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直通電車 -Direct to the Ground- - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/02(木) 23:40:57.00 ID:NgbAqr9DO
「一度でいいから、地上に出てみたい」

そんな彼の願いは、一見簡単なようで、

しかし決して許されないものであった。



ジャンル不明のオリジナルSS





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安価とコンマで異世界転生 @ 2025/05/11(日) 17:12:02.26 ID:Kd1wN5Go0
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あのゴキブリコントを病院組の魔法少女達がやってみた件。 @ 2025/05/10(土) 17:34:37.42 ID:Xw3bKCq60
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1746866076/

「インド人を右に」で検索して @ 2025/05/10(土) 03:17:34.16 ID:R8heoSlaO
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やる夫が正史を書くようです63 @ 2025/05/09(金) 19:59:13.17 ID:HvfnzD2H0
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えーきゅーあわー @ 2025/05/07(水) 20:46:33.40 ID:T4ZgqKvj0
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おてす @ 2025/05/07(水) 00:45:01.41 ID:SRxRZFhu0
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銀時「フォオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」 @ 2025/05/07(水) 00:00:58.22 ID:7HtrqZjbO
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2 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/02(木) 23:48:38.56 ID:NgbAqr9DO
授業が終わると、生徒は家路につく。

全寮制でない限り、どの学校でも見られる光景である。

本郷市立新本郷第三高校の生徒は、今日も家路を急いでいた。

俺は空を眺める。

決して晴れているわけではないが、雨の心配はないだろう。

「当たり前でしょ、地下なんだから」
3 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/03(金) 00:00:56.90 ID:PnB9j1xDO
こうして俺が語っている間にも、生徒は次々に電車に乗り込んでいく。

「ちょっと!せっかくツッコんだのに無反応?」

隣を歩いている幼馴染みが何か騒いでいるが気にしない。

「気にしなさいよ!」

そうこうしているうちに、前里初音が乗るはずの電車は、次々と発車していく。

「あ、本当だ」

俺の家は学校から歩ける範囲だが、初音の家は少し離れている。

この町にはバスはないので、電車に乗らないで帰るのは至難の技だ。

「路面電車だけどね」
4 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/03(金) 00:08:24.26 ID:PnB9j1xDO
新本郷電軌24条線西行。それが彼女が乗る電車だ。

「あんたいつまでふわふわしてんのよ!」

ふわふわとはなんだろうか。俺にはさっぱり分からない。

「モノローグじゃなくて鍵括弧で喋りなさいって言ってんのよ!」

「はいはい」

「名字が羽衣だからってふわふわしないの!」

「お、電車来たぞ」

「話そらすな!…って本当に来てるし」

「じゃあな、初音」

「また明日、真砂」
5 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [sage]:2012/08/03(金) 11:21:38.88 ID:PnB9j1xDO
訂正

真砂と初音は幼馴染みではなく
単なる同級生です。

他の設定と符合しないので
6 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/03(金) 11:32:36.94 ID:PnB9j1xDO
この町の道路は、いわゆる「碁盤の目」である。

東西に走る道路が「条」、南北に走る道路が「丁目」である。

今立っているのは「24条49丁目」、

すなわち北から24番目、西から49番目の交差点だ。

道路の間隔はきっちり100m。

俺の家がある24条51丁目までは200mという計算になる。

初音の家は24条32丁目だから、歩いて帰るには少し遠い。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/03(金) 22:21:47.56 ID:w6Isfp19o
1700m
俺の家から最寄り駅までとだいたい同じじゃないか
8 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/04(土) 00:10:22.48 ID:h6J8TZ6DO
第三高校から東へ200m。

24条51丁目の交差点に、俺の家はある。

「あれ?真砂じゃん」

突然声をかけられた。

こういうときは無視するのが安全だ。

「ちょっと!また無視するの?」

「あれ?初音じゃん」

「今気付いたみたいな反応するな!」

俺の家の向かいには、市営スーパーがある。

初音はどうやらそこから出てきたようだ。

「どうやらって何よ」
9 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/04(土) 00:18:53.11 ID:h6J8TZ6DO
おかしい。初音は家に帰ったはずだが。

「私は西行にのったとは一言も言ってないけど?」

何か事件の臭いがする。

「野菜が切れてたから買いに来ただけでしょ」
10 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/04(土) 00:22:03.06 ID:h6J8TZ6DO
ところで、このスーパーは本郷市営である。

というか、新本郷にあるスーパーは全て本郷市営である。

俺たちが通う新本郷第三高校も、本郷市立。

さらに新本郷電軌までも、本郷市が100%出資している。

なぜこんなにも本郷市が手を出しているのか。

それはそうだ。

そもそもこの町は、本郷市が建設した地下要塞都市なのだから。
11 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/04(土) 18:12:02.08 ID:h6J8TZ6DO
第一章 新電川合津 Shinden-Kawaizu


24条51丁目というのは、実は新本郷髄一の繁華街である。

俺の家の向かいには、本郷市役所新本郷支所があり、

その中には市営スーパーが入っている。

民間の企業は新本郷には一切無いので、

食材は市営スーパーで買うしかない。

したがって市営スーパーの周りには

自然と人が集まってくるのである。

ついでに言うと、新電(新本郷電軌)の新本郷営業所も

この建物の中にある。
12 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/04(土) 18:23:09.48 ID:h6J8TZ6DO
とは言っても、今日の俺はここに用はない。

せっかくの日曜日だし、初音の家に遊びに行こうと考えている。

さっき電話をしたら、「ヒマだからすぐ来ていいよ」とOKが出た。

そういうわけで、俺は24条51丁目の電停にいる。

間違いなく西行の電停だ。

新本郷の道路は碁盤の目なので、

東西南北の感覚は完璧だ。

西行だと思ったら東行だったとか、

実は22条線に乗っていたとか、

そういうつまらないオチはないはずだ。
13 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/04(土) 18:33:45.77 ID:h6J8TZ6DO
新電では進行方向によって方向幕の色が分けられている。

北行は赤、東行は緑、南行は青。

俺が乗る西行は白である。

今到着した電車も、西行を示す白い方向幕を掲げ、

「……新電川合津行き?」

この電停に来る電車は、ほとんどが24条1丁目行きである。

時々他の路線に乗り入れるものもあるが、

それでも1条19丁目や100条45丁目など、

全て何条何丁目で表されるはずである。

漢字だけの電停など、新電にあっただろうか。
14 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/04(土) 18:39:49.21 ID:h6J8TZ6DO
心配になった俺は、運転手に聞いてみることにした。

「すみません、この電車は24条32丁目を通りますか?」

「はい」

二文字で返されたが、通ることには変わりない。

俺はこの電車に乗ることにした。

そして特に乗り過ごすこともなく、

ポイントの操作を誤ることもなく、

電車は24条32丁目に到着した。
15 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [sage]:2012/08/04(土) 23:26:18.04 ID:h6J8TZ6DO
発想は良いが文章力が無いのか。
発想が悪く文章力が無いのか。

なんとなく禁書に似てると感じるのは
俺だけではないはず
16 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/09(木) 00:16:38.81 ID:VhRSUW1DO
「せっかくだから乗り過ごしたらよかったのに」

開口一番、初音にそう言われた。

24条51丁目に住んでいる俺は、知らない土地に行くのが怖いのだ。

てっきり初音も知っていると思っていたのだが。

「嘘つけ」

どこが嘘なのか説明してほしいものだ。

「だって真砂、地上に出てみたいっていつも言ってるじゃん」

そんなことを言った覚えはないのだが。

「言ってるよ!民営のデパートで傘を買うのが夢だって」

新本郷には民営のデパートはないし、地下だから雨は降らない。

小学生が考えそうな夢だな。
17 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/09(木) 00:26:21.86 ID:VhRSUW1DO
そんなこんなで3時間経過。

「こら!勝手にカットするな!」

この間にした話と言えば、

新電川合津は地上駅であることくらいか。

「それ結構重要な話!」

新電の検車区はなぜか地上にあるので、

新電川合津はそこに行くための駅らしい。

まあ俺には全く関係ないが。

「関係あるよ!地上に行く方法がわかったんでしょ?」

まあそろそろ眠くなってきたので、

俺は家に帰るとしよう。

「まだ昼前でしょ」

現金はあまり持ち合わせていないが、

家に帰るだけの電車賃は持ってきた。
18 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/09(木) 00:36:25.37 ID:VhRSUW1DO
一刻も速く、このうるさい同級生から離れる。

それが俺に課せられた課題だ。

「誰がうるさい同級生だ」

電車が来た。

これに乗って、一刻も速くこのうるさい同級生から離れる。

それが俺に課せられた課題だ。

「さっきも聞いた」

とにかくこの電車に乗って、俺は家に帰る。

「最初からそう言え」

今目の前に停まっている電車。それに乗って

「さっさと乗れ!」

はいはい。さっさと乗りますよ。
19 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/09(木) 00:41:32.20 ID:VhRSUW1DO
ドアが閉まれば電車は発車する。

そうなればこのうるさい同級生とは永遠におさらばだ。

「だろうね。それ、西行だし」



「方向幕とか見てなかったのかな?どう見ても緑じゃなくて白だよ。

しかも新電川合津行とか、何を考えているのやら」
20 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [sage]:2012/08/09(木) 00:43:08.64 ID:VhRSUW1DO
一見小説形式に見えるけど、
事実上の台本形式だと思う
21 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/11(土) 14:34:10.67 ID:RquWg1dDO
気が付くと、電車は長いトンネルを走っていた。

新本郷はそれ自体が地下要塞都市だが、

天井の高さは10mくらいはある。

電車1両分の高さのトンネルなど、新本郷に存在するわけがない。

では俺はどこへ向かっているのだろう。

そうこうしているうちに、電車は終点に着いた。

とりあえず終点だから降りなくてはならないのだが、

「全然足りないじゃないか!」

運転手が怒鳴るのも無理はない。

俺は1.9km分の運賃しか持っていなかったのだ。
22 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/11(土) 14:41:07.34 ID:RquWg1dDO
24条32丁目からここまでは、どうやら4km以上あるらしく、

俺の所持金では到底足りない。

「まったく、これだから新本郷の奴は」

別に新本郷の全員が所持金が少ないわけではないと思うのだが。

「だったら早く出せ」

とは言われても持っていないのだから無理だ。

「じゃあ無賃乗車で刑務所行きだな」

刑務所?いきなり何を言っているのだろうか。

「冗談だ。次に乗ったときに払え」

なんとか駅から出ることができた。
23 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/11(土) 14:51:31.95 ID:RquWg1dDO
降りた電車は、どうやら車庫に入ったらしく、

そのまま戻ってこなかった。

とりあえずここにいてもすることはないので、

折り返して帰ることにする。

運賃は24条51丁目の営業所で払えばいいだろう。

次の電車は、

………3時間後?
24 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/11(土) 15:05:16.55 ID:RquWg1dDO
「どうしたの?浮かない顔して」

いきなり知らない女性が声を掛けてきた。

こういうときはその場を立ち去るに限る。

「ちょっと、そっち行き止まりだよ?」

万事休す。

「あのさ、せっかく人が親切に声掛けてるのにさ、
 問答無用で逃げるのはどうかと思うよ?」

ならば名前くらい言ったらどうなんだろう。

「駿河千歳」

見た目20代の女性は、見た目に全く似合わない名前を名乗った。

「名前に似合う似合わないは無いでしょ」

そういう考え方も確かにある。

「そういう考え方しか無いよ」
25 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/13(月) 18:43:19.61 ID:XgRp0sRx0
「それにしても3時間どうするの?」

それがわかれば苦労はしないさ。

「せっかくだし、本郷中央に行ってみない?」

本郷中央?そんな地名は初耳だな。

「このあたりで一番の繁華街なの。

 川合津上町から電車で15分くらいだし」

時間については心配ないが、

この女はもう一つ大事な問題を忘れている。

俺は今無一文なのだ。

「交通費なら私が出してあげるから」

こうして俺は本郷中央に行くことになった。

「あ、行くのね。了解」
26 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/17(金) 12:57:45.91 ID:swKDCpMM0
25分後。

俺たちは終点の本郷中央駅で降りた。

「そこカットしちゃうの?」

特にこれといったことはなかったので、ここはカットさせていただく。

「あったでしょ。電車にボタンがないくだりとか」

それにしても上り坂はきつかったな。

「ほら、あるじゃん」

本郷中央駅を出ると、そこは繁華街だ。

新本郷では見たことのない民営のデパートが5軒ほど。

そして傘も売っていた。

ところで日傘というのは何なのだろう。

「日差しが強いときに、日焼け防止のために使うの」

日焼けか。噂には聞いたことがあるが、いまいち実感がわかない。

まあ新本郷民には関係ない話だ。
27 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [sage]:2012/08/17(金) 20:53:09.88 ID:fiib+M260
test

何か知らんけど再読込しても何も変わらない

つーか何も書き込んでなかったっけ?
28 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/17(金) 22:03:29.90 ID:hUVC3NpP0
せっかくだから折り畳み傘というものを買ってみた。

「いや、正確には私が買ってあげたんだけど」

デパートを出ると、そこは大通りだ。

24条線と同じくらいの道幅がある。

案内標識を見ると、「市役所通り」と書かれていた。

ところで俺達はどこへ向かっているのだろう。

「せっかくだから、私の家まで案内しようと思って」

そんなことを言って、電車に乗り遅れたりしないだろうか。

「3時間でしょ?大丈夫だよ」
29 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/17(金) 22:21:54.65 ID:hUVC3NpP0

歩いた時間は15分。

歩いた道路は平坦道。

「着いたよ」

本郷市役所のちょうど真向かいに、その家はあった。

「市役所の真向かいって、なんだかんだで便利なんだよ」

俺にはいまいち実感がわかないのだが。

「知ってる?市役所の地下って、新本郷支所になってるんだって」

なるほど。新本郷支所はやけに高さがあると思っていたが、そういうことだったのか。

…ちょっと待て。

「どうしたの?」

この家は市役所の西側真向かいにある。

俺の家は新本郷支所の西側真向かいにある。

「そうなの?」

隠していたわけではないが、実はそうなのだ。

「初対面で隠すもなにもないけど」

とりあえず、市役所と新本郷支所は同じ場所にある。

そこからの位置関係が同じってことは…

「私の家の直下に、君が住んでるってこと?」

そういうことになりそうだ。
30 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [sage]:2012/08/17(金) 22:23:22.73 ID:hUVC3NpP0
>>27
なんか表示できたっぽい
31 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/21(火) 17:05:34.34 ID:uxHT8r8C0
正直に言おう。

どうでもいい。

「何が?」

俺と駿河さんが同じ場所に住んでいることだ。

「私もそんな気がしてきた」

同じ場所に住んでいると言っても、俺の家の屋根から新本郷の天井までは5m以上ある。

穴を掘って脱出するのはどう考えても無理だ。

「それ以前に体力的に無理だって」
32 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/21(火) 17:20:29.61 ID:uxHT8r8C0
急行は停まらないので各駅停車で川合津上町へ。

坂を下り10分で新電川合津に着く。

「そういえばさ、君の名前はなんて言うの?」

24条線を待っているとき、駿河千歳がいきなり尋ねてきた。

ちなみに俺は羽衣真砂だ。

「へー。ふわふわしてるってよく言われない?」

初音だけでなく駿河さんにも言われてしまった。

確かにこんなしゃべり方は他に見たことがないが。

「あのさ」

まだ何かあるのだろうか。手短に済ませてほしいものだ。

「千歳でいいよ」

こうして俺は閉ざされた世界へと帰って行った。

「うわ、スルーされた」
33 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [sage]:2012/08/21(火) 17:32:24.00 ID:uxHT8r8C0
いろいろややこしいので確認のため


     川合津上町
地上   新電川合津                        本郷中央
───────────────────────────────────────────
新本郷  24条1丁目        24条32丁目      24条51丁目
(地下)


24条51丁目…羽衣真砂の自宅、新本郷支所、新電の営業所
24条31丁目…前里初音の自宅
24条49丁目…新本郷第三高校(真砂・初音が在籍)
本郷中央…駿河千歳の自宅、本郷市役所
34 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/23(木) 23:14:17.68 ID:RCpoGSZL0
第二章 24条49丁目

翌日は月曜日。

いつものように歩いて第三高校へ。

なんか周りの視線がこちらに集まっている気がするが気にしない。

「そんなに変色してたら嫌でも見るでしょ」

いきなり話しかけてきたら初音、という考えは捨てた方がいい。

「誰もそんなこと考えてない」

こいつは俺のクラスの学級委員、えーと…

「あれ?名前忘れたの?」

30条に住んでいたのは覚えているが…

「長島弥生」

とりあえず生徒1としておこう。

「聞いてた?」
35 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/23(木) 23:24:11.70 ID:RCpoGSZL0
「ところで、一つ聞いていい?」

断る筋合いはない。

「なんで地上なんかに行ったの?」

こちらはそれを誰に聞いたのかが気になる。

「そんだけ肌が変色してたら聞かなくてもわかるよ」

ああ、日焼けか。やっと理解できた。

「で?質問の答えは?」

それなら乗り過ごしただけだから心配しなくていいと思う。

「本当に?」

間違いない。

「ふーん…」

意味深な台詞を残して、生徒1は校舎に入っていった。

「だから長島弥生だって」
36 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/29(水) 07:50:55.86 ID:b0627Rhc0
教室に入るや否や、初音に捕まった。

「捕まった?」

いきなり肩を掴まれて「ちょっと来い」などと言われたら、誰でもいやな気分になるだろう。

「掴んでないでしょ。叩いただけ」

それで用件は何だろうか。

「ちょっと気をつけた方がいいよ、って」

全く理解できない。

「要するにさ、地上ってのは嫌われてんの。何でか知らないけど」

地上が嫌われている?なぜだ?

「だから知らないって言ったでしょ」
37 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/08/29(水) 08:13:48.46 ID:b0627Rhc0
つまり俺はどうすればいいのだろう。

「地上に行かなきゃいいんじゃない?」

言うのは簡単だ。

しかし俺は地上世界にのめり込んでいることを忘れてはならない。

「一回行っただけで?」

その一回の印象が強ければ、のめり込んでしまうものなのだ。

「まあ…あんたがそこまで言うなら、止めはしないけど」

意味深な台詞を残して、前里初音は教室へ戻っていった。
38 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/09/01(土) 15:20:16.09 ID:lbnTEgST0
どれだけ嫌われていようと、地上世界にのめり込んでいることには変わりない。

次の土曜日、俺は本郷中央駅にいた。

「あれ?また来たの?」

そして駿河千歳に遭う。

「その字なんだ」

俺がここにいるのは、特に目的があるわけではない。

ただ太陽に当たりたかっただけだ。
39 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/09/01(土) 15:41:10.28 ID:lbnTEgST0
強いて言うなら、日傘を買いたかったというのもあるが。

「なんだ、目的あるじゃん…日傘?」

雨傘は先週買ったが、日傘は持っていない。

「新本郷民が言うような言葉じゃないよ」

使う機会が無いというのは理由にならない。

というわけで、この日は日傘を買って帰った。

「随分端折ったね」
40 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/09/01(土) 15:47:59.45 ID:lbnTEgST0
その次の土曜日、やはり本郷中央。

今度は正真正銘、何も目的はない。

ただ太陽に当たりたかっただけだ。

「あ、また会ったね」

千歳に当たりたいと言った覚えはないが。

「近くに住んでるんだから、このくらいは諦めてよ」

結局この日は市役所通りを散歩して帰った。
41 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [sage]:2012/09/01(土) 15:50:06.41 ID:lbnTEgST0
はっきり言おう。
初音と千歳と長島のキャラ分けが全然出来てない
42 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/09/01(土) 16:03:47.62 ID:kMTWZ3zH0
「羽衣、ちょっと来い」

俺を羽衣と呼ぶのは、初音ではなく生徒1である。

「あんた最近地上に行ってるんだって?」

やはり日焼けというのはすごい。地上に行ったと一発でわかってしまう。

「あんまり日焼けすると体に悪いって聞くけど」

俺の体には何の異常もないが。

「そう?ならいいけど…」

わかっている。

あまり公には言われないが、地上世界は新本郷民には嫌われている。

ということは、地上に行った人、というのも嫌われるのだ。

「なんか地上の汚れが移るとかなんとか」

真偽不明。というか明らかに偽だ。
43 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/09/04(火) 07:59:50.05 ID:GoC9ZZhY0
「真砂」

今度は初音か。

「私は信じてるよ」

何を信じているのかが肝心だが。

「あんたが汚れてないってこと」

当然だ。地上に汚れなど無いのだから。

「でもそう思ってる人が何人いるかな」

おそらく初音だけだ。それは俺も理解している。

「そこまでして地上に出たい理由って何なの?」

さあ。俺にもわからない。
44 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/09/04(火) 17:07:41.56 ID:eLYCuoTH0
真砂の地上旅行は日曜日だったはずなのに
気が付いたら土曜日になってる

すべて日曜日に修正してください
45 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/09/04(火) 17:19:54.41 ID:eLYCuoTH0
そんなこんなで2か月が経過。

地上世界にも慣れてきた頃。




ある日曜日。俺はいつもの通り散策を終え、市役所通りを歩いていた。

「いつもはこんな遅くまで散策しないでしょ」

そこだけがいつもと違う。

普段は夕方には帰るが、この日は既に夜8時を回っていた。

一般に本数の少ない路線ほど終電は早い。

新電の終電は8時40分。

本郷中央を15分発の電車に乗れば、何とか間に合う。

うっかり急行に乗ったりしなければ。
46 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/09/05(水) 15:49:31.95 ID:Gmb2YA+H0
本郷中央駅の改札を通過。時刻は午後8時08分。

15分発の電車には何とか間に合った。

電車がホームに入る。その電車に乗って、家路につく。

本郷中央を出て、一つ目は西本郷、その次が川合津上町。

そこから歩いて10分の新電川合津から、40分発の1条1丁目行き、それが最終だ。

本当ならそれで十分間に合うはずなのだが、

「次は、垣ノ下、垣ノ下、お出口は右側です」

垣ノ下は4つ目の駅だ。

俺の乗った電車は、川合津上町をいとも簡単に通過してしまった。
47 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/09/08(土) 11:49:33.15 ID:h1t2tPl10
垣ノ下駅に到着。

現在時刻は8時42分。

新電川合津40分発の終電は既に発車している。

新本郷に通じるのは、新電24条線のみ。

車で走れる道路は存在しない。

さて俺はどうすればいいのだろう?

「ごめん、私にもわかんない」

千歳もこんな経験は初めてなのだろう。

「新本郷の知り合い自体が初めてなんだけど」

仕方ない。野宿をしよう。

「何でそうなった?」

家に帰れない。かと言って泊まるところもない。

それなら野宿しかないだろう。

「泊まるところならあるよ」

本当か?

「ちょっと狭いけど、それでもよかったら」

それはありがたい。いったいどこなんだ?

「私の家」
48 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga]:2012/09/11(火) 08:08:51.47 ID:D1GYvVpW0
垣ノ下から急行本郷中央行き。

葉擦台、川合津上町、西本郷と通過し、

終点の本郷中央で下車。

そこから市役所通りを15分ほど歩いて、

「ちょっといいかな?」

いきなり千歳が割り込んできた。

「固有名詞多くない?」

実は俺もそんな気がしていたとは言えない。

「本郷中央と川合津だけでいいと思うんだけど」

あと新本郷も忘れないでくれ。
49 :T.Aihara ◆0TZoPVigvBu/ [saga sage]:2012/09/16(日) 16:14:26.22 ID:PakVoud30
[この電車は、当駅止まりです]

キャラクターの設定を一新したくなったので
このSSはスレを立て直して再スタートします。
ご了承ください。
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/09/16(日) 17:59:13.69 ID:nOAvqmpIo
なんですと
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