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【咲】京太郎「夏休みだ」?「すがきょうたろうすがきょうたろうすがきょうたろう」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/14(日) 15:53:58.01 ID:J9Fgf21K0
 ・咲-saki-の須賀京太郎を主人公とした安価SSスレです。原作、アニメより幾らか空気度が上昇した未来の話です。あとインターハイは七月に終わりました。終わったんです。終わってしまったんです(断言)。

 ・目標としては、秋の国民麻雀大会か冬の世界ジュニアに参加し、優勝を目指す事です(目標なので果たせなくても可。麻雀を忘れて女に奔るルートも)

 ・初心者でも参加しやすいようにしたいです。判定の際、人数は多い方が良いです。ぬるま湯といえばぬるま湯だが、質より量が孕む危険性も……

 ・京太郎は朝、昼、夕、夜の四回に渡って行動可能です。二回必要な行動もあるので注意。中には一回未満も

 ・パラメータは技術、経験、天運、容姿の四つです。容姿は麻雀に関係ありませんが、女子からの心証が良くなります。天運はイベント以外では延びません。能力(スキル)も同様。百五十以上で全国区、三百以上で魔物

 ・京太郎は色々あって、少し暗くなってます。温かい気持ちで見守って下さい(ついでに作者も)。嘘。すっかり明るくなってしまった。そのままという保証もない。

 ・イチはなんJ民じゃない(重要)

 ・天鳳ブーム


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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713613334/

2 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/14(日) 15:55:02.76 ID:J9Fgf21K0
 安価形式

 ・見てれば判る。

 ・嘘。範囲十で、曜日に対応した数字とコンマ一つ目の差で計算。
1日曜
2月曜
3火曜
4水曜
5木曜
6金曜
7土曜
 ドンピシャで七倍。一つズレたら――指定数2なら3で六倍で1はカウントしない――という形に。ぶっちゃけ運。

 ・ネットでの麻雀は選択した際のコンマにも影響する。
 コンマ 0〜10梢
    30〜40未定
    51〜60もこ
    81〜90未定
 こんな感じ。ネットで出会うと、或る程度のフラグかイベントが自動に進行する。
3 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/14(日) 15:56:14.60 ID:J9Fgf21K0
過去スレ
【咲】京太郎「夏休みだ……」【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343819730/
【咲】京太郎「夏休みだ!」みんな『――――またね!』【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1344774462/
【咲】京太郎「夏休みだ」霞「夕方の挨拶ってなんだったかしら?」【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1345900721/
【咲】京太郎「夏休みだ」赤坂「出番まだ〜?」【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1347016500/
【咲】京太郎「夏休みだ」竜華「う、ウチの時代?」【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1348737337/

家宝
http://cdn.uploda.cc/img/img50640fe33f50d.jpg
http://cdn.uploda.cc/img/img50640fd991fd2.jpg
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12973/1345302040/820
http://wktk.vip2ch.com/vipper0648.jpg
4 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/14(日) 15:58:01.35 ID:J9Fgf21K0
 8/24(朝)(水)

 基礎能力値
 体力:46/100
 気力:50/100
 技術:S 110(9)
 天運:G 15
 経験:S 104(6)
 容姿:B 70

 アイテム込み
 技術:S 130
 天運:B 77
 経験:S 122
 容姿:A 95

 能力
 【道祖神(開)】:レベル4。旅立ちへと誘う黄幡神の性質を持つ能力。全体支配系を無効にするが、対象は選択可能。ただしフィールドからの出口は、作れば作るだけ体力と気力を消費する。
 基本的に左右できるのは一つの空間だけであり、王牌と場を同時に開放する事はできない。加えて、相手の支配力が強ければ強い程消費する体力と気力は高い。
 宮永照のように、個人の能力を上げるタイプには通用しない。
 封じるランク分の体力と気力を一局ごとに消費する代わりに、5ランクまでの能力を無力化する。

 【道祖神(閉)】:レベル4。生き残りの一つにして黄幡神の対極、■■の能力。封じるランク分の体力と気力を一局ごとに消費する代わりに、五ランクまでの能力を無力化する。

 【道祖神(流)】:レベル5。全体の流れを抽象的に見遣る事により、流れに穴を開け、自分に流れを偏らせる能力。ただし流れという抽象的なものに穴を開けるには多大な体力消費が伴う為、半壮に一回しか使用出来ない。しかし完全に一度流れを偏らせる為、引っくり返すのは難しい。五十順以内に決着を着けなければ、強制的に敗北する。
 天運対局者の運の総合値×経過場÷1000上昇、技術20低下。体力20消費。

 【道祖神(鬼)】:レベル5。裏鬼門をイメージする事で、鬼門を集める能力。能力のルーツが酷使している為体力消費は比較的低い。体力10消費、天運30上昇。効果は一局のみ。

 所持金:59300
 所持品:麻雀教本応用編(教本。経験上昇十、戦術上昇五。三尋木プロ監修)
     風水の本(風水に関して色々載っている。天運7(下げる事も可能))
     鬼門の本(鬼門に関して色々載っている。天運5(下げる事も可能))
     麻雀教本(教本。戦術上昇5)
     風水の石(よくある色付きの石。意外と効果があったりする。天運10上昇)
     黄金かもめの卵(最高級のお土産。好感度40上昇):1
     桐まくら(上):許容の品。誇りと執着の違い。毎晩体力、気力二回復
     琥珀のペンダントトップ(容姿5上昇、天運15上昇。好感度50上昇。土産ではない。誰にでもあげられる)
     スケッチブック思い出の品。誓い合った約束という夢。戦術5上昇
     マヨイガのお椀:決断の品。見守る事を決断する勇気。天運十上昇
     黒色の帽子:思い出の品。積年の願いを象る帽子。容姿三上昇、経験五上昇
     黒色の甚平:信頼の品。信頼を信じた男を象る服。容姿十七上昇、天運十五上昇。
     モノクル(右):約束の品。砕けても消えぬという覚悟。【道祖神(閉――未)】
     合縁奇縁の札(人物安価にプラス補正。より多くの人と出会うようになる。コンマ判定、上下に十。使い捨て):1
     恋愛成就の札(好感度上昇にプラス補正。より多くの好感度を稼げる。使い捨て):5
     金運上昇の札(使用時、コンマを予想して的中で勝ち分を二倍にする。使い捨て) :4
     麻雀教本翻弄編(教本。経験上昇三、戦術上昇五。戒能プロ監修。今ならマスコットも付いてくる! なお出来は結構宜しい模様)
     上野 焚黒糖(大阪土産)
     ビリケンさんぬいぐるみ(大阪土産。京太郎さんぬいぐるみは多分出ない)
     岩おこし10枚束(大阪土産):2
     粟おこし10枚束(大阪土産)
     お好み焼き(本場の味。体力気力3回復)
     もんじゃ焼き(美味しいけど中々売ってない。どうやって持ち帰るのかは、イチにも判らない。体力気力4回復)
     チーズケーキ(りくろーおじさん。大阪土産。見た目が美味しそう。実はイチはチーズケーキが食べられない。気力5上昇)
     座布団(座布団。3000)
     蓬莱の豚まん(160円らしい。体力2回復):4 
     ドーピング(体力20回復)
     アセチルコリン(気力20回復)
     葛根湯(使用時休息し、体力気力10回復する):3
     目薬(行動選択後に使用する事で体力気力の消費を1にする):5
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/10/14(日) 16:00:10.72 ID:8H2ZAd/v0
乙でーす
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/10/14(日) 16:00:54.80 ID:8H2ZAd/v0
そういえばスレタイ…
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/14(日) 16:01:31.35 ID:2TsJbJ4O0
スレ立て乙ー
誰だこれは
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/10/14(日) 16:02:30.32 ID:BEjfuGDlo
乙です
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/10/14(日) 16:04:33.16 ID:z/7PB8rh0
乙でー……えっ?(タイトル見て)
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/10/14(日) 17:09:01.54 ID:1Us54H1/o
す、スレタイ…
誰か病んだんか…
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/14(日) 17:34:09.89 ID:jQzYx/IZ0
建て乙です

そして何事!?
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/10/14(日) 17:49:25.28 ID:jyRd0MmI0
病んでるなー
なんかタイトル見てると、白糸台スレのあわあわおもいだした
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/14(日) 21:25:48.00 ID:6h4g8PIIO
病んでますな〜(震え声)
誰なんやろう
14 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/14(日) 22:27:57.53 ID:J9Fgf21Ko
ごめ、頭痛とかでちょっと書けなさそう。
この後の会話形式選んで
↓1
A全員で会話
B個別会話
1.泉
2.怜
3.穏乃
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/14(日) 22:28:28.76 ID:IAuQ7xJco
B3
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/10/14(日) 22:28:35.63 ID:1Us54H1/o
A
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/14(日) 22:28:45.85 ID:jQzYx/IZ0
A
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/10/14(日) 22:29:33.13 ID:2TsJbJ4O0
無理すんなよー?
19 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/14(日) 22:34:59.15 ID:J9Fgf21Ko
ん、まあ仮眠取ればなんとかなると思う。
では皆さん、サラバダー。更新遅れてごめんなさい(ペッコリン
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/14(日) 22:37:38.39 ID:2TsJbJ4O0

お大事に
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/10/14(日) 22:39:29.12 ID:1Us54H1/o
おつやでー
しっかりうやすみやー
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/10/14(日) 22:45:39.39 ID:ZbmwwSsAO
乙っしたー
サラダバー
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/15(月) 19:38:27.75 ID:ScHqdytIO
イッチが栄冠ナインの魅力に取り憑かれたと聞いて

止めどきが分からんくなるで〜
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/15(月) 21:54:23.58 ID:t0nopitL0
タイトルから察するに、スポットが全く当たらない東海エリア・・・・か?
25 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/15(月) 22:10:54.85 ID:oMk3LOe1o
栄冠ナインとかいうクソゲーというスレ名を思い出してしまった。それほどまでにあの負けは悲しかった。黄金世代が崩れ去る音を聞いた。一人の超新星と残りのゴミっぷりを併せ持つ新入生しか、次にはない。虹梁高校に未来はないのだ。虹は掛からなかったのだ。


という訳で中毒は冷めたので、明日は絶対更新します。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/15(月) 22:13:06.93 ID:24RawIsd0
明日更新とな
把握ー
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/10/15(月) 22:15:55.90 ID:Bt/3xcBAO
了解
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) [sage]:2012/10/15(月) 23:10:22.10 ID:gRPbJNGp0
そういえば能力説明の道祖神(鬼)のルーツが酷使って酷似の誤字でいいの?
29 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/16(火) 22:14:49.19 ID:+zIL2Jxco
時間ない……なんとか、会話だけは終わらせたので、投下した後安価取って終わりです。
明日もネットに触れなかったりする。すまんな。
30 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/16(火) 22:16:03.88 ID:+zIL2Jxco

 京太郎「……ミスッた」


 穏乃「なんであんなムキになってたんだろう、私達……」


 泉「良かった良かった良かった良かった良かった、直撃されないで良かった……!」


 怜「……なんていうか、台風一過って感じがするなぁ……」


 開幕、配牌にドラを四つも引いた須賀京太郎は、絶一門を用いて倍満を直撃。

 しかし、直後跳満を叩き込まれるという不用意さから対局はスタート。

 その後全力で相手を落とす事にだけ執念を発揮する二人だったが、ツモ和了りを懸命に繰り返された上に、怜さんの差し込みなどで打点を上げられた結果、いつのまにかラスを引いていたとさ。めでたしめでたし。

 ……いやまあ、遊びだからいいんだけどさ。


 怜「ウチも京太郎君とは長いけど、今回はまた激しかったなぁ……」


 穏乃「なっ!?」


 京太郎「相手が手強かったですからね、しかも同タイプ。……勝ちたかったなぁ」


 怜「結局ラス引いちゃったからなぁ」


 泉「いやいやいやいや、それでもおっかないですって! なんなんですかあの高打点!」


 京太郎「自分でも驚いた。……個人的には、直撃が多かった事より、直撃された回数の方が気になったけど」


 泉「うっ……!? ま、まあお互いノーガードでしたしね」
31 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/16(火) 22:16:34.97 ID:+zIL2Jxco

 怜「絶一門で誘うのって、誰から教わったん?」


 京太郎「いや、自然に思いつきました。……三麻やった時に、直撃の割合が非常に高かったので」


 泉「ああ、なるほど」


 怜「まあウチ等はその分、ツモだけを目指せてラッキーやったなぁ」

 
 京太郎「聴牌速度、クッソ速いですからね。まあ裏目る確率も低いですし」


 穏乃「や、やっぱり、未来予知できるんですか!?」


 怜「うーん……まあ、秋の団体は出ないし、別にいいかな。うん、ウチ、見えるんや」


 京太郎「凄いですよね、それ。……どうにかして、俺もできないかな」


 泉「止めてくださいよ、それ以上強くなるの! 私のプライドはもう、とっくにゼロですよ!」


 京太郎「……いやまあ、強いとは思うよ。他の一年に比べても、そうそう劣るって訳でもないし。ていうか強いし」


 泉「ぐぅぅ、上から目線、だけど何も言えない!」


 穏乃「い、いやいや、泉さん上手いですよ? 普段の私じゃ、多分負けると思いますし」


 泉「……でも、肝心なところやったら、強いじゃないですか」ムー


 穏乃「ま、まあ……」


 京太郎「それ考えると、あんまり個人戦向けじゃない気がするな、シズって。ぶっちゃけ本番、発揮できるのか?」
32 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/16(火) 22:17:03.74 ID:+zIL2Jxco

 いやまあ、発揮されても困る気はするんだけど。

 数少ない状況で発揮されるなら、それは或る程度のスパンで見る個人戦向けじゃない。昨年、荒川憩が神代小蒔を結果で上回れたのは、その辺りの事情に起因する。

 天江衣とてそうだ。夜でなければ、全力は発揮できず、となれば最高値が多少下回ろうと、安定感のある荒川憩が上回る。


 穏乃「あはは……どうだろ、無理かもしれないなぁ」


 京太郎「そうか、勿体無いなぁ……」


 穏乃「まあ、楽しめればそれでいいかなって」


 泉「あんま、執着ないんですね」


 怜「謙虚やなぁ……ウチ、病弱やから」


 京太郎「怜さんも、少しは見習ってください」


 穏乃「あはは、そういうのじゃなくて、単に実感ないんだ。だからかもしれない」


 京太郎「そっか……まあ、本人の勝手だしいいか」


 穏乃「まあ、現時点ではだからね。秋大会には、もちろん参加するから」


 怜「そやねぇ。頼むで、泉?」


 泉「難しいですね……ってあれ、阿知賀部員足りてるんですか? 確か、次鋒の松実宥さんは三年生だったような……」
33 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/16(火) 22:17:45.11 ID:+zIL2Jxco

 穏乃「ううん、だから不参加なんだ」


 京太郎「勿体無いなぁ……そうだ、少しセブン買って来るんで、何か欲しい物あります?」


 怜「ウチ、あのイカみたいなヤツ。百円の」


 泉「私はー……鳥串お願いできます?」


 京太郎「あいよ」


 穏乃「あ、じゃあ私も行っていい? ちょっと外の空気吸いたくて」


 京太郎「ん、わかった」







 京太郎「……良い天気だな」


 穏乃「だね……こんなに晴れたのも、久しぶりじゃないかな?」


 京太郎「夏休みに入ってから、何故か一度も雨を見た事ないんだよ」


 穏乃「ホント!?」


 京太郎「ホント。……こうやって話すまで、気付かなかった」


 穏乃「はー……景気の良い話だねー」


 京太郎「だな。そういえば、お前何買うんだ?」


 穏乃「うーん、目的自体はないんだ、実は」


 京太郎「ああ、気分転換か」


 穏乃「そうそう! そんな感じ!」


 京太郎「少なくとも、二回ほど観光してるのに?」
34 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/16(火) 22:18:12.82 ID:+zIL2Jxco


 穏乃「春からずっと麻雀ばっかりやってるんだから、たまの休暇ぐらい別に良いじゃん!」


 京太郎「あ、そっか。……ま、成果は出せたからいいんじゃないか?」


 穏乃「だね。……まあ、まさか決勝にまでいけるなんて思ってなかったけど」


 京太郎「ホントにな。設立したのって、去年の秋ぐらいなんだろ? よくぞまあ、そこまで練り上げた」


 穏乃「でしょ!」


 京太郎「ああ。お、着いたか」


 穏乃「歩いて近くに、コンビニ在るって良いよねぇ」


 京太郎「ああ。幾ら持ってきた?」


 穏乃「あ、えっとね、基本的には財布ごと―――あれ?」


 京太郎「……おい、どうした」


 穏乃「あれ、ちょっと待って、あれ……?」


 京太郎「……貸してやる」


 穏乃「さっすが京太郎!」


 京太郎「調子良いなぁ、ホント」
35 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/16(火) 22:19:05.02 ID:+zIL2Jxco


 穏乃「でも、面倒見良いよね、京太郎って」


 京太郎「? どうした、急に?」


 穏乃「いや、結構進んで色々引き受けるし。なんていうか、そういうの好きなの?」


 京太郎「まあ、好きと言えば好きだな。人を支えるのとか、嫌いじゃないし」


 穏乃「へー! なら、先生とか向いてるのかも」


 京太郎「……悪い、それは無理そうだ」


 穏乃「どうして?」


 京太郎「シズみたいなのを、何人も相手にするのはちょっと疲れそうだ」


 穏乃「なんですと!?」


 そんな寸劇を繰り広げつつ、軽い夜食を摘むと、彼女の視線は或る方向に。

 視線の先は全体的に明るい、男では手を伸ばす事もはばかれるようなスイーツコーナー。で、何故かそこのチョコバナナクレープにシズは視線を向けていた。


 京太郎「……食べたいの?」


 穏乃「え……ああいや、その」


 京太郎「………………」
36 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/16(火) 22:19:41.46 ID:+zIL2Jxco

 穏乃「……はい。食べたいデス」


 京太郎「そんな顔するなって。ちゃんと貸してやるから」


 穏乃「いや、なんというか……女の子としては、食事内容を知られるというのは、中々に恥ずかしものでして……」


 京太郎「ああ、なるほど。悪い悪い」


 穏乃「……やっぱり、似合わないかな?」


 京太郎「別に? いいんじゃないか、そういうのを気にするのも」


 穏乃「そ、そう?」


 京太郎「ああ。お前だって高校生なんだから、少しぐらいそういうのを気にするべきだって」


 穏乃「ん――そうだね」


 京太郎「まあ、阿知賀は女子校だから出会いもないだろうけど、気に入ったらその気持ちのまま進むといいさ。せっかくの青春なんだし、麻雀だけじゃつまらないだろ?」


 穏乃「あはは、良い事言うね」


 京太郎「だろ? さて、これでいいか?」


 穏乃「うん、ありがとね、京太郎」


 京太郎「ん、気にするな」
37 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/16(火) 22:21:14.21 ID:+zIL2Jxco
 明日の中に小ネタ書いて、前スレ埋めますね。
 じゃあ、本当に短い間ですけどお疲れ様。今度ステータス張る時に、誤字直しておきます。


 ↓2
 1.買い出しのついでに雀荘にでも行こうかな(付き添いアリ)
 2.偶には、ネト麻で技術に頼るのも悪くない(付き添いアリ)
 3.買い物でもしようかな(半分行動)
 4.ちょっと電話してみようかな(半分行動)
 5.空いてる卓に参入だ!
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/10/16(火) 22:22:37.99 ID:+G8zgc0p0
5
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/16(火) 22:23:07.24 ID:Y7f5b+BY0
5
40 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/16(火) 22:27:02.73 ID:+zIL2Jxco
明後日こそ、明後日こそなんとか……!
という訳でお疲れ様でした。いつかまた、天鳳ができる時は来るのだろうか。
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/10/16(火) 22:27:19.53 ID:TmPZst+b0
乙ですわー
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/16(火) 22:27:32.29 ID:Y7f5b+BY0
おつー
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/16(火) 22:30:04.07 ID:Z3dO1eK80
乙ですー
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/16(火) 23:26:54.03 ID:L3u5gK/Lo
乙でした
穏乃はかわいい(確定)
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/10/17(水) 21:40:43.58 ID:TfOCPS+Eo
3日前から初めから読み始め…やっと追いついたよー
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2012/10/18(木) 08:26:26.37 ID:25WGLEX+0
静乃かわいい
47 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/18(木) 20:18:39.57 ID:ks71aZ6No
http://tenhou.net/0/?L4015
麻雀やろう(現実逃避)
ネタは思いつくけど、いまいち頭が廻らなかったりする
48 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/18(木) 21:15:08.29 ID:ks71aZ6No
四人麻雀やりたいでやんす。
四人目、誰かいませんかー?
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/10/18(木) 21:19:40.46 ID:ZJ6vYVjno
俺がいくぜー
50 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/18(木) 21:24:01.42 ID:ks71aZ6No
やったー!
対局終わったら、お願いしますねー
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県) [sage]:2012/10/18(木) 21:29:34.94 ID:ZJ6vYVjno
チャンカンきたーーー
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/18(木) 21:30:05.01 ID:NOmkiN63o
チャンカンとか出来るもんなんだなぁ
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/10/18(木) 21:43:24.95 ID:6cDirHbq0
チャンカンとか凄いなぁ……
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/18(木) 21:48:29.40 ID:Lw7PQKs/0
四暗刻聴牌したのに…

それと槍槓初めて見た
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2012/10/18(木) 21:52:57.07 ID:eCrdxKkIo
ここからは
               , ─、
              /   ノ
     _      /   /
    ,.'  \   i    |
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    |      \|    L─--、,,_
    |    |\     .|  "'-、, "'-、
    .|   ノ  \__ノ     1   ';
   /   /           ノ    i
  ;'  .,へ"-,,,_     ,,,,,,-'''"     ノ
  ー "  "ー,,,  ''''''''' ̄    _,,,- '~
         "'────'' '""
 _ _    _ _  _   _ _
 | |├┘| | |  | | | | |  | | | |  _
     ̄  ̄  ̄  ̄          ̄
POWER FOR LIFE
ニューコムの提供でお送りします
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方) [sage]:2012/10/18(木) 21:54:30.08 ID:eCrdxKkIo
ぐあ誤爆スンマセン…
57 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/18(木) 22:00:15.61 ID:ks71aZ6No
ええんやで(ニッコリ
正直作中の麻雀部だったら、鶴賀に一番入りたい。宮守とか永水も緩くて良さそうだけど、やっぱり加治木部長に扱き使われたい
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/18(木) 22:03:05.95 ID:LHsuPp4J0
かおりんの涙目を見たい
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/10/18(木) 22:05:27.00 ID:6cDirHbq0
加治木……部長?
とりあえずワハハと一緒に笑ってたい
60 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/10/18(木) 22:13:03.93 ID:ks71aZ6No
カツ丼より牛丼が好きなのに……
阿知賀もなんか面白そう、ゆったりやれそうだし。イッチはほのぼの好きだったりします
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2012/10/18(木) 22:26:44.65 ID:EDoPFaEBo
で、京ちゃんを挟むナイトレーベンは誰なんです?
62 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/18(木) 22:35:22.70 ID:ks71aZ6No
そら竜華&怜よ(小ネタ的に)
エスコンに手を付けてない事に今更ながらに気付いた。時間空いて、6クリアしたら書かなきゃ。
63 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/18(木) 22:48:51.94 ID:ks71aZ6No
お疲れ様でしたー。この先ちょっとイベントがあるので、更新は不鮮明であります。申し訳ありません。
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/10/18(木) 22:53:31.85 ID:6cDirHbq0
乙ですわー
ゆっくり待っとるでー
65 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/22(月) 19:44:39.43 ID:g47XH/WGo
遅くても明日、起きる事ができれば今日中に投下できるかも。
なお、前スレ小ネタは未だ思いつかない模様。すまんな。今スレ中に、鹿児島編終わらせられたらと思います。
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/22(月) 19:57:41.56 ID:+P9ztxZb0
待機ー
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/10/22(月) 20:31:01.30 ID:9Oi5yiX30
待っとるで〜
68 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/22(月) 21:20:55.98 ID:g47XH/WGo
 穏乃「ただいまー! ……ってあれ、靴多いな」


 京太郎「ホントだ。まあ、客か何かじゃないか?」


 穏乃「ひょっとして、プロが教えに来てくれてるとか?」


 京太郎「いいなそれ。……俺、実ははやりんのファンなんだ」


 穏乃「ああ、あの……」


 京太郎「ちょっと待て、なんだその言い淀み感。まさかお前まで痛いとか言う訳じゃないよな、そんな格好しておいて」


 穏乃「格好の事言える風体!? いや、私は子供のころから見てたからさ。……なんていうか、老けないなぁって思って」


 京太郎「へぇ。俺、実は麻雀暦そんな長くないから、知らなかった。いや、老けないのは知ってたけど」


 穏乃「有名な話だよね。しかし、あの人も上手いよね」


 京太郎「まあ、俺じゃまだ勝てない気もするな。……お前、絶好調ならいけるんじゃない?」


 穏乃「むぅ、確かにそうかもしれないけどそれはそれで寂しいような」


 京太郎「はは、まあ判らなくもないな。しかし、本当にプロだったらどうする?」


 穏乃「うわ……そうだったらどうしよう。現役に会うのは初めてだし、緊張するなー」


 京太郎「まあ、違ってたら虚しいだけだけどな」


 穏乃「なんでそういう事言うのかな!」
69 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/22(月) 21:21:51.98 ID:g47XH/WGo

 益体のない会話を続けながら居間に辿り着くと、見慣れた顔がぽつんと、一人居間でソファに凭れ掛かっていた。


 京太郎「ただいま、アコ。こんな所でどうしたんだ?」


 憧「ん? あ、お帰り二人とも。ちょっと休憩しにね。そっちこそ、どこ行ってたの?」


 京太郎「俺達はちょっと近くのコンビニまでな」


 穏乃「ガリガリ君も買ってきたよー!」


 憧「ホント!?」


 飛び立つ鳥のような躍動感と共に起き上がったアコは、撃ち抜かれたようにばたりと倒れた。


 京太郎「大丈夫か!?」


 憧「だ、大丈夫……ちょっと、頭痛くなって……」


 穏乃「……あ、そっか。昨日、お酒飲んでたから」


 憧「そんな感じ……特に、私達最後まで起きてたから……いたたたたたたた」


 京太郎「の、飲み物持ってくるか?」


 憧「お願い……グレープフルーツのあるから、それ」
70 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/22(月) 21:22:24.07 ID:g47XH/WGo

 二日酔いに効く飲み物なんて知らないので、ご要望の物を素直に持っていく事に。少しでも美味しい物を呑んで、痛みを和らげて欲しいという仏心である。


 京太郎「ど、どうぞ」


 憧「ありがと……………ふぅ。夜までに治るかなー……」


 京太郎「大声出すと辛いか?」


 憧「少しは。……シズ、ガリガリ君の味は?」


 穏乃「あ、えっと、グレープフルーツだけど」


 憧「ナイス……生きる希望が湧いてくる」


 京太郎「……グレープフルーツ、好きなのか」


 憧「あの酸味が堪らないって人は、結構いる筈……赤派? 黄色派?」


 京太郎「黄色」


 憧「ぐっじょぶ」


 親指を立てられたので、こちらも立ててみる。そして絡み合う指。


 穏乃「なんで指相撲!?」


 京太郎「ゴメン、ノリ」


 憧「ぐぬぬ、動かない……」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/22(月) 21:22:41.90 ID:+P9ztxZb0
おお、始まった
シズ可愛い
72 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/22(月) 21:23:16.51 ID:g47XH/WGo

 穏乃「そ、そっか……じゃ、一旦落ち着こうか」


 京太郎「そうだな、このままはしゃぎっぱなしってのも辛い。主に二日酔い的に」


 憧「シズって、弱い癖に強いのよね……」


 穏乃「アコと違って、適量知ってるだけだってば」


 とりあえず、こちらもソファに腰を降ろす事に。

 顔を若干青くしながら、グレープフルーツを啜るアコ。傍から見れば病人のよう。


 ?「えっと、アコちゃん大丈夫ー? 二日酔いの時は、とにかく飲みまくってアルコール抜いた方がいいよー?」


 憧「あ……そ、そっか。そういえば本職がいた」


 あれ? 今の声、どこかで聴いたような―――


 京太郎「―――あ」


 憩「シズちゃん、京太郎君、こんにちわー。ちょっと、お邪魔させてもらってまーす」


 予想は的中したようで。

 ナース服の彼女は、上のフロアから顔を出したまま、そう頭を下げた。

 ……とりあえず見下しているのなら、それは頭を下げる意味はないのでは、と益体もなく思いついた。
73 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/22(月) 21:23:59.15 ID:g47XH/WGo





 憧「驚いたわね……まさか、憩さんと京太郎が知り合いなんて」


 憩「女をはべらせて雀荘荒らししてた須賀京太郎はしかし、ナース服の代打ちにより有り金を奪われる。同時に仲間に裏切られ、女を奪われる事に……!」


 京太郎「雀鬼くずれ混じって大変な事になってますよそれ。ていうか、なんで裏切った本人が奪われてるんですか」


 穏憧「……?」


 京太郎「気にしないで。ただの、麻雀を題材にした映画だから」


 穏乃「へー……面白いの?」


 憩「うーん、面白いけどオススメはしないなぁ。それよか、空飛ぶタイヤとか知ってる?」


 京太郎「アレは名作ですね。熱いし、目頭が熱くなります」


 憧「ふーん……見てみよっかな。でも、その映画の方って、麻雀とか勉強になる?」


 憩「積み込みの勉強になる可能性なら、微粒子レベルで?」


 憧「あ、そんな昔の話なんですか」


 京太郎「だな。麻雀が流行する、少し前の話だった気がする」


 穏乃「流行してなかった世界か……なんだか、想像できないな」
74 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/22(月) 21:25:15.07 ID:g47XH/WGo

 京太郎「多分、切っ掛けは一つなんだ。それだけで、随分変わったみたいだけど」


 憧「―――え、何か知ってるの?」


 京太郎「予想はできるよ」


 穏乃「ホント!?」


 憩「ウチも聞きたいなぁ。……駄目?」


 京太郎「駄目っていうか……むぅ、少し考えさせて」


 まあ、予想はできるというか、現実に存在する問題を掻き集めれば一つの絵が浮かび上がる。

 ……だけど、それは幾らか荒唐無稽で。

 多分、こうして口にすると笑ってしまうような話になってしまうだろう。

 自分は口が上手くない。

 ―――そこで。この情報が、彼女等になんの得も及ばさない事に気付いた。


 京太郎「――――ああ、そうか」


 知らなくていい事も、あるのか。


 穏乃「そ、そんなに悩むならいいよ? 興味はあるけど、必要はないし」


 憧「そうね。……多分だけど、深刻な話なんでしょう?」


 憩「む、無理して、話す必要はないよー?」
75 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/22(月) 21:25:42.88 ID:g47XH/WGo

 京太郎「……いや、なんていうか。どうやったら説明できるか考えたは良いんですけど、答えが見付からなくて。仕方ないので、ヒントだけ与えようかなと」


 穏乃「お、じらすねぇ」


 京太郎「じらすっていうか……そうだな。できれば、これは自分の力で辿り着いて欲しい」


 京太郎「“能力”。まあ、知っても何も得しない話だから、気にしないでください」


 穏乃「能力……」


 憩「ああ、つまりオカルトって事やね?」


 京太郎「ま、そんな感じです」


 憧「ふーん……まあいっか。昔の話を知って、今に関係する訳でもないだろうし」


 京太郎「そうそう。……まあ、問題があったら周りに相談しろよ。連絡してくれるなら、駆けつけるから」


 憧「地球の反対側でも?」


 京太郎「必要なら、直ぐに」


 憧「――――そ、そう。ま、まあ話半分に受け取っておくから」


 京太郎「ああ。これでも、体力には自信あるから」


 穏乃「お、ホントに!? なら、今度山行こうよ!」


 京太郎「山て……そうだな」
76 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/22(月) 21:26:14.03 ID:g47XH/WGo

 京太郎「―――なあ。山の空ってのは、綺麗なのか?」


 穏乃「―――うん。街の空とは、それこそ比べ物にならない。プラネタリウムよりも綺麗で、手を伸ばせば届きそうにさえ想わせてくれる」


 京太郎「そっか。……そうだな、機会があったら誘ってくれ」


 憩「……京太郎君は、星が好きなん?」


 京太郎「はい。……ただ、好きなんです」


 憩「―――そっか」


 憩「でも、シズちゃん、京太郎君はホントどうかしてるよ? 正直、人間の体力じゃないと思うなー」


 穏乃「そ、そんなに凄いの?」


 京太郎「まあ否定はしないよ」


 憧「へぇ……鍛えてるんだ」


 京太郎「そりゃまあ、雑用生活もあったしね」


 憧「―――あれ、ひょっとして超優良物件?」


 京太郎「どうした?」


 憧「え? ―――な、なんでもないよ!? ちょっと良いかなー、なんて思ってないから!」
77 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/22(月) 21:26:47.86 ID:g47XH/WGo

 京太郎「? ……ああ、なるほど」


 憧「え!? な、ななな―――わ、忘れて! とにかく忘れて!」


 京太郎「どうした? 遠慮するなって、俺は大歓迎だぞ?」


 憧「なぁ!? ちょ、ちょっと待って! 大胆すぎるって! わ、私は―――」


 京太郎「確かに夜、山を登るのは不安かも知れないけど、男手もいるんだし安心してくれ」


 憧「―――え?」


 京太郎「―――え? 山登りの話じゃなくて?」


 今にも爆発しそうなほどの赤面が止まり、驚愕から呆然に色を変えていく。

 周囲を見渡すと、必死に笑いを堪える憩さんに、南無阿弥陀仏と合掌するシズ。どうしたのだろう。


 京太郎「……えっと、俺、変な事言った?」


 憧「言ってないわよバカー!」


 京太郎「ぐはぁ!」


 若干涙目のまま振り切られたボディブローは見事に鳩尾に命中。

 衝撃のまま倒れ込み、起き上がるとそこには爆笑する二人の姿とシャウトの影響か、頭を抱えながら二日酔いに苦しむアコの姿があった。 

 ……むぅ、俺、本当何したっけ?
78 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/22(月) 21:27:19.61 ID:g47XH/WGo

 和解はすんなり成立――あくまで個人的見解且つ建前であり、その裏でどれだけの策略が張り巡らされていたかは闇の中である――して、会話を再開させる。

 議題は主に、これからの事についてだ。


 京太郎「つまり憩さん達は、練習試合に来たって事ですか?」


 憩「そうやねー。三箇牧と晩成。阿知賀、姫松、千里山に比べるとちょっと不足かもしれないけど、ひょっとしたらって」


 憧「で、今上では対局してるわけ」


 穏乃「へー……でも、それじゃあ卓が余るんじゃ」


 憩「その分は、先生方に入って貰ってますー。後は、ウチの個人的な知り合いで」


 京太郎「個人的な知り合い?」


 穏乃「ひょっとして、対木さんとか?」


 憩「そうそう、そんな感じで、みんな来てるよー。やから、後で挨拶したってなー」


 穏乃「もちろん! ……でも、なんていうか。交通代とか、大丈夫なんでしょうか?」


 憩「大丈夫やってー。京太郎君やって、あちこち飛び回ってるんやろ? ウチ等は、一応一ヶ所なんやし、お金なんて掛からんよー」


 京太郎「まあ、最近は料金も安いですしね」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/22(月) 21:27:46.30 ID:+P9ztxZb0
アコチャー可愛い
80 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/22(月) 21:27:49.35 ID:g47XH/WGo

 憩「そうそうー。観光ついでって感じやね。……まあ、例外もいるんやけど」


 穏乃「上は今、どこまで進んでるんですか?」


 憩「多分、中堅戦やったかな? アコちゃんが終わったのが、ついさっきやったから」


 京太郎「……えっと、じゃあ先鋒は? ていうか次鋒の皆さんは?」


 憩「チームの応援してるけど?」


 京穏「……………」ジー


 憧「し、仕方ないじゃん! 頭痛かったんだからって痛ー!?」


 京太郎「ご、ごめっ――ん。いや、ホントごめん」


 穏乃「グレープフルーツのおかわり、持ってくるね!」


 憩「まさか練習試合先で、二日酔いの相手するとは思ってなかったなー……」


 京太郎「……なんていうか、すみません。実行犯的に」


 憧「いいって、盛り上げたの私なんだし……」


 憩「未成年の飲酒は、めーやで?」


 憧「うう、すみません……」
81 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/22(月) 21:28:25.30 ID:g47XH/WGo

 穏乃「持ってきたよー」


 さすがに大声を出すのはしのばれたのか、静かにジュースを机に置くシズ。別に頭が悪いわけではないのだし、当然ではあるけれども。

 ……結構、気が効くんだな。


 京太郎「ああ、だから休憩してたんですか」


 憩「まあ、上では色々カオスやからなー……」


 京太郎「か、カオスって具体的には」


 憩「野次と雑談の台風的な?」


 穏乃「野次……?」


 京太郎「……なんだろう、少し聞いてみたい」


 遠い眼をする憩さんに誘われる。

 あの人達、どんな野次するんだ……?


 憧「ふぅ……」


 京太郎「お、落ち着いたか」

 
 憧「少しはね。……ごめんね、迷惑掛けて」
82 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/22(月) 21:28:52.76 ID:g47XH/WGo

 京太郎「さすがに、こんな些細なのを迷惑とは言わないさ」


 憧「……ごめん」


 京太郎「だからいいって。なんだ、二日酔い程度でまいっちゃうようなキャラだったか?」


 憧「なっ!? ……痛い」


 京太郎「ほら、休んでろって酔っ払い」


 憧「でも……」


 京太郎「そうやって無理をすると、治るの遅くなるぜ? それでもいいのか?」


 憧「……よくない」


 京太郎「なら、ちゃんと休んでろって。原因は俺にもあるんだし、好きで俺はこうしてるんだからさ」


 憧「……悪いわね」


 京太郎「いいって。お前と話すの、俺好きだしさ」


 憧「―――バカ」
83 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/22(月) 21:29:20.43 ID:g47XH/WGo


 京太郎「おいおい、酷くないかそれ?」


 憧「だって、バカじゃない」


 京太郎「まあ、自分でも思うけどさ」


 憧「ほらね?」


 穏乃「む……じ、じゃあ何か話そうよ!」


 憩「あ、そういえば気になったんやけど、この前放送されてたテロリストってどないなったんやっけ?」


 京太郎「ああ、アレですか。確か武器会社の社長とか言う―――」


 そうして、大将戦が始まるまで、居間から話し声が途絶える事はなかった。

 それは、どこまでも益体が無くて。

 何よりも鮮明に刻まれる、青色をした思い出の一つだった。





84 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/22(月) 21:30:43.42 ID:g47XH/WGo
 続きはまた明日辺りに。
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/10/22(月) 21:31:47.71 ID:m4XmahPNo
乙ー
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/22(月) 21:31:53.98 ID:+P9ztxZb0
おつー
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/22(月) 21:38:43.38 ID:vhbggI/y0
乙ですー
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/10/22(月) 21:39:14.89 ID:zWa0zbIq0
お、来てたかー!
乙ですわー
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/22(月) 21:43:28.55 ID:ilPfpmjG0
乙ですー
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/10/22(月) 21:44:55.87 ID:D66BUFtNo
乙やでー
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/22(月) 21:47:03.33 ID:b0goOzUD0
乙ー
92 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/22(月) 21:48:23.11 ID:g47XH/WGo
四日もの放置に関わらず、なんて温かい反応……!
何かリクあります? 軽いのでいいなら、ちょっとお詫びがてらに一つくらい書いてみたい。

あと、本当に自分には見切り発車が合ってると思う。何も考えていない方が、良い感じになってくれる。
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/22(月) 21:52:22.94 ID:+P9ztxZb0
トキがされてるのを見てりゅーかも京ちゃんの膝枕に興味を覚える
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/10/23(火) 07:32:46.21 ID:yTNvKPkAO
代行を際限なく甘やかそう
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/10/23(火) 18:39:12.73 ID:FOr7GF3J0
投下するのは前スレなん?
96 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/23(火) 19:11:22.02 ID:MTriWEBlo
いや、普通にこっちで。
竜華と怜の小ネタ、前スレで投下する予定なので、それはしばらくお待ちを。五レスにも満たない本来の小ネタです。
なんでいままで自分はあんなにも全力だったのだろう……?(困惑)
あと、やる夫スレとか五黄土星や腹パンで使ってるような麻雀aaってどこにあるんでしょう?
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/10/23(火) 19:18:05.12 ID:oqGTKaczo
麻雀牌AAジェネレーターでググったら出てきたで
アドレスは貼ってもいいのかな?
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/10/23(火) 19:21:17.04 ID:3Up4FqREo
『麻雀牌AAジェネレーター ver 0.21』か

>>97
貼っても良いんじゃね?
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/10/23(火) 19:22:47.51 ID:oqGTKaczo
じゃ貼るわ
ttp://dl.dropbox.com/u/52282450/download.html
100 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/23(火) 19:31:32.14 ID:MTriWEBlo
サンキュー関西。
これで鹿児島で、誰得ガチ麻雀書けるでー! なお、テニヌばりのトンデモ対局の模様。
何か要望あったら聞くよー
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2012/10/23(火) 19:45:46.56 ID:KAWyNqxVo
テニヌばりのとんでも対局ってそれムダヅモでは・・・
漫画版なら兎-野性の闘牌-くらいかもしれんけど
102 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/28(日) 13:59:05.92 ID:LDASOosfo
夜辺り投下できればなと思います。八時くらいかな? とりあえず、小ネタにすら手古摺る昨今。何やってんだ俺。
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/28(日) 14:04:04.12 ID:kwMAPGz70
把握ー
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/10/28(日) 14:38:01.07 ID:ayf8851AO
了解でー
105 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/28(日) 20:12:08.84 ID:LDASOosfo

 副将戦終了も間近という事で、シズ、憩さん、酔いも大分冷めたアコと一緒に上階へ。

 スコアは割と拮抗しており、晩成が少し低いのは面子上仕方ない結果と言える。

 しかしその晩成にしても眼はくすんでおらず、諦める気はない模様。


 穏乃「飲み物持ってきましたよー!」


 京太郎「……やっぱりっていうか、人多いな」


 憩「アコちゃん、大丈夫?」


 憧「だ、大丈夫。まだ我慢できるから」


 四者四様の反応を見せる俺達。

 しかしアコが頭痛に苦しむのは判るのだが、


 京太郎「あの、絹さんどうしました?」


 なんでこの人は頭を押さえているのだろう。

 彼女はこちらを見て、あはは、と笑ってよく判らないコメントをする。


 絹恵「なんていうか、サッカーやってた頃を思い出したんや」


 京太郎「?」


 灼「…………ごめんなさい」


 絹恵「ああ、いいっていいって。末原先輩じゃあるまいし―――はっ!」


 恭子「……絹ちゃん、ちょっと来ぃーや」


 ずるずると引き摺られていく絹さん。その様は子牛を連想とさせる。
106 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/28(日) 20:12:38.10 ID:LDASOosfo

 京太郎「……なんだったんだろう」


 ?「その子のツモった牌が、対面のその子に当たったんだ」


 京太郎「アナタは……えっと、憩さんの知り合いですか?」


 藍子「そ。百鬼藍子。憩から話は聞いてるよ」


 京太郎「確か、静岡一位の人でしたっけ?」


 藍子「まあね。もっとも、このメンツじゃ大した事ないけどさ。君も相当打つって聞いたしさ」


 京太郎「……まあ、人後に落ちぬ自信はありますけど」


 藍子「お、言うねぇ」


 京太郎「……しかし鷺森さん。手が滑ったんですか?」


 灼「……グローブ、ちゃんと付けとくべきだった」


 晴絵「ど、どんまい灼」


 京太郎「で、大丈夫ですか、絹さん?」


 ずるずると引き摺られていった絹さんは、ジュースを求めてこちらに帰還。

 髪の合間から文字のようなものが見えるがまあ、気のせいだろう。
107 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/28(日) 20:13:10.92 ID:LDASOosfo

 絹恵「あ、うん。……えへへ、心配してくれてありがとな、京太郎君」


 京太郎「いえ。なんなら、冷えピタでも用意しますよ?」


 絹恵「あ、そこまでは大丈夫や。ありがとな」


 京太郎「いえ、はい飲み物です。お好みのをどうぞ」


 絹恵「ありがと」


 しかし周りを見渡すと、よくもまあこんな大して大きくもない部屋にこんなに人が入ったものだと感心してしまう。

 熱気も凄いし、闘志も凄い。みんながみんな燃えており、手加減なし、真剣勝負のようだ。

 特に次は大将戦。いままでの積み重ねがどうなるかの瀬戸際であり、視線と願いは大将へと託されている。


 洋榎「む……? あ、あれ……?」


 京太郎「? どうしました、洋榎さん?」


 洋榎「ひゃっ!? な、なんでもないよ!?」


 京太郎「そうですか……そういえば、どのくらい稼いだんですか?」


 洋榎「二万や。さすがに、そう遊べる相手やないから苦戦してもうた」


 京太郎「……それで二万ですか」


 絹恵「感覚ズレてるやねー……」
108 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/28(日) 20:16:16.86 ID:LDASOosfo

 洋榎「京太郎に言われたないわ! …………そういえば、京太郎は卓に入るん?」


 京太郎「ん……いや、俺は良いです」


 洋榎「そ、そか? 最後なんやし、一緒に打たない?」


 京太郎「別にこれで今日が終わりというわけでもないですし。こういうのは、団体戦で汗を流した人の領分でしょう、多分」


 穏乃「……そうかな?」


 京太郎「まあ、一応な。どうせこの後卓囲むんだろうし、今やらなくてもいいだろ?」


 穏乃「うーん……うん、わかった」


 怜「じゃあ京太郎、膝貸してー。疲れたー」ダキッ


 京太郎「はいはい、了解しましたよっと」


 すかさず膝に乗ってくる園城寺さんと一緒に、椅子に座って大将戦を見学する。

 ……その光景に、昔のような断絶感を感じながら。





109 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/28(日) 20:18:07.06 ID:LDASOosfo
一旦休憩。なんという筆の遅さ、自分でも感嘆するしかない。いくのん小ネタは書いたから(震え声)
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/28(日) 20:18:55.09 ID:kwMAPGz70
一旦乙ー
小ネタ面白かったよー
111 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/28(日) 20:44:50.91 ID:LDASOosfo
 阿知賀編放送来たー!
 小ネタは、出来る限り軽い感じで書こうと努力してます。全て終わった後は陥穽も問題も消えて、清々しく生きてる感が出せれば、最良なんですけどね。
 本編は結構悩んでまして。昔みたいに書ければいいんですけどね……まあ、それだけ考えればよかった夏に及ばないのは、仕方ないとも言えるけど。
 いくのんネタは、十時頃に落とそうかと。
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/10/28(日) 21:03:21.79 ID:+yzScPQC0
咲全国編アニメ化決まったね!(歓喜)
113 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/28(日) 21:16:53.88 ID:LDASOosfo
 え、決まったの? 阿知賀ポータブルは聞いたけど。
 ……そもそも準決勝はいつ終わるんでしょうね。
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/10/28(日) 21:45:07.04 ID:proUy8or0
全国編アニメ化(実質二回戦編だけど)決まってよかったよかった

準決勝?キンクリ全開でやれば四ヶ月くらいで終わるんじゃないですかね
115 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/28(日) 22:01:53.61 ID:LDASOosfo
 まこさん五連戦……!?

 ちょっと天鳳やりましょう。その後、いくのん小ネタ投下しますから。
 http://tenhou.net/0/?1078
116 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/28(日) 22:23:26.59 ID:LDASOosfo

 郁乃「そりゃあ、京太郎君のごはんが食べられると思ったら、他のレトルトなんて口にできへんも〜ん」


 京太郎「外食という選択肢は無いんですか?」


 郁乃「三ツ星レストランでも、願い下げやも〜ん」


 京太郎「……俺、そんなに上手くないですよ?」


 ハードル上げ過ぎです、と頭を抱える京太郎君。

 ……むぅ、相変わらずの鈍感さに、安心さえ覚えてしまう。


 郁乃「ま、という訳でお願いな〜♪」


 京太郎「はいはい。じゃあ、今日は鍋でも作りますか」


 郁乃「あはは、期待してるで〜」


 そう、料理なんてできない自分を棚上げして頼む、赤阪郁乃だった。





 京太郎「そういえば、職場の調子はどうですか?」


 郁乃「良好やよ〜♪ それより、部活の顧問の仕事が多くて、敵わんよ〜」


 京太郎「……ああ、それは本末転倒な」
117 :ネットの調子悪!? [saga]:2012/10/28(日) 22:23:56.70 ID:LDASOosfo








 外の冷気は、冬の訪れを告げてくる。

 彼の為に焚いた暖房は暑く、ひょっこりと出した顔に熱気が伝わってくる。

 布団に丸まりながら、一分ごとに分針に合わせてごろごろ廻る。

 玄関先から伝わる冷気に自分でもどうかと思うほど過剰な反応をして、居間の扉を開ける。


 郁乃「おかえり、京太郎君〜。夕食まだ〜?」


 京太郎「……そりゃあ、郁乃さんの分まで作らないといけませんからね」


 黒の帽子に、黒の甚平。季節に合わせて、一つ長めのコートを羽織っている。

 異彩を放つ片眼鏡と、ぞんざいに伸ばされた金髪。

 来た時と比べて、ほんの少しだけ服などが乱れてるように見える彼は、柔らかな笑みを浮かべている。

 僅か数ヶ月の動乱の末辿り着いた日に、須賀京太郎は赤阪郁乃の家にいた。


 郁乃「さっすが京太郎君、ふとっぱらやな〜♪」


 京太郎「……俺が来なかったら、平気で食事抜くでしょう、郁乃さん」
118 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/28(日) 22:24:24.35 ID:LDASOosfo

 郁乃「でしょ〜? ……なんとかならんかな〜?」


 京太郎「幾らなんでも、教師の愚痴は解決できませんよ」


 郁乃「むぅ〜……」


 京太郎「だけどそうですね、晴絵さんや雅枝さんに相談してみては?」


 郁乃「あ……そやね、その手があった」


 京太郎「今度飲み会する予定もありますし、今度一緒に行きましょうよ」


 郁乃「うん、期待してるよ〜♪」


 夕食は秋が終わり始めた季節らしく、温かく性が付く鍋である。

 どうやら彼の女子力は年々向上しているらしく、その腕前にはますます磨きが掛かっている。

 ちなみに彼の師匠ははやりちゃんと、ハギヨシさんである。……自分も一応その一人の筈だが何故だろう、麻雀以外ではなんとなく異質な気がする。


 郁乃「……ねぇねぇ、京太郎君」


 京太郎「なんですか?」


 郁乃「なんか、面白い話して」


 京太郎「帰る時交通事故にあって、吹っ飛んだ時信号に引っかかりました」
119 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/28(日) 22:25:08.94 ID:LDASOosfo

 郁乃「ホントに!?」


 京太郎「ホントです。ほら、よく見れば食材にもその名残が」


 あの時はびっくりした、と語る京太郎君。

 素知らぬ顔だが、あまりにもタイムリーであまりにもショッキングな報告により、私の心臓は爆発寸前である。

 ……その前に、なんでこの男はぴんぴんしているのだろう。


 郁乃「お、面白いというか、どっきりはしたなぁ」


 京太郎「ふむ。……面白い話ですか。ダイナマイト四国、肉離れ」


 郁乃「いつもの事やん」


 京太郎「ですよねぇ」


 郁乃「まあ、そういうの苦手そうだし、しゃーないかな〜」


 京太郎「そんな、口が上手い訳ではありませんしね」


 京太郎「……しかし、散らかり放題ですね」


 郁乃「仕事が忙しいって言ったや〜ん」


 京太郎「そういえばそうでしたね。言っときますけど、片付けませんよ?」
120 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/28(日) 22:25:45.32 ID:LDASOosfo

 郁乃「ああ、大丈夫大丈夫。寝室は綺麗やから」


 京太郎「あ、そういうタイプですか?」


 郁乃「ううん、客が来るから、綺麗にしとかなと思って」


 京太郎「……えっと、泊まれと?」


 郁乃「うん。……だめ?」


 京太郎「……ま、いいですよ。大阪には、少し滞在しますし、胡桃さんは見送りましたし」


 郁乃「わーい! ……ってあれ? 胡桃ちゃんって……宮守の?」


 京太郎「はい。昼、少し洋榎さんとうろついてまして」


 郁乃「ふ〜ん……そっか〜……」


 京太郎「じゃ、寝ましょうか」


 彼は簡潔に述べて、勝手に寝室に歩いて行く。……いや、早くない?


 郁乃「……えと、少し早いような〜……」


 京太郎「少し、歩き疲れました。まあ、精神的にはそうでもないんですけど。一度休むと、そのまま休んでしまいたく成るものでして」


 郁乃「そ、そうなんか……」
121 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/28(日) 22:26:13.52 ID:LDASOosfo

 ……少しくらいはしゃぎ足りない気はしたが、まあいいだろう。

 勝手知ったる他人の家と言わんばかりに寝室に入る彼の背中を追い越して、ベッドにダイブする。


 京太郎「……なんで、ベッド中央に?」


 郁乃「逃げ場をなくすため?」


 京太郎「―――えっと、寝るだけですよ?」


 郁乃「はいは〜い♪」


 布団に入る彼の背中に、抱き着くように自分も続く。

 彼はうめき声のようなものを漏らした後、何を言っても無駄だと悟ったようで沈黙する。

 ……彼の背中は細い。か細い、人間らしい背中。

 その弱さに私は安心して、それを手放さないようにしがみつく。
122 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/28(日) 22:26:40.79 ID:LDASOosfo

 郁乃「……おやすみ、京太郎君」


 京太郎「はい。おやすみなさい、郁乃さん」


 灯りが落ちる。

 私の意識は、温もりに呑まれて真っ逆さま。

 微睡みと共に、強く彼の体を抱きしめる。

 ……夢の世界というのなら、今もそうだ。私は今、その途上にある。

 彼が昔放った言葉を思い出す。

 ―――それは、あの時の彼への救いの言葉だった。

 彼が、思い続けた言葉。三重のアポトーシス。

 その歪が生み出したたった一つの救いのせいで、私は今こんな生活を送っている。

 悔いが巡る事もある。足が止まる事もある。……でも、私の願いはそうじゃない。

 ―――だから、あの言葉を胸に刻もう。

 暗闇の中でも展望は広く、視界は明るくて。

 例え、幾星霜の時が過ぎ去り、何もかもが無に帰る時が来たとしても。

 彼の言葉が残り続ける限り、きっと、この旅に後悔なんてなくて。

 いつか来る終わりまで、歩き続ける事ができると信じているから――――




123 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/10/28(日) 22:27:39.10 ID:LDASOosfo
 じゃあ、これで今日は終わりです。今週中に、次の更新できますように(願い)
 あと、本当に咲二期あるんだね。声優気になるなぁ。
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/28(日) 22:28:00.39 ID:kwMAPGz70
おつー
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/10/28(日) 22:29:10.72 ID:3DkWNLXCo
乙ー
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/10/28(日) 22:30:22.05 ID:proUy8or0
乙ー
某所みたいに体を壊さない程度にやってくれればいいよー
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/10/28(日) 22:34:13.42 ID:V21Xwdf5o
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/28(日) 22:35:55.20 ID:sf+Ej98U0
乙ですー
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/10/28(日) 23:20:21.32 ID:+yzScPQC0
遅なったけどおつや!
130 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/11/01(木) 06:39:33.44 ID:BPv4F/fRo
本気でネットに触れられない環境に、数日身を置く事に。
ドラゴンクォーターで大号泣してたりした結果がこれだよホントごめんなさい。
次の更新は、来週の金曜か木曜辺りで申し訳ありません。
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/11/01(木) 20:35:42.71 ID:ZDVsN3f8o
それぐらいなら余裕で待てる
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/11/01(木) 22:24:12.05 ID:iNYRgf2V0
のんびり待つのもまた一興、ってことで
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/01(木) 22:54:48.32 ID:TjG8/WsMo
ドラクォは名作
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/11/04(日) 07:59:31.49 ID:ZmM+cMzuo
みかんあーんしてたら玄ちゃん他が来て恥ずかしくて炬燵に京太郎しまっちゃうお姉ちゃん
135 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/11/07(水) 13:27:43.38 ID:ZBqefvEwo
大沼プロキタ―――――――!
気付けばここに書き込んでいた、何を言ってるのか以下略。
明日更新できればと思います。いよいよ筆の遅さが致命的に。な、夏は腱鞘炎寸前だったから。ガチで指が痛かったから。
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/07(水) 17:53:23.50 ID:cSWzvEaSO
明日か了解

お大事に
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/08(木) 12:33:07.26 ID:n0hq8FV20
明日、つまり今日か?凄く期待して待ってます
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/08(木) 12:59:20.10 ID:cj0Bv8S2o
>>135 阿知賀のプロ麻雀カードの話……かな?
139 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 17:25:15.65 ID:RIwETAf5o
>>138そうそう。経歴楽しみ。

開始はとりあえず、夕食食べたらにします。
気分転換に連合VSザフトUのエース大決戦やったら、ハイスコア出せました。何故だ。連座Uはマジで神ゲーだと思う。
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/08(木) 18:10:26.77 ID:wETymU4ro
連ザUはマジではまったなぁ
レイダーフォビドゥンカラミティばっかつかってたな
141 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:24:57.56 ID:RIwETAf5o
僕はデスティニーたん! だけど作品としてはWが一番好き。







 対局は佳境に入り、みんなと少しばかり話をしたものの、注意は卓上に向いている。

 見たところ姫松有利。次いで憩チーム、千里山といったところだろうか。

 その輪に入る気にもなれず、すぅすぅ寝息を立てる園城寺さんを膝の上に乗せたまま遠目で見学する。

 ……今日が最終日。

 なんというかあっという間で、あんまり記憶がなかったりする。

 決戦まで残り二日。鹿児島に乗り込むのはいつになるのだろうな、と答えの出ない事を思っていると、


 もこ「……隣、いい?」


 そんな、儚い声がした。

 顔を挙げると、そこには少女らしいドレスを身に纏い、片目をリボンで覆った少女が一人。


 京太郎「――あ、はい。どうぞ」


 もこ「ありがと」


 ちょこんと隣に座る彼女は、おそらくは憩さんの友人だろう。というか、間違いなくそうだ。格好が凄いし。俺が言う事ではないけど。


 京太郎「……えっと、ジュ、ジュース要ります?」


 もこ「うん。お願い」


142 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:25:24.72 ID:RIwETAf5o

 手だけ伸ばして、トレイをこちら側に。

 指差されたグレープをコップに注いで渡すと、彼女は無表情のまま、頭を下げる。

 ……沈黙が流れる。

 しかし喧騒も遠巻きに聞こえるような緊張の中、彼女の視線は自分から外れない。……なにか、したのだろうか。


 京太郎「えっと、須賀京太郎。高校一年生です」


 もこ「対木もこ。一年生」


 京太郎「ん、そっか」


 再び会話が途切れる。

 まあなんというか、ここまでくれば彼女の芸風は大まかにではあるが把握したので、喧騒に眼を向ける事に。


 もこ「……どっちで、呼べばいい?」


 京太郎「どっちでもいいですよ。苗字でも、名前でも、渾名でも」


 もこ「じゃあ、きゅうで」


 京太郎「なんで!?」


 もこ「冗談」


 京太郎「そ、そうですか」


 もこ「憩さんから話は聞いてる」


 京太郎「へー……」
143 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:26:08.15 ID:RIwETAf5o

 もこ「コスプレ趣味だって」


 京太郎「アンタ達にだけは言われたくないですよ!」


 もこ「そして、どうだろう。一緒に今度、コスプレしない?」


 京太郎「なんの誘いですか大体俺、趣味でこの格好してるわけではないですからね!?」


 もこ「……でも、好きなんじゃ?」


 京太郎「好きですけど、趣味じゃないです!」


 もこ「……そっか」


 少しだけしゅんとした表情で俯く彼女。その仕草が小動物の様だと思ったのは、ここだけの話である。


 怜「ん……」


 京太郎「あ……しまった」


 もこ「……ボリューム、落とさなきゃ」


 京太郎「お前が言うかよ、それ……」


 もこ「……うん。そうやって、タメ口でいい」


 京太郎「……まあ、いいけどさ」

144 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:26:40.82 ID:RIwETAf5o

 再び会話が途切れる。

 視線は互いに明後日。彼女は須賀京太郎の先に何かを見て、須賀京太郎は視線から逃れるように瞳を閉じる。


 京太郎「……そういえば。シズが言ってたんだけど、お前、知り合い?」


 もこ「うん。この前、練習に付き合った」


 京太郎「……なんで、向こう行かないんだ?」


 向こうというのはもちろん、阿知賀、或いは荒川グループである。

 ここが確かに外れているという意味合いはあり、他のところよりかは寄り易いかもしれないけど、それでもやっぱり異邦人であるのに変わりはない。


 もこ「……………秘密」


 京太郎「……そっか」


 もこ「訊かないの?」


 京太郎「訊いてもいいのか?」


 もこ「駄目」


 京太郎「なら、仕方ない」


 もこ「そっか」
145 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:27:11.42 ID:RIwETAf5o

 もこ「……そういえば。今日は、星が綺麗みたい」


 京太郎「…あ、そうなんだ」


 もこ「星は、好き?」


 京太郎「ああ。……大好きだ」


 もこ「……私も」


 京太郎「そういえば、なんで俺の隣に?」


 もこ「……星が見えたから」


 京太郎「え……?」


 もこ「君の周りに、十個くらい星が見えた。……それが、理由」


 京太郎「……そうか」


 もこ「……そう」


 それがどういう意味かは理解できないけど。

 彼女の顔を見ると、僅かに頬が緩んでいる。

 ならばそれはきっと、悪い理由ではないのだろう。
146 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:27:46.03 ID:RIwETAf5o
 疲労が溜まっていたらしく、うたた寝をする園城寺さんを膝に乗せたまま話し合う。

 内容は極めて益体もなく、今この会話が深刻でない事を端的に交わしていた。


 京太郎「へぇ。今年麻雀を始めたんだ」


 もこ「うん。そっちは?」


 京太郎「ここだけの話だが、俺も。ルール自体は、前から知ってたんだけど」


 もこ「そう」


 京太郎「なあ、誰が勝つと思う?」


 もこ「多分だけど憩。か姫松の人」

       シズ
 京太郎「阿知賀は? 大会順位だけなら、ここでもトップだろ?」


 もこ「これは遊びだから」


 京太郎「手加減してるって事か?」


 もこ「いや。全力を出せないだけ」


 京太郎「……モチベーションか?」


 もこ「そういう事」


 京太郎「……俺と打つ時、基本アイツ全力なんだけど」
147 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:28:15.91 ID:RIwETAf5o

 もこ「そういう理由があったんでしょ」


 京太郎「……そうなのか?」


 いまいち思い浮かばない。

 俺、アイツに嫌われてたりしたっけ?


 京太郎「そういえば、なんでわざわざ俺の隣に?」


 もこ「……………秘密」


 京太郎「なんだそりゃ」


 ははは、と笑って卓上を見遣る。

 あのレベルともなれば理だけに捕らわれず、場の流れ、相手の視線などを大まかにだが取り入れている。

 ……逆に言えば、デジタルだけでやり通せるというのは、それだけで恐ろしい事なのである。どんな脳味噌してるんだろう。


 もこ「……ねぇ」


 京太郎「ん?」


 もこ「星……好き?」


 質問の意図は読めない。

 ただ、彼女の視線は真摯であり。冗談であっても、嘘ではないと感じたから。


 京太郎「……ああ。好きだよ」


 そう、自分の心を素直に告げていた。

 何度か口にした、だけど色褪せぬ憧憬の籠ったその言葉を聞いて彼女は、


 もこ「そう―――良かった。なら、君は好きになれるんだ」


 外見通りの幽玄な、それでも親しみの籠った表情で微笑んだ。

 丁度、決着に湧く観衆の声が聞こえた。

 それはあまりにも透明で、後悔を入れぬ純粋な称賛だった。
148 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:28:43.35 ID:RIwETAf5o





 京太郎「……終わったな」


 もこ「うん。……綺麗に終わった」


 京太郎「行かないのか?」


 もこ「そっちこそ」


 京太郎「どこに行けってんだよ」


 もこ「どこにでも行けるでしょ?」


 京太郎「……迷うな」


 もこ「なら、アナタの居場所はあそこにないんでしょ」


 京太郎「……そうだな。そういえば、そうだった」


 もこ「でも、今手を叩いてる」


 京太郎「観客だからな」


 もこ「うん。……観客でも、こうできる」
149 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:29:10.48 ID:RIwETAf5o

 京太郎「……本当に、会った事ないのか?」


 もこ「うん。だから、気にしないで。ただ、なんの関係もない誰かが、好きに言ってるだけだから」


 京太郎「……じゃ、ありがと」


 もこ「?」


 京太郎「関係無い俺に、声をかけてくれてありがとう」


 もこ「……なら、関係あるなら違うの?」


 京太郎「いや?」


 もこ「なら、意味ないんじゃ?」


 京太郎「意味は、一つじゃないとダメか?」


 もこ「―――そっか」


 京太郎「……そうだ。飲み物要るか?」


 もこ「うん。丁度、喉渇いたところ」


 京太郎「どうせだから、みんなにも持って行ってあげよう。みんな、喉渇いてるだろうし」


 もこ「うん、そうしよう」
150 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:29:50.69 ID:RIwETAf5o

 依然、変わらぬ無表情。

 されどその片目は満足に満ちていて、充足に濡れている。

 それが嬉しくて、つい頬が綻んだ。

 だってそれは、自分との会話が、きっと悪くなかったという事なのだろうから。


 京太郎「―――っと。そういえば、今立ち上がれないな」


 もこ「じゃあ私、先に配ってるね」


 京太郎「悪いな。言いだしっぺなのに」


 もこ「いいよ。……仲、良いんだね」


 京太郎「ん?」


 もこ「その人。園城寺さん」


 京太郎「ああ」


 少し考える。

 意識してこそいなかったが、確かに膝枕を要求するというのは、中々にハードルが高いような。

 もちろん親しみ易いというか、甘え上手というのもあるだろうが、結果として距離が近いのは変わらないのかもしれない。
151 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:30:19.82 ID:RIwETAf5o

 京太郎「そうだな。なんか、いつの間にかこうなってた」


 もこ「そっか」


 そう、ほんの少しだけ和らぐような顔をして、彼女はとん、とん、とんと下に降りていく。

 二階から下は吹き抜けていて、視線を向ければ下が見える。

 丁度行き先が玄関である事もあり、今日の夕食は何かなと少し期待してみる。


 怜「ん……」


 京太郎「ああ、おはようございます怜さん」


 怜「うん、おはよー。……えっと、終わった?」


 京太郎「はい。結果は、自分の眼でお確かめください」


 怜「あはは、なんや、執事みたいやなぁ」


 京太郎「介護士、というのもありじゃないでしょうか?」


 怜「ああ、ええなぁ、それ。いつかウチがプロになったら、介護頼むで」


 京太郎「……むぅ」


 怜「あれ? 何か今、悪くないなぁとか思ってへん?」


 京太郎「……実を言うと」


 怜「あぅ……」
152 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:30:54.36 ID:RIwETAf5o

 一瞬だけど、想像できてしまった。

 ……だからかふと、訊いてみたくなった。


 京太郎「怜さん」


 怜「どしたん?」


 京太郎「怜さんはなんで、倒れるまで頑張るんですか?」


 これは遊びだ。

 幾ら悔いを残さない為にとはいえ、あくまで遊戯。

 高鴨穏乃が望む不退転でもなく、俺が挑む決死でもない、ただの遊び。

 彼女はインターハイ中、ずっと不調を圧していたという。そして彼女が倒れたという騒動は、俺の耳にも入っている。

 そんな彼女が、何を想ったのか。

 彼女自身の意思を、俺は確かめてみたかった。


 怜「……そやね。多分やけど―――」


 その問いに彼女は僅かに逡巡して、多少不安がりながらも理由を語った。


 京太郎「―――ああ、なるほど」


 怜「うん、多分こんな感じや」


 そう言って、彼女は誇らしげに笑った。

 それはまるで、荒野に咲く華のように儚く、強い笑みだった。
153 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:31:21.89 ID:RIwETAf5o




 で、問答も終わり昼過ぎ。

 雅枝さんのところを訪れた須賀京太郎は、ちょっとした相談を受けていた。


 京太郎「夕食ですか?」


 雅枝「ああ。客も増えたし、部費もたくさん余ってる。やから、ちょっとしたパーティーをやろう思ってな」


 京太郎「おお、いいですね! で、何を買ってくれば?」


 雅枝「雑用前提!?」


 京太郎「あ、すみません、なんとなく自然に。ですが実際、自分に声をかけたって事はそうなんですよね?」


 雅枝「え、いや、違うけど」


 京太郎「あれ、そうなんですか。じゃ、みんなに訊いてるとか?」


 雅枝「いや、アンタだけや。どうせ誰に言っても意見は分かれるんやし、アンタは一人やから」


 京太郎「なるほど、票も分かれませんし―――いや、そうとも限らないか」


 雅枝「? まあ確かに、自分の中で意見が分かれる事とかあるか」


 雅枝「ちなみに、外か中かも選んでええで」
154 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:31:48.91 ID:RIwETAf5o

 京太郎「うーん……まあいいや」


 京太郎「そうですね、俺は―――」


 そういえば、今日は結構温かかった事を思い出す。

 長野より南に近い辺り当然と言えるが、とにかく夜はそれなりに暑い。

 それを今更のように思い出して―――つい、南の方を向いてしまっていた。


 京太郎「……………」


 例え昼間でも、北極星がどこにあるかを自分は知っている。

 だから一人きりの旅でも、迷いはなくて、問題なく歩く事ができた。

 ああ、だけど―――それが始まったのは、いつの事だっただろうか。


 雅枝「……京太郎?」


 京太郎「……そうですね、外でバーベキューでもしませんか? こう、みんなでパーッと盛り上がろうかなって」


 雅枝「おお、ええやんそれ! 最後はやっぱり、明るく終わらせるべきやからな」


 京太郎「でしょう? 丁度、近くに味覚園ありますから、そこで肉でも買おうかなって」


 雅枝「ええなぁ。あっ……でも、ええんやで? こっち、車あるし。お客なんやし」


 京太郎「いえ、一応こっちは宿を貸して貰ってる立場ですし。終わりも間近ですし、やることもあるんでしょう?」
155 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:32:20.07 ID:RIwETAf5o

 雅枝「そうやけど……」


 京太郎「それに俺、これでも体力、自信あるんですよ?」


 雅枝「……そういえば、昔サッカー――あ」


 京太郎「あはは、大丈夫ですよ、絹さんから話は聞いてますので」


 多分、彼女は知っていたのだろう。

 だけど告げなかった。言うかどうかを決める権利があるとすれば、それは愛宕絹恵に他ならないと知っていたから。


 雅枝「あ、そっか。……しかし、最初に引っかかってはいたけど、なるほど、そりゃ見覚えある」


 京太郎「いやぁ、昔のファンに憶えて貰えるってのは、やっぱ嬉しいですね」


 雅枝「一応、みんなで試合見に行った事もあるんやで?」


 京太郎「お、ユースに呼ばれた時ですか」


 雅枝「そうそう。そんで、絹の奴がサインねだってなぁ」


 京太郎「あ、あれ絹さんだったんですか」


 雅枝「あん時は、かなり日焼けしてたしな。気付かないのは無理ないやろ」


 京太郎「なるほどなるほど、あの立派なお餅はそういう事だったのか……」


 雅枝「……アンタ、割とダメやったりする?」


 京太郎「実は、ちょっと」


 いや、なんていうか。

 おもちが大きな人が好きなのは、紛れもなく本当だったりするんだよね。
156 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:32:49.51 ID:RIwETAf5o






 京太郎「となれば、麻雀を始めたのは、俺のせいだったりするんでしょうか?」


 雅枝「まあ、家では少しやっとった程度やな。親戚の集まりとかでも、基本的に参加してたし」


 京太郎「強かったんですか?」


 雅枝「いや、あんまり。才能があったのは確かやろうけど、やっぱ最初から洋榎が強かった」


 京太郎「天才肌っぽいですからね、あの人」


 ただまあ、絹さんも大したものだ。

 麻雀に昔から慣れていたとはいえ、本格的に始めてから一年程度でレギュラーに選ばれるのは、尋常じゃない。

 努力や、優秀な打ち手が隣にいた事などがあったにしろ、やはり才能もあったのだろう。


 雅枝「わかる? 子供のころから、割と注目浴びてたんや」


 京太郎「……となれば、麻雀は嫌いじゃ?」


 雅枝「いや? 悔しがってはいたけど、楽しそうにやってたで?」


 京太郎「え、でも……あ、そっか」


 ―――なるほど。そういえば、そうだった。
157 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:33:23.02 ID:RIwETAf5o

 雅枝「ん? どうした?」


 京太郎「いや、なんでも。ただ、楽しくやってたんだろうなって」


 雅枝「そりゃあな。麻雀は、楽しくないとアカンし」


 京太郎「まあ、その通りです。どんな状況でも、楽しまないと」


 雅枝「……しかしそれを考えると、凄い転身やなぁ」


 京太郎「そうですか?」


 雅枝「一世を風靡した天才ストライカーから、流浪の雀士に。足と手じゃ、全然違うやろ」


 京太郎「あ、そこですか」


 雅枝「まあそれは冗談として。体育会系から、文科系は結構大きいと思うんやけど」


 京太郎「―――そうですね。本当に、全然違います」


 雅枝「……やっぱり、不満だったりするん?」


 京太郎「いえ。……全然、そんな事ありません」


 雅枝「……そか。まあ、ええけど」


 京太郎「じゃあ、そろそろ買い物にでも行きましょうかね」
158 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:33:52.73 ID:RIwETAf5o

 雅枝「でも、買い出しに行くなら、他に誰か呼んだ方がええで?」


 京太郎「そうですか?」


 雅枝「細かい――そうやな、鍵を開けるとか、何かと必要かもしれんし、何より複数人の方が道中暇やないやろ」


 京太郎「ん……まあ、確かにそうですね。じゃあ、誰かに頼みます」


 雅枝「ああ、そうした方がええで」


 雅枝「……そういえば、調子はどうや? 手応えとか」


 京太郎「調子は悪くないですね。手ごたえは――どうでしょう。後で、憩さんとでもやって、確かめる――必要はないか」


 どちらにしろ、延期はない。

 俺にできるのは最後まで、できる限りの事をするだけだ。

 まあとりあえず、残された時間は麻雀をするか。

 ……それで強くなれるかは別問題ではあるが。

 やはり燻ったまま、残りの時間を消費するのは良くないだろう。


 雅枝「……それでも、足りんの?」


 京太郎「はい。……悔しいですけどね。今の自分じゃ、相手には勝てないみたいです。二人がかりじゃないと、太刀打ちできない」
159 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:34:26.99 ID:RIwETAf5o


 相手は本物の神様だ。

 勝てるかどうかなんてわからない。しかも、舞台は向こうのホームグラウンドだ。果たしてこのままで届くかどうか。

 ……まあ。そんなの、万事に共通する事だ。

 或る日、暴走車両が歩道に突っ込んでくるかもしれない。そんな事例だって、いままでにも幾つかある。

 例えそれがコンマの向こう側の住人でも、可能性はある限り危険は消えない。未知がこの世界から消える事はない。

 既知で埋め尽くそうと、いつそれが覆るかも定かではない。人の認識はそれほどまでに脆い。

 だから、別にそれは特別な事ではない。

 成就するかもしれない賭けなんて、生きとし生けるものの全てがしている事だ。

 だから―――無理に、危機意識に火を付ける必要はない。


 雅枝「―――強いんやな、京太郎は」


 雅枝「そんな相手なのに、怯えてない」


 京太郎「……強くなんて、ありませんよ。正直、怖いのは確かです。ただ、あれよりも怖い人を、自分は知ってるし」


 京太郎「―――それよりも、怖いことがあるだけです」



160 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:35:07.31 ID:RIwETAf5o




 雅枝「……そういえば、原田さんがアンタの事話してたで」


 京太郎「原田さんが?」


 雅枝「ああ。なんでも、合宿が終わった後、少し付き合わないかやって」


 京太郎「……そういえば、実力者だって聞きましたね」


 雅枝「ウチなんかじゃ、まるで歯が立たん。多少鈍ってるにしても、赤土さんやアンタよりも、勝負師としては上やと思う」


 京太郎「それはありがたいですね。俺も丁度、そういう空気を知りたいところでしたし」


 雅枝「……やっぱ、気付いとったか」


 京太郎「ええ。ていうか、昔話がもろそうでしたし―――やっぱり、感じがそうでした」


 人の死が絶対でないのだと、彼の瞳は語っていた。

 常識に囚われた人間は、根拠もなく安全だと、大抵思い込んでいるのだ。

 どんなことをしても、自分は別だと考える――そんな傾向があるのだ。それは集団意識が加速した現代社会においては、ひとおしだ。

 だが彼は違う。そんな事はありえないのだと、当然のように理解していた。


 雅枝「―――そっか。アンタも、そういう世界にいるんやったな」


 京太郎「今回限りですけどね。……いやホント、負けたら何されるんだろう」
161 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:36:21.98 ID:RIwETAf5o

 ははは、と笑う。

 微妙に危機感のない自分に、或る種の納得を覚えながら。


 雅枝「……なんで―――」


 京太郎「?」


 雅枝「……いや、なんでもない。言うのは、野暮やな」


 雅枝「ただ、いよいよって時になったら逃げるのもええと思うよ。誰かに責められたって、死ぬよりはマシやから」


 京太郎「……まあ、参考にはさせて貰いますよ」


 雅枝「ん。じゃあこれ、財布渡すから、適当に買いや」


 ぽい、と財布を丸ごと渡される。仲には紙幣と、カード類が。


 京太郎「え……いいんですか?」


 雅枝「今更、横領なんてしないやろ。金に困ってるとも思えへんし」


 京太郎「いやまあ、確かにそうですけど」


 雅枝「ならええやろ。じゃ、ウチは準備とかあるから。最後なんやし、思う存分食べるとええよ」


 じゃ、と手を挙げて去っていく雅枝さん。

 ……いや、なんていうか。男前な人だな、オイ。


162 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:36:58.34 ID:RIwETAf5o




 京太郎「ま、いいや。ありがたく受け取っておこう」


 京太郎「じゃあ、誰誘うかな。先生方は駄目だろうし、ここはやっぱり―――」


 ↓3 早い者勝ち。先生方は駄目です。



163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/08(木) 19:39:22.96 ID:innQhIwE0
穏乃
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/08(木) 19:39:49.70 ID:l9MPmg9po
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/08(木) 19:40:03.29 ID:VGmUdmAKo
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/11/08(木) 19:40:19.01 ID:lmmXSmXs0
シズ
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/08(木) 19:40:19.65 ID:SCiCoc3+o
もこたん
168 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/08(木) 19:46:37.55 ID:RIwETAf5o
 続きを今日中に書ける確立はもう、微粒子レベル。というわけで、この空白の弁明的なものを。

 ちょっと遠出する機会があって、旅行の感覚を味わおう―――と思ったら、財布落としました。
 運良く優しい方々に拾っていただき、九死に一生を得ましたが、掛け値なしに肝が冷えました。ついでに荷物の底が抜けたりして、ホント落ち武者のような燦々さ。このまま二十キロ近く歩かなければならないかと思うともう……

 東京の人の心の温かさ。そして自分は悪運がどうにかしてると再確認。これからは、小銭も交番に届けようと誓いました。
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/11/08(木) 19:49:47.09 ID:lmmXSmXs0
お、おおぅ…なかなかな体験をしていらっしゃったようで……
ともかく乙ですわー
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/11/08(木) 19:50:18.91 ID:z2/4MtqAO
お、おう

乙だねぃ
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/08(木) 20:08:21.87 ID:cj0Bv8S2o
よかったじゃん。
祖父の形見の鞄に財布と印鑑とキャッシュカードとアルフのDVDボックスと買ったばかりの本数冊を取られたきり、返ってこなかったことに比べれば、もう豪運レベル
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/08(木) 20:17:20.17 ID:l9MPmg9po
いるよね、不幸エピソード聞くと俺の方が不幸だって主張する人
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/08(木) 20:19:27.36 ID:cj0Bv8S2o
>>172 すまん、笑い話のつもり
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/08(木) 20:20:33.11 ID:l9MPmg9po
>>173
悲惨すぎて笑えない
175 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/11/08(木) 20:29:18.93 ID:RIwETAf5o
>>171ど、どんまい。うん、さすがにそこまではないけれど、自分もそうなりそうだったんだよね。と普通はそうなってたからこそ、拾われた時には人の温もりを感じた。
ただ多分、二回目はないし、もうちょっと気を付けないとですね。お金は仕方ないとしても、帰る時疲れるのはNG。
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県) [sage]:2012/11/09(金) 11:45:06.60 ID:ggrgqv5m0
もうすぐこのスレになって一ヶ月やね
177 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/11/09(金) 15:44:08.02 ID:7VRY+wM5o
>>176ダメです、くじけそうになる発言は禁止です。最終日いつ終わるんだよコラァとか思っても言ってはならんのです。

あと、広島県好き。あの必要を穿き違えぬまま発展している都市の感覚は、北海道にも、東京にもない感じがして好きです。
多国籍の人も異彩なく溶け込んでるし、悲劇の跡のおかげかは判らないけど、空気が落ち着いている。
微妙に広島弁も学んだし。たわん(届かない)、とか結構可愛い。



あと川通り餅すっげぇ美味い。
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/09(金) 17:41:22.28 ID:hSPYAzMIO
>>177
ほう
広島県民としては嬉しいこと言ってくれるじゃないの
179 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/11/09(金) 20:31:18.02 ID:7VRY+wM5o
本気で、いつか住んでみたいと思ってます。
川通り餅、毎日のように食べながら、あの街並みを散歩してみたい。

明日は休みですし、更新できると思い――と、とりあえず土日中に、一回は更新します。
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/09(金) 21:40:34.08 ID:hSPYAzMIO
>>179
も、もみじ饅頭は好きですか?(小声)
181 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/11/09(金) 22:10:55.56 ID:7VRY+wM5o
>>180かなり好きですけど、やっぱり川通り餅が最高。あの餅の部分だけでできてる感に感動した。
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/09(金) 22:13:04.38 ID:hSPYAzMIO
>>181
いや〜他県の人にここまで地元の名産が褒められると嬉しいな

将来は是非広島へ
都会育ちか知らないけど都会とは違う良さが味わえると思う
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/09(金) 22:19:37.44 ID:hGGpojaQo
広島大都会やん(福山民並みの感想)
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/11/10(土) 02:08:59.72 ID:f2RUGyTgo
広島いいよね
修学旅行で行った時に地元の人に親切にしてもらった
名古屋とは大違い
185 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/11(日) 20:04:43.95 ID:NqHI1M2Do
 絶好調で、後少しというところで電話に水を差された。この水差し野郎と心中で毒づくも、追い打ちの電話二連荘であえなく集中は断線。回復できれば投下できるかもですが、できなかったらまた明日。すまんな。
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/11/11(日) 20:06:16.58 ID:tYFiH8P+0
把握ー
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2012/11/11(日) 20:25:50.11 ID:zV+/dtBoo
広島と熊本はわりと似ている(街並み感)。
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/11/11(日) 22:27:53.01 ID:u2rw/heao
エタりさえしなければいつになっても大丈夫よ
189 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 21:02:49.09 ID:vgsCF80fo
 あらたそかっけー……キャラ立ってきたな。こけしとはなんだったのか。改めて見ると、口調にも特徴あるね。
 というわけで、もし調子が良くて仕上がったなら、十時頃に投下しますね。それでも、ようやく怜イベントが終わるだけなんだよなぁ……(遠い眼)
190 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 21:52:15.09 ID:vgsCF80fo





 ふと、落日の日を思い出した。

 苦痛はきりきりと、首を絞めつけてきて。

 頭は延々と、忘我を推奨してきた。

 どこにでもある肉と、掛け替えのない骨は傷だらけで、軋みを挙げていた。

 ……幾らかの、心残りはあるけれど。

 どうやら、自分はここで終わりのようだと、小さく笑った。

 降り注ぐ雨は針に似ていて、心身へと突き刺さる。

 だから、自分は、本当に言いたくはないのだけれども。

 あそこで終わっても、構わなかったのだ。




 ―――それは、あるはずだった物語。

 雪にも似た、一つの結末。




191 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 21:52:42.74 ID:vgsCF80fo





 四季は、終わりに近付いていた。
                         |
 同時に月の回転も十二を数え、一への壁を超えようとしていた。


 京太郎「……白いなぁ」


 一面の白は、髪のそれとは違っている。

 雪を照り返す輝きは一つ一つのもので、おかしくも想えた。

 ……人の感覚をくすぐるこれを、人は箱に入れ、ビニールに捨てている。


 京太郎「まあ……多ければ、という意味ではそう変わってないか」


 襖の外に広がる景色に、そう、小さく笑う。

 そこにきゅー、と賛同にも似た声が掛かった。


 京太郎「……ああ。走れないか、ミコト」


 ガラにない感傷は、それもあったのか。

 冬になると、忙しなく駆け回っていた彼女の足跡が庭先にはなくて、だから自分はこの景色を知らなかったらしい。

192 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 21:53:10.54 ID:vgsCF80fo

 京太郎「……俺にはお似合いか」


 しかし、皮肉とも言えない。

 最後の最後に、こんな綺麗な景色を与えてくれるなんて、自分には過ぎた贅沢だ。


 京太郎「ああ……綺麗だな、ミコト」


 きゅー、と染み入るような声。

 深々と降り積もる雪は、流れる風を白色に染めている。

 寒気の流れは部屋を満たすも、指は不思議と震えなかった。


 京太郎「まあ……どうせ冬だ。多分、誰に迷惑をかける事もない」


 だから、外を閉める必要もない。

 きっと、もうすぐ日が明ける。

 その頃にはきっと、全て終わっている。





193 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 21:53:42.21 ID:vgsCF80fo

 雪は緩やかで、時はなだらかだった。

 空に近い分、降る時は物凄いのだが、どうやらその心配はない。

 ならば、このまま静かに、自分らしく終わりを飾れる。


 京太郎「……無理を、しなかったからだろうな」


 思えば、自分は流されるままだった。

 須賀京太郎の人生に、実りはなくて、また四季もなかった。

 だけど社会は色なんて求めていなくて、だからこそ、自分はプラマイゼロで終える事ができた。

 ……だから、こんな小洒落た家を買えたのは、奇跡に等しかった。

 もっとも、この屋敷も不満だろう。自分なんかに初めてと、そして終わりを知る事になったのだから。


 京太郎「……悪いな。次の人は、生きてるといいな」


 そっと、畳の目に指を沿える。

 ―――確か、三万六千五十二、だっけ。


 京太郎「こんなこと知っても、お前の足しにはならないよな」


 そっと、指を離す。

 どちらにしろ、自分にそれは無意味なのだろうから。


 京太郎「……なあ。お前は、楽しかったか?」


 きゅー、と彼女は応えた。

 ……判らなかったけど。返事ができたという事は、まあ、そのぐらいはという事か。
194 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 21:54:10.25 ID:vgsCF80fo

 京太郎「そっか……なら、買った甲斐があった」


 お前も、意味があっただろう? と呟く。

 ……だけど、屋敷は動かない。


 京太郎「―――当たり前か」


 今度こそ、力が抜けた。

 不思議なほどに老いなかった体が、重力にさえ逆らえない。

 片手が掴んだお椀は重く、零さないよう置くだけでやっとだった。


 京太郎「……悔いは……どうだろうな」


 昔々に、一つ置いて来たけれど。

 そもそも、何かを行い、何かを望むからこそ後悔は生まれる。
     終わり      始まり
 だから結果はともかく、動機は酷く美しくて。

 こんな自分には、届かないものだ。


 京太郎「―――なら、本望か」


 無色を望んだのは自分だ。

 だからこうして、誰に看取られるでもなく終わろうとしている。

 ……悔いは、あるとすれば、それは、三度目の終わり。

 超えることのできなかった、最後の過ちだけだ。

 そして、それすらも遠く、手の届かないもの。
195 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 21:54:37.79 ID:vgsCF80fo

 京太郎「歩こうともしてないしな……」


 あるいは、ミコトの背にでも乗ってどこかへ行こう―――なんて、酷い戯言も、直ぐに消えた。

 ここまで付き添ってくれた彼女に、乗っかるなんてのは、冗談でも嫌だった。


 京太郎「……ほんと、いままでありがとうな」


 きゅー、とか細い声が聞こえた。

 夜は深まり、雪は途切れない。

 銀世界を照らす星は青く、静かに室内へと差し込んでいる。

 ……白色の風の中、奇妙なほどそれが鮮明で、こんな風に空を見上げたことがないことに気付く。

 こんな空に、もっと速く出会えていれば―――少しは、変わったのだろうか?


 京太郎「―――ああ、ありがたい。こんな俺にも、悔いができた」


 これで、これが最後だと感じることができた。

 ならば最後に生まれた熱のまま、不実の劇に幕を閉じよう。

 最後に、震える手で彼女を撫でた。

 彼女は依然変わらず、獣らしく、一声鳴いて瞳を閉じた。

 ―――それに倣おうとして、雪景色が動き出した。

 山の向こうからの光は、年の向こうから。

 年の向こうは明るくて、だけど彼岸の距離は埋められない。

 最後に、輝く世界の中、黒を保った空に、八つの橋がかかっていた。


 京太郎「―――そっか。もう、星は落ちてたんだな」 


 最後に、染み入るように理解して。

 須賀京太郎は、雪のように消えていった。
196 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 21:55:10.36 ID:vgsCF80fo





 満天の星空。

 かかる星は青く、落ちる雪は白い。

 輝かしい銀世界に照らされた室内は眩く、静寂が輝いていた。
      むいろ
 最後に、無色の風が雪を攫い、彼の鼻に乗った。

 彼は、動かなかった。





 ―――それは、あったかもしれない物語。

 雪のように消えていった、一つの人生。

 何一つ為せず、為さなかった、不実の命。





197 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 21:55:52.16 ID:vgsCF80fo

 




 京太郎「―――というわけで、膝枕代として付き添いをお願いします」


 怜「えー」


 京太郎「外の空気は美味しいかもですよ?」


 怜「でもでも、今日結構暑いよ?」


 京太郎「日傘とかどうでしょうか?」


 怜「なんでそんな適当なん!?」


 京太郎「体を甘やかしたまんまだと、余計に堕落しますからね」


 怜「そんな、体育教師やないんやから……」


 京太郎「むぅ……外の空気は嫌いですか?」


 怜「……しゃーないなぁ。最後やし、付き合ってあげてもええよ?」


 京太郎「ありがとうございます。帰り、何か奢りますよ」
198 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 21:56:27.21 ID:vgsCF80fo

 怜「……ほんまに?」


 京太郎「はい。雅枝さんの財布からなので、金額の方はご心配なく」


 その言葉に彼女は目を丸くして、


 怜「―――あの。盗みは、あかんと思うよ」


 京太郎「……予想はできましたね、その反応」


 というわけで、諸々の事情を説明。

 聞き終わった後の彼女はなるほどなぁ、と黒い笑み。


 怜「……なら、ついでにケーキを買いこんでもバレないって事やね?」


 京太郎「でしょうね」


 怜「……あの、ジョークやから突っ込んでや」


 京太郎「え、冗談だったんですか?」


 怜「……なんやろうこの子、ほっとくとヤバイ事しでかしそうで怖い」


 京太郎「……すみません、ジョークを介せずに」
199 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 21:57:09.80 ID:vgsCF80fo

 怜「うわ、こんな申し訳なさそうにジョークセンスの無さを謝罪する人、初めて見た……」


 京太郎「まあ、とりあえず行きましょう。何もこそこそする必要もありませんし、堂々と買いましょう」


 怜「え、ええんか?」


 京太郎「だって天下の姫松に、千里山でしょう? 本来プロとか呼んでくるんですから、そもそもこんな場末に押し込まれるのがおかしいんですから」


 怜「あー……確か、赤阪さん? やったっけ、その人が決めたとか」


 京太郎「はい。というわけで、金は余っているということです。潤沢に」


 怜「……そやね、なら少しくらいええか」


 京太郎「じゃ、行きましょう」


 怜「ん、りょーかいやでー」




200 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 21:57:36.38 ID:vgsCF80fo

          ひ
 刻は夕暮れ、陽は橙。

 朱色に照らされる土手の中、小さな影と、奇怪な影が歩いていた。


 怜「いやー、いっぱい買ったなぁ!」


 京太郎「買い過ぎですって。これ、帰ったら涙目になってるんじゃないでしょうか」


 怜「いくらでも買ってええって言ったのは、京太郎君やん!」


 京太郎「にしても、限度ってものがあるでしょう……」


 大丈夫かなぁ、と遠い眼をする黒ずくめの彼。
                                                シルエット
 夕日に照らされているのを見ると、本当に黒色で、おかしな風体をしているのだと陰影で判る。


 怜「ま、まあ大丈夫やって。……多分」


 京太郎「最悪、みんなにカンパでも頼みますかね……」


 にしても、少し調子に乗り過ぎたかもしれない。

 どうせ最後なんだしと購入したスイーツ、優に五十。

 どれも選りすぐりの精鋭であり、値段もそれなりである。それは金銭感覚が破綻しかけていると豪語していた彼をして、冷や汗を強いるような、圧倒的な軍勢であった。
201 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 21:58:05.02 ID:vgsCF80fo

 京太郎「まあ、過ぎた事は仕方ありません。怒られるのは最悪、園城寺さんだけですから」


 怜「なんで!? 普通、京太郎君も一緒やろ!」


 京太郎「こんなスイーツを選ぶわけないと主張すれば、簡単です」


 怜「うっわ汚い、京太郎君汚い!」


 その場のテンションに任せて、言葉を紡ぐ。

 寝起きの体はやけに軽く、頭はどこかがらんどう。

 視界に映る景色は、どこかドラマのようで、傍らを歩く彼は創作物をして浮いていると言わざるを得ない風体である。


 京太郎「しかし、いいんですよ? 俺、普通に持てますし」


 怜「だーめや。ウチかて、先輩なんやから。ちょっとくらい、先輩の好意に甘えーや」


 京太郎「むぅ……さっきまで、膝枕要求してたのは、誰だったんでしょうか」


 怜「そら、ぐうたらな奴もおったもんやなぁ」


 京太郎「……………」ガクリ


 首だけ曲げる彼に、再び笑みを。

 ……まあ確かに、この何重にも重なった袋はかなり重くて、少し足が縺れるけれど。

 その片方だけは、彼の手中にあるのだ。これで頑張らなくては、何が先輩として申し訳ない。
202 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 21:58:48.38 ID:vgsCF80fo

 怜「……そういえば、どうしようなぁ」


 京太郎「何がですか?」


 怜「いや、進路の話。……正直、決まってなくて。どうしようかなーって」


 京太郎「ああ、そういえば三年生でしたね……プロ行きって線はないんですか?」


 怜「うーん……一応、推薦は受けてるんやけど」


 どうしても、何かやり残したような。

 何か、足枷になるようなものを感じている。


 京太郎「そうですか……確かに、上の方はしんどそうですしね」


 怜「せやなぁ。トッププロとか、宮永照とかは、ホントどないして倒せばいいんやーって相手ばっかやもん」


 結局のところ、今年の夏だってそうだ。

 苦心して挑んだはいいが、まるで歯が立たなかった。……トリプルを連続で使用したところで、届くかどうか。

 それほどまでに―――頂点は、遠く、高い。


 怜「……どうすれば、強くなれるんやろうな」


 京太郎「……ですね」


 ただ―――傍らの彼もまた、答えは得ていない。

 ならば同時に、自分が絶対に超えられない断層というわけじゃない。

 ―――だから、何が違うわけでもない。


 怜「京太郎君みたいに、凄い勢いで成長できればいいんやけどな」


 京太郎「……せめて、その時間があればいいんですけどね」


 怜「―――京太郎君?」


 静かに、彼は遠くを睨んだ。

 落日の直角に、憎むような眼差しで静かに。

 ……その視線。

 陰影で見えない筈の表情が、何かに染まっているのを感じて、私は不思議とあの夢を思い出していた。
203 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 21:59:31.06 ID:vgsCF80fo








 ――――それは、落日の話。

 舞い散る雪が星のような、未来の一幕。






204 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 22:00:03.92 ID:vgsCF80fo

 ……遠く、夢を見ていた。

 屋敷は白く、空は黒い。

 一つの回転を終えた星は、また一つの軌跡へと帰ろうとする。

 自然は変わらない。

 それに意味はなく。それでも、人には価値がある。

 意思に寄らない自動の音は、空の彼方へ消えていき、流天の理を世界に敷いていく。

 そんな、自然の住み家。

 宇宙さえも意味を与えられた世界で、誰にも晒されないただ一つの秘境があった。

 ―――白い海。

 雪は新年に照らされ、輝く銀世界に曇りはない。

 室内には幾らかの雪が入り込み、襖はとっくに凍っていた。

 その中で、一人の老人が眠っていた。

 金色の若々しい髪は、萎れ白色に。

 寄り添うように一匹の獣が、同様の体勢で沈んでいる。

 ……それを看取るものは誰もなく。

 また、意思などそこには付属しない。

 ――――この地球上で。

 そこだけが、確かな無価値に彩られていた。
205 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 22:00:32.32 ID:vgsCF80fo

 京太郎「まあ―――生きてれば、わからない」


 そう言って、彼は視線をこちらに向けた。

 柔和な笑み。人を安心させるような空気と共に、笑いかけてくる。


 怜「ん……そやね」


 そうして、私はもう一度空を仰ぐ。

 茜色の空は眩く、遠くには薄色の月が静かに浮いている。


 怜「生きてれば、わからない」


 今の自分だって、昔からすれば遥か遠い。

 あの舞台に立っていることなんて想像もできなかったし、今、こんな少年の隣にいるなんてのは妄想さえ――いや。していたのかもしれない。

 こうして、誰か―――あんな風にさせたくないと、自然に想うことのできる相手を。


 京太郎「そういえば、その眼は、後天的なものなんでしたっけ?」


 怜「うん、正にたなぼたや。……おそろいやな」


 京太郎「ははは、そうですね」
206 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 22:01:36.25 ID:vgsCF80fo

 ただ一つ、もしも違うとすれば彼が一人で抗っていることだろう。

 私は、この眼を手にしたから、前に進もうと願ったけど。

 彼は手にする前から、走りだしている。

 ―――だけど。多分今、瞳を奪われても、自分はおそらく歩くことができる。


 怜「……………」ギュッ


 あの舞台に立ったから。

 彼女等と同じ所に立って、夢の世界へと続くことができて。

 それはやはり、この瞳のおかげだろうけど。

 でもだからこそ、頼り切るのはいけないと思うのだ。


 京太郎「…………?」


 ……なに、恥じることはない。

 例えそれが過去に支えられての物だろうと、関係無い。

 人は生きるごとに、成長することができる。……そう、許されている。

 そう、ならば―――きっと私も。今の自分では届かないところに、行けるのだろう。
207 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 22:02:03.91 ID:vgsCF80fo

 怜「あはは、ごめんな。手、痛くなっちゃって。重ねさせてや」


 京太郎「いいですけど……怜さん、手、冷たいですね」


 怜「心があったかいって言うやん?」


 京太郎「―――迷信もそう、バカにできないみたいですね」


 怜「あはは、ひょっとして照れてる?」


 京太郎「……ほら、行きますよ」


 それに、ほら。

 この手を離さないだけでも、あの無価値は回避できる。

 例え、自分がもしも、この手を放すことになったとしても。

 過ぎ去った思い出は、きっと、彼の心に残るだろう。

 ならばきっと―――その人生に、何か、残すことができる。


 怜「なあ、京太郎君」


 京太郎「なんですか?」


 怜「―――これが終わって、いつも通りになっても」


 怜「またみんなで―――絶対、また会おうな」


 京太郎「―――はい」


 そうして彼は微笑んだ。

 今度は陰影さえ跳ね除けるような、そんな晴れ晴れとした笑みだった。
208 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/12(月) 22:03:49.54 ID:vgsCF80fo
 最初の話は、ある出来事が起こらなかった時の京ちゃんの終わりです。
 誰の記憶に残るでもなく、いつの間にか消えていた彼の死体は、未だ発見されていないとか。
 という訳で、おやすみなさい。次も、早めに書けたらなと思います。
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/11/12(月) 22:04:21.37 ID:faYezY5d0
おつー
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/12(月) 22:04:42.33 ID:PvKDXUovo
乙乙
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/12(月) 22:04:55.12 ID:OPxauBld0
乙です
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/11/12(月) 22:06:34.88 ID:PNtJq+v80
乙ですわー
何とも余韻の残る話。ある出来事……ねぇ、ふんふむ
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/12(月) 22:06:55.20 ID:UlJTnTNfo
乙です

羨ましい量を書くなあ……
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/11/12(月) 22:07:05.16 ID:WhG9f5SNo
おつー
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/12(月) 22:08:13.78 ID:vgsCF80fo
>>213レートがマホちゃんに並んだという現実を抱えた男の力
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県) [sage]:2012/11/12(月) 22:13:42.95 ID:40bnpUR2o
乙です
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県) [sage]:2012/11/12(月) 22:16:41.77 ID:1pnlEOcq0
おつー
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/12(月) 22:23:04.73 ID:xXzlKN/G0
乙ー
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [ge]:2012/11/12(月) 22:35:24.39 ID:Bs0SIB6S0
1って型月やったことあるん?
違ったらすまんが。
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/12(月) 22:37:36.05 ID:VpLTBAdIO
最初から見てるけど未だに京ちゃんが何なのかよく理解出来てない

でも凄く引き込まれる文章だなと思いました(小並感)
221 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/11/12(月) 22:52:36.56 ID:vgsCF80fo
>>219 ……言わないでくれ。語感とか雰囲気とか演出とか重視してたら、二年くらい前から似てるのに気付いてびっくり。
これ以外の文章だと、なんか嘘っぽくなって変になるんですよ。三点リーダ連用して福本みたいになるし。昔リリなのの二次創作を書いてる時に、もう矯正できないし、する必要もねーやと諦めたので、どうかご理解いただければと。
あ、型月は好きです。DDDェ……

>>220 明かしてる情報をとりあえず纏めると
・一応人間。
・九面みたいなのを生まれつき宿していて、オカルトパワーで超人状態。銃弾くらい普通に躱せたりする。
・学業はお察し。
・昔から少し運動が得意で、努力してサッカーで有名に。
・雑用も普通に得意。
的な。設定は纏めてあるので、まあ、伏線放置はないと思うのでご安心を。
あと、文章褒められると嬉しいです。最初から見てくれて、ありがとうございます。

じゃあ、おやすみなさいー
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/12(月) 23:29:53.37 ID:VpLTBAdIO
>>221
おお、わざわざ答えてくれてどうもありがとう!
お礼に広島来たら川通り餅奢るわ

とりあえず京ちゃんは生きていて安心した
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/11/15(木) 09:55:00.10 ID:pPzRJcDF0
>>221
いやなんか変なこと言ってすんませんでした。

・九面みたいなのを生まれつき宿していて、オカルトパワーで超人状態。銃弾くらい普通に躱せたりする。

これ人間なの・・・?
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/15(木) 12:28:32.54 ID:LPqfoaSD0
いちさん すれたてていっかげつがすぎましたね
225 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/11/15(木) 16:16:30.13 ID:oHA4WPG2o
 実を言うと、ウイルスに感染して半分くらいUSBに入れてたデータがぶっ飛んだんですよ。白糸台関係とか、次に書く予定の作品の内容とかがおじゃんに。
 なので無事なデータの移行やら、ウイルスバスターのインストール(無料)やらで忙しかったのです。

 あと、適当な出来だと、悔いを残してしまいそうで嫌なんですよ。すこやん小ネタの情熱は、後悔を晴らす為でもあったりなかったり。
 そのキャラのファンに悪いですし、何より中途半端になるのだけは許せないというか。

 まあ、夏休み明けたら、大分自由な感じになってテンポも良くなると思いますので、しばらくお待ちを。
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/15(木) 16:42:42.48 ID:LPqfoaSD0
よくあることだね
しかたないね
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/15(木) 17:57:19.95 ID:uwlrylYro
しょーがないね
マッテルヨ
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/15(木) 19:17:42.36 ID:MXmzS6JG0
この手の創作してる人には稀によくあることだから、しゃーない
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/20(火) 03:04:12.62 ID:oYDG3ShAO
マッテルヨ
230 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/11/20(火) 18:49:26.31 ID:E3ZedSpGo
振込振込アンド振込みアンド焼き鳥焼き鳥アンド焼き鳥でレート1100を突き抜けて平坦な地平に到達しやがて三桁へと到達しかけている男がいるらしい私です

明日夕食食べ終わった頃に更新できるかも徹夜美味しいですそれはそうとてつやって書いた時に哲也って書いてしまって雀聖を食べれば自分も雀聖になれるのではと思ってしまった次第であります三時四時頃最高です生活リズムが破綻していく感覚とかもう溜まりませんしかし一昨日こそ全力で執筆したはいいですが気分転換のゲームに嵌ってしまい空は白くなっておりましたやっぱ気分転換って必要ですわ調子いいですわラッキーですの睡眠時間は昼採るもの
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/20(火) 18:50:04.74 ID:HIozxCQoo
三行で
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/11/20(火) 18:55:16.99 ID:j+kyI8Suo
これはあかん、休め
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/20(火) 18:56:41.80 ID:H6ays0CPo
落ち着け、今日は休もう、な?
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/20(火) 19:04:56.96 ID:9I3ehfvPo
よし、しっかりと休むんだ
235 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/11/20(火) 19:09:05.78 ID:E3ZedSpGo
 調子はいいんですよ、多分。昼寝もしてるですし、今日は今から眠って、夜に備えるので大丈夫です。このスレ建てた当初も実際こんな感じでしたし。

 で、静かな夜に落ち着いて書こうかなと。

 それはそうと、最初はこれ、一日を一日で熟そうと頑張ってたんですけどね。八月まだ終わってないとか、筆遅過ぎだよね実際。

 というわけでまた明日。
236 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/11/21(水) 20:14:42.17 ID:A1MkP7Vco
 すみません、今日は少し無理そうなので、明日投下します。

 あと、妙なテンションになってたせいで、変な書き込みをしてしまい申し訳ありません。
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/21(水) 20:45:37.38 ID:Y9N6FsrCo
把握やで
気にせんでもエエで
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県) :2012/11/21(水) 21:09:54.58 ID:+UwWqrgo0
マッテルデー
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/22(木) 13:14:45.17 ID:1J0sC5N40
精神不安定やなぁ
240 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 20:02:47.63 ID:7ysx83XWo
 天鳳でボコボコにされたのが原因の可能性が微レ存?
 投下前に、少し雪辱を晴らしたい。
 http://tenhou.net/0/?6895
 ただ一つだけ言っておこう、俺はマホっちより弱いぞ!
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage saga]:2012/11/22(木) 20:14:35.95 ID:fNyw1hb70
京ちゃん並の初心者が乗り込んでみる
242 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/11/22(木) 20:25:28.37 ID:7ysx83XWo
 >>241歓迎しますよー
 レート1100台のイッチもいるし、気楽にやりましょう。
243 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:29:51.30 ID:7ysx83XWo


 


 京太郎「ただいまですー」


 竜華「あ、お帰りー。怜、体大丈夫やった?」


 怜「竜華は心配性やなぁ。このくらいの距離、大丈夫やって。京太郎もおるし」


 セーラ「お帰りー……って、なんやその荷物!?」


 泉「……お、重くないんですか?」


 京太郎「んー、まあ少しは重いかな。ただ、前は合宿用にデスクトップ持ち歩いてたから」


 泉「凄っ!?」


 セーラ「……そういえば、二人くらいで持ってるの見たことあるような……」


 怜「ウチには遠い話やなぁ……」


 京太郎「というわけで、冷蔵庫――は、ケーキ類だけでいいか。ちょっと入れてきますね」


 浩子「あ、お疲れやでー……って、すっごく買ったなぁ」


 泉「あ、この匂い……ひょっとして、ケーキ?」


 京太郎「うん。どうせ女所帯だし、甘味も一つくらいは要るかなってさ」
244 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:31:01.53 ID:7ysx83XWo

 泉「合宿中も、結構甘い物食べる機会ありましたしね」


 浩子「糖分補給は大切やからね」キラン


 セーラ「うう……ウチはそんな、好きってわけでもないんやけどなぁ」


 怜「逆に、フナQは私情も入ってた想うけどな。常備させてたし」


 泉「まあ、どっちかというと女子の総意ですからね。かく言う私も、ありがたかったですし」


 竜華「ごめんなー、怜の我儘聞いてくれて」


 京太郎「いえいえ、ちゃんと意味もありましたし、お気になさらず」


 怜「……待って、なんでウチ前提?」


 セーラ「え、ちゃうん?」


 泉「違うんですか?」


 浩子「九十九%怜さんだと、経験が言ってました」


 怜「……この信頼。頼もしいなぁ、ホント」


 京太郎「良かったですね、理解者に恵まれて」


 怜「……いつか、憶えてといてや」
245 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:31:28.84 ID:7ysx83XWo


 竜華「若さって?」


 怜「振り返らないことやね」


 京太郎「さて、というわけで少年少女らしく恨み嫉みは忘れて、ぱっぱと夕食の準備に行きますか」


 怜「……う、うまく纏められてもうた」


 浩子「さすが保護者やなぁ」


 泉「なんていうか、シンパシーとか感じてそうですよね」


 セーラ「よくよく考えたら、一週間でこれか……うん、ええことやな」


 竜華「あはは、意外と息合ってきたな。やっぱ、寝食を共にしてたのもあるかな?」


 京太郎「はは、でしょうね。共同生活ってのは、どうにも絆を深めるのに丁度良いみたいです」


 浩子「お、ひょっとして経験談?」


 京太郎「はい。岩手の時は、やっぱり仲良くなるのが早かったというか」


 怜「む……」


 竜華「あはは……」


 京太郎「じゃ、ケーキ冷蔵庫に入れときますね。幾ら夕方とはいえ、真夏ですし」


 セーラ「じゃ、ウチ等は用意しとくなー」


 京太郎「はーい」
246 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:32:03.76 ID:7ysx83XWo


 京太郎「肉の到着でーす」


 憧「あ、お帰り―――ってなにその荷物!?」


 穏乃「すごーい……」


 宥「お、重くない?」


 京太郎「まあ、持ってる分にはなんとか」


 玄「ふむふむ、なるほどなるほどなるほど〜。四十キロを持つとはなかなか……四十キロ!?」


 憧「な、なんでわかるの!?」


 宥「玄ちゃんは、旅館の手伝いとかしてるから……」


 穏乃「それでわかるのも、色々と物凄いんじゃ……?」


 灼「……………」モクモク


 京太郎「あれ。灼さんは、どうしたんですか?」


 憧「え? あー……秘密♪」


 京太郎「……? まあ、わかった。あ、それとこのケーキなんですが―――」
247 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:33:19.90 ID:7ysx83XWo

 灼「っ!?」バッ


 穏宥玄憧「……………」プイ


 京太郎「…………ケーキ、なんですが」


 灼「何もなかったように、眼を背けないで!」


 晴絵「おーっす、みんな揃ってる―――って、なにその袋!? ひょっとして、全部肉!?」


 京太郎「こっちのは肉で、こっちのはケーキです」


 玄「……両腕で、五十キロはいってるような……」


 穏乃「……あの。今度、一緒に山行かない?」


 憧「ああ! シズが(登山)仲間を求めた!?」


 京太郎「そりゃまあ、約束してるし……でも、なんで?」


 穏乃「そりゃあ、みんなの方が楽しそうじゃん!」


 京太郎「――ああ、なるほど。簡単でいいな」


 穏乃「でしょ?」


 憧「まあみんなで登っても、シズ、結構一人で独走するからさ」
248 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:34:31.96 ID:7ysx83XWo

 京太郎「ああ、俺もありますよ、山登ったこと」


 玄「遠足か何かかな?」


 京太郎「まあ、それもあるけど、自分の理由で登ったこともあるんです」


 宥「……えと、一人で?」


 京太郎「そうですね。いや、山頂ってのは結構寒いものですね」


 穏乃「その寒さも、慣れたら心地良く感じるんだよね……もちろん、空気も澄んでて美味しいけどさ」


 灼「……山、好きなんだね」


 穏乃「はい!」


 晴絵「懐かしいな。昔は、クラブのみんなでよく行ってた」


 玄「ですね。その時は、和ちゃんも一緒だったんですけど」


 京太郎「―――あれ?」


 穏乃「? どうかしたの?」


 京太郎「あ、いや……和って、原村和――あれ? となると、知り合いって……」


 憧「――あれ、言ってなかったっけ。うん、その原村和」


 穏乃「で、和と遊ぶために、私達はこうして結成したわけなんだ」
249 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:35:07.32 ID:7ysx83XWo

 京太郎「……………あ、そうだったんだ」


 よくよく考えたら、結成の理由ちゃんと聞いてなかったっけ。


 玄「ご、ごめんね、言ってなかったっけ?」


 京太郎「いや、そもそも言う必要もないでしょうし、別に」


 元々隠し事があるのは自分も同じだし、別に責める気持ちはない。

 ……ただ、そうか。そんな理由で、始まったのか。

 そんな理由で―――始めても、良いんだ。


 宥「まあ、私達は違うんだけど……」


 灼「」コクコク


 晴絵「で、私はその講師だったってわけ。どう? 繋がった?」


 京太郎「はい。……しかし、なるほど」


 ……そうだった。

 そもそも、何かを始めるのにそんな大層な理由なんて、必要ない。

 あの舞台に立った者の、どれだけが自分以外の理由で始めたのだろう。

 そもそも始まりとは、己の意思で決めるべきなのだ。


 京太郎「―――なるほど、夢を叶えたわけだ」


 穏乃「うん、そうなるね!」
250 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:35:58.37 ID:7ysx83XWo

 憧「いつか、また阿知賀のみんなと一緒に、和と遊びたいわね」


 玄「その時は、灼ちゃんや、お姉ちゃんも一緒に!」


 京太郎「……そうですね。まあ、長野と京都で距離はありますけど、そう遠くはないですし」


 何か、大きな問題がなければ、多分大丈夫だろう。


 灼「……君は、どう?」


 京太郎「俺ですか? まあ、機会があれば是非」


 宥「その時は、やっぱり麻雀するのかな……?」


 晴絵「……まったく、それ以外頭にないの?」


 かく言うハルさんも楽しそうであり、表情がニヤついている。

 ふむ、麻雀というのはなかなかのコミュニケーションツールなのかもしれない、とも思ったが、共同作業全般かも知れないと割と真剣に考察してみる。


 京太郎「―――そうですね。そう、なればいいと思います」


 ケーキを冷蔵庫に入れようとすると、玄さんが手伝いに。

 手伝おうかという残りの問いかけに、狭いからと遠慮。

 二人で一緒にケーキを詰めて、最後に顔を少し突っ込んで、頭を冷やした。


 玄「京太郎君……?」


 京太郎「なんですか?」


 玄「あ……う、ううん、なんでもないんだ!」


 京太郎「……? そうですか。じゃあ、そろそろ準備しに行きましょう。七輪の設営とか、力仕事はやりますので、野菜切ったりとかお願いしますね?」


 はーい、という背中からの声を聞いて、肉を持って外に出る。

 ……少しの間立ち止まって、空を仰いだ。

 空は、燃えるような橙だった。
251 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:36:26.08 ID:7ysx83XWo







 京太郎「あ、どもーっす」


 洋榎「あ、ちゃーっす―――って、なんやそれ!?」


 絹恵「お、ひょっとしてお肉やったり?」


 漫「な、なんで絹ちゃん冷静なん!?」


 郁乃「あ、こっちやでー」


 由子「あと代行……は、いつも通りなのよー」


 恭子「えっと、本当にお肉なん?」


 京太郎「はい。全員分ですからね、みんなで食べるにはこのぐらい必要でしょう」


 これなら大丈夫です、と胸を張る。

 ちょっと呆れを含んだ視線を受けながら、どすんと肉を置く。バウンドするかなぁ、と思ったが地面に突き刺さり、呆れの視線は累乗に。

252 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:36:53.73 ID:7ysx83XWo

 京太郎「―――さて、準備しましょう」


 由子「流したのよー……」


 漫「まあ、悪いことしたわけじゃありませんしね。非常識ですけど」


 洋榎「そやね、問題はない。非常識やけど」


 恭子「……まあ、ありがたいのは確かやけどね。あれ持つとなったら、しんどそうやし」


 絹恵「そうですね、最近肩も凝ってますし、助かります」


 由洋恭「……………」ピクッ


 郁乃「……地雷やなぁ」


 漫「あ、絹さんもですか? ウチも、最近肩重くて」


 京太郎「っ―――」ピクッ


 絹恵「ちょっとなぁ。麻雀が肩を使うってのもあるんやろうけど、どうしても……」


 輝きを放つ会話。近くに男がいるなんて忘れているようで、一方の赤阪さんは相変わらず飄々としており、最後にダークゾーンの方々は夕暮れに溶け込んでいる。


 由子「うう……敗北感が酷いのよー」


 洋榎「オカンは、なんでウチに遺伝してくれなかったんや……!」


 恭子「……あの、パットで強くなったりしないんでしょうか……?」


 郁乃「さ、さすがにそれはどうやろ……?」


 凄い、赤阪さんが困ってる。
253 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:37:22.62 ID:7ysx83XWo







 京太郎「―――よし、こんな感じでいいかな」


 夕暮れもそろそろ落ちかける頃、やっと作業が終わりを迎えた。

 姫松メンバーは少し離れた場所で作業をしており、一人、土手の草に寝転がる。

 ……空は、燃えるような夕暮れだった。

 今更、それに何か想うこともない。夕陽に一日一日反応するのも面倒だし、自分の過去は半ば骸と化している。

 だから今、こうして眺めているのは疲れだけでなく、単にそれが綺麗だからだ。

 ……夕方と拮抗するような夜は黒くて、紅の中間は丁度紫のようになっている。

 だけどいずれ、夜は来る。

 ならばせめて、この瞬間を目に焼き付けていよう。

 そうすればきっと、この刹那にも掛替えの無い意味が生まれるだろうから。

 そんな、何に対してかもわからない義理を想っていると、影が見えた。


 絃「あ……邪魔、してしまったでしょうか?」


 チャイナドレスの、儚げな笑みを浮かべた彼女は、窺うようにこちらを見つめている。

 えっと、確か彼女は―――
254 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:37:50.60 ID:7ysx83XWo

 京太郎「いえ。霜崎絃さん、ですよね?」


 絃「……知っていて、くださってたのですね」


 安心したように笑みを漏らす。

 引き摺られるようにこちらも肩の力を抜いて、弛緩した空気の中言葉を交わす。


 京太郎「はい。千葉MVPですから、それなりに有名ですので」


 絃「いえ、そんなこと……正直、ここに来て、自分の未熟さを痛感するばかりで」


 京太郎「あはは、ビックリするほど豪華ですからね、ここの人達」


 絃「アナタこそ。お話は、憩さんから聞いてますよ?」


 京太郎「ああ、あの人から……あの、病院に関してとかは」


 絃「あ、あはは……?」


 京太郎「……あれは、嘘ですので」


 絃「あ、そう。そうですよね! さすがに、色々と違法なものとか使いませんよね!」


 息を吸うように嘘を言う男、須賀京太郎。


 京太郎「ええ、もちろんです。憩さんは少し、冗談が多いので、話半分に聞くのがいいですよ」


 息を吐くように人の信用を落とす男、須賀京太郎。
255 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:38:25.37 ID:7ysx83XWo

 絃「まあ、マジメな話は、ちゃんとするんでしょうけどね……えっと、そろそろ向こうも準備が終わったそうです」


 京太郎「あ、ありがとうございます」


 どうやら、それを知らせに来てくれたようだ。軽く頭を下げて、ほんの小さな疑念を一つ。


 京太郎「そういえば、なんでチャイナドレスなんですか?」


 絃「……趣味、ですね」


 京太郎「ああ、なるほど」


 よくよく考えると、昔は自分も甚平を趣味で着ていたっけ。

 そも、下手したら通報受けるんじゃないかと戦々恐々としていた男の発言ではなかった。


 京太郎「じゃあ、準備に向かいましょうか」


 絃「はい、わかりました」


 そうして、少しの間肩を並べて歩く事に。

 最後に、見送るように空を見上げた。

 紫は、もう消えていた。




256 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:38:53.21 ID:7ysx83XWo

 京太郎「そういえば、憩さんとはどういう付き合いなんですか?」


 絃「実は、去年の個人戦で少しお話しまして」


 京太郎「それで、気が合ったという感じですか。じゃあ、もこは?」


 絃「あの子は、藍子さんの友達なので……」


 京太郎「なるほど、こうして友達の輪ってのは広がっていくのですね」


 同じレベルで麻雀を打っているのも、多分理由の一つなのだろう。気兼ねなしに力を振るえるというのは、強者にとってはそれだけで幸福なのだ。

 逆を言えば、それだけ普段の生活で、普通をはみ出さないよう気を遣っているということなのだろうけど。

 まあ結論としては、こういう自分で在れる空間というのは、居心地が良いということだ。


 絃「はい。憩ちゃんには、感謝しています」


 京太郎「俺も感謝ですね。友人が増えるというのは、良いことです」


 絃「あ……」


 京太郎「ああ、嫌でしたか?」


 絃「……いえ。とても嬉しいです」


 ……良かった。やっと笑えてもらえた。

257 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:39:23.69 ID:7ysx83XWo

 京太郎「じゃあ、とりあえず今度の秋大会はちゃんと出場してくださいね? 敗退とか嫌ですよ?」


 絃「はい。そのくらいの自信はありますので」


 京太郎「良かった。もう時間はないでしょうし、また会える機会はあるでしょうけど。大舞台ってのは、また格別でしょうしね」


 絃「ですね。……負けたら悔しいのは、変わりませんけどね」


 そう語る彼女の頬には確かな熱があり―――見上げた空は、どこか遠く感じられた。


 京太郎「去年は、やっぱり憩さんに?」


 絃「と、宮永さんですね。あ、もちろん姉の方ですよ?」


 京太郎「はは、もちろんわかってますよ」


 絃「それで、連荘を食い止める際にちょっとした協力をしまして。それから、仲良くなったという感じで」


 京太郎「あ、それ怜さん達も言ってました。……しかし、やっぱり連荘は厄介ですか」


 絃「はい。……詳しく、話しましょうか?」


 京太郎「お嫌でないのなら」


 絃「構いませんよ。話のタネくらいには、なるでしょうし」

258 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:39:56.95 ID:7ysx83XWo

 そうして、彼女は去年のことを語り始めた。

 相手の本質を見通す、照魔鏡のようなもののこと。

 連荘による、単純な脅威のこと。

 そして―――もう一つの、奥の手の事を。


 京太郎「なるほど……ありがとうございます、絃さん」


 絃「いえ。……参考になりましたか?」


 京太郎「はい、とても」


 まあ回避不能ならば、力ずくで拮抗する他ない。気構えができてる分、多分そちらの方が楽だろう。

 しかし、道祖神で無効化できるのも一つの能力だけだし……どうしよう。

 にしても、やはり千葉MVPは伊達じゃないようだ。

 あの宮永照に、或る程度の協力があったとはいえ、奥の手まで使わせるとは。


 絃「……………あなたは」


 京太郎「え?」


 絃「宮永照に、勝ちたいのですか?」


 微かな躊躇いを含んだ問い掛け。……いつだろう。こんな問いかけを、誰かにされた記憶がある。


 京太郎「はい」


 そしてその時と変わらぬ返答を、自分はしていた。
259 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:40:24.15 ID:7ysx83XWo

 絃「……それは、どうして?」


 そんなものは、決まっている。


 京太郎「俺は、日本で一番強い高校生になりたいんです」


 それだけの話だ。

 多分だけど、それ自体に打算や理由はなくて、ただ、星に憧れただけ。

 だけど―――その本当の理由は、いつのものだったのだろう?

 そのなんでもない目標を聞いて、彼女は僅かに瞳を瞬かせて。


 絃「―――そうですね。私も、なりたいです」


 もう、幾らか遅いかもしれないけど。

 その夢は消えていないのだったと、真摯に答えた。

260 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:41:04.26 ID:7ysx83XWo

 京太郎「なら、丁度良いじゃないですか。一緒に成長していきましょう」


 絃「はい。……しかし、どうすれば強くなれるのでしょう?」


 京太郎「さあ? でも、成長できない保証もないですし、とりあえず頑張りましょう」


 絃「ふふ、適当ですね」


 京太郎「人生なんてのは、元々不確かなものなんです。未来だってそう。だから、絶対なんてのはないくらいが丁度良いんですよ」


 絃「あは―――それもそうですね」


 掌を開く。
        もの
 握り締めた空気。今、視界を包むそれさえも、視界が映し出したもので、他の今には違うものに見える。

 だからせめて、それに無粋な色を付け加えないようにしよう。

 ありのままに受け止め、ありのままに生きる。

 それは、酷く難しいことだけれども。

 だからこそ、大切なことだと自分は想うから。


 絃「……ああ。後少しで、満月ですね」


 つられて見上げると、空の月は大きかった。

 雲間に差し込む月明かりは儚く、静かに行く手を照らしていて―――それだけで、髪を掴む紫は消えていた。


261 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:41:37.69 ID:7ysx83XWo





 最後の最後、微かに過去に惑わされたのかもしれない一週間。

 その終わりには、いままでにない人が十数人。

 だけどそれは、この纏まりを微妙に欠いた集まりには、或いは相応しくて。

 舞台裏にて、自分達は開会の準備をしていた。


 雅枝「え、えっと、本当に私でいいの?」


 晴絵「まあ、年長者ですし」


 郁乃「こういうのは、雅枝さんが一番慣れてるかな〜って〜」


 京太郎「まあ、年下が言ってもあまり締まらないでしょうしね」


 雅枝「ん……ご、ごほん。――あ、あかん、ちょっと待って」


 京太郎「……ひょっとして、緊張してます?」


 晴絵「え? ……あっ」


 郁乃「そら愛娘の前やから、緊張するのは当たり前やって〜」


 雅枝「ちょ、赤阪さん!?」


 洋榎「どしたんやー!? 何かトラブルでもー!?」
262 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:42:39.24 ID:7ysx83XWo

 雅枝「ちょ、ちょっと待ちーや! ……そ、そや。別に意識する必要なんてない」


 郁乃「本当に?」


 京太郎「こら」


 郁乃「あう」コツン


 晴絵「い、いっそのこと赤阪さんにでもやって貰いますか?」


 郁乃「あれ、ナチュラルに私、二番手扱い?」


 京太郎「だってそうでしょう?」


 郁乃「……まあ、ええけどさ〜」ツーン


 へそを曲げられた。何故だ。


 雅枝「……えーい! うじうじしてんのは、やっぱ性に合わん! 女は度胸、ここで竦んでたら大阪女子の名が廃る!」


 京太郎「よっ! それでこそ女将!」


 晴絵「……女将?」




263 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:43:36.58 ID:7ysx83XWo

 雅枝「少々お待たせしました。千里山高校麻雀部監督、愛宕雅枝です」


 洋榎「よっ、鬼監督ー!」


 絹恵「お姉ちゃん!?」


 雅枝「……皆さんお集まりいただき、ありがとうございます。あと洋榎、明日の夕食抜きな」


 どっ、と湧く会場と悲鳴。緊張もほぐれたようで、滑らかに監督は挨拶を口にしていく。


 雅枝「まあ、そうゆうわけやから、今夜は無礼講ちゅうわけで。食材は充分過ぎるほど用意したけど、後にケーキも残ってるし、あんまりがっつかないようにな。……太るで?」


 京太郎「俺、あんまり太らない体質なんですよね」


 晴絵「……………どういう意味?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 京太郎「すみません、言ってみただけです」


 郁乃「あ、ウチもー。おそろいやなー」


 京太郎「郁乃さん!?」


 火に油を注いだ!?


 雅枝「―――えーっと、皆さん若干顔が蒼くなりましたが、あんま水差すのもアカンのでこの辺で。……ぶっちゃけ言っても変わらない人もいることですし」

 洋榎「ふっ、当然やな」

 絹恵「お姉ちゃん、ちゃんと話聞かんと、怒られるよ?」

 浩子「あはは、おばちゃん頑張ってやー」


 雅枝「……この辺で、挨拶も、切らせていただきます」


 哀愁に満ちた背中が、なんとなく母に重なってしまう。

 ……息子の自分が言うのも果てしなくなんではあるのだけれども。

 ホント、母親って大変だよな。


 雅枝「では、最後に―――」


 雅枝「―――かんぱい!」


 みんな『かんぱ――――い!』
264 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/11/22(木) 21:46:07.55 ID:7ysx83XWo





 と言っても、所詮女子。

 中学時代に経験した野獣共の打ち上げには到底及ばず、或る程度品を保ったまま食事は進んでいった。

 ……まあ、体育会系の男子と同じにするのは、さすがに失礼すぎるけれど。


 京太郎「じゃ、誰かに話しかけるとしようかな」


 一人で食っていても、あまり楽しくはないだろう。

 幾つかのグループもあるし、個人個人で話すところもある。

 どちらにしろ、話しかけられるのは九回くらいかな?

 そして、話しかける相手も刻一刻と変化している。

 確かに、一気に同じ人に話しかける方が、それだけ話が広がるけれど。

 同じ時間を消費する以上、一人一人の方が、それだけ内容も深くなる。

 ……さて、ここであまり話してない人に話しかけるのもいいけれど。

 更に親睦を深めるというのも、いいかもしれない。


 京太郎「―――ま、どうせの祝いだ。あんまり考えず、楽しく行こう」


 鉄板の上のホルモンを軽く摘んで、自分は歩き出した。



 久しぶりの安価ですー
 ↓1、2、3、4、5、6、7、8、9に会話する相手の名前をどうぞ。一回の会話で、何人と同時に会話しても自由です。
 では、今日はこの辺で。お疲れ様でしたー
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/22(木) 21:47:43.27 ID:Ik3tSiPDO
いくのん
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/22(木) 21:48:24.34 ID:qsljV8a8o
おつ恭子ちゃん
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/22(木) 21:54:44.46 ID:UeA/pAXWo
おつー
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/22(木) 22:08:35.14 ID:YkkeezLR0

穏乃
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/11/22(木) 22:10:33.85 ID:4Rnpa7W+0
乙ー
竜華
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/22(木) 22:12:41.77 ID:xBO9YfDAo
おつー
もこちゃん
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/22(木) 22:13:23.32 ID:y4cHseMi0
おつー

クロチャー
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/22(木) 22:14:19.98 ID:qLqceTDFo
晴絵てんてー
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/11/22(木) 22:27:40.91 ID:+g7OSGX4o
全員
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県) :2012/11/22(木) 22:39:11.44 ID:Xbf9x9zK0
宥ねー
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/23(金) 01:53:45.05 ID:KARleEpxo
いとちゃん!
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/11/23(金) 06:51:34.70 ID:ds8R1mLAO
シメに全員か……なかなかすばら
277 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/11/24(土) 06:18:21.64 ID:xUMa8s6xo
 パワプロ2012でライジングキャノンを習得できるという情報を聞いた私は、パワフル大学に再び挑戦することに。
 最後の年までは順調であった。
 否、正確にはその手前の全国大会一回戦―――そう、いのかりバッティングセンターが抜けた後のあかつきだった。
 麻生といういのかりのパチモンを有するあかつきの打線は、ABBとか普通に出てくるバケモノ揃い。
 味方の野手は紙紙アンド紙。
 白球が際どい所で宙を舞うたびに、なんで取れないとイッチの悲鳴をBGMに、パワプロ2012のソフトが地に落ちる。
 よしんば勝ったとしても、合流してくるいのかりが投球練習に出没せねばならず、折角の勝利を無駄にする事十回。
 加えて仕様上リセットは効かないので(途中で切った時点で途中データが消える)、セーブした時点でパソコンに接続。
 その際のデータを移して、リセットしてを繰り返すこと約五時間。遂にいのかりを三振に切って落とし、ライジングキャノンを一発習得したオリ選手(球速百六十二、コントロールF)。無言ではしゃぐ。
 苦労に見合うだけの能力はあると願望混じりに思いながらも、遂にアメリカ打線を撃破し、マキシマムとか言うモブ以下の雑魚キャラを見事三連続三振に切って落とした。




 という感じでほとんど手付けてませんでしたすみません!
 あと、会話での話題とかって逐一確認した方がいいんですかね。それともこっちの裁量で適当に?
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/11/24(土) 07:09:11.69 ID:Zej8A/4Uo
(それは一発習得というのだろうか)
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/24(土) 14:36:20.51 ID:AUnpnoxIO
2012のライジングキャノン取得条件
・4年秋の全国大会一回戦に勝つ
・最後の週の練習コマンドで猪狩と球速練習する(猪狩が球速練習するかはランダム)
・猪狩との一打席で三振をとる、凡打ではなく必ず三振じゃないとダメ
・ここまで来てやっと伝授開始(150以上コントロールB以上ないと厳しい?)

なんやこれ・・・
ちなみにワイはクレッセントムーンのエフェクトが好きです(半ギレ)
280 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/11/24(土) 18:02:45.69 ID:xUMa8s6xo
>>279クレッセントムーンと相対したことがありません(マジギレ)

実際リセット方法がなかったら、正直やってられませんよ、あかつき強いし。コントロール低いし正直不安だったりしました。


ただ、キャノンは面白いように三振取れるので、強いと言えば強いです。ノビ4だけど。クレッセントムーン……みずきって、どうやったら戦えるんでしょう?
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/24(土) 18:09:54.89 ID:AUnpnoxIO
>>280
クレッセントムーンはサクサクセス(楽天?)しか取れないらしい・・・

でも覚えたら強いんだよな
旧作と比べて速いしキレあるし
間違いなくウイニングショットやね
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/24(土) 18:25:11.89 ID:xUMa8s6xo
 >>281あ、取れるんだ……ありがとうございます。
 サクサクセスは簡単だけど、自分好みにできないのが難点ですよね。
 マリンボールなら、なんとか習得できるんですけど。

 ちなみに上記ので一番大変なのは、あかつきです。キャノンの使用上、或る程度ストレートに特化しなければならない為、変化球に裂く時間が少なく、必然変化球は一つぐらいで挑まなければならないのです。

 ……しかし、クレッセント凄いですね。エフェクト云々より、滅茶苦茶速くてキレがある。
 今作のホームランなんて夢のまた夢仕様じゃ、マジで打てない。
 ただ、こっちが投手だと、ポンポン飛ばしてくるんですよね……アレ下側で打った方が飛ぶというね。麻生(いのかりのパチモン)にスリーラン喰らった時は泣きそうに。
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/24(土) 18:33:22.04 ID:IjeQ4ZPQo
2012は打てなすぎて泣けてくる
なおCPUはポテンヒット連発してくる模様
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/24(土) 18:42:44.99 ID:xUMa8s6xo
 ミートミートアンドミート。試合を決定づける一発は遠く、ノーマルがノーマルじゃない。
 なんでいのかり君は126キロストレートに簡単に引っかかってくれるんでしょうね……序盤の十球勝負は良いカモ。しかし相手にしてもマジ打てない。

 西強大学のモラルは最悪。本欲しさにバイトしてはチクられ、城山はナチュラルにクズで、久方とか言う序盤炎上しまくり終盤ベンチウォーマーはエース気取り。滝本は許す。チクるけど。

 バッティングセンターで、高校生相手に得意げになる大学生ってどうなんですかね……
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/24(土) 18:45:45.94 ID:AUnpnoxIO
YouTubeに旧作と今作の変化球の比較動画あるけどクレッセントムーンが一番改良されてたと思う

最強はなぁ・・・
ついに清本さんと同じチームかと思ったら・・・
久方なんてあんなに強くなかったはずやで
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/24(土) 18:57:02.74 ID:xUMa8s6xo
清本仲間とか、勝ち確定じゃん……
 サクラフブキだっけ? アレも強かったですね。今度から、決定版待った方が良いのかもな……マイライフどうにかしてくれないですかねぇ。
 あと、サクサクセスでバケモノ作ってる動画あって尊敬した。球速166、コントロールA、スタミナA、ムービング、左7、下7、クレッセント3、ノビ4、威圧感、テンポ○、人気者って……
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/24(土) 19:44:46.59 ID:AUnpnoxIO
サクラフブキもコノハオトシも強かったね

コナミは前からあったものを無くしておいて次作で復活させて堂々と新要素!
と売る会社だから期待したらアカンよ・・・

いいから早く栄冠ナイン復活させろよ、おうあくしろ
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/30(金) 20:53:35.09 ID:vkbIhXP20
まだかな
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/12/01(土) 17:03:43.73 ID:ZwvO0L5n0
まだー?
楽しみにしてるよ〜
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/12/01(土) 17:04:34.96 ID:ZwvO0L5n0
すまんミスった
291 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/01(土) 19:34:00.25 ID:h7F2PXK9o
 ガチの予知夢見てビビった。
 あんまり筆進んでないんだ、ごめんね……或る程度纏まったら、一人ずつでも投下していくから、気長に待っててくれると幸いです。
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/01(土) 19:53:51.37 ID:AwuQg34go
舞ってる
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/12/01(土) 20:44:59.32 ID:o0TO1JuR0
応援してます
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/01(土) 20:56:24.66 ID:JqEDTte40
待ってます
295 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/09(日) 14:39:54.68 ID:nHPOqRpno
 あんまり待たせるのもアレだし、怜会話だけ投下ー。長くないのでsageでいきますね。
296 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/09(日) 14:41:39.10 ID:nHPOqRpno






 はしゃぎ疲れたようで、少し外れたところで一休みしている、小柄な影を見付けた。


 京太郎「どうも、怜さん」


 ほんの少しだけしんみりした後、名前を呼ぶようにとお願いされた。

 まあ、元々名前に執着する性質でもないので、気にすることはないだろう。


 怜「おー、京太郎君。お肉、何が好きや?」


 京太郎「お、焼いてくれるんですか?」


 怜「まあ、たまにはこういうのもいいかなって。……煙は、吸えないけど」


 京太郎「……あの、俺やりますよ?」


 怜「あはは、大丈夫やって。煙から逃げるくらい、子供でもできるやろ?」


 京太郎「まあそうですけど……そうですね、基本的に肉はなんでも好きですよ。軟骨とか」


 説得を諦め、問いに答える。……その返答が意外だったのか、一瞬きょとんとする怜さん。
297 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/09(日) 14:42:15.89 ID:nHPOqRpno

 怜「へー。軟骨好きなんや。私、食べたことないなー……」


 京太郎「なら、今回挑戦してみては?」


 怜「そうするわー。タレと塩コショウ、どっちが美味しい?」


 京太郎「どっちでもいいですけど、個人的には塩胡椒が良いと思います」


 怜「じゃ、そうしてみるわー」


 じゅー、じゅーと油が跳ねる七輪の上に軟骨を、幾つか乗せる。


 怜「わ。萎れて来てる」


 京太郎「面白いですよね、それ」


 京太郎「……そういえば、軟骨焼くの初めてなんですか?」


 怜「うん、そうなんや。元々、生まれつき体弱かったから、食べる機会も少なかったし」


 怜「それにみんなで食べるとしても、軟骨欲しがる女子高生なんて、あんまりいないやろ?」


 京太郎「あはは、確かに。あ、焼けましたよ」


 怜「あ、はーい。……………おお」キラキラ


 こりこりと、リスのように口を動かす怜さん。瞳からは、星のようなエフェクトが。
298 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/09(日) 14:44:50.40 ID:nHPOqRpno

 京太郎「どうですか、お味は?」


 怜「……油も少ないし、色んな意味で美味しいというか。……うん、凄く気に入った」


 京太郎「それは良かった」


 こちらも食べようと箸を動かすと、何故か横から掻っ攫われた。

 ……ひょっとしてこれは、一つもやらんという意思表明なのだろうか。


 怜「ふー、ふー。……はい、あーん」


 京太郎「……う」


 言っても聞かないだろうし、観念してこちらも口を開けることに。

 若干赤面しつつもやはり肉の美味しさは変わらず、えへへと笑う怜さんから眼を背ける。

 ……なんだかんだ言ってここにいるのは全員美少女であるからして、普段意識しないよう努めてはいるが、ここまで近いとどうしても気恥ずかしい。


 怜「どや、美味しい?」


 京太郎「はい。……しかし、これ」


 怜「ん?」


 京太郎「いや、なんでも」


 ……あの箸、さっき怜さんが口に入れた物だよな……?
299 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/09(日) 14:45:37.43 ID:nHPOqRpno

 怜「あーん」


 京太郎「……自分の分、無くなりますよ?」


 怜「うん」


 京太郎「……………」


 怜「……………」


 京太郎「……あーん」


 怜「あーん!」


 ぱくり、と須賀京太郎の箸を口に入れる怜さん。……まあ、いいやと熱くなった頬に気付かないようにする。


 京太郎「そういえば、怜さんって将来どうするんですか?」


 怜「…? なしたん、突然」


 京太郎「いや、なんとなく気になって」


 まあ、多分さっきの会話が原因なのだろうけど。


 怜「あはは、そっか。一応、プロに行こう思ってるよ」


 京太郎「千里山のエースですからね」
300 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/09(日) 14:46:10.64 ID:nHPOqRpno

 プロと言ってもピンキリだし、彼女自身も同年代の中でも有数の実力を持っている。

 今の世代が異常なだけであって、国内という括りなら、きっと百番くらいには入るのではないだろうか。

 特に放銃がないというのは、オーダー変更が可能なプロの世界では、極めて有利に働くだろうし。


 怜「一応、誘いも来てるから。大宮ハートビーツやって」


 京太郎「ああ、瑞原はやり選手のですね。……しかし、なるほど」


 怜「うん。体の問題で見送ったとこも結構あるけど、親会社が医療系やからだと思う」


 京太郎「全国大会、倒れるまで頑張りましたからね。良い宣伝になりそうです」


 怜「やね。……だから、もうちょっと強くならんと」


 京太郎「まあ、頑張るしかないですよ」


 怜「ああ……生きるのって辛いなぁ」


 自嘲のような、諦観のような笑み。

 ……だけど、そこに悲哀が入り込むことはなかったから、


 京太郎「―――でも、幸せでしょう?」

                     事実
 口はただ一つの、奇跡のような綺麗事を口にしていた。


 怜「ん……うん。今、幸せや」


 そうして彼女は、含むように笑った。

 過ぎ行く今にある幸せを、口の中でそっと噛み締めるように。

 ふと、彼女は温もりを求めるように、膝元に頭を乗せてきた。

 ―――さらりとした髪に手を乗せて、そっと掌を動かす。

 彼女はくすぐったいように笑いながら、微かに身じろぎした。

 吹き抜ける風に色はなく、霞がかった温もりを孕んでいた。
301 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/09(日) 14:50:06.06 ID:nHPOqRpno
 あまり意識しなかったら、自然と終ノ空みたいな文になってしまうという言い訳。電波というか。
 まあ、全部自分の腕が無いのが悪いんですけど。
 多分、次は一週間以内にはなんとかいけると思います。

 そういえば質問なんですけど、千里山メンバーがいつからの付き合いとか、どっかに書いてましたっけ?
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/09(日) 16:05:37.43 ID:eZl74uduo
おつー
よ見直してきたら前々スレの>>926で竜華が怜との事について言ってた。皆のは触りだけ
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/09(日) 16:06:28.89 ID:Xbi3U+kYo
乙乙
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/09(日) 20:25:16.97 ID:6Qn677P50
ありやで
まだまだまってるでー
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/09(日) 21:06:17.23 ID:xbWyuA+bo
乙です
エタらなければいくら遅くなっても待ちますぜ
306 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/13(木) 22:00:23.95 ID:AAEC//Eno
 パソコンがクソだから投稿できない。


 前回からもう七回は潰されてる。昨日書いた会心のクロチャーが消えて、今再び色々と消えてマジでグロッキー。風邪を圧した結果、書き終えて気が抜けた結果寝落ちして、開いてたヤツみんな消えてたとかマジ意味不。
 次の日曜日にはなんとか。これからは三十分単位で保存しよう。
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 22:04:55.47 ID:m3LIS+qZo
oh…ドンマイとしか…
とりあえずイッチの言うように30分か、めんどくさいけど1文章とか
USBにも保存がおすすめ。
卒論消えたことあったから気持ちはわかる
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 22:18:14.47 ID:xCkz56EIO
呪われてるとしか・・・

保存はこまめにと思いつつもつい保存し忘れで消えてるってことはよくあるよね
309 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/13(木) 22:42:22.42 ID:AAEC//Eno
 クロチャーだけは本当にショックだった。アレだけは避けたかった。実はUSB、いままでに二回ほどぶっ壊れてます。今年中に。
 ちなみに筆が進まないのは京ちゃんのせい。お、俺は悪くねぇ! ルークはマジで悪くないと思う。
 日曜日には、一人分は絶対書く。ていうか一日に時間掛かり過ぎ。
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 22:51:06.78 ID:m3LIS+qZo
やっぱイッチ呪われてるんじゃね?
あれはヴァン先生が悪い
スレちだけど、一週目の記憶持った二週目のルークのSSは良かった
311 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/13(木) 23:02:23.45 ID:AAEC//Eno
 その上悪運だけは良いから、周りからは笑って流されるというね。
 あとそれkwsk。なんだかんだでハッピーエンドが大好きなので、そういう系愛してます。
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 23:11:57.79 ID:ZPFksalBo
google docsとか使ってみれば?
自動保存だし、保存場所はサーバー内だから手持ちのPC壊れてもデータは大丈夫なはず
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 23:14:23.61 ID:m3LIS+qZo
どっかの上条さんみたいだな
ルーク「二週目?」ってやつ
続きはまだなはず
314 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/13(木) 23:24:42.27 ID:AAEC//Eno
 googleアカウント取ろうとしたら、何故か年齢が足りないと言われて五十歳にしても獲得できなかったのも追加お願いします。
 >>313ありがと。小ネタ取りたいんだけど、満足に本編も進められないのが悔しい。
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 23:36:25.49 ID:m3LIS+qZo
んーん
小ネタ嬉しいけど無理せんと本編進めてくれるのが望みやさかいね
316 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/13(木) 23:43:29.36 ID:AAEC//Eno
 そう言ってもらえると助かります。

 ネタバレだけど過去編は京ちゃんがクズなので、物凄く書き易いと思う。倫理観とか粉々だし。問題はいつになったら辿り着くのかだけど。
 大阪編はブラックさが足りないのが、ローペースの原因(多分)。
 それでは、五日の日にまた会いましょう。
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 23:45:37.22 ID:m3LIS+qZo
京ちゃんクズかーどうなるんだろ
おつなのよー
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 23:46:10.65 ID:m3LIS+qZo
京ちゃんクズかーどうなるんだろ
おつなのよー
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 09:40:06.27 ID:7GLAd8B0o
自動保存あるエディタ使ってみるといいんじゃね?
320 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/16(日) 21:38:52.21 ID:SSQawTU8o
 ゴメン、一日待って。少し頭痛くて、推敲できない。
 明日こそ投下するのでお許しを。
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/16(日) 22:25:11.77 ID:rNjCn83Y0
マッテルデー
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/16(日) 22:26:56.13 ID:3QCFlPcyo
お大事にー
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/16(日) 22:31:14.83 ID:+A3AP6zc0
焦らずゆっくりでええんやで
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/16(日) 22:57:26.63 ID:L0Xmup3P0
ゆっくり寝てくれ
325 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/12/17(月) 21:47:10.27 ID:d0EvUddno
 






 また一つ会話を終わらせても、宴会の空気は変わらない。

 むしろ轟々とボルテージを増加させていく皆さんの熱には、正直感心する。これが若さか。

 なんてことを考えていると、一人寂しく、肉を焼きながらこくりこくりしている少女がいた。


 もこ「むぅ……むぅ……」


 目の前には小さな七輪、白煙もこれまた控えめに上がっており、謙虚さここに極まれり、彼女の瞳は閉じている。


 京太郎「……………」


 さすがにあんまりな状況なので、額を小さく突いてみる。普通に起きた。


 もこ「……あ」


 京太郎「よ。今一人か?」


 もこ「うん。……食べる?」


 京太郎「ああ――って、結構焦げてない?」


 もこ「……忘れてた」


 京太郎「……いや、何やってんのさ」


 もこ「……居眠り」


 京太郎「開き直った!?」
326 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/12/17(月) 21:47:37.18 ID:d0EvUddno


 もこ「……居眠りの何が悪いのか」


 京太郎「いや、なんというか……」


 その綺麗な顔を、七輪で焼くのは人類上の損失のような気がする。美味しくないだろうし。


 もこ「むー……」


 京太郎「そうむくれるなって。何食べたい?」


 もこ「……うーん。なんでもいいよ」


 京太郎「じゃ、適当に」


 もこ「……野菜なくていいの?」


 京太郎「いいじゃん別に。人間、好きなもの食べて早死にするなら本望さ」


 もこ「……おお、潔い」


 京太郎「芋ならいいけど、そこの玉ねぎとかは簡便な」


 もこ「さっき拾ってきたきのこは?」


 京太郎「―――それ、マジックマッシュルーム」
327 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/12/17(月) 21:50:08.70 ID:d0EvUddno


 もこ「何それ?」


 京太郎「麻薬」


 もこ「おお」ジュー


 京太郎「いや、わかってるなら入れるのやめようぜ!?」


 もこ「好きなもの食べて早死にするなら、本望」


 京太郎「それ食べても美味しくないから!」


 もこ「……そうなの?」


 京太郎「そうだよ! っていうか、なんで美味そうに感じたんだっていうか、道端のきのこ毎回食ってるんじゃないだろうな!?」


 もこ「……ツツジの花の感覚でつい」


 道端に生えてる麦っぽいのを食べるより酷いからねそれ。














 そんな寸劇の後、普通にその場にあった肉を焼くことに。

 しかしここの七輪の数はどうしたことだろう、人口の半分くらいあるんじゃないだろうか。


 京太郎「いや、なんかごめんな。色々慌ただしくて」


 一人で食べてた彼女に言う。段取りが少し急なのもあるし、彼女はここに来たばかりなのだし、実際客なのだし。まあ俺もだけど。


 もこ「ううん。充分楽しい」


 京太郎「そうか?」


 もこ「うん。こういうのを見るの、好き」


 京太郎「……確かにな」


 必ずしも、自分が触れなくても楽しいものは楽しい。

 ……まあ。それはきっと、漫画やアニメを見るような、そんな微笑ましさなんだろうけど。


 もこ「……良い人達だね」


 京太郎「ああ」


 できれば避けたかった――なんて口に出てしまいそうなくらいには、ここは心地良かった。

328 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/12/17(月) 21:50:40.28 ID:d0EvUddno


 もこ「ねぇ」


 京太郎「ん?」


 もこ「京太郎は、秋大会に出るの?」


 京太郎「ああ。……といっても、学校からじゃなくて個人参加だけどな」


 もこ「……そういえば、チーム戦もあったんだっけ?」


 京太郎「ああ。まあ、一緒に出てくれる人もいないんだけどさ」


 もこ「……私、一緒に出ようか?」


 京太郎「……………いや。やっぱいいよ」


 もこ「……そう?」


 京太郎「ああ。……いいんだ」


 多分、それに意味はないんだろうし。


 もこ「……そっか」


 京太郎「悪いな、せっかく誘ってもらったのに」


 もこ「ううん」
329 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/12/17(月) 21:52:05.48 ID:d0EvUddno

 残念そうな顔さえ見せずに、一人頷く彼女。

 ……………本当に?


 もこ「……ねぇ。代わりに一つ、訊いてもいい?」


 京太郎「……なんだ?」


 もこ「なんで君は、旅を始めたの?」


 ……何故旅を始めたか。

 質問の真意は読めないが、答えは少し漠然としていて、一口では説明できない。

 楽しもうと、なんでもなく想ったのかもしれない。

 だけど逸る心がそれを邪魔しなかったのはきっと―――――


 京太郎「……少し、長い話になる」


 もこ「……………」


 小さく、それでも覚悟を決めたように頷く彼女。

 その顔に仕方ない、と小さく溜息を吐いて、一つの過去を思い描く。

 ……そうして、自分はほんの少しの過去を、極端的に伝えた。

 棘だらけの人生でただ一つ、人肌に触れることのなかった、雷のような星の話を。






330 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/12/17(月) 21:52:41.66 ID:d0EvUddno









 もこ「……だから、ここに来たの?」


 京太郎「ああ。簡単な理由だろ?」


 もこ「……うん。凄く」


 話は五分ほどで終わった。

 多分だけど、それは大多数の人と変わらない動機だ。武者修行、なんて言ったら時代錯誤ここに極まれりだけど、まあ間違ってもいない。

 ……しかし、初日の俺が見たらどう思うかね。


 もこ「……最後に、一つ訊いていい?」


 京太郎「……………なんだ?」


 白色のゴシックロリータ。

 同じく現実離れした彼女は、庶民的な土手を背に、幽玄に立っていて、


 もこ「―――才能って、どう思う?」


 ……何を言おうとしていたのか。

 昔、そんなことを訊かれていたような記憶があって、


 京太郎「んなもん考えてたら勝てないだろ」


 もこ「―――――――――――」
331 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/12/17(月) 21:55:22.99 ID:d0EvUddno

 目を丸くして、口をぽかんと開ける隻眼の少女。

 ……驚いた。この娘、こんな顔できるんだ。


 もこ「……それ、昔も?」


 京太郎「昔も」


 だって俺、勝ちたいし。


 もこ「―――だから、強いの?」


 京太郎「まあ、余計なこと考えてない分、一途に時間使えるしな」


 その程度の差だ。別に自慢するわけでもないし、誰でもわかる。

 うじうじ悩むよりかは、少しでも前に進む。

 理屈ってのは言い訳になりやすい。彼女は天才だから、特別だから届かないと。

 確かに才能ってのは存在するのだろう。それは確かだ。

 生まれつき運が悪い人がいるかもしれない。生まれつき届かない差があるのかもしれない。

 諦めたいなら諦めればいい。それを責めるつもりなんてない。

 だけど自分は、魅せられてしまった。

 あの星を目指したいと、そう願ってしまった。

 だから、きっと自分は―――前に進むだけで、楽しいのだろう。
332 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/12/17(月) 21:57:17.83 ID:d0EvUddno


 もこ「……それ、難しいよ?」


 京太郎「うん。だからしないと。眼に着いた欠点なんて、体の良い踏み台じゃん」


 思考を廻すのは嫌いじゃない。

 ずっと前までは、呼吸の一つ一つを呪っていた俺だけれど。今は不思議とそんな気分になれない。

 ただ、自分は強くなりたい。進む道はどこまでも、胸の炎はいつまでも。

 ……自分は確かに一つだけ、旅に悔いを残したのだろうけれど。

 なに、今回は誰一人失っていないのだ。

 だから、いつか巡り合うその時の為に、少しでも前に―――


 もこ「……………」ギュッ


 京太郎「……もこ?」


 不意に。後ろから、温もりを感じた。

 ……少しだけ体温が上がったのはきっと、背中越しの生地の柔らかさだけじゃないだろう。

 少しの間、空を見上げる。

 視界には東京より幾らか綺麗な、煌びやかな星が見える。

 一つ、七つ連なる星の中、大きく輝くものがあった。

 その表面の形さえ判るような錯覚に、少しの間身を降ろした。

 微かに感じる温かい水を、意識の外へと逃がすよう、何も言わずに。








333 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/12/17(月) 21:57:57.46 ID:d0EvUddno

 ……数分経っただろうか。

 背中から聞こえる空気は落ち着いていて、微動だにしなかった背中からは、少し体重が抜けている。

 まあそれも羽根布団のようなもので、柔らかさばかりが際立ったのだが。


 京太郎「……俺、なんか変なこと言ったか?」


 もこ「……合理的って、生物からしたら不適切」


 京太郎「お、ありがと」


 もこ「……褒めたっけ」


 京太郎「違うのか?」


 もこ「…………てい」


 京太郎「ぐふっ」


 何故かグーパンを喰らった。しかも首に。

 思わず振り返ると、視線を合わせようとしない、真っ赤な顔をしたゴスロリが一人。


 京太郎「何をする」


 もこ「あまりにも変だった。訴訟を要求する」


 京太郎「日本語的にアリなのか?」


 もこ「さあ?」


 京太郎「いや、さあって」


 変な奴だなぁ、コイツ。


 もこ「変な人だね、君」


 ……この野郎。
334 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/12/17(月) 21:58:24.84 ID:d0EvUddno

 もこ「あは」


 ツボに入ったのか、安堵するように破顔するもこ。

 ――ああ、やっぱり。この娘には、笑顔が似合う。


 京太郎「じゃ、肉切れちまったし、どっか行こうぜ。さっきから話してばかりだから、喉が変になってる」


 もこ「……それで肉を食べるの?」


 京太郎「肉汁で喉を潤せばいいのさ」


 もこ「……肉汁に、そんな効果が…!」


 京太郎「凄いだろ」


 もこ「うん」


 京太郎「……嘘だからな?」


 もこ「知ってる」


 益体の話と一緒に、香ばしい匂いへと歩いて行く。

 ……その中で彼女は、華が開くように笑っていた。

335 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2012/12/17(月) 22:00:16.70 ID:d0EvUddno
 三割くらい即興でした。次こそ日曜日に投下できるよう、頑張りたいと思います。
 温かい言葉、ありがとうございます。
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/17(月) 22:01:33.66 ID:hjBUBt/mo
乙です
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/17(月) 22:02:05.70 ID:KSwV4dXmo
乙ー
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/17(月) 22:02:50.43 ID:zRBTLyUWo
おつー
>>310だけど続きあったみたい
ルーク「二週目!」アッシュ「周だ!屑が!」
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/17(月) 22:02:50.56 ID:Tw/uGS2IO
乙です〜
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/17(月) 22:19:30.94 ID:gS1p9auq0
乙よー
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/17(月) 22:28:08.80 ID:mf+NRNON0
おっしゃー来てたかー!乙やで!
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/18(火) 19:07:23.08 ID:EmH4ct1X0

ありがてぇありがてぇ
343 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/22(土) 19:40:33.05 ID:jAFkggVCo
 ipod何故か認識されない……よっし、itunesの出番や!
 DELL
 □□□□□□□□□
 ……え?

 それから主導で電源を切る事五回、遂に業を煮やしたイッチはF2を使用しプログラム画面を起動。

 後は適当にボタンとか項目とかデフォルトにしてたら、いつの間にか復活してましためでたしめでたし。

 何故こうも虎口が開いたり閉じたりしてるのか割と真剣に疑問に思いつつ、悪運の良さに感謝し、運の悪さに唾を吐く。


 ……という訳で、誰か第七世代ipodのパソコンの接続法教えてくれません?
 あ、前回の自動記憶エディタ云々で、オススメのヤツがあればそれも是非。
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/22(土) 23:46:08.26 ID:YxbNSSF4o
すまん…iPodもってないからわからん
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/22(土) 23:51:22.85 ID:lprz/7uRo
ipodは三世代目のを破壊したっきりで…わからんのよースマンね
346 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/23(日) 21:56:24.23 ID:0klZUHKfo
 いえいえ、お気になさらず。
 本気で驚くほど筆が進まず、次の更新は本気で未明で、投下できません。
 申し訳ない。
347 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/24(月) 18:38:57.60 ID:nbBsPYhDo
 せっかくのクリスマスなので、京ちゃんとの絡みを誰か書こうかなと思ってます。
 リクエストは一人一回。一票でも入れば、その人も書こうかと。
 クリスマスでの場面なので、阿知賀とかそういう括りでも構いませんし、個人でも構いません。
 まあageてもいないし、ここの更新速度ならそんなべらぼうな人数来ないよね、うん。










 本編は、その、DDDを待つような心境でお待ちいただければと。
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/24(月) 18:46:30.06 ID:IIMIId/Go
ん?今からかい?
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/24(月) 18:47:20.28 ID:9gjgjLL/o
リクエストと聞いて飛んで来ました
本編に登場してなくてもいいならアナウンサー2人、駄目ならシロでオナシャス
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/24(月) 18:48:40.37 ID:rj4Da82ko
おお、リクとはうれしいことを…
レジェンドをお願いします
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/24(月) 18:50:23.56 ID:I6FoOkx5o
すこやんすこやんすこにゃん
352 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/24(月) 18:57:23.32 ID:nbBsPYhDo
 今から今から。本編に登場してなくても、のーまんたいです。
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/24(月) 19:27:28.87 ID:EigJBMcQo
久しぶりにスーパまほっちを見てみたいな

DDDは…うん…
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/24(月) 19:36:17.78 ID:NeTn7hQmo
あわあわあわわ
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/24(月) 19:37:57.08 ID:ieiPqYRGo
はっちゃんで
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/24(月) 19:57:37.40 ID:IIMIId/Go
じゃあまいひめ(哩姫子)の二人で
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/24(月) 21:56:14.73 ID:Ym4Lir66o
透華とラブラブに決まってんだろうが!!
358 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/24(月) 22:17:21.59 ID:nbBsPYhDo
 あ、そうそう。ipod直りました。何故か。
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/24(月) 22:18:40.73 ID:ieiPqYRGo
お、よかった
360 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/25(火) 11:22:14.02 ID:yTBTOjATo
 氷点下十九度の地域で、暖房を壊した男がいるらしい。
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 11:48:13.55 ID:do7TCE03o
(アカン)
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 12:23:56.75 ID:lGlEKAkeo
想像のつかない気温だわそれは
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 12:31:45.64 ID:LkDguTjfo
業務用の冷凍庫の中に居るみたいな感じじゃないか
すぐ買いに行こう!
364 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/25(火) 12:54:08.57 ID:yTBTOjATo
 宥さんのコスプレしてれば体の方はなんとかなるけど、指がマジでアカン。手袋じゃ書き辛過ぎる。

 ちなみに昨日眠れなくて、一時くらいに外に出て天体観測してました。冬の空気は澄んでいて、星が綺麗でした(こ(ry)。
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 13:59:04.90 ID:LkDguTjfo
寒い所と田舎は星が良く見えるやで
軍手二枚重ねの指先ちょっきんでも寒そうやね
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 14:56:09.45 ID:pAyI/lAho
今時期マイナス19ってだいぶ場所特定出来そうやね、しないけど

ダウン着て布団に包まる、トイレの水が凍る、部屋の中で息が白い……おおぅ
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 17:05:55.09 ID:LkDguTjfo
トイレの水って凍るもんなのか?
368 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/25(火) 19:57:24.58 ID:yTBTOjATo
 息は白い
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 21:02:47.49 ID:mWT3va1O0
(アカン)
俺パソコンで打つときは軍手二枚重ねで書き込んでるけど
それに寒さも加わってんだろ……ヤバいなんてもんじゃないな……
370 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/25(火) 22:28:29.57 ID:yTBTOjATo
 明日には業者来るので、多分更新できます。リク一昨日の内に取れば良かったと今更ながらに後悔。
 というわけで皆さん、今日がイブだと五円玉に糸を通して唱えてください。
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/25(火) 22:34:44.53 ID:pAyI/lAho
>>367
水落とすの忘れて一日家空けたりしたら下手すれば凍る(アパートによるけど)

ストーブ壊れたらまじ地獄
友人の家に避難する
372 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2012/12/26(水) 21:17:36.47 ID:nrsXjAOBo
 シャンデリアが硬くて更新でけへん。……事実です申し訳ありません。
 あ、暖房は復活しました。
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 21:26:14.35 ID:htr7pBvMo
暖房復活オメ
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 21:33:36.19 ID:fNI7KXw3o
お、良かった
これで指の危機が消えたか
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/02(水) 11:17:34.54 ID:Fn36xSKd0
あけおめー
376 : ◆wQz2C0W.uk [saga sage]:2013/01/02(水) 13:20:42.79 ID:0wpE1RjMo
 あけおめー。ティガカス殺したんで、そろそろ本気出す。












 ロビカスは無理
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/02(水) 13:38:33.03 ID:Q/MEr04wo
あけおめやでー
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/02(水) 15:40:18.47 ID:gXaHp5jlo
http://i.imgur.com/o11Jd.jpg
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/06(日) 20:58:28.74 ID:Fd5uqYOs0
ヒャ〜〜〜wwwwwwww
話進まんどころか書き込みすらないww
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/13(日) 19:31:45.80 ID:559a2BM/0
誰もいないとはな……
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/18(金) 21:46:28.95 ID:cUCUi5HD0
ついに追い付いてしまった
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 00:43:37.71 ID:9rHW09bJ0
生存報告くらいは欲しい
383 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2013/01/25(金) 09:12:12.66 ID:qNh7BAmDo
 生きてます。エイカーの森は既に脱出しました。

 ただ、クォリティの問題があり進ませるには、あまりにも情けないので再開は少し遠くなりそうです。
 再開するときには、諸々の小ネタと一緒に投下するのでまあ、期待せず待っていてください。
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 09:42:28.12 ID:BTGjo8X8o
おk待ってるでー
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/25(金) 23:26:08.68 ID:rOwaPCMu0
待ってる人はいるから安心してな
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/26(土) 18:48:56.81 ID:bBOMA0gu0
オッケイ
気長に待ってるぜ
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 18:00:30.41 ID:wsdaJf4e0
大丈夫かねぇ…(色んな意味で)死んでなきゃいいが
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/13(水) 12:05:03.62 ID:momVHZuAO
だ…… 大丈夫やろ…… 多分………(震え声)
389 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2013/02/13(水) 15:18:57.96 ID:fQIqqqUqo
大絶賛スランプなのとusbからピンポイントでここのスレのデータ(クリスマス八割会話五割)がパーンしただけだ、問題ない。絶対、いつか、必ず、更新、する。
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/13(水) 15:31:27.05 ID:p6/bqZe5o
oh…ドンマイ
待ってるからなー
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/13(水) 19:11:29.67 ID:wvUYCBx10
それは泣くわ……
麻雀しながら待ってるよ
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/13(水) 20:42:51.65 ID:AXggDJY5o
まだ生存報告から一月も経ってないし別段急ぐ必要はないよー
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/17(日) 17:55:37.49 ID:qQ2lJGeW0
【長期スレのイッチに起きやすい不幸】
1.スランプ
2.重病にかかった
3.すでに書いていたデータが消えた

こんな症状にかかるとわかっていても、スレを続けないといけないんだ(白目)
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/17(日) 20:12:12.81 ID:peT3X/eG0
>>393
それが原因で何スレか潰れたよなぁ…
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/17(日) 20:13:36.79 ID:emrdFsdOo
SS作者に降りかかるPCトラブルはもはや呪い
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 00:22:22.98 ID:5cEBlL4x0
なんでか振りかかるからね 仕方ないね
397 : ◆wQz2C0W.uk [saga]:2013/02/18(月) 16:58:29.11 ID:Apz+iyreo
 リハビリついでに完全ノーマル京ちゃんで何かやろうかなと思ってます。

 完結する可能性はマジ微粒子レベルですので、まるで期待をなさらないでください。
 当初はギャルッチさんの所でネギまの二次でもリベンジやろうかなと思ってたのですが、ここ咲スレですし、皆さん待たせてるので一応訊いてみようかと。ちなみにこっちの場合は、多分完結します。
 女神転生とか、そういうちょっと自由な芸風のところだと書き易いので助かります。
 なんとかカンを取り戻したら、本編も再開すると思いますので、何か適当にどうぞ。


 ……それすらスランプったらどうしよう(遠い眼
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 17:12:13.55 ID:QJl0tg0H0
待ってる
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 17:31:46.14 ID:9bBLmxwB0
おう、待っとるで
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 17:47:22.18 ID:sURCOqPOo
久々にネギまのいいんじゃないかと言ってみる
待ってるでー
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 17:47:49.11 ID:smfbuVPDo
舞ってる
402 : ◆wQz2C0W.uk [sage]:2013/02/18(月) 18:38:22.75 ID:Apz+iyreo
 ネギま書こうかな? 原作知識だけ完全無力の転生者。しかも原作そのものが大団円なので存在意義そのものが判らない主人公。

 ちなみにメガテンのイメージだと、衣がカオスヒーローだったり姫様がロウヒーローだったり、補正ゼロバンピー京ちゃんが人造救世主とか人修羅の戦いに巻き込まれたりする。

 まあ、やりたいのあったらリクエストも聞こうかなと。逆に、読みたいの選んでもいいし。
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 22:16:15.79 ID:rSK/kj9v0
>>1の書くネギまとか気になるから
もし書くんなら待ってるし、本編の続きも問題なく待ってる
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/20(水) 11:16:02.07 ID:zsgijW8F0
そして壮大な話になってエタ・・・PCのデータが飛ぶんやろ?
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/20(水) 11:55:48.27 ID:6Dyc5RReo
デビルサマナーだけど京ちゃんはソウルハッカーズのカツオのイメージかな
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/04/02(火) 20:36:23.77 ID:6breE0L0o
まってるよー
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/04/05(金) 16:25:01.17 ID:JNBH+b+w0
マッテルデー
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/04/18(木) 17:59:42.05 ID:WmHTLSXvO
今日までか
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/04/18(木) 18:03:11.18 ID:SJTUJUjko
2/16-/18が作者の最終レスなら4/22までhtml化延期らしい

それまでに帰ってくるかな
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/04/18(木) 18:31:26.05 ID:WmHTLSXvO
帰ってきてくれないかなぁ
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/04/18(木) 18:35:05.64 ID:FoVkA6npo
完結してほしいのよー
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/04/21(日) 10:42:18.94 ID:6F+Id490o
明日が期限か
戻ってきてほしいが
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/04/21(日) 15:41:53.12 ID:KqFMASXPo
更新が停滞してたスレのいくつかは生存報告があったり投下されたりしたけど、
ここはどうだろうねぇ
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/04/21(日) 16:23:05.81 ID:ILKpM/Uuo
なにをしたいのかサッパリ分からん状況になっちゃったからな
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/04/22(月) 23:18:12.91 ID:DSczli6no
結局スレタイの?は誰だったの?
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/04/22(月) 23:56:01.98 ID:OJdYjJF+O
無理っぽいなぁ…
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