徒よりも高く、どころか電撃使いの中でもかなりの上位に位置するが、制御性の低さによりこのレベルに甘んじている。

天井「現在のデータには目を通してある。が、念のためまず実際に発動してもらう」

男子生徒を指名し、天井は女子生徒と透明なブースに入った。
コンソールを操作し、マイクで促す。

男子「――――」

彼が翳した手から、バチリと電光が伸びる。
掌から別の生物の爪が生えたように、5本。
それは一瞬で終わることなく、天井が終了を命じるまで壁へのラインを保ち続けた。

ふぅ、と隣で呼吸が乱れた。
この女子生徒に欠けているのは精度や応用力。
そこが突出した同系統能力者に対して思うところがあるのかもしれない。
生徒の組み合わせを考えたのは天井ではないが、相互の刺激によるスキルアップを狙ったのか。

天井「次」

指示を出す。
入れ替わりにブースを出た少女はほぼ溜め無しで膨大な電撃を放った。
耐電性の高い壁が、高熱によって僅かに変色している。
これでも自身の感電を避けるため出力を抑えており、データ上はもう少し電圧を上げられるようだ。

天井「分かった。今日の内容だが、電極による刺激は行わず、Yuyr8_IIの投与と反復による演算の定型化を――」

二人はこくりと頷き、用意された薬剤を喉に流した。


自室に戻り移動で流れた汗を拭く。
間近で放たれた威力に内心圧倒されたこともある。
知識があるとはいえ実際に開発した経験は妹達のみ、初対面の生徒への指導はなかなかに緊張感があった。
そして多くの場合、能力の成長は即時現れるものではない。

天井「続けてみるしかないな……」

デスクに腰を預け、しばし脳内で計画を立ててみる。


217 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/06(金) 23:02:05.22 ID:S0oQRLgDO


天井「それはそれ、本分の方をどうするか」

今も培養槽に浮かんでいる腕や脚などである。
水穂が第三位にDNAマップを提供させた際の名目は、電撃使いの能力によって強制的に身体を動かせるようにする、というものだった。
また他の系統の能力も上手くすれば応用できる可能性がある。

天井「肉体再生、肉体変化、それに念動力あたりか?」

あるいは検体を複製できる利点を生かし、能力関連を置いても様々な処置を試すことができる。
これからはしばらく試行錯誤の連続になりそうだ。


問題は他にもある。

天井「あれからトラウマの治療も継続しているが……」

芳川に関しては、以前に比べかなり恐怖が薄れていた。
流石に何のわだかまりも無く、とはいかないし再び銃を向けられるような場面になれば分からないが、
通常の状況で会話をする程度なら問題は無いと思う。
しかし第一位を思い浮べると、相対する想像だけでも震えが走り、反射的に涙が浮かぶ。

天井「継続していれば改善されるだろうか」

気掛かりなのは、心療内科などを訪れず独学で行っていることだ。
万が一悪化する方向に転がりそうになった場合、それを止める術が無い。

難儀なものだ、冷風を頭に感じながら天井は一人ごちた。


>>+1
研究の進度
※コンマ判定  ★修正無し

>>+2
開発の成果
※コンマ判定  ★修正無し

  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95-99:クリティカル

成功度によって進度・成果が変わります


>>+3
トラウマ治療を続けるか

>>+5
>>+6
その他、この1年でしたいこと
※もっと長期間掛かること(着手するだけ)なども可
1レス1つまで、複数書いてあった場合最初のを採ります


・ロリ琴の服を確認(季節的な意味で)しにBOOKOFF行ってて遅くなりました
 あとは大体手打ちのせい
 明日はちょっと時系列を整理します


218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/07/06(金) 23:02:59.73 ID:/uMTRv5Qo
どうだ
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/07/06(金) 23:05:58.96 ID:/uMTRv5Qo
ksk
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/07/06(金) 23:09:25.43 ID:/uMTRv5Qo
続ける
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/06(金) 23:15:28.53 ID:WCP1s3nd0
ksk
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/06(金) 23:16:25.82 ID:QdvQ9pBB0
人脈を広げ、関係者との積極的な共同研究を行う
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/06(金) 23:26:49.89 ID:WCP1s3nd0
布束と親密になる
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/06(金) 23:32:50.31 ID:QdvQ9pBB0
トラウマ治療は一方通行に絞った上で、心療内科に「アルビノの男にトラウマがある」と情報を隠して通うのもありだな
筋トレの方は継続せずに終了かな
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/06(金) 23:43:20.88 ID:ks4OnIO2P
>>223
よくやった
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/06(金) 23:49:24.70 ID:WCP1s3nd0
あ、友達以上恋人未満の恋愛のような友情のような
モヤモヤっとしたかんじに 出来たら

無理でしたら大丈夫です
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/07(土) 00:07:57.07 ID:P14g42OAO
>>226
中々、良い趣味だ!
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/07/07(土) 00:09:25.89 ID:l4D9Ng5lo
ロリコンめ…
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/07/07(土) 00:30:24.93 ID:8mGZAxiAO
このスレロリコン多すぎだろ
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/07/07(土) 00:39:00.48 ID:tKOnqV2eo
つーか、>>219素晴らしい。

クリティカルじゃないか!
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/07(土) 00:56:57.99 ID:caccdjjSO
布束だけに
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/07(土) 01:07:41.67 ID:fJcwGzri0
>>231

座布団3枚
233 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/07(土) 08:57:28.19 ID:Q0gx4lzDO

・すみません、所用により開始が午後からになります


・安価追加
>>+1
共同研究するのはどの方面の関係者か
※選択
 a. 同じ研究施設の関係者
 b. 量産型能力者計画、絶対能力進化実験の関係者
 c. 同じ分野(医療系)の関係者

>>+2
筋トレを続けるか


234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/07(土) 09:00:10.34 ID:7Bpn0IDb0
B
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/07(土) 09:03:15.91 ID:1R1kWCfDo
続けようぜ!
236 :名無しNIPPER [sage]:2012/07/07(土) 10:03:10.08 ID:VdgUFj3C0
>>226

それで少しずつ両方が恋心に目覚めて好きだって自覚するのがたまらんね 
ロリコンですがなにか
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/07(土) 12:44:24.01 ID:aPU5KPec0
電気系統大能力者の男子生徒って、レベル5の御坂がいない現状では電気系統のトップである可能性もあるし、立場上実験協力を依頼しやすそうだし、美味しいな
238 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/07(土) 13:19:39.83 ID:ULalsRM+0


はらはらと黄色い木の葉が舞っている。
ピークを過ぎ短くなってきた陽が、高窓から斜めに射し込んでいる。
不意に視界が明るくなり、顕微鏡を覗き込んでいた天井は顔を上げた。

天井「む、こんなに経っていたか」

作業を始めた時から、太陽の位置が大きく変わっていた。
首から腰までが実に重苦しい。
立ち上がって身体を捻ると、ボードに貼り付けられたスキャン図がふわりと捲れた。

天井「一進一退、という感じだな。理論上や実験では上手くいくが患部に適用できない」

試行錯誤のそれ自体は良いペースで計画を消化している。
例えば能力による動作補助。
これは電撃使いだけでなく、想定していたいくつかの能力系統で実現可能と結論した。

問題はそれを患者にどうやって与えるか、である。
能力は1人に1つ。
都合良く該当の能力を保持している可能性は低い。
また世界的に見れば患者の大半は都市外の、開発を受けていない者である。

いつだったか、他者の自分だけの現実を移植する実験について噂に耳にしたことがある。
しかし風聞でしか情報が流れないような裏の実験である、その内実は推して知れた。

天井「そうなると、外付けの形だろうか」

何らかのデバイスを用い、それを介して能力を行使、間接的に身体を稼動させる。
この場合の外部デバイスは――、

天井「くそっ、それ以外に何か無いのか!?」

結局のところ、能力を使用する媒体として人間の脳が必要になる。
自分だけの現実と演算能力。
能力に必要な二本の柱のうち前者は、どんな高性能のCPUでも代替できるものではないのだ。

脳のクローニング。
非合法であるとして、あれ以来自身の研究から排除していたものだ。
完全体のクローンを量産していた身が言えることではないとしても。

天井「クローン以外の医学分野に関しては、私だけでは限界があるしな……」

専門ゆえに人体の発生や各部位の機能には詳しいが、医療と名の付く世界は広い。
少しの知識を頼り広大な原野を歩くようなものだ。

キーンコーンと学園棟からチャイムが鳴る。
赤を帯びた陽光を眺めながら聞くコンクリごしの音は、どことなく寂しげだった。


239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/07(土) 13:33:10.77 ID:P14g42OAO
>>236
あくまで恋にならない信頼関係が良いんだよ!
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/07(土) 13:35:29.27 ID:inpoSXRI0
>>239

男女間に友情は成立しないけどね
信頼も恋愛も似たようなもんだろ色んな意味で
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/07(土) 13:40:47.65 ID:m0CK30/z0
戦友に似た関係はありうると思うが?
いつしか専有になりうることもあるが
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/07(土) 14:14:59.84 ID:XHg4w3xQ0
男女間に友情は成立しないって結構聞くけど、よくそんな悪魔の証明みたいなことを断言できるなって度々思う
言ってる人がそう信じたいだけの話なのかな
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/07(土) 14:49:57.35 ID:P14g42OAO
いずれにしても現実には無いことかもしれないけど、 創作物の中ぐらい良いじゃない
244 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/07(土) 14:58:56.61 ID:ULalsRM+0


少し頭を休めよう。
あえて自身の研究室ではなく開けたスペースのテーブルに向かう。
行儀が悪いと思いつつ、購入した野菜ジュースを吸いながら歩いた。

布束「Be prudent. 良い大人がどうかと思うわ」

パーテーションを越えると年若い同僚がぽつぽつと弁当をつついている。
薄暮の街を背景にして。
うるさい、と言いつつ対面に落ち着く。

天井「一人なのか、珍しいな。この時間に食べるいうことは今日は居残りか?」

彼女は若い女性研究者や学園の女子生徒にいたく可愛がられており、外の芝生やらベンチで何人かと食事をしていることが多いのだ。

布束「Whereas, 勘違いしているみたいだけど。これはお昼の分よ」

思わず左腕の時計を見る。
風力発電機の並ぶ窓の外を見る。
最後に言われてみれば昼食という言葉が似つかわしい小さな弁当箱に視線を送ったところで、平常運転の目付きで睨まれた。

天井「また熱中していて食事を忘れたのか」

布束「……また、ではないわ。Regardless, あなたは例によって健康食品漬けなのね」

真顔だが明らかに話を逸らしている。
半年ほどの付き合いで、表情に出にくいが内実はむしろ感情の強い相手だと知っていた。

天井「ふん。これでも毎食欠かさず摂っているし、運動もしている」

布束「……ふぅん?」

天井「腹を見るな」

はぁ、と全身を弛緩させれば、少し腰がずり落ちた。
日没と反比例して自動調整の室内灯が明るさを増す。

四角い布に、かたかたと箱や箸入れが仕舞われる。
本人の服装に反して落ち着いた柄で、灰の地に暗めの紅で何かの花が描かれていた。


245 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/07(土) 14:59:22.94 ID:ULalsRM+0


天井「……人間の脳は、どこまで機械で再現できるのだろうか」

研究に行き詰まっていたせいもある。
都市の外なら、いや中でも天才と呼ばれて遜色のない布束の専門知識を当て込んでのことでもある。
治療案の一つにある外部装置について、簡単に相談してみることにした。

布束「Hmm, 学習装置は知っているかしら。あれは、脳に直接コード化した情報を書き込むもの。
   逆に言えば、ある人間の一時点での知識、判断……人格は、機械的に再現できると考えて良い」

少女は淀みなく語る。
サンプリングに時間は要するけれども、と補足があった。

天井「一時点での、とは」

布束「学習能力の壁ね。As a result, 機械はプログラミング時に予想されたパターンを超えられないわ、本質的に」

ごくりと唾を飲む。
ここまでの言では、自分だけの現実を含めて機械に再現させる方法は否定されていない。
テーブルの下で握りこんだ指がズボンに皺を作る。

天井「では、能力者の脳を再現し本人の身体の一部を複製して繋げれば、能力が発現する可能性も――」

布束「Sorry, でも脳科学者の間では夢物語よ。断言できる材料は無いけれど、経験的に否定されている」

天井「そうか」

落胆まではしない。
実際、記憶にある一番未来の情勢でも、機械はおろか動物にさえ能力発現の例は無い。
それでも、思考に苦いものが混じるのはどうしようもなかった。

天井「……それでも、脳以外の神経系の部位と接続して何とかならないか試してみたい」

布束「治療法の件ね?」

天井「うむ。いずれ――、共同研究という形で、人格データの再現に協力してもらえないだろうか」

鋭い視線がくるりと円を描いた。
するり、と親指が唇に触れている。

布束「……すぐにとは言わないのでしょう。Then, 考えておくわ」

ひたりとこちらを見据える眼差し。
それは紛れもなく科学を生業とする人間の色だった。


246 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/07(土) 15:05:50.55 ID:ULalsRM+0

・これ張るの忘れてました

【時系列】
2周目スタート時を1年目と表記
目安として、春:3-5月 夏:6-8月 秋:9-11月 冬:12-2月


1年目春|クローン部門に異動  |クローン部門に異動、医療部門に重点
   夏|           |
   秋|           |
   冬|           |
2年目春|           |
   夏|           |
   秋|           |冥土帰しの治療協力
   冬|           |長点上機学園の付属施設に移籍
3年目春|           |
   夏|           |
   秋|           |開発の指導開始、今ここ
   冬|           |
4年目春|           |
   夏|(一方通行vs軍隊)  |
   秋|(美琴DNA提供)    |
   冬|           |
5年目春|           |
   夏|           |
   秋|           |
   冬|           |
6年目春|           |
   夏|           |
   秋|量産型能力者計画着手 |
   冬|量産型能力者計画頓挫 |
7年目春|絶対能力進化実験着手 |
   夏|           |
   秋|           |
   冬|           |
8年目春|           |
   夏|           |
   秋|           |
   冬|           |
9年目春|           |
   夏|絶対能力進化実験頓挫 |


【現在の天井】
仕事:合法の医療クローニングの分野で頭角を現す
   最近は筋ジストロフィー治療が研究テーマ

身体:食事には気を付けている
   週2〜3回の頻度でジム通い

精神:独学でトラウマ治療中
   芳川に対してはある程度改善、一方通行へは変化無し


・とりあえず布束に協力を依頼しました

>>+1
>>+2
他に共同研究を持ち掛けたい原作の登場人物が居れば

※量産型能力者計画、絶対能力進化実験関連に限ります
 例)芳川、「〜でしょウ」みたいな話し方の外国人(?)

なければ適当に流してください


247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/07/07(土) 15:08:15.66 ID:tKOnqV2eo
レールガン5巻に出てきた、
Sプロセッサ社、脳神経応用分析所の初老の黒ズボン研究者。
人が良さそうだから。
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/07(土) 15:09:13.32 ID:d5qL3/JB0
木山春生
249 :247 [sage]:2012/07/07(土) 15:11:28.81 ID:tKOnqV2eo
>>247
あ、27話の冒頭で布束と握手してる人です。
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/07(土) 15:21:57.84 ID:aPU5KPec0
芳川桔梗
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/07(土) 15:35:26.28 ID:m0CK30/z0
動物の脳は無理か
イルカとかどうかなとか思ってたんだが
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/07(土) 15:42:46.64 ID:P14g42OAO
木山先生キタ!
253 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/07(土) 16:25:55.64 ID:ULalsRM+0

・確認のみ失礼します
 >>247 は髪型真ん中分けで少しふとましい男性でしょうか
 違ったら教えていただけると助かります


254 :247 [sage]:2012/07/07(土) 16:44:38.43 ID:tKOnqV2eo
>>253
そうです。
よろしくお願いします。
255 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/07(土) 17:06:22.46 ID:ULalsRM+0


天井「後は……咄嗟に出てこんな」

布束と別れ廊下を歩きつつ、他にも協力を仰げないか思考してみる。
分野的な面、また所属や立ち位置。
あの計画と実験には多くの精鋭が参加していたが、そもそもの性質上、都市の裏側に通じる人間が多い。
現時点ではクリーンかもしれないが天井にはそれを正確に知る術が無かった。

天井「人脈作りを軽視してきた結果か」

研究者間の交流、ネットワークの重要性を身に染みて思い知るのだった。
ほぼ前職と現職の内部にしか知人以上の相手が居ないとあれば。
例外として、芳川とは連絡先の交換をしているのだが……。

天井「何せあの第一印象ではな」

当時はトラウマを克服する前とはいえ、恐怖のあまり挙動不審になってしまったことが悔やまれる。

まずは学会などで、人の輪を広めるところから始めなければならないらしい。


・先にトラウマ治療の判定をば

>>+1
芳川に対して
※コンマ判定  ★修正なし
>>+2
一方通行に対して
※コンマ判定  ★修正-20

  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル
ただしコンマ自体が0-4/95-99の場合、修正の値によらず必ずファンブル/クリティカル


256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/07/07(土) 17:08:31.04 ID:tKOnqV2eo
へーい
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/07(土) 17:08:33.84 ID:1R1kWCfDo
優しい貴女に!
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/07/07(土) 17:09:00.73 ID:tKOnqV2eo
うお、すまんです…
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/07(土) 17:09:13.57 ID:1R1kWCfDo
熊本ーーーー!!!
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2012/07/07(土) 17:23:41.29 ID:sQztq+yK0
Oh....
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/07(土) 17:28:52.47 ID:P14g42OAO
なにげにファンブル初めてか? しゃーない
262 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/07(土) 17:51:50.72 ID:ULalsRM+0

>>254 リロード忘れていて後で気付きました
 ご回答ありがとうございます


天井「う、撃つな芳川ッ!!」

ずどん、と。
確かに腹部を食い破る金属の感触まであった。


死。
周囲は闇。

天井「あ、う…………あぁ……?」

はぁはぁと荒い息遣いが間近にある。
音。
聴覚が残っている。

天井「は……弾、が」

触覚。
腕が上がり、その場所に触れた。
分厚い布越しに手と脇腹両方に圧迫感。
ぐしょりと濡れた服。

血。
痛くない。
麻痺しているだけ?
――いや。

薄布を通したような向こう、暗い輪郭の中から垂れ下がった紐を手繰り寄せた。

ぱちん、と部屋が色付いた。


天井「何が……また、夢、か?」

熱に浮かされたように携帯を確認する。
日時を穴が開くほど睨み、「昨日」のことをゆっくりと反復する。

そうして、やっと血流と呼吸が戻ってきた。

天井「くそっ……! 第一位の方は慣れてきたというのに……!」

フラッシュバックと呼ばれるものらしい。
強いトラウマが突然かつ鮮明に、泡のように浮き上がる状態。
もっとも培養槽にコポコポ湧くような穏やかなものではなかったが。

続けてきた治療の成果に安心し、共に研究する可能性などを何気無く想像していたからだろうか。

天井「――――」

目を閉じて、右腕に力を入れてみる。
そうしてリラックス法を充分に繰り返してからでも、芳川桔梗のイメージは恐怖を煽った。

天井「記憶の中とはいえ殺された、のだからな。一筋縄ではいかないか……」

ぱちり、ぱちり。
常夜灯のみを残して灯りを落とし、天井は布団に潜り込んだ。


263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/07(土) 18:20:09.63 ID:m0CK30/z0
これ、恐怖を昇華して超弩級のマゾヒストになれないかな
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/07(土) 18:32:44.61 ID:wFp4RJHJ0
そうなったら、マゾヒズムの治療が必要になる…悪循環だな
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/07(土) 19:00:26.44 ID:d5qL3/JB0
マゾヒズムって治療が必要なほど深刻なもんなのか?
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/07(土) 19:09:44.25 ID:wFp4RJHJ0
度合いによるとしかいいようがない…超弩級だと死んだり、後遺症が残るような怪我をする可能性が高い
267 :携帯>>1 ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/07(土) 20:09:15.66 ID:Q0gx4lzDO


扇形、階段状になった席の一つに腰掛け中央を見下ろす。
手元の冊子には布束砥信の名と、発表内容のアブストラクト。
壇上では小柄な体躯にも関わらず堂々とした風情の本人がスライドを操作している。

布束「身体的成長による変化、これらの要因により刺激される部位は――」

天井にはその理論をすべて理解することはできない。
大別すれば医療系とはいえ、自身の専攻分野からはかなり外れているからだ。
そう、今日は発表を行う同僚に同行しただけなのだ。

年齢的困難に備えた付き添い、という名目は禁句である。

布束「――この手法をもって自身の成長というファクターをデータに表現します。……以上です」

さぁっと拍手が起こり、黒基調の大人しめな服を着た同僚は檀を降りた。
スポットのように当たっていた光を脱ぎ発表者席に戻っていく。
明かりの絞られた会場の中、髪を簡単に纏めた頭がすとんと椅子に着いた。

学会によっては、会員でない一般の聴講を受け入れていたり、身元など申請の上で発表者と同席することができるものがある。
あれから天井は可能な限り同僚達に着いて回り、出席数を重ねた。
特に能力系や脳科学系といった自分の手が届かない分野の人材を求めているからだ。


司会「次に、『五感を相互に利用した情報伝達手段と脳波に与える影響』について、Sプロセッサ社の――」

聞こえたのは既知の社名だった。
モニタの前に、自身より幾分年上の男性が歩み寄る。
その顔自体に見覚えは無かったが、Sプロセッサ社は学習装置の開発会社であり、あの計画の関連企業だったはずだ。
「だった」というより万が一計画が行われた場合、関連企業に「なる」のだが。

天井「学習装置……脳に情報を入力する機器か」

なにも患者の脳にデータを上書きする気はない。
だが、機械と脳の接続を行うものと考えれば、身体操作用の外部デバイス運用に生かせないだろうか。
企業が相手だ、ある程度要件が固まってから提携を――、

??「――――」

ガリガリガリガリ! と。
何やら荒々しい音が隣席から聞こえ、思考の中断を余儀なくされた。
音の主は二十代半ばくらいの女性。
内容に執着があるのか、まるで発言の一字一句を書き取るようにペンを走らせている。

天井(っ、幻想御手の、木山春生!?)

痩せ気味の顔付き、目の下に刻まれた陰影。
絶対能力進化実験が頓挫する少し前、都市中の学生を巻き込んだ事件を「起こす」研究者が間近に座っている。
副作用のある能力強化機構を作り上げ、警備員に大きな被害を出しながら最後は静かに拘束される。
その顛末は研究者間でまことしやかに語られるのだ。

天井(本業はAIM系、だったか。この席にいるということは聴講者、単に興味で聞きに来たのか……?)

件の騒動の時も目的までは流布しておらず、性格も不明。
不定形の化け物を従えていた、とまで噂されていたが。


>>+2
天井は……
※木山への対応


・今日も早々にネットが切れました……明日はもう少し書けるかと
 この1年分書き切るのを目標に頑張るます


268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/07(土) 20:11:04.43 ID:d5qL3/JB0
ksk
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/07(土) 20:15:12.59 ID:Z+2WRtueP
紳士的なスマイルで快活に話しかける
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/07(土) 20:20:15.10 ID:caccdjjSO
木山てんてェェ
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/07(土) 20:30:46.43 ID:P14g42OAO
紳士的な天井かぁ…。想像出来ないねwww
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 01:17:13.56 ID:qOz6DLED0
でも将来的にはどこに出しても恥ずかしくないロリコンにジョブチェンジさせてあげたい
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 02:14:56.45 ID:LJd5LUoSO
天井×黄泉川
天井×木山
天井×芳川
でよく遊びにくる娘で布束………だめか?
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/08(日) 02:24:37.06 ID:2XEwMB2+0
トラウマが完全に解消されない限り、黄泉川と芳川は無理じゃね…
しかし、その3人を除けば天井が付き合ってもロリコン扱いされないされない女性キャラって
何人いるかねェ…
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 02:32:58.11 ID:KXk7js+Co
素甘ちゃんでいこう(提案)
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/07/08(日) 02:37:09.22 ID:D+VaWbVSo
小萌先生なら合法だ
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/08(日) 02:44:06.34 ID:2XEwMB2+0
今回は清廉潔白だから、テレスとか病理とか手塩とかは問題外だろうし(そもそもどうやって遭うんだ)
冥土の紹介が常盤台だったら、寮監辺りが候補だったのかな…
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 02:55:21.50 ID:LJd5LUoSO
木原病理さんが大好きなんだがな…今回の主旨だとなー…ちくせう。俺的には女神
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/08(日) 03:03:30.76 ID:2XEwMB2+0
木原を狙うのなら、天井も木原になるしかないんでないの…しかし、天井が木原になってるのは想像できんな
保身第一、命惜しいって感じだから、ああいう風に狂いそうにない
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 03:25:40.14 ID:LJd5LUoSO
ま、ねー…今回の天井くンには幸せになって欲しいからなー出来れば家族こさえて大成功してくれたら言うことない。

皆がそこまで好きそうでもないから、びょーりんはまた今度かなー…(´;ω;`)ウッ
次回もしあれば

病理「諦めて私と地獄(きはら)にきてくれると嬉しいでーす///」


天井「」

なーんて(笑)
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/08(日) 03:39:33.32 ID:2XEwMB2+0
序盤の「どのくらい闇に足を突っ込むか」って安価で「木原印」とか「木原レベル」と、
答えてたら、そうやって木原に引き釣り込まれてた可能性も十分ありそうだ
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 03:43:07.65 ID:LJd5LUoSO
あり得る話だ
安価とれるかはわからんがちょっち頑張ってみようかしらwwwwww
闇を生き抜く小物天井くンも見てみたいかもしれん(笑)
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 08:15:58.36 ID:FG60TMDQ0
木原なら亜雄×数多でいいだろう
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/07/08(日) 09:10:06.14 ID:chijnPeto
>>283
天井くンが木原くンの左とか怖過ぎだろ
第二の人格に目覚めたとしか思えないな
285 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/08(日) 09:53:30.90 ID:lh3SAhZa0

・おはようございます
 今日もよろしくどうぞ


天井(ただ……)

ちらりと右手の女性を覗き見る。
木山は鬼気迫る表情で相変わらずペンを滑らせている。
発表者が間を置いた瞬間、ふと頭を上げ胡桃色の髪がゆさりと揺れた。

天井(問題の大きさは、それだけ本人の技量の高さの表れとも言える)

話だけでもしてみるか。
再び険のある目で書き込みだらけのレジュメに向かう姿を見ながら、会話の材料を考えることにした。


現在正面には中年の女性が立ち、畏怖心の意図的代入についてという題目で論を述べている。
その内容には若干の興味を惹かれるが、耳を傾ける余裕は無かった。

あれからしばらく様子を見ていると隣の女性はいくつかのテーマに限定して強い関心を抱いているらしい。
脳波、無意識状態、読心能力、など。
それ以外の発表の最中は茫洋とした雰囲気で壇上を眺めるのみだった。

そして今の話者が退場すると一度休憩を挟み、その後のブロックには彼女の手を動かしそうな論題は無いのだった。

天井(この休み時間に声を掛けねば帰ってしまうかもしれん)

発表の合間の気の緩んだ時間、ちょっとした雑談をする。
それだけのことでどうして焦っているのか。

最近積極的な交友を心掛けているとはいえ、それは同業者の間で研究という共通の話題を挟んでのことだ。
今もどこか遠くを見詰めている木山は現時点では研究者として目立つ成果を上げている訳ではない。
端的に言うと会話の取っ掛かりが思い付かなかった。

天井(まずい、やはり席を立つか!)

視界の隅でごそごそとレジュメや筆記具を仕舞い始めている。
今回の遭遇は全くの偶然、これを逃せば機会は無いかもしれない。

天井(えぇい、ままよ!!)


>>+1
天井の表情筋
※コンマ判定  ★修正-5
  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル
ただしコンマ自体が0-4/95-99の場合、修正の値によらず必ずファンブル/クリティカル


286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 10:01:50.35 ID:avBE0lXDO
頑張れ!
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/07/08(日) 10:49:00.37 ID:7sdIRVlQ0
天井さン……
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 11:31:20.55 ID:9d0xAamZP
ここから軽妙なトークで逆転すれば問題ないな
289 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/08(日) 11:43:05.40 ID:lh3SAhZa0


拍手が鳴り止み、木山が立ち上がろうとする前。
ぐてり、と一度背もたれに体重を預けた隙に声を掛けた。

天井「失礼、脳波の方がご専門で?」

何の捻りも無かった。
ねーキミ誰か待ってるのー? 程度のレベルだった。

木山はきょとんとしてこちらに顔を向ける。

天井「あ、あぁ、真剣な様子だったからな。そちらを研究している方なのかと」

二言目にして口調も崩れつつある。
笑みを形作った唇の端がぴく、と震えた。

木山「……いや? 私はAIM拡散力場が専門だよ。能力系だし、広く見れば脳が相手だがね」

天井「そ、そうか」

木山「そうだ」

休憩の旨を伝える司会の声が流れる中、局地的な沈黙が訪れる。
ふ、と客席の明かりが付いた。
木山の鞄を握る手に力が入り――まずい、このままでは去ってしまう。

天井「私も、専門は別の……複製医療を研究しているんだ。興味があって聞きに来たが、門外漢には少し難しかった」

木山「うむ」

天井「とある難病の治療法を求めていてな。能力による身体機能の補助ができれば、と。しかし未だ課題ばかりだよ」

木山「ん」

誰か助けてくれ、話が続かない。
強引に会話を打ち切るそぶりこそまだ無いものの首を傾げて放たれる怪訝な視線が痛い。
自身の今の表情を確かめたかったが、鏡など普段から持ち歩いていないのだった。

木山「それで……私に何か用なのかい」

ぐっ、と言葉に詰まる。
流石に不自然過ぎたか。
それにしたって、将来起こす事件について使用する技術をちょっと詳しく、などとは聞けない。

天井「いや、どうにも行き詰ったもので、色々な分野の専門家と話してみたかったんだ。
   患者の脳と機器の接続、非能力者への擬似的な能力の付与……どれも私の知識の範疇を超えている」

木山「――ふぅん。私はそう大層な者じゃない、上からの期待も薄いようだしね」

だが、と。
僅かに俯いた姿が先入観のせいかいやに鋭利に思える。
何か、地雷だったか……?

木山「それでも構わないならアポイントメントを取ってくれないか。木山春生、で検索すれば分かるはずだから。
   ついでに言っておくが、協力するならギブアンドテイク、だよ」

それじゃあ、と今度こそ席を離れる。
呆気にとられて背中を見送ると、うっそりとした笑みで振り返り、脱いだ上着をゆらゆらと振った。


>>+2
天井は……
※木山てんてーについて、連絡する、保留、その他オプションなど


290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 11:59:05.47 ID:guTLcrwDO
木山に連絡する
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 12:00:08.00 ID:FG60TMDQ0
素性調査を試みる
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/08(日) 12:45:54.05 ID:YvbnlfGAO
しどろもどろになってる天井を見るとなぜか好感が湧く。何故?
293 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/08(日) 13:09:42.74 ID:lh3SAhZa0


女性「――じゃあ着想は幼児の行動研究? そのインスピレーションを分けてほしいわぁー」

布束「Oh dear, 光栄ね。あの部分の比較は――」

研究所の付き合い、という以上に仲の良さそうな女性研究者達を眺める。
天井が他分野の学会に出席しているのは本来こういった交流が目的と言って良い。
そのため普段なら分からないなりに、適度に会話へと参加しているのだが。

布束「See again. またメールするわ」

気もそぞろに一つの名を思い返す。
あの事件に至る何かを、既に彼女は持っているのだろうか。

布束「どうしたの? もう帰りましょう」

天井「ん、そうだな」

いつの間にかホール内のざわめきは薄れていた。
黒大理石を模したタイルの床には、十人ほどの影しか映っていない。

天井「君の分野で、木山春生という名前は有名なのか」

布束「確か異種能力者のAIM相互干渉……だったかしら。Uh-uh, 一度論文を見掛けたけれど。精神医学とは毛色が違うわね」

天井「そうか」

並んでほとほとと出入口に向かう。
隣を歩く少女は考える時の癖で、いつものように唇をなぞっていた。

天井「たまたま客席で居合わせたのだが、あまりに真剣に聞き入っていて印象に残ったんだ」

布束「So……, 引っ掛かるの? 学会員でもないのにわざわざ来ていたのなら、関心があって当然だと思うのだけれど」

もっともな意見だった。
後のことを知らなければ自身も若干の違和感を覚えるだけだっただろう。
ただ急に饒舌になったこと、こちらの言葉の何がそれをもたらしたのかを思うと、考え込まずにはいられなかった。


294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 13:14:10.05 ID:sGz7PyeIo
まだショートのころなんだろうか木山先生
期待
295 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/08(日) 14:25:38.58 ID:lh3SAhZa0


モニタ上のウインドウを閉じられ、のっぺりとした一面の海が顔を出した。

残業を避けた日でも自宅で作業することはままある。
開発の授業に用いる演算式サンプルの作成と、以前の同僚が完成させたらしい能力行使部位クローニングの論文の通読を終え、眉の間を揉む。
PDAとPCを端子で接続し、演算式のデータを移した。
身体測定などの生徒のデータは持ち出せないため細部の調節は研究室でしなければ。

天井「最近はめっきり冷え込むな」

床にはカーペットを敷いてあるが、その下のフローリングは容赦なく体温を奪う。
背中の凝りよりも足首がぎしぎしいって辛かった。
機を見て引っ越した部屋は空間に余裕があり、その隙間にからりと薄寒い空気が漂う。
床暖房の起動は近いかもしれない。

天井「……ふぅ。まだ10時半か」

近頃はあれやこれやと作業を平行しており、疲労の蓄積を感じている。
たまには無為にベッドに寝そべるのも良いか。
と、誘惑を裏切って天井はデータベースにアクセスした。


はぁ、と呼気の温度が部屋に溶けていく。
寡少というほどではないが、木山の公開した論はそう多くもない。
また経歴の情報量に関しても同様だった。

天井「能力研究寄りの大脳生理学者、と」

本人の言通り、論文の題を並べてみれば、脳波や意識そのものよりはAIM研究に力を注いでいるようだ。
それなりに周囲の評価が高いものもあるため有名でないのは発表頻度の低さによるのだろう。
と、それらを眺めているうち、あることに気付く。

天井「こことこれの間に、かなりの期間が開いている」

時間を軸として学会参加や論文発表の分布を取る。
標本が少ないため断言できないが、一時期がぽっかり抜けているように見えた。

天井「経歴は……略歴しか存在しないだと?」

現在所属しているらしき小さな研究所の他、数箇所の研究施設だけが記載されている。
また異例なことに各施設での所属年度が残っていなかった。
各々の名称や関連語で検索すれば、ぱたぱたと画面が切り替わり、無愛想な公式サイトやスプラッシュページが現れては消えた。

「一時期教職に就き児童の指導にあたった後――」。
かち、とブラウザを閉じる。
結局追加情報として得られたのは、現所属の研究所サイトのキャッシュに残っていたその一文のみ。

教師、か。
戯れにそんなことを口にしていた女を思い出し、天井は肩に爪を立てた。


>>+2
天井は……
※木山てんてーについてどうするか


296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 14:38:16.26 ID:3Nj5O/EDO
ksk
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 14:38:17.56 ID:FG60TMDQ0
空白期間が気になるのでさらに調査を進める
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/08(日) 14:50:38.44 ID:YvbnlfGAO
慎重だな、だがそれが良い
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 14:59:59.46 ID:6bOfjS3IO
裏側に足突っ込まなきゃいいが・・・
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/08(日) 15:21:11.48 ID:jjMbquTw0
木山が教職退いた後ってことは、那由他も既に実験や研究に関わってる年齢ってことだよな…
できれば、五体満足なうちに接触したいとこだな…治療で貸しを作れそうだし
301 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/08(日) 15:35:07.63 ID:lh3SAhZa0


ぺし、と舞い込んだ枯葉が首筋に当たった。
学園棟の廊下にくすんだ茶が転がっていく。
敷地内の樹木は、多くが枝を残すのみだ。

少しぼんやりしていたようだ。
ここ10日ほど暇を見て木山の経歴調査を進めており、要は慢性的睡眠不足に陥っているのだった。
データベースや情報サイト、掲示板、はたまた紙媒体の研究者名鑑まで目を通したが、空白期間が埋まらない。
状況的に教職に就いていた時期が該当するとは思うのだが。

天井「その期間の所属が出てこないのは何故だ」

教師をしていたこと自体、正式な形で記録されていないのも気になる。
そして起こるかもしれない事件。
隠蔽。
不穏な単語が脳を掠めた。

女子「先生っ! 上がった、上がりました!!」

と、背後から舞い上がった声が降り注ぐ。
振り返れば、満面の笑顔もそこそこにA4の紙が突き付けられた。

天井「……ふぅ、良かったじゃないか」

きっと自分は今苦笑しているだろう。
二学期から担当している女子生徒は比喩無しに歌い出しそうな調子だ。

天井の持つことになった二人は思いの外成長が早く、特に制御性に難のあったこの生徒は着実に演算精度を向上させていた。
ある意味当然かもしれない。
天井が参考にした妹達の演算は、後の超能力者第三位をベースにしたものなのだから。

A4の用紙には、Level4とあった。
身体検査は都市共通のもの以外でも任意で受けることができ、それは随時書庫のデータに反映されるのだ。

天井「これ、自分でプリントしてきたのか」

女子「そうです。折角の記録ですから!」

輝くようなというよりは鮮烈な語調が放課後の校舎に響く。
もっと寡黙な性格だと思っていたが、コンプレックスのせいだったのだろうか。
第三位も感情の起伏が激しいと言われていたし、精神性の類似も演算の流用、向上に味方したのかもしれない。

ひとしきり報告を受け、秋も末の台風を見送る。
天井は窓枠に手を掛けて目を閉じた。


女子生徒が手間を掛けて出力したらしい書庫のデータは、天井が閲覧できる画面に比べ情報量が少ない。
この都市では接続箇所などによりアクセスに制限があるのだ。
自宅や研究室で辿り着けない情報でも、あるいは。


>>+1
天井は……
※調査の方法


302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 15:46:15.13 ID:FG60TMDQ0
関連機関への潜入捜査
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/08(日) 15:56:59.86 ID:lvx+h90p0
無茶しやがって…
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 16:14:12.44 ID:qOz6DLED0
こんなこともあろうかと鍛え続けたこの体!
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/08(日) 16:25:15.26 ID:eIXmvQQn0
こないだまで「腹を見るな」て言ってたのに
「どうだ見てくれ」って言うようになるのか
やたら脱ぎ癖がついたり
306 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/08(日) 16:33:20.62 ID:lh3SAhZa0


例えばハッキングの技術があれば、どこかの端末からでも活路を見出せたかもしれない。
現実に多くは望めない。
つまり、直接高ランクの端末に接触しなければ。

天井「いや、危険……か?」

知ること自体が裏の意味を孕む情報があることを天井は知っている。
セキュリティが掛かっているということは、そういうことだとも。

しかし確証は無いとはいえ、木山の持っているかもしれない知識は研究を大きく進める可能性がある。
反して彼女自身の立場の不明瞭さ。
チャンスを諦めるか、今危険を冒すか、それを後に回すか、そういうことだった。

がちりと爪を噛む。

反対の手には携帯電話。
アドレスは自分で検索しろと言っていた。

冬に向かう高い空。
街はゆっくりと、茜から濃紺に沈んでいく。



★目的の変更判定

避けていた裏への接触を図ろうとする天井は心境が変化しているのかもしれません

>>+1
目的の変更先
 a. 成功
 b. 真実
 c. 刺激
 d. 保身
※上記以外でも行動に沿ったものなら

>>+2
コンマ判定
 -19:上記で決まった目的に変更
20- :変更無し


307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/08(日) 16:39:46.86 ID:ByO2A86Z0
b
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/07/08(日) 16:40:50.49 ID:kXuQZavC0
ksk
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/08(日) 16:45:56.67 ID:9Bg8v+t20
生命の神秘の探求
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/08(日) 16:49:35.08 ID:9Bg8v+t20
天井の今のスタンスは、「貢献」と「保身」を二つの柱としてるっぽいな…
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 17:08:48.79 ID:FG60TMDQ0
いずれ目的を正義にしたいな
312 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/08(日) 17:24:46.46 ID:lh3SAhZa0

・目的変更無し(「貢献」自らの研究を医療分野に役立てる)
 今のところ、あくまで治療法の確立の一環で行動したようです

・目的の変更判定について
 以降、「真実」の追求を優先する行動時に同様の判定が入ることがあります
 変更の確率は判定の度に上昇します(最大80%)

 しばらく「真実」を追求する行動を行わないと、目的の変更先はクリアされます
 また、「貢献」とも「真実」とも違う方向性の行動を取った場合、再度変更先を安価します


>>310 心情的にはそんな感じっぽいですかね
 ただあくまで「貢献」が目的なので、どこかに楽隠居しても目的の達成にはならないです


天井「失礼する」

木山「ああ、10分ほど待っていてくれ。今所長に呼ばれているんだ」

ここを訪れるのは4回目である。
外はもう木枯らしの舞う季節。
木山の勤務する研究所に、自身の仕事の合間を縫って天井は顔を出していた。
知識の提供や業務提携については結論を出していない。
互いにスケジュールを空けて意見交換の場を持ちながら、会話はいつも間合いの測り合いだ。

天井「ふぅ」

出されたコーヒーに砂糖を1本注ぐ。
コーヒーポーションには手を付けない。
アナログな置時計がかちこちかちこち時を刻む。

さて、彼女が部屋を出て45秒。
深く息を吸って吐き、おもむろに立ち上がった。

天井(所属がごく小さい研究所だったのが幸いだな)

来訪の度にこっそりと所内の様子や監視体制、所員の行動パターンをチェックしていた。
そう、彼女の経歴の中でも一番入り込みやすいここで、アクセスを試みることにしたのだ。

小規模過ぎて閲覧制限をクリアできない懸念もあるが、所員の来歴についてなら所内のネットワーク上や紙の形でデータが存在する可能性もある。
何より木山が教師であったことは、ここのサイトに過去掲載されていた情報なのだ。

杜撰に設置された監視カメラを迂回して天井はベージュの通路を行く。


>>+2
スパイなう
※コンマ判定  ★修正-20
  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル
ただしコンマ自体が0-4/95-99の場合、修正の値によらず必ずファンブル/クリティカル


313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 17:28:10.95 ID:FG60TMDQ0
ksk
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/08(日) 17:31:45.32 ID:9Bg8v+t20
「力なき正義は無力」っていうけど、天井が得られそうな大きな力って何かあるかな…
木原になって義体化とクローニング技術を融合させて、「怪人を生み出す」ぐらいしか思い浮かばないけど…
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 17:37:14.52 ID:FG60TMDQ0
>>314
クローンの軍隊を作るとか
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 17:58:19.92 ID:LJd5LUoSO
一方通行版ファイブオーバー「鈴科百合子」造るとか
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/08(日) 18:02:25.51 ID:9Bg8v+t20
それもろに妹達じゃない…
☆の意向や暗部に勝てるとは思えないから、学園都市に喧嘩売っても潰されるだけだろうし
学園都市の闇を知った上で、学園都市に従ったまま妥協せず正義を貫く手段があるとも思えない
一方や上条なら勝ち目があってもおかしくないけど…
318 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/08(日) 18:12:20.42 ID:lh3SAhZa0


木山の引き出しから拝借した時代遅れの鍵で、第一資料室のドアは簡単に開いた。
電子化の時代にあって、場所を取るファイル類は棚3つ分しかない。
それでも紙媒体の持つ独特な匂いがこの場所には降り積もっていた。

データ検索用の端末も据えられているが、痕跡を残しにくい現物から手を付けることにした。
紫外線を避けてか採光の無い部屋は靄のような薄暗がりに沈んでいる。
携帯電話のバックライトを頼りにラベルを確認する。

天井(……これか)

ぱくりと表紙を開き何度か目にしている所員達の顔写真を手繰っていくと、そこには。

天井(木山春生、経歴は……「小児用能力教材開発所付属小学校」勤務――――ッ!!?)

どの論文にも、サイトにも掲載されていなかった組織に到達した、まさにその刹那。
静かな金属音、急激な明度変化。

木山「いけないな。他人の個人情報を勝手に見ては」

くすりと口端を吊り上げる木山の手で、場違いに軽くシャッターが切られた。

木山「なに、ギブアンドテイクなのは同じさ。ただ貴方に選択肢が無いだけだ」


319 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/08(日) 18:19:04.48 ID:lh3SAhZa0




天井「…………く」


木山「よろしく頼むよ、天井博士?」




320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 19:33:26.95 ID:LJd5LUoSO
まさか…木山てんてーによる逆レイプか!?
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/07/08(日) 19:39:37.01 ID:D+VaWbVSo
詰んだ?
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/08(日) 19:48:23.79 ID:YvbnlfGAO
プラス1だったらクリティカルだったのに…!

あくまで身の回り安全と幸福を求める方が天井っぽいし良いと思うけどなぁ
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/08(日) 19:56:58.74 ID:VnKjiw9Qo
幻想御手って量産能力者計画にかなり近いものがあるからやばくね……?
でも量産能力者計画やってない(別の人間が責任者として進めてる可能性があるけれど)からまだ発想は得てないのかな?

たまには綺麗な天井くんが見てみたいからいいじゃない
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/08(日) 20:02:00.15 ID:xQwRRJx00
コンマ判定うまくとれる方法はないものか…

後は判定に成功するような行動を書けば、判定が甘くなるとかないかな?

TRPGっぽいね
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/08(日) 20:14:22.58 ID:JqC4zmfN0
見つかった時の対策とか何も考えずに忍び込んだみたいだな…
こんな軽率で杜撰な行動するから、計画の瓦解が知れた時には皆逃げ去った後になってて
スケープゴートにされちゃうんだよ
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 20:57:17.35 ID:FG60TMDQ0
このまま木山てんてーの右腕として抱き合い心中いけるか!?
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/08(日) 21:13:08.43 ID:eIXmvQQn0
どこだったかコンマ判定使って物語進めるスレで
何人もの安価精霊がやたら00を連発してたからなんらかの方法はあるんだと思う
まとめ読んだだけだから中身は知らんけど
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 21:21:57.76 ID:dnPPk68Ko
コンマうまくいってばかりってのも面白味減っちゃう気がするけど。
順風満帆にいけなくてこそ天井君だとオレは思っている。
329 :>>1 ◆WWqRalPcWM [sage]:2012/07/08(日) 21:22:20.02 ID:uM9VPZbDO

・書いたけどネットが落ちたので、風呂って出先で投下します
 11時前後には


330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/08(日) 21:23:55.13 ID:xQwRRJx00
>>1乙です

331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 21:26:11.55 ID:7HPQvSfE0

332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/08(日) 21:30:02.69 ID:eIXmvQQn0
>>328
だからそのスレでは最低○回連続00で成功、00以外が出たらストップで超えた分はボーナス
とか
不意打ちで21:30:00.00.00の書き込みを採用とか
普通に考えると理不尽きわまる難易度だった
333 :ちょっと早いけど ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/08(日) 22:40:14.12 ID:aSmwE8cs0

>>324 すみません、コンマ安価の行動宣言で修正を加えるのは今のところ考えていないです
 複数通りに意味が取れる場合など処理に困るので
 トラウマ治療がぶっつけで克服するのより修正甘くなるなど、その展開に至る安価で上下させたりはしています


薄手のポロシャツの上に室内では白衣を羽織る、そんな夏の日。
あれから――小さな研究所での一件からも天井は長点付属の研究施設で業務に明け暮れている。

二学期に開発を担当した二人はあの後も能力向上の傾向が見られた。
女子生徒の方はじわじわとだが演算精度が更に上がり、男子生徒の方も出力の若干の上昇、および曲線などの複雑な形状に電流を放出できるようになった。
その成果もあり研究協力の承諾を得、担当を外れた今もしばしば顔を合わせている。

研究の方といえば、

布束「お疲れ様。While, 面と向かうのは二日ぶりね」

空き時間を過ごすいつもの歓談スペースには先客が腰を落ち着けていた。
紙コップのアイスココアを手に、側の自動販売機を示している。

布束「Opportunely, 何か買ったら?」

天井「そうするよ」

布束とは能力者の人格サンプリングの件で正式に共同研究を行うことになり、度々打ち合わせを行っている。
開発の授業や木山からの呼び出し、また布束側の多忙により会わない日が続くこともあるが。

ごそごそと弁当の包みが出てくるのを見届けてパンと烏龍茶を購入。
野菜ジュースでないのは気分である。
L字になったテーブルの短辺が埋まっていて、天井は必然的に長辺に着いた。

天井「はぁぁ。AIM拡散力場の擬似出力は、もうしばらく掛かると言われた」

布束「……あぁ、Dr. 木山」

天井「それさえ目途が立てばデバイスの試作も見えてくる。依頼先の目星も付けてあるのだがな」

ぐたりとテーブルに肘を付けば、右手で布束がぱちりと瞬いた。
眩しい、木々を縫った直射日光がちょうど顔面を直撃している。
太陽の放射を打ち消すようにペットボトルを呷ってみる。

……実際のところ木山は何かと理由を付け担当部分の完成を遅延していた。
ただ緩慢に成果は出してくるため、できない訳でもしたくない訳でもないようだ。
逆にこちらには研究の全容を報告させ、また過去に関わった研究について噛み砕いた説明を求めるのみで、具体的な「テイク」は指示されていない。

どこか機を図っているように。


334 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/08(日) 22:42:32.85 ID:aSmwE8cs0


と、

布束「ねぇ」

天井「ん?」

少女は突然こちらと同じように片肘を付き、顎を甲の上に落とした。
僅かに眇めた目は猫のようだ。

布束「仕事仲間としては正しいのかもしれないけれど。
   Nevertheless, 昼休みだというのに研究の話ばかりするのはどうなのかしら」

天井「う、ついな」

じわり押し黙って、もの問いたげな表情がこちらを向いている。
窓の外には蝉がばちりと飛んでいくが、暑さも遮断された室内には圧倒的に逃げ場が無かった。

天井「このパン美味いぞ、初めて食べたが」

布束「賞味期限は確認しない方が良いわ。Since, 長すぎて怖いから」

天井「今日は陽射しが強――」

布束「論外」

ふぅと呆れたような溜息とともに、髪がゆらと日光を跳ね返す。
どうしろと言うのだ。
ゆら、と、再び。

天井「……そういえば短いのも良いな、髪」

布束「っ、寿命中断――!?」

ずん! と。
理不尽に殴られたこちらを尻目に布束は愕然としていた。
握り拳の平らな部分をうりうり押し付け、表情にまで驚きが滲んでいる。

布束「Amazing... 本当に鍛えていたのね」

断じて言えば腹筋が割れるまではやっていない。

天井「週三日だがな。まぁ半分は気分転換みたいなものだ」

布束「……気分転換、ね。Um, あまり自分を追い込まない方が良いわ。あなた冬頃から――」


――当学区、第三六交差点で能力者が暴走中。被害拡大の恐れあり。学生、職員は速やかに避難せよ。

――繰り返す。当学区、第三六交差点で能力者が暴走中。被害拡大の恐れあり。学生、職員は速やかに避難せよ。


ブツン。
荒々しく放送が途切れる音と共に、棟内は騒然となった。


>>+2
天井は……
※行動安価(直後の対応、騒動中にしておきたいことなど)


335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/07/08(日) 23:00:23.78 ID:D+VaWbVSo
ksk
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 23:08:29.18 ID:Po9I6zfDO
連絡を付けながらとりあえず周りの人と避難してみる
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/08(日) 23:09:20.77 ID:QUZnQw550
この時期に何か大きな事件がなかったか思い出す。思い出せない場合、騒動後に情報収集する。
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/08(日) 23:37:10.07 ID:xQwRRJx00
修正は無理か…。 まあ、大変だし仕方ないか

安価とる前に相談できればいいんだけどね…

+10ぐらい、それだと遅くなるから、ダメか?
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/08(日) 23:40:17.77 ID:KXk7js+Co
それじゃあ、つまらん
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/08(日) 23:50:48.56 ID:QUZnQw550
このままでいいかと
341 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/09(月) 00:01:40.75 ID:7dxpgORZ0

・元が遅筆なので安価の距離はこのままに……すみませんです
 意見の違う多数で動かしていくのも安価の味ということでひとつ


布束「Astonishing! 何事!?」

ウォーンウォーンと呻きのような警報音が続いている。

天井「非常口から出るぞ!」

束の間自失していた布束に声を掛け、手を引いた。

早足で廊下の突き当たりに向かう途中も、並んだドアからぱらぱらと人が零れてきた。
大して知らない顔、毎日挨拶を交わす相手。
地震や火事のように至近に迫っている破局でないからか比較的冷静に人が捌けていく。
学園都市の人間はこの手の騒動にある程度慣れているのだ。

天井(それにしても問題の交差点とここは距離がありすぎる)

そこまでの警戒態勢を取るべき相手。
この年の夏、「起こる」こと。

この世の濁りを塗り込めたような白い白い影が脳裏に像を結ぶ。

――事件は本人の降伏により終結し渦中の能力者は拘束される。
これが件の出来事なら結末は既知のものだが、全てが終わるまでに及ぶ被害の範囲までは聞き及んでいない。

天井(あれに撃ち込まれる兵器によっては、学区一つなど消し飛ぶぞ……!)

密かに戦慄を抱きながら天井は非常階段を下っていく。
明確な危機が皮膚から暑さを遠ざけ、体内の熱だけがばくばくと暴れていた。


敷地内の広所では、簡単な点呼。
部門ごと、クラスごとに、人数が確認できたところから小走りに最寄の区境の方向に消えていく。

研究員「うちも揃ったみたいだね」

教授「よし、報告は上げました。即刻退避しましょう」

ぐるりと見渡すと、少なくとも生徒達はここから避難しているようだ。
踏まれた芝だけが荒涼と広がっている。

布束「中継は……、Oops, 繋がりにくいわ。」

天井は念のため災害用連絡サイトから近隣の学区の知人にメッセージを残す。
こちらは現時点で無事あること、無事でこのメッセージを受け取ったら、返信を残してほしい旨。

布束「…………!!」

ぼうぅん!! と。
一瞬だがはっきりと空の一角が橙に染まる。

強張った小さな手を再度促し、天井達は学園を後にした。


342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/09(月) 00:15:48.04 ID:hKY3N9nW0
結局、観測者の良心に任せるしかないのか…

まあ、面白いし仕方ないか

それはそうと、天井くんしっかり保護者してるなぁー
343 :出先を12時で追い出されて手打ち>>1 ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/09(月) 01:55:05.38 ID:cGoOnlNDO


爆炎、怒号。
怯むな、撃て! という声を最後に映像は途切れる。
フィルムの一コマ分だけを最後に赤く染めて。

体重を横に傾けると椅子はぐる、と回転し、十度も動く前に止まる。
脚がデスクの横板にぶつかったのだった。
天井はごきごきと首を回す。

天井「第三六交差点に接する四ブロックのうち、四割が壊滅」

冷静になってみれば、記憶の中の「この頃」に学区一つが吹き飛んだなどとは聞いていない。
自身の知る限り二三の学区はずっと揃っていた。

天井「あれが中心にいた割には呆気ない」

かち。
同じ映像をエンドレスに流している番組をウインドウごと終了。

警備員側が兵器の威力を抑えたのか、あれ――第一位が大禍となる前に折れたか。
大騒ぎして逃げ出したというのに二日後には元の部屋に戻れたのだった。

変な話ではあるが、伝言を通して久しく離れていた声が聞けたのは良かったかもしれない。
昔の同僚や冥土帰しは現場の学区に居た天井を心配してくれたようだ。
一応木山にも宛てたのだが、

木山『律儀だね、私は何事も無い』

などとメッセージが入っていた。
色々憤懣やる方ない相手だが、向こうも大概律儀だ。
こちらとしては、混乱の折に例の画像がうっかり流出さえしていなければ構わない。


窓にひびが入ることもなく、空調が破損することもなく。
変わらず涼しい部屋で静かに考えに耽る。

天井「研究は……AIMの部分以外は順調だ」

本来人格プログラムと神経系だけで構想していたのだし、木山が出し渋りを続けるようなら先にデバイスの試作に入っても良いだろう。
むしろ木山に関しては別の部分が要点だ。

天井「動きが無いのが不気味だな……」

弱みがある分こちらからは働き掛けにくい。
しかしそれをおしてでも動くべきだろうか?

また数週内にはこの学園に縁のできる、超能力者。
関わり合いになる可能性は排除するべきだろうか。
どうやって?

難病の治療法確立。
学園都市の表裏が、その道を迂遠にしている。


344 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/09(月) 02:06:26.85 ID:cGoOnlNDO

>>223 あんまりこう、絶妙な関係とか書けなくてすみませぬ
 これが非リアの限界だ……

>>247 この一年で共同研究まで持ち込めませんでしたが、研究が進めば出てくるとです


・いつもご参加ありがとうございます、所用により明日は丸一日休みの予定です
 明後日からまたお願いします
 最後に安価をば


>>+1
研究の進度
※コンマ判定  ★修正なし
  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル

成功度により進度が変わります


>>+3
トラウマ治療を続けるか(片方のみ止める、でも可)

>>+4
筋トレを続けるか


>>+5
その他、これからしたいこと
※長期間掛かることや心掛け、方針的なのでも可
複数書いてあった場合最初のを採ります


345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/09(月) 02:07:28.13 ID:Asm/E5j3o
1
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/09(月) 02:08:20.75 ID:Asm/E5j3o
すまん・・・kskst
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/09(月) 02:11:53.49 ID:1sHnSfAN0
一方通行に絞った上で、心療内科に「アルビノの男にトラウマがある」と情報を隠して通う
無理なら、両方続ける
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/09(月) 02:14:17.23 ID:Bx2hoFKEo
週5に変更
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/09(月) 02:14:43.39 ID:1sHnSfAN0
目星をつけていた能力の持ち主を探し、研究協力を依頼する
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/09(月) 02:40:06.55 ID:hKY3N9nW0
ムキムキですよ?

>>1
この天井と布束の関係好きよ?
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/09(月) 02:47:52.59 ID:1sHnSfAN0
超回復を考えると、筋トレを週5って多すぎないか
それより有酸素運動と組み合わせた方がいいのでは
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/09(月) 03:08:09.95 ID:W2OaMoOAO
≫351
同意。筋トレはなぁ、ただやれば良いてもんじゃないんだよ!
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/09(月) 09:46:22.38 ID:T+bE2ye30
筋トレとしか書いてないんだから、そこは適切なメニューでやってると脳内補完しとけばいいんじゃないかと

そもそも超回復って理論として(ry
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/09(月) 12:50:31.76 ID:HFjw1ScT0
しかし、木山は一体何が狙いなんだろうな…冥土帰しを紹介しろと言ってこないみたいだし
天井は、優れた研究者だが分野的に木山の子供達の治療には役に立ちそうにないし、
権力・武力・財力もたいしたことない、裏との繋がりもない。
冥土との繋がり以外に木山が欲しいものは、天井にはないと思うんだが
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/09(月) 14:40:14.56 ID:pa9d8AzSO
木山てんてーだって男が欲しいんだよ
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/07/09(月) 20:17:53.17 ID:QHjpMVk6o
>>353
超回復って、普通に医学用語だよ?
筋腹を損傷して、その回復過程で筋が膨大することだっけ?
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/09(月) 22:32:22.42 ID:feiqTGLm0
>>356
知らんかった・・・、教えてくれてあんがと!
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 00:35:28.27 ID:6pqGr+6s0
>>356
いや正式な医学用語にはなっちゃいないんじゃなかったか
グリコーゲン超回復ならわかるけど

適切な運動に適切な休養が必要なのは確かだから全部間違ってるとは言えないけど、俗に言われてるような超回復の内容は丸っきり信じられるようなもんでもないと思う
筋肉へ過負荷をかけるのはともかく、損傷だの破壊だのが筋肉の増加に必要ってのがよくわからないし
そもそもタンパク質の合成作用なら運動後数時間で効果が出るし、海外で聞かないし、加圧理論からしても(ry
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/07/10(火) 01:23:26.70 ID:llIuvUdwo
>>358
推論としては、裂けるチーズと同じ感覚らしい。
こう、筋が裂けて、そんで元の大きさに戻ろうとして、結果膨大するとかなんとか…
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 02:06:56.47 ID:BMnYp9nSO
裂けるチーズ…?元に戻れるのか?いまいちわからん……
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/07/10(火) 02:39:30.95 ID:llIuvUdwo
気になったので、運動学と解剖学の教科書を読んでみたら、超回復は俺の思い込みでした。すみません。
裂けるチーズ云々は、運動学の先生が言ってたですよ。
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 02:55:14.67 ID:BMnYp9nSO
ありがとう。それで超回復、裂けるチーズ云々ってつまりどういうことなんだってばよ…?
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 02:56:04.95 ID:BMnYp9nSO
真実的な意味で。
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/10(火) 09:45:00.70 ID:ctLnmXKM0
おまえら、筋トレすきだな・・・
365 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/10(火) 11:45:02.01 ID:jVBcV23u0

・遅くなりました、再開です
 安価への参加やコメントなどありがとうございます
 超回復って一般に言われますがあんまり原理を考えたこと無かったです


焦るな。
記憶の中での失敗は、いつも結論を急いだせいだった。
今は手の届くことから潰していくべきだ。

窓口「天井さん、天井さん。あ、どうぞお入りください」

カジュアルな服装の女性に促され診察室に向かった。
自信の持っていた医療施設のイメージと異なり、薬品の匂いは無く床はカーペット敷き。
待合室も柔和な雰囲気で統一され、ソファは大ぶりでゆったりしている。

第七学区にある個人経営の心療内科を訪れているのだった。
籍が長点にあるはずとはいえ、こちらから能動的に一方通行を避ける、あるいは接触を図るのは容易ではない。
学園都市での彼の価値と付随する機密度は並々ではないのだから。
出会ってしまうとしたら、それは広い学区内で擦れ違うような偶然の産物だ。

医者「アルビノの男性……への恐怖、ですね。いつ頃からか分かりますか?」

天井「四、五年ほど前です。……最近は昔よりましですが、たまにうなされたりもします」

よって天井は一方通行本人に対してどうこうするより、万が一に備えることにした。
錯乱して余計な方向に気を引かないように。
強大な能力、つまり兵器に抱くような恐れはどうにもならないかもしれないが、あの時のトラウマだけでも軽減したい。

医者「ふむ。ご自身で原因にお心当たりは」

天井「……はい。一度、そのような人に――」

押し潰された車。
血に塗れてこちらに伸ばされた腕。
嘲笑と憤怒の表情。

状況やごく具体的なことを伏せながら、ぽつぽつと己の傷を言葉に出していく。


>>+1
治療の効果
※コンマ判定  ★修正-5

  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル
ただしコンマ自体が0-4/95-99の場合、修正の値によらず必ずファンブル/クリティカル


>>+2
ところで一方通行にうっかり出会うか
※コンマ判定

  - 9:遭遇
 10- :何も無し


366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 11:51:59.97 ID:mzrFaxUDO
どうだ
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/10(火) 11:54:21.12 ID:pFpdK9Aq0
よし
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/10(火) 12:11:50.66 ID:fdSdblNAO
安価取るのはやっwww
そしてクリティカル流石やでぇ!
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 13:02:09.22 ID:BMnYp9nSO
天井くンは一方さんと仲良く出来るか…?
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/10(火) 13:08:11.47 ID:pFpdK9Aq0
難病治療の研究協力を頼むとどういう反応が返ってくるんだろう
371 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/10(火) 13:14:47.02 ID:jVBcV23u0


再び、秋の末。
居慣れた実験室でカタカタとキーボードを叩く。
窓は暗幕に覆われ、廊下へと出る重いドアには厳重に鍵が掛かっている。

天井「これで、どうだ」

荷造り用ダンボール大の機器からコードが延び、変換機を通して金属線が培養槽に繋がっている。
槽に満たされた液体にはゆらりと白い糸のようなものがたゆたう。
天井は機器に接続したPCからコマンドを走らせた。

しん、と静けさは保たれている。

天井「……くそっ、……また失敗か」

想定通りなら、機器からはみ出した二本の電極の間に小さな火花が散るはずだった。
そういう風に演算を行わせた、のだが。

天井「人格のデータと神経索だけでは無理か?」

予備に用意しておいた別のコードを複数試すものの、天井の立てる物音以外に新たな音は生じない。
PCをシャットダウンすればファンの回転も消え、室内は一層静まった。

言葉通り、培養槽の中にあるのは神経索である。
以前サンプルを得た患者の複製ではない。
実験に協力してもらっている、以前担当した男子生徒のDNAマップから得たものだ。

天井「不甲斐、無いな」

がちゃり、がちゃ。
重い金属の錠や高硬度の樹脂によるもの、生体認証、IDカード、複数のセキュリティを操作して始めて扉は開く。
この厳戒態勢、時間の流れから隔離されたような部屋の有様は、生徒の人格プログラムとDNAマップを保管するためだった。
全ての電子的データはスタンドアローンのPC内にのみ保管し、部屋の内外では電波の遮断までされている。

流石に躊躇っていた生徒に頭を下げ部分複製の許可を取り、実験室の一つをほぼ専有化までしているのに。
未だ有意な結果は得られていない。

ふわ、と窓から吹き込む風に当たりながら、思考はずっと実験室の中だった。


372 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/10(火) 14:45:55.97 ID:jVBcV23u0


布束「お帰りなさい。……Uh, また違う条件で試しましょう」

会議室で待っていた布束は、こちらの表情から結果を読み取ったらしい。
最近はこんなことが続いている。
脳の複製を封じた上での能力再現は、全くと言っていいほど成果が出ていなかった。
こうなると木山の担当しているAIM擬似出力の理論完成が待ち望まれるのだが。

布束「That is so. 人格の方も、本人の単純なコピーではなく最適化を試みてみましょう。今回のログも向こうで確認してくるわ」

天井「ありがとう。頼むよ」

歓談スペースとは対照的に会議室は素っ気なく調度されている。
特にこの一室は窓が無く、台に置かれた花瓶が唯一の遊び。
また自身らも休憩時とは違い、飲み物を手にすることもなくプリントアウトした紙やPCに囲まれている。

普段なら彼女も実験に同席しその場でプログラムの動きを見るのだが、今日は別の作業に時間を割いていた。
患者の脳と機器の接続について、平行して手法を纏めているのだ。

天井「そちらはどうだ?」

布束「そうね、やはり脳波を介するのが現実的。Because, 能力者以外ではAIM拡散力場も使えないし」

天井「うむ。要件が固まりそうなら、接続部分を先に試作しても良いかもしれないな」

進められるところは進めておこう、そう思ったのだが。
布束はキーボードの上を踊っていた手を休め、傍にあった用紙でひらひらと風を寄越した。

天井「な、何だ。以前から話していただろう。あそこなら脳関連機器で大手だし――」

布束「私もお世話になっているし、Sプロセッサ社への依頼に文句は無いわ。
   ……By the way, また焦れているでしょう。気持ちは、分かるけれど」

咎めるのではなく、同じく無力さを滲ませた声で言われれば、反論はできない。

天井「どうにも、なぁ」

布束「ちょっと休みましょうか」

コン、コンとテーブルに缶が並ぶ。
小さな鞄に忍ばせていたらしい。
こちらに転がされたビタミンカラーは、たまに飲んでいる野菜ジュースだった。

天井「ここは飲食可だったか? ……ばれなければ良いか」

布束「All right. ばれなければ良いのよ」


373 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/10(火) 15:10:20.44 ID:jVBcV23u0


そうして、しばらく何ともない会話を続けたのだった。

この頃風呂でゆっくりできないのが残念だ、だの。
睡眠時間が減って肌に出る、だの。

天井「そ、そうか――――ッ!!?」

パァン!! と、炸裂音。
そういうのも気にするんだな、とか、浮かんだ失礼な台詞を飲み込もうとした瞬間に。

布束「寿命中断、は置いておいて。But, 私が無能力者だと言った覚えはないのだけれど」

天井「え」

布束「……なんてね」

そう言って掲げた手には、用紙で折ったらしい紙鉄砲。
あらかじめそんなものを用意しておくくらい、自分の反応は読み易いのだろうか。


音に慌てた教授が飛び込んできたりとアクシデントもあったが、その後、もう一度落ち着いて研究計画を話し合った。
お互い精神的に切羽詰まるのが問題なのであって、脳との接続部分の試作自体は遅かれ少なかれ着手するものだ。

布束「In short, 能力の発現に成功してからそちらに進むか、平行してやっていくか、ね」

天井「そうだな」

問題は能力を再現するのが難航しているところだが。


>>+2
天井は……


374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/10(火) 15:17:41.60 ID:HVwsODRt0
少し気分転換といこうか、甘いものは好きかね?
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/10(火) 15:25:18.01 ID:bhMB4RYV0
気分転換しよう!甘い物でもどうだ?(デートデート)
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 15:28:04.37 ID:zw+zmOfI0
ロリをスイーツで餌付けか…!
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/10(火) 15:33:30.41 ID:HVwsODRt0
オジサマキャラ狙ったらロリコンにされてしまった、だと!?
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/10(火) 15:44:42.28 ID:ctLnmXKM0
頼れる大人を演じるには餌付けが必要不可欠
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 16:02:23.50 ID:cpuHDJEIO
そういやムスカコス似合いそうだな
380 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/10(火) 16:08:13.89 ID:jVBcV23u0

・この研究者達、休憩がマッハである
 文脈に合わせて若干台詞いじりました


天井「平行して作製した場合、全体の作業期間は短縮できるが。万が一仕様変更になった時の二度手間が痛い」

逆に能力発現、身体の稼動を終わらせてから他の工程に移るとすると、研究の一貫性を保ち易いが時間のロスが大きく、
また成果を出していないという印象を周囲に与えてしまう。
どちらのやり方にしても何かが犠牲になる選択。
張り詰めていた精神を一度ほぐしてしまったからか、即時に決断できる思考力と勢いが削がれてしまっていた。

布束「Phew. どうしたものかしら」

キーンコーン、と。
細く壁を通して電子音の鐘が響く。
それは学生達の放課後を知らせると同時、比較的労働時間が自由なこの施設での最低限の定時を示している。

天井「ふむ。……今日のところは保留にしておくか。頭を冷やして明日結論を出そう」

布束「Certainly, この状態で決めてしまうのは危険かもしれないけれど。それなら――」

天井「あー、もし予定が無ければだが。たまには気分転換に、甘い物でもどうだ?」


>>+2
どんな店に行きましょう
(買ってきて食べるでも可)


381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 16:09:29.30 ID:nAvaVjsDO
まさかこれ程とは………
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/10(火) 16:15:45.04 ID:J+3/grkco
ケーキ
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/10(火) 16:19:56.50 ID:aXJSSdqS0
超電磁砲OVAの最後らへんにでてくるケーキ
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/10(火) 16:21:56.12 ID:HVwsODRt0
ここで和菓子行きたかったんだよ…
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 16:54:53.93 ID:BMnYp9nSO
黒蜜堂だっけ
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 16:58:37.65 ID:BMnYp9nSO
個人的にはパステルとかイタリアントマトを押すが
387 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/10(火) 18:11:06.08 ID:jVBcV23u0


時は僅かに移り。
二人は学園近くの洋菓子店に足を運んでいた。
自身がこういった場所に詳しいはずもなく、布束に連れられるままに辿り着く。
職場を出る前にそれぞれがデータやらプリントアウトした紙やらを鞄に詰めたのは職業病だろう。

店舗は小さく、女性が好みそうな装飾がされ、夕暮れの下柔らかにライトを浴びている。
ターゲット層を違わず、店内の七割ほどを学生服の少女達が埋めていた。

布束「Eagerly... 美味しいのよ、ここ。たまに同僚とか学園のお姉さんと一緒に来るの」

天井「そうか。こういう店は新鮮だな」

心なしか目の前の声が弾んでいる。
対して天井は、圧倒されてもぞりと椅子に座り直した。
クリーム色に磨かれた大理石風の床に、何もかも小造りな内装。
なかなか身を置く機会のない雰囲気である。

まして、興味津々な表情がいくつかこちらに向いている。
考えてみれば研究職という括りが無ければ異色の組み合わせだと思う。

店員「お待たせいたしました」

少女の前に、次いでこちらに、ことりと皿が運ばれた。
立地のせいか高級感を売りにしているようで、食器や店員の動作も優雅なものだ。

布束の頼んだ季節限定らしい和栗のモンブランは、少し頼りない焼き菓子のようなものの上に深い色身のクリームがこんもりと盛られている。
頂上には栗が一粒乗り、シロップが掛かっているのか明かりをきらりと反射している。
天井が勧められたブルーベリータルトは浅い生地の上にこれでもかと果実の粒が並んでおり、断面を見ると間に薄黄色の層があった。
華奢なティーカップなども合わせて、全体に食品というより細工物のようである。
テイクアウトの販売もしているようなのだが、これは無事に自宅まで運べるのだろうか。

と、まじまじとケーキを眺めていた天井にじれったそうな視線が刺さった。

天井「あ、あぁすまない。食べようか」

布束「Right. いただきます」


388 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/10(火) 18:14:52.95 ID:jVBcV23u0


あくまで冷静を装って、布束は掬うようにモンブランを削る。
はふ、とばかりにそれが口に含まれる。
頬を緩ませている訳でもないのに実に幸せそうだ。

こちらもブルーベリーの隙間にフォークを差し込む。
生地は意外と硬いらしく、少し力を入れるとぷつりと切れた。
あまり甘い物には舌が肥えていないのだが、果物の新鮮さと間にあるカスタード、塩みのある生地の組み合わせは美味しいと思う。

値段を思えば当然かもしれなかったが。

布束「どう?」

天井「美味い」

彼女は返答に満足していない様子で、フォークを持ったまま右手の甲を唇に当てた。
微かなピアノの音がテーブルの上を白々しく流れる。

布束「Why, あなた専門分野以外だと語彙少な過ぎ」

感想を一言で済ませたのがご不満のようだった。

天井「んん、そうだな。上のブルーベリーを噛んだ隙間を、こうクリームが埋める感じで、合っている気がする。
   ……下の生地は薄いのが重なっている……か? とにかく食感が面白い。それから総じて上品、というか抑え目な味だと思う」

考え考え、途中さらに一口味わっては、詳細な評価を言葉に出力する。
グルメリポーターではないのだから、この程度が関の山だ。

天井「後は……もう勘弁してくれ」

しかし気をつけてみると一つのケーキの中に様々な味や食感がある。
ケーキ屋とは思ったより繊細な職のようだ。

脳の普段使わない部分が疲労したからかとりとめない事を思っていると。
ふ、と布束が小さく声を漏らした。

布束「隙間を埋める、ね。そういう感想は初めて聞いたけれど。Exactly, 確かにそんな食感だわ」


会計時には、自分の分を払う払わないで多少揉めたが、最終的にこういうのは年上の男が払うもの、を押し通した。
元々誘ったのもこちらであるし。

天井「テイクアウトもしていくか?」

布束「ふむ、それはとても魅力的だけど。Though, 一日一つは守らないとね」

買ったその日に食べないのはケーキへの冒涜だし、と続ける少女には、何やら自分に課した縛りがあるらしい。
少しだけ、あれの原型を保ったまま持ち帰れるか試してみたかったが。


布束「じゃあ、今日はご馳走様。And, ……ありがとう」

最寄のバス停で、布束は軽く手を振る。
ひらひらとそれに合わせて服の袖が揺れている。
こちらも手を挙げ、ひょいとタラップを上る彼女を見送った。


389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/10(火) 19:32:31.08 ID:fdSdblNAO
天井さん…幸福そうだな。
390 :携帯>>1 ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/10(火) 20:01:33.52 ID:Oj6Gq/TDO


そうして帰宅してみると、仕事をしろとPCが無機質に促しているのだった。
鞄をベッドに放り、ぼすんと湿った音に顔をしかめる。
そういえば最近ベッドマットを干していなかった。

のんびりとケーキを食べていた時間を足し合わせても、常よりも帰りは断然早い。
時刻制御の床暖房は残業を含めた時間にセットしてあるため、室内はしんみりと冷えている。

天井「まぁ、たまには気を抜くのも良いだろう」

手洗い場で見た自身の顔はあの日目覚めてから少し歳を重ねた。
また、あの記憶の中のこの頃とは、同じ年齢ながら別の表情をしている気がした。
当然か。
所属も研究内容も何もかも違う。
あの天井と今の天井は、同じ起点から分化していく別の人間なのかもしれない。


学園のデータベースに接続し、全生徒から能力系統で検索を掛ける。
対象は肉体再生、肉体変化、念動力。
強度の絞り込みは3以上。
表示される項目のうち、特に精度や持続性について精査していく。

天井「そう都合の良い能力者は居ないな」

人格プログラムによる能力の再現が壁にぶつかったため、他の系統で身体の制御ができそうな能力の持ち主を探しているのだ。
長点上機の生徒なら協力依頼もし易いと踏んで。
だが、肉体再生と肉体変化は発現が少ない部類の能力である。
ポピュラーな念動力の方も、60kg程度の重量を繊細に動かすとなると難しそうだ。

天井「まぁ、贅沢を言っても始まらない」

現に、既に協力してもらっている二人も、地の能力で人体を自在に操作できる訳ではない。
そちらは装置化する段階で調整が必要なのだ。

天井「制御性が高めの念動能力者に依頼してみるか……?」

また研究においては、複数の作業を並列で進めるか直列的に進めるかも決めなければならない。


391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 20:21:04.32 ID:BMnYp9nSO
海原(本物)か
392 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/10(火) 20:21:45.70 ID:Oj6Gq/TDO


水分の重みが加わった布団を被る。
ぷち、と明かりを消すと、暗さに慣れない目には全くの闇が映った。
布束は睡眠時間が減ったとぼやいていたし、自身もそれは同様なのだが、眠りの質はかなり向上したように思う。

専門家による治療は劇的で、天井は第一位から受けた心的外傷をほぼ克服していた。
つまりベッドや夢の中で白い影に怯えることが無くなった。
とはいえ本人に胸倉を掴まれたりすれば、人並みには震えるだろうが。

天井「身体も、もっと鍛えるか」

独学でトラウマに対処していた際に身に付けたリラックス法を繰り返す。
ほど良く健康で、周囲の環境も安定している。
研究は課題だらけだが、過労死するようなものでもなく。

これが充実しているということなのだろうか。
波のような眠気に揺られ、ぼんやりと思った。


>>+1
脳と機器の接続について、試作を始めるか

>>+2
能力者を探す件で何か方法の案があれば

>>+4
筋肉的な意味で、どんな風に鍛えるか
※重点を置く部位、傾向、目指すところなど


・天井の筋力について補足
 本文ではどのくらいの筋力か描写し辛いので、ここで目安を書いておきます
 あくまで筋力であり、戦闘力ではないです注意

 初期:
 一方通行<<<<(越えられない壁)<<<ステイル≦天井

 現在:
 海原(真)≒天井<<<上条

 ちなみに上位陣は駒場、アックア、災誤先生辺り


・布束とケーキ書いてたら日が暮れました
 明日もよろしくお願いします


393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/10(火) 20:23:54.03 ID:2Mdhz+/30
始める
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 20:25:38.93 ID:hC23x3ff0
肉体再生だの肉体変化だの、どこかのカエルさんならいい子知ってるかも
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 20:25:46.67 ID:BMnYp9nSO
バンクにアクセス
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/10(火) 20:28:11.36 ID:HVwsODRt0
身体操法重視
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/10(火) 20:42:48.64 ID:H7CzSWq+o
なかなかムキムキじゃねェか天井くン…俺よりもよォ…
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/10(火) 20:55:18.22 ID:pFpdK9Aq0
筋トレもトラウマ治療もえらい効果が出てるな…
それにえらく充実した毎日を送ってるみたいだね…
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/10(火) 21:05:30.00 ID:HVwsODRt0
ムッキムキよりはアレだもっとしなやかな感じのアッチの方の
古武術系の体の使い方とか色々役に立つかなって思うんだ、色々とな
それにホラ、ムキムキ系だと脱いだらドン引きとかありうるし
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 21:07:17.08 ID:BMnYp9nSO
細マッチョか
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 21:08:00.00 ID:cGWtfMdtP
布束を腹筋で受け止められるレベルにするべき
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/10(火) 21:25:15.72 ID:dFienXIwo
木原神拳レベルにしたら一方を倒せるかな?
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 21:33:45.68 ID:BMnYp9nSO
出来れば戦闘しないで友好を築こうよォ!
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/10(火) 21:35:23.35 ID:pFpdK9Aq0
戦闘経験も戦闘技能もないのだから自分が強くなって倒すより、研究を究めて倒せる何かを開発する方がいいんじゃね
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 21:45:51.10 ID:cGWtfMdtP
そもそもセロリに関わらないのが一番という
この話誰がラスボスでどこがゴールなんだろうな
二週目とかあるけど今のところ死ぬ要素ないな
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/10(火) 21:48:57.27 ID:HVwsODRt0
えらく好戦的だなおまいら、しかし必ずしも戦う必要はなかろうさ
負ければ即デッドエンドなんだから、なるったけ危険は避けて、できるなら協力関係を築くほうが望ましかろ
そうそう、もしも『自分の能力が医療方面に貢献できる可能性有り』
みたいなことなったらこの時点の一方通行はどんな反応するだろう?
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/10(火) 21:58:02.22 ID:pFpdK9Aq0
実際一方通行倒そうと思うと、周回前提での開発・戦闘能力強化は必須だろうし、
死亡したりした場合、記憶を引き継いで再び過去に戻ることなんて気付きようがないんだから、
初周はループを前提とせず慎重に進めるのが自然だろう
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 22:01:35.33 ID:BMnYp9nSO
でも一方さん位頭良かったら、あの時点でも自分の能力の使い道が万事屋開ける位万能なのは思い付いているだろうに。なのに殺ったって事は…
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/10(火) 22:19:18.26 ID:Ph1MTmY1o
一方通行は☆のなかなかお気に入りのおもちゃだから手出ししたらとんでもないやぶ蛇の危険性があるし
関わらないのがベストっぽいよな
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/10(火) 22:27:26.67 ID:pFpdK9Aq0
今の天井って、暗部はおろか強能力者や武装したスキルアウトですら逃げないと確実に[ピーーー]る強さでしかないもんな…
411 :こんな時間ですが>>1です ◆WWqRalPcWM [sage]:2012/07/10(火) 22:31:32.15 ID:Oj6Gq/TDO

>>405
 >>1 が設定したこの話のゴールは「目的」の達成です
 ラスボスは不定で、存在しないこともあるでしょう
 展開次第では淡々としたストーリーになるかもしれません

 さておき学園都市では色々あるわけで
 それに天井は巻き込まれるかもしれませんし、どこか遠くで起こることもあるかと思います
 関わりを避けるも介入するも安価次第です


412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/10(火) 23:03:10.16 ID:YtPTxWIMo
実際、原作の絶対能力進化実験のスタートいつなんだろう。
9983号から10032号までの50人を16日から21日までの6日で相手するペースで毎日やっても3年以上かかるんだよね。
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/10(火) 23:34:26.31 ID:fdSdblNAO
幸せに生活するのが天井の戦いだろ

だけど、善人だったら妹達の実験の記憶がある限り幸せにはなれないよなぁ…

戦うにしても人脈とか策略の頭脳向きだよね天井は…

いずれにしても木原みたいな超人より凡庸だけど必死に生きてる天井の方がみたいなぁ
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/11(水) 00:40:23.46 ID:Z7X/wbcg0
戦って死ぬことだけが危険とは限らん
安価によってはモテまくったあげく痴情の縺れで刺し殺される可能性も捨て切れん
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 08:02:32.64 ID:gue7r5u20
親子ほどの年齢差のある布束に刺されるのか、胸熱
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 09:22:05.88 ID:xTX0LrV20
二週目は目指せハーレムルートにしよう
417 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/11(水) 11:12:20.73 ID:3/0Zg14j0

・今回はちょっと非公式の考察ネタが出てくるので苦手な方はごめんなさい
 本日もよろしくお願いします


軽快な音と共にPCにメールが届いた。
ポップアップをぱかりと開くと、何度も世話になっている人物の名と簡潔な本文が表示されている。

あれから数日後、冬に向かって駆け抜けていく季節の中、今日は比較的暖かい。

一日置いてから三度布束と話し合い、結局接続部分の試作に入ってしまおうということになった。
その要因はやはり全体の進度の停滞である。
現在布束は外部への依頼に向け要件の整理に注力している。

天井「と……流石というか、相変わらず顔が広いな、冥土帰し」

助力を請うた天井に冥土帰しは電話を寄越し、研究の目的や理念、現況を聞いた上で頷いたのだった。
その時は、心当たりに声を掛けてみる、程度の返事だったのだが。


 From: 冥土帰し
 Sub: 研究協力の件

 お待たせしたね。

 話だけでも聞いてみようという子が一人居たよ。
 休日で悪いのだが今週末、土曜に来れるかい?


念のためカレンダーを確認。
今日は水曜日なので、指定されたのは三日後ということになる。

天井「ふむ。ありがとうございます、と」

感謝と了承を伝えるメールを送信し、天井はゆっくりと伸びをする。
それまでは他にすることもある。
自身は自身で何人か学内の念動能力者に声を掛けており、向こうの都合に合わせては説明と依頼を繰り返しているのだ。

天井「週末は隣の区まで遠征か。今日のように過ごしやすい日だと良いが」

壁際のハンガーには薄手のジャケット。
そろそろコートにした方が良いかもしれない。


>>+1
学内での協力者集めが上手くいくか
※コンマ判定  ★修正-10
  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル
ただしコンマ自体が0-4/95-99の場合、修正の値によらず必ずファンブル/クリティカル


418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 11:26:02.15 ID:Rw2tlfmDO
おらっ
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 11:32:51.58 ID:gue7r5u20
なんというギリギリセーフ…
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/11(水) 11:41:25.90 ID:qGdLj0ry0
あぶねぇ…
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 12:32:02.45 ID:SD1CPhtIO
なんか、コンマが極端だなw
422 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/11(水) 12:34:09.44 ID:3/0Zg14j0


タイミングの問題だろうが、ジムはやたらと盛況である。
ガッチャガッチャと鳴る器具やインストラクターの良く通る声が活気を醸し出している。

天井もプログラムに沿って体を鍛える……のではなく、壁際のベンチでパンフレットを眺めていた。
今まで行ってきたウェイトトレーニングとは別料金のコースである。
エアロビクス、ピラティス、アクアエクササイズ。

天井「どうもイメージと違うな……」

ダイエット、という言葉がよぎる。
あくまで先入観だが。

黄泉川「今日は混んでるじゃんね。ん? 有酸素運動も取り入れるのか」

天井「あぁ、いや」

にゅ、と突然顔を出した黄泉川はマシンからあぶれてしまったらしい。
タオルでわしゃわしゃと顔を擦り、輪郭に光る汗を拭い取る。

天井「人並みには身体もできたからな。実践的というか、運動もできるようにしようと」

できればこういったエクササイズではなく、実用的なのが良い。
それを聞いた彼女の反応は目覚ましかった。

黄泉川「おぉっ! お前も子供達と拳で語り合う日がきたじゃん!!」

天井「違うわ」

体育会系肉弾警備員め。
成人男性の平均強くらいにまで鍛えた天井の横で、この女はいつも数段重いウェイトで楽しそうに器具と戯れている。

黄泉川「んー、そうだなぁ。この近くに同僚が通ってる教室みたいなのがあって、身体捌きとか練習してるじゃんよ」

天井「警備員の同僚だろう? というと合気道みたいなものか」

黄泉川「んにゃ。そういうのも少しはあるらしいけど……そうだな、例えば自転車に乗るじゃん?」

そう言われて壁際に整列しているエアロバイクを見遣った。
あれにならトレーニングの中でしばしば乗るが。

天井「本当の自転車に乗ったのなど学生の頃以来だ」

学園都市は公共交通機関の推進、景観への配慮による駐輪所の少なさなどの要因でそもそも自転車の利用が少ない。
それでも不便が無いように街自体が設計されている。

黄泉川「良いから乗るとするじゃん! で、ペダルを漕ぐ時、ガニ股だと力が斜めに逃げて疲れるだろ」

天井「そうか、良く分からん」

黄泉川「……だから脚はなるべく真っ直ぐ、ペダルに対して垂直に回転させるじゃんよ。つまりそういうこと。
    持っている力を無駄にしないで、効率的に使えるようにするんだよ、色んな状況で」

まぁ受け売りだけどな、と彼女は話を締めた。
言われてみればエアロバイクを使う前にも職員に漕ぎ方の指導をされている。
どちらかというと効率的に負荷を掛けるためだと思っていたが、そういう意味もあるのか。

天井「ふむ。そうか……今度調べて見に行ってみよう。助かる」

黄泉川「ふっふ、でも暴力は駄目だからな! 認められるのは愛の拳だけじゃんよ!!」

天井「どちらもしないからな!?」

脳筋バイオレンス教師め。

そういえば力を逃がさないように云々と聞いて、何となく第一位を思い出す。
というか一般人が時間を掛けて習得することを素でできるだけでなく、抵抗だの摩擦だのまで望む運動に転化できる辺り反則ではないだろうか。


……後日、慣れない身体の使い方をした天井を久々に筋肉痛が襲うのは別の話である。


423 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/11(水) 12:37:42.56 ID:3/0Zg14j0

・ぬぐぁ、安価忘れてました
>>+1
冥土帰しに会う(3日後)までにすることがあれば


424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 12:50:55.91 ID:XEyeaiFSO
黄泉川、芳川、と仲良くしようとしてみる、木山の思惑について考察
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/11(水) 12:52:13.47 ID:qGdLj0ry0
小児用能力教材開発所付属小学校と置き去りとに関係がないか調べてみる
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/11(水) 12:56:17.45 ID:qGdLj0ry0
トラウマのフラッシュバックが起きる状態で、トラウマの対象と仲良くするのって可能なのか…
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 13:06:30.09 ID:XEyeaiFSO
後の事と研究のためにもトラウマとは早めに戦わないと。
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/11(水) 13:26:01.55 ID:qGdLj0ry0
>>186を見るに、今までもだいぶ無理して向き合ってきたと思うんだが…
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 13:43:21.61 ID:XEyeaiFSO
頑張ってるのはわかるけど、まだ序盤だし、クリア規準目指す為にも慣らしていかないと不味くない?2週目以降の為にも
430 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/11(水) 13:52:30.97 ID:3/0Zg14j0


学園内で行っている協力依頼の調子は芳しくない。
人格のサンプリング、及び一部とはいえクローニング。

名門校の生徒は散髪すら学校指定の店があり、寮や校内のゴミは厳重に焼却処分されるのだ。
そういった危機意識の中で生きている学生達には、
厳重な管理体制と自身の研究者や開発担当としての実績をもってしても、不安を取り除ききることは難しかった。

唯一の僥倖は、例の電撃使いの男子生徒の伝手で一人だけ協力を取り付けられたことだろう。
彼のレベルは2。
能力ではなく一芸で入学したタイプであり、能力を画像イメージ、端的にいうと絵画に表すという一風変わったテーマを掲げているらしい。

異能力者とはいえ現在の状況、さらに条件を知った上で向こうから協力を持ち掛けてくれたのだ。
断る理由は無かった。

天井「思えば私は、誰かに助けられることが多いな」

少年と連絡先を交換し別れた天井は、研究室にて棚に凭れた。
視線はふらふらと彷徨い、時折目蓋を閉じる。

この研究施設に移籍したのは冥土帰しの人脈。
Sプロセッサ社とは布束が共に仕事をしたことがあるらしい。
小さなことだが、先日黄泉川にはトレーニングの方向性について紹介をもらった。
そして今回の研究協力の件。

天井「…………あの名刺は、まだあっただろうか」

首筋に薄く浮いた汗を、誤魔化すようにハンカチで吸い取る。
いつか学会で対面してから直接の関係を避けてきた相手だ。
人脈のためといって今更連絡を取るのは酷く身勝手な気もする。

だが。
義務のように繋がりを広げようとしていた頃よりも、内心人付き合いを楽しんでいることに、天井自身気付いていなかった。


天井「むぅ、こんなものか……?」

PCのモニタにはぽつぽつと文字の打たれたメーラーソフトが起動している。

最後の遭遇から一年以上が経っているのに加え、お互いクローン技術を扱っているくらいの接点しかない。
まずは非礼を詫び、芳川の最近の論文について言及したりこちらの近況を簡潔に述べてみる。
彼女を人材として見ている訳ではないのだが相手にそう取られてはつまらない。
会話を急がないよう軽い文面にした。

天井「アドレスも入れた、題もおかしくない、署名も挿入した」

こっこっこっ、と何かが刻まれている。
部屋の時計はデジタルだったはずなのだが。
無意識に爪で机を叩くこと五分、

天井「今送らなければ、二度とできないだろう」

かたん、と。
遂にエンターキーを押したのだった。


>>+1
天井のメールイケメン度
※コンマ判定  ★修正-5

>>+2
それはそれとして、木山について調べてみる
※コンマ判定  ★修正-10

  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル
ただしコンマ自体が0-4/95-99の場合、修正の値によらず必ずファンブル/クリティカル


431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/11(水) 13:53:37.17 ID:zPCjAEUAO
最近、進展がないから御坂に会いに行くのはどうかな? いろいろな意味で刺激になるかも?
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/11(水) 13:54:23.06 ID:qGdLj0ry0
一方通行へのトラウマ治療はこれで終わりだから、後は芳川の方に集中できるからそれでいいと思ってた
芳川の方も運悪くファンブルがでなければ、顔合わして話する分には問題ないところまで一旦回復してたし
自分としてはでかいマイナス補正かかって、ファンブル出そうなのが怖い
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 13:57:04.05 ID:gue7r5u20
ああ、確かにファンブルだな……別件の方だが
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/11(水) 14:00:37.02 ID:qGdLj0ry0
すまぬ…すまぬ…
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 14:25:40.22 ID:5ORdH3JHP
最近コンマ運ヤバいな
天井がグレてしまう
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 14:42:36.31 ID:Rw2tlfmDO
まあ危険な話じゃないからラッキーぐらいに思っておこう
437 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/11(水) 14:53:08.28 ID:3/0Zg14j0


会話はキャッチボールとしばしば例えられる。
メールも似たようなものだ。
こちらから送信し、ボールが向こうにある今。
どんな剛速球が返ってくるのか、あるいはボールを投げ捨てられるのか、気が気ではなかった。

天井「メールをただ待つというのも、こう、神経が磨り減るな」

相手が相手だからかもしれない。

どうにも神経索と人格プログラムの連携を見直したり、関連論文に目を通したりする集中力も無い。
また新たに協力を得た学生についても、サンプリングの関係で布束の手が空くまで作業を進められないのである。

天井「ある意味折角の機会か」

めったに無い心理的空白だ。
今まで後回しにしてきたことを片付けよう、と天井はブラウザを立ち上げた。


木山春生。
ここまで実際的な行使をしていないとはいえ、自身の弱みを握っている相手。

天井「あの時の登場は手際が良すぎる。私が探りを入れていることを読んで謀ったのか」

ならば最初から、こちらの持つ何かを欲していたのか。
あの頃木山との話題に出した物といえば、現行研究の構想と過去の業績のみ。
今だって作業を遅らせつつも一応協力はされている。

天井「完成時期をコントロールしたい? しかし他のAIMの専門家に接触するなとは言われていない。
   あいつだけが進度を握れる訳ではないはず……」

やはり研究内容か。
脳を用いない能力の発現、患者とのシームレスな接続、医療クローニング。
いくつかの単語をぐるぐると思い浮かべながら、AIM研究系のデータベースに接続。

弱みと引き換えに得た組織名は、あの後一通り調査したが有意な情報は得られなかった。
小児用能力教材開発所付属小学校。

カタ、カタカタ。
この時間に再度調べ直そう。
天井は身を乗り出してPCを操作していく。


四時間後。
思い付く限りの方法で調査した天井には、鬱陶しい眼精疲労だけが残った。
ずり下がった姿勢を整えもせず顔の上半分を手で覆う。

と、狙いすましたようにメールが着き、天井はぴくりと起き上がった。
恐る恐る開くとそれは芳川からのもの。
本文には戸惑いがありありと表れていた。
さっくり纏めると、突然何なの? であった。

完全に無視されて、来るか分からない返信に気を揉み続けたり、
逆に乗り気で面会の約束を取り付けられるよりはましだったのかもしれないが。

天井「…………」

先日感じた充実感とは何だったのだろうか。

そういえば窓の外は赤みを帯び、室内はぼんやり暗がりに落ちそうである。
ブラインドを。
立ち上がった天井の肘が飲み掛けの缶コーヒーを引っ掛け、デスク、そして置かれた紙の上に内容物が広がっていく。

何をしても上手くいかない時というのもあるのだ。
天井は惨めな気分でティッシュの束を引っこ抜いた。


438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/11(水) 15:27:46.27 ID:zPCjAEUAO
何事も上手くいくはずないしなぁ

そんな天井さんが好きです
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 15:32:01.43 ID:XEyeaiFSO
そんな哀愁漂う天井くンも好きです///
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 15:52:02.96 ID:Rw2tlfmDO
初コンタクトのメールで会話のキャッチボールとか言っちゃう天井くんワロス
441 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/11(水) 15:58:02.55 ID:3/0Zg14j0


その夜、初めて訪れた身体操法の教室では、注意力散漫だねぇとやんわりと窘められ。
次の日の筋力トレーニングでは自棄になって頑張りすぎたのだった。

要は現在進行形で全身が軋む。
苦笑しながら眺めていた黄泉川にこの惨状を知られれば、それは爆笑されるだろう。
――こうなると分かっていて止めなかったのは、どこかで発散しなければ済まないフラストレーションを察していたのかもしれない。
今思うと本当にやり過ぎてオーバーワークになる前にさり気なく飲み物を差し出された気がする。

ともあれ、今日は初めて冥土帰しの勤務する病院の方に顔を出したのだった。
ぎしぎし痛む脚を引き摺りながら。

冥土「やぁ、顔を合わすのは久しいね? 大分前の能力者暴走事件の時は何事も無くて良かった」

天井「そちらこそ壮健で何よりだ。連絡したと思えば無理な頼みばかりで申し訳ない」

冥土「構わないさ。こちらも必要な時は頼らせてもらうよ? さて、こっちだ」

研究室ではなく病院に呼ばれたのだが、紹介される学生が入院中な訳ではない。
単に相手にとって、こちらの方が馴染みがあるということだった。
病院らしい病院のひやりとした廊下を、連れ立って歩く。

冥土「医療目的での、人格――特に演算や自分だけの現実周りのサンプリング、部分複製。
   一応簡単に話は通してあるからね? 了承するかは合って話してから、だそうだよ?」

天井「ありがとう」

冥土「肉体変化の能力者だよ、もし協力が取り付けられなくても他言無用。何せ希少能力だからね?
   まだ小さいし個性的な子だが、根本的に聡い部分がある。後は君次第だ」

ぽん、と背中を押した手に、声に出さず頷く。
目的地と思しき一室が見えたからだ。

ウェイトを持ち上げる時のようにゆっくりと息を吐き出す。
木目風の表面処理が無機質さを隠しきれていない、そんなドアを軽く叩いた。


??「はいはーい」

引き戸は音も無く開き、子供にしては低めの声の主と対面する。

身長は150cm台後半程度ありそうだが、全体の雰囲気が幼い。
初めて会った時の布束くらいの歳ではないだろうか?
陽気な性格なのか、協力を依頼しに来た研究者に対してぱたぱたと手を振って見せた。
細い吊り目は陽溜まりに寝そべる猫か狐のようだ。

そして何より、頭髪が青かった。

??「って、えー? オッサンやん。ボクとしちゃあ妖艶な白衣のお姉さんにサンプル取られたかったんに」

仮定小学生が何を言う。


>>+2
天井は……
※??への対応


・ということで某青いの=肉体変化能力者説でした


442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/11(水) 16:09:26.56 ID:Fu1Q9dLpo
友人のように接する
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/11(水) 16:13:39.92 ID:qGdLj0ry0
礼を尽くして、丁重にお願いする
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 16:27:11.62 ID:XEyeaiFSO
天井くン大人やわぁ〜
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/11(水) 16:38:16.63 ID:Z7X/wbcg0
ここは乗ってみる
ナルホドお姉さんと白衣の組み合わせとは君もなかなかできる
だが、それでは普通すぎると気付けぬあたりまだ若いな
私としては成人男性用の大きめの白衣を羽織ったロリをオススメするね
想像してみたまえ
手が出せないほど余ったソデを
さらにそのソデを折り返す様を
引きずられるスソを
以下略
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 16:40:34.34 ID:XEyeaiFSO
大阪ェ………わかってンじゃねェか
447 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/11(水) 18:53:11.45 ID:3/0Zg14j0


しかし、冥土帰しを通したとはいえ、話を聞いてくれるという相手なのだ。
増してこちらから対価を提示している訳でもなく、開発を担当した二人のように一種の恩があったのでもない。

……悪いな、冴えない三十路の男で。

天井「初めまして。長点上機学園の付属施設で複製医療を研究している、天井亜雄という」

??「んー、どうも。ボクの名前は蛙の先生から聞いとる? まー皆青髪だの青ピって呼ぶし、好きな方で覚えといてや」

名刺を渡すと少年は対面に腰を下ろすよう促した。
にへ、と笑う様子は友好的に見える。
この部屋は検査室に隣り合う待合室のようなものらしく、ぱらぱらと椅子が散在している。

天井「では。……残念ながら、冥土帰しには君の名を聞いていないよ」

青髪「あれ、そーなん? まーそれはおいおいで良いやろ。取り敢えず青髪って呼んでや」

あえて姓名を伏せるのは、警戒されているのだろうか?
年齢といい表情といい裏のあるようには見えないが……能力的には見た目通りの年齢でない可能性もあるのか。

天井「分かった。青髪君、今日は話をする機会をくれてありがとう。
   私は筋ジストロフィーという、身体が動かなくなる難病の治療法を探していてね。その研究に君の力を貸してくれないだろうか」

青髪「うーん、協力っても、脳みそのデータとクローンやろ? それでどうやって病気が治るん?」

疑問はもっともだ。
この街で能力に関わるデータというのは、住所よりメールアドレスより、銀行の口座番号よりも遥かに重い。
それを開示せよと言うのだ、きちんとした説得力が無ければならない。

天井「私達は外付けで能力を再現する機械を作ろうとしているんだ。
   患者の脳波からしようとしている動作を読み取り、能力を発現してその通りに身体を操作する、そういう機械を」

青髪「えー?? ボクの脳みそを箱詰めにして脚とかを動くようにするん?」

外に跳ねた青い髪ごと、少年は首を傾げる。
能力の所在が脳というのは小学生でも知っている定説で、常識だ。

天井「いや、脳のクローンは作らないよ。能力が演算と自分だけの現実で成り立っていることは知っていると思う」

青髪「数字とイメージやろ、知っとるで」

天井「そう。その二つを、青髪君の考え方をコピーしたコンピュータに任せる」

ふむふむ、と。
こちらの言ったことを咀嚼しているようで、側頭部や額に拳を当てては唸る。
と、細い目を開眼しそうな勢いで顔が上がった。

青髪「え、じゃあ機械って能力使えるん? 超能力メイドロボとか作れるんちゃう!?」

単にロボットなら子供らしく可愛い想像だったのに、どうして「メイド」を付けた。
少年はがっ! と自らの身体を抱いてくねくね悶えている。

青髪「しかもボクの能力ってことは外見自由自在!? ロリから熟女まで対応した完全無欠っぷりのうえアンドロイド属性が標準装備とか!! たまらんわぁーー」

「根本的に聡い」……?
というか彼の年齢でいうロリとは幼稚園児か。
それはロリータコンプレックスではなくペドフィリアだ。


448 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/11(水) 18:56:32.22 ID:3/0Zg14j0


天井「い、いや。申し訳ないのだが、機械での完全な能力発現は難しいと思う」

青髪「え……」

悪いことをしただろうか。
目に見えてしょぼくれる姿は少し心に痛い。
しかし無用な期待をさせるのもどうかと思うし、きちんと説明はしておきたい。

天井「そこでクローンだ。脳に近い神経などを接続し、そこを中心にして能力を少しでも使えないか試しているんだ」

本当はもっと、擬似的にその能力者のAIM拡散力場を再現して環境を整えるなどもあるのだが。
あまり専門用語ばかりを並べても仕方がない。
彼を煙に巻くのが目的ではないのだから。

青髪「うーん……それだけ聞くとやっぱり全属性対応メイドロボ作れるんちゃう……?」

天井「そ、それは今後の進展によるよ……。と、これが私達のしている研究だ。どうか、協力してくれないだろうか」

一瞬、空白が生まれた。
細い目はそのままに、薄く開いた口は真剣に思考している表れだろう。
くい、と顔ごと視線が揺らぎ、室内を行ったり来たりする。
検査室に続くカーテン、雑誌の詰まった小さな棚。

ふと視界にある光景が被った。
病室に横たわる、少年と青年の間のような彼。

天井「……この研究の為に、発症部位の再現の為に『外』で患者の遺伝子をサンプリングしたんだ」

青髪「『外』……学生ではないん?」

天井「高校生ぐらいだ」

どうして彼のことを今考えるのか。
始めは第三位のDNAマップの動向を調べるためだった研究。
直に相対した患者。
いつか思った、自身の行動原理への疑問。

天井「私は彼に恩を返したい。研究を完成させて、治療法を届けるという形で」

ざあざあと体内を血が流れる音がする。
席を立つ。
床に膝を着くことも抵抗は無かった。

天井「データは、今伝えたこと以外には使わない。流出もさせない。どうか、どうかお願いだ」

判決を待つ罪人のように。
座したまま深く頭を垂れること、十数秒。


青髪「――まったく酷いわ、そこまでされたら断れんやんー」

これで詐欺やったらおっさん俳優になれるで、と首を傾げながら少年は大げさに苦笑した。


449 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/11(水) 18:57:27.38 ID:3/0Zg14j0

・そろそろネット切れそうなので撤収
 最後に安価を残していきます
 いつもありがとうございます

>>+1
ところで青ピのレベルは?
※コンマ判定
  - 4:超能力者(まさかの第六位)
  5- 9:大能力者
 10-19:強能力者
 20-49:異能力者
 50-79:低能力者
 80- :無能力者

※この安価の決定は周回を跨って適用されます
 当スレ内における設定を決める安価だと思ってください


450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 18:58:03.42 ID:C6yCxBhGo
おう
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 19:01:20.01 ID:XEyeaiFSO
中々…ッ
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/07/11(水) 19:15:24.10 ID:1VMXDzSeo
青ピ第六位説消えたか
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/11(水) 19:20:03.52 ID:qGdLj0ry0
通常はファンブルのコンマが超能力者って意味深だな…
青髪が超能力者だったらDNAマップを狙った襲撃を受けたり、
盗まれて青髪クローンが作られたりしたんだろうな…
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 19:25:24.32 ID:FUXYpkcBo
能力は何になるんだろう
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 19:40:57.76 ID:XEyeaiFSO
肉体変化だから〈メタモルフォーゼ〉じゃね?
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 20:03:10.93 ID:WTWXwRQK0
異能力者だから過度の期待はできないな
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 20:27:56.80 ID:SD1CPhtIO
肉体変化だから…
関節可動がオール180°になる超柔軟とか、
短時間だけ小指(趾)の外側に第六指を生やせるとか?
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/11(水) 20:31:38.44 ID:XEyeaiFSO
ビックリ人間の域か
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/07/11(水) 20:34:32.87 ID:xzE1EYC6o
まあ能力はともかくレベルは上条の学校にいてもおかしくないものになったなww
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/11(水) 20:52:08.09 ID:Z7X/wbcg0
>>青髪君の考え方をコピーしたコンピュータに任せる
任せて大丈夫かコレww
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/07/12(木) 00:30:29.23 ID:ZKXMueEio
昔、既存人格をコピーしたAIをウイルスにして、機械神バロールを自滅に追い込むという、
某□製RPGの小説があってだな…
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/07/12(木) 06:57:20.41 ID:nANZ7rd40
そもそも天井君、独り言で度々その時点で知るはずの無い事口走ってたりするけど
滞空回線で☆にバレてたりしないだろうなぁ…
463 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/12(木) 09:46:51.07 ID:6tiuHMgN0

>>457 >>460
 天井「ところで、具体的に君は何ができるんだい」
 青髪「せやね、最近は猫耳生やせんか練習しとるよー」
 CPU <ネコミミハヤセンカ レンシュウシトルヨー
 天井「えっ」


・ちょっと二時間くらいしか睡眠取っていないので多分昼頃に落ちます
 すみませぬ……昨晩の不快指数は異常マジ寝苦しかった


布束「In that case, 動作後の感覚フィードバックについてなのだけれど――」

担当者「これも出力と同様、脳波を介するのが現実的でしょうね」

なんとなく疎外感を覚えながら、手にした用紙に並ぶ資料に目を落とした。
カラフルな色材が入り組む図や円グラフ。
ただただ線ばかりが重なっている折れ線グラフは特に意味を汲み辛く、無機質な印象ばかりを受ける。

落ち着いたグレーの壁やアルミのテーブル、大きな製品を携えることもあるためだろう、広くスペースをとった一室を訪れていた。
Sプロセッサ社のミーティングルームである。
顔合わせと契約条件などの確認に終始したのが前回。
今日は布束が纏めた要件を元に、脳と機器の接続部分の仕様を打ち合わせている。

天井(私はほとんど研究の中心との名目で居るだけだが)

担当者「まずは機能の実現を優先しても?」

布束「Let me see. それで大丈夫。頭部を覆うような形状でいきましょう」

担当者「では性能が確認できたら機器本体との兼ね合いも含め軽量化を図るということで」

布束はこの企業と付き合いがあるとのことだが、担当者とは初対面だと言っていた。
しかし会うのが二回目とは思えないほど滑らかに会話は進む。
共通の分野で饒舌に語る二人は、科学者というものの体現だ。
自身とは別の記号を拠り所とする研究者達を一歩引いて眺める。

白衣の下もそれなりにかっちり着込んでいるらしい黒ズボンの男性は、天井より幾分年上である。
生きた時間の差だろうか。
清濁併せ呑みながら地に足が着いているような雰囲気がある。

担当者「――ふむ。では脳波の計測部分から製作に入ります。進行は随時お知らせしますので」

向こうの担当者は不意にこちらを振り仰いだ。
多少聞き覚えがある程度の専門用語の遣り取りはいつの間にか止んでいる。
自然、責任者として襟を正した。

天井「あぁ、よろしく頼みますよ」


464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 10:06:52.56 ID:5TtKp7jm0
レベルが上がればワーウルフ的なものにもなれそうだな青髪
あと無理しないで寝ろww
465 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/12(木) 11:08:49.82 ID:6tiuHMgN0

・ご心配いたみいります、やばくなったら寝ます


さておき数日後、木山の働く研究所に例の如く呼び出されるのだった。
コートを脱ぎ紺のマフラーを丸めて鞄に押し込んでいると、インサートカップに入った紅茶が差し出される。
毎回違う飲み物が出てきたりと一見全うな客扱いを受けているのだが。

木山「どうだい? 進捗状況は」

そこだけ抜き出せば何気無い台詞。
いつも、慣れ親しんだ相手にするような気易さと凪ぐ海のような態度を崩さないのだ。
……ただ稀に脈絡無く脱ぎだそうとする。
正直対処に困る。

天井「能力の再現は未だ停滞中だ。平行して先に接続部の製作に入った」

こんな風に、必ずこちらから先に報告することが暗に義務付けられていた。
彼女はそれを回転椅子を軋ませながら気の無い様子で聞き、担当箇所についてはのらりくらりとはぐらかす……そう、普段であれば。

木山「ふぅん。ところで朗報だ、AIMの擬似出力が完成したよ」

天井「そうか……………………は?」

行き詰まりから、願望を空耳したようだ。

木山「これがそのデータだ」

ぽい、と投げ渡されたメモリチップのケースは反射的に伸ばした手の中に。
紛失防止のため大きく作られているプラスチックの塊が半透明に中身を主張する。
メモリ、データ、……何のデータだ?
まさかあれだけ渋っていたものを?

天井「この中に、その――」

木山「出力はそちらで工面してくれ。長点なら質の高い装置があるだろう」

大したことではないように、研究の流れとして当然のように木山は話を進める。
その言葉を額面通りに受け取れる訳が無い。
向こうが見せた初めてのアクションなのだから。

プログラムに何か仕込んだか。
しかしその程度、生徒達本人のAIM拡散力場と、これで出力したものを高精度の計測器で比較すれば露見する。
能力の再現が木山の望む時期より遅れているのか?

必死に回転する頭も、考えを整理する前に遮られてしまう。

木山「これで少しは目途が立つかい? 接続部の完成はいつなんだ、それに間に合うと良いが」

急に研究に対して親身になる意味は?
何らかの必要条件を満たしたのか。
これを寄越すことでどこかから目を逸らしたいのだろうか。

目の前の女はやんわりと笑む。

天井「早くて四月末だ。……本体の理論がそれに間に合うかといえば、厳しいとしか言いようがない」

木山「そうか」

薄い喜色から、くすくすと、より愉快そうに。

木山「折角だ、そのうちそちらに顔を出そう。共同研究者として手伝えるかもしれないからね」

天井「――――っ」

何を、考えている。


>>+2
木山に関してしたいことがあれば
※ここで聞きたいこと、後で調べたいことなど


466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 11:14:12.57 ID:O8ncIMZSO
ここで僕に気があるんですか?とでも聞いたら笑えるwwwwwwksk
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/07/12(木) 11:17:35.40 ID:QbFJRIHv0
地雷かもだけど、教師時代の話を
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 11:44:06.87 ID:m7Qs7O0zo
踏み抜け!
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 13:32:31.15 ID:O8ncIMZSO
そしてドカーンか
470 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/12(木) 14:24:12.31 ID:6tiuHMgN0


思い知らされる。
時折浮かべていた薄ぼんやりとした笑み、あれはあらゆる意味で浅いものだったのだ。
対してこの瞬間の笑顔は、深い。
闇や森ではなく沼の深遠。
どこまでも沈み、逃れることも叶わないような色だ。

木山「どうしたんだい、天井博士?」

外気の寒さから自身を守っていた研究所の壁が、木山の言葉一つで反転する。
澱んだ生温さと共に天井を閉じ込めるものへと。

大丈夫だ。
まだ底無しの水面に足を浸けてはいない。
今まで通りに流して、いずれ別の方向から調べれば良い。

天井「……木山博士。経歴に書かれていない期間、何があったのか聞いても良いか」

ひりつくように、急激に口の中が乾く。
ありもしない唾液を喉が飲み込もうとしている。
掛けている椅子ごと、ずぶりと床に沈むように思えた。

天井「小児用能力教材開発所付属小学校で教鞭を取っていた。これは合っているか?」

木山「学校名まで見られていたか。もっと早く出て行けば良かったよ」

予想通り、ここの資料室に侵入した件は、知った上で泳がされていたらしい。
木山はゆるりと身を乗り出す。
全身をコンクリで固められたかのように、動けない。

木山「どこまで調べた?」

天井「正直、ほとんど分からない。だが私を脅してまでしたいことがあるなら、何かあったんだろう」

あれほど丁寧に隠蔽までされていたのだから。

浮かべた笑顔は変わらない。
どこかから、ボーンボーンと時刻を知らせる鐘が鳴っている。
エントランスにあったアンティーク調の柱時計だろうか。

木山「あの学校は、ろくな設備が無かった」

返答はどこかずれている。
いや、こちらに向けた言葉というより、機械的に暗唱しているような。

木山「子供達は勝手気ままでいつも私を困らせた。私は教師などしたくはなかったし、適性も無かった。
   それでも仕事だったからな、しばらく勤めたら任期も終わったよ。それだけだ」

天井「――ならどうして、あの経歴は隠されているんだ」

木山「さあね。だれかにとって都合でも悪かったんじゃないか?」

どこか白々しい。
しかしどこから切り崩して良いか、全く見えない。

天井「生徒か同僚の教師か、誰かが筋ジストロフィーを発症したのか」

木山「想像に任せるよ」

自分で口にしていておかしいと思う。
それなら堂々と協力すれば良いし、作業を遅延する意味が無い。

天井「非合法なことに首を突っ込んだか」

都市の上層が経歴を揉み消したのなら――、

木山「どうだろうね。いずれにせよ、貴方は逆らえないんだ。詮索は無意味だよ」

明確な打ち切りの意思。
やはり、木山も身を滅ぼすような都市の裏側に触れたのだろうか。

メモリチップとざらついた会話の記憶だけを手土産に、天井は帰れと促された。


471 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/12(木) 14:25:49.55 ID:6tiuHMgN0

★目的の変更判定

木山に直接問いただした天井は心境が変化しているのかもしれません

目的の変更先:「真実」

>>+1
コンマ判定
 -29:上記で決まった目的に変更
30- :変更無し


・今日はこれにて失礼します
 ちょっとドリームランドに行ってきます

・展開上調べておきたいことがあるので明日は遅くなるかもしれません


472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/12(木) 14:26:47.30 ID:v9KWFUk20
ksk
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/12(木) 14:40:03.43 ID:3pbe0bfr0
おしい
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/12(木) 14:43:51.87 ID:3pbe0bfr0
関係ないけどみんな安価取るのってだいたい同じ人じゃね?

475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 15:08:17.18 ID:O8ncIMZSO
張り付いてるか、ベストかはともかく、自分の中でシナリオが出来てて邪魔されたくないか、何も考えず安価とりたいだけか…
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 15:31:00.68 ID:oFOmfTQV0
気にするほどじゃないと思うけど
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 15:35:10.18 ID:JedK15x3P
何をもって同じ人扱いしたのか逆に聞きたいレベル
末尾から出身県まで割とバラバラじゃん
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 18:17:57.55 ID:O8ncIMZSO
幾つかのスレでセットでみかけるIDと出身県の事じゃね?どれかの明言は避けるが…同一人物が複数の端末機使って色々やってるんじゃね?しかもそいつのIDはコロコロ変わるし
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/12(木) 19:21:30.31 ID:HZC2G1ed0
ばれたか
ここまですべて俺が踏んだ!



嘘だ!
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/12(木) 19:27:53.41 ID:RVJ1CE+AO
まぁ、あくまで推測だしな

携帯とかブラウザ履歴消去すればID変更出来るし。

判断は出身地ぐらいだしな
481 :携帯>>1 @うっかり目が醒めた ◆WWqRalPcWM [sage]:2012/07/12(木) 20:19:21.02 ID:5Fs6504DO

・今から二度寝を試みます

・幾つか安価スレ眺めてもよく分からなかったのですが
 気になる方が多いのでしたら行動安価でも、
 「>>+1 から>>+3 の間で一番コンマが高いの採用」
 みたいにしましょうか

 明日の0時〜12時の間に5人(ID)要望があったら試しにそっちにしてみます
 「範囲安価希望」とか書いておいてください


482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 20:20:00.52 ID:be+qydR3o
長屋なんて大抵同じ奴だろ
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 20:26:41.87 ID:UyvOfNROo
その方法はちょっと賛成しないかな
そんな俺は「>>+1から>>+3までに出た安価を>>+5が指定」
これを提示する
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 20:29:34.54 ID:O8ncIMZSO
大人な優しい天井くンならスルーして触れないであげるだろうなーきっと。もう話題にすらならないな。うん。

それにしても木山はやっぱ生徒の為に幻想御手事件起こす気なんかな?天井の機械からAIM出力実験が上手くいけば、いくらでも応用できるし、さらに凶悪な事件になりそうだ…。
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/12(木) 20:30:33.07 ID:OUoylf3+o
>>483
速度が早ければそれでも良いがここの速度から考えて不向き

まだコンマに任せた方がいいわ
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/07/12(木) 20:32:03.15 ID:A8D30dW3o
別に同じ奴がとっても良くね?
取れない奴の嫉妬だろ
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 20:37:10.19 ID:UyvOfNROo
>>485
遅いからこそだろう
選択肢を提示した人は指定不可能にすりゃ良い
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 20:40:54.31 ID:9Zb+L+PNo
めんどいでござる
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 20:42:51.04 ID:4fjo56kIo
コンマで決めるなら1ケタ目で決まるようにするべきかね 2Dだと時間があれば操作が出来るからなあ

いっそ、時間制限付きで+1〜3程度安価を募って、その中から>>1(天井クン)が選ぶとかどうよ 
天井クンの思考に合った物は、コンマ確率が上がって、明らかに合わない物は無効・安価下するとか

まあ、平日の朝とか昼とかに投下が多いみたいだし、時間の会う人は少なそうだから、今まで通りでも良い気もする
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 20:47:08.54 ID:b+zLgTRDO
ぶっちゃけ何が問題なの?
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/12(木) 20:48:19.67 ID:omc7vLj70
平日の朝とか昼とかにも少しずつ進むのだから、このままでいいかと
変更するにしても、2,3人で進むような方法を選ばないと、人がいない時間に止まりそう…
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 21:19:23.47 ID:x1Gg35EDO
>>484
木山てんてーをノリで出してしまって悪かったぜ。木山てんてーに従って天井が心中したらカッコイイナと思って出しただけなんだ。
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 21:24:28.88 ID:O8ncIMZSO
心中は賛同出来ないが木山てんてー出してくれた事は大いに感謝してる。残念美人サイコーや出来ればこのまま…

まぁどんな形でも最終的に天井くンが幸せになってくれりゃ
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/12(木) 21:30:12.93 ID:omc7vLj70
天井の行動方針が恋愛あたりを経るか、精神操作でも受けて、特定対象への従属とか献身とか奉仕にならないと厳しいかと
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 21:31:54.78 ID:O8ncIMZSO
つー事は、だ。リスクはあるがみさきちにコンタクトとってトラウマ帳消し狙うかね?
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/07/12(木) 21:33:32.15 ID:39qUWDbco
そういえばアニメでだけど天井くン結構いい車(レクサスLF-A 約3750万)乗ってるんだよね
木山先生もかなりいい車(ランボルギーニのガヤルド 約2500万)乗ってるし・・・
学園都市の研究者って儲かるのかねえww
ここではどうだか知らないけど
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/12(木) 21:43:13.72 ID:omc7vLj70
現時点でレベル5かどうかわからんし、どこにいるのかもわからんぞ…年齢も怪しいし
それに未来の記憶を覗かれるリスクと精神操作を受けるリスクを考えると
一発ゲームオーバー、タイムリープもありうる相手だ…一方通行や木原以上に避けた方がいいのでは

心の問題の方は地道にやってくしかないかと、何度かループして余裕ができれば恋愛もするだろうし、
トラウマも芳川だけ集中すれば、すぐ回復すると思う
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 21:47:08.15 ID:9Zb+L+PNo
借金苦だった天井が高級車に乗ってるのって、ちょっとおかしな話だよな
売れよソレ
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/12(木) 21:52:41.71 ID:omc7vLj70
そういや、ここの天井ってどんな車に乗ってるんだろうな…独立のために切り詰めてた可能性が高いけど
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/12(木) 22:04:31.47 ID:omc7vLj70
恋愛に関しては天井の性癖がノーマルだとすると、何度も蒸し返すようだが
年齢差一回りじゃすまない相手ばかりなのを何とかするか、何とかしてロリコンになるしかないと思う
木山は向こうから事情を明かさない限り厳しそうだし、芳川と繋がりのある人物は芳川と接触するリスクがある
恋愛をするのならば、恋愛をする準備から始めなければならない段階ではなかろうか
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/12(木) 22:51:18.27 ID:O8ncIMZSO
具体的には…木山は周辺調査なりなんなりして生徒の事をまずしる→別手段持ちかける→あぷかけつつ解決→トラブる
芳川はトラウマ克服に集中しつつあたっく→仲良くなる→一方さん夏の思い出事件後に「うちに…こないかい?ニートでも大丈夫」的な事を言う

黄泉川は普通に仲良くして→何度も一緒に飲みに行き→黄泉川が「どーせ行き遅れじゃんよー」とか泣き崩れてるとこを「じゃあ、俺の所に来いよ君の炊飯器料理毎日食べたいな」


みたいな?
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/12(木) 23:05:06.58 ID:omc7vLj70
詳細な過程は置いといて、そういう風に段階を経てお互いを意識していかなければ厳しいと思うんだ
天井は現在、「貢献」と「保身」を二つの柱として行動してるから、恋愛を意識しにくいと思うし、
初対面の時とメールで気まずい芳川よりも鉄装や小萌の方が、黄泉川が紹介さえしてくれればやりやすいと思う
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/12(木) 23:12:54.01 ID:WgRm7S370
そういえば木原加群はまだ学園都市にいるはずだけど、ステファニーはどうなのだろうか
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/12(木) 23:14:15.37 ID:m2W1RjxMo
恋愛もいいが布束の手を引いて避難する展開のような父性にあふれた天井くんと布束とかも悪くないと思ってしまう俺
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/12(木) 23:27:46.80 ID:Fct5AUhj0
どうだね、そのクッキー? 口に合うといいんだが
そうかそれは、よかった、うん? 
いや、どこの店というかソレは家で焼いたものだよ
…そんなことをいった覚えはないよ、だいたい嫁がもらえそうに見えるかね?
私が焼いたんだよ、ソレは
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage saga]:2012/07/13(金) 00:59:09.01 ID:Zx9ElIYy0
>>505
すまん、天井のつもりで書いたんだろうが
カエル顔が言っているようにしか思えない
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 01:06:21.37 ID:FeHqLDPu0
ふと思ったんだが、天井ってもういい年だよな…本人も三十路って言ってるし
下手するとたいした描写もなく、結婚や婚約をするかもしれないけど、
「恋愛・結婚・見合い」や「絶対能力進化をやり過ごした後の将来」等を考えさせれば、
天井が周囲の女性を見る目も変わるんじゃないだろうか

しかし、見合いをするとなると相手は誰が来るんだろう…
それ以前に学園都市じゃ見合い事業なんてやってないか…
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 01:21:38.22 ID:qwz73zMSO
親船(娘)じゃね?結婚できそうもなく、最中の方が見合い話持ってきそうだ(笑)
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 02:02:18.89 ID:FeHqLDPu0
寮監あたりもありうるか…寮監と仲良くなったら、盛夏祭に招待してくれるんかな
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 02:20:57.05 ID:qwz73zMSO
寮監忘れてたwwwwww後は木原さんちの娘さん達かね?てれさんとか

次回枠で病理さんとか病理さんとか病理さんとか

もし魔術サイドが絡むならねーちん、キャーリサ…
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/07/13(金) 02:30:48.99 ID:obQ6Wt6Io
テレスティ…いや、なんでもない
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 03:00:47.12 ID:qwz73zMSO
もしインターフェースさんが天井くンのデスクに引っ掛かってたら魔術サイド話もでるのかね?とある木原の〜のSSみたく、科学的見地からの魔術も見てみたい気はするがwwwwww
513 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 10:30:25.89 ID:HFihbJ4z0

・今日に入ってから安価方法変更の要望は無いみたいですね
 とりあえずこのまま行きます(12時までは引き続き受け付けます)
 ご意見ありがとうございます

・目的変更無し
 治療法研究を円滑に進めるための行動だったようです

>>510 ユイセン!


天井「ふぅ。調べた限り怪しい部分は無かった……」

歓談スペースで半透明のケースを矯めつ眇めつ。
長点に着いてまず、プログラム内のウイルス探査、および出力AIMと本人のものの比較を行った。
半ば予想はしていたものの、その二点においては不審な点は無い。

帰路は少し時間を取られてしまった。
木山と話しているうちにちらほら雪が降り出していたのだ。
もう止んではいるが、今もほんのりと外は明るい。

青髪「おー、天井のセンセ! こんな美人なお姉さんに色々訊かれちゃってボク幸せやわー」

布束「Somehow, どっと疲れたわ……。戻っていたのね、お帰りなさい」

先日協力を取り付けたばかりの少年を伴い、ぐったりした様子の布束が現れた。
Sプロセッサ社への依頼が済み布束の仕事が落ち着いたので、人格データのサンプリングを頼んでいたのだ。
ちなみにもう一人の念動能力者についても既に聞き取りをしてもらった。

青髪「狭い部屋で二人きり、あんなことやこんなことまで……あかんて、ゾクゾクしてまうわ!」

ここ数年で最大の失態だ。
脳のスキャンやらはともかく、ヒアリングには付き添うべきだった。
あんなこと? ただ脳波を計測しただけだろうな?

青髪少年――あの後本名も聞いたのだが、呼ばれ慣れているあだ名で良いと本人が主張している。
その彼はいやんいやん、と顔を赤らめ、頭頂の耳はふるふると、ん?

布束「生やせたは良いものの、引っ込まなくなったそうよ。In addition, あれに聴覚は無いって」

青髪「どーやセンセ。これで世の女性の視線釘付けちゃう?」

黒い、三角。

釘付けなのは奇異の視線じゃないのか。
自分の意思でコントロールできないのに喜んでいて良いのか。
耳が四つあるのに思うところはないのか。

青髪「なーなー布束サンはどう……あぁっその呆れた雰囲気、堪らん!!」

布束「――寿命中断《ネコダマシ》!」

ぱぁん! と鋭い音がして、青髪の猫耳がびくりと後ろに倒れた。


514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/13(金) 10:41:34.82 ID:Fk1we70v0
男の猫耳とか誰得よww
ショタも嫌いじゃないけど青髪じゃなぁ
515 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 11:42:51.71 ID:HFihbJ4z0


布束「What! 糸口が見付かったの? そのAIMプログラムだけじゃなく」

天井「糸口、というか試したいことができただけだよ」

春の突風のような少年が去り、暦通りの静けさが残る。
午後の陽に溶けゆく白を見下ろしながら、紙コップのコーヒーを啜った。

布束「もったいぶらないで。And then, 何をどうするの」

天井「失敗してもからかうなよ? ……今度からは脊髄を使ってみる」

続けて、と。
鋭い視線で促す布束に、頷いた。

天井「よほどの例外を除いて、能力者が能力を行使するのは二つの場合だろう」

布束「能力を使おうと意識した時か、危険を感じた時。……I see, 後者?」

天井「あぁ」

危険に反応しての無意識に近い能力発動。
それに近いものに「反射」がある。
某第一位の能力の形態ではなく、誰しもが持つものだ。

天井「身を守るための反射には、いくつも種類があるが」

例えば咄嗟に目を閉じる動作は、一般的に判断を行う大脳ではないものの、脳の一部で命令される
しかし痛みに腕を引くといったごく簡単なものは脊髄でコマンドが出されるのだ。

布束「Mmm. つまり能力者の場合、場合によっては脳を介さずに能力を行使している……かもしれないということね」

天井「確証は無いんだがな。しばらくそれで試行錯誤してみるよ」

俗に言うイカ耳状態になった青髪少年を見て閃いたことは伏せておこう。

布束「分かったわ。私の方は接続部と、Simultaneously, 今度入った二人分の人格プログラムを作っておくから。……頑張りましょう」

ことん、紙コップは既に空になっている。
新たに試せることがあるというのは、それだけで気力を湧き起こす。
天井は立ち上がり、ごきりと大きく身体を捻った。


>>+2
接続部の完成までにしておくことがあれば


516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 11:46:30.79 ID:7gfbBUkDO
グスコーブドリ!
ショタ青のネコミミは似合うと思うけどね
同じ男の天井やクールな布束には通じなくても、他のお姉さん達には人気出ると思う
あと青ピ、お姉さん魅了するなら尻尾生やしてユラユラがテッバンやで
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 11:49:10.07 ID:sb7cgbS70
行動療法を行った経験と実際に心療内科で治療を受けた際に得た知見を生かし、
認知行動療法によって芳川へのトラウマを治療する
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 11:50:19.89 ID:qwz73zMSO
黄泉川と飲みに行く、芳川へのトラウマ克服、木山とスタバでお茶しつつ色々聞いて探る木山の周辺調査
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 11:52:17.39 ID:sb7cgbS70
無理なら、この研究と幻想御手との共通点及び2つを組み合わせて何ができそうかを考える
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 12:37:44.14 ID:qwz73zMSO
それ、分野とか考えなきゃとんでもなく範囲広くね?
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 13:01:05.21 ID:sb7cgbS70
こういう方向から木山の企みを探ろうって意図だったんだが、言葉が足りなかったかもしれん…
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 13:05:09.23 ID:qwz73zMSO
なんかすまん。ただ、天井ってそもそもlevelアッパーの詳細知ってたっけ?知ってるならある程度考察範囲がピンポイントで絞れるから問題無いとは思うけど…
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 13:21:30.67 ID:sb7cgbS70
そこまではわからんが、副作用のある能力強化機構を作ったってとこまでは知ってるから、
それが莫大な並列演算機構であることとそういった機構をこの研究を発展させて作れる可能性には
気付けるんじゃないかと…MKWの並列演算機能や幻想御手との関連を知っていればさらに手がかりが増えるはずだし
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 13:34:32.87 ID:qwz73zMSO
確かにそれはあり得るな。あれ、でもM(ミサカ)N(ネット)W(ワーク)使っての並列演算システムは天井くン存命時代、level6シフト時に既存した、あるいは提唱されてたか?あれが理論構築、実現されたのは一方さんの幼女救出作戦後のカエル考案だから思い付くかどうか…
525 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 13:54:16.89 ID:HFihbJ4z0


新しく培養した脊髄は銀のフレームの小さな容器にぷかりと揺れている。
腕や脚といった身体の一部、また内蔵、神経。
一般的に見ていて気持ちの良いものではないらしいのだが、天井にそのような印象は無い。
人体でありながらあくまで一部であるという位置付けのせいか、おかしな表現だが愛嬌のようなものを感じるのだった。

容器にはコードが伸び円筒型の機械を経て手元のPCへ。
かたかたと与えられた操作は、しかし目に見えた反応をもたらさなかった。

天井「まぁ、前の流用では駄目か」

内容に反して声に落胆は無い。
まずは電撃使いの男子生徒のデータを用い、以前神経索と接続した際のプログラムを流してみたのだった。
失敗とはいえあくまで試してみただけ。
改めてプログラムを組み直すことにする。

ちなみに人格に関しては布束による最適化を経ており、またAIM拡散力場も周囲に再現されている。
実験環境そのものはかなり向上していた。

天井「反射的に能力を行使させるための刺激か……」

妹達の能力データをゆっくりと反芻する。
簡単なところではやはり痛覚か、AIMに触れるような電磁波の揺らぎだろうか。
ひとまず器具を片付けながら、思考は沈む。


526 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 13:54:42.36 ID:HFihbJ4z0


踏み出したばかりとはいえ、五里霧中の停滞を抜けたのは大きかった。
日々のトレーニングも捗るというものだ。
今日は無駄の無い走り方の習得とかで第二学区をランニングしているのだが、上がった息まで快く感じる。

継続的なジム通いにより肉体的疲労を楽しむ素地ができているともいうが。

天井(気掛かりは木山の件だけなのだがな)

何度か自身で調査をし、また意を決して本人に訊ねても思うように情報が引き出せない。
試していない手段は無いか、あるいはもっと深いところから――、

天井(落ち着け。一度危ない橋を渡った結果が今の関係だろうに)

決めたはずだ。
できることから着実に。

差し迫った問題ではないが、今のうちにもう一度トラウマと向き合ってみるのも良いかもしれない。
研究の再始動に合わせ、気力が湧き上がっている間に。
また学会などで芳川と遭遇する可能性はゼロではないのだから。

天井「いくつか方法を試してみるか……」

習った足の動きに集中しながら、帰り道にある書店を思い返した。


>>+1
治療の効果
※コンマ判定  ★修正-5

  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル
ただしコンマ自体が0-4/95-99の場合、修正の値によらず必ずファンブル/クリティカル


・補足:幻想御手の知識(参考>>267
 天井が幻想御手についてどの程度知っているか明言していなかったですね
 詳細については又聞きの噂を聞いた程度です

 能力を強化するものをばら撒いたこと
 その副作用で多くの学生が昏倒状態になったこと
 本人が複数の能力を使い警備員とやりあったこと

 明確な知識としてはこのくらいです
 あとは諸々の不確定情報があります(AIMバーストとか)
 提示が曖昧で申し訳ありませんでした


527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 13:58:54.58 ID:F+UYpeTDO
さあどうだ
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 14:01:19.98 ID:sb7cgbS70
よし、知識と経験を得てより高度な療法に切り替えたのは正解だったか…
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/13(金) 14:10:45.67 ID:kkDrWi/AO
なんか判定成功したの久しぶりに見た気がするwww
530 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 16:00:54.90 ID:HFihbJ4z0


製作過程では旧時代のパーマ機械のようだった件の接続部は、幾度かの改良の末、概ね額の高さに巻くバンドのような形に落ち着いていた。
鉢金のようにも見える。
最初に廉価な機材で理論と動作を確認してから、超小型のCPUや新素材に移行したのだ。

担当者「――スペックは以上です。これにて脳波の観測から動作要求の抽出、加えて動作の感触の再現が可能です」

要は脳と外部機器の滑らかな連結である。
試作は大きな課題も無く順調に進み、今日のお披露目に辿り着いていた。

いつぞやも案内されたミーティングルームには最終形を含め三代の接続機が並んでいる。
部屋の内装自体は無機質な雰囲気なのだが、漂う達成感が周囲を暖めていた。

天井「性能試験は?」

布束「臨床でテスト済みよ。Of caurse, 被験者を募る前に私も試したわ。データは52ページね」

言われて手にある資料を繰る。
相変わらず充分には数値の意味を汲めないが、専門家が言うのだから問題は無いのだろう。

布束「Whatever, じっと椅子に座っている感触に全身運動の感覚が重なるのには辟易したけれどね」

身体を稼動させる部分については未だ製作にも入っていないため、「動作した」という情報だけを脳に送るテストになった訳だ。

……本体であるそちらも、かなり軌道に乗ってきている。
能力の発現には至っていないが脊髄から望む信号を引き出すことには成功し、同時に微弱なAIM拡散力場の揺らぎを観測していた。

担当者「他に、万が一にも使用者に過剰な負担が掛からないよう、リミッタを設定しています。
    想定外の信号が外部から送られた場合、最大で――」

ふむと頷きながら聞く。
医療器具である以上、安全性は最重要といっても過言でない項目である。
彼の説明によると、利用者の脳波から逆算した転送量限界を超えるような信号は自動的に低減、削除されるらしい。
つまり誤って十億本の腕が一斉に動いたような情報量がこの接続部に殺到しても、一定以上は切り捨てられるということだ。

天井「分かりました、ありがとう」

担当者「要件の詳細は布束さんと確認済みです。4ページのリストをご参照ください」

布束「Surely, 問題無いわ」

では、と。
衝撃緩衝材の敷き詰められたジュラルミンケースにここ数ヶ月の結晶が横たえられる。

担当者「試作品の二つについては、後日厳重に郵送いたしますので」

天井「えぇ。是非、本体の製作の際もよろしくお願いします」

布束曰く、作業過程での連携も良好とのことだった。
きっとまたここに依頼することになるだろう。

担当者「いえいえ、こちらこそお願いしますよ」

にこやかに頭を下げる向こうの担当の手を握る。
ケースが閉じられる瞬間、眉間に当たる部分の合金がぴか、と明かりを反射していた。
研究の先行きを暗示するように。


そして奇しくもその二日後、天井は脊髄がたゆたうケースの外周に僅かな放電を確認した。


531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 17:13:31.93 ID:qwz73zMSO
どきどき
532 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 17:13:37.66 ID:HFihbJ4z0


口の中にほんのり甘味が残っている。
二重の意味で研究に一区切りが着いたことを祝って、テイクアウトしたいつぞやのケーキを布束と食べたのだ。
味も素っ気もない会議室でだったが。

そう、持ち帰り用の梱包はただの箱の癖に300円もした。
それもそのはず本当はただの箱などではなく、
二重の底や壁の間に組まれたばね状の用紙が的確に振動や傾斜を逃がすという、とんでもない構造物だったのだ。
実に技術の無駄遣いというか、しかし一周回って画期的というか。

天井「学園都市らしい、といえばそうなのだろうな」

暗く偏執的な実験が行われている横で、こういった、生活を少しだけ便利にする技術も実用化されている。
きっと自身の研究も――、


ピリリリリリ、ピリリリリリ。


不意に、ズボンの横ポケットで携帯電話が呼んだ。


533 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 17:14:03.65 ID:HFihbJ4z0


脊髄を用いた能力の再現に取り掛かってから、天井は以前より進んだトラウマの治療を行ってきた。

恐怖を感じる行動だけでなく、それに付随した思考や反応の整理。
メールの件を最後に対象に関わっていないため、その時のこと、学会で会った時のことを思い返し、
また検索した電話番号を携帯電話に入力して指を掛けては、ガリガリと書き付け眺め直した。

あるいはするすると左右に反復する画面上のボールを目で追い……と、流石に独学では危なそうだったので止めたのだが。
これと関連した、視線を動かすことによるリラックス法を取り入れた。

結果、芳川に対する恐怖心がフラッシュバック以前と同程度に薄れたのも小さいことだ。

少しずつ自身に覚えこませた自己を制御する癖、そのおかげで今、取り乱さずに済んでいるのだから。


534 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 17:15:17.81 ID:HFihbJ4z0



木山『そうか、発現に成功したのか、おめでとう。ごく限定的とはいえ、能力のポータブル化とは』

木山『ほう。接続機器も完成したか。……三度の試作、ね』

木山『やはり一度そちらに行くよ。僅かに発現した能力を身体制御に繋げるには、AIMの知見も必要だろうからね』

木山『そう、ついでに頼みがある。軽量化前の二台で良いから、こちらに貸してもらえないかい』


木山『――気にしなくても良い、これはただの「お願い」だよ。分かっているだろう?』



535 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 17:15:48.39 ID:HFihbJ4z0



今日はたまたま電話で、報告をいつものように課され。

機械と電波を隔てた声は、身勝手にも要求する。
視界に届いた獲物に爪を掛ける獰猛な猛獣のように。



536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 17:17:43.00 ID:qwz73zMSO
ヤッベェエ
537 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 17:18:28.31 ID:HFihbJ4z0


>>+2
天井は……
※どう返答するか
(大まかな方針でも可、具体的な台詞の場合若干語調を弄るかもしれません)


>>533 の参考:EMDR、コラム法
 ググった程度(ry
 興味がある方はきちんとしたソースをご確認ください
 この文中の事項を信用しちゃダメ絶対


538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 17:26:58.28 ID:qwz73zMSO
それを使って何をする気だ?例えば、巨大なネットワークを持つ並列演算装置を使って何かしたいとか?ksk
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 17:28:39.81 ID:gz5UJfPHo
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 17:29:49.32 ID:sb7cgbS70
製作元に追加発注を伝えるが、製作元の返答次第では1台しかまわせなかったり、すぐに2台は貸せない可能性もある
2台全てそちらに貸すと関係を怪しまれてしまうし、そうなるとそちらも困るのではないか
と伝える
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 17:43:03.63 ID:qwz73zMSO
関西のやつやって、何度か問答してから俺のやるべきだったクソッ
542 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 17:53:05.03 ID:HFihbJ4z0


さながら自身は、脚を折った草食動物。

違う。
圧倒されるな。

この繋がった電話のラインを手繰れ。

天井「……それを使って、何をする気だ」

木山「本体の研究に協力するんだ。そちらの仕様も良く確認しておいた方が良いだろう」

ふふ、と小さな空気の音。

天井「スペックなら受け渡し時の最終仕様書に纏まっている」

木山「実際触れてみなければ分からないことも――」

天井「例えば」

遮る。
茶番など要らない、互いに。

天井「例えば巨大なネットワークを持つ並列演算装置で、したいことがあるのか?」

木山「ふぅん……? どこでそういう話になったんだい。興味深いな」

天井「なら何が――」

木山「強いて言えばね。振られたのさ、演算装置様に」

意趣返しにか被せられる返答。
それはどこか焦点をずらしたようなものだ。
あるいはどこか齟齬があるような、

木山「どうした、電波でも悪いのかな」

天井(くそっ、鼠の尻尾を押さえた猫のつもりか!)


>>+2
天井は……
※どう返答するか
(大まかな方針でも可、具体的な台詞の場合若干語調を弄るかもしれません)


543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 17:59:39.53 ID:sb7cgbS70
>>540
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 17:59:50.32 ID:qwz73zMSO
振られた、ねぇ……否定はしないんだな。なら、巨大な並列演算装置並みの何か、つまり、本来使用したかったのはツリーダイアグラム……かな?

引きこもりがちな貴女がそこまでの心動かされる事があるとも思えないなksk
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 18:30:54.26 ID:sb7cgbS70
天井は、どうも木山絡みになると焦り過ぎだな…裏に関わっていた頃のトラウマでも刺激されるのかな
話は変わるが、そろそろ那由他の治療の話が来てもいいと思うんだが、もっと先なのか、冥土が一人で治療してるのか…
那由他は木山の教師時代のことを知ってるから、情報源兼今後の協力者候補として期待していたんだが
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 18:33:01.37 ID:LHfq8Bjto
kskが付いてるけどこれが採用されるの?
547 :上のレス分鍵括弧間違ってるしorz ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 18:37:36.93 ID:HFihbJ4z0


天井「振られた、ね。……否定はしないのだな」

木山『否定というか、そうだな。そういう発想もあるのだなと思ったよ』

相手の調子はどこか熱に浮かされ、午睡の夢を語る子供のようだ。
少しずつ、能力者でもないのに現実が食い違う錯覚。

天井「なら、巨大な並列演算装置並みの何か、つまり、本来使用したかったのは樹形図の設計者……か?」

木山『応えてはくれなかったがね。
   自分は常々アピールの無い容姿だと思っていたが、機械にまで無碍にされたのはショックだったよ』

それとも元から食い違っていたのか。
あぁでも私を振ったのは交信施設の職員かな、と何が面白いのか一人で喉を震わせている。

天井「引きこもりがちな貴女にそこまでの心動かされる事があるとも思えないな」

木山『そうかい? この都市の研究者は簡単にあれに保険を求めるじゃないか』

おどけた声。
それは一つの印象を与える。

脊髄を使うことを思い付いたあの時の私と同じく、ふと目の前が明るくなったような、そんな高揚感。


>>+2
天井は……
※どう返答するか
(大まかな方針でも可、具体的な台詞の場合若干語調を弄るかもしれません)


548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/13(金) 18:40:54.17 ID:kkDrWi/AO
コンマ判定の成功や失敗で天井の心境を想像できるのが面白いな。
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/07/13(金) 18:43:06.40 ID:VXZOfGX8o
安価取るの失敗してたらkskって意味なのか安価↓ksk
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 18:46:06.28 ID:sb7cgbS70
>>540
551 :上のレス分鍵括弧間違ってるしorz ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 19:23:05.76 ID:HFihbJ4z0


寒くもなく、ただ震える肌の上を水滴が辿る心地がした。

天井「――分かった。追加でSプロセッサ社に発注を掛けよう」

木山『わざわざそこまでしてくれるのかい? 小型化する前のもので良いのだが』

天井「そうか、ではそちらを、手配しよう」

だが、と。
電話の向こうの満足そうな気配に意図して水を差す。

天井「向こうの返答次第では、すぐに両方そちらに回すのは難しいかもしれない。
   それをおして二台ともあなたに貸せば関係を怪しまれる可能性がある。それはそちらも困るのではないか」

木山『怪しい? 何を言う、私達は共同研究者だ。世に憚ることなんて無いじゃないか』

が、普段とはうって変わり躁状態のような木山は、言ってみれば灼けつく烈火。
こちらの抵抗など意にも介さなかった。

木山『できるだけ早く頼むよ。ではな』

そう残し、遠距離を結んでいたラインはぷつりと切れた。


552 :名前欄残ってたしorz ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 19:24:47.31 ID:HFihbJ4z0



何かが乖離しているような気がした。

木山と自身が。
もしくはこの場所自体と。

平凡で悪辣な科学の街に未来の記憶を落とした時のように。

いつか鏡の中の自分から得た認識を正す。
あの天井はこの天井と別人であり、しかしあの天井はこの天井の中に存在している。

そして内に存在する天井の傍には、今でも同じ顔をしたクローンたちが歩いているのだ。


天井「ミサカ、ネットワーク、か。ここにはそんなもの、無いというのにな」



553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 19:39:32.72 ID:qwz73zMSO
木山に対し今後levelアッパー潰す為の布石が置けただけよし…かな?
554 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 20:19:51.78 ID:HFihbJ4z0


外の空気が吸いたい。
現実の空気を。

ふらり、と廊下を歩み施設の正面玄関へと。
ここ二年の習いで、無意識に備え付けのメールボックスを空けた。
面倒な手順の要るダイヤル錠などではない、静脈や複数の生体認証は簡単に開く。

建築工学の実験を兼ねるというマンションの案内を一瞥し捨てる。
もう一つの茶封筒を差出人も確かめず破り開く。

数枚重なった紙が、はらりと落ちた。

柔らかな風はそれを避けているかのように、折られた浮いた縁を震わせもしない。


555 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 20:20:19.65 ID:HFihbJ4z0




      「絶対能力進化実験」




556 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 20:21:41.76 ID:HFihbJ4z0


天井「ば、かな」

布束「どうしたの……、Oh! あなたにも、来ていたの?」

偶然通り掛かったのか。
取り乱したところを見せてしまった。
――あなたにも? 何がだ?

布束「Yet, 今の研究と両立できるか微妙なところね……っちょっと、急に何事!?」

まるで場を誂たかのようにその小さな手にある封筒をもぎ取る。
その中身の文面を機械的に脳に流し。
慌てて拾い上げた自身のものと比べ。

布束「ちょっと返して、…………どうしたの、どうしてそんな真っ青なの」

今までにないほど困惑した声が右から左へと通り抜ける。

第三位「超電磁砲」との一二八回の戦闘を経た、絶対能力進化。
今夏より前準備を開始し、万が一にも第三位を失うことがないようクローンを用い――。

布束への手紙にはある程度踏み込んだ実験内容と、是非協力してほしいといった文面があった。
自分に宛てた、具体的な内容がほぼ書いておらず、もし可能なら参加してくれ程度のものと違い。

春の陽気は図ったようにこの身体を避けていく。


557 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/13(金) 20:23:25.88 ID:HFihbJ4z0


>>+2
>>+4
>>+6
絶対能力進化実験に関して、どうするか
方針的なのでも可

1レス1つまで、複数書いてあった場合最初のを採ります
同じ人が複数取るのは不可です


・ちょっとサブイベント(自由行動安価)に浮気して本筋が遅くなっていたので、
 今日は駆け足気味です
 やっと起承転結の「転」の季節


・申し訳ありませんが、こんなところで今日は終わり&明日はお休みです
 明後日もできない可能性が結構高いです

 来られない間に安価から妄想してきますので、よろしくお願いします


558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/13(金) 20:43:30.99 ID:q5a0I/zt0
ついに来たか。 美琴が動き出すのいつだったっけ?

可能なら美琴とコンタクトしておいた方がいいのか?
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/13(金) 20:49:54.53 ID:kkDrWi/AO
≫558で

実験を阻止すりにも、関わらないようにするにも

なんらかのきっかけになれば
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/13(金) 20:52:25.10 ID:Fk1we70v0
できれば関わりたくないところだがそうもいかんだろう
あえて参加して内側からブレーキをかける方向で動くってのはどうか
危険すぎるか
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 20:53:47.28 ID:sb7cgbS70
冥土帰しの所に行き、実験について伝え、この実験について語り合う
できれば布束も連れて行って、実験の危険性がしっかり伝わるようにする
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/13(金) 20:59:12.91 ID:Fk1we70v0
>>561
危険性って例えば能力者のクローンを量産することによる反乱の可能性とか?
コレって下手に問題点を指摘するとソレを解決するような何かが生み出されて
阻止がより困難になっていく可能性もあるな
上記の例なら、最終信号とか
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 21:01:36.86 ID:cUvo7Q6so
積極的には関わらないようにするのが良いんだろうが、情報収集はしておきたい所だな
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/07/13(金) 21:06:47.01 ID:9epGeGTvo
来てしまったか・・・やっぱりトカゲの尻尾扱いなんだろうか
アレイスターさん恩を仇で返しやがったwwww
恩だなんて思って無いだろうがな!
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 21:08:06.99 ID:sb7cgbS70
布束は量産能力者計画に参加してないようだな…天井との共同研究で時間を取られてた所以かね
結局美琴のDNAマップ提供にも干渉しなかったし…というか、いつレベル5になったんだよ

自分が言う危険性は、参加者が責任を押し付けられて切り捨てられる危険性だよ
学園都市主導でこういうことしてるってのが漏れたら、大変だし
布束は元々そういう場合のスケープゴートとして参加させれてた人物だから、
今回も参加すれば、責任を押し付けられて切り捨てられるのは明白
566 :携帯>>1 ◆WWqRalPcWM [saga sage]:2012/07/13(金) 21:13:28.11 ID:SIAer+3DO

・大事な場面で 致命的な ミス
 矛盾が生じてしまうので、恥ずかしながら>>556を差し替え
 修正点については察して下さい


・こちらを見た上で安価内容を変えたい場合、
 本人(同一IDの方)のみ、今日一杯まで変更受け付けます



天井「ば、かな」

布束「どうしたの……、Oh! あなたにも、来ていたの?」

偶然通り掛かったのか。
取り乱したところを見せてしまった。
――あなたにも? 何がだ?

布束「Yet, 今の研究と両立できるか微妙なところね……っちょっと、急に何事!?」

まるで場を誂たかのようにその小さな手にある封筒をもぎ取る。
その中身の文面を機械的に脳に流し。
慌てて拾い上げた自身のものと比べ。

布束「ちょっと返して、…………どうしたの、どうしてそんな真っ青なの」

今までにないほど困惑した声が右から左へと通り抜ける。

電撃使いである御坂美琴との一二八回の戦闘を経た、絶対能力進化。
今夏より前準備を開始し、万が一にも貴重な才能を失うことがないようクローンを用い――。

布束への手紙にはある程度踏み込んだ実験内容と、是非協力してほしいといった文面があった。
自分に宛てた、具体的な内容がほぼ書いておらず、もし可能なら参加してくれ程度のものと違い。

春の陽気は図ったようにこの身体を避けていく。


567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 21:14:56.77 ID:sb7cgbS70
そういえば、天井って独力で最終信号を作れるんだろうか…普通の妹なら量産できるみたいだけど
568 : ◆WWqRalPcWM [sage]:2012/07/13(金) 21:15:44.42 ID:SIAer+3DO

・あああもう指摘されてた……
 なってないです超能力者、本当にすみません

569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 21:32:50.45 ID:sb7cgbS70
あれ、御坂美琴がレベル5でないのなら、量産能力者計画はどういう計画だったんだ…そもそもそんな実験なかったのか
レベル5を量産するのが量産能力者計画だよな、レベル5でない奴のクローンがどうしてレベル5になれるんだ
素養格付は機密中の機密のはずだし、第2位か第4位あたりのクローンでも作ったんだろうか
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 21:38:50.28 ID:sb7cgbS70
考えてみれば、「樹形図の設計者」で確実にレベル5になると確認されたという風に上層部が誤魔化せば済む話か…
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:42:16.91 ID:VsVwT9gDo
☆のプランだし無理矢理でも通したんじゃないか?
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 21:47:15.38 ID:sb7cgbS70
無理に通したとすると、量産能力者計画は有用な能力である電気系統の大能力者を量産する計画ってあたりかな
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/13(金) 21:48:59.11 ID:TyWghHJz0
天井君が来たことで量産能力者計画を挟まず直接絶対能力者進化計画に使われるのか……
こうなると木山てんてーは計画を知っている……のか?
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 21:52:53.19 ID:sb7cgbS70
絶対進化能力実験まで来て、今まで感じなかった凄いバタフライ効果を感じるな…興味深い
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/13(金) 21:59:33.44 ID:sb7cgbS70
御坂美琴は本来なら量産能力者計画の時点でレベル5のはずなのに、
謎のバタフライ効果によって、未だレベル5に届かずってことになるのか
いや、それとも繰り返す前でもこの時点ではレベル5ではなかったのか
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 22:21:21.31 ID:VsVwT9gDo
>>575
公式でもまだとどいてなかったはず
レールガン参照
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 22:37:30.67 ID:zEo0tiMl0
素養格付でレベル5になるのが確定してるけど、現時点で超能力者じゃないからただの電撃使い程度のクローンを作って実験とか一見意味不明なお手紙になってるよなぁ
何も知らずにコレ読んだら、「は?」みたいにならないか
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/13(金) 23:38:13.52 ID:Fk1we70v0
普通は「は?」となるはずの手紙見た時の天井の反応ェ…見られちまってるが大丈夫か?
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/14(土) 00:01:07.38 ID:Gt3zEnU70
まさか☆に…
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/14(土) 00:28:18.58 ID:e1RAKsAI0
安価は御坂とのコンタクト、カエルと相談、情報収集か…

相談内容が問題だな。全部伝えても信じられないし、内容も危険だからなー
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/14(土) 01:38:22.83 ID:bZ8BuyhR0
カエルと相談の安価を取った者だが、こちらの意図としてはループのことは一切伝えないつもりだった。
天井にはこういった裏絡みの問題を相談できる人物は冥土しかいないし、冥土は人脈も広いから、
今後密接に情報交換する程度で話がまとまれば御の字だと考えていた。
布束を連れて行くのは、二人の話から実験に参加することがどれだけ危険か理解させて、辞退を促すつもりだった。
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 01:44:09.32 ID:CnZMO6ZSO
まぁ布束に関してはそれが一番だよな…

にしても、みこっちゃんの現在levelがわからんが、仮にこの時点でlevel4だったとしても、level6シフトの大前提が崩れてるし、計画内容を知ったその辺の研究者がある程度計算し直す、あるいはデータ洗う等ですぐに矛盾点見つかる気がするんだけど
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/14(土) 02:02:34.26 ID:bZ8BuyhR0
個人的な見解としては、今回は布束を実験から抜けさせることに成功したら、それ以上は実験には関わらずに
情報収集だけにとどめたい。理由としては、一方、御坂、上条といったキーとなる人物に面識がなく
天井にも身を守れる力がないし、実験を完全にやり過ごすことができるのか確かめたい。
この周で実験を完全に実験をやり過ごすことができれば、次週の天井は精神的余裕を持って、
間違いなく実験に捉われずにフリーダムな行動をしやすくなる。
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 02:20:22.10 ID:CnZMO6ZSO
上条さん、みこっちゃんがどのタイミング、深度で関わるかはわからんがとりまシスターズは見捨てるのか…無難ちゃ無難でそれもいいかもな…関わるか、実験潰すとアレイスターに潰されそうだ…ほぼ確実に目をつけられたろうけど…

ん?でも仮に一方さんや上条さん、その他の主要人材にコネクションがあった場合は天井くンが動く、あるいは誰か動かして止めるのか?

個人的には一方さんを味方に引き入れて有利に動かして行きたいが
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/14(土) 02:30:37.18 ID:bZ8BuyhR0
今回の周回はトラウマや自分が違法研究に関わらずにどう生きるかっていうループ前の宿題を
解決するので手一杯であまり自由に行動できなかったから、派手に動くのは宿題のない次週以降が
いいと思う。
今から一方や上条や御坂に会っても派手に動くには遅すぎないかな…準備とか仕込みとかも何もないし
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 02:36:04.86 ID:Gz/M1a8SO
見ない、聞かない、関わらないがベストじゃねーかな
あんな真っ黒な暗部なんだし、出来れば調査すらしたくないレベルで関わり合いになりたくないわー
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/14(土) 02:40:25.01 ID:bZ8BuyhR0
とりあえず自分が動く場合、武装したスキルアウトに確実に勝てて
暗部相手にある程度逃げられるように鍛えとかないと、襲撃されたら一巻の終わりだろう。
守ってくれる人がいればだいぶ変わってくるけど、天井を守ってくれそうな人なんていないし、
あらかじめ暗部落ちする前にアイテムメンバーあたりを保護して親代わりになって
学校に通わせるぐらいになれば別かもしれんが…そんなことできるのだろうか
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 02:48:03.13 ID:CnZMO6ZSO
それもそうか…。
ただlevel6シフトみたいに何故出たか正直意味わからん原作事件が予定調和で起こっていくとすると怖いな…後はなんだ?グラビトン、levelアッパー、みさきち、シスターズ、みこっちゃん襲撃(これでとばっちりで研究、研究所がパーが一番コエェ)、魔術関連、暗部抗争、一方さん関連…etc…オウフ
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 02:49:46.25 ID:CnZMO6ZSO
金で動くプロが一番信用できるな…砂皿くんとか…後はlevel5一人位は味方につけたいな…
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/14(土) 02:53:54.85 ID:bZ8BuyhR0
そういう伝手がないし、人材派遣に会うのはリスクが高そうだな…
そういえば、冥土と左腕の治療する時に、一方通行へのトラウマが解決した状態で黒夜に会えていれば
チャンスがあったのかな…高確率で失敗して後で殺されそうだが
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 02:57:42.48 ID:CnZMO6ZSO
黒夜か…まだ間に合うか?会えても体に関してと衣食住の提供の事以外でメリット用意出来ないが…
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/14(土) 03:22:29.16 ID:bZ8BuyhR0
いや、顔合わせてないから天井は黒夜の顔も名前も知らんし、この時点ではどこにいるのかもわからん

絹旗と黒夜を保護しようと思うと、やはり暗闇の五月計画の詳細な情報がないと厳しいかな…
でも裏に深く関わらんと手に入らない情報だし、天井が暗部に行ってもすぐ死ぬだろうし…
暗部落ち連中を保護するには情報を得るために、やはり一度木原になった方がいいのかな…
堅実に生きるのはもう飽きたと言わんばかりに、研究の際「木原レベル」で闇に足をつっこんで…
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 10:36:25.42 ID:C/fZznM6o
べつに、なにもかもに首を突っ込むこともないよね
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 11:07:57.96 ID:CnZMO6ZSO
関わらないってか巻き込まれるっつーか事件が向こうからやってくるっつーか…

病理さん風に言うと暗部堕ち連中と手を組むのは諦めた方がいいでーすってか?暗部堕ちと組むと抗争に巻き込まれたり研究が…もういっそ自身の研究応用を武装すればかなり強くなれそうだが…

木原に入るにしてもどうやれば入れるのか…あれか?やっぱ病理さん落とすか?
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/14(土) 11:09:31.23 ID:oR/hdFE10
そうだな…あくまでも「目的の達成」がクリア条件だから「貢献」である今は無理しなくてもクリアできる
これが「真実」とか「正義」とかだと極めて困難だ…達成する前に絶対死ぬと思う
「刺激」とかでも、早死にしそうだな…

そういえば、絶対能力進化実験の責任者って誰なんだろう…木原あたりだと原作より過激な実験になりそうだな
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/14(土) 11:13:47.03 ID:oR/hdFE10
実際「木原」になれるかはわからんけど、天井が裏に関わるならそういう方向性が一番いいんじゃないかと
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 11:34:13.63 ID:CnZMO6ZSO
木原亜雄(笑)

絶対能力進化実験の責任者がもし木山てんてーだったらクッソヤバイな二重にも三重にも面倒になりそうだwwwwww
原作に沿うなら芳川のよーな気はするが
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/14(土) 11:50:51.24 ID:oR/hdFE10
流石に木山はないと思うな、クローンと完全に縁がない人間だし…
でも、樹形図の設計者の使用と引き換えとか言われると快諾しそうだな…
待てよ、実験の詳細を知らされた上で誘われた場合、実験は適当にやって隠れてMNWに
並列演算機能を搭載して自分の目的に利用するかも…その場合幻想御手事件は起こらない
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 13:12:01.02 ID:C1oQGz1EP
今更だけど同じ奴が安価とってるって指摘されてた意味がわかったわ
っていうか安価以外の言動が酷いから嫌でも二人ほど目につくわな
当人は全く自覚無いから今後も続くだろうけど具体的に指摘しても空気が悪くなって荒れるからどうしようもないな
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/14(土) 14:07:53.39 ID:e1RAKsAI0
出身地と話してる内容でだいたいわかる。

相談するのは良いけど、方針を決めにかかるのはいかがなもんかと…

まあ、他の安価スレのようにメチャクチャな内容じゃなく良心的なののが救いだな
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 14:23:45.49 ID:bfhH5v000
まぁ予測や方針についての議論はともかく
忘れちゃいけないのは、今現在の天井は失敗ループのルールには気づいてないので今を一生懸命に生きると思うよ、と
次の周回にいけばループに気づくだろうし、何回かすればループ条件の考察もするだろうけど
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/14(土) 14:53:29.48 ID:LP+0tzwKo
すこし自重しろ
何レスも使いすぎ
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/07/14(土) 18:12:40.33 ID:ObZZKbtgo
安価スレで自重とかおかしくね?
スレチはダメだが
物語を良い方向に進めるために話し合うんならいいだろ別に
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/14(土) 18:37:33.09 ID:Yzb9VVXq0
うわあ
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/15(日) 01:17:35.18 ID:Yx1AdF95o
スレ的に、参考にするかは別として議論は良いんじゃないか?普通の安価スレとは毛色が違うしな―
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/15(日) 01:31:35.61 ID:hS9bcPFL0
毛色が違うっていうかレベルが高い、異様に高い
この書き手、いったい何者なんだ……
そしてここまでの出来の良さゆえに怖い
突然来て物語ぶち壊すことを明確な目的として鬼畜安価狙撃して
あげく「安価は絶対」をわめき散らす
そんなヤツが出ないかがマジで怖い
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(佐賀県) [sage]:2012/07/15(日) 02:05:31.46 ID:g8qUZEw/o
安価スレである以上仕方ないことだな
逆に今までぶち壊されなかったことのほうが奇跡的だろ
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/15(日) 02:10:26.71 ID:Yx1AdF95o
まあ、そこはうまく>>1が対処してくれることを祈ろう 
今までのレスから、住民のことを考えてくれてるみたいだし と楽観視して見る
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/15(日) 16:28:07.45 ID:Zu/uZKDDO
万事において死人が出なきゃ成功だよ
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/07/15(日) 20:37:11.30 ID:2qnpqAwT0
そもそも学園都市にいる限り、研究の合法非合法問わず裏に関わろうが関わるまいが功績や実績を挙げたら必ず暗部及び☆の目に付いちゃうだろうからなぁ
生き残る事のみが目標なら研究とか全部捨てちゃって上条さん達の学校の教師として普通に働いた方が安全なような気がしてきた
611 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/16(月) 09:18:38.43 ID:KUiYkeqV0

・ただいま戻りました、再開します
 昨日は来られるかの連絡もできずすみません

 間が空いてしまいましたがよろしくお願いします


・以前より人が増えたので、試験的にコンマ以外の安価の連続取得NGにしてみましょうか
 コンマは(連投でなければ)同じ方が取っても可&連続の判断に含めません

 >1 (行動安価)
 >5 (コンマ判定)
 >9 (コンマ判定)
 >13 (設定安価)
  ※各安価間の本文省略

 上記のような場合、>1 と>5 と>9 を同じ方が取るのはOK、
 >1 と>13 を同じ方が取るのはNG、という感じでいきます

 特に明日以降、進行が著しく遅れるようなら戻します


612 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/16(月) 09:19:42.32 ID:KUiYkeqV0

・状況を再度纏めました
 表を綺麗に出せなくて涙目……

【時系列】
2周目スタート時を1年目と表記
目安として、春:3-5月 夏:6-8月 秋:9-11月 冬:12-2月


1年目春|クローン部門に異動  |クローン部門に異動、医療部門に重点
   夏|           |
   秋|           |
   冬|           |
2年目春|           |
   夏|           |
   秋|           |冥土帰しの治療協力
   冬|           |長点上機学園の付属施設に移籍
3年目春|           |
   夏|           |
   秋|           |開発の指導開始
   冬|           |木山と提携
4年目春|           |
   夏|(一方通行vs軍隊)  |能力者暴走事件のため避難
   秋|(美琴DNA提供)    |
   冬|           |接続部分の製作着手
5年目春|           |接続部分の完成、絶対能力進化実験への招聘、今ここ
   夏|           |絶対能力進化実験の開始予定
   秋|           |
   冬|           |
6年目春|           |
   夏|           |
   秋|量産型能力者計画着手 |
   冬|量産型能力者計画頓挫 |
7年目春|絶対能力進化実験着手 |
   夏|           |
   秋|           |
   冬|           |
8年目春|           |
   夏|           |
   秋|           |
   冬|           |
9年目春|           |
   夏|絶対能力進化実験頓挫 |


【現在の天井】
仕事:医療クローニングの分野で筋ジストロフィー治療を研究中
   布束、木山、Sプロセッサ社と共同、提携
   絶対能力進化実験の参加依頼が来た

身体:概ね健康
   同年代男性の平均より若干勝る筋力
   身体操法習得中

精神:芳川に対するトラウマはある程度改善
   一方通行に対するトラウマほぼ完治
   以前より自分をコントロールできるように
   ちょっと研究外の人付き合いに慣れた


613 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/16(月) 09:22:09.14 ID:KUiYkeqV0


がちゃがちゃがたばちばちばちばち。

指が縺れるのも構わずキーボードを叩く。
小さな研究室の中、応対用のテーブルに着いた布束は落ち着かない様子でこちらを、手元を、入り口のドアを、と視線を彷徨わす。
天井は部屋の最奥のデスクで無為にPCを弄っている。

天井(何故だ。絶対能力進化実験が開始されるまであと二年はあったはず。そもそもあれに流用されるクローンなど作っていないのだぞ!?)

それとも。
未来のことを知っているという、自身の認識が誤りだったのか。

顔を上げれば、ゆると動く布束の目とかち合った。

突然の招聘に脳裏が憔悴で染まり、矢も盾も無くここまで引っ張って来たのだった。
到着すればただここに居るようにと伝え。
天井の剣幕もあって困惑している少女は、しかし辛抱強くこちらの動きを待っている。

天井(あの記憶を疑うのは……必要だが、優先度は低い。今は状況を整理しろ!)

だがワープロソフトの画面には支離滅裂に単語が並んでは消えるだけ。
脇に開いたブラウザのブックマーク上をカーソルが揺れる。

記憶の中、なし崩しに実験に参加した自身の結末は、もう何度も反芻した破滅だ。
だが未来の布束の消息といえば、途中で実験を妨害しようとしメンバーを外されたところまでしか耳に入っていなかった。
都市の悲願である絶対能力進化に牙を剥いた人間がどうなるかなど考えたくもない。

天井(くそっ……冷静になれ。冷静になれ! そうだ、少しでも情報を!)

混乱に焼け付きそうになりながら、脳のメモリの僅かな余剰で必死に指を動かす。

書庫の検索結果1件。
モニタに表示されるのはとある能力者のデータ。
御坂美琴。
「後の」超能力者第三位である。

そう、今調べたデータによれば御坂は現在強能力者だ。

天井(っ、どういうことだ?)

あからさまな齟齬に、逆に少しだけ頭が冷める。

布束に届いた手紙には、この実験計画は樹形図の設計者の予測演算による、とある。
超電磁砲が一方通行の戦闘相手として指定されたのはレベルが同格で、かつ戦闘や応用性に長けていたからだと思っていた。
あの記憶での計画発足時には既に超能力者になっていたから。

能力の伸び率から強度の上昇が推測されている?
しかし開発とはそう単純なものではない。
受ける時間割との相性や思考、感情の動き、そういったものに大幅に左右されコントロールは困難だ。

一方通行が絶対能力者になれるというのと同様に樹形図の設計者が第三位への昇格を弾き出したのだろうか。
もしくは、

天井(超電磁砲――いや、御坂美琴が選ばれたのは、超能力者だからではないのか?)


614 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/16(月) 09:23:21.36 ID:KUiYkeqV0


他にも妙に思えることはある。

文面を信じるなら実験の回数は一二八回、それは第三位本人と戦った場合の試算だ。
また「殺害」ではなく「戦闘」。
それなのにクローンを用意する名目が「万が一にも貴重な才能を失うことがないよう」などとは、下手な冗談としか思えないが。

天井(大した面の皮だ、どれだけの非合法実験を暗に認めているというのに)

手紙の差出主であり名目上の責任者は天井も知る研究者、胡散臭い話し方の外国人のもの。
だがこの実験には都市のごく上層の多大な肩入れがあると知っている。

この食い違いは、本来の内容をぼかして参加を募るためのものなのか。
もしくは天井が参加したあの実験とは、名を同にする別物か。
そもそもの開始時期のずれは。


天井「――布束」

さんざ待たせたにも関わらず、彼女は静かな目でこちらを促した。
声を掛けた瞬間には不安げな身じろぎも消えている。

天井「頼む。参加するか決めるのは待ってくれないか。その前にどうしても会わせたい人が居る」

布束「I know. 返答期限に間に合うなら、良いわ」

それは迷いの無い即答だった。
こくりと頷き、また上げた視線は真っ直ぐに天井のものと繋がる。
ぶれない態度は次第にこちらの動転を静めていく。
事の大きさを知らないがゆえだとしても。

天井「ありがとう」

参加の肯否を連絡する期日は十数日後で、実験が動き出すのは今夏。

都市の闇に足を突っ込まないようにしてきた自身には、裏側の事情を安心して話せる人間が限られている。
メーラーソフトのアドレス帳から世話になっている医者の名を引いた。
一方的に助力を仰ぐことに申し訳のなさを覚えるが、それでも手は止めない。

情報を得るため、意見を聞き考えを纏めるため。
そして、この実験が孕む危険性について布束に伝えるために。


>>+1
ところで木山の件について、接続機二台は要求通り手配するか


615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 09:40:57.59 ID:bbZ4K1oIO
yes
616 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/16(月) 10:05:50.69 ID:KUiYkeqV0


無理に連れてきたことを詫びて布束を送り出すと、急に悪寒が襲ってきた。
専門書の並ぶ室内はいやに空虚で、真空中に一人取り残されたように寄る辺なく思う。

天井「……失礼にあたるな。冥土帰しを頼っておいて何を思っているのだか」

そうだ、相談を持ちかけられる相手がいる時点でまだ自身は一人ではない。
どうしてか実験から遠ざけたい相手も。
誰も助けず、誰にも助けられないまま終止符を打たれたあの記憶を思う。
冥土返しはきっと嫌な顔もせず予定を都合してくれるのだろう。

強張った手を解すように揉み、閉じられていた窓を全開に。
ドアの方も細く開けて固定すれば空気がさらさらと入れ替わっていった。
書籍に溜まった埃っぽさは嫌いではないが、今は新鮮な新緑の匂いにさらされていたい。

天井「調べられるだけのことは調べよう」

実験の内容が真実「以前」と異なるなら、参加も考慮できるかもしれない。
天井は未だ硬い首をごりごり回し再度PCに向き合った。

天井「…………あぁ。木山の方も放置はできないか」

木山が勤務する小さな研究所の住所が、念のためとメールで届いていた。
可及的速やかにここに届けろという無言のメッセージ。
先ほど話していた時の――それはもう遠い以前のようにも思えるが、あの興奮状態では機嫌を損ねた時の落差が怖い。
実験の手紙のせいで相対的に重要度は落ちたものの。

一瞬だけ、迷った。
望み通りに接続機を渡してしまって良いのか、と。

天井「だが。ああ言ってしまった以上不自然に遅れれば、強硬手段に出てくるかもしれない」

二方面作戦を通すにはこちらの戦力が少なすぎる。
木山の思惑も大概不穏なのだが、より危険性の高い方に今は集中したかった。

Sプロセッサ社の担当に、こちらへと送ってもらう予定だった試作型の発送先の変更を伝える。
簡潔にメールを送れば、息を吐く間もなく調査に取り掛かった。

天井(量産型能力者計画に類するクローン生産の様子があるか。第一位の状況、第三位――違う、御坂の状況)

休む暇も休む気も無い。

天井(他に、誰に参加要請が……芳川は参加するのか? Sプロセッサ社は関連企業になるのか?)

次々と浮かぶ疑問符を書きとめ、検索。
冥土帰しに会うまでに、表側で得られる情報は全て洗うくらいの心積もりだ。


>>+1
特にこれは調べたい、ということがあれば

>>+2
調査の成果
※コンマ判定  ★修正なし

  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル


・行動安価の複数指定について
 1つまで、と明記されている場合以外は複数書いても大丈夫ですが、
 多く書けば書くほどそれぞれの効果(この場合は調査結果)は下がります

 またあまりにも多すぎる場合、適宜こちらで数を減らします


617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/16(月) 10:42:13.32 ID:0WztvhAS0
量産型能力者計画に類するクローン生産計画の存在とプロセッサ社は関連企業になるのかを調べる
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/16(月) 10:43:01.96 ID:Em/hI6sAO
頼む
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/16(月) 10:43:48.42 ID:Em/hI6sAO
おし、クリティカル?
620 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/16(月) 12:34:44.73 ID:KUiYkeqV0


天井「……前提から探ってみるとしよう」

記憶では、超電磁砲を複数回殺害することが不可能だという理由で、超能力者の量産としては失敗した妹達に白羽の矢が当たったのだ。
もしかしたら同様の計画がどこかで既に行われ、レベル2〜3程度のクローンが試作されているのかもしれない。

天井「いや、現時点で超能力者でもない御坂美琴のクローンを作る理由が無いか?」

天井が量産型能力者計画を提唱したのは、軍隊とも張り合える超能力者のDNAマップの存在を知ったからだ。
オリジナルが高々強能力者では、クローンを大量生産する意味は。
強いて言えば電気的ネットワークによる相互学習機能などは有用かもしれないが。

ともあれ、まずは設備の方向から調べていく。
全身を丸々複製するにはそれなりの規模が必要だ。
遠い記憶の中から、外部委託の際の引継ぎ施設を引っ張り出してみる。

天井「かなりの数になるが。手間を惜しむ状況ではないな」

その一つ一つについて、近頃の動きを調査することにした。
また最近公開された論文の中にも、全身クローニングに関連したものが無いかどうかを。
挙句の果て、以前の同僚にまで連絡を取り、能力者の複製にまつわる情勢を聞き出したりもした。


そして数日、天井の目から見て現況でクローンの大量生産をし得る施設は見付かっていない。

と、こんこんと研究室の扉から軽い音がする。
入室したのは共同研究者の少女。

布束「Excuse me. 彼、特にそんな感じのことは言っていなかったけれど」

天井「そうか、ありがとう」

彼女には、接続機のメンテナンスや次回の打診を交え、Sプロセッサ社の担当から話を聞き出してもらっていた。
当然踏み込み過ぎない範囲でだが。
共同で作業した時間の長さから布束の方が気安く話せるだろうと、敢えて頼んだのだった。

前の記憶でも学習装置の制作会社であること、途中で実験を引継いだというだけで、
初期段階では関連企業に加わっていないだろうと予想したためでもある。

布束「ねぇ。あなたがここまで気にするのって、As I thought, ……」

天井「――すまない。明後日には必ず話すよ」

そう言うと、布束は呆れたようにこめかみに手を遣り全くもう、と呟いた。


621 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/16(月) 12:35:24.65 ID:KUiYkeqV0


一人に戻れば、頭を抱えたいのはこちらも同じだった。
判断に要する情報量が多過ぎる。

天井(つまり未だ実際のクローン製作はなされていない、のだろうか)

それならば実験が全一二八回になっているのも納得できる。
クローニングにより御坂のスペックを再現できず、遥かに劣る能力強度で再計算した結果が二〇〇〇〇回の戦闘だったのだから。

天井(待て、今の御坂美琴のレベルでは、妹達と大して変わらないのでは?)

ならば本人と戦う場合でももっと多い回数が必要に思える。
やはり樹形図の設計者により超能力者になることが判明済みなのか。
そのような予測演算が可能なのか天井には分からない。

天井「御坂美琴……九歳、強能力者」

開発に力を入れている小学校に通い、本人も積極的に研究所でのプログラムに参加。
能力の伸びは良く、発現からかなりのペースで成長して今に至る。

天井「一度、会ってみるか?」

実験の相手が御坂でなければならない理由や、現在レベル3にも関わらず一二八回の戦闘で第一位を絶対能力者へ導けるとされる要因。
本人と話すことで何か掴めるかもしれない。
時期的にDNAマップの提供は既に行われているはずなので、それを阻止することはできないが。

常盤台中学校に通う前の状態ならそこまでガードも固くないはず。
それこそ、ごく近くに籍があるものの表舞台に現れない超能力者に比べれば対面は簡単だし安全だ。
あれも今のところ大きな問題は起こさず、方々で研究協力を繰り返す生活をしているようだったが。

天井「流石にスケジュールの詳細までは分からない、待ち伏せのようなことをするのは心外だが仕方がないか」

傍らの携帯端末にメモリを差し込む。
画面に表示されたのは、御坂美琴の通う学校および付属寮の地図。


・ところで、冥土帰しに伝える内容

現在の予定:布束への手紙に書かれていること

>>+1
>>+2
他に伝えること

>>+4
>>+5
伏せておくこと
(上記で決まった内容を打ち消したり制限したりするのはNG
 布束の手紙に書かれていることを伝えないことにしたり制限したりするのはOK)

全て1レス1つまで、複数書いてあった場合最初のを採ります
両方通して、同じ人が複数取るのは不可です
また「特に無い」など明記して頂いた場合、安価下は採りません

ここで決まった内容以外は会話の流れによって話したり話さなかったり


622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 12:44:48.10 ID:6qaYF5IPo
木山について
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage ]:2012/07/16(月) 12:50:37.84 ID:4sjVyGtK0
自分が思っている実験についての疑問点
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 12:58:13.33 ID:Cv+MmOcSO
未来関連情報
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 12:59:14.93 ID:FCyFK8iH0
前世で自分の犯した罪
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 13:22:49.22 ID:q83bt6Uao
一切の情報源
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 14:17:47.03 ID:aTbEgk+Q0
電撃系能力の指導者という肩書きが、ここで活きてくるわけですかねえ
628 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/16(月) 14:32:24.43 ID:KUiYkeqV0


ぼんやりとした夜空の下である。
学園都市ではそこまで星が明るくない。
それでも学生の街という名目で多くの店舗が夜間は閉まっていること、工場などの排気浄化機構が洗練されていることから、「外」よりは天球が鮮やかだ。

身体が道を覚えている冥土帰しの個人研究室に、初めて同行者を伴い向かう。
布束は意外と足早で特にこちらが歩調を落とすことも無かった。
今日もモノクロでひらひらした服装のイメージからは、ゆったりと歩を進めそうに見えるのだが。

布束「Any time now, 誰に会いに行くか教えてくれても良いんじゃない?」

天井「あぁ。以前にも話したことがあったかな。昔治療の手伝いをした医者だ。
   それからはこちらが世話になりっぱなしなのだがな」

布束「えぇと……。Perhaps, 蛙っぽいって人かしら」

雑談の中でそんなことも言ったかもしれない。
疑いの無い名医で底知れない人脈があり性格も温厚さと厳密な意思を感じさせる大人物だが、いかんせん、容姿はあの両生類に似通っている。

天井「そうだが、絶対にばらすなよ? 私がそんなことを言ったなどと」

布束「Actually, どのくらい蛙なのかは分からないけれど本人の前で言う訳ないでしょう」

どのくらいかと聞かれれば相当蛙だ。
が、じとりとした雰囲気の横目で睨まれてしまったため、悪かったと手を振る。
まったくとばかりに布束は少し口を尖らせた。

無理を言って医者にはかなりの時間を取ってもらった。
というよりあちらの都合が空くのを待つため、少し面会まで日があったのだ。

また、先立って送っておいたメールの文面を思い出す。

申し訳ないが話せないこともあると思う。
どこから情報を得たのか、どうして疑問を持ったのか。
だができれば、連れて行くもう一人の前ではあまり追求しないでもらえないだろうか。

天井(随分都合の良い話だ)

しかし樹形図の設計者による実験計画に疑問を抱く理由など、出所の知れない未来の記憶など、とても知らせ難い。
そして、今布束の不信を買うわけにはいかないのだ。

黄色に滲む月はごそりと片側が欠け、大きく重心を傾けている。


629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 14:38:18.58 ID:Cv+MmOcSO
ロリ束が可愛い過ぎて生きるのが辛い
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 14:49:48.82 ID:q83bt6Uao
何言ってンだ??
流石にもォロリって年齢じゃねェだろ
631 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/16(月) 15:31:07.89 ID:KUiYkeqV0


冥土「ようこそだね? 君とは初めて会うね、僕はこの辺りで働く一介の医者さ」

布束「、初めまして。布束砥信よ。Moreover, これでも彼とは同僚」

ポーカーフェイスも口調も一切崩れていないが、微かに発語の前に間があった。
冥土帰しは職場から戻ってすぐなのか白衣のポケットにはネームプレートが挟んであり、キャラクター物らしい蛙のシールが貼ってある。
前に病院の方を訪れた時もそうだったが、わざとなのだろうか。

冥土「うん? 脳医学のかい? そちらには浅学だが、名前は聞いたことがあるよ」

天井「突然のことなのにありがとう、冥土帰し。正直あなたしか頼れないんだ」

彼がこちらと話している間、布束はじっとシールを凝視していた。


通された場所はいつもの通りちょっとした応接スペースで、当然床暖房は効いていない。
そういえば寒い季節にしか来たことが無かったのだと思い立つ。
代わりに空気を撹拌して多少の暑さを和らげているようで、フイィィィィ、という機械音が頭上の方から響いている。

座るのも、ソファではなく籐椅子になっている。
まめな医者である。
だがそれを楽しむ余裕も無く天井は口火を切った。

天井「数日前、私と布束のところに実験の参加依頼が来た」

ふむ、と。
自分でも酷く張り詰めた声が出たと思う、つられてか返る頷きも場の雰囲気も重いものとなる。

天井「『絶対能力進化実験』。その名の通り、超能力者の現第一位を、絶対能力者へと押し上げるための実験だ」

冥土「絶対能力、この都市の目指すところだね?」

ぱさり、と自身と布束に送られた二通の手紙を開示する。

天井「樹形図の設計者によって、第一位はとある強能力者の電撃使いとの一二八回の戦闘を経ることで進化すると算出されたらしい。
   また万が一のことがないよう、電撃使いは本人ではなくクローンを使う、とも」

冥土「……それで、君にか」

布束「Maybe, 私は学習装置の方ね。クローンを作っても、人間を育てるように物事を教えていたら時間が掛かるもの」

冥土帰しはあぁ、と声を漏らした。
布束が関わった学習装置関連の研究を耳にしたことがあるのかもしれない。

天井「特に布束に来た手紙では、私に比べより参加を望まれているようだ。
   私の文面にはろくな詳細が書かれていなかったからな」

冥土「天井君は医療系クローン分野で新鋭だが、部分クローニングにしか手を出していないからだろうね?」

頷く。
だから分野がマッチしていて即戦力になりそうな布束に比べおざなりな書状なのだろう。
人員は欲しいが、参加しない可能性が高い人間には情報を広めたくないということだ。

冥土「君が危ぶんでいるのは非合法な全身クローンに関わること、なのか」

それもある。
非合法であることそのものも。
特に引き入れたい相手に限るとはいえそれを文書という形で知らせてくる、つまり万が一情報が流出しても揉み消せるという自信も。

だが、

天井「いや。実験の内容そのものに不可解な点がある。この手紙自体が嘘なのか、他に意図があるのかは分からないが」

大人しく聞いている少女に一度目を遣り、天井は出された冷茶で口を湿らせる。


632 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/16(月) 16:47:37.99 ID:KUiYkeqV0


まず話したのは、対象となる電撃使い――御坂美琴のレベルの低さ。
もっと高位の、大能力者も少なからず居るというのに。

天井「仮にも超能力者の第一位に対して数段格下の相手を宛がい、たったの一二八回で達成できるのか。
   確かに戦闘行為は一種の極限状態だ、それで劇的に成長する場合もあるかもしれないが」

とはいえ同じ相手とばかりの連戦では、刺激にも慣れてしまうように思う。
付け加えるならば、第一位の能力の質からいってどんな戦闘も極限状態にはなり得ない。
自分の知る限り興奮状態にはなっていたものの。

天井「少しだけ調べたのだが、その電撃使いはかなりの努力家で能力の成長が目覚ましいらしい。
   ならばせめて、もっと成長してからの方が効果が高いのではないか」

冥土「……時期尚早、ということかい」

天井「あぁ」

首肯がてら、目を閉じて深く息を吸う。
目蓋の下で何度か視線を左右に振った。

ここからが核心で、しかし自分の口には出しがたいことだ。
だが言わねば駄目だ。
先の疑問点だけでは、危険と判断する理由として弱い。

天井「次だ。クローンを使うのは電撃使いの方にもしものことがあるのを防ぐため。
   ……ここは、そんなに優しい街だったのか?」

布束「どういう、こと?」

ひゅう、と誰かの喉が鳴った。

天井「電撃使いは比較的発現が多い能力だ。なのにそこまで保険を掛けるのは、替えが効かないからではないか。
   その強能力者でなければいけない理由があるのではないのか」

替え。
一つ目が使えなくなった時のための代替品。

目に見えて布束の爪が服の布地に食い込む。
彼女とて、この都市で研究者をしている以上、裏側の気配くらいは知っているはずだ。
しかし明確に能力者を使い捨てるような物言いを、しかも共同研究者の口から聞かされるのは――、

布束「Hold on! ……止めて。それにこの実験が後ろ暗いものとはまだ、」

天井「非合法なクローン製造計画を堂々と送ってきていてもか」

布束「っ……!」

細い肩がびくりと跳ねる。
他にも一つ思うところがあるのだが、布束の前では避けた方が良さそうだった。

冥土「落ち着いていいね? 彼はそういうものには手を染めていないはずだ」

天井「実際、わざわざクローンを使うのなら、オリジナルや他の能力者をどうこうする訳ではないと思う。
   だが――」

布束「でも、クローンなら、……。クローンは?」

滑らかな手が、僅かに震えながら天井の腕を掴む。

布束「ねぇ、クローンは人間なの? If so, どこからが? どこまでが?」

例えば、培養した皮膚で警備ロボットの表面を覆っても、それは人間とは呼べないだろう。
では腕だけを取り付けたら。
首から下の複製に機械の頭を挿したら。
一時期裏で研究が盛んだった、移植用全身クローンは。
一四日で培養したハードに判断や思考のソフトを書き込んだら。

天井「それは、」


>>+1
どこからが人間だと答えるか


633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 16:52:54.49 ID:Cv+MmOcSO
判断対照となるもの自身が、自分を何と判断するか。
他者が決める事じゃない…




とか?
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/16(月) 17:02:23.76 ID:8ly+dhow0
それは哲学の問題であって、科学で客観的な答えを出すことはできない。
少なくとも、そういった存在が物か人かに疑問を感じるならば、こういったグレーな実験には関わらない方がいい
635 :ちょろっと語順とか弄りました ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/16(月) 17:36:36.66 ID:KUiYkeqV0


天井「――それは私達が決めることではないと思う」

布束「…………」

瞳孔から水晶体、視神経を通り脳まで刺し抜くように、じっと促される。

天井「そのクローン自身が、自分を何と判断するか。人間ではないと思うならそうだろう。人間だと思うのなら――」

あの八月二一日に、妹達は実験動物であることを放棄した。
ならばあの瞬間、彼女らは人間になったのだろうか。

天井「この実験に使われるクローンが人間かどうかは、つまり学習装置で書き込む人格によるのだろうな。
   だが判断力を与え、人間となるかもしれないクローンを戦闘に当てる。それだけでもまともな実験ではないだろう」

ふと、よく言えたものだと思ったが。
計画を遂行するだけでなく、先ほどの定義なら人間となったものに、八月三〇日にしようとしたことを考えれば尚更だが。
今はそれを飲み込む。

布束「……Got it. ただでさえ碌でもない上に、何か裏があるかもしれない。だから返事を出すのを止めたのね」

天井「そうだ。平然とこんな実験をしているんだ、踏み込んだら身の保障も無い」

場の緊張感は解けないが、視線がもたらす痛みは無くなった気がした。

布束「ありがとう」

冥土「――しかし天井君への文面に比べて、君はそれなりに欲されているみたいだね? もしかしたら圧力があるかもしれない。屈してはいけないよ」

勇気付けるような冥土帰しの言葉。
あるいは、布束が困難に遭った時にも手を貸してくれないか、と打算的にも考えている横で。

低めた少女の声がぽつりと呟いた。

研究。
そう言った気がした。


>>+2
布束への方針
(積極的に止める、方向転換して勧める、本人に任せる、etc.)


636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/16(月) 17:44:27.42 ID:Em/hI6sAO
難しいなぁ…
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 17:44:28.79 ID:FCyFK8iH0
全力で阻止する、そのための自身の力は惜しまない
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 17:46:28.05 ID:dPhUsk9x0
相手の考えは無視して、全力で介入を阻止する 
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/16(月) 18:04:18.99 ID:Em/hI6sAO
実際裏の実験って研究者にとってどれくらい魅力的なのだろう。

最新技術、高報酬、研究者的な欲求があるのかな?
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 18:17:03.88 ID:7eN2cZwho
>>639
全部だろうけど、普通なら非道とか非難されたり国際法とかで出来ないことも
遠慮なく人体使って探求できるんだから、とことんつきつめて研究したいタイプにとっては魅力あるだろ
人間の能力や人体に使うもの研究してるなら、マウスとかの代替品より人間使った方が確実だし
641 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/16(月) 19:16:37.81 ID:KUiYkeqV0


駄目だ。
そちらは、駄目だ。
布束は何かに囚われたようにじっと服の皺を見ている。

天井「布束。参加は、駄目だ」

椅子を離れ、その正面に脚を折る。
荒くならないようにゆっくりと、強張った肩を掴む。

天井「どんな圧力があっても、たとえ研究が妨害されても、駄目だ」

布束「……それは」

天井「どこも提携を受けてくれなくても、最悪長点を解雇されても、どこかで細々と研究はできる。
   だが裏側に身を置いたら死ぬまで戻れない。だから駄目だ」

気を付けたはずなのにぎりぎりと力が篭る。

布束「Still, やっと軌道に乗ったのに! 裏にいても兼業できるかも――っ」


ぱぁん!! と、いつかの紙鉄砲のような音が響いた。
布束はいつもよりも目を見開いて、呆けたように硬直している。


天井「……止めろ、行くな。どんな圧力があっても必ず治療法は世に出す。
   だから、こちらに居て完成まで付き合ってくれ」

上げてしまった手をぎりと握り締める。
それでもこの小さな身体を闇の中に見送ることはできない。

布束「But then, ……」

冥土「――言い方がまずかったね。君が適任として欲されているのは事実だ、だが君以外の人間に不可能な訳ではない。
   君が靡かないでいれば、いずれ理不尽は去ると思うよ?」

努めて軽い口調にしたのだろう、語尾の上がる独特な喋り方で冥土帰しが言う。
離した右手を、食い込むほどに掴んでいた左手を、今度こそ静かに肩に置き直す。

天井「だそうだ。良いか、例え何かあっても少しの辛抱だ。布束の立場が悪くなるなら何とか援助する。
   耐えて、最後まで一緒にやろう」

布束の身体は、震え、震え、震え、急にがしりと天井の胴に腕を回した。
想像よりもずっと強い力でしがみ付き、形にならない声を漏らす中で。

うん、と小さな言葉を聞いた。



★目的の変更判定

圧力に負けず全力で阻止することにした天井は心境が変化しているのかもしれません

>>+1
目的の変更先
 a. 庇護
 b. 潔白
 c. 親愛
 d. 保身
※上記以外でも行動に沿ったものなら

>>+2
コンマ判定
 -19:上記で決まった目的に変更
20- :変更無し


642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 19:18:26.66 ID:Cv+MmOcSO
親愛
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 19:19:05.55 ID:BDbnTFF1o
庇護
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 19:21:02.37 ID:Cv+MmOcSO
まさかの連続ゾロ目だが何か特典的な物があったりしないかな?かな?
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 19:27:14.02 ID:dPhUsk9x0
天井君クン、道を踏み外そうとする娘を叱る父のようだ・・・
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 20:19:49.23 ID:Cv+MmOcSO
つまりそのうち、
天井「砥信、洗濯するから…」

布束「Fack!!私の下着とあなたのを一緒にしないで!!」

になったり?
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 20:21:29.99 ID:Sx7TsfGWP
ちょっと見てなかったら完全に布束からの信頼アップじゃないすか!やったー!
648 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/16(月) 21:36:16.92 ID:wIvmupv90

・目的変更無し
 とはいえ研究も完遂するようです

>>644 2回以上連続で回数分だけ天井が脱g(ry


時間も遅いと、天井は布束を送り帰宅した。
彼女を交えた話し合いが早く済めば、送った後に取って返し二回戦に突入するつもりだった。
布束の前では避けたい話題などを冥土帰しとサシで相談する予定で、相手の予定もそれを見越して空けてもらっていたのだが、
時間に余裕が無くなったため四日後に再度訪問することに決まったのだ。

二人で歩く最中はどちらからともなく手を握り、ぽつぽつとどうでも良いようなことを話した。
それはどれもちょっとした、学園棟の食堂の新メニューだったり最近小学生が乗用車を運転しているのを見たことだったり。
そうやって過ごすことが、こちら側に少女と自身を引き止めているような気がしたのだ。

室内に居た間に月は巡っており、立て掛けた傘のような形でゆらゆらと黄色い光を落としていた。


脱ぎ捨てたポロシャツと肌着のシャツを籠に放り、シャワーを浴びようとしたところで、実験についての問答を思い出す。
持っていた疑問のうち、布束の前だからと呑み込んだものだ。

天井「いや……あれは、冥土帰しにも伏せるべきか?」

「戦闘」と「殺害」。
ずっと気になっていることだ。

バスルームに持って行こうとしていたタオルを羽織りPCの前に腰掛ける。
書庫に接続、検索。
淡いブルーの上には殆ど内容が書かれていない。
閲覧制限か、元から登録も控えられているのか。
「一方通行」の文字とレベル、都市側が設けた能力名である「向き変換」、籍のある長点の正式名称だけがぽつんと枠を埋めている。

天井(あの実験中――絶対能力者に届く前に中断したが、それまでも能力の成長は見られていた)

演算能力やそれに伴う出力ではない。
精度や応用性という点でだ。

一方通行の能力は例えば「電気」を扱う電撃使いなどと違い、酷く抽象的なものだ。
向き《ベクトル》。
言ってみれば計算式で表現できるあらゆる変化に干渉する能力。

天井(今思えば実験前の一方通行は、万能な能力を使いきれていなかった)

血液や生体電気といった人体の構成要素への操作。
あの敗北戦では初めて大気を操ったという。
これらは経験によりできるようになったのではない、できることに気付いたのだ。

「殺してしまう」という気兼ねもなく好きにして良い、一〇〇三二のクローンをもって。

天井(この考えが正しいなら、殺せない「戦闘」に実験上の意味は薄い。あの文面はぼかして書いてあるだけの可能性が高い)

どうするべきか。
自身は関わりを避ける、布束が参加するのも止める。
その条件下で、この見解を冥土帰しに伝えるのが必須とはいえない。

何よりこれは他の疑問と違い実験の記憶が無ければ分からないこと。
それを口にしてしまうのは、どこか――、

ぶるりと上体が震えた。

天井「……さっさと浴びるか、シャワー」

天井としては真剣に考えていたものの、傍目にはデスクの前でぼうっと座っていただけである。
相応に身体は冷えていた。


>>+1
次回冥土帰しに会う時(四日後)、最後の疑問点(見解)を伝えるかどうか


・すみません、ネット環境探して彷徨っておりました


649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 21:37:26.91 ID:FCyFK8iH0
伝えない
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 21:38:49.66 ID:dPhUsk9x0
今はまだ伝えない
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 21:48:54.10 ID:Cv+MmOcSO
いっそ伝えてたらどうなったのか
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 21:51:07.42 ID:Sx7TsfGWP
手を繋いで帰るとか死刑
能力名向き変換て…
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 22:03:16.83 ID:XmBwJaDSo
いやいや、むしろ能力名「一方通行」って……
654 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/16(月) 22:31:20.53 ID:wIvmupv90

>>652 違いましたっけ、そんな表記だったと思ってました


空の高くに太陽があり、窓から鋭角的に射し込んでいる。
キーンコーンとなる鐘は特別に音高が違うものだ。
一日の半分、正午を知らせるチャイムである。
超電磁砲になる強能力者などについて例によって調べていたら、いつの間にかこんな時間だ。
ちなみに成果としては、御坂は置き去りではない、程度しか追加情報は得られなかった。

天井「ふぅー……ぁぁぁ。飯にするか」

昼食は卵やシーチキンをふんだんに挟んだサンドイッチ、それに野菜ジュース。
早いうちに学園棟の購買部で調達したものだ。

ここ一週間ほど、絶対能力進化実験への対処に追われて本来の研究に手を付けていなかった。
あまり思考を本分から離しておくのは良くない。
冥土帰しと再び対面する前に御坂にも会いに行っておきたいのだが、今日この半日だけは研究を進めよう。
そう思っていた。

天井「……ん? そういえば」

見逃していたか、などと思いながらメールボックスをかちかちと漁る。
探しているのは某横暴研究者からの連絡だ。

天井「やはり無いな」

かちかちかち。
別のメールを表示。
Sプロセッサ社の彼からは、確かに木山の研究所宛で接続機の試作品を発送したと数日前に知らされている。

天井「…………」


 To: 木山春生
 Sub: 試作品について

 数日前に例の試作品を送ったが、届いていないか?


流石にあれを持ったままどこかに失踪したとは思えないが。
そんな自体なら向こうの所長から何かしらのコンタクトがあるはずだ、表向きは共同研究者なのだから。

天井(証拠画像だけ残し木山は失踪、私は今度はあの所長の使い走りに、なんてな。飛躍と悲観に過ぎる)


655 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/16(月) 22:32:08.73 ID:wIvmupv90


過剰な冷房使用は身体機能を損ねる。
そんなことを多方面から指摘されたため、部屋には小さな扇風機が取り付けられている。
もっとも都市の、既に何工学なのかも分からない技術の組み合わせにより的確に部屋全体を掻き回すという品である。

そして今日はその性能を上回る気温だった。
ばさばさファイルで扇ぐのだが、どうもうっすらとした汗が引き切らない。
ジュースを干してしまえば熱を冷ますものも無くなる。

天井「自販機行くか……」

小型の冷蔵庫も欲しい。
取りとめもなく立ち上がった天井を引き止めるように、ぽん、とアラートが鳴った。


 From: 木山春生
 Sub: Re: 試作品について

 あぁ。悪いね、しばらく調べ物に打ち込んでいた。
 確かに届いているよ、ありがとう。

 これからもしばらく所外に出ることが多いかもしれないが、
 用があったらまたメールを送ってほしい。

 では。


天井「何か、動いているのか?」

実験について三人で話し、小さく一区切り付いたと思えばこれである。
人間はそうそう複数のことに対処できるようにはなっていないというのに。

結局、一週間ぶりの研究時間は木山に気を取られて、ろくに実のないものになってしまった。


>>+2
御坂にどうやって会いに行くか
※すぐにできない方法の場合、冥土帰しと会った後や実験参加の返答後になるかもしれません


656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 22:36:28.92 ID:Cv+MmOcSO
街中で、スピーカー使い「この中に御坂美琴さんはいらっしゃいませんかーー!!!!」
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 22:36:48.04 ID:6qaYF5IPo
メールで連絡
658 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/16(月) 22:39:12.30 ID:wIvmupv90


>>+1
メール、どんな用件にしましょう


659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 22:40:20.62 ID:6qaYF5IPo
能力開発の協力を名目に会ってほしいという内容
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 22:41:02.89 ID:Cv+MmOcSO
ゲコ太関係の話があるんでちょっとお話だけ聞いて下さい
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/07/16(月) 22:44:24.98 ID:Cps17aHHo
長点上機の電撃使いの教師という肩書きを利用して呼び出すとか?
能力の成長が目覚ましいからその方法を是非長点上機でも取り入れたいとか?
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/16(月) 23:02:40.17 ID:Cv+MmOcSO
どーでもいいがみこっちゃんのメルアドってどーやって手に入れるのか
663 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/17(火) 00:04:41.33 ID:VXE4/E5g0


天井「…………ふむ」

その夜、しばらく考えてから天井はかちかちとキーボードに指を走らせる。
いくつか方法は考えたが、例えば偶然を装うのでは会えるかどうか賭けになるし、その後の会話も続かない。
そのため開き直って、能力開発官として連絡を取ってみることにしたのだ。


 To: nje03880498@〜
 Sub: 演算方式モニタのお願い

 突然のご連絡失礼いたします。
 電気系統の能力開発に携わっております、天井と申します。

 私は現在、再帰的な演算の適用による複雑な能力制御について効果を検証しております。
 この度、御坂様の盛んな研究協力のお噂を耳にしメールを差し上げた次第です。
 どうかモニタとしてご協力頂けないでしょうか。

 他の使用演算式との兼ね合いにもよりますが、
 複雑な制御を要する発現形態において最大で15%の出力増加が見込めると考えております。

 まずはお会いして、ご説明をさせて頂くことは可能でしょうか。

    :
    :
    :


一桁の子供に送るにしては馬鹿丁寧なのは、御坂が学校の開発担当に是非を問うことがあっても良いようにである。
また将来的に第三位になるだろう彼女は実年齢よりも成熟している可能性もあるだろう。

天井「こんなものか」

アドレスは通う学校が全生徒に与えているアカウントに付随するものを。
小学校の情報教育が進んでいて良かった、というか児童番号を利用した簡素なアドレスを使っていて良かった。

逆にこちらは長点で使っているものではなく、別に個人で持っているアドレスから送る。
長点上機学園という名門校に所属しながら学外で能力指導を行うなど、ばれると色々問題があるのだ。
本当は偽名にもしたかったが、ハッキングなどで調査された場合に逆に不信がられてしまう。
この時期の彼女にそのスキルがあるかは不明だが。

天井「これで駄目なら、待ち伏せでもするか」

かたん、と送信し天井は携帯端末に入れた小学校周辺の地図を眺めた。
このまま辿り着ければ良い、小学校の周りをうろつくような羽目にはなりたくないものだ。


次の日、天井の杞憂をよそに、まず話だけでも聞こうという返信が届き。
連絡用に携帯のアドレスを伝え、その翌日に「説明」しに行くことになったのだった。


>>+2
この他、実験参加の返答期限までにしたいことがあれば

1つまで、複数書いてあった場合最初のを採ります

参考:
 一日後、御坂と面会
 二日後、冥土帰しと再度面会
 五日後、実験参加の返答期限


・今日はここまでに
 ご参加、コメントなどありがとうございます
 明日もよろしくお願いします


664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 00:07:42.72 ID:RpLEMx4IO

ksk
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/07/17(火) 00:08:27.88 ID:PERJvRVWo
布束と御坂についての相談をする
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/17(火) 01:30:56.42 ID:bD4Xmv170
これは!嫉妬されるような展開に…は、なるわきゃないない
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) [sage]:2012/07/17(火) 01:32:29.01 ID:OdxvIQ0Qo
書庫には無いよなぁ
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) [sage]:2012/07/17(火) 01:33:56.77 ID:OdxvIQ0Qo
↑ミス
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/17(火) 01:54:47.16 ID:9K/CCe060
御坂って、この時点ではまだ小学4年生なんだよな…打ち止めと同じくらいだっけ
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 02:45:21.63 ID:IsI/x2bSO
そして増える天井くンのお子さんポジション、構って貰えなくなる布束、嫉妬する布束……たぎる。
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/17(火) 02:59:03.55 ID:9K/CCe060
電撃能力者の指導と筋ジストロフィーの研究という御坂の興味を引くであろうプロフィール
御坂が進学先をまだしっかりと考えておらず、さらに天井が尊敬を得られるよう上手く振舞えば
長点上機に御坂が進学してくるカオスな展開も…流石にないな
672 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/17(火) 11:41:11.79 ID:FtNsfmia0

・遅くなりました、今日もよろしくお願いします


布束「えっ!? ……Wait. 本人に会いに行くの?」

天井の研究室のテーブルでカフェオレを飲んでいた布束はまじまじとこちらを見ている。
つい大きな声を出してしまったのは最初の一音だけで、あとは平常より小さめの声で続けた。

天井「あぁ、ほら。この前気になっていたこととか、少しでも分かるかもしれないだろう?」

布束「彼女でなければいけない理由、Additionally, 何故今なのか、だったかしら」

天井「そうだ」

と、少女は立ち上がり、デスクに居るこちらの傍まで来た。
その様子は……どうにも好意的な雰囲気ではない。
ちょうど真横から射す日光のせいで陰影の浮き出た表情は、表面的には普段と変わらないものの妙な迫力を背負う。

布束「あれの返答期限は五日後ね。And yet, 私はもう返事を送ったわ」

天井「そうか。一応聞くが、」

布束「Naturally, 不参加よ。だけど……あなたこそ、参加する気ではないでしょうね?」

片手を腰に当てる様はむしろ凛々しい。
それでいて、不意に心細そうな声。

布束「危険だともう分かっているのに。Wherefore, 調べる必要はあるの?」

天井「……念のためだ。何か分かったらまた相談するよ」

全てを話せないのが心苦しいが。
しかし、以前量産能力者計画ごと拾われた時のように、別の方向から参加を余儀なくされないためには情報が欲しいのだ。

布束「Aaah, 分かったわ。危ないことはしないでね」

言っても無駄だ。
そうぼやくように腕を組まれると、苦笑するしかなかった。


673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 11:48:50.01 ID:IsI/x2bSO
布束ちゃんに腕を組まれるだと…!天井ィィィィ!!
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/07/17(火) 12:23:25.57 ID:V44XYMrAO
五年後ぐらいにもうお前ら結婚しろよ
675 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/17(火) 12:26:13.55 ID:FtNsfmia0

・オウフ実は布束自身の腕を組んだつもりでした
 決して腕を絡めたのでは……いやそれでも良いか


第七学区。
局地的に幅の増した歩道が広場のようになっている場所、そこで待ち合わせることになっている。
午後三時、十分前。
呼び出した内容上待たせる訳にもいかず実はさらに十分前から立ちつくしていた。

天井「こういうところには中々来ないものだが」

何かの童話の音楽隊のように動物が縦に繋がっている像。
ぽつぽつと人が集い、数人で集まり駆けていく姿は真上から見ればライフゲームそのものだろう。
気温は高めなものの風があり過ごしやすい気候だった。

この場所は御坂に警戒を与えないように選んだものだった。
話を続ける際にも、無難な喫茶店を調べてある。

天井(何というか、まっとうな風景だな)

ここから数本隔てた路地裏が示すように、陽の当たらない部分がそ知らぬ顔で間近に息づいている。
つくづく閉鎖的な都市だと思った。

??「……どこだろ」

きょろ、と見回しながら子供らしい服を着た少女がうろうろしている。
歳は布束よりも青髪少年よりも下、多分小学校中学年くらい。
天井は目印に教えていた黒い鞄を軽く掲げた。
ちなみに今日は白衣ではない、念のため。

??「あっ!!」

少女は気付いてぱたぱたと駆け寄る。
いずれ第三位になると言われても信じられないくらい、活発で健康的な普通の子供だ。

天井「――――っ」

その造作以外は。

いや、他人から見ればただの整った可愛らしい顔付きなのだ。
ただ天井にとって、吊り気味の目、外に跳ねた茶の髪、全てが遠い記憶を刺激する。

天井(考えてみれば当然だ。あれも妹達の一員、設定年齢は丁度このくらいの……)

最終信号。


>>+1
トラウマ(小) が あらわれた!
※コンマ判定  ★修正-5
  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル

ただしコンマ自体が0-4/95-99の場合、修正の値によらず必ずファンブル/クリティカル


676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/17(火) 12:31:18.04 ID:ZruTQJBlo
腕組んでる布束想像するといいものがある
やれやれって表情してると更にいい
コンマはどうかな
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 12:35:14.60 ID:4EiwDQUSO
最後はハッピーエンドに繋がってほしいなー
頑張れ天井!負けるな天井!貴方なら出来る!

そういや非合法ロリ束さんが、合法ロリ束さんになるのって何時だっけ?
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/17(火) 12:44:11.64 ID:BUG/Bbk20
これだと他の妹達と遭遇してもトラウマ判定っぽいな…
一回の死亡でトラウマが三つか四つ程できていると考えると、
ゲームオーバーでのタイムリープはペナルティが大きいようだな…
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 12:56:58.61 ID:IsI/x2bSO
天井くンの幸せな終局はやはり成功、研究、結婚、布束…かね?
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/17(火) 13:26:25.56 ID:94jO0cO10
布束と結婚、布束と子作り、布束との子供、布束との幸せな生活、
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/17(火) 13:36:57.93 ID:BUG/Bbk20
とりあえずは、「幸せの定義=目的」を一番に考えればいいんじゃないか
「目的達成不可になった場合、記憶を引き継いで過去に戻ります」とあるし、
今は、「目的」=「貢献」=自らの研究を医療分野に役立てる、だから
どうやっても研究を続けられない状態になると、ゲームオーバーのはず
682 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/17(火) 14:08:02.05 ID:FtNsfmia0


『コード000001 to 357081、不正な処理により上位命令文は中断されました』

あ。
あぁぁ、しっぱい、した?

もうだめだ。
あぁぁぁ死んでしまえ!
このまま!

脆い子供の形をした絶望だ。

手ががさがさと服をまさぐる。
持っていたはずだ。
拳銃。

あ、どうしてだ、白衣の下ではなかったか何故白衣を着ていないのだろう。
あったここに胸ポケットに入れて歩くなんて無用心な。
触れた硬いものを抜き出す。

それはただのボールペンだった。


ぶわり。

あれからの記憶が一息に雪崩れ込む。
一点に重なっていた二つの出来事が、時を隔てた二点に戻る。
数直線上に距離を流し込んだように。

??「あの、大丈夫ですか?」

未だ幼い御坂美琴が心配そうにしゃがみ込んでいる。
ばくりばくりと早鐘を打つ心臓を肋骨の上から押さえる。

声は色彩に富み、どこか平坦な妹達とは著しく異なる。

顔を上げてはいけない。
今は距離を取るべきだ。
そうだ前にもこんなことがあった、対処の方法は知っている。

前より上手く。
動悸と息切れのままに本当に発作でも起こしたように。

天井「み……さかさんか」

御坂「うん。天井さん……ですよね? 今救急車を呼びますから」

天井「大丈夫、だ。たまに、あるんだ」

御坂「でも辛そうだよ!」

なおも言い募る御坂を手で制する。
目は上げない。
その顔を見たらきっともっと取り乱してしまう。

天井「横になって休めば、治る。悪いが、またの機会に」

御坂「分かったわ、タクシー呼んでくる!」

天井「助かる。あと、これを……」

震える手で差し出した名刺を、ひったくるようにして御坂は車道の方に走っていった。


ついぞ天井は気付けなかった。
その紙片に何が書かれているか。


 長点上機学園 付属研究所
 先端医療チーム

  天井 亜雄

   Tel: xxx-xxxx〜
   Mail: a_amai@nagaten〜


683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 14:09:20.46 ID:IsI/x2bSO
天井くンの名刺かっけぇ…!
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/17(火) 14:13:31.32 ID:nvoecjdAO
ぎゃあああ

流石ファンブル、これはひどい
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県) [sage]:2012/07/17(火) 14:30:57.42 ID:V9OVyUBO0
打ち…最終信号と同じくなるくらい予想しとけよ天井クンww
そして結果が出るまで誰もファンブルの事実を見てみぬふりしたげる優しさ
よりによって美琴でか〜
後の超電磁砲を、例の計画に誘われてる研究者が呼び出したっていうことがことなだけに、★さんの注目度も高くてばっちり監視されてるだろうに、ここでこれはきついな
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/17(火) 14:34:56.75 ID:7B5cJqbw0
向こうから接触してくる前にまた治療が必要かね…
接触前にこういう可能性に気付けないのがつらいな…事前に対策できないし
ループ前の心的外傷には、本当に多くの時間と多くの治療回数が必要だな…

芳川に会ってから、事前に一方通行のトラウマ対策までしといたのに
自身が妹達にトラウマがあるかチェックしてなかったとは、本当に抜けてるな
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 15:22:56.07 ID:20mPKrLOP
もうちょい判定甘くても良かったろと思うけど04じゃどの道ダメだったか
天井が不審者すぎてヤバい
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/17(火) 15:31:04.79 ID:7B5cJqbw0
芳川と一方通行のトラウマ治療の最中に気付かなかったのが残念だな
丁度一歩通行のトラウマと芳川のトラウマの2つのフラッシュバックの間のシーンじゃないか
689 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/17(火) 16:16:49.61 ID:FtNsfmia0


盲点だった。
自身の恐怖の根源は第一位と芳川だけだと。
あの未成熟なクローンは天井を害する何をした訳でもなく、しかし最後の破滅の象徴のようだった。

帰ってから布束には成果を聞かれ、体調を崩してキャンセルしたと言ったら労わられた。
辛い。


天井「何度も済まないな。とはいえ実験について話せることは大体話した。できればあなたの見解が聞いてみたいんだ」

今日も静かに扇風機のような音だけが辺りを満たす。
ともあれ次の日、予定通り冥土帰しのもとを訪れているのだ。

冥土「……一つだけ、良いかい? 失礼だが、僕は何度か君の素性を調査させてもらった。治療協力の際、伝手の紹介を頼まれた際にね?」

天井「いや、気にしない」

どちらも信用や、相手の安全に関わることだ。
むしろそれでこそ自身もこの医者を信頼できる。

冥土「ありがとう。君は、確かにまっとうな道を歩いているようだね? だがどうしてだろう。
   前回話した時の君の視点は、まっとうな場所では得られないものだったように思う」

裏を聞き知っているのではなく、裏の空気を吸い、水を飲み、そうやって生きてきたようだ、と。

冥土「重ね重ね失礼だが――信じて良いね? 君は決して非人道的なことは行っていないと」

天井「あぁ」

少なくとも、冥土帰しと向かい合っている、この天井は。
相手はゆるりと身体の力を抜き、それから今まで以上に真剣な面持ちになった。
烏龍茶のコップに伸ばした手が止まる。

冥土「大前提として、実験には関わるべきでない。布束君にも言ったが、どんな圧力があってもだ」

天井「それはこの前も――」

冥土「君も、この実験の主催が上層にあるのは勘付いているね? 正確には『この都市』そのもの、だ」

かち、爪がコップの縁を軽く叩いて、天井は腕を引いた。
震えているというよりも意図したように上手く身体が動かない。

以前、支援者としてあっさり親船の名前などを出す冥土帰しが言うことなのだから。

冥土「圧力に抗わず、しかし屈せず、隙を見せず。そうすることだ。この実験がどういった計画のもと立案されたのか、僕には図れない。
   だが『この都市』には『この都市』なりの目的がきっとある。それに呑まれてはいけない。意思を曲げてはいけない」

「この都市」。
それを主語に据えられると、整備された都市が途端に蠢く獣か何かに思える。

天井「はは、既に腹の中ではどうしようもないではないか」

冥土「いいや。水草のようにのらくらと、そして本当に大事なところに根を張って生きるんだ。
   『この都市』にとって薬にも毒にもならないように」

天井「…………そうか」

今の自身は薬なのか、毒なのか、それさえ分からないというのに。


690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/17(火) 16:21:03.77 ID:bD4Xmv170
事前に予測して対策してれば多少は有利な補正ついてたかもしれない
とか考えてしまうと、自身の駄レスに後悔しかない
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/17(火) 16:33:16.35 ID:7B5cJqbw0
『この都市』にとって薬にも毒にもならないように、か
教職あたりが「保身」を考えるなら、安牌なのかね
もっとも今は「貢献」だから研究者をやめられないが…
692 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/17(火) 17:54:38.75 ID:FtNsfmia0


天井「――そういえば」

居心地の悪い沈黙を自ら破る。
重い思考を宥めるためだけに双方の時間を削っても仕方がない。

冥土「うん、どうしたね?」

天井「別件なんだが、ついでに少しだけ良いかな」

ふむ、と同意したのを見て天井は口を開く。
手はやっとコップに向かい、中身の温度がガラスを伝って掌を冷やした。

天井「木山春生という研究者を、知っているか? 脳科学系で専門はAIM拡散力場の」

冥土「ううん? 残念ながら初耳だよ」

それもそうか。
いくら冥土帰しの人脈に果てがないとはいえ、医療関係でも突出して著名でもないのだ。
もう少し別の方向から聞いてみるか。

天井「いや、実は私の研究の協力者なんだが。そのうち経過の発表で名前も並ぶ予定だ。
   それが最近、身体制御用の外部デバイスと患者の脳を接続する部分ができてから、様子がおかしい」

冥土「ふぅん? どんな風なんだい?」

天井「強硬に接続機の試作品を借りていったり、しばしば外で何かを調べているらしい」

彼は拳を眉間に当ててしばらく考え込んでいたが、

冥土「何らかの機器と脳を接続したい、のではないかな? 用途そのままに。
   それで何がしたいのかは可能性が多過ぎて分からないし、外出についてはさっぱりだけどね?」

流石に推測の材料が少ないので仕方が無い。
今日はそこまで話し込んではいないが、先日に付け加えて無理矢理空けてもらった予定だ。
長居はせず、温まってきたお茶を飲み干し辞去することにした。

天井「今日は、いや、今日もだな。ありがとう、度々迷惑を掛けて申し訳ない」

冥土「迷惑ではないよ? 君は患者ではないが、いつぞやの共同研究者だ。危ない目に遭われてはこちらも辛いからね?」

天井「いつも助かるよ、――」

と、そこで一つの単語が頭を過ぎる。
既に立ち上がってしまったが、長い話にはならないだろう。

天井「最後に一つだけ。小児用能力教材開発所、という施設で、昔何か無かっただろうか」

冥土「そうだね、聞いたことは……いや。しばらく前、実験中に能力者の集団暴走があった所だね。
   あまり詳しいことは知らないがね?」


693 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/17(火) 18:04:34.76 ID:FtNsfmia0


ぱち。
一年以上ぶりに、天井は親指の爪を噛んだ。
薄く硬いたんぱく質がより硬度の高い歯の間で断ち切られる。

薄闇の帰り道だった。
ぼんやりとした風景に紛れ、ついうっかりとどこかへ揺られていってしまいそうだ。

弱火で徐々に加熱した試液のように、脳は沸騰もせず静かに熱を帯びていた。
疲れている、のだろう。
ものが考えられない。
ただ一つ、決めておかねばならないことがある。

天井(実験の返答は――)

参加する、しない、の二択。
ここまで来て、参加する要因もあまり無かったが。

天井「保留は、可能な限り止めた方が良いか」

期限は残り三日で既にもうすぐなのだが、直前まで迷っていたという印象を与えるのは避けたい。
それともそれまでにできることが、

天井「くそっ……頭が働かない」

与えられた視点が、ゆるやかに分子運動となって思考を茹でる。

今日は過剰に暑くもなく、風も無い。
うっすらと滞った大気が、じっと身体をまいている。


天井は……
実験の返答について、
 a. 参加しない
 b. 参加する
 c. ぎりぎりまで保留
※この3つ以外の行動とかは無効です

【以下、最初に4票入ったものを採用】
同一IDは先のもののみ有効(変更したい場合は明記してください)

日が変わるまでにどれも4票にならなかった場合は一番多いもの、
同数なら先にその票数に達したものを採用します


・暑くて頭が回らないのは>>1
 早いですが今日はここまでに
 お付き合いありがとうございます


694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 18:07:26.50 ID:0/0dJ0wFo
a
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/07/17(火) 18:10:35.59 ID:uEYVMKj90
a
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 18:10:42.31 ID:20mPKrLOP
a
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 18:13:19.72 ID:IsI/x2bSO
a
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 18:15:34.28 ID:LREnAkbwo
a
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/17(火) 19:09:57.36 ID:5lUCC8K6o
一致で不参加か
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/17(火) 19:32:25.81 ID:TgnniJ1AO
まぁ、危険過ぎるからなぁ…

だけど、ループが無いことが前提だと天井の罪はどうなるのだろうか? 失敗するから、大変な目にあうからということで、このまま関わらず過ごすのはなんか違う気がする。
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 19:37:06.42 ID:IsI/x2bSO
結局、リアルで、悪い奴だから、と言ってやーさんと関わると録な事ないのと同じ。危ないのには関わらない。それが大人。主人公補整パネェ上条さんと天井くンを一緒にするのは不味い。

って思うわけよ
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 20:02:32.27 ID:Pv9IJ4YDO
>>700
天井の罪は木山てんてーに奉仕することで償えば良いよ
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/17(火) 20:15:05.40 ID:M5wYhFV3o
このまま木山に関わればAIMバーストから実験の真の目的とか
虚数学区とかドラゴンに触れたりして
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/17(火) 20:23:11.10 ID:bD4Xmv170
そうなるともはや逃れられないな
泳がせておくのに十分だとおもわせるくらいの価値とか消せない理由とかが欲しいな
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/17(火) 20:52:43.13 ID:7tzdvmPn0
流石にAIMバースト以外の情報は、受身では手に入らないんじゃないか
そんな触れただけで消されかねないような機密情報をくれる伝手もないし
木山も子供達が助かれば、それ以上危険なことに足を突っ込まないと思うんだが
冥土が言うように、「薬にも毒にもならない」を目指した方が安全だと思う
706 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/18(水) 11:56:00.00 ID:YpPOLFkd0

・投票ありがとうございました
 昨日は安価回数が少なかったので今日はもう少し出したいです


たまには外で美味いものでも食べるか。

天井は第十八学区にある小料理店、料亭というには気軽な和食屋でもそもそと刺身をつついていた。
身体、精神共に疲弊していることは自覚している。
そんな場合じゃない、と自分を追い込む方が危険な気がしたのだ。

天井「はぁ…………」

無菌栽培の野菜の例に漏れず、都市内で流通する魚も厳格に管理された養殖ものである。
肉は言わずもがな。
学生達の感覚で言えば天然などどんな菌を持っているか分からない、だそうだし、実際味の程も養殖の方が安定して美味しい。
外では産地までランクを付け天然物を有り難がるものだが。

天井(木山からの連絡は、無い)

カウンターの端に置いた携帯は光も振動もしない。
不在着信なども含めて新しく連絡が来ていないということだ。
縦割りに切った木材で作られたらしいカウンターは縁の形や木目がそのまま浮き出ており、小さな最新機器は居心地悪そうに転がっている。

あれから一度AIM擬似出力の調整にかこつけてメールを送ったのだが返信は無かった。
数日待って再度送ったところ、今忙しい、ちゃんと見ているからそう急かすなと切って捨てられ。
行方不明になっていないだけましだが何をしているかも分からない。

天井「結局、いつも通りだな。手の届く範囲からやっていくしかない」

布束と併せ二人、不参加が並んだところで、今後について言葉を交わしていた。
口を開けば不安が飛び出そうとする。
そんな中決めたのは、「圧力が掛かる可能性があるならその前にできるだけ進める」というシンプルなものだった。

天井は脊髄に発現させた能力に変化を付けられないか急ピッチで実験を繰り返す。
布束は人格プログラムのうち必要最低限の部分を割り出し、また手を加えてみる。

ずずと含んだ味噌汁は少しだけ温度が下がっており、最初に飲んだ一口とはまた違った味がする。
じんわり口内に柔らかい味が広がっていくようだ。

天井「他に直近の問題といえば……御坂、か」

一応逃げ出してしまったその日の夜に、謝罪と落ち着いてから再度連絡するというメールは送ってある。
向こうから了承の返事もあったため繋がりが途切れた訳ではないようだ。
前回錯乱してしまったことを考えると、このままメールでか電話など、顔の見えない手段にした方が良いのだろうか。


>>+1
天井は……
※御坂への方針


707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/18(水) 12:10:27.97 ID:V3Be3Pw50
しばらくはメールでか電話など、顔の見えない手段に限定し、
打ち止めへのトラウマを認知行動療法で治療しながら、治療の進展によっては直接会うことも考える
708 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/18(水) 13:39:11.87 ID:YpPOLFkd0


 To: 御坂美琴
 Sub: 演算方式の件について

 御坂様

 お世話になっております、天井です。
 前回はお時間を取って頂いたにも関わらず、こちらの都合でお話ができず申し訳ありませんでした。

 今後このようなことがないよう、メールでご説明などさせて頂いてもよろしいでしょうか。
 演算法についても添付でお送りし、御坂様に試して頂いた結果などをお送り頂ければと思っております。

    :
    :
    :


 From: 御坂美琴
 Sub: Re: 演算方式の件について

 天井様

 ご連絡ありがとうございます。

 この前のことは気になさらないでください。
 天井様の体調だけが心配です。

 私はメールで大丈夫です。
 教えて頂く内容なのですが、私の開発担当にも話して良いでしょうか。
 現在学校の外でもいくつかのプログラムを受けていますが、
 一貫性のある開発のため学校での担当に経過報告することになっており、

    :
    :
    :


709 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/18(水) 13:40:24.70 ID:YpPOLFkd0


天井「これは仕方が無いだろう」

返って来たメールには相変わらず過剰な警戒心は無く、また丁寧な文面だった。
とても十歳に満たない子供が打ったとは思えない。
その点、未来の第三位だけあるといったところか。
また体調が悪かったのはある意味事実とはいえ、案じられると後ろめたくもなった。

脱力して頭上を仰げば四角く平たい室内灯がふわりと輝いている。
自室である。
開け放った窓から風が入り込み、紺青のカーテンを膨らませては戻る。

元々、疑問を持たれない範囲で電気系能力者の知識を用いことに当たるつもりだった。
それに関しては向こうの開発官に話が行っても仕方が無い。
内容にもよるが、信用を得てから立ち入ったことを聞くなら電話にすれば良いだろう。
メールは文面が残るのが厄介だ。

天井「その頃にはトラウマも何とかなっているかもしれないしな」

流石に希望的観測に過ぎるだろうか。
しかしそもそも突っ込んだ話をするとしたら今すぐという訳にはいかないのだ。
時間を掛ければ何とかなっているかもしれない。

天井「最終信号か……」

記憶の中で、最後の切り札だった小さなクローン。
第一位が触れていたのが、何をしていたかまではあの時判断できなかったが、
能力を用い何らかの手段をもってウイルスを止めたのだろうと今は想像が付く。

天井「失敗、したのだったな」

もう終わりだという絶望があった。
だがそれを脇に置けば、あの行動が失敗したことについて、どういう感情を抱けば良いか天井は見失っていた。

キィ、と椅子が軋む。


>>+1
御坂から聞きたいこと、話したいことがあれば
(今は関係を保持しておくだけなど特に話す内容が無い場合、明記していただければ安価下は採りません)

>>+2
治療の効果
※コンマ判定  ★修正+5

  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル
ただしコンマ自体が0-4/95-99の場合、修正の値によらず必ずファンブル/クリティカル


・ちょっと出てきます


710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/18(水) 14:39:34.96 ID:7KpTLTf+0
研究に協力的な理由、など無難な事

可能ならば、好きなものを調べ、お詫びの品を贈る
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 14:40:28.12 ID:Etkyehs1o
ksk
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/18(水) 14:43:17.88 ID:JHfRTMbs0
治療は難航してるなあ
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/18(水) 15:00:37.58 ID:N/a9r+dg0
お詫びの品って、ゲコ太あたりだろうか
名刺を渡してるから、怪しまれかねないことは聞けないよなぁ
長点のメールアドレスだけで、ハッキングできそうだし
714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 15:06:16.53 ID:qpyY9gGSO
やっぱゲコ太かね?ただ、天井くンがお子様向けキャラ商品をじっくり品定めか…
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 15:26:32.53 ID:a3P6SrClo
赤の他人からいきなり自分の好きな物が贈られてきたらどう思うか
メールでコミュ取りながら、自然に聞き出すのが無難?
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/18(水) 15:34:15.07 ID:N/a9r+dg0
やはりいきなり贈るのなら、グッズとかより食品の方がいいか
贈答用によく使われるものならば、好みであっても大して疑問は持たれないだろうし
717 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/18(水) 15:47:13.06 ID:YpPOLFkd0


銀のフレームのケースには、黄色いビニールテープを貼った上から検体番号が書いてある。
念動能力者の少年から培養した分だった。

無機質な光は金属や天井の顔を等しく照らし、PCのモニタには跳ね返される。
窓は完全に遮光されており外の様子は伺えないが、腕の時計は午前十一時ほどを示している。

天井「接続はこれで……大丈夫だな」

念動力の「力」そのものは電撃系統に比べ計測が難しい。
特に今回は能力者が意図を持って物を浮かせたりするのとは違う。
脊髄と人格データの入った機材ごと絶縁体で包み、大掛かりな密閉容器の中に置いた。
容器中に散布した微細な粉末の濃度を計測することで、その揺らぎにより「力」を測るのだ。

内部が白く霞掛かった容器を眺めていると粉塵爆発でも起きそうだと苦笑が込み上げる。

天井「ふぅ。やるか」

諸々の機材を連結した端のデスクトップ型のPCには少しずつパターンを変えた刺激のデータが入っている。
天井の指がエンターキーを叩くと同時、間を空けて自動的に送られていく電気信号。
それは厳重に囲われた脊髄に届き、平行して計測機器からのデータが戻る。

ウィンドウには次々と送った刺激とその結果の対応が表となって現れた。

天井「パターン0039まで発現無し、0040から0053まで同一の反応。0054、0055発現無し。
   0056から0079まで先ほどと同一、0080から0083まで別の反応……」

反応ごとに継続時間、強さ、位置などを記録。
どれも本人が行使するのに比べれば微弱だが、将来的にはこれを組み合わせたり重ね合わせたりして身体の稼動まで漕ぎ付ける予定なのだ。

天井「ふぅ。痛点の刺激に対する反応の種類は今のところ九か。触覚以外にも音や光は試さねば」

昨日、一昨日に行った電撃使いの二人に関してもそれぞれ別の結果が出ている。
最終的には一番実用化が簡単そうなサンプルを使うか、患者の適性に対応できるように複数のバージョンを作るか。
青髪少年の能力だけは、患者の腕などを「能力者本人のもの」と錯覚させるというステップがあるため今は保留にしてある。

天井「実現すればこの研究では一番有用なのだろうが」

電撃使い、念動力では身体を外的な力で動かす形になる。
その点一時的とはいえ身体そのものを筋力がある状態にできる肉体変化の能力なら、より患者の意に沿った動作が可能だろう。
ただしその分相性が激しそうだ。

そういえばあれは基本的に本人の身体に作用する能力だが、超能力者まで上り詰めれば他人にも干渉できたりするのだろうか。

天井「いや……言ってはなんだが彼がその力を持ってはいけない気がするな」

メイドロボのくだりを抜きにしても、あの祭り好きそうな性格だ。
友達に耳だの尻尾だの生やして回りそうである。


718 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/18(水) 16:06:12.17 ID:YpPOLFkd0


返答期限からもう十日以上経つ。
五月も末、そろそろ梅雨が見えてくる時期だった。
樹形図の設計者によれば今年の入梅は六月八日らしい。

今日ははっきりとしない曇天で、湿度は高いが涼しくて過ごし易い。
実験装置を片付けた天井は真っ直ぐ研究室に向かっている。
グラウンドでは、生徒達が数少ない体育の授業を受けていた。

天井(しかしああまで喜ばれるとは)

御坂とは基本的に能力開発の話題を遣り取りしつつ、当たり障りの無い関係を保っている。
初回の失礼を詫びたい、いいや気を使わなくても良いといった応酬の後にちょっとしたゼリーのセットなどを送ったのだが、
直接面会もせず郵送しただけというのに興奮気味の謝礼メールが返って来た。

天井(あれが演技だったら役者になれるな、推定第三位)

冥土帰しが名札に貼っていたキャラクターのパッケージのものにしたからだろう。
そこまで効果があるとは想像もしなかったが、ミサカ九九八二号の行動記録が記憶に残っていて良かったと思う。
剥がした蓋は取っておいたりするのだろうか。

と。

教授「――天井君、天井君」

背後から上司、というより医療系研究者達の纏め役の声。
駆け寄る姿は生徒達にも親しみ易いと言われるものだ。
引き結んだ唇と困惑気味の眉さえ無ければ、だが。

教授「天井君、今少し、良いかい?」


719 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/18(水) 16:50:28.82 ID:YpPOLFkd0


窓が無い小さな会議室は、実験室よりよほど閉塞感があった。
目の前の相手が難しそうな顔をして指を組み合わせているからかもしれない。

天井「えぇと、お話とは」

教授「ああ申し訳ない、今話します。率直に言うとどちらも良いことではないのですが」

どちらも?
良い話と悪い話のどちらから聞きたいか、というお決まりの展開にはなってくれないらしい。

教授「まず学園の方に、ある学校の開発担当から身元確認がありましてね。学外の子に指導している、とのことですが」

渡してしまった名刺はどうにもならない。
一応、この時のために言い訳は考えていた。

天井「申し訳ありません。今回考案した演算方式なのですが、過去に担当した生徒は皆、他に使用している式と噛み合わせが悪かったのです。
   その学外の児童の能力向上が目覚ましいこともあり、データを取れればここでの開発にも生かせるかと思いまして……」

教授「ふむ、分かりました。考えがあってのことでしょうと上には伝えてあります。
   ただこういったことは事前に許可を取るようにしてくださいね」

事前に申請などしたら撥ねられるだろうが、そう思ったが顔には出さない。
許可を求めているのは教授ではない、どころか若干擁護してもらっていたらしい。

教授「さて、こちらが問題なのですが……。天井君の研究に、次の四半期分の補助金が出なかったのですよ」

天井「都市からの、ですか」

教授「えぇ。言い辛いのですが、少し前まで進展が遅れていた影響でしょう。
   接続機の完成や能力発現の成功がありますから、この次の四半期は大丈夫だとは思いますが」

グレーのつるつるしたテーブルを、握った拳がぎしと押す。

教授は知らない。
都市の意向を。

教授「もちろん長点からの研究資金は今まで通り出ますが、医療分野は物入りですからね。
   この期間、研究は力を抜いて開発指導に専念したらどうか、というのが学園上層部の考えのようです」

それは補助金が出ないという事態がイレギュラー、今回に限るという前提だ。
冥土帰しは言った、屈しなければ不遇は去ると。
それはどのくらいの期間の話だ?

教授「ということです。……私としては、天井君の方針を最大限に尊重できればと思っています。
   今の研究の進度なども含めて判断してください。そうですね、一週間くらいの間には」

返答しただろうか、礼を言っただろうか。
立ち上がった教授に促され退室する。
妨害は予測していたことだ。
なら、どうする?

零れるように雨が降り出す。


・安価はもう少しお待ちください


720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 16:52:32.50 ID:qpyY9gGSO
なんというえげつなさ……さすがやでぇ……
721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/18(水) 16:57:27.24 ID:N/a9r+dg0
研究の一時凍結を考えようにも、木山がどう出るか…恐いな
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/18(水) 17:20:01.40 ID:4t6mfY1AO
天井はまだ良いが、問題は布束だろう。大丈夫か?
723 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/18(水) 17:28:09.07 ID:YpPOLFkd0


頼みがある、こちらに来れるか。
久方ぶりに木山から入ったメールはいつになく急いていた。
しかし電話ではなく、メール。
焦りというよりは何か……。

天井「ここに呼び出されるのもしばらくだな。最近は電話やメールばかりだったろう」

畳んだ傘をばさりと払う。
露はぽつぽつ落ち、たたきのコンクリートを斑に染めた。
木山は濡れた空気の正面入り口で、わざわざ迎えに立っていた。

木山「ご足労済まないね。できれば面と向かって話したかった」

殊勝なことだった。
いつもあれだけ勝手に要望を捻じ込んできたというのに。
傘立てに差されたこちらの私物をじれったそうに見届け、木山は足早に研究室へと向かう。
天井は慌ててその後を追った。


準備はされていたのだろう、良く知らないハーブのような匂いのお茶がとぷとぷと注がれる。
誤って零した数滴を木山は億劫そうに拭った。

木山「――ここしばらくで、結構色々なところを探ったんだがね」

そうだ、切迫しているのではなく切望。
それもいつぞやの接続機の時のようなぎらついた風ではない。

敢えて回りくどく話し始めるのは、期待が大きすぎて自身を落ち着けるためか。

木山「盲点だったよ。書庫に検索を掛ければ済む話だったとは。
   まぁ開発に携わっていない私としては少しだけセキュリティを潜ったが……そういえばそれも、貴方に頼めば良かったのかな」

天井「何の話だ」

実験関連の話とも思えない。
確かにミサカネットワークはこの研究者の専門分野、AIM拡散力場とも関連はあるが……。

木山「本当に奇妙な縁だよ、まさか貴方に繋がるとは思わなかった。僥倖だね」

天井「まどろっこしいな、帰るぞ」

すると、木山は浮かべていた微かな笑みを消した。
くすくすという声も、たがの外れたような笑いも見せなかった。

薄い隈を飾り、深く決然とした目で、

木山「私を超能力者に会わせることはできるかい」

そう問うた。


>>+2
どうするか


724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/18(水) 17:31:35.23 ID:5uqjg6oRo
かそくした
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) :2012/07/18(水) 17:34:38.25 ID:x7sgPQy2o
会わせる
いい方向に持っていけたらいいなぁ
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 17:41:51.26 ID:qpyY9gGSO
天井と関係ある…みこっちゃんか?もし木山が将来第3位予定を知ってて、絶対能力者実験に関係してたら…
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2012/07/18(水) 17:46:29.82 ID:x7sgPQy2o
一方さんだったら燃えるわ
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/18(水) 17:49:56.48 ID:N/a9r+dg0
誰のことを言ってるのか、さっぱりわからん…天井って超能力者と会ったことなかったよな
超能力者が具体的に誰なのか、なぜその超能力者と面識があると思ったのか、聞き返さずに答えてよかったのか
あと「書庫に検索を掛ければ済む話」ってどういうことだろ
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/18(水) 17:52:33.90 ID:4kZ8PLvBo
まさか、一周目の記憶も持っているとか?
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 17:58:23.30 ID:qpyY9gGSO
天井くん以外のループもあり得るか…仮にそうならループ条件が死亡じゃないのか
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/18(水) 18:05:08.41 ID:N/a9r+dg0
一方通行って、書庫に「長点所属」って書いてあるから、
そこから考えると、「一方通行」しかないか…
しかし、面識がない天井だと紹介する以前に会えるかどうかすら怪しいのでは
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 18:13:31.15 ID:+I2qTrl6o
どうみても考えなしです 有り難う(ry
会わせる前に理由ぐらい聞けよと思うんだけど 
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 18:16:05.51 ID:qpyY9gGSO
え、何また夏ゆえの?空気読まずの考えなしなん?
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/18(水) 18:24:10.41 ID:N/a9r+dg0
そもそも学校に籍だけ置いて来てない可能性もあるし、面識がないから連絡先ももちろん知らない
木山も必死みたいだし、安請け合いになると後が怖いな…
735 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/18(水) 18:29:06.40 ID:YpPOLFkd0


天井「――――分かった、最大限やってみよう」

木山「っ、即答か」

あっさりと通るとは思わなかったのだろう、木山は目を見開いた。
茶色の瞳が揺れている。

天井「驚くことでもないだろう。今までだって散々要求を呑んできんだ」

理由も無く思う。
先のあの問いだけは、脅迫ではなく懇願だった。

木山「そうか。……助かるよ」

つい、と外された視線も口角の上がらない表情も、何も感情を滲ませてはいないが。
ただこの卓の周囲の空気が、僅かに緩んだ気がした。


天井「とはいえ、正直私も会ったことがある訳ではないからな。すぐ、とはいかないし確実でもないのだが……」

木山「それでも、頼む。こちらとしても代案はあるが、それこそ不確実なんだ」

代案。
そもそもの目的。
今聞けば、答えるだろうか。


>>+1
何か聞きたいことがあれば
1つまで、複数書いてあった場合最初のを採ります


736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/18(水) 18:32:58.38 ID:N/a9r+dg0
「樹形図の設計者」や「超能力者の助力」を得て、何をしようとしてるのか
737 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/18(水) 19:21:04.77 ID:YpPOLFkd0


天井「一つだけ、聞いても良いか」

しとしとと絶え間無く続く音に被せて訊ねる。
これだけは知っておきたかった。
木山は黙って首を傾げる。

天井「目的は、何なんだ。以前樹形図の設計者に用があったと言っていただろう。それに加え今回だ。
   いくらなんでもテロリズムだのそういったものに手は貸せないが」

幻想御手の一件が脳裏にはある。
ずっと木山の意に沿ってきておいて今更かもしれないが、繋ぎをとろうとしている相手が危険過ぎるのだ。

木山「はは、本当に私がテロを起こすと思っているなら、迷わず答えたりはしないんじゃないかい」

天井「では何を」

木山「…………」

再び、雨音。
窓は網戸しか閉まっておらず、濡れた土の独特の匂いが漂っている。
しっくりとそれに馴染むハーブティーを、木山は持ち上げ、口に運び、かちりと置いた。

木山「……謝らなければいけない子達がいるんだ」

頭をゆるりと振ると伸ばしっぱなしにしたような色の薄い髪が揺れる。
木山はソファの上で、身体の両脇に手を付きどこか遠くを見た。
この瞬間この部屋から薄れ、別の所に行こうとするように。
緩慢な空間移動があるならこんな感じだろうと思う。

木山「私を、信じていたのに。彼らを助け、償うこと。それが私の目的だ」

天井「それは――」

「能力者の集団暴走」に関係があるのか。
すんでのところで飲み込んだ。
突き付ける必要も無い気がした。

暴走を起こした能力者か、暴走に巻き込まれた生徒か、事件によって苦境に陥っている誰かか。
いずれかに該当する被害者を、助けたいということだろう。


738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/18(水) 20:20:46.41 ID:4t6mfY1AO
最初安価駄目かと思ったけど良かったみたいだな

むしろ成功?

いずれにせよ≫1流石です
739 :久々に手打ち>>1 ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/18(水) 20:39:29.56 ID:EmszJ/nDO


長点では、豪奢な傘を差した少女が佇んでいた。
今日はよく出迎えられる日だ。

布束「お帰りなさい。For a moment, こっちで話せる?」

付いていった先は広い敷地にある池の傍の、東屋のようなところだった。
彼女はこういったランチを摂れそうな穴場に詳しいのかもしれない。
植え込みの隙間やらを幾つか越えた場所を、天井は存在さえ知らなかった。

屋根を支える柱の一本には蔦が絡み、しっとりと濡れる。
二人は閉じた傘を立て掛け、簡素な木のテーブルセットに着いた。

天井「補助金の件か」

布束「Quiet right. 次の四半期はあまり行っていない中学にでも顔を出したら、らしいわ」

天井「あぁ、そっちはそうなのか。私の方は開発に専念してみたらと言われたよ」

少女は常勤でなく、また学生としての身分から奨学金もあるということか。
日中でも素知らぬ顔で研究しているから忘れがちだが。

布束「Into the bargain, 少ない資金でできる範囲なら研究していて良いとも」

天井「長点側はかなり好意的だな」

つまり、手緩い。
所属施設の温情でやっていける程度には。

実際、都市が本気で研究を潰す気ならもっとできることもあるはずだ。
天井が量産型能力者計画で言われたようなことを、偽りで告げても良い。
その研究は成功しないと予測演算された、とでも。

敢えて手加減をしているなら、その理由は?
この研究自体に有用性を感じているのか。
布束と天井の重要度がさほどではないのか。
それとも。

布束「Listen. どうするの?」

ばらばらと、池に波紋が散っては消える。
それを見、細く息を吐いてから布束はこちらに向き直った。

問題は更にある。
第一位を探すそれだけでも骨だ。
加えて、籍を置いているだけとはいえ長点上層の不興を買わないようにしなければならない。
最近注意されたばかりなだけに。

皺の凝った眉間を揉み、天井は目を開いた。


>>+2
研究への方針
(しばらく離れる、限られた範囲でする、資金を工面する、etc.)

>>+4
どうやって一方通行を探すか


・今日はこれにて
 ご参加ありがとうございます
 ちょっと乱雑開放編をチェックしたいので、
 明日はお休みorちょっとだけになります、すみません


740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/07/18(水) 20:44:46.92 ID:0nIr6ZKAO
k
741 :名無しNIPPER [sage]:2012/07/18(水) 20:44:56.02 ID:4AYnaJ730
限られた範囲でやりつつ布束と一緒にいちゃついてればいいよ
742 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 20:45:23.63 ID:5vNmYqFDO
研究は放棄
743 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/18(水) 20:53:40.19 ID:TxN6NWVo0
研究者が研究を離れるとなると怪しい動きする以上に目立ちそうだ
出来る範囲で今までどうりの研究してるほうが安全、かな
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/18(水) 20:55:09.09 ID:O0u3edNF0
一方通行が長点上機にどのくらいの頻度で来ているのかと
長点上機を通して研究協力の依頼を受けていないかを調べ
長点上機を通して会えないかを探る

連続なら、安価下
745 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 20:55:58.70 ID:5vNmYqFDO
新聞の個人広告で呼び出す
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 20:59:59.64 ID:qpyY9gGSO
関西が相変わらず多方面に役立つ安価するな…スゲーわ
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/18(水) 21:07:14.72 ID:4t6mfY1AO
この場合安価どうなるの?
748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 21:08:13.01 ID:qpyY9gGSO
普通に安価↓で関西じゃない?
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/18(水) 21:45:41.98 ID:fKFPryWw0
安価のまわりから悪意が来てる・・・・

関係ないけど結果出てない安価けなすのやめようぜ
あれだっていい方にいったし
連続NGてことは>>1も参加者減ったら嫌だろ
750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 21:57:31.00 ID:8/dFMHMH0
ここは、普通の安価スレと違って、ちゃんと考えて安価しないと、状況悪化しそうだから神経質になるのも仕方ない
そういったのを「悪意」の一言で切り捨てるのもどうかと思うけどね まあ、ギスギスするもの良くはないがな
751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/18(水) 22:01:42.38 ID:2yZfDurd0
怪しい動きさえしなきゃ長点自体は繋いでくれそうだよね
まぁ、クローン予定の電撃使いだの、絶対能力〜の対象超能力者だのに渡りをつけようとする研究者が、どこまで裏の人に怪しまれないで動けるかドキドキしながら待ってる
でもいまのところ、天井自身が重要人物じゃないからまだバレてない?

新聞の暗号系は面白いけど、一方さん新聞読むタイプに見えない
そのうえ現在ガキなんで、もし安価なってたら一方さんじゃなく即裏の人が現れかねなかったというのは穿ちすぎだろうか

>>749
例の計画がある一方さんに繋ぎをつけるなんて、破滅を回避するために参加拒否したのに!ってことだからみんな慌てたんじゃない?
いつだか一回だけ安価タイミングに参加できただけのチラ見の俺がいうことじゃないかもだけど
752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/18(水) 22:08:52.93 ID:fKFPryWw0
悪意ってのは放棄にビビッて書いてしまった
でも自分で書いてて矛盾してたごめん
俺がまず落ち着くわ
753 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/19(木) 11:08:29.52 ID:R42e4+Wp0
なんか無茶ぶりしたくなってきた
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/19(木) 13:15:10.93 ID:obYOzuGSO
今までの流れやスレ内の空気知った上での発言かコレ?
755 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/19(木) 17:16:50.18 ID:7FExw8hD0

・いつも安価ありがとうございます
 ちょっとだけ進めます、数レスになってしまいますが

>>744 間に別の安価が挟まっているので連続ではないです
 >>736 と同じ方ということでしょうか、ご申告までありがとうございます

 >2
 >3
 >4

 ……みたいな形で「同じ人が複数取るのは不可」と書いてあるなどの場合のみ、
 同じ方が>2 と>4 を取るのはNGです


天井「急がば回れ、だ。無理はせず、できる範囲で続けよう」

布束「Yah, あまり研究から離れてしまうと復帰したとき辛いものね」

こくり。
小さく首を縦に振る布束は、しっかりとした光を目の中に持っている。

復帰は必ずできる。
たとえ、すぐでなくとも。
万が一に備える思考とは別に、心構えとしては研究の先を見据えていよう。

不自由な環境でも研究を続けるのは、そんな意地の表れだとも思う。

布束「Say, 私がしている人格プログラムの調整はそこまでお金が掛からないけれど。
   あなたの方はどうするの? 今ある検体とか」

天井「そうだな……」

この研究において資金を大幅に必要とするのは、主にクローンの培養、その維持、また機器の製作である。
妹達は原価一八万円など言っていたが、大規模に設備が整っていたあの時に比べ個々のコストパフォーマンスは下がるのだ。
実際、部分培養であるため十八万を超すことはないのだが、部分培養であるが故に完成後の自律的な生命活動が行われない。
そのため特殊な薬品中に保存し、薬品は時折交換し、また定期的に器具に繋いで代謝などを行わせるのだ。
これでも半年は保たず、その度培養をし直さなければならない。

天井「患者のサンプルを一つ、それに能力者のサンプルを一つ。最低限それだけ残して他は一旦破棄するよ。
   これだけは残さないと研究にならんからな」

布束「やっぱりそうなるのね。Well then, 誰の分を取っておくの?」

それが問題だった。
協力してもらっている四人の能力者のうち、誰のものを残すか。

電撃使いの男子生徒の分は元の制御性が高く、現状一番安定した反応を出している。
逆に本人と同じく出力が高い女子生徒の方は、AIM再現や人格プログラムの調整により外部から制御を掛けられれば有用か。
念動能力者の彼のものは、能力の性質的に電撃使いよりも直接的に身体を動かせる点が大きい。
青髪少年に関しては脊髄と患者の身体のリンクの問題で後回しにしていたが、いっそこの期間に取り組んでみるか。
そうすると今までと違う実験が入ってくるのが厳しいだろうか。

天井「うぅむ、少し考えてから決めるよ」

六月までは補助金も出るはずだが、後のことを考えるならなるべく温存したい。
次の四半期以降もこの状況が続く可能性に備え早めに絞っておくべきだ。

そう、決まったら教えて、と少女は呆気無く頷いた。
人格データや木山製のAIM擬似出力プログラムに関しては、いずれにせよ全て保持できる。
その上でこちらが残すものに対応して布束の方も研究を進めてくれるということだろう。
頼もしい限りだ。


756 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/19(木) 17:19:03.94 ID:7FExw8hD0


止まない雨。
池にはぷかりと一際大きな波が立った。
あれは、魚か何かだろうか。

天井「……そうだ。別の話なのだが、白い髪の奴を見たりしたことはないか?」

布束「Pardon? また妙なことを調べているの?」

書庫にも顔写真は載っていなかったため、布束は一方通行の容姿を知らないと思い聞いてみたのだが。

天井「別に危ういことじゃない、幽霊だか何だか、そんな噂を耳にしたんだ」

自身と彼女の長点での行動範囲は意外と重なっていない。
それは今居るこの場所が如実に示している。
また学園の女生徒にやたらと可愛がられている布束なら、奇抜な容姿の少年について話を知っているかと思ったのだ。
もし第一位が割とこの敷地に顔を出すのなら。

布束「聞いたことがないわ……。Anyway, 相変わらずの話題転換ね」

なら、少なくとも人目に付く場所、時間には訪れていないということか。

天井「悪かったな、引き出しが少なくて」

布束「That's fine. 気が滅入る話ばかりしても、ね。……いつも通り、やっていきましょう」

不意に立ち上がった布束は傘を差し出す。
人目を忍ぶ密会は終わりだ。

天井「あぁ……行くか」

ばしん、と音を立てて傘が開く。
今まで溜まっていた水滴が弾かれ、新たな雨垂れに洗い流されていった。


>>+2
能力者四人のサンプル(脊髄)のうち、誰のものを残すか


757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/19(木) 17:20:25.71 ID:yTxe+zjFo
ksk
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/07/19(木) 17:22:42.84 ID:UWpX0ReAO
青髪
759 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/19(木) 17:51:03.60 ID:7FExw8hD0


クローンの破棄には相応の手順がある。
天井は容器中で泡に包まれるものをぼんやりと見詰めた。

愛着とは違う。
検体にそういった感情を抱くなら妹達の殺害実験など耐えられなかったろうし、今までだって劣化したサンプルはこうして処理してきた。
DNAの流出防止のための徹底的な細胞破壊。
「外」の患者のものはともかく、能力者の検体はこうやって酸性の薬品で分解するのだ。

天井「しかし、培養の手間に比べると拍子抜けだ」

多分一番近い言葉は「勿体無い」。
掛かる時間、要する薬品の種類、またDNAの提供者のことを考えると。
その培養の過程を知り尽くした製作者本人だからこそ、こんな感情を抱くのだろう。

最後の気泡がこぷりと消え、薄桃色の液体の中にはもう何も残ってはいない。


結局、天井が残すことにしたのは肉体変化能力者の青髪のものだった。
最近はワンステップ余分に掛かることから棚上げにしていたが、いずれ研究を完成させる暁には四人分それぞれについて形にしたい。
そのためには足並みを揃える良い機会だとも考えるのだ。

他の三人については刺激と反応の記録を採る段階であり、刺激のデータ自体は対象が無くても用意しておける。
再び本腰を入れて研究する時に、新しい検体で一気に試せば良い。

天井「――頼むぞ」

唯一つ中身のある銀フレームのケース。
彼の髪色に合わせた訳ではないが青のビニールテープが貼られ、数桁の英数字が並んでいる。


760 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/19(木) 18:51:19.19 ID:7FExw8hD0


まるで先日の逆だな、と天井は心中で呟いた。
木山の頼みを請け負ってから数日のことである。

機を見て教授を捕まえ例の密閉空間に連れ込んだのだった。
一方通行が長点上機学園の付属施設に籍を置いているのは書庫にも記載される程度の情報であり、知っていても不自然ではない。
それを踏まえて、下手に嗅ぎ回るよりは上層に近い人間に聞いてみることにしたのだった。

彼を選んだのは同分野の纏め役として親交があり、またしばらく昔に冥土帰しが「清い人物」と評していたためである。

教授「ふぅむ。研究上の依頼をしたい、ですか」

天井「はい。ベクトルへの干渉……現在使っている機材では再現できない環境を、彼の能力で実現できないかと」

面会を望むもっともらしい理由といえば、そのくらいだった。
彼はとん、とん、と軽くテーブルの天板を叩き、もう片方の拳を額に当てる。
思案げな雰囲気を全身から発していた。

教授「実際のところ、彼は本当に名簿に記載があるだけの状態なのですよ。年齢的には学生ですからね、その拠り所として」

それはつまり、こちらには顔も出しておらず研究面での関わりも無いということか。

天井「ではここの伝手でる繋がりを取ることは……」

教授「いえ、一応連絡先は預かっていたはずですよ。
   ただきちんとした実験計画を上げて承認されなければ教えてはもらえないかと」

ではこのまま、実際に意味のある計画書を作成して通せば――。
と、腹積もりを遮るように声が重なった。

教授「それから、長点を介しただけでは即依頼の受領とはなりません。
   この施設に彼や彼の能力への占有権はないのですよ、敢えて倫理にもとる言い方をすれば」

天井「交渉は自分で、ということですか」

教授「ええ。実際、彼は長点を通さずとも色々なところで実験協力をしているようですし。ただ……希少かつ最高峰の能力者です。
   依頼にはそれだけの対価を要するかと。天井君の現在の状況ですと、厳しいかもしれません」

ここにきて、やはりそこが足枷になる。
つくづく金に苦労する人生だ。
あの記憶の中ほど悲惨な状況ではないのだが、因果なものだと思う。

天井「――分かりました、諸々の条件を含め、検討してみます。お時間ありがとうございます」

教授「いえいえ。消沈しているようでなくて良かったですよ」

にこやかな表情と共に連れ立って部屋を出ると、昼休みなのかぱらぱらと学生の姿が敷地内にある。
頭を下げ、髪に白いものの混じる上役を見送った。

天井(全く、どうしたものか)

パイプを持つことまでは努力すれば何とかなりそうだが、その後が難問である。
御坂も一年ほどで第三位になるかと予想されるが、木山はなるべく早く会いたいと言っていた。
敢えて超能力者と限定したことから、今の御坂を連れて行けても意味が無いのであろうし。

歓声と同時に、ぱぁんと独特の音、生徒がバレーでもしているのか。
天井はじっとりとこめかみを押さえた。


>>+2
一方通行の件について、どうするか
※行動安価、大まかな指針もOK


・今日はここまでです、少なくてすみません
 明日もどうぞお願いします


761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/19(木) 19:02:02.81 ID:cT5vvIo90
ありのままを木山に伝え、パイプを持つことまでは何とかなりそうだが、それ以上は難問であると伝える
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/19(木) 19:03:23.60 ID:AVv0/AQc0
本人とじかに話せるなら物語的に面白くはなろうが
おそらくそううまくはいかんだろうし
ここは下手に深入りすべきではない、かな?
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/19(木) 20:20:52.38 ID:3iWo1zyDO
誠心誠意話し合えば分かり会えるはず、包み隠さず全て打ち明け、土下座してでも協力してもらおう
764 : ◆WWqRalPcWM [sage]:2012/07/20(金) 03:10:06.86 ID:ACsEaBLDO

・申し訳ありません、今日も開始が遅くなりそうです
 最近進みがゆっくりですみませぬ……すみませぬ……


765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/20(金) 04:06:06.89 ID:X0eXgNYSO
乙。ゆっくりじっくりねっとり推敲してくれ。

一方さんダメなら木山てんてーキレるかな…どうしよ
766 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/20(金) 15:10:16.66 ID:uk+ZD44n0

・もうこんな時間
 遅くなりましたが再開します


そもそも肉体変化の能力者はAIM拡散力場の再現からして面倒である。
発火能力なら熱、電撃使いなら電磁波といった分かり易い形ではなく、
体熱の伝播や身体の微細な振動といったものに総合して含まれる一種の波長として現れるからである。

だが長点の所持する高品質の機材を用いてわざわざそれを再現し、力場の中に患者の腕を置いても、
青髪の脊髄はそれを本人のものとは認識しなかった。

天井「身体の拡張やら、そちらの方面から攻めるべきか」

そもそも脊髄である。
判断というものをする部位ではないため逆に騙しにくい。
布束や木山も広い意味での専門は脳、誰かに訊いて解決するというものでもないのだった。

天井「まぁチャンスだと思ってじっくりやるか……」

ふつん、とPCの電源を入れる。
天井は研究室のリクライニングチェアにぐったりと背を預けていた。


画面端のバルーンは御坂からのメールだった。
あれから、会話としても能力の指導としても当たり障りの無い遣り取りを続けている。
前回送った演算の省略法はもう実践済みだった、などの報告や、最近のテストでは開発以外の科目も良好だったこと。
何か目指すところがあるのか、とこちらが問うたことには、障害がある限りそれを越えたいだけだと返答があった。
こちらもちょっとした雑談を交え、素っ気なくないように返信する。

天井「さて、今はこちらだな」

無個性な風景写真の上に開かれたのは、書き掛けの文書ファイル。
淡々とグラデーションを描いた空の青が四角い白で遮られる。
書体は長点の報告書で使われているものだ。

「検体へのAIM拡散力場投影実験」。

そう題された実験は、第一位に協力依頼するという名目の計画である。
検体――複製した患者の腕自体の熱移動や微振動を制御することで、元の能力者のAIMと同様の状態をつくる、というものだ。
たとえこれが成功しても実際の患者に行える処置ではないが、この方法なら可能である、と判明するだけでも前進である。

天井「まぁ計画書を作ってみても、どうするか決まらなければ意味は無いのだがな」

そう、この文書は人目に触れるかさえ未確定だ。
天井は第一位にどこまで踏み込むか躊躇っている。

最終的に木山が助力を請うのが目的として、まず建前上初回は、自身が実験協力を持ち掛けなければならない。
長点を通す以上、であるが。
見返りは交渉次第とはいえ最低でも数百万は見ておいた方が良い。

天井「いや、そんなことよりあれに関わる自体が……」

絶対能力進化実験はまだ開始しておらず、また始まってもしばらくはクローンの製造に掛かり切りだろう。
第一位が話を聞かされるのはそれからだ。
だが、あの実験を主導している側は既に彼を被験者として定めている。

しかして木山には彼に会わせるため努力すると宣言した。
理由無く無理でしたとは言い難くもあった。

天井「長点以外から取次ぎを……いや」

他から居所を入手するならば、天井が第一位に直接接触する必要は無い。
だが情報を探っていることは『この都市』から隠し切れないだろう。
なるべく危険を冒さず接触を図れないか、あるいは木山の問題を他に何とかできないか。

スクリーンセイバーに切り替わってしまった画面、ランダムに蠢く立体を睨む。


>>+2
木山と一方通行の件についてどうするか


>>725>>762 により天井は迷っているようです


767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/20(金) 15:35:02.03 ID:qvWTuI+wo
意を決してコンタクトをはかる
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/20(金) 15:36:47.51 ID:qb4/WrAU0
一方通行と長点上機の関係をありのままに伝え、
さらに研究の進展の遅れによる補助金カットなどもあり
長点上層の不興を買う手段は避けたいことと金銭的に厳しいことを伝え、
長点上機所属の利点を生かして接触する場合
パイプを持つことまでは何とかなりそうだが、それ以上は難問であると理解してもらう
769 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/20(金) 16:47:54.19 ID:uk+ZD44n0


四コールほどで回線は繋がり、僅かな身じろぎの音と言葉を発するための呼吸が聞こえた。

木山『どうした、何か進展が?』

天井「それなのだが……」

難色を示す声音を察したのか、電話を挟んで気詰まりな沈黙が落ちる。
先に切り出したのは相手の方だった。

木山『…………難しいか』

天井「長点では、本当に名前を預かる程度のことしかしていなかった。
   連絡先を聞くにも、正統な理由、つまりちゃんとした研究協力の依頼などが要る」

木山『なら――』

考えそうなことは分かる、自身も教授に尋ねた際に同じ事を思ったからだ。
だから希望が口に上る前に、遮った。

天井「あれは、高いんだ。安くて数百万。交渉自体は長点でなくこちらでしなければならないから、もっと吹っかけられるかもしれない。
   あなたも同席できそうなAIM関連の実験計画を組んではみたのだが――」

そうして、絶対能力進化実験のことは伏せつつ、補助金が止まったことを掻い摘んで告げた。
次の四半期では補助金を得られるかもしれないが、それも当てにできるほど確実ではないこと。
場合によってはしばらくの冬のため、資金は温存しなければならないことも。

天井「計画を提出して居場所を得ておきながら依頼もせずでは、長点のバックアップを失うことに繋がるしな」

木山『そうか…………では少し、待ってくれないか。その間に代案を試したい』

天井「代案? 不確実と言っていたあれか?」

そうだな、と木山は諦めた風に言う。

木山『だが可能性はある。貴方の研究に協力している二人の電撃使いの力を借りたいんだ』

超能力者の次は、大能力者達。
この元教師の研究者は何をしようとしているのだ。


770 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/20(金) 16:50:03.54 ID:uk+ZD44n0


天井「それは――具体的に何をするかを教えてもらわねば取り持てない。
   それを踏まえても、決定権はあの二人にあるが」

木山『承知の上だ。というか、貴方は気付いているかと思っていた』

御託は良いから早く話せとばかり、無言で促す。

木山『以前貴方が言った通り、私は樹形図の設計者を使いたかった。だが、十五回も使用申請をして、全て拒絶されているんだよ。
   だから、高位能力者の演算領域を借りることで、それに代えるつもりだ』

天井「演算を借りる……? 接続機か」

木山『そう。それにあれにはリミッターがあるだろう。能力者に一定以上の負担は掛からないし、了解を取れなければ無理強いもしない』

確かに、原型が学習装置であり、機械と脳の間の出入力に特化したあれならそういった使い方もできるか。

それで、超能力者、か。
彼らの演算能力は常軌を逸し、最新のスパコンさえ上回るとさえ囁かれる。
第一〇〇三二実験で大気を操った第一位は都市中の風の流れを逆算したとも言う。
樹形図の設計者に届きはしないだろうが膨大なことは確かだ。

代案では大能力者二人、スペックの差を人数で埋めようということか。
現実的には数人程度のレベル4ではレベル5に掠りもしない可能性が高いのだが、演算させたい内容によってはそれでも足りるのかもしれない。

木山『どうだ、話を通してくれるだけでも良いのだが』

すう、と息の音。
そして、木山はこちらの返事を聞く前に質問を重ねた。

木山『それから、依頼に要する額をこちらが持てば、第一位に連絡は取ってもらえるか?』

芯の通った声音に息が詰まる。


>>+1
電撃使いの二人の件を了承するか(二人に木山の協力要請を伝えるか)

>>+3
一方通行に連絡することを了承するか(木山が資金を用意するならという前提で)


771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/07/20(金) 17:07:49.56 ID:d79QaCLA0
了承しない
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/20(金) 17:09:42.59 ID:987VLT2AO
伝える。

一方通行は交渉次第では金あまり求めなそうだけどなぁ

それとこれとは違うか
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/07/20(金) 17:10:42.36 ID:d79QaCLA0
よっしゃリアルタイム!
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/20(金) 17:12:53.74 ID:Rk+mpm3i0
了承する。

いつかは接触しないとな。後は交渉次第か・・・
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/07/20(金) 17:13:30.16 ID:d79QaCLA0
莠謇ソ縺吶k
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/07/20(金) 17:14:14.40 ID:d79QaCLA0
なんだコレ!?
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/20(金) 17:31:31.91 ID:qb4/WrAU0
初めてトラウマ治療の成果が生きてくる局面になりそうだな
778 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/20(金) 17:54:32.69 ID:uk+ZD44n0


天井「……金を工面する気か? 言っても無駄かもしれないが、借金だけはしない方が良い」

ある程度の額の負債は、自己増殖的に膨らみ、一介の研究者など簡単に押し潰す。
僭越ながら真に迫った記憶を元に忠告してみたのだが。

木山『どうして私に貯金が無いことが前提なんだね。……まぁ、そうだ。言っても無駄だよ』

さらっと流されたのは、言葉通り蓄えがあるということか。
あるいは目的のためなら身の破滅も厭わないということか。
どちらとも取れなかった。

天井「そうか。……実験計画を上に提出する。少し掛かるかもしれないが待っていてくれ」

木山『ありがとう。無事受理されることを祈るよ』

まただ。
声、ではなく間や調子のせいなのだろうか。
今までと全く変わらない音のままに、薄らと雰囲気が緩む。

上げてから落とす、というのも悪い気がしたが、天井はその代わり、と畳み掛けた。

天井「電撃使いの件は無し……というか最低、第一位の方の結果が出るまで保留だ。
   接続機はこちらにある最新版を含めても三台、大能力者をその数並べても超能力者には遠く及ばない。
   あの時まず超能力者を挙げたということは、生半可な演算能力では足りないのだろう」

木山『まぁそうだろうね。良いよ、超能力者に協力を仰げる可能性があるなら、そちらから全力で行くさ』

目的があり、そのために試せることがある。
木山の抑揚の少ない語調に見え隠れする気力には、天井も覚えがあった。
行き詰っていた研究に糸口が見えたあの時と同じ。
あの超能力者は、木山の突破口になるだろうか。


>>+2
実験計画の可否が出るには少し掛かるようです
その間に何かしたいことがあれば


779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/07/20(金) 17:59:02.25 ID:pO7Oi3qAO
木山がやろうとしている事を徹底的に考察
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/20(金) 18:02:58.54 ID:qb4/WrAU0
一方通行のトラウマが完治していることを確認した後、
まだ完治していないトラウマに対して集中的に認知行動療法によるトラウマ治療をする
781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/07/20(金) 18:03:54.10 ID:d79QaCLA0
トラウマ克服
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/07/20(金) 18:04:48.97 ID:d79QaCLA0
なるほどね
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/20(金) 18:07:36.86 ID:qb4/WrAU0
打ち止めのフラッシュバックの所以で、対面時に一方通行のトラウマがぶり返したら最悪の事態になりかねん
784 :ネット切れた…… ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/20(金) 18:18:15.20 ID:ACsEaBLDO

>>+1
「完治していないトラウマ」の対象について具体的にあれば


・もうちょっと続けます


785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/20(金) 18:20:20.84 ID:MAoF+fP5o
打ち止めに対するトラウマ
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/20(金) 18:24:17.46 ID:X0eXgNYSO
芳川はどうだったっけ…
787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) :2012/07/20(金) 20:21:56.20 ID:Ck6FTTfC0


久々に訪れる病院は、変わらず優しげな趣きを全面に醸し出している。
消毒されたスリッパに履き替え、受付を経て窓際のソファへ。
五月末、梅雨はまだ訪れていないがしとしとと細雨が落ちてくる。
ガラスが二重になっているのだろう、天候特有のするりとした冷気は窓枠に腕を乗せても感じられなかった。

茶色の髪の少女を思い描く。
芳川や第一位に対して抱いていた突き飛ばしたいような恐怖感に比べ、少女に対する感覚は静かだ。
失態、破滅といったものに、じっと結び付いている。

窓口「天井さん、どうぞ」

呼び声に従いドアをくぐる。


第一位に対するトラウマ軽減のプログラムを受けて以来、天井は自身での治療に戻っていた。
だが、ここに到って再び専門家の診断を受けることにしたのだった。
あの第一位に会うのだから打てる手は全て打っておきたい。

医者「お久しぶりです。経過はいかがですか」

天井「はい、アルビノ恐怖症に関しては魘されたりすることもありません。
   ただ最近別のものに恐怖を感じてしまって、以前の方も完治したのか不安に思いまして」

医者「ふむ。ではまず、最近あったことを教えてもらえますか?」

今度も、具体的なところは話さない。
ただ以前大きな失敗をしたこと、そのイメージがある女の子に重なっていること。
似た容姿の子供を見た時に絶望感が甦ったこと。
身体からぼろぼろと落とすように話した。

ついでのようだが芳川についても口にした。
この際なら、傷は可能な限り癒しておきたい。

医者「――ありがとうございます」

天井「それで、できれば短期で治療できないでしょうか」

医者「そうですね……こういったものは長期的に行うものなのですが。では短めにプログラムを組んでみましょうか。
   それから以前の方なのですが――」


788 :あれ、なんで酉出ないんでしょう ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/20(金) 20:23:06.01 ID:Ck6FTTfC0


いくつか問診が入る。
何かアルビノの男性に関連した事項で不安を覚えることがあったか、などと。
打ち止めは第一位に纏わるものか悩んだりしながらもそれに答えていく。

医者「――はい、こちらの状態はかなり良好ですね」

天井「では完治したと考えても大丈夫でしょうか」

医者「ほぼ治ったと言って問題ありません。今なら問題の容姿の方とでも、普通にお話できるでしょう。ただ、」

彼は白衣の左袖を捲り、下の衣服もずり上げた。
差し出された腕を眺める。
一般的な男性の腕、筋肉はそれほどではなく少し毛深い、それだけの――、
いや。

医者「中学の頃、うっかりカッターで切った跡です」

斜めに渡るように、7、8cmくらいの薄っすらとした線があった。
引き攣れもなく目を凝らして見なければ気付かないような薄い線。

医者「これと同じ、完全に完治とは言えないものなのです。ごくまれに、フラッシュバックなどが起こる可能性があります。
   天井さんはセルフコントロールにも慣れていますから、そういった時は深呼吸して、落ち着いたらまたいらしてください」

天井「――分かりました」

危険なのは本人を目の前にしてそれが起こることで、その場合は悠長に医者に掛かれる状況ではない気がするのだが。
基本的には対面しても大丈夫だろうと確認できただけでも収穫か。

天井(傷か……)

万全を期し、打ち止めと芳川についても対処してみる。
そう考えると、自身には考慮すべき傷が何本も付いているのだった。

次回の診療日を相談し、受付を先とは逆に通り靴に履き替えた。
この医師の手腕は前回第一位へのトラウマを治療した際に知るところだ。
短期のため効果が出辛い可能性はあるが、悪化することはそうそうないだろう。

計画が長点上層の審査を抜けられるか。
通知の日は近い。


治療の効果
>>+1
打ち止め  ★修正-5

>>+2
芳川  ★修正-5

※コンマ判定
  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル
ただしコンマ自体が0-4/95-99の場合、修正の値によらず必ずファンブル/クリティカル


>>+4
長点の審査がOKだったら、初回の研究協力の依頼時にどんなメンバーで会うか
※天井は参加
(連れていけるのは研究関連で妥当な人のみ、複数可、天井の単騎可)


・と、キリのいいところで今日はおしまいです
 安価もよろしくお願いします


789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga sage]:2012/07/20(金) 20:24:25.09 ID:cTXaqC8o0
頼む!
790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/20(金) 20:24:35.86 ID:X0eXgNYSO
くらえぃ
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [saga sage]:2012/07/20(金) 20:25:42.64 ID:cTXaqC8o0
オワタ…オワタ…

安価下
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/07/20(金) 20:32:24.02 ID:d79QaCLA0
単騎
793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/20(金) 20:36:35.67 ID:X0eXgNYSO
ロリ束はアレだけど、木山てんてーは入れないのか…
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/20(金) 20:46:15.21 ID:yOXF+lMr0
本当にトラウマ治療はコンマが振るわないな…
2回連続ファンブルとは、今後治療に専念しても
当分の間御坂と顔を合わせるのは無理っぽいな
木山から第3位に会わせろと言われないことを祈ろう
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/20(金) 21:50:39.99 ID:yOXF+lMr0
>>709の時と比べて、打ち止めへのトラウマが特に悪化していないはずなのに
修正値が悪くなっているのは、治療期間の短さと治療対象の数が増えた所以かな…
打ち止めへの治療に絞っていれば、ファンブルは避けられたかもしれん…薮蛇だったか
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/20(金) 22:30:16.18 ID:2QPJ8P9Lo
しんどい
797 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/21(土) 13:10:56.86 ID:aSvgjcqF0

・遅くなりましたが今日も進めます
 よろしくお願いします


室内でも、湿度の高い空気は何となくひんやりとしている。
六月も中旬である。
天井は学会に出る時のようなスーツ姿で、人気の無い研究所の応接室に座っていた。
壁のパネルにピ、とリモコンを向け、エアコンのドライを作動させる。

天井(実験セクションでないとはいえ所内でこの湿気はどうなんだ)

文句を向けた建物は、常に過ごす敷地内の研究棟ではない。
長点上機学園が別の場所に持っている、関連研究施設といったところである。
規模は小さく、情報工学系の地味な研究を細々としているところだ。

審査は通ったものの第一位について教えてもらえたのはPCのものと思われるアドレスが一つ。
研究の話であるし相手が相手なので、喫茶店などよりはましな場所に呼び出したい。
そんなことを漏らしたらこの場所を斡旋されたのだった。

天井「それにしても、休日とはいえ人の子一人居ないとは」

土日でも研究所が全くの空になることは少ない。
この状況は所員のやる気の無さを象徴しているのではなく、総員退避、ということだろう。
もしかしたら時折こういう用途に使われていて、所員も慣れているとか。

天井「約束まであと十五分」

依頼する実験の計画書やら自身の研究を纏めたものやら、諸々が詰まった鞄を引き寄せる。
餌になるかはともかく一応缶コーヒーを持参したりしたのだが、これは役に立つのだろうか。
給湯室でちゃんとしたものを淹れた方が良いか。

パステルカラーのソファから腰を上げごきりと捻る。

あと十四分。
十分前には玄関に出るか。


>>+2
天井は……
※一方通行への対応の方針


798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 13:20:19.47 ID:Sn5tJ/vTo
腹割ってドン!
おまえの能力は人を救えるぜベイビー!みたいな感じで
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/21(土) 13:26:13.72 ID:Mifw7m1T0
礼を尽くして、丁重にお願いする
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 13:41:16.44 ID:6W4u3BmX0
一方通行の友達みたくなれれば完璧だが
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/21(土) 13:52:36.97 ID:EVO9gfOAO
大人の対応か…。ベストですね!
802 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/21(土) 14:26:23.18 ID:aSvgjcqF0


折角使って良いと言われたのだ、天井はコーヒーメーカーでちゃんとしたものを用意することにした。
とはいえ挽かれた状態でパック詰めされた豆は、学園都市の技術をもってしても所詮その程度のものである。
つまりインスタントよりはましというくらい。
セットだけして、そのまま出入口へと向かう。

あと十分。

天井(そういえば、あれは時間にルーズな印象は無い)

絶対能力進化実験での気の遠くなるような繰り返しの中で、彼が予定に遅れそうになったことは十回あるか無いかくらいではなかったか。
時間に厳格というよりは、学校にも通わない彼は時間に追われていなかったのかもしれない。

あと五分。

両目を覆った手と閉じた瞼の下で、眼球をゆっくりと動かす。
蠢く感触が掌に伝わる。

今日は雨が激しい。
入り口の前、外に大きく屋根がせり出した部分も吹き込んだ水滴で濡れそぼる。
天井はそれを避けるように建物のごく近くに立っている。

あと三分。

銀色の腕時計から目を離した。
右の爪先が苛立たしげにコンクリートを叩いていることに思い当たり、止めた。
両足の裏が連結しているように地面を意識し、ゆっくりと重たい空気を吸う。

あと――、

薄暗くぼやけた視界に、白いものが浮かび上がる。

それは角から曲がってきたらしい。
この豪雨の中傘も差さず両手をポケットに突っ込んでいる異常性に比べ、淡々とした登場。
突然空から降って来てもうろたえないように気を落ち着けていたというのに。

天井(思ったより……恐怖しないものだな)

それにも関わらず、全身に鳥肌が立ってはいたが。
まだ心拍も呼吸もおかしくはない。

幽鬼のような人影は敷地の門を越え、ちらりとこちらに目を向けたようだった。
軽く頭を下げる。
相手はそれに返したりはしなかったが、歩を進める度に真っ白な横髪が僅かに揺れる。
目を凝らすと彼の周囲でぱしりぱしりと雨が跳ね上がっていた。

ぱしゃ。
予定を一分先回り、学園都市第一位が天井の前に立っていた。


>>+1
ところで、最初にこちらが対価として提示する額
(二〇〇万〜)


803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 14:30:41.26 ID:zIZpiggp0
この一方さんは既にお金持ちなのかねぇ
とりあえず五〇〇万円
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/21(土) 14:31:39.14 ID:Ow2YhzjI0
300万?
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/21(土) 14:37:47.81 ID:Mifw7m1T0
天井や木山の金銭的余裕ってどのくらいなんだろう
806 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/21(土) 15:37:40.77 ID:aSvgjcqF0


天井「今日はわざわざありがとうございます。私が天井――」

一方「詳細は? わざわざ呼び付けやがって、メールで済むような内容じゃねェだろォな」

天井「申し訳ない。きちんと対面して依頼したかったので」

こちらを睨む目の先の感情は至極分かり易い。
面倒臭い、もっといえばどうでも良い。
勘弁して欲しい、今のところ顔には出ていないと思うが肺が痛む。

天井「取り敢えず奥に――」

一方「あァ?」

再度、差し込まれる鋭い眼光、同時に少年はロビーに備え付けられた簡単な椅子とテーブルを顎で示す。
いいから手早く、らしい。
応接室の方が調度も空調も整っているが、そういえばこの第一位にとっては廃墟に転がる木箱も最高級のソファも体感的に大して変わらないのだろう。
外気に近いがらんとした空間にも思うところは無いのだろう。


手渡した資料にさらさらと目を通していく彼はまだ幼さを残している。
ホルモンバランスが崩れているらしいので明確な第二時性徴期があるのかも不明だが。
ざあざあと雨音に気を遣る間もなく、超能力者は顔を上げた。

一方「ふン、所要時間は四時間以内ってところかァ? 日時は? 場所は? 報酬は?」

天井「あ、あぁ。可能なら長点の研究棟で、日時はそちらの都合に合わせます。報酬は五〇〇万でいかがでしょうか」

妥当な値だろうと思う。
実験内容を加味するなら、より。

彼への実験協力依頼というのは大きく二つに分けられる。
第一位の能力自体を開発し、あわよくば精度出力応用その他を向上せしめんとするもの。
頂点に立つ超能力者の力を伸ばすということは、能力開発というそのものの可能性を広げることだからだ。
もう一つは多岐に渡る能力を利用し、自己の研究に役立てようとするもの。
大まかに言えば既存のものを借りるだけの後者の方が彼にとって楽な作業であるはずだった。

一方「そォだな、三日後の十五時。構内図と実験室の場所を送っとけ」

しかしこうあっさりと受諾するとは思わない。
ぽかんとする天井をよそに、第一位は立ち上がった。
椅子に腰を付けていた時間は十分にも満たない。

天井「っ、ありがとうございます」

再び頭を、今度は大きく下げる天井のことを、やはり相手は見なかった。
この面会自体も無かったことのようにさっさと雨の中に踏み出していく。
どうせ中身は覚えているのだろうが、紙の束もテーブルに残したままだった。

雨を隔てても紛れない異様な白さが角を曲がり、消えた。


807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 15:42:36.51 ID:1eNbqUZt0
意外とあっさりいったな
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 15:56:54.98 ID:RBNmarBFP
まあセロリからしたらよくあるどうでもいい実験の一つだろうからこんなもんだろ
809 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/21(土) 16:24:06.12 ID:aSvgjcqF0


淡い黄緑のソファでコーヒーを啜る。
物も心情的にも色々用意していたのに使う暇も無かった。
メーカーで淹れたコーヒーは意外と美味く、好みの酸味だったが、立て続けに二人分飲む気にはならない。

と、テーブルの上でちかちかと携帯が自己主張する。

天井「木山か」

もともと全て木山の要求のために行ったようなものだ。
第一位を見送った後、まずは彼女に日時や最終的な報酬額を連絡をしていた。
最終的なといっても言い値で確定したのだが。


 From: 木山春生
 Sub: Re: 協力依頼の件

 ありがとう、私もあっさり決まるとは思っていなかった。
 私の件は実験後かメールで直接依頼してみようと思う。
 報酬の方もそのくらいなら大丈夫だ。

 感謝は尽きないよ、実験の時はよろしく頼む。


ひとまずこれで木山と第一位に面識ができる。
その後についてもこの様子なら淡白に請け負う気もした。
だが。

取り付く島もない。

人気の無い研究所に取り残され、何故か最初に頭を過ぎったのはそれだった。
依頼自体は驚くほど簡単に受けてもらえたというのに。

天井「思っていたより平坦な印象だったな」

思い返せばあの記憶では、あれについてまっとうに意識したことなど無かった。
伝達事項を挟んで事務的な会話に終始するか、あとは実験記録の無機質な文面、たまに見る吐き気のするような戦闘の映像。
最後の日の邂逅。
それだけだ。

天井「と、今日もビジネスの話しかしていないな、考えてみれば」

そういえば長点に顔を出していないというから研究棟を訪れるのは渋る、もしくは人の少ない時間帯を選ぶと思ったのだが。
どうも本人は大して頓着していないようだった。
確かにあの実験時も彼は普通の学生達より、路地裏に息づくような連中にばかり知られていたようだから、
表を歩いても奇抜な色彩に目を向けられるだけなのかもしれない。

つらつらと、脅威になることすらせず通り過ぎていった兵器紛いの超能力者のことを考えながら、天井は空のカップを給湯室に運んだ。
勿体無いが余ったコーヒーを始末し、帰ろう。


>>+2
実験の時のメンバー
※天井と木山は参加
(参加できるのは研究関連で妥当な人のみ、複数可、天井と木山のみ可)


810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 16:24:35.62 ID:e/G0VuQEo
ksk
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/07/21(土) 16:28:22.09 ID:fTMoQ3azo
天井と木山のみ
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/21(土) 16:32:07.35 ID:Mifw7m1T0
これって、布束と冥土帰しが「清い人物」と評していた教授ぐらいだよな…立ち会えるの
813 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/21(土) 16:32:17.17 ID:aSvgjcqF0

・安価追加
>>+1
布束には実験についてどのくらい話すか
(実験そのものを伏せる、木山とAIM系の実験をすることのみ、洗いざらい、etc.)


814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/07/21(土) 16:37:12.90 ID:fTMoQ3azo
木山とAIM系の実験をすることで質問されたら答える感じで
815 :名無しNIPPER [sage]:2012/07/21(土) 16:37:27.48 ID:d9iEICaI0
洗いざらい
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/21(土) 16:40:02.61 ID:EVO9gfOAO
木山と実験する事のみ

で大丈夫だよね?
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/21(土) 16:53:01.23 ID:iiXsXYvx0
『女性と会う』ことは隠したほうがいいのか話しておくべきなのか
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 17:47:40.57 ID:JGsMEMad0
下手に隠したら、勘ぐられるかもしれんし、普通にただの研究協力者程度のの紹介で良いんでないか?
819 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/21(土) 18:13:57.75 ID:aSvgjcqF0


居馴染んだ実験室に彼が座っているのは多分に違和感がある。
この場所に築いてきた日常や現実が不意に食い違ったように。
かといっていつも以上に厳重に封じたドアは硬く、ただの研究者である天井は逃げ出すこともできないのだった。

実験台の上で腕が腕を無造作に掴む。
横たえられている方は肘から先しかなく、断面には特殊な処理。
人工で培養されたそれには電極が張り付き、あるいは突き刺さり、色とりどりのコードが伸びている。

能動的にその手首辺りに指を回すのは個性的なシャツから伸びる真っ白な腕。
蛍光灯の下ぼんやりと蓄光していそうで、痩せて、それ以上に未成熟である。

木山「では始めてもらって良いかな。目標値は大丈夫かい?」

一方「うぜェ、覚えたっつったろォ」

肉体変化の能力者である青髪少年の発するAIM拡散力場――この場合は熱や振動に、患者のものを「揃える」。
いくつもの項目からなるデータを彼はさらりと見て暗記したようだ。
また微調整のために計測器を見ることもしない。
触れていれば捉えられる、そういう能力だからだ。

木山「うむ、皮膚振動、データと一致。熱伝播、変動中」

ピ、ピ、とモニタに現れる計測数値を睨み白衣を纏った木山は言う。
その目に篭る熱はこの実験のためではないだろう。

室内には自身と木山、第一位だけしか居ない。
共同研究者の少女には、AIM再現に関して木山と実験をするからと言ってあった。
顔を合わせたことはあるもののついぞ長点を訪れていなかった木山の訪問には首を傾げていたが、
実験前に軽く挨拶をして、彼女は彼女の作業に戻っている。

自身より絶対能力進化実験に欲されている布束は、第一位と面識を持たない方が良いと思ったのだった。

木山「――、一致。天井博士、準備は完了だ」

天井「分かった、今から脊髄に刺激を送る。……一方通行、君。ここからはAIMに変化が出ても、それに逆らわないでください」

返答のつもりか、赤く沈んだ瞳がちらりとこちらを向いた。
今回は微細なパターンの変化よりもバリエーションを重視した刺激を用意している。
痛み、熱さ、冷たさ、音、揺れ、光。
たん、と押されたキーに従い等間隔でそれらが流れていく。

沈黙の中、ピ、ピ、と二人の前に数字だけが出力される。

天井「――発現に到る有意な変化はないか、いや、」

その中に一つ、突出した値があった。

木山「これは、痛覚を模したものに反応したのかな」

天井「そうだな。パターン0509のみ再試行する」

同じ刺激を繰り返し与えれば、確かにその度に何かが発動しているようだった。
青髪少年の能力測定の数値と照合するに、

木山「一方通行君、皮膚の硬化はあるかね?」

一方「通算十一回、平均して一.〇三の硬度上昇だなァ」

天井「ありがとうございます。次いで機材を用い周囲にも力場を展開した場合の――」

第二実験に移行。
結果、反応の種類は少ないものの複数の刺激に対し微弱な能力の発現が観測されたのだった。


820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/21(土) 18:44:35.06 ID:iiXsXYvx0
人を救う、医療目的のクローン技術に関わったことで
クローンに対する考え方や態度に何らかの影響が出たりするかな?
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 18:50:14.27 ID:IemqyDkSO
この一方さんは今まで受けた、数多の実験協力のうちの1つぐらいにしか認識してないから…
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/21(土) 19:11:17.32 ID:iiXsXYvx0
他の実験とは違ったと、強く印象付けないと影響はなしってことか
他所のの研究者がどんな態度で接してるかわからんが
大概ビビッたような、腫れ物に触るような扱いだったとしたら
こちらの態度しだいで記憶に残せるし
あと、『君の力で多くの人が助けになる』は悪い気はしないはず、だよな
まぁ影響出すことがいい事とも限らんが
823 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/21(土) 19:14:16.23 ID:aSvgjcqF0


天井「お疲れさまです。これでまた一歩研究が進みました」

一方「そォかよ」

天井「ありがとうございます、報酬は指定の口座に振り込みますので」

と、ここで二重の意味を込めて木山のほうに目配せする。
彼女は得たりとばかりに半歩前に出た。

木山「ところで、だ。できればもう一つ協力してほしいことがあるんだが」

一方「ハッ、単純な実験かと思ったらそっちが本命かァ? 別件で呼び出さねェと言えねェよォな事かよ」

あぁ、どうしてそう含みのありそうな物言いをするのだ、この女は。
こちらは核のスイッチを扱うように細心の注意を払っていたというのに。

木山「いや、全くの別件で私個人の案件だよ。当然礼も別に払う。端的に言おう、君の演算能力を貸して欲しい」

一方「能力じゃなく、演算? 今までそォいった実験が無かった訳じゃねェけどよォ」

木山が接続機の概要を見せると、第一位は目に見えて顔を顰めた。
ぞわり、と血の気が引く。
未だ妹達を殺害する実験に手を付けていないとしても、険しい視線には確かにいつかの獰猛な影が見えた気がした。

木山「単純な話だ。計算したいことがあるんだが、十把一絡げのコンピュータでは到底足りない。
   樹形図の設計者は使えない――後ろ暗くて申請できないのではないよ、単に棄却されただけだ」

天井(お、おい!!)

訥々と語る木山を、危うく羽交い絞めにしそうだった。
命知らずなのは良いがこちらを巻き込むな。
そっと部屋の入り口との距離を測り、間の障害物を確認する。

一方「……条件は」

木山「日時と場所はあまり問わない。何だったら今からでも。報酬は……二五〇万くらいでは駄目かな?」

一方「所要時間は」

木山「それは君の演算速度によるね」

ケッ、と第一位は吐き捨てるように笑う。

一方「お安い挑発をありがとォ。やンなら早くしろ」

木山「あぁ。十分少しで準備できる、それだけ待ってくれ」

それは妹達に向けるような殺意に満ちた狂笑ではなく、しかし純粋な笑みとは程遠いように思えた。
唖然とする天井を余所に、強制的に実験は次のラウンドに移ってしまうようだ。


>>+3
木山を待つ間に何か話したいことがあれば
※長くなりそうな話題だと途中で切れるかもしれません
1つまで、複数書いてあった場合最初のを採ります


・あんまり進まなかったですね……今日はここまでに
 明日はもう少し早くに始めたいです


824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 19:16:43.02 ID:IemqyDkSO
間接的な絶対能力者実験への干渉をするとしたら、仮にこの実験で何らかのフラグを建てたとしても、これだけでは弱い気はするけどなぁ…。倫理観がアレな一方さんならせいぜい、「ちょっと悪いな」程度にしか実験時に思う位のような…
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/21(土) 19:19:32.12 ID:iiXsXYvx0
強すぎる力を持つ故の孤独と苦悩について
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/21(土) 19:23:41.09 ID:Mifw7m1T0
医療関連の実験協力はこの実験以外では、どの程度しているのか
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 19:29:26.44 ID:JGsMEMad0
流石関西さんやで・・・普通に力について聞こうと思ってたが、そっち方面で攻めるとは
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 19:32:38.32 ID:IemqyDkSO
もし今後、この話で医療関連実験を定期的に行えるように一方さんとパイプを作れれば…

まぁ色々な特典あるかわりに闇がまとわりつくかもわからんが
829 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 19:33:35.07 ID:gM+eCGGso
いい方向性だな
ついでに缶コーヒーでもお出ししたらどうか
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/21(土) 19:33:52.69 ID:iiXsXYvx0
コレが格の違いか…
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 21:52:30.41 ID:8EQnwqBB0
コーヒーといえば、一方さんは淹れたコーヒーと缶コーヒーだとどっちが好みなんだろうな?
大のコーヒー党ではあるが、缶はなんとか、インスタントは全滅レベルで飲めない身としては気になるな
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県) [sage]:2012/07/21(土) 22:10:28.70 ID:+XAroxo2o
一方さんは、気に入った缶コーヒー1種類を飽きるまでずっと飲み続けるタイプらしい。
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/21(土) 22:29:04.19 ID:Mifw7m1T0
これで仮に好感触な反応が返ってきたとしても
太いパイプを持ったり、冥土に繋いだりするのは危険かな
参加要請以後、御坂と伝手を作った上に第一位と繋がると
絶対能力進化実験絡みで睨まれるのは避けられない
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/21(土) 23:00:50.62 ID:IemqyDkSO
一方さんにはマンデリンの深炒り炒りを出してやったら喜ぶンじゃなかろーか
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/07/21(土) 23:52:08.66 ID:7H9fRRYS0
インスタントでいいのさ
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(佐賀県) [sage]:2012/07/22(日) 00:07:19.89 ID:a8rBYsJMo
一方通行の行動なんか逐一アレイスターに監視されてるだろうから、必要以上の接触は目をつけられる危険性につながるんじゃないかな
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 00:37:50.21 ID:N/FoUcgm0
インスタントなんてコーヒーじゃねぇよぅ…

>>836
進化実験のお誘いの後、超電磁砲(予定)と接触、参加断った後に一方通行とも接触
すでに目を超付けられてますね絶対に
結局ここはもう死地ってワケよ
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/22(日) 02:09:24.21 ID:n4l3t4Me0
なし崩し的に御坂だけでなく、第1位とも接触してしまったからな…一切身元を隠さず、隠蔽もなしに
どちらとも接触したという証拠が記録として残ってしまっているだろうし、
絶対能力進化実験絡みのことで動くと、アレイスター以外にも即刻バレてしまうだろうな
木山の件が解決したら、御坂と第1位両方と関係を絶つことも視野に入れた方がいいかもしれん
どちらにしろこれ以上絶対能力進化実験への干渉を疑われる行動を取るのは、
かつての「一線を越えたと判断されればより深い闇に呑まれて終わり」の状態に戻ることを意味すると思う
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/22(日) 02:19:39.25 ID:LCFUbcm20
適度の危険がある物語の方が面白いと思うの

安全、幸せ、日常も良いけどね
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/22(日) 02:34:03.78 ID:n4l3t4Me0
御坂との接触時の身元割れと今回の木山の頼みによる公的な接触の組み合わせはあまりに不味すぎると思うから
いっその事、事件に関わるにしても絶対能力進化実験以外の事件の方がいいんじゃないかな
とりあえず木山の件は幻想御手事件が起こるかは別として最後まで関わるだろうし、
それが片付いた後に適当な関わりやすい事件が起こっていればいいんだけど
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage saga]:2012/07/22(日) 03:08:18.69 ID:voKCNSvd0
しかしあちらさん側の視点からすると天井は何を動機に行動してるように見えるんだろ?
しかも後ろ暗いところがあるならば当然隠すべき身元を隠すわけでもなく、だ
これはもしや堂々としてるほうがかえって怪しまれないで安全になったりは……しないな
楽観論が過ぎるね
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/22(日) 03:26:46.91 ID:n4l3t4Me0
アレイスターはよっぽどのことがないと動かないだろうから、それは置いといて
問題は暗部や実験絡みの組織が天井を調べると、まず長点の記録から一方通行と接触したのがわかる
さらに参加要請後の行動をよく調べると、学外の子に指導を行って注意を受けたことがわかる…第3位でした
「こいつは黒だな」となりそう、勤務先の長点の記録だけでここまでわかってしまう…これが怖い
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 08:22:26.21 ID:zZweONjzo
関西組がんばりすぎww

良い安価作品だな、1乙
844 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/22(日) 12:28:00.85 ID:adwXcJK40

・結局昨日と大して変わらないスタートという
 ご参加ありがとうございます


ここで行うということは、接続機は木山に送っていない最新型を使うのだろう。
実験室に安置されていた機器に同じくこの部屋のコンピュータを接続し、さらに自分のノートPCからデータを移しているようだ。
画面にちらと見えた転送時間は確かに十分は掛かりそうである。

一方「…………ふァ」

それを第一位は見るともなく視界に納め、隠しもせず欠伸などしている。
――間が保たない。
彼の方はそもそもこちらのことなどどうでも良さそうだったが天井としては非常に神経が磨耗する。
理解はしている、この状態を、向こうに意識されていないままを維持するのが一番安全なのだ、が。

天井「あー、一方通行君は、こういった実験にいつも協力しているのですか」

一方「……だから来てやってンだろォが。それとも今回が特別だとでも思ってンのかァ?」

尖ってはおらず呆れを浮かべた赤に、少しずつ削れていた精神力が一気にがりっと減った気がした。
やはり相互不干渉を貫いた方が良かったか……。

天井「いえ、他に医療系にも顔を出しているのかと。あの実験の様子では引っ張りだこでしょう」

一方「分野なンざ気にしてもいねェよ」

一刀両断。
相手は気を悪くするとかそういった以前に会話の意欲が無いようだ。
実際多くの実験協力をこなしている第一位、ましてや今回の依頼を受けた態度を振り返れば、そんなものかとも思う。

そういえば、膨大な奨学金の支給されている第一位がどうして実験協力などしているのだろう、脳力向上の可能性がある開発実験ならともかく。
彼にとってはただの暇潰しなのかもしれなかったが。

天井「そういえば、どれかいかがですか。別に全部でも良いですが」

数日前にコンビニで購入していた飲料を実験台に並べてみる。
下手に話しかけてしまったせいで口を噤むのも難しく、無難に時間が過ぎるなら何でも良かった。

一方「こォいう場所は普通飲食禁止じゃねェの?」

天井「え、えぇ。ですから持ち帰りで」

ふぃぃ、とPCからファンの回転音が漏れている。
何ともいえない表情をした第一位はしばし無言になり、阿呆かオマエ、と呟きながら一本を手に取った。

メーカーの違う無糖が二種類、それから微糖、カフェオレ、ロイヤルミルクティ、清涼飲料水。
偏ったラインナップの中で彼が手に取ったのは微糖のものだった。


845 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/22(日) 13:14:58.63 ID:adwXcJK40


一方「パラメータが足りねェ」

二〇分ほど接続機を装着し目を伏せていた第一位の、開口一番がそれである。
傍目には分からないがこれが演算結果なのだろうか。
この短時間で二五〇万とはつくづく法外だ、樹形図の設計者なら申請さえ通ればそう高くない使用料で済むのだが。

木山「どういう、ことだ?」

一方「そのまンまの意味だ。解答を導くのに必要なデータ量が不足してンだよ。樹形図の設計者の使用許可が下りねェのも案外それでじゃねェの?」

木山「そんな、では……」

どんな演算能力があっても辿り着けない。
そういう宣告だった。
かたかたかた、と、立ち上がった木山の手から机に、小刻みに震えが起こっている。

一方「あー、実験記録に、バイタルのデータか? ありゃァ。正常なもンと異常なヤツ……医薬品、AIM、過去の実験……」

天井「それは今の演算のデータ? わ、分かるの――ですか」

完全に〇と一に落とし込まれたデータを脳内で解読した、のか。
数値を機械的に処理しながらそれを読んでいたと?
規格外にもほどがある。
そういえば接続機が自動で弾き出した転送上限もあって無いようなものだった。

木山「何か、手掛かりだけでも無いか? 少しでも助ける手段は見えないか!?」

一方「今の情報量じゃァどォにもならねェ。欠落してンのは実験の詳細だ、変化の要因が分からねェんじゃ戻し方も出ねェだろォよ」

実験。
変化。
バイタル。
戻す。

天井「――まて、木山博士、あなたが助けたいというのは、」

木山「置き去りの、私の生徒達を『使った』実験があったんだ。……今もずっと目を醒まさない」

涙も出ない、乾いた声。
悲痛な響きだけが閉ざされた部屋の中に溶け、消えていった。


846 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/22(日) 13:43:45.33 ID:adwXcJK40


人目に付かないよう第一位と、今日は帰るという木山を送り、戻ってみればもう七時だった。
彼女が漏らした言葉が脳をぐるぐるとかき混ぜる。
生徒達を「使った」実験。
目を醒まさない。

天井「やはり、どこにでもあるのだな、この街には」

それはまさに冥土帰しの研究室で話した、能力者を使い捨てる実験そのものだった。
木山は都市に打ち捨てられた生徒を、何とか掬い上げようとしているか。

これからどうするのだろう。
年単位で接続機の完成を待っていたあたり、彼女は高度な演算装置に掛ければ解法が見付かると思っていた節がある。
そう信じないこと怒りや悲しみで動けなかったのか。

天井「――――」

それが行き詰った、今。



★目的の変更判定

木山の要望に応え一連の綱渡りをした天井は心境が変化しているのかもしれません

>>+1
目的の変更先
 a. 献身
 b. 真実
 c. 救命
 d. 刺激
※上記以外でも行動に沿ったものなら

>>+2
コンマ判定
 -19:上記で決まった目的に変更
20- :変更無し


847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/07/22(日) 13:48:34.29 ID:Oiko+epAO
性欲を満たしに風俗店へ
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/07/22(日) 13:50:08.46 ID:isIhYtTAo
a
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/07/22(日) 13:50:53.50 ID:isIhYtTAo
もう一回
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 13:51:21.13 ID:lfQ1795Fo
これは下にずれるって事で良いのかな
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/07/22(日) 13:52:25.44 ID:isIhYtTAo
明らかに行動に沿ったものじゃないよなww
852 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/22(日) 13:53:38.26 ID:adwXcJK40

>>847 すみませぬ、行動安価じゃないのです……
 ちょっと外します


853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/22(日) 13:57:12.69 ID:yhX5eZeAO
ん? これは安価とった人同じだから連続になるの? コンマ判定下にずれる?
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 13:58:34.63 ID:lfQ1795Fo
一旦乙
ややこしいようなら再度安価する?
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/22(日) 13:58:40.88 ID:0RcMcf0q0
学園都市って学生だらけだからないんじゃないか…あったとしても隔離されてるよな
それに、学園都市内部やその周辺の風俗店はハニトラまみれの可能性も
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/22(日) 14:03:02.58 ID:0RcMcf0q0
>>611だから、「目的」は変更なしでは
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/22(日) 14:05:34.92 ID:yhX5eZeAO
成る程。 下にずれれば目的変更だったが残念
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 14:39:38.25 ID:HYX8dwBSO
恋愛とかになったら面白かったのになー
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 15:10:31.31 ID:M/b4MT9Zo
いい加減にしろお前ら。天井は童貞だから
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 15:27:01.72 ID:HYX8dwBSO
木山てんてーで脱童貞すれば何も問題ないな
861 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/22(日) 15:31:03.02 ID:adwXcJK40

・ただいま復帰ました


・目的変更無し

 ちなみに連番になっている安価はまとめてずれます
 隙間があるところまで


布束「Dear me... 実験は終わったのね。と、Dr.木山は帰ってしまったの? 人格プログラムの省略のことで幾つか相談したかったのに」

六月とはいえ、いやだからこそ雨の夜は意外に冷える。
いつもの休憩スペースでは布束がホットレモネードをちびりちびりと飲んでいた。
帰る第一位達と鉢合わせしないように、彼女の研究室とここのどちらかに居ると踏んで避けておいたのだが、当たっていて良かった。

天井「あぁ。木山博士は木山博士でこの共同研究以外にも進めている研究があるらしい」

布束「そう……。Can't help it. 今度こちらから連絡を取ってみるわ」

少女は僅かばかり拗ねた様子で額に手を当てた。
同じ研究に取り組む仲、別の作業をしていたとはいえ最後に顔を出さず帰ってしまったのが少し気に障っただろうか。
かといってもの暗い失意に暮れていた木山のことは黙って送り出すくらいしかできなかった。

布束「Apart from this, 結果はどう?」

天井「あぁ、中々だよ。患者の状態を青髪君の近付けただけの場合で一つ、さらに周囲にAIM拡散力場を展開してだと複数の刺激に反応した。
   まぁそのまま本番で使える手法ではないが、こちらの方面から攻めてみるよ」

布束「Great! 良かったじゃない! 近付ける、ってどうやったの?」

それは予測できた質問だった。
また実験のごく詳細は伏せられたとしても、共同研究者である以上、概要まではどうしたって目に触れてしまう。

天井「あぁ、その手の操作ができる能力者に協力してもらった」

布束「Really? ……ならなおさら私にも紹介してくれれば良かったのに」

天井「いや、済まない。向こうにもかなり予定が厳しい中来てもらったんだ」

十中八九嘘である。
木山に頼まれてそのまま次の実験に雪崩れ込むような第一位は、多分その後の予定も無かっただろう。
彼に纏わる情報すら伏せるのは一種自身のエゴのようなものだった。

布束は本格的にふてくされてしまったようで、まだそこそこ熱そうなレモネードを一息に空けた。

布束「まぁ良いでしょう。Provided that, 今度は私も手伝わせてちょうだい、実験」

きりの良いところまで作業してから帰る、と席を立つ。
それでも軽く手を振る後姿を見送った。

耳に、微かに溜息のような音が聞こえた気がした。


862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 15:33:33.27 ID:zZweONjzo
麺恋
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 15:33:39.32 ID:HYX8dwBSO
どうでもいい事だが、木山てんてーってDr.(医者)だっけ?
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/07/22(日) 15:38:20.77 ID:isIhYtTAo
研究者の事もドクターって言わないっけ?
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/22(日) 15:40:47.17 ID:0RcMcf0q0
博士号取得者って意味では
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 15:44:27.75 ID:HYX8dwBSO
博士号取得者って分野関係無しに全部ドクター?
867 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/22(日) 15:59:23.05 ID:adwXcJK40


その封筒を手にした時から予感があった。
それは縦長の茶封筒で職場のメールボックスに入っていた。
あれから一週後ほどのことである。

歩きながら千切り開けるような真似はもうしない。
何食わぬ顔で研究室に持ち込み、普段なら中に居る時はほとんど掛けない鍵を回す。
ペーパーナイフなど洒落たものは無いのでカッターで慎重に切った。

切った口を撓めて覗けば、折られた一枚の紙。
かさかさと、指先が紙の縁を掴みかねる。
天井は握り潰すようにそれを開き、


868 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/22(日) 16:00:15.87 ID:adwXcJK40




      「        」




869 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/22(日) 16:01:07.48 ID:adwXcJK40


そこには、何も、書かれていない。

天井「は、はは。炙り出しか。蓄光インクか。随分冗談が過ぎるな」

サイズは違うものの、封筒には覚えがある。
透けず、また開封時に跡が残りやすい――不正開封を防ぐ処置がされたもの。
またフラップ、上部の折り返す部分の形が特徴的に丸みを帯びている。

あの実験への誘いが封じられていたものと同じだった。

天井「な、なんだ、参加を求めているのか?」

いや、ならばいくらなんでもその旨の文章を寄越すはずだ。
もっと極端に物騒なもの?
例えば粛清の予告。
馬鹿馬鹿しい、そんなものを送る前に実行してしまえば良い話だ。

ある意味もっと優しいもの。
万が一にでも実験に支障をきたすなら――。

恫喝。


870 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/22(日) 16:01:35.77 ID:adwXcJK40


>>+3
それはそれとして、補助金が止まっている間にしたいことがあれば

>>866 多分そうです、自分の知る限りですが


871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 16:03:33.12 ID:HYX8dwBSO
☆恐ェェ!!
暫くは木山てんてーとロリ束、黄泉川、芳川と仲良くしたい…
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage saga]:2012/07/22(日) 16:05:35.53 ID:bNvQ+LET0
各種トラウマ治療、一方通行の能力のまとめ、
「子供」を使った実験の調査、布束との親交を深める
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 16:05:41.21 ID:M/b4MT9Zo
メル友でも何でも、仕事抜きのプライベートな関係を誰かと築けないだろうか。そういう集まりに参加しても良いかもしれない
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 16:05:47.20 ID:xcxJuLSlo
冥土返しに相談
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/22(日) 16:06:27.70 ID:0RcMcf0q0
木山に会いに行き、足掻くのであれば
冥土帰しに会ってはどうだと提案する
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/22(日) 16:17:57.96 ID:0RcMcf0q0
いきなり長点に圧力をかけて長点からの研究資金を打ち切らせたり、
天井を解雇させないだけ良心的だな…
なんか甘過ぎる気もするけど、泳がせる理由があるのかな
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/07/22(日) 16:29:42.16 ID:g8chg3xAO
>>876
プランだろ
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 16:52:01.75 ID:jmCmLoJtP
そもそもまだ☆に気付かれてると決まったわけでもないだろ
現時点じゃただの上層部の嫌がらせが妥当だろ多分
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/22(日) 16:59:12.76 ID:0RcMcf0q0
一方通行とはこれっきりだろうし、御坂に会おうにもトラウマが一向に快方に向かわない
上からは恫喝にきわめて近い警告が来た。今動けば確実に気付かれるだろう。
これでは実験に干渉しようにも完全に手詰まりだな
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 17:02:39.83 ID:HYX8dwBSO
よし、あれだ、諦めよう!妹達は上条さんに丸投げしといて、木山てんてーの生徒助けて、研究費降りたら布束と医療研究やろう。
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 17:31:28.31 ID:1SWslfoX0
ふむ
882 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/22(日) 17:36:08.85 ID:adwXcJK40


雨が降っている。
霧に近く細かいそれは空気の流れに乗り、あまり傘が役に立たない。

天井「くそ……っ、」

抱え込んだ鞄にあの手紙は入っていない。
布束にでも見られたらことである。
念のため封筒と両面を何度も確認し、日に透かし、本当に何も書かれていないことを確認してから粉砕した。
残骸は高性能シュレッダーの屑入れの中だ。

だというのに。
水滴に混じりあの不気味さが纏わり付いている。
想像上の視線がどこかから絡んでいる気がする。
例えばそこの角を曲がった瞬間に第一位と偶然遭遇したとする、それを咎として都市に追われる疑念が離れない。

天井(何ならしても良い? どこに踏み込めばアウトなんだ?)

その線引きをぼかしたあの脅迫は、考えてみると奇妙だった。
新聞の切り抜きを張り合わせた古典的手法で「第一位ニハ近付クナ」とでも刷っておけば良かったろうに。
送り手の注意を惹いたのはあれとの接触ではないのか?

もしくは、あれを見たこちらがどう動くかまで――、

天井「駄目だな、考えが纏まらない」

今日は研究に集中できず、形式上の定時で施設を出たのだった。
季節柄、空は水の幕に覆われ光を遮っているが、それでも夜には遠い。

実は、木山の助けたい子供達の状態について片鱗を教えられてから、冥土帰しに連絡してみることも少し検討したのだ。
絶対能力進化実験などの相談よりもよほど本職なのだから。
そして、難しい状況にあるかもしれない被害者達について、確認してからの方がよいだろうか、とも。
以前「小児用能力教材開発所付属小学校」について調査した際には有効な情報が得られなかったが、
木山や第一位から拾ったワードを元に手を広げて調べられるかもしれない。

天井「だが今となっては……」

木山の言うことを丸々信じるならば、紛れもない裏の実験の残した波紋だ。
それには関わって良いのだろうか。
必要以上に首を突っ込まなければ? どこまでが許容範囲だろう?

天井「あぁ、くそっ!!」

苛立ちと共に振り下ろした脚がばしゃりと水溜りに沈む。
ズボンを侵食する水は荒んだ精神にもじくじくと沁みた。

ただただフラストレーションが積もる。
かなり早めだがジムに行ってマシンにぶつけるか。
それとも、他に何か。


>>+2
木山の件について、何かするか


>>+5
ストレス解消に何かしたい
(筋トレで昇華or他に何かしてみる)
※この日の夕方にすぐ実行できないことでも可


883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 17:38:10.71 ID:qRAnnMv9o
冥土帰しに相談
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 17:39:36.00 ID:HYX8dwBSO
メイドに相談して生徒全員救うくらいは…

ここらでジム行った後黄泉川と飲みに行きてぇ(笑)

ksk
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/22(日) 17:42:52.14 ID:r7zvuLQA0
筋トレ
黄泉川がいたら黄泉川と雑談
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 17:43:18.62 ID:M/b4MT9Zo
ksk
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/22(日) 17:43:32.20 ID:0RcMcf0q0
「絶対能力進化実験が過ぎた後の将来(恋愛・結婚・見合い等を含む)」について考える
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/22(日) 17:43:44.36 ID:hIrRGl5b0
布束とイチャラブデート
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 17:44:49.91 ID:HYX8dwBSO
…これ、安価どうなるんだ?
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 18:00:41.33 ID:IDDcWBBPo
冥土返しに相談かね
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/22(日) 18:18:45.91 ID:vjkBy2CEo
kskだから下だろ
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 18:21:47.64 ID:xcxJuLSlo
木山の件についてまともなのが、冥土返しに相談しかないからな 
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/22(日) 18:25:52.23 ID:0RcMcf0q0
「冥土返しに相談」を採用か、再安価のどっちかだろう
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 18:29:50.13 ID:rG7N8JZIO
wktk
895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/22(日) 19:18:08.02 ID:yhX5eZeAO
木山先生の生徒ってどうやったら助かる?

データ不足だから集めれば良いの?
896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 20:17:11.10 ID:dx3EYawDO

・例のごとくネット切れたので移動
 21時半までには何とか


897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 20:19:50.90 ID:qRAnnMv9o
>>895
テレスティーナ=木原=ライフライン がもってるファーストサンプルが必要
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/07/22(日) 20:36:23.12 ID:LCFUbcm20
>>897
それをどうやって知るかとコンタクトをとるかだな
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 20:41:13.28 ID:HYX8dwBSO
木山てんてー編開始時から考えてはいたが、やっぱり今後、ひいては次の周回の為にも木原一族とのコンタクト法が必要になるわけか……

マーブルチョコの店うろついてみるか?(笑)
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 20:59:52.95 ID:qRAnnMv9o
木原那由多は風紀委員だからコンタクトをとりやすいとおもう
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 21:01:03.80 ID:htGkCafmo
>>900
まだ違うんじゃね?流石に幼すぎるだろ
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 21:07:36.31 ID:zZweONjzo
加群さんって今どのあたりだっけ?
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 21:10:53.43 ID:qRAnnMv9o
wwikiより抜粋
ある日、かつての先進教育局で枝先絆理ら『置き去り』の子供達に出会う。
何度も施設に通ってる内に10人の置き去り達と友達となり、彼らの環の中に完全に入った瞬間、
彼女がそれまで感じていた物足りなさは、その『初めてできた友達』の存在によって補われた。
しかし数ヵ月後、「暴走能力の法則解析用誘爆実験」により絆理らは、こん睡状態に陥ってしまう。
実験の責任者であり、絆理達の信頼を結果として裏切った木山春生に恨みを向け、
復讐するために力を得ようとする。
だが、復讐する力だけでなく絆理達との約束である風紀委員としての純粋な力、
そして実験の犠牲となる子供達が減ることをも同時に望んだ。
自身の境遇や、『置き去り』の友人達との経験から、『欠陥品』を侮辱することは決して許さない。

このことから少なくとも風紀委員を目指してはいる
904 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/22(日) 21:14:27.08 ID:8MsLzwX80

・すみません、現状、口調のソースが無いため那由多は出せるかどうか
 特典冊子とか難易度高いぜ……


どうしてこうなったのだろうか。

辺りは独特の熱気に包まれている。
ジムではない。
そもそもあのジムの設備ランクは高く、空調も完備である。

ではここは何だ、と現実逃避する天井の周りを、煤けたような煙たい――いや、はっきりと言おう。
肉の焼ける香ばしい匂いが漂っている。

黄泉川「ぷふぁーーーっ、五臓六腑に染っみるじゃんよー!!」

そして隣には駄目な大人がカウンターに体重を寄せるようにして座っていた。
手にしているのはビールだがファーストドリンクではない。
同じ銘柄ばかり、四杯目である。

天井「……どうしてこうなったのだ」

学園都市ブランドらしい外では見ない名の日本酒を含み肩を落とす。
紛うことなき居酒屋の、目の前で鳥が焼けては消えていく席である。


研究はしているが碌に進められない。
脅迫状は言いたいことがはっきりしない。
木山からは音沙汰がない。

天井「ふっ、ふっ、ふっ、」

がしゃん、がしゃん、がしゃん。

補助金はいつ交付されるようになるのか分からない。
短期治療のあと、自分でも続けているトラウマ治療も効果がない。
――いや、芳川に関してはかなり楽になったような。
しかし最終信号については悪化も改善もしやしない。

天井「ふっ、ふっ、……ふっ、はあぁー……」

がしゃん、がしゃん、……がしゃん。

胸部全体がじんわりと熱を持っている気がする。
あらゆる不満をぶつけ、今日も今日とてオーバーワークぎりぎりだった。
本当に拙ければインストラクターが飛んでくるだろうが。
と、

天井「ん、黄泉川か?」

ガラス戸を潜る影には、一本に縛った長い髪がたなびいている。
以前ここでストレスを発散した時にはさりげなく気を使ってもらったのだが。
今日もそうなってしまうだろうか、こちらの方が年下だというのに情けないな――。

そう思っていた。
どことなく憂いを秘めた目が天井を捉え、ぎらりと輝くまでは。

黄泉川「おうおうおう荒れてるじゃんか!? ようっしオニーサン、今日は切り上げて呑みに行くじゃんよー!!??」

切り上げるも何も、お前は来たばかりだろう。
そう声に出す前に首に腕が回っていた。
何やら「スリーパーホールドって知ってるか?」とか言われたような気もするが、知ってたまるかと思う。
色々な意味で。
正直記憶が少し跳んでいる。


905 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/22(日) 21:15:20.09 ID:8MsLzwX80


そして気が付けば彼女の行きつけだという昔ながら風の居酒屋に連れ込まれていた。
ただの研究者を嬉々として締め上げる警備員など、真っ先にしょっ引くべき対象ではなかろうか。

黄泉川「あははははは! どうしたー? しみったれてんじゃないじゃんよ!!」

天井「うるさい、私はお前みたいな笑い上戸じゃないんだよ」

黄泉川「んだとぉ? 楽しく呑んで何が悪いじゃん!」

そう言い、げらげら笑いながら人の背や肩を叩く。
痛い。

天井「止めろと言うに! せめて静かに呑ませろ」

つい熱くなって軽く小突くような真似をしたのが悪かったのか。
手首を掴まれ軽く引かれ、後は何が起こったのか分からないままに腕を極められている。

黄泉川「あはははははははは! まだまだ鍛錬が足りないじゃんよー!」

天井「止め、馬鹿っ、止めろ酔っ払いッ!!」

カウンターの向こうで店主が程ほどにしてくださいよー、といった目をした。
この状態で何ができるというのだ。


906 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/22(日) 21:16:01.52 ID:8MsLzwX80


しかし、酒は感情を紛らわすには最高だった。
悩みに目を閉じられる。
寝酒をする気持ちも分かる気がした。

天井「いや相手による気もする」

黄泉川「うぅ、理不尽じゃんよ……。どうして好き勝手に上に振り回されなきゃいけないんだ? 私らの仕事は子供のためじゃんよ?」

愚痴の塊が真横でとぐろを巻いている。
絡み酒でも泣き上戸でもなく。
延々と焼酎を舐めながらぼやく。

黄泉川「アホ共のご機嫌窺いなんてどうでも良いだろ……捜査中止なんて酷いじゃん……」

警備員の権限は都市のもの。
上の都合であしらわれるのだろう。

天井「仕方ないだろう公務員は国に逆らえない」

黄泉川「学園都市は国じゃないじゃんよ……」

天井「それはそう――っておい酒零れてる!」

ぐしゃぁ、と突っ伏した肘がグラスを倒し、
焼酎のロックが氷ごと溢れている。
しんみりとした話が台無しだ。
黄泉川は酷くずぶ濡れで、

天井「あぁぁ馬鹿脱ごうとするな拭け! 布巾に吸わせろ!」

黄泉川「だって気持ち悪いじゃんー」

天井「どこぞの研究者みたいな真似をするな一応女だろうが!!」

一応じゃないじゃん、でも女である前にせんせーじゃんー……
と今度は濡れたまま崩れ落ちる。
せめて顔の下に新しい布巾を挟めば、
むにゃむにゃと布に頬ずりしている。

黄泉川「いーじゃん理解のあるてーしゅに貰ってもらうしー。どうよオニーサン、お買い得じゃんよー?」

天井「っ自重しろ!!」

がっくんがっくんと揺さぶるが。
酒の池に沈んだ黄泉川は起きない。
冗談ではなかった。

こんな酒癖の酷い、いや、どんな相手だとしても。
今やっていくだけで必死だというのに。
そんな未来のことなど。

それとももっと近いだろうか。
考えたこともない。

研究が完成して、
あの結末も回避したら。


考えたこともない。

誰かと何かを築くなど。


907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 21:17:09.83 ID:M/b4MT9Zo
何故か失敗フラグに見えてしまう……
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage saga]:2012/07/22(日) 21:21:30.78 ID:qSXtIELX0
まさか…朝チュンしないだろうな
イカン、イカンぞこれは
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 21:24:22.10 ID:HYX8dwBSO
それはそれで見たいぞwwwwww
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 21:27:41.91 ID:zZweONjzo
やりたまえ
911 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/22(日) 21:28:32.07 ID:8MsLzwX80

>>904 に酷い誤字を発見

 誤)今日もそうなってしまうだろうか、こちらの方が年下だというのに情けないな――。
 正)今日もそうなってしまうだろうか、こちらの方が年上だというのに情けないな――。

 何かの伏線とかでは断じてないです、はい


912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 21:43:19.16 ID:N/FoUcgm0
天井たん、その独白は結婚や恋愛を考え出すフラグですぜー
ぶっちゃけ黄泉川は見目よし性格よし健康極まりない超優良物件ですよ

そして変な電波を受けてしまった。>>1さんすいません
★目的の変更判定
結婚に関して意識を向けてしまったせいで天井は心境が変化しているのかもしれません
>>+1
将来を考えてしまった相手
 a. 黄泉川
 b. 木山
 c. 指導した長点女生徒
 d. 布束
※上記以外でも出会ったことのある女性であれば
>>+2
コンマ判定
 -19:上記で決まった対象にぐらつく
20- :変更無し

ネタなのでマジで選択肢を選んじゃ駄目だぜ皆!
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 21:43:31.70 ID:lfQ1795Fo
b
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 21:43:41.52 ID:xcxJuLSlo
1
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 21:44:24.10 ID:M/b4MT9Zo
特に意味は無かったか
916 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/22(日) 21:45:33.11 ID:8MsLzwX80

・リロったら朝チュンが望まれていた
 何を言っているか(ry


ぐぁんぐぁんと耳元で音がした。

天井「あ……うぁ、どこだここは」

頭を回すと、一瞬遅れて光景が巡るような錯覚があった。
いや、錯覚というよりは特殊映像の視覚効果のような。

どこだったか?
見慣れた色が四角く視界を占めている。
あの紺青はそうだ、風を通せばぶわりと翻る――、

自室のカーテン。

天井「いっ、痛だ、何だこれは!!?」

ぐぁんぐぁんと耳元で。
それは重い、頭痛だった。


雑多に脱ぎ捨てられた服を拾い集め――るのも辛かったので、酒に焼けた声で職場には電話を掛けておいた。
今日は体調が優れないので午後から出ます、である。
布束と急を要する打ち合わせがある訳でもなく、開発の授業も入っていない。
まぁ、具合が悪いのは事実であるし。

天井「水……」

洗ったまま置いてあったコップに水道水を直に注ぎ、一杯。
液体を喉に通すのが辛い。

天井「う、昨日はどうしたのだったか」

何かの特典のために切り刻まれた映画のフィルムを、ぽつぽつと集めたような感じである。
記憶の中の場面は飛び飛びになっていて流れというものが掴めない。
だが、その中でも辛うじて、潰れた黄泉川の横で一人酒紛いを続けていたような気がした。
そういえばタクシーも呼んだ。
店主が黄泉川をそこに詰めて、天井のことも詰めて、

天井「!?」

がば! と。
先ほどまで沈んでいたベッドの毛布を捲る。
妙な膨らみなぞ無かったのだから当然だが、そこには誰も居なかった。

天井「………………はぁ」

とんでもないことをやらかさないで済んだというか、とんでもないものを逃したというか。
脱力感に襲われながら、天井は携帯を開いた。


917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 21:48:04.56 ID:HYX8dwBSO
フェイントだろ?シャワー浴びた後の全裸黄泉川が来るんだろ!?
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 21:52:24.13 ID:N/FoUcgm0
やんなっていったのにお前ら…ww
>>1さんマジでごめんなさい〜!
しかも12秒でとか超早ぇよ!

『とんでもないものを逃したというか』
ああ、大きな魚だぜマジで
そしてそうチラッとでも考え出してる天井君に乾杯
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage saga]:2012/07/22(日) 21:56:38.30 ID:qSXtIELX0
イカンイカンぞけしからん流れだ、あと何故兵庫県になってるんだ
ここは別の話題を放り込もう
一方通行がブラックじゃなく微糖を選択していた
まだ子供舌ならば甘味による餌付けが可能ではなかろうか
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 21:58:53.05 ID:HYX8dwBSO
つまり、黄泉川さんを孕ませたあげく母乳をコーヒーに混ぜろと……?ゴクリ

とんだ変態だな
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/22(日) 22:11:38.07 ID:yhX5eZeAO
真面目な安価スレだと思ってたら、とんだ変態スレだったでござる
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/22(日) 22:25:36.03 ID:UicKsZbF0
今まで通り真面目に安価したつもりだったんだが、スレの空気変わり過ぎww
参加要請以後ずっと緊迫した展開だったから仕方ないかww
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 22:26:29.14 ID:M/b4MT9Zo
どうせなら朝チュンじゃなくて描写をだな
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 22:27:16.66 ID:htGkCafmo
たまにはこういう回もいいよね!って事で

問題山積みなのは見たくないなあ・・・
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 22:37:53.19 ID:w/Wyi6I+o
布束が見舞いに来るんだろ? いえ、来てください
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage saga]:2012/07/22(日) 22:46:19.00 ID:qSXtIELX0
男の部屋を一人でたずねるとからめぇ!
現在のスレ住民の状態ならなおさららめぇ!!
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/07/22(日) 22:47:42.83 ID:JMpTcao7o
パンツ破いた
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 22:48:49.36 ID:HYX8dwBSO
え?別にレイポォなんてしないだろ

精々脱がしてレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロするくらいに留める筈
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 22:50:10.72 ID:M/b4MT9Zo
肉欲に溺れる天井君とか見たくないです……
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 23:07:19.20 ID:HYX8dwBSO
?「情欲に溺れている方が人間としてリアルだ」
931 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/22(日) 23:07:52.63 ID:8MsLzwX80


木山『天井博士!? 見も知らない相手から連絡があったんだが――貴方が何か、』

天井「済まないが大声は……今日は頭痛が酷くてな」

夕方になっても体調は戻っていない。
が、流石に二日酔いで全休にする訳にもいかないと研究室でデータ整理などを行っている。
布束にはすれ違った瞬間に半休の原因を察され、後で酔いに効くと言われる類のドリンクを貰った。
「ウコンとレバーとゴマの力で三分で酔いが冷める栄養ドリンク」というセレクトには悪意を感じたが。
もちろん商品名である。

木山『ふざけないでくれ。このタイミングで医者だと!? あの場に居た貴方が何か漏らしたと――、』

天井「こちらは具合が悪くて死にそうなんだ。今日は早く上がって医者に掛かる。
   一部で冥土帰しとか呼ばれるとんでもないのが知り合いに居て、確か名前が、」

彼の姓名を告げる。
はっ、と耳元で息の音がした。

木山『――まどろっこしい言い方をしないでくれ。先に話を通していてくれれば良いものを』

天井「察してくれ、こちらにも色々あるんだ。それと木山博士だけには言われたくないな」

散々遠回しな言い方だの事情を伏せるだのでこちらを振り回したのだ。
別に意趣返しのつもりでしたのではないが、責められるのはどうも納得できない。

午前中に、携帯から打ったメールは二件。
一つは前日呑んだくれていた教師兼警備員宛てで、一応無事を心配してのものだ。
休み時間に送られたらしい返信では驚くことにぴんぴんしており、体育の授業で生徒に混じってサッカーなどしていたらしい。
どういう分解酵素を飼っているのだか。

もう一つは、話題に出てきた伝説じみた医者にである。
これもまた回り道だらけの暗喩に満ちた遣り取りだったのだが、木山の生徒達についてと天井の状況――
例の脅しについてそれとなく伝えたところ、彼の方から直接連絡してみるということになったのだ。
まさかその日の内に行動に移るとは思わなかったが。

天井「まぁ、どうするかは判断に任せるが。少なくとも医者の責任については熟知している相手だ」

それは例えば守秘義務、医療への熱意。

木山『――そうか、ひとまずは会ってみる。決めるのはそれからにするよ』

ぷつり。
切り際の声は、思ったより冷静だった。
気が立っていて、同時に藁にも縋る思いである。
そんな状態だろう木山に信用してもらえるかは賭けだったが、結果はまずまずというところか。

天井「はぁ……これでも無理をした方だよな」

大酒を喰らい、何かが吹っ切れることはなかったが、一度シェイクして再起動した脳はどこか整理が付いていた。
己で意識していたよりもあの白紙の手紙は天井を動揺させていたらしい。
木山の関わっている件が上層にとって不都合なら、とっくに彼女自身が口止めされているはずだ。

天井「公に吹聴するなどならともかく、生徒を治療しようと足掻くこと自体は、多分問題無い」

そんなことも考えられなくなっていたのだ。
激しい不快感という置き土産付きだが、アルコールが洗い流していってくれたようなものか。

それでも念には念を入れ、直接木山と冥土帰しを取り持つことはしなかったが。

天井「あの医者なら、大丈夫だろう」

誰よりも患者に真摯な人間だ。
きっと木山も、自分と重なる部分を感じ取れるだろう。

ふ、と見ないようにしていた100mlサイズの瓶が目に留まる。
これも天井に早く治って欲しいという表れかもしれない。
レバーという決定的にアウトな素材が含まれていても。

意を決してキャップを空け、強烈な匂いに耐えながらそれを傾け――、



――天井は、二度目の「死」を迎える事となる。



932 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/22(日) 23:08:45.14 ID:8MsLzwX80


※研究室から出てこない天井を不審に思った布束に救出されました


・調子に乗りました
 と思ったら周りのレスの方が大変なことに


・最後に安価を出せず心苦しいのですが今日はここまでに
 明日は所用により休みorちょっとだけです、すみませぬ

 そして来週木曜から別の用事により、少し纏まった休みを取ります
 具体的には転居
 新居のネット環境など確認次第顔を出しますのでご容赦ください

 では


933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 23:09:14.37 ID:lfQ1795Fo
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/22(日) 23:12:11.67 ID:UicKsZbF0
乙ー
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 23:12:44.67 ID:xcxJuLSlo
936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 23:13:33.91 ID:M/b4MT9Zo
937 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/22(日) 23:15:44.77 ID:yhX5eZeAO
乙です

レバーはいかんよ…
938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 23:16:43.31 ID:HYX8dwBSO
939 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2012/07/22(日) 23:16:56.95 ID:TskAFOia0

てっきり毒でも入れられたのかと…
940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 23:29:04.96 ID:w/Wyi6I+o
布束自作自演説


941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 23:30:23.61 ID:N/FoUcgm0
乙、ごめんアホな電波選択肢書いちゃって
レバー自体は大好きなんだけど、レバーを濃縮したドリンクはさすがに飲みたくないぞww
ちなみに二日酔いにはしじみ汁、新橋のサラリーマンご愛飲と聞く
自分は年数杯程度しか飲まないから関係ないが
ところでこの早い段階で木山てんてーとカエルに繋ぎを付けれたのはもしや大きいんじゃないかな
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/22(日) 23:34:35.07 ID:dx3EYawDO

>>941 お気になさらず
 というかcがコア過ぎるといいますか芳川にしてあげればといいますか

943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/23(月) 00:20:05.71 ID:mYXt24p40
はっはっは
現時点で高校生(?)なら、dの布束よりまっとうというか結構問題ないんじゃないでせうか?
自分をレベル4に押し上げてくれた天井先生にちょっとくらいあこがれてもいいと思うんだ

芳川はそもそも今世では接触がないというか、トラウマ治療中な上に、向こうからすれば顔も名前も忘れかける程度の他人でしょうし選択肢にはのせにくかったのです
ほっといた芳川にメール送って「今更なにを(困)」な返信されたことは忘れてはいけないww
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/23(月) 00:45:51.00 ID:qD/dQ6gYP
っていうか芳川へ返信してないよな
もう遅いし完全に不審者だろ
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県) [sage saga]:2012/07/23(月) 02:15:13.64 ID:Ey7jOcj90
個人的には酒を飲む前にグレープフルーツジュースを飲めば
酔いは覚め易くなると思う。たぶんプラシーボだと思うが…ね。
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/23(月) 03:52:02.70 ID:9+eLFnxDO
鉄装さんとはジムでそれなりに顔を会わせてる筈、年単位で会ってない芳川よりコッチが先じゃね。
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/23(月) 13:01:49.43 ID:nk6CK47p0
木山の生徒ってテレスと接触しなくても、アイテムと交渉するという手もあると思うんだけど
まだ時期的に未結成かな、麦野がレベル5になった時期もよくわからんし、
暗部であることも滝壺が体晶を持っていることも隠してるだろうから難しいか
948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/23(月) 17:46:12.78 ID:cUdVeNPJ0
うん、芳川はヒロイン枠として考えるには「ほっときすぎたんだ、(拗ねてふて)腐れてやがる」状態だと思われ
ぶっちゃけ物語進展上の必然性(危険な)で現れるか、黄泉川経由の飲み会で遭遇がなければもう関わろうと思っても関われない気がする
というわけで黄泉川は次の飲み会につれてくるといいんじゃないかな、仕事の方は失敗したけどプライベートからつながりを持つのもいいと思う
まぁ別にこの話に恋愛色強めなくてもいいんだけど、色々と精神削られる環境だし癒しは欲しいよね
娘か妹ポジのロリ束が癒しといえばそうなのかもだけど
同僚で専門的な話をする間柄でありつつも秘密をもってる状態だから結構難しい
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/23(月) 18:21:27.76 ID:/9l/9o+S0
既に実験参加している可能性が高くかつトラウマがあった芳川と今更会っても旨味がない気がするな
会ったばかりでは実験参加を止めるのもおかしいし、今の天井の研究に助けも必要なさそうだし
それに黄泉川とは基本ジムで会うのだから、顔も知ってるはずの鉄装と共に飲みに行く方が先になるだろう
950 : ◆WWqRalPcWM [sage]:2012/07/23(月) 20:48:20.68 ID:0nJD86qDO

・ネットが切れるのに間に合わなかったので今日はお休みです
 明日は昼過ぎくらいからになるかと
 よろしくお願いします


951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/23(月) 20:48:50.11 ID:NFkY6VCZo
把握乙
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/23(月) 20:49:16.31 ID:m1GSrJhQo
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/07/23(月) 20:58:30.82 ID:Zfn9wa7eo
  /: : : : : /: : : : : : :./: : /: : : /:;イ: : : : : : : : : : : :.!
  |: : : : :/: : : : : : :./: /: : :_:彡 '"/: :/: : : : : : :.|: : : !
  |: : : : :| : : : : : :/,斗-‐ "\  /: :.! : : : : : : :|: : : |
  |: : l: : |: : : : : : /,,ィ==ミ、  \ i!:/:|: |: : |: :.| : |: : : !
  |: : |i! :| : : : /:/.{ ハ;;;ヒ. ヾヽ  `|:|: |!: !: :.!: :i: :/ : : i
  |: /.|!: | : : : :/ \;ソ 〃   |'|:.|.{: i :.i: :.!:/: : :j
  |/: :|!: |: :/:./             |:| ヽ乂: :.!': : : :/     
 ,从/:i| :|: |:/           ,ィ;r‐ォ .〉:|: :|: : : /
ヽ .// |:/|: !:!          ,イツ,/ィ:乂从: :./
::::.}  |' .|:.|:!            〉 ` /: : : : :/:./      超支援です
:::::|  / .|;|:| ヽ  r "~>     ∧: : : ://::/
:::::|   /ハi:::::|ヽ、__  _  イ: : : :/,/ " 
:::::|ヽ  -‐/::::::|  ヽ  |: /: : /: :./
::l::|ミ、__ ,ノ:::::::/ |  ! |/: : /"´
::l::ト  -‐!:::::/ /,  | | レ'
::l::|   i!:::/ 〃   |        r.、     /)
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::li /:::::i |― ‐ ' ~ イ      /   !  `'_ィ'____
:::レ'::::::::::! ゝ―‐ ~  |      |    ハ.   ,.―― '゛
r‐'::::::::::i!  |     |     人  /  { _`ニニニァ
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::::::::/     |     |.  /    /  ̄
:::::/     |     |/    /
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/23(月) 21:14:17.46 ID:/9l/9o+S0
乙ー
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/07/23(月) 21:31:50.32 ID:uZrPTVdt0
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/23(月) 21:32:27.97 ID:NIfLBRCFo
957 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/24(火) 09:46:41.55 ID:tbiG482M0

・おはようございます、昨晩も何か眠れなかったので予定より早いですが開始
 眠気に追いつかれたら離脱します

・そういえばそろそろ1000だと気付きました

 できれば水曜分まではこのスレに収められればと思うので、レス少なめにして頂けると助かります
 安価も今日明日は近めでいこうかと

 とはいえ相談などしたい状況になるかもしれないですし、
 もし埋まっても大丈夫なので遠慮はなさらず


七月。
天井は資金難なりに、自身の研究を続ける。
薄紙一枚隔てた向こうには底冷えのする世界が広がっているとしても。

木山は冥土帰しと共に生徒達の治療に当たっているが、まれに思い出したようにこちらの研究も手伝っている。
改良して欲しいAIMの出力データなどを渡すと数週間後にふらりと完成品が送られてきたりするのだ。
過度の集中は思考の硬直を招く。
彼女もそれを知っているだろうし、あるいは冥土帰しのアドバイスがあったのかもしれない。

青髪「おぉっ、今日はお姉さんも一緒なんやね、ボク頑張っちゃうで!」

布束「有り難いけど、Not only so, 普段からそうしてくれると嬉しいわ」

青髪「あぁんそんなクールにお願いされたら断れないやんかー」

ぐねぐねと猫のように身悶える少年は外の日光を思わせる暑苦しさだ。
今日は機密度の高いいつもの実験室ではなく、普通に太陽も望める部屋でデータ測定の予定。
同年代の二人を遮るように、ノートPCをどん、と置いた。

天井「――ほら、頼むから作業に入らせてくれ」

青髪「天井センセ、そう急がんでもえーやん。夏休み入ってから布束さんだけがボクの潤いなんやから」

能力者のサンプルとして彼のものを残したのには、実はまだ理由があった。
希少な系統とはいえ彼は異能力者、例えば大能力者の二人と比べると実験協力の謝礼の相場が安い。
ドライな話かもしれないが。

布束「By now, 早く終わらせたらゆっくり休憩できるわ」

天井「取り敢えずその尻尾を引っ込めてくれ、能力未使用時の比較データを取りたい」

ふるふると短くなっていく黒い尻尾を眺める。
体力を強化したり誰かに化けたりと有用そうな応用をしない割に、変なパーツを付ける腕前だけは徐々に上がっている。
だが、そうだ。
研究資金が安く上がるなどの即物的な意味だけでなく、彼のあっけらかんとした様子は研究者二人の助けになっていた。

何というか気を緩められるのだ。
上を目指すことに固執せず、日々をちょっと楽しむことに能力を使っている姿を見ていると。
都市の裏や圧力など関係の無い、窓の先に流れる雲のように。


958 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/24(火) 09:47:15.93 ID:tbiG482M0


天井「――と。今の話を踏まえて、能力を試せるか?」

先日一方通行の力を借りて行った実験では患者の状態を彼のものに近付けることで肉体変化を適用した。
しかし実用化の面では他の方法も考慮に入れたいのだ。

青髪「うーん、拡張とか延長とか、なんや難しいね」

例として自転車に乗った時。
道路脇の塀に寄り過ぎてハンドルの端を掠めてしまったような時。
握っている手自体に擦り傷がなくとも、痛っ、などと声がでてしまうことがあるという。

身体の拡張。
人間には、使用する道具などを一種自分の身体の「続き」と認識する、そういう性質があるのだ。
青髪少年にしたのはそんな話だった。

青髪「このペンがボクの身体ってのも……」

学校の理科室のようなテーブルの前で丸椅子に腰掛け、器用にくるくると回して見せる。
黒い天板を照らす光にも回転する影が映った。

いくら滑らかに動かせても肉体の一部と思うのは急には難しいか。
開発の基本に倣って暗示に頼るのも手ではあるが。

布束「Possibly, もし無機物に能力を適用できるなら例のロボットも……」

青髪「! よっしゃやったるわ!!」

俄然やる気を出し、眉間に皺を寄せ始める青髪少年。
いつからそんなに彼の扱いが上手くなったんだ、と視線で問うと、少女は軽く肩を竦めた。
というか布束にもメイドロボ幻想を語っていたのか。


それから一時間ほど。
文房具に始まり衣服の類、引っこ抜いた彼自身の毛髪、同じく他人の髪の毛などに能力を適用できないか試してもらった。
他人、とは天井であって断じて布束ではない。

青髪「つ、疲れたでー」

ぐでりと突っ伏す彼の周りに定規やら手袋やらが散乱している。
AIM拡散力場の展開も併用したが、結局他の物体を変質させることはできなかった。

そもそもそれは肉体変化の範疇を超えてしまっているからかもしれない。
また彼は能力ゆえに身体の内と外の線引きが明確で、身体の拡張を実感し辛いようだった。

天井「立て続けに演算させてしまって申し訳ないな。良かったら飲んでくれ」

青髪「ん、おーきに。ボクこそお役に立てずゴメンな」

ペットボトルのキャップがぷしりと開き、弾ける透明の液体が彼の喉に消えていく。
研究棟にある自動販売機は学園都市の潮流に逆らいまともな飲料が多い。
少年に渡したのはライチサイダーである。

布束「Not true. いつも協力助かってるわ」

異能力者に対する平均を下回るような報酬で呼び付けている訳ではない。
だが長期休暇を良いことにしばしば頼みにしているのも事実だった。

青髪「どういたしまして。ボクとしちゃあお姉さんに会いに来とるようなもんやから気にせんといて!」

そう言ってくれるのは喜ぶべきなのか、どうなのか。
がばりと起こした身体にひょこりと立ち上がる猫耳。

天井「脳が疲れたのではなかったのか……?」

呟きを意に介さず、彼は身振り手振りを交えて機関銃のように喋り始める。
本当にただの雑談だ。
曰く、クラス中の女子が一人の男子に惚れている、あの野郎爆発しろ。
曰く、それはそれとして別の奴に恋している女の子を眺めるのも良いものだ。

ゆるり、冷房の風が部屋を舐めていく。
ふと目が合った少女の表情は何だか穏やかで、こちらに向けてゆっくりと瞬きをした。


959 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/24(火) 11:13:23.72 ID:tbiG482M0


布束「Never thought. こんな出方をするなんて……どういうこと?」

天井「……」

さらに次月末、晩夏の候である。
空調と扇風機により適度に冷えた天井の研究室で二人、一部の書類を睨んで頭を痛めていた。

次の四半期、十月から十二月の補助金が出るという内容。
それも以前通りの額ではなく約三分の一ほど。
医療分野の研究に対する資金としては明らかに物足りないが、決して軽視できる量でもない。

布束「You know... 向こうは人員が欲しいから圧力を掛けていたのではなかったの?」

最初は確かにそうだった、と思っている。
意味がすり替わったとしたら多分あの真っ白なメッセージが届いた時だ。
ぜひ参加しろ、から余計なことはするな、へ。

天井「……あの予定ではもう実験の準備は始まっているはずだ。私達に構う暇がなくなったんじゃないか?」

心にも無い台詞は随分楽観的に響いた。

実際のところ、どうなのだろう。
意味合いとしては、あれから実験や第一位について嗅ぎ回っていないことへの、いわば「飴」としての支給。
そんな感触がする。
だが相手からしたら邪魔をされない方が当然で、一研究者への攻撃の手を緩める意味が分からない。

布束「使えるものなら全て使いたいけれど。Anxious. 気になるわね、額も半端だし」

もしや、都市上層も一枚岩ではないとか。
天井の思い描く『この都市』が統括理事会と等号で結ばれるかは計り知れないが、以前冥土帰しが口にしていた親船なども都市のトップの一員には含まれるだろう。
必ずしも上が敵とは限らない、のだろうか?

天井「貰ったからといって弱みになるものでもないか。出所や名目は今までと同じだ」

布束「Assuredly, そうね、有り難く使わせ――っ!?」

ずん!! と唐突に部屋に衝撃が走った。
次いでカタカタカタと細かい揺れが続いている。
布束の前に置かれた紙カップの中、カフェオレが小さく波立つ。
始めの一瞬で零れた分の茶色がじわりと底に染みている。

天井「――最近多いな、この妙な地震は」

布束「えぇ、気味が悪いわ」

通常、地震はまず小さな縦揺れ、その後大きな横揺れへと移り変わるものだ。
ここしばらく頻発しているのはそのパターンに沿っておらず、何らかの外的要因によるものと予想されていた。
未だ大きな被害が出る事態にはなっていないが……。

布束「Indeed. 地殻変動が起こるような怪しい実験でもしているのかしら」

振動は三十秒ほどでやっと止んだ。
実験か、あの第一位ならその気になればこのくらいはできるかもしれない。

天井「……どうも気が削がれたが。まぁくれるというなら突き返す義理も無いな」

どうしたって研究者の身でできることはまず実験や考察だ。
もどかしくもあり、だが着実に必要なことであり。
割り切れなく感じる部分もあるが全く補助金の入らない今よりは研究も進めやすいだろう。

布束「やっぱりそうなるわね。Decisively, 成果を出して見返しましょう」


>>+1
今から次の四半期に掛けてしたいことがあれば

>>+2
研究の進度
※コンマ判定  ★修正なし
  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル

成功度により進度が変わります


960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/24(火) 11:44:28.53 ID:ziMqbnCuo
布束と一緒に青髪の研究を進める
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/24(火) 11:48:40.16 ID:1lMcKOQxo
ksk
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/24(火) 11:55:08.17 ID:kPq9FY2yo
失敗か
963 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/24(火) 13:20:26.42 ID:tbiG482M0


どんなに完全な天候予測を立てても、どんなに空調技術が発達しても、外気そのものに大規模な干渉をするのは困難なままだ。
昔の人間は、将来台風をミサイルで破壊できるようになる、などと信じられない空想をしてたらしい。
実際には災害をもたらす低気圧どころか――、

天井「………………暑い」

青髪「歳やね」

布束「Please, 言わないであげて。多分気にしてるから」

長点上機学園のグラウンド端には、椅子テーブル水道自動販売機と完備された休憩所がある。
当然屋根もあり、また構造物の配置とその表面の微小な凹凸により空気が流れ易い仕組みができているのだ。
だが風が通り易いといってもあくまで比較の話。
そもそも大気がぬめりと停滞しているような夏日には何の効果も無かった。

青髪「そんなへばるなら体育館でやれば良いんに」

天井「使えないのだから仕方がない、大覇星祭を控えて長点は威信を掛けた特訓中なのだ」

今月に行われる学園都市を挙げた一大行事、いわゆる一つの運動会。
戦術、戦略に能力使用と何でもありの祭典で長点上機学園は毎年常盤台中学などとしのぎを削っており、
開発を兼ねた訓練で体育館は連日埋まっていた。
グラウンドも同様で、三人から大分離れたところでは直立した巨大な棒に生徒が群がっている。

布束「わざわざ気温が上がる前に集まったのだし、So that, 体調を崩す前に終わらせましょう」

そう、時刻はまだ八時。
しかも休日だというのに生徒たちは元気なことである。

このような悪環境の下に置かれているのは、勿論実験のためだった。
身体動作の同期による類似バイタルの喚起。
そう表現すれば一端の内容に聞こえる。

肉体変化能力者のAIM拡散力場はバイタルの一部からなる。
患者の身体を能力者の脊髄に誤認させる、そのための試行と確かに言えなくもないが。

天井(どう考えても迷走していないか?)

青髪少年はもちろん布束も半袖ハーフパンツの体操着に身を包み、計測用の電極を肌の所々に固定している。
そこまでスペースを要する運動をする訳ではない。
熱中症を避け、休憩所の日陰になっている部分にブルーシートを敷いてあった。

天井(だからダイエットだろう、これでは)

ポータブルのモニタに天井は「一日三十分からはじめるピラティス」なるソフトを突っ込む。
例によってほやっとしている少年と、どことなく期待に目を輝かせる少女をよそに、心中息を零した。

……残念ながら、プログラム終了後も青髪から布束への能力の波及は観測されなかった。


>>+1
ところで、御坂との遣り取りを続けるかどうか


・もうだめだ

 ちょっと文章が考えられないので今日はこれにて
 申し訳ないです
 ご参加ありがとうございます


964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/24(火) 13:30:00.05 ID:/EaNp/ISO
トラウマ治療しつつ、慣らしていく為にも浅くは繋がっておく
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/24(火) 13:52:36.52 ID:4ZpX88/0o
乙です
コンマ判定だから仕方がないけど、研究進まないのはもどかしいな…
966 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/25(水) 12:03:45.09 ID:/UdDDZMM0

・ちょう寝た
 今日もよろしくお願いします


というか、当日は暑さでぼんやりしていて突っ込み損ねていたが、二人はまず動作さえシンクロしていなかった。
一昨日に屋外で行った実験である。

布束『っ、……く、』

青髪『なんやこの腹筋もどき! 上がらんて!』

研究室で、同時に計測したデータに目を通しながらモニタに流している、あまり画質の良くない映像。
その中では二人の被験者が仰向けの姿勢でぷるぷる震えている。
動きの確認用に録っておいたのだが後で本人達はちらりとも見なかった。

よほど屈辱だったらしい、色々と運動不足が露呈したことが。

青髪『あぁぁこれは比較的楽っちゅうか』

上半身と下半身をV字型にし、腰で接地するようなポーズ。
本来そのまま背後に転がって戻るといった運動らしいのだが構えの時点でがたがたである。

布束『Oof... そうね、まだいけるわ』

互いに自分の方が早く音を上げるのは許し難かったようだ。
痙攣と共に吐き出すような声で嘯いている。

それぞれ、別の意味で表情の出辛い目付きをしている二人である。
だが両方が両方とも、全身から「もう無理」な雰囲気を発散していた。
ぷつり、画面を強制終了。

天井「…………はぁ」

青髪少年は能力的に運動関連に長けていると思っていた。
実際、100m走だのといった体力測定の数値は高い。

布束は以前肌やら美容に気を使っている風な発言をしていた。
この時着ていた体操服が覆い切れない腕や脚には日焼け止めをこれでもかと塗っていたらしい。
運動だってそれなりにしていると思うではないか。

天井「どうして二人ともあんなに身体が硬いんだ……」

本人達の前では言えない。
睨まれるから。
筋力トレーニングの一環、筋肉痛の予防の為に柔軟などもしている自身が、このメンバーでは多分一番ましだなどとは。

天井「――っと」

ぽこん。
相変わらず、付かず離れずのメールを続けている御坂からの返信だった。
この前のメソッドは良かったです、少し演算効率が上がりました。
そんな内容。

治療はしているもののトラウマは以前癒えず、開発上のアドバイスも大きく向上するようなものは敢えて送っていない。
まだ会えることはなく、与える影響も少ない。

手元にあった缶の野菜ジュースを、天井は吐息と共にごくりと飲み干した。


967 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/25(水) 12:13:59.06 ID:/UdDDZMM0


残念な屋外実験はともかく、他にも手は尽くしていた。
麻酔で感覚が無い状態などでも肉体変化が使えるか試してもらったり。
今度は精神状態から類似バイタルを引き起こせないか、環境音楽を聞いたり無作為な文字列を音読したり。

可能性が無くはない、程度の模索。
どれも目を惹くような結果には繋がっていなかった。

黄泉川「今日もお疲れだねえ。ちょっと気になる無国籍系の店があるんだけど……どうじゃん?」

天井「それよりもこの前言っていた刺身の美味い店が気になるのだが」

首の下に溜まった汗をタオルで拭う。
ジムの鮮烈な照明の下で長髪の教師がにははと笑った。

黄泉川「良いじゃんよ、今日は気軽な飲み屋の気分なんだよー」

あれから、呑みたい気分になった――仕事に疲れたりした時、度々席を共にするようになった。
なんとはなしの慣例で誘う方が店を指定するのだが。
今日はまた、互いにそういう気分らしい。

天井「分かった、分かったから。お前の行きたい店で良いからばきばき指を鳴らすな!」

黄泉川「うーんその譲歩の姿勢、素晴らしいじゃん。日本人の美徳――――っと」

じゃあお前はどこの国籍だ、そう返そうとした瞬間だった。

ぐらぐら、不意に小さく建物が揺れる。
あまりに頻繁なのでもう慣れてしまった。
ただ器具に挟まれたりしないよう、一歩位置取りを変える。

天井「……ふぅ、止まったか。小さいとはいえこう連続すると怖いな」

黄泉川「――っだー!! 鬱陶しいじゃん!」

天井「どうした急に」

確かに不安を煽るような妙な揺れと回数である。
鬱陶しいという表現もさもありなんという感じだが――、

黄泉川「はー。学生が騒ぎ立てたり便乗して火遊びなんてしないように、厳戒態勢なんじゃんよ」

詳しくは言わないが、そういうことらしかった。
心配になるのは学生も同じ、さらに好奇心を刺激される元気なのも多いだろう。
警備員の仕事は大変だ。

天井「何というか……そちらこそ、お疲れだな」

トレーニング後の予定だけ相談し、マシンに突撃していく彼女の背を送る。
先に酔い止めのドリンクを飲んでおいた方が良さそうだ。
今日は荒れそうである。


968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 13:30:57.20 ID:28NE9lFSO
天井くンが楽しそうで何より(笑)
969 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/25(水) 13:40:20.06 ID:/UdDDZMM0


長点が当然のように大覇星祭で総合優勝と個人優勝を獲ったのも、もうしばらく前の話だ。
十一月末。
あと数日で商業区画の第十六学区や各区の店舗街はクリスマスカラーに染まるだろう。

肉体変化の効果範囲を他人にまで広げる可能性。
もしくは、他人の身体を自身のものだと誤認させる方法。
どちらかを得るために多様な試みを繰り返し、進展を見ないまま季節だけが流れていた。

次期の補助金は少しだけ増えて、こうなる前の半額ほどになるらしい。

天井「次は……患者の身体部位を使い生体信号の変換ができないか試すか?」

換気をしながら暖めるため空気が淀みにくい、学園都市製の空調の恩恵に与る。
研究室で一人、ホットティを手にぼんやりと休憩を取る。

と、デスク上の内線、いわゆる子機のような形の電話がぴりぴり鳴った。

天井「はい、天井ですが」

守衛「あぁすみません、こちら正門です。木山さんという方が天井博士を訪ねてこられたのですが……」

長点の警備は強固である。
発行されたIDが無ければ、ことごとく建物内のドアが開かないのだ。

天井「分かった、申請はしてあるからカードを渡してくれ」

これで少なくとも天井の研究室に繋がる経路は歩けるはずだ。
しかし、こちらに来ると連絡があったのはほんの昨日のことだった。

天井「突然どうしたというのだ」

そもそも彼女がここを訪れる自体レアケースだというのに。


970 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/25(水) 13:41:11.90 ID:/UdDDZMM0


木山「急なアポイントで申し訳ないね」

地味な色のロングコートの下に、さらに木山は白衣を羽織っていた。
天井とて服装にそこまで拘りは無いが、それはありえないだろうと思う。
彼女は何のために着てきたのか白衣を脱いで応接用の椅子に掛け、その下のハイネックの裾を捲ろうとする。

天井「脱ぐな」

木山「しかしこの研究室は暑過ぎる。エアコンの温度は下げられないのかい」

天井「残念ながら温度は集中管理だ、オフにはできるが寒いぞ。だが脱ぐな」

むぅ、と不満そうな研究者の前に、ティパックの紅茶を出す。
無頓着な印象と反し向こうの研究所では様々な種類の飲み物を出されるため、一応の礼儀である。
自身では気にしたことが無いパッケージにはダージリンと書かれていた。

彼女はストレートのまま、ゆったりと口を付ける。

木山「ふぅ。……そうピリピリしないでくれ。用はあるが、緊急事態ではないよ」

天井「しかしメールで伝えるには憚られるのだろう?」

ことり、カップを置いた木山はこちらを見る。
視線の下の隈は以前よりも濃いような気がした。
向こうもなかなか治療が進んでいないのか。

木山「――あと一歩までは来たのだが。ここに到って、第一位の彼が言っていた『足りないパラメータ』が分かったのだよ」

頷いて、続けてもらう。

木山「『体晶のファーストサンプル』、あるいは『木原幻生の実験記録』。どちらかに覚えがあったりはしないかな」

天井「初耳だ。そもそも体晶とは何だ」

木山「そうか。いや、駄目で元々のつもりだったから気にしないでほしい。体晶というのは――」

能力者の意図的な暴走誘発、採取された脳内物質。
その結晶は他の能力者にも暴走を引き起こす。
一般の視点からすれば非人道的だろうが、この都市ならあり得ると思わせる実験の産物だった。

木山「生徒達はそれを投与されていたことが分かってね。ただ、原因となった体晶のデータが欠けている。
   これを相殺しないと、たとえ目を醒ましても暴走したままになってしまうんだ」

天井「それで、サンプルか実験記録、か」

木山「あぁ。貴方とは分野も何も違うからね、敢えて探してくれとは言わない。
   もしどこかで関係のありそうなことを耳にしたら教えて欲しいんだよ」

伝手も何も無いことを理解の上だろう。
木山は特に強要もしない。
もっとも最近は要求を通すのに弱みをちらつかされたりはしていないのだが。

ともあれこちらも紅茶を一口含み、了承した。

木山「それから、実験記録が見付かった後のために準備しておきたいことがあってね。
   そのために一、二ヶ月ほど忙しくなる。その間、貴方を手伝うのが難しくなるが許してくれ」

青髪少年の患者への能力適用に手間取っている現状では、どうせ頼めることも少ない。
木山には木山の目的があり、それを優先するのも彼女の自由だろう。
だが何となく引っ掛かるのは。

天井「それは問題無いが――、ここにきてまた秘密主義か」

「準備」の内容について教える義務はそもそも無いのだが。
どうしてか強いて伏せているように感じたのだ。

木山「危険なことではないよ、前に言ったようにテロリズムに染まった訳でもない」

椅子にゆったりと掛けた研究者は、ぼんやりと笑みを浮かべた。


>>+1
木山の件について、何かするか


971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/25(水) 13:42:48.25 ID:FvjHvTTp0
暇つぶしがてら調べてみる
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/25(水) 13:46:36.06 ID:iSVk8DFu0
天井が青髪から、幻想殺しのことを聞いていれば治療の役に立たないかと話題に出す
聞いていなければ、安価下
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 14:35:11.24 ID:0meb5SG0o
幻想殺しは今回役に立たないんじゃないか?
薬物の副作用で異常が起きて昏倒してる状態なんだし
974 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/25(水) 14:56:24.00 ID:/UdDDZMM0


過度の集中は思考の硬直を招く。

生徒の治療を主にしながらもこちらの研究を手伝っていた木山の意図について、そんな予想をしていたのだが。
自身が見事に硬直に嵌まり込んでいたことに気付けば苦笑いしか生まれない。

近頃は残業がちだった。
それも、碌に効率の上がらない無駄残業。
世間が目前のクリスマスに浮かれる中、久々に早く長点を出た天井はぐぁ、と伸びをした。

天井「とはいえ、なぁ」

こうして休養のための時間を作っておいて、わざわざPCに向かおうとする辺り大概息抜き下手なのかもしれない。
もしくは無趣味。

天井(いやトレーニングは実用というより趣味だ)

何かに言い訳をするように、脳内で言い聞かせてみる。

名門校が多い十八学区もどことなく雰囲気が浮つく。
ぼぅっと歩く天井の横を、マフラーを巻いた男子中学生が駆けていった。

天井(体晶、体晶――正式には能力体結晶、だったか?)

木山が口にしていた単語をくるくると思い返した。
何のことはない、実効があるかは置いて少し調べてみようかと思い立ったのだ。
危険を冒すこともない、ネットなどをつらつらと眺める行為に目的が付与された程度のつもりである。
センサーに掛かるものがあれば御の字だ。

天井(……どうしても思考が事務的になるな)

自己意識よりも多分に、天井の性質は仕事人間であるようだ。


>>+1
調査の具合
※コンマ判定  ★修正-10
  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル

>>+2
今から次の四半期に掛けてしたいことがあれば


975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/25(水) 14:57:06.60 ID:iSVk8DFu0
たぶん役に立たないだろうってのは、理解している
少し前まで藁にも縋りたい状況だった木山が興味を持てば
展開次第で原作前に上条と面識を持てる可能性もあったから
話題に出そうとしてみた
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/25(水) 15:02:45.77 ID:HosJTU/X0
木原一族について調べる
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/25(水) 15:03:54.88 ID:iSVk8DFu0
心療内科へ行き、弁証法的行動療法による打ち止めと借金へのトラウマ治療を受ける
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 15:09:16.02 ID:28NE9lFSO
そういや天井くン借金トラウマもあったか…早くトラウマ全快、あの人とイチャつかせてみたい
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 15:10:10.47 ID:NPAWlLPIo
ゾロ目が続いたな
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2012/07/25(水) 15:18:55.63 ID:cMWsnAhAO
判定成功ですね。後は木山か…
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/25(水) 15:22:58.53 ID:ESfDpIv10
個人の意見だが上条とはあまり関わりたくない。

キャラ的に好かないのもあるがなんか天井が脇役になりそうで・・・
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 15:32:37.02 ID:PobnsSsRP
ぶっちゃけ上条さん役に立たんからいらん心配だろ
本人関係ないけどアレイスターに24時間監視されてるって時点でまず役に立ってもアウト
そしてそろそろ次スレだな
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/25(水) 15:33:24.83 ID:iSVk8DFu0
天井の原作キャラとの人脈って、基本的に誰かに紹介されるか、訪れた場所に関係のある人物がいるかで
増えていると思うんだけど、それを考えると上条とは巻き込まれない程度に浅く繋がっていたいなと思った
984 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/25(水) 16:39:58.93 ID:/UdDDZMM0


>>979 指摘ありがとう、脱がした


天井「木原、幻生……か……」

珍しく湯を張った風呂場で、天井はぐったりと湯船の縁から腕を垂らした。
温度は高め。
浴場における健康法には詳しくないので、特に半身浴などでもなくたっぷりと溜められている。

手には耐水加工のPDAが握られ、PCから移したいくつかのサイトの記述が湯気の中に浮かび上がっていた。

天井「堂々と研究している――どころか大層な肩書きではないか」

先進教育局、木原研究所所長。
胤河製薬、特別顧問。
鎚原病院、木原研究室教授。

そんな漢字だらけの身元証明はまだ続いている。
これらの施設の名を負って発表されている研究はどれもまともで、また多くの研究者から引用されている目覚ましいもののようだ。

天井(つまり立場にあかせて裏の実験を行うタイプ、か)

この成果のうちいくつが、非合法の予備実験に支えられているだろう。
ぴちゃん、と水滴が肩に落ちた。

絶対能力進化実験に携わっていた記憶の中の天井は、天井亜雄という研究者としてのネーム自体が裏側に沈んでいた。
表で権威を得ながら裏に手を染めるというのは、完全に裏に居るよりも気を回すことが多く、煩わしい面もあるだろう。
だが大掛かりなことをするなら設備を用意するだけの資金、隠蔽するだけの権力と役に立つはずだ。

天井「……ん?」

来歴、所属をスクロールさせていく。
そこにはあるべき、現所属が欠けていた。

天井「随分歳のようだし、引退、か?」

どこの記述を見ても没年は書かれていない。
既に研究活動を止めているということか。
確かにこれでは研究者としてコンタクトを取ることもできない。
木山や冥土帰しが実験記録の入手で行き詰まっているというのはそのせいだろう。

ぴちゃん。
今度は湯の表面に落ちた雫が、静かに同心円を描いた。


・誰得


985 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/25(水) 16:40:29.89 ID:/UdDDZMM0


能力体結晶、次に入力したワードでは、くだらない都市伝説の類さえ引っ掛からなかった。
ちなみに風呂は上り、再度PCの前に着いている。

体晶は存在自体が裏の粋のようなものだ。
公に流布している情報源ではそんなものだろう。
開発者たる木原幻生の保持していただろう影響力を考えればなおさらである。

試しに木原や幻生と姓名の片方で研究者データベースを検索しても、フルネームの場合と同等のものしか見当たらない。
というか、幻生はともかく木原という苗字は珍しいものではない。
木原姓の名がごちゃごちゃと並び、ノイズも甚だしかった。

天井「ん? ……これは違うな」

その中に一つ、異質なものが混じっている。
テレスティーナ=ライフライン。
名前を対象に探したはずなのだが、どこにヒットしたのか。

天井「あぁ。ミドルネームが木原なのか」

詳細情報には、別名として登録されている英語表記などと一緒に、「木原」を含む正式な本名も登録されていた。
複数の能力者による共鳴、共振。
能力の大規模干渉。
木山に割と近いAIM系が専門らしい。

何となく文字の列を眺めていく。

先進状況救助隊隊長。
同付属研究所所長。
これは最近設立された小さな対災害部隊、らしい。
二十代前半という若年の割に多才である。

無能力者。

天井「は? いや、この歳ならあり得るか?」

ものの試しに書庫で探せば、簡単にヒットした。

学生として開発を受けた人間の進路としては、確かに都市内で職を探すというのが単純な道だ。
なにせ学園都市は能力開発技術の流出には神経質である。

発火能力、レベル0。
一応の系統付けと、その中でも能力を発現するに到らないことを示す数字。

天井「しかし研究者としての才はあった、と」

能力としては、大した記載が無い。
だからこそその一文は天井の目に飛び込んできた。

「能力の暴走経験あり」。

ひくり、背筋が震える。
まさか関係があるとも決まった訳ではない。
ただ、名前に同じ二文字が含まれる二人の研究者に、能力の暴走という共通項があっただけで。

洗い流したばかりの背に、新たな汗が流れていった。


>>+1
調べた件について、どうしよう
(もっと調べる、報告、放置、etc.)

>>+2
ついでに次期の研究の進度
※コンマ判定  ★修正なし
  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル

成功度により進度が変わります


986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) [sage]:2012/07/25(水) 16:47:19.42 ID:sefJ+2cKo
木山に報告
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 16:47:28.22 ID:dRiRgxyvo
クリティカル
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/25(水) 16:47:33.31 ID:7aLxheb90
木山ととりあえず布束に報告
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 16:47:35.78 ID:NPAWlLPIo
さらにくわしく調べる
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/07/25(水) 16:47:58.47 ID:7aLxheb90
あ、あとカエル医師にそうだん

991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 16:48:26.35 ID:NPAWlLPIo
コンマは失敗か
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 16:48:40.41 ID:28NE9lFSO
これ木山てんてーに教えた後、てんてー独自に動いた結果失踪とかだったらイヤだな
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/07/25(水) 16:48:41.95 ID:AH3QhcqL0
先進状況救助隊について、黄泉川に聞いてみる
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 16:49:10.36 ID:dRiRgxyvo
そして物語は次スレへ
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/25(水) 16:50:51.42 ID:28NE9lFSO
埋める前に>>1の次スレ誘導ほしいな
996 : ◆WWqRalPcWM [saga]:2012/07/25(水) 17:04:31.04 ID:/UdDDZMM0

・わっふい、残りちょっとなので今日はこれまでに
 新スレ立てて数レスで放置というのも残念なので

 >>932 >>957 の通り、明日から転居のため少なくとも日曜くらいまで休みます
 ので、状況報告用にレス空けておいて頂けると助かります
 次スレはここのレス残ってたら誘導しますが、
 万が一1000に間に合わなくても、天井さんのフルネーム入れて分かるようにしますので


・次回は新スレで、↑の安価分から始めます
 ばたばたして済みません、ご参加ありがとうございます


997 : ◆WWqRalPcWM [saga sage]:2012/07/27(金) 13:49:19.27 ID:lpUHgMyU0

・新居のネット環境はぼちぼちです、取り急ぎ報告のみ
 前居のように落ちたりするかはおいおい確認ます

・他の用事も重なったりと週明け再開は難しいかもしれません
 どちらにしても月曜にはアナウンスできたらと思います

998 : ◆WWqRalPcWM [saga sage]:2012/07/30(月) 13:20:46.76 ID:U9oV/FBw0

・遅くなりました、木曜から再開できそうです
 結局まるまる一週空いてしまった……お待たせしております

999 :library [saga]:2012/08/02(木) 15:24:44.78 ID:AIXfaF/70


―― 閑話 ――

このレスの内容は本編とは無関係です
また時系列も適当です


「………………」


「上やーん、耳に続き尻尾も生やせたでー」ピコピコ

「うわっ誰得……しかしビジュアルこだわる割に口調はいつも似非関西弁だよな。
 その内語尾が『にゃー』の金髪アロハ野郎とかに株奪われちまうぜ?」

「誰!? 具体的過ぎるやろ!」ピコピコ

「クラス替えでそんな奴と一緒になるかもしれないだろ? もしくは転校生」

「ボ、ボクは多才嗜好《マルチフェティシズム》なんや! 家政妹狂《シスコンメイドマニア》なんぞには負けへん!!」ピコピコ

「それこそ誰だよ!!」


「………………」


「Honestly, 今だから言うけどこの口調大変なのよ。同じ語句を多用しない的な意味で」

「どうかしたかい。ふぅん、高級ケーキショップなどは初めて来たが、中々暖房が暑いね」

「何でもないわ。……Stop! 脱がないでよ?」モグモグ


「………………」


「なぁなぁ、鉄装。昨日の夜、

 『………………はぁ』

 とんでもないことをやらかさないで済んだというか、とんでもないものを逃したというか――

 『おっ! 天井のオニーサン、ちょっとシャワー借りたじゃんよー』ガチャ

 『!? タ、タオル一枚でうろつくなじゃなくてどうしてここに!!??』

 『どうしてってあの後ここで休ませてもらうことになって、足が縺れた私と(ry』

みたいな夢をみたじゃんよ。これは……恋……?」

「黄泉川さん、それ電波です。北北東から電波を受信しちゃってます」


「………………」


「どうしてこんな実験を……。あの日君を助けたことが間違っていたとは思いたくないがね?」

「回想もそれに感傷を抱くのも、あなたの自由だ。実験の意図だが――ポケモンを知っているかな」

「……ゲームだとでも言うのかい?」

「つ【努力値】」ドヤァ

「認めよう、僕は間違っていた」

「ちなみに『すばやさ』が上がるぞ。相手がピカチュウだから」


「………………向こうからメールしておいて……返事が来ないわ…………」イラッ


※本編で触れて無かったですが実際当たり障りのない返信くらいはしたのではないかと
 (しかし印象は悪い)


1000 :やっべ ◆n7YWDDtkCQ [saga]:2012/08/02(木) 15:29:22.08 ID:AIXfaF/70

・次スレ立てました

天井亜雄「私は、何を為すのだろうか」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343888765/

・新居のネットが時間帯関係無くしばしば落ちやがります(現在は旧居より投稿中)
 ゆっくり度が上がりそうですがご了承ください
 場合によっては携帯から頑張って打ちます

・その内帰省したりするのでまた間が空くことがあるかと思います
 進めない日、期間はあらかじめ連絡いたします

・ではあちらのスレでよろしくお願いします


1001 :1001 :Over 1000 Thread
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嫁と姑の板挟み解消 @ 2012/08/02(木) 15:28:23.48 ID:Tl5NCYUT0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1343888903/

天井亜雄「私は、何を為すのだろうか」 @ 2012/08/02(木) 15:26:05.51 ID:AIXfaF/70
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343888765/

仮面ライダーBLACK RX「大津市中2いじめ自殺事件だと!?」 @ 2012/08/02(木) 14:51:59.45 ID:T65DYWeM0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343886719/

まどか「妖精さんの、おしばいげきじょう」 @ 2012/08/02(木) 14:17:29.72 ID:NRXmfBg+o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343884649/

    輿石幹事長「橋下とは積極的に付き合おうとは思わない」 @ 2012/08/02(木) 13:50:03.44
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4vip/1343883003/

俺「まさか石油を飲む日がくるとはな」from TYPE @ 2012/08/02(木) 13:46:51.70 ID:7lf1FJ9vo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343882811/

しつもんある? @ 2012/08/02(木) 13:27:00.78
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4vip/1343881620/

フィギュアスレ避難所 @ 2012/08/02(木) 13:26:43.48 ID:u9Kj870+o
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