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麦野「私が勇者?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 17:56:06.31 ID:bkbecFW70
ここはとある異世界



平和だった世界に突如、魔王アレイスターを名乗る人物があらわれ
世界は混沌につつまれた。



世界各地には、想像上のものと思われていた怪物たちがはびこり
死者はあらたな魔王の手先となる。



とてつもなく強大な力の前に、人々が築き上げた文明は敗れ


絶望の淵に追われた時


世界各地に特殊な力を持つ人間が現れ始めた。







ここにとある屋敷がある。


その屋敷で何不自由なく育てられた少女、『麦野 沈利』


これは、彼女が、とある少年と出会うまでの物語である。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1349340966
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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/04(木) 18:00:15.48 ID:wk6Lx9xI0
ウートカルザロキ「ちなみにその時の麦野の執事が俺。魔王に力を与えるといわれて裏切ったけど」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:01:53.26 ID:bkbecFW70
浜面「俺が勇者?」シリーズの外伝みたいなもんです。
そんなに長くは無いので、本編と同時進行でゆーっくり進めていきたいと思います。

本編のほうもよろしくお願いします。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:04:25.89 ID:bkbecFW70
とある屋敷




メイド「お嬢様ー!!お嬢様どちらへ行かれましたー!?」



母「沈利ちゃーーーん!!!ご飯よーーー!!出てらっしゃーーい!!」




麦野「今日こそは……今日こそはこの退屈な家から抜け出してやる!!」ダッ!!




メイド「あ、いた!!奥様!!お嬢様がまた脱走しようとしております!!」



母「沈利ちゃーーーん!!待ちなさーーい!どこ行く気なのよーーー!!!」



麦野「どこでもいいでしょー!!!こんな家の中に篭りっ放しなんてもう嫌よ!!私は世界を冒険する旅人になるのーーー!!!」ピューーーー
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/10/04(木) 18:04:48.54 ID:lW/8k2F90
楽しみ
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:08:41.59 ID:bkbecFW70
母「待ちなさーーい!!そんな危険な目に合わせるわけにはいかないのよーーー!!!」



メイド「は、速い!!さすがお嬢様!!文武両道ですわ!!」





麦野「あと少し!!あと少し、あの門を抜ければ私は外の世界を自由に駆け抜けることができる!!」ダッダッダッダッ




ヒュンッ!!

麦野「キャァァァァァァァァァァァァァアアア!!!!」

ザザザザザザザザザザザザザッ!!!



門へと近づいた瞬間、足首をロープが縛り、麦野は逆さ釣りにされていた。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:10:35.23 ID:bkbecFW70
老執事「ホッホッホ。捕まえましたぞ、お嬢様。毎度毎度詰めが甘いですなぁ」




麦野「おじぃ!!またアンタの仕業なのね!!もー!!あと一歩だったのに!!コレ離しなさいよおじぃぃぃぃぃい!!!」ウガー!!




老執事「反省の色が見られませぬなぁーお嬢様。しばらくその下着丸出し姿で反省されるとよいでしょう。
それでは、老人は戻ると致しましょうかねぇ」




麦野「ふざけんなぁぁぁあ!!!おじぃ!!外せよぉぉぉおい!!風邪引くでしょぉぉぉぉおお」ジタバタ
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/10/04(木) 18:11:47.39 ID:OEACwNm00
ぉぉ〜。きたか
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:11:55.04 ID:bkbecFW70
…………




麦野「あー……ひどい目にあった……」



母「もー……いい加減諦めてよ沈利ちゃん。いくら他の子よりも運動も勉強も出来るからって、あなたを冒険に出せるわけないでしょー。大事な一人娘なんだから」



麦野「一人娘だから何よー。私だって好きでこの家に生まれた訳じゃないの!!私だって勇者様や冒険者達みたいに世界を旅したいの!!」




老執事「いけませんなぁ……お嬢様。そんなこと言ったら、奥様が悲しまれますぞ?」スゥッ……
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:14:17.03 ID:bkbecFW70
麦野「出たなおじぃ!!だって一人娘一人娘って!!
結局、この家を守るために好きでもない男と結婚しないといけないし!!自由に外も出歩けないなんて!!
嫌よ、そんな人生!!」




母「わかって頂戴、沈利ちゃん。家のこととか関係なくあなたは女の子なの。
冒険なんて危ないことさせられるわけないでしょ?」



麦野「わからない!!わかりたくない!!何よ!こんな家!!
私こんな堅苦しい家柄何かに生まれたくなかっ」




老執事「お・嬢・様?いけませんなぁ……そのような口…」ゴゴゴゴゴッ




麦野「ッ!?」ビクッ!!




老執事「久しぶりに、お・し・お・き。確定ですねぇ……」ニヤリ




麦野「や、ヤダ……アレはもう……イヤァァァァァァァア……」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:16:06.09 ID:bkbecFW70
とある町中



「ふむ。夜も更けて来たようだな。今日はこの町を寝床とするのである」






次の日


とある町 商店街


ワイワイガヤガヤ



麦野「ふぅ……やっぱり家の外は賑やかで楽しいわね。隣におじぃが居なければもっと」



老執事「お嬢様が逃げ出さないならば、自由にできるんですがねぇ……何せすぐ町からも抜け出そうとしますから」



麦野「当たり前でしょ……もっとも、一回抜け出そうとして、町の出口付近で罠に捕らえらた時のおじぃの顔を見た瞬間、お出かけ中の脱走はもうする気無くなったけど」



老執事「そうですねぇ……あの時は、私も必死でしたから、見つけた時は思わず涙がポロリと……」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:18:17.37 ID:bkbecFW70
麦野「事実歪めてんじゃないわよ!!!おじぃ、罠にかかった瞬間、悪魔のようなにこやかな表情でこっち来たじゃない!!!
ホントあの時ほど死を覚悟したことはなかったわ」




老執事「嬉しかったんですよ、お嬢様を見つけられて」




麦野「嬉しかったら、あんな罰与えねぇよなぁ?今でも思い出すだけでションベン漏らしそうなんだけど」




老執事「コラコラ。淑女がそんなはした無いこと言うんじゃありませんよ」




麦野「はした無いだぁ?はっ!!元々私ははした無い女なんでねぇ。
望みとあらば、ここで○ン○M字で曝け出してやってもいいのよぉ?」




老執事「仮にそんなことをなさった場合
私は、目撃者を全員殺し、お嬢様の五体をふんばじって来て脳みそ弄くって更生させるしかありませんなぁ…」ニィィィィィ……





麦野「……ごめんなさい」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:19:22.30 ID:bkbecFW70
老執事「よろしい。んー、あ。申し訳ございませんお嬢様。
私、少し用事がございます。3時間ほどで戻ってまいりますので、ここでお待ちください」ペコリ




麦野「3時間!!ふざけんじゃないわよ!!こんな所で突っ立ってろっつーの?」



老執事「そういうことです。よろしいですね?お嬢様。『3時間後に必ずココにいる事』です!!」



麦野「……!?」



老執事「では、失礼いたします」ニィ…

スタッ、スタッ、スタッ、スタッ、




麦野「……演技が臭いわねぇ、おじぃ。ありがとね!!」タッタッタッタッ
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:20:56.36 ID:bkbecFW70
とある町 酒場


ワイワイガヤガヤ




麦野「冒険者たちが集まるっていったらやっぱりここよねぇ。んー、活気がある場所!!
自分まで冒険者になったみたいな気分になるわねぇ」




旅人「ん?なんだいお嬢ちゃん。ここは子どもが来る場所じゃないぞ。もっといい女になってからおいで」




麦野「いいじゃない、お酒飲む訳じゃないんだから。おじさん旅人?」



旅人「ん?あぁ、そうだな。一応今は世界を旅している。本職は別にあるけどね」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:22:34.35 ID:bkbecFW70
麦野「へー、ねぇねぇ。よかったら旅の話を聞かせてよ!!私冒険者になりたいんだ!!」



旅人「へぇー!!こりゃ驚いた。まだウチの一番上の子と同じくらいなのにそんな夢があるのかい。
でっかい夢だなぁ。よーしいいだろう。
まずは、おじさんが自分の生まれた国を出た時の話をしようか」






…………





旅人「それで、俺が世界に足りないものを探してくる!!何て言ったらカミさん怒っちゃってさぁ。
ウチの家族に今足りないものはアンタだ!!何て言われた時にはもうホント申し訳ないって思ったよ」



麦野「……おじさんそれ旅の話じゃなくて、奥さんの話だよ?」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:23:39.27 ID:bkbecFW70
旅人「あれ?ちょっと違ったか?んー、じゃあ、こないだ森ん中で見つけた宝の話を」



麦野「気になるけど、そろそろ時間だから行くね。
それなりに面白かったよ?奥さんの話も。また機会があったらよろしくねー」フリフリ




旅人「おー、次の為に面白い話を考えておくよ。またなーお嬢ちゃん」フリフリ






旅掛「……ふー、ウチの番外ちゃんもあれくらい素直ないい子になってくれたらなぁ。
美琴ちゃんの面倒見はいいけど、如何せん俺に対してのイタズラが酷いんだよな……」シクシク
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:25:38.51 ID:bkbecFW70
麦野「あー、楽しかった!!またおじぃと街に来た時にいてくれたらいいな、あのおじさん」タッタッタッタッ



男「……」スッ……






麦野「あれ?おじぃまだ居ないな。ちょっと早く来すぎたかな?……フブッ!?」ガバッ!!




男「おい、急げ!!!早くどっかの建物の中に連れてけ!!」


男2「わかってるよ!!へへ、こんだけのいいお召し物を着てるんだ。
いいとこのお嬢ちゃんだろうな。いい金になりそうだ」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:27:05.00 ID:bkbecFW70
麦野「!?フグゥゥゥ!!!!」ジタバタ



男2「クッ!!コラ、暴れんな!!っあ!!」ガッ!!



麦野「イヤァァァァァァァアアッ!!!」ダッダッダッダッ!!!




男「バカ野郎!!さっさと追うぞ!!」





麦野「ハッ、ハッ、ハッ」ダッダッダッダッ!!!

(何!?何なのあの人達!!何で私を……)



全力で走る麦野を男達が追う。

いくら運動神経に恵まれているとはいえ、大人と子どもだ。
その距離はドンドン縮まっていった。



男「ハッハッハッ!!追いついちまうぞお嬢ちゃん!!」ダッダッダッダッ



遂に、男の手が幼い麦野の体を掴もうとしたその時
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:28:34.11 ID:bkbecFW70
ブンッ!!!



グシャァァァァアアアッ!!!



男2「グハァァァァァアアッ!!」ドサッ!!


後ろから追いかけていた男2の体が、宙を舞った。




男「な!!何だテメェは!!死にてぇのかこの野郎!!」



「それは、こちらのセリフである。幼い子を手に掛け、羽交い締めにしようとするとは……貴様ら、無事で帰れると思わないことだ」




男の後ろには、茶髪のガタイの大きい男が立っていた。


男は茶髪の男に喰ってかかるが、文字通り一撃で、宙を舞い倒れた。
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:30:54.64 ID:bkbecFW70
「大丈夫であるか?お嬢さん」スッ…




バシッ!!



麦野「フゥッ!!!フゥッ!!!」ガタガタガタッ!!!




幼い麦野は、大人に追われた恐怖から抜け出せず、男の救いの手を払ってしまう。




「……無理もないか。幼い子にはとても恐ろしいことであろう。お嬢さん、一人でここに来たのであるか?誰か連れは?」



麦野「!?そう……だ。おじぃ!!おじぃ!!!助けておじぃ!!!!」



ヒュンッ!!



ふと、風が通るような音がした。
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:32:16.33 ID:bkbecFW70
「ッ!?」バッ!!



ガキィィィィィィィィィイイイッ!!!!



ギチギチギチギチッ!!!!



気がつくと、麦野の目の前では茶髪の男と老人が、刃を競り合わせていた。






「クッ!!この動き……貴様ただ者ではないな」


ギチギチギチギチッ!!!!


老執事「私の刃が防がれるとは……賊にしては中々やるじゃありませんか……」





麦野「お……おじぃ!!おじぃ!!!」



「む?この老人がお嬢さんの連れであるか?ならば、早くこの刃をどけて欲しいのだが」



老執事「……その様子では、貴方がお嬢様に危害を加えたわけではないようですな……失礼いたしました」スゥ……


競り合う二人は、お互いに剣を納めた。
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:33:44.50 ID:bkbecFW70
麦野「おじぃ!!おじぃぃぃぃぃぃ!!!!!」ビエーーー!!




老執事「遅れて申し訳ございません、お嬢様。恐い思いをさせてしまい……」


麦野は、老執事に泣きながらすがりつく。


茶髪の男は、黙ってこの場を去ろうとしていた。



老執事「お待ちください、そこの戦士様。先程は大変失礼いたしました。
見れば、貴方がお嬢様を救って頂いた様子。
よろしければ、ぜひ、お礼として、屋敷へと案内させていただきたい」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:34:56.57 ID:bkbecFW70
「いや、折角であるが私は……ん?」




麦野「…………ありがとう」ペコリ



老執事の背後から、小さな麦野が顔を出す。



「……そうだな。折角なので、甘えさせていただこうか」



老執事「それは、ありがたい。ぜひ、私にお持て成しをさせて頂きたい。お名前を伺ってよろしいですかな?」






「あぁ……『ウィリアム・オルウェル』だ。もう一つの名に『アックア』。どちらで呼んでもらっても構わぬ」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/10/04(木) 18:38:39.77 ID:bkbecFW70
投下終了です。


こんなん書くくらいなら本編書けと思った方々。すいません。


浜面と会うまでの麦野の構想が出てきたもんで。
本編よりも更にゆっくり投下になるので、気長にお待ちください。
そんなに長くはなりませんので。
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/10/04(木) 18:49:07.75 ID:lW/8k2F90

やっぱりあれで終わりじゃなかったんだね!
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/04(木) 18:49:53.61 ID:ewkMKUhz0


まさかのアックア
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/10/04(木) 18:51:28.94 ID:bkbecFW70
>>25
こっちは、本編の麦野過去編みたいなもんです。
本編は、エピローグは終わりましたがエンドロールはまだ流れてませんよー。ご注意を。
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/10/04(木) 19:08:56.68 ID:FR254mL+0

執事つぇぇょ…

アックアさんと互角だと…
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/02(金) 22:52:52.16 ID:evQZ9nTt0
お久しぶりです、1です。
本編
浜面「俺は勇者なんだ!!」

で、こっちも書いてということだったので投下しときます。


すいません、大分前に書いてたけど、投下忘れてました。



>>26
アックアさんが後々、本編に出てくる前の話でもあります。
まぁ、そんな大したことは書きませんが。

>>28
執事の強さにはつっこまないであげてください……
普通に強すぎる。
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/02(金) 22:54:16.36 ID:evQZ9nTt0
とある屋敷



アックア「ほぅ……これは中々趣きのある屋敷であるな」



老執事「お気に召していただいたようで幸いです。さぁ、中へどうぞウィリアム様。
この老兵自ら、腕に寄りをかけておもてなしさせていただきましょう」




カチャカチャッ……



老執事「こちらが本日の晩餐になります。お口にあえばよろしいのですが……」


アックア「いや、とても美味なのである。しかし、ここまでもてなされてよいものだろうか?
私はたまたま通りすがっただけというのに」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/02(金) 22:55:39.78 ID:evQZ9nTt0
母「この子を助けてくれたのです。これくらいではお返ししきれないですよ。

遠慮せずに召し上がってください。ほら、沈利ちゃん。
ウィリアムさんにお礼はいったの?」



麦野「とっくに言ったわよママ」モギュモギュ



母「この子ったら……だから一人で行動させるのは怖いのよ。

今回のことでわかったでしょ?お外の世界は怖いことでいっぱいなの。

この家の中だけが、貴女が安心して暮らしていける場所なのよ?」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/11/02(金) 22:56:22.68 ID:8ZC7IMoBo
こんなすぐ来るとはwww
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/02(金) 22:57:04.56 ID:evQZ9nTt0
麦野「そんなことないもん!!確かにあのおじさん2人は怖かったけど……

酒場に居たおじさんのように優しい人だっていっぱいいるもん!!

私もあのおじさんのように、世界を旅してみたいの!!」



母「お願いだからこれ以上ママを心配させないで沈利ちゃん……
ウィリアムさん、貴方からも言ってあげてください。
女の子の旅なんて、危ないことだらけだって」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/02(金) 22:57:27.48 ID:sUuBFgjno
向こうに書いたの俺だけどこんなに早くくるとは思ってなかったwwwwww
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/02(金) 22:58:41.98 ID:evQZ9nTt0
アックア「ふむ……沈利と言ったであるなお嬢さん。確かに外の世界は広い。

貴女のように、好奇心の強い子にはとても魅力的に見えることだろう。

しかし、外の世界は弱肉強食だ。弱い者は、強い者の糧となるしかない。

先程、連れ去られようとしたのも同じことだ。
そなたがか弱いからこそ狙われたのだ」




麦野「じゃあ、今日からおじぃに特訓してもらって強くなる!!
ウィリアムさんみたいなムッキムキな戦士になってやるんだから!!」ムキッ




老執事「私がそんな勿体無いことに協力するとでも?
せっかくの奥様譲りの整った顔立ち。
わざわざそれを無下にすることなどいたしませぬとも」クスクス
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/02(金) 23:00:29.58 ID:evQZ9nTt0
麦野「もぉぉぉぉぉぉ!!!じゃあどうやったら外の世界に出られるのよー!!

もうこんな屋敷の中だけじゃあ嫌なのよ私はー!!」ジタバタ




母「だから出たらダメって言ってるでしょー」



アックア「まぁまぁ、奥方。子供の好奇心と言うのは抑えろというのが無理なもの。
沈利嬢。旅をしたければ準備が必要だ。そのためには力も必要。
何も私のようになる必要はない。貴女には貴女の。
貴女だけしかない力が眠っているのだ」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/02(金) 23:03:15.67 ID:evQZ9nTt0
麦野「私だけの力?」




アックア「そう、貴女だけの力だ。
人は誰しも能力を持っている。自分だけのな。
それを発現できるかどうかは貴女次第だが……
それさえ出来なければ、貴女が旅に出ることは無理であろうな」




麦野「そんなこと言ったって!!いきなり能力なんて言われてもわかんないわよ!!
どうやったらその能力ってのは使えるようになるの?」ジタバタ



アックア「それは、貴女にしか出来ない、わからないことである。
ただ一つ言えるのは、能力とは紛れもなく貴女に眠る力。
貴女が、自身の力を誰よりも理解し、信頼することが鍵である。
そのためには、心身共に強くなることである。
自分自身を信頼できるくらいにな」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/02(金) 23:04:35.16 ID:evQZ9nTt0
麦野「うーーーー!!!おじぃ!!今日から特訓よ!!
ウィリアムさんみたいにじゃなく、私自身の力を伸ばす為にね!!
それまで外の世界はおあずけよ!!」ダッダッダッダッ……




老執事「ヤレヤレ……問題が先送りになっただけのようですね。
しかも、結局外の世界を諦めてない」



アックア「すまぬな。私にはこの子の好奇心を止めることはできぬ。
何よりも、この純粋な心を大人の都合で捻じ曲げてしまうのはいささか野暮と感じてしまうのでな」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/02(金) 23:06:24.72 ID:evQZ9nTt0
老執事「いえいえ。今までのようにガムシャラに外に出たがるよりは遥かにマシですとも。

恐らくお嬢様は、いつかはこの家を出ることになるでしょう。

仕方のないことです。あの子にはこの家、この街は狭すぎる。
それほどの器を備えていると私は思ってますから」



母「それは私も薄々感じておりますわ。

しかし、この家を守る者として、母親として私にはそれを止めることしかできない……
あの子を失うことは、私には耐えられないのです」



アックア「親としては当然のことであろう。
それでもあの子の人生はあの子のものだ。
我々には、少しでもあの子が生き抜く術を、ただ教えることしかできないのである」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/02(金) 23:07:23.88 ID:evQZ9nTt0
次の日



アックア「そろそろ出るとしようか……世話になったである」



老執事「いえいえ。大したお持てなしもできず申し訳ありません。
それで……これからどちらへ?」


アックア「今の私はしがないただの旅人だ。
あてなどない。ただ気の向くままに旅するだけである」



老執事「そうですか……貴方ほど腕の立つ方であれば、勇者を名乗ってもよいと思うのですが……
それとも、実はどこぞの国からの勇者様ではありませんか?」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/02(金) 23:08:50.15 ID:evQZ9nTt0
アックア「……気づいて居たのであろう?私がただの旅人ではないことを」



老執事「恐れながら、最初に剣を交わした時に……。
ちなみに、どちらからこられた勇者様ですかな?」



アックア「イギリスという島国である。女王が統治する国であってな。
私は元々、女王の娘である第三王女の護衛兵だ」



執事「ほう……護衛兵が何故あのような力をお持ちに?」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/02(金) 23:09:51.38 ID:evQZ9nTt0
アックア「それは私にもハッキリとはわからないのである。ある日突然宿った力なのだ。
教会の連中が言うには、『聖人』という、神の力の一部を行使することができる存在らしいがな」




老執事「神の力でございますか……まさしく選ばれし勇者と言ったところでございますかな?」




アックア「そのおかげで、魔王を倒す為に世界を旅する羽目になったのであるがな。
祖国を……世界を救う為だ。
力があるのなら、その為に動くしかないであろう」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/02(金) 23:11:02.29 ID:evQZ9nTt0
老執事「……どうやら本意ではないようですな?」



アックア「……私はただの兵士だ。
このような大役など身に余り過ぎて不安なだけである」



老執事「力を持つ者には、力の大きさに対し、それ相応の責任がございます。

しかし、突如、神の力という巨大な力を手にし、世界の為に行動する。
心中お察しいたします。

貴方のように、強大な力を持ちつつも、それに振り回されることのない人間に、沈利お嬢様も育ってほしいものです」



アックア「買いかぶり過ぎである……ん?」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/02(金) 23:12:34.54 ID:evQZ9nTt0
麦野「ウィリアムさん……もう行っちゃうの?」モジモジ



アックア「あぁ。私にはやるべきことがあるのでな。

心配するな、沈利嬢。一年後くらいには、再びこの街を訪れるのである。

それまでに、しっかり自分を磨いておくことだ。身体も心もな」




麦野「ッ!!!ウンッ!!私頑張る!!やるわよおじぃ!!」ダッ、ダッ、ダッ、ダッ



アックア「……素直な子であるな。できることなら、あのまま真っ直ぐ成長してほしいものである」



老執事「承りました。我々、沈利様の家族が、立派な淑女に育てあげて見せますとも」



アックア「フッ……一年後、楽しみにしているのである。では」



アックアは、屋敷を離れ、一人、流浪の旅に出る。

一年後の再会を約束して。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/02(金) 23:16:18.82 ID:evQZ9nTt0
麦野「さ、特訓よ!!おじい!!どんな特訓もドンとこいよ!!」



老執事「左様でございますか。
それでは、まずは麦野家令嬢として相応しい淑女になれるよう、勉学に励みますか」



麦野「ウグッ……か、かかってきなさい!!」






麦野沈利 6歳


アックアとの、一年後の再会に向け、自分の力を見つける為の特訓を開始する。


一年後、彼女にとって、大きな分岐点となる事件が待ち受けているとは知らずに。
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/02(金) 23:20:51.95 ID:evQZ9nTt0
投下終了です。


急ピッチで仕上げたにしては、上等なものが出来た気がします。
あくまで自己評価ですが。


>>32
>>34
書いちゃいましたwwまぁ、軸は出来上がってたので、少し肉付けしただけですが。
お待たせしてすいません。



あとどなたか、よろしければ、本編とコレをリンクさせてくれるとありがたいです。

では、またいずれ投下します。
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/11/02(金) 23:23:44.71 ID:8ZC7IMoBo
浜面「俺は勇者なんだ!!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1349354935/
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/02(金) 23:30:02.87 ID:sUuBFgjno
おつおつ
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/03(土) 02:25:39.56 ID:240H073/0


こんなかわぃぃ子がなぜあんなふうに
(浜面氏談)
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2012/11/16(金) 22:11:15.80 ID:L7+OBMuJ0
こんばんわ、1です。

今日は本編ではなく、こっちを少し進めたいと思います。


>>47
わざわざありがとうございました!!!

>>48
ありがとうございます!!!

>>49
麦野さんにもいろいろあったのです……


それでは、少ないですがゆっくり投下します。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/16(金) 22:15:27.49 ID:L7+OBMuJ0
1年後 春





07:30



メイド「あら、お嬢様、おはようございます」


麦野「えぇ、おはよう。今日もいい天気ね」


母「おはよう沈利ちゃん。よく眠れたかしら?」



麦野「おはようございます、お母様。えぇ、昨日もグッスリと眠れましたわ」



ウィリアム・オルウェルとの出会いから一年後。



麦野は7歳になった。
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/16(金) 22:19:03.14 ID:L7+OBMuJ0
一年前とは比べものにならないほど、名家のお嬢様としての振る舞い、教養を身につけ、昔から麦野を知っている周りの人間を感心させている。


無論、初対面の人が見れば、どこからどう見ても育ちの良い生粋のお嬢様である。




麦野「あら……今日はおじぃの姿が見えませんわね?
メイドさん、おじぃが何処に行かれたかご存知で?」



メイド「老執事さんなら、朝早くから街に出かけてますよ?9時過ぎには戻られるそうです」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/16(金) 22:20:21.72 ID:L7+OBMuJ0
ピクッ……




一瞬、麦野の眉が動く。



麦野「そう……それでは、私達は先に朝食をいただきましょうか」スタッ、スタッ、スタッ


しかし、特に気にした様子を見せず、麦野は食卓へと足を進める。







麦野家の食卓 08:20



カチャカチャッ



母「ウィリアムさんがウチにいらしてから、そろそろ一年程経つのかしら?
早いものね、月日が経つのは」



麦野「そうですわね、お母様」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/16(金) 22:25:24.28 ID:L7+OBMuJ0
母「あの日から沈利ちゃんは変わったのよね。
勝手に家を抜け出そうとせず、振る舞いや礼節、麦野家令嬢として何処に出しても全く恥ずかしくない教養を身につけて……ウィリアムさんのお陰なのかしらね」




麦野「そうですわね……以前の私は無謀でしたわ。
ウィリアムさんとお話し、おじぃと共に勉学や身心を鍛えたことで、ようやく気づきました」



メイド「立派になられましたよね、お嬢様……7歳にしてここまで」



麦野「それもおじぃやメイドさんのお陰ですわ」ニコッ



人形のように可憐な少女がニコりと微笑む。
麦野の母も、メイドもこの笑顔を見るとたまらなく麦野を愛おしく感じるようだ。
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/16(金) 22:27:48.37 ID:L7+OBMuJ0
08:50



麦野「それではお母様。私は今日は部屋で勉学に励むといたします。
出来れば、お昼までそっとしていただきたいのですが……」




母「えぇ、わかりました。頑張ってね、沈利ちゃん」




スタッ、スタッ、スタッ、スタッ




麦野が、ゆっくりとした足取りで、自分の部屋へと足を進める。
その立ち振る舞いの一つ一つに品格を感じる。




ギィッ……


バタンッ


カチッ……





09:00



麦野が自室に入り、扉に鍵をかける。
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/16(金) 22:29:19.68 ID:L7+OBMuJ0
麦野「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁああああっ!!!!!
おじぃの居ない今が最大のチャンス!!!!
今日こそおじぃの妨害をくぐり抜けて街へ出るわよ!!!!」バッ!!!




勢いよく着ていたドレスを脱ぎ捨て、パンツ一丁になった麦野は、予め用意して置いた動きやすい服にササッと着替え
部屋の窓から庭の一角へと飛び降りる。



以前は、逃走防止の為、窓の下には母親による監視が仕掛けられていたが、この一年間の振る舞いにより、監視は完全に解けている。
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/16(金) 22:44:07.41 ID:L7+OBMuJ0
麦野「恐らく、おじぃは出掛ける前にいつもよりも強力なトラップを仕掛けているハズ。
それさえ抜ければ、最大の難関であるおじぃは今はいない!!今日こそ突破するわよ!!」ダッ!!



庭に着地した瞬間、麦野は音も無く庭を走って行く。
この一年、老執事に徹底的に鍛えられ、7歳の少女とは思えないほど身体能力は上がっている。




すぐそばには、庭を掃除するメイドの1人が。
彼女もまさか、今この瞬間、麦野がプリズンブレイクばりの脱走劇を演じているとは思ってもいまい。
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/16(金) 22:45:25.70 ID:L7+OBMuJ0
ヒュンッ!!



麦野「!?」パシィッ!!


瞬間、麦野の左側から、数本の矢が放たれる。
しかし、その矢を麦野は片手で器用に掴む。
ちなみに矢の先端には、吸盤がついていた。



その先には落とし穴が仕掛けられていたが、何なく麦野はそれに気づき、飛び越える。



そして、着地した瞬間、足にロープが絡みつく。
ロープに縛られ、吊るし上げられそうになった瞬間、麦野は素早く、ロープが固く縛られる前に結び目を解き、宙返りをするように着地する。




門まであと50mほどである。
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/16(金) 22:58:10.48 ID:L7+OBMuJ0
麦野「(意外に罠が少ないわね……門の付近に集中してるのかしら?それなら!!)」



麦野は、門へと進まず、門から少し離れた位置にある塀へと向かう。



実は、ここに麦野が地道に作った抜け道がある。足で軽く蹴ってやれば穴が空く仕組みだ。
ここならおじぃも罠を仕掛けてはいまい。



塀のすぐ側まで麦野が来た。



麦野「おっしゃぁぁぁああっ!!!遂におじぃの課題をクリァァァアアアッ!!!」ブンッ!!



ドォンッ!!!



麦野の強烈な蹴りが、抜け穴を完成させる為に放たれる。
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/16(金) 23:00:25.22 ID:L7+OBMuJ0
しかし……




麦野「…………いったぁぁぁぁああああい!!!!!足が痛いっ!!!何で!?」ジンジン……




塀を蹴った足が、ジンジンと痺れと痛みを引き起こす。
間違いなくこの場所の塀は、脆くなっているハズなのに。
悩む麦野の目の前に、その答えが記されていた。









『塀が脆くなっていたので、修理しておきました。byおじぃ』









麦野「あんのクソおじぃぃぃぃぃぃいいいいいっ!!!!」ダッ!!!


どうやら、手は読まれていたようだ。
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/16(金) 23:02:22.37 ID:L7+OBMuJ0
塀から出ることを諦め、再び門から出ようとする麦野の足元から、突如地面が無くなる。




麦野「ギャァァァァァァアアアアッ!!!!」ズルズルズルッ…………




麦野は深さ3mほどの隠されていた落とし穴にハマり、脱出が出来ない状況にあった。




老執事「おやおや……そんなトコロでどうされましたかな?沈利お嬢様」ニヤニヤ



麦野「おじぃ!!まさか、もう帰ってきたの!?」ダラダラ……
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/16(金) 23:09:12.31 ID:L7+OBMuJ0
老執事「えぇ、先程帰ってきたところです。
残念でしたねぇ、折角のチャンスでしたのに」プークスクス




麦野「ぁぁぁあああっ!!!とうとう課題クリアかと思ったのに!!!
またダメだったぁぁぁああ!!!」ウガー!!!




老執事「さ、奥様達にバレる前にお部屋に戻りますよ?
今日の罰ゲームは正座1時間です」ズルズルッ……



麦野「うわーーーーん!!正座ヤダーーー!!!
足が痺れたらおじぃがツンツンするーーーー!!!」ズルズルッ!!!



老執事に引きずられながら、麦野は涙目で小声で悲痛な叫びを起こす。
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/16(金) 23:10:31.15 ID:L7+OBMuJ0
老執事と麦野は、一年前、一つの約束をした。




老執事が、麦野の成長に合わせ、課題を一つずつ出していき、それを全てクリアするまでは、大人しく特訓を重ねること。




今まで、おじぃ同伴での、外でのスライムなどの魔物退治や、勉学のテスト。

果てはマナーや令嬢としての立ち振る舞いまで課題に出され、麦野は一つずつそれをクリアしてきた。




そして、次の課題として、朝の9時から12時、昼の3時から6時までの間
誰にも気付かれずにこの家から脱走出来れば、街までなら自由に行き来してもよいという課題を出され、麦野はあらゆる手を考え実行した。



しかし、今のところ、80戦80敗である。
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/16(金) 23:11:33.71 ID:L7+OBMuJ0
老執事「いけませんなぁ、お嬢様。淑女がそんなあられもない声を出しては」ツンツン




麦野「や、ヤダぁ……ツンツンやめてぇ……おじぃぃぃい!!」ビクンビクン




メイド「……何やってるんですか?アレ。正座?」



母「老執事さんの課題に失敗したから罰ゲームですって。
どんな課題かは知らないけど、老執事さんにかかればまだまだ可愛い子供ねぇ、沈利ちゃんも」ウフフ




麦野「た、助けてママァァァァアアッ!!!…………アッー」ビクンビクン
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/16(金) 23:24:44.86 ID:eRMIpSSB0
くそぉじぃめ…なんてことを

もっとやってください
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/11/16(金) 23:33:43.29 ID:lTsrmHlKo
あ、ツンツンする仕事かわりますんで、休憩してください
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/16(金) 23:59:20.97 ID:L7+OBMuJ0
麦野「あぁ……今日も酷い目にあったわ……」グダー



老執事「まだまだ詰めが甘いですなぁ、お嬢様。
そんなことでは次の課題へ進むのにどれほど時間がかかるのやら……」




麦野「何よ!!いつの間にあの塀直ってんのよ!!お陰で足痛めちゃったわよ!!」



老執事「おやおや……家の塀が壊れているのを見つければ、それを直すのは使用人の務め。
それよりも、なぜお嬢様があそこが壊れているのをご存知なので?」ニヤニヤ
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/17(土) 00:00:24.47 ID:BvnahYr80
麦野「えっ?え、えっとぉ……」ダラダラ……



老執事「ほぉ……もしやアレを壊したのはお嬢様で?
いけませんなぁ。家のモノを壊すとは……これはまたお仕置きが必要なのかもしれませんな」ニヤニヤ



麦野「し、知らない知らない。そう!!そんな些細なことよりも、今日の特訓よ!!おじぃ!!
今日はあの特訓をするって約束したでしょ!?」




老執事「あぁ、そうでしたねぇ。それでは、街の外へ向かいましょうか。
家や街の中であの特訓は、できませんからねぇ」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/17(土) 00:01:04.98 ID:BvnahYr80
ーーーーーーーーーー



老執事「さ、ここなら大丈夫ですな。お嬢様、まずは精神を落ち着かせ、『力』を安定させるのです」



麦野「わかってるわよ、えっと……」スゥッ……


パチパチィィィ……



麦野が目を閉じ、静かに集中していると、突如麦野の右腕から小さな電光が走った。


老執事「そうです。そのまま右手を前に出して、意識を右手に集中させるのです」



バチバチィィィイッ……

麦野が指示に従うと、右手に青白い光が灯される。
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/17(土) 00:01:56.69 ID:BvnahYr80
老執事「それでは、その状態を一分ほど維持しましょう。
私が合図するまで、気を緩めないでください」




麦野「う、うん……」バチバチィィィイッ……




麦野は少し辛そうに答える。
今にも集中させた力が拡散しそうになっているのだ。



老執事「一分です。それでは、その集中させた力を目の前の岩に放つようにイメージしてください。
手のひらから真っ直ぐに力が進んで行くイメージです」




バチバチィィィイッ!!



麦野の右手の光が更に強さを増す。
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/17(土) 00:02:51.07 ID:BvnahYr80
老執事「イメージが完成したら、力を解放してください。イメージするだけでよいのです。
余計な操作は考えなくて結構です」




麦野「ウァァァァァァァアアアアッ!!!!」



バシュウッ!!!



ドゴォォォォォオオオオッ!!!!!




叫びと共に、麦野の右手から放たれた光は、一直線に目の前の岩へと突き進み、岩は粉々に砕け散った。




麦野「ハァッ、ハァッ、ど、どうよおじぃ……しっかり狙い通りに当たったわよ……」



麦野の疲労が激しい。どうやら一発撃つだけで、相当魔力を消耗しているようだ。
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/17(土) 00:03:41.98 ID:BvnahYr80
老執事「えぇ、よくできましたね。それでは今日の『能力』の特訓は終わりです。家へと戻りましょう」ニコリ



麦野「へへっ……やった……」ドサッ……



麦野は力尽きるようにその場に倒れた。



老執事「やはり、この小さな体にはとんでもない負荷がかかるか。そしてこの威力……」ゴクリ……



老執事は粉々に砕けた岩を見る。



実はこの岩、かなりの硬度を持つ鉱石で出来ており、普通の爆弾などではビクともしない。


その鉱石が、小さな少女の力によって粉々に砕かれている。
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/17(土) 00:04:56.19 ID:BvnahYr80
老執事「この子には、平穏な人生を歩んで欲しかったものだ……
神よ。何故こんなに小さく可憐な少女に、こんな破壊の力を貴方は与えたのか……」



そうつぶやくと、老執事は倒れた麦野を背負い、家へと戻る。




今この場に居もしない神を恨んでも仕方ない。
今自分にできることは、この子がこの強大な力を使いこなし、尚且つ力に飲まれないようにすること。


これだけの力を持ったこの子が将来、立派な勇者になる為。
その為ならば、この老兵の命、進んで差し出そう。



老執事は、強い意志を胸に秘め、帰り路を歩く。
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/17(土) 00:06:07.28 ID:BvnahYr80
麦野の部屋




麦野「おじぃ!!名前よ!!」



老執事「はて?何の話でしょうか?」



麦野「私の力に名前をつけるのよ!!
やっぱり必殺技には名前が無いとイマイチ調子が出ないわ!!」




老執事「ほっほっほ。必殺技とはまた物騒な……」




老執事は少し複雑な顔をする。




当たれば必ず殺す技。



呼んで字の如く、将来それを可能とするであろう力を必殺技と呼ぶとは、保護者としては何とも言えない。
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/17(土) 00:07:39.86 ID:BvnahYr80
麦野「でね!!何個か考えてみたの!!『むぎのんビーム』ってのはどう!?」



老執事「ほっほっほっ。何とも可愛らしい必殺技だことで。少しパンチが足りませんなぁ」



麦野「んー…………だったら『スーパーグレートアルティメットマジカルビーム』!!!」



老執事「お嬢様、なるべく10年後くらいのことを考えてくださいね?その時に後悔しないような名前を」




麦野「むぅ……だったらとっておきの名前よ!!私のネーミングセンスに驚くといいわ!!その名も!!『魔貫光殺……』」




老執事「邪ッ!!!!」ブンッ!!



ゴチンッ!!!!!




麦野「」シュゥゥゥゥウウ……
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/17(土) 00:08:51.92 ID:BvnahYr80
老執事「仕方ありませんね。こうなった私が名付け親とならせていただきましょう。そうですなぁ……」




老執事は考える。
あの全てを破壊する力に相応しい名前を。
せめて名付け親になることで、自分の教えをこの子に刻みこもうと。




老執事「そうですな……原子崩し<メルトダウナー>というのは如何ですかな?」




麦野「原子崩し<メルトダウナー>?」




老執事「えぇ。強そうでしょう?きっとその名に恥じない立派な力になってくれると思いますよ?」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/17(土) 00:10:16.40 ID:BvnahYr80
麦野「……よし!!今日から私は『原子崩し』の麦野沈利よ!!
この力で魔物をバッサバサ倒して、ウィリアムさんを驚かせてやるんだから!!!!!」



老執事「そういえば、ウィリアム殿の言っていた一年もそろそろ過ぎようとしてますな。
彼は今、一体どこを旅しているのやら」




麦野「ウィリアムさんなら、きっとまたここに来てくれるわよ!!
あの人はとても強い人なんだから!!
私もあの人みたいな立派な人になるんだ!!」




老執事「ほっほっほっ、それはそれは頼もしいことで。それでは、今日の特訓を始めますかな」



麦野「えぇ!!望むトコロよ!!」

78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [saga]:2012/11/17(土) 00:12:56.56 ID:BvnahYr80
投下終了です。


ロリ麦野さん、能力覚醒です。


そろそろ物語を動かしたいですねぇ。本編へと繋がる話に。


それではおやすみなさい。
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/11/17(土) 00:44:21.51 ID:P2bC9BxEo
この世界に原子という概念があるのか
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/11/17(土) 01:39:35.32 ID:0BKgiN/X0
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/17(土) 06:36:24.91 ID:KgqYd6RX0


魔貫光殺砲…

この世界はテレビあるんかい
82 : ◆fz1M8ohQ8Y [saga]:2012/12/14(金) 20:09:14.05 ID:VACLfciC0
こんばんわ、1です。

本編、外伝共に、書くヒマがありません……面目ない。


とりあえず、少しだけ書いたので、ヒマ潰しにどうぞ。



>>79
>>81
深く考えたら負けです。外伝は、本編より更に何でもアリになりやすいので……気にしないでくださいw


>>80
ありがとうございます!!!!何とか早めの更新になるようにして行きたいです!!
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 20:24:42.50 ID:VACLfciC0




ジジジジッ……



麦野「おじぃっ!!夏よ!!夏が来たのよ!!」



老執事「そうですなぁ。この照りつける太陽と暑さ、老体には応えますわい」



麦野「今日は修行はそこそこにして、街の近くの海に行くわよ!!
一日くらい、夏をエンジョイしなくちゃ!!7歳の夏は一度しかないのよ!?」キリッ!!



老執事「沈利お嬢様……どこでそのような肉食系女子のような言葉を覚えてきたのですか……」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 20:30:54.04 ID:VACLfciC0
母「あら?久しぶりに皆で涼みに行くのもいいわねぇ。
どうせだからお昼は浜辺でバーベキューでもいたしましょうか」



メイド「珍しいですね、奥様が進んで外へと出られるとは」



母「私もたまには麦野家当主という肩書きを脱ぎ捨てて、一人の母として、娘と遊びたいのよ。それに……」スッ……


麦野母は、どこからか、サングラスを取り出し、装着する。



メイド「それに?」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 20:40:30.67 ID:VACLfciC0
母「26歳の夏は一度しかないのよ!?エンジョイしなければ!!」キリッ!!



メイド「……似たもの親子で何よりでございます、奥様……」



バサァッ!!!!!


麦野母は、着ていた豪華なドレスを脱ぎ捨てると、清楚な黄色のワンピースを着用し、モデルのようなポーズを決める。



母「さぁっ!!行くわよ沈利ちゃん!!ママが麦野家淑女の夏の楽しみ方と言うものを見せてあげます!!」キリッ!!
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 20:51:14.54 ID:VACLfciC0
麦野「流石ママ!!そこに痺れる憧れるぅぅぅうっ!!!」



母「アッハッハッハ。さぁ、浜辺の殿方の視線を、1人残らず独占してみせるわよ!!」ホーホッホッホッ



麦野と麦野母は、仲睦まじい様子で、海へと出発する準備を行う。



メイド「……奥様、去年は落ち着いてらしたのに……」ハァッ……


老執事「去年は、沈利お嬢様の脱走騒ぎやウィリアム様の来訪で、それどころじゃなかったですからなぁ……」



二人の使用人は、既に諦めたような様子で、出発の準備を始める。
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 21:03:50.69 ID:VACLfciC0
近くの浜辺




ワイワイガヤガヤ



麦野「わー!!!結構人がいるねーおじぃ!!」バシャバシャ


麦野は、水色のワンピース型の水着という、7歳の女の子らしい水着に浮き輪という、見るモノをほのぼのさせる姿で海の中へと飛び込む。



老執事「ホッホッホッ……そんなに慌てなくても海は逃げませんよお嬢様」



麦野「ねぇおじぃ……何でおじぃは夏の外でも何でタキシードなの?」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 21:09:03.07 ID:VACLfciC0
老執事「執事たるもの、いつ、いかなる時も、礼装ですので。
それに、私はお昼のバーベキューの用意がありますので、どうぞお遊びください」


麦野「私も何か手伝おうかおじぃ?」



老執事「いいえ。お嬢様の手を煩わせることなどありません。
つかの間の休日。今日はとことんお楽しみください」ニコリ




ドヨドヨドヨッ……


突如、浜辺に集まっていた男達が、一斉に同じ方向に注目する。
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 21:12:10.77 ID:VACLfciC0
母「待たせたわね沈利ちゃん。さぁ、思いっきり遊びましょうか!!」キリッ!!


麦野母の水着は、26歳の一児の母とは思えない、出るとこが出て、引き締まったプロポーションを見事に際立たせる、白のビキニに、水色のパレオである。(漫画超電磁砲の麦野色違い)


普段の煌びやかなドレスと、慎ましい態度とは真逆の、解放的な麦野母は、どこぞのモデルでも可笑しくはない美貌で、浜辺の男達の視線を独り占めする。
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 21:13:02.94 ID:VACLfciC0
麦野「凄いねママ!!皆がママのことを見てるよ!!」


母「フフフッ……まだまだママも女として、やっていけそうね。
さぁ沈利ちゃん!!くたびれるまで、遊び倒すわよ!!」キリッ!!



メイド「奥様……何でいちいちモデルみたいなポージングを……」



老執事「奥様も、昔はヤンチャでしたからなぁ……夏は昔の血が蘇るのでしょう」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 21:20:39.03 ID:VACLfciC0
帰宅



麦野「はぁー……遊んだ遊んだ。それにお肉もいっぱい食べたし、今日はもう大満足ねー……」



老執事「お楽しみいただいたようで何よりでございます」



母「今年は19人か……フフフッ、全盛期には及ばずとも、まだまだ衰えないわね……」ニヤリ



麦野「?何の人数なの?」



メイド「奥様がナンパされた人数です。
もっとも片っ端から老執事さんに蹴散らされておりましたが」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 21:21:41.41 ID:VACLfciC0
老執事「どこの馬の骨かもわからぬ輩が、奥様に近づこうなど笑止千万でごさいます」



母「あぁ、私もたまには一夏のアバンチュールを楽しみたいわ……おっと。ごめんなさい、アナタ、沈利ちゃん。
まだ昔の血が落ち着かないみたいだわ」ウズウズ……



メイド「亡くなられた旦那様も泣いてらっしゃるでしょうね……」ハァッ……



老執事「元々自由奔放な方ですから。しっかりそれが沈利様にも受け継がれていらっしゃる」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 21:23:02.12 ID:VACLfciC0
次の日



街の外れ



『……この街へ来るのも久しぶりであるな……あの者達は、変わらず元気にしているのであろうか?』



1人のガタイのよい、武人のようなオーラを醸し出す茶髪の男が、麦野の住む街の外れから辺りを見回す。



『元気にしていればよいが……この辺りでは魔物達の活動が最近活発である。
狙いは読めぬが、私が狙いだとすれば、街に滞在中に攻めてこなければよいが……』ザッ、ザッ、ザッ


男は、ゆっくりと街に足を踏み入れる。
行く先は、かつてこの街で持て成しを受け、再会を約束した一人の少女の元へ。
94 : ◆fz1M8ohQ8Y [saga]:2012/12/14(金) 21:32:54.47 ID:VACLfciC0
投下終了です。


麦野家の団欒でした。

特に進展はありません。

もう少ししたら、急展開の予定ですので、気長にお待ちください。
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 21:51:21.79 ID:GLMShWgKo
乙ー
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 22:44:12.84 ID:8RYWfSsPo
キタキタキターーーーー!!!!


乙でした
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 23:14:58.77 ID:XaUCd1gZ0


まさかアックアさんとむぎのん母の
アバンチュールが…
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/15(土) 21:30:24.47 ID:1dAdkv2s0

なんだこっち更新してたのか
99 : ◆fz1M8ohQ8Y [saga]:2012/12/16(日) 17:59:26.34 ID:skV7hf/p0
こんばんわ、1です。

とりあえず、こっちを更新しておきます。

本編は、ヘル・バンガード戦は書き終わったんですが、麦野勇者のネタバレみたいな場面が大きくて、更新しようか迷ってます。

早めに麦野勇者を進められればいいんですが……二つ同時って難しいですねー


>>95
>>96
ありがとうございます!!!

>>97
その手があったか……

>>98
ちょっとこっちを放ったらかしにし過ぎたのでw
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 18:18:51.21 ID:skV7hf/p0
麦野家



麦野「さぁ、おじぃ!!今日は、どんな特訓をするの?」



老執事「ホッ、ホッ、ホッ。昨日あれだけお遊びになられたのに、元気なことで。
ふむ……今日は実戦にでも出ると致しましょうか。街から離れて、少し離れた森へと向かいましょう。
あそこならば、そこそこ手強い魔物、キラーエイプ(DQ)がいるハズです」



麦野「望むところよ!!久しぶりの実戦、私の力を見せつけてあげるわ!!」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 18:29:01.88 ID:skV7hf/p0
街から少し離れた森の中




麦野「……おじぃ……死んでるのかな?このキラーエイプ……」



老執事「えぇ……そのようで。
しかし、致命傷となっているこの爪跡は……見たことのないモノですな。
……一体どんな魔物なのか……」


森の中へと入っていった麦野と老執事が目にしたモノは、この森で一番の実力者であろうキラーエイプが、惨殺されている光景であった。
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 18:30:05.12 ID:skV7hf/p0
老執事「(明らかにこの辺りに生息する魔物の仕業ではない……。
どこからか迷い込んで来たのか、はたまた何か目的があってここまで来たのか……これはいけませんな……)」



麦野「おじぃ?どうしたの?」



考え事をしている老執事に、麦野が心配そうに声を掛ける。



老執事「いえ、何でもございませんよお嬢様。
どうやら、キラーエイプは誰かに先を越されてしまったようですな。
ここは予定変更で、街に戻り、私との組手に内容を変えましょう」
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 18:36:07.66 ID:skV7hf/p0
老執事は、幼い麦野の手を取り、森の外へと出るように促した。


麦野「う、うん。わかった」


幼いながらに何かを感じたのか、麦野は大人しく老執事と共に、街へも戻る。




グルルルルルルッ…………



森の奥では、そんな二人を見つめる獣のような眼光が、光っていた。
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 18:37:31.38 ID:skV7hf/p0
麦野家 門



麦野「あー、疲れた疲れた。まだまだおじぃからは一本も取れそうにないわねー」


老執事「ホッ、ホッ、ホッ。まだまだお嬢様には負けてられませんよ。

しかし、中々身体の動かし方が上手になられておられますな。

能力の成長も著しいので、引き続き基礎の鍛錬を続けることが大事ですよ?お嬢様」


麦野「わかってるわよおじぃ。何事も基礎が大事ってね」


老執事「それはなによりで。それでは家の中へ入りましょうか……おや?」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 18:44:30.44 ID:skV7hf/p0
メイド「あ、お帰りなさいませ!!お待ちしておりました!!」ニコニコ


麦野「どうしたのメイドさん?そんな笑顔で。何かいい事あったの?」


メイド「いえいえ、いい事があったのは私ではありませんよ。
沈利お嬢様にとっては、とても嬉しいことかもしれませんがね?さ、早く中へどうぞ!!」



麦野「?変なメイドさんねぇ……」

ガチャッ



麦野は、家の大きな玄関をゆっくりと開ける。
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 18:45:14.65 ID:skV7hf/p0
麦野「…………あ、あぁ……」



老執事「これはこれは……ようやく参られましたか……」



麦野と老執事は、玄関口で足を止める。その先に居た人物とは……






アックア「おぉ、戻られたか沈利嬢。久しぶりであるな」



麦野「ウィリアムさん!!!!」ダダダダッ!!!ガバァッ!!!
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 18:54:00.48 ID:skV7hf/p0
『ウィリアム・オルウェル』またの名を、『アックア』



一年前、麦野が街へと出かけた際、野盗に襲われ、それを助け出した人物。

そして、麦野が本格的に外の世界へと旅立つ為の鍛錬を始めるきっかけを作り出した人物であり、麦野の人生を変えた者の1人であろう。



久々の再会に、麦野は全力でアックアに飛びついた。
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 18:55:06.68 ID:skV7hf/p0
麦野「久しぶりウィリアムさん!!!!いつこの街に戻ってきたの!?」ギュゥゥゥウウッ!!



アックア「今朝である。ちょうど沈利嬢達とは、入れ違いになったようであるな」ナデナデ



麦野「そっかー、エヘヘェ……///」



アックアに頭を撫でられ、麦野は御満悦のようである。



老執事「よくぞ参られました、ウィリアム様……お久しゅうございます」ペコッ


アックア「老執事殿。スマんな、またこちらで少しだけ世話になりそうである」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 18:57:43.28 ID:skV7hf/p0
老執事「いえいえ、こちらとしては、お嬢様の喜ぶ顔が見れて良かったですので。
ウィリアム様さえよければ、いつでもお出でになられて結構と、奥様も言っておられました故」




母「沈利ちゃん。今日は、ウィリアムさんをお迎えする為に、ママも料理を作るから、沈利ちゃんも手伝ってちょうだい」



麦野「はーい!!じゃあ行ってくるねーウィリアムさん!!」タッ、タッ、タッ
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/16(日) 18:59:06.34 ID:UoXt5QJA0
麦野母が本気を…
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 18:59:10.75 ID:skV7hf/p0
アックア「……健やかに成長しているようであるな、あの子は。
それに、魔力も少し感じた。どうやら、能力に開花したようであるな、あの子は」



老執事「えぇ、貴方が旅立った後、毎日のように研鑽を怠りませんでしたから。
少し度肝を抜かれるかもしれませんよ?」



アックア「フフッ……それは拝見するのが楽しみである」



老執事と、アックアが談笑を続ける。そして、本題に入る。
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 19:04:57.70 ID:skV7hf/p0
老執事「して、ウィリアム様……此度は、どのような用で、この街へと?」


アックア「たまたま偶然通りかかって……だったらよいのだがな。
少し、妙な噂を聞いて、心配になり、この街までやってきたのだ」


老執事「ほぅ……妙な噂ですか……」


アックア「あぁ……近頃、アレイスター側による、勇者狩りが多発しているのだがな。
この辺りで、見たこともない魔物がうろついていると言う情報が入り、次の標的がこの辺りにいるのではないかと睨んだのだ」
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 19:07:51.18 ID:skV7hf/p0
老執事「なるほど……そういえば、街の外れの森の中で、見たことのない爪痕を残したモンスターの死骸を見つけたのですがね。
もしや、その爪の主が、その魔物であるということは……」



アックア「無きにしろあらずと言ったところであろう。
それに、この辺りには、アレイスター側にとって、かなりの障害となろう勇者がいるのであるからな……いや、勇者の卵と言ったところか」



老執事「……まさか……沈利お嬢様が狙われているというのですかウィリアム様!?」
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 19:15:11.31 ID:skV7hf/p0
アックア「その可能性が一番高いのである。先ほどあの子に触れた時、凄まじい潜在能力を感じた。

それに、それは貴方が一番わかっているハズだ。
あの子は将来、必ず世界を背負えるほどの勇者となる器だということを……」


老執事「…………」


老執事は何も言うことが出来ない。

いつかこんな日が来るのはわかっていた。

あの子の力は、年相応のレベルを遥かに超えている。
将来は必ず、自分やウィリアム以上の実力者になるということを、老執事は理解していた。


そんな金の卵を、敵がわざわざ見過ごす訳がない。
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 19:18:04.68 ID:skV7hf/p0
老執事「沈利お嬢様は……あの子とあの子の周りの世界は、この私が必ず護り通して見せます。
例え、この身を犠牲にしたとしても……」



アックア「そうはさせないのである。

あの子の世界の中心は、貴方だと言うことをお忘れになっているのでないか?

例えあの子が生き延びようと、貴方がいなくなれば、それはあの子にとっての死と同意なのだぞ?」



老執事「貴方こそ、沈利お嬢様を見くびっておられるようですな?ウィリアム様。

あの子は強い……例え私の死によって絶望に堕ちるにせよ、必ず這い上がり強く生きてくれることでしょう。

なんせ、私がそのように教育しましたから。絶望すら糧に成長する強い子にね……」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 19:22:06.10 ID:skV7hf/p0
アックア「……そうは言っても、あの子はまだ7-8歳の子どもである。
まだまだ貴方の力が必要な」







老執事「あの子を、そのような甘ったれに育てた覚えは、一切ごさいません」








老執事は、真っ直ぐアックアを見つめながら、一喝する。

その目には、麦野に対する一欠片の不安も無く、必ず自分の教えを守る強い人間になると信じていることが見える。
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 19:25:07.25 ID:skV7hf/p0
アックア「……わかった。しかし、わざわざ貴方やあの子を見殺しにするわけにはいかん。
私もしばらくこの街に留まり、あの子を護ろう。その為に戻ってきたのである」




老執事「えぇ……感謝いたしますぞ、ウィリアム様」




トテテテテテ


麦野「おじぃー!!ママが料理の材料全部焦がしちゃったー!!!やっぱりおじぃが作ってー!!!」


母「バカな……この才色兼備の麦野家当主であるこの私が、客人への料理すら満足に出来ないとは……」プルプル……



シリアスな空気の客間に、全身を黒くすす焦がした麦野親子が、助けを求めに来た。
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 19:30:41.23 ID:skV7hf/p0
老執事「奥様は昔から料理だけは出来ませんでしたからなぁ……どれ、私が変わりましょう。
奥様やお嬢様はお邪魔ですので、ウィリアム様を退屈させぬようしてください」ポイッ つ麦野 母



キッチンを追い出された麦野と麦野母は、客間で意気消沈していた。



母「うぅ……たまには沈利ちゃんにいいところを見せたかったのに……やっぱりフランベのときに、お酒を入れすぎたのかしら?」


麦野「入れた瞬間に、天井を突き破る勢いで、火柱が登ったもんね。
一瞬、ママにも能力が発動しちゃったのかと思った」



母「火加減がイマイチわからなかったからねー。
やっぱりあの大きなサーモンを丸ごと焼くのは無謀だったのかしら?」



アックア「老執事殿……やはり貴方はまだ、この家族に必要な存在のようである……」
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/16(日) 19:33:59.56 ID:skV7hf/p0
投下終了です。


麦野家の夏編でした。


麦野母とアックアのラブシーンを期待した方ゴメンナサイ。


無理です。



次回は秋編です。

そろそろ急展開の場面が近づいて参りました。
できるだけ早めに投下したいと思います。
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/16(日) 20:07:32.18 ID:HeraguzI0

久々にこっち見たけどやっぱりおもしろいww
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/16(日) 20:24:51.52 ID:iXXz14000


麦野母…

やっぱり鮭なのね
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/16(日) 23:08:06.50 ID:jAO2ytEm0
アックアと老執事のシリアスがありましたが、むぎのんとママむぎのんのおかげでほっこりしました。

……老執事さん、どうか死なないで天寿を全うして。
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/17(月) 00:01:58.38 ID:CjV1SmzRo
サーモンの丸焼き…

乙でした
124 : ◆fz1M8ohQ8Y :2012/12/17(月) 20:56:24.96 ID:qbdL/t+z0
こんばんわ、1です。

関係ないけどHEY3が終わっちゃいましたね……昔はめちゃくちゃ面白かったのに……。

まぁ、今の日本の歌じゃあ、あまり盛り上がらないですからね。


それでは投下始めます。




>>120
恐縮です!!期待に応えられるよう、できるだけしっかり考えて書きたいです!!

>>121
>>123
やっぱ受け継いでいくものかなとw

>>122
世の中は非情なモノですよね、ホント……

125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 21:25:46.61 ID:qbdL/t+z0






麦野沈利 8歳の誕生日





8:00



メイド「お嬢様、おはようございます」


麦野「おはよう、メイドさん。今日はいい天気ね」


お嬢様モードの麦野が、ゆっくりと、食卓の間へと歩みを進める。


メイド「お嬢様がキチンと身なりを整えてる……。
ということは、今日もやるつもりなのですね」クスクス
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 21:29:46.38 ID:qbdL/t+z0
実は、かなり前からメイドは気づいていたことがある。


一年前に比べると、普段からかなり大人しくなったほうである麦野が、時折、早朝からさらに気品漂う装いをすることがあるのだ。



決まってその日はあることが行われている。




メイド「フフフッ……こう見えて、私も昔は旅の戦士として鳴らした身。バレバレですよ、沈利お嬢様♪」



18歳の元戦士のメイドは、今日はどのように麦野が行動を起こすのか、密かに楽しみにしている。
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 21:31:34.08 ID:qbdL/t+z0
8:59



麦野「それではお母様。私少し用事がありますので、部屋に戻らせていただきますわね?」スッ……



母「えぇ、わかったわ。しばらく誰も入れないよう、言っておくわね?」



麦野母も、初めから気づいている。


娘が、度々老執事と共に、戦闘訓練や、旅中でのサバイバル技術を学んでいることを。



そして、もはやそれを辞めさせる気は全くない。
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 21:33:53.52 ID:qbdL/t+z0
自分の娘があれだけ一生懸命、親である自分にバレないように必死で頑張っているのだ。


麦野家当主としては、止めるべきなのであろう。


しかし、母として、娘の成長を妨害することなどできやしない。


大丈夫。きっとこの子は、無事に旅を終え、帰って来てくれるだろう。


そして、歴代当主に恥じない、立派な麦野家の跡取りとなってくれるハズだ。


なんてったって、私の娘なのだから。



だから、今日もきっと大丈夫。


また一つ、あの子は年と共に成長するハズ。
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 21:35:59.40 ID:qbdL/t+z0
9:00




麦野「ふぅ……」ガチャン



麦野が自室の扉の鍵を閉める。
いよいよ記念すべき100回目の挑戦の時がやってきた。



麦野「さーて……今日こそはクリアして見せるわよ……。
一年近くクリア出来なかったこの屋敷からの脱走という課題……。

今日という特別な日にクリアしてこそ、華ってもんでしょ!!」バンッ!!!



麦野が勢いよく、部屋の窓を開ける。
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 21:40:58.88 ID:qbdL/t+z0
シュンッ!!

シュンッ!!

シュンッ!!!



その瞬間、勢いよく、四方八方から、いくつものロープが麦野の身体を縛り上げようと飛びたした。



麦野「ちょっ!?窓開けただけで早速トラップっておじぃ!!」バッ!!


麦野はロープを素早く避けると、全速力で窓に飛び、そこから外へと飛び出した。


ダンッ!!!


バサァッ!!


いくつかの木の枝などをクッションにし、麦野は地面を目指す。
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 21:50:09.19 ID:qbdL/t+z0
麦野「窓のすぐ下の地面には、絶対罠が仕掛けてある……と見せかけて実は、すぐ下の周囲に罠が仕掛けてある!!」ヒョイッ



枝にぶら下がった麦野は、窓の真下を狙って飛び降りた。



何も起こらない。



自分の周囲をよく見ると、微妙に地面を掘り起こした後などが見える。
やはり、この周囲に罠が仕掛けられていたようだ。



麦野「さてと……問題はここからよね……どこから出るのが正解なのか……。
ここは、正面突破よ!!」ダッ!!



麦野は正門の方向へと、足を進める。
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 22:03:02.82 ID:qbdL/t+z0
ビュンビュンッ!!!



麦野の右前方から矢が飛んでくる。


それを麦野はしゃがみ込むように躱す。



足元に、トラばさみのようなトラップが仕掛けられている。
麦野はあえてそれを踏み、トラップを作動させる。


ガシャンッ!!


麦野「ほっ!!」ダンッ!!!



ハサミが閉じる前にジャンプで足を引き抜き、回避したトラップの上に乗って、そのまま高く飛び上がる。


トラばさみを飛んで躱した先には、落とし穴があったので、あのまま躱していたらそのままゲームオーバーであっただろう。
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 22:05:29.84 ID:qbdL/t+z0
麦野「基本的に、おじぃのトラップは二段重ね!!
一回で終わることはほとんどないから、追撃に気をつけていれば大丈夫ね!!」ダッ、ダッ、ダッ




正門まであと10mほど。



カチッ



麦野「ッ!?」


麦野が何かを踏んだようだ。




ビュンッ!!


ギュォォォォォォオオオオオッ!!!!!!


麦野の左側30mほど離れたところから勢いよく、粗大ゴミに出したハズの、タンスが飛んでくるのが見える。



凄まじい速さで飛んでくるタンスに麦野の回避は間に合わない。
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 22:07:54.69 ID:qbdL/t+z0
麦野「(これは避けられない!!避けられないのなら……それならこれで!!)」バッ!!



麦野が右手をタンスに向けた。



麦野「いけぇぇぇぇえええっ!!!」グッ!!


ドゴォォォオオッ!!!




突如、麦野の右手から放たれた原子崩しが、タンスを吹き飛ばす。

まだ威力不足だが、あの一瞬で咄嗟に撃ったにしては、上出来である。
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 22:09:51.32 ID:qbdL/t+z0
正門まであと3m



麦野「あと一歩!!今日で必ず達成してみせる!!」


遂にここまで来た。

ようやく長年の悲願が達成できるのだ。


麦野の足が更に速まる。






ドバァァァァァァァァアアアッ!!!!!


老執事「ハッハァッ!!!ここから先へは通しませんよお嬢様ァァァアアッ!!!!」



正門のすぐ側の地面から、突如、老執事が飛び出してきた。


麦野が、罠をくぐり抜け、正門から出て行くことを予想していた老執事は、地中に隠れて待ち構えていたのだ。



おじぃ、恐るべし。
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 22:11:22.84 ID:qbdL/t+z0
しかし、目の前にいるハズの麦野がいない。


老執事「ハテ?」キョロキョロ


老執事は辺りを見渡す。

確かに、正門を通ろうと、すぐ側まで近づいていたハズだが……



麦野「やっぱり最後の最後に待ち構えていたのねおじぃ!!
だけどね……今回は私の読みが上回ったわね!!!」



老執事「むっ?……おぉ……これはこれは……」


老執事が、麦野の声のする方を見上げる。



そこには、原子崩しの推進力を利用して、宙に高く飛び上がった麦野の姿があった。




そして、そのまま麦野は正門を飛び越え、家の敷地内から出て、地面に着地する。
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 22:12:34.27 ID:qbdL/t+z0
麦野「……綺麗……」





自分の力で外の世界へと飛び出した麦野が初めて見た光景は、老執事と外へ出掛ける時に見る景色となんら変わりはない。



しかし、麦野の目には、まるで別世界のような光景が広がっているように見えた。



それは、どこまでも広がる広大な世界。



自分が、部屋の窓から夢見ていた、家の外の世界。
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 22:14:10.84 ID:qbdL/t+z0
パチパチパチパチッ…………




外の世界へと飛び出した麦野の背後から、拍手が聞こえてくる。


振り向くとそこには、いつもと変わらない、優しい笑顔で微笑む老執事の姿が。




老執事「見事でしたな、沈利お嬢様。
自分の力を100%発揮し、私の罠をくぐり抜け、よくぞ門の外へと抜け出しました」



麦野「おじぃ……夢じゃないよね?私、とうとうおじぃの課題をクリア出来たのよね!?」
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 22:15:44.02 ID:qbdL/t+z0
老執事「えぇ……夢じゃありませんとも……。
今日は、いつもより更に巧妙に、罠を仕掛け、遂には私も直々に待ち受けておりましたが、お嬢様は見事に突破されました。

これにて、貴女のこの家からの自由な外出を許可します。くれぐれもハメを外さぬよう……」ニコッ



老執事が、満面の笑みを麦野に向ける。




麦野「やった……やったぁぁぁぁああああっ!!!!!
遂にやったんだ!!!おじぃの課題をクリア出来たんだぁぁあっ!!!!!」



麦野は全力で喜びに舞い上がる。
ずっと挑戦し続けていたことが遂に達成できた。
それだけで、麦野の心はこれ以上無いほどの喜びに満ち溢れていた。
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 22:16:43.11 ID:qbdL/t+z0
麦野「おじぃ!!!早速そこら辺を走り回ってくるね!!10分くらいで戻るから!!!」ダッ!!!



老執事「えぇ、どうぞご自由に。今日は貴女の誕生日でもあります。はしゃぎ過ぎないようお気をつけください」






麦野はひたすら走り続ける。

特に何か珍しいものがあるわけではない。

いつも見慣れた光景。


それでも、その全てが新鮮に見える。
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 22:18:25.64 ID:qbdL/t+z0
麦野「アッハッハッハッハッ!!!!!これでこの街は好きに見て回れるのね!!

明日からがとても楽しみだわ!!
まずはどこに行こうかしら?やっぱり初めて行ったあの酒場?

どこでもいいわ!!これからはいつでも街に出られるんだから!!



アッハッハッハッハッハッハッハッハブッ!!!!!」ズザァァァァァアアアッ!!!!!




麦野は盛大にコケた。
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 22:21:59.39 ID:qbdL/t+z0
10分後




麦野「グスッ……グスッ……」




老執事「外出解禁10分後に、土にまみれて泣きながら帰ってくるとは……流石の私も予想外でしたね」




老執事は呆れたような表情で、麦野を見つめる。




老執事「ふぅ……まぁいいでしょう。さ、今日の特訓を始めますよ。
今日は早めに始めて、早めに終わらせましょう。
今日は夕方から、パーティーの準備でかなり忙しくなりますからな」


麦野「ヒグッ、グスッ……」コクン



ベソをかきながら、麦野は老執事と共に日課の特訓を始める。


そしてこれが、老執事との最後の特訓になることを、麦野はまだ知らない。
143 : ◆fz1M8ohQ8Y [saga]:2012/12/17(月) 22:25:53.75 ID:qbdL/t+z0
投下終了です。


ロリ麦野さん、脱出成功の巻でした。


さて、そろそろのほほんとしたお話も飽きてきましたね。


次回かその次くらいの投下をご期待ください。


それではおやすみなさい。
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/17(月) 22:36:41.30 ID:zZW1Ewmf0
おじぃぃぃぃ!!!死ぬなぁぁぁぁ!!!
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/17(月) 22:45:30.38 ID:WvClrBOV0


そこでコケるんすか麦野さんwwww

ぉじぃは逝くなら盛大に見せ場をつくるべしだな
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/17(月) 22:49:26.61 ID:ENzrsYRx0

おじぃぃぃぃ!
待って、せめて、せめて麦野が結婚して子供産むまで待ってええぇぇぇ!
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/17(月) 23:36:07.14 ID:MyNqdWZg0
おじぃぃぃぃぃ!!
乙です!
148 : ◆fz1M8ohQ8Y [saga]:2012/12/18(火) 23:31:48.93 ID:uKUwq5YS0
こんばんわ、1です。

忙し過ぎて、浜面勇者、麦野勇者共に書く暇がしばらくなさそうです。


それでも一週間の間には続きを投下できそうなので、ゆたりとお待ちください。



ホンの少しだけ投下しときます。



>>144
>>145
>>146
>>147
まさかのおじぃ人気沸騰ww
ちゃんとおじぃの結末については、相応しいモノを考えてますので、ゆたりとお待ちを。
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/18(火) 23:32:46.21 ID:uKUwq5YS0
夕方



パンッ!!

パパパパンッ!!!!!


「「「お誕生日おめでとー!!!!」」」



秋の夜に、盛大なクラッカーの音が、屋敷の中に鳴り響く。


麦野「わぁー!!!皆ありがとう!!」



このパーティーの主役である麦野沈利は、満面の笑みで、無邪気にはしゃぐ。

麦野家に仕える10名ほどのメイドや使用人達が、心からこの無邪気な少女の誕生日を祝っている様子が見てわかる。
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/18(火) 23:33:32.80 ID:uKUwq5YS0
母「おめでとう、沈利ちゃん。今日で8歳になったのね。
そして、また一つ、立派に成長したみたいで、ママは嬉しいわ」




麦野が、この家からの脱走という、老執事の試練を乗り越えたことを知っている麦野母は、その意味合いも込めて、麦野の成長への祝辞を述べる。



というより、この屋敷の人間全てが、麦野の成長を知っている。


気づかれていると知らないのは、麦野ただ一人である。
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/18(火) 23:34:30.32 ID:uKUwq5YS0
麦野「ありがとう、ママ。
今日は誕生日で、皆が祝ってくれて嬉しいのもあるけど、もう一ついい事もあったからもっと嬉しいの!!

今日は、いっぱいはしゃいじゃうからね!?覚悟してよね皆!!」




老執事「ホッ、ホッ、ホッ。あまりはしゃぎ過ぎて淑女らしからぬことをせぬようにしてくださいよ?お嬢様。

このめでたい日に、叱りつけるのは、こちらも気が重いですからなぁ」
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/18(火) 23:35:22.90 ID:uKUwq5YS0
麦野「むぅ!?おじぃのケチ!!
今日くらいはしゃいでもいいじゃない!!ねぇ?ウィリアムさん!!」ギュッ!!


客品として招かれたアックアが麦野にしがみつかれる。



アックア「ふむ。まぁ、ハメを外し過ぎるのもよくないのである。
ほどほどに楽しむのが、一番良いのではないか?」



麦野「ウィリアムさんまで堅い!!一年に一度なんだから、パーッといきましょ!?パーッと!!」



麦野は、はしゃぎながら、他の使用人達の元へと向かっていった。
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/18(火) 23:36:42.17 ID:uKUwq5YS0
老執事「やれやれ……困ったお方ですなぁ。
麦野家跡取りとして、少しは落ち着きを学んでほしいものです」クスクス



アックア「まぁ、それだけ嬉しいのだろう。
どうやら、誕生日以外にも、良い事があったようであるからな」



老執事「まぁ、そうですがね……。
これで、あの子へと私の課題は全て終えました。

麦野家跡取りとしての嗜み。

旅をする上での様々な知識。

そして、戦闘での咄嗟の判断力と観察力。


あの子は、これら全てを、高いレベルでこなして見せました。
もう、私が教えられることは、ほとんどありませんなぁ」
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/18(火) 23:37:47.54 ID:uKUwq5YS0
アックア「縁起でもない。あの子には、まだまだ貴方の教えが必要である」



老執事「いいえ。もはやあの子に私は不要でございます。
いよいよあの子も旅へと出発する時期が来たのかもしれませんな……。

まぁ、残りの伝えておきたいことは、その時にでも伝えるとしましょうか」



麦野「二人とも!!私に内緒で何の話をしているの!?」



アックアと、老執事の間に、麦野が割り込む。
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/18(火) 23:43:47.75 ID:uKUwq5YS0
老執事「大人の社交に口を挟むものではありませんよ?
お嬢様。さ、まだまだ料理はあります。ゆっくりとご堪能ください」



老執事は、麦野を連れて、料理を食卓に並べていく。




アックア「……あの夏の日から、特に目立った動きはないか……。
願わくば、この平穏が、いつまでも続けばよいのであるが……」




アックアが、懸念していた、勇者狩りは、今のところ動きはない。



ただし、恐らく麦野の力はアレイスター側に伝わっているだろう。
この力が成長する前に、潰しにくることは、十分に予想できる。




アックアの心配を余所に、麦野沈利の誕生日パーティーは、騒がしく進行していく。




そして、街に夜が訪れる。












街の外


???「おやおや、すっかり日が落ちてしまいましたねー。
さぁ、準備はいいですか皆さん?我が主アレイスターに仇なす者達を、皆殺しにするとしましょうかねー」







麦野沈利 8歳の誕生日


喜びと周囲の愛に満ち溢れた誕生日パーティーが終わりを告げる。


そして、恐らく一生忘れることのない誕生日が、これから開幕を迎えようとしている。
156 : ◆fz1M8ohQ8Y [saga]:2012/12/18(火) 23:46:34.72 ID:uKUwq5YS0
少ないですが、投下終了です。

とりあえず、次の展開へと繋がる場面で、しばらく投下を休憩とさせていただきます。


それでは来週くらいまでおやすみなさい。
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/19(水) 00:08:50.26 ID:9YitvQ5r0

そのまま逃げないでねー
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/19(水) 07:26:48.05 ID:BVINMqDr0


ゆたりと待ってるぜぃ

159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/19(水) 07:52:05.48 ID:yRVjkquUo
乙でした
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/19(水) 17:48:45.59 ID:xfdY8l1V0
乙乙
161 : ◆fz1M8ohQ8Y :2012/12/25(火) 18:16:10.59 ID:amwXVFPE0
こんばんわ、1です。お久しぶりです。


書くヒマ全然無くて、あまり進んでません……
とりあえず、少しだけ書けたので19時くらいから投下しておきます。


>>157
>>158
>>159
>>160
ありがとうございます!!お待たせいたしました!!
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 19:08:32.07 ID:amwXVFPE0
麦野家 屋敷内




麦野「スピーzzZ」zzZ




麦野母「あらあら、はしゃぎ過ぎて眠ってしまったみたいね。
それとも、朝の脱走劇で疲れてたのかしら?」クスクス



老執事「一応、屋敷の誰にも気づかれないようにというのも課題の一つだったのですがねぇ。
流石に隠しきることは無理だったようですな」



メイド「それは流石に無理ですよ老執事さん。
私達は、いつだってお嬢様の成長を見守っているのですから」
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 19:19:08.70 ID:amwXVFPE0
老執事「ホッ、ホッ、ホッ。まぁ、いいでしょう。今はこれで許すといたしましょう。
しかし奥様。ホントに止めずともよろしいので?
このままでは、沈利お嬢様は、近いうちにこの街から旅立ってしまいますぞ?

少なく見積もってもそれだけの力は、既に備わっているハズですからなぁ」





母「可愛い子には旅をさせろといいますからね……。
心配なことには変わりはありませんが、この子は、もっと世界を知ることで、もっともっと成長していくことでしょう。

そして、きっとこの街に帰ってくるハズです。
ならば私は、その時を楽しみに待つことしかできませんので」
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 19:22:17.26 ID:amwXVFPE0
老執事「成長されましたなぁ、奥様。
昔は、お嬢様と同じかそれ以上にワンパクな女の子でしたのに……私も苦労した甲斐がありました」




母「あら?私は昔も今も麦野家屈指の淑女のつもりですが?」



老執事「えぇ、そういうことにしておきましょうかねぇ」








コンコンッ


談笑を続ける中、突如玄関から来客を告げるノック音が響く。
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 19:24:14.05 ID:amwXVFPE0
メイド「?こんな時間にお客様でしょうか?ハーイ、少々お待ちを」パタパタ



母「どなたでしょうか?」



老執事「さぁ……来客の予定は無かったハズですが……」




コンコンッ




メイド「ハイハイ、今開けますねー」ガチャッ



「夜分遅くに申し訳ありませんねー。私、伝道師の『テッラ』と申します」



扉を開けた先に居たのは、全身を緑の服装で包んだ、金髪の痩せ細った男であった。


一見病弱そうに見えるその男は、にこやかに、自分の素性を話す。
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 19:56:44.90 ID:amwXVFPE0
メイド「はぁ……?伝道師……ですか」




テッラ「えぇー、そうです。私は我が主である神の教えを広める為に、世界を回っているのですねー。

ところで、貴女方は神の存在を、信じてますかねー?」





母「伝道師ですって……こんな時間にご苦労なことですね」



老執事「……妙ですな……あの者の風貌、とても教会の伝道師には思えませぬ……」




老執事は、テッラの独特な服装を見て、少し身構える。
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 19:58:42.06 ID:amwXVFPE0
メイド「神様ですか……まぁ、こんな時代ですからねー。私個人の意見としては、あまり頼ることもできませんが。

でも、この家の方々と共に、時々教会へと足を運んで、お祈りに行くくらいの信心は持ってらっしゃいますよ?」




ピクッ……



老執事「!?」



テッラ「ほぅ……教会へと……それはそれは……」



テッラの纏う空気が一瞬変わった。


そして、その瞬間を、老執事は見逃さなかった。




老執事「いけませんっ!!!メイドさん!!早くそこから」



ズシュッ!!!
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:03:39.69 ID:amwXVFPE0
メイド「……へ?」ドクドクッ……



メイドは、ふと自分の胸元を見る。



そこには、小さなナイフのようなモノが刺さっており、そこから、温かい赤い液体が流れ出している。




メイド「あ……あれ?……あ…………」



そして、それを確認するとほぼ同時に、そのままメイドの意識は途切れ、床に伏した。




母「な……あ……」ガタガタッ……



老執事「…………失礼ですが、もう一度お名前をお聞かせいただいてよろしいですかな?」
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:06:27.18 ID:amwXVFPE0
元は腕の立つ戦士であったメイドが、油断していたとはいえ、呆気なく殺された光景を見て、老執事の纏う空気が一気に変わる。




テッラ「仕方ないですねー。それではもう一度お伝えしましょうかねー。



私の名は『テッラ』。我が主アレイスター様の教えを広める為に世界を旅する伝道師ですねー。どうぞお見知り置きを」スッ……



テッラは、老執事に対し、丁寧にお辞儀をする。
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:10:31.84 ID:amwXVFPE0
老執事「して……テッラ様。何故に、そこに倒れているメイドさんは、貴方に刺されたのでしょうか……?
何か彼女が至らぬことでもなさいましたか?」



テッラ「至らぬことだらけでしたねー。我が主アレイスター様の教えに従わぬ者などこの世で生きる資格がありませんからねー。
なので、早々に、この世からご退場を願ったまでですねー」




老執事「そうでこざいますか……して、そのアレイスター様の教えとは、一体どのような者なのでしょうか?」クイッ





母「っ!?」



丁寧にテッラの応対をする老執事が、麦野母に後ろ手でサインを送る。



そのサインの意味とは…………
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:12:04.58 ID:amwXVFPE0
テッラ「おや。貴方は中々賢明な方のようですねー。
わかりました。私テッラが、伝道師の役目を果たさせていただきましょう。

アレイスター様の教えとは、簡単に説明いたしますとですねー……」



母「……」スゥッ……


麦野母が、寝ている麦野へとゆっくりと近づいていく。



老執事「えぇ……どういうものなのでしょうか……」




老執事の出したサインの意味とは……
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:15:59.32 ID:amwXVFPE0
『お嬢様を連れて、今すぐここからお逃げください』








テッラ「汝の隣人を滅せよ。

ようは、全ての人間を皆殺しにしましょう、てことなんですねー」ニコォォォオオ







テッラの表情が、一気に醜悪な笑みを浮かべたモノと化す。
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:21:31.47 ID:amwXVFPE0
老執事「奥様!!早く!!!」



母「ッ!?」ダッ!!!



老執事の声と共に、麦野母が麦野を抱きかかえて全力で裏口へと走り出す。





テッラ「異教徒を逃がすなんて、そんなわけないですねー」ブンッ!!!



テッラが、手に持っていたナイフを走る麦野母へと投げつける。
放たれたナイフは、勢い良く、麦野母へと向かっていく。





パシィッ!!!
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:34:17.84 ID:amwXVFPE0
老執事「これはこれは……奥様への粗相、麦野家執事として、見逃すわけにはいきませんなぁ……」ヒラヒラ



老執事は、テッラが投げたナイフを、すかさず二本の指で挟み込むようにキャッチし、それをテッラへと見せびらかす。




テッラ「アレイスター様の使いである、このテッラに逆らうというんですねー?

ならば貴方を、速やかに粛清させていただくしかありませんねー」
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:35:55.66 ID:amwXVFPE0
老執事「どちらにせよ、この屋敷の者を皆殺しにするつもりでしたのでしょう……させませんよ、そのような愚行は……。
そちらのメイドさんの仇、ここで私が取らせていただきます」チャキッ!!



老執事は、どこからか、小さな短剣の束を取り出す。




テッラ「この屋敷?フフッ、おかしなことを言いますねー。
我が主アレイスター様の教えをお忘れですか?

貴方達だけが、粛清の対象なわけがあるわけないですねー」




老執事「!?なっ……まさか!?」
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:37:27.96 ID:amwXVFPE0
麦野家屋敷の裏門




ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ

母「沈利ちゃん、大丈夫だからね。ママが必ず助けて見せるからね?」



麦野「スー、スー」zzZ




誕生日パーティーで、疲れ切って眠っている麦野を背負い、麦野母が裏門へと向かう。


何とか街まで逃げ切れば、街の守衛達が助けてくれるハズ。
何としても、この子だけは逃がさなければ……



そんな思いを胸に、麦野母が裏門をくぐり、街へと向かう。
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:38:54.41 ID:amwXVFPE0
母「な……そんな……」




ゴォォォォォォオオオオオオオオオッ…………




屋敷を飛び出し、街へと向かう麦野母の目には、燃え盛る街の光景が映る。


テッラが率いてきた魔物が、街を襲撃しているようだ。
街の方角からは、住人の悲鳴や魔物の雄叫びが聞こえてくる。




母「くっ……一体どこに逃げたらいいの……」




ガサガサッ!!


ダッ、ダッ、ダッ、ダッ!!!


「グルァァァァァァアアアアッ!!!!」


たった一つの拠り所を失った麦野母の背後から、街を襲っていた魔物が近づいてくる。
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:40:54.72 ID:amwXVFPE0
母「ッ!?く、来るなら来てみなさい!!私も老執事さんに昔は鍛えられた身!!
この子を守る為ならば、命だって賭けて見せるわ!!」ギュッ!!



麦野母が、眠る麦野を抱きしめながら叫ぶ。





「グルァァァァァァアアアアッ」ダンッ!!!




魔物が、麦野母へと飛びかかる。

武器も対抗手段も何もない。

素手で勝てるような相手ではない。

それでもこの子だけは

何としてもこの子だけは



麦野母は、麦野を抱きしめながら、守るように魔物に背を向ける。
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:42:28.07 ID:amwXVFPE0
麦野「ママ……ありがとうね。もう大丈夫だから」キュイイイイイインッ!!!


母「!?し、沈利ちゃん!?」


麦野母が抱きしめる腕の隙間から、麦野の右手が魔物に向けられる。






パシュンッ!!!



ドゴォォォォォオオオオオッ!!!!!





その瞬間、暗闇の中を一筋の光が突き抜けていった。
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:43:56.05 ID:amwXVFPE0
シュゥゥゥゥゥウウウウッ…………




母「し、沈利ちゃん……貴女いつの間にこんなに……」




麦野「……隠しててゴメンね、ママ……。これが私の力なの。
この一年間、おじぃと共に、一生懸命鍛えた力なのよ」





麦野の放った閃光の通った後には、魔物の影すら残っていない。

立ち塞がるモノ全てを粉砕する能力が、この幼い麦野には宿っていた。
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:45:11.32 ID:amwXVFPE0
母「隠れて何か頑張ってたのは知ってたけど……こんなに立派になってたのね沈利ちゃん……」




麦野「うん……いっぱい特訓したからね。そのお陰でママを守ることが出来てよかった」



母「フフッ、守るのは親である私の役目なのにね。我が娘ながら頼もしいわ。

さ、早くここから離れましょう。街があんな風になってるからには、この辺りからは一刻も早く逃げなきゃ」



麦野「待ってママ……おじぃは?メイドさんは?ウィリアムさんは?皆はどこにいるの?」
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:47:25.51 ID:amwXVFPE0
母「…………ウィリアムさんはわからないわ。いつの間にかいなくなってたの。

老執事さんは、今屋敷で怖い人と闘っているわ。私達を逃がす為に。
そして……メイドさんはもう居ないの。沈利ちゃん」




麦野「メイドさんが……そんな……。
……ウィリアムさんは、あんなに強いんだから、多分無事だと思うけど、おじぃが屋敷で闘っているなら私も」




母「私達は、このまま逃げるのよ沈利ちゃん!!」



屋敷へ戻り、老執事に助太刀をしようとする麦野を、麦野母が一蹴する。
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:48:29.69 ID:amwXVFPE0
麦野「ママ……だっておじぃが……」




母「老執事さんは、私達を逃がす為に闘ってくれているの。
貴女が今戻れば、彼の思いを踏みにじることになるのよ?」



麦野「うぅ……」



母「大丈夫。老執事さんは、あんな人に負けたりしないわよ沈利ちゃん。

さぁ、行きましょう。この街から出るには、あの街中を通らなきゃいけないわ。
走るわよ、沈利ちゃん!!」
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:50:11.07 ID:amwXVFPE0
麦野家屋敷



キィン!!キィンッ!!ギィンッ!!キィンッ!!!



麦野家玄関口では、両手に短剣を持ったテッラと老執事が、激しく斬り合い、互角の戦いを演じていた。



テッラ「中々やりますねー。貴方、ただの使用人ではないようですねー」



老執事「いえいえ……私は、タダのこの屋敷の使用人でございます。
それ以上でも、それ以下でもないのですよ」
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:51:27.37 ID:amwXVFPE0
テッラ「笑えない冗談ですねー。ならば、これならばどうです?」ブンッ!!




テッラが短剣を、老執事へと投げつける。
しかし、老執事は完全に短剣を見切っており、両手に持つ短剣で、それを弾こうとする。






『優先する。我が短剣を上位に。他の短剣を下位に』





パキィィィィィィィィイイイインッ!!!

ズシュッ!!



老執事「っ!?ぐぅっ……」ガクッ



防ごうとした老執事の両手の短剣が砕け、テッラの投げた短剣が、老執事の肩に突き刺さる。
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:52:33.89 ID:amwXVFPE0
老執事「な、なぜ私の短剣が……」




テッラ「これが私がアレイスター様から頂いた力ですねー。

『光の処刑』。あらゆるモノの優先順位を操作する力。
貴方の短剣を、私が投げた短剣の下位に設定することで、貴方の短剣は、私の短剣を100%防げない。

その怪我では、先程までの動きは出来ないですねー」チャキッ!!



テッラが懐から、新しい短剣を取り出す。
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:54:43.56 ID:amwXVFPE0
テッラ「覚悟はよろしいですねー?それでは、あの世でアレイスター様へと祈りを捧げるとよいですねー」カッ、カッ、カッ、カッ




テッラが老執事にトドメを刺そうと近づいてくる。




老執事「…………フッ、フフッ……」クスクス



テッラ「んー?何がおかしいのでしょうかねー?異教徒の考えることは理解できませんねー」




老執事「いえいえ……たかがこの程度で私に勝ったと思われていることが、少しツボにハマりましてね……」コォォォオオッ……



老執事から、静かな魔力が漂ってくる。
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:57:43.69 ID:amwXVFPE0
テッラ「貴方も能力者だったんですねー?でも、どんな攻撃をしようが私には効きませんねー。

『優先する。私の身体を上位に。私への攻撃を下』」




ズシュッ!!!!!


ドドドドドドッ!!!!!!



テッラ「『位に』……へ?」ブシュゥゥゥゥゥウウウッ!!!!



老執事「おや?今何か申されましたかな?年をとると、耳が遠くなってしまいまして」



光の処刑の設定が終わる前に、一瞬で、テッラの身体が五体に引き裂かれ、両手、両足、胴体と、屋敷の壁に短剣で張り付けられていた。
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 20:59:23.87 ID:amwXVFPE0
テッラ「な……馬鹿な……いつの間にこんな……何をした!?」ブシュゥゥゥゥゥウウウッ!!!



テッラの各部位からは、血が溢れるように流れていく。





老執事「何をしたと言われて、タネを明かす手品師など存在しません。

貴方が得意気に、私にペラペラと自身の能力を説明してくれたお陰で、貴方の対処法が簡単にわかりました。

要は、優先順位とやらを設定させる前に攻撃すればよいのです」
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 21:01:39.32 ID:amwXVFPE0
テッラ「くっ……『優先する!!重力を上位に!!人体を下』」



ズシュッ!!!!

ボトッ……



光の処刑により、老執事の身体が、通常の重力に潰されるように設定しようとした刹那、一瞬でテッラの舌が切り落とされる。




老執事「お喋りな方ですねぇ……少し口数を控えた方がよろしいかと」




テッラ「アガァァァァァァアアッ!!!!アガッ!?(何故だ!?)アガガガガガッ!!!!(いつの間に私に攻撃をっ!!!!)」




老執事「どうやら控えるつもりはなさそうですな。貴方は、当家の客人として、ふさわしく無い様です。

それでは、どうぞお引き取りくださいませ、テッラ様……」ペコリ




ズシュッ!!!
ズシュッ!!!
ズシュッ!!!



老執事が丁寧にお辞儀をした瞬間、テッラの眉間、両目、口内、首、心臓と、一瞬で各急所に短剣が突き刺さる。



そのまま、テッラはピクリとも動かなくなった。
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 21:03:07.56 ID:amwXVFPE0
老執事「……安らかにお眠りくださいメイドさん。
奥様とお嬢様を迎えに行った後、丁重に葬らせて頂きます。しばしお待ちください」シュンッ!!!



メイドの亡骸に、一旦別れを告げ、老執事は麦野達の元へと向かう。




屋敷の中には、テッラとメイドの死体のみが残されていた。









テッラ「」


メイド「…………」ゴキッ!!






ゴキッ!!

ベキッ!!

ボキボキッ!!!

メキメキメキッ!!!!!




……スゥッ
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 21:05:05.33 ID:amwXVFPE0
新テッラ「…………ふぅ……どうやら一筋縄ではいかないようですねー」コキッ、コキッ






屋敷に、死んだハズのテッラが現れる。



旧テッラ「」



しかし、その側には、テッラの無残な死体が残っている。


そして、メイドの死体は、いつの間にか無くなっている。





テッラ「ふむ……この身体、元になられた方は、中々の身体能力を持っていたみたいですねー。
さて、それでは異教徒狩りを再開しましょうかねー。
そろそろあの子も街へと到着するころでしょうからねー」カッ、カッ、カッ、カッ



復活したテッラは、そのままゆっくりと街へと向かい、歩いて行った。
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/25(火) 21:08:28.25 ID:amwXVFPE0
投下終了です。



おじぃ無双でした。



またしばらくこれそうにないかもです。年が明けるまでには、ひと段落つかせたいものですが……


それではまた次回まで、おやすみなさい!!
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 23:35:09.93 ID:w6/PzPc90


メイド姿のテッラを想像しちまった

コーヒーふいちまったじゃないか。
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 23:42:31.44 ID:o3s+gu/ao
乙でした


メイドテッラ…
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 10:35:41.90 ID:8dC2aQl40

>>194-195
お前らのせいで想像しちまったじゃねぇかwwww
とりあえず>>1乙! 無理に年内にひと段落つけなくてもいいよーマぁそのほうがいいかもしれないけどww
197 : ◆fz1M8ohQ8Y [saga]:2013/01/07(月) 18:26:48.87 ID:rAazwOfC0
明けましておめでとうございます。1です。


しばらく来てなかったにも関わらず、あまり書けていません( ̄ー ̄)


とりあえず、20時くらいにゆっくり初投下開始の予定ですので、それまでゆったりとお待ちください。


>>194
>>195
>>196

まさかのメイドテッラ……お陰で一つ話が浮かんでしまいましたw


それでは20時頃から開始いたします。
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 18:47:46.20 ID:JwxkAHJh0
どんなネタになるやら…

想像つかんな
199 : ◆fz1M8ohQ8Y [saga]:2013/01/07(月) 20:06:35.01 ID:rAazwOfC0







ゴォォォォォォオオオオオオオオオッ…………



麦野「酷い……何でこんなことに……」



ゴォォォォォォオオオオオオオオオッ…………




あちこちから火の手が上がっている街を見て、麦野が落胆する。



やっと街へと自由に出られるようになったのに……
つい朝までは希望に満ち溢れていた麦野の心に絶望がにじみ出てくる。




母「立ち止まっている暇は無いわよ沈利ちゃん!!走って!!」ダッ!!



麦野母が麦野の手を掴み、二人は燃え盛る街の中を走っていく。

途中、あちこちに街の住民が倒れていたが、麦野母は脇目も振らずに麦野を引っ張り走っていく。
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 20:14:50.53 ID:rAazwOfC0
ダンッ!!!



「グルァァァァァァアアアアッ!!!!!」



火の手の上がる民家の屋根のあちこちに、魔物の姿が現れる。



麦野「こんなにいっぱい……」


母「急いで沈利ちゃん!!」



走る麦野親子に、魔物達が気づく。


ダンッ!!

ダンッ!!



そして、次々と魔物達が飛びかかって行く。

201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 20:23:16.26 ID:rAazwOfC0
麦野「くっ!!ママ!!このまま走り続けて!!」キュゥゥゥゥゥウウウンッ!!



バシュウッ!!

バシュウッ!!



「ギャアアアアッ!!!!!」





走りながら狙いを定め、魔物へと原子崩しが放たれる。
その閃光の槍は、魔物の身体を容易く消滅させる。



しかし、魔物の数が多く、その全てを消滅させることはできない。


魔物の群れは、多方向から麦野親子へと迫り来る。
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 21:27:04.91 ID:rAazwOfC0
麦野「駄目……仕留めきれない……」



母「沈利ちゃんっ!!!」ガバッ!!



麦野母が麦野の身体に覆い被さる。何としてもこの子だけは……






「御二方、そのまま伏せているのである!!!」ブンッ!!!





グシャァァァァァァァアアアアッ!!!!!





疾風と共に、叩き潰すような轟音が辺りに響き渡る。
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 21:28:00.33 ID:rAazwOfC0
ゴォォォォォォオオオオオオオオオッ…………





母「あ、貴方は……無事だったのですね……」



麦野「う、ウィリアムさん……」





アックア「遅れて申し訳ない。私の力では、この魔物達から街を守り抜くことができなかった……。
せめて、貴女達だけでも、私が守り抜いて見せるのである」





燃え盛る街の中で、身の丈ほどの大剣を片手で握りしめ、魔物の群れを一刀の元に粉砕したアックアが、麦野親子の目の前に現れる。
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 21:31:06.91 ID:rAazwOfC0
麦野「ウィリアムさん!!どこいってたのよ!!」



アックア「すまないのである。パーティの最中、何やら不穏な気配を感じたのでな。
よもやと思い、様子を見に行ってみればこの様だ」




母「貴方ほどの戦士がいても、太刀打ちできなかったのですか?」



麦野「そうよ!!ウィリアムさん、今魔物をバッサリと倒したじゃない!!」



アックア「あのような魔物はただの雑兵である。
……この街を、たった一匹で火の海に変えた魔物がいるのだ沈利嬢」




麦野「たった一匹……たった一匹にこの街はこんな風にされちゃったの!?一体どんな」
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 21:34:59.25 ID:rAazwOfC0
カッ!!!



ドゴォォォォォオオオオオッ!!!!!

ドゴォォォォォオオオオオッ!!!!!



突如、橙色の閃光と共に、天まで届くような火柱が、何本も発生する。





麦野「!?な、何よあの火柱……尋常じゃない数よ!?」



アックア「来たであるな……奥方、沈利嬢、早くこの街を去るがいい。
ヤツ相手では、私自身が危うい。貴女達を守る余裕などないのである!!」
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 21:35:48.52 ID:rAazwOfC0
ドゴォォォォォオオオオオッ!!!!!

ドゴォォォォォオオオオオッ!!!!!




新たに発生した火柱が、どんどん麦野達のいる場所へと近づいてくる。




母「行くわよ沈利ちゃん!!」グイッ!!


麦野「そんな!?ウィリアムさんを一人にして、もし死んじゃったら」


母「私達がいたところで、何も変わらないことくらいわかるでしょ!!」





アックア「奥方の言うとおりである。今の貴女では、私にとって枷にしかならん。
早々にここより立ち去るがいい」
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 21:38:10.05 ID:rAazwOfC0
麦野「そんな……ウィリアムさん……」



アックアは、麦野に背を向けたまま、別れを告げる。


こうするしか方法はないのだ。


この状況で、あの二人が生き延びる為にはこうするしか……




麦野「ウィリアムさ」



アックア「早く行けっ!!!!!邪魔だと言っているのがわからぬか!?」


麦野「!?」ビクゥッ!!



アックアが麦野へと怒声を浴びせる。



麦野「…………わかった……もうウィリアムさんなんて知らない!!!!!」ダッ!!!




麦野は麦野母と共に、街の出口へと再び走り出す。
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 21:40:33.81 ID:rAazwOfC0
アックア「……子供に嫌われると言うのは、何とも後味の悪いモノであるな……。
沈利嬢。貴女と過ごした日々、さほど悪いモノではなかったぞ」チャキッ!!


アックアが大剣を構える。



ドゴォォォォォオオオオオッ!!!

ドゴォォォォォオオオオオッ!!!

ドゴォォォォォオオオオオッ!!!



火柱が、すぐ側まで近づいている。

それと同時に、とてつもない熱気に満ちた魔力が、辺りの空間を覆い尽くす。



アックア「さて……ここは通さんぞ魔物よ。聖人ウィリアム・オルウェルの力、思い知るがよいのである!!」


『グルァァァァァァアアアアッ!!!!!』ブンッ!!!



火柱から、巨大な魔物の姿が現れ、その爪がアックアの大剣と混じり合う。






辺りに衝撃が走った。
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 22:06:50.45 ID:rAazwOfC0
街の外




麦野「ハァッ、ハァッ…………」



母「ハァッ、ハァッ……何とかここまで逃げてこれたわね……大丈夫?沈利ちゃん」



麦野「うん、大丈夫……だけどおじぃやウィリアムさんが……」




脱出してきた燃え盛る街を遠目で見ながら、麦野は街で闘っているであろう老執事とアックアを思う。




街の至る所から、先程見た火柱が再び発生しているのがわかる。

少なくとも、楽に勝てる相手とは到底思えない。
たとえ、アックアと老執事が合流し、二人掛かりで戦ったとしてもだ。




母「待ちましょう、沈利ちゃん……私達にできるのは、彼等が無事でいることを祈るだけなのよ」



麦野「おじぃ……ウィリアムさん……」
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 22:08:44.12 ID:rAazwOfC0





ガキィィィィィィイイインッ!!!!!




アックア「グッ……硬いであるな……一体どんな装甲なのだ?」



アックアの大剣が魔物の表面を覆う、鎧のような硬い装甲に阻まれ、弾かれる。








目の前の魔物は、一言で言うのならば竜人と言えるものであった。


竜のような体躯と、黒い皮膚に白い鎧を纏ったような体表。
そして、頑丈な籠手をつけたような形状の左腕を持つ魔物。


更に、しなやかな体術、その身に纏う炎を籠手に纏わせ、武器状に変形させるなど、人間を思わせる動きが目に付く。
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 22:10:46.31 ID:rAazwOfC0
その正体は、力のある高名な戦士が魔物と争い命を落とし、その身と魂に毒のように魔物の力を宿らせ、強力な魔物として生まれ変わった魔物の一種『ハンニバル』(GEB)と呼ばれる魔物であった。



その獰猛な獣を思わせる風貌からは、元人間であると言う面影は全く感じられない。






ハンニバル「グルルルルルッ…………」


アックア「手のつけられぬ獣のようであるな……このような魔物がいたとは世界は広い」




常に殺気を放つハンニバルと対峙するアックアに緊張が走る。
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 22:13:01.79 ID:rAazwOfC0
ハンニバル「スゥゥゥゥウウッ……」ググググッ……



アックア「ッ!?」ダンッ!!



ハンニバルが、ゆっくりと大きく息を吸い込む動作を行う。
それと同時に、アックアはその場を素早く離れ、空中へと飛び上がる。



ハンニバル「バァァァァァアアッ!!!!!」ゴォォォォォォォオオオオオオッ!!!!!




次の瞬間、ハンニバルの口から、灼熱の炎が吐き出される。
その炎は、瞬く間に街を包みこんでいった。
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 22:14:26.18 ID:rAazwOfC0
アックア「くっ……どれだけの魔力を内に蓄えているのだこの魔物は!!」ジャキッ!!



空中に飛び上がったアックアが、灼熱の炎によって炎に包まれた街を、大剣を構えて見下ろす。



炎の中心でアックアを見上げるハンニバルが、自身の左腕の籠手に、炎を集中させ、炎の大剣を形作る。





アックア「互いの得物は剣であるか……一つここらで決着をつけようではないか!!」ダンッ!!




空中に作り上げた魔法陣を足場に、アックアが地上のハンニバルへと、空から迫り来る。



ハンニバルは、左腕に作り上げた炎の大剣を、空から迫るアックアへと振るう。







両者の大剣が、交差する。
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 22:30:43.88 ID:rAazwOfC0
ォォォォォォォオオオオオオオッ…………





ハンニバル「ガッ……」グラァッ……



ドサァッ!!!




ハンニバルの纏っていた炎が消え、その場に倒れこむ。
その胸には、アックアの大剣による大きな傷が刻まれている。






ブシュウッ!!!


アックア「グッ……やはり無傷では済まなかったか」ドクドクドクッ……



ハンニバルの炎の大剣を受けたアックアの右腕から、血が吹き出し流れていく。



アックア「しばらく使えそうにないであるな……右腕一本でこのレベルの魔物を倒せたと思えば安いものであるが……いささか不便なものである」ザッ、ザッ



負傷した右腕を庇いながら、アックアは街の外へ向かった麦野親子の元へと足を進める。
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 22:31:37.94 ID:rAazwOfC0
ハンニバル「……」ユラァッ……




その背後では、アックアにより絶命したハズのハンニバルが、ゆっくりと立ち上がろうとしていた。







アックア「あの二人は無事なのであろうか……とにかく、早く合流しなければ……」ザッ、ザッ、ザッ





アックアは背後のハンニバルに気付かない。
そしてハンニバルは、ゆっくりとその爪をアックアへと振るおうとしている。





ハンニバル「グルァァァァァァアアアアッ!!!!!」ブンッ!!!!!


アックア「なっ!?」バッ!!



ハンニバルの咆哮を聞き、アックアが後ろを振り向く。







ズシュウッ!!!!!!!
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 22:32:58.26 ID:rAazwOfC0
ハンニバル「…………」グラァッ…………




ズシャァァァァァァアアアッ!!!!!




ハンニバルが、爪を振り上げたままその場に倒れこみ、今度こそ絶命する。




その大きな身体の至る所には、無数の短剣が突き刺さっている。







アックア「…………貴方は……無事であったか……」





老執事「ウィリアム様もよくぞ御無事で……」




振り向いたアックアの目の前には、老執事の姿があった。
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 22:34:38.62 ID:rAazwOfC0
街の外




麦野「火柱や攻撃音が止んだ……一体どうなったのかしら?」



街の外で、母親と共に隠れていた麦野が、街の方が静かになった事に気づき、様子を伺っている。




麦野母「沈利ちゃん!!まだ隠れてないと駄目よ!!」



麦野「だって!!急に静かになったんだもん!!皆がどうなったのか気になるでしょ!?」ダッ!!



母「沈利ちゃん!!ダメ!!!」



麦野母の静止を振り切り、麦野が街の様子を見に行く。
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 22:36:16.60 ID:rAazwOfC0
「お嬢様!!御無事でしたか!!」




その瞬間、聞き慣れた声が、麦野親子の近くから聞こえてきた。




麦野「その声は……メイドさん!!無事だったの!?」



母「…………え?」



メイド「あぁ!!やっぱりお嬢様!!よくぞ御無事で!!奥様は御無事ですか?」






麦野に声を掛けたのは、屋敷でテッラに刺されたと聞いていた、メイドであった。
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 22:37:40.60 ID:rAazwOfC0
麦野「うん!!ママも一緒にここまで逃げてきたの!!メイドさん、刺されたって聞いたけど、大丈夫なの!?」




メイド「えぇ、老執事さんが早めに手当てしてくれたお陰で、何とか無事に。それで、奥様はどこに?」キョロキョロ





麦野「ママなら向こうで隠れて……あ、ママ!!」ブンブンッ!!




麦野は、自分を追いかけて来た母親を見つけ、手を振る。








しかし、麦野母の顔色は、青ざめている。





母「沈利ちゃん!!!その人から離れなさい!!早くっ!!」
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 22:38:55.09 ID:rAazwOfC0
麦野「へっ?」








ヒュンッ!!!


グサァッ!!!!!




次の瞬間、麦野母の胸元に、メイドから短剣が投げつけられる。






母「あ……し、沈利……ちゃん……」グラァッ……



ドサァッ!!!!!




そのまま、麦野母はその場に倒れこんでしまった。
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 22:40:53.15 ID:rAazwOfC0
麦野「…………ママ?」






麦野には、今何が起こったのか全く理解できていない。



何故、自分の母は倒れている?



何故、メイドは母に短剣を投げつけた?




麦野がゆっくりとメイドの方へと顔を振り向かせる。











テッラ「さぁ……それでは、一緒に街へと戻りましょうかねー。お嬢様……」ニィィィィッ……




そこには、メイドの姿は無く、全身を緑の服装に包んだ金髪の病弱そうで、凶悪な笑みの表情を浮かべる男の姿があった。
222 : ◆fz1M8ohQ8Y [saga]:2013/01/07(月) 22:47:52.15 ID:rAazwOfC0
投下終了です。



新年一発目でしたー。


とりあえず、ゴッドイーターバーストから、ハンニバル参戦&即退場です。


まぁ、本編でガッツリ出す予定ですけどね。


この辺は、本編の浜面勇者2章後半にもかなり繋がりがでてくるので、できればこのやり取りは覚えててください。
大分先の話になりますが。


それではまたある程度書き溜めてから投下しますので、次回までおやすみなさい。



>>198
思いついたネタは、今回ラストのメイドに顔も声も記憶も成りすましたテッラです。
流石にシリアスモードでテッラの顔でメイドの格好はちょっと……www
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 23:25:52.68 ID:K0OEe9ZY0


アックアさんと麦野母のアバンチュールが…

224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 09:17:20.24 ID:IplTWA50o
乙でした

一旦顔だけ戻ればよかったのに
いや、よくないけど
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 17:32:45.13 ID:6P0BLFSZ0
226 : ◆fz1M8ohQ8Y [saga]:2013/01/09(水) 10:09:21.45 ID:y/r/EXz90
業務連絡です。


今日の夜8時くらいから、麦野勇者、テッラ襲撃編を完結まで行きたいと思います。


本編の浜面勇者の方にも関わってきますので、本編見てる方もこっちに目を通していただいていると、話がわかりやすくなるかもしれんとです。



>>223
まだ諦めるには早すぎる……

>>224
いや、そこは駄目でしょうwww

>>225
ありがとうございます!!!!!


それでは、また夜に!!
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 15:28:59.05 ID:ya3RW88e0
報告乙です!
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 16:43:16.03 ID:iE5JufM40
まさかGEからくるとは

さぁ、次はカリギュラだ
229 : ◆fz1M8ohQ8Y [saga]:2013/01/09(水) 20:04:27.36 ID:y/r/EXz90




老執事「それにしても危ないところでございましたな、ウィリアム様。
どうやらこの魔物がこの街を火の海に包んだ張本人のようですな」




アックア「あぁ……凄まじい強さであった。鋼のような装甲に、竜のような灼熱の炎。
極め付けは、動きや戦い方が、どうも人間を模倣したようなものであったので、非常に厄介な相手だったのだ」




そう言って、アックアは側で絶命しているハンニバルへと、視線を向ける。
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 20:11:08.72 ID:y/r/EXz90
アックア「なっ!?」



老執事「おや……これは一体どう言うことですかな?」




その先に、アックアと戦っていた『ハンニバル』の姿は無かった。




アックア「何なのだ……あの魔物の死体はどこへいった!?この人間は一体誰なのだ!!」






代わりに横たわっていたのは、頑丈な鎧に身を包み、左腕を大きく負傷した後のある、戦士の格好をした人間の死体であった。
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 20:12:40.89 ID:y/r/EXz90
老執事「先程の魔物はどこへ……いや、もしやこの死体がさっきの魔物の本体だったと言うのでしょうか?

だとしたら、この死体はアレイスター側の人間なのか、それともまた別の……」






ドクンッ!!!


アックア「…………っ!?グッ!!ガァァァアアッ!!!!!!!」



突如、アックアがハンニバルとの戦いによって、負傷した右腕を抑え、苦しみだした。




老執事「!?ウィリアム様!!どうなされた!?」


アックア「ウグァァァァァァァアアアアッ!!!!!!」ブシュゥゥゥウウウッ!!!!!



苦しむアックアの右腕の傷口から、ドス黒い血が流れていく。
明らかに、人間の血の色ではない。
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 20:14:49.56 ID:y/r/EXz90
老執事「まさか……先程の魔物と、残された人間の死体……そして、負傷したウィリアム様のこの現状……ここから考えられることは…………」






「おやおやー。やはりハンニバルはやられてしまったようですねー。
しかし、そちらの方……どうやらハンニバルの怨念や魂が、傷口から感染してしまったようですねー」




老執事達の背後、街の出口側から、聞き覚えのある口調の声が聞こえてくる。
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 20:18:26.57 ID:y/r/EXz90
老執事「貴方は……何故です?確実に仕留めたハズなのに……」




老執事が目を丸くして驚く。



そこには、自分が先程、五体を引き裂き、更にトドメを確実に刺した男の姿があった。




テッラ「生憎私はアレイスター様に祝福された魔人でしてねー。まぁ、そちらの教義で言う聖人と言うものみたいなものですねー。

私の身体が滅びようと、私の半径500m以内に、損傷の少なく、腐敗していない死体があれば、そちらに。

無ければ、この世界の何処かの死体へとランダムに転生されるのですねー。
私はこの能力を、『神の薬』と称してますがねー」
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 20:20:03.22 ID:y/r/EXz90
老執事「なるほど……と言うことは、その身体は、側にあったメイドさんの死体を使って転生したと。

……死者の身体を用いるとはなんたる罰当たりな……」




テッラ「何を言っているんですかねー?所詮、死体は死体。魂の抜けた肉塊なんかに価値はありませんねー。

せめて、私の命を繋げる糧となるのならば、それ以上に価値のあるモノはありませんねー」




老執事「そうですか……それでは、もう転生したく無くなるほどに苦痛を与えて差し上げましょうか!?」ジャキッ!!!



老執事が、どこからか短剣を取り出し、構える。
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 20:22:35.46 ID:y/r/EXz90
テッラ「おやおや。それは少し遠慮したいですねー。
それでは、こちらを見ていただきましょうかねー」スッ……




テッラは身体をずらし、背後に隠していたモノを老執事へと見せつける。





老執事「なっ!?…………お嬢様……」



麦野「おじぃ……ごめんなさい……私のせいでママが……」




そこには、首元をテッラに短剣で今にもかっ切られそうになっている、麦野沈利の姿があった。
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 20:25:04.07 ID:y/r/EXz90
アックア「ガッ……アァ…………し、沈利嬢……」



魔物の魂に、身体を侵されながらもアックアが麦野へと視線を向ける。

既に、傷口の右腕は人間の姿を留めていない。
ハンニバルの黒い皮膚に白い装甲とは違い、アックアの右腕には、黒い皮膚に青い氷のような装甲が作られている。


このままでは、魔物の魂に、毒のように蝕まれ、意識を乗っ取られるであろう。




アックア「仕方ない……気は進まぬが、このまま何もせずに魔物に成り果てるよりはマシである」コォォォォォオオッ……


アックアが、ゆっくりと魔力を溜め、己に宿った力を解放していく。
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 20:38:07.11 ID:y/r/EXz90
テッラ「フフフ……さぁ、どうしますかねー、ご老人。貴方の守るべき少女は、私の手の内です。

この少女を貴方の目の前で無惨に切り裂かれたくなければ、自らの罪を償う為に、自らの心臓をその短剣で突き刺すのですねー」




テッラは、麦野に短剣を突きつけながら、老執事を牽制する。




麦野「おじぃ……ごめんなさい、おじぃ……」ポロポロッ……



老執事「……泣いてはいけませんよ、お嬢様。淑女たるもの、そう軽々しく人に涙を見せてはいけません」



麦野「だって……だってママが……ウィリアムさんが……おじぃがぁ……」ヒグッ……グスッ……
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 20:39:32.60 ID:y/r/EXz90
老執事「心配入りませんよ、お嬢様。そのままゆっくりと目をお閉じください。

10数える間に、全て終わりますから……私が終わらせて見せます」




麦野「やだ……死んじゃヤダァッ……おじぃ……」




テッラ「さぁ、贖罪の時がやってきましたねー。
アレイスター様に従わなかった現世の自分を捨て、あの世でアレイスター様を讃え、祈り続けるのですねー。

……ちなみに、少しでも妙な動きをすれば、すかさずこの少女の目は、えぐり出させていただきますねー」ニィィィィ……




テッラは、麦野の右目に短剣を近づける。
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 20:41:51.61 ID:y/r/EXz90
老執事「…………」スゥッ……



老執事がゆっくりと地面に膝を着き、自分の胸に向けて短剣を構える。



老執事「それではお嬢様……ほんの一時のお別れでございます。目をお閉じください」ニコッ





麦野「おじぃ……おじぃぃぃぃぃぃぃいいいいっ!!!!!」ポロポロッ……




テッラ「そう……これは一時の別れ……心配せずとも、貴方もすぐにあのご老人の後を追うのですから、悲しむことはありませんねー。
ゆっくりと、身体中を切り刻んでから、ご老人のところへ送ってあげますからねー」ニィィィィッ……




テッラは歪な笑みを浮かべる。
最初から、誰一人生かしておくつもりは、この男には毛頭も無いのだ。


















老執事「残念ですがテッラ様…………貴方にそのような『時間』は、この私が与えません」
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 20:45:12.18 ID:y/r/EXz90
麦野「おじぃぃぃぃぃ……い?」




麦野が何やら異変に気づく。

いつの間にか、自分の目の前にあったテッラの短剣が、目の前から消えているのだ。


更に、先程まで膝をついていたハズの老執事が、いつの間にか立ち上がっている。






テッラ「バ……バガナ……ィッダイナニガァ……」ボタボタボタッ……



麦野を捕らえているテッラの声が聞こえる。


何やらとても苦しそうな声であるが……麦野はその声の方向へと顔を向けようとする。
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 20:47:58.61 ID:y/r/EXz90
老執事「お嬢様!!私は目をお閉じくださいと申し上げました。
どうか、今しばらくそのままお待ちを……」



老執事の声に驚き、麦野はそのまま目を閉じ、じっとしていた。




今のテッラを、老執事はどうしても見せたくはなかった。








テッラが短剣を握っていた右手は、腕ごと斬り取られ、その腕は、短剣を握ったまま、テッラの喉元へと突き刺さっていた。


一体何がどうなればこの様になるのか……テッラは訳のわからぬまま、そのままその場に膝をつき、絶命した。
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 20:49:29.68 ID:y/r/EXz90
アックア「……老執事殿…………貴方の能力はまさか時を……」




いつの間にか、魔物の浸食を克服したアックアが立ち上がり、老執事に問いかける。


老執事はゆっくりと、口に指を近づけ、静かにとサインを送る。





老執事「そこから先は、他言無用でございます、ウィリアム様……誰に聞かれているかもわかりませんので……。

それよりも、ウィリアム様。お身体はもう大丈夫なのですか?」
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 20:55:20.11 ID:y/r/EXz90
アックア「あぁ……私の聖人としての力で魔物の力を歪めることで、何とか魔物に意識を取られるのは防ぐことができたのである。

しかし、もはやこの身、人間とは言えないであるな……神の力と、魔物の力が一緒に宿るとは……。

聖人の力のお陰とはいえ、この世の摂理を大きく捻じ曲げてしまっているのである」


アックアの変化していた右腕は、元の人間の腕へと姿を戻していた。





老執事「ホッ、ホッ、ホッ。人間離れしているのはお互い様ですなぁ」
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 20:56:33.83 ID:y/r/EXz90
老執事「さてお嬢様……そのまま下を見らずにこちらへと歩いてきてください。
大丈夫、もう魔物や悪人はいませんよ」ニコッ




麦野の目の前には、優しい老執事の笑顔があった。




麦野「お……おじぃぃぃぃぃぃぃいいいいいっ!!!!!」ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ガバァッ!!!!!





麦野は全力で、老執事へと走り、抱きつく。



麦野「おじぃぃぃぃぃぃぃいいいいいっ!!!!!」ビェー!!!!



老執事「ホッ、ホッ、ホッ。この老体には、お嬢様の泣き声と抱擁は堪えますなぁ」
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 20:59:04.94 ID:y/r/EXz90
麦野「だって!!!だっておじぃが死んじゃうかもしれないと思ったんだもん!!!!」ビェー!!!!!





老執事「ホッ、ホッ、ホッ。私は死んだり致しませんよお嬢様。貴女の成長を見届けるまではね。……!?」



老執事の顔色が、一瞬だけ変わる。



アックア「!?」ピクッ……


アックアも何か異変に気がついたようだ。






ボキッ……ゴキッ……
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 21:01:11.61 ID:y/r/EXz90
老執事「ふぅ……さて、お嬢様。これから言うことをよくお聞きください。いいですね?」




麦野「ヒグッ、グスッ、え?」




老執事の顔は笑っている。

しかし、麦野は何か違和感を感じていた。




老執事「もしかしたら、奥様はまだ生きておられるかもしれません。

貴女は、これからウィリアム様と共に、奥様の元へと行き、奥様を助けてあげてください。いいですね?」



アックア「…………」
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 21:03:59.59 ID:y/r/EXz90
麦野「ママは無事なの!?わかった!!行ってみる!!……ん?おじぃはどうするの?」




老執事「…………私はまだするべきことがありますゆえ、一時のお別れになります。
…………大丈夫。また直ぐに会えますよ」ニコッ




老執事が麦野に優しく微笑む。


やはり、何か違和感がある。




麦野「…………おじぃ?」




アックア「……さ、行くぞ沈利嬢。命あるのならば、貴女の母を助けなければならん」
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 21:06:15.23 ID:y/r/EXz90
麦野「ちょ、ちょっと待って!!おじぃ!?何か変だよおじぃ!?」




老執事「あぁ……あと一つ。重要なことを忘れていました。
お嬢様、これが私が貴女に教える最後の教えです」





麦野「最後って……」





老執事「貴女はとても優しい子です。皆を癒してくれるとても優しい子。
ですが、今日わかったハズです。貴女の進もうとしている道は、まさしく修羅の道。

今この世界を生き抜く為には、時に心を鬼と化す必要があります。
躊躇うこと無く相手にトドメを刺す鬼の心が。

優しさと甘さを一緒にしないよう……ゆめゆめお忘れ無く」
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 21:10:24.91 ID:y/r/EXz90
麦野「やだ……やだよおじぃ!!!そんなお別れみたいな事言わないで!!!死んじゃヤダよおじぃ!!!」




老執事「言ったでしょう……私は死にませんよ。貴女の成長を見届けるまでは……。
さぁ、しばしのお別れです。ウィリアム様、あとはよろしくお願いします」





アックア「心得たのである!!!」ガシッ!!



麦野「やだ!!!離してウィリアムさん!!!おじぃが居なくなっちゃう!!!そんなのヤダァァァァアアアッ!!!!!」


ダンッ!!!!!




アックアは、麦野を抱え、麦野母が倒れている場所へと飛び立った。
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 21:12:31.72 ID:y/r/EXz90
ゴキッ!!ゴキゴキッ!!!!メキィッ!!!!バキゴキゴキッ!!!!




突如、ハンニバルの元になっていた死体が、めちゃくちゃな音をあげながら、変形していく。




老執事「なるほど……このようにして、転生していくのですね……何とも気持ちの悪い」




テッラ「ふぅ……一体何が起こったのやら……わかりませんねー、貴方の力」スゥッ……



老執事「そう簡単にタネを見破られては、面白くはありませんから」
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 21:14:25.41 ID:y/r/EXz90
テッラ「んー、気になりますねー。でもまぁ、私は基本的に不死身ですからねー。

何度貴方に殺されようと、必ずどこかで蘇り、貴方やあの少女を葬ってみせますねー。

そして、私は今、ハンニバルの力をも得たんですねー。
貴方が私を倒せば倒すほど、私はどんどん強くなるんですねー」





老執事「ふむ……つまり、それが貴方が強い勇者や戦士を狙う理由ですか。

主であるアレイスターの為とは建前。

強者を倒し、その死体を乗っ取り、力を吸収することで、自身の力を増す為ですね?」
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 21:16:34.29 ID:y/r/EXz90
テッラ「…………何のことだかさっぱりわかりませんねー。
さ、早く始めましょう。時間を無駄にはしたくありませんからねー」





老執事「…………大丈夫ですよ。無駄にするも何も、しばらく貴方の歩む時は一旦停止するのですか……私と共にね……」コォォォォォオオッ……





老執事の魔力がどんどん解放されていく。


それと共に、街全体が何やら異様な雰囲気に包まれていく。
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 21:18:30.71 ID:y/r/EXz90
テッラ「!?何ですかねー?周囲の光景がどんどん遅くなっているように見えますねー!?」キョロキョロッ





テッラは周りをキョロキョロと見渡す。


燃え盛る炎も。


崩れ落ちる瓦礫も。


そして自身の動きも。


その全てがスローに見える。







テッラ「ま…さ…か………あ…な…た……の……力……と……言……う…………の………は……………」




老執事の耳には、余りにスロー過ぎて、テッラが何を言っているのかイマイチわからない。
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 21:20:14.91 ID:y/r/EXz90
老執事「私の力……それは単純なものですよ。時間の流れを加速、減速、停止させる力。


その力で、この街全体を包み込みました。殺しても蘇るのであれば、殺さずに封じればよいだけのこと。

これで貴方は、私の魔力が尽きぬ限り、他の人間を襲うことも出来ませんし、転生することもできません。


そして、これから私自身の時も止めてしまいますので、私の魔力が尽きることもありません。

全てはお嬢様を貴方から守るため……その為ならば、喜んで身を差し出しましょう……」





老執事の身体も徐々に時間停止の影響を受けていく。
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 21:22:59.35 ID:y/r/EXz90
老執事「この街も、風化すること無く、いつまでも残ることになるでしょう。
お嬢様が戻ってこられた時に、麦野家をすぐにでも継げるように。


それでは…しばしのお別れ…ですお嬢様。願わ……くば……」




老執事の言葉がゆっくりになっていく。


この力が解ける時。


それは、老執事やテッラにとっては瞬きほどの瞬間であるが、その時まで世界の時間は、確実に進んでいる。




もしかしたら、世界が終わる瞬間まで解けないかもしれない。
そう考えつつも、老執事の願いは、ただ一つであった。
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/09(水) 21:24:50.16 ID:y/r/EXz90









『願わくば、成長した沈利お嬢様と、その世継ぎの子を一目、拝見致したいものですなぁ』












そして、街やテッラ、そして老執事の時間は、完全に世界から切り離された。
257 : ◆fz1M8ohQ8Y [saga]:2013/01/09(水) 21:35:42.42 ID:y/r/EXz90
投下終了です。



外伝での、おじぃの最後でした。



正直、おじぃは死ぬ予定でしたが、共に封印という形に落ち着きました。



それでは、次回はエピローグをお送りいたします。




>>228
カリギュラとは中々わかってる方ですねぇ……既に伏線は張っておきましたw

258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 21:38:18.88 ID:RMmIHLmr0

おじぃ・・・
復活するよな?
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 21:57:01.77 ID:Eakz5bbb0


おじぃが浜面に説教する未来が
みえるぜぃ

ってかそうあって欲しいな

260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 22:16:01.26 ID:ya3RW88e0

おじいかっけぇ
261 : ◆fz1M8ohQ8Y [saga]:2013/01/10(木) 18:12:56.91 ID:PYKeF09l0
こんばんわ、1です。


今日はおじぃ退場後のエピローグをお送りします。

この投下の終了後、本編の浜面勇者の久々の投下を行いたいと思いますので、向こうの方もお楽しみください。



>>258
どうなるんでしょうねー……1もぶっちゃけ考えてません。

>>259
再会した麦野の隣には、浜面と浜面との子供がいるわけですねわかります。


>>260
オリキャラですけど受け入れられてよかったです。
まぁ、本編もキャラの原形無くなってきてますけどw
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/10(木) 18:19:22.39 ID:PYKeF09l0
街の外





母「うぅ……」



アックア「……よし、応急処置と、ある程度の治療は済んだ。
あとは医者に見せて安静にしておけば、回復するであろう」



麦野「ママ……よかった……」グスッ




テッラに刺された麦野母は、投擲による攻撃だった為か、かろうじて一命を取り留めていた。




麦野「!?そうだ!!ママが無事だったんだから、早くおじぃのところに!!!」バッ!!!




麦野が、街の方向へと再び走って戻っていく。
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/10(木) 18:22:24.68 ID:PYKeF09l0
街の入口付近




麦野「なに……これ……?」




街の入口から、街の様子を見た麦野は愕然とする。




街の中のモノ、全てが止まって見えるのだ。



燃え盛る炎も。



落下しようと宙に舞う瓦礫も。



砂ぼこりも。風に舞う落ち葉も。何もかも。





麦野「おじぃ……おじぃはどこ!?」ダッ、ダッ、ダッ




麦野は街の中へ入り、探索を始める。
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/10(木) 18:30:38.21 ID:PYKeF09l0
麦野「おじぃ……何で動かないの?死んじゃったの?」




しばらくして、麦野は、街の中心で老執事の姿を見つける。



しかし、老執事は目の前の麦野に何の反応もない。



麦野が揺さぶろうとしても、ピクリとも動かない。



まさに、街の中は、時が止まったように、動くものは麦野以外、何ひとつとして存在しなかった。






アックア「これが老執事殿の力であるか……時を止める能力。何とも凄まじいものであるな……」




衰弱した麦野母を背負ったアックアが、麦野に追いついてきた。
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/10(木) 18:38:01.48 ID:PYKeF09l0
麦野「ウィリアムさん……おじぃは……おじぃは死んじゃったの?」



アックア「……死んではいないのである。彼は、自身の力で、この街の時を止め、自分ごとそのテッラという者をこの地に封印したのだ。

不死身のような能力を持つ者は、対処法がわからぬ限り、封印するしか策はないのだからな」




麦野「そんな……どうしておじぃがそんな力を……」




アックア「貴女も知らなかったのであるか……。
沈利嬢。彼の力はとてつもなく強大なモノである。
時を操作するなど、人間に許された力を凌駕したもの。
そんな力を持つ彼が、どうして貴方達に仕えていたのか……」
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/10(木) 18:40:07.39 ID:PYKeF09l0
麦野「そんなこと言われても……おじぃは、ママのママの代。
おばあちゃんの代から私の家に仕えているってママが……。ううん、それよりも前からって話も……」




アックア「そんな昔から……自身の能力で、生き永らえてきたのであろうか?
仕えている理由を聞いたことはないのであるか?」





麦野「……そう言えば、聞いたことあるかも」





『麦野家に仕えている理由?そうですな……強いて申し上げるのであれば……この家の方達が好きだからでございますかな?』ニコッ




アックア「そうであるか…………沈利嬢。彼の部屋に入ったことはあるか?」




麦野「んーん。おじぃは絶対に部屋には入れてくれなかったの」




アックア「ならば、行ってみるとしよう。彼の秘密が隠されているかもしれぬ」
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/10(木) 18:41:11.76 ID:PYKeF09l0
麦野家屋敷 老執事の部屋前






グッ、グッ!!



麦野「ダメ、開かないみたい……」



アックア「そうか……時が止まっているのであれば、ドアも動かせぬか……ここまで来る時は、門も開いていたからな……仕方ない」コォォォォォオオッ……




ガチャッ!!!

ギィィィィィィイイッ……




麦野「あれ?開いた!!何で!?」



アックア「私の能力で、時間停止の効力を、この部屋の分だけ歪めたのである」

268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/10(木) 18:42:19.37 ID:PYKeF09l0
麦野「ウィリアムさんの能力?ちょっとまって!?それならおじぃも元に戻せるんじゃ……」




アックア「可能だがそれは今やってはならぬ。
やればテッラも復活し、再び貴女はヤツに命を狙われることになる。
それは、老執事殿の決死の想いを無駄にすることになるのだぞ!?」




麦野「うぅ……だって……」




アックア「なぜあの方が、貴女や奥方を……麦野家を必死で守りつづけたのか……その答えがこの中にあるかもしれん。
自分の目でそれを確かめるのである!!沈利嬢」
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/10(木) 18:48:41.74 ID:PYKeF09l0
老執事の部屋





麦野「…………見事に何もない部屋ね……。
それなりに広い部屋なのに、ベットと、小さな衣装タンスしか置いていない。……ん?壁に肖像画がかかって……」




麦野が見つめる先には、古くは100年以上前に描かれた数枚の肖像画があった。



その中でも最も古い肖像画には、若い女性と男性。そして、その娘と思われる子供の姿が。



そしてタイトルには、こう書かれている。



『初代麦野家当主○○○、妻×××、娘△△△』




麦野「……………そういうことだったのね、おじぃ……いや、初代当主……曾々々お祖父様か……」



初代当主には老執事の名が。妻には、麦野が聞いていた初代当主の名が。
娘には、二代目当主の名が刻まれていた。
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/10(木) 18:50:15.03 ID:PYKeF09l0
麦野「本当は、自分が当主だったけど、時の流れを操る自分は、自分の子孫を守る為に奥さんに当主を譲って、自分は執事としてずっと子供や孫達を見守ってきたってことか……。

大体200年ちょいくらいになるのかなぁ?麦野家ができたのって……心配症なおじぃ様ねぇ」クスクスッ……





最も古く肖像画以降も、老執事の姿は描かれているが、そのどれもが執事としての立ち位置に収まっている。



そしてその顔は、どの肖像画を見ても、優しい顔を浮かべているように見えた。



その中で、麦野は最も新しく描かれた肖像画を手に取る。
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/10(木) 18:51:40.16 ID:PYKeF09l0
麦野「これがおじぃがこの家と私やママを命懸けで守る理由か……親馬鹿ジジ馬鹿ここに極まれりね……」




そういえば、ママも命懸けで自分の身を守ってくれていた。


どうやら麦野家の血は、しっかりと受け継がれているようである。






麦野「……でも、そろそろおじぃにも休ませてあげなきゃいけないわね……」




ガチャッ



バタンッ!!


麦野は部屋の外へと出る。











先ほど麦野が手に取った肖像画には、こんな文が添えられていた。












『全ての人に愛されるよう、願いを込めて』


肖像画のタイトルには、『麦野沈利 0歳』と記されていた。




272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/10(木) 18:56:36.89 ID:PYKeF09l0
麦野「ウィリアムさん……この部屋の時間停止の歪みを直してちょうだい……」



アックア「もういいのであるか?恐らく、この街の時を動かすまで、二度とこの部屋に入ることは出来ないのだが?」




麦野「うん……この部屋を、今の状態で保存しておいてほしいから……中のものが色褪せないようにね……」




アックア「その様子を見ると、彼がこの家にこだわる理由を見つけたようであるな……どうだ。何か思うことが?」
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/10(木) 19:05:55.48 ID:PYKeF09l0
麦野「うん……必ずおじぃは元に戻してみせるわ。そして、もう二度と能力を使わせない。

これ以上おじぃに心配事を増やさせない、平和な世界に私がしてみせるのよ!!
そして、最後には、おじぃに人並みの休息を与えてあげるの」




アックア「平和な世界か……ならば、アレイスターを倒すしか道はないな」




麦野「上等よ……私の前に立ちふさがるなら魔王だろうが何だろうが消しとばしてみせるわ!!
だって私はおじぃの弟子であり、曾々々孫なんだもの!!!」
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/10(木) 19:06:56.94 ID:PYKeF09l0
一ヶ月後




イギリス とある街




母「沈利ちゃん……いよいよ行くのね……」



麦野「うん……ママの怪我もよくなったし、体調もいいみたいだし。
ウィリアムさんや、ウィリアムさんの知り合いの人達の護衛もあるから魔物の心配もないしね」





アックア「奥方……心配なさるな。この子は立派に成長した。
きっと無事に旅を終え、老執事殿と共に帰ってくるさ」




母「そうは言っても不安なものは不安なのよね……」
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/10(木) 19:16:05.80 ID:PYKeF09l0
麦野「大丈夫だって!!ママはウィリアムさんと一緒にのんびりしててくれたらいいから!!
何なら妹か弟でも作ってくれてていいわよ?」ニタリ



ゴチンッ!!!



麦野「あだぁっ!!」



アックア「馬鹿なことを言ってないで、とっとと出発するのである。決心が鈍っても知らんぞ?」



麦野「いたたた……決心なんて鈍るわけないでしょう?必ず成し遂げてみせるわ!!」
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/10(木) 19:19:34.39 ID:PYKeF09l0
アックア「ふむ……まぁいいのだ。私ももう少し奥方の経過を見てから再び旅に出る。
次に会う時には、もっと成長している姿を見せてほしいものだな」




麦野「もしかしたらウィリアムさんを追い越しているかもねー。おっと、もうこんな時間。

じゃ、そろそろ出発するねー!!いってきます、ママ、ウィリアムさん!!」ダッ!!!






こうして、麦野沈利はアレイスターを倒す為に、イギリスを出発し、再び大陸へと戻る。




そして数ヶ月後、その年の冬に、彼女の人生を変える運命の少年との出会いが待ち受けていた。
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/10(木) 19:24:53.41 ID:PYKeF09l0
10年後……



時の止まった街







パキィィィィィィイイイイイッ!!!!!!!






突如、老執事の耳に何かが砕けたような音が鳴り響いた。





そして、辺りを見回し、先程までの変化にすぐさま気がつく。




空に太陽が登っている。


目の前には、いつの間にか見たことも無い人間達が十数人。



そして、その中に一際輝いて見える女性の姿があった。
その女性の目は、涙を浮かべながら、真っ直ぐ自分の顔を見つめている。




すぐに、老執事は事態を把握した。




そして、胸に手を当て、ゆっくりとその女性に向かって頭を下げ、こう告げる。























老執事「おかえりなさいませ、沈利お嬢様」
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/10(木) 19:34:59.88 ID:PYKeF09l0
投下終了です。




麦野8歳の秋編完結です。


ラストは一足先に、本編でいつか出るであろう場面を書いておきました。



残るエピソードは、浜面との出会いまでのお話だけです。



まぁ、しばらくはほったらかしの本編に専念したいので、引き続き本編をお楽しみください。
向こうは今日の21頃に、投下予定です。



279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/10(木) 19:41:18.14 ID:bAuDaF/F0


ウィリアムさん幼女虐待は
通報されますよ

ラストシーンいいねぇこれ
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/10(木) 19:41:43.37 ID:4MnOXs0No
乙でした

ラスト、涙出てきた
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/10(木) 19:44:28.21 ID:sV3tW3CY0
おじいかっこよすぎる
本編も楽しみにしてるよ!
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/10(木) 22:15:35.20 ID:ymYJQsQg0
カリギュラ伏線…あぁ、あれか。

そうなるとアックアチート級キャラな気が…
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/14(月) 00:27:55.19 ID:C81wh4ul0
テッラの転生が能力なら上条さんの右手で触れながらみんなでフルボッコすればいいよね?
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 14:08:00.63 ID:xLXWf9gB0
>>283
手を離したらすぐ復活するんじゃない?
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