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紅莉栖「ねえ岡部! なんで覚えてないの!?」 -
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1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/06(土) 20:16:05.31 ID:nSRKPhEB0
シュタゲSS、五作目になります。
五作全部見ている人は、感謝。そして、これからもよろしく。
※注意点。
アニメしか見ていない人は、所々理解できない点があると思います。
一応、アニメしか見ていなくても平気だとは思いますが、細かなネタバレも嫌!(人によっては大きなネタバレ) という人は原作をお先に。
原作プレイ済みだけどアニメを見ていない人は、平気です。
それと、矛盾や誤字脱字があったら指摘してもらえると嬉しいです。
基本的に20時〜23時の間に投下します。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1349522165
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
Twitter
]: ID:???
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】
ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。
諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/
少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/
渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/
二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/
佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/
全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/
君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/
笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2012/10/06(土) 20:16:43.50 ID:nSRKPhEB0
それは、存在していたかもしれない特殊な世界線での話―――
Steins;Gate
『歪曲のキャパシティー』
世界線変動率 0.523307%
3 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:18:09.19 ID:nSRKPhEB0
不可能なんてないのではないか―――。
あれほど不可能だと謳われてきたタイムマシンの存在。
勿論、私もそれは現実的に考えて不可能だと考えていた。
そんなトンデモ理論は、SFの世界だけで充分だ。
だから否定した。
絶対に不可能と。
けど、
それを否定するような声が上がった。
4 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:18:43.03 ID:nSRKPhEB0
私は一瞬、馬鹿にして、
次に興味を持った。
彼の言う事は、論法なんて破綻しているし、
かもしれない、かもしれない、かもしれない、ばかり。
議論にすらならなかった。
5 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:19:37.10 ID:nSRKPhEB0
だけど、あんなにも真面目な顔で、人々が不可能だと言ってきたタイムマシンが、
可能だと彼は言い切った。
いろんな偉い学者がいる中で、そんなことを言うなんて。
私に論破されても、不可能なんてありえない、と最後まで意思を曲げなかった。
興味を抱いた。
何も恐れずに、自信満々にはっきり言える彼に、
惹かれた。
6 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:20:11.08 ID:nSRKPhEB0
―――電話レンジ。
過去にメールを送信することのできる装置。
不可能だと言われていたタイムマシン。
電話レンジの存在を知って、
私は、不可能なんてないのではないか。
らしくないことを、考えていた。
7 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:20:53.74 ID:nSRKPhEB0
あいつは……、岡部は。
馬鹿で、厨二病で、なのに変なところは優しくて、仲間想いで……。
こんな私も受け入れてくれた。
決して口にはしないけど、岡部と……、ラボメンと過ごす日常はとても楽しかった。
――こんな日々が毎日続くのだろうか、アメリカに帰るのはもう少し先延ばしにしよう。
ある日を境に、日常は崩れた。
8 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:21:24.01 ID:nSRKPhEB0
いつもの厨二病と違う、真面目な岡部の声。
なのに、どこか弱々しくて、壊れてしまいそう。
岡部は、一瞬だけ言い淀んで、
――まゆりが……、死んでしまうんだ……。
9 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:22:00.09 ID:nSRKPhEB0
アトラクタフィールド理論。
世界の構造。
決定論。
経緯を変えても、結果を変える事はできない。
α世界線にいる限り、まゆりが死ぬよう因果は収束する。
10 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:22:28.23 ID:nSRKPhEB0
それを回避する為に、岡部は戦い続けてきた。
私の知らないところで。
まゆりを救うために、何度も何度もタイムリープを繰り返して。
そして今、自分の命の危険も顧みずに、岡部はまゆりを救うため行動している。
FBという人から携帯を奪って、桐生さん……ラウンダーにIBN5100を渡させないために。
11 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:22:59.37 ID:nSRKPhEB0
―――――
――
----2010年 8月15日 14時 15分 ----
紅莉栖「岡部。今すぐDメールを送るべきよ」
紅莉栖「今を逃すと、色々面倒な事になるかもしれないから」
紅莉栖「あんたの目的はまゆりを救うためであって、SERNへの復讐じゃないでしょ?」
岡部「……ああ、そうだな」
岡部「………」
岡部「ダルは、ラボにいると思うか?」
紅莉栖「電話してみる」
岡部「任せた」
12 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:23:30.33 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「……」ピピ
紅莉栖「……」プルルル
ダル『もしもし? どったん牧瀬氏。牧瀬氏が僕に電話かけてくるとか珍しすぎだろ』
紅莉栖「今どこにいる?」
ダル『ん? あー、丁度ラボに向かってるとこ。あと五分くらいで着くと思われ』
紅莉栖「あと五分くらいで着くって」
岡部「それまでは待つしかないか……」
13 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:24:16.50 ID:nSRKPhEB0
あの天王寺さんがラウンダーで、FBだったなんて。
とても信じられないけど、事実だろう。
……そのことを、綯ちゃんは知っているのかな。
あ……、そういえば。
紅莉栖「ねえ。さっき、天王寺さんの家での事だけど」
紅莉栖「私、外で見張ってて。それで、銃声が聞こえて」
紅莉栖「その、直後くらいに……、あの子の姿、見た……」
岡部「……あの子?」
紅莉栖「………」
紅莉栖「綯ちゃん」
紅莉栖「家の裏口から、走り去っていった……。呼びとめようとしたら、目があったわ」
14 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:24:58.34 ID:nSRKPhEB0
その直後、
ドアがノックされた。
岡部「――!?」
紅莉栖「――!?」
予想していた。
誰が来たか。このタイミングの良さは。
ありえないと思っても、頭のどこかではそうなのではないかという考えがあった。
ふらふらと桐生さんは歩いて、ドアノブを回した―――
そこには、
天王寺綯の姿が―――
15 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:25:26.69 ID:nSRKPhEB0
いつものような、純真な笑顔で、
綯ちゃんは、手に持った包丁を、桐生さんに突き刺した。
訳が分からない。
理解不能。
意味不明。
考えがまとまらない。
頭がおかしくなりそうだった。
16 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:26:02.52 ID:nSRKPhEB0
ただ、無邪気な笑い声が小さな部屋に響いて、
桐生さんは、血まみれになって、床に倒れ込んだ。
そして、
―――岡部倫太郎。
―――お前は、15年後に殺す。
子供の声とは思えない、冷たい声で言った。
私は……、私達は何も出来ずにその光景を見て、気がつけば笑い声と共に綯ちゃんの姿は消えていた。
17 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:26:33.10 ID:nSRKPhEB0
岡部「い、今のは……、なんだ? 悪魔……か、何か取り憑いていたのか……?」
岡部「いや……それよりも、萌郁が……」
紅莉栖「落ちつけ……!」
紅莉栖「桐生さんの容態を見て! 私は今すぐ救急車を……っ!」
待った。
私も落ち着いていない。
冷静に。パニックになったら駄目だ。
今この状況を変える事ができる……、そう。そうだ!
18 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:26:59.47 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「あ、待った……。待って……っ!」
紅莉栖「それより先に、Dメールを送ってしまった方がいいのかもしれない」
岡部「………」
岡部「……萌郁っ!」
岡部「おい、しっかりしろ……っ!」
……その姿を見て、
ああ、なんて馬鹿なヤツなんだろうって、
なんで、こんなに優しい岡部に、世界は優しくないんだろうって、
そう、思ってしまった。
19 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:27:43.13 ID:nSRKPhEB0
―――赦す。
―――赦すよ。
―――……お前を赦す。
紅莉栖「……岡部」
紅莉栖「電話レンジの準備ができたわ」
紅莉栖「Dメールを、送るべきだと思う」
岡部「……ああ、そうだな」
岡部「……変えないと、こんな世界線は……」
岡部「……」ピッ、ピッ
紅莉栖「……その内容で?」
岡部「ああ……、問題ないだろう」
岡部「FBからの指示なら、萌郁は黙って聞いてくれるはずだ……」
20 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:28:27.50 ID:nSRKPhEB0
内容は、
レトロPC捜索中止して待機絶対に動くな。
確かに、このメールを桐生さんが受け取れば、IBN5100を回収しない。
柳林神社にあったIBN5100は、必然的に岡部が見つけてくれる。
これなら、問題ない。
問題……、ない……。
……本当に?
どこか、見落としはないだろうか?
本当にその文章で良いのだろうか?
本当にいいの?
岡部、それで……いいの?
心の中の声は、岡部に届く訳もなく―――
メールは、送信された。
21 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:28:59.66 ID:nSRKPhEB0
0.523307% → ???????%
22 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:29:33.17 ID:nSRKPhEB0
激しい頭痛。
上下感覚が狂ったような錯覚。
宇宙空間に投げ出されたような気分。
自分という存在が、世界に否定されている。
それを必死にあがいて、
頭が痛い。
頭が、痛い。
焼けるように、無数の針が刺さったように、途轍もなく痛い!
23 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:30:01.51 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「―――っ!?」
紅莉栖「……はっ、ぁ。はぁ……ぁっ」
紅莉栖「……あ、……れ?」
紅莉栖「ここ、は……」
見慣れない部屋。
少し散らかっている部屋の布団の上で、私は寝ていたようだ。
……どうして?
24 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:30:47.88 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「(さっきまで、確かに桐生さんのアパートにいたはず……)」
紅莉栖「(岡部がDメールを送信して、……それで?)」
紅莉栖「痛っ……」
紅莉栖「(頭が痛むな……)」
紅莉栖「……それにしても、ほんと、どこよここ」
紅莉栖「(まさかあの瞬間、私は意識を失って……?)」
紅莉栖「(……待った)」
紅莉栖「(あの出来事を私が覚えているってことは、世界線が変わっていない?)」
紅莉栖「……そんな、はず」
25 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:31:26.00 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「け、携帯……」パカ
紅莉栖「(……8月15日、昼過ぎ…か)」
紅莉栖「……え?」
紅莉栖「(アパートで時間を確認した時は、確か三十分くらいだった)」
紅莉栖「(……あれから、五分も経っていない)」
紅莉栖「し、瞬間移動?」
そんなバカな。
いや、タイムマシンの存在が確定されている時点で、ありえない話ではないけど。
26 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:31:59.12 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「とにかく、ラボに行かないと」トタトタ
紅莉栖「(今は岡部に会いたい。会って、確かめないと)」
紅莉栖「(私が覚えている時点で、世界線は変動していない)」
紅莉栖「(――けど、桐生さんのアパートに一緒にいたはずだから、あの後どうなかったかは知っているはず)」
紅莉栖「なんで、私こんな所で寝てたのよ……」
??「ん? おお、紅莉栖ちゃん、だったか!?」
紅莉栖「ふぇっ!? あ、え、っと!」
紅莉栖「こ、断っておきますが怪しい者ではありませんので」
??「ん? それにしても、体調の方は大丈夫か?」
岡部パパ「岡部のヤツ、散々心配してたぞ」
27 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:32:46.73 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「……え?」
岡部パパ「にしても、こんな別嬪さんを、あのバカが連れてくるとはな!」
岡部パパ「ははは! 我が息子の将来有望!」
紅莉栖「は、はあ……」
紅莉栖「(岡部の、パパ……かな)」
紅莉栖「(……ん? だとしたら、ここは岡部の家で私は岡部の家で寝ていた訳でって寝ていた!?)」
岡部パパ「お、おい。顔赤いけど、また熱ぶり返したか? 体調悪いなら、休んでな」
岡部パパ「どうやら紅莉栖ちゃん、ホテルで暮らしてるんだったよな。そりゃ、風邪ひけば寂しいもんだ」
岡部パパ「うちの唐変木が世話になってるよ」
28 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:33:19.84 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「か、風邪ですか?」
岡部パパ「ああ。40度以上の高熱でな。病院連れて行こうと思ったが、断られたんでね」
紅莉栖「断った……?」
岡部パパ「おいおい……、紛れもない紅莉栖ちゃんが言ったんだぞ」
紅莉栖「あ、あっ! そ、そうですね。うっかりしていました」
紅莉栖「(……会話がかみ合わない。ど、どういうこと?)」
紅莉栖「(いつの間にか私が風邪をひいて、岡部の家で休んでいた……?)」
紅莉栖「(じ、じゃあ、さっき桐生さんのアパートにいた時の事は?)」
紅莉栖「……あ、あのっ! 岡部はっ」
29 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:33:47.81 ID:nSRKPhEB0
岡部パパ「ん? 確か、なんつったっけか。あー、そうだそうだ。ラボってところに行ったぞ」
紅莉栖「あ、ありがとうございます」
紅莉栖「それと、お世話になりました」ペコ
紅莉栖「風邪の方は、もう大丈夫なので」
紅莉栖「それでは、おじゃましましたっ」タッタッタ
岡部パパ「あっ! ……そんなに急がなくてもいいのになあ」
30 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:34:17.89 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「……」タッタッタ
紅莉栖「(……冷静に、判断しないと)」
紅莉栖「(世界線が変動した、という考えなら納得できるけど)」
紅莉栖「(ならどうして、私が覚えている?)」
紅莉栖「(リーディングシュタイナーを持つあいつは例外だけど、)」
紅莉栖「(他の人たちは私も含め、変わる前の世界線での出来事を記憶する事はできない)」
紅莉栖「(……何か、イレギュラーが……)」
紅莉栖「(とにかく、岡部に会わないと!)」
31 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:34:50.59 ID:nSRKPhEB0
――――ラボ
紅莉栖「岡部っ!?」バタン!
岡部「うぉわっ!? な、なんだ助手か! 驚かすな!」
岡部「それと、このアパートはガタがきているのだ。そんな乱暴に開けると、壊れるぞ」
岡部「壊れたら、お前がミスターブラウンに謝罪と弁償代を払わせるからな」
紅莉栖「そ、そんなことはどうでもいいからっ!」
岡部「……む」
岡部「そうだったな……。確かに、こんな馬鹿げた会話をするのも、時と場を考えた方がいいかもしれん」
紅莉栖「あ、や、やっぱりさっきのことを覚えて―――」
32 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:35:36.32 ID:nSRKPhEB0
岡部「―――風邪は、もう平気なのか?」
―――ドクン
紅莉栖「……は? あんた、何言ってんの……」
岡部「全く。タイムリープマシンを開発するために徹夜が続いたせいだろう?」
岡部「マッドサイエンティストを自称するなら、自己管理をきちんとするのだな!」
紅莉栖「………」
岡部「………」
岡部「ク、クリスティーナ?」
岡部「(てっきり、自称した覚えはないわ! とか、自己管理をきちんとするマッドサイエンティストってなんだ! とか言われると思っていたのだが)」
33 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:36:20.08 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「……冗談はやめて」
紅莉栖「桐生さんは……?」
岡部「指圧師のことか? あー、そういえば最近、あいつラボに顔を出さなくなったな」
岡部「はっ!? まさか、ヤツは機関のエージェント!?」
岡部「……なるほど。電話レンジの存在に興味津津だったのも、納得いくな」
紅莉栖「岡部っ!」
岡部「っ!? な、なんだ、助手よ……。そう睨むな」
紅莉栖「あんた、覚えてないの? さっきまで桐生さんのアパートにいたでしょ?」
岡部「はあ? 指圧師のアパート? ……というか、あいつどこに住んでいるんだ?」
紅莉栖「……っ」
34 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:36:56.69 ID:nSRKPhEB0
岡部が、覚えていない?
ついさっきまで、桐生さんのアパートにいたことを、覚えていない?
そんな、馬鹿なこと……。
紅莉栖「桐生さんが、刺された事は?」
岡部「待て待て。指圧師が刺されただと?」
紅莉栖「今さっき! 綯ちゃんが、桐生さんを刺して……っ」
岡部「……紅莉栖」
紅莉栖「え……っ?」
35 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:38:30.25 ID:nSRKPhEB0
岡部「まだ、本調子じゃないのだろう?」
岡部「もう少し休んだ方が良い。それと、必要ならば病院に連れて行くからな」
岡部「覚悟しておけ! 知識不足な我がラボに貴重な貴様にいなくなられては困るしな! フゥーハハハハ!」
紅莉栖「だから、冗談はやめてってば!」
岡部「……お前こそどうしたというのだ。いつもは冷静沈着だというのに、今は取り乱しているぞ」
岡部「助手らしくない」
岡部「確かに、あの原因不明の高熱は、俺でも少し焦ったからな」
岡部「お前が良いっていえば、病院に連れて行ったのだが」
紅莉栖「だから、私は風邪なんて引いてない……っ! さっきまで、桐生さんのアパートに!」
36 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:39:39.07 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「それに、あんた、何で忘れてんのよ!」
紅莉栖「まゆりを救うんでしょ!? そう言ってたじゃない!」
岡部「まゆり? どうしてそこでまゆりの名前が出てくるんだ」
紅莉栖「岡部?」
紅莉栖「まゆりが、この後どうなるか……、忘れちゃったの……?」
岡部「この後? ああ、コミマが開催されるからそっちに行ったと思うが」
紅莉栖「まゆり、死んじゃうんだよ!? なんで、そんなに冷静でいられるのっ!」
岡部「……は?」
紅莉栖「ねえ岡部! なんで覚えてないの!?」
紅莉栖「あんただけは、忘れちゃダメなのに――っ!」
37 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:40:16.43 ID:nSRKPhEB0
駄目だ。
なんでこんなに焦っているんだろう、私は。
冷静にならないとと思えば思うほど、焦ってしまう。
岡部が、必死になってまゆりを救おうとしていた岡部が……、
……駄目だ。なんで岡部の事になると、私こんなに焦っちゃうんだろ。
それは、だって。
まゆりを助けて見せるって決意したあの岡部の顔は、忘れられないから。
でも、岡部は、そのことを忘れている。
38 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:40:47.98 ID:nSRKPhEB0
岡部「……まゆりが死ぬ?」
岡部「どういうことだ?」
紅莉栖「どういうことって……、この後、ラウンダーがラボに襲撃してきて、」
紅莉栖「その時にまゆりが撃たれちゃうって」
紅莉栖「でも、死という結果さえ残ればいいから、たとえ桐生さんに撃たれる事を阻止しても、」
紅莉栖「結果的には階段から落ちたり、突然心臓発作で倒れて死んじゃう……んでしょ」
岡部「でしょって、お前な……」
紅莉栖「だって、あんたが全部言った事でしょうがっ!」
岡部「助手。まゆりが死ぬだとか、指圧師がまゆりを撃つだとか、冗談にもなっていない」
39 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:41:15.76 ID:nSRKPhEB0
岡部「………」
紅莉栖「………」
岡部「……なあ、本当にどうしたんだ?」
岡部「お前らしくない。まだ、風邪を引きずっているのか?」スッ
紅莉栖「っ!」バシッ
岡部「……」
紅莉栖「あ……、ご、ごめん」
岡部「ま、別にいい」
岡部「悩み事があったら、遠慮なく相談しろ」
岡部「この鳳凰院凶真が、華麗に解決して見せようではないか」
40 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:42:06.10 ID:nSRKPhEB0
滅多に見せない優しい岡部の声が、今は辛い。
頭を抱えて、叫びたい。
誰からも理解されない。
私の頭がおかしくなってしまったのだろうか。
SERNという研究機関に目をつけられて、下層組織のラウンダーがラボを襲撃し、
タイムマシン開発者の三名……、私と岡部と橋田が拘束される……。
そして、無関係者のまゆりは射殺される。
それは一体、どこの厨二病だ。
私は……、自分で言うのもなんだが現実主義者だ。
そんな、映画の世界でしか起こり得ない事がこの日本で起こる訳ない……。
41 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:42:51.49 ID:nSRKPhEB0
起こり得ない……?
……あれ?
私、何か忘れてないだろうか?
そう……、そうだ。
岡部が、まゆりが死ぬことやラウンダーのことを忘れている原因は分からないけど、
何より……、世界線は間違いなく変動した。
それなら、桐生さんのアパートから岡部の部屋に瞬間移動をしたのも説明がつくし矛盾も発生しない。
でもそれだと、岡部が忘れてしまっていることが合点にいかない。
そして私が覚えているのは何故?
まさか、RSを開眼しただなんて……、ありえないか。
42 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:43:29.19 ID:nSRKPhEB0
岡部「……クリスティーナ?」
紅莉栖「ま、まゆりは……?」
岡部「だから、コミマだろう? 確か、今日から17日まで開催される予定らしいぞ」
岡部「よって、我が右腕もラボにはいない」
紅莉栖「そっか……」
紅莉栖「あ、あの、岡部っ」
岡部「ん? なんだ?」
紅莉栖「さっきは、その、ごめん。ちょっと、取り乱した」
岡部「別にいい。何を悩んでいるか知らんが、相談ならいつでも乗るからな」
岡部「無論、まゆりやダルでも相談に乗ってくれるだろう」
紅莉栖「……岡部。ありがと」
43 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:43:59.82 ID:nSRKPhEB0
……そう、世界線は間違いなく変わった。
それなら、まゆりが死なない……、ダイバージェンス1%の向こう側へ辿りついたのではないだろうか。
岡部が記憶を失っている事はこの際どうでもいい。
未来にディストピアが作られず、まゆりが死なず、岡部が苦しむ事もなければ……。
前の世界線での出来事は、全部私の妄想にしてしまえばいい。
……それなら、きっと。
44 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:44:36.30 ID:nSRKPhEB0
―――――
――
岡部「……」カタカタ
紅莉栖「……」
岡部「……」カタカタ
紅莉栖「ねえ、岡部?」
岡部「ん? なんだ? @ちゃんねるでもやりたくなったか?」
紅莉栖「だ、誰がやるかっ!」
岡部「フフ……、そのツッコミは自爆しているということに気付いているのか?」
岡部「@ちゃんねらークリスよっ!」
紅莉栖「あーもう、そうじゃなくて」
45 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:46:23.43 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「私、風邪をひいたって言ったわよね?」
岡部「ああ」
紅莉栖「えっと、いつひいたんだっけ?」
岡部「………」
岡部「その歳で認知症か?」
紅莉栖「いいから答えなさい」
岡部「……あー、三日くらい前だな。タイムリープマシン開発と同時に、倒れ込んだんだろ」
岡部「意識はほとんどなかったから、ま、覚えていなくて当然か」
紅莉栖「……へえ。私、病院に行くの断ったんだっけ?」
岡部「ああ。でもまあ、今こうして元気でいてくれているなら、一安心だ」
46 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:47:14.71 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「へえ? 心配してくれてたんだ?」
岡部「なっ! 心配などしていない。タイムリープマシンに欠陥があったら、お前に改良してもらうという重要な役割もあるしな」
岡部「それにっ! 二日目ぐらいから、熱が下がり始めていたから、お前の言う事を聞いて病院には連れて行かなかったのだぞ」
紅莉栖「ってことは、熱が下がらなかったら嫌でも連れて行ったと?」
岡部「まあ、そうなるだろうな」
紅莉栖「やっぱり、私の事心配してくれてたんだ」
岡部「っ! や、やはり今日の貴様は、様子がおかしい!」
岡部「まさか、機関による洗脳を受けたというのかっ!?」
紅莉栖「はいはい厨二病厨二病」
47 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:47:48.22 ID:nSRKPhEB0
岡部「ふっ……、どうやら調子が戻って来たようだな」
紅莉栖「え? ……あ、まあ……」
岡部「それで? 我がラボに来たという事は、タイムリープマシンの様子を見に来たという事か?」
紅莉栖「いや、違うわよ。あんたに会いたくて来た訳で……」
岡部「ほう。そうかそうか……。……は?」
紅莉栖「……え? あ……っ!」
岡部「な、なな何を言っているんだ貴様はっ!」
紅莉栖「違う! 違うからなっ! 別にあんたに会いたくて来た訳じゃないっ!」
紅莉栖「勝手に勘違いするな! この自意識過剰っ! HENTAI! DT!」
岡部「なんだとっ!? 紛れもないお前が、この高貴で崇高なる鳳凰院凶真様! にお会いしたいと言ったのだろうがっ!」
48 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:48:54.82 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「そんなこと言っとらんわっ!」
岡部「クッ……。助手め、精神攻撃を仕掛けてくるとはやるな」
岡部「貴様は、出来る事なら敵には回したくない……」
紅莉栖「もうそういうのいいから……」
紅莉栖「(なんか、もう……、色々と疲れた)」
紅莉栖「……ホテルに帰る前に、ちょっとタイムリープマシンの様子を見てもいい?」
岡部「構わんぞ。それはお前の助力のおかげで完成したのだからな」
紅莉栖「偉そうに……」
49 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:49:29.34 ID:nSRKPhEB0
――開発室
紅莉栖「(……特に変化なし、か)」
紅莉栖「(配線や細かなところまで、前の世界線と変わりない)」
紅莉栖「未来の自分の記憶を思い出せる……か」
紅莉栖「(っと、待った……)」
紅莉栖「岡部」
岡部「なんだ?」
50 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:50:28.85 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「タイムリープをする過程で、必要なことってなんだったか覚えてる?」
岡部「ああ。SERNのLHCを利用して、記憶データを36バイト+αに圧縮するのだろう?」
紅莉栖「(……SERNにLHC)」
紅莉栖「(この世界線でも、橋田はSERNにハッキングしたのか……)」
紅莉栖「(……まあ、世界線が変動した前提で考えてる訳なんだけど)」
紅莉栖「……ねえ、リーディング・シュタイナーって知ってる?」
岡部「リーディング……? なんだ?」
紅莉栖「……やっぱ、覚えてないか」
51 :
RS=リーディング・シュタイナー
[saga]:2012/10/06(土) 20:51:16.40 ID:nSRKPhEB0
岡部「にしても、リーディング・シュタイナーか。助手にしては、中々俺の的を得たネーミングセンスではないか」
紅莉栖「(他でもないあんたが名付けたんでしょーが……)」
紅莉栖「(……RSを岡部が知らないってことは……)」
紅莉栖「え? ちょ、じゃあ……、電話レンジは」
岡部「電話レンジ(仮)がどうかしたか」
紅莉栖「えっと、前に過去を改変するような実験をしたわよね?」
岡部「オペレーション・ベルダンディーか」
紅莉栖「そうっ、それよ」
52 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:52:00.06 ID:nSRKPhEB0
岡部「実験をする前に、お前がとめたんだろう?」
紅莉栖「え?」
岡部「仮に過去を改変したとする」
岡部「理論上では、過去が改変されると必然的に未来も変わるのだから、」
岡部「人々から改変前の記憶は消える」
紅莉栖「……」
岡部「お前が言っていた事をそのまま言ってやっただけだ」
岡部「確かに、反論はない。改変前の記憶を覚えていたら、色々と面倒な事になりかねんしな」
53 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:52:40.89 ID:nSRKPhEB0
岡部が言っていることは間違っていない……。
たとえば、漆原さんを女にするためにDメールを送ったとして、
送る前の記憶を私達が覚えていたら、矛盾が発生するだろう。
よって、必然的に漆原るかが男として生きてきた事実は、なかったことになる。
……この世界線での私は、実験をする前にその解を導き出したってこと……?
確かに、誰も世界線の変動に観測できなければ、実験結果なんて分からないんだけど。
もしかしたら、もう何度かDメールを送っている可能性だって考えられるし……。
54 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:54:03.65 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「それじゃあ、タイムリープマシンは……?」
岡部「データを過去に送る事が出来るなら、という点にお前が気づいたのだ」
岡部「電話レンジは確かに過去を変える力を持っているかもしれん」
岡部「だが、それに気づけなければ結果を記録できない」
岡部「だから、助手。お前が電話レンジを改造したのだろう?」
紅莉栖「それが……、タイムリープマシンってこと……?」
岡部「無論だ。まだ一度も使っていないが。……というか、貴様が作ったんだろう? なぜ分かりきったことを言わなくてはいけないんだ」
紅莉栖「………」
55 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:54:48.34 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「ごめん、岡部。ちょっと考えたいことあるから、私ホテルに帰るわね」
岡部「分かった。だがまだ病み上がりだろう? よければ、ホテルまで送っていくが」
紅莉栖「(な、なによこの岡部は……。妙に優しい)」
紅莉栖「遠慮するわ。あんたに気を遣われると、プライド傷付く」
岡部「そこまで言うか……」
紅莉栖「ふふっ、それじゃ」
岡部「機関に攫われて、この鳳凰院凶真様のお力が必要だと気づいたなら、いつでも連絡するがよい!」
紅莉栖「はいはい」
ガチャ
バタン
56 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:55:31.53 ID:nSRKPhEB0
―――ホテル
紅莉栖「はぁぁ……」ドサ
紅莉栖「(……疲れた)」
紅莉栖「なんか、熱っぽいな……」
紅莉栖「(私が風邪をひいたことは、どうやら事実みたいだし……)」
紅莉栖「(というか、ひいた覚えないんですけど……)」
紅莉栖「(だけど、岡部達は私が風邪をひいたって言ってるし? でも私はひいてなくて……)」
紅莉栖「ああもう! やめ!」
57 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:56:04.98 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「もう……、訳分かんない」
紅莉栖「(本当に世界線は変動したのかな……)」
紅莉栖「(……岡部がRSを持っていない以外は、さほど変化はないし)」
紅莉栖「(……さほど変化がない?)」
紅莉栖「(それは……)」
紅莉栖「可能性はあるけど、でもそれなら……」
紅莉栖「まあいいか……。なんか眠いし、今日は寝よう」
紅莉栖「(……寝るにしては早い時間帯だけど、まあいいか)」
紅莉栖「………」ゴロン
紅莉栖「………」
紅莉栖「………」スースー
58 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:57:12.80 ID:nSRKPhEB0
――――――
――――
――
過去を改変して、世界線を変動させる。
たとえば、死が確定したAという人物を救うために、
Aが死ぬ因果を過去改変により破綻させる。
よって、世界はAが存在するよう修正する。
……それは、どれくらいの規模でだろう。
世界規模? 宇宙規模?
59 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:57:45.00 ID:nSRKPhEB0
宇宙規模で改変されるとしたのなら、
宇宙にとってAが存在するか否かは、0.00000000001%の変動にもならない。
だけどそれは、Aに関係する人達にとっては大きな変動だろう。
……そう、大きな変動。
過去改変は、自分勝手な都合。
周りの意見も聞かずに、全人類を巻き込む行為。
60 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:58:18.35 ID:nSRKPhEB0
これは、私達だけの問題ではない。
過去を改変する事によって、現在がどうなるかなんて予測もつかないのに。
……なんていい加減で自分勝手なんだろう。
本当にいいのだろうか……。
電話レンジなんて存在は、私達のようなものが持っていいものなのだろうか。
この悩みは、きっとあいつも……、一度はぶつかったはず。
それでも、あいつはまゆりを救うって決意した。
全人類なんて、過去も未来もどうなっても、
まゆりを救う事を優先した。
だけど岡部は、その決意も含めて全て忘れてしまっていた―――
61 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:59:02.07 ID:nSRKPhEB0
----2012年 8月16日 13時25分----
―――ラボ
ガチャ
紅莉栖「……」
紅莉栖「……な、なんか空気がどんよりしているわね」
岡部「助手か。遅いぞ」
紅莉栖「相変わらず偉そうね……」
紅莉栖「(目が覚めたら、既に11時を過ぎていたし……、私、相当疲れてたみたいね)」
ダル「……」ドヨーン
まゆり「……とぅっとぅる〜」
岡部「お前らな……」
62 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 20:59:50.46 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「空気が濁っている原因は、あんたらか」
紅莉栖「って……あれ? 橋田やまゆりがなんでここに?」
紅莉栖「てっきりコミマに行ってると思ったんだけど……」
ダル「っ」ピク
まゆり「え〜っとね……」
まゆり「エレベーターさんが、こう、どーん! ってなって、従業員さんが危ないでーすって」
まゆり「でねでね」
紅莉栖「ご、ごめんまゆり。よくわからない」
岡部「俺が説明する」
63 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:00:30.41 ID:nSRKPhEB0
岡部「コミマ会場にあるエレベーターが誤作動を起こしてな」
岡部「二階から一階まで、勢い良く落ちたらしい」
紅莉栖「えっ!?」
岡部「怪我人はいたそうだが、幸い死者はでなかったようだ」
紅莉栖「そ、そう……」
岡部「で、ここからが重要なのだが」
ダル「なんで、全面的に検査する必要があるんだおーーーーーーーーー!!!」
紅莉栖「きゃっ! ちょ、いきなり大声出すなっ!」
岡部「まあ、つまりそういうことだ。欠陥工事だか知らんが、他のエスカレーターやらエレベーターやらも検査する必要が出てな」
岡部「確かに、死者はでなかったとはいえ怪我人が出たからな」
紅莉栖「それで、中止と……?」
64 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:01:11.01 ID:nSRKPhEB0
岡部「延期だそうだ」
紅莉栖「あー、で、そこのが落ち込んでるワケ?」
ダル「……あー、もうやってらんねー。SERNにクラッキングして、色々破壊しちゃおっかな」
ダル「つかいっそ、爆弾を仕掛けたってスレを立てて……」
紅莉栖「タイーホフラグが立ったというわけですね、分かります」
岡部「ちなみにダルよ。それは本気で捕まるぞ」
まゆり「悪い事はいけないのです……」
65 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:01:49.97 ID:nSRKPhEB0
ダル「ジョークだお。流石にそんなバカなことしないし」
紅莉栖「あんたが言うと、嘘に聞こえない」
ダル「つまり、僕が言った事は全て本当と見なされる訳ですね、分かります」
紅莉栖「岡部……」
岡部「そっとしてやれ。相当ショックだったのだろう」
まゆり「でもでも〜、いつものダルくんとあんまり変わんないよー?」
紅莉栖「ま、HENTAIは何も変わってないみたいだし」
66 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:02:24.32 ID:nSRKPhEB0
岡部「それで、クリスティーナ」
紅莉栖「何よ」
岡部「お前、大丈夫なのか?」
紅莉栖「……何がよ」
岡部「いつもに増して不機嫌だな。まあ、その調子なら大丈夫そうだが」
まゆり「あっ、そういえばクリスちゃん元気になったんだよねー♪」
まゆり「よかったのでーす」
紅莉栖「まゆり、サンクス」
67 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:02:59.07 ID:nSRKPhEB0
ダル「つーか、風邪ひいてオカリンの家で寝るとか、それなんてエロゲ?」
紅莉栖「………」
岡部「仕方ないだろう。助手を一人にしてやるわけにもいかんし」
まゆり「わーっ、オカリン優しいねー」
岡部「なっ、優しくない! 俺は、狂気のマッドサイエティストであり、」
岡部「将来、助手を利用して世界に混沌を齎すのだ……」
ダル「ツンデレですね、分かります」
まゆり「ツンデレ乙なのです☆」
岡部「まゆりまで!?」
68 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:03:32.07 ID:nSRKPhEB0
ダル「ま、びっくりしたよなー。いきなり倒れ込むんだし」
ダル「んで、ハァ……ハァ……ハァ……って、喘ぎだすから、うおおおお!」
岡部「自重しろ! このHENTAIがっ!」
ダル「テンション上げないとやってらんないお! コミマ延期とかふざけんなし!」
まゆり「でもでも、残念だよねー……」
紅莉栖「………」
岡部「……クリスティーナ? どうしたのだ?」
ダル「なんか違和感あると思ったら、ツッコミがない件について」
69 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:04:02.18 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「あ、いや、別に」
岡部「まあ、いいが」
……何か、違和感。
まるでもう一人の自分が存在しているかのような錯覚……。
私の話をみんながしているのに、みんなが言っていることが全く理解できない。
タイムリープマシンを作った後に倒れた事や、
その前のこと。
違和感の正体は、
この世界線での、過去の記憶がない……。
70 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:04:53.45 ID:nSRKPhEB0
ダル「で? なんかあったん?」
岡部「なんかとはなんだ」
ダル「だって、ほぼ同い年のおにゃのこと一つ屋根の下で寝たんでしょ?」
ダル「なんかないとおかしいし、常考」
岡部「人聞きの悪いやつめ……。何も起こっていないぞ」
ダル「オカリン、チキンだなー」
紅莉栖「………」
まゆり「クリスちゃん……?」
紅莉栖「あ、な、なに? まゆり」
まゆり「クリスちゃん、なんだか辛そうだよ? 大丈夫かな?」
紅莉栖「だ、大丈夫よ。心配いらないわ」
71 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:05:23.18 ID:nSRKPhEB0
世界線の事を考えていたら、嫌な予感が頭を過った。
あえて考えないようにしていたこと。
この世界線では、
岡部がRSを持っていないこと以外、さほど変化はない……。
そう、それに引っかかっていた。
―――さほど変化はない。
72 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:05:57.61 ID:nSRKPhEB0
岡部「それでは、始めようではないか」
ダル「なにお?」
岡部「第34回、円卓会議だ」
ダル「34回もやってないお……」
まゆり「えー? どんな会議するの?」
岡部「我が助手、クリスティーナの体調も良くなり、不幸な事故によってコミマが延期になり、」
岡部「我が右腕、ダル……そして、我が人質のまゆりまでも今回の会議には出席できる」
ダル「つまり、どういうことだってばよ?」
岡部「――此度の会議は! タイムリープマシンを実験するか否かについてだ!」
紅莉栖「――っ!?」
73 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:06:29.36 ID:nSRKPhEB0
ダル「そういえば、牧瀬氏が倒れたから、タイムリープマシンをどうするかは決められなかったんだよね」
まゆり「実験するのー……? あ、あのね、まゆしぃは……」
岡部「まゆりよ。何か、意見があるのか?」
まゆり「バナナをタイムリープさせたらどうかな?」
岡部「あのな、まゆり。バナナに意識があると思うか?」
まゆり「……そっかー。駄目かー……」
ダル「あ、先に断っておくけど、僕は実験体にならないお」
74 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:06:57.48 ID:nSRKPhEB0
岡部「……うむ」
岡部「なあ、助手よ。仮にタイムリープに失敗したらどうなるんだ?」
紅莉栖「……」
岡部「おい? 助手!」
紅莉栖「あっ、な、なに!?」
岡部「全く、話を聞いておけ。タイムリープに失敗したらどうなる?」
紅莉栖「えっと……、岡部がタイムリープをする前提で考えたとして……」
75 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:07:41.28 ID:nSRKPhEB0
紅莉栖「携帯に岡部が出るかどうかは分からない」
紅莉栖「仮に私やまゆりが出てしまったら、深刻な人格障害だって起こりかねないわ……」
紅莉栖「それに、タイムリープに失敗して32バイトまで圧縮されちゃうことだって……」
ダル「それはつまり、大変な事になるってことかお……?」
紅莉栖「まだ問題点はあるわ。因果の輪から外れてしまうことだってあり得る」
紅莉栖「岡部というイレギュラーを世界が否定して、」
紅莉栖「岡部倫太郎が存在していない世界に修正される事もある」
岡部「………」
まゆり「ね、ねえ、オカリン。やっぱり、よした方がいいんじゃないかなー……」
76 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:08:08.51 ID:nSRKPhEB0
岡部「……うむ」
岡部「………」
岡部「……よし、決めた」
ダル「……ま、僕はオカリンに任せるけど」
岡部「実験はしない!」
まゆり「オカリン……っ」
紅莉栖「……そ、そう」
77 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:08:42.85 ID:nSRKPhEB0
岡部「このマシンは、きちんとした研究機関に委ねよう」
ダル「おー。今のオカリン、最高に輝いてるぜ……っ!」
紅莉栖「(…・・待った)」
まゆり「ねーねー、それじゃあ、久しぶりにぱーっとお祝い会しない?」
ダル「おっ、良い案だお」
岡部「うむ。では買い出しが必要になるな」
紅莉栖「(……あれ? 前の世界線の岡部は、なんて言ってたんだっけ?)」
紅莉栖「(ラウンダーがラボを襲撃する……原因となったもの)」
78 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:09:43.46 ID:nSRKPhEB0
―――ラウンダーがラボを襲撃した理由は、三つある。
―――萌郁から聞いた事だがな。
―――俺達は、知ってはいけないことを知ってしまったらしい。
―――次に、電話レンジ……、タイムマシンを作り上げたからだ。
―――タイムマシンを作ってディストピアをもたらそうとしているSERNにとっては、俺達の存在は目障りだろうしな……。
―――そして、決定的だったことが、俺達がタイムリープマシンの存在を世間に公表しようとしたからだ。
―――どの道、俺達は拘束されるはずだったが、俺達が世間に公表することが発覚し、予定より早くラボを襲撃したのだろう。
79 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:10:14.29 ID:nSRKPhEB0
ダル「んで? いつ公表するの?」
岡部「早いうちが良いだろう。できれば明日にでも……」
ダル「あー……、タイムリープマシンを使えば……あんなことやこんなことが夢に!」
岡部「使いたきゃ使えばいい」
岡部「失敗して32バイトになりたければな」
ダル「あ、やっぱやめておきます」
まゆり「ダルくん、チキンだねぇ〜」
ダル「まゆ氏、意外に腹黒っ! だが、そこがいい!」
80 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:10:40.42 ID:nSRKPhEB0
ダル「そんじゃ、僕はピッツァ! でも注文するお」
まゆり「じゃあじゃあ、まゆしぃはルカくんやフェリスちゃんを呼んでみるね〜」
ダル「フェイリスたん!? ktkr!!」
岡部「それじゃあ、俺は助手と―――」
紅莉栖「……」
岡部「……助手?」
81 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:11:07.78 ID:nSRKPhEB0
何、浮かれているんだろう、私は。
世界線は変動した。
それは間違いないだろう。
だけど、だからって……。
82 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:11:36.54 ID:nSRKPhEB0
未来にディストピアが訪れず、
まゆりが死なず、
誰も傷つかないなんて保証はどこにもない。
私らしくない。
何も証明できないのに、勝手に納得しているなんて……!
83 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:12:12.27 ID:nSRKPhEB0
この世界線でも、SERNの秘密を私達は知ってしまっている。
この世界線でも、タイムリープマシンは既に完成している。
そしてこの世界線でも、岡部はタイムリープマシンの実験はせず、研究機関に譲渡することを決断した。
揃っている。揃ってしまっている。
ラウンダーが、
―――ラボを襲撃する条件は、既に揃っていた。
84 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/06(土) 21:13:15.91 ID:nSRKPhEB0
今日はここまでです。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。
とりあえず、次の投下は……、色々と用事があって、不明です。
できれば、五日以内に投下したいです。もしかすれば、三日以内に投下。
投下する時間帯は変わりませんので。
85 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/06(土) 21:27:21.04 ID:f+ZXzFeGo
乙
RSの継承か!新しいな!
86 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/06(土) 21:37:21.24 ID:I0UJ+1OIO
乙。全シリーズ読んでましたぜ
あと多分誤字が
>>26
でパパが息子を苗字で呼んでいるので報告
87 :
◆N0Gpc9Esvo
[sage]:2012/10/06(土) 22:08:44.01 ID:nSRKPhEB0
>>86
あ、本当だ。
岡部ではなく倫太郎ですね。脳内変換よろしくお願いします。
全シリーズ読んでくれているとは。感激です!
88 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/07(日) 00:23:24.70 ID:+f6h8fhSO
乙
89 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/10/07(日) 20:29:57.25 ID:cDNJcNmxo
乙
90 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2012/10/07(日) 20:30:27.24 ID:zj6ZqRgEo
乙
91 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/10/08(月) 17:07:50.18 ID:up7PYm2r0
乙
92 :
◆N0Gpc9Esvo
[sage]:2012/10/09(火) 21:18:05.10 ID:UySOjAEV0
明日投下予定です。修正も必要になるので、明日の夜……、だいたい20時くらいに投下します。
93 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/09(火) 21:46:41.47 ID:KT+ZefQSO
おう。期待して待ってる
94 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/09(火) 23:36:53.80 ID:qegbhuqIO
期待
95 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 19:57:24.46 ID:6tZOhjLV0
再開しまーす。
96 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 19:57:59.19 ID:6tZOhjLV0
私が風邪をひいた事や、岡部がRSを持っていることを除けば、
前の世界線と特に変わりはない。
……そう、変わっていない。
タイムリープマシンの存在も、SERNの存在も、
そして、ラウンダーがラボを襲撃する条件もそろっている。
97 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 19:59:05.56 ID:6tZOhjLV0
岡部から聞いただけで、実際にラウンダーがラボに襲撃を仕掛けてきたところを見た事はない。
それにこの世界線で、未来がどうなるかなんて分からない。
……だけど、確率的に見て、ラウンダーがラボに襲撃を仕掛けてくる可能性は極めて高い。
岡部は、夜の7時過ぎにラウンダーがラボに襲撃を仕掛けてくると言っていた。
……もう、2時半だ。
後4時間半もしないうちに、ラウンダーが?
そんなこと、ありえるの……?
98 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 19:59:33.58 ID:6tZOhjLV0
岡部「……クリスティーナ?」
紅莉栖「………」フルフル
肩が、震えている。
いつもは冷静に判断できるのに、考えがうまくまとまらない。
冷静でいられない時なんて、パパと話している時くらいなのに……。
どうすれば? 一体どうすればいいんだろう。
99 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:00:12.55 ID:6tZOhjLV0
ラウンダーがラボに襲撃を仕掛けてくる可能性があるなら、
岡部達を解散させるべきだろうか。
そして、まゆりを私のホテルに連れて行って……。
待った。この世界線が、まだα世界線だとしたのなら、まゆりの死は回避できない。
今答えを出してしまうのは早計だろう……。
本当に夜の7時にラウンダーが襲撃してくるのか、確かめないといけない。
だから……っ、
それで、どうするのよ……っ!!
ラウンダーがラボに襲撃を仕掛けてきた時点で、もう詰んでるじゃない……!
100 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:00:43.69 ID:6tZOhjLV0
岡部「……まだ体調は良くないようだな」
岡部「クリスティーナ。パーティは延期にする。今日はホテルに帰って身体を休めた方が良い」
紅莉栖「……岡部? え……、ぁ」
岡部「全く、お前はそういうところも素直じゃないから困るのだ」
ダル「うっは、オカリン△」
まゆり「えっへへ〜、オカリンかっこいいねー」
岡部「茶化すな」
101 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:01:20.09 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「(岡部に気を遣われるなんて……)」
紅莉栖「(私が何を考えて、何を悩んでいるか、岡部には当然分かる筈がない)」
紅莉栖「(なのに、このバカは……)」ジー
岡部「……?」
紅莉栖「(……ああ、そっか)」
紅莉栖「(誰も傷つけずに、自分だけで解決しようとしていた岡部の気持ち、分かっちゃった)」
紅莉栖「(これから起こるかもしれない悲劇を知っているのに、回避できない苦しみ)」
紅莉栖「(……本当に、あのバカ……。素直じゃないのはどっちよ……)」
102 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:01:50.98 ID:6tZOhjLV0
そう。迷う必要なんてなかった。
やることはひとつだけ。
私は、まゆりに死んでほしくない。
岡部に苦しんでほしくない。
ラボメンみんな、傷付いてほしくない。
……やっぱり、迷う必要なんてなかったんだ。
103 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:02:18.06 ID:6tZOhjLV0
あの馬鹿に出来て、私が出来ない訳ない。
うじうじ考えていても時間の無駄。
もしラウンダーがラボに襲撃を仕掛けてきたのなら、やることひとつだけ。
決まっている。
そこにあるタイムリープマシンを使えばいい。
恐れる事は、ないから。
岡部達が苦しむ方が、よっぽど怖いから。
だから私は―――
104 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:02:48.79 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「……岡部」
岡部「どうした?」
紅莉栖「私は、大丈夫だから。パーティの準備、しましょ?」
岡部「本当に大丈夫なのか?」
紅莉栖「気味悪いわね。何か企んでない?」
岡部「くっ、なっ、失敬な! この鳳凰院凶真が――っ!」
ダル「ピザ注文したお!」
まゆり「えっへへー、ダルくん仕事がはやいね」
ダル「テヘッ☆」
105 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:03:18.75 ID:6tZOhjLV0
岡部「全く、助手がそう言うなら仕方あるまい…・・・」
岡部「では助手よ。貴様に任務をやる」
紅莉栖「待って。それより、聞きたい事があるんだけど」
岡部「なんだ?」
紅莉栖「これ……、未来がジェット4号機。兵器じゃないのよね」
岡部「モアッド・スネークか。形はクレイモア地雷だが、殺傷能力はないぞ」
紅莉栖「使用方法は?」
岡部「そこの……、そう。それを抜けば……」
岡部「っと、待った! 大量の蒸気が噴出するから、やめておけ」
紅莉栖「ふうん……」
106 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:03:52.07 ID:6tZOhjLV0
大量の蒸気か……。目くらましにはなるだろう。
……気休め程度だけど、タイムリープさえしてしまえばこっちのものだし。
何も起こらないのが一番いいんだけどね……。
岡部「にしても助手よ。ガジェットに興味を持つとは、どんな風の吹き回しだ?」
ダル「はい先生!」キョシュ
岡部「なんだダルよ」
ダル「牧瀬氏は、密かにオカリンを暗殺する計画を練っているのだと思われます!」
岡部「なにぃっ!? き、貴様、やはり俺の命を狙う、機関の一味だったのか!」
107 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:04:24.94 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「そんな訳あるか。そんな訳あるか」
岡部「そう信じたいが、如何せん助手が相手だとな……」
ダル「背後からグサっていうシーンですね、分かります」
紅莉栖「どこのヤンデレだ、それは……」
岡部「ええい、話が脱線しているではないかっ!」
岡部「助手よ。貴様は俺の助手だ」
紅莉栖「なった覚えはないんですけど」
108 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:04:53.67 ID:6tZOhjLV0
岡部「助手と言うぐらいなのだ。買い物に手伝え。そして荷物を持て」
ダル「うわ。おにゃのこにそれを任せるとか、オカリンもう色々と終わっている希ガス」
まゆり「あのね、男の子は力もちなので、女の子にそういうのを任せるのはよくないと思うな―」
岡部「案ずるな」フッ
岡部「そこの助手は、成人男性の二倍の握力はあると言われている、マウンテンゴリラ! より、握力があるのだ」
ダル「握力関係なくね?」
紅莉栖「………」キッ
109 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:05:32.90 ID:6tZOhjLV0
ダル「ま、牧瀬氏怖すぎだろワロえない……」
まゆり「ふえぇー……。クリスちゃん怒ってるよー。オカリン、謝らないと……」
岡部「っ、じ、冗談に決まっているだろう?」
紅莉栖「ま、いいわ。岡部は女の子より力がないようだし、私が持ってあげる」
ダル「オカリンだwさwすwぎwww」
岡部「笑止! この右腕を塞いでしまえば、世界は機関の思うままになってしまう」
岡部「光は闇に呑まれ、ヤツらの陰謀が実現してしまえば!」
ダル「厨二病乙」
岡部「……冗談だ。病み上がりのクリスティーナに荷物を持たせる訳ないだろう」
まゆり「病み上がりのクリスティーナ♪ なんだか言いやすいねー」
110 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:06:00.79 ID:6tZOhjLV0
岡部「ではクリスティーナ。買い物に行くぞ。ついてこい」
紅莉栖「ああっ、ちょっと待って」
岡部「っ、あがっ! 嫌がらせか!? 嫌がらせなのか!?」
まゆり「変な躓き方したねー」
ダル「どこのリアクション芸人だよ……」
紅莉栖「ごめん、先行っててくれる? 後から追いかけるから」
岡部「そう言われてもな……」
111 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:06:30.64 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「(岡部だけ先に行かせるのは不自然か……)」
紅莉栖「(……えーと)」
紅莉栖「ほ、ほらっ、タイムリープマシンが完全かどうか見るだけだから」
紅莉栖「欠陥があったら直したいじゃない? そうしたら、必要な部品も出てくるし、買い物ついでにってことで」
紅莉栖「(嘘は言っていない。嘘は)」
ダル「ま、世間に公表する訳だし、完璧にしたい気持ちも分かります罠」
岡部「そういうことなら仕方あるまい」
岡部「いつものスーパーだ。二分は待たんぞ」
ガチャ
バタン
112 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:06:58.47 ID:6tZOhjLV0
まゆり「今のはねー、ラボの前で待っててくれてるってことだよ?」
ダル「ツンデレすぎだろ」
紅莉栖「……あのバカ」
紅莉栖「(待たせちゃいけないし、さっさと終わらせよう)」
紅莉栖「……」スタスタ
113 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:07:35.94 ID:6tZOhjLV0
―――開発室
紅莉栖「(……タイムリープマシンは、問題なし)」
紅莉栖(調整不良もないし、前の世界線と何も変わってない)」
紅莉栖「(これなら問題ないでしょう……。感心の出来だったしね)」
紅莉栖「……で、問題は……」
電話レンジが埋まり込んだ床。座布団や布で隠されているが、それをどけると、
紅莉栖「これは……、店長さんが本気でキレるレベルね……」
114 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:08:02.62 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「(貫通はしていないけど、堅い物で叩けば簡単に穴が開くだろう)」
紅莉栖「(ブラウン管工房がしまったら、堅い物で床を叩いて貫通させればいいか……)」
紅莉栖「それで、ビッド粒子砲を使い、42型ブラウン管テレビに電源が入ればOK……と」
紅莉栖「(主電源から消されてた場合、長い棒などを使って一度電源を入れないと……)」
紅莉栖「………」
紅莉栖「(出来ればタイムリープはしたくないけど……)」
紅莉栖「(仮に、ラウンダーが襲撃を仕掛けて来なかったら、次の障害は店長さんになるわね……)」
115 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:08:40.29 ID:6tZOhjLV0
―――外
紅莉栖「お待たせ」
岡部「遅いっ! 四分と二十五秒、遅刻だ」
紅莉栖「細かいわね……」
岡部「で? タイムリープマシンはどうだったか?」
紅莉栖「へ? あ、うん。完璧だったわよ」
岡部「ほう。そうか……」
天王寺「おう。岡部と……、紅莉栖嬢ちゃんじゃねえか」
岡部「これはこれはミスターブラウン」
紅莉栖「……っ」
紅莉栖「(……冷静に)」
116 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:09:10.23 ID:6tZOhjLV0
岡部「む? もう店じまいですか。いや……、成程、この店も潰れて――」
天王寺「ああ?」ギロッ
岡部「なんでもありません」
天王寺「"仕事"が入っちまってな。ちっとばかり早いが、今日は閉店だ」
岡部「仕事? 今まさに仕事をしていたではありませんか」
天王寺「あ? あー、こりゃちげぇよ。いやまあ、仕事っちゃ仕事なんだがな」
天王寺「ま、こまけぇことは聞いてくれるな」
117 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:09:48.09 ID:6tZOhjLV0
岡部「ふっ、まあ確かに、お互い知らない方が身のためかもしれませんね……」ククク
天王寺「おう。分かってるじゃねえか。それじゃあな」バタン ブゥゥン
岡部「いつもより三時間ほど早く閉まろうが、売り上げは変わらんだろうがな」
紅莉栖「………」
岡部「……む? クリスティーナ?」
紅莉栖「へ? あ、いや、なんでもないわ」
岡部「………」
118 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:10:17.96 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「とっ、ところで岡部」
紅莉栖「阿万音さんって、知ってるわよね……?」
岡部「……」
岡部「……鈴羽か。あいつ、今頃どうしているんだろうな」
紅莉栖「知ってる……、の?」
岡部「忘れる訳ないだろう。……まさか助手よ。鈴羽の消息に通じているのか?」
紅莉栖「そんな訳ないでしょ」
岡部「だろうな。だがまあ、この鳳凰院凶真にかかれば、人一人を見つけ出す事くらい造作もない」
岡部「せいぜい首を洗って待っていろ、阿万音鈴羽! フゥーハハハハ!!」
119 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:11:00.11 ID:6tZOhjLV0
岡部は、阿万音さんがあの日、1975年に跳ばなかった世界線を体験していると言っていた。
Dメールを使い、それを阻止したらしいけど、その所為でタイムマシンに故障が出た。
原因は、一週間ほど前の大雨だったとか……。
この世界線では、阿万音さんはもうこの時間軸には存在しない。
Dメールを使えない岡部が、阿万音さんを引き戻す術はなかったというわけか……。
120 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:11:32.07 ID:6tZOhjLV0
岡部「おい。クリスティーナ?」
紅莉栖「(……桐生さんにDメールを送る前の世界線と、変わりは殆どないわね)」
岡部「……助手!」
紅莉栖「(やっぱり、変化があると言えば"私が世界線の変動に気づいていること""岡部が世界線の変動に気づいていないこと"か……)」
岡部「ザ・ゾンビ! セレブセブンティーン。@ちゃんねらークリス」
紅莉栖「(………)」
岡部「セレブサイエンティスト!」
紅莉栖「ああもう何よっ!」
岡部「聞こえているなら返事くらいしろ」
121 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:11:59.65 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「だから、何よ?」
岡部「だから、ではない。何を買うか聞いているのだ」
紅莉栖「何をって、そんなの現地に着いてから――って、あれ?」
岡部「ドジっ子アピールはよせ」
紅莉栖「してないわっ!」
紅莉栖「(考え事をしていたら、もうスーパーに着いてるなんて)」
122 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:12:29.43 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「別に、なんでもいいわよ」
岡部「そうか。ではドクペを」
紅莉栖「あ、私のもお願い」
岡部「ああ」
紅莉栖「………」
岡部「………」
123 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:13:00.19 ID:6tZOhjLV0
やっぱり、変化があるのは私と岡部だけ……。
それ以外に、大きな変化は見られない。
……そして、ラウンダーがラボに襲撃を仕掛けてくるのはもう確定だろう。
先程の、ブラウン管工房の前で店長さんが言っていたこと……。
もう、決定的だ。
124 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:13:34.34 ID:6tZOhjLV0
岡部「なあ、クリスティーナ」
紅莉栖「……何?」
岡部「そろそろ行ってもいいのではないか?」
紅莉栖「言うって……?」
岡部「違う。青森だ」
紅莉栖「青森……、あ」
125 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:14:00.43 ID:6tZOhjLV0
岡部「タイムリープマシンは完成し、それを正式な研究機関に譲渡することが決定した」
岡部「明日から忙しくなるが、それも終われば落ちつくだろう」
岡部「ならば、そろそろ予定を立ててもいいと思ってな」
明日……、か。
紅莉栖「そうね……」
126 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:14:27.77 ID:6tZOhjLV0
岡部「そうねってお前な……」
紅莉栖「パパと仲直りできるかどうかは分からないけど……、」
岡部「クリスティーナ! このファザコンが」
紅莉栖「い、いきなりなによっ」
岡部「会う前からネガティブでいてどうする。お前は実験などになれば、自信に溢れて絶対に成功させてやるという意気を感じ取れる」
岡部「それを、お前の父親と会う時に発揮しろ」
紅莉栖「……それができるなら、今まで苦労していない」
127 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:14:59.18 ID:6tZOhjLV0
岡部「クリスティーナ。俺はお前と父親の和解の手助けはする」
岡部「だが、どうするかはお前次第だ」
岡部「お前が父親を大好きだと思うなら、その想いをぶつけてしまえばいい」
紅莉栖「……岡部」
岡部「どうやら貴様はツンデレの素質があるようだが、たまにはデレろ」
紅莉栖「うるさい……、このバカ」
岡部「聞いた話だと、助手の父親は鈍感なようだな」
岡部「遠まわしに言っても無駄だ」
128 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:15:34.79 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「私の性格上、それが出来るとは思えないんだけど」
岡部「何を躊躇っているのだ。お前の父親だぞ。家族を相手に遠慮する必要などない!」
紅莉栖「……そう」
岡部「ああ」
紅莉栖「そう……、ね。サンクス」
岡部「クク……、俺だ。ああ、助手は計画通り俺を信じきったようだ」
岡部「そうだな。未来、ヤツは俺の思うがままに利用されるという事に気づいてないらしい」
岡部「くっ、それを言うな。分かっている。鳳凰院凶真と言えど、人間だ。良心は痛むさ……」
岡部「これもまた、運命石の扉(シュタインズゲート)の選択なのだよ……」
岡部「エル、プサイ、コングルゥ……」
129 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:16:09.09 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「……あんたって」
岡部「む?」
紅莉栖「素直じゃないわよね……」
岡部「……な、なんのことだ?」
紅莉栖「別に」
紅莉栖「……大好きだと思うなら、素直に想いをぶつけろ、か」
岡部「……っ」
紅莉栖「狂気のマッドサイエンティストあるまじき発言ね」フフ
岡部「こ、これも、作戦の内なのだ」
紅莉栖「はいはい、厨二病乙」
紅莉栖「それじゃ、さっさと買い物をすませましょ?」
岡部「……ああ」
130 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:17:06.33 ID:6tZOhjLV0
---17時 20分---
―――ラボ
ダル「ピザうめぇ」
まゆり「あっふあふだふぇー」
ダル「あっふあふだふぇー……。萌える!」
岡部「今日ぐらい自重しろ」
紅莉栖「(……7時20分過ぎ)」
紅莉栖「(モアッド・スネークはタンスの上……)」
紅莉栖「(そこから一番近い位置にいたほうがいいわね)」
131 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:18:15.03 ID:6tZOhjLV0
ミスった!
>>130
17時20分て書いてあるけど、19時20分だ。
132 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:18:50.71 ID:6tZOhjLV0
本当に、来るのだろうか?
扉をジッと見つめる。
何も変わりない。
もしかすれば、このまま何も起きずに明日になるのかもしれない。
もしかすれば、いきなり扉が蹴破られてラウンダーが襲撃を仕掛けてくるのかもしれない。
もしかすれば、かもしれない、もしかすれば、かもしれない……。
……大丈夫。岡部ですら、出来たんだから……。
133 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:19:30.13 ID:6tZOhjLV0
ダル「牧瀬氏食わないん?」
まゆり「おいふぃーよー、クリスちゃん」
岡部「ウェストが気になるらしいな」
紅莉栖「……」ソワソワ
ダル「太るの気にしちゃ、バストが成長しないお」
ダル「まゆ氏を見れば分かると思われ」
岡部「そいつは例外だろう。女性にとっては、羨ましいと同時に妬ましい体質をしているからな」
ダル「食べまくっても太らないとか、どこの虹ですか」
134 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:19:57.37 ID:6tZOhjLV0
岡部達が他愛のない会話を繰り広げている。
その中に混じらず、ただ時計とドアを交互に見るのを繰り返している。
秒針が、カチカチと数字を打っていく。
25分……、30分……、
何も起こらない。
岡部は7時過ぎにラウンダーが襲撃を仕掛けてきたと言っていたけど、
詳しくは聞いていなかった。
135 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:20:25.88 ID:6tZOhjLV0
テレビ「ポーン」
ダル「なんぞ?」
まゆり「んー?」
岡部「なんだ? 爆破テロ予告で山手線、総武線、京浜東北線の全線が運転見合わせ……?」
紅莉栖「(……爆破テロ予告?)」
紅莉栖「(どうして秋葉原の駅に爆破テロ予告なんて?)」
ダル「うわっ、マジかよ帰れねーじゃん!」
136 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:21:03.86 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「(山手線、総武線、京浜東北線……)」
紅莉栖「(これじゃあ、電車で秋葉原から出るのは無理……)」
紅莉栖「……っ」
紅莉栖「(まさか、ラウンダー……?)」
紅莉栖「(……そんな訳…、でも……)」
紅莉栖「……」チラ
紅莉栖「(7時40分過ぎ……)」
137 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:21:37.14 ID:6tZOhjLV0
岡部「クリスティーナ? どうしたんだ? 顔が真っ青だぞ」
紅莉栖「別に、なんでもないわ……」
まゆり「ん〜? クリスちゃん……?」
ダル「ピザ無くなっちまった罠。追加注文ってことで」ピッピ
岡部「いや流石にやめろ」
紅莉栖「………」
まゆり「ねー、クリスちゃん……?」
138 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:22:10.52 ID:6tZOhjLV0
耳を澄ませて、ようやく聞こえた。
下の方で、足音がした。
その瞬間、足音は束になって響いた。
ドドドド、バタン!!
ラウンダー「全員動くな。両手を挙げろ」
ダル「な、なんぞ……っ!?」
岡部「!?」
139 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:22:36.96 ID:6tZOhjLV0
岡部「な……っ」
ラウンダー「無駄な抵抗はするな」
ラウンダー「抵抗しなければ、撃たない」
ダル「……」
岡部「……」
まゆり「……」
紅莉栖「(……まさか、本当に……?)」
140 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:23:20.00 ID:6tZOhjLV0
ラウンダーが襲撃を仕掛けてきた……?
いや、解っていた。きっと仕掛けてくるんじゃないかって。
でも、この瞬間までは、現実味が湧かずに、
なんだかんだいって、ラウンダーが襲撃を仕掛けてくる事なんてないだろう、と。
どこかでそう楽観していた。
……不覚。
モアッド・スネークは手を伸ばせば届くけど、今は身動き一つ取れない。
どうすれば……!
141 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:23:48.89 ID:6tZOhjLV0
ラウンダー「上からの伝達だ。目標B、目標C、目標Dは確保を」
ラウンダー「開発者の三名は殺すなとのことだ」
ラウンダー「だが、目標Aは必要ない」
紅莉栖「(……目標A?)」
岡部「お、おい……! お前、何して……っ!」
ラウンダー「動くな!」カチャ
岡部「……くっ」
142 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:24:28.13 ID:6tZOhjLV0
まゆり「……オカリン」
岡部「ま、まゆり……っ!」
ラウンダー「……」カチャ
岡部「……っ!」
ダン!!
岡部「……!!」
紅莉栖「――っ!?」
まゆり「……ぁ、」
ドサ
143 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:25:12.16 ID:6tZOhjLV0
赤い花びらが、散った……。
まゆりが、糸の切れた人形のように地面に倒れ込んだ。
それを、岡部が抱きかかえて……、
岡部「まゆり!? なあ、まゆり……っ!」
まゆりの額から、赤い血が……、もう絶望的なほど出血していた。
床に零れ落ちていく、鮮血。
それは、数分前まで笑顔だった、まゆりのもの―――
144 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:25:44.88 ID:6tZOhjLV0
―――まゆりが、死んだ。
まゆりが、死んだ?
なんで?
どうして?
どうして、まゆりが……?
ああ、岡部、言ってた……。
まゆりが、死ぬって……。
145 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:26:19.17 ID:6tZOhjLV0
でも、本当に死ぬなんて……!
こんなの、こんなのあんまりよ……!
さっきまで元気だったのに、
どうして今じゃ、何も言わずに、ただ無表情に、開いたままの目がふさがらずに、
岡部があんなに声をかけているのに!
ねえ、まゆり……? まゆり、どうしちゃったの……?
146 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:26:54.55 ID:6tZOhjLV0
岡部「赦さない……! 絶対に……、赦さない……っ!!」
紅莉栖「おか、べ……、ダメ……!」
今の岡部は、怒りに支配されている。
私が何を言っても、声は届かない……。
このままじゃ、岡部まで死んじゃう。
どうすれば……、どうすればいいの……?
147 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:27:24.95 ID:6tZOhjLV0
岡部「この……ぉっ!」
ラウンダー「くっ、動くな!」
ラウンダー「待てM2! 目標を行動不能にしろ。ただ、殺すな!」
紅莉栖「……っ!」
そう。
私にも、出来る事がある……!
148 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:27:56.13 ID:6tZOhjLV0
岡部のおかげで、今なら動ける。
モアッド・スネークを起動することくらいなら……!
紅莉栖「……こ、のっ!」プシュゥゥゥゥ!!
ラウンダー「っ!? なっ!」
紅莉栖「岡部ぇっ!!!」
岡部「!」
149 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:28:32.75 ID:6tZOhjLV0
開発室にかけ込む。
すぐに、穴が開いた床にビット粒子砲を入れて、42型ブラウン管テレビの電源を入れる。
既にタイムリープマシンは入力済み!
後は、ヘッドギアを被れば……!
岡部「紅莉栖……っ! 駄目だ、俺が跳ぶ……!」
紅莉栖「ダメッ! 私が、跳ぶから!」
岡部「だがっ!」
紅莉栖「迷ってる暇なんてない! いいから、私に跳ばせて!」
岡部「……くっ、後悔するなよ!」
150 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:29:00.70 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「入力はすませてる。早く、起動し――」
ラウンダー「ヤツらにタイムマシンを使わせるな!」
ダル「行かせるかよっ!!!」バッ!
ラウンダー「くっ、こ、こいつ……!」
ラウンダー「早くしろ! タイムマシンを使おうとしているヤツらを撃て! 無力化しろ!」
ダン! ダダダン!
紅莉栖「きゃっ……!」
岡部「紅莉栖!?」
紅莉栖「だ、大丈夫だからっ、早く!」
151 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:29:33.16 ID:6tZOhjLV0
岡部「跳ばすぞ! いいのか! 本当に、いいのか!?」
紅莉栖「いいわ! 早く、跳ばして!」
岡部「起動したっ!」
紅莉栖「お願い……跳んで!」
紅莉栖「跳んでよ……! 跳んでぇぇぇぇぇぇ!!!」
152 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:30:07.72 ID:6tZOhjLV0
8月16日 19時49分 → 8月16日 17時49分
153 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:30:34.40 ID:6tZOhjLV0
頭が、焼けそう。
身体中に張り巡る血管が、全て破裂でもしたのだろうか。
身体中が熱い。
特に、頭が。
熱い……っ! 痛い……っ!
これなら、死んだ方がまだマシ。
154 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:31:01.41 ID:6tZOhjLV0
堅いコンクリートに頭をぶつけてしまいたい。
それが出来ない。
身動き一つ取れない。
誰か、私の頭を、
頭を……!
155 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:31:51.94 ID:6tZOhjLV0
グワン
紅莉栖「……っ!!!」バッ!
紅莉栖「ぁ……っ、は……ぁっ!」
紅莉栖「はぁ……、はぁ……!」
紅莉栖「(い、今の……は?)」
岡部「? 助手……?」
岡部「どうした? 買ってきた物を冷蔵庫にいれるのを、手伝え」
紅莉栖「……成功、した……?」
156 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:32:29.49 ID:6tZOhjLV0
時計を見る。
5時49分……。
まゆり達は……?
紅莉栖「おか、おかべ……っ、まゆり、たちは……?」
岡部「どうした? ダルやまゆりはフェイリスを誘いに行ったと書置きがあっただろう?」
157 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:32:58.71 ID:6tZOhjLV0
そうだった。
"思い出した――"
未来の記憶を、全て"思い出してしまった"
瞬間、2時間後に起こる光景が、
光景……が……っ、
158 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:33:33.50 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「……ぁ」ジワ
岡部「なっ、お、おい……! じょ、助手!?」
紅莉栖「……んだっ、……し、んじゃった……っ」ポタポタ
まゆりが、
死んでしまった……。
159 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:34:03.06 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「まゆ、りが……っ! わた、し、どうす、れば……っ」
岡部「く、クリスティー……、紅莉栖! どうした!?」
紅莉栖「……ほんとに、死んじゃ……って」
岡部「……紅莉栖っ」ギュッ
紅莉栖「……ぁ、おか……べ」
岡部「何があった? 辛いなら話さなくてもいい……。だが……」
紅莉栖「岡部……っ、私、どうすれば……いいの」
岡部「……何がだ?」
160 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:34:32.86 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「まゆりが……、死んじゃったの……!」
岡部「ま、まゆりが? まゆりなら、今はダルといるはずだが」
紅莉栖「違う、違うの! ……今から、2時間後に……」
岡部「……今から2時間後? どういうことだ?」
岡部「まるで、タイムトラ――!?」ハッ
岡部「紅莉栖。お前まさか―――」
紅莉栖「……ん」コク
岡部「タイムリープ……、してきたのか」
161 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:35:31.55 ID:6tZOhjLV0
岡部「とにかく、泣きやめ」
紅莉栖「ごめん……。迷惑、かけちゃって」
岡部「別に迷惑だなんて言っていない。ただ、その……、お前が泣いてる姿は、あまり見たくない」
紅莉栖「………ぁ」
そういえば、
――あの時の私も、
岡部が苦しんでいる姿は、見たくないと思っていた―――
162 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:36:03.81 ID:6tZOhjLV0
―――屋上
岡部「……少しは、落ち着いたか?」
紅莉栖「……ええ。ごめん、取り乱しちゃって」
岡部「別に気にしていない」
岡部「……それで、話してくれるか?」
紅莉栖「………」
岡部「……2時間後に、何があるか」
163 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:36:40.83 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「……2時間後」
岡部「どうした?」
紅莉栖「いえ……、2時間後に何があるか以外に、教えないといけないことがあるの」
岡部「?」
紅莉栖「……私は、あんたの知っている牧瀬紅莉栖じゃない」
岡部「――は? いやちょっと待て」
岡部「実は俺がタイムリープをして、記憶がお前の中に移ってしまったなどというイレギュラーが起きているとか言わないよな!?」
紅莉栖「違うわよ…」
164 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:37:11.82 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「私は紛れもない牧瀬紅莉栖だけど、あんたが今まで話してきた牧瀬紅莉栖とは違うってこと」
岡部「……すまん。お前の言っていることが、よく分からないんだが」
紅莉栖「@ちゃんねるで見なかった? ジョン・タイターが書き込んでいたこと」
岡部「ああ……、ジョン・タイターか。そういえば最近、見なくなったな」
紅莉栖「……その、冗談を言う訳じゃないから、聞いて」
紅莉栖「私は、別の世界線から来たの」
岡部「……え?」
165 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:37:52.34 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「前の世界線では、あんたがタイムリープをしていた」
岡部「……俺が?」
紅莉栖「そう。確定した未来を変えるために、タイムリープを」
岡部「未来を変えるため……」
紅莉栖「……良い? 覚悟して聞いて」
紅莉栖「私がこれから言うのは、全部事実よ」
岡部「……ああ」
紅莉栖「今から2時間後――」
紅莉栖「――まゆりが、…………殺されるの」
166 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:38:19.50 ID:6tZOhjLV0
岡部「………」
岡部「どうしてまゆりが……?」
紅莉栖「SERNが、私達に目をつけてきたの」
岡部「SERNだと!?」
紅莉栖「……ええ」
岡部「……どうしてだ……、ん……?」
岡部「頭がこんがらがってきた。お前が別の世界線から来ているだとか、前の世界線では俺がタイムリープをしていたとか」
岡部「順追って説明してくれないか?」
紅莉栖「……そのつもりよ」
167 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:38:53.43 ID:6tZOhjLV0
ただ、初めは"事実"しか言わない。
何が起きるか、何が起きているか。
……そして、あの時岡部が私に説明してくれたように、
世界線の構造。
アトラクタフィールド理論。
因果の収束により、まゆりの死は確定していること。
この世界線を抜け出さなければ、まゆりの死は回避できないこと。
私が別の世界線から跳んできてしまったこと。
そして、岡部に世界線の変動に観測する力が消失していること。
168 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:39:19.72 ID:6tZOhjLV0
岡部「……分かった」
岡部「信じよう。お前の言っている事を」
紅莉栖「ほ、本当に? いつもの厨二病発言は禁止よ?」
岡部「いつも言っている事は紛れもない真実だ!」
岡部「……で、お前が泣いてしまうくらいなのだ」
岡部「それに現実に、タイムリープマシンというものが存在している」
岡部「俺を信じさせる材料は揃っていると思うが」
169 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:39:52.30 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「でも、世界線を越えて記憶を継続させる事なんて、」
岡部「確かにその一点は解せないな」
岡部「俺に、そのRSという能力が宿っているのならまだ良しとしよう」
紅莉栖「………」
岡部「RSは世界線の変動に観測できる能力だったな」
岡部「この世界線から脱出する為に、Dメールを送信した」
岡部「……世界線は確かに変わったんだな?」
紅莉栖「ええ。そうでなきゃ、桐生さんのアパートから岡部の家に瞬間移動した事に説明がつかない」
170 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:40:23.03 ID:6tZOhjLV0
岡部「矛盾発生だ」
岡部「世界線の変動に気づけるはずなら、この世界線に辿りついても俺が記憶を持っていないといけない」
岡部「メールを送信した途端、俺がRSを失い、お前に宿った……」
岡部「というのは、あまり現実的ではないな」
紅莉栖「だから私も頭を悩ませてるの……」
岡部「なぜ紅莉栖にRSが宿っており、俺からRSが消えているのか」
岡部「……うむ」
171 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:40:52.93 ID:6tZOhjLV0
岡部「それにしても、紅莉栖」
紅莉栖「何よ」
岡部「あんまり、無理はするなよ」
紅莉栖「無理って……」
岡部「……こんなこと言うのも、あれだが、」
岡部「お前は人の死――しかも殺される瞬間を目の当たりにしているんだ」
岡部「それも、友人がだ」
岡部「お前は冷静なつもりでいるだろうが、今のお前の顔は酷いぞ」
172 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:41:26.80 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「な――っ!」
岡部「だから」
岡部「一人でなんとかしようとかはあまり考えないでくれ」
岡部「俺に、俺じゃなくてもいい。周りの仲間達に、相談してほしい」
紅莉栖「………」
紅莉栖「馬鹿っ! 相談しなかったのはどっちだ!」
紅莉栖「何度も何度もまゆりの死を見てきて、自分が壊れている事にも気づかず、」
紅莉栖「なのに、私達を傷つけないために隠し通して、ひとりでどうにかしようとしていたあんたが言うな!」
岡部「……ちょっと待て! 俺とその世界線の俺は別人だろう!?」
紅莉栖「だとしても、紛れもない岡部よ……。話してて気づいたけど、あんた、なんも変わってない」
173 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:41:54.73 ID:6tZOhjLV0
岡部「それを言うならお前もだ」
岡部「俺が知っているお前じゃない、なんて告白をしてくるのだから正直焦ったぞ」
岡部「お前も、何も変わっていないではないか……」
紅莉栖「……しょうがないじゃない。世界線の変動に気づけたのは、これが、初めてなんだから……」
岡部「それで……、どうするんだ?」
紅莉栖「どうするって……」
174 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:42:26.11 ID:6tZOhjLV0
岡部「まゆり達には、今日のパーティは中止だと言っておいた」
岡部「だがその、因果の収束には逆らえないのだろう?」
岡部「後、1時間もない」
気づけば、空は薄暗くなっている。
空の端は黒く、段々と夜が近づいてきていた。
175 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:42:54.36 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「……もう一度、タイムリープしなくちゃ」
岡部「……まあ、あまりしてほしくないが、それしかないか……」
岡部「………?」
岡部「いや、待て! 待て、紅莉栖」
紅莉栖「何?」
岡部「お前、Dメールを送信して、世界線が変わったと言ったな?」
紅莉栖「言ったけど、それがどうかした?」
176 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:43:27.76 ID:6tZOhjLV0
岡部「それは確か、この世界線から脱出する為に必要なDメール……」
岡部「そして、確かに世界線が変動した。それなら、そのβ世界線に近づいたのではないか?」
紅莉栖「……っ!」ハッ
岡部「そのDメールの内容は……、なんだったんだ?」
そうだ。
FBから、桐生さんの携帯にDメールを送った。
内容は、IBN5100の捜索を中止させるメール。
だとしたのなら、岡部は必然的にIBN5100を入手し、今も現在ラボにあるはず!
177 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:43:57.38 ID:6tZOhjLV0
だとしたら、この世界線を抜け出せるかもしれない。
まゆりが死なない、世界線に……!
紅莉栖「……っ!」ダッ
岡部「お、おい! 紅莉栖!」
紅莉栖「ごめん! 思い出したの!」
岡部「思い出したって何が!?」
紅莉栖「いいから、ラボに来て!」
178 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:44:31.22 ID:6tZOhjLV0
―――開発室
岡部「ラボに戻ってどうするんだ?」
紅莉栖「……!」
岡部「……おい。紅莉栖。何か言ってくれないと分からないだろう」
紅莉栖「……ない、ない……」
IBN5100はない……。
あのDメールは失敗したということ?
いや、そんな筈が……。
FBからの指示を、桐生さんが無視するとは思えない。
なら、どうして!?
それに、確かに世界線が変わったはず。
179 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:45:04.30 ID:6tZOhjLV0
紅莉栖「岡部! IBN5100は!?」
岡部「IBN5100? そういえば、一時は探し回ったものだが、結局見つからなかったな」
紅莉栖「見つからなかった……!?」
紅莉栖「ね、ねえ! 柳林神社に、IBN5100はあったの!?」
岡部「ん? なぜそれを。お前に言った覚えは……、いやそうか。お前は別の世界線から来たのだから―――」
紅莉栖「いいから! 答えて!」
岡部「フェイリスから聞いた情報をもとに、柳林神社に行ってみたが、」
岡部「IBN5100はなかったぞ。ルカパパが言うには、ついこの間までは確かに柳林神社にあったらしいが、忽然と消えたらしい」
紅莉栖「………っ」
180 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:45:37.57 ID:6tZOhjLV0
同じだ……。
やはり前の世界線と何も変わっていない。
柳林神社に奉納されたIBN5100が、消えた……。
それはつまり―――、あのDメールは失敗している……。
181 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/10(水) 20:46:18.47 ID:6tZOhjLV0
今日はここまで!
投下するだけで疲れますねー……。
まだ、あと2〜3回は投下が必要になるかもです。
182 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/10/10(水) 20:48:52.58 ID:RgjOhs81o
乙
応援してるぜ
183 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/10(水) 20:55:08.65 ID:C+IxFvzDO
乙です!
184 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/10(水) 22:52:09.08 ID:pHxB2KpSO
つまり、どういうことだってばよ?
185 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/12(金) 00:55:52.49 ID:/OdtKtDIO
IBN5100を指圧師に渡さないためにDメールを送った
そうすれば岡部が神社でIBN5100を手に入れるはずだった
しかしそれざ失敗した。つまり世界線が変わらなかった
186 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/12(金) 14:34:46.39 ID:gdKm/qQSO
>>185
けど世界線は変わってる
もしかして1ですか?
187 :
◆N0Gpc9Esvo
[sage]:2012/10/13(土) 00:27:02.54 ID:yMoOzRcz0
基本的に酉つけて、レスしますので。
分かりづらかったですか。一応、説明入れておきます。
前の世界線と大して変わらず(IBN5100はいまだ手に入らず)、それなのに岡部がRSを失っており(記憶までも)、紅莉栖がRSを発動させているというイレギュラーが発生しているワケです。
FBの携帯を使い、萌郁にIBN5100の探索を中止しろという、ほぼ強制のDメールを送ったはずが、なぜか失敗した。だが世界線は変動した上にIBN5100は以前、消息不明。←現段階。
といったところでしょうか。
投下するのはかなり遅くなると思います。
188 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/13(土) 10:40:21.08 ID:y7lcuFaSO
懇切丁寧にども
189 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/10/13(土) 13:08:26.34 ID:y7lcuFaSO
>>187
190 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/16(火) 22:08:36.28 ID:fOG2z9/Xo
超期待してる
191 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/17(水) 13:50:53.69 ID:32Vm8E1To
禿同
192 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/17(水) 18:16:27.59 ID:xEa/oXUho
禿
193 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/10/19(金) 07:41:09.33 ID:7cdG9UKTo
きたい
194 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:14:37.00 ID:Jo9B+ST00
投下がかなり遅れて申し訳ありません!
ここのところ、帰りが19時以降になってしまい、PCを立ちあげる間もなく、寝てしまってばかりでしたので、
進行速度がぐっと落ちました。
最近予定が多いので、五日以内に投下、というのは無理かもしれません。というか、もうすでに前回の投下から一週間以上経っている訳だが……。
とりあえず、再開します。
195 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:15:30.90 ID:Jo9B+ST00
岡部「紅莉栖……? どうしたんだ」
紅莉栖「……いえ、なんでもないわ」
岡部「何でもない訳ないだろう。一度鏡を見た方が良い」
紅莉栖「………」
IBN5100は柳林神社から突如、消失した。
それは前の世界線での岡部が言っていたように、桐生さんが持ちだしたからだろう。
未来から自分宛てに届いたDメールを見て。
それを否定した。
……だけど、依然としてIBN5100はラボにない。
196 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:16:03.57 ID:Jo9B+ST00
原因は?
IBN5100がなくなった原因は、本当にラウンダーだろうか。
……確かめる術は、ある。
直接、桐生さんにコンタクトを取ればいいのだが、リスクが大きい。
それに、この世界線が私と岡部を除いて何も変わっていないとしたら、
桐生萌郁という人間は、8月15日―――死亡する。
そして今は8月16日……。
197 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:16:51.67 ID:Jo9B+ST00
桐生さんがラウンダーだと知れたのは、岡部が"ラボの襲撃"で現れたと言っていたけど、
現実はどうだろう。
先程……いや、この先か。
ラウンダーが襲撃を仕掛けてきた中に、桐生さんはいなかった。
それはつまり、前の世界線同様、この世界線でも桐生萌郁は8月15日に死亡している。
198 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:17:33.28 ID:Jo9B+ST00
考える材料が少なすぎる上に、混乱している今答えを出してしまうのは軽率な判断……。
私一人で考えても埒が明かない。
……それなら、岡部に相談に乗る?
でも私は、前の世界線や世界の構造について説明はしたけど、
"桐生萌郁が裏切っていた"ことに関しては、あえて話さなかった。
199 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:18:03.68 ID:Jo9B+ST00
紅莉栖「……岡部」
岡部「どうした?」
紅莉栖「聞いてほしい事があるの」
岡部「……なんだ?」
紅莉栖「……実は、」
テレビ「ポーン」
岡部「……ん?」
紅莉栖「――!!」
200 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:19:32.03 ID:Jo9B+ST00
岡部「爆破予告……?」
紅莉栖「(……もう時間がない)」
岡部「……紅莉栖?」
紅莉栖「ごめん、岡部っ! タイムリープの準備をして」
岡部「……!」
岡部「42型ブラウン管テレビは?」
紅莉栖「ビット粒子砲を使って」
岡部「……なるほどな。これでは、ミスターブラウンに怒鳴られるではないか」
201 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:20:17.64 ID:Jo9B+ST00
紅莉栖「タイムリープしてしまえば、この事もなかったことになる」
岡部「なんでもかんでもなかったことにするのは、あまり好けないな」
紅莉栖「それじゃ、あんたは店長さんに怒られたいってわけか」
岡部「それも勘弁だ」
紅莉栖「でしょ?」
岡部「いつに跳ぶ?」
紅莉栖「……そうね」
紅莉栖「出来るだけ時間がほしいから、きっちり48時間前に跳んだ方がいいかもしれない」
202 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:21:04.01 ID:Jo9B+ST00
岡部「48時間? どういうことだ?」
紅莉栖「(……この世界線での私は、説明してなかったのか)」
紅莉栖「とにかく! 説明してる暇はないから、入力して」
岡部「いや待て! 二日前って事は、8月14日の午後7時40分か?」
紅莉栖「そうよ。いいから、早く――」
岡部「………」
紅莉栖「ちょっと岡部! 何してる!?」
203 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:21:54.43 ID:Jo9B+ST00
岡部「待て、紅莉栖。二日前に跳べば、お前の意識も飛ぶぞ」
紅莉栖「……どういう意味?」
岡部「思い出せ。二日前のお前はまだ寝込んでいる」
紅莉栖「!!」
岡部「目を覚ましたのはいつだ?」
紅莉栖「……えと、昨日の午後2時半」
岡部「大体29時間前に戻ればいいんだな」
紅莉栖「ええ、お願い」
204 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:22:43.16 ID:Jo9B+ST00
岡部「入力完了だ。起動するぞ」
紅莉栖「………」
岡部「………」
岡部「……紅莉栖。あまり、無理はしないでくれ」
紅莉栖「あんたが私を心配するって、どういう風の吹き回し?」
岡部「茶化すな。お前が辛そうな顔をしているのは、あまり見たくない」
紅莉栖「……っ、あ、もう、バカ! 早く起動しろ!」
岡部「言われなくとも、もう起動済みだ!」
紅莉栖「……!」
8月16日 19時44分 → 8月15日 14時44分
205 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:23:50.67 ID:Jo9B+ST00
紅莉栖「―――っ!」
紅莉栖「……ここ、は」
紅莉栖「(ラボの前……? タイムリープは成功した……)」
紅莉栖「(これで二回目になるけど、相変わらず現実味がない……)」
紅莉栖「ぅ……っ」ズキッ
紅莉栖「(タイムリープをした時のこの頭痛は、どうも慣れないな……)」
紅莉栖「(とにかく、時間がない。岡部に早く"事実"を知らせないと――)」
206 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:24:54.86 ID:Jo9B+ST00
――ラボ
ガチャ
岡部「ん? ……クリスティーナではないかっ!」
紅莉栖「岡部……!」
岡部「体調の方はもう良いのか? 昨日はまだ熱があっただろう?」
紅莉栖「……あ、えと。もう平気よ」
岡部「ほう。お前がそういうなら平気だろうが、今日一日ぐらいは安静にしていた方が良いだろう」
紅莉栖「(……タイムリープは成功している)」
紅莉栖「(私は未来の記憶を"思い出している"けど、岡部は"思い出せない")」
紅莉栖「(……1から説明しないといけないけど、一度説明してしまえばいいから、)」
紅莉栖「(問題は、岡部にどう信じてもらうか、だな……)」
207 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:25:21.94 ID:Jo9B+ST00
紅莉栖「ねえ、岡部」
岡部「?」
紅莉栖「聞いてもらいたいと事があるの」
岡部「改まってどうした? ま、まさか、実は機関の……!」
紅莉栖「冗談じゃなく、真面目な話」
岡部「……」
岡部「どうしたんだ? お前がそんな深刻そうな顔をするとは、珍しい」
208 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:26:04.01 ID:Jo9B+ST00
紅莉栖「失礼ね」
岡部「それで?」
紅莉栖「……その、初めに断っておくけど、今から言うことは冗談でもなんでもないから」
紅莉栖「私は……、未来からタイムリープしてきたの」
岡部「ほう。それは大変だな……。……ん?」
岡部「………?」
岡部「……それで、どうしたのだ?」
紅莉栖「だから! 私は未来からタイムリープをしてきた!」
岡部「成程な……。タイムリープか……」
209 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:26:52.45 ID:Jo9B+ST00
岡部「なにぃっ!? タイムリープだと!?」
紅莉栖「だからさっきからそう言っているでしょーが!」
岡部「いや……、その、助手よ」
紅莉栖「助手言うな」
岡部「まだ、調子が悪いのか……? 歩くのも辛いというなら、そこのソファで寝てもいいが……」
紅莉栖「だから、冗談じゃないって言ってるでしょ。現に、そこにタイムリープマシンは存在している」
紅莉栖「私がタイムリープをしてきたことを証明するに必要な材料は揃っている」
紅莉栖「あんたが、そう言ったのよ」
岡部「………」
210 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:27:22.59 ID:Jo9B+ST00
岡部「……ふむ。助手の言いたい事は理解できた」
紅莉栖「へ……?」
岡部「助手が熱を出してぶっ倒れてしまってから、タイムリープマシンの今後について話し合う事ができなかった……」
岡部「クリスティーナの体調が良くなれば、必然的に我々ラボメンはタイムリープを題に、議論していただろう!」
岡部「その結果……、実験するという意見でまとまったということだな……!」
紅莉栖「……実験はしない。未来のあんたがそう言った」
岡部「は?」
211 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:27:54.40 ID:Jo9B+ST00
紅莉栖「実験はしない。タイムリープマシンは正式な研究機関に託す」
紅莉栖「あんたが、そう言ったのよ」
岡部「……なに? だとしたら、なぜお前は未来からタイムリープしてきたのだ」
紅莉栖「タイムリープせざる得ない状況に追い詰められたから」
岡部「………」
岡部「……実験はしないと決めたが、そういう状況に追い詰められた……だと?」
岡部「………」
紅莉栖「………」
212 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:28:34.24 ID:Jo9B+ST00
岡部「……何があった?」
紅莉栖「SERN……の」
岡部「――!!」
紅莉栖「下層組織、ラウンダー」
紅莉栖「六人ほどの武装した外国人が、突然ラボに襲撃を仕掛けてきて、」
紅莉栖「……タイムリープマシン開発者三名、私と岡部と橋田の拘束……」
岡部「………」
紅莉栖「……それで」
岡部「……まゆりはその時、ラボにいたの……?」
213 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:29:23.89 ID:Jo9B+ST00
>>212
訂正。
岡部「……まゆりはその時、ラボにいたの……?」
↓
岡部「……まゆりはその時、ラボにいたのか……?」
214 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:30:16.77 ID:Jo9B+ST00
紅莉栖「ええ」
岡部「……っ! SERN……だと」
岡部「……あのメールは、悪戯でもなく……、」ボソボソ
岡部「……!」
岡部「……まゆりは!?」
紅莉栖「………」
紅莉栖「ねえ、岡部。私も、あまり言いたくないから」
紅莉栖「思い出したくもないから。でも、あんたには知ってもらわないと」
紅莉栖「だから、覚悟して聞いて」
215 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:30:47.47 ID:Jo9B+ST00
紅莉栖「……まゆりは……、」
紅莉栖「………」
紅莉栖「………」
紅莉栖「……殺され、て」
岡部「……な」
紅莉栖「………」
岡部「……クリスティ……、紅莉栖」
岡部「その話は、本当なのか」
216 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:31:17.02 ID:Jo9B+ST00
紅莉栖「冗談で言うと思うの?」
岡部「……そうだな。そうだったな」
岡部「お前が、そんな顔をして冗談は言わない」
岡部「そんな、冗談にもならない事をお前が言うとは思えない」
岡部「紅莉栖。お前はまゆりが殺されないために、まゆりを助けるために過去に来たのか?」
紅莉栖「当たり前でしょ。私だって、まゆりには死んでほしくないもの……!」
岡部「……そうか」
217 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:31:46.02 ID:Jo9B+ST00
岡部「……紅莉栖は、これが初めてか?」
紅莉栖「タイムリープのこと? これで、2回目」
岡部「2回……」
紅莉栖「まゆりが、その、ラウンダーがラボに襲撃してくる2時間ほど前にタイプリープしたのが1回目よ」
紅莉栖「時間が迫って、止むをえなく今日にタイムリープしてきた」
岡部「………」
岡部「ラウンダー……、SERN」
218 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:32:17.00 ID:Jo9B+ST00
紅莉栖「あんたに説明するのは、これで2回目になるけど、」
紅莉栖「私はあんたから聞いた事を、そのまま説明するだけよ」
岡部「? どういう意味だ?」
紅莉栖「これから、教えてあげるから」
岡部に、"全てを話した"
219 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:33:15.73 ID:Jo9B+ST00
アトラクタフィールド理論。
因果の収束により、まゆりの死は確定していること。
この世界線を抜け出さなければ、まゆりの死は回避できないこと。
私が別の世界線から跳んできてしまったこと。
岡部に世界線の変動に観測する力が消失していること。
私が世界線の変動に気づいていること。
220 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:33:48.08 ID:Jo9B+ST00
阿万音さんのことも。
桐生さんのことも。
天王寺さんのことも。
IBN5100を手に入れなければ、β世界線に行けないことも。
そして、桐生さんの手にIBN5100が渡らないようにDメールを送って、失敗したことも。
全て、何も隠さずに話した。
221 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:34:46.46 ID:Jo9B+ST00
岡部「……ふむ」
紅莉栖「今ここで一番の問題点は、私とあんたよ」
岡部「だが、しかしこの際それは放置してもいいのではないか?」
紅莉栖「確かに、私が世界線の変動に観測できていることやあんたにそれが出来ない事を考えても、」
紅莉栖「永遠に答えなんて出てきそうにないわね」
岡部「IBN5100さえ入手すれば、こっちのものと考えて良いわけか」
岡部「そのために、前の世界線の俺はDメールを送った」
岡部「だが、IBN5100は手に入らなかった」
紅莉栖「それが、どうしても解らないの……」
222 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:35:27.11 ID:Jo9B+ST00
岡部「失敗した原因は……」
岡部「萌郁はFBからの命令ならなんでも従うらしいな?」
岡部「……IBN5100の捜索を中止するメールが来たのに、それを無視したとは考えられるか?」
紅莉栖「それは……、ありえないわ」
岡部「……まあ、お前の話から考えるに、あいつはFBという存在に縋っていた……」
岡部「母とも言える存在からの命令に、背く事なんて絶対にしない」
岡部「別の世界線での俺も、そう信じて疑わなかったからDメールを送信した」
岡部「……だが、失敗した……」
223 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:36:04.72 ID:Jo9B+ST00
岡部「Dメールに強制の力はないが、FBのメールからということでほぼ強制に近い力が働いている」
岡部「……届いていない、という可能性は?」
紅莉栖「……入力ミスさえなければ」
岡部「まあ、機械音痴ならともかく、ダルが入力ミスをするとも思えん」
岡部「何かのイレギュラーが働いた前提で考えるとしても、原因は分からないままだ」
紅莉栖「雲をつかむような、とはこのことね……」
224 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:36:40.47 ID:Jo9B+ST00
岡部「……萌郁に直に会って話がしたいが」
岡部「この世界線は、前の世界線と酷似しているんだったか」
岡部「もし、前の世界線と変わりなければ……」
紅莉栖「ええ……。桐生萌郁という人間は、8月15日、14時以降に……」
岡部「確かめる必要はあるが、何も今から行かなくてもいいか」
紅莉栖「明日、ラボに行くついでに私が見に行く」
岡部「いや、俺が行く。お前では危ないだろう」
紅莉栖「………」
225 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:37:26.49 ID:Jo9B+ST00
紅莉栖「ねえ岡部。アトラクタフィール理論については説明したわよね」
岡部「ああ。世界は無数の並行世界ではなく、世界線は初めから一本しか存在いない」
岡部「……決定論に近いな。過去から未来までの出来事が決定しているとは」
紅莉栖「私が確認できる範囲では、私は8月16日の午後19時48分までは生きている」
紅莉栖「それはつまり、その8月16日の午後19時48分を過ぎるまで、」
紅莉栖「私は何があっても死なないよう、因果は収束する」
岡部「……いや、そんなの気休めだな」
紅莉栖「え?」
226 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:37:54.70 ID:Jo9B+ST00
岡部「……ふむ」
岡部「……」ツカツカ
紅莉栖「……な、なによ?」
岡部「紅莉栖。手を貸せ」
紅莉栖「……」
岡部「……」ペシッ
紅莉栖「痛っ! い、いきなり何をする!?」
岡部「赤くなったな」
紅莉栖「そりゃ、いまあんたが叩いたからな」
227 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:40:15.01 ID:Jo9B+ST00
岡部「お前は過去に戻って同じ時間を二回繰り返している」
岡部「俺がお前を叩いたことはあったか? 今ではなく」
紅莉栖「ないに決まっとろーが」
岡部「確かに、そのアトラクタフィールド理論でいえば、お前は死なないだろう」
岡部「俺が今、包丁を持ち出してお前を刺し殺そうとしても、」
岡部「床に置いてある段ボールに足を持ってかれて、倒れてしまうかもしれない」
岡部「偶然、訪問してきた警察に取り押さえられるかもしれない」
岡部「俺は、お前の事を何があっても殺せないが、」
岡部「今のように傷をつけることなら可能だ」
紅莉栖「………」
228 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:40:46.45 ID:Jo9B+ST00
紅莉栖「……確かに、あんたの言う通りよ」
紅莉栖「結果さえ残れば構わない」
紅莉栖「完全無敵とはいえ、ナイフで刺されれば怪我はする」
岡部「ああ。怪我はするが、死なない」
岡部「……それに、そんな目に見えないものなど信用できんな」
岡部「この鳳凰院凶真は、そのような運命には囚われん」
岡部「俺は、己の目で見たものしか信用しないのでな」
紅莉栖「……厨二病乙、とだけ言っておく」
229 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:41:20.69 ID:Jo9B+ST00
岡部「よって、そのような危険な行動はやめてもらおうか」
紅莉栖「つまり、私の事を心配しているんですね、分かります」
岡部「当たり前だ。お前は少し無茶をしすぎだ。心配させるな」
紅莉栖「な……っ、何を言って……!」
岡部「俺が見に行く。それで問題ないだろう」
紅莉栖「……はあ」
紅莉栖「本当に、見るだけだからな」
230 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:41:50.00 ID:Jo9B+ST00
岡部「ああ、見るだけだ」
紅莉栖「それ以上は駄目だからな」
岡部「しつこいぞ。分かっている」
ダル「それ、なんてエロゲ?」
紅莉栖「!?」
岡部「ぬぉっ!? ダ、ダル!? い、いつからそこに!?」
ダル「本当に、見るだけだからな……辺りから」
ダル「とりあえず、リア充爆発しろとだけ言っておくお」
231 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:42:24.52 ID:Jo9B+ST00
まゆり「トゥットゥルー♪ あ、クリスちゃーん!」ダキッ
紅莉栖「きゃっ、ま、まゆり……」
まゆり「からだの方はー、もう大丈夫なの?」
紅莉栖「え、ええ」
岡部「……ダル。コミマの方は?」
ダル「あー、なんか事故あったらしいお。エレベーターが誤作動を起こしたとか」
ダル「んで、怪我人も出たらしくて今大騒ぎ」
ダル「明日のコミマがどうなるか、雲行きが怪しい訳←いまここ」
232 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:42:50.52 ID:Jo9B+ST00
岡部「……な。もう7時か」
ダル「つか、ぶっちゃけ僕もラボに戻ってくる気はなかったんですけどね」
まゆり「ダルくんが、ラボに忘れ物しちゃったんだー♪」
ダル「何故にまゆ氏はそんなに嬉しそうなのか疑問だお……」
紅莉栖「……7時過ぎか」
岡部「少し話しこんでしまったな」
ダル「つーか、2人とも怪しくね?」
紅莉栖「何がよ」
233 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:43:40.71 ID:Jo9B+ST00
ダル「今の会話じゃ、まるで2人でずっと話してた的な感じじゃん」
まゆり「えっへへー、オカリンとクリスちゃんは仲良いねぇ〜」
岡部「な……」
紅莉栖「べ、別に、あんたらが考えていることなんて起きてない」
まゆり「えーと、こういう時は、リア充爆発しろって言うんだよね」
ダル「禿同」
岡部「ええい、お前ら揃ってスイーツ(笑)か!」
岡部「天と地がひっくり返ろうが、アインシュタインの相対性理論に間違いがあり、物理学が崩壊しようが、」
岡部「そこの助手とそういう関係になる事はありえん」
紅莉栖「な、そ、そこまで言うか!」
234 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:44:07.61 ID:Jo9B+ST00
ダル「んじゃ、僕帰るわ。これ以上、僕がここにいたら壁に穴とかあけてしまうと思われ」
まゆり「オカリン、クリスちゃん。ばいばいなのです」
岡部「……はあ。分かった。気をつけて帰れよ、まゆり」
まゆり「うんっ」
ガチャ
バタン
235 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:45:07.02 ID:Jo9B+ST00
岡部「さて……、紅莉栖」
紅莉栖「何よ?」キッ
岡部「……どうしてお前はそんなに不機嫌になっているんだ」
紅莉栖「なってないから、勘違い乙」
岡部「よく分からないが、今日は帰れ」
紅莉栖「は?」
岡部「動くとなると明日からの方が良いだろう」
岡部「例のDメールが失敗した原因を、夜遅くまで考えるのもありだが、」
岡部「お前は、今日はゆっくり身体を休めろ」
236 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:45:47.66 ID:Jo9B+ST00
紅莉栖「だから、そんな呑気にしてる時間なんて……」
岡部「IBN5100の元の在処は……、柳林神社だったな。明日はどう動くか計画を立てておく必要がある」
岡部「紅莉栖。お前は自分が風邪などひいていないと言っているが、」
岡部「この世界線ではお前は間違いなく寝込んだんだ。だから、今日は休んでおけ」
紅莉栖「………」
岡部「下手に動いて、倒れられてはたまったものじゃないぞ」
紅莉栖「……仕方ないな」
紅莉栖「でも、帰るつもりはないから」
岡部「?」
237 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:46:20.14 ID:Jo9B+ST00
紅莉栖「不本意だけど、今日はラボに泊まる」
岡部「……満足できた寝床など用意できないが」
紅莉栖「そこのソファで充分よ」
岡部「………」
岡部「……好きにしろ」
紅莉栖「言われなくてもそのつもり」
紅莉栖「………」スタスタ バタン
紅莉栖「(やっぱ、ソファは少し背中が痛いな……)」
紅莉栖「………」
紅莉栖「(……そういえば、私がタイムリープをしてきたと告白すると、)」
紅莉栖「(こいつはいつものようにふざけなくなるんだよね……)」
紅莉栖「(……変な呼び方もしなくなるし、厨二病も発動しなくなるし……)」
紅莉栖「……はあ」
238 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:46:49.88 ID:Jo9B+ST00
紅莉栖「(……それに、私が言っている事を全部信じてくれている)」
紅莉栖「(岡部は、見かけによらずものすごいお人好し)」
紅莉栖「(……変なとこだけ優しいから、困るんだよな……)」
岡部「溜息などついてどうしたのだ」
紅莉栖「別に。それとこっち見るな」
岡部「なに? ふむ。……寝顔が見られたくないのか?」
紅莉栖「うるさいわね」
岡部「冗談だ」
239 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:47:43.84 ID:Jo9B+ST00
岡部「……」パチ
紅莉栖「ちょっと、なにいきなり暗くして……」
岡部「いいから寝ろ。少し休んだ方が良い」
岡部「俺の方は机の上にスタンドがあるから平気だ。多少の光は漏れるが、我慢してくれ」
紅莉栖「……そこまでしなくてもいいのに、バカ」
岡部「ん?」
紅莉栖「なんでもないわ。それじゃ、お言葉に甘えて寝ておく」
岡部「ああ……」
240 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:48:18.85 ID:Jo9B+ST00
静まりかえった暗い部屋。
目を瞑っていても、確かに人の気配がする。
岡部が、近くにいる。
その事実が、私を安心させた。
241 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:48:47.22 ID:Jo9B+ST00
不安はある。
本当にまゆりを助けられるのだろうか。
本当に誰も苦しまない世界線に到達できるのか。
……分からない。
分からないけど、決して私はあきらめない。
前の世界線の岡部がそうだったように、私も……。
242 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:49:44.12 ID:Jo9B+ST00
私が、RSを開眼させた……か。何の冗談だ、それは。
……この世界線は一体なんなんだろう?
そういえば、世界線を数値に表せるダイバージェンスメーターというものがあったっけ。
前の世界線で岡部が言っていたし、ジョン・タイターも似たような書き込みをしてた。
確か、前の世界線は0.52……、%くらいと岡部が言ってた。
この世界線は何%かな。
今だけは世界線変動に観測できる私なら、ダイバージェンスメーターにも興味が湧く。
243 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:50:16.07 ID:Jo9B+ST00
でもきっと、
この世界線ではダイバージェンスメーターは存在してない。
世界線を数値に表せる装置なんて、世界線変動観測者以外は無意味な装置だ。
だって、気づけない人達にとってその数値は永遠に変わらない。
岡部倫太郎は観測者ではなくなった。
それは、ダイバージェンスメーターの消失を意味している。
この世界線を数値で表す事なんて出来ない。
……それに今は、まゆりを……、ううん。
まゆりも岡部も、みんなを助けるために、この世界線から脱出しないといけない。
244 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:51:23.79 ID:Jo9B+ST00
紅莉栖「……ねぇ、岡部」
岡部「……紅莉栖? まだ起きていたのか」
紅莉栖「ん。ちょっと、うつらうつらしてるけど」
岡部「どうした?」
紅莉栖「………」
紅莉栖「私達ってもしかしたら、世界の禁忌に触れるようなことをしているのかもしれないわね」
岡部「……過去改変により、世界線を変動させることか」
岡部「確かに、自分勝手だな」
岡部「2036年に構築されるディストピアを悪く思わない人間だっている」
岡部「……正義とは何か、なんて哲学すらも考えるな」
245 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:51:51.27 ID:Jo9B+ST00
岡部「紅莉栖」
紅莉栖「何?」
岡部「俺は、2036年なんて知った事じゃない」
紅莉栖「……え?」
岡部「俺は、お前やまゆりが苦しむ姿は見たくない」
岡部「無論、他のラボメンもだ」
紅莉栖「……どうしたのよ、いきなり」
246 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:52:21.38 ID:Jo9B+ST00
岡部「……いや」
岡部「パソコンに向かって考え事をしていたら、おかしな事を思い出してな」
紅莉栖「……?」
岡部「記憶に靄がかかっていて、曖昧で、思い出せないが」
岡部「……とても辛く、悲しい現実を目の当たりにして、俺は……」
岡部「世界に抗うことを選択した……」
紅莉栖「……!」
岡部「……この記憶がなんなのかは分からないが、紅莉栖。これだけは言っておく」
岡部「俺はお前を信じる。そして、俺は俺の勝手でまゆりを救うと決めた」
紅莉栖「……そうね」
247 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:53:16.77 ID:Jo9B+ST00
紅莉栖「……ふふ」
紅莉栖「偽善ぶらないところが好きよ、岡部」
岡部「なっ、あっ、お前は何を言っているのだ! ま、まさか機関の精神攻撃かっ!?」
紅莉栖「……なんて、冗談」
紅莉栖「……前の世界線であんたが言ってた」
岡部「……本当だろうな。あれこれ捏造している訳ではないだろうな?」
紅莉栖「さあ、どうでしょーね」
岡部「ったく……、もう寝ろ」
紅莉栖「そうさせてもらうわ。いい加減、この睡魔に勝てそうにないし……」
紅莉栖「………その、」
岡部「?」
紅莉栖「お、……おやすみ」
岡部「……フ。ああ、せいぜい良い夢を見るがいい」
248 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/19(金) 19:54:48.26 ID:Jo9B+ST00
今日はここまでです。
なんか、物語があまり進んでいないような……、何も解決していないような気がしますが、気のせいでしょう。
とりあえず、次の投下日は不明です。今回のレスを投下する前も言いました通り、用事が多くて。
とにかく、ここまで長いこと読んでくれた方はありがとうございます!
まだ、続きますので。もう少しお付き合いしてくれると嬉しい限りです。
249 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/10/19(金) 21:51:17.15 ID:y5CMxhwxo
乙
250 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/20(土) 10:34:49.19 ID:phn5Zt8SO
無駄に長い。
さっさとHTML化依頼だしとけ。
つまらん
251 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)
[sage]:2012/10/20(土) 12:52:36.42 ID:K91WPJpCo
面白い
まとめて投下してくれるから読みやすい
がんばれ
252 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/20(土) 14:40:30.66 ID:9v4Ss0sIO
思う存分書いてくれ
毎回楽しみにしてる
253 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/20(土) 17:18:58.49 ID:+70JhkKoo
>>1
のペースで書いて下さい
個人的にはじっくり丁寧に進めてくれるのは好きだ
254 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)
[sage]:2012/10/22(月) 00:54:33.65 ID:ZGxD8mrfo
面白いよ
別の人も言ってるが
>>1
のペースでいいし、しっかり完結させてくれればいいよ
255 :
◆N0Gpc9Esvo
[sage]:2012/10/23(火) 22:25:45.56 ID:FCfABegc0
了解しました。少しずつ進めていますので。
いつかのほのぼのシュタゲSSみたいにスラスラと書いたり出来ないので、必然的に投下速度が落ちると思います。
>>254
機関の妨害さえ受けなければ、無事完結させるつもりです。
256 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 22:57:34.34 ID:J0KB/3uu0
かなり遅れて申し訳ない!
今から再開します!
257 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 22:58:40.47 ID:J0KB/3uu0
----2012年 8月16日 11時05分----
紅莉栖「……ん」
紅莉栖「………」
紅莉栖「ふぁ……」
紅莉栖「(頭が痛い……。寝すぎたかな……)」
紅莉栖「……えと」
紅莉栖「………」ジー
258 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 22:59:07.06 ID:J0KB/3uu0
紅莉栖「なぁ……!?」
紅莉栖「11時!?」
紅莉栖「眠りすぎた…っ!」
紅莉栖「(そういえば、タイムリープする前も昼前までぐっすり寝てなかったっけ……)」
紅莉栖「……身体の疲れも取れたし」
紅莉栖「……でも」
紅莉栖「あのバカ。なんで起こしてくんないのよ……」
259 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 22:59:34.38 ID:J0KB/3uu0
紅莉栖「……」キョロキョロ
紅莉栖「……あれ」
紅莉栖「岡部?」
……シーン
紅莉栖「おい? おーかーべー?」
紅莉栖「………」
紅莉栖「………」ピッピ
紅莉栖「………」プルルル
260 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:00:20.49 ID:J0KB/3uu0
おかけになった番号は、電源が切れているか、電波が届かないところに―――
紅莉栖「……あいつ、まさか」
嫌な予感がする。
確か昨日、桐生萌郁の生死について調べるって言っていたけど……、
見るだけって言っていたから、信用するべきだとは思う。
だけど、あのバカの言うことはいかんせん信じられない。
……一人で勝手に悩みを抱えて、挙句、まゆりを助けるために自分の命の危険も顧みずに。
261 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:00:46.52 ID:J0KB/3uu0
紅莉栖「確かに、まゆりも大切だけど……」
紅莉栖「(自分が死んだら元も子もないって気付いているのか、あのバカは)」
紅莉栖「(ほんとバカ。バカの極致。真正のバカ)」
紅莉栖「……」ピッピ
紅莉栖「……」プルル
おかけになった番号は―――
262 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:01:23.96 ID:J0KB/3uu0
紅莉栖「ああもうっ!」
紅莉栖「前の世界線の岡部もこの世界線の岡部も、人を心配させて……っ!」
紅莉栖「(……岡部を信じてラボで待つか、桐生さんのアパートに行くか)」
紅莉栖「(そもそも時間がない。タイムリミットは夜の7時40分過ぎ)」
紅莉栖「(残された時間は9時間もないってのに……)」
紅莉栖「(9時間か……。仮に答えが出なくても、タイムリープをして今に戻ってくればいいだけの話だけど)」
紅莉栖「(タイムリープは……、あまり使いたくないのが本心)」
紅莉栖「……だってのに、あいつは私を起こさないし、勝手にどこか行ったと思えば連絡が通じないし……!」
263 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:02:01.61 ID:J0KB/3uu0
岡部「起こさなかったことについては、俺に非はないと思うが」
紅莉栖「……って、岡部!?」
岡部「丁度今帰って来たところだ。声をもう少し小さくした方が良い」
岡部「まる聞こえだ」
紅莉栖「……誰の所為だ。それと、携帯だけど……」
岡部「ああ、電源が切れてしまってな。コンビニで充電器を買って充電している途中だったが、電源を入れてなかったな……」
岡部「まあいい。萌郁のアパートを見てきたぞ」
紅莉栖「……桐生さんの。……それで、どうだったの?」
264 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:02:45.17 ID:J0KB/3uu0
岡部「結論から言うと、前の世界線に酷似しているというお前の考えは正しいようだ」
紅莉栖「それって……!」
岡部「立ち入り禁止のテープが張られていた。近くの警察に訊いたところ、死因は自殺のようだ」
紅莉栖「………」
岡部「………」
岡部「正直に言うと、萌郁はラボメンだ。あの萌郁が自殺した……、なんて言われても現実味が湧かない」
岡部「たとえ、萌郁がラウンダーで俺達を裏切っていたとしてもだ」
岡部「……悔しいな」
紅莉栖「どうして?」
265 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:03:19.57 ID:J0KB/3uu0
岡部「FB……いや、諸悪の根源はSERNだろう? もっと詳しく言えば、」
岡部「陰からSERNを操る300人委員会だ」
岡部「人の弱みにつけこむような最低な奴らだ」
岡部「……仮に操られていたとしても、萌郁がまゆりを……、殺したとしたら」
岡部「俺は萌郁を赦せない。赦せないが……、」
岡部「萌郁を自殺に追い込んだクソ野郎共が、それ以上に赦せない……」
紅莉栖「岡部……」
紅莉栖「あんた……、桐生さんが自殺したって知って……」
岡部「………」
266 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:04:10.58 ID:J0KB/3uu0
岡部「……ある程度、情報は揃ったな」
岡部「俺とお前を除いて、この世界線は前の世界線と殆ど変わりはない」
岡部「桐生萌郁が自殺した原因は、FBから見放された、だったな…」
岡部「それはつまり、IBN5100の回収という任務を萌郁が遂行したからだ」
岡部「……これらを踏まえて、お前の考えを聞かせてくれるか」
紅莉栖「……Dメールの内容は、IBN5100の捜索を中止させる内容のもの」
紅莉栖「FBからのメールということで、桐生さんにたいしてはほぼ強制に近い力が働くはず」
紅莉栖「Dメールが成功する条件は揃っていたけど失敗した」
紅莉栖「そして、失敗したのなら世界線は変動しないはずよ」
紅莉栖「……だけど、世界線は変動した」
267 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:04:46.78 ID:J0KB/3uu0
岡部「何かが変わっている、ということか」
紅莉栖「変わっているものなら、簡単にあげられるけど」
岡部「俺とお前だな。案外、そこにヒントがあるのかもしれない」
紅莉栖「私がRSを発動させている件について、と、岡部がRSを失っている件ね」
岡部「……やはり、それは考えようがないな。Dメールの内容が、俺達に大きく関係するものならば分かるのだが、」
岡部「………ふむ」
紅莉栖「仮説ならいくらでも立てられるわ」
紅莉栖「岡部は世界線の変動に観測できる能力を持っている」
紅莉栖「それがどの程度の範囲で適用されるか、無限と存在する可能性世界線の岡部たちも、」
紅莉栖「RSを持っているのか、それは確認できない」
268 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:05:38.46 ID:J0KB/3uu0
岡部「ではなんだ? 無限と存在する可能性世界線の一つに、」
岡部「俺が世界線変動観測者ではなく、紅莉栖が世界線変動観測者である世界線が存在していて、」
岡部「そこに偶然跳んできてしまったとでも?」
紅莉栖「あくまで可能性の話よ」
紅莉栖「2036年ではタイムマシンが開発されているか知らないけどね、」
紅莉栖「人間は無という概念を理解できない以上、解は絶対に出せない」
岡部「世界線変動観測者である以上、この世界線も観測できないのならばおかしくないか?」
紅莉栖「無限と存在する可能性世界線の中に、観測できない世界線があってもおかしくないと私は思うけどね」
紅莉栖「……文字通り、可能性は無限大」
岡部「……それでは明確な答えというものは永遠に見つからないではないか」
岡部「可能性が無限大なら、現実的に考えて不可能だと思われる事も、可能性の内に含まれる」
紅莉栖「解を導き出すために必要な式が少なすぎるのよ」
269 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:07:23.19 ID:J0KB/3uu0
岡部「世界線が変動した理由も、俺達が変化したから、か?」
岡部「だがまあ、お前の仮説で考えてみれば、あるい程度は頷けるが」
岡部「この世界線では、俺が観測者でない以上、別の世界線の俺に上書きされる事はない」
岡部「問題は紅莉栖だが」
紅莉栖「そうね……。その点に関しても考えてはみたわ」
紅莉栖「これは、前の世界線でまゆりから聞いた事なんだけど……」
紅莉栖「あんたって、酷い熱を出して倒れたことある? 昔ね」
岡部「……昔? ……酷い熱か。風邪を引いた事はあるが、インフルエンザとやらにはかかったことはないな」
紅莉栖「そっか……」
紅莉栖「………ふむん」
紅莉栖「………」
270 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:08:15.42 ID:J0KB/3uu0
岡部「どうした? 黙ってるだけじゃ分からないぞ」
紅莉栖「いえ……、馬鹿馬鹿しい考えなんだけど」
岡部「なんでもいい。一応、聞かせてくれ」
紅莉栖「RSを初めて持った時、脳がそれに耐えきれず熱を出した……」
紅莉栖「前の世界線の岡部が初めてRSを覚醒したのがその時と仮定して」
紅莉栖「そして4日前の私も熱を出して倒れた……」
紅莉栖「熱を出したことしか一致してないけど、」
紅莉栖「その時、私が初めて世界線変動観測者になったとしたら……」
岡部「……? つまり、どういう意味だ?」
271 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:09:13.51 ID:J0KB/3uu0
紅莉栖「RSが発動する条件は1つ。過去改変により世界線が変動すること」
紅莉栖「過去を誰かが改変したことで世界線が変動し、それを私が観測した」
紅莉栖「それが4日前の熱の原因」
紅莉栖「そしてその上から上書きするように、私がこの世界線に跳んできたとしたら、面白いじゃない?」
紅莉栖「それが昨日の午後2時以降」
岡部「……ややこしいな」
岡部「……だが待て。その考えだと、4日前に寝込んだ観測者である紅莉栖が優先される」
岡部「前の世界線の記憶を持ったお前は、必然的に消滅するはずだ」
岡部「前の世界線でのお前が、観測者であったのなら話は別だが」
紅莉栖「言われると思った。私もその問題で引っかかっていたとこよ」
272 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:09:49.51 ID:J0KB/3uu0
岡部「だが、必ずしもそうとは言い切れないぞ」
岡部「所詮は、人間が考える事だからな。たかが知れている」
紅莉栖「あら? 鳳凰院凶真さんは人間で?」
岡部「茶化すな。真面目に考えているのだ」
紅莉栖「……なによ」
岡部「だがまあ、観測者である人間が必ずしも優先されると決まっている訳ではない」
紅莉栖「……結局、答えはでないままか」
岡部「そもそもお前の聞いた話によると、RSは大まかなところしか分からないぞ」
岡部「RSの存在によって、アトラクタフィールド理論にも穴が出来るからな……」
紅莉栖「……確かに、RSがどのようなものかも分からないのに、それより一つ上の段階に行くのはいささか無理があるか……」
273 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:10:22.39 ID:J0KB/3uu0
岡部「まあ良い……。この際、それはどうでもいいとして……」
紅莉栖「……IBN5100の行方か」
岡部「……そうだ。Dメールを送ったのに、失敗した原因だ」
岡部「昨夜散々考えたが、やはり理解できん」
紅莉栖「結局そこで行き詰るのよね……」
岡部「……原点に戻ってみるか」
岡部「IBN5100は、確かフェイリスが柳林神社に奉納したのだな?」
紅莉栖「ええ……、あまり詳しくは聞いてないけど、確かそう岡部が言っていた」
岡部「俺がか……。しかし、妙な会話だ」
紅莉栖「ほんとよ」
274 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:11:01.48 ID:J0KB/3uu0
岡部「奉納した理由は? なぜIBN5100をフェイリスが?」
紅莉栖「……さあ。その辺りはよく聞いてないのよね……」
岡部「……おい」
紅莉栖「何よ?」
岡部「……事と次第によっては、結構重要だと思うのだが?」
紅莉栖「私に言うな。前の世界線では結構、色々と忙しかったから聞く暇がなかった」
岡部「忙しい?」
紅莉栖「あんた、色々と省いて説明するから理解するのに苦労したんだからな」
岡部「………」
275 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:11:43.03 ID:J0KB/3uu0
岡部「とりあえず、一度柳林神社に行くとするか」
紅莉栖「そうね……。IBN5100がいつの日から消失したのか、そういったことを詳しく聞かないと」
岡部「それも含めて、だ。フェイリスにも聞く必要がある」
紅莉栖「ある程度の情報が必要になる……か」
紅莉栖「これは、もう一度タイムリープが必要だな」
岡部「……お前には悪いが、そうなるかもしれん」
紅莉栖「良いわよ、別に。前の世界線ではあんたが頑張ってくれていたようだし?」
岡部「……前の世界線の話は持ち出さないでくれ。別の俺がいるようで気味が悪いぞ」
紅莉栖「厨二病のあんたには丁度良いでしょ」
岡部「……はあ」
紅莉栖「なっ、い、今の溜息はなんだ!? 説明求む!」
岡部「とにかく行くぞ……」
276 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:12:32.90 ID:J0KB/3uu0
――柳林神社
るか「はい」
岡部「な……、一週間以上も前か……」
紅莉栖「いえ、時間はこの際関係ないわ。Dメールはいくらでも時を遡れるから」
るか「……?」
岡部「悪いな。邪魔をした」
るか「い、いえっ! べ、別に邪魔なんて事はないですからっ!」
岡部「ああ、そうか。……それとルカ子よ!」
るか「っ、はい!」
岡部「貴様は、今日は何回素振りをした?」
るか「あ、えと、申し訳ありません。まだ、一回も……」
岡部「ばぁぁかもの!」
るか「っ…!」
277 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:13:37.70 ID:J0KB/3uu0
岡部「精神斬魔流の道のりは険しい。そんな心構えだと、ヤツらが襲いかかって来た時には……」
るか「や、ヤツら……ですか?」
岡部「俺だ。ああ、まずいことになった。アキバの巫女が、まさか鍛錬をせずにいたとはな……」
岡部「この事は秘密だ。そうだ。ヤツにも伝えるな。機関の耳に入れば、世界はたちまち地獄の業火のごとく燃え上がるだろう」
岡部「なに? 俺が求める混沌になる? 違う、違うぞ。この鳳凰院凶真が求める混沌は、そんな非道なものではない」
岡部「そして、俺の手によって混沌を齎さないと意味がないのだ……。エル、プサイ、コングルゥ」
岡部「ルカ子よ。今からでも遅くない。鍛錬をするのだ」
るか「は、はい!」
岡部「では、俺は行くが……」
るか「わ、分かりました。おか、凶真さん!」
紅莉栖「……」スタスタ
岡部「……」スタスタ
278 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:14:10.54 ID:J0KB/3uu0
紅莉栖「……あんたって」
岡部「?」
紅莉栖「……いや、やめとく」
岡部「はあ? 気になるではないか」
紅莉栖「うるさい。どうでもいいことだから、あまり突っかかってくるな」
岡部「先に話を吹っかけてきたのは貴様だろう」
紅莉栖「はいはいすいませんでした」
岡部「どうしてそんなに機嫌が悪いのだ」
紅莉栖「別に」
279 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:14:38.27 ID:J0KB/3uu0
岡部「まあとにかく、次はフェイリスのところに行くぞ」
岡部「……メールを入れておいたほうがよかったな」
岡部「今からでも遅くないか……」ピッピッピ
紅莉栖「……」
紅莉栖「……」
岡部「よし、これでいいだろう。後は返信を待ちながら、メイクイーン+ニャン2に向かうとするか」
紅莉栖「ねえ、岡部」
岡部「なんだ?」
280 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:15:08.35 ID:J0KB/3uu0
紅莉栖「行く途中に、ラジ館よらない?」
岡部「構わないが……、」
岡部「一応理由だけは聞いておこう」
紅莉栖「なんとなく、って言う訳でもないんだけどね……」
岡部「ラジ館に突き刺さっていたあの人工衛星は、鈴羽が乗って来たタイムマシンだったな……」
紅莉栖「ええ」
岡部「……まあいいだろう。少し遠回りになるが、ラジ館に寄ろう」
紅莉栖「……サンクス」
281 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:15:53.04 ID:J0KB/3uu0
―――ラジ館前
紅莉栖「相変わらず人が多いわね……」
岡部「それはそうだろう。国籍不明の人工衛星が墜落してきたと思えば、」
岡部「突如、その姿が消えたのだ」
岡部「最近はテレビもこの話題で持ちきりだ」
紅莉栖「それで、見に来てる人もいるってわけか」
岡部「熱が冷めるには当分かかるだろうな」
紅莉栖「……この世界線でも、」
岡部「?」
紅莉栖「阿万音さんは……、1975年に」
岡部「……そうなるだろう」
282 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:16:25.38 ID:J0KB/3uu0
紅莉栖「そういえば、結構前にあんたとここで会った覚えがある」
岡部「……あー。確か電話レンジが本来の機能が発揮したときだったか」
岡部「……タイムマシンなんて嘘だと叫んだ奴が、タイムリープマシンを作り上げたのだ」
岡部「未来はどうなるか分からないな」
紅莉栖「……仮に未来が確定していても、私達のような世界線を変えようとしている人がいる限り、」
紅莉栖「未来は不確定か……。それ、面白いわ」
岡部「あるいは、全部ひっくるめて決定論に基づいているのかも知れんが」
紅莉栖「ありえない話じゃない」
283 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:16:57.57 ID:J0KB/3uu0
紅莉栖「ねえ、ところで少し疑問に思ってたんだけど」
岡部「?」
紅莉栖「あんたって、RSを失っているのよね?」
岡部「……ああ、そうだが?」
紅莉栖「……私とあんたの出会いって、どこで?」
岡部「大学の講義だったな。お前がそこでタイムマシンは絶対に不可能だと言い切ったのだ」
紅莉栖「あぁ……、把握。そこであんたが、意義ありと叫んだだっけ」
岡部「うむ」
紅莉栖「(いきなりセクハラされたことがこの世界線では起きてなくとも、講義中に岡部が突っかかって来たとしたら……、)」
紅莉栖「(………なるほど。好奇心に負けた私が、ラボに行ったら電話レンジの存在を知ってしまったってわけか)」
284 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:17:30.73 ID:J0KB/3uu0
携帯「〜♪」
岡部「む……、フェイリスからか」パカ
岡部「……ふむ。一時間後に休憩があるからその時なら平気だニャン……」
紅莉栖「ぷっ、あ、あんたがニャンとか」クスクス
岡部「音読しただけだ。一時間か。その間、メイクイーン+ニャン2で寛いでいよう」
紅莉栖「今後の事も考えながらね」
285 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:18:36.41 ID:J0KB/3uu0
―――メイクイーン+ニャン2
岡部「ああ、すまなかったな。時間を取ってしまって」
フェイリス「別にこの程度なら気にしてニャいけど……」
フェイリス「それにしてもどうして今になってそんなことを聞いてきたのニャ?」
岡部「それは……、機密情報だ」
フェイリス「………」
フェイリス「ニャるほど……。世界はソイツらの手に落ちてしまうと未来予知したキョーマは、」
フェイリス「それを防ぐために、超レアなIBN5100を入手しようとしているのニャ!」
フェイリス「IBN5100には世界を揺らがす隠された機能が存在しているのニャ……」
岡部「い、いや……、うむ。その通りだ」
フェイリス「でもキョーマ! それを使ってしまったら、キョーマの身体が!」
岡部「ああ、その事に関しては心配無用だ。この俺が誰だか忘れたとは言わせんぞ」
286 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:19:08.64 ID:J0KB/3uu0
岡部「フェニックスの鳳凰に院、凶悪なる真実と書いて、鳳凰院凶真!」
岡部「過去、俺に傷を負わせたものはいない……」
紅莉栖「はいはい厨二病厨二病」
フェイリス「それじゃ、フェイリスは仕事に戻るけど……」
岡部「ああ。一応礼だけは言っておこう」
岡部「貴重な情報を我々に託してくれて感謝している」
紅莉栖「やけに偉そうだな……」
フェイリス「お安いご用ニャ! それじゃ、キョーマもクーニャンもまたね、なのニャ!」タッタッタ
287 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:19:49.86 ID:J0KB/3uu0
紅莉栖「……ねえ」
岡部「ん?」
紅莉栖「あの子は……、あの子なりに気を遣っていたのかしらね」
岡部「どういう意味だ?」
紅莉栖「あんた鏡見たら? いつもと全然違うし。フェイリスさんが心配そうにしていたのも分かる」
岡部「そ、そんなに今日の俺はおかしいか?」
紅莉栖「真面目なあんたはおかしいな」
岡部「ふっ――、俺はいつも真面目だ」
紅莉栖「どこが……。はあ、とりあえず行きましょ?」
288 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:20:45.00 ID:J0KB/3uu0
―――何処かのベンチ
岡部「……」
紅莉栖「……ねえ、フェイリスさんから聞いた情報をもとにあんたはどう考えている?」
岡部「……鈴羽は、フェイリスパパにIBN5100を渡したんだったな……」
紅莉栖「ええ」
岡部「自分にもしもの時があったら、神社に奉納してほしい、か」
岡部「……つまるところ、原因だけを考えるなら、世界線を無暗に変えた俺の責任となる」
岡部「恨むぞ、前の世界線の俺」
紅莉栖「……まあ、本来ならIBN5100は岡部の手元に行くようになっていたんだけど、」
紅莉栖「そこにDメールが介入したせいで、大きく変わってしまったワケか」
289 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:21:35.47 ID:J0KB/3uu0
岡部「……解を導き出すには、まだ材料が少ないか?」
紅莉栖「いえ……、これ以上材料なんてないでしょ」
紅莉栖「これは基本となるものだけど、Dメールは思うがままに過去を変えられるものじゃない」
紅莉栖「Dメールを受け取った本人が、そのメールに従うか従わないかは本人次第」
紅莉栖「従ったとしても、どう行動するかは当然のように私達は予測できない」
紅莉栖「……桐生さんにDメールが届いていた前提で考えたとして、」
紅莉栖「そのメールを読んだ後の行動を考えれば……、」
岡部「FBからのメールという時点で、萌郁は絶対に逆らわない……」
岡部「……が、その後の行動が問題になるというわけか」
290 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:22:45.05 ID:J0KB/3uu0
岡部「萌郁がDメールを受け取れば、まずそれに従い柳林神社には立ち寄らない」
岡部「Dメールの内容は、IBN5100の捜索を中止するもの……」
岡部「その後に萌郁がとる行動は、命令通り待機する筈だ」
岡部「……だが、結果的にIBN5100はラウンダーの手に渡った」
紅莉栖「……っ!」
紅莉栖「……ま、待ってっ!」
岡部「な、なんだ?」
紅莉栖「桐生さんが取る行動は、命令通り待機するって言ったわよね?」
岡部「それは、メールがそういう内容だったのだろう?」
紅莉栖「え、ええ! ……桐生さんは待機するはず。そうしたらどうなる……!?」
291 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:23:20.34 ID:J0KB/3uu0
岡部「………どうなるって、そのままIBN5100の捜索を中止して……!!」
岡部「そうか……! そういうことかっ!」
紅莉栖「FBと桐生さんはよくメールをしていた、って言ったわよね?」
岡部「ああ……。そうなれば、萌郁とFBとの会話が絶対に噛み合わなくなるはずだ」
岡部「FBが送った事のないメールが萌郁に届いていること」
紅莉栖「それと、送信日が未来からになっている」
岡部「その前にも、未来から自分宛てに届いたメール……」
岡部「萌郁は電話レンジの存在も知っているし、どういうものかも知っているはずだ」
紅莉栖「……Dメールを送った本人が、私達だって感付かれた?」
岡部「その可能性は否めないが……」
292 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:24:11.61 ID:J0KB/3uu0
岡部「結果的に、FBからの命令でもう一度柳林神社を調べろ、ということになったのではないか?」
紅莉栖「頻繁にメールを交わさなくても、組織で構成している以上、定時報告の1つや2つあってもおかしくない」
岡部「必然的に齟齬が発生するというわけだ」
岡部「仮にラボ襲撃で電話レンジを奪い、その後ラウンダーが使用したとしても、萌郁1人にメールが来るのはどう考えてもおかしい」
紅莉栖「……と、とにかく」
紅莉栖「……解は出た。なら、それを否定するDメールを送れば!」
岡部「ああ……! それを否定すれば、IBN5100は必然的に手元に戻ってくる筈だ」
紅莉栖「…………」
岡部「…………」
岡部「……どう、否定すればいいのだ? FBの携帯を使うわけにもいかない」
岡部「ラウンダー関係者の携帯を奪って、Dメールを送っても二の舞だ」
紅莉栖「……えと」
293 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:24:53.11 ID:J0KB/3uu0
紅莉栖「過去の自分にIBN5100の在処を教えても、その頃の私達はIBN5100に興味はなかった」
岡部「……お前が言っていた通りだ。Dメールに強制の力はない」
紅莉栖「桐生さんやFBの携帯を使うのは駄目。仮に方法があっても、リスクが大きすぎるわ」
岡部「過去のルカ子に、IBN5100の置き場所を変えろ、とDメールを送るのはどうだ?」
紅莉栖「それは流石に無理がある。今さっき言ったように、Dメールを受け取った本人の行動は予測不可能よ」
紅莉栖「……それに、たった18文字でどう伝えるの?」
岡部「……うぅむ」
紅莉栖「……行き詰ったわね」
岡部「……しまった!」
紅莉栖「へ?」
294 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:25:29.83 ID:J0KB/3uu0
岡部「6時過ぎ……、だ。ラボに戻らなければ」
紅莉栖「……っ、時間切れか」
岡部「今回は、俺がタイムリープをする」
紅莉栖「それだけは絶対にさせない」
岡部「どうしてだ?」
紅莉栖「前の世界線で、あんたが何回タイムリープをしたと思ってる?」
紅莉栖「せめてこの世界線のあんたは、少し休んでなさい」
岡部「そういう問題じゃ……」
紅莉栖「それに、私の方が迅速かつ適切に過去のあんたに説明できると思うけど?」
岡部「……くっ、卑怯な」
紅莉栖「ああもう! 時間がないから、急いでラボに行くわよ……っ!」
295 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:26:13.41 ID:J0KB/3uu0
――――ラボ
岡部「時間は?」
紅莉栖「今日の11時ごろ……」
岡部「そんな少しだけか?」
紅莉栖「朝の7時に跳んだら、どうなるか解らないから」
岡部「寝ている自分にタイムリープしたら、その瞬間覚醒するのか、眠ってしまうのか……」
紅莉栖「作った張本人が言うのもなんだけど、あまり性能に期待はできない」
紅莉栖「……できれば、起きている状態の私にタイムリープをした方が安全よ」
紅莉栖「というより、タイムリープする前提からして危険なんですけどね」
岡部「む? 俺は今朝の7時に起きたぞ? ならば、俺が跳んだ方が……」
紅莉栖「あんた携帯の電源切れていただろ」
岡部「あ……」
296 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:26:57.94 ID:J0KB/3uu0
紅莉栖「今更遅いと思うけど、いい? 携帯は肌身離さず、そして絶対に電源は切るな」
紅莉栖「もしも私に何かあったら、後はあんたしかいな―――」
岡部「馬鹿言うな」
紅莉栖「え?」
岡部「お前に何かがあった、なんて馬鹿な事を言うな」
紅莉栖「仮の話よ。それにアトラクタフィールド理論でいえば、私は完全無敵だし?」
岡部「知らん。アトラクタフィールド理論が完璧なのかどうかも解らないだろうが」
紅莉栖「そうだけど……」
岡部「俺がさせない」
紅莉栖「……へ?」
岡部「……お前まで、傷ついてほしくない」
297 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:27:50.72 ID:J0KB/3uu0
紅莉栖「あ、あああんた何言って!?」
岡部「本心だ。……ただでさえ、まゆりが……」
紅莉栖「……岡部」
岡部「7時か……。時間が無いぞ。設定はしてある。後は……」
紅莉栖「はいはい、言われなくてもわかってる」
岡部「跳ばすぞ。いいな」
紅莉栖「いつでもOK」
298 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:28:21.56 ID:J0KB/3uu0
岡部「……悪い」
紅莉栖「なんで謝る」
岡部「……別に、意味はない」
紅莉栖「なんだそれ」クスクス
岡部「それじゃ、跳ばすぞ」
紅莉栖「ええ」
グワン……
299 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:28:47.98 ID:J0KB/3uu0
8月16日 19時06分 → 8月16日 11時06分
300 :
◆N0Gpc9Esvo
[saga]:2012/10/30(火) 23:30:28.57 ID:J0KB/3uu0
とりあえず今日はここまでです。
投下するのに一週間以上間があいてしまい、忘れてしまった方もいると思います。申し訳ありません。
ですので、なるべく早めに投下したいのですが、なにぶん、用事がありまして、次回も遅くなるかと。
SS書きながら、結構頭の中がごっちゃになっているので、もしかしたら矛盾や疑問点が……。
指摘していただけると嬉しいです。必ずしも満足できた答えを返せるかは分かりませんが……。
301 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
:2012/10/30(火) 23:45:07.13 ID:xyWp8VF2o
忘れてないよ
302 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/10/31(水) 22:15:04.56 ID:mao/PcDA0
本編の萌郁のDメール打ち消しは確かに変だよな
8月1日にオカリン達がIBN5100を手に入れるのはアリにしても
その後FBと萌郁のメールが噛み合わなくなっちゃう
それともFBが諦めたんだろうか・・・
303 :
◆N0Gpc9Esvo
[sage]:2012/11/07(水) 19:16:15.27 ID:oqAMm6dB0
とりあえず生存報告だけ。
最近、体調崩したし、まだやることたくさんあって全然書けない。
大変申し訳ないが、このスレはしばらく忘れてもらって構わないぞ。
とてもじゃないが、今年中に投下できるかもわからない現状だし、本当に申し訳ない。
304 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2012/11/07(水) 20:00:45.39 ID:NKjn+8dwo
落ちなければなんでもいいやー
気長に待ってるよ
305 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/12(月) 20:04:43.88 ID:gMugtSFk0
そのまま落ちる予感……
306 :
◆N0Gpc9Esvo
[sage]:2012/11/22(木) 21:19:05.81 ID:EVAVY+A40
生存報告
長いことINしてなかったからコテハン忘れてて焦った。。
307 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/25(日) 02:21:16.40 ID:pIPeEOoHo
報告乙
気長に舞ってる
308 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/26(月) 12:48:31.72 ID:ZfWQC8uSO
仕方ないから舞ってあげる
309 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/30(金) 18:00:13.53 ID:Kl22Njb20
YOU! YES! OK! YEAH!!!!!!!!!!!!!!!!!!
310 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/11/30(金) 18:02:13.13 ID:Kl22Njb20
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》∧: ; Y|l | :|: :'⌒ヽ: :ハ \ ',: :l / /:/ :'⌒ヽ |: | l|W ; :∧《
人: ; Y | :| :| :[]: |: |:│ ヽ ',:l / | :| :| :[]: |: |: | W ; :人
∨从 人ヽ:_;_;_;_:ノ ノ 〉 ',! 〈 人ヽ:_;_;_;_:ノ ノ 从∨
∨ \ 丶、;_;_;. イ . : : . 丶、;_;_;. イ / ∨
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l| \ / |l
311 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/21(金) 17:15:04.13 ID:M1DqXxd9o
こっちみんなし
312 :
VIPに変わりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/01/02(水) 17:40:40.02 ID:m0OGDzyZ0
保守
体調には気をつけて…
313 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/01/14(月) 00:40:23.04 ID:ShNrLXuS0
ほほほ
314 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/01/14(月) 02:18:57.84 ID:Fj5bNZFq0
お前を待っているぞ
315 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/01/14(月) 06:26:32.47 ID:c4KjVSDAO
分かった。分かったからsageれ
316 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[Sage]:2013/01/14(月) 14:25:03.59 ID:FLizNrtIO
生存報告まだかあああああああ!?!?!?
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