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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その41 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/12(日) 22:17:20.68 ID:MgDgJ9Dzo
┏━ ノ ー‐  j  ji       |l|     _,,,,,_    ji     ji     i  i!  ,_,,xz   .|l| |l|   ┃
┃  -イ.ー┬‐ | ーチ‐      ||        |!  ーナ ̄|   ト-、  |  |!    /    ||  ||   ┃
┃.   │ _|   レ _ノ  `"⌒)  o     ,__,,」  ノ´ 、ノ   .|     丿   /^\  .o .o ━┛
                . ̄

――かつて、人間と魔族が共存し、争いを繰り広げていた時代……
   幻獣を召喚し魔物を倒す者がいた…。
   名を『召喚士』。後に『救世主』と呼ばれた者である……。


〜前回までのあらすじ〜

最初はただ、ちっぽけな存在に過ぎなかった。
数多くの出会いと別れ。そして戦いの中で強くなった。
長い歴史の中での、たったの5年の物語。
召喚士達の小さくて大きな旅。今ここに堂々の完結!


◆7xまとめ様(いつもありがとうございます!)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice.html

◆かぎまとめ様(日々のまとめありがとうございます!)
http://hookey.blog106.fc2.com/blog-entry-3022.html

◆キャラクター人気投票所(ありがとうございます!)
http://vote3.ziyu.net/html/cocka.html

◆絵とかのあぷろだ(支援ありがとうございます!)
http://ux.getuploader.com/cockatrice/

◆雑談スレ(オマケみたいなSSがあったりするとかしないとか)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1329994650/

◆前スレ(その40)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1340982413/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1344777440
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/12(日) 22:18:01.98 ID:MgDgJ9Dzo
◆過去ログ(その1〜39)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256864948/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257265640/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257266712/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258207232/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258977379/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1259802767/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1260686779/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1261734559/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1262770503/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1263825599/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1264909048/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266505073/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269413340/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272349542/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274882847/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276786014/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278595800/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1280599031/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282639369/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285213402/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1290677469/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1292945466/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294929946/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297002187/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298556181/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300871942/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1303216728/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1305623043/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308493316/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1312161458/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1315821180/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1318927989/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322122521/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1324391535/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1327155768/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1329482009/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332420059/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1336978397/

◆あっちのスレ?(その1〜その2)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257262778/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1301828985/
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/12(日) 22:54:36.74 ID:GIteuSKC0
スレ立て乙です!!
4 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/12(日) 23:39:19.20 ID:MgDgJ9Dzo
〜本国〜

双子姉妹「空に……光が……っ」

赤い彗星「世界に再び……光が……」

 パアアアアァァァァ……

右大臣「やった……やったぞ。やったのだな……っ!」

エリート「見よっ、光だ!! 光が戻ったぞ!!」

男「おおおおぉぉぉーっ!!」

老人「世界が……救われたっ! 救われたのじゃ!」

占い師「陛下っ!」 タッタッタッ

記者「ど、どうなったのですか!?」

皇太子「信じた結果だ。皆の願いが通じたのだ! 信じる心が通じたのだ!」

占い師「――っ!!」

書家「うおおおぉっしゃああぁぁぁぁ!!」

高官「ありがとう、ありがとう……っ」

皇太子「あとは皆の無事を、帰還を待つばかりだ」
5 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/12(日) 23:39:55.87 ID:MgDgJ9Dzo
〜北関〜

騎士長「いよおぉっしゃああぁぁぁぁ!!」 ワアアアアァァァァ!!

左翼長「バカか。まだ……どうか分かんねーだろ」

騎士長「いーや、勝ったさ。俺の第六感がそう言ってる!!」

左翼長「けっ、アテになんねぇな」

騎士長「はあぁ……って、泣いてんのか!?」

左翼長「誰が泣くかアホ!!」

騎士長「ちょっとジーンときてんじゃねぇかよっ」

左翼長「そういうテメーこそ!!」

騎士長「そりゃあ泣くさ! 世界が救われたんだ! 泣くに決まってる!」

左翼長「ああそうかよ。じゃあ俺も泣くぞ」

騎士長「泣け泣けっ! みーんな泣け! 嬉しい時は泣いていいんだ!」

北関兵「泣きますっ! 泣かせて頂きます! くううぅぅぅぅ!!」

騎士長「でもよ、涙はとっとけよ! みんなが帰ってきた時のためによぉ!」

左翼長「はやきう戻ってこい……っ。最っ高の酒を用意しといてやっからなチクショウ!」
6 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/12(日) 23:40:31.08 ID:MgDgJ9Dzo
左翼長「早く戻ってこい……っ。最っ高の酒を用意しといてやっからなチクショウ!」



〜華国〜

三男「どうなったのだ!? 状況は!?」

側近「魔王は倒した……という事で宜しいのだよな!?」

白馬騎士「……恐らく、恐らくですが」

若文官「やった……っ」

老文官「報われた……全てが……っ!!」

白馬騎士「そうだっ、老将軍殿」 カツカツカツ

老将軍「……」

白馬騎士「老将軍殿っ! やりましたぞ!」 ガチャッ

老将軍「…………」

白馬騎士「老……将軍……殿……?」

老将軍「…………」

白馬騎士「……終わりましたよ。長きに渡る戦いが、終わったのです」

老将軍「…………」

 白馬騎士は眠る老将軍の瞼をそっと掌で閉じ、老人の胸の上で泣き崩れた。
7 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/12(日) 23:40:59.48 ID:MgDgJ9Dzo
〜東方〜

門番壱「見ろっ! お天道様だ!」

門番弐「てぇ事は……っ」

家老「上様達が、やってくれたのじゃよ」



侍女「御館様っ!!」

御館様「……ああ」

侍女「やった、やったぁ……っ」



女将「……ちゃんと、帰るべき所へ……帰ってらっしゃいな」



槍侶「……っ!」

槍兵長「大僧正っ、い……如何にお考えで?」

大僧正「か……勝ったのじゃよっ、勝ったのじゃ……!!」

槍侶「お、おぉ……おおおおぉぉぉぉーっ!!」
8 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/12(日) 23:42:10.44 ID:MgDgJ9Dzo
 闇に閉ざされた世界に再び持たされた太陽の光。

 その輝きは世界中の人々に歓喜と希望をもたらした。

鍛冶屋「夜が……終わった」

おかみ「長い長い夜だった……。でも、終わったんだね」

 小さな星々のように消えた命もあらば、また1つ生まれる命もある。

ナース「院長っ!」

ドクター「そのままっ、そう……よし! いいぞっ!」

赤子「ほぎゃーっ!! ほぎゃーっ!!」

ドクター「……元気な男の子ですよっ。おめでとうございます!」

母「うっ……うぅ……っ」 

 人間だけでなく、絆を繋いだ魔族も居る。

オーク「ハヌマーン様ぁ!!」

ハヌマーン「ああ。これで全て終わったのだ。そうですな、スグリーヴァ様」

 勇敢と無謀を履き違えず、慎重と臆病を履き違えず、

 自信と慢心を履き違えず、全員が勇者となった、1つとなった瞬間であった。
9 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/12(日) 23:42:48.50 ID:MgDgJ9Dzo


盗賊「魔道士、立てる?」

魔道士「……はい」 スッ

賢者「……終わったね……ふぅ」

魔法剣士「……ああ」

大軍師「重軽傷者はほぼ全員ですが、死者は0。最良の結果ですね」

青年兵「ええ。あとは……帰るだけです」

戦士「召喚士っ」

召喚士「戦士……」

剣士「召喚士くん、さぁ……つかまって!」

召喚士「ありがとうございます……。でも、俺よりも……」

玄武娘「っ!!」

サモナー「…………」

召喚士「サモナーさん、約束したんだ……っ。一緒に帰るって……!!」

玄武娘「サモナー様!」
10 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/12(日) 23:43:40.92 ID:MgDgJ9Dzo
西方司令「んで、どうやって出んだっけか? このままなんてオチはまっぴらだぞ」

大軍師「ご安心を。あの光目指して帰るだけです」

王子「さぁ帰ろう。光ある世界へ」

東方司令「……だな」 ザッ

青年兵「全員、中央へ」

 ザッザッザッザッ……ザザッ

大軍師「目を閉じて祈るだけです。帰るべき場所を」

白虎長「オッケーよ!」

同門「紅孩児、お前はどうする?」

紅孩児「……」

同門「魔王を目指すというのなら、地獄へ残ってもいいんだぞ?」

紅孩児「……俺はな、テメーらも支配しねぇと気が済まねぇんだよ!!」

同門「そうか。じゃあ共に行こう」

紅孩児「……ケッ」

男隊員「おーし、全員準備出来たぞ」
11 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/12(日) 23:44:43.19 ID:MgDgJ9Dzo
魔道士「……」

盗賊「……」

戦士「……」

召喚士「……行こう」

大軍師「では。導き給え……我らを!!」 カッ!!

 ガッカアアアアァァァァ―――――!!

召喚士『――――っ』

天才『そんじゃあな、召喚士』

ナイト『……ふっ』

お師匠『勇敢で、そして強かった。見事だ……勇者よ!』

召喚士『ありがとう……ございました――――』

 パアアアアァァァァ……

 雲の糸のように伸びる細い光を手繰り寄せ、一同は地上へと出る。

 暖かい朝日。さえずる小鳥。囁かな草木をなぞる風の声。

 何でもない景色が、彼らの胸には至福の褒美の様なものに感じた。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/13(月) 00:02:51.34 ID:K5AhXeRyo
>>1

大団円だな。なんか俺の目尻もじんじんしてきたよ…
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 00:34:09.26 ID:qrST41IiP
>>1おつ!!
後日談でこの後40スレも使うつもりとかさすが!!
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/13(月) 00:45:17.00 ID:srK612aAO
>>1おつ

15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 02:58:34.67 ID:AZh3DvTDO
いちょつ



いやああああああああああああ
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/13(月) 04:49:08.31 ID:VmC9PetG0
>>1 おつ
最後のスレか…名残惜しいなあ
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/13(月) 08:11:02.58 ID:XPGZKFPIO
誰が最後だといった?

ここからが本当のお話だ!
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/13(月) 08:50:29.50 ID:PlCKTRwAO
最後の最後に魔法剣士さんの見せ場があってホント、よかったよかった
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 11:02:53.17 ID:om5VPCg+o
やっと終わるのか
最後は期待してるぜ
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 14:00:08.01 ID:63Nh5aQGo
うーんどういうラストに持って行くのか。
楽しみ過ぎる。
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 15:19:45.69 ID:WwwTlX/DO
まさかの夢オチ
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 15:22:30.56 ID:pu4B00nqo
病院エンド
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 16:14:55.85 ID:cEL70gw7o
戦士「俺たちの戦いはこれからだ!」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 16:50:40.94 ID:spxkn7yN0
予想はよそうぜ(キリッ
25 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 17:52:43.00 ID:lN6++97go


女隊員「……ん」

東方司令「……?」 モゾッ

朱雀嬢「あ……っ」

格闘家「ここは」

同門「……地上だ……っ」

ジュニア「帰って……来たんだよなっ!? なぁ!!」

朱雀嬢「やれやれですわね……。ねぇ玄武娘……」

玄武娘「……っ」

朱雀嬢「……玄武……娘?」

玄武娘「どう……ですの? 召喚士さん」

召喚士「帰りましょうサモナーさん。あなたの家へ……帰りましょう」

美女「病院連れてった方が早いんじゃないのぉ?」

召喚士「戦いの前に言われたんです。病院ではもう手の施しようがない……って」

美女「……っ」
26 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 17:53:13.88 ID:lN6++97go
南方司令「このまま、眠りにつくのを待つだけという事か」

玄武娘「何でですのっ!!」

召喚士「……」

玄武娘「せっかく……せっかく魔王倒したのに……どうして……」

王子「彼の望みでもあったのだろう」

召喚士「……っ」

王子「神官が言っていた。彼はずっと、召喚獣になる事を夢見ていたと」

玄武娘「……」

王子「だがならなかった。彼は人間としての死を選んだのだな」

召喚士「うん。サモナーさんは……延命しようと思えばあと数年は出来たはずなんだ」

玄武娘「……っ」

召喚士「でもこの道を選んだ。みんなの為に、世界の為に……」

玄武娘「サモナー……様ぁ……っ」

召喚士「だから帰りましょう。あの美しい池のある家へ」 ザッ

サモナー「…………」
27 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 17:53:49.43 ID:lN6++97go
召喚士「きっと待っているはずですから。マーメイドさんが……待っていますから」

大軍師「……馬車を」

召喚士「時間がありません。行け、コカトリス」

 シュイイイイィィィィン

青龍士官「無茶です! 魔力がもつとは思えません」

召喚士「もつよ。もたせるよ絶対に……!!」

 バシュウウウウゥゥゥゥ!!

魔道士「召喚士さんっ!!」

青年兵「出でよ、ワイバーン!」

朱雀嬢「グリフォン!! 玄武娘っ、早く乗りなさい!」

玄武娘「朱雀嬢ちゃん……っ」

戦士「俺達も載せて行ってくれ!」

青龍士官「……ええい、どうなっても知りませんよ!」

青年兵「皆さんはひとまず大陸港の街で待機を!」

大軍師「畏まりました。お気を付けて」
28 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 17:54:46.89 ID:lN6++97go
 バッシュウウウウゥゥゥゥ……

コカトリス「……かろうじてだな」

召喚士「枯渇してもいい、サモナーさんが眠る前に絶対に――」

サモナー「召喚士くん」

召喚士「――!?」

サモナー「ここはどこだい? 風が……心地良いね」

召喚士「サモナーさ……ん……」

サモナー「何だか空が高く感じる。太陽の光だ」

召喚士「……ええ。……全て……終わりましたよ」

サモナー「そうか。それは良かった」

召喚士「だから、帰りましょう……サモナーさん」

サモナー「うん、そうだね。疲れてしまったようだ……とても……眠いんだ」

召喚士「もう少しですからっ、もうすぐ着きますから!」

サモナー「何だかすまないね。ありがとう」

召喚士「……っ」
29 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 17:55:28.82 ID:lN6++97go
 バシュウウウウゥゥゥゥ

玄武娘「追いつける……ですの?」

朱雀嬢「……厳しいかもしれないですわね」

戦士「大丈夫か?」

盗賊「……っ」

青龍士官「……な、何とか……っ」

魔道士「青年兵さん……っ」

青年兵「大丈夫ですっ、でも……」

ワイバーン「このペースでは届かぬな」

青年兵「ギリギリの所までは行きますから」

魔道士「……っ」

リンドヴルム「ムッ!?」 ガクンッ

戦士「お、おいっ!!」

青龍士官「はぁ……はぁ……はぁっ」

盗賊「しっかりしろっ」
30 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 17:56:33.42 ID:lN6++97go
青龍士官「疲労だけではない……、今までの召喚と何か……違う」

青年兵「青龍士官……?」 ガクンッ

ワイバーン「!?」

青年兵「ぐっ! 何だ!? 以前よりバランスが……っ」

青龍士官「ダメ……かっ」

 キラッ バシュウウウウゥゥゥゥ

青龍士官「……?」

青年兵「あ、あれは……っ!」

 バッシュウウウウゥゥゥゥ!!

竜騎士兵「やっぱりそうだっ! 隊長っ! 大元帥!」

青龍兵「隣に付けます! 飛び移って下さい!」

青龍士官「お前ら……っ」

龍騎士兵「ご無事で何より! 勝ったんですよねっ!?」

青龍士官「もちろんだ」

青龍兵「よおおぉぉぉぉっしゃああぁぁぁぁ!!」
31 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 17:57:02.29 ID:lN6++97go
竜騎士兵「それで、どちらに向かっているんです?」

青年兵「あのグリフォンを追ってくれ!」

青龍士官「まずいな……。グリフォンもかかなり不安定になっている」

朱雀嬢「う……っく」

玄武娘「朱雀嬢ちゃんっ、大丈夫ですの!?」

朱雀嬢「話しかけないでっ! 気が散る――」 グラァ

玄武娘「!?」

朱雀嬢「しま――――」

 バシュウウゥゥゥゥ ボフッ

青年兵「間に合った……っ!」 ダキッ

朱雀嬢「青年兵……さん……っ」

青年兵「青龍士官っ!!」

青龍士官「玄武先生も無事だ!」

玄武娘「ビ……ビックリしたですの……」

青年兵「このまま真っ直ぐ、召喚士さんを追ってくれ!」
32 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 17:57:31.29 ID:lN6++97go
〜封印の森〜

白虎嬢「あっ、馬車が来ましたねぇ〜」

 ガラガラガラッ ドドォ

本国兵「ご苦労様ですっ!! お待たせ致しました!!」

大軍師「それでは一先ず、大陸港の街まで移動致します」

男隊員「おい、行かねーのか?」

同門「……戦いは終わったんだ。もう群れる必要もない」

白虎長「寂しいこと言わないでよぉ。一緒に戦った仲じゃない」

大軍師「褒賞もございますし、一度本国へ来て頂けると……」

美女「うそっ!! マジ!?」

同門「そんなものの為に戦ったわけじゃない」

大軍師「ですが……」

同門「もういいだろう。1人にしてくれ」 ザッザッザッ……

紅孩児「……おい」

同門「……」 ピタッ
33 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 17:58:18.10 ID:lN6++97go
紅孩児「次に会う時は、どっちが本物の炎か……ケリつけっからな」

同門「また返り討ちにしてやる」

紅孩児「また!? おいコラ!! 俺様はテメーごときに1度も負けてねぇぞ!!」

同門「……」 ザッザッザッ……

紅孩児「……ケッ!」

剣士「紅孩児、君はどうするんだ?」

紅孩児「魔王が居なくなったってのに、ウロつくわけにもいかねーだろ」

弓使い「そりゃそうだけど……」

紅孩児「しばらくは安全な所へ避難してるよ。力が戻るまでな……ククク」

西方司令「何がクククだ。強がりやがって」

紅孩児「んだとぉ!? ウグッ……痛……っくねぇッ」

南方司令「はっはっは! 紅孩児、正義になれ! お前ならばなれる!」

紅孩児「うるせーバーカバーカ!! 二度と関わるな!!」 ババッ!!

幼女「あ……っ」

剣士「大丈夫……彼も分かってるよ」
34 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 17:59:19.73 ID:lN6++97go
大軍師「安全な場所など1つしかありませんからねぇ。ふっふ」

ジュニア「そんじゃ行こうぜ。もうクッタクタだよ。……あ、そうだ親父――」

戦士父「……そういえばどこへ行った?」

バーテン「さぁ。見てねーぞ?」

ジュニア「――!?」

 ババッ タタタッ……キョロキョロ

ジュニア「……っ」

戦士父「師匠の姿もないな」

バーテン「くたばったわけじゃねぇ。そのうち会えんだろ」

ジュニア「…………くそっ」

王子「さぁ行きましょうか」 スッ

帝「おお、すまぬ」 ススッ

王子「せっかくの美しい手が……汚れてしまいましたね」

帝「ふふっ、何だか照れくさいのう。もうマメやら傷やらでぼろぼろじゃ」

王子「今後はもう傷付く事もありませんよ。はははっ」
35 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 17:59:49.91 ID:lN6++97go


 バシュウウウウゥゥゥゥ

コカトリス「見えてきたぞ」

召喚士「……良かった。もう着きますよ、サモナーさん」

サモナー「うん……そうだね」

召喚士「……着地出来る?」

コカトリス「木々が多いが何とかなろうだろう」

召喚士「あっ!! あそこっ!! あの泉の所なら降りられる!?」

コカトリス「ああ。問題ない」

 バシュウウウウゥゥゥゥ……バサァ

召喚士「サモナーさんっ、着きましたよ!」

サモナー「……うん」

召喚士「さぁ、背中に」

サモナー「…………うん」

召喚士「よいっしょ! とりあえず泉のベンチに……」
36 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 18:00:16.70 ID:lN6++97go
サモナー「…………」

召喚士「サモナー……さん……?」

 ヨロッ……ヨロッ……テクテク……ザッ

召喚士「…………」

サモナー「…………」

召喚士「今……紅茶、淹れてきますね……」 テクテク

 バシュウウウウゥゥゥゥ!! ズザアアァァ

青年兵「召喚士さんっ!」

玄武娘「サモナー様!!」 ダッ

サモナー「…………」

玄武娘「サモ……ナ……様ああああぁぁぁぁ!!」 ガバッ!!

朱雀嬢「……っ」

魔道士「そ……んなぁ……っ」

サモナー『玄武娘』

玄武娘「っ!?」
37 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 18:00:43.11 ID:lN6++97go
サモナー『玄武娘、ありがとう』

玄武娘「そんな言葉ぁ!! 聞きたくないですのっ!!」

サモナー『ありがとう……ありがとう……』

玄武娘「嫌っ! 嫌っ! 嫌っ!! 嫌――」

朱雀嬢「玄武娘」

玄武娘「…………」

朱雀嬢「ちゃんと……挨拶なさいですわ……」

玄武娘「……ううぅぅぅぅ……ううぅぅっ」

サモナー『ありがとう……玄武娘』

玄武娘「どうしたしまして……ですの……」

サモナー『ありがとう玄武娘』

玄武娘「どういたしましてですのおおおおぉぉぉぉ!!」 ブワッ

サモナー『ありがとう……』

玄武娘「こちらこそおおぉぉ!! ありがとうですのおおぉぉ!!」 ボロボロボロッ

サモナー『……ありがとう』 スッ
38 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 18:01:11.93 ID:lN6++97go
魔道士「うっ、うぐ……っ。うっ、ひぐっ!」

盗賊「……っ」 グスッ

サモナー『召喚士くん』

召喚士「紅茶、ここに置いておきますね」 カチャッ

サモナー『ありがとう召喚士くん』

召喚士「ここに……ここ……っに……」 カチャカチャカチャ

サモナー『本当にありがとう……召喚士くん』

召喚士「……俺っ」

青年兵「……っ」

召喚士「サモナーさんと出会えていなかったら、ここまで来られなかった!!」

青龍士官「……くっ」

召喚士「召喚獣とこんなにも真剣に向き合って、理解して……っ!!」

戦士「……」

召喚士「サモナーさんのそんな姿を見たからこそっ、一人前の召喚士になれましたっ!!」

玄武娘「ひぐううぅぅぅぅ!! ぐすっ、ううっ、ううぅぅぅぅ……っ」
39 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 18:02:28.79 ID:lN6++97go
召喚士「だから一緒に見たかった!! このあとの世界を一緒にぃ!!」

さもなー『……ありがとう……召喚士くん』 パアァ

戦士「!?」

盗賊「い、泉……輝いて……っ」

玄武娘「サモナー様ああぁぁ!! 行っちゃ――」

マーメイド『みんな、本当にありがとう』 パアァ

召喚士「マーメイドさん……っ! サモナーさんを宜しくお願いしますっ!!」

サモナー『ありがとう……ありがとう……』 パアァ

マーメイド『さぁ、行きましょう……サモナー』

サモナー『これからはずっと一緒だ――』

マーメイド『ええ。いつまでもずーっと一緒に――』

 バシュウウウウゥゥゥゥン――――

召喚士「ありがとう……そして、さようなら……サモナーさん」

 光り輝く泉の中に、2人の男女が今……夫婦となりて消えゆく――。

 サモナー。享年34歳。
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/13(月) 18:11:06.04 ID:lN6++97go
とりあえずここまでにて失礼致します
宜しければご質問。最後はドバーっと投下するのと
今まで通り日刊でお届けするのとどっちがいいですかね…?
かなりキリ悪いところで区切る事になりそうなので…

多数のご支援ありがとうございます!それではまた!ノシ
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 18:34:14.23 ID:cg9cwhlDO
楽なほうでいいよ〜
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/08/13(月) 18:39:15.38 ID:rhqzYeCCo
イチオツ
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 18:51:22.86 ID:i6wMS9qDO
イチオツです。
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/13(月) 18:54:31.98 ID:PlCKTRwAO
日刊が良いなあ
一気に終わるのは寂しい
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/13(月) 19:00:08.97 ID:tWo/aWAAO
>>1
日刊で最後までドSっぷりを発揮して欲しいかな。

サモナーに合掌…
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/13(月) 19:42:46.88 ID:GtrZq2rVo
>>1

日刊で、何卒日刊で…いっきに終わっちゃうのは寂しすぎて死んじゃいあん
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/08/13(月) 20:30:27.62 ID:ZLJXCRwAo
ほんとにもう終わっちゃうの?
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 20:33:10.97 ID:iBLAYduDO
うおおおおおおおおお
本当に終わっちまうのかぁぁぁぁ

最近涙腺がががが

>>1
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 20:54:37.79 ID:spxkn7yN0
ん?
最後ッテナニ?
ナニモミエナイキコエナイ

>>1
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/08/13(月) 21:37:15.94 ID:JGLV6QQO0
最後は一気に読みたいが・・・


つД`)・゚・。・゚゚・*:.。..。.:*・゚

サモナーの代わりに自分が・・・


;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン

>>1
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 21:44:41.39 ID:y1Bt07lDO
本当に終わらせるつもり?

断固拒否する、謝罪と賠償を要求するぅ!!


あ、一気で
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 21:48:06.17 ID:y1Bt07lDO
そうだ、できれば最後にコテハン付けてくれないだろうか?
1の次回作が見たい…
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2012/08/13(月) 22:10:54.05 ID:ym/FQGzzo
あるじゃん
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 22:12:44.59 ID:x100Bu4No
おおおお!おつぅ!!

>>52
ここはNIPだぞ
酉付いとるから◆でさがしんしゃい
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 22:14:39.87 ID:x100Bu4No
IDが言っとる
これはまだ全体の、100分の4だとwwwwww
56 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 23:36:32.39 ID:k/ElQoYJo
魔道士「うぐっ、うっうっ……うぅ」

盗賊「……」

青龍士官「…………」

朱雀嬢「玄武……娘……っ」

玄武娘「うああああぁぁぁぁ……っ!!」

青龍士官「整列ううぅぅーっ!!」

青年兵「……?」

青龍士官「竜騎士隊ぃ! 英雄サモナー殿に……敬礼っ!!」

竜騎士兵「……」 ザザッ

青龍兵「……っ」 バッ

戦士「サモナーさんに……悔いはねぇよな」

召喚士「……うん……うんっ」

玄武娘「サモナー様ぁ! 私……頑張るっ、頑張るですのおおぉぉ!!」

召喚士「どうか見守って……照らして下さい。俺らの……道を」

57 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 23:37:57.21 ID:k/ElQoYJo
 それぞれの信念を貫いたそれぞれの戦い。

バーテン「あー疲れた……。しばらく休業だわこりゃ」 ガチャッ

戦士父「悪いが横にならせてくれ。もう動きたくない……」 ドサッ

青年「ままま魔道士ちゃああぁぁぁぁん」 ガチャッ!!

バーテン「休業中だバカヤロー!!」

 長いとも、短いとも言える人間と魔族の戦い。

ジュニア「お前はこれからどうすんだ?」

賢者「……そうだね……ふぅ」

火の先生「学園長の下に、我らと帰ろうぞ」

水の先生「そうだよ。君達も来てくれ。未来を繋ぐその為に」

 交錯する互いの想い、紡ぎだされる一筋の道。

女隊員「それじゃ帰るッスかね、隊長!」

男隊員「おうよ。帰ってガッツリ……そうだな、1ヶ月は有給取っかな。ヒャハハ!」

格闘家「そうですね。ゆっくりしたいですね」

ボス「戦い以外のことも、色々とね」
58 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 23:39:02.28 ID:k/ElQoYJo
 1つ1つの輝きは小さいけれど、それは世界中に散らばっている。

白虎嬢「おかえりなさい〜」

玄武娘「ううぅぅぅぅーっ! 白虎嬢ぢゃああぁぁん!」 ダキッ

白虎長「彼もやっと、ゆっくり出来るんだよね……」

朱雀嬢「自らが望んだ道ですわ。きっと……幸せですわよ」

 1つ1つは小さな光であろうとも、1つに集えば大きな光となる。

女王「お帰りなさい……王子っ」

王女「無事で……無事で何よりです……っ」

王子「ただいま母上、姉上」 ニコッ

 大きな光となった絆は、更なる大きな輝きを増す。

美女「……ただいま」

赤い彗星「……私はな、お前を今改めて、誇りに思うぞ」

 決して失われる事のない大きな輝き。消える事のない大きな光。

東方司令「司令部は解散。ボクは国軍を抜けるよ」

東方参謀「奇遇だな。ワシもそう考えていたところだ」
59 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 23:39:52.48 ID:k/ElQoYJo
 また再び闇が迫ろうとも、光は道を照らし続ける。

西方副司令「お帰りなさいっ、司令!」

西方魔道長「これでぜーんぶ、終わったんじゃよな?」

西方司令「ああ終わり終わり! もう何もしたくねぇぞクソバカヤロウチクショウ!!」

秘書「えーっ!? 私達も廃業〜?」

博士「何を言っているのら。これからがもっと大きな仕事になるのら!」

 人々の信じる力がある限り、決して終わる事のない。永遠に。

南方参謀「さぁーお祭りよっ、お祭り!」

南方副司令「気が早えぇっつーの」

南方魔道長「何はともあれご苦労さんだ」

南方司令「だから言ったであろう? 正義は勝つと!」

 誰かが不安を抱こうと、隣には必ず救いの手があるように。

弓使い「あーっ!! 洗濯物……干しっぱなし!!」

幼女「大丈夫だよ。いーっぱい報酬貰えるもんっ」

剣士「それもそうだね。これで故郷の村にも大きな恩返しが出来るよ。あははっ」
60 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 23:41:05.86 ID:k/ElQoYJo
〜本国、王宮〜

大軍師「以上、ご報告を終了致します」

エリート「全員無事、本当に最高の結果だ」

皇太子「ご苦労であった。皆には本国より多大なる報酬の手配を」

高官「勿論でございます。世界を救ったのですから」

右大臣「これでようやく、長い戦いから解放されたのだな」

占い師「ええ。私にも良い未来しか見えません……っ」 ウルウル

双子姉「ついに魔王サタンを倒して……」
双子妹「……世界が救われたのですわねっ」

〜王宮内〜

アマゾネス「ただいま、みんな」

おさげ「長ーっ!! おっかえりー!!」

色黒「やったやったやったぁ! 長が帰ってきたぁ〜!」

ポニテ「ねぇ長っ! アマゾネスの村に帰れるんだよねっ!?」

ツインテ「ふにゃあ〜っ、良かったにゃあ〜!!」
61 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 23:42:09.55 ID:k/ElQoYJo
〜とある小さな村〜

魔法剣士「……」

ケルベロス「ワンワンワンッ!」 タッタッタッ

魔法剣士「ただいま、ケルベロス」

ケルベロス「クゥ〜ン」 ペロペロ

魔法剣士「ありがとう。これでやっと……父さんや母さんや妹に報告出来るよ」 ニコリ

〜国軍本部〜

国軍兵「大元帥万歳ーっ!!」

竜騎士兵「青龍先生万歳ーっ!!」

白虎兵「白虎先生万歳ーっ!!」

青龍士官「やめてくれ。喜ばしい事ばかりじゃないんだ」

白虎長「今はいいじゃない。みんな苦労してここまで来たんだから」

青年兵「そうですね。身中はどうあれ、世界中の人々が歓喜に湧いているのですから」

青龍士官「青龍先生や総司令もきっと、喜んでいるよな」

青年兵「ああ。みんな笑顔だった。あれは幻影だったのかもしれないけれどね」 ニコッ
62 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 23:43:02.90 ID:k/ElQoYJo
〜東方、都〜

家老「上様っ、上様〜っ!!」

帝「皆、心配をかけたな」

女剣士「ご無事で何よりで御座りまする」

門番壱「万ー歳っ!!」

門番弐「万ー歳っ!!」

〜藤蔵〜

侍女「姫ーっ!! おかえり、おかえりー!!」 ギュウウゥゥ

盗賊「……た、ただいま」

くの一「良かった……本当に良か……っ」 グスッ

御館様「務め、ご苦労であった」

盗賊「父上……」

御館様「お前は藤蔵の、そして私の大切な宝だ。誇りに思うぞ盗賊」

盗賊「……ありが……っと御座りまする……っ」 ギュッ

御館様「大きくなったな。お前を抱きしめるのも……何年ぶりであろうかなぁ」
63 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 23:45:28.00 ID:k/ElQoYJo
〜魔道士の家〜

使い「お嬢さん!!」

魔道士「ただいまぁ」

大商家「魔道士……っ、よくぞ帰ってきてくれたっ。よくぞ……っ!」

魔道士母「あなたが無事、帰ってきた事が……私の最高の幸せですよ……!!」

魔道士「お父様、お母様。今まで本当に……ありがとう」 ギュッ

大商家「魔道士……前は私達の大切な、大切な娘だ……っ」

魔道士母「ええっ、そうよ! 私達の大事な宝物!」

魔道士「もちろんだよっ。私の尊敬する……大好きなお父様とお母様だものっ! えへへ!!」

〜戦士の故郷〜

青年「戦士さんっ!! やったね戦士さんっ!!」

幼馴染父「幼馴染は、力になってくれたかい?」

戦士「ええ。とても沢山の力をもらいました」

村長「良かった。戦士はこの村の……いーや、世界中の誇りじゃわい!」

戦士「おれもやっと、この村に恩返しができそうだよ。本当にありがとう。そしてただいま」
64 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 23:46:33.61 ID:k/ElQoYJo
〜師匠の家〜

召喚士「……」

コカトリス「……戦友は戻らんな」

召喚士「うん」

コカトリス「いいのか? 探さなくて」

召喚士「もし師匠が会いたければ、きっと自分から来るよ」

コカトリス「……ま、そういう輩だな」

召喚士「それに離れていても、生きてさえいてくれればそれでいいんだ」

コカトリス「またいつか会える……か」

召喚士「うん。会えるよ。いつだって会える。もう恐れるものなんて何もないんだから」

コカトリス「……そうだな」

召喚士「さて、少し休むとするよ」

コカトリス「ああ。ゆっくりと休むが良い」

召喚士「おやすみ……コカトリス」

コカトリス「ああ……おやすみ、召喚士」
65 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/13(月) 23:47:20.80 ID:k/ElQoYJo
 魔王サタン討伐の日。朝刊は少しだけ遅れて人々の手元へと届いた。

 その一面には大きく、太陽の写真が掲載されていた。

 その一面には大きく、世界に真の平和が訪れたと掲載されていた。

 英雄や救世主の名前はない。それは全員の意思であり、

 世界中の全ての人々がそうであったから。

 この日を境に魔族はひっそりと姿を消した。それは滅んだわけではない。

 負の力が消え、魔族は無意識に自然と、最南の地を目指していた。

 この日を境に国境という概念の意味は消えた。

 北関の長い地獄の壁も取り壊される事が決定付けられた。

 世界は文字通り1つとなった。まだ本当の1つではないけれどそれも時間の問題だ。

 そして長い歴史に終止符が打たれた。五カ年計画に終止符が打たれた。

 魔王討伐作戦に終止符が打たれた。魔王サタン攻略戦に終止符が打たれた。

 そして……召喚士達4人の冒険にも終止符が打たれた。



〜第六十三部、完〜
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/13(月) 23:48:38.82 ID:k/ElQoYJo
日刊の方が多いみたいなのでいつも通りいくます
残すはエピローグ!!次スレたんまり余ってるけどほんと申し訳ない!!

ご支援ありがとうでした!!それではおやすみなさい!!ノシ
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 23:50:07.60 ID:YFc7e13vo

長い間見守って来たけどついに終わりか
最後まで頑張ってくれ
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/13(月) 23:51:40.71 ID:z4apWobMo
乙!
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/08/13(月) 23:52:38.22 ID:sKF2V8BSo
乙!
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/08/14(火) 01:15:18.61 ID:fcLZOD5Po


終わってしまうのか・・・・・・
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/14(火) 01:33:17.56 ID:Xo/3ooPAO
>>1おつ

エピローグはたんまり長くしておくれよ
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/14(火) 04:32:19.49 ID:X3HySwhJ0
>>1おつんつん

全米が泣いた
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方) [sage]:2012/08/14(火) 06:24:57.82 ID:mZlwab6AO
乙!


ついにここまで来ちゃったのか、泣きそうってか泣いてるぜ……
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) :2012/08/14(火) 07:52:54.00 ID:Gisyb4wb0
>>1

この3年毎朝仕事前にこれ呼んで一日が始まってたよ
ありがとう
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/14(火) 07:55:30.45 ID:oNP/S3/AO
ケルベロスたんぺろぺろ
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/14(火) 07:59:43.16 ID:7z5jFuJIO
涙なしには語れない感動の数日だ
人生のゴールデンタイムを更に彩るプラチナ名作です

スレも残ってるから>>1様の今後についてぜひ聞かせていただきたい
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/14(火) 08:18:27.49 ID:C5ahcph/o
>>1

俺の3年間の日課をくれてありがとう!
仕事前の憂鬱なとき、仕事かえりの疲れたとき、いつもこれを読んで踏ん張らせてもらいました!
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/14(火) 08:33:46.07 ID:r31YBUUEo
まだエピローグが終わっていないから感謝を述べるのは早すぎるぜ!
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/14(火) 11:53:56.15 ID:PBXTDxGDO
終わっちゃったら俺の日課が一つなくなってしまう

80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/14(火) 13:20:19.25 ID:RQm9U8xG0
いちおつ
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/14(火) 13:50:00.29 ID:YGncukXDO
いちょつ

盆中はないだろと読まなかったら進んでる
終わっちゃうの怖くて読めないw
そして何よりもこの>>1の気合いのいれようが…
82 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 17:46:30.69 ID:uRIg4hNZo


 召喚士「行けっ!コカトリス!!」

      〜エピローグ〜
83 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 17:47:12.19 ID:uRIg4hNZo
 ――数か月後。

〜本国、王宮〜

エリート「陛下ああああぁぁぁぁ!!」 ドバンッ!!

ウィッチ姉「あの、陛下ならば早朝からお出かけになられて……」

エリート「――っ!!」

右大臣「またか……」

エリート「国政を何だと思って……うぐっ、痛たたたた」

右大臣「掃除は後で良いから、胃薬と水を持ってきてくれ」

ウィッチ姉「は、はいっ」 タッタッタッ

右大臣「親子揃って胃が痛い思いをするとはのう」

エリート「困ったものです」

右大臣「まぁ仕方あるまい。その為にお前が居るのだからな」

エリート「父上、それでは困りますよ」

右大臣「なぁに、婚礼の儀を挙げて伴侶を娶れば落ち着くであろうよ」

エリート「そうだと良いのですがね」
84 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 17:48:02.87 ID:uRIg4hNZo
右大臣「お前もそろそろ考えなければな」

エリート「わ、私は別にですね……」

近衛兵「右大臣様っ、お客様がお見えになられておりますよ」

エリート「客?」

 カツカツカツ

白虎長「右大臣様、此度は申し訳ありません……」

エリート「これは白虎先生。申し訳ないとは?」

白虎長「その……占い師がご迷惑をお掛けして……」

エリート「いやいや、陛下が悪いのだ。占い師は決して悪くない。そして君もな」

白虎長「……っ」

エリート「親友の心配をするのも良いが、たまには自分も楽しんだらどうかな?」

白虎長「そうですね……。残念ながら相手がおりませんけれど」 ムスッ

エリート「っと、これは失礼」

右大臣「折角じゃ、相手が居らぬ者同士……楽しんで来たらどうかね?」

白虎長「……へっ!?」
85 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 17:49:16.53 ID:uRIg4hNZo
エリート「父上っ!! 失礼ですぞ!!」

右大臣「そうか? 白虎先生や、うちの息子ではいかんかね?」

エリート「父上!!」

白虎長「そ、そんな事は……っ。でも右大臣様に私みたいな者が……」

右大臣「いやいや、かの白虎先生がお相手など不肖の息子には勿体ないくらいじゃ」

エリート「……勝手に話を進めないで頂きたいっ!」

白虎長「そっ、そうですよね……っ」 カアァ

右大臣「そうか。残念じゃな」

エリート「……しっ、しかし陛下が居らぬのでは私も何も出来ぬ」

白虎長「……?」

エリート「まぁその、宜しければ食事など……も、勿論っ、陛下が戻るまでで結構!」

白虎長「右大臣様……っ」

エリート「もし白虎先生が宜しければ……だがな」 ポリポリ

白虎長「……よ、喜んでご一緒させて頂きます……っ!///」

右大臣「ふっふっふ。良かった良かった。何とか孫の顔も見られそうじゃわい」
86 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 17:49:58.99 ID:uRIg4hNZo
エリート「父上っ! いい加減に……」

右大臣「ほれ、さっさと行って来たらどうじゃ? 王宮の事は他の者に任せておけ」

エリート「……陛下が戻ったらこの書類にサインする様、お伝え下さい」 ドササッ

右大臣「うむ」

エリート「……えーと、それじゃあ行きましょうか」

白虎長「は、はいっ。すみません何だか……」

エリート「いや、こちらこそ。何か食べたい物……いや、苦手な物はありますかな? カツカツ

白虎長「私は特にっ。右大臣様にお任せ致します」 カツカツ

 カツカツカツカツ……

近衛兵「……よ、宜しいので?」

右大臣「どうせ陛下が居なくば会議も出来ぬ。夜までは国政もお預けじゃ」

近衛兵「はぁ」

右大臣「それに今は治世。必要なのは王や国よりも民の力じゃよ」

近衛兵「成程。確かにそうですなぁ」

右大臣「これからの時代に必要なのは、陛下の様な王なのかもしれぬなぁ」
87 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 17:51:16.82 ID:uRIg4hNZo


 パッカパッカパッカ……

占い師「……あ、あの」

皇太子「ん?」

占い師「また右大臣様に叱られてしまいますよ?」

皇太子「構わんよ。私が居ようが居まいが、どうせやる事は大してないのだ」

占い師「そんな事は……」

皇太子「それであらば、こうして馬を駆り、国中を見て回った方が有意義というもの」

占い師「……」

皇太子「それとも私と一緒では不満かな?」

占い師「そっ、そんな事はございません!」

皇太子「……私はな、出来れば王の座など捨てて普通の暮らしがしてみたい」

占い師「陛下……。お気持ちは分からなくもありません。でも……」

皇太子「王に生まれてしまったからには宿命。そうもいかぬものだ」

占い師「……っ」
88 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 17:52:39.98 ID:uRIg4hNZo
皇太子「だから私は、王であろうとも玉座に留まらず、こうして世界へ出ようと思う」

占い師「王の務めを根本から覆すと? また右大臣様に叱られてしまいます……」

皇太子「駄目か?」

占い師「……でも、そういう陛下のお考え、嫌いではありません」

皇太子「そうだろう? こうやって子供達の笑顔が見られるのだ。これほど幸福な事はない」

少年「へいか〜っ!!」 テッテッテッ

皇太子「皆、元気だったか? ほら、今日は菓子を沢山持ってきたぞ」

少女「わーいっ!! ありがとーへいか! わたし、へいかとけっこんしてあげるー」

少年「だめでよー。へいかとけっこんするのはおねえちゃんだもんっ! ねー?」

占い師「へぇっ!?」

皇太子「こらこら、からかうのはやめなさい」

少年「けっこんけっこんー!」

少女「けっこんけっこんー!!」

占い師「ち、ちょっと……っ! もう……っ///」

皇太子「はっはっは。子供は無邪気で良い。思った事を直ぐ口に出来るからな」
89 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 17:53:38.96 ID:uRIg4hNZo
占い師「……陛下まで」

皇太子「大人になると思った事も、なかなか口に出来ぬものよ」

占い師「そうですね……」

皇太子「……」

占い師「……?」

皇太子「以前のように、やはり触れると見えてしまうのか?」

占い師「……以前よりはかなり力は落ちました。でも、部分的には見えてしまいます」

皇太子「そうか。結局、見えぬのは魔力のない私だけ、か」

占い師「はい。そのようです」

皇太子「そうか」

占い師「……あの、陛下……?」

皇太子「ん、ああ。そうであれば何か、君の支えになれないかと思ってな」

占い師「そっ、そんな支えなんて! 今まさに十分過ぎるほど助けて頂いて――」

皇太子「占い師」

占い師「!?」 ビクッ
90 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 17:54:21.67 ID:uRIg4hNZo
皇太子「いままでずっと、先が見えてしまうという辛い人生を送ってきた」

占い師「……はい……っ」

皇太子「もし良ければなのだがその、先の見えぬ人生というものを味わってはみないか?」

占い師「――!?」

皇太子「恐怖もあるし不安もある。だが、先が見えぬからこそ楽しい事も沢山ある」

占い師「陛……下っ」

皇太子「だがその為には1つだけ覚悟を決めて貰わねばならぬ事がある」

占い師「……っ」 ゴクッ

皇太子「この本国の王妃と、王の妃となって頂きたい」

占い師「――――っ!!」

皇太子「……どうかな、駄目……か?」

占い師「……あのっ、わ……私」

皇太子「……」

占い師「私でそのっ、よ……宜しければっ!!///」

皇太子「そうか、良かった。とても緊張してしまったよ。はははっ」
91 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 17:55:03.15 ID:uRIg4hNZo
〜鉱山北の山村〜

山師姉「よいっしょ……っ」

山師妹「お姉ちゃん! そういう仕事は私に任せてって言ったでしょ!」

山師姉「でもぉ」

山師妹「お腹の赤ちゃんに何かあったらどうするのよっ! ねぇ、お義兄ちゃん?」

山師「あとは俺がやるから、2人とも休んでいなさい」

村長「山師、居るかの?」 カチャッ

山師「村長、どうしました?」

村長「この村にもようやく道が出来る事になったのじゃよ!」

山師妹「本当っ!? やったぁ! これで買い物も楽になるねっ!」

山師姉「うんっ。助かるわね!」

山師「これも全て彼らのお陰だ。本当に感謝すべきだな」

村長「そうじゃの。道が伸びればこの村の特産品も数多く出荷出来る」

山師姉「そうすれば村も潤って、もっともっと楽に……あっ、今……動いた!?」

山師妹「本当!? ねっ、ねっ、触らせて!!」
92 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 17:55:59.52 ID:uRIg4hNZo
〜最北の村〜

青年「おーっす! 元気か、ネーチャン」

副官「調子はどう? 何か手伝う事があれば」

青年「いやいや十分さ。屯田も終わって農業に専念出来てんだし」

副官「……そっか」

青年「ほら見ろよ、いよいよ出荷第一弾だぜ!?」

副官「少し、飲んでもいい?」

青年「おー飲んでくれ。出来たてホヤホヤのワインだ!」

副官「……んくっ。あっ、美味しい!!」

青年「だろ? はははっ!」

副官「名前何だっけ?」

青年「マジシャン。再来のマジシャンから取った名前さ」

副官「マジシャン……」

青年「約束だったらしいからな。キッチリ約束は守らねぇと!」

副官「律儀ねぇ」
93 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 17:56:53.61 ID:uRIg4hNZo
青年「それとこれ、白の方なんだけどよ」

副官「うん」

青年「どうだ?」

副官「……少し酸味があって、でも……後味はとても心地良い……」

青年「だろ? 最初はとっつきにくくても、後から後から味が込み上げてくる」

副官「うん。えっと、これも出荷するの?」

青年「ああ。赤と一緒にな」

副官「へぇ。こっちの名前は?」

青年「ヒゲ」

副官「――――っ!?」

青年「ソックリだろ? 見た目はとっつきにくいけど、付き合ってみると最っ高の味なんだ」

副官「……うん」 ウルッ

青年「ほれっ、2本とも持ってけ!」

副官「えっ!? いや、そんなの悪いわよ……」

青年「いいからいっから。参謀さんと一緒に飲んでくれよ!」

副官「な、何で参謀さんの名前が出てくるのよ……っ!」

青年「式はいつなんだ? もちろんこの村総出で祝うぜ? あっはっはっは!!」

副官「だからっ、もう……っ!///」
94 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 17:57:46.37 ID:uRIg4hNZo
〜北方司令部〜

参謀「へっくしゅ!!」

左翼長「風邪か?」

参謀「あ、いえ……大丈夫です。それよりも北関の件、いつから着手致しますか?」

騎士長「お前の兄上は何て言ってんだ?」

参謀「一任すると」

左翼長「電話が通じてる以上、おいそれとぶっ壊せねぇからな」

騎士長「何か案は?」

参謀「……下地だけ残して取り壊すのはどうでしょうか?」

騎士長「下地? どういう事だ?」

参謀「全て撤去となると電話の線も壊す事となります」

左翼長「まぁそうだな」

参謀「でしたらその上へ、道を築いてしまえば宜しいかと」

騎士長「ほー。道を作るってか。なるほどな!」

左翼長「……確かに効率はいいし、交通網という意味でも貢献出来るな」
95 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 17:58:35.91 ID:uRIg4hNZo
参謀「今後はあのような壁は不要です。必要なのは道。皆を繋ぐ為の道です」

騎士長「こっから北関、更には東へ伸びて海峡」

左翼長「海峡は今後、東方との交易を中心とした港町に生まれ変わるしな」

参謀「更には北方司令部より西へ伸ばし、北の港」

騎士長「おーっ」

参謀「あわよくば西国拠点、いや……西国の城まで通じる事だって出来ます」

左翼長「おおーっ」

騎士長「凄いじゃねぇか。本当にみんなが繋がっちまうぞおい……!」

左翼長「よし、そんじゃそれを中心に計画書を練って、本部へ申請してくれ」

参謀「はっ」

騎士長「あ、そうだ」

参謀「……?」

騎士長「ずっと働き詰めだろ? たまには休めよ?」

参謀「しかし今は休んでいる暇など……」

左翼長「これは命令だ。休め」
96 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 17:59:19.87 ID:uRIg4hNZo
参謀「……はぁ」

左翼長「んでだ、副官をどこかに連れてってやれ」

参謀「ふ、副官を……ですかっ!?」

騎士長「もう一度言うぞ。これは命令だ! はははっ!」

参謀「……っ」

左翼長「これからの時代は仕事以外にも生き甲斐を見付けろよ」

参謀「命令ならば仕方ありません。任務遂行して参ります」 スタスタスタ

騎士長「ったく、どこまでも一筋な男だなぁ」

左翼長「兄が兄だからな。尊敬もしてるだろうが、負けじと励んでるんだろうよ」

騎士長「なるほどな」

左翼長「誰か、コーヒーを頼む。ブラックでだ」

騎士長「珍しいな」

左翼長「タバコやめてから口寂しいんだよ。察しろ」

騎士長「ああ、そういう事か。約束したもんな〜」

左翼長「うっせ」
97 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 17:59:55.24 ID:uRIg4hNZo
騎士長「……なぁ」

左翼長「あん?」

騎士長「結局、戦士には何も言わず終いか?」

左翼長「アイツも分かってんだろ。聞いてこねーって事はそういう事だ」

騎士長「数少ねぇ家族じゃねぇか。いいのかよ?」

左翼長「別にいいだろ。家族とかそんなもんは関係ねぇ」

騎士長「いや関係あるだろ」

左翼長「血なんかよりも、よっぽど濃いモンで繋がってんだ。それでいいだろ」

騎士長「なーるほど。流石だねぇ、弓のオジサン」

左翼長「お前なぁ……」

北方兵「コーヒーお持ち致しました!」 カチャッ

左翼長「ありがとよ。そこに置いといてくれや」

騎士長「さーて、これから忙しくなるぜ?」 ズズー

左翼長「ああ。ヘタすりゃ今以上にな。全く……いつまで咲かせてりゃいいんだよ」

騎士長「こうなりゃ死ぬまで咲いてようじゃねぇか。1度枯れかけた花は強えーぞ? はははっ!」
98 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 18:00:38.14 ID:uRIg4hNZo
〜海峡〜

将軍「……」

海峡兵「もう少しで、ここも引き揚げですね」

将軍「ああ、そうだな」

門兵「色々……ありました」

将軍「ああ、そうだな」

海峡兵「将来的にはここも港町に変わるんですよね?」

将軍「その予定だ」

門兵「何だか、誇りに思いますよ」

将軍「……?」

門兵「俺達が守ってきた場所が、新しい……人の住む場所へと変わるんですから」

海峡兵「そうだよな……。守ってきた甲斐があったってもんだよ」

将軍「我らだけではない。多くのワーカーもこの地を守ってきた」

門兵「そうですよね。みんなで守ってきたんですよね」

将軍「次に訪ねる時には、笑顔で来る事が出来そうだ」
99 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 18:01:22.01 ID:uRIg4hNZo
〜ターミナル〜

ワーカー「聞いたか? 海峡も港町になるんだってなぁ」

御者「らしいっすね!」

商人「そうなれば、馬車を生業とするあんたも更に儲かるな。羨ましい限りだよ」

御者「へへっ。お蔭さんで!」

ワーカー「そういう商人だってよ、東方との貿易で今後は大儲けだろ?」

商人「ん〜まぁな」

ワーカー「結局よぉ、商売あがったりはワーカーだけさ……はぁ」

御者「何言ってるんです。何かをやる事に遅いなんて事はないですぜ?」

商人「そうそう。これから手に職付けて頑張りゃいいんだよっ」

ワーカー「……うーん。そんじゃ体力には自信あっから……馬車でも……」

御者「そりゃないですぜ! 勘弁して下さいよ〜」

商人「安心しなよ。救世主お墨付きの馬車なんだ。あんたは誰にも負けねーよ」

御者「なーに、まだまだっ! もっと稼いで馬車の会社作ってやんだ!」

ワーカー「おー! そしたら俺も雇ってくれや! なっ、なっ!?」
100 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 18:01:50.20 ID:uRIg4hNZo
〜魔道学校〜

女学生「待てーっ!!」

男学生「うるせーっ! バーカ――」 ドンッ

女学生「あ……っ」

男学生「き……教頭先生っ!? すすっ、すみません!!」

東方参謀「このバカ者がっ! 廊下は走るなと言っておるだろうがっ!」

水の先生「いやぁ、東方先生が来てくれたお陰で、規律も良くなったなぁ」

火の先生「……ま、あやつ等のお陰でトントンじゃがの」

女生徒「セクハラですっ、先生!!」

ジュニア「んだよ、ちょっとパンツ見えちゃっただけだろうよ……ハッハ!!」

男生徒「先生……鏡の前で何してんすか?」

賢者「……美しい……ふぅ」

学園長「明るくて良いじゃないですか」 スタスタ

火の先生「明るいだけじゃ困るわい……」

学園長「平和な世界を支えていく若者。今後は心もしっかりと育てていかないとねっ」

水の先生「その通りですね。あはははっ!!」
101 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 18:02:37.76 ID:uRIg4hNZo
〜本国、墓地〜

高官「……」

双子父「やぁ」 ザッ

高官「双子父殿」

双子父「高官殿が王宮を辞めて以来、かな?」

高官「そうですな。今日はどうなさったので?」

双子父「いや、私もウィッチの墓参りをさせて貰おうとな」

高官「そうでしたか。それは有り難い。どうぞ」

双子父「失礼」 スッ

高官「……」

双子父「君の代わりにウィッチ姉が正式に王宮入りしたようだね」

高官「右翼ですからね。貴方や双子姉妹と今後はぶつかる事もあるでしょう」

双子父「楽しみにしているよ。最近の王宮は張り合いがなくてね」

高官「これから若い、粋の良い連中が頭角を現してきますよ」

双子父「かつて我らがそうだったように、か?」
102 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 18:03:28.95 ID:uRIg4hNZo
高官「……ええ」

双子父「……さて」 ザッ

高官「ウィッチの為に、有難う」

双子父「なに、こちらこそ邪魔を。そうだ、今は何処へ居るんだったかな?」

高官「しらばら修行の身として、南方へ」

双子父「そうか」

双子姉「お父様、そろそろ……」
双子妹「お時間ですわよっ」 スタスタスタ

双子父「いつでも戻ってくると良い。君の頭脳はこれからの時代に活かされるべきだぞ」

高官「……」

双子父「では、また」

高官「……では」

 スタスタスタ……

双子姉「お父様、今日はまた……」
双子妹「急にどうしたんです?」

双子父「いや、何だか此処へ来れば……出会いがありそうな、そんな虫の知らせさ」 スタスタ
103 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 18:04:38.22 ID:uRIg4hNZo
〜戦士の故郷〜

青年「やったよ!! 東側でも湧いたよぉ!!」

幼馴染父「本当かっ!? 凄いじゃないか……っ」

村長「これでこの村も温泉街として、観光地となる事は間違いなしじゃ……!」

幼馴染父「これも全て戦士くんの援助があったからこそですね」

村長「ああ。戦士には本当に感謝しきれんよ……」

青年「戦士さんもこの村に、戻ってくればいいのになぁ」

幼馴染父「それは望ましい事だが、彼には彼の人生があるからな」

村長「そうじゃ。ようやく戦いから解放されたんじゃ。第2の人生も満喫したいじゃろうよ」

青年「まぁそうだけどね。それに戦士さんが帰ってきたら間違いなく新村長だし」

村長「っ!?」

幼馴染父「確かに。次期村長の投票も近々ありますしなぁ」 チラッ

村長「ごほんっ、やはり戦士はこの村には不要! 援助だけありがたく貰っておく!」

青年「あははははっ!!」

幼馴染父「ありがとうよ戦士くん。この村の皆も幼馴染も……喜んでいるよ」
104 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 18:05:15.51 ID:uRIg4hNZo
〜鉱山の町〜

ワーカー「まいどー」

おかみ「はい、いらっしゃ……何だい、またアンタ達かい」

ワーカー「仕方ないっしょ。鉱石ももう売り先ねーんだし」

おかみ「あんた、どうする?」

鍛冶屋「やははっ。いいよいいよ、全部買い取るよ!」

ワーカー「サンキュー! ついでにこれも」 ガチャガチャッ

おかみ「武具……かい?」

ワーカー「ああ。戦う必要がなくなったからな。これも買い取れっかい?」

鍛冶屋「買い取る買い取る! 喜んで!」

おかみ「……はぁ。仕方ないねぇ」

ワーカー「助かるぜぇ! んじゃ後日、金を受け取りに来っからよ!」 スタスタ

おかみ「全くもう、調子のいい連中だよ」

鍛冶屋「いいじゃない。僕らも楽して材料が集まるんだから」

おかみ「ふふっ、そうれもそうだねぇ」
105 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 18:05:46.55 ID:uRIg4hNZo
鍛冶屋「武具はなくとも、平和な時代に必要な物はたっくさんあるんだ!」

おかみ「鍋やら調理道具に船や馬車の一部」

鍛冶屋「それに装飾品! ほら、どう!?」

おかみ「これ……鉱石かいっ!?」

鍛冶屋「指輪やブレスレット、ブローチに髪飾り!」

おかみ「へぇ〜っ。綺麗じゃないか」

鍛冶屋「でしょでしょっ!? 宝石より安価だし、これは売れると思うよ〜」

おかみ「あははっ、ウチもしばらく安泰だねこりゃ!」

鍛冶屋「はいっ」 スッ

おかみ「……何だいこれ?」

鍛冶屋「君に髪飾りさ。ささ、付けてみて付けてみてっ」

おかみ「わっ、私にかいっ!? ち……ちょっと何なんだい急に……もう……っ」

鍛冶屋「うんっ、似合ってる! すごくステキだよ!」

おかみ「き、急に気持ち悪いねっ! そんな事でお小遣いはあがらないよっ!」

鍛冶屋「君と一緒ならばお金なんて構わないよ。ずっとこうして笑顔で暮らしていこうね!」
106 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 18:06:35.35 ID:uRIg4hNZo
〜北の港〜

名士「……」

従者「おかわり、いかがですか?」

名士「なぁ」

従者「……?」

名士「君は自分が何の為に生まれ、何の為に死ぬのか考えた事はあるかい?」

従者「……いえ」

名士「そうか」 カチャッ

従者「名士様はお考えで?」 コポコポコポッ

名士「私は生まれた時からその運命を決定付けられていたよ」 ズズッ

従者「……」

名士「アンラ・マンユの一部として、主を守り死ぬ存在として、ね」

従者「でも、抗ったではありませんか。運命を変えたではありませんか」

名士「そうだな。そして良き出会いもあった」

従者「はい」
107 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/14(火) 18:08:07.20 ID:uRIg4hNZo
名士「……そうだ。この庭にも、もっと花を植えようか」

従者「はい」

名士「池に浮かぶ月明かりに映える花が良いな」

従者「……はい」

名士「そうすれば蝶やホタルなども居着くやもしれないな」

従者「……は……い」

名士「……従者」

従者「……ッ」

名士「水の手入れは欠かす事なく、な」

従者「名士……様……っ」

名士「もう少し見て見たかったな……新たな時代を」 スゥッ

従者「名士様っ!!」

名士「ああ、体が透けてきたな……」

従者「――ッ!!」

名士「彼らに……ありがとうと……伝えてくれ――」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/14(火) 18:09:53.50 ID:uRIg4hNZo
ひとまずここまでで失礼致しますね!
最後の最後までご支援本当にありがとうございます!
あと何回かですが最後までどうぞよろしく!それでは!ノシ
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/14(火) 18:24:49.95 ID:C6Hpgg9po
なんというリア充回・・・もうすぐ終わっちまうのか>>1おつ
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/14(火) 18:29:16.91 ID:7rO1nXrMo

あと何回乙が出来るのか
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/14(火) 18:34:20.38 ID:QxpAz8WI0
誰がなんと言おうとまだプロローグだ
たかが41スレで終わってもらっては困る

>>1
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/14(火) 18:49:29.35 ID:CtOumffpo
>>1

もう終わるな。ホントに終わるな。
マジシャンは占い師ゲット出来なかったな
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/08/14(火) 18:50:34.82 ID:mdBcclub0
>>1
終わりまで毎日乙するのが新しい日課
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/14(火) 20:22:15.06 ID:oNP/S3/AO
名士さん(´・ω・`)
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2012/08/14(火) 21:37:05.66 ID:WmZTwN/z0
>>1おつ
ずっと追ってきただけに終わるなんて信じられねぇ
最後まで応援し続けるよ
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/14(火) 21:42:52.09 ID:Rw4+pPxDo
もっともっと
あと何年も続いてくれよおおおお
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/14(火) 21:44:05.48 ID:kcix8I/IO
終わっちゃやだな。・゜・(ノД`)・゜・。
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/14(火) 22:37:17.77 ID:Pa0u4Eixo

こうやってみると
けっこういい歳まで独身貫いてる奴多すぎ
あと東方参謀と学園長はくっ付くかと思ったが何も無かったな
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/14(火) 23:26:12.54 ID:PBXTDxGDO
王子と帝がくっついたら呪う
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/15(水) 00:05:09.38 ID:XNmIKPaIO
まだ宇宙からの敵が出てきてないからつづくと思うんだ。
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/08/15(水) 00:21:38.31 ID:k4o0CnD80
エピローグがあと40スレ近く続くとは楽しみでおじゃるな
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/15(水) 01:49:31.06 ID:XxJB8JSAO
>>1おつ

名士おつ。占い師はけっこう年いってなかったっけか。王家の子作りで大変になるな
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/15(水) 02:00:42.31 ID:YgXioamE0
>>1 おつ
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/08/15(水) 10:25:17.04 ID:goMBj+Pgo
いちおつ
最初から居ることがちょっと誇らしげになってきた
毎日の楽しみだ
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/15(水) 16:04:39.19 ID:uE5iT27j0
ここまで、ROMってたけど、最後だから書くわ


>>1乙!
ほんまに長い間ありがとう!
開始時、大学入ったばっかだったが、もう卒業だよ
このスレ、この物語のことは、一生忘れないから
126 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:10:12.45 ID:ZArNqrFRo
〜南方、剣士の故郷〜

女の子「見て見てっ! お船がきたよー!」

男の子「おぉーっ! かっけー!」

弓使い「これで物資の輸送も大幅に改善されるわねっ」

村長「まさかこの村に、港が出来る日が来るとはなぁ」

剣士「戦いが終わっても、まだ多くの孤児がいます。その子らの為にも」

村長「剣士、弓使い。君達のお陰だ……ありがとうよ」

剣士「何を言っているんですか。全ては村長のお陰ですよ」

弓使い「そうですよっ。私達のような孤児をずーっと面倒見てくれて、本当にありがとうございました」

剣士「ありがとうございました」

村長「や、やめぬかっ。いかんな……年を取ると涙もろくなって……」

幼女「……これからは両親を知らない子供なんて……現れないよね?」

剣士「ああ。僕らのような孤児が現れない時代を作っていく事が、これからの使命さ」

弓使い「悲しいとか辛いなんて思った事ないけれど、やっぱり家族って大切だものねっ」

幼女「うん」
127 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:10:58.49 ID:ZArNqrFRo
 テクテクテク……

剣士「男魔道士、見えるかい?」

弓使い「……」

剣士「僕らがこの村を飛び出し、世界へ羽ばたいたように……」

幼女「……」

剣士「これからこの村の子らが沢山、世界に出てゆくだろうね」

弓使い「本国だけじゃないかもね。船に乗って、東方や西方へも……」

幼女「うん」

剣士「見守っててくれ。みんなを」

 テクテクテク……

幼女「……ねぇお父さん、お母さん」

弓使い「んー?」

剣士「何だい、幼女?」

幼女「実はお願いが1つ、あるんだけど……」

弓使い「お願い? 何かしら……新しい洋服が欲しいとか?」
128 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:11:55.36 ID:ZArNqrFRo
幼女「私ね、そろそろ弟か妹が欲しいな……って」

剣士「――――っ!?」

弓使い「そ、そうなのー! へーっ!」

幼女「別に寂しいわけじゃないんだけど兄弟姉妹っていいなぁ……って」

弓使い「そっ、そのうち何とななるかもしれないわねっ! ねっ、剣士!?」

剣士「えっ!? あ、ああ……そうだねっ! あははは……っ」

幼女「……?」

村長「おーい、ちょっと来てくれないか?」

弓使い「村長が呼んでるわっ! ほらっ、行きましょ!」 タタッ

幼女「えっ!? う、うん」 タッタッタッ

剣士「……村長、どうかしましたか?」

村長「いやな、南東国からも援助やら何やら頂いたからな。お返しをせねばと思って」

弓使い「気遣い無用って言ってたけれど……そうよねぇ、何か恩返ししないと」

剣士「今はまだいいんじゃない? この村がもっと豊かになった時、恩返し出来れば」

弓使い「それもそうね。形だけじゃなく、人とか、心とか、目に見えない部分もね!」
129 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:13:20.04 ID:ZArNqrFRo
剣士「そうそう。この子達がいずれは、華国の力になるかもしれないしね!」

弓使い「なると……いいけどね」

女の子「今日は草むしり手伝ってくれるってゆったのに!」

男の子「へへっ! お前なんかより船の方が大事〜!」 タッタッタッ

船乗り「この村の村長さんいるかー!? 搬入についてなんだが」

村長「ここじゃここじゃ。搬入はこっちの倉庫を使ってくれい。案内する」 スタスタ

剣士「何だか一気に活気付いたね」

弓使い「本当。これじゃあしばらく、華国に行っている暇もないわねぇ」

幼女「えぇっ!?」

弓使い「へ……っ?」

幼女「あ、いや……別に……」

剣士「華国へ行きたいのかい?」

幼女「違うっ、違うの! そういうんじゃなくって、えっと……別にいいのっ!」 タッタッタッ

剣士「……何だろ?」

弓使い「……さぁ」
130 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:13:56.77 ID:ZArNqrFRo
〜華国、東の城〜

三男「……良し。これで進めてくれ」

若文官「はっ」 ススッ

老文官「陛下、お手紙ですぞ」 カツカツカツ

三男「おぉっ! 待っていたぞ! 早く早くっ」 バッ

老文官「……」

側近「何事です?」

老文官「ほら、例の……幼女と申したか? 文通じゃよ」

側近「ああー」

老文官「ワシとしては陛下には、是非とも華国の女性を妃として迎え入れて欲しいんじゃが」

側近「何を仰いますか。もう国の隔たりなどないのですぞ」

老文官「……それもそうじゃがの」

三男「港が完成して、もうすぐ船が往来するのか。見てみたいものだ」

側近「我が国は港がない故、近々視察へ行ってみますか?」

三男「おぉ、是非ともそうしよう」 ニコニコ
131 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:14:27.32 ID:ZArNqrFRo
〜西の城〜

白馬騎士「……」

華国兵「失礼致します。茶で御座います」 ススッ

白馬騎士「有難う」

華国兵「書で御座いますか?」

白馬騎士「ああ。華国の歴史を記しておこうと思ってな」

華国兵「成程」

白馬騎士「私以外の将軍は、全て逝ってしまった。残された者の役目さ」

華国兵「大将軍……っ」

白馬騎士「失ったものは大きかったが、得たものはもっと大きかった」

華国兵「ええ、そうですね……」

白馬騎士「騎都尉や五虎将の功績を後世にしっかりと伝えねばならぬ」

華国兵「何れは忘れ去られてしまう事は、寂しいですからね」

白馬騎士「平和な世にこそ、教訓として伝えていかねばならないと私は思うよ」

華国兵「……はい」
132 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:15:35.00 ID:ZArNqrFRo
〜最南、スグリーヴァの城〜

紅孩児「…………」 ボケー

ラクシャーサ「何サボってんだ!」 バシッ!!

紅孩児「いってぇなコラ!!」

ガーゴイル「1人だけ楽してんじゃねー」

紅孩児「ケッ、だから俺様はテメーらの仲間になった覚えはねぇって言ってんだろ」

ラクシャーサ「何ィ!? そんじゃあこっから出てけよ! ここは俺達の家だ!」

ゴブリン「そうだそうだっ」

紅孩児「……ッ」

トロル「どうせ行くアテないね。だからここいるよコイツ」

紅孩児「うるせえっつーの!!」

ラクシャーサ「法師様がいねーからって調子に乗りやがって……」

紅孩児「んなモン関係ねぇ! この紅孩児様に怖いモンなんざねぇんだよ!」

ラクシャーサ「じゃあ法師様が帰ってきたら報告しとくわ」

紅孩児「おいっ、やめ……グッ」
133 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:16:24.22 ID:ZArNqrFRo
〜西方、砂漠〜

オーク「暑いよおおぉぉ! もう無理ですー!」

ハヌマーン「情けない事を申すな。これしきの事で死ぬものか」

オーク「だってぇ、オラ……暑くてもう歩けないです……」

法師「仕方ありません。そこの岩陰で休みましょう」

ハヌマーン「これでは今日中に目的地へ辿り着けぬぞ」

オーク「申し訳ねぇです……」

法師「急ぐ旅ではありません。構いませんよ」

オーク「でも、本当にこんな砂漠に魔族がいるんです?」

法師「居ますよ。砂漠だけではありません。山にも海にも、まだまだ多くの魔族が居ます」

ハヌマーン「各地でまだ少なからず、助けを求めておる同胞がおるのだ」

オーク「そっかぁ。じゃあみんな、助けないとです!」

法師「そうですよオーク。その為に私達はこうして、世界中を旅しているのですから」

ハヌマーン「法師様、次は東方になど向かってみましょうか」

法師「東方……それは良いですね。東方には神仏の教えが数多くありますから」
134 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:17:14.02 ID:ZArNqrFRo
〜東方、剣聖家〜

キジ「お頭ーこれでいいさー?」

女侍「ああ、そこに置いといてくれ」

サル「しっかし本当にこの屋敷を改装して、ここに住むのかよ?」

女侍「不満かい?」

サル「ああ不満だね。タダですら田舎な東方なのに、こんなド田舎……」

女侍「じゃあ本国へ帰りなよ。恩赦でもう指名手配もなくなってんだろ」

サル「んなこと言って、俺が居なくなったら寂しいんじゃねぇ〜の〜? んーふふふふふっ」

女侍「誰が寂しいもんかい。静かになって大助かりだよ」

キジ「サルの方が寂しいさー」

サル「んな事ぁねぇよ!!」

女侍「あはははっ」

サル「ったく……お前ら2人じゃ心細いだろうし、仕方ねーからもうちょい一緒に居てやるよ」

女侍「そうかい。そいつはありがとさんだねぇ」

キジ「3人一緒の方がイヌも喜ぶさー」
135 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:18:20.39 ID:ZArNqrFRo
サル「でもよぉ、こんな所を拠点にしてこれからどーすんだよ……?」

キジ「ノンビリ農業でもいそしむさー?」

女侍「ま、それも悪くないねぇ」

サル「おいおい……」

女侍「でも、こっから西にはまだ野盗が沢山いるらしいじゃないかい」

キジ「そうさー」

女侍「隠れたお宝もたんまりありそうじゃないかい?」

サル「おっ!?」

女侍「まとめてそいつらブッ倒して、配下にしちまいってのもいいかもねぇ」

キジ「おぉー!?」

サル「お宝に部下か。悪くねぇな」

女侍「うまくいけば大名ばりの生活も出来るかもねぇ」

サル「大名……っ」 ゴクリッ

キジ「何だか、やる気になってきたさー!」

女侍「だったらちゃっちゃと屋敷を補修するよっ! ほれっ!」
136 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:19:01.09 ID:ZArNqrFRo
〜三日月島、西方司令部〜

西方副司令「引き揚げ……ですか?」

西方司令「おうよ。東は解体、北も実働は地獄の壁撤去のみ」

西方魔道長「うちもやる事はなくなるってかい」

西方参謀「おいおい。三日月島はどうなるんだ?」

西方司令「んあもん西国にでもくれてやれ!」

西方副司令「く、くれてやれ……って」

西方司令「敵もいねーんだ。誰か持ってたって関係ねぇだろうがクソボケコラ!!」

西方魔道長「それはそうだろうけどよぉ、うちらはどうするんだい?」

西方司令「本国で余生をエンジョイすれば?」

西方参謀「なんつうテキトーっぷりだよ……ヒック」

西方魔道長「退役するも良し。本部勤務も良し、ってかい」

西方副司令「司令はどうなさるつもりで?」

西方司令「何でテメェらに言わなきゃならねぇんだこのボケが!!」

西方副司令「……もう……いいです」
137 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:19:42.21 ID:ZArNqrFRo
〜研究機関〜

博士「出来たーっ!!」

助手「何それ〜?」 ムギュッ

博士「……邪魔なのら」

助手「私じゃなくっておっぱいと背の低い自分に言ってよん♪」

博士「背が低いのは分かるが、おっぱいはお前のものなのら」

助手「それで、何ですこれ?」

博士「鉄の道。その名も鉄道なのら」

助手「そのまんまですね」

博士「いいから聞くのら。これは言わば、陸上を走る船のようなもの」

助手「へぇーっ」

博士「その船を運ぶ為の道がこの鉄道なのら」

助手「ちなみにどうやって?」

博士「磁力と電気の力を使うのら?」

助手「電気って……。そんな事したら国中停電しちゃうんじゃないの〜?」
138 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:21:37.90 ID:ZArNqrFRo
白衣「心配ご無用!」

博士「発電には貯水湖を使うのら」

助手「貯水湖?」

白衣「生活用水の為に貯水した水の勢いを使って電気を作るのさ!」

博士「それに、谷や丘には風車を設置して風の力も利用するのら」

助手「ほえー」

白衣「今まで魔物がいて出来なかった計画が……ようやく……ようやく……うっうっ」

博士「気持ちが分かるが泣くのは早いのら」

白衣「どころで助手、君のそれは……何?」

助手「ああこれ? これは羽です〜♪」

博士「羽?」

助手「そっ。これで大空をビューンと飛ぶんです〜うふふっ♪」

白衣「ひ、人が空を飛ぶ……? そんな無茶な……っ」

博士「まぁ何事もやってみる価値はあるのら。研究に限界や終わりはないのら!」

助手「その通り〜! いぇーっ!」
139 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:22:28.92 ID:ZArNqrFRo
〜開発局〜

工兵「なーんか暇っすね。作るのは鉄の道とかそんなんばっかだし」

局長「ばかやろう! これも仕事のうちだ。プライドを持ってやらんか!」

工兵「へ、へいっ!」

局長「技術は常に進歩しているのだ。我らが最前線に立たずしてどうする!」 ズイッ

博士「……き、気合入ってるのら」 スタスタ

局長「……何の用だ」

博士「鉄道の試運転を行う準備に入るのら。出来てる部材を船に積むのら」

局長「だとよ」

工兵「はいっ!」 タッタッタッタッタッ

博士「局長が居るから開発局も何とかなってるのら」

局長「当たり前だ! テメーら研究の連中より先には辞めねーぞ!」

博士「元から辞めるつもりはないのら。少なくとも大元帥が居る限りは続けるのら」

局長「大元帥が退役するまで50年以上あんぞ? 居座り続けたらどーすんだ」

博士「ふっふ。若さなら負けないのら。こっちも居座り続けてやるのら!」

局長「そうかよ。そんじゃ俺には世界で1番頑丈な墓でも作ってくれや」

博士「ん? そういえば鍛冶娘はどうしたのら?」

局長「本国へお使いに行ってるよ。使いなんだか遊びなんだか知らんけどな……けっ!」
140 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:23:05.75 ID:ZArNqrFRo
〜本国、国軍本部〜

男隊員「……」 ウロウロ

女隊員「何ソワソワしてるんスか? 筋トレでもして落ち着いたらどうッスか?」

男隊員「筋トレで落ち着けるわけねーだろ! お前と一緒にすんじゃねぇ!」

女隊員「そうッスか? けっこう落ち着くッスけどね……」 グイッグイッ

男隊員「あー格闘家とボスが心配だなー」 ソワソワ

女隊員「……いつからそんな部下思いキャラになったッスか?」

男隊員「いちいちうるせぇんだよ!! 隊長が部下の心配しちゃいけねーのか――」

鍛冶娘「こんにちはー。隊長さん、いらっしゃいますかー?」

男隊員「!?」 ドキッ

女隊員「鍛冶娘ちゃんっ! どうしたッスか!?」

鍛冶娘「隊長さんに言われてた武器を届けにきましたー」

男隊員「お、おうっ! 悪いなわざわざ……ヒャハハ!」

鍛冶娘「いーえっ。それより見て下さいよこれ! もっと近くで! ねっ、凄くない!?」

男隊員「お、おーっ! このギミックは……なるほど、こりゃ便利だわ! ヒャハハ!」
141 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:23:43.94 ID:ZArNqrFRo
女隊員「……ははぁ、なるほどッスねぇ〜」 グイッグイッ

鍛冶娘「とまぁ、こんなカンジです!」

男隊員「いや大した腕だ。俺の注文を遥かに超えてるぜ!」

鍛冶娘「隊長さん詳しいから、私も頑張っちゃいましたっ」

男隊員「……っ」

鍛冶娘「えっと、それじゃ私はこれで……」

男隊員「あー待て待て。せっかくだからメシでも食っていかねぇか?」 ポリッ

鍛冶娘「えっ!? あ、はい……全然オッケーですよ!」

男隊員「んじゃすぐ行く! 入口んとこで待っててくれ!」

鍛冶娘「はいっ! 失礼します」 テクテクテク

女隊員「ソワソワの理由はこういう事だったんスねぇ〜」 ニヤニヤ

男隊員「気持ち悪りぃな……ニヤニヤすんな! つーかそういうお前はどうなんだよ!?」

女隊員「わ、私ッスかぁ!?」

男隊員「まさかこのままダンベルと結婚する気じゃねぇだろうなおい?」

女隊員「うーん……マッチョでスラっとしててスキンヘッドのステキな人でも居ればいいッスけど……」

男隊員「……いや、いんだろおい」
142 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:24:19.72 ID:ZArNqrFRo
〜東方、不死山〜

槍侶「ぶえっくし!!」

僧兵長「どうした? 修業が足りぬぞ!」

槍侶「修業で風邪が克服出来るならば苦労しませんよ」

僧兵長「病は気から。安禅必ずしも山水を用いず、心頭滅却すれば火も亦た涼し」

槍侶「へっ?」

僧兵長「お前は武芸に秀でておるが、どうにも頭が弱い」

槍侶「……」

大僧正「そうじゃのう。槍侶よ、なれば世界を見て回ってはどうかの?」

僧兵長「大僧正っ、それは……」

大僧正「百聞は一見に如かず。学ぶ事も多々あろうて」

槍侶「世界を巡る修業ですか……うん、いいですねそれ!」

僧兵長「心配だ……胃が痛い」

槍侶「僧兵長、病は気からですよっ、あはは!」

大僧正「ほっほっほっほっほ!」
143 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/15(水) 18:25:35.67 ID:ZArNqrFRo
〜本国、都〜

名代「……」

女将「外なんてボーっと見て、どうされはりましたの?」 トクトクトク

名代「何やら役目を終えてしまった……そんな境遇なんです」

女将「おやまぁ。でも、分からんでもないわぁ」

名代「やる事は多岐に渡る……。しかしどうにも気が抜けてしまいましてね」 コクッ

女将「誰か、支えてくれる人でも居れば良いんでしょうけれど」 トクトク

名代「居ませんよ。それに私一人が幸せになろうなど、虫が良すぎます」

女将「あら、誰がそんな事を決めたの?」

名代「……」

女将「逆よ? 貴方が皆の分まで……幸せにならなきゃいけないんよ?」

名代「……女将」

女将「仕方ないわね。私がひと肌脱いで、昔のよしみで花街から紹介を……」

名代「女将、は……駄目ですか?」

女将「へぇっ!? わ、私……っ? 無理無理っ、年も年やし……」

名代「私が小さな頃より憧れ続けた高嶺の花。それを覚悟の上で申し上げさせて頂きます」

女将「えっ、えぇ!?」

名代「どうかこの名代と、夫婦となって頂きたい。ずっと……支えて頂きたい」 スッ

女将「――――っ!!」
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/15(水) 18:26:39.64 ID:ZArNqrFRo
それではひとまずここまでにて!
本日もご支援ありがとうございます!!
それでは失礼致します!!ノシ
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2012/08/15(水) 18:31:15.62 ID:CavUlaKyo
おうおう、こうなるのか
1おつ
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/15(水) 18:45:13.40 ID:hB3oaQ3Uo
女将はそこにおちつくのかああああああ!>>1
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/15(水) 18:56:43.45 ID:MbjuB2aDO
鍛冶娘がそう簡単に他人になびくのかと思ったが戦士のことは吹っ切れるのか
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/15(水) 21:05:16.29 ID:zChLEwPOo
なんか急いでくっつけすぎじゃね?

一生独身でいろとは言わんまでも作中でくっつくとこ見たくなかったキャラもちらほら
女将とか


あとサタンに持って行かれたものってどうなったん?
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/15(水) 21:15:59.88 ID:uU4L+6BDO
王子と帝は許さんッ
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/15(水) 21:39:51.78 ID:0cl7pa9AO
魔法剣士さんとケルベロスはよ
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/08/15(水) 21:43:19.10 ID:ZLVCxYNho
>>148
そりゃあ、ペ...
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/08/15(水) 22:37:28.69 ID:32G1MWKAO
>>1
せっかくの締めなんだからやりたい様にやっていいのよ
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/08/15(水) 22:45:41.37 ID:ghkchQRuo
>>148
それぞれフラグ立ってたから、
いきなりってワケでもない
お前の読み込みが浅いのだ
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/15(水) 23:01:40.13 ID:XxJB8JSAO
>>1おつ
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/16(木) 01:23:21.71 ID:Hq2sYOIDO
>>1

だが王子と帝だけは許せない
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/16(木) 02:45:35.80 ID:oZCPWhfT0
いちおつ
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/16(木) 03:42:35.88 ID:pWM/C5Y00
>>1おつんつん

リア充爆ぜろとしか言えないんですが
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/16(木) 03:48:56.27 ID:ITwgoRmIO
幼女はいいよ。

けど、帝はダメだ

もげちまえ



ってやり取りもできなくなるのか
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/16(木) 04:10:24.57 ID:LoQi+z5SO
王子がふられるとこ見たい
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/16(木) 05:15:28.70 ID:ZXPMOQwDO
いちょつ

振られるの見たいなw
真面目になったのにかわいそうw
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/08/16(木) 10:17:22.10 ID:PyUUi8eP0
追いついた。
いちおつ
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/16(木) 15:04:29.47 ID:VY0IX/vDO
王子は最後までおまいらに許されなかったなww
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/16(木) 16:34:44.19 ID:lItfDD6+o
>>1

全員サタンにデリケートゾーン潰されたらよかったのにな…
164 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:06:21.89 ID:QH7p2jMso
名代「どうでしょうか。駄目、ですか?」

女将「……お気持ちは本当に嬉しい。ウチなんかを慕ってくれて」

名代「では……」

女将「でも、貴方の望みには叶いませんわ」

名代「……」

女将「ウチは支えになってあげられるような器やないし……」

名代「そんな事はっ」

女将「それに……待つ人が多すぎて、此処を離れられないから」

名代「……」

女将「気ぃ遣かってくれて、本当に有難う。嘘でも嬉しかったわぁ」

名代「女将……」

女将「ささ、飲みましょう」

名代「……いや、少し飲みすぎてしまったようだ。今日はこの辺にしておくよ」 スクッ

女将「そう……」

名代「此方こそ気を遣って頂き、有難う」 テクテク
165 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:07:46.90 ID:QH7p2jMso
女将「……いえ」 シズシズ

名代「それでは、また」

女将「ええ、また」 カララッ……パタン

名代「……ふー。女将にはやはり、心の中を見透かされているような気がするな」

町娘「そういえばこの橋に居た怖い僧侶……ここのところ見なくなったね」

茶屋娘「それに妖怪も全然見なくなったよねぇ」

町娘「やっぱりあの怖いの、妖怪だったんじゃないの〜?」

茶屋娘「まっさかー。顔は怖いけど話すと優しかったもの」

町娘「え−っ!? 話したことあるの……?」

茶屋娘「だってよくお団子とか買いに来てくれてたしー」

町娘「へぇ、意外……っ」 スタスタスタ

腕試し「う……うぐぐ……」 フラフラ

名代「……改めて見てみると、こんなにも美しい橋であったのだな」

腕試し「なんて強さだ……あのアマ……っ」 ヨロヨロ

名代「……?」
166 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:09:18.58 ID:QH7p2jMso
〜街外れの屋敷〜

道場破り「おりゃああああぁぁぁぁ!!」

東方司令「雑魚」 バギャッ!!

道場破り「ぐはぁ!!」 ズダッ

東方司令「邪魔だ。貴様もさっさと消えろ」

道場破り「く、くそっ」 コソコソ

東方司令「次。今日はお前で最後だな」

剣豪「宜しくお願いします」

東方司令「ほー礼儀正しいな。顔もまあ合格」

剣豪「顔は……関係なかろう!」 ヒュバッ

東方司令「おっ!?」

剣豪「やああぁぁぁぁーっ!」

東方司令「いい腕だが、まだまだ甘い」

剣豪「――っ!?」

東方司令「無駄な動きが多すぎる。隙だらけだ」 バコッ
167 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:09:58.88 ID:QH7p2jMso
剣豪「……参りました」

東方司令「なかなか見どころのある男だな。また来るといい、まぁボクには勝てないだろうけど」

剣豪「……失礼ですが」

東方司令「何だよ。事実だ事実」

剣豪「そうではなく、私は……女です」

東方司令「……は……い?」

剣豪「女ながら東方一二を争う腕を持つと噂で聞き、此処へやって参りました」

東方司令「……お……女!?」

剣豪「幼少より剣に生きてきたのもあり、よく男に間違われますが……」 ポリポリ

東方司令「……採用」

剣豪「……えっ?」

東方司令「弟子試験採用! ボクの弟子! もう決定! 今すぐ決定!」

剣豪「ほ、本当ですか!? 有り難き幸せ……師匠!」

東方司令「師匠ではない。お姉様と呼べ! 今日からボクが手取り足取り腰取り教えてやる!」

剣豪「あ、有難う御座りまするっ! お姉様!」
168 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:10:28.23 ID:QH7p2jMso
〜帝の城〜

帝「たああああぁぁぁぁーっ!!」

女剣士「むっ、これは……っ」 グググッ

帝「……はぁ!」 スタッ

女剣士「お見事っ。いよいよ私も危うくなって参りましたな」

帝「ふふっ。腕を上げたであろう?」

女剣士「東方でも一二を争う腕かと」

帝「いやいや、東方司令や女侍が居る限りまだまだじゃ」 スチャッ

女剣士「次回の大会はいつになさいますか?」

帝「そうだな、半年後くらいにするかな」

女剣士「最近は男子よりも女子の方が盛り上がっておりますな」

帝「うむ。男子にも頑張って貰わねば」

家老「上様っ! また剣術でございますか?」

帝「待てじい。既に学問は終えたぞ」

家老「むむむ、ならば宜しいですが」
169 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:11:28.20 ID:QH7p2jMso
女剣士「だいたい、大会を開けば儲かると申していたのは老中殿であろう?」

家老「むっ!?」

帝「特に女子の部だけ大勢の客入りをさせて、まさかお主……我らを金儲けに……」

家老「めめっ、滅相もない! なれば大会は廃止致しまするか!?」

帝「うっ……それはその……困る」

女剣士「確かに。腕を試すにはそのような場を設けてくれぬ限りは出来ませぬしな」

家老「しかし上様も刀などもう手放せば良かろうて」

帝「馬鹿者。剣術は戦いの為だけに非ず。心を鍛えるにも最適ぞ」

女剣士「如何にも」

家老「しかしですな、その……そろそろ年頃で御座いますしな」

帝「結婚せよと申すか? まだ嫌じゃぞ。それに相手もおらぬ」

女剣士「西国の陛下はどうなさったので?」

帝「王子殿はその……良き友人じゃ」

家老「では西国陛下とは何でもありませんな? 良かった、国王同士などややこしい事この上ない



帝「いやっ、だからだな……話を聞け!」
170 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:12:13.25 ID:QH7p2jMso
〜西方、西国の城〜

西国兵「全く! 陛下ときたら……」

女王「まあまあ、良いではありませんか」

西国兵「しかしですね、ただですら我が国は人材不足! 私のような者が兵長を務める始末!」

王女「頼もしい限りですわよ〜」

西国兵「……」

女王「もう私達が何かを動かす必要はないのです。時代が変わりましたから」

王女「西国に住む者が自立して、勤しんでおられます」

西国兵「むぅ。しかし西国王家の威信は守らねば! 亡き神官様や大臣様の為にも!」

西国新兵「あのー失礼致します」

西国兵「どうした!」

西国新兵「治水の準備が整いました」

女王「治水? ただでさえ雨量も少なく、洪水などないではありませんか」

西国兵「ふっふ。何も治水は守る為だけにあらず! 川を作るのですっ!」

西国新兵「西の砂漠へ川を分けるのです。そうすれば砂漠も緑で潤います」

王女「まぁ、それは素敵な計画ですわね。成程、王子もその為に出ているわけですね」
171 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:12:45.15 ID:QH7p2jMso
〜最西端、洋上〜

西国船員「陛下っ!」

西国船長「陛下っ!」

王子「陛下ではない。航海王子と呼べ!」

西国船員「航海王子!」

西国船長「航海王子!」

王子「……しっくりこないなぁ。やっぱ船長って呼んで」

西国船長「船長は私です!」

王子「じゃあお前、今から副船長ね」

西国船長「えっ?」

西国船員「面舵いっぱーい! 船長、今回の目的は!?」

西国船長「緑地計画の一環ですよね!? 各地を回り樹木や川の作りを……」

王子「そうなの?」

西国船長「えっ?」

王子「目的地は東方! 船で行くと約束したのだ! 待ってろ帝さん! わははははっ!」
172 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:13:26.99 ID:QH7p2jMso
〜本国、病院〜

ドクター「次の方どうぞ」

患者「先生、先日はどうも」

ドクター「おやご主人、すっかり顔色も良くなりましたね」

患者「お蔭さんで……へへっ」

ドクター「その後は異常ありませんか?」

患者「へいっ、すっかり元気に。あ、そうだ……ついにうちの村にも病院が出来るんです」

ドクター「へぇ、それは良かった!」

患者「何だか先生を裏切っちまうみたいで申し訳ねぇっす」

ドクター「そんな事はありません。どこへ居ても、誰が施しても良い事なんです」

患者「すんません……そんじゃ、失礼します」

ドクター「お大事に。これからも気を付けて下さいね」

患者「へいっ、ありがとうございます!」 スタスタスタ

ドクター「……ふーっ」

院長「教えてやれば良いではないか。お前が尽力して築いた病院なんだ」 スタスタ
173 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:14:23.28 ID:QH7p2jMso
ドクター「父さん……っ」

院長「差し入れだ」 スッ

ドクター「出来たてのフィナンシェ。父さんもすっかり職人の腕前だね」

院長「ふっ。最初からこちらを継いだ方が、儲かったかもしれぬな」

ドクター「……医学はまだまだ未発展、診察所や医者の数だって足りていない」

院長「そうだな」

ドクター「もっと頑張らないと」

院長「1人で抱え込むなよ? 戦いは終わったのだ。診るべきものは限られているはずだ」

ドクター「うん。だから今度ね、東方や南東国へ行こうと思っているんだ」

院長「東洋医学か」

ドクター「本国の医学を伝えて、彼らの医学を吸収する」

院長「相乗効果で新たな医学へと繋がる……か」

ドクター「人と人との繋がり。教えてくれた事さ」

院長「……成程」

ドクター「戦うばかりが絆じゃない。他の事だって結べる道はあるんだよね」 ニコッ
174 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:15:00.86 ID:QH7p2jMso
〜新聞社〜

記者「明日の1面はどうするんだっ!? もっとインパクトのあるネタが必要だぞっ!」

新米「は、はいぃ〜っ!」

記者「この写真、写りが悪いっ! もう1回撮ってきて!」

カメラマン「えぇっ!? でもこれ北方……」

記者「飛ばせば間に合う! ギリギリまで待ってるから!」

カメラマン「うへぇー」 タッタッタッ

書家「ぶははっ。だいぶサマになってきたじゃねぇかよ」

編集長「まだまだ。俺が現役の頃に比べりゃぬるま湯だ」

書家「まーな!」

編集長「それよりお前はどうなんだ?」

書家「お蔭さんでウッハウハの生活よ!」

編集長「しかし……この出だしは何とかならんのか……」

書家「こんくらいインパクトねーと手に取って貰えねぇよ。がははは!!」

記者「さぁー。今日も徹夜だぞ! 部数で負けても内容で負けるなーっ!」
175 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:15:54.20 ID:QH7p2jMso
〜北のとある村〜

魔法剣士「……」 コトッ

ケルベロス「クゥーン、クゥーン」

魔法剣士「何だ、ミルクはもう要らんか?」

ケルベロス「クゥ〜ン」 スリスリ

魔法剣士「そうか。なら食事を……」

少女「魔法剣士さん、だからご飯あげすぎだってばー」

魔法剣士「……そうか?」

少女「そんなに食べさせたら太っちゃうよー? てかもう太ってるしー」

ケルベロス「ワンワンッ」

魔法剣士「……そうか」

少女「そ、そんなにションボリしないでよっ! 私が悪いみたいじゃん。ねぇケルちゃん?」

ケルベロス「ワンワンッ!」 フリフリ

少女「ほらっ、ケルちゃんもそう言ってるよ!」

魔法剣士「裏切り者め……」
176 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:16:45.43 ID:QH7p2jMso
村人母「少女ー、そろそろ夕飯よー?」

少女「あ、はーい! 魔法剣士さんも一緒にどう?」

魔法剣士「いや、俺は……」

村人父「ぜひ一緒にお願いしますよ!」

村人母「そうですよ! お隣さんがこの間一緒に食べたって自慢してきてうるさいんですよー」

魔法剣士「……」

村人父「魔法剣士さんはこの村の、いや……世界のヒーローなんですから!」

少女「ケルちゃんも一緒がいいよねー?」

ケルベロス「ワンワンワン!!」

魔法剣士「……じゃあ、すみません」

少女「やったぁ! それじゃ先に帰ってるね! 行こ、ケールちゃんっ」

ケルベロス「ワンワンッ!」 タッタッタッタッ

村人父「近隣の村にも人が戻ったり、新たな人が入ったりで活気に沸いております」

魔法剣士「俺が何かしたわけじゃない」 スタスタスタ

村人母「みーんな知ってるのにね。あの人が復興に尽力してるって。ふふっ」
177 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:17:21.05 ID:QH7p2jMso
〜大きな街〜

魔道士母「5か月連続で赤字……大丈夫かしら」

大商家「蓄えはある。それよりも今は各地への援助が先決だ」

魔道士母「まぁ、そうですけれど……」

使い「旦那様! 今日の手配は全て終了しやしたっ!」

大商家「おぉ、随分と早かったな」

使い「魔物が居ませんからね。ワーカーも不要だしルートも最短距離でいけます」

大商家「なぁ、使い」

使い「はいっ!」

大商家「実はそろそろ支店を設立しようと思うんだが、支店長を務めて貰えぬか?」

使い「おっ、俺が…。…ですか!?」

大商家「お前以外に務められる奴がいるものか。頼むぞ」

使い「あ……ありがとうございますっ! 旦那様……っ!」

魔道士母「でもこんな時期に宜しいんですか?」

大商家「苦しい時こそ攻める。そして魔道士と朱雀先生が結婚してくれれば更なる知名度が…

…」
178 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:17:52.55 ID:QH7p2jMso
〜本国、国軍本部〜

大軍師「……」

秘書官「ここも何だか、静かになってしまいましたね」

大軍師「それは望ましい事ですよ。軍はあくまで戦う存在なのですから」

秘書官「ええ……」

大軍師「まぁそれにしても、大元帥にしろ青龍先生にしろ、外出が多いですがね」

秘書官「総司令とてそうでした。慣れましたよ」

大軍師「ふっふ。それもそうでしたねぇ」 ヒラヒラ

秘書官「何か飲料でもお持ち致しましょうか……?」

大軍師「いえ結構。もう寝ると致します」

秘書官「っ!!」

大軍師「サタンを倒してからというもの、毎日眠くて仕方ありません」

秘書官「大軍師様もようやく解き放たれたのでしょうね」

大軍師「やっと人間らしい暮らしが出来そうです」 カツカツ……

秘書「それは何よりです。おやすみなさいませ」 ペコリ
179 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:18:44.27 ID:QH7p2jMso
〜北の都、地下格闘場〜

リングアナ「さぁお待たせ致しました……本日のメインイベント!!」

観客「早くしろぉ!!」 ワアアアァァァァ!!

リングアナ「あの北の大戦を経て更に腕を上げたチャンプ!! ここまで9連勝中!!」

チャンプ「ふっ、どんな奴が来ようとも返り討ちだ」

リングアナ「対するは……あの男が……あの男が帰ってきたああああぁぁぁぁ!!」

チャンプ「!?」

リングアナ「その名も……MGG(マスク・ド・ジーニアス・グレート)!!」

格闘家「……」 ザッ

チャンプ「ふんっ。所詮は偽物、瞬殺してやろう」

格闘家「偽物じゃない。俺は……託されたんだ」

リングアナ「早速、両者……火花が散っております!」

観客「はやくしろっつーんだよ!!」 ワアアァァァァ!!

リングアナ「お待たせしました! それでは……レディー、ゴー!!」

チャンプ「さぁ! かかってきな――」
180 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:19:12.17 ID:QH7p2jMso
格闘家「……」 スーッ

チャンプ「な――――っ!?」 ドガガガガガッ!!

格闘家「滅殺」 ドオオォォォォン!!

リングアナ「な、なんと開始数秒で……チャンプ瞬殺だーっ!!」

観客「何だよおい……今のはっ。スーッと動いたと思ったらチャンプがぶっ倒れてた」

リングアナ「新チャンピオンは……MGGだああぁぁぁぁ!!」 カンカンカンッ

格闘家「……」

リングアナ「初代に勝るとも劣らない恐るべき強さっ!」

観客「か、勝てる奴なんざいるのかよ……っ」

格闘家「世の中にはまだまだ強い奴がいるさ。だから俺は戦いをやめない」

チャンプ「げ……げふっ」

格闘家「命を奪う戦いじゃない。互いの魂を燃やす戦いだ」

リングアナ「さぁみんなっ、MGGに盛大な拍手と歓声をっ!!」

観客「いいぞぉ!! グレートだぜぇ!!」

格闘家「そうだ。だから俺は……俺より強い奴に……会いに行く」
181 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:20:00.52 ID:QH7p2jMso
〜南方、北の街〜

南方副司令「今日は……何もねぇな」 コトッ

南方魔道長「今日もだろ」 コトッ

南方副司令「特にだよ」 コトッ

南方魔道長「それじゃあお前も警備に出たらどうだ?」 コトッ

南方副司令「そんじゃあここは、お前に任せていいってか?」 コトッ

南方魔道長「それは……困るっと。チェックメイトだ」 コトッ

南方副司令「ふぬあぁ!?」

南方魔道長「司令、アンタも行ったらどうだ?」

南方司令「……忙しい」

南方副司令「そういやさっきから何をしてんだ?」

南方司令「出来た……。見たまえ、渾身の出来! マンガ『正義戦隊ジャスティスマン』だ!」 ドーン!!

南方魔道長「これはひどい……」

南方副司令「ヘタクソにも程がある」

南方司令「これで子供ウケ間違いなし! 正義の系譜はまだ続くぞ! はっはっはっはっは!!」
182 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:20:53.12 ID:QH7p2jMso
〜会場〜


ボス「……」

南方弓長「お疲れさん」

ボス「負けた」

南方弓長「そりゃ、あのメンバーだもん」

ボス「くそっ、勝ちたかったんだけどな……」

南方弓長「ベスト8でしょ? よくやった方よ」

ボス「勝ったらよ、姉御に言いたいことあったんだ」

南方弓長「別に今でもいいくわよ。何?」

ボス「俺と結婚してくれ」

南方弓長「……どストレートね」

ボス「回りくどい事ぁ嫌いだ。駄目か!?」

南方弓長「んー。別にいいわよ」

ボス「!?」

南方弓長「私も回りくどいの嫌いだし。でもそのうちね」
183 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/16(木) 18:21:45.09 ID:QH7p2jMso
ボス「そ、そのうちっていつだよ!?」

南方弓長「気が向いたら?」 スタスタ

ボス「ち、ちょっとおい……っ!」

南方弓長「今日はお祭りを楽しみましょ! ふふっ」

ボス「……ああ、そうだな」 タッタッタッ

ゴロツキ「……」 ヒョコッ

チンピラ「ボスううぅぅ、良かったなぁ!」

ゴロツキ「ああ! 姉御もマンザラじゃねぇ感じだったし、オッケーなんだよな!?」

チンピラ「だな! ボスも姉御もお似合いだよチキショー! 幸せになってくれよ!」

ゴロツキ「俺らも……頑張らないとな」

チンピラ「そうだな。早く出世して、イイ女捕まえねーと」

ゴロツキ「……自信ねぇな」

チンピラ「……ああ」

ゴロツキ「ええい! 今を楽しめだチクショー! そこのネーチャン、一緒にどう!?」

チンピラ「俺ら地元だから案内すんぜ!? ほら、行こ行こ!!」
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/16(木) 18:23:17.48 ID:QH7p2jMso
とりあえずここまでです。たぶん明日終わりそうな感じです
本当にあとほんの少しですが、最後まで何卒よろしくです!
本日もご支援ありがとうでしたっ!それでは!!ノシ
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/16(木) 18:27:39.58 ID:ugIcQoRVo

ついに明日で最終回か…
ところでいつ頃2期をやるんだ?
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/16(木) 19:09:27.84 ID:VY0IX/vDO
もう2期も書き溜めしてあるに決まってるだろ
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/08/16(木) 19:14:41.36 ID:oe5mvV9do
おいおい…冗談じゃねーぞ
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/16(木) 19:53:19.26 ID:+e56xqQIO
これだけスレ残ってるんだから、
第2期なり、次回作の序盤ぐらい投下するだろ
>>1の生活から書くことは欠かせないに違いない
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/16(木) 19:53:20.30 ID:3kVNu/o/0
>>1乙!
season2の主役は誰だろうな
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/16(木) 20:07:00.22 ID:Hq2sYOIDO
>>1
王子の船沈まねぇかなぁ

2期は最後しか見せ場のなかった召喚士じゃね?
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/16(木) 20:19:16.96 ID:OIhUeap2o
格闘家はサマソにも勝っちゃったし次は闇の波動に目覚めちゃったりしてな・・・>>1
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/16(木) 21:51:44.05 ID:SHD/YDByo
ちょっくら軍師に添い寝してくる
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/16(木) 22:03:56.89 ID:bMRgp6XLo
>>1

明日で終わり…一番出だしから読み続けて3年間くらいかこれが最初で最後のssだとおもうから、本当に新鮮で面白かった。
まだあと一日、応援してるよ!
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/16(木) 22:13:52.32 ID:ewqVRWwKo
最後なんてことないぞ
書く人ってのは書くのを続けるもんさ

いちおつ
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/08/16(木) 23:39:16.47 ID:0jVrXJ2Do
サタンの正体も分かったし、
次は、フェニックスとよくわからんやつの因縁の対決とか、
召喚獣編だな。
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/17(金) 01:19:21.39 ID:pNudOTZL0
>>1 おつ
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/17(金) 01:36:17.11 ID:wuFozBsAO
>>1おつ

王子は天才みたいな破天荒になってるわ、格闘家は殺意の波動に目覚めそうだわって感じだな
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 03:44:40.99 ID:N0u1kEgDO
いちょつ

誰かミザリー連れてこい
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/08/17(金) 06:26:41.57 ID:bTFtCVT+0
>>1
召喚フェスで暴れる召喚子と青年子はまだですか
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/17(金) 07:12:55.83 ID:OPEYNFlc0
>>1
召喚獣の違和感が気になります
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/08/17(金) 09:11:36.12 ID:bufDHRGCo
いちおつ
夕方が楽しみだ
今日からの仕事も頑張れそうですぅ
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 12:27:45.91 ID:qBkkJeXno
>>1乙!
今日で最後って、終わる終わる詐欺だよね?そうであって欲しい…
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/17(金) 13:44:02.60 ID:+SFeZ0O7o
>>1

まだまだ回収できてない話が沢山あると信じたいからまだまだ続くと信じたい
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/08/17(金) 17:31:46.49 ID:bufDHRGCo
ここで1が颯爽登場
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 17:36:34.30 ID:Lg6PhufSo
   __
  /。 \
 |ノ ゚| 
 ノ ゴ ハ
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 17:48:55.87 ID:Usg3/HFDO
(^パ^)ノ
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/17(金) 17:50:00.76 ID:/1M4skG8o
書き込みがあるたびに>>1が来たのかと勘違いするだろ、やめろよ!
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 17:52:53.68 ID:Vp6mKuzIO
いや>>1さんが来たんだろ。どう見ても>>205>>206も本物の>>1さんだ
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/08/17(金) 17:57:11.47 ID:bufDHRGCo
最後にやっておきたかったんだ・・・
ごめんよ
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 19:33:48.78 ID:Vp6mKuzIO
オレオマww
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/08/17(金) 20:42:35.29 ID:TgTKyw5do
>>204-205の流れも今となってはいとをかし
212 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:31:35.81 ID:HizB5Irno
〜大陸港の町、バーテンの店〜

バーテン「……」 シュボッ

青年「魔道士さんっ!!」 カランカラン

バーテン「いねーよ。今頃は南方だ」

青年「っ!!」 ガーン

母「こんにちはー」

バーテン「おう、どうした?」

少女「これ、さっきあずかったのー」

バーテン「何だこれ……」 ジャララッ

青年「も、物っ凄い大金んんんんー!!」

バーテン「お、おい……こんな大金……っ、一体誰が……」

少女「あのねー。おじさんたちー」

バーテン「!?」

母「2人組の男の人達でした。借りは返した……って」

バーテン「……ったくアイツら。顔ぐらい出してけってんだよ。バカヤロウが」 プカー
213 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:32:05.82 ID:HizB5Irno
〜本会場〜

南方参謀「さぁー間もなく召喚フェス女子の部、決勝戦が始まります!」

美女「おのれ召喚子ぉ〜! 次は絶対に負けないんだからっ!!」

朱雀嬢「1回戦で当たって、ベストな状態で負けたんだから次も同じですわ」

美女「なんですってぇ〜!? アンタだって青年子が辞退しなきゃベスト4じゃなかったわよっ!」

朱雀嬢「んなっ!? 失礼ですわね!!」

白虎嬢「喧嘩はやめましょうねぇ〜。もう始まりますよぉ」

南方参謀「決勝まで勝ち進んだ両者、前へ!」

親衛隊長「ヘイ、始まるぜ番長?」

番長「召喚子さんの居ない決勝なぞ興味ないでゴワスね」

特攻隊長「とか言って、1回戦負けした事を気にしてんじゃねーの?」

番長「していないでゴワス! 」

親衛隊長「まぁクジ運がバッドでしたね。アンラッキー」

特攻隊長「初戦からまた朱雀先生だもんな。もう呪われてるとしか思えねぇ」

番長「あぁ召喚子さん……一体どこへ……」
214 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:32:46.40 ID:HizB5Irno
南方参謀「さぁ、ここからは青龍先生をお招きしてお送りしたいと思います」

青龍士官「どうぞ宜しくお願い致します」

南方参謀「まずは青龍先生、4強入りおめでとうございます」

青龍士官「ありがとうございます。しかし決勝に残れなかった事は悔いが残りますね」

南方参謀「それでもお見事でした。では男女共に決勝戦の解説、お願い致します」

青龍士官「はい、お願い致します」

南方参謀「さてまずは、Aブロックを勝ち抜いた……アマゾネス選手っ!!」

アマゾネス「……」 ザッ

おさげ「長ーっ!! 頑張ってー!!」

色黒「ファイトー!!」

ポニテ「村の為にも優勝あるのみよー!」

ツインテ「そうだにゃー!!」

南方参謀「仲間達からの声援を受けて今、入場! 青龍先生はどう見ます!?」

青龍士官「準決勝で実力者の召喚子選手を倒していますからね。勢いはありますよ」

南方参謀「初戦こそ同士討ちでしたが2回戦では白虎嬢選手も倒していますしね!」
215 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:33:42.57 ID:HizB5Irno
アマゾネス「……勝つ!」

南方参謀「気合は十分! そして対するはBブロックの勝者……玄武娘選手ー!!」

玄武娘「……ふーっ」 ワアアアアァァァァ!!

南方参謀「こちらも準決勝で実力者、朱雀嬢選手を破っての決勝進出です!」

青龍士官「しかも朱雀嬢選手は青年子選手の棄権があって余力のある状態でした」

南方参謀「それを勝ち抜いてきたわけですから流石ですねっ」

青龍士官「ところで青年子選手ですが、一体どうしたんでしょうか」

南方参謀「先ほど入ってきた情報ですと、急病による棄権との事です」

青龍士官「そうですか。なかなか美しい方でしたので楽しみであったのですが」

南方参謀「えっ!?」

青龍士官「……えっ?」

白虎嬢「玄武娘ちゃん、頑張ってぇ〜」

朱雀嬢「そうですわ、さっさと……あれ、待ちなさいですわ」

白虎嬢「……?」

朱雀嬢「アマゾネスさんは同じ朱雀。でも玄武娘にも勝って欲しいし、どちらを応援すれば……」
216 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:34:11.40 ID:HizB5Irno
アマゾネス「あんたの強さは分かってる。胸を借りるつもりだ」

玄武娘「胸ならアマゾネスさんの方が強いですの」

アマゾネス「そういう事ではないっ!」

玄武娘「ほえ?」

南方参謀「さぁっ、いよいよ決勝戦の開始です……っ!!」

青龍士官「朱雀と玄武。国軍の身としては不本意ですが、そういう時代なのでしょう」

アマゾネス「例え負けても悔いはない」

玄武娘「もちろんですのっ。でも、勝つのは私ですの!!」

おさげ「いっけー!」

色黒「絶対優勝!!」

ポニテ「私達の分も頼むわよっ、長ぁ!!」

ツインテ「気合だにゃあ!!」

南方参謀「では、召喚フェス女子の部……決勝戦……始めぇ!!」

アマゾネス「行けっ! ワルキューレ!!」 シュイイィィィィン

玄武娘「おいで、リヴァイアサン!!」 シュイイィィィン
217 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:34:50.51 ID:HizB5Irno
〜東方、藤蔵〜

くの一「たああぁぁーっ!」 バババッ

侍女「……甘いっ!」 キンッ

くの一「……参りました」

侍女「ふーっ。くの一ちゃん、いい動きなんだけどちょーっと無駄が多いかなぁ〜」

下忍「侍女様、姫より文が……」

侍女「貸しなさいっ!!」 ババッ

下忍「……」

くの一「何と?」

侍女「変わらず元気みたい。近いうちに来るって!!」

くの一「そうですか。御館様もお喜びになられるでしょうね」

上忍「ところで御館様はまだ、話をしておるのか?」

侍女「大切なお客人なんだし、今日はずっとこのまんまじゃない?」

くの一「大切な……客?」

侍女「そっ。御館様にとっても藤蔵にとっても、大切なお客様っ!!」
218 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:35:26.54 ID:HizB5Irno
〜御館様の部屋〜

御館様「……さ、どうぞ」

戦士父「どうも」 グビッ

御館様「……」
戦士父「……」

御館様「「あの」
戦士父「あの」

御館様「……っ」
戦士父「……っ」

御館様「その」
戦士父「その」

御館様「お先にどうぞ」
戦士父「いえ、どうぞ」

御館様「……盗賊を頼みまする」

戦士父「こちらこそ、戦士が世話になります」
219 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:36:17.28 ID:HizB5Irno
御館様「彼は良い男ですな。貴方の教育が良かったのでしょう」

戦士父「いや、私など何もしておりません。あいつが自分で育ったのです」

御館様「……」 グビッ

戦士父「誰に似たのか、自分の思いを曲げない不器用な男です」

御館様「だが、それがいい」

戦士父「代わりに芯は強い。生涯、盗賊さんを守ると私が保証します」

御館様「盗賊も同じです」

戦士父「……」 グビッ

御館様「人の意見を聞かず自己中心的で困ったものです」

戦士父「しかしそれも裏を返せば、信念を持っている強さと言う事です」

御館様「似た者同士なのやもしれませぬな」

戦士父「ええ。だからこそ合うのかもしれません」
220 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:37:09.47 ID:HizB5Irno
御館様「どうか本国では父代わりとして、盗賊を頼みまする」

戦士父「東方に住むのでは?」

御館様「いや、藤蔵は私の代で終いと致します」

戦士父「……何と」

御館様「忍など元より戦の中で生まれた日陰の生業」

戦士父「……」

御館様「戦なき世には無用のもの。それで良いのだ」 グビッ

戦士父「……寂しくはありませぬか?」

御館様「もう慣れ申した。それに、世界は近くなり申した」

戦士父「なるほど。ごもっともだ」 グビッ

御館様「盗賊には好きに生きて貰いたい。これからは自分の為に」

戦士父「ですな。しかし御館様は今後どのように?」

御館様「しばらくは儂もゆっくりさせて貰いまする」

戦士父「何か趣味などするのも良いかもしれませんね」

御館様「趣味……。成程」
221 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:37:49.10 ID:HizB5Irno
〜南方、本会場〜

南方参謀「さぁーお待たせ致しました! 女子の部の熱気冷めやらぬ会場ですが……」

戦士「いよいよだな」

盗賊「ああ」

魔道士「召喚士さんっ、頑張ってー!!」

戦士「おーおー。彼氏へ熱の入った応援ですこと」

盗賊「ふふっ」

魔道士「そういうお2人はどうなんですっ!?」

盗賊「へっ!?」

魔道士「もう住む場所とか決めたんですか?」

戦士「いやー。候補がありすぎてまだ迷ってんだよな」

盗賊「うん……」

魔道士「早くしないと御館様も戦士父さんも気にかけてますよ」

戦士「うっ」

盗賊「ほっ、ほら! もう始まるぞ!」
222 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:38:40.44 ID:HizB5Irno
南方参謀「それでは召喚フェス男子の部、決勝戦を始めます!!」

青龍士官「いよいよですね」

南方参謀「まずは、ここに居る青龍先生を準決勝で破り、見事Aブロックを勝ち抜いてきた……」

青龍士官「……耳が痛いですね」

南方参謀「謎の青龍召喚士……マスク・ド・ブルードラゴン選手!!」

青龍士官「まぁ……謎かどうかが謎ですがね」

南方参謀「実際に戦われた青龍先生、この選手をどう見ますか?」

青龍士官「そうですね。一言で語れば……強いですよ」

南方参謀「ほぉ!」

青龍士官「実直で冷静でいて、しかしながら心に熱いものを持っている」

南方参謀「ふふっ。まるでずっと昔から知っているような口ぶりですね」

青龍士官「そうですね。知っているのでしょうね。ずっと……」

南方参謀「さぁ、マスク・ド・ブルードラゴン選手……入場しました!!」

青龍士官「勝てよ。俺の分……いや、亡き青龍先生の為にもな」

青年兵「……」 ザッ
223 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:39:34.58 ID:HizB5Irno
〜妖界〜

夫人「きーっ!!」

山本「わっはっはっは。見事に振られたな」

夫人「わらわはまだ振られておらぬっ!」

山本「しかし、召喚士の心はすっかり魔道士のものよ」

夫人「ふふんっ。色恋は障害のある方が燃えるのじゃ!」

山本「そうやってまた、人間界に迷惑をかけるなよ?」

夫人「かけぬっ。もう怒られるのは懲り懲りじゃ。それに召喚士にも言われておるしのっ♪」

山本「ならば良い。それにしても……大嶽丸め、一向に戻って来ぬな」

陰陽師「時が来れば何れ、戻ってくるんですねぇ」 スタスタ

山本「陰陽師か」

陰陽師「きっと、戻ってくる事が照れ臭いんでしょうねぇ」

夫人「照れ臭い?」

陰陽師「ねぇ、鈴鹿御前さん?」

鈴鹿御前「戻って来てくれさえすれば、私はそれで満足です」 ニコリ
224 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:41:47.54 ID:HizB5Irno
〜南方、本会場〜

南方参謀「さぁ続きまして、Bブロックを勝ち上がってきた勝者のご紹介っ!!」

戦士「おっ、出るぞ!!」

魔道士「あのマスクマン……いいマスクのデザインしてる……っ。サイン貰っておこうかな」

盗賊「どちらの応援をしているっ、たわけ!」

南方参謀「準決勝で優勝候補の1人、同門選手を倒し……」

同門「……ふん。次は負けん」 ムスッ

アマゾネス「良いファイトだったぞ」 スタスタ

同門「……貴様もな」

アマゾネス「同じ朱雀として応援しようじゃないか」

同門「……ちっ。青龍なんぞに負けるよりはマシか」

南方参謀「もう説明不要でしょう! 誰もが認める最強の召喚獣使い……」

青龍士官「この勝負、解説を忘れてしまうやもしれません。それ程までに興奮しますよ」

青年兵「……」

南方参謀「朱雀先生、そして世界の救世主!! 召喚士選手!!」
225 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:42:37.17 ID:HizB5Irno
〜地獄〜

ハルファス「……」

サブナック「……」 ズザッ

ハルファス「サブナック、久しぶりじゃな……久しぶりじゃの」

サブナック「まさかサタンが消滅するとは、些か驚きました」

ハルファス「そうじゃな、そうじゃの」

サブナック「人が人の業を自ら打ち消すとは。何か変化が起きておるのやもしれぬ」

ハルファス「人間も我ら悪魔も、そして召喚獣や魔族も……変化しとるんじゃな、しとるんじゃの」

サブナック「……何やら嬉しそうにお見受け致しますが?」

ハルファス「フッフ。そうじゃな……そうじゃの」

サブナック「我らも、変われますかな?」

ハルファス「既に変わりつつあるんじゃな。あるんじゃの」

サブナック「……ほぅ」

ハルファス「地獄を離れた悪魔も少なからず居る。きっとそう言う事じゃな、そういう事じゃの……」

サブナック「不思議なお方だ。フッ」
226 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:43:42.69 ID:HizB5Irno
〜南方、本会場〜

青年兵「いよいよですね、召喚士さん」

召喚士「ああ、青年兵くん」

青年兵「召喚士さんを倒す為に前哨戦は棄権までしてきたんです」

召喚士「……ずるいなぁ」

青年兵「全力でなくば倒せない。そういう相手だと思ってますから」

召喚士「俺もだよ」

青年兵「この数ヶ月で鍛えた腕……お見せします!!」

召喚士「うん。お互い手加減はなしだ!」

魔道士「召喚士さん!! 頑張って!!」

戦士「召喚士も青年兵も、どっちも負けるなぁ!!」

盗賊「!?」

朱雀嬢「朱雀先生にも頑張って欲しいけれど……」

白虎嬢「やっぱり青年兵さんの応援ですよねぇ〜」

朱雀嬢「……う、うるさいですわっ」
227 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:44:31.61 ID:HizB5Irno
〜平原〜

師匠「……さーて、借りっぱなしのモンは全部返してきた」

マジシャン「貸してたモンも全部、帰ってきたしな。ハッハ!」

師匠「サタンが消滅したことで災厄もまとめて返済だ。ガハハッ」

マジシャン「とは言え、俺らに残された余命は……どうだかねぇ」

師匠「ま、残りの人生……パーっと行こうじゃねぇか」

マジシャン「だな。ハッハ!!」

師匠「さてと、ここらで別れるとすっか」

マジシャン「……ああ。そうしますか」 ザッ

師匠「んじゃ、元気でな」

マジシャン「テメーこそ死ぬなよ?」

師匠「ガハハッ! てめぇより先にゃぜってー死なん!!」

マジシャン「そりゃこっちの台詞だバカヤロー! ハッハ!!」

師匠「また、生きて会える事を祈ってるぜ。じゃあな……再来のマジシャン」 ザッザッザッ……

マジシャン「じゃーな。俺の最も信頼する……再来の朱雀召喚士サンよ」 ザッザッザッ……
228 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:47:30.92 ID:HizB5Irno
 これは、5年に及ぶ人間と魔族の戦いを記した物語である。

魔道士「召喚士さんっ、絶対に勝ってね! えへへっ!」

朱雀嬢「青年兵さん、負けちゃ駄目ですわよっ!」

 しかしその5年は、ずっと昔から続いてきた道の、ほんの僅かな物語。

戦士「朱雀先生の意地、見せてやれぇ!!」

盗賊「お前なら勝てるぞっ、頑張れっ!」

 この世界に勇者は居ない。英雄なんて居ない。救世主なんて居ない。

南方参謀「それでは決勝戦……開始っ!!」

青龍士官「歴史に残る戦いが始まるっ、目が離せないぞこれは!!」

 それでも人々は、後世へ語り継ぐだろう。全員が勇者で、英雄で、救世主だって。

青年兵「出てよ……っ! バハムート!!」

 これはたった5年の、ほんの僅かな人間と魔族の戦いを記した物語――――。

コカトリス「さて、我らの力を見せてやるか」 シュイイィィィィン

召喚士「うんっ、見せてやろう」 ザッ

コカトリス「さぁ命じろ、我が……戦友よ」











召喚士「行けっ!コカトリス!!」
229 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/17(金) 21:48:42.68 ID:HizB5Irno
〜エピローグ&召喚士「行けっ!コカトリス!!」、完〜
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/08/17(金) 21:49:26.14 ID:kC/FDIVzo
乙でしたああああああ!!
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 21:49:44.40 ID:qBkkJeXno
>>1乙!

畜生!もっと続けてくれー!

最高だったぜ!今までありがとう!!
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/17(金) 21:51:12.36 ID:HizB5Irno
これにておしまい!スレまだ残ってるからちょこちょこ何か投下しますね!
ご支援ありがとうございました!それではまた!!ノシ
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/17(金) 21:53:34.45 ID:/1M4skG8o
三年ぐらいお疲れ様でした
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/08/17(金) 21:54:05.93 ID:eCB5M+M2o
おつおつ
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 21:56:48.62 ID:+uMX8Gec0
1乙!
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 22:01:16.40 ID:BNjBUCl0o
ペニスに始まり女装に終わる…いちょつ
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/08/17(金) 22:04:19.60 ID:j+lMXJA3o
行けっ!クリトリス!がこんな大団円になるとはなあ
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/17(金) 22:05:42.66 ID:jueEnKs2o
>>1

3年間お疲れ様でした。魔導師ちゃん大好きだったけど、書き込むと荒れるから途中から封印してきました。魔導師ちゃん()と言ってもらってた者です。 
あれから生存まで気にかけてくれてる人もいましたが、毎日欠かさず読んでました!
毎日楽しかったです。ありがとう!

そして、魔導師ちゃん愛してる!召喚し爆発しろ。
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(青森県) [sage]:2012/08/17(金) 22:07:08.27 ID:LlbxSd7yo
>>1乙!
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 22:08:29.99 ID:KyUmhXggo
>>1乙でした〜!
この三年間、いろいろ自分にはあったが
その間日課として読むことを一番の楽しみにしてきたよ
ある意味支えになってもらってた
明日から何を楽しみにすればいいんだ
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 22:11:34.29 ID:pfhON87Qo
こういう終わり方かぁ!ずーっと追ってきたから寂しくなるな
>>1
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 22:14:00.61 ID:s9jDeu3DO
>>1乙!
VIPの初めのスレをなんとなく覗いた事が、生活の一部になるくらいの出会いになるとは思わなかった。
コカトリスの毒の尾で狩りをしていたり、回復役がいなくてアンバランスなパーティーだったのが、ここまで壮大な話になるとは思わなかった。

玄武娘の設定作りでVIPに単発スレ立てたりとかもあったよね

>>1の話はキャラ一人一人の魅力がしっかりとあって、サイドストーリー的なものや日常パートも凄く面白かった。
個人的に一番好きだったのは大規模戦争パートかな。

いつかで良いので、過去の魔族との戦争の話とかも書いて欲しいな。
>>1乙!本当におつかれさまでした。
いままでありがとう!
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 22:17:05.34 ID:s9jDeu3DO
>>238
生きてた!
よかったwwww

地震のあとくらいから書き込み見かけなくなったから結構本気で心配してました。
あーよかった
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/17(金) 22:18:37.16 ID:HizB5Irno
なんかあとがきとかアレですけどやっぱどうしても伝えたいので先に…



ななばつ様、かぎまとめ様、ずっとまとめて頂きありがとうございました!

人気投票所をご用意して頂いた方、投票下さった方々、ありがとうございました!

あぷろだをご用意下さった方、うpして下さった皆様、ありがとうございました!

素敵な支援絵を下さった絵師の皆様、ありがとうございました!

色々なAAを貼って下さった職人の皆様、ありがとうございました!

人物や戦況のまとめを作って下さった方、ありがとうございました!

南方司令部の面々を安価でレスして下さった方々、ありがとうございました!

毎日乙のレスや感想のレスを下さった皆様、ありがとうございました!

そしてここまでずっと読んで下さった全ての皆様、本当にありがとうございました!

こんなに長く続けて、無事完結出来たのはみんなのお陰です!感謝!

このスレ終わるまでは居りますけれど……またどこかでお会い致しましょう!

最後まで誤字ばっかりで本当にごめんなさい!それでは失礼致します!ノシ



◆1otsuV0WFc(一乙)
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 22:20:55.70 ID:BNjBUCl0o
「ありがとうございました」 が 「おいしゅうございました」 に見えてきた
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 22:28:31.75 ID:KyUmhXggo
>>245
ちょっ
それ遺書になっちゃうじゃねーか
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/08/17(金) 22:45:05.09 ID:5MrhGi+ho
終わってしまった・・・

>>1お疲れ様でした
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/17(金) 22:47:07.23 ID:KwLQXF7AO
乙!三年間楽しい時間をありがとう!
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage saga]:2012/08/17(金) 22:49:17.95 ID:JEs3bdZt0
まだ続くんだろ・・・・
俺はこれからどうしろというんだ
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/17(金) 22:57:04.49 ID:kXML8YqS0
終わっちゃったのか― 日課が無くなってしまった
もう三年か?VIPでスレ見つけた頃が懐かしいわ ホントお疲れさん
続きでも新作でもずっと待ってるお
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 23:01:54.17 ID:Csgx6UjFo
3年間、本当にありがとう
そしてお疲れです

これが日々の支えになってたよ
1おつんつん!
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/08/17(金) 23:08:23.21 ID:UTvPluAto
一乙
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 23:13:09.89 ID:9JG8yqvSO
一乙
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/08/17(金) 23:16:04.71 ID:iLGyHf/B0
>>1

乙です

三年間お疲れ様でした

255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福島県) [sage]:2012/08/17(金) 23:20:11.98 ID:ImBVss630
>>1乙!!!!
三年間ほぼ毎日更新お疲れ様でした!
終わったけどしばらくここを覗きに来ますww
ほんと乙でした!
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 23:27:23.73 ID:pLIEgg+co
何年も欠かさなかった習慣が終わるのはちょっと寂しいな
仕事頑張れ!
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/17(金) 23:31:19.82 ID:bmSbR0uW0
乙。生活の一部になっていました。ありがとうございました。
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 23:42:15.37 ID:SDWCtnGDO
長屋のサゲサゲは魔導師()じゃありません
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/17(金) 23:42:19.03 ID:Eohps17m0
いちおつ

泣きながら読んでた・・・
もう、いちがすきだ
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/08/17(金) 23:47:45.83 ID:qplnCzlWo
>>1
VIPから見てて3年間ずっと楽しませてもらった
よかったらまたssスレなんか立てたりして楽しませてくれ
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/08/17(金) 23:48:44.74 ID:OIVRnGa3o
本当にお疲れ様でした!!
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/17(金) 23:51:25.61 ID:Usg3/HFDO
俺がおつんぽと言うのも最後か…

またなおつんぽ!
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/08/17(金) 23:54:13.99 ID:D2OUS5F2o
正直ここまで続くとは1スレ目の時は思わなかったぜ

ほぼ毎日の投下お疲れ様でした

>>1乙そしてありがとう
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 00:12:26.22 ID:E3D7H5gko

遂に終わってしまったか
三年間お疲れ様でした
そしてありがとう
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/08/18(土) 00:15:56.15 ID:EgZ2LMteo
>>1乙超乙
「↓」の下に一番最初にノゴハン貼ったことは秘かな自慢だった
そしてこの物語の最中に結婚した一人でもある



>>238
生きててよかった
魔導師(54)♂と末永くお幸せに
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/18(土) 00:16:09.65 ID:ThVfDVADO
VIPから見てたけど初めて書き込む。ありがとう!おもしろかった!!
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 00:23:03.83 ID:Yghs3xaSO
いちおつ!

ここまでずっと貼り付いていていて良かったよ。言いたい事が有りすぎてまとまらない。約3年本当にありがとう!
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2012/08/18(土) 00:26:36.03 ID:zpZmd/9Vo
いやあながかった
ほんとおつかれさま
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/08/18(土) 00:50:49.88 ID:vfBETi5Ro
>>1ホントに乙 何気なく開いたVIPスレが
生活の中で日課になるほど楽しみになってた

3年かぁ、完全に引き込まれてたからもっと長く感じるよ

そして 青年兵「出てよ……っ! バハムート!!」
最後の最後までやってくれる>>1マジ愛してる
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 00:59:17.04 ID:LMIfTaNQo
>>1

ありがとう
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 01:11:02.94 ID:ary8pi5IO
お疲れ様でした。初期からずーっと見てましたが、騎都尉
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 01:19:27.44 ID:ary8pi5IO
お疲れ様でした。最初から見てましたがあっという間の三年間でした。皆と同じく生活の一部となり日々楽しく拝見させていただいておりました。
しばらくお休みになるのでしょうか、英気を養いまたSSを書かれる事を期待したいと思います。
騎都尉が亡くなった時はこみ上げてくるものがありました。お疲れ様でしたー!
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/18(土) 01:35:51.72 ID:ie/f1arAO
>>1おつ

VIPの頃から読んできたがここまで続くとはなぁ。お疲れ様
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 02:25:53.52 ID:8jU76KQlo
乙!
vipからずっとスレで読むことができて本当に良かった
乗っ取りからこんな大作になるとはなあ

さーて最初から読み直すか
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/08/18(土) 02:29:48.16 ID:Cz3NE8cuo
一応言っておくが乗っ取りではないぞ
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 03:51:06.35 ID:+9kojymto
おつおつ
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/08/18(土) 04:43:58.04 ID:13vDSoOzo
>>1
三年間ほんとにお疲れ様でした!
そしてありがとう!
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 05:02:44.43 ID:Anu/ZtJDO
>>1乙!

日課がなくなっちまったぁぁぁ
終わったのは寂しいけど今までありがとう!
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/18(土) 05:18:07.58 ID:9af3JFpK0
いちおつ
3年間お疲れさま ありがとう!
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/18(土) 05:31:21.88 ID:bt+dbOsDO
お疲れ様でした。

最初から見れてよかったけど、生き甲斐がなくなるよぅ…

淋しい…
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/08/18(土) 05:52:05.89 ID:wxRImhywo
最初はクリトリスや処女とか言ってたのに、こんな胸熱ssになるとは。三年間毎日楽しかったよ。

一乙。
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 05:53:44.17 ID:6wAuAoTDO
いちょつ

最初からいて良かった本当にありがとう!

ううう…
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 06:06:37.84 ID:AFv89Idw0
>>1おつんつん
かぎまとめ→33スレから参加し始めた新参組なので>>1との付き合いは短いのですが、終わってしますというのはやはり悲しいです。
3年間お疲れさまでした、そして素晴らしい話をありがとうございました。
また会えますように。
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 06:12:30.29 ID:wwf1fqtDO
>>1乙っす
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/08/18(土) 06:36:58.97 ID:rJkqLUNd0
>>1
最後に一言だけ言わせていただきたい

数%のスーパー銭湯
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/18(土) 07:26:02.65 ID:kzfIaje+o
>>1今までお疲れ様
召喚士たちの冒険がもう終わってしまうのはさみしい感じがするな。
ちょっと休んだらまた>>1の好きなものを書いてくれたら嬉しい。

ここにいるやつらはみんな>>1のファンだからずっと待つぜ

長い間クオリティの高い話を書き続けてくれてありがとう。
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/08/18(土) 07:30:25.25 ID:XeUhAi4lo
>>1
おつううううううう!!!!!
三年間楽しく読ませて貰いました!
日課だったものが無くなり虚無感が。。。
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 07:37:46.31 ID:Z4qOj7io0
あえて触れてやろう。
>>285
>>285


とにかく>>1乙!

289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/18(土) 08:01:55.35 ID:0JiW3YO/o
一乙
読み始めた頃幼稚園児だった娘が
ちょっと色気づきはじめるようになった
本編終わるに際し
これだけ長くて濃い時間を駆け抜けた1に
ただただ惜しみない賞賛の拍手を贈りたい
ありがとう
お疲れさま
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 08:12:00.11 ID:M0TAY//Po
>>1
2年くらい前の年末に年賀状請求したら>>1直筆の年賀状うpしてくれたのは良い思い出
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/08/18(土) 08:12:52.60 ID:yDwQh9Eqo
いちおつううう
いやー。王子も大人になったしなぁ
昔のことは、みんなもう許したんだよな?
しかしうらやましい
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/08/18(土) 09:11:38.98 ID:JW7At2SCo
王子は許さ……許す
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/18(土) 09:46:05.76 ID:xhnD2X/DO
才能あり過ぎだ!

プロ作家を目指してほしい
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/08/18(土) 10:02:19.70 ID:/Tddm5jAO
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/08/18(土) 10:26:07.32 ID:w2pj3QzPo
     ...| ̄ ̄ | < すごく面白かったです 長期間お疲れ様でした
   /:::|  ___|       ∧∧    ∧∧
  /::::_|___|_    ( 。_。).  ( 。_。)
  ||:::::::( ・∀・)     /<▽>  /<▽>
  ||::/ <ヽ∞/>\   |::::::;;;;::/  |::::::;;;;::/
  ||::|   <ヽ/>.- |  |:と),__」   |:と),__」
_..||::|   o  o ...|_ξ|:::::::::|    .|::::::::|
\  \__(久)__/_\::::::|    |:::::::|
.||.i\        、__ノフ \|    |:::::::|
.||ヽ .i\ _ __ ____ __ _.\   |::::::|
.|| ゙ヽ i    ハ i ハ i ハ i ハ |  し'_つ
.||   ゙|i〜^~^〜^~^〜^~^〜
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 10:35:45.87 ID:Eq1w3soDO
初カキコ、>>1
面白かった!完結おめでとう!
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 12:37:07.25 ID:Vaqg7fvIO
うむ、俺が卒論で病んでる時の毎日の楽しみはこれでした
そんな僕も今は社会人
ありがとう、ありがとう
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2012/08/18(土) 12:55:55.23 ID:NK/LD9UAO
おつでした!
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/18(土) 13:56:18.69 ID:da6fhtW5o
>>285
お前だったのか?

300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 15:05:40.50 ID:6tsCemuSo
いちおつ!!
終わっちゃったのが寂しくてならないけど、素晴らしいラストでした
今まで楽しい時間をありがとう!
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/08/18(土) 17:18:55.24 ID:T1/GNR370
いちおつ!いままでありがとう!
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 17:19:18.96 ID:xsg3NeuIO
お疲れ様でした。

毎日の楽しみにしてました。
終わってからまた読み直してます。
キャラ全員に個性ありでワクワクしました。
毎日ほとんど休まずに我々を楽しませてくれた1には感謝です。
どうもありがとうございました!

VIPの時から見てたので感慨深いものがあります。
結婚したと言ってた人もいたし、さらに子供が産まれたと喜ぶ人もいましたね。
ちなみに私は離婚を経験した人でした。
ケツアナルココホルとふざけた事を書いたりもしましたが今となっては懐かしいです。

>>1本当にありがとうございました!

303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/08/18(土) 18:12:10.94 ID:cI6McFHAO
>>1乙。お疲れ様
vipから読んでたから感慨深いわ
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/18(土) 18:14:25.66 ID:ohoeXn/m0
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 18:34:27.74 ID:2itomN9ko
素晴らしい作品を本当にありがとう、お疲れ様です。
>>265と同じように結婚、そして子どもができて育児と人生の激変期に毎日の通勤の辛さを忘れさせてくれす時間いただきました。
ハネムーンの最中に最新を読めなくてなんだか落ち着かなかったのが、この作品の吸引力を物語っていました。
これからも楽しみにしながら応援させていただきます。

おつおつ!
おっつおつ!
>>1はオレの嫁!
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 19:06:20.55 ID:3fWjkNHDO
どうぞどうぞ
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 21:02:33.47 ID:sKQfcXMDO
vipで見つけた時は高3だった俺も今では大学1年生
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/08/18(土) 21:05:06.95 ID:9Y6s4608o
留年乙
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 21:50:43.61 ID:p1bWE+bwo
地震の話題が出ないってことは
仙台の辺りから読んでた人は地震で全滅か?
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/18(土) 22:45:55.69 ID:6topNwmIO
たしか20歳だったはずなのに気がついたら30超えてました。

おつおつー。
面白かったよ。
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/18(土) 23:43:08.08 ID:yGP5Ty2IO
一乙

俺のあそこは黒王号
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/08/19(日) 00:36:45.24 ID:gjAeCxz70
ヤマタノオロチあたりからまとめで読んでハマったけど今まで凄く楽しめました。

時間できた時にもう一度最初から読み直そう

乙です
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/19(日) 12:57:54.63 ID:t8qdtJ4p0
>>310ツッコミ待ち?

>>1
次回作マダー?
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/08/19(日) 15:00:48.92 ID:heNBEGF1o
>>309
仙台民だけど元気やで
つーか海沿い以外あんまり被害ない
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/08/19(日) 20:04:58.75 ID:b+SbiN9U0
お疲れ様でした。
この話は2週間前から見つけたのですが追いついたと同時に終わってしまって悲しいんだか嬉しいんだか.....

どれも個性的なキャラだらけでとても面白かったです。

小説化したらとても人気作品になるのではないでしょうか?

最初の下ネタさえなけりゃwwwww
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/08/19(日) 20:16:39.86 ID:8H3tnOcDo
以下スルー検定
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/08/19(日) 21:01:11.18 ID:BbzZhWQzo
完結したしそろそろ宣伝してもいいのかな
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/08/19(日) 21:14:25.91 ID:s1aEhv4AO
>>1がまだ何かしてくれるかもしれないし止めとけ
何かの拍子に御餓鬼様大量混入→荒れて落ち、ってなったら嫌だし後味悪い
せめてこのスレ落ちまで様子見ようず
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/08/19(日) 22:27:31.97 ID:eGh0pU13o
就活中に読み始め、今では社会人。BB2Cを更新してnewって出る度にワクワクしてたよ。
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/19(日) 22:58:04.89 ID:Hooq6J3Ao
【 html化されたこのスレを読んでいるお前へ 】

おい、お前。そう、お前だよ。
「このスレおもろいから見てみ」「2ちゃんの歴史に残る名スレだぜ」とか言われてホイホイと
このhtml化されたスレを見にきた、お前のことだ。
どうだ?このスレおもしれーだろ。
でもな、お前はこのスレを読むだけで、参加することはできねーんだよ。
可愛そうにな、プププ。
俺は今、ライブでこのスレに参加してる。
すっげー貴重な経験したよ。この先いつまでも自慢できる。
まあ、お前みたいな出遅れ君は、html化されたこのスレを指くわえて眺めてろってこった。
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/08/19(日) 23:00:29.05 ID:gThzcMuto
そろそろ書くのやめよう。
1が書くスペースが減ると本当に悲しい。
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage saga]:2012/08/19(日) 23:56:03.33 ID:Z3LYmT9G0
>>1の次回作はもちろん出るんだよな?
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/20(月) 01:11:55.69 ID:/HIv7KAEo
もろちん出るよ
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/20(月) 01:33:59.09 ID:nfuUosMYo
長い間楽しませてくれてありがとう!
本当に、お疲れ様でした
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) :2012/08/20(月) 04:39:29.03 ID:pTrp2ud80
>>1
終わってしまった・・・クリトリスとか言ってたのに
感動させてもらた
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/08/20(月) 10:32:34.93 ID:vLoGvORt0
長い間本当にお疲れ様!
何回泣かされたかわからない位に最高だったぜ!

これがあったおかげで、ドイツでの生活も乗り切れたんだぜ!

次回作期待してる!

いちおつ!

そして、魔導士は召喚士に渡さん!
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/08/20(月) 15:54:33.40 ID:ZWRr5aYeo
終わっても毎日ここに着ちゃうんだよなぁ
この時間になるとソワソワしちゃう
328 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/20(月) 17:17:15.77 ID:qnUDjZOzo
 召喚士「行けっ!コカトリス!!」

      〜それから〜
329 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/20(月) 17:18:20.80 ID:qnUDjZOzo
〜北の港、ショッピングモール〜

男隊員「そんでさぁ、そいつが盾の使い方を根本的に間違ってるわけよ」

鍛冶娘「あははははっ」

男隊員「ほーんと参っちまうよ……ヒャハハ」

鍛冶娘「隊長みたいな詳しい人が教官じゃ、新兵も大変よねぇ〜」 ズズー

男隊員「おいおい、何もマニアックな事を教えてるわけじゃないんだ。普通の事だぜ?」

鍛冶娘「それはそうなんですけど〜」

男隊員「じゃあ鍛冶娘は、自分が作った武具を誤った使い方されてもいいってか?」

鍛冶娘「……それは困ります」

男隊員「だろ? ヒャハハ!」

鍛冶娘「でも隊長みたいに詳しい人、なかなか居ないですよね」

男隊員「変わりモンってか?」

鍛冶娘「私にとってはありがたいですけどね」 ズズー

男隊員「へっ!?」

鍛冶娘「あっ! いやっ、変な意味とかじゃなくって!」

男隊員「あ、あぁ……っ」 ズズー

鍛冶娘「私もその……話してると熱くなって、マニアックな方向へ行っちゃうので……」

男隊員「分かる」

鍛冶娘「だから一緒に盛り上がれるから、ありがたいな……って事です。はい」

男隊員「うん」
330 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/20(月) 17:19:04.81 ID:qnUDjZOzo
鍛冶娘「…………」
男隊員「…………」

鍛冶娘「…………」
男隊員「…………」 ズズー

ウェイトレス「コーヒーのお替わり、いかがですかぁ〜>?」 スタスタ

男隊員「あ、ああ。頼むわ」

ウェイトレス「はい〜」 コポコポコポ

男隊員「……あ、あのよ」
ウェイトレス「他のご注文などは宜しかったですか?」

男隊員「……っ。大丈夫だ」
鍛冶娘「私も、平気です」

ウェイトレス「はい。それでは失礼致します」 スタスタスタ

男隊員「……ふーっ」
鍛冶娘「……あ、お砂糖取って貰っても宜しいですか?」

男隊員「えっ!? あ、おう」 スッ
鍛冶娘「ありがとうございますっ」 サラサラ

男隊員「……あ、あのよ」
鍛冶娘「はい?」

男隊員「もう……吹っ切れたのか?」
鍛冶娘「へ……っ?」

男隊員「いや……ほら、戦士の事」
鍛冶娘「!?」

男隊員「なんつーかその……好意持ってたんじゃねぇのかな……って」 ズズッ
鍛冶娘「や、やめて下さいよっ! な、何で私があんな奴……っ」 ズズズッ

男隊員「そ、そっか!」 ズズー
鍛冶娘「あおっ、そうですよ〜もう〜! コーヒー美味しいですねっ、んぐんぐっ……こほっ!」
331 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/20(月) 17:19:32.39 ID:qnUDjZOzo
 ガチャンッ……ポタポタポタ

男隊員「お、おいっ! 大丈夫か!?」 コトッ……フキフキ
鍛冶娘「す、すみませ……けほけほ……っ」

男隊員「服は汚れてねぇか!? 火傷は!?」
鍛冶娘「だ、大丈夫です……っ。すみません」

 フキフキフキ……

鍛冶娘「……っ」 ポタポタッ

鍛冶娘「ごめんなさい……っ」
男隊員「い、いやっ! こんなの気にする必要ねぇって……」

鍛冶娘「そうじゃなくって」
男隊員「え?」

鍛冶娘「隊長さんにまで……変な気を遣わせてしまって」
男隊員「あ、ああー。別に気にすんなって。ヒャハハ」

鍛冶娘「私にとって戦士は……初めてなんです」

男隊員「……な……に?」
男隊員「……?」
332 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/20(月) 17:20:01.40 ID:qnUDjZOzo
鍛冶娘「……へ? あ、ちがちがっ!! 変な意味じゃなくって!!」
男隊員「あ、あぁ……」

鍛冶娘「父親を除いて、初めて身近に感じた男の人で」
男隊員「確か、居候してたんだっけか?」

鍛冶娘「もう10年以上前の話ですけどね」

男隊員「……」

鍛冶娘「それで、何て言うか……今思えば、好きとかそういう感情じゃなくって……」

男隊員「……」

鍛冶娘「憧れというか、兄みたいで……大人の男なんだ、って」

男隊員「分かるよ」

鍛冶娘「だから本当に好きとかそういう気持ち、今思えばどうだったんだろうって」

男隊員「……」

鍛冶娘「でも、盗賊さんと結婚するって時に、何だろう……私……っ」 ポロポロ

男隊員「ほれ、ハンカチ」

鍛冶娘「あっりがと……ぐすっ。私、何故か心から祝福出来なくって」

男隊員「……」

鍛冶娘「何だか、嫌な女ですよね私って……」

男隊員「んな事ねーさ」

鍛冶娘「……ぐすっ」
333 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/20(月) 17:20:28.11 ID:qnUDjZOzo
男隊員「人を好きになるのに、良いとか嫌とかないだろ」
鍛冶娘「……うん」

男隊員「世の中に男なんていっぱいいるんだ。また恋すりゃいいじゃんか」
鍛冶娘「うん……っ」

男隊員「よーく考えてみ? あいつ、そんなにいい男だったか?」
鍛冶娘「……ふふっ。そうですよね! あんなジコチューバカ!」

男隊員「そうそう。ヒャハハ!」
鍛冶娘「ふふっ。……隊長さん、ありがとうございます」

男隊員「……あのさ」
鍛冶娘「はい?」

男隊員「隊長っての、こそばゆいからそのー何だ、出来れば名前で呼んで欲しいんだよな」
鍛冶娘「あっ、すみません……。えっと……男隊員……さん」

男隊員「呼び捨てでもいいぜ?」
鍛冶娘「そんなの出来ませんよっ!」

男隊員「そっか」
鍛冶娘「何だかすみませんでした。本当にありがとうございます」

男隊員「気にすんなって。あ、そうだ……このあとヒマ?」
鍛冶娘「えっ? あ、ええ。今日は止まりで明日の船ですから」

男隊員「良かった。んじゃちょっくら付き合ってくんねーか?」
鍛冶娘「……?」
334 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/20(月) 17:21:05.26 ID:qnUDjZOzo
〜地下格闘場〜

鍛冶娘「ここって確か……」
男隊員「そっ。UFR」

鍛冶娘「雑誌やラジオでは聞いた事あるけど、来るのは初めてです」
男隊員「そりゃ良かった。大人2枚」

店員「あいよー。カップルかい? せいぜい楽しんでいきな! うひゃひゃ!」
男隊員「そんなんじゃねぇ! ったく」 スタスタスタ

女隊員「あっ! 来た来た! ここッスよー」
男隊員「おーう」 スタスタ

女隊員「ありゃ!? 鍛冶娘ちゃんも一緒ッスか?」
鍛冶娘「こんばんはー」

ボス「ちょうどですね。次の試合ですよ」
男隊員「ちゃーんと時間通り来たっつーの。ヒャハハ」

リングアナ「さぁ、お次は本日のメインイベント!!」

男隊員「賭けたのか?」

ボス「いえ。正直難しすぎますよ次の試合は」

女隊員「ていうか、国軍はそもそも賭博禁止ッス」

男隊員「固い事言うなよ」

女隊員「特遊の隊長が規律乱してどうするッスか!」 クワッ

男隊員「おー怖い怖い。流石はメスゴリラ」

女隊員「一緒にエントリーするッスか?」

男隊員「ごめんなさい」

鍛冶娘「あははははっ!」
335 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/20(月) 17:21:48.03 ID:qnUDjZOzo
ボス「おっ、出てきましたよ!」

リングアナ「まずは赤コーナー! ただいま連勝街道爆走中……」

男隊員「なぁ」
ボス「はい?」

男隊員「ところでお前、南方弓長とはどうなんだ?」 ヒソヒソ
ボス「き、急に何を言ってんすか!」 ヒソヒソ

リングアナ「今日勝てば何と17連勝!! マスク・ド・ジーニアス・グレートオオォォォォ!!」

観客「M・G・G!! M・G・G!!」 ワアアアアァァァァ!!

鍛冶娘「あの、あれって……」
女隊員「そッス。格闘家くんッスよ!」

鍛冶娘「なるほど、だから皆さんで来てたんだ」

男隊員「んで、どうなんだよ?」 ヒソヒソ
ボス「どうもこうも……普通っすよ」 ヒソヒソ

男隊員「普通って何だよ!」 ヒソヒソ
ボス「普通は普通っすよ!」 ヒソヒソ

女隊員「そこっ! うるさいッスよ!!」 クワッ

男隊員「ごめんなさい」
ボス「ごめんなさい」
336 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/20(月) 17:22:30.67 ID:qnUDjZOzo
リングアナ「続いて青コーナー。こちらも連勝記録を更新中の新進気鋭……」

女隊員「おっ!!」
男隊員「目の色変わったなおい。ヒャハハ」

 ドゴォ!!

女隊員「黙ってろッス」

男隊員「…………」 シュウウゥゥ……

リングアナ「東方から来た最強の刺客……ザ・ニンジャ!!」

観客「いけえぇ! 今日こそMGGの奴を止めてくれよぉ!!」 ワアアアアァァァァ!!

男隊員「あいつって忍者だったのか?」

ボス「いや、東方=ニンジャという公式が最近出来つつあるそうで」

男隊員「なんじゃそりゃ?」
女隊員「マンガの影響ッスよ。猫さん剣士っていう」

鍛冶娘「あっ! あれ面白いですよねぇ〜!」

ボス「だから分かりやすいようにニンジャを名乗ってるそうっすよ」
男隊員「ふーん。なるほどね」
337 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/20(月) 17:23:08.36 ID:qnUDjZOzo
リングアナ「さぁ、両者リング中央へ!!」

 ザッザッザッ

格闘家「……」
槍侶「ようやく、この刻が来ましたね」

格闘家「今日は本気で、戦いましょう」
槍侶「勿論!!」

リングアナ「さぁ、両者……早くも火花が散っております!」

鍛冶娘「格闘家さんと槍侶さん、これは凄い試合になりそう……っ」
男隊員「職人としても見るところはあるだろうよ」

鍛冶娘「え……っ?」
男隊員「互いに拳と拳で戦い合うんだ。武器なんざ持たずしてな」

鍛冶娘「あ……っ」
男隊員「武器を作る身として、武器のない奴の戦いを見る。絶対に有り得ない事だよな」

鍛冶娘「でも、有り得ないからこそ何かがある……かも」
男隊員「……ヒャハハ。ま、小難しいことは置いといて、まずは純粋に楽しむこった!」

鍛冶娘「はいっ!」
男隊員「そうすりゃー嫌な事も忘れんだろ」

鍛冶娘「へっ?」
男隊員「んー何でもねぇ。そら、始まるぞ!」
338 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/20(月) 17:23:40.29 ID:qnUDjZOzo
ボス「どっちを応援するんです?」
女隊員「ど、どっちも応援なんて出来ないッスよ」

ボス「ですよね」
女隊員「どっちも勝って欲しいけど……あぁ、そうもいかないッスよねぇ!!」

男隊員「格闘家、負けたら減給だぞ! ヒャハハ!」

鍛冶娘「2人とも頑張ってーっ!」

女隊員「格闘家くんも槍侶くんも……頑張るッスよぉ! どっちも勝てー!」

ボス「!?」

格闘家「相手にとって……不足なし」 グッグッ
槍侶「いざ尋常に……勝負!」 ザッ

リングアナ「それでは! レデイイィィィィゴー!!」
339 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/20(月) 17:29:36.21 ID:qnUDjZOzo
〜ある特遊の休日、完〜
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/08/20(月) 17:30:37.57 ID:G8Xrgdi8o
おつ!!
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/08/20(月) 18:00:46.02 ID:XKw7imYAO
一瞬盗賊かとオモタ
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/08/20(月) 18:10:05.25 ID:ZWRr5aYeo
いちおつ!
おお!続きだ!!
嬉しくてちょっとウルッてなったじゃねーか
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/20(月) 18:48:31.07 ID:gk47ErmDO
何日振りなだけでなんだか懐かしいかおりが

おつんぽ!
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/20(月) 19:24:07.07 ID:2FqHFVxDO
続編キタ━━━━(゚∀゚)━━━━
1乙


幽白みたいだな
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/20(月) 19:49:20.84 ID:xP76KwLJo
>>1

平和って素敵…ポッ
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/20(月) 21:48:27.80 ID:5Lww8B8AO
>>1おつ
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/20(月) 22:52:08.93 ID:jQtLuv0K0
やっぱ投下あるとすごい嬉しいな

いちもつ!
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/20(月) 23:16:43.57 ID:q2kJ6Gbno
改めて気付いた
俺はお前のことが大好きだ乙
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/08/21(火) 02:41:50.85 ID:X+bSrO/y0
>>1おつ!
これからも毎日見に来ます!
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/21(火) 04:42:35.33 ID:r+SR4FyO0
>>1 おつ
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/21(火) 04:45:43.53 ID:S0GYSKPDO
うわぁきっしょいきっしょい^^;
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/08/21(火) 06:22:32.62 ID:14/ZAdVh0
>>1
女隊員が一番好きな俺にはかなり俺得の回だ
353 :sage :2012/08/21(火) 06:25:48.08 ID:hdhJUg7O0
平和の日常もっと読みたいな
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(青森県) [sage]:2012/08/21(火) 15:20:10.09 ID:zVSN9HqRo
>>1おつ!
355 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/21(火) 23:07:19.38 ID:Sd0rJ5zAo
青年兵「……成程」

大軍師「如何ですか?」

青年兵「分かりました。いいでしょう」

大軍師「だ、そうです。良かったですね」

青年兵「それでは始めましょうか」

息子「はいっ!」
356 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/21(火) 23:07:47.59 ID:Sd0rJ5zAo



 召喚士「行けっ!コカトリス!!」

      〜それから〜
357 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/21(火) 23:08:13.22 ID:Sd0rJ5zAo
青年兵「魔道学園を主席で卒業」

息子「はい!」

大軍師「魔力は申し分ありませんね。先生方のお墨付きです」

青年兵「……ふむ」

 パサッ

青年兵「武芸の類も国軍の訓練所に通っているのか」

大軍師「どちらの門下生ですか?」

息子「はいっ。格闘家さんに師事致しております!」

青年兵「格闘家……体術か。珍しいな」

息子「実は剣術については、東方へ月に2度ほど通っておりまして」

青年兵「東方? もしかして東方司令さんの所かな?」

息子「はい」

大軍師「となると、獲物はツヴァイハンダー」

青年兵「……ふむ」

息子「ですが、得手ではありません」
358 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/21(火) 23:08:39.90 ID:Sd0rJ5zAo
大軍師「ほう。それでは?」

息子「同じく東方の総本山において、槍術を学んでおります!」

青年兵「槍か……成程」

息子「やはり、槍はどうしても……」

青年兵「うん。分かるよ」

大軍師「しかし大変ではありませんか?」

息子「あ、今は師範もこちらへ来ておりますので」

青年兵「槍侶さんが?」

大軍師「各地を放浪して、修行中のようですよ」

青年兵「そういえば隊長が言ってた。UFRに参戦してるって……」

息子「……?」

青年兵「ああ、ごめん。えぇとそれから……」

大軍師「学業、馬術、武具の取り扱い。そうですね、非の打ち所が御座いませんね」 ヒラヒラ

息子「勿体無いお言葉です」

青年兵「勿体無いのはこちらの方さ」
359 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/21(火) 23:09:08.57 ID:Sd0rJ5zAo
息子「え……?」

青年兵「これだけの素質、才能があれば……士官候補生として、本部で努めて貰いたい」

息子「本当に有り難きお言葉です。しかし、私はどうしても……」

青年兵「うん。君の願いは分かっているつもりだ」

息子「はいっ!」

青年兵「2年」

息子「……?」

青年兵「2年努めて、本国へ戻る。それで良いね?」

息子「……はい!」

大軍師「解体および撤去作業の目安です。おおよそ2年」

青年兵「無事、任務を終えた後は……士官として本部勤務に勤しんでもらうよ」

息子「承知致しました!」

青年兵「大軍師さん」

大軍師「ええ、私は良いと思いますよ。派遣中の誰よりも適しているかと」

青年兵「まだ若いが素質は十分、任せる価値はありますね」
360 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/21(火) 23:09:45.13 ID:Sd0rJ5zAo
大軍師「ええ。戦闘行為もありませんし、問題はないでしょう」

息子「あ、あの……」

青年兵「息子くん、君を部隊長として派遣する」

息子「――っ!!」

青年兵「……さて、それでは面談を終了する」

大軍師「おめでとうございます。これで晴れて、国軍の仲間入りですよ」

息子「はっ! ありがとうございます!」

青年兵「早速、辞令を渡す」 スッ

息子「……」

青年兵「新兵、息子よ」

息子「……はい!」

青年兵「君を……南西砦長に任命する」

息子「はっ!!」 ザザッ

青年兵「亡き父上と同様、親子2代で南西砦を守ってくれ」

息子「……ありがとうございますっ!!」



〜埃にまみれた意志を継げ、完〜
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/08/21(火) 23:28:00.20 ID:Y8QGov+Ro
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/21(火) 23:42:39.36 ID:sEQFNRvDO
ほう…
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/22(水) 00:52:59.83 ID:6kGG2wvu0
いちおつ
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/08/22(水) 01:04:31.07 ID:m7OXRBm/o
乙!
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/22(水) 01:41:39.14 ID:bPRf2zqAO
>>1おつ

世襲でいきなり南西砦長とか南西司令部で確執がおきちゃうな
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/22(水) 08:04:19.93 ID:TRK8T1cDo
>>1

息子優秀すぎワロタ
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/22(水) 08:56:57.96 ID:eV7QodCd0

新主人公来たな
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/22(水) 10:42:52.81 ID:yIA5+l3Jo
あのおっさんの息子なら皆喜んで歓迎すんじゃね?
369 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/22(水) 12:42:05.69 ID:qUHyIXjao



 召喚士「行けっ!コカトリス!!」

      〜それから〜
370 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/22(水) 12:45:09.68 ID:qUHyIXjao
戦士「盗賊に?」
盗賊「うん」

戦士「召喚士の間違いじゃないのか?」

盗賊「いや、間違いなく私宛てだ」 ヒラヒラ

魔道士「何なんでしょうね。あ……取材じゃないですか!?」

盗賊「へっ?」

魔道士「美しすぎるワーカー、盗賊さん! とか。えへへ!」

盗賊「そっ、そんなのは……いやっ、ないないない! やだよ!」 カアァ

戦士「顔真っ赤だぞ?」
盗賊「五月蝿い! たわけっ!」

戦士「単独インタビューか! すっげーな、主役だ主役!」

魔道士「盗賊さん、おめでと〜!」

盗賊「だ、だから違うってば!」

召喚士「……あの、そろそろ行きませんか……?」
371 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/22(水) 12:45:49.61 ID:qUHyIXjao
〜新聞社〜

魔道士「あのーすみません」

受付嬢「はい?」

魔道士「えっと、今日の10時に新聞社へ来るよう言われたんですけど」

受付嬢「どなたにですか?」

盗賊「分からぬ。書いてなかった。これだ」 ゴソゴソ

受付嬢「確かに弊社のものですね。少々お待ち下さいませ」 カツ……コツコツコツ

戦士「受付も知らねーとか、ほんと何なんだ?」

盗賊「さぁ」

書家「おれ〜はて〜んさい〜んおっ?」 スタスタ

召喚士「あ……」

書家「いよぉー! 元気――」

召喚士「書家さんっ! 何でアレ、出版したんですか!!」 ガクガクガク
書家「べべべ別にいいいじゃねぇかかか」 ガクガクガク
372 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/22(水) 12:47:06.81 ID:qUHyIXjao
召喚士「おかげでこっちは散々な目に遭っているんですからね!」

書家「バカヤロー!!」
召喚士「……っ!」 ビクッ

書家「いいか? 男がちっぽけな事でガタガタ言うんじゃねぇ!」

召喚士「書家さん……」

書家「男はなぁ、どんな事があっても挫けちゃなんねぇ! 下を向いちゃならねぇんだよ! そうだろ!」

召喚士「……書家さん」
書家「……んだよ?」 カチッ……シュボッ

召喚士「それとこれとどんな関係があるんですかっ! 騙されませんよ!」
書家「ぐわっ! くっ、ぐるし……ぃ!!」 バンバンバンッ

受付嬢「お待た……ちょっと、ロビーで暴れないで下さいっ!」

召喚士「すみません……」

書家「へへっ、ざまぁ〜怒られてやが――」
受付嬢「あなたがですよっ!!」

盗賊「あの、それで……」
受付嬢「あっ、失礼致しました! ご案内致します。こちらへどうぞ」 カツカツ

魔道士「それじゃ書家さん、また!」
戦士「んじゃな〜」 スタスタ

召喚士「次は法廷で争いましょう」 プイッ
書家「えー」
373 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/22(水) 12:48:01.39 ID:qUHyIXjao
受付嬢「こちらです。どうぞ、お入り下さいませ」 カチャッ

記者「どうも、皆さん!」
魔道士「記者さんっ!? それに……そちらの方は?」

記者「初めてでしたよね? えっと、こちらは……」

盗賊「……あっ!!」

漫画家「先日はどうも」

戦士「知り合いか?」

盗賊「う、うん……っ」

記者「今日は漫画家先生が是非、お会いしたいと」

魔道士「そうだったんですか!?」

召喚士「それならそうと書いてくれれば良かったのに」

記者「えっ? 書いておりませんでしたか……?」
374 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/22(水) 12:48:31.75 ID:qUHyIXjao

盗賊「うん。新聞社に来いとしか」 ピラッ
記者「……新入りいいぃぃ!!」

新入り「は、はいっ!」

記者「何だこれはっ! 名前もなければ要件もないじゃないか!」
新入り「ひ、ひいぃ! すみません!」

戦士「なんか編集長になってから、変わったよな……」
召喚士「うん……。すっごい気合い入ってる……」

記者「いやはや、失礼致しました」

盗賊「いや」

記者「どうぞ、お座り下さいませ。おい、お茶だお茶!」
新入り「はいぃ〜っ」 タッタッタッ

魔道士「漫画家さんは、こちらの新聞社の方なんですか?」

漫画家「はい。所属しておりますよ」

記者「うちの漫画部門で稼ぎ頭ですから」

戦士「へぇー。そんなにすごいのか。何を描いてるんだ?」
盗賊「知らぬのか!? たわけ! 猫さん剣士だっ!」

魔道士「えぇっ!?」

戦士「猫さん剣士ってそんなに凄いの……?」 ボソボソ
召喚士「さ、さぁ。名前は聞いたことあるけど……俺も漫画読まないから」
375 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/22(水) 12:49:34.48 ID:qUHyIXjao
魔道士「サイン下さいっ!」 ズイッ!!
盗賊「わ、私も……!!」

戦士「魔道士はどっから色紙が出てくんだよ……」
召喚士「何故か不思議といつも持ってるよね……」

漫画家「じゃあせっかくなので、こちらの最新刊にサイン付きでプレゼントさせて頂きますよ」

盗賊「!?」

魔道士「い、いいんですか!?」

漫画家「モチロンです」
盗賊「やった……っ」 ニマァ

漫画家「はい、どうぞ」 カキカキ……スッ
魔道士「ありがとうございます〜! えへへ〜!」

盗賊「おおぉぉ……っ」

戦士「ところでよ、何で今日は盗賊が招かれたんだ?」

漫画家「ええ。実は先日、新キャラを出す際にご協力頂きまして」

召喚士「へぇ〜そうだったんですね」
376 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/22(水) 12:51:08.20 ID:qUHyIXjao
魔道士「えっ!? どれどれっ? どれが盗賊さんですかっ!?」

漫画家「えっと、51ページ目からの話に……」

盗賊「51……51……51……っ」 パラパラパラッ

戦士「おっ、それか?」
盗賊「――――っ!!」

魔道士「す、すっごい……セクシーキャラ……」
召喚士「ほんとだ……」

漫画家「当初は純粋にニンジャの予定だったのですが……」
盗賊「……」

漫画家「構想を練っているうちにその、どうしても頭から離れなくて……」

魔道士「……あ、これがですか?」 モミッ

盗賊「ひっ!?」 ムギュウウゥゥ

魔道士「確かに分かりますよー。男性ならば1度その目にしたら、これはなかなか――」

 ドゴンッ!!
377 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/22(水) 12:52:25.18 ID:qUHyIXjao
魔道士「……うぅ」 プシュー

漫画家「とにかく盗賊さんにはいち早く伝えたかったんだけど、なかなか機会がなくて」

盗賊「あああっ、ありあ……とございましたっ!!」

漫画家「いやいや、こちらこそ!」

召喚士「ちなみにこの、猫さんニンジャはどういったキャラクターなんですか?」

漫画家「うん。敵か味方か謎の女、しかしその招待はそれはそれは美しい猫……」

盗賊「おぉ……」 ドキドキ

漫画家「単身、魔王へ挑むもピンチに陥るが、その時猫さん剣士が助けに! そして2人はハッピーエン――」
盗賊「えぇっ!?」

漫画家「えっ?」
盗賊「あ、いや……何でもない……です」

漫画家「ご、ごめん……。せっかく楽しみにしてたのに、ネタバレしちゃったね」
盗賊「あ、いいんですっ。大丈夫……!」

漫画家「……?」
378 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/22(水) 12:53:23.56 ID:qUHyIXjao
記者「あの、朱雀先生」
召喚士「はい?」

記者「この後なんですが……ご予定は?」

召喚士「えっと……特に何もありませんけど」
戦士「メシでもオゴってくれんのか!?」

記者「もちろん構いませんよ! 但し……取材も兼ねてですが」

召喚士「……」
戦士「しっかりしてやがんぜ。ったく」

記者「それでは行きましょうか! 内容は召喚フェス総括。あの決勝戦を振り返るという事で!」
召喚士「はい……」 スタスタ

戦士「おーい、行くぞ」
魔道士「あ、はーい! それでは漫画家さん、ありがとうございましたっ!」

漫画家「いえいえ。こちらこそありがとう」

盗賊「……」
漫画家「盗賊ちゃんも今日はありがとう」
379 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/22(水) 12:54:39.40 ID:qUHyIXjao
盗賊「あ、あの……」
漫画家「ん?」

盗賊「凄い我儘な事、なんだけど……」
漫画家「何だい?」

盗賊「出来れば猫さんニンジャは……別の人と結婚させて欲しいな、って」
漫画家「別?」

盗賊「あ、えっと……例えば……」 キョロキョロ

漫画家「あ、紙とペン? これ使っていいよ」
盗賊「ありがとう」 スッ

漫画家「新キャラって事かな?」
盗賊「うん。こんな感じの……」 カキカキ

漫画家「――っ!?」
盗賊「ちょっと適当だけど。えっと……猫さん……戦士、とか?」

漫画家「…………」
盗賊「あ、あの……」

漫画家「あ、ああ。ごめんごめん……っ」
盗賊「どう……かな?」
380 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/22(水) 12:55:53.89 ID:qUHyIXjao
漫画家「あ、あの……盗賊ちゃんて何者なの?」
盗賊「へっ!?」

漫画家「いや……っ、愚問だったね。盗賊ちゃんは盗賊ちゃんだ」
盗賊「は、はぁ」

漫画家「猫さん戦士か。いいかもね、ありがとう。考えておくよ!」
盗賊「ここっ、こちらこそ! 出過ぎた真似を!」

記者「盗賊さーん。皆さんお待ちですよ〜」 スタスタスタ
盗賊「あ、ごめん……なさい」

漫画家「それじゃ、お元気で。また!」
盗賊「は、はいっ! ありがとうございました!」 タッタッタッタッ

記者「漫画家さんも行きます?」

漫画家「いや、なんだか創作意欲が湧いてきたから、今日は帰って執筆するよ」
記者「そうですか。ん? それは……?」

漫画家「これ、凄くない?」
記者「……先生の絵じゃないですよね……? ま、まさか……っ」

漫画家「盗賊ちゃんさ。はっきり言ってプロレベルだよこれ」
記者「――――っ」
381 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/22(水) 12:56:53.88 ID:qUHyIXjao
 ダッ!!

記者「と、盗賊先生!! ちょっとお話が!!」 タッタッタッタッ

漫画家「ははっ。ウチも作家が1人抜けてしまったし、ちょうどいいかもね」

 パサッ

漫画家「それにしても猫さん戦士か……。何だか、さっきの彼に似ているような」 

 スタスタスタスタ……

新入り「おっ、お茶お持ちいたし……って誰もいなっ、わわっ、うわぁ!!」 ガッシャアァン!!!



〜猫さん剣士16巻は好評発売中、完〜
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/22(水) 12:59:22.45 ID:yIA5+l3Jo
盗賊ちゃんかわええええ>>1
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/08/22(水) 17:11:09.54 ID:M8QdqqMno
おつおつ
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(青森県) [sage]:2012/08/22(水) 17:54:07.74 ID:83F0ImbQo
>>1

>猫さん剣士16巻

さて、アマゾンで検索すっか・・・
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/08/22(水) 18:36:02.97 ID:1aJt6nyto
>>1

新入りの性別はよ
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/22(水) 20:16:34.19 ID:gVUnQw0Wo
>>1

そうさな、一度触れたらなかなか頭から消えないわな
俺も長年のネットサーフィンで培った妄想力を使えばそのフォルム、食感、味、匂いまで全て脳内に再現することが可能だ
盗賊のオッパオは本当に良いオッパオだ
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/22(水) 20:49:59.45 ID:qyGWw7n/o
>>1
平和っていいね!

>>386
もうちょっとで具現化できるな
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/22(水) 21:04:45.56 ID:yKw/e5JIO
胸だけな
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/22(水) 21:29:29.03 ID:nWc2DpGDO
おっぱい猫さんか…
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/22(水) 21:32:14.62 ID:5/RdGFyZo
もうちょっと頑張ってみよう
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/23(木) 00:08:58.62 ID:+/GVSTJIO
おまえらまだ具現化もできないの?
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/23(木) 00:10:32.84 ID:IlBaOy6Zo
いや、まだ人間やめたくないんで・・・
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/23(木) 00:23:18.28 ID:ZuQH3dAQ0
俺の固有結界の中じゃ盗賊どころか魔道士ちゃんのナイチチも具現化してるぜ
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/23(木) 01:52:14.01 ID:+fjq0G9AO
>>1おつ

そういえば盗賊は絵うまかったっけかな。その上いつも見てる戦士の絵だからかなりうまく書けたんだな
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/23(木) 01:56:12.44 ID:D4I0VEwwo
愛しているからだろ!
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/23(木) 03:59:06.35 ID:NB2rxMdn0
>>1 おつ
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/23(木) 13:01:12.45 ID:LEEkfScIO
外伝も面白いなあ

いちおつ!
398 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/23(木) 22:12:30.28 ID:DPWkqYp5o
白虎隊長「ムシュフシュ隊は左右! スフィンクスは正面から押せぇ!」

白虎隊「出過ぎるなっ! 固まって攻撃を――」

 バシュッ……――

白虎隊長「っ!!」

 ゴッゴオオオオオォォォォ……

白虎隊「防衛部隊……ぜ、全滅致しました……」

 極限まで伸ばしたゴムで勢いよく弾かれた石ころのように、

 しかし人間にとっては巨石が水平に撃ち放たれたかのように、

 真っ赤な灼熱の火球は、小高い山の中腹へと着弾した。

 燃え上がる炎。黒煙をあげて立ち上る火柱。

 たったの一撃で10数人は配備していたであろう防御舞台は灰と化した。

白虎隊長「打つ手……なし、か」
399 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/23(木) 22:12:57.69 ID:DPWkqYp5o
 山のように巨大な上半身が砂漠より姿を覗かせている。

 両手で這うように砂を進む姿は、まるで水を掻き分けて歩いているかのようであった。

 時たま瞬く目からは火の粉が飛び、脳天から体全体に流れ落ちる溶岩が、

 その者の恐ろしさ、強さを引き立てる。怪物の名は『マーリド』。巨大な炎の化物である。

マーリド「オオオオォォォォ」

 地鳴りのような咆哮が山の頂上に築いた砦の中にまで響き渡る。

白虎隊「隊長っ! 今の衝撃は……っ!」 タッタッタッ

白虎隊長「東側の警備はどうしたっ!」

白虎隊「動きは何もありません! 全員で西側へあたるべきと考えます!」

白虎隊長「うぅむ……」

白虎参謀「私も同感です。敵は西のみ。東側に配置する必要はないかと思います」

白虎隊長「しかし、東にはわれらが祖国、砂漠国がある」

白虎隊「敵をここから通さなければ良いだけです!」

白虎参謀「それに、砂漠国からの援軍もあるやもしれません」
400 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/23(木) 22:13:24.86 ID:DPWkqYp5o
白虎隊長「援軍? 本国に兵はもういない。我ら白虎隊がここで足止めするしかないのだ!!」

白虎参謀「1分、1秒でも多く時間を稼ぎ、祖国の皆が脱出するまで……」

白虎隊「隊長っ、俺……悔しいっすよ! 砂漠国を捨てるなんて……俺っ!!」

白虎隊長「気持ちは分かる。だがな、それしかもう生き延びる方法はないのだ」

白虎隊「うっ、う……っ」

白虎隊長「せめて砂漠王だけでも、生き延びて貰わねばならない」

白虎参謀「西国には既に亡命の許可を頂いております。何も心配はいりませんよ」

白虎隊長「そうだな。俺達は戦いに専念しようじゃないか」

白虎隊「はい……っ!」 ザッ

白虎隊長「例えこの身が滅ぼうとも、砂漠国の民に手は出させんぞ!!」

 最早、戦いなどと呼べるものではなかった。この砦は言わば捨て石。

 ここより東に存在する砂漠国の民が、北にある西国へ亡命するまでの間、時間を稼ぐ、

 それこそがここに駐屯する白虎隊に課せられた使命であった。

白虎隊長「敵はたったの1匹なのだ。何が何でも食い止めるのだ!!」

白虎隊「攻撃っ、来ます!!」

白虎隊長「まだ砦には当たらないはずだ! 伏せろっ! 召喚獣はそのままだ!」
401 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/23(木) 22:14:15.00 ID:DPWkqYp5o
マーリド「コオオオオォォォォ……」

 キュイイイイィィィィ……ズアッ!!

白虎参謀「――っ」

 ドッドオオオオォォォォン!!

白虎隊長「そ、損害報告……っ」

白虎隊「中腹よりやや上へ着弾……っ! 山崩れを起こしております」

白虎参謀「人的被害は0です。しかし次はもう……」

 ズゴゴゴゴゴゴゴゴ……

白虎隊長「何だ……? 地……震!?」

白虎参謀「いやっ、違います! あれをご覧下さいっ!」

白虎隊長「――っ!?」

マーリド「オオオオォォォォ……」

 砦が揺れる。山が揺れる。大地が揺れる。砂漠の西側は砂塵に覆われていた。

 風で舞い上がったわけではない。巨大な炎の塊が砂の中より姿を現したのだ。

 上半身だけでなく、腰、太もものあたりまでマーリドの体が砂上に現れた。

 赤子のように四つん這いに近い状態で、ゆっくりとゆっくりと山へ近づいてくる。
402 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/23(木) 22:15:08.96 ID:DPWkqYp5o
白虎隊「きっ、きっ、来たああぁぁ!!」

白虎隊長「慌てるな! まだ直撃したわけではないだろうっ!」

白虎参謀「しかし時間の問題です。次は……おそらく……」

白虎隊長「……っ」

白虎隊「……くそぉ!! これまでなのかよ……っ!!」 ダンッ!!

白虎参謀「隊長、どう……致しますか?」

白虎隊長「撤退だ」

白虎隊「……へっ?」

白虎参謀「お言葉ですが、それではまだ本国に残る者達が――」

白虎隊長「俺を除いて全員撤退せよ。これは命令だ」

白虎隊「っ!?」

白虎参謀「何を仰られますか! そんな事は……」

白虎隊長「ここはもう持たん。お前が言った事だろう?」

白虎参謀「……っ」
403 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/23(木) 22:15:55.50 ID:DPWkqYp5o
白虎隊長「次の一撃はおそらく、この砦を直撃する。せめて山の東側に退いてくれ」

白虎隊「それでしたら隊長も共に!」

白虎隊長「奴に悟られてはならぬ。それはまかりならんのだ」

白虎隊「……くっ」

白虎隊長「さぁゆけ、時間がないぞ!」

白虎参謀「せめて、召喚獣は待機させる許可を頂けますか?」

白虎隊長「好きにせい。お前らの身さえ無事ならば、それで良い」

白虎隊「隊長ぉ……」

白虎参謀「……それでは、行きましょう」 ザッ

白虎隊「くそぉ!!」 ダッ!!

白虎隊長「……」

マーリド「オオオオォォォォ」

白虎隊長「こうやって1人で砂漠を眺めてっと……改めて広いなって思うよ」

マーリド「オオオオォォォォ」

白虎隊長「こーんな広い世界の、ちっぽけな国のちっぽけな1人の人間だがよ……」

マーリド「オオオオォォォォ」

白虎隊長「てめぇらの好き勝手にゃあさせねぇぞ!!」

マーリド「オオオオォォォォ!!」
404 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/23(木) 22:16:25.86 ID:DPWkqYp5o
 キュイイイイィィィィ……

白虎隊長「来るなら来やがれぇ! 例え死のうがここに留まり、てめぇを食い止めてくれるわ!!」

白虎参謀「それならば、1人でも多い方が良いですね」 ヒョコッ

白虎隊長「――――!?」

白虎隊「隊長1人、死なせるわけにはいかないっすよ!!」 ヒョイッ

白虎隊長「お、お前ら……どうして……っ」

白虎参謀「我々がすんなり引き下がるとでもお思いですか?」 クスクス

白虎隊「砂漠国の為なんだ……っ、おめおめと逃げ帰るわけにはいきませんよ!」

白虎隊長「……馬鹿どもが」

白虎参謀「さぁ、最後の最後まで戦い抜きましょう!」

白虎隊「愛する家族が生きる為だ!」

白虎隊長「ああ。こうなりゃ……やってやるだけさ!」 ザッ

マーリド「オオオオォォォォ!!」

白虎隊長「その身が朽ち果ててもぉ!! 最後まで召喚獣は出し続けろよおぉ!!」

白虎隊「白虎隊の意地ぃ、とくと見やがれええぇぇぇぇ!!」
405 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/23(木) 22:17:10.39 ID:DPWkqYp5o
 ゴアァッ!! ドッズオオオオォォォォン!!

マーリド「オオオオォォォォ」

白虎隊「……っ……ぐくっ」

白虎参謀「い……生きてる……ぞっ」

白虎隊長「がはっ、はぁ……っ!!」

白虎参謀「ひ、被害は……!?」

白虎隊「4、5人ほど……やられました……っ」

白虎隊長「……っ」

白虎隊「た、隊長!? 隊長!!」

白虎隊長「……足をやられた。やられたが……終わってねぇ……っ」

白虎参謀「応急手当すら出来ぬ、この状況を恨むぞ……っ」

白虎隊長「構わん。俺らの使命はあくまで――」

尖兵「白虎隊っ、生きてるかーっ!!」 ドドッドドッ

白虎隊「ほ、本国の兵だ……っ。なんで……」
406 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/23(木) 22:17:50.27 ID:DPWkqYp5o
尖兵「砂漠国の住民は全員、無事に西国へと避難したぞぉ!!」

白虎隊「――!?」

白虎参謀「やった……やりましたよ……っ!」

白虎隊「隊長おおぉぉ!! 聞きましたかっ!? やり……やりましたよ!!」

白虎隊長「……ああ。聞こえたよ」

白虎隊「……隊長?」

白虎隊長「さぁ、お前らも撤退しろ。皆と合流して……次の――」

マーリド「オオオオォォォォ!!」

 キュイイイイィィィィ……バチュンッ!!

白虎隊長「!?」

 ドッグオオオオォォォォン!!

白虎隊長「ごはぁ……ごほっ、ぐ……っ」

白虎参謀「…………」

白虎隊長「み……んなっ、生きてる……か」

白虎隊「……隊……長」

白虎隊長「……くそぉ。せっかく……成し遂げたってのに……よ」
407 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/23(木) 22:18:37.41 ID:DPWkqYp5o
マーリド「オオオオォォォォ」

白虎隊長「まぁ……いいか。使命は遂げた……んだ……っ」

――「よくやった。白虎隊」

白虎隊長「……?」

砂漠王「後は私に任せ、安らかに眠れ」

白虎隊長「陛……下……?」

白虎参謀「な……ぜ陛下……っが」

砂漠王「命を捨てて戦っているお前らを見捨てて、逃げるなど出来ないだろう?」

白虎隊長「陛……下ぁ……」

砂漠王「お前らのような若い力まで失って……」

白虎隊「陛下……陛……下ぁ!!」

砂漠王「私は王として情けない。万死に値する愚行」

白虎隊長「そ……っんなこと」

砂漠王「しかしただでは死なぬ。そしてお前らもだ」

白虎隊長「陛下、まさか……」
408 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/23(木) 22:21:19.84 ID:DPWkqYp5o
砂漠王「お前らの命、この情けない王に……」

白虎隊「う……うぐぅ」

砂漠王「どうか……どうか貸してくれ」 ジャリッ

白虎参謀「砂漠国の為に、喜んで差し出しまする」

砂漠王「感謝する!」

マーリド「オオオオォォォォ」

砂漠王「これ以上はさせぬ! 覚悟っ! 我に力を貸したまえ……アヌビス!!」

 シュイイイイィィィィン

アヌビス「…………」

マーリド「オオオオォォォォ」

アヌビス「砂漠の民を誇り高き一族を……忘れるな!!」

 ガッカアアアアァァァァ!!

――……
409 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/23(木) 22:23:04.83 ID:DPWkqYp5o
神官「……」 パタン

王子「続きは?」

神官「ここまでですどうなったのかは分かりません」

王子「そっか」

神官「陛下がもし、同じ境遇に陥ったならば如何なさいます?」

王子「うーん……でもまぁ、愚問だな」

神官「ほう?」

王子「誰も死なせやしないよ。死なせない方法を考えるよ!」

神官「……」

王子「……あれ? 駄目だった?」

神官「いやいや。陛下らしい解答だなと思いまして」

王子「へへっ、そうだろ? まぁそれにさ……」

神官「……?」

王子「神官、お前が居る限り……そんな事にはならないよ」

神官「陛下……」
410 :1868年8月23日、白虎隊自刃の日 ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/23(木) 22:30:52.45 ID:DPWkqYp5o
王子「さーて勉強終わり! 食事にしよ食事! もうお腹ペコペコだ」

神官「いくつになっても、陛下は変わりませんね」 クスッ

王子「えぇ〜? こう見えても変わったと思うけどなぁ。身長とか」

神官「見た目の話ではありません。精神的な話です」 スタスタ

王子「そっか……っておい! 今バカにしただろ! あ、待て神官ってば!!」 タッタッタッ





〜死してなお激しく燃ゆるは白虎隊の熱き魂、完〜
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/08/23(木) 22:49:38.14 ID:Vll2gZsOo
   _ _ ∩ >>1乙!
 ( ゚∀゚)彡
⊂  ⊂彡   >>1乙!
( ⌒)
c し'
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/24(金) 00:00:47.50 ID:nNOI8LfAO
>>1おつ
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/24(金) 07:07:54.06 ID:xUgHE98IO
西国の過去ばなとか胸厚
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/08/24(金) 13:59:22.44 ID:C/OX3rNM0
いちおつ
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/24(金) 23:32:53.82 ID:Hg0AZuQIO
胸熱。ついでに目頭とか色々熱い。電車の中だけど。
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/25(土) 08:14:57.88 ID:6B8NXyGAO
毎度毎度更新>>1乙んつんであります!
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/08/26(日) 07:13:12.39 ID:5G839C740
読める幸せがいつまでも続けばいいのに
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/26(日) 11:18:59.44 ID:XQVfC4s70
最初から読み直してたら、すでに終わってたなり…

外伝も長く続きますように(*´д`*)
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/08/27(月) 11:08:52.93 ID:nDjlBpjIO
>>1
外伝も面白いよー
更新楽しみにしてます(p`・ω・´q)
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) :2012/08/27(月) 19:52:21.35 ID:wLYRYvTL0
>>1
今年の盆からかぎまとめで1話から読んでます。
ほんとに物語として面白くのめりこんで読ませてもらってます。

初レスになりますが、
この話を読めたこと感謝してます。

>>1にお疲れ様をいいたくレスしました。

お疲れ様でした。

以降またロム専に戻ります。
失礼しました。

>>1
楽しいSSありがとう。

本でないかなぁwwwwww
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2012/08/28(火) 04:52:34.75 ID:/tITuP6AO
平日に更新されないと、終わったんだなって実感して寂しい気持ちになるな
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/28(火) 04:55:27.31 ID:yGacW49AO
魔法剣士さんとケルベロスの日常まだー?
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/28(火) 07:13:53.41 ID:dh+P/i0IO
今は充電期間中!
◆1otsuV0WFc先生の次回作は近日スタート
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/08/28(火) 19:07:58.73 ID:bvZy4Cu/o
しかしこのスレなくなったらお前らとのやりとりも出来なくなるんだな
キャラの事で一喜一憂して作者の事で一喜一憂してなんつー現実。そういう場を設けられないものか…
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/28(火) 19:54:17.94 ID:YGsCGOXro
>>1

終わっても毎朝毎晩スレの更新を確認しに来てしまう…
これが、恋…?!
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/28(火) 20:09:06.15 ID:OAAigVv40
結構ここの雰囲気好きだったからな
正直終わるのは惜しい気がする。
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/08/28(火) 21:06:42.13 ID:RAQcaAFeo
大病抱えたやつは完結迎えられたのかな
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/29(水) 07:35:55.64 ID:fu3kM5zIO
ヤツはきっと心安らかに…
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/29(水) 12:48:54.95 ID:9e1LRDpZo
>>1

失明病気のことなら俺だから、完結まで全て読めましたよありがとう!
これで心置き無く光とサヨナラできるよ!したくないけど!

違う病気の人の事ならごめん。
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/29(水) 22:50:56.46 ID:6TSMzCoRo
>>429
おまいファイト
お互い頑張ろふ
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/30(木) 22:59:05.70 ID:ZZWpNLsy0
たった一週間でここまで寂しくなるとは…
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/08/31(金) 00:10:56.85 ID:JUVbd5cJ0
なんだかんだで毎日覗いちゃう
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/31(金) 01:00:06.16 ID:fdUNiWjAO
同じく
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/08/31(金) 04:57:54.89 ID:B1RanZDJo
習慣
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/08/31(金) 09:55:05.41 ID:x/olyI5Fo
やっぱくるよねww
お前らが居るかの確認も込めて毎日来てる
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/31(金) 16:40:26.41 ID:g2kjKT9zo
ありがたやありがたや…もう終わったっていうのに
でもほんと、このスレが終わったら寂しくなりますね。まだあっちのスレあるけど

変な外伝書いてたら長くなりすぎました。ひとまず前編だけ↓
437 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:41:20.79 ID:g2kjKT9zo
〜国軍本部、会議室〜

大軍師「本日お集まり頂きました理由、此処に居る皆様は既にお分かりですね?」

総司令「……いやぁ、参ったね」

副司令官「軽く言われては困ります。これは由々しき問題ですよ」

隊長「……」

大軍師「それでは軍議を始めます。本題は……宣戦布告した南東国に対する対処について」


 召喚士「行けっ!コカトリス!!」

      〜それから〜
438 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:43:39.48 ID:g2kjKT9zo
大軍師「まずはお手元の資料をご覧下さいませ」

青龍先生「……」 パサッ

大軍師「時系列で記しておりますが、3日ほど前、南東国より1通の書面が届きました」

副司令官「差出人は南東国皇太子、長男。宛先は陛下宛です」

騎士団長「原本は?」

大軍師「此方です。王宮より拝借して参りました」

青龍先生「宣戦布告とは、やってくれるのぅ。ヒョッヒョ」

白虎長「ちょっと待って下さい。それじゃあ本国と南東国はどうなるんです……!?」

大軍師「講和の道を探るか若しくは……」

総司令「……戦争だね」
439 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:44:23.57 ID:g2kjKT9zo
騎士団長「馬鹿げているっ!」 バンッ!!

青龍先生「……」

騎士団長「人間同士で戦争だと!? 今はそんな時ではなかろう!!」

隊長「売られた喧嘩は買わなきゃならん」

騎士団長「……話を聞いていなかったのか?」 ギロッ

隊長「あのな、人であろうと魔物であろうと、敵は敵だ」 ジロリ

騎士団長「我らはこれより魔王と戦う、大事な使命を抱えておるのだ!」
隊長「だからこそ後顧の憂いを断つのが先決だろうがっ!」

総司令「まぁ、落ち着いてよ」

騎士団長「……」
隊長「……」

大軍師「無論、南東国とは互いに手を取り合い、魔物と共闘すべき道を模索する事が最善です」

副司令官「だが問題は……」

大軍師「はい。南東国が魔物と手を組んでいる事にあります」

 ザワッ

白虎長「やっぱり噂は……」

大軍師「この問題を解決しない限りは、南東国との開戦は不可欠となってしまいます」

副司令官「ど、どうにかなるのか……っ?」

青龍先生「どうにもならんじゃろ。降りかかる火の粉は払わねばなるまいて」

騎士団長「私は断固、反対だ!」

白虎長「同感です。魔物ならばいざ知らず、人間相手はちょっと……」

隊長「南東の近くにゃ王宮出資の孤児村や漁業が盛んな町村がある。見捨てろってか?」

大軍師「本国が最もての届きにくい地理。さて、どうしたものでしょうか」

副司令官「……司令はどうお考えで?」

総司令官「……ん」
440 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:45:04.31 ID:g2kjKT9zo
 カツカツカツ……バンッ

左大臣「何だァ? まだ会議なんぞしておったのかァ」

副司令「こ、これは左大臣様……!」

左大臣「陛下の勅書を持参したァ。開戦だァ、開戦!!」 バサッ

白虎長「……っ」

大軍師「確かに陛下直筆のものですね」 スッ

総司令「ん、そうだね。本国の方針は決まったようだ」

副司令官「では、南東国による宣戦布告へは、応酬する形で開戦へと踏み切る」

 ザワザワザワ

副司令官「主軸は南方司令部。閣僚および本部の編成は追って、大軍師より通達するものとする」

 ザザッ……ゾロゾロゾロ……

騎士団長「馬鹿げている……っ、人間同士で争わねばならぬなど……!」

白虎長「青龍先生……」

青龍先生「止むを得んじゃろ。魔物に魂を売った連中は最早、人間とは呼べんよ」 カツカツカツ

大軍師「隊長殿、特遊……動けますか?」

隊長「いつでも。その為の特遊だ」

大軍師「先に南東国へ潜入し、動向を探って頂けますか?」

隊長「了解だ」 ザッ

総司令「左大臣」

左大臣「あァ?」

総司令「魔道隊は頼むよ」

左大臣「止むを得んなァ。魔道長を中心に、3000ほど手配してくれるわァ」 カツカツ

総司令「……」

副司令官「総司令、今回の指揮は如何なさいます?」

総司令「……ん、君に任せるよ。参謀役には大軍師を」

副司令官「はっ」 ザザッ

総司令「……さてさて」
441 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:45:39.60 ID:g2kjKT9zo
 南東国による宣戦布告と開戦は、瞬く間に本国中へと広がった。

 王宮や国軍本部は軍備に追われ、本国にも緊張が走っていた。

 ワークショップは大半の任務が凍結され、そのほとんどが南東国との戦いへ向けた、

 国軍管轄の依頼一色に染め上げられた。そして彼らもまた……。

〜ワークショップ〜

戦士「南東国ってどこだ?」

召喚士「この前行った南方の更に東の方にあるみたいだよ」

魔道士「盗賊さん知ってます?」

盗賊「……噂には……少し」

戦士「しっかしどの依頼を見ても南東国との戦争ばっかりだな」

魔道士「でも、戦争って……人間同士が戦うって事ですよね……?」

召喚士「一概にそうとは言えないかもしれませんよ」

盗賊「……?」

召喚士「この前、南方が羅刹に襲われましたよね?」

魔道士「え、ええ」

召喚士「あれも東側からの攻撃でした。もしかすると……」

戦士「魔物が絡んでるってのか?」

召喚士「確証はないけど、否定も出来ないと思うんだ」

盗賊「……一理……ある」

戦士「でもとにかく、行ってみるしかないよなぁ」

魔道士「他に任務もほとんどありませんしね」

召喚士「ええ。それじゃこの任務でお願いします」

店員「はい。中規模任務、南東国との戦いにおける国軍の後方支援、ですね」
442 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:46:14.34 ID:g2kjKT9zo
〜王宮〜

皇太子「父上!」

国王「……」

皇太子「何故、あのような勅書を出されたのか!」

国王「仕方あるまい。本国が危機に晒されておるのだ……ごほっ」

皇太子「だからとて分かっておるのですか! 相手は南東国、人間なのですよ!?」 ダンッ

国王「ごほっ、ごほごほ……っ!」

右大臣「殿下、陛下は病の身ですぞ。怒鳴り声などはお身体に障りまする」

皇太子「右大臣よ、これが落ち着いていられる状況か?」

右大臣「陛下とて分かっておられまする。しかし背に腹は変えられぬ」

皇太子「……」

右大臣「国民の安全を守る事こそ、王の務めなのです」

皇太子「だからと言って、他国民は傷付けても良いなどという道理はない!」

エリート「皇太子様、そろそろ……」

皇太子「父上っ! 聞いておられるのですか!?」

エリート「皇太子様!」

皇太子「……」

エリート「お時間です」

皇太子「……っ」 クルッ……スタスタススタ

エリート「父上」

右大臣「……」

エリート「私も皇太子様と同様の意見です。お忘れなく」

 カツカツカツカツ……

エリート「陛下の本意ではないと思いますが」

皇太子「そんな事は分かっている」 カツカツ

エリート「これは失礼致しました」 カツカツ

皇太子「おのれ、左翼の連中め」 カツカツ

エリート「ここ最近、更に活動が活発になってきましたな」 カツカツ

皇太子「必ずや尻尾を掴んでくれる」 カツカツ

エリート「本部に協力を仰いでみましょう」 カツカツ

皇太子「南東国、私も行くぞ。王宮軍の編成を済ませておいてくれ」 カツカツ

エリート「!?」 ピタッ

皇太子「尾を掴むだけでは事足りぬ。化けの皮を剥いでやるぞ……タヌキめが」
443 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:46:51.55 ID:g2kjKT9zo
〜国軍本部、司令室〜

副司令官「それでは以上にて、宜しくお願い致します」

総司令「ん、頼んだよ」

大軍師「……」

副司令官「必ずや南東国を制圧し、勝利を挙げて見せまする」 ザザッ

 カツカツカツカツ……

大軍師「面倒な事になりましたね」

総司令「仕方ないさ」 スクッ

大軍師「どちらへ?」

総司令「南東国」 カポッ……ポイッ

大軍師「畏まりました」 ガシッ
444 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:47:25.35 ID:g2kjKT9zo
天才「これは単純な人間と魔物の戦いじゃねぇ」

大軍師「そのようで」

天才「ハーッハッハッハ! ま、丁度いいさ。炙って内通者を一掃してやる」

大軍師「まだ動くには早すぎませんか?」

天才「時流ってモンがある」

大軍師「……」

天才「これだけ大規模な戦いになりゃ、新しい人材がドンドン溢れてくんだろ」

大軍師「成程。排他するだけでなくこちらの手駒も増やしますか」

天才「戦争ってのは卑怯だよなぁ」

大軍師「……」

天才「対外に対して戦いながら、中でも必死で戦ってんだモンな」

大軍師「……ええ」

天才「軍隊の派閥、政治的派閥、扇動、マインドコントロール。挙げりゃキリがねぇ」

大軍師「まぁ全てが悪い事ではありませんから」

天才「そこなんだよな。気付かんうちにそういう形になっちまう。気付いた時にはもう遅いってな」

大軍師「それが戦争です」

天才「……俺様はあちらさんの要所だけぶっ潰す。お前は内部の連中に目を光らせといてくれや」

大軍師「畏まりました」

天才「外は任せとけ。んじゃ行ってくらぁ。ハーッハッハッハ!!」 バッ!!

大軍師「お気を付けて」
445 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:47:59.42 ID:g2kjKT9zo
 南東国による本国への一方的とも言える宣戦布告から3日。

 南方、南の街には多数の国軍とワーカーが集結していた。

〜南方司令部〜

南方弓長「もぉ〜! さっさと片付けてよ!」

南方副司令「五月蠅い奴だな。今やっているところだろ」

南方弓長「なに悠長な事を言ってんのよっ! 本部がもう来るのよ!?」

 カツカツカツカツ

南方弓長「あ……」

南方魔道長「噂をすれば……本部がおいでなすったぜ」

南方弓長「すすっ、すみません! まだ設営が出来ていなくって……」

副司令官「構わん。そのまま続けてくれたまえ」 カツカツ

大軍師「南方司令殿は?」

南方副司令「ああ、南方参謀と探りに出てる。直に戻るはずだ」

南方魔道長「あん?」
446 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:48:38.43 ID:g2kjKT9zo
 カツカツカツカツ

左文官「南方魔道長は居るか?」

南方魔道士長「……俺だが?」 スッ

左文官「魔道隊を全員、こちらへ合流させるように」

南方魔道長「はぁ!?」

魔道本部長「左大臣様からの命令だ。魔道隊は私が全権を預かる」

南方副司令「おいおい、いくらなんでもそりゃあ……」

左文官「そら、どけどけ。本営は本部が引き受ける。さっさと設営を進めぬか」

南方弓長「何よあれ……偉そうに!」

南方副司令「仕方あるまい。南方司令部は南棟に移るぞ。荷物を急いで運び出せ」

南方兵「はっ!!」 タッタッタッ

南方魔道長「やれやれ。タダですらメンドクセーってのに……」
447 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:49:24.12 ID:g2kjKT9zo
 スタスタスタ……ドンッ

南方魔道長「おっと、失礼」

高官「いや、こちらこそ」

 カツカツカツ……ザッ

高官「ワーカーの宿舎が不足しているようです」

魔道本部長「ワーカー? 知った事か。どうせ捨て駒、野宿でもさせておけば良い」

高官「それもそうですな」

魔道本部長「魔道隊は合流後、本体の支援として私が指揮致します。お忘れなきよう」

副司令官「相分かった。頼むぞ」

大軍師「……」

南方参謀「なーにが頼むぞ、よ」

大軍師「おや、お戻りになられましたか」
448 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:50:18.53 ID:g2kjKT9zo
南方司令「何の騒ぎだ?」 バサッ

大軍師「こちらは本部本営となりました。南方司令部の面々は南棟へ移りましたよ」

南方参謀「何ですってぇ!? 何でこっちが移らなきゃならないのよっ!」

南方司令「何でもいいさ。そこに正義があればな」

南方参謀「よくないわよっ! どうせ後片付けやら何やら大変なんだから!」

大軍師「申し訳ありません」 ヒラヒラ

南方参謀「全くもう。それじゃ司令、先に南棟行ってますからね」 スタスタ

南方司令「……」

大軍師「それで、いかがでしたか?」

南方司令「思ったよりも面倒かもしれんな」

大軍師「……そうですか」

南方司令「ん? ああ、もうすぐ特遊も戻るであろう。詳細は彼らに聞くといい」

大軍師「畏まりました」

南方司令「師匠は?」

大軍師「ワーカーとして既に紛れておられるかと」

南方司令「分かった」 ザッザッ

大軍師「1つ。敵は南東国だけではありませんよ」

南方司令「……左翼か」 ピタッ

大軍師「くれぐれも油断なさらぬよう。ふっふ」 スタスタ

南方司令「……全く。そこに正義はあるのかい?」
449 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:51:13.72 ID:g2kjKT9zo
〜広場〜

戦士「すんげぇワーカーの数……」 ザワザワザワ

魔道士「これみんな、志願した人達なんですよね……」

召喚士「任務は色々だと思いますけど、そうですね」

戦士「んで、俺らはまずどこへ行けばいいんだ?」

召喚士「えっと……黄色と黒の旗印が目印だってさ」

戦士「盗賊」

盗賊「……あれ……か?」 キョロキョロ

魔道士「どこですか? 全然見えませんけど……」

盗賊「……ここ……ずっと……真っ直ぐ」

戦士「どういう視力してんだよ」

召喚士「行ってみましょう」
450 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:52:21.04 ID:g2kjKT9zo
 スタスタスタスタ

戦士「あ、ほんとにあった」

盗賊「……だからそう……言ってる」

リーダー「これで全員か?」

召喚士「遅くなりました。すみません」

ワーカー^「金と命がかかってんだからよ、しっかりしてくれや若いの」

リーダー「お前らの仕事は進軍時の露払いだ」

魔道士「露払い? 何ですかそれ?」

召喚士「言わば先頭に立って道を切り拓く役目ですよ」

魔道士「それって、危ないんじゃないですか!?」

戦士「魔物が出ればな。でも人間相手なんだし、戦闘はないだろ」
451 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:53:55.05 ID:g2kjKT9zo
リーダー「そこっ! 静かに聞いていろ!」

魔道士「ご、ごめんなさいっ!」

リーダー「進軍日程はまだ決まってねぇ。それまでは待機」

ワーカー「自由行動は?」

リーダー「俺らが出遅れりゃ進軍に響く。この近辺からは動くんじゃねぇ」

ワーカー「おいおい……南方くんだりまで来て大人しくしてろってのかよ……はぁ」

リーダー「んじゃ国軍のとこ行ってくるから、大人しく待機してろよ」

戦士「なんだよ、暇潰しに街中ブラブラすんのもダメってかよ」

魔道士「え〜っ!」

召喚士「仕方ないですね。ここは大人しく待ってましょう」

盗賊「……だな」 ザッ

戦士「お前ら慣れてんなぁ」

召喚士「別に慣れてるわけじゃないけど仕方ないよ……」

魔道士「そうですね……大人しく待ってるしかありませんね。はぁ……」
452 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:55:02.27 ID:g2kjKT9zo
〜夜〜

南方兵「ご苦労様です!」

 ドドッドドッドドッ……ドドォ

隊長「本部の連中は?」

南方兵「司令部本棟におられます」

男隊員「隊長ー。俺らはメシでも食ってていいんすか?」

女隊員「お腹ペッコペコで倒れそうッスよ……」

隊長「駄目に決まってんだろ」

副隊長「報告だけですし、構わないのではないですか?」

隊長「……ったく。しゃーねぇな、すぐに戻ってこいよ」

男隊員「ヒャハハ! さっすが副隊長! んじゃ行ってきますわ」

女隊員「すぐに戻るッス」 タッタッタッ

隊長「あんま甘やかすんじゃねぇぞ」 スタスタスタ

副隊長「まぁまぁ。最後の晩餐になるかもしれないわけですから」 スタスタ
453 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:56:02.12 ID:g2kjKT9zo
隊長「ただいま戻りました」 ザッ

副司令官「おぉ、ご苦労。待っておったぞ」

大軍師「南東国の動きはどうです?」

隊長「非常に厄介だ」

騎士団長「……」

隊長「奴らが魔王軍と結託している事は確実だ。しかもかなり根っこの部分までな」

魔道本部長「どういう事だ?」

副隊長「南東国には現在、3人の皇子が居ります」

隊長「その中の長男が当然、代行として国を治めているわけだが……」

副司令官「代行? 正式な皇帝ではないのか?」

隊長「皇子達を祭り上げて、腹心どもが後継者争いを演じてるんすよ」

副隊長「そこを魔王軍に付け込まれたようなのです」

大軍師「成程……」
454 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:57:43.39 ID:g2kjKT9zo
隊長「んでその長男だがな、どうも魔物に憑りつかれたらしい」

騎士団長「憑りつかれた?」

隊長「長男の妃として魔物が潜り込んだって噂だ」

副隊長「確証はありませんが。他2人の皇子派による流言との可能性も否定出来ません」

青龍先生「火のない所に煙は立たぬ……ひょっひょ」

隊長「……ともかく、南東国は今、混乱の一途を辿っております」

騎士団長「そのような中で宣戦布告。これはやはり魔王軍の罠なのでは……」

魔道本部長「こう考える事も可能ではあるな」

副司令官「申してみよ」

魔道本部長「3皇子による分裂を危惧した者による開戦」

騎士団長「どういう……意味だ」

大軍師「内乱にて混乱した国内を収拾する為、国外に敵を作り出した」

副司令官「それ故に国内は共通の敵を討つべく団結する。成程な」

隊長「ま、現時点では仮定が多すぎて何とも言えませんがね」
455 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 16:59:08.16 ID:g2kjKT9zo
魔道本部長「ともかく、あちらが形だけでなく本気だと言う事はよくわかった」

副司令官「ちなみに南東国の兵力は?」

副隊長「把握出来ませんでした。申し訳ございません」

大軍師「古いデータですが、6万5000という報告がありますよ」

副司令官「いつのものだ?」

大軍師「前皇帝が崩御された時の推定です」

副司令官「こちらの兵力は?」

大軍師「ワーカー次第ですが、推定9万程度かと」

副司令官「ふむ。数では優っているな。恐るるに足らんだろう」

騎士団長「もう少し様子見した方が宜しいのでは?」

副司令官「勿論だ。明日、中間地点まで進軍し、優位な地に布陣をする」

士官「はっ!!」 ザッ

副司令官「深夜のうちに手筈を整えよ。明朝、改めて編成を伝える。以上だ」

魔道本部長「解散!」 ザザッ
456 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:00:11.55 ID:g2kjKT9zo
 ゾロゾロゾロゾロ……

騎士団長「……本当に馬鹿げている」

大軍師「……」 カツカツ

騎士団長「騎士団は本営の防衛を務める。出陣はせんぞ。誰が何と言おうとな」

 カツカツカツカツ……

青龍先生「ひょっひょ、えらい剣幕じゃのう」

大軍師「会議から反対でしたからね」

青龍先生「さーて、明日はどうしたものかのぉ……それじゃおやすみ」 カツカツ

大軍師「……」
457 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:00:47.74 ID:g2kjKT9zo
〜次の日〜

リーダー「おらっ、急げよ!!」

戦士「うるせーなぁ。何だよアイツ」 テクテク

召喚士「仕方ないよ。俺らよりも上位ランカーだしベテランみたいだし」

戦士「でもよぉ……」

――「おっ!? やっぱお前らもいたのか!! ハッハ!!」

魔道士「マジシャンさんっ!」

マジシャン「しっかしメンドーな事になっちまったなぁ」

盗賊「……」

召喚士「マジシャンさんはどうお考えで?」

マジシャン「これはアレだな、何か暗雲めいたモンがあるなぁ」

戦士「はぁ?」

マジシャン「ただの戦争じゃねぇって事だよ。悪〜い人が裏でコソコソしてるんじゃねーのか?」

魔道士「やっぱり南東国を魔物がっ!」
458 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:01:25.62 ID:g2kjKT9zo
マジシャン「んそれもあるけど……ま、いいや。そっちは俺らの仕事じゃねぇし。ハッハ」

戦士「意味分からん」

マジシャン「いいか? ぜってぇ無茶すんなよ? こんな下らねぇ戦いで死ぬ事はねぇ」

盗賊「……ああ」 ザッ

リーダー「テメーらいい加減にしろよ! 早く来いっつーんだよ!」

召喚士「あっ、すみません! 今……」

マジシャン「んじゃな! 健闘を祈るぜ!」 スタスタスタ

召喚士「……っ」
副司令官「ワーカー諸君、ご苦労」

大軍師「これよりワーカーの皆様には、先頭を進んで頂きます」

戦士「露払いの話は本当みてぇだな」

大軍師「まず部隊は二手に分かれます」

召喚士「二手?」

大軍師「1つは本隊として、このまま南西を進み、平野を真っ直ぐ南東国を目指します」

隊長「もう1つはこのまま東を突っ切って、山岳地帯を進む」

大軍師「南北へ分かれる形です。ここまでは宜しいですか?」

リーダー「えーと……二手に分かれて片方は南……」 カキカキ
459 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:02:01.42 ID:g2kjKT9zo
副司令官「諸君らには選択する権利がある。好きな方を選んで合流してくれたまえ。以上」

戦士「以上……って」

盗賊「……具体的な説明は……無し、か」

魔道士「私達はどうしましょう……?」

召喚士「選択権は俺らではなくリーダーにありますからね」

魔道士「あ、そっか……」

ワーカー「んで、どうすんだ?」

リーダー「決まってんだろ。北の山岳地帯を行くぞ」

ワーカー「でも、平野の方が人も多いし安全だぜ?」

リーダー「バカヤローかテメーは。ギャラが倍以上も違げぇんだ! 悩む事すらねーだろ!」

ワーカー「……っ」

戦士「だとさ」

召喚士「……はぁ」

リーダー「よーしいいか? 俺らのチームは北ルートの山岳地帯を行くぞ」

戦士「ういーす」

リーダー「手続きしてくっから、これに署名しとけ」 バサッ

魔道士「これは何ですか?」

リーダー「契約書だ。遺書代わりにもなってっから、ちゃんと書いとけよ」 スタスタスタ

魔道士「……遺書っ」 ゴクッ

召喚士「親族居ない場合……見舞金受け取りは誰宛てにすればいいんだろ……」 カキカキ
460 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:02:41.73 ID:g2kjKT9zo
〜南方司令部前〜

大軍師「南東国は北、東、西と3つの城に分かれている。問題ないですね?」

隊長「間違いない。その地図は南東国で購入したモンだ」

大軍師「進軍するにあたり、まず最初に迎えるのが西の城ですね」

男隊員「あーそりゃダメだ」

白虎長「どういう事?」

隊長「どの城も背後は険しい山に囲まれてる。天険の地だ、突破は難しい」

大軍師「北側には大規模な行軍こそ困難な物の、山道があるわけですね」

副隊長「我ら特遊率いる別働隊は、そこを進みます」

青龍先生「この道……あまりよろしくないのう。嫌〜な遺跡があるわい」

 ザワッ…

副司令官「先生、言葉を慎みなされ」

青龍先生「ひょっひょっひょ」
461 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:04:57.88 ID:g2kjKT9zo
魔道本部長「とにかく道は決まった。進軍開始といこうではないか」

副司令官「うむ。それでは先行部隊を出発させよ」

国軍兵「出発〜っ、出発するぞー!!」

 ザッザッザッ

白虎長「私達はワーカーのすぐ後ろを続く事になったわ」

白虎兵「了解です! 蹴散らしてやりますよ!」

白虎長「着合い十分なのはいいけど、無益な戦闘は控える事。いいわね?」

白虎兵「はっ!」 ザッ

 ザッザッザッ

青龍先生「それじゃ、出発するぞい。先鋒は青年兵と青龍士官が務めよ」

青年兵「はいっ!」
青龍士官「はっ!」
462 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:05:56.90 ID:g2kjKT9zo
青龍先生「交戦はせんでいいぞい。上空から監視と威嚇をすれば良い」

青年兵「了解です」 ザッ

青龍士官「北関では運良くお手柄だったらしいじゃないか」

青年兵「そっちこそ、三日月島近海の戦いでは大活躍だったそうじゃないか」

青龍士官「この戦いでは俺が主力を務める。お前はしっかり援護する事だな」

青年兵「……分かった、任せるよ」

青龍士官「足を引っ張るなよ。青年兵殿」 ザッザッザッ

青龍兵「何か言い返してやれよ」

青年兵「いや、同じ仲間ですし揉めている場合ではありませんから」

青龍兵「ふーん。しっかりしてんなぁ。ま、頑張れよ士官候補生くん!」 ザッザッ

青年兵「頑張れ、か。人間同士の戦いに何を頑張ればいいっていうんだ……っ」
463 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:06:51.16 ID:g2kjKT9zo
 朝8時。国軍、ワーカーからなる総勢9万ほどの軍勢が東へと進軍を開始した。

 主力の本隊おおよそ8万弱が南の街より南東の東の町を目指す。

 かたや別働隊は北ルートへと進路を取り、山岳地帯を東へと進んでいた。

魔道士「ここって……あれですよね」

召喚士「ええ。遺跡へ繋がってる道ですね」

魔道士「剣士さん達、一息つけましたかね?」

戦士「故郷の村でノンビリしてんだろ。でも、そのうちまたワーカーとして帰ってくるんじゃないか?」

盗賊「……だな」

 国軍の大々的な動きに対して、南東国の動きは不気味なほど静かであった。

 特に国境を脅かされているわけではない。当然と言えば当然なのかもしれない。

 それでも、何も動きがないかの如く、南東国は静観の構えを見せていた。

 夕刻、2つの隊は何も動きなく、無事に目的地へと到着した。
464 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:08:18.13 ID:g2kjKT9zo
〜東の町〜

国軍兵「こちらです」 タッタッタッ

南方副司令「東の町にも既に、拠点は設営済か。手際の良いこって」

南方参謀「何よ、こっちの許可なく勝手に南方の地を……」

南方司令「許可ならばあったぞ」

南方参謀「はぁ!? それでおめおめと許可したっての!?」

南方司令「ああ」

南方参謀「呆れた……」

南方司令「別に問題はないだろう。全ては正義の為だ!」

南方弓長「はいはい。それで、私達の寝る所は?」

南方魔道長「ねーよ。全て本部様の場所だ」

南方弓長「はぁ〜!?」

南方参謀「だから嫌なのよ。泣きを見るのはいっつも所轄じゃない!」
465 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:09:40.47 ID:g2kjKT9zo
 ツンツン

南方参謀「……?」

ボス「こっちに来て下さい」

南方副司令「お前ら、こないだの志願兵……」

 ゾロゾロゾロ

ゴロツキ「おっ、来た来た!」

チンピラ「こっちっすよ! ボス!」

南方弓長「あの、これは……?」

ボス「この町の連中が解放してくれたんだ。全員とまではいかねぇが、練るくらいのスペースはあんだろ」

南方副司令「いやっ、俺らはこの家で事足りるだろうが、他の兵は……」

ゴロツキ「安心してくれ! ここもここも、こっちも全部だ!」

南方参謀「本当!?」

チンピラ「ワーカーは申し訳ねぇが、丘の学校と広場、公園の仮設テントを使ってくれ」

南方参謀「助かるわ〜! やるじゃないアンタら!」

ボス「ここは俺らの町だ。偉いからって部外者に好き勝手されてたまるかってんだ」

南方弓長「いや、本当に助かるわ。ありがとう!」

ボス「!? い、いやまぁ……な」 ポリポリ
466 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:10:49.75 ID:g2kjKT9zo
伝令「おらっ、どけどけぇ〜!!」 ドドッドドッドドッ

マジシャン「あっぶね!!」 ババッ

 ドドッドドッドドッ……

マジシャン「……ったく。おい、怪我はねーか?」

朱雀嬢「た、助かりましたわ」

玄武娘「朱雀嬢ちゃん、大丈夫ですの?」

マジシャン「この町の住人か?」

朱雀嬢「そうですわ」

マジシャン「今日はあまり外をうろつかん方がいいぜ」

玄武娘「何の騒ぎですの?」

マジシャン「おいおい、そんな事すら住人に伝えてねーのかよ……情けねぇ」

朱雀嬢「数日前から軍隊が何か建ててるから、イベントでもあるのかと思ったら案の定ですわ」

マジシャン「イベントか。そうだな」

朱雀嬢「とにかく助かりましたわ。もう結構、降ろして頂けますかしら」

マジシャン「お、おぉ。すまんすまん……ハッハ」 スッ

朱雀嬢「レディのお尻を軽々しく……」 ムスッ

マジシャン「アクシデントだよ。ハッハ」

朱雀嬢「……っ」 ツン

マジシャン「ともかくいいか? 今日は家で大人しくしてろよ。じゃーな」 スタスタスタ

玄武娘「……どういう事ですの?」

朱雀嬢「戦いの邪魔になるって事ですわ。全く、私達の実力を知らないみたいですわね」

玄武娘「じゃあ、私達も戦うですの?」

朱雀嬢「……屋敷に戻りますわよ。ほら、行きますわよ!」

玄武娘「えぇ!?」
467 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:11:49.74 ID:g2kjKT9zo
〜山岳地帯の平原〜

男隊員「おーし、今日はここで休むぞ」

魔道士「えぇーっ!? 野宿ですか!?」

戦士「いや、そりゃそうだろ……」

副隊長「隊長、女性のワーカーが居るようですが……」

隊長「めんどくせぇ。おい、任せたぞ」

女隊員「へっ? あ、了解ッス」 テクテクテク

盗賊「……?」

女隊員「女の子は2忍だけッスか?」

戦士「何だあんた?」

女隊員「国軍特殊遊撃強襲隊所属、女隊員と申すッス。よろしくッス」

召喚士「あの、何かご用で?」

女隊員「物騒なんで女の子2人は私が預かるッス」

魔道士「えっ!?」
468 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:13:02.05 ID:g2kjKT9zo
女隊員「護衛も兼ねて一緒にいるッス。あっちにテントも用意するッスよ」

盗賊「……しかし……だな」

魔道士「テント!? はいっ、行きます!!」

女隊員「それじゃ付いてくるッス。こっちッス」

魔道士「はーい! えへへっ!」 タッタッタッ

戦士「……なんつー薄情」

召喚士「……」

戦士「盗賊、お前も行ってこいよ」

盗賊「……しかし」

召喚士「魔道士さんに付いてあげてて下さい」

盗賊「……うん……分かった」 テクテクテク

戦士「さーて、俺らはテキトーに寝床確保しようぜ」

召喚士「寝袋は一応あるしね」

戦士「それと酒だ酒っ!」

召喚士「うん、そうしよう!」 スタスタスタ
469 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:14:19.13 ID:g2kjKT9zo
 明朝、東の町に駐屯中の本体が先行して進軍を再開した。

国軍兵「進めぇ! 隊列を乱すなよ!」

 バシュウウウウゥゥゥゥ

青年兵「ワイバーン、どうだった?」

ワイバーン「特に人影も見当たらんな」

青年兵「……そうか」

青龍士官「……お前、召喚獣と話をしているのか!?」

青年兵「あ……っ、いや……」

青龍士官「何を考えているんだ……お前は!!」 ガシィ!!

青年兵「……っ」

青龍士官「仮にも先生より指揮を任せた身として、恥ずかしくないのか貴様!」

青年兵「待ってくれ、理由は……あるんだ」

青龍士官「理由はどうあれ、規律を乱す事はあるまじき行為だ!」

青年兵「……」

青龍士官「もういい。お前は前線に立つな。後方で先生の護衛を努めろ」

青年兵「青龍士官……」

青龍士官「青龍隊の恥さらしが」 ブンッ……ザッザッザッ

青年兵「……っ」

ワイバーン「やはり、我らと人とでは分かり合えぬか」

青年兵「そんな事はないっ。それを示してくれた人だっているんだ……っ」
470 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:15:15.02 ID:g2kjKT9zo
 この日の進軍も変化は何もなく、あっという間に日没を迎えた。

 南ルートの本隊はこの時点で、東の町と分かれ道の丁度、中間地点まで進んでいた。

 一方、北ルートの別働隊は遺跡へと到達していた。

男隊員「ここが遺跡か」

副隊長「近辺は山が険しく、道も細い為に休憩場所がありませんね」

隊長「つー事は、このまま進み続けるかもしくは……」

召喚士「中で休むのは、やめておいた方がいいと思います」

隊長「……?」

リーダー「すっ、すいやせん生意気な口を! コイツまだ新米でして……へへっ!」 ガシッ

召喚士「痛……っ」

リーダー「バカヤロー! 下っ端風情が国軍さんに口出ししてんじゃねぇ!」

隊長「お前、何でそんな事が分かるんだ?」

戦士「こないだよ、任務で潜ったんだよ」

隊長「何っ!?」
471 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:16:02.16 ID:g2kjKT9zo
召喚士「その時に色々とありまして……魔物もいるみたいですし中には入らない方が……」

隊長「任務だと? どういう事だ……?」

副隊長「隊長、彼の言う通りかもしれませんね」

隊長「……」

副隊長「もう少し強固な封印を施した方が良いかもしれません。男隊員くん」

男隊員「しゃーねぇ。やるか」 ザッザッ

魔道士「封印?」

女隊員「結界を張るんスよ!」

魔道士「なるほどですね〜!」

戦士「アイツら、昨日の件ですっかり仲良くなってやがる……」

召喚士「はは……っ」

男隊員「おっし、完成〜っと」

副隊長「これで内外共に、余計な手は加えられないでしょう」

隊長「何か結界でも急ぐ必要があったのか?」

副隊長「えっ!? あ、いえ……この方が確実に安全かと思いまして……」

隊長「……ま、そうだな。仕方ない、進軍を続けるぞ」

ワーカー「うえぇ、まだ休めねーのかよ……」

隊長「あと3時間も歩けば平坦な場所に出る。我慢しろ」 ザッザッザッ

魔道士「うへぇ〜」

盗賊「……魔道士……頑張ろう」 スタスタ
472 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:17:09.51 ID:g2kjKT9zo
〜南の平野〜

大軍師「明日、行軍をすれば国境に差し掛かります」

副司令官「時間は?」

大軍師「日没ですね。そこから本陣の設営を開始致します」

魔道本部長「間に合うのか?」

大軍師「あちらが仕掛けてこない限り、未完成でも問題はありません」

副司令官「こちらから国境を越える事はまかりならんぞ。大義名分を得るのだ」

魔道本部長「国境付近にワーカーを並べて先に仕掛けさせろ」

左文官「それは良い。大義名分を得ると共に、被害も最小限で済みますな!」

高官「しかしワーカーを囮にするというのは……」

魔道本部長「囮ではない。本国の為の名誉ある犠牲だ」

高官「……」

魔道本部長「そのような甘い考えでは出世は出来ぬぞ? ましてや左大臣様の元で働くなどな」

高官「……はい」
473 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:18:05.99 ID:g2kjKT9zo
伝令「ご報告致します! ワーカーの1人が軍馬を奪い、脱走したとの事ですっ!」

副司令官「何!?」

大軍師「被害は?」

伝令「はっ! 馬を一頭盗んで、西へ引き返して行ったとの事です」

副司令官「恐怖に耐えかねて脱走したのだろう。構わん、放っておけ」

伝令「はは!」

魔道本部長「南の連中に参加者のリストを渡して照合させておけ」

左文官「処罰は?」

魔道本部長「敵前逃亡で死罪にでもしておけ」

左文官「畏まりました。手配しておきましょう」

大軍師「それでは、後はお任せ致します」

副司令官「どこへ行くのだ?」

大軍師「兵糧の確保を。兵站がかなり伸びておりますので」 ザッザッザッ

魔道本部長「雑用係は大変なものだな」

青龍先生「……」
474 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:19:01.23 ID:g2kjKT9zo
 ザッザッザッ

大軍師「馬を一頭、手配して下さい」

国軍兵「馬、ですか?」

大軍師「はい。文官にとってはこの広い隊を回るのも一苦労なのですよ」 ヒラヒラ

国軍兵「大軍師様もたまには、スポーツなどなされてはどうですか? ははっ」

大軍師「そうですね。この戦いが無事、終わったら……考えておきましょう」

白虎長「あら? こんな所で何をやってるの? 会議中じゃなかった?」

大軍師「これはこれは白虎先生」

白虎長「先生はやめて下さいって……」

大軍師「今回の会議にはご参加なされなかったようですね」

白虎長「青龍先生に見回りを言い渡されたのよ」

大軍師「成程。私も同じようなものです」

白虎長「……ねぇ」

大軍師「はい」

白虎長「左翼の連中は何を企んでるの?」 ヒソヒソ

大軍師「……さぁ。私にもさっぱりです」

白虎長「本当でしょうね……?」 ジーッ

大軍師「勿論です。嘘を述べても仕方ありませんからね」 ヒラヒラ

国軍兵「馬の手配、完了しました!」

大軍師「ご苦労様です。それでは、失礼」 テクテクテク

白虎長「……」
475 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:20:07.61 ID:g2kjKT9zo
 深夜。本隊よりも南へ下った森の中、一頭の馬が木々を駆け抜ける。

 ドドッドドッドドッ……ドドォ

天才「……」

 正面には断崖絶壁。天才は馬を止め、木と木の間からそれをジッと見つめている。

 やがてその暗闇から、1つの影が空間より現れた。

ハヌマーン「何用だ、人間よ」 ザッザッザッ

天才「よう。こないだは互いに災難だったな」

ハヌマーン「初めての臭いではないと思えば、羅刹と戦った人間であったか」

天才「こっちが今、どういう状況か……ある程度は把握してるよな?」

ハヌマーン「種族間で争うなど、醜いものだ」

天才「種族? そんなモンは関係ねぇ」

ハヌマーン「……」

天才「魔物は殲滅する。俺様の考えだった」

ハヌマーン「過去形だな」

天才「テメーという存在を知ってから、若干だが考えが変わった」

ハヌマーン「それは何よりだ」

天才「改めて言う。種族は関係ねぇ。邪魔する奴は誰であろうと殺す」

ハヌマーン「……私は、いや……我らは戦いに関与せぬ」

天才「そうかい」
476 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:21:12.65 ID:g2kjKT9zo
ハヌマーン「気になる動きはあるが動く事はない」

天才「ラーヴァナか」

ハヌマーン「……」

天才「動かねぇんじゃなく、動けねぇんだろ?」

ハヌマーン「詳しいな」

天才「ハーッハッハッハ! ナメんじゃねぇぞ」

ハヌマーン「ラーヴァナはお前等の戦いを利用出来ぬか観察しているだろう」

天才「だろうな」

ハヌマーン「我らという壁が消えてしまえば、奴らは間違いなく北進する」

天才「その為の壁役を務めてくれるってか。ありがたくて涙が出てくるぜ……ハーッハッハ」

ハヌマーン「戦線を拡大せず、迅速に収めてくれ。それが我らの願いだ」

天才「言われんでもそうするさ」

ハヌマーン「特に、南東に位置する火焔山には近づくな」

天才「火焔……ああ、あのクソデカイ山か」

ハヌマーン「余計な火種を作りたくないのでな」

天才「ご忠告として受け止めておくよ。んじゃ、ヨロシクな」

ハヌマーン「協力するわけではない。だが、互いに良い形を築けると信じているぞ」 スッ

天才「……良い形ねぇ」
477 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:21:46.19 ID:g2kjKT9zo
 ドドッドドッドドッ……

天才「……こんな所まで出張って、どうなさいましたか? 国軍の大軍師殿」

大軍師「馬泥棒に敵前逃亡と、ちょっとした騒ぎになっておりますよ」

天才「ハーッハッハッハ! 暇な連中だなおい。それどころじゃねぇだろ」

大軍師「今の者は……」

天才「この先に住んでる魔物様だよ。きっと高貴な地位だぞあれは」

大軍師「何か動きでも?」

天才「べっつにー。国軍様にお話しするような事は一切、ございませーん」

大軍師「そうですか。それならば結構です」

天才「……そっちは大丈夫なんだろうな?」

大軍師「ええ、今のところは。少し犠牲が出るやもしれませんが」

天才「犠牲がデカすぎる場合は、右ストレートブチかますかんな」

大軍師「分かっております。くれぐれも気を付けますよ」

天才「ったく、しゃーねぇ。馬は返してやるよ。俺様のブラックキング号を手配しとけ」

大軍師「正体がバレますよ?」

天才「……ちっ。じゃあいいや! そんじゃな!」 バッ

大軍師「……やれやれ」
478 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:23:13.02 ID:g2kjKT9zo
南方司令「遅かったか」 ガサッ

大軍師「おや、南方司令殿」

南方司令「さっきお前の姿が見えたのでな。付いてきたのだが……」

大軍師「ご自身の足にしては、驚異的な速さですよ」

南方司令「右ストレートとは何だ?」

大軍師「隠語でしょうね。左翼に対する」

南方司令「ああ、そういう事か」

大軍師「幾つか策は練ってます。発動するかどうかは別ですが」

南方司令「正義の為とはいえ、犠牲は出したくない」

大軍師「……0というわけにはいかないでしょうけれど、最善は尽くしますよ」

南方司令「……」
479 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:23:55.04 ID:g2kjKT9zo
 明朝、夜明け前に北ルートの別働隊は山間部のなだらかな地へと到着した。

魔道士「疲れたぁ〜」

盗賊「……ようやく……休憩だな」

隊長「ここで小休止を取るぞ。後ろの連中は?」

副隊長「順次、合流しているようです。しかし5000近くの人間が休む事は出来ませんね」

隊長「入れ替えだ。先行部隊は後ろが到着と同時に出発する」

戦士「強行軍かよ……」

召喚士「まぁ仕方ないか。この山道でこの人数だもんね」

戦士「扱いひどいよな全くよ……」

隊長「特遊と精鋭兵は集まれ。この先の調査に出るぞ」

男隊員「ういーす」

女隊員「はいッス!」

隊長「副隊長はここで隊の指揮を頼む。何かあれば閃光弾で知らせる」

副隊長「閃光弾は危険なのでは? 南東国に悟られるかもしれません」

隊長「北側へ水平に撃つ。そうすりゃ山が壁になって、あっちにゃ見えんだろ」

副隊長「なるほど、了解致しました」

隊長「行くぞ」 ザッ
480 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:24:35.89 ID:g2kjKT9zo
召喚士「よっし。いいですよ」

魔道士「はぁ〜。疲れたー」 ゴロン

盗賊「……はしたないぞ」

魔道士「だってぇ、ずーっと立ちっぱなしだったんですもん。疲れちゃいましたよ」

盗賊「……いや……パンツ」

魔道士「――――っ!!」 ババッ

盗賊「……」

魔道士「はっ、早く言って下さいよもうっ!!」 カアァ

盗賊「……だから……言ったのに」

召喚士「ん? あの子……ワーカー!? スペース探してるのかな……?」

戦士「おーい! こっち空いてっぞー!」

幼女「……」 トテトテトテ

召喚士「……よ、良かったらどうぞ」

幼女「……」 プイ……トテトテ……

戦士「……何だ?」

召喚士「さぁ……。あ、また戻ってきた……」

幼女「……お父。ここ」 トテトテ
481 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:25:08.41 ID:g2kjKT9zo
お父「……」 ザッ

召喚士「あの、もし良かったら……食べます?」 スッ

お父「……」

幼女「……」

戦士「……なぁ」

お父「……」

戦士「こっちはスペース譲ってやった挙句、気ぃ遣ってるっつーのにその態度は何だよ」

召喚士「戦士っ」

戦士「だってそうだろ。礼を言えとは言わねぇけどよ、挨拶の1つくらい――」

お父「……行くぞ」

幼女「……うん」 スクッ

 ザッザッザッ……

戦士「……んだよ、アイツ」

召喚士「あんな小さな女の子を連れてるんだ。きっと事情があるんだよ……」
482 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:26:03.88 ID:g2kjKT9zo
 ドドッドドッドドッ……

戦士「さてと、後続が来る前に休んでおこうぜ」

魔道士「そうですよね。私達、先頭だから……後ろの人達が来たらすぐに出発ですもんね」

盗賊「……うん」

召喚士「それじゃあの辺りにスペースを確保しましょうか」

 テクテクテク……バサァ

 夕刻、本隊は南東国との国境まで僅かと迫っていた。

 ドドッドドッドドッ……

偵察兵「国境付近、南東国の兵などは確認出来ません!」 ドドォ

副司令官「どういう事だ? 宣戦布告までしておいて、戦う気がないとでも言うのか」

大軍師「罠かもしれません。ここは慎重に事を動かすべきですね」

副司令官「ううむ……」

大軍師「日没を待ち、国境から5キロ程度の所へ本陣を構えましょう」

副司令官「地理の確認を再度、確かめておくのだ」

偵察兵「ははぁ!」 ドドッ
483 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:26:50.77 ID:g2kjKT9zo
青龍先生「どこまで兵を進めるつもりじゃ?」

大軍師「……どうでしょうねぇ」

青龍先生「戦力からして野戦は勝てるじゃろ。だが……」

大軍師「攻城戦は厳しいですね。しかも敵は強固な城を3つも抱えておりますから」

青龍先生「あっちの兵が6万5000じゃったか?」

大軍師「分散していれば各2万。個々にならば2つまでは落とす自信はありますよ」

青龍先生「もし1点に集中し、籠城しておったら?」

大軍師「勝てませんね。現段階では」

青龍先生「援軍を待つか?」

大軍師「北は動かせません。魔王軍の侵攻が激しくなっておりますから」

青龍先生「そりゃそうじゃろ」

大軍師「東西は外交次第ですね。南東国との戦争で反発もあるでしょう」

青龍先生「西国は今、西方での争乱が沈静化して、復興に忙しいじゃろ」

大軍師「ええ。それに王が変わり、しかもまだ若い。本国と揉める選択肢はないでしょう」

青龍先生「そうじゃな」

大軍師「不思議な事に東方も同様です。内乱が収拾し、王もまだ若年」

青龍先生「此方の大義名分を伝え、懐柔すれば問題なし……か」

大軍師「それでも掻き集めて20万程度。あとはワーカー次第ですよ」

青龍先生「ひょっひょ。全くもって誰も得のせん戦じゃわい。こんなものはさっさと終わらせるに限る」

大軍師「ええ」
484 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:27:26.96 ID:g2kjKT9zo
青龍先生「天才はどうしたんじゃ?」

大軍師「明日には最前線に立たれると思いますよ」

青龍先生「働いて貰わんと困るわい。北関じゃ療養に努めろなどと言っておきながらこのザマじゃ」

大軍師「頼れる者が少ないですから。……右は。早く後継者をお作りになられては?」

青龍先生「活きが良いのが2人ほどおる。この戦次第かのぉ。ひょっひょ」

大軍師「ふっふ。あぁ、そうそう」

青龍先生「……?」

大軍師「東西の乱れを治めた者、ご存じですよね?」

青龍先生「ああ。朱雀の弟子じゃったか?」

大軍師「この戦いにも来ておりますよ。宜しくお願い致します」

青龍先生「儂は知らぬぞ」

大軍師「同じ召喚士、同じ先生として気にかけてあげてはどうです? ふっふ」 スタスタスタ

青龍先生「朱雀先生か。朱雀は昔から無鉄砲な奴ばかりで困るわい……ひょっひょっひょ」
485 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:27:57.89 ID:g2kjKT9zo
 日没間近。北ルートの別働隊は、一部が山頂へと到達していた。

魔道士「はぁ……はぁ……んっ、はぁ……っ」

盗賊「……大丈夫か?」

魔道士「は、はい……っ。空気が薄くて……はぁ……はぁ」

副隊長「後続も若干数、高山病や怪我で行軍に付いていけない者が出始めているようですね」

隊長「ったく、使えねぇな。そんなレベルでワーカーなんぞなるんじゃねぇっつの」

 ザッザッザッ

隊長「おう。首尾は?」

女隊員「お疲れ様ッス。見えるッスよ」

召喚士「あれが……南東国……っ」

男隊員「手前に見えるのが北の街。上から見ると綺麗だろ」

隊長「満開の花になぞらえて、華国なんて呼ばれ方もしてるな」

盗賊「……華国」
486 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:28:27.23 ID:g2kjKT9zo
隊長「さて、本隊はちゃんと動いてくれてるよな」

副隊長「ここからは兵を更に分けます」

召喚士「!?」

隊長「分けると言っても大勢じゃねぇ。ごく一部だけ切り離す」

戦士「どういう事だ?」

副隊長「我ら特遊、そして精鋭兵に加え、一部のワーカーには特別任務に参加して頂きます」

魔道士「特別任務……っ」

隊長「メインはここから更に迂回して下山。北側の国境付近に布陣する」

召喚士「それで、もう一方は……?」

隊長「こっから山を下り、一挙に北の街を目指す」

戦士「はぁ!? 山を下り……って、この険しい道をか!?」

男隊員「自信ねーなら参加すんな。こっからは限られた猛者だけが行ける道だ。ヒャハハ」

女隊員「本当の事ッスよ。無茶して命を落としたらどうしようもないッス」

戦士「ぐ……っ」
487 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:29:35.91 ID:g2kjKT9zo
隊長「だいたい20人くらいいりゃ事足りる。参加者は挙手してくれ」

副隊長「まず1人、お名前は?」

お父「お父。1人じゃない2人だ」

幼女「……」 スッ

女隊員「えっ!? その子も行くんスか!?」

お父「担げば問題ない。荷物と同じだ」

副隊長「し、しかし……」

隊長「構わん。他は?」

戦士「……どうする?」

召喚士「えっと……リーダーは?」

魔道士「あれ?」

盗賊「……高山病で……倒れた」

戦士「……使えねぇ」
488 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:30:28.52 ID:g2kjKT9zo
魔道士「召喚士さん、ど……どうします?」

召喚士「……個人的には、行きたいです」

盗賊「……同意」

魔道士「わ、私は……皆さんにお任せします!」

戦士「俺はもちろん、挙手させてもらうぜ」 スッ

男隊員「何だ、結局行くのかよ」

戦士「猛者だからな」

男隊員「ヒャハハ! ビビって漏らすなよ?」

隊長「んじゃそこの4人も参加だな。手続きは副隊長んとこで済ませろ」

召喚士「はい」 スタスタ

副隊長「それじゃ書類の記入と簡単なヒアリングを……」 スタスタ

隊長「後はいねぇか? 締め切るぞー」
489 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:30:56.32 ID:g2kjKT9zo
 ザッザッザッ

隊長「ん? お前も参加か?」

同門「……ああ」

隊長「んじゃアイツらと同様に手続きしてくれ」

同門「……」 スタスタスタ

隊長「これで最後だな。そんじゃ締め切るぞ――」

女剣士「私も行く」 テクテク

隊長「……んじゃお前で最後だ」

女剣士「金は良いんだろうな?」

隊長「もちろんだ。5倍は期待しとけ」

女剣士「ならいい」

隊長「もうじき日が暮れる、それまで休憩だ。どちらの隊も夜には動くぞ」
490 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:31:25.35 ID:g2kjKT9zo
 夜。この日の闇はにわかに水分を含んでいた。

魔道本部長「雨か。厄介だな」

大軍師「小雨ですし星も若干見えます。明日には止むでしょう」

副司令官「ならば良いがな」

白虎長「お待たせ致しました」 スタスタ

南方副司令「……」 ザッザッ

大軍師「揃いましたね。それでは始めましょう」

副司令官「明朝、あちらに動きがなくば攻撃に入る」
491 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:31:57.22 ID:g2kjKT9zo
 ザワッ

南方参謀「待って下さい! こちらからの攻撃は――」

副司令官「分かっておる。だからワーカーを使うのだ」

白虎長「ワーカー? ど、どういう……」

魔道本部長「分からぬか? ワーカーが独断で国境を越えるのだよ」

南方副司令「ふざけるなよ……?」 バンッ!!

南方参謀「ちょっと……!」 ヒソヒソ

南方副司令「国軍と共に戦う為に来た者達だろうが! それを……」

魔道本部長「我らとでは格が違うのだよ」

南方副司令「何ぃ……!?」

魔道本部長「ま、そういう貴様も所詮は所轄の人間だ。この会議に参加出来ただけでも有り難く思え」

南方副司令「あんたらは戦いを何だと――」 ガタッ

南方参謀「いい加減になさいっ! 上官なのよ!?」

南方副司令「……っ」
492 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:32:32.44 ID:g2kjKT9zo
魔道本部長「戦いの前で血気盛んになっておるのだろう。水に流してやる」

副司令官「もう良い、南の連中は退がれ」

南方参謀「失礼……致しました」

副司令官「南方司令部は明日、本隊とは別に周囲の哨戒に当たりたまえ」

南方参謀「畏まりました。それでは失礼致します」

南方副司令「願ったりだ。勝手にやらせて貰う」 ザッザッザッ

魔道本部長「ふんっ、田舎者には困ったものだ」

副司令官「では改めて、大軍師」

大軍師「はい。明日の布陣ですが、ワーカーの後に白虎隊、その背後に青龍隊、そして――」

 ザッザッザッザッザッ

南方副司令「司令を連れてこなくて良かったぜ」

南方参謀「そうね。下手したら殴りかかってたわよ」

南方副司令「まぁだからこそ俺らが参加したわけだが、あんまり変わらなかったかもな」

南方参謀「あんた、下手したら戦後に飛ばされるわよ?」

南方副司令「構わん。こんな腐敗した軍部など、外からブチ壊してくれる」

南方参謀「まさか……退役……」

南方副司令「とにかく今は、被害を最小限にとどめて戦いを終わらせる事だ」 ザッザッ……

南方参謀「そうね……」
493 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:32:59.73 ID:g2kjKT9zo
 ザッザッザッ……バサッ

南方弓長「あらお帰り。早かったわね」

南方副司令「ああ。思ったよりも手短に終わったよ」

南方司令「それで?」

南方副司令「南方は遊撃だ。好きに動いていいってよ」

南方魔道士長「アイツらにしちゃ寛大な措置だな」

南方副司令「どうせ相手にしてねぇんだろ。こうなったら思いっきり暴れてやろうじゃないか」

南方弓長「もちろん」

南方司令「正義による正義の為の正義の鉄槌……ん? 何だっけ?」

南方参謀「……」

南方魔道長「何かあったか?」

南方参謀「ううん、別に」

南方魔道長「ならいいけどよ。てっきり喧嘩でも吹っかけてきたのかと思ったぜ」

南方参謀「……まさか。そんな事しないわよ」 ニコッ
494 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:33:26.36 ID:g2kjKT9zo
 深夜。夜特有の音が各地で響く。獣の遠吠え。猛禽類の鳴き声。虫の音。

 山頂では吹きつける風の音が、申し訳程度に生えた木々を揺らし、音を奏でていた。

隊長「時間だ、行くぞ」

副隊長「東ルートの隊も、ほとんどが出発完了致しました」

男隊員「んじゃおれとコイツが道を切り拓く。その後をついてくればいい」

女隊員「そいじゃ、行くッスよ」 バッ!!

魔道士「と、跳んだ……っ!」

隊長「自信のある奴はどんどん進んでいいぞ。責任は取らねーけどな」

副隊長「最初のポイントはあの右側にある森の手前です」

女剣士「ふーん、あそこか。それじゃお先」 バッ!!

召喚士「あの人……女の人だよね?」

盗賊「……ああ」

お父「……落ちるなよ」

幼女「うん」 ギュッ
495 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:33:59.70 ID:g2kjKT9zo
 ババッ!! ヒュウウゥゥゥゥ……

戦士「……っ」

魔道士「みんな…凄い……っ」

同門「行かないならどけ。後ろが詰まっているんだ」

召喚士「あ、すっ……すみません」

同門「……ちっ」

戦士「俺達も行くぞ!」

魔道士「は、はいっ!」

召喚士「盗賊さん、行きますよ?」

盗賊「……ああ」 ババッ

魔道士「あっ!!」

召喚士「さ、さすが盗賊さん。他の人に負けてない……」

戦士「パーティーの輪を乱すな!! くそっ!!」
496 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:34:30.00 ID:g2kjKT9zo
 別働隊が二手に分かれ進軍を再開した頃、南ルートでは……。

副司令官「雨もあがったな。思ったよりも早かった」

青龍先生「じゃが、こりゃあ明日は……霧になるのぅ」

 ドドッドドッドドッ……

偵察兵「本陣、完成度はまだ7割程度ですが執務は可能です!」

副司令官「うむ。案内せよ」

偵察兵「こちらです!」 ドドッ

大軍師「大隊長以下の者らは布陣し、編成や武具の確認を」

国軍中佐「布陣っ、かかれぇ!」 ザザ

魔道本部長「ここが本陣か。とは言っても、岩や木を積み重ねただけのものだがな」

大軍師「これでも立派なものですよ。野戦においては十二分に威力を発揮します」

副司令官「設営の責任者は? おぉ、彼らか」
497 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:35:06.73 ID:g2kjKT9zo
 パッカパッカパッカ

副司令官「此度の本陣設営、誠にご苦労」

黒の三騎士・一「これは副司令官様、此度もご依頼感謝しますぞ」

黒の三騎士・二「我らにかかれば設営などお手の物」

黒の三騎士・三「日の出までにはバッチリ、仕上げてみせますぞ! ワハハ!」

副司令官「君達に任せておけば何も心配はあるまいな。頼むぞ」

白虎長「物資の運び入れを始めます」

副司令官「任せる。さて、司令室はどこだ? こっちのテントか?」 ザッザッ

白虎長「任せる……って。何なのよもう」

黒の三騎士・二「姉ちゃん、物資の8割はこっちの小屋に入れてくれ」

白虎長「全部じゃないの?」

黒の三騎士・三「本陣がやられちまったら、全部オジャンだからな」

黒の三騎士・一「3割ほどは別に用意した貯蔵エリアで管理するんだ」

白虎長「なるほど……っ」

黒の三騎士・三「場所は南西の森だ。案内する」

白虎長「了解。誰か、一緒に行って指示を仰いで頂戴」
498 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:35:37.77 ID:g2kjKT9zo
 様々な思いが錯綜する中、運命の日の出が訪れた。

国軍大佐「進めぇ!!」

 早朝4時30分頃であっただろうか、余りに混乱をきたした為にこれ以降の、

 具体的な時刻を記した国軍の資料は存在しない。

副司令官「良いか、国軍は国境手前で停止し、ワーカーを先行させるのだぞ」

 号令と同時に軍が動く。先頭は計画通りワーカーが南東国目指し進んでいた。

 その後ろ、やや離れた状態で白虎隊と騎兵が続く。その数およそ5000程度。

 中央には青龍隊と軽装歩兵、弓隊が隊列を成し、ゆっくりと続いた。

青年兵「……」

青龍先生「そう固くなるな。いざという時に力を出せぬぞ?」

青年兵「は、はい……っ」

 後方では魔道本部長率いる魔道隊が5000ほど進む。

魔道本部長「まぁ、我らの出番はなさそうであるな」

左文官「ですな」

高官「……」
499 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:36:06.75 ID:g2kjKT9zo
 本陣には重装歩兵をメインに約3万が駐屯し、戦局を見定めていた。

副司令官「国境までの距離はおよそ2キロ。30分もあれば到達するか」

大軍師「……」

 南方司令部は約5000の兵を抱え、その大半を南西の貯蔵エリア防衛に回されていた。

南方参謀「予想外ね」

南方副司令「哨戒を言い渡しておきながら、兵力を防衛に充てるとはな。牙をもがれたも同然だ」

南方魔道長「哨戒? 遊撃じゃなかったのか?」

南方弓長「何はともあれ、残った面子でやるしかないわよ」

南方司令「行くぞ……我らの正義を見せてやれっ!」

ボス「おうっ!!」 バシッ

ゴロツキ「おぉーっ!!」
チンピラ「おぉーっ!!」

 南方司令部の主隊はわずか500名。つまり4500が貯蔵エリアに回されたのだ。

 この時点で当初9万いた国軍は、別働隊に5000ほどを費やし、南方司令部5000を切り離し、

 本陣には3万が駐屯。更には騎士団長率いる騎士団は南の街に残り、その数は7〜8000。

 つまり、今まさに進軍している兵はワーカーも含め、4万弱しかいない計算となるのだ。

大軍師(司令……この戦、負けるかもしれませんよ)

 南東国の推定兵力は6万弱。既に主力がぶつかっても数で負けるのだ。

 これは完全に采配ミスでありながら、左翼で固められた上層部に対し、これと言った進言もない。

 大軍師とてそうだ。編成は任されても作戦立案には一切関与出来ない。参謀であるにも関わらずだ。

副司令官「……」

 だが左翼も敗北を望んでの布陣ではなかった。南東国に動きがないと踏んで最善策を取ったまでだ。

 少なくとも、この時、この瞬間までは確実に勝利を信じていた。
500 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:36:37.95 ID:g2kjKT9zo
 サアアアアァァァァ……

 この日は前夜の雨が響き、濃霧であった。

ワーカー「くっそー。霧が濃くて先が見えんぜ」

男「どうせ敵なんざいねーんだし、国境越えりゃ家が貰えるらしいじゃねぇか」

ワーカー「マジか!? んじゃ俺が1番乗りだ!」 タタッ

男「んにゃろ〜! させっかよーわはははっ!」  タッタッタッ

 ザンッ!! コロコロコロ……

ワーカー「あん……?」

男「――――」 ドサッ

ワーカー「ひっ、ひいいいいぃぃぃぃ!!」

金髪「おい、どうし――くくっ、首いいぃぃぃぃ!?」

ワーカー「敵だああぁぁぁぁ……ぐぎゃっ!!」 ザシュッ!!

金髪「あ……ああ……あぁ……」 ジョロロロロ……

 パッカパッカパッカ……ザンッ!!

白馬騎士「あまり無茶なさらないで下さいよ……騎都尉」

騎都尉「一騎駆けだ。邪魔をするな」
501 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:37:33.39 ID:g2kjKT9zo
白馬騎士「……分かりました。各馬、ここで待機を」

騎都尉「貴様もだ」

白馬騎士「しかし……」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

白馬騎士「ふーっ、分かりました。私もここに残りましょう」

騎都尉「この俺が負けるとでも?」

白馬騎士「まさか」

騎都尉「そうだな、まずは軽く……3000程度蹴散らしてやるか」

白馬騎士「おや、一騎当千と謳われた騎都尉が3000ですか」

騎都尉「準備運動で本気になる事もあるまい。行くぞ、赤兎!!」 ザッ

赤兎「ブゴオオオオォォォォ!!」 ドドォ!!

 ズガガッ……ドドッドドッドドッドドッ……

白馬騎士「周囲の警戒を怠るな。霧に紛れて伏兵が来るかもしれんぞ」

華国兵「ははっ!!」
502 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:38:02.58 ID:g2kjKT9zo
 時同じくして南東国北側。天険と言われた地を降る20名程の男女。

ワーカー「わわっ、うわぁ!!」 グラッ

戦士「つかま――――」

ワーカー「ああああぁぁぁぁ――――」 ドチャッ

戦士「……っ」

男隊員「実力もねぇのに無理するからだ」

魔道士「ひっ」

召喚士「魔道士さん、下を見ずにゆっくりと……」

魔道士「さっきの人……落ちた……落ち――」 ツルッ

盗賊「魔道士ぃ!!」

魔道士「――――っ!!」

召喚士「コカトリス!!」

 シュイイィィィィン バサァ

魔道士「……あ……あぁ」

コカトリス「全く、危なっかしいものだな」

召喚士「ふーっ」

戦士「び、びっくりさせんなよ……っ」
503 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:38:33.33 ID:g2kjKT9zo
同門「……コカトリス……だと!?」

隊長「そうか。お前……最初からいざって時は召喚獣を使うって考えで志願しやがったな?」

召喚士「あくまで保険ですけど……」

隊長「なかなか利口だが、力を使うのは戦いがメインだ。余計な魔力を消費するな」

召喚士「すみません……っ」

隊長「このまま一気に下るぞ! 時間も少し押してきた」 ババッ

盗賊「……行くぞ。気を付けてな」

魔道士「ごめんなさい……っ」

戦士「気にすんなって。結果をのこしてやりゃいいんだよ」

召喚士「……そうだね」 ザッ

同門「おい、貴様」

召喚士「……?」

同門「さっきのあれは、どういう事だ?」

召喚士「え……? ああ、コカトリス……ですか?」

同門「貴様、朱雀先生とどういう関係だ?」

召喚士「!?」

同門「コカトリスは代々、朱雀先生専属のはずだ。それを何故、貴様が持っている!」

召喚士「えっと、それは……」

女剣士「邪魔だ。早くいけ」 ザザッ

召喚士「あっ、すみません……!」

同門「ちっ、まぁいい。後でゆっくり聞いてやる」 バッ

召喚士「……あ、あの人……どうして専属の事まで」
504 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:39:01.39 ID:g2kjKT9zo
 北の別働隊が間もなく地上へ到達しようとしている頃、

 南では両軍の激突が徐々に広がり、戦線は拡大しつつあった。

副司令官「何やら騒がしいな。動くがあったか?」

大軍師「濃霧で状況が把握出来ませんね。しかしこれは……」

 ドドッドドッドドッ……

伝令「ごっ、ご報告致します!!」

副司令官「どうした? これは何の騒ぎか?」

伝令「国境付近にて交戦中!! 南東国軍が現れました!!」

副司令官「何だとぉ!?」

大軍師「……やはり、来ましたか」

伝令「最前線のワーカーは連携が取れず混乱、潰走しております!」

副司令官「馬鹿者がっ! 何をやっているか……っ!」 ググッ

伝令「濃霧により視界が悪く、昨晩の雨で足場も……。騎馬相手では手も足も出ません」

大軍師「敵は何騎ですか?」

伝令「……っ」

副司令官「どうした? 早く述べよ」
505 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:39:30.49 ID:g2kjKT9zo
伝令「そ、それが……確認出来た敵は……1騎と」

大軍師「!?」

副司令官「ふざけるなっ! たかが1騎なわけがなかろう! 霧に紛れてどこかに伏兵が居るはずだ!」

大軍師「騎馬隊を周囲の警戒に当たらせます」

副司令官「うむ。霧に紛れて一気に本陣を目指すつもりかもしれんしな」

大軍師「引き続き情報を集めるように」

伝令「ははっ!!」 ザザッ ドドッドドッ……

副司令官「おのれ南東国め……っ、だがこれで大義名分は得た」

大軍師(思った以上の犠牲が出てしまったかもしれませんね……司令)

 本陣より1.5キロ程度先、相変わらずの霧の中、ワーカー達による断末魔の叫びがこだまする。

ワーカー「ぎっ、ぐええぇぇー!!」

ヒゲ「た……助け――――」 ザンッ!!

 霧の中より滲む赤。飛び散る血飛沫。その中央に、更に濃く色づいた赤。

赤兎「……ブルルッ」 パッカパッカパッカ

 その赤の上に跨る漆黒。比較的軽装な甲冑に兜は着用していない。

 最低限の重量で愛馬、赤兎への負担軽減と、自身の運動能力を高めているのである。

 そしてその最も足るものは、敵の攻撃を食らう事はないとの自負。

 数多の戦場や戦いにおいて、かすり傷1つ負わなかったと言われる騎都尉だからこそのものであろう。
506 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:40:09.06 ID:g2kjKT9zo

魔道本部長「状況の把握はまだ出来んのか?」

左文官「どうも敵に深く入り込まれているようで」

魔道本部長「使えぬものは何をしようとも使えぬものよ」

左文官「どうなさいますか?」

魔道本部長「使えるもので打開するしかあるまい。魔道隊を一列に並べよ」

左文官「おい、急げ」

魔道兵「畏まりました!」 タッタッタッ

魔道本部長「一斉に木行を放て。付加や合体する必要はない」

左文官「成程。霧を吹き飛ばすという事ですな?」

魔道本部長「敵の正体を暴いてくれるわ。そうすれば、本陣も動くであろう」

左文官「ですな」

 魔道本部長の思惑通り、横一列に並んだ魔道隊が、合図と同時に魔王を放つ。

 一斉に撃ち放った風の魔法は、突風となり、一直線に北へ抜けて行った。
507 :>>506訂正  ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:41:32.51 ID:g2kjKT9zo
騎兵隊長「敵は1騎なのだぞ!! 前へ出て当たれ! 集団で当たれ! とにかく当た――」

 ドウッ!! ズッザアアァァァァ

騎士隊長「――――!?」

騎兵「うっ、馬が跳ん……っだ」

 ビュオォッ……ボトリ

騎都尉「次はどいつだ?」 ギロッ

騎兵「ひ……ひいいいいぃぃぃぃ!!」

 ワアアアアァァァァ……

魔道本部長「状況の把握はまだ出来んのか?」

左文官「どうも敵に深く入り込まれているようで」

魔道本部長「使えぬものは何をしようとも使えぬものよ」

左文官「どうなさいますか?」

魔道本部長「使えるもので打開するしかあるまい。魔道隊を一列に並べよ」

左文官「おい、急げ」

魔道兵「畏まりました!」 タッタッタッ

魔道本部長「一斉に木行を放て。付加や合体する必要はない」

左文官「成程。霧を吹き飛ばすという事ですな?」

魔道本部長「敵の正体を暴いてくれるわ。そうすれば、本陣も動くであろう」

左文官「ですな」

 魔道本部長の思惑通り、横一列に並んだ魔道隊が、合図と同時に魔王を放つ。

 一斉に撃ち放った風の魔法は、突風となり、一直線に北へ抜けて行った。
508 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:42:07.66 ID:g2kjKT9zo
 ゴッゴオオオオォォォォ……

魔道本部長「……」

 風が抜け霧が晴れる。その瞬間、時が止まったかのように、全てが静止していた。

副司令官「…………」

 人も馬も、風も音も。その中心に居た者が、ゆっくりと最初の一歩を手綱にて相棒に促した。

 パッカパッカパッカパッカ……

大軍師「ま、まさか……本当に1騎とは……っ!!」

騎都尉「おおおおぉぉぉぉ!!」 ビリビリビリッ

 ズゴゴゴゴゴゴゴ……

大軍師「何と言う威圧……っ。本陣にまで届くとは」

 同時に本陣側は再び霧に見舞われた。所詮は魔法による僅かな時間によるものだ。

 騎都尉の雄叫びだけが響き渡り、次第に悲鳴がそれを上回った。

副司令官「たかが、たかが1騎などと……そんなはずはないっ! これは罠だ!」

大軍師「魔道隊と弓隊を合流させ、間接攻撃を増強しましょう」

副司令官「青龍と白虎は何をやっておるか! 早く当たらせるのだ!」

 騎都尉の突撃は文字通り、一直線に真っ直ぐ進んでいる。

 左右に追いやられ脇固めとされていた青龍隊、白虎隊は、霧が晴れるまで全く状況が分からなかった。
509 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:42:59.18 ID:g2kjKT9zo
青龍士官「くそっ、どうする……霧の中では召喚獣は出せない……っ」

白虎兵「隊長っ!」

白虎長「まだ駄目よっ、いま召喚しても視界が悪くて同士討ちに合うわ」

青年兵「……」

青龍先生「焦る事はない。国軍がこの程度で負けるものかよ」

青年兵「はい。しかし、やや不利な形に持っていかれたかと」

青龍先生「なぁ、青年兵」

青年兵「はい」

青龍先生「お主、召喚獣と話せるよな?」

青年兵「――!?」

青龍先生「今更、隠さんでも良いわい。咎める気なんぞ毛頭ない。ひょっひょ」

青年兵「……申し訳ありません。先生の教えを破ってしまいました」

青龍先生「ただ召喚するだけではこの場は無意味。しかし対話が可能であらば意味はある」

青年兵「え……っ?」

青龍先生「この場に紛れてワイバーンを出し、周囲の状況を確認させるのじゃ」

青年兵「了解です! 出でよ、ワイバーン!!」

 シュイイィィィィン

青年兵「視界が悪い中ゴメン! 上空から周囲の様子を探って欲しいんだ」

ワイバーン「……承知した」

青龍先生「……」

ワイバーン「……」 バッシュウウゥゥゥゥ……

青龍先生「さーてあとは……あやつが動くのを待つだけかの。ひょっひょ」
510 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:43:56.34 ID:g2kjKT9zo
 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

騎都尉「おおおおぉぉぉぉ!!」 ズギャア!!

軽装歩兵「駄目だっ、話にならん……!」

騎兵「まさかこんなド田舎に……これ程の男が居るとはな……っ」

騎都尉「おおおおぉぉぉぉ――」 ピクッ

 ドカカッ!! シュウウウウゥゥゥゥ……

弓兵「と、止ま……った」

騎都尉「…………」

 ゴゴゴゴゴゴゴ……

魔道兵「な、何か来る! 後ろ!? 味方……なのか?」

 立ち止まる赤兎の騎乗で一点を睨み付ける騎都尉。

 その先の霧が、まるで恐れをなすかの様に左右に割れ、その中心を1人の男が歩いていた。

騎都尉(……この男、只者ではない)

 ザッザッザッザッザッ

――「いよぉ、待たせたな……ハーッハッハッハッハ!!」

騎兵「ワ、ワーカーだとぉ!?」

騎兵副長「ただのワーカーではない……っ!」

軽装歩兵「天才だっ、功績1位……ツヴァイハンダーの……」

弓兵「あれがトップランカーの天才か……っ!」 ザワザワザワ

天才「おら、どけどけ。天才様のお通りだぞ」
511 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:44:37.54 ID:g2kjKT9zo
弓兵「おいっ、霧が避けてるぞ!?」

魔道兵「違う! よく見てみろ……微弱な木行を放出し続けてるんだっ!」

天才「随分と暴れてくれてるみてーだなおい」

騎都尉「お前も死ぬか?」 ジャキッ

天才「おー怖。おい、誰か馬を貸してくれや」

騎馬副長「俺の馬を使えっ! 多少は使えるはずだ!」 バッ

天才「……しけた馬だなおい。しゃーねぇ、少し費用を増やすか」 ブツブツ

騎馬副長「……?」

天才「さーて、そんじゃ一騎打ちといこうじゃねぇか!!」

騎都尉「無駄だ」

天才「ハーッハッハッハ! 俺様に勝とうなんざぁ、5億年早えぇんだよ!!」 ドウッ!!

 ガッキイイイイィィィィン!!

天才「……魔法は使わないでおいてやる。ありがたく重いな」 グググッ

騎都尉「使えるものは全て出した方がいい。あの世で後悔するぞ?」 ググッ

天才「調子コイてんじゃねぇぞ!!」 ズギャッ!!

 ドガガガガガガガッ!!
512 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:45:18.63 ID:g2kjKT9zo
魔道兵「す、すんげぇ……一進一退の攻防だっ!」

騎兵「しかし馬では敵に分があるな」

軽装歩兵「だが得物ではツヴァイハンダーの天才が有利だ」

天才「外野だからって気軽なこと言ってくれんぜ」

騎都尉「……」

天才「ただの槍じゃねぇ。戟だな」

騎都尉「ほぉ、詳しいな」

天才「突くだけじゃねぇ。いや、突いてもかすればダメージを与えられる。厄介なモンだ」

騎都尉「はぁ!!」 ゴウッ!!

天才「あっぶね!」 ブオッ!!

魔道兵「馬の上で……跳んだ。曲芸師かあいつ……っ」

 ゴウッ!!

騎都尉「……?」

天才「気にすんな。少し風を強くしただけだ」

騎都尉「魔法は使わないんじゃなかったのか?」

天才「攻撃にはな。視界が悪いとつまんねーだろ?」

騎都尉「貴様にとってはその方が好都合じゃないのか?」

天才「ハーッハhッハ! 俺様に都合もクソもあるかよ! 勿体ねぇだろ」

騎都尉「……」

天才「テメーの首チョンパを何万人がご覧になれないなんてよ! ハーッハッハ!」

騎都尉「減らず口を……」 ビキビキッ

天才「おや? お怒りですかぁ?」

騎都尉「殺す!!」 ゴアァ!!

 ズギャアアァァァァ!! ドガガガガガガッ!!
513 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:45:53.48 ID:g2kjKT9zo
青年兵「す、凄い……っ」

青龍先生「全く、動くのが遅すぎるわい」

南方司令「先日、南で戦いがあってな」 ザッザッ

青年兵「南方司令部……!?」

南方司令「その時、羅刹に傷を負い、まだ完治していないのだ」

青龍先生「なるほどな。道理で動きが鈍いと思えば」

青年兵「あの、ご存じなのですか?」

青龍先生「互いに長いからのぉ。戦場で顔を合わせる事もしょっちゅじゃよ。ひょっひょ」

南方参謀「周囲の動向は!?」

青年兵「あっ、はい! 間もなくワイバーンが戻るかと……」

 バシュウウウウゥゥゥゥ……

青年兵「ちょうど良かった! おかえり、どう!?」

ワイバーン「北に幾つかの人間が居た」

南方副司令「北……国境付近か」

南方司令「行くぞ」

青年兵「あ、あのっ!」

南方弓長「安心して。こっちには迷惑かけないから」

南方参謀「それじゃ先生、後は頼みますよっ」

青龍先生「死ぬなよ?」

南方参謀「ふふっ」 ザッザッザッ

青年兵「あの……南方司令部の面々は……」

青龍先生「混乱に乗じて奇襲を仕掛けるつもりじゃろ。決死でな」

青年兵「!?」

青龍先生「だが我らとて止める術はないよ。目の前の戦いに集中せい」

青年兵「……はい」
514 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:46:25.79 ID:g2kjKT9zo
 戦場の空気が少し変わった事は、本陣においても確認出来た。

副司令官「霧がやや、晴れてきたか」

大軍師「日が出始め、ようやく気温が上がってきましたね」

副司令官「前線の動きは?」

 小高い丘にある本陣から、目を細めるようにして前線を眺める副司令官。

重装歩兵「どうやら1人のワーカーが敵の将と一騎打ちに入ったようですな」

副司令官「一騎打ち? また回りくどい真似を」

大軍師「このまま様子見してみては?」

副司令官「たった1匹ごとき、包囲してさっさと始末してしまえば良いものを」

大軍師「先程ご自身で申されていた通り、罠かもしれませんぞ?」

副司令官「……うぅむ」

重装歩兵「大軍師殿の申す事、ごもっともなり」

大軍師「ここはしばし、前衛にお任せ致しましょう」

重装歩兵「左様。本陣はドンと構えておけば良いのです。わははは」

副司令官「……そうだな」
515 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:47:01.16 ID:g2kjKT9zo
〜北の街〜

男隊員「よし、いいぞ」

 タタタッ……タッタッタッタッタッ

副隊長「3名が脱落。あの高さではおそらく生存は厳しいかと」

隊長「力量も分からず無理するからだ。遺体が厄介だな」

副隊長「森の中ですし、よほどの事がなければ見つかりにくいとは思いますが」

隊長「そうだな。よし、このまま任務を遂行する」 ザッ

盗賊「……魔道士……平気か?」

戦士「顔色が悪いぞ?」

魔道士「だって……人が……死んで……」

女剣士「馬鹿かお前? これからもっと沢山の人間が死ぬかもしれないんだぞ?」

召喚士「それはっそうですが……」

女剣士「甘ったれるな。死を見るのが嫌ならば今すぐ去れ」

同門「同感だな」

お父「……」
516 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:47:31.12 ID:g2kjKT9zo
女隊員「行くッスよー」

女剣士「あんな少女が平然としている。恥ずかしくないのか?」 ツン

幼女「……」 スタスタスタ

召喚士「平気なもんか……っ」

戦士「気にすんな。あっちは傭兵のプロみてーなもんだろ?」

盗賊「……」

戦士「俺らもこれから、追いつけばいい」 ザッザッ

召喚士「……うん」

魔道士「ごめんなさい……」 テクテク

隊長「んで、手筈は?」

男隊員「手引きの間諜がこの先の酒場にいるはず」 スタスタ

女隊員「あれッスか?」

男隊員「ういーす」 ガチャッ

店員「いらっしゃ――」

隊長「待ち合わせだ。上を借りるぞ」 ドカドカ

店員「……」

副隊長「いました。彼らです」

召喚士「あっ!!」

魔道士「……剣士さんっ!! 弓使いさん!!」

弓使い「!?」

剣士「やぁ! 召喚士くん達じゃないか!」

男隊員「顔見知りか?」

戦士「前に同じ任務で一緒になった事があってな」

隊長「本題だ。こっちの様子は?」

剣士「……それが」

召喚士「……?」
517 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:48:01.96 ID:g2kjKT9zo
〜東の街〜

 ゴゴゴゴゴゴゴ……

長男「……」

側近「それで、戦況は?」

弓将軍「騎都尉が奮戦しています。まぁ、問題はないでしょう」

若文官「本国め。三男様を暗殺しておきながら、ゆくもぬけぬけと……っ!」

夫人「ほ〜んと、酷い連中よの」

金角「……」
銀角「……」

老文官「陛下、到着なされましたぞ」

弓将軍「来たか」

夫人「うふっ♪」

 カツカツカツカツカツ……ザッ

兄者「長らくご無沙汰しておりまする。皆の衆」

弟者「がーっははは! 俺らが来たからにはもう好きにはさせねぇぞ」

錦将軍「魔物と一緒ってのが、気にくわねぇけどな……」

老将軍「華国の為じゃ。三男様の仇、必ずや」

長男「……期待しているぞ」 スクッ

側近「どちらへ?」

長男「休む。夫人、共に来い」

夫人「は〜いっ。それじゃ、あとは頑張ってねん♪」 スタスタ
518 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/08/31(金) 17:48:53.01 ID:g2kjKT9zo
〜北の街、酒場〜

男隊員「何ぃ!! 暗殺だぁ!?」

弓使い「ええ。国じゅう大騒ぎよ……」

隊長「ちっ、濡れ衣も甚だしい。こりゃ裏があるぞ」

副隊長「ど、どういう事なんでしょう!?」

召喚士「まさか、魔物が? それで本国へ罪をなすりつけて……」

女隊員「ヒドイ話ッス」

隊長「とにかく事実関係の照合だ。情報収集に努めるぞ」

戦士「おうっ!」
 混沌たる戦況は激化し、なおも人々の運命を飲み込んでゆく。

次男「…………」

 本国と南東国、人間同士の戦いはとうとう火蓋が切られてしまうという、

 最悪のシナリオを迎えてしまったのだ。

左大臣「……くくっ」

 召喚士達は果たして無事、生き残る事が出来るのか。

 そして、この闇を取り払い再び光を与える事が出来るのだろうか。

召喚士「……っ」

 目に見えない正義という名の宝を求め、人々は争うあうのであった。

騎都尉「おおおおぉぉぉぉ!!」

天才「ハーッハッハッハ!!」

 ガッキイイイイィィィィン――――



〜続く〜
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/08/31(金) 17:49:47.44 ID:g2kjKT9zo
オマケのくせに無駄に長くてほんとスミマセン…
とりあえず久々の投下という事で。それでは失礼致します!またね!ノシ
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/31(金) 18:06:47.30 ID:mJOcKzNCo
いえいえww
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/31(金) 18:13:02.64 ID:p0pFK49Ko
魔王が訂正されてるのかと思ったらそんなことはなかったwwwwww
>>1

盗賊ちゃんの喋り方とか懐かしいな
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/31(金) 18:24:07.09 ID:+UyiPWFCo
夫人が敵なことに少し違和感
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/08/31(金) 18:25:16.14 ID:x/olyI5Fo
ここに来て、1日の投稿としては過去最長?
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/08/31(金) 18:26:27.71 ID:x/olyI5Fo
なんだよwwwwwwみんな居たのかwwwwwwww
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/08/31(金) 18:29:47.32 ID:kzNm20vT0
これは別世界の話?
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2012/08/31(金) 19:45:39.68 ID:qYrytoez0
てか三男死んでんぞ・・・
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/08/31(金) 20:04:24.97 ID:cHykkrjAO
弓使いちゃんぺろぺろ
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/08/31(金) 20:12:04.21 ID:Aw7KuyF0o
>>525
テレビ放映終了後の劇場版的なあれじゃね?
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/08/31(金) 20:24:26.56 ID:X2lBBa1/o
>>1

97レス更新…一体誰だ?!荒れたのか、>>1乙降臨か…

とりあえず今から読みます
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/08/31(金) 20:35:27.16 ID:StLGo7JIo
乙です
ifの話って事?
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/31(金) 20:41:57.93 ID:v1cXeanDO
軟禁しといて暗殺された事にしたんじゃ?
争わせる為に
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/31(金) 21:05:13.28 ID:fR1PCmxXo
>>1乙!

これは華国編リメイク版でいいのかな?
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/31(金) 21:13:45.01 ID:6CPFnoTSO
いちおつ!

アカシックレコードがらみかな。
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/31(金) 21:33:22.63 ID:35tyc5l2o
魔王倒す前の人間同士の戦争か…

いちおつ!
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/09/01(土) 06:02:22.34 ID:4IlFdFcAO
>>1乙!
西国王子の最後は見れるのですか?ww
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/01(土) 09:43:31.93 ID:T2YwiB9Do
東南国でちょっと揉め事があったって話はあったでしょ
リメイクじゃなくて普通の外伝だよ
他に外伝のネタになりそうな話といえば、西方指令&南方指令も過去に何かあったっぽいけどまだ語られてないよね?
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/09/01(土) 12:49:39.31 ID:cWtl8JC00
>>1 おつ
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/09/02(日) 01:48:09.88 ID:2K0QxLYAO
>>1おつ

久々の投下が恐ろしい量でワロタ
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/09/02(日) 14:36:49.90 ID:V3Gu6rDGo
>>1

読み終わった!王を腑抜けにする魔物と言うと妲己ちゃんを思い出すな。
って前にも連載中にも書いた気がする…あれからあんまり成長してないんだな、俺…
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/04(火) 19:58:57.89 ID:bNbPc03DO
いちょつ

それからって書いてあったから少し混乱しちゃった
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/09/04(火) 20:18:04.38 ID:wndNyX8no
スレもあと半分か…
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/05(水) 07:11:00.84 ID:+kwV/ziIO
投下〜
投下を〜ぉぉぉ
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/05(水) 20:08:59.01 ID:pZcJK7uIO
うっせーなks

いつまでも終わらないふいんきがいいんだろ
投下なんていらねーよ
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/09/06(木) 09:13:13.08 ID:MBir5jYzo
投下あると嬉しいけど、>>1にはゆっくり休んでもらいたい
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/06(木) 22:08:52.46 ID:7YUzPUwIO
そんな定年退職のおっはんじゃあるまいし
>>1はもっとかんばるべき
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/06(木) 22:19:25.06 ID:AWD7mS3Fo
急にクソみたいな読者様が増えたな
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/09/07(金) 07:47:38.83 ID:li9kUCp8o
>>1

それでも俺はまだまだ毎日スレチェック!
今更だが戦士たちが未熟者扱いされてると少し悔しい
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/09(日) 00:01:59.93 ID:9xM35ECDO
ふと思ったのですだが、
本編の終わり方は青年兵の過去の話って事でいいのかな、、、?
サタンを倒して50年が経った式典の様子だとそんな気がする。

希望としては
サタンを倒して50年の間何があったのかすごく気になるとこです。
真実は闇の中ですね。
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/09(日) 05:33:20.75 ID:0tIjvFQDO
>>1さんが書かないわけないだろう?
今書きためてるからまっとくんだ
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/09/10(月) 23:58:29.45 ID:EjWJZ92Yo
>>1

未だに毎日スレ見てるよ…
俺の頭は依然としておかしい…むしろこれが正常?
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/09/11(火) 00:25:29.46 ID:Amm9mxaVo
ここまで釣り
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/09/11(火) 01:27:33.83 ID:SYGdUpPAO
書き込みすぎてあまりスレ消費するのはいかんぜよ。このスレ消費してから>>1が書いてくれるのかわからんのだし
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/11(火) 08:08:59.67 ID:gj4fFESIO
>>1さんが次回作の構想を練る時間は、このスレが終わるまで(リミット)
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/09/14(金) 02:12:57.51 ID:qfS1BhnDO
わたしまーつーわー
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/14(金) 21:43:13.50 ID:wGvv/W8vo
いつーまでーも
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/15(土) 02:03:53.37 ID:zENKwafDO
まーつーわ
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/09/17(月) 07:23:45.96 ID:GQLqeVLI0
たとえ
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/09/17(月) 13:55:08.93 ID:d5I3lvzUo
うぬが
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/17(月) 21:54:13.82 ID:tCktAvH60
謌代′


560 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:04:32.26 ID:z8y5Lyw4o
 北の街の外れ、竹林の中にひっそりと佇む寺がある。

 平時であれば戦乱とは無関係であろうこの場所にも、

 南東国の兵が不釣り合いにもあちらこちらに配備されている。

隊長「……行くぞ」 シュルッ

 右手で配置場所を指示する隊長に、一同は頷きながら従う。

戦士「しかし動きにくい服だ」

盗賊「……仕方ないさ」 ザッ

隊長「…………」

召喚士「……」

魔道士「……っ」

隊長「……ゴー!」 タンッ

 ザザザザザザッ

華国兵「!?」

女隊員「たぁっ!!」 バキッ!!

男隊員「悪いが寝ててくれや。ヒャハハ」 ガスッ

華国兵「う……っ」 ドサッ
561 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:05:00.53 ID:z8y5Lyw4o
副隊長「制圧。我らはこのまま周囲の警戒に入ります」 ババッ

隊長「お前らは俺と共に来い」

召喚士「はいっ」 ザッザッザッ

戦士「ここは何だ?」

盗賊「……寺だな」

魔道士「寺? 確か……教会みたいなものですよね?」

盗賊「……ああ」 ザッザッ

隊長「こりゃ立派な庭だこと――」

――「どなたかな? 聞き覚えのない声ですが」 ジャリッ

召喚士「!?」

隊長「これは失礼。私は隊長と申します。我らはこの戦を収めに来た者です」

――「ほう」

隊長「失礼ですが、次男様でお間違えありませんな?」

次男「如何にも」

隊長「あなたがこちらに軟禁されていると言う噂を聞きまして、我々が……」

次男「命を奪いに来られたと?」

隊長「……滅相もない」

次男「言わずとも分かります。貴方の心は今……揺れている」

隊長「……」

次男「殺すべきか否か、とね」
562 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:05:28.97 ID:z8y5Lyw4o




 召喚士「行けっ!コカトリス!!」

      〜それから〜
563 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:06:00.29 ID:z8y5Lyw4o
〜数時間前、北の街〜

魔道士「これ、何ですか?」

副隊長「南東国の衣装です。ここからは変装して内偵を行います」

弓使い「なるほどね。でも、滅多に着られるものではないし、ちょっといいかも」

剣士「呑気な事を言ってる場合じゃないよ。大切な任務なんだぞ?」

隊長「構わねぇよ。そんくらいリラックスしてくれた方が潜入捜査も楽ってモンだ」

魔道士「あ、これ可愛い〜」

弓使い「でしょでしょ!?」

戦士「……はぁ。ま、国軍の偉い奴がいいって言ってんだからいいんだろうけどよ」

召喚士「うん……」

隊長「そんじゃあ先に説明だけ済ませておくぞ」

副隊長「まず、ここからは幾つかのチームに分かれて行動して貰います」

隊長「剣士と弓使い……だったよな?」

剣士「はい」
564 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:06:28.83 ID:z8y5Lyw4o
隊長「お前らは引き続き、2人で内偵を進めてくれ」

剣士「2人で、ですか?」

隊長「ああ。次は東の街を探って欲しい」

副隊長「危険すぎやしませんか?」

隊長「観光客を装って戦いに巻き込まれた事にしろ。どうせ帰路はあっちだろ?」

弓使い「え、ええ」

隊長「出来るな?」

剣士「……分かりました。やりましょう」

隊長「助かる。収拾後の合流日程や場所は副隊長と調整してくれ」

剣士「了解です」

隊長「残りの連中は基本、街中の探索と周辺の偵察、地理の調査を行ってもらう」

ワーカー「言ってもらうって……安全面は大丈夫なんだろうな?」

隊長「軍人じゃねぇんだ。観光で通せば丁重に扱われる。いざという時は投降すればいい」

ワーカー「わ、分かった」

隊長「最後に、俺ら特遊と特別任務にあたる人員を募集する。小規模でいい」

女剣士「何をするんだ?」

隊長「さっき剣士らから報告のあった噂を確かめに行く」
565 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:06:58.78 ID:z8y5Lyw4o
弓使い「それって……次男殿下の話?」

隊長「ああ。まず重要なのは生死の確認だ」

男隊員「死んでるんなら南東国の思惑は見えてくるわな。ヒャハハ」

召喚士「もし、生きているならば……」

隊長「利用価値は大いにある」

戦士「利用……って、まさか人質にでもするのか!?」

隊長「否定はしねぇがそれは最悪の手段だ」

魔道士「最悪?」

召喚士「窮地に陥った場合、ここから脱出する方法などです」

魔道士「あ……」

隊長「出来れば無傷で本国へ連れて帰りてぇとこだ。情報を聞き出すにはもってこいだしな」

男隊員「人質として交渉するのも可能だな」

女隊員「ちょっと、それはひどいッスよ」

男隊員「例えばだよ。そもそも上の決める事だ。俺らの知るとこじゃねぇし」

隊長「とにかく、その次男ってのを確保するのが特任だ」

女剣士「そういう事ならば参加しよう」

同門「俺もだ」
566 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:07:29.10 ID:z8y5Lyw4o
隊長「お前らは?」

魔道士「あ、えっと……」

戦士「やるぜ」

召喚士「戦士」

戦士「んだよ、ダメか?」

召喚士「……いや」

戦士「盗賊もいいよな?」

盗賊「……ああ」

女剣士「意固地になって見栄を張るんならやめておくんだな」

戦士「そんなんじゃねぇ。出来ると判断して立候補してんだよ!」

女剣士「ふん」

隊長「そこのはどうする?」

お父「やめておく」

隊長「ほぉ」
567 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:08:06.12 ID:z8y5Lyw4o
お父「幼女と一緒では目立つ。独自に動いて親子のフリでもした方が情報収集出来るだろう」

幼女「お父……」

隊長「そんじゃこれで決まりだな。早速着替えて、各自行動を開始してくれ」

剣士「それじゃ、僕らはこれで」

弓使い「それじゃあまたね」

魔道士「はいっ! お2人もお気を付けて!」

弓使い「ふふっ、ありがと。魔道士ちゃんも頑張ってね!」

魔道士「はいっ! エヘヘ!」

剣士「召喚士くん達も気を付けて」

戦士「そっちこそな」

盗賊「……」

召喚士「また、会いましょう」

剣士「ああ。それじゃ副隊長さん、明日……お待ちしております」

副隊長「あっ、馬は?」

剣士「事前に頂いた経費で手配済みです。それでは」 ペコリ

 スタスタスタスタ……

隊長「お前らも早く着替えて準備しろよ」

召喚士「は、はいっ」
568 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:08:38.33 ID:z8y5Lyw4o
 同じ頃、南側にあたる国境付近では、2人の男が馬上にて戦い続けていた。

天才「おらあああぁぁぁぁ!!」

騎都尉「どおおおおりゃああぁぁぁぁ!!」

 ガッキイイイイィィィィン!!

天才「……しぶてぇヤローだ」

騎都尉「ふん。貴様こそ」

魔道本部長「あれから何時間経っておる?」

魔道兵「はいっ、えぇと……1時間程度は……」

魔道本部長「本陣め、いつまで動かぬつもりだ」

魔道士「あ、あの……」

魔道本部長「弓隊に一斉射撃させい。魔道隊も付加だ」

魔道兵「しっ、しかしまだ交戦中のワーカーが……」

魔道本部長「ワーカー1人で何をゴチャゴチャ言っておるかぁ!」

魔道兵「っ!!」

魔道本部長「こちらは国の威信がかかっておるのだぞ! さっさとせんかぁ!」

魔道兵「は、ははぁ!」 タタッ…タッタッタッ……
569 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:09:13.52 ID:z8y5Lyw4o
魔道本部長「副司令官め…何を考えておる。まさか左大臣様のお考えに反する気ではなかろうなぁ?」

弓兵長「弓隊ーっ、構え!!」

 ジャキジャキジャキジャキ……グググ……

弓兵長「……放てぇ!!」

天才「!?」

 矢の雨とはよく言ったものだ。その言葉通り豪雨に見舞われたかのような、

 真っ青な空を埋め尽くすほどの矢が降り注がれた。

魔道兵「撃てええぇぇ!!」

 標的を捉え放たれた矢ではない。まるで太陽でも打ち抜くかの如く上空高くへと狙いを定め、

 重力に身を委ね、人の円に囲まれた、ただ2人の男を標的に落下する。

 その無数の矢に対し、魔道隊の放った魔法が次々と付加し始めてゆく。

 火、氷、雷……様々な魔法が無規則に鏃や矢全体を覆う。

 威力の強い魔法は矢を破壊し、威力の弱い魔法は弾き返され詠唱主へ攻撃として還る。

 力を均等にするなどという連携もない。互いが無造作に撃ち放つだけであった。

 ズアァ!! ズドドドドドドドドドド――

天才「く……っそがぁ!!」

騎都尉「……ちっ」
570 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:09:45.21 ID:z8y5Lyw4o
 天才が頭上でツヴァイハンダーを、騎都尉が頭上で戟を振り回す。

 その風圧と回転させた事による盾の様な効果によって、降り注ぐ矢を次々と弾き落とす。

 表情は変えない。寧ろ、天才に至っては憤りを覚える様な表情を見せている。

魔道本部長「総攻撃だ。打って出ろ」

魔道兵「は……?」

魔道本部長「聞こえなかったのか? 総攻撃と言ったのだ」

魔道兵「そっ、総攻撃ぃ!! かかれぇーっ!!」

 号令と同時に騎馬隊、歩兵隊、召喚隊が一斉に突撃を敢行する。

魔道本部長「後続も続け。矢と魔法を休めるなよ」

魔道兵「無礼ながらっ! 勝手に軍を動かしても宜しいのでしょうか!」

魔道本部長「あのなぁ、私は左大臣様より直々に指揮権を頂いておる」

魔道兵「……っ」

魔道本部長「つまり我が指示は左大臣様の指示と同様。それに逆らうという事は……」

魔道兵「さっ、逆らうなどと滅相もな――」

 ドドオオォォン!! ゴオオォォォォ……

魔道本部長「死刑だな」 メラメラメラ

左文官「本部長、あまりやり過ぎぬ様……」

魔道本部長「ちっ。まぁいい、さっさと進軍だ。このまま南東国領に攻め込むぞ」
571 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:10:21.07 ID:z8y5Lyw4o
 ズドドドドドド……

天才「バッカヤロウが……っ」 キィンキィンキィンッ

騎都尉「仲間をも犠牲か。やはり貴様等は腐っているな」

天才「ハーハッハ。この程度の矢で俺様が死ぬかっつーんだよ」

騎都尉「だがこれでは、貴様との一騎打ちを続ける事は困難なようだ」

天才「ほぉ、逃げるのか?」

騎都尉「……続けるか? 俺は構わんぞ。貴様の駄馬が潰れるであろうが、それでもやるか?」

天才「ちっ」

騎都尉「安心しろ。その首、跳ねるまでは追い続けてくれるわ」 ドウッ!!

 ドドッドドッドドッ……

騎都尉「どけええぇぇーっ!!」

歩兵「何!? 引き返し――うげぇ!!」 ボンッ!!

 ドドッドドッドドッドドッ……

天才「……バカどもが、何をやってやがんだよ」
572 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:11:00.42 ID:z8y5Lyw4o
 1時間以上に渡る一騎打ちは、思いもよらぬ邪魔が入り、引き分けのまま中断となった。

 どちらも傷1つ負わずほぼ互角と言えよう。とはいえ天才は、既に負傷の身ではあったが。

 それを踏まえると天才にとっては有利な展開へと傾いた。だが、彼の表情は硬い。

 理由は無論、一騎打ちの邪魔をした挙句、南東国へ向けて進軍させた事である。

 だが少なくとも、本陣の2人もこの事については天才と同様の考えを持っていた。

 ドドドドオオォォォォ……

副司令官「何故だっ、何故……兵が動いている!」

大軍師「見る限り、魔道隊が先手を打ったようですね」

副司令官「魔道本部長か……。あの馬鹿者が」

大軍師「如何致しましょう。静観しているわけにはいかない状況となってしましまいたな」 ヒラヒラ

副司令官「このままでは私の立場がない。大軍師、何とか策を」

大軍師「……発光弾を」

重装歩兵「合図は!?」

大軍師「赤2で」

重装歩兵「了解っ!!」 ザッ
573 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:11:57.83 ID:z8y5Lyw4o
副司令官「魔道隊退却!? 良いのか?」

大軍師「まずは魔道本部長の独断を何とかせねばなりません」

副司令官「しかしこの程度で退くものかどうか」

大軍師「この戦いにおける総大将は貴方です」

副司令官「それは勿論だ」

大軍師「その総大将が構える本陣より発行弾が上がった。それに逆らうという事は軍紀違反です」

副司令官「……そうだな」

大軍師「軍紀違反は重罪。それが例え……誰かの意思を携えようとも」 ヒラヒラ

副司令官「……」

 赤い発光弾が2発打ち上げられてから数十分後、前線は動きを見せる。

副司令官「!?」

 ドドッドドッドドッ……

大軍師「どうなさいました?」

魔道本部長「退却命令が出ていたが?」

副司令官「何故、従わぬ」
574 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:12:33.74 ID:z8y5Lyw4o
魔道本部長「従わない? 命令通りここへ来たであろう」

副司令官「兵は進軍を続けているではないか!」

魔道本部長「私の知った事ではない。勝手に進軍を続けているのだ」

副司令官「魔道隊は貴様が取り仕切っているのだろう!」

魔道本部長「前線は魔道隊だけではない。総指揮は副司令官殿、君だろう?」

副司令官「貴様……」

魔道本部長「自分だけ保身を考え後ろで控えているからそういう事になるのだ」

副司令官「規律違反を犯したのは貴様であろう!!」

魔道本部長「規律違反? いつ、どこでだ?」

大軍師「魔道本部長は規律違反はしておりませんよ」

魔道本部長「進軍は軍規ではなく指示と判断であるし、発光弾による退却もほれ、今まさにしてきた」

副司令官「詭弁を」

魔道本部長「ん? 文句でもあるのか?」

副司令官「……」
魔道本部長「……」
575 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:13:12.89 ID:z8y5Lyw4o
副司令官「大軍師、前線へ赴け。事態の収拾を任せる」

大軍師「……承知致しました」

 国軍本隊は完全に統制を失っていた。ただでさえ開戦前に騎士団が離脱し、

 なおかつ南方司令部を遠ざけ、戦力を分断してしまった。

 それに加え、魔道隊を中心とする前線は発光弾が上がるも進軍をやめない。

 勿論これは意図的なものである。本人らの意思ではなく、魔道本部長の意図によるものだが。

軽装歩兵「追え追え! 敵はたったの1騎だぞ!」

騎兵「馬鹿を言え。その1騎にどれほどの人数がやられた事かっ」

弓兵「駄目だっ、射程圏外に逃げられた!」

魔道兵「深追いするなよっ! 伏兵が潜んでいるかもしれないぞ!」

 ワアアアアァァァァ!!

天才「……ちっ。バカどもが」

ワーカー「あんた、天才だよな!? 大丈夫か……?」

天才「ハーッハッハ! 俺様がたった1人に傷なんぞ負うわけねーだろ」

ワーカー「な、なぁ……俺達ワーカーはどうすりゃいい?」
576 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:13:48.16 ID:z8y5Lyw4o
天才「こっからは国軍に任せとけ。ワーカーは全員、戦場より離脱しろ」

ワーカー「お、おうっ」

天才「但し、逃げるなら東側にしろ」

ワーカー「東? でも、それじゃ逃げ場がねぇぞ?」

天才「ほとぼりが冷めるまでは東で待機してろ。でなきゃ……死ぬぞ」 ギロッ

ワーカー「……わ、分かった。みんなにも伝える! 信じていいんだなっ!?」 ザッ

天才「大手柄でも得たきゃついてきな。但し、命の保証は出来ねぇぜ」 ダッ

ワーカー「お、おいっ!!」

天才(退却? んなワケねーだろ。1騎で数百を相手に無傷の男だぞ) タタタッ

 天才の判断に誤りはなかった。領内へ退却した騎都尉は赤兎を駆り、追撃を振り切った。

 そしてその後、城へは戻らず西側の谷へと姿を消した。
577 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:14:24.04 ID:z8y5Lyw4o
 ドドッドドッドドッドドッ……

騎都尉「……」

白馬騎士「ご無事のようですね」

騎都尉「あの程度。だが気を付けろ。1人だけ手強い奴が居る」

白馬騎士「あなたの口からそのような言葉が出るとはね」

騎都尉「あいつは俺がやる」

白馬騎士「お任せ致しますよ。こちらはこちらで、すべき事をするのみ」

華国兵「準備、整いました!」

白馬騎士「よし……各騎、私に続け。狙いは奴らの……兵糧庫だ!」 ドドッ

華国兵「おおうっ!!」 ドドッ

 本国前線の侵攻と入れ替わるように、白馬騎士率いる華国の精鋭騎馬隊は、

 本国領内へと西側から迂回して侵入し、その先にあると思われる兵糧庫を狙う。

 前線に陣取った本国の兵はもう居ない。ワーカーも東側へと退いた。

 がら空きであるはずのその場所に、大剣を担いだ1人の男が笑っていた。

天才「ハーッハッハッハ! 待ってたぜ、読み通りだ」
578 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:14:52.85 ID:z8y5Lyw4o
白馬騎士「騎都尉っ!」

騎都尉「ああ、間違いない。あれだ」

白馬騎士「よし、ここは任せるぞ」 グイッ

騎都尉「言っただろう。その……つもりだ!」 ドウッ!!

天才「まーたテメーか! 懲りねぇヤローだ!!」

 ビュオッ!! ガッキイイィィィィン!!

騎都尉「行けっ!」

白馬騎士「ここは騎都尉が引き受ける。各騎、先へ進めぇ!」

天才「!?」

華国兵「おぉーっ!!」 ドドッドドッドドッ……

天才「逃がすか――」

 ブオンッ!! ザザァ

騎都尉「貴様の相手は……俺だ」 ジャキッ

天才「……ちっ。どうやら本気でぶっ殺してやらねぇと分からんみてーだな」

騎都尉「おおおおぉぉぉぉ!!」

天才「でっりゃああぁぁぁぁーっ!!」
579 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:15:25.92 ID:z8y5Lyw4o
 ガッギイイイイィィィンン――!!

白馬騎士「この先に必ずあるはずだ。奴らの食料を備蓄した場所が――」

華国兵「隊長っ! 前方に!」

白馬騎士「!?」 グイッ

 ドドォ……ザザッ

白馬騎士「伏兵か……っ」

南方副司令「お前さんらみたいのが必ず出てくると思ってたんだ」

南方参謀「そうそうっ。大軍相手に勝つにはそこを突くのが1番有効だものね」

南方司令「さぁ、来るが良い……悪党!」

白馬騎士「退却」

南方司令「……?」

白馬騎士「各騎、退却するぞ」 ドカカッ

華国兵「……っ」 ドドッ

南方参謀「えっ!? た、退却……?」

南方副司令「どういう事だ?」

 ドドッドドッドドッ……

華国兵「白馬将軍、お言葉ですが……あのまま仕掛けても宜しかったのでは?」

白馬騎士「目的は兵糧庫。無益な戦闘で君達を死なせては意味もない」

華国兵「しかし……っ」

白馬騎士「焦る事はない。もう間もなく来るはずだ……彼らが」
580 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:15:59.11 ID:z8y5Lyw4o
〜現在、北の街〜

召喚士(この人が……南東国第2皇子、次男……)

次男「それで隊長殿、この私を如何なさいます?」

隊長「あなたは何故か、自国内の者に命を狙われている」

次男「……」

隊長「いや……本国に暗殺されたように見せかけて、を付け加えておこう」

次男「それで、どうなさるおつもりかな?」

隊長「我らと共に、本国へ来て頂きます」

次男「……人質か」

隊長「いえ。救助です」

次男「貴方達に私を救う道理はないと思うが?」

隊長「ええ、ありません」

女隊員「隊長……っ」

隊長「しかし、これ以上……本国にあらぬ罪を被せられてはこちらもたまったもんじゃないんでね」

次男「……」
581 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:16:27.17 ID:z8y5Lyw4o
男隊員「ま、ぶっちゃけ……ここに居ても死ぬだけだと思うぜ? ヒャハハ」

女隊員「失礼ッスよ……」

男隊員「事実だろ」

次男「分かりました。貴方達と共に参りましょう」

隊長「痛み入ります」

次男「私は、目が見えぬ分、人を心の内にて判断します」

隊長「……?」

次男「そうする事で不思議とね、見えてくるのですよ。その人の本質がね」

召喚士「……」

次男「君もそう思いませんか?」 クルッ

召喚士「俺……ですか!?」

次男「今では感謝していますよ。見えぬ事で本当の事が見えるのですから」

隊長「ご案内しろ」

女隊員「は、はいッス!」 タタッ

戦士「とりあえず、任務完了って事でいいんだよな……?」
582 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:16:59.83 ID:z8y5Lyw4o
隊長「ああ」 ザッ

魔道士「えっと、この後は……」

隊長「本国へ帰る。但し、ルートは上京に応じてだ」

盗賊「……?」

隊長「楽なのは南だが、交戦状況や南東の布陣次第じゃ突破は難しい」

女剣士「……」

隊長「その場合は、予め兵を待機させてる北の道より迂回して南方司令部まで退く」

召喚士「なるほど……っ、その為の隊だったのか……!」

隊長「とにかくだ。……えぇと、あった。この地図を見ろ」 バサッ

魔道士「道が……十字に」

隊長「そうだ。今いるのが十字の北部分。ここだ」 トントン

戦士「んで、南ってのはここを真っ直ぐって事だよな?」

隊長「そうだな。んで、そこに国境がある」

同門「戦闘が起きてそうなのはここってわけか」

隊長「西にはここと同様に城がある。だが、ここは無視すべきだろう」
583 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:17:28.51 ID:z8y5Lyw4o
魔道士「えっと……東は?」

隊長「南東国の首都にあたる。この北側に待機してる連中がいる」

召喚士「つまり……突破するには……」

隊長「そうだ。南東国の首都、東の街を抜ける必要がある」

戦士「で、出来るのか?」

女剣士「無理だな。この人数に加え、敵の要人を抱えている」

隊長「そうだ。南が抜けられないとなると、ほぼ絶望的な状況って事だ」

戦士「結局、どうすんだよ……」

隊長「道は2つだが、手段は1つ」

盗賊「……」

隊長「強行突破だ」
584 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:17:58.01 ID:z8y5Lyw4o
 召喚士らが次男を連れ、北の街から出る手筈を整え始めていた頃、

 戦局は先程とは打って変わり、大きく傾き始めていた。

騎都尉「はぁ、はぁ……はぁ……」

天才「おいおい。随分と息が上がってんじゃねーの」

騎都尉「……っ」 ザッ

天才「もう今日はやめとけ。暗くてまともに戦えんだろ」

騎都尉「ちっ」

天才「明日また、仕切り直しだ」

騎都尉「明日こそは必ず、決着をつけてくれる」

 ガカッ ドドッドドッドドッ……

天才「ふーっ」

 ズキィ!! ズザッ

天才「……あの野郎っ、流石に口だけじゃねぇな」

 日は暮れ、戦いは次第に収束へと向かっていった。

 あくまでこの日の、という事ではあるが。
585 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:18:27.29 ID:z8y5Lyw4o
〜本国、本陣〜

副司令官「前線はどうなったのだ! 情報は!?」

国軍兵「いえっ、今のところ何も……」

魔道本部長「あの馬鹿どもめが。勝手な真似を」

白虎長「……お言葉ですが!」

魔道本部長「あぁ?」

白虎長「あなたの指揮権において、進軍したのでしょう!?」

魔道本部長「何度も言わせるなよ低脳が。私は帰還した。だからここにおるのだろうが!」

青龍先生「ひょっひょ。もう良いじゃろ。今はそれよりも兵の安否じゃ」

副司令官「大軍師、どう見る?」

大軍師「100や200の兵ではありません。数千にものぼる数です」

副司令官「そうだ。その数千が音信不通なのだ。おかしいではないか」

大軍師「では、如何だとお考えで?」

副司令官「よもや、全滅したのではなかろうな……」

大軍師「それこそおかしな話です」
586 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:18:58.56 ID:z8y5Lyw4o
副司令官「何?」

大軍師「まさか音信不通に陥る程の全滅をしたとでも申されるのですか?」

白虎長「あ……っ、確かにおかしいですね」

青龍先生「伝令も逃亡兵も、何もかもなく全滅したという事になるのぅ」

大軍師「如何にも。これは非常に不可思議な現象です」

魔道本部長「だったらまだ、交戦しとるんじゃないのか?」

副司令官「松明も無ければ魔法の光もない。魔道隊がメインだというのにな」

魔道本部長「だったら何だ! そのうち帰ってくるだろう」 ザッ

副司令官「どこへ行く?」

魔道本部長「何の進展もない無駄な議論だ。していても無意味」 ザッザッザッ

白虎長「くっ」

副司令官「それで、どうするのだ?」

大軍師「今、斥候を出しております。戻り次第、詳細を詰めましょう」

副司令官「状況が把握出来ねば動けぬか」

大軍師「青龍隊による偵察の経緯は?」
587 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:19:29.13 ID:z8y5Lyw4o
青龍先生「うむ。報告せい」

青龍士官「失礼致します。当初、青龍隊は上空からの偵察を行っておりました」

副司令官「それで?」

青龍士官「はっ。午後に入り、魔道本部長より後退するよう、命が……」

副司令官「後退?」

青龍士官「進軍において敵に悟られると……」

大軍師「成程。その後は巡回していなかったと言う事ですね」

白虎隊「青龍隊だけでなく、白虎隊にも後方支援しろってお達しだったからね」

青龍士官「ええ。てっきり、青龍先生によるものかと思っておりました」

大軍師「分かりました。有難う御座います」

青龍士官「失礼致します」 ザッザッ……

白虎長「では私も。何か動きがあったら連絡を」 ザッザッザッ

副司令官「情報収集を怠るなよ。警備隊は敵の奇襲に備えよ!」

青龍士官「ちょいといいか? 少し散歩に付き合え」

大軍師「……?」
588 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:19:59.50 ID:z8y5Lyw4o
 テクテクテクテク……

青龍士官「星が綺麗じゃのぉ」

大軍師「先生。どうお考えですか?」

青龍先生「んー。こっちが聞きたいくらいじゃわい」

大軍師「全滅……というよりも、消失に近い状況ですね」

青龍先生「消失……のぅ」

大軍師「爆発音や衝撃はおろか、光もなく……ですがね」 ヒラヒラ

青龍先生「魔物の仕業かのぉ」

大軍師「何か特殊な能力があるのならばその可能性も」

青龍先生「地獄へ誘われたかのう……裏切り者に」

大軍師「何にせよ、証拠もなければ近況も分からずじまいですよ」

青龍先生「面倒な戦じゃよ。これは」

 タッタッタッタッ

青年兵「青龍先生、こちらでしたか」

青龍先生「どうした?」
589 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:20:32.82 ID:z8y5Lyw4o
青年兵「えっと、あの……少しお話が」 チラッ

青龍先生「こやつは大丈夫じゃ。このまま話せ」

青年兵「はい。ワイバーンから確認を取った話なのですが」

大軍師「召喚獣からですか?」

青年兵「あっ、いやっ! その……っ」

青龍先生「良いから続けよ」

青年兵「はい。どうも魔道本部長は、発光弾の後、単身で戻ってきたようです」

大軍師「それで?」

青年兵「はい。魔道本部長以外に南東国領内から退却した者は確認出来ていないそうです」

大軍師「前線では確認出来ましたか?」

青龍先生「いや。待機場所で伝令からの報告を確認する程度じゃったわい」

大軍師「伝令は動いていた……」

青龍先生「うむ。周囲を警戒しながらの進軍で遅延しとるから、ずーっと待てという事じゃったわい」

青年兵「最後の伝令が確認できたのは夕暮れ時でしたね」

青龍先生「うむ」
590 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:21:06.02 ID:z8y5Lyw4o
大軍師「……何でしょうねぇ。何やら、狐にでも化かされたような気分です」

青龍先生「狐……のぉ」

青年兵「先生、そろそろ……」

青龍先生「そうじゃな。ではまた何かあれば連絡してくれ。ひょっひょ」

 ザッザッザッザッザッ……

大軍師「……もう宜しいですよ」

 ガサッ

大軍師「青龍先生ならば別に構わないのでは?」

天才「ヘンチクリンなのもいただろ。兵卒だろうと見られるのは厄介だ」 ザッザッ

大軍師「話はお聞きに?」

天才「まーな」

大軍師「どう見ますか?」

天才「どーもこーも、神隠しってやつかねぇ。ハーッハッハ」

大軍師「……」

天才「魔道本部長は?」
591 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:21:34.15 ID:z8y5Lyw4o
大軍師「ご自身の陣に居られるかと」

天才「引きずり出せるか?」

大軍師「……司令、何をなさるおつもりで?」

天才「俺様にしか出来ない事?」

大軍師「……っ」

天才「そんな顔すんなよ。お前が背負う事じゃねぇ」

大軍師「……1時間後に西の森で」

天才「おーう」

 ザッザッザッザッ……

天才「さーてさて。人道とは如何に……ってか?」
592 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:22:02.85 ID:z8y5Lyw4o
〜分かれ道〜

隊長「……」 ガラガラガラ……ゴトッ

召喚士「道が分かれてますね。もしかしてここが……」

隊長「ああ。地図で見た分かれ道だ」

戦士「んじゃ、ここをまっすぐ抜けりゃあ本国側に出られるわけだ」

男隊員「何もなければ、だがな」

盗賊「……待て」 ピクッ

召喚士「!?」

盗賊「……何か……来る」

 パッカパッカパッカ……

華国兵「こんな夜中に何だ、貴様ら」 ドドォ

隊長「へへっ、見ての通り……大道芸人でさぁ。あ、これ許可証ですわ」 スッ

華国兵「……ふむ。次男様の署名に間違いないな。それで、何をしている?」

隊長「へい。ひと仕事終えて、これから本国へ戻るんですが……どちらから行けば良いかってね」

華国兵「ああ、そういう事か」
593 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:22:29.02 ID:z8y5Lyw4o
隊長「何でも噂じゃ、本国と戦争中だとか」

華国兵「ああ、そうだ。だから悪いが東側から北へ抜けてくれ」

召喚士「えっ?」

隊長「このまま真っ直ぐ行ったほうが、近いんじゃないのかい?」

華国兵「これより先は戦闘中だ」

魔道士「!?」

華国兵「命の保証……いや、確実に死ぬぞ」

女隊員「やっぱり……戦いが……」

華国兵「いや、今は両軍ともに退いてるんだが……」

 パッカパッカパッカ……

騎兵「何を油売ってんだ! もうじき本隊が着いちまうぞ。報告っ!」

華国兵「やっべ……」

騎兵「ん? 何だコイツらは」

華国兵「大道芸人だとさ。これから本国へ行脚らしい」

騎兵「多国籍だな。許可証は持ってるのか?」
594 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:22:58.32 ID:z8y5Lyw4o
隊長「へいへい。さっき、こっちの兄さんにも見せましたぜ」 ピラッ

華国兵「……ふむ。とにかくここは進軍の邪魔になる。側道を東にむかえ」

隊長「へいっ。どうも」

騎兵「待て」

隊長「……何でしょう?」

騎兵「大道芸人と言ったな?」

副隊長「そ、そうですが……」

騎兵「付いてこい」

魔道士「あ、あの……どちらへ……」

騎兵「陛下に引き合わせる」

召喚士「――!?」

華国兵「確かにそれがいいかもしれないな。お前ら、運がいいぞ!」

戦士「いいんだか悪いんだか……っ」

騎兵「その前に、念の為だ、馬車を調べさせてもらうぞ」

魔道士「あぁっ!!」
595 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:23:28.41 ID:z8y5Lyw4o
 バサッ

騎兵「……」

召喚士「……っ」

騎兵「幾つか武器があるが、これは芸に使うものか?」

隊長「ええ。見て下さい。kぉpの剣なんぞ刃こぼれして使い物にならんでしょ」

騎兵「……他は特に何もないようだな。よし、付いてこい」 ザッ

魔道士「だ、大丈夫みたいですね……っ」

召喚士「ええ……」

 その頃、ここより西側の森では……。

お父「……手を」

次男「すみません」 グイッ

男隊員「この丘を越えたら、あとは森か」

同門「……」

ワーカー「軍隊はいねぇみたいだな」

男隊員「よし。ここで30分ほど休憩して、そのまま南へ抜けるぞ」

幼女「……」

男隊員(……口数少ねぇのばっかでやりにくいったらありゃしねぇ)
596 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:23:59.06 ID:z8y5Lyw4o
〜本国本陣、西の森〜

魔道本部長「生存者だとぉ!?」

大軍師「はい。どうやら単身、逃げ帰ってきた模様です」 スタスタ

魔道本部長「……っ」

大軍師「どうしました? 顔色が優れないようですが……」

魔道本部長「何でもない! ここから先は私1人で良い! 待っていろ!」

大軍師「しかし……」

魔道本部長「構わんと言っている!」 スタスタスタ

大軍師「……」

 ザッザッザッザッ

魔道本部長「おい、生き残りとやらはどこだ!」

――「ここ……っす」

魔道本部長「ほぉ、よく生きていたな」

――「ヒドイ……目に……」

魔道本部長「ふん。どうやって助かったのか知らんが、災難であったなぁ」
597 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:24:28.38 ID:z8y5Lyw4o
――「災難……?」

魔道本部長「あのまま返事をしておれば、楽に死ねたものを」

 ボウッ ゴゴゴゴゴゴ……

――「な、何を……っ」

魔道本部長「安心しろ。一瞬で楽にしてやるわ!」

 バッ……ガシィ!!

魔道本部長「――!?」

天才「ほー。やっぱりテメーが何かしやがったのか」

魔道本部長「なっ!? お前は……」

天才「言え。何をした?」 ググッ

魔道本部長「ひっ」

天才「何をしたって聞いてんだよクソヤローが」

魔道本部長「な、何なのだ! 何者だ貴様――」

天才「数千もの兵を一瞬で消失出来るなんざ、トリックがあるに決まってんだよ」 グイッ

魔道本部長「くっ、苦し――」
598 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:24:59.33 ID:z8y5Lyw4o
天才「言え。言わなきゃこのまま殺す」 グググッ

魔道本部長「か……かはっ」

魔道本部長「わ……分か……っ、助……」

天才「……」 パッ

 ドサッ ヨロヨロ……

魔道本部長「がっ、かは……っ。はぁ……っ」

天才「……んで?」

魔道本部長「……くっ、くくっ。くはははは!!」

天才「……」

魔道本部長「貴様なんぞに殺されるものかよ」

天才「馬鹿が」 ジャリッ

魔道本部長「貴様なんぞにいいぃぃぃぃ!!」

 ゴウッ!! ゴッゴオオオオォォォォ……

天才「……テメー」

魔道本部長「ざ、ざまあみろ……貴様の手など……借り……」 ゴオォ
599 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:25:26.69 ID:z8y5Lyw4o
天才「ちっ」

魔道本部長「我らの……勝ち……だ――」 ドサッ

 ゴオオオオォォォォ……

天才「……っ」

大軍師「司令っ」 タッタッタッ

天才「焼身自殺しやがった。肝心の情報は引き出せずじまいだ」

大軍師「そうですか」

天才「だが1つ分かった事がある。この戦い、やっぱり本国と南東国以外の何かがかんでやがる」

大軍師「副司令官ですかね」

天才「アレはまだ裏が取れん。断定するには早計だ」

大軍師「しかし、魔道本部長が死んだとなると、真相は闇の中ですかね」

天才「出来る限りの情報を集めろ。夜明けにはおそらく敵も動くはずだ」

大軍師「承知致しました」

天才「コイツの遺品、副司令官も含めた共謀者の存在……」

大軍師「はい」
600 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:25:58.14 ID:z8y5Lyw4o
天才「あとはどんな事でもいい。前線が南東に仕掛けた際の情報を洗い出せ」

大軍師「1人ではやや、困難ですね」

天才「重装歩兵に直属の精鋭を混ぜてある。副司令官の護衛連中だ」

大軍師「ああ、彼らがそうでしたか。道理で物分りが良いと思いました」

天才「そいつらを使え。兵糧庫近くに泉がある。そこで待機してる」

大軍師「承知致しました。では、早速動きます」 スッ

天才「何か手がかりがあるはずだ。それさえ分かれば……」
601 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:26:27.57 ID:z8y5Lyw4o


召喚士「……っ」

副隊長「こ……れは……っ、こんな事……」

 大道芸人を装い、次男を連れて脱出を図る召喚士ら一同。

 彼らの目に飛び込んできたのは恐るべき光景であった。

 ドドドドドドドドオオォォォォ……

華国兵「ご面会っ、ご面会を!」

騎兵「ええい。道を開けよ!」

戦士「おいおい……っ、何人いるんだよこれ」

隊長「……1万や2万なんてレベルじゃねぇぞ……くそっ!」

 パッカパッカパッカ

弓将軍「何だ」

華国兵「はっ。分かれ道にて遭遇した大道芸人の一団です」

弓将軍「大道芸人?」

騎兵「これより本国へ戻ると言うので調べましたが埋伏などではない模様」
602 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:27:06.20 ID:z8y5Lyw4o
弓将軍「だったら何故ここへ連れてくる必要がある」

騎兵「戦の前に士気を高める為、娯楽など催すのも手かと」

弓将軍「娯楽だと? 馬鹿者めが、そんなむのは不要だ」

錦将軍「まーいいじゃねぇか。せっかくなんだ、見せてみろや」 ザッ

弓将軍「錦……貴様」

錦将軍「陛下もお喜びにならぁ。なぁ?」

老将軍「そうじゃのぉ……」 スタスタ

隊長(コイツら……そうとうの実力者だ……)

弓将軍「……宜しいですか?」 ザッザッザッ

夫人「わらわは構わぬぞ。見せてみぃ」

長男「……」

召喚士(あ……れが、長男様か!)

夫人「どうした? 早よぅ見せるのじゃ。わらわは見たいぞ♪」

魔道士「どどっ、どうするんですか!?」

女隊員「芸なんて出来ないッスよ!?」
603 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:27:37.57 ID:z8y5Lyw4o
隊長「あーあれだ、何でもいい。何か頑張れ」 スタスタ

女隊員「隊長おおぉぉぉぉ!?」

隊長「探りを入れてくる。ここは任せたぞ」 スタスタ

召喚士「!?」

副隊長「仕方ありませんね。何とかしのぐしかないようです」

女隊員「しのぐって……ど、どうするんスか!」

副隊長「全員で特技、大道芸になるそうなものを披露して、この場をしのぎましょう」

召喚士「えっ?」

盗賊「えっ?」

戦士「は?」

魔道士「ええぇぇぇぇーっ!?」



女隊員「えーっと、それではまず……ここに何の変哲もない鉄の棒があるッス」

錦将軍「ねーちゃんよ、後ろが見えんぜ。そこの高台でやれ!」

女隊員「は、はいッス」 
604 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:28:07.10 ID:z8y5Lyw4o
テクテクテク

女隊員「えっと、それじゃあ今からこの棒がひん曲がるッスよ」

錦将軍「は……?」

女隊員「1……2……の3!!」

 グニャ!! グニャニャッ!!

華国兵「!?」

老将軍「……怪力で曲げただけじゃないのか?」

錦将軍「耄碌ジジイ! あのほっそい腕と身体でどうやって曲げるんだよ」

夫人「ほぉーっ。大したものじゃ。どういう仕掛けなのじゃ?」

女隊員「ひ、秘密ッス! 以上ッス!!」 コソコソッ

副隊長「お見事でした」

戦士「文字通り、力技だ……」

召喚士「うん……」

副隊長「さぁ、続いて行きましょう」

魔道士で、でも……っ、特技なんて何もないですよ」
605 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:28:36.58 ID:z8y5Lyw4o
副隊長「困りましたねぇ。しかし、何でも構いませんよ」

魔道士「うーん」

戦士「んなもんねーっつの」

女剣士「おい、そこのデクノボウ」

戦士「あ!?」

女剣士「付いてこい」 スタスタ

戦士「はぁ!? 何だよ!」

華国兵「おっ、こんどはあの2人か!」

女剣士「そこに立ってろ。微動だにするなよ」

戦士「はぁ!?」

女剣士「このリンゴ、頭にのせておけ」 スッ

戦士「あ、頭ぁ!?」

女剣士「いいか? 動くなよ? 動いたら死ぬからな」 スタスタスタ

戦士「ちょっ!! おいっ!!」

女剣士「……」 チャキッ
606 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:29:27.93 ID:z8y5Lyw4o
錦将軍「おいおい、まさかあのまま斬るもりか?」

女剣士「このまま? ふん、なめるな」

 シュルシュルッ ギュッ

夫人「目隠し? ほぅ、見ずに斬るとな?」

戦士「――――!?」

女剣士「……動くなよ?」 ジャリッ

戦士「……っ」

 ズズズッ……ズバァッ!!

盗賊「!?」

 ポトッ……コロコロ

老将軍「ほっほっほ。やりおるわい」

夫人「見事じゃっ!」

 ワアアァァァァ!!

女剣士「……おい、もう動いていいぞ」

戦士(あ、足が……っ)
607 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:30:00.11 ID:z8y5Lyw4o
盗賊「……せ、戦士」

戦士「……?」

盗賊「……そのまま……動くな」

戦士「へっ?」

女剣士「何だ? 私の真似事でもするのか? いいだろう」 ザッザッ

スッ

戦士「お、おいっ! こら、勝手に……」

女剣士「これでいいか?」

盗賊「……」 コクン

戦士「バッ、盗賊――」

盗賊「いくぞ」 シャキッ

 バシュシュシュシュッ!!

女剣士「クナイ……っ!?」

盗賊「……ふーっ」

戦士「……っ」
608 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:30:33.75 ID:z8y5Lyw4o
 バラララッ ボトトッ

錦将軍「すげぇな。今度は暗器で八等分かよ……」

老将軍「それだけじゃないぞい。見てみぃ」

テクテクテク……スッ

女剣士「う、ウサギ……!?」

盗賊「……戦士……ありがと」

戦士「……死ぬかと……思った」

夫人「うふふっ、なかなか面白いではないか。のぅ?」

長男「……」

 ワアアアアァァァァ……

召喚士「……っ」

隊長「おい」 スタスタ

召喚士「あ、隊長……さん」

隊長「召喚士とか言ったよな? ちょっと来い」 グイッ

召喚士「!?」
609 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:31:11.13 ID:z8y5Lyw4o
魔道士「……あれ? 召喚士さん?」

戦士「今さっきまでここにいたぞ?」

盗賊「……」

 スタスタスタスタ

召喚士「あ、あの……っ」

隊長「まずい事になった。よく聞け」

召喚士「へっ?」

隊長「いいか、よく聞け――――」
610 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:31:59.58 ID:z8y5Lyw4o
〜分かれ道、西側〜

男隊員「……っ」

同門「どうした? 行かないのか?」

お父「馬鹿が。分からんのか」

同門「何?」

男隊員「……おそらく200かそこらだろう」

幼女「……っ」 ブルブルブル

男隊員「だがしかしだ、あの中央に居る男……っ」

同門「中央? ああ、あの赤い馬の奴か」

男隊員「ありゃ本当に人間か……。レベルが違いすぎる」

次男「騎都尉、ですか」

男隊員「これ以上、近づくのも危険だ。確実に悟られる」

同門「ではどうすると言うんだ。このまま諦めるのか?」

男隊員「確か、ここから西に街があったよな?」

次男「ええ。西の街がありますよ」

お父「そこでひとまず、嵐がすぎるのを待つか」

男隊員「それしか道はねぇ。これ以上、バケモンが増えねー事を祈ってな。ヒャハハ」
611 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:32:45.24 ID:z8y5Lyw4o


召喚士「で、ではこれより……手から炎を出します」

錦将軍「おいおい、ただの魔法だろそりゃ」

召喚士「いえっ、それを……」

 ボウッ ボオオォォォォ

サラマンダー「くらぁ!! 何を見せモンに――」

召喚士「わわっ!! シーッ! シーッ!」

老将軍「なんじゃ? 何やら声が聞こえたような」

召喚士「ふっ、腹話術です!」

錦将軍「炎で腹話術だぁ!? ぶわーっはっはっは! 面白れぇ奴だなおい!」

召喚士「頼むから今だけ黙ってて! 分かってるでしょ!」 ボソボソッ

サラマンダー「あとで覚えときぃ。タダじゃすまんでぇ!」

召喚士「で、ではこの炎を……空高く飛ばして見せますっ!」

 フワァ……

華国兵「うおぉ!? 人魂みてぇだ……っ」
612 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:33:23.13 ID:z8y5Lyw4o
召喚士「さぁ、夜空へ羽ばたいておいでっ」

夫人「不思議な術じゃのぅ。気配のようなものを感じる」

召喚士「い、以上です……」

老将軍「凄いは凄いが、何やら陰気臭い芸じゃの」

錦将軍「ああ。暗いっつーかなんつーか……」

召喚士「……」

隊長「以上で、我らが大道芸……そろそろお開きとさせて頂きます!」

夫人「なかなかの余興であった。わらわは満足じゃっ♪」

隊長「それは何よりです」

夫人「そうじゃのぉ、良ければ褒美をくれてやろうぞ。のぅ?」

長男「……ああ」

隊長「いえいえ。先を急ぎますのでこれで」

夫人「そうか。それは残念じゃのう。んふっ♪」

錦将軍「なかなか楽しませて貰ったぜ」

女隊員「それは何よりッス」
613 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:34:17.45 ID:z8y5Lyw4o
錦将軍「だがなぁ、これからは戦いが起きる。とっととこの国から出てくんだな」

老将軍「出て行きたくない事情でもあれば……別じゃがのぉ。ほっほっほ」

召喚士「……っ」

騎兵「本陣っ、進軍に合流しろ! 迅速にだ!」

女剣士「ちょっと待て、奴ら今……何と言った?」

魔道士「進軍に合流しろ……って」

女剣士「どういう事だ!? 全軍が止まっていたわけではないのか!?」

隊長「……ああ。俺らが足止め食ってる間も、前線は進軍を続けていた」

盗賊「!?」

隊長「それだけじゃない。軍の規模だが……」

召喚士「サラマンダーを本陣に向かわせました。体調に言われた通り……」

隊長「……」

戦士「んで、軍の規模ってのは……?」

隊長「それはな――――」
614 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:34:53.99 ID:z8y5Lyw4o
 日の出前、本国軍の本陣には、不思議な火の光が漂っていた。

サラマンダー「あんの小僧……あとで絶対にヒィヒィ言わせたるわ」 フラフラ

国軍兵「!?」

サラマンダー「おーそこのアンチャンよぉ、大軍師っちゅー奴おらんか?」

国軍兵「ひひっ、火の玉〜!!」 ガクガクガク……

重装歩兵「ええいっ、何を騒いでおるか!」

サラマンダー「おう、大軍師っちゅーんはアンタか?」

重装歩兵「!? だ、大軍師殿……?」

サラマンダー「はよせいっ! 急いでるっちゅーねん!」

重装歩兵「大軍師殿を呼んでくれば良いのだな!? ちょっと待っていろ!」

 タタッ……ピタッ

重装歩兵「お前、そいつを見張っておけよ?」

国軍兵「――!?」

サラマンダー「安心しぃ。取って食ったりせぇへん」

国軍兵「……っ」
615 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:35:27.64 ID:z8y5Lyw4o


大軍師「召喚獣、サラマンダーですね?」

サラマンダー「それ以外の何に見えるっちゅーねん」

大軍師「すみません。それで、私に何用でしょうか?」

サラマンダー「ああ。召喚士からの伝言や」

大軍師「伝言……?」

サラマンダー「実はな……」

騎兵「でっ、伝令ーっ!!」

重装歩兵「どうしたっ!」

騎兵「敵ですっ! 敵が……南東国軍が現れましたぁ!!」

重装歩兵「何っ!?」

大軍師「数は……」

騎兵「そ、それが……とてつもない数で……」

重装歩兵「――――!?」

大軍師「まさかサラマンダー……貴方はそれを……?」
616 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:36:03.46 ID:z8y5Lyw4o
サラマンダー「えぇと、13万8000」

大軍師「……?」

サラマンダー「隊長って奴からの伝言や。敵の数は13万8000やと」

重装歩兵「13万……だとぉ!?」

大軍師「ば……馬鹿な……っ、どこにそのような兵が……!!」

 ドドドドオオオオォォォォ……

白馬騎士「ようやくお越しですか。待っておりましたよ」

老将軍「日の出までに間に合ったんじゃ。感謝せい」

白馬騎士「そうですね」

錦将軍「んで、敵の本陣は……南か?」

騎都尉「本陣は俺が落とす。下がってろ」

錦将軍「何ぃ!?」

騎都尉(……長男様)

長男「…………」

夫人「うふふっ♪ 面白くなってきたのぅ」
617 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:36:32.54 ID:z8y5Lyw4o
 ドドッドドッドドッ

南方副司令「何……だとぉ……!?」

南方参謀「14万……っ、勝ち目……ないじゃない……」

南方司令「正義を貫き通せ。道は拓けるはずだ」

南方魔道長「笑わせんない。どこに道があるってんだよ」

南方弓長「はぁ、こうなりゃ玉砕覚悟ね」

天才「玉砕なんぞフザけた真似、すんじゃねぇぞ」 ザッザッザッ

南方参謀「アンタ……天才だったっけ?」

天才「南東にそんな兵はいねぇ。仮にいたところで寡兵、いやそれ以下だ」

南方副司令「まぁ、確かにそうだわな」

天才「やるべき事は、敵の将を討つ。そうすりゃ指揮系統はあっという間に乱れる」

南方参謀「そ、そうね……っ。でも、押せるかしら」

天才「出来るかどうかじゃねぇ。やるしかねぇんだよ」 ジャキッ

南方司令「……行くぞ」 ザッザッ

南方魔道長「弓長。俺らは高台から狙撃だ。付いてこい」 ザッ
618 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/09/17(月) 23:37:12.73 ID:z8y5Lyw4o
 五虎大将が帰参し、いよいよ総攻撃を仕掛ける南東国。

 兵数においても劣勢と陥った本国軍。彼らに策はあるのか。

 そして次男を連れた男隊員らは無事、脱出する事が出来るのか……。

 更に召喚士らは。北の兵と合流し、打開の一手を打てるのか。

 激戦に次ぐ激戦は、いよいよ本番へと移り変わるのであった。



〜続く〜
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/09/17(月) 23:38:25.69 ID:z8y5Lyw4o
オマケのくせに全然終わらない。本当に申し訳ないですわ…
あと半分切っちゃったし次はサクサクいきます!ご支援感謝!それでは!ノシ
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/17(月) 23:38:31.36 ID:6sezoYbTo
久々に>>1乙!
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/17(月) 23:39:39.05 ID:rAksEmkDO
大量おつんぽ!

世は満足ぢゃ
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/09/17(月) 23:41:08.98 ID:zfvI9g7oo
久々の>>1
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/09/18(火) 05:47:38.72 ID:0/vM5bja0
わーい、更新きてたー

>>1乙!
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/18(火) 07:06:55.85 ID:6Kicr+YDO
>>1乙愛してる
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/09/18(火) 13:53:13.87 ID:OmQg1srI0
>>1 おつ
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/09/18(火) 20:08:12.76 ID:xoNXBl45o
>>1

久々にフレッシュな登場人物たちを拝むことができて感激!ヒデキ、還暦!!
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/18(火) 20:46:43.43 ID:MzduQqNSO
いちおつ!

ここの更新があると安心する
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/09/19(水) 20:56:36.41 ID:9BwI2SeAO
>>1おつ
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/20(木) 00:45:06.26 ID:yHo/4ElDO
>>1乙!
大規模戦闘パート嬉しいぜー!
毎日更新もよかったけれど、こういう大量投下も読みごたえがあっていいね

続き楽しみにしてます
改めて>>1乙!
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/21(金) 22:03:34.21 ID:iZ14v3YIO
この頃の天才はまだ人外の強さはねえな。魔翌力縛ってるからしょうがないけど
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/09/27(木) 22:27:04.75 ID:cdfx0xV7o
最近更新ないなぁ
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/09/28(金) 10:18:04.74 ID:kwIGeQOco
なくて当たり前だからな
戦わなきゃ現実と
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/28(金) 18:36:23.55 ID:zhb8EQUFo
なるほどまずはそのふざけた現実をぶち[ピーーー]
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/09/29(土) 08:15:40.71 ID:kX4EPvlAO
更新無いと暇です病院の待合室から愛をこめて
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [age saga]:2012/10/01(月) 08:04:06.37 ID:hi105Lijo
あっち落ちた?見当たらないんだが
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/01(月) 17:27:36.73 ID:Hz54KD8DO
落ちたね
まあ書き込み無かったし
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/01(月) 17:30:00.47 ID:S2pkpvuIO
SS速報ってそんなに早く落ちるっけ
何にせよ寂しいもんだわ
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/01(月) 17:45:16.75 ID:airCRUbwo
9/30に書き込みあるけどな

更新なくても我慢できる今日この頃
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/10/01(月) 18:50:36.47 ID:FtSQH/Fco
ローカルルールで本人の書き込みが2ヶ月ないと落とされるらしい。
投下しなかったから本人認定されなかったんじゃないかな?まぁこればかりは仕方ないだろう
しかし雑出来る場がなくなった。ツイッターとかあんのか?
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/10/02(火) 01:19:43.35 ID:NITZoMdAO
あれ、栗とリスのほう落ちちゃったんか
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/02(火) 01:38:08.78 ID:+pSUf5hmo
なんかね…↓だって

HTML化依頼スレッド Part5
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1344511790/430-435


430 名前: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします Mail: sage 投稿日: 2012/10/01(月) 06:41:42.16 ID: W0cEz5yeo
8/22に作者様が書き込んでいるのに、誤って落とされてますので復活願います

ペニス「行けっ!クリトリス!!」 その3
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1329994650


435 名前: lain. ★ Mail: sage 投稿日: 2012/10/01(月) 17:19:01.41 ID: ???
>>430
そのスレは完結してから一定期間作者の書き込みが無かったため処理しました。また、一度処理したスレは戻すことができません。
もしまだ投下するつもりであったのであれば、お手数ですが作者の方に新しくスレを立てていただくしかありません。

また、その場合は私の不手際からご迷惑をおかけしたことを改めて謝罪いたします。
もし別のスレで作者と思われる方を見かけたときは、この旨をお伝えいただけると助かります。よろしくお願いします。
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/03(水) 03:13:07.20 ID:PrNtlCGC0
うっそだろ・・・これまだ完結してなかったのかよwwwwwwwwww
もう>>1ホンマお疲れ様です
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [age saga]:2012/10/05(金) 00:00:29.92 ID:C/wNHLf+o
>>1

もう完結したよ!
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/10/06(土) 08:10:02.59 ID:kCeRcQUAO
早く帰ってこないかな〜
645 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/06(土) 16:39:14.68 ID:5Sy4zX3Jo
召喚士「おめでとう!!」
魔道士「おめでとーっ!!」
青年兵「おめでとうございます!」

剣士「おめでとうっ!」
弓使い「おめでと〜!」
幼女「おめでとーっ」

朱雀嬢「おめでとうですわ!」
玄武娘「おめでとうですの!」

帝「御目出度う」
名代「御目出度う御座りまする」

侍女「おめでとうっ!! 姫!!」
御館様「……」
戦士父「……」

盗賊「みんな、ありがとう」
戦士「ありがとう!」
646 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/06(土) 16:39:45.88 ID:5Sy4zX3Jo
 召喚士「行けっ!コカトリス!!」

      〜それから〜
647 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/06(土) 16:40:17.10 ID:5Sy4zX3Jo
〜式前〜

魔道士「じゃーんっ!!」 ヒラヒラ

幼女「おぉー」

弓使い「可愛い〜!」

魔道士「そういう弓使いさんと幼女ちゃんこそ、素敵な着物姿ですよー!」

弓使い「東方の服装は初めてだから、なんだかドキドキしちゃうわね」

幼女「うん。でも着物って、カラフルでとっても綺麗」

弓使い「ちょっと胸の辺りが苦しいけれどね」

玄武娘「ああー分かりますですのー」

朱雀嬢「……」
魔道士「……」
幼女「……」

剣士「そっちは準備出来たかい? 入るよ?」

魔道士「あっ、どうぞ〜!」
648 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/06(土) 16:40:54.19 ID:5Sy4zX3Jo
 スタスタスタ……ザッ

幼女「おぉー! お父さん……カッコイイよ!」

剣士「本当? 幼女もとても可愛いね。それに……」 チラッ

弓使い「な、何……?」

剣士「あ、いや……っ」

弓使い「あ、あんまり見つめないでくれる……?」

剣士「っと、ごめんごめん」

朱雀嬢「はいはい。お暑いですわねー」

玄武娘「確かに……着物は暑いですの……」

朱雀嬢「……鈍感」

青年兵「この袴というズボン。なんだかスースーして落ち着きませんね」 スタスタ

召喚士「そう? 俺はもう慣れてるし……スカートの方がよっぽどスースーする……」

青年兵「あ、ああー確かに……」 ズーン

召喚士「……」 ズーン
649 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/06(土) 16:42:09.90 ID:5Sy4zX3Jo
玄武娘「スカート? スカート履いた事あるんですの? 不思議ですの、ねぇ朱雀嬢ちゃ――」 クルッ
朱雀嬢「……」 ポーッ

玄武娘「朱雀嬢ちゃん……?」

朱雀嬢「えっ!? あ、ああ! そそそうですわね!」 ドキドキドキ

玄武娘「……?」

青年兵「あ、朱雀嬢さん」

朱雀嬢「せ、青年兵さん」 ドキドキドキドキドキドキドキドキ

青年兵「とてもよくお似合いで。素敵ですよ」

朱雀嬢「青年兵さんこそ……っ」 モジモジ

侍女「あらあら、お暑い事ですわねぇ〜」

玄武娘「あ、やっぱりですの!? 朱雀嬢ちゃんも暑いって言ってたですの!」

侍女「へっ?」

魔道士「召喚士さんっ」

召喚士「魔道士さん」

魔道士「いよいよですね。なんだか私までドキドキしてきちゃいました」

召喚士「ええ。楽しみですよね」

青年兵「ようやくこの日が訪れたわけですね」
650 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/06(土) 16:42:58.19 ID:5Sy4zX3Jo
剣士「長かった……」
弓使い「長かったわね……」
幼女「もっと早くても良かったのにね」

朱雀嬢「でも、2人とも色々気を遣ってらしたんでしょう? 戦いの事とか……」

召喚士「ええ。サタンを倒して平和が訪れるまでは……って」

侍女「ねーねー。ところでお二方はどうなのよぉ〜?」

召喚士「へっ!?」

魔道士「べべっ、。別に私達はまだその……」

侍女「まだぁー? そんな事言ってると機会を失うわよぉ〜? 私みたいに……うぅ」 ズーン

弓使い「自爆したわね……」

剣士「うん……」

名代「御免。遅くなりまして申し訳ありません」 スタスタスタ

召喚士「名代さんっ」

魔道士「それに、上様も!!」

帝「お、おぉー。皆の者……良く似合っておるぞ」 キラキラキラ

魔道士「上様こそ、とっても素敵です!!」
651 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/06(土) 16:44:41.87 ID:5Sy4zX3Jo
帝「そ、そうか? 普段はせぬ故、何だか照れ臭いものじゃ」 スラリ

幼女「綺麗……っ」 シュッ

玄武娘「本当ですの〜!」 プリーン

魔道士「……5年以上も経つとみんな……スタイルも良くなって……えっと」

朱雀嬢「まるで成長していない」

魔道士「!?」 ビクッ!!

朱雀嬢「へっ!? あ、私の話ですわ……はぁ」

魔道士(……何だかんだ朱雀嬢ちゃんは大人になってるよ。本当に変わってないのは……うぅ) ウルッ

弓使い「魔道士ちゃん、まだ泣くのは早いわよぉ?」 ニコニコ

魔道士「違いますっ!!」

弓使い「!?」 ビクッ

侍女「さぁさ、それじゃ行きましょー! 案内するからついてきてねっ!」
652 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/06(土) 16:45:32.16 ID:5Sy4zX3Jo
 チョロチョロチョロチョロ……カッコーン

御館様「……」 ソワソワ
戦士父「……」 ソワソワ

御館様「……いよいよ……ですな」
戦士父「そうですな」

御館様「……」 ソワソワ
戦士父「……」 ソワソワ

御館様「ちと厠へ――」 スクッ
戦士父「用を足しに――」 スクッ

御館様「……」 スッ
戦士父「……」 スッ

御館様「……此度は」
戦士父「……今日は」

御館様「……」 ソワソワ
戦士父「……」 ソワソワ

御館様「……行きますか」
戦士父「……ですな」
653 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/06(土) 16:46:49.20 ID:5Sy4zX3Jo


上忍「それではこれより、藤蔵頭首、御館様が娘、盗賊とその夫となる戦士の結婚式を挙げる」

侍女「式は由緒ある藤蔵式にて執り行い、両者の誓いの儀とする事を此処に宣言する」

上忍「まず初めに新郎、戦士。新婦、盗賊。並びに両父の近いの儀を執り行う」

侍女「この儀は親族と神職者のみに限るものであり、他者は屋敷の外より見守る事とする」

 ザッザッザッ

魔道士「あ、御館様の部屋が閉め切られましたね」

召喚士「きっとあの中で誓いの儀というのをするんでしょうね」

玄武娘「どんなですの?」

朱雀嬢「さぁ」

名代「まず初めに、新郎新婦が父母へ感謝の意を述べます」

帝「二人の場合、母親は居らぬから父親のみの参加という事だ」

名代「その後に、両父より了承の旨があり、神主が誓書を預かります」

玄武娘「ほえぇ〜」
654 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/06(土) 16:48:07.97 ID:5Sy4zX3Jo
名代「その後、縁起物を少量、食し、神酒を一つの杯にて二人で口に致します」

帝「これで夫婦の契りと考えられるのじゃ」

名代「最後に神主が一同へ祈りを捧げ、近いの儀は終了となります」

魔道士「なるほどですね。本国の結婚式も同じような感じですね」

召喚士「本国と違って、友人は参加出来ない事が大きな違いですね」

剣士「本国でも地方によって少し違ったりするからね」

弓使い「うちらの時も簡略したものだったし」

魔道士「そうだったんですか!?」

青年兵「皆さんお詳しいですね。僕なんて陛下の式にしか参加した事ありませんよ……」

朱雀嬢「あれは式というより、国をあげての一大イベントなのでは……」

青年兵「……確かに」
655 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/06(土) 16:48:42.80 ID:5Sy4zX3Jo


弓使い「あっ、出てきた」

剣士「30分くらいだったね」

 ザッ

御館様「本日は戦士家ならびに藤蔵家の祝儀に足をお運び頂き、誠に有難う御座りまする」

戦士父「……」

御館様「今しがた、戦士と盗賊は目出度く夫婦と相成った」

魔道士「おぉーっ!」

御館様「新しき二人の門出、皆で盛大に祝ってやって頂きたい」

 シズシズシズ

剣士「おぉっ!!」

弓使い「盗賊ちゃん……綺麗〜っ」

青年兵「戦士さんも、何時にも増して凛々しいですね!」

召喚士「うんっ!」

魔道士「盗賊さんっ、戦士さーん!!」

 ザッ

戦士「なんか……照れるな」

盗賊「……うん」
656 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/06(土) 16:49:27.05 ID:5Sy4zX3Jo
 テクテクテク

召喚士「おめでとう!!」
魔道士「おめでとーっ!!」
青年兵「おめでとうございます!」

剣士「おめでとうっ!」
弓使い「おめでと〜!」
幼女「おめでとーっ」

朱雀嬢「おめでとうですわ!」
玄武娘「おめでとうですの!」

帝「御目出度う」
名代「御目出度う御座りまする」

侍女「おめでとうっ!! 姫!!」
御館様「……」
戦士父「……」

盗賊「みんな、ありがとう」
戦士「ありがとう!」
657 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/06(土) 16:50:44.48 ID:5Sy4zX3Jo
〜式後〜

魔道士「盗賊さん、綺麗でしたねぇ」

召喚士「ええ」

魔道士「戦士さんもとっても、嬉しそうでした」

召喚士「そうですね。あんな戦士、なかなか見れませんよね」

魔道士「ですよね〜。えへへっ」

召喚士「……」

魔道士「……」

召喚士「……」

魔道士「……なんか……いいですよね」

召喚士「……え?」

魔道士「結婚式」

召喚士「あ、ああーそうですね」

魔道士「2人とも……すっごく幸せそうな顔してた」

召喚士「ええ」
658 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/06(土) 16:51:47.76 ID:5Sy4zX3Jo
魔道士「私もいつか真っ白なウエディングドレスを着てみたいなぁ……」

召喚士「……」

魔道士「私、泣き虫だから……すぐ泣いちゃうかも。えへへ」

召喚士「魔道士さん」

魔道士「はい」

召喚士「あ、あの……えっと……」

魔道士「……っ」

玄武娘「朱雀先生〜! 魔道士さーん!」 タッタッタッ

召喚士「!?」

魔道士「げ、玄武娘ちゃん……」

玄武娘「朱雀嬢ちゃんと青年兵さんが居ないですの〜」

魔道士「2人なら多分……お散歩してるんじゃないかな」

玄武娘「そうですの。もうすぐご飯なのに〜」

召喚士「あ、もうこんな時間か……」

玄武娘「それじゃ、先に行ってるですの!」 タッタッタッ
659 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/06(土) 16:52:41.42 ID:5Sy4zX3Jo
召喚士「……あ、あの……魔道士さん」

魔道士「召喚士さん」

召喚士「……?」

魔道士「私達は私達ですよね。ゆっくり歩いていきましょっか!」

召喚士「えっ? あ、ああ。そう……ですね」

魔道士「さ、行きましょう! えへへ!」

召喚士「行きましょうか。ははっ」





〜私達、結婚しました! 戦士、盗賊編 完〜
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県) [sage]:2012/10/06(土) 16:59:51.07 ID:jqLskw8zo
おめでとう!
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/10/06(土) 17:00:00.73 ID:x6fKftV+o
いちょつ!
次はとうとう…
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/10/06(土) 17:47:15.49 ID:5Sy4zX3Jo
そういえばあっちのスレが落ちてた…まぁ仕方ないですね
雑談だとこの板ではスレチですし、どうしよう…このまま無しでいきますか?
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) :2012/10/06(土) 18:07:03.85 ID:QBLxD29oo
いちょっつ

>>1の思うがままに
それについて行きます
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/06(土) 20:58:42.19 ID:w19MqjoP0
何気に陛下結婚してるなww
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/06(土) 21:19:36.43 ID:RhoHfnhlo
久しぶりに乙
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/06(土) 23:26:19.73 ID:PmtvTZtDO
次はいよいよ初夜編か

…ゴクリ
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/10/07(日) 01:41:39.27 ID:7r3kigGSo
>>1

良かった。良かった。
名脇役さんと魔道志もはやくやればいいのに焦れったい
あっちは、他の外伝とか書いていってくれるのであれば、ここでは足りなくなるかもしれないしな
たててくれた方が嬉しいかなーに一票
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/10/07(日) 03:41:02.55 ID:eiJ4wAjjo
建てても誰かしら短編書かないとまた落ちちゃうんじゃない?
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/07(日) 07:03:49.25 ID:HOC4C5qDO
ここが落ちたらまた建てればいいんじゃね
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/10/07(日) 22:59:32.18 ID:UNgavwFAO
>>1おつ

やっぱこの二人の結婚は書かなきゃな

このスレで完結しなくて次スレでも書いてくれるなら雑談と併用でもいいと思う
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/10/08(月) 11:39:46.56 ID:LI4ZdoqAO
魔導師ちゃんぺろぺろ
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/09(火) 09:51:59.55 ID:q6LxtuBwo
次は俺と朱雀嬢ちゃんの番か
照れるな
673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/10/09(火) 13:42:47.78 ID:j/JwKm/Jo
バハムートが凄い勢いで>>672の家に
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/09(火) 19:39:33.09 ID:Ot+We12P0
きてたああ
>>1 おつ
675 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:09:07.55 ID:8VQCiNhIo
召喚士「…………」

天才「……」

召喚士「……魔物を倒すって、世界を平和にするって……こんなにも犠牲が出るんですか?」

天才「……ああ」

召喚士「こんなにも沢山の人が傷付いて……命を失って、手に入れなきゃいけないものなんですか!!」

天才「それが戦争だ」

召喚士「……っ。俺はこんな道を……進めない。違う道を切り拓きます……っ」

天才「好きにしろ。俺様ですら挫折した道だ。引き返す道はない。それだけは覚悟しとけよ」 ザッザッ……

 ポツッ ポツポツ ザアアアアァァァァ……

召喚士「……うああああぁぁぁぁぁぁぁぁ――!!」
676 :外伝続き(その3) ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:09:47.24 ID:8VQCiNhIo



 召喚士「行けっ!コカトリス!!」

      〜それから〜
677 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:10:14.75 ID:8VQCiNhIo


副司令官「ふざけるなっ! 13万8000だとぉ!?」

大軍師「はい」

副司令官「では何か? 南東国は総人口の全てを兵にでも回したというのか!!」 ダンッ!!

白虎長「南東国って、そんなに人いるわけ……?」

副司令官「そんなものは誤報だ! 南東国の策略やもしれぬっ!」

大軍師「しかし召喚獣サラマンダーは、隊長の伝言だとはっきり申しておりました」

青龍先生「騙すに名を語るは常套手段。しかし特遊隊長の名を出すのは些か、不自然じゃな」

大軍師「ええ。少なくとも他国には出回っていない名前です。どこで知り得たのか」

副司令官「大方、北側で捕虜にでもなった奴がいるんだろう」

大軍師「ですが、南東国が本当にその兵力を持つ事も可能です」

副司令官「だからどこにそのような――」
678 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:10:45.01 ID:8VQCiNhIo
天才「魔王軍だよ」 バサッ

副司令官「!? な、何だ貴様は! 一介のワーカーが国軍の本陣に――」

天才「四の五の言ってる場合か。表ぇ出ろ」

副司令官「何?」

天才「いいから全員、さっさと出ろっつってんだよ!!」

白虎長「……っ」

 ザッザッザッザッ……

天才「見ろ。この位置からでも見えんだろ。どういう状況かよ」

副司令官「―――――っ!!」

白虎長「う……嘘……でしょ……っ」

青年兵「あっ、先生……っ」

青龍先生「こりゃあたまげたわい。本当に14万もおるやもしれんのぅ」

青龍士官「とてもではありませんが、私には笑っている余裕など持つ事が出来ません……っ」

青龍先生「苦しい時こそ笑うものじゃ。心が折れたら勝てる戦も勝てぬよ。ひょっひょ」

副司令官「こっ、こんなもの……勝てるわけがない。退却だ、退けっ、退けぇ!」
679 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:11:16.41 ID:8VQCiNhIo
天才「てめぇ……正気か?」

副司令官「……?」

天才「前線で戦ってる兵がまだいんんだろうが! 見捨てて退くってのか! あぁ!?」

副司令官「この兵力差で戦う事の方が正気ではなかろうが! ワーカー風情が指図するな!」

天才「殿を務めるのがお前の役目なんあじゃねぇのかよ!」

副司令官「ふざけるのも大概にしろ。総大将が殿などと……戦いを知らぬ者が口出しするでない!」

重装歩兵「大軍師殿。少し宜しいか?」 ザッ

大軍師「ええ。天才殿、貴方も」

天才「……ちっ」 ザッザッ

副司令官「これだからワーカーは役立たずなのだ。おい、誰か」

魔道兵「はっ」

副司令官「ワーカーを最前線で戦わせろ。その間に本体は退却する」

魔道兵「ははっ!」

副司令官「ん? 魔道本部長はどうした?」

魔道兵「それが……昨晩より行方不明でして……」

副司令官「くそっ、まんまと逃げおったな。左大臣の腰巾着が」

左文官「わ、我らはどうすれば……っ」 オロオロ

副司令官「魔道本部長が居ない今、貴様が魔道隊の指揮を執れ。そこまで面倒を見てられるか」

左文官「指揮……っ。何をすれば良いのだ……」

高官「では私は後方の撤退を手伝います」

左文官「お、おいっ! ちょっと待て! 変わってくれ、おいっ!」
680 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:11:51.34 ID:8VQCiNhIo
 ザッザッザッザッ

大軍師「何か分かりましたか?」

重装歩兵「昨晩消失した連中の、戦死者リストです」 スッ

天才「とんでもねぇ枚数だなおい」

大軍師「ちょっと待って下さい。おかしいですね……?」

重装歩兵「え……?」

大軍師「このリスト、魔道本部長が?」

重装歩兵「え、ああ。単身で帰還した際に受け取ったと士官が……」

大軍師「司令……っ」

天才「ああ。おかしな話だ」

重装歩兵「あっ、そうか! 確かにおかしいですね。予め死ぬと決めつけてたように思える……」

天才「それもあるが、もっとおかしいのは名前が羅列してある事だ」

重装歩兵「名前……ですか?」
681 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:12:39.52 ID:8VQCiNhIo
大軍師「彼の性格上、兵の名をいちいち把握するなど考えられません」

天才「かと言って、戦死者の補償の為に記すとも思えん。むしろ不明のが好都合のはずだ」

大軍師「つまりこのリスト、何かを実行する為にまとめたものであると……」

天才「必要なのは何だったのか、そう……名前だ」

重装歩兵「名前を一体、何に使うと?」

天才「さぁな。だが奴は、兵1人1人の名を把握しておく必要があった」

大軍師「それが、兵の消失に関係あるという事ですかね」

天才「確信はねーけどな。だが、因果があるには違いねぇ」

重装歩兵「魔物の特殊攻撃でしょうか?」

天才「まぁそんなところだろ。人間様にそんな芸当はできねぇ」

大軍師「名前……名乗る事に何か意味があるのか……」

天才「ともかくだ、国軍の連中には不必要な名乗りは禁止するよう、徹底しろ」

重装歩兵「了解っ!」 ザッ

大軍師「司令はどうなさるので?」

天才「そりゃー決まってんだろ。最前線に行く」 ザッザッ

大軍師「……ご武運を」

重装歩兵「早いな。もう撤退の準備を始めている……」 ジッ

大軍師「とは言え、兵の命には代えられません」

重装歩兵「諦めると……?」

大軍師「有志を募って下さい」

重装歩兵「有志?」

大軍師「ここに居残り、殿を務める者をです」

重装歩兵「承知しました」 ザッ

大軍師「……さて、まず行うべきはトリックを見破る事ですかねぇ。ふっふ」 ヒラヒラ
682 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:13:17.95 ID:8VQCiNhIo
 空が明るみ始めたと同時に、前線では喧騒が生まれていた。

騎兵「何時の間に……これ程の兵が居たというのだ……っ!!」

弓兵「か、勝てるわけがねぇよ……こんなんよぉ!」

 国軍はざわついた驚きの声と、悲鳴にも似た諦めの声があがっていた。

華国兵「さぁ、一気に押し返すぞ!! 勝利は目前だ!!」

白馬騎士「油断はするな。相手は本国、個々の質では敵が上と思え」

 それに対し南東国には士気旺盛な歓喜の声があがっていた。
683 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:13:47.57 ID:8VQCiNhIo
 パッカパッカパッカ……

錦将軍「いよぉ、調子はどうだい?」

白馬騎士「錦将軍。待ってましたよ」

錦将軍「騎都尉のダンナも元気そうじゃねぇか」

騎都尉「……」

錦将軍「んで、俺は何をすればいい? 正面で敵を蹴散らしてやっか?」

騎都尉「余計な真似をするな。雑魚は大人しく後方支援でもしてろ」

錦将軍「何だとぉ、コラ!!」 ビキッ

白馬騎士「錦、待つんだ。ここは騎都尉の指示に従え」

錦将軍「あぁ!?」

白馬騎士「今の本国ならば騎都尉の武力で事足りる。それに……」

錦将軍「……?」

白馬騎士「兵力で劣った敵が仕掛けてくるのは、奇策ですよ」

錦将軍「成程なぁ。臨機応変に動かんと対応出来ん奇策には、騎都尉サマにゃ向いてねーわな」

騎都尉「……」

錦将軍「おっし。支援は俺に任せとけ。奇襲だろうが伏兵だろうが、ぶっ潰してやるぜ!」

白馬騎士「ところで他の将軍らは……?」

錦将軍「ああ。ジジイは狙撃に備えて高台に、脳筋兄弟は――」

弓将軍「皆の者っ、これより陛下直々に御言葉を述べられる! 心して聴けい!」

白馬騎士「……」

華国兵「……」
684 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:14:32.47 ID:8VQCiNhIo
 ザワ……ザワ……

長男「我らの華国を、全身全霊を以ってして守り抜け。期待しているぞ」

 スッ……ザッザッザッ……

華国兵「……お、おお」

 オオオオォォォォ――!!

騎都尉「長男様……」

弓将軍「出陣っ!!陛下と華国の為に、心して戦えい!!」

 ワアアアアァァァァ!!

錦将軍「んで、御大将は早くも撤退かい。ったく、これだからよぉ……」

騎都尉「貴様、長男様を愚弄するか」

錦将軍「そうじゃねぇよ。だがなぁ、俺は今も魔物と手を組んだわけじゃねぇ」

騎都尉「俺もだ」

錦将軍「生まれ育った国の為だ。戻ってきてやった事に感謝するんだな。ハハハッ!」 ザッザッ……

騎都尉「この戦に勝利すれば、ついに好機が訪れるのだ。それまでは耐えてやるさ」
685 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:15:03.08 ID:8VQCiNhIo
 ガカッ!! ドドッドドッドドッ……

騎都尉「どけええぇぇ!! この騎都尉、止められるものならば止めてみよ!!」

華国兵「騎都尉様に続けぇ!! 我らの、我らの華国を守るんだぁ!!」 ザザッ

 ドドオオオオォォォォ……

弓将軍「それでは東の街へ戻ります」 パッカパッカパッカ

夫人「つまらないのぅ。わらわも戦いたかったぞ」

長男「君を危険な目に晒すわけにはいかぬ」

夫人「ずーっと、こんな馬車の中では退屈じゃ」

長男「我らの、私と君の華国は皆に守らせれば良いのだ」

夫人「うーん……そうねぇ。まぁ仕方ないわねっ♪」

長男「さ、こっちへおいで」 スッ

夫人「あんっ。もう、帰ってからゆっくり楽しみましょっ♪ うふふっ♪」

 長男の鼓舞が発せられた直後、いよいよこの戦いにおいて最大の激突が始まった。
686 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:15:53.03 ID:8VQCiNhIo
軽装歩兵「来たぞぉー! 食い止めろぉ!!」

騎兵「正面っ、何か来る――」

騎都尉「どけどけどけええぇぇーっ!!」

 ズガガアアァァァァ!!

弓兵「くっそぉ! 魔道兵がいりゃ、ちょっとは戦えるってのによぉ!」

魔道兵「いるにはいるさ! だけど志願兵だ。数はたかがしれてるっての!」

軽装歩兵「喋ってる暇はねぇぞ! 前見ろっ、前ぇ!!」

華国兵「行けぇ! 騎都尉様が切り拓いてくれた道っ、無駄にするな!」

騎兵「くっそ……止まらねぇ……っ!」
687 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:16:52.10 ID:8VQCiNhIo
 ドドオオォォォォ……

重装歩兵「殿の数は?」

大軍師「約2万、といったところでしょうか」

重装歩兵「2万か……。敵は14万だと言うのに」

副司令官「ワーカーは何をしている! 何故、前線に赴かんっ!」

大軍師「ワーカーのほとんどは戦場から姿を消しましたよ」

副司令官「何ぃ!?」

重装歩兵「本陣が早々に撤退などという方針を打ち出すからだ」

副司令官「何だと? 貴様、それは上官である私に対する言葉か!」

重装歩兵「貴方だけの問題ではない! これは国軍、全ての問題だ!」

副司令官「ふざけるなっ」

重装歩兵「ふざけてなどいないっ! 大真面目な話だ!」
688 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:17:21.31 ID:8VQCiNhIo
副司令官「……っ」

重装歩兵「元を正せば最初から過ちだったのだ」

大軍師「……」

重装歩兵「騎士団を説得出来ず前線に出せない挙句、所轄の南方を退け……統制出来ていない!」

副司令官「奴らが従わなかったに過ぎぬ!」

重装歩兵「腹を割って話すべきだったと申している! もし団結出来ていればこんな事には……」

副司令官「話してどうにかなる連中ならば、とっくにまとまっているさ」

重装歩兵「もう良い。それでは失礼する!」 ザッ

大軍師「どちらへ?」

重装歩兵「前線へ赴く。人災で1兵足りとも失いたくはないのでな」 ザッザッザッ

副司令官「全く、ただでさえ騒々しいと言うのに陣を乱しおって」

大軍師「それでは私も、失礼致します」

副司令官「大軍師も前線へ赴くのか?」

大軍師「いえ。講和の道を模索してみようかと」

副司令官「講和!? 無駄な事ではないか?」

大軍師「やるだけの事は試みて損はないでしょう」

副司令官「まぁ、好きにするが良い。どうせ負け戦、引き分けた方がマシと言うものだ」

大軍師「そうですね」

副司令官「……ちっ」 スタスタスタ
689 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:18:01.74 ID:8VQCiNhIo
大軍師「……」

青龍先生「お主も大変な立場じゃな。ひょっひょ」

大軍師「それを踏まえてこの職を務めておりますので」 ヒラヒラ

青龍先生「あやつは我が強すぎる。嫌ならば志に付き合う必要もないぞ」

大軍師「申した通りです。あの方にお声をかけて頂き、全てを踏まえた上でここにおりますから」

青龍先生「ひょっひょ。変わった奴じゃ。それで、どうする?」

大軍師「あちらの王に面会してみようかと」

青龍先生「死ぬかもしれんぞ?」

大軍師「それも踏まえた上、です」

青龍先生「全く。飽きれてものも言えぬわい」

大軍師「恐らくですが、もう間もなく援軍も到着する事でしょう」

青龍先生「援軍?」

大軍師「ええ。事が事ですから、戦いに巻き込む必要はないと思いますが」

青龍先生「ああ、そういう事か。ま、数でのハッタリくらいにはなるじゃろ」

大軍師「士気も上がるでしょうしね。撤退もスムーズに進むでしょう」

青龍先生「あとはそれまでの時間稼ぎか」

大軍師「司令と南方司令部だけで支えきれるものではなさそうですね」

青龍先生「やれやれ。やるしかないかの」

大軍師「助かります」

青龍先生「老いぼれからその一言を引き出すのを待ってたんじゃろ? 全く、とんだ策士じゃわい」

大軍師「おや、人聞きが悪いですねぇ。それに買いかぶりすぎですよ」

青龍先生「まぁ良いわ。前線の援護は青龍隊に任せておけ」

大軍師「何卒、お気を付けて」

青龍先生「お主もな。ひょっひょ」 スタスタスタ……

大軍師「これで戦局も多少は変われば良いのですがね」
690 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:18:43.86 ID:8VQCiNhIo
 国境付近の攻防戦は、圧倒的多数による南東国の優勢に進んでいたが、

 自ら志願しての本国殿軍の防衛も凄まじく、やや膠着状態へと陥っていた。

騎兵「何としても堪えろぉ! ここが正念場だぞ!」

弓兵「文字通り、一矢報いてうあるさっ!」 バシュッ!!

 その均衡を最初に動かしたのは、やはりこの男であった。

華国兵「――!?」

天才「邪魔だ、雑魚どもがああぁぁ!!」

 ズッギャアアァァ!! ザシュシュウウゥゥゥゥ!!

天才「……ふーっ」 スタッ

華国兵「な、何だあいつは……っ」

天才「さーてさて、あのヤローはどこだ?」

 ドドッドドッドドッドドッ……

天才「きやがったな!!」

騎都尉「おおおおぉぉぉぉ!!」

 ビュオォ!! ガッキイイィィィィン!!

天才「さぁ、第2幕といこうぜ!」

騎都尉「勘違いするな。これで……終幕だ!」
691 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:20:06.15 ID:8VQCiNhIo
 ズガガガガガガガガッ!!

華国兵「す、すげぇ……っ」

魔道兵「何なんだあいつらは……」

重装歩兵「奴らには構うな。全軍、我に続けぇ!」

軽装歩兵「おぉーっ!!」

 天才と騎都尉の一騎打ちを尻目に、更なる志願兵が合流した本国殿軍は、

 劣勢を押し返さんと、彼らは殿軍にも関わらず1ヶ所へと密集し、果敢に攻勢に打って出る。

 密集した隊は円状に布陣し、全方向からの攻撃に備えた状態で突撃を敢行する。

 それに応じる南東国は、大兵力であるが故、密集された敵を倒すには前線の兵が限られ、

 後方では渋滞を招き、統制がやや乱れ始めていた。

錦将軍「何をやってんだコラァ! 退がれ退がれっ、全員で行こうとするな! 順番に進め!」

白馬騎士「しかし、これは逆に好機」

錦将軍「あぁ?」
692 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:21:03.55 ID:8VQCiNhIo
白馬騎士「あの兵数、恐らく殿でしょう」

錦将軍「ほぉ、つまり敵サンは逃げるって事か……っておい! ふざけんなよ!?」

白馬騎士「退いてくれるならば、それはそれで結構なんですがね」

錦将軍「国境くんだりまで来させられて手柄もなく帰れってか!?」

白馬騎士「そこで貴方の出番ですよ、錦将軍」

錦将軍「追撃か?」

白馬騎士「それもありますが、迎撃をお願いします」

錦将軍「奇襲か。しっかし、この状況下で仕掛けてくるかねぇ」

白馬騎士「来ますよ。大国だからこそそういう手を打ってくる」

錦将軍「ま、てめぇは知略もあるからな。その言葉、信じるぜ」

 ザッ

錦将軍「行くぞ猛者共。俺の虎兜、見失う事なくついてこい!!」

華国兵「おおうっ!!」

 ドドッドドッドドッドドッ……

白馬騎士「これで最善は尽くした。後は……」
693 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:21:40.08 ID:8VQCiNhIo
 正午前、分かれ道での危機を脱した召喚士らは、東の街付近へと迫っていた。

隊長「あれが東の街だな。このまま突っ切って、北の連中と合流するぞ」

戦士「このまま楽々と突破できんのか?」

隊長「あの大軍を見ただろ。残せる兵なんぞあるとは思えん」

召喚士「確かにそうですね」

女隊員「おっ、城門が見えてきたッスよ!」

盗賊「……誰か……いる」

 パッカパッカパッカ……ドドォ

華国兵「止まれ止まれ。貴様等、何者だ」

隊長「旅の大道芸人すわ。通行許可証ならこの通り」 パサッ

華国兵「次男様の許可証と、こっちは長男様名義の通行許可証か」

隊長「へへっ、そういうこってす」

華国兵「留まる事なく、早々に立ち去るのだぞ」 スッ

隊長「へい。失礼しやっす」

――「おい、待ちな」

魔道士「……へっ?」
694 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:22:36.27 ID:8VQCiNhIo
弟者「その荷物は何だ? 見せてみろ」 ザッザッ

隊長「はぁ、どうぞ」 バサッ

弟者「……」

兄者「何をしている。許可証はあったのであろう?」

弟者「……ちっ。通っていいぞ」

隊長「へい。そんじゃ失礼」 スタスタ

 パッカパッカパッカパッカ……

兄者「何か疑わしいものでもあったか?」

弟者「いんや。だがなぁ、どーも引っかかるんだよなぁ」

兄者「何がだ?」

弟者「分かんね。俺の勘だ」

兄者「勘、か」

弟者「ああ。勘だ」

兄者「それならば仕方ないな。お前の勘は良く当たる」

弟者「おうよ!」

兄者「精鋭を50騎ほど編成せよ。追うぞ」

華国兵「はいっ!!」
695 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:23:12.57 ID:8VQCiNhIo
 ドドッドドッドドッ……

戦士「……ん?」

弟者「待て待て待てぇー! お前ら、今すぐ馬車を止めろぉ!!」

魔道士「追ってきましたよっ!?」

盗賊「……先程の……連中だな」

召喚士「まさか、気付かれたのか……?」

隊長「ちっ。つかまってろよ、全力で飛ばすぞ!」 ガカッ!!

女隊員「こっちは馬車ッスよ!? 逃げ切れないッスよ!」

隊長「市街地に入ってる。流石に襲ってはこねぇだろ」

戦士「数は……ざっと50程度ってとこか」

女剣士「ナメられたものだな。この程度の数とは」

隊長「もしくは、よっぽど自信があるかどうかだな」

女剣士「ふん」 
696 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:24:28.18 ID:8VQCiNhIo
 ドドッドドッドドッ……

弟者「どうやら止まる気はなさそうだな」

兄者「お前の勘は本当に良く当たる」

弟者「俺は馬鹿だからな」

兄者「ああ。そうかもしれぬな」

 ドドッドドッドドッ……

魔道士「囲まれちゃいましたよ!」

隊長「こっちからは仕掛けるなよ。ここは南東国なんだ。先に手を出せば負けだ」

召喚士「……っ」

華国兵「仕掛けますか!?」

兄者「まだだ。街を戦火に晒すわけにはいかぬ」

弟者「相手はどうせ馬車だ。すぐに追いつける!」

隊長「城門を抜けるぞ! 敵襲に備えろぉ!」

兄者「城門を抜けるぞ。馬車を取り囲み、進路を妨げよ!」
697 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:25:36.78 ID:8VQCiNhIo
 ドドッドドッドドッ……ドドオオォォ

召喚士「……完全に……囲まれた」

魔道士「どどっ、どうしよう……っ」

女隊員「別働隊はどこに居るんスかぁ!?」

隊長「……おかしい」

盗賊「……」

隊長「手引きの先遣隊が居るはずなんだが」

戦士「見当たらねぇぞ、そんなんよぉ」

隊長「まさか……」

女剣士「やられたとでも言うのか?」

弟者「さぁ、観念して馬車を降りろ」

盗賊「……どうする?」

隊長「抵抗はするな。従うぞ」
698 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:26:21.05 ID:8VQCiNhIo
 ゾロゾロゾロ……ザッ

兄者「無駄な抵抗をしなければ危害は加えぬ。大人しく投降するのだ」

女隊員「ふざけ――」

隊長「待て。すまんが1つ聞きたい事がある」

兄者「何だ?」

隊長「此方側に別働隊が居たはずだ。彼らをどうした?」

弟者「別働隊? こっちにゃ初めて来たんだ。そんなん知らんぞ」

兄者「こやつの言葉に嘘偽りはない。我らとしては知らぬ話だ」

隊長「そうかい」

盗賊「……っ」

戦士「盗賊」

盗賊「……ああ」 チャキッ

弟者「動くんじゃねぇ!!」

盗賊「――!?」
699 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:27:13.59 ID:8VQCiNhIo
 ズゴゴゴゴゴゴゴゴ……

弟者「兄者が言ったはずだぁ。抵抗しなきゃ無傷で連行する」

盗賊「……っ」

弟者「だがなぁ、抵抗すれば……命はねぇと思え」 ギロッ

戦士(な、なんなんだ……こいつの、恐ろしい力は……っ)

弟者「ほぉ、俺の威圧を受けて目を合わせてられるとは。なかなか骨があるじゃねぇか」

戦士(威圧……? それがこの力の事なのか?)

 南東国脱出を図った召喚士らは直後、抵抗する事なく捕虜として東の城へ移送された。



華国兵「錦将軍殿っ! 前方から敵が来ますっ!」

錦将軍「……ほぉ、流石は白馬。冴えてるねぇ」

 ドドッドドッドドッ……

南方副司令「ちっ、やっぱり読まれてやがったか」

南方参謀「想定内よっ。総員、敵を追い払うわよっ!」

南方兵「おぉーっ!」

 ドガガアアアアァァァァ!!

錦将軍「どけどけどけぇ!! 錦将軍様のお通りだ!!」

南方参謀「敵の指揮官、強いわね」

南方副司令「うちの指揮官は何やってやがるっ!」

錦将軍「ん!?」
700 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:28:17.93 ID:8VQCiNhIo
 ズギャッ!! ドッゴオオォォォォン!!

錦将軍「……いい拳だ」

南方司令「ジャスティスパンチ。覚えておくが良い、悪党め!」

錦将軍「悪党だぁ!? 華国を乱す奴らが何をほざく!」

南方司令「魔王軍と手を組み世界を混乱に招いている貴様らこそが悪党以外の何者でもない」

錦将軍「魔王軍? 俺には関係ないね」

南方司令「……」

錦将軍「俺が守りたいのは華国の人間と、その笑顔だけだ」

南方司令「互いの正義があると言う事か。それもまた仕方のない事かもしれんな」

錦将軍「だったら大人しく……死んでもらおうか!!」

南方司令「だが、それでも魔物と手を組むなど言語道断! 悪の道の上に正義は成り立たぬ!」

 ズッガオオオオォォォォン!!

錦将軍「……何だこいつは。まさか本国にも五虎大将並の奴が存在するとはな」

南方司令「悪いがそこで寝ている事だ」 グワッ

南方参謀「司令っ! 後ろ!」

華国兵「錦将軍をやらせるかぁ!!」

南方司令「ぬっ――」
701 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:28:52.03 ID:8VQCiNhIo
 バシュウウゥゥ!! ドズッ!!

華国兵「な……っ」 ドサッ

錦将軍「矢……? 狙撃か」

南方副司令「あいつか」

 ヒュオオォォォォ……

南方弓長「……ふーっ」 スッ

南方魔道長「ナイスな腕前だ。次の大会じゃ優勝出来るんじゃねぇか?」

南方弓長「気が散る。黙ってて」

南方魔道長「……」

南方弓長「さてと、次……」 カチャッ

魔道魔道長「おい」

南方弓長「気が散るって言ってるでしょ」

南方魔道長「避けろぉ!!」 ガシッ!!
702 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:29:54.98 ID:8VQCiNhIo
 バッシュウウゥゥゥゥ……

南方弓長「……っ」

南方魔道長「どうやら敵さんにも、狙撃種が居るみてぇだな」

南方弓長「冗談でしょ? 例え同じ距離だとしても、こっちは高所なのよ……?」

南方魔道長「じゃああれだな。本国じゃ優勝出来ても世界大会じゃ負けるってわけだ」

南方弓長「有り得ないわよ……っ」

 ヒュオオオオォォォォ……

老将軍「避けたか。よくもまぁ気付いたもんじゃわい」 カチャッ

南方弓長「やってくれるわね。でもこれで、お互い狙撃はなくなったって事かしら」 カチャッ

老将軍「腕はともかく地の利では敵が有利。遠方への狙撃はもう困難かの」 ググッ

南方弓長「どこのどなたか知らないけれど、やってくれるわね。ほんと」 ググッ

老将軍「……」

南方弓長「……」

 バシュシュッ!! オオオオォォォォ……

 両者の放った矢は空中でぶつかり合い、軌道を変えて地面へと突き刺さった。

南方魔道長「……嘘だろおい。どういう腕してんだよ。お前も敵もよ……っ」

南方弓長「言ってる場合!? ここはもう無理よ。行きましょ」 ザッ

南方魔道長「……っ」 ザッ
703 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:30:46.88 ID:8VQCiNhIo
〜西の街〜

男隊員「どういう事だよこりゃ……っ」

同門「……誰も居ないようだな」

男隊員「誰も居ないって何なんだよ。どう考えてもおかしいだろ」

幼女「避難したのかな……」

男隊員「仮にそうだとしてもだ。おかしいだろ! 誰も居ないなんてのはよぉ!」

次男「……」

男隊員「火事場泥棒も見回りの兵も、物乞いや病人すらいねぇ! 本当に誰もいねぇんだ!」

同門「確かにそれは不自然だ」

男隊員「街ごと避難したってなぁ、多少は居残るはずなんだよ。何があろうともな」

お父「つまりどういう事だ?」

男隊員「これは、何かの罠かそれとも――」
704 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:31:36.58 ID:8VQCiNhIo
――「それとも?」 ザッザッザッ……

男隊員「!?」

幼女「魔……物っ」

お父「後ろに下がっていろ」 ザッ

男隊員「何だテメェら」

金角「俺の名は金角」

銀角「俺の名は銀角」

男隊員「ああ、そうかい」

金角「人間は無礼だな。名を名乗ったのならば名乗り帰すのが普通であろう?」

男隊員「この国じゃそうなのかもしれんが、本国じゃそんな教育は受けてねぇな」

銀角「良いから名を名乗れ。たかが知れておるぞ」

男隊員「しつけぇな。俺ごときの名を聞いて何がしたいんだよ。アホか」

金角「無謀にも我々に抗う者として、その名を刻んでおいてやろうと思ってな」

男隊員「はぁ? 意味がわかんねぇ」

銀角「まぁ待て金角。どうもこの人間は我らに恐れをなして名乗るのが怖いらしいではないか」

金角「フハハ、そういう事か。なんとただの臆病者であったか」
705 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:32:17.46 ID:8VQCiNhIo
男隊員「……員だ」

金角「んん?」

男隊員「俺の名は男隊員だ。覚えておけ」

銀角「ほぉ、男隊員か!」 チャポッ

男隊員「あ? なんだありゃ……」

銀角「ではときに男隊員よ」

男隊員「気安く呼ぶんじゃねぇよ! なん――」

 ドドッドドッドドッドドッ……

男隊員「なにぃ!?」

銀角「チッ」 ササッ

白馬騎士「ここで何をしている……本国の人間よ」 ドドォ

お父「……」 スッ

男隊員「待てっ、ここは俺に任せろ」 ボソボソ
706 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:34:07.42 ID:8VQCiNhIo
白馬騎士「小さな少女も居るようだが、この人数……さては密偵か?」

男隊員「おっ、俺達はただのワーカーなんだっ、あ……ワーカーってのは雇兵みたいなモンで……」

白馬騎士「……」

男隊員「もう味方も居ない中、魔物に襲われたんだ! 助けてくれ」

白馬騎士「魔物? 金角、銀角、お前達が襲ったというのか?」

金角「勘違いなしますな。我らは手を出しておりませんよ」

男隊員(ちっ、コイツらやっぱりグルか……)

白馬騎士「改めて言うが、人間の殺生は断じて許さぬ」

金角「分かっております。約束ですからねぇ」

銀角「少なくともここ華国では、そのような恐れ多い事はとてもとても」

白馬騎士「ならば今すぐ立ち去るのだ。貴様等は此処に居るべき者ではない」

銀角「しかしですな……」

金角「やめぬか銀角。指示に従うのだ」

銀角「……これは失礼致しました。それでは我らは東の街へ戻ると致しましょう」
707 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:36:34.04 ID:8VQCiNhIo
 ススッ ザッザッザッ……

白馬騎士「ではこれより身柄を拘束する。無駄な抵抗はするなよ」

男隊員「一難去ってまた一難か……ヒャハハ……」

華国兵「手を後ろに組むんだ」

同門「……ちっ」

華国兵「それじゃあオジサン縛っちゃうからね? 抵抗しないでね……ハァハァ」

幼女「……っ」

華国兵「そこの男っ、羽織りを脱げ。しっかりと顔を見せるのだ」

 スッ ハラリ

華国兵「――――!?」

次男「……」

華国兵「し、将軍っ!!」

白馬騎士「何だ?」

華国兵「じじっ、じ……じ……っ」

白馬騎士「何だと申しているのだ――」 ザッ
708 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:37:25.38 ID:8VQCiNhIo
次男「……」

白馬騎士「次男……様……っ!?」

男隊員「ちぃっ、総攻撃――」 ザッ

次男「お待ちなさい。白馬、貴方もです」

白馬騎士「何故、次男様がここに居られる……っ」

華国兵「きっ、貴様らぁ!! 次男様を誘拐――」 バッ

次男「待ちなさいと申しているのです」

白馬騎士「下がっていろ。次男様のご命令だぞ」

華国兵「……は……っ」 ズザッ
709 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:38:58.34 ID:8VQCiNhIo
次男「まず1つ。私は連れ去られたわけではありません」

白馬騎士「では、自らの意思で行動を共にしていると申されるのですか?」

次男「意思、とは決め難いが、それが自然の成り行きと言うものであろう」

白馬騎士「お待ち下さい。今、本国へ渡れば人質になる事は必至……」

次男「白馬、私はこの不毛な争いを終わらせたいのです」

白馬騎士「それは私とて同様です」

次男「ならば何故、戦いをやめようとしないのです」

白馬騎士「もしやめてしまえば、華国の人々が傷付く事となります」

次男「では、本国の者らは傷付いても良いと?」

白馬騎士「止むを得ない事なのです」

次男「殺生に良し悪しがあるでしょうか」

白馬騎士「では、みすみす殺されろと申されますか?」

次男「何故、面と向かって話し合わないのです?」

白馬騎士「話して解決する問題ならば、とっくに……」

次男「白馬、貴方は……いや、この華国は現実から目を背けて逃げているだけなのです」
710 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:39:34.73 ID:8VQCiNhIo
白馬騎士「逃げている……?」

次男「自国の混乱を、貧困を、境遇を、他人のせいにしているだけなのですよ」

白馬騎士「しかしっ、本国との関係が悪化し、華国が困窮した事は事実です」

次男「理由があるからこそ、物事が良くも悪くも動くのです」

白馬騎士「華国は一方的にすてられたのですっ! 本国の連中に……っ!」

次男「華国は豊かでない。土地も狭く技術も乏しい」

お父「……」

次男「しかし本当に、死ぬ気で努力をしてきたのでしょうか」

白馬騎士「……」

次男「我が父や祖父は、本国の力に頼り甘えていたようにも思えます」

白馬騎士「次男様……」

次男「それに本国ほど国が理由もなくこのような所業に出るとは思えません」

白馬騎士「ですが、本国が攻めてきている事は事実です。私は国を守らねばならない」

次男「ですから、その根底を探る必要があるのです」

白馬騎士「……お忘れですか?」
711 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:40:48.14 ID:8VQCiNhIo
次男「……」

白馬騎士「貴方の弟、三男様は……本国の手にかかり、命を落とされたのです!」

次男「……」

白馬騎士「私は決して許せない。どんな理由があろうとも三男様を……」

次男「白馬、貴方は三男の後見人です。その気持ちは十分に分かりますよ」

白馬騎士「……っ」

次男「ましてや私の弟なのです。辛くないわけがありません」

白馬騎士「だったら――」

次男「だからと言って力に任せて、復讐に身を委ねては貴方も同じ事です」

白馬騎士「――っ」

次男「貴方が手に掛けた者にも、兄や家族がいる。そうでしょう?」

白馬騎士「……私は、華国の将です」

次男「そう、華国のが誇る将です。ですがその前に、貴方は人間なのです:」

白馬騎士「――!!」

次男「いや、貴方は分かっているのだ。分かっている上で修羅の道を歩んでいる」

白馬騎士「わ、私は……」
712 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:41:29.21 ID:8VQCiNhIo
次男「貴方には本当に辛い思いをさせてしまいましたね」 テクテクテク

白馬騎士「……っ」

次男「今は退いて下さい。私が必ずや双方が穏やかに話し合える場を設けてみせますから」

白馬騎士「次男様っ!!」

次男「それでは行きましょう」

男隊員「……アンタも来るか?」

白馬騎士「再三、本国への攻撃を仕掛けている。私の顔を見たくない者も大勢いるだろう」

男隊員「まぁな。それじゃすまねぇが留守番しててくれや。ヒャハハ」

白馬騎士「もし次男様の身に何かあれば……」

男隊員「分かってる。俺の命に賭けて無事、送り届ける」

白馬騎士「……」

男隊員「それともう1つ。俺の名は男隊員。本国国軍で特殊遊撃強襲隊ってのに所属してる」

白馬騎士「軍人か」

男隊員「その特遊ってのが国軍でも隠密な仕事を担ってるわけだ」

白馬騎士「……何?」
713 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:42:50.07 ID:8VQCiNhIo
男隊員「だからこそ、その俺が誓って言う。本国は暗殺なんて汚ねぇ手段は絶対に用いない」

白馬騎士「っ!?」

男隊員「おたくの三男様ってのが暗殺されたそうだが、もっとよく調べた方が良いぜ。んじゃな」 ザッ

白馬騎士「……っ」

華国兵「将軍っ! このまま行かせて宜しいのですかっ!?」

白馬騎士「次男様が自ずから述べられた事だ。逆らえまい」

華国兵「……っ」

白馬騎士「案ずるな。仮に人質だとしても命までは奪わん。奪っては意味を無くすからな」

華国兵「そ、それはそうですが……」

白馬騎士「今は次男様の好きにさせておけ。うまくいけば流れが分かるかもしれぬしな」

華国兵「将軍……っ」

白馬騎士「総員は戦場へ戻れ。お前とあと……そこの者、私について来い」

華国兵「ど、どちらへ?」

白馬騎士「……このまま西の街へ行く」 ザッ

華国兵「西の街、ですか? しかし今は三男様も居られませんし何も……」

 ドドッドドッドドッ……

華国兵「お、お待ちを! 皆は早く戦場へ戻るように! はぁっ!」 バシッ ドドッドドッ……
714 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:44:08.73 ID:8VQCiNhIo
 主戦場では変わらず、一進一退の攻防が繰り広げられていた。

 兵数では上回る南東国であったが、本国の殿軍による迎撃は凄まじく、

 攻め手に欠ける状態であり、突破口を見いだせずにいた。

 本国側においても士気高く奮戦しているのは殿軍のみであり、本陣を始めとする

 主力部隊は既に、撤退かそれに伴う行動を開始していた。

 両軍の動きは次第に消極的となり落ち着きを見せる。一部を除いては。

南方副司令「後退しろ! 無理に攻め続けるな!」

錦将軍「逃がすかよぉ!!」 バッ

南方司令「甘いぞ!」 ザッ

錦将軍「!?」

南方司令「ジャスティス――」

華国兵「はあぁーっ!!」

南方司令「!?」

錦将軍「甘いのはそっちだったな」
715 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:45:01.38 ID:8VQCiNhIo
 バシュッ!! ドズッ

華国兵「……ぅ」 ドサッ

南方司令「そうでもないようだ」

錦将軍「また狙撃か……っ、こっちの狙撃はどうなってんだよジジイ!!」

老将軍「んな大声で騒がんでも……しっかり狙っとるわい」 グググッ

 バシュウウゥゥゥゥ!!

南方司令「――っ!!」

 ザシュッ!!

南方参謀「司令ーっ!!」

南方司令「……大丈夫だ。重傷ではない」 ググッ

南方副司令「し、司令……目を……」

南方司令「重症ではないと……言っている」

錦将軍「片目潰されてっ、粋がってんじゃねぇ!!」 グアッ
716 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:46:12.96 ID:8VQCiNhIo
 ズボォ!!

南方司令「顔を知らぬとは言え、父母から貰った大切な身体の一部だ。無駄には出来ん」

 ガブッ!! ムシャムシャムシャッ

錦将軍「!?」

老将軍「己の目玉を……喰ろうとるわ」

南方司令「……うむ。美味くはない」

錦将軍「肝の据わった野郎だ。尊敬に値すんぜ」

 ジャキッ

錦将軍「だが、武器の無い貴様に勝ち目はない。俺の槍で一突きにしてやらぁ!!」

――「武器ならあるぞごるぁ!! おらよぉ!! 殺して殺して殺しまくったれやああぁぁ!!」 ザッ

 ブンッ!! クルクルクルッ……バシィ!!

南方副司令「ツヴァイハンダー!? まさか司令の……っ」

南方司令「正義の為とは言え、あまり武器は使いたくないが……」

錦将軍「なっ――――」

南方司令「ふんっ!!」
717 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:47:11.02 ID:8VQCiNhIo
 ズバッシュウウゥゥゥゥ!! ブシュウウウウゥゥゥゥ……

錦将軍「……か……はっ」

老将軍「錦を……一撃じゃと……っ?」

 ガクンッ……ドシャッ

南方司令「……」

錦将軍「こ、殺せ……。右腕を失っては武人として死んだも同然……」

南方司令「武人以外としての生き方もある――」

 ドンッ!! ズバッシュウウゥゥゥゥ!!

南方司令「!?」

――「本人が殺せって言ってんだ。殺してやるのが情けだろうがよおおぉぉ!!」

南方司令「貴様……」

南方参謀「せ、西方……司令? て事は……」

西方司令「援軍様のご到着だ!! さぁクズ共が、地獄以上の大地獄を見せてやんぜぇ!!」

西方兵「いけぇーっ! 南方軍を援護しろぉ!」

老将軍「錦が討たれた。ここは退くのが手じゃな」

華国兵「たっ、退却! 退却ーっ!」
718 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:48:20.68 ID:8VQCiNhIo
南方弓長「逃がすもんですか。よくも司令を……っ!」 グググッ

南方魔道長「渾身の一撃を放て。付加するぞ」 キュイイィィィィ……

 バシュウウウウゥゥゥゥ!! ドズッ!!

老将軍「――!?」

 ガッカアアァァァァ!! ズドォッ!!

老将軍「た……ただの……矢ではな……」

南方参謀「南方弓長と南方魔道長の雷の矢!?」

老将軍「まさか儂が……矢で討たれるとは……の――」 ドサッ

南方魔道長「やったな。これでお前が世界一だ」

南方弓長「冗談言わないで。地の利があった、ただそれだけよ」 スッ
719 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:48:50.99 ID:8VQCiNhIo
 タッタッタッ……ズザッ

西方参謀「目は大丈夫か? ヒック」

南方司令「痛みはまぁあるが……問題ないだろう」

西方副司令「衛生兵っ、回復魔法を! 止血と消毒もね!」

南方司令「簡単な消毒でいい。あと、包帯を貸してくれ」

衛生兵「出血が続いています。1度、本陣へ……」

南方司令「本陣などもうない。それにまだ戦闘は続いているのだ。行くぞ」 ザッ

衛生兵「あっ」

西方司令「本人が大丈夫っつってんだろ! 行かせてやれってか死ね!」

衛生兵「……っ」

西方司令「なぁ、ほんとは痛くて痛くてたまらねーんじゃねぇの?」 ザッザッザッ

南方司令「……」 ザッザッザッ

西方司令「悪りぃけどよ、テメーが死んでも放置してくかんな」 ザッザッザッ

南方司令「構わん」 ザッザッザッ

西方司令「いい心構えだ。無謀じゃねーらしいな」

南方司令「いつだって無謀などではない、勇敢だ。正義の為にな」

西方司令「正義でも何でもいいけど、足手纏いにはなんなよ?」 ジャキッ

南方司令「こちらの台詞だ」 ジャキッ

西方司令「さーて、このまま真っ直ぐ、突っ切るぜぇ!!」

南方司令「残りの者は各部参謀の指示に従え」
720 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:49:28.84 ID:8VQCiNhIo
 ドウッ!! ズザザザザザッ

西方司令「しーねしねしねしねしねしんねええええぇぇぇぇ!!」

南方司令「ジャスティスパ……スラッシュ!!」

華国兵「うっ、うぐあ!! 何だコイツら……っ!!」

 ズザザアアァァァァ

西方司令「おいバカ。感じたか?」

南方司令「ああ」

西方司令「そうだよなぁ。こんな弱小クソ雑魚ド田舎零細国家が、10万の大軍なんて無理に決まってんだ」

南方司令「うまく隠してはいるが、大半がそうだな」

西方司令「見ろよ。あの周りを取り囲んでる連中。甲冑で顔を完全に隠してやがる」

南方司令「そして、あまり気配を感じないな」

西方司令「間違いねぇ……アンデッドだ。それも大量のな」

南方司令「どれも同タイプだな。もしや……」

西方司令「操ってるのは1人だ。どこかに身を隠して、遠隔操作してやがる」

南方司令「そいつをやれば、全員停止する、か」

西方司令「こんな前線にいるわけがねぇ。行くぞ、目標は敵の本拠だ」

南方司令「行くか」 ザザッ
721 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:51:00.36 ID:8VQCiNhIo
南方副司令「おいっ! あいつら突っ込んで行きやがったぞ!」

南方参謀「全く……何を考えてんのよっ」

西方参謀「がはは! しゃーねぇ。俺らも行くしかねーわなぁ……ヒック」

南方魔道長「どうした? 行くぞ」

南方弓長「私が狙撃した人は?」

南方副司令「死んだよ。遺体はそこだ。身なりからして恐らく南東の将だろうな」

南方弓長「……そう」 ザッザッ

南方参謀「気に病む事はないわよ。やらなければ貴女が狙撃されていただけの事」

南方弓長「そう……ね」 ザッ

南方副司令「それじゃ行くぞ。あの2人の背中を追って行け」

西方兵「掃討は?」

西方参謀「何か考えがあって突っ込んで行ったんだろ。必要はねぇさ……ヒック」

南方参謀「歩兵は後退して兵糧庫を防衛して頂戴っ」

南方副司令「進めぇーっ!!」
722 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:51:36.65 ID:8VQCiNhIo
 ドドオオオオォォォォ……

副司令官「まさか、こんな事になろうとはな。私に責任はない。断じてだ」

国軍兵「閣下! 前方に騎馬兵が……っ!」

副司令官「騎馬? 敵ではあるまい。一体……そうか、今頃になって騎士団の連中か!」

 パッカパッカパッカ

副司令官「貴様等っ、何をおめおめと後方で待機などしていたっ! 前線はほぼ壊滅的――」

――「それは済まなかったな。手続きや航路で思わぬ時間をくってしまってな」

副司令官「――――っ!?」

エリート「いかに総大将と言えど無礼であるぞ。口の聞き方に注意せよ!」

副司令官「ほ、本国……騎士団っ! 殿下……っ!!」

皇太子「構わぬ。それよりも戦況の報告だ。それと……」

 パッカパッカパッカ

皇太子「もう後退する必要はないぞ。反転し、南東国の猛攻を何が何でも防ぐのだ」

騎士団「おぉーっ!!」

エリート「殿下、それでは参りましょう」

皇太子「うむ。これより先、全権は私が執る。異論はないな?」

副司令官「……っ」

皇太子「進めぇ! まだ敗北したわけではないぞっ!」 ドドッ!!

騎士団長「戦後は楽しみにしている事だ。重責は免れんぞ」 パッカパッカパッカ

副司令官「……ぐ……っむ」 ギリギリッ
723 :一旦ここで切りまうす ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/10/11(木) 13:52:22.75 ID:8VQCiNhIo
 俄かにではあるが、戦場の空気は変わりつつあった。

 兵力差は依然、変わらぬものの、錦将軍と老将軍の死、次男らの南東国脱出、

 皇太子率いる援軍の到着、大軍師の単身、南東国への潜入、

 そして召喚士ら別働隊の捕縛。これらの小さな要因が重なって、 1つの道は確かに照らし出された。
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/11(木) 14:03:55.95 ID:aoYBlDWto
>>1
南方司令って片目なかったのか、あと錦も腕なくなったのか
人間同士が争ってるのみるとなんともいえない気分になるな・・・
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/10/11(木) 14:48:43.89 ID:ADoooXtio
腕なくなったどころか死んでるっつーの
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/11(木) 18:38:44.90 ID:YRKuSbQ1o
外伝って言ってるんだしパラレル的なものだろ
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/11(木) 20:40:08.31 ID:pJ+4IEFIO
おお…数週間前からゆっくり読み始めてまだ終わってなかったんだ!
いや、本編は終わってるか(笑)
でもリアルで書き込めるって嬉しいよ!
その後のみんなも見れてまだまだ面白いし、てか終わっちゃ嫌だああ
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/11(木) 22:05:57.88 ID:HWjDfPXEo
>>1乙!

南方司令はカコウトン役か?
自分の目玉喰うって凄まじいよね。
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/12(金) 02:06:46.27 ID:5TYPBvRIO
南方司令は夏侯惇だったのか
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/12(金) 13:55:29.35 ID:cnMDKGBIO
弓女と南方弓長はどっちが強いんだ?
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/10/12(金) 18:46:41.58 ID:BfWpyCGAO
可愛さでは弓使いの圧勝
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/15(月) 22:14:13.06 ID:UTdr3GLQo
これはパラレルってことでいいんだよね?
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/10/15(月) 22:41:26.61 ID:KhO75YJHo
魏vs蜀になるとどうしても魏サイドが悪者に見えてしまう・・
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/10/16(火) 22:01:00.65 ID:E/+RFUhAO
>>1おつ
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/10/17(水) 21:15:09.28 ID:gbg18c3Co
>>1

パラレルだったんだな。
語られてない部分だと思って、二人死んだことに驚いてしまった
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/10/20(土) 08:15:32.63 ID:d5eiY6sAO
たま〜の更新>>1乙んつんであります!
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/25(木) 18:36:51.52 ID:F/4jJCxDO
この話の世界は魔王倒せなかったのかな
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/10/26(金) 23:00:33.63 ID:+YO2sSYT0
待ってるぜ栗とリス野郎
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/10/30(火) 18:29:59.50 ID:1Dg261tho
この人はこういう仕事の人?
740 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/11/01(木) 15:34:53.55 ID:Plf2r3fvo
ご無沙汰ですのう。全然進んでないけどたまには投下!↓
741 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:35:36.64 ID:Plf2r3fvo
 コオオオオォォォォ……

天才「空気が変わった。テメー、このままだと負けるぜ?」

騎都尉「……」

天才「とは言っても、どーせ退くわきゃねーわな」

騎都尉「俺は、戦い続けねばならんのだ」

天才「大した覚悟だ。だがなぁ、俺様から言わせりゃー間違いだらけなんだよ」

騎都尉「……」

天才「井の中の蛙、大海を知らず。テメーんとこの格言じゃなかったっけか?」

騎都尉「知らんな」

天才「あ、そう。まぁとにかくだ、こんなチッポケな国の中に閉じこもってないで、外に出てみろってんだよ」

騎都尉「貴様……ぁ!! 侮辱するか!!」

天才「ハーッハッハ! 事実だ事実! テメーらなんも分かってねぇんだよ!」

 ガッキイイィィィィン!! グググッ

天才「テメーに信念があるのは分かる。お前の立場も分かってる」

騎都尉「……」

天才「だが、進むべき道が間違ってるんだよ。その道は行き止まりだ」

騎都尉「……」

天才「暗闇の中、僅かな光を求めて進んで行ったら、それは自分自身を映し出した鏡だったってわけだ」

騎都尉「……」

天才「行き止まりに立て掛けられた鏡。自分が手にする灯りが反射して生み出した光」

騎都尉「……」

天才「引き返そうにも、もう道は分からない。そこで野垂れ死ぬだけだ」

騎都尉「黙れ」

天才「行き着くところまで行っちまえば結果はそうなる。見えてんだ」

騎都尉「黙れ!!」

天才「今ならまだ引き返せる。テメーは説得出来る力も立場もあるんだからな」

騎都尉「黙れええぇぇぇぇ!!」 グアッ!!

天才「――っ」
742 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:36:29.83 ID:Plf2r3fvo
 ズッドオオオオォォォォン!! ググググッ

騎都尉「何があろうが長男様は……正義だ」

天才「……」

騎都尉「勝った者、生き残った者が正義! 力こそが正義なのだぁ!!」

天才「……バカヤローが」

騎都尉「……」

天才「テメーはその過信した力で、俺様を排除し、本国を排除し、そして……」

騎都尉「……」

天才「馬首返して、長男にまとわりつく連中を排除するつもりなんだろうけどよ……」

騎都尉「……」

天才「無理だな。テメーにそれは出来ねぇよ」

騎都尉「何?」

天才「テメーが言った通りさ。力こそ全て」

騎都尉「力で……劣るとでも言いたいのか!!」

天才「南東国に蔓延る魔物を侮るんじゃねぇ。テメーが考えてるモンなんかより、ずーっと上だ」

騎都尉「貴様、愚弄するか……っ!」

天才「事実だ。ま、それ以前にテメーは……」
743 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:36:58.30 ID:Plf2r3fvo
 ダァン!! ブワッ!!

騎都尉「――っ!?」

天才「この俺様に勝てねぇけどな! ハーッハッハ!!」

騎都尉「ぐっ、まだこれ程の力が……っ」

天才「もうこれ以上、時間をかけてらんねぇ。悪いが同じ土俵だと思うなよ」

 キュイイイイィィィィ……

騎都尉「魔法――」

天才「五行……聖」

 ゴアッ!! ガッカアアアアァァァァ!!

騎都尉「うぐ……ああああぁぁぁぁ――」

 ドッドオオオオォォォォ……

華国兵「な、何だ……今の、爆発は……っ」

天才「……」 シュウウゥゥゥゥ……

華国兵「き、騎都尉様……は?」

天才「どけ」 ザッザッザッ

華国兵「うっ」

天才「お前、赤兎っつったっけか?」 ザッ

赤兎「……」

天才「テメーの主はもういねぇ。ちょっくら俺様を乗せてってくれや」

赤兎「……ブルルッ」

天才「行先は東の街。南東国の本拠だ!」

赤兎「ブフゥーッ!!」 ガガッ
744 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:37:33.93 ID:Plf2r3fvo
 ドドッドドッドドッドドッ……

華国兵「嘘……だろ? 騎都尉様が……や、やられたってのかよ……っ」

 戦局は非常に不安定なものとなり、兵数で勝る南東国が士気も低く押し込まれ、

 逆に寡兵で挑む本国が士気旺盛に盛り返す動きとなっていた。

弓兵「お、おいっ!! あれ見ろあれっ!!」

魔道兵「……皇太子……殿下!?」

皇太子「勇敢なる本国の勇者達よっ、恐れるな! 決して負けはしないぞ!」 ガカァ!!

エリート「殿下を護衛しろ!」

騎士団「おおうっ!!」 ドドッ

国軍兵「援軍だ……っ、勝てる、この戦……勝てるぞ!」

左文官「たたっ、助かったぁ……!」

 ズドドオオオオォォォォ……

華国兵「なっ、なんだぁ!? 援軍……!?」

皇太子「進めぇ! 臆する事は何もないぞ!」

華国兵「ぐああっ!!」 ズガガッ

白馬騎士「……んっ!?」 ドドッドドッ

華国兵「将軍っ、本国が再び盛り返しているようですっ」

白馬騎士「ああ。それにあの戦闘を駆る将、身なりからして只者ではないようだな」

華国兵「大将でしょうか!?」

白馬騎士「分からぬが要人であるには変わりない。止めるぞ」

華国兵「はっ。弓隊、照射だ!!」

華弓兵「目標ぉーっ、本国の前線! 射てぇーっ!!」
745 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:38:03.99 ID:Plf2r3fvo
 バシュシュシュシュシュシュッ!!

皇太子「むっ?」

重装歩兵「させるかぁ!!」 ズガガガッ

皇太子「すまんっ」

重装歩兵「壁役は我らが。殿下は指揮を!」

皇太子「助かる。エリート、迂回して南東国領内に入るぞ」

エリート「外交問題の懸念はあるが大義はあるし、まぁ致し方なしか」 ガカッ

白馬騎士「やはりそう簡単に捕獲させてはくれぬか」 ドドッドドッ

皇太子「むっ、あれは敵の将か……?」 ドドッドドッ

白馬騎士「それにあの護衛、やはり大物のようだな」 ドドッドドッ

皇太子「さて、どうするかな」 ドドッドドッ
746 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:38:32.66 ID:Plf2r3fvo
 ドドオオォォォォ…… パッカパッカパッカ

白馬騎士「名のある方とお見受けするが」

皇太子「貴公こそ。まずは名を名乗って貰いたいものだな」

白馬騎士「これは失礼。華国五虎将軍が1人、白馬騎士と申す」

皇太子「本国国王が長男、皇太子である」

白馬騎士「――――っ!!」

エリート「殿下っ! お退がり下され!」 ドドッドドッ

皇太子「構わん。何やらこの白馬騎士殿、私と話をしたいらしい」

エリート「……?」 ドドォ……パッカパッカ

白馬騎士「本国の皇子でありましたか。これは大変、失礼致しました」

皇太子「貴公からは攻撃意思のようなものを感じない。私に何を語るつもりか?」

白馬騎士「今は、ですが」

エリート「……」 スッ クイクイッ

白馬騎士「警戒なさらずともご安心を。それならば武具を此処に置きましょう」 ガシャッ

エリート「……戻れ」

重装歩兵「……っ」 スッ

白馬騎士「つい先ほど、そちらの隠密部隊と鉢合わせましてね」

皇太子「隠密?」

エリート「おそらく特遊の事でしょう」
747 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:39:06.42 ID:Plf2r3fvo
白馬騎士「実はその隠密部隊に、此方の要人を攫われましたね」

皇太子「何っ?」

白馬騎士「とは申しても、当の本人もその意思があったようで、一概に良し悪しは申せませんが」

エリート「どういう事だ?」

白馬騎士「要人とは華国第2継承皇子、次男様」

皇太子「っ!!」

白馬騎士「次男様は本国の大将と話し、この戦を正しき方向へ導くと考えておいでです」

エリート「それで……特遊に従い、本国へ?」

白馬騎士「お願いします。どうか、次男様と会って……話をして頂けませぬかっ?」

皇太子「……」

白馬騎士「本国の殿下である貴方様ならば……っ」

皇太子「……願ってもない話だ。是非、次男殿と面会しよう」

エリート「宜しいのですか?」

皇太子「この戦いは既に私が大将。他社に権限はない」 ザッ

白馬騎士「有難う御座りまする……っ」

皇太子「では互いに、ここは兵を退くと言う事で宜しいか?」

白馬騎士「無論で御座います。『我ら』は兵を国境より退くと致しましょう」

エリート「棘のある言い方だな」

白馬騎士「いえ。そういう意味ではありません」
748 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:39:33.12 ID:Plf2r3fvo
皇太子「エリート、君こそ少し不躾ではないのか?」

エリート「……」

白馬騎士「兵を撤退させる。分かれ道まで後退するぞ」

華国兵「は、ははぁ!!」 ザザッ

白馬騎士「それではこれにて」 パッカパッカ

皇太子「次男殿の身柄も含め、必ずや貴公の望むものとしよう」

白馬騎士「期待しております」 ドドッドドッドドッ……

エリート「殿下、どうなさるおつもりで?」

皇太子「とにかく会ってみるさ」

エリート「罠かもしれませんよ?」

皇太子「白馬将軍、あの男からは怒りや憎しみのようなものを感じなかった」

エリート「……?」

皇太子「あるのは哀しみ。誰も望まぬ戦い。それが純粋な気持ちなのだろう」

エリート「だから信じると?」

皇太子「争う事はいつでも出来る。信じるくらい良いだろう?」

エリート「……我らも同伴致しますよ」

皇太子「心配性だなお前は。まあ、それが仕事なのだろうけれどな。はははっ」

重装歩兵「反転っ! 本陣にて南東国の客人を出迎えるぞ!」

騎士団「進めぇ!!」 ドドッドドッ……
749 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:41:30.28 ID:Plf2r3fvo
エリート「……」

皇太子「どうした? まだ何か心配事か?」

エリート「いえ、白馬騎士の言った言葉が少し引っ掛かりまして」

皇太子「どういう事だ?」

エリート「先程、『我ら』は兵を国境より退く、と申しておりました」

皇太子「根深い奴だな。まだ気にしているのか」

エリート「違います。あの時は皮肉かと思いましたが、改めて考えてみれば言い回しが妙でした」

皇太子「つまり?」

エリート「彼の言う『我ら』とは、一体なんなのでしょうか」

皇太子「それは君も言ってただろう。本国の事ではないのか」

エリート「私も最初はそう思いましたが、わざわざ『我ら』とした理由……」

皇太子「本国でもなく南東国でもない……となると」

エリート「考え得るは1つ。魔王軍です」

皇太子「確かに報告によれば、南東国の兵力は明らかに過多」

エリート「察するに彼がわざわざ強調すると言う事は、かなりの数が居ると見て宜しいかと」

皇太子「しかも自分達では動きようがない、と言う事にもなるか」

エリート「どうします? 引き返しますか?」

皇太子「……次男殿を迎え入れねばならぬ。それが私の出来る役目であろう」

エリート「……」

皇太子「ん? どうした?」

エリート「いや、見直しました」

皇太子「ただ前に出るだけでは猪も同然だ。私とてそこまで愚か者ではないさ」

エリート「失礼致しました。既に別働隊も動いているようですし、魔王軍の殲滅は彼らに委ねましょう」

皇太子「ああ、そうしよう」 ドドッドドッドドッ……
750 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:42:42.00 ID:Plf2r3fvo
 白馬騎士率いる正規の華国軍は、次男の本国行きと皇太子への遭遇により、

 速やかに分かれ道へと撤退を始めていった。そして戦場に居残る無言の甲冑。

南方副司令「何だ? 敵の指揮系統が急に途絶えたような感じだな」

南方参謀「……これはひょっとして」

 ズシャアアアァァァァ!!

西方司令「どおおぉぉけどけどけどけどけぇ!! そしてえぇ死ねええぇぇぇぇ!!」

 ドッゴガアアアアァァァァ!!

西方司令「やっぱりな! 今の感じは間違いねぇ」

南方司令「ああ。中身は空だ。これはアンデッド、魔王軍で間違いない」

西方司令「だったら思い切ってぶっ殺せるぜぇ!! ひゃっはああぁぁぁぁ!!」 ゴアッ!!

西方参謀「相手が何だろうが敵でありゃあ、いっつも同じじゃねぇかよ……ヒック」

南方魔道長「ま、お陰で道が出来上がってる。真っ直ぐ進むだけだな」

南方弓長「くっ、馬上じゃ狙いがうまく定まらない……っ」

南方魔道長「お前が手本にならんと、後ろの連中はもっとてこずるぞ?」

南方弓長「分かってるわよっ!」 バシュッ

 既に南東国深くへと入り込んだとみられる天才を追い、南方司令、西方司令の両名が追従する。

 更にはその2人を必死で、南方司令軍、西方司令軍の精鋭が追従する。

 各人は速度重視の為、騎馬に跨り、それは弓兵や魔道兵も同様であった。
751 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:43:53.50 ID:Plf2r3fvo
南方兵「おいっ、急げ!」

魔道兵「そ、そうは言ってもだな……っ。馬なんて滅多に乗らないし」

弓兵「ましてや騎射なんて、俺らのレベルじゃ困難極まりないぜ……っ」

――「ゆっくりでいい! 前線の援護は俺らが担う!」

弓兵「!?」

 バシュウウウウゥゥゥゥ……

青龍士官「こちとら偵察と待機命令でウンザリしてるんだ。暴れてやるっ!」

南方兵「あれはっ、青龍隊か!」

西方兵「あっちにも……! すげぇ数だ!」

青年兵「やはり、あれは人間ではありませんね」

青龍先生「そうじゃな。アンデッドならば動きも読みやすいわい」 ノソッ

青年兵(先生が動くのか。と、言うことは……)

青龍先生「一撃で葬り去ってくれるようぞ。出でよ、バハムート」

青年兵「やはりっ、青龍最強の召喚獣……バハムートか!」

 シュイイィィィィン……ドドドドドドドド……

青龍先生「どれ、軽く捻ってやるかのぉ。ひょっひょ!」

バハムート「ゴガアアアアァァァァーッ!!」

 キュイイイイィィィィ……ドッゴアオオオオォォォォン!!
752 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:44:42.56 ID:Plf2r3fvo
南方司令「何だっ!? 後方から――」

西方司令「ちぃっ!!」 ババッ

 バッシュウウウウゥゥゥゥ!!

華国兵「――――ッ」 ジュッ!!

西方司令「バハムート……か。あんのクソジジイ、味方まで殺るつもりかっつーの! 死ね!」

南方司令「我らならば避けられるという判断の上だろう。行くぞっ」

西方司令「殺す殺す殺す!! っつーか早く死ね!!」 タタッ

 オオオオォォォォ……

青龍先生「さーて、これで道は拓けたじゃろ……ごほごほっ」

青年兵「青龍先生っ!!」

青龍先生「大丈夫じゃよ。ほれ青年兵、お主も行け」

青年兵「……分かりました。誰か、先生の護衛を!」 ザッ

 ドドオオオオォォォォ……

白虎長「ほら、こっちも青龍に負けてられないわよぉ!」

白虎兵「おおうっ!! 突撃だ!!」 ゴアッ!!

南方参謀「いいカンジに士気も上がってきたわねっ」

南方副司令「ああ。このまま押し切る事が出来れば楽なんだがな」
753 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:45:40.54 ID:Plf2r3fvo
 華国主力の撤退により召喚隊が攻撃に転じる事が出来たこの状況、

 ようやく本国側にとって反撃の機会が巡ってきた頃、南東国、東の街では……。

弟者「さぁ、大人しくしてろよっ!」 ブンッ

召喚士「ぐっ」 ドサッ

 ガシャアアァァァァン!!

兄者「今しばらく此処に居る事だ。なぁに、死罪と言うわけではない。少々、息苦しかろうが我慢してくれ」

 スタスタスタ……

戦士「息苦しいも何も、これってどう見ても牢獄だよな」

隊長「まぁ仕方ないだろ。こうなっちまったモンはよ」 スタスタスタ

魔道士「……?」

隊長「……何の変哲もない、普通の作りだな」 チョンチョン

女隊員「力任せに曲げられるかもッスね」

隊長「いくらお前が馬鹿力だからといって、そりゃ無茶な話だろ」

魔道士「武器も全部、取り上げられちゃいましたしね……」

盗賊「……だが……魔法なら」

隊長「ああ。どうもこの国にゃ、魔法って概念が乏しいらしいな」

召喚士「俺の召喚獣でもいけそうですね」

戦士「んじゃ、強行突破か?」

隊長「それも策の1つだが、少し様子見といこうじゃねぇか」

戦士「何?」

隊長「この状況をどう見るかって事だよ。牢に捕まり最大のピンチと見るか……」

召喚士「敵の本拠地に潜り込んだと見るか……」

隊長「そういうこった。とにかく今は俺達しかいねぇ。本隊の動きを少し待つとしよう」

戦士「悠長だなおい」

隊長「焦って動いてしくじっても仕方ねぇ。このチャンス、逃す手はねぇだろ」

戦士「……まぁ、な」
754 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:46:16.13 ID:Plf2r3fvo
 カツカツカツカツ……

女剣士「誰か来るぞ」

弓将軍「貴様等が本国から潜り込んできた鼠か」

隊長「そういうアンタは?」

弓将軍「私の事などどうでも良い。さて、まずは問おう。何が狙いだ?」

召喚士「……」

弓将軍「少人数で華国へ潜入し、何をするつもりだったのかと聞いておるのだ」

隊長「別に。ただの観光さ」

弓将軍「そうか。ならば北に居た本国の軍隊は無関係というわけか」

戦士「て……っめ、奴らをどうした!!」

弓将軍「フッフッフ。残念ながら……全員死んだよ」

召喚士「――――っ!!」

弓将軍「ワーッハッハッハ!! 分かりやすい連中だ! どうやら素人が紛れ込んでおるようだ」

魔道士「……っ」

弓将軍「表情で出ておる。それでは北の軍隊と関係あると言っているも同然だぞ?」

召喚士「くっ」

弓将軍「それにそこの男。奴らをどうしたなどと、あたかも知っているような素振り」

戦士「っ!!」

弓将軍「つまり貴様等はあの隊の存在を知っていた。さしずめ内偵か暗殺と言ったところか」

隊長「……どうりで合流地点に目印もなけりゃ誰もいねぇはずだぜ」

弓将軍「浅はかだったな。我等を甘く見た報いだ」

隊長「違うな。南東国なんざハナっから相手にしてねぇんだよ。俺らの狙いは黒幕、魔王軍だよ」

弓将軍「……フン、その魔王軍でさえ今では我等の言いなりなのだ。図に乗るなよ蛮族共が!」
755 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:47:14.74 ID:Plf2r3fvo
 ガシャアアァァァァン!!

弓将軍「おい、連れて来い」

華国兵「……」 カツカツカツ

召喚士「……?」

女剣士「気を付けろよ、何かしてくるかもしれん」

戦士「おう」

 カツカツカツ……コツ

弓将軍「この2人に見覚えはあるか?」

盗賊「――――っ!!」

戦士「見るなっ!!」 バッ

魔道士「……う……い、今の……は」

弓将軍「やはりこれも貴様等の仲間か。なぁに、案ずるな」

召喚士「そ……んな……そんな……嘘……だっ!!」

弓将軍「死んではおらぬ。それに貴様等もすぐに、同じ様な目に遭う事となろうぞ。ワーッハッハッハ!!」

召喚士「剣士さんっ!! 弓使いさん……っ!!」

剣士「…………」
弓使い「…………」

女隊員「ひどい……っ」

弓将軍「クハハッ、ワーッハッハッハ!! さぁ、誰から仲間になりたい? んん?」

戦士「……止めるなよ。あの2人は赤の他人じゃねぇんだ」 ザッザッ

隊長「俺にも責任がある。止めたりなんぞするものか」

弓将軍「ん?」

盗賊「……身体検査はもう少し……隅々までする事だな」 ズララッ

女剣士「クナイか。まぁ素手よりはマシだな」 パシッ

女隊員「そうッスね!!」 パシッ

戦士「魔道士ぃ!! 援護だ!!」 バッ!!

魔道士「は、はいっ!」

召喚士「お前は絶対に……許せない……」

弓将軍「くっ、こ……こいつ等!!」
756 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:47:46.70 ID:Plf2r3fvo
 ゴゴゴゴゴゴ……

召喚士「行けぇーっ!! コカトリス!!」

 シュイイィィィィン……ゴッガアアァァ!!

弓将軍「何ぃーっ!?」

 盗賊が着衣の布を捲し上げると、スラリと伸びたやや肉付きの良い、白く透き通った太腿が露わとなった。

 その片方に結び付けられている紐には、幾つかのクナイが仕込まれていた。

 盗賊はそのクナイを各自に1本ずつ配り終えると着衣の乱れを整え、深呼吸を1つした。

 直後、轟音と共に牢獄の檻が粉々に砕け散り、埃と白い煙が立ち込めた。コカトリスの一撃だ。

 石と化し、一瞬で砕け散った檻から、戦士、盗賊、女剣士、女隊員が一斉に飛び出す。

女剣士「はぁーっ!!」

戦士「おらぁぁーっ!!」 ババッ

 更には魔道士が、各人が手に持つクナイめがけ、付加の魔法を放った。

魔道士「やぁーっ!」 ドドオォン!!

弓将軍「ぬっ!?」

 白煙立ち込める中、2本のクナイが人影に突き刺さる。白煙が取り除かれ、人影が姿を見せた。

華国兵「…………」 ズググッ

戦士「ちっ」

女剣士「そっちだ!」
757 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:48:35.66 ID:Plf2r3fvo
 弓将軍を庇い、盾となった華国兵を押しのけ、女剣士が叫んだ。

盗賊「はぁっ!」

女隊員「逃がさないッスよ!」 ズアッ

 ドズズッ!!

華国兵「……ウゥ」

女隊員「またっ!?」

弓将軍「馬鹿め、そう簡単にやられ――」

隊長「ナメんじゃねぇ!!」 ブオッ

 剣士と弓使いを引き摺っていた兵は2名。その2名は既に盾となり床に倒れていた。

 つまり、弓将軍を守るべき兵はもう居ない。隊長の遥かに大きな土行が弓将軍を直接、襲う。

 ドッドオオオオォォォォン!! ゴッガアアァァァァ!!

弓将軍「――――!!」

隊長「まだ死ねると思うなよ。てめぇにも同等の……いや、それ以上の苦痛を与えてやる」

召喚士(す……凄い、流石は本国特遊の隊長クラスだ……っ)

 ゴゴゴゴゴゴ……

弟者「ん? 何の揺れだ?」

兄者「……地下、牢獄かっ!」 ザッ

弟者「まさか……っ」 ダッ!!

兄者(脱走? いや、そんな素振りは無かった。一体何が……)
758 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:49:13.00 ID:Plf2r3fvo
 ゴゴオオォォォォ……

夫人「……ん? 何の騒ぎかの?」

長男「……」

夫人「金角〜。銀角〜」

金角「はっ」
銀角「はっ」 シュタッ

夫人「何の騒ぎかしら?」

金角「さて、我らには見当もつきませぬ」

銀角「調べて参りましょう。しばしお待ちを」

夫人「ふむ。頼むのじゃ♪」

 シュバッ

夫人「うふっ、鼠でも紛れ込んだかのぅ♪」

長男「夫人」

夫人「うふんっ。今、行くのじゃっ♪」 スッ
759 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:50:23.23 ID:Plf2r3fvo
 ドドオオォォォォ……

戦士「やった……か?」

盗賊「……いや……まだだ」

弓将軍「ぐ……っく」 ボタボタッ

隊長「しぶてぇヤローだ」

弓将軍「な、なめるなぁ!!」 ドドオオォォン!!

召喚士「こ、これは……風魔法!?」

隊長「魔法が使えないわけじゃねぇ。軽視してるだけだ」

女剣士「中にはうまく使いこなす奴も存在するというわけかっ」 バッ

弓将軍「多勢に無勢とはこの事。一旦、退かせてもらおう」 ドドオオォォン!!

隊長「逃がすなっ! 追え!!」

戦士「当たり前だ!!」 バッ

女隊員「おおぉぉぉぉ!!」 ババッ

弓将軍「ッ!?」

女剣士「逃げ場はない。これで終わりだ」

盗賊「!? 避けろっ!!」 ピクッ

女隊員「えっ?」
760 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:51:45.74 ID:Plf2r3fvo
 ドッゴオオオオォォォォン!!

女剣士「くっ」

戦士「な、なんだ――」

 ゴトッ ザッザッザッ

兄者「この騒ぎは一体なんだ!」

弟者「まさかお前ら……脱走しようってんじゃねぇだろうなぁ?」 ギロリ

戦士「はぁ!? フザけんなよ! 俺達はなぁ――」

弓将軍「たっ、助けてくれっ。こいつ等、脱走する気だ!」

戦士「て……んめぇ!!」 ギリッ

弟者「動くんじゃねぇ!!」

戦士「!?」

弟者「こっから先はこの弟者様が一歩も通さねぇ」 ザッ

兄者「今のうちに行くのだ」

弓将軍「……っ」 ダッ

魔道士「あっ!」

召喚士「くそっ、逃げる気か……っ」

弟者「てめぇらの相手は俺だ。さぁ、かかってきな!!」
761 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:53:12.11 ID:Plf2r3fvo
 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

女隊員「隊長っ」

隊長「……ちっ、めんどくせぇ」

召喚士「俺達は脱走するつもりなんかありませんっ!」

弟者「うるせぇ!!」

召喚士「本当なんです! でも、あいつだけは……許せない!!」

隊長「無駄だ。こんな状況で信じるわけがねぇ」

召喚士「……っ」

弟者「既のところ悪いが人数はそっちが上。こっちは武器を遣わせて貰うぜ」 ガシャッ

盗賊「……戦士」

戦士「分かってる。俺が盾になるからお前はみんなを逃がしてくれ」

弟者「さぁ、覚悟はいいかぁ? まずはてめぇだ」

戦士「望むところだ!」

弟者「その根性だけは称えてやらぁ!! 覚悟――」 ブオッ

兄者「待てい!!」

弟者「――!?」 ビタァ!!

召喚士「……?」

弟者「兄者よ、なぜ止める?」

兄者「……それは何だ?」
762 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:54:45.90 ID:Plf2r3fvo
魔道士「えっ?」

兄者「そこに横たわる……者はなんだと聞いている……っ」

女隊員「……っ」

戦士「……仲間だよ」

弟者「あ?」

召喚士「さっきの奴にやられたっ!! 俺達の大切な仲間なんだ!!」

弟者「……お、おいっ。その2人ってのは確か捕虜の」

兄者「何という事だ……っ、何故……こんな姿に……」

隊長「落ち着いたところで聞いて貰いたい」

弟者「あぁ!?」

兄者「待て弟者。内容によってはこの場で始末する事になるぞ」 ジャキッ

隊長「さっき逃げた将官がな、どうもこの2人に手を加えたらしい」

兄者「……」

隊長「んで、俺らも同じ目に遭わせようとしたところを、このザマってわけだ」

弟者「嘘をつくんじゃねぇ!!」

戦士「嘘なもんかよっ!! お前には見えねーのか!? この2人が!!」

弟者「……しかしだなっ、弓将軍がこんな本当に真似を?」

女剣士「じゃあ誰がやると言うのだ? 私らか? 何の得がある?」
763 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:55:50.21 ID:Plf2r3fvo
兄者「確かにこの者らの言う通りではある」

弟者「あ、兄者……っ」

召喚士「いいから早くっ、この2人を助けてやって下さい!!」

弟者「兄者ぁ!!」

兄者「……行け」

弟者「!?」

兄者「いくら敵とは言え、この状況は見捨てておけぬ」

弟者「……っ」

戦士「早くしろ!!」

弟者「……行けぇ!!」 ザンッ

隊長「行くぞ。女隊員とアンタは2人を担いで場外へ向かってくれ」

女隊員「了解ッス!!」

女剣士「医者は?」

兄者「街外れの南に、名医が住んでいる。そこへ向かうと良い」

女剣士「よし、行くぞ」 ダッ
764 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:57:04.44 ID:Plf2r3fvo
兄者「行って良いのはその2人だけだ」

戦士「何!?」

兄者「通すのはあくまで、あの2人を救う為だ。お主等の為ではない」

召喚士「……っ」

弟者「お前らは目的があってここへ潜り込んできた。そう易々と逃がすかよ」

召喚士「……あなた達は!!」

弟者「……?」

召喚士「あなた達は、どうして見過ごしているんだ!」

弟者「は?」

召喚士「どうしてこんな真似を見過ごしていると言ってるんだ!」

兄者「我等とてこのような所業は初めてだ。知り得ぬ事よ」

召喚士「魔物と手を組んでいるんだ! そのくらい分かるだろ!」

隊長「落ち着け」

召喚士「なんでっ、なんで剣士さん達があんな目に……っ」

隊長「落ち着けと言っている!!」

召喚士「!?」
765 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 15:59:02.94 ID:Plf2r3fvo
隊長「過ぎた事はもういい。とにかく今は、次なんだ」

魔道士「……うぅ」

隊長「だがコイツの言う通りだ。アンタら、考えが甘すぎるんだよ」

兄者「……」

隊長「魔物と、魔王軍と組むってのがどういう事か理解――」

 ザッザッザッ

盗賊「!?」

金角「なんの騒ぎだ」

銀角「何を戯れておる?」

召喚士「っ!?」

弟者「おめぇら、確か金角銀角とか言ったっけか?」

金角「なんの騒ぎかと聞いておるのですが」

銀角「おやおや、その者達は罪人ではないですか。脱獄するつもりでしたか」

金角「しかし残念だったな。我らと兄者殿、弟者殿に囲まれては手詰まり」

銀角「覚悟を決めて大人しくする事ですな」

召喚士「お前らの仕業か……」

金角「ん?」

召喚士「お前らが剣士さんと弓使いさんをっ!!」

銀角「何だそれは?」

召喚士「とぼけるなぁ!!」 ザシャッ
766 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 16:01:05.75 ID:Plf2r3fvo
金角「おお怖い怖い。何やらよく分からぬが、どうやら恨まれておるらしい」

銀角「面倒だ。瓢箪を使うまでもなく始末してくれようか」

兄者「待て。お主等に聞きたい事がある」

金角「……?」

兄者「この者等よりも前に捉えた男女の捕虜が居たであろう?」

銀角「男女の? ああ、おりましたな」

兄者「あの2人に何か手を下したのか?」

金角「いいえ。つい先刻まで、我らは城外にて活動しておりましたから」

銀角「あの2人は確か、弓将軍殿に託したはずですが」

隊長「城外……てめぇらまさか」

金角「数が多くてな。なかなか骨が折れたわい」

銀角「ま、西の街は手引きがあって楽だったがなぁ」

金角「おい銀角、余計な事を口走るな」

銀角「おっとそうであった。まぁどうせ知ったところで死にゆくのだ。問題はなかろうて」

隊長「別働隊の連中を……っ」

金角「何か策を用いての事であろうが、たかが痴れておるわ」

隊長「ここは俺が何とかする。お前らはさっきの弓将軍とか言う奴を追え」
767 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 16:03:27.85 ID:Plf2r3fvo
召喚士「!?」

隊長「そこに必ず、黒幕がいるはずだ!」

魔道士「でっ、でも……!」

戦士「行くぞ! この人は国軍のエリートなんだ。俺らなんかよりよっぽど強い」

盗賊「……」 バッ

金角「馬鹿めが。人数はほぼ互角、質の上で勝目はないぞ!」

銀角「そう簡単にすすめると思うでない」

召喚士「お願いだから、通してくれ!」

弟者「……」

兄者「……」

召喚士「人間である、あなたたちとは戦いたくないんだっ!」

弟者「……」

兄者「……」

召喚士「頼む――」

魔道士「召喚士さんっ! 後ろ!!」

召喚士「!?」

金角「ハッハッハッハッハ!」

隊長「させるかよ」 ババッ

銀角「貴様の相手はこの銀角様だぞ」

隊長「ちぃっ」

盗賊「はぁーっ!」

戦士「っりゃああぁぁ!!」
768 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 16:04:35.60 ID:Plf2r3fvo
 ドガァ!! シュウウゥゥゥゥ……

銀角「武器も無しに、片腹痛いわッ!」 ゴアッ!!

戦士「ぐはっ!」 ドシャッ

隊長「立てっ! あっちの2人に合流して、早くここから離れろ!」

盗賊「……っ」

隊長「早く!!」

戦士「く……っそぉ!」 ダッ

銀角「金角、其方へ行ったぞ」

金角「一点集中で突破か? 馬鹿め。4人がかりであろうと雑魚は雑魚!」

召喚士「行けっ! コカトリス!!」 シュイイィィィィン

金角「!?」

コカトリス「はあぁーっ!!」 ゴアッ!!

金角「召喚獣? 何か危うい香りがするな。ここは無理せず回避させて貰おうか」 ススッ

召喚士「なっ!?」

魔道士「は、早いっ!!」

 ドッゴアアァァァァ!!

金角「ほぉ、石化とは面白い。しかし回避して良かったというものだ」 ザッ

召喚士「くそ……っ」

金角「良いものを見せて貰った礼をしなくてはな」

召喚士「――っ!!」
769 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 16:07:30.17 ID:Plf2r3fvo
 ドゴォ!! ズザザザアアァァ……

召喚士「か……はっ」

金角「兄者殿、その足元に転がった塵に止めを」

兄者「……」

召喚士「う……ぐぅ」

兄者「お主は何故、そこまでして戦う?」

召喚士「……そんな事っ、決まってるじゃないか」 ヨロッ

兄者「祖国を守る為か?」

召喚士「それもあるけど、そんな単純な事じゃない」

兄者「……」

召喚士「守るべきものは、目に見えるものだけじゃないんだ……っ」

兄者「――っ!!」

召喚士「それにずっと守ってたって、何も変わらない」

兄者「……っ」

召喚士「俺は1人で何かできる力なんて持ってない。だから、小さな事から積み重ねてくさ……」

兄者「……」

召喚士「でも、みんながそれを……小さな事でもみんなが少しずつやってけば、力になるんだ!!」

隊長「若造の言う通りだ。人間ってのはそういうもんだ」
770 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 16:09:54.52 ID:Plf2r3fvo
銀角「……ゴチャゴチャと」

隊長「魔物には持ち合わせてねぇ心だ。守るとかそういうもんはな、人間の持つ特権だ」

銀角「ゴチャゴチャと遠吠えをッ!」 バッ

隊長「邪魔はさせねぇ!」

金角「ええいッ、何をしているか! 早く始末せい!」

兄者「我等は間違っていたというのか? いや、断じてそのような事は……」

召喚士「間違ってはいない。でも……本当に正しいと言えますかっ!?」

弟者「てめぇ、俺らに口出ししようってのか!」

召喚士「あなた達は小さくない! 大きな力を持っている! なのに……っ」

兄者「……」

召喚士「どうしてもっと大きな事に目を向けられないんですかっ!!」

弟者「てめぇ――」

兄者「待て弟者。大きな事とは?」

召喚士「……世界を平和です。この大地の、全ての人間が争いなく暮らせる。そんな平和です」

兄者「――――っ!!」
771 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 16:11:26.17 ID:Plf2r3fvo
隊長「俺らの目的はな、アンタらを救う事じゃねぇ。ましてや南東国を救う事でもねぇ」

弟者「……っ」

隊長「全てはこの地上の為。人間の為。魔物の脅威から人々を救い、解放する為だ」

弟者「知った口を……っ」

隊長「おたくらだって分かってるはずなんだ。いや、分かってんだろ? 本当の敵がなんなのかよ」

兄者「……」

隊長「分かってるよ。あんたらの主は真意じゃねぇ。ちょっと魔物に洗脳されちまっただけさ」

兄者「長男様は……」

隊長「でもなぁ、いくらそいつらがお利口だからって、言いなりになっちまうのは過ちだよ」

弟者「言いなりだとぉ?」

隊長「そうさ。あんたらはまんまと魔物の言いなりになって、俺らと揉め事起こしてるんだろ?」

弟者「何ぃ!?」

隊長「お前の主が魔物のいう事を妄信し、お前らはこの国を見限り、出奔した」

兄者「……」

隊長「だが、存亡の危機を知り駆けつけ、再びこの国の将として戦っている」

兄者「そうだな」

隊長「敵は俺らか? 違うだろ。もう気付いたはずだ。これが全て罠だったってな」

弟者「ぐ……っ」
772 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 16:12:26.70 ID:Plf2r3fvo
隊長「この国の主もそうさ。魔物に洗脳されて、過ちを犯してるんだ」

兄者「……」

隊長「あんたらが口出しできねぇのは分かってる。だがな、本当に国や主の事を思うならば……」

弟者「……っ」

隊長「正しい道へ導いてやるのがお前らの役目ってもんだろうが!!」

兄者「……弟者」

弟者「兄者、俺ぁ馬鹿だ。頭も悪いし難しいことは考えたくもねぇ」

兄者「……」

弟者「だがなぁ、言ってんだ。俺の心の奥底でよ、俺の勘が言ってんだよ……っ」

兄者「確かにな。だがお前の勘はそれを遥かに凌駕する。洞察力に裏付けされた直感というものだ」

弟者「通れぇ!! 俺が……許す!!」

召喚士「!?」

戦士「召喚士、行くぞ!」

召喚士「う、うん……っ。隊長さん、すみません!」

隊長「頼むぞ! 俺もすぐに行く」
773 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 16:13:09.18 ID:Plf2r3fvo
金角「貴様等ァ、裏切るつもりか」

弟者「裏切る? フザけんじゃあねーぞ」

兄者「我等は貴様の部下や仲間になった覚えなど毛頭ない」

銀角「ヌウゥ」

兄者「最初から変わらず、華国の為に死力を尽くす、華国の人間だ!」

弟者「アイツらの目は透き通ってたなぁ」

金角「おのれ、ならばまとめて始末してくれる。裏切り者としてな!」 バッ

弟者「あんな目をした連中に、長男様は殺れねぇよ。悪党の目じゃねぇんだ」

銀角「金角、一気に決めるぞ」 ゴウッ

隊長「いったぞ!」

金角「オオォォ!!」

銀角「死して主に詫びよ。フハハハ――」

兄者「はあぁーっ!!」 ブオンッ!!

弟者「でっりゃああああぁぁぁぁ!!」

 ドッグオオオオォォォォン!!

金角「――――!?」

銀角「ゴハァーッ!」 ドシャッ

弟者「ナメんなよ? 華国の五虎将ってのはよ、最強の証なんだ」

兄者「我が青龍偃月刀の錆にしてくれよう」 ジャキッ

金角「あの得物、どうやら特殊な物のようだな」

銀角「ああ。魔法もなしに直接、我等に傷を付けるとは……ッ」 ヨロッ
774 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/01(木) 16:14:13.16 ID:Plf2r3fvo
弟者「うりゃああぁぁぁぁ!!」

金角「銀角ッ」

銀角「甘いわ!」

隊長「甘いのはてめぇだ!」 ドドオオォォォォン!!

金角「土の壁!?」

銀角「分断されたか……ッ」

兄者「隙あり!!」

弟者「逃がさねぇぞ!!」 ズッギャアアァァァァ!!

金角「ガハァ……ッ!」

銀角「グッ、おのれ……ぇ」

隊長「強い……っ、まさかこれ程とは思わなかったぜ」

弟者「さぁ、もう終いか? なら兄者、一気にとどめを刺してやろうじゃねぇか」 ジャキッ

兄者「ああ、そうだな。さっさとこやつ等の相手を終えて、長男様の元へ行かねばならん」 ザッ
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/11/01(木) 16:15:40.33 ID:Plf2r3fvo
ここまで。中途半端でゴメン…というか、
なんか深く考えないで書いてたらゴチャゴチャ長くなっちゃいました(´・ω・`)
さっさと切り上げて終わりにしますね!ごめんなさい!それではまた!ノシ
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/11/01(木) 17:15:14.83 ID:Mb+AaZJVo
いちおつ
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/11/01(木) 20:10:29.59 ID:UscoNtMAo
?!!
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/11/01(木) 20:28:02.06 ID:cvIZohaAO
いちおつ
剣&弓はまさかダルマ?

外伝を書くなら4人の子供か子孫の話も見てみたいな
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/11/01(木) 20:49:02.35 ID:Xj4J8bh2o
>>1

剣士たちまで死んだのかと思ったらまだ生きてたんだな
てか、久しぶりの更新ありがたや
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/01(木) 23:00:16.61 ID:8u2FMYaDO
おつんぽ!

>>1の好きなように書けばいいさ(^パ^)ノヴァ
781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/02(金) 00:00:33.90 ID:mEJ8YQfho

弓将軍死んだはずじゃと思ったら死んだのは老将軍だった
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/11/02(金) 01:37:19.27 ID:8QQJG4CAO
>>1おつ

パラレルもなかなか面白いな
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/02(金) 23:23:09.67 ID:itPUeOZSO
久々の>>1乙!

パラレルなのかサタンの記憶なのか本編はあくまでフィクションで実際はこんなだったよー的な歴史の裏話的なアレなのかとか妄想が止まらない
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/11/05(月) 02:25:59.13 ID:T7cLHfHAO
弓使いちゃんぺろぺろ
785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/06(火) 19:57:17.19 ID:/3b9zrRDO
達磨はねーよ
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/11/08(木) 08:59:26.30 ID:txrYxcIAO
>>1ちゃんペロペロ
787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/11/08(木) 10:35:51.91 ID:gvSlFy2Io
ノベライズと聞いて
788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/11/14(水) 21:52:56.56 ID:KAyFsNbM0
達磨はありだろ
789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/11/15(木) 01:51:49.48 ID:Dp+bXwfAO
表現と演出の内だからありだとは思うが
人を選ぶ物ではあるな
790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/11/16(金) 01:34:48.06 ID:H8y3SB11o
>>1

おまえらなんの話支店だ?
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/11/22(木) 01:18:39.03 ID:dwhELDrAO
たしか>>1の書き込みが一ヶ月ないとスレ落とされなかったっけか
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/11/22(木) 17:04:04.31 ID:iG/PpWwAo
それではあまり進んでおりませんが投下しときますか!↓続き
793 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:04:46.64 ID:iG/PpWwAo


国軍兵「ご苦労様でありますっ!!」

皇太子「うむ。本陣の首尾は?」

国軍兵「大半の兵は離れ、今は志願兵を中心に布陣しております」

皇太子「それで良い。客人などはないか?」

国軍兵「客人……でございますか?」

エリート「特遊のの者が案内人となっているはずだ。発見次第、すぐここへ連れてきたまえ」

国軍兵「は、はいっ!!」

皇太子「待て、その必要はなさそうだ」

エリート「!?」

皇太子「君は確か、特遊の……」

男隊員「お見知りおき頂き、誠に光栄。ヒャハハ」

エリート「隊長は?」

男隊員「別行動です」

エリート「そうだったのか。てっきり特遊が仕切っているものかと」

男隊員「お言葉ですが、俺も特遊の一員です」

エリート「そうであったな、すまぬ。それで、南東国の要人は……」

男隊員「こちらです」
794 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:05:44.46 ID:iG/PpWwAo

次男「初めまして。華国の次男、と申します」

男隊員「殿下は、故南東国王の次男にあたられる御方だそうです」

エリート「失礼ですが貴公、目が……?」

次男「ええ。ですが気配は察知する事が出来ますので、特に不自由はございませんよ」

皇太子「本国国王が長男、皇太子と申す。さぁ、おかけ下され」

次男「失礼致します」

皇太子「では早速、詳しい話を聞かせて頂こうか」

次男「はい」

皇太子「君らはしばし退がっていてくれ」

エリート「終わりましたらお声掛けを」 スッ

次男「私は構いませんよ?」

皇太子「いやいや、礼儀だ。それに腹を割って話したいものでな。あはは」

次男「痛み入りまする」
795 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:06:11.75 ID:iG/PpWwAo
 スタスタスタ

エリート「それで、隊長らは?」

男隊員「東の街に向かいました」

エリート「何っ? それは無謀ではないか?」

男隊員「北に別働隊を待機させています。合流して精鋭で城を制圧します」 ザッザッ

エリート「可能なのか?」 ザッザッ

男隊員「ヒャハハ、それは隊長達次第ですよ。まぁ最悪、敵の大将を捕えれば十分でしょう」

皇太子「大将を捕えて収束するのか?」

エリート「それは実情を知る方へ訪ねる事が最善かと」

皇太子「おぉ、そうであったな」 クルッ

次男「兄上……いえ、華国主を捕えたところで、華国はもう止まらないでしょう」

皇太子「やはり……そうか」

次男「彼は既にただの傀儡。もう人の心すら……いえ、人であるかすら分かりませぬ」

エリート「失礼ですが、最後に会われたのは?」

次男「もう随分と前になります」

エリート「1年以上前ですか?」

次男「軟禁されていたので、年月が分かりませぬ」

エリート「長男殿は何時頃から魔王軍と?」

次男「さぁ、それも分かりません」

エリート「次男殿、何も分からずでは流石に此方も……」

皇太子「やめぬかエリート。次男殿、無礼を詫びる」

次男「いえ。私こそお力になれず申し訳ありません……っ」
796 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:06:39.07 ID:iG/PpWwAo
皇太子「しかし背景は何となしに掴めてきたかな」

男隊員「ですね。すべきは大将の捕縛ではなく救出。ま、捕まえるには変わりないっすけどね。ヒャハハ」

エリート「間違って殺めたりはせんだろうな」

男隊員「隊長ですから。分かってると思いますよ、その辺の事くらいは」

エリート「……まぁ、そうであろうな」

皇太子「今から再出陣しても間に合いそうにはないな」

国軍兵「ご、ご報告致しますっ! 南東国の兵、いまだ前線に留まり奮闘中!」

伝令「歩兵隊が取り囲まれ、身動きの取れぬ状況ですっ!!」

皇太子「よし、大将の事は連中に任せて、我らは目下の混乱を正そうではないか」 ザッ

エリート「全く、最前線へ赴くよりマシとは言え、殿下の為に作られたような舞台ではないか……」

皇太子「何か言ったか?」

エリート「……いえ。では参りましょうか」 ザッ

男隊員「俺達はここで次男様の護衛に務めます」

皇太子「護衛は兵に任せても良いのだぞ?」

男隊員「どんな手練れがいるか分かりませんからね。ヒャハハ」

皇太子「自陣でか?」

男隊員「殿下、敵は外にのみいるとは限りませんよ?」

皇太子「……宜しく頼む」

男隊員「はっ」 ザザッ
797 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:07:09.52 ID:iG/PpWwAo
お父「戦場へは出んのか?」

男隊員「ああ。俺らの任務はここで次男様を守ること」

お父「ちっ。せっかくの稼ぎが台無しだ」

男隊員「そうでもないぜ」

お父「何がだ。ワーカーは敵を倒してこそ大金を得られる」

男隊員「要人の護衛ってのはよ、その時の稼ぎはなくとも成功すれば、後に莫大な利益をもたらす」

お父「……?」

男隊員「先代の国王が砦を視察するってんで護衛についたあるワーカーがそうだったようにな」

お父「どういう事だ」

男隊員「そのワーカーは王に迫る危機を払いのけ、一気にその名を世界中に売ったのさ」

お父「……」

男隊員「以降、彼の元にはとんでもねぇ数の護衛や討伐依頼が直接、舞い込んできたって話だぜ」

お父「なるほどな」

男隊員「そういやどこ行ったんだ?」 キョロキョロ

お父「……?」

男隊員「そのワーカーだよ」

幼女「えっ? ここに……いるの?」

男隊員「ああ。そのはずなんだが……」
798 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:07:45.50 ID:iG/PpWwAo


華国兵「将軍っ! あ、あれを……っ!!」

 ドドッドドッドドッ……

赤兎「ブルルゥ」 ドドッドドッ

白馬騎士「赤兎!? 主はどうした? 何故、その背に乗せておらぬのだ」

華国兵「と、止ま……ぐあっ!」

 ドドッドドッドドッ……

白馬騎士「無人でどこへ向かっているのだ? あれではまるで、主を迎えに行くかの如く――」

華国兵「白馬騎士様!」 パッカパッカ

白馬騎士「おぉ、君達は分かれ道に布陣していた隊か」

華国兵「ご無事で何よりですっ。あの、戦は……?」

白馬騎士「まだ終わってはおらぬ」

華国兵「そうでしたか。それは……ザンネン!!」 バッ

白馬騎士「――――っ!?」

華国兵「死ネエエェェェェ!!」 グアッ!!
799 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:09:01.95 ID:iG/PpWwAo
 ドッドオオォォォォン!! ゴゴオオォォォォ……

白馬騎士(……風?)

華国兵「グウ……ウゥ」

白馬騎士「はっ! お、お前ら……華国の兵ではないな?」

華国兵「……グウゥ」

白馬騎士「おのれ、謀ったな!」 ザッ

――「いえ、この者らは華国の兵『だった』のです」 ザッザッ

白馬騎士「あなたはっ!?」

大軍師「お怪我はありませんか? 白馬騎士殿」

白馬騎士「風魔法で助けてくれたのは、あなたでしたか」

大軍師「道に迷った挙句、魔物に襲われて此処へ行き着きました」

華国兵「う、うわああぁぁ!!」

グール「グウゥ!」

白馬騎士「各自、集団になって魔物を撃破せよ!」

大軍師「どうやら魔王軍も、本性を現したようですね」

白馬騎士「こやつ等は一体……」

大軍師「南東国の兵であった死人を、アンデッド……不死の魔物として蘇らせたのですよ」

白馬騎士「何と言う事だ……っ。一体、誰がこんな真似を……」

大軍師「どうやらあれがそうみたいですね」

白馬騎士「何っ!?」
800 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:09:49.73 ID:iG/PpWwAo
 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

大軍師「貴方がアンデッドの元締め、というわけですか」

――「ククッ、勘違いなさらぬよう。私が操っているのはあくまで、ここに居る者達のみ」

大軍師「ほう、つまりアンデッドを操っている者は別にも居る、という事ですか」

――「知る必要はありませんね。どうせここで死ぬのですから。ククッ」

大軍師「そうは参りませんよ。私にもやる事がありますので」

――「何をしようと言うのです?」

大軍師「南東国の主に面会し、双方の鞘を納めるのです」

――「それは聞き捨てなりませんねぇ。ククッ」

大軍師「ならば、やるしかないですね」

――「私と戦うと?」

大軍師「ええ。少々、重いですが」

――「無理を承知で挑む気ですか。馬鹿にも程がある」

大軍師「私1人では、ですがね」

――「!?」

白馬騎士「はぁーっ!!」 ババッ!!

 ザシュウウウウゥゥゥゥ!!

白馬騎士「!?」

――「……残念ながら、私もアンデッドでしてね。ククッ」

大軍師「大物のようだ。名は?」

――「私の名は……ネクロマンサー。ようく覚えておくと良い。尤も、ここで死ねば無意味ですがね!」 バッ

大軍師「っ!!」

 ドッゴオオオオォォォォン!!
801 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:11:40.95 ID:iG/PpWwAo
〜東の街、城外〜

天才「なんか前に来た時と随分、変わってんなぁ」

 ザッザッザッ……

天才(人の気配もなけりゃ魔物の気配もねぇ。何だこの城は……)

 ババッ スタッ

天才「……城壁の上にも警備はなし、か。こりゃ罠だったか――」

 ドクンッ

天才「!?」

 コオオオオォォォォ……

天才(しまった……っ! この感覚、幻術か……!!)

――「よう天才。もうこんな事はやめて、終わりにしないか?」 ザッザッ

天才「よりにもよって……っ。そりゃまぁ当然そうだろうけどよ」

――「お前は勝てない。全てにおいて、この俺に劣っているのだから」 ジャキッ

天才「……お師匠」

お師匠「さぁ、無駄な事はよせ。諦めて楽になるといい」

天才「ハーッハッハッハ!!」

お師匠「……」
802 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:12:57.60 ID:iG/PpWwAo
天才「お師匠、俺様は確かに……アンタにゃ勝てなかった」

お師匠「ああそうだ。だから諦めろ」

天才「どんだけ経ったと思ってる」

お師匠「天才?」

天才「アンタが死んでどれだけ経ったと思ってんだ。俺様の脳裏に浮かぶ光景……それはな」

お師匠「……」

天才「とっくにアンタを越えてんだよぉ!! お師匠!!」 ドウッ!!

お師匠「!?」

 ガッキイイィィィィン!!

お師匠「……っ」

天才「ハーッハッハ! よーく聞けニセモン!」

お師匠「……」

天才「確かに肉体のピークは過ぎ、力はやや衰えた。だがなぁ、年月と共に積み重なるものがある」

お師匠「……」

天才「それは経験。更には衰えた力を補おうとする技術だ」
803 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:14:05.90 ID:iG/PpWwAo
 グググッ……

天才「そして老いた事でえられる最大の恩恵ってのが……魔力だよ」

お師匠「っ!!」

 キュイイィィィィ……ゴゴゴゴゴゴゴ……

天才「五行……聖っ!!」

 ガッカアアアアァァァァ!!

天才「……ふーっ」 スタッ

 ザッザッザッ

天才「出てきやがれこの卑怯モンが! 幻術なんぞ俺様には通用しな――」

 ザッザッザッ

天才「い……。次はアンタかよ……くそっ!」

ナイト「……」

天才「お師匠には勝てても、アンタにゃ勝てるイメージねぇんだよなー。ハーハッハ」 ポリポリ

ナイト「勝てないと分かってて挑むか。浅はかさは愚かしい」 ジャキッ

天才「ちっ。相変わらずド派手な甲冑、身につけやがって」 ジャキッ

ナイト「ズタズタに引き裂いてやろうか?」

天才「望むところだああぁぁ!!」
804 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:15:14.88 ID:iG/PpWwAo
 ズギャッ!! ガキイイイイィィィィン!!

天才「……簡単にはいかねぇか」

ナイト「お前の敗北は確定的に明らかだ」

天才「ハーッハッハッハ! そうこなくっちゃよ!」

〜東の街、場内〜

 タッタッタッタッ……

戦士「追うったって、どこに行けばいいんだ!?」

召喚士「分からない。とにかくそれらしき所まで向かうしか……」

盗賊「……どうやら……地上だ」

 タッタッタッ……ザザッ

魔道士「塔の地下だったみたいですね」

戦士「つー事は、敵はあの中央の城って事か」

盗賊「誰だっ!?」 ババッ

召喚士「……ふ、副隊長さん?」

副隊長「良かった! 皆とはぐれて探していたんだ。君達だけかい?」

召喚士「ええ、色々と事情がありまして。それより……」

副隊長「こっちだ。ついてきてくれ」

魔道士「え……っ?」

副隊長「取り上げられた武器を見つけたんだ。保管庫らしい」

戦士「ほんとかっ!?」

副隊長「まだ魔族もいるようだし、急いだ方が良さそうだね」

召喚士「分かりました。案内して下さい!」

副隊長「うん。行こう!」 タッ
805 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:17:04.65 ID:iG/PpWwAo
〜地下牢〜

金角「ゴハァーッ!」 ドシャア

兄者「もう立つ力も失せたか?」

銀角「グ……ググッ」

弟者「しっかししぶとい奴らだ」 ザンッ

隊長(強ぇなんてモンじゃねぇ。完全に圧倒してやがる……っ)

兄者「立たせてやろうか? ただし、真っ二つでな」

金角「フザ……けるなァ!!」 ゴアッ

弟者「しゃーねぇ。本気の本気だ」

銀角「この銀角様がッ、そう簡単にやられるかァーッ!」 バッ

 ズッドオオオオォォォォン!!

金角「――――ッ」
銀角「――――ッ」

 ドゴッシャアアアアァァァ!!

兄者「弟者よ、終わったか?」

弟者「おうっ。こっちも今、片づけた」 ザッ

隊長「……っ」
806 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:18:17.83 ID:iG/PpWwAo
兄者「さてと、残るは長男様の元へ急ぎ、真偽を問いただすのみ」

弟者「長男様はきっと答えねぇさ。あの夫人をブッ叩く以外にあるまい」

兄者「長男様が許すとは思えんがな」

弟者「死を覚悟の上だ。俺の首をかけて長男様の目を覚まさせてやらぁ」

兄者「変わったな、お主も」

弟者「俺は先代に、弟のように可愛がって貰った」

長男「そうだな。我ら義兄弟として華国平定に奔走したものよ」

弟者「だから先代亡き今、長男様の事はどうでもいいんだ」

兄者「どうでも良い……って、お前な」

弟者「だがなぁ、華国までメチャクチャにされて、大人しくしてられるほどバカじゃねぇんだ」

兄者「……ふっ、そうだな」

弟者「さぁ行こうぜ兄者! 俺達の築き上げた華国を守るためによ!」

兄者「勿論だ。ほれ、お主も行くぞ」

隊長「あ、ああ……っ」 ザッ

弟者「裏から出た方が早いな。こっちだ!」

隊長(……何となく分かってきたぜ、この国の事がよ)

兄者「寄り道せず真っ直ぐ、長男様の部屋へと向かうぞ」

隊長(やっぱりコイツらは主の為じゃねぇ。国の為に戦ってんだ……)
807 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:20:32.53 ID:iG/PpWwAo
 タッタッタッ

隊長(だから魔王軍と手を組んだ長男を見限り出奔してた。だが、国の危機に戻ってきたってわけか)

弟者「おっ、敵か……!」 ザザッ

兄者「雑兵の類か。しかし数は多い」 ジャキッ

隊長(ならばやるべき事はただ1つ。大将を影で操る黒幕を倒すのみ!)

弟者「どおぉけええぇぇぇぇ!!」 ズッギャアアァァ!!

隊長(その為にはコイツらの力が必須。互いの主張を受け入れ、どこまで妥協できるか……)

兄者「お主、先に行け」

隊長「……?」

兄者「奥の通路を抜け、北に上がれば格納庫がある。そこにお主らの武器が保管してある」

隊長「!?」

弟者「ここは引き受けた! 最上階でまた会おうぜ!」 ズザッ

隊長「あんたら……」

兄者「夫人を倒せば長男様も正気に戻るのだな?」

隊長「夫人? ああ、黒幕か。絶対とは言えねぇが……それしか道はねぇ」
808 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:21:56.95 ID:iG/PpWwAo
兄者「……」

隊長「本国と南東国を救うにはな!」

兄者「絶対ではない、か。正直で良いわ! ははははっ!」

弟者「城内にいる魔物は、残るは雑魚ばかりだ! 問題ねぇ!」

隊長「ありがとよ。そんじゃ遠慮なく先に行くぜ!」

 タッタッタッタッタッ

隊長「ふっ。妥協など無駄な心配だったな」

弟者「さぁ兄者! 暴れるぜぇ!」

兄者「まとめて蹴散らしてくれようぞ!!」 ザッ

 タッタッタッ

隊長(残る懸念は……あいつか。気付いたら見当たらねぇが、まさかな……)
809 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:23:26.39 ID:iG/PpWwAo
〜城内、通路〜

副隊長「こっちだ。このまま真っ直ぐ南へ行けば見えてくる」 タッタッタッ

召喚士「ところで副隊長さん」

副隊長「何だい?」

召喚士「捕まったあと、どこにいたんですか?」

副隊長「……」

戦士「そういや1人だけいなかったよな? 何かあったのか?」

副隊長「ああ、南東国の奴らに拷問を受けていてね」

魔道士「拷問っ!?」

盗賊「……大丈夫……なのか?」

副隊長「見えてきた。あれだよ」 タッタッタッ

 ガゴッ ギギイイィィィィ……

副隊長「私がここで見張っているから、皆は早く武器を」

召喚士「すみません、ありがとうございます!」

戦士「おっし、武器さえ手に合入りゃ恐いモンなし――」 ザッ

盗賊「!?」

魔道士「……あれ? 何も……ない……?」
810 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:24:46.96 ID:iG/PpWwAo
 ギギイイィィィィ……ガゴオオォォン!!

召喚士「!?」

戦士「と、扉がっ! おい! 開けてくれ!」 ドンドンッ

盗賊「……どういう……事だ」

召喚士「……」

魔道士「副隊長さんっ! 開けて下さい!」

盗賊「……召喚士」

召喚士「ええ。この部屋、奇妙ですね」

魔道士「……え?」

召喚士「1つも窓がないし、部屋に何もない」

盗賊「……作りは鉄製か何か」 ゴンゴン

 ォォォォオオオオ

戦士「……おい、何の音だ?」

盗賊「上からだっ!」

 ドドオオオオォォォォ!!

召喚士「水の音!? まさか……っ!!」

 ドッゴオオオオォォォォ!!

副隊長「……」
811 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:26:00.85 ID:iG/PpWwAo
 ザッザッザッ

弓将軍「やったか?」

副隊長「ええ。しかし南東国の城も恐ろしいものですね」

弓将軍「反逆者や逆賊の為に作られた処刑場だ。夫人様きっての願いでな」

副隊長「まぁ、何でも構いませんが」

弓将軍「……ここは我らの国だ。あまり調子に乗らぬようにな」

副隊長「私は南東国に手を貸すわけではないのだ。そちらこそ勘違いなきよう」

弓将軍「……っ」

 ズゴゴゴゴゴゴ

戦士「水うぅ!?」

召喚士「コカトリス!!」 シュイイィィィィン

 ドッゴオオォォォォ!!

盗賊「水を石化して……っ」

召喚士「ぐうぅーっ!」

コカトリス「なんとい量だ……っ」 ゴオオォォ

魔道士「召喚士さんっ、援護します!」 キュイイィィィィ
812 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:26:48.32 ID:iG/PpWwAo
 ドドオオォォ!! ゴアアァァァァ!!

召喚士「!?」

 ドジュウウウウゥゥゥゥ!!

戦士「ぐあっ! 水蒸気で視界が……っ」

盗賊「魔道士っ、火は駄目だ! 凍らせるんだ!」

魔道士「な、なるほど! やってみます……っ」 バッ

 ドドオオォォォォン!! ギキイイィィィィン!!

戦士「あっつ! 窓がねぇから水蒸気の熱がこもる……」

魔道士「くうぅーっ」

召喚士(水が凍っている……っ! これなら石化もかなり楽だなっ)

戦士「んでぇ、どうすんだよぉ!!」

召喚士「城全体が鉄で覆われてるわけじゃない。このまま蓋をし続けていれば……」

盗賊「……どこかで水が……決壊する」

召喚士「その……通りぃ!!」 ゴアッ!!
813 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:27:37.84 ID:iG/PpWwAo
〜格納庫〜

隊長「ここかっ」 ズザッ

 ガチャッ スタスタスタ

隊長「ったく、1人で担いでくにゃ量が多すぎんぜ……」

 ドゴオオオオォォォォ……

隊長「!? 何の音だ?」

 ザザッ

隊長「……あっちか。放っておいてもいいが交戦中って事もある。捨て置くわkにはいかんな」 バッ

〜処刑場前〜

 ポタッ ポタタッ

弓将軍「……ん?」

副隊長「雨漏りか?」

弓将軍「天井から水? ま、まさか……」

 ピシピシッ ピシッ

副隊長「これは……っ」

弓将軍「室内の水が溢れているとでもいうのかっ!? 馬鹿な――」

 ドッゴオオォォォォ!! ザザアアァァァァ

副隊長「ぐぅっ!」

弓将軍「――っ!!」
814 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:28:57.49 ID:iG/PpWwAo
 ドドオオォォォォ……

弓将軍「外壁が崩壊している!? 何故、水が溢れたというのだぁ!」

 バシャッ!!

戦士「おおぉぉぉぉ!!」

弓将軍「な――ーっ!?」

召喚士「相手は人間だっ! 殺しちゃ駄目だ!」

 ドガァ!! バッシャアアァァン!!

魔道士「……っ」

召喚士「……戦士」

戦士「……」

弓将軍「ぶはぁ! ゴホゴホっ!!」

戦士「あのなぁ、素手で軍人殺せるほど流石に強くねぇよ」

召喚士「そっか……」

戦士「おうコラ! もう逃がさねぇぞ!」 グイッ

弓将軍「小僧……っ」
815 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:29:29.88 ID:iG/PpWwAo
召喚士「これはどういう事です?」

弓将軍「知らんな。私の指図ではない。奴が勝手に行った事であろう」

召喚士「……」

戦士「なぁ、アンタが剣士さん達をやったのか? それとも……魔王軍の仕業か!?」

弓将軍「語る必要はない……っ」

戦士「……ちっ。おい召喚士、こいつどうする?」

召喚士「長男様の元まで案内して下さい」

弓将軍「何……ぃ?」

召喚士「俺達は長男様に会って、どうしても聞かなきゃいけない事があるんだ」

弓将軍「……」

戦士「おい、この期に及んで嫌だとは言わせねぇぞ?」 グイッ

弓将軍「ぐぅ! わ、分かった……っ。案内する!」

召喚士「よし、行きましょう」

盗賊「……召喚士、あいつは」

召喚士「分かってます。副隊長さんですよね」

戦士「まさかあの野郎、俺達をハメやがったのか……?」

魔道士「そんな……っ」

召喚士「でも副隊長さんがそんな事をする必要はないはず……」

魔道士「そうですよっ。部屋を間違えたとか……」

弓将軍「くくくっ」

盗賊「……?」

弓将軍「おめでたい奴らだ」

戦士「何ぃ!?」

盗賊「はっ!! よけろぉ!!」

召喚士「!?」
816 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:30:06.68 ID:iG/PpWwAo
 ドッゴアアァァァァ!! ズガガアアァァ!!

魔道士「きゃああぁぁーっ!」

戦士「ぐあぁ!」 ドシャッ

召喚士(背後!? 不意を突かれた……っ」

 ザッザッザッザッ

副隊長「……」

魔道士「副隊長さ――」

副隊長「生きてましたか」

戦士「……おい、お前」

副隊長「私はね、あまり戦闘が得意ではないんです」 ザッザッ

召喚士「副隊長さん……あなたは……」

副隊長「私の役目は諜報と監視。こういう事はしたくないんです」

 キュイイィィィィ……ドッゴオオォォォォン!!

召喚士「がはぁ!!」 ドガッ

副隊長「南東国の。君も手伝いたまえ」

弓将軍「……っ」 ノソッ

戦士「あ……いつ、やっぱり……」 ググッ

召喚士(まさか、副隊長さんが内通者だなんて……っ)

弓将軍「貴様、この私ごと攻撃を仕掛けおったなぁ?」

副隊長「下手をうった分際で偉そうな事を」

召喚士「……っ」
817 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:30:47.63 ID:iG/PpWwAo
弓将軍「さて小僧。先程はよくもこの私を殴り飛ばしてくれたな」 グイッ

戦士「う……ぐぐっ」

弓将軍「ただ殺すには面白みが無さすぎる。貴様から同じ目に遭わせてくれるわ」

召喚士「戦……士っ!」

弓将軍「あの男女のようにな。ふははははっ!!」

戦士「やっぱり……てめぇが!!」

 バギャッ!! バシャシャッ

戦士「ごっ、ぐ……ふぅ!」

弓将軍「この雑魚がぁ! 雑魚の分際でこのっ、このっ、このぉ!」 ドガッ ドカッ バキィ!!

魔道士「戦士さ――」

副隊長「君達の相手はこの私だよ」 バシャッ

 ドッドオオォォォォン!! ガカアアァァァァ!!

盗賊「うああああぁぁぁぁ!!」

召喚士「――っ!!」 ドシャア

副隊長「キクだろう? 濡れた身体と足元には雷が最も効果的さ」 バチチッ

魔道士「うぅ……ぐ……っう」

副隊長「勉強になったかい? まぁ活用する機会はもう、無さそうだけどね」
818 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:33:22.14 ID:iG/PpWwAo
 タッタッタッタッ……

盗賊「……!?」

副隊長「――っ!!」

召喚士「隊……長……」

 タッタッタッ……バシャッ

隊長「……これはどういう事だ?」

副隊長「……っ」

隊長「一体、何が起きているっ!!」

召喚士「隊……」

副隊長「隊長、あの男です。あの男がいきなり我らに攻撃を」

弓将軍「!?」

隊長「貴様はさっきの……」 ザッ

弓将軍「ふざけた真似を……」

隊長「ザけてんのはどっちだ! そいつを離せ!」

戦士「……っだ」

隊長「……?」

戦士「そ……っいつもぉ、敵だぁ!!」

隊長「そいつ?」
819 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:34:47.59 ID:iG/PpWwAo
 ガッカアアァァァァ!!

隊長「ぐああぁぁぁぁ!!」 ドシャッ

盗賊「く……っ」

隊長「……な……にが」

 バシャバシャバシャッ ザッ

副隊長「……隊長」

隊長「……ま、まさか……お前か」

副隊長「特遊ともあろう者が、背後には気を付けないといけませんよ」 ニコッ

 ドドオオォォォォ!! ガカアアァァァァ!!

隊長「――――っ!!」 バッシャアァ

副隊長「少し面倒な事になってきたが、結果的には変わるまい」

魔道士「隊長……さん……っ」

副隊長「人の心配よりも、自分の心配をなさった方が宜しいですよ?」 バチチッ

魔道士「っ!!」

 ズバッ!! ブシュッ

副隊長「くっ!?」 ズザァ

戦士「ふ……不死身か……よっ」

隊長「……ふーっ」 ユラッ

副隊長「バ、バカな……っ。私の金行を浴びて立ち上がるとは……っ」

隊長「知ってっか? 雷ってのはよ、金属や水に流れやすいんだ」 ザッ

副隊長「!!」

隊長「ま、こんだけ武器もってりゃ、それを介して水に逃がすのは難しかねぇわな」
820 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:37:31.84 ID:iG/PpWwAo
 ガシャガシャッ ゴトッ

隊長「お前らの武器だ! これを持って長男と夫人の元へ急げっ!」

戦士「あんたは!?」

隊長「ここは俺が食い止める」

副隊長「食い止める? 隊長、あなたの強さは知っている」

隊長「……」

副隊長「だが、その身体で私を倒そうなどと言うには無茶があるというもの――」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

副隊長「!?」

隊長「てめぇの雷なんざ通用するかよ。丁度いい電気マッサージだったぜ」

副隊長「強がりを……」

隊長「いやホントホント。お陰で肩凝りが治っちまった」 コキコキッ

副隊長「馬鹿にしてくれる」

隊長「なぁ、てめぇこそ付き合い長いくせに分かってねぇよ」

副隊長「何?」

隊長「俺ぁ魔法が不得手でな。でも、なぜか使える魔法が1つあるんだよ」
821 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:39:05.65 ID:iG/PpWwAo
 ドドドドドド……ザザザザ……

副隊長「これは砂!? そうか、土行……」

召喚士「砂が水を吸っている……っ!」

隊長「これで感電の効果は激減。さぁどうする?」

副隊長「何も攻撃だけがすべてではありませんよ」

隊長「お喋りはここまでだ。んじゃ行くぜ」 ユラッ

副隊長「あなたの腕前は怖いほど知っている」

隊長「……」

副隊長「まともにやりあっても到底、勝てる術はない」

隊長「はぁーっ!!」 ダンッ!!

副隊長「だからこそ雷を盾としてっ、防御に回る方法もあるのだよっ!!」

隊長「!?」

副隊長「はははは! いくら足元を固めようと、剣を媒介に感電――」

隊長「なんてな」 ブンッ

副隊長(剣を投げた!?)

 ガカアアァァァァ!!

戦士「うまいっ! 剣を避雷針に!」

副隊長「だが、剣がなくば攻撃は出来まいっ!」
822 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:40:25.07 ID:iG/PpWwAo
 ドゴォ!! ググググッ

副隊長「か……はぁ……っ」 ヨロッ

隊長「お前アホか? 男はなぁ、拳がありゃあ戦えるんだよ」 バギャッ!!

 ドザザザザアアァァ

隊長「ぶん殴った後でじっくり、剣を遣えばいい」 チャキッ

副隊長「ご、ごほっ! お……のれぇ……っ」 フラフラッ

隊長「今がチャンスだ!早く行け!」

魔道士「は、はいっ!」

弓将軍「させ……ぬぞぉ!」 ガバッ

隊長「寝てろ!」 キュイイィィィィ

 ドドオオォォォォン!! ボゴオオォォォォ!!

弓将軍「土のトゲ――ごはぁ!!」 ドシャッ

戦士「まさか、2人相手にするつもりかよ……っ」

隊長「王のとこにゃ魔物がいる。余計な手間を省くためだ」

盗賊「……」

隊長「それに、汚ねぇ仕事はお前らにゃまだ早すぎる」 ジャキッ

召喚士「……隊長さん」

隊長「ヒゲの将軍達も直に来るだろうし、すぐに向かうさ」

戦士「分かった。先に行ってるぜ!」

 ザザッ タッタッタッタッ……

弓将軍「逃がす……ものか」

隊長「しつこい奴だな。てめぇの相手は俺だって言ったろ」

弓将軍「……っ」

隊長「時間はあるんだ。ま、気楽に楽しもうぜ」
823 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:40:55.61 ID:iG/PpWwAo
〜南東国、国境〜

華国兵「ぐあっ!」 ドカッ

重装歩兵「これまでだな。大人しく投降せよ」 ジャキッ

華国兵「……っ」

重装歩兵「勘違いしないで貰いたい。何も我らは君達を殺したくて戦っているわけではないのだ」

華国兵「俺らだって……そうさ!」

重装歩兵「ならば尚更の事。さぁ、立てるか?」 スッ

華国兵「……くそっ」 ガシッ

重装歩兵「さてと、後は無事……本陣へ帰還できるかどうか」

華国兵「コイツらは生きた兵じゃない。言葉も通じなければ統制なんてもんもない」

重装歩兵「そのようだな。アンデッドか?」

華国兵「知らねぇけど、道士は僵尸って呼んでた」

重装歩兵「キョンシー?」

華国兵「ああ。かつて死んだ連中を生き返らせて、また戦わせてるのさ」

重装歩兵「何と……っ。酷な事だな」
824 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:43:35.59 ID:iG/PpWwAo
華国兵「アイツらが来て、長男様も華国もおかしくなっちまった! 何が正しいのか分かんねぇよ!」

重装歩兵「ならば何故、君は戦うのだ?」

華国兵「……守る為だよ……っ」

重装歩兵「何を?」

華国兵「妻とっ! 娘を守る為だよ! 悪いかよくそっ!」

重装歩兵「いいや、正しき理由だ」

僵尸「……」

重装歩兵「まずはこの包囲を突破せねばな」 ズッ

華国兵「ど、どうするつもりだ?」

重装歩兵「少し手を貸してくれ」

華国兵「!?」

 ブンブンブンブンッ!! ゴシャアアァァァァ!!

僵尸「…………」 ドガッ

華国兵「す、すげ……っ」

重装歩兵「私が道を切り拓くっ、君が更に奥深くへとこじ開けてくれ」

華国兵「了解っ!!」 タタッ

 ズババッ!! ザシュッ!!

重装歩兵「いいぞ、その調子だ。もうじき突破出来る!」

華国兵「おおぉぉ!!」

僵尸「……」 ズザザッ

誦そう歩兵「ぬっ!?」

華国兵「お、おいっ!」

重装歩兵「囲まれたか。こちらは大丈夫だ! そのまま突破してくれ!」

華国兵「しかしっ」

重装歩兵「国境はもう目前。そうすれば本国の部隊に援軍を依頼できる」

華国兵「……も、もつのか?」

重装歩兵「こんな所で死ぬつもりは毛頭ない! もたせてみせる!」

華国兵「分かった! すぐに戻る、頑張ってくれよぉ!」 ダッ
825 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:46:02.46 ID:iG/PpWwAo
〜分かれ道〜

ネクロマンサー「クククッ、必死に抵抗し、もがき、生を渇望する。素晴らしいですねぇ」

白馬騎士「はあぁーっ!」

ネクロマンサー「無駄無駄。人間は飛べません。貴方の攻撃もここまでですよ」 フワッ

大軍師「跳べなくとも、風を操る事は可能ですよっ」 ブワッ

ネクロマンサー「!?」

白馬騎士「魔物が降下している!? 好機っ!」 ドドッ

ネクロマンサー「私の動きを先読みして風を操っているとでも言うのか……ッ」

大軍師「貴方の思考は人間に近しい。故に、読みやすいのですよ」 ババッ

ネクロマンサー「――ッ」

白馬騎士「我が槍の一突き……味わうが良いっ!」 ブオォッ

 ザシュウウゥゥゥゥ!!

ネクロマンサー「……」

白馬騎士「どうだっ」

大軍師「敵は不死のようです。間合いを」

白馬騎士「……ちっ」 ズボッ

ネクロマンサー「ククッ。無傷で手に入れるのは困難ですかねぇ」

大軍師「……?」

ネクロマンサー「さて、上手く風を操っているようですが、高度を上げたらどうなりますかねぇ」 フワッ

白馬騎士「さっきよりも高く……っ」

大軍師「これは流石に、手の出しようがありませんね」

白馬騎士「しかしだ、これでは奴も攻撃出来まい」

ネクロマンサー「はたしてそうですかねぇ。ククッ!」

大軍師「!?」
826 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:47:03.84 ID:iG/PpWwAo
ネクロマンサー「私は人間を超越した存在。貴方達とは勝手が違うのですよ!」

 ズアッ!! バシュシュシュウウゥゥゥゥ!!

白馬騎士「何ぃ!?」

大軍師「これはまるで、巨大な鋭い針のような――」

 ドスドスドスドスッ!! ズザァ

白馬騎士「大軍師殿っ!」

大軍師「……大丈夫です。何とか避けられました」 ツツー

ネクロマンサー「さぁ続けていきますよ。我が触手の餌食となりなさいッ!」 ズガガガッ

白馬騎士「こ……これでは防戦一方っ、何か手はないか……っ」

大軍師(咄嗟にこちらの出方を窺い対応する。なかなかやり手ですね)

ネクロマンサー「まだまだ、数を増やしていきますよ!」 ズバババッ

白馬騎士「く……っ!」

 ドスドスドスドスッ!! ドガガァ!!

大軍師「……っ」

白馬騎士「人馬一体と謳われたこの手綱捌き、甘くみるなっ!」 ドカカッ

ネクロマンサー「ほぉ、これでもまだかわしますか。大したものだ。ですが、これならばどうです?」
827 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:48:25.18 ID:iG/PpWwAo
 ズボォ!!

大軍師「!?」

ゾンビ「ウアアァァ……」 ガシィ!!

白馬騎士「しまった!!」

ネクロマンサー「馬を掴まれては身動きはとれまい。さぁ、喰らいなさいッ!!」

白馬騎士「――――っ!!」

大軍師「間に合わないっ! 回避を――」

 ドッゴオオォォォォ!!

白馬騎士「…………?」

ネクロマンサー「グ……ック。何だ……?」

 シュウウウウゥゥゥゥ……

大軍師「おぉ……っ!」

青龍士官「大軍師様、遅ればせながら青龍隊、参戦致しまする!」

青龍兵「各召喚獣を一斉にぶつけろぉ! 魔物はたったの1匹だぞ!」

 ワアアァァァァ!!

白馬騎士「こ、れは……っ」

大軍師「本国の青龍召喚隊です。召喚獣ならば対空攻撃も可能ですね」

青龍士官「時間はかけていられない。一気に叩き潰す!」

青龍兵「若いの、あんまり焦るなよ。得体のしれねぇ魔物だ」

青龍士官「……」
828 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:49:47.95 ID:iG/PpWwAo

青龍先生「じゃな。南東国の、兵をまとめておけよ?」

白馬騎士「兵? あ……っ」

青龍先生「ここからはそっちの兵を護衛していられなくなる。そうじゃろ?」

大軍師「白馬騎士様、奴は危険です。兵を率いて布陣を」

白馬騎士(こ、この男……華国の兵らに被害が及ばぬ様、魔物と戦っていたのか……っ)

青年兵「……」

青龍士官「ワイバーンとワームを突撃させるんだ! 逃げ場をなくしてしまえっ!」

青年兵「……どうしてなんでしょう」

青龍先生「ん?」

青年兵「召喚獣と分かち合えれば、もっと上手く戦えるのに」

青龍先生「分かち合う事が良き事ばかりではない」

青年兵「まるで召喚獣を道具か何かのように……」

青龍先生「代わりに儂らは魔力を与えておる。それに奴らの住む世界はこの地上ではない」

青年兵「……」

青龍先生「互いが共存する為にはこれで良い。過剰な干渉は何れ、不必要な争いを生む」

青年兵「……っ」

青龍先生「さて、敵も本格的に動き始めてきたようじゃ。応戦するぞい。ひょっひょ」
829 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:50:24.04 ID:iG/PpWwAo
 ズドドドドドドッ

ネクロマンサー「……ククッ、流石にこれはひとたまりもありませんねぇ」

青龍兵「逃がすかよぉ!!」 ゴウッ

大軍師「これで敵も空中には居られないでしょう」

青龍先生「お主にしては梃子摺っておるのう」 ザッザッザッ

大軍師「青龍先生」

青龍士官「流石に護衛しつつの戦闘ではまともにやり合えんか? ヒョッヒョ」

白馬騎士(護衛……?)

大軍師「これで敵は再び、地上戦を選択してくるはずです」

 ボゴボゴォ!!

グール「……グウゥ」

大軍師「来ましたよ」

白馬騎士「陣形はこのまま、何時でも来るが良い。返り討ちにしてくれようぞ!」

華国兵「おおぉぉ!!」

ネクロマンサー「この数を相手に戦うには、些か骨が折れますねぇ」

青龍士官「逃がすかっ!!」

ネクロマンサー「かと言って地上には援軍も加わり、体制も立て直されてしまいましたか」

白馬騎士「相手はは不死だ。無理に攻撃を続ける必要はないぞっ!」

ネクロマンサー「ここは大人しく、退散しましょうかね。クククッ」 フワッ

青龍兵「敵が逃亡します!!」

青龍先生「無理に追撃する必要はなかろうて。行き先は同じじゃろ」

青年兵「ワイバーンを斥候に――」

青龍士官「俺が行く。何名か拝借しますよ」 バッ

青龍先生「全く、血気盛んな奴じゃわい。ひょっひょっひょ」

 バシュウウゥゥゥゥ

青龍士官「貴様が黒幕でない事は分かる。大将の所まで案内して貰おうか」

ネクロマンサー「ククッ。お望み通り引き込んであげますよ」
830 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:52:15.20 ID:iG/PpWwAo
〜東の街、城壁〜

 ドゴオオォォォォ!! ズガガガガアアァァ!!

天才「……っ」 ズザッ

ナイト「……」

天才(お師匠は越えられても、この人にだけは勝てる気がしねぇ。いつまで経ってもよぉ)

ナイト「お前それで良いのか?」

天才「何いきなり話しかけてるわけ?」

ナイト「お前の志すものはそれで良いのかと聞いているのだ」

天才「……」

ナイト「世界を救いたいのか? 人間を救いたいのか? それとも……」

天才「……」

ナイト「魔族を殺したいのか」

天才「ハーッハッハッハ!!」

ナイト「……」

天才「幾らなんでも、そりゃねーよ」

ナイト「……」

天才「世界? 人間? 魔物? 笑わせんな!」

ナイト「……」

天才「ナイトさんがそんなちっぽけな事を語るわけねーだろ」

ナイト「ほぅ」

天才「これ以上、ナイトさんを愚弄すんな。あの人の言葉を借りりゃ……」
831 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:53:23.72 ID:iG/PpWwAo
 ズゴゴゴゴゴゴゴ……

ナイト「っ!!」

天才「俺様の怒りが有頂天だ!」 ドウッ!!

ナイト「敵うわけがない」

天才「ああ。モノホンならなぁ!」

 ザッシュウウウウゥゥゥゥ!!

ナイト「敵う……わけがな……」

天才「テメーの余計なおしゃべりのお陰でハッキリと解けたぜ」

ナイト「……敵う……わ……け……」

天才「偽物と頭ん中で理解出来りゃ、幻術なんぞそれっきりだ」

ナイト「…………っ」 バシュウウゥゥ

天才「とはいえ、精神的にはかなりキッツイな。これだから幻術はムカつく――」

 ザッザッザッ……

天才「――――っ!!」

天才妹「お兄ちゃん」

天才「や……めろ……っ」

天才妹「私、私……」

天才「うおああああぁぁぁぁ!!」

 ガッカアアアアァァァァ!! ドドオオオオォォォォ……

天才「…………ご、っほ」 ドシャッ

 フワァッ スタッ

道士「自ずからに魔法を放ち、強制的に気を失う」

天才「……」

道士「幻術から逃れる術、自己犠牲も厭わず」

天才「…………」

道士「その覚悟、驚嘆に値するが……結果は同じ事」

 スッ

道士「足止めは完遂。そこで朽ちるか、事が済むまで寝ているが良い」 フッ

天才「…………」
832 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:55:18.78 ID:iG/PpWwAo
〜国境付近〜

皇太子「この先で間違いないのだな?」 ザッ

華国兵「へ、へいっ!」

エリート「密集せよ! 総攻撃だ、突撃―っ!」

 ドッドオオオオォォォォ

弓兵「歩兵隊を救えーっ!!」

華国兵「頼むっ、無事でいてくれ……!」

 ドドッドドッドドッ……

皇太子「魔王軍の雑魚共っ、この皇太子が推して参るっ!!」 ドガァ!!

護衛兵「流石は小覇王。勇猛果敢な戦ぶりよ」

エリート「感心してないで護衛に回らぬか。殿下が先陣を切るなど前代未聞だぞ」

皇太子「前代未聞? 馬鹿を言うな。かつての王とて前例はある」

エリート「問答をしたいわけではありません。皮肉で申しているのです」

皇太子「はっはっは。そうか、それは失礼した」

エリート「……っ。えぇい、何をしている! 早く殿下の護衛にかかれ」

 ドドッドドッドドッ……

華国兵「ちっくしょー。本国の馬は乗りにくい……っ」
833 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:57:16.56 ID:iG/PpWwAo
僵尸「……」 グワッ

華国兵「う、うわぁ!!」

 ドザザアアァァ!!

華国兵「く……っうぅ」 ザッ

僵尸「……」 ピョンッ ピョンッ

華国兵「ひっ! 来るなぁ!!」

 ザシュッ!! ドサッ

重装歩兵「はぁ……はぁっ、何をしてる……っ!」

華国兵「おぉ!? 無事だったか!!」

重装歩兵「何で戻って……」

華国兵「違う! 見ろっ、あれ!」

重装歩兵「……おぉ」

 ドドッドドッドドッ

皇太子「道が開いたぞっ、一気に突き進めぇ!」

護衛兵「おおぉぉーっ!!」

エリート「むっ!? あれか!」

皇太子「皆の者、無事か!?」 ドドォ

重装歩兵「殿下が直々に……っ」

歩兵「た、助かったぁ!」

本国兵「でもまだ、敵がわんさか居やがるぞ」

エリート「どうやら、余計な心配は必要無さそうだ」

本国兵「えっ? あ……っ!!」
834 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:58:32.42 ID:iG/PpWwAo
僵尸「――ッ」

フェンリル「グアァーッ!!」 ザシュウウゥゥ!!

皇太子「おぉ、あれは白虎召喚獣か!」

白虎長「残る魔物はこのエリアだけですっ!」

エリート「ご苦労。召喚獣を主力に、魔王軍を殲滅するぞ。かかれぇ!」

重装歩兵「最後のひと踏ん張りだ。行くぞ!」

華国兵「おおう!」 ザシャッ

エリート「前線はどうなったのだ?」

白虎長「魔物の数が多くて……。私達は殿を」

エリート「成程。すると前線は青龍隊か」

白虎長「はい。心配はないと思いますが、なにぶん兵力が少ないので……」

エリート「……」

白虎長「出来れば増援を派遣した方が……」

エリート(さて、どうするか)

皇太子「おぉーっ!」 ザシュッ!!

エリート(このまま進軍するも良しだが……殿下をこれ以上、戦わせたくはない)

白虎長「……?」

エリート「……ん、ああ。すまん」

白虎長「はぁ」
835 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 17:59:31.66 ID:iG/PpWwAo
エリート「背に腹は変えられぬ。士官、これより――」

重装歩兵「援軍ならば、問題ありませんでしょう」

エリート「何っ?」

重装歩兵「別働隊の南方司令部が動いています」

エリート「おぉっ、そうか……!」

重装歩兵「これ以上、殿下を図に乗らせると後々面倒でしょう」 ヒソヒソ

エリート「助かるっ! 味をしめられると厄介だからな」 ヒソヒソ

白虎長「あ、あの……」

エリート「!? コホン。魔王軍を殲滅した後は、国境警備に全力をもってあたる!」

重装歩兵「我等は殿下をお連れし、本陣にて体制を立て直しまする!」 フンッ!!

エリート「白虎隊も国境警備、および南東国の捕虜や怪我人の回収にあたってくれたまえ」

白虎長「は、はいっ!」 ザッ

エリート「……ふーっ。あとは前線の連中に託すのみだ」 チラッ

皇太子「ん? 何だあれは?」

エリート「!?」

 ドドッドドッドドッ……

騎兵「馬? 赤い馬だ!」

華国兵「あ、あれは……騎都尉様の赤兎!!」

赤兎「ブルルウウゥゥゥゥ!!」 ドドォ

重装歩兵「何を……何か、探しているのか?」

華国兵「まさか……騎都尉様が……!?」 ダッ

重装歩兵「!?」

華国兵「赤兎! ここにっ、この下に騎都尉様が居るのかっ!?」

 ドガアアァァァァ!!

華国兵「うわああぁぁ」 ドシャッ

重装歩兵「大丈――」

華国兵「……!?」
836 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 18:01:51.33 ID:iG/PpWwAo
 ドズンッ ザッ

騎都尉「…………」

赤兎「……ブフゥ」

騎都尉「赤兎。そうか、俺は気を失って……」

華国兵「き、騎都尉様っ!!」

騎都尉「何があった……俺は、確か俺は……そうだ! 大剣の男に……」

 ザッザッザッ グイッ

騎都尉「まだだ。まだ終わるわけにはいかんのだ!!」

赤兎「ブフウウゥゥ!!」

重装歩兵「待て! 我らはもう敵ではない!」

騎都尉「……」

エリート「退くか、潔く降りたまえ。もう戦いは終わりを迎える」

騎都尉「何が終わりか……っ」

皇太子「次男殿と誓ったのだ。もう我等は戦うべきではないのだ」

騎都尉「何を身勝手な事――」 グイッ

赤兎「……」

騎都尉「赤兎? 何故だ、何故……動かぬ!」

華国兵「赤兎だってもう理解してるんすよ。俺達は戦うべきじゃない……って」

騎都尉「赤兎!!」

エリート「真の敵はこちらではない。お前の背にしている方向であろう?」

皇太子「……」

騎都尉「……っ!」

赤兎「……ブフゥ」 クルッ

騎都尉「!?」
837 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 18:03:03.29 ID:iG/PpWwAo
 パッカパッカパッカ……

騎都尉「どうした赤兎!? そっちではなかろう! そっちは東の街――」

 ドウッ!! ドドッドドッドドッ……

騎都尉「……赤兎。お前もなのか」

赤兎「…………」

 ドドッドドッドドッドドッ……

華国兵「騎都尉……様……」

重装歩兵「賢い馬だ。分かっているのだな」

エリート「ああ。だがこのまま行かせて良いものかどうか……」

皇太子「構わん」

エリート「……殿下」

皇太子「あの男とて分かっているはずだ。それを受け入れきてていないだけの事だ」

エリート「そうでしょうね。その上で、行かせますか」

皇太子「自分自身の手で、きっと変わるであろう」

エリート「……よし。さぁ、残る敵は僅かだ。一気にカタを付けましょう」

皇太子「そうだな。決して無理はせず、我が身の安保を最優先とする事、忘れるでないぞ」
838 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 18:04:01.27 ID:iG/PpWwAo
〜東の街、城内〜

隊長「……」

弓将軍「……」 ジリジリジリ

副隊長「……」 ススッ

隊長(流石にこれクラスはキツイわな。しかも2人だ)

弓将軍「……」

隊長(コイツは弓が得手だろうが、剣もそれなりにこなす挙句、魔法まで使いやがる)

副隊長「……」

隊長(コイツに至っては、手の内は把握してるつもりだったがどうやらかわされてたか)

副隊長「貴方は今、私の実力を見誤っている」

隊長「特遊として共闘してたからな。固定概念だわ」

副隊長「別に隠していたわけではないんです」

隊長「……」

副隊長「ただ何度も言うように、先頭に立って戦う事が嫌いなもので」

隊長(魔法っ!)

副隊長「私はやはり、こういう戦い方が向いているっ」 ドドオオォォォォン!!

隊長(背後から弓。更には接近戦か) バッ

弓将軍「どこを見ているっ!」 バシュッ

隊長(んで、正面から飛び道具ってとこか) ヒョイッ

弓将軍「よけた!? だが……っ!!」

副隊長「これで挟み撃ちですね」 バシュシュッ

隊長(楽なのは後ろの奴から倒すべきだが、ここは……) ヒュッ

弓将軍「かわした!?」

副隊長「そうくると思ってましたよ」 キュイイィィィィ……

隊長「俺もだ」 ズザッ

副隊長「!?」

隊長「先手必勝ぉ!!」 キュイイィィィィ……
839 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 18:07:25.29 ID:iG/PpWwAo
 ドッドオオォォォォ!! ゴガガガガッ!!

副隊長「石つぶて!? 風魔法で防御を……いや、待て」

弓将軍「なんという数の攻撃か……っ」

副隊長「これは攻撃ではない。おそらくは……カモフラージュ!」

隊長「……っ」 スッ

副隊長「ならば防御ではなく回避して、魔法は次に備えるとしましょう」 スッ

 ドッゴオオオオォォォォン!!

弓将軍「……奴はっ!?」

副隊長「……どういう……事だ?」

弓将軍「い、いない……だとぉ!?」

副隊長「どこかで隙を伺っている? いや、まさか……」

弓将軍「奴はどうしたのだ!」

副隊長「まさか、逃亡したのか……っ?」

弓将軍「逃亡? 何故っ、我らに勝てぬと悟って逃げたとでも!?」

副隊長「違うっ! あの人の狙いは……大将首だ」

弓将軍「では……奴は長男様の元へ!?」

副隊長「やられた……っ。そこまで考えていたとは……」

弓将軍「これ以上、長男様を混乱に招く真似は許せぬ」 ザッ

副隊長「……頼みます」

弓将軍「お主は行かぬのか?」

副隊長「敵はまだ居ます。しばし足止めを」

弓将軍「分かった。では先に失礼するぞ」 ダッ

副隊長「……」
840 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 18:09:07.47 ID:iG/PpWwAo
 タッタッタッタッ……

副隊長「……ふっ、くくっ! はーっはっは! 」

 テクテクテク

副隊長「足止め? そんなわけあるか! こんな所とはもうオサラバよ」

隊長「だと思ったぜ」

副隊長「――――!?」

 ドヴォ!! ガシィ!!

隊長「地中で地べた這いずらせたんだ。タダじゃ済まさんぜ」 ググッ

副隊長「貴様……ぁ! 地中に身を潜めて……」

隊長「てめぇの事だ。こうすると思ったぜ」

副隊長「計りおってぇ……っ!」

隊長「おっと、逃がさねぇぞ!」 グイッ!!

 ズッガアアァァァァン!!

副隊長「ぐ……っく!」

隊長「おおかた本国に戻って立て直そうって魂胆だったんだろ」

副隊長「……っ」

隊長「だがこれでお前の後ろ盾は見えた」

副隊長「ぐうぅ……っ」

隊長「黒幕は魔王軍じゃねぇ。お前の主は……左翼の連中だ」

副隊長「うぐああぁぁぁぁ!!」 ガバァッ!!

隊長「馬鹿野郎が」

 ザッシュウウウウゥゥゥゥ!!

副隊長「……死人に……口な……し――」 ドサッ

隊長「……ちっ。これで裏は取れなくなったか」
841 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 18:10:11.81 ID:iG/PpWwAo
 ズズウウゥゥゥゥン……

隊長「敵か!?」 バッ

兄者「おぉっ!」 ザッ

弟者「無事かっつーか、何でまだこんな所にいるんだよっ!」

隊長「いや、色々とワケアリでな」 ポリポリ

兄者「こやつは?」

隊長「ああ、うちの不手際さ。気にしないでくれ」

兄者「……むぅ」

弟者「他の奴らは長男様の所か?」

隊長「ああ。俺達もこのまま……」

 ピクッ

隊長「――っ!?」

弟者「んだぁ!? 何か……来んぞぉ!!」

兄者「下から? いやしかしっ、魔物は殲滅したはず……」

――「殲滅? 腑抜けた事を」 ズズズッ
――「あの程度で我らを倒せたとでも思うておるのか?」

隊長「っ!!」
842 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 18:11:09.03 ID:iG/PpWwAo
兄者「金角っ!」
弟者「銀角か……!」

金角「裏切り者共よ。ここまでだ」
銀角「死して詫びよ。我らが王に」

弟者「何が、我らが王だ! 長男様はてめぇ等の王じゃねぇ!」

兄者「その通り。貴様等こそ華国を愚弄した罪、償うが良い」 ジャキッ

金角「今度は本気で行くぞ。遊んでおる暇はない」
銀角「心して死への道程、味わうがよい」

兄者「さて、先と同じ状況ではあるな」

弟者「分かってんな? 構わず突っ切れよ」

隊長「……すまん」

兄者「奴らは我等が引き受ける! 行けい!」
弟者「おおぉぉぉぉ!!」 ババッ

 ドッガアアアアァァァァ!!

兄者「むおおぉぉぉぉ……っ」
金角「グヌゥ……!!」

弟者「っりゃああぁぁ!!」
銀角「なめるなぁ!!」

隊長「……っ」 バッ

 タッタッタッタッタッ……

隊長「頼むぜっ、南東国の猛者よ!」

 タッタッタッ……
843 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/11/22(木) 18:11:37.92 ID:iG/PpWwAo
……――

妹『お兄ちゃん』

妹『私は、幸せ者だね』

妹『両親はもう居ないけど……お兄ちゃんが居る』

妹『強くて優しくて、かっこよくて。私の自慢のお兄ちゃん――』

――……

天才「――っ!!」 ガバッ!!

道士「……?」

天才「ごほごほっ、はぁ……はぁっ」 ザッ

道士「まだ、立つのか?」

天才「……おい、テメー」

 ズゴゴゴゴゴゴゴ……

天才「幻術においてよぉ、表面は構わねぇよ」 ザッザッ

道士「……貴様……ッ」

天才「だけどなぁ、心の奥底までほじくるのは外道だろ」 ザッザッ

道士「死にぞこないの分際で、この力は何だッ?」

天才「詫びは必要ねぇ。死んで後悔しろ」

 キュイイイイィィィィ……

道士「くっ!」

天才「五行おおぉぉ! 聖!!」

 ガッカアアアアァァァァ!!

道士「ッ――――」

 ドッドオオオオォォォォン!! シュウウゥゥゥゥ……

天才「いや、後悔すら必要ねぇ。無になって生きた存在すら消え果てろ」

 ジャキッ

天才「……残るはラスボスか? まぁいい。行くだけだ」 ダッ
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/11/22(木) 18:12:43.40 ID:iG/PpWwAo
中途半端だけどここまで!それでは失礼します!ノシ
外伝もう1個書いてるのですが、何とかこのスレで収まりそうだ!良かった!
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/22(木) 18:51:11.93 ID:0GhC0qQSo
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/22(木) 19:37:46.28 ID:lSiZiUWVo
なんかこのスレいっぱいになったら終わりって事だと>>1乙ですらスレ消費になりそうで
でも我慢出来ずに>>1乙!
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/22(木) 22:46:45.89 ID:n3EkHGeIO
>>1乙!

律儀な1の性格だと、有り余ったスペースのスレでは終らせられないはず。
ゆえに、あえてコメントするw
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/11/26(月) 01:18:22.88 ID:/+cIISmAO
>>1おつ
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/12/01(土) 15:06:22.86 ID:RwivIuPXo
>>1

お!久々に伸びてる!今から拝見させていただきます
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/04(火) 14:23:36.69 ID:YyWppKsY0
>>1
次スレまで持っていけばきっと次スレ1000まで投下してくれるはず
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 22:05:39.50 ID:YU6GJc9EP
いちおつ
落ちたスレの天才の外伝の続きもあるし、次スレ行くでしょ
もう一つの外伝、眼鏡さんが主人公だといいなあ
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/05(水) 07:21:39.74 ID:sV8hF95IO
いちもつ!
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/15(土) 12:06:46.58 ID:gCzijdUJo
保守
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/15(土) 13:47:36.83 ID:TTTTOfpPo
そろそろ拡散せんかい?
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/16(日) 23:44:31.00 ID:B1+d/BSoo
しねえよ
856 :お久し振りでっす [sage saga]:2012/12/18(火) 15:02:30.68 ID:3o/4nHgWo
してもいいのよ…?嘘です、お好きに使ってくだしあ↓続き
857 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:03:24.29 ID:3o/4nHgWo
〜国境付近〜

皇太子「……?」

僵尸「……」 ドサッ

 ドサッ ドササッ ジュウウゥゥゥゥ

エリート「ど、どういう事だ!? 敵が勝手に消滅してゆくぞ?」

白虎長「ほ、本当……っ」

華国兵「たっ、多分あれだ! あいつらを操ってた奴がやられたんだ!」

重装歩兵「何?」

エリート「成程、一理あるな。別働隊は既に敵の本城辺りへ乗り込んでいるであろうしな」

皇太子「ともかく……これでようやく、こちらは落ち着いたかな」

エリート「ですね。しかしあくまでこちらだけ。問題は山積みですよ」

重装歩兵「で、殿下……っ!!」

皇太子「!?」

華国兵「……じ、次男……様!!」

次男「……」 スタスタ

男隊員「申し訳ありません! お止めしたんですが……っ」

次男「魔物の気配が一斉に消えましたね」

エリート「え、ええ」

次男「残すは東の城のみ。私が行きましょう」

華国兵「き、危険ですよっ!!」

エリート「同意だな。あなたは命を狙われる危険性がある」

次男「ですが、敵の大将は華国の主。私の兄です」
858 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:04:28.75 ID:3o/4nHgWo
皇太子「……」

次男「私が兄上に呼びかければ、可能性はあるかもしれません」

皇太子「まだ聞く耳を持ってくれていれば、だがな」

次男「ええ。しかし今までは取り巻きに阻まれ、会う事も出来ませんでしたからね」

エリ−ト「手薄となった今こそがチャンスという事か」

次男「……」

エリート「殿下」

皇太子「良かろう。どうせ私も行くつもりだったしな」

エリート「……しまったか」

重装歩兵「止むを得ません。こうなれば死守するのみです」

エリート「殿下、戦場で前線に赴くのは今回限りですぞ?」

皇太子「分かっている。時間が勿体ない、行くぞ!」 ザッ

男隊員「次男様の護衛は俺らが」

お父「幼女、行くぞ」

幼女「は、はいっ」

エリート「騎馬隊300騎、我らに続け! 他の者は本陣を固め、怪我人の救護に務めよ!」

本国兵「ははぁ!!」

エリート「……敵味方問わずだぞ!」

華国兵「!?」

本国兵「分かっております!!」 ザザッ

華国兵「ありがてぇ……っ、ありがてぇよ……っ!!」

重装歩兵「同じ人間ではないか。共に手を取り合おう」

次男「光の道」

皇太子「……?」

次男「私には見えます。ようやく、新たな道が見えてきたようです」

皇太子「ああ。私も感じるぞ」
859 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:05:36.15 ID:3o/4nHgWo
〜東の城、最上階〜

戦士「扉だっ!」 タッタッタッ

召喚士「……ここが目的地みたいだね」 ズザッ

魔道士「開けて大丈夫ですかね?」

盗賊「……周囲に気配はない。大丈夫」

戦士「んじゃ、行くぞ!」

 ガゴンッ!! ギギイイイイィィィィ……

召喚士「……っ」 ザッザッザッ

魔道士「薄暗い……」

戦士「正面の松明がそうか?」

盗賊「……分からぬ。だが……何か居る」

 ザッザッザッ

召喚士「……」

 天井は高くそびえ、暗闇の為に正確な高さまでは把握出来ない。

 その下で部屋の奥にぼんやりと灯る松明が揺れていた。

 そこには玉座があり、何者かが腰かけている事が感じ取れた。

 だが威圧のようなものは一切ない。何となく気配がするといったものであった。

 召喚士達はゆっくりと玉座の方へと歩み寄っていった。

魔道士「……っ」

召喚士「……」

 玉座には確かに、人の姿があった。しかし顔を青白く生気はない。

 ぼんやりとした表情で視点定まらぬその目は何かを見ているような何も見ていないような。

 微動だにせぬまま、玉座の男はゆっくりと口を開いた。
860 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:06:51.09 ID:3o/4nHgWo
長男「何用だ」

召喚士「あなたが長男様ですか?」

長男「だとしたら何だ」

召喚士「率直に申します。もう、やめにしましょう」

長男「……」

召喚士「これ以上、戦う必要なんてないはずです!」

長男「……戦い」

魔道士「みんな傷付いていますっ! 人間同士なのに戦うなんておかしいですよっ!」

長男「おかしい? おかしいのは貴様らではないのか?」

戦士「何ぃ!?」

長男「見ず知らずの者が人様の居城へ無断で侵入し異論を押し付けている」

盗賊「……」

長男「挙句、我が国の者を殺し、傷つけ、壊している。違うか?」

召喚士「俺達は不毛な争いを止めにきたまでです!」

長男「不毛と感じるのは貴様らが、であろう」

魔道士「でも……っ」

長男「我等はいわば被害者。罪なき者に罰を振るう所業は許し難い」 スクッ

戦士「……やる気か」 スッ

召喚士「戦士っ! 待つんだ!」

戦士「でもよ、これ以上……何を言っても無駄だと思うぜ」

盗賊「……止めるには……やるしか……ないか」 チャキッ

召喚士(違う……っ。この人は黒幕なんかじゃない……)

長男「……」

召喚士(もっと闇の何かが、裏に隠れているはずなんだ……っ)
861 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:08:25.45 ID:3o/4nHgWo
長男「結局、私を殺すしかないのだろう?」

戦士「だったら?」

長男「先程、述べた通りだな。蛮族共」

戦士「んだとぉ!!」 ザッ

召喚士「戦士!!」

戦士「……っ」

召喚士「長男様、あなたには分からないんですか?」

長男「……」

召喚士「あなたを慕って国を守る……命を賭けて国を守る人達の声が!」

長男「……」

召喚士「長男様っ!!」

――「何を騒いでおるのだ?」

 コツコツコツコツ……コツ

盗賊「……!?」

戦士「女?」

――「これ以上、戯言で長男殿を惑わすでないぞ」

召喚士(この……気配……っ)

 ズゴゴゴゴゴゴゴゴ……

召喚士「あなたが黒幕か……っ!!」

戦士「まさか……コイツが魔物かっ!!」

夫人「うふふっ。わらわが黒幕? 何の事やら」

召喚士「何が狙いだ! どうしてこんな真似を……」

夫人「はあ?」

召喚士「とぼけるなっ! お前の仕業なんだろ!?」

夫人「そうじゃ、わらわの仕業だぞ。とぼけてなどおらぬ」

召喚士「!?」

夫人「まるで、わらわが何か策を巡らせているような言い草じゃの」

戦士「違うってのかよ」

夫人「別に悪い事はしておらぬ。わらわはこの国が欲しいから奪おうとしているだけじゃ」

戦士「それが悪い事以外の何だってんだよ!」
862 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:09:12.43 ID:3o/4nHgWo
夫人「何を言っておるのだ?」

戦士「……あ?」

夫人「欲するから奪う。逆らうから躾ける。何か悪い事かの?」

召喚士(……そうか)

夫人「人間とてそうであろう?」

召喚士(この魔物は、ただ己の欲の為だけに動いているんだ……)

夫人「それを謀略か何かのように……。非道い話だの」

魔道士「……っ」

召喚士「戦士」

戦士「……」

召喚士「こいつは善悪の分別がない。純粋にやってるだけなんだ」

戦士「……みてーなだ。でもよ、だから何だよって感じだな」

召喚士「戦士……」

戦士「アイツにとっちゃただの暇潰しかもしれねぇが、こっちにとっちゃ害悪以外のなんでもねぇ!」

盗賊「……同意」 チャキッ

召喚士「駄目だっ! 俺らだけで勝てる相手じゃない……っ!」

戦士「だが、向こうは待ってくれそうもねーぜ」 ザッ

魔道士「……っ」

夫人「話をしていても埒があかぬ。力づくで排除するぞ」

盗賊「……来るぞ」

夫人「長男様を守る為にの。うふふっ♪」

 ゴゴゴゴゴゴ……ドウッ!!

召喚士「――っ!!」

夫人「わらわの力、とくと味わうが良いぞ♪」

 ドッグオオオオォォォォン!!
863 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:10:05.61 ID:3o/4nHgWo
〜城内、通路〜

 ズズウウウウゥゥゥゥン……

隊長「今の音……上か」 ザッ

天才「おっ?」 タッタッタッ

隊長「!?」

天才「テメー1人か?」

隊長「あ、ああ」

天才「敵は?」

隊長「そっちに居ないのなら、おそらく残るは……」

天才「やっぱそうか。んじゃオイシイところを頂くとしようかね。ハーッハッハ!」

隊長「既に向かってる連中がいる」

天才「何ぃ!? オイシイところ頂けねーじゃねぇか!!」

隊長(しかしこの男、どこかで……)

天才「聞いてんのか!?」

隊長「えっ!? あ、ああ……」

天才「だーかーら、誰が1番乗りしてんだ? 特遊の連中か? 青龍のクソジジイか?」

隊長「いや、コカトリス使いの召喚士がいるパーティーだ」

天才「コカトリス…………っておい!!」

隊長「!?」 グイッ!!

天才「何でド素人だけで行かせてんだテメーは!!」

隊長「いや……っ、色々と事情が……!」

天才「……ちっ」 ブンッ

隊長「ご、ごほっ。俺だって好きでそんな危険な目には遭わせてるわけじゃねぇ」
864 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:10:51.41 ID:3o/4nHgWo
天才「魔王クラスかもしれねーんだぞ」

隊長「…………え?」

天才「相手は軍団長どころか、魔王クラスかもしれねーって言ってんだよ!」

隊長「んな……バカな」

天才「一国まるまる乗っ取ろうってんだ、不思議じゃねーだろうがっ!」

隊長「た、確かに……」

天才「ほっときゃみすみす見殺しだ。行くぞ!」 ダッ

隊長(俺は何てバカなんだ……っ)

天才「!?」 ドサッ

隊長(いくらアイツらの為とはいえ、わざわざ死地に送り込んじまうなんてな……)

天才「……ぐっ」

隊長「お、おい……どうし――」

天才「来るな!!」

隊長「っ!!」 ビクッ

天才「来ればお前も……呪われる」 グイッ

隊長「み、右腕が黒ずんで……」

天才「あの幻術ヤローだな。チクショウ、消滅間際に怨念残していきやがって……っ」

隊長「呪い? 怨念……?」

天才「幻術の一種だよ。人様の心ん中に魔行をブチ込んでいきやがるのさ」

隊長「ど、どうなるんだ……?」

天才「魔行が気付かんうちに精神を侵食し始める。んで、それは徐々に肉体へと広がってくのさ」

隊長「それで、腕が……っ。治癒方法は?」

天才「怨念は夢魔の類と同じだ。精神的な核の部分を解決しなきゃならねぇ」

隊長「祓魔師か何かがいねーと……」

天才「自力でやる」 ドカッ

隊長「……?」

天才「俺様クラスになれば、自己解決出来るっつってんだよ」

隊長「自力!? つーか……何であぐらかいて……」

天才「15分だ。15分、俺様の周りに敵を近づけさせんなよ」 スゥ

隊長「はああぁぁ!?」

天才「…………」

隊長(もう瞑想に入ってやがる……っ。くそ、マジなのかよ)
865 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:11:40.02 ID:3o/4nHgWo
〜東の城、平野〜

ネクロマンサー「ん? 僵尸の気配が消えましたね」

青龍士官「見よっ! あれが敵の本拠ではないのか!?」

ネクロマンサー「まさか道士が? だとすればまずいですねぇ」

青龍兵「あの魔物を倒して突破するか、それとも回避して突破するか……」

ネクロマンサー「これ以上、城へ近づけさせる事は危険。仕方ありません」

 ズゴゴゴゴゴゴゴ……

青龍士官「――!?」

青龍兵「なっ、何か来るぞ!!」

ネクロマンサー「使うには早すぎましたが、仕方ありません」

青龍兵「な、何だありゃあ!!」

青龍士官「ドラゴン……っ!」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

青年兵「青龍先生……っ」

青龍先生「ふむ。ちと様子が違うようじゃのぉ」

ネクロマンサー「ククッ、後は頼みましたよ」

青龍兵「違うっ! ただのドラゴンじゃねぇ! 腐ってやがる!」

青龍士官「アンデッドか!!」

ドラゴンゾンビ「ゴアアアアァァァァ!!」

 ドッドオオオオォォォォン!!

ワイバーン「――っ!!」

青龍兵「しま――!! ぐわぁ!!」

青龍士官「召喚獣達を一撃で……っ」

青年兵「ドラゴンの上っ! 人が乗っていますよ!」

青龍先生「止む無し。援護せいっ」 ザッ

ドラゴンゾンビ「ゴアアァァァァーッ!」

 ブアッ ズシャアアァァ

青龍士官「!?」

魔剣士「……」 ザッ

青龍兵「ご、ごほっ! 何だアイツ……」
866 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:12:14.28 ID:3o/4nHgWo
 ドッズウウゥゥゥゥン!!

ドラゴンゾンビ「グゴオオオオォォォォ!!」

青龍兵「ドラゴンも地上に降りたぞ!」

青龍士官「地上戦かっ。面倒な……」

ネクロマンサー「さて、後はお願いしますよ。ククッ」 ヒュオッ

青龍士官「!? 逃がすかぁ!!」 ダッ

青龍兵「あっ、おい! バカヤロ――うおっ!?」

ドラゴンゾンビ「ゴガアアァァァァ!!」 ドウッ!!

青龍兵「塞がれた……っ。ちくしょう! コイツらを倒して突破するっきゃねぇのかよ」

魔剣士「……」 ザッ

 タッタッタッタッ

青龍士官「くそっ、飛行相手に足じゃ追いつけん……っ」 タッ

 シュイイィィィィン

ワイバーン「……」

青龍士官「イチかバチかだっ、おい! 乗せろ!」 ザッ

ワイバーン「……」

青龍士官「召喚獣に乗るなど、前代未聞だな……」

 バサッ!! バシュウウゥゥゥゥゥ

青龍士官「うっ、うわぁ!!」 ガシッ

ワイバーン「……」

青龍士官「ちっ、急に飛び立つなど……いいか? あの魔物を追え!」

ワイバーン「……」

 バッシュウウウウゥゥゥゥ!!

ネクロマンサー「召喚獣。しつこいですねぇ」

青龍士官「もう逃げられんぞ!!」

ネクロマンサー「ほぉ、人間が乗りますか。ククッ、これは愉快愉快」

青龍士官「まずは地上に叩き付けてくれるわ!!」

ネクロマンサー「ククッ、はたしてそれはどちらでしょうかねぇ」 ギロッ

青龍士官「――!?」
867 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:12:45.24 ID:3o/4nHgWo
〜東の城、通路〜

隊長「……おい、まだか!?」

天才「……」

隊長「ちっ。かれこれ15分経つんじゃねぇのか……?」

 ザッザッザッザッ……

隊長「ん……?」

兄者「……」
弟者「……」

隊長「おぉっ! アンタら無事だったのか!」

兄者「……」
弟者「……」

隊長「……おい、聞いてんのか?」

兄者「……」
弟者「……」

 ザッザッザッ

隊長(どうも様子がおかしい。どうなんてやがんだ!?)

弟者「……」 ブオッ!!

隊長「何ぃーっ!?」 ガキンッ

兄者「……」 グアッ

隊長「何だぁ!? まさか操られてのか……っ?」

兄者「……クククッ」

隊長「!?」

弟者「操るか。少し違うな」

隊長「その声……まさか……」

金角「そう。彼奴らの体は頂いた」
銀角「我らがなァ」
868 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:13:19.06 ID:3o/4nHgWo
隊長「――――っ!!」

金角「健闘はしたが、奥の手を見せたらばあっという間に死んだわ」

銀角「他愛ない。やはり人間など脆くて他愛ない存在よ」

隊長「……」

金角「どうした? 驚愕のあまり口も利けぬか?」

銀角「それとも恐れのあまり放心したか?」

隊長「違げぇよ。1対2はメンドクセーって考えてたんだよ」 チャキッ

金角「ほぉ、退かずに戦うというのか」 ザッ

銀角「仇討のつもりであろうが、貴様も同じ目に遭うだけの事だぞ?」

隊長「仇を討つとか、そんなん関係ねぇんだよ」

金角「ほぉ」

隊長「あの2人は武人として死んでいった。この国の為に戦って死んだ。名誉の戦死さ」

銀角「それは何よりだな」

隊長(戦いたくはねぇが、もうじき目が覚めるはずだ。それまでは……)

天才「…………」

隊長「こっから先ぃ!! 1歩も通さねぇぞ!!」

金角「ハァーッハッハッハ! 良き心意気よォ!」 ゴアッ
銀角「死して我らの糧となれいッ!!」 ギュオッ!!

隊長「っりゃああぁぁぁぁ!!」

 ガッキイイイイィィィィン!!
869 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:14:24.95 ID:3o/4nHgWo


天才『……そろそろだと思うんだがな』

 ザッザッザッ

総司令『……君はだれだ……私は誰だ』
天才『俺様は俺様で、テメーは俺様だ』

総司令『私は君で……君は私か』
天才『だからテメーはただの虚像だ。俺様の作り上げた、まぁゴミみてーなモンだ』

総司令『……君は作りたかったのだろう?』
天才『ほざけ』

総司令『……自身が憧れる破天荒で楽天的な絶対強者』
天才『……』

総司令『……自身が憧れる無口で沈着冷静な絶対強者』
天才『やめろ』

総司令『君は……あの2人の真似事、偽物に過ぎない』
天才『やめろって言ってんだろ』

総司令『常に頂点でなくてはならない。必至でもがく愚かなる者』
天才『違う。俺様は俺様だ。誰の真似でも偽物でもねぇ』

総司令『……ん。ならば私という存在は何なのだ』
天才『それをテメーと論じる必要はねぇ』

総司令『なぜだい?』
天才『言ったろ? テメーは俺様だ。自問自答なんざ世捨て人がしてりゃいいんだよ』

総司令『……ん。答えになってないね』
天才『答えなき答えだ。影は影らしく消えてろ』

総司令『……』
天才『俺様の深層はこんな奴じゃねぇ。もっと闇の深くに潜んでるはずだ』

 スゥッ
870 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:14:58.96 ID:3o/4nHgWo
天才『……ほらな』

妹『そうだよね、お兄ちゃん』

兄『俺はお前に迷惑ばっかし掛けちまった。でも謝る気はねぇし、申し訳ねーとは思ってねぇ』

妹『私もそうだよ』

兄『ここは俺の中だ。お前の本当の気持ちは分からん』

妹『うん』

兄『お前はもうこの世には居ないんだ。確認しようがない』

妹『うん』

兄『だから俺は勝手に、都合の良いように解釈しちまう』

妹『それで、良いと思うよ』

兄『お前に詫びたり……すんのは、死んでからで良いよな?』

妹『うん』

兄『勝手な解釈だけどな』

妹『お兄ちゃん、強くなったね』

兄『ここは俺の心の中。それに幻術だって分かってる』

妹『うん』

兄『幾らでも自分の都合の良いように解釈出来るもんさ』

妹『うん』

兄『それに、お前が死んでからもう18年か?』

妹『うん』

兄『でもまぁ、こうやって小さい頃の姿を見せられると、キツイもんだけどな』

妹『うん』

兄『これでもう右腕も大丈夫だろ。さっきは少し取り乱しちまったけどな』 ポリポリ

妹『ねぇお兄ちゃん』

兄『あん?』

妹『私は別に、お兄ちゃんを恨んだりなんてしてないよ?』

兄『あーいいよいいよ。そこまでは幻術で求めてねぇ』

妹『……うん』

兄『本当のお前と会える事があれば、そん時に小一時間聞いてやっからさ』

妹『ふふっ、覚悟しておいてね』 スウゥ

兄『ああ。魔王よりもビビっちまうかもな。ハーッハッハッハ――』
871 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:41:15.21 ID:3o/4nHgWo
 パキイイィィィィン!!

天才「っ!!」 ガバッ!!

隊長「ぐぬぁ!!」

天才「はぁ!?」

 ドガッシャアアァァ!!

天才「……ってぇな……コラ」

隊長「お、おぉ。いい気付けになっただろ?」 ヨロッ

天才「フザけんなコラ! 重い! どけ!」 ドカッ

隊長「寝起き早々、悪いんだが……手を貸してくんねーか?」

天才「あぁ?」

金角「……ほぉ、そちらの男も生きていたのか」

銀角「まぁ今更、1人2人増えたところでどうと言う事もないがな」

天才「何だコイツら?」

隊長「外見は人間のようだが中身は魔物だ」

天才「んなモン気配で分かるっつーの。何でこうなった?」

隊長「話せば長い。とにかく現状打破が先だ!」

天才「はいはい」

金角「銀角、お主はそっちをやれ」

銀角「相分かった」 ダンッ

金角「悪いが、また寝て貰うぞ」
天才「ハーッハッハ! テメーこそ寝言は寝て言えや!」

銀角「今度こそ止めを刺す」
隊長「こっちの台詞だ」

 ズッギャアアアアァァァァ!!

金角「――!?」
銀角「ッ!!」

 ガスッ!! ドッガアアァァァァン
872 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:42:03.45 ID:3o/4nHgWo
天才「おいおい口だけか?」
隊長「その身体を使ってこの程度とはな。侮辱だ」

金角「グヌゥ……ッ」

銀角「……金角」

金角「ああ。まさか1日で2度もする羽目に遭うとはな」

天才「……?」

銀角「我等の力、とくと味わうが良い」

隊長「何っ!?」

 ズゴゴゴゴゴゴゴゴ……

隊長「どっ、どういう事だぁ!? 奴ら……融合してるぞ!?」

天才「どうやらそーいうタイプの魔物みてーだな」

隊長「!?」

天才「俺もマトモに殺り合うのは初めてだけどな」

隊長「まともに?」

天才「大昔に1度、師匠筋にあたるワーカーと戦った事がある程度だ」

隊長「ほう、んで?」

天才「稀によくあるって言ってた」

隊長「そうじゃねぇ! 敵の特徴とかだよっ!」

天才「ああ、そっちか。融合型の魔物はだな……」

 ズゴゴゴゴゴゴ……シュウウゥゥゥゥ

金角銀角「さぁて、どちらから狩るとしようか」

天才「融合後、桁違いの力を爆発させる」

隊長「――!?」

金角銀角「ヒャアアァァハハアアァァ!!」 ボッ!!

 バッゴオオオオォォォォン!!
873 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:42:52.25 ID:3o/4nHgWo
隊長「ごはぁーっ!!」 ズシャア

天才「手ぇ貸してる余裕はねーからな。テメーで何とかしろよ」 ダッ

隊長「わ……分かってる……っつの」 ググッ

金角銀角「次ィ!!」

天才「俺様はそこの雑魚ほど甘かねぇぞ!!」

 ガッキイイィィィィン!!

金角銀角「ほぅ、確かに言うだけの事はある」

天才「!?」

金角銀角「もう少し賢いかと思うたがなァ」 グググ

天才(何だこの力……っ! ただ融合しただけじゃねぇ!)

 ドゴッシャアアァァァァ!!

金角銀角「グワーッハッハッハ!! 手緩い手緩い」

隊長「……っ」

天才「こいつぁ一筋縄じゃ……いかなさそうだな。ハーッハッハ」 ヨロッ
874 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:44:20.87 ID:3o/4nHgWo
〜東の街、平野〜

青龍兵「うああああぁぁぁぁ!!」

 ザッシュウウゥゥゥゥ

魔剣士「……」 スタッ

青龍兵「だ、駄目だ……っ。残る隊は俺らだけしか……」

 ザッザッザッ

魔剣士「……」 ピタッ

青龍兵「へ、へぇっ?」

青龍先生「ツヴァイハンダーにあの顔。ほぉ、こりゃあちと、厄介じゃのぉ」

青龍兵「青龍先生っ!!」

青年兵「大丈夫ですか!?」

青龍兵「あ、あぁ。だがもう魔力もないし……他の隊は壊滅だ……っ」

青年兵「くっ」

青龍先生「たったの1人……いんや、1匹に青龍隊ほとんどが壊滅か」

魔剣士「……」 ザッ

青龍先生「全く、情けなくておちおち隠居も出来んわい」

青年兵「……青龍士官?」

青龍兵「ああ、あいつなら魔物を追って先に……」

青年兵「!?」

魔剣士「……」 ザッザッ

青龍先生「とは言え、ここまでやられちゃあ儂もかなり頭に来るもんじゃ」

魔剣士「……」 ザッザッ

青龍先生「止まれ。止まらねば……殺すぞい」

魔剣士「……」 ザッ

青龍先生「出でよ、バハムート――」
875 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:45:25.06 ID:3o/4nHgWo
西方司令「どけクソジジイ!! おるああぁぁぁぁ!!」 グアッ
南方司令「ジャスティスパアアァァンチイイィィィィィ!!」

 ドッグオオオオォォォォン!!

魔剣士「――ッ」 ドズシャアアァァ

青龍先生「……お主ら」

南方司令「おい、今の顔は……」

西方司令「ここは譲れ死にぞこない!! ちょいと因縁のある相手みてぇだしよぉ!!」

青龍先生「……」

南方司令「魔剣士か。厄介だな」 ギュッ

西方司令「誰であろうがクソぶっ殺す!!」

青龍先生「それじゃ、お言葉に甘えるとするかの」

南方司令「我らが気を引く。その隙に怪我人を」

西方司令「んじゃ行くぜええぇぇ!! 喰らええええぇぇぇぇ!!」 ゴアッ!!

 ズッギャアアァァァァ!!

青龍先生「お主、まだ息のある者を非難させよ」

青龍兵「は、はい!!」

青年兵「先生、あの2人だけで大丈夫でしょうか? 敵は青龍隊を壊滅に追い込んだ手練れです」

青龍先生「相手は世界でも五指に入ろうかという剣の使い手。しかも不死じゃ」

青年兵「だったら……」

青龍先生「じゃが純粋な戦闘に関しちゃ五指には入らん」

青年兵「……?」

青龍先生「戦闘に関して五指に入る男が2人で挑んでる。心配は要らんじゃろ」

青年兵「!?」

青龍先生「あれでも各部の司令じゃ、心配は無用。ひょっひょ」
876 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:46:22.14 ID:3o/4nHgWo
 ガシャッ……ゴトゴトッ

魔剣士「……」

西方司令「ケロッとしたツラしやがって!! クソ腹が立つ!!」

南方司令「怪我人の避難まで30分というところか」

西方司令「30分? ふざけんな!! 5分で殺す!!」 ジャキッ

南方司令「正義の為にここで終わらせて貰うぞ」 ゴキゴキッ

西方司令「テメーは片目やられてんだ。そっちから回れ」

南方司令「そうさせて貰う」

魔剣士「……」 チャキッ

西方司令「行くぜごるああああぁぁぁぁ!!」 ドウッ!!

南方司令「ジャスティスハリケーン……キィーック!!」

 ドッガアアアアァァァァ!!

青龍先生「何っ? 青龍士官が単独で?」

青年兵「はい……っ」

青龍先生「馬鹿者めが。仕方なし、儂らも行くぞい」

青年兵「は、はいっ!」

 シュイイィィィィン

バハムート「…………」

青年兵「!?」

青龍先生「何をモタモタしとる。乗れい」

青年兵「あ、は……はいっ!」 ザッ

青龍先生「そう遠くはないはずじゃ」

青年兵「青龍士官……無事でいてくれ……っ」

 ドウンッ!! ゴッゴオオオオォォォォ
877 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:46:56.17 ID:3o/4nHgWo
〜東の城、最上階〜

戦士「ぐあっ!!」 ズザザァ

盗賊「……はぁ……はぁっ」

魔道士「くぅ……っ」

召喚士(何て強さなんだ。あらゆる攻撃が通用しない……っ)

夫人「うふふっ♪ もう終いかの?」

召喚士「く……っ」 ザッ

夫人「勝てぬと分かっていて何度も何度も、無様に挑み続ける」

魔道士「……っ」

夫人「そしてやがて力尽きる。ふふっ、可愛いものじゃの」

戦士「ナメやがって」

盗賊「……召喚士……どうする」

召喚士「コカトリスさえ直撃出来れば、勝ち目はあると思います」

盗賊「……ああ」

召喚士「だけど魔物の動きを封じる事が出来ない……っ」

盗賊「……」

 スクッ ザッザッザッ

召喚士「盗賊さん?」

盗賊「……私がやる」

召喚士「!?」

戦士「盗賊、やめておけ。盾は俺の役目だ」 ググッ

召喚士「2人とも無茶だ! 正攻法で封じられる相手じゃない!」

戦士「んな事、何度もやってみなきゃ分かんねぇだろ」
878 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:47:31.85 ID:3o/4nHgWo
盗賊「……戦士……無理するな」

戦士「あ?」

盗賊「……もう……疲労も限界だろう」

戦士「お前こそ。1人で足止め出来る程、力は残ってねーだろ」

盗賊「……でも……やるしかない」

戦士「俺もだ。じゃあ利害一致だな」

盗賊「……ああ」 ザッ

魔道士「盗賊さんっ、戦士さん!」

戦士「召喚士! 多分そこまで時間は稼げねぇ」

召喚士「戦士、本当にいいんだね?」

戦士「何度も言わせんな。どのみち倒す手はこれしかねぇんだ」

召喚士「……分かった」

魔道士「っ!!」

召喚士「魔道士さん、俺の方はいいから2人を全力でバックアップして下さい」

魔道士「は、はいっ!」

戦士「10秒……いや、5秒はやってみせるさ」

盗賊「……同意」

戦士「そんじゃあ行くぜぇ!!」 ザッ

盗賊「……いつでも」 チャキッ

夫人「何をするつもりかは知らぬが、無駄だと思うぞ?」

戦士「無駄だと分かってても、やんなきゃいけねぇ事もあるんだよ!」

盗賊「……世の理に……無駄な事など一切……ない」

夫人「ふふっ♪ ま、好きにするが良い」
879 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:49:10.45 ID:3o/4nHgWo
戦士「3……2……1……」

盗賊「しっ!!」 ビュオッ!!

夫人「早いが、目で追えぬ程ではないの」

盗賊「はああぁぁーっ!!」

夫人「正面から玉砕とは、芸が無いのぉ」 ブオンッ!!

魔道士「尻尾っ――」

 バッシャアアァァ!!

夫人「……水?」

盗賊「水遁……霧隠れの術」 ユラッ

夫人「!?」

盗賊「このままっ、捕獲する!」 ジャララッ

 ギュルル!! ガシィ!!

戦士「よくやった! あとは任せろっ!」 ダッ

夫人「くっ、小癪な」 ボウンッ

魔道士「尻尾が2つにっ!?」

召喚士「そろそろか、行けっ! コカトリス!!」 シュイイィィィィン

戦士「りゃああぁぁ!!」 ジャキッ

夫人「この程度の拘束で、わらわの動きが封じられるとでも?」 グググッ

 ドド゙オオォォォォン!! ギキイイィィィィン!!

夫人(氷の魔法!? こやつ等ではない……っ)

盗賊「魔道士っ!」

魔道士「今度は……火ですっ!!」 ドドオオォォォォン!!

夫人「くうぅ……っ!!」 ゴオオォォォォ

戦士「ナイスだ!!」

夫人「まだ……まだじゃっ!!」 ボボウンッ

召喚士(尻尾が4つ!? 何か意味を持つようだな)

夫人「わらわの肉体に触れられるのは、わらわが認めた殿方のみじゃ。近寄るでない」
880 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:50:11.41 ID:3o/4nHgWo
 ガッカアアアアァァァァ!!

戦士「――――っ!!」 ビリビリッ

魔道士「戦士さんっ!!」

戦士「……はっ、ははっ!!」

夫人「……?」

戦士「こ、この程度の雷で……やられっかよぉ!!」

夫人「!?」

戦士「このカタナには……魂が、雷として宿ってんだ!」

夫人「雷で相殺したのか? にしても、こやつ程度の魔力で相殺出来るなどと……」

戦士「うおおおおぉぉぉぉ!!」

夫人「相殺……出来るなどとぉ……っ!!」

魔道士「やあぁーっ!!」

夫人「小娘っ、お主の仕業――――」

 ガッカアアァァァァ!!

召喚士「今だぁ!!」

コカトリス「食らえっ」 ゴアッ!!

 ドッドオオォォォォン!! ゴガガガガアアァァァァ!!

戦士「やった……っ!!」

魔道士「はぁっ、はぁっ、はぁっ」

盗賊「……どう……だ?」

召喚士「……っ」
881 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:51:12.24 ID:3o/4nHgWo
〜東の街付近、平野〜

白馬騎士「そちらは無事ですか!?」 ドドッドドッ

大軍師「ええ。不死ですから完全に殲滅というわけではありませんが」

白馬騎士「攻撃を継続すれば、力は衰えていくようですね」

大軍師「おそらく器に蓄積した魔力を回復に費やしているせいでしょう」

白馬騎士「成程」

 ドドオオォォォォ……

白馬騎士「んっ!? あれは……」

大軍師「おや、南方司令部の面々ですね」

南方参謀「大軍師じゃないっ! 無事!?」

南方副司令「というか、そいつは南東国の……」

大軍師「諸事情がございまして。もう敵ではありませんよ」

南方魔道長「ほぉ。そりゃ助かった」

南方弓長「……っ」

南方参謀「ところで、うちの司令見なかった?」

大軍師「西方司令殿と先へ……」

南方参謀「全くもうっ! 何で勝手に行動するのよっ!」

南方副司令「司令に限って有り得んとは思うが軽い怪我ではないから心配だ」

南方魔道長「西方司令も一緒なんだろ? だったら心配ねぇだろうよ」

大軍師「だと、良いのですが」

南方参謀「……?」

 ピクッ ズゴゴゴゴゴゴゴ……
882 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:51:42.73 ID:3o/4nHgWo
南方副司令「な、なぁ」

大軍師「ええ。何でしょう、大気が震えていると言う感覚ですかね」

白馬騎士「こ、この威圧……まさか……っ」

 ドドッドドッドドッドドッ……

南方魔道長「何だ、あの赤いのは」

白馬騎士「赤兎!! やはりお前なのか、騎都尉!!」

騎都尉「……」 ドドッドドッ

白馬騎士「騎都尉っ!!」

騎都尉「白馬か」

 ドドッドドッ……ドドォ

騎都尉「これしきの数に何をてこずっている」

白馬騎士「聞くのだ騎都尉。もう本国の者らは敵ではない」

騎都尉「何?」

白馬騎士「もう敵ではないのだ。倒すべきは東の城に巣食う魔物」

騎都尉「黙れ」

白馬騎士「……騎都尉、我等は誤ったのだ」

騎都尉「ふざけるなぁ!!」

白馬騎士「……」

騎都尉「過ち、それは即ち長男様が間違った事になるのだぞ」

白馬騎士「事実だよ、騎都尉」

騎都尉「もしそれが事実となれば、長男様は悪となる!」

白馬騎士「気持ちは分かるが、それが現実だ」

騎都尉「貴様ああぁぁ!!」

白馬騎士「騎都尉! お前は何の為に戦っている!」

騎都尉「長男様の為だ!」

白馬騎士「違うだろうっ! 華国の為に戦わねばならぬのだ!」

騎都尉「知った事かぁ!!」 ビリビリビリッ

白馬騎士「……」
883 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:52:46.38 ID:3o/4nHgWo
騎都尉「俺にはもう、そんな事はどうでも良いのだ」

白馬騎士「騎都尉……お前」

騎都尉「そこをどけ白馬。どかぬと言うならば……貴様を斬ってでも押し通る!!」

白馬騎士「望むところだ。お前を今ここで、止めて見せようぞ」 ジャキッ

南方参謀「ち、ちょっと……っ」

南方副司令「野暮な真似はやめとけ。俺らは所詮、赤の他人だ」

南方参謀「でも」

大軍師「ここは白馬騎士殿にお任せ致しましょう」

騎都尉「死して長男様に詫びよっ、白馬ああぁぁ!!」

白馬騎士「貴様こそっ、華国の民に詫びるがよい」

 ズアッ!! ガッキイイィィィィン!!

白馬騎士「……っ」

騎都尉「まだまだぁ!!」 ズギャギャッ!!

南方魔道長「つ、強えぇ。何なんだあいつは、本当に人間か?」

騎都尉「おおおおぉぉぉぉ!!」

白馬騎士「流石は騎都尉……っ。一騎打ちでは到底、勝ち目はないか」

騎都尉「貴様に我が戟は止められまいっ!!」

白馬騎士「だとしてもっ、私は戦わねばならないのだ!」

騎都尉「何故だ!!」

白馬騎士「この世界に生きる、全ての人間の為だ」

騎都尉「っ!!」

白馬騎士「お前と同様、私も間違っていた。華国の為にとしてやってきた事が過ちだった」

騎都尉「……っ」

白馬騎士「華国だけの事を考えてはならなかったのだ。世界の為――」

騎都尉「それが貴様の正義かぁ!!」 ビュオッ!!
884 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:53:46.65 ID:3o/4nHgWo
 ザシュウウゥゥゥゥ!! ドシャッ

白馬騎士「……がっ、ごほ……っ!」

騎都尉「……」

南方参謀「まずいんじゃないっ!?」

大軍師「まだです。まだ終わっておりません」

騎都尉「白馬、俺は貴様のように利口ではない」

白馬騎士「ごほごほ……っ!」

騎都尉「俺は不器用だ。だから、目に映る1人の人間しか救えぬのだ!」 ポタポタッ

白馬騎士「――――っ!!」

騎都尉「通らせて貰うぞ」 ザッザッ

白馬騎士「騎……都尉……っ」

騎都尉「赤兎、思いっきり飛ばせ。行先は東の城だ」 ザシッ

赤兎「ブフウウゥゥ」 ドドッドドッドドッ……

南方副司令「大丈夫かっ!?」 タッ

大軍師「急所は外れていますね。応急処置を」

白馬騎士「きっと外してくれたのでしょう」

南方参謀「!?」

白馬騎士(確かに見た。しかしあれは血であったのか涙であったのか……)
885 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:55:21.37 ID:3o/4nHgWo
〜東の城、城内〜

隊長「うぐぁっ!!」 ドシャアッ

金角銀角「グッフフフ。決定打なきまま力尽きそうだな」

天才(俺様はともかく、コイツもかなりの使い手だ。手は抜いてねぇ)

隊長「はぁ、はぁ……なんつぅ……強さだっつーの」 ググッ

天才(おかしいのはあの魔物だ。あんだけ攻撃して弱体化はしてるものの……)

金角銀角「んん? もう喋る気力も失ったかァ?」

天才(何かがおかしい。ダメージの蓄積が伴ってねぇ。防御特化ってか?)

隊長「んのヤロウ!!」 ザッ

天才(いーや違うな。そうじゃねぇ。何か理由があるんだ。理由が……)

金角銀角「無駄な事よォ! 1体となろうとも我等は2倍の力を有しておるッ!」 バギャッ!!

天才(2倍……? そうか、そういう事かよ) ザッ

隊長「がっはぁ!!」 ズシャアアァァ

天才「……立てっか?」

隊長「……ぐ……っく。立たなきゃ……どうしようもねぇ」 フラッ

天才「よーやくアレを倒す方法が分かった。手ぇ貸せ」

隊長「!?」

金角銀角「倒す術? 笑止、それは無理だな」

天才「いいか? よく聞け……ボソボソ」

隊長「――!?」

天才「分かったな!」

隊長「……無茶だ」
886 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:56:11.29 ID:3o/4nHgWo
天才「やるしかねぇんだよ」

隊長「ちっ。じっとしててもこのまま死ぬだけ、か」

天才「ハーッハッハ! そーいう事。んじゃ行くぞー」 ザッ

隊長「俺はあんたに合わせる。後はなんとかしてくれや」 ジャキッ

天才「ハナっからそのつもりだ。なんたって俺様、天才だし」

金角銀角「……?」

隊長(奴を倒すには2つ同時に全く同じ一撃を浴びせる事……か)

天才(致死に届く攻撃を与えるには、隊長にゃもう1撃放てるかどうかってとこだろうな)

金角銀角「玉砕か? まぁ良い、ならば望み通り……まとめて返り討ちにしてくれるわッ!」

天才「何が何でも1撃で……成功させる!!」

隊長「っりゃああああぁぁぁぁ!!」 ダンッ!!

天才「いい攻撃力だ。ついでに土の付加なら、こっちは……」 キュイイイィィィィ……

金角銀角「ッ!?」

天才「残りの四行……くれてやらああぁぁぁぁーっ!!」

金角銀角「何ィ!? まさかこやつらあぁ――――」

 ズガッシュウウウウゥゥゥゥ!! ガッカアアアアァァァァ!!

隊長「……ぐはぁ!」 ドサッ

天才「ふーっ」 スタッ

隊長「はぁ、はぁっ、はぁっ! や……ったか!?」

天才「ったくよぉ。フィニッシュくれーカッコ良く決めろよな」

隊長「ほざけ……ごほごほっ」

天才「ま、これで後顧の憂いは断ったって事だ」
887 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:57:07.58 ID:3o/4nHgWo
〜東の城、最上階〜

 シュウウウウゥゥゥゥ……

盗賊「なっ!?」

召喚士「やっぱり……か」

夫人「……やるではないか」

魔道士「そ、そんなっ! 尻尾だけだなんて……っ」

夫人「尾だけ? ふざけた事をぬかす。わらわの尾を石化させ、落としたのだぞ?」

戦士「なんつう殺気だ……っ」 ビリビリビリッ

夫人「しかも4本もじゃ。この罪は生かして帰さぬぞ」

召喚士「半端な攻撃は逆効果だったか……」

戦士「いーや、んな事はないぜ。確かに手ごたえはあった」

召喚士「戦士」

戦士「奴もダメージはあるはずだ。無駄なんかじゃねぇぞ」

召喚士(確かに戦士の言う通り、ダメージは与えている。その証拠に……)

夫人「おのれぇ、残り5本の尾では長くは戦えぬ」

召喚士(魔力はかなり落ちているように思える。でも、それでもまだ……)

夫人「こうなってはもう遊んでいる暇はないの。一気に始末してくれるわ」

 ズゴゴゴゴゴゴゴ……

戦士「イタチの最後っ屁ってか?」

夫人「鼬? ふふっ、馬鹿にするでない」

戦士「こっちも次で決めさせて貰うぞ!!」 バッ

召喚士「戦士!!」

夫人「わらわは鼬などではない。狐じゃ!!」
888 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:57:52.71 ID:3o/4nHgWo
 ボッフウウウウゥゥゥゥン!!

盗賊「煙幕かっ!?」

魔道士「風で吹き飛ばしますっ!」 キュイイィィィィ

召喚士(煙幕? この期に及んで? 違うっ、何かあるはずだ)

戦士「ちっ、何も見えねぇ……」

召喚士「はっ! 戦し――」 バッ

戦士「えっ?」

夫人「わらわのこの姿、見て生きた者はおらぬ」 ズズズッ

戦士(狐!? こ、これがあの女の正体なの!?)

夫人「逝ね、俗物!」 ヒュオンッ

戦士(早……ってか、攻撃なのか? 武器? 素手? それすら分かんねぇ)

盗賊「……っ」

戦士(ダメだ、かわさねぇと……いや、無理だな。早すぎてどうしようもねぇ)

 ズバッシュウウウウゥゥゥゥ

戦士「やられる――――」

 ポタタッ ポタッ ポタッ

戦士「……?」

夫人「何とまぁ」 ボウンッ

盗賊「はぁーっ、はぁーはぁーっ、うっぐ……」

 ボトッ ブシュウウゥゥゥゥ……

戦士「ぁ…………」

召喚士「と……賊さん……?」

魔道士「いやああぁぁぁぁーっ!!」

夫人「男の盾となり腕の一本を失ったか。ふふっ、健気な女子じゃの」
889 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 15:58:59.95 ID:3o/4nHgWo
盗賊「……はぁ、はぁ……はぁ……っ」

召喚士「止血だっ! 早く! 戦士!!」

戦士「盗……賊……」

夫人「しかし無駄にはならぬぞ女子。わらわの魔力はもう残りわずかじゃ」

盗賊「う……腕の1本く……っらい、どうって事……」

夫人「無理をするな。意識を保つ事すら精一杯であろう?」

召喚士「戦士!! 盗賊さんを早く!!」

戦士「盗賊……なんでだよ……」

召喚士「戦士ぃ!!」

戦士「うおおおおぉぉぉぉ!!」

 ズゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

夫人「――!?」

戦士「てめぇだけは許さねぇ。絶対にだ!」

夫人(先程までの者とは違う。何だこれは、中身が入れ替わったとでも?)

召喚士「戦士!!」

戦士「早く盗賊を救え!!」

召喚士「!?」

戦士「こっちはいい。俺が何とかする。だから盗賊を……!!」

召喚士「……行けっ! ユニコーン!!」 シュイイィィィィン

魔道士「盗賊さんっ!! 盗賊さぁん!!」 ダッ

夫人(そうとでも考えねば理解出来ぬ……)

戦士「俺と共に詫びろ。盗賊に。その命をもって」

夫人(怒りか。人間の持つ怒り。それが爆発して大きな力となる)

戦士「俺の全身全霊をかけた一撃……食らいやがれ」 ジャキッ

夫人「残る魔力で、わらわに止められるかの。ふふっ、全く……面倒な事じゃ」
890 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:00:05.18 ID:3o/4nHgWo
戦士「っりゃああああぁぁぁぁ!!」

夫人「おのれ、余計な手間をっ!」

召喚士「戦士いいぃぃ!!」

 ゴッガアアアアァァァァ!! ドドオオォォォォ……

天才「!?」 ズザッ

隊長「い、今の音と衝撃は……」

天才「この奥からだな。つまりここが最上階」

隊長「開けるぞ」

 ガゴオオォォォォン

隊長「――っ!!」

天才「手遅れか、それとも……」

隊長「おいっ! 無事か!?」

魔道士「!?」 ビクッ

召喚士「隊長……さん」

隊長「やられたのか!?」 タッ

召喚士「命に別状は。でも……っ」

隊長「……ちっ」

天才「あっちは生きてんのか?」 チラッ

召喚士「……っ」

 シュウウウウゥゥゥゥ……
891 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:01:19.40 ID:3o/4nHgWo
戦士「……」

夫人「わらわをここまで追い詰めるとは、驚きだの」

 ボトボトボトッ ボトッ

召喚士(また尾が……っ!!)

夫人「これで残るは一本。もう勝ち目はないかの。ふふっ」

戦士「ざまぁ……みろ」

夫人「しかしお前も、同じだの」

戦士「……」 ブシュウウゥゥゥゥ

夫人「あれだけの力を使った攻撃じゃ。反動で全身から流血しておる」

戦士「……」 フラッ

夫人「動く事すらままならぬようだの」

 ドサッ……

召喚士「戦……士……? 戦士ぃ!!」

〜東の街、上空〜

青年兵「先生っ! あそこに何かっ!!」

青龍先生「蜘蛛の巣? いや、まさかな」 バシュウウゥゥゥゥ

青年兵「っ!? な、何か……いるっ」

青龍先生「奴が敵か」

ネクロマンサー「ん? まだ刃向う者がおりましたか」

青龍先生「貴様、ここで何をしておる」

ネクロマンサー「ククッ、見ての通りですよ。蜘蛛の巣を張って捕獲していたのです」

青年兵「捕獲?」

ネクロマンサー「ほら。これ、貴方達のお知り合いなのでは?」
892 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:02:09.43 ID:3o/4nHgWo
青年兵「――――っ!!」

ネクロマンサー「同じ召喚士のようですし」

青龍先生「ワイバーンともう1体はまさか……」

青年兵「青龍士官っ!!」

ネクロマンサー「残念ですねぇ。つい先ほどまで息があったのですが。ククッ」

青年兵「――っ!!」

ネクロマンサー「ま、ご友人同士で殺し合うというのも一興でしょうか」

青龍士官「う……ウゥ」 グアッ

青年兵「青龍士官!?」

青龍先生「ワイバーンを召喚せぃ!!」

青年兵「!?」

青龍先生「お主は自分の召喚獣に乗れ! バハムートは攻撃に転じる」

青年兵「先生っ」

青龍先生「お主の敵はそやつじゃ。儂は奴を殺る」

ネクロマンサー「ほぉ、老いぼれにこの私が殺せるとでも?」

青年兵「しかしっ! 相手は青龍士官――」

青龍先生「それはもうお主の知る青龍士官ではない。分かっておるじゃろ」 ザッ

青年兵「先生っ!!」

青龍先生「お主の手で、楽にしてやるのは」 ドウッ!!

ネクロマンサー「面白い。口だけではない事を見せて貰いましょうか」

青龍先生「老いてなお盛んとは儂の事じゃ。とくと味わうがよい!」
893 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:03:09.43 ID:3o/4nHgWo
 ドッゴオオオオォォォォ!!

青年兵「ワイバーン……」 スタッ

ワイバーン「……」 バシュウウゥゥゥゥ

青年兵(ごめんよ、青龍士官)

青龍士官「ワイ……バーン……!」

青年兵(僕が弱いばかりに、君をこんな目に遭わせてしまった)

青龍士官「殺す……ミンナ!!」

青年兵(どうして僕はもっと、青龍士官と向き合う事が出来なかったんだろう)

青龍士官「コロス! 憎シミヲ……貴様ニ!」

青年兵(君にもっと強く、言うべきだったんだ。なのに……)

 ドッゴオオォォォォン!! ゴガアアァァァァ!!

青年兵(逃げていただけなのかもしれないな。僕は……)

青龍士官「青年兵ッ!!」

青年兵(今は哀しみよりも怒りが込み上げてくるよ。自分自身へのね)

青龍士官「青年兵イイィィィィ!!」

青年兵「許してくれとは言わない。恨んでくれ、青龍士官!!」

 ズッギャアアアアァァァァ――!!



西方司令「クソジジイのバハムートが動いたか?」

南方司令「行ったぞ」 ズザッ

魔剣士「……」

西方司令「いい加減、こざかしいんだよクソボケええぇぇ!!」
894 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:04:35.02 ID:3o/4nHgWo
 バッゴオオォォォォン!!

魔剣士「!?」

西方司令「テメのレプリカなんざ、へし折ってやらぁ!!」

南方司令「武器の差がでたか。ようやく追いつめたな」

 バッキイイィィン!! ヒュンヒュンヒュン……ザスッ

魔剣士「……ッ」

西方司令「テメーは俺らと違って、剣がなきゃあ何も出来ねぇクズ――」

南方司令「馬鹿者っ、魔法がある!」

 キュイイィィィィ……ドッドオオオオォォォォン!!

西方司令「ごはぁ!!」

南方司令「だから言ったではないか」

西方司令「言うの……遅せぇよクズ……っ」 ヨロッ

南方司令「まぁいい。素手ならば私の出番だ。正義の拳を叩き込んでくれる」

魔剣士「……」 ヒュオッ

南方司令「むっ!?」

 バゴォ!! ドザザザザアアァァ

南方司令「しまった!」

西方司令「が……っはぁ!!」 ドシャッ

南方司令「貴様、倒れている者に追撃とはなんと卑怯な」

魔剣士「……」 ユラリ

南方司令「おい、無事か?」

西方司令「……だ、駄目だ」

南方司令「!?」

西方司令「もう駄目だああぁぁぁぁ! 死ぬっていうか、死んだああぁぁ!!」

南方司令「ちぃっ、ツヴァイハンダーを奪われたか……っ」

魔剣士「……続きだ」 ジャキッ

南方司令(一気に形勢逆転か。さて、どうするか……)
895 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:05:46.06 ID:3o/4nHgWo
 ドドッドドッドドッドドッ……

南方司令「……?」
魔剣士「……!?」

騎都尉「どけええええぇぇぇぇーっ!!」

南方司令「うおっ!」 バッ

魔剣士「……ッ」 ザッ

 ズッギャアアァァァァ!! ドゴォ!!

南方司令「あの魔剣士を、騎馬突撃で吹き飛ばすとは……っ」

魔剣士「……クッ」 ズザァ

騎都尉「邪魔だ。消え失せろ」 ドドォ

魔剣士「……」 チャキッ

南方司令(魔剣士とは味方同士ではないようだな)

騎都尉「ほう、俺の行く手を遮るか。面白い」 パッカパッカ

南方司令(つまり魔剣士の目的は我らの排除ではなく……)

騎都尉「消えろ!!」

魔剣士「……」

 ガッキイイイイィィィィン!!

南方司令(ここから先へ通さぬ事だ。敵味方関係なく)

騎都尉「うおおおおぉぉぉぉ!!」 ブンッ

魔剣士「……っ」 ヒュッ

南方司令「馬上で魔剣士と互角とは。恐ろしい男だな」

西方司令「ひえぇっ、でも押されてるううぅぅ! もう駄目だああぁぁ!」

南方司令「怪我をしている。どうやら既に猛者と一線交えた後のようだな」

騎都尉「うおりゃああぁぁぁぁ!!」

魔剣士「……ッ」 キュイイィィィィ……

 ドッドオオオオォォォォン!! ガカアアアアァァァァ!!
896 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:06:41.76 ID:3o/4nHgWo
騎都尉「……」
魔剣士「……」

南方司令(だが、このままでは両者共に譲る事はないだろう)

西方司令「
どどどっ、どうしよううぅぅぅぅ!! もう死ぬしかないのかああぁぁ!!」

南方司令(どちらかに加担すれば一方を退かせる事は可能だろう。しかし……)

騎都尉「っおおぉぉぉぉ!!」
魔剣士「……」 ダンッ

南方司令(騎馬の男の真意が分からん以上、味方する事は危険)

 ドドドドドドド……

白馬騎士「騎都尉!!」

南方副司令「おいっ、あそこにいるのは司令じゃないのか!?」

南方参謀「本当だわっ! やっと追いついた」

大軍師「そして、騎都尉殿と対峙しているのは確か……」

南方弓長「倒れてるのって西方司令じゃない!?」

南方魔道長「アイツにやられたのか。援護すんぞ」 ドドッドドッ

 キュイイィィィィ……ドッドオオオオォォォォン!!

魔剣士「……ッ」

南方副司令「バカヤロウ! いきなりぶっ放す奴があるかっ!」

南方参謀「粉塵で何も見えないじゃないっ」

騎都尉「邪魔をするなああぁぁ!!」

白馬騎士「騎都尉! 今度こそお前を止めるっ」

南方司令「あいつはどこだ……?」 キョロキョロ

魔剣士「……」 ユラッ

南方司令「いたっ!」 ダッ
897 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:08:08.09 ID:3o/4nHgWo
 ガシィ!!

南方司令「ツヴァイハンダー、返してもらうぞ」 グググッ

魔剣士「ッ!?」

南方司令「ジャスティスハリケーントルネードタイフーンパイルドライバー!!」

 ギュオオオオォォォォ……ドッギャアアアアァァァァン!!

魔剣士「か……はッ」 ドシャッ

南方司令「受け取れ!」 ブンッ

西方司令「ひ、ひいいいいぃぃぃぃ!!」

 ブオンブオンッ……バシィ!!

西方司令「ぶっ殺おおおおぉぉぉぉす!!」 ダンッ

南方魔道長「おわっ! 急に立ち上がるなよな、あぶねぇ」

西方司令「視界が悪いっ! つーか、何でこんな混戦になってんだよ!!」

南方副司令「どけぇ!!」 ザッ

騎都尉「邪魔をするなああぁぁ!!」

南方参謀「くうっ! 全然、止まらないじゃないっ」

白馬騎士「騎都尉いいいいぃぃぃぃ!!」

騎都尉「跳べっ、赤兎!!」 グアッ

 ズッダアアァァァァン!!

白馬騎士「――っ!?」

大軍師「何という跳躍力……っ、まるで空を飛んでいるかの如くですね」

白馬騎士「……飛将軍か。よく言ったものだ」

南方司令「ん? 魔剣士はどこだ?」

南方弓長「あっち!!」

大軍師「まずいっ、退避を」 ザッ

魔剣士「……」 キュイイイイィィィィ
898 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:09:09.45 ID:3o/4nHgWo
 ドッドオオオオォォォォン!!

南方副司令「うっおぉ、これは……っ」 ビリビリ

大軍師「五行。いや、魔行とでも言うべきですか」

南方参謀「こんなの浴びたらひとたまりもないわよっ」

南方魔道長「だったら俺と大軍師の魔法を援護しろいっ!」 ググッ

魔剣士「……」 ドドオオオオォォォォ!!

南方魔道長「うっぐおおぉぉぉぉ」

大軍師「押し返せなくとも……せめて相殺しますよっ」

南方参謀「仕……っ方ないわねぇ」 ドドオオォォ

南方弓長「くうぅ!」

 ガッカアアアアァァァァ!!

南方副司令「うぐあっ!!」 ズザッ

白馬騎士「や、やった……のか?」

大軍師「何とか相殺は。しかし……」

 シュウウウウゥゥゥゥ……

南方弓長「い、居ないわ……っ」

大軍師「逃げられましたね。行先は恐らく……」 チラッ

白馬騎士「東の城か。私が案内しよう」 パッカパッカ

南方副司令「よし、行くぞっ」

西方司令「先に行ってるぞ。やられっぱなしなんざぁ、腹の虫が収まらねぇ!!」 ダンッ

南方司令「そうだな。それに……正義が呼んでいる!!」 ババッ

南方参謀「あっ!? ちょっとまた勝手に……!!」

南方魔道長「しゃーねぇ。急いで追うぞ」

白馬騎士「此方です。付いて来て下さい」 ドドッ
899 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:10:44.38 ID:3o/4nHgWo
〜東の城、最上階〜

召喚士「どう……して」

夫人「……?」

召喚士「何で盗賊さんや戦士が……こんな目にっ」

夫人「まさか、こやつも……」

 ズゴゴゴゴゴゴゴ……

夫人「ふ、ふふ……っ。流石のわらわもこれは、危ういやもしれんの」 ツツー

召喚士「行け……コカトリス……」 シュウウウウゥゥゥゥ

隊長「でかい……っ! あんな召喚獣を呼び寄せられるのか!?」

天才「暴走してやがる。あんなんブチかましたら自分の身も危ねぇってのによぉ!!」 ダッ

召喚士「どれだけの人間が不幸な目にあったと思っているんだ……」

夫人「……くうっ」

召喚士「お前のせいで、何でみんながこんな目に遭わなきゃいけないんだああぁぁ!!」 ゴウッ!!

夫人「――――ッ」

 ズッガアアアアァァァァ!!

召喚士「……!?」

長男「……」 ザッ

 シュウウゥゥゥゥ……

召喚士「な……んで、何で盾に。邪魔を……」

長男「夫人は殺させたりしない。私が居る限りな」

召喚士「どうしてっ!!」

長男「夫人を愛しているからだ」
900 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:12:01.68 ID:3o/4nHgWo
召喚士「だからって! その夫人のせいで、みんなが迷惑しているんですよ!?」

長男「……」

召喚士「大勢、死んだんですよっ!!」

長男「夫人1人の命と万民の命、同じ命だ。差はない」

召喚士「夫人は魔物だっ!!」

長男「人間であろうと魔族であろうと、命に違いはない」

召喚士「……っ」

天才「コカトリスを解け。そいつが死んじまうぞ」

召喚士「くっ」 シュウウゥゥゥゥ

長男「そうやって命の区別を図る事に、答えはあるのか?」 スチャッ

隊長「まずいっ! 懐刀だ! 自害する気だぞ!」

天才「ちぃっ!」

長男「死ぬまで悩み続けるがいい。命の在り方について、な」 ブシュッ

召喚士「っ!!」

長男「私は夫人の中で、永遠に生き続けるとしよう」

夫人「有り難い事だの。遠慮なく吸い取らせて貰うぞ」 シュウウゥゥゥゥ

隊長「何だっ!?」

天才「命を吸い取ってやがる……っ。回復してんのか――」

夫人「そうじゃ、お主には借りっぱなしだたからの」 ヒュオッ

召喚士「!?」

 ズンッ……ポタタッ ポタッ
901 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:13:19.91 ID:3o/4nHgWo
召喚士「か……あ……あぁ」

盗賊「召……喚士……っ」

隊長「どうなった!? くそっ、腹をやられたのか……っ」 タッ

魔道士「召喚士さん……召……」 ドクンッ

召喚士「…………っ」 ザシャッ

魔道士「いやああああぁぁぁぁーっ!!」 ゴウッ

天才「五行だとぉ!?」

隊長「錯乱してるみてぇだぞっ!」

天才「止めろ! あんな五行じゃ不安定で跳ね返るぞ!」 タンッ

隊長「無茶言うなっ!」

天才「仕方ねぇ。俺様が受け止める。とにかく気を失わせろ」

隊長「受け止める!? 正気かよ……っ」

 ガッカアアアアァァァァ!!

天才「ぐっ、ぬううぅぅ!!」 ズズッ

隊長「悪いな。少し寝ててもらうぞ」 ボスッ

魔道士「う……っ」 クタッ

天才「受け止めた五行をっ、俺様の魔力で帳尻合わせてええぇぇぇぇ」

夫人「ッ!?」

天才「受けとれやぁ!!」 ガッカアアアアァァァァ!!

夫人「んな――――ッ」

 ドッドオオオオォォォォ……

夫人「これで終わりではないぞ。この地上から姿を消すだけ――」 パァンッ

隊長「やった……か」

盗賊「……」

天才「んで、お次はコイツらの治癒か。魔力持つかねぇ……ハーッハッハ」

戦士「…………」
召喚士「…………」
902 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:14:50.75 ID:3o/4nHgWo
〜上空〜

ネクロマンサー「どうやら、終わってしまったようですねぇ」

青龍先生「余所見とは余裕じゃな」 バッ

バハムート「……」 ゴウッ!!

ネクロマンサー「老いてなお盛んとは言いますが、魔力の衰えは隠せませんよ?」

青龍先生「ほざけっ。それでも貴様を封じる位は可能じゃて」

ネクロマンサー「ククッ、もう少し遊びたいところですが、もうお終いです」

青龍先生「何?」

ネクロマンサー「舞台は幕引きのようですよ。脇役も撤収した方が宜しい」

青龍先生(城内の事か? もう雌雄決したと踏んで良いのかの)

ネクロマンサー「さて、それでは一足先に失礼致しましょう」

青龍先生「最後に手土産じゃ。貰っとけ」

 キュイイィィィィ……ドッドオオォォォォン!!

青龍先生「!?」 シュウウゥゥゥゥ

魔剣士「……」 ブスブス……

ネクロマンサー「次にお会いした際には、倍にしてお返し致しますよ。ククッ」 ヒュッ

魔剣士「……」 ヒュッ

青龍先生「次、か。あれば良いがのぉ……ごほごほっ」
903 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:15:54.94 ID:3o/4nHgWo


騎都尉「……」 ドドッドドッドドッ

 長男『騎都尉っ。俺とお前で華国を大いに盛り上げるぞ』

 騎都尉『従いまする』

 長男『まずは国内を一気にまとめあげるぞ!』

騎都尉「……」 ドドッドドッドドッ

 長男『騎都尉、お前はずっと俺に付いてきてくれるか?』

 騎都尉『どこまでも従いまする』

 長男『次男や三男を担ぎ上げようと、器はなかろうと、俺が長男なんだ』

騎都尉「……」 ドドッドドッドドッ

 長男『騎都尉。もうお前しかいない。それでもお前は私に従うか?』

 騎都尉『いつまでも従いまする』

 長男『そうか。ならば良い』

 夫人『ふふっ♪』

騎都尉「それが俺の宿命。長男様との約束なのだ」 ドドッドドッドドッ

 ドカッ ドドッドドッドドッ……ドドォ

隊長「馬!? 何だ――」

騎都尉「……っ!!」 ズザッ

天才「あのヤロー。やっぱ生きてやがったのか」

騎都尉「長男様はどこ……だ!」

天才「おい」

隊長「分かってる!」 ダッ

騎都尉「長男様はどこだああぁぁ!!」 グアッ

隊長「ぐあっ!」 バゴォ!!

騎都尉「長男様ああぁぁぁぁ!!」
904 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:16:53.72 ID:3o/4nHgWo
天才「ちぃっ!」

 ガッキイイィィィィン!!

騎都尉「……長男様は……どこだ」

天才「そこに……転がってんだろ……っ」 ググッ

騎都尉「!?」 バッ

天才「……あっちも手負いで助かったな」 グイッ

隊長「こっちも手負いじゃなきゃどうって事なかったっての」 ググッ

騎都尉「……長男様」 ザッザッ

長男「……」

騎都尉「長男……様……」

長男「騎都尉か」

騎都尉「――っ!?」

隊長「おいっ、何で生きてやがる!?」

天才「知るかっ。俺様が確認した時にゃ、確かに心拍停止してたんだ」

騎都尉「長男様……っ、良かった」

長男「騎都尉、俺はもう死んだ。死んだのだ」

騎都尉「長男様……?」

長男「俺は……馬鹿だったな」

騎都尉「そんな事は……」

長男「良いのだ。この参上を見れば、誰がどう見ても大馬鹿者さ」

騎都尉「……」

長男「私は夫人を、心から愛していた」

騎都尉「……」

長男「だがそれ以上に、華国を愛していた……信じてくれ」
905 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:18:12.12 ID:3o/4nHgWo
騎都尉「信じますとも!!」

長男「しかし何故こんな事に。自分でも分からぬ。不思議だ」

隊長「やはりというかあの女狐に何かされてたみてぇだな」

天才「幻術の類だな。ま、心に隙があるから取り込まれる。自業自得だ」

長男「俺は華国に、失われた年月を作ってしまった……」

騎都尉「長男様、もう良いのです。もう……」

長男「そうだな。もう良いか。後悔してももう手遅れ……か」

騎都尉「長男様!!」

白馬騎士「騎都尉っ! 長男様は!?」 ザンッ

騎都尉「……」

白馬騎士「良かった、間に合ったか……っ」

騎都尉「貴様には無関係だろう」

白馬騎士「私ではない。この方だ」

騎都尉「……!?」

次男「兄上……っ」

長男「次男か。お前には合わせる顔がないな」

皇太子「間に合ったのか?」 ゾロゾロ

エリート「……いや、遅かったようですね」

大軍師「次男様も最後まで和平交渉に奔走なされたのですが、残念です」

長男「次男、華国を頼む……」

次男「はい。私に出来るかどうか分かりませんが、見守っていて下さいませ」

長男「騎都尉。ここに居る者らを恨んではならんぞ……」

騎都尉「……」

長男「彼らに罪はない。倒すべき敵……分かるだろう……」

騎都尉「長男様……っ!!」

長男「迷惑を掛けた……す……まぬ――」 フッ

騎都尉「長男様ああああぁぁぁぁーっ!!」
906 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:19:21.18 ID:3o/4nHgWo


盗賊「……右腕1本だ……命に別状はない」

魔道士「……う……うっぐぅ」 ポロポロポロ

盗賊「……だが、ワーカーとしては……もう無理だな」

魔道士「ううぅぅ……ひっぐ」

盗賊「世話になったな。召喚士、戦士、魔道士」

魔道士「盗賊……っさん!!」

戦士「魔道士、お前も実家に帰るんだな」

魔道士「……うっうぅ」

戦士「俺達は戦いを甘くみてた。お前もいつ同じ目に遭うか分からん」

盗賊「……」

戦士「パーティーは解散だ。そうだろ、召喚士?」

召喚士「…………」

戦士「俺に誰かを守る力がないってのが分かっちまった。今後はソロに戻る」 ザッ

盗賊「……私も……故郷へ帰るよ」

男隊員「止めなくていいのか?」

隊長「本人達の決断だ。俺らがどうこうするもんじゃねぇだろ」

女隊員「召喚士くん……」 ザッザッザッ

召喚士「…………」

女隊員「剣士さんと弓使いさん、一命は取り留めたッスよ」

女剣士「本国の大病院に移送される。ま、大丈夫だろう」

召喚士「…………」
907 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:21:28.91 ID:3o/4nHgWo
戦士「そんじゃ俺、行くわ」

盗賊「……戦士」

戦士「盗賊、本当にすまなかった。俺の責任だ。俺を恨んでくれ」

盗賊「……そんな事は……ないよ」

戦士「仲間を守る事すら出来ねぇ奴に、パーティーの前衛なんて失格なんだ」

魔道士「戦士さ――」

戦士「じゃあな」 ザッザッザッザッ……

白馬騎士「馬車の用意、出来ましたよ」

隊長「そういや騎都尉は……」

白馬騎士「長男様の亡骸を持って、既に発ちました」

男隊員「そうか。おい召喚士、行くぞ」

召喚士「…………」

隊長「放っておけ。しばらくは駄目だろう。自力で起きるまで待つしかない」

盗賊「……魔道士……行こう」

魔道士「でもっ、召喚士さん……」
908 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:22:40.54 ID:3o/4nHgWo


天才「おう、ジジイ。生きてたか」

青龍先生「城内は片付いたのか?」

天才「まぁな。被害は多々あっけど」

青龍先生「そうか」

天才「んで、こっちは何やってんだ」

青龍先生「人同士の戦とは、悲しいもんじゃの」

青年兵「……」
青龍士官「……」

青年兵「青龍士官、僕は君を救えたかもしれない。しれないのに……」
青龍士官「……」

青年兵「こんな事が、こんな世の中があってなるものか。間違ってる」
青龍士官「……」

青年兵「僕は絶対に、魔王軍を許さない……っ」 ザッ
青龍士官「……」

天才「ったく、どいつもこいつも憎しみにかられやがって」

青龍先生「ちと危ういのう。これも魔王軍の狙いかの」

天才「どーだか。だが若い連中が暴走するのは避けてぇ」

青龍先生「折角の貴重な財産なんじゃ。無駄に失う事は痛いものよ」

天才「食い止められるかどうかは、左翼と魔王軍次第ってとこか。前途多難だな……ハーッハッハ」
909 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:24:11.93 ID:3o/4nHgWo


召喚士「……」

 吹き飛んだ天井から夜空を見上げていた。気付けば既に夜になっていた。

 それから明朝、召喚士は人知れず南東国を去っていった。

召喚士「……」

 誰も救えないのならば、1人でやるしかない。1人でやれば良い。

 召喚士は呆然とした眼差しでそう繰り返し、思っていた。



 事実上、戦争は終わった。あくまで形式だけのものではあるが。

 この後、南東国は次男が国主として立つものの、依然として長男派、

 三男派が抵抗をみせ、国内は小規模な内乱が続いた。

 白馬騎士も単身、よく支えたが到底、限界があり、騎都尉は失踪後、

 一度も南東国へその姿を見せる事はなかった。

 時同じくして本国も南部を中心に荒れた。今回の戦争責任を厳しく追及する左翼、

 その謀略を暴こうと奔走する国軍本部の小競り合いが引き金となり、

 左翼の主要な者らを斬ったとして総司令は追放、指名手配の身となり失踪。

 以降は統制取れぬまま、各司令部が個々に魔王軍にあたる展開となり、

 辛うじて勝利を得るも、同時に激しい犠牲を生む結果となっていった。
910 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:25:03.12 ID:3o/4nHgWo
〜5年後、地獄〜

召喚士「……」

天才「なーに、ボーっと寝てんだよ」

召喚士「天才さん」

天才「終わったな。よく頑張ったよお前は」

召喚士「……昔の事を思い出してました」

天才「あん?」

召喚士「あの時もこうやって、暗い空を見上げてた」

天才「南東国か。あれも酷い戦いだったな」

召喚士「でもこれで、ようやく終わりなんですよね」

天才「ああ。サタンは倒した。もう地上に災厄が降り注ぐ事はねぇ」

召喚士「俺……間違ってましたか?」

天才「……」

召喚士「サタンを倒すのに、こんなに犠牲があって……正しいわけない」

天才「んなモン、お前自身が決める事じゃねぇ」

召喚士「南東国以降だって、みんな死んだ」

天才「ああ。戦士に特遊に騎都尉はイブリースに挑んで死んでった」

召喚士「青年兵くんはベルゼブブに殺された……」

天才「東方でも大勢死んだ。西でも南でも北でも」

召喚士「こんなので、本当に……っ」

天才「何度も言うが、それはお前が決める事じゃねぇよ」

召喚士「俺、悔しいですよ。もっとうまくやれば、運命は変えられた気がするんです」

天才「仕方ねぇさ。もう終わっちまった事なんだからな」
911 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:26:39.53 ID:3o/4nHgWo
召喚士「……そうですよね。そうなんだ」

天才「……どうする? 俺様がやるか?」

召喚士「いえ、自分でやります」

天才「そうか。んじゃ俺様は地上に帰るぞ」

召喚士「色々とありがとうございました。お元気で」

天才「お前の事は『救世主』として、世界中に報告しとくよ」 ザッ

召喚士「いいですよ。俺は救世主なんかじゃありませんから」

天才「……じゃあな。救世主」 バシュッ

召喚士「……コカトリス」

コカトリス「良いのか?」 シュイイィィィィン

召喚士「ああ、石化してくれ。どうせ助からない。時間の問題さ」

コカトリス「分かった」

召喚士「コカトリス、ずっとありがとう」

コカトリス「私こそ礼を言うぞ……戦友」

召喚士「……――」 ニコッ

 ビシビシビシッ ピキッ――
912 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:29:28.43 ID:3o/4nHgWo
……――

天才『……』 スッ
占い師『……』

天才『はぁ。こりゃシンドイわ』

占い師『どう? これが唯一、あなたが生き残るシナリオよ』

天才『有り得ねぇな。こんなクソみてーな予言はよ』

占い師『でもっ、これ以外の未来にあなたの生きる道は――』

天才『他者を押しのけてまで生きたいとは思わねぇ。んな事ぁ分かってんだろ』

占い師『……っ』

天才『俺様の事はどうでもいい。最善の未来だ。死者が最低限に留まる最善の未来を選択する』

占い師『……うん』

――……

占い師「……」 フッ

双子姉「どうしました?」
双子妹「ご機嫌が優れないとか?」

占い師「ううん。ちょっと昔を思い出してただけ」

双子姉妹「……?」

 コンコン カチャッ

エリート「お待たせ致し……おぉ、美しい」

占い師「ありがとう。でも白虎長に叱られますわよ?」

白虎長「失礼ねぇ。私はそんなに嫉妬深くありません」

エリート「……では、参りましょう」

 カツカツカツ……。コツ

皇太子「占い師。とても美しいな、よく似合っているよ」

占い師「ありがとうございます。陛下こそ」

皇太子「さぁ、行こうか」

占い師「はい」
913 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:30:06.24 ID:3o/4nHgWo
 カツカツカツカツ……

皇太子「何か考え事か?」

占い師「いえっ。本当に良かったのかな……って」

皇太子「……?」

占い師「私はこんなに幸せなのに、その裏で幸せになれなかった人もいるんです」

皇太子「そうだな。だが、それは仕方のない事。もう終わった事なのだ」

占い師「……」

皇太子「その人が不幸であったかどうかは君が決めるべきではない」

占い師「陛下……っ」

皇太子「その人は幸せに死んでいったのかもしれないのだから」

占い師「私は生きている限り、その人達の分まで幸せにならなければいけない」

皇太子「そういう事だ。さぁ暗い顔をするな。人々が祝ってくれているのだぞ?」

占い師「……はいっ」

 カツカツカツ ワアアアアァァァァ!!
914 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:31:04.83 ID:3o/4nHgWo
魔道士「あっ! 来ましたよ!」

盗賊「おぉ、綺麗だなっ」

戦士「いよっ! 陛下! 占い師さん!」

召喚士「おめでとうございますー!!」

幼女「お父さん、見えない〜」

剣士「ちょっと待って……ほらっ、どうだ!?」 グイッ

弓使い「何だかもう1回、式を挙げたくなっちゃうわね。ふふっ」

青年兵「これでようやく陛下も落ち着かれるだろう」

大軍師「だと良いのですが」 ヒラヒラ

男隊員「無理だと思うぜ? ヒャハハ!」

青龍士官「うん。無理だろうな」

皇太子「ハネムーンはどこへ行こうか」

占い師「お任せしますわっ」

皇太子「そうだな。ならば世界各国を5年ほど……」

エリート「陛下っ!!」

皇太子「むっ、まだ式の最中だぞ?」

エリート「顔見せは終了です。早く王宮へ移動して下さいっ! 来賓客がお待ちです!」

皇太子「……だ、そうだ」

占い師「ふふっ。あ、陛下!」

皇太子「ん?」

占い師「これからも末永く、宜しくお願い致します」 スッ

皇太子「こちらこそ。ずっと傍で、私を支えて欲しい」

占い師「はいっ」
915 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/18(火) 16:49:21.36 ID:3o/4nHgWo
      召喚士「行けっ!コカトリス!!」

〜とある国王の結婚式における王妃の白昼夢に
  似た予言の過去と、それを選択しなかった英雄の
  中に眠る、とある救世主の儚くも悲しい戦い、完〜
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/18(火) 16:56:26.37 ID:PNNJKMvXo
めでたしめでたし
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/18(火) 17:00:36.24 ID:3o/4nHgWo
残り少ないと思って1つのレスに詰め込みすぎた…
読みにくくてすみません…ただですらよみにくい文なのに…
とりあえずあと1こオマケのストックあるのでそれで終わりかな。ではまた!ノシ
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 17:02:38.26 ID:piFxX1Emo
久しぶりのリアルタイムおつ
書家の創作かと思った
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 18:56:09.68 ID:F2i0sHTPo
感動した
綺麗にまとめてきたね
ほんと感動した
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/18(火) 20:13:58.06 ID:0f59SLOio
>>1

お、増えてる増えてる!これからまた読ませていただきます!
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 21:14:12.35 ID:FsTZo2Ijo
>>1乙!
これを言うのも、あと一回なのか…

途中まで読んで、サタンと召喚士が同じ姿だった理由が明かされるのかと思ったら違ったぜ
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/18(火) 22:37:55.05 ID:0TiQ4Rmio
>>1は俺の嫁乙
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/19(水) 01:06:04.53 ID:cryjvYRZo
>>1乙!
ラストで全ての謎が解けたわ
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/19(水) 01:14:10.67 ID:tvy7zkvSO
なるほど召喚士達は運がよかったと言うより守られて居たんだな>>1すんごくGJ
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/19(水) 19:21:43.35 ID:thLp4nkxo
>>1

いやー、夢おちで良かった良かった
あと1つの物語、楽しみにしてる!
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/19(水) 20:29:45.61 ID:sVe7ucKUo
あと一つはこのスレ内で終わるのか?
何はともあれ>>1
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/19(水) 20:58:44.84 ID:AVj/zxcZo
>>1
もう一つのオマケが終わったら魔界編のスタートですね、わかります
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/20(木) 13:53:07.78 ID:8gYVAfbIO
天才初出場時はたんなる噛ませだとおもってたのにな…
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/20(木) 22:34:14.17 ID:PtGR/o4H0
>>1
天才生存ルートでは黒の三騎士と美女が大活躍したから全部の魔王を倒せたのかな?
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/21(金) 21:28:01.77 ID:mPwgklgao
きっとサタン以外全て王子がアヌビスでやってくれたんだよ
931 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:28:17.38 ID:jyfUSl9ao
 パッカパッカパッカ……

大参謀「式典、お疲れ様でした」

大元帥「……」

大参謀「おや、お疲れですか? もうじき本部に着きますよ」

大元帥「ああいや、少し考え事をしていてな。すまぬすまぬ」

大参謀「挨拶の訪問が何件かあると思いますので、もうしばし我慢下さい」

大元帥「うむ。分かっておる」

 パッカパッカパッカ……

大元帥「止めてくれ」

大参謀「どうなさいました?」

大元帥「中央広場だ」

大参謀「英雄の像ですね」

大元帥「……うーむ、やはり駄目だな」

大参謀「……?」

大元帥「いつ見ても笑われているような、そんな感じがするよ。ふっ」
932 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:28:47.20 ID:jyfUSl9ao



 召喚士「行けっ!コカトリス!!」

      〜それから〜
933 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:29:12.51 ID:jyfUSl9ao
〜国軍本部、司令室〜

大参謀「それではまた、後ほど」

大元帥「ああ」

 カチャッ

青年兵「!? おや、来てたのか」

朱雀嬢「帰りさないませ。お疲れ様でしたわね、青年兵大元帥」

青年兵「どうしたんだ急に?」 バサッ

朱雀嬢「式典が終わればしばらくお休みなのでしょう?」

青年兵「まぁ、な」

朱雀嬢「ですから、デートのお誘いにきましたのよ」

青年兵「いい歳をしてからかうな」

朱雀嬢「あら、私は本気ですわよ?」

青年兵「……」

朱雀嬢「はい、どうぞ。紅茶で宜しかったかしら?」 コトッ

青年兵「すまんな」

朱雀嬢「……何か、お悩み事?」

青年兵「ん、ああ。実はな、大元帥の職をそろそろと思ってな」 ズズッ

朱雀嬢「あら、そうですか」

青年兵「あまり驚かんのだな」

朱雀嬢「貴方に驚かせされる事は日常ですから」

青年兵「……むぅ」

朱雀嬢「それに、もうそろそろかなと思っておりましたから」

青年兵「節目だしな」

朱雀嬢「50年間、お疲れ様でした」

青年兵「……苦労をかけたな」 ボソッ

朱雀嬢「何か?」

青年兵「……いや、何でもない」

朱雀嬢「それで、後継者はどなたなのかしら」

青年兵「それがな、実はまだ決まっていない」

朱雀嬢「あら、そうなの? それじゃあまだやめるわけにはいかないじゃない」

青年兵「うぅむ……」
934 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:29:54.08 ID:jyfUSl9ao
 コンコン カチャッ

大参謀「お疲れのところ失礼致します。おや、奥様もご一緒でしたか」

朱雀嬢「お久しぶりですわね、大参謀」

大参謀「休暇期間中、私が業務代行致しますので書類を」

大元帥「ああ、すまんな」

朱雀嬢「あら、丁度良いのではない?」

大参謀「……?」

大元帥「実はな、大元帥職を退こうかと思ってな」

大参謀「結構な事ですが、後継者を定めて頂かねば」

大元帥「そこで大参謀、君はどうかね?」

大参謀「本気で仰ってるのなら、流石の私も怒りますよ?」

大元帥「……だよな」

大参謀「私は参謀役。これは生まれながらの宿命なのです」

大元帥「お前自身もそれを望んでいるのか?」

大参謀「でなくば、これほど長く務めたりは致しませんよ」

大元帥「まぁ、そうだな」 ズズッ

大参謀「わが父や叔父がそうであったように、私にもその血が流れておりますから」

大元帥「君の父や大軍師殿素晴らしき参謀役であった」

大参謀「私もそれに恥じぬ働きを致したいと思います。生涯において」

大元帥「君には後任の大元帥を支えて貰う大切な役目があったな」

大参謀「必ずやご期待に添えて見せましょう」

大元帥「頼むぞ、大参謀」

大参謀「はい。それでは書類、お預かり致しますね」 ニコッ

 スタスタスタ……パタン

青年兵「ふーっ。やはり駄目だったな」

朱雀嬢「適任にも思えるのですけれどねぇ」

青年兵「彼に流れる血が、そうはさせないのかもしれんなぁ」

朱雀嬢「ふふっ、そうですわね」
935 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:30:28.82 ID:jyfUSl9ao
 コンコン

朱雀嬢「どうぞ」

息子「失礼致します」

大元帥「息子殿か。総司令が何用かな?」

息子「式典で久方ぶりの本国ですので、ご挨拶にと思いまして」

朱雀嬢「それはわざわざ、有難うございます」

息子「えぇと、お邪魔でしたかな……?」

大元帥「何がだ?」

息子「あ、いえ……っ」

朱雀嬢「はい、どうぞ」 カチャッ

息子「どうも」

大元帥「最南の様子はどうだ?」

息子「順調ですよ。移民も始まってますし。それに……」

朱雀嬢「……」

息子「魔族もとても協力的ですし」 カチャッ

大元帥「ハヌマーン殿やオークは元気にしているか?」

息子「ええ、それはもう。たまには顔をお見せにいらして下さい」 ゴクゴクッ

大元帥「そうだな。久しく会っていないし、たまにはな」

朱雀嬢「明日からお休みでしょ? 良い機会ですわ」

大元帥「それもそうだな」

息子「きっと皆、喜びますよ」

大元帥「……だと、良いがの」 ゴクッ

息子「……さて、私はそろそろ。紅茶、ご馳走様でした」

朱雀嬢「いいえ。こちらこそわざわざ有難うですわ」

大元帥「今日はゆっくりしていかんのか?」

息子「ええ。仕事が待っておりますから」 スクッ

朱雀嬢「……」

息子「ではまた」 ザッ
936 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:31:10.63 ID:jyfUSl9ao
大元帥「なぁ、息子殿」

息子「……?」

大元帥「近いうち、大元帥の職を退こうかと思っておる」

息子「何と……っ」

大元帥「お主、私の跡を継いではくれないか?」

息子「大元帥を……ですか?」

大元帥「ああ。君なら経験も技量も問題ない」

息子「……」

大元帥「どうかね?」

息子「申し訳ありませんが、お断りさせて頂きます」

大元帥「そう……か」

息子「長らく中枢を離れておりますので」

大元帥「君には最南の開拓を一任してしまっているからなぁ」

息子「私も好きでやっている事ですから」

大元帥「そう言って貰えると助かるよ」

息子「最北と違い、最南の地はまだまだ未開です」

大元帥「そうだな」

朱雀嬢「でも、だいぶ測量したのではなくって?」

大元帥「大まかにはな。局所はまだまだ正確に分かっておらぬ」

息子「ええ。かなり険しい山脈や樹海などが多々、ありますので」

大元帥「未知の生物はおろか、もしかしたらまだ魔族とて居るやもしれん」

息子「否定は出来ませんね」

大元帥「仕方ない。他の候補者を探すよ」

息子「申し訳ありません」

大元帥「なぁに、君が謝る事ではないよ」

息子「……では」 ザッ
937 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:31:40.62 ID:jyfUSl9ao
 カツカツカツ……ピタッ

息子「それともう1つ」

大元帥「ん?」

息子「私は人の上に立って、何かを成し遂げる人間ではありません」

大元帥「そんな事はなかろう」

息子「常に現場で、部下達と共に行動する事が至福なのです」

大元帥「!?」

息子「父がそうであったように。私には父の血が流れているんです」

大元帥「そうだな。君の父上……南東砦長殿もそうであった」

息子「私は父のようにありたい。この先もずっと」

大元帥「ああ、分かった。君の意志を尊重しよう」

息子「ありがとうございます。おや……?」

朱雀嬢「あら、またお客様?」

息子「丁度、候補者が来たようですね。それでで失礼。また」

 カツカツカツカツ……

闘士「これは総司令殿。ご苦労さまです」

息子「大元帥が君に話したい事があるそうだ」

闘士「私に……ですか?」

息子「ああ。それじゃあな、特遊隊長殿」

闘士「はぁ」
938 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:32:09.97 ID:jyfUSl9ao
 カツカツカツ……

闘士「失礼致します」

大元帥「やぁ、任務は終えたのか?」

闘士「任務と言っても陛下の警護全般ですから」

大元帥「他の要人ももう帰ったのか?」

闘士「華国の王妃が後ほど、帰国前に立ち寄ると申してました」

朱雀嬢「まぁ、そうですか」

闘士「あの、何か話があるとか」

大元帥「ん、ああ。実はな……大元帥の職に就かぬかと思ってな」

闘士「私がですか!? ははっ、冗談じゃないですよ」

大元帥「大真面目な話だぞ?」

闘士「だから言っているのです。この私がですよ? 1番かけ離れた存在ですよ」

大元帥「そんな事はあるまい。君の力量は今や、国軍ナンバーワンの呼び声も高い」

闘士「はぁ」

大元帥「それに君の父母は、かの救世主。申し分なかろう」

闘士「その父母が問題でしょう」

大元帥「何?」

闘士「あなたもわが父母と魔王討伐を共にした」

大元帥「だから実力は分かっておる。あの2人の息子なのだ」

闘士「父や母が同じ事を言われて、就くと思いますか?」

大元帥「……っ!」
939 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:32:38.21 ID:jyfUSl9ao
朱雀嬢「確かに。戦士さんと盗賊さんが大元帥になど、なるわけもありませんわ」

闘士「私は私。それでも救世主、戦士と盗賊の血が流れています」

大元帥「あくまで、常に先頭をゆく……か」

闘士「見えない道を切り開く事こそ私の任務。デスクワークなどまっぴらですよ」

大元帥「平穏な世となった今では、それもそうかもしれぬな」

闘士「大元帥はあなた以外、考えられませんよ……青年兵おじさん」

青年兵「昔から変わらんなお前も。それにソックリだ」

闘士「……」

青年兵「戦士さんの強情なところと、盗賊さんの信念を曲げぬところ」

闘士「あははっ! 褒め言葉として受け取っておきます」

青年兵「ま、私が死んだら何とかしてくれ」

闘士「困るので、せいぜい長生きして下さい」

青年兵「……」

闘士「それでは失礼します。大元帥殿」

大元帥「……ああ」
940 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:33:50.24 ID:jyfUSl9ao
 スッ カツカツカツカツ……

青年兵「やはりといったところか」

朱雀嬢「それはそうですわよねぇ」

青年兵「しばらく、引退させては貰えないようだな」

朱雀嬢「ふふっ、良いのではなくって?」

青年兵「ん?」

朱雀嬢「納得出来ぬ形で辞めるくらいならば、走りきるべきですわ」

青年兵「……それも、そうだな」

 コンコン カチャッ

朱雀嬢「……あら!」

大元帥「陛下っ」

本国王「先程はご苦労であったな」

大元帥「陛下こそ。して、どうなさいましたか?」

本国王「彼女が君に挨拶をと」

大元帥「……?」

本国王「華国王妃さ」

朱雀嬢「まぁ……っ!」

 スタスタスタ

華国王妃「ご無沙汰しておりますわ。青年兵さん、朱雀嬢さん」

本国王「私は外で待機しているとしよう」

大元帥「気を遣われなくとも……」

本国王「業務上ではなく、友人として話した方が宜しかろう」

華国王妃「お気遣い、感謝致しますわ」
941 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:34:24.97 ID:jyfUSl9ao
 カツカツカツカツ……

華国王妃「陛下が華国までお送り下さるそうです」

朱雀嬢「まぁ、そうでしたか」

華国王妃「敬語は無用ですよ。ここからは友人として話しましょ」

朱雀嬢「……そうね、幼女ちゃん」

幼女「お2人共、元気そうで何より」

青年兵「君こそ。それで、陛下の容態は?」

幼女「心配はいりませんわ。元から身体も強くない方ですから」

青年兵「本国の病院ならば最新の設備を取り揃えている」

幼女「ええ。有難い事です」

朱雀嬢「華国も変わりないかしら?」

幼女「はい。 移民も増えて、日々賑わいが増しておりますよ」

朱雀嬢「それは良かったですわ。私達も久しく訪ねてないわねぇ」

青年兵「そうだな。今度、墓参りも兼ねて行くとしようか」

朱雀嬢「暇があれば宜しいですけれど」

青年兵「むぅ」

幼女「相変わらずお忙しいの?」

青年兵「まぁ、色々と……」

幼女「構いませんよ、お仕事など退職した後でゆっくりお越しになられれば」

青年兵「いやっ、それが問題でなぁ」

朱雀嬢「ふふっ、ふふふふ」

幼女「……?」
942 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:34:52.57 ID:jyfUSl9ao
 カツカツカツ……バタン

朱雀嬢「!?」

大元帥「丞相ではないか。どうした……?」

丞相「陛下、見ませんでしたか?」

朱雀嬢「陛下なら、また後ほど来ると申しておりましたわ」

丞相「逃げられたか……」

朱雀嬢「あの……」

丞相「ああ、華国王妃をお送りする名目で、自分も華国へ行こうという魂胆だったのでしょう」

華国王妃「えっ!?」

大元帥「相変わらずだな」

丞相「全く。痛……っ」 ズキッ

大元帥「どこか悪いのか?」

丞相「誰かさんのお陰で胃がやられております」

大元帥「……あぁ」

丞相「少し目を離すとこれだ。全く、落ち着きのない……」

大元帥「そっくりだな。流石、親子だ」

丞相「陛下ですか? 先代もそうでしたからね」

大元帥「いや、君もだよ」

丞相「私ですか?」

大元帥「君のお父上、エリート殿……いや、親子3代そっくりだ」

丞相「きっと国王に泣かされ続ける一族の運命なのでしょうね……はぁ」

大元帥「右大臣様、エリート様、そして君。王の右腕として切っても切れない間柄なのだろうよ」

丞相「それでは困りますけれどね」

大元帥「はははっ。それもそうだな」

丞相「もし陛下が此処へ戻ってくるような事あらば……」

大元帥「分かっておる。すぐに城へ戻るよう伝えるよ」

丞相「私は城門を見てまいります。では」

大元帥「ああ」

丞相「そうそう、大元帥殿」

大元帥「ん?」

丞相「母がたまには顔を見せろと愚痴を申しておりましたよ」

大元帥「むっ、それは申し訳ないな。白虎長殿に宜しく伝えてくれ」

丞相「はい。それでは」
943 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:35:18.77 ID:jyfUSl9ao
 カツカツカツカツ……

朱雀嬢「何というか、相変わらずですわね」

青年兵「そうみたいだな」

幼女「それでは私もこの辺にて失礼致しますわ」

青年兵「そうか。わざわざすまなかったね」

幼女「いいえ。夫の見舞いでまた来ますので、その時にでもゆっくり」

朱雀嬢「ええ。お待ちしておりますわ」

青年兵「誰か、この方をお送りしろ」

幼女「お気遣いなく。ではまた」

 スタスタスタ……

朱雀嬢「さて、これでゆっくり出来るかしら?」

青年兵「どうかな。また帰ってくると思うが……」

朱雀嬢「……?」

 ササッ ザッ

本国王「……ふーっ」

朱雀嬢「陛下っ!」

大元帥「ほらな」

本国王「丞相が来なかったか?」

朱雀嬢「今しがた来られましたわ」

本国王「やはりか」

大元帥「陛下……もういい加減、落ち着かれたらどうかね?」

本国王「何を言う。むしろこれからだぞ」

大元帥「…………」

本国王「私としてはさっさと譲位して自由の身になりたいくらいだ」

大元帥「譲位しようが自由の身にはなりませぬ」

本国王「いーや、なるさ」

大元帥「なりませぬ」

本国王「父もそうであったであろう?」

大元帥「あの方は……」

本国王「否定するのか? 父は良くとも私は駄目と?」

大元帥「ぐむ……っ」

朱雀嬢「変な前例を作られてしまいましたわねぇ……」

本国王「全て丞相に任せておけば問題ない。それにあいつだって……」
944 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:36:02.68 ID:jyfUSl9ao
――「父上ぇ!!」 バンッ!!

本国王「!?」

朱雀嬢「噂をすれば……ですわね」

大元帥「……うむ」

本国王「本国王子……っ」

本国王子「父上っ! また丞相に迷惑を掛けて」

本国王「ぬぬっ」

本国王子「しかも大元帥や他の皆にまで。何と申し訳ない事か」

朱雀嬢「いやっ、私達は特に……」

本国王子「そうはいきません。さぁ父上! 帰りますよ」

本国王「……おい、祖父として何か言ってやれ」

大元帥「孫にまでこう言われて恥ずかしくないのですか」

本国王「……」

本国王子「さあ父上、帰りますよ!」 グイッ

本国王「ぐ……っ」

本国王妃「も〜っ、置いていくなんて、何て冷たいのかしら〜」 テクテク

朱雀嬢「あら、貴女も来てたのですわね」

本国王妃「お母様〜。それにお父様もこんにちはかしら〜!」

大元帥「お前までどうしたのだ」

本国王妃「せっかくお母様がいらしたのですから。駄目かしら〜?」

大元帥「駄目な事はないが、忙しいのではないのか?」

本国王妃「忙しいだなんて、そんな事はないのかしら〜」

本国王子「母上っ」

本国王妃「は、はいぃ!」

本国王子「母上もほら、帰りますよ」

本国王妃「で、でもぉ〜せっかくお父様もお母様もいらしているのに寂しいかしら〜」

本国王子「大元帥殿と奥方は久方振りの休暇なのです」

大元帥「!?」

本国王子「2人の邪魔をするものではありませんよ」

朱雀嬢「別に構わないのに……」

本国王子「そうは参りません。お2人で楽しまれるが宜しかろう」

大元帥「……」
945 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:36:39.27 ID:jyfUSl9ao
本国王子「ではそういう事で。邪魔を致しました」 ペコリ

本国王「立派になったな……本国王子」

本国王子「私はまだ、王位を継ぐきはありませんよ」

本国王「ぐむっ」

本国王子「ほら、早く行きますよ。母上も」 スタスタ

本国王妃「あぁん。それじゃあお父様、お母様。またお元気でかしら〜」

 ゾロゾロゾロゾロ

朱雀嬢「なんだか、騒がしかったですわね……」

青年兵「ああ。全く困ったものだ」」

朱雀嬢「でも、久しぶりに色々な方にお会い出来て、楽しかったですわね」

青年兵「そうだな。孫や娘にも会えたし」

朱雀嬢「ですわね」 ニコッ

青年兵「それでは行くとするか」 スクッ

朱雀嬢「へっ?」

青年兵「せっかく皆が作ってくれた機会だ。君の誘いに乗ろうじゃないか」

朱雀嬢「まぁっ!」

青年兵「久しぶりに空の旅でもどうだ?」

朱雀嬢「お任せ致しますわ」

青年兵「ではそうしよう。さぁ、行こうか」 スッ

朱雀嬢「……はいですわ」 ギュッ
946 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:37:08.24 ID:jyfUSl9ao


空軍兵「ワイバーン、出ます」

 ゴウンゴウンゴウン……

朱雀嬢「わぁ、風が気持ち良いですわねぇ」

青年兵「空は久しぶりじゃないのか?」

朱雀嬢「そうですわね。前回このワイバーンに乗せて頂いて以来かしら」

青年兵「だとしたらそうだな。やはり、かなり前になるな」

朱雀嬢「召喚獣が使えなくなってから、自力で飛ぶ事も出来ませんから」

青年兵「……そうだな」

朱雀嬢「でも宜しかったのかしら?」

青年兵「ん?」

朱雀嬢「ワイバーンを勝手に動かしたりして」

青年兵「ああ、ちょうど定期点検で飛行させる予定があったからな」

朱雀嬢「あら、そうでしたの」

青年兵「さて、どこへ行こうか」

朱雀嬢「それでしたら、東西連邦の東方なんてどうかしら?」

青年兵「東方か」

朱雀嬢「久しぶりに王子さんと帝さんにもお会いしたいですわ」

青年兵「そうだな。ならばそうしようか」

朱雀嬢「はいですわ。うふふっ」
947 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:37:36.95 ID:jyfUSl9ao
 ゴウンゴウンゴウン……

孫隊員「あれっ? あの飛んでる飛行船、ワイバーンじゃないッスか?」

闘士「だな」

孫隊員「大元帥専用機がなんでまた。任務か何かッスかねぇ?」

闘士「プライベートだろ。検査飛行だったはずだ」

孫隊員「なーる。そういう事ッスか」

第二隊員「そういえば隊長、大元帥の座を断ったそうですね」

闘士「ああ。俺がそんな器じゃねーだろ」

孫隊長「断るとか、超ありえねぇッスよ」

闘士「じゃあお前がやるか?」

孫隊員「またまたぁ〜。俺は特遊一筋ッスよ!」

闘士「ずっと特遊やってるつもりか?」

孫隊員「そうッス。俺は尊敬するばあちゃんのようになりたいッス!」

闘士「確かにあの人は素晴らしい方だったな」

孫隊員「そうッス! な、お前もそうだろ?」

第二隊員「特遊の男はモテないからなぁ。どうしようかな」

孫隊員「おぉい!?」

第二隊員「お前も早く彼女作ったら?」

孫隊員「それは今、関係ねぇッスだろ!!」

闘士「ほれ、行くぞ」 ザッ

孫隊員「とにかく、副隊長なき今、俺が副隊長の座を狙って――」

第二隊員「産休明けたら復帰するって言ってたぞ?」

孫隊員「何ぃ!? 副隊長健在で隊長も退任する気なし……」

第二隊員「ヒラ隊員、決定だな」

孫隊員「うるせーッス! 何年かかろうとなってみせるッスよぉ!」

闘士「頼もしい限りだ。そんじゃ、まずは私語を慎む事だな」 スタスタ
948 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:38:18.68 ID:jyfUSl9ao
 ゴウンゴウンゴウン……

青年兵「飛行船に乗ると、いつも思い出すのだ」

朱雀嬢「……?」

青年兵「君とワイバーンやグリフォンで空を翔けた日々をな」

朱雀嬢「そうですわね」

青年兵「そして、あの人や皆と命を賭けて戦った日々を」

朱雀嬢「……そうですわね」

青年兵「この50年が正しい歳月だったのかは私には分からない」

朱雀嬢「ええ」

青年兵「だが、やるだけの事はやったつもりだ。今は信じるよ……己をな」

朱雀嬢「ええ、貴方は立派に務めましたわ。ご苦労様」

青年兵「んっ?」

朱雀嬢「どうなさいました?」

青年兵「いや、疲れているようだ。今……召喚獣が飛んでいるように見えた」

朱雀嬢「まぁ、本当に召喚獣かもしれませんわよ? ふふっ」

青年兵「ははっ、冗談はよせ。さて、船内に戻ろう。東方までまだ時間はある」

朱雀嬢「はいですわ」 テクテクテク

……――

朱雀嬢『私のグリフォン、青年兵さんのワイバーンにも負けませんわよっ!』

青年兵『ははっ、じゃあ競争だ。ワイバーン! 思いっきり飛ばせっ!』

ワイバーン『任せておけ。朱雀如きに負けてたまるか』

朱雀嬢『グリフォン! 負けたら承知しませんわよっ!!』

グリフォン「青龍の鼻っ面などへし折ってくれるわ!』

青年兵『それでは行きますよっ、よーいドン!!』

朱雀嬢「あっ! ずるいですわよっ、待てーっ!』

 バシュウウゥゥゥゥ……――





 召喚士「行けっ!コカトリス!!」

   〜それから50年後、完〜
949 :これがラストオマケです  ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:39:51.56 ID:jyfUSl9ao
 眼鏡さんの朝は早い。

眼鏡「おはよう。よーし、散歩に出掛けようか!」

犬「わんわんわんっ!」 ゾロゾロ

眼鏡「うわっ、急に引っ張らないでぇ――」

 ドンガラガッシャーン!! ドサッ ズザザザザー

管理人「ふふんふ〜ん……きゃあっ!!」 ビクッ!!

眼鏡「管理人さん、おはようございますううぅぅぅぅ」 ズザー

管理人「め、眼鏡さん……っ。毎朝、大変ね……はは」

 ズザザザザザー

おかみ「今日は漁船が来てるから朝市も活気付いてるだろうねぇ〜」 スタスタ

眼鏡「いい加減、止まってええぇぇぇぇー」 ズザザザー

おかみ「!?」 ビクッ!!

 ズザザザザアアァァァァ……

おかみ「ひ、引き回し……?」

 毎朝にぎわう朝市と同じく、20数頭の犬に引き摺られる眼鏡の姿は、

 鉱山の町における朝の日課となっていた。
950 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:40:23.51 ID:jyfUSl9ao
眼鏡「はぁはぁはぁ。あ、朝の運動おしまい……」

管理人「お帰りなさい、眼鏡さんっ」

眼鏡「やぁ管理人さん。お早うございます」

管理人「見て見てっ。今日は漁船が帰ってきたから、お魚いっぱい買ってきちゃった」

 彼女は眼鏡の住む長屋の大家さんである。

 幼少の頃は本国に住んでいたが戦火に巻き込まれ、

 幼くして両親を失い、その後はこの地で部屋貸しを営む

 祖父の手によって育てられた。

管理人「良かったら眼鏡さんにもおすそ分け――」

犬「ワンワンワンワンッ!!」 ガバッ

管理人「きゃあっ!!」

 その祖父も他界し今は彼女が後を継ぎ、1人で切り盛りしているのだ。

管理人「魚取られちゃった……。犬と言うよりまるで猫……」

犬「ワンワンワンッ!」 ムシャムシャ

管理人「……って、眼鏡さんまで何やってるんです!?」

眼鏡「はっ!!」 パクッ

管理人「あははっ。眼鏡さんって、見た目と違ってお茶目なのね」

眼鏡「え、えぇ。そうなんですよー! あはは……っ」

 この長屋には、この土地に住む者が多いが、

 中には眼鏡のようにワーカーとして仮住まいし、拠点としている者も居る。
951 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:40:50.72 ID:jyfUSl9ao
隣人「やあ、おはよう。眼鏡くん」

眼鏡「お爺さん、おはようございます」

隣人「今日も賑やかだねぇ」

眼鏡「いつもいつもすみません。五月蠅いでしょう?」

隣人「良い良い。こちらも明るい気分になれるというものじゃ」

眼鏡「そう言って頂けると、恐縮です……」

犬「ワンワンワンッ」

眼鏡「お前達のせいなんだぞっ、バカッ」

犬「クゥ〜ン」 ショボン

隣人「わっははは。利口じゃのう、しっかり反省しとるわい」

眼鏡「人前ではいい子達なんですけどね。はは……っ」

隣人「あ、そうじゃそうじゃ。気を付けなされ」

メガネ「へっ?」

隣人「先日、新しいワーカーが来たじゃろ」

メガネ「ああ。まだ会ってないけど、そうらしいですね」

隣人「どうも、あまり良い噂を聞かんのじゃ」

メガネ「そうなんですか?」

隣人「うむ。ガラの悪い奴らでなぁ。どうも評判がよくないのじゃ」

眼鏡「そうですか。ご忠告ありがとう」

隣人「今日も鉱山に行くのかね?」

眼鏡「ええ、それが仕事ですから。それじゃあ」 スタスタ

隣人「……」

管理人「あらお爺さん、おはようございます」

隣人「お早う管理人さん。今日も美しいのう」

管理人「まぁっ、やだわお爺さんったら!」 バシバシッ
952 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:41:18.52 ID:jyfUSl9ao


眼鏡「おはようございます」

ワーカー「おー眼鏡さん。今日も頼むわ」

眼鏡「じゃあ、ここに繋いでおきますので」

ワーカー「んで、これがエサだな。テキトーにやっとくわ」

眼鏡「お願いします」 スタスタスタ

犬「ワンワンッ」 タッタッタッ

ワーカー「おいっ、後ろに1匹……」

眼鏡「ああ、この子はいいんですよ。鼻ですから」

ワーカー「はぁ!?」

 スタスタスタスタ

眼鏡「さてと、まずは彼の所へ行こうか」

犬「ワンッ」



眼鏡「えーと、彼は……」

――「やっと来たか! ハッハ!」

眼鏡「やあ、お待たせ」

ジュニア「今日は予定通り、こっから掘ってくぞ」

眼鏡「そういえば新入りのワーカーが来てるよね?」

ジュニア「新入り? いーや、聞いてないぞ、そんな話」

眼鏡「あれ、おかしいな」

ジュニア「こんなクソみてーな仕事、好んで来る奴なんざいねぇっつの」

眼鏡(お爺さんが言ってたワーカーというのは、何だったんだろう……)

ジュニア「んじゃ、おっ始めっか。ハッハ」

眼鏡「そうだね」



ジュニア「終わった終わったぁ。さー命の酒の補充だ。ハッハ!」

眼鏡「帰るよ」

犬「ワンッ」

 ゾロゾロゾロ……

犬「……ウー」

眼鏡「どうした?」
953 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:41:50.48 ID:jyfUSl9ao
 ゾクゥッ!!

眼鏡「……これは」

犬「ウウゥゥゥゥ」

ジュニア「おーい、どうした?」

眼鏡「ごめん、忘れ物をしてしまったみたいだ。先に行っててくれ」

ジュニア「気を付けろよー」 スタスタ

眼鏡「ここじゃないな。隣……いや、2つ先の鉱山か」

魔獣『主……これは』 ゾワッ

眼鏡「ああ。ただの魔物じゃあない。かなりの大物だな」

魔獣『しかし、そんな輩は居ないはずでは……』

眼鏡「ついこの前まではね。でも、新たに現れたのかもしれない」

魔獣『先程の人間が言っていた事ですね』

眼鏡「もしくは、その人間が目覚めさせてしまった」

魔獣『成程』

眼鏡「とにかく、このまま放っておくわけにはいかないようだね」



眼鏡「ここで間違いないかな」

魔獣『そのようで』

眼鏡「行こう。ここなら最深部まで、そう深くないはずだ」



魔獣『……?』 ピクッ

眼鏡「何か来るね。人間……?」

犬「ワンワンワンッ!」 ゾワッ

眼鏡「君達、見ない顔だな。どうし――」

ボケ「どけどけぇ!!」
カス「んだぁ? 犬かよっ」
クズ「どけっつってんだろうがっ!」 ドカッ

 タッタッタッタッタッ……

眼鏡「何を慌てているんだろう」

犬「ウウウウゥゥゥゥ……ッ!!」

眼鏡「!?」

 ゾワッ!!

眼鏡「……居るね、この奥に」

犬「ウウウウゥゥゥゥ」 ジリジリジリ

 ズズズズズズ……

眼鏡「しま……っ、影――――」 ズグッ!!
954 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:42:29.13 ID:jyfUSl9ao


――「……いっ、おい! 聞こえるかっ!!」

眼鏡「……ん」 パチッ

ワーカー「目覚めたか! 何があったんだ!?」

眼鏡「あれ、僕は……そうか」

ジュニア「ビックリしたぜ。急にコイツらが騒ぎ出したんでな」

犬「クゥーン」 フリフリ

眼鏡「君達が知らせてくれたんだね。ありがとう」

ジュニア「留守番してんのに離れた主人の危機が分かるなんて偉いよな。ハッハ!」

眼鏡「そうだっ、急がないと」 ヨロッ

ワーカー「何があったんだよ!?」

眼鏡「封印されていた魔物が復活した可能性が高い」

ジュニア「何ぃ!?」

ワーカー「何でそんな事に……っ。今まで十分、注意を払ってきたってのによ」

眼鏡「新たに来たワーカーが関与しているのかも」

ワーカー「新たに……? あぁ、そういや数日前から若いのが3人くらい……」

ジュニア「ヘタうちやがったな……くそっ」

ワーカー「とにかく被害が拡大する前に、防がないとな!」

ジュニア「手分けして鉱山内部を捜索しよう。無理に倒す必要はない」

眼鏡「まずは所在をだね。よし、行こう」

犬「ワンワンッ!」



ワーカー「くっそ、どこにいきやがったんだ……っ」



ジュニア「ここにはいねぇ。次だ!」



眼鏡「……鉱山には居ないのか? まさか町……」

犬「ワンワンワンッ!!」

眼鏡「!?」 ダッ
955 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:42:57.83 ID:jyfUSl9ao


犬「ワンワンッ」 タッタッ

眼鏡「ここか!?」

 ズザッ

眼鏡「……長屋、そんなまさか」

管理人「いやっ! ちょっと!」

眼鏡「くそっ」 ダッ

管理人「離して下さい!」

ボケ「いいじゃねぇかよ、なぁ」
カス「ツベコベ言わず来いって」
クズ「お前も気持ちいい思いさせてやっからよ」

眼鏡「何してる」 ザッ

管理人「眼鏡さんっ」

ボケ「んだぁ? 邪魔すんなよ!」
眼鏡「お前達、鉱山で何をした?」

カス「知るかよ、んな事! こっちゃ忙しいんだよ!」
眼鏡「未熟な技量で中途半端な事をするもんじゃない」

クズ「ゴチャゴチャうるせぇんだよ! 何なんだテメーは!」
眼鏡「挙句、人間にまで迷惑をかけるとはな」

 ズゴゴゴゴゴゴゴ……

ボケ「うっ」
カス「な、何だコイツ……! くそがっ」
クズ「もういい、行こうぜ」 コソコソ

眼鏡「ふーっ。全く、困った連中だ」

管理人「眼鏡さん」

眼鏡「管理人さん、大丈夫?」

管理人「はい。あの、ありがとう」

眼鏡「いえいえ」

管理人「あの人達、いっつもああなのよ」

眼鏡「困った連中だ」
956 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:43:25.57 ID:jyfUSl9ao
 ゾワッ!!

眼鏡(……この殺気)

犬「ワンッ!」

眼鏡「分かってる。管理人さんは人の居る所に逃げてて」

管理人「えっ!? は、はい……っ」



眼鏡「この辺りだったはずだが」 スタスタ

隣人「う……っぐ」

眼鏡「お爺さん!!」

隣人「眼鏡……くんか……」

眼鏡「傷は浅いな。良かった」

隣人「急に、不気味な化物が襲いかかってきて」

眼鏡「やっぱり町へ降りてきていたのか」

隣人「ワシよりも、あの若いワーカー連中を」

眼鏡「彼らが何か?」

隣人「魔物に襲われておった。無事に逃げておれば良いが」

眼鏡「……」

隣人「いけ好かぬ連中じゃが命は平等。死んで良い事はない」

眼鏡「優しいんですね、お爺さん。安心して下さい、僕が何とかしますから」

隣人「頼む……っ」

眼鏡「それで、どっちへ……」

管理人「きゃああぁぁぁぁ!!」

隣人「い、今の悲鳴は……管理人さんじゃ!」

眼鏡「ちっ」 ザッ

隣人「め、眼鏡くん……っ」

眼鏡「すぐに人を呼ぶ。ここに居ろ!!」 ダッ

魔獣『この威圧、尋常ではありません』 タッタッタ

眼鏡「あの人間の元へ人を呼べ」

魔獣『畏まりました』 タタッ

眼鏡「……次から次へと、面倒な事だ」 ズザァ
957 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:43:52.56 ID:jyfUSl9ao
管理人「う……ぐぐっ」

ボケ「フヘヘ」
カス「ウッククク」
クズ「ブフウウゥゥ」

眼鏡「また貴様らか、クズめ」

管理人(眼鏡さん――っ)

眼鏡「見逃してやるのあこれで最後だ。失せろ」

ボケ「フヘヘ」
カス「ウッククク」
クズ「ブフウウゥゥ」

眼鏡「あの人間に免じてな――――」

 ドゴォ!! グシャアアァァ!!

眼鏡「がは……っ」 ドサッ

魔獣『主ッ、これは先程までの人間ではない!』

眼鏡「さ、3人が……1つに……?」

 ズシュウウウウゥゥゥゥ

シャドー「邪魔をするな。人間の小僧」

眼鏡「……貴様は、シャドーか。道理で実体が掴めないはずだよ」 ググッ

シャドー「ほう、私も有名になったものだ」

眼鏡「大人しく封印されていれば良いものを」

シャドー「あの馬鹿共が良い仕事をしてくれたわ」

眼鏡「とにかくだ、その人間を大人しく開放しろ」

シャドー「そうはいかん。これは生きたまま、あのお方に献上するんでな」

眼鏡「あのお方?」

シャドー「良い具合に気を失っている。このまま連れて行くとしようか。ククク」

眼鏡「気を失っているのか。それはこちらにとっても好都合だな」

シャドー「戯言をほざいている暇があったら逃げるべきだったな」

眼鏡「やれやれ。無知とは怖いものだ」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
958 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:44:28.08 ID:jyfUSl9ao
シャドー「な、何です!? こ、この魔力……ッ!!」

眼鏡「この姿、久しぶりだからな。力をコントロール出来ると思うなよ」

 ズギャアアァァァァ!!

シャドー「んな――――ッ!!」

ケルベロス「一撃だ」 ガオンッ!!

シャドー「ゴハアアァァーッ!!」

ケルベロス「鈎爪に貫かれたまま、焼け死ぬがいい」

 ズッゴオオオオォォォォ!! メラメラッ

魔獣『主、後は我らが』 グジュッ ガブガブッ

ケルベロス「頼む」 シュウウゥゥゥゥ



管理人「……ん」

眼鏡「やあ、大丈夫?」

管理人「眼鏡さん……っ。あなたが助けて……」

眼鏡「無事で良かった」

管理人「きゃああぁぁぁぁ!!」

眼鏡「……?」

管理人「何で全裸なんですかぁ! エッチー!!」 バシッ!!



隣人「お早う眼鏡くん」

眼鏡「おはようございます。お爺さん」

隣人「おや、その荷物は……?」

眼鏡「ここに居るとどうも、迷惑をかけてしまう」

隣人「そんな事はない。君が居なくばワシは死んでいた」

管理人「そうよっ」

眼鏡「管理人さん」

管理人「あなたは私達を救ってくれたんんです……っ」

眼鏡「……」

管理人「変な気を遣わず、居ていいんですからっ」

眼鏡「……ありがとう」

管理人「でも、1つだけ」

眼鏡「……?」

管理人「き、急に……裸にならないで下さい」 カァッ

眼鏡「あ、はい……」

隣人「裸!? ほう、お主もやりおるのう。わっははは!」
959 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:45:08.85 ID:jyfUSl9ao


ジュニア「しばらく穴掘りを離れる!?」

眼鏡「うん。先日の戦闘で怪我をしてしまってね」

ジュニア「マジかよ。お前がいないとスピードダウンだなぁ」

眼鏡「完治したら、直ぐに戻るよ」

ジュニア「早めに頼むぜ。何なら腕のイイ医者紹介すっからよ。ハッハ!」 スタスタ

眼鏡「……」

魔獣『主、おそらく上の鉱山辺りに潜んでいるはずです』

眼鏡「シャドーの言う、あのお方というのが大物なのは間違いないだろうからね」

魔獣『それで別の任務を』

眼鏡「そういう事、それに新たなワーカー達にも警鐘を鳴らさないとね」



眼鏡「地下五階のここに居れば、どちらの動向も探れるだろう」

犬「ワンッ」

眼鏡「今度からお前が替えの衣類担当だ。もう全裸のままとはいかなそうだからね」

犬「……」

 ゾロゾロゾロ

眼鏡「お、新しいワーカーだな。どれ」 スクッ
960 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/12/24(月) 22:45:56.87 ID:jyfUSl9ao
戦士「御苦労様っす!!」

眼鏡「やぁ。任務かい?」

戦士「いや。プライベートっす!」

眼鏡「そうか。ここから先は魔物が出るから、気を付けてね」

召喚士「ありがとうございます」

眼鏡「何かあったらここに戻ってくればいいから」

盗賊「……」

眼鏡「食料も回復も結界石もあるよ」

戦士「うっす!」

召喚士「あ、あの」

眼鏡「ん?」

召喚士「一人で任務を?」

眼鏡「うん。深く潜らなければ魔物も弱いしね」

盗賊「……」

眼鏡「それにパーティーではないけど、交代でやってるから」

召喚士「そうですか」

眼鏡「もうすぐ交代が来るはず。そしたら僕も潜るつもりなんだ」

召喚士「それじゃ後で会うかもしれませんね」

眼鏡「君らは強そうだから、もし僕が苦戦してたら……」

戦士「おう! 任しとけ!!」

眼鏡「あははっ! 頼もしいね。ありがとう」

召喚士「では、頑張って下さい!」

眼鏡「君達もっ」

盗賊「……では」

ザッザッザッザッザ…

眼鏡「彼らは問題なさそうだね。目が綺麗だった、彼のように」

犬「ワンッ」

眼鏡「ここが落ち着いたら久しぶりに、彼の音色でも聞きに行こうか」

犬「ワンワンワンッ!!」





召喚士「行けっ!コカトリス!!」

  〜笑う犬の生活、完〜
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/24(月) 22:48:04.23 ID:5UD21umFo
>>1乙!
最後まで本当にお疲れ様!
962 :メリーコカト……クリスマス&それではさようなら [sage saga]:2012/12/24(月) 22:55:11.62 ID:jyfUSl9ao
最後は眼鏡のリクエストがあったので即興で書いてみました
改めて見てみると鉱山編ってちょうど3年前のクリスマス時期だったんですね。不思議

長々と蛇足を失礼致しましたこれでひとまずオマケもおしまいです!
天才編の残りはまた後日かせっかくアプロダあるのでそこに置いとこうと思います。書き終わったら…

何年間もご支援ありがとございました。以上で一応のメドとしますね
まだ回収してないフラグとかあるんで、頭の中では完結はしてないんですが、勝手ながら少し休みますw
そのうちスレ立ってるかもしれませんので、その時はまた暖かいご支援お願いします(主に誤字脱字)

素敵な思い出ありがとうございました。キモいかもだけど大変感謝してます。泣けるくらい。いや本当に
スレが終わって皆様と盛り上がれなくなるのは寂しいですが、またどこかでお会いできればと思います!!

最後に長文スマソ!!それではこれにて!!ノシ

一乙◆1otsuV0WFc
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/24(月) 23:08:19.52 ID:DAGC3Y+/P
>>1
長い間お疲れ様でした&最後に眼鏡さんを本当にありがとう
天才ちゃんの外伝とまた新スレが立つのを楽しみにしています
……見つけられるかなあ、心配だ。。。
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/24(月) 23:27:16.05 ID:GaDnngISO
久々のリアルタイム更新に遭遇出来てよかった。いちおつ!
毎日毎日楽しみで生活の一部になっていました。本当にお疲れ様でした。いちおつ!いちおつ!
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 00:32:57.05 ID:OOFZhijLo
>>1

最初から最後までファンだったぜ
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/25(火) 01:36:15.08 ID:bZznm4kDO
ひさびさおつんぽ!
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 01:44:32.64 ID:qjV7BoAKo
>>1
ついに終わっちゃったのかー
ずっと読んできたからなんか終わりっていう実感がないわ
毎日新着チェックして更新してないか見るぐらい楽しみでした
ありがとう!
968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 01:57:16.59 ID:ym+9OVTxo
いちょつ!
悲しいけどありがとう!
みんなも元気で
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 02:13:56.80 ID:LVxbWoeVo
     ...| ̄ ̄ | < 長い間お疲れ様でした 本当にありがとうございました
   /:::|  ___|       ∧∧    ∧∧
  /::::_|___|_    ( 。_。).  ( 。_。)
  ||:::::::( ・∀・)     /<▽>  /<▽>
  ||::/ <ヽ∞/>\   |::::::;;;;::/  |::::::;;;;::/
  ||::|   <ヽ/>.- |  |:と),__」   |:と),__」
_..||::|   o  o ...|_ξ|:::::::::|    .|::::::::|
\  \__(久)__/_\::::::|    |:::::::|
.||.i\        、__ノフ \|    |:::::::|
.||ヽ .i\ _ __ ____ __ _.\   |::::::|
.|| ゙ヽ i    ハ i ハ i ハ i ハ |  し'_つ
.||   ゙|i〜^~^〜^~^〜^~^〜
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/25(火) 08:19:17.07 ID:/kFnUI0M0
いいクリスマスプレゼントありがとう!!

971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 10:16:29.15 ID:WMUatPHmo
乙ー

ところで召喚士と魔法使いのその後ってあったっけ?
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 10:29:44.75 ID:Y7G+3nqIO
一乙

誰かその後の人間関係をまとめてくれ
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 12:55:17.47 ID:R9s99kgc0
一乙。
長らく愉しまさせて戴きました!
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/25(火) 14:36:32.78 ID:LXmY9tJAo
青龍先生の立ち位置がよくわからんかった
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 18:23:18.80 ID:2hDx0BlAO
長い間お疲れ様です
それにしても意地でもクリ○○スに更新する1さんカッケーっす!
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 18:34:54.41 ID:VzhYawico
しかしもうこれで終わりはつらいな。雑談スレ立てるべきか?
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 20:58:49.13 ID:eHD2wa2oo
一乙!
もう何年も日課だったスレのチェックが終わるのは辛いな

召喚士と魔道士の子どもが出て来なかったのは気になるな
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 08:28:32.19 ID:I17pqdYyo
>>1

長い間毎日のように楽しませてくれてありがとうございました
そしてご苦労様です。ゆっくり休んでください。

魔導師ちゃん愛してる、でもお幸せに!
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 02:10:07.95 ID:y6uhVbdAO
最初の頃から見てました。お疲れ様
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 04:42:43.07 ID:2Gp3qGt1o
埋まる前に
一乙
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 11:56:18.94 ID:puF2yhUDO
VIPの1スレから見てました。
1乙



初カキコ記念だからレス消費許せ
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 13:16:10.70 ID:qHtZBIP8o
雑談スレどっかにたてようず
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 17:00:34.07 ID:jvcGWOygo
まさかクリトリスから始まったスレが
こんな長編ファンタジーになるとは思いもしなかった。
それじゃぁ東方司令はもらっていきますね、>>1乙でした
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 18:55:14.60 ID:N0w6z5bVo
雑談スレならパー速だな。wikiみたいなのでも良さげだが。

残り少ないから立てるなり作るなら早めに頼む。誘導なしが一番ツライ
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/27(木) 20:28:29.88 ID:0tyzjcIr0
>>1
何年も仕事始まる前に毎日みてました
ありがとう!クリトリス!
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 21:00:26.96 ID:0lrwhBsSO
間に合ったー!一乙!天才の1031通りのビジョンの中からのあの本編 と思うと感動した。毎日お疲れ様でじた!次も楽しみにしています

雑談スレは立てなくてもいいと思うけど>>984さんの案になら立てるの賛成
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 21:34:40.54 ID:JZ0iK2/Go
   __
  /。 \
 |ノ ゚| 「(・・・抱かれてもいい)」
 ノ ゴ ハ
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 22:33:42.49 ID:LQ0vgqIwo
召喚士と魔導士のいちゃラブが見たかったがなんにせよ>>1乙!
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 23:40:47.81 ID:m4NbYbUso
本編終了時も書いたが>>1ホントに乙
もうなんて言葉にしていいのか分からないくらい楽しみで大好きでした
またいつか、次の作品にめぐり合えることを信じてます
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 23:58:00.99 ID:vIqLLEMAO
最後に立派な感想をと思ったけど
ただただ乙
これしか言えないわ。お疲れさまでした
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 10:35:57.12 ID:UqXoGOeZo
終わったのね
乙カレー
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 12:23:27.65 ID:Q5yGZPD+o
>>1
お疲れサマー
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 12:58:06.43 ID:meEnvpW5o
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 20:15:21.25 ID:TD0pafv2o
初期の頃からずっと読ませてもらってました
長い間お疲れさまでした
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 20:15:46.64 ID:alk/bDyAO
乙。スレ見るのが日課になってたなあ
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 20:43:13.57 ID:vgSd+Q2ro
召喚士「行けっ!コカトリス!!」雑談スレ
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=part4vip&dat=1356694850

一応パー速にたてといた
テンプレとかどうしていいかわからなかったから貼ってないですさーせん
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 21:04:58.07 ID:sr20tObio
さいごに一回だけ書き込んでみる

おつかれさまでした
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 21:25:06.96 ID:IFayufwio

楽しかったよ
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 22:06:12.86 ID:D21R833ro
>>1000なら続編が出る
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/28(金) 22:08:48.27 ID:w+qUtNXAo
ありがとう1
召喚士「行けっ!クリトリス!!」


                                       〜終〜
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貴音「こひしたふ」 @ 2012/12/28(金) 22:04:30.91 ID:TAqxv/he0
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レオナルドの片翼 @ 2012/12/28(金) 22:01:30.48 ID:V1/jJoJX0
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【咲:安価】京太郎「記憶喪失…?」やえ「はっはっは、その12だ」【兵庫:劔谷】 @ 2012/12/28(金) 21:38:20.61 ID:RZjzZmfc0
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年中高山病 @ 2012/12/28(金) 21:22:25.20 ID:UFxjzCFKo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1356697345/

ここだけ魔王の城 コンマ00で魔王様に怒られる @ 2012/12/28(金) 21:10:46.55 ID:gN+MRd58o
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カメムシ @ 2012/12/28(金) 21:06:41.28 ID:ERD1C+dY0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1356696400/

女「we are…」 幼女「てらーざ!」 姫様「ゴースト。」 司書「おまたせしました」 @ 2012/12/28(金) 21:00:14.96 ID:J7SybbLE0
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ここだけゾンビに埋め尽くされた都市 コンマ00で即死 ハードモード @ 2012/12/28(金) 20:57:45.78 ID:9/04BVWNo
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