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咲「一緒に楽しもうよ、淡ちゃん!」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:18:52.51 ID:0FUr00bg0
淡ちゃんが清澄に転校してきて咲ちゃんとイチャイチャする話。

・淡ちゃんの台詞が「へー」しかなかった頃に書き始めて、性格が判明するにつれて
 加筆していったので前半と後半でキャラが違ったりします。

・このSSのみのオリジナル設定もあったりします。

・一部原作とオーダーが違う点があります。

清澄
宮永咲:大将→副将
大星淡:白糸台大将→清澄大将
原村和:清澄副将→???

龍門渕
井上純:先鋒→中堅
国広一:中堅→先鋒

風越
吉留未春:次鋒→副将
深堀純代:副将→次鋒

鶴賀
津山睦月:先鋒→次鋒
妹尾佳織:次鋒→先鋒

書き溜めは県予選決勝が終わるまで。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1350497932
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:19:43.15 ID:0FUr00bgo
―――――清澄高校 咲のクラス

担任「今日は皆に転校生を紹介する。入りなさい」

ざわ……ざわ……

京太郎「うわ、すっげえ美人!」

淡「東京からきました。大星淡です。よろしくお願いします……」ペコリ

担任「席は、宮永の隣が空いてるな。あそこに座りなさい」

淡「はい」

咲「私、宮永咲って言います。よろしくね、大星さん」

淡「うん、よろしく。宮永さん」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:20:27.80 ID:0FUr00bgo
―――――放課後

淡「宮永さんは部活とか入ってるの?」

咲「うん。麻雀部に」

淡「麻雀……!?」

咲「大星さん……?どうしたの……?」

淡「ん!?あ、うん、ごめん!何でもないの!」

淡「それにしても麻雀部かー……へー、意外だなぁ」

淡「文芸部とかならイメージ通りなんだけど……」

咲「あはは、よく言われるよ。良かったら、大星さんも一緒に……」

淡「う〜ん……せっかくだけど、私、麻雀は……」

咲「あっ……(大星さん、ちょっと前までの私と同じ眼を……)」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:21:20.67 ID:0FUr00bgo

優希「まあまあ、見るだけならタダだじぇ!見学だけでもしていかないか?」

淡「片岡さん……片岡さんも麻雀部なの?」

優希「そうだじぇ!私と咲ちゃん、それに2年と3年に一人ずついて計四人だじぇ」

京太郎「俺も一応入ってるんだぜ。まあ、男子は俺だけなんだけど……」

淡「へー」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:21:47.51 ID:0FUr00bgo

咲「大星さん、優希ちゃんの言う通り、見るだけでも……どうかな?」ウワメヅカイ

淡「うっ……ま、まあ、宮永さんには教科書見せてもらったし」

淡「ちょっと見るくらいならいいかな……」

咲「やった!」

優希「私達の麻雀を見てたら、きっと一緒に打ちたくなるハズだじぇ!」

咲「行こう、大星さん!」

淡「あっ、ちょっ!引っ張らないでよ宮永さん!」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:22:19.56 ID:0FUr00bgo

―――――麻雀部部室

咲「ようこそ、お姫様」

淡「もう、宮永さんったら」

優希「むむ……あの二人、まだ出会って数時間しか経ってないってのに、いい雰囲気だじぇ」

京太郎「結構意気投合してるよな〜。外見も性格も全然違うのに」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:23:07.02 ID:0FUr00bgo

久「来たわね。あら、そっちの子は……?」

淡「あ、本日転校してきました、大星淡です」

久「どうも。私は3年の竹井久、学生議会長兼麻雀部の部長をやらせてもらってるわ」

まこ「わしは染谷まこ。2年じゃ。よろしくな」

淡「はい、よろしくお願いします!」

まこ「それにしても、こんな時期に転校なんて珍しいのう」

京太郎「言われてみれば……まだ高校入って2ヶ月強ってところだよな……」

淡「ええまあ……色々と事情があるんです」

久「それはともかく大星さんは入部志望なのかしら?」

淡「あっ、いえ……私は宮永さんの付き添いで見学に来ただけですから」

久「そう……残念ね。あと一人入ってくれれば団体戦にもエントリーできるのに」

淡「ごめんなさい……」

久「いいのよ、こっちとしても無理強いはできないから」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:23:36.99 ID:0FUr00bgo

久「それじゃあ始めるわよ」

優希「待ちくたびれたじぇ!」

咲「大星さん、見ててね」

淡「うん。頑張って、宮永さん!」

まこ「今日こそは勝たしてもらうけえ」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:24:49.70 ID:0FUr00bgo

―――――南一局、親:竹井久

久「リーチ!」

淡(今のところ、竹井さんの一人浮き状態……宮永さんと染谷さんは大きな動きはなし……)

淡(片岡さんは……東場の聴牌速度が異常だったな……)

淡(4局のうち3局、6巡目までにリーチを掛けてる……)

咲「…………」トンッ

まこ(入った……!H筒切りでメンホン、平和、ドラの聴牌……しかも三面張で高目イッツー……)
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:25:41.95 ID:0FUr00bgo
まこ(じゃが……この浮いたH筒が曲者じゃけえ。場には2枚、そんでG筒が4枚……)

まこ(東が4枚見えとるから国士もありえん……つまりこれで当たるとすれば地獄単騎のみ……)

まこ(部長には悪待ちがあるとは言え、アレはここぞって時に仕掛ける場合が多い……)

まこ(今は一人浮きの親じゃから、手堅く和了って連荘したいところじゃろ!)

まこ(じゃきに、ここでの悪待ちは……ない!)

まこ「通らば、リーチじゃ!」バシッ

久「通らないな……!ロン!」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:27:45.10 ID:0FUr00bgo
手牌に関する説明

萬子→一二三等、漢字で表記

筒子→@AB等、丸囲み数字で表記

索子→123等、半角数字で表記

赤5は(五)、(D)、(5)と()付きで表記
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:28:18.36 ID:0FUr00bgo

部長手牌 ドラ:7、裏ドラ:B
三四五BCDH345777

淡「なっ……!?」

久「リーチ一発三色ドラ4、24000でトビね」

まこ「あちゃー、読み間違えたか」

淡「どうしてその手で6索切りなんですか!?」

淡「確かに三色は確定しますけどトップ目ですし、タンヤオドラ3で充分なんじゃ……」

優希「部長の悪待ちは稀によくあることだじぇ」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:29:25.82 ID:0FUr00bgo

まこ「だけどあの場面でってのは珍しいのう。勝負どころってわけでもなかったじゃろ?」

久「何言ってるのよ、勝負どころでしょ?」

久「お客様に、こんな面白い打ち手がいるってアピールする為のね!」

淡「…………」

優希「よーし、それなら私もイイトコ見せるじぇ!ちょっとタコス力を補充してくる!」

まこ「わしも負けてられんのう!」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:30:08.01 ID:0FUr00bgo

―――――二戦目

優希「ロン!12000!」

優希「ツモ!4100オールだじぇ!」

優希「ローーーン!18600!」

淡「片岡さん、速度だけじゃなくて打点もすごく高い……」

久「その集中力が南場まで続けばいいんだけどね……」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:30:35.35 ID:0FUr00bgo

淡(東場に強い片岡さん、過去の対局を全て記憶してるって言う染谷先輩、悪待ちの竹井先輩……)

淡(宮永さんは……ここまで目立った動きは見せてないけど……)

優希「そう言えば今日は咲ちゃん大人しいじょ。まだ一回もアレを見てないし」

咲「うん、大星さんに良いところ見せなきゃって思うと緊張しちゃって……」

淡「ええっ!?私の所為!?」

淡(確かに麻雀打ってる時の宮永さん、凛々しくてつい見入っちゃってたけど……)

咲「でももう大丈夫だから。頑張るから……見ててね、大星さん!」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:31:12.74 ID:0FUr00bgo


―――――三戦目

優希「リーチだじぇ!」

淡(また片岡さんの速い巡目の親リー!宮永さんも聴牌してるけど、待ちはD筒単騎……役も中のみ……)

咲「…………」

淡(4枚目の中を引いた……普通なら無難に中切りで一発を避けて聴牌維持だけど……)

咲「カン!」

淡「っ……!?」ゾクッ

咲「嶺上ツモ、中!3900、2000です!」

優希「やられたじぇ!」

まこ「ついに出たの。咲の得意技、嶺上開花が!」

淡「今のを狙って出した……!?」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:31:59.17 ID:0FUr00bgo

―――――三戦目オーラス

淡(結局アレから宮永さんは三回も嶺上で和了ったけど、点数では南場で大きく稼いだ竹井さんが上……)

淡(まくる為には倍満ツモか跳満直撃が必要だけど……今の宮永さんの手牌だと厳しいかな……)

咲(大丈夫だよ、大星さん)

数巡後、咲(南家)手牌
南南@@@BBBBCDDF

淡(張った……けど、これじゃメンホンのみ……全然届かない)

優希「うー……いらないじぇ」トンッ 南

咲「ポン!」タンッ F

淡(ここで南ポンってことは、トイトイ系に移行?D筒をツモれば三暗刻もついて倍満に届くけど……)

淡(この面子で、そんな悠長なことが出来るとは思えない……)
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:32:42.23 ID:0FUr00bgo

一巡後

咲「カン……!」 ツモE筒

淡(南を加槓……?)

咲「もいっこ、カン!」 ツモ@筒

淡(宮永さん……!)

咲「もう一個、カン……!」

まこ「ば、馬鹿な……!?」

久「まさか、これ程とはね……!」

咲「ツモ!」 ツモ赤D筒
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:33:24.73 ID:0FUr00bgo

咲「ダブ南、ホンイツ、三槓子、赤1、嶺上開花……!4000、8000です!」

久「うーん悔しい!勝ったと思ったんだけどなぁ……」

優希「三槓子なんて初めて見たじぇ!」

淡「…………」

咲「大星さん?」

まこ「こりゃ完全に見入っちゃってるのぉ」

淡「宮永さん、すごかった……」

咲「えへへ、ありがとう大星さん。ちょっと緊張しちゃったけど、勝てて良かったよ」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:33:59.13 ID:0FUr00bgo

久「どうやら楽しんでもらえたみたいね。それじゃあ改めて聞くけど、大星さん」

久「麻雀部、入らない?」

淡(正直、麻雀なんて二度と打ちたくないって思ってたけど……宮永さんとなら……!)

淡「竹井さん……」

淡「麻雀が……したいです……!」

久「ようこそ、清澄高校麻雀部へ!」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:35:49.28 ID:0FUr00bgo

―――――麻雀部

淡「ツモ!リーチチートイドラドラ、3000、6000です」

咲「まくられちゃった……」

優希「あわあわちゃん、チートイ率が異常に高い気がするじぇ」

まこ「この半荘だけでも4回。普通の手もあるけど、チートイが圧倒的に多かったな」

淡「何となくだけどわかるんです。この牌は重なりそうとか、これは持たれてるとか……」

咲「何だか私に似てるね」

淡「でも私には宮永さんの嶺上開花みたいな可憐さはないよ〜」

咲「大星さんは存在が可愛いでしょ」イチャイチャ

淡「もー、宮永さん!」イチャイチャ
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:36:24.70 ID:0FUr00bgo

久(なるほどね……そう言う事なら、配牌で中暗刻と白發対子を貰っといて一巡目から打中も納得だわ)

久(麻雀は小学校以来打ってないって言ってたけど、実力は申し分ないわ……)

久(その上、咲と同じ何かを持ってる……!)

久(このメンバーなら、本気で全国狙えるかもっ!)
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:37:26.16 ID:0FUr00bgo

―――――数日後

久「さて、いよいよ県予選まで一週間を切ったわ。今日は県下の強豪校のおさらいをするわよ」

優希「強豪校って言うと、やっぱり風越?」

久「もちろん風越もだけど、今年はもっと厄介なのがいるわ……」

久「龍門渕高校……確実と言われていた風越の7連覇を阻止して優勝した、昨年の覇者よ!」

まこ「インハイでも初出場ながら破竹の勢いでベスト8まで勝ち上がって、その名を全国に轟かせた猛者じゃ」

咲「今年も強いんですか?去年活躍した3年生がごっそり抜けて戦力ダウンしたとかは……」

久「スタメンは5人残ってる。全員、去年は1年生だったのよ」

優希「ま、マジで!?」

久「中でも特に注意しなきゃいけないのが、大将、天江衣……!」

久「圧倒的な火力で大将戦を制して、二位風越とトリプルスコアの差をつけたわ」

まこ「確か9万点は稼いどったのう、あのちびっ子」

淡「半荘2回で9万点も!?」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:38:13.98 ID:0FUr00bgo

久「更に、全国ではもっととんでもないことをやってのけてるのよ」

久「1回戦で2校同時、2回戦ではシード校を含む3校を同時に箱割れにしてるわ……」

まこ「準決勝では大将の天江に回る前に他の高校が飛ばされて出番はなかったんだが」

まこ「たった2試合しか出ていないにも関わらず全国大会最多得点記録を更新、更にMVPにも選ばれとる」

咲「そんなすごい人が……!」

淡「…………」

久「あら?怖気づいたかしら?」

淡「とんでもない!」

咲「早く戦ってみたいです!そんな強い人と……!」

久「ん、その意気よ!それじゃ、続いて他の選手だけど……」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:38:50.47 ID:0FUr00bgo

―――――帰り道

淡「ねえ、宮永さん?」

淡「宮永さんって、どうして麻雀部に入ろうって思ったの?」

咲「えっ?」

淡「あ、あのね、須賀君から聞いたんだけど、最初に麻雀部に誘った時は乗り気じゃなかったって……」

淡「それでちょっと気になっちゃって……」

咲「……大星さんになら、話してもいいかな」

咲「私、ちょっと前までは麻雀ってあんまり好きじゃなかったんだ……家族麻雀が原因……かな……」

淡(えっ?宮永さんも……!?)
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:39:20.56 ID:0FUr00bgo

咲「私はお姉ちゃん、お母さん、お父さんの四人で小さい頃からよく麻雀を打ってたんだけど……」

咲「ある時からお金を賭けるようになったの。その方が真剣になれるってことで……」

咲「負けるとお小遣いを取られちゃうし、勝ったら怒られちゃう……」

咲「だから私は、勝ちでも負けでもない、スコアがプラスマイナスゼロになるような打ち方をしてたの」

咲「そんな打ち方をしてたら、麻雀を打ってるの、苦痛になっちゃって……」

咲「私がそんなことをしてる裏で、いつもラスを引いてたのはお姉ちゃんだった……」

咲「負けてお金を取られて泣いて……取り返そうとしてまた負けて……その繰り返しだった」

咲「私はもう見てられなくて……あんなことをしちゃって……」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:39:57.30 ID:0FUr00bgo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

照「ロン!18000!」

父「また照のトップかぁ。珍しく調子がいいな〜」

母「今日はここまでにしましょう。さて、トータルスコアは……」

照:+334 母:-12 父:-67 咲:-255

咲(25500円かぁ……痛いけど、お姉ちゃんが今まで取られちゃったお金はこんなもんじゃないからね)

咲「はい、お姉ちゃん。やっぱりお姉ちゃんは強いなぁ」

照「…………いらない」

咲「えっ?」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:40:52.14 ID:0FUr00bgo

照「咲、どうしてこんなことするの……?」グスン

照「咲、わざと振り込んだり、有効牌を私に鳴かせたりしてた……」

咲「な、何言ってるのお姉ちゃん!そ、そんなことあるわけ……!」

照「嘘だッ!」

咲「ひっ……!」ビクッ

照「咲がみんなの中で一番上手いんだから!こんな結果、あるわけない!」

咲「ご、誤解だよお姉ちゃん!私、上手くなんて……」

照「うるさい!もう咲なんて嫌いキライ!えーーーん!!!」

咲「お、お姉ちゃん……」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:41:40.89 ID:0FUr00bgo
淡「…………」

咲「それからお姉ちゃんは一言も口を聞いてくれなくて……」

咲「程なくしてお母さんはお姉ちゃんを連れて東京に行っちゃったの」

咲「そんなことがあったから……もう二度と麻雀なんて打たないって思ってたんだけど……」

咲「ちょっと前に京ちゃんに誘われたの。麻雀部に入ってくれないかって……」

咲「最初は断ったんだけど、見学だけでもって押し切られちゃって、結局折れてついて行くことになったの」

淡「私と同じパターンだね」

咲「あはは……それで、最初は見てるだけだったんだけどね」

咲「みんなすごく楽しそうに打ってて……私もしたくなってきちゃったの……」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:42:19.13 ID:0FUr00bgo

咲「一緒に打ってる内に、昔のこと……点数調整とか抜きで一番真剣に麻雀を打ってた時のことを思い出して」

咲「麻雀ってこんなに楽しいんだってことを思い出した……いや、みんなが思い出させてくれたのかな」

咲「それで私、思ったの。麻雀を通してなら、お姉ちゃんはまた私と話をしてくれるんじゃないかって……」

咲「ちょっと前にお姉ちゃんに会いに東京に行ったんだけどね……お姉ちゃんは顔も見せてくれなかった……」

咲「だから、麻雀を通して……全国の舞台でお姉ちゃんともう一度話をしたいって思って……!」

咲「それが、私が麻雀部に入ったのと、続けてる理由……かな」

淡「あの、もしかして宮永さんのお姉さんって……」

咲「うん……白糸台高校の、宮永照……インターハイチャンピオンだよ」

淡「そっか……」

淡(テル……)

淡「仲直り、できるといいね!」

咲「うん……!」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:43:02.84 ID:0FUr00bgo

淡「私の場合は、ちょっと暗い話だけど……それでも聞いてくれるかな?」

咲「うん、大丈夫だよ、大星さん」

淡「私は物心ついた頃からよく両親と三麻を打ってたの」

淡「毎晩、お父さんが会社から帰って来るのを心待ちにしてた……」

淡「麻雀打ってる時はさ、こんな時間がずっと続けばいいのにって思えるくらいだったよ」

淡「小5の夏頃だったかな……お父さんが街でたまたま会った大学時代の友達の人を家に連れてきたの」

淡「それで、一緒に打つことになって。お父さんを入れての四麻は滅多にできないから、その日は存分に楽しもうと思って」

淡「徹マも辞さないくらいの気持ちだったよ」

咲「あはは……でも私も、一番楽しんで打ってた時はそんな気持ちだったかな。まあ、結局眠気には勝てないんだけどね」

淡「そうそう。お父さん帰ってくるの結構遅かったし、学校で疲れてたから結局四半荘くらいで眠くなっちゃったよ」

淡「でもお父さんは打ち足りないみたいで、友達の人の紹介で雀荘に行くことになったみたいで……」

淡「それが全ての悪夢の始まりだったの……」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:43:43.50 ID:0FUr00bgo

淡「朝起きたらお父さんがすっごい大量のお土産を持って帰ってきたの」

淡「何でも、連れて行ってもらった高レート雀荘で勝ちまくって、一晩で300万も稼いだとか……」

咲「高レート雀荘って……未だにそんな所あるんだ……?」

淡「うん。麻雀が競技として広まってから大分経つけど、賭博って言う行為に根付いた負の面はまだ残ってるみたい」

淡「それで、お父さんは最初の大勝ちに気を良くして高レート麻雀にハマっちゃって……」

淡「仕事も辞めて雀荘に入り浸るようになって……最初に稼いだお金もすぐに溶けちゃって、貯金も崩して……」

淡「気がつけば三ヶ月足らずで一千万近い借金ができてて、程なくしてお父さんは失踪……」

淡「残された私とお母さんは借金取りに怯える毎日だったよ……」

淡「私も友達とかいたからできる限り東京を離れたくはなかったんだけど、先日お母さんが心労で倒れちゃって」

淡「療養の為にお母さんの実家がある長野に引っ越してきたの」

淡「麻雀は……家族が壊れちゃったあの日から打たなくなっちゃったんだ……」

淡「打つとまた何かが壊れそうで怖かった……けど何のことはない、私が臆病だっただけなんだよね」

淡「それに、インターハイやワールド麻雀カップの中継は見てたし。心のどこかで麻雀を捨て切れない自分がいたんだよ」

淡「だから、今こうして私にもう一度麻雀を打つ切っ掛けを与えてくれたあなたには感謝してるの」

淡「ありがとう、宮永さん」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:45:06.53 ID:0FUr00bgo

咲「……咲」

淡「ん?」

咲「咲って、呼んで欲しいな。私のことは」

淡「あっ……うん、そうだね。お互いに秘密を共有したんだし」

淡「それじゃあ、私のことは淡って呼んでね、咲ちゃん!」

咲「うん、淡ちゃん!」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:46:08.15 ID:0FUr00bgo

―――――長野県予選初日

咲「うわぁー……人がいっぱいいるね。すごく広いし、迷っちゃったらどうしよう……」

淡「咲ちゃん、私から離れないでね」ギュッ

咲「あ、淡ちゃん……ありがとう」

優希「むっ、あの二人、手なんか繋いじゃってるじぇ」

まこ「お互いに名前で呼び合っとるしのう、こりゃ何かあったかのう?」

久「青春してるわね〜。私ももう二年若かったらな〜」

まこ「我はどこの年寄りじゃ……」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:46:41.04 ID:0FUr00bgo

―――――会場廊下

淡「どうしよう……迷った……」

咲「ど、どうしよう……」

透華「衣はまだ来ませんの?」

一「衣は1日12時間は寝てるからねぇ……」

智紀「このままでは人数不足で失格になる恐れが……」

純「まあ心配しなさんなって。オレが全員飛ばしてや……」

淡「何とか試合始まるまでに合流しないと」

咲「うぅ……携帯電話持っておけば良かったよぅ」

透華、一、純、智紀「!?」ゾクッ

純「お、おい、今の二人……!」

智紀「清澄高校の制服……」

一「衣に似た空気を感じたよ」

透華「清澄高校……ここはマークしておいた方がいいかも知れませんわね……」

純「いくら何でも衣並ってこたぁねえだろうけど……あんな奴が二人も三人もいて堪るかよ……」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:47:18.66 ID:0FUr00bgo

淡「あっ……!」

優希「おーい、あわあわちゃーん、咲ちゃん!こっちだじぇ!」

久「来て早々逢引とか、体力もたないわよ?」

淡「そういうのはいいですから」

まこ「まあ何にしても間に合って良かった」

まこ「一人だけなら女装した京太郎を出せばいいが、二人欠員だとそうもいかんしのう」

京太郎「ちょっ!?そういう部長なら本当にやりかねない冗談はやめてくださいよ!」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:48:10.58 ID:0FUr00bgo

久「それじゃあ、オーダーを発表するわよ!先鋒は片岡優希」

久「先鋒はエースポジションと呼ばれ、特に強い選手が配置されることが多いわ」

優希「おお!すなわち我最強!」

まこ「我は点数計算できんからじゃ!」

久「まあ、それもあるけど……気の強い優希なら他の高校のエース達にも物怖じせずに自分のペースで打つことができるでしょ」

久「点差のない状態から始まる先鋒戦、とにかく自分のペースで打つことが重要だから、優希が適任なのよ」

優希「おう、任されたじぇ!」

久「次鋒はまこ!次鋒戦はとにかく先鋒戦の結果に左右されるわ」

久「負けてる時に攻めるのは当たり前だけど、勝ってる時は守るか、攻めてリードを広げるかの選択を迫られる」

久「攻守共に得意で、冷静な判断力を持つまこならそうそう負けないと思うわ」

まこ「うし、任せんしゃい!」

久「中堅は私。中堅の重要性と役割は理解してるつもりだから説明は省くわね」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:48:52.54 ID:0FUr00bgo

久「それで副将は咲、大将は淡ね」

淡「えっ?わ、私が……?」

咲「そんな重要なポジションを……!?」

久「副将と大将、求められるものは色々あるけど、一番重要なのはここよ、こ↑こ↓」

優希「おっぱいだじぇ?」

咲「ありません……全然ありません」

久「いや、そうじゃなくて、ハート!メンタルの強さよ。その点は二人なら問題ないと思ってるわ」

淡「で、でも……大将は私よりも咲ちゃんの方が……」

久「うん、まあそこは最後までかな〜り悩んだのよねぇ」

久「確かに、和了率や試合運びの上手さは咲の方が一歩リードしてると思うわ」

久「ただ、ここぞと言う時の爆発力、打点の高さなら淡が上よ」

久「オーラスで沈んでいても決して諦めずに大物手を作ってまくるのを何度も見てるから」

久「ま、何にしてもこの二つが超重要なポジションであることに変わりはないわ」

久「咲、淡が力を発揮できるかどうかはあなたに懸かってると言っても過言じゃないわ。頑張るのよ!」

咲「は、はい!」

淡「頑張ろうね、咲ちゃん!」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:49:49.98 ID:0FUr00bgo
―――――予選一回戦、副将戦

アナ「さあ、ここまでの結果を誰が予想したでしょうか!?」

清澄   183000
裾花    87600
千曲東  65800
今宮女子 63600

アナ「トップは初出場の清澄高校!県ランキング3位の強豪裾花高校を含む三校を大きくリードしています!」

アナ「思わぬダークホースの出現に、会場も騒然!さあ、間もなく副将戦、開始です!」

咲「よろしくお願いします……」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:50:21.24 ID:0FUr00bgo

―――――東一局、5順目 親:宮永咲

田中(今宮女子)「来た!絶好の勝負手!」

田中舞:手牌 ドラ:四
二三三四四ABCFF234

田中「リーチ!」

アナ「今宮女子、高めかツモで倍満の手を曲げてきた!これを上がれれば大きいぞ!」

上柿(千曲東)「手も悪いし、ここは降りときますかねぇ……」トンッ

咲「カンっ……!」

上柿「えっ……?」

アナ「あっと、トップ目の宮永選手、ここでまさかの大明槓だァッー!」

田中「!?」

アナ「しかもこれは……何と、新ドラはF筒です!田中の高め倍満の手が、三倍満まで伸びたァ!」

田中(トップが大明槓とか、素人にも程がある!目にもの見せてやんよ!)
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:51:05.50 ID:0FUr00bgo

咲「ツモ」

田中「は……?」

咲「12000です」

アナ「こ、これは、嶺上開花だァー!非常に珍しい役が飛び出ました!」

藤田「ほう……」

藤田(彼女が、久の言っていた期待の新人の一人か。確かに、あの娘……衣と似たものを感じる……!)

アナ「この責任払いで千曲東はラス転落、苦しい立場になりました!」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:51:45.98 ID:0FUr00bgo

アナ「副将戦、終了ーーー!終わってみれば清澄の独り舞台!更にリードを広げる形となりました!」

清澄   231900(+48900)
裾花    79300(-8300)
今宮女子 45300(-18300)
千曲東   43500(-22300)

客A「こりゃ清澄の一回戦突破は確実だな」

客B「まさか裾花が無名校にやられるなんてね……」

透華「宮永咲……今朝すれ違った時に感じたあの気配はやはり間違いではなかったようですわね……」

透華「油断していたら私でさえも足元を掬われてしまうかも知れませんわ……」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:52:20.84 ID:0FUr00bgo

―――――大将戦東二局、6順目 親:棟居(千曲東)

淡「ロン!6400!」

淡:手牌
HH99東東南南西北北白白 西

アナ「混老七対だァーーー!清澄高校、東場で早々に今宮女子を飛ばして一回戦突破です!」

アナ「しかしすごいですねぇ、清澄高校は。とても初出場とは思えません」

藤田「ああ。副将、大将の一年生コンビの派手な活躍に目を奪われがちだが、チーム全体も高いレベルでまとまっている」

藤田「二回戦では去年3位の城山商業と当たるが、恐らくは難なく突破するだろう」

藤田(だが、あの大星淡……惜しいな。素質はあるが、決勝で天江に壊されかねない……)

藤田(清澄の副将は宮永と言ったか……彼女の能力なら或いは、天江に対抗できたかも知れないんだがな)
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:53:24.51 ID:0FUr00bgo

―――――二回戦終了後

咲「あっ、淡ちゃーーーん!」

淡「咲ちゃん、やったよ〜!」

久「お疲れ様、頑張ったわね」

優希「二試合連続で他校を飛ばして勝ちなんて、さすがだじぇ!」

淡「えへへ、ありがとう」

咲「それで、他の決勝進出校は……?」

まこ「まず、龍門渕と風越は難なく勝ってきとる。もう一校は鶴賀学園……聞いたこともない高校じゃの」

久「私達と同じ、初出場の高校みたいね。一回戦、二回戦とも接戦を制して勝ち上がってきてるわ」

久「龍門渕は二回戦、副将戦で他校を飛ばして勝利。天江の出番すらなかったわ」

まこ「今年も圧倒的な強さは健在じゃのお」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:53:53.06 ID:0FUr00bgo

久「それに風越も、今年は創立以来最強の布陣と言われているわ」

久「去年の雪辱を晴らすため、打倒龍門渕に燃えてるわね」

咲「わあっ、楽しみだねっ、淡ちゃん!」

淡「うん、絶対勝とうね!咲ちゃん!」

久「まったくこの二人ったら……今の話を聞いても全く物怖じしないんだから」

まこ「そう言うあんさんはどうなんじゃ?ビビっとるんか?」

久「まさか。正直、楽しみで仕方ないわよ!」

優希「よーし、このまま決勝もぶっちぎりだじぇ!」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:54:43.99 ID:0FUr00bgo

―――――東京、府中市

男A「クソッ、"諸星"の野郎はまだ見つかんねぇのか!?」

男B「はい。組の奴ら総動員で都内を捜してるんですが足取りは一向に……」

男A「家族もトンズラこいちまうし、とんだ不良債権を掴まされたモンだな」

TV「え〜、続きまして、長野県の情報です。本日予選が行われまして、決勝に進出する四校が決定しました」

男C「長野か〜。今年も龍門渕かな〜?インハイでまた衣たんを観れるといいな。ハァハァ」

男A「おいC、何呑気にテレビなんか見てやが……!?」

TV「まず、清澄高校。初出場ですが、一年生の大星淡選手の活躍などで決勝に駒を進めています」

男A「おい!この大星って娘、諸星のトコの……」

男B「確かに似てますけど……苗字が……」

男C「ん?でも諸星の奥さんの旧姓って確か……」

男A「大星……!チッ、都内をいくら捜しても見つかんねぇわけだ!」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:55:13.71 ID:0FUr00bgo

男A「おい、今からソッコーで長野行くぞ!」

男B「し、しかし……長野の清澄高校周辺ってだけじゃちょっと情報不足じゃないッスか?」

男C「七久保駅……」

男B「え?」

男C「長野県予選が行われる塩尻に行くには、清澄高校の通学圏内からだと七久保駅から岡谷に行って乗り換えるしかない」

男A「なるほど。七久保駅周辺で張ってりゃ掴まえられるかも知れねえな」

男B「つーかお前、何でそんな詳しいんだよ……」

男C「長野予選には衣たんが出るからな……長野に関する大体のことは調べ尽くした」

男A「よォし、そうと決まれば行くゼ!」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:55:57.34 ID:0FUr00bgo

―――――翌日、七久保駅

優希「あわあわちゃん、遅いじぇ。昨日は一番にここに来てたのに……」

まこ「あいつも咲と同じで携帯持っとらんけんのう……どうしたもんか」

久「家も知らないのよね……」

咲「淡ちゃん……どうしちゃったんだろう……」

久「ん……仕方ないわね。これ以上は先鋒戦に間に合わなくなる……」

久「淡は大将だから、最悪5時半くらいまでに会場に来てくれればいい……先に行きましょう」

まこ「対戦校の牌譜とかも見て研究しなきゃならんしのう」

咲「淡ちゃん……」

優希「行こう、咲ちゃん!あわあわちゃんはきっと来てくれるじぇ!」

咲「う、うん……」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:56:30.13 ID:0FUr00bgo

―――――決勝、先鋒戦

アナ「さあ、いよいよ始まります!全国高校生麻雀大会長野予選決勝!果たして全国への切符を手にするのはどの高校か!?」

アナ「実況は私、白石。解説にはお馴染み、佐久フェレッターズで活躍する藤田プロでお送りしています」

アナ「さあ、間もなく選手達が入場して来ます」

アナ「快進撃を続ける新鋭、清澄高校の先鋒は片岡優希選手!東場での勝負強さには定評があります!」

アナ「接戦を制して勝ち抜いてきたダークホース、鶴賀学園先鋒は妹尾選手」

アナ「麻雀を始めて間もないそうですが、藤田プロ、このオーダーはどうご覧になります?」

藤田「先鋒はエースポジション。各校の最も強い選手がオーダーされる可能性が高い場所だ」

藤田「そこに初心者を配置するのは一見、自殺行為に見えるかも知れないな……」

藤田「だが、負ける為のオーダーを組む者などいない……」

藤田「彼女は各校の精鋭を凌駕する何かを持っているのかも知れないな」

アナ「なるほど。続きまして、風越女子は部長の福路美穂子選手。去年は副将でしたが今年は先鋒で出場です」

アナ「そして、昨年優勝の龍門渕高校生は国広一選手。父親はマジシャンをやっているそうです」

アナ「さあ、今選手達が卓につきました。先鋒戦、開始です!」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:56:59.94 ID:0FUr00bgo

―――――東一局、三巡目 親:片岡優希

優希(来たじぇ!タコス力満タンの私に敵はいない!)

優希「リーチだじぇ!」

優希、手牌 ドラ:7
二三四五六七EF33567

京太郎「おお、いきなり良い手!」

久「高目で跳満……東場の優希ならサクッとツモっちゃうんじゃない?」

一(清澄……やっぱり東場では手強いな……まだ形も整ってないし、ここは一旦現物を……)タンッ

美穂子「チー」

アナ「福路選手、手の進まない鳴きを入れてきましたね。これは一発消しでしょうか?」

藤田「清澄の先鋒は予選でも東場での一発ツモ率が非常に高かった。警戒しているのだろう」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:57:37.95 ID:0FUr00bgo

佳織(いらないよね……)トンッ 赤D筒

優希「ローン!メンタンピン三色ドラドラ!18000だじぇ!」

佳織「は、はいぃ!?」

一「うわぁ……」

美穂子「あらあら……」

美穂子(親リーの一発目に赤5切り……すごい打ち手なのかしら……?)

優希(このおねーさん、モロ初心者だじぇ……でも、私もチームの為に戦ってる!手加減はできないじょ!)
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:58:37.97 ID:0FUr00bgo

―――――東一局一本場 四巡目

優希「きたじぇ!リーチ!」

一(またこんな順目に……今回は安牌もないし、ボクも高い手になりそうだから押していこう)ダンッ

美穂子(強いところを叩いてきたわね……でもまだ張ってはいない……)トンッ

佳織「こ、これで……ど、どうですか……?」ビクビク

優希「と、通ってるからそんな脅えなくていいじょ……」

優希「うー、一発ならず!」トンッ

一(張った……けど……)

一、手牌 ドラ:E
二三四ABCDEEE1234
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 03:59:25.47 ID:0FUr00bgo

一(この手……普通なら迷わず1索切りなんだけど、D筒は清澄の現物なんだよな……)

一(リーチドラ3、高目三色で十分と見るべきか……?いや、こんなところで弱腰になっちゃダメだ!)

一(捲り合いになれば5面待ちの方が有利……それに最大で倍満まである!ここは、勝負!)

一「通らば、リーチ!」ダンッ 1索

優希「通らないな!高い方だじぇ!」

優希、手牌
(五)六七ABC12233北北

一「くっ……!」

優希「裏は、乗らず!メンピンイーペー赤1、ピンピンロクの一本場は11900!」

一「はい……」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:00:04.71 ID:0FUr00bgo

純「国広くん、大丈夫かよ……?」

透華「清澄の先鋒が手強いのはわかっていたことですわ!」

智紀「東場さえ凌げば逆転のチャンスはある……」

透華「ええ、一はやればできる子ですわ!勝負はまだまだこれからでしてよ!」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:00:57.55 ID:0FUr00bgo

―――――東一局、二本場

美穂子(清澄の子、また調子が良さそうね。また早い仕掛けが来るかも……)トンッ

佳織「……あ、あわわ……こ、これって!」

優希、一、美穂子「……?」

久、透華「ちょっ!?」

ざわ……ざわ……!

佳織「え、えっと、一回目からリーチしてもいいんですか!?」

一「だ、ダブリー!?」

美穂子「ええ。一順目のリーチはダブルリーチっていう2飜の役になるのよ。頑張って」

佳織「じゃあ、リーチです!」タンッ 三萬

優希「ちょっ、聞いてないじぇ!」

透華「な、なんですのそれ!?」

加治木「…………」

桃子「どうするんすか、これ……」

加治木「豪運だと思っていたが、まさかこれ程とはな……しかし……」

蒲原「ワハハ、まあ、この方が佳織らしくていいんじゃないか?」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:01:41.87 ID:0FUr00bgo

優希「と、とりあえず現物!」トンッ

一「こんなの当たったら事故だよ」トンッ

美穂子(…………)トンッ

佳織「あっ……つ、ツモです!」

優希「マジか!?」

佳織、手牌
一一一二二二四五六七AAA 四

一「は……?」

佳織「ダブリー一発ツモ三暗刻でしょうかでしょうか…?」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:02:11.54 ID:0FUr00bgo

優希「何故リーチしたし!?」

佳織「ええっ!?で、でも」

美穂子「妹尾さんよく見て。これ、3萬を残していたらね、二萬が頭と順子になってアガリの形だったのよ」

佳織「あ、あああ!?ほ、本当だ!じゃあ、それであがってたらどうなってたんですか!?」

優希「地和っていう役満で32000点だったじょ!命拾いしたじぇ!」

佳織「うぅぅ……そんなぁ……」

美穂子「まあまあ……次は気をつければいいのよ」

一「こんなこと、二度もあったらたまらないよ……」

まこ「ありゃとんでもない素人さんじゃのぅ。同卓しなくてよかったわ」

久「まことは相性最悪の相手だものね。ボッコボコにやられてる気がするわ」

まこ「そうは思いたくないが、何故かワシもそんな気がしてならんけぇ……」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:02:50.11 ID:0FUr00bgo

―――――東三局、十三巡目 親:福路美穂子

一(風越の安和了りでボクの親は流されちゃったけど、引き摺ってても仕方ない……)

一(透華はボクを信じて先鋒に据えてくれたんだ……!だったらボクは、全力でそれに応える!)

一(正攻法なボクで行くッ!)

一「リーチ!」

優希(うぅ……東場なのにいつもの力が出ないじょ……)

優希(あのおねーさんに妙なアガリをされて流れを持っていかれたみたいだじぇ……)コトッ

一「ツモ!」

一、手牌
四四五六七ABCDE567 F

一「3000、6000!」

純「おー、やるね〜国広くん」

透華「一ならこれくらいは当然ですわ!」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:03:35.06 ID:0FUr00bgo

―――――前半戦終了

龍門渕112600(+12600)
風越  108300(+8300)
鶴賀  94500(-5500)
清澄  84600(-15400)

アナ「前半戦終了!序盤は清澄と鶴賀に翻弄された二校でしたが、徐々に実力を発揮!」

アナ「終わってみれば龍門渕と風越がリードする形になりました!」

咲「優希ちゃん……」

久「優希は好不調の波が激しいから……一度崩れると苦しいわね」

久「何か立ち直るキッカケでもあればいいんだけど……」チラッ

京太郎「……俺、行ってきます!」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:04:09.93 ID:0FUr00bgo

優希「うぅ……」

京太郎「おーい!」

優希「!?」

京太郎「売店でタコス買ってきたぞ〜!」

優希「おお!お前は使える犬だじぇ!京太郎!」

京太郎「あんまり気負いすぎんなよ。俺は……何つーか、その、いつも通り自分らしく打ってるお前が……」

京太郎「き、嫌いじゃ……ないから、な……」

優希「…………うん、任せるじぇ!」

咲「京ちゃんマジイケメン!」

まこ「あいつでも役に立つことがあるんじゃのぅ」

久「若いっていいわねぇ」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:04:53.72 ID:0FUr00bgo

―――――後半戦東一局 親:片岡優希

優希(そうだ……例えどんな相手と打っていようと私は私!自分の打ち方を……貫くだけだじょ!)

一(清澄、始めの頃の勢いが戻ってるみたいだ……)タンッ

優希「ロン!12000!」

一「はい……」

一(二巡目一鳴きで清一色聴牌か……さすがにこれは事故と割り切るしかないか……)
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:05:24.64 ID:0FUr00bgo

―――――東一局、一本場

優希「ポン!」

優希「ポン!」

優希「ロン!9600の一本場は9900!」

一(風越……前半戦は目立った動きはなかったけど、相変わらず他家を使うのが上手いなぁ……)

一(去年も透華はこの人に抑えられたんだっけ……)

優希(このおねーさん、さっきから絶妙な牌を鳴かせてくれるじょ。もしかして、味方……!?)
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:05:56.23 ID:0FUr00bgo

―――――東一局、二本場 四巡目

優希(キタキタキターーーーー!我、この手和了し神と化す!)

優希、手牌
AABBCCDEEFFGG

優希「リーーーチ!」

一(まずいな……これ以上調子に乗られると……)タンッ

佳織(いらないよね……?)トンッ A筒

優希(キタ!二盃口にはならなかったけど一発で三倍満!この勝負、もらったじぇ!)

優希「ロ……」

美穂子「ロン。タンピン一盃口。3900の二本場は4500です」

優希(くっ……ここ一番の大物手を頭跳ねされた……このおねーさん、中々やるじょ!)

一(今度は自ら和了りに来たか……厳しいけど、ここはまだ耐える場面だ……!)
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:06:48.82 ID:0FUr00bgo

美穂子「ツモ。1300、2600」

美穂子「ロン。5200です」

美穂子「ツモ。2000オール」

優希(こ、このおねーさん……)

一(まずいな……止められない……!)

美穂子「ツモ。3900オールは4000オールです」

優希(味方なんかじゃ……なかったじょ……!)
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:07:36.15 ID:0FUr00bgo

―――――南四局一本場 親:福路美穂子

アナ「さあ、ここまでは風越の独壇場!福路選手は和了止めを選択せず、続行です」

美穂子(みんなの為にも、少しでも稼がないと……!)タンッ

優希(くっ……何とか和了らないと……一点でも多く次に繋ぐっ……!)ピシッ

一(こんな様じゃ透華に顔向けできない……ここは何としても和了る!)トンッ

佳織(うぅ……やっぱり私、こんな所にいるなんて場違いなのかな……?)

佳織(…………!?)

佳織「あっ……あああ!?つ、ツモです!」

佳織、手牌 ドラ:三
三三三四五五(五)D(D)(D)(5)67 四
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:08:07.49 ID:0FUr00bgo

一「はっ……?」

優希「そ、そんなぁ……」

美穂子「あらあら……」

佳織「え、えっと地和は8100、16100でいいんですよね!?」

一「は、はい……」

優希「やられたじょ……」

美穂子「とっても素敵でしたよ」

一「まあ、これだけコテンパンにやられちゃうと逆に清々しいよ。ボクの出した二萬を見逃して地和を出すなんてね」

佳織「えっ!?これって四萬単騎待ちじゃないんですか!?」

優希、一、美穂子「…………」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:09:29.98 ID:0FUr00bgo

アナ「先鋒戦終了!風越圧倒的リード!他校を大きく突き放しました!鶴賀はオーラスの役満で辛うじてプラスをキープです!」

風越  134900(+34900)
鶴賀  104800(+4800)
龍門渕 83400(-16600)
清澄  76900(-23100)
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:10:03.34 ID:0FUr00bgo

―――――龍門渕高校控え室

一「…………」

純「お帰り、国広君」

透華「一……」

一「透華、ごめん……必ず勝って帰ってくるって言ったのに……」

一「透華はボクを信じて拾ってくれたのに、こんな様じゃ……ボクはもう、透華の傍には……」

透華「そうですわね……」

一「透華……」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:10:35.85 ID:0FUr00bgo

透華「こんな様では、まだまだその鎖を卒業と言うわけにはいきませんわ」

一「!?」

透華「これからもじっくり、たっぷりと麻雀の指導をしてあげますわ。覚悟しておきなさい!」

一「透華……!」パァァ

純「落ち込むことはないぜ。オレとしちゃこれくらいが丁度良いハンデだと思ってるからな」

智紀「私達で必ず逆転する……」

一「みんな……ありがとう!」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:11:14.07 ID:0FUr00bgo

―――――鶴賀学園控え室

佳織「あ、あの……わ、私……」

蒲原「佳織!良くやった!大健闘じゃないか!」

佳織「あ、あれで、良かったんですか?」

加治木「先鋒はエースクラスが犇く魔境……そこをプラスで繋げただけでも十分過ぎる」

蒲原「うんうん、幼馴染みとしても鼻が高いね〜」

加治木「私達の中には龍門渕の天江や風越の福路のような絶対的なエースはいない……」

加治木「だからこそ、先鋒戦は妹尾の持つ可能性に賭けてみたかったんだ……」

加治木「入部当初から豪運と呼べるモノを持っていると思ったが、まさかここ一番で役満を出してくれるとは」

佳織「わ、私なんかがお役に立てたなら……良かったです」

蒲原「さて、次はまくる番だな!任せたぞ、ムッキー!」

津山「うむ……」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:12:24.26 ID:0FUr00bgo

―――――清澄控え室

優希「ただいま……」トボトボ

咲「あっ、優希ちゃん……」

優希「うぅぅ……」ドンヨリ

久「み、みんな喉渇いたでしょ?ちょっとジュース買ってくるわ。咲、一人じゃ持ち切れないから一緒に来て」

咲「えっ?は、はい」

まこ「待たんかい。自分らだけじゃ6人分はきついじゃろ。わしも行く」

京太郎「えっ!?ちょっ、ちょっと!?」

まこ「よろしくな」カタポン
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:12:53.89 ID:0FUr00bgo

京太郎「そ、その……ざ、残念だった……な」

優希「…………」

京太郎「ま、まあ、何だ、こういう時もあるだろ」

優希「うぅ……うわああああああん!」

京太郎「…………」ギュッ

優希「うぐっ……えぐっ……うぅぅ……わ、わだじ……み、みんなの、点棒……」

京太郎「お前は全力で頑張っただろ?誰も責めなんかしないさ」

京太郎「後はみんなを信じて、精一杯応援してやろうぜ」

優希「う、うん……」

優希「京太郎、ありがと……ちょっとだけ、元気出たよ」

京太郎「そりゃ良かった。落ち込んでるお前なんか不気味過ぎて見てらんねえからな」

優希「むっ、犬が生意気な口を効くようになったじぇ」

久「やるわね須賀君。男気+1ってところね」

まこ「これならわしも太鼓判じゃの。パシリから雑用係に昇格じゃ」

咲「それって何か違いがあるんですか?て言うかジュースは……?」
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:13:23.95 ID:0FUr00bgo

―――――次鋒戦

まこ「優希、カタキは取っちゃるけぇ」

アナ「清澄次鋒は染谷まこ選手!実家は雀荘を経営しています」

アナ「風越は深堀純代!堅実なデジタル打ちに定評があります!このリードを守り切れるか!?」

アナ「追う龍門渕は沢村智紀選手!某有名RTSの世界ランカーにして同人サークル百合庵の会代表でもあります」

藤田「何でそんなこと知ってるんだお前……」

アナ「圧倒的なインパクトを残した鶴賀学園、妹尾選手に続くのは睦月選手です!風越に追いつくことができるか!?」

アナ「間もなく次鋒戦、スタートです!」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:14:01.84 ID:0FUr00bgo

―――――七久保駅周辺の裏路地

淡「ん……う〜ん……?ここ……は?」

男A「やっとお目覚めかい淡ちゃんよォ……」

男B「上手く逃げたつもりだったんだろうが、残念だったな!」

男C「生淡たんハァハァ……」

淡「あ、アンタ達……!」

男A「皮肉なモンだよな?諸星の野郎が麻雀で作った借金の所為で夜逃げしたってのに……」

男A「淡ちゃん自身が麻雀強かった所為で引越し先を特定されるなんてな!」

淡「……私もお母さんも、借金を返せる程のお金なんて持ってないわよ」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:14:30.22 ID:0FUr00bgo

男B「そりゃあもう、色々売って稼ぐしかねーだろ?何の為のカラダだよ!?」

男C「大丈夫、奈良に高校生でも雇ってくれる店がある……」

男A「それに君のお母さん。まだ若くて美人だろォ?下手したら淡ちゃんよりも固定客取れそうなくらい」

男B「そうと決まれば早速、家まで案内してもらおうかな」

淡「するわけないでしょ。ちょっとはその足りない脳みそで考えたら?」

男B「うるせえよ!」ハラパン

淡「うぇっ……!?」

男B「下手に出てりゃつけあがりやがってよォ!お前ナメてんのか?」カミツカミ

淡「ひっ……!」

男A「オイオイ、顔はやめとけよ?売りモンにならなくなる」

男C「淡たんのリョナハァハァ」

淡(やだ……助けて……咲ちゃん……!)
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:15:56.47 ID:0FUr00bgo

―――――次鋒後半戦、南四局十三巡目 親:沢村智紀

まこ「ツモ!1000、2000じゃ!」

アナ「次鋒戦、終了!終始派手な和了は出ませんでしたが、着実に稼いだ清澄が区間トップです!」

優希「染谷先輩、すごい和了率だったじぇ!」

久「相手は堅実な打ち方に定評のあるデジタル打ちの人達が多かった」

久「そう言った人達が理想通り、効率的に打っていけばそれはもうまこが記憶してる場に収束していく……」

久「所謂改変しやすい場……そうなると、まこはそう簡単には負けないのよね」

風越  132700(-2200)
鶴賀  89900(-14900)
龍門渕 88900(+5500)
清澄  88500(+11600)

アナ「順位は一回戦から変動がありませんでしたが、点数は風越以外の三校が横並び!」

アナ「勝負は折り返し地点、中堅戦に突入します!」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:16:32.20 ID:0FUr00bgo

―――――某所

ハギヨシ「衣様!」

衣「ハギヨシか……出迎え大義」

ハギヨシ「試合をご覧にならなくて良いのですか?」

衣「衣にとって、全ての相手は有象無象の雑兵に過ぎぬ。何も得るものなどあるまい……」

ハギヨシ「そうでもないと思いますよ?」

衣「ほう……居るのか?妖異幻界なる打ち手が……!」

ハギヨシ「御無礼を承知で申し上げますと、清澄の大将……衣様でも一筋縄ではいかない相手かと……」

ハギヨシ「それに、透華お嬢様と対決する予定の清澄の副将……この二方からは何か底知れぬ力を感じます」

衣「ならば、衣自らが、この目で確かめてやろう」

衣「有象無象の下等生物が、衣に勝てるわけないんだから!」ゴッ
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:17:07.10 ID:0FUr00bgo

―――――清澄控え室

咲「…………!?」ゾクッ

優希「ん?咲ちゃん、どうしたー?」

咲「あっ、いや……何でもないよ、優希ちゃん!」

咲(この感じ……お姉ちゃん……?いや、もしかしたらそれ以上の何か……!?)
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:17:43.59 ID:0FUr00bgo

―――――清澄控え室

まこ「大口叩いた割にはラス脱出できず……不甲斐のうてすまんのぅ」

久「収支はトップだったじゃない。不満なんてないわよ」

まこ「そう言ってくれると気が楽になる。後はお前さんに託すだけじゃ」

久「ええ……それじゃ、行ってきますか……!」

咲「部長、頑張ってください!」
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:18:12.22 ID:0FUr00bgo

アナ「さあ、間もなく中堅戦出場選手の入場です!」

アナ「清澄高校は部長の竹井久!同校では唯一の三年生です」

アナ「龍門渕高校は井上純!昨年は先鋒として全国でも活躍を見せました!」

アナ「風越女子は文堂星夏!一年生にして強豪風越のレギュラーの座を掴んだスーパールーキーです!」

アナ「鶴賀学園は部長の蒲原智美!いつも笑顔を絶やさないムードメーカーでクラスでも人気者です!」

藤田「えっ!?鶴賀の部長って大将じゃなかったの!?」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:18:41.66 ID:0FUr00bgo

―――――東一局9巡目 親:井上純

久(来たわ。ここは仕掛ける……!)

久、手牌 ドラ:九
二三四九@@@ABCD234

久(九萬切りの四面待ち……?いやいやそうじゃないでしょう!)

久「リーチ!」

アナ「清澄、仕掛けて来た!これは、D筒切りでドラの地獄単騎だァーーー!」

アナ「これは、四面待ちよりも三色ドラドラを確定させた打点重視ということでしょうか?」

藤田「果たしてそれだけかな?」

文堂(こっちも張った……安牌がある内は押していこう)タンッ H筒

純(清澄のこの流れ……放っておけねえな!)

純「チー!」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:19:13.62 ID:0FUr00bgo

アナ「龍門渕の井上、ここで鳴きを入れてきました!しかし、これは……!?」

藤田「喰い替えだな。それも安い方への」

アナ「そうですね。六萬ツモでEFGの三色が確定しますが、ここで鳴いたのはEFG筒を持っている状況からのH筒です」

アナ「タンヤオ、平和、三色が消えて、一発消しの為だけに崩すには少し惜しい手に見えましたが……」

藤田「こちらも、それだけではないということかも知れんな……」

蒲原(うーん、ここはベタオリしとくか)タンッ

久「げっ……」トンッ

アナ「おっと、清澄竹井、ここでツモ切ったのは赤D筒だ!四面待ちなら最高目で和了れていたーーー!」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:19:44.89 ID:0FUr00bgo

文堂(……これは……ドラ!)

文堂(見えてる牌の状況から、これで当たるのは地獄単騎のみ……)

文堂(確かに、この人の牌譜を見ると妙な形で待ってることはあった……)

文堂(でも……起きないんだ、そんなことは……!)

文堂(そりゃあ沢山打ってれば、不可解な待ちや信じられない和了、そういった不条理も出る……出るけど……)

文堂(でも、今まさにここ……!この瞬間なんて時に出たりはしない……!)

文堂(そんな都合良くはいかない!それはもう、麻雀を打ってる人なら誰もが嫌と言うほど味わってるはず)

文堂(だから、ここは通る!こんな牌で待ったりはしない!)ダンッ
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:21:00.29 ID:0FUr00bgo

久「通らないな……それは……!」

文堂「!?」

久「ロン。リーチ三色ドラドラ……裏3丁!16000!」

文堂(そんな……!?)

蒲原「その手でそんな待ちか……」

井上(出ちまったか……まあ、ツモられるよりはマシだわな)

アナ「清澄、この和了りによって二位に浮上しました!」

藤田「龍門渕が鳴かなければ清澄は一発ツモだったな」

アナ「そう言えばそうですね。井上選手は偶に不可解な鳴きを入れますが、これは偶然でしょうか?」

藤田「さあな。だが、龍門渕の井上は流れと言うものが見えていて、それを操っているような節はある」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:21:34.97 ID:0FUr00bgo

久(さて……ツモは出来なかったけどウチとしてはトップの風越を直撃できたのは嬉しい……)

久(龍門渕もきっと同じ考えのはず。となると、さっきの鳴きは狙ってやっていたのかも知れないわね)

純(清澄の部長……牌譜で見た通り、面白いことやってくれるじゃねーか!こりゃ楽しめそうだ)
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:22:46.94 ID:0FUr00bgo

―――――東二局13巡目 親:蒲原智美

純(清澄、良い手が入ってきてるな。鳴ける牌が出ないから流れを変えられねえ……!)

久(聴牌……!さっきの龍門渕の鳴きが偶然だったのかどうか、試してみましょう!)

久、手牌 ドラ:E、6
一七八九FFGGHHH789

久「リーチ!」

一「えっ!?」

透華「何なんですの!?あの手でリーチするのも、その待ちに取るのもまるで理解不能ですわ……!」

アナ「おっと、清澄竹井、何と1萬切りのリーチ!H筒は既に河に出ていて、E筒は蒲原が槓子として使っています!」

アナ「倍満確定手を2600の凡手にまで下げたァ!」

文堂(ドラ4を晒してる親相手にリーチを仕掛けるなんて……どんな高い手なんだ!?)

文堂(でも、こちらも満貫手を張ってる……さっきの点を取り返す意味でも簡単には降りられない!)

文堂(この字牌は清澄の現物だし、一先ずは一発を避けよう)トンッ

純「ポン!」

アナ「龍門渕井上、自風の北を鳴いて清澄の一発を消しました!しかも今回は手を崩していないぞ!」

純(オレの直感が正しければ、多分こっちでいいはずだ……!)トンッ 赤5索
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:23:21.02 ID:0FUr00bgo

蒲原(脅しでドラを槓してみたけど、実は手は全然できてないんだよな〜)

蒲原(リーチに対して赤5なんて切ってくる龍門渕も危険だし、風越も聴牌気配濃厚……)

蒲原(ここはほぼ完全安牌の南槓子落としを敢行するか!)トンッ

久(一萬……鳴かれた結果に対してあれこれ思っても仕方ないか……重要なのはこの次のツモだしね)トンッ

文堂(F筒……他の三校は全てC筒を切ってるから通りそうではある……)

文堂(どの道全員に対しての安牌は無いわけだし、ここは通すしかない!)トンッ

久「ロ……!」

純「悪いな、頭跳ねだ。ロン!」

純、手牌
D(D)(D)F666678 北北北

純「12000だ」

文堂(今度はそっちですかー!?)

久(やっぱり……今度は一発ツモを封じただけじゃなく、当たり牌まで被せて来た……やるわね!)

アナ「風越女子、二連続大物手に放銃!辛うじてトップは守っているものの、2位清澄との差は僅か200点です!」

文堂(何てことだ……たった二局で、28000点の失点……!普通の25000点持ちならもう飛ばされてる!)

文堂(キャプテンが稼いで、深堀先輩が大事にしてきた点棒を……たった二局で……!)
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:24:00.20 ID:0FUr00bgo

―――――東三局8巡目 親:竹井久

文堂(くっ……さっきから裏目ばかりで手が進まない……)トンッ

純(清澄に良い手が……いや、或いはもう張ってるかも……今回は鳴いて紛れを起こす機会がねえ!)トンッ

蒲原(みんな高い手を仕上げてきてるなー。私もどこかで攻めないとだけど、この手じゃなぁ……)タンッ

久「ツモ……」ピンッ

純、蒲原、文堂「!?」

久、手牌 ドラ:4
三三三CCDEEFFG46 (5)

久「3900オール!」ダァン

池田「マナー悪いなぁ」

美穂子「牌が可哀想……」

純(かっけえな……!)

アナ「清澄逆転!親満ツモでトップに躍り出ました!」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:24:33.47 ID:0FUr00bgo

―――――東三局一本場12巡目

蒲原(来たぞ、絶好の勝負手!)

蒲原「ワハハー、リーチするぞー」

久「…………」タンッ

文堂(清澄は現物か。あんな滅茶苦茶な打ち方するのに、降りたりもするのか……?)トンッ

純(そいつは鳴けねえな……このままだとツモられるか?)

数巡後

蒲原「ツモ。4100、8100だぞー」

蒲原、手牌
中中東東東23456789 1

純(怖い手を張ってやがったか……今は風越以外が流れを掴み掛けてる状況。そいつを引き寄せた奴が勝つ……!)
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:25:04.13 ID:0FUr00bgo

―――――七久保駅周辺の裏路地

男A「淡ちゃんよォ、いつまで強情張ってる気なんだ?吐いちまえば全部楽になるのによぉ」

淡「…………」ツーン

男C「ツンデレな淡たんハアハア」

男B「Aさん、やっぱこいつもっと痛めつけましょうよ。腹パン一発じゃ生温いっすよ」

男A「だからてめぇは三流なんだよ、B。淡ちゃんは暴力なんかには屈しねえよ」

男B「じゃあ一体どうすりゃ……」

男A「処女じゃなけりゃ売値は下がるだろうけど、淡ちゃんくらい可愛けりゃ問題ないよな?」

淡「えっ……?ま、まさか……」

男C「薄い本展開ktkr!ちなみに私は処女厨です」

淡「や、やだ……やめて……」

男A「大人しくしてろよ?すぐ終わるからよ」

???「やめろ!」

淡「!?」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:25:59.99 ID:0FUr00bgo

―――――中堅後半戦、南一局流れ一本場8巡目 親:竹井久

久(前半戦に比べたら派手な点数移動はないわね。警戒されて出和了りしにくくなったわ)トンッ

文堂(キャプテンのアドバイス通りに打って、何とか失点を減らすことはできた……でも、私自身はまだ焼き鳥)トンッ

蒲原(後半戦に入ってからほとんど良いところがない……)

蒲原(前半戦のオーラスで勝負手が入ってたのに清澄と龍門渕の二家リーチにビビって降りたからケチついちゃったかな?)

蒲原(アレで流れを逃した感はあるけど、もうそろそろ戻ってきてもいいだろ……!)

蒲原(勝ちを引き寄せる流れ……運気っ……!)トンッ

数巡後

蒲原(来たっ……!応えたっ……!牌がっ!ここは行く!ダマなんてヌルい事はしないっ……限界まで押すんだっ……!)

蒲原「リーチ!」

蒲原、手牌 ドラ:中
西中中一一五(五)(D)(D)2266

アナ「鶴賀学園の蒲原、一枚切れの西と言う絶好の待ちでリーチです!」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:26:56.07 ID:0FUr00bgo

久(高そうで嫌な感じね……ん?)

アナ「あっと、竹井選手!ここで西を掴まされてしまったぁー!これはさすがに振り込んでしまうか!?」

久(ここでこの牌が来た意味って……!)

久、手牌
三四五BBBCDEF34(5) 西

久「リーチ!」

アナ「な、何と!清澄の竹井、ここで切ったのは西ではなくC筒です!鶴賀の当たり牌を止めて追っかけリーチです!」

藤田「タンピン三色の五面張を捨てて西単騎か。あいつらしいな……」

純(清澄の奴、何だこの気配は?高い手じゃなさそうだが……いや、放っとけねえ!)

純「ポン!」トンッ 東

久「…………」トンッ 8索

文堂(ここで、西……一枚切れてるけど、キャプテンは現物が無い時は生牌って……)トンッ 發
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:27:37.19 ID:0FUr00bgo

―――――流局

久、蒲原、文堂「テンパイ」

純「ノーテ……!?」

純(全員が、西単騎待ち……だと!?)

久「へー、偶然ね。こんなことってあるものなのね」

文堂「やっぱり、あの時掴まされてたんだ……止めて發を出して正解でしたよ」

純(發を出したときって事は……オレが鳴いた直後か!つまり、オレが鳴かなければ鶴賀が一発でツモってた!?)

純(清澄、まさか、そこまで予測して……!?)

純「くっ……クククっ……!あーっはっはっ!面白いなぁアンタ!」

久「ふふっ……」

蒲原「ワハハー」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 04:28:19.26 ID:0FUr00bgo

―――――中堅戦終了

清澄  109100(+20600)
龍門渕108000(+19100)
風越  96200(-36500)
鶴賀  86700(-3200)

アナ「中堅戦終了です!前半戦は清澄、龍門渕、鶴賀の三つ巴の戦い!」

アナ「しかし後半戦で鶴賀は失速、清澄と龍門渕の一騎討ちの状態でした」

アナ「トップを独走していた風越は手痛い失点を喫し、3位にまで転落しました!」
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/10/18(木) 04:29:26.01 ID:0FUr00bgo
とりあえず今回はここまで。
続きは夕方か明日の同じ時間帯くらいから。
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2012/10/18(木) 05:58:14.09 ID:NiAjCXEco
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/10/18(木) 06:08:06.96 ID:va2JmoB0o
おつー
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage saga]:2012/10/18(木) 06:45:15.89 ID:O2OYubAI0
淡vs衣って、なかなか無いんで期待
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/18(木) 11:10:01.95 ID:JAaf0rgIO
ここで誰があわあわ助けに来るんだ…

淡咲も大天使咲も好きだから期待して待ってる
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2012/10/18(木) 14:35:28.23 ID:GRj5O3jx0
淡が可愛過ぎて生きてくのが辛い、、、
期待してる
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:09:02.36 ID:0FUr00bgo
おはようございます。
レスいただいた方、ありがとうございます。

とりあえず19時から出掛けるのでそれまで淡々と投下。
終わらなかったら早朝辺りから再開。
中途半端なところで切れたらごめんなさい。
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:09:36.39 ID:0FUr00bgo

―――――七久保駅周辺の裏路地

男B「ウボァッ、て、テメェ……!」

男A「グッ……お、俺達に手ェ出して、タダで済むと思ってん…てのか、よ……?」

???「貴様らこそ、可愛い元後輩に手を出しておいてその程度で済んだことを幸運に思うべきだ」

???「お礼参りがしたいならいつでも来るが良い……相手になるぞ?この、宮永照が……!」

誠子「私もお忘れなく!」

男C「やべぇよ……やべぇよ、この二人……」

男A「し、知ってんのかよ、C……?」
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:10:44.65 ID:0FUr00bgo

男C「ああ。赤髪の方はただ腕から竜巻が出せるだけの一般人だが……」

男C「短髪の漢女の方はマズイ……コマンドサンボの達人だ」

男C「先のイラク戦争を始め、今でも各地の内戦に傭兵として参加しているらしい……」

男C「たった一人で、釣竿一つを武器に一個師団を全滅させた伝説もある……」

男B「なんだよそれ……本当に人間かよ!?」

男A「バックレんぞ!こいつらやべえ!」ダッシュ

男B「ま、待ってくれよ兄貴ィーーー!」ダッ

男C「てるてる、インハイ頑張ってください!今年も必ず見に行きます!」ダッ

誠子「二度とこの娘に手を出すなよ!今度会った時は命は無いものと思え!」

淡「…………」

淡「ありがとう、テル、大尉……」

誠子「昔の階級で呼ぶのは止してくれ。今は降格して二等兵さ」

照「気にすることはない。後輩を助けるのが先輩の役目……」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:11:49.68 ID:0FUr00bgo

誠子「次の電車、一時間後らしいですよ」

照「さすが長野……」

淡「そう言えば、お二方ともどうして長野に……?」

照「昨日テレビで長野予選のニュースを見て、居ても立ってもいられなくなって……」

誠子「朝四時に叩き起こされて、妹さんに会いに行くって聞かなかったですからね」

淡「あれ?でもテルって、咲ちゃんと……」

照「淡、どこまで聞いてるの?」

淡「深いところまで……」

照「深い仲なの?」

淡「いずれはそうなりたいな〜とは……思ってる……かな」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:12:45.78 ID:0FUr00bgo

照「咲はやらんぞ!例えお前でもだ!くそっ、淡まで咲狙いとは……うちのアイツだけでも厄介なのに」

照「そりゃ咲が天使すぎてぐうの音も出ないほど可愛いのは地球上の誰もが認めるところだけど……」ブツブツ

淡「アイツって……?」

誠子「ウチの大将だよ。今年入ってきた……あ、確か彼女も中学までは長野にいたって言ってたっけ」

淡「話が逸れましたけど……ともかく、咲ちゃんとテルには確執があったと思ったんだけど」

照「うん。実は全部咲の気を引く為の演技だったんだ」

淡「は……?」
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:13:42.55 ID:0FUr00bgo

照「ボコボコにされても舐めプされても私は咲が好き!愛してる!」

誠子「うわぁ……」

淡「で、でもでも!咲ちゃんが東京に来た時は顔も見せなかったって……」

照「いやー、いざ久々に会うとなると恥ずかしすぎてつい家に閉じこもっちゃったんだよね」

淡「わかりましたもういいですこのド変態」

淡(咲ちゃんにはこの人のことは黙っておこう……それと咲ちゃんがテルの為に麻雀を打ってることも……)

淡(そんなこと言おうものならこの変態が増長しかねないし……)
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:14:57.23 ID:0FUr00bgo

誠子「時間的には副将戦が始まる頃か……」

淡「うぅ……大将戦、間に合わなかったらどうしよう……」

誠子「もし通常と同じくらいの時間で局が推移した場合、会場につくのは大将前半戦が終わるかどうかと言う辺りだろう」

淡「うぅ……今の状況、みんなに連絡しないとマズイよね……テル、携帯貸して」

照「私が機械音痴なのを知っているだろう?そんなものは持っていない」

淡「亦野先輩は……?」

誠子「トランシーバーなら持っているが?」

淡「それじゃあどうやって連絡を取るんですか?まさか、菫先輩達に黙って来たわけじゃないですよね?」

誠子「いや、当然無断だ」

照「あのお堅い菫が、西東京予選一週間前にもなって練習をサボって長野に行くなど認めるわけないだろう」

淡「うわぁ……この事問い詰められたら私は何も知らなかったって証言しますからね」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:15:47.82 ID:0FUr00bgo

―――――風越控え室

文堂「すいません!私が……私が皆の点棒を!」ゲザァ

美穂子「文堂さん落ち着いて!アレは上埜さんのことを見抜けなかった私の責任だから」

文堂「そんな……キャプテンは何も……」

池田「誰の責任とか、誰が悪いとか……そんなこと追及してても仕方ないだろ、文堂」

池田「大事なのはこれからどうするかってことだし!」

文堂「池田先輩……」

池田「まあその点は心配しなさんな。私とみはるんが取り返して、風越を優勝に導くし!」

美穂子「華菜……」

池田「みはるん、頑張れ!」

未春「うん、行ってくるよ、華菜ちゃん!」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:16:20.50 ID:0FUr00bgo

―――――清澄控え室

咲「部長、お疲れ様です」

久「うん。淡は……まだ来てないのね」

咲「大丈夫です。私、淡ちゃんを信じてますから……」

咲「淡ちゃんが来た時に胸を張ってバトンを渡せるように、頑張ります!」

優希「その意気だじぇ、咲ちゃん!」

まこ「思う存分暴れて来んしゃい」
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:16:54.42 ID:0FUr00bgo

アナ「さあ、間もなく選手達が入場して来ます」

アナ「現在トップの清澄高校、副将は宮永咲!予選の獲得点数一位、長野に彗星のように現れたスーパーホープです!」

アナ「どことなくあの宮永照を髣髴とさせる雀力と容姿ですよね」

藤田(宮永照の妹にして、あの天江と勝負できるかも知れない怪物……か)

藤田(もし彼女がホンモノなら……この面子とは言え抑えるのは難しいだろうな)

藤田(ただ一人、出来るとすれば……)
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:17:30.71 ID:0FUr00bgo

アナ「龍門渕高校は龍門渕透華選手!県内屈指のデジタル派で、昨年の臨海女子との熱戦は語り草になっています」

アナ「名門、風越女子は吉留未春!元日本最高位のプロ雀士、吉留プロの娘さんです!」

アナ「吉留プロは引退していなければ、あの小鍛治プロの前に最大の壁として立ち塞がっていたと言う話も聞きますね」

藤田「そうだなー。しかし、吉留さんにはあんな大きな娘さんがいるのに、同年代の小鍛治さんは結婚すらしてないんだよな」

アナ「小鍛治プロは27歳です」

藤田「ウソ!?マジ!?福与さんいつもアラフォーって言ってたのに!」

アナ「鶴賀学園は東横桃子選手。鶴賀学園唯一の一年生です」
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:19:00.74 ID:0FUr00bgo

―――――東一局5巡目 親:吉留未春

未春「ツモ!3900オールです!」

アナ「吉留選手、序盤から鳴き仕掛けて速攻でダブ東ホンイツを和了!」

池田「さすがみはるんだし!このままねじ伏せろー!」

アナ「この和了で風越が再びトップを取り返しました!」

桃子(へー、嶺上さんとりゅーもんさんは厄介だと思ってたけど、眼鏡さんも中々やるっすね)

桃子(でも今回は……最初からステルスモモの独壇場っすよ!)
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:19:35.51 ID:0FUr00bgo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

加治木「決勝の相手はかなり手強いな。消えるのは時間が掛かりそうか?」

桃子「そうっすね。普通に消えようとしたら前半戦の内は厳しそうっす」

加治木「まるで普通ではない消え方があるかのような口振りだな」

桃子「ええ。今日の決勝で勝つ為に、一、二回戦では敢えてステルスを封印してたっすから」

桃子「上手くいけば東初からでも消えられそうっす」

加治木「今までのステルスが強化されたと言うことか。どうやって身に付けたんだ?」

桃子「ゆるゆりを毎日読んでたっす。そしたら段々あかりちゃんの気持ちがわかるようになってきて……」

加治木「……わ、わかった。期待してるよ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:20:12.39 ID:0FUr00bgo

―――――東一局一本場10巡目

桃子(張った……さあ、ステルスモモの本領発揮っすよ!)

桃子「アッカリーチ……!」アッカリーン

透華(今回は中々手が進みませんわね……)トンッ

アナ「あっと龍門渕、掴んだ当たり牌をノータイムでツモ切りしたァ!」

藤田「東横の下家の宮永や対面の吉留も危険牌をノータイムで切っていたな」

桃子「ロン。リーチ一発、2600は2900っす」

透華「なっ……い、いつの間に!?」
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:20:51.81 ID:0FUr00bgo

一「透華が、リーチに対して無警戒で振り込んだ!?」

純「しかも全然押すような手じゃない、二向聴のクズ手で!?」

一「一体何が起きているんだ!?」

アナ「しかし今のは龍門渕選手らしくない振り込みでしたね。あの場面で攻めることはこれまでに一度もありませんでしたし」

藤田「宮永はともかく、吉留も基本デジタル派だ。あの危険牌切りは少々疑問が残る……」

藤田「まるで東横のリーチが見えていなかったかのようだ……」

咲(鶴賀の人、リーチしてたのに全く気づかなかったよ……きっと他の二人にも見えてなかったんだと思う)

咲(この人……私や淡ちゃんと同じ、普通じゃない打ち手だっ……!)
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:21:30.76 ID:0FUr00bgo

―――――東二局6巡目 親:龍門渕透華

透華(来ましたわ、絶好の聴牌!前局は不覚を取りましたが、今回はそうはいきませんわよ!)

透華「リーチですわ!」

透華、手牌 ドラ:B
六七八CDEFG44678

桃子(りゅーもんさん、早いっすね。でも、こっちも降りないっすよ)トンッ H筒

咲「…………」ツモB筒

アナ「龍門渕選手、一発で出ましたがタンヤオ三色ドラのいずれもつかないH筒での和了を拒否!見逃しました」

藤田「見逃し……か?またデジタルらしくない打ち方だな」

藤田「いくらBEH筒の筋が多く残っているとは言え、一発で5800……裏一つで11600になる」

藤田「収支としては十分なはずだが……」

アナ「言われてみればそうですね。先程から龍門渕選手はややブレがあります」
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:22:34.14 ID:0FUr00bgo

咲(このB筒……りゅーもんさんの当たり牌だと思うんだけど……どうしてだろう?全然怖い感じがしない)

咲(とにかく打ってみようかな……そうすれば、何かわかるかも知れない)トンッ B筒

アナ「清澄宮永、鶴賀のH筒が通ったのを見るや否や、当たり牌のB筒を切りました!」

アナ「龍門渕選手はフリテンのためロン和了りはできません!」

透華(来ましたわ、最高目が一発!親跳、いただきですわ!)

透華「ロ……!!???」

━━━━━止まれッ!

透華「な、何でもありませんわ!」

未春「……?えっと、じゃあ、ツモりますよ」

透華(何ですの、今の感覚は?最高の牌が出たと言うのに……和了らなかった……!)

透華(いいえ、和了ってはいけない……そんな感じがしましたわ!)
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:23:30.76 ID:0FUr00bgo

―――――数巡後

透華「いらっしゃいまし。1300オールですわ」

アナ「龍門渕、フリテンとなりましたが自らツモって和了りました。しかし最安目のH筒です」

透華(はぁ……インパチを見逃して3900など……傍から見たらわけのわからない打ち方ですわね)

咲(やっぱり、りゅーもんさんの当たり牌はBEH筒……しかも最高目を見逃してこれって……)

咲(鶴賀の人が、何かやったんだ……)
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:24:22.40 ID:0FUr00bgo

―――――東二局一本場13巡目

咲(やっぱり……普段は鳴き麻雀ってやらないけど、今回は意識してやってみようと思った……)

咲(でも……鳴けない……鶴賀の人が捨ててる牌がわからないよぅ……)

咲(きっとそれがあの人の力なんだ……捨て牌だけじゃない……)

咲(リーチや鳴きに関しても同じで、その行動を相手に認識できなくさせる力……異能……!)

咲(だからこの人は振り込まないし、リーチしてもみんな全く警戒せず打ってくる……)

咲(どうすればいいんだろう……)

透華「リーチですわ!」

桃子「ロン。トイトイ中、5200は5500っすよ」

透華(ま、またですの!?こんな派手な副路をしているのに、全く警戒してなかったなんて……!)
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:25:44.21 ID:0FUr00bgo

―――――前半戦終了

清澄  113900(+4800)
鶴賀  113300(+26600)
龍門渕 93400(-14800)
風越  79400(-16800)

アナ「これは予想だにしない展開となりました!鶴賀、東横選手が圧倒!まさに独り舞台!」

アナ「清澄は辛うじてプラスを維持!一年生宮永はよく持ち堪えました!」

アナ「逆に昨年度ファイナリストの龍門渕と風越は大苦戦!デジタルらしくない振り込みが多く見られました」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:26:39.46 ID:0FUr00bgo

―――――清澄控え室

優希「鶴賀のおっぱい大きい人、何か変だじょ」

久「そうね。リーチに当たり牌を切りまくってるのに何故か和了らない他家……」

まこ「咲以外は鶴賀のリーチに無警戒に振り込んどったしの」

京太郎「あの卓で一体何が起こってるんだ……?」

久「もしあの子が常識の外にいるような打ち手だったとしたら……厄介なことになりそうね」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:27:29.59 ID:0FUr00bgo

―――――後半戦東一局 親:龍門渕透華

透華(この私が、一年生などにいいようにやられて大量失点……!こんな屈辱は初めてですわ!)タンッ

未春(ラス転落……うぅ……ここで取り返さないと!)トンッ

桃子(りゅーもんさん、眼鏡さん、焦ってるっすね……でも、そんな精神状態じゃまた振り込むっすよ?)タンッ

桃子(嶺上さんは……もしかしたら気づいてるかも知れないっすね……私の能力に……)

桃子(あの人も異常な打ち手だから、異能の闘牌には慣れてるってことっすかね?)

桃子(でも、知ったところでどうにもならない……先輩以外には、私を見つけることは出来ないっすから)

咲(まただ……前半戦の南場辺りから、鶴賀の人の牌がごく偶に……ほんの少しだけど見えるようになる……)

咲(でもそれは朧げで、一瞬の内に何の牌なのかわからなくなる……)

咲(淡ちゃんなら……こんな時どうするかな……)
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:29:14.68 ID:0FUr00bgo

―――――電車内

誠子「順当に行けば、今頃は副将戦の後半に突入した辺りか」

照「咲……あああっ!咲の試合が見れないなんて!淡なんか助けなければ……」

淡「ちょっとテル!」

淡「私だって……咲ちゃんの試合見たかったよぉ。それに、チームの状況も気になるし」

誠子「携帯でもあれば、速報が見れるんだがな」

照「とにかく今は祈るしかないだろう……チームの……そして咲の健闘を!」
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:29:47.42 ID:0FUr00bgo

淡「テル!言っとくけど、咲ちゃんに対する想いは私の方が100倍は上だからね!」

照「は?小娘風情が……!咲の何を知っている!?」

淡「変態のテルよりはわかってるもん!」

誠子「はいはい二人ともそこまでにしてね〜。あんまり他のお客さんに迷惑掛けるようだと……落とすぞ?」

淡「は、はい……」ガクブル

照「ごめんなさい」カタカタ

淡、照(咲(ちゃん)……頑張って!)
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:30:51.87 ID:0FUr00bgo

―――――東三局7巡目 親:東横桃子

咲(…………!?)カッ

咲(今、淡ちゃんの声が聞こえたような……)

咲(あっ……見えたっ……!)

桃子(ど、どうしたんすか、嶺上さん!?何で……何でツモらないっすか?)

咲「カン!」

桃子「なっ……!?」

加治木「ば、馬鹿な……!?」

蒲原「モモのステルスが……破られた!?」
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:31:30.72 ID:0FUr00bgo

咲「トイトイ、中、三暗刻、嶺上開花!12000です!」

アナ「嶺上開花だーーー!宮永選手、今大会五度目の嶺上開花!鶴賀から責任払いによる直撃を取りました!」

桃子「嶺上さん……私のこと、見えないんじゃ……?」

咲「うん、見えないよ……でも、槓材は一瞬だけ……」

桃子(槓材……!?それじゃあ、生牌は出さない方がいいってことっすか?)

桃子(いや、でもそんなことをして和了りに行くのは至難の業……だったらもう、ガチで打つしかないっすね)
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:32:51.12 ID:0FUr00bgo

―――――南四局オーラス 親:宮永咲

アナ「さあ、副将戦もいよいよオーラスに突入!後半戦に入ってからはまさに群雄割拠!」

アナ「各校一進一退の攻防を繰り広げましたが、僅かに清澄がリードしています!」

桃子(くっ……あの責任払い以来、どうにもステルスが上手く行かないっすね……)

桃子(まるで嶺上さんに私の全てを晒されてしまったかのようっす……)トンッ

咲「ツモ。500オールです」

アナ「清澄、この親場で和了りました。現在トップですが、果たしてその選択は……?」

咲「一本場です」

アナ「宮永選手、和了り止めを拒否!一本場で続行です!」

咲(淡ちゃん……私、待ってるから。出来る限り時間を稼ぐっ……!)ゴッ
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:34:02.61 ID:0FUr00bgo

―――――南四局七本場

アナ「さあ、大変なことになってきました!宮永選手、怒涛の七連続和了で南四局は七本場に突入!」

清澄  194300
鶴賀  81800
風越  65200
龍門渕 58700

アナ「二位に10万点以上の差をつけて尚続行!続ける……誰かの息の根を止めるまで!」

アナ「そんな宮永選手の気迫が伝わってきそうです!果たしてこの南四局に終わりは来るのか!?」
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:34:56.81 ID:0FUr00bgo

藤田(清澄の宮永……これ程の力があるなら衣に食らいつくことは出来ただろう……実に勿体無い)

藤田(残念だが、どれだけ点差をつけて大将戦に回そうと、衣には関係ないんだ……)

藤田(清澄が優勝するには、ここでどこかを飛ばしてしまうより他はない……か)

アナ「そう言えば、この怒涛の連荘に宮永と言う性……これはどうしてもあの宮永照を連想しますよね」

藤田(清澄が優勝するとしたら……まあ彼女らを全国で見てみたいという気持ちもあるが……!)

藤田(でも、衣を一回も見れないなんて寂しすぎる!)

藤田「ところで今何か言ったか?」

アナ「いえ、もういいです」
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:35:33.42 ID:0FUr00bgo

桃子(もう!何なんすか何なんすか!?これは……!嶺上さん、滅茶苦茶っすよ……!)タンッ

咲(淡ちゃん……!待っててね!)タンッ

未春(もうやだ……こんなの……勝てるわけないよぅ)カタカタ

透華(…………)ザザザ

一「透……華……?」

純「おいおい……アレって……!?」

智紀「去年、臨海女子と戦った時と同じ……」

咲(……何だろう?カンできそうなところはいっぱい引いてくるのに……四枚目が出ない……)

咲(誰一人鳴いてる人はいなくて、河は不気味な程静か……まるで……治水……!)パシッ

透華(…………)タンッ
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:37:00.97 ID:0FUr00bgo

透華(…………)ピシッ 8索

咲(あっ、来た……)

咲、手牌
@@@DGGG777888

咲(嶺上牌はG、7……それに赤D……槓すればトイトイ、三暗刻、三槓子、赤1、嶺上開花……親倍で和了れる)

咲「カンっ……!」パタッ ツモG筒

咲「もいっこ、カン」パタッ ツモ7索

咲「もういっこ、カン!」パタッ

桃子(な、何なんすかこれは……!?)

未春(これは本当に、私達が知ってる麻雀なの……?)
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:38:11.66 ID:0FUr00bgo

咲(……!?D筒じゃない!?) ツモ@筒

咲(……でも、まだカンは出来る。それに、四槓子……役満にまで手が伸びた)

咲(大丈夫……今度はハッキリと見えるよ……!赤D筒が……)

咲「カン……!」パタッ

━━━━━ロン。

咲「……!?」ゾクッ
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:39:02.98 ID:0FUr00bgo

透華「その嶺上、取る必要はありません……槍槓ですわ」

咲「あ、暗槓を槍槓できる役……!?それって……!」

透華、手牌
一九H19東南西北白白發中

透華「国士無双。32000の七本場は……34100ですわ」

咲「…………はい」

アナ「き、決まったァーーー!四槓子を破っての槍槓国士無双!まさに、一生に一度見るかどうかの珍事!」

アナ「この対局を見逃した奴は一生後悔するでしょう!!!」
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:39:59.50 ID:0FUr00bgo

清澄  160200(+51100)
龍門渕 92800(-15200)
鶴賀  81800(-4900)
風越  65200(-31000)
(収支は中堅戦から見たもの)

アナ「しかし、オーラスに役満を放銃したとは言え清澄の圧倒的リードは変わらず!」

アナ「二位の龍門渕に7万点弱の大差をつけて決勝に繋ぎました!」

アナ「一転して厳しい立場になったのは風越女子!トップとの差は何と95000点です!」

アナ「さあ、泣いても笑っても残りは半荘二回!県予選決勝は間もなく、大将戦に突入します!」
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:41:21.76 ID:0FUr00bgo

―――――風越控え室

未春「うぅ……うわぁぁぁぁん!華菜ちゃーーーん!うぐっ……えぐっ……」

未春「み、みんな……ごめん……ごめん、なさ……えぐっ……」

池田「み、みはるん、そんな泣くことなんかないし」

未春「わた……わたし、責に……取りますから……麻雀部、や、辞め……」

美穂子「吉留さん、早まっちゃ駄目よ!私が……私がもっとしっかりしてれば……!」

池田「ああもう!キャプテンは何も悪くないですし、みはるんが気に病むこともないよ!」

池田「私が勝てばいい!それでほら、大団円だし!」
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:42:30.39 ID:0FUr00bgo

久保「池田ァ……言ったからには、ぶちのめしてこいよ!」

池田「任せるし!」

久保「オラ、みんなも暗い顔すんなよ!池田を信じて送り出せよ」

未春「華菜ちゃん……お願い……」

文堂「池田先輩……!」

深堀「華菜、ファイト……」

美穂子「華菜……お願い。勝ってきて……!」

池田(あのキャプテンが……今まで頑張ってとか、楽しんできてとしか言わなかったキャプテンが……)

池田(初めて、勝てって言ってくれた……これで、負けられない理由が増えたな……!)

池田「みんな……必ず、勝つから!」
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:42:58.61 ID:0FUr00bgo

―――――鶴賀控え室

桃子「いやぁ、申し訳ないっす。清澄の嶺上さんにはしてやられましたよ」

蒲原「後半は普通にステルスも解けちゃったからなぁ」

佳織「あの一年生の子、すごかったよね……怖いくらいに……」

加治木「モモ……大丈夫か?」

桃子「ええ。何て言うか、ここまでぐうの音も出ないほどボコボコにされると逆に清々しい気分っす」

桃子「心は折れてないっすよ?もっともっと強くなって、今度打つ時は凹ましてやりたいって思ってます」

桃子「なんて無責任っすかね?チームは大ピンチなのに、こんなこと思ってるなんて……」
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:43:25.72 ID:0FUr00bgo

加治木「いや、いいさ。正直、あの戦いを見ていたら壊されてもおかしくないと思っていた……」

加治木「モモが無事なら、私としては十分だ。あとのことは任せてくれ」

加治木「大将戦も手強い相手が揃ってるが、私も私なりに足掻いてみせるさ」

睦月「うむ……主将、どうかご無事で……」

蒲原「ゆみちん、楽しんでこい……!」

桃子「私、信じてるっす……待ってますからね!」

加治木「ああ……行ってくる!」
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:44:03.17 ID:0FUr00bgo

―――――龍門渕控え室

透華「……ただいま戻りましたわ」

一「と、透華!大丈夫だった!?」

透華「私、オーラスのことはよく覚えてなくて……」

透華「ですが、このような不甲斐ない結果になってしまって……」

一「いいんだよ透華……大丈夫だから……!あとは衣に任せよう」

透華「衣!?そうですわ、衣は……?」

衣「ここにいるぞ」

純「やれやれ、随分遅いご到着だな」

衣「会場にはマスコミが犇いていたからな……目を盗みながら来たのだ」
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:44:48.27 ID:0FUr00bgo

透華「衣……後のことは頼みますわ」

衣「気乗りがしない……と言ったらどうする?」

純「おいおい、冗談言ってる場合かよ。清澄の大将見ただろ?あの子は、お前を退屈させる相手じゃないぜ」

智紀「それにこの点差……油断はできない……」

衣「大星淡か……奴は、今この会場にいない……」

純「な、何だって!?本当かよ!?」

衣「ああ。理由は衣の知るところではないがな。気配を全く感じない」

衣「必然、出てくるのは清澄の控えの者。そうなれば周囲は塵芥同然……」

透華「そうですか……ですが、仮に衣がやる気を出さずに敗退したとしても、私達は誰も責めませんわ」

智紀「私達は、無意識の内に衣に甘えてたのかも知れない……」

一「例えどれだけ点差をつけられても、衣が何とかしてくれるなんて思ってたのかも……」

純「まっ、そんなわけだからさ。お前はお前自身が一番イイと思うように、遊んでこい!」

衣「……まあ、期待しないで待っていろ」
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:45:21.17 ID:0FUr00bgo

―――――清澄控え室

咲「そっか、淡ちゃんはまだ……」

咲「ぷっ……くくっ……」

京太郎「さ、咲!こんな時に笑ってんじゃねえ!マジでピンチなんだぞ!」

咲「だ、だってぇ〜、き、京ちゃんの女装、予想以上に……可愛くて……」

優希「うむ!私が見込んだ通りだ!」

久「まあ、須賀君を出すのは本当に本当の最後の手段。まずは運営に少し待ってもらえないかお願いしてくるわ」

京太郎「あぁ〜、頼む!頼む、大星!早く来てくれ!」

まこ「そんなに恥ずかしいか?安心せい、誰がどう見ても美人さんじゃ」
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:45:46.62 ID:0FUr00bgo

京太郎「そうじゃない……そうじゃないんですよ……もうこの際、恥とかはどうでもいいんです」

京太郎「ただ、大将戦なんてどう考えても俺が勝てるわけないから……」

京太郎「俺のせいでみんなの、全国への夢が潰えるなんて……それだけは絶対嫌なんです……」

咲「京ちゃん……」

京太郎「特に部長は今年が最後だし……咲にだって、負けられない理由、あるんだろ?」

咲「…………」
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:46:27.11 ID:0FUr00bgo

―――――運営控え室

久「ですから、何らかのトラブルに巻き込まれた可能性もあって……」

久「とりあえず一時間……いえ、30分だけでも待っていただけませんか?」ゲザァ

運営A「うーむ……そう言われてもねえ……当人から何の連絡もないようだし?」

運営B「規則は規則ですしね。それに、清澄さんは控えの方が一人いますよね?」

運営C「大会ルールでも、正規のメンバーとなら途中交代は認められますよ」

運営C「もちろん、局の途中で来た場合はその一局は最後まで打ってもらう必要がありますが」

藤田「まあ待て」ガチャ

久「ヤス……藤田プロ!?」
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:47:14.29 ID:0FUr00bgo

運営B「あ、藤田プロ。すいません、今清澄のほうでトラブルがあって」

藤田「話は聞いていたよ。待ってみるのもいいんじゃないか?」

運営A「し、しかし……」

藤田「清澄の大星淡の力は知っているだろう?この大一番、運営としては大会が盛り上がった方がいいんじゃないのか?」

藤田「龍門渕の天江との勝負……これは長野県民なら誰もが見たいと思っているはずだ」

運営A「確かにそうですけど……ルールというものがありますし……」

運営A「ここで前例を作ってしまうと、後々の大会などで綻びにもなってしまいますし……」

運営C「私は、藤田プロの言うことにも一理あると思います。確かに規則は大事ですけど……」

運営C「会場に足を運んでいただいたお客様……」

運営C「中継を見ている麻雀好きな方全てに楽しんでいただくのもまた同じくらい大切なことではないでしょうか?」
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:47:42.45 ID:0FUr00bgo

運営A「……わかりました」

久「それじゃあ……!」

運営A「ですが、これは清澄だけの問題ではありませんから」

運営A「対戦校の大将三人全てが承諾した場合のみ、一時間待つということでどうでしょう?」

久「あ、ありがとうございます!」ペッコリン
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:48:26.38 ID:0FUr00bgo

久「と言うわけで、どうかお願いできませんか?」

衣「それは当意即妙!一時間とは言わずいつまででも待ってやるぞ!」

加治木「私も構わない。一時間くらいならな」

池田「華菜ちゃんは反対だし!」

衣「何……?」
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:49:03.36 ID:0FUr00bgo

池田「華菜ちゃんは今、早く勝負したくてウズウズしてるし!だから流れを断ち切りたくない!」

池田「勝てる流れ、逆転への道……それをこんな形で閉ざされたら不本意だ!」

池田(ってのは詭弁で……本当はみはるんを泣かせた清澄の頼みなんか聞きたくないってのが2割)

池田(残りの8割は、天江衣……!奴は夜が深まれば深まるほど強くなるのは明らかだし!)

池田(特に満月の今日、一時間も対局時間を遅らせたら即、死に繋がりかねない……)

運営A「残念ですが、風越の池田さんかああ言ってるので……」

久「……わかりました。お手数お掛けして、申し訳ありません」

衣「まったくもって、無聊を託つ……」
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:49:41.79 ID:0FUr00bgo

―――――清澄控え室

久「説得したけど駄目だったわ……ごめんなさい」

まこ「何言っとるんじゃ。アンタが悪いわけじゃないだろ」

優希「じゃあ、私達の命運は京太郎に託されたってことか!?」

久「淡は……必ず来るわよね?」

咲「はい……私、信じてます……!」

久「須賀君、リーチや聴牌気配があったら即座に降りて、何とか失点を防いで」

久「和了りは一切目指さなくていい。淡が来るまで何とか耐えてちょうだい」

京太郎「わ、わかりました……」

咲「京ちゃん、お願い……」

優希「さあ行け!我が下僕よ!」
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:50:23.77 ID:0FUr00bgo

アナ「少々トラブルがあったようですが、間もなく大将戦が開始される模様です」

アナ「圧倒的リードでトップを走る清澄高校!注目の一年生、大星淡はトラブルの為まだ会場には来ていません」

アナ「代走を務めるのは一年生の須賀京子選手です!初心者だそうですが、この土壇場でこの大役!」

アナ「そのプレッシャーたるや相当のものとなっているでしょう!」

アナ「鶴賀学園大将は加治木ゆみ!常に冷静沈着、堅実な打ち方に定評があります!」

アナ「現在ラスに立たされている風越女子は池田華菜選手!去年に引き続き大将を務めます!」

アナ「昨年の雪辱、天江衣へのリベンジは果たせるのでしょうか!?」

アナ「そして、いよいよ登場です!龍門渕高校大将、天江衣!神懸かり的な闘牌を見せる二年生!」

アナ「昨年のインターハイではあの宮永照を抑えてMVPの栄冠に輝きました!更に、団体戦最多獲得点記録も樹立!」

アナ「今年もその力を、全国に知らしめることができるのか!?」

アナ「各校の命運を背負った大将戦、間もなくスタートです!」
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:51:18.83 ID:0FUr00bgo

衣「清澄の……」

京太郎「は、はい!?」

衣「大星淡は……来るのか?」

京太郎(な、何だこの子……こんなちっこいのに、威圧感が半端ねえ……!)

京太郎「あ、はい……咲は、必ず来るって言ってました……」

衣「嶺上使いが言ったか……クク……」

衣「ならば、衣は前半戦のうちはお前からは和了らないでおいてやろう」

京太郎「へ……?」

衣「後は自らの手で凌いで見せよ」
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:51:51.24 ID:0FUr00bgo

―――――東一局3巡目 親:加治木ゆみ

池田「リーチだし!」

加治木(三巡か……早いなっ!)タンッ

衣「…………」タンッ

京太郎(だ、駄目だ!こんな早い巡目じゃ現物はおろか、筋すらねえ!字牌もないし……)

京太郎「こ、これで……」トンッ 九萬

池田「ロン……!」

池田、手牌 ドラ:G
三三七八FFGGHH789

池田「裏はめくらないでおいてやる……!16000だし!」

アナ「風越池田、東初から倍満を和了!しかもトップの清澄に直撃!好調な滑り出しを見せます!」
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:52:20.53 ID:0FUr00bgo

―――――東二局7巡目 親:天江衣

池田「ロン。8000」

京太郎(またかよーーー!?)

アナ「池田選手、またもや清澄から出和了り!しかもこれは、山越しによる直撃です!」

アナ「一巡前に鶴賀、加治木選手が出した牌は高目跳満でしたが、それを拒否してまでトップを削りにきました!」

池田(勝ちの可能性を少しでも上げる為には沈んでる所よりトップからの和了りが重要だし!)

池田(でもそれ以上に……みはるんを泣かせた清澄は許せないし!)
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:53:51.30 ID:0FUr00bgo

―――――会場入口

淡「は、はぁ……はぁ……や、やっと、着いた……!」

照「こ、こんな……全速力で走ったの……何年ぶりだろう……」

誠子「二人とも体力ないなぁ。今度戦場に出て鍛えましょう」

誠子「尤も、今から淡が赴く戦場はケサンの攻防戦などピクニックに思えるくらい過酷なものとなるだろうが」
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:54:20.71 ID:0FUr00bgo

照「亦野の例えはよくわからないけどこれだけは言っておく……天江衣は、強いぞ」

淡「本当に、あんなちっこいのにオーラが別物ですよね。衣ちゃん」

誠子「彼女はああ見えて高二、お前より一つ上だぞ。力は一つどころじゃないかも知れんが」

淡「私は実力から言えば高校100年生だよ!」ババーン

照「バカなの?」

誠子「おっと、こんな所で立ち話をしてる場合じゃないな。急げ!」

照「それじゃあ、また後で……」
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:55:28.63 ID:0FUr00bgo

―――――南四局流れ一本場オーラス 親:池田華菜

衣「……来た、か」カッ

アナ「さあ、前半戦もいよいよオーラスです!現在トップは風越女子!」

アナ「清澄高校は副将宮永が作った大量リードを守り切れず、逆転を許してしまいました!」

京太郎(クソッ……このままじゃ、みんなに会わす顔が……ん!?この配牌は……!?)

京太郎、手牌 ドラ:6
三四(五)九BC(D)34(5)666 7

アナ「あっと、清澄!このオーラスで圧倒的な好配牌を引き入れました!まさに豪運!」

アナ「九萬切りでダブリーを掛けて高めをツモれば数え役満にまで届きます!最安目でも倍満は確定の物凄い手だァ!」
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:56:10.47 ID:0FUr00bgo

アナ「あっと、清澄!このオーラスで圧倒的な好配牌を引き入れました!まさに豪運!」

アナ「九萬切りでダブリーを掛けて高めをツモれば数え役満にまで届きます!最安目でも倍満は確定の物凄い手だァ!」

京太郎(部長は和了りは目指さなくて良いって言ってたけど……)

淡(須賀君、駄目だよっ……!)

京太郎(この手この待ちで、行かねえ奴は男じゃねえ!)

淡(その手は、徒花……!死神の誘導灯……黄泉への道標なんだからっ!)

京太郎「ダァブルッッッリィィィィィチッ!」ダァンッ

淡「駄目ッ!」バァンッ

審判「ちょっ、駄目ですよ。対局者以外が入ってきては!って、あなたは……」

衣「待ち侘びたぞ……!」ニヤリ

審判「とにかく、今は対局中ですので。この一局が終わるまでは外にいて下さい」

淡「は、はい……すいません」
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:57:01.72 ID:0FUr00bgo

衣「ポン……!」

池田(天江……これまで全くと言っていいほど動いてこなかったけど……ついに来るのか!?)

衣「清澄。衣は先刻、お前からは和了らないと言ったな?」

京太郎「は……?」トンッ 1索

衣「アレは嘘だ……」

衣、手牌
一一一@@@11白白 九九九

衣「トイトイ、ホンロー、三色同刻……12300!」

アナ「清澄、振り込んでしまったァーーー!好配牌を和了りに結びつけることはできませんでした!」
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:57:42.94 ID:0FUr00bgo

アナ「そして前半戦が終了し、点数は清澄の一人沈み、三校はほぼ横並びの状態となっています!」

龍門渕105500(+12700)
鶴賀  104200(+22400)
風越  101300(+36100)
清澄  89000(-71200)

アナ「しかし、これくらいの点差でしたら挽回は十分可能!どの高校にもチャンスがあると言えるでしょう」
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:58:29.96 ID:0FUr00bgo

―――――清澄控え室

淡「ほんっっっっっとーに、すいませんでしたぁぁぁ!」ゲザァ

久「もういいから顔上げなさいよ。こうしてちゃんと来てくれたじゃない」

優希「それにあわあわちゃん、無事で良かったじょ」

まこ「その借金取りのヤーさん達から助けてくれたっちゅう先輩とやらには感謝してもしきれんのぅ」

咲「淡ちゃん……」

淡「咲ちゃん……んっと、ご、ごめんね。なんか、言葉が出てこない」

咲「もう……ずっと信じて待ってたんだからね。ちょっとくらい気の利くこと言ってよ……」
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 15:59:04.19 ID:0FUr00bgo

淡「咲ちゃん、お姉ちゃんのこと、好き……?」

咲「ん……うん。例えどれだけ酷いこと言われても、離れ離れになっても、嫌われちゃったとしても……」

咲「私はお姉ちゃんが、好きだよ」

淡「そっか……」

咲「淡ちゃん……?」

淡「行ってくるよ……!」
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:00:02.24 ID:0FUr00bgo

アナ「さあ、県予選決勝もいよいよ佳境に突入!残り半荘一回で全てが決まります!」

アナ「そして清澄はこの土壇場、勝負所の大一番に大星淡選手が間に合いました!」

藤田「恐らく天江は後半から全力で打ってくるだろう。それに対して大星はどこまで喰らいつけるか……」

池田「清澄は叩いた!あとは天江に去年の借りを返して優勝するだけだし!」

加治木「モモ、みんな……私はこのチームで少しでも長く麻雀を楽しみたい……今は、それ以外何もいらない」

衣「去年は全国にも、衣を楽しませてくれた者はいなかった……」

衣「大星淡……お前は衣を……幽谷にて煢独なままの衣を救ってくれるのか……?」

淡「私が今麻雀を打つ理由……それは……!」

アナ「それぞれの選手がそれぞれの思いを秘め、今、卓に着きます!」
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:00:53.91 ID:0FUr00bgo

―――――東一局 親:池田華菜

池田(いよいよ後半戦……まずはこの親場、大事に扱って稼ぐし!)トンッ

衣「ポンッ!」

加治木(天江……前半戦もオーラスに高い手で速攻を仕掛けてきたが……)トンッ

衣「ポン!」

加治木(二副露目!?)トンッ

池田(くっ……和了らせたくないけど……)タンッ

淡(へー……)タンッ 中
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:01:21.03 ID:0FUr00bgo

衣「無聊を託つ……」

淡「えっ……?」

衣「清澄の大将なら、衣も退屈せずに済むと思っていたのだがな……買い被っていたか?」

衣、手牌 ドラ:二
二二二北北北中 一一一 南南南

衣「12000!」

淡「…………」

衣「あまり衣を退屈させるな……待っていた甲斐がない」

アナ「天江選手、前半戦のオーラスに引き続き二連続で跳満を和了!勢いは止まらないのか!?」
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:02:21.68 ID:0FUr00bgo

―――――東二局8巡目 親:大星淡

池田(よし、張った!高い手!)

池田、手牌 ドラ:7
一二三四(五)六七八(D)D(5)67

池田(点差はそこまであるわけじゃないし、ここは確実に和了るためにダマで行くし!)

数巡後

淡「リーチ」

衣「チー」タンッ 赤D筒

池田「あっ、ポンだし!」タンッ 一萬

アナ「風越池田、赤ドラを鳴いて形を変え、跳満を確定させて来ました!しかしこれは……!」
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:03:04.78 ID:0FUr00bgo

淡(これは……)トンッ 九萬

池田(ま、まあこういうこともあるし!)

池田(ん……?北か……2枚見えてる字牌……大丈夫、切れる!)パシッ

淡「ロン」

池田(なっ……!?三面待ちだけど、地獄単騎に負けるか……!)

淡、手牌 裏ドラ:北
北發發一一二二四四五五八八

淡「リーチホンイツ七対、裏3で24000だよ」

アナ「親倍だァ!大星淡、池田の当たり牌を握りつつ倍満を和了!大きく沈んでいた所を一気に原点付近まで戻しました!」

池田(くっ……天江が序盤から三六九の筋をバラ切りにしてたから待ちを変えたけど……裏目った!)

池田(そう言えば天江……アイツが鳴かなかったら清澄は一発ツモだったんだ……まさか、わかってたのか?)
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:03:58.53 ID:0FUr00bgo

―――――東二局一本場4巡目

淡「ツモ。4100オール」

加治木(これは……またチートイ……?いや……!)

淡、手牌
五(五)六七七@@AABBGG 六

アナ「大星淡、今度は二盃口で和了!これでトップに立ちました!」

池田(また対子系の手……でも、手牌や場を見ても対子場になってるわけでもないし……)

池田(予選の牌譜を見ても素人っぽい打ち方だと思ってたけど……こいつも天江と同類なのか!?)
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:05:09.85 ID:0FUr00bgo

―――――東二局二本場5巡目

加治木「張った……リーチ!」

池田(こっちも聴牌だけど、ちょっと怖い所を通さないとな……いや、この点差だ!勝負するしかない!)

池田「こっちも、通らばリーチだし!」

衣「ポン」

アナ「天江選手、ここで鳴きを入れてきました。鶴賀と風越の一発が消えます!」

加治木(天江……もう張っているのか?)トンッ

池田(ツモれなかったけど……この手を和了れれば一気に点差を詰められるんだ!絶対和了る!)トンッ

淡(二家リーチ……あ、現物……)パシッ

衣「チー!」

淡「うっ、うぅーん……」

淡(それやられちゃうと……ちょっと困るなぁ)
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:05:59.47 ID:0FUr00bgo

加治木(二副露か。しかし、役は何だ?この鳴き方だと役牌バックくらいだが……)タンッ

池田(天江にしては随分安そうな手だなぁ……とりあえず清澄の親流しが目的か?)トンッ

淡「ロン。18600」

池田「なっ……!?」

淡(ごめんね。それラス牌だから、見逃せないんだ)

池田(まただ……天江が鳴きを入れて清澄がツモるのを防いであたしに当たり牌を掴まさせた!)
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:06:33.66 ID:0FUr00bgo

アナ「清澄三連続和了!二位龍門渕との差は2万点以上になりました!流れを完全に掴んでますね」

藤田「どうかな?」

アナ「と言いますと?」

藤田「天江が鳴かなければ、清澄はツモで和了れていた。前々局もそうだったが……」

アナ「確かに、不可解な鳴きでしたね。ではあの鳴きは意図的に?」

藤田「わからないが、天江ならやりかねない……」

衣「そろそろ御戸開きといこうか」ゴッ

淡(こ、この感じ……!この子、今まで全然本気じゃなかったんだ!)
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:07:03.02 ID:0FUr00bgo

―――――東二局三本場

加治木(一向聴から全く手が進まない……七〜八巡程度ならよくあることだが……)

池田(全然鳴けないし、手が進まない……しかも全員門前!)

淡(うぅ……重ならない牌ばっかり……)

池田(このままだと、あの海底をツモるのは……)

衣「リーチ」

加治木(残り一巡で、ツモ切りリーチだと!?)

池田(駄目だ、鳴けないし!)

衣「海に映る月を、撈い取る……!」

淡(海底撈月!?)

衣「3300、6300!」

アナ「海底撈月!また珍しい役が飛び出しました!連荘していた清澄の親が流れます!」
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:07:44.28 ID:0FUr00bgo

―――――東三局 親:天江衣

池田(天江があたしからポンして、このままだとまた海底コース……何とか鳴かないと)

加治木(前局の天江は、残り一巡でツモ切りリーチを仕掛けてきた……まるで、海底で和了れる確信があるかのように)

加治木(そして今回のあの鳴き……二連続海底……何とか阻止したいが……)

淡(鳴けないし、聴牌もできないよ……このままだと……)

衣「ツモ。海底撈月……!」

アナ「決まったァ!二連続海底!そしてドラ4枚で親満!龍門渕再逆転!トップを取り返しました!」
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:08:23.96 ID:0FUr00bgo

―――――東三局一本場

池田(しかし酷い点差だな……残り局数も少ないし、とにかく高い手を目指さないと)タンッ

数巡後

池田(来た……!さっきまでの一向聴地獄が嘘のようだ!この手、絶対にモノにする!)

池田、手牌
一一一二三四五六七七八九九H

池田「リーチだし!」

衣「ロン」

池田「は……?」

衣、手牌 ドラ:@
西西@@AABBCDEFG

衣「メンホン平和一盃口イッツードラ2……24300!」

池田(親……倍……ウソ、嘘だろ……何で、こんなことが……)
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:08:54.82 ID:0FUr00bgo
―――――東三局二本場

衣「ツモ。2900オールの二本場は3100オール」

アナ「龍門渕高校天江、怒涛の四連続和了!他校を一気に突き放して尚勢いは止まらない!」

加治木(このままだとマズイな……風越が飛ばされかねない……)

龍門渕171900
清澄  120500
鶴賀  88700
風越  18900
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:10:16.93 ID:0FUr00bgo

―――――東三局三本場

池田(西……一巡前に鶴賀が捨ててるし、天江は二巡前からツモ切り……これで振り込むことはない!)パシッ

衣「ロン」

池田(は……!?な、何で……?何で、こんな……あり得ない事が……あたしの身ばかりに……!)

衣、手牌 ドラ:A
西西東東東AADD(D)777

加治木(天江、私から和了らずに風越を狙い撃ちだと?何故……?風越を飛ばすためか?)

加治木(いや、違う!天江の最後の手出しは赤D筒……!アレを残していれば倍満で風越は飛んでいた!)

加治木(奴はわざと手を安くしたんだ!一体、何のために……?)

衣「塵芥ども、点数を見よ。汝らに、生路なし……!」

龍門渕190800
清澄  120500
鶴賀  88700
風越     0
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:11:09.10 ID:0FUr00bgo

照「こ、これは……」

誠子「完全に舐めプですね」

照「ヤバイ、咲を思い出す」ハァハァ

照「もう駄目だ、我慢できない!咲がこんな近くにいるのに、試合なんか見てられるか!」

誠子「ちょっと、淡がピンチなんですよ!」

誠子「そもそも控え室は関係者以外は入れないでしょう?」

照「大丈夫、私のマシンガンジャブなら警備員ごとき一撃で倒せる」

誠子「あなたって人は本当にもう……」

誠子(あ……そっか、自分が可愛がってた淡が負けるのを見たくないんだな……)
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:11:37.15 ID:0FUr00bgo

誠子「信じて見守りましょうよ。淡ならきっとやってくれます」

照「……そうだな」

照「このまま無様に敗北して咲に見限られ、傷心の咲を私が慰める計画……淡ならきっとやってくれる!」

誠子「うわー最低最悪のドクズだったー!」
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:12:05.42 ID:0FUr00bgo

アナ「さあ、大変な事になりました!龍門渕高校、天江衣の五連続和了!二位清澄との差は7万点弱にまで開いています!」

アナ「そして風越女子、持ち点は何と0点ジャスト!生きてはいても、死と隣り合わせのこの状況!」

アナ「風越が振り込んだり、他校がツモ和了りした瞬間、風越が飛んで龍門渕の優勝が決まります!」

アナ「他校にとっては点差以外にもこの縛りが非常に大きくのし掛かってきます!」
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:12:48.53 ID:0FUr00bgo

―――――東三局四本場

池田(……寒い)カタカタ

池田(前局、天江は手加減をした……あたしを殺せたのに、殺さなかったんだ……)

池田(なんて……みじめなんだ……)レイプメ

数巡後

池田、手牌 ドラ:一
一一一一二三四六(D)(D)H34(5)

池田(今まで聴牌すらままならなかったのに、この巡目でドラ7の聴牌……)

池田(でも、役がないから出和了りできないし、リーチも掛けられない……)タンッ H
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:13:45.11 ID:0FUr00bgo

衣「ポン!」

加治木(海底コースか!?)

池田(くっ……お願いします!五萬……あたしのツモるところにいて下さい!)

残り一巡

池田(誰も鳴けないし、ツモれない……このままだと、天江に海底を……)

衣(次で終わりだ。風越、最後まで和了れるかも知れないと淡い希望に縋っていたみたいだが、全ては泡沫の夢)タンッ
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:14:45.48 ID:0FUr00bgo

淡「ポン」トンッ

衣「なっ……!?」

衣(衣の支配下で、鳴いた……だと?衣を海底から外してきた!くっ……)タンッ

池田(ラスヅモ……でも和了れないか。だけど、天江が海底からズレた……)

池田(清澄が海底だけど、ツモ和了りはできない。聴牌も維持してるし、この局で死ぬ事はなくなったか……)トンッ

加治木(聴牌……だが、仮にここで私だけが聴牌で流れたら……風越が罰符で飛ぶ……!)

加治木(この面子でそれはあり得ないとは思うが、万が一ということもある……)

加治木(可能性が0じゃない限り、敗北する要因は絶つべきだ!私はこの局が流れたら手は閉じる)タンッ
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:15:20.98 ID:0FUr00bgo

淡「…………」

淡、手牌
白白白發發發五五22 中中中 2

アナ「おっと、大星選手、大三元だァーーー!しかし和了ることはできません!」

アナ「役満のツモでは天江選手には届かない!ここは泣く泣く崩すしかありません!」

アナ「しかし、絶対安牌の白があるので振り込みは回避できます!」

藤田「何言ってるんだ?違うだろう、そこは……」

アナ「えっ……?」
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:15:57.63 ID:0FUr00bgo

淡「…………」タンッ 五萬

池田「ろ、ロン!河底ドラ7!17200!」

淡「はい」

衣(こ、こいつ……衣の海底を止めただけでなく、風越に差し込みまで……!)

衣(今のを故意にやってのけたと言うのか!?)ゾワッ

アナ「風越池田、後半戦に入って初めての和了り!これで0点のピンチを脱しました!」

藤田(大星淡……衣の支配に抗い、和了りを阻止した上に風越への的確な差し込みまでこなしてきた……)

藤田(正直、昨日見た限りでは衣に壊されるだけだと思っていたが……まだまだ底が見えないな……!)
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:16:54.52 ID:0FUr00bgo

―――――東四局 親:加治木ゆみ

加治木(さて……風越が0点を脱したものの、まだ風前の灯火であることに変わりはない……)

加治木(やはりここは大星や天江から直撃を奪いたい……)

加治木(しかし……この規格外の怪物達を相手にそんなことができるだろうか……?)

衣(清澄……!有象無象……圧倒的有象無象の分際で……!生猪口才……!)

加治木(天江衣……今は清澄しか見ていないと言うことか……ならば……)

数巡後

加治木「ロン。18000」

衣「!?」

アナ「加治木選手、トップの天江選手から親跳を直撃!清澄を僅かに追い抜き、二位に躍り出ました!」

衣(清澄ばかり瞻っていたら和了られた……!?鶴賀……張っていたのか!)

衣(くっ……この、蟷螂の斧が……!)
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:17:26.79 ID:0FUr00bgo

―――――東四局一本場7巡目

誠子「あの鶴賀の大将、やりますね。異能者ではないけど、上手く立ち回っています」

誠子「彼女ならきっと、丸腰で戦場に出たとしても、策略と度胸で生き抜けるでしょうね」

照「天江衣……確かにお前の力はすごい……他を寄せつけない圧倒的な支配力……」

照「麻雀に於いて異能はとてつもなく大きな力となる……だが、それが全てではない……!」

照「それに気付かず麻雀を打たされているようでは、足元を掬われるぞ」
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:18:34.61 ID:0FUr00bgo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

桃子「先輩、いよいよ明日は決勝戦っすね」

加治木「ああ……」

桃子「三年生は秋の選抜大会には出場できないから……」

桃子「もし負けちゃったら、もうこのチームで麻雀を一緒に打つことはできなくなる……」

桃子「負けたくないっす」

桃子「もっとずっと、みんなと一緒に打っていたいっすから……頑張るっすよ!」

桃子「先輩、負けないっすよね?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:19:24.06 ID:0FUr00bgo

加治木(答えることができなかった……私は、卑怯者なのかも知れないな……)

淡「カン」

加治木「ロン。ピンピンロクの一本場は11900」

淡「はい……」
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:19:57.80 ID:0FUr00bgo

―――――東四局二本場

池田(残りの親番は一回でこの点差……ここからあたしが取るべき行動は……)

池田(役満やチンイツを狙いつつそれらが見えない時は親の連荘支援……?本当にそれでいいのかな……?)

池田(キャプテンは……あたしが天江に狙い撃ちされて死の淵に立ってた時、きっと泣いてたに違いない……)

池田(あの人を……泣かせたり悲しませたりすることだけは絶対にしたくないって、思ってたのに……)

池田(そうだ、あの日から……あたしが優しすぎるキャプテンの代わりに図太く、図々しくなるって……決めたんだ!)

池田「んー……にゃーーーーーー!」

衣(咆号……?)ビクッ

加治木(あまりの点差にネジが飛んだか)
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:20:28.57 ID:0FUr00bgo

池田(まだまだ頑張れるぞ!華菜ちゃんは図太いんだ!)

池田「あれ……誰か牌イジった?」

淡「まったくもって!」

池田(何だこの手……今までと全く違う感じがするし!)

池田(イメージするんだ……!この手から、どのような可能性があるか!)

池田(ラス引いて、三位を捲るのも難しそうな時、心が折れて弱気になったら来る牌まで弱くなる気がする!)

池田(もし神がいるのなら……前に向かう者を好きでいてくれるはず……!)
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:20:59.32 ID:0FUr00bgo

数巡後

池田(来た……!)

池田、手牌 ドラ:七
七七八八九九FGH1178

池田(天江、華菜ちゃんは眼中になしってか?)

池田(点差に胡座をかいてのうのうとしている君に、目に物見せてあげよう……)

池田(さっきあたしを殺さなかったことを、後悔させてやる……!)

池田「リーチせずにはいられないな」
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:22:04.31 ID:0FUr00bgo

一巡後

アナ「おおっと、池田選手一発ツモ!安目ですが跳満です!」

池田(……お呼びじゃないんだよッ!)ダァンッ

アナ「風越、安目の和了りを拒否!さらに高みを目指します!」

池田(済まさない……跳満なんかじゃ絶対に!)

更に一巡後

池田「ツモ!」

衣(なっ……!?)

加治木(あ、アレは……!?)

池田「リーツモ平和、純チャン三色一盃口……ドラ4!8200、16200!」

アナ「か、数え役満だァーーー!風越池田、この土壇場で引き寄せた!」

池田「そろそろまぜろよ」
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:23:06.16 ID:0FUr00bgo

―――――南一局 親:池田華菜

池田(さあ、あたしの最後の親番だし!優勝できるかどうかはここでどれだけ稼げるかに掛かってる!)

池田(まずは一つ、確実に和了るんだ!)

数巡後

淡「ツモ。800、1600だよ〜」

池田(は……!?)

加治木(な、何だその手は!?)

淡、手牌
東東白白發發中中一九九BB 一

加治木(何故それで和了った?まだ6巡目だぞ!混老やホンイツまで待てただろう!)

加治木(何故安い手で場を進める!?)

池田(あたしの最後の親番がそんな手で……)
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:23:40.04 ID:0FUr00bgo

透華「どう言うことですの、清澄は?跳満、倍満も見える手でチートイのみなんて……」

透華「私達を優勝に近づけてるだけですのに……」

純「果たしてそうかな……?」

一「純君、どういうこと?」

純「点差に縛られていたら、衣の支配からは抜け出せない。もしかしたら清澄には何か別の物が見えてるのかもな」

透華「あなたの言う流れ……ですの?」

咲「淡ちゃん……!」

淡(今……咲ちゃんの声が聞こえた……)

淡(ん……絶対、大丈夫だよ)
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:27:23.40 ID:0FUr00bgo

―――――南二局13巡目 親:大星淡

池田(こいっ……@筒……!こいっ……こいっ……華菜ちゃんの、@筒……!)ザワザワ

池田(来た!国士無双聴牌!あとは天江にぶちかますだけだし!)タンッ

淡(…………)トンッ

衣(なっ……この下家の手……絶大……!?)

池田「はやくツモれよ」

衣(この有象無象共が……衣の支配から脱しつつあると言うのか?)トンッ

淡「ツモ。1600オール」

加治木(また、チートイツモのみの安和了りか……今回は親だから連荘狙いと言うのもあるだろうが……)

池田(華菜ちゃんの役満が、またそんな手で流されたし……)
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:28:05.88 ID:0FUr00bgo

―――――南二局一本場

衣(清澄……安手とは言え、衣の支配下で二度和了ってきた……此は如何に……)

衣(しかも、今回の清澄の手の気配……高い……!)

淡、配牌
北二三(五)六七BB(D)E2367

アナ「清澄高校はここでチャンス手を貰いました!配牌から三色濃厚で、両面十分の二向聴!」

アナ「この手は確実に和了っていきたいところです!」

淡「うーんと、これ……」トンッ 赤D筒
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:28:44.52 ID:0FUr00bgo

アナ「なっ……!?」

客A「おいおい、清澄の大将は馬鹿なのか!?」

客B「こんなのノータイムで北切りに決まってんだろ!勝負捨てたのか?あ?」

客C「切り間違えちゃうドジっ娘な淡たんハアハア」

衣(何だ、この感覚は……?清澄の手から感じられていた気運が、一瞬にして微弱なものとなった……)

衣(彼奴は……何を企んでいる?)トンッ
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:29:47.78 ID:0FUr00bgo

数巡後

衣(何故だ……奴の手牌からは最早配牌時の強大な気は感じられないのに……この鬼胎は何だ?)

衣(このまま放っておくのは危険!ここは、後顧の憂いを断つ!)

衣「ポン!」

アナ「天江選手、ドラの5索を鳴いてきました!これでドラ4が見えます!」

加治木(天江……自ら海底を外してきた……?しかし、これでドラ4枚……)

加治木(海底コースに戻されて和了られたら満貫は確定か……できればそうなる前に和了りたい!)

加治木(この数局、天江の支配は明らかに弱まっている!和了るチャンスはあるはずだ!)

純「おいおい……清澄のこの手……」

透華「そんな……あの配牌から……あり得ませんわ!」

淡「ツモ!」

淡、手牌
東東西西北北白白發發中中H H
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:30:47.56 ID:0FUr00bgo

淡「ホンイツ、混老、七対子……8100オールだよ!」

アナ「な……親倍だァーーー!何と、ヤオ九牌たった一枚の配牌から混老頭!一体どうなっているんだー!?」

藤田「大星はタンピン系の手に向かって行ったら和了れなかったな」

アナ「いや、それにしたって異常ですよ。あの手から混老に移行なんて、ツモ牌が全部見えてない限りは……」

藤田(見えていたとか、そう言う次元の話じゃない……言うなれば、引き寄せる……牌を……!)

衣(衣の感覚が正しければ、配牌時にはヤオ九牌など殆どなかったはず……)

衣(ならば……ムダヅモ無しで全て手中に引き寄せたと言うのか!?)

衣(衣の支配すら及ばない、遥か宇宙(そら)の彼方より、あらゆる星々を引き寄せるもの……!)

衣(宇宙超重力場(グレート・アトラクター)……!)

衣(奴は……卓上に小規模ながら宇宙を展開し、それを操っている……!)
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:31:48.94 ID:0FUr00bgo

淡(あの時の衣ちゃんのポン……あれの所為で届かなかった……!)

淡(衣ちゃんの圧倒的で、何物をも寄せつけない力強い意志……それが私の宇宙を貫いて食い止めてきたんだ!)

淡(私の必殺技……役満……字一色、七対子!大七星を……!)

衣「……清澄、逆転できると思っているのか?」

淡「ん。私は負けないよ……!」

淡「勝って咲ちゃんと……みんなと全国に行くんだ!」

衣「宮永咲……嶺上使い……お前の、想い人なのか……?」

淡「うん。咲ちゃんは私にとって家族同然の大切な人だよ!」

衣「かぞく……?」
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:32:24.48 ID:0FUr00bgo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

忌中

男A「残念です……貴重な研究者を二人も亡くすなんて」

男B「奥さんが海外の引き抜きに応じなかったのはお子さんのためだとか……」

男A「それであの事故に巻き込まれるとは……やはり、あの子は災いを齎した……」

男B「龍門渕の旦那さんも、あの子は天江家の忌み子だと仰っていた……」

男C「ところで衣ちゃん誰が引き取るの?俺ロリコンだからほしいんだけどハアハア」

衣「…………」

透華「衣さん?初めまして、私は龍門渕透華。あなたの従姉妹ですわ」
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:33:02.36 ID:0FUr00bgo

メイド「衣様は学校ではあまり友達ができないみたいで……」

透華「問題ありません!友達の百人千人くらい、私が集めてみせますわ!」

衣「…………」グッ



透華「さあ、これから私達で、ここのロートル麻雀部を駆逐しますわよ!」

透華「県予選、全国……そして世界!あなたと楽しく遊べる相手が、きっとどこかにいるはずですわ!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:33:37.62 ID:0FUr00bgo

衣(友達……家族、か。畢竟するに……衣はやはり、煢独なままなのだ……)

衣(こうして他人と戯れていても、その他人達は楽しくはないのだろう……)

衣(衣と違って独りぼっちではないようだし……)

衣(それでいて……麻雀をやらない衣など誰も必要としないのだ)

衣(もう一切合切……烏有に帰せばいい……!)カッ

パリンッ

ブゥン!

キャアァァァァァ!!!

ざわ……ざわ……

アナ「て、停電!?」

審判「た、たたた対きょ、対局者の方は動かないように!お、おおお落ちつい……て?」

衣「…………」ゴゴゴゴゴ
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:34:25.68 ID:0FUr00bgo

ハギヨシ「皆さん、ご無事ですか?」

透華「え、ええ……」

純「決勝の最後にきてこれかよ……」

智紀「お屋敷でも満月の夜に部屋の明かりが消えたりすることはあった……」

透華「ですが、これほどの規模は始めてですわ」

一「衣……君の心はまだずっと、空の満月みたいに孤独なままなのかな……?」
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:35:13.08 ID:0FUr00bgo

客「か、回復した!」

池田「戻ったし……」

アナ「ただいま復旧しました!間もなく試合再開!勝負は南二局の二本場です!」

―――――9巡目

池田(張った……!これで、勝負だ!)

池田、手牌 ドラ:A
西AABBCCDEEFFGG

池田「リーチだし!」ダァンッ 西

アナ「か、風越池田!ここで高目数え役満の手を張りました!他家はこれに対してどう出る!?」
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:35:47.32 ID:0FUr00bgo

淡「……ん、リーチします」コトッ

淡、手牌
@AABBCGG23789

アナ「大星選手も聴牌!追っかけリーチを仕掛けました!しかし今回は珍しく平和系の手ですね」

藤田「平和手が珍しいと言うのも何かおかしな話だがな……」
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:36:37.66 ID:0FUr00bgo

池田(全然ツモれないし……)タンッ

淡(残り一巡……!)トンッ

衣「リーチ……!」パシッ

加治木(くっ……ここで……!二家リーチだから鳴きで止めることもできない!差し込むしか……!)

加治木(点数は不明だが、天江にツモられるよりは……!当たりそうな所……ここか?)タンッ 7索

淡(惜しい……!)

アナ「加治木選手、手を崩して差し込みに来ましたが当たらず!大星の待ちのスジでしたが和了れません!」

加治木(駄目か……!)

池田(海の底が……見えてくる……!)トンッ

淡(駄目……衣ちゃんの支配が、強力すぎるよ!)タンッ
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:37:18.99 ID:0FUr00bgo

衣「ツモ……!」

衣、手牌 裏ドラ:5
D(D)(D)111123444(5) 6

アナ「は、海底撈月だァーーー!本日四度目の海底!連荘で追い上げていた清澄の親を一蹴!」

淡(当たり牌……全部潰されてた……!?)

アナ「天江選手が倍満を和了り、勝負は南三局に入ります!」
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:39:17.37 ID:0FUr00bgo

―――――南三局 親:天江衣

アナ「大将後半戦は南三局に突入!この状況で俄然厳しい状況に立たされたのは風越女子!」

龍門渕172700
清澄  106300
鶴賀  87700
風越  33300

アナ「ここからトップの龍門渕に二連続で役満を直撃させても逆転出来ません!」
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:39:51.00 ID:0FUr00bgo

池田(名門風越、団体戦敗退決定とかアナウンサーに言われてるのかな?でも、まだ可能性は残ってるし!)

池田(まずこの局、天江に役満を直撃させる!そしてオーラス……)

池田(あたしと清澄、鶴賀が聴牌で何度か罰符を貰うか、鶴賀が逆転しない程度に天江を削る!)

池田(その後に天江に役満かませば、うちの逆転優勝だ!)

池田(華菜ちゃんはずーずーしいから、まだまだ勝ちを諦めたりはしない!)
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:40:35.19 ID:0FUr00bgo

アナ「天江選手の親場ですが、東場では天江選手は四連続和了をしています!」

アナ「もし再び同じようなことが起こるとしたら、他校の逆転は更に厳しいものとなるでしょう!」

アナ「最悪、風越が飛んで終了と言うこともあり得ます!」

藤田「この親場、どう凌ぐか……他校は正念場だな」
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:41:27.05 ID:0FUr00bgo

衣(終わらせる……ここで全てを……!)タンッ 南

加治木(ラス親が残っているとは言え、この面子相手にそうそう何度も連荘できるとは思えない……)

加治木(ならば、ここで可能な限り稼いでオーラスに繋ぐ!)トンッ 南

池田(さあ和了るぞ、役満!)トンッ 南

淡(……!?こ、これだ……!)

照「天江の支配は今最高潮……正直、私でも打ち破るのは難しいと思う」

誠子「確かに、今の淡の手はバラバラ。対して天江はもう張ってる。こんなのでどうやって和了れば……」

照(淡……ここでお前と言う器が試される!引き寄せられるか、アレを……!)
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:42:06.78 ID:0FUr00bgo

淡(来た……!)トンッ 南

衣「なっ……!?」

アナ「す、四風子連打だァ!天江選手の親が流れ、オーラス流れ一本場となります!」

客A「おいおい、ここで流すとか正気かよ!?」

客B「それじゃオーラスに役満和了っても逆転できないだろ。清澄は勝負諦めたのかよ?」

客A「決勝の最後の最後でこんなのやられると白けるなぁ」

照「次のツモで天江は和了っていた。これでオーラスに一縷の望みを繋げたか。やるな、淡」
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:43:05.28 ID:0FUr00bgo

―――――南四局オーラス流れ一本場 親:加治木ゆみ

アナ「試合はついに南四局!オーラスもオーラス!」

アナ「二日間に渡って繰り広げられた県予選も、この一局で最後です!」

アナ「果たして全国への切符を手に入れるのはどの高校なのか!?」

アナ「圧倒的な点差でオーラスを迎えた龍門渕高校に対し、二位清澄は役満の直撃を当てても逆転には至りません!」

アナ「鶴賀が連荘し、龍門渕との差が縮まってからが勝負となるでしょう!それ以外に逆転の道はありません!」
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:43:39.43 ID:0FUr00bgo

加治木(さあ、ラス親だ!役満の直撃でまくることができるが……それよりもまず和了ることだ!)

加治木(和了り続ける限り、負けることはない!)

池田(このどん詰まり、あたしのするべきことは……振り込まない、和了らせない!)

池田(あとはとにかくひたすら聴牌して流局!)

池田(それを30回くらい繰り返す!その後役満和了ればほら、華菜ちゃん、奇跡の逆転優勝だし!)
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:44:19.12 ID:0FUr00bgo

数巡後

池田(……!?)

池田「はぁ……今くんなよ……」

池田、手牌
八八八FGGG222777 F

池田(四暗刻単騎ツモ……!)

池田(出直してきな……!)ダァンッ

池田(今は役満和了っても逆転できないんだ!また後でな!)

池田(あたしは、勝ちを諦めない!)

アナ「風越池田、役満の和了りを拒否!勝負を捨ててはいません!」
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:44:51.22 ID:0FUr00bgo

数巡後

淡「ポン……!」

アナ「おっと、清澄ここで二副露!」

加治木(發と、中……!大三元があると言うのか?だが、天江に当てても逆転はできないぞ!)

加治木(しかも……この鳴きで天江に海底が回ってしまった!何とかズラすか和了らなければ……!)
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:46:13.60 ID:0FUr00bgo

数巡後

加治木(次がラスヅモ……くっ!聴牌できなかった……!)トンッ

池田(鳴けないし……!くそぅ……何てことしてくれるんだよ清澄〜!)トンッ

淡(…………)トンッ

衣(……!?衣の和了り牌ではない!?清澄……掴まされたと言うのか!?) ツモB筒

藤田(迷ってる?あの衣が迷っているのか……!?)

藤田(そうか。ようやくお前は打ち出したんだな……麻雀を……!)

衣(しかし……12000程度か……?それなら、振り込んでも子細無し……)

衣(今まで、この感覚に頼って負けたことはなかった。しかし……)

衣(奴は南二局で、ありえない打ち筋から強大な手を和了ってきた……!)

衣(初めて出会った、感覚通りに打っても負けるかも知れない相手……!)
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:47:00.25 ID:0FUr00bgo

淡「衣ちゃん、麻雀好き?」

衣「!?」

淡「私は最近まで麻雀を打つのが怖かったんだ……」

淡「打てば何かが壊れちゃう……そんな因果の下に、自分が生きてるって思ってたから」

淡「でも、転校して色んな人達に会って、麻雀の楽しさを思い出したんだよ……」

淡「だから今は、麻雀を打つの楽しいよ!」

淡「今日もいろんな人と打てて本当に楽しい!

衣「楽しい……?衣と麻雀を打って、楽しい……?」

淡「うん。一緒に楽しもうよ!」
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:47:58.53 ID:0FUr00bgo

衣(……衣と麻雀を打って楽しい……か)グッ

衣(感覚の傀儡になるのではなく……感覚を選択肢の一つとする……!)

衣(だが、今回はこれを選ぶ!清澄の手牌からの気配を信じるのなら、これで振っても衣の勝ちだ!)

衣「リーチ!」タンッ B筒

アナ「あ、天江選手、また残り一巡でツモ切りリーチです!最後の最後も海底で締めるのか!?」

衣(さあ、衣はもう逃げも隠れもしないぞ……!見せてみよ……!)

衣「和了るか?清澄……!」

淡「うぅん、それでロンしたら私の負けだから。でも……ポン!」
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:49:22.37 ID:0FUr00bgo

淡、手牌
@AB白白 發發發 中中中 BBB

淡「…………」タンッ B筒

透華「跳満は当然和了らないとして……この鳴きで衣が海底から外れましたわ」

純「だが……本当に目的はそれだけかな……?」

衣「……!?」タンッ 白

淡「ポンだよ!」トンッ A筒

アナ「だ、大三元……!大三元です!しかもこれは包!もしツモった場合、天江選手の責任払いとなります!」

誠子「でも、もう淡のツモ番はありませんよね?次の天江のツモ切りでロンを狙うしか……」

照「まあ、普通はそう思うだろうな。だが……」

照「もし……今あの卓上が、淡の小宇宙で構成された奇跡で出来ているとしたら……?」
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:50:41.69 ID:0FUr00bgo

衣(衣は、今までの自分と同じ打ち方を選んだ……)

衣(だがこれで……この自分が敗衄するようなことがあるのなら……)タンッ 一萬

加治木(一萬……鳴けば聴牌。しかしそうすると、清澄……大星が海底か)

加治木(……とは言え、私の聴牌に繋がる牌はもう残り少ない!通常のツモで引けるとは思えない)

加治木(ここは……賭けに出るしかないんだ!)

加治木「チー!」タンッ

池田(ここで鳴くってことは、鶴賀も張ったか……だったらもう華菜ちゃんは流れに身を任せるだけだし!)

池田(清澄の一年坊……和了れるものなら、和了ってみろ!)トンッ 白
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:51:47.50 ID:0FUr00bgo

衣(衣は……生まれ変われるかも知れない……!)

淡「……ツモ」 ツモ@筒

淡「大三元……32000の一本場は……32300です!」

アナ「き、清澄、この海底牌で、役満……大三元を和了りました!」

照「このオーラスの開始時、確かに清澄は龍門渕に役満を当てるだけでは逆転できなかった……だが……!」

誠子「天江のリー棒……!ってことは……!?」

アナ「団体戦決着!そして最終結果は……!」
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:52:24.32 ID:0FUr00bgo

清澄  139600(-20600)
龍門渕139400(+46600)
鶴賀  87700(+5900)
風越  33300(-31900)

アナ「清澄高校優勝!まさにリー棒一本、積み棒一本の差!劇的な大逆転勝利です!」
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:53:18.91 ID:0FUr00bgo

藤田「天江のB筒を鳴かなかったら、包のない大三元ツモ止まり。逆転はできなかったか……」

藤田「久しぶりに見たよ。これだけ牌に愛された子を……!」

加治木「いい勝負だった、おめでとう……」

池田「うん。あたしも楽しかった!」

衣「お前が……楽しめた?」

池田「ん?何かおかしいか?何事もそーやって、前向きに楽しんでいくのだよ!」

加治木「ああ……私も楽しめたよ。できることなら何局でも、ここで続きを打ちたい気分だ」

衣「お前達……また、衣と一緒に打ってくれるか?」

池田「ああ、勿論だし!」

加治木「次に打つ時は私が勝つ」
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:54:02.04 ID:0FUr00bgo

淡「また打とうね」

衣「ん、うん……」

衣「清澄の。名前を教えてくれないか?」

淡「私は淡。大星淡」

衣「淡……」グスッ

衣「楽しかった……!」

淡「うんっ」
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:55:01.24 ID:0FUr00bgo

優希「おーい、あわあわちゃーん」

淡「あっ……みんな」

まこ「我、本当にド偉いことやってくれたのう」

京太郎「良かった、俺の所為で敗退なんてことにならなくて……本当に良かったよ!」

咲「淡ちゃん……!」

淡「咲ちゃん……!」ギュッ

咲「わわっ……」
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:55:35.57 ID:0FUr00bgo

淡「私がここまで頑張れたのは、咲ちゃんのお陰だよ」

咲「えっ?そんな、私は何も……」

淡「うぅん、私に麻雀の楽しさを思い出させてくれたのは、他の誰でもない、咲ちゃんなんだから……」

淡「もっと色んな人と打ちたい……これからも咲ちゃんとずっと一緒に麻雀を打っていきたいって思ってるよ」

咲「……うん、一緒に楽しもうよ!淡ちゃん!」ギュッ

久「全く……最後の最後までノロケとか、アンタ達もブレないわね」

まこ「まあ今日ばっかりはいいじゃろ。あんたも本当ははしゃぎたいんじゃないか?」

まこ「なんせ憧れの全国だからのぅ」
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:56:26.88 ID:0FUr00bgo

咲「全国……西東京予選は一週間後。そっか……お姉ちゃんよりも、一足先に全国を決めたんだ……」

淡「あっ……ご、ごめんみんな!ちょっと待ってて!」ダッ

優希「あわあわちゃん、おトイレ?」

京太郎「ハハッ、咲じゃあるまいし」

咲「もう、京ちゃん!」
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:57:10.31 ID:0FUr00bgo

―――――会場入り口

淡「はぁ、はぁ……テル!」

照「淡か……いい試合だった。おめでとう」

淡「咲ちゃんに会っていかないの?」

照「今会うと決意が揺らいじゃいそうだから……」

淡「えっ?」

照「あの試合を見てて、思ってしまった。淡になら、咲を任せてもいいかもって……」

照「この宮永照一生の不覚……」

照「それでもしこの後お前と咲がイチャついてる場面でも見せられたら私は淡を殺しかねない」

淡「うわぁ……」

照「だから今は東京に戻って麻雀の腕を更に磨き、咲に相応しい姉となって戻ってくるつもり」

淡「テル……」
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:57:55.51 ID:0FUr00bgo

誠子「実は中継で観客席の私達が一瞬だけテレビに映ったんだよ」

淡「え?いきなり何の話ですか?」

誠子「それを弘世部長が見てたらしくて、会場に呼び出しの電話が掛かってきたんだ」

誠子「早く戻らないとシャープシュート(物理)されるんだ、私達」

照「…………」カタカタ

淡「うわぁ……」

照「うわぁぁぁぁん!咲に会いたいよぉ!あって太ももとかペロペロしたい!」

誠子「はいはい早く帰りますよ」ズルズル

照「あ、淡ぃぃぃぃぃ!咲は……咲は渡さないぞーーー!」

淡「まったくもう……」

淡「テル……一足先に全国で……待ってるからね!」
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:58:42.07 ID:0FUr00bgo

―――――数日後、白糸台高校麻雀部

和「私の咲さんが、無事に全国出場を決めたそうですね、お義姉さん?」

照「そうだな。そして私を姉と呼ぶな。咲も私のだ」

照(こいつは白糸台の一年にしてインターミドルチャンピオン。全国でも屈指のデジタル派と言える雀士だ)

照(そして何故か、一度も会ったことがないはずの咲に惚れている……)

和「そんなオカルトありえません!私と咲さんはどの空間、時間軸、世界軸でも結ばれる!」

和「それが宿命です!いい加減認めたらどうですか、お義姉さん?」

照「まったくもって頭が痛い……咲、大丈夫だからね」

照「淡や和の魔の手からは私が絶対に守り切ってあげるから……」
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 16:59:21.82 ID:0FUr00bgo

この後、淡ちゃんが咲ちゃんを巡って照やのどっちと壮絶なバトルを繰り広げることになるがそれはまた別のお話。

頑張れあわあわ、負けるなあわあわ!

咲淡って、素晴らしいよね!

カン!
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 17:00:43.89 ID:0FUr00bgo
本編はここまで。
予想以上に長くなりましたがお付き合い下さった方、ありがとうございます。
以下は構想中の全国編の予告なんかを。
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 17:01:18.91 ID:0FUr00bgo

――――――――――

えり「決まりました!西東京予選決勝は先鋒戦で決着!」

えり「優勝は四十前学園!創部一年目にして全国出場の快挙を成し遂げました!」

えり「あの宮永照を抑えて先鋒戦を制した小鍛治恒夜選手は全国での活躍が期待されますね」

咏「しかし、あの小鍛治プロに娘さんがいたとは驚きだねぃ」

えり「あの方も37歳ですから、年齢的にはおかしなことではないんですけどね……」

咏「今まで報道でも一切触れてなかったからな〜。予選でも決勝まで温存する徹底ぶり……小鍛治さんの本気が伺えるねぇ」

咲「そんな……お姉ちゃんが、負けるなんて……」

淡「絶対全国で会うって約束したのに……テルの嘘つき……!」
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 17:02:14.96 ID:0FUr00bgo

――――――――――

久「浮かれるのはまだ早いわよ?二回戦の相手……永水女子!ここからが本番なんだから!」

まこ「神代小蒔はあの宮永照や天江衣と並び称される、全国トップレベルの雀士じゃ!」

優希「そ、そんなすごい人が、私の相手……!」

京太郎「お?ガラにもなく怖気づいたのか?」

優希「そんなわけない……逆に燃えてるじょ!その巫女さんには悪いけど、踏み台にさせてもらうじぇ!」
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 17:02:51.47 ID:0FUr00bgo

――――――――――

優希「そ、そんな……勝てるわけないじょ……」カタカタ

モブA「えぇーん!もうやだー!」

トシ「噂には聞いていたけどこれ程とはねぇ……九面最強を降ろした神代小蒔……!」

白望「ダルそうな相手……ここで落ちてくれないかなぁ?」
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 17:03:25.54 ID:0FUr00bgo

――――――――――

初美「あの龍門渕を倒したって言うからどれ程のものかと思ってましたけど、期待外れですね〜」

咲「えっ?」

初美「ツモ。8000、16000ですよ〜」

モブB「四喜和……!?」

モブA「もう!何なのこれ!?」

初美「天江衣ちゃんも、それを倒した人も大したことなかったりするんですかね〜?」

咲「ふーん……」
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 17:03:58.19 ID:0FUr00bgo

――――――――――

久「今日、私達は永水に何点差つけられた?」

まこ「7万点強……完敗じゃった……」

久「しかも、明後日の準決勝ではその永水よりも強い臨海女子も来るかも知れないのよ」

久「今の状態で決勝進出なんて論外!一回戦を楽々突破したからって浮かれてたのがわかったでしょ?」

久「各人、今日の反省点を活かして明後日の準決勝……永水にリベンジするわよ!」
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 17:04:40.48 ID:0FUr00bgo

――――――――――

咲「はっ……あっ、ま、待ってよ淡ちゃん……どうしてこんなっ……強引に……んっ……」

咲「少しだけ後にして?マジメに考えたいことがあるんっ……からっ……あっ……ん……」

淡「マジメ〜?ふふっ……」ムニムニ

咲「んんんっ!?」ビクッ

淡「違うよね?咲ちゃんはマジメな女の子じゃなくって……」

咲「ちょ……ダメ!そこはッ……」

淡「咲ちゃんわぁ……エッチな女の子だもんね?」

咲「は……やっ!あっ……だ……あっん!」ビクビク

淡「エッチな咲ちゃん。舌出してごらん?そしたらも〜っと良くしたげるよ」

咲(これ以上流されたら何も……考えられなくなっちゃう……ッ)
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 17:05:16.08 ID:0FUr00bgo

――――――――――

神代「全力以上で、当たらせていただきます!」

絹恵「アカン……!」

まこ「いつから、次鋒戦が描写されると錯覚していた?」

胡桃(聴牌気配だけじゃなくて出番まで消しちゃったーーー!?)アッカリーン

洋榎「あんまり木偶すぎるとつまらんなぁ、清澄の」

エイスリン「why?」

久(愛宕洋榎にエイスリン・ウィッシュアート……この二人、本当に規格外だわ)
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 17:05:48.36 ID:0FUr00bgo

――――――――――

咲「あの、臼沢さん……そのモノクル、外していただけませんか?」

塞「は……?」

咲「ケガ、させたくないので……」ニコッ

塞(この子は一体何を言っているんだ……?)

塞(清澄や姫松が役満の直撃を受ければウチが二位に近づける……)

塞(いい加減体力も限界に近いし……塞ぐのやめるか……!)

初美「カン!」

漫(暗槓もありなん!?そんなん聞いてへんって!)

塞(来たか……もう塞がないぞ!)

パリンッ

咲「……………」ゴッ

初美、塞、漫「なっ……!?」
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 17:06:20.92 ID:0FUr00bgo

――――――――――

豊音「リーチするけどー」

淡「追っかけるけどー」

豊音「ロンだよ〜」

トシ「準決勝ともなると使わざるを得ないね。豊音の能力……!」

トシ「後に聴牌した相手に当たり牌を掴ませる……先勝……!」

淡「へー……」
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/18(木) 17:07:13.50 ID:0FUr00bgo

――――――――――

えり「今日で決勝に進出する四校が出揃いました。インターハイ団体戦もいよいよ佳境に入ります!」

えり「思えば今年の大会は無名校の躍進、臨海女子まさかの初戦敗退など波乱の多かったように見受けられますね」

咏「いやー本当に、インハイってのは何が起きるかわかんねーもんだねぃ」

えり「それでは決勝に進出する四校をご紹介します。まずAブロックから」



えり「以上。果たして栄光はどの高校に輝くのでしょうか!?」

咏「いやーもうわかんねー!どこが勝つか全くわかんねー!」

――――――――――

書き上がるかどうかは未定。

もいっこカン!
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/10/18(木) 17:08:39.20 ID:0FUr00bgo
と言うわけでここで一旦終了します。
続きは書き上げられたら投下します。
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/10/18(木) 17:53:42.88 ID:deZH6vy+o
え、マジでアラフォーがアラフォーになるのか?
なにはともあれ乙
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/10/18(木) 18:12:50.87 ID:6o4K43HE0
宮守ラスボスはいいね
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) :2012/10/18(木) 21:08:52.76 ID:NiAjCXEco
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/18(木) 21:12:03.88 ID:WhhNeeU5o
乙乙
咲淡とはすばらです!
照…
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/10/19(金) 00:44:28.16 ID:s7ga9bCNo
乙乙の乙や〜〜

全国編楽しみにしてる
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/19(金) 06:21:43.74 ID:D0aecX18o
本編で描写されなかった補足をちょっとだけ書きます。

・淡と照の関係
白糸台時代、照は新入部員勧誘のために一年生の各教室を巡ってたときに
淡を見つけて一目惚れし、何かと麻雀部に勧誘するようになる。
結局淡は麻雀部には入らなかったけど部室には入り浸るようになって虎姫メンバーと親しくなる。

・淡と和の関係
淡が白糸台にいた当時は和は虎姫メンバーではなかったので交流は全くなかった。



読んで下さった方、レス下さった方ありがとうございます。
咲淡はもっと流行るべき!
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2012/10/19(金) 13:45:27.57 ID:iRiDqbhm0
文堂さんが勝つssはないのか
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/10/20(土) 15:01:45.91 ID:mLcSMRtAO
文堂さんが勝って誰が喜ぶんだ
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:38:58.57 ID:cVyoYvzUo

全国編一回戦まで書き終わったので投下します。

>>250-251
文堂さんが勝ちはしないけど負けないSSだったら見た記憶が……
確か部長の悪待ちを見抜いて振り込みを回避したって感じで。
見たのが結構前だったのでタイトルは失念しました。



・原作からの変更点(全国版)

衣が個人戦にも参加。
清澄の二回戦の相手は永水の他はモブ二校。
準決勝の相手が原作二回戦と同じ。

永水
オーダー変更なし

宮守
エイスリン:次鋒→中堅
鹿倉胡桃:中堅→次鋒

姫松
上重漫:先鋒→副将
愛宕絹恵:副将→先鋒

阿知賀
以下のオーダーに変更
先鋒:松実宥
次鋒:鷺森灼
中堅:松実玄
副将:新子憧
大将:高鴨穏乃
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:39:28.88 ID:cVyoYvzUo

―――――西東京予選決勝

えり「決まりました!西東京予選決勝は先鋒戦で決着!」

えり「優勝は四十前学園!創部一年目にして全国出場の快挙を成し遂げました!」

えり「あの宮永照を抑えて先鋒戦を制した小鍛治恒夜選手は全国での活躍が期待されますね」

咏「しかし、あの小鍛治プロに娘さんがいたとは驚きだねぃ」

えり「あの方も37歳ですから、年齢的にはおかしなことではないんですけどね……」

咏「今まで報道でも一切触れてなかったからな〜。予選でも決勝まで温存する徹底ぶり……小鍛治さんの本気が伺えるねぇ」

咲「そんな……お姉ちゃんが、負けるなんて……」

淡「絶対全国で会うって約束したのに……テルの嘘つき……!」
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:40:21.85 ID:cVyoYvzUo

咲「淡ちゃん!」

淡「うぅ〜……テルーのバカ〜……」

咲「淡ちゃん、起きてよ!淡ちゃん!」

淡「ハッ!?さ、咲ちゃん!」

淡「し、試合は!?アラフォー学園は!?テル、負けちゃったの!?」

咲「まだ先鋒戦が終わったばっかりだよ。白糸台の部長さん、凄かったよ」

淡「な、何だ夢か……そうだよね、テルが負けるはずないもんね」

淡「それにしても、菫先輩が先鋒?テルじゃないの?」

咲「うん、私もお姉ちゃんは絶対先鋒で出てくると思ったんだけど……」
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:41:11.96 ID:cVyoYvzUo

―――――数日前、白糸台高校麻雀部

菫「団体戦のオーダーをこのように組んでみたがどうだろうか?」

誠子「宮永先輩が先鋒で荒稼ぎし、息も絶え絶えの他校を弘世部長が狙い撃って飛ばす」

誠子「それが失敗したとしても続く渋谷の役満が待っている、と」

尭深「非常に理に適ってると思います」

和「確かに、そこまでは大変素晴らしいと思います。ですが、私のような新参が大将などと言うのはどうかと思いまして……」

菫「そう謙遜することはない。和の実力はよくわかっている」

菫「だが、どうしてもお前が大将がプレッシャーになると言うのなら、亦野と変更してもいい」

菫「元々亦野も和も計算は得意だろう?どちらが大将でも任せられると思っているからな」

和(計画通りッ……!これで咲さんと直接やり合えますね……!)
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:41:59.93 ID:cVyoYvzUo

誠子「私は別に副将でも大将でも構いません。与えられた任務をこなすだけです」

誠子「ですが、そこに何か言いたげにしてる方がいますけど……」

照「…………」ジトー

菫「はぁ……仕方ない、猿轡を外してやれ、和」

和「はい、部長」

照「はぁ、はぁ……菫、酷い」

菫「お前は語り出すとうるさいからな。まあ、オーダーに関して意見くらいは聞いてやってもいい」

照「先鋒菫、次鋒渋谷、中堅亦野、副将は私、大将原村。これで完璧」

菫「そのオーダーにはどんな意図があるんだ?私が組んだものの方が理に適ってると思うが」
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:43:19.12 ID:cVyoYvzUo

照「理詰めと計算だけじゃ世の中は渡れない。正論が常に正しいものとは限らない。正義なんてものはなくても、世界は回る……」

菫「理詰めや計算ってのは勝負事で一番重要な要素だろじゃないのか?え?」

照「菫はそんなんだから全国模試でも阿知賀っていう所の松実宥さんに勝てずに万年二位なんだ……」

菫「今はその話はどうでもいいだろ!」

菫「お前と話してても埒が明かん。三人にどちらのオーダーが良いか聞いて、多数決で決めよう」

誠子「私はどちらでも……と言うかこれ以上面倒事に巻き込まれたくない派です」

尭深「私も……」

誠子「と言うわけで私と渋谷で弘世部長と宮永先輩に一つずつ入れるので後は原村に決めてもらって下さい」
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:43:57.98 ID:cVyoYvzUo

菫「まったく、お前達も大概にいい加減だな……」

菫(まあ、和ならどちらが良いかなど考えるまでもなく判断してくれるだろう)

照「原村、ちょっと耳を貸せ」

和「はい、何でしょうかお義姉さん?」

照「ごにょごにょ」

和「お義姉さんのオーダーでお願いします!」

菫「は?おま、何を……だってさっき大将は嫌だって……」

照「決まりだな、菫」

菫(照、和に一体何を吹き込んだんだ!?)
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:44:53.74 ID:cVyoYvzUo

―――――試合終了

えり「白糸台高校、全く危な気ない闘牌で三年連続全国出場を決めました!」

咏「白糸台の大将、原村和か。純粋な麻雀の上手さで言ったら、この子は全国でも一番だねぇ」

えり「さすがはインターミドルチャンピオンと言ったところでしょうか?」

咏「おいおい、えりりんの目は節穴かい?今の彼女は、インターミドルの頃とは別人だよ」

和「…………」
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:45:24.16 ID:cVyoYvzUo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

照「清澄高校の大将、大星淡は現時点で咲に最も近い女だ」

照「お前は咲の恋人にはなれないよ。淡がいる限り……!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:45:54.13 ID:cVyoYvzUo

和「清澄……大星淡さん……!私の、倒すべき相手です!」

照(これで、咲と戦うのは私だ!咲に劇的に勝てば、あの子は絶対に私を見直す!)

照(しかも、この世界では共に打ったもの同士は惹かれ易いことが統計的に証明されている!)

照(上手くいけば淡と和がくっついて邪魔者を一気に二人排除できる!計画通り……!)

えり「インターハイ史上最強との呼び声も高い今年のチーム虎姫!史上初の三連覇に向けてひた走ります!」
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:46:54.53 ID:cVyoYvzUo

―――――8月、東京

久「ついに来たわね……ここまで本当に色々あったけど……」

まこ「東京視察に個人戦、合同合宿。そして魔の期末考査……!」

久「一つでも赤点を取ると補習でインターハイには出場できないのがうちのルールなのよね」チラッ

淡「いや、本当にすいませんでしたぁ!」

優希「あわあわちゃん、赤点七つは清澄創立以来の快挙だじょ!」

まこ「自分だって赤点三つじゃったろ!」

咲「まあまあ。二人ともちゃんと追試で合格点取って補習免除されたからよかったじゃないですか」

淡「サキが一週間勉強に付き合ってくれたお陰だねー!」ダキツキ

咲「えへへ……」ギュッ

久「追試は通常のテストより難易度が低いとは言え、合格点は全教科90点以上なのよ」

久「あの死屍累々としてた状況から一週間で合格点取らせるなんて……咲がどんなマジックを使ったのか気になるわね」

咲「それは……内緒です」

咲(淡ちゃんが普通にやったら無理だから、全教科ヤマを張ったら当たったなんて言えないよね)
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:48:00.86 ID:cVyoYvzUo

ちなみに長野個人戦結果
・昨年団体戦でベスト8に入った都道府県は出場枠が三人→四人に増えると言う設定。
・咲ちゃんは舐めプしてなくて最初から全力。
・25000点持ち30000点返しの半荘10戦、ウマはなし。

1位:天江衣(+455)
2位:宮永咲(+227)
3位:福路美穂子(+219)
4位:大星淡(+175)
以上、全国個人戦出場ライン
5位:加治木ゆみ
6位:東横桃子
7位:南浦数絵
8位:竹井久
8位:龍門渕透華
10位:井上純
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:49:18.40 ID:cVyoYvzUo

―――――トーナメント組み合わせ抽選会

まこ「久の奴、柄にもなく緊張しとるのう」

優希「ところで、咲ちゃんとあわあわちゃんは?」

まこ「あの二人、また迷子か!まったく、片方だけでも手が掛かるってのに!」
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:50:10.91 ID:cVyoYvzUo

―――――会場廊下

咲「うぅぅ……ここ、どこ?」

淡「だ、大丈夫だよサキ!私がついてる!」

咲「うん……はぐれたらやだから。手、繋いでて?」

淡「ん……」ギュッ

淡「サキの手、あったかいよ」

咲「淡ちゃんだって」

淡「えへへ……」

咲「ふふっ……」

照「…………」ゴゴゴゴゴ
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:51:03.50 ID:cVyoYvzUo

照(淡呪殺淡呪殺淡呪殺淡呪殺淡呪殺淡呪殺淡呪殺淡呪殺淡呪殺)

和「ここでしたか、お義姉さん」

和「一体何をしているんですか?何か良からぬ呪詛を発しているように見えましたが」

照「何でもない。それより、お前はどうしてこんなところに?」

和「お義姉さんが迷子になっているようなので捜しにきたんですよ」

照「私は子供じゃないぞ。そんなしょっちゅう迷子になったりはしない」

和「亦野先輩と長野に行った一週間前、お義姉さん一人で長野に行こうとしましたよね?」

和「あの時泣きながら静内まで迎えに来てって言ったのは誰でしたっけ?」

照「うるさい。戻るぞ」
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:51:52.93 ID:cVyoYvzUo

―――――ホテル内、清澄の部屋

久「と言うわけで、私達はBブロック、永水女子のいるブロックに入ったわ」

久「他には特に実績のある高校はいないけど、私達の直下、臨海のいるサイドにはあの姫松高校がいるわ」

久「それと、ルールの確認だけど、一回戦では一位の高校のみが勝ち抜け」

久「二回戦と準決勝ではそれぞれ一位と二位が勝ち抜けで次のステージに進めるわ」

優希「二回戦からは二位でもいいのか。なんかバイオレンス感覚が足りないじょ」

久「もちろん、二位で良しとするなんて考えは毛頭にないわ。目標は全勝優勝!一回も負けずに行くわよ!」

優希「おう!」

咲「…………」

淡「サキ……?」

咲「白糸台はAブロックの第一シード……つまり、お姉ちゃんに会うには決勝まで行くしかない……!」

咲「全部」ゴッ

咲「倒す!」
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:53:56.92 ID:cVyoYvzUo

―――――全国大会二日目、清澄の部屋

優希「この阿知賀の中堅のおっぱい大きい人、すごいじぇ!」

淡「東初からツモドラ7とか、やられたらやる気なくすよね〜」

久「でも胸なら先鋒のマフラーしてた人の方が大きかったわよ。名前からしてこの子は妹さんね」

まこ「我は一体どこを見とるんじゃ……」

久「失礼ね、ちゃんと打ち方も見てるわよ」

久「先鋒のお姉さんの方は萬子のツモがちょっと多いかなくらいにしか見えなかったけど、妹さんの方はすぐわかるわね」

咲「全てのドラを、独占してる……」

淡「阿知賀の竜英傑(ドラゴンロード)……!」
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:54:48.79 ID:cVyoYvzUo

衣「淡〜、咲〜!」ガチャ

池田「遊びにきたし!」

咲「あ、衣ちゃんに池田さん」

衣「ちゃんではなく」

透華「お邪魔しますわ」

久「美穂子に龍門渕さんも。もう東京に来てたのね」

美穂子「鶴賀の方達も、明日から応援に来るそうですよ」

久「そっか、ゆみ達も……個人戦にも出ないのに来てくれるなんて……」

池田「それだけお前達が期待されてるってことだし!だから頑張るし!」

久「そうね、絶対勝たなくっちゃ!」

衣「ところで、さっきから何を見ているのだ?」

咲「あ、今やってる試合を……」

美穂子「阿知賀女子学院……ですか」

久「知ってるの、美穂子?」
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:55:36.61 ID:cVyoYvzUo

美穂子「10年前にあの晩成高校に勝って全国出場を果たしてる高校ですね」

美穂子「晩成高校はそれまでに奈良大会を30年連続で制し、全国出場していた強豪校です」

優希「30年連続ってすごすぎるじぇ」

淡「智弁学園と天理高校を足したようなもんだね〜」

衣「晩成は去年衣達とも一回戦で戦ってるぞ〜。大将のやえは、衣と戦って飛ばなかった中々の強者だぞ!」

池田「今年はその10年前に選手として出場した人が監督になって、晩成を再び倒して阿知賀を全国に導いたらしいよ」

久「随分詳しいのね?」

美穂子「コーチが10年前、全国出場した時に一回戦で負けた相手が阿知賀女子なんです」

美穂子「その時の阿知賀のエースが赤土晴絵さん……現在の監督の方だとコーチが言ってました」

池田「その赤土って人だけど、調べたらすんごい人だったんだよ」

美穂子「あの小鍛治プロから、国内で唯一倍満を直撃させた人……」

まこ「阿知賀女子学院……!こりゃまたどえらいトコが出てきたのぅ」

玄「ロン!タンヤオドラ12!48000の三本場は48900です!」ドヤァ
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:56:19.79 ID:cVyoYvzUo

―――――翌日

蒲原「おーい!」

久「あ、鶴賀のみんな」

加治木「間に合って良かった。一回戦を突破できるように頑張ってくれ」

久「うん、ありがとね、ゆみ」

桃子「嶺上さん、頑張ってくださいっす!あなたならきっとやれるっすよ!全国に嶺上さんの力を知らしめてやりましょう!」

咲「あはは、ありがと、桃子ちゃん。頑張るよ」

淡「よし!それじゃあ行きますかっ!」
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:57:02.94 ID:cVyoYvzUo

―――――大将戦

淡「ロン!6400てんっ!」

恒子「大星選手の混老頭七対子が炸裂〜!東初で早々に飛ばして、清澄が二回戦進出を決めました!」

恒子「しかし小鍛治プロ、大星選手はバラバラの字牌四つの手からどんどん出来面子を落としていってこの手を完成させましたね」

恒子「県予選決勝でも似たような打ち方をされていたようですけど、これはどうご覧になりますか?」

健夜「そうですね、彼女には牌が見えていたと言うよりは圧倒的な力で引き寄せたように感じます」

健夜「清澄のグレート・アトラクター……」

健夜「その強さの程はともかく、彼女はこの七対子と言う手に絶対的な自信を持っているようですね」

健夜「それはとても素晴らしいことだと思います」

恒子「うわっ、出たよ。すこやんのペダンチックな上に上から目線。若い子には厳しいね〜!」

健夜「何でそうなるの!?」
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:57:34.12 ID:cVyoYvzUo

―――――夜、清澄の部屋

淡「楽勝だったね!全国一回戦!」

優希「おう!歯応えが無さすぎて拍子抜けしたじょ!」

まこ「全員がプラス収支で他校を飛ばして勝ち抜け。初戦の入り方としてはこれ以上ないくらいじゃな」

久「浮かれるのはまだ早いわよ?二回戦の相手、忘れてないでしょうね?」

咲「永水女子……!」

久「昨年度三位のシード校にして、あの神代がいるのよ。ここからが本番なんだから!」
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 03:58:13.79 ID:cVyoYvzUo

まこ「神代小蒔……あの天江衣や宮永照と並び称される、全国トップクラスの雀士……!」

優希「確か、先鋒……そんなすごい人が、私の相手……」

京太郎「お?ガラにもなく怖気づいたか?」

優希「そんなわけない……逆に燃えてるじょ!その巫女さんには悪いけど、踏み台にさせてもらうじぇ!」

久「ん。優希ならきっとそう言ってくれると思ったわ」

京太郎「まったく、お前らしいな」

咲「淡ちゃん、私達も頑張ろうね!」

淡「うん!」
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/10/25(木) 04:01:15.21 ID:cVyoYvzUo
今日はここまで。次回は二回戦終了まで書き上がったら投下します。
若干の麻雀描写を含むので結構時間掛かると思われます。
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/10/25(木) 06:01:51.61 ID:LYXDBs6O0
乙です
四十前学園が夢オチだとっ・・・・
もっと早くiPSの研究が進んでいればっ、あるいは
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県) [sage]:2012/10/25(木) 06:31:52.99 ID:pOdMUO0Q0
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/25(木) 08:51:27.29 ID:zkbiuAEIO
よかった…アラフォーのアラフォーのなんていなかったんや…
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/10/25(木) 17:05:33.60 ID:iaCkCKUz0
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/10/25(木) 17:30:42.03 ID:W8meEuPv0
準決勝副将がおもしろそうだな

咲さん
漫爆発
塞塞ぐ
はっちゃん
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/26(金) 12:22:07.95 ID:ROXqDclGo
>>280
アカン、塞ちゃん倒れてまう
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/10/28(日) 19:21:15.44 ID:fSWPH3BUo
>原作からの変更点(全国版)
この変更うまいなあ
描写の無い2校より2回戦校の方が面白そうやし
姫松と宮守の変更がどう影響するか楽しみ
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:28:19.33 ID:NYNPF3Ibo
お待たせしました。
二回戦終了時まで投下します。

>>276>>278
さすがに照のいない全国編は書ける気がしないですw

>>280-281
準決勝の副将戦はいろいろと書きたいことが固まったけど他はまだあまり決まってないです。
とりあえず各対戦での点数移動を考えてる段階です。



今回、清澄、永水以外の相手はモブになっていますが、話の都合上モブキャラが原作キャラより
収支で勝っている対戦もあります。そういうの苦手な方は注意。

あと微エロ注意。
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:29:10.70 ID:NYNPF3Ibo

―――――大会6日目、Bブロック二回戦

恒子「さあ、大会も6日目に突入!本日でシード校が全て登場。ベスト8まで出揃います!」

健夜「何と言っても注目は新鋭清澄高校と永水女子の対決ですね」

健夜「窯瀬高校と喪武大三高も地味ですが良い選手が揃っているのでチャンスは十分あると言えます」

恒子「さあ、間もなく先鋒戦に出場する選手達が入場してきます!」

恒子「清澄高校先鋒は片岡優希選手!一回戦では東場での圧倒的火力を存分に発揮しました!」

健夜「県予選の頃と比べると南場でも幾分か集中力が持続するようになっていますよね」

健夜「あの神代選手を相手にどう立ち回るか楽しみです」

恒子「窯瀬高校先鋒は島津健夜選手!すこやんと同じ名前ですね〜」

健夜「彼女は空手の有段者で、超攻撃的な打ち手ですね。最終形の待ちを広くする手作りに定評があります」

健夜「特に三面待ちを得意とすることから三角待ちの異名を持ちます。やや失点が多い選手ですが、火力は見た目以上に高いです」

恒子「喪武大学第三高校は志崎仁美選手!なんとモノホンの超お嬢様!美人で気立ても良いクラスの人気者です!」

健夜「それ今言う必要ないよね!?」

恒子「そして皆さんお待ちかね!第三シード、鹿児島永水女子先鋒は……神代小蒔ッ!」

恒子「昨年は一年生ながら大活躍した永水女子不動のエース!今年はどんな闘牌を見せてくれるのかッ!?」

恒子「間もなく先鋒戦、スタートですッッッ!」
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:29:55.07 ID:NYNPF3Ibo

―――――東一局4巡目 親:片岡優希

優希(よし、手は順調!この巫女さんは衣ちゃんみたいな支配系の能力は持ってないみたいだじぇ!)

優希「先んずれば人を制す!先制リーチ!」ダァン 二萬

小蒔「……ロン」

神代、手牌 ドラ:南
二二二三四五六七七七南南南

咲「東場の優希ちゃんよりも速く、あんな手を!?」

淡「それよりも優希ちゃん、何を切ってもロンされてた……」

優希、手牌
一一一三三三四四四五六七八

優希(この手で負けるって……この巫女さん……!やっぱり只者じゃないじぇ!)
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:30:46.68 ID:NYNPF3Ibo

―――――東二局三本場 親:神代小蒔

小蒔「ツモ。3900オールは4200オールです」

恒子「永水神代、これで親で四連荘!東一と合わせるとなんと五連続和了です!」

島津(まさか、ここまで強いなんて……)

志崎(もうどんなに安くてもいいから速攻で親を蹴るしかありませんわ!)
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:31:39.58 ID:NYNPF3Ibo

白望「アレが……神代小蒔」

トシ「次の試合で臨海と姫松を倒すと、準決勝ではあたることになるだろうね」

豊音「ずっとテレビで見て憧れてた人だけど、直で見るとすごい迫力だよ〜」

トシ「九面最強を降ろした神代……噂には聞いていたけどこれ程とはね」

胡桃「オーラが違うよね、オーラが!」

白望「ダルそうな相手……ここで落ちてくれないかなぁ……?」
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:32:29.31 ID:NYNPF3Ibo

―――――後半戦南四局オーラス 親:神代小蒔

優希(うぅ……こんなの……勝てるわけないじょ)カタカタ

島津(2万失点の屈辱……なんてことだ……!)グヌヌ

志崎(配牌聴牌!これは地和もありえますわ!)

優希(でも、最後まで諦めないじょ!少しでも多い点数で、次に繋ぐ!)タンッ 西

小蒔「ポン」トン 7索

恒子「おっと、神代選手、ここでオタ風の西を鳴いたぞォ!しかし役牌もなくチャンタやホンイツも遠い手!」

恒子「これは一体、どういうことなんだァーーー!?」

優希(よし、手が進んだじぇ!この形なら倍満も狙える!)タン

島津(妙な鳴きだなぁ……しかも10種11牌で国士狙えるのにこんなの引いてくるし) ツモD筒

島津(後々危険になる。真ん中は先に切っておこう)タンッ D筒

志崎(なるほど、神代小蒔さん……そう言うことですか……)
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:33:15.03 ID:NYNPF3Ibo

健夜「片岡さんの西を鳴かなければ志崎さんが地和で和了ってましたね」

恒子「わかってたってことですか?またまたすこやんも冗談が上手いんだから」

健夜「でなければあの鳴きの意図は説明できないと思いますけど」

恒子「んーと、気分で!すこやんだって無性にポンしたくなる時くらいあるっしょ?」

健夜「ないよそんなの!」

志崎「ロン。平和のみ、1000点ですわ」

島津(くっ……!国士が!)

優希「…………」レイプメ
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:33:50.33 ID:NYNPF3Ibo

小蒔「お疲れ様でした……」

志崎(これ以上連荘されたら大変ですし、他の方の手も大きそうだった……私の判断は間違ってなかったと信じたいです)

恒子「先鋒戦終了ーーー!永水、圧倒的勝利!強烈っ!激烈っ!爆烈っ!超絶無比ッ!誰も神代選手を止められませんでした!」

先鋒
清澄  64100(-35900)
永水 186400(+86400)
窯瀬  75900(-24100)
喪武  73600(-26400)
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:34:46.98 ID:NYNPF3Ibo

―――――清澄控え室

咲「優希ちゃん……」

久「後半は他の二校からも狙い撃ちされて沈んじゃったわね……」

優希「…………」

咲「あ、優希ちゃん……」

優希「わた、私……また……うぐっ……えぐっ……」

咲「ゆ、優希ちゃん!大丈夫だよ。私達がきっと取り戻すから!」

優希「で、でも!これで……負けたら……私の、せいで……!」

淡「優希ちゃん!弱気になるなんてらしくないよ!サキも言ってたでしょ!みんなを信じて!」

優希「あわあわちゃん……」

まこ「またカタキは取っちゃるけぇ!見とき!」

優希「染谷先輩……」

京太郎「お前だって精一杯頑張っただろ。無い胸を張れよ」

優希「うん……」
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:35:23.77 ID:NYNPF3Ibo

―――――次鋒戦

恒子「さあ、永水の圧倒的リードで迎えた次鋒戦!間もなく選手入場です!」

恒子「現在一人沈みの清澄高校、次鋒は染谷まこ!このビハインドの中どう立ち回るのか!?」

恒子「窯瀬高校はアルテミス・"タウラス"・バラン選手!ギリシャからの留学生で、黄金の野牛の異名を持ちます」

恒子「喪武大三高は岬瞑選手!見えざる者の異名を持ち、他の虚を突く和了りを得意としています!」

恒子「永水女子次鋒は狩宿巴!常に冷静で、チームのブレイン担当ですね!」

恒子「各選手達が卓につきました!間もなく次鋒戦、スタートです!」
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:36:02.80 ID:NYNPF3Ibo

巴(霞ちゃんはこれだけの点差があるから準決勝に備えて他校の打ち筋を見るように言ってたっけ)

巴(仮に三位以下に落ちてもはっちゃんがまた取り返してくれるし、最初は他家を観察しましょうか)

バラン(この点差……一位通過狙いは現実的ではない。ならば……)

岬(一番沈んでいるところ……悪いけど、狙い撃ちさせてもらうわ)

まこ(さて、どうしたものか……)
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:36:51.15 ID:NYNPF3Ibo

恒子「次鋒戦終了ーーー!」

清澄  39500(-24600)
永水 194200(+7800)
窯瀬  80900(+5000)
喪武  85400(+11800)

恒子「窯瀬高校と喪武三高の考えは示し合わせたかのように一致!清澄を狙い撃ちして点を稼ぎました!」

恒子「中堅戦以降も二校の考えが同じなら清澄は更に厳しい立場になったと言わざるを得ませんね!」

健夜「ええ。ですが、清澄高校の中堅以降の三人は地区予選から全試合2万点以上のプラス収支ですから、まだわかりませんよ」
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:37:27.55 ID:NYNPF3Ibo

―――――清澄控え室

まこ「不甲斐のぅてすまんのぅ、こんな形であんたに繋ぐなんて……」

久「まあ仕方ないわよ。全国区の選手達に狙い撃ちされたらいくらなんでも厳しい」

久「特にあの喪武三高の子は妙な能力持ちで、まこには相性の悪い相手だったしね」

咲「部長、そ、その……」

久「咲と淡はもっと気楽に、リラックスしてていいわよ」

咲「えっ?」

久「私がみ〜んな飛ばしちゃって、副将戦はやってこないから」ニヤリ
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:38:39.52 ID:NYNPF3Ibo

恒子「窮地に立たされた清澄高校、中堅は部長の竹井久!このピンチをどう切り抜けるか!?」

恒子「窯瀬高校は崎森三有選手!SGJS(スーパーがんばり雀士)の異名を持つ努力型の打ち手です!」

恒子「喪武三高は出来生英子選手!小学校の頃からテストは常に100点!スポーツも万能なチート少女ですね!」

恒子「永水女子は一年生の滝見春!滝見・春なのか滝・見春なのか未だにわからない人がちらほらいるのが悩みだそうです」

健夜「そんなことよりもっと紹介するべき事があるよね!?」

恒子「あーそう言えば、昨年鳴り物入りでプロデビューしたあの戒能プロの従姉妹だそうですね」

健夜「良子ちゃん、私も去年リーグ戦で対戦したことがあります」

恒子「へー。それで、どうでした?」

恒子(また始まっちゃうかなー?すこやんの自虐風自慢が……)
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:39:44.03 ID:NYNPF3Ibo

健夜「彼女は二年前のインターハイ個人戦でも、当時一年生だった宮永照に東初で親の三倍満を直撃させて飛ばしてますね」

健夜「宮永選手にとっては公式戦では唯一、トップを取れなかった試合ですからね。深く心に残っているかも知れません」

恒子「それどころか人生で初のラスなんじゃないの?あのチャンピオンにとっては」

健夜「宮永照選手の場合は本当にあり得そうで怖いですね」

恒子「ちなみにすこやんはラスを取ったことは?」

健夜「ありません」キッパリ
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:40:45.63 ID:NYNPF3Ibo

>>297は冒頭の二行が抜けていました。

健夜「すごく強かったです……私から二局もの間、リードを奪っていたのは国内ではあの方が初めてです」

恒子「うわっ、想像以上にすげー自慢が来た!?」

健夜「彼女は二年前のインターハイ個人戦でも、当時一年生だった宮永照に東初で親の三倍満を直撃させて飛ばしてますね」

健夜「宮永選手にとっては公式戦では唯一、トップを取れなかった試合ですからね。深く心に残っているかも知れません」

恒子「それどころか人生で初のラスなんじゃないの?あのチャンピオンにとっては」

健夜「宮永照選手の場合は本当にあり得そうで怖いですね」

恒子「ちなみにすこやんはラスを取ったことは?」

健夜「ありません」キッパリ
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:41:44.34 ID:NYNPF3Ibo

和「お義姉さんにもそんな時期があったんですね……」

照「やめろ。あれは私の黒歴史なんだ。今やったらきっと負けない……逆に飛ばしてみせる」

菫「それに、ラスなら家族麻雀で何度も体験してるよな?」

照「そ、それは……一位を取って喜ぶ咲の顔が見たかったからわざと振り込んだりしただけだ!」

和「でも私の咲さんがプラマイゼロを始めてからもラスを取り続けてたらしいですね」

照「う……うぐっ……そうだよ。どうせちっちゃい頃は麻雀下手だったもん……」グスン

照「うわーん!尭深〜!原村と菫がいじめるよ〜!」ギュッ

尭深「わっ……もう、仕方のない人ですね……」ギュッ

尭深「二人とも、宮永先輩は可哀想な人なんですから……いぢめちゃ駄目ですよ?」

照「そーだそーだ!」オッパイモフモフ

誠子「もうどこから突っ込んでいいのやら……」
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:42:19.90 ID:NYNPF3Ibo

―――――東四局流れ一本場 親:崎森三有

恒子「この中堅戦、これまでに和了ったのは東二局で満貫をツモった出来生選手のみ!」

恒子「竹井選手は得意の悪待ちで二度リーチを掛けていますが和了れず!非常に堅い面子ですね〜!」

春(点差は十分……ここはまだ、様子見でいい……)

久(うーん……窯瀬の子、私のリーチに対しては無筋も生牌もドカドカ切ってきた……)

久(それで地獄待ちの牌や壁の内側なんかは警戒してるのか、あんまり切らなかったわね)

久(でも、もしこの子が私には悪待ちしかないって言う幻想に囚われているなら……狙えるかも!)

数巡後

久(よし、張った!)

久、手牌 ドラ:東
二三三四四五ABC3444北

久「リーチ!」トンッ 北
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:43:37.10 ID:NYNPF3Ibo

出来生(清澄の部長……三度仕掛けてきた……また悪待ちだろうか?) ツモ5索

出来生(いや……!この人は直前に悪待ちを見せて相手の心理を誘導し、打ち取る和了りもしている)

出来生(完全安牌はないが、ここならノーチャンスだし、通常の待ちなら当たることは少ない!)トン G筒

崎森(喪武……よくそんなところ通すな……清澄の悪待ちを知らないわけじゃないだろうに) ツモ2索

崎森(危ないか?いや、でもこの人はこんな素直なところで待つとは思えない)

崎森(私は一回戦で大量失点を喫してチームに迷惑を掛けてしまった……だからこそ、ここでは取り戻さなくちゃいけないんだ!)

崎森「そう何度も、振り込んでたまるかー!」ダァンッ 2索

久「通らないなそれは……ロン!」

恒子「崎森君、振り込んだーーー!」

久「リーチ一発タンピン三色裏1。12300!」

崎森(な、なんで、こんな普通の手を……!?その手なら北単騎じゃないの!?)

久(よしよし。これで……悪待ちし易くなったわ!)
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:44:41.56 ID:NYNPF3Ibo

恒子「中堅戦終了ーーー!」

清澄  60700(+21200)
永水 197500(+3300)
窯瀬  41600(-39300)
喪武 100200(+14800)

恒子「窯瀬高校は手痛い失点でラス落ち!清澄高校は三位に浮上です!」

健夜「喪武三高は三位との差が大きく開いたので嬉しい展開でしょうね」

恒子「さあ、ますますヒートアップしてきた二回戦!勝負は終盤、副将戦に突入します!」
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:45:24.44 ID:NYNPF3Ibo

―――――清澄控え室

久「ただいまー」

咲「部長、お疲れ様です」

久「もうちょっと差を詰めておきたかったんだけど、喪武高校の子、中々やるわね〜。隙がなかったわ」

咲「後は任せてください。必ず逆転します!」

久「ん。頼りにしてるわ」

咲「行ってくるね、淡ちゃん!」

淡「…………」

久「淡……?」

淡「ん!?あ、ご、ごめん。頑張って、サキ!」
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:45:59.93 ID:NYNPF3Ibo

―――――永水控え室

初美「さて、私の出番ですけど」

春「他の高校の力はもう十分わかった……飛ばしても構わないと思う……」

霞「うーん……小蒔ちゃんはどう思う?」

小蒔「全ての相手に敬意を持って……全力以上で、当たりましょう」

初美「やったー!姫様から許可が出たですよー!全力で暴れて来ます」

霞「これは私の出番はまた無いかしら……嬉しいやら悲しいやら……」
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:47:10.80 ID:NYNPF3Ibo

恒子「さあ、間もなく副将戦が始まります!どのような展開になるのか楽しみですね!」

恒子「清澄高校は宮永咲!現在の高一最強と実しやかに囁かれてる、清澄のスーパーホープです!」

恒子「窯瀬高校副将は才野王子選手!強者と戦うのが好きな、攻撃的な打ち手です!」

恒子「喪武三高は高坂紀梨乃!人気ティーン誌の読モとして活躍している今時のJKですね〜」

恒子「ちなみに部活は陸上部と剣道部を掛け持ち!陸上では短距離走で全国大会出場と言う記録を残しています!」

恒子「趣味は妹モノのギャルゲー、休日は大好きなお姉ちゃんと買い物などをして過ごしているそうです」

照「こんなギャルっぽい子なのに私と趣味が同じだなんて……仲良くなりたい」

恒子「永水女子副将は薄墨初美!鹿児島県予選の歴代獲得点数記録を塗り替えた、超火力プレーヤーです!」

恒子「個人戦でのスコアは全国でも長野の天江衣選手に次ぐ第二位!」

恒子「役満の和了りも多い彼女ですが、全国でもその力を知らしめるのか!?この副将戦、まさに注目の一戦です!」
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:48:02.89 ID:NYNPF3Ibo

―――――東一局 親:宮永咲

巴「いきなりはっちゃんが北家で、東を鳴かせてもらいましたね〜。これは東初から来るかも知れないですね」

霞「でも喪武三高の高坂さんは北を抱えるつもりみたいね……」

咲(ん〜……)トンッ 北

初美「来ましたね、ポンですよ〜!」

紀梨乃「ロン。1600」

初美「えっ……?」

咲(やっぱり、北待ちの七対子……)

紀梨乃「はぁ〜……東をソッコー鳴かれたのはまだ良しとするけどさ、北まで切るとかあり得なくない?」

咲「でも、あなたが和了りましたよね?」

紀梨乃「えっ?なになに?まさか、わかってたの?あたしが北単騎で待ってること」

咲「まあ、そこだろうとは思ってましたけど……」

紀梨乃「ふーん……やるじゃん」
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:48:47.70 ID:NYNPF3Ibo

―――――南一局

初美(さっきは先に和了られましたけど、今回はそうはいきませんよー!)

優希「咲ちゃん、役満は回避したけど東場で一回も和了れなかったじょ」

京太郎「珍しいよな、こんなこと……」

まこ「それに比べて喪武のギャルは上り調子じゃの。牌譜見た限りじゃ好不調の波が激しい子みたいじゃが……」

久「妹キャラ……」

まこ「は?」

久「気になったから私も調べてみたんだけど、あの子が好調な時には必ず対局者に妹キャラがいたのよ!」

優希「な、なんだってーーー!?」

まこ「妹がいると強くなるとか、エライ限定的すぎる能力じゃのぅ」
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:49:38.97 ID:NYNPF3Ibo

咲(…………)タン 北

初美「ポンですよ〜!」

紀梨乃(ちょ!?何両方とも鳴かせてんのよ!?東一のやり取りからして永水の能力を知らないわけじゃないでしょ!?)

初美(さあ、どんどん大きいのが入って来ますよ〜)

数巡後

初美「ツモ……!8000、16000ですよ〜」

紀梨乃「小四喜……!」

才野「もう駄目だぁ……おしまいだぁ……みんな、みんな飛ばされるぞ」

初美「あの龍門渕を倒した清澄と戦うのは楽しみだったんですけど、ちょっと期待外れですね〜」

咲「…………」

初美「案外天江衣ちゃんも、それを倒した人も過大評価だったりするんですかね〜?」

咲「ふーん……」ゴッ
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:51:00.99 ID:NYNPF3Ibo

―――――南二局9巡目 親:高坂紀梨乃

咲(私は何を言われても構わないけど……淡ちゃんを馬鹿にするのは許さない……!)

咲、手牌 ドラ:四
北北二三四四四ABC234

優希「おっ、咲ちゃんこの試合で初めて聴牌したじぇ!」

まこ「じゃが、リーチしとらんから北か四萬じゃなきゃ出和了りはできん!」

紀梨乃「…………」トン 一萬

恒子「あっと、清澄の和了り牌が出ましたが役無しの方なので和了れません!」

初美(恐らく待ってるのはこの辺りですよね〜?でも……これでは和了れませんよ〜)タン 四萬
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:51:38.10 ID:NYNPF3Ibo

恒子「あっと、薄墨初美、ここぞとばかりに四萬を強打!清澄は同巡フリテンのため和了れません!」

咲「うん、ごめんね。私にはフリテンとか無いから……カン!」

初美「はっ……?」

咲「今日はカンドラ、乗せちゃっていいよね……?」ツモ一萬

咲「嶺上開花ドラ8……16000の責任払いです」

恒子「み、宮永咲!必殺の嶺上開花が炸裂ーーーッ!永水に倍満を直撃させました!」

初美(ふ、フリテンなのに和了られたー!?この人、ホントに麻雀を打ってるんですかー!?)
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:52:30.90 ID:NYNPF3Ibo

―――――後半戦東四局 親:才野王子

初美(さあ、来ましたよ〜私の北家!また役満を和了ってやります!)

咲(させないよ……!)トン 東

初美「ポン!」タン 九萬

紀梨乃(ちょ!?何やってんのよ!?これで北なんかツモったらまた抱えるしか……)ツモ北

紀梨乃(ん……?でも、ここで仮に役満をツモられたとしたら……!)

紀梨乃(点数はあたし達が2万点近く清澄をリードしてる!窯瀬は直撃で飛び、親被りでも飛び寸前にまでなる!)

紀梨乃(あたしはベタオリ、後は永水が役満をツモるなり他に直撃させれば二位は磐石になるんじゃ……?)

紀梨乃(姉貴が見てるんだから……あたしはどんな打ち方でも勝たなきゃいけないのよ!)タンッ 北

初美「それもポンですー!」

恒子「喪武三高、悩んだ末に北を強打!これは一体……!?」

健夜「二位狙いですね。自分が役満に振り込まずに和了らせれば、どうあれ有利に場が進む」

健夜「窯瀬が振ればその時点で勝ち抜けが確定しますからね。賢明な判断だと思います」

恒子「なるほど〜!さすが紀梨乃ちゃん!学力も県内トップクラスなだけあって計算高い!」

初美(さあ、入ってきて下さい……私の裏鬼門にっ……!)
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:53:26.60 ID:NYNPF3Ibo

加治木「清澄、まずいな。ここで役満を和了られると……」

睦月「で、ですが、放銃は避けられてもツモばかりはどうにも……」

池田「宮永……負けたら承知しないし!」

衣「咲が、この程度のこと……切り抜けられぬわけあるまい」

衣「衣が認めた数少ない打ち手だ。あの程度の幼子の後塵を拝するようでは困る」
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:55:07.35 ID:NYNPF3Ibo

紀梨乃(よし、後は永水に聴牌気配が来たら降りるだけ!)タン 8索

咲「カン!」ゴッ

初美(ここで大明槓ですかー?)

咲「もいっこ、カン!」

恒子「こ、これは!?県予選でも見せた、連槓からの嶺上開花かーーー!?」

咲「もう一個、カン!」

咲、手牌
一四五六 HHHH 4444 8888 嶺上ツモ赤D筒

恒子「おっと、嶺上開花ならず!これは珍しいですね〜!」

咲「……これで」タン 赤D筒

紀梨乃(嶺上牌をツモ切り……とりあえず責任払いはなくなって、助かったのかしら……?)
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:55:59.15 ID:NYNPF3Ibo

才野(なるほど、そう言うことか……)

才野「カン!」

恒子「おっと、今度は窯瀬高校が張っていない手から大明槓!当然嶺上開花はならず!そして完全安牌の九萬を切りました!」

初美「す、四開槓!?」

恒子「四槓流れ!四開槓は親流れなので窯瀬高校は役満親被りのピンチを脱出!薄墨選手の北家も流れました!」

才野「勘違いするなよ清澄?貴様に協力したわけではない。オレは親被りを避けたかっただけだ……」

初美(あの四開槓も故意にやったって言うのですか?私が北家で和了れないなんて……そんなの、ないない!)
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:57:17.37 ID:NYNPF3Ibo

―――――南四局オーラス6巡目

恒子「さあ、勝負はオーラスに突入!薄墨選手はまたもや東と北を鳴いています!」

咲(和了らせない……!薄墨さんの能力は確かにすごいけど、弱点だってある!)

初美(さあ、入ってきますよ〜。南と西が!)

二巡後

咲「ツモ。クイタンのみ300、500です」

初美「なっ……!?」

恒子「おっと、宮永選手!早和了りで役満手を一蹴しました!これで副将戦終了です!」

咲(東と北を鳴いたからってすぐに役満を和了れるわけじゃない……配牌から南と西が入ってることは極稀……)

咲(だから、鳴いてから四喜和を張るまでにタイムラグがある!そこが、あの子の付け入る隙……!)

清澄  90800(+30100)
永水 183400(-14100)
窯瀬  17800(-23800)
喪武 108000(+7800)
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:58:19.23 ID:NYNPF3Ibo

―――――清澄控え室

咲「すいません、何故か喪武の人からは全然和了れなくて……まくれませんでした」ペッコリン

久「仕方ないわよ。あの子は今まで一度も妹キャラからロンされたことがないみたいだから」

咲「そ、そうだったんですか!?なんか妙な能力持ちだと思ってましたけど……」

優希「まっ、後はあわあわちゃんに全部任せるじぇ!」

久「そうね。淡、出番よ!」

咲「頑張って、淡ちゃん!」

淡「行ってきます……」
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:58:54.65 ID:NYNPF3Ibo

まこ「なんかあいつ、テンション低かったな」

久「それなりにピンチだからね。緊張してるのかしら?」

京太郎「あの天真爛漫で元気の塊みたいなあいつが……?」

咲「淡ちゃん……!」
318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 05:59:43.88 ID:NYNPF3Ibo

恒子「さあ、いよいよ大将戦に入ります!」

恒子「清澄高校、一年生トリオのトリを務めるのは"グレート・アトラクター"大星淡!」

恒子「宇宙的神秘(コズミック・ミスティカル)を漂わせる美少女は準決勝への夢を見るか!?」

恒子「窯瀬高校大将は中国からの留学生、チャ・ヤム選手!」

恒子「喪武三高は赤座アカギ選手!なんかただものじゃない雰囲気を持ってますよね〜」

健夜「ええ。なんか、私達の住む世界とは根本から違う人……決して相容れることのないようなオーラを持っています」

恒子「そして現在断トツトップの永水、大将は石戸霞!すんごいおもちですよこれは!」

健夜「彼女はこれまで派手な和了りはありませんが、非常に防御力の高い打ち手です」

健夜「神代と薄墨が点数を稼いで石戸がシャットアウトするのが永水の一つの勝ちパターンになっています」

恒子「なるほど〜。と言うことは今のところ永水の理想通りの展開になっているわけですね!」

恒子「もう一位抜けは永水で決まったような感がありますが大将戦、どうなるのか!?」

恒子「激闘の二回戦第一試合もいよいよ大詰め!大将戦、スタートですッ!」
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:01:23.35 ID:NYNPF3Ibo

―――――東一局 親:赤座アカギ

淡、配牌 ドラ:八
東北發中七七八BBEF56

淡(インパチの直撃で、四位が飛ぶ……!)ツモ八萬

恒子「大星淡、これは得意のチートイツに持っていけそうな手ですね〜」

健夜「今ドラを含む三対子ありますから、後は手元にある字牌を引き寄せればいけますが……」

淡「…………」トン 北

優希「おりょ?そこなのか?いつもなら真っ先に中張牌の真ん中をぶった切るのに」

久「タンピン手にもいけそうだけど、字牌を引き寄せられるあの子が七対との両天秤でタンピンを選ぶのは珍しいわね」

まこ「淡の奴、中堅戦以降からずっと喋っとらんけぇ、なんか様子がおかしかったのお」

咲「淡ちゃん……」
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:02:29.24 ID:NYNPF3Ibo

数巡後

ヤム「降りろ、ぶっ飛ばされんうちにな!リーチ!」タン 一萬

恒子「ダンラスの窯瀬高校ヤム選手、先制のリーチを仕掛けてきました!これに対して他家はどう出るか!?」

淡「リーチ……!」タン 東

恒子「大星淡も追っかけリーチ!しかしこれは……?」

淡、手牌
六六七七八BBEFG678

健夜「普通の手……ですね。確かにあの配牌でしたら、普通の人ならタンピン手一直線でしょうけど……」

霞(ふんふむ……)トン 一萬

アカギ「…………」タン 赤D筒

ヤム「……!?」ツモ八萬

恒子「こ、これは!?ヤム選手、一発で掴まされた!」

ヤム「クッ……ちくしょお!」ダンッ 八萬

淡「ロン!」

霞「裏ドラも……八萬……」

淡「リーチ一発タンピン三色一盃口ドラ4!24000!」
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:04:01.56 ID:NYNPF3Ibo

アカギ「あらら」パタッ

赤座アカギ、手牌
東南南南白白白發發發中中中

恒子「劇的!しかしあっさりとした幕切れ!大将戦は東一で終了です!」

清澄 115800(+25000)
永水 183400(+0)
窯瀬 -8800(-25000)
喪武 108000(+0)

恒子「準決勝進出校は永水と清澄に決まりましたッ!」

霞「お疲れ様でした」ニコッ

淡「…………」ダッ
322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:04:56.07 ID:NYNPF3Ibo

―――――清澄控え室

優希「あわあわちゃん!やってくれたじぇ!」

久「ありがと、淡。私の夏も終わらずに済んだわ」

淡「…………」

まこ「淡?どうした?」

淡「ごめん……なさい。気分が、悪くて……先に帰って寝てます……」

久「ん、わかった。他のみんなは私の部屋ね。そこで反省会をやるから」
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:05:37.71 ID:NYNPF3Ibo

―――――咲、淡の部屋のトイレ

淡「うっ……うぅ……おぇぇぇ……」イエキ

淡「はぁっ……はっ……こ……怖かった……麻雀……負けるの、怖かったよぅ……」グスン

淡「うぅぅ……サキ……サキ……!」
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:06:22.78 ID:NYNPF3Ibo

―――――部長、まこ、優希の部屋

久「さて、無事に二回戦を突破できたわけだけど……今日、私達は永水に何点差つけられた?」

まこ「7万点弱……完敗じゃった……」

久「しかも、明後日の準決勝ではその永水よりも強い臨海女子が出てくるかも知れないのよ」

久「今の状態で決勝進出なんて論外!一回戦を楽々突破したからって浮かれてたのがわかったでしょ?」

優希「はい……」

まこ「確かに、浮かれてたかも知れんのぅ」

久「それじゃ早速、今日の反省点と課題を挙げていくけど……咲は部屋に戻ってなさい」

咲「えっ?」

久「咲も今日は思うところがあっただろうし、その答えもきっと咲じゃないと見つけられないものなんでしょ?」

咲「は、はい……」

久「それじゃあ私から言えることはこれだけ!淡の傍に、いてあげなさい」

咲「わかりました……」
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:08:00.73 ID:NYNPF3Ibo

―――――咲、淡の部屋

咲(淡ちゃん……寝てるかな?)

咲「ふぅ……」ドサッ

咲「永水のあの子……今日は何とか凌いだけど、今度はあれだけじゃ終わらない気がする……」

咲「まだ、何か隠してる……今すぐそれに気付かないと一生後悔しそうな何か……」ブツブツ

淡「サキ……」

咲「あっ、ごめん淡ちゃん。起こしちゃ……っ?」

咲「あ、淡ちゃん!な、何で脱いでるの!?」
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:09:04.55 ID:NYNPF3Ibo

淡「サキ……!」グイッ

咲「ま、待って淡ちゃん!今はダメ!考えなくちゃいけないことがあるの!だから後で!ね?」

淡「んっ……」チュッ

咲「ふぁっ……!はぁっ……んっ……!」チュパチュパ

咲(気持ちいい……ちゅーは反則だよぅ……流されちゃ……ダメ……なのに……)

咲「はっ……あっ、ま、待ってよ淡ちゃん……どうしてこんなっ……強引に……んっ……」

咲「少しだけ後にして?マジメに考えたいことがあるんっ……からっ……あっ……ん……」

淡「マジメ〜?ふふっ……」ムニムニ

咲「んんんっ!?」ビクッ

淡「違うよね?サキはマジメな女の子じゃなくって……」

咲「ちょ……ダメ!そこはッ……」

淡「サキちゃんわぁ……エッチな女の子だもんね?」

咲「は……やっ!あっ……だ……あっん!」ビクビク

淡「エッチなサキちゃん。舌出してごらん?そしたらも〜っと良くしたげるよ」
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:09:58.73 ID:NYNPF3Ibo

咲(これ以上流されたら何も……考えられなくなっちゃう……ッ)ビクッ

咲(おかしいよ……淡ちゃんが、こんな強引に迫ってきたことなんてなかったのに……)

咲(一体どうしちゃったの……淡ちゃん……!)クチュクチュ

咲「淡ちゃんッ!私、もうッ……」

淡「サキ……私のこと好き?好き?」

淡「ねえ好き?」

咲「うん!うんっ……んっ……!」
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:10:39.44 ID:NYNPF3Ibo

咲「もお〜!ヤダって言ったのに……淡ちゃんの馬鹿……!」

淡「ねえサキ?」

咲「ん〜?」

淡「私のこと、まだ好き?」

咲「!?」

咲「ど、どうしちゃったの、淡ちゃん!?」

淡「今日、気づかされちゃったんだ……私、サキと一緒に歩いていく資格なんてないんだって……」
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:11:32.09 ID:NYNPF3Ibo

淡「優希ちゃんと染谷先輩が狙い撃ちされて……部長もサキも頑張ったけど二位に上がれなくて……」

淡「ずっと、ずっと控え室で震えてた……ラスにインパチ直撃だけで終了……私達の夏が、終わる……」

淡「卓についても怖くて仕方なかった……私のせいで全て終わっちゃうって考えたら……」

淡「もう自分の麻雀なんて打てなかったよ……普段は強がってみたり、おちゃらけてたりするんだけど」

淡「追いつめられると弱い自分を隠し切れないんだ……こんな私なんて……嫌われて当然だもん」

咲「淡ちゃん……?」

淡「ごめんね、強引にしちゃって……もうしないから」

淡「ごめん……」

咲「…………」
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:12:35.60 ID:NYNPF3Ibo

咲「大好きだよ」

咲「淡ちゃんの綺麗な金髪が好き」ナデナデ

咲「上級生にも物怖じしない天真爛漫なところも好き」

咲「本当は誰よりも優しいところも好き」

咲「これからもずっと一緒にいよ?」

咲「淡ちゃんが弱いんなら、私が強くなるから」

咲「ずっと……大好きだからね」

淡「うっ……うぅ……サキ!サキぃ……!」

咲「……それに」グイッ
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:13:14.78 ID:NYNPF3Ibo

淡「……!?」ドサッ

咲「誰が、エッチな女の子だって!?」

咲「今夜は寝かさないからね!?」ゴッ

淡「…………」

淡「えへへ……優しくしてね?」
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:14:11.03 ID:NYNPF3Ibo

恒子「はい、『熱闘!高校生麻雀大会』の時間です!大会6日目、本日はBブロックの二回戦二試合が行われましたッ!」

恒子「第三ブロックはシードの永水女子と、熾烈な二位争いを制した清澄高校が勝ち抜け!」

恒子「第四ブロックは昨年度準優勝校の臨海女子、名門姫松、伏兵の宮守、有珠山と言う顔合わせ!」

恒子「終始息つく暇もない攻防戦、一位通過は宮守女子!そしてぇーーー……第二位は姫松!この二校が勝ち抜けとなりましたッ!」

恒子「臨海女子が初戦で姿を消すと言う大番狂わせ!この結果を誰が予想したかッ!?」
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:14:40.26 ID:NYNPF3Ibo

Aブロック準決勝進出校
白糸台
阿知賀
新道寺
千里山

Bブロック準決勝進出校
清澄
宮守
永水
姫松
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:15:39.68 ID:NYNPF3Ibo

恒子「さてさて、本日でベスト8が全て出揃ったわけですが、毎年恒例のアレ、いっちゃいます?」

恒子「ジャーン!プロ雀士の、優勝校予想コーナーーーァァァッ!」

恒子「本日ゲストで来ていただいてる五名のプロ雀士に、優勝校を大胆予想してもらおうと言うコーナーです!」

恒子「見事に予想を外しちゃった人には視聴者さんみんなでプギャーしてあげましょう!」

健夜「なんで叩くことが目的になってるの!?」

恒子「さて、本日来ていただいてるプロ雀士は、小鍛治プロ、三尋木プロ、瑞原プロ、戒能プロ、大沼プロの五名です!」

恒子「ハタから見たらおじいちゃんのハーレムです!羨ましいぞーこの!この!」

健夜「そう言うのいいから早く始めようよ、こーこちゃん!」
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:16:16.48 ID:NYNPF3Ibo

恒子「それでは皆さんの予想を一人ずつ見ていきましょう!まずは一番若い戒能プロから!」

白糸台

戒能「まあ、総合力を考えればここ以外あり得ないかと……」

戒能「宮永照って言うすっげえモンスターの力が抜きん出ていますけど、他の選手も十分全国トップレベルです」

恒子「はいはい無難無難。笑いも取れないとプロの世界では生きていけないぞ、ゴールデンルーキー!」
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:16:56.93 ID:NYNPF3Ibo

恒子「続きましては、最年長!老獪なる大沼プロの予想です!」

白糸台

恒子「あれ〜?確か大沼プロは永水推しじゃなかったでしたっけ?」

大沼「うむ……確かにワシのはっちゃん率いる永水を推したいのは山々なのじゃが……」

大沼「どうしても雀力で見たら白糸台以外には考えられんのでな」

大沼「本来なら宮永照などと言うワシのカミさんと同レベルのババアが率いるチームなど選びたくもないがな」
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:18:03.68 ID:NYNPF3Ibo

恒子「はい、大沼プロでした〜!続いてはきっつい現役アイドル、瑞原プロの予想です!」

白糸台

恒子「ありゃりゃ?こりゃまさか満場一致とかないですよね?企画としては面白くないですよ〜」

はやり「実は〜これ、はやりの贔屓目も入ってるんですよぅ〜」

恒子「ほう。贔屓……と申しますと?」

健夜「仰いますと!」

はやり「今日会場の廊下で偶然白糸台の部長さんと会ったんですけど〜、彼女、私を見るなり大はしゃぎで近づいてきてサインを求めてきたんです」

はやり「聞けば魔法少女モノとかファンシーグッズが大好きだとか」

恒子「えっ!?あの弘[ピーーー]れさんが!?クールそうなのに、意外ですね〜」
※プライバシー保護のため、一部音声に修正を加えました。

はやり「そんなはやりんと同じ趣味を持つあの子がいる白糸台には是非優勝して欲しいな〜って」

はやり「思ってしまうのでした」テヘペロ

恒子「ふぅーむ、なるほどなるほどなるほど〜。さて、ここまでガチ予想は一人だけですが……」

戒能「なんでそれが悪いみたいな言い方なんですかねぇ……」
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:19:33.87 ID:NYNPF3Ibo

恒子「続いては現在の日本最強!A代表不動のエース、三尋木プロの予想を見ていきましょうか!」

清澄

恒子「おっ?初めて白糸台以外が出ましたね〜。して、その心は?」

咏「いやわかんね〜!全てがわかんね〜から適当に選んだ!」

咏「ただ一つ、私でもわかってることを挙げるとさ〜、このチーム、主人公気質っぽくね?」

恒子「はぁ……」

咏「ほら、このチームくらいっしょ?予選決勝で大接戦の末に勝利を掴んだところって」

咏「他はもう、決勝の四校の中ではそこ以外ありえないって前評判を受けて、事実その通りに勝ち上がってきたところさね」

咏「清澄は決勝で全国でも最強クラスの高校を下し、勢いそのままに一回戦を突破」

咏「しかし二回戦でシード校永水と言う強大な壁にぶち当たり、味わう挫折……」

咏「そしてそれを仲間達と共に乗り越える!愛と友情、勇気の大作戦!絆が力!」

咏「ほら、これってどう見ても少年漫画の王道じゃね?」

恒子「なるほど!確かに、総合的な雀力だけでは測れないことだってありますよね!」
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:20:36.61 ID:NYNPF3Ibo

恒子「それを踏まえた上で、オオトリは過去の日本最強、小鍛治プロです!さあ、どうぞ!」

阿知賀女子

恒子「おっと、これはまた、他と違う予想になりましたね!さすが目立ちたがりのすこやん汚い!」

健夜「私がこのチームを選んだ理由は、潜在能力の高さが決め手でしたね」

恒子「うわっ、聞いてもいないのに語り出したよこの人!?」

健夜「確かに、総合力やこれまでの勝ち上がり方なんかは予想をするのに重要な要素になるとは思います」

健夜「ですが、阿知賀女子の本当の強さはそれらを根底から覆すもの……」

健夜「彼女達は試合の中で少しずつ……しかし着実に成長を続けています」

健夜「決勝までにその力を全て引き出すことが出来れば、優勝も夢ではないと思います」

恒子「はい、以上!小鍛治プロのありがたいお言葉でした!」

恒子「それじゃあ今日はこの辺でお別れです!バイバーイ!」
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:21:36.18 ID:NYNPF3Ibo

―――――照の部屋

照「大沼プロ……あのジジイ……殺すッ!」プルプル

誠子「ドンマイですよ、宮永先輩」プークスクス

菫「……バラされた……ずっと隠してきた……私の、秘密」ドヨーン

尭深「落ち込むことはないですよ部長。私も、可愛いもの好きですし」

菫「違うんだ、渋谷……お前と私では、世間の風当たりが……」

和「まあまあ……プロの方々も概ね私達の実力を評価してくださってるようですし……」

和「今一度知らしめましょう……私達が、最強だと言うことをッ……!」

和(それにしても、阿知賀……玄さんや憧……それに、穏乃も出ていたんですね……)

和(明日は、ちょっとだけ楽しみですね……)
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/03(土) 06:26:14.46 ID:NYNPF3Ibo
今日はここまでです。
咲×淡のエロシーンは漫画版「新世界より」ほぼそのままです(ステマ)。
新世界よりの主人公の名前も早季(さき)だったのでこのネタがやりたかっただけですw
ぶっちゃけ全国編はこれをやりたいが為だけに書いてましたw
次回はBブロック準決勝に入る前に阿知賀サイドの二回戦、準決勝をダイジェスト風に投稿する予定です。

それではここまで読んでいただいた方、レス下さった方ありがとうございました。
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage]:2012/11/03(土) 06:53:26.99 ID:G5hD3JuU0
乙。
この先の展開も楽しみ。
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/03(土) 20:20:29.78 ID:0crKrCZLo
乙キマシタワー
今後は淡は大将のプレッシャーは乗り越えられそうで何より。

しかし他2校のモブキャラの元ネタチョイスのセンスがなかなかww
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/11/04(日) 22:23:24.67 ID:fWaVYc1bo
乙乙
淡咲とプロの予想ええなー
続きも楽しみにしてます
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:14:42.75 ID:Oq0dLQCNo
阿知賀サイドダイジェストを投下します。

>>282
さすがに臨海の能力や性格、有珠山に関しては名前すらわかってないのでこれで一戦書くのは厳しいと思いましたので。
でも臨海のファンの方達には申し訳ないことをしたと思ってます。

>>342
ありがとうございます。何とか楽しんでもらえるように各校に見せ場を用意したいです。

>>343
たまにはこんな咲ちゃんとあわあわもいいよねってことで。
さすがにモブ校が完全空気で永水とのタイマンだと一戦書けるとは思えなかったので、色んな方面から出演していただきましたw
楽しんでもらえたら幸いです。

>>344
大沼プロが色々と酷すぎてごめんなさい。でもあの人の第一印象はあんな感じでしたw
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:15:14.56 ID:Oq0dLQCNo

・原作からの変更点(Aサイド)

阿知賀
>>252を参照

千里山
泉ちゃん:次鋒→副将
フナQ:副将→次鋒

越谷女子
ソフィアさん:先鋒→次鋒
花子:次鋒→先鋒

劔谷
梢さん:中堅→先鋒
もーちゃん:先鋒→次鋒
依藤澄子さん:次鋒→中堅

新道寺
オーダー変更なし

白糸台
本編>>256辺り参照
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:17:01.03 ID:Oq0dLQCNo

―――――先鋒戦

怜「リーチ……!」カッ

花子「げっ……そりゃーマジ鳴けないっすわ〜」

梢(阿知賀の先鋒の方は萬子が集まりやすいはず……ここは鳴けますか?)タン 五萬

宥「チー……です」

怜(一発、消された!?)タン E筒

宥「ロン。3900です」

怜(これは……一筋縄や行かないっちゅうことか……なるほど、楽しめそうやな)

阿知賀  116300(+16300)
千里山  135900(+35900)
劍谷    76700(-23300)
越谷女子 71100(-28900)

えり「園城寺選手が大きく稼ぎましたが、阿知賀、松実宥選手も大健闘!」

えり「越谷と劍谷にとっては厳しい滑り出しとなりましたね」

咏「その二校はあえて次鋒にエースを置いて稼ぐ作戦を取ってるからねぇ。次に期待かな」
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:18:23.09 ID:Oq0dLQCNo

―――――次鋒戦

美幸「もーこの手はリーチしかないよね〜」

灼「追っかける……!」ゴッ

ソフィア「甘い!ロン、6400!」

灼「くっ……!」

美幸「そっちも!?リー棒出し損だよもー」

船久保「ふむ、なるほどなるほど」

船久保「って、データ取りに集中しすぎて何もしてへん!?」

阿知賀  102600(-13700)
千里山  123800(-15100)
劍谷    85900(+9200)
越谷女子 90700(+19600)

えり「越谷と劍谷がプラスで終了。次鋒にエースを置く作戦が功を奏したと言えるでしょう」

咏「これでまたわっかんなくなってきたね〜。これだからインハイは面白い!」
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:19:16.59 ID:Oq0dLQCNo

―――――中堅戦

セーラ「3900三回刻むより、12000一回和了る方が好きやねん!3000、6000!」

玄「私はどっちかと言うと16000を三回和了る方が好きだな〜。あっ、ロンです。タンヤオドラ7」

セーラ「なんやねんその火力!オレも負けへんで!12000を5回刻んだる!」

澄子「ドラは来ないしもう一人はドラ無しでも高いし……」

史織「やーん」

阿知賀  115100(+13500)
千里山  143200(+19400)
劍谷    83600(-2300)
越谷女子 60100(-30600)

えり「阿知賀と千里山の大火力合戦!手数で上回った千里山がリードを広げる形となりました!」

咏「劍谷はこの卓でよく凌いだね〜」
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:20:32.67 ID:Oq0dLQCNo

―――――副将戦

憧「ツモ!3900、2000!」

友香「叩き合い上等でー!8000オール!」

憧(こ、この子……!)

友香(なかなかの打ち手でー)

憧、友香(より多く奪う!)

泉(な、なんやねんこの二人……インターミドルにも出てなかった二人に、ウチが……!)

泉(私は高一最強……!最強の、ハズやったのに……!)

玉子「Noーーー!である!」

阿知賀  126700(+11600)
千里山  125500(-17700)
劍谷   115700(+32100)
越谷女子 32100(-26000)

えり「一年生同士の叩き合いはバカヅキした劍谷が大幅なプラスで勝利!」

えり「三校全てにチャンスがあると言ってもいいでしょう!厳しい立場に立たされた越谷女子は意地を見せられるか!?」
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:21:41.56 ID:Oq0dLQCNo

―――――大将戦

八木原「ロン!12000!」ドヤァ

穏乃「ヤバイヤバイヤバイ!まくられる!」

莉子(友香ちゃんが稼いで、望みを繋いでくれたんだ!負けないよ!)

穏乃「つ、ツモ!300、500です!」

莉子「そ、そんな」ガーン

竜華「あ、アレ?ウチ、なんもしてへんよーな……」

阿知賀  114900(-11800)
千里山  129200(+3700)
劍谷   112200(-3500)
越谷女子 43700(+11600)

えり「試合終了!阿知賀、劍谷の追撃を躱して何とか逃げ切り!越谷女子も区間トップで意地を見せましたが一歩及ばず!」

えり「準決勝進出は千里山と阿知賀女子に決まりました!」

咏「いやーしかしわかんね〜もんだねぃ。大方の人は千里山が圧勝すると思ってたみたいだけど」

えり「そうですね、副将戦では阿知賀が千里山を上回りましたし、本当にインハイは何が起こるかわからないですね」

咏「阿知賀は試合中にもどんどん成長していってた。これはまだまだ強くなるね!知らんけど」
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:23:02.24 ID:Oq0dLQCNo

―――――準決勝先鋒戦

菫(一巡先を見る園城寺怜……彼女に私のシャープシュートは通用しない。相性最悪の相手だ)

菫(新道寺には二回戦で何度か直撃を取っている……ならば、まずは阿知賀から!aim……!)

宥(来た……!)

菫(fire……!)

宥(…………)ヒュンッ

菫(躱された!?くっ、ならばもう一度二の矢で……!)

宥(弘世さんのシャープシュートにはエイムとファイアの手順がある!その隙を突ければ……!)

宥「ロン。12000」

菫「ば、馬鹿な……!」
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:24:04.65 ID:Oq0dLQCNo

怜「リーチ!」

煌(一発ツモ親被りはすばらくないですね……鳴けそうなところは色々あるのですが……)

菫(ここか、新道寺!受け取れ!)ドシュッ

煌「ポン(物理)!」

菫(確かに私の能力では園城寺から直撃を取ることは出来ない。しかし、鳴かせて彼女の一発を潰すくらいは……)

怜(白糸台のシャープシューター菫……なるほど、狙った相手から直撃を取れるなら、相手に鳴かせることもできるっちゅうことか)

煌(園城寺さんと弘世さん……お互いがお互いの能力を潰し合っている……これは好機かも知れませんね!すばらです!)

怜(せやけど、ダマでも和了れる分ウチが有利や!いざとなったらダブルの解禁も……!)

阿知賀104500(+4500)
白糸台 97100(-2900)
千里山106400(+6800)
新道寺 91600(-8400)

恒子「先鋒戦、四人の実力は伯仲で大きな差がつくには至りませんでした!」
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:25:06.88 ID:Oq0dLQCNo

―――――次鋒戦

尭深「……ツモ。地和です」

船久保(こりゃしゃーないわ。もうデータ関係なく後半戦で稼ぐしか)

船久保「って、またウチがラス親かい!?」

安河内(白糸台がまた連荘……これでスロットが増える。安手でもいいから流さないと)

船久保(また和了れそうにない手……阿知賀は高くはなさそうやな……)

船久保「ええい、持ってけドロボー!」

灼「ロン。1300は1600」
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:25:36.39 ID:Oq0dLQCNo

尭深「ツモ。地和」

船久保「どないせいっちゅーねん!」

阿知賀 93300(-11200)
白糸台162900(+65800)
千里山 57600(-49200)
新道寺 86200(-5400)

恒子「次鋒戦終了!渋谷尭深、役満二回を含む六回の和了で大活躍!他校を一気に突き放しました!」

健夜「千里山は不幸が重なりましたね。二連続ラス親の上に流れも良くなかった……」
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:27:30.33 ID:Oq0dLQCNo

―――――中堅戦

セーラ「フナQの敵はオレが取る!ガンガン攻めるで!」

玄「今度は負けないよ!セーラちゃん!」



セーラ「白糸台!三副露なんて悠長なことしてる暇があるんか?オレはその間にデカイ一発を和了るで!」

誠子「ナメるな、雑兵ども……ツモ!」

セーラ「自分が一巡目で捨てた牌の単騎待ちで和了った!?」

玄(赤土先生が言ってた、亦野さんのもう一つの能力……自分が捨てた牌と同じ牌をツモれる……リリース&キャッチ……!)

セーラ(フリテンも裏目もないっちゅうことか……特に自分の河全てが当たり牌になる単騎待ちで絶大な威力を発揮する!)

セーラ(せやけど、それ以上に稼げば問題ないやろ!)

誠子(まだ点差は詰められていない。今日はCQCまで使うことはなさそうだな……)



セーラ「ツモ!4000、8000やで!」

玄(セーラちゃん……白糸台にも負けないすごい気迫だ……私もこのままじゃ勝てない……!それなら……)
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:29:21.11 ID:Oq0dLQCNo

玄「カン……!」

仁美「槓ドラモロ乗り……やと!?」

誠子(竜に使われていただけの偽りの君主が、進化を遂げたか。今の彼女は、竜を完全に従えている!)

玄「ツモ!嶺上開花ドラ12!8000、16000です!」

誠子(松実玄……阿知賀の竜英傑(ドラコジーニアス)……!)

仁美(なんもかんも政治が悪い)ゴゴゴゴゴ

阿知賀114400(+21100)
白糸台170800(+7900)
千里山 76200(+18600)
新道寺 38600(-47600)

恒子「中堅戦も二回戦と同じく江口セーラと松実玄の叩き合い!今回はドラゴンロードが勝利を収めました!」

恒子「白糸台も若干点数を伸ばし、圧倒的リードは変わらず!逆に新道寺は大ピンチ!」

恒子「白水と鶴姫のコンビはここから這い上がれるのか!?」

セーラ「よー玄!いい勝負やったな!また打とうな!」オモチモミモミ

玄「わっ…!?せ、セーラちゃん!また打ちたくはあるけどっ!」

玄「と、とりあえずセクハラは禁止ですのだ!」
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:30:38.28 ID:Oq0dLQCNo

―――――副将戦

哩(宮永照が和了らんこの東初、ここば最大のチャンス!縛りは最大限じゃ!)

哩(リザベーション……6飜!)ガシャン

哩「ツモ!3000、6000じゃ!」

哩(よし、これで一つ達成ばい。姫子も東初から三倍満和了!最高の出だしじゃ!)



照「ロン。1000」

憧(くっ……始まったわね、連続和了!でも、こっちだって早和了りは得意なんだから!止めてやるわよ!)

憧「リーチ!」

照「ロン。3900」

憧「嘘!?配牌一向聴の三巡目聴牌でも遅いの!?」



照「ロン。7700は8000」

泉(な、何なんやこの人!?三箇牧の荒川さんが言ってたように、ホンマに人やない……!)
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:31:50.96 ID:Oq0dLQCNo

照「ツモ。4000オールの二本場は4200オール」

泉(もう、メゲるわ……)

憧(次は跳満……それならいくらなんでも手作りには時間が掛かるはず!今度こそ速攻で、流す!)



哩(阿知賀の……ここか?)

憧「ロン!2000は2900!」

泉(こ、この子……これだけの力の差を見せられてまだ諦めてないんか……)

泉(せ、せや!みんな必死に頑張ってる……!高一最強の私がビビってどうすんねや!?やったる!)



照「…………」コトッ

泉「ろ、ロン!な、7700です!」

泉(と、取った!チャンピオンから直撃取ったで!これは行ける!)

照「…………」ゴゴゴゴゴ
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:34:00.64 ID:Oq0dLQCNo

照「ロン……18900」

泉「は、はい……」カタカタ

泉(無理でした……みんな、すんませんッ!)

阿知賀 89900(-24500)
白糸台231100(+60300)
千里山 23800(-52400)
新道寺 55200(+16600)

恒子「副将戦終了ーーー!終始チャンピオンが圧倒!しかし新道寺部長、白水選手も大健闘です!」

哩(あのチャンピオンと同卓して、6飜一回、3飜二回、4飜を一回和了れた!逆転には十分ばい!後は頼むぞ、姫子!)
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:36:43.75 ID:Oq0dLQCNo

―――――大将戦

姫子(初っ端三倍満、来よったけど……これって……和了れない!)

姫子(千里山直撃じゃ駄目!ここは、阿知賀か白糸台からの直撃かツモるまで待つ!)



姫子(結局和了れんかった……部長、申し訳なかとです)

照「リザベーション、強制解除……!」

姫子(駄目だ、やっぱ和了らなかったから手が入らん……もうガチ打ちしかなかとよ!)



穏乃「ウオォォォォ!勝負だ、和ーーー!」

和「しませんよ。まったく、穏乃は変わってないんだから」ベタオリ

穏乃「ちぇっ……なんだよつまんないなー。あ、ツモ。2000、4000ね」

和「ふふっ……何だか昔に戻って打ってるみたいですね」



竜華「余裕かましとる場合とちゃうで!リーチや!」

和「ロン。2000です」

竜華「なっ……!」

竜華(何の気配もなく和了っていった……この子、ホンマに人なんか?)

竜華(阿知賀の子以外に対しては感情も何もない……まるで冷徹な機械みたいやん)



姫子(諦めるわけにはいかん!リザベーションば解けても、部長の想いは残っとる!そいけん、ウチは負けん!)

竜華(怜……みんな、ごめん……!ごめんな……!)グスン
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:37:47.86 ID:Oq0dLQCNo

阿知賀 77300(-12600)
白糸台234400(+3300)
千里山 18700(-5100)
新道寺 69600(+14400)

恒子「大将戦、終了!白糸台圧倒!二位とトリプルスコアをつけて決勝進出!」

恒子「二位は阿知賀女子学院!20年前、赤土選手を擁して全国出場した時の記録、ベスト8を超えました!」

健夜「10年前だよ!」

恒子「そして、奈良県勢としては初の決勝進出!晩成高校が40年間達成できなかった県民の悲願!阿知賀が見事に応えましたッ!」

穏乃「和!今日は負けたけど、明後日の決勝ではこうはいかないぞ!」

和「ふふっ、楽しみにしていますよ、穏乃」

和(それともう一人、私には倒すべき人がいるッ……!)

和(大星淡さん……!必ず咲さんを、あなたの手の中から取り戻してみせるッ!)ゴッ
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/05(月) 05:41:21.60 ID:Oq0dLQCNo
と言うわけでAサイドのダイジェストでした。
次回は清澄サイドの準決勝終了まで書き上げたら投下します。
これまで通り若干の麻雀描写が入るのでまた時間が空くと思われます。

それではここまで読んで下さった方、レスくれた方、ありがとうございました。
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/11/05(月) 18:42:04.04 ID:2EpQAuJUo

阿知賀は玄ちゃん働けばだいぶ違うよね
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/07(水) 08:15:58.55 ID:f6gGmEwy0
今更ですが>>319-320にミスがあったので訂正。

淡ちゃんが八萬で和了っていますが、最初六、九萬待ちだったところをやっぱりドラ待ちの方がかっこいいからと訂正しようとして、
>>319の配牌とツモに関する部分の方を訂正し忘れたものです。脳内変換お願いします。

>>364
クロチャーは相手が悪すぎただけで純粋な叩き合いには結構強いはず(震え声)

それと準決勝ですが、大将戦まで書き切ろうとするとかなり間を開けてしまうかもしれません。
あまりにも時間が掛かるようなら一度中堅戦終了辺りで投下するかも知れません。ご了承をお願いします。
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/11/07(水) 09:25:38.03 ID:xa/Gvm4wo
乙!
ぶっちゃけ下手くそな玄が稼ぐとは
セーラと誠子はガチで上手いのに…オリ設定で弱体化してんだろうけどビックリした
続きも楽しみにしてます
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/07(水) 14:36:13.45 ID:+IqlFrlp0
玄はセーラと相性良いからね
セーラの手の半分はドラに頼ってるし相手の手を潰すタイプじゃないからドラ爆を防げないし
他にも部長なんかは手のほとんどがドラの悪待ちがまったく通じなくてめちゃくちゃやばい
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/11/09(金) 01:14:17.69 ID:BE4gX9wVo
ドラが来る&一巡先が読めないからコンビ打ちのレベルが低くなるのによく+6万点で済んだもんだ
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/11/09(金) 09:39:41.94 ID:WBm3TEDfo
しかし亦野さんの扱い難しくなったなぁ…ww
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/10(土) 04:25:00.69 ID:2W46oycao
哩さんまじてんし
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/11/11(日) 11:37:00.09 ID:zzAc4iz6o
竜英傑とはまさかのMTGプレイヤーだったかwwwwww
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:28:52.49 ID:5pF5J1pco

Bサイドの準決勝、大将戦までは書き終わらなかったので中堅戦終了まで投下します。

>>366
セーラは怜よりは聴牌速度速くないだろうからクロチャーでも追いつけて、
打点勝負でもドラを独占できる分相性はかなりいい相手だと思ってます。
それでもクロチャー好きなので贔屓してると言うのはありますがw

>>367
咲ではドラで打点を上げてるキャラが結構いるのでやっぱり玄ちゃんはヤバイですね。

>>368
テルーに関しては今回の本編で若干の補足が入りますが、大体話の都合上にるものですw
もう少し照に点を稼がせる手段として以下のようなものがありますが、
・泉ちゃんに飛んでもらう→可哀想。
・憧ちゃんの失点をもう少し増やす→阿知賀が決勝に行けなくなるかも。
・哩さんの失点を増やす→哩さん強かったのでプラスにしたかった。
と言う理由でこれくらいの収支に収まりました。

>>369
このSSでは様子見してる設定ですが、本編では洒落にならない失点になってますね。
亦野さんも好きなキャラなので今後巻き返してくれることを願ってます。

>>370
哩さんが天使なのは間違いないですがSS書くときは方便が難しすぎて鬼に見えてきますw

>>371
好きなカードはスラーグ牙と修復の天使です(ゲス顔)。
いつか咲キャラでMTGも書いてみたいです。
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:29:30.67 ID:5pF5J1pco

―――――大会7日目、清澄部長達の部屋

淡「みんな〜、おっはよ〜!」

優希「おっ!あわあわちゃん復活だじぇ!」

まこ「まったく、心配かけさせよってからに……」

久「もう大丈夫みたいね。今のあなたの顔、昨日より何十倍も素敵よ?」

淡「うわぁ……出たよ天然たらしの台詞が……まっ、私にはサキがいるから通用しないけどね〜」

久「何を言ってるのかしらこの子は……」
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:30:01.83 ID:5pF5J1pco

久「それにしてもー……」

久「意外と咲の方が攻めなのね?」ゴニョゴニョ

淡「なっ……!?」カァーッ

淡「の、覗いてたの!?」アワアワ

久「くすくす、淡、声が大きいから。耳を立ててると意外と聞こえちゃうのよね」

淡「あ、あの!あの」アワワ

久「大丈夫よ、優希とまこは聞いてないし。言ってないから」

久「でも……やるなとは言わないけど、次の日に支障が出るくらい激しくするのはやめときなさいよ?」

淡「は、はい……」プシュー

優希「そう言えば、咲ちゃん一緒じゃないの?」

淡「まだ寝てるよ〜。サキの寝顔マジ天使だし、あまりにも幸せそうな顔して寝てたから起こせなかったよ〜」

まこ「まあ、先鋒戦が始まるまでには起こしとき」

淡「白糸台、千里山、阿知賀、新道寺……白糸台は確定として、もう一つはどこが来るかな?」ワクワク
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:31:21.83 ID:5pF5J1pco

―――――準決勝副将戦

恒子「白糸台副将はご存知、ミスインターハイ、二冠王者!宮永照ッッッ!」

恒子「二回戦では中堅戦で他校が飛んでしまったため、今大会ではこれが初対局です!」

淡「キャ〜テルー!頑張れ〜!」

咲「お姉ちゃん……」

照(咲……見ていてくれッ!この勝利、咲に捧げる!全部飛ばして……)

和「お義姉さん、様子見」

照「は……?」

和「部長も言っていたでしょう?リードが大きい内は決勝に備えて対戦相手の研究をしろと」

照「で、でも……咲にかっこいいとこ見せないと……」フルエゴエ

和「まあ、いいんですけどね。部長のシャープシュート(物理)を受ける覚悟があるのであれば」

照「…………」カタカタ
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:32:27.27 ID:5pF5J1pco

―――――大将戦

恒子「白糸台大将は、インターミドルチャンピオン、原村和!全中王者が、ついに全国デビューです!」

淡「この子が……テルが話してた、原村和……!」

咲「すごいおっぱいだね!」

優希「の、のどちゃん!?」

久「優希、知ってるの?」

優希「うん。同じ中学に通ってて、親友同士だったじょ!」

優希「勉強に専念する為に、お父さんに無理矢理東京の高校に通わされるって言ってたけど……」

優希「そっか、のどちゃん、麻雀続けてたんだ!良かった……!」

淡(テルが言ってた……この原村和を超えない限り、サキと一緒になることはできないって……!)

淡(いいよ、テル……誰が相手だろうと関係ない……!全部、倒すッ!)ゴッ
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:33:26.11 ID:5pF5J1pco

―――――翌日。大会8日目、Bブロック準決勝

えり「さあ、大会もいよいよ8日目。本日はBブロックの準決勝が行われ、ファイナリストの四校が決定します!」

えり「Aブロックを勝ち上がったのは昨年度王者、白糸台高校と10年ぶり2回目の出場の阿知賀女子学院!」

咏「特番でプロのみんなが優勝予想した高校はまだ全部残ってるんだよね〜」

えり「そう言えば三尋木プロは一人だけ清澄高校と予想していましたね」

えり「本日はその清澄高校も登場しますが、果たして決勝に残ることは出来るのか!?」
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:35:05.89 ID:5pF5J1pco

―――――先鋒戦

えり「清澄高校先鋒!東場の戦神、片岡優希選手!二回戦では今一調子の出なかった彼女ですが、復活はなるのか!」

えり「永水女子はもはやおなじみ、神代小蒔選手!二回戦では今大会での一試合最多得点記録をマークしています!」

えり「この試合でもその力を存分に発揮するのか!?」

えり「姫松先鋒は愛宕絹恵選手!愛宕姉妹の妹さんの方で、堅実な打ち方に定評があります!」

えり「一、二回戦でも安定したプラス収支でチームの勝利に大きく貢献しました!」

えり「宮守女子、先鋒は小瀬川白望!二回戦の先鋒戦ではあの臨海女子の辻垣人選手を抑えてトップを取っています!」

えり「間もなく、準決勝先鋒戦……スタートですッ!」
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:36:56.21 ID:5pF5J1pco

―――――東一局4巡目 親:片岡優希

優希(さあさあ、巫女さんに借りを返す時が来たじぇ!)

優希、手牌
東二三三三三四四五六七八八八

優希「リーーーチッ!」ダァン 東

えり「片岡選手、高らかにリーチを宣言!八連宝燈!いきなり物凄い待ちですね」

小蒔「…………!」

小蒔、手牌
二二二四五五五六七七七八九九
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:37:57.43 ID:5pF5J1pco

えり「あっと、神代選手、これは!?」

咏「何を切っても当たっちゃうね〜。二回戦で自分がやったことをやり返されたわけだ」

小蒔「…………」タン 九萬

優希「ローーン!24000!」

白望(いきなり親倍とか、ダルいなぁ……)

白望(それにしてもあの神代に掴ませるなんて、清澄の子も二回戦の時とは違うってことかな)

絹恵(4巡目で清一色の親倍とか怖っ……!清澄の子の東場の勢いはヤッバイわ〜……)
381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:39:50.00 ID:5pF5J1pco

―――――東一局一本場

優希「誰も私を止められないじぇ!リーチ!」

絹恵「だ、ダブリー!?」

優希「ツモ!4100オール!」

小蒔「……はっ!?」パチッ

優希「ん?」

小蒔「あ、あれ……?す、すいません、ちょっと寝てしまって……」

優希「えっ!?今まで寝ながら打ってたの!?」

小蒔「はい。疲れが溜まると偶にこのように……でも申し訳ないのでここからは……」

小蒔「全力以上で、当たらせていただきます!」ゴッ

優希(こ、この流れは……ヤバイかも知れないじょ……)
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:41:43.97 ID:5pF5J1pco

―――――東一局二本場6巡目

白望(妙だなぁ……神代、起きた途端に運気と言うか、流れみたいなのが四散した感じ……)

絹恵(おっ、今回は調子ええな!まだ誰も張ってへんようやし、まずは脅し掛けるか!)

絹恵、手牌 ドラ:7
一一六七八CDDEF678

絹恵「リーチ!」

優希「それじゃ私も追っかけようかな。捲り合いは望むところだじぇ!リーチ!」

絹恵(つ、ツモ切りリーチってことは張ってたんかい!?ウチ、しくったんか!?)
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:43:20.41 ID:5pF5J1pco

小蒔「……えっと、これで」タン B筒

優希、絹恵「ロン!」

小蒔「わっ……」

絹恵「頭跳や、堪忍な」

優希「くっ……!」

絹恵「裏なし。リーチ一発平和ドラ1。7700は8300や」

小蒔「は、はい……」

絹恵(神代、親流しには高くついたな)

淡「んー?何だろう、あの巫女さんから全然オーラを感じないな〜」

初美「どうやら姫様は完全にお目覚めのようですね〜」

巴「二度寝が来ない限り、3万点差は覚悟しなければいけませんね〜」

初美「どれだけ離されようと、私がひっくり返してやるのですよ〜。飛びさえしなければ」

霞「それでは9万点差でおやつ抜き、飛ばされたら折檻と言うことにしましょう」
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:44:14.18 ID:5pF5J1pco

―――――東二局 親:神代小蒔

優希(親は流されちゃったけど、まだ東場は続いてるじょ!とにかくここで稼ぐ!)

白望「ちょいタンマ」

絹恵(えっ?一巡目から『ちょいタンマ』来るん?)

白望「う〜ん……失礼。これで」トン 赤5索

絹恵(宮守が悩んだっちゅうことは、高確率で高い手になる……何とか流したいけど、なんやこの配牌!ダメダメやん)

流局

白望「聴牌」

優希「聴牌!」

小蒔「ノーテンです」

絹恵「ノーテ……ってな、なんやそれ!?」

白望、手牌
東東南北白發中一九@H19

絹恵(国士無双西待ち……暗刻で持っといて良かったわ)
385 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:45:23.17 ID:5pF5J1pco

―――――東三局流れ一本場12巡目 親:小瀬川白望

絹恵(親の宮守が3巡前にちょいタンマしとる……これは清澄、永水より宮守警戒やな)タン

優希(よし、張った!宮守が気になるけど、東場のうちはガンガン行くッ!)

優希「リーチ!」トンッ A筒

白望「ロン」

白望、手牌 ドラ:九
一二三九九@BFGH 123

白望「12000は12300」

優希(やっぱり、全国準決勝ともなるとみんな手強いじょ……)

優希(でも何でだろう……いつもなら萎縮したりするのに、今は楽しいって思える!)

優希(必死に頑張って打って、それでも上手くいかない時もあって……でも楽しい!)

優希(やっぱり私、麻雀が好きなんだ!昨日のどちゃんが打ってるのを見て、それを思い出したじぇ!)
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:46:33.81 ID:5pF5J1pco

―――――後半戦南四局オーラス 親:愛宕絹恵

小蒔「…………」ウトウト

初美「あ、あれ?姫様の様子が……」

巴「これは……来るかも知れないわね」

優希(み、巫女さんの様子が、変だじょ……リーチしようと思ったけど、控えた方が良さそうだじぇ)タン

白望(ようやくお目覚め……いや、就寝か……随分遅かったなぁ……)

小蒔「ツモ。6000、12000です」

絹恵(さ、三倍満!?最後の最後に親被りとか、きっつ!)
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:47:44.97 ID:5pF5J1pco

清澄105600(+5600)
姫松 81700(-18300)
宮守120800(+20800)
永水 91900(-8100)

えり「先鋒戦、終了!宮守が他校を大きく突き放して次鋒戦を迎えます!」

絹恵「お疲れッしたァ!」

小蒔「お疲れ様です」

優希「お疲れ〜。ん?宮守のおねーさん、戻らないの?」

白望「ん〜……勝手に席を立つとうるさいのがいるから……」
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:48:29.90 ID:5pF5J1pco

―――――清澄控え室

優希「ただいま〜!」

咲「おかえり、優希ちゃん」

久「お疲れ様、頑張ったわね」

まこ「ワシも気張っていかんとな」

久「まこ、頼んだわよ!」

まこ「おう、今度こそプラスで繋ぐけぇ、任せとき!」
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:49:28.19 ID:5pF5J1pco

―――――次鋒戦

えり「清澄次鋒は染谷まこ!こちらも二回戦では不調でしたが、一回戦では大幅なプラス収支でした!」

えり「永水女子は狩宿巴選手!常に冷静沈着、堅実な打ち手です」

咏「なんか無難なコメントが続いてるねぃ。もっとこう、チャームポイントのポニテとかについて語ったりしないの?」

えり「そう言うのは福与さんの担当なので。私を巻き込まないで下さい」

えり「さて、姫松次鋒は真瀬由子選手です。対戦相手を研究し、対策を練るのが得意だそうです」

えり「宮守次鋒は鹿倉胡桃選手!ダマテンでの和了りを得意としていて、守備力も高い打ち手です」
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:50:18.18 ID:5pF5J1pco

白望「……で、いつまで充電してればいいの?」

胡桃「もちろん試合が始まるまで!」

白望「これ、全国ネットで放送されてるから恥ずかしいんだけど……」

胡桃「んー?電池不足で私が負けてもイイって言うの?」

白望「はぁ……この為に残ってるんだから、帰りは誰か迎えに来ておんぶしていってくれてもいいのに……」
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:51:26.07 ID:5pF5J1pco

―――――東一局13巡目 親:狩宿巴

胡桃(さあ、いきなり高い手張ったわ!ここは確実に和了る!)

胡桃、手牌 ドラ:5
二三四BC(D)EF23466

えり「宮守鹿倉選手、高目跳満の三面張を聴牌しました!これまで通り、ダマで受けます!」

まこ(この気配、この盤面……以前感じたことがある。確か、合同合宿の時、鶴賀の東横っちゅう一年生とやった時に……)

まこ、手牌
北北北D234(5)678999

まこ「ここじゃ!」タン 赤5索

えり「えっ……?鹿倉選手の当たり牌を止めて……ドラ切りですか……?」

由子「ポン!ドラ沢山なのよー」

まこ(こうでもしないと、和了られそうな気がしたんでな)
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:52:45.88 ID:5pF5J1pco

胡桃(ドラ4枚……惜しい手だけど、ここで振り込むのはマズイわね……)

胡桃(まだウチが大量リードしてるし、ここで攻める意味は薄い……それなら現物で……)トンッ 赤D筒

まこ「ロン!北赤1、3200じゃ!」

胡桃(そ、そっち!?しかもその手……ホンイツに取らずに私の和了り牌を止めてた!?)

胡桃(それだけじゃない……ドラを鳴かせて私が降りることまで想定して狙い撃ちしてきた……!)

巴(この人、二回戦と同じだと思ってたら痛い目に遭うかな……気を引き締めて行かなきゃ!)

まこ「そういやメガネ外すの忘れとったな……」カチャ
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:53:23.60 ID:5pF5J1pco

えり「次鋒戦、終了ーーー!清澄、宮守を捲ってトップに立ちました!

咏「宮守はツモで削られ続けたけど、二位は守ったね〜」

清澄112400(+6800)
姫松 83500(+1800)
宮守106600(-14200)
永水 97500(+5800)

まこ「お疲れッ!」カチャ
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:54:47.93 ID:5pF5J1pco

―――――清澄控え室

久「お疲れ、まこ!よくやってくれたわ!」

まこ「二回戦では不甲斐ない結果だったからのぉ……ここで勝たなきゃ女が廃るってもんじゃ」

まこ「欲を言えばもうちぃっと点差をつけておきたかったんじゃがのぅ……」

久「みんな堅い相手だったし、仕方ないわよ。一位奪還だけでも十分!それ以上は贅沢になるわ」

まこ「それもそうじゃな。ほんじゃま、後はいつも通り任せたけぇ!楽しんできんしゃい!」

淡「部長、頑張れー!」

久「うん、行ってくるわ!」
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:55:39.61 ID:5pF5J1pco

―――――中堅戦

えり「清澄高校中堅は竹井久!これまで全試合プラス収支!チームの勝利に大きく貢献しています!」

えり「永水女子は滝見春選手!洞察力に優れ、他家の大物手や勝負手を流すのが得意な選手ですね」

えり「姫松中堅は、主将を務める愛宕洋榎選手!一年生の頃から姫松のレギュラーにして不動のエースです!」

えり「宮守女子はエイスリン・ウィッシュアート!ニュージーランドからの留学生です!」

えり「予選での和了率はあの宮永照や園城寺怜を抑えて全国トップを記録しています!」
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:56:40.30 ID:5pF5J1pco

―――――東一局 親:竹井久

エイスリン「…………」

エイスリン、手牌 ドラ:H
東西白中一一四八AEH258

えり「おっと、エイスリン選手、この配牌は……!?」

咏「十三不塔だねぇ。残念ながらこの大会では採用されてないけど」

えり「いずれにせよ七向聴、七対でも五向聴ですから、全国屈指の和了率を誇る彼女でも今回は厳しいんじゃないでしょうか?」

咏「さあ、どうだろうねぃ」

えり「えっ?」

咏「なんせ彼女はウィッシュアート……理想の牌譜、言うなれば彼女自身の願い(wish)を描き出す(art)からね。知らんけど」

数巡後

エイスリン「ツモ。2000、4000デス!」

えり「本当に、あの手牌からムダヅモ無しで……」
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:57:38.99 ID:5pF5J1pco

―――――東二局8巡目 親:滝見春

久(いきなり親被りでまくられた……ここで取り返さないと……!)タン 6索

洋榎「ロン。12000や!」

久「!?」

洋榎、手牌 ドラ:D
中中中(D)(D)4(5) 四五六 EFG

洋榎「ウチが二副露もしとるっちゅうにそんなとこ無警戒で投げるなんて、まるで案山子やな……!」

洋榎「アンタの相手はそこのキーウィだけとちゃうで?」

久(確かに……宮守ばっかり意識しすぎたわね……)

久(この愛宕洋榎は、二回戦でもエイスリンに収支で勝ってる……!決して気を抜いちゃいけない相手!)
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/11(日) 23:59:15.44 ID:5pF5J1pco

―――――東三局6巡目 親:エイスリン

エイスリン「ツモ。1300オールデス」ドヤ

久(とか思ってたら今度はこっちか……!この二人、本当に規格外ね……!)

久(でも、宮守の方は朧気だけど光明が見えた気がする……!)

久(愛宕洋榎を抑えつつやるのは厳しいかもだけど……とにかくやってみるしかない……!)
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/12(月) 00:00:39.25 ID:CG1BEJ8Xo

―――――東三局一本場5巡目

久、手牌 ドラ:五
三四BBCC(D)FFF345

洋榎「…………」トン 二萬

久「チー!」タン 赤D筒

えり「あ、あの手からチーして、しかも赤D切りですか!?」

咏「平和三色一盃口にドラ2枚。全部捨ててきたねぇ。まだ序盤だし、普通なら急ぐ場面でもないけど……」

咏「でもそのセオリー外が有効打になる相手がいたとしたら、どうだろうね」
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/12(月) 00:01:15.96 ID:CG1BEJ8Xo

久「ツモ!300、500!」

エイスリン「why?」

春(その手で鳴いてくる……?)

洋榎(セオリー外の鳴きで場を乱して、キーウィの理想とする牌譜を邪魔するっちゅうことか)

洋榎(清澄の……もうちょい上手ければ、ウチと五分ってとこやな)
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/12(月) 00:02:11.02 ID:CG1BEJ8Xo

―――――東四局10巡目 親:愛宕洋榎

久「リーチ!」

えり「竹井選手、リーチ宣言!これはお得意の悪待ち、西の地獄単騎です!」

エイスリン「…………」タン 西

久「ロン!5200!」

エイスリン「!?」

久(あり得ないって顔してるわね……確かに、自分の理想とする牌譜を描き出せるこの子にとって、こんな待ちは不条理)

久(通常、起こり得ないこと……だからこそ出る!)
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/12(月) 00:04:04.90 ID:CG1BEJ8Xo

―――――南一局12巡目 親:竹井久

洋榎「ロン。16000毎度あり〜!」

久「はい」

久(宮守の子は場を乱すセオリー外の打ち方である程度対処はできた……でも、愛宕洋榎にはそう言った弱点みたいなものがない)

久(咲や淡のように異能を持っているわけでもない、ただ純粋に強い相手……!)

久(ヤバイ、楽しい……!)

久(点差的にそんなこと言ってる場合じゃないってのはわかってるけど、この状況を楽しんでる自分もいる!)
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/12(月) 00:05:01.21 ID:CG1BEJ8Xo

えり「中堅戦、終了ーーー!」

清澄 88800(-23600)
姫松110900(+27400)
宮守115700(+9100)
永水 84600(-12900)

えり「収支では姫松が圧倒!二位に着きました!」

えり「宮守は序盤ペースを乱されましたが持ち直し、プラスで終了。トップを取り返しました!」

えり「清澄と永水は共に上位陣との点差は2万点以上!ここからが勝負所となります!」
404 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/12(月) 00:06:56.25 ID:CG1BEJ8Xo
と言うわけで今回はここまでです。
次回で副将、大将戦、できれば決勝前夜まで投下する予定です。
それではここまで読んで下さった方、レスしてくれた方、ありがとうございました。
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/11/12(月) 08:54:50.42 ID:WzFX08Kfo
乙ー
副将戦で塞さんは生き残る事が出来るかどうか
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/11/12(月) 09:01:46.68 ID:x7Sc7ttzo

副将戦漫ちゃん次第で大きく変わりそうやね
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:06:56.40 ID:gzA+u8KFo
大将戦終了まで書き上げたので投下します。

>>405-406
塞さんは頑張ったつもりだけど漫は……
うん、すまない。
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:07:32.33 ID:gzA+u8KFo

―――――清澄控え室

久「ただいまー!」

咲「あ、部長。お疲れ様です」

久「いやーやらかしちゃったわ〜。ラス引きなんて合同合宿の時以来ね」

優希「部長……」

久「何しょげた顔してんのよ?大丈夫よ、全然落ち込んでなんかないって!次は絶対勝ってやるわ!」

久「まあ、せっかく二人が作ってくれたリードを守れなかったのは申し訳なく思ってるけど」

まこ「アホ言いんしゃい。今まであんさんに何度助けられたと思っとるんじゃ?」

まこ「たまには、みんなに甘えてもいいじゃろ?」

久「ん、そうね。咲、任せたわよ!」

咲「はい!頑張ります!」

淡「サキ!」

咲「行ってくるね、淡ちゃん!」
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:08:45.47 ID:gzA+u8KFo

―――――副将戦

えり「清澄高校、副将は宮永咲選手!全国が注目する、今最も強いかも知れない一年生です!」

えり「永水女子副将は薄墨初美選手!二回戦では役満を和了っていますが宮永選手に抑えられ、収支で敗れています」

えり「この試合ではその雪辱を果たすことはできるのか!?」

えり「姫松副将は上重漫!公式戦での収支はマイナスが多いですが、時折圧倒的なプラスを叩き出すこともある爆発力がある選手です!」

えり「宮守女子副将は臼沢塞!一回戦ではあの沖縄真嘉比高校の銘苅選手を完封しました!」

えり「間もなく副将戦、スタートです!」
410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:09:29.90 ID:gzA+u8KFo

―――――東一局 親:宮永咲

塞(いきなり薄墨が北家か……さすがに準決勝まで来て、そう簡単に鳴かせる奴がいるとは思えないが……)

咲「…………」タン 東

初美「ポンですよ〜!」

塞(清澄……!?いや、まだだ、まだ一つ鳴かれただけ。塞ぐのは二つ目からでいい)

初美「あ、それもポンです!」

塞(って、言ってる側から!もう塞ぐしかないじゃないかッ!)カッ

初美(……この感覚、確かに霞ちゃんが言ってた通りですね〜)
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:10:42.13 ID:gzA+u8KFo

数巡後

咲「カン!」

塞「えっ……?」

咲「嶺上ツモ、1300オールです」

塞(清澄のカンもあったか!この怪物二人を同時に塞ぐとなると……体力保つのか、私!?)
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:11:34.43 ID:gzA+u8KFo

―――――東一局一本場8巡目

塞(また清澄が二枚目の牌を鳴かせた……清澄のカンにも注意しつつ薄墨を塞ぐ……こりゃしんどいわ)

初美(やっぱり南と西は入ってきませんね〜。でも、それはそれで対策はあるのですよ〜)

咲「カン……」

塞(来た!塞ぐッ!)カッ

咲「…………!」ゴッ

塞「うぐっ……!?」

塞(なっ、何だ、このプレッシャーは!?たった一瞬塞いだだけなのに、銘苅や薄墨を遥かに上回る圧力が……!)

咲「ん……う〜ん……」トン

優希「咲ちゃんが、嶺上牌をツモ切りした!?」

淡「多分、宮守の人だ……」

優希「ん?そう言えばあのおねーさん、今咲ちゃんのことガン見してたじょ!」
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:12:45.29 ID:gzA+u8KFo

初美「ツモですよ〜!」

初美「ホンイツ、役々ドラ2!3100、6100ですよ〜!」

塞(くっ……四喜和を諦めてホンイツで和了りに来たか!?)

塞(せっかく塞いだのに和了られちゃ体力だけ削られ損じゃないか!)

塞(たった二局終わっただけでこの消耗……きつすぎる……!)
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:13:44.08 ID:gzA+u8KFo

―――――東二局 親:上重漫

漫(末原先輩は、二位キープがノルマ言うてたけど……)

漫(この面子が相手や。ただオリてるだけじゃ絶対まくられる……どこかで攻めないと)

数巡後

漫「よし、張ったで!リーチや!」タン 7索

咲「カン!」

塞(これは……塞がない!清澄がよほど高い手じゃない限り、責任払いにしろツモにしろ二位との差は開くはず!)

咲「ツモ。8000です」

漫「は、はい……」

漫(アカン、この卓……想像以上の化け物の集まりや……!)
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:14:28.24 ID:gzA+u8KFo

―――――東三局7巡目 親:臼沢塞

塞(この局、宮永のカンだけは塞がなくちゃ。嶺上開花の親被りなんか食らったらたまったもんじゃない……)

咲(さっきは有効牌を引けなかったけど、カン材自体は集まってくる……)

咲(そっか。岩手のお姉さん、私に対しては常に塞いでるわけじゃないんだ)

咲「カン……!」

塞(来たッ!やらなきゃ!)カッ

咲(塞ぎに来た!でも、負けないよ!)ゴッ

塞(うぐっ……な、何て、凄まじいプレッシャーなんだ……!でも、やらせはしない!)

咲「…………」

塞(よしっ!嶺上開花は封じた!)

咲「もいっこ、カン」

塞(くぅ……!もう一度!)

咲「…………」タン

塞(よ、よし。今度こそ、凌いだ!)

初美「ツモですよ〜!3000、6000!」

塞(なっ……そっちか!?せっかく嶺上を防いだのにッ!)
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:15:19.56 ID:gzA+u8KFo

―――――南一局流れ一本場 親:宮永咲

塞(このままじゃ駄目だ!無闇に塞ぐだけじゃ点数も体力も削られ損になる。考えろッ!もし仮にここで薄墨が役満を和了ったとしたら……)

塞(永水は完全に一人浮き。ツモなら清澄が大きく沈む。姫松との点差は変わらないが、それでもウチが1万点近くリードしている)

塞(私以外が振り込んでも三位との点差は変わらず大きく沈むところが一つ出る……と)

塞(つまり、私さえ振り込まなければどちらへ転んでも悪いようにはならない……!)

塞(この局は薄墨は塞がない!東と北も鳴かせる!清澄のカンだけは封じる……それでいこう)

数巡後

咲「…………」タン 2索

塞(清澄……私が永水を塞いでないのに感づいて差し込みに来たか……なら、ありがたくいただいておこう)

塞「ロン!6400は6700!」

咲「はい」
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:16:29.12 ID:gzA+u8KFo

―――――南二局 親:上重漫

漫(何なんやこの人らは……何か麻雀じゃない別次元のゲームでもしてるみたいや)

漫(特に下家の人……今にも死にそうな顔しとるし……一体何が起こってるんや……?)

郁乃「ねぇ〜末原ちゃーん、上重ちゃん爆発しないの〜?」

恭子「う〜ん、この対戦相手はみんな漫ちゃんより遥かに格上ですし、いつ爆発してもおかしくはないんですけどね」

恭子(さあ、そろそろ来てもええやろ!見せてくれるやんな、漫ちゃん!)

咲「ツモ。1300、2600です」

恭子「また不発かい!」

郁乃「え〜……」
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:17:27.97 ID:gzA+u8KFo

―――――前半戦終了

塞「はぁ、はぁ……やばっ、辛いなんてモンじゃ、ない……!特にあの清澄の、宮永……!」

塞「カン一つ封じただけで、あの銘苅や薄墨を一局まるまる封じた時以上の疲労だ……!」

白望「大丈夫……?」

塞「シロ……?何だ、心配して来てくれたのか?」

白望「いや、ちょっとお小水のついでに……」

塞「何だよそれ……まったく、シロは相変わらずだなぁ」

白望「後半戦、いけそう?」

塞「まっ、ラクショーってことで!」

白望「無理だけはしないで……負けるよりも塞が倒れる方がイヤ……」

塞「シロ……」ウルッ

白望「って胡桃が言ってた」

塞「どこまで素直じゃないんだよ……」
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:19:13.76 ID:gzA+u8KFo

―――――後半戦東一局 親:宮永咲

塞(薄墨は四局目で北家、その時の親は姫松か……ウチだったら確実に塞がなくちゃいけなかったから、その点は良かったかな)

塞(しかし、点数は結構削られちゃってるな……清澄や永水を封じつつ取り返すのはかなり難しそうだ)

塞(ここは豊音を信じて私は守りに徹したほうがいいまであるな……)

数巡後

塞(来たか……安いけど、流せるなら流そう。清澄の親は長引かせてもいいことなんて一つもない!)

塞「ツモ!300、500!」
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:20:00.90 ID:gzA+u8KFo

―――――南四局オーラス 親:上重漫

清澄 88300
姫松102100
宮守 95200
永水114400

塞(大分削られたけど、ここまで来た……!もし永水が役満をツモれば私達が二位だ!塞ぐわけがない!)
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:25:36.27 ID:gzA+u8KFo


塞(問題は清澄のカンか。塞ぐだけの体力はもう残っていない……)

塞(もし満貫以上なら逆転されるが……そこまで点差がつかなければ豊音がきっとやってくれる……)

塞(とにかくこの局、私がやるべきは役満や清澄に放銃しないこと!これだッ!)

咲「あの……宮守の、臼沢さん……?それ、モノクルって言うんでしたっけ?外していただけませんか?」

塞「は……?」

咲「ケガ……させたくないので……」ニコッ

塞(この子は一体何を言っているんだ?)

塞(まあ、どうせこの局では塞ぐ予定はない……外しておいても問題はないが)スチャッ

咲「…………」トン 東

初美「ポンです!」
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:26:30.55 ID:gzA+u8KFo

次巡

初美(一枚目なら切っても大丈夫だと思ってましたか?甘いですよ〜)

初美「カン!」

漫(あ、暗槓もありなん!?そんなん聞いてへんって!ツモられたら三位まで落ちる!)

初美(しかも今回は、配牌から西と北が対子でありますよ〜!)

ピシピシ

塞(な、何だ!?モノクルに、ヒビが……!)

咲「…………!」ゴッ

パリンッ
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:27:29.14 ID:gzA+u8KFo

初美「……!?」

咲「ロン……!」

咲、手牌
東南西白發中一一九@H19

塞「なっ……!?」

漫「そ、それって……!」

咲「槍槓国士無双……32000です!」

初美「は、はわわ……」カタカタ

えり「ふ、副将戦終了!宮永選手、槍槓国士で和了!劇的な幕切れです!」
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:28:51.42 ID:gzA+u8KFo

清澄120300(+31500)
姫松102100(-8800)
宮守 95200(-20500)
永水 82400(-2200)

えり「清澄高校は二位姫松と2万点弱の差をつけてトップに立ちました!」

咲「お疲れ様でした」ペッコリン

咲「あ、あと、臼沢さん。ごめんなさい。それ、弁償しますから」

塞「えっ?あ、いや……そ、そんなのいいから。か、勝手に割れただけだし……?」フルエゴエ

漫(ふぅ……点数は削られたけど、二位はキープ……とりあえずノルマは達成できたか)

初美「うぅ……」グスン

トシ「宮永咲……あの子は私の想像以上だったね……まさかあれほどとは……」

えり「さあ、Bブロック準決勝も残すは大将戦のみ!残り半荘二回で決勝進出校が決まります!」
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:29:46.59 ID:gzA+u8KFo

―――――会場廊下

淡「サキー!お疲れ〜!」

咲「あ、淡ちゃん。どしたの?」

淡「ん〜……みんながいる前だとちょっと恥ずかしくて……」

咲「…………?」

淡「キス……していい?」

咲「いいよ……ん」メヲツブル

淡「それじゃ、するよ……?」ドキドキ

咲「うん」

淡「……い、いくよ!」アワアワ

咲「…………」

淡「ほ、本当にするからね!?」アワワ

咲「もう……!」
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:30:18.08 ID:gzA+u8KFo

淡「んっ!?」チュッ

咲「んっ……んん……」

淡「ふぁっ、さ、サキぃ……」

咲「淡ちゃん、遅すぎるんだもん」

淡「ご、ごめん……」

咲「そう言うところも好きだよ、淡ちゃん」

淡「サキ……えへへ……」

咲「それじゃ、私戻るね。待ってるから……!」

淡「うん!絶対勝つからね!」
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:31:04.80 ID:gzA+u8KFo

―――――大将戦

えり「間もなく大将戦に出場する選手達が入場してきます!」

えり「トップ独走の清澄高校、宮永咲からバトンを受け取るのは大星淡!この大将戦では唯一の一年生ですね」

咏「二回戦の時と違ってその目に怯えも迷いもない……この二日間で大人になった(意味深)ってことかねぃ」

えり「永水女子大将は石戸霞選手!二回戦では大星選手と対局しましたが、東一で試合は終了」

えり「その真の実力は未だに明かされていません!」

えり「現在二位についている姫松、大将は末原恭子選手!分析力に優れたチームの参謀です!」

えり「宮守大将は姉帯豊音選手!二回戦では変則的な打ち方で他校を翻弄し、宮守をトップ通過させた立役者となりました!」
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:31:55.46 ID:gzA+u8KFo

咏「三年生三人に囲まれて、一人だけ一年生か。こりゃちょっと楽しみだねぇ」

えり「確かに好カードですけど、学年は何か関係があるんですか?」

咏「三年生がインハイの卓に着くと、聴牌速度や打点が上がったりすることがあったりなかったりするんだとさ。知らんけど」

えり「その話が本当なら、この試合は大星選手にとっては不利な場になると?」

咏「まっ、普通はね。ただ、真に強い一年生だったら、それらを撥ね退けてトップも取れる……」

咏「このインターハイ40年の歴史の中で、三年生三人に囲まれた一年生がトップを取った事例は3回……」

えり「40年の中で、たったの3回ですか……?」

咏「一回目は20年前、阿知賀女子学院のレジェンド赤土晴絵。二回目は2年前、白糸台高校、チャンピオン宮永照」

咏「そして三回目は去年の龍門渕高校、MVP天江衣だね」

咏「さてさて、この星姫ちゃんは四回目の伝説を創れるかな?」
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:32:37.10 ID:gzA+u8KFo

―――――東一局7巡目 親:大星淡

淡(さてさて……宮守は張ってそうだけど、多分こっちが先にツモれるかなぁ)

淡、手牌
東東南北北中中一一HH114

淡「それじゃ、リーチするよ〜!」タン 4索

えり「大星淡、得意の七対子字牌待ちのリーチです!」

恭子(清澄、先制リーチか……トップが削られる分には嬉しいけど、打点次第じゃ宮守にまくられる……!)

豊音「じゃあ追っかけるよ〜。通らば〜リーチ」トン 1索

淡「通るよ〜」

豊音「わ〜い」

恭子(二回戦の姉帯の牌譜を見てへんかったんか、それとも偶然やと思ってスルーしたのか……)
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:33:06.93 ID:gzA+u8KFo

淡「一発ならずだよ〜」トン 三萬

豊音「ロン……!」

豊音、手牌 ドラ:F
一二@ABBBBFF678

豊音「リーチ一発ドラドラ、裏ドラは……B筒で4枚だよ!倍満!」

恭子(い、いきなり倍満かい!?一気にまくられた!)

淡「…………!」

恭子(東初から親リーに対して悪待ちで追っかけされて、掴まされて倍満に一発放銃とか心が折れてもおかしくないけど……)

淡「アハ!」

豊音「……?」

淡「倍満くらいくれてやる」

恭子(な、何やねんこの余裕……!?馬鹿なのか、それとも……!)
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:34:26.57 ID:gzA+u8KFo

―――――東二局 親:姉帯豊音

恭子(ともあれ、この変則的な姉帯の打ち筋……それを私だけが知ってるっちゅうのは大きなアドバンテージや!)

恭子(姉帯の打ち筋は大きく分けて二つ……さっき見せた、先行リーチ者に追っかけして狩るやり方……それと……)

豊音「ポン!」

恭子(来たか……!)

数巡後

豊音「ぼっちじゃないよ〜」

豊音、手牌 ドラ:F
三 [中中中] [DEF] [444] [999] ツモ三萬

豊音「2600オール!」

咏「宮守の大将、相変わらず面白い打ち方するね〜」

えり「裸単騎になると次巡に必ずツモってますね」
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:35:33.99 ID:gzA+u8KFo

―――――東二局一本場7巡目

恭子(姉帯豊音……能力は驚異的やけど対策はわかってる!門前で来るんならこっちもダマで構えて……)

豊音「ポンだよ〜!」

恭子(鳴いてくるなら、リーチや!)

恭子「リーチ!」

恭子(4副露される前に競り勝つ!特に姉帯は手が短くなればなるほど降り難くなる……!そこが狙い目や!)

数巡後

豊音「うーん……どうかな?」タン

恭子「ロン!2300!」

豊音「わっ……!」

恭子(どや!?二回戦の借りはここで返すで、宮守!)

塞「豊音の友引が破られたかぁ……」

トシ「恐らくは先負にも対応してきてるだろうねぇ。さすがは姫松の参謀役と言ったところだね」

胡桃「となると、いくら豊音と言えど残りを使わないと厳しいかもね」
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:36:04.13 ID:gzA+u8KFo

―――――南一局5巡目

豊音「リーチするけどー」

恭子(えっ?)

恭子(な、何やそれ!?今まで姉帯が先制リーチしたことはなかったはず……!)

数巡後

霞「あらあら……」

霞、手牌 ドラ:六
二二六六七七八八CDE24 ツモH筒

霞「……ではここで」トン 2索

えり「石戸選手、聴牌を崩して現物を切りました!」

淡「追っかけるけどー」タン 1索

豊音「通るよ〜」

淡「わーい」
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:36:40.67 ID:gzA+u8KFo

次巡

淡「むー……これじゃないのに〜」タン H筒

豊音「ロンだよ〜。メンピンドラ1で3900〜」

淡「はーい」

恭子(何や今の……?追っかけた清澄が一発で放銃した……それって姉帯の追っかけリーチとまるで真逆……!)

白望「そこまで見せちゃうかぁ……まあ相手が相手だし、仕方ないね……」

トシ「後に聴牌した相手に自らの当たり牌を掴ませる……先勝!」
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:38:58.51 ID:gzA+u8KFo

―――――南四局9巡目 親:末原恭子

恭子(よし、姉帯が3副露した。こっちは五面張!上手くいけば直撃も取れる!)

恭子「リーチ!」

豊音(う〜ん、東二では安そうだったから友引のまま押したけど〜、今回は高そうでヤな感じだな〜)

数巡後

恭子(姉帯の奴、さっきからずーっとツモ切りやん!しかも通った牌、現物しかツモってへん……こんなことって……!?)

流局

恭子「聴牌!」

淡「聴牌〜」

豊音「聴牌だよ〜」

霞「聴牌です」

恭子(他の二人も張ってたんか!?宮守、降りる気配さえ見せなかった……)

恭子(まるで安牌しか引かないのをわかってたかのようや……)
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:39:35.95 ID:gzA+u8KFo

塞「みんな張ってたからな〜。大安に切り替えたのか」

白望「二つの能力を組み合わせられたらいいのに」

塞「それなら大安プラス何かで無敵だな」

トシ「さて、残るは仏滅のみかい……正直、この面子相手では使うのも致し方ないねぇ」

胡桃「もう牛の刻はとっくに過ぎちゃったから、赤口は使えないですしね」
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:40:35.83 ID:gzA+u8KFo

―――――南四局流れ一本場

豊音(それじゃあ行っちゃうよ!仏滅……!)

恭子(な、何やこの配牌!?)

恭子、配牌
東南北中三六九ADG1477

淡(へー……)

淡、配牌 ドラ:一
東南西北白發中一四七EH2

えり「こ、これは……姉帯選手以外全員の手が十三不塔!一体どうなってるのか!?」

咏「星姫ちゃんの手は七星無靠とも言うね〜。知らんけど」

豊音(ふぅ〜……全体効果系はやっぱり疲れるね〜。でも、みんなのために頑張っちゃうよ〜!)

トシ「豊音の力の中で最も強大で、多くに影響を及ぼす仏滅……一日の内でそう何度も使える技じゃないが……」

塞「これを使ったからにはもう局の途中でモード変更はできない……!確実に和了りたいね!」

胡桃「他の三人は豊音の能力で手が遅くなってるから大丈夫。絶対和了れるよ!」

恭子(これもあの姉帯の所為っちゅうんか!?やりたい放題やないか!)

恭子(二回戦で私に見したのはほんの一部に過ぎなかった……こいつはまさしく……七色の魔女!)
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:41:26.69 ID:gzA+u8KFo

6巡目

豊音(さあ、張ったよ。もうこの局で能力は使えないから、普通にリーチしていくよ!)

豊音、手牌
二二五六七DEH234(5)67

豊音「リーチだよ!」タン H

淡「ロン」

豊音「えっ……?」

淡、手牌
東東南南西西白白發發中中H

淡「ホンイツ、混老、チートイツ……」

淡「アハ!跳満くらいちょうだいね」ニッコリ

豊音「!?」ゾクッ
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:42:34.15 ID:gzA+u8KFo

豊音(この子、おかしいな〜……私の仏滅は必ず字牌4種と147、258、369の筋がそれぞれ異なる色で配られる……)

豊音(その形での十三不塔しか出ない……だから第一ツモが字牌だったとしても最大で5種……)

豊音(この順目であの手はあり得ない……絶対にあり得ないはずなのに……)

胡桃「あ、あれで豊音よりも先に和了っちゃうの!?」

白望「清澄の子の配牌、今まで見たこともないパターンだった……」

塞「じゃ、じゃあ、あの子には仏滅が効いてなかったってこと!?」

トシ「いや、効いてはいたはずだよ……ただ、その上で利用した……私にはそう見えた」

トシ(気をつけるんだよ豊音。その子のグレート・アトラクターは私の想像を遥かに超えて強大なのかも知れない)

えり「清澄高校、宮守から跳満の直撃を取りました!これにより清澄が首位を奪還!勝負は後半戦に突入します!」

豊音(ヤバイ、この子……ヤバイけど……ちょー面白いよ〜!)
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:43:19.50 ID:gzA+u8KFo

―――――後半戦東二局 親:大星淡

霞(ふんふむ……どうやらみんな出し惜しみ無しで来てるみたい……私も苦手分野、行くしかなさそうね!)ゴッ

巴「か、霞ちゃん!」

春「この点差だし、行くしかない……」

初美「みんな殲滅なのですよ〜!」

霞「…………」ゴゴゴゴゴ

咲「うわっ……!」

淡「へー」

優希「咲ちゃん?」

咲「鹿児島のお姉さん、急に雰囲気が変わったよぅ」
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:44:01.57 ID:gzA+u8KFo

10巡目

恭子(この手、それにこの河……!筒子を一枚たりとも引かない上に、筒子を対面の石戸しか切ってへん)トン

豊音(これも私の仏滅と同じ、全体効果系なのかな〜?)タン

霞「ツモです」

霞、手牌
@@AABCDEFGHHH B

霞「清一色、ツモ、イッツー、一盃口で4000、8000ですね」

恭子(なっ……筒子と字牌しか切ってへんのに、筒子の清一色やと!?)

豊音(他家を強制的に絶一門にしつつ、その色を自分が独占するってとこかな?)

豊音(それなら手の高さもスピードも、私達とは段違いのはずだよ……)
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:44:33.07 ID:gzA+u8KFo

えり「ここまで一人沈みだった永水、倍満の和了で一気に二位にまで浮上!」

清澄 98500
姫松 97300
宮守104900
永水 99300

えり「この終盤に来て、試合はまるで振り出しに戻ったかのように点数が平らになっています!」
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:45:05.91 ID:gzA+u8KFo

―――――東三局 親:末原恭子

恭子(永水の石戸……データ不足やったけど予想以上のバケモンやった……ホント何なんやこの卓!普通の麻雀させてーな)

恭子(いやいや、メゲたらアカン……思考停止したらそれこそホンマモンの凡人と一緒やで)

恭子(何とか……何とか打開策を……!)

数巡後

霞「ツモ」

霞、手牌
北北北一一一三三三四五六七 ツモ四萬

霞「3000、6000です」

えり「永水女子、二連続大物手和了で一気にトップに立ちました!」
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:46:31.48 ID:gzA+u8KFo

―――――南一局 親:石戸霞

豊音(さて……この巫女さんの親番。ここで重ねてみるかな。この人の一色独占と、私の仏滅……!)

豊音(親で染め手の大物手で連荘なんかされたらそれこそ目も当てられないしね〜)

豊音(気掛かりは清澄の子だけど……あのオーラス以来粛々としてる。今は力を感じられないし、大丈夫だよね!)

霞(あらあら……これは……)

霞、配牌
東南西北白發中1111477

霞(これは、宮守の子の力ね……私の力と重なって完全な十三不塔にはならなかったけど……)

恭子(何やこの配牌……)

恭子、配牌
東南北白發中一一四七ADG

恭子(怪物二人が同時に暴れとるんか……堪忍してーな)

咲「淡ちゃん……」

淡(サキ……見ててね!)ゴッ
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:47:20.13 ID:gzA+u8KFo

8巡目

豊音(張った!リーチ掛けたらみんな降りてきそうだし、ここは確実に和了るためにダマで行くよ〜!)

霞(う〜ん……とりあえず字牌は全部処理したけど……宮守の姉帯さん、これはやられたわね)

淡「ツモ……!」

トシ「豊音、見誤ったわね……」
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:47:49.40 ID:gzA+u8KFo

淡、手牌
東東南南西西北北白發發中中 ツモ白

淡「8000、16000!」

恭子(だ、大七星……!?)

豊音(これは……清澄の子の力を感じなかったんじゃない……!次元が違いすぎて、認識できなかった……!?)

えり「つ、字一色が決まりました!大星淡選手、ここにきて役満の和了!他校を一気に突き放してトップに躍り出たー!」

咏「宮守の力で配牌七星無靠に、永水の能力で絶一門になったから字牌をツモり易くなってた」

咏「その二つの状況が星姫ちゃんのグレート・アトラクターと上手く噛み合いすぎた結果だねぃ」
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:48:30.78 ID:gzA+u8KFo

―――――南二局7巡目 親:大星淡

淡(絶一門かぁ……私にとっては……)

淡「ツモ。1600オールだよ」

淡、手牌
東東南南白白中@@CC77 ツモ中

淡(字牌をより引き寄せやすくなっただけ、かな……)
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/11/19(月) 17:48:45.72 ID:I34JAR4No
まるで咲が打ってるような安心感だなあわあわ
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:49:08.72 ID:gzA+u8KFo

―――――南二局一本場15巡目

豊音「ツモだよ〜。500、1000に一本ずつ!」

豊音、手牌
九九ABC(D)EF22345 ツモ九萬

淡(ふーん。やっぱり、このくらいの巡目になると永水の一色独占も崩れてくるんだ)

淡(そりゃそうだよね〜。永水は字牌もツモるのに、配牌とツモだけで一色独占しようとしても明らかに足りない……)

淡(そうなると残りは王牌に押し込むしかないけど、そんな感覚もしなかったし)
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:50:41.74 ID:gzA+u8KFo

―――――南三局 親:末原恭子

恭子(二位とも一万点差以上か……きっついなぁ……)

恭子(まあでも、ここまで何度もメゲそうになったけどそれでもまだ絶望的ってわけやない!)

恭子(私は諦めんで!)

数巡後

淡「…………」トン 赤D筒

恭子「ポン!」

恭子(よし、張ったで!タンヤオドラ4……この手は何としても和了る!)

数巡後

恭子「ツモ!4000オールや!」

えり「姫松、このツモで二位に浮上!これで清澄以外の三校の得点がほぼ横並びになりました!」
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:51:32.71 ID:gzA+u8KFo

―――――南三局一本場

恭子(さて、宮守とは2500点、永水とは4000点差……相手を考えたらこんなリードは無いに等しい……)

恭子(とにかくここでもう一度大きい手和了ってリードを広げる!それが一番や!)

4巡目

淡「ツモだよ〜」

恭子「えっ?」ビクッ

淡、手牌
東東一一二三三667788 ツモ二萬

淡「4000、2100だよ〜」
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:52:01.18 ID:gzA+u8KFo

恭子(あ、危なっ!?まだ辛うじて二位はキープか……ちゅうことは……)

清澄135400
姫松 89100
宮守 88500
永水 87000

えり「清澄高校、7900の和了りで三校の点数は更に平らになりました!Bブロック準決勝、いよいよオーラスに突入です!」
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:52:58.85 ID:gzA+u8KFo

―――――南四局オーラス 親:姉帯豊音

えり「この最終局面、清澄高校は親の役満に放銃しない限り勝ち抜けは確定です!」

えり「姫松、宮守もどんな手でも和了れば勝ち!永水はツモなら2000、ロンなら2600必要です!」

咏「姫松直撃だけは1500でもオッケーだねぇ。点数は宮守と並ぶけど起家だから」

えり「いずれにせよリー棒供託や罰符ですら勝敗が動きそうな僅差です。ここは三校とも慎重に行かなければなりませんね」

豊音(まだまだみんなと一緒に楽しみたいから……絶対勝つよ〜!)

霞(小蒔ちゃんにはこれからももっと成長してもらわないといけない……いつか来る過酷も乗り越えていけるように……)

霞(だから……ここで立ち止まるわけには行かないわ!)

恭子(形振り構ってられない!どんな形だろうと、和了る……!やったる!)

数巡後
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:53:45.82 ID:gzA+u8KFo







━━━━━ツモ!






455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:54:31.18 ID:gzA+u8KFo

淡「400、700……!」

えり「き、決まったぁーーー!大将戦、決着!トップの大星選手の和了。順位は変わらず、清澄と姫松が決勝進出となります!」

清澄136900(+16600)
姫松 88700(-13400)
宮守 87800(-7400)
永水 86600(+4200)
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:55:43.46 ID:gzA+u8KFo

恭子(い、生き残った……!)

恭子「お、お疲れ様、です」ホッ

霞「お疲れ様です」ニッコリ

豊音「う、うぅぅ……あ、ありがと……ございま、したぁぁぁぁ……」ウエーン

淡「楽しかった……」

淡「麻雀って、楽しいよね!みんな、また打とうね!」

霞「はい、是非……!」

恭子「は、はは……まあ決勝でもよろしくな」

豊音「うぐっ、つ、次は……次は、絶対負けないからね〜!」
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 17:57:02.04 ID:gzA+u8KFo

えり「そう言えば、試合前に三尋木プロが仰っていた伝説、達成しましたね」

咏「そだね〜。でも、決勝では伝説も超えた神話を目の当たりにするかもね〜」

えり「神話……ですか?」

咏「うん。何かやってくれそうな気がするよ。清澄の……大星淡と宮永咲の二人なら……!」
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/19(月) 18:01:43.15 ID:gzA+u8KFo
今回はここまでです。
さすがに間が空きすぎたので今後は明確にここまでと言うことではなく、
キリの良い場面まで書き上げたら前回投稿との間隔を見て投下していきたいと思います。

>>448
二回戦の時とは状況もメンタルも全然別物になってます。
要するに咲ちゃんとあわあわの組み合わせは最強ってことでw
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/11/20(火) 01:11:46.82 ID:WARAS1sWo
つまり愛の力の成せる技ってことだな
乙っす
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/20(火) 07:50:05.92 ID:N8fSUXQ5o
あわあわまじあわあわかわいすぎる
決勝で無双してほしいじぇっ!
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/11/20(火) 08:35:02.06 ID:yJm783Nmo
乙ー面白かった
早くあわあわの能力知りたいなぁ
ここのと同じくチートイ使いだったら理想的だな
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん) [sa]:2012/11/20(火) 10:59:29.39 ID:sg33qGu/0
20年前とかやめてあげて!
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sag]:2012/11/20(火) 12:18:25.41 ID:hPVAFKfb0
すえはらさん可愛い
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/11/20(火) 19:38:43.87 ID:HKhXFnq8o

恭子ちゃん勝ってくれて良かった
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:03:14.87 ID:PjtBdpP4o
物語が終わりに近づくにつれて終わらせたくないって思いから筆が遅くなる現象は何て言うんだろう……
決勝前夜まで書き上がったので投下していきたいと思います。

それと本編のミス修正。
>>453で永水は親ではないので直撃1500はありえないですね。

>>459
咲ちゃんとキスできればそれはもうやる気も出てきますね。
今回は咲淡成分濃い目となっております。

>>460
ここの決勝では面子的にそうなってもおかしくないですね。
実はまだ展開考えてませんがw

>>461
来月辺りで副将戦終わってあわあわ来そうですね。
性格も咲日和で明らかになってきたし、闘牌時にどうなるのか楽しみです。

>>462
このSSでは定期的に小鍛治プロ弄りが入ります。

>>463-464
本編での末原さんはどんどん落ちていくところが魅力の一つだと考えていたのでw
このSSではそんな場面をあまり描写できませんでしたがそう言って頂けると幸いです。
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:03:51.92 ID:PjtBdpP4o

―――――清澄控え室

淡「ただいま〜」

咲「おかえり、淡ちゃん!」ダキッ

まこ「あの規格外の怪物達を相手に実質一人勝ちとは、さすがじゃな!」

優希「あわあわちゃん強すぎるじぇ!」

淡「えへへ〜。もっと褒めてもいいんだよ」フンス
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:04:41.30 ID:PjtBdpP4o

久「明後日の決勝の相手は白糸台、阿知賀、姫松ね」

咲「姫松……一番強いところが残っちゃいましたね……」

淡「関係ないよ。今度打っても絶対勝てるし」

久「とりあえず今日、明日は思いっきり休んで、決勝に備えましょう」
468 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:05:36.95 ID:PjtBdpP4o

―――――決勝前日、白糸台インタビュー

記者A「清澄高校副将の宮永咲さんについて、チャンピオンの妹さんなのではないかと言う噂があるのですが、これについて一言お願いします」

照「宮永咲さんは私の妹ではありません」エイギョウスマイル

照「ですが、このインターハイ決勝戦と言う舞台、同じ副将で同じ宮永と言う姓……これには運命を感じずにはいられません」

照「宮永咲さんは非常に優秀な打ち手で、これまでのどんな対局よりも苦しくなると思います」

照「でも私は負けません。私達の悲願、三連覇達成の為に、必ずトップで大将に回したいと思ってます」
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:06:14.58 ID:PjtBdpP4o

記者A「えっと、それでは他に副将戦で意識している選手はいますか?」

照(ど、どうしよう……新子さんは名前くらいしか覚えてないし、もう一人は名前すら知らない……)

照(そもそもBブロックで残ってたのって清澄とどこだったっけ……?)

照「準決勝で当たった新子憧さん。強いですよね。序盤、中盤、終盤、隙が無いと思います。でも私は負けません」

照「皆さんの期待に応えられるよう、精一杯頑張りますので、応援よろしくお願いします!」

記者A「はい、宮永照選手でした。続いては部長の弘世菫さんに質問です」
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:07:07.29 ID:PjtBdpP4o

―――――インタビュー終了後

菫「ふう、やっと解放されたな……帰って松実宥の対策をしなければならないのに……」

照「そう言えば松実宥さんについては聞かれなかったね、残念……」

菫「は?」

照「松実宥さんがいた所為で菫は一年の頃から全国模試で万年二位に甘んじてきたこととか話したかったのに」

菫「お、おい!その話はインハイとは関係無いだろ!」

照「テストで一回も勝ったことがなくて麻雀でもボロ負けしたとか結構ネタになる」

菫「お前は私に何を求めてるんだ……」

菫(まあだが、確かに麻雀に関しては完敗だったと言わざるを得ない……)

菫(あの照でさえ、半荘の間、シャープシュートを100%回避したことは一度たりとも無い……)

菫(しかし彼女は何度やっても射抜けなかった……それどころか私のエイムとファイアの隙を突いて狙い撃ちしてきた……)

菫(それに何だろう……彼女のことを思い出すと胸の内が熱くなる……!余程対抗意識を燃やしてるのか、私は……)
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:07:48.26 ID:PjtBdpP4o

照「それは恋だよ、菫」

菫「は?いや、お前っ、いきなり何を?」

照「今の菫はわかり易すぎる。しっかり顔に出てるよ」

菫「い、いや……でもそれっておかしいだろ。話が飛躍しすぎてるって言うか……」

照「一年生の頃からずっとライバル視してきた相手だよ」

照「しかも全国模試で万年一位とか、どんなガリ勉根暗女かと思ってた所……」

菫「そんな失礼なことは考えてないから!」

照「実際、目の前に現れた松実宥さんは美人系なのにどこか可愛さも残る完璧な美少女。惚れない方がおかしい」

菫「ま、まあ確かに……松実さんは美人だったけど……と言うか、何でそんなに私と松実さんをくっつけたがるんだよ?」

照「菫に自覚して欲しいだけ。心ここにあらずの状態で腑抜けた麻雀を打たれても困るから」

菫「ぐぬぬ……」

照「私が言えるのはここまで。後は菫自身の問題だから」

照「それじゃ私は先に帰って準決勝のビデオ見て咲ちゃんペロペロしてるから。じゃあね」ダッ

菫「あっ、おい!照……」

菫「あいつなりの、激励ってのもあったのかな……?松実、宥……か……よし……!」
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:08:48.57 ID:PjtBdpP4o

―――――某公園

淡「サキーーー!お菓子買ってきたよ〜」

咲「ありがとう、淡ちゃん」

淡「淡雪ショコラ!これ、私の一押しなんだよ〜」

咲「あっ……」シュン

淡「ん?サキ、どしたの〜?もしかしてこれ嫌い?」

咲「ん、う〜ん……ちょっとだけ……」

淡「何で〜?甘いもの駄目なの?」

咲「あ、いや。美味しいよ。美味しいとは思ってるけど……」

咲「そ、その……淡雪って言葉……」

淡「えっ?」

咲「だってこれだと、雪ちゃんって女の子に淡ちゃんを取られちゃってるような気がするんだもん」

淡「…………」
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:09:43.53 ID:PjtBdpP4o

淡「ぷっ……あはははは!何それー!?おかしーよ!」

咲「ちょっ!?えっ?何で笑われてるの、私!?」

淡「だ、だって……!はぁ……はぁ、お腹痛いよ」

咲「そんなにおかしいかなぁ……」

淡「じゃあ、サキ。淡雪羹とかは?読んでる小説に淡雪って言葉が出てきたら?」

咲「ちょっとモヤモヤしちゃう……かな」

淡「へー」

咲「し、仕方ないでしょ。それだけ好きなんだから」

淡「ん……嬉しいよ、サキ」

淡「ね、キス……しよっか?私は雪ちゃんのモノにはならないよ?その証明……」

咲「いいけど……今日こそは淡ちゃんの方からしてね?」

咲「今まで淡ちゃんからしてくれたこと、一回しかないんだもん……」

咲「しかも二回戦終わった後、自暴自棄になって襲ってきた時の一回だけ……」

淡「うぅ……猛省しております」ペッコリン

咲「それじゃ、して……」メヲツブル

淡「ん、うん……」ゴクリ
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:10:21.64 ID:PjtBdpP4o

━━━━━チュッ

咲(んっ?あ、あれ……なんか、凄く甘い……この形って……チョコレート?)

淡「んっ……あっ……ふぁぁ……」

咲「ぷはぁっ……」

淡「えへへ……ちゃんとできたよ〜」

淡「淡雪ショコラも淡咲ショコラにしてやったし!」ドヤァ

咲「もう、淡ちゃんったら……」

淡「さて……そろそろホテルに戻ろっか」

咲「うん」
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:11:19.68 ID:PjtBdpP4o

―――――都内某ホテルの一室

穏乃「憧〜、入るよ〜」ガチャ

憧「しず……」

穏乃「一昨日からずっと元気ないからさ〜、心配してたんだよ」

憧「まあそりゃね。チャンピオンと戦って、アレだけ力の差を見せつけられたらさすがに凹むわよ……」

穏乃「憧……」

憧「でも、落ち込んでばっかりってわけにもいかないのよね。決勝は、明日なんだし……」

憧「いい加減気持ち切り替えていくわよ!」

穏乃「それで、何か対策みたいなのは見つかった……?」

憧「んーん、何にも……チャンピオンだけ意識しすぎても仕方ないし」

憧「決勝なんだから、みんな手強いに決まってる。だったらあたしは、いつも通り、自分の打ち方を貫くだけだって」
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:11:56.34 ID:PjtBdpP4o

穏乃「そっか……まあ私も、普段通りの憧が好きだからなぁ〜」

憧「ちょ!?あ、アンタいきなり何言ってんのよ!?バカじゃないの!?」アタフタ

穏乃「な、何だよいきなり……」

憧「も、もう!す、スイーツ食べにいくわよスイーツ!」グイッ

穏乃「おっ?いきなり何?」

憧「か、考えすぎて糖分足りてないから補給しにいくの!ほら、早くいくわよ!」

穏乃「唐突だな〜憧は」
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:12:31.36 ID:PjtBdpP4o

―――――姫松の宿舎

セーラ「よー洋榎〜。明日はいよいよ決勝やな」

洋榎「セーラか。何や、千里山の連中が来とるんか?」

セーラ「ま、一応同じ大阪代表やしな。激励くらいはしとこう思て」

洋榎「そっか……そいやウチとの決着も個人戦までお預けやな」

セーラ「まあ言うても、オレの41勝39敗やからオレの勝ち越しは決まってるんやけどな」

洋榎「何アホなこと言うてんねん自分!ウチが41勝やろが!」

セーラ「何や、麻雀の点数計算だけやなくて算数すらできなくなったんか?」

洋榎「ぷっ……」

セーラ「くくっ……!」

洋榎「ウチら、一年の時秋季大会で会って以来ずっとこんな感じやったな」

セーラ「せやな〜。腐れ縁ってヤツやな」

洋榎「まっ、ウチも明日はぶちかましたるから、個人戦はお互い気張ろうや」

セーラ「おう!待ってるで、親友!」
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:13:03.51 ID:PjtBdpP4o

―――――末原の部屋

郁乃「すっえはっらちゃ〜ん」

恭子「あ、監督……」

郁乃「まだ牌譜と睨めっこしてたの〜?ミーティングにも出ないで、みんな心配してたわよ〜」

恭子「すいません……」

郁乃「久しぶりに弱気モードぉ?」

恭子「弱音、吐いちゃっていいですか……?」

郁乃「吐き出したい時は吐き出しちゃって、メゲたい時はメゲればええよ〜」

恭子「か、監督……」

郁乃「今、ここには私しかおらんから」ギュッ
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:13:51.70 ID:PjtBdpP4o

恭子「私……今までどんな対局でも、常に負ける可能性を考慮しながら打ってきました……」

郁乃「うんうん。それが末原ちゃんの強さだって、愛宕のお姉ちゃんも言ってたわよ〜」

恭子「でも、明日は……負ける気しかしないんです……」

恭子「二回戦でも、主将が大量に稼いで漫ちゃんが守ったリードを姉帯にどんどん詰められていって……」

恭子「最終的に逆転を許した時はどこかに消え入りたい気分でした……」

郁乃「うん、うん」ナデナデ

恭子「準決勝ではその姉帯と同じくらいの怪物の石戸もいたのに、そんな二人すらも手玉に取った大星淡……」

恭子「私が逆転の親満をツモった時も、あのドラ、わざと鳴かしたんです……じゃなきゃあんな打ち方不条理ですし……」

恭子「三人の中で一番格下だったから、私が残された……」

恭子「ハッキリ言って、レベル……いえ、次元の、違いを……感じました……」カタカタ

恭子「今度打っても……絶対、勝てません……!」

恭子「私の……私の所為で、姫松が……!みんなの夢が……潰えるって、思うと……!」
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:14:51.11 ID:PjtBdpP4o

郁乃「末原ちゃん……」

郁乃「麻雀、好き……?」

恭子「…………!?」

郁乃「もうここまで来たら、姫松の伝統とか、他の誰かの為とか……そう言うの関係なしに打って欲しいんよ」

恭子「監督……?」

郁乃「ただ、末原ちゃん自身が自分に納得の出来るように打って欲しいわ〜」

恭子「監、と……く……!わ、私……!すんません、色々と……」

郁乃「涙を見せるのは弱くないし、弱音を吐かないのが強さじゃないんよ」

郁乃「たまには、末原ちゃんが自分自身の為に誰かを頼ってもええやん?今まで、みんなの為に頑張りすぎてたんやから……」ギュッ

恭子「…………」

郁乃「落ち着いた?それじゃ、みんなのところ行こ?明日に向けて、最終ミーティングや!」

恭子「はい……!」
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:16:42.40 ID:PjtBdpP4o

―――――某テレビ局

えり「全国高校生麻雀選手権速報です。本日はゲストに三尋木プロ、小鍛治プロ、瑞原プロ、大沼プロをお呼びしてのお送りとなります」

咏「おいおいえりりん、こーこちゃんみたいなはっちゃけ具合が足りないぜ〜。これだから国営放送は……」

えり「…………」イラッ

健夜「話が進まないですから、そう言う弄りはやめましょうよ」

えり「コホン、失礼しました」

えり「さて、明日はいよいよ団体戦決勝になります。ファイナリストは次の四校になります」
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:17:45.29 ID:PjtBdpP4o

えり「Aブロック一位通過は白糸台高校。四校の中では唯一、昨年のファイナリストでもあります」

えり「今年は史上初の三連覇が掛かった勝負年ですから、この大会に懸ける意気込みは並々ならないものがあると思います」

咏「プロ雀士達の優勝予想でも、支持率は断トツトップだったね〜」

大沼「宮永照の力が抜きん出ておるしのう。ロリ枠がおらんのが唯一にして最大の難点じゃが」

はやり「はやりは菫ちゃんに頑張って欲しいな〜」

えり「続きましてAブロック二位通過、阿知賀女子学院です。あの小鍛治プロが優勝予想した高校ですね」

健夜「ええ。準決勝では白糸台に稼ぎ負けましたが、ポテンシャルの高さは再確認しました」

はやり「やっぱり決勝戦の鍵を握るのは松実姉妹かな〜?」

健夜「確かに、松実姉妹の活躍には目を見張るものがありますけど、それ以上に重要なのは副将の新子憧選手かと」

健夜「チャンピオンはもちろんのこと、Bブロックからは爆発力のある上重漫選手と……」

健夜「一部ではあの宮永照選手よりも強いとの評価を受けている、清澄の宮永咲選手がいます」

健夜「この副将戦を、新子選手がどう立ち回るかが阿知賀の運命を大きく左右するのではないかと、私は見ています」
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:19:01.57 ID:PjtBdpP4o

えり「続きましてBブロック、一位通過は清澄高校。初出場で決勝に残ったのは10年前、小鍛治プロを擁して優勝した土浦女子以来二回目ですね」

健夜「針生さん……ちゃんと10年前って言ってくれた……」ウルウル

咏「ちなみに優勝予想で清澄を選んだのは私だけなんだぜ〜」ドヤァ

はやり「二回戦では永水に大敗したのに、まさか準決勝であそこまで無双するなんて思わなかったよね〜」

健夜「個々の選手達が非常に高い能力を持っていますし、優勝候補なのは疑いようがないかと」

大沼「更に、先鋒でロリ枠も完備しとるしの。言うことなしじゃ。はっちゃん亡き今、君達が最後の希望だ……」

えり「さて、Bブロック二位通過は名門、姫松高校!夏の大会では二年ぶりの決勝進出です」

咏「愛宕のお姉ちゃんの力が突出してるけど、要所にいい選手のいるチームだねぇ」

健夜「世間では白糸台の三連覇は鉄板と言われていますけど、正直今年はどこが優勝してもおかしくないですよね」

咏「いやまったくもって!どこが勝つかわかんねー!」
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:20:54.56 ID:PjtBdpP4o

―――――咲、淡の部屋

淡「サキ……まだ起きてる……?」

咲「うん……緊張しちゃって……」

淡「ね、今日……一緒のベッドで寝ていいかな?」

咲「今日も……だね。うん、私からもお願い……」

淡「えへへ……お邪魔しまーす」

咲「邪魔するんなら帰ってくださーい」

淡「も、もう……こんな時までサキは意地悪だよぅ!」プンスカ

咲「ごめんね淡ちゃん」ナデナデ

淡「むー……撫でられたくらいじゃ許さないもん……」ツーン

咲「えー……じゃあ、どうすればいいかな?」
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:21:54.45 ID:PjtBdpP4o

淡「キス……して」

咲「んっ……」チュッ

淡「サキは、ずるい……」

咲「えっ?」

淡「私はさ、サキにキスしてって言われたら、心臓が止まりそうなくらいドキドキしちゃって……今でもあわあわしてるのに……」

淡「サキは平然とできるんだもん」

咲「淡ちゃん……」ギュッ

淡「わわっ」

咲「私の心臓の音、聞いて?」ドキドキ

淡「すごく……ドキドキしてる……」

咲「淡ちゃんとおんなじなんだよ……」
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:22:45.64 ID:PjtBdpP4o

咲「前に私言ったよね?淡ちゃんが弱いんなら、私が強くなるって……」

咲「だから精一杯そうあるように振舞ってただけなんだ……」

淡「そっか。私、また一人で勘違いして……はぅ、なんか猛烈に恥ずかしくなってきた……」カァッ

咲「ふふっ……私、淡ちゃんのそう言うところ、好きだよ」

淡「わ、私……私も、す、好き……」

淡「ふぅ……やっと落ち着いてきたよ。ようやく眠れそう」

咲「私も……」

咲「淡ちゃん、明日……頑張ろうね!」

淡「うん!絶対勝つよ!」
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/11/27(火) 18:24:07.82 ID:PjtBdpP4o
今回はここまでです。
次はここまで間を空けないようにしたいです。
咲ちゃんと淡ちゃんは早く結婚するべき。

それでは読んで下さった方、レス下さった方ありがとうございました。
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/27(火) 18:34:44.58 ID:uV2IhRjw0
>>469
照「準決勝で当たった新子憧さん。強いですよね。序盤、中盤、終盤、隙が無いと思います。でも私は負けません」ユラユラ

照「えー……牌だっ……牌たちが躍動する私の麻雀を、みなさんに見せたいです」ユラユラ


訂正しておきました
っていうかこんなところでこのネタ来ると思ってなかったから吹いたじゃないか!
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/11/27(火) 20:02:06.53 ID:UNSY+8Fjo

洋榎とセーラの関係いいね
久しぶりにまともな代行見た気がする
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2012/11/27(火) 21:51:37.69 ID:T3BRsWx+o
こんなところでもネタにされるとかサトシンどんな気持ちなんだろう・・・
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2012/11/28(水) 08:26:43.95 ID:9th9SsZPo
寧ろ積極的にネタにしていかんと失礼だろww
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/29(木) 04:34:39.02 ID:TCc8juGOo
こんなところでまでwwww吹いたwwww
おつだぜー!あわあわまじあわあわー!!!
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/11/29(木) 12:54:37.13 ID:ds9QtBvu0
お客様兄貴
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/01(土) 21:15:16.35 ID:jD+sLFa00
すばら!
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/01(土) 22:57:40.10 ID:MK/+rBBh0
大沼さんがロリ枠とか言っててワロタwwwwwwwwww
496 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:20:26.48 ID:TWHlF6fho
決勝先鋒戦まで書き終わったので投下します。
せっかくの咲淡ネタが序盤中盤終盤に全部持っていかれるとはw

それとサトシンさんもハッシーさんもこんなとこ見てないから大丈夫w
むしろプロ棋士の方が咲の百合SSとか見てたらそっちのほうがよっぽどネタになるwww
497 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:21:02.87 ID:TWHlF6fho

―――――大会9日目、団体戦決勝戦

えり「さあ、いよいよこの日がやってまいりました!全国高校生麻雀選手権、団体戦決勝!」

えり「本日で、全国4000校の頂点が決定致します!」

えり「実況は私、針生えり。解説はお馴染み三尋木プロでお送りしています」

咏「よろしく〜」

えり「さて、この決勝戦、見所は何と言っても白糸台高校の三連覇に関してですよね」

咏「そだね〜。他の三校も優勝できる力は十分持ってるし、いやはやどこが勝つかまったくわかんねー!」

えり「注目の決勝戦、間もなく開始です!」
498 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:22:16.85 ID:TWHlF6fho

―――――先鋒戦

えり「さあ、間もなく先鋒戦出場選手の入場です!」

えり「清澄高校、先鋒は片岡優希選手。準決勝ではあの神代小蒔選手を相手に収支で上回っています」

えり「姫松高校先鋒は愛宕絹恵選手!ミスが少なく、非常に安定している打ち手ですね」

えり「阿知賀女子、先鋒は松実宥選手!地区大会から全ての試合でプラス収支!名実共に阿知賀のエースです!」

えり「そして、白糸台高校先鋒は、弘世すみ……ぶはっ!?」

えり「えっ?あ、えっ?あ、あの……」

咏「うっわー!なんかRPGに出てくるアーチャーに、はやりんが好きそうな魔法少女ルックを足したような格好だねぃ」
※参考画像:シュープシューターまじかるすみれで出てくるアレ
499 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:23:22.28 ID:TWHlF6fho

えり「えっと、あの……非常に真面目でクールなイメージのある弘世選手ですが……これは一体どう言うことでしょうか?」

咏「ん〜……まあ、吹っ切れたんじゃないの、色々と。知らんけど」

誠子「部長……さっきまで姿が見えないと思ったら……」

尭深「可愛い……」

和「とても素敵です!部長!」キラキラ

誠子「概ね好評!?」

照(なるほど……それが、菫の出した答え……か)

えり「えっと……これは大丈夫なんでしょうか?」

咏「阿知賀の大将の子だってジャージで打ってたし、制服じゃなくちゃいけないってことはないっしょ」

咏「ほら、審判も問題なしって判断したようだし」

菫(松実宥……今日こそ君を、撃ち抜いてみせる……!)
500 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:26:07.26 ID:TWHlF6fho

―――――東一局4巡目 親:片岡優希

菫(そろそろ行くか……aim……!)チラッ

宥(手が少し動いて……視線の先は愛宕さん。じゃあ私はこの局は普通に手作りを……)

数巡後

宥(張った……)

宥、手牌 ドラ:9
一一二二三三(五)五六(5)6799

宥(平和、一盃口、ドラ4で跳満……ここは五萬切りで……)スッ

菫「…………」

宥「……!?」ゾクッ
501 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:27:28.78 ID:TWHlF6fho

宥(えっ?だって、確かに弘世さんは愛宕さんを見てたのに……あったかくない視線を感じる!)

菫(fire……!)シュッ

宥(…………!)タン 9索

えり「あっと、松実宥選手、聴牌を取らず!」

菫(なっ……!?私のSS・S(シャープシュート・心眼)が……かわされた!?)

菫、手牌
南南南五五六六234789

菫(昨日、照に私の癖を指摘されてから編み出した新技……)

菫(本来の狙い撃ちと同じ動作をしつつ、その実狙った相手は視線の先ではなく心の眼……心眼で捉えた相手)

菫(私の癖を知っているなら逆にかわすことは不可能なはずなのに……)
502 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:30:32.29 ID:TWHlF6fho

次巡

菫「ツモ!1300、2600!」

宥(やっぱり、五萬、六萬のシャボ待ち……さっきの感覚は間違いじゃなかった……あの時確かに狙われてたのは私……)

優希(東初の親がこんなにあっさりと流された……やっぱり決勝戦ともなるとみんな強いじょ……)
503 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:31:30.06 ID:TWHlF6fho

―――――東二局 親:弘世菫

菫(さっきのは偶然だったのか……もう一度……いや、やめておくか。親場はとにかく連荘が大事)

菫(私の癖を見抜いていないであろう二校を狙い撃つ……!)

数巡後

優希「リーチだじぇ!」

絹恵(さっきは魔法少女さんが和了ったけど、東場での早さは相変わらずやな……しかも大抵は高打点……これは振り込めへん)

宥(…………)タン 五萬

菫(なっ……松実宥、一発目からそんな強いところを!?相当な大物手を張っているのか!?)
504 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:32:23.19 ID:TWHlF6fho

優希「ローーーン!リーチ一発!2600点!」

宥「はい」

絹恵(やっす!何やねんそれ!?)

菫(片岡優希……東場でこんな打点は滅多になかったはずだが……)

優希(親を蹴られちゃって流れを掴み損ねたから高い手に仕上げられなかったじょ……)

優希(でも今のも和了りは和了り!ここからギアを上げていくじょ!)
505 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:33:23.16 ID:TWHlF6fho

―――――東三局4巡目 親:愛宕絹恵

優希「リーチ!」

絹恵(ま、またこんな巡目から!?堪忍してーな!)

菫(まずいな……こうも早い打ち手がいると、射撃体勢も整わない……)

宥(…………)
506 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:34:10.50 ID:TWHlF6fho

数巡後

宥「リーチ……します」

菫(宥、片岡に対して濃いところをどんどん切っていってのリーチか……)

菫(ここまで押しの強いタイプではなかったと思ったが……)

優希「うっ……ここままずいんじゃ……?」トン 赤五萬

宥「ロン……メンタンピン赤1に一発で8000です」

優希「くぅ〜〜〜……競り負けたじょ!」

宥(今片岡さんが開いた手……メンピンのみの安手だった……やっぱり、赤土先生が言ってた通りだ……)
507 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:35:10.94 ID:TWHlF6fho

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

晴絵「もし片岡が起家で、その片岡に一度も和了らせずに親を流せたなら、少なくとも残りの東場の内は片岡に対しては全ツッパでいいぞ」

宥「えっと……どう言う意味でしょうか?」

晴絵「はは、まあそれだけ聞いても何のことだかわかんないよな〜」

晴絵「片岡優希が東場で非常に強い打ち手だってのは知ってるな?」

宥「はい。赤土先生の言う状況でもまだ東場は続いてますから、警戒しなければいけないのではないでしょうか?」

晴絵「うん、普通はそう考える。でもな、東場でも片岡が弱体化するのがさっき言った状況だ」

晴絵「典型的な流れを掴むタイプの打ち手なんだろうな。だから、最も得意とする東初の親場……そこで一度も和了れないと一気に失速する」

晴絵「彼女は牌譜が少ないから見つけるのに苦労したが、個人戦の長野予選ではそう言った傾向がチラホラと見られた」

晴絵「全国では二回戦なんかがいい例だな。さすがにその試合だけでは判断できなかったけど、個人戦のと合わせて確信が持てた」

晴絵「とにかく恐れずに行くんだ。大丈夫、宥ならきっとできる!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
508 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:36:22.05 ID:TWHlF6fho

―――――東四局3巡目 親:松実宥

優希「リーーーチ!」

菫(また、か……)

絹恵(やりたい放題やな本当に……まあ、勢いが落ちる南場までの辛抱や)

宥(もし、弘世さんや愛宕さんが片岡さんを警戒して降り気味に打ってるとしたら……!)
509 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:36:50.24 ID:TWHlF6fho

数巡後

宥「ツモ。1300オールです」

宥(それはそのまま、私のアドバンテージになる……!)

優希(阿知賀のおねーさん、リーチで脅しても全く降りてこないじょ……私の手が安いこと、見抜かれてる?)

咲「優希ちゃん、どうしたんだろう……?」

淡「ん?何がー?」

咲「東場なのに、全然高い手を作れてない……」

淡「あっ、そー言えば……速度はいつも通りなのにね……」

久「それでも、姫松と白糸台は降りてる……ツッパってくるのは阿知賀だけね」

まこ「まるで見透かしてるみたいじゃのう。あいつの打点がまったく高くないことを……」
510 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:38:37.34 ID:TWHlF6fho

―――――南一局 親:片岡優希

菫(南場に入って片岡の速度も落ちて来るだろう……ここでもう一度狙い撃つ……!)

菫(今度こそ射抜いてみせる!松実宥を……!)

数巡後

菫(aim……!)チラッ

宥(来た……狙い撃ちの動作……今度は片岡さんだ……)

宥、手牌 ドラ:中
中中中二三(五)五六EF [一二三] ツモ四萬

宥(聴牌……あったかいD筒が来れば跳満だけど……)
511 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:39:14.16 ID:TWHlF6fho

菫(シャープシュート・心眼……!fire……!)シュッ

宥(駄目……またあったかくない視線が……!)タン E筒

えり「松実宥選手、聴牌取らず!これは打点重視でホンイツ狙いに切り換えたということでしょうか?」

えり「これが図らずとも弘世選手の和了り牌を止める形になりました」

菫(また、かわされた!?ならば第二射で……)タン

絹恵「ロン、3900です」

菫「くっ……!」

菫(松実宥ばかり意識していたら他家に和了られるなんて……何をやってるんだ私は……!)
512 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:40:02.64 ID:TWHlF6fho

―――――前半戦終了

清澄  102500
阿知賀104800
姫松  94900
白糸台 97800

えり「前半戦終了ーーー!トップとラスの差は1万点以内!東一から目が離せないハイレベルな攻防が続いています!」

咏「そんな中でも、阿知賀の松実お姉ちゃんの方は安定して強いね〜。こう言う場で自分の麻雀がしっかり打てるってのは大きな強みだと思うよ」

えり「今後も熱い展開が予想される先鋒戦!15分休憩の後に後半戦に突入します!」
513 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:40:39.12 ID:TWHlF6fho

―――――会場休憩所

照「菫、ここにいたの……?」

菫「照……か。まあ、この格好で控え室に戻るのはちょっと……」

照「ふーん。どうせ試合が終わったら戻るのに……」

照「ちなみに菫の制服は隠しておいたから着替えてから戻ることも許されない」

菫「お、お前、何てことを!」

照「もう全国ネットでその姿を晒してるのに、今更恥ずかしがることもないてしょ?」

照「それとも……最初からその程度の覚悟だったのかな?」

照「変わろうと思ったから、その場所に立ってるんじゃないの……?」

菫「…………」
514 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:41:08.45 ID:TWHlF6fho

照「私は最後の最後まで、菫が自分の気持ちに正直であるように願ってるよ……」

菫「照……」

照「私にも……迷ってた時期があったから、ね?」

照「でも、今は自分に正直に生きてるよ。咲ちゃんのほっぺとかふとももとかペロペロしたい」

菫「オチをつけるなオチを!」
515 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:42:08.63 ID:TWHlF6fho

―――――後半戦南一局 親:片岡優希

菫(清澄の片岡……本当に起家を担当する確率が異常だな……)

菫(やはり速攻で蹴るのが吉なのだろうが……私のこの配牌……仕掛けられるような手じゃない。ならば……)

宥「ポンです」

菫(シャープシュート(支援)で手の速そうな相手に鳴かせて、安ければ差し込む!)

数巡後

菫(ここか……?)トン

宥「ロン。1000点です」

優希(くぅ……またまた親で和了れなかったじょ……)
516 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:43:07.55 ID:TWHlF6fho

―――――後半戦南四局オーラス 親:愛宕絹恵

清澄  98900
阿知賀108700
姫松  93600
白糸台 98800

えり「さあ、先鋒戦もいよいよオーラス!ここまで松実選手の一人勝ちですが、大差がつくには至っておりません!」

咏「本当に最後の最後まで息つく暇もない接戦だったねぇ」
517 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:45:14.48 ID:TWHlF6fho

菫(何とかここまで食らいついてきたが……結局松実宥からは一度も和了れていない……)

菫(……このまま、終わるわけにはいかないな!)

数巡後

菫(行くぞッ……これが私の、団体戦最後のシャープシュート……aim……!)カッ

宥(弘世さん……私の方をハッキリと見据えてきた……)
518 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:45:46.74 ID:TWHlF6fho

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

玄「お姉ちゃん、この前の全国模試、どうだった〜?」

宥「えへへ……赤土先生が勉強見てくれたお陰で一位が取れたよ〜」

玄「またまた〜。お姉ちゃん、一年生の頃からずっと一位なのに」

玄「ん?あれれ、この二位の人……」

宥「弘世、菫さん……?」

玄「確か、この前も二位だったよね?その前も、その更に前も……ずっとずっと、お姉ちゃんの後ろにいた人……」

宥「この人ね、お姉ちゃんにとってはすごく特別な人なんだよ?」

玄「えっ?特別な……人?」
519 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:46:29.06 ID:TWHlF6fho

宥「うん……私、昔っからどん臭くて、玄ちゃんと違って家事も何もできなかったでしょ?」

宥「だからせめて勉強だけは出来るようになろうって思って頑張ってきたんだ……」

宥「いい成績を取って先生に褒められるのは嬉しかったけど……」

宥「それが当たり前になると、私の中で勉強がどんどん義務になっていってる気がして……」

宥「ちょっと成績が落ちただけでみんなにすっごく心配されて……」

宥「勉強に縛られてるのが苦痛になってきちゃって、もう何もかも投げ出したいって思った時期もあったよ……」

宥「そんな時に、全国模試でこの人の名前を見て……コメントを寄せてたから読んでみたの」

宥「勉強は好きだから、もっと上を目指したいって……次は絶対トップを取るって、書いてあって……」
520 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:47:16.47 ID:TWHlF6fho

宥「それで思い出したんだ。私も、昔は同じ気持ちだったんだって……」

宥「それからは、私もプレッシャーを感じることなく勉強に集中できたかな……」

宥「同時に、この人には負けないぞって言う目標もできた……」

宥「あの時弘世さんのコメントを見なかったら私はきっと潰れちゃってたと思うから……」

宥「今の私があるのは弘世さんのお陰……だから、弘世さんは私にとって特別な人なんだ」

宥「こんなの、私の一方的な思い込みかも知れないけどね……」

玄「そんなことないよ!」

玄「きっと弘世さんだって、お姉ちゃんがいたからこそ頑張ろうって気持ちになったハズだよ!」

玄「一方通行なんかじゃ……ない!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
521 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:48:07.51 ID:TWHlF6fho

菫(もう心眼とか小細工はいらないっ!私の全身全霊の最終射撃(ティロ・フィナーレ)で、君を射抜くッ!)

宥(あったかい視線……そっか。そっか……弘世さん、ずっと、私のこと、見ててくれたんだ……!)

宥(でも、私……負けないよ!私は、阿知賀のエースだもん!)

宥、手牌
111(5)557999 [中中中] ツモ3索

宥(この形……そのまま聴牌を取ったらきっと射抜かれる……それなら今まで通り一旦回して……)

菫(……fire!)シュンッ

宥(あっ、そっか……これはきっと……)タン 1索
522 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:48:44.47 ID:TWHlF6fho








━━━━━ロン。







523 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:49:49.02 ID:TWHlF6fho

宥「はい」

菫、手牌 ドラ:4
2344445666678

菫「16000」
524 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:50:46.96 ID:TWHlF6fho

菫「やっと……やっと君を射抜くことができた……」

宥「弘世……さん……」

菫「ただ、私は……」

照(菫、頑張れっ……!)
525 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:51:14.18 ID:TWHlF6fho

菫「私の心は、三日前の準決勝の時に君に射抜かれていたんだ……」

宥「…………」

菫「昨日今日会ったばかりの私にこんなこと言われても戸惑うかも知れないけど……」

菫「私は、一年の頃からずっと……君を見てきた……!」

菫「私は……君が欲しい!」

宥「私……私も、ずっと弘世さんのこと見てましたから……嬉しい……」

宥「こんな私で良ければ……よろしくお願いします……」
526 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:52:05.28 ID:TWHlF6fho

優希「ヒューヒュー!熱いじぇ、お二人さん!」

絹恵「私らの存在を完全に忘れてイチャイチャしよって……ホンマに妬けるでぇ」

菫「えっ!?あ、す、すまない!つい……」

宥「あ、あわわわわ……ご、ごめんなさいっ」

えり「あっ……えっと……せ、先鋒戦、終了です!そして、このインハイ決勝の舞台でまた新たなドラマが生まれましたッ!」

咏「いや〜青春してるねぃ。命短し恋せよ乙女ってヤツだ」
527 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:52:54.89 ID:TWHlF6fho

照「菫……本当に良かったね」ホロリ

和「部長と玄さんのお姉さん……アリですね」キリッ

尭深「今年の冬の本のネタは決まった……大収穫……」

和「やはり部長が攻めですか?」

尭深「いいえ、ここはあえての松実さん攻めで……」

和「なるほど……それも、アリですね!」

清澄  98900(-1100)
阿知賀 92700(-7300)
姫松  93600(-6400)
白糸台114800(+14800)
528 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/04(火) 20:53:57.28 ID:TWHlF6fho
今回はここまでです。
読んで下さった方、レス下さった方ありがとうございました。
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 23:33:20.36 ID:cf/8CA8Fo

全国中継でコスプレして告白とかとんでもない吹っ切れ方だな菫さん
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/05(水) 12:27:27.09 ID:pXWJ9L/80
そら(サトシンのネタを持ってこれば)そう(咲淡ネタなんてふっとぶ)よ

しかし心眼を見抜く宥姉はやはり阿知賀のエースですな
でも最後に勝つのは末原さんと信じているっ
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/05(水) 17:25:39.35 ID:FIQrtKuwo

菫宥相手なら他が半分空気になるのも仕方ないなww
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/06(木) 00:57:27.97 ID:Xv8GGLqIO
むしろタコス良く頑張ったよ
起親で上がれないのによくあそこまで堪えたな
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/09(日) 15:04:44.74 ID:SZcGQAxu0
菫宥あったかいよ〜
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/11(火) 20:08:38.42 ID:d/fYC98AO
24時間誰も書き込まなかったらクロチャーは俺の嫁になる
535 : ◆mzEnFgpxGU [sage]:2012/12/11(火) 20:34:06.10 ID:/x5+c6ZW0
生存報告ついでに阻止。
風邪を引いて投下できない状態になってます。
中堅戦終了までほぼ書きあがってはいるので、土日までには何とか投下したいと思ってます。
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/11(火) 22:11:34.75 ID:8THgxsJGo
お大事にしてください
537 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/14(金) 15:12:20.71 ID:O2Ea+iE3o
ようやく回復したので中堅戦終了まで投下します。
副将戦が早く書きたかったので結構駆け足気味かつ雑になってますw
宥菫は正義。
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:13:07.77 ID:O2Ea+iE3o

―――――会場休憩所

菫「すまなかった……私としたことが、公共の場であんなことを……」

菫「その、松実さ……宥にまで恥をかかせてしまって……」

宥「ううん、私、菫ちゃんがああ言ってくれて嬉しかったから……」

菫「あ、ありがとう……そう言ってくれると私も気が楽になる……」
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:14:06.10 ID:O2Ea+iE3o

菫「ところで、宥は個人戦には出るのか?」

宥「ううん、阿知賀のみんなは団体戦にしかエントリーしてないんだよ」

菫「そうか……じゃあ、公式戦で宥と打つ機会はもうないのか……」

宥「うん。でも、これから先、プロになるか大学か実業団かはわからないけど……どんな形でも麻雀は続けるつもり」

宥「だから、これからも一緒に打とうよ!菫ちゃん!」

菫「ああ、もちろんだ!だが、その前に……」

宥「高校最後の全国模試だね……」

菫「麻雀で勝つと言う目標は達成できた……次は全国模試で勝つ!」

宥「麻雀でも勉強でも負けちゃったら私、菫ちゃんに勝てるところが一つもなくなっちゃうから……絶対負けないよ!」
540 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:14:49.91 ID:O2Ea+iE3o

菫「あっ、そろそろ次鋒戦が始まるな。すまない、戻らなくちゃ」

宥「うん……あの、お昼休みは……一緒にお弁当食べようね?」

菫「ああ、約束だ!」
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:15:37.39 ID:O2Ea+iE3o

―――――清澄控え室

優希「ただいま戻ったじぇ〜!」

咲「優希ちゃん、おかえり〜」

久「お疲れ様。頑張ったわね」

優希「うぅ、でも二位とは言えマイナスだと申し訳ないじぇ」

まこ「何言っとるんじゃ、あの面子相手にほぼ原点維持なら大したもんじゃ!」

京太郎「そうだな、お前はもっと誇っていい!」
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:16:36.74 ID:O2Ea+iE3o

優希「そっか……うん!後は染谷先輩に任せるじぇ!」

久「まこ!渋谷尭深対策は大丈夫?」

まこ「ああ、誰にも連荘はさせない……素早く試合を終わらせればいいんじゃろ?」

まこ「それなら得意分野じゃ!任せんしゃい!」
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:21:23.92 ID:O2Ea+iE3o

―――――阿知賀控え室

宥「ただいま〜」

憧「宥姉遅い〜。逢引してたの?」

宥「ちょっ、憧ちゃん!」

玄「弘世菫さんかぁ〜。ふぅーむ、なかなかのなかなかなおもちを捕まえましたなぁ」

宥「玄ちゃんまでなに言ってるの〜!?」

晴絵「ま、あんまり浮かれすぎないようにな。僅差とは言えラスなんだし」

宥「あっ、あぅ……すいません……」

穏乃「し、仕方ないですよ、あの場面は!何を切っても振り込んでたんですから!」

玄「それに、灼ちゃんならきっと取り返してくれます!」

晴絵「灼のヤツ、二回戦と準決勝共に不調で責任を感じてたからな……気負いすぎなければいいが……」

憧「とにかく信じるしかないっしょ!大丈夫だって!私達の部長なんだから!」
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:22:25.80 ID:O2Ea+iE3o

―――――白糸台控え室前

菫「どうしよう……今更だけど戻るのがすごく恥ずかしい……」

照「観念する」グイッ

菫「わわっ!?」

和「あ、部長……お帰りなさい」

誠子「区間トップでしたね!お疲れ様です」

和「早速ですがその服、どこで買ったんですか!?」
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:22:58.01 ID:O2Ea+iE3o

照「肩出し腋見せニーソとか、菫はあざとい……」

菫「い、言うなぁー!それより私の制服を早く返せ!」カァー

照「無理……菫のファンの後輩に3000円で売ってそのお金でエリーゼとアルフォートとポッキーを大量に買ってきた……」

菫「お前って奴はーーー!」

照「冗談。菫の家にゆうパックで送っといた。着払いで」

菫「結局着替えられないじゃないか!」

和「私はその格好、大いにアリだと思います!」

菫「もう好きにしてくれ……私は疲れた……」
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:24:09.93 ID:O2Ea+iE3o

―――――次鋒戦

えり「清澄高校、次鋒は染谷まこ選手!目立った活躍は少ないですが、清澄の勝利を影で支えてきたいぶし銀の選手です!」

えり「姫松高校は真瀬由子!インタビューでは白糸台の渋谷尭深選手対策はバッチリだと自信を覗かせていました!」

えり「阿知賀女子学院、次鋒は二年生にして部長の鷺森灼選手!恩師、赤土晴絵さんが立てなかったこの舞台!」

えり「鷺森選手としても並々ならない想いがあるでしょう!」

えり「白糸台高校は次鋒、渋谷尭深選手!準決勝では二度の役満を和了り、勝利に貢献。他の三校から最も警戒されている選手でしょう!」
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:25:15.90 ID:O2Ea+iE3o

―――――東一局7巡目 親:渋谷尭深

尭深「リーチ……です」

まこ「ロン!1000点じゃ!」

尭深「は、はい……」

尭深(早い……)
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:25:41.97 ID:O2Ea+iE3o

―――――東二局4巡目 親:染谷まこ

尭深「…………」タン 發

由子「ポン!特急券ゲットなのよ〜」

次巡

由子「ロン!1300よ〜」

尭深「あぅ……」
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:26:23.59 ID:O2Ea+iE3o

―――――東四局最終巡 親:真瀬由子

由子「ノーテンなのよ〜」

尭深「聴牌……です」

まこ「ノーテンじゃ!」

灼「聴牌」

えり「おっと、真瀬選手、聴牌ですが牌を伏せましたね。連荘を自ら放棄しました!」

咏「オーラスの親だし、役満をツモられる可能性を少しでも減らしたんだろうね」

えり「ここまで白糸台以外の三校の考えは見事に一致!速攻で流し、それができなかった場合でも連荘は避けています」

えり「渋谷尭深選手への包囲網は想像以上に厳しくなっています!」
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:27:10.74 ID:O2Ea+iE3o

―――――後半戦南四局オーラス、親:染谷まこ

淡「やったね、前半戦と同じでたかみスロットは七つのままだよ!」

久「ここまで大きな点数移動はなかったとは言え、収支はまこがトップね。このまま何事もなく終わってくれれば言うことなしなんだけど」

尭深「うぅ……」グスン

尭深、配牌
西北白白發中三六七CE27

まこ(渋谷は通常のツモ分でよほどいい牌が揃ってない限り手はバラバラのはずじゃ……)

由子(今回はじっくりと手を作れるのよ〜)

灼(ハルちゃん、見てて……!)
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:27:52.16 ID:O2Ea+iE3o

数巡後

灼「ツモ!1300、2600!」

まこ(くっ……やられたか!)

由子(予想以上に早かったのよ〜)

えり「次鋒戦、終了ーーー!終始速攻で流された白糸台が点数を落としましたが、安手が多かった為全体での点数移動はごく僅か!」

えり「先鋒戦に引き続き、トップは白糸台が維持しています!」

清澄  101100(+2200)
阿知賀 97800(+5100)
姫松  92300(-1300)
白糸台108800(-6000)
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:28:44.07 ID:O2Ea+iE3o

―――――白糸台控え室

尭深「すいません……一度も和了れませんでした……」

菫「全員が速攻を意識してたし、仕方ないさ」

誠子「むしろアレだけ対策されてて、よく凌いだ方だ」

尭深「…………」

誠子「さて、そろそろ私の出番かな。相手にとって不足はない……!」

照「亦野、期待してる……」
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:30:11.07 ID:O2Ea+iE3o

―――――姫松控え室

由子「ただいま戻ったのよー」

恭子「由子、お疲れさん」

由子「全然稼げなかったのよ〜」

洋榎「いや、あの渋谷相手にこれなら十分やろ。得点の方はウチに任しとき!」

恭子「主将、お願いします」

絹恵「姉ちゃん……」

洋榎「絹、これがウチの、団体戦最後の闘牌や。よお見とき……」

洋榎「そして、目に焼き付けるんや!誰が、高校最強なのかを……!」
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:31:18.84 ID:O2Ea+iE3o

―――――中堅戦

えり「さあ、間もなく折り返し地点、中堅戦が始まります!」

えり「清澄高校、中堅は竹井久!個性派の選手達をここまでまとめあげてきた、チームの大黒柱です!」

えり「姫松高校は愛宕洋榎選手!インターハイではもはやお馴染み、公式戦全試合プラス収支!歴代姫松の中でも最強と謳われるエースです!」

えり「阿知賀女子学院、中堅は松実玄選手!準決勝ではあの江口セーラ選手との激戦を制して更なる成長を遂げました!」

えり「この決勝戦、対局相手には奇しくもその江口選手の永遠のライバルと称される愛宕洋榎選手がいます!」

えり「阿知賀の竜英傑(ドラコジーニアス)は大阪代表の二大巨頭を打ち破ることができるのか!?」

えり「白糸台高校、中堅は亦野誠子選手!白糸台のナンバー5ですが、その実力は並の高校のエースを上回ることをここまでの試合で体現しています!」

咏「松実玄は言うまでもなく超高火力で他家の打点も下がるオマケ付き。試合巧者の三人はドラを封じられた中でどう立ち回るか見ものだねぃ」
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:32:03.32 ID:O2Ea+iE3o

―――――東一局10巡目 親:松実玄

宥「あ、あれ……?」

憧「白糸台の亦野……聴牌したけどあの待ちは何なの……?」

亦野、手牌 ドラ:A
三四五八八BC345678

灼「綺麗なメンタンピンの三色手……普通に打ってるなら最高の形だけど……」

晴絵「あの卓には玄がいる……ドラのA筒と赤D筒二枚が絶対に入らないんだから、BC筒の塔子なんて真っ先に落とすところだ……」

穏乃「でも、それをしないってことは……!?」

誠子「リーチ……!」

えり「中堅戦、最初に仕掛けたのは亦野選手!しかし、相手を考えるとこのAD筒待ち、分が悪いのではないでしょうか?」

咏「阿知賀のドラローちゃんがいる限りは実質2枚待ちだからね〜。普通はまずツモれないところだけど……」
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:32:37.96 ID:O2Ea+iE3o

穏乃「仕掛けてきた!?何を考えてるんだ!?」

晴絵「あるとすれば……玄の降り狙い……か?」

穏乃「そ、それって?」

晴絵「普通、リーチに対してドラなんて切れる牌じゃない……しかし、まずそこでの待ちがないって確信していたら……?」

憧「さっきハルエが言った通り、玄と同卓してドラを含む待ちなんてほぼ残さない」

憧「そりゃ、ドラ含みの多面張はあるかも知れないけど、最終形でそれが残るのは稀でしょ。必然、玄にとってドラはまずまずの安牌になる」

晴絵「玄は準決勝の中で成長し、ドラを切るとその後しばらくドラが来なくなる弱点も克服してるからな……」

晴絵「もし亦野がそれに気付いているとしたら、玄が降りる為のドラ切りを狙ってくるかも知れない!」

穏乃(確かに、憧や赤土さんの言うことは理に適ってる……でも、それだけじゃない気がする!)

穏乃(何て言うか、私の中の動物的勘が囁いてる……亦野さんは危険だって……!玄さん、気をつけて!)
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:34:09.18 ID:O2Ea+iE3o

誠子「ツモ……!」

晴絵「そ、そんな薄いところを一発で……?いや、アレは……!」

誠子「リーチ一発ツモタンピン……ドラ1!3000、6000!」

憧「D筒じゃなくて……ドラのA筒!?」

宥「玄ちゃんがいるのに、どうして……?」

えり「こ、これは一体……!?松実玄選手がいる卓で、彼女以外がドラをツモったのはこれが初めてです!」

咏「竜さえも従える強大なカリスマ……!士気溢れる徴集兵、亦野誠子……!」
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:35:21.77 ID:O2Ea+iE3o

―――――東二局8巡目 親:愛宕洋榎

玄(何だかよくわからないけど、親被りを受けてしまったのです……取り戻さないと!)

久(亦野誠子……三副露すると5巡以内に和了るのと、自らが河に捨てた牌と同じ物をツモれる……)

久(準決勝で見せたのはそれくらいだったけど、他にも特技があるってことかしら?)

誠子「リーチ!」

えり「またまた仕掛けたのは亦野選手!勢いが止まりません!」

久(ノーチャンス、一枚切れの九萬……私ならともかく、普通はこんなところじゃ待ちたくない……通せるはず!)
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:35:58.52 ID:O2Ea+iE3o

久(でも、ここでこの牌が来た意味を考えると……こっち!)タン 八萬

誠子「ツモ……1000、2000!」

久(あ〜、本当に九萬待ち……何とか止めたけど、これは……)

えり「これは、竹井久選手のお株を奪う悪待ちリーチ!見事にツモりました!」
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:36:45.81 ID:O2Ea+iE3o

―――――東三局7巡目 親:亦野誠子

洋榎(久の悪待ちに、ドラローのドラツモ……か。どっちも自分の得意としていた技でやられとる……)

洋榎(日夜戦場で生きる為の術を磨き、あらゆる技術を吸収してきた百戦錬磨の傭兵亦野……)

洋榎(麻雀に於いても、相手の技術を自らに応用し、打ち取ることもできるっちゅうことか……)

洋榎(まあ、所詮は見様見真似……ドラ爆ができるわけでもなく、ツモってこれたのはたかが一枚……悪待ちの精度も高くない……)

洋榎(ただ、それでも……相手を動揺させるには十分すぎる効果があるわな……!)
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:37:56.31 ID:O2Ea+iE3o

誠子「ポン!」

久(三副露目……!)

玄(うぅ……早くて追いつけないよぉ……)

誠子「…………」トン 6索

洋榎「ロン。タンピン三色、7700!」

誠子「なにっ……!?」

洋榎「亦野誠子、敢えて相手の得意技で和了ることによって精神的優位に立とうとしてるみたいやけど、残念やったな」

洋榎「ウチはそこの二人とは格が違う!通用せんわ!何故なら……」

洋榎「この強さそのものが、ウチの能力なんやからな!」ドヤァ

誠子「くっ……!」
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:38:40.24 ID:O2Ea+iE3o

―――――南二局9巡目 親:愛宕洋榎

洋榎「ツモ!4000オールや!」

誠子「ぐっ……」

えり「愛宕洋榎選手、これで三連続和了!完全に流れを掴んでいます!」

玄「この勢いと高火力……まるで千里山の江口セーラちゃんみたいなのです……」

セーラ「おうおう、洋榎の奴随分と調子付いてるなぁ」

怜「セーラと同じでああなった洋榎は中々止められへんからなぁ……姫松の独壇場もありえるで」

セーラ「でも、オレを倒した玄がこのまま何も出来ずにやられんのもな〜んか癪やなぁ……」
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:39:44.61 ID:O2Ea+iE3o

―――――後半戦南四局オーラス 親:亦野誠子

えり「中堅戦オーラス、阿知賀女子学院の一人沈みと言う状況で迎えました!」

えり「しかし、松実玄選手は常に大きな一発を持っています。最後の最後まで何が起こるかわかりません!」

洋榎(松実玄……セーラに勝ったのはマグレやったんか?何や、おもろくないな〜)

セーラ「玄……気張れや!お前も、オレのライバルなんやから!」

宥「玄ちゃん……」

穏乃「玄さんっ!」

憧、灼「玄……!」

玄(私、諦めないよっ!みんなが信じてくれるから、私は立ち上がれるッ!何度だって……!)
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:40:18.93 ID:O2Ea+iE3o

数巡後

洋榎「……!?」ツモ八萬

洋榎(あ、アカン……何やこの寒気は……!)ゾクゾク

玄「…………」ゴゴゴゴゴ

洋榎(松実玄……ドラゴンロード!ようやくお目覚めかい!だったらこんなとこ、もう打てへんな……)タン E筒
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:41:15.84 ID:O2Ea+iE3o

次巡

玄「ツモ……!」

穏乃「玄さんの手なのに、ドラが一枚もないなんて……」

晴絵「いや、見えるだろう……?9匹の龍が……!」

誠子「あ、アレは……!?」

玄、手牌
白白白發發發中中中六七CC ツモ五萬

咏「ホワイトドラゴン(白)、グリーンドラゴン(發)、レッドドラゴン(中)……!」

玄「大三元(ビッグドラゴンズ)……8000、16000です!」
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/14(金) 15:42:28.38 ID:O2Ea+iE3o

えり「き、決まりましたッ!この土壇場、オーラスに松実選手の役満、大三元!」

清澄  92300(-8800)
阿知賀 92100(-5700)
姫松  119900(+27600)
白糸台 95700(-13100)

えり「中堅戦が終了し、点数は姫松の一人浮き!三校はほぼ横並びの状態になりました!」
567 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/14(金) 15:44:06.47 ID:O2Ea+iE3o
今回はここまでです。
読んで下さった方、レス下さった方、ありがとうございました。
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 18:43:48.01 ID:DE7Xxb/Uo


そのうちブルーアイズホワイトドラゴンが出てきそうな…
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 19:05:22.88 ID:3tY3VglIO
範囲広がりすぎわろうた
ここのくろちゃーなら魔物クラスとも渡り合えるな…
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 19:40:00.42 ID:0T5SADduo

大三元まで使えるようになるとはもう立派な魔物ですね
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/15(土) 03:01:26.92 ID:mAyXiGlRo
たかみー「焼き鳥の上大三元も取られちゃった…」
572 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/17(月) 03:29:03.99 ID:5MnoFHkXo
副将戦終了まで投下します。今回は若干鬱に見える部分があるかも知れないので注意。
クロチャーは最初はリーツモドラ12の予定でしたけど大三元が英語だとビッグドラゴンズになるってのを知って急遽変更しました。
本編の決勝でも通常のドラが復活しない代わりに大三元を決めてくれるんじゃないかって密かな期待をしてますw
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:29:57.11 ID:5MnoFHkXo

―――――清澄控え室

久「ただいま」

淡「部長、お疲れ様〜」

久「やられたわ〜。高校最後の公式戦がこの結果だと、ちょっと心残りね〜」

淡「大丈夫だいじょーぶ!清澄優勝でそんな心残りなんか吹き飛ばしてあげるからっ!」

久「ん、そーね。後は二人を信じて託すわ!咲、頑張って!」

咲「はいっ!」

咲(お姉ちゃん……やっと、会えるんだっ!)
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:30:52.29 ID:5MnoFHkXo

――――――白糸台控え室

照「……この日を、待っていた!」

菫「気合い十分って感じだな」

和「中堅戦後半辺りから一言も発さずに集中していましたからね……」

照「今まで、咲との家族麻雀の成績は私の12勝1024敗……若干負け越してはいるが、それも今日まで。この対局で全ては過去のものとなる!」

誠子「若干ってレベルじゃないですね」

和「お義姉さん……」

照「この対局が終わった時、咲は間違いなく私に惚れているだろう……」

照「私の可愛い咲は、淡にも原村にも絶対に渡さないっ!」
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:31:51.96 ID:5MnoFHkXo

―――――姫松控え室

洋榎「見たか、みんなー!」ドヤァ

恭子「主将、お疲れ様です」

郁乃「お疲れ様〜。あの面子相手に圧倒的な一人勝ちは流石やわ〜」

洋榎「せやろ〜流石やろ〜?」

絹恵「姉ちゃん……」

洋榎「絹!どやった?」

絹恵「うん……私、来年は絶対やったる!姉ちゃんの妹として、恥ずかしない雀士になる!」

絹恵「そんで……いつか姉ちゃんに追いついて、追い越してみせる!」

洋榎「おう、その意気やで、絹!もっともウチも、そう簡単に追いつかれる気もないけどな!」
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:32:29.41 ID:5MnoFHkXo

漫「…………」

恭子「さっ、漫ちゃん!そろそろ出番や!」

洋榎「ぶちかましたれ!」

漫「い、行ってきます!」
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:33:05.55 ID:5MnoFHkXo

郁乃「う〜ん、あの子、大丈夫なん?」

恭子「信じるしかないでしょう……何せ相手はチャンピオンに、高一最強の宮永咲」

恭子「それに阿知賀で一番上手い言われとる新子憧。みんな漫ちゃんより遥かに格上やけど……」

由子「爆発、今度こそ見れるかも知れないのよ〜」

郁乃「せやな〜。それじゃあウチも、末原ちゃんが信じた漫ちゃんを信じてみるわ〜」
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:33:46.88 ID:5MnoFHkXo

―――――副将戦

えり「いよいよ決勝戦も終盤、副将戦に突入です!」

えり「清澄高校、副将は宮永咲!圧倒的な強さで清澄の勝利に大きく貢献してきたスーパールーキーです!」

えり「姫松高校は上重漫選手!時折圧倒的な爆発力を見せる選手ですが、この強敵達を相手に力を発揮できるのか!?」

えり「阿知賀女子学院、副将は新子憧選手!三尋木プロのお墨付き、阿知賀で最も上手いとされる一年生です!」

えり「そして……白糸台高校!副将は宮永照!高校生雀士の頂点、ミスインターハイ!」

えり「準決勝でも圧倒的なプラス収支!今年もその強さは健在です!三校の選手達は彼女を相手にどう立ち向かうのか!?」

えり「注目の副将戦、間もなく開始です!」
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:34:58.88 ID:5MnoFHkXo

―――――東一局 親:宮永照

漫(ふぅ……改めて見ると、ホンマにバケモン揃いやなぁ……卓に着いただけでオーラが別物ってわかるわ……)

漫(でも、思い出すんや……南大阪予選前に行なった、南北大阪合同合宿での卓を……!)

漫(主将、千里山の園城寺怜さん、三箇牧の荒川憩ちゃん……!その三人と一週間卓を囲んだ地獄の日々……!)

漫(何度爆発しても一度も勝てなかったけど、その状況、経験が、ここで活きてくるってモンやろ!)
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:35:59.26 ID:5MnoFHkXo

四巡目

咲「ポン!」

咲、手牌
西西西中中中三三三七七八八 [二二二]

優希「来たじょっ!初っ端から倍満手!」

淡「いけ〜サキー!テルなんかやっつけろ〜!」
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:36:56.08 ID:5MnoFHkXo

次巡

淡「あっ……!」

咲(お姉ちゃん、私がどれだけ成長したか……見ててね!)

咲「カン……!」

漫「ロン!」

咲「えっ!?」

漫、手牌 ドラ:H筒
三四(五)五五DDDHH555

漫「槍槓、三色同刻、三暗刻ドラ3!倍満!」

恭子「漫ちゃん!ようやってくれた!」

えり「な、何と!副将戦最初の和了りは上重選手の倍満手!姫松は更にリードを広げました!」

洋榎「東初から爆発!これは幸先いいな!」

恭子「漫ちゃん、いつかやってくれるって、私は信じてたで!」
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:38:59.79 ID:5MnoFHkXo

照「…………」ゴゴゴゴゴ

漫「んっ?」

憧「げっ……来たわね、この感覚……!」

咲(まるで、全てを見透かされたかのような……!)

憧(チャンピオン……宮永照の、照魔鏡!)
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:39:43.60 ID:5MnoFHkXo

―――――東二局 親:上重漫

照(姫松の女……許さない!私の可愛い咲ちゃんから点棒を奪った罪!その全ての点棒を毟り取って、贖いとさせてやるっ!)

咲(うぅ……いきなり倍満に振っちゃったよぅ……姫松の人、準決勝では不調だったみたいだけど、やっぱり強い……!)

照(大丈夫だよ、咲ちゃん。お姉ちゃんが、取り返してあげるからね!)
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:40:18.92 ID:5MnoFHkXo

三巡目

照、手牌
二三四ABFF233445

憧「…………」タン C筒

えり「あっと、新子選手!宮永照の当たり牌を出してしまった〜!」

えり「しかも高目!チャンピオンの連続和了は7700点から始まってしまいます!」

照「…………」スッ ツモ9索

照「…………」トン 9索

えり「えっ?こ、これは……?宮永照、新子選手のC筒を見逃してそのままツモ切り!?」

咲(お、お姉ちゃん……?)
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:41:10.49 ID:5MnoFHkXo

漫(よし張った!調子いいし、ガンガン攻める!)

漫「リーチ!」パシッ @筒

照「ロン。平和、1000点」

漫「はっ……?」

えり「え、えっと、三尋木プロ、これは……?トップを削りにいったということでしょうか?」

咏「いやわっかんね〜。さすがの私もこの意図は全くわかんね〜わ」

憧(なっ……?いくらトップが独走してるからって、7700を見逃してその和了りは理解できないって!)

憧(まあ、あたしとしては助かったんだけど……)
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:42:05.38 ID:5MnoFHkXo

―――――南一局一本場 親:宮永照

えり「さあ、ここまでチャンピオンの宮永照選手、怒涛の四連続和了!いずれもトップの姫松から直撃を取っています」

漫(うぅ……最初に和了った倍満の貯金をもう失ってもうた……しかもチャンピオンに狙い撃ちされて……)

漫(ウチが一体何したっちゅうんや……)グスッ

照(さて……咲ちゃんが取られちゃった分はしっかり取り返した。でも、こんなものじゃ済まさない!)

照(奪うッ!姫松の息の根を止めるまで!)

咲(この親場でお姉ちゃんに連荘されたらさすがに追いつけなくなる……)

咲(何とかお姉ちゃんを抑えて先に和了りたいっ……!難しいけど、やってみよう!)
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:42:45.34 ID:5MnoFHkXo

十巡目

照「…………」タン 南

咲「カン!」

照「えっ……?」

咲「ツモ!南、ホンイツ、嶺上開花ドラ2……12300!」

えり「み、宮永咲選手!チャンピオンの連続和了をあっさりと阻止!」

照(嶺上開花の責任払いか……昔を思い出すな。咲ちゃん、相変わらず可愛い!)

えり「しかし跳満を当てられたチャンピオンは余裕の表情!心なしか若干笑みがこぼれているようにも見えます!」

淡「うわぁ……テル、キモっ……」
588 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:43:33.64 ID:5MnoFHkXo

―――――南二局6巡目 親:上重漫

照「…………」タン 7索

咲「ロン、3900」

照「!?」

えり「宮永咲選手、チャンピオンから3900を直撃!」

咏「チャンピオンが二連続放銃なんて、初めて見たぜ」
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:44:09.13 ID:5MnoFHkXo

照(やっぱり、咲は強い……中途半端な気持ちのままじゃ絶対に勝てない……)

照「全力で行かせてもらうッ……!」ゴッ

憧「うっ……!?」

漫(な、何や!?チャンピオンの雰囲気が、変わった!?)

淡「て、テル……!?」

衣「世界が、暗れ塞がる……!」

照「…………」ゴゴゴゴゴ
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:44:43.15 ID:5MnoFHkXo

―――――南三局 親:宮永咲

憧(な、何なのよ、チャンピオンのこのプレッシャーは!?同卓してるだけで、押し潰されそうになる……!)

漫(な、何や、対面の新子っちゅう子……チャンピオンの雰囲気が変わってから、急に苦悶の表情を……)

咲(やっぱり、新子さんくらいのレベルなら直に受け取っちゃうんだ……お姉ちゃんのプレッシャー……)

咲(魔物って呼ばれる人達の、絶大な力の奔流……波動を……!)

咲(新子さんごめんね……これは完全にとばっちりだけど……私はお姉ちゃんとの勝負に逃げるわけにはいかないから!)ゴッ
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:45:23.82 ID:5MnoFHkXo

三巡目

憧(こ、こんな状態が長引いたらヤバイ!ここは点数が欲しいけど、速攻で流す!)

憧「チー!」タン 北

憧、手牌
九BCDEGG234 [六七八]

えり「新子選手、急所の七萬を鳴いてきました!得意のクイタンによる速攻で流しにいきます!」

咏「ん〜……でもこれって、マズくね?」

えり「確かに、前半戦ももう終盤に入ってきてますし、トップの姫松との点差は3万点弱ありますからもう少し打点は欲しいところですけど……」

えり「しかし新子選手はラス親ですから、ここで一つ確実に和了って流れを掴みたいところではないでしょうか?」

咏「うん、まあ……和了れればね」

照「…………」ギギギ
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:46:22.96 ID:5MnoFHkXo

十三巡目

憧(な、何なのよこれ!?鳴けないし、引けないっ!)タン 南

えり「あ、新子選手またもツモ切り!これで10連続ヤオ九牌ツモ!一向聴から中張牌が一切入ってきません!」

漫(阿知賀も、私と同じで手が全然進んでへんのか……さっきからツモ切りばっかりや……)

照「ツモ。700、1300」

憧(くっ……三巡目で一向聴だったのに聴牌すらできないなんて……!)

菫「照の奴、ついにアレを解禁……いや、封鎖したのか」

誠子「これやられると、オーラスの尭深ですら役を作れないですからね……」

和「いえ、そんなオカルトはありえませんから。憧も運が悪かっただけです」

照(天岩戸は閉ざされ、天照大神はその姿を隠した……三人共もう、役を作ることはできない!)ギギギ
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:47:35.78 ID:5MnoFHkXo

―――――南四局オーラス 親:新子憧

衣「これは……一寸厄介かも知れんな……」

池田「一体何なんだよ?見た感じ、お前の一向聴地獄に似てるけど……」

衣「岩戸隠れ……」

池田「は?」

衣「須佐之男命の度々の愚行に憤慨した天照大神は、天岩戸に引き籠った……」

衣「太陽神である天照大神が隠れたことにより世界は闇に包まれ、あらゆる災いが降り注いだと言う……」

加治木「その災いと言うのが……」

衣「ああ……宮永照が天岩戸を閉ざしている限り、他の者は最終形が役なしでしか受けられない」

衣「意図して作ろうとする役は全て封じられる……!」

照(そう……私以外はリーチ、一発、門前ツモ、それに槍槓、海底、河底、嶺上開花以外では和了れない……!)

池田「世界に厄が降ってきたのに役なしとはこれ如何に……なーんちゃって……」ドヤァ

衣「咲……この局面、お前はどう出るか。見せてもらうぞ……!」

池田「ああっ!無視すんなし!」
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:48:37.39 ID:5MnoFHkXo

数巡後

漫(役牌の対子が二つあって、ホンイツも見えそうなのに全然進まへん……一つ目すら鳴けない……!)タン

照「ロン。7700」

漫「は、はいぃ!」ビクッ

漫(平和イッツードラ1……チャンピオンは普通に手が出来とるけど……これは一体……?)

えり「前半戦終了!姫松が辛うじてトップを死守していますが、白糸台にとっては既に射程圏内!」

えり「清澄と阿知賀は後半戦から巻き返しを図りたい所です」

咲「お姉ちゃんが本気を出す前に直撃を取れたから何とかこの点差で済んでるけど……」

咲「お姉ちゃんのあの力……どうすればいいんだろう……」
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:49:32.85 ID:5MnoFHkXo

―――――会場トイレ

憧「うええ……」イエキ

憧「はぁ……はぁ……な、何で……!何で、ただ、卓に着いてるだけで、こんな……」

憧「命削られる様な、思いしなくちゃいけないのよ……!あたし、ただ……麻雀打ってるだけなのに!」ハァハァ

穏乃「憧ォ!」バァンッ

憧「し、しず……!?」

穏乃「憧、大丈夫なの?モニターで見てたら、すごく辛そうな顔してたけど……」

憧「だ、大丈夫よ。心配しないで」
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:50:32.87 ID:5MnoFHkXo

穏乃「心配するに決まってるだろ!憧は……憧は、私の大切な幼馴染みなんだからっ!」ギュッ

憧「そう……しずってばホント、昔っから変わらないわよね……」ギュッ

憧「何も考えてないように見えて、その実誰よりもみんなのことを気に掛けてて……」

憧「その優しいところ、本当に変わってない……」

穏乃「憧……」

憧「ありがとね、しず。大分落ち着いた……」

穏乃「どうしても行くの……?」

憧「逃げるわけにはいかないからね」

穏乃「無理だけはしないで」

憧「わかった……」
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:51:32.97 ID:5MnoFHkXo

―――――後半戦東一局 親:新子憧

憧(さっきハルエから聞いた、宮永照の能力……役なし聴牌しかできないとか、トップと2万点近い差があるのに厳しすぎるでしょ!)

憧(しかもドラは殆ど来ないし、裏もほぼ乗らない……それでいてチャンピオンは普通に手を作ってくるとか……)

憧(それに……さっきよりは大分マシになってるけど、この命が削られるような感覚もまだ残ってる……)
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:52:10.66 ID:5MnoFHkXo

数巡後

憧(聴牌したけど……本気でリーチのみなのね……一枚入れば手替わりだけど、どうせさっきみたいに入らないんでしょうし……)

憧(だったらもうこれで行くしかないっしょ!)

憧「リーチ!」

照「ロン。8000」

憧「は、はい……」

えり「宮永照選手、満貫の和了りでついに逆転!白糸台高校がトップに立ちました!」

咲(次は跳満が来る……その前に何とか阻止したいけど……門前でお姉ちゃんの速度を上回るのは厳しい……)

咲(どうすれば……!)
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:53:19.72 ID:5MnoFHkXo

―――――東二局14巡目 親:上重漫

新子憧、手牌
四五六ABCGG25 [234] ツモ8索

憧(くぅ〜……さっきまでヤオ九牌しかツモってなかったのに!)タン 8索

憧(さっきは鳴いてクイタン狙いに行ったらヤオ九牌ばっかりツモってきて、どうやってもタンヤオには向かえなかった……)

憧(今回はその連続ヤオ九牌ツモを利用しての流し満貫……もしかしたら行けるんじゃないかって思ってたけど……ダメなのね)

憧(そもそも、今回はたまたま遅いけど、基本速度のあるチャンピオン相手に流局まで持ち込むって言う前提もまず非現実的か……)

咲(新子さん、やっぱり流し満貫でも駄目なんだ……どうやっても途中で聴牌できない形の中張牌を掴まされちゃう……)

咲(お姉ちゃんの和了りを抑えるのももう限界だし……)

照(咲の支配が弱まったか……それならこのツモで、決める!)

照「ツモ。3000、6000!」

えり「チャンピオン宮永照、これで前半戦から合わせて四連続和了!二位以下を一気に突き放しました!」
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:54:31.78 ID:5MnoFHkXo

―――――東三局 親:宮永咲

漫(ホンマに何なんやこれ……手は作れないし阿知賀の人は今にも死にそうやし……)

漫(準決勝から色々と、何かおかしいわ!これ、普通の麻雀とちゃうんか……?)

憧(今回、聴牌までは近そうだけど結局は役なしにしかならない……)

憧(リーチのみで最低でも倍満は作ってくるチャンピオンに立ち向かわなくちゃいけない……!)

憧(追いつかれたら終わりのチキンレース……正直分は悪いけど、連荘させたままチャンピオンの親場に突入するわけにはいかない!)
601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:55:11.37 ID:5MnoFHkXo

三巡目

憧(張った!さすがにこの巡目で倍満なんて出来てないはず!)

憧「リーチ!」

照「…………」タン

憧(ちょっと悩んで、手出しの現物……?こっちはリーチのみってわかってるはずなのに、何を警戒する必要があるのよ?)

次巡

憧「ツモ!1000、2000!」

穏乃「やった!チャンピオンの連続和了を止めた!」

咲(あ、新子さん……ただ打ってるだけでも辛いはずなのに……すごい精神力……)

憧(いっそ飛んじゃったほうが、楽になれるのかも知れないけどさ……諦められるわけないでしょ!ここまで来て!)
602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:55:55.98 ID:5MnoFHkXo

―――――東四局 親:宮永照

照(新子さん……もう折れたかと思ったけど……その目はまだ死んでない……!)

照(でも、これ以上続けると……)

数巡後

照「ロン。5800」

憧「は、はい……」ハァハァ

照(私は手加減したくないから……もう大人しくしてて欲しい……)
603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:56:45.96 ID:5MnoFHkXo

―――――東四局一本場8巡目

憧(ハァ……やばっ、め、目が……霞んできた。ホント、我ながら……よくここまで保ってるって感心するわ……)

照(新子さん……)タン 九萬

咲「お姉ちゃん……」

照「ん……?」

咲「今、一瞬迷ったね……?」

咲「お姉ちゃんは優しいから……他人を傷つけるこんな麻雀、本当は打ちたくなかったはずだよね……」

咲「もう、これ以上自分自身も傷つけなくていいんだよ……」
604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:57:46.35 ID:5MnoFHkXo

照「咲……!?」

咲「カン……!」

咲「嶺上開花ドラ1……4500の一本場は4800です!」

衣「天照大神が、天岩戸より引きずり出されたか……」

憧(あ、あれ……?なんか、今の一瞬ですごく楽になったような……)
605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:58:28.49 ID:5MnoFHkXo

―――――南一局 親:新子憧

憧(あっ、配牌から役牌が暗刻になってる……やっぱりチャンピオンの能力は破られたのね……)

憧(さっきの局のやり取りから考えるに、破る条件は多分チャンピオンから直撃を取ること!)

憧(だからチャンピオンは東三で、あたしのリーチが安いってわかってても慎重に打ってたんだ!)

憧(まあともかく、役が作れるようになったこの親場!ここで稼ぐ!)
606 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:59:07.06 ID:5MnoFHkXo

数巡後

照「…………」タン

咲「ロン。5200!」

照「!?」

憧(先越された……役も作れるし、チャンピオンが動揺してる絶好のチャンスだったのに……!)
607 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 03:59:49.65 ID:5MnoFHkXo

照(ほんの小さな綻びだった……一瞬の隙、刹那の迷い……でも、咲はそれを見逃さなかった……)

照(咲はその隙を優しさって言ったけど、本当はそれは私の甘さに他ならない……!)

照(甘えたまま勝てるほど、簡単な相手じゃない……!さっき自分に言い聞かせたはずじゃないか……!)

照「咲……これが最後だ。もう一度、全力で行く……!」

照「今度は休息も慈悲も与えない……何があってもだ!」

咲「そ、そんな……お姉ちゃん、どうして、そこまでして……」

照「蔑んでもらっても構わない……!ここで全力を出さなかったら……私は……!」ゴォッ

憧「うっ……!」ドクンッ
608 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:00:33.63 ID:5MnoFHkXo

―――――南二局 親:上重漫

漫(うぅ……なんかようわからんけど、また役が作れなそうな手……それに……)

憧「うっ、うぅ……ぁっ……!」

漫(もう、ホンマに死にそうやん!どうしてそんなになるまで打ち続けるんや!?どうして……!)

憧(あぁっ……なんか、意識……飛びそ……っ……!)
609 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:01:38.62 ID:5MnoFHkXo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

憧「こ、ここは!?誰かの、部屋?」

憧「つーか何なのよこれ!?壁や天井一面に、清澄の宮永さんの写真やポスターが……」

憧「しかも全部ラミ加工とか……宮永さんの熱狂的なファンってこと……?」

憧「一体何なのよここは……?」

憧「あっ……机の上に日記が……」

憧「妹との日々……名前は……!」

?『…………』ガチャッ

憧「ふきゅっ!?だ、誰!?」

憧「って、アンタ、宮永照!?」

照『…………』
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:02:29.09 ID:5MnoFHkXo

照『新子さん……そっか、私の気に当てられすぎて、こんなところまで来ちゃったんだ……』

憧「ああ、そう言えばあたし、今死にそうになりながら麻雀打ってるのよね……」

憧「早く、元の場所に戻らないと……」

憧「っと思ったけど、せっかくの機会だし……聞いてもいいかしら?」

照『何……?』

憧「あなたと宮永咲さんの関係について」
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:03:27.73 ID:5MnoFHkXo

照『私と咲は、仲の良い姉妹だった。小さい頃、私がつまらない意地を張ったせいで仲違いして、そのまま喧嘩別れしたけど……』

照『私の方は、ずっと仲直りしたいって思ってた……それだけ……かな』

憧「…………」

照『でも、この有様じゃあそれも無理だね』

憧「えっ?」

照『勝利のために、あなたを傷つけた……力を使えばあなたがどうなるかわかってたけど……その上で使った……』

照『こんな打ち方しかできない私に、咲は失望すると思うけど……それでも私は、勝たなきゃいけないから……!』
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:04:11.74 ID:5MnoFHkXo

照『全国ネットでコスプレを晒して、告白までした菫……』

照『3対1の厳しい状況で、最小限の失点で踏みとどまってくれた渋谷……』

照『色々と臨機応変に頑張ってくれた亦野……』

照『私が勝てなかったら、ここまで必死に繋いでくれたみんなと、私の勝ちを信じて待っててくれてる和に、顔向けできないから』

憧「チャンピオン……」

照『咲も大事だけど、一緒に戦ってきたみんなも同じくらい大事なんだ……今の私にとっては……』

憧「そっか……」

憧「私、そろそろ戻るわね……」
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:04:56.70 ID:5MnoFHkXo

憧「あ、最後に言っとくと……」

憧「咲さんは、例えあなたがどんな打ち方をしても、あなたを嫌いになったりはしないと思わよ?」

照『えっ……?』

憧「これ、同じ妹としての直感!」

照『新子さんにも、お姉さんが……?』

憧「ん。まあ、結構歳は離れてるけどね」

照『大事にしてあげてね……』

憧「そんなの、言われるまでもなく!」
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:05:28.60 ID:5MnoFHkXo

照『それと、この部屋のこと、咲ちゃんには内緒だよ!』

照『あと私が常に咲ちゃんのことペロペロしたいって思ってることとか、咲ちゃんとの架空の出来事を綴った日記のことも!』

憧「あ、あはは……」

憧「それじゃあチャンピオン、また……現実の卓で……!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:06:32.86 ID:5MnoFHkXo

憧「はっ……!?」

咲「大丈夫ですか……?新子さんの番ですよ」

憧「あっ、ごめんなさい……」

憧(南四局……オーラス!随分飛んでたみたいね……点数も減ってるし……)

憧(このツモで、ちょうど聴牌とか……何だか出来すぎな感じがしなくもないわね……)
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:07:36.93 ID:5MnoFHkXo

憧「チャンピオン、宮永照……!」

照「えっ?」

憧「私は、あなたの心に触れて改めて負けられないって思った」

照(い、いきなり何……?)

照「あなたが……私の何を知って……!?」

憧「知ってる!だからこそ言うわ」
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:08:47.35 ID:5MnoFHkXo









憧「アンタみたいなド変態のシスコンがトップになったら、世も末だからよおおおおおおおおお!!!」









618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:09:29.56 ID:5MnoFHkXo

照「なっ……!?」

憧「リーチ!」ダァンッ 2索

漫(阿知賀の……さっきまで息も絶え絶えやったのに……何で急にこんな……)タン 九萬

咲(新子さん……力強い意志を感じる……!でも、私も負けないよ!) ツモ@筒

咲「カン!」

淡「新ドラは@筒!」

優希「やった!モロ乗りだじぇ!」

照「うっ……」
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:10:47.67 ID:5MnoFHkXo

照(岩戸隠れは、あらゆる手役はもちろんのこと、ドラさえもある程度は封じることができる……)

照(でも……一度破られたことによって私の支配は完全じゃなくなってる……今の状態なら、乗せることもできる……か)

咲「もいっこ、槓!」

優希「今度は一萬……!乗らなかったじょ」

淡「でも嶺上ツモにドラ4枚!テルのあの支配の中で跳満なら十分だよ!」

咲「嶺上……あっ……」トン 八萬
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:11:49.12 ID:5MnoFHkXo

淡「えっ……?さ、サキ!?」

久「咲が……嶺上開花できずにツモ切り!?」

淡「テルの力でも、嶺上開花までは防げないハズなのに……」

淡「阿知賀の一年坊……この一時だけでも、サキとテルの上を行ったってこと……!?うっそでしょ……!?」

照「…………」タン 八萬
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:12:38.34 ID:5MnoFHkXo

憧「ツモ……!」

憧、手牌 ドラ:中、@、一 裏ドラ:西、一、一
南南一一一一二三CDE78 ツモ9索

憧「リーツモ、ドラ12……8000、16000!」

えり「か、数え役満!阿知賀女子、新子選手、このオーラスに数え役満をツモって一気に二位に浮上!」

清澄  86800(-5500)
阿知賀105900(+13800)
姫松  98000(-21900)
白糸台109300(+13600)
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:13:35.64 ID:5MnoFHkXo

憧「あっ……」ドサッ

照「!?」

咲「あ、新子さん!?」

えり「こ、これは……!?」

咏「…………」
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:14:52.68 ID:5MnoFHkXo

えり「新子選手、大丈夫でしょうか?対局中もかなり苦しそうにしてましたけど……」

咏「えりりんさ、5年前のリオデジャネイロ東風フリースタイルの決勝卓、覚えてる?」

えり「えっ?何ですか、唐突に……まあ、忘れるわけもないですけど……」

咏「ああ、小鍛治プロが公式戦で初めて、二位だった試合……」

えり「あの試合に勝てば、日本人初の世界ランク一位……そしてそれはほぼ確実なんて言われて日本中が盛り上がってましたね」

咏「でも、結果はみんなも知っての通り……」

咏「そして、小鍛治プロを破った無名のプロ雀士は……対局が終了した瞬間に……」

えり「あっ……」
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:15:48.84 ID:5MnoFHkXo

咏「まるで主を失った人形のように、事切れた……」

えり「…………」

漫(私とこの子の違いは……覚悟がその手にあったかどうか……ってことなん……?)

漫(命を賭してでも突き進む、覚悟がッ……!)

咏「わっかんね〜よな、まったく……そんなんが麻雀って言えるのかどうかなんて……私にはわっかんねぇ!」

穏乃「あ、あぁ……!あ、こ……憧……!」
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/17(月) 04:16:17.04 ID:5MnoFHkXo










穏乃「憧おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!」









626 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2012/12/17(月) 04:18:20.84 ID:5MnoFHkXo
と言うわけで今回はここまでです。
読んで下さった方、レス下さった方、ありがとうございました。
後2〜3回の投下で終了する予定です。
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/17(月) 14:32:24.46 ID:xZc2OefXo
おつかれ
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 01:09:10.51 ID:LFLzP1eCo
おつ
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 20:10:15.95 ID:dYP2MzVH0
おつ
おかしいな、僕の知ってる麻雀とは違う
打つたびに魂が抜かれていく……
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/19(水) 18:54:06.27 ID:dHD+GsRD0

咲さんがマイナス終了だと…⁉
631 : ◆mzEnFgpxGU [sage]:2012/12/24(月) 16:12:47.07 ID:54ZB/VzX0
とりあえず生存報告だけ。忙しくて続きはほとんど書けてない状態です。
何とか今週中に一回は投下したいと思ってます。
憧ちゃんファンの方達には不安にさせた状態のままで申し訳ないです。
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/24(月) 16:20:06.04 ID:AKJ68F49o
待っ照
633 : ◆mzEnFgpxGU [saga sage]:2012/12/30(日) 22:05:50.81 ID:umQhv/bNo
今年最後の投下。とりあえず大将戦が始まる直前までです。
本当は今年中に最後まで書き上げたかったですが、時間が足りませんでした。
非常に短いですがお付き合いいただけると幸いです。
634 : ◆mzEnFgpxGU [saga sage]:2012/12/30(日) 22:06:16.56 ID:umQhv/bNo

―――――阿知賀控え室?

灼「お疲れ様、憧ちゃん」

憧「いやー本気で疲れたわ〜。こういう麻雀は今後は勘弁して欲しいわね」

穏乃「私も憧が倒れた時は心臓止まるかと思ったよ〜。無事で本当に良かった!」

宥「うぅ……憧ちゃ……ほんとに、良かったよぉ……」

憧「ちょっ……宥姉、泣くのはさすがに大袈裟だって!」

玄「それにしてもチャンピオンに勝っちゃうなんて凄いのです」

憧「うん、正直今でも実感ないのよね。どこかフワフワしてて、頼りなくて……まるで夢を見てるみたいな……」
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/12/30(日) 22:06:44.70 ID:umQhv/bNo

マンソン「何を言ってるんだ憧!お前がチャンピオンに勝ったのは紛れもない事実だぜ!」

マンソン「俺達麻雀部6人で頑張ってきたその軌跡を、否定するようなこと言うなよな」

憧「マンソン……そうね!私達は、いつも6人で一緒に頑張ってきたもんね!」

穏乃「ああ!そして、6人一緒なら誰にも負けない!これからもずっと……!」

穏乃「憧!私、絶対勝つから!和に勝って、阿知賀女子学院優勝だッ!」

マンソン「その意気だ、穏乃!いいか、いつものリズムだ!6人で培った、いつものリズムを忘れるなよ!」
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/12/30(日) 22:07:22.78 ID:umQhv/bNo

―――――阿知賀控え室

憧「って、アンタ一体誰だーーー!?」

宥「ふえっ……!?」ビクッ

灼「あ、起きた……」

憧「はぁ……はぁ……」

穏乃「あ、憧……!」

憧「あ、あれ?私……?」
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/12/30(日) 22:08:37.21 ID:umQhv/bNo

穏乃「憧おぉぉぉぉぉぉぉ!」ガシッ

憧「うわぁっ!?ちょっ、しず!?」

穏乃「憧っ、あこ!憧ぉっ!良かった……!本当に、良かったよぉ!」ギュゥッ

憧「ちょっ!?しず、苦しい……離しっ……!」

穏乃「あ、あぁ……憧、ごめん」

憧「まったくもう……え〜っと、何があったんだっけ……?」

玄「憧ちゃん、副将戦が終わった直後に倒れちゃったんだよ……」

憧「ああ、思い出してきた……私、どれくらい寝てたの……?」

玄「30分くらいかな……」

憧「えっ?じゃあなんでしずがここにいるのよ?さすがにもう大将戦始まってるでしょ?」

晴絵「ああ、憧が倒れた時にさ、衝撃で卓がおかしくなったみたいで、今修理してるところなんだ」

灼「一時間くらいは掛かるって言ってた……」

憧「ま、マジ……?うわあ、大袈裟に倒れた上に大将戦まで遅らせるとか、あたし、本当に空気読めてないわ……」
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/12/30(日) 22:09:06.43 ID:umQhv/bNo

穏乃「でも、本当に良かったよ、憧!私、本気で心配したんだぞ!」

憧「ごめんね、しず」ギュッ

穏乃「あっ……」

憧「今は本当に何て言えばいいかわかんないや……とりあえずその……ただいま……かな?」

穏乃「へへ、何だよそれもう……」

穏乃「おかえり、憧……」ギュッ
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/12/30(日) 22:09:43.91 ID:umQhv/bNo

―――――会場休憩所

照「…………」

咲「…………」

菫「照、咲ちゃん!」

照「あ、菫……?」

菫「宥から今電話が来た。新子さん、意識が戻ったそうだぞ」

照「えっ……!?」

咲「本当ですか!?良かった……」

菫「私からはそれだけ。これでもう心残りもないだろう?それじゃあ、ごゆっくりとな……」
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/12/30(日) 22:10:19.13 ID:umQhv/bNo

照「…………」

咲「…………」

照、咲「あ、あの……!」

照、咲「あっ……」

咲「お、お姉ちゃんから先にどうぞ」

照「う、うん……」

照「ずっと、ずっと謝りたかった……あの時、酷いことを言っちゃってごめんなさい……」
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/12/30(日) 22:10:55.63 ID:umQhv/bNo

咲「私も……」

咲「私もお姉ちゃんに謝りたかったよ……」

照「そんな……咲は何も悪いことなんて……」

咲「うぅん。お姉ちゃんは、誰よりも麻雀が好きだった……誰よりも真剣で、誰よりも麻雀を楽しんでた……」

咲「それなのに私は……お母さん達に怒られたくないからってプラマイゼロばっかりやってて……」

咲「ずっとずっと真剣に打ってたお姉ちゃんと、麻雀そのものを冒涜してた……」

咲「ごめんなさい……」

照「咲……」ギュッ
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/12/30(日) 22:11:51.18 ID:umQhv/bNo

照「私は、高校を卒業したら長野に帰る。それで、地元の大学に通うよ……」

咲「えっ!?お姉ちゃん、プロのチームからスカウトとかされてるんじゃないの?」

照「うん。結構色んな所から誘いが来てる……」

咲「それならどうして……?お姉ちゃんの実力なら、きっとトッププロになれるのに……」

照「プロになったらきっと仕事に縛られて、咲と過ごす時間がなくなっちゃう……」

照「私にとっては……失っちゃった咲との時間を取り戻す方が大事だから……」

咲「そっか……お姉ちゃん……」

照「また、一緒に暮らそう?小さい頃みたいに、一緒に……」

咲「うん……!お姉ちゃん……!」
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/12/30(日) 22:13:00.52 ID:umQhv/bNo

―――――姫松控え室

漫「ホンマにすんません!せっかく、主将がアレだけ稼いだのに……ほとんど吐き出しちゃって……!」

洋榎「気にすんなや漫ちゃん。正直、あんな麻雀打たれたらしゃーないわ」

洋榎「圧倒的な支配力を敷いたチャンピオン、そのチャンピオンを抑えながら互角以上に戦った宮永咲……!」

洋榎「そして、そんな二人を一瞬でも上回るど偉いスピリットを見せた阿知賀の新子憧……!」

洋榎「ホンマ、敵ながら感心するプレイやったで。あの時のあの子には、ウチでも勝てるかどうかわからんかった……」

漫「主将……」

洋榎「まっ、過ぎたことはしゃーないやん!今ウチらにできるんは……恭子を信じることだけや!」
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/12/30(日) 22:14:21.10 ID:umQhv/bNo

恭子「…………」

洋榎「恭子!やったれや!お前なら勝てる!」

郁乃「末原ちゃん……」

郁乃「善野さん、今日会場に来てるで?」

恭子「えっ……!」

恭子「ほ、ホンマですか!?監督!」

郁乃「うん。本当はまだ無理したらアカン体やのに、末原ちゃんを見るんやって聞かなくてな」

恭子「善野……さん……」パァァ
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/12/30(日) 22:15:23.01 ID:umQhv/bNo

恭子「私、必ず勝ちますから!」

洋榎「ふっ、どうやらスイッチ入ったみたいやな!」

洋榎「それでこそ、ウチらの大将……末原恭子や!」

郁乃「本当に妬けるわぁ……ウチにはあんな笑顔、見してくれへんのに……」

洋榎(これが最後や、恭子!お前が三年間積み重ねてきた全てのものを、この大将戦にぶつけていけッ!)
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/12/30(日) 22:16:04.41 ID:umQhv/bNo

―――――会場廊下

淡「そっか……テルと仲直りできたんだね」

咲「うん……本当に良かった……」

淡「そうだね……そのために今まで頑張ってきたんだもんね!」

咲「うん。でも、それでまだ半分かな……」

淡「ん?」
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/12/30(日) 22:16:44.91 ID:umQhv/bNo

咲「最初は、そう……お姉ちゃんと仲直りできたらいいなって思ってたんだけど……」

咲「淡ちゃんと……みんなと一緒に頑張っていく内に、もっとこのチームで勝ちたいって……」

咲「清澄で絶対に優勝したいって、思うようになってきたんだ……」

咲「だから、淡ちゃん……」

淡「うん、わかってるよサキ。私がここまで頑張ってこれたのは、サキがいたからだよ!」
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/12/30(日) 22:17:25.10 ID:umQhv/bNo

淡「サキと一緒に麻雀を打ってて楽しかったし、サキと一緒ならどんな辛いことや苦しいことも乗り越えていけた……!」

淡「私、負けないよ!サキと一緒に、優勝するんだ!」

えり「全自動卓の修理が完了しました。大将戦に出場する選手の皆さんは、準備をお願いします」

淡「あっ……」

咲「淡ちゃん……!頑張って!」

淡「ん……絶対、勝つからね!」
649 : ◆mzEnFgpxGU [saga sage]:2012/12/30(日) 22:21:03.15 ID:umQhv/bNo
と言うわけで短いですが今回はここまでです。
大将戦はなるべく早く書き上げたいですが、自分で納得できるような形に仕上げたいと思ってます。
ここまで読んで下さった方、レス下さった方、ありがとうございました。
残りも僅かですがお付き合いいただけると幸いです。

それでは良いお年を。
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/31(月) 00:44:00.31 ID:/90z4/sIO
乙だよ〜
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/31(月) 00:56:30.16 ID:a7Z7Us1qo
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 23:37:56.58 ID:wyaYDHVg0
乙です
更新気づかなかった…

マンソンで画像検索したらとんでもないことになったじゃないか!
653 : ◆mzEnFgpxGU [sage]:2013/01/09(水) 05:19:29.71 ID:hSgzfqS9o
とりあえず生存報告。大将戦は半分くらいまで書き終わった感じです。
正月は暇で仕方なかったのにほとんど進まず、
忙しくならないとやる気が出ない現象に陥っていますw

>>652
どこかにシドニー・マンソンってわかるようにネタを書いとくべきでしたね。
他にも不快になられた方がいましたら申し訳ないです。
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 18:28:02.70 ID:aPQjl5ZIo
あけまして
655 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2013/01/21(月) 05:02:03.23 ID:WGDpCZQEo
大変遅くなりました。大将戦まで書き上げたので投下します。
656 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2013/01/21(月) 05:02:39.78 ID:WGDpCZQEo

―――――大将戦

えり「さあ、全国高校生麻雀選手権団体戦もいよいよ大詰め!間もなく、大将戦に出場する選手達の入場です!」

えり「清澄高校、大将は大星淡!ここまで全ての試合でプラス収支!清澄高校躍進の原動力となりました!」

えり「現在、一人沈みの清澄高校ですが、ここからの巻き返しが期待されます!」

えり「姫松高校は末原恭子選手!恩師、善野前監督が見守る中、この大将戦に臨みます!」

えり「阿知賀女子は高鴨穏乃選手!ジャージがトレードマークの彼女ですが、本日は制服を着用しています!」

えり「そして、白糸台高校!チャンピオン宮永照からバトンを受け取るのは、インターミドル王者、原村和選手!」

えり「チーム虎姫最後の砦!三連覇の夢は彼女に託されました!」
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:03:13.44 ID:WGDpCZQEo

―――――東一局5巡目 親:大星淡

恭子(この一年坊達の牌譜は昨日散々見た……やっぱ一番厄介なんはこいつ……)

淡「ん?」タンッ 8索

恭子「ポン!」

恭子(こんな人畜無害そうな顔しとるくせに、本当にえげつない麻雀を打ちよる……)

恭子(この卓の中でも間違いなく頭一つ抜けて強い……ハッキリ言って、10回打っても100回打っても勝てる気のしない相手や……)

恭子(せやけど、これは団体戦!収支で負けても最終的に点数が上回ってればええ!)

恭子(そう考えれば、この大将戦、清澄がラスの状態回ってきたのはまさに僥倖!この好機……絶対に活かすで!)
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:03:40.50 ID:WGDpCZQEo

数巡後

恭子「ロン!3900や!」

穏乃「はい」

えり「大将戦、最初の和了りは末原選手!序盤から積極的に鳴いて仕掛けていきました!」
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:04:34.97 ID:WGDpCZQEo

―――――東二局4巡目 親:高鴨穏乃

穏乃(姫松の末原さん……早い段階で仕掛けてきてるなぁ……やっぱり大星さんを警戒してるのか)タンッ

恭子「ポン!」

恭子(私がポンしたら必然的に下家の大星がツモる回数が増えてまう……けど……!)

次巡

恭子「ロン!2600!」

淡「はーい」

恭子(私が大星より先に和了れば問題ないやろ!)
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:05:32.28 ID:WGDpCZQEo

―――――東四局 親:末原恭子

えり「末原選手、ここまで安手ですが三連続の和了!流れに乗ったまま親場を迎えました!」

末原(よし、この調子でガンガン和了る!やったるで……!善野監督、見ててください!)

淡(姫松……さっきからどんどこずんどこ和了ってくれちゃってさ……)

淡(でも……ここまでだよ!みんなの点棒、私が取り戻すんだから!)カッ

淡「リーチ……!」バシィッ

恭子(だ、ダブリー!?)

和「ポン」

恭子(こっちはドラの飜牌ポンかい!原村和……この状況で全く動揺の色を見せへん……)
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:06:39.28 ID:WGDpCZQEo

淡「ツモ……!」

淡、手牌
南白白發發中中一一AA33 ツモ南

淡「裏なし……2000、4000だよ〜!」

恭子(一発でツモるんかい……!せやけど、原村がポンせんかったら私が南を掴んどった……)

恭子(手的にあの南は止まるもんやない……どっちにしろダブリー一発チートイで8000か……)

淡「ここからは……」

穏乃「ん?」

淡「ここからは私の連荘で終わらせる……!誰にも賽は振らせないよ!」

恭子「なっ……!?」
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:07:29.18 ID:WGDpCZQEo

―――――南一局 親:大星淡

恭子(この一年坊……トラッシュトークってんはわかってるけど……こいつが言うと本気でやりかねない……!)

恭子(そんな迫力を持ってる……!)

淡「リーチ!」ピシィッ

恭子「に、二連続ダブリーやと!?」

恭子(ほ、ホンマに……終わらせる気なんか!?この南一で……!)

和(これは……中々の偶然ですね。お義姉さんに聞かされていた通りの強運です)

淡「んー?」

淡(阿知賀の……何でツモらないかな……?)

衣「淡……衣は先日、お前に忠告したな。阿知賀の大将は……一寸厄介だと……」
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:08:15.13 ID:WGDpCZQEo

穏乃「ロン……!」

淡「はっ……?」

穏乃、手牌
北北二三六七八@AABBC

淡「れ、レン……」

穏乃「平和のみ!1000点です!」

恭子(せや……大会ルールで人和はない……せやからアレは、ただの平和……)

淡(わ、私のダブリーをこんなあっさりと……うっそでしょ……!?)プルプル

淡(イイ!イケてんじゃん!阿知賀の一年坊!)キラキラ
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:09:10.11 ID:WGDpCZQEo

―――――南二局2巡目 親:高鴨穏乃

穏乃「リーチ!」

恭子(早っ!?阿知賀の高鴨……今までにない打ち方や……)

和(穏乃……)タンッ

穏乃「ロン!一発、3900!」

和「はい」

淡(この速度は……東場の優希ちゃん以上かな〜……)
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:09:49.45 ID:WGDpCZQEo

和「速いですね、穏乃」

穏乃「ああ!何たって100速まで仕上がってるからな!」

淡「100速!?」キラキラ

穏乃「そう!100速です!」

淡「キミが100速なら、私は100年生だよ!私の実力は、高校100年生レベル!」

穏乃「おおっ!私以外にも100の良さを理解できる人がいたとは!」

和「まったくもう……二人とも小学生ですか……?」

穏乃「何だよー、和だって100を持ってるのに……」

和「えっ?」

穏乃「ほら、和のバスト……」

和「そ、そんなにありません!」

恭子(何やこの一年坊共……緊張感なさすぎやで……)
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:10:55.17 ID:WGDpCZQEo

淡、穏乃「…………」チラッ

恭子(って、何で私の方ガン見してんねん!?まさか、乗れってことなんか!?)

淡、穏乃「…………」ワクワク

恭子(ぐっ……そんな期待の目でトリを任されちゃ……関西人として引くわけには行かへん!)

恭子「……個人戦、南大阪予選は半荘50回。ウマオカなしでの私の成績は……プラス680や!」

恭子「100かそこらで満足してる自分らとは桁が違うで!」ドヤァ

穏乃「ろ、680……!?」

淡「私達の、68倍!?」

和(本当に、二人とも似たもの同士ですね……)

恭子「ささ、馴れ合いはここまでや!そろそろ勝負の続きと行こか」
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:12:50.41 ID:WGDpCZQEo

―――――南二局一本場

穏乃「来た来た来たーーー!リーーーチッ!」

恭子「お、親のダブリー!?」

和(またダブリーですか……この試合だけで三度目……偶然にしてもひどすぎます)

淡(シズノ……今までは高い手を仕上げるタイプの打ち手だったけど……)

淡(今は打点を犠牲にして速度に特化してるのかな。100速は伊達じゃないってことだね……)

淡(でも……それくらいなら……私、勝っちゃうよ!)
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:13:35.13 ID:WGDpCZQEo

数巡後

淡「ツモ!」

穏乃(くっ……先越された!)

淡、手牌
一一二二三三DDEFFFF ツモE

淡「2100、4000!」

穏乃(って、その手……!)

穏乃、手牌
中中四五六七八九EG123

穏乃(私の待ち牌を全部潰した上で和了るなんて……すごいや!大星さん!)
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:15:25.31 ID:WGDpCZQEo

―――――南三局 親:原村和

和、配牌 ドラ:8
白四(五)@AAC(D)E45788

和(これは素晴らしい配牌ですね。鳴き仕掛けでも十分な手です)タン 白

恭子(何か、今回は手が軽いな。これなら高鴨とも勝負できるかも知れん……)トン @筒

淡(あっ……)

淡「う〜〜〜ん……」ムイーン

えり「大星選手は一打目から長考ですね。普通なら悩むことなど何もない手ですが……」

咏「えりりん、こんなありえねーことが起きてんのにもう動じなくなってるね」

えり「いえ。もう大星選手なら何をやってもおかしくないかと思いまして……」

咏「まあただ、それを悩むってことはやっぱ気付いてるってことじゃね?知らんけど」
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:16:23.49 ID:WGDpCZQEo

淡「よしっ、決めた!九種九牌!」パタッ

和、恭子「はっ……!?」

穏乃「くぅ〜〜〜……!」

淡、手牌
東南西北白發中一九@169 ツモH

恭子(こ、国士十三面を九種九牌で流すなんて、何考え……まさか!?)

穏乃「その手で止まれるんだ……」パタッ

淡「まあ大体わかってたからねぇ」

穏乃、手牌
北北北123334(5)789

恭子「6索を打ってれば、倍満……!」

和(大星淡さん……この人はまさか本物……?いえ、でも……そんなオカルトなんて……ありえません!)
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:17:25.58 ID:WGDpCZQEo

―――――後半戦南二局 親:大星淡

清澄  106100
阿知賀 94500
姫松  101600
白糸台 97800

えり「さあ、大将戦もいよいよ佳境に突入!点数では清澄が一歩リードしています!」

咏「でも、副将戦からの点数で見るとやっぱ星姫ちゃんが圧倒してるね〜」

和(これが、全国決勝の舞台……!インターミドルの時とはまるで違う……!)

和(でも……私は負けるわけにはいかない……!勝ちたいと言う気持ちは皆同じでも、気持ちの強さでは負けてないはずです!)

和(だって私がここで負けたら……!)
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:18:37.70 ID:WGDpCZQEo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

和父「和、お前……せっかく進学校に入ったと言うのに、まだ麻雀など続けていたのか……」

和「はい、私には麻雀を捨てることなどできません……」

和父「ふん……麻雀など、突き詰めると結局最後は運で決まる不毛なゲームではないか……」

和「そんな……そんなことありませんっ!長く打っていれば、頑張れば必ず結果はついてきます!」

和父「それができなかったから、私が苦労したという話を今まで散々聞かせてきただろう?」

和父「高校、大学と麻雀漬けだったがプロにはなれず……勉学を疎かにしていた為にロクな職にも就けなかった……」

和父「麻雀をきっぱりと切り捨て、必死にやり直したからこそ今の立場があるが……」

和父「和……お前には私と同じ道を歩んで欲しくないんだ……!」

和「それでは、私が……十分プロになれると言う資質を見せれば……」

和「そう……高校でも全国制覇できれば、麻雀を続けることを許していただけますか……?」

和父「そうだな……できたなら考えておこう……」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:19:44.33 ID:WGDpCZQEo

9巡目

和「私は……負けません!あなたには……絶対に!リーチです!」

えり「仕掛けたのはここまで好機を掴めなかった原村和選手!この手をモノに出来るのか!?」

淡「負けないとか、負けたくないとか!そんなに負けるのが怖い?」

和「当然です。私が負けたら……失うものがあまりにも大きすぎる……!」

和(インターミドルチャンピオンとしてのプライド……白糸台麻雀部の悲願、前人未踏の三連覇の夢!)

和(そして何より……麻雀そのもの……!私の、全て……!)
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:20:52.59 ID:WGDpCZQEo

和「でも……あなたは!あなたは私に負けても、失うものなんて何もないじゃないですか!」

淡「えっ……!?」ポトッ 赤D筒

和「ロン!」

和、手牌
三四五七七BBCCD345

和「16000!」
675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:21:29.64 ID:WGDpCZQEo

淡「えっ……?」

えり「倍満!原村選手、ここに来て倍満の和了です!一気にトップに立ちました!」

淡「えっ……?」

えり「そして清澄高校はあまりにも痛すぎる一発放銃!ラス転落です!」

淡(あっ……わ、私……今、振り込んで……?)ポロポロ

優希「あ、あわあわちゃん……あの赤D筒で聴牌だったのに……どうしてツモ切りなんか……」

まこ「何か様子が変じゃのう、あいつ……」

久「あの子の悪い部分が出ちゃったのかもね……よりによってこんな、一番大事な場面で……」

咲「淡ちゃん……!」
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:22:22.70 ID:WGDpCZQEo

―――――南三局7巡目 親:末原恭子

咲「淡ちゃん……手が全然進んでない……」

久「引きずってるのね……さっきの局のこと……」

恭子(何や、大星の奴……一気に覇気が霧散した感じやな。あの振り込みで、心が折れたんか?)

淡(そうだ……私、あの時一瞬気を抜いたんだ……確かに、失うものは何もないって……)

淡(一瞬でもそう思っちゃったら……あとはもうどれだけ取り繕っても無意味になる……)

淡(サキと、約束したのに……絶対に勝つって……ねえ、サキ……私、どうすれば……?)グスン
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:23:12.01 ID:WGDpCZQEo

和「…………」タン 九萬

穏乃「ローーーン!8000!」

穏乃、手牌
東東東中中九九BBB111

和(ツモ四暗……張ってましたか……!)

穏乃「大星さん……失うものがないなんて当たり前じゃないですか」

穏乃「だって私達はまだ、何も手にしてないんだから!」

淡「!?」
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:24:15.76 ID:WGDpCZQEo

穏乃「それを手に入れる為に、今こうして頑張ってるんじゃないんですか!?」

和「穏乃……」

淡「あっ……」

淡「あ、アハ……そう。そうだよね……私……何してたんだろう……」

淡「よォしっ!マジで目ぇ覚めたッ!勝負はこっからだよっ!」

恭子(高鴨の奴……あのまま腑抜けさせとけば楽に勝てたかも知れんのに……)

恭子(まあでも、それもおもろくないやんな!最高状態のアイツを倒してこそ、優勝する資格があるってもんや!)
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:26:09.92 ID:WGDpCZQEo

―――――南四局オーラス 親:原村和

えり「さあ、いよいよインターハイ団体戦決勝も最終局面!この局で全てが決まります!」

清澄  90100
阿知賀102500
姫松  101600
白糸台105800

えり「現在トップの白糸台は和了れば勝ち!三連覇まであと一つです!」

えり「阿知賀、姫松も白糸台との差は僅か!逆転のチャンスは十分にあると言えるでしょう!」

えり「ラスの清澄高校はロンなら倍満、ツモで跳満が必要と他の三校に比べるとやや厳しい条件となっています」

咏「まあでも、この大会で数々の奇跡を起こしてきた星姫ちゃんだ。絶望的ってわけじゃないはずさね」

淡(サキ……)
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:26:54.16 ID:WGDpCZQEo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

淡「ロン!6400!」

優希「おわっ……またチートイドラドラだじょ……」

まこ「本当に自分はその手が好きじゃのう」

咲「淡ちゃんは、何か拘りとかあるの?チートイツに……」

淡「うん。麻雀で初めて和了った役……一番好きな役なんだ」

淡「ほら、みんな仲良しって感じがして……独りじゃなくて……だから好き」

咲「へー……」

淡「ん〜?サキ、もしかして今子供っぽいとか思わなかった?」

咲「ううん、そんなことないよ。淡ちゃんらしくていいなって……そう思ったの」

淡「えっ?そ、そうかな……えへへ……」

咲「私と淡ちゃんも、この対子みたいにずっと一緒にいられたらいいね」

淡「サキ……うん!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:28:17.35 ID:WGDpCZQEo

淡(独り……なんかじゃないッ!サキ……みんな!私に力を貸して!)

咲「淡ちゃん……!」

淡(みんなと戦ってきた、全ての思い出をこの局に込める!)カッ

穏乃(うわっ……これは……)

和(最後の最後にきてこれ……ですか)

恭子(これはまるで……)

えり「こ、これは!?大星選手以外の手が全員五向聴以上!」

咏「鳴かない限り、4巡目までは確実に和了られない。まさに絶対安全圏だねぃ」

トシ「おやおや……これはまるで……」

エイスリン「トヨネのブツメツ!」

豊音「大星さん……!」
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:29:37.32 ID:WGDpCZQEo

数巡後

えり「進まない!三校とも、配牌から手が動く気配がありません!」

恭子(何やこれ……こんな手やのにちっとも進まんとか……)

穏乃(この海の底に引き摺り込まれるような感覚……覚えてる!確か、長野に遠征した時の……天江さんの支配だ!)

衣「淡……!」

えり「一方で大星選手、着々と手を進めていきます!次々と同じ色の牌が集まってくる!」

巴「こ、これは……」

小蒔「霞ちゃんの攻撃モードみたいですね」

霞「淡ちゃん……!」
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:31:23.01 ID:WGDpCZQEo

数巡後

照「だが……それぞれ付け焼刃で得られるような力じゃない……」

豊音「みんなの配牌は、完全な十三不塔にはなってなかった……」

衣「海が、引くか……足止めもここまでのようだな……」

霞「あらあら。ツモに他の色の牌が混じってきてますね〜」

淡(みんな、ありがと。これだけで十分だよ!ここからは私の麻雀!見ててっ!)

淡「リーチ!」バシィッ
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:33:17.59 ID:WGDpCZQEo

穏乃「チー!」

えり「大星選手のリーチに対し、高鴨選手は鳴いて仕掛けます!手を進めると同時に一発を消してきた!」

和(穏乃も仕掛けてきましたか……私は相変わらず酷い手ですが、ここで引いちゃいけない気がします!)タン 赤D筒

恭子(原村も強いとこを叩いてきた……逃げる気はないっちゅうことやな……私も、もうメゲへんよ!)

恭子(どんな状況に陥っても、自分が納得できる麻雀を打つ!善野さん、赤阪監督……見とってください!)バシッ D筒

咏「なあ、えりりん。これは例え話なんだけどさ……逆転には跳満が必要な場面」

咏「でも、どうにもタンピン形には行けなくて、染めも出来なかった……そんな時はどうする?」

えり「どうって……それはもう、あの役しかないと思いますが……」
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:35:35.44 ID:WGDpCZQEo







━━━━━━━ツモっ!!






686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:36:15.13 ID:WGDpCZQEo

淡、手牌 ドラ:@筒
白白一一三三七七九九@11 ツモ@筒

淡「3000、6000!」ゴッ

咏「ああ、そうさ。一番わかりやすい跳満手……チートイドラドラ!」

咲「淡ちゃん……!」
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 05:37:21.73 ID:WGDpCZQEo

清澄  102100(+15300)
阿知賀 99500(-6400)
姫松  98600(+600)
白糸台 99800(-9500)

淡「サキ……私、勝ったよ……!約束、守れた……!」

えり「大将戦……決着!優勝は初出場、長野県代表、清澄高校ですッ!」
688 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2013/01/21(月) 05:39:43.24 ID:WGDpCZQEo
今回はここまでです。次回の投下が最後になります。なるべく早く仕上げるように頑張ります。
最後までお付き合いいただければ幸いです。
それでは読んで下さった方、レス下さった方、ありがとうございました。
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 08:37:54.77 ID:IxMIdTKGo
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 11:44:34.00 ID:YbpvFrbIO
100を68倍したら6800だよ淡ちゃん……
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/22(火) 04:14:13.82 ID:kltU+cEMo
アホの子だから数学は…
やっぱチートイ使いってわかりやすくて良いね
本編にも出てこないかなぁ
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/22(火) 14:39:46.95 ID:mKZOS9JIO
乙乙
アホの子かわいいよ
693 : ◆mzEnFgpxGU [saga sage]:2013/02/03(日) 00:43:46.44 ID:Mvn5sZ/wo
お待たせしました。今回で最終回となります。
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 00:44:47.83 ID:Mvn5sZ/wo

淡「…………」

穏乃「おめでとうございます、大星さん!」

恭子「おめでとう。完敗やったわ」

和「…………」

淡「ん……ありがとう、みんな」

恭子「終わったんやな……」

穏乃「でも……出来ることならいつまでも……ここで続きを打ちたい気分ですよ」

恭子「せやな」
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 00:46:20.79 ID:Mvn5sZ/wo

照「…………」ガチャ

淡「あっ、テルー!」

和「お、お義姉……さん……」

照「和……」

和「う……うぅ……」

照「惜しかったな……」ギュッ

和「麻雀は……どれだけ上手く立ち回っても負けることのある競技……」

和「わかってた……はずなのに……うぅ……ぐすっ……」

照「和、今のお前に送る言葉がある」
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 00:49:22.15 ID:Mvn5sZ/wo

照「来年もある!」

和「で、でも……私は……」

照「大丈夫。お父さんは私が全力で説得する。お前は、白糸台麻雀部に絶対必要なんだから……」

淡「テル……」

照「淡……おめでとう。誰も文句は言わない。お前がナンバーワンだ」

淡「えへへ……ありがと、テル」

照「咲のところへ行かないの?」

淡「ん、ホントならダッシュでそうしたいんだけど……なんか、腰抜けて……立ち上がれないや……」

淡「仕方ないからお姫様が迎えに来てくれるまで待つよ〜」
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 00:50:34.08 ID:Mvn5sZ/wo

郁乃「すっえはっらちゃ〜ん!」ガチャ

恭子「か、監督……!?」

郁乃「漫ちゃんか善野さんやと思った?残念、ウチでした〜」テヘペロ

恭子「いえ……その……なんか、すんません。昨日アレだけ勇気づけて貰ったのにラスで……」

郁乃「いいのよ〜。末原ちゃんは自分の打ち方に後悔はしてへんのやろ?誰も責めへんよ〜」

恭子「そうですか……」

郁乃「さっ、控え室戻るで。みんな待っとるよ。善野さんも来てる」

恭子「ほ、ホンマですか!?すぐ行きます!」

恭子「ほな、みんなお先に!」

郁乃「大星ちゃん、優勝おめでと〜」

淡「ありがと〜!キョーコ、また打とう!」

恭子「おう!三度目の正直や、次は負けへんで!」
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 00:51:43.50 ID:Mvn5sZ/wo

憧「しず!」ガチャ

穏乃、和「憧!」

憧「しず、お疲れ様。頑張ったわね」

穏乃「ああ。優勝できなかったのは悔しいけど、和とまた遊べて楽しかった!」

和「私も楽しかったです……また阿知賀のみんなと一緒に打ちたいですね」

憧「あたし達はもうしばらく滞在してる予定だから、明日からでも一緒に打とうよ!」

和「はい、是非!」

穏乃「さてと……それじゃあそろそろお暇しますか!」

穏乃「和、大星さん、照さん!また!」

淡「うん!またね〜シズノ!」
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 00:53:03.08 ID:Mvn5sZ/wo

照「新子さん……」

憧「…………」

照「ありがとう……」

憧「えっ?」

照「咲に対して、真っ直ぐ向き合えたのはあなたのお陰だと思ってる。理由は上手く説明できないけど……」

憧(ああ、あの時の……)

憧「照さん、妹との日々、今度私にも見せてね」

照「えっ!?な、何で新子さんがそれを!?」

和「お義姉さん……何ですかそれは?」

淡「テルー……」

照「か、関係ない!二人にはまったく関係ないことだから!」

憧「それじゃあチャンピオン、またどこかの卓で!」
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 00:54:25.18 ID:Mvn5sZ/wo

―――――阿知賀控え室

晴絵「みんな……本当によく頑張ったね。みんなの試合を見て、私はようやく決心がついたよ」

灼「ハルちゃん……どうしたの?」

晴絵「私は、小鍛治プロにリベンジする!」

玄「ええっ!?本気ですか!?」

晴絵「ああ……小鍛治プロも忙しい方だからすぐには試合を受けてくれないと思うけど、必ず実現させる!」

憧「でも、急にそんなこと……勝算はあるの!?」

晴絵「憧は、宮永照相手に勝算はあったかい?」

憧「あっ……」
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 00:56:09.33 ID:Mvn5sZ/wo

晴絵「そういうことさ。私はただひたすら、自分が納得できるまで打ち抜く……!」

穏乃「わかりました……!私、信じてますから!きっと赤土さんが勝つって……!」

憧「よしっ!そうと決まれば明日からは、和も入れてみんなでハルエを鍛えまくろう!」

晴絵「おう!上等上等!みんなまとめて相手してやるよ!」
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 00:58:37.59 ID:Mvn5sZ/wo

―――――試合会場

咲「淡ちゃん!」ガチャ

淡「サキ!」

咲「やったね淡ちゃん!優勝だよっ!」

淡「うん!私、頑張った!」

咲「あ、あれ……?」

淡「どしたの?」

咲「何かもっとこう、抱き合ったりとかして喜びを分かち合ったりしないのかな〜って……」
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:00:04.39 ID:Mvn5sZ/wo

照「ああ、淡のヤツ、腰が抜けて立てないそうだ」

咲「何それ……もう。淡ちゃんって本当に最後まで淡ちゃんだよね」

淡「む〜……どういう意味〜?」

咲「ん〜っとね……」ギュッ

淡「わわっ!?」

咲「私がずっと一緒じゃないとダメってことかな」オヒメサマダッコ

淡「……えへへ。サキ、大好き!」ギュッ

和「…………」

照「和、涙を拭け……」

和「お義姉さんこそ……」
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:01:41.17 ID:Mvn5sZ/wo

咲「うわっ!淡ちゃん重っ!」

淡「お、重くないよ!?サキみたいな華奢な子がお姫様抱っこするほうが無理があるんだってば!」

咲「そうかなぁー?」

淡「そうだよ!それに……そんなに辛いんなら降ろせばいいじゃん……もう立てるからさ」

咲「ん〜でも、それはできないかな」

淡「ええっ!?」

咲「ほら、この後記念撮影も優勝インタビューもあるから……これで受けたい」

咲「それで、ウィークリー麻雀TODAYの表紙を飾ってもらうんだ!」

淡「も、もう……しょうがないな〜。途中で辛くなっても知らないからね!」

照「あんなに大人しくて純粋だった咲が、こんな積極的になるなんて……」

和「良くも悪くも、大星さんと付き合っていた影響は大きいということですね……」

照(まあ……仕方ないな。今、この瞬間だけは認めてやってもいいか。淡……お前が、咲の嫁だ)
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:03:10.02 ID:Mvn5sZ/wo

―――――翌年4月、白糸台高校麻雀部

誠子「ふぅ……ようやく終わったか。新入部員のデータまとめ……」

尭深「お疲れ様、部長。お茶飲む?」

誠子「ああ、頼む」

尭深「何か、収穫はありましたか?」

誠子「今のところ宮永先輩のような化け物じみた打ち手はいないな」

尭深「そんな人が毎年出るわけないでしょう」

誠子「まあそうだな。強いて言うなら、原村を追って入学してきたと言う子」

尭深「室橋さんですか」

誠子「原村ほどではないが中々精度の高いデジタル打ちだ。彼女に鍛えられればモノになるだろう」
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:04:41.31 ID:Mvn5sZ/wo

尭深「その一つ下にも面白い打ち手がいるって和ちゃんも言ってましたね」

誠子「ああ。学年的に共に戦えないのが残念だが……」

和「部長」ガチャ

誠子「原村か。どうした?」

和「弘世元部長から、手紙が来てますよ」

誠子「弘世先輩から?ふむ……」
707 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:06:18.65 ID:Mvn5sZ/wo

―――――松実館

菫「宥〜!遅刻するぞ〜!」

宥「あうぅ……ごめん菫ちゃん!今行く〜!」

菫「まったく……」

菫(私は松実館に居候し、宥と一緒に奈良の晩成大学に通っている。休みの日は旅館の仕事を手伝ったりしているが……)

菫(慣れない大学生活、急激に変化した周囲の環境と合わせて中々慌ただしい日々を送っている……)

菫(ちなみに宥はプロ入りの話を蹴ってまで私と同じ進路を選んでくれた)

菫(そんな宥に対して、今の私ができることは本当にちっぽけで、些細なモノだと思うけど……)
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:07:28.54 ID:Mvn5sZ/wo

宥「ごめ〜ん菫ちゃん。お待たせ〜」

菫「まったく……今日は大事な日だから、遅刻は厳禁だって小走も言っていただろう?」

宥「だって……あの試合の特集がかなり遅くまでやってたんだもん」

菫「まあ、宥にとっては気になる内容だったとは思うが……」

菫「しかし凄かったな。新聞でも全紙一面。今朝のニュースでも殆どの局で話題になってたからな」

宥「うん。それでね、午後には阿知賀のほうに顔出したいんだけど……」

菫「そう言うと思っていたよ。邪魔でなければ、私も同行していいか?」

宥「うん。一緒に来てくれると嬉しい……」

菫(私はできる限り、宥と一緒に……あらゆる時間を宥と共有したいと思ってる……)
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:09:39.38 ID:Mvn5sZ/wo

やえ「よっ、ご両人!遅いぞ!」

菫「小走か。済まないな。宥が寝坊して……」

やえ「まあ大方、昨日の試合の後の特集でも見てたんだろう」

宥「やえちゃんも見てたの?」

やえ「私も奈良県民だし、気にならないことはないが……私は小3の頃から常に10時には寝ている……」

やえ「夜更かしはせんよ」
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:11:18.80 ID:Mvn5sZ/wo

菫「それより小走、例の書類は?」

やえ「ああ、麻雀サークルの申請書なら、後は名前を書くだけだ」

菫「しかし意外だったな。晩成高校はあれだけ麻雀部の活動が活発なのに、大学にはサークルすらないとは」

やえ「まあ、晩成大は関西でも屈指の名門。卒業後は一流企業就職や官僚が当たり前だからな」

やえ「本格的に勉強に専念する人達が多いのさ。そんな中でツブシの効かない麻雀部はいつしか廃れていった」

宥「私達で何とか復活させられるといいね」

菫「そうだな」
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:12:15.86 ID:Mvn5sZ/wo

やえ「ところで、名前なんだが……私と松実宥の名は既に書いてある。菫、お前は何と書けばいい?」

菫「はっ?」

やえ「いや、お前って今松実菫だっけ?それとも弘世?」

菫「なっ……!?ひ、弘世に決まってるだろ!」カァーッ

やえ「そうかそうか。まだだったか」

菫「お、お前ってヤツは!朝っぱらから何てことを!」アタフタ

やえ「まあそう怒鳴りなさんなって。どうせいずれは松実になるのだろう?」

菫「う、うん……」

宥「えへへ……これからもずっと一緒だよ!菫ちゃん!」

やえ「まったく、朝っぱらからお熱いことで」
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:13:11.71 ID:Mvn5sZ/wo

―――――阿知賀女子麻雀部

灼(ハルちゃんへ……新入部員の歓迎会も終わり、本日から私達新生阿知賀麻雀部の活動が始まります)

灼(昨年のインターハイで躍進したお陰で入部希望者も増え、部室内の雰囲気も随分と賑やかになりました)

灼(部長として嬉しく思う反面、レギュラーの座を掴み取れるか不安でもあります)

玄「灼ちゃ〜ん、何書いてるの?」

灼「ん、玄……ハルちゃんに、手紙」

玄「そっか……赤土先生に……」
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:14:23.80 ID:Mvn5sZ/wo

穏乃「おはようございます!灼さん、玄さん!」

憧「おっはよ〜!」

灼「あっ、二人とも。おはよ……」

憧「昨日のハルエの試合、見た!?」

穏乃「凄かったですよね!小鍛治プロとのラストファイナルリベンジマッチ!」

玄「うん。でも、あの試合のあと、赤土先生はあの時の憧ちゃんみたいに倒れちゃって……」

憧「小鍛治プロの出す魔物の波動みたいなのを真近で受けてたのよね……」

憧「あの宮永照と打ってる時以上に辛い感覚なんて、想像もしたくないわ……」
714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:16:06.21 ID:Mvn5sZ/wo

灼「今ハルちゃんに手紙書いてるとこ……」

憧「そっか……ハルエは……」

穏乃「だ、大丈夫!きっと届きますよ!今は赤土さんは遠くにいますけど、灼さんの想いは……きっと!」

灼「ん……私も信じてる……」

灼(ハルちゃんはもういないけど……部員みんなで手を取り合って頑張っていきたいと思います)

灼(そちらから、私達阿知賀女子学院麻雀部を見守っていて下さい。鷺森灼)
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:17:37.31 ID:Mvn5sZ/wo

―――――都内某病院

晴絵「むむっ……なんか私が死んだみたいな扱いをされてる予感!」

恒子「おお、赤土さんおはよー!」

健夜「おはようございます」

晴絵「小鍛治プロ、福与さん……」

恒子「二十年越しのリベンジ達成ですね〜!おめでとうございます!」

健夜「10年だよっ!」

晴絵「ありがとうございます。でもまさか、麻雀打つだけで全治一ヶ月の入院が必要になるとは思わなかったけど」

健夜「申し訳ありません。こんな大事な時期にしか試合を受けられなくて」

晴絵「いえ、お気になさらないで下さい。あの子達ならきっと私なしでも上手くやっていけます」

晴絵「もちろん、県予選が始まるまでには復帰して、新入部員も含めてみんなを鍛え直すつもりですけど」
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:18:52.65 ID:Mvn5sZ/wo

健夜「私は……自分の打つ麻雀が呪いのようなものだと思っていました」

晴絵「えっ?」

恒子「何すこやん、アラフォーにもなって中二病発症?」

健夜「そういうのじゃないから!それにアラサーだし!」

晴絵「そ、その……呪いとは?」

健夜「非公式試合ですけど、昔一度負けたことがあります……その相手の方は、突然心臓麻痺で亡くなりました……」

健夜「リオデジャネイロ東風フリースタイルの結末も、みんなが知っての通りです……」

健夜「まるで神か悪魔か……人知を超えた何者かの力が働いて、私に勝つのを許さないかのように……」
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:19:55.48 ID:Mvn5sZ/wo

健夜「でも」

晴絵「でも私は生きてます!あなたの力は、呪われたものなんかじゃない!」

健夜「はい……あの東風フリースタイル以来、私は一線を退いたつもりでしたけど……」

健夜「ようやく復帰する決心が着きました……あなたのお陰です」

恒子「すこやん……」

健夜「赤土さん!いつかプロリーグに来て、もう一度私と勝負してください!」

晴絵「はい……約束します!いつか必ず……!」
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:21:48.65 ID:Mvn5sZ/wo

―――――龍門渕高校麻雀部

透華「本日の活動を開始する前に、衣に新しいお友達を紹介しますわ」

衣「友達?其は麻雀を打てるのか!?」

透華「ええ。きっと衣と楽しく遊べる方だと保証しますわ。それではどうぞ、お入り下さいまし」

照「こんにちは」ガチャ

衣「おお!咲の姉君!」

一「どうしてチャンピオンがここに?」

透華「龍門渕大学より呼び寄せました。インハイが終わるまで私達のコーチを務めてくださることになりましたの」

照「よろしく」
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:22:55.07 ID:Mvn5sZ/wo

純「でもいいのかよ?インカレに向けて練習とかは?」

照「正直、大学で打つよりもここで天江さんと打ってた方がよっぽど力が付く……」

智紀「確かにそれはある……」

衣「うむ!これは神算鬼謀!とーかに感謝だ!」

照「天江さん!今年こそは絶対に淡を倒して、全国に行こう!」

衣「う、うむ……もちろんそのつもりだが……何やら邪な意図を感じるぞ……」

照「きっと気のせい……」
720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:24:23.47 ID:Mvn5sZ/wo

―――――清澄高校麻雀部

淡「ふう。一年坊達の牌譜、ようやく全部見終わったよ〜」

咲「まさかあんなに沢山入ってくるなんて思わなかったよね」

優希「中学時代エースとして鳴らしてた子も結構いたじぇ!」

まこ「まあそれも当然じゃろ。わしらは団体戦全国優勝。咲と淡は個人戦一位と二位じゃ」

まこ「もう立派な、強豪校の仲間入りってことじゃ!」

まこ「自分らももう上級生なんじゃから、気合入れていき!」

咲、淡、優希「はい!」
721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:25:06.37 ID:Mvn5sZ/wo

京太郎「女子はあんなに賑わってていいよなぁ……それに比べて男子は相変わらず俺一人とか……」

優希「おい犬!何を一人で落ち込んでるか!キサマには麻雀部の雑用という重大な使命が残ってるじょ!」

京太郎「はあ……」

優希「ほらほら、食堂にみんなの分のタコスとジュースを買いにいくじぇ!」

京太郎「わ、わかったから引っ張るなって!」

京太郎「まっ、これはこれで……悪くないかな……」
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:26:12.97 ID:Mvn5sZ/wo

―――――帰り道

咲「麻雀部も本当に賑やかになったよね。部室が狭く感じちゃった」

淡「そうだね〜……でも、毎日色んな人といっぱい打てて、本当に楽しい」

淡「サキのお陰だよ……」

淡「サキに出会わなかったら私はきっと麻雀を嫌いなままだったと思うから……本当に感謝してるんだ」
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/03(日) 01:27:57.38 ID:Mvn5sZ/wo

淡「友達になってくれてありがとう。あの時麻雀部に誘ってくれてありがとう」

咲「私の方こそ……麻雀をもっともっと、ずっと好きになれたのは淡ちゃんのお陰だよ」

咲「一緒にいてくれてありがとう。好きになってくれてありがとう……」

咲「淡ちゃんと一緒なら……この先どんな辛いことがあっても乗り越えられる!」

淡「アハ!私も同じ気持ちだよ。サキとずっと一緒に麻雀を打っていきたい!」

淡「これからも頑張ろう、サキ!」

咲「うん!」

咲「一緒に楽しもうよ、淡ちゃん!」

槓!
724 : ◆mzEnFgpxGU [saga]:2013/02/03(日) 01:35:08.81 ID:Mvn5sZ/wo
と言うわけでこれで終了になります。全国編に入ってからはほぼ行き当たりばったりで書いてたので、
特に決勝戦以降は投稿間隔がかなり空いたりしてご迷惑をおかけしました。

もしこのSSで咲淡に少しでも興味を持ってくださった方がいれば幸いです。
それでは最後まで読んでくださった方、レス下さった方、ありがとうございました。
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 02:45:59.57 ID:S/bzZlFUo

次も期待している
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 02:49:55.47 ID:h84bHPsIO
おつー
長い間楽しませて貰ったよ
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 08:41:06.16 ID:YabNME+Ao

面白かったので次も期待してます
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 10:06:04.93 ID:FE7hfxFDo
お疲れー
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 11:15:27.62 ID:D/yP/PfIO

咲淡良かったよー
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 13:05:26.11 ID:6b5O9W3+o

咲淡は良いね楽しかったわ
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 14:09:22.79 ID:JBPmpnOUo
乙でした
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 22:06:03.98 ID:ZWAWy64Eo
これは乙乙
淡ちゃんは咲さんと絡んでこそ輝きますな
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/03(日) 22:08:12.23 ID:MxkyTKOeo
乙乙!
咲淡がこんなにすばらだとは
また書いてねー!
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/03(日) 23:46:20.66 ID:NJNYCQKn0
すばらでした! 乙!
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/05(火) 05:56:26.77 ID:JIfPWMk8o
乙、大変にすばらだった
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 16:47:07.36 ID:CvvzB19IO
ほんとおもしろかった
咲淡好きの俺には完璧な作品でした
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