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奉太郎「千反田の為に東大目指す」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2012/10/03(水) 22:14:05.75 ID:L5zaRQW7o
思いついたから書かざるを得ない

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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2012/10/03(水) 22:16:23.58 ID:L5zaRQW7o
やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら、手短に。
折木奉太郎不変のモットーとしてモラトリアム期間の俺のアイデンティティを支えてきたこの信条は、高校入学以来の二年間を通してゆっくりと、しかし確実に溶かされてきた。

溶解の進行の原因は明らかだ。

千反田える。

豪農千反田家の長女にして、我らが古典部部長。好奇心の亡者である彼女が一旦何かしらに興味を持ち、その大きな目で解決を訴えてくれば、俺は数秒もしないうちに抵抗を諦め、彼女に協力してしまう。

もちろん、名目上はそれにより求められる労働は「やらなければいけないこと」に分類してきた。そうする事で自らの行動と理念との間の整合性を保とうとしたのだ。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/10/03(水) 22:20:40.58 ID:L5zaRQW7o
しかし、若干二年間ではあるものの流れる時間を彼女と共に過ごして行く内に、俺の中での思考プロセスは溶け、緩み、かき混ぜられていった。要するに恋愛感情によるアイデンティティの揺らぎ。里志とまんま同じだ。

そういった懊悩を乗り越えて、ようやく千反田への感情と自分のあり方について考えがまとまったのが、今年の正月。そのまま初詣の日に、俺は千反田えるに告白した。
答えは嬉しくもあり、しかし、予想できた苦味も混ざっていた。意識してみれば顔が真っ赤になる程の美しさを伴って、彼女は突然のことへの困惑と、しかし零れる笑顔示すような暖かい感情を込めながら、気持ちを俺と同じくしていることを教えてくれた。だが一拍おいて、彼女は家のことを口にする。彼女の責任。千反田を継ぐ者としての意思。それをはっきりと、きっぱりと彼女は示した。

それに対して、俺はその一年間温め続けていたあの青臭いセリフを取り出した。

「俺は、お前の代わりに経営的戦略眼を修める」

千反田のただでさえ大きい瞳がさらに見開かれたあの様子は、どうやっても忘れられるものではない。
省エネ主義への決別と、千反田への告白、もといプロポーーズ。それは結論からいうと、成功した。
高二の冬、俺と千反田は遂に交際を始めたのだった。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/10/03(水) 22:24:17.64 ID:L5zaRQW7o
下ごしらえはこんくらいにしよう
あとは基本セリフ形式のはず
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/03(水) 22:43:51.81 ID:X6l6fEVH0
がんばれ
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/03(水) 22:45:49.59 ID:mLFewKFw0
奉えるで幸せになるなら書きたまえ
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/10/03(水) 22:46:02.77 ID:L5zaRQW7o
一月一日 夕刻

える「⋯⋯」にこにこ

奉太郎「⋯⋯」そわそわ

える「⋯⋯折木さん」

奉太郎「⋯⋯なんだ」

える「⋯⋯手、暖かいですね」

奉太郎「⋯⋯ああ」


奉太郎(荒楠神社からの帰り道)

奉太郎(俺と千反田は、歩いて家路を辿る)

奉太郎(千反田家の娘に、晴れ着を着せたまま距離を歩かせるだなんて、俺は随分なことをしている)

奉太郎(⋯⋯千反田に関しては、俺はもうなりたいようになる。省エネか否かはもはや関係ない)

奉太郎(実際、こうして二人で歩くのは、少なくとも俺にとっては何ら苦しいものでも、辛いものでもない)

奉太郎(あるのは、そう。幸せだけだ)
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/10/03(水) 23:13:54.79 ID:L5zaRQW7o
える「⋯⋯」

奉太郎「⋯⋯」

無言が続く。夕日の指す道すがら、冷たい風が吹き付ける。
だが、それは何ら障害にはなっていない。
千反田に顔を向ける。千反田はそれを覚り、微笑みを返してくれる。
眩しさに目を逸らしそうになる。だが、見ていたい。できるだけ長く、その顔を。

何時の間にか歩みが止まる。周囲には目立った建物も、人もいない。はっきりと聞こえるのは俺の心臓の鼓動と、千反田の呼吸の音のみ。

身体ごと千反田に向き直る。夕日にきらきらと光る髪、端整な顔、俺よりも小さくて、それでいてどこと無く芯の通っているその姿。
千反田は堪えきれないといった風に小さくて震えると、

える「⋯⋯折木さん!」

甘えるように俺の名前を叫び、そのまま俺の胴に抱きついた。柔らかく、軽い身体を受け止める。ふわりと広がる甘い香り。千反田の頭がちょうど顔の下に収まる。突然のことに驚いた腕を、動かしたいように動かす。ゆっくりと、千反田の背中へと。

夕日の中、抱き合う男女の図はたった今完成した。一連の動きの中、俺は人生最大の多幸感の嵐に身を委ねていた。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/10/03(水) 23:14:21.30 ID:L5zaRQW7o
書き方安定しないや
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/03(水) 23:49:35.27 ID:FtgyKaDIO
支援
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2012/10/04(木) 02:25:07.80 ID:9yhE9TFJo
キリのいいところで改行しちくり〜
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/04(木) 07:46:12.64 ID:nDXdjj/IO
幸い風上には俺が立っている。北風を遮ることはできた。
だがだからといって、千反田の顔はここまで上気しないだろう。
朱に染まる頬は不健康なものでは無く、相手がこうも気持ちを示してくれると、こちらとしても感情が昂らざるをえなくなる。

える「⋯⋯こうしたかったんです、ずっと」

奉太郎「⋯⋯ああ」

える「⋯⋯でも、叶いました。今」

奉太郎「⋯⋯そうか」

える「⋯⋯やっぱり、暖かいです」

奉太郎「⋯⋯そりゃ、よかった」

奉太郎「⋯⋯その、何だ」

える「?」

奉太郎「お前も、暖かいぞ」

える「! そう、ですか⋯⋯ふふっ」

鼻の先ではにかむ柔らかな笑顔を見て、ああ、これが例え演技だろうとも俺は後悔しないだろうな、と思った。
この笑顔の為になら人生を捧げられると、この時俺は確信した。

13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/04(木) 08:29:27.53 ID:nDXdjj/IO

いつまでもこうして過ごすわけにはいかないようだ。何時の間にか日はその姿を潜めんとし、長い夜が幕を開けようとしている。
千反田とてそれに気づいていない訳では無いだろう。俺が目でそのことを合図すると、名残惜しそうに、しかし意を決したように、ゆっくりと離れて行く。

奉太郎「⋯⋯」

喪失感。すぐそこにも千反田はいるというのに、十数センチほど離れただけで、身体の中身が抜け落ちてしまったかと思うような錯覚に囚われる。
そんなまどろっこしい比喩を使いたくなほどに、この溝が辛かった。
俺と千反田との間を、風が通り抜ける。
だがまさか、抱き合ったままカニ歩きをして帰るわけにもいかないだろう。
千反田とつながりながら、帰る方法ーーー。
ふと、足元に目が向いた。去年がどうだったかは忘れたがーーーあの「納屋」に閉じ込められた事故のせいでーーー今年千反田はブーツを履いている。和服にブーツが似合うとは知らなかったし、似合っていなくても全く問題ないし、少なくともこれくらいは千反田家的にも大丈夫ならようだ。
が、間違い無く歩きにくいはずだ。ブーツだなんて呼び方したところで、その構造は長靴のそれと同じ。疲れも溜まるはずだ。
というわけで俺は、千反田のお陰で生まれた新モットーを適用する事にした。
即ち、「やりたいことは、今すぐに」

奉太郎「千反田、その⋯⋯俺におんぶされる気は、無いか」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/04(木) 12:29:09.27 ID:Y4CtPw/IO
おお大胆
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/04(木) 12:41:07.48 ID:nDXdjj/IO
よく考えてみればモットーというよりもただの脊髄反射である。
だが今まで散々突発的な千反田の好奇心に対応してきたのだ。少しくらいこちらからしかけても良いだろう。

案の定千反田は躊躇する。
服装のせいで俺に迷惑をかけるだなんてことはしたくないのだろう。
心配など不要だというようににこりと笑うと、口を「いいえ」のいの形にしようとした。

だから俺はすかさず言い直す。

奉太郎「いや、違う。俺は」

意を決して。

奉太郎「俺がお前を、背負いたいんだ」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/04(木) 13:06:08.46 ID:nDXdjj/IO
ラブひな読もう
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/05(金) 08:01:24.61 ID:apHR7IbIO
える「失礼、します」

背中に体重が掛かるのを感じる。しかしその圧力は「重い」などというように表現されるものではない。千反田えるという少女の存在。一つの命としての千反田が存在することの確かさ、そしてその千反田がこの背中に身を預けてくれていること。その事実を伝えてくれる、そんな感覚だった。

そのままゆっくりと立ち上がる。不思議と、すんなりと身体が上がる。

奉太郎「じゃあ、行くぞ」

える「⋯⋯はい」

一歩踏み出す。千反田が楽な姿勢になるよう前傾した歩き方となっているが、なんとなくその分、千反田と近づけている気がする。

暫く無言で歩いてみる。千反田の吐息が耳元でそよぐ。千反田の黒髪が揺れ、俺の首筋をくすぐる。

奉太郎「⋯⋯寒くないか」

える「⋯⋯やっぱり、暖かいです。折木さんはどうですか」

奉太郎「暑いくらいだ。特に顔がな」

える「ふふっ、私も顔が熱いです」

おんぶというのは難儀な姿勢だこうして千反田の全身を感じれるし、恥ずかしい我が顔も隠せるが、いかんせん千反田の顔が、表情が見れない。

える「暗くなってきていて、よかったです」

奉太郎「⋯⋯次は、抱っこにするか」ぼそ

える「折木さん!?」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/05(金) 08:02:21.57 ID:apHR7IbIO
足取りは軽くとも、一歩踏みしめるたびに確かに伝わるのは、背中にのる千反田のせい、あるいはお陰であることは言うまでもない。

少なくとも、走り回ったり飛び跳ねたりはできない程度に動きが制限されているのは確かだ。

だが。これは労苦でも苦痛でもなんでもない。それは自明のことだった。
なぜなら、これこそが今の俺が望むことだからだ。

える「ーーー私は、考えてきました」

耳元で囁かれる声は、その実際の声色以上に弱弱しく聞こえた。

える「自分のの在るべき場所、姿。
千反田家を継ぐ人間としてのあり方。
学業に励む学生としてのあり方。
クラスメイトとの学友としてのあり方。
古典部の部長としてのあり方。
摩耶花さんや福部さんとの友人としてのあり方」

える「そして、折木さん。あなたとのあり方です」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/10/05(金) 22:07:11.35 ID:dVeOFAHWo
奉太郎「ーーーこうしてくれている、ということは、結論は出てくれたみたいだな」

える「はい、とても、凄く良い形で出ました」

肩から首にかけて乗る千反田の腕の力が強くなる。
暖かい。というか、柔らかい。

奉太郎「⋯⋯すまなかった」

える「え?」

奉太郎「俺がさっさと結論を出せば、そんなに悩ますこともなかったかもしれない」

える「それは、お互い様ということにしてください。私だって、踏み出せないところがありました」

える「⋯⋯それに、告白してくれたのは折木さんじゃないですか」

奉太郎「む⋯⋯」

える「⋯⋯えいっ」ぴとっ

奉太郎「うおっ、冷たっ!」

える「折木さんのほっぺた、熱いです」くすっ

奉太郎「⋯⋯お前のも、触ってやりたいもんだ」

える「それはまた今度.です」

奉太郎「ほう、じゃあ次の機会を精々楽しみにさせてもらおう」

える「ご期待下さいね? ふふっ」

奉太郎「⋯⋯全く」

奉太郎(俺は、幸せ者だな)
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2012/10/05(金) 22:26:32.58 ID:dVeOFAHWo
暫く歩いて千反田の家に近づくと、千反田は俺の背中から降りた。
理由は色々あるだろうが、少なくともそれは俺が疲れたせいでは決して無いとだけ言っておきたい。
千反田家の門の前で別れる際に、二言三言交わす。
冬休みは残り僅かだが、やりたいことは過去最大級にある。「やらなくてはならないこと」、要するに宿題も、それに及ばないくらいとはいえある。
結論からいうと次に千反田と会うのは、三が日明けの四日ということになった。
どうやら本来は親戚縁者その他の類への挨拶へ行くべきところであった今日という日を、俺だけの為に開けてくれたらしい。その対価としてあとの二日の拘束は免れることができないとのこと。

何やら、早速俺という人間が千反田家に影響を与えてしまっている感が無くもないのだが、まあそれは奢りだろう。

三日後、大量に残った主に俺の宿題をどうにかするため、千反田が俺の家に来る。
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/10/05(金) 22:27:30.30 ID:dVeOFAHWo
誤字こわいよぉ
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/05(金) 23:38:51.11 ID:IaTFZJ9Ho
これは期待
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/10/06(土) 07:08:50.09 ID:SXsYGlkIo
ちなみに受験要素はラブひな以上ドラゴン桜以下です
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/10/06(土) 22:44:27.85 ID:SXsYGlkIo
荒楠神社でお神酒わたすイベントはちゃんと消化済みということで
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2012/10/06(土) 22:53:00.95 ID:SXsYGlkIo

える「ーーーお邪魔します」

奉太郎「すまんな、疲れたろう」

える「これくらい平気ですよ。それで、今日はーーー」

奉太郎「ああ、階段登って直ぐだ。迷いはしない」

える「まるで何処かの家だと迷ってしまう、みたいな言い方ですね」

奉太郎「どうだかな」

える「⋯⋯ふふっ、やっぱりドキドキしますね」

奉太郎「⋯⋯さいで」

奉太郎(⋯⋯異性の部屋を訪れるのとて恥ずかしい事ではあるが、面前で自室をお披露目するというのも、なかなか緊張するもんだ」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/10/06(土) 23:22:39.12 ID:SXsYGlkIo
奉太郎の部屋

える「わあぁ、 ここが折木さんの!」

奉太郎「変哲の無さに掛けては負ける気がしない部屋だ。叩いてもホコリもでないような、な」

える「重要なのはそこじゃありません! ここで、折木さんが生活しているという事実が大切なのです!」ぐっ

奉太郎「っちょ、突然押しが強っ」

奉太郎(というよりやっぱり近い! 改めて意識しても近い! というか明らかにいつもより近い! とにかく近い!)

える「折木さんが普段どのように暮らしているのか、わたし、気になります!」

奉太郎(⋯⋯千反田め、何という攻勢だ。 まるで何かの憂さを晴らすかのような畳み掛けをかけてくる)
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/10/06(土) 23:23:17.95 ID:SXsYGlkIo
奉太郎「⋯⋯別に、今知る必要はないんじゃないか」

える「えっ?」

奉太郎「何というか、そのうち自然と分かるだろ?」

奉太郎「⋯⋯どうせこの先、一緒に居るんだから」

える「!! そ、それって⋯⋯」

奉太郎「やらなくてもいいことはやらん」

える「あっ⋯⋯ひょっとして、仕返し、ですね!?」

奉太郎「男の心を不純に乱されたからな」

える「⋯⋯でも、その通りですよね。私たち、これから二人で一緒に居られるんですよね」

奉太郎「少なくとも俺とお前はそれを強く望んでいる」

える「それで、十分です」ぎゅつ

奉太郎(⋯⋯お前は、家族の居ない家の男子の部屋で男に抱きつく、という行為のトンデモなさを理解しているのか)

奉太郎「お、お、お前は、かぞっのいにゃいだんのへあで抱きつくって、その、わかってるのか!?」

える「あはは!、折木さん、ちゃんと話せてませんよ?」

奉太郎「⋯⋯なんてこった」

奉太郎(恥ずかしくて千反田の顔も見れん。『抱っこしてやろう』とは何だったのか
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/07(日) 10:55:41.72 ID:5u4BDorAo
早速壁が欲しい展開に
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2012/10/07(日) 20:08:48.77 ID:qcqxwrxxo

奉太郎「⋯⋯これ全部、あと三日でやるのか」

える「そういうことになりますね」

奉太郎「⋯⋯まさか、見逃してはくれないよな」

える「そうするのは構いませんが」

える「それではわたしは、何のためにきたんでしょう?」

える「わたし、気になります」

奉太郎「⋯⋯ごめんなさい」

える「あれ、てっきり『すまん』とかってぶっきらぼうに謝るまのだと思ったのですが」

奉太郎「本当勘弁してくれ」

える「⋯⋯えへ、ちょっとやりすぎちゃいましたかね」

奉太郎「⋯⋯ソンナコトナイトオモウゾ」

奉太郎(小悪魔だ、小悪魔がいる。いや、堕天使か)

奉太郎「と、とにかく内容を確認しよう」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2012/10/07(日) 20:27:06.32 ID:qcqxwrxxo
奉太郎「ああ、でも提出物としてはこれだけなのか」

奉太郎「尾道謹製の微積分文章題20問」

える「他には?」

奉太郎「あとは英語の副読本を読めだとか、古文単語覚えろだとかだからな、そんなに気負わんでもーーー」

える「だめです」

奉太郎「⋯⋯いや、これらは休み明けのテストに出されるってだけだからな、やる必要は」

える「だめ、です」にこっ

奉太郎「⋯⋯何故」

える「だって折木さんは、経営的戦略眼を修めてくれるのでしょう? なら、勉強はいつ始めても早く有りません」

奉太郎「それは⋯⋯そうだが」

える「⋯⋯下世話な話にはなりますが、恐らく父は、並大抵の事では私たちのことを認めてくれないです」

奉太郎「⋯⋯ああ、そうだな。 すまん、浅はかだった」

える「ですから!」ぐいっ

奉太郎「のわっ!」

える「一緒に勉強、頑張りましょう?」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [saga]:2012/10/07(日) 20:29:34.44 ID:qcqxwrxxo
奉太郎「⋯⋯それにしても、これは何というか」

奉太郎「全部入試問題なんだな」

える「これは恐らく、『大学への数学』という本から取ったものですね」

奉太郎「大層な名前だな、参考書か」

える「ええっと、参考書、かもしれないですけれど、雑誌、みたいでもあります」

奉太郎「雑誌? 数学のか?」

える「はい。月刊なんですけど、毎月高校数学の一分野を取り上げて特集するんです。これは恐らく、そのうち微積分がテーマだった回のかと」

奉太郎「読んでるのか?」

える「いえ、クラスで友人が使っているのを見ました。いまの説明もその人の受け売りです」

奉太郎「そうか。だがそれに載っているからといって、入試問題なのに変わりは無いんだろう?」

える「入試問題とはいえ、習った事しか出ませんよ。増して尾道先生がお配りしたものなんですから、解けて然るべきです」

奉太郎「授業進度を間違えてたりしなければな」

える「⋯⋯ま、間違っているんですか?」

奉太郎「⋯⋯難儀な事に、微積はきっちりと終わった。休み明けは数Bの残りだと」

える「なら、大丈夫です!」

奉太郎「⋯⋯とは言ってもえる「それに!」

える「わたしが居ます!」

奉太郎「⋯⋯じゃあ、この日大商業部の問題が俺、気になります」

える「まずは、自力で解いて下さい」

奉太郎「⋯⋯数学は、苦手だ」ガクッ
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/10/07(日) 20:30:23.01 ID:qcqxwrxxo
>>29
謝るものだと
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/08(月) 19:04:10.84 ID:1f9626bIO
ダッシュ記号も三点リーダもなんか表示がおかしい
iPhoneはむつかしい
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/08(月) 19:11:11.05 ID:1f9626bIO
……
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/08(月) 19:12:32.56 ID:1f9626bIO
すみませんてテスト


_

きごう
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/10/13(土) 23:03:25.15 ID:wffhPdNTo
お神酒じゃなくてなんか名代で渡すやつ
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/10/14(日) 19:23:05.95 ID:TKUFZ9lbo
普通に・・・でよくね
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/10/16(火) 21:37:02.87 ID:fbMrlREFo
>>37
なんとなく座りが悪い
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/10/16(火) 21:44:29.88 ID:fbMrlREFo
奉太郎「……」カリカリ……

える「……」じーっ

奉太郎「……」カリ……カリカリ……

える「……」じーっ

奉太郎「……」かり……

奉太郎「……どうした」

える「へっ!? あ、いえ、その!」

える「……折木さんが勉強している様子が、というか横顔がですね、あの、かっこよ奉太郎「ぶっ!!」

える「……突然おかしな事を言ってごめんなさい!!」がばっ

奉太郎「あ、謝らなくていい!」

奉太郎「……一応、そういう関係、なんだからさ」ぽりぽり

える「あっ……」

奉太郎「……」

える「……」もじもじ

奉太郎「……お、お前も何か勉強しろ。そうだ、それがいい」

える「そ、そうですね」がさごそ
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2012/10/16(火) 22:02:09.75 ID:fbMrlREFo

奉太郎(なんというか)

える「えーっと、じゃあ……」

奉太郎(しっかりと物事を考える割には、さして重要でもないところを取りこぼすこの感じ)

える「……これをやるとしましょう」古文単語帳を取り出す

奉太郎(周りからはしっかり者と映るんだろうが、よく見れば綻びもある)

奉太郎(それは千反田が人の子だからだ。様々なレッテルに先立って、千反田という人格が確かに存在する)

奉太郎(色恋沙汰とて、そうした人格の領分のものだ。驕ってしまえば、俺は千反田のそういう面を引き出せる、唯一の人間のはずだ)

奉太郎(千反田の天然地味た部分なら里志やら伊原とて知っているはずだ。だが、この部分だけは、俺が背負ーーー)

える「お、折木さん」

奉太郎「ーーーいっ?」

える「その、恥ずかしいです。そんなに見られると」

奉太郎「……そんなにって、俺、そんなに見てたか」

える「は、はい。七分間程は……」

奉太郎「……勉強だ! 勉強をしよう!」

える「そ、そうです! 勉強です!」

える「というより、折木さんは宿題です!」

奉太郎「言われんでも!」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) :2012/10/16(火) 22:03:13.38 ID:fbMrlREFo
奉太郎(ーーーと、発破をかけたものだが))

奉太郎(詰まった。完全なる手詰まり)

奉太郎(……そういえば、解答も配られてたはずだよな)

奉太郎「……」ガサゴソ

える「折木さん、どうしましたか?」

奉太郎「ん……ちょっとな」

える「解答なら、そこには無いですよ」

奉太郎「……どうして」がさ……

える「わたしが持っているからです」ひょい

奉太郎「……それを、渡してくれ」

える「ダメです。だって折木さん、答えを見たら写すでしょう」

える「数学は写すだけではあまり意味が有りません。きちんと考えながら理解しようとしないと」

奉太郎「と言ってもだな、分からないのは仕方なくないか」

える「だから、わたしが居るんです」

奉太郎(さっきは自力云々とのたまっていたじゃないか)

える「きちんと考え抜いた後だったら意味が有ります。最低でも五分は真面目に考えないと、自分で考える力がつきませんよ?」

奉太郎「さいですか」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/14(水) 11:00:43.92 ID:CaVTBzrIO
マダー
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/07(金) 00:15:49.17 ID:QYd0Ao5ho
スレが落ちたら大学にも落ちる
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 06:33:39.88 ID:+4xAjejM0
今日で2カ月
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