勇者「この世界を滅ぼしに行く」魔女「ふぅん」

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勇者「この世界を滅ぼしに行く」魔女「ふぅん」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

1 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 00:23:00.59 ID:R2m1mSN20

――魔女の山

勇者「僕の仲間になってください」

魔女「おととい来やがれ」

勇者「町で貴女の噂を聞きました」

魔女「こんな山奥までよくやるよ」

勇者「根性だけはあるので」

魔女「帰りな」

勇者「まだ帰れません」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1344093780

1.5 ：荒巻＠管理人★(お知らせ) [Twitter]： ID:???

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ハルヒ「綱島アンカー」梓「２号線」【コンマ判定新鉄・関東】＠ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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ぶらじる＠ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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旅にでんちう＠ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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木曜の夜には誰もダイブせず＠ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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2 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 00:24:55.29 ID:R2m1mSN20

魔女「なんの為に旅するの」

勇者「魔王を倒しに行くんです」

魔女「ふうん」

勇者「この世界を滅ぼしたいんです」

魔女「ふうん」

勇者「僕をこっちの世界に連れてきたのが奴なら、倒せば帰れる気がするんです」

魔女「ふうん」

勇者「僕、異世界人なんですよ」

魔女「丁度研究材料が足りなかったんだ」

勇者「仲間になってくれますか」

魔女「嫌だね」

3 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 00:26:50.94 ID:R2m1mSN20

魔女「と言うか。魔王って、もう、いないよ」

勇者「こう言えば良かったでしょうか。世界の創造主」

魔女「魔王じゃねぇじゃん」

勇者「僕にとっては魔王です」

魔女「ぷーくすくす」

勇者「棒読み」

魔女「別に世界を滅ぼさなくても、元の世界には帰れる」

勇者「なんと」

魔女「一度死ねばいい」

勇者「なんだと」

4 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 00:29:20.26 ID:R2m1mSN20

魔女「私がこの“引き金”を引けば君は楽に死ねる」ｼﾞｬｰﾝ

勇者「右手をピストルの形にして得意げになってるロリータにしか見えません」

魔女「魔力の媒体を私は右手で代替してるんよ」

勇者「魔力増幅しないと思うんですが」

魔女「しないけど魔法の高速連射は可能」

勇者「ロマンですね」

魔女「日常的にガンマンごっこが出来なくなるのが残念」

勇者「見た目どおり子どもっぽい」

魔女「BANG」ﾄﾞｫｫｫｵｵﾝｯ!

5 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/05(日) 00:32:01.37 ID:cEki5GqIO

なんだこれ

6 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 00:32:06.59 ID:R2m1mSN20

勇者「痛かった」ﾋﾘﾋﾘ

魔女「死ななかったか」

勇者「そうですね」

魔女「残念だ」

勇者「ド外道ですね」

魔女「もう一発やるか」

勇者「いいですけど、その前に仲間になってくれませんか」

魔女「良かろう」

勇者「やった」

魔女「一日一回研究に付き合うこと」

勇者「性的な意味で」

魔女「女になりたいのか」

勇者「すみませんでした」

7 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 00:33:45.19 ID:R2m1mSN20

魔女「ねぇ」

勇者「なんでしょう」

魔女「名前は」

勇者「勇者と言います。魔女さんでしたよね」

魔女「名前なんて飾りだよ」

勇者「ではまーちゃんと呼んでも」

魔女「BANG」ﾄﾞｶﾞｧｧｧ

8 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 00:35:21.15 ID:R2m1mSN20

魔女（さて）

魔女（勇者と魔王の激突による世界崩壊と再構築から十五年）

魔女（いいタイミングか）

魔女（それでも）

魔女「どうせ君が頑張らずとも」

勇者「はい」ﾋﾘﾋﾘ

魔女「じきに世界は滅ぶよ、君以外の人間か、それに準じた“意志”の力で」

勇者「そうですか」

魔女「うん」

勇者「でも、会わないと」

魔女「ふうん」

勇者「会って、話がしたいんです」

魔女「あっそ」

--------------------------------------------------------------------------------

9 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/05(日) 00:36:11.22 ID:cEki5GqIO

なんの盛り上がりも無い
こんな淡々とした会話全く面白くないから

10 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 00:37:01.28 ID:R2m1mSN20

*注意書き*

・長編です
・ファンタジーしてます
・中二設定バンザイ

変な奴らが世界の為に仲良く喧嘩するだけですが、よろしければお付き合いください。

11 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/05(日) 00:38:42.90 ID:geD9K/DBo

俺は淡々とした会話好きだけどな

12 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 00:39:08.11 ID:R2m1mSN20

――麓の町

魔女「ここまで降りてきたはいいが」

勇者「行くあてはありませんよ」

魔女「そう言うと思ったさ」

勇者「何処行くんです」

魔女「友人の家」

勇者「友人、居たんですね」

魔女「研究、一日二回」

勇者「これで男に戻れる」

魔女「一日三回」

勇者「薮蛇か」

13 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 00:41:47.27 ID:R2m1mSN20

魔女「町娘。来たぞ」

町娘「あら。久しぶりね。その人は」

魔女「研究材料」

勇者「どうも」

町娘「そう。で、何の用」

魔女「創造主の居場所を教えなさい」

町娘「事情を説明しなさい」

勇者「世界を滅ぼしに行くんです」

町娘「……」

魔女「この程度で絶句するとは、腕が落ちたな」

14 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 00:43:32.81 ID:R2m1mSN20

町娘「創造主は世界の中心にいるわ」

魔女「首都か」

町娘「核だからね」

魔女「そうか。じゃあ、後は金だ」

町娘「駄目」

魔女「えー」

町娘「依頼でもなんでもいいからこなしなさい。世界を滅ぼすつもりなら、腕に自信はあるんでしょ」

勇者「そこそこは」

魔女「面倒くさい女め」

町娘「いい人生経験でしょ」

魔女「私は人間じゃねー」

15 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/08/05(日) 00:45:44.32 ID:pIMUVfwR0

これ昔どっかで見たことあるぞ

…パクリ？

16 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 00:46:00.17 ID:R2m1mSN20

勇者「追い出されてしまいました」

魔女「相変わらずしけた奴だ」

勇者「一体どういう関係で」

魔女「かつての敵」

勇者「今は」

魔女「ただの仲良し」

勇者「あなた一体何歳なんです」

魔女「二千と十五歳」

勇者「と言うと」

魔女「二千歳で一回転生して今に至る」

勇者「成程」

魔女「あいつも転生の身だ」

勇者「同い年なんですね」

魔女「どうだろうね」

勇者「どうでしょうね」

17 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 00:48:19.10 ID:R2m1mSN20

>>15
一年ほど前に書いていた物のリベンジです

魔女「依頼やったろうじゃないか」

勇者「情報収集も兼ねて護衛依頼でも受けましょうか」

魔女「それが良い」

――ギルド

勇者「それらしい依頼が一つもない」

魔女「平和になったもんだ」

勇者「困りましたね」

魔女「魔物の一つでも放ってやろうか」

勇者「止めてください」

18 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/08/05(日) 00:49:04.87 ID:pIMUVfwR0

そうでしたか、すみません

頑張って下さい

19 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 00:51:52.69 ID:R2m1mSN20

勇者「これなんてどうです」

魔女「なになに」

勇者「シムナフ村のご老輩にお薬の配達」

魔女「完全に慈善事業じゃないか」

勇者「平和な世の中ですから」

魔女「異世界人の癖して分かったような口を」

勇者「受けてみましょうか」

魔女「人の話は聞かないタイプか」

勇者「貴女人間じゃないんですよね」

魔女「BANG」ﾄﾞﾝｯ!

20 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 00:54:45.13 ID:R2m1mSN20

勇者「零距離は酷い」

魔女「研究だ耐えろ」

勇者「これが後二回ですか」

魔女「次は股間にでも」

勇者「おいやめろ」

魔女「依頼主の所に行くぞ」

勇者「最初からそうしてください」

魔女「君が邪魔ばかりするのさ」

勇者「理不尽な」

21 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 00:56:45.38 ID:R2m1mSN20

――

依頼主「貴方がたが依頼を？」

勇者「はい。勇者と言います。こちらは魔女さん」

魔女「どうも」

勇者「……もう少し礼儀正しく」ﾋｿ

魔女「……よろしゅー」

依頼主「はいな、はいな。お二人とも、依頼の経験は？」

勇者「ありません。ですが、危険な事に関して言えば、そこそこの場数は踏んできているつもりです」

依頼主「そうかい。ま、シムナフ村は平和な所だけど、道中は何があるか分からないからね。
　　　　十分気をつけていくんだよ」

勇者「分かりました。契約書、書きますね」

依頼主「はいな、はいな。しっかりしてるねえ」

勇者「これも仕事の一部分ですから」

魔女「……ふうん」

22 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 00:58:57.34 ID:R2m1mSN20

――

魔女「トイレ我慢してたの？」

勇者「なんですかいきなり」

魔女「えらく馬鹿丁寧だったから」

勇者「仕事は仕事です」

魔女「あっそ」

勇者「見直しましたか」

魔女「うるせー」

勇者「シムナフ村はこの街から歩いて半日。頑張りましょう」

魔女「ちょい待ち」

勇者「なんです」

魔女「“呼び出す意志”」ﾎﾞｫﾝ

勇者「……おお」

23 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/05(日) 00:59:15.24 ID:cEki5GqIO

無表情で会話でもしてんの？

キャラが何してるかわかり辛い

状況説明へったくそやな

24 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 01:01:13.74 ID:R2m1mSN20

勇者「思ったのですが」

魔女「うん」

勇者「“意志”ってなんですか」

魔女「魔法、と言うかこの世界の源」

勇者「ここは意志の世界と」

魔女「間違ってはいない」

勇者「……成程。よく分かりませんね」

魔女「分からなくていい」

勇者「じゃあ、使う意志があれば、僕にも魔法が使えますか」

魔女「出来るけど、下位の物に限られるだろうね」

勇者「どうしてです」

魔女「君には無理だからさ」

勇者「人格レベルで否定された」

25 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 01:03:25.55 ID:R2m1mSN20

魔女「魔法は魔法を信じる者にしか使えない」

勇者「“信じる意志”ですね」

魔女「大体合ってる」

勇者「時間が経てば、僕にも信じる意志が芽生えるでしょうか」

魔女「時間があればね」

勇者「……まあ、そもそもあった所で」

魔女「うん」

勇者「この世界は滅ぶのですが」

魔女「君がそう信じたいなら、それでいい」

26 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 01:05:15.04 ID:R2m1mSN20

――シムナフ村

勇者「着きました」

魔女「寒々しい村だが」

勇者「あれ、なんでしょう」

魔女「塔だね」

勇者「シンボルかなんかですかね」

魔女「さてね」

勇者「ともかく、届け人の家に向かいましょう」

魔女「ちょい待ち」

勇者「なんです」

魔女「“察知する意志”」ﾎﾞｩﾝ

27 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 01:07:09.74 ID:R2m1mSN20

勇者「今のはなんです」

魔女「私と君の半径数十メートル内にレーダーを張り巡らせた」

勇者「はあ」

魔女「このレーダー内に入った人間の心理を察知する事が出来る」

勇者「ただの嫌がらせじゃないですか」

魔女「うるせー」

勇者「それ、僕の考えてる事とかも分かるんですか」

魔女「うん」

勇者「うわ」

魔女「研究、一日一時間延長」

勇者「うわああああ」

28 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 01:09:53.71 ID:R2m1mSN20

――

届け人「麓の町からいらっしゃったのですな。わざわざご苦労様です」

勇者「いえいえ。進んでやってる事ですから」

届け人「これは報酬です。お納めください」

勇者「ありがとうございます」

魔女「ありゃりゃした」

届け人「機会があれば、またよろしくお願いします」

勇者「はい。それでは」

29 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 01:12:24.53 ID:R2m1mSN20

勇者「銀貨五枚が手に入った」

魔女「三日は生き延びられるな」

勇者「こんなものでしょう。ひとまず、町に戻って宿を取りましょうか」

魔女「ちょい待ち」

勇者「なんです」

魔女「“解除”」ﾎﾟｰﾝ

30 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 01:14:24.44 ID:R2m1mSN20

魔女「レーダーを解除した」

勇者「もういいんですか」

魔女「うん」

勇者「そもそも何故つけてたんです」

魔女「シムナフ村民度調査」

勇者「つまりは暇つぶしですか」

魔女「魔女魂と言ってほしい」

勇者「清清しい外道」

31 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 01:16:28.91 ID:R2m1mSN20

勇者「で、どんな感じでした」

魔女「知ると言う事は罪を被ると言う事と同義だけど」

勇者「罪って自覚してるんですね」

魔女「85％、不審」

勇者「でしょうね」

魔女「10％、歓迎」

勇者「届け人さんですかね」

魔女「5％、救援」

勇者「……」

魔女「私たちが歩いてる間にね」

魔女「子どもが一人死んだよ」

32 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 01:18:41.03 ID:R2m1mSN20

勇者「言ってる意味が分かりません」

魔女「分からなくてもいいけど」

勇者「つまりは僕らがここを歩いている間に、事件が起こったと言う事ですか」

魔女「事件かな。習慣かもね」

勇者「んな馬鹿な」

魔女「この村に入ってから、一度も子どもの姿を見てないんだよ」

勇者「ひい」

魔女「中々愉快な状況だ」

勇者「舌なめずりしてる場合ですか」

魔女「久々に人間の悪意と対峙出来そうだ」

勇者「スイッチ入ってますね駄目だこりゃ」

33 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 01:20:38.72 ID:R2m1mSN20

――

魔女「居留守か」

勇者「此処は」

魔女「この中で子どもが死んでる」

勇者「そりゃまた」

魔女「BANG」ﾄﾞｫﾝｯ!!

勇者「なんつー」

魔女「扉は開かれた」

勇者「木っ端微塵に」

魔女「行くぞ」

勇者「ノリノリだなあ」

34 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 01:22:04.60 ID:R2m1mSN20

勇者「誰も居ませんね」

魔女「“把握する意志”」ﾎﾟｫﾝ

勇者「今度は一体」

魔女「把握する」

勇者「把握した」

魔女「微量な魔素が漂ってる」

勇者「貴女の魔法のせいじゃ」

魔女「私の魔法は魔素を残さない」

勇者「犯罪に使えそうですね」

魔女「端から見たら今の状況が犯罪だ」

勇者「全くです」

35 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 01:24:38.73 ID:R2m1mSN20

魔女「どうやらどっかにテレポートしたようだ」

勇者「転移する意志」

魔女「そう」

勇者「後は追えないんですか」

魔女「出来る、が」

勇者「はい」

魔女「現状を報告した方がいいだろう」

勇者「誰にです」

魔女「届け人」

勇者「上手く行けば事情が聞けるかもしれませんね」

魔女「うむさあ行くぞ」

勇者「ﾗﾃﾞｭ」

36 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 01:26:49.52 ID:R2m1mSN20

――

届け人「何故その事を？」

勇者「こちらの方が魔法使いでして」

魔女「やー」

届け人「……成程。これは大変な事になりました」

勇者「事情を教えていただけると、嬉しいのですが」

届け人「……良いでしょう。しかし一つだけ約束してほしいのです」

魔女「内容による」

届け人「……事情をお話しする以上、中途半端に外に出て行かれても困ります」

魔女「ふん」

届け人「……この村を救って欲しいのです！」

魔女「だってさ」

勇者「いいでしょう」

魔女「だってさ」

37 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 01:29:31.00 ID:R2m1mSN20

勇者「――生贄ですか」

届け人「はい。数ヶ月程前の事でしょうか、長くて大きな杖を持った男が突如現れ、この村の宝物を奪い去ったのです！」

魔女「杖。ふん」

届け人「宝物を奪った犯人はあの尖塔を根城にし、月に一度、生贄を求めています。
　　　　宝物を壊されたくなければ、子どもを渡せと言うのです！」

勇者「宝物とは」

届け人「“法石”と呼ばれる、人の握りこぶし程の大きさの白い石です」

魔女「マジックアイテムの一種かな」

届け人「我々が今まで平和でいられたのも法石のおかげ。お願いです、お二人方。
　　　　尖塔に潜む男を倒し、“法石”を取り戻してください！」

38 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 01:31:27.09 ID:R2m1mSN20

魔女「変な事に巻き込まれたな」

勇者「貴女のせいですけどね」

魔女「君がこんな慈善事業を引き受けなければこの村に来る事も無かった」

勇者「銀貨貰えたしいいじゃないですか」

魔女「まあとびきりの悪人が潜んでいる事を期待しよう」

勇者「だから舌なめずりやめてください」

魔女「上手く行けば旅の一員に出来るかもな」

勇者「その発想は何処から来るのか」

魔女「冗談だ」

勇者「言われなくても分かってます」

--------------------------------------------------------------------------------

今日はここまで。

39 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/05(日) 07:09:44.47 ID:tnKtsyZDO

乙。

書き方に関しては、色々想像できていいと思うぞ？
何はともあれ、完結まで>>1の好きなように頑張ってほしいな

40 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/05(日) 10:39:43.92 ID:L0HBVDyDO

今度こそ完結してくれ

41 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/05(日) 17:49:43.29 ID:htEIAD8IO

おもしろい

42 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/05(日) 18:31:49.45 ID:M0Kl2rPIO

応援レスがついてるけど純粋に面白いか？これ

会話が下手過ぎるでしょ

43 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:17:02.23 ID:R2m1mSN20

――尖塔

魔女「“把握かつ察知する意志”」ﾎﾟｫﾝ

勇者「複合魔法ですか」

魔女「面倒だから同時に唱えただけだよ」

勇者「ごり押し魔法ですね」

魔女「杖使わないからね」

勇者「色々不便だと思うんですけどね」

魔女「使ったこと無いから不便も何も無い」

勇者「無知は罪と言います」

魔女「口は禍の元だよ」ﾄﾞｫｵｵｵｵﾝ!

44 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:19:05.96 ID:R2m1mSN20

勇者「これから討伐なんですけど」ﾋﾘﾋﾘ

魔女「尖塔で戦闘。くひひ」

勇者「……」

勇者「把握と察知の結果はどうなんです」

魔女「トラップも目に見えた殺意も無い」

勇者「分かりました」

魔女「随分迷いが無いね」

勇者「あなたが居ますからね」

魔女「ふうん」

勇者「嬉しいですか」

魔女「ふうん」

45 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:20:22.04 ID:R2m1mSN20

魔女「生贄を探すか、犯人を探すか」

勇者「精神的に考えて犯人でしょうね」

魔女「この意気地なしめ」

勇者「どうして後ろに隠れるんです」

魔女「魔法使いを前衛に立てるパーティがあるか」

勇者「そりゃそうですけど」

魔女「安心しろ、後方支援は任せた」

勇者「死んだら墓は花畑の中にお願いします」

魔女「おーいぇ」

46 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:22:03.55 ID:R2m1mSN20

勇者「ん、これは」

魔女「それトラップ」

勇者「危なかった」

魔女「嘘だよ」

勇者「あなたと一緒に居る方がトラップのような気がしてきた」

魔女「おかげさまで」

勇者「褒めてませんよ」

47 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:24:05.80 ID:R2m1mSN20

魔女「そう言えば、君」

勇者「なんでしょう」

魔女「君の得物はなんなんだ」

勇者「どう言う事です」

魔女「武器はあるのかと聞いている」

勇者「ああ」

魔女「見たところ剣を持っているようには見えないが」

勇者「勇者だから剣士と言うのは早計ではないでしょうか」

魔女「ふん。で、どうなんだ」

勇者「これです」

48 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:26:04.47 ID:R2m1mSN20

魔女「なんだこれは」

勇者「ルービックキューブです」

魔女「見れば分かる」

勇者「これが武器です」

魔女「投げるのか」

勇者「違います」

魔女「マジックアイテムなのか」

勇者「そんな所です」

魔女「そうかそうか」ﾌﾞｩﾝ

49 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:27:42.63 ID:R2m1mSN20

魔女「魔物が現れたぞ」

勇者「今魔法使いませんでした？」

魔女「魔素が残って無いから分からないな」

勇者「理不尽な」

魔女「ほら、君の武器のお披露目だ。がんば」

勇者「仕方ありませんね」ｶﾁｶﾁ

ｸｲｯ

勇者「“赤の面”」ﾎﾞｫｵｵｵｯ!

魔女「ほお」

50 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:28:57.87 ID:R2m1mSN20

勇者「こんな所です」

魔女「成程。炎を出すのか」

勇者「他にも色々出せますけどね」ｶﾁｶﾁ

勇者「“白の面”」ｽｯ

魔女「炎が消えたな」

勇者「このルービックが生む現象は特殊でして。一々自前で消去しないといつまでもそこに残り続けるんです」

魔女「めんどくせえ」

勇者「役に立つ時もありますよ」

魔女「例えば」

勇者「野宿の時とか」

魔女「野宿するのか」

勇者「予定は無いです」

51 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:30:27.40 ID:R2m1mSN20

魔女（あの炎）

魔女（魔素を感じなかったな）

魔女（やはり、この世界の要素では無いのか）

魔女（興味深い）

魔女「勇者よ」

勇者「なんです」

魔女「そのルービックを貸して欲しい」

勇者「いいですけど」

魔女「やった」

勇者「面は揃えられるんですか？」

魔女「甞めるなよ」

52 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:31:45.62 ID:R2m1mSN20

――

魔女「むう」ｶﾁｶﾁ

勇者「魔女さん、魔女さん」

魔女「うむううう」ｶﾁｶﾁｶﾁｶﾁ

勇者「聞いてますか、魔女さん」

魔女「なんだね」

勇者「なんだか怪しげな扉の前に来ました」

魔女「今私は忙しい」ｶﾁｶﾁ

勇者「ぼっしゅー」

魔女「あー」

勇者「今何をしているのか思い出してください」

魔女「Rubik's！」

勇者「Be look！」

53 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:33:57.28 ID:R2m1mSN20

魔女「扉だな」

勇者「さっきからそう言ってるでしょう」

魔女「中から魔素の反応がする」

勇者「此処に居るのでしょうか」

魔女「ニエがね」

勇者「他をあたりましょう」

魔女「待て臆病者」

勇者「なんですかぶきっちょさん」

魔女「生きている人間の反応がある」

勇者「……」

勇者「他を」

魔女「お前はそれでも勇者か」

54 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:35:34.57 ID:R2m1mSN20

ｶﾞﾁｬ

勇者「……」

魔女「早く入りたまえよ」

勇者「トラップは」

魔女「無いと言ってるだろう」

勇者「うう、仕方ない」

魔女「へいへーい」

勇者「……」

魔女「きょろきょろするな、不愉快だ」

勇者「此処は、牢獄ですか」

魔女「そのようだね」

55 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:37:07.49 ID:R2m1mSN20

勇者「生きている人間なんて、何処にも……」

魔女「……間違いなくいる筈なんだけど」

勇者「もう少し、詳しく――」

ｶﾞﾁｬﾝ!

勇者「……」

魔女「……」

勇者「現状」

魔女「トラップ」

勇者「嘗めてんですか」

魔女「すまんかった」

56 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:38:18.82 ID:R2m1mSN20

魔女「……人間の反応を模したフェイク、か」

魔女「この程度も見破れないとは、私も思った以上に力が衰えているようだ」

勇者「こう言う状況でそんな事言っちゃいますか」

魔女「ああうん。言った言った」

勇者「憤懣やるかたないですが、とりあえず脱出方法を探しましょう」

魔女「それより先に、牢獄の調査と行こう」

勇者「勘弁してください」

魔女「BANG」ｽﾁｬｯ…

勇者「フェイントとか」

魔女「BANG」ﾄﾞｫｫｵｵﾝｯ!

57 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:39:49.22 ID:R2m1mSN20

勇者「あのですね」ﾋﾘﾋﾘ

魔女「なにか」

勇者「僕たちが頼まれたのは犯人の撃退と法石の回収です」

魔女「そうだね」

勇者「身内同士での戦いは望まれていない筈です」

魔女「身内」

勇者「パーティ」

魔女「ふん。まあいい。勇者なら勇者なりに、もっとシャキッとするんだね」

勇者「くそう」

58 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:41:21.57 ID:R2m1mSN20

魔女「ふむ」

勇者「牢獄と言う割には」

魔女「何も無いな」

勇者「これ、なんでしょう」ﾋﾟﾗ

魔女「布切れ」

勇者「……。うわっ」

魔女「へたれめ」

59 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 20:42:59.34 ID:gOoMy5DQ0

　　　r;ｧ'N;:::::::::::::,ｨ／　　　　　 >::::::::::ヽ
.　　　　〃　　ヽﾙ1'´　　　　　 ∠:::::::::::::::::i
　　　　 i′　　___,　-　,. = -一　￣ｌ:::::::::::::::ｌ
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　　　　　　ｌ　　　　　　　　_,, -‐''二ゝ　ｌ::::l fﾞヽ |、ここはお前の日記帳じゃねえんだ
　　　　　ﾚー-- ､ヽヾﾆ-ｧ,ﾆ;＝、_　　 !:::l ） } ト
　　　　　　ヾ¨'７"ry､｀　ｰﾞ='ニ,,,｀　　 }::ヽ(ノ　チラシの裏にでも書いてろ
:ｰゝヽ､　　 !´ "￣ 'l,;;;;,,,.、　　　　　　　,i:::::::ﾐ
::::::::::::::::ヽ.-‐ ﾄ、　r'_{　　 __)｀ニゝ、　 ,,iﾘ::::::::ﾐ
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60 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:43:30.29 ID:R2m1mSN20

魔女「ふむ」ﾋﾟﾗ

勇者「ばっちいですよ」

魔女「黙っていろエセ勇者」

魔女「……成程」

勇者「何が」

魔女「この布切れに宿った残留思念を読み取った」

勇者「えげつねえ」

魔女「この程度で恐れていちゃ、この世界は旅できないぞ」

勇者「なんつー」

61 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 20:43:34.60 ID:gOoMy5DQ0

　　　　　　　 _,. -‐１　　　　,.　- ‐:‐:‐:‐:‐- ､
　　　　　　　　　　_,. -‐:'´: : : : : |　　, :'´::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.丶
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　　　 /: ∨: : : : : : : : : : : : : : :l'／l:/::./ ,':/　　i::.:ﾄ､::.l､::.:!::.::.::.::.',
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　　,': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/　　　　┬--､　　}::.:/::.!
　　! : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ;.ｲj　　　　　{辷ﾘ ′/::/!::/ここは貴方の日記帳じゃないわ。
　ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.. : :､／　　 ;　　　　　 /〃ﾉ:/
´. .:.:.:.:.:.:.:.: : : .:.: : : .:.:.:.. : : :.:.:.:.:.:.:__:.:.ヽ　　　r―-,　　　　/-:'´::;′　チラシの裏にでも書いてなさい。
`ー---;.:.:.:..:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.Ｖ￣`ヽ、　｀ｰ‐'　　　ィ;､:::∧:{
　　　 /:.:.:.:._:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|'´ヽ　　ｒく｀ト､.　-‐'´　| ｀:く　｀　　ね！
　　厶-‐'´ |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ト､:.:.:.|　　_,.-‐!　＼　　__,,.　-‐''´　}‐:､
　　　　　　 _l;.ィ´ヽ:.／ヽ:|'´ ,＞‐'´: : く　　　 ∨　　　　　　　＞＼
　　　_,r{｀７　￣{￣}￣¨`‐く__ヽ_;,: -‐; :＼　　　　　　　_,.-:'´: : : : : :＞､
　,.イ |　〉´￣￣￣: ￣｀ー‘ｖ'´＞‐_く : : : ＼___,,. -‐:'´: : :ト-､_;,.-'´　　ヽ
ｒ'l　! ,し′:　:　:　:　:　:　:　: :}_ﾉ／ __,,.ヽ: : : : : : : : : : : : : : V　　　　　　　l
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62 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 20:44:18.92 ID:gOoMy5DQ0

／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣＼
|　　ここはお前の日記帳じゃねえんだ　　|　　　　　　　　／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
＼＿＿＿＿＿＿＿　　＿＿＿＿＿＿＿／　　　　　　　　|　　　チラシの裏にでも書いてろ
　　　　　　　　　　　　∨　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿　＿＿＿＿
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　　　ヽ､)ﾉ::{ 　　´,,,ニ'=ﾞｰ　 ´､yr゛７'¨ッ　　　　　　　　　　　　ヾ¨'７"ry､｀　ｰﾞ='ニ,,,｀　　 }::ヽ(ノ
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63 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:44:53.56 ID:R2m1mSN20

魔女「さてまあ」

勇者「はい」

魔女「この服の持ち主は殺された子ども……今日死んだばかりの子の物ではない様だが」

勇者「はい」

魔女「死を恐れてはいないようだな」

勇者「は」

魔女「正確に言えば。法石の為なら死んでも構わない、進んで生贄になりましょう」

勇者「……」

64 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 20:45:04.05 ID:gOoMy5DQ0

　＿
　＼ヽ,　,、
＿　　`''|/ﾉ
＼｀ヽ、|
　＼, V
　　 `L,,_
　　　 |ヽ､)　　　　　　　　　　　　　　　　,､
　　　.|　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽYﾉ
　　 / 　　　　　　　　　　　　　　 r''ヽ、.|
　 /　　　　　　 ,..　-──-　.、　　 `ｰ-ヽ|ヮ
　.|　　　　　 , ‐'´　　＿＿　　 `ヽ、　　`|
　 |　　　　／　, ‐'"´ 　　　｀`''‐､　＼　 |
　 |　　　/　／　　　　　　　　　　　＼　ヽ |
　ヽ,　　y'　　　/` ‐ 、　　　 ,.. -'ﾍ　ヽ. }ﾉ
　　　ヽ,' 　　 /　　　/｀,ゝ' ´ 　　ヽ　 Y.
.　　　 i　　　 ,' 　　 {　{　　　　　　ヽ　 `、
　　　 l　　 ,ｲ─- ､.._　ヽ　,,　_,.. -─:}　　　!
.　　 |　　r‐i|　ｰ=ェｪ:ゝ　,.∠ｨｪｪ=ｰ' |r ､.　 l
　　　|　　{ﾄ｣l|.　　　　　 : | "　　｀`: |!ﾄﾘ　　|
.　　│　　ヽ､|　　　　　 ;.｣_　　　　　 |'ソ　　 !
.　　│　　　ヽ　　 r──ｯ　　　 /ﾉ　　　　|
　　 |　　　　 lヽ　　　￣￣　　 / ｲ　　　　│
.　　 !　　　丶ヾヽ　　　 ~　　　, '　ﾉ　│　　 !
　　　ﾄ.　　　　ﾐ.ゝヽ.＿＿__.／　　/　 l　　 /
　　　　ヽ　　ヽ　　　　　　　　　　　ｲ　,' / , '　　　　　　　┼ヽ　 -|r‐､.　ﾚ　|
　　　　　＼.　　　　　　　　　　　　　ノﾚ'／　　　　　　　ｄ⌒)　./|　_ﾉ　 __ﾉ

65 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 20:46:15.67 ID:gOoMy5DQ0

　＿
　　＼ヽ,　,、
　　　 `''|/ﾉ
　　　　 .|
　＿　　 |
　＼｀ヽ、|
　　＼, V
　　　 `L,,_
　　　　 |ヽ､)
　　　　 .|
　　　　/ 　　　　　 ,､
　　　 /　　　　　　　　ヽYﾉ
　　　.|　　　　　　 r''ヽ、.|
　　　|　　　　　　 `ｰ-ヽ|ヮ
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　　　ヽ,　　　　,r　　　 .|
　　　　ヽ,r'''ヽ!'-‐'''''ヽ､ﾉ
　,,,..---r'",r, ,　、`ヽ､　ヾ
　ヽ､__/ ./ﾊﾚﾊ i`ヽ、 `''r`ミ_
　　　.ﾚ//r,,,､ﾚ'ﾚﾊヾ,　 L,,_　`ヽ、
　　　 "ﾚ, l;;;l　　 l;;;l`i.ﾘﾚ'　ﾘ￣~~
　　　　　ヽ､　ワ `"／-'`'`'
　　　　　　　`''''''''"
　　　　　　　　　　　　　　　　┼ヽ　 -|r‐､.　ﾚ　|
　　　　　　　　　　　　　　　ｄ⌒)　./|　_ﾉ　 __ﾉ

66 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 20:46:46.63 ID:gOoMy5DQ0

　　　　　 .＿
　　　　　＼ヽ,　,、
　　　　　　　`''|/ﾉ
　　　　　　　　.|
　　　　＿　　　|
　　　　＼｀ヽ、|
　　　　　＼, V
　　　　　　 `L,,_
　　　　　　　 |ヽ､)　 ,､
　　　　　　　 /　　　　ヽYﾉ
　　　　　　 /　　　　r''ヽ、.|
　　　　　　|　　　　　`ｰ-ヽ|ヮ
　　　　　　|　　　　　　　`|
　　　　　　|.　　　　　　　 |
　　　　　　ヽ、　　　　　　|
　　　　　　　ヽ＿＿＿_ﾉ
　　　　　　　／_ノ '　ヽ_＼
　　　　　　／（≡）　（≡）＼
　　　　／::::::⌒（__人__）⌒::::: ＼
　　　　 |　　　　　|r┬-|　　　　　|
　　　　＼　　　 `ー'´ 　　／
　　　　　／　　　　　　　　　　＼
　　　　 (　 |　　　　　　　　　 |　 )
　　　　　＼|　　　　э　　　　|／
　　　　　　 (　　　　,,,,　　　 ,ﾉ
　　　　　　　＼　､(Ｕ)ﾉ　ノ
　　　　　　　　＼／　／　　　　　　　　　　　　┼ヽ　 -|r‐､.　ﾚ　|
　　　　　　　　／　／＼　　　　　　　　　　　　ｄ⌒)　./|　_ﾉ　 __ﾉ
　　　　　 ⊂⌒＿＿）＿＿）

67 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:47:02.04 ID:R2m1mSN20

魔女「あの村の子どもはそういう教育を受けてきているのだろう」

勇者「洗脳ですね」

魔女「ふん。ま、悪い事だとは思わんけどね」

勇者「そうでしょうか」

魔女「常識なんてそんなもんだよ」

勇者「そうかもしれませんね」

魔女「うん」

68 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 20:47:42.32 ID:gOoMy5DQ0

　　　　　＼ヽ,　,、
　　　　　　　　`''|/ﾉ
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　　　　　＿　　 |
　　　　　＼｀ヽ、|
　　　　　　＼, V
　　　　　　　　 `L,,_
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　　　　　　　　/ 　　　　　　　　　　　　　　　,､
　　 _,,....,,_　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ヽYﾉ
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ヽ:::::::::::::::::::::|　:＼　　　　　　　　　　　　ｰ-ヽ|ヮ
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　|::::ﾉ　　　ヽ､ヽr-r'"´　　（.__　　　,´　_,, '-´￣￣｀-ゝ、_ イ、
_,.!イ_　　_,.ﾍｰｧ'二ﾊ二ヽ､へ,_7　　　'r ´　　　　　　　　　　ヽ、ﾝ、
::::::rｰ''7ｺ-‐'"´　　 ;　 ',　｀ヽ/｀7　,'＝=─-　　　　 -─=＝',　i
r-'ｧ'"´/　 /!　ﾊ　ハ　 !　　iヾ_ﾉ　i　ｲ　iゝ、ｲ人レ／_ルヽｲ i　|
!イ´ ,' |　/__,.!/　V　､!__ﾊ　 ,'　,ゝ　ﾚﾘｲi (ﾋ_] 　　　ﾋ_ﾝ ).| .|、i .||
`! 　!/ﾚi'　(ﾋ_] 　　　ﾋ_ﾝﾚ'i　ﾉ　　　!Y!""　 ,＿__, 　 "" 「 !ﾉ i　|
,'　ﾉ　 !'"　　 ,＿__,　 "' i .ﾚ'　　　　L.',.　　ヽ _ﾝ　　　　L」ﾉ| .|
　（　　,ﾊ　　　　ヽ _ﾝ　　人! 　　　　 | ||ヽ、　　　　　　 ,ｲ| ||ｲ| /
,.ﾍ,）､　　）＞,､ _____,　,.イ　ハ　　　　レル｀ー--─ ´ルﾚ　ﾚ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┼ヽ　 -|r‐､.　ﾚ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｄ⌒)　./|　_ﾉ　 __ﾉ

69 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 20:48:15.91 ID:gOoMy5DQ0

　　　　　　　＿
　　　　　　　　　＼ヽ,　,、
　　　　　　　　　　 `''|/ﾉ　　　　　　　∞ . . .
　　　　　　　　　　　 .|
　　　　　　　　＿　　 |
　　　　　　　　＼｀ヽ、|
　　　　　　　　　＼, V
　　　　　　　　　　 `L,,_
　　　　　　　　　　　 |ヽ､)
　　　　　　　　　　　 .|
　　　　　　　　　　　/　　　 ,､　 ,
　　　　　　　　　　 /　　　　ヽYﾉ
　　　　　　　　　　.|　　 r''ヽ、.|
　　　　　　　　　　|　　 `ｰ-ヽ|ヮ
　　　　　　　　　 |　　　　 `|
　　　　　　　　　　ヽ,　＿＿,|
　　　　　　　　　　　´ 　　　｀＜⌒
　　　　　　　／　　　　　l ト､　､　＼
.　　　　　 /　　　 l.　_/ﾘ!　ヽ _} 　寸￢
　　　　　　　　　　 l'´/ ,ﾘ　￣V＼　ヽ
　　　　　 {　／| 　 |/ 　　　　 {:.ヽ　!
　　　　　　 X　　l 　 l◯　　　 ◯ ｌ:.:.l V
　　　　　 /　ヽ（| 　 !　　　 _ 　　｝:.:.!
　　　　　　 .　| 　 !､＿( __）イj＼|　　　　　　　　┼ヽ　 -|r‐､.　ﾚ　|
　　　　　　 }/,ﾚﾍ/─-＼　　 ′　　　　　　　　ｄ⌒)　 ./|　_ﾉ　 __ﾉ

70 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:48:40.61 ID:R2m1mSN20

勇者「……でも、ちょっと待ってくださいよ」

魔女「なにかな」

勇者「魔女さんは救援の信号を受け取ったんですよね」

魔女「そうだね、そこが問題だ」

勇者「その救援は確かに子どものものだったんですか」

魔女「察知の結果に、魔法的妨害でもかけられていない限りは」

勇者「ぶっちゃけそこらへんどうなんです」

魔女「なんとも言えないな」

勇者「ううむ」

71 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 20:49:33.72 ID:gOoMy5DQ0

　　　　　　　　_Y_
　　　　　　ｒ'｡∧｡ｙ.
　　　　　　　　　ゝ∨ノ　　　　　　　>>1が糞スレ　　　　　　　,,,ｨf...,,,__
　　　　　　　　　）~~（　　　　　　　　立てている間に　　　_,,.∠/ﾞ`'''t-nヾ￣"'''=ー-.....,,,
　　　　　　　　　,i　　 i, 　　　　　　　　　　　　　　　　　　,z'"　　　￣￣　／nﾞﾞ''''ー--...
　　　　　　　　 ,ｉ>　　 <ｉ　　文明はどんどん発達し　　 r”^ヽ　　　　　く:::::|::|:::〔〕〔〕
　　　　　　　　ｉ>　　　<ｉ. 　　ていく・・・・・・。　　　　　　入_,..ﾉ ℃ 　　　　￣U￣＿二ﾆ＝
`=.,,ｰ- ...,,,__　 |,ｒ'''"7ヽ､|　 __,,,... -ｰ,,.=' 　　　　　　　　>ーｚ-,,,...--,‐,‐;;:'''""~
　　~''':x.,,　 ~"|{ G ゝG }|"~　 ,,z:''" 　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　 ~"'=| ゝ､.3 _ノ |=''"~ 　　　＜ー＜> 　　　　　　　　／　　l￣￣＼
　　　　　　　 .|）) 　　　(（| 　　　　　　/￣￣ﾞｉ;:､　　　　　「￣￣￣￣|￣|￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　))| 　　　ｒ'´￣「中]￣｀ヾv､　　　`-◎──────◎一'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　├―┤＝├―┤　|li:,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|「￣ |ｉ￣ｉ|「.//||「ｌn|:;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　||//__|Ｌ_」||＿_.||ｌ」u|:;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ニ⊃|　　|⊂ニ| || ,|/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＿. └ｰ┘ .＿| ||/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ　「￣￣￣|　/

72 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 20:50:27.06 ID:gOoMy5DQ0

┌───────────────────
│あ、どうもｽｲﾏｾﾝ、>>1がお騒がせしました･･･
└───v───────────────
　　　　／⌒＼　っ　　／＼
　　　　/'⌒'ヽ　＼っ／＼　 |
　　　（●．●）　）／　　　|:　|　すぐ連れて逝きますんで･･･
　　　　 >冊/　 .／　　　　 |: /
　　　/⌒　　ミﾐ　＼　　　〆
　　 /　　　／　|::|λ|　　　 |
　　 |√7ミ　　 |::|　ﾄ、　　 |
　　 |:／　　　　V＿ハ　　　|
　／| i　　　　　　　　 |　∧|∧
　　　и .i　　　　　　Ｎ　/⌒ ヽ）　>>1
　　　 λﾍ、|　i　.ＮV　 |　　 | |
　　　　　　Ｖ＼Ｗ　　　（、　∪
　　　　　　　　　　　　　 |｜ |
　　　　　　　　　　　　　 ∪∪

73 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:50:47.32 ID:R2m1mSN20

勇者「そう言えば」

魔女「ん」

勇者「村に入って一度も子どもを見ていない、と言いましたよね」

魔女「うん」

勇者「もし、既に村の子どもが全滅しているとしたら」

魔女「うん」

勇者「村の住民は、自然と生贄を他の土地から連れてきた子どもに頼らざるを得なくなる」

魔女「素敵じゃないか」

勇者「不敵ですね」

74 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 20:51:09.56 ID:gOoMy5DQ0

　　　　　　　　　　　>>1

　　　　　　　　　　　　ヲ

　　　　　　　　　　　　迎

　　　　　　　　　　　　エ

　　　　　　　　　　　　ニ　　　　　　　　　　　　　　　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //＾7＼
　　　　　　　　　　　　来　　　　　　　　　　　　　 /|| /／＼.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//||//:::::::::＼.､
　　　　　　　　　　　　マ　　　　　　　　　　　　〈/ ||/:::::::::::::::::＼.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　||:::::::::::::::::::::::::ヽ.､
　　　　　　　　　　　　シ　　　　　　　　　　　 ,/　/＼　:::::::::::::::::::::ヽ:､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/　　＼　:::::::::::::::::::|:|
　　　　　　　　　　　　タ　　　　　　　　　　　/　/　　　　＼　::::::::::::::|:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/　　　　　　ヽ　:::::::::::|:|
　　　　　　　　　　／⌒＼　　　　　　　　/　/　　　　　　　 |　:::::::::::|:|
　　　　　　　　　／　　　　＼　　　　　　/　/　　　　　　　　|　::::::::::|:|
　　　　　　　　 /＿＿　　　　＼　　　　/　/　　　　　　　　　|　:::::::::|:|
　　　　　　　　/ﾉ v　＼　　　　）　　 ./　/　　　　　　　　　 |　:::::::::|:|
　　　　　　　　|ζ) (_ヽヽ　　　ム　　/　/　　　　　　　　　　|　:::::::://
　　　　　　　 λﾍ´｀,イ|:）　／／⌒,/　/　　　　　　　　　　 |　:::::://
　　　　　　／λ.|三-'//／／　　 /　/＼　　　　　　　　　|　:::://
　　　　　　 |　|　＼─／　/　　　 /　/　　＼　　　　　　　 ./　:://
　　　　　　/　|　　 У　　/　　| 彡ミ、　　　λ　　　　　　 / .／
　　　　　 /　　　　　　　/　　/ 彡ミ､|　　　　 |　　　　　　/／
　　　　　/　　　　　　／　　/　/　/:::λ＼　　ﾄ、
　　　　 /　　　　　　　　　 /　/　/|::::::::| λ　 | ＼
　　　　/　　　　　　　　／　/　/ .|::::::::|　　　 |　　＼
　　　 /　　　 |　＼＿／　 /　/　 |::::::::|　　　 |　＼_＞
　　　/　　　　〉＿　　　　/　/　　|::::::::ｖ　　　|　　　＼
　　　|　　（三7　　￣7≦彡ミ　　λ::::V　　 ,ﾉ　　　　＼＿
　　　|　ム:::/　　　　|:ミ彡ミ　/　从V 　　 /　　　　　　　 /
　　　|　　|:::::ハ　　　 |/　/　 /　　|　　　 ,/　　　　　　／
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　　 λ　　　　　　　,/　/　　 |　　/　　　　　　　　　 /
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75 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 20:51:36.98 ID:gOoMy5DQ0

　　　　　　　　　　　　,.,.,.,.,.,.,.,.,__
　　　　　　　　　　　,,;f::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　i::::::::/'"￣￣ヾi
　　　　　　　　　　　|:::::::|　,,,,,_　 ,,,,,,|
　　　　　　　　　　　|r-==（　｡);（　｡)
　　　　　　　　　　　(　ヽ　　:::__)..:: }
　　　　 ,＿＿__／ヽ　　ー==　;　ほほう　それでそれで？
　　　　 r'"ヽ　　 t､　　＼＿＿_ !
　　　　/ ､､i　　　ヽ＿＿,,/
　　　 /　ヽﾉ　　j　,　　　j　|ヽ
　　　 |⌒`'､__ /　/　　　/r　 |
　　　 {　　　　￣''ｰ-､,,_,ﾍ＾　|
　　　　ゝ-,,,＿＿＿＿_）--､j
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　　　|　　　　"'ｰ‐‐---''

76 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 20:52:06.04 ID:gOoMy5DQ0

　　　　　　　　　　　,.,.,.,.,.,.,.,.,__
　　　　　　　　　　　,,;f::::::::::::::::::::::ヽ
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　　　　　　　　　　　|::|　／　　＼,|::|
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　　　　　　　　　　　(　ヽ :::(__)..:: 　}　　＜・・・で？
　　　　 ,＿＿__／ヽ　 -==-　/
　　　　 r'"ヽ　　 t､　　ヽ＿＿_/
　　　　/ ､､i　　　ヽ＿＿,,/
　　　 /　ヽﾉ　　j　,　　　j　|ヽ
　　　 |⌒`'､__ /　/　　　/r　 |
　　　 {　　　　￣''ｰ-､,,_,ﾍ＾　|
　　　　ゝ-,,,＿＿＿＿_）--､j
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77 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:52:14.96 ID:R2m1mSN20

勇者「もし仮説どおりなら――まずいですよ」

魔女「ふん。ふふん」

勇者「笑ってる場合ですか」

魔女「いや、予想通りの展開になってきてくれて嬉しいよ」

勇者「……えぐい性格してますね」

魔女「性分でね」

魔女「まあ――行こうか」

78 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 20:52:27.00 ID:gOoMy5DQ0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,-― ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　／／　/　　　` i
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　　　　　　　　　　　　　　　　　〈　　　　　＼　　 ,|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　// ヽ丿
　　　　　　　バコタン！||l　　　　＞====||l=
　　　　　　　　　　　　　　／|l 　　　/　|"
　　　　　　　　　　　　　ノ　/､　　　　／/ } 　ほほうそれでそれで？
　　　　　　ベコタン！　　)　ヽ､＿＿i||,.／　/
　　　　　　　　　　　　　　 ⌒　,〉　　,,　　 ",〉＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　〈　_　_　　, ／,t　　￣, '゛`ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ー--‐''" 　'　　　　 i , ,　　|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　ヽ､_, -ｰ"￣　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!, -‐（_＿＿＿＿,,,-く
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　　　　ﾟ　　　　　　　　　+ 　==＝＝＝ !　　　 ,.　　　　　　￣丶
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　　　＝＝三／　｀ﾆー――-- ､..-''´　　　　ﾞｰ‐ｧ--―''"￣｀丶､　u　丶､　　　_,,.. --､
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　　　｡　/,　　 ,. - '´　　￣ﾞ''ー-----―''"´　　　　　　+　　　ﾟ　　　ヽｰ　　　_ノ-'´
　　　　｀ﾞｰ-'´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　－－=＝＝三三三ヽ､_／

79 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 20:53:03.60 ID:gOoMy5DQ0

80 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 20:53:30.86 ID:gOoMy5DQ0

81 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 20:53:57.46 ID:gOoMy5DQ0

魔女「と言うか。魔王って、もう、いないよ」

勇者「こう言えば良かったでしょうか。世界の創造主」

魔女「魔王じゃねぇじゃん」

勇者「僕にとっては魔王です」

魔女「ぷーくすくす」

勇者「棒読み」

魔女「別に世界を滅ぼさなくても、元の世界には帰れる」

勇者「なんと」

魔女「一度[ﾋﾟｰｰｰ]ばいい」

勇者「なんだと」

82 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:58:29.10 ID:R2m1mSN20

勇者「どうやって脱出しましょう」

魔女「“解錠の意志”」ｶﾁﾝｯ

勇者「なんでもありですね」

魔女「意志が強いからね」

勇者「こちらとしてはありがたいです……でも最初からやって欲しかったですね」

魔女「うるさい」

勇者「もしかして」

魔女「うるさい」

勇者「さっきまで脱出方法が分かってなかったり」

魔女「ああああー」

83 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 20:59:57.38 ID:R2m1mSN20

魔女「さて、何処に行くかな」

勇者「なんだか元気になりましたね」

魔女「人間の悪意を垣間見るとね、こう、色々と滾る」

勇者「駄目だこの魔女」

魔女「くひひ」

勇者「とりあえず上に向かいましょう」

魔女「素敵理論」

勇者「行きますよ」

84 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:01:09.10 ID:R2m1mSN20

ｽﾀｽﾀｽﾀ

魔女「おーおー」

勇者「どうしました」

魔女「強くなってきたよ」

勇者「なにが」

魔女「魔素の反応」

勇者「つまりは、この上に」

魔女「犯人はいる」

勇者「急ぎましょう」

魔女「くひひ……楽しみだ」

85 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:02:32.55 ID:R2m1mSN20

ﾊﾞﾝｯ!

勇者「こんにちは勇者です」

魔女「颯爽登場マジカルウィッチ」

男「……来たか」

勇者「貴方が件の犯人ですね」

男「いかにも」

魔女「大人しく法石を返してもらおうか」

男「いいだろう、だが」

勇者「なんです」

男「俺の話を聞いてからにしてもらおう」

86 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:03:33.73 ID:R2m1mSN20

魔女「ほう、いいよ」

勇者「ちょっと、魔女さん」

魔女「なんだ」

勇者「罠だったらどうするんです」

魔女「安心しろ、今の私なら大丈夫だ」

勇者「なんですかそれ」

魔女「くひひ」

87 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:05:20.54 ID:R2m1mSN20

男「まず、初めに――この法石」ｽｯ

勇者「綺麗な石ですね」

魔女「……」

男「そこの魔女、これをどう思う」

魔女「偽物か？」

男「違う、本物だ」

魔女「ふむ。成程」

勇者「はい？」

88 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:06:35.47 ID:R2m1mSN20

勇者「どういうことです、一体」

男「法石に、力は無い」

勇者「……え」

魔女「シムナフの住人は今まで何の力も無い石ころを信仰してたってことだ」

勇者「嘘ですよね？」

魔女「ふん。信じたくなければ信じなくてもいいさ」

魔女「常識なんて、そんなもんだからね」

89 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:08:15.38 ID:R2m1mSN20

男「お前達は――村に依頼を受けたんだろう。俺を殺し、法石を取り返してこいと」

勇者「その通りです」

男「だがどうする？　この法石に力は無い。そんな物が無くたって、彼らは生きていける」

魔女「それとこれとは別問題」

勇者「それに、貴方が罪無き子どもを生贄として要求した事は事実」

男「どちらにせよ生かしておけない、と。成程」

男「……ふん」

90 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:10:00.16 ID:R2m1mSN20

男「そこの男。勇者と言ったな」

勇者「はい」

男「愚かだとは思わないか」

勇者「何がです」

男「あの村さ。有り得る筈もない力に縋り、守られていると妄信してきた」

男「俺が試しに石を奪ってやったらこれだ――何も疑わず、生贄を出してくる。こんな石ころの為に」ｺﾞﾛﾝ

男「石に何の力も無いと言ったら、どうなるかね？　ふん、それでも奴らは信じるだろうがな」

勇者「……」

91 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:11:37.17 ID:R2m1mSN20

男「感謝しているよ、この石には。おかげさまで大分研究が進んだ。ある意味、俺の為にあったのかもしれないなあ」

勇者「……言いたい事は」

魔女「くひひひひ」ｼﾞｭﾙﾘ

勇者「それだけ……って、魔女さん？」

魔女「くひひ、くひひひ……素晴らしい。全く素晴らしい人間だ」

勇者「ちょ、ちょっと」

男「……」

92 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:12:39.78 ID:R2m1mSN20

魔女「その思想。行動理念。価値観。やあ、勿体無い。是非とも私の時代に生きていてほしかったよ」ｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞ

勇者「……あ、あの」

魔女「でも」

魔女「いいね」

魔女「その魂」

魔女「私が」

魔女「有効に活用してあげよう」ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞ

男「――ッ！？」

93 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:13:27.71 ID:R2m1mSN20

魔女「“搾取する意志”」ﾄﾞｫﾝｯ!!

94 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:15:06.35 ID:R2m1mSN20

男「――が、あ」

勇者「……！？　ちょ、ちょっと、魔女さん」

魔女「……くひひ。ご馳走様」

勇者「……あなた、ねぇ」

魔女「ああ。なんだ、勇者」

勇者「結局この男を、どうにかする必要はありましたけど――今のは」

魔女「魔女にとって、人間の魂は貴重な資源だ」

魔女「純度が高ければ高いほど」

勇者「……」

95 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 21:16:02.44 ID:eq0wm4M/0

魔王「クフフ……美味だ」

部下「取れたての新鮮な人肉でございます」

魔王「しかし量が足りぬな。もっと持って参れ」

部下「ハッ！」

魔王「クフフ……」

バン！

部下「魔王様！城内に町民と見られる人間が侵入して参りました！」

魔王「なに？チッ、警備の者は何をやって……まあいい。丁度食後の運動をしたかったところだ」

魔王「私が出よう」

96 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 21:16:32.00 ID:eq0wm4M/0

ザッ！

魔王「控えろ愚民ども！！」

「あ、あれが魔王！？」「なんて強そうなんだ」「あの装備は何だ！？」

魔王「私は今気分が良い。今なら命だけなら見逃してやらんこともないぞ」

町民「ふざけんな！うちの村、何人がてめえのエサになったと思ってんだ！」

魔王「ふん。貴様は今までに食べた飯粒の数を覚えているか？」

町民「この野郎……！みんな、かかれェーッ！！」

魔王「一分、いや三十秒だな」

ザクッ！グサッ！ギャシュ！

町民「ぐああーっ！」

魔王「他愛もない……。部下ども、きちんと食料室まで運んでおけよ」

97 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 21:17:14.02 ID:eq0wm4M/0

魔王「ふう。疲れてはいないが、汗をかいてしまった」

魔王「私は今からシャワーを浴びる。誰も入ってくるでないぞ」

部下「ハッ！了解しました！」

ガチャッ！

魔王「…………」

魔王「あー、つかれたぁ……。よっこらせ」

ガシャン、ガシャン

魔王「装備めっちゃ重いし……女だと舐められるから、わざと重装備にしたんだけど失敗かなあ」

魔王「でも今更バラすことなんて出来ないよね。魔王だし」

魔王「……シャワー浴びちゃおっ」

98 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:19:00.78 ID:R2m1mSN20

魔女「ふん。今更私を旅に誘ったことを、後悔しているのか」

勇者「そんな事はありません……」

魔女「そうかい」

魔女「でも、驚いてはいるんだろう」

勇者「そこそこは」

魔女「ふん」

勇者「……法石、どうしましょうか」

魔女「依頼をこなして金を得る。当然の摂理だ」

勇者「貴女がそれを言いますか」

魔女「くひひ」

99 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:20:02.04 ID:R2m1mSN20

――シムナフ村

届け人「……成程。そんなことが、あったのですね」

勇者「はい。生贄となった子どもたちは、見つかりませんでしたが……」

届け人「いいのです。何はともあれ、宝物は取り返せたのですから」

勇者「……」

届け人「本来なら、祝いの席を用意したいのですが――すみません。今はその他の事に手を廻すのにいっぱいで――」

魔女「私たちは金を貰えれば満足さ。そうだろう」

勇者「はい」

届け人「重ね重ね申し訳ございません……どうぞ、お納めください」

勇者「ありがとうございます」

100 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:21:14.24 ID:R2m1mSN20

届け人「貴方がたはこの村の英雄です。いつかまた、尋ねてきてくださいね」

――

勇者「……金貨十枚、ですね」

魔女「銅貨十枚で銀貨一枚、銀貨十枚で金貨一枚の価値になる」

勇者「これで暫く旅費には困りませんね」

魔女「どれもこれも私のおかげだな」

勇者「こつこつ依頼をこなす方向でも、僕は良かったんですけど」

魔女「時間の無駄だ」

勇者「ばっさりだ」

101 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:22:08.88 ID:R2m1mSN20

勇者「さて、首都を目指すわけですが」

魔女「南下するぞ」

勇者「ここからどのくらいなんです」

魔女「分からん」

勇者「やれやれ」

魔女「ま、地図を買うしかないようだな」

勇者「そうですね」

魔女「面倒な旅だ」

勇者「仕方ないでしょう」

102 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:23:04.25 ID:R2m1mSN20

勇者「……しかしまあ」

魔女「あれで良かったんだよ」

勇者「早速ですね」

魔女「ふん」

勇者「でも、彼らの妄信は、非常に危ういバランスで成り立っているんだと思います」

勇者「今回みたいに、また法石を奪われるような事になったら……内だけでなく、外にも被害が出てしまう」

魔女「その時は、その時。いずれあの村には制裁が下る」

勇者「予言ですか」

魔女「事実だ」

103 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:24:16.85 ID:R2m1mSN20

魔女「私らが彼らの妄信を否定する事は出来ない。
　　　それもまた、私たちの常識のうちの言葉に過ぎないから」

勇者「……はい」

魔女「この世界はね。そんな奴らばかりだよ」

魔女「全てが全て、ルールによって縛られる」

魔女「何度やり直しても、同じ事を繰り返す」

魔女「馬鹿どもの集まりだ」

勇者「……」

魔女「君がそれを否定し、滅ぼそうとするなら、私は手を貸そう」

魔女「その先に――新しい物が待っているとは、思えないけどね」

104 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/05(日) 21:25:48.58 ID:R2m1mSN20

勇者「新しい物なんて、待っていません」

魔女「ほう」

勇者「やり直させもしません」

魔女「……」

勇者「僕は、世界を滅ぼしに行くんです」

勇者「この世界を、二度と存在させない為に」

魔女「無茶な事を言うもんだぁーな」

勇者「今更ですよ」

魔女「別にいいさ」

魔女「私も、この世界をどうにかしたかったからね」

勇者「……これからよろしくお願いしますね」

魔女「よろしゅー」

――――――――――――――――――――――――――――――

今日はここまで。
次回からはまた深夜に更新します。はい。

105 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/05(日) 22:04:03.36 ID:deqlcGeUo

シエンタ

106 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 22:52:39.66 ID:iyityS2V0

魔女「あらあら、こんな所に人間が落ちているわ」

男「だ、誰…？」

魔女「この森の主、と言ったところかしら」

男「まさか…ま、魔女！？」

魔女「クス……」

男「や、やめろ！こっち来るな…！」

魔女「見たところその怪我じゃたいして動けなさそうね」

男「あ……あ……」

魔女「ふふっ、捕まえた」

男「」ガクッ

魔女「あらあら、気絶してしまうなんて。情けないこと」

107 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 22:53:21.21 ID:iyityS2V0

男「ん……あれ……？」

魔女「あら、もう目が醒めたようね」

男「………！」

魔女「まだ頭がはっきりしない？」

男「…ここはどこだ？」

魔女「ふふっ…ここはね、私の実験室」

男「実…験……？」

魔女「そう。ここでね、いろんな生き物の一部を薬品に混ぜて薬を調合をしているのよ」ﾋｮｲ

男「そ、それは……？」

魔女「カエルの足よ」

男「ひっ……！」

魔女「そしてこれは鶏の嘴」

男「あ……あ………」

魔女「…そうだ、あなたの足見せてくれない？」

男「」

108 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 22:53:51.38 ID:iyityS2V0

ﾋﾟｲｨｨｨｨｨｨｨーーー！！！

魔女「ごめんなさいね、やかんに火をつけたままだったの。少し待っていてね」

男「………」

男「や、やばいやばい…早く逃げないと……！」

男「あそこの窓から……あれ？」

男「足が動かない…そうだ、森で熊に襲われて怪我を……」

男「でもなんでだろう…あんなに痛かったのに、今は全然…」

男「…こんなことをしてる場合じゃない！こんな足でもなんとか逃げ切らないと！」

男「くっ……よいしょ……」

109 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 22:54:24.33 ID:iyityS2V0

魔女「お待ちどうさま。ちゃんと大人しくしていた？」

魔女「あら……？」

魔女「いない…窓から逃げ出したのね」

魔女「あの怪我じゃまだそう遠くまで逃げていないはず」

魔女「…早く追いかけないと」

男「うわあああぁぁぁぁ！！！」

魔女「…崖の方ね」

110 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 22:54:51.08 ID:iyityS2V0

男「ははっ…間抜けだな、崖から転がり落ちるなんて」

男「くそっ…早くここから離れないと…」

魔女「ふふっ…見つけた」

男「…………！」

魔女「駄目じゃない、勝手に抜け出すなんて」

男「く、く、来るなぁ！！！」

魔女「情けないわね、そんなにみっともなく怯えてしまって」

男「やめろ、近づくな！……ぐっ」

魔女「あら、もう魔法が解けてしまったのかしら」

男「ま、魔法…？」

魔女「そう、あなたが寝ている間にちょっとした魔法をかけていたのよ」

男「………！」

111 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 22:55:21.35 ID:iyityS2V0

男「お、俺に何をした！……ぐっ」

魔女「実験よ、実験。せっかく生の被検体があるんですもの」

男「そ、そんな……いたっ…」

魔女「どうしたの？」

男「足がまた急に痛み出して……」

魔女「そう。まあ、こんなものね」

男「…なんのことだ」

魔女「実験の結果よ。まあまあってところね」

男「……俺をどうするつもりだ」

魔女「ふふっ、とりあえずまた実験室に戻ってもらうわ」

男「…………」

112 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 22:55:47.67 ID:iyityS2V0

魔女「どうしたの？痛くてもう立ち上がれないのかしら？」

男「………」

魔女「ふーん…そんな状態でも無理矢理歩けたってことは、結構効いたってことね」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

男「………っ」

魔女「そんな足で逃げようとしても無駄よ。無理矢理あなたを実験室に連れ帰るから」

男「…魔法でも使って俺の体を浮かせるつもりか？」

魔女「正解。でも50点ってところね。魔女が宙に浮かせられるのは箒だけなの。だからあなたはこの上に乗ってもらうわ」

男「…………」

魔女「そうそう。おとなしくしていてね。でないとどうなっても知らないから」

113 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 22:56:39.00 ID:iyityS2V0

男（結局何もできずにむざむざと運ばれてしまった…）

魔女「あーあ、せっかく煎れたお茶が冷めちゃってるわ。もったいない｣ｽﾞｽﾞｯ

男「…………」

魔女「あなたも飲む？」

男「い、いらない…」

魔女「あら、そう。ああ、そうだった。魔法が解けていたんだっけ」

魔女「足、見せなさい」

男「………！」

魔女「ズボンを脱いでくれると助かるわ。脱がないのなら切るけど」

男「あ、足をか…」

魔女「クス…そっちの方がいい？」

男「………」

114 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 22:57:09.68 ID:iyityS2V0

魔女「傷は…かすかに治っているわね。もう少し濃度を高くしても大丈夫かしら｣ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

男（何を混ぜているんだ…？すごく酷い臭いだ…）

魔女「これ、何だか気になる？さっきあなたに試した魔法の薬のうちの一つよ」

男「魔法の…？」

魔女「そう、私のオリジナル。まだ試作段階だから効き目から副作用まで詳しくわかっていないのだけどね」

魔女「ネズミをわざと傷つけて薬を試そうと思った矢先に、ちょうどいい具合の人間が転がっているんだもの。助かったわ」

男「そんな……」

魔女「ふふっ…他にも試したい薬がいっぱいあるの。協力してね」

男「あ…あ……」

115 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 22:57:36.19 ID:iyityS2V0

男「もう…終わりだ……このままここで魔女のモルモットに死ぬんだ……」

男「肝試しになんて来るんじゃなかった…熊に襲われるし、もう散々だ…」

魔女「…ご飯、作ってきてあげたわよ」

男｢｣ﾋﾞｸｯ

男（このオンボロ小屋から出てくるものにしては割とまともなような…でも、なんだか得体が知れない……）

魔女「どうしたの？食べないの？食べてくれないと困るわ」

男「…この中に何か入ってるのか？」

魔女「聞きたい？」

男「………入ってるんだな」

魔女「クス…」

男「………」

116 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 22:58:07.83 ID:iyityS2V0

魔女「ほら、早くしないとお肉が冷めてしまうわ」

男「…いただきます」

魔女「………おいしい？」

男「…………｣ｺｸﾝ

魔女「それ、なんのお肉だと思う…？」

男「っ…！ゲホッ、ゲホッ……」

魔女「ふふっ…冗談よ。それはただの豚肉」

男「………｣ｶﾀﾝ

魔女「残すつもり？駄目よ、一度口を付けたのだから。全部食べなさい」

魔女「もったいないじゃない」

男「…………」

117 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 22:59:44.90 ID:iyityS2V0

魔女「残さず食べれたのね。偉いわよ」

男「………」

魔女「そういうことで、はい、これ。傷口に塗るから」

男「…これはなんの薬だ」

魔女「さっきの薬を濃くしたものよ。キツイ副作用が出ないといいわね」

男「……もうやめてくれ」

魔女「心配しなくていいのよ。死にはしないはずだから」

男「…………」

118 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 23:18:18.65 ID:iyityS2V0

男「おい…体にブツブツが……」

魔女「あら、やっぱり強すぎたわね」

男「ど、どうすれば…」

魔女「放っておけばすぐに治まるわよ」

男「か、勝手なことを言うな！せ、せっかく手に入れた実験動物が死ぬかもしれないんだぞ！」

魔女「だから死なないって言っているでしょう。大袈裟ね」

魔女「ん…でも傷もすごい早さで治ってきてるわ」

男「え…？」

魔女「わかる？最初はあんなにエグく開いてた傷口がだいぶよくなってる」

男「ほ、本当だ…」

魔女「これで副作用を抑えられれば完璧なのだけど…まぁ、それはあの人たちの仕事ね」

男「………？」

119 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 23:19:19.43 ID:iyityS2V0

魔女「もう、こんな時間…そろそろお風呂に入って寝ようかしら」

魔女「そこのベッドで好きなようにしていて頂戴。薬品臭いから安眠は約束できないけれどね」

男「………」

魔女「それじゃ、おやすみなさい」

ﾊﾞﾀﾝ

男「………」

男「行ったか…」

男「まだ歩くにはちょっとつらいけど、このまま順調に回復していけば、明日の朝にはだいぶよくなってるかな」

男「よし、なんとか明け方にここから抜け出そう」

120 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 23:20:18.32 ID:iyityS2V0

男「ハァ、ハァ…なんとか帰ってこれた…我が家に……｣ｶﾞﾁｬﾝ

父「男、どこへ行っていたんだ！」

男「わっ、父さん！」

母「心配したんだよ！アンタ山に行っていたんだって？」

男「えっと、ごめん…心配かけて…」

母「山で肝試ししてたっていうアンタのクラスの友達が、昨日熊に襲われて帰ってきたんだから」

男「そ、そうだったのか…」

父「怪我は…見たところしてないようだな。よく無事で帰ってこれたな」

男「う、うん……あれ？｣ｺﾞｿｯ

父「どうした？」

男「いや、なんでもない」

121 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 23:21:41.54 ID:iyityS2V0

男「不思議なことに、この玉を持っているとうちの飼い猫が嫌がって俺のそばに寄らなくなった」

男「それだけじゃなく、近所の犬も俺を避けるようになった…」

男「これってもしかして動物が嫌がる臭いなのか？」

男「仮にこれが魔女のものだとして、なんで俺のポケットの中に…？」

男「まさか、俺が小屋から抜け出すことを知っていて、こっそり忍ばせておいたわけじゃ…」

男「……よく考えてたら、実験と言いつつも傷薬以外試されなかったような気もするし…」

男「あの魔女……」

122 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 23:23:43.92 ID:iyityS2V0

ｺﾝｺﾝ

魔女「誰かしら、こんな山奥に用がある人なんて」

男「あ、あの…」

魔女「…久しぶりね。もう戻ってこないと思ってたのに」

男「え、えっと…」

魔女「何の用かしら？仕返しにでも来たの？」

男「そうじゃなくて…その…お礼を言いに……」

魔女「はぁ？」

男「こ、この前は、俺を手当てしてくれてありがとうございました！」

魔女「何のことかしら？私は薬の実験を…」

男「それと、俺が無事に山を降りられるように持たせてくれた玉を包んでいたハンカチ、これを返しに…」

魔女「…こんなものに覚えはないわ。いい加減にしないとあなたを解体して…」

男「…もしかして、俺をわざと怖がらせようとしてた？」

魔女「………」

123 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 23:25:37.17 ID:iyityS2V0

男「なんでわざわざそんなことを…」

魔女「あなたの勘違いよ。私は世にも恐ろしい魔女」

男「自分で言うかな、そういうこと」

魔女「あーくどいくどい。用が済んだなら帰って頂戴」

男「あ、ちょっと！」

魔女「もう二度と来ないで。でないと今度は一番キツイ薬を試して解剖するわよ」

男「こ、これ！お礼の品、ケーキ！」

魔女「……！」

男「あの、それじゃ！｣ﾀｯﾀｯﾀｯ

124 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/05(日) 23:29:30.59 ID:iyityS2V0

魔女「なによ、あの人間。勝手に押し付けて」

魔女「それになによこのケーキ。貧乏を冷やかしているのかしら！」

魔女「まったく…腹が立つ」カパッ

魔女「…ショートケーキとモンブランとガトーショコラね」

魔女「…………ｽｩｩｩ」

魔女「はあぁ～～～…｣ﾎﾟﾜﾜｰﾝ

魔女「紅茶と一緒に食べた方が美味しいわよね。お湯を沸かさないと」

魔女「～～♪」

125 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) ：2012/08/05(日) 23:41:44.36 ID:iyityS2V0

ふぇえ……のんびり書いていくよぉ……

だれか続きが気になる人いるならですけど

126 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/05(日) 23:45:15.38 ID:EsVWk1cQP

ID:iyityS2V0
続きはまとめサイトで見られるから結構です
荒らしはﾀﾋね

魔女「あらあら、こんな所に人間が落ちているわ」
ttp://blog.livedoor.jp/minnanohimatubushi/archives/1724736.html

127 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]：2012/08/05(日) 23:51:15.25 ID:07Zr55EGo

どっかでみたような

128 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/06(月) 00:03:09.06 ID:wDy2zxCIO

書き溜めあんなら読者の反応伺わずにさっさと投下しきれよ屑が

糞SS作者の分際で乙が欲しいとか生意気

129 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/06(月) 00:14:20.35 ID:w0H8DHBuP

だから106以降は荒らしがまとめサイトに載ってるSSをコピペしてるんだって
>>1の投下は104までで終わってる

130 ：調子乗られる前に投下します [saga]：2012/08/06(月) 00:15:44.80 ID:St+gItSH0

――麓の町

売り子「世界地図、ですね。銅貨五枚になります」

勇者「はい」

売り子「お買い上げありがとうございます！　……ところで、あなた！」

魔女「にう？」

売り子「あの山の上に住んでいた魔女さん、ですよね？」

魔女「もしやファンか」

売り子「いえ！　よく町娘さんがお話してくれるので！」

魔女「あいつめ」

勇者「仲がいいんですね」

131 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:17:22.16 ID:St+gItSH0

――

魔女「くそっ、あいつの事だ、きっとなんの事実も伝わって無いぞくそっ」

勇者「別にいいじゃないですか、どうせ世界滅びますし」

魔女「そのポスト・アポカリプティアな考えは止めたほうがいい」

勇者「さて、どうします」

魔女「世界地図を広げろ」

勇者「がってん」

ﾊﾟﾗﾗ

勇者「広いな」

魔女「懐かしい懐かしい」

132 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:18:26.35 ID:St+gItSH0

魔女「かつてはこの世界をまたにかけたこともあった」

勇者「何年前の話です」

魔女「千年くらい前か」

勇者「大分前じゃないですか」

魔女「まあね」

勇者「えーと、首都に向かうんでしたっけ」

魔女「ひたすら南下するよ」

勇者「うわ、遠い」

魔女「ふん、この世界の事をよく知るいい機会だ」

勇者「ううむ」

133 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/06(月) 00:19:06.87 ID:wDy2zxCIO

まとめのSSの方が面白いのが複雑だ

134 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:19:16.71 ID:St+gItSH0

魔女「ここから南に数時間行くとミカオー王国の領土に入る。その南端で船に乗って、中央大陸を目指す」

勇者「中央大陸北部は、砂漠のようですね」

魔女「そのようだな」

勇者「それなりの対策が必要ですかね」

魔女「うむ」

勇者「……チラッ」

魔女「なんだ」

勇者「魔法でどうにかならないかなって」

魔女「出来るよ」

勇者「やったー」

魔女「研究回数は増えるけど」

勇者「……前向きに検討しましょう」

135 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:20:35.57 ID:St+gItSH0

――麓の町南部の草原

勇者「平和ですね」

魔女「魔物がいなくて残念か」

勇者「こちらとしては楽です」

魔女「こちらとしては面白くないな」ﾌﾞｩﾝ

勇者「なにしてんですか」

魔女「魔物が現れたぞ」

勇者「人の話を聞け」

魔女「あァ？」

勇者「ごめんなさい」

136 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:21:52.46 ID:St+gItSH0

勇者「はあ、はあ」

魔女「お疲れさん」

勇者「貴女も戦ったらどうなんです」

魔女「私はレベルカンストしてっからいいの」

勇者「この前トラップにひっかかってたじゃないですか」

魔女「あれはレベルとは関係ない」

勇者「案外雑魚いんですね」

魔女「BANG」ﾄﾞｫｺﾞｵｵｵｯ!!

137 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:22:59.89 ID:St+gItSH0

勇者「その力を借りたくて、僕はあなたに声をかけたつもりだったんですが」ﾋﾘﾋﾘ

魔女「どんまい」

勇者「まあ、そろそろ慣れてきました」

魔女「“弱化させる意志”」

勇者「ああ言えばこう言う！」

魔女「君が何も言わなければいい」

勇者「そのうち喋れと強制するくせに」

魔女「その時はその時」

勇者「理不尽な」

魔女「くひひ」

138 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:25:00.36 ID:St+gItSH0

魔女「む、見えてきた」

勇者「なんです、あれ」

魔女「関所」

勇者「げえ、面倒な」

魔女「ここらへんは都合よく山々に囲まれている。ミカオーの領土に入るには、あの場所を通るしか無さそうだな」

勇者「何事も無ければいいのですが」

魔女「無理だな」

勇者「ですよね」

139 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:26:21.43 ID:St+gItSH0

――関所

兵士「何者だ、お前達」

勇者「僕は勇者といいます」

魔女「プリティーラッキー魔女っこ魔女さんとは私のことだ」

兵士2「怪しい奴らだな。何が目的で入国するつもりだ？」

勇者「今時の国はそんな事まで聞くんですか」

兵士2「いいから答えろ！」

勇者「あー。中央大陸行きの船に乗りたいので、国を通らせてもらいたいのですが」

魔女「見ての通り、怪しいものではございません」

兵士2「……ふむ、よかろう。所持品は回収させてもらうぞ」

勇者「……厳重なんですね」

兵士1「大人しく従え」

魔女「やれやれ」

140 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:27:43.91 ID:St+gItSH0

兵士2「……これで全て、か？」

勇者「はい」

兵士2「そこの女。お前は魔法使いだろう」

魔女「いかにも」

兵士2「術具は持っていないのか」

魔女「あー、うん。無いんだよね、それが」

兵士2「まさか……“引き金持ち”なのか？」

魔女「ふん。そういやそんな名前で呼ばれる事もあったね」

兵士2「……」

魔女「……他になんか用？」

兵士2「――いいや、なんでもない！　では、行くぞ！」

141 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:28:44.06 ID:St+gItSH0

――

ｶﾞﾀﾝｶﾞﾀﾝ…

勇者「……ご丁寧に馬車を用意してもらえるとは」

魔女「ここのやり方なんだろう。一時的とは言え……所持品を取られたのは、まずかったが」

勇者「そうでしょうか」

魔女「まあ、いい。なんとでもなるだろう」

勇者「いざとなったらあなたの出番です」

魔女「金は取るよ」

勇者「僕達ってパーティですよね」

魔女「研究とどっちがいいんだ」

勇者「何と言う苦渋の選択」

142 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:29:57.77 ID:St+gItSH0

勇者「ところで」

魔女「ん」

勇者「魔女さんはなんだか特別扱いされていたような気がしますが」

魔女「うん、そりゃね」

勇者「“引き金持ち”でしたっけ」

魔女「手を使って術具を代用する魔法形式。そうメジャーな分野でも無いから、自然と特別視される」

勇者「凄いんですね」

魔女「単に扱える奴が少ないって意味もあるけど」

勇者「へえ」

143 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:31:23.26 ID:St+gItSH0

――ミカオー城下町

兵士「ついたぞ！　降りろ！」

魔女「ふん。随分だね」ｽﾀｽﾀ

勇者「おおー」

魔女「見るのは初めてかい？」

勇者「当たり前でしょう」

魔女「まあ、そうか」

兵士「何を話している。着いてきてもらうぞ」

魔女「あァ？」

勇者「どういうことです」

兵士「“引き金持ち”をそう易々と離せるか」

兵士「王と謁見してもらうぞ」

144 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:32:38.06 ID:St+gItSH0

魔女「くひひ。さっきからえらく一方的だね」

魔女「……全員纏めて、有効に活用してやろうか」

勇者「魔女さん、抑えてください」ﾋｿ

魔女「黙れ」

勇者「黙りません。こんな所で犯罪者になりたくありません」

魔女「……ふん。忌々しい」

勇者「いいじゃないですか。異文化訪問です」

魔女「……その能天気さは、いつか身を滅ぼすよ」

勇者「……昔、あなたに似た人にそう言われましたよ」

魔女「あっそ」

145 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:34:29.08 ID:St+gItSH0

ﾃｸﾃｸﾃｸﾃｸ

兵士「……」

魔女「何処まで行くやら」

勇者「そりゃ王城じゃないですかね」

魔女「ふん、ミカオーの王か。どんな奴だったかな」

勇者「面識あるんですか？」

魔女「無い」

勇者「だと思いましたよ」

ﾋｿﾋｿﾋｿ

勇者「……」

魔女「やっぱり有効に」

勇者「沸点低いですねあなた」

146 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:35:49.06 ID:St+gItSH0

――ミカオー王城

兵士「門を開けよ！　“引き金持ち”及びその従者の来訪だ！」

勇者「従者って」

魔女「勇者と従者、響きは似ているね」

勇者「そう言う問題でしょうか」

魔女「違うと思う」

勇者「発言には責任が生じます、知っていましたか」

魔女「誰と話してるんだい」

勇者「はあ」

147 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:36:44.95 ID:St+gItSH0

魔女「……」

勇者「どうしたんです、突然押し黙って」

魔女「君は空気が読めないのか」

勇者「ああ、よく言われますね」

魔女「そう言う意味で言ったんじゃないんだけどね。まあいい、どうせ君だ」

勇者「今僕馬鹿にされましたよね」

魔女「だって君は馬鹿だ」

勇者「ひっでえ」

魔女「ふん。ともかく、静かにしておいた方がいいよ。この城の雰囲気、明らかに普通じゃない」

勇者「と言うと」

魔女「何処かに、人外でもいるんじゃないか」

勇者「……」

魔女「へたれだなあ」

148 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:38:15.72 ID:St+gItSH0

――王室

王「よく来た、“引き金持ち”よ。ミカオーは諸君らを歓迎する」

魔女「そりゃどーも」

勇者「良かったですね」

王「そこの男。お前は何者だ？」

勇者「そうですね。僕は――」

魔女「……」ｷﾞﾛ

勇者「……訳あって、この人の旅に同行しています。これと言った不思議な力は持ち合わせていません」

魔女「……」ﾌﾝｽ

王「そうか。なら良い。さて、“引き金持ち”の少女よ……折り入って頼みがあるのだが」

魔女「お断る」

勇者「おま」

149 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:40:03.65 ID:St+gItSH0

王「はっはっは、気が早いな。まだ何も言っていないのだが」

魔女「私たちは旅人なもんでね。一箇所に留まるって事は、あまりしたくないのさ」

王「それは分かっておる。しかしね、“引き金持ち”よ。
　　その能力がどのような利益を――そして混沌を。
　　世界にもたらして来たか、考えた事はあるか？」

魔女「ふん」

王「かの魔王も“引き金持ち”であったと言う。奴の働いてきた悪事を、聞いたことが無いとは言わせない」

魔女「はぁん、歴史の偉人を引き合いに出すのかい。確かに魔王は尊大で偉大で――そして非常に懲りない奴だったがね」

王「ほう、魔王に肩入れするつもりか？」

魔女「勇者は正義か？　魔王は悪か？　世界を滅ぼす事が正義だと考える勇者も、この世界にはいるんだよ」

勇者「……」

150 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:41:27.89 ID:St+gItSH0

魔女「話がずれたね。どうあれ、あんたに協力するつもりは、無い」

王「……ふむ、そうか。ならば仕方ないな」

勇者「どうするつもりですか」

王「あまり、この手は使いたくなかったのだが……な！」ｶﾁｯ

魔女「――」ｽｯ

ﾊﾟﾁﾝｯ!

魔女「BANG――……む」

王「無駄だよ。結界を張らせてもらった」

勇者「結界」

王「そう。我が国が作り上げた対魔法用結界。いかに“引き金持ち”と言えど、この結界の中で魔法を行使するのは不可能だ」

魔女「……小賢しい真似をするね」

勇者「またありがちと言いますか」

151 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:42:25.08 ID:St+gItSH0

魔女「で。何がお望みさ」

王「君の力を、我が国の発展の為に活用させてもらう」

魔女「……図に乗るなよ人間。お前らが私無しで力を制御出来ると思っているのか」

王「思って無いさ。だから、君には何が何でも協力してもらわなければならない」

王「来い！」

兵士「ハッ！」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞ

勇者「ちょっとっと、なんですかなんですか」ｶﾞﾀﾝｯ!

兵士「大人しくしろ！」ｼｬｷﾝｯ!

勇者「はいすみません」

魔女「……」

152 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:44:43.26 ID:St+gItSH0

魔女「……人質のつもりか？」

王「人聞きが悪いな。交渉材料だよ」

勇者「それじゃ人扱いされてませんよ」

兵士「黙っていろ！」ｼﾞｬｷﾝ!

勇者「すみませんすみません」

魔女「くひひ。流石だね人間。全く、その脆弱な頭を今すぐに撃ち抜いてやりたいよ」

王「おやおや。いいのか、そんなこと言って。交渉と言ったが、選択肢はあって無いようなものだ」

魔女「ふん。勇者」

勇者「なんでしょう」

魔女「どうしたい」

153 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:46:10.09 ID:St+gItSH0

勇者「……何言ってるんです」

魔女「簡単な質問だ。生きたいか、死にたいか」

魔女「この場を切り抜ける事は難しいだろうけどね」

勇者「……そんなの、決まってるでしょう」

勇者「僕は会わなくちゃならない。創造主に」

勇者「その為には――生き続けないと」

魔女「ふん」

勇者「……勿論、貴女も一緒にですよ」

魔女「ふん。ふん……ふふふ。ああ、いいよ勇者。そう答えると思っていた」

魔女「そういう泥臭さは大好きだ。そうするとしよう」ﾆﾔﾘ

勇者「……」

154 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:47:22.56 ID:St+gItSH0

王「話し合いは終わったか」

魔女「協力させてもらおうか」

王「流石は“引き金持ち”。そう言ってくれると信じていたよ」

王「彼女を部屋へ案内しろ！」

兵士B「はっ！」ﾀｯﾀｯﾀｯﾀ

勇者「あの、僕はどうなるんですかね」

王「牢屋にでも入れておけ！」

兵士A「はっ！」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞ

勇者「うわひでえ」

王「案ずるな。望めば面会の手筈は取ってやる」

勇者「そうですか、なら」

155 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:48:22.18 ID:St+gItSH0

――牢獄

勇者「初めての牢屋体験」

兵士A「何をぶつくさ言っている」

勇者「なんでもありません」

兵士A「我が国の王は寛大なお方だ。下手をしない限り、命を奪うような事にはならん」

勇者「ああそうですか」

兵士A「定期的に見回りに来る。くれぐれも脱走など考えないようにな！」ﾃｸﾃｸ

勇者「はいはい」

ｶﾞﾁｬﾝ!

勇者「……」

勇者「ううむ」

156 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:49:46.80 ID:St+gItSH0

勇者「まさかこんな事になるとは」

勇者「魔女さんの事ですから、どうにかしてくれるでしょうけど」

勇者「でも……僕も何かしないと、勇者の名が廃れてしまいます」

勇者「どうしたものか……」ｺﾞﾛﾝ

勇者「……」

“その能天気さは、危ういね”

勇者「あー……」

勇者「いやもう全くその通り」

勇者「君の言う事は、いつだって大体正しい」

157 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:51:40.07 ID:St+gItSH0

勇者「……」

少女「はろー」

勇者「……はろー」

少女「新入りさんかな？」

勇者「そんなところです」

シエ「ん。私ね、シエって言うの。よろしく」

勇者「僕は勇者です。よろしくお願いします」

シエ「あんまり驚いてないみたいだね」

勇者「連れがなんでもありな人だったので、今更壁抜けする人間が現れても特に」

シエ「あはぁ、凄いね」ﾆｺﾆｺ

158 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:53:28.93 ID:St+gItSH0

シエ「それで？　あなたはどうしてここに？」

勇者「色々ありまして。元々は旅人だったんですが。近いうちに連れが助けに来るかもしれません」

シエ「へえ。色々、ね」

勇者「……君は？　まだ年若いように見えますが。犯罪を犯したようにも」

シエ「んー。私の顔、見覚えない？」

勇者「……残念ながら」

シエ「あ。そっか。旅人だもんね。なら私の事知らなくても当然か」

勇者「すみません」

シエ「別にあやまらなくてもいいよ」

シエ「んーっと。それじゃあ、ねえ……」

シエ「“パンドラ”って、知ってる？」

159 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:54:33.24 ID:St+gItSH0

勇者「……パンドラの箱、ですか？」

シエ「そう呼ばれることもあるのかな。でも普通はパンドラ、って呼ばれるね」

勇者「はあ」

シエ「箱の中に秘められた1つの絶望と99の希望。それが解き放たれて、世界中に希望が――」

勇者「……？　ちょっと待ってください」

シエ「なあに？」

勇者「99の希望？　絶望じゃなくて？」

シエ「あはは、そんな訳無いよ。勘違いしてるんじゃない？　大体絶望が飛び散ったら、世界中が大混乱に陥っちゃうよ」

勇者「……ふむ、そうです、か」

勇者（詳しく考えるのは止めたほうがよさそうです）

160 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:56:05.12 ID:St+gItSH0

――

兵士B「ここが“引き金持ち”様の部屋になります。備品は好きにしてもらっても構いません」

魔女「ふん。ご苦労」

兵士B「何か用がありましたらなんなりとどうぞ。では」ﾊﾞﾀﾝ!

魔女「……ふう」

魔女「奇妙な事になった」

魔女「まあ、いい……どうとでもなるだろう」

魔女「……」

魔女（どうやらここも対魔法結界とやらが張られているようだが）

魔女（おかげで、奴らの監視する意志は働いていないようだな）

魔女「さて……どうするかな」

161 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:57:30.05 ID:St+gItSH0

魔女「……」ｽﾀｽﾀ

魔女「この本の量。私が来る事を想定して設置されたのか」

魔女「いや、無いな……」

魔女「以前この部屋を、誰かが使っていたのかもしれない」

魔女「そう考えるのが、妥当か」

魔女「……？　これは」ｽｯ

“パンドラとその伝承”

魔女「“パンドラ”。懐かしい響きだ」

魔女「……どれ」ﾊﾟﾗ

162 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 00:59:01.55 ID:St+gItSH0

“パンドラは世界創造と共に作り出された禁忌の箱である”

“その箱の中には1の絶望と99の希望が詰まっている”

“この箱を開ける事が出来るのは創造主とその血を引き継ぐ者だけとされる”

“かつてパンドラは一度開かれ、希望は世界へと散らばった。
　解き放たれた希望はそれぞれ99人の人間にとり憑き、力を与えた”

“希望に取り憑かれた者を、『パンドラの忌み子』と呼ぶ”

魔女「……」ﾊﾟﾀﾝ

魔女「成程。この城に漂う空気、何処か懐かしいと思っていたんだ」

魔女「くひひ。面白くなってきたじゃないか――」

163 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/06(月) 01:00:58.32 ID:St+gItSH0

――

勇者「――はあ。パンドラの忌み子、ねぇ」

シエ「かっこいい名前だよね」

勇者「忌みってのは不吉ですけど」

シエ「んふふ。かっこいいのはそれだけじゃなくてね」ｽﾙｯ

勇者「……なんですか、そのタトゥー」

シエ「タトゥー？　違うよ、これがパンドラの痣」

勇者「パンドラの……痣？」

シエ「パンドラの忌み子はねえ、みんなこの痣を持ってるんだよ」

勇者「……それって」

シエ「うん。隠す事も無いね。私がその、99人のうちの1人」

シエ「パンドラの忌み子なんだ」

――――――――――――――――――――――――――――――

改めて今日はここまで。

164 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/06(月) 02:57:36.32 ID:wDy2zxCIO

慌てて投下できるストックあんならさっさと投下してろよ

勿体ぶる程の作品か？

165 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]：2012/08/06(月) 03:32:03.55 ID:wawImOX8o

1乙、リベンジ期待してるよ！

166 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]：2012/08/06(月) 04:12:06.22 ID:vyqWUXOho

熱心な荒らしがいるな
乙

167 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/06(月) 06:44:30.19 ID:Kez2RK17o

一乙
荒らしはきっとツンデレなんだよ

168 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]：2012/08/06(月) 07:25:56.88 ID:vNzgii3+o

面白いな

169 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/06(月) 17:40:07.41 ID:tvcVHG/H0

夏は荒らしがどのスレでも大量発生するから面白いなｗｗ

170 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]：2012/08/06(月) 23:30:39.40 ID:rfS+RlXko

期待しまくってる

171 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/07(火) 00:45:15.18 ID:3OyowGbm0

勇者「……はあ」

シエ「うわぁ、反応うっすい」

勇者「すみません」

シエ「んんん。別にいいんだけど。世界に99人しかいないんだよ？　貴重だよ？」

勇者「あなたは世界に1人しかいないじゃないですか」

シエ「うぐぐ、そう言うことじゃなくて、ね……あなた、結構おかしな人だね」

勇者「色々ありまして」

シエ「色々ー。教えてくれてもいいんじゃないかなー」

勇者「むう」

シエ「私も秘密を教えてあげたんだしさー。ねね、いいでしょ？」ｽﾞｲ

勇者「……仕方ないですね」ﾊｧ

172 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/07(火) 00:46:51.49 ID:3OyowGbm0

勇者「僕は異世界から来たんです」

シエ「イセカイ？　変わった地名だね？」

勇者「いや、文字通り、別の世界です」

シエ「……嘘だぁ」

勇者「別に信じなくても構いませんよ」

シエ「んー。それで、続きは？」

勇者「元の世界に戻る為に、旅をしているところなんです」

シエ「あてはあるの？」

勇者「創造主に会いに行こうかと」

シエ「ほえ」

173 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/07(火) 00:48:12.12 ID:3OyowGbm0

シエ「創造主。と言うと、首都に行くの？」

勇者「そのつもりだったんですが」

シエ「こんな所で足止め食らっちゃった訳か」

勇者「はい」

シエ「連れの方は何処に居るの？」

勇者「さあ。多分、特別優遇されてるんだと思いますよ」

シエ「ふうーん。災難だねー」

勇者「全くです」

シエ「ふん。それじゃ、行こっか」

勇者「……は？」

174 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/07(火) 00:49:35.72 ID:3OyowGbm0

シエ「その連れの方の所に。よほどのやり手でも無い限り、待ってても来てくれないよ、多分」

勇者「そうかな。うーん」

シエ「パンドラの忌み子はねぇ。希望に取り憑かれた際に、その力を行使出来るようになってるんだ」

勇者「力」

シエ「そう。その仕組みは至って単純」ｽｯ

ｶﾁｬﾝ

勇者「鉄格子が開きましたね」

シエ「ふっふん。これがパンドラの忌み子の力」

シエ「――願ったことが、現実になる」

175 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/07(火) 00:51:47.99 ID:3OyowGbm0

――

魔女（パンドラの忌み子）ｶﾁｬｶﾁｬ

魔女（彼らに与えられる絶大な力を、心から渇望していた時もあったな）

魔女（願いを、叶える力。存在そのものが禁忌に等しい）ｶﾁｬｶﾁｬ

魔女（しかし、当然リスクもある）

魔女（力は、無尽蔵では無い。いつか枯渇する時が訪れる）

魔女（その時。その力の所有者は――）ﾌﾞｩｳｳﾝ…

176 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/07(火) 00:53:11.44 ID:3OyowGbm0

――

勇者「願いを叶える力」

シエ「そー。ちょこっとだけ制限はあるけど、凄いよねー」

勇者「瞬間移動とかも出来たりするんですか？」

シエ「うん。基本的に、“神様の機嫌さえ損なわない内容なら”、なんでも出来るよ」

勇者「機嫌を損なう？」

シエ「たとえば世界制服を願ったりとか。神様側に不利になるような願いは叶わないみたい」

勇者「変にけちくさい神様ですね」

シエ「そりゃーそんなもんなんじゃない？　よく分からないけど」

シエ「じゃ、行こう！」

勇者「はあ」

177 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/07(火) 00:54:18.89 ID:3OyowGbm0

兵士「……」ｶﾞｯﾁｬｶﾞｯﾁｬｶﾞｯﾁｬ

シエ「ご苦労さまー」ﾆｺﾆｺ

勇者「何がどうなってるんです？」

シエ「“私とあなたがこの城にいてもおかしくなくなる”って願った」

勇者「本当なんでもありですね」

シエ「我ながら反則級だと思うよ」

勇者「まあそのおかげで牢から出れましたし、武器も取り返せました……いじられてないようだ」ｶﾁｬｶﾁｬ

シエ「ルービックキューブ？」

勇者「はい。まあ簡単なマジックアイテムみたいなものです」

シエ「ふうん」

勇者「魔女さんは何処にいるんでしょう」

シエ「探してみよっか」

178 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/07(火) 00:55:25.96 ID:3OyowGbm0

勇者「……広い城だ」ﾃｸﾃｸ

シエ「国家の繁栄の証だね」

勇者「あの国王。穏やかそうに見えましたが、裏で色々な事を考えてそうですね」

シエ「生まれながらの天才、だったかなー。うろ覚えだけど、そんな話を聞いたことあるよ」

シエ「繁栄のためなら――手段を選ばない」

勇者「君がここに居たのも、パンドラの痣が原因なんですか？」

シエ「ん。色々あってねー」

勇者「はあ」

シエ「聞きたい？　私は話したい」

勇者「ご自由にどうぞ」

シエ「えへ。じゃ、遠慮なく」

179 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/07(火) 00:56:49.11 ID:3OyowGbm0

シエ「自分の腕に痣が出来てるのを見つけたのはうーんと小さい頃でね。
　　　なんだろうこれ、って思ったんだけど、特に何かをする訳でもなかったんだ」

勇者「先天的なものでは無いんですね」

シエ「そうだね。あくまで生きている人間に憑依するみたい」

シエ「初めて力を使ったのは、三年前かな？　この城で、大規模な魔法暴走事故が起きてね」

勇者「魔法暴走？」

シエ「そのままだよ。魔法使いの手に負えなくなった魔法が、暴走を始めちゃうこと。
　　　原因は国お付きの魔法使いだったそうだけど。魔法の影響は城下町まで及んじゃったんだ」

勇者「それは、悲惨な」

シエ「大惨事だったねぇ。魔力の嵐がね、町に、こう、ぐわーっと侵食してきたんだよ」

勇者「ぐわーっと」

シエ「いまいち表現しにくいね。とにかく酷かったの」

180 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/07(火) 00:58:05.83 ID:3OyowGbm0

シエ「私は城下町の外れの方に住んでたから、事故が起きたことを知ったのは大分後だった。
　　　ただ、ゆっくりと、変な色をした嵐みたいな物が近づいてくるのが見えて、うわぁと思って」

勇者「それで、パンドラの力を？」

シエ「うん……正直、なんで発動したのか覚えてないんだよね。
　　　まさか、痣にそんな力があるとは思ってなかったから、“この町を救いたい”みたいなことは考える余裕なかったし」

シエ「ただ、発動した時は……凄かった。痣が急に光りだして、私を包み込んで。
　　　そのうち光が拡散して、嵐の方に向かったの」

勇者「とんでもないですね」

シエ「うん、とんでもなかった。痣の光と嵐がぶつかる様は、まだ昨日のことのように思い出せるよ。
　　　それだけ衝撃的だった」

勇者「それで、町は救われたんですか」

シエ「半分くらいわねー。城の近くの方はもうぐっちゃぐちゃ。お城そのものは半壊程度だったかな。王様も死ななかったし」

勇者「成程……」

181 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/07(火) 00:59:40.46 ID:3OyowGbm0

シエ「で、気付いちゃったんです。私の痣は、どうやら尋常じゃない代物なのだと！」ﾌﾝｽ

勇者「それでそれで」

シエ「なんだか流し気味になってなーい？」

勇者「気のせいですよ」

シエ「ちゃんと聞いててよね。で、私の……と言うか、パンドラの力のおかげで、全壊を免れたこの国が次にしたこと」

シエ「それが、“パンドラの忌み子”の捜索だった」

勇者「ふむ」

シエ「なんでか知らないけど、あんな奇跡を起こせるのはパンドラの力だけ、ってことになったんだろうね」

シエ「事故の後、私も自分の痣がなんなのか調べたから、国が私を探してるってことは理解してた。それが何の為なのかも」

勇者「何の為なんです？」

シエ「そりゃ勿論。“国家繁栄”だよ」

勇者「……」

182 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/07(火) 01:01:38.53 ID:3OyowGbm0

シエ「神様の機嫌を損なわない限り――世界征服でも望まない限り。
　　　国家に富と栄光をもたらすことなんて造作もなかった」

シエ「本当は逃げようとしたんだけどね。無理だった。行くあてが無かったんだ。
　　　私、外の世界には興味が持てなくてさ。
　　　だから、家に国の兵士が来た時も、大人しく従ったの」

シエ「そこから先は……まあ。話しててもつまんないから省くね」

勇者「……一つだけ。先程は、何故牢屋の中にいたんですか？」

シエ「先程？　いや、だいぶ前から牢屋暮らしだよ。用済みって訳だ。うーん、なんで逃げ出さなかったんだろね？」

勇者「僕に聞かれても……しかし、解せませんね。力はいくらでも使えるんでしょう？」

勇者「いつでも力を借りれるよう、手元に置いておくのが道理なのではないでしょうか」

シエ「私に聞かれても困るよー。あの悪徳王のことだもん、なんか考えが――」

王「おや、誰の話をしているのかね？」

183 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/07(火) 01:03:17.50 ID:3OyowGbm0

――

ｽﾞｶﾞｧｧｯ!

魔女「……ふん。対魔法結界、ね。所詮この程度か」

魔女「ちょっと魔力を集中させてやれば、簡単に破れる」

魔女「さて」

魔女「勇者を探しに行くのもいいが……パンドラの忌み子。一目見に行くのも悪くない。そして、上手く事が運べれば――」

ﾅﾝﾀﾞﾅﾝﾀﾞ!! ﾊﾞｸﾊﾂ!?
ｹﾝｷｭｳｼﾂﾉﾎｳﾀﾞ! ｲｿｹﾞ!

魔女「……その前に、やることがあるようだな」

魔女「くひひ」

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今日はここまで。

184 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/07(火) 01:21:40.78 ID:gEqPKyhIO

おつ

185 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]：2012/08/07(火) 05:36:27.79 ID:4xHVqtRHo

ハッピーエンド目指す書いてたやつだっけ
よく何も言わずにスレ放置して逃げたのに戻って来れたな

186 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/07(火) 11:45:34.75 ID:HtVs9LBho

しかし戻ってきた。wktkして投下を待つよ

187 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/07(火) 18:23:26.75 ID:uYpMwuNVo

なんでここはこんなにうじ虫が湧いてるの？

188 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/08/07(火) 21:39:31.34 ID:liaiYdQfo

SS速報に来たばかりの頃に読んでたやつだ
期待

189 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/07(火) 23:38:47.27 ID:EwQwjqyK0

なんか既視感があると思ったら意志と石で思い出した
懐かしいわ

190 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:27:07.33 ID:YoNfaWYc0

――

シエ「……げぇ。王様」

王「これはこれは、パンドラの忌み子さま。牢屋暮らしにも飽きてお散歩中ですかな」

シエ「そうだねぇ、そんなとこ。出来れば外にも出してもらいたいんだけど」

王「それは出来ない相談だ。そっちの男もね。今すぐ戻っていただけるかな？」

勇者「……」

王「ほう、やる気かね？」

兵士「」ｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞｯ!

シエ「ちょっと下がってて、勇者くん」

勇者「いいとこありませんね、ほんと」ｼｮﾝﾎﾞﾘ

シエ「どんまい」

191 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:28:22.53 ID:YoNfaWYc0

シエ「……」ｽｯ

王「無駄だ、忌み子」ﾆﾔﾘ

シエ「……力が効かない？　王様、あんた何を」

王「そうだな。パンドラの力とやらも、我が国の魔法技術には敵わない、と言ったところか」

シエ「……この、魔法馬鹿」ｷﾞﾘ

王「はっはっは、君には本当にお世話になったよ。
　　我が国の発展に貢献してくれただけでなく、パンドラの力の解析もさせてくれたのだからね」

王「この力があれば――世界を支配するのも容易い。ミカオーが、いや、この私が、世界の支配者になるのだよッ！」

192 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:30:11.22 ID:YoNfaWYc0

勇者「……死亡フラグ、とか言ってる場合じゃなさそうですね」

シエ「勇者くん……逃げた方が、いいかも」ｼﾞﾘ

王「逃げる？　そいつはお笑いだ！　今更お前たちを逃がす訳が無いだろう！」

王「丁度いい。忌み子、そしてそこの男もだ。この場で始末してしまおう」ﾆﾔﾘ

勇者「くそ――“赤の面”ッ！」ｶﾁﾘｯ

王「無駄だ！　対魔法結界を忘れたのか！」

勇者「……忘れてました」

シエ「勇者くん！　こっちに！」ﾀﾞｯ!

勇者「あ、はい」ｽﾀｽﾀ

王「逃がすな！　追え！　奴らを始末し――」

ﾄﾞｺﾞｫｫｫｫﾝｯ!!

193 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:31:52.60 ID:YoNfaWYc0

王「なっ――」

シエ「えっ――」

勇者「……おや」

「……真打ちは遅れてやってくるってもんでね」

魔女「誰が呼んだか魔女っ子魔女さんたぁ、私のことよ」

194 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:32:57.34 ID:YoNfaWYc0

勇者「遅かったですね」

魔女「そうかな。これ以上ないタイミングだと思うけど」

勇者「ええ、全く。でも、魔女のやることじゃないような」

魔女「普通は逆だからね」

勇者「反省します」

王「こ……これはこれは、“引き金持ち”。何故……」

魔女「分かりきったことを聞くね。人間なんぞが私を閉じ込められると思ったら大間違いだよ」

魔女「さぁ。その魂、有効に活用させてもらおうか」ｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞ

195 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:34:18.38 ID:YoNfaWYc0

兵士たち「……う、うう」ｼﾞﾘｼﾞﾘ

魔女「おお、良いねぇ、その顔。やりやすくなるってもんだよ」ｼﾞｭﾙﾘ

王「お、おまえたち！　何を恐れているんだッ、我々にはパンドラの力がな――！」

魔女「パンドラ……？　ほう。使ってみなよ」

王「……なんだと？」

魔女「使ってみろって言ったんだよ。あんたの考える最強のパンドラの力をね」

王「……面白い。後悔するなよ、“引き金持ち”。パンドラの力がどれほどの物か、今見せてやる――！」ﾊﾞｯ!

魔女「……」

王「……な」

196 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:35:39.66 ID:YoNfaWYc0

魔女「どうした？　早く、使ってみな」ﾆﾔﾆﾔ

王「な、……なぜ、何故使えない！？　私の研究に間違いは無かったはず！」ｱｾｱｾ

シエ「……王様。肝心なこと忘れてるよ」

王「なんだとッ……忌み子！　それはどう言う意味だ！」

シエ「パンドラの力が使えるのは“神様の機嫌を損なわない限り”」

シエ「世界征服なんて望んでも、神様は許してくれないね」

王「……まさか。そんな、馬鹿なことが――」

魔女「馬鹿はお前だ、王。まったく、これだから頭でっかちの人間は困るんだ」

勇者「頭でっかちなのは」

魔女「あァ？」

勇者「今です魔女さん、やっちまえー」

197 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:37:28.03 ID:YoNfaWYc0

魔女「覚悟はいいか、無能ども」

王「まっ……待て！　待ってくれ！　話をしよう、“引き金持ち”！　我が国の力を持ってすれば、君の研究も大いに進むはずだ！」

魔女「ほざけ。私の研究をお前ら人間に理解されてたまるかっつーの」

魔女「――“搾取する意志”！」ﾄﾞｫﾝｯ!!

王「ひっ――が、あ……っ」ﾊﾞﾀﾘ

勇者「あーあ」

シエ「うわあ……」

魔女「……ふん。ご馳走様」ﾍﾟﾛﾘ

198 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:38:38.87 ID:YoNfaWYc0

兵士たち「お……王様！？」ｶﾞﾔｶﾞﾔ

魔女「騒がしいな」

勇者「そりゃそうでしょう」

シエ「ね……今のうちに、逃げようよ」

魔女「そう急かすな。……おい、そこのお前」

兵士A「」ﾋﾞｸｯ!!

魔女「私らを城の外まで案内してもらえるかな。抵抗したら、どうなるか」ｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞ

兵士A「は、はいぃっ！！」ｶﾞｼｬｶﾞｼｬ

魔女「ちょろいわ」

勇者「恐ろしい人だ」

199 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:40:13.95 ID:YoNfaWYc0

――

魔女「で、君がパンドラの」ｽﾀｽﾀ

シエ「そうそう。いやぁ、驚いちゃったよ。あなた何者？」ｽﾀｽﾀ

魔女「ただの通りすがりの物乞いだよ」

勇者「よく言う」

魔女「よく言われる」

シエ「“引き金持ち”なんだねー。凄いなぁ。勇者くんの連れがこんな人だったなんて、正直思ってなかったよ」

勇者「周りに超人が現れるのには定評がありますので」

魔女「君も頑張りたまえよ」

勇者「善処します」

200 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:41:54.16 ID:YoNfaWYc0

――城門前

魔女「やれやれ、ようやく脱出だ」

勇者「これからどうします」

魔女「言っただろ。船に乗って中央大陸を目指す。更に南下だ」

勇者「いえ、魔女さんに言ったわけじゃなくて……」

魔女「ふん？」

シエ「……にっこり」

魔女「仲間になりたそうな目でこちらを見ている」

勇者「帰らないんですか？」

シエ「どうせ家に誰もいないしさ。ついて行った方が、なにかと楽しいかなーって」

201 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:43:17.81 ID:YoNfaWYc0

魔女「……」

シエ「な、なにかなぁ、魔女さん？」

魔女「いいや。なんでもない。君、私らの目的知ってるの」

シエ「うん。創造主に会いに行くんでしょ。元の世界に戻るために」

魔女「だいたい話はしたのか」

勇者「仕方なくです」

シエ「仕方なくって、酷いなぁ……駄目かな、ついて行ったら」

勇者「僕は別に構いませんけど」

202 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:44:40.80 ID:YoNfaWYc0

魔女「……いいのか」

勇者「ここで嫌と言う訳にも」

魔女「ふん。だってさ。……良かったね」

シエ「や、やった！　私も頑張るから！」

勇者「色々あると思いますが。よろしくお願いしますね」

魔女「よろしゅー」

シエ「うん、よろしくね。魔女さん、勇者く――」ｽｩ

203 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:45:45.70 ID:YoNfaWYc0

勇者「……え？」

魔女「……」

シエ「え。あれ。なんで……なんで、私の体、透けて」ｽｩ

勇者「魔女さん、なにか魔法を」

魔女「かけてないよ」

勇者「じゃあ何故」

シエ「……ああ、そっか……ごめんなさい」

シエ「やっぱり、私はついて行けないや」

シエ「――限界、みたい」

204 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:47:02.54 ID:YoNfaWYc0

勇者「限界って」

魔女「パンドラの力は、無限じゃない」

勇者「魔女さん」

魔女「その痣に込められた力を、完全に消耗した時。パンドラの忌み子は――消滅する」

勇者「……魔女さん、あなた分かってて」

魔女「分かってたから何さ。私には何も出来ないからね。私を責めるのはお門違いさ」

勇者「……そうですね。でもこのままじゃ」

シエ「いいんだよ、勇者くん。もうどうしようもないし」

勇者「……」

シエ「王様にこき使われたからなぁ。まさかこんなすぐ底をつくとは思ってなかったけど」

シエ「でも、最後に。君の手伝いが出来たから良かったよ」

勇者「……シエさん」

205 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:48:06.15 ID:YoNfaWYc0

シエ「あーぁ。もうお別れかぁ……残念だなぁ」

勇者「……ありがとうございました。こんなことしか、言えませんが」

シエ「んーん。気にしないで。私のしたいことをしただけだから」

シエ「頑張ってね。元の世界に、戻れるといいね」

勇者「……はい」

シエ「……ん」ﾆｯｺﾘ

シエ「ばいばい」ｽｯ

206 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:49:26.98 ID:YoNfaWYc0

――

勇者「……」ﾃｸﾃｸ

魔女「人間にしちゃ、天晴れな子だったね」ﾃｸﾃｸ

勇者「そうですか」

魔女「うん。死を恐れない覚悟。私が苦手な物の一つだけど。あんな若いのに、惜しいなぁ」

勇者「……はぁ」

魔女「そう気を落とすなよー」

勇者「無茶言わないで下さい」

魔女「仕方のない事さ。パンドラに憑かれた以上、避けられない道だったよ。その力欲しさに、地獄を見るよりかは」

勇者「……確かにまぁ」

207 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/08(水) 00:52:48.54 ID:YoNfaWYc0

魔女「汚い牢屋で一生を終えるより。私らに見送ってもらえて本望だったんじゃないの」

勇者「冷たいですね」

魔女「そんなもんだよ。君にも見習って欲しい」

勇者「無理です」

魔女「あっそ」

勇者「……」

魔女「……」

勇者「絶対、創造主に、会いに行きますよ」

魔女「はいはい」

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今日はここまで。なんか大味な感じで終わってしまった。反省。
以前同じスレを見てくれていた方にはもうなんて言ったらいいのか分からない。猛省。
今回は必ず完結させるので、もう一度お付き合いしていただければ

208 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/08(水) 08:21:53.98 ID:EWIlZ4jIO

おつ

209 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) ：2012/08/08(水) 15:08:21.65 ID:iXLBM2cFo

おっつおっつ

210 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:08:48.93 ID:WH0r29vE0

――ミカオー南部の港

ｻﾞｻﾞｰﾝ

魔女「うぇみだー」

勇者「そうですね」

魔女「海は嫌いか」

勇者「好きじゃないですね」

魔女「カナヅチか」

勇者「いかにも」

魔女「そうかそうか」

勇者「何を企んでるんです」

魔女「いつものことだろ」

勇者「それはそうですがそうじゃない」

211 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:10:09.61 ID:WH0r29vE0

船員「船に乗りたい？」

勇者「はい。二人です」

船員「構わんが、この時期に珍しいなぁ」

勇者「どうしてです？」

船員「毎年この時期は天候が不安定でな。突然の嵐に見舞われることもしばしばだ」

勇者「ふむ」

船員「ま、中央大陸までならそう時間もかからない。乗りたきゃ乗ってきな」

勇者「ありがとうございます。代金です」ﾁｬﾘﾝ

船員「毎度どーも」

212 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:11:13.84 ID:WH0r29vE0

勇者「残りの資金が……丁度、金貨十枚」

魔女「中央大陸に着いたら、一度物資を調達する必要があるな」

勇者「砂漠でしたか」

魔女「ああ。魔法で大体どうにかなるが、如何せん馬鹿でかい」

魔女「詳細な地図は勿論、水や食料を買い貯める」

勇者「案外しっかりと考えてるんですね」

魔女「照れるぜ」

勇者「えいやえいや」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

魔女「BANG」ｽﾞｶﾞｧｧｧｧﾝｯ!!

213 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:12:15.33 ID:WH0r29vE0

勇者「僕が悪かったんですかね」ﾋﾘﾋﾘ

魔女「恥を知れ」

勇者「はい」

船員「おーい、お前ら！　そろそろ出航だぞ！」

勇者「おっと。行きましょう、魔女さん」ﾃｸﾃｸ

魔女「あいよ」ﾃｸﾃｸ

214 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:13:15.58 ID:WH0r29vE0

――船上

ﾌﾞｵｫｫｫｫｫｫ

魔女「動き出したか」

勇者「うへ……魔女さん、部屋に行きましょう、部屋に」

魔女「あんの？」

勇者「いや、多分」

魔女「中央大陸まで半日もかかんないよ」

勇者「……しかしずっと外にいると言うのも」

魔女「私は一向に構わん」

勇者「僕は遠慮します」

魔女「へたれめ」

215 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:14:35.39 ID:WH0r29vE0

勇者「僕は船内にいるので！」

魔女「はいよ」

――

船員「個室？　そんなのある訳無いだろ」

勇者「……そうですか」

船員「見てくれの通り、ちいせぇ船だからな。こうして、船倉と操舵室を作るだけでいっぱいいっぱいよ」

勇者「ここで休憩してても大丈夫ですか？」

船員「かまわねーよ。どうせ俺がいるからな」

勇者「ん。ああ。別に泥棒しようなんて考えてませんよ」

船員「だといいがな」

216 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:16:30.61 ID:WH0r29vE0

船員「お前さん、どうして中央大陸に？」

勇者「首都に行こうと」

船員「ああ……ってことは砂漠を超えるつもりか」

勇者「それが最短だそうなので」

船員「ははぁ、お前さんあれか。旅は初めてか」

勇者「そうですね。連れが結構地理には詳しいらしいんで、助かってます」

船員「連れ？　あの、ちっこい魔法使いみたいな」

勇者「魔法使いですよ」

船員「そりゃ驚きだ。ミカオーはどうだった？　魔法大国なんだし、結構楽しんでたろ」

勇者「……ええ、それなりに」

217 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:20:00.62 ID:WH0r29vE0

船員「首都はいいとこだぜ。物価は安いしなんでもあるし、賑やかだ。まあ、入れたらの話なんだが」

勇者「入場規制でもあるんですか」

船員「そんなことも知らねーのか。首都、つまり「ルートラス」は、言うなら要塞だな。三つのエリアで構成された巨大な要塞」

勇者「そんなに大きいんですか」

船員「きっと腰抜かすぜ、観光客。まずは第一層……スラム・ルートラスだ」

船員「首都に入れなかった乞食たちの巣窟だ。もしくは、首都で大金スッて帰ろうにも帰れなくなった馬鹿どものふきだまり」

船員「首都に入るにはここを通らなきゃならねぇ。観光客にはちときついがな」

勇者「スラムか……初耳だ」

船員「財布を取られないよう気を張っておくんだな。次。第二層、ルートラス。一般に首都として知られる場所さ」

船員「お前さんと連れが目指している場所だな。ちなみに何しに行くんだ？　ただの観光か？」

勇者「ですかねー」

船員「だったら風俗は行っとけ。あそこは別格だぜ。な！」

勇者「はあ、そうですか……」

218 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:21:08.99 ID:WH0r29vE0

船員「三層の説明はいいか。と言うか、流石にそれは知って……」

勇者「……教えてください」

船員「……見た目に反して、世間知らずか。まあいい。
　　　第三層、神の庭。ご存知、創造主のお座敷さ」

勇者「……」

船員「顔色が変わったな？　創造主のことは知ってるようだな。
　　　首都の遙か頭上に存在する空中庭園。って話だが、その構造は誰も知らない。創造主に仕える者以外、誰一人として立ち入ったことが無いからな」

勇者「入る方法は無いんですか？」

船員「首都の中央に、神の庭に直結した塔がある。
　　　それを登っていけば着くんだろうが……はっ、塔に入った瞬間お陀仏さ。やめときな」

勇者「……」

船員「ま、神もそれに仕えてるのも、鬼じゃない。普通に首都にいる分には、お咎め食らったりしないさ」

219 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:22:29.29 ID:WH0r29vE0

勇者「ありがとうございました。参考になりました」

船員「おうよ。精々楽しんでこいよ。ってその前に砂漠を渡らなきゃだけどな。そっちは大丈夫なのか？」

勇者「ええ、多分。連れが魔法使いですし」

船員「はぁん……なんでもかんでも連れ、連れってなぁ。しっかりしろよ、男なんだから」

勇者「よく言われますしよく思いますね、それは」

船員「お前さん、まともに戦えるのか？」

勇者「武器ならありますよ」

船員「ほう。何使うんだ」

勇者「これです」ｽｯ

船員「……ルービックキューブ？　お前なぁ、冗談言うのは――」

ｸﾞｷｬｧｧｧｧｧ!

220 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:23:17.90 ID:WH0r29vE0

勇者「なんでしょう、今の」

船員「鳴き声？　まさか……」

魔物「グキャアアアッ！！」ﾊﾞｻｯ

勇者「！！」

船員「や、やはり魔物かッ！　おい、気をつけろ！」

勇者「分かってますって――！」ｶﾁｶﾁ

勇者「“赤の面”！」ｺﾞｫｵｵｫｫｯ!

魔物「ｶﾞｧｧｧｧｧｱｱ!!」ﾎﾞｵｵｵｵｯ!

勇者「……あんまり強くなかったですね。良かった」ﾎｯ

船員「な……なんだそりゃ」

221 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:24:23.01 ID:WH0r29vE0

勇者「マジックアイテムの一種ですよ。揃えた面に応じた魔法が使えるんです」

船員「はー、成程な……って感心してる場合じゃねぇ！　外に行くぞ！」

勇者「そうですね」ﾀﾞﾀﾞｯ

――船上　甲板

魔女「BANG」ﾄﾞﾝｯﾄﾞﾝｯ!!

勇者「魔女さん」

魔女「おーおー。無事だったか」

勇者「なんとか」

船員（変なルービックキューブ使いの次は、引き金持ちかよ……曲芸師かこいつらは）

222 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:25:32.16 ID:WH0r29vE0

勇者「それより、どうなってるんですかこれ。あなたの魔法なんじゃ」

魔物「グキャアアアッ！！」ﾊﾞｻﾊﾞｻｯ!!

勇者「ああ、鬱陶しい」ｺﾞｫｫｫｯ!

魔女「そんなわけねーでしょ。流石の私もこんなことしないよ」

勇者「魔女さんの台詞はあまり信用ならないって、知ってましたか」

魔女「向こう着いたら研究な」

勇者「久々に聞いた気がする」

船員「話してねーで手伝えお前ら！　見た感じそこそこ出来るみたいだしな！」ﾌﾞﾝｯ

勇者「おお。剣士」

魔女「やれやれだな」

223 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:26:28.80 ID:WH0r29vE0

魔女「BANG! こりゃーあれだね、どっかから狙われてるねぇ」ﾄﾞﾝｯ

勇者「狙われてる？」

魔女「うん。そもそも魔物って自然には存在してないのよ。生命力皆無だし」

魔女「だから、うじゃうじゃやってくるこいつらは、誰かが召喚したものってわけ」

勇者「海の上ですよ、ここ。召喚の射程距離ってどんなもんなんです」

魔女「魔力によるけど、この位置なら、地上からは無理だろうな」

勇者「とすると」

魔女「犯人はこの中にいる」

224 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:27:27.31 ID:WH0r29vE0

船員「ったく、さっきからどんどん出てきやがる……！」ﾌﾞﾝｯﾌﾞﾝｯ

勇者「船員さん！」

船員「あ？　なんだ若いの！　今忙しいんだがな！」

勇者「操舵室は何処ですか！」

船員「操舵室？　……そうか、船長！」

勇者「僕が見てきます。この場はよろしくお願いします」

船員「……分かった。そこの角を曲がってすぐの扉だ！　迷うんじゃねーぞ！」

勇者「分かってます！」ﾀﾞｯ

魔女「張り切っちゃってまぁ。ふん。任せたよー」ﾄﾞｫｫｫﾝｯ!!

225 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:28:29.56 ID:WH0r29vE0

――操舵室

黒魔「……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

船長「き、貴様……こんな事をして、ただで済むと」

黒魔「静かにしていろ」ｸﾞｲｯ

船長「うぐっ！　く、苦し……っ」ｷﾞﾘｷﾞﾘｷﾞﾘ

黒魔「……懲りないな。私の影縛りの味は十分理解してもらったと思っていたが」

船長「……ぐ……」

黒魔「……まあいい。後はこの船を――」

勇者「オラァ！」ﾊﾞﾀﾝｯ!!

黒魔「……また、邪魔者か」ｸﾙﾘ

黒魔「！　貴様は……」

226 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:29:52.50 ID:WH0r29vE0

船員「……」ｸﾞﾃﾘ

船長「……ッ」ｸﾞｯﾀﾘ

勇者「……死屍累々だな」

勇者「お前が犯人か」

黒魔「そう見えるか」

勇者「どう見ても魔術師ですよ」

黒魔「ふん。ジョークだ」

勇者「そうですか」

黒魔「……面白みの無い奴だな」

勇者「マジレス担当ですので」

227 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:31:29.12 ID:WH0r29vE0

勇者「で。この事態をどう収めるつもりですか」

黒魔「さてな？　私が、何の為に魔物を放ったと思う」

勇者「……貨物の強奪とか」

黒魔「違う」

勇者「答えを」

黒魔「貴様を沈める為さ」

勇者「……」

勇者「なんだって」

228 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:32:24.30 ID:WH0r29vE0

黒魔「聞こえなかったのか？　貴様を殺す為だと」

勇者「どうして僕を」

黒魔「……それは言えんな。契約外だ」

勇者「契約？　誰に雇われている？」

黒魔「それも言えない。私の命令は、貴様を船ごと沈め、殺すこと。それだけだ」

勇者「そこは喋ってくれるんですね」

黒魔「これから死にゆく人間に何を語っても同じこと。行くぞ！」ﾊﾞｯ

勇者「だったら全部教えてくれても――“赤の面”！」ｺﾞｵｵｵｵｫｯ

黒魔「――“召喚術　翼魔”！」ﾊﾞｻﾊﾞｻﾊﾞｻｯ

翼魔「ｸﾞｷｬｱｱｱｱｱｱｱｱｱｯ!!」ﾎﾞｫｫｵｵｯ!

勇者「……魔物を召喚して、壁に」

黒魔「“影縛り”！」ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞ

勇者「ッ！」

229 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:33:53.75 ID:WH0r29vE0

黒魔「捉えた」ﾆﾔﾘ

勇者「……ぐっ！」ｷﾞﾘｷﾞﾘ

黒魔「ふん。想像以上に呆気無いものだな。
　　　何故貴様を殺そうなどと考えたのか、分からんが……」

黒魔「これで、終わりだ」ｷﾞｭｯ

勇者「……！」ｶﾁｶﾁｶﾁﾘ

ｷｨｨｨｨﾝ!

黒魔「なっ！？」

黒魔「何故、私の“影縛り”が……！？」

勇者「……僕の武器は少々変わってまして」ﾊｧﾊｧ

勇者「揃えた面によって使える魔法が変わるんです」

勇者「赤の面は炎……そして白の面は」

勇者「発動された魔法効果を全て消滅させる」

230 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:35:29.31 ID:WH0r29vE0

黒魔「消滅……だと」

勇者「流石に召喚された魔物には効きませんがね」

黒魔（なんだ、この力は……魔素すら残っていない。こいつ、一体――）

勇者「詰みですよ魔術師さん」ｶﾁﾘｶﾁﾘ

黒魔「ッ！」

勇者「赤の――」ｶﾁｯ

黒魔「“召喚術　海竜”！」

勇者「！」

231 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:36:20.95 ID:WH0r29vE0

ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ

勇者「また、届かなかった」ｶﾁﾘ

勇者「この音は――」

ﾊﾞﾘﾝ!!

勇者（操舵室の窓が――！）

海竜「ｸｱｧｧｧｧｧｧ!!」

勇者「り、りばいあさーん」

232 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:37:21.89 ID:WH0r29vE0

黒魔「正直、驚いたよ」ｶﾞｼｯ

勇者「逃げるつもりですか」

黒魔「ああ。今回は退かせてもらう。……次会った時が、貴様の最期だ」

勇者「深追いはしませんけど。僕の勝ちでいいんですよね」

黒魔「そう思いたければ、好きにしろ」

勇者「じゃあ、誰の差金なのか教えてくれません？」

黒魔「……いいだろう」

黒魔「創造主だ」

勇者「……！」

233 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:38:19.40 ID:WH0r29vE0

勇者「創造主、ですか」

黒魔「その通り。貴様は創造主の怒りに触れたのだ」

勇者「……ご協力どうも。もう行っていいですよ」

黒魔「ふん。その澄ました顔を絶望に染める時が楽しみだよ」

黒魔「――行け、海竜！」

海竜「ｸｱｧｧｧｧｧｧ!!」ﾊﾞｼｬｰﾝ

勇者「……」

勇者「……あの野郎」

234 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:39:06.56 ID:WH0r29vE0

――

魔女「やあ」

勇者「お元気そうで」

魔女「ふん、あんなのウォーミングアップにすらなりゃしない。
　　　犯人は殺したの」

勇者「いえ。逃げられてしまいました」

魔女「だろうね。あの海竜」

勇者「はい」

魔女「別にいいけど。何が目的だったの」

勇者「……僕を殺すことだそうで」

魔女「ふぅん」

勇者「創造主の差金だと」

魔女「……ふぅん」

235 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:40:07.91 ID:WH0r29vE0

魔女「何故か分からないが。既に創造主に気付かれているわけだ」

勇者「そうらしいですね。嘘を掴まされてない限り」

魔女「はん、やりにくくなったな……まあいい。詳しいことはまた来た時にとっ捕まえて聞くとしよう」

勇者「また来るんでしょうか」

魔女「君は何を話してたんだよ。来ない筈がない。任務を放棄するような手練には見えなかったろ」

勇者「……確かに」

魔女「くひひ。これからは見えない外敵にも注意しなきゃならんね」

勇者「やれやれですね」

魔女「有効に活用できるといいがね」

236 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:40:46.80 ID:WH0r29vE0

船員「お、お前ら！　無事だったか！」

勇者「船員さん」

船員「まったく、何がなんだかさっぱりだが……助かったぜ」

船員「俺は無事な奴らと一緒に、船長の救護に行く。お前らは好きにしててくれ。大変なことにはなったが、中央大陸までは送り届けるからな」

勇者「ありがとうございます。なにか手伝いましょうか」

船員「別にいらん。大人しくしてな！」ｽﾀｽﾀ

魔女「あの態度はどうかと思うが」

勇者「まあまあ」

237 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:41:50.96 ID:WH0r29vE0

――船着場

勇者「着きましたね」

魔女「やれやれ、ようやくだな」

勇者「ウォーミングアップにもならなかったんじゃ？」

魔女「言葉のあやだよ」

船員「おう、出発か」

勇者「あ、どうも」

船員「さっきはありがとな。帰りはまたこの船を利用してくれ。安くするぜ」

勇者「……ええ。ありがとうございます」

船員「いいってことよ！　じゃ、頑張ってな！」

魔女「……くひひ」

勇者「何笑ってんですか」

238 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/09(木) 00:43:21.76 ID:WH0r29vE0

魔女「いやぁ。次会う機会は、無いのにね」

勇者「趣味が悪いです」

魔女「魔女だからね」

勇者「それは偏見と言う物じゃ」

魔女「それこそ偏見ってやつだよ」

勇者「そうですか」

魔女「そうそう」

勇者「……中央大陸」

魔女「首都は遠いねぇ」

勇者「これから先、さっきみたいな襲撃が何度もあるんですかね」

魔女「どうかな。ま、そうじゃないと面白くないさ。
　　　全員纏めて、有効に活用してやらないと」

勇者「やっぱり趣味悪いですよ」

魔女「くひひ。さあ、行こうか」

--------------------------------------------------------------------------------

今日はここまで。

239 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]：2012/08/09(木) 01:52:28.37 ID:FQoId135o

乙
くひひ。と笑う魔女が、こわ可愛いぜ

240 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]：2012/08/09(木) 02:28:15.46 ID:VR3hkkVSo

ﾌﾋﾋ

241 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]：2012/08/09(木) 02:44:11.76 ID:oapZ7Qvfo

ｻｰｾﾝ

242 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]：2012/08/09(木) 08:40:43.68 ID:HOqfYS2Io

帰ってきてたのか
好きだったからうれしい

243 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/09(木) 13:55:19.90 ID:00YS01J50

糞スレ発見

244 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]：2012/08/09(木) 15:15:04.58 ID:HOqfYS2Io

なんでこのスレ荒らされてんの？
なんかあったん？

245 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]：2012/08/09(木) 16:23:16.78 ID:6LIqM7X6o

糞スレ発見ってのは色々な所に書いてある
後は以前自称VIPPERが流れてきたからじゃないの

246 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:28:34.53 ID:DYJhXkle0

――大陸北部、メサルワの村

勇者「こちらに来て、がらりと空気が変わりましたね」

魔女「あちー」

勇者「乾いていると言うか、風も熱気を持ってると言うか……魔女さん、大丈夫ですか」

魔女「暑いの苦手だわ」

勇者「魔法使ったらどうなんです」

魔女「とっくに使ってる」

勇者「そうですか」

魔女「ふうふう。休憩だ、勇者」

勇者「ああ。船乗ってから休んでないですしね」

247 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:30:47.97 ID:DYJhXkle0

魔女「日も暮れてきた。今日はここに一泊だな」

勇者「宿屋、ありますかね」

魔女「無くたってどうにかなるが……あった」

宿屋“メサルワの泉”

勇者「メサルワ？」

魔女「この村の名前さ。船着場を有した砂漠のオアシス。と言ったところかね」

勇者「よく見てみれば、旅人風の格好をした人も多いような」

魔女「これから砂漠横断だからねぇ。くひひ」

248 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:31:58.92 ID:DYJhXkle0

ｶﾗﾝｶﾗｰﾝ

店番「いらっしゃいませー」

勇者「……酒場？　宿屋と併設されてるんですか」

魔女「よく見る光景ではある」

勇者「すみません。部屋を貸して下さい」

店番「はーい。お二人？　同室でいいかしら」

勇者「ええ、それでお願いします」ﾁｬﾘﾝ

店番「まいどー。これが部屋の鍵よ」

勇者「ありがとうございます」

魔女「……」

249 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:32:48.49 ID:DYJhXkle0

勇者「同室で良かったですよね」

魔女「今更聞くな」

勇者「はい。旅費の削減と思って」

魔女「砂漠を超えたら、また依頼をこなす必要があるかもね。
　　　面倒だが」

勇者「働かざるもの、滅ぼすべからず」

魔女「つまんないギャグはいいから部屋を探せ」

勇者「手厳しい」

250 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:34:29.84 ID:DYJhXkle0

――

魔女「ベッドー」ﾊﾞﾌｯ

勇者「ふー」

魔女「くひひ、この地のベッドは中々良い。肌触りが抜群だな」ｽﾘｽﾘ

勇者「なんの品評ですか」

魔女「世界をまたにかけた者としての意見さ」

勇者「千年前でしょう」

魔女「良い物は決して色褪せない。それがベッドであっても」ﾓﾌﾓﾌ

勇者「さいですか」

勇者（疲れました）

251 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:36:44.67 ID:DYJhXkle0

魔女「家を出てから、早三日」

勇者「まだそんなもんですか」

魔女「そんなもんだ」

勇者「首都まで後どれくらいでしょう」

魔女「地図貸してみな」

勇者「はい」ﾊﾟﾗﾗ

魔女「……現在地がここ、メサルワの村」

勇者「はい」

魔女「これから砂漠を横断する……状況にもよるが、丸一日はかかる」

勇者「うへぇ」

252 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:38:18.95 ID:DYJhXkle0

魔女「まあ、砂漠の中途には村もあるし、出口付近にはでかい街もある。
　　　そこで休憩を取ることになるだろうね」

勇者「かんらくがい……歓楽街？」

魔女「歓楽街イザラクタ。ふん、あまり好きじゃないな。歓楽街と言うのは」

勇者「なんでしょう、モンバーバラみたいな場所ですかね」

魔女「大体合ってる」

勇者「合ってるんだ」

253 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/10(金) 00:39:51.11 ID:DYJhXkle0

魔女「その後は野を越え山を越え首都だ」

勇者「なんですかその省き方」

魔女「うるせーな知らないんだから」

勇者「あ、知らないんですか」

魔女「言わせんな恥ずかしい」

勇者「理不尽な」

254 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:41:20.68 ID:DYJhXkle0

勇者「情報収集にでも行きましょうか」

魔女「行ってらっしゃい」

勇者「酒場ですよ」

魔女「行ってらっしゃい」

勇者「お酒が飲めるかも」

魔女「行ってらっしゃい」

勇者「ほら早く」ｸﾞｲｸﾞｲ

魔女「あーあー」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

255 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:42:28.90 ID:DYJhXkle0

魔女「なんで私まで」

勇者「トラブルに巻き込まれたら困りますし」

魔女「巻き込まれること前提か」

勇者「ここらへん治安悪そうですし」

魔女「“察知する意志”」ﾎﾞｩﾝ

勇者「嫌がらせ魔法」

魔女「たまには出番を作ってやらないとね」

勇者「魔法の出番って」

魔女「擬人化の可能性が」

勇者「無いです」

256 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:43:47.17 ID:DYJhXkle0

――酒場

ｶﾞﾔｶﾞﾔ

魔女「人増えたね」

勇者「もう日も落ちましたからね」

勇者「……ガラ悪そうな人が多い」

魔女「おーこわ」

勇者「カウンター、行きましょうか」

魔女「ご意向のままに」

勇者「よいしょっと」ｷﾞｼｯ

マスター「ご注文は」

勇者「ミルクでも貰おうか」

魔女「……」

257 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:44:55.54 ID:DYJhXkle0

魔女「軽蔑の目」

勇者「未成年の飲酒は禁止ですよ」

魔女「私は二千十五歳だ。君だって未成年じゃないだろ」ｺﾞｸｺﾞｸ

魔女「……んん。やはり宵の生き血は格別だな」

勇者「赤ワインですよね」

魔女「飲むかい」

勇者「ミルクうめぇ」ｺﾞｸｺﾞｸ

258 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:46:39.15 ID:DYJhXkle0

マスター「お客さん。旅人だね」

勇者「ええ」

マスター「そちらの嬢ちゃんは？　魔法使いに見える」

魔女「いかにも」

勇者「一つお尋ねしたいんですが……ここらへんの治安って」

マスター「……良好とは言えないな。見ての通り、旅人の多い村だ。不慣れな旅人を狙った賊が度々目撃されている。
　　　　　砂漠を越える際は、専門の護衛を雇う人が増えている」

勇者「護衛」

マスター「最近になって人気が出てきたビジネスでね。
　　　　　ここの隣がそれだ。もし砂漠を越えるつもりなら、立ち寄ってみても悪くないな」

勇者「成程。ありがとうございます」

マスター「ごゆっくり」

259 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:48:00.08 ID:DYJhXkle0

魔女「護衛ねぇ」

勇者「どうしましょうか」

魔女「魔法があるから要らない」

勇者「……しかし賊が出没するのはよろしくないですよ」

魔女「そんなのに遅れを取るとでも」

勇者「可能性の問題です」

魔女「厄介に見舞われるか見舞われないか、ね。ふん」

「……」

魔女「……？」

260 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:49:11.39 ID:DYJhXkle0

魔女「……」

勇者「どうしました」

魔女「ちょっと待ってな」ｶﾞﾀｯ

勇者「お体にはお気をつけて」

魔女「……」ｽﾀｽﾀ

少女「……」

魔女「そこの君」

少女「……」ﾁﾗｯ

魔女「砂漠の村の出身かな」

261 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:51:16.61 ID:DYJhXkle0

少女「……」

魔女「そうかい。くひひ、手間が省けた」

魔女「砂漠横断のお供をしてもらいたい」

少女「……」ｼﾞｨｯ

勇者「なにやってんですか魔女さん。……こちらの方は？」

魔女「砂漠の村の子だよ」

勇者「はぁ。よく分かりましたね」

魔女「褐色、小柄。そしてカーキのクローク。ここまで来たら特定できないほうがおかしい」

少女「……」

魔女「自己紹介がまだだったね。私は魔女。こいつは勇者」

魔女「何処をどう見ても普通の旅人さ」

262 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:52:52.94 ID:DYJhXkle0

少女「……――」

魔女「なんか言ったか」

少女「……報酬は」

魔女「だってさ」

勇者「そこで僕に振りますか。……相場は幾らなんでしょう」

少女「……報酬は――」

勇者「え？」

少女「あなたのくび、ひとつ」ﾊﾞｯ!

勇者「なっ――！？」

263 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:55:21.72 ID:DYJhXkle0

ｶﾞｷｨﾝ!!

勇者「な、何を……！」ｷﾞﾘｷﾞﾘｷﾞﾘ

魔女「は――BANG」ﾄﾞｫﾝｯ!!

少女「――」ｽﾀｯ

魔女「……躱されたか」

魔女（あの短刀……あんなので首を掻っ切ろうとしたのか）

ﾅ､ﾅﾝﾀﾞﾅﾝﾀﾞ!!
ｹﾝｶｶ!?ﾔﾚﾔﾚｰ!

少女「……硬いね」

勇者「……*特別製*のルービックですから」

少女「……」ﾊﾞｯ

勇者「また――」

魔女「おっと」ｽｯ

勇者「魔女さん！？　前に出ちゃ――」

魔女「“束縛する意志”！」ｷﾞｭﾙﾙﾙﾙﾙｯ!!

264 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:57:06.72 ID:DYJhXkle0

少女「――ッ！！」ｸﾞｲｸﾞｲ

魔女「ふん。まだ動けるのか……見かけによらず随分な筋力だね」

少女「……」ﾌｩ

魔女「諦めた？　それじゃあ――」

マスター「すまんが、君たち」

勇者「あ」

魔女「あァ？」

マスター「揉め事なら外でやってもらえるかな。物を壊されても困る」

勇者「あ、すみません……ほら魔女さんも謝って」ﾍｺﾍｺ

魔女「……ふん」

少女「……」ｸﾞｲｸﾞｲ

265 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 00:58:30.66 ID:DYJhXkle0

――屋外

少女「……」ﾂｰﾝ

魔女「で。なんで襲ってきたのかな」

勇者「十中八九こちらの非礼かと」

魔女「非礼ね。ふん。私の得意分野だよ」

勇者「自慢されましても」

少女「……なんとなく」ﾎﾞｿｯ

勇者「なんとなくですか」

魔女「ふぅん」

勇者「魔女さんの得意分野ですね」

魔女「うるせー」

266 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 01:00:16.70 ID:DYJhXkle0

少女「……砂漠、行くの」

勇者「ええ。出来ればそのガイドをしてもらいたかったんですが」

魔女「報酬が首一つじゃあね」

少女「……」

勇者「襲ってきたことは、もう何も言いません。こちらの、いや魔女さんが原因でもありますから」

魔女「その喧嘩買った」

勇者「後にして下さい。……あなたの名前はなんと言うんですか」

少女「……少女」

勇者「少女さんですか。分かりました」

魔女「何する気？」

勇者「いえ。ここで解放してあげようかと」

267 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/10(金) 01:01:49.51 ID:DYJhXkle0

魔女「……馬鹿か君は」

勇者「いいじゃないですか、これでおさらばしても」

魔女「私が有効に活用する権利はある筈だ」

勇者「そうやって人を殺したがるから駄目なんです」

魔女「言うようになったね。ここで殺してあげてもいいんだぞ」

勇者「勘弁してください」

魔女「……ふん。冗談だよ」ｸｲｯ

少女「……」ﾉﾋﾞﾉﾋﾞ

魔女「さっさと行きな。有効に活用されたくなかったらね」

少女「……」ﾊﾞｯ

268 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 01:03:26.80 ID:DYJhXkle0

勇者「足速いなぁ」

魔女「あーあ。勿体無い」

勇者「また幾らでも供給できますよ」

魔女「ふん。生半可な賊の魂なんて美味しくもなんともないんだがね」

勇者「少女ちゃんだって純粋な魂を持ってるかどうか」

魔女「あの子は若いからね」

勇者「それが理由かよ」

勇者「……魔女さん、結構変態チックな面もありますね」

魔女「くひひ」

269 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 01:04:39.77 ID:DYJhXkle0

――部屋

魔女「いい湯だった」ｽｯｷﾘ

勇者「砂漠の露天風呂と言うのも、風情があっていいですね」

魔女「ふふん、人間もたまには良い物を作るじゃないか」

勇者「ご機嫌の様子」

魔女「よし。寝るか」

勇者「明日には出発しますか」

魔女「まずは買い出しからだ」

勇者「はい。おやすみなさい」

魔女「おやすみ」

270 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 01:06:04.17 ID:DYJhXkle0

――翌日

魔女「物資は……こんな物だな」

勇者「……多いですね」

魔女「念には念を入れ」

勇者「案外几帳面ですよね」

魔女「褒めても、これを持つのは君だからね」

勇者「……半分こ」

魔女「後衛に荷物を持てと？」

勇者「ああ言えばこう言う」

271 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 01:07:19.64 ID:DYJhXkle0

勇者「残り金貨七枚」ﾃｸﾃｸ

魔女「寂しくなってきたな」ﾃｸﾃｸ

勇者「首都まで行けますかね」

魔女「無理だな」

勇者「やはり何処かで依頼を……あれ」

魔女「なにかね」

勇者「……魔女さん。あそこにいるのって」

魔女「む」

少女「……」ｼﾞｰｰ

272 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 01:08:31.61 ID:DYJhXkle0

魔女「……」

勇者「こっち見てますけど」

魔女「人違いじゃーねーのかな」

少女「……」ﾃｸﾃｸ

勇者「こっち来ましたよ」

魔女「戦闘準備」

勇者「不本意ですが」

273 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 01:09:43.80 ID:DYJhXkle0

少女「……見つけた」ﾋﾟﾀｯ

勇者「……また遭いましたね。何の用でしょう」

少女「……」

魔女「黙ってても心が分かるのは魔法使いだけだぜ」

勇者「分かるんですか」

魔女「それなりに」

勇者「じゃあ何を言おうとしてるんです」

魔女「んー」

少女「……ねぇ」

勇者「あ、はい」

少女「……砂漠、案内してあげる」

274 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 01:10:29.12 ID:DYJhXkle0

勇者「……折角ですが」

少女「……お願い」

勇者「お願いされましても」

少女「……報酬、いらないから」

少女「……首を取る気も、無い」

勇者「……魔女さん」

魔女「……ふん。勇者」

勇者「なんです」

魔女「昨日、私“察知する意志”つけてたでしょ」

勇者「……そう言えば発動していましたね。それが」

魔女「その中にね。またあったのさ」

勇者「またあったとは？」

魔女「救援信号」

275 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/10(金) 01:12:53.87 ID:DYJhXkle0

勇者「……」

魔女「この子からね」

勇者「……どう言うことです」

魔女「それは聞いてみないと分からないな」

魔女「――少女だったか。君は、私たちに何をして欲しいのかな」

少女「……助けてほしい」

勇者「……」

魔女「……」

少女「……村が、襲われてるの」

--------------------------------------------------------------------------------

今日はここまで。砂漠のお話の始まり。

276 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/10(金) 03:18:52.41 ID:zhGHW7vIO

やっぱり会話が不自然なんだよなー

まぁ必ず完結させるって言うなら見てやるか

277 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/10(金) 06:48:38.04 ID:nmqbKIsIO

すげー上からだなwww
おまえ、ハンコック並みに反り返って読んでんのかよwww

278 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/10(金) 12:39:06.49 ID:+SxQYCmRo

乙、大量更新が嬉しいわ

279 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/11(土) 00:30:09.36 ID:JDee3IBY0

――砂漠

魔女「あーづーいー」

勇者「水飲みますか」ﾋｮｲ

魔女「」ｺﾞｸｺﾞｸ

勇者「一気飲みしないでくださいよー」

少女「……」

勇者「……ぴんぴんしてますね」

少女「……慣れてる」

勇者「流石です」

280 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/11(土) 00:30:54.95 ID:JDee3IBY0

*回想*

魔女「砂漠の村がねぇ」

勇者「賊にですか」

魔女「確か、何個も集落があった筈だな。君んとこの民族は」

少女「……」ｺｸｯ

魔女「成程。その内の一つがやられた訳か」

少女「……一つじゃない。もう、何箇所も……」

勇者「想像していたよりまずいですね」

魔女「君の村は」

少女「……まだ、大丈夫……だけど」

魔女「時間の問題か。ふん」

281 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/11(土) 00:31:37.63 ID:JDee3IBY0

勇者「黄砂の民族……でしたっけ」

少女「……」ｺｸｯ

魔女「私が全盛だった頃にも存在していた筈だね。この広大な砂漠に幾つもの集落を作り、独自の文化形態を創りだした……」

魔女「民は等しく褐色で、小柄。刺繍入りのクロークを身に纏うことを義務付けられている。
　　　身のこなしが素早く、砂漠で生きる為の強靭な生命力を持ち合わせている」

勇者「詳しいですね」

魔女「百年前の知識だがね」

勇者「化石物だ」

魔女「ま、この子を見る限り大体間違いないでしょ」

少女「……」ｺｸﾘ

勇者「合ってるのか……」

282 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/11(土) 00:32:22.71 ID:JDee3IBY0

*回想終わり*

勇者「村を出て、どのくらいになりました？」

魔女「二時間は歩いた」

少女「……あれ」ｽｯ

勇者「あ、緑が」

魔女「オアシス？　丁度いい、休憩するか」

勇者「そうですね」

少女「……」

魔女「不服そうだね」

少女「……村が」

魔女「焦ったってどうにかなるものじゃないよ。
　　　いざ救援に向かった私たちが満身創痍でどうする」

少女「……ん」

勇者「たまには良いこと言うますね」

魔女「年長者のアドバイスさ、私も丸くなったもんだなBANG」ｽﾞｺﾞｫｫｫ

283 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/11(土) 00:33:02.10 ID:JDee3IBY0

――オアシス

勇者「いてて……不意打ちは卑怯ですよ」

魔女「あーごくらくごくらく」ｺﾞｸｺﾞｸ

少女「……」ﾎﾞｰ

勇者「少女さんも飲んだらどうです？
　　　魔女さんの言うとおり、今から無駄な体力使っても仕方ないですよ」

少女「……慣れてる。平気」ﾂｰﾝ

勇者「お年ごろなんですかね」

魔女「ふん。理解し難い感情だな」

勇者「魔女さんは、欲のままに生きてますしね」

魔女「そりゃそーよ」ｺﾞｸｺﾞｸ

284 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/11(土) 00:33:37.28 ID:JDee3IBY0

魔女「少女。ちょっとこっち来な」

少女「……」ﾃｸﾃｸ

勇者「どうしました」

魔女「ふん。先に、状況の説明をしてもらおうと思ってね」

勇者「状況？」

魔女「さっきも言ったと思うけど、黄砂の民族はかなり屈強だ」

魔女「そいつらの集落を次々と潰せる賊って、まともじゃないぜ」

勇者「……相手も、相当大規模な賊だと」

魔女「それ以外無い。君が知ってる敵の情報を全部教えな。何か対策が取れるかもね」

少女「……」ｺｸﾘ

285 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/11(土) 00:34:33.23 ID:JDee3IBY0

少女「……あいつらは、私たちの、あぶれ者」

魔女「ほう」

少女「……黄砂の民族から抜けだしたのが集まって、私たちを、攻撃してる」

少女「最近旅人が襲われてるのも……あいつらの仕業」

勇者「抜けだしたとは？　どうしてです」

少女「……あいつら、この砂漠を、捨てたがっていたの」

少女「……黄砂の民族は、古くから、この砂漠で生きてきた。今更、違う土地に移住することは、出来ない」

少女「それをあいつらは……みんなに認めさせようとして。当然、批難にあって……村から、去っていった」

少女「それが、三ヶ月前の話」

286 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/11(土) 00:35:29.69 ID:JDee3IBY0

勇者「集落が襲撃に遭うようになったのはいつからです」

少女「……詳しくは、分からないけど……大体、三週間前」

魔女「ふん。空いた二ヶ月で力を蓄えたって訳か」

勇者「しかし何故、わざわざこのような真似を？　とっとと追い出された組で新天地を目指せばいいものを」

魔女「報復のつもりなんだろ。くだらん。どうせ、集落を全部潰してから出ていくつもりなんじゃないか」

少女「……たぶん」

勇者「面倒な連中ですね」

魔女「どうしてこう人間は些細な感情に執着するのかねぇ。理解できないよ全く」

勇者「人間全員がそうだとは思いませんが」

魔女「君とて例外じゃないよ」

勇者「説教は後にして下さい」

魔女「ん。……おっと」

287 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/11(土) 00:36:26.20 ID:JDee3IBY0

男衆「……」ﾜﾗﾜﾗ

魔女「……四人。抜け民だな」

勇者「なんですそれ」

魔女「名称知らんし、適当に」

少女「……黄衣の民って名乗ってる」

魔女「はん。王でも無い限り恐れるに足らんな」

勇者「いあいあ」

288 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/11(土) 00:37:20.87 ID:JDee3IBY0

黄衣A「……旅人だな」

黄衣B「此処は俺達のテリトリーだ」

黄衣A「命惜しけりゃ、その大仰な荷物をこっちによこしな。悪いようにはしねぇ」

勇者「とのことですが」

魔女「は。断ると言ったら？」

黄衣A「おもしれェ。泣いて命乞いしたって聞かねぇぜ。砂が全て掻き消しちまうからな」ｼﾞｬｷﾝｯ

勇者(シミターですか。初めて見ました)

黄衣C「……待て、A」

黄衣A「あん？」

黄衣C「あれは……黄砂の」

黄衣A「……マジかよ。何でこんなところにいやがる」

少女「……」

289 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/11(土) 00:37:59.93 ID:JDee3IBY0

黄衣A「へへっ、今日はツイてるぜ。旅人の荷物だけじゃなく、“黄金の娘”も手に入るとはな！」

勇者「黄金の娘」

魔女「少女のことか」

黄衣A「何だお前ら、こいつが誰か知らねーのに同行してんのか。傑作だな」

黄衣B「くくっ、どうせ身分を隠してきたんだろう？　黄金の娘さんよ」

少女「……」ｷｯ

魔女「少女。つまり君はあれか。キーパーソンか」

勇者「とぼけたこと言わないでください」

魔女「間違っちゃないだろ」

勇者「いや、うーん。……少女さん？」

少女「……」ｺｸﾘ

勇者「何の頷きですか」

少女「……私は、族長の娘」

勇者「把握」

290 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/11(土) 00:38:40.55 ID:JDee3IBY0

黄衣C「これで黄金の娘を連れていけば、我らが王もお褒めになるに違いない」

黄衣A「ああ……いいか、娘は殺すなよ！　そこの腑抜け二人はさっさとやっちまえ！」

魔女「腑抜け、ね……ふふ」

黄衣A「何笑ってやがる！」

魔女「――どっちが腑抜けか笑ってたのさ」ﾄﾞｫｫﾝｯ!!

黄衣D「が、はっ――」ｸﾞｼｬｱｯ!

黄衣A「なっ！？」

勇者「“赤の面”！」ｺﾞｫｵｵｵｵｵｯ!!

黄衣C「ぐああああああああっ！！」ﾎﾞｵｵｵｵｯ!!

魔女「えげつないことするね」

勇者「正当防衛です」

291 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/11(土) 00:39:23.51 ID:JDee3IBY0

黄衣A「な、な、なんだてめぇらッ、なめやがって！」

勇者「なめてませんよ」

魔女「拍子抜けだったがね」

勇者「まあ……不意を打っただけ、ってのもありますが」

黄衣A「く、くそがッ！！　さ、作戦変更だ、娘だけ――」

黄衣B「お、おい……娘は何処だ？」

黄衣A「えっ、今、そこに――」

少女「……こっち」

ｻﾞｼｭｯ!

292 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/11(土) 00:40:49.26 ID:JDee3IBY0

黄衣A「――」ﾄﾞｻｯ

少女「……」ﾋﾞｼｭｯ

勇者「はー」

魔女「くひひ」

黄衣B「う――うあぁぁぁぁぁああっ！！」ﾀﾞｯ

魔女「おっと……どこに行こうというのかね」

魔女「“束縛する意志”！」ｷﾞｭﾙﾙﾙﾙﾙｯ!

黄衣B「うわっ、ぁああっ！！　離せ、離せッ！！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

魔女「――本家魔女の魔力で出来た糸さ。暴れるだけ無駄だよ」

--------------------------------------------------------------------------------

今日はここまで。

293 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/11(土) 00:54:42.06 ID:7Eap72nDO

乙
がんばってね

294 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]：2012/08/11(土) 01:28:25.87 ID:IL4jQ9dio

急にラピュタ王

295 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/11(土) 06:00:38.83 ID:IF66ccDIO

乙
誰か
なぜ少女が勇者を殺そうとしたのか
なぜ少女があんなところに居たのか
なぜ村長の孫が武器使いに慣れてるのか
なぜ少女達があんなに殺人に無頓着なのか
理由を教えてくれ

もしかしてそこら中で普通に殺人が頻発する世界観だからこの世界の人々は殺人に慣れてるの？慣れてるから殺人に無頓着なの？

296 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:29:12.15 ID:EfsqfvIj0

――

魔女「魔女っ子魔女さんの尋問のお時間だ」

勇者「これじゃどっちが悪者か分かりませんね」

魔女「勇者の正義なんて汚れるもんだろ」

勇者「認めたくないものです」

黄衣B「……くそったれが」

魔女「ムカつくかい。くひひ、安心しなよ。命を奪ったりはしない」

勇者「……」

魔女「沈黙は金だが。この場合はどうだろうな。お前らの目的は何だ」

黄衣B「目的だと？」

魔女「黄砂の民族の集落を襲ってるんだろ。その民から抜けだしたお前らが。一体何がしたい」

297 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:30:08.24 ID:EfsqfvIj0

黄衣B「……そんなもの、決まってる。復讐だよ！」

魔女「ふん。やはりか」

黄衣B「黙れ！　部外者の貴様には分からん！　我々がどんな想いで、この砂漠からの脱出を望んでいるか！」

魔女「それとこれとは関係無いと思うのだけど」

黄衣B「奴らに見せつけているんだよ！　我々の想いの強さをなァ！
　　　はっ、今頃俺の仲間が、族長の首を取りに行ってる筈だ！」

少女「……！」ｶﾞｼｯ

黄衣B「うぐっ……！」

魔女「あーあー怒らせた」

勇者「煽ってないで魔女さん、止めないと」

298 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:32:14.09 ID:EfsqfvIj0

少女「……それは、本当か」ｷﾞﾘｷﾞﾘ

黄衣B「や、やめろッ……！」

少女「父上の所に向かっているのか！　お前の仲間が！」

黄衣B「あ、ああッ！　そうだよ！　王が率いる大部隊が襲撃しに行った！
運が悪かったな……！　どうせ今から行っても間にあいはしないさ！」

少女「……ッ！！」ｷｯ

魔女「どうどう。そこまで」ｶﾞｼｯ

少女「……離せ」

魔女「こいつを殺したってどうにもならんでしょ。それより今は」

勇者「……案内して下さい、少女さん。あなたの村に。族長のところに！」

少女「……」

少女「……分かった」ｺｸｯ

299 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:33:26.53 ID:EfsqfvIj0

少女「……」ｽﾀｽﾀ

魔女「……歩くのはえー」

勇者「しかし驚きました。少女さんが族長の娘だなんて」

魔女「そうかな。私はなんとなく分かってたけど」

勇者「そうなんですか？」

魔女「あの身のこなし。相当訓練しないと身についたものじゃないよ。
　　　よほど恵まれた才能があったのか、それとも良い師匠がいたのか」

勇者「随分肩入れするんですね」

魔女「客観的分析さ」

魔女「ま、もう少し年を重ねれば、間違いなく優秀な人材になれるよ」

魔女「……生きていれば、だが」

300 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:35:18.46 ID:EfsqfvIj0

――崩壊した集落

少女「……」ﾎﾞｰｾﾞﾝ

魔女「……」

勇者「……これは、酷い」

魔女「遅かった、か。よくもまあここまで」

少女「……」ﾀﾞｯ!

勇者「あ、少女さん」

魔女「追うぞ」

勇者「はい」

301 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:36:19.81 ID:EfsqfvIj0

魔女「……全滅か」

勇者「相当な規模の軍隊だったのでしょうね」

魔女「私らが相手にしたのは格下だった訳だね。ふん」

勇者「いやはや」

少女「……」

勇者「……いましたよ」

魔女「そうね」ﾃｸﾃｸ

勇者「遠慮無いなー」

302 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:37:13.59 ID:EfsqfvIj0

少女「……父上、父上」ﾕｻﾕｻ

魔女「少女」

少女「……どうしてだ、父上。何故、あなたが、……っ」

魔女「……」

少女「……」ｷﾞｭｯ

魔女「終わったかい」

少女「……」ｺｸﾘ

勇者「お墓、作りましょうか」

少女「……いらない。砂が、いつか消してくれるから」

勇者「いいんですか」

少女「……そう言う風習だから」

303 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:38:53.32 ID:EfsqfvIj0

魔女「これからどうするつもりだい」

少女「……黄衣に、復讐する」

魔女「そう言うと思った」

勇者「無茶と分かってて言ってるんですか」

少女「……無茶じゃない……私は、王を殺したいだけ」

少女「……全滅させるつもりは、無い」

勇者「それを無茶と言うと思うのですが」

魔女「しゃーらっぷ勇者」

勇者「えー」

304 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:40:17.85 ID:EfsqfvIj0

少女「……お願い」

魔女「なんだ」

少女「……もう少しだけ、力を貸して」

魔女「勇気と蛮勇は違うんだぜしょーじょ。
　　　作戦はあるのかい」

少女「……」

勇者「そもそも黄衣の民の拠点だって分からないでしょう。
　　　少女さんは大丈夫かもしれませんが、僕と魔女さんは体力無いんですから」

魔女「君と一緒にするなよ」

勇者「比較しただけです」

魔女「ふん。つっても、付き合う気はあるんだね」

勇者「……まあ、そりゃ」

305 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:41:18.11 ID:EfsqfvIj0

勇者「このまま少女さんに無駄死にされても後味悪いですし」

魔女「これから世界を滅ぼそうとしている奴の台詞とは思えんね」

勇者「それとこれとは別問題です」

魔女「あっそ」

少女「……世界？」

勇者「こっちの話です」

勇者「それよりどうします。敵の拠点を調べるには」

魔女「“呼び出す意志”」ﾌﾞｩﾝ

黄衣B「うおぎゃっ」ﾄﾞｻｯ

勇者「……成程」

306 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:42:42.41 ID:EfsqfvIj0

黄衣B「ふざけんな！　誰が教えるかッ！」

魔女「BANG」ﾄﾞｫｫﾝｯ!

黄衣B「……ひっ」

魔女「もう一度砂に穴があくか。それとも――」

黄衣B「わ、分かった！　教える！　教えるから命だけは助けてくれ！
　　　　西の洞窟だ！　娘、お前なら分かるだろ！？」

少女「……」ｺｸｯ

魔女「ちょろいな」

勇者「最早プライドの欠片もありませんね」

魔女「こちらとしてはありがたいが――お前みたいなのは有効に活用できそうにもねー」ｸｲｯ

黄衣B「あっ……」ｼｭﾙｼｭﾙ

魔女「さっさと消えな。拠点に戻ろうなんて思っちゃ駄目だよ」

黄衣B「……ッ！」ﾀﾞｯ

魔女「逃げ足だけは速い」

307 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:44:21.59 ID:EfsqfvIj0

勇者「いいんですか逃がして」

魔女「ん。どうせ会うことはないよ」

勇者「そう言う問題ですか」

魔女「そう言う問題だ」

少女「……西の洞窟」

勇者「ご存知だそうですけど」

少女「……小さい頃の、修行場だった」

勇者「へぇ」

魔女「なら地理は問題ないな。いつ行くかだが」

勇者「日が暮れてきましたね」

魔女「今日は野宿だな」

勇者「了解です」

少女「……」

308 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:45:47.77 ID:EfsqfvIj0

――

勇者「“赤の面”」ｺﾞｵｯ

焚き火「」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

魔女「雑役担当」

勇者「洒落になりません」

勇者「まさか本当に野宿をすることになるとは」

魔女「くひひ、これも日頃の行いのせいだな」

勇者「その台詞はブーメランですよ」

魔女「その台詞もブーメランさ」

少女「……」ﾎﾟｲｯ

焚き火「」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

309 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:46:56.84 ID:EfsqfvIj0

少女「……二人は」

勇者「はい」

少女「……何のために旅してる？」

勇者「……さっき聞いていたかもしれませんが」

魔女「創造主に会うため、この世界を滅ぼすため」

少女「……どうして？」

勇者「僕は、異世界から来たんです」

勇者「元の世界に帰るには創造主に会うしか無くて」

少女「……でも、それが、世界を滅ぼす理由？」

勇者「……色々事情があったりなかったり」

魔女「ふぅん、それは私も聞いてないな」

勇者「……いつか話します」

魔女「あっそ」

少女「……」

310 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:48:59.54 ID:EfsqfvIj0

少女「……私は、小さい頃から、この砂漠にいる」

少女「外の世界に興味を抱いたことは無かった」

少女「新天地を目指そうと、あいつらが父上に詰め寄ってきた時も、あいつらは追い出されると、分かってた」

少女「この砂漠で生きることが、当たり前だったから」

少女「……あいつらが襲撃を始めて、私は救援を呼ぶために、メサルワまで行った」

少女「その時見かけた旅人たち……みんな、楽しそうな顔、していた」

少女「……外の世界は、そんなにも楽しいの？　この砂漠と、古きしきたりを捨て、新天地を求めるまで？」

魔女「知らん」

311 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:50:23.31 ID:EfsqfvIj0

少女「……」

魔女「知らんもんは知らん。この世界の何処にそんな価値があるのかなんて知ったこっちゃない。だがね」

魔女「旅は楽しいぜ。君が思っている以上にね。そうだろ勇者」

勇者「ええまあ。生贄騒動に巻き込まれたり牢屋に入ったり船の上で魔物に襲われたり砂漠の民族と戦ったりとんでもないですが」

魔女「それが旅ってもんさ。人の物語なんて」

少女「……物語」

魔女「この砂漠で完結させるのも悪くは無いがね。私だったら真っ平御免だなぁ」

勇者「とは言え、黄衣の連中の肩を持つと言うのも」

魔女「別にあいつらの考え方は間違ってないと思うよ。わざわざ黄砂を潰そうとしてるのはいただけないが」

少女「……そうかな」

魔女「あとは自分で考えな。私は寝る」

勇者「寝袋そっちですよ」

魔女「おーらい」

312 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:51:19.78 ID:EfsqfvIj0

焚き火「」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

少女「……」

勇者「星が綺麗ですねぇ」

少女「……寒くない？」

勇者「ええ。寒いのは慣れてますんで」

少女「……そう」

勇者「……蒸し返すようで申し訳ないのですが。何故、昨日は僕らに襲いかかってきたんです？」

少女「……悪漢だと思ったから」

勇者「……そんな風に見えますか」

少女「今は、見えない……私、後先考えずの行動が……多いから」

勇者「あー……成程」

313 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 00:53:25.19 ID:EfsqfvIj0

勇者「魔女さんの言ったこと、気にしてます？」

少女「……」ｺｸﾘ

勇者「あまり背負わない方がいいですよ。あの人、なんだかんだで適当ですから――い、いてぇ……」ﾋﾘﾋﾘ

少女「……ん」

勇者「僕らは旅人です。少女さんは黄砂の民族。考え方も、常識も違うに決まっています」

勇者「確かに僕だって、この砂漠で生きていこうなんて思えませんし。
　　　黄衣の連中は少女さんと同じように、メサルワで旅人を見て外に出たくなったのではないでしょうか」

少女「……かもしれない」

勇者「……許すつもりはさらさら無いでしょうけど」

少女「……うん」

勇者「そろそろ僕達も寝ましょうか。明日は早いでしょうから」

勇者「あ、寝袋……」

少女「大丈夫。眠れる」

勇者「そうですか？　では……」

少女「……おやすみ」

勇者「おやすみなさい」

314 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 01:03:01.73 ID:EfsqfvIj0

――

少女（……）

少女（黄衣を許すつもりはない）

少女（父上の仇は、取ってみせる）

少女（……でも）

少女（何故）

少女（何故、あなたは……外の世界に、出たがったのだ）

少女（……それだけは、聞いておこう）

--------------------------------------------------------------------------------

今日はここまで。

>>295
元々「しきたり」だとか「常識」だとかに縛られる土地が多い。
勇者も魔王もいない、平和なようなんだけど何処か殺伐とした世界です。
人の死を心の底から悲しめる人はほとんどいません。人の生き死を、そういう物だと諦める形で許容している住民ばかりです。

315 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 23:48:28.81 ID:EfsqfvIj0

――西の洞窟　入り口付近

勇者「あれですか」

魔女「あれだね。“把握する意志”」ﾎﾞｩﾝ

少女「……」

魔女「トラップは無い。見張りが二人」

勇者「こんな朝早くからご苦労さまですね」

魔女「さてどうするか」

勇者「無敵の意志の力でなんとかしてくださいよォー」

魔女「遠距離は苦手だ」

316 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 23:49:39.84 ID:EfsqfvIj0

少女「……」ｽﾁｬｯ

勇者「おお」

魔女「クロスボウか」

少女「……黄砂の民族は、みんな、使える」

勇者「狩猟民族の本領発揮……と言いたいところですが」

魔女「一人は簡単に仕留められるだろうが、もう一人をどうするかだな」

勇者「無敵の」

魔女「BAN……」

勇者「そんな音出したら隠密どころじゃないですよ」

魔女「分かってるよ」

317 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 23:50:46.06 ID:EfsqfvIj0

勇者「そうだ、魔女さん」

魔女「なんだね」

勇者「僕達のことって、多分……相手には知られてませんよね」

魔女「あの黄衣が拠点に戻ってなかったらね」

勇者「ふむ。砂漠で遭難したフリをして近づくと言うのは」

魔女「……やってみる価値はあるか。……少女、クロスボウの準備は」

少女「……」ｺｸﾘ

魔女「よし。行ってこい、勇者」

勇者「えぇー」

318 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 23:51:44.51 ID:EfsqfvIj0

勇者「なんで僕だけ」

魔女「ばかやろおめー、私は普通に顔が割れてる可能性があるだろ」

勇者「どんな可能性ですか」

魔女「私を誰だと思ってんの」

勇者「意地の悪い魔女です」

魔女「正解だ、ほら行ってこい」

勇者「会話にならねぇー」

少女「……がんば」ｸﾞｯ

勇者「……行ってきます」ｸﾞｯ

魔女「ああ、そうだ勇者」

勇者「はい、なんでしょう」

魔女「BANG」ﾄﾞﾝｯ

319 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/12(日) 23:53:05.14 ID:EfsqfvIj0

見張A「……ん？　誰か来るぞ」

見張B「黄砂か？」

見張A「まさか。……旅人の格好をしているな」

勇者「……」ﾌﾗﾌﾗ

見張B「遭難者か。どうする」

見張A「どうするもなにも……分かってんだろ？」ﾆﾔ

見張B「……」ﾆﾔ

勇者(体が超痛い)

320 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 23:54:08.43 ID:EfsqfvIj0

勇者「すみませ……ん……」

見張A「これはこれは。大丈夫ですか？」

勇者「いえ……砂漠で遭難してしまって……もし宜しければ……少しの間、休ませていただけませんか？」

見張B「勿論ですとも。ささ、どうぞこちらへ」

見張A「美味しい食べ物も用意しますよ」ﾆｯｺﾘ

勇者「あ、ありがとうございます……」

ﾄﾞｽｯ

見張B「がっ」ﾄﾞｻｯ

見張A「ん？　どうした？」

勇者「あッ！？」ﾋﾞｸｰ

見張A「え？　どうかしまし――」

少女「」ｽｯ

ｻﾞｼｭｯ

321 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]：2012/08/12(日) 23:54:40.47 ID:BegpjJK8o

リアルですらない、物語の設定ですら人殺しがどうだの武器使いがどうだの命がどうだの抜かしている>>295がマジうざい。
回線切って、ハーレクインなり文科省お墨付きの童話なり読んでりゃいいのに。

ま、地球単位で見ればリアルの方が剣呑な位なのにな。お花畑脳の実在って方に寒気
を覚えるわ。

322 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 23:55:52.09 ID:EfsqfvIj0

見張A「」ﾄﾞｻｯ

少女「……」ｸﾞｯ

勇者「……」ｸﾞｯ

魔女「ナイスワーク、ナイスワークだ」ﾃｸﾃｸ

勇者「出ましたね性悪魔女」

魔女「その減らず口は後でどうにかするとして。行くか」

勇者「ええ」

少女「……」ｺｸﾘ

323 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]：2012/08/12(日) 23:55:55.31 ID:lV/gCCPHo

お、おう

324 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 23:57:34.35 ID:EfsqfvIj0

――

魔女「把握する意志、展開中」

勇者「どんな感じです」ﾋｿ

魔女「あまり人気が無い。強盗稼業に出払ってるのか、隠れているのか」

勇者「警戒するに越したことはありませんね」

少女「……こっち」

勇者「何処に向かってるんです？」

少女「……修行場。なんとなく」

魔女「どーせ私らは初見だし。少女に付いて行った方が良いでしょ」

勇者「そうですね」

325 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 23:58:46.66 ID:EfsqfvIj0

――

勇者「この生活空間は」

魔女「誰もいねーな。把握する意志にも反応無いし」

勇者「なんだか嫌な予感がしますね」

魔女「いつものことじゃねーの」

勇者「まったくもって」

少女「……これ」ﾋﾟﾗｯ

勇者「なんです？　地図？」

魔女「世界地図か。私らが持ってるのと変わらない……このバツ印は」

勇者「……目的地でしょうか」

魔女「ふぅん。ん、エルフの生息地域じゃないか……よりによってあの気むずかしい連中と共存するつもりか？」

「……よくきたな」

326 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/12(日) 23:59:30.49 ID:EfsqfvIj0

魔女「」ｽﾁｬｯ

勇者「」ｶﾁﾘ

少女「」ｼｬｷﾝ

「はは、酷い対応だな……流石と言うべきか」ﾕﾗﾘ

少女「……お前は」

勇者「何者ですか」

魔女「あれだろ」

勇者「どれだ」

「黄衣の民族、リーダー。黄衣の王とでも名乗っておこう。以後お見知りおきを。そして……」

「久しぶりだな、少女」

少女「……兄上」

327 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/13(月) 00:00:47.24 ID:oCICH/wO0

黄衣の王「なんて顔で睨む。それに、今の私はお前の兄じゃない。もう縁は切ったからな」

勇者「……兄？」

黄衣の王「そいつから話は聞いていなかったのか？　ふん。まあいい」

魔女「確かにどうでもいいな。どっちみちあんたはここで終わりさ」

黄衣の王「そいつはどうかな……」

黄衣「」ｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞｯ

勇者たちは囲まれてしまった。

328 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/13(月) 00:01:48.10 ID:oCICH/wO0

勇者「……最近多勢に無勢な状況ばっかりですね」

魔女「それは負け確定の時に言う言葉さ」

黄衣の王「余裕だな……“北の魔女”、だったか？」

魔女「へぇ、本当に顔が割れてるとはね」

黄衣の王「まさかこんな所でお目にかかれるとは思っていなかった。一体何をしている？　お前のような者が旅人ごっこなど」

魔女「さぁ、なんでだろうね。知りたい？　教えねー」

黄衣の王「……噂に聞くとおりだな」

魔女「そりゃどうも」

魔女（把握する意志が機能していない……魔法妨害か）

329 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/13(月) 00:02:56.11 ID:oCICH/wO0

少女「……兄上」

黄衣の王「黄衣の王、だ」

少女「……私は、あなたを許さない」

黄衣の王「そうか」

少女「答えろ。何故父上を……いや、黄砂の集落を襲った！
　　　こちらに干渉せず、抜けだした者達で新天地を目指せばよかっただろう！？」

黄衣の王「……ふん」

黄衣の王「それだけじゃ、駄目なんだよ。全くもって意味が無い」

少女「なんだとッ……」

黄衣の王「――砂塵の剣」

330 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/13(月) 00:04:45.05 ID:oCICH/wO0

少女「砂塵の……剣」

黄衣の王「そうだ。見ろ、この輝き。かつては届かなかった物が、今は俺の手の中にある」ｼｬｷﾝ

黄衣の王「手に入れるのには苦労したがね。わざわざ近辺の集落を潰し、黄砂の戦力を減らす必要があった」

黄衣の王「数で劣る我々が、中心の集落とまともにやりあって勝てる道理が無いからな」

少女「ま、まさか……その剣を奪うためだけに、私たちの村を、父上を……！」

黄衣の王「旧世界において作られたと言われる“神器”の一つだ」

黄衣の王「家に飾っておくには、勿体無いだろう？」ﾆﾔｧ

少女「――兄上ぇぇぇぇぇぇッ！！」ﾀﾞｯ!

勇者「しょ、少女さんっ！」

魔女「まずいな――」

黄衣「」ｻﾞﾜｻﾞﾜ

魔女（こんな狭い空間で乱戦なんて御免だ。さぁ、どうする――！？）

黄衣の王「……ふっ」

331 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/13(月) 00:06:27.66 ID:oCICH/wO0

ｶﾞｷｨﾝｯ!

少女「……ッ！！」ｷﾞﾘｷﾞﾘ

黄衣の王「そんな物か？　少女、お前の怒りはその程度か？」ｷﾞﾘｷﾞﾘ

少女「黙れ――黙れぇぇぇぇぇッ！！」

黄衣の王「はは、そうだ、もっと怒れ！　そうでなければ張り合いにならん！！」

勇者「魔女さん、ちょっとこれは――」

魔女「ふん。分かってるよ」

魔女「“転移させる意志”！」ﾎﾞｫﾝｯ!

黄衣の王「」ｽｯ

少女「」ｽｯ

332 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/13(月) 00:09:13.60 ID:oCICH/wO0

勇者「……少女さんたちは……」

魔女「流石に此処は狭すぎるだろうからね。二人纏めてテレポートしてもらった」

勇者「大丈夫なんでしょうか」

魔女「さぁね。勝率は五分五分と言ったところか。怒りに囚われなければ、あるいは――」

勇者「……いえ、少女さんもそうなんですけど」

魔女「あん？」

黄衣「」ｻﾞｻﾞｯ

勇者「……我々の方はどうなるのかと」

魔女「……ああ、うん。こいつらね。大丈夫だよ」

魔女「100%勝てる」ﾄﾞｫｵｵﾝｯ!

--------------------------------------------------------------------------------

今日はここまで。
次回は戦闘シーンが多めと言うことで、それなりに地の文が入ります。

333 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/13(月) 01:58:02.07 ID:Vsw8R9/IO

おつ

334 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/13(月) 14:25:04.53 ID:YgkcE1aJ0

少女「はっ……はっ……」

少女「……ここまで来れば」

少女「お父さん……」

ｻﾞｯ

少女「っ……誰？」

勇者「……あん？」

少女「……あなたは、誰？」

勇者「えっと……」

勇者「……旅人？」

少女「……」

勇者「あー……そう警戒されても困るんだが」

少女「……怪しい人」

335 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/13(月) 14:26:19.31 ID:YgkcE1aJ0

勇者「怪しくないよ、別に」

少女「……」

勇者「そう睨むなよ。君こそこんな所でどうしたんだ？」

少女「……」

勇者「あー……」

少女「……お父さんが」

勇者「ん？」

少女「わた……私と……お父さんの二人で……それで、魔物が襲ってきて……それで、お父さんが……私だけ逃がして……」

勇者「……」

少女「わ、私……怖くって……お、お父さんを置いて、一人で……どうしよう……お父さんが」

勇者「あー……分かったよ。もういい」

少女「お父さんが死んじゃったらどうしよう……」

勇者「はぁ……」

336 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/13(月) 14:26:51.30 ID:YgkcE1aJ0

勇者「……なあ、知ってるか」

少女「ふぇ……？」

勇者「どいつもこいつもビビって近づこうとしないから知らないが、大抵の魔物は食えるんだ」

少女「えっと……」

勇者「それともうひとつ。俺は今、腹が減って死にそうなんだ」

勇者「どこかに食べ物があると助かるんだが」

少女「……！」

男「ぐっ……畜生」

魔物「ｸﾞﾙﾙﾙﾙ……」

男「ここまでか……すまん……」

少女「あそこ！あそこに！」

男「っ！どうしてここに！？」

勇者「あれか……なかなかデカイな」

337 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/13(月) 14:27:23.59 ID:YgkcE1aJ0

勇者「よいしょっと」

魔物「ｸﾞﾙｧ！？」

勇者「悪いな。恨みはないが」

魔物「ｸﾞｧ……ﾙｧ……」

勇者「ふぅ……」

男「なんだ……何が……」

勇者「絞め殺した」

男「えっ」

勇者「ふぃー……」

男「お、おいあんた！待ってくれ！」

勇者「ん？」

男「何がなんだかわからんが、助けてくれたんだろう？お礼をさせてくれ」

勇者「あー……いや、別に」

少女「行っちゃうんですか……？」

勇者「あっと……忘れてた」

338 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/13(月) 14:27:54.36 ID:YgkcE1aJ0

勇者「ありがとな」

少女「え？」

勇者「食料調達。手伝ってもらっただろ」

少女「だ、だってそれは！」

勇者「あー……まあ、そんな感じで。それじゃ」

男「お、おい！」

男「行っちまった……」

少女「……」

魔女「こんにちは、勇者様」

勇者「魔女か。久しぶり、じゃないよな」

魔女「見てたわよ」

勇者「……何を」

魔女「とぼけちゃって」

魔女「腹が減って死にそうなんだ」

魔女「だったかしら？」

339 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/13(月) 14:28:25.72 ID:YgkcE1aJ0

勇者「……」

魔女「死なないくせに」

勇者「……腹が減るのは本当だ」

魔女「そう？」

勇者「はぁ……」

魔女「ねえ、勇者様」

魔女「私を、殺して？」

勇者「嫌だね。何度同じやり取りを繰り返すんだ」

魔女「どうしてそこまで強情なのかしら」

勇者「それはこっちの台詞だ。お前は、俺と違って」

勇者「死ねないわけじゃ、ないだろう」

勇者「死ぬなら、自分で死ね」

340 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/13(月) 14:32:22.78 ID:yvGbsVRFo

またこれかよ、流行ってんの？

341 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/13(月) 14:37:25.75 ID:YgkcE1aJ0

魔女「……それは出来ないの。絶対に」

勇者「……どうして」

魔女「これも、呪いかしら」

魔女「貴方のとは、違う呪い」

勇者「……そうか」

『なあ、勇者よ』

勇者『……』

『貴様は、なぜ殺す』

勇者『それが俺の役目だからだ』

『私は人間との争いを望まぬ』

勇者『貴様が何を望もうと、奴等は人を喰らう』

『分かり合うことは出来んか』

342 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/13(月) 14:38:09.38 ID:YgkcE1aJ0

勇者『今の俺は、一本の剣に過ぎない。少しばかり人を殺しすぎたな、魔物』

『今ならまだ間に合う。過ちを悔いて、やり直すことは出来るはずだ』

勇者『それは奪われた者の言う言葉だ！貴様が口にしていいものではない！』

『奪われたのは我らも同じだ』

勇者『そうとも。だから俺は、そんな言葉は口にしない』

『勇者よ。私は』

『私はお前となら―――』

勇者「……」

勇者「……嫌な夢だ」

勇者「俺は……」

勇者「俺も、あんたとなら……」

勇者「……馬鹿か俺は」

343 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/13(月) 14:39:33.18 ID:YgkcE1aJ0

村人A「おい……見ろよあれ」

村人B「汚い身なりだなぁ。浮浪者かぁ？」

勇者「はぁ……」

勇者「腹減った……」

勇者「ん……」

店主「いらっしゃい」

勇者「水と、食い物を。一番安いので良い」

店主「はい」

勇者「はぁ……」

勇者「そろそろ金も底をつくな……」

344 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]：2012/08/13(月) 14:43:47.02 ID:YgkcE1aJ0

くひひ……のんびり書いていくよぉ……

だれか続きが気になる人いるならですけど

345 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/13(月) 14:47:27.06 ID:yvGbsVRFo

>>344
お前>>1じゃないだろ？
書くなら別スレ立てろよなんでこのスレに書いてんの？
前にいた他のSSのコピペ荒らしか？

346 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/13(月) 15:22:13.80 ID:aKf9Srig0

>>344
書かなくていいよ

てか書くな

347 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/13(月) 17:10:02.51 ID:+mJpufLIO

>>344
またお前か
さっさとしねよ

348 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/13(月) 18:33:24.35 ID:eGHgEodDO

>>344
帰れ。二度と来んな

こんなのばかりだから>>1にはトリを付けて欲しい、かな？

349 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/13(月) 20:02:48.19 ID:31NqQGLIO

なんで釜って欲しいガキ脳の相手してやるんだ？
>>1の投下を妨害するためにグルになってるわけ？

350 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/08/13(月) 21:22:52.09 ID:pniWysRNo

>>344
誰だよ
荒らすな

351 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/08/13(月) 23:21:03.19 ID:978fuGt9o

黙ってNG

352 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/13(月) 23:51:23.50 ID:oCICH/wOo

――

黄衣の王「……ほう」

少女「！　な、なぜ……！？」ｷｮﾛｷｮﾛ

黄衣の王「北の魔女の仕業だな。我々に転移魔法をぶつけたりしたのだろう」

少女「……此処は」

黄衣の王「懐かしいな。俺たちの修行場じゃないか」

少女「……」ｼｬｷﾝ

黄衣の王「そう身構えるなよ。たまには二人で話をしよう」

少女「ふざけるなッ！　いまさら――今更、家族を捨てた貴様と、交わす言葉など無いッ！」ﾊﾞｯ

黄衣の王「やれやれ。その血の気の多さは、一体誰譲りなんだろう――なッ！」

ﾄﾞｫｵｵﾝｯ-----

353 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/13(月) 23:52:43.33 ID:oCICH/wOo

――

勇者「はっ……はあっ……」ﾀｯﾀｯﾀｯﾀｯ

魔女「うひー」ﾀﾀﾀﾀｯ

黄衣「待てええええええ逃がすなあああああああ」ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ

勇者「なっ、なんなんですかこれ！？　勝率100％って言ってたじゃないですか！」

魔女「やかましい！　古くからこんな言葉が伝わってるだろ！」

魔女「“逃げるが勝ち”」ﾀﾀﾀﾀﾀﾀ

勇者「屁理屈にも程がある！」

354 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/13(月) 23:53:39.78 ID:oCICH/wOo

勇者「魔法で突破口を開いたとは言え……このままじゃじり貧ですよ」ﾊｧﾊｧ

魔女「そーねー」

勇者「ぶっちゃけここから何も考えてないでしょう」

魔女「そーねー」

勇者「駄目だこの魔女……仕方がない……」ｶﾞｻｺﾞｿ

魔女「お？　何する気？」

勇者「こんなこともあろうかと」ｶﾞｻｺﾞｿ

勇者「買っておいたんですよ！」ｼﾞｬｰﾝ

355 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/13(月) 23:54:37.41 ID:oCICH/wOo

魔女「オイル？」

勇者「はい」ｷｭｯ

勇者「これを、地面に」ｽｯ

勇者「叩きつける！」ｶﾞｼｬｰﾝ

魔女「勿体ねー」

勇者「いいんですよこれで」ｶﾁｶﾁ

黄衣「止まったぞ！　今だー！」

勇者「十分引きつけたところで……」ｶﾁﾘ

勇者「“赤の面”！」ｺﾞｵｵｵｵｫｫｵｯ!

ﾎﾞｵｵｵｵｫｵｵｫｯ!!

356 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/13(月) 23:55:23.59 ID:oCICH/wOo

黄衣「うおあっ！？」ﾋﾟﾀｯ

黄衣「おい何してる！　止まっ……あちっあちちちち！」

黄衣「やめろッ！　押すんじゃねぇあぶねぇだろうが！　あづっ！　熱いッ！」

ｶﾞﾔｶﾞﾔ

魔女「足止め、ね。よく考えたじゃない」

勇者「ここまで上手く行くとは思っていませんでしたが」

魔女「よーし今のうちだ」

魔女「BANG!」ﾄﾞｫｵｵｵｵｵｵﾝｯ!!

357 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/13(月) 23:57:10.03 ID:oCICH/wOo

――

少女「はあっ……はあっ！」ﾀﾞｯ

黄衣の王「無駄だ」

ｶﾞｷｨﾝｯ!

黄衣の王「いくら打とうが、お前の剣は俺には届かない」ｻﾞｼｭｯ

少女「っ……」

少女の頬を砂塵の剣が裂く。数拍遅れて痛みがやってくる。が、そんなことは気にしていられない。
軸足に力を込めて後方へ飛び、黄衣の王から距離を取った。

少女「……」ﾊｧﾊｧ

黄衣の王「なるほど昔と比べ、成長はしているようだ」

黄衣の王「剣筋も動きも、相手に向ける殺意も」

黄衣の王「しかしそれだけでは……俺は殺せない」

358 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/13(月) 23:58:36.04 ID:oCICH/wOo

少女「……」

少女（どうすれば……）

黄衣の王「考えても無駄だ。俺とお前には決定的違いがある」

少女「……なんだと」

黄衣の王「……お前は“神器”の持つ力を知らない」

少女「……神器」

黄衣の王「そう。今こうして手に触れているだけで……みなぎるような力が、俺の中に伝わってくる」

黄衣の王「“神器”は手にした者の肉体を強化する。それこそ、今は亡き魔王に匹敵する力が手に入るんだよ」

少女「……そんな、馬鹿な」

黄衣の王「ふざけたことだと思うか？　“神器”の由来は教わっただろう。もう忘れてしまったのか」

少女「……」ｷﾞﾘ

359 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/13(月) 23:59:42.50 ID:oCICH/wOo

少女（真っ向勝負じゃ、勝てない）

少女（何か、何か策は――！）

黄衣の王「言ったはずだ」ｽｯ

少女「――ッ！？」

僅かな隙を縫って、黄衣の王が懐に飛び込んできた。

黄衣の王「どんなに策を練ろうが、私に向かってこようが――」ｷﾝｯ

少女「……っ！」ｶﾞｷﾝｯ!

黄衣の王「お前は勝てない」ｸﾞｼｭｯ

少女「――！」

砂塵の剣が少女の短刀をするりと抜けた瞬間。
彼女の脇腹に、薄金色の刀身が深々と突き刺さった。

360 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:00:35.31 ID:dD3CJuVdo

――

勇者「そろそろ地面の燃料が弱くなって来ました」

魔女「ふん。敵は結構残ってるな」ﾄﾞﾝｯ!

勇者「一旦退いて体制を整えましょう。オイルならまだ余ってます」

魔女「用意周到だね」ｽﾀｽﾀ

勇者「命がいくらあっても足りない世界ですから」ﾀﾞｯ

黄衣A「くそっ！　逃げたぞ！」

黄衣B「こけにしやがって……おい、アイツを出せ！」

黄衣A「し、しかしこの空間では……」

黄衣B「緊急事態だぞ！　分からんのか！」

黄衣A「は、はいっ！　只今連れてきます！」ﾀﾞﾀﾞｯ

黄衣B「よし……これであいつらも終わりだ！」

361 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:01:42.49 ID:dD3CJuVdo

勇者「大きな空間に出ました」

魔女「水の音が聞こえる」

勇者「あれは……橋？　こんな所に橋が」

魔女「思っていた以上に広い洞窟のようだね……下は渓流か」

勇者「地下水脈」

魔女「ふん。丁度いい、橋を渡った所で、待ち受けるぞ」

勇者「そうですね。作戦は」

魔女「まあ見てな」

362 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:02:15.54 ID:dD3CJuVdo

魔女「“弱化させる意志”！」ﾎﾞｩﾝ

勇者「橋に使うんですか」

魔女「これでいいのさ。オイルは取っておきな。勿体無いし」

勇者「命あっての物種ですよ」

魔女「体力回復の薬でも壊されたら考えるよ」

勇者「さいですか」

ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ

勇者「……来た」

魔女「全部で十人」

魔女「……と、一匹」

363 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:03:18.47 ID:dD3CJuVdo

勇者「一匹？」

魔女「ハイエナでも連れてきたのかね。ふん、まあいい、纏めて落としてやる」

黄衣「いたぞ！　捕らえろー！」

黄衣「うおおおおお！」ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ

魔女「脳筋どもが……“弱化させる意志”！」ﾎﾞｩﾝ

橋「」ﾊﾞｷｯ

黄衣「なっ――」

魔法の影響により、橋に異変が起こる！
勇者たちの目の前で、橋を支える支柱が崩れ去った！

黄衣「うおああああああああああああ――」

黄衣たちは橋の残骸と共に渓流へ堕ちていった……

勇者「やりました！」

魔女「狩猟民族の名が泣くね」

勇者と魔女が安堵に息をついたその時――

「キィリャアアアアアアアアアアアア！！」

364 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:04:46.33 ID:dD3CJuVdo

耳をつんざく怪音と共に、巨大な翼をはためかせた怪鳥が姿を現した！

勇者「な、なんじゃこりゃ」

魔女「ガルーダか」

勇者「ガルーダ？　それって魔物なんじゃ」

魔女「元、魔物さ。今は人間の兵器と化してる」

勇者「そんなのってありですか」

魔女「くひひ、人間は根性だけはあるからね――魔物を手懐けることくらい、普通にやってのける」

ガルーダ「ｸｧｧ……ｶｱｱｱｱｱｯ!」ﾊﾞｻｯﾊﾞｻｯ!

魔女「仕方ない……やるぞ、勇者！」

勇者「勘弁してくださいよ、ほんとに」

鋭い双眸に、対峙する二人の青年と少女を捉え――
ガルーダは、咆哮した。

365 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:06:26.94 ID:dD3CJuVdo

――

少女「う……あ」ﾄﾞｻｯ

黄衣の王「……痛いか、少女」

少女「うる……さいッ……！」

黄衣の王「……正直、予想外だったよ。お前がそんなにも怒るとは思っていなかった」

少女「……肉親を殺され……怒らない訳が無い……！」

黄衣の王「肉親。そうか。お前は知らないんだったな」

少女「何を――！」

黄衣の王「お前は父の子ではない」

366 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:07:06.86 ID:dD3CJuVdo

少女「……な」

黄衣の王「お前は拾われたんだ。砂漠の泉でハイエナに襲われかけていたところを、父によってな」

少女「嘘……だ、嘘だっ、そんな訳がっ」

黄衣の王「いいや、事実だ。お前のその肌も、体も、生まれつき持ったものではない。
　　　　　全ては父と母によって、他の者と見劣らないよう作られたもの」

黄衣の王「お前は、黄砂の民族では無いんだ」

少女「黙れッ！！　――ぐっ！」ﾋﾞｸﾝｯ

少女（……激痛で、頭が回らなくなってきた）

少女（私は、死ぬのか）

少女（仇を討てず、父上との、黄砂との繋がりも、全て失って）

少女（――嫌だ。いやだいやだいやだ！）

367 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:09:01.98 ID:dD3CJuVdo

黄衣の王「少女。俺と共に来い」

少女「……。なに、を……」

黄衣の王「黄砂を捨てろ。そして俺につけ。そうすれば、助けてやる」

少女「……」

少女（……黄砂を……捨てる）

少女「……嫌だ」

黄衣の王「何故だ。お前は黄砂の生まれじゃないんだ。俺と共に世界を見よう。
　　　　　　砂漠に固執する下らんしきたりに、目に物見せてやろう！」

少女「……」

少女「……例え、黄砂の生まれじゃなかったとしても……」

少女「私は、父上の子だ……偉大なる黄砂の族長の娘だ……しきたりは下らなくなんか無い……！　私は……！」

少女「私は――この砂漠を愛しているッ！」ﾊﾞｯ!

黄衣の王「――ッ！？」

368 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:10:01.30 ID:dD3CJuVdo

――

ガルーダ「キィリャアアアアアアアアアアアア！」ﾌﾞｵｵﾝｯ!

勇者「うわっ……！　なんつー風」ﾌﾗﾌﾗ

魔女「しっかりしな。丸呑みにされても知らないよ」ﾄﾞｫﾝｯ

勇者「ま、丸呑み……」

ガルーダ「カアアアアッ！」ｸﾞｵﾝｯ

魔女「なんだ？　あんな高く飛んで」

勇者「あのまま落下してくるんじゃ……」

魔女「フリーフォールか」

その瞬間、二人を激しい地響きが襲った。
上空から巨大な岩石が落ちてくる！

369 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:10:42.33 ID:dD3CJuVdo

ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ

魔女「頭上の岩壁をぶち破ったのか！」

勇者「うわっうわっ、これはやばいですよ！」

魔女「くっ……この地震さえやめば――」

勇者「ま、魔女さん危ない！」ﾊﾞｯ

魔女「うおっ」ﾄﾞｻｯ

ｽﾞﾄﾞｫｫﾝ!

370 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:11:26.76 ID:dD3CJuVdo

勇者「いてて……」ﾖﾛ

魔女「っ……大丈夫か勇者」

勇者「ええ。魔女さんこそ……危なかったですよ」

魔女「……」

魔女「ふん。ありがとね」

勇者「いえいえ。……ひょっとして照れて――」

魔女「まずはあいつを地面に叩き落すことから始めないと」ｽﾀｯ

勇者「あ、はい……そうだ」

魔女「なんだね。照れてなんか無いぞ」

勇者「それはもういいですから……ちょっと試してみたいことが」

371 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:12:13.31 ID:dD3CJuVdo

魔女「試してみたいこと？」

勇者「ええ。もしかしたらあいつを落とせるかも……その為には、あいつに近付かないといけないんですが……」

魔女「叩き落とす為にあいつに近付く、か。本末転倒じゃん」

勇者「細かいことは突っ込まないで下さい――うおっ」ｸﾞﾗｯ

魔女「またか……あのヤロー、私らが遠距離攻撃の手段を持ってないと理解してやがる」

勇者「分析してる場合じゃないですよ！　避けて下さい！」

魔女「はん！　二度も同じ手にやられる魔女さまだと思ったか！」

魔女「BANG!」ｽﾞｶﾞｧｧｧﾝｯ!

372 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:13:16.10 ID:dD3CJuVdo

勇者「……」ﾊﾟﾗﾊﾟﾗ

魔女「ふん」

勇者「最初からやってくださいよそれ」

魔女「うるせーさっきは思いつかなかったのさ」

勇者「あの魔女さんが動転してましたしね」

魔女「そういや研究は今何回だったかな」

勇者「嫌なことを思い出した」

ガルーダ「カアアアアアアア！」ﾌﾞｵｵｵｯ

魔女「ま――ったく、鬱陶しい。勇者、やるぞ」

勇者「えっ」

373 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:14:28.68 ID:dD3CJuVdo

勇者「“束縛する意志”で捕らえる？」

魔女「そう。次にあいつがここまで来た時に、私が“束縛する意志”を放つ」

魔女「あいつの動きが鈍くなってる間に、君の“それ”を叩きこめ。いいな」

勇者「しかし……“束縛する意志”なら」

魔女「君は魔物の筋力をなんだと思ってるんだ？　少女みたいな生身の人間ならともかく、あれは化け物だぞ。出来て数秒、拘束できる程度」

勇者「……シビアですね」

魔女「君の勇気次第だ。並々ならぬ不安を感じるがね」

勇者「信頼されてませんね」

魔女「信用はしてるよ。さあ――来るぞ！」

374 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:15:31.33 ID:dD3CJuVdo

ガルーダ「キィリャアアアアアアアアアアアア！」

藍色の双翼をはためかせ――
獲物を刈り取るべく、ガルーダは急降下した！

魔女「やれやれ。まさか再びガルーダを捕獲する時が来るとはね――」

魔女「“束縛する意志”！」ｷﾞｭﾙﾙﾙﾙﾙｯ!

ガルーダ「キィリャアアッ！？」ｸﾞﾜｯｸﾞﾜｯ

魔女「黙ってなでかいの！　――勇者、今だ！」

勇者「はい！」ﾀﾞｯ

魔女の言葉が勇者を奮い立たせる！
糸により束縛されたガルーダに向かって、勇者は面の揃ったルービックキューブを突き出した！

勇者「“黒の面”！！」ｽﾞｫｵｵｵｵｵｵｵｵｯ!!

375 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:16:55.67 ID:dD3CJuVdo

ガルーダ「カ……ガ、ガアアアアアッ……！！」ｽﾞｩｩｩｳｳｩｩﾝ

魔女「なんだ、これ……まさか、重力？」

勇者「……はい。ルービックキューブの黒の面は、重力を発生させる魔法。
　　　必要無かったので今まで使っていませんでしたが……これほどとは」

魔女「砂漠のガルーダにグラビデかぁ、なんか思い出すなぁ」

勇者「気のせいですよ……とどめ、刺しましょう」

魔女「オーライ」

重力に蝕まれたガルーダは、ややあって地上に落下した。
魔女の糸に束縛されたまま弱々しく啼く。二度目の囀りは待たなかった。
魔力の弾丸を叩きこまれ、ガルーダは虚空へと消滅した――

魔女「勝利」

勇者「お疲れ様でした」

376 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:18:21.57 ID:dD3CJuVdo

――

黄衣の王「なん……だとッ……？」ｸﾞﾗｯ

少女「……」ﾊｱﾊｱ

少女の一閃が――
黄衣の王の腹をしっかりと裂いた。

黄衣の王「馬鹿な……ど、どこに、こんな力が……！」ﾄﾞｻｯ

少女「……」ｷｨﾝｯ

黄衣の王「さ、砂塵の剣――ぐっ！」

弾き飛ばされた神器の行方を追う暇もなく、体を焼かれるような痛みが襲う。
砂塵の剣が手を離れた影響で、肉体を強化する魔力が失われたのだ。

少女「……」

少女は脇腹を押さえ立ち上がった。
そして――目の前に倒れる、かつての兄を見据えた。

377 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:19:29.02 ID:dD3CJuVdo

黄衣の王「……」

少女「……私は、この砂漠が好きだから」

少女「あなたとは……一緒になれない」

黄衣の王「……そう、か」

黄衣の王「……殺せ」

少女「……」

黄衣の王「一思いに、殺してくれ……黄衣の民は、ここで、終わりだ」

少女「……」

黄衣の王「……どうした」

少女「……やっぱり、殺せない」

黄衣の王「……何を言って」

少女「殺せる訳が無い。
　　　例え縁を切っていても、血が繋がっていなくても――」

少女「あなたは、私の兄だ。……尊敬する相手を殺すことなんて……できっこない」

黄衣の王「……」

378 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:20:59.68 ID:dD3CJuVdo

少女「私は、きっと……生きてここを出られない。もう、フラフラだ。
　　　あなたは……魔法が使えるはずだ。治癒の魔法を」

黄衣の王「……」

少女「……私はあなたを殺さない。その代わりに――」

少女「あなたは、この砂漠から、出ていってくれ。もう、黄砂には、手を出さないでくれ」

少女「お願いだ。一生の、お願いだ、兄……う――」

ﾄﾞｻｯ

黄衣の王「……少女」

379 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:21:46.75 ID:dD3CJuVdo

黄衣の王「……情けない話だ」

黄衣の王「黄砂を抜け、王を名乗り――砂塵の剣を手にした。だが――それは一体、何のためだったんだ」

黄衣の王「こんな若い娘に命を助けられ……何が、王だ」

黄衣の王「……」ｶﾞｻｺﾞｿ

黄衣の王「治癒の魔法……使えるのは……一回だけだろうな……ッ」

黄衣の王「……悪いな……妹よ……」

黄衣の王「俺はやはり……約束は守れない――」

黄衣の王「――“治療する意志”」ﾊﾟｧｱｱｱｱｱｱ

380 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:22:46.36 ID:dD3CJuVdo

――

勇者「此処は……あれは！」

魔女「少女と王、か。相打ちだったのかね」

勇者「冷静な分析は後にして下さい。助けないと！」

魔女「はいはい」

勇者「少女さん！」

少女「……」ｽｩｽｩ

魔女「……異常は無いようだな。ところどころ、服は破れているが……傷が治療されている……？」

黄衣の王「……お前たち、か」

勇者「」ﾋﾞｸｯ

381 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:25:15.02 ID:dD3CJuVdo

魔女「生きとったんかワレー」

黄衣の王「なに……もう、長くない……お前たちに……頼みたいことが、ある」

勇者「頼みたいこと……？」

黄衣の王「……俺が死んだら……少女が目を覚ます前に、埋めてくれないか？」

黄衣の王「そして……砂漠の外へ、行ったと。嘘を。伝えてほしい……」

魔女「……何故そんな事をする」

黄衣の王「……少女は、良い娘だ。この子にはもう……悲しい顔をしてもらいたくない」

勇者「……それが、彼女の集落を焼き払った王の、言う言葉か」

黄衣の王「……ああ。罵声も批難もいくらでも浴びよう。これは、ただの我侭だ。目の眩んだ――哀れな、王の――」

黄衣の王「……」ｽｯ

382 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:26:54.69 ID:dD3CJuVdo

勇者「……」

魔女「……」

勇者「魔女さん」

魔女「君が決めな。私は少女の面倒を見る」

勇者「……ずるいですね」

魔女「プライドがあるのさ」

勇者「なんのですか」

魔女「魔女としての」

勇者「……」

383 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:28:11.72 ID:dD3CJuVdo

勇者「後味が、良くないです」ｻﾞｸｻﾞｸ

魔女「後味」

勇者「どうしてこう、下らない理由で争うんだろう」ｻﾞｸｻﾞｸ

勇者「どうして僕たちは、それに巻き込まれるんでしょう」

魔女「……彼らにとっては、下らなくなんか無いのさ」

魔女「それこそ、命をかけるくらいにはね」

勇者「……分かってはいるんです。でも……」ｻﾞｸｯ

魔女「思ってた以上に子供だね、君は」

勇者「……それも、分かってます」

384 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:32:15.27 ID:dD3CJuVdo

勇者「全ての常識を正すことなんか出来ない」

勇者「ありとあらゆる人の不幸を癒すことも、幸せにすることも」

勇者「僕に出来ることは――この世界を、滅ぼしに行くことだけ」

魔女「魔王様もびっくりする程の暴論だ」

385 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:32:54.88 ID:dD3CJuVdo

――

少女「……ん、ぅ」ﾊﾟﾁ

魔女「起きたか」

勇者「本当ですか」

少女「あれ……私は……」

勇者「おはようございます。少女さん」

魔女「私たちが駆けつけた時……君の傷は治療されていたよ。おそらく、黄衣の王がやったものだろうね」

少女「……そっか……助けられたのか……」

少女「……兄上は。兄上は……どうしたの？」

勇者「……」

勇者「黄衣の王は――」

386 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:33:49.94 ID:dD3CJuVdo

――

勇者（それから、僕たちは裏口を使って外へ出た）

勇者（集落に泊まっていけばいいと誘われたが、丁重に断った）

勇者（砂漠の出口へと向かう途中……少女さんから、全ての事情を聞いた）

魔女「――はーん。中々複雑だね」

勇者「複雑と言うか、なんというか……もう、大丈夫なんですか？」

少女「……私？　……心配要らない」

勇者「そうですか……」

少女「……兄上は立派な人だった。この剣に、目が眩んでしまっただけ……」ﾁｬｷﾝ

魔女「……強大な力の前に人は容易く屈服するのさ。人間も、魔物も」

少女「……うん」

387 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:34:23.88 ID:dD3CJuVdo

――砂漠の出口

勇者「――この砂漠に残るんですね」

少女「うん……もう父上も、兄上もいないけど。集落はまだ、残ってるから」

少女「私がしっかりしないと」

魔女「……ふん。止めはしないさ。君の望んだことなら」

少女「……ありがとう」

魔女「元気でやれよー」

勇者「お元気で。頑張ってください」

少女「……」ｺｸﾘ

勇者「……行きましょうか」ﾃｸﾃｸ

魔女「そーね」ﾃｸﾃｸ

少女「……あの！」

勇者「どうしました？」

少女「いつか……その、また、会えるかな」

勇者「……」

勇者「……あなたが、望むなら」

388 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:35:14.14 ID:dD3CJuVdo

――

魔女「臭い台詞だったね」

勇者「言わんといてください」

魔女「あなたが、望むなら」

勇者「今日は晩飯抜きです」

魔女「なんの権限だ」

勇者「勇者権限です。今回は僕も活躍しましたよ」

魔女「そーかなー……ふん、ま、いいけど」

勇者「晩飯抜きでも？」

魔女「それは駄目だ」

389 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/14(火) 00:36:30.63 ID:dD3CJuVdo

魔女「――実際のところ。また会えると思うかい？」

勇者「……うーん。難しいかと」

魔女「そーね」

勇者「でも……たとえこの世界を滅ぼしても、僕は彼女のことは忘れないと思います」

魔女「あっそ。くひひ、私は忘れちゃうかもなぁ、どうせ数千年は生きるんだし」

勇者「世界滅ぶんですよ？」

魔女「ああ、そっか。私も消えるか。じゃあそうだな」

魔女「忘れるまで忘れないように、しとくよ」

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今日はここまで。砂漠編の終わり。
トリップ付けました。お騒がせしてます。

390 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/08/14(火) 00:54:07.91 ID:f+jrff4X0

14日は終わりってこと？

391 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/14(火) 04:33:54.26 ID:yuRkQ2IIO

おつ

392 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/14(火) 05:32:53.26 ID:aC/5xjmIO

乙
騒がせてるのはあんたじゃないけどね

>>390
周りの人から面倒くさい奴って言われてない？

393 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/14(火) 13:18:46.92 ID:20rPW+rco

人の振り見て我が振り直せか

394 ：1 ◆YYyrBldziw [sage]：2012/08/15(水) 00:35:20.32 ID:Ea5DECU7o

*今日はお休みです*
度々予告無しで日をまたぐことがあるかもしれません
ご了承下さい

395 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:21:51.26 ID:Zs7aQco9o

魔女「あづー」

勇者「もうちょっとの辛抱ですよ」

魔女「そろそろ街が見えてきてもおかしくないんだけど」

勇者「蜃気楼にはご注意を」

魔女「そこまで軟弱じゃないよ」

勇者「どうだか」

魔女「試してみるかい」

勇者「遠慮します」

396 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:22:48.54 ID:Zs7aQco9o

魔女「日没まで時間はあるけど」

勇者「また野宿は嫌ですね」

魔女「何故寝袋はあんなに使いにくいんだ」

勇者「そんなことありませんよ」

魔女「人間は技術力はあるんだから早く持ち運びベッドを作りたまえよ」

勇者「無茶言わないで下さい。と言うか、どのみち砂漠じゃ使えないでしょう」

魔女「それもそうか」

勇者「魔女さん、ひょっとして疲れてます？」

魔女「そんなことあるないよ」

397 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:23:32.89 ID:Zs7aQco9o

魔女「見えてきた」

勇者「ほー」

魔女「歓楽街イザラクタ」

勇者「カジノとかあったりしますかね」

魔女「やる気か」

勇者「やりませんよ勿体無い」

魔女「ふん。ま、魔法を使えばツキなんていくらでも――」

勇者「いけません」

魔女「つまんねーの」

398 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:24:03.41 ID:Zs7aQco9o

――イザラクタ

ﾜｲﾜｲｶﾞﾔｶﾞﾔ

勇者「凄い賑わいですねぇ」

魔女「流石は眠らない街だな。ふん」

勇者「ひとまず、宿屋を探しましょう」

魔女「此処なら苦労しなさそうだね。ほら」ｽｯ

勇者「おお、早速」ｽﾀｽﾀ

魔女「値段なりなんなりを考えたほうがいいと思うが」ｽﾀｽﾀ

勇者「ふむ」

魔女「まあいい。まずはここの視察にでも――」ｶﾞﾁｬ

町娘「あら？」

魔女「……げっ」

399 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:24:59.09 ID:Zs7aQco9o

町娘「あら、あらあら。奇遇ね、二人とも。まだ旅を続けてたのね」

魔女「たりめーだろー。なんでこんな所にいるんだ」

町娘「仕事よ、仕事。私はあなた達と違ってちゃんと定職に就いてるんだから」

魔女「はっ、傭兵もどきがよく言う」

勇者「お久しぶりです」

町娘「こんばんは。旅は順調？」

勇者「それなりに。……しかし、よく僕たちより早く此処に着きましたね」

町娘「ああ、“転移する意志”を使ったからね」

勇者「へぇ……僕達も最初からそれで」

魔女「私は使えねーよ」

勇者「そうなんですか……意外と」

魔女「あーん？」

勇者「なんでもありません」

400 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:25:59.27 ID:Zs7aQco9o

町娘「さてと。仕事までカジノで時間を潰そうと思ってたけど……あなた達と一緒にいよっかな」

魔女「さっさとカジノ行ってこいよー」

町娘「いーやーよ」

勇者「僕は構いませんが……とりあえず、宿屋の部屋は取っておきますね」

町娘「あら、一泊するの？　なら同室でもいいわよ」

勇者「いいんですか？」

魔女「私は嫌だよ」

町娘「私は良いわよ」

勇者「……」

401 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:27:16.09 ID:Zs7aQco9o

勇者「結局町娘さんの部屋にお邪魔することになりました」

魔女「覚えてろよ」

勇者「忘れるまで忘れません」

町娘「すっかり仲良くなったわね」

魔女「ふん」ﾎﾞﾌｯ

勇者「はは……町娘さんも大変ですね。傭兵、でしたっけ？」

町娘「そうね。何でも屋さんのつもりなんだけど、最近はお偉いさん方からの依頼ばっかだな」

勇者「凄いじゃないですか」

町娘「キャリアがあるのよ」

魔女「キャリアねー」ﾍｯ

402 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:28:22.77 ID:Zs7aQco9o

町娘「あなた達の旅はどう？　なんか変わったこととか」

勇者「牢屋に入りました」

町娘「牢屋に？　……ははぁ、ミカオーね」

魔女「ふん、そんなこともあったね」

勇者「まだ数日前の話じゃないですか」

魔女「私は過去に縛られない」

町娘「どーだか」

勇者「後は、そこの砂漠で民族間の抗争に巻き込まれたりだとか……変わったことばかりでしたね」

町娘「ふふ、因果なものね」

勇者「……そうですね」

403 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:29:09.45 ID:Zs7aQco9o

魔女「ところで、町娘」

町娘「なに？」

魔女「なんかこっちに回せそうな仕事は無いかね。そろそろ資金調達に繰り出さないといけなくなってね」

町娘「ふぅん。そうねぇ、今抱えてるのは一つだけなのよね……折角だから付き合ってもらおうかしら」

勇者「いいんですか？　お偉いさんからの依頼なんでしょう？」

町娘「一人二人増えようが変わらないわ。むしろ戦闘経験のある人材が増えるなら大歓迎ね」

魔女「……戦闘経験ね。おめーは一体なんの仕事を引き受けたんだ」

町娘「ふふ。なんてことないわ――」

町娘「“パンドラ”の防衛よ」

404 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:29:51.09 ID:Zs7aQco9o

――

町娘「そろそろ時間ね」

魔女「はーん。本気でやるのか」

町娘「当然じゃない、依頼は依頼よ」

勇者「しかし……パンドラの防衛、って」

町娘「付いてきて。現場まで向かう途中で説明するわ」

魔女「パス」ﾎﾞﾌｯ

勇者「アウトー」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

魔女「なんでだよー」

405 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:31:01.42 ID:Zs7aQco9o

町娘「勇者くんは知らないと思うけど、この街にはパンドラを保管する資料館があるの」

勇者「あのパンドラですよね。九十九の希望と一の絶望が詰まった」

町娘「そう。二日前、今回の依頼主――その館の管理者さんね――の元に、一枚の挑戦状が届いた」

魔女「挑戦状ねぇ」

町娘「三日後の二十四時、パンドラを頂戴する――ってね。送り主はなんと、あの伝説の大強盗、パローネ」

魔女「はん、果たし状って訳か。時代錯誤にも程があるな」

町娘「あんたが言える台詞かしらね。で、慌てた管理者さんが、私の所に依頼しに来たと」

町娘「私の仕事は、パンドラ資料館の警備。そして、可能であればパローネを捕らえること」

406 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:32:18.01 ID:Zs7aQco9o

勇者「質問が」

町娘「何かしら」

勇者「今更パンドラを盗む理由は？」

町娘「さあ。知らないわ。パンドラは創造主の血脈でなければ開けない。パローネが創造主の血族だったなんて話は聞いたこと無いわね」

勇者「うーん……もう一つ。これは依頼とは関係ないんですが。今までに、パンドラは何回開けられたことがあるんですか？」

町娘「二回。よね」

魔女「そうだね。世界創造、つまり二千年前に一回。それから十五年前の世界再構築の時に一回」

勇者「世界再構築？」

407 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:33:30.14 ID:Zs7aQco9o

魔女「前に転生したって言ったろ。十五年前にね――当時の勇者と魔王が戦って、相打ち。その余波で世界が崩壊したのさ」

勇者「えー」

町娘「あの時は凄かったねぇ。文字通り、世界がバラバラと崩れてくの」

魔女「ふん――まあ、今はどうでもいいな。私からも質問だ、町娘」

町娘「何かしら」

魔女「報酬は何割だ」

町娘「そうね。元々金貨五十枚のお仕事だったんだけど――」

勇者「……この世界の金銭感覚が分からない」

町娘「7:3ってとこでどうかしら」

魔女「7が私たちだな？」

町娘「ばーろ。じゃあ6:4」

勇者「いやいや、それだけ貰えれば十分ですって」

魔女「欲が無いなー君は」

町娘「あんたが強欲すぎるだけよ」

408 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:34:53.11 ID:Zs7aQco9o

――パンドラ資料館　

町娘「着いたわ」

勇者「大きな建物ですね」

町娘「中はそうでも無いのよ……そうだ、先に管理者さんに挨拶に行きましょう」

町娘「連絡なしに助っ人を連れてきても、きっと報酬は貰えないからね」

魔女「そりゃあかんな」

町娘「現金ね」

魔女「ああ、現金は欲しい」

勇者「会話になってませんよ」

409 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:35:33.36 ID:Zs7aQco9o

管理者「助っ人？　これはこれは。助かるよ」

魔女「だが私はレアだぜ。報酬は高いぞ」

勇者「むしる気ですかあなた」

町娘「こいつのことはほっといて……報酬は気にしないでいいので」

管理者「……ん？　もしかするとあなたは……北の魔女さまでは？」

魔女「参ったね有名人だ」

管理者「おお！　これは凄い！　こんなところで出会えるとは……北の魔女に一銭も払わないなど知れたら、恥をかいてしまいます」

管理者「無事にパンドラを防衛出来たなら、報酬をいくらか割増しましょう！」

魔女「やったー」

勇者「……いいのか悪いのか」

410 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:36:35.15 ID:Zs7aQco9o

町娘「……まあ、仕事はちゃんとこなしてよね。じゃないと報酬は貰えないんだから」

魔女「ふっふ任せな」

勇者「あの管理者さん、女性の割に、結構マニアな人っぽかったですね」

町娘「そうね……いかにも学者、って感じの方だから。良い人ではあるのだけど」

魔女「ふん。パンドラの学者なんて碌なことにならん気がするがね」

町娘「あんたが言うの？　それ」

魔女「私は過去を引きずらない」

町娘「はいはい」

411 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:37:46.02 ID:Zs7aQco9o

町娘「正門まで戻ってきたわ」

勇者「作戦とかは」

町娘「そうねぇ、とにかく何処から来るか分からない。私たちの他にも、警備するスタッフはいるでしょうけど……」

勇者「けど？」

町娘「私たちは、正門と裏門を守る。魔女、あんたは裏門に行きなさい」

魔女「なんで私が」

町娘「あんたの実力を見込んでのことよ。正門は私と勇者くんで守るから」

魔女「はーん。仕方ないな。万が一そのパローネとやらを見つけた時は」

町娘「パンドラさえ取られなければ、どう処理しても構わないとのお達しよ。出来れば捕まえて欲しいけどね」

町娘「ほら、これパローネの資料。読んどいて」

魔女「オーライ」ﾃｸﾃｸ

412 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:39:27.96 ID:Zs7aQco9o

勇者「暗に実力を比較された感じがしますね」

町娘「ごめんね。でも、その通りだと思うし」

勇者「はい。あの人なら大丈夫でしょう」

町娘「振り回されなかった？」

勇者「回転してなかったことが無いです」

町娘「あらあら。ま、根は良い奴だから」

勇者「ええ。気遣いが出来る人ですよ」

町娘「ふふ。アドバイスよ」

勇者「なんです」

町娘「褒めちぎってみなさい」

勇者「はあ」

町娘「あの子、あんまり褒められるのは慣れてないからね」

勇者「仕返しされる未来しか見えませんが、試してみます」

413 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:40:14.01 ID:Zs7aQco9o

町娘「戦闘経験は、どんなものなの」

勇者「小手先と運で切り抜けた感がバリバリです」

町娘「運も実力のうちよ。武器は？」

勇者「ルービックキューブです」

町娘「変わってるわね」

勇者「何回も言われました。町娘さんは……」

町娘「ふふ。これよ」ｽｯ

勇者「おお、ロングソード」

町娘「そ。かつて魔王との戦いに使用された“神器”、リンギル」

勇者「え――」

町娘「……の、レプリカ」

勇者「……ですよね」

414 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:41:10.43 ID:Zs7aQco9o

町娘「本物なんて、今の私が扱える訳無いでしょー」

勇者「そうですか……最近、神器と言う単語を聞く機会が増えました」

町娘「そうなの？　見かけたりした？」

勇者「ええ、砂漠で。砂塵の剣？　とか言うのを」

町娘「ああ、あれね……そっか、今は砂漠にあるんだ」

勇者「神器ってのは、魔王との決戦用に作られた武器、って認識で良いんですか？」

町娘「そんなところね。旧世界に編成された魔王討伐隊。その四人のメンバーが持っていたのが、“神器”」

町娘「リンギル、砂塵の剣、黒の鉄杖、星の玻璃瓶。この四つね」

勇者「……なんだかよく分からないセレクトばっかりですね。エクスカリバーとか、ラグナロクとかでいいじゃないですか」

町娘「ケチつけられても困るわ」

415 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:42:04.35 ID:Zs7aQco9o

町娘「首都を目指すなら、この先他の神器も見るかもしれないわね」

勇者「あんまり厄介事には巻き込まれたくないのですが……」

町娘「今更よね」

勇者「今更です」

勇者「……後、二十分か」

町娘「そうね」

勇者「本当に来るんでしょうか。パローネ、とやらは」

町娘「挑戦状を送ったことは数あれど、失敗は一度もしていないわ。気を引き締めてね」

勇者「はい」

416 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:42:41.81 ID:Zs7aQco9o

――

魔女「此処か、裏門は」

魔女「……パローネか。話には聞いていたが」

魔女「資料、読んでおくか」ﾋﾟﾗ

魔女「……」

魔女「ふん。口程にも無さそうだな」

魔女「……あと、二十分――」

ｶﾞｻｯ

魔女「……何者だ」ﾎﾞｩﾝ

魔女「……！」

魔物「ｶﾞﾙﾙﾙﾙ……」ﾉｼﾉｼ

魔女「……くひひ。早速かよ」

417 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/16(木) 00:43:56.68 ID:Zs7aQco9o

ﾄﾞｫｵｵｫﾝ

勇者「……なんか始まったみたいですよ」

町娘「……パローネかしら」

勇者「まだ二十分前ですよ？　約束の時間は二十四時だった筈じゃ」

町娘「うーん……」

町娘「パローネは、一度決めたことは決して揺るがせない」

勇者「じゃあ、この音は――」

魔物「ｶﾞﾙﾙﾙﾙﾙ…」ﾉｼﾉｼ

勇者「――やっぱり」

町娘「魔物……！　どう言うことなのかしらね」

勇者「さぁ。まずはこいつらをどうにかしましょう」ｶﾁﾘ

町娘「考えるのは後ね。行くわよ！」ｼｬｷﾝｯ

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今日はここまで。

418 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/16(木) 06:01:05.10 ID:bD74RXoIO

おつ

419 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]：2012/08/19(日) 00:02:39.30 ID:LNsCBwWE0

追いついた！

乙

420 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:12:45.64 ID:XReTTIA2o

町娘「はッ！」ｻﾞｼｭｯ!

魔物「ｷﾞｬｱﾝｯ!!」ﾄﾞｻｯ

勇者「“赤の面”！」ｺﾞｵｫｫｵｵｯ!

町娘「へぇ。魔法？」

勇者「揃えた面に応じた魔法が云々」

町娘「なんで省いたの」

勇者「何回も言ってますから」

町娘「そう。……魔素を残さないのね」

勇者「そうなんですか？」

町娘「知らないで使ってたの？」

勇者「まあ」

421 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:14:07.94 ID:XReTTIA2o

町娘「……話をするのは後ね。まだまだいるわよ」

勇者「こいつらも召喚されたもの……ですよね。術者は何処でしょう」

町娘「魔女だったら逆探知が可能かもしれないけど。私はそう言うのには疎いからなー」

勇者「倒し続けるしか無い、ってことですね」

町娘「残念ながら」

ｸﾞｱｱｱｱｱｱｯ

勇者「！　今の悲鳴、中から聞こえましたよ！」

町娘「中！？　まさか、魔女……！」

勇者「どうします？」

町娘「……私が此処を食い止めるわ。勇者くん、中の捜索をお願いできる？」

勇者「……分かりました！」ﾀﾞｯ

422 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:14:40.22 ID:XReTTIA2o

町娘「……なーんか嫌な予感がするわね」

町娘「予定より二十分も早い襲撃……魔物の使役……」

町娘「……まさか、あの挑戦状は――」

――

魔女「……」ﾄﾞｫｫｫﾝｯ!

魔物「ｸﾞｷｬｱｱｱｱｱｱｱｯ」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ

魔女「そろそろ姿を現したらどうだ」

魔物「ｶﾞﾙﾙﾙﾙﾙ……」ｽｯ

男「……バレていましたか」ﾕﾗﾘ

魔女「……とっくにね」

男「ふっふっふ、流石は北の魔女さま……いや。旧世界の頃の呼び名で呼んだ方が良いでしょうか」

魔女「私は過去を引きずらねー」

男「そうですか。では、魔女さまとお呼びしましょう」ﾆﾔﾆﾔ

魔女「……」

423 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:15:40.28 ID:XReTTIA2o

魔女「……人間。何が目的だ？」

男「私めですか？　そうですね……召喚による警備の撹乱、でしょうか。後は妹がやってくれるでしょう」

魔女「妹？　……成程な。パローネの名を騙ったのか」

男「ほう、良くお分かりで」

魔女「資料を読んだ。パローネのね」ﾋﾟﾗ

魔女「アレは魔物を使役したりしないし、グループで行動するような輩じゃない。常に単独だ」

魔女「偽の挑戦状を作り、町娘を誘い出した……ってとこか。ご苦労さまだな」

男「ふっふっふ……まったく、恐ろしいほど聡い方だ。だが――」

男「それを理解したところで。中には向かわせませんよ」ｽｯ

魔女「元々行く気もねーよ。あいつは出来るからな」

男「そうですか。ならば、手合わせ願いましょう！」

男「“模倣する意志”！」ｽﾞｵｵｵｯ!

魔女「！」

424 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:16:41.43 ID:XReTTIA2o

魔女「これは……霧……？」ｺﾎｺﾎ

「くひひひひ」

魔女「……！」

魔女？「くひひ。君の体、お借りするよ」

魔女「……趣味のわりー魔法だな」

偽魔女「そうかな。相手の力量を知る素晴らしい魔法だと思うけどね」

偽魔女「この体を手に入れた以上、術具なんて必要ない」ｶﾗﾝ

偽魔女「“引き金持ち”同士の戦いと行こうじゃないか」ﾆﾔﾘ

魔女「……くだらねー」

偽魔女「……何？」

魔女「くだらねーって言ったのさ、出来損ない。お望みとあらば見せてやるよ――」

魔女「本物の“引き金”の力をな」ﾄﾞｵｵｵﾝｯ!

425 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:17:49.63 ID:XReTTIA2o

――

勇者「ッ……ま、また魔法の音が」

勇者「魔女さんはまだ戦っているのでしょうか。無事なら良いのですが」

衛兵「……うぅ……」

勇者「！　大丈夫ですか！」

衛兵「うぁ……来る……光が……！」

勇者「光……？　なんのことです、しっかり――」

衛兵「……」ｸﾞｯﾀﾘ

勇者「……」

勇者「……向こう、か」

426 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:18:59.33 ID:XReTTIA2o

勇者「倒されている衛兵たちは、全員雷に打たれたように傷を負っていた」

勇者「……電撃の魔法なのか。警戒しないと……」ｶﾞﾁｬ

勇者「……」

勇者「此処は……？　暗くて、よく……」

ｶﾞﾀ

勇者「！」

管理者「……き、君は」

勇者「……管理者さん」

427 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:19:42.11 ID:XReTTIA2o

勇者「大丈夫ですか？　怪我は」

管理者「心配ない……何が起きている？」

勇者「魔物の襲撃です。これもパローネの仕業なのでしょうか」

管理者「襲撃……！？　おかしいな、パローネは挑戦状に書いたことは必ず守る。まだ約束の時間まで十五分もあるぞ」

勇者「そうなんですか？　じゃあこれは……」

管理者「……部外者の行動か」

勇者「一体誰が……管理者さんは此処にいてください。僕は外を見てきます」

管理者「わ、分かった……」

管理者「……そうだ！　勇者くん！」

428 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:20:42.77 ID:XReTTIA2o

勇者「……はい？　なんでしょう」

管理者「警告しておくことがある」

勇者「警告」

管理者「そうだ。この館は広い上に、入り組んでいる。迷わないように注意すること」

勇者「分かりました……」

管理者「もう一つは――」ｽｯ

管理者「簡単に人を信じないことだ」ﾊﾞﾘｨｯ!

勇者「――！」

429 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:22:06.62 ID:XReTTIA2o

勇者「“白の面”！」ｷｨｲｨｨﾝｯ!

管理者「……防がれたか」

勇者「……警戒しておいてよかったですよ」

勇者「こんな暗い部屋に隠れているのが怪しすぎますし……そもそも」

勇者「何故僕の名前を知っている？　あなたに名乗った覚えはありません」

管理者「……そう言えばそうだったね。“北の魔女”にばかり気を取られ、君の名を聞くのを忘れていた」

勇者「非礼さもたまには役に立つものです。で、何故」

管理者「簡単なことさ」ｹﾗｹﾗ

管理者「“北の魔女”。彼女が動き始めたことは、私たちの業界ではよく広がるものでね……」

勇者「……」

430 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:22:56.81 ID:XReTTIA2o

管理者「その付き人の名も、自然に知れ渡るってことさ」

勇者「……また付き人か」

管理者「違うのかい？　君は彼女の下僕じゃ……」

勇者「……」

管理者「ふん。まあいい……不思議な武器だね、それ」

勇者「でしょうね。……あなたの攻撃は届きません。“白の面”がすべて防ぐ」

管理者「……それはどうかな」

勇者「何？」

431 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:24:26.68 ID:XReTTIA2o

管理者「“眩耀する意志”！」ﾋﾟｶﾝｯ!

勇者「ッ！　眩し――！」

ｽﾞｶﾞｧﾝｯ!

勇者「……。床が……」

管理者「……眼を奪ってしまえば。魔法の発動を知ることは困難だ」

管理者「次は当てる」ﾆﾔﾘ

勇者「……」

勇者「」ﾊﾞｯ!

管理者「無駄だよ。閃光からは逃れられない！」ﾋﾟｶﾝｯ!

管理者「“炸裂する意志”！」ｽﾞｶﾞｧﾝｯ!

勇者「――ッ！！」

432 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:25:31.34 ID:XReTTIA2o

勇者「ぐあああああっ！」ﾄﾞｻｯ

管理者「ふん。肩に当たったか……だが」

管理者「一度当たれば、それで済む」

勇者「くそっ……！」

管理者「“束縛する意志”」ﾊﾞﾘｯ

勇者「ッ！　体が……動かないッ……！」

管理者「麻痺状態にさせてもらったよ。暴れられても困るからね」

管理者「さて――このまま君を殺すのもいいけど、少し勿体無いな」

管理者「話をしようか」

勇者「話……？」

管理者「そう。君の……いや君たちのこと」

管理者「何故君は“北の魔女”と行動を共にしている？」

433 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:26:46.08 ID:XReTTIA2o

勇者「……仲良しだからですよ」

管理者「はっ、仲良しか。魔女も落ちぶれたものだな」

勇者「……」

管理者「だけどね、それだけじゃ納得出来ないよ。あの魔女が、重い腰を上げているんだ……何か重要な目的があるんだろう」

勇者「……何故そんなことを聞く」

管理者「興味さ。本来は町娘が狙いだったんだけどね。そこに君たちが現れた。予想外だったよ」

勇者「町娘さんを……？」

管理者「なに、“同業者”は少ない方がいいからね、私たちの場合は」

勇者「同業者？　まさか――」

管理者「そう。私たちも傭兵ってことさ」ﾆﾔﾘ

434 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:28:13.33 ID:XReTTIA2o

勇者「そうか……あなたの所に届いた挑戦状と言うのも、全て……！」

管理者「ふふ。おしゃべりが過ぎたね。私は君のことが聞きたかったんだ」

管理者「吐いてもらおうか。君たちの目的を」

勇者「……」

勇者「……創造主に会うことですよ」

管理者「へぇ。確かに魔女が動くのも分かる、壮大で馬鹿げた目的だ。それは何のために？」

勇者「……この世界を、滅ぼすため」

管理者「……くっ、くははははははっ！」

勇者（妙に恥ずかしい）

435 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:28:43.03 ID:XReTTIA2o

管理者「くふふふ……いや、失礼。あまりにもアホらしくてね。なるほどなるほど。理解したよ」

勇者「……今ので納得しちゃったんですか」

管理者「理解と納得は違うだろう？　なんにせよ、魔女が動くには十分過ぎる目的だ。それじゃもう一つ」

勇者「まだ……」

管理者「君は何者だ？」

勇者「……しがない旅人」

管理者「嘘だね」ﾊﾞﾘｯ!

勇者「――～～ッ！！」

436 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:29:42.76 ID:XReTTIA2o

管理者「痛いのは嫌だろう。嘘はつかない方がいい」

勇者「嘘じゃ……無いですよ……」ﾊｧﾊｧ

管理者「まさか。あの魔女が気に入った人間だぞ、君は。普通な訳無いじゃないか」

勇者「……あの魔女、あの魔女って。随分な扱いですね」

管理者「ふん？　事情を知らないのかな。そうかそうか……まあ、いい。このルービックキューブは……」ﾋｮｲ

勇者「ッ！　何を……！」

管理者「声が変わったね。そんなに大事なものか」

勇者「……返して下さい」

管理者「ふふん。いいよ……」

管理者「君の処理が終わったらね」ｶﾁﾘ

勇者「――！」

437 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/20(月) 23:31:01.70 ID:XReTTIA2o

管理者「自分の武器にやられて死ねるんだ、嬉しいだろう？」

管理者「ふふ、どの面がいいのかな？　赤？　青？　それとも――」

勇者（――やばい。やばいやばいやばい）

勇者（どうにかしないと――本当に、ここで――！）

管理者「なんでもいっか。じゃあ――」

管理者「さようなら」ｽｯ

勇者（――終わる）

　　　　ｽﾞｶﾞｧﾝｯ!!

管理者「――」

勇者「――」

淡い青色の雷光が、管理者の手に突き刺さった。

町娘「――だらしないわね！　勇者くん！」

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今日はここまで。

438 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/20(月) 23:38:35.28 ID:k62kd0PIO

おつ

439 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) ：2012/08/21(火) 03:03:13.55 ID:rLoHspAho

ふむ。
いいチンポだ(´Д｀)

440 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]：2012/08/21(火) 07:51:34.33 ID:/uFvMtvMo

ここはチンポスレじゃないぞ乙

441 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/21(火) 23:42:26.23 ID:mFYyJIido

管理者「っ！？　お、お前は……！」

勇者「あ……」

町娘「ふっふん。ヒーローは遅れて登場するものよね」

勇者「……ちょっとばかし遅かったです」

町娘「なんか言った？　……ま、覚悟してもらうわよ。私たちを騙し、あまつさえ友人を傷つけた罪は、重いわよ」

管理者「っ……調子に乗るなよ、町娘！」

町娘「乗ってなんか無いわ。怒ってはいるけど。私が狙いだったんでしょう？　なら、私だけを殺しに来なさいよ。勇者くんや魔女は関係ないわ」

管理者「黙れ……ふん、大分予定は狂ったが、まずはお前からだ。お前を殺してから、そこに転がってるのを始末するとしよう」

町娘「大分化けの皮が剥がれてきたわね」ﾆﾔ

勇者「……酷い扱いだ」

442 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/21(火) 23:43:28.30 ID:mFYyJIido

管理者「“眩耀する意志”！」

町娘「甘いわ――そこっ！」ｽﾞﾊﾞｯ!

管理者「っ！　閃光が効かない！？」

町娘「私の剣は閃光耐性付きよ。知らなかったの？」ﾌﾘﾌﾘ

町娘「どんどん行くわよ！」ﾀﾞｯ!

管理者「くっ――“炸裂する意志”！」ｽﾞｶﾞｧｱｯ

町娘「何処を狙っているの！」ｽｯ

管理者「消えた――！？」

町娘「本物の電撃魔法ってのは――」

管理者「なっ」

町娘「こう――使うのよ！！」ｷｭｲｲｲｲｲﾝｯ

町娘「“炸裂する意志”！」ﾄﾞｫｵｵｵｵﾝｯ!!

443 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/21(火) 23:44:48.65 ID:mFYyJIido

管理者「」ｸﾛｺｹﾞ

町娘「ふっふん。口程にも無いわ」ｼｬｷﾝ

町娘「勇者くん。大丈夫？　怪我はない？」

勇者「あ……お疲れ様です……」

町娘「何萎縮してんの」

勇者「いえ……すみません、まさかここまで町娘さんが強いとは思ってませんでした」

町娘「おだてても何も出ないわよ。一応あの魔女とタメ張れるからね、私」

勇者「はあ……ありがとうございました。間一髪でしたよ」

町娘「そうね。あ、ルービックキューブ。勢いで弾き飛ばしちゃったけど、大丈夫かな」

勇者「頑丈だから問題ないと思いますよ」

町娘「そう」

444 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/21(火) 23:45:58.35 ID:mFYyJIido

勇者「っ……肩をやられたか」ﾌﾗ

町娘「暫く痺れは取れなさそうね。まだどのくらい残ってるかわからないけど、戦闘は任せなさい」

勇者「はい……何から何まですみません」

町娘「いいのよ、どうせ報酬は無くなっちゃったんだから。暴れさせてもらわないとやってらんないわ」

勇者「そういやそうですね。依頼主も……今、死んじゃった訳ですし」

町娘「とんだかませだったわ。私ももう少し仕事を選ぶべきね」

町娘「さ、残党を探しましょうか。ついでに、魔女も」

勇者「はい」

445 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/21(火) 23:47:38.57 ID:mFYyJIido

勇者「……いた！　って、あれ？」

町娘「んー？　魔女が二人？　どう言う事かしら」

――

魔女「BANG」ﾄﾞｫｵｵﾝｯ!

偽魔女「ちっ――攻撃が当たらないっ……！」

魔女「当たるわきゃねーだろ」ｽﾞｶﾞｧｧｯ!

偽魔女「くあああああああっ！　何故だ？　何が違う――！」

魔女「何もかも違うよ」

偽魔女「そんなはずは無いっ！　私はお前の全てをコピーしたはず……！」

魔女「自惚れんな」ﾊﾞｼｭｯ

偽魔女「――ッ！！」

魔女「たとえ私をコピーしたところで……それを扱うのはお前自身さ。私じゃない」

魔女「人間ごときが、私の力を制御出来ると思ってんのか」

――

勇者「……分かりやすいですね」

町娘「マジ切れじゃないのあいつ」

446 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/21(火) 23:48:46.58 ID:mFYyJIido

偽魔女「く――私が……私が、劣っているとでも……」

魔女「人間と私じゃ決定的な差があるって訳だーな。分かったらとっとと降伏しろ」

偽魔女「……断る」

魔女「なるほど。往生際の悪さも人間の悪癖の一つだな」

魔女「じゃあ死ね」ｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞ

偽魔女「――！」

魔女「“搾取する意志”」ﾄﾞｫﾝｯ!!

447 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/21(火) 23:49:46.88 ID:mFYyJIido

偽魔女「がっ……は……」ﾊﾞﾀﾘ

魔女「……やれやれ。何がしたかったんだか」

町娘「“引き金持ち”の気分でも味わいたかったんじゃないの？」

魔女「ん？　なんだ、居たのか」

勇者「お疲れ様です」

魔女「肩怪我してんじゃん」

勇者「名誉の負傷です」

魔女「ふぅん」

町娘「ほとんど片づけ終わったみたいね。首謀は他には……」

魔女「兄妹って言ってたよ、こいつ。妹……いや、此処の管理者はやったのか」

町娘「ええ、じゃあ、一件落着かな」

魔女「どうだか……」

448 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/21(火) 23:51:20.72 ID:mFYyJIido

勇者「管理者、とは言え。あれが本当に此処の管理者だったんでしょうか？」

町娘「なりすましだったって？　うーん、どうなんでしょ。正直関与したくないわね。後処理も面倒だし」

魔女「同意だ、私はとっとと帰りたい」

勇者「つれないですね」

魔女「似てもいねー物真似見せられて気分悪いのさ」

勇者「やわですね」

魔女「その喧嘩買った」ﾄﾞｫｵｵｵﾝｯ!

449 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/21(火) 23:52:30.75 ID:mFYyJIido

勇者「……怪我人は労りましょう」ﾋﾘﾋﾘ

魔女「舐めてりゃ治るよ」

町娘「暴力反対」

魔女「あーあー聞こえない」

勇者「……まあいいや。町娘さん、本物の管理者さんを探すなら手伝いますよ」

町娘「……いや、大丈夫。一人でやるわ」

勇者「どうしてです」

町娘「本物の管理者はこの中にいないかも。そもそもあれが管理者本人だったら？」

町娘「私は時間があるから、ぼちぼち調べられるけど……あなた達は旅人でしょう」

魔女「そう言って報酬横領する気だなてめー」

町娘「んな訳無いでしょ」

450 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/21(火) 23:54:02.98 ID:mFYyJIido

町娘「勇者くん。本当に世界を滅ぼしたいのなら、急いだ方がいいわ」

勇者「……どう言うことです」

町娘「ああ、んー、違うわね。正確には。立ち止まらない方がいい、かな。ゲームなら、寄り道の一切無いRPGってところね」

魔女「意味がさっぱりだな。時間が無いって言いたいのか」

町娘「……どうにも嫌な予感がするのよ。なんとなくだけど。私昔から勘だけは冴えてるから」

魔女「はっ」

町娘「とにかく私が言いたいのは、変なことにちょっかい出して時間を無駄にしないように、ってこと。一応、気をつけておいて」

勇者「……分かりました」

451 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/21(火) 23:54:37.55 ID:mFYyJIido

勇者「では、後はお願いします」

町娘「任せて。じゃあ、私は館の中を見てくるから。二人は帰ってていいわ」

魔女「よーし、部屋に帰るぞー寝るぞー」

勇者「風邪には注意してくださいよ」

魔女「私はタフだぜ」ｽﾀｽﾀ

勇者「そうですか……あいててて」ﾃｸﾃｸ

町娘「……」

町娘「……ふう」

452 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/21(火) 23:55:40.71 ID:mFYyJIido

――

町娘「さて、と……本当にいるのかしらね……」

町娘「さっきは急いでいたからしっかりと見てなかったけど」

町娘「……パンドラでも拝んで行きましょうか」

町娘「……と言うか、衛兵は全滅しちゃったのね」

町娘「ここまで人気が無いと、どうも――」

町娘「――！」ｼｬｷﾝ

？「ああ、すみません。暴力を振るうつもりはありません」

町娘「……どちら様？　その服、その仮面――もしかして」

？「ええ、はい。お察しの通り……僕は、創造主様に仕える者です」

町娘「……」

？「使徒とでもお呼び下さい」

453 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/21(火) 23:57:15.82 ID:mFYyJIido

町娘「……で？　創造主様の使徒さんが何の用かしら」

使徒「簡潔に言えば。創造主様があなたに会いたがっております」

町娘「私に？　……断ると言ったら」

使徒「その選択肢は……選べないかと」

町娘「どう言うことよ」

使徒「創造主様はこの世界を創りしお方」

使徒「あなたの運命を操るのは造作も無いことでございます」

町娘「……気に喰わないわね、そうやって改めて宣言されると」

町娘「つまり私らは操り人形ってことでしょ？」

使徒「勘違いされては困ります。創造主様が下界の者に干渉するのは特例事項」

使徒「普段は温和なお方ですよ」

町娘「知らないわよ、そんなの」

454 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/21(火) 23:58:01.67 ID:mFYyJIido

町娘「創造主は私と会って何がしたいの？」

使徒「……さぁ。そこまでは知らされておりません」

町娘「使えないわねぇ。具体的な用件が分からないと同意しようにもないじゃない」

使徒「創造主様の言葉には、従っておいたほうが身のためですよ」

町娘「脅迫？」

使徒「経験則です」

町娘「……そう。分かったわ。近いうちに、神の庭まで出向けばいいのね」

使徒「よろしければ、今お送りしますが」

町娘「他にもやることあるのよ。それが済んだら行くわ。どうせ、行く気がなくても向かうことになるんでしょ」

使徒「よくお分かりで」

町娘「はぁ」

455 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/21(火) 23:58:34.97 ID:mFYyJIido

使徒「では、神の庭でお待ちしております。僕はこれで」ｽｯ

町娘「……転移魔法」

町娘「……術具持ってなかったわね」

町娘「……やれやれね。なんだって創造主と会わなきゃならないのよ……」

町娘「世界のために働けって？　ふふ、洒落にもならない……」

町娘「……まさかね」

456 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/21(火) 23:59:42.79 ID:mFYyJIido

――

勇者「町娘さん、帰ってきませんね」

魔女「んー、どっか行ってんじゃないの」

勇者「でしょうけど。先に寝てしまっていいものか」

魔女「私が許す。と言うか早く寝たい」

勇者「その前に、これからのことを話しましょう」

魔女「そうだねぇ。あいつは急いだ方がいいって言ってたけど、資金をどうするかだな。幸いこの街なら依頼も多いだろ」

勇者「……暫く滞在しましょうか？」

魔女「だな」

勇者「……行く先々の街や村で稼ぐと言うのは」

魔女「効率悪いよ」

勇者「むぅ」

457 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/22(水) 00:00:49.00 ID:XZA0GLAEo

魔女「急ぎたい気持ちは分からんでもないがね。そこらへんで野垂れ死ぬのは勘弁だよ、私」

勇者「安定策を取ります……か」

町娘「たっだいまー」ｶﾞﾁｬ

勇者「あ、おかえりなさい」

魔女「はうでぃーぱーとなー」

町娘「あら、まだ寝てなかったの」

勇者「色々話すことがあって。それで、見つかりました？」

町娘「いいえ。明日街の役所の方に行ってくるわ。二人はどうするの？」

魔女「暫く滞在することにした」

町娘「あら」

魔女「金が無けりゃ旅出来ぬ」

町娘「先の町々で稼いだら？」

魔女「勇者と同じようなことを言うんだなおめー」

458 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/22(水) 00:01:38.14 ID:XZA0GLAEo

町娘「……成程ね。頑張って」

勇者「ええ」

魔女「くひひ、私はカジノにでも繰り出すとするよ」

勇者「お金が無いと言ったのはあなたでしょう」

魔女「仲間料を徴収したい」

勇者「お友達料じゃないんですから」

町娘「……そろそろ寝る？　今日は変なことに巻き込んで悪かったわ」

勇者「いえいえ。……じゃあ、僕は床で寝ますね」

魔女「そうしな」

町娘「えっ」

魔女「えっ」

勇者「えっ」

459 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/22(水) 00:02:34.23 ID:XZA0GLAEo

勇者「……ベッド、一つしか無いじゃないですか」

町娘「でも、私たち小柄だし、勇者くんもギリギリ入るでしょ」

勇者「いやいや。それはまずいですよ」

魔女「そうだそうだ」

町娘「じゃあ魔女、私と寝る？」

魔女「それは嫌だ」

町娘「ならどうしたいのよ」

魔女「私一人がベッドを使う」

町娘「だったら私は勇者くんと仲良く床で寝るわね」

魔女「……作為を感じる表現はやめたまえ」

町娘（動揺しとる）

勇者（動揺しとる）

460 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/22(水) 00:03:33.78 ID:XZA0GLAEo

勇者（結局魔女さんと町娘さんがベッドで寝ることになりました）

町娘「残念だったなぁ」

魔女「何がだ」

町娘「私が一人雑魚寝だったら面白いもの見れたのに」

魔女「セクハラだぞ」

町娘「この程度でセクハラなんて。意外と初心なのね二千十五歳」

魔女「うるせーばーかばーか。有効に活用してやろうか」

町娘「冗談よー冗談」

勇者（……明日からは、別室を借りよう）

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今回はここまで。

461 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/22(水) 00:04:30.27 ID:86uBmKP0o

おつんつん！

462 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sage]：2012/08/22(水) 02:21:18.31 ID:kvW8VblJo

乙乙乙

463 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/22(水) 08:29:51.99 ID:yB6kBVTIO

おつ

464 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]：2012/08/24(金) 18:07:26.82 ID:IGvLvVb7o

乙乙！

465 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/24(金) 21:13:11.49 ID:xC5t0gPfo

乙

466 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/29(水) 00:47:36.03 ID:j5TBN7Xuo

*一週間後*

依頼主「ありがとうございました！　これが報酬です！」ﾄﾞｻｯ

勇者「どうもどうも。では、私たちはこれで」

魔女「ばいびー」

・・・

勇者「結構お金もたまりましたね」

魔女「面白い依頼が無くてつまんねーけどな」

勇者「シムナフ村のアレは特殊ですよ」

魔女「パンドラの件もあれから音沙汰無しだし。町娘はどっか行っちまうし」

魔女「よし勇者！　とっととストーリーを進めるとするぞ」

勇者「メタなこと言わないでください」

467 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/29(水) 00:48:24.69 ID:j5TBN7Xuo

魔女「毎度おなじみ世界地図」ﾊﾟﾗﾘ

勇者「砂漠を抜け、現在地はイザラクタ」

魔女「安全な街道を通るルートと、時間短縮のために森を突っ切るルートがある」

勇者「森で」

魔女「よし」

勇者「破魔の森、ですか……付近に村がありますね」

魔女「まだ午前中だ。今日は歩きでそこまで行こう。イオラの村、だったか」

勇者「爆発しそうですね」

魔女「まさに中盤の村と言う訳だな」

468 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/29(水) 00:48:59.77 ID:j5TBN7Xuo

魔女「そうだ、少し寄りたい場所がある」

勇者「寄り道するなって町娘さんが」

魔女「店に行くだけだからいいだろ」

勇者「まあそのくらいなら」

魔女「どっちだったかな」

勇者「迷子は嫌ですよ、最近ようやくこの街の広さに慣れてきたんですから」

魔女「首都はこんなもんじゃないぜ」

勇者「気をつけてくださいね」

魔女「なぜ、私なのか」

469 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/29(水) 00:49:53.03 ID:j5TBN7Xuo

――店

店番「いらっしゃい」

魔女「勇者、オイルは持ってたよね」

勇者「え？　あ、はい。結構残ってます」

魔女「おーけい、ランタンを一つ貰えるかな」

店番「あいよ。銅貨三枚」

魔女「ほい」ﾁｬﾘﾝ

店番「まいどー」

470 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/29(水) 00:50:48.93 ID:j5TBN7Xuo

勇者「今更な買い物ですね」

魔女「今まで必要なかったからね」

勇者「これから必要なんですか」

魔女「だから買ったんだよ」

勇者「でも、魔法で……」

魔女「なんでも私任せだなー」

勇者「しゃあせんでした」

魔女「まあいいんだけど。ちょっと問題があってね」

勇者「問題？」

魔女「これから通る破魔の森」

勇者「はい」

魔女「魔法使えねーのよ」

471 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/29(水) 00:51:29.94 ID:j5TBN7Xuo

勇者「……まずくないですか」

魔女「そうかな」

勇者「不測の事態に陥ったら」

魔女「頑張れよーそれでも勇者だろー」

勇者「うーん。いやー。街道を通るルートは」

魔女「最大三日くらい差が出るぜ」

勇者「詰みましたね」

魔女「どこまでへたれなんだ君は」

472 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/29(水) 00:51:55.97 ID:j5TBN7Xuo

勇者「……分かりました。男勇者、精一杯エスコートさせていただきます」

魔女「期待してるよ。じゃ、行こうか」

勇者「らじゃ」

――

魔女「ところで、もう肩は大丈夫なの」

勇者「ええ、ばっちりです」

魔女「そう。良かったよ」

勇者「心配かけました」

魔女「いや、エスコート役に故障があっても困るからね」

勇者「成程厳しい」

473 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/29(水) 00:52:45.84 ID:j5TBN7Xuo

――平原

勇者「何もありませんねー」

魔女「道が舗装されてるだけありがてーな」

勇者「……そうだ、質問が一つ」

魔女「言ってみろ」

勇者「魔素ってなんなんです？　町娘さんに、魔素を残さないのは珍しいみたいなことを言われました」

魔女「ああ、それか」

魔女「普通、魔法ってのは魔力を魔法の形にして放出している」

魔女「その際、完全に魔法になりきれず空中に漂ってしまう魔力のことを、魔素と呼ぶ。ファイルの断片化みたいなもんだな」

勇者「それはちょっと違うかと。……では、魔女さんの魔法が魔素を残さないのは？」

魔女「魔力が一切の無駄なく魔法に変換されてるってこと」

勇者「ひー」

474 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/29(水) 00:53:36.88 ID:j5TBN7Xuo

勇者「それって凄いことなんですよね」

魔女「まず人間で出来る奴はいないだろうね。放出される魔素を出来る限り少なくする研究は進んでいるみたいだけど」

勇者「僕の場合はなんなんでしょう」

魔女「簡単だ、魔法の発動に魔力を使ってない」

勇者「成程」

魔女「どう言う原理か知らんが、異世界の産物だろ。未知工学ってやつだな」

魔女「“アンリアリスティックルービック”とでも言おうか」

勇者「なんだかかっこよさげ」

魔女「使ってる奴がなぁ」

勇者「ひでぇ」

475 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/29(水) 00:54:33.19 ID:j5TBN7Xuo

勇者「向こうから歩いてくる人が見えます」

魔女「珍しいな、この方向だとイオラの村からしか無いぞ」

勇者「歓楽街に遊びに行くんですかね」

魔女「さてな」

男性「……あ、あんたらイオラに行くのか」ﾃｸﾃｸ

勇者「ええ、森を通ろうかと」

男性「森？　……やめときな。時期が悪い」

勇者「……虫が大量発生してたり？」

男性「いや……あの森にはエルフが住んでるんだが」

勇者「エルフ？」

魔女「エルフねぇ」

男性「おっ、そっちのちっちゃい嬢さんは知ってるか」

魔女「何がちっちゃいって？」

476 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/29(水) 00:55:31.04 ID:j5TBN7Xuo

男性「長身の耳長連中さ。いつも何考えてるか分からない顔してる。……最近は特に機嫌が悪いみたいだな」

勇者「なにかあったんですか」

男性「俺も森に入ったんだがな……あいつらに追い出された」

魔女「縄張り意識が強いからねぇ」

男性「そうなんだよなぁ、ただ通りすぎようとしただけだったのによ。悪いことは言わねぇ、引き返したほうがいいぜ。何か用事があるんなら別だけどな」ﾃｸﾃｸ

勇者「ありがとうございましたー」ﾍﾟｺ

魔女「エルフ、ねぇ……厄介だな」

勇者「どうしますか」

魔女「行くだけ行くぞ」

勇者「話し合いが出来たらいいんですけどねー」

477 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/29(水) 00:56:23.04 ID:j5TBN7Xuo

魔女「エルフが住んでるのすっかり忘れてた」

勇者「あんまり友好的ではないんですね」

魔女「最近は派手な行動も起こしてないしなぁ、ここ十五年ですっかり引きこもり精神が根付きやがった」

勇者「無事に通れればいいのですが」

魔女「私は顔が知られてるかもね」

勇者「バッドニュースですよ」

魔女「くひひ、いざとなったら焼き討ち――」

勇者「それは駄目です」

魔女「つまんねーの」

478 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/29(水) 00:57:52.96 ID:j5TBN7Xuo

――イオラの村

村人「ようこそイオラの村へ！」

勇者「はぁどうも」

村人「どのような用事でいらっしゃったんです？　村長様なら今はお留守ですよ！」ﾆｺﾆｺ

魔女「随分フレンドリーだね」

村人「いやあ！　こうでもしないと村の個性が失われるかなーって！」

魔女「個性がつくのはあくまで君だけだと思うけどね……森の入り口は向こうか」

村人「ええっと、もしかして破魔の森に入るんですか？　止めといた方がー……あいや、止めはしませんけど！」

魔女「エルフがなんかしてるんだろ？　知ってることを教えてくれないかい」

村人「おお、よくご存知で！　ひょっとして……さっき男の方に会いました？」

魔女「そうそう」

479 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/29(水) 00:59:01.27 ID:j5TBN7Xuo

村人「ちょっと前までは、エルフの方々もここまで口うるさくは無かったんですよー。最近になってやたら人間が入ってくるのを咎めるようになって」

村人「なんか別の問題に追われてる感じでしたねぇ」

勇者「あなたも会ったことがあるんですか？」

村人「ええ、数回だけ。あの森にはキノコ集めとか、畑を荒らす害獣を狩りに行くことがあるので。最近は全然出来てませんけどねー」

魔女「ふん……別の問題ね。興味があるな」

勇者「厄介事に首を突っ込むなと」

魔女「でもどの道先には進めなさそうだぜ」

勇者「むむむ」

村人「あわ、本当に行くんですか？　お気をつけてー」

勇者「ありがとうございます。では」

魔女「ばいびー」

480 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/29(水) 01:00:53.55 ID:j5TBN7Xuo

勇者「エルフ」

魔女「問題……あのエルフどもが抱えるものか。森に異物でも迷い込んだかな……」

勇者「禁忌に身を染めた魔法使いとか？　あ、魔法は使えないか」

魔女「あの森で魔法を使えない理由は、単純に魔法封じの結界が張られているからだ。結界を一部でも壊せるほどの魔法の力があれば、話は別だよ」

勇者「そうなんですか。でも、それじゃ、魔女さんなら」

魔女「一部どころか全部壊せるけどさ」

勇者「エルフが黙ってないと」

魔女「私もそこまで考え無しじゃないからね」

勇者「焼き討ち云々はなんだったんですか」

481 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/08/29(水) 01:01:57.38 ID:j5TBN7Xuo

勇者「結界を壊せる力を持った魔法使いか、森を荒らしに来た賊でもいるんですかねー」

魔女「なんらかの障害があるのは間違いない。面倒だが、ここで恩を売っておくのも手だぞ」

勇者「ふうむ」

魔女「あいつら良い物持ってるしね」

勇者「それが狙いか」

魔女「あたぼうよ。さ、行くぞー」ﾃｸﾃｸ

勇者「……結局面倒事には首を突っ込むんですね」

魔女「毒を食らわば、皿まで」

勇者「腹下しても知りませんよ」

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今日はここまで。

482 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/29(水) 01:20:15.81 ID:xmAIse/io

乙！

483 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]：2012/08/29(水) 01:25:31.28 ID:UZtZOo27o

乙乙！

484 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/01(土) 15:49:14.98 ID:fvjSurzMo

設定ぶれすぎ
何のためのリベンジ？
も少し頭使え

485 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/01(土) 16:40:31.73 ID:eIDvEjTWo

>>484
どの辺がぶれてる？
適当に読む分には気にならなかったけど

486 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 12:34:23.47 ID:YH4/AQqIO

やっぱりつまんねぇわこれ

487 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 12:57:01.14 ID:Vg6oHixJo

俺は好きだけどな、勇者と魔女の掛け合いとか
まぁ感想は人それぞれだ

488 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 21:06:24.28 ID:eAKDrctIO

>>487
俺も割にお気に入りマークしてる。

まぁ民族とか種族とかでそれぞれだろうな

489 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]：2012/09/03(月) 22:13:36.73 ID:5w13WyuEo

確かにつまらんが
書く経験がないと上手くはならない
生暖かく成長を見守れよ

490 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]：2012/09/03(月) 22:32:02.24 ID:iH7/F4rro

面白いと思うけど

それになんでそんなに上から目線でえらそうなの？

491 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 22:34:31.90 ID:YH4/AQqIO

幼稚な信者が一番の荒らしだよな

492 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]：2012/09/03(月) 22:38:35.31 ID:iH7/F4rro

面白いって言ったら信者とか、厳しいな

493 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 22:45:05.90 ID:I0Bhwwaqo

この間まで自治スレ荒らしてたIOじゃない？
多分さわっちゃダメ

494 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 22:46:15.04 ID:YH4/AQqIO

iPhoneだからって荒らしと同一視されたくありません

495 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]：2012/09/03(月) 22:54:17.20 ID:0qTu+9Q0o

他のスレでも荒らしてる九州だよこいつ
スルーでOK

496 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 22:55:15.20 ID:YH4/AQqIO

九州暴れてんの？どこどこ？

497 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/03(月) 22:59:55.29 ID:YH4/AQqIO

教えてよ

498 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/03(月) 23:02:28.71 ID:YH4/AQqIO

無視されたらレスが止まらないよ

499 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/03(月) 23:03:43.08 ID:YH4/AQqIO

教えてよー

500 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/03(月) 23:04:59.53 ID:YH4/AQqIO

まだ？

501 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/03(月) 23:05:59.96 ID:YH4/AQqIO

冷たいなぁみんな

502 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/03(月) 23:08:16.35 ID:YH4/AQqIO

どこまでレスするかな

503 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/03(月) 23:08:58.96 ID:YH4/AQqIO

どうしようか着地点が見つからない

504 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/03(月) 23:13:08.67 ID:YH4/AQqIO

ちなみに九州は僕じゃないよ？

505 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:13:37.00 ID:YH4/AQqIO

多分

506 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:24:07.87 ID:ZPdxTHIlo

　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : :／: : : : : : : : : :,イ: : : : :/: :/: : : : : j: :.:｜: :|: : : : : : : ＼
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　/ｲ:／: : : : : : : : : : : : : ／´:／: : : : :/: : :j: ム/; : : / ':/ l:.|: : : ://: : : ハ: :}'; : : : : :.|: :|: : ヽ、＼ヽ: : : : : : : : : : : : ヽ
　ﾑ': : : : : : : : : : : : : :,:｡ィチ: : : : : :./: : ;ｲ:/ ,ｲ: :｀_ﾒ､ｉj　L|＿_イ: : : : j　|: ハ: : : : :.}: :|: : : :ﾍ＼:ヽﾍ: : : : : : : : : : : :.ﾍ
／: : : : : : : : : : : : :.／: : : /ｲ: : : : : /: : / |/　ｰ '¨　､｀ヽ.　　　　￣｀ｰ', -孑ナ‐: ､:λ:.|: : : : :ﾊ:.:＼ﾍ: : : : : : : : : : : :､:ﾍ
: : : : : : :|: : : : : :.／: : : : ://: : : : : :ﾊ: : :|才劣孑守℡､ヽ　　　　し　　＿_　　＼: :|:ハ:j: : : |: : ﾊ: : :＼: : : : : : : : : : : :ヽﾍ
: : : : : : :l: : : : : : : : : : : : : : ｀:＜ : :lｲ: : ｣ヽイー':.:.:.:.㌧ヽ　　　　　　　 ,xチ云x｡､ヾj　}:ｉ: : : |: : ﾄﾊ＼: :ヽ: : : : : : : : : : : : :
: : : : : : :|: :i: : : : : : : : : : : : : : : ;＞{:|／　　ゝ:.:｀ｰ':.:.ｿ '　　　　　　ｨてー':.:.:.:｀℡x､〈:ﾉ: : : |: : |ﾍ:}: :ヽ: : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : ﾊ: :,: : : : : : : : : : : : ／,ィ´: : |　　　´　￣￣　｀　　　　　　､ゝ:.:.:ｰ-':.:.リ〉ｿ j: : : :.j: :.:|: ﾘ: : : ﾍ: : : : : : : : : : : :ヽ
: : : : : : : ﾍ: ､: : : : : : : : :.／"/: : : :/:|　　/////////　　　　 '　　　　　　｀¨`寸ン´　ﾑィ＜¨￣: : : : : : :ﾊ: : : : : : : : : : : :
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: :.ﾊ: : : : : : : : : : : : : : : : : ￣｀:ム-､ .　　し　　　　 λ ￣￣｀ｰ---ァ　　　　　　 . : :}: : :ﾊ:ﾍﾊ: : : : : : : : : : : : : : : : : : :
＼:ﾊ:{: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.込　　　　　　｀　＿_　 _. ィ　　　　　　　　厂: |: : |: |: : ﾍ: : : : : : : : : : : : : : : : : :
　 `込､: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 入　　　　　　　　　 ¨　　　　　　　　　　　 /: : : |: : |:λ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　ヽ＼: :ﾊ: : : : : : : : : : : : : ／,才´　 .＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／¨¨￣￣￣: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
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　　　　　　{:::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::}:::ﾊ:ﾍﾍ:::::::::|'　　　　　　　 { У::::::::::::::::/ﾉ|::::::::::::::|':::::У: : :/: : : :.／＞ "
　　　　　 j-=＝=- :::::::::::::::::::::::::ﾉ::::::ﾊ:ﾍﾍ::::::ﾊ　　　　　　　　　ｿ::::::::::::::::://:::::::::::::::::::::::::/: : :,ｲ: : : :/´

507 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:24:33.45 ID:ZPdxTHIlo

508 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:26:18.55 ID:ZPdxTHIlo

509 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:26:50.28 ID:ZPdxTHIlo

510 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:27:18.17 ID:ZPdxTHIlo

511 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:27:44.39 ID:ZPdxTHIlo

512 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:28:14.88 ID:ZPdxTHIlo

513 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:28:41.37 ID:ZPdxTHIlo

514 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:29:13.83 ID:ZPdxTHIlo

515 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:29:33.76 ID:XuBY51AQo

ちなつちゃんかわいい

516 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:29:48.80 ID:ZPdxTHIlo

517 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:30:18.71 ID:ZPdxTHIlo

518 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:30:46.26 ID:ZPdxTHIlo

519 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:31:14.95 ID:ZPdxTHIlo

520 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:31:42.80 ID:ZPdxTHIlo

521 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:32:12.39 ID:ZPdxTHIlo

522 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:32:41.49 ID:ZPdxTHIlo

523 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:33:09.55 ID:ZPdxTHIlo

524 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:33:35.56 ID:ZPdxTHIlo

525 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:34:04.00 ID:ZPdxTHIlo

526 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:34:35.61 ID:ZPdxTHIlo

527 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:35:09.07 ID:ZPdxTHIlo

528 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/09/03(月) 23:39:39.28 ID:dnqO9WrOo

あぼーん

529 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/03(月) 23:44:01.94 ID:HDJzd2EXo

めんどくせぇことになってますね
このスレで終わる終わらない以前の問題ですが。投下

――破魔の森

魔女「嫌な感じだ」

勇者「早速ですね」

魔女「いい気分じゃないよ、魔力を封じ込まれるってのは」

勇者「ああ……具合が悪くなったら言ってくださいね」

魔女「言ったところでどうにでもならんだろ」

勇者「それはそうですが、おんぶくらいなら」

魔女「えー」

勇者「なんですかそれ」

魔女「私は二千十五歳だぞ」

勇者「知ってます」

530 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/03(月) 23:45:23.93 ID:HDJzd2EXo

魔女「じき、慣れる、と思う」

勇者「ならいいのですが」

魔女「ランタンつけてくれ」

勇者「あ、はい」ﾎﾞｯ

魔女「深くなってくると、隣すら見えなくなってくるからね」

勇者「霧でも出てるんですか」

魔女「そう。エルフが好みそうな環境だよ」

勇者「……気をつけないといけませんね」

魔女「ふん」

531 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/03(月) 23:47:18.64 ID:HDJzd2EXo

――

魔女「……」ﾃｸﾃｸ

勇者「大丈夫ですか」

魔女「静かに。音が聞こえる」

勇者「音？」

魔女「ああ」ｼｯ

勇者「……」

ｻｸｯｻｸｯ

勇者「……本当だ」

魔女「……こちらに向かってきている」

532 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/03(月) 23:48:11.54 ID:HDJzd2EXo

勇者「段々近くなってきました」

魔女「エルフ、か……？　だが……」

ﾋﾞｭﾝｯ!

勇者「ッ！？」

前方の暗がりから、細長い影が飛来する。
勇者が防御に動くよりも早く――鋭利な刃が、勇者よりやや後方の樹木に刺さる音が響いた。

魔女「……随分な歓迎だな」

「……何者だ」

勇者「……そちらは？」

「質問をしているのはこちらだ。答えよ」

魔女「姿を見せないってのはフェアじゃないよな。大体検討はつくが」

「……」

533 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:48:25.65 ID:ZPdxTHIlo

534 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:48:59.72 ID:ZPdxTHIlo

535 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:49:25.54 ID:ZPdxTHIlo

536 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/03(月) 23:49:30.31 ID:HDJzd2EXo

「……」ﾕﾗﾘ

ランタンの灯りに照らされ、長身の影が確とした形を持って現れる。
腰まで届く銀色の髪、人のそれよりも長く尖った耳。深い藍色の瞳が、勇者たちを正面から見据えている。

勇者「エルフ……」

魔女「くひひ。初めましてだな。私は魔女。こいつは勇者……森を通らせてもらいたい」

エルフ「……今は出来ない。よそ者よ、悪いことは言わぬ。この地から立ち去れ」

魔女「何か問題を抱えてるって聞いたぜ」

勇者「その問題が解決したら、通らせてもらえるんですよね」

エルフ「……よそ者たちには関係のないことだ」

魔女「分かんない奴だな。私らが協力してやるって言ってるんだよ」

エルフ「ならぬ。これは我々の問題だ。お前たちの手は必要ない」

魔女「相変わらずの堅物っぷりだな……」

537 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:49:51.51 ID:ZPdxTHIlo

538 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:50:19.46 ID:ZPdxTHIlo

539 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/03(月) 23:50:29.44 ID:HDJzd2EXo

エルフ「……そこの少女」

魔女「なにさ」

エルフ「貴様からは良からぬ魔力を感じる。魔の手先だな」

魔女「……手先、ね。くひひ、低く見られたもんだな――」

勇者「冷静に、魔女さん」

魔女「……ふん。大丈夫だよ」

勇者「どうだか……」

エルフ「言ったはずだ。よそ者の手は借りない。魔の者であれば尚更。即刻この森から――」

「待て」

540 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:50:45.13 ID:ZPdxTHIlo

541 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:51:10.78 ID:ZPdxTHIlo

542 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/03(月) 23:51:17.12 ID:HDJzd2EXo

エルフ「……？」ｸﾙﾘ

勇者「また誰か来ましたね」

魔女「……」

女エルフ「……この者達を帰すな」

エルフ「リーダー、しかし……」

女エルフ「長老からのお達しだ」

エルフ「……長老が？」

女エルフ「そうだ。この者らを聖堂までお連れしろと」

エルフ「……何故」

女エルフ「私にも分からん。だが、長老の命に背くことは出来ない」

エルフ「……分かりました」

543 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:51:36.24 ID:ZPdxTHIlo

544 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:52:04.10 ID:ZPdxTHIlo

545 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:52:30.45 ID:ZPdxTHIlo

546 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/03(月) 23:52:31.37 ID:HDJzd2EXo

勇者「よく分かりませんが、助かったんですかね」

魔女「そのようだ」

エルフ「おい、お前たち」

勇者「はい」

エルフ「付いて来い」ﾃｸﾃｸ

勇者「……イエッサー」

魔女「聖堂って言ったか？」

エルフ「そうだ。長老の元まで、お前たちを連れて行く」

魔女「ふん、長老ね」

勇者「話が分かる人なら良いのですが」

547 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:52:56.73 ID:ZPdxTHIlo

548 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/03(月) 23:53:10.86 ID:HDJzd2EXo

ﾃｸﾃｸ

女エルフ「……お前たちは旅人か？」

勇者「ええ」

女エルフ「……そちらの魔女も？」

魔女「一応ね」

女エルフ「……成程な。追い払いたくなるのも分かる」

魔女「失礼な奴だなー」

女エルフ「思ったことは口にしないと気が済まない性分でね」

魔女「友達なくすぜ」

勇者「あなたが言えた義理でしょうか」

魔女「ふん」ｹﾞｼ

勇者「痛い」

549 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:53:25.20 ID:ZPdxTHIlo

550 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/03(月) 23:53:32.63 ID:HDJzd2EXo

勇者「それにしても、かなり嫌われてますね」

魔女「魔力を封じ込まれていてもなんとなく分かるんだろうな」

勇者「長老さんがどんな顔をするか」

魔女「はん、上等だ」

勇者「うーん……」

エルフ「長老は偉大なお方だ。お前たちの雑念など全て筒抜けである」

魔女「考えてることが分かるのか」

エルフ「そうではない。既に全ての事象を把握している。過去であれ現在であれ未来であれ、長老にとっては同一の存在でしか無い」

魔女「……意味が分からん」

エルフ「理解する必要はない。所詮凡愚だ」ﾌｯ

魔女「」ｲﾗｧｯ

勇者「どうどう」

551 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:53:51.25 ID:ZPdxTHIlo

552 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/03(月) 23:54:06.83 ID:HDJzd2EXo

――数十分後

勇者「あれは……」

魔女「でかい建物だな」

エルフ「聖堂だ。長老がいらっしゃる」

魔女「あんなに大きくて、目立ったりしないものかね」

女エルフ「この地は魔法によって結界が張られている。外界からは普通の森のようにしか見えない筈だ」

魔女「秘密主義だね」

女エルフ「全ては長老のご意向に従ったまで」

魔女「あっそ」

553 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:54:17.43 ID:ZPdxTHIlo

554 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:54:43.73 ID:ZPdxTHIlo

555 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:55:09.42 ID:ZPdxTHIlo

556 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/03(月) 23:55:25.80 ID:HDJzd2EXo

――聖堂

見張り「お帰り、リーダー」

女エルフ「お勤めご苦労。エルフ、お前ももう行っていいぞ」

エルフ「分かりましたリーダー……この者たちは？」

女エルフ「長老と会わせる。その後のことは、私にも分からん」

エルフ「……はい」ｽﾀｯ

勇者「……歓迎されてるんだかされてないんだか」

魔女「……」

勇者「魔女さん？　どうしました」

魔女「長老、ね……こんな辺境だからと、たかをくくっていたが……」

勇者「……？」

557 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:55:36.96 ID:ZPdxTHIlo

558 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:56:03.73 ID:ZPdxTHIlo

559 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/03(月) 23:56:08.60 ID:HDJzd2EXo

女エルフ「さあ、行くぞ」

勇者「あ、はい。魔女さんもほら」

魔女「ああ」

勇者「……やばそうな人でも？」

魔女「あまり上手に出ない方がいいかもね」

勇者「肝に銘じておきます」

女エルフ「刺激さえしなければ、長老は温和な方だ。言葉には気をつけるように」

女エルフ「この中だ」

560 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:56:29.19 ID:ZPdxTHIlo

561 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/03(月) 23:56:44.90 ID:HDJzd2EXo

勇者「……」ﾃｸﾃｸ

魔女「……」

女エルフ「……」ｶﾞﾁｬﾝ

勇者「……広間、ですか」

魔女「……いるね」

勇者「何処に……」

「よくぞ参った」

勇者「……」

瞬き。眩しさに目を細め、再び開くと――目の前に、濡羽色のローブを纏った老人が現れていた。
魔女は眉を寄せる。正面に対峙する小柄なエルフから、波々と発せられる魔力の量たるや。
魔法が封じられたこの地においても、そのオーラはしっかりと認識できた。

長老「儂がこの森の長老じゃ。北の魔女、そして――勇者よ」

562 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:56:55.99 ID:ZPdxTHIlo

563 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:57:22.20 ID:ZPdxTHIlo

564 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/03(月) 23:57:27.29 ID:HDJzd2EXo

勇者「……何故、僕の名前を？」

長老「……お主たちが此処に来ることは分かっていた。数日前のことじゃ」

魔女「数日前？」

長老「儂の千里眼は本来、事象の発生する遥か前から把握出来る。こんなことは初めてであった。まるで、物語の頁が途中で書き換わったように、唐突に入り込んできた」

勇者「……」

長老「旅人たちよ。お主らがこの森の先を目指していることは知っておる。しかし今、この森には大いなる害悪が忍び込んでいる」

魔女「大いなる害悪？」

長老「魔物だ。それも、自生する能力を得たものたち」

魔女「……なんだと？」

勇者「魔物は、生命力の低さから自然には存在していないのでは？」

長老「そう。それが、一般的な魔物の認識」

565 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:57:53.98 ID:ZPdxTHIlo

566 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/03(月) 23:58:16.90 ID:HDJzd2EXo

魔女「……この近くに、人間の研究所でもあるのか」

長老「森の中は勿論、この森の周囲に、そのようなものは存在しておらんよ」

魔女「……じゃあ何が原因だ？」

長老「ふむ……それが分かれば、苦労はしない」

魔女「……あっそ。とにかく、理解不明の魔物が森を荒らしている、と」

長老「今はまだ良い。じゃが、あの者らは着実に力を蓄え、やがてこの森を喰らい尽くすじゃろう。それだけは阻止せねばならぬ」

長老「そこで。お主たちの力を借りたい」

勇者「……依頼、って奴ですね？」

長老「そうじゃ。お主たちの仕事は、この森に忍び込んだ害悪の駆逐。報酬として、南方への安全な道を教えよう。悪い取引では無いと思うが」

魔女「それじゃただの慈善活動だぜ。もっと色をつけてもいいんじゃないかね」

長老「ほう。北の魔女ともあろう者が、我らエルフの力を借りるとな？」

魔女「なにかと金がかかる旅でね。プライドがどうのこうの言ってらんないのさ」

567 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:58:23.89 ID:ZPdxTHIlo

568 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:58:49.22 ID:ZPdxTHIlo

569 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/03(月) 23:59:07.43 ID:HDJzd2EXo

長老「……良かろう。無事に仕事を終えたなら、戻ってきたまえ。報酬を考えておこう」

魔女「おーけい。契約完了だ」

勇者「異論はありませんが……具体的に、どのような魔物がいるんですか？」

長老「見れば分かる……とでも言おうか」

魔女「ひねくれてんな」

長老「なあに、お主らなら苦労なく倒せるだろう。女エルフよ」

女エルフ「はい」

長老「この者らと共に行きなさい。良い報告を期待しておる」

女エルフ「分かりました」

570 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:59:15.14 ID:ZPdxTHIlo

571 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/03(月) 23:59:42.78 ID:ZPdxTHIlo

572 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:00:09.20 ID:2AGn9lnbo

573 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/04(火) 00:00:10.22 ID:tji42F/6o

――

勇者「結局どんな魔物がいるのか教えてもらえませんでしたね」

魔女「もったいぶってる場合なのかと」

女エルフ「長老も何か考えがあってのことなのだろう」

魔女「意地悪されてるようにしか思えんがな」

勇者「初見でなんとかなれば良いのですが」

魔女「頼りにしてるよ。私は戦力にならないからね」

勇者「ああ、そうか……」

女エルフ「奴らが目撃されたのは西――森の中心からは離れているが、徐々に近付きつつある」

勇者「他に討伐部隊は？」

女エルフ「今は……活動していない筈だ」

勇者「じゃあ僕たちだけで」

女エルフ「そうなるな」

勇者「はぁ」

574 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:00:39.02 ID:2AGn9lnbo

575 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:01:23.83 ID:2AGn9lnbo

576 ：1 ◆YYyrBldziw [saga]：2012/09/04(火) 00:01:39.66 ID:tji42F/6o

女エルフ「案ずるな、私も微力ながら助勢する。獅子奮迅の活躍に期待しているぞ、勇者殿」

勇者「……あんまりエルフらしくない方ですね」

女エルフ「そうか？　私は……所謂、移民だからな。外の世界も少なからず見てきた。お前たちのような人間もな」

魔女「私は人間じゃねーけどな」

勇者「細かいですね」

女エルフ「名前は聞いている、北の魔女。しかし……どうしてこんな森に？」

魔女「首都に行きたいのよ」

女エルフ「……そうか。まあ、詮索するようなことでも無いか」

魔女「ん。今は魔物退治のことだけ考えてりゃいいさ。な、勇者」

勇者「そーですね」

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

今回はここまで。

577 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:01:53.03 ID:2AGn9lnbo

578 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:02:18.57 ID:2AGn9lnbo

579 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:02:46.18 ID:2AGn9lnbo

580 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:03:16.09 ID:2AGn9lnbo

581 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:03:37.56 ID:4JHxS6Cyo

>>576
おつ

582 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:03:41.83 ID:2AGn9lnbo

583 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:04:11.37 ID:2AGn9lnbo

584 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:04:39.02 ID:2AGn9lnbo

585 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:05:04.69 ID:2AGn9lnbo

586 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:05:31.84 ID:2AGn9lnbo

587 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:05:57.46 ID:2AGn9lnbo

588 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:06:29.21 ID:2AGn9lnbo

589 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:06:57.94 ID:2AGn9lnbo

590 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:07:23.81 ID:2AGn9lnbo

591 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:07:50.61 ID:2AGn9lnbo

592 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:08:24.74 ID:2AGn9lnbo

593 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:08:50.21 ID:2AGn9lnbo

594 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:09:19.80 ID:2AGn9lnbo

595 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:09:51.36 ID:2AGn9lnbo

596 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]：2012/09/04(火) 00:10:03.21 ID:pqMjs54lo

おつ

597 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:10:20.15 ID:2AGn9lnbo

598 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/09/04(火) 00:10:29.81 ID:RWI+FhJ5o

おつ

このまま埋める気じゃねえだろうな

599 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:10:45.99 ID:2AGn9lnbo

600 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:11:11.40 ID:2AGn9lnbo

601 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:11:38.84 ID:2AGn9lnbo

602 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:12:12.07 ID:2AGn9lnbo

603 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 00:12:39.14 ID:2AGn9lnbo

604 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 00:13:04.75 ID:2AGn9lnbo

605 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 00:13:30.28 ID:2AGn9lnbo

606 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 00:13:59.30 ID:2AGn9lnbo

607 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 00:14:26.55 ID:2AGn9lnbo

608 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 00:14:56.49 ID:2AGn9lnbo

609 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 00:15:23.00 ID:2AGn9lnbo

610 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 00:15:49.62 ID:2AGn9lnbo

611 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 00:16:15.21 ID:2AGn9lnbo

612 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 00:16:53.91 ID:2AGn9lnbo

613 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 00:17:19.55 ID:2AGn9lnbo

614 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 00:17:50.65 ID:2AGn9lnbo

615 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 00:19:52.41 ID:2AGn9lnbo

616 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 01:58:12.51 ID:Vc+Mr8WDO

おつ

これ、自分なら書く気失せるな。そうならないで欲しいところ

617 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]：2012/09/04(火) 02:53:37.96 ID:hKRA1A1co

乙

創造主が倒されないよう、こちらの世界に刺客・チーナを送り込んで来たか…

618 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]：2012/09/04(火) 05:46:50.99 ID:PYWkedcZo

なんだってこのスレこんなに荒らされてるんだ
こういったスタイルのSSなど他にもあろうに

619 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/09/04(火) 06:11:29.80 ID:q4lZBd9so

荒らしに理屈なんか通用しない、気にくわないと思ったら荒らす

620 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]：2012/09/04(火) 06:13:35.67 ID:bHx9kwCRo

最初に噛み付いた時、賛意を得られなかったんで、その腹いせだろ。

ワシの言うことが理解できんアホを懲らしめてやるのぢゃ～！()とかってな。

下手人は甘ったれの平和ボケってことさ。
しかもＩＤ晒してる。

621 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 07:32:39.98 ID:FqSCIksCo

乙

ｶﾞﾝﾊﾞﾚｰﾏｹｰﾝﾅｰﾁｰｶﾗﾉｶｷﾞｰﾘｲｰｷﾃｰﾔﾚｰ

622 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]：2012/09/04(火) 08:34:23.88 ID:cSeGHrSvo

乙

623 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 08:53:52.43 ID:xGi6/6LKo

624 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 08:54:20.45 ID:xGi6/6LKo

625 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 08:54:49.12 ID:xGi6/6LKo

626 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 08:55:16.37 ID:xGi6/6LKo

627 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 08:55:45.33 ID:xGi6/6LKo

628 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 08:56:14.00 ID:xGi6/6LKo

629 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 08:56:41.17 ID:xGi6/6LKo

630 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 08:56:43.68 ID:a9ULenwIO

おはよう。
理想的な睡眠時間だね

631 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 08:57:06.82 ID:xGi6/6LKo

632 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 08:57:32.71 ID:xGi6/6LKo

633 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 08:57:58.41 ID:xGi6/6LKo

634 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 08:58:24.30 ID:xGi6/6LKo

635 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 08:58:52.61 ID:xGi6/6LKo

636 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 08:59:18.66 ID:xGi6/6LKo

637 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]：2012/09/04(火) 08:59:22.41 ID:TjSj3Emso

スレの最初の方も荒らされてたんだよな
このスレの何が気に入らないんだか

638 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 08:59:47.12 ID:xGi6/6LKo

639 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:00:14.65 ID:xGi6/6LKo

640 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:00:40.45 ID:xGi6/6LKo

641 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:01:09.82 ID:xGi6/6LKo

642 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:01:35.65 ID:xGi6/6LKo

643 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:02:03.00 ID:xGi6/6LKo

644 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:02:29.64 ID:xGi6/6LKo

645 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:02:58.42 ID:xGi6/6LKo

646 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:03:28.61 ID:xGi6/6LKo

647 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:03:55.20 ID:xGi6/6LKo

648 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:04:23.15 ID:xGi6/6LKo

649 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:04:49.79 ID:xGi6/6LKo

650 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:05:16.16 ID:xGi6/6LKo

651 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:05:42.29 ID:xGi6/6LKo

652 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]：2012/09/04(火) 09:05:45.49 ID:/gNtyKxjo

がんばるなあ

653 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:06:08.32 ID:xGi6/6LKo

654 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:06:35.34 ID:xGi6/6LKo

655 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:07:02.81 ID:xGi6/6LKo

656 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:07:28.50 ID:xGi6/6LKo

657 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:07:54.24 ID:xGi6/6LKo

658 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:08:21.87 ID:xGi6/6LKo

659 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:08:49.25 ID:xGi6/6LKo

660 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:09:17.31 ID:xGi6/6LKo

661 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:09:43.23 ID:xGi6/6LKo

662 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:10:11.41 ID:xGi6/6LKo

663 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:10:37.76 ID:xGi6/6LKo

664 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:11:07.02 ID:xGi6/6LKo

665 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:11:32.88 ID:xGi6/6LKo

666 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:11:58.43 ID:xGi6/6LKo

667 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:12:24.56 ID:xGi6/6LKo

668 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:12:53.75 ID:xGi6/6LKo

669 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:13:20.02 ID:xGi6/6LKo

670 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:13:46.06 ID:xGi6/6LKo

671 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:14:12.94 ID:xGi6/6LKo

672 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:14:38.54 ID:xGi6/6LKo

673 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:15:05.88 ID:xGi6/6LKo

674 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:15:33.82 ID:xGi6/6LKo

675 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:15:59.72 ID:xGi6/6LKo

676 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:16:25.54 ID:xGi6/6LKo

677 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:16:51.80 ID:xGi6/6LKo

678 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:17:17.92 ID:xGi6/6LKo

679 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:17:44.57 ID:xGi6/6LKo

680 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:18:11.29 ID:xGi6/6LKo

681 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:18:39.34 ID:xGi6/6LKo

682 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:19:07.19 ID:xGi6/6LKo

683 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:19:33.51 ID:xGi6/6LKo

684 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:19:59.79 ID:xGi6/6LKo

685 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:20:29.24 ID:xGi6/6LKo

686 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:20:57.91 ID:xGi6/6LKo

687 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:21:37.30 ID:xGi6/6LKo

688 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:22:06.38 ID:xGi6/6LKo

689 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:22:35.16 ID:xGi6/6LKo

690 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:23:01.26 ID:xGi6/6LKo

691 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:23:27.45 ID:xGi6/6LKo

692 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:23:54.63 ID:xGi6/6LKo

693 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:24:20.42 ID:xGi6/6LKo

694 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:24:46.96 ID:xGi6/6LKo

695 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:25:14.40 ID:xGi6/6LKo

696 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:25:43.17 ID:xGi6/6LKo

697 ：VIPにかわりましてNIPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:26:01.94 ID:NqCUPRTUo

羨ましいな暇そうで

698 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:26:10.74 ID:xGi6/6LKo

699 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:26:39.44 ID:xGi6/6LKo

700 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:27:05.88 ID:xGi6/6LKo

701 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:27:31.73 ID:xGi6/6LKo

702 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:27:57.56 ID:xGi6/6LKo

703 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:28:38.82 ID:xGi6/6LKo

704 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 09:29:05.45 ID:xGi6/6LKo

705 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]：2012/09/04(火) 16:04:56.06 ID:m/nNiQdpo

30秒ごとにシコシコと手動で同じAA貼り付けるとかご苦労様

706 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]：2012/09/04(火) 18:44:18.55 ID:IxeAdLWAo

なにをやらせても中途半端なんだよな
いらん自己主張なんかしなけりゃいいのに

707 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 18:58:41.02 ID:/wQxpgAxo

荒らしは無視しろよ
何で荒らしを煽ってんの？
構ったら、規制されるものもされなくなるだろ

708 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 19:57:40.24 ID:ecMEPzs8o

709 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 19:58:18.30 ID:ecMEPzs8o

710 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 19:58:40.13 ID:ecMEPzs8o

711 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 19:59:08.00 ID:ecMEPzs8o

712 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 19:59:36.28 ID:ecMEPzs8o

713 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:00:04.07 ID:ecMEPzs8o

714 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:00:33.21 ID:ecMEPzs8o

715 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:01:04.74 ID:ecMEPzs8o

716 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:01:31.37 ID:ecMEPzs8o

717 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:01:57.42 ID:ecMEPzs8o

718 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:02:23.46 ID:ecMEPzs8o

719 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:02:49.60 ID:ecMEPzs8o

720 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:03:46.33 ID:ecMEPzs8o

721 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:04:13.07 ID:ecMEPzs8o

722 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:04:45.13 ID:ecMEPzs8o

723 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:05:13.34 ID:ecMEPzs8o

724 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:05:40.31 ID:ecMEPzs8o

725 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:06:13.57 ID:ecMEPzs8o

726 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:06:39.34 ID:ecMEPzs8o

727 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:07:07.74 ID:ecMEPzs8o

728 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:07:38.00 ID:ecMEPzs8o

729 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:08:09.96 ID:ecMEPzs8o

730 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:08:35.70 ID:ecMEPzs8o

731 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:09:01.94 ID:ecMEPzs8o

732 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:09:29.27 ID:ecMEPzs8o

733 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:10:03.81 ID:ecMEPzs8o

734 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:10:30.83 ID:ecMEPzs8o

735 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:10:57.93 ID:ecMEPzs8o

736 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:11:24.05 ID:ecMEPzs8o

737 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:11:49.76 ID:ecMEPzs8o

738 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:12:16.74 ID:ecMEPzs8o

739 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:12:43.32 ID:ecMEPzs8o

740 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:13:10.35 ID:ecMEPzs8o

741 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:13:36.65 ID:ecMEPzs8o

742 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:14:07.87 ID:ecMEPzs8o

743 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:14:33.65 ID:ecMEPzs8o

744 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:15:01.02 ID:ecMEPzs8o

745 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:15:29.52 ID:ecMEPzs8o

746 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:15:57.86 ID:ecMEPzs8o

747 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:16:28.27 ID:ecMEPzs8o

748 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:16:55.12 ID:ecMEPzs8o

749 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:17:23.72 ID:ecMEPzs8o

750 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:17:49.40 ID:ecMEPzs8o

751 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:18:17.98 ID:ecMEPzs8o

752 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:18:46.22 ID:ecMEPzs8o

753 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:19:11.73 ID:ecMEPzs8o

754 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:19:39.57 ID:ecMEPzs8o

755 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:20:06.23 ID:ecMEPzs8o

756 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:20:34.79 ID:ecMEPzs8o

757 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:21:00.54 ID:ecMEPzs8o

758 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:21:26.23 ID:ecMEPzs8o

759 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:21:53.29 ID:ecMEPzs8o

760 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:22:19.59 ID:ecMEPzs8o

761 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:22:47.94 ID:ecMEPzs8o

762 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:23:13.56 ID:ecMEPzs8o

763 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:23:39.88 ID:ecMEPzs8o

764 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:24:06.89 ID:ecMEPzs8o

765 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:24:37.51 ID:ecMEPzs8o

766 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:25:04.56 ID:ecMEPzs8o

767 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:25:37.72 ID:ecMEPzs8o

768 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:26:04.26 ID:ecMEPzs8o

769 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:26:30.42 ID:ecMEPzs8o

770 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:26:58.24 ID:ecMEPzs8o

771 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:27:26.84 ID:ecMEPzs8o

772 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:27:52.65 ID:ecMEPzs8o

773 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:28:18.70 ID:ecMEPzs8o

774 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:28:44.53 ID:ecMEPzs8o

775 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:29:11.71 ID:ecMEPzs8o

776 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:29:44.78 ID:ecMEPzs8o

777 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:30:11.49 ID:ecMEPzs8o

778 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:30:46.60 ID:ecMEPzs8o

779 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:31:13.27 ID:ecMEPzs8o

780 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:31:44.87 ID:ecMEPzs8o

781 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:32:16.54 ID:ecMEPzs8o

782 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:32:47.42 ID:ecMEPzs8o

783 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:33:13.62 ID:ecMEPzs8o

784 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:35:44.75 ID:ecMEPzs8o

785 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 20:36:07.97 ID:sT/mjfJ5o

荒巻に言ってるのにまったく対処しない
反応もなし

786 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:36:10.93 ID:ecMEPzs8o

787 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:36:36.93 ID:ecMEPzs8o

788 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:37:11.74 ID:ecMEPzs8o

789 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:37:39.02 ID:ecMEPzs8o

790 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:38:05.76 ID:ecMEPzs8o

791 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:38:31.37 ID:ecMEPzs8o

792 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:39:05.43 ID:ecMEPzs8o

793 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:39:33.58 ID:ecMEPzs8o

794 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:40:19.74 ID:ecMEPzs8o

795 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:40:50.72 ID:ecMEPzs8o

796 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:41:19.91 ID:ecMEPzs8o

797 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:41:48.98 ID:ecMEPzs8o

798 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:42:16.73 ID:ecMEPzs8o

799 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:42:45.14 ID:ecMEPzs8o

800 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:43:12.38 ID:ecMEPzs8o

801 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/04(火) 20:43:39.58 ID:ecMEPzs8o

802 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 20:58:11.80 ID:vS2sTOgIO

>>785
アレは何もせんよ。

803 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/04(火) 21:01:04.06 ID:sT/mjfJ5o

>>802
知ってる
でも、以前は埋め立て荒らしじゃないからスルーしろって言っていた
今回は埋め立て荒らしであることは確定的
だから、何かしらの反応をしてくれるかと少し期待してた
でも実際は以前よりもひどい、何も反応無しだった

804 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]：2012/09/04(火) 21:07:43.82 ID:cSeGHrSvo

容量オーバー狙いは対象外ですｷﾘｯ

805 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]：2012/09/04(火) 21:22:30.36 ID:yGfvSjXMo

>>803
あいつはもっとメジャーな板をやりたいからサボタージュなんだよ。つまり無意味。

806 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 13:53:57.94 ID:EnM3s2om0

807 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 13:54:26.37 ID:EnM3s2om0

808 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 13:54:59.73 ID:EnM3s2om0

809 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 13:55:31.13 ID:EnM3s2om0

810 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 13:56:02.57 ID:EnM3s2om0

811 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 13:56:35.43 ID:EnM3s2om0

812 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 13:57:04.84 ID:EnM3s2om0

813 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 13:58:13.61 ID:EnM3s2om0

814 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 13:58:56.45 ID:EnM3s2om0

815 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 13:59:24.41 ID:EnM3s2om0

816 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:00:06.10 ID:EnM3s2om0

817 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:00:35.22 ID:EnM3s2om0

818 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:01:04.14 ID:EnM3s2om0

819 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:01:43.60 ID:EnM3s2om0

820 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:02:40.43 ID:EnM3s2om0

821 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:03:10.82 ID:EnM3s2om0

822 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:03:39.36 ID:EnM3s2om0

823 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:04:06.68 ID:EnM3s2om0

824 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:04:37.50 ID:EnM3s2om0

825 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:05:04.88 ID:EnM3s2om0

826 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:05:33.13 ID:EnM3s2om0

827 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:05:59.23 ID:EnM3s2om0

828 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:06:31.12 ID:EnM3s2om0

829 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:07:00.64 ID:EnM3s2om0

830 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:07:32.20 ID:EnM3s2om0

831 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:08:22.15 ID:EnM3s2om0

832 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:08:54.96 ID:EnM3s2om0

833 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:09:22.75 ID:EnM3s2om0

834 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:09:51.82 ID:EnM3s2om0

835 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:12:21.39 ID:EnM3s2om0

836 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/05(水) 14:12:53.94 ID:EnM3s2om0

837 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/09/05(水) 19:53:42.63 ID:mDIaP2oyo

仕事しようぜ荒巻

838 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/05(水) 21:55:58.38 ID:z/71LC3IO

IQZ8RWBQ
忙しいな()

なぁにが単行本だあっ！負け犬が！！

839 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/05(水) 21:56:26.62 ID:z/71LC3IO

演ってんのは荒巻だそ、？

840 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]：2012/09/05(水) 22:34:42.54 ID:+Q/Akl4Eo

さて、どのスレから報復しようかねえ。

841 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/05(水) 22:48:05.88 ID:R1RoXpsIO

誰と戦ってんの？何この流れ

842 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]：2012/09/05(水) 23:27:03.30 ID:tLnK9+H7o

>>841
荒巻と戦ってんの

843 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]：2012/09/06(木) 00:02:44.72 ID:UThrHRXDo

お前ら荒らさずにNG設定にできないのか…？

844 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 00:04:03.69 ID:XLJ4WN/IO

僕のファンかな？

845 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]：2012/09/06(木) 00:04:30.78 ID:/JAd/lRxo

>>843
何度も何度も何度も何度も報告してるのにスルーされたら、愚痴りたくもなる

846 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]：2012/09/06(木) 00:10:57.22 ID:UThrHRXDo

>>845
頼むからここ以外でやってくれない？

847 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]：2012/09/06(木) 00:12:20.86 ID:/JAd/lRxo

>>846
了解、自治スレいく

848 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) ：2012/09/06(木) 04:18:09.43 ID:1UcuJILdo

凄まじい程の大量更新だとｗｗｋｔｋしながら開いたら荒れに荒れていたで御座る

849 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]：2012/09/06(木) 04:18:42.47 ID:1UcuJILdo

ごめんageちまった・・・orz

850 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:20:30.75 ID:NAigk/HAo

彡ｨ　/　　　 /　　/ 　　　　　 _. -}- |、ヽ　　｜∨ノ／ﾉ
/'｜｜　　　 { 　 ∧- :　｜　　 |:　ﾊ　ﾄ、　|　　 |　 ':ー '⌒ヽ、
、｜｜　　　|∧'´|　ヽ {　｜　　 :j | /　V　ヽ |:.　|｜　Vハ　ヽゝ
ヽ |　j :　　 |　ヽ!　　＼ |:　　　/ j/.ｨﾁ丁ミjハ: ﾄ:l　　 |　 :,　}ﾘ
: :｜｜　　｜　ｨﾁ丁ミヽ＼{ヽ/　〃　ノ　ハ: }|｜l　　 | イ}／
ヽ |　　　　　|/:/、ノ　ハ　　　　　うｰｲ　 }' | j 　　 |
　｜　ヽ:{＼:ﾄ {　うｰｲ　　　　　　　　乂(ﾉン　 j/　　　｜
｀Ｔl　　＼ヾ　乂(ﾉン　　　　　　　 l''｢￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　|:|　　　　 {:ﾊ　:::::::　　　　　 '　　　　 | |
　|ﾊ {　　 {: ｀∧　　　　　　　　　　 ,　　 | |
　|　ヽ　　＼: : ヽ　　　　　　｀¨ ´　　　 | |
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　|　| ＼:} : ヽ: : ｉﾄ､: jｘィi`　　　＿.　彡 "￣＼　　　　ｄ⌒)　､_,ﾉ　.cト､　ﾚ　ﾉ
　ヽ:| 　ﾉノV＼:ﾄj ／::/ハ　　　 /　ー‐= ､　ヽ
　　　　　　 _.　''´:::::::{'　 }　　　 /　　｀¨¨ヽ　}ｰ‐'
　　　　／´::::::::::::::::::ヽ　　　 / 　　 ‐┐ }､_)

851 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:20:56.23 ID:NAigk/HAo

852 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:21:25.03 ID:NAigk/HAo

853 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:21:50.76 ID:NAigk/HAo

854 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:22:16.55 ID:NAigk/HAo

855 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:22:42.28 ID:NAigk/HAo

856 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:23:09.54 ID:NAigk/HAo

857 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:23:37.71 ID:NAigk/HAo

858 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:24:03.37 ID:NAigk/HAo

859 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:24:31.56 ID:NAigk/HAo

860 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:24:57.31 ID:NAigk/HAo

861 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:25:24.71 ID:NAigk/HAo

862 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:25:50.15 ID:NAigk/HAo

863 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:26:17.14 ID:NAigk/HAo

864 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:26:45.99 ID:NAigk/HAo

865 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:27:11.68 ID:NAigk/HAo

866 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:27:39.31 ID:NAigk/HAo

867 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:28:05.61 ID:NAigk/HAo

868 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:28:32.47 ID:NAigk/HAo

869 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:29:02.21 ID:NAigk/HAo

870 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:29:29.65 ID:NAigk/HAo

871 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:29:58.14 ID:NAigk/HAo

872 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:30:28.30 ID:NAigk/HAo

873 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:31:01.61 ID:NAigk/HAo

874 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:31:28.93 ID:NAigk/HAo

875 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:31:56.56 ID:NAigk/HAo

876 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:32:23.59 ID:NAigk/HAo

877 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:32:49.19 ID:NAigk/HAo

878 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:33:17.44 ID:NAigk/HAo

879 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:33:44.43 ID:NAigk/HAo

880 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:34:21.29 ID:NAigk/HAo

881 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:34:49.78 ID:NAigk/HAo

882 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:35:15.38 ID:NAigk/HAo

883 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:35:41.74 ID:NAigk/HAo

884 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:36:10.28 ID:NAigk/HAo

885 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:36:41.41 ID:NAigk/HAo

886 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:37:07.22 ID:NAigk/HAo

887 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:37:34.00 ID:NAigk/HAo

888 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:37:59.88 ID:NAigk/HAo

889 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]：2012/09/06(木) 21:38:21.90 ID:9SUk7UVv0

なんか久々に見てみたら本格的にキモイのが湧いてた。

まあ取り敢えず1乙！

890 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:38:25.05 ID:NAigk/HAo

891 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:38:50.95 ID:NAigk/HAo

892 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:39:17.53 ID:NAigk/HAo

893 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:39:43.86 ID:NAigk/HAo

894 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:40:11.89 ID:NAigk/HAo

895 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:40:38.26 ID:NAigk/HAo

896 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:41:08.39 ID:NAigk/HAo

897 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:41:35.64 ID:NAigk/HAo

898 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:42:01.91 ID:NAigk/HAo

899 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:42:34.33 ID:NAigk/HAo

900 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/06(木) 21:43:01.60 ID:NAigk/HAo

901 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]：2012/09/06(木) 23:32:41.46 ID:0fO2K9QXo

犯人は、どうせアニオタのヒッキーきちがいだろ。ほむら抱きまくら()とかキモイコレクションなアホとか。

902 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]：2012/09/06(木) 23:57:25.96 ID:eg0ROTJco

>>1が帰ってきてくれると良いなぁ

903 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]：2012/09/07(金) 08:21:56.75 ID:3rjFMo7zo

精神病んでるな…
大丈夫かな…
殺人起こしても不思議じゃないほどだ…

医者は何してるんだ？

904 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:36:21.06 ID:Edt9nZ5Mo

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905 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:36:48.67 ID:Edt9nZ5Mo

906 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:37:15.92 ID:Edt9nZ5Mo

907 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:37:41.89 ID:Edt9nZ5Mo

908 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:38:07.50 ID:Edt9nZ5Mo

909 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:38:33.27 ID:Edt9nZ5Mo

910 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:39:01.17 ID:Edt9nZ5Mo

911 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:39:27.18 ID:Edt9nZ5Mo

912 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:39:55.14 ID:Edt9nZ5Mo

913 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:40:23.27 ID:Edt9nZ5Mo

914 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:40:49.17 ID:Edt9nZ5Mo

915 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:41:15.16 ID:Edt9nZ5Mo

916 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:41:41.45 ID:Edt9nZ5Mo

917 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:42:07.68 ID:Edt9nZ5Mo

918 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:42:33.59 ID:Edt9nZ5Mo

919 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:42:59.39 ID:Edt9nZ5Mo

920 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:43:25.64 ID:Edt9nZ5Mo

921 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:43:53.42 ID:Edt9nZ5Mo

922 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:44:19.39 ID:Edt9nZ5Mo

923 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:44:47.50 ID:Edt9nZ5Mo

924 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:45:13.92 ID:Edt9nZ5Mo

925 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:45:39.81 ID:Edt9nZ5Mo

926 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:46:10.55 ID:Edt9nZ5Mo

927 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:46:37.03 ID:Edt9nZ5Mo

928 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:47:03.13 ID:Edt9nZ5Mo

929 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:47:31.26 ID:Edt9nZ5Mo

930 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:47:59.36 ID:Edt9nZ5Mo

931 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:48:27.63 ID:Edt9nZ5Mo

932 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/09/07(金) 17:48:53.22 ID:Edt9nZ5Mo

933 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/07(金) 19:01:07.82 ID:8yEvNDj5o

暇だなお前

934 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]：2012/09/07(金) 19:39:20.57 ID:jadpQ9R+0

別スレたてようぜ、頭の沸いてる荒らしが居る
それにこの作品好きだし、もっとよみたいし

935 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/07(金) 19:44:16.03 ID:qYrDEbIyo

>>934
どうなるにしてもスレの残り的に次スレは必至だろ
次>>1が来たときにその辺の判断してほしいな

936 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]：2012/09/07(金) 19:57:37.85 ID:f6pH3P9bo

俺もこの作品好き
続き読みたい

937 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]：2012/09/07(金) 23:28:36.00 ID:ERouwlXUo

埋められてもまた立てればいいだけだからな

938 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/08(土) 00:06:27.26 ID:OMkETxxzo

あきらめるなよ>>1

939 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]：2012/09/08(土) 00:20:47.98 ID:+0oi6L/qo

スレ立てて人気がでなくて僻んでるんだろうから気にするな

940 ：1 ◆YYyrBldziw [sage]：2012/09/08(土) 00:44:20.10 ID:xrlPYS9So

1です。携帯から失礼します。トリップ間違ってないかな。
現在パソコンに触れない状況でして、更新が難しくなっています。
次スレを立てるのは必至ですが、再発されても困りますし、別の掲示板で立てるつもりです。たぶん。
しかるべき処置をしてもらえるのが一番なのですが。

まあ、暫く更新は無理なので、このスレは荒らしさんにしこしこ埋めてもらおうかなと思っております。
ずっと読んできた方には、申し訳ない。

941 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]：2012/09/08(土) 01:01:29.90 ID:esy0/7Aqo

>>940
別の掲示板ってどこかは告知してもらえる？
でもそれしたらまた荒らしがそっちにいくか

942 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/09/08(土) 01:12:20.91 ID:CeV8Rv18o

次スレになれば消えるっしょ
別掲示板ならパート速報？

943 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]：2012/09/08(土) 06:18:55.86 ID:yGJyjTfO0

新スレ告知くれれば、引っ越し先言わなくても検索するからおｋ
荒らしまで引っ越して来られても嫌だし

944 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/08(土) 11:11:47.14 ID:nTbtxGtDO

少なくとも此処じゃ無ければマジキチに対してもう少しマシな対応するだろうから告知して欲しい

945 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/08(土) 13:13:16.30 ID:JkyKAL8So

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　　　　　　　　　人{　从{三三　　　　三三三}　},ﾊ_》
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1001 ：1001 ：Over 1000 Thread

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彼女が好き過ぎて辛い＠ 2012/09/08(土) 12:31:08.97 ID:ngpcSTs40
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一夏「誰か誘って遊びにでも行くか」＠ 2012/09/08(土) 12:19:52.59 ID:bbeF8U3AO
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昨日友達に連れて行かれて初めてパチンコ店に入ったんだけど＠ 2012/09/08(土) 11:23:29.36 ID:sWw0K0WP0
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やさしいA雑＠ 2012/09/08(土) 09:17:16.22 ID:RO1IZYKko
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ちんこ型の氷できたwww ＠ 2012/09/08(土) 08:11:40.25 ID:kcbEb7lTo
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ちんこそっくりの氷作ったったwww ＠ 2012/09/08(土) 08:05:34.90 ID:oZ1OnqOXo
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バーのマスターに一目惚れしました＠ 2012/09/08(土) 04:10:53.42 ID:3poY+w6AO
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変態のRPGツクールレッスン＠ 2012/09/08(土) 02:53:33.22 ID:MBis2w7so
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