他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
SS速報VIP 過去ログ倉庫
検索
すべて
本文
タイトル
投稿者
ID
このスレッドは
SS速報VIPの過去ログ倉庫
に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は
管理人までご一報
ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。
フィアンマ「安価で上条当麻の右腕を育てる」アックア「後方支援である」 -
SS速報VIP 過去ログ倉庫
Check
Tweet
1 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/07/29(日) 00:58:09.21 ID:PBUa0bGAO
◆H0UG3c6kjA改め◆2/3UkhVg4u1Dです。
・タイトル通り、右方のフィアンマさんが安価の力でアックアさんと一緒に上条当麻の右腕を育てながら暮らすお話
・時間軸不明、とある平行世界のお話
・基本はほのぼの進行
・安価スレの割りに
>>1
は執筆ペースが遅い(かもしれません)
・キャラ崩壊注意
・夏の納涼ホラー
※注意※
安価次第で展開が多種多少に変化します(ガチホモから百合まで)
エログロ展開の可能性があります。
ハイペースで終わらせる予定です。
また、鉢植えに対しての行動安価内容において「壊す」「枯らす」「放置(日光の下で、等は可)」「ぐしゃぐしゃにする」等の激しい暴力的虐待内容はご遠慮下さい。
立派な右腕が生えるよう、大切に育てていきましょう。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1343491089
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
Twitter
]: ID:???
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】
ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。
(安価&コンマ)コードギアス 薄明の者 @ 2025/07/23(水) 22:31:03.79 ID:7O97aVFy0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1753277463/
ご褒美にはチョコレート @ 2025/07/23(水) 21:57:52.36 ID:DdkKPHpQ0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753275471/
ビーノどっさりパック @ 2025/07/23(水) 20:04:42.82 ID:dVhNYsSZ0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753268681/
コナン「博士からメールが来たぞ」 @ 2025/07/23(水) 00:53:42.50 ID:QmEFnDwEO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1753199622/
4日も埋まらないということは @ 2025/07/22(火) 00:48:35.91 ID:b9MtQNrio
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1753112915/
クリスタ「かわいいだけじゃだめですか?」 @ 2025/07/19(土) 08:45:13.17 ID:AK1WfFLxO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1752882313/
八幡「新はまち劇場」【俺ガイル】Part1 @ 2025/07/19(土) 06:35:32.67 ID:BGCulupRO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1752874532/
【安価・コンマ】力と魔法が支配した世界で【二次創作】 @ 2025/07/18(金) 23:44:57.84 ID:Xc8IdKRvO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1752849897/
2 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/07/29(日) 00:59:34.22 ID:fpU2OAFo0
右方のフィアンマ、XXX歳。
そんな彼が拾ってきたものは、一つの鉢植え。
子葉はおろか、何が埋まっているのかすら不明。
そんな謎の鉢植えを事実上の上司から見せられた後方のアックアは、少々困惑していた。
アックア「…植物、であるか」
フィアンマ「植物とも動物とも言い難いモノだ」
アックア「…」
フィアンマ「成功すれば、『幻想殺し』…上条当麻というとある少年の右腕が生える筈なんだ」
アックア「…右腕、であるか」
とうとう狂ったか。だから休憩を取れと注意したのに。
そんな事を思いつつ、後方のアックアは深く深くため息をついた。
対して、右方のフィアンマは上機嫌な様子で鉢植えを見つめていた。
右腕が生えてくる訳がない、どうせ苺か人参か何かだろう。
そう結論付けたアックアは、フィアンマの手元の鉢植えを見やる。
何の変哲もない鉢植え。故に、少し、不気味だ。
アックア「…それで、一体私にどうしろと言うのであるか」
フィアンマ「育てるのを手伝え」
アックア「…私は傭兵である。植物育成に付き合うような事は」
フィアンマ「俺様の後方支援だ」
アックア「…後方支援」
フィアンマ「そう考えれば問題無かろう」
アックア「確かにそうではあるが…」
フィアンマ「という訳で、まずは何をやるべきか迷っているのだが、答えを出せ」
アックア「……」フム
鉢植えに何をあげる?(水など、液体)>>+2
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/07/29(日) 01:29:16.55 ID:yiwfSMbm0
聖別されたパンとワイン
4 :
名無しNIPPER
[sage]:2012/07/29(日) 02:14:39.68 ID:w/U1iWmAO
どうしてそうなったwww
ミックスジュース
5 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/07/29(日) 02:29:03.68 ID:PBUa0bGAO
《ご覧になっている方は少ないと思うので、連投は可能です。読書様方にお任せします》
動物を育てた事は一応あれど、アックアは植物の世話をした事が無い。
ましてや、(フィアンマ曰わく)『幻想殺し』…神の奇跡すら打ち消せる右腕の面倒など、まるで看た事が無く。
結果的に導き出したのは、少し特殊なモノ。
アックア「ミックスジュース、はどうである」
フィアンマ「ミックスジュースか…手元に既製品は無いしな、作るか」
魔術サイド所属にも関わらず、フィアンマは科学サイドの産物を割と持っている。
ハイビジョンカメラだとかジューサーだとか、まぁ、色々と。
フィアンマはアックアを連れて『奥』に引っ込むと、冷蔵庫をパカリと開けて中を覗いた。
鉢植えは一旦陽の当たる場所(とは言っても『奥』内の窓際だが)に置いてある。
水受け皿も敷いてある為、一見観葉植物が生えてくる前の鉢植えのように見える。
フィアンマ「野菜中心と果物中心、どちらが良いんだ?」
アックア「…」ウーン
フィアンマ「美味しく育つと良いのだが…」ソワソワ ドキドキ
アックア「食べる気なのであるか」
フィアンマ「ん? あぁ、勿論だよ」
アックア「…。…で、あるならば…」
ミックスジュースの中身
1.野菜中心
2.果物中心
3.魚介類中心
どの選択肢も(+牛乳)です。
判定>>+2
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 02:32:16.46 ID:HHeIz/l/o
3
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 02:47:16.08 ID:SbjoG0lqo
3
8 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/07/29(日) 04:02:22.81 ID:PBUa0bGAO
アックア「少々特殊なミックスジュースを提案するのである」
フィアンマ「特殊、というと」
アックア「魚介類中心である。少々硬いが、水分として牛乳で伸ばせば問題無い」
フィアンマ「クラムチャウダーに似ているな。ふむ、悪くない」
フィアンマはそう返事をするとジューサーを取り出し、冷蔵庫ではなく冷凍庫を開ける事にした。そしてシーフードミックスを取り出し、牛乳と共にジューサーへ投入した。
ちなみにこちらのジューサー、優秀な事に漉し機能までついている。
しばらくジューサーにかけ、ほとんど液体の不味そうなシーフードミックスジュースを注いだコップを手に、フィアンマは鉢植えへと近寄る。
そして回しかけるように、鉢植えの中、そのジュースで土を濡らした。
ついでに話しかける事も忘れない。
フィアンマ「…早く大きくなるんだぞ」
端から見ればまるで朝顔を育てる小学生の如き長閑さ。
問題は、植物ではなく右腕だという事である。
フィアンマ(世界を"救う"為にも、早く育ってもらわないと困る)
美味しくなあれ、大きくなあれ。
そんな事を歌いつつ、フィアンマは優しく鉢植えを撫でる。
感じ取った薄ら寒い狂気にアックアが沈黙していると、フィアンマは思い出したように問い掛けた。
フィアンマ「アックア」
アックア「?」
フィアンマ「日向と日陰、はたまた室内か室外、どこで育てるのが最適だろうか?」
アックア「…」ウーン
フィアンマ「…」ジー
アックア「
>>10
」
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 04:17:48.68 ID:Si+5zOLoo
日向
この時間は下一でいいと思うの
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 05:07:50.60 ID:Mx7bxgujo
特定の場所を選ばず常にフィアンマの傍へ置き格場所での変化を観察するよう進める
勿論外出時も所持
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/07/29(日) 07:23:24.03 ID:EN2Wk/jD0
まさかの新スレ
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/07/29(日) 07:26:07.17 ID:EN2Wk/jD0
なんかアレだな 一時期話題になった韓国のゲームみたいだな
13 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/07/29(日) 12:16:31.63 ID:PBUa0bGAO
《
>>12
様 あちらは女の子の可愛い生首育てるゲームでしたね…正直欲しいです》
アックア「特定の状況を選ばず、常に貴様の身辺に置き、その時々の変化や様子を見てから、改めてどう育てるかまた決めれば良い。何か手提げ袋のような物を用意すれば外出中も持てる」
フィアンマ「なるほど、なるほど」
フィアンマはそうのんびりと相槌を打ち、鉢植えをじっと見つめた。
いたって普通の鉢植え。 ここから右腕が育つのか、とそわそわしつつ想像し、フィアンマはアックアに言われた通り、鉢植えが入る程度のサイズの、頑丈な紙袋を用意する事にした。
アックアはといえば、どうにも暇を持て余し気味の為、鉢植えを見守る。 何も変化は窺えない。
フィアンマ「…さて、と」
用意した茶色い紙袋に鉢植えを受け皿ごと入れてみると、まるでパンか何かを購入したかのようで、まったく違和感が生じない。
フィアンマは満足気な表情で、紙袋を持ったままアックアを見やる。
フィアンマ「流石にお前は優秀だ」
アックア「…褒めても何も出ないのである」
世界二○億人の頂点に立つ男がこれで良いのか、とほんのり考えながら、アックアは静かに言葉を返した。
元々、フィアンマとは相対的に沈黙を美とする男だ。
フィアンマは紙袋を持ったまま出掛ける準備を始め、アックアに近寄る。
フィアンマ「外出するが、付き合ってもらうぞ」
アックア「……」
フィアンマ「…時に。この鉢植えは何と呼ぶべきだろうか。植物や動物には話し掛けた方が良いのだろう? 上条当麻の右腕、では名が長過ぎる」
アックア「……」ウーン
鉢植えの事は何と呼ぶ?(あだ名)>>+2
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 12:18:26.46 ID:rw8rEMrSO
ミギー(笑)
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 12:22:38.27 ID:BebdKGTDO
ミギー
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 12:33:01.44 ID:rw8rEMrSO
他作品ネタだが大丈夫か?
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/07/29(日) 12:39:21.73 ID:T/CgjGrn0
あのゲームはうまく行かないと顔がヤバいことになるwww
18 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/07/29(日) 14:17:07.68 ID:PBUa0bGAO
アックア「日本では、名前の最初の二文字を取って伸ばし、ニックネームにすると聞く」
フィアンマ「つまり、」
アックア「右腕のミギー。ミギーと呼ぶが最適である」
フィアンマ「ミギーか」
アックア「みぎー、である」
フィアンマ「なるほど」
フィアンマは納得したように相槌を打つと、アックアを手招いて大聖堂から出て行った。
昼。
暑い中、一般人は半袖で暑そうに歩くところを。 右方のフィアンマも後方のアックアも長袖且つ涼しい顔で歩いていた。
防御術式の恩恵である。フィアンマの手には紙袋があり、中には件の鉢植えが入っている。
ジェラート店などに時折目を奪われつつ、だからといって入るでもなく。どこを目指しているのかさっぱり不明なアックアは、そんな気まぐれなフィアンマについて行くばかり。
表面的に平和な情勢において、上司に従うのも、一応は仕事の内に入るだろう。
そんな事を思いながら、アックアは歩いていく。
アックア「何の為の外出であるか」
フィアンマ「ん?
>>20
」
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 14:18:49.03 ID:HbU6H2qB0
ksk
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 14:35:00.98 ID:Si+5zOLoo
ミギーの反応を見るのだ
21 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/07/29(日) 15:59:33.88 ID:ArExD6ZU0
フィアンマ「ん? ミギーの反応を見るためだよ」
そう答えたフィアンマは、言って初めて思い出したかのように紙袋の中を覗き込む。
犬の散歩じゃあるまいし、という感想を抱きつつも、口には出さず、アックアはフィアンマの様子を窺った。
フィアンマは少々残念そうな顔で紙袋を覗くのをやめる。
フィアンマ「…特に反応は窺えん」
アックア「…そうであるか」
フィアンマ「致し方ない、何か食べさせてみるか…」
フィアンマはそう言うなり、アックアを手招いて、一軒の店へと近寄っていく。
先程ちらりと目を奪われていたジェラート店である。
日本でいうところの、店構えとしてはサーティーワ…あれ、そう、あんな感じである。
アックア(自分が食べたいだけ、というように感じるのであるが)
フィアンマ「ついでだから奢ってやる」
アックア「…甘い物は然程好きでは…ないのであるが。レモンティーを所望するのである」
店内は冷房が効いていて涼しい。
気軽に買うには少々値段が高いので、そんなに混み合ってもいないため、座る席はある。
フィアンマ「ついでにミギーにもやろうと思うのだが、何が良いだろうか」
アックア「…」ウーン
店内で販売しているのは、ジェラート一切、いわゆるシェイク、果実100%ジュース。
様々な味があり、少々キワモノも存在してはいるが、大抵美味しそうなラインナップである。
フィアンマ「ジェラートにしても、鉢の中に置いていれば溶けるからな」ウーン
アックア「…
>>23
」
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 16:02:49.90 ID:HbU6H2qB0
ksk
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/07/29(日) 16:22:45.80 ID:1b7u8VRn0
栄養剤とかどうだろうか
24 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/07/29(日) 16:59:28.93 ID:ArExD6ZU0
アックア「…栄養剤味、というキワモノを見つけた。それが適切だと考えられるのである」
フィアンマ「栄養剤、か。大きく育ちそうだな。俺様はロイヤルミルクティーで頼もうか。釣りは不要だ」
ふむふむ、と頷いたフィアンマは、買うでもなく席に座った。
向かい合って座る二人席。
そして財布を取り出して中から何枚か札を抜き出すとアックアに突き出した。
実は重かったのか、既に鉢植えの入った紙袋はテーブル上に置いてある。
ここで拒否をしても結局は買いに行かされる、という予感を得たアックアは札を受け取り、注文しに行く事にした。
戻りはレモンティー味・ロイヤルミルクティー味・栄養剤味のジェラートと中々に手一杯だったが、そこは聖人ということもあり、難なくクリア。
フィアンマは優雅にアックアを迎え入れた。椅子を引くという珍しい思いやりつきで。
フィアンマ「ご苦労」
言うとフィアンマはまず栄養剤味のジェラートを受け取り、慎重に紙袋内の鉢植えの中、土の上へと落としていく。
土の上にこんもりと乗ったジェラートは緑がかった色。
ピスタチオ味やメロン味と違い、いかにも人間が食べたら吐きそうな色合いの緑。
フィアンマはここには居ない同僚を思い浮かべつつ、丁寧にジェラートを落とし終えた。
ゴミとなった紙をくしゃりと丸め、溶けたジェラートが土に浸透することを祈りつつ、フィアンマは自分の分であるロイヤルミルクティー味のジェラートを受け取った。
だいぶ待たされたアックアではあるが、店内は涼しいため、そんなにジェラートは溶けてもいない。
故に、アックアは文句を言わない。
そもそもフィアンマの出費であるのだから、アックアはあまり文句をつけるべきでないというのもあるが。
何もかも正反対なアックアとフィアンマは、馴れ合うという訳ではないものの、右席メンバーの中でも比較的互いをよく理解していた。
フィアンマの底は見えないが、それでも大体何がしたいか、どうすればどうなるか、位はわかる。
もぐ、とジェラートを食べ、フィアンマはじっと紙袋の中を見つめる。
鉢植えの中、土の上で徐々にジェラートは溶けて甘い液体と化し、水のように土へ染み込んでいく。
じわじわと染み込む様子を見ながら、フィアンマは楽しそうに口元を緩ませる。
嗜虐的なそれではなく、冷めたそれでもなく、ペットでも見守っているような、優しい微笑み。
珍妙な光景に、それでも眉一つ動かさず、アックアは自分の分であるジェラートを口にする。
甘いながらもレモンのさっぱりとした風味が、後方のアックアの口の中に広がった。
アックア「…収穫時期は定まっているのであるか」
フィアンマ「確か、冬だったと思うのだが」
アックア「そうであるか」
多くを語る事を好まない傭兵は、口を噤む。
雄弁なフィアンマも特に何か話す事案が見当たらなかったのか、紙袋の中を見つめ続ける。
ふと、ぽつりとフィアンマが言った。
フィアンマ「すまんな。…手伝わせてしまって」
アックア「
>>26
」
25 :
sawama
:2012/07/29(日) 17:26:34.91 ID:7vIGtsje0
気にするな、私とお前の仲だろう
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/07/29(日) 17:38:45.10 ID:sGyju/Mo0
無問題である
27 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/07/29(日) 17:57:00.28 ID:ArExD6ZU0
アックア「無問題である」
フィアンマ「はは、そうか」
フィアンマが計算高い男だということくらい、アックアはよくよくわかっている。
その辺りの俳優では比較にならないほど、フィアンマは笑ったり泣いたり、表情から声音、全て装える。
そのせいで本心がどこにあるのかさっぱり見えてこない程だ。
紙袋の中、完全に溶け切ったジェラートが、全て土の中へと沈み込む。
フィアンマもジェラートを食べ終えると、冷房の涼しさに目を細めた。
心地よい冷風は、科学サイドの産物。
そもそもフィアンマは歪んだ形で人類全てを平等に見ているので、科学だから、魔術だから、という理由で毛嫌いもしなければ、特別好く訳でもない。
アックアがジェラートを食べ終えたのを見やり、紙ゴミを捨てると、フィアンマは欠伸を噛み殺して立ち上がった。
アックアもゴミを捨てつつ立ち上がり、紙袋を見やる。
茶色い紙袋の為、傍目からでは、中身はわからない。
フィアンマはあまり揺らさないよう慎重に紙袋を手に持って、アックアを連れて店から出た。
外はまだ暑いが、防御術式の恩恵により、眉を潜める事は無い。
アックアとフィアンマとは、聖ピエトロ大聖堂へと戻ってきた。
今日一日だけでは当然子葉に当たる指が出る筈もなく、フィアンマは残念そうな表情を浮かべる。
フィアンマ「…気長に育てるとしようか」
アックア「植物や動物とは、本来根気よく育てるものである」
フィアンマ「それもそうか」
翌日。
フィアンマはじっと鉢植えを見つめて悩んでいた。
人間にとって一日の最初の食事である朝食が重要であるように、植物もとい右腕にとっても一番最初に摂取するモノが重要なのではないかと考えたのだ。
フィアンマ(…水…か?)
鉢植えに何をあげる?(液体)>>+2
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 18:06:16.22 ID:SbjoG0lqo
コーヒー
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 18:10:44.02 ID:HbU6H2qB0
水
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 18:48:47.56 ID:rw8rEMrSO
間をとって水だし珈琲
31 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/07/29(日) 19:18:46.94 ID:PBUa0bGAO
鉢植えは何も語らない。 フィアンマはしばらく迷った後、部屋から離れ、手にして戻ったその如雨露に、沢山の水を汲んできた。
そして鉢植えの土へ、静かにかけていく。
しゃああああ、という小気味良い音が響き、部屋を満たし、綺麗な水が鉢植えの中の土を濡らしていく。
受け皿に少し水が染み出す位まで水をあげると、フィアンマは楽しそうに笑顔を浮かべた。
フィアンマ「早く大きくなるんだぞ」
そう話し掛け、フィアンマは如雨露を片付けるべく部屋から出て行く。
鉢植えに、変化が生じた。
指が生えたのである。
生えた指はどの指?(親指〜小指)>>+2
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 20:17:26.44 ID:VOKf8AuR0
相変わらずフィアンマさん好きだなあんたは
安価なら小指
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 20:18:22.53 ID:SbjoG0lqo
薬指
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 20:19:55.04 ID:BebdKGTDO
中指
35 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/07/29(日) 23:13:39.02 ID:2pYzgqUl0
《
>>32
様 はい、まだちっともまったく揺らいでません》
部屋に戻ってきたフィアンマは、鉢植えの中を覗き込んで目を瞬かせる。
薬指と思われる指の先端が、ぴょこりと土の中から覗いているのだ。
まるで春を告げるふきのとうの如き可愛らしさと、昨日の努力が実った実感とに、フィアンマは思わず笑顔になる。
フィアンマ「…見た様子からして…薬指か」
フィアンマはそっと鉢植えの中の薬指に触れる。
それなりにしっかりとした少年の指。
爪はそんなに長くはないものの、少々伸びている。
まだ切らなくていいか、と結論付けたフィアンマは、鉢植えを紙袋に入れる。
そして紙袋を手に『奥』から出ると、広間へと進んだ。
そこに居たのは、二人の魔術師。どちらも右方のフィアンマの同僚。
今回の鉢植え育成の手伝いを担う後方のアックア。
今現在『神の血』と『神の肉』摂取儀式を行っているのは左方のテッラ。
フィアンマは紙袋を見やり、少し悩んだ後、アックアを呼び寄せた。
アックア「何用である」
フィアンマ「見ろ」
ほら、と紙袋の中を見せるフィアンマ。
アックアは訝しがりつつも紙袋の中、ひいては鉢植えの中を覗き込み。
薬指の存在に気づくと、ほんの少しだけ眉をぴくりと動かした。
アックア「…指、であるか」
フィアンマ「昨日の栄養剤が効いたのかシーフードミックスジュースが有効手だったのかは不明だが、ひとまず成長したようだ」
アックア「進展、であるな」
ミニ人参のようだ、なんて感想を抱きつつ、アックアは頷いてそう呟く。
フィアンマ「先程は水をやったのだが、時間を空けてまた何かやる予定だ。暇潰しに付き合え」
アックア「暇潰し?」
フィアンマ「
>>37
」
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 23:20:12.77 ID:HbU6H2qB0
ksk
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 23:20:36.15 ID:zIniC7Z8o
チェス
38 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/07/29(日) 23:38:49.26 ID:2pYzgqUl0
フィアンマ「チェスだ」
アックア「…チェスであるか」
それならば、と了承したアックアから離れ、フィアンマはチェス盤やチェスの駒を用意していく。
広間のテーブルに置かれたチェス盤にきっちりと駒を所定の位置に並べ、フィアンマはアックアを向かいに座らせる。
勿論自分も椅子に腰掛け、足元に紙袋を置いた。
フィアンマ「先攻はお前に譲ろう」
アックア「…」コツ
アックアは、実を言うとあまりチェスは得意ではない。
一応出来ない事も無いのだが、強い方ではないのだ。
しかし、フィアンマに勝つ必要性はどこにもないので、別段負けてしまっても問題はない。
実に気楽な勝負である。
ポーンから動かしていくアックアの手つきを見つつ、フィアンマも静かに駒を進め。
幾通りもの戦況を頭の中で思い浮かべ、のんびりとフィアンマは駒を動かしていく。
結果としては、フィアンマの十二勝一敗。
十三回もチェスの試合を行えば、自然と時間は経過しているもので。
フィアンマの目論見通り暇潰しの役目を果たしたチェスセットは、フィアンマ自身の手によって片付けられた。
気づけば正午を少し時計の針が過ぎる頃。
フィアンマ「…ミギーに食事をやろうと思うのだが、何が良いだろうか」
アックア「
>>40
」
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 23:40:49.30 ID:SbjoG0lqo
ひまわりの種
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/29(日) 23:42:06.01 ID:zIniC7Z8o
柿ピー
41 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/07/30(月) 00:42:10.85 ID:dastMS760
アックア「日本の菓子、柿ピーはどうであるか」
フィアンマ「柿の種とピーナッツとがほどよく混合されたあれか」
アックア「土の中に軽く埋め込めば養分になると思うのであるが」
フィアンマ「ふむ、なるほど、なるほど」
相槌を打ち、フィアンマは紙袋片手に一人でふらっと大聖堂から出て行った。
言うまでもなく、柿ピーを購入するためである。
外に出たフィアンマは、輸入店で外国菓子にあたる柿ピーを購入し、噴水のある公園へとやってきていた。
『神の右席』は秘密組織の為、よほど組織内で上位にいる人間にしか、フィアンマの素性はわからない。
フィアンマは膝の上に紙袋を乗せ、中の鉢植え内に柿の種やピーナッツを押し込んで埋めていた。
どうかこれが養分になりますように、大きくなりますように、早く育ちますように。
そんな純真な祈りを捧げつつ埋め込み終わり、フィアンマは紙袋から僅かに鉢植えを覗かせて自分の隣に置いた。
日光浴で光合成、とはいかずとも、多少陽に当たる事で良い変化があるかどうか、見る為に。
片手には葡萄ジュースがあるが、いまいち飲む気力が湧かない。
これも鉢植えに注いでしまおうか、とやや短慮になりつつフィアンマが考えていると、誰かが近づいてきた。
自分に用があるのだ、と察し、フィアンマはその人物を見つめる。
人物は誰?(禁書キャラ名)>>+2
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/30(月) 00:50:34.78 ID:ihkOK8lG0
ksk
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/30(月) 00:53:54.46 ID:KFkG6b1No
一方通行
44 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/07/30(月) 06:52:36.58 ID:JJu2xRXG0
三つも掛け持ちして大丈夫か?
45 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/07/30(月) 21:00:13.18 ID:5wHxzcoN0
《
>>44
様 大丈夫です、あのスレはのんびり、このスレは速めにやっていきます》
近寄ってきたのは、一人の少年。
いたく細身で、白い髪に赤い瞳はまるでアルビノの如く。
学園都市では『一方通行』と呼ばれるその少年は、フィアンマの知り合いである。
互いに素性を知らないからこそ、いたって普通に会話出来る。
一方「よォ」
フィアンマ「久しいな。観光か」
一方「まァ、そンなところか」
そう返事をすると、一方通行はフィアンマの隣、鉢植えとは反対側に腰掛けた。
フィアンマは嫌がるでもなく、特別歓迎する訳でもなく、暇そうに、雲で覆われた太陽を見上げる。
一方通行もそれに倣うように空を見上げると、ちらりとだけ紙袋見やり、問いかけた。
一方「…パンかなンかか」
フィアンマ「どちらかといえばペットかな」
一方「あン? ペット?」
フィアンマ「まぁ、こちらにも色々と事情があるんだよ。あまり詮索しないでくれ。お前とはまだ友人で居たいのでな」
一方「そォかよ。…イイ天気だな」
フィアンマ「万事億劫になる程の日光だ。時に、相談があるのだが」
一方「相談?」
フィアンマ「そんなに仰々しいことでもないか。今、植物を育てているのだが、何かやった方が良いものはあるか? 水など、基本的なものは理解しているものの、余計な世話がわからなくてな」
一方「植物、ねェ…何育ててンだ」
フィアンマ「菊に限りなく近い、と答えておこうか。ある程度育ったら、支えを作ってやるつもりなのだが」
一方「菊か。…ンー」
フィアンマ「何か一緒に植え込むものや、水代わりにかけるもの。何でもいい。食用なのだが」
一方「
>>47
」
46 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/07/30(月) 21:04:03.23 ID:jaRe9GQqo
食用なんだ………
47 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/07/30(月) 21:08:36.27 ID:CQEzU4Yl0
肥料か栄養剤でいいだろ
水はミネラル水
48 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/07/30(月) 21:22:43.19 ID:5wHxzcoN0
一方「一般的な肥料か、栄養剤でイイだろ。水はミネラルウォーターだなァ。どうせ口に入るモンなら、育てる時点で、口に入る事を想定したモノ使った方が良いだろォよ」
フィアンマ「なるほど」
次から水はミネラルウォーターにしよう、と思いつつ、フィアンマはのんびりと相槌を打つ。
鉢植えをちらりと見てみるものの、変化は見当たらない。
まぁ、薬指が生えているのだからいいか、とフィアンマは至極簡単に結論付ける。
一方通行は先ほど観光と答えたにも関わらず、動く様子がまるで見られない。
だからといって詮索するつもりはなく、フィアンマは軽い調子で一つだけ問いかけた。
フィアンマ「一人か?」
一方「あァ」
簡素な返答をした一方通行は、ぼんやりと太陽を見上げる。
何か嫌な事でもあったかのような表情に思えた。
フィアンマは紙袋の中に鉢植えをしっかりしまいこんで、紙袋をそっと撫でる。
そして一方通行の表情を眺め、問いかけるでもなく、優しい語調で言葉をかけた。
フィアンマ「…何かあったのか? 浮かない顔をしているが」
一方「…オマエには関係ねェだろ」
フィアンマ「友人が悩んでいれば気になるものさ」
一方「はン、実質は暇潰しなンだろ?」
フィアンマ「否定はしないが」
一方「…まァ、悩みって程でもねェが」
フィアンマ「話すのなら止めんし、話さないのなら強要はしない」
一方「…相談してどォにかなるかは別としても、少しはイイか」
フィアンマ「ん?」
一方「
>>50
」
49 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/07/30(月) 21:35:55.37 ID:lds/3+Rz0
打ち止めと結婚したいンだが……どうすりゃいいンだ
50 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/07/30(月) 21:37:24.01 ID:lds/3+Rz0
>>49
51 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/07/30(月) 22:29:30.84 ID:5wHxzcoN0
一方「打ち止めと結婚したいンだが……どォすりゃイインだ」
フィアンマ「打ち止め…確か、お前が何とかの実験拒否をして無理やり引き取った子供、だったか」
一方「あァ。すげェイイ子なンだよ」
フィアンマ「…真面目に答えるならば、まずはその子供に戸籍を与え、保護者を別に付け、お前が18、その子供が16になるまで待って、その保護者の許可を取って結婚すれば良い」
一方「やっぱりそォなるよなァ…」
フィアンマ「まぁ、どうしても今すぐ、と急を要するのであれば、教会に二人で行って、その教会の神父に頼って式を挙げれば良い。神前婚だ。書類よりも誓いを重要視するヨーロッパではよくあることだよ」
一方「! …それでいく。ありがとよォ」
フィアンマのすらすらと淀みない返答に一方通行は珍しく目を輝かせ、笑みさえ口元に浮かばせながら、礼の言葉を口にする。
礼には及ばん、と首を横に振ったフィアンマは、傍らの紙袋を愛でるように撫でた。
一方通行は少し思考を巡らせた後、フィアンマに別れを告げて立ち上がり、公園から出て行った。
フィアンマは、一人取り残された公園で、手に持っていた葡萄ジュースを一気に飲み下し、ゴミを捨ててから、隣の鉢植えにそっと話しかける。
フィアンマ「…帰ろうか」
おう、と返事を受けたような気がして。
燃える赤を司る魔術師は、口元をぐにゃりと歪ませて、笑った。
差し込むタイプの液体肥料に、ミネラルウォーターの入ったペットボトル数本。
ずっしりと重い袋を一旦『奥』の一箇所に置いたフィアンマは、紙袋から鉢植えを出し、ミネラルウォーターをあげた。
心なしか、美味しそうに受け止めているように見えなくも、ない。
フィアンマ「…暇だな」
鉢植えに話しかけるか、と思い立ったフィアンマは、ぼんやりと考える。
何について話すか。
どんな事を話す?(抽象的可)>>+2
52 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/07/30(月) 22:31:25.20 ID:CQEzU4Yl0
ksk
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/07/30(月) 22:40:40.69 ID:CQEzU4Yl0
楽しいお話
54 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/01(水) 15:28:11.13 ID:VBHLjLDR0
フィアンマ「…お前は知らないと思うが、この間人助けをしたんだ」
優しく話しかけ、フィアンマは指先で鉢植えを触る。
そして鉢植えの近くに椅子を置くと、つまり、窓際近くで椅子に腰掛けた。
フィアンマ「転んでいた子供がいたのだが、手を差し伸べるとおずおずと掴んで、礼の言葉を言ってくれた。個人単位の善行などほとんど意味が無いとはわかっているのだが、…どうせ、世界を救った後、地上で人に優しくすることも無くなるからな」
フィアンマ「あぁ、その時に飴をもらったんだ。表面がミント、中身が苺ソース、というやや不思議な味がした」
何も語らない鉢植えに話しかけ、フィアンマはにこにこと笑んだ。
ローマ正教を裏で牛耳る男だが、その本質は善人だ。
人が死ねば悲しむし、罵倒されれば傷つくし、困っている人を見れば助けたいと思う。
ただし、それは彼の人間味の部分であって、普段は分離されていることが多い。
フィアンマ「今度、お前も食べてみるか?」
甘い飴を、と付け加えつつ、フィアンマは首を傾げる。
少しだけな、という返答が聞こえた気がして、フィアンマは無邪気に笑ってみせた。
夜中。
まだ深夜と呼ぶ時間ではないものの、仕事を片付けたフィアンマは暇を持て余していた。
やることがない。わざわざ誰かを呼ぶのも申し訳ない。
仕方ない、また鉢植えに話をするか、と思いつつ、フィアンマは鉢植えを見やる。
鉢植えの育ち具合(例:人差し指から薬指まで生え揃ってる)>>+2
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/01(水) 16:17:12.77 ID:Vru8KWsSO
>>1
のあくなきフィアンマLOVEはとどまることを知らないなwwwwww3スレ掛け持ちかつヒロイン?同じとか
>>1
はマジ化け物levelだわ(笑)
56 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/01(水) 17:03:00.85 ID:YWPXOiWt0
手首から上が全部生えてる
57 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/01(水) 20:06:53.73 ID:q1Da7M5R0
昼時と打って変わって、著しい成長だった。
土の中からは元気に手が広げられており、手首から先は全て生え揃っていた。
唯一残念な部分といえば、手のひらの真ん中辺りから不要な親指や人差し指が生えてしまっているということ。
しかし、育ってくれたことには何ら変わりなく。
まるで自分の思い(=早く育って欲しい)を体現するかのようにすくすくと育ってくれた右手にときめきを感じつつ、フィアンマはにこにこと機嫌よく笑顔を浮かべた。
フィアンマは鉢植えを見つめ、静かに近寄ると掌に触れる。
三本程余計な指が生えてしまっているので、これは間引きしなければならない。
本来指があるべき場所には、ちゃんと五本指で収まっている。
掌から突き出て生えている指にもちゃんと骨があるらしく、鋏みでちょきんと軽く切る事は出来ないだろう。
ひとまず収穫するにはまだ早い。右肩から生えているように、長い右腕が成熟の証なのだ。
フィアンマ「…ひとまず、切断するか」
フィアンマの言葉に呼応するかのように、手が蠢く。
まるで切断されるのを嫌がっているかのようで心が痛むものの、仕方がないことなのだ。
フィアンマは宥めるように右手の甲を優しく撫でてやり、近くの棚から果物ナイフを取り出す。
フィアンマ「少々痛いと思うが、我慢してくれ」
魔術で止血することは出来ない。
ということで、用意したのはガーゼや包帯、消毒液。
フィアンマは深呼吸すると、右手をしっかりと掴む。
彼自身にあまり握力は無いが、少年の右手を握って離さない程度の力はある。
フィアンマ「…さて、しばらく我慢していろよ」
さんにいいちぜろ。
イタリア語でそう呟くと果物ナイフで、フィアンマは指を切り落とす。
余分な指は土の上に落ち、掌からは当然の事ながら出血した。
非常に痛々しい気持ちになりつつ、一気に指を切り落としたフィアンマは、血が出過ぎてしまわないよう懸命に手当を始める。
叫ぶ事が出来ない代わりに、右手はがむしゃらに指を動かして痛みに悶えた。
どうにか掌への手当を済ませ、しっかりと包帯を巻いたフィアンマは、機嫌を取るように右手を優しく撫でる。
フィアンマ「…すまなかった。痛かったか?」
何も答えないながらも、右手はべしべしとフィアンマの左手を叩く。
フィアンマは苦笑しつつ謝罪の言葉を口にしながら、土の上に落ちてしまった指を拾い上げる。
しばらく慰めの言葉をかけ、ついでにミネラルウォーターを鉢植えの中に注いだ後、フィアンマは部屋から出た。
手の中には指がある。
やがてアックアを見つけたフィアンマはてくてくと近寄り、声をかけた。
アックア「何用であるか」
フィアンマ「もうすぐ深夜という事は重々承知だが、まずはこれを見ると良い」
フィアンマが手を開いてアックアに見せたのは、少年らしい三盆の指。
笑顔で見せてくるフィアンマに気味悪さを覚えつつも、アックアは顔にも口にも出さず、問いかける。
アックア「もう収穫時期であるか」
フィアンマ「いや、これは間引きした分だよ。食べようと思うのだが、何にして食べるべきかな?」
アックア「料理か…」
フィアンマ「あまり量は無いが、捨てたくはない。肉特有の臭みは少ないと思うのだが…どのような料理が良いか…」
アックア「
>>59
」
58 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/01(水) 20:12:53.04 ID:Vru8KWsSO
カニバリズム恐いのである
59 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/01(水) 20:20:48.43 ID:ShhcYBgPo
薄く切って刺身にしたものと、野菜などと炒めたもの2品
60 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/01(水) 22:50:28.29 ID:hQgT3qof0
アックア「薄く切ってサシミにしたもの、野菜等と炒めたもので二品を勧めるのである」
フィアンマ「刺身、か。酸っぱくないと良いのだが」
子供が宝物を持つようにやわやわと指を握り、その度に断面から溢れた血が自分の手を汚す事も厭わず、フィアンマは何か納得したように数度うんうんと頷く。
そして、思い出したようにアックアを見上げて問いかけた。
フィアンマ「ところで、お前も食べ「気遣い無用である」そうか?」
アックアの即答に首を傾げつつ、フィアンマは踵を返して自室方向へと消えた。
言うまでもなく、調理作業を行う為に。
危うく人の指を(緊急時でもないのに)食べるところだったアックアは、冷や汗をかきながら深呼吸するのだった。
指を綺麗な水でよく洗い、骨を引き抜いて捨て、爪を剥がしてこれも捨てる。
骨や爪は煮込んでスープ、はたまた粉末にしてクッキーでも作ろうかと思ったものの、面倒になったため、やめた。
アックアのアドバイス通り、脂肪で包丁が滑らないよう数度拭き取りながら、丁寧にスライスする。
白い皿に並べると、指紋が透けて見えた。
フィアンマ(ソイソースが無かったな。…塩で代用するか)
確か天麩羅は塩で食べた筈、などと思いつつ、フィアンマは残りの二本の指の骨と爪を同じように処理し、そちらは細かく刻んでオリーブオイルで炒めた。
ついでにパプリカや人参なども一緒に炒める。
途中塩胡椒で味を整え、こちらも皿によそい。
つまみと食事の中間、といった夜食の出来上がり。
テーブルに並べ、椅子に腰掛け、フィアンマは神に祈ってからのんびりと食べ始める。
フィアンマ(…美味い)
少々繊維質だというのは否めないが、刺身の方はその食感を楽しむ為に少しだけにしたし、残りの二本の方も臭みはなく、酒を使いつつよく炒めたからか、それなりに甘味が出ている。
もぐもぐ、と咀嚼しつつその端正な顔立ちに至福の色を浮かばせ、フィアンマはゆっくりとした夜食を終える。
フィアンマ「…ただいま」
私室に戻り。
フィアンマはそう鉢植えに話しかけながら、そっと手の甲へ触れる。
上条当麻の右手首はそっぽを向くように、フィアンマの手を弾いた。
フィアンマ「…そう怒るなよ。必要だったんだ」
弁解しても謝罪しても効果なし。
さてどうしようか、とお手上げ状態でため息をつき、フィアンマは右手を見つめた。
食虫植物のように、時折うごめいている。どことなく、可愛い。
フィアンマ「…どうしたら、赦してくれるんだ?」
鉢植えが何か喋る訳もなく。
フィアンマ「……幻想殺し」
鉢植えの機嫌を損ねてしまった。どうする?>>+2
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/01(水) 22:51:53.57 ID:6jA+LntD0
高級な栄養剤を与える
62 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/01(水) 22:53:21.42 ID:ShhcYBgPo
優しく話しかけながら腕を撫でる
63 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/02(木) 17:10:02.18 ID:15cKm+210
右手はぐっと拳を握り、以来ぴくりともせずにそっぽを向いたまま。
人間であれば、『これ以上こっちきたら殴るからな』と言わんばかり。
しかし、その程度で怖気づくような人間が『神の右席』の座についている訳もなく。
フィアンマはしばらく悩んだ後、未だ痛々しく包帯を赤く染めている掌や先ほど弾かれた手の甲ではなく、露出部分の少ない手首を撫でた。
猫撫で声一歩手前の、まるで子供に話しかけるかのような優しい声音で話しかけながら。
目は笑っていないが、心なしか、第三者から見れば、フィアンマが落ち込んでいるように見えなくもない。
フィアンマ「……、…幻想殺し。すまなかった。本当に、俺様が悪かったよ」
フィアンマが謝る、ということは非常に珍しい。
傲岸不遜を地で行く彼は誰に対してもほとんど敬語を使わないし、まして、謝罪や感謝の言葉は、本気では口にしないタイプだ。
上っ面だけの謝罪や労い、感謝の言葉はあれど、落ち込みながら真面目に謝罪したことはなく。
真剣な謝罪に多少機嫌を直したのか、ぐぐ、と力を篭めて握られていた手はやがてゆるゆると開かれていった。
まるで心を開いたことを、そのまま体現しているかのように。
鉢植えにとって、水をやり、栄養になるものを埋め、話しかけてくれるフィアンマは親のようなものだ。
農作物は生産者の愛情を受けた分だけ美味しく育つというが、右手の場合は動きにも現れるという訳である。
右手の機嫌の良さを勝ち取る事に成功したフィアンマはほっとしつつ手首を優しく撫でる。
くすぐったいのか、右手はもぞもぞと蠢き、こちらを触れとばかりにフィアンマの手の甲を指先で触った。
フィアンマもその動きに応じるように、今度は手首ではなく、右手のひら、その傷口を避ける形で優しくさする。
労わるように、愛でるように。優しく。慈愛を籠めて。
犬猫の頭を撫でるかのように可愛がりつつ、フィアンマは楽しそうに目を細める。
正直、彼としてはまともな人間相手よりも、こういった人間でないものの方が付き合いやすかったりするのだ。
フィアンマ「先ほど切った分は頂いたが、実に美味だったよ。お前はメインディッシュ向きだな。下準備が疲れたが」
沈黙したまま、少し恥ずかしがるようにもぞつく右手の様子に笑い、一度そっと握手をした後、フィアンマは鉢植えから離れてベッドに横たわる。
もうすぐ夜明けだが、数時間でも寝ておかないと、疲れが違う。
フィアンマ「…おやすみ」
もぞ、と右手が動いたような気がしながら、フィアンマは目を閉じて眠りにつくのだった。
翌朝。
目を覚ましたフィアンマは鉢植えに近寄り、眠気を我慢しながらじっと様子を眺めていた。
二度寝をしてもいいのだが、あまり堕落した生活を送りたくない。
フィアンマ「…、おはよう」
言葉を返す代わりに、右手は指を少しばかり動かした。
右手も眠るのだろうか、これは寝相か何かなのか、とゆっくり首を傾げつつ、フィアンマは右手を撫でる。
こちらには、右手は反応を返さず。やはり先程身じろいだのは寝相かもしれない。
フィアンマ「…んー」
暇そうな声を出し、フィアンマはしばらく悩む。
何を注ぐべきか。
鉢植えに何をやる?(液体)>>+2
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/02(木) 17:40:36.85 ID:2H+jg7p7o
ハチミツ
65 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/02(木) 17:42:38.61 ID:wsP4kGKK0
学園都市製超高級超効能栄養剤
66 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/03(金) 01:46:30.24 ID:fDiGmFgAO
フィアンマ「…ひとまず、買い出しに行ってくる」
思い立ったフィアンマはそう囁くと、静かに部屋から出て行った。
なるべく足音を立てなかったのは、右腕の眠りを妨げない為。
利用するために育て始めたとはいえ、丁寧に育てていれば愛着も湧いてくる。
フィアンマが部屋を出、外出して向かった先は輸入店。
少々値は張るが、魔術科学問わず各国の様々なものが並べられている。
その中から購入したのは、学園都市製の、超高級、且つ超効能栄養剤。
かなりの出費だったが、自分のやりたい事に全力を注ぎ、後悔しないのが右方のフィアンマという男である。
『奥』の私室に戻ったフィアンマは、のんびりと栄養剤を鉢植えの土の中に埋め込んでいた。
固体とも液体ともつかないそれはゼリー状。
土に軽く穴を掘り、数個栄養剤ゼリーを埋め込んだフィアンマは、どうか有用な養分になりますように、と願いながら、鉢植えに微笑みかけた。
フィアンマ「…早く大きくなるんだぞ。そして世界を救わせてくれ」
右腕は指先をぴくつかせて応答する。
フィアンマは鉢植えを日光浴させる事に決め、広間へとやってきた。
捕まるのは勿論、後方のアックアである。
フィアンマ「…退屈だ」
アックア「…私に何を要求しているのであるか」
フィアンマ「娯楽だよ。暇潰しだ」
傲慢な態度はいつもの事としてまた面倒な、と思いながら、アックアは深く深くため息をつきかけ、呑み込む。
フィアンマ「何か考えろ」
アックア「
>>68
」
67 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/03(金) 06:45:27.92 ID:kHdtsqgh0
ksk
68 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/03(金) 07:02:01.32 ID:G7mFdE7SO
では今から私が全裸にボディペイントして腹躍りを小一時間やるのである
69 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/03(金) 07:10:34.12 ID:G7mFdE7SO
失礼誤字。
×腹躍り
○腹踊り
70 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/04(土) 01:20:53.66 ID:RPHVnNie0
アックア「…では、今から私が全裸にボディペイントをして腹踊りを小一時間やるのである」
フィアンマ「…、」
アックアの申し出に、フィアンマは目を瞬いた。
そしてその後に、満足そうな笑みを浮かばせてみせた。
フィアンマ「やってみろ」
アックア「無論である」
二時間後。
フィアンマは、人体の持つ大きな可能性に感動を覚えていた。
腹筋とはあのように軽やかな動きを見せるものなのか。
胸筋とはあのように雄々しくも軽快な動きを持つものなのか。
フィアンマはあまり体を鍛えない主義ではあるものの、筋肉に関する感動に浸っていた。
ただし、表情には出ていない為、つまらなそうではあるが。
ちなみに、何故感動したかというと、言うまでもなく後方のアックアの完璧な腹踊りを見たからだ。
ときめきとまではいかないものの、アックアの評価を自分の中で非常に高めつつ、フィアンマは自室へと戻ってきた。
そして例のごとく鉢植えの中を覗き込み、日光浴をやめさせるべく、そっと日陰の方へと移動させる。
フィアンマ「少し時間を潰してきた。中々に愉快だったよ」
何も語らない鉢植えを撫で、フィアンマは微笑みかける。
右腕は何センチまで伸びたのか?(伸びしろは全長最大84cmです)>>+2
71 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/04(土) 01:46:35.99 ID:/Yvwjv5SO
wwwwwwヴィリアンとかにも見せたかったなksk
72 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/04(土) 02:07:37.99 ID:4pj1SA6wo
+7cm
73 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/04(土) 02:43:35.34 ID:mfGPhlBAO
日陰範囲内のテーブル上に、鉢植えを。
そして近くに椅子を置き、そこに腰掛けながら、フィアンマは右腕を見守る。
日光浴は確かに効力を発揮したらしい、放置を始めた当初よりも七センチ程伸びた。
フィアンマ「…大きくなったな」
まるで親戚の子供でも褒めるような気軽さでそんな評価を下し、フィアンマは右腕に触れる。
少年らしい、健康そうな右腕は、元気そうに身動いた。
指先を暇そうに触り、くすぐったそうにばたつく右腕、その手指の動きを眺めながら、フィアンマは退屈そうに頬杖をつく。
一方的な会話、というのも、中々に飽きてしまうものだ。
フィアンマ「…ミギー」
何となしにニックネームを呼び、返事をするように動いた右腕手首をやわやわと握り、その体温に安らぎを覚えながら、フィアンマは欠伸を噛み殺した。
鉢植えに何をあげる?(液体等)>>+2
74 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/04(土) 03:33:04.86 ID:2p8ZZpREo
いちごおでん
75 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/04(土) 03:42:02.13 ID:4pj1SA6wo
スポーツドリンク
76 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/04(土) 04:16:36.32 ID:mfGPhlBAO
次は何をあげようか、と思案して。
結果、フィアンマが与える事に決めたのは、自分用のスポーツドリンクだ。
食欲が無い時に飲む事にしているそれは甘ったるく、少々濃度が高い。
そのため、フィアンマはスポーツドリンクにミネラルウォーターを足し、多少薄めてから与える事にした。
ほんの少し白濁を感じさせる液体はみるみるうちに土へと染み込んでいく。
右腕は涼しいのか美味しいのか、心地良さそうに、ぴん、と指を真っ直ぐに伸ばした。
フィアンマは楽しそうに微笑み、スポーツドリンクを全てかけ終わった後にゴミを捨て、右腕に触る。
手を握り返してくる右手の甲に、軽く口付けを落とすと、フィアンマは再び頬杖をついた。
右手は多少気恥ずかしかったのか、もぞもごと動いている。
その動きに可愛らしさと癒しを感じ取り、フィアンマはテーブルに両腕を重ね置き、頭をもたれて目を閉じた。
丁度、学生が授業中に眠るようなスタイルだ。
鉢植えに顔は近いが、別段土臭くもない為、問題無し。
フィアンマ「…おやすみ」
昼寝(シエスタ)する事に決めたフィアンマはそう言うなり、数秒後、浅い眠りへと堕ちていった。
右腕『…………』
右腕はどうする?>>+2
77 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/04(土) 04:16:54.65 ID:2v0vzkhJo
ksk
78 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/04(土) 04:45:39.63 ID:4pj1SA6wo
影絵
79 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/04(土) 04:47:26.46 ID:/Yvwjv5SO
前後に揺れ、鉢植えを倒し、わさわさ動いて散歩
80 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/04(土) 06:48:14.35 ID:HmhYEqKC0
>>79
アダムスファミリーのハンド思い出した
てゆうか見てる
81 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/04(土) 08:29:43.63 ID:/Yvwjv5SO
アダムスファミリー名前しか知らん…
82 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/04(土) 09:40:53.31 ID:4qw/JoaW0
>>81
見てみな
83 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/04(土) 18:46:16.19 ID:NGIBGoJY0
右腕はというと、やることがなく。
少し動いて散歩をしようかとも考えたようなのだが、結果的に行ったのは、所謂影絵。
誰に見せる為のものでもなく、何となく、暇潰しで。
ペットは飼い主に似るというが、この右腕のやたら退屈するクセはフィアンマに似てしまったのかもしれない。
うごうご、と指先を動かし、壁に狐などを指で表現している右腕は傍目にも不気味且つ可愛らしい。
三十分程影絵に熱中してみたはいいものの疲れてしまったのか、右腕はだらんと手首から先を垂れる。
フィアンマが目を覚ました頃には、右腕が影絵をしていたと知る証拠すら残っていなかった。
何やらしおれている右腕を見つめ、フィアンマは不思議そうに首を傾げる。
自分が眠っている間に何かあったのだろうか。いや、それであればすぐさま気づいている筈。
フィアンマ「…スポーツでもしていたのか?」
そういえば、猫は飼い主が見ていない間に身動いて一人運動会を始めると聞く。
そのような感じで、右腕も一人運動会をしていたのかもしれない。
そう脳内で結論付けつつもやはり疑問は残り、首を傾げながら、フィアンマは力なく垂れる右腕を撫でる。
右腕は疲れ果て、何の反応も返さないまま、ぐったりとしていて。
フィアンマ「…疲れている、というのは理解出来るのだが」
どうして疲れているのだろう。
フィアンマはしばらく考え込んでみたもののやはりさっぱりと不明で、ひとまずこの問題は放置することに決めたのだった。
ふと、鉢植えに飴玉をあげる事を約束していた、とフィアンマは思い出す。
あの子供にもらった飴は何か分からない。思い出せない。
何味の飴をあげようか。
依然元気の出ない右腕を愛でるように撫でつつ、フィアンマは思考する。
鉢植えに何味の飴をあげる?>>+2
84 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/04(土) 19:12:25.54 ID:2v0vzkhJo
ksk
85 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/04(土) 19:15:28.28 ID:/Yvwjv5SO
マイクタイソンのボディブロー味
86 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/05(日) 02:04:24.26 ID:MZ7mNaDAO
ひとまず買い物に行けば見つかるか、と結論を叩き出し。
鉢植えを撫で、フィアンマは億劫ながらも眠気覚ましを兼ねて出掛けるのだった。
夕暮れ時のイタリアは程良く涼しい。
フィアンマは菓子店へとやってきていた。
量り売りでガムや飴、キャラメルからゼリーまで、様々な菓子が売っている。
時折面白いキワモノを販売している事もあり。
フィアンマ「…、」
フィアンマが選んだのは、そんなキワモノ。
アメリカ出身プロレスラー、マイクタイソンのボディブローを再現したかのような衝撃をあなたに、と書かれたスパイシー且つミント味のきつそうなキャンディー。
〈マイクタイソン:アメリカ合衆国の元プロボクサー。1980年代後半から1990年代にかけての全盛期にはパウンド・フォー・パウンドともいわれた、アメリカのヘビー級ボクサーである〉
衝撃的なキャンディーと甘い苺練乳キャラメルを購入したフィアンマは戻り、再び鉢植えに近寄ったかと思うと、衝撃的キャンディーを土の中へと埋め込んだ。
右腕はよくわからないままに、拒否も出来ないまま、もぞもごと受け入れる。
数秒後、右腕がじたばたと暴れ始めた。
ボディブローを喰らっている人間のように。
つまり、なにやら苦しんでいるような動きにどうしようか、とフィアンマは悩む。
フィアンマは鉢植えに対してどうする?>>+2
87 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/05(日) 02:07:19.92 ID:nVoHmioro
消毒薬をぶちまける
88 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/05(日) 02:09:25.94 ID:OJffVxzj0
水をやる
89 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/05(日) 02:49:31.82 ID:MZ7mNaDAO
フィアンマは考えこんだ末、ミネラルウォーターのキャップを開け、中身をどぼどぼと鉢植えの中に注いでいく。
最初こそ飴が溶けたのか更に苦悶の様相を呈したものの、更に水をやり続ける事で飴の溶けた液ごと受け皿に流れたのか、右腕は安心したように脱力した。
フィアンマは受け皿の中身を捨てて再度水をやり直し、甘いキャラメルを土の中に埋め直した。
右腕はぴくりとした後、異議を思い出したようにフィアンマの腕を叩いた。
地味な痛みに苦笑しつつ謝罪すると、フィアンマは右腕を撫で、鉢植えを火の魔術の応用でほんの少し暖める。
すると土の中の苺練乳キャラメルが溶けたらしく、その甘さに、右腕はまるでぬるま湯に浸かった人間のように、心地よさそうにだらんと垂れた。
フィアンマ「…機嫌は直ったか?」
フィアンマの問いかけに返答するように、右腕はぶんぶんと手を横に振る。
その激しい拒否姿勢に苦笑いしながら、フィアンマは再び学生が授業中眠るかのような体勢をとる。
電灯や蝋燭を点けていない室内は真っ暗だ。
フィアンマ「…俺様の救済方法は正しいのだろうか。…神罰を下して、人を従わせ、全ての歪みを正し、不幸を抹消しようと考えるのは。……お前は、どう思う?」
右腕『
>>91
』
90 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/05(日) 02:51:09.03 ID:YHKkkFJn0
ksk
91 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/05(日) 02:55:29.59 ID:LLKUewzf0
ブーイングサイン
92 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/05(日) 03:07:37.41 ID:MZ7mNaDAO
フィアンマの弱音や愚痴にも等しい、相談と呼べるかどうかすら曖昧な問いかけに対し、右腕は指を握りブーイングサインの形を作った。
それ即ち、否定の意思。 真っ暗な室内でも、所謂夜目になったフィアンマは右腕の手の形が分かり、苦笑する。
だからといって、意見を聞いたにせよ、それでフィアンマのやる事が変化する訳ではない。
フィアンマ「…ひとまず、別の方向性からの『救い』も検討してはみるが」
身近な人を助けて満足するのでは足りない。
世界は歪みにより、崩壊の危機を迎えている。
フィアンマはそれを放置する罪悪感に耐えられない。
そこまで非情な人間ではない。
フィアンマ「…」
フィアンマは、暇そうに右腕に触る。
共依存にも近しい関係性。
フィアンマはこの奇怪な右腕に対し、確実に癒やしを得ている。
収穫が怖くなる程に。
フィアンマ「…そういえば、そろそろ支えを作らねば。お前には真っ直ぐ伸びて欲しいからな」
支えの素材(割り箸など、材質硬めで真っ直ぐなもの)>>+2
93 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/05(日) 03:20:44.78 ID:YHKkkFJn0
ksk
94 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/05(日) 03:25:40.03 ID:ivZGERb00
チタンの棒
95 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/05(日) 06:44:38.00 ID:ZOTVla5SO
かってに改蔵懐かしいな
96 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/05(日) 13:24:42.28 ID:9T+BH3H/0
フィアンマはじっと右腕を見つめた後、術式に使う道具等が収納された棚を漁り始めた。
十数分漁り、やがて取り出したのは一本の棒。
チタンで作られた硬い硬い棒だ。
<チタン (英: titanium, 羅: titanium) は、原子番号22の元素。元素記号は Ti。
チタン族元素の一つで、金属光沢を持つ遷移元素である。チタニウムと呼ばれることもある。
地球を構成する地殻の成分として9番目に多い元素で、遷移元素としては鉄に次ぐ。
普通に見られる造岩鉱物であるルチルやチタン鉄鉱といった鉱物の主成分である。
自然界の存在は豊富であるが、集積度がさほど高くないことや製錬が難しいことから、金属として広く用いられる様になったのは比較的最近である。
チタンの性質は化学的、物理的にジルコニウムに近い。
酸化物である酸化チタン(IV)は非常に安定な化合物で、白色顔料として利用され、また光触媒としての性質を持つ>
ちなみにこれは『土』の属性の術式に必要なものにあたり、フィアンマに強い所有権があるものではない。
しかし、そのような事は右方のフィアンマには一切関係の無い事だ。
左方のモノは右方のモノ。
つまり、お前の物は俺様の物、とそういう訳である。
他にタコ糸を用意したフィアンマは、チタンの棒を腕の背後にそっと埋め込み、しっかりと立たせた後、その支えに右腕の手首部分を軽く縛り付けた。
うっ血してしまわないように、しかしちゃんと支えられるよう、ある程度計算しながら程よい強さで。
支えに縛られた右腕は少々不服そうに身じろいだものの、強い抵抗は見せず。
フィアンマの菓子的暴行に疲れ果てたのか、ぐったりとしている。
フィアンマはといえば、再び居眠りスタイルへと戻って。
以前部屋の灯りは灯していない。だからといって別にフィアンマは根暗という訳ではない。
ただ単に、そう、ラプンツェル属性というだけである。
フィアンマ「…退屈だな」
右腕は何も語らず。
フィアンマ「……何か欲しい物はあるか?」
右腕『
>>98
』
97 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/05(日) 13:56:33.90 ID:dt2Bk5uSO
ksk
98 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/05(日) 14:21:01.76 ID:JU8eAbPWo
筆記用具
99 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/05(日) 14:31:34.37 ID:ZOTVla5SO
自由
100 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/05(日) 16:01:58.98 ID:1/jLkoQr0
右腕がジェスチャーで欲するものを表す。
何か、ペンを持つようにして、書く動作。
フィアンマは注意深く右腕の動きを見つめ、頷いた。
一応、確認を取るかのように問いかけて。
フィアンマ「筆記用具、という解釈で構わんか?」
右腕は、それだ! と言わんばかりにぱたんと動く。
フィアンマは頷いて部屋の明かりを点けると筆記用具を探し始める。
チョークはやたらとあるものの、意外にも普通の筆記用具が見当たらない。
辛うじて見つかったのは、自分が私用に時折使っているメモ帳と万年筆風ボールペン。
果たして右腕は教えてもいない字を綴れるのか、はたまた絵でも描いて自分の気持ちを表現するのか。
確かな事は不明なままに、フィアンマは用意した筆記用具を手に右腕に近寄る。
フィアンマ「これがボールペンだ」
盲目の人のサポートをするように、蓋を外し、尻に付け、フィアンマはそっと右腕に握らせる。
書きやすいように、きちんと正しい持ち方で。
右腕は数度ボールペンをにぎにぎと確かめた後、何かを探すような手ぶりを見せた。
フィアンマはメモ帳を右手近くに差し出して話しかける。
フィアンマ「今ボールペンの先にあるのがメモ帳だ」
右腕はうごうごと反応を示した後、ボールペンの先端で数回メモ帳表面を触った。
つんつん、とつついて距離感を掴んだのか、右腕は何やら考えるような、ためらう素振りを見せる。
フィアンマ「…好きなことを書いてみると良い。メッセージでも構わん。イタリア語、英語、フランス語、ラテン語、日本語、ヘブライ語程度ならすぐわかる」
右腕はしばし静止した後、のろのろとメモ帳のページに何かを書き始めた。
右腕はメモ帳に何と書いた?(内容)>>+2
101 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2012/08/05(日) 16:05:41.48 ID:Y+/i4jtAO
ksk
102 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/05(日) 16:05:42.84 ID:BML+im6W0
ヴェントの子宮を犯したい
103 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/05(日) 16:06:24.32 ID:ZsfSDOPvo
右腕wwwwwww
104 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/05(日) 16:58:29.98 ID:Mo1bhrZ+0
つらつらと綴ったのは、少々汚い日本語。
ご丁寧なことに漢字まで使って綴られたその言葉は、ひどく淫猥且つある意味において思春期の少年らしいそれではあった。
メモ帳『ヴェントの子宮を犯したい』
フィアンマ「……、…」
一応聖職者を自覚しているフィアンマとしては、何とも言えない気分になりつつ。
しかし所詮これは試し書きだと無理やり結論付け、フィアンマはおもむろにメモ帳を破って燃やし捨てた。
ガーン、とショックを受けた様子の右腕を撫で、フィアンマは深く深くため息を吐く。
フィアンマ「…フィストファックか」
うご、と右腕が返答を返す。
フィアンマは少々面倒臭い気分になりながら右腕を撫で、優しく諭す。
本職の神父らしい諭し方は、見目に似合っている分、普段とのギャップが著しく、恐ろしく、気味が悪い。
フィアンマ「…良いですか」
右腕『……』
フィアンマ「貴方の考えている事は叶いません。如何なる努力をしても成功はしません」
右腕『……』
フィアンマ「如何様に不服を唱えても無駄です」
右腕『……』
フィアンマ「そもそも貴方に性欲は発生しないはずなのですが。となれば、それはただの暴力行為に他なりません」
右腕『……』
フィアンマ「私は貴方の行動を制限し、思想を矯正する権利を持ちます」
右腕『……』
フィアンマ「お分かりですか?」
親指を握られ、あらぬ方向へぐぐぐと曲げられながら、右腕は冷や汗をかく。
指の一本や二本折って意思を変えさせても良いんだぞ、というマフィアにありがちな脅し。
フィアンマ「返事をしてくださいと言うのは酷ですね。イエスであれば指を二回、はいであれば指を二回動かしてください」
『イエス』か『はい』かしか認めない、最悪の二択。
右腕は仕方なく小指をぴくぴくと二回動かすのだった。
フィアンマ「…で、他に何か伝えたい事は」
先程の丁寧な口調とは打って変わり、いつも通りの尊大な口調でフィアンマが問う。
メモ帳をつんつん、とボールペンの先でつついた右腕は、かりかりとメッセージを綴った。
右腕はメモ帳に何と書いた?(内容)>>+2
105 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/05(日) 17:00:55.11 ID:EH1jHQt10
なんだか身体も生えてきそうな気がする
106 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)
[sage]:2012/08/05(日) 17:06:07.22 ID:Y+/i4jtAO
貴方のペニスを握りたい
107 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/05(日) 17:23:33.01 ID:Mo1bhrZ+0
今回綴られたのは、英語混じりの日本語。
またしても懲りずに淫猥なそれであった。
メモ帳『貴方のペニスを握りたい』
どうしようかな、とフィアンマは思った。
響きとしては晩御飯のメニューを考えているかのような軽さ。
実際考えているのは、どの指から折ろうかな、という残忍な事である。
右腕は何かを期待しているのか、うごうごそわそわとしている。
フィアンマはメモを綺麗に燃やし捨て、右腕を撫でて微笑んだ。
にっこり、と。効果音をつけても違和感の無い程完璧な笑顔。
フィアンマ「…心が痛むが、折るしかないようだな」
右腕『……』
びく、と震えた右腕は、必死に言い訳を始める。
さっきのはジョーク、悪乗り悪乗り、だから赦して。
何とな動きからそのようなニュアンスを読み取ったものの、フィアンマは笑顔を隠さずに右腕を握った。
腕相撲のようなスタイルで、支えにより逃げる事の出来ない右手首をしっかりと握り。
フィアンマ「流石に折ると回復に時間がかかるからな」
右腕『……』
許してもらえた、という雰囲気を感じ取り、右腕が嬉しそうに蠢く。
次の瞬間、無残にも指の関節は無理やりズラされていった。
フィアンマは鉢植えを放置して広間へ来ていた。
怒っている、というよりも呆れた、といった様子で。
指の関節は外したまま放置である。不幸な右腕。
フィアンマの機嫌が悪い事に気づいたアックアはフィアンマの様子を眺めて悩む。
かけるにあたってベストな言葉など浮かぶ訳もない。
となれば、何か飲み物を差し出すべきか。
アックアはフィアンマに何を差し出す?(食べ物可)>>+2
108 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/05(日) 17:37:18.00 ID:ZOTVla5SO
ksk
109 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/05(日) 17:39:14.83 ID:BML+im6W0
自分の精液ジュース
110 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/05(日) 17:52:12.47 ID:Mo1bhrZ+0
アックアはしばらく悩んだ。
悩んだ末に、とんでもない結論を叩き出した。
彼を責めるのは少々大人気ない。疲れていたのだ。
加えて、ある意味魔術的な意味において、間違ってはいないのだ。
即ち、後方のアックアがフィアンマへと差し出したのは、ココナッツミルク…に見せかけた、精液の入ったジュース。
半分以上はココナッツミルク飲料ではあるものの、かすかに味にそれは混ざる。
ちなみに、古来より頭が良いとされている魚の頭を食べる事で頭がよくなる、肝臓の悪い者は死者の肝臓を食べる事で肝臓がよくなる、といったオカルト的術式はある。
フィアンマはアックアから差し出されたコップの中身をロクに見もしないで一気に半分程飲み下し。
甘い甘いココナッツミルクの中から少しばかり香る精液独特の臭いに眉を寄せた。
しかし、その場で嘔吐したりはしない。
事実を知ったとしても、それはそれで仕方がないとフィアンマは割り切れる人間だ。
前述の通り、そのようなオカルト的術式による体調回復例があるからである。
バレただろうか、といつも以上に神妙な面持ちを保つアックアを見やり、フィアンマは笑顔で残り半分を差し出す。
断れない笑顔、というやつだ。
だが、中身を知っているアックアとしては固まる他無い。
ひとまずここで受け取って残りは捨てようか、と考えたアックアの思考を見透かすように、フィアンマは先ほど飲んだココナッツミルクのように甘ったるい声で問いかけた。
フィアンマ「何だ、俺様から受け取り返した盃では飲めんというのか?」
アックア「今喉が渇いてい「早くしろ」…」
結果として、アックアはより多く精液が沈殿した方を飲む事となり。
フィアンマはアックアの様子を鼻で笑いつつ誘い、広間でチェスを開始した。
右腕は以前放置で。
二時間後。
まともな紅茶(甘いレモンティー)で精液の苦味を完全に払拭したフィアンマは、部屋へと戻ってきた。
哀れにも右腕は無残な姿でピクリとも出来ないままでいた。
フィアンマはのんびりと右腕に触れ、関節を元の場所へと戻していく。
やがて完璧に元の状態へと戻すと、フィアンマはのんびり問いかけた。
フィアンマ「反省したか?」
右腕『
>>112
』
111 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/05(日) 18:42:45.02 ID:jrj6ABjc0
ksk
112 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/05(日) 18:52:46.07 ID:J30mI8lh0
反省しすぎて鼻血が出る位
113 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/06(月) 23:28:52.23 ID:2UVK3/eS0
右腕は身動き、もぞもぞと表現する。
『鼻血が出るくらい反省したよ』、と。
動きからそう読み取ったフィアンマは深く深くため息をつき、右腕を撫でた。
そして右腕の指先を触った後、支えの棒ごと抱き寄せるようにして、右腕を抱きしめる。
ちなみに、フィアンマが放置している間に多少成長したため、今の長さは肘程まで。
完全な成長後である右腕付け根レベルまでの長さには、まだ遠いけれど、抱きしめるには充分な長さと太さだ。
唐突に抱きしめられた右腕は固まり、どうかしたのか、と言わんばかりに、ぽんぽんとフィアンマの右肩に触る。
フィアンマ「別に何かあった訳ではないよ。少々やり過ぎた、と反省しているだけだ」
別に気にしてない、とばかりに右腕がもぞつく。
フィアンマはゆっくりと首を横に振り、右腕を撫でて愛でた。
ドメスティック・バイオレンスの典型的な流れ(パターン)だが、右腕はそんなことは知らない。
フィアンマに抱きしめられ、謝罪の言葉をかけられながら撫でられ愛でられる内に傷ついた心が表面だけでも癒えたのか、右腕はフィアンマの頭を優しく撫でる。
子供を宥める父母のような優しい手つきと包容力に似た何かを感じ取りながら、フィアンマは首を傾げる。
フィアンマ「怒っていないのか? 反省させるためとしても、痛かっただろう」
もう怒ってない、というジェスチャーを見せる右腕。
フィアンマは満足そうな笑みを浮かべ、再度右腕を抱きしめ直した。
そして離れると鉢植えにミネラルウォーターをやると、ベッドに移動した。
情が移ってしまっただろうか、とため息をつきながら。
目を閉じて、眠り。
朝が来て。
単調な毎日の繰り返しに退屈さを覚えながら、フィアンマは目を覚ました。
欠伸を噛み殺し、立ち上がって、鉢植えに近寄る。
成長具合としては、昨夜と変化なし。
強いて挙げるとするならば、少々爪が伸びた程度の変化でしかない。
フィアンマ「ん…」
ぐし、と目元を擦り。
眠気を振り払うと、フィアンマは鉢植えを見つめる。
さて、今朝は何を与えようか。
鉢植えに何をあげる?>>+2
114 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/06(月) 23:39:30.38 ID:ypU0g8FAo
ksk
115 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/07(火) 00:16:47.30 ID:Q8rrNRBSO
ブラックコーヒー(マンデリン深炒りで苦め調整水はミネラルウォーター使用、淹れる際はゴールドフィルター搭載のコーヒーメーカー使用)
116 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/07(火) 20:08:15.16 ID:DDTK7gYw0
フィアンマは鉢植え側面を撫でて思考を纏め、一度部屋から出て行った。
そして広間に程近い厨房でのんびりと作業を始める。
自分の飲む分、そして鉢植えに与える分、ブラックコーヒーを淹れていく。
深炒りのマンデリン。コーヒーメーカーはひと月前に購入したもので、ゴールドフィルターを搭載している。
調整水にはミネラルウォーターを用い、ゆっくり、落ち着いて、順調に淹れていく。
<マンデリン(英:Mandheling)は、インドネシアのスマトラ島における一部地域で栽培される、アラビカ種のコーヒー豆の銘柄である。マンデリンとは栽培を奨めた現地民族の名に因む>
コーヒーを二杯淹れ、その内の一つには息を吹きかけて冷ました後、もう一方…自分の分を口に含み。
自分にとっては丁度良い苦味だ、と頷き、フィアンマは二つのカップを手に私室へと引っ込んだ。
徐々に近づいてくる、何やら良い匂いに目を覚ましつつ、右腕は身じろぐ。
そして、子供が親を探してきょろきょろと辺りを見回すようにうごうごとした後、フィアンマの方に指を動かした。
フィアンマ「目が覚めたのか。お前に目は無いが」
うん、とまるで返事でもするように、右手が動いた。
フィアンマは小さく笑み、鉢植えにやる分のコーヒーカップに息を吹きかけ、椅子に腰掛ける。
自分の分はテーブルに置き、ひとまず、右腕にやる分をよくよく冷ます。
しっかり冷ましてやらないと、右腕が火傷してしまうかもしれないからだ。
右腕はもごもごと動いている。どうやら暇らしい。もしかしたら、空腹を訴えているのかもしれないが。
一口、ほんの少しだけ啜り、熱さを確認した上で、フィアンマはカップの中身、即ち苦めのコーヒーを鉢植えの中二とぽとぽと注いでいく。
そして、やがて空になったカップをテーブル上へ適当に置き、鉢植えの様子を窺う。
フィアンマ「…美味いか?」
右腕『
>>118
』
117 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/07(火) 20:09:57.88 ID:7GVVUPy1o
ksk
118 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/07(火) 20:15:35.04 ID:083EXVdV0
素晴らしすぎる!もう一杯!
119 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/07(火) 20:59:59.06 ID:DDTK7gYw0
右腕『素晴らしすぎる! もう一杯!』
フィアンマ「…面倒だな」
淹れる面倒さを説明しても、右腕にはわかるまい。青年は一人、そう思い諦める。
まぁいいか、と結論付けつつ、フィアンマはのろのろと立ち上がった。
もう一杯、もう一杯、とアンコールを起こしていて無言なのに喧しい右腕にデコピンならぬ甲ピンを喰らわせ、フィアンマは空のカップを手に再び厨房へと移動した。
本来であれば自分の分をさっさとやって適当に済ませてしまえば良いものを、完璧主義的な性格からか、そういったことはしない。
先ほどと同じように、丁寧に淹れ、味を確かめた上で、息を吹きかけて冷ます。
温度を確認し、零さないよう静かに、慎重に私室へと運んで。
フィアンマは椅子に腰掛け、ゆっくりとコーヒーを土にかけていく。
湿っている土でも内面は乾いているのか、みるみる内に、吸い込まれるようにしてコーヒーは摂取されていった。
退屈と同じ位に余計な面倒を嫌うフィアンマは、もう淹れない、と心に決めながら、右腕を撫でる。
ジェスチャーからうっすらとメッセージを読み取りながらの、会話。
フィアンマ「お前はコーヒーが好きなのか」
右腕『コーヒー自体はまぁまぁかな。でも、さっきのは好き』
フィアンマ「そうか」
自分の分のコーヒーを静かに啜り、フィアンマは単調な相槌を打つ。
会話を打ち切ろうとしている訳ではなく、かといって続けようとしている訳でもない。
フィアンマは右腕の手の甲を撫で、退屈という毒に浸る。
ある程度は甘美であれど、度が過ぎれば精神が摩耗してしまう、毒に。
フィアンマ「暇だな」
右腕『やることないのか?』
フィアンマ「仕事という意味であれば、まぁ、あるが…俺様がやる必要は無い」
右腕『そんなものなのか』
フィアンマ「そんなものだよ。退屈だな。何か暇潰しを考えてくれ」
流石に質問内容を読み取る事は不可能なので、例の如くボールペンとメモ帳を使い。
右腕『
>>121
』
120 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/07(火) 21:02:28.45 ID:7GVVUPy1o
ksk
121 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/07(火) 21:05:02.49 ID:efx1Wy8d0
人生ゲーム
122 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/07(火) 21:15:31.45 ID:DDTK7gYw0
メモ帳に記されたのは、『人生ゲーム』という日本語。
読み返し、理解したフィアンマは、不可解そうに聞き返す。
フィアンマ「…二人で、か?」
右腕『良いだろ、別に』
フィアンマ「…つまらん結果になるぞ。俺様の勝利は目に見えている」
圧倒的な勝負というものは楽しい。
馬鹿馬鹿しくとも愉快な気分にはなるものの、すぐに飽きがくる。
右腕はうごうごと抵抗の意思を示す。負けないぞ、というアピールに見えた。
自分に挑戦してくる人間はごく稀、というよりここ数十年居ない。
ふふ、と楽しみにしているかのような笑い声を零し、フィアンマはこくりと頷く。
フィアンマ「良いだろう。そこまでやりたいというのなら」
右腕『……』
フィアンマ「…ところで、二種類あるのだがどちらが良い?」
右腕『?』
フィアンマ「天国と地獄編、通常編と二つあるのだが」
右腕『……』
右腕はしばし熟考する姿勢を見せた後、こう答えた。
右腕『
>>124
』
123 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/07(火) 21:17:00.36 ID:Q8rrNRBSO
ksk
124 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(岡山県)
[sage]:2012/08/07(火) 21:20:07.77 ID:t0d1WRaxo
地獄
125 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/07(火) 22:55:21.86 ID:DDTK7gYw0
思い出したようにフィアンマがあてがい直したメモ帳に書かれたのは、『地獄』という文字。
つまりは、通常の方ではなく、天国と地獄編の方がやりたい、とそういうことらしい。
ちなみに、天国と地獄編の方は罰ゲーム的側面も持ち合わせていたりする。
まぁいいか、と頷き、フィアンマは一時鉢植えから離れると人生ゲームを用意した。
フィアンマの部屋にはやたらとこういったボードゲームがあるが、これはあくまで戦術をシミュレートする為に購入してあるものであり、遊ぶ為のものではないのだが。
所有者が許しているのだからいいんだ、と自分に言い聞かせ。
駒などのセッティングを終え、フィアンマは鉢植えを見やる。
動くのに邪魔だろうから、と一時支えは撤廃。
フィアンマ「で、どちらからやる?」
右腕『俺からやってもいい?』
フィアンマ「構わんよ」
ルーレットはマップに備え付けのものではないため、右腕が触れられるよう抱えてやり。
右腕はもそもそと右手でルーレットのつまみを掴み、勢いよく回した。
しばらく激しい回転を繰り返した後、ルーレットはぴたりと止まる。
針が指し示したのは、2の数字。
2マス駒を(フィアンマが代わりに)進めた先には、こう記されていた。
マスに書かれている内容>>+2
126 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(岡山県)
[sage]:2012/08/07(火) 22:58:18.22 ID:t0d1WRaxo
マスを描く
127 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/07(火) 23:00:52.91 ID:Q8rrNRBSO
白い修道服きた女の子を拾う。今後食費が10倍かかる
128 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/07(火) 23:01:11.17 ID:4TMic56yo
恥ずかしい話
129 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/08(水) 17:38:37.75 ID:VnFkjkQs0
『白い修道服を着た女の子を拾う。今後食費が十倍かかる』
がくり、と項垂れる右腕を撫で、フィアンマはのんびりとルーレットを回す。
針が指し示したのは、5の数字。
5マス駒を進めた先には、『一回休み』の文字。
フィアンマ「一旦休みか。お前が連続で回す事になるな」
ロクなマスがないので、一旦休みになってしまう方が、実は良かったりする。
右腕はどうか天国のマス(=ボーナスマス)に止まりますように、と祈りつつ、ルーレットを回す。
指し示されたのは1の数字。
移動先のマスに書かれていたのは、『記憶を失う。諸々の周囲環境を整える為にマイナス20000円』。
うぐぐ、と歯噛みする右腕は、もう一度回す。
指し示されたのは4の数字。
進んだ先に書かれていたのは、『厄介事に巻き込まれる。マイナス3000円、加えて一回休み』。
ちくしょう、と落ち込む右腕をつっつきつつ、今度はフィアンマが二回ルーレットを回す。
指し示されたのは2の数字。
2マス駒を進めた先には、ボーナスマス『神の祝福を受ける。以後、地獄マスの内容がそのまま反転して良い』。
もう一度回し、指し示されたのは3の数字。
移動先のマスに書かれていたのは、『住んでいる家が壊れる。60000円で建て替える』。
フィアンマ「反転、という事は家は壊れず増築、且つ60000円貰えるということか」
今日はラッキーデイだな、と思いつつ行動するフィアンマ。
不幸街道を真っ直ぐ行く右腕は悔しそうなジェスチャーを見せた。
結局、そのまま何の障害や罰も無くストレート勝ちしたフィアンマに対し、右腕は拗ねていた。
右腕は踏んだり蹴ったりの上、得たものはほとんど無いままにゴール出来ず(ゴール手前で『スタート地点に戻る』マスに止まってしまったため)、負けたからだ。
片付けを終え、すっかりとヘソを曲げている右腕を撫で、支えを元に戻して抱きしめながら、フィアンマは再び暇を持て余している。
フィアンマ「いつまで拗ねているつもりだ。だから言っただろう、俺様が勝つと」
右腕『解せません!』
フィアンマ「そんな事を言われてもな…」
幸運を使役する、と言うと少々不気味というか人智を超えるようだが、幸運とはつまり神の奇跡の一種。
フィアンマはその右手に宿る『聖なる右』の恩恵により、神の奇跡を大いに受ける。
少々特殊なパターンの『聖人』のようなもの、といったところだ。
それとは反対に、神の奇跡すら打ち消す『幻想殺し』を宿す右腕は、不運を受けやすい。
この両者がゲームや賭けを行う時点で、勝敗は目に見えているのだ。
だから言ったのに、と口には出さないまでも、いつまでもふてくさてる右腕で遊び、フィアンマは欠伸を噛み殺す。
と、ロクな断りも無く、一人の女が入ってきた。
そして、鉢植えから生えている右腕を愛でているフィアンマを見るなり、固まる。
フィアンマ「書類か。何だ、こっちに来れば良いだろう」
ヴェント「…何、ソレ」
フィアンマ「ん? …
>>131
かな」
130 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/08(水) 17:42:22.69 ID:gmAtcfFCo
ksk
131 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/08(水) 17:43:20.37 ID:3ypG2J7r0
上条当麻の右腕
132 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/08(水) 18:42:58.69 ID:VnFkjkQs0
フィアンマ「ん? …上条当麻の右腕かな」
ヴェント「そのカミジョウナントカは知らないケド…右腕?」
フィアンマ「右腕だよ。指を見ればわかるだろう、左腕ではないこと位」
ヴェント「そうじゃない。鉢植えから腕が生えるなんてそんな気味悪い事があってたまるか」
フィアンマ「実際生えているのだから仕方ないだろう。これでも苦心して育てたんだ。文句があるなら書類を置いて出ろ」
ヴェント「…はー」
入ってきた女は、フィアンマの部下とも同僚ともつかない『神の右席』、その『前方』に座する魔術師。
前方のヴェント。本名は不詳だ。フィアンマは一応知っているものの、わざわざ口に出す程仲良くは無い。
ヴェントはため息をつくと持ってきた書類を適当に棚の方へ置き、訝しがりながらもフィアンマ、もとい鉢植えに近づく。
フィアンマは一度右腕から手を離し、書類に目を通しに行く様子もなく、ヴェントと共に右腕を見つめた。
ヴェント「…へー、生きてるんだ」
フィアンマ「傷つければ血も出るし、意思もある」
不可解ではあるものの、フィアンマの周囲では如何なる想像に難い事が起こってもおかしくない、とヴェントは考える。
或いは、自然とそう思わせてしまうのがフィアンマの持つカリスマ性。
ヴェント「名前は…カミジョウナントカ?」
フィアンマ「上条当麻、だ。いや、右腕のミギーと呼んでいる」
ヴェント「安直なニックネームね」
フィアンマ「安直な方が呼び易いだろう」
右腕『あ、ヴェントだ』
フィアンマ「何か伝えたい事はあるか?」
右腕『
>>134
』
133 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/08(水) 18:47:11.15 ID:yqRKww8y0
子宮を犯させて
134 :
名無しNIPPER
[sage]:2012/08/08(水) 18:56:02.69 ID:wKlG1xuAO
今度コーヒー奢ってくれ
135 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/08(水) 19:13:03.54 ID:VnFkjkQs0
右腕『今度コーヒー奢ってくれ』
フィアンマ「別に構わんが、図々しいな」
ヴェント「会話出来んの? 何か動いてるけど」
フィアンマ「あぁ、完全に読み取れているかどうかは不明だが、ひとまず"今度コーヒーを奢って欲しい"と言っているようだ」
ヴェント「コーヒー好きなワケ?」
フィアンマ「今日初めてやったが、喜んでいたな。追加要求する程に」
ヴェント「植物にコーヒー…」
フィアンマ「…植物とも動物ともつかんだろう。刺激物を与える時もあるが、この通り元気だぞ」
ヴェント「ま、仕事に影響は無いみたいだし、いいケド。…ミギー、ね」
もぞもぞ、と動く奇怪な腕を見つつ、ヴェントは眉を潜める。
関係の無い事だが、ヴェントは現在『天罰術式』を使う必要は無いので、最低限の薄化粧しかしていない。
ヴェント「…可愛い?」
フィアンマ「少なくとも、俺様にとってはな。育てていれば愛着も湧く」
ヴェント「でも、鉢植えって事はその内収穫する。…頼むから鬱とかなるんじゃないわよ」
フィアンマ「ならんよ。問題無い」
ヴェント「あらそう、どうだか。じゃ、書類は目を通したら処理してテッラに渡して」
言うなり、ヴェントは部屋から出て行った。
フィアンマは再び右腕に触り、嫌そうにぼやいた。
フィアンマ「…あの書類は見るからに時間がかかりそうで嫌だな」
右腕『
>>137
』
136 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/08(水) 19:31:41.23 ID:gmAtcfFCo
ksk
137 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/08(水) 19:47:37.92 ID:3ypG2J7r0
手伝おうか
138 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/08(水) 19:48:14.50 ID:3ypG2J7r0
?抜けてた
139 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/08(水) 20:25:00.92 ID:VnFkjkQs0
右腕『手伝おうか?』
フィアンマ「……良いのか…?」
右腕『何すれば良いのかはわからないけど、出来る限り手伝うよ』
右腕の提案にきょとんとしながら、フィアンマは首を傾げて聞き返す。
ぐにぐに、と指を曲げてジェスチャーでメッセージを伝える。
フィアンマは薄く笑みながらこくりと頷く。
手伝ってもらうといっても、色別に書類を分けてもらうくらいしか、やってもらうことはないけれど。
それでも、善意というものは、人の心を和やかにさせる。優しくする。
久しい心からの善意に口元を緩ませ、フィアンマは右腕に仕事の手伝いを頼むのだった。
結局、仕事が終わったのは深夜過ぎの事。
疲労が溜まると逆に寝付けず、フィアンマは机に上体をもたれ、右腕の手首を撫でていた。
じわじわと成長していく右腕は、もう既に二の腕の中ほどまで伸びている。
思った以上の速さで成長していく右腕に、少し寂しさを覚えながら、フィアンマは呟く。
フィアンマ「…せっかく、…」
言葉尻は飲み込んで。
収穫―――鉢植えから引き抜いてしまえば、右腕はただ切断された人体と同じように、動きも話しもしなくなるのだろう。
焦ろうが焦るまいが、順調に右腕は着実に育っていく。
早く育て、大きくなれ、と言ったのは自分だけれど。
何故だかこの腕は、自分の理解者になってくれるような気がして。
しかし、収穫せずに盛りを過ぎても、植物のように、どうせ枯れてしまうのだ。
所詮これは腕なのだから、種も球根も残さずに。
フィアンマ「………」
もうすぐお別れ。
寂しいな、とフィアンマは思う。
あんなにも世界を救おうと決意していたのに、崩れていく。
この世界は大きな危機に晒されていて、自分の右腕は特殊なものなのだから、『救済』しなければいけないのに。
だからこそ育ててきた。収穫しなければ。
それなのに。
寂しい。
この物語のエンド決定投票安価区間は
>>141-143
です。
選択肢は以下のみ。
1.BADEND
2.GOODEND
3.DREAMEND
番号、若しくは文字(バッドorグッドor幻想)で投票してください。
同IDにつき一票です。
よろしくお願いいたします。
140 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/08(水) 20:26:12.85 ID:KHxOi8KSO
幻想て何よ?
141 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/08(水) 20:26:38.41 ID:vctf5zXO0
2
142 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/08(水) 20:27:06.48 ID:vctf5zXO0
>>140
夢落ちじゃない?
安価下
143 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(岡山県)
[sage]:2012/08/08(水) 20:27:46.70 ID:Jht26lJso
3
144 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/08(水) 20:28:11.68 ID:V2qfcqVM0
3
145 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/08(水) 20:32:35.89 ID:KHxOi8KSO
夢落ちかよくわからんが2でー。
146 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/08(水) 22:05:33.96 ID:qj3AooZX0
《集計結果:バッドエンド=0票 グッドエンド=1票 ドリームエンド=2票 以上の結果により、3(ドリームエンド)に決定しました。投票ありがとうございます
少々わかりづらい説明、失礼しました。皆様の予想通り夢オチです》
寂しい、なんて思ってしまった時点で考える事を中断し。
フィアンマは緩く首を横に振り、居眠りスタイルで下を、何も書いていないテーブルを見つめる。
何も考えてはいけない。眠れないからといって憂鬱になる必要は無い。
こんな事を思うのは、右腕が完全に成長してからでいいじゃないか。
思考放棄したフィアンマは目を瞑り、左手では右腕を握ったまま、眠りに就こうとする。
右腕はそれを阻止するように、フィアンマの左手をぺしぺしと叩いた。
目は開けないまま、声で応答する。
フィアンマ「…何だ」
目を閉じている。
つまり、会話を続けるつもりはない。
そんなフィアンマに対して、右腕は蠢いて何かを伝えようとした。
フィアンマ「…見えんし、わからんな」
見えないのではなく、見ないフリをしたくせに。
そんな事を言い、フィアンマは唇を軽く噛んだ。
本当なら見えたものを、見てきたはずのものを、全て否定して。
あまりにも騒がしく動く右腕に、フィアンマは目を開けて立ち上がる。
そして手を払うと、そのままベッドへと移動した。
ぽふり、と背中から身を預けたベッドは、冷たかった。
雪のように。
147 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/08/08(水) 22:06:01.82 ID:Qmh4KC7AO
+
148 :
◆2/3UkhVg4u1D
[saga]:2012/08/08(水) 22:06:56.06 ID:qj3AooZX0
長い長い白昼夢から目を覚まし。
ロシアの寒々しく静かな雪原で。
右肩から大量の血液を溢れさせながら、フィアンマは未だ雪の降り続ける空を見上げた。
走馬灯として振り返るものがないから、白昼夢に妄想を織り混ぜていた。
善意を受けていれば、世界を救おうとしなかったなんて、そんな事はあり得なかっただろう。
陽の当たる場所でも、陽の当たらない場所でも、いつも一人で居ようとした。
人間でなければ、あのようにして傍に置いたのだろうか。分からない。
失血が酷いせいで、もう寒いも痛いも、感覚が無い。あるのは、蟠った吐き気だけ。
気持ちが悪い。
こみ上げるままに吐きだしたそれは、胃液混じりの血液。
全て間違っていたのだと、今はわかっている。
上条当麻との約束は、どうやら果たせそうにない。
しかし、彼の救った世界を守ることには、どうやら成功したようだ。
かひゅ、と冷たい空気を吸い込み、フィアンマは数度咳き込む。
その度に血しぶきが雪に広がり、染み込んでいく。
冷たくて、鉄臭いベッドだ、と笑った。
げほ、とまた血液を吐き出して。
力の入らない身体で、どうにか雪面に手をつき、のろのろと起き上がる。
世界にたった一人、残されたかのような気分だった。
ぺた、と雪の上に座ったフィアンマは、白い息を吐き出してうなだれた。
気持ち悪い。
ざくざく、と雪を踏み込んで歩く音が近づいてくる。
立ち向かう気力も、立ち上がる体力も無い。
フィアンマ(…ここまでか)
不意に、近づいてきた足音が、自分の少し前で止まった。
見上げた先に居たのは、ボロボロとなった一人の傭兵。
『天使の力』を無理やり自分の中に封入し、力を削る事でフィアンマに一矢報いた魔術師。
応急手当でも受けたのか、ふらふらながらも、自分に向かって歩いてきたらしい。
殺されるのだろうか、とぼんやり思いつつ。
玩具を失った子供のように、脚を伸ばして座っているフィアンマに向かって屈むと、彼は懐から包帯を取り出し、フィアンマの肩の止血を始める。
不可解な事態に、泣きそうな顔をして、青年は問いかけた。
フィアンマ「何、を?」
アックア「…」
フィアンマ「…何を、している」
アックア「後方支援である」
正史から離れた、白昼夢の続きが。
ここで現実に繋がり、終わった。
149 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/08/08(水) 22:06:59.25 ID:Qmh4KC7AO
+
150 :
後書き
◆2/3UkhVg4u1D
[saga !orz_res]:2012/08/08(水) 22:07:48.33 ID:qj3AooZX0
後方のアックアさんの後方支援フフフッ、と思いながら書き始めました。
後方支援には衛生兵も含まれるそうですね。
ホラーにする予定でしたが、そもそも
>>1
はホラーなんて書けませんでした。
でも右腕が鉢植えから生えてる事が既にホラーです。
長らく閲覧、及びお付き合いいただき、ありがとうございました!
151 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/08/08(水) 22:10:00.23 ID:KHxOi8KSO
乙ー。相変わらずのクオリティだぜ楽しかった
152 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/08/08(水) 22:12:02.11 ID:9YQNl3VU0
乙でした!
153 :
名無しNIPPER
[sage]:2012/08/08(水) 22:24:05.37 ID:wKlG1xuAO
乙でした!
何の後方支援であるか…ん? 後方のアックアの…後ろからの…s
84.80 KB
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
専用ブラウザ
検索
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)