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学「あたしたちで夏祭りに行かない?」ゆかり「わ、だったらお泊まり会もしよ!」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 11:26:24.08 ID:19jm76oP0

七美「お泊まり会なんて、このメンツじゃ初めてじゃない?」

学「天条は来るの?」

七美「もちろん行くわよ! 話の流れから察しなさいって!」

学「お、意外」

学(素直じゃない天条が二つ返事でオーケーだなんて)

紫色のクオリアってラノベのssです。
原作未読の方、微妙にネタバレ注意(結末には関係してないと思う……たぶん)。
短め

テンちゃん→天条七美(てんじょうななみ)
ガクちゃん→波濤学(はとうまなぶ)
まりぃ→鞠井ゆかり(まりいゆかり)


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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/

こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 11:29:51.25 ID:19jm76oP0

学「じゃあ天条は決定ね。アリスは?」

アリス「…………」

学「アリス?」

アリス「あ、はい」

学「どうかしたの?」

アリス「い、いいえ、別に。夏祭りなんていう凡人のたしなみに、どうしてワタシが付き合わなければならないのかと……」

学「まあ、べつに来なくてもいいけど。あたしはゆかりたちと楽しんでくるから」

アリス「え、あ、その……」

学「嘘だよ。アリスも来るでしょ?」

アリス「ま、まあどうしてもっていうなら、付き合ってあげてもいいですけど!」

学「じゃあ決定、っと」ワキワキ

アリス「……ハトウ、その手の動きはなんです?」

ゆかり「左手にメモしてるんだよ! 最近、その新機能に気付いたんだ!」

学「ゆ、ゆかり! そのことは秘密だって!」

ゆかり「わ、わ、ごめんね、ガクちゃん!」


アリス・七美「?」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 11:38:47.93 ID:19jm76oP0

ゆかり「あ。そうだ、加則くんも誘おうよ!」

学「か、加則っ!?」

七美「へぇ、まりぃにしては意地悪なアイデアね」ニヤニヤ

ゆかり「へ?」

アリス「女四人に囲まれて、男一人ですよ。カソクのように女性慣れしていない凡人にとっては、拷問に等しいと思いますね」

ゆかり「わ、あたし、そんなつもりじゃなかった! それに、アリスちゃんもテンちゃんも、加則くんをいじめるのはよそうよ……」

七美「でもナイスアイデアだわ! 加則も呼びましょう」

学「いや、天条。止めておこう」

七美「なんでよ?」

学「とにかく! 加則はやめよ、ね?」

学(加則とは平行世界で色々あったからか……最近顔を合わせづらい)
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 11:43:16.17 ID:19jm76oP0

ゆかり「じゃあ、浴衣を着て行かなくちゃ! 小学生のときに買ったの、まだ着られるかなぁ?」

七美「まりぃは大丈夫じゃない? ずっと小さいままだったし」

ゆかり「わ、テンちゃん酷いよ!」

学「あたしはこの前買ったから大丈夫」

七美「あ、そう言えば去年、浴衣着ようとしたけど小さかったんだ。買いに行かなきゃ」

ゆかり「じゃあテンちゃん、一緒に買いに行こう?」

七美「だから、まりぃは大丈夫だよ」

ゆかり「わ、そんなことない! あたしだって大きくなってるよ!」

七美「嘘だね」

ゆかり「ほんと!」

アリス「…………」

学(あっ)
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 11:46:12.29 ID:19jm76oP0

〜玄関〜

学「じゃあ、今日は遅いしお開きだね」

ゆかり「ばいばい、ガクちゃん」

七美「お邪魔しました」

アリス「……お邪魔しました」

学「あ。アリスちょっと待って」

アリス「なんです、ハトウ?」

学「多分、サイズは丁度いいと思うんだけど……」

アリス「?」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 11:50:42.74 ID:19jm76oP0

〜学の部屋〜

学「はいこれ」ヒョイ

アリス「これは……」

学「あたしが小学校まで着てたやつだよ。歳もあってるし、サイズは問題無いはずだけど」

アリス「ば、バカですね、この凡人。ワタシだって浴衣くらい……」

学「無いんでしょ?」

アリス「も、持ってます!」

学「アリスが嘘付くときの仕草くらい、分かるよ」

アリス「な、なんでですか?」ササッ

学「いやまあ、なんとなく」

学(平行世界では恋仲だったこともあるからね)

7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 11:53:18.25 ID:19jm76oP0

アリス「準凡人のくせに……そうです。持ってないです」

学「じゃあそれあげるよ。あたしが持ってても意味ないし」

アリス「じ、じゃあもらってあげます」

学「はいこれ」

アリス「かかか、勘違いしないで下さいです! 別に感謝なんて、してないですから!」

学「はいはい」

アリス「けれど、その……あ、ありがとうございました」

学「感謝してるし」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 11:59:34.74 ID:19jm76oP0

〜祭当日〜

ゆかり「テンちゃん、浴衣似合ってるねー」

アリス「ユカリが選んだのですか?」

ゆかり「ガクちゃんも一緒にね」

学「選んだのはほとんどゆかりだったけどね」

アリス「ハトウも、一緒に買いに行ったんですか……」

七美「結局まりぃは、小学校の時のやつ着られたねー」

ゆかり「わ、これだって少しきついもん!」

七美「あれー? それって太ったんじゃないの?」

ゆかり「もう! 七美ちゃん!」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 12:03:49.36 ID:19jm76oP0
ミス
ゆかり「もう! 七美ちゃん!」→「もう! テンちゃん!」



学「アリスはどう? それ、きつくない?」

アリス「きついなんてこと、あるわけないです! ……で、でも、丁度いいサイズです。その、ありがとう」

学「ううん、あたしもアリスに喜んでもらってうれしいよ」

アリス「なっ……天才であるワタシが、準凡人なんかに浴衣をもらって喜ぶとでもっ?」

学「そっか…………喜んでもらえなかったのか…………」

アリス「べ、別に、嬉しくないわけじゃないですけど!」

学(素直じゃないなあ)
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 12:08:11.24 ID:19jm76oP0

学「あ。ゆかり、あの射的、プラモの景品があるよ。頭にドリル……加則みたいなのかな?」

ゆかり「わ、ドリル! でも加則くんじゃなくて、前の生徒会長に似てるかも」

学「生徒会長怖いな……」

ゆかり「わ、でも優しい人だったよ!」

七美「でも射撃って、当てても落ちないのよね……」

アリス「それはテンジョウが凡人だからではないですか? 弾丸軌道を計算して撃てば、あんなもの簡単に落とせます」フッ

七美「ぐ、生意気な! じゃあ天才少女、あんたやってみなさいよ!」ムカッ

ゆかり「わ、喧嘩は良くないよ二人とも! それに、まだ射的をやると決まったわけじゃないんだし……」

学「ゆかり、あれ欲しいの?」

ゆかり「わ、ガクちゃん!? ……それはまあ、欲しいよ。ドリルはロマンだから」

学「じゃああたし取ってきてあげる」

ゆかり「わ、ガクちゃん、いいの?」

学「うん」

学(なんといっても、動く的(人間)相手に実弾射撃した経験もあるしね。平行世界で)
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/31(金) 12:13:32.60 ID:19jm76oP0
ゆかりちゃんは人がみんなロボットに見えるっていう特殊能力持ちです。

加則くんや前生徒会長の頭には巨大なドリルが付いていたり、学ちゃんは汎用性最強で左手が携帯電話だったりします
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 12:22:36.58 ID:19jm76oP0

学「えっと、二百円ですか」

店主「はい、まいど〜。そこの弾を銃につめて、パンって撃ってな」

学「はい。……えっと、弾を込めてと……」

ゆかり「わ、ガクちゃん! 精密射撃モードだよ!」

学「え、なに? あたし今換装したの?」

ゆかり「わ、でもそのモードはエネルギー消費が激しいから、早く撃ってね!」

学「わ、分かった!」

アリス「なんの話ですか?」

七美「あたしにもよく分からない……」

パン! ドサッ!
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 12:27:35.58 ID:19jm76oP0

店主「お、おい……こいつ、やりやがったぞ! ……プラモの箱一撃で落としやがった……」

学「や、やった……!」

ゆかり「わ、すごいよガクちゃん! さすが汎用性で最強!」

学「う、うん。ありがとう!」

アリス「あ、あのサイズの箱をコルク弾一撃で落とすだなんて……ハトウマナブ、アナタはいったい……」

七美「波濤まで勧誘とかやめてよね」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 12:31:49.37 ID:19jm76oP0

〜一時間後〜

七美「たこ焼きおいしかった」

学「あんたは食べ過ぎだ」

ゆかり「アリスちゃん、何かお気に入りはあった?」

アリス「……え、はい。なんでしたっけ?」

ゆかり「お気に入りの食べ物だよ」

アリス「ああ。ワタシはチョコバナナがおいしいと思いました。ユカリには何かおすすめがあるんですか?」

ゆかり「そうだねぇ……わたあめがおいしいよ!」

アリス「あのベタベタするやつですか……上手に食べられず、せっかくハトウにもらった浴衣が、少し汚れてしまいました」

学「いいよ、あげたものなんだし」

アリス「は、ハトウ!? 聞いていたんですか?」

学「そうだけど。何か問題が?」

アリス「べ、別になんでもないです」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 12:47:38.08 ID:19jm76oP0

学「そう言えば、チョコバナナってアメリカにはないのかな?」

ゆかり「でもガクちゃん、チョコレートフォンデュとかで、バナナも食べるよね?」

学「ああ、確かに……アリス、実際のところどうなの?」

アリス「…………」

学「アリス?」

アリス「あ、チョコバナナですか? ワタシはそういう物を食べるような環境で育っていなかったので、分からないです」

学「そっか。変なこと聞いちゃったとしたら、ごめんね」

アリス「準凡人が気にするようなことじゃありません。心配無用です!」

学「あっそ」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 12:50:36.85 ID:19jm76oP0

学「もう九時か……なにかやり残したことある?」

ゆかり「あたしは特にないよ」

七美「焼きそばが並んでて食べられなかったのが残念だったけど……たぶん、もうすることはないな」

アリス「ワタシは……」

ゆかり「アリスちゃん?」

アリス「あ、あれを……」

子どもたち『ワーワー ワーワー』バチバチ パチパチ

学「花火?」

アリス「それです」

学「じゃあしよっか」

アリス「え?」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 12:59:34.99 ID:19jm76oP0

学「花火。この前、天条の浴衣買うついでに買ってきたんだよ」

七美「波濤がどうしてもっていうから、あたしとまりぃもお金出して買ったのよ」

ゆかり「やっぱり、夏と言えば花火だよね」

学「よし。じゃあさっそくゆかりの家に行こう」

ゆかり「みんな来てくれたら、葵と茜もきっと喜ぶよ!」

七美「今からでも加則呼んじゃう?」

ゆかり「わ、そう言って加則くんをいじめるつもりなんでしょ、テンちゃん!」

アリス「あ、あの!」

学「?」

アリス「ありがとう、ございます……」

ゆかり「お礼なんていいよ。みんなで楽しむんだから!」

七美「そう。別にあんたのために買ってきたわけじゃないわよ! みんなで楽しむために買ったんだから」

学(素直じゃないなあ……)
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 13:05:19.41 ID:19jm76oP0

〜ゆかりの家の庭〜

学「よいしょっと……水の準備完了」

ゆかり「ろうそくも準備オーケーだよ!」

七美「こんなにプラモ置いてあるけど、邪魔にならない?」

ゆかり「わ、ごめんね! 今片付けるよ!」

アリス「ユカリ、ワタシも手伝います」

ゆかり「アリスちゃんありがとう!」

学「ふわふわ……」

七美「あんた何言ってんの……?」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 13:07:18.41 ID:19jm76oP0

バチバチバチバチ
ヒューーーードーーーーーン

アリス「キレイです……」

ゆかり「いろんな色があるねえ……」

七美「うわっ、なにこれキモッ」

学「蛇花火は何度見ても慣れないな……」

ゆかり「アリスちゃん、終わった花火はバケツに浸けてね」

アリス「…………」

ゆかり「アリスちゃん?」

アリス「あ、はい!」

ジュッ……
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 13:10:27.62 ID:19jm76oP0

パチパチ

ゆかり「最後に残った線香花火」

アリス「この花火は、今までのに比べてスケールが小さいです」

七美「とりがこれってのはどうなのよ」

学「まあ、定番でしょ」

パチパチパチパチ……
ポト

ゆかり「わ。あたしの落ちちゃった」

学「あたしも」

七美「…………」ジー

アリス「…………」ジー

七美「…………」ジー

アリス「…………」ジー
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 13:18:38.69 ID:19jm76oP0

パチパチパチパチ……ポト

七美・アリス「あ」

アリス「ワタシの勝ちですね」バチバチ

七美「いや、あたしでしょ」バチバチ

ゆかり「わ、わ、視線に火花が散ってるよ!」ワタワタ

アリス「もう一度やりましょう!」

七美「望むところよ!」

学「もう、花火残ってないよ」ハァ
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 13:27:15.76 ID:19jm76oP0

学「もう十時か……」

ゆかり「葵と茜も寝ちゃったし、もうみんなも寝よ!」

七美「お風呂入ろー」

アリス「だれから入るのですか?」

ゆかり「みんなで一緒に入ろ!」

アリス「え、ええ?」

ゆかり「どうしたのアリスちゃん?」

アリス「そ、それは流石に、恥ずかしいです……」

七美「(ちょっと波濤、)」コソコソ

学「(分かってるよ)」コソコソ

学「日本では普通、お風呂にはみんなで一緒に入るんだけどなぁ……」ニヤニヤ

七美「郷に入れば郷に従え、だからね」ニヤニヤ

アリス「そ、そうなんですか? 確かに、修学旅行の時は、みんな一緒に入ってましたけど……一般家庭でも?」

七美「あたりまえじゃん」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 13:29:44.16 ID:19jm76oP0

ゆかり「わ、うそ教えちゃダメだよ!」

学「シーッ。こうでもしないとアリス、入ってくれないよ?」

ゆかり「わ。でも、ガクちゃん……」

七美「じゃあ脱衣所に行きましょう、アリス」

アリス「は、はい!」

ゆかり「行っちゃった」

学「あたしたちも行こう?」


〜お風呂場〜

七美「ひ、広い……」

アリス「一般家庭の基準は分からないですけど、ワタシのマンションにあるバスルームの四倍くらいありますね……」

学「洗い場が四つ……小さめの銭湯並だと……!?」

ゆかり「わ、わ、みんな、大袈裟だよ!」

学・七美・アリス「普通の反応です!」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 14:21:04.08 ID:19jm76oP0

学「うわぁ、湯船もめちゃくちゃ広い。これなら四人一緒に、楽勝で入れるね」

七美「まりぃとアリスは、二人で一・五人分くらいだけどね」

ゆかり「わ、そんなに小さくないよ!」

アリス「しかし実際のところ、ユカリはなぜそれほどまでに小さいのですか? 二つ年下のワタシよりも背が低いですし」

七美「発育も悪いしね。全体的に」

ゆかり「テンちゃん……」

七美「そして、意外とスタイルいいのが波濤。引き締まってるし」

アリス「一番女の子っぽくないですけどね……」

学「アリス、その一言は結構ぐさっと来るから……」

ゆかり「わ、ガクちゃんはかわいいよ!」

学「ありがとうゆかり。気持ちは嬉しいよ……」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 14:22:16.86 ID:19jm76oP0

〜洗い場〜

学「四人同時に体を洗えるとはね」

七美「四人で使う機会なんて滅多にないでしょ……」

ゆかり「親戚が来た時とか、今日みたいにみんなが遊びに来たときとか……」

アリス「すごく限られてますね」

ゆかり「わ、それなら今度から、もっといっぱいお泊まり会しようよ!」

アリス「……機会があれば、ですけどね」

学「…………」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 14:24:08.26 ID:19jm76oP0

学「アリスの髪ってきれいな金色だよね」

アリス「そ、そうですか? それは、どうも……」

学「染めたとは思えない」

アリス「!? な、なんで、そのことを……?」

学「アリス、あとで話があるの。重要な……ね?」

アリス「え、え?」

学「…………」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 14:30:56.28 ID:19jm76oP0

〜客間〜

七美「お布団敷いたし、そろそろ寝よ?」

ゆかり「あれ、二人は?」


〜庭〜

アリス「それで、話とは……?」

学「うん。率直に聞くけど……

  もうすぐアメリカに帰るんでしょ?」

アリス「え?」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/08/31(金) 14:35:44.43 ID:19jm76oP0
ちょっと六時間くらい出かけてきます。

投稿はその後
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/31(金) 22:07:13.10 ID:K34tSzhxo
クオリアスレが立つとは
期待
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/08/31(金) 22:55:03.34 ID:Un3gSaXIO
>>1 だけど今まだ出先で、帰るまであと2時間くらいかかる。
申し訳ない
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/09/01(土) 01:10:22.41 ID:txebCcON0
日付変更したけど>>1です。
帰宅したので続き投下


学「ジョウントに呼ばれてるんでしょ? 帰ってこいって」

アリス「どうしてそれを……」

学(図星だったか)

学「気付いてないかもしれないけど、さっきからずっと、どこかうわの空ってかんじだったんだよ、アリス」

アリス「…………」

学「どうせ、ゆかりも一緒につれていけって……」

アリス「ちがう」

学「えっ……」

アリス「ジョウントは……ユカリをあきらめました」

学(………………え?)

学「な、なん、で!? どうして? そ、そんな、そんなはず……!?」

アリス「ちょっと、ハトウ? お、落ち着いてください!」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/09/01(土) 01:11:42.70 ID:txebCcON0

アリス「ユカリの母親からもらってきました。これでも飲んで、気を落ち着かせてください」 つホットミルク

学「…………」コクコクコク

アリス「落ち着きましたか」

学「……うん、ありがと」

アリス「どういたしまして。ユカリたちはもう寝てしまっていますが……」

学「まだ話の続き」

アリス「そうでしょうね」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/09/01(土) 01:15:54.38 ID:txebCcON0

学(どの平行世界でも、ゆかりは夏休みが終わるまでには必ず死んでいた。だから、他の世界との干渉を断ったこの世界でも、夏休みには何か起こるとふんでいたけれど……)

学「まさか、あきらめていたとはね……」

アリス「なにが起こったかは分かりませんが、ジョウントの上層部は突然、ユカリの才能を無価値なモノと見なしたんです」

学「あたしにとっては願ったり叶ったりだけど」

アリス「はい、そうでしょうね。でもワタシにとっては……」

学「日本にいる理由が無くなっちゃったってこと、だよね」

アリス「その通りです」

学「だから帰ってこいって……」

アリス「はい」

学「あたしの話っていうのはそれ。アリス。あんたに、アメリカへ帰ってほしくない」

アリス「……意図がわかりませんね」

学「…………」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/09/01(土) 01:19:27.88 ID:txebCcON0

アリス「別に、日本に未練はありません。ユカリを連れて行けなかったのが少し残念ですが、ジョウントの決定をくつがえす気はないですし。

    だから素直に従って、帰るつもりでいます」

学「…………」

アリス「あなたがなぜ、ワタシに帰らないでほしいと思うのか。その意図は分かりませんが……どちらにせよ、夏休みが終わる直前にはアメリカへ帰る便に乗ることになると思います。

    丁度向こうのスクールも、新学期が始まる時期ですし。もうこちらにいても、何もすることはありませんしね」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/09/01(土) 01:23:02.39 ID:txebCcON0

学「アリス、ウソついてる」

アリス「……ウソなんてついていません」

学「日本に未練がないってのも、こっちにいてもすることがないってのも、あたしの気持ちが分からないってのも。

  全部ウソでしょ?」

アリス「ウソ、なんて……」

学「あたし、分かるよ。アリスがウソついてるって事くらい」

アリス「……そんなの、分かるはずないですよ」

学「分かるんだよ」

学(あんたは覚えていないだろうけどね、あたしとあんたが一生寄り添って暮らしていくっていう可能性も、この宇宙には存在していたんだよ。

  まあ、今はただの友達になっちゃったけど。

  でも……)

学「友達だから。アリスのつくウソくらい、すぐに分かる」

アリス「……理由になってないです」

学「『友達だから』じゃ、だめかな?」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/09/01(土) 01:31:06.67 ID:txebCcON0

アリス「…………」

学「アリス、友達であるあんたとはやっぱり、離ればなれになりたくないんだよ。ゆかりの時と一緒。あんたは本当に、この気持ちが分からない?」

アリス「…………ワタシをユカリと同列に扱う、ということですか? アナタが? ワタシを? ユカリをアメリカへ連れて行こうとした、ワタシをですか? アナタの本当の友達であるユカリを、アナタから引き離そうとした、ワタシを?」

学「そうだよ。なにもおかしい事なんてないでしょ?」

アリス「……!」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/09/01(土) 01:37:14.99 ID:txebCcON0

学「前に校門の前で、約束したの覚えてる? 『ためしにあたしを、友達だと思ってみない?』って」

アリス「おぼえています。で、でも、あれは、ただの口約束、だし……それにワタシも、アナタの化けの皮を剥がそうと……」

学「まあ、そうかもしれない。でも、確かにあの瞬間から、あたしたちは友達だったでしょ?」

アリス「あんな一言から始まったワタシとの友情と、それまでずっと続いてきたユカリとの友情を、同列に扱うんですか? どうかしてます!」

学「どうもしてないよ、アリス」

アリス「でも、そんなのおかしいです! あんな始まりは、間違っています!」

学(あたしにとってあんたは、何十年と一緒にいたパートナーなんだから。あくまでも別の世界の話だけど……それでも、その記憶はあたしにとって、とっても大事な記憶)

学「始まりはどうだったとしても、あんたはあたしの大切な友達だよ。ゆかりや天条と一緒。何を犠牲にしてでも失いたくない、唯一無二の友達」

アリス「…………」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/09/01(土) 01:39:45.36 ID:txebCcON0

アリス「……………………」グスッ

学「アリス?」

アリス「ハトウは、おかしいです……ワタシなんて、誰にも理解されないはずの人間なのに……そんなワタシを、理解しようとして……理解してしまって……!」ヒクッ ヒクッ

学「ううん。理解なんて、全然してない。あたしとあんたの間には、大きな壁がいつまでも、立ちふさがっているから。

  あんたの見る世界は、あたしには一生、見ることができない。だから、あたしはあんたを、本当の意味で理解することはできない」ギュッ

アリス「!?」ドキッ

学(でも、あたしはその壁を受け入れて、ゆかりと友達になったのだ。「汎用性最強」のあたしなら、今度もきっと、できるはず)
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/09/01(土) 14:48:31.54 ID:txebCcON0

学「でも悲しまないで、アリス。あんたの居場所は、ちゃんとここにある」

アリス「ワタシの居場所……?」

学「そう。友達がいる場所が、あんたの居場所。だから行かないでよ、アリス」

アリス「……ワタシだって、アメリカに帰りたくはないという気持ちは強いです。アナタやユカリ、それと……テンジョウとだって、別れたくないです……」

学「だったら……」

アリス「でも! 友達がいるから、なんて理由だけで、ジョウントがワタシを手放すと思いますか!? そもそも、ワタシが日本に来た理由は、ユカリをジョウントへ呼ぶためです。その目的が無くなった今、ワタシが日本にいられる正当な理由は、もう存在しないんですよ!」

学「そんなのどうでもいいよ……」

アリス「どうでもよくなんか」

学「どうでもいい!」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/09/01(土) 14:50:37.15 ID:txebCcON0

ごめんなさい、大分遅れました


アリス「っ!」ビクッ

学「ごめん。……ちょっと、慌てちゃって」

アリス「…………」

学「……アリスがアメリカへ帰りたいと言うならば、あたしは止めないよ」

アリス「その言葉……今更すぎです、ハトウ」

学「……ごめん」

アリス「ハトウ、聞いて下さい。ジョウントだって、ワタシの居場所です。あそこにはアナタもユカリもテンジョウも……真に大切な友達は、まだいないですが、ワタシのような人間にとっては、とても心地の良い場所です。ここと違って、ワタシのような天才のために創られた場所ですから」

学「…………」

アリス「きっとアナタは、ワタシのこれからを心配してくれているのでしょう? でも大丈夫です。ジョウントは、ワタシにとてもよくしてくれますから」

学「心配なんてしてないよ、アリス」

アリス「よかったです。なら、」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/09/01(土) 14:55:52.82 ID:txebCcON0

学「あたしがアリスを止めてるのは、心配なんて理由じゃない。『アリスと離れたくない』っていう、独りよがりな感情だよ」

アリス「……ハトウ。そういってもらえるのは、素直に嬉しいです。

    じゃあ、もし仮に、ジョウントが今、ワタシに滞在許可を出したとしましょう。でもいつかは必ず、ワタシはアメリカへ帰ることになる。それは、ただの引き延ばしにしかならないのです。

    …………そうやって引き延ばせば延ばすほどに、別れはつらくなりますよ。だから、今別れるべきなのです」

学「いつか必ず別れがくるのなんて、あたしにも分かってる。それに、別れを引き延ばせば延ばすほどにつらくなるのだって、理解している」

アリス「だったら……ワタシの気持ちも理解して下さい……!」

学「でもね、アリス。つらいって事は、それだけ楽しいことがあるってことだよ。それだけ、互いを好きになれるってことだよ」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/09/01(土) 15:06:47.73 ID:txebCcON0

学「あんたとあたしの関係は、たしかにちょっと変わっていた。ごく普通の友達とは言えなかったかも」

アリス「最初はお互い、正反対の主張を持っていましたから……」

学「そうだね……でも、だからかもしれない。あたしがアリスを、もっと好きになりたいと思うのも」

アリス「ハトウ……」

学「だからね、アリス、お願い。

  いつかは絶対に、大人の都合とやらで別れることになってしまうと思う。けれど、離ればなれにならないことをまだ選択できるなら、今だけは、行かないで。

  アリスがここに残るためだったら、あたしは……ううん。きっとゆかりや天条だって、なんでもするから」

アリス「卑怯ですよ。……ここまで言っておいて、まだワタシの選択に委ねると?

    もうワタシに、選択の余地なんてないじゃないですか……」

学「あはは……ごめんね、アリス。最初からそのつもりだったんだ」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/09/01(土) 15:11:31.42 ID:txebCcON0

アリス「この準凡人。……やっぱりアナタは信用なりません。ワタシが最初に出した推論通りの結果です」

学「それが……これまで一緒にいて、分かったこと?」

アリス「はい」

学「…………」

アリス「でも……まだ、結論を出すには早い、です。

    だって、もしかしたら、今度はちがう結果がでるかもですから」

学「じゃあ……」

アリス「だから、もう少し、検証期間を延ばします。

    ……科学は試行錯誤が基本だと言ったのは、アナタですしね。

    だから――」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/09/01(土) 15:18:20.61 ID:txebCcON0

学(アリスはギュッと、あたしの手を握り返してきた)

アリス「もう一度、ここから始めましょう。

    ――マナブ、試しにワタシと、友達になってみないですか?」

学(『マナブ』
  その名前をアリスの口から聞いたのは、このあたしにとって初めてのはずなのに、なんだかとても、懐かしさがこみ上げてきて。あたしの視界は、ゆっくりとかすんでいった)

アリス「そ、そんな……泣かないで下さい、マナブ」

マナブ(心配そうに見上げるアリスに、あたしは震える声で言葉を返した)

学「嬉しいんだから、泣くわけないじゃん……それと、いきなり呼び捨てなんて、気安いわよ」

アリス「今までもこうしてきたと思うんですが?」

学「なんだか、いつか見たようなやりとりね」

アリス「はい、本当に。……では、戻りましょうか、二人のところへ」

学「うん。そうだね」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/09/01(土) 15:21:39.54 ID:txebCcON0

学(結局、アリスが夏休み中にアメリカへ立つことはなかった。ジョウントの上層部に頼み込んで、中学卒業まではいさせてもらえることになったらしい。

  あの日から夏休みが終わるまでの間は、ほとんど何事もなく日々が過ぎていった。そして夏休み明けの初日、アリスは顔を少し赤らめながら、そのことを報告してきたのだ)

アリス「そ、そういうわけですので。し、しばらくは、その、マナブ、たちと、一緒にいられるです……」

ゆかり「わ、それじゃあ、アリスちゃんと一緒に卒業できるんだね!」

七美「別にあたしは、さっさと帰ってもらってもよかったんだけど……まあ、その、これからもよろしく」

学「素直じゃないなあ……」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/09/01(土) 15:22:40.24 ID:txebCcON0
おわりっす。

最後の方雑で申し訳にあ

しばらくPC開けないからかきおさめでした。
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/01(土) 16:00:08.36 ID:siN9sODyo
乙。

まさか紫色のクオリアのSSが読めるとは……。
しかもアリスルート気味だし。
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