恭介「ありがとう━━━さやか」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/23(木) 02:39:12.97 ID:jiZWVaS00

まどマギSS
お初
かなり気まぐれに書いてく
過疎推奨
内容的におかしいところがあってもキニシナイキニシナイ
一番重要→最高に書くのが遅い（構想はあるけど書きためしてない）あと展開も超絶遅い
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ポーン
「ありがとうございました。間もなく日本に到着いたします━━」

なにかが抜け落ちている気がした。
あれから一か月、猛特訓をして応募締切間近のコンクールにぎりぎりで応募し、
めまぐるしいスケジュールの中、気づいたらコンサート会場にいた。

だいぶ疲れた。

小学校からのレッスンの先生は、あの奇跡のような手の回復をした日にこっちから電話をした。
あの事故のせいで手が動かなくなったとき、かなりふさぎ込んでいたから。
夜中にもかかわらず病院に二時間後に到着して、随分と肩を揺らされたものだ。
さんざん質問攻めにあったあと、手をしげしげ見つめられ、なにも言わずに泣いていた。
かと思うと、今度は飛び上がって嬉しがるもんだから、まったくこの人はわからない。

でも、本当に魔法みたいだった
今でも信じられない。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1345657152

1.5 ：荒巻＠管理人★(お知らせ) [Twitter]： ID:???

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ハルヒ「綱島アンカー」梓「２号線」【コンマ判定新鉄・関東】 ＠ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/23(木) 02:42:39.93 ID:rJUzM5ND0

期待

3 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/23(木) 03:06:21.33 ID:jiZWVaS00

朝、専門医とリハビリの担当医に経過を観察されたあと、母さんに連絡し、午前中にはスピード退院になったっけ。
あのたぬきメガネの目まん丸くして驚いてた顔。
あれは仁美にも見せてあげたかったな。
母さんは泣きながら治った手をぶんぶん振り回すし、父さんは父さんで、たぬきメガネと20分ぐらい握手してたっけ。


さやかに連れられて屋上で久しぶりに弾いたグノーのアヴェマリア。
やっぱり、ヴァイオリンを持った時が一番落ち着いた。
一時は曲すら呪って、さやかにひどいこと言ったっけ……


病院の中は忙しそうだったし、何しろ先生が意気込んでたから、あのたぬきメガネも押されて退院の時期が早まったんだろう。
でもそれは僕にとってもありがたかった。
弾いているときに感じたあの感覚は、やっぱりもっと味わいたかった。
あの時は喜び勇んで好きな曲を弾きまくったな…


「ご降りの際は、足元に気を付けて━━━━」

4 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/23(木) 03:39:27.06 ID:jiZWVaS00

けが多いorz
>>2とん　　だが胃が痛くなってきた
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「上条さん」
「あ、もう大丈夫？かなり深く眠ってたみたいだから━━━」
「え、あぁ、わ、忘れてください。わ、は、恥ずかしいです」
小刻みに手を振って赤い顔を隠そうとしている。

「仁美、ここ、気を付けてね」
「わかってますわ。ふふ」

仁美を仁美と呼び始めたのはいつからだろう
退院してから3日目の夜、事故前に練習していた曲をミスなく弾けるようになっていた。
それから学校と家でのレッスンが僕の生活の大部分を占めた。
あの公園で仁美から告白されてから、家のほうにレッスンを聞きに聞きに来たこともあったっけ。
たぶんそのころからだろうな。最初は恥ずかしかったけど、いまは平気だ。
たぶん、仁美がいなかったら、このスケジュールは耐えられなかったかもしれないな


先生がコンクールの紙を持ってきたときは本当にびっくりした
久しぶりにヴァイオリンに触れて、嬉しかったは嬉しかったけど、
2〜3週間しか練習期間がなく、しかも海外でのコンクール。
先生が無理を言って選考ギリギリで通してくれたらしい。
海外でもそれなりに有名、とは先生も言っていたけど、実感がわかない。
あの先生のことだ。かなりのごり押しをしたに違いない。


「上条君」
「ん？」
「本当に素晴らしい演奏でしたわ」
「ふふ、ありがとう。」

5 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/23(木) 04:10:04.55 ID:jiZWVaS00

成田空港に到着。
やっぱり人が多く、人の声も賑やかだ。


ここまでついてきてくれた仁美に感謝しなくては
帰り道、一緒に帰っていると、
すぐに隠し事をしているとばれてしまった。
あと一週間半ばで海外に飛んで、コンクールに行くという事を伝えると、
「……私も…行ってもいいですか…？」
と返された。
正直、嬉しかった。
海外のコンクールは初めてだったし、いくら奇跡的な回復をしたからといって、
すぐに課題の曲を弾けるかというと、自信がなかった。
入院中もCDを聞いていたけど、投げやりな気持ちになっていたから、
じっくりとは聞いていなかった。
もしかしたら入院生活で、きちんとしたリズムが取れなくなっているかもしれない
もしまたふいに手が動かなくなったらどうしよう
不安要素は沢山あった


そんな時、いつも心象を察知して
ずっとそばにいてくれたり、勇気づけてくれた。
本当に助かった。
海外に行く前日、プレッシャーに押しつぶされそうになったときだって
いろいろな手続きの傍ら、電話で、
「自信を持ってください。海外の皆様に、丁寧に、上条君の演奏をお聞かせすればいいんです」
「今の上条君の、弾いているのが楽しい、という気持ちで弾いているときが、一番、私は心地良いです」
と言われ、スッと肩の荷が下りた気がしたんだった。
練習三昧でつめ込みすぎて、余裕があまりなかったから、この言葉は良く響いた。

6 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/23(木) 04:38:37.81 ID:jiZWVaS00

「ただいま、おかあさま」
「おかえりなさい。仁美、━━━━━━━━」


おかげで開催地についてから、初心に帰って練習することができた。
リハーサルも順調だった。
舞台上に立った時、すごく心地よかった。
なぜか、誰かに観られている気がしたけど、なぜか癒された。
その感覚は、本番でより一層強くなった。


本番前、仁美が控室で、舞台袖から見守ると告げられた時、
すぐに了承した。先生も仁美のことを覚えていて、
貴方がそばにいた方が安心するでしょうから、と。


本番、少し声が震えてしまったけれど、
仁美や先生に見守られて、これまでで最高の演奏ができた。
リハーサルから感じていたあの感じは、終盤、おぼろげに感じ取ることができた。


━━━━さやか……？

7 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/23(木) 04:50:41.88 ID:jiZWVaS00

さやかは、今どうしているだろう。
演奏を聞かせてから、あれから一度も会っていない。
仁美にさやかのことを聞いたとき、
一緒に帰らなくなってから、いろいろなことがあり、ふさぎ込んでいる、と、
なぜか、少し悲しい顔をして言われた。
CDのお礼、まだしてなかったな……


「…………上条君」

「……どうしたの？」

「……うっ、グスッ、さっ、さやかさんが……」

「さ、さやかが、どうかしたの？」

「なっ、なっ、なく、亡くなったって…ック」

8 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/23(木) 05:06:52.40 ID:jiZWVaS00

「えっ？」

「おかあさまから……ウッ…言われて……ズッ」


自分が何を考えているのかも分からなくなった
さやかが…亡くなった？


嘘……だよな？


迎えに来ていた仁美の母親から話を聞くと、
最近のさやかは、なにか悩み事を抱え、親に行先をいう事もせずに外出することが多かったらしい。
そして、かなり長い期間家を空け、発見されたときには、亡くなっていた、という事だった。
なぜか外傷や薬などはでなかったそうだけど、そんなことは頭に入ってこなかった。











さやかが━━━━死んだ。

9 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/23(木) 05:22:18.21 ID:jiZWVaS00

泣き崩れる仁美の背中をさすり、仁美の母親に預ける。


海外に出ている間、さやかのお葬式が組まれてしまったという。
もう、面影もなくなってしまったらしい



まったく実感がない。
あんなに昔から過ごしていた親友なのに……
いや、親友だから…？




さやかに、会いに行こう。

CDのお礼をしに行くんだ。

着いたら玄関で、

「恭介ー待ってたよ〜」

「さやかちゃん恭介が来るって聞いて張り切りすぎっちゃって、クッキー焼きすぎちゃった」テヘ

とか言うに違いないから。




でも、もし本当だったら……？

嫌だ、行きたく…ない……










「イッテアゲテ」

10 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/23(木) 05:28:44.81 ID:jiZWVaS00

「え？」


ふいに、上のほうで、たしかに、声がした。

知っているような、知らないような……
優しい声で、たしかに……



とにかく、さやかの家に行ってみよう……








「テヒヒ」

11 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/23(木) 05:31:14.10 ID:jiZWVaS00

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ここいらで休憩
えー、本編にかかわる話はあんまり出てきません
完全に妄想です本当に(ry

ノシ

12 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/23(木) 05:34:02.72 ID:jiZWVaS00

memo
tp://www.nicovideo.jp/watch/nm15168577
tp://www.youtube.com/watch?v=3VqMm29P8CY
tp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%A2_(%E3%82%B0%E3%83%8E%E3%83%BC)

13 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/23(木) 12:51:28.95 ID:zKbZo3QIO

つまんねぇｗｗｗｗ

14 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]：2012/08/23(木) 13:59:22.21 ID:5mx8lhlAO

乙
とりあえず導入部終了か、今からワルプルが来てどうなるかだな、ワルプル以降の話になるのかどうなのか
続きを期待

15 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]：2012/08/23(木) 14:52:42.35 ID:iT0+UUlAO

円環の理完成後の話じゃね？
死体残ってるけど

16 ：完成後の前+後日談 [sage]：2012/08/25(土) 02:03:01.09 ID:ovxvYaXm0

仁美とは別行動で、すぐにさやかの家まで向かった



さやかの家はもちろん知っていた
でも、自分が知っているあのさやかの家ではないような気がした


明るさがない


顔なじみのおばさんが出迎えてくれた
顔にはくまが現れ、やつれていた


嫌な予感がした
案内された部屋に入るのをためらった

17 ：完成後の前+後日談 [sage]：2012/08/25(土) 02:14:30.91 ID:ovxvYaXm0

黒い遺影が目に入る
辺りから嗅いだことのないような臭いがする
花が飾ってあったけど、生き生きとはしていなかった


「━━━ここに」


分からないままに座布団に座り、線香に火をつけ、金属の音を鳴らす
この音は、今までで一番、鳴らしたくない音だと感じる




さやかはやはり亡くなっていた

18 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/25(土) 02:17:58.66 ID:ovxvYaXm0

分からない
実感なんてまったくなかった


さやかが━━━死んだ？


写真越しに見る笑顔。
自分の知っているさやかの顔とは、どことなく違っていた


うそ━━だろ？

19 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/25(土) 02:39:09.60 ID:ovxvYaXm0

さやかの母親からの話は、あまり耳に入ってこなかった

発見されてからすぐ、死因を突き止めるため、検査を受けたこと
結局は原因不明として扱われたこと
通夜やお葬式がもう行われてしまったこと



「━━━じゃあ、さやかは……もう……」


「ごめんね……昔から知り合いの貴方にも、速く伝えたかったんだけど……」

「最後のお別れ……させてあげられなくて……」

すすり泣く声で会話は途切れた
涙はもう枯れているようだった



お葬式は━━━━━━昨日だった

20 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/25(土) 03:05:18.27 ID:ovxvYaXm0

海外に行った日の夜にさやかが発見されたらしい
だから、どう頑張っても、最後のお別れはできなかった





そんな━━━━━

うそだ


頭のどこを回してもさやかとの記憶はなぜか出てこなかった


涙なんて出なかった
でも、頬にスッと冷たい感触がした




「━━━━上条くん……」

21 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/25(土) 03:15:33.03 ID:ovxvYaXm0

ミスった
空港の時点でお葬式が終わったって知らされてたんだった
上条君頭に入ってなかったってことでorz
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「はい……」

「さやかといるときのこと、何でもいいから……聞かせてほしいな……」


そんな……こと……言われたって……


さやかは……


「ごめんなさい。まだ頭が混乱してるわよね。」

「……」

「……さやかの…お部屋……入ってみる？」

22 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/25(土) 03:34:44.20 ID:ovxvYaXm0

「……え？」


「何か……思い出すかもしれないじゃない？」


「いや……でも……」


「あっ、さやかの部屋は綺麗にしてあるのよ、それに、さやかは、貴方も知っている通り、何か記念になるものはいつも部屋にしまってあったから」

「もしかしたらなにか思い出せるかも……」


「……」


「それにね、さやかの服は……もう……」


さやかのお母さんは、さやかの服を見ると一日中泣いてしまうので、
記念に来たものや制服以外は、処分をしたとのことだった


「こんなことしたら、天国にいるさやかに……怒られちゃうかも……しれないけど……」ｸﾞｽｯ




どうしよう……行くべきか…………？









「サガシテ」

23 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/25(土) 03:37:57.66 ID:ovxvYaXm0

「……くっ」




「━━━━━お願い……します」

24 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/25(土) 03:53:23.35 ID:ovxvYaXm0

さやかの部屋は、きれいに整っていた。
頻繁に出かけるようになったさやかを心配して、いつ戻ってきてもいいようにと、さやかのお母さんが配慮したんだろう

椅子やウサギ柄の布団カバーなども、きちっと整理されていた



━あぁ〜！　恭介〜！


━もうっ！乙女の絶対的な領域を覗くとは！いけないんだぞ！




今すぐ威勢のいい声が聞こえてくるはずもなかった





やっぱり、実感が湧かなかった

25 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/25(土) 04:05:46.72 ID:ovxvYaXm0

この部屋の主は、もういないんだ





机には、お気に入りの下敷きが置いてあった。
さやかは小学校からずーっと同じキャラクターの下敷きを愛用していた。
一回理由を聞いたことがあったけど、はぐらかされてしまったっけ。


教科書やノートなど、すべてが色あせて見えた。


ふと目を見やると、クローゼットの上の方に、白い細長い棒が見て取れた




あれは━━━━━━

26 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/25(土) 04:16:38.14 ID:ovxvYaXm0

「……小学校の頃のタクトだ」


「えっ？」


「これ、演奏会の時の。さやかが指揮を執った……」



瞬間、頭の中に思い出が蘇ってきた。





あれは……5年生の頃……


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━


━━━

27 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/25(土) 04:20:45.00 ID:ovxvYaXm0

今日はここまで

こっからさらに妄想に妄想を重ねます
嫌だと思う人＆さやかちゃんはこうじゃない！と思う人は
これ以上みない方が精神上いいと思います。

28 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/25(土) 20:04:23.77 ID:fzvWB0Dh0

期待しとるよ

29 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/29(水) 11:07:54.32 ID:Yr0QPsEe0

書くのって結構大変ですね…
続きはもうしばらくお待ちをorz
すみませんorz

30 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/08/29(水) 20:34:54.42 ID:vcI5AI+f0

気楽に頑張れよ

31 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/01(土) 09:00:35.67 ID:28oFBh1F0

━━━　　　━━━　　　━━━　　　━━━　　　━━━

　　　━━━　　　━━━　　　━━━　　　━━━

━━━　　　━━━　　　━━━　　　━━━　　　━━━


「なんか……手間かけさせちゃったね……」


暗い照明。


「ううん。こっちこそごめん」


オレンジ色の光。




「25番、上条恭介です。課題曲は、アヴェ・マリア━━━━━━」






また、恭介の曲が聞けるんだ……

32 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/01(土) 09:15:55.69 ID:28oFBh1F0

「さやかちゃんを救うには、何もかもなかったことにするしかなくて」



「そしたら、この未来も消えてなくなっちゃうの」



私が望んだこと。



どうしても、叶えたかった願い。

33 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/01(土) 09:25:50.18 ID:28oFBh1F0

「さやかちゃんが祈ったことも、そのために頑張ってきたことも」



「とっても大切で、絶対、無意味じゃなかったと思うの。」




だって、いちばん、大切だったから。



そのためだったら、なにも苦じゃなかった……



それだけで……良かった…………？




「だから━━━」









　　　恭介…………











━━━━━━━━━



━━━━━━━━━━━━━━━━━━



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

34 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/01(土) 10:08:55.57 ID:28oFBh1F0

恭介とは、幼稚園からの仲だった。



年中組で一緒になって、よく遊んでた。

どっちが先に話しかけたかなんて、んー……忘れちゃった。

多分恭介が先じゃないかな。


たまたま一緒に帰れる時があって、恭介の家の車で送ってもらったとき、

帰る道がほとんど同じで、二人で驚いてた。

それからは、たびたび恭介の位置の車に乗せてもらってた。

でもほんとにたびたびで、その日は恭介と一緒に飛び跳ねあって喜んだっけ。

でもそんな日は本当にたびたびだった。

35 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage　↑最後の一文は余計でしたね]：2012/09/01(土) 10:20:39.89 ID:28oFBh1F0

私はママもパパも忙しかったから、閉園まで残ることが多かったけど

恭介は幼稚園の頃からヴァイオリンを始めていて、おけいこごとの練習だからって、

いつも真っ白いひげのおじいさんに連れられて帰ってた。



私はそれがすっごく寂しくて、

閉園のときに、「きょうすけがいない〜」って言って大泣きして、

ママを困らせることがたびたびあった。



そのころの写真を見ると、いつも恭介はちょっとすました顔で

私はいつも顔が恭介のほうに向いていた。




そのころからだったのかな……



でも、恥ずかしくて、気持ちなんて伝えられるはずなかった。

いっつも照れ隠しで追いかけまわしたり、先に手が出て、

恭介を困らせてた。

絶対に手とか肩にけがはさせなかったけど。

36 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/01(土) 10:55:29.87 ID:28oFBh1F0

一緒の小学校に上がってから、恭介とはちょっと距離が遠くなった。



一緒に話していると、

男子からヤジが飛んだり、陰でヒソヒソ言われたりした。

でも、そんなことに負けているあたしじゃない。

ヤジが飛ぶたびに向かって行って、茶化し返していった。

だんだんと体育が得意になっていったのもそのころだった。


たまに、恭介に向かって暴力してくるワルガキがいた。

恭介はそんなやつには絶対に負けるはずないんだけど、

恭介にとって大事な腕に向かって殴ってきたとき、

とっさに間に入って、取っ組み合いになりそうなことがあったな。



周りの目なんか、気にならなかった。

理由は、別にあった。




恭介が、自分とは別の、


どこか遠い別の場所に行ってしまうような気がしたから。

37 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/01(土) 11:38:00.20 ID:28oFBh1F0

恭介の家には、小学校に上がってから、何度もお邪魔したことがある。

大きなお屋敷で、何度も迷いそうになった。

私の家も結構広い方だけど、恭介の家とは比べられなかった。

それぐらい、立派で、きれいな家だった。




お邪魔するのは、恭介の演奏を聴くため。


恭介の家に行くと、必ずヴァイオリンの音が聞こえた。

遊びに行ったとき、私が頼んで弾いてもらったことが最初だった。

それから、たびたびお邪魔して、演奏を聴くのが楽しみになっていた。




ヴァイオリンを弾いているときの恭介は、とっても気持ちよさそうだった。



私は、その演奏を聴いて、癒されていた。

恭介の気持ちよさそうな顔を見て、こっちまで幸せになっていた。





恭介は、やっぱりヴァイオリンが大好きだった。

だから、めきめき上達していった。

38 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/01(土) 13:05:48.93 ID:28oFBh1F0

いつからだったかな。


恭介の演奏を聴いて、幸せと同時に、さみしいと思うようになったのは。



恭介が頑張っていることは知ってる。

幼稚園から一緒だったもん。


友達と遊べなくて悲しい顔をしたときも、

泣いて目を赤くしてひげのおじいさんに連れられて行ったときも知ってる。



だけど。



だからこそ。

39 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/01(土) 20:45:21.10 ID:DROeScCn0

続きｷﾀ！

40 ： ◆vJKYePxTJj/p [sage]：2012/09/03(月) 03:07:53.42 ID:A0PenosH0

なんかだんだんさやかじゃなくなってきてる気がするorz
一応>>1です
トリだけつけときます

41 ： ◆vJKYePxTJj/p [sage]：2012/09/10(月) 03:46:43.84 ID:N03V4x2m0

生きてはいますが区切りのいいとこまで書き溜めたいので…
orzすいません
いつも9時ぐらいにresくれる人ごめんなさい

42 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/10(月) 22:01:12.82 ID:a9P9FBC60

良かった生きてたか

43 ： ◆vJKYePxTJj/p [sage]：2012/09/26(水) 07:00:20.12 ID:mo5C08I60

━━━あたしと恭介は……別々の人生なんだ……


恭介が上達するのはうれしい。

恭介が気持ちよく弾いてくれるのもうれしい。



でも、どんどんどんどん上手くなって、恭介が雲の上の人になっちゃう……




追いつきたいのに……

44 ： ◆vJKYePxTJj/p [sage]：2012/09/26(水) 07:01:14.81 ID:mo5C08I60

十歳の時、恭介のヴァイオリン演奏会を観に行ったことがあった。



そこにいる恭介は、私の知ってる恭介とは別人だった。


あんなに真剣な顔で弾いている恭介を、私は知らなかった。




もう…追いつけないんだ……

この時、はっきりと分かった……




あたしが恭介が好きだ、って意識しだしたのも、この時だった。

45 ： ◆vJKYePxTJj/p [sage]：2012/09/26(水) 07:02:44.30 ID:mo5C08I60

私は、どうしても追いつきたかった。





パパとママにも、音楽を習わせてって、何度もお願いをした。

でも、笑って返されるばっかり。



━続くはずがないだろう？

━お習字だってやめちゃったじゃない

━今からやっても、あの子みたくはならないよ。




水泳も習字もОＫだったけど、なぜか音楽はだめだった







でも、そんなあたしに、チャンスが来たんだ。

46 ： ◆vJKYePxTJj/p [sage]：2012/09/26(水) 07:03:23.76 ID:mo5C08I60

━━━━━


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ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ


「さー、朝の会始めるわよ〜」ﾜｲﾜｲｶﾞﾔｶﾞﾔ





━━━━五年生のとき。



「みんなも知ってるとおり、音楽祭が近づいてきました」ｳﾜｰﾒﾝﾄﾞｸｾｰ



「ほら、そこ、文句言わない！」ﾊｰｲ

「今日は、音楽祭で誰が何の役をやるか、重要なものを決めます。」




━━━━音楽祭。

47 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/09/27(木) 01:07:02.19 ID:JFuhrbTb0

いつも途中で止まるのなんでなん？