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それでも妹を愛してる - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/09/18(火) 23:17:55.13 ID:tOfy4Rip0
家に帰ると、妹が父さんを殺していた。


包丁を何度も何度も振りおろし。
抜いては刺し、抜いては刺し。
繰り返し繰り返しザクザクザクと……。


父さんの腹から胸から血が噴き出して。
辺り一面、真っ赤なカーペットを敷いたみたいに血だまりで。

そして、そんな血だまりの中から妹はぼくを見ていた。
ぼくを見て、笑っていた。


「おかえり。お兄ちゃん」


ただいま。

声にならない返事を、ぼくはした。



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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/09/18(火) 23:24:23.44 ID:tOfy4Rip0
次の日。


朝から天気はあいにくの雨。
でも最近は、雨もそんなに悪くないと思えるようになった。

それは何故か?……答えは至極単純。
雨が降っていたら、イチイチ理由をつけなくても電車に乗れるからだ。

「あれ?今日は電車なんだ」

「雨降ってるしね」

「なるほど。たしかに」

こんな感じで。

3 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/09/18(火) 23:30:31.38 ID:tOfy4Rip0
「そういうそっちも今日は電車なんだ?」

なんとなく会話を続けたくて、ぼくも聞いてみる。

「雨降ってるからね」

「だよね」

「うん」

「……うん」

すぐに終わった。
やるせなかった。


彼女は中学時代の同級生。
高校は別だけど方角は同じなので、たまにこうやって電車なんかに
乗ると出くわすのだ。
4 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/09/18(火) 23:50:15.62 ID:tOfy4Rip0
と、そんなことより。

「そんなことより柳瀬さん」

「なに?」

「今日も一段と綺麗ですね」

「ブホッ!?」

「……」


最近、柳瀬さんに会うたびにぼくは「綺麗ですね」と言っている。

別にやましい下心があるわけでも、ましてやお世辞を言ってるつもりもない。
本気で綺麗だと思っているから言っているのだ。

けれど彼女は、ぼくがそう言うたびにこうして噴き出す。
本気なのに……。
5 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/09/19(水) 00:06:37.37 ID:PRRLLRBj0
「ゲホゲホッ……。ねえ、鷹月くん」

やっとのことで呼吸を落ち着けた柳瀬さんは、ぼくに向き直り尋ねる。

「はい」

「会うたびにそれ言ってるけどナニ?私と付き合いたいの?」

「ははっ、まさか!」

冗談じゃない!

「死ね!」

尋常じゃないスピードの張り手が繰り出される!

しかし!

「くくくくく……。ぼくはその攻撃を昨日の時点から知っていた!」

ぼくは難なく攻撃をかわした。
ひゅー、今日もビンビンに冴えてるぜ!

6 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/09/19(水) 00:13:39.88 ID:PRRLLRBj0
だが……!

「甘い!」

避けたと同時に反対方向からさらに張り手が飛んできた!

ダメだ!避けてる最中にもう一発はかわせない!



結果、良い音が車内に響いた。



柳瀬さんはご満悦で電車を降りて行く。
ぼくは赤く腫れた頬を擦りながらそんな彼女を見送った。

7 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/09/20(木) 00:08:04.66 ID:wt5v4Rvs0


「あ、あの……その……」


教室に着くや否やホモに話しかけられた。
せっかく柳瀬さんにも会えてハッピーな気分だったのに早くも台無し。
正直、やめてほしい。

「なんだよ」

女の子には優しいがホモには厳しいぼくは、毅然とした態度で応える。

「あの……進路希望のプリント……」

「進路希望?」

「は、はい……」

視線を下に落とすと、たしかに手にプリントを持っていた。

ああ、先週配られた進路希望調査か。
〆切って今日だったっけ?

8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/09/20(木) 00:19:16.87 ID:0pvCbXKAO
期待
9 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/09/20(木) 00:19:40.94 ID:wt5v4Rvs0
「あ、あの……」

すっかり忘れてた。
最近いろんなことがあったしなあ。

「悪いけどまだなんだ。あとで先生に言っとくからさ。
 ぼくのはスルーの方向で」

なるべく面倒くさくならないように上手くはぐらかして……。

「で、でも……」

「なに?」

「あと、鷹月くんだけで……」

「それで?」

「先生が『鷹月はお前じゃないと絶対出さないから必ず回収するように』
 って……」

「……ああ、そう」

……はぐらかし切れなかったみたいだ。

10 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/09/20(木) 00:33:21.96 ID:wt5v4Rvs0

「はいよっ」

「あ、は、はいっ!」


それでもなんとかはぐらかそうと思えば、はぐらかせれたんだけど、
はぐらかした所で結局大した意味なんてないなと考え直し、適当に
進路希望のプリントにサインした。

極一般的な回答っぽく、『大学進学』と。

他にやりたいこともなく、将来について何も考えていないような
ぼくみたいな人間は、周りに合わせてるのが一番だ。


けれど、ぼくが大学進学と書いたのがよっぽど意外なのか
ホモはぼくが差し出したプリントを何度も読み直している。

あのさあ、その進路希望調査、お前に見せるために書いたわけじゃ
ないんだけど。
11 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/09/20(木) 00:52:48.44 ID:wt5v4Rvs0
だけどまあ、女の子に話しかけるならともかく、ホモに自分
から話しかける勇気なんてさらさら持ち合わせてはいないので、
「見るのやめろ」とも言えないんだけどさ。

「……そうなんだ。大学、かあ」

「HR始めるぞぉ!席に着けよ!」


ホモがなにやら口走った所で先生が来た。
ホモははっと顔を上げてプリントを持って先生の所に走っていく。

今日も今日とて憂鬱な一日が始まる。
そんな予感がする朝だった。

12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/09/20(木) 01:04:19.86 ID:SQrIMcqDO
ぱんつ脱いだ
13 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/10/14(日) 17:21:04.41 ID:5PSe55870


ぼくの予感は良く当たる……わけじゃないんだけど、どうやら
今日の勘は冴えてるらしい。


「好きです!付き合ってください!」


学食で昼飯食べて、教室に帰ろうとしてるところを呼び止められた。
なんの用事なんだろうとホイホイついて行った結果がこれだよ。

この台詞だけ聞いたら「羨ましいぞこの野郎」「リア充爆発しろ」
なんて言われそうだけど、残念ながらこの台詞言ってるの、男なんだよね。

どうかしてるぜ!

「あのさぁ、ぼく男なん……」

「好きです!一目見たときから!」

「いやだから……」

「お願いします!」


話聞けよ!
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/10/15(月) 07:40:23.62 ID:AJm2Vj9xo
ええやん
15 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/10/15(月) 23:37:26.40 ID:5G7VLu790

「はあ……」

わざとらしく、大きなため息を一つ吐く。


もともと「女っぽい顔してるね」とよく言われるぼくだが、
最近の間違われる頻度はマジでおかしい。

高校に入って既にこれで5回目。
しかも全部告白だし。

勘弁してほしい。わりとマジで。


「あのさぁ……」

「も、もしかして他に好きな男が!?」

「そうでなくて……」

「じゃ、じゃあお願いします!こう見えても結構鍛えてます!
 自信あります!」


知らねえよ。あと自信って何の自信だよ。
16 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/10/15(月) 23:45:27.85 ID:5G7VLu790

「そ、それは勿論……えへっ❤」


照れるな。
あと心の声を読むな。

「良いっすよね!?」

良くないって。

「はあ……」

これはまた面倒くさい相手に絡まれてしまったもんだと、空を見上げながら
思いっきり大きなため息をもう一つばかし吐いて、ぼくは……。


ぼくは……逃げた。


17 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/10/16(火) 00:00:41.41 ID:lKWufWnn0


結論から言うと、ぼくは昼休み中追いかけっこをしていた。


「しっかし、本当に鷹月はモテモテだよなぁ」

「羨ましいなら代わってくれよ」

「ははっ、冗談だろ。男に追いかけられるとかねーわ」

「へいへい、そーですかー」

「シシシシシシw」


なんとか午後の授業が始まる前に、クラスに帰ってこれたぼくに
中条が話しかける。
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/16(火) 21:48:35.45 ID:DjPSQMNDO
何か元ネタあんの?
19 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/10/17(水) 23:26:22.62 ID:XRoeWwyX0
>>18 ないです
20 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/10/17(水) 23:48:45.56 ID:XRoeWwyX0
こいつも柳瀬さんと同じく中学時代の同級生で、「中条」と書いて
「なかじょう」と読む変わった名字の持ち主。

学年が上がるたびに名前を間違われる可愛そうな奴だ。
本人は「いつものことだ」とさほど気にしてはいないみたいだが。


「しっかしお前も災難だよなぁ。まさか今年からうちの学校、制服廃止
 で私服登校だなんて」

中条は「ご苦労さん」といった表情でぼくの方を見ながらそう続けた。


……言いたいことは分かる。
確かに学ランでも着ていたら、女に間違われることなど無かったろうに。

「まったくだ。これで5回目だよ」

気だるい感じでぼくも答える。

「マジで!?」

「えらくマジ」

「はぁぁぁぁぁ。そりゃ凄ぇ」

感心したように中条がウンウンと唸る。

21 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/10/18(木) 00:08:37.08 ID:+7nLjwOp0

けれどいくら中条が感心したところで、

「…………フヒッ❤」

ぼくを狙う男の視線が無くなることはない。

つーか、あいつまだぼくを追いかけてたのか。
いい加減まいたと思ったのに。

というより、いつまでも廊下からコッチ見んな。
さっさと教室に戻れ。



……あ、先生に見つかった。
知ーらない。知ーらないっと。
22 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/10/19(金) 00:40:24.35 ID:/X16AykN0

「さあ、授業始めるぞぉ。席に着けよー」

先生がガラリと扉を開けて教壇に向かう。

廊下を確認するに、どうやら不審な人影に注意を促してくれた
ようだ。感謝感謝。

さて、そんなこんなで漸くぼくを狙う男もいなくなり、これ
で一安心と思ったのだが、

「と、言いたいところだが実は授業はまた今度だ」

それも束の間。

「今度の文化祭に何するか決める臨時HRやるからなー!」

先生がニコニコした顔で皆に言う。

嫌な汗が、背中を伝った。

23 : ◆eRGoNEGNUVPj [saga]:2012/10/19(金) 00:52:14.41 ID:/X16AykN0
さて、大方の予想通りというかなんというか。
クラスの出し物は『メイド喫茶』に決まった。

こういうのは漫画や小説の中だけにして欲しいものだが、悲しいけど
これ、現実なのよね。


それにしてもうちのクラスの男子ときたら……


「出し物!?そりゃやっぱメイド喫茶だろ!」

「鷹月のメイド姿!?これは見なきゃ死んでも死にきれねぇ!」

「鷹月きゅん、はぁはぁ❤」

「たーかっつき!たーかっつき!」

「お前らー、鷹月を抱きたいかー!?」

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」


もう手遅れだな。いろんな意味で。
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