このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

ぞう「学園都市?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:26:21.62 ID:941BS5Z90
ぞう

ロマサガ3に登場する象人間。魔王の呪いで象にされてしまった人間

原作ラスボス「破壊するもの」を倒した後気がついたら学園都市に

ラスボス倒しても象人間のままだったのでもうひとつのジャンルってことで

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1342182381
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/13(金) 21:28:38.01 ID:941BS5Z9o
七月二十日 正午

ぞう「なんだここは、いつの間にこんなところに・・・・」

ぞう「見たこともない建物・・・・やれやれ、どうしたもんかな・・・」

少女「おなかへった・・・・」

ぞう「ん?行き倒れか?」

ふと前を見ると銀髪の少女が路上に倒れていた。このように綺麗で平和な町並みで行き倒れなどなんとも滑稽ではないか

少女「中途半端にご飯食べたから逆におなかへっちゃったんだよ・・・・何か食べさせてくれるとうれしいな?」

ぞう「やれやれ、よっと」

少女「わわっ」

ぞうは少女を持ち上げて肩に乗せると休憩できそうな場所を探して歩き出した

ぞう「口に合うかわからんが、燻製だ」

少女「お肉っ! あむっ もぐもぐ スパイスが効いててすっごくおいしいんだよ!」

ぞう「そりゃよかった」

禁書「私はインデックスって言うんだよ! 私を担いで歩けるなんて力持ちさんなんだ・・・・・・」

空腹が収まったところで落ち着いたのかインデックスはここで初めて自分を担いでいる男の顔を見る

青い皮膚に大きな耳、やはりなんといっても目立つのは顔の中心から長く伸びた ”鼻” である

禁書(象人間? そんなことありえないんだよ・・・ きっとこれはこの国独自の文化の ”コスプレ” なんだよ)

ぞう「ん?」

禁書「ふふふ・・・・ 私はだまされないんだよ、きっと背中にチャックがあるにちがいないんだよ!」

ぞう「いや、俺はこういう人間なんだよ。 着ぐるみでもなんでもないぞ?」プラプラ

禁書「私が子供っぽい外見だからって馬鹿にしてるね?」

怪しむインデックスを軽く流して鼻をプラプラと動かしてみせるぞうだったがどうやら癇に障ったようだ

ぞう「いや、本当だ。 なんなら思う存分調べてかまわないぞ?」

禁書「のぞむところなんだよ!」

それからインデックスはぞうの肩から降りるとひっぱったりつねったりよじ登ったりと懸命にチャックを探したが

ぞうにそんなものがついていないと確信するまでそう時間はかからなかった

禁書「すごいんだよ!本当にぞうさんなんだよ!」

禁書「ねえぞうさん、ぞうさんはどこからきたの?」

ぞう「ラシュクータというところだ。知ってるか?」

禁書「聞いたことないんだよ」

ぞう「どうやらとんでもないところに来ちまったみたいだな・・・」

ぞう「俺は気がついたらこの町にいたんだがここはなんていうところなんだ?」

禁書「ここは学園都市っていうんだよ!」

ぞう「学園都市? 聞いたことないな・・・」

禁書「ぞうさんひょっとして行くところないの?」

ぞう「そういうことになるな、完全に迷子だ」

禁書「なら私と一緒に教会に行くといいかも、教会は迷える子羊を見捨てたりはしないんだよ」

ぞう「そこがインデックスの家なのか?」

禁書「違うよ」

ぞう「そこからインデックスの家は近いのか?」

禁書「わかんない、私記憶喪失だから」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:29:06.36 ID:941BS5Z9o
ぞう「記憶喪失・・・?」

禁書「うん、一年くらい前からの記憶はあるんだけど、それ以前の記憶はないんだよ」

ぞう(家出少女みたいなもんか・・・・しつこく追っかけてきたあいつを思い出すな・・・)

禁書「だから二人で教会に保護してもらうんだよ!」

ぞう「そりゃ願ってもないことだ。まさに救いの手だな」

禁書「でも・・・・」

ぞう「ん?」

禁書「私は魔術師に狙われているんだよ・・・」

ぞう「魔術師?」

禁書「私が記憶している10万3000冊の魔道書を狙っているんだよ、だから一緒にいると危ないかも」

ぞう「なるほどな、その服は魔術師に対抗するための防御手段ってわけか?」

禁書「わかるの!?」

ぞう「ああ、俺のところでも術は日常的に使われていたからな。それがかなりのものだというのはわかるが・・・」

禁書「?」

ぞう「ところどころ破れているのがな、そのままだと不完全なんじゃないのか?」

グサッ

禁書「それについては聞かないでほしいかも・・・・・」

ぞう「そうか・・・ 魔術師のことだが、俺に任せてもらえないか? こう見えても戦うのは専門なんでね」

禁書「なら、私と一緒に地獄の底までついてきてくれる?」

ぞう「アビスの底から帰ってきた俺だ。インデックスに迫ってくる地獄なんてものは蹴散らしてやるさ」

禁書「ありがとうぞうさん!」

禁書「それじゃあまずはとうまのところに行かないとね」

ぞう「とーま?」

禁書「朝私にご飯を食べさせてくれた人なんだけど、その人のところにフードを忘れちゃったんだよ」

禁書「フードにも魔翌力はこめられているからそれを辿ってとうまのところに魔術師が行っちゃうかも」

ぞう「そりゃやっかいだな。すぐにフードを取りに行くとするか」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:29:50.75 ID:941BS5Z9o
学生寮前

禁書「ここなんだよ!」

ぞう「!!!」

禁書「きゃっ!」

インデックスの案内で学生寮までやってきたところでぞうは背後に殺気を感じとっさに

インデックスを抱えて横に飛ぶ。と、インデックスが立っていたところを斬撃が通過した

女「かわしましたか、狙ったのは彼女だけだったのですが」

ぞう「魔術師か!!!」

突然の攻撃をかわしたぞうが剣を抜きながら振り返るとそこには長い刀を持った長髪の女が立っていた

女「ぞう!!!!」

女(ああ・・・、象・・・象ですよ象!!)

禁書「なんだかぞうさんを見てときめいているみたいなんだよ」

ぞう「緊張感にかけるな」

女「はっ! こほん、彼女を私に引き渡していただけませんか?」

禁書「帰ってきたんだよ」

ぞう「なんだかなー」プラプラ

女(鼻!! あの鼻!! くっ、撫でたい・・・・・)

禁書「・・・・」

ぞう「・・・・」プラプラ

女(い、今はそんなことをしている場合ではありません!!)

女「か、彼女を引き渡していただけませんか?」

禁書「顔赤くして言われても・・・・」

ぞう「どんな事情があるのかわからんが背後から襲い掛かる人間にインデックスを渡すわけにはいかない」

女「私たちには時間が残されていません、引き渡していただけないというのなら」

ぞう「力ずくか?」

女「ええ (気絶させる程度なら!!)」

言うと女は刀を握り締め一気にぞうとの距離を詰め、刀を抜かずに鞘ごとぞうの体をめがけて振り下ろした
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/07/13(金) 21:30:27.08 ID:941BS5Z9o


ぞう「パリィ!!」

女「そんなっ!!」

女の刀がぞうに届く直前にぞうが剣で女の攻撃をはじいた

ぞうの腕力と女の体勢が万全ではなかったことがあわさり、女は体勢を崩してしまう

女「っ!! (追撃がこない!?)」

ぞう(なぜ抜かない?)

ぞうは女を攻撃することなく剣を構えたまま女の攻撃にそなえたままであった

自身に攻撃をしてこないぞうを不思議に思いながらも女は距離を取って刀を構えなおす

ぞう「手加減のつもりか?」

女「そちらこそ、なぜ攻撃しないのですか?」

ぞう「なあに、そんなに素早いほうじゃないんでね、単に反応できなかっただけだ」プラプラ

女(こちらが手加減したもののあれだけのことができるのですから嘘だというのはわかりますが・・・)

女(全力でかからねばぞうさんを退けることはできません・・・ですが私にはぞうさんを傷つけることなんてできない・・・・)

神裂「・・・・ここは引きましょう。彼女は私神裂火織が必ず迎えに参ります」

神裂「その時はどうか私に魔法名を名乗らせないでください」

ぞう「その時は事前に教えてもらえると助かるな。お茶とお菓子くらいは用意させてくれ」プラプラ

神裂「・・・・・・・」

禁書「行っちゃった」

ぞう(何がなんでもインデックスをっていうのなら刀を抜くはず・・・・)

ぞう(それをしなかったということは何か事情があるということだろう)

ぞう「さて、さっさと忘れ物を回収してここを離れるとするか」

ピンポーン 

禁書「留守だね」

ぞう「しょうがない、改めるとするか」

禁書「学校って言ってたから夕方には帰ってくるはずなんだよ」

ぞう「それじゃあそれまでこの町を探検するか」

禁書「うん!!」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:31:30.61 ID:941BS5Z9o
魔術師に襲撃されたことなど無かったかのように二人は科学の町学園都市を歩き回った

この町の住人が見たらまるで修学旅行の学生のように二人ははしゃいでいた

少女「ついに見つけたの! あの噂のアイテム〜」

そのため、どこかの教授のようにくるくると回転しながら近づいてくる少女に気づかなかった

ドンッ

少女「きゃっ!」

 「佐天さん!!」

ぞう「危ない!!」

体格の良いぞうとぶつかったことで少女は突き飛ばされたような衝撃を受けたことで

体を投げ出されそうになったところぞうが咄嗟に支える

佐天「いや〜、初春の花に見とれてぶつかっ・・・」

初春「あ・・・・・」

佐天 初春「「ぞう!!!」」

ぞう「はい、ぞうです」プラプラ

禁書「器用な鼻なんだよ」

佐天「え、いや、着ぐるみに決まってるじゃない初春は乙女ちっくなんだから〜」

初春「佐天さんも驚いてたじゃないですか! でもこの肌の感じとか本物っぽいですよ」

禁書「ぞうさんはぞうさんなんだよ!」フフン
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:32:03.04 ID:941BS5Z9o

ぞう「一応言っとくが俺はこういう人間だからな?着ぐるみとかじゃないぞ?」

佐天「そんなこと言ってだまされるわけがないじゃないですか」

初春「そうですよ、きっと背中にチャックが」

ぞう「なら、調べてみるといいぞ」プラプラ

佐天「そういうことなら」

初春「徹底的にやっちゃいましょう!」

言うが早いか好奇心旺盛な二人は先ほどのインデックスと同じようにぞうの体を調べたが

もちろんチャックなど見つかるわけもなく新たな出会いに驚きと喜びを隠さなかった

初春「すごいすごいすごい!科学の町でこんなファンタジーな出会いがあるなんて!!」

佐天「これはぜひ御坂さんと白井さんに紹介しなきゃ!!!」

ぞう「なんか引っ張りだこだな」

禁書「人気者の証なんだよ」

佐天「あたし佐天涙子っていいます!」

初春「私は初春飾利です」

禁書「私はインデックスって言うんだよ!」

佐天「インデックスちゃんも変わった格好してるねえ」

初春「色は白いですけど、シスターさんですか?」

禁書「うん!私は教会に所属するシスターなんだよ」

佐天「ぞうさんとシスターのインデックスちゃん・・・すごい組み合わせだね」

初春「お時間大丈夫ですか?もしよければ私たちの友達に紹介したいんですけど」

ぞう「ああ、夕方までは時間が余っているからそれまでならな」

佐天「二人とも学生じゃないみたいですけど外から来たんですか?」

ぞう「いや、気がついたらこの町にいた」

禁書「私たちはこの町のことがさっぱりだからいろいろ教えてもらえると助かるんだよ」

佐天「わかりました、僭越ながら私たちが手取り足取り教えちゃいますっ!」

初春「まずは二人と合流しましょう!」



ファミレス

佐天「あ、いたいた。御坂さ〜ん!白井さ〜ん!」

美琴「あ、佐天さんに初春さん・・・・・・えっ」

黒子「あ・・・・・・」

美琴 黒子「「ぞう!!!」」

ぞう「はじめまして」プラプラ

禁書「お約束になってきたんだよ」

美琴(え?なにこれデカイけどちょっとかわいいかも/////)

佐天「えへへー、さっきそこで知り合ったんですよー」

初春「お二人に見せたくてつれてきちゃいました」

女性「なにやら珍妙な御仁だな・・・・」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:33:14.98 ID:941BS5Z9o
黒子「なるほど、学園都市にいらしたばかりですか、何か困ったことがありましたら協力させていただきますわ」

禁書「助かるんだよ」

美琴「ねえぞうさん何食べたい?あたし食べさせてあげるー」キラキラ

ぞう「ん、そうだな これはどんな料理なんだ?」

美琴「あ、これ?これはねー こっちだと・・・ ぞうさん辛いの平気?」

佐天「何か二人だけの空間を作り出してますねー」

初春「こんなにときめいてる御坂さん初めて見ました」

黒子「はぁ・・・、まさかお姉さまがゲコ太並にときめく出会いがあろうとは・・・・」

美琴(このぞうさんすっごくかわいいからお持ち帰りしたい・・・・・けど寮監が・・・・)

黒子「このぞうさんすっごくかわいいからお持ち帰りしたい・・・・・けど寮監が・・・・なんて考えてそうですの」

禁書「むっ、ぞうさんはお持ち帰りさせないんだよ!」

初春「ところで白井さん、そちらの方は?」

黒子「大脳生理学を研究されていらっしゃる木山先生ですの」

木山「木山だ・・・」

初春「脳学者さんなんですか。 はっ、白井さんの脳に何か問題がっ!!!」

ぞう「こらこら」

黒子「レベルアッパーの件で相談していましたの」

佐天「あ、それならあたし」

持ってるんですよ と佐天は昨晩手に入れたばかりのレベルアッパーを見せようと

ポケットの中の音楽プレイヤーに手を伸ばす

美琴「黒子が言うにはレベルアッパーの所有者を保護するんだって」

佐天(えっ)

御坂の言葉に手にした音楽プレイヤーを握ったまま固まる佐天
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:33:42.57 ID:941BS5Z9o

初春「どうしてですか?」

黒子「まだ、調査中ですのではっきりしたことは言えませんが使用者に副作用がでる可能性がありますの」

佐天(副作用・・・・)

黒子「それに、容易に犯罪に走る傾向が見られまして」

ぞう「ん?どうかしたのかルイコ」

佐天「あっ、いや! 別に・・・」

白井の話を聞いて固まっていた佐天はぞうに声をかけられてはっとしたように慌てて音楽プレイヤーを

ポケットにねじ込む。この流れではとてもではないがレベルアッパー持ってますなどとは言い出せない

だが慌ててしまったためテーブルの上のジュースに手をぶつけてしまい

バシャッ

ぐらついたコップは倒れてしまいそのまま木山の膝の上にジュースと氷をぶちまけてしまった

木山「あ・・・」

佐天「す、すみませんっ」

ぞう「拭くものをもらってこよう」

反射的に立ち上がり店員の所へ向かったぞうに遠慮したのかどうかはわからないが木山はおもむろに立ち上がり

木山「気にしなくていい、かかったのはストッキングだけだから脱いでしまえば・・・・」

スカートとストッキングをを脱ぎだした

黒子「だーかーらあ!! 人前で脱いじゃダメだと言ってますでしょうがあ!!!」

しかしわたしの・・・・ 趣味趣向は人それぞれですの!!!

ぞう「何やってるんだ・・・」

店員からおしぼりを受け取ったぞうが戻ると唖然とする木山の前で猛烈に説教をする白井の姿があった

白井の言うことももっともなのだがとりあえずこういう場所ではもう少し静かにするべきであろう
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:34:11.60 ID:941BS5Z9o
夕方 ファミレス前

レベルアッパーのことで相談に乗ってもらった木山の背中を見送ると

すっかり日も傾き、忘れ物を取りに行くのにちょうどいい時間となった

ぞう「それじゃあ俺たちもそろそろ行くとするか」

禁書「うん」

黒子「初春、私たちもジャッジメントの支部に戻りませんと」

初春「そうですね、あれ?御坂さんと佐天さんは?」

禁書「さっきまでそこにいたのに・・・・」

初春「でも、きっと二人でいると思いますから大丈夫ですよ」

黒子「きっとお姉さまがゲコ太グッズに魅かれて佐天さんが付き合ってるだけだと思いますの」

ぞう「この町のことを色々と教えてもらったから二人にも礼を言いたかったんだが」

禁書「たくさんごちそうになったしね!」

黒子「それなら気にさらなくてもよろしいかと、あんなに上機嫌でどーんと会計をされるお姉さまは」

黒子「初めて見ましたの。よっぽど楽しかったのでしょうね」

初春「ちゃっかり私たちもご馳走になっちゃいましたしね〜 ジャンボパフェとか」

黒子「ちゃっかりしすぎですの。私も人のことは言えませんが・・・」

禁書「ふたりにもありがとうって言っておいてほしいんだよ」

初春「はい、まかせといてください」

禁書「それじゃあね! くろこ! かざり!」

黒子 初春「「はい」」

ぞう「またな」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:34:46.94 ID:941BS5Z9o
学生寮へ移動中 公園

禁書「気づかなかったけど、結構遠くまで歩いてたんだね」

ぞう「ああ、土地勘が無いからしょうがないとは言えもう少し計画性を持つべきだったか」

ファミレスを後にした二人であったが、何も考えずにうろちょろしたため結構な距離を歩くこととなった

元々この町の住人でないため学生寮までの最短距離を歩くこともできずに少々時間がかかってしまった

そこへ

┣¨┣¨┣¨┣¨ドドド

ぞう「ん?誰かこっちに走ってくるぞ?」

禁書「あ!とうまだ!」

ぞう「・・・隣にいるのはミコトじゃないか?」

上条「はぁ・・・・・はぁ・・・・おいビリビリ!うちの電化製品が全滅したって話したばっかじゃねぇか!!」

美琴「はぁ・・・・・はぁ・・・・うっさいわね!あんたがムカつくから悪いのよ!!!」

上条「ムカつくからって、お前俺じゃなかったら死んでるとこだぞ?」

美琴「なら!いっぺん死んでみろやごらあああああ!!!」バリバリ

御坂は怒りにまかせて手に電気を収束するとレーザーのようにそれを射出した

上条「やべっ」

その行動をなんとなく察知していたのか上条は反射的に右手を頭の上にかかげながらしゃがみこむ

そのため、御坂の放ったレーザーのような電撃は上条の頭上を通過し、離れた場所にいたぞうと

インデックスのほうへと向かっていった

ぞう「くっ!!」

御坂の電撃を避けた上条を見たぞうはとっさにインデックスの前に飛び出しインデックスの盾となる

ぞう「ぐうううううううううううううううううう!!!!」ビリビリ

禁書「ぞうさああああああん!!!」

上条「ちょっとまて御坂!知らない人巻き込んでる!」

美琴「げ!やばっ!! ってぞうさん!!!」

ぞう「おおいてえ、稲妻キックまではいかんが結構痛いもんだな」プスプス

上条「ぞうだああああああ!!!!」

禁書「とうま、今はそんな反応をしている場合じゃないかも」

上条「ってインデックス!!!」

ぞう「どんな遊びかはわからんが回りに人がいないか十分気をつけないと行かんぞ」

美琴「ご、ごごごめんぞうさん、きゅ、救急車を!!(動物病院って救急車あるの!?)」

ぞう「心配するなミコト、この程度は簡単に治る」

上条「治るったってとこどころコゲてるんですけど・・・」

ぞう「集気法!」

上条「え?なんか光ってる?」

美琴「傷がみるみるうちに・・・・何この能力・・・」

禁書「魔術でもないなんて・・・」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:35:49.03 ID:941BS5Z9o
ぞうは周囲の気を集めそれを治癒の力に変換することで御坂の電撃によってできた傷をあっというまに治療した

ぞうのいたところでは別に驚くことでもないのだが三人は初めて見る光景に驚きを隠せない

ぞう「そういやミコト、さっきルイコとふたりでいなくなったから心配したんだぞ?」

美琴「え! あ、あれね、何か佐天さんが悩んでるみたいだったからちょっと話してたの・・・」

ぞう「悩みか・・・・」

上条「おいビリビリ、そろそろ帰らないと門限やばいんじゃないのか?」

美琴「ビリビリ言うな! たしかにもう帰らないと寮監ににらまれるわね」

美琴「ぞうさん! また会えるわよね?」

ぞう「ああ、もちろんだ」プラプラ

美琴「それじゃあその時に話すわ!またね〜」

別れを告げると御坂は上機嫌で走り去っていった。まるで突発的な嵐が去っていったかのようだ

禁書「もう!ぞうさんをお持ち帰りしようとして、電撃も浴びせてなんなのかなみことは」

上条「まったく迷惑なやつだよな」

上条「ところでインデックス、どうしてこんな所にいるんだ?」

禁書「とうまの部屋にフードを忘れちゃったから取りにいこうと思ってたんだよ」

禁書「昼に一回取りに行ったんだけど・・・」

ぞう「そこで魔術師に襲われてな」

上条「魔術師に!?」

禁書「ぞうさんに守ってもらったんだよ」

上条「ぞうさんに?二人は知り合いなのか?」

ぞう「いや、俺は気がついたらこの町にいてな、そこでインデックスと出会ったんだ」

上条「気がついたら・・・ってよく風紀委員や警備員に拘束されなかったな」

ぞう「よくわからんがこちらから関らなければ認識されてないような気がするな」

禁書「非常識すぎて理性が認識しようとしなかったのかも、着ぐるみって思われてるかもだけど」

上条「何だか納得できる気がする。それで二人はフードを回収したらどうするんだ?」

禁書「ぞうさんも行くあてがないから一緒に教会に保護してもらうことになったんだよ」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:36:34.56 ID:941BS5Z9o
上条「お前記憶喪失って言ったよな?英国式の教会の場所わかるのか?」

禁書「う゛っ!!」

ぞう「まあそうなるよな」

上条「今日は二人ともうちに来ないか?このまま夜の学園都市をうろつくよりは」

上条「教会の場所をきちんと調べてから行動したほうがいいだろ?」

禁書「でもそれだととうまが・・・・」

ぞう「インデックス、ここはトウマの言葉に甘えよう。魔術師は俺のほうで追っ払ってみせる」

上条「ああ、遠慮することないぞインデックス」

禁書「ありがとうとうま!わーい!」

昨日まで一人で魔術師から逃れていたインデックスにとって二人も仲間が増えたことに喜びを隠せずに

走り出した。明るくはしゃぐインデックスを見ていると魔術師に狙われているなんてことが嘘のようだ

ぞう「なあトウマ、いいのか?トウマの日常が危険なものになるかもしれないんだぞ?」

上条「魔術なんてもんが本当にあるなんてさっきまで信じられなかったけど」

上条「ぞうさんを見ているとそれも現実のことなんだってことがわかったんだ」

上条「インデックスは赤の他人の俺を巻き込まないようにわざわざ危険を冒して戻ってきたんだ」

上条「だから魔術師に追われてるインデックスを放っておくなんてこと俺にはできねーんだよ」

ぞう「わかった。それじゃあインデックスとトウマは俺が守ろう」

禁書「何してるのー?早く早くー!!」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:37:02.73 ID:941BS5Z9o
学生寮へ移動中 路上

ぞう「なあトウマ、トウマはどんな超能力が使えるんだ?」

上条「ん?俺は超能力が使えないんだ」

禁書「でもとうまの右手にはすごい能力があるんだよ」

上条「インデックスの言うとおり俺の右手には異能の力をなんでも打ち消しちまう力があるんだ」

ぞう「なんでも?」

上条「ああ、超能力はもちろん、たぶん魔術もいけると思う」

禁書「それじゃあさっきみことがやってたのは?」

上条「俺がビリビリの電撃を右手で打ち消して以来ビリビリに勝負しろって言われるんだけど」

上条「その都度電撃を右手で打ち消しつづけてるんだ。だからさっきのやつも」

上条「俺なら怪我しないってわかっててやったんだろうけどなあ・・・・・」

ぞう「あの電撃を受けたのが俺じゃなかったら死んでたかもしれんぞ・・・・」

禁書「なんかぞっとするんだよ・・・」

ぞう「それじゃあちょっとトウマの右手を試してみるか」

上条「試す?」

ぞう「俺の術を打ち消せるかどうか。だ」

上条「いいけど、穏やかなやつにしてくれよ?」

ぞう「安心しろ。トウマに怪我をさせるようなことはしない。うーん、トウマ、その腕の傷は?」

上条「あー、これは朝インデックスに噛まれた時のやつだ」

ぞう「噛まれた?何やらかしたんだ?」

上条「いや、ちょっと・・・・・ はは・・・」

禁書「そのくらいで済んだことを感謝してほしいんだよ」フン

ぞう「ま、とりあえずその傷が癒せるか試してみるぞ?」

上条「治ってくれるとありがたいんだけどなあ」

ぞう「ムーンシャイン!」

ぞうが術を唱えると満月の光のような優しい光が上条に降り注ぐ。本来ならその優しい光は

光に包まれた者の傷を癒してくれるのだが・・・

禁書「見事に打ち消されちゃったね」

上条「ちくしょう・・・・」

ぞう「ま、しょうがないさ。これからトウマがひどい怪我をしないことを祈るばかりだ」

上条(ん?それじゃあ俺がぞうさんに右手で触ったらどうなるんだ?)

ふとそんなことを思いついた上条はおもいつくやいなやぞうの肩に右手を置いてみた
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:37:32.53 ID:941BS5Z9o


上条「あれ?ぞうさん何ともない?」

ぞう「ああ、まったく」

ぞう「魔王の呪いでこんな姿になっちまったが、それには効かないみたいだな」

禁書「もう新しい種族として神様に認められちゃったんじゃないかな」

上条「なーんだ、そういうことなのか」

ぞう「ハハハ、まあこのままでも何の不自由もないからなあ、今更どうにかしようとは思わないさ」

と、話したところでぞうは何となく不自然な音をかすかに聞き取った

うっすらとその音が何であるかを認識したとたん、ぞうの体に緊張が走る

ぞう「!!!!!」

上条 禁書「「ぞうさん?」」

突如、ぞうは後ろを振り返り剣を構えた

ぞう「トウマ、インデックス、ここは俺に任せて先に行け!昼間のやつだ!!」

上条「わかった。走るぞ!インデックス!!」

禁書「うん!」

上条とインデックスが走り去ったのを確認するとぞうは剣を収めてまだ見えない魔術師に声をかける

ぞう「出てきてくれないか?カンザキカオリ」

声をかけられるのを待っていたのかゆっくりと神裂は姿を現す

神裂「さすがですね、ぞうさん」

ぞう「こういう耳をしてるんでね、ここら辺で刀なんて持って歩いてるとわかりやすいんだよ」

神裂「やはり、彼女を引き渡してはいただけませんか?」

ぞう「・・・・事情を話してくれないか?」

神裂「・・・・・・ぞうさんには関係の無いことです」

ぞう「そういうわけにもいかなくてな」

ぞう「インデックスは突然この町に来て行くあても無い俺に一緒に教会へ行こうと手を差し伸べてくれた」

ぞう「そんなインデックスが事情も知らずに連れ去られようとしているのを黙って見過ごすなんてことは」

ぞう「俺にはできない。だからどうしてもカオリがインデックスを連れて行こうとするのなら」

ぞう「俺は全力でカオリを叩きのめす」

神裂「・・・・・・・」

ぞう「カオリに特別な事情があるのはなんとなくわかる」

ぞう「だからそれを話してくれないか?」

神裂「・・・・・・」

神裂「わかりました。ぞうさんは完全記憶能力というのをご存知ですか?」

ぞう「いや、初耳だ」

神裂「このままだと彼女は、インデックスは死んでしまうんです」

ぞう「どういうことだ?」

神裂「インデックスは――――――」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:38:42.13 ID:941BS5Z9o
神裂「――――――と、いうわけなのです」

ぞう「記憶を消さないとインデックスが死ぬ・・・・・?」

神裂「そうです。そのリミットは7日後の深夜0時。それまでに私たちは彼女の記憶を消さなくてはなりません」

ぞう「ちょっと整理させてくれ、インデックスは10万3000冊の魔道書を記憶していることで」

ぞう「一年に一度魔道書以外の記憶を消さなきゃいけないんだよな?」

神裂「ええ」

ぞう「そして魔道書の記憶を消す方法は非常に困難・・・・そのためカオリはインデックスの記憶を消している」

神裂「そうです、ですから私たちは彼女のために敵であり続けるんです」

ぞう「インデックスの持つ知識がどれだけ危険なものかは俺にも大体わかる」

ぞう「そうだな、ちょっと落ち着いて考えてみようか。もし俺がインデックスに魔道書を記憶させる側の人間だとしたら」

ぞう「ひとつ間違えたら自分の身を滅ぼしかねないインデックスに自由に魔術を使わせることは絶対にさせない」

ぞう「だから俺ならまず有事以外はインデックスの魔翌力を封じ込めて魔術を使えないようにする」

ぞう「その上で有事の際は自分の手でインデックスをコントロールできるような手段を用意しておくだろうな」

神裂「つまり・・・・教会は私たちにも秘密にしていることがあるということですか?」

ぞう「あくまで無関係な俺が思いついた推測だがな。カオリには思い当たるようなことはないのか?」

神裂「・・・・・・」

ぞう「まあそういうこと抜きにしても記憶ってものに関しては俺もさっぱりだからこれは何も言えないんだが・・・・」

ぞう「あと7日しかないっていう割にはインデックスは元気じゃないか、とても死ぬようには見えん」

神裂「ですが、彼女は毎年その日が来ると苦しんでいるんですよ!?」

ぞう「タイムリミットはあと7日か・・・、カオリ、インデックスの記憶を消すのは少し待ってくれないか?」

ぞう「本当に完全記憶能力がインデックスの命を奪うものなのか調べてみたいんだ」

神裂「何をしようというのですか?」

17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:39:24.53 ID:941BS5Z9o
ぞう「この学園都市には最新の医療設備と無数の研究機関があるのは知っているな?」

神裂「ええ」

ぞう「幸い脳の研究をしている学者に知り合いがいてね、インデックスのことを聞いてみるつもりだ」

神裂「科学者にですか? ・・・・無駄だと思いますが」

ぞう「無駄かどうかはやってみなくちゃわからないだろ?」

ぞう「もしもやるだけやって解決策が見当たらなかったらその時はカオリに全てを託そうじゃないか」

ぞう「俺もインデックスが死ぬなんてのはごめんだからな」

神裂(ぞうさんを相手に力ずくというよりもそのほうがよさそうですね・・・・)

神裂「・・・・わかりました。それならば、期日までぞうさんに彼女を預けましょう」

ぞう「おいおい、学者のところへはカオリも一緒に来てもらうからな?」

神裂「わ、私もですか?!」

ぞう「インデックスが危ない目にあわないか近くで見ていたほうがカオリも安心だろ?」

ぞう「それに俺が嘘をついてインデックスを連れて逃げちまうかもしれないからな」

神裂「ですが私は・・・・私たちはインデックスの敵として彼女を襲ったんですよ!?」

ぞう「友達・・・なんだろ?」

神裂「・・・・はい」

ぞう「完全記憶能力がインデックスの命を奪うものではないとすればインデックスが苦しむのは」

ぞう「何かの病気か誰かが仕掛けた魔術しかない」

神裂「・・・・信じがたいことですが・・・・」

ぞう「まだ推測の段階だからこのことははっきりとさせる必要がある」

ぞう「そしてもしそれが魔術ならカオリに協力してもらわなきゃ俺には手も足も出ない」

ぞう「だから、カオリも俺に協力してくれないか?」

神裂「・・・・・・・」

神裂「わかりました、よろしくお願いします。ぞうさん」

ぞう「よかった、これで戦わずにすむな」

神裂「こちらとしてもぞうさんと剣を交えることにならずに正直ほっとしています」

神裂「そ、それとですね、ぞうさんの鼻を」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:40:05.59 ID:941BS5Z9o
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!

ぞう「!!!あっちの方角は!!!」

神裂との戦闘を回避できたと思ったのも束の間、学生寮のある方向から聞こえてきた爆音を認識すると同時に

ぞうは全力で学生寮へ向かって走り出した

神裂「ステイル!!」

ぞう「カオリの仲間か!?」

神裂「そうです、待機するように言っておいたはずなのに!」

ぞう「待ちきれなかったってことか!カオリと同じでさぞかし真っ直ぐで純情なんだろうなあ!!」

神裂「あの子も相当な覚悟を持ってインデックスの敵となっていましたから!!」

神裂(全力ではないとはいえ私のスピードについてこれるなんてやはり只者ではない・・・)

ぞう「見えた!! 燃えてるぞ!!!」



学生寮前

禁書「とうま!ねえとうま大丈夫!!??」

上条「ああ、いっててて、あの野郎!」

なぎ倒された自転車の上で仰向けに倒れていた上条は痛む体をゆっくりと起こした

幸いなことに骨に異常はないようだったが痛む体に魔術師への怒りがこみ上げてくる

ぞう「トウマ!インデックス!無事か!」

禁書「ぞうさん!!」

上条「いってえけど大した怪我じゃない。ってそちらの方は?」

神裂「わ、私は・・・」

禁書「昼間の魔術師!!!!」

神裂「っ・・・・」

ぞう「安心しろ、味方だ」

禁書「えっ?」

ぞう「カオリ、やつを止めるぞ!」

神裂「はい!!」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:40:40.24 ID:941BS5Z9o
ステイル「さて、さっさとあの男を排除して彼女を・・・・また恨まれるんだろうねえ・・・・・」

神裂「ステイル!!!」

ステイル「やあ神裂、邪魔者は片付けたから・・・・・ぞうだあああああ!!!」

ぞう「ぞうです」プラプラ

神裂(くっ、抱きしめたい・・・)

ステイル「何なんだそいつは!!!悪魔にでもとりつかれているのか!!!!」

神裂「その反応は間違いではありませんが・・・・」

ぞう「ただの迷子だ、子猫のほうがよかったか?」プラプラ

ステイル「愉快に鼻でご挨拶ってワケかい?ずいぶんとふざけたやつを連れてくるじゃないか神裂!」

神裂「ステイル、彼らは敵ではありません。私たちは彼らと協力してインデックスの記憶を消さずに」

神裂「彼女を救う方法を探します」

ステイル「何を馬鹿なことを言っているんだ、そんな魔術の素人にどうにかできると思っているのか!!!」

ぞう「脳の研究をしている学者のところへインデックスを連れて行く。根本から洗いなおすためにな」

ステイル「彼女をこのふざけた町の学者達に見せるというのか?体を切り刻んで、薬漬けにでもしようってのかい?」

ぞう「そんなことは学者や医者に見せてみなきゃわからん。それ以前に俺はインデックスの身に危険なことをさせるつもりはない」

ステイル「そんな馬鹿げたことが信じられるとでも思っているのかい?まったくおめでたいねえ!!!」

ステイル「イノケンティウス!!!!」

グオオオオオオオオオオオ!!!!!!

ステイルの呼びかけに答えて炎の巨人がぞうと神裂の前に立ち塞がる。呼び出された巨人は両手を広げ

大きな咆哮をあげて二人を威嚇する

神裂「ステイル!!」

ぞう「カオリ、下がっていてくれ。なに、頭に血が上っているだけのようだからヤツの頭を冷ましてやろう」

そう言うとぞうは赤いマントを羽織りイノケンティウスの正面に立つ

ステイル「やれ!イノケンティウス!」

ステイルの言葉で炎の巨人がぞうに襲い掛かると一瞬でぞうは炎に包み込まれた

神裂「ぞうさん!!!!」

ステイル「あーあ、あっけないね。まあ、そんな程度じゃ何回やっても勝てないよ?」

余裕たっぷりの笑みで新しいタバコに火をつけて勝利の余韻に浸るそのステイルの口から

火をつけたばかりのタバコが零れ落ちた
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:41:10.06 ID:941BS5Z9o
ぞう「なんだそれは?暖房にもならないな」

神裂「ぞうさんの身に着けたマントが炎と熱を遮断している!!!」

ぞう「炎のマント。アビスの四魔貴族の一人が持っていたものでな、近づくだけで魔の炎で焼かれる代物だ」

イノケンティウスの炎に反応したのかステイルの魔翌力に反応したのかマントは禍々しい炎を発していた

ステイル「そんな馬鹿な!!!!」

ぞう「さて、こっちからも攻撃させてもらうぞ? 霧氷剣!!」

ザシュッ!!!!

神裂「氷でできた・・・・巨大な剣!! なんていう魔翌力・・・・近づいただけ凍りつきそうな・・・・」

ぞうが取り出した氷の剣がイノケンティウスの両腕を切り落とし、切り落とされた腕が霧散していく

ステイル「イノケンティウスが再生しないだなんて!!」

ぞう「この氷の剣も特殊な品でな、地獄の炎の主ですら恐れる一品だ。この程度の炎が斬れないわけがないだろう」

それでも続けるか?とでも言いたげな表情でぞうは氷の剣を構えてステイルをじっと見つめる

ステイル(この距離・・・・魔術を使う前にあの剣で斬られるか・・・・・)

ステイル「・・・・わかった、僕の負けだ」

そういうとステイルは諦めた表情でイノケンティウスを退散させる

ぞう「これだけは信じてほしい、俺は本当にインデックスを救いたいだけなんだ」

神裂「ぞうさんは期日までに解決策が見つからない場合は私たちにインデックスを委ねると」

神裂「約束してくれました。だからぞうさんを信じましょう。ステイル」

ステイル「わかったよ。どうやら本当に敵意が無いみたいだね」

ステイル「それにどう考えてもあのままやってたら僕は一方的にやられてただろうしね」

ぞう「安心しろ、そんなつもりはない。むしろわからないことだらけだからステイルにも協力してもらわないと」

ぞう「俺たちは手詰まりになるかもしれないからな」

ステイル「わかった。少しの間かもしれないがよろしく、ぞうさん」

ぞう「ああ」

二人が互いに矛を収め協力を誓い合うことで事態は良い方向へと流れていくことになった

はずなのだが

上条「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

神裂「えっ?」

突如、三人の後方から上条が全力で走りこんで――――

バキイイイイイイイイイイ!!!! ドグシャアアアアアアアアアア!!!!!

今まさに築き始めた信頼を根幹からぶち[ピーーー]無慈悲で残酷な一撃がステイルの顔面に直撃した

ステイル「 」ピクピク

神裂「ステイルううううううううううううう!!!!!」

上条「まいったか魔術師!!!」

ぞう「あー・・・・・・・」

後に上条は言う ”ぞうさんが魔術師の炎で火ダルマになっているように見えたから魔術師をぶん殴った” と

確かにぞうと神裂がかけつける前にステイルの炎にさらされ学生寮から転げ落ちるという目にあった上条が

ステイルを一発ぶん殴ったところでそれはおあいこのような気もするのだが・・・・・

この後ぞうの術でステイルの傷を癒したものの、これ以降二人の間に大きな溝が生まれたのは言うまでもない
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:41:37.41 ID:941BS5Z9o
七月二十一日 午前 木山の研究室

翌日、ぞうとインデックスは神裂を伴って木山の研究室を訪れた

上条は学業の不足を補うために補習へ学校に行き、ステイルは昨日のこともあってか

一人でタバコを吸いながら ”神裂にまかせる” とだけ呟いたという

そんなこんなで研究室のドアを突然叩いた三人の来訪にも木山は嫌な顔ひとつせずに丁寧に話を伺った

神裂「・・・と、言うわけなのですが」

木山「なるほどね、完全記憶能力か、実際に見るのは初めてだよ」

神裂「お話したとおり、彼女の脳の容量はもう余裕がない状況だと思うのですが・・・」

木山「ふむ、率直に言おう、彼女が完全記憶能力を持つからといってそれだけ大量の本を読んだところで」

木山「彼女の生命が危機にさらされることは無い」

神裂「そんなまさか・・・」

木山「記憶というのは・・・そうだね、ひとつの図書館としようか」

木山「肉体の動作を記憶する本棚、読み書きしたことを記憶する本棚、感情を記憶する本棚」

木山「と、いった具合にまあ簡単にいうと記録する箇所が異なっているということだ」

木山「元々人間の記憶は何もかもを完全に覚えたとしても100年以上の記憶容量があるんだ」

木山「だから彼女のその年齢ですぐに死に至るということは絶対にありえない」

木山「彼女は出会ったばかりの私から見ても健康そのものだ」

木山「おそらく彼女が苦しむことがあるとすればそれは別の要因だろう」

神裂「・・・・・・」

木山「そうだな、仮に彼女が不愉快な思いをし続け、その思い出を記憶し続けたとしよう」

木山「でも記憶っていうのはあくまで ”思い出す” から思い出せるのであって」

木山「一度記憶したからといってその思い出が常に強制的に再生されつづけるわけじゃないんだ」

木山「だからそのことで彼女が死に至るほど苦しむのだとすればそれは・・・・」

神裂「ストレス・・・・ですか?」

木山「そういうことだ」

木山「とりあえず彼女が苦しむとすればその原因は記憶とは関係ないということがわかってもらえただろう」

木山「もし病院で検査をしておきたいというのなら ”冥土帰し” の異名をもつ医者を紹介するが・・・」

神裂「それでは・・・・・・・それでは私たちは今まで・・・・・何のために・・・・」

そこまで話をしたところで神裂の瞳から一筋の涙がこぼれおちた

禁書「かおり・・・・・・」

木山「・・・・少し落ち着いたほうがいいみたいだな、コーヒーでも飲もうか」

ぞう「手伝おう」

神裂の涙を見てそっと席を立った木山とぞう、木山には神裂の事情はそこまでわからないが

わからないからこそ神裂にかける言葉は見当たらない。ぞうにしてもそうだ

記憶を失っているとはいえ神裂の傍にいられるのは彼女の親友インデックスだけであろう
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:42:31.52 ID:941BS5Z9o
木山「さて、さっきの医者を紹介するという話だが・・・」

ぞう「頼んでもいいか?」

木山「それに関しては任せてほしい。とりあえず紹介状を書いておくからそれを持って明日にでも訪ねるといい」

木山「こちらから連絡をしておくから急患でもない限りスムーズに検査を受けられるはずだ」

ぞう「すまない、恩に着る」

木山「しかし、見れば見るほど不思議な姿をしているな君は」

ぞう「そうか?ただの迷子だぞ?」プラプラ

木山「ユニークさも持ち合わせているか、その鼻はずいぶん器用なようだな」

ぞう「両手がふさがっていても盾で相手の攻撃を防ぐことができるくらいさ」プラプラ

木山「ずいぶんと便利だな」

ぞう「だろ?」プラプラ

木山「嫌いな食べ物はあるのかい?」

ぞう「いや、肉でも魚でも何でも食べられる。草とか木の葉は食べられんがね。勿論試したことも無い」

木山「なるほどね」

ガチャ

神裂「お見苦しいところを見せてしまいましたね・・・・・」

ぞう「ここのコーヒーの淹れ方っていうのを教わっていたら時間がかかっちまってな」

ぞう「さ、淹れたてだからカオリも飲んでくれ」

神裂「・・・・・ありがとうございます」

ぞうからコーヒーを受け取ると神裂はそっと口をつける

苦味と酸味が口に広がるのだが今はその苦味がとても心地よく感じられた

木山「君にはコーヒーは苦いだろうからココアにしておこう。冷めないうちに飲みなさい」

禁書「ありがとうきやませんせい!」

木山「・・・・」

  (きやませんせい!)

木山「っ・・・・・」

ふと、インデックスの言葉に木山が軽くうつむき頭を抑えて首を振る

ぞう(頭痛か?)

神裂「あの、どこかお加減が?」

木山「いや、何でもない。それじゃあ私は紹介状を用意しておくからゆっくりしてなさい」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:43:11.37 ID:941BS5Z9o
七月二十一日 午後 路上

病院を後にした三人は近くの定食屋で遅めの昼食をとると神裂がステイルに木山の話を伝えに行ったため

ぞうとインデックスは昨日に続き学園都市を歩き回っていた

禁書「あ!ぞうさん、あれ食べたい!」

ぞう「あれはどんな食べ物なんだ?」

禁書「この熱い中でとっても涼しくなれる甘くてつめたーい、アイスクリームなんだよ!」

ぞう「そりゃよさそうだ。ひとつ買ってみるか」

この辺りで使える通貨を持ち合わせていないぞうだったが、神裂に不要な道具をいくらか見せると

驚愕しながらもかなりの額で買い取ってもらえたことで懐具合にかなりの余裕ができた

ぞうにとっては持っていてもしょうがない物がまだかなりあるのだが神裂が言うには

教会に見せたら年間の予算をつぎこんでても全部買い取りたがるでしょうね

とのことだった。物の価値というのは場所によって違うものだということはわかってはいたが

ここまでになるとはぞうも予想だにしなかった

禁書「んー、おいしー!!」

ぞう「なるほど、確かに甘くて冷たいな。昨日カザリが食べてたやつと同じようなもんか?」

禁書「あれはパフェって言って、アイスに果物をのせたりいろいろと組み合わせたものなんだよ」

ぞう「勉強になるな」

佐天「あ、ぞうさん、インデックスちゃんも」

禁書「るいこ!」

ぞう「よぉ、ルイコもアイス食べるか?冷たくてうまいぞ」

佐天「あ、いや、あたしはいいや・・・」

ぞう「・・・・・ミコトから昨日聞いたんだが、何か悩んでいるのか?」

佐天「・・・・・・」

禁書「るいこ、私は教会に所属するシスターさんなんだよ?迷える子羊の悩みを聞いてあげるのも私の役目なんだよ」

と、食べ終わったアイスを口のまわりにつけたまま胸の前で両手を合わせてお祈りをするかのように瞳を閉じると

目の錯覚かインデックスからやさしい光が放たれて佐天をかすかに照らしていた

佐天「インデックスちゃん・・・」

ぞう(見とれてる・・・・)

禁書「さ、私に話してみるといいんだよ!」

佐天「うん・・・・実は・・・・・」

佐天は思いつめたように悩みを打ち明けた。夢を持って学園都市へ来たものの能力に目覚める気配も感じられず

同じ年齢の女の子がすごい能力を持って日々活躍すること、自分だけ取り残されたかのようななんとも言えない

自身にまとわりつく暗い感情の全てを二人にゆっくりと話した
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:44:09.33 ID:941BS5Z9o
ぞう「・・・・・・」

禁書「るいこ、諦めちゃだめなんだよ、主はいつでも私たちを見守っていてくださるんだよ」

佐天「でも・・・・・、あたしどうすればいいのかわからない・・・・・」

禁書「うう・・・・」

ぞう「なあルイコ、少し体を動かしてみないか?」

佐天「え・・・・?」

禁書「何するの?」

ぞう「ちょっとした遊びさ、こっちでやろう」

言うとぞうは二人と共に近くの公園へ足を運ぶ。暑さのせいか周囲に人はおらず公園には三人だけだ

ぞうは弓と矢を取り出し、危なくないように矢から鏃を外すと離れたところに空き缶を立て

ぞう「よっと」

ヒュン! カコン!!

いともあっさりと地面に置いた缶に矢を命中させた

禁書「すごい!」

佐天「お見事!」

ぞう「さ、ルイコもやってみろ」

佐天「よーし、いっちょあたしの腕前を見せてあげますか」

ぞうから弓と矢を受け取った佐天は見よう見まねで構えようとするのだが

佐天「よっ、ぐぐっ」

佐天(あれ?意外と力がいる・・・・狙いが定まらない・・・・)

佐天「ええい、とりゃっ!」

ヒュン!

禁書「あらら・・・」

矢は空き缶から大きくはずれあさっての方向へと飛んでいってしまう

矢の弦を緩めておいたためそこまで勢いのつかなかった矢が地面にぽとりと落ちる

佐天「あっれー?結構難しい?」

佐天「ぞうさん、もう一回やらせて?」

ぞう「ああ、いいぞ」

やる気になった佐天にぞうはやさしく微笑みかけて矢を渡す。佐天はそれから10本くらい矢を放ったところで

ヒュン! カコン!

佐天「やっと当たったあ!! これ以外と難しいですね」

ぞう「見るのとやるのとでは大違いだろ?」

佐天「はい、弓も意外と重くてちょっと腕がぷるぷるして狙いが定まらないんですもん」

禁書「でも当てるなんてすごいんだよ」

佐天「いやー、まぐれまぐれ」

ぞう「さあてルイコ、ここで質問だ、最初に矢を放った時は何を考えていた?」

佐天「え?うーんと・・・・よーくねらわなきゃーって」

ぞう「それじゃあ矢が当たった時は何を考えていた?」

佐天「えーっと、もっと腕をこう・・・で、高さが・・・って」

ぞう「それじゃあそれをインデックスにきちんと伝えられるか?」

佐天「うーん」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:44:47.24 ID:941BS5Z9o

ぞう「おそらく伝えたところでインデックスが矢を当てられる可能性は低いだろう」

禁書「これを引くのはちょっとつらいかも」

佐天「インデックスちゃんの体格だとねえ・・・あたしもちょっとギリギリな感じだし」

ぞう「そういうことだ、人それぞれ体の大きさや手足の長さ、筋力なんかも違うんだ」

ぞう「ある程度のことは教わればできるだろう。だが俺の感覚で俺のイメージを伝えたところで」

ぞう「それを完璧に実行できる人間はいないと思う。俺じゃないんだから当然のことだ」

ぞう「矢をどの位置にどれだけの速度で射るか、それを実現するためには何をすればいいのか」

ぞう「漠然としてはいるけどだいたいこうすればいいんじゃないかっていうのはイメージできるよな?」

佐天「はい」

ぞう「矢を射ることよりも超能力を使うことは曖昧で漠然としているのだから」

ぞう「そのためにルイコが何をすればいいのかわからないというのも当然のことだ」

ぞう「だからこそルイコは今できることを、教わっていることをきちんとやっていくしかないんじゃないか?」

佐天「ぞうさん・・・」

ぞう「不安になる気持ちは当然のことだ。だけどルイコは諦める必要は無い」

ぞう「そもそも予め超能力を使えない人間っていうのがわかっているのだとしたら」

ぞう「ルイコは学園都市の学校に通うことすらできないんじゃないのか?」

佐天「!!」

ぞう「ここまで徹底して学生を管理している以上運営する側としてもメリットの無い人間を」

ぞう「自分の庭に入れるなんて真似はしないはずだ」

佐天「そうか、そうですよね」

ぞう「用はきっかけだと思うんだよな。だからルイコ、諦めないで取り組んでみたらどうだ?」

佐天「はい!」

禁書「すっかり元気になってよかったんだよ」

佐天「ありがとうございますぞうさん! あたし、がんばっちゃいますから!!」

佐天「超能力が使えるようになったら真っ先にぞうさんとインデックスちゃんに見せちゃいますからね!!」

ぞう「ああ、楽しみにしている」

それからしばらく三人は公園でおしゃべりをして楽しいひと時を過ごした

最初は落ち込んでいた佐天が明るくなったことでぞうとインデックスも胸をなでおろし

佐天も目標に向かって努力しようと心新たに誓ったのだった

佐天「今日は楽しかったな、ぞうさんの言うとおり、やってやるぞ〜〜!!」

佐天「ってわけで、レベルアッパー君さようなら〜」

夕方になり二人と別れた佐天は音楽プレイヤーからレベルアッパーを削除した

自分を一生懸命応援してる二人のためにもこんなものに頼ってはいられない

佐天涙子は自分の手で能力をつかむのだ
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:45:29.58 ID:941BS5Z9o
七月二十一日 夕方 上条宅 

今日の結果をふまえた話し合いをするためにステイルを除く四人は上条の部屋に集まっていた

やはり昨日の今日なのでステイルは上条と顔を合わせるつもりが無く、神裂はステイルの不在を謝罪したが

しょうがないことなのでぞうは上条に木山から聞いたことをそのまま伝えた

ぞう「 ―――――と、言うわけだ」

上条「それじゃあ」

神裂「ええ、完全記憶能力は彼女の死因になることはありえません」

上条「お前らが教会にだまされてたってことかよ・・・」

神裂「・・・・・」

ぞう「ま、そう言うな。魔道書ってのは危険なものなんだろ?」

禁書「うん、知識そのものを知ることすら危険なものもあるんだよ」

ぞう「事情はわからんが記憶を消すってのは何か必要な処置だったんじゃないのか?」

神裂「・・・・・」

上条「そんなふざけたことが許せるかよ!!」

ぞう「そうだ、許せない。だから俺たちはそんな事情なんて知らずにインデックスを救ってしまうんだ」

上条「ああ、そんなふざけた幻想は俺がこの手でぶち殺してやるぜ!!」

ぞう「と、言ってもまだ病院のほうで検査が残ってるからな」

神裂「ええ、完全記憶能力が原因ではないというだけで原因を特定できたわけではありませんから・・・」

上条「でも魔術だとしたら俺の右手でインデックスの体に触っちまえば破壊できるんじゃねーのか?」

神裂「確かにあなたの右手なら可能性はありますが、彼女の体のどこかに魔術が仕掛けられているとすれば」

神裂「体の表面のどこかに魔術の紋章が浮かび上がっているはずです」

上条「ん?昨日見たけどインデックスの体にそんなもんあったかな?」

禁書「とうま!!!」

ぞう「・・・・・見たのか?」

神裂「・・・・・・・・・」

上条の一言で一気にインデックスと神裂が殺気立つ、神裂がしっかりと刀を握っている。気持ちはわかるが

さすがに今上条に戦線離脱されるわけにはいかない、いざとなったら止めるべきだろう

上条「いや待て!あれは事故だって!!それに俺はこいつの裸みたところで」 禁書「!!!!」カチン

ガブッ

禁書「むぎいいいいいいいいいんぎぎぎぎぎいいいいいいい!!!!!」ガジガジ

上条「いっでえええええええ!!!!!」

神裂「彼も明日一緒に病院に行ったほうがいいようですね。・・・・彼だけは入院してもらいますが」

ぞう「こらこら、刀を振りかざすな」

神裂「一日くらいならいいのではないですか?」

ぞう「気持ちはわかるがここはインデックスにまかせよう」

上条「いででででで!!!助けてくれぞうさん!!」

ぞう「こればっかりはインデックスの気がすむまでの我慢だ」

神裂「自業自得です」

神裂(ステイルには黙っておきますか・・・)

上条「ちくしょう!!不幸だああああああ!!!!」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:47:21.72 ID:941BS5Z9o
七月二十二日 午後 病院

ぞう「やれやれ、後は結果を待つだけか・・・・」

神裂「すみませんぞうさん、取り乱してしまいまして・・・・」

禁書「うー、怖かったんだよ、棺桶みたいなのに入れられた時はもうダメかと思ったかも・・・」

ぞう(俺も何がどういう役割をしているのかさっぱりだったが、ここまで取り乱さなきゃならんもんか?)

ぞうは軽くため息をついていた。木山の紹介で訪れた病院では手続きに時間をかけることなくスムーズに

医師へ案内されたまではよかったのだが、いざ検査が始まると機械がすごく苦手なインデックスと神裂は

あたふたしながら医師に噛み付きそうになったり看護師につかみかかりそうになったりと

ぞうは二人をなだめつつとりおさえつつ、途中で二人を術で眠らせたほうがよいのではないかと思いながら

悪戦苦闘を経て現在は検査結果を待つために椅子に座っている

ぞう「ま、よく我慢したなインデックス、後でアイス買ってやるから一緒に食べよう」

禁書「じゃあイチゴとチョコチップがいいんだよ!!」

ぞう「ああいいぞ、それじゃあカオリはバニラとレモンでいいか?」

神裂「えっ?わ、私もですか?」

ぞう「一緒に食べたほうがうまいし楽しいだろ?」

神裂「・・・・そうですね。ではお言葉に甘えて」

インデックスを前に神裂はやわらかく笑った。かつての彼女もインデックスとこうして笑っていたのだろう

そんな彼女が敵としてインデックスの記憶を奪わなければならない・・・・・・そんなことはもうさせたくない
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:47:52.14 ID:941BS5Z9o
ガチャ

冥土「検査の結果が出たよ。入っておいで」

神裂「さ、インデックス」

禁書「うん」

冥土「検査の結果、彼女にはどこも悪いところは見当たらないね」

ぞう「やはりか・・・」

冥土「木山君の話だと昏睡して痛みに苦しむことがあるらしいね?」

神裂「ええ」

冥土「だがそれの原因になるようなものは何も見当たらない。何かの発作だということも考えにくいね」

冥土「だからもし何か症状が出るようなことがあればその時は僕のところに来るといい」

冥土「で、健康には影響が無いようなんだが、ひとつ気になるものがみつかってね?」

冥土帰しは一枚の写真を取り出して三人に見せた

禁書「この紋章は・・・・・」

神裂「間違いありません・・・・・」

冥土「彼女の口腔内の写真だね、ここに写っているものが何なのか個人的に気になるよね?」

ぞう「見てのとおりインデックスはこの国の出身じゃなくてね、彼女の出身地だとアザのことを紋章って言うんだよ」

冥土「なるほどね、でも僕は君の出身地のほうが気になるよね?」

ぞう「俺はこの町で生まれ育ったんだ、今度馴染みの店に招待しようか?」プラプラ

冥土「それは楽しみだね、是非お願いしたいよ」

ぞう「ああ、うまい酒をご馳走しよう」

冥土「機会があれば君の体を検査してみたいものだね」

ぞう「俺が記憶喪失にでもなった時にはお願いさせてもらうさ」

冥土「一応僕は医者だから君がそんなに危険なことにならないようにしてほしいものなんだけどね」

ぞう「そのつもりだ」

冥土「さて、今日はこれで終わりだからもう帰りなさい。次は病院の外で会えることを期待してるよ」

神裂「どうも、お騒がせしました」

禁書「ありがとうなんだよ」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:48:31.01 ID:941BS5Z9o
七月二十二日 夕方 上条宅

補習を終えて帰ってきた上条と神裂から連絡を受けたステイルもそろって上条の部屋で対策会議が行われた

インデックスを苦しめていたものが魔術であることが判明したことでステイルと神裂は複雑な心境であったが

上条の右手でインデックスに仕掛けられた魔術を破壊することには何も反論しなかった

神裂「問題はいつ、どこで実行するかですが」

ぞう「個人的には今日にでもやってしまいたい。ギリギリで試してダメでしたってのは嫌だからな」

上条「俺もぞうさんに賛成だ」

ステイル「だけど教会がやることなら何かしらの妨害はあるだろうね」

ぞう「魔道書を守るためにか?」

神裂「ええ、敵がインデックスを狙ったとして、彼女本来の戦闘能力では歩く教会を剥ぎ取られてしまえば」

神裂「攻撃を防ぐ手段すらありませんから教会がそれを予想しないなんて考えられません」

ぞう「と、なると人目につかない割と広い場所が最適ということか」

ステイル「人が近づこうと思わなくなる人払いのルーンがあるから人目につかないってのはクリアできるね」

上条「あ、それならちょっと離れてるけど河川敷がいいかもしれないな。かなり広いし周りに何もないから」

上条「何かあっても被害が出るなんてことにはならないと思う」

ぞう「よし、そこにしよう。二人とも今から何か準備するものはあるか?」

神裂「いえ」

ステイル「特にこれといって無いよ。こっちはいつでもやれる準備はできているさ」

ぞう「なら」

上条「今夜だな!」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:49:25.28 ID:941BS5Z9o
七月二十二日 夜 河川敷

上条の部屋を出発した五人は外で夕食を済ませ目的地の河川敷へと到着した

人払いのルーンを施すことで周囲からは人気が完全に消え、五人は各々覚悟を決めて顔を見合わせた

禁書「いよいよ・・・なんだね・・・・」

上条「ああ、これから俺の右手でインデックスにかけられている魔術を解除する」

神裂「何が起こるかわかりません、私たちはある程度離れておきましょう」

上条「それって俺だけ危険ってことか?」

ステイル「その右手があるんだ。自分の身を守っていればあとはこっちでなんとかするさ」

ぞう「ま、こればっかりは何も起こらないことを祈るばかりだ」

上条とインデックスから距離を取る三人を見ながらインデックスの前に残された上条

いけにえにささげられた人間っていうのはこんな感じなのだろうかとふと頭をよぎる

上条「はあ、もうこうなりゃやけだ。何でも出て来いってんだ」

上条「インデックス、まだであったばかりでなんて言っていいのかわかんねーけど」

禁書「うん」

上条「これから、ずっと忘れずに、俺たちやあいつらと一緒に思い出を作っていこうぜ」

禁書「うん!」

上条「これがおわったらみんなでまた楽しいことがいっぱいっぱい待っているんだ」

上条「記憶を無くすなんていうこれまで味わってきたお前の地獄っていうやつは」

上条が強く右手を握り締めてインデックスの顔のまえにつきつける

上条「俺がこの右手でぶち殺してやる」

開かれた上条の右手を見てインデックスは大きく口をあける。病院でもらった写真で位置を確かめていた上条は

インデックスが苦しくないように慎重に確実に紋章へと手を伸ばした。彼女をこれまで苦しめ、神裂とステイルに

重い十字架を背負わせたその紋章に

禁書「っ!!」

上条の指が触れた
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:50:23.82 ID:941BS5Z9o
禁書「!!!!」

上条「うわっ!!!!」

その瞬間、上条とインデックスは激しい衝撃を受けてお互いに反対方向へ吹っ飛んだ

ぞう「トウマ!!」

上条「くうっ・・・・」

ぞうは自身の方へ飛んできた上条をうまくキャッチするとインデックスのほうへと目をやる

禁書「  」

ふわり、と、インデックスの体が宙に浮いた

神裂「出てきましたね、さてこれから何が起こるか・・・・」

ステイル「やれやれ、そううまくいくものでもないか・・・」

上条「くそっ!インデックスはどうなっちまったんだ?」

インデックスの紋章を破壊した際に負傷した上条の右手からはわずかではあるが血が滴り落ちていた

ぞう「これからインデックスに仕掛けられた魔術がなんらかの抵抗を見せるだろう。トウマにはもう一度」

ぞう「その魔術を右手で破壊してもらわなきゃならん。いけるか?」

上条「このくらいはかすり傷だ」

血が流れ落ちる右手に目をやりながら右手を軽く握る。痛みが走りはするものの指が全く動かせないということがないので

どうやら傷がそこまで深くないものであることを上条は確認した

神裂「インデックスが起き上がってきます・・・」

ステイル「目が・・・光ってる・・・・」

仰向けに倒れた上体から関節をひとつも曲げることなくまるでだれかが体を持ち上げたかのように

インデックスは体を起こし四人を見据えた。その瞳はうっすらと光を放ち、インデックスが正気でないことだけが

四人には見てとれた

 『警告。第三章第二節。禁書目録の ”首輪” 第一から第三までの全結界の貫通を確認。再生準備・・・・失敗』

 『”首輪” の自己再生は不可能、現状、十万三千冊の ”書庫” の保護のため為、侵入者の迎撃を優先します』

ぞう「迎撃か、こっちを攻撃するつもりらしいぞ、どうする?」

神裂「Salvere000(救われぬ者に救いの手を)!」

ステイル「Fortis939(我が名が最強である理由をここに証明する)!」

上条「魔法名・・・」

ぞう「聞くまでもないってことか」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:51:45.78 ID:941BS5Z9o
 『自動再生は不可能。現状十万三千冊の書庫の保護の為、侵入者の迎撃を優先します。』

ステイル「・・・・自動書記!?十万三千冊が相手か・・・・最悪の状況だね・・・・」

上条「どういう状況なんだ?」

神裂「ステイルの言う言葉のままの意味です。彼女が記憶している魔道書の知識すべてが私たちに襲い掛かります」

神裂「インデックスに魔術が使えないというのも・・・やはりこういう時のためですか・・・・」

ぞう「考えるのは後だ。今はトウマがインデックスに近づいて自動書記を破壊できるようにするだけだ」

 『”書庫” 内の十万三千冊により、結界を貫通した魔術の術式を逆算・・・・失敗。該当する魔術は発見できず』

 『術式の構成を暴き、対侵入者用のローカルウェポンを組み上げます』

ステイル「と、言ってそう簡単に近づくことができる相手じゃないんだけどね・・・」

ぞう「ああ、まずは相手がどうでるか見極めてからだ」

 『侵入者個人に対して、最も有効な魔術の組み合わせに成功しました』

神裂「来ます!」

 『これより特定魔術、”聖ジョージの聖域” を発動。侵入者を破壊します』

上条「くっ!!」

インデックスの体から空中にいくつもの魔方陣が浮かび上がり、術式が発動される。素人が見ても危険だとわかる

巨大な光の柱が四人に向けて射出された。それを見た上条は大きく前に飛び出し右手で柱が三人に届かないように

とめどなくインデックスから放たれる光の柱を相殺しつづける

上条「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

ステイル「 ”竜王の殺息” よくもまあこれを防げるもんだ、無茶苦茶だなその右手は」

上条「感心してねえで早くなんとかしやがれっ!!!」

 『”聖ジョージの聖域” は、侵入者に対して効果が見られません。他の術式に切り替え』

 『引き続き ”首輪” 保護のため侵入者の破壊を継続します』

ぞう「まずはあの光の柱を何とかしなきゃならんな・・・・・よし」

ぞう「カオリ、俺が術でインデックスを拘束する。その後なんとかしてインデックスの体勢を崩してくれ」

神裂「あの状態の彼女を拘束するですって!!どうやるんですか!?」

ぞう「こうやるのさ!! ソードバインド!!」

ぞうが術を発動するとぞうの足元からインデックスに向かってまっすぐに地面がめくれ上がった

ものすごいスピードで地面の中を何かが動いているのが見てとれる

ボコォッ!!!

ステイル「巨大な棘!?」

インデックスの足元から突如生えた太い棘はインデックスの体に巻きつき完全に彼女の動きを抑え込んだ

ぞう「今だカオリ!!」

神裂「こういうことなら!! 七閃!!!」

神裂の放ったワイヤーがぞうが出現させた棘にからみつきその根元から切断させる

太い棘でがんじがらめにされていたインデックスは支えを失い棘の重さもあわせてそのまま仰向けに倒れこむ

上条「よし!これで!!」

上条に向けられていた光の柱はインデックスが仰向けに倒れたことにより空へ向けて放出されつづけていた

光の柱から開放された上条はインデックスの自動書記を解除しようと駆け出した
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:52:18.97 ID:941BS5Z9o
だが

ボンッ!!!

神裂「棘を弾き飛ばした!!」

ぞう「まずい!起き上がってくるぞ!!」

ステイル「イノケンティウスッ!!!」

再び、上条へ光の柱が襲い掛からんとしたその時ステイルが呼び出したイノケンティウスが

上条の前に立ちふさがり光の柱を受け止め続ける

上条「ステイル!?」

ステイル「いいから早くしろ!!」

ぞう「ん?何だ・・・・羽?」

いつの間にか竜王の殺息により破壊された棘がきらきらと光る羽のような形を作りふわりと舞い上がっていた

舞い上がった羽はひらひらと舞い降り、インデックスの周辺に舞い落ちるのも時間の問題だ

神裂「これは!!伝説にある聖ジョージのドラゴンの一撃と同義です!!それにたった一枚でも触れてしまえば大変な事に!!」

ぞう「なら吹き飛ばすまでだ!! ウインダート!!」

ぞうが叫ぶとぞうの体からぞうの等身大の風の塊がいくつもインデックスの周囲をものすごい速度で飛び回り

宙を舞っていた羽をすべて吹き飛ばしていった

 『警告。第六章第十三節。新たな敵兵を確認。戦闘思考を変更。戦場の検索を開始・・・・完了』

 『現状最も難易度の高い敵兵、”上条当麻” の破壊を最優先します』

ステイル「やつがお前に狙いを定めたぞ!!!」

ぞう「トウマ!!!お膳立ては済んだ!!」

神裂「早くインデックスを!!」

上条「おう!!」

 『警告。第二十二章第一節。炎の魔術の術式の逆算に成功。曲解した十字教のモチーフを、』

 『ルーンにより記述したものと判明。対十字教用の術式を組み込み中・・・・』

 『聖ジョージの聖域を第二段階へと移行。”わが神、わが神。どうして私をお見捨てになったのですか?”』

神裂「イノケンティウスを破壊する術式を組み立てますか・・・」

ぞう「だがトウマのほうが早い!!!」

ステイル「行け、能力者!!」

上条「インデックスを苦しめるそのふざけた幻想を!!!」

崩れかけるイノケンティウスを背に一気にインデックスへ飛び掛る上条の右手が

上条「ぶち[ピーーー]!!!」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:53:41.73 ID:941BS5Z9o
まるで、子供をやさしくなだめるかのようにやさしく、インデックスの頭部に触れた

 『・・・・警・・・・こく・・・・最・・・・終章・・・・第・・・・ゼロ・・・・』

その瞬間、インデックスの周囲に浮かんでいた魔方陣が消え去り、上条を苦しめた光の柱も消失した

 『”首輪” ・・・・・致命的な・・・・・ハカイ・・・・再生・・・・・不・・・可・・・・』

目から光を失い、今までインデックスを支えていたものが破壊されたことでインデックスは糸の切れた

操り人形のようにその場に力なく崩れ落ちた

上条「やった・・・・・のか・・・・・?」

ぞう「安心するのはちょっと早いな、ステイル、カオリ、インデックスは大丈夫そうか?」

神裂「私が確認しましょう。上条当麻、少し下がってください」

急いで神裂がインデックスの元へかけよりそっとインデックスの体を起こして異常がないか調べる

上条「ああ、気をつけてくれよ?」

ステイル「まあ僕が見たところもう大丈夫のようだしそんなに心配しなくてもいいと思うよ?」

ぞう「そうは言ってもな、あれだけのことがあったばかりだ。慎重にならざるをえんだろう」

ステイル「まあ気持ちはわかるけどね」

ぞう「トウマ、右手怪我してるだろ?これを塗っておいたほうがいい」

ぞうは傷薬を取り出すと上条に手渡した

上条「これ、怪我に効くのか?」

ぞう「ああ、そのくらいの傷ならすぐによくなるぞ」

見たこともない薬品に少し戸惑う上条だったが薬の蓋を開けて右手にまんべんなく塗りつける

上条「なんか傷に優しくしみこむ感じがする・・・・」

ぞう「だろ?」

ステイル「カンザキ、そっちはどうだい?」

神裂「ええ、魔術の気配は完全に消えました。これでインデックスはもう大丈夫です」

ぞう「と、言ってもこのままにはしておけないだろう。念のために病院に運んだほうがいい」

神裂「そうですね、魔道書から知識を取り出して魔術を行使したわけですから、大事をとったほうがいいでしょう」

ステイル「個人的にはあまり賛成したくないんだけどね」

ぞう「安心しろ、信頼のおける医者だ」

上条「それじゃあ救急車呼んだほうがいいのか?」

神裂「あまり大事にはしないほうがいいでしょう。私が運びます」

上条「俺も心配だから一緒に行くぞ」

ぞう「全員で、だな」

ステイル「まあそうなるよね」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:54:11.05 ID:941BS5Z9o
〜病院へ移動中〜

神裂「上条当麻、ぞうさん、この度は本当にありがとうございました」

上条「いや、別にいいって」

ぞう「ただのおせっかいだ。むしろうまくいったことが驚きだ」

ステイル「まあ考えてもしょうがないしね、結果よければ・・・・ってとこかな」

すっかり夜も更けて人気のない路上を四人は病院へ向かって歩いていた。当のインデックスが神裂の背中で

暢気に寝息をたてているので特に慌てることなく歩を進める。誰も悲しむことのない明るい未来を四人は勝ち取ったのだ

ぞう「ん?」

ふと、ぞうは道路の反対側を歩いている人物が目に留まった

肩にかかるくらいの茶色い髪にこの時間帯に特に目立つ ”常盤台の制服” その格好に不似合いな

大きなメガネのようなものを頭につけて何か大きな荷物を肩にかついでいる

ぞう「あっ・・・・」

その顔をきちんと確認しようとする前にその人物は角を曲がりこちらの死角へと消えていった

上条「どうしたんだぞうさん?」

ぞう「いや、なんでもない」

ぞう(あれは・・・・ミコト・・・?こんなところで何をしてるっていうんだ?)

つづく?
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/13(金) 21:55:00.42 ID:941BS5Z9o
とりあえず思いついたのでやってみました需要があるならやれるところまでやろうかなと思います、今日はこのへんで
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/13(金) 22:08:17.37 ID:3CgONj30o
俺得ロマサガスレ発見
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/07/13(金) 22:42:36.79 ID:sk4PoylIO
ねぇちんがカワユスwww
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/07/14(土) 02:47:50.95 ID:bxMKgGqAO
かっこいいぞう
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/07/14(土) 15:44:41.70 ID:Xfqmo98Ro
age
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 10:44:52.16 ID:b7cKB/lNo
七月二十三日 午後


インデックスを病院へ運んですぐ、ステイルと神裂が教会へことの瑣末を報告すると

翌日、とくに説明も弁明も無くインデックスを上条に預けるということが二人に伝達された

なんとも腑に落ちないことではあるのだがこれまでのことを平然とやってきた辺り何を言っても聞く耳を持たないだろう

こうして正式?に上条の居候となったインデックスを前に上条はいつもどおり ”不幸だ・・・・” と呟いた

そしてぞうはというと

ぞう「おれが必要悪の教会の一員に?」

ステイル「ぞうさんの戦闘力は桁ちがいだからね、神裂と違って聖人ゆえの弱点というものもないし」

ステイル「そもそもぞうさんは教会に保護してもらうつもりだったんだからちょうどいいんじゃないかな?」

神裂「もちろん、正式なメンバーというわけではありませんから」

神裂「何から何まで教会の命令に従わなくてならないということではありません」

神裂「ぞうさんに譲っていただいた数々の品々に対するささやかなお礼も含まれています」

ぞう「ま、このままあてもなくってよりはいいかもしれないな」

ステイル「一応この町にも形だけではあるけどイギリス正教の管理する教会があってね」

ステイル「そこに赴任する修道士用の小さい家が空いているからそこに住むといいよ」

ステイル「上条の寮からも近いから何かと連絡がとりやすいだろうしね」

ぞう「なるほど、インデックスを魔術から守るためにトウマが、戦闘から守るために俺が選ばれたってことか」

ステイル「ま、不本意ながら利用させてもらう形にはなるけどね。だけどそのかわりきちんとサポートはさせてもらうよ」

ぞう「なに、どうってことはない。戦うことと体力が俺のとりえだからな。世話になる分遠慮なく利用してくれ」

神裂「なるべくはそうならないようにしたいところなのですがぞうさんに頼らなければならない場合もありえます」

神裂「その時はどうか、インデックスのことをお願いします」

ぞう「任せてくれ」

ぞう「これからどんなことが待っているかはわからんがたまには体を動かしとかないとなまっちまうからな」

ステイル「頼もしいよ」

神裂「それと、連絡用の携帯を用意しておきました。こちらは自由に使っていただいてかまいません」

ぞう「これで離れたところでも連絡を取り合えるわけか。なんとも便利なものだな」

ステイル「学園都市のゲストIDも発行しておいたからある程度の施設も利用できるようになるよ」

ステイル「まあこの町は研究機関と教育機関だらけだからこの町の住人でも行けるところは限られているんだけどね」

ぞう「なるほどな。まあできる範囲内でこの町での生活を楽しませてもらうさ」

ぞう「そういえばさっきトウマがソバを作りに来るって言っていたが、ソバって何だ?」

神裂「この国の麺料理のひとつですよ。私も大好きです」

神裂「季節も夏ですし茹でた麺を水で冷やし冷たいつゆにつけて食べるんです。おいしいですよ」

ぞう「この暑さで冷たいものはありがたいな。楽しみだ」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 10:47:09.75 ID:b7cKB/lNo
七月二十四日 午後

新しい住居での生活環境を整えるのに一日を費やした後、ぞうは完全記憶能力について教えてもらった木山のところへ

お礼をするために向かっていた。どこか上の空で眠そうな木山が甘いものを食べるかどうかは疑問だが

ぞうは菓子を片手にのんびりと歩を進める。上条は今日も補習で学校へ行っており、インデックスは

体に仕掛けられた魔術を解除したことで体調に影響があるかもしれないためぞう一人で訪ねることにした

佐天「あー!ぞうさーん!」

ぞう「お、ルイコじゃないか」

佐天「どこに行くんですかー?」

ぞう「ハルミのところだ」

佐天「あー、ファミレスで出会ったあの脱ぎ女学者さんですね」

ぞう「こらこら」

佐天「えへへ、それお菓子ですか?」

ぞう「ああ、ルイコと公園で弓を射ただろ?あれの少し前にハルミに相談に乗ってもらってな、そのお礼だ」

佐天「へー、ちょっと変わってる先生だったけど学者さんってやっぱみんなああなのかな」

ぞう「いや、人によるぞ。知り合いにも研究に没頭している人間は何人かいたが」

ぞう「きちんと弟子の面倒をみて立派に育てる人間がいるくらいだ。一概には言えないだろう」

ぞう「まあ中には歌って踊る人間もいたがな」

佐天「そうなんですか、ぞうさん顔が広いんですね」

ぞう「まあね」プラプラ

ぞう「それでルイコはこんなところでどうしたんだ?」

佐天「こんなにいい天気だからちょっと外出ようかなって。せっかくだからぞうさんについていっていいですか?」

ぞう「構わないぞ」

佐天「それじゃ、お供しま〜す」


43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 10:47:46.79 ID:b7cKB/lNo
佐天「それにしても暑いですね〜」

ぞう「そうだな、こう暑いとゆであがっちまいそうだな」

佐天「初春も白井さんも風紀委員で忙しいって言ってたけどこの暑さじゃ大変そうですよね〜」

ぞう「と、うわさをすればあれはカザリとハルミじゃないか?」

佐天と話をしているうちに目的地へと到着したぞうと佐天の目に、青い車の前で木山と一緒にいる初春が映った

佐天「お〜い!初春〜!!」

初春「佐天さん!!」

木山「ん?」

佐天「初春に手錠? どうして!?」

木山「おや、君たちか」

ぞう「ただ事じゃなさそうだな?」

木山「・・・・・・心配しなくていい、彼女には少し付き合ってもらうだけだ」

佐天「え?何、初春が何かやらかしたってこと?」

初春「もう!違いますよ佐天さん!!わたしが木山先生の人質になってるんです!!」

佐天「人質!!??」

ぞう「もう少し穏やかにしてもらえるとこちらとしてもありがたいんだがね」

木山「そうしたいところだがこちらにも事情というものがある」

ぞう「カザリをどこへ連れて行くつもりだ?」

木山「ちょっとドライブに行くくらいのものだ。心配しなくても彼女を傷つけるつもりはない」

ぞう「と、言われても事情もわからないまま目の前で誘拐なんぞさせられる性分じゃなくてね」

木山「一から説明している時間は無い。悪いがこのまま続行させてもらう」

初春「きゃっ!」

言うと木山は初春を助手席に放り込みドアを閉めるとすばやく運転席に乗り込んでエンジンをかける

ぞう「なら勝手についていくだけだ!! ルイコ!これ預かっててくれ!!」

佐天「わっと! ぞうさん!!」

木山が初春を放り込んだのを見るとぞうはお礼に買ったお菓子を佐天に放り投げて車に向かって全力で駆け出し

ガシッ

木山「車の上に!?無茶をする・・・怪我をしてもうらまないでくれよ?」

木山の車の上部へ飛び乗りそのまましがみついた

ぞう「ルイコはクロコに連絡してくれ!!!」

佐天「はい!!」

ぞう「お手柔らかに頼みたいところだがね・・・」

木山の車は猛スピードで発進し、佐天の目の前からどんどんと離れていく、あっけにとられたのもつかの間

友人のピンチを救うべくすぐに携帯電話に手をのばした

佐天「あ!白井さん!初春とぞうさんが木山先生の車で!!! ええ!」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 10:48:39.94 ID:b7cKB/lNo
高速道路移動中

木山の車の上にしがみついているぞうのことはお構いなしに木山は高速道路を滑走する

車の中に声が届くのならばもう少し気遣ってくれと言いたいものなのだが

ぞう「車の上に乗るなんてのはあの教授のマシンをぶっ壊して以来だな・・・・」

似たような経験のあるぞうにとっては耐えられないほどのものではなかった

キキキキイイイィィィィーーーーー!!!!

ぞう「ぐおっ!!」

突如木山の車が急ブレーキをかけたことでぞうは空中に投げ出されそうになるのを力いっぱいしがみついて

なんとかこらえることに成功する

ぞう「目的地・・・ってわけじゃなさそうだな。ありゃ警備員か?」

女警備員「木山春生だな!!レベルアッパー発布の被疑者として拘束する!!」

木山の車の前には警備ロボットと警備員が行く手を阻むように立ちふさがっている

木山は警備員の指示に従うのか車から降り両手を挙げてゆっくりと警備員に歩み寄った

ぞう(素直に指示に従うか・・・・カザリが無事ならそれで良し、こりゃしがみついただけ無駄骨かな・・・)

多少がっかりとしながら車の後ろで木山と警備員の様子を伺いながら初春に近づく機会をうかがっていると


目の前で信じられないことが起こった

  「何をする!!!」

 「違う!俺の意思じゃない!!」

    「馬鹿な!能力者だと!!!」

「うあああああああ!!!!!」

 「撃てええええ!!!」

   「車が!!!」

「なんてことだくそったれが!!!」


これは木山が起こしているのだろうか?警備員の一人が突如味方に向けて発砲したのを皮切りに

車が持ち上がり警備ロボットを押しつぶし、何もないところから爆発を起こし警備員が吹っ飛ぶ

木山を拘束するために万全な体制で臨んだはずの警備員は五分も経たずに沈黙することとなった
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 10:49:46.76 ID:b7cKB/lNo
ぞう「これが超能力か・・・・戦うことになればけっこう骨が折れそうな相手だな・・・・」

隠れていた車の後ろから立ち上がり初春の様子を確認する

初春「  」クテッ

怪我をした様子は無いのでどうやら気絶しているだけのようだ

ぞう「カザリは無事か・・・・さてどうしたもんかね・・・・」

ぞう(ハルミを信じてやりたいようにさせるかカザリを連れてここを離れるかハルミを抑えるか・・・)

美琴「ぞうさん!!初春さん!!!」

ぞう「ミコト!!」

美琴「初春さんは!?」

ぞう「気絶しているだけだ」

木山「御坂美琴・・・・学園都市に七人しかいないレベル5。さすがの君も私のような相手と戦ったことはあるまい」

木山「君に、一万の脳を統べる私を止められるかな?」

美琴「止められるかな?ですって・・・」

ぞう「ミコト」

一気に頭に血が上りそうになる御坂の前に立ちぞうは木山に相対する

目の前の研究者がこの惨状を引き起こしたことを理解したうえでぞうはゆっくりと口を開く

ぞう「ここまでしてハルミがやり遂げたいということが何なのかは俺にはわからない」

ぞう「それだけの信念を持ってやるってことはよほど重要なことなんだろうな?」

木山「ああ、しかし君は益々不思議な御仁だね、あれだけのスピードの車にずっとしがみついていられるなんてね」

ぞう「一回やったことがあるくらいだ。もっともその時は車の上で戦闘をしたから今回はもっと楽だったがな」プラプラ

木山「無茶苦茶だな・・・だがそれでも私を止めることはできやしないさ」

美琴「ふざけんじゃないわよ!!」

怒りに震えた御坂がぞうの横に立って声を荒げる、その体からビリビリと電気を空中に発している

彼女の感情に連動しているのかその勢いは徐々に強くなっていく
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 10:50:21.40 ID:b7cKB/lNo
ぞう「ミコト?」

美琴「ぞうさん!こいつは学園都市の学生たちの願望に漬け込んでレベルアッパーなんていうものをばら撒いたのよ!」

美琴「レベルアッパーを使えば確かに能力は向上する!でもその副作用で一万人も意識不明のこん睡状態になるなんて」

美琴「どんな事情があるのかはわからないけどあんたの計画のために苦しむ人がいていいわけないじゃない!!」

美琴「そんなふざけたことやってのけたあんたは絶対に許さない!!!」

御坂の言葉を受けて木山の目はますます険しいものとなり、それと同時に木山の周囲に風の渦が沸き起こった

木山「ずいぶん嫌われたものだな」

徐々に強くなりつつなる風の勢いを目にしたぞうは覚悟を決めて体術の構えをとる

ぞう「話あうことは無理のようだな・・・・」

木山「言っただろう?時間が無いと」

木山「さて、私の能力は理論上不可能とされるデュアルスキルとは方式が違う。いわばマルチスキルだ」

風を右手に収束させた木山が右手をこちらに向ける

ぞう(突風!!!風の塊をぶつけるつもりか!!! だが!)

巨大な風の塊がぞうと御坂に向けて放たれたがぞうと御坂はそれぞれ逆方向に飛び木山の一撃を回避する

木山(かわすか・・・だがそこまで・・・)

二人がよけるのを見た木山は二人の着地点へめがけて衝撃波を放つ、到底回避できるタイミングではないのだが

美琴(見くびられたものね!!!)ビリッ

御坂は能力を応用し高速道路のフェンスに張り付き間一髪で衝撃波を交わす

ぞう「ウインドダート!!!」

ぞうは突風を回避しながらも術式を組み立て、追撃に向かってきた衝撃波に巨大な風の刃を放つことで相殺し

体勢を整えて着地した

木山「君も能力が使えるのか?」

ぞう「ちょっとしたもんだがな」

木山「それならこっちもなりふりかまってられないな」

美琴「余所見してんじゃないわよ!!」

御坂の手から電撃の矢が放たれる、全力の威力ではないものの木山を行動不能にするには十分な威力の電撃は

木山の体へまっすぐと向かっていき
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 10:50:50.10 ID:b7cKB/lNo
バチィッ!!

美琴「防がれた!!!」

ぞう「シールドか!!」

木山の体に届くまえに見えない壁にあっさりと阻まれてしまった

木山「レベル5といえどその程度なのかね?」

余裕を持って御坂に語りかける木山の口調にはわかりやすく挑発が含まれていた

美琴「このっ!!電撃を攻略したくらいでえええ!!!!」

ぞう(乗ってしまうか・・・)

御坂は壁から離れると拳を握りしめて全力で木山へ向かって駆け出す

木山(まずは一人・・・)

木山は御坂が向かってくるのを確認すると足元に能力を発動する

美琴「足場が!!」

ぞう「ミコト!!」

木山の足元から放射状に高速道路が崩れおちてゆく。木山に近づくことを懸念して御坂を止めるべく飛び出したぞうが

間一髪御坂を抱きとめくずれかけた地面を蹴り崩壊を免れた地点へ着地する。木山は高速道路の残骸と共に落下したが

能力を駆使して優雅に着地していた

美琴「えっ? あ、ぞうさんありがと・・・」

ぞう「近づくのは難しいみたいだな」

美琴「くやしいけど離れた距離から電撃を浴びせるのは難しいみたいね・・・」

美琴「全力でやったら怪我だけじゃすみそうにないし、加減が難しいのよね」

ぞう「なら、至近距離からならハルミを抑えることはできそうか?」

美琴「それならできるけど・・・どうにかできるの?」

ぞう「逆転の発想だ。近づけないなら引き寄せてしまえばいいってことだ」

美琴「どうやるのよ?」

ぞう「ま、俺はそういうことができるってだけだ、俺がハルミを引き寄せたら俺ごと電撃を撃て」

美琴「え!でもそれじゃぞうさんが」

ぞう「この前俺はミコトの電撃を受けただろ?あれより強い程度ならなんてこたない」

ぞう「俺じゃ力の加減が難しくてな、骨の何本かへし折っちまう。それならミコトの電撃で気絶させたほうが早い」

美琴「・・・・わかったわ、この前よりは弱い出力でいけると思うからお願い、ぞうさん」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 10:51:19.45 ID:b7cKB/lNo
木山「追撃に来る様子はないか、ならさっさと車を動かしてしまうとするか・・・・」

高速道路を支える柱の根元でぞうと御坂を待ち構えていた木山であったが、一向に降りてくる気配は見受けられない

ならば当初の予定通り車に戻り目的地へ急ぐだけだ。木山が上の高速道路へ移動しようとしたその時

美琴「待たせたわね」

ぞう「第二ラウンドといこうか」

高速道路に設置されている階段を使って二人は木山の正面に現れた

木山「馬鹿正直に私の真上から降りてくるなんてことはしないか・・・」

ぞう「そこまで死にたがりに見えるのか?」

木山「いや・・・」

美琴「あんたを拘束させてもらうわ!覚悟しなさい!!」

木山「なら、返り討ちにさせてもらうだけだ・・・」

木山が腕を振ると近くにあったゴミ箱が宙に舞い、中にあった空き缶が空中を漂う

美琴「これは・・・グラビトン!!! させるかあ!!!」

バチバチバチバチイイイイ!!!!!

御坂はぞうと出会う以前にある事件に関わったおかげで目の前でこれから何が起こるかを予想することができた

そのためこれからおこるであろう爆発を回避するために宙に浮かぶ空き缶のすべてを電撃で消し飛ばした

木山「すごいな、さすがレベル5か・・・」シュン

ぞう(ハルミの手から缶がひとつ消えた!! まずい!!)

御坂が空中の空き缶を電撃で蒸発させている隙に木山は空き缶のひとつを御坂の背後に転送させた

ぞう「くっ!!!」

美琴「きゃっ!!」

いち早く木山の動きを察したぞうは御坂にかぶさり木山の攻撃から御坂を守るための盾となろうとする

御坂の背後に突如現れた空き缶は急激に収縮し

美琴「後ろ!?くっ!!」

ドオオオオオオオオオン!!!!

その見た目からは想像もできないような破壊力を発生させて爆発を起こした

木山「もっとてこずるかと思ったが・・・こんなものか・・・」

爆発の衝撃によりぞうと御坂の二人が巻き上がった瓦礫に埋もれるのを確認した木山は二人に背を向け

ゆっくりと歩き出した

木山「恨んでもらってかまわんよ・・・・」


   練気拳


突如、背後から声が響き渡った
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 10:51:49.35 ID:b7cKB/lNo
木山「ん?  なっ!!!!」

振り返ろうとした木山は驚愕した。どういう原理が働いているのかわからないが、木山は確実に声のしたほうへ

無抵抗で引き寄せられている。強烈な磁力だろうか?いや、今はそんなことを考えている場合ではない

ガシッ

ぞう「今だミコト!!!」

木山(さっきの爆発で!?)

どういう能力かはわからないが木山はぞうの力で強引に引き寄せられがっちりと腕をつかまれた

ちらりと先ほどの爆発の場所を振り返った木山の目には瓦礫でできた小さなドームのようなものが目に映った

木山「磁力で即席の盾をくみ上げたのか!!」

すかさず木山へ御坂の腕がのびる

美琴「つかまえた!!ゼロ距離からの電撃!!あの馬鹿には効かなかったけどいくらなんでも」

美琴「あんなトンデモ能力までは持ってないわよね!!!」

バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!!!!!!

木山「ぐうううううああああああああ!!!うわああああああああああ!!!!!!」ビリビリ

ぞう(いってえええええええええええ!!!!!!)ビリビリ

木山「あっ・・・・・」

御坂の電撃を受け木山の体から力が抜けて崩れ落ちる。それを御坂の電撃を耐え切ったぞうがそっと支え

美琴「一応、手加減はしといたから・・・」

ぞう(わかっちゃいたけど痛いもんは痛いな・・・)

美琴「あ、ぞうさん大丈夫?」

ぞう「このくらいならどうってことはないさ」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 10:52:16.78 ID:b7cKB/lNo


    せんせい


ぞう 美琴「「!?」」

美琴「声・・・・?」

ぞう「ミコトにも聞こえるのか・・・?」


     きやませんせー

  せんせー


ぞう「これは・・・・」

美琴「木山春生の記憶・・・・」

美琴「私たちと木山の間に電気を通した回線がつながって・・・・」


   せんせい!

          きやませんせい!!


 子供は嫌いだ・・・・・


                騒がしいし・・・・


     デリカシーが無いし・・・


             失礼だし・・・・


   いたずらするし・・・・


  論理的じゃないし・・・


        馴れ馴れしいし、すぐに懐いてくる・・・


           子供は・・・・嫌い・・・・だ・・・・




       大丈夫、あたし先生のこと信じてるもん!!!!!



51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 10:53:06.42 ID:b7cKB/lNo
美琴「今のは・・・・・?」

ぞう「何だこれは・・・・・・・・」

木山「見られた・・・・のか・・・・・・」

御坂の電撃を通して木山の記憶がぞうと御坂の二人に流れ込んでくる。一見平和に見える学園都市の裏側を

まざまざと見せ付けられた二人は困惑を隠すことができない

美琴「何で・・・・、何であんなこと・・・・」

ぞう「・・・・・・」

木山「あれは表向き、AIM拡散力場を制御するための実験とされていた」

木山「が、実際は暴走能力の法則解析用誘爆実験だ」

ぞう「つまり、仕組まれていたということか?」

木山「そうだ、もっとも気づいたのは後になってからだったがね」

美琴「人体・・・・実験・・・・・」

木山「あの子達は、一度も目覚めることなく今なお眠り続けている」

木山「私たちはあの子たちを使い捨てのモルモットにしたんだ!!!!」

美琴「でも、そんなことがあったんなら警備員に通報して・・・」 木山「23回!」

美琴「えっ?」

木山「あの子たちの回復手段を探すため、そして事故の原因を究明するためのシュミレーションを行うために」

木山「樹形図の設計者の使用を申請した回数だ。樹形図の設計者の演算能力を持ってすればあの子達を助けられるはずだった」

木山「もう一度太陽の下を走らせてやることもできただろう、だが却下された!!!23回ともすべて!!!!」

ぞう「・・・・・」

木山「統括理事会がグルなんだ!!警備員が動くわけがない!!!」

美琴「だからって!こんなやり方!!」

木山「君たちに何がわかる!!!」

美琴「っ・・・・」

木山「あの子達を救うためなら、私は何だってする!!!」

木山「この町のすべてを敵に回しても、やめるわけにはいかないんだああああ!!!!!!」

ドクン
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 10:53:35.29 ID:b7cKB/lNo
突如、木山の頭に激痛が走る。一万人の脳を無理やりつなげて能力を多様したことで

木山の脳に多大な負荷がかかったことは想像に難くない

木山「うっ!!うああああああ!!!!!!」

美琴「ちょと・・・・・」

木山は両手で頭を抱えながらふらふらとよろめき

ぞう「ハルミ!!」

ぞうが木山の体を支えるも全身の力が抜けたかのようにぞうに体を預けながら木山がつぶやく

木山「ネットワークの・・・・・・暴走・・・・・・」

完全に脱力してぞうに支えられた木山の体から幽体離脱でもするように透明な何かがずるりと浮かび上がった

美琴「胎児・・・・・・?こんな能力聞いたことないわよ・・・・」

ぞう「一緒に午後のお茶が飲める相手じゃなさそうだな・・・・」プラプラ


   キャオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!


木山から発生した胎児の化け物が咆哮を上げると強烈な衝撃波が周囲を襲った

ぞう「くっ!!」

美琴「このっ!」

ぞうは木山を抱え上げ高速道路を支える柱の影に退避し、御坂は磁力で盾を作り上げてとっさに防ぐ

美琴「いきなり出てきて何すんのよっ!!」

ビリビリバチィッ!!!!

お返しとばかりに御坂は化け物に電撃の矢を放つ。だが

美琴「うそ!再生してる!!!」

ぞう「それどころか進化してるぞ!!」

化け物の傷跡から新たに二本の腕が生え、行動を停止するどころかますます活発になっていく


   ギロリ


化け物が自身を攻撃してきた御坂をにらみつけるとともに空中に無数の氷の塊が出現し

御坂を狙ってそれが射出された

ぞう「ミコト!!」

美琴「うううううううわあああああああ!!!!!」

次々と飛来する氷の塊をよけながら全力疾走で化け物から距離をとる御坂、先ほどまで木山がやっていたように

この化け物も複数の能力を駆使しているのだろうか?
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 10:54:04.33 ID:b7cKB/lNo


  グオオオオオオオオオオ!!!!!!!


なおも御坂めがけて氷の塊を射出する化け物の攻撃を振り返りながら御坂が迎撃したところで

化け物は御坂をそれ以上攻撃することなくその場にたたずんでいた

ぞう(あれ以上ミコトを攻撃するつもりは無いか・・・・・攻撃するものに対して反撃ってことか?)

木山「う・・・・・・」

ぞう「ハルミ、動けるか?」

木山「ああ・・・・あれは・・・・」

ぞう「あれは何なんだ?何を考えて行動している?」

木山「あれは簡単に言うとレベルアッパーでつながったネットワークが生み出した怪物だ」

木山「ネットワークを破壊すれば止められるかもしれない」

ぞう「で、その方法は?」

木山「それなら・・・」

美琴「ぞうさん!!」

初春「木山先生!!」

木山「うまくいくかはわからないが彼女にレベルアッパーを破壊するプログラムを託している。それを使えば・・・」



   「実弾の使用を許可する!!!撃てええええ!!!!!!」



ぞう「攻撃を始めちまったか・・・・、まあ攻撃するなって言うほうが無理か・・・」

美琴「攻撃しなきゃ襲ってこないってのに全く!!!」

ぞう「ミコト!カザリ!俺が囮になる。あいつを止める方法があるならそれをやってくれ!!」

美琴「そんな危ないことをぞうさんにさせられるわけないじゃない!」

ぞう「このくらいのことは俺にやらせてくれ、なにこの中じゃ俺が一番頑丈だ」

ぞう「一時間くらいの足止めならやってみせるさ」

木山「それだけあれば充分だろうな」

美琴「・・・・・わかったわ、でも怪我しちゃだめよ!ぞうさん」

ぞう「お安い御用だ!」

木山(私もろとも電流を流しておいて言うことなのか・・・)

初春「じゃあ私たちはあの化け物を倒す方法を!!」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 10:55:01.22 ID:b7cKB/lNo
ぞう「少し目を離したら大きくなっちまってまあ・・・・・」

ぞう「子供の成長は早いっていったって限度があるんじゃないのか?」

三人と別れ高速道路上で警備員と戦闘を繰り広げる化け物の背後に回りこんだぞうの目の前には

つい先ほど見た姿の四倍以上の大きさになっていた。どうやら攻撃を受ける度に増殖しているようだ

ぞう「闇雲に攻撃したところでやつをでかくしちまうだけってことか・・・・」

ぞう「とりあえずこっちを向かせなきゃ話にならん」

一撃で化け物を焼き尽くすほどの火力のある技を用いたところでこの化け物を倒せるとは思えない

最悪今より大きくなるという可能性を考えると標的をぞうに向けさせてその上で三人に期待するだけだ

ぞう「割と損な役かもな・・・・」

つぶやきながらぞうは弓を取り出し力いっぱい振り絞る

ぞう「ショットウェイヴ!!」

ぞうが放った矢はごく普通の矢のように化け物の体をめがけて飛んでいき


   ギャオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!


化け物の体に突き刺さると同時に衝撃波を放ち化け物の体の表面を抉り取った

ぞう「で、当然のようにすぐ再生するってわけか」


      ギロッ


ぞう「そうだ、化け物。お前の相手はこの俺だ」


   ブン!!!! ドゴォ!!!!!


化け物はぞうの姿を確認すると長い触手を力いっぱい振り回しぞうめがけてたたきつけた

ぞう「おっと、焦るんじゃねえ!!お前が疲れて家に帰りたくなるまで遊んでやるよ!!!」

巨体ゆえに大振りすぎるその攻撃を余裕を持ってかわすぞう

攻撃してきたものを迎撃するという本能的な攻撃ではそこまで追い詰められることはなさそうだ

ぞう(こいつがハルミみたいに戦術を組み立てて攻撃してきたら結構やばかったかもな・・・・)

ぞう「さて、効くかどうかわからんがついでにもうひとつ!!挑発射ち!!!」

普段より力を抜いて化け物に当たるか当たらないかを狙って放たれた矢は化け物にいとも簡単に叩き落された

本来なら相手の冷静さを失わせることが目的なのだが、この化け物に通用するかどうかは疑問である
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 11:01:09.65 ID:b7cKB/lNo


   グオオオオオオオオオオオオ!!!!!!


ぞう「怒った・・・・のか?」

化け物の体にダメージを与えたかどうかではなく攻撃の意識を向けられたことに対して怒っているのか

化け物はますます執拗にぞうを狙いはじめた

ぞう(氷柱の雨!こいつは術で防ぐ!!)

ぞう「ウインドダート!!!」

ぞうをめがけて降り注いだ氷柱の雨に向かって風の刃を的確に打ち込み氷柱を打ち砕く

ぞう(的がでかいおかげでうまくいったか)


   ギャアアアアアアアアアアアア!!!!!


攻撃が通じないことに苛立ちを覚えたのか化け物はやぶれかぶれに触手を増やし

一気にぞうを叩き潰そうとぞうめがけて触手を殺到させた

ぞう(あれだけの数は裁ききれん!なら障害物を作るまで!!)

ぞう「ソードバインド!!!」

術を発動させるとぞうの足元から人間と同じくらいの太さのイバラが無数に出現し

ぞうに向かってくる触手をことごとく絡めとった

ぞう(絡めとったからってここにとどまるのは危険・・・・)


   グシャッ


ぞうが先ほどまで立っていた場所は触手の先端から放たれた重力波がぞうが出したイバラを叩き潰し

地面に大きな凹みを発生させた

ぞう(あぶねえあぶねえ、あやうくぺしゃんこになるところだったか)

ぞう(攻撃の手数は多数、あの触手が増えるたびに回避するのも難しくなる・・・・)

ぞう(ここぞって時には反撃したほうがいいんだろうが・・・・)
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 11:02:09.41 ID:b7cKB/lNo


   ブウゥン!!!!  ドゴォ!!!!!


ぞう「ぐっ!!!」

ぞうの死角に回り込んだ一本の触手がぞうの背後から衝撃波を放ちぞうを吹き飛ばす

ぞう(ふう、いてえいてえ、このくらいなら軽く耐えられそうか・・・・・・・)

ぞう(王家の指輪が少しずつ傷を癒してくれるとはいえ攻撃を集中的に受け続けるのはまずい・・・)

ぞう(だがそこにさえ気をつければ俺が負けることはない! 今のままじゃ勝てないがな・・・)


      ギョロッ!!


倒れたぞうめがけて化け物の触手から光弾が放たれる

ぞう「うおおおおおおお!!!!」

無防備なぞうは光弾をまともに受けて大きく後ろに弾き飛ばされる

ぞう(弾き飛ばされたくらいでよしとするか、着地に気をつけて・・・)

幸いなことに化け物から距離を取ることに成功したことでぞうは仕切りなおすことができた

ぞう「一撃で攻撃が終わってくれればありがたいが連発されるときついか・・・・」

ぞう「さっさとぶちのめしてやりてえが再生をつづけられちまえばいつかこっちが倒れちまうかもしれん・・・」

ぞう「おまけに攻撃を受ければうけるほどに体がでかくなっちまうおまけつき・・・・」

ぞう「だがそれでも俺にできることはかわしつつ耐えつつひきつけるしかない」


     グオオオオオオオオオオオ!!!!!


ぞう「ふう、元気なやつだ」

化け物はぞうを見つめて触手を左右で一つずつに束ねて大きな腕を形作るとぞうを叩き潰さんと

その腕を大きくふりかざした

ぞう「さあ来い化け物、お前がくたばるまで付き合ってやる!!!」

弓を構えながら徐々に化け物から距離を取りつつ迫りくる化け物の触手をかろうじてかわすぞう

かわした触手から放たれる攻撃を受け止め、相殺させつつも懸命に時間をかせぐ

全てはあの三人がこの状況を打開してくれると信じて
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 11:02:42.10 ID:b7cKB/lNo
突如

そのぞうを援護するかのように離れたところから次々に不思議なメロディが流れ出した

ぞう「この曲は!?」

美琴「ぞうさん!!!間に合ったわね!!

ぞう「ミコト!!」

美琴「初春さんがレベルアッパーを解除するソフトを流してくれたわ!!」

化け物と対峙していたぞうの元へ御坂が駆けつける。新たなターゲットが増えたことに何のためらいもなく

化け物はその触手を振るった

美琴「邪魔するんじゃないわよ!!!」


      グギャアアアアアアアアアアア!!!!!!


ぞう「再生しない・・・効いているぞ!!」

二人へ向けられた触手は御坂の渾身の電撃でいともあっさりと焼ききられて霧散した

さらに最大の懸念材料であった化け物の再生も止まったことで二人に勝機が生まれる

美琴「さあここからはおしおきタイムよ」

ぞう「ああ、早いところ終わらせてお茶でも飲むとするか」

美琴「まだまだ余裕たっぷりじゃないの」

美琴(遠くから見てたけど、ぞうさんもいくつかの能力を持っている・・・あの氷を相殺できるなんて只者じゃない)

美琴(この間は自分で傷を癒していたし、木山との一戦でもいくつか能力を使っていた・・・)

美琴(見た目のかわいさだけじゃなくてなんて頼もしいのかしらね!!)

美琴「ぞうさん、やれる?」

ぞう「もちろんだ、ミコト、左右に広がって同時にあいつを攻撃しよう」

ぞう「あいつの攻撃を分散させるんだ!!」

美琴「わかったわ!!でもなるべく化け物から離れて攻撃して!あたしの電撃で巻き込んじゃうから!!」

ぞう「さあこっちだ化け物!!!」

言うとぞうは適当に矢を放ちながら化け物の左側に回りこむように走りだす


        ブウゥン!!!!   


         ザシュッ!!!


      グオオオオオオオオオオオオオ!!!!!


矢を放ったぞうをめがけて伸びた触手を御坂が能力で作り出した砂鉄の鞭が切り刻む
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 11:03:08.01 ID:b7cKB/lNo
美琴「ほらほらこっちよこっち!!余所見してんじゃないわよ!!」


         ギョロッ!!!!


化け物の目が一斉に御坂に向けられる、だがこれこそがぞうと御坂が望んでいた展開

ぞう「ウインドダート!!!」


      ギャアアアアアアアアアアアアア!!!


ぞうの放った遠慮の無い風の刃が何本も化け物にとびかかりその触手や体表を切り落としていく

美琴「やるわねぞうさん!!ならあたしの全力を見せてあげるわ!!!」

ぞうの勇ましい姿を見た御坂が全力全開で電撃を放つ


      ギ  ギギギ    ギギギィイィッィッィィ !!!!!!


ぞう「おおすげえ、これは電撃から発する熱であの化け物を丸焼きにしてんのか?」

ぞう「・・・・ここまでのことができるなんて、学園都市のレベル5ってのはすごいな」

御坂の全力の電撃を受けた化け物は全身を焦がして地面に崩れ落ちた

散々てこずらされたぞうもその姿を見てほっとした表情で御坂に目をやる

美琴「どう?あたしもやるでしょ?」

ぞう「ああ、さすがだ」

木山「気を抜くな!まだ終っていない!」

ぞう「ハルミ!」

美琴「えっ、こいつ起き上がってくる!?」

木山の言葉に反応したのか偶然か完全に沈黙したと思われた化け物はゆっくりとその巨体を持ち上げ始めた

木山「ネットワークの破壊には成功しても、あれはAIM拡散力場が生んだ一万人の思念の塊!」

木山「普通の生物の常識は通用しない!」

美琴「そんな!だったらどうすればいいのよ!」

木山「核が!力場を固定させている核の様なものがどこかにあるはずだ!それを破壊すれば!」

美琴「どこかにって・・・・そんなのどうやって見つけろっていうのよ!!」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 11:03:37.74 ID:b7cKB/lNo


      「この町で・・・・俺は夢を叶えるはずだった・・・・・」

   「この町では才能という壁が邪魔をする・・・・・」

           「手に入れるしかないじゃないか・・・」

     「夢は夢でしかなかった・・・」


美琴「これは・・・、レベルアッパー使用者の声・・・・・?」


  「どんなに努力を続けようと・・・・・」

        「能力者になるという夢・・・・・」


美琴「こんな・・・こんな気持ちだったなんて・・・・」


   「どんなことをしても、力を手に入れるしかないじゃないか!!」

     「踏みつけにされ・・・・見てみぬふりをされるという日常だけが・・・」

            「だけど・・・・・」


ぞう「・・・・ふう、ミコト!!」

美琴「ぞうさん・・・」

ぞう「これがレベルアッパーを使った人間の感情だというのなら、早くこの化け物をやっつけて」

ぞう「一刻も早く彼らをこの呪縛から解き放つんだ!!」

美琴「でも、どうすればいいのよ!?」

ぞう「単純な話だ、俺があいつの表面を全力で削り取る!!核らしきものが見えたら打ち抜いてくれ!!」

美琴「そんなことできるの!!??」

ぞう「あいつはもう再生しない、それなら手はある。まあ俺に任せろ!!」

美琴「わかったわ、それじゃあお願いぞうさん!」

御坂の声を聞いたぞうは腕を組み瞳を閉じる。組み立てるのは風の最強術

自然界でもとてつもない破壊力をもち時に悲劇を引き起こすあの現象

自身にできる渾身の威力を出すべく念入りに術式を組み立て、その一撃が今放たれる
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 11:04:19.22 ID:b7cKB/lNo
ぞう「トルネード!!!」


美琴「これは・・・・竜巻!?」

木山「突然竜巻を起こす能力!?こんな無茶苦茶な能力聞いたことがない!!」


      グギギギイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!


ぞうが放った竜巻は化け物の体を包み込み、徐々に化け物の体を削り

その体を持ち上げながら少しずつ体積を小さくしていく。だがそれだけでは終わらない

美琴「風が・・・、竜巻が徐々に形を作っていく・・・・」

木山「これは・・・・竜なのか・・・・・?」

徐々に収束された竜巻は竜の形を作り出し、そのまま天に昇るように消えていった

美琴「すごい・・・・・」

ぞう「ミコト!!見とれている場合じゃないぞ!!」

美琴「うん!!」

ぞうのトルネードのおかげでずいぶんと小さくなった化け物の体に光る結晶のようなものがちらりと見えた

おそらくあれが核であろう。それを視認した御坂はコインを取り出し狙いを定める

美琴「ごめんね・・・・気付いてあげられなくて」

美琴「頑張りたかったんだよね」

美琴「うん・・・・でもさ・・・・だったらもう一度頑張ってみよう」

美琴「こんなところでくよくよしていないで」

美琴「自分で自分に嘘つかないで」

美琴「もう一度!」


      ギャアアアアアアアアアアアアア!!!!


御坂が想いを込めて放った渾身の超電磁砲が化け物の核を打ち抜いた

様々な人たちの負の感情の集合体のような化け物は最後に一際大きな断末魔をあげて

まるで最初からそこには何もなかったかのうように消えていった

ぞうと御坂はそれを見届けるとお互いに目をあわせて穏やかに微笑んだ
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 11:04:49.66 ID:b7cKB/lNo
終わった

体の力を抜いてほっと一息ついたその時ふと、御坂にある記憶が蘇ってくる

美琴「ねえ、ぞうさん」

ぞう「ん?」

美琴「初めて会ったあの日、ファミレスを出たじゃない?」

ぞう「ああ」

美琴「あの時佐天さんと話してたんだけどさ・・・・」

美琴「佐天さん、能力が使えないことですごく悩んでたの・・・・」

ぞう「・・・・」

美琴「あたし、自分が能力が使えるからなのか・・・・レベル5だからなのか・・・・」

美琴「能力が使えなくて悩んでる人のことって真剣に考えたことってなかったのよね・・・」

美琴「本当に悩んでる佐天さんに向かって ”能力なんて別にどうだっていいじゃない” 」

美琴「 ”佐天さんは佐天さんなんだから気にすること無いよ” って」

ぞう「・・・・」

美琴「あたし、すごく無神経なこと言っちゃった、佐天さんもレベルアッパーを使った人たちみたいに」

美琴「あんなに悩んで、あんなに苦しい思いをしてたのかもしれないのに・・・・」

美琴「あたし!佐天さんに謝らなきゃ!」

ぞう「その必要はないぞ」

美琴「な・・・・なんでよ!?」

ぞうの言葉に虚をつかれて驚く御坂にぞうはやさしく語りかける

ぞう「落ち着けミコト。今ルイコにミコトが謝ったところでそれはミコトがただ謝りたいってだけだ」

ぞう「ミコトがルイコに謝ってもルイコは逆に気を遣ってしまうんじゃないか?」

美琴「っ・・・・」

ぞう「そう暗い顔をするな、俺やミコトにできることはある」

美琴「どうすればいいの?」

ぞう「簡単だよ。ルイコが能力を得るために努力をしていればそれを応援して」

ぞう「ルイコが能力を使えるようになったらみんなでお祝いしてやればいいんだよ。おめでとうってな」

ぞう「ルイコはそう簡単にあきらめて腐るような人間じゃない、だから俺たちは」

ぞう「ルイコのことをを信じて、暖かく見守ろうじゃないか」

美琴「・・・・・うんっ!」

一昨日佐天と話をし、佐天の感情の変化を見届けたぞうは御坂の中に芽生えた後悔の気持ちを

やさしくほぐし、暗くなりかけた御坂の表情を明るくすることができた

能力者の頂点といわれるレベル5、だがまだ彼女は14歳の少女なのである。彼女には彼女の悩みがあるし

能力を使えない佐天には佐天の悩みがある。これからもすれ違うことはあるだろうが、その友情が壊れてしまわないことを

ぞうは心から祈るばかりである
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 11:05:32.93 ID:b7cKB/lNo
ぞう「ハルミ」

木山「何だ?」

ぞう「ハルミの記憶に出てきたあの子たちのことだ、命に別状は無いんだよな?」

木山「ああ、まるでずっと夢を見ているかのように眠りつづけているよ」

ぞう「解決するかどうかはわからんが一つ協力できるかもしれん」

木山「何か方法があるとでも?」

ぞう「俺は医者じゃないからはっきりと効果の有無を断定することはできないんだが」

ぞう「俺のところに伝わる秘薬があってな、衰弱して今にも死にそうな人間をたちどころに元気にする薬がある」

ぞう「原理はよくわからんが純粋に生命力を回復させる効果があるものだ」

木山「そんな夢のような話が・・・・・あるのだろうね、君を見ているとその言葉にウソが無いことがわかる」

美琴「漢方みたいなものなのかしら?」

ぞう「さあな、子供たちが目覚めない原因の一つが生命力なのだとしたら効果はあるだろうな」

木山「その薬は今も?」

ぞう「ああ、充分な数がある」

木山「なら今は受け取れないな、私はもうすぐ警備員に拘束されてしまうから」

ぞう「だったら冥土帰しに預けておこうか?彼なら安心して預けておけそうだからな」

木山「そうしてくれると助かる。何、珍しい薬を解析できる機会を得るんだから彼も喜んで協力してくれるだろう」

美琴「あたしも、協力できることがあるなら喜んで協力させてもらうわ。ただし」

美琴「次もあんなやり方するんだったら全力で止めるわよ」

木山「それは感謝する。ただし、今後も手段を選ぶつもりはない。気に入らない時は、また邪魔をしに来たまえ」

美琴「やれやれ・・・・懲りない先生だわ・・・・」

ぞう「全くだな」プラプラ

自信たっぷりに言ってのける木山に呆れる二人の方へ初春が駆け寄ってくる、少し離れたところに

女性の警備員が二人こちらに向かって歩いてくるのがみてとれた

木山「さて、どうやらお迎えが来たようだな」

初春「みなさん、お怪我はありませんか?」

美琴「あたしは大丈夫よ。能力使いすぎてちょっとフラフラだけど。ぞうさん・・・・もなんともないわね」

ぞう「体力が一番の取り得だからな」プラプラ

初春「二人があの化け物をなんとかしたのに木山先生が一番ボロボロっていうのも不思議ですね」

木山「そこの彼女にボロボロにされたんだがね?」

美琴「そりゃいいっこ無しよ」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 11:06:00.72 ID:b7cKB/lNo
能力を使って警備員を一掃したくせに何をいってるのよといいたげに御坂は口をとがらせる

黄泉川「第七三支部の黄泉川だ、木山春生、拘束するじゃんよ。鉄装、手錠を」

鉄装「はい」

木山「・・・」

初春から少しおくれてやってきた警備員の二人は早速木山を拘束する

木山は抵抗することなく両手を差し出した

黄泉川「さて、今回の功労者には感謝しなくちゃいけないじゃ・・・・」 鉄装「です・・・」

黄泉川 鉄装「「ぞう!!!」」

ぞう「いいえ、エレファントです」プラプラ

美琴「同じじゃないの」

黄泉川「あ、あー」

鉄装「えーと・・・」

初春「固まっちゃってますね」

美琴「まあしょうがないといえばしょうがないわね」

黄泉川「と、とにかく!!協力感謝するじゃんよ!!」

鉄装「ですです!!本当に危ないところでしたから!!」

ぞう「いえ、どういたしまして」ペコリ

初春「なんか礼儀正しいですね」

黄泉川(ふ、深く考えちゃだめじゃん!!)

鉄装(気にしない気にしない!気にしたら負けな気がする!!)

  おねえさまあああああああああああああ!!!!

突如、聞きなれた声が遠くから響き渡った
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 11:06:28.85 ID:b7cKB/lNo
美琴「ん?この声は・・・」

初春「あ、白井さんと・・・佐天さんも一緒です!」

 シュン!!

美琴「げっ」

後ろのほうから聞こえた声に振り向くと白井と佐天がタクシーでここまでかけつけたことが見てとれた

ここまでは良かったのだがあろうことか白井は御坂の真上に突如テレポートしてきた

ぞう「ほいっ」

ガシッ!!

疲労困憊でフラつくとまで言っていた御坂にフライングボディプレスはあんまりだろうとは思ったが

自分でも驚くほどの速さで反射的に白井をキャッチすることに成功したぞうはゆっくりと白井を地面に立たせる

ぞう「クロコ、ミコトはすごく疲れてるからそういうのはちょっとな?」

黒子「もう、いくらぞうさんでも私のお姉さまへの愛情表現を邪魔するだなんて」 美琴「く〜ろ〜こ〜」

黒子「まあお姉さまご機嫌麗しゅう。その振り上げた拳はどのように・・・」

コツン

黒子「きゃっ」

美琴「今日は疲れてるからこのくらいで簡便してあげるわ」

黒子「もう、お姉さまったらぁ」

佐天「みんなー!!」

初春「佐天さん!」

佐天「私も心配で白井さんと一緒にタクシーで来たっていうのに白井さん一人でテレポートしちゃうんだもん」

黒子「それだけ私のお姉さまへの想いは強いということですわ」

ぞう「こらこら」

佐天「あ、そうだぞうさん。これ預かってたお菓子」

ぞう「おお、そうだったな。ハルミ!」

木山「ん?」

ぞう「先日のお礼だ、ハルミが協力してくれたおかげで無事解決することができた」

木山「そうか、それはよかった。こちらも協力した甲斐があったというものだ」

ぞう「これは心ばかりの礼だ。良かったら食べてくれ」

美琴「これから連行されるってのにいいの?」

黄泉川「まあ、特別じゃん」

鉄装「事件を解決してもらったわけですしこのくらいなら目をつむりますよ」

木山「それじゃあ、ありがたくいただくとするよ。また私に協力できることがあったら教えてくれ」

ぞう「それはこっちも同じことだ」

黄泉川「じゃあそろそろ行くじゃんよ」

木山「ああ」

ぞう「またな、ハルミ」

木山「また会おう」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 11:07:45.53 ID:b7cKB/lNo
七月二十四日 ファミレス

こうして今回のレベルアッパー事件を起こした木山は警備員の手により連行されていった

残った五人は複雑な感情でそれを見送っていたが気落ちすることなくすぐに普段の明るさを取り戻した

そして誰が言い出したのかそのままファミレスへと向かいささやかな戦勝会が開催された

初春「と、いう感じで木山先生から出てきた化け物は無事に御坂さんとぞうさんがやっつけたんですよ!」

黒子「さすが私のお姉さまですわ、ああ、黒子もそのご活躍をお側で拝見したかったというのに」

美琴「こらこら、ぞうさんが時間かせいでくれてたから良かったようなもんなのよ?」

初春「あのまま原子力実験所に突撃されてたらって考えると・・・・」

佐天「うひゃ〜、恐ろしいね〜」

美琴「でもあのプログラムが無かったら正直だめだったかもしれないわね」

ぞう「ああ、再生するどころか攻撃を受けたらどんどん巨大化するなんてありゃ反則だ」

黒子「それにしてもぞうさん、本当にどこも怪我をされてませんのね」

ぞう「頑丈だからな」プラプラ

佐天「ってそれだけで怪我しなかったらプロレスラーも苦労しませんよね」

初春「それにあの竜巻ってぞうさんがやったんですよね!?」

ぞう「ああ」

美琴「とんでもない威力だったわ」

初春「絶対に街中でやらないでくださいね?」

ぞう「もちろんだ、俺に学園都市を破壊するつもりは毛頭無い」

佐天「そういえばぞうさんってインデックスちゃんと教会に行くって言ってましたけど」

黒子「それは私も気になってましたの」

ぞう「無事にイギリス清教の教会に保護されてるよ。今は教会の管理している家に住ませてもらってる」

初春「そうだったんですか、それはよかったですね」

ぞう「そういや連絡用にともらったんだが、この携帯の使い方っていうのがいまいちわからなくてな」

黒子「ああ、それでしたら私たちにお任せください」

初春「きっちりレクチャーしちゃいます」

ぞう「助かる」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 11:08:12.18 ID:b7cKB/lNo
美琴「とりあえずあたしたちの番号入れとくわね」

御坂は自分の携帯から四人のデータをぞうの携帯に登録するとにこやかにぞうへ携帯を手渡す

佐天「それじゃああたしたちが練習台になりましょうか」

黒子「いいですわね、まずは通話とメールができるようになりませんと」

ぞう「それでは先生方、よろしくおねがいします」ペコリ

初春「わたしの修行はきびしいですよー?」

不慣れな携帯の操作に戸惑いながらもぞうは拙く指をうごかしながら携帯の操作を教わり

なんとか通話することとメールを送受信することを一通りできるようになった

初春「うん、これで基本的な操作はばっちりですね」

ぞう「ありがとうございます先生」

黒子「これでいつでも連絡が取れますわね。あまり一般の方を巻き込みたくはないのですが」

黒子「また何かあった時はご協力をお願いしますわ」

ぞう「ああ、俺にできることなら喜んで協力させてもらうよ」

佐天「それじゃあ今度ぞうさんの家に遊びに行ってもいいですか?また弓さわらせてほしいですし」

美琴「え?佐天さんぞうさんに弓教えてもらったの?」

ぞう「一昨日たまたまな、やったのは簡単な的当てゲームみたいなもんだ。だがやってみると結構難しいぞ?」

初春「私弓って触ったことないんですよね、ちょっとやってみたいです」

黒子「おもしろそうですわね」

美琴「そうね・・・うん!あたしもやる!」

ぞう「なら軽めの弓を用意しておこう。俺が今日使ったやつだと重くて引くのにかなり腕力がいるからな」

佐天「よーし、がんばるぞー」

初春「佐天さんやる気ですね」

佐天「まあね、何事もポジティブにならないといかんのだよ」

黒子「私の得意分野で負けるわけにはいきませんわね」

初春「って能力の使用はだめですよ白井さん」

美琴「佐天さんすごく明るくなってる・・・」

ぞう「な、言ったとおりだろ?」

美琴「うん!」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 11:08:40.48 ID:b7cKB/lNo
七月二十四日 帰路

賑やかに食事を済ませた一行は会計を済ませてそれぞれの帰路へついた

方向が同じ御坂と白井はぞうと一緒にまだ昼間の熱が残る路上をゆっくりと歩いていた

そこでふと、ぞうは一昨日御坂を見かけたことを思い出した

ぞう「なあミコト、ミコトは一昨日の晩何をしていたんだ?」

美琴「え?一昨日なら寮にいたわよ?」

黒子「そうですわね、確かに一昨日は寮でわたくしと甘美なひと時をすごしてましたわ」

ぞう「うーん・・・ミコトって姉か妹がいるか?」

美琴「ううん、あたし一人っ子だけど」

ぞう「そうか」

黒子「お姉さまに姉妹がいらっしゃるのでしたら是非ともお近づきになっておきたいですわね」

美琴「どっかであたしを見かけたってこと?」

ぞう「結構距離があったから俺が見間違えただけかもしれん、違うんなら別にいいんだが」

美琴「・・・・」

ぞう「ただ気になるのは自分の姿を他人の姿に変えられる能力者の存在だ」

黒子「なるほど、つまりお姉さまの姿で何かよからぬことを企んでいるかもしれないということですわね」

ぞう「ミコトだけに限ったことじゃないかもしれないけどな、ミコトの周りでそういう話を聞いたことはあるか?」

美琴「んー、特には・・・」

美琴(まさか・・・・あれはただの噂よね・・・)

黒子「まあお姉さまはちょっとした有名人ですから、お姉さまを騙って何かやればすぐに騒ぎになるはずですし」

黒子「今のところそういった事件は発生しておりませんわ、ですが調査程度ならしておく必要はありそうですわね」

ぞう「なんか仕事を増やしちまったみたいで悪い気がするな」

黒子「いえいえ、これも私たち風紀委員のお仕事ですから」

美琴「あんまり無茶するんじゃないわよ?まだ体調が万全じゃないんだから」

黒子「ええ、わかっておりますの」

ぞう(面倒なことにならなきゃいいがな・・・・・・)

ぞうが学園都市に来てからまだ一週間も経っていないのに立て続けに起こる事件

決して的中してほしくない悪い予感を抱きながらぞうは二人を寮の近くまで送り届けた

イギリス清教、学園都市、それぞれの持つ深い闇に、せめてあの四人だけはかかわることがないようにと思いながら・・・
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/16(月) 11:20:52.36 ID:b7cKB/lNo
つづく

続きは出来上がり次第で
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/07/17(火) 00:57:52.31 ID:avZAkQUko
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/07/20(金) 18:56:55.49 ID:2EMrs3Pvo
あまり需要も無いようなので終わりにします。次はもっときっちりと考えてサガ系のクロスを考えたいと思います。
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/07/21(土) 03:10:15.74 ID:k3CPUT3Xo
もっとサガ要素を絡ませて欲しかった
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/07/21(土) 05:48:21.10 ID:tqvgR24AO
ここでやめるなんてゆるさないぞう
121.60 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)