このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

「パネェっす!上条さん」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/23(火) 20:37:58.26 ID:lDKCdJLDO
これは、とある魔術の禁書目録の主人公、上条当麻さんがパネェ話です


※注意1
お話は原作を改変しています

※注意2
キャラ崩壊が多いです

※注意3
誤字、脱字はあまり気にしないで頂けると助かります

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1350992278
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

2 :第一巻 [sage saga]:2012/10/23(火) 20:39:06.62 ID:lDKCdJLDO

〜鉄橋〜


御坂「…ったく何やってんのよアンタ。不良守って善人気取りか熱血教師ですかぁ?」

上条「!?」


御坂「なんで不良達が『すみません…俺達が悪かったっす』って言って帰ってくのよ…アンタ何かした?」

上条「いや…逃げながらも一人ひとり説得しただけだけど」

御坂「……なんで、説得であんなイカツイ奴等が素直に帰るのよ…。アンタ、変な能力持ってんじゃないの?」

上条「? 身体検査ではレベル0だったけどな〜」

御坂「…ホントかしら」


上条「まぁ…お前達の間に何があったかは知らねーけど…さ」


上条は御坂の目の前まで近寄り…


御坂「な……何よ!」


上条「喧嘩は……良くねーよ」ナデナデ


悲しげな表情で…優しく頭を撫でた


御坂「ウ…」

上条「後、お前みたいなカワイイ女の子がこんな夜中まで遊んでんじゃねーよ。今日こそは寮まで送って行くからな」マッタク!

御坂「……ハイ」///


―――
――
3 :第一巻 [sage saga]:2012/10/23(火) 20:40:19.79 ID:lDKCdJLDO

〜上条の部屋〜


禁書「魔術はあるもん!」

上条「いや、俺も信用したいけどさ」

禁書「ムー! じゃあコレ、この服。これは歩く教会っていう極上の防御結界なんだよ!」



禁書「そして論より証拠! ほら、台所の包丁で私のお腹刺してみ」

上条「馬鹿野郎!!! 命を粗末にしてんじゃねぇ!」

禁書「!!!」ビク!

上条「もし……もし、怪我したらどうすんだよ! お前にもしもの事が有ったら…俺…」クッ!

禁書「……ゴメンナサイ」

上条「いや…俺も悪かったよ…。後、包丁なんかで刺さなくてもさ…」

上条は立ち上がると毛布を取り、インデックスの身体を包んだ

禁書「?」

上条「こうすれば…」カタサワル

バキィン!

禁書「歩く教会が!」


上条「服…壊してゴメンな。…でも、コレでお互いの証明になっただろ」ニコ


禁書(とうまパネェんだよ!)///


―――
――
4 :第一巻 [sage saga]:2012/10/23(火) 20:41:35.57 ID:lDKCdJLDO

〜マンションの通路〜


ステイル「ば、か――――な。なぜ、何故! 僕のルーンはまだ死んでないのに……ッ!」

イノケン「ゴォォォォォ!!!」

ステイル「い、の……けんてぃうす」

ステイル「いのけんてぃうす……イノケンティウス、魔女狩りの王!」

イノケン「ゴォォォォォ!!!」

上条「止めろ! 魔女狩りの王!」

イノケン「は…はい…。でもいいんすか? コイツ上条さんと禁書さんに迷惑かけたんすよ?」

ステイル「ひぃぃ」

上条「インデックスの背中を斬ったのはコイツじゃない……それに罪を憎んで人憎まず…ってな」


上条は、意識の無いインデックスを抱き上げ、エレベーターへ向かう


上条「おい…ステイル」

ステイル「ひっ」

上条「……次は…ラミネート加工してから来るんだな」

イノケン「あざっす! 御慈悲あざっす上条さん!」


―――
――
5 :第一巻 [sage saga]:2012/10/23(火) 20:42:57.01 ID:lDKCdJLDO

〜第7学区・道路〜


神裂「神浄の討魔、ですか――良い真名です」

上条「……テメェは」

神裂「神裂火織、と申します。……できれば、もう一つの名は語りたくないのですが」

上条「いや……聞かせてくれ。もう一つの名前」

神裂「は?」

上条「悩んでんだろ…顔見て直ぐに解ったよ。俺がお前の全てを受け止めてやるからさ…お前の声で…お前の溜め込んでるモン吐き出しちまえよ」


神裂「あ……え…はい?」


上条は神裂の目の前まで近寄り…

ギュッ!

強く抱きしめた!


上条「俺の前では…さ…素直に…なれよ、火織」


神裂「は……ハイ」///


―――
――
6 :第一巻 [sage saga]:2012/10/23(火) 20:44:01.30 ID:lDKCdJLDO

〜小萌の部屋〜


バギン!と。上条の右手が勢い良く後ろへ吹き飛ばされた

上条「がっ………!?」


自動書記『――警告、第三章第二せ』

バキィン!

上条「……勝った」


神裂「危ない当麻さん!」

ステイル「上条さん!」

イノケン「上条さん!」


上条「!!?」


その時、上条当麻の頭上から光の羽が粉雪の様に降り注ぐ…

皆が思った…もうダメだ…この後、上条さん記憶喪失で透明な少年であの子には泣いて欲しくなかったフラグだ…と


だが上条は諦めない!神をも殺す右拳に力を込め!

上条「ハァァァ!!!」


┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"

…全ての光の羽は無数の右拳によって打ち消された


上条「これが……幻想殺しだ」


神裂「やだ…カッコイイ」///


第一巻

〜完〜
7 :>>1です [sage]:2012/10/23(火) 20:45:54.37 ID:lDKCdJLDO
第一巻終了です

続いて第二巻を投下します
8 :第二巻 [sage saga]:2012/10/23(火) 20:46:38.51 ID:lDKCdJLDO

〜本屋の帰り道〜


禁書「とうま」

上条「ん?」

禁書「3600円あったら何ができた?」


上条「…そうだな…お前に好きな物、食べさせれたよな…」

禁書「うっ…」

上条「けど…さ。この料理本があれば、節約しつつ美味しい料理が作れるからさ…少しだけ我慢してくれ」

上条は悲しみを抑え、笑顔を作り、インデックスの頭を優しく撫でた


禁書「…ウン」///


―――
――
9 :第二巻 [sage saga]:2012/10/23(火) 20:47:40.91 ID:lDKCdJLDO

〜ファストフード店内〜


上条「大丈夫ですか?」

姫神「…やけ食いで食い倒れ…」

上条「? はい」

姫神「帰りの電車賃。400円」

上条「? それで?」

姫神「全財産…300円」

上条「!!!」


禁書「……」ズー

青ピ「……」ズー


姫神「100円…無理?」

上条「無理じゃない…出すよ」ゴソ

禁書「!? ダメだよとうま! ただでさえ私にシェイク3つ、青いのにシェイク1つ買ってるのに!」

禁書「その100円が無くなったら……とうま歩いて帰らなきゃいけなくなっちゃうんだよ?」

上条「いいんだ」

禁書「でも!!!」

上条「いいんだよ。な〜にたかが20km、ちょっと長いくらいのマラソンだって」ナデナデ

姫神「なに? この空気」


―――
――
10 :第二巻 [sage saga]:2012/10/23(火) 20:48:43.90 ID:lDKCdJLDO

〜とある路上〜


禁書「……、ルーン?」ダッ

上条「ちょ、おいインデックス」

禁書「誰かが魔法陣を仕掛けてるっぽい。調べてくるからとうまは先に帰ってて!」

あっという間に、インデックスの姿が路地裏の奥へと消えていく。


「あの〜」

上条「ん?」

ステイル「久しぶりだね、上条当麻さん」ニヤニヤ

上条「ああ、ステイルか。一週間ぶりだな…」

ステイル「うんうん、結構結構。やはり僕達の関係はこうあるべきだ」スッ


ステイルは、イギリス名物フィッシュ&チップス煎餅を差し出す


上条「おお!ありがとなステイル」

ステイル「ふ…ふん」ニヤニヤ


すると、ステイルの背後から…

ゴン!!!

ステイル「グハァ!!」

イノケン「Don't smile with everything. Are you ready the die?」

※いちいち笑うな、ぶっ殺すぞ

上条「こら、魔女狩りの王…無闇に暴力奮うなって言ったろ」

イノケン「……はい…すんません」シュン


―――
――
11 :第二巻 [sage saga]:2012/10/23(火) 20:49:58.73 ID:lDKCdJLDO

〜上条の部屋〜


禁書「む。と、とうま、この服は『歩く教会』って言うんだよ?」

上条「…だから何だ?」

禁書「教会は迷える子羊に無償で救いの手を差し伸べるのです。よって路頭で迷ったスフィンクスは教会の手で保護しました。アーメン」

上条「……」

禁書「……ウウ」


ギュッ!

禁書「ふぇ!!」///

上条「くそっ! なんて聖母力だインデックス! 抱きしめずにはいられねぇ」

禁書「あ…あの…とうま?」///

上条「教会に匿うんだろ聖母様? なら、俺も協力するよ。一緒に迷えるスフィンクスを救おうぜ!」

禁書「……ウン」///


スフィンクス「全く、兄さん達を見てると目から塩水が出てきて仕方ねぇですぜ…へへ」グス


―――
――
12 :第二巻 [sage saga]:2012/10/23(火) 20:51:06.00 ID:lDKCdJLDO

〜三沢塾内部〜


長い直線の通路を走り、ようやく階段の近くまで辿り着いた時、さらに前方から青白い球体の洪水が襲ってくるのが見えた。


上条「くっ」


そして、前と後ろの挟み撃ち!


ステイル「上条さん。階段へ!」

上条「ああ!」


階段を駆け上がった、その時。上条は違和感を感じた


上条「ステイル? どこだステイル!」


そう…ステイルは……


…囮役を選んだのだ…


『good luck…上条さん』


上条「ステイルーー!!」



―――
――
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/10/23(火) 20:51:16.86 ID:xYwFfrwy0
なんてイージーモードなんだ…
期待
14 :第二巻 [sage saga]:2012/10/23(火) 20:52:14.42 ID:lDKCdJLDO

〜三沢塾内部〜


アウレオルス「寛然。仔細ない、すぐにそちらへ向かおう」スッ


上条「な……ッ!? いつの間に目の前に」

アウレオルス「当然、疑問は湧いて出るだろうが答える義務もなし」

上条「これが、アルスマグナか!」


アウレオルス「うん?」

上条「大丈夫だ秋沙。お前だけは命に変えても守ってみせる!」

姫神「私…。幸せ」///


アウレオルス「…唖然。姫神…貴様、喋ったのか?」

姫神「…当麻君が。知りたいって言うから」///

上条「…秋沙」ナデナデ


アウレオルス「唖然…マジ唖然…」


―――
――
15 :第二巻 [sage saga]:2012/10/23(火) 20:53:20.96 ID:lDKCdJLDO

〜三沢塾・アウレオルスの部屋〜


アウレオルス「感電死」

バキィン!


アウレオルス「絞殺、圧殺、窒息死…轢殺、斬殺…即死!!!」

ババババババキィン!


アウレオルス「暗器銃をこの手に! 魔弾を装填。数は数千。全弾反応速度を越える速さで少年目掛け、射出せよ!!!」

上条「ゲンコロ」

バキィン!

アウレオルス「」orz


姫神「やだ。当麻君カッコイイ」///

禁書「流石、とうまなんだよ」

ステイル「上条さん!ゲンコロ!痺れました!」

ダミー「愕然…ダミーマジ愕然」

神裂「……間に合わなかった」orz




スフィンクス「…ったく。上条さんにはかなわねぇや…へへ」



第二巻

〜完〜
16 :>>1です [sage saga]:2012/10/23(火) 20:57:50.98 ID:lDKCdJLDO
これで今日は投下終了です

注意に書き忘れていましたが話が飛ぶのは仕様です

一巻ずつ原作を辿っていきますのでお気をつけ下さい

こんなバラバラの話をここまで見て頂き、本当にありがとうございました


次回は…書けたら投下します
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/10/23(火) 21:00:13.18 ID:oCL5XqQAO
パネェっす1さん
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/23(火) 21:03:00.12 ID:oYQAjKoK0
上条さんマジパネェwwww
スフィンクスはいつからいるんだよwwww
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/23(火) 21:17:37.06 ID:3qtVmoyIO
くっそワロタ
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/10/23(火) 21:17:57.56 ID:HPmw1aLV0
パネェ!
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/23(火) 22:44:40.64 ID:8teJalYDO
唖然…マジ唖然…
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2012/10/23(火) 23:05:44.85 ID:t4ExfusHo
ダミーwwwwwwwwwwww
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/10/23(火) 23:39:02.50 ID:bF2BDMPAO
乙です。
圧倒的なまでの速さですな。
しかし数千の魔弾をゲンコロとは、上条さんマジパナイっす。
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/10/24(水) 00:20:59.31 ID:AjL4rKTI0
このまま一気に新約5巻までやるのかwwww
25 :>>1です :2012/10/25(木) 21:04:22.69 ID:KA8xofyDO
第三巻と第四巻を投下します

今回は削る所があまりなく、少し長くなってしまいました

誤字、脱字はあまり気にせずお楽しみ下さい
26 :第三巻 [sage saga]:2012/10/25(木) 21:04:50.66 ID:KA8xofyDO

〜とある公園〜


御坂「ちぇいさー!!」

ズドン!!!

御坂「ボロっちいからジュース固定してるバネが緩んでんのよねー。何のジュースが出てくるか選べないのが難点だけど――ってアンタどうしたの?」

上条「ゴメン…御坂」

御坂「なんで謝んのよ?」

上条「見ちまった以上は、責任取るから…」

御坂「はぁ…って!」

ギュッ!

御坂「えぇ!!!」///

上条「ゴメンな…スカートの下の短パン見ちまった……なんて奴だよ…俺は!!!」


御坂「いや…えーっと…あの…」///

上条「…ゴメン」ボソ

御坂「…///」キュン キュン


―――
――
27 :第三巻 [sage saga]:2012/10/25(木) 21:05:48.57 ID:KA8xofyDO

〜とある公園〜


少女は強引に上条の右手を掴んで両手で包み


白井「初めまして殿方さん。わたくし、お姉様の露払いをしている白井黒子と言いますの」


すると上条も白井の手を両手で包んだ


白井「へ?」

上条「宜しくな白井。俺は上条当麻だ」テレニコ


白井「は…はぁ。ちなみにこの程度でドギマギしているようでは浮気性の危険性がありましてよ」フフン

上条「…いや、悪い。お前みたいな可愛い女の子に手を握られると…やっぱ照れちまってさ」テレテレ


御坂「あ…あんた…は…こ…こんにゃ奴が…か、かれし///」ゴニョゴニョ



白井「いやいや、なんですの…この空気」


―――
――
28 :第三巻 [sage saga]:2012/10/25(木) 21:06:50.52 ID:KA8xofyDO

〜とある道路〜


上条「!! ちょっ…待てよコラァ!」

すでに体重をかけて踏み出そうとしていた足は今さら止められない!!

ドッ!!!

上条「が…っハァ!!」


…上条は、道路の上で勢い良く仰向けに倒れ込む。

手の中にあったはずのジュースがガラガラと音を立ててばら撒かれたが、上条は大の字になってとりあえず深呼吸した。


上条(まぁ…ジュースの缶なんて多少へこんでいても構わないだ…ろ…)ガクッ


―――
――


上条が意識を取り戻すと、目の前に女の子が立っていた


上条「…痛っ…お前は…」

御坂妹「必要ならば手を貸しますが、とミサカはため息混じりに提案します」

上条「…妹…か、いやそれよりも…子供は無事か?」

御坂妹「はい…。アナタのお陰でかすり傷程度ですんでるみたいですね、とミサカは自らを危険を冒してまで車に引かれそうになった子供を助けたヒーローに現状報告します」


御坂妹が指差す先には…

救急隊員により担架に乗せられ、救急車へ運ばれる子供の姿があった


子供「ありがとうお兄ちゃん!」テオフル

運転手「すまねぇ!すまねぇよぉ!!」


上条「…無事で…よかっ…た」ニコ


―――
――
29 :第三巻 [sage saga]:2012/10/25(木) 21:07:54.21 ID:KA8xofyDO

次の日

〜とある路地裏〜


御坂妹「『実験場』に入ってる時点で本実験の関係者かと思いましたが……そうですね、確かにあなたは実験との関連性は薄そうに見えます、とミサカは直感で答えます」


上条(実験……?)


御坂妹「念のために符丁の確認を取ります、とミサカは有言実行します。ZXC741ASD852QWE963′とミサカはあなたを試します」


上条「!?…TAR147…KGK258…MKT369′でどうだ!」

御坂妹「…パネェ……この人直感で解読しやがった、とミサカは戦慄します」



―――
――
30 :第三巻 [sage saga]:2012/10/25(木) 21:08:50.55 ID:KA8xofyDO

〜御坂・白井の部屋〜

寮監「白井。夕食の時間だから食堂へ集合せよ。……御坂は? 私は外出届けを見ていない、門限破りなら同居人と連帯責任で減点一つとみなすが構わんか?」

上条「待って下さい!」

白井「いえいえ、本当に……ってオぉぉイ!!!」

寮監「誰だ彼は? ここは常盤台女子寮…、そして規則では男子禁制のはずだが。……白井、どう言うことか説明しろ」ギロ

白井「ひっひぃぃぃ!」

寮監「どうした白井、早く説明しろ…場合によっては退学も」ゴゴゴ

上条「寮監さん…」スッ


上条は白井の盾になるよう、寮監の前に立ち塞がる


寮監「なんだね? 君には後で」

上条「二人は悪くない…悪いのは…」ガサッ


上条「この腐った計画だ!」

寮監「?……、なっ!?」

白井(? 計画…? 類人猿が邪魔で何も見えませんの)

上条「罰なら後で、二人の分を含め…俺が全てを引き受けます! だからお願いします…少しだけ…俺に少しだけ時間を下さい!」

寮監「……」


寮監はほんの一瞬、口元を緩めると…


寮監「解った…だが君には、今すぐに罰を受けてもらう…」

上条「?…寮監さ…」

ギュッ!

寮監「これが罰だ…死ぬなよ…少年」///

上条「……はい…」ギュ!


白井「……」
31 :第三巻 [sage saga]:2012/10/25(木) 21:09:50.76 ID:KA8xofyDO

〜とある鉄橋〜


御坂「や、めて」


ふるふる、と。御坂は首を横に振って、泣きそうな子供のように呟いた。


御坂「やめて、よ」


もう少年には立ち上がって欲しくなかった。生きているなら、そのまま気絶してくれれば良いのだ。

あの少年が御坂を諦めてくれれば、もう誰も傷つかないのに…

あの少年が御坂に失望してくれれば、苦痛から解放されるのに…

上条「……」グググ

…少年は立ち上がった

御坂「ああ、」ガタガタ


きっと、あの少年はもう止まらない。その心臓が動く限り、絶対に諦めない。

ならば、もう殺るしかない

御坂は掌でゆっくりと狙いを定めて…雷撃の槍を…

上条「…」ニコ

御坂「!!!」

…放てなかった


御坂「ダメ…撃てない…。私の心の中にある発電所がストライキを起こして…もう、アンタに送電できない」スッ

御坂「私は…停電…計画停電よぉ…」グス


上条「……」

ギュッ!

御坂「ふにゃ!!」///

上条「そのストライキを…解決する方法が解ったんだ」

御坂「!?」

上条「待ってろ……俺が必ず、お前の発電所に太陽光を送ってやるからな」ニコ

御坂「馬鹿……私の心は火力発電所よ」///
32 :第三巻 [sage saga]:2012/10/25(木) 21:11:00.38 ID:KA8xofyDO

〜とある操車場〜


一方「……、おい。この場合、『実験』ってなァどうなっちまうンだ?」


一方通行は凍りついたままポツリと尋ねてきた。

御坂妹は砂利の上を這って移動し、一方通行の見ているものを、視線で追い駆けた。

御坂妹「あなた…は…」


上条「……離れろ…」

上条「今すぐ、御坂妹から離れろっつってんだ。聞こえねぇのか」

一方「……、ホン」

上条「ぐちゃぐちゃ言ってねえで離れろっつってんだろ、聞こえねぇのか三下ぁ!!」

一方「……オマエ、ナニサマ? 誰に牙剥いてっか分かって口開いてンだろォなァ、オイ!…って」アレェ?


……上条当麻が、一方通行の前から姿を消した


一方「な…!? どこに行きやがったァ! さっきまで…そこにィ」

上条「…残像って知ってるか?」

一方「!!!」


そう…一方通行が話していたのは残像だった…本物の上条当麻は、彼の背後にいた!


上条「悪いな。お前の話があんまりにも長かったからな…」

上条「返してもらったぜ……悲劇の御坂妹姫!」


御坂妹を抱きかかえた、上条当麻が立っていた!!


一方「……、ヘェ。オマ」

上条「勝手に死ぬんじゃねえぞ、今からお前を助けてやるからな」ギュ!

御坂妹「……ハイ、とミサカは王子様のお姫様抱っこに心を奪われます」///
33 :第三巻 [sage saga]:2012/10/25(木) 21:12:02.12 ID:KA8xofyDO

〜操車場〜


一方「アッハァ! ほら、遅せェ、遅せェ、全然遅せェ」ヒュン ヒュン

「くそ!!!」

一方「おら、余所見たァ余裕だなオイ! ンなに死にたきゃギネスに載っちまうぐれェ愉快な死体に変えちまおうかァ!!」

轟!!!

一方通行の飛び蹴りがコンテナの金属壁に激突する。

ゴォン!! という教会の鐘のような轟音が響き渡り…

瞬間、積み上げられたコンテナの山が崩れた。


一方「あァ?」

一方「この白煙…どうやらコンテナの中身は小麦粉だったみてェだが。今日はイイ感じに無風状態だし、こりゃあひょっとすっと……危険な状態かもしンねェなァ?」ニヤリ

「?」

一方「オイ、三下ァ…」


一方「粉塵爆発って知ってるかァ?」

「!!! まさかァ!」

直後、あらゆる音が吹き飛ばされた。

小麦粉の粉末が撒き散らされた、半径30メートルもの空間そのものが、巨大な爆弾と化したのだ。


―――
――




一方(うン。三下が来たらこれでいくかァ…)

…ジャリ

上条「待たせたな…御坂妹は病院に運んだし、さぁ始めようぜ!」

一方「こいや! 三下ァ!」


―――
――
34 :第三巻 [sage saga]:2012/10/25(木) 21:13:13.10 ID:KA8xofyDO

〜操車場〜


一方「オマエは頑張ったよ。オマエは本当に頑張った。――だからイイ加減に楽になれ」

白い少年は砲弾のように上条へ向かって駆け出した。

右の苦手、左の毒手。

触れただけで、あらゆる生物に死を与える暗黒の手

魂を握り潰す両の手が、上条当麻の眼前へと迫る!


一方「!!!」

…が、右手の苦手は上条の右手に掴まれた…そして


上条「…」ギリギリ

一方「痛っ! 離せや三し…」


バチン!と。左の平手でビンタを一発


一方「痛ィ!」

上条「…今のが、ミサカ00001号の分…」

上条「2・3・4・5・6・7・8・9・10・11・12…」バシバシバシバシバシバシバシバシバシゴンバシバシ


〜10分後〜


上条「1236…1237…1238…1239…1240…」バシバシバシバシバシゴス

一方「もゥ…やめてくれェ…ホッペが痛ェよゥ…」

上条「痛いのは! お前! だけじゃねえ! お前を! 叩かなければ! いけない! 俺の! 心もだ!!」バシバシバシバシバシバシバシゴス


〜1時間後〜


上条「9986…9987…9988」ゴン…ゴン…ゴン

一方「ウッ…グス…ひてェよォふァンひたァ…ホッペも…ヒック…ひてェへどふォふォろもひふェよォ」

上条「…グス…もう少しだ!頑張れ!一方通行!!」ゴン…ゴン…ゴン…ゴン…ゴン…
35 :第三巻 [sage saga]:2012/10/25(木) 21:14:14.68 ID:KA8xofyDO

――

一方(……、風?)

上条に追い詰められていた一方通行は、不意に気づいた。

風。


一方「ふ、」


一方通行は笑い、そして気づく


一方「ふひゃ、」


この手が、大気に流れる風の『向き』を掴みとれば。

一方「ふひゃひ」

一方「ふはひへほははひふへひひほははひふほほふへへへほひふはふへへほはふへひはほへひひふふふひひはひふほふふへふはひふほへふへふひふひほひははは――――ッ!!」


世界中にくまなく流れる、巨大な風の動きその全てを手中に収める事が可能――ッ!!


救急隊員「おい! 鎮静剤10mg!」

ピーポーピーポー

救急隊員「一方通行さ〜ん? これ何本に見えるかな〜?」

一方「…にふォン」

救急隊員「もう少しで病院着くからね〜」

一方「ふァい」


ピーポーピーポー……


―――
――
36 :第三巻 [sage saga]:2012/10/25(木) 21:15:27.06 ID:KA8xofyDO

〜操車場〜


御坂「まだ『樹形図の設計者』が残ってる…アレがある限り、この悪魔の実験は終わらないわ!」


上条「……任せろ」


上条当麻は腰を落とし、両手を重ねて前に突き出すと、そのまま両手を流れるように腰の辺りに持っていき動きを固定させた


禁書「やめてとうま! その力を使ったら!!」

姫神「当麻君の。命が!」


上条「大丈夫だ…幻想力は…まだ残ってる!!」


轟!!!


小萌「駄目ですよ上条ちゃーん! 今の上条ちゃんの幻想力は70%なのに対し! その技は99%消費。つまりは死んでしまうのですよー!」

上条「くっ! ごがぁ!」


スフィンクス「駄目だ…見てられねぇ!」

いぬ「上条さん! もういい!やめてくれぇぇ!!」


上条「圧縮…圧縮…幻想を圧縮!!!」


妹達×9969「当麻さんから吹き出す幻想力が両手の中で凝縮し球体状の塊に、とミサカは驚きを隠せません!」


轟…轟…轟…轟…

上条「……これで幕切れだ…"絶対能力進化実験"」

轟…轟…轟…轟…

上条「俺の最強(幻想)は…ちっとばっかし響くぞ!!!」


―    ―


―――
――
37 :第三巻 [sage saga]:2012/10/25(木) 21:16:31.92 ID:KA8xofyDO

〜とある病院〜


上条が目を覚ますと、そこは病室だった


御坂「あ、起きた?」

上条「…御坂か…」

御坂「はい、お見舞いのクッキー。いっ一応手作りなんだから後で感想聞かせなさいよね」///


上条「おう、ありがとな御坂」ニコ

禁書「ありがとね、たんぱつ」モグモグ


御坂「…じ…じゃあ用はすんだし帰るわ…アンタのために作ったんだから、一枚一枚味わって食べなさいよね!」///

ガラ ガラ ピシャン

姫神「私にも。三枚」

禁書「ふぁい、あいさ」モグモグ

姫神「ありがとう」モグモグ


上条「さぁ、回復したし退院するか」スク

一方「あ、にもふもひまふよォ」

上条「ん? サンキュな、一方通行」ニコ

一方「へへ」テレテレ


スフィンクス「それで結局、上条さんは誰のために戦ったんっすか?」


上条「うん?」





ダミー「当然……自分のため…だな」



〜第三巻〜


〜完〜
38 :>>1です :2012/10/25(木) 21:18:03.12 ID:KA8xofyDO
第三巻投下終了です

続けて第四巻投下します
39 :第四巻 [sage saga]:2012/10/25(木) 21:18:38.01 ID:KA8xofyDO

〜とある海〜


刀夜「ほう。何だ当麻。母さんの水着が気になるのか?」ニヤニヤ

上条「……」

アックア「あらあら当麻さん、どうしたのかしら?」

上条「いえ、何でも」ニコ


砂皿「とうま、とうま。遅れてごめんね、待っててくれたんだ」

上条「ああ、勿論」


馬場「じゃーん。どう、おにーちゃん。私、成長したでしょ?」

上条「ハハッそうだな…色んな所が色んな意味で成長してるよ」ニコ



―――
――
40 :第四巻 [sage saga]:2012/10/25(木) 21:19:37.41 ID:KA8xofyDO

〜海の家わだつみ・一階〜


火野神作は『わだつみ』の床下に隠れていた


火野「エンゼルさま。お聞かせ下さい。エンゼルさま」

右手には奇妙な形をしたナイフ。左手にはノートぐらいの大きさの傷だらけの木の板


火野「エンゼルさま。どうすれば警察の目を逃れて無事に仲間の元へ辿り着けますか?」


ガリガリと。声に反応するように、自分の意思とは無関係に動く右手の先を火野神作は追いかける。

傷だらけに見えるものは、全て刻まれた文字だった。エンゼルさまからのメッセージである。


火野「エンゼルさま。それでは今回もイケニエを捧げれば助けてくれるんですね?」


刻まれる文字に火野神作はいつでも従って生きてきた。

エンゼルさまはいつでも正しい。

エンゼルさまの言う事を聞いていれば何も間違えない。


火野「エンゼルさま、エンゼルさま。それでは、イケニエはあの少年でどうでしょう?」


ガリガリと刻まれた文字は…


『(#・ω・)Φ[上条君傷つける、駄目絶対]』

『(#・ω・)Φ[面倒だからさっさと出頭しろやハゲ]』


火野「……エンゼルさま。それでは今日もエンゼルさまを信じます」



―――
――
41 :第四巻 [sage saga]:2012/10/25(木) 21:20:51.20 ID:KA8xofyDO

〜とある砂浜〜


神裂「私は何も無駄死にするつもりはありません。私にできるのは互角で平等な足止めのみとなります」

上条「なら俺も!!」

神裂「いえ…当麻さん。あなたには私が足止めしている間に、刀夜氏を連れて『御使堕し』の解除をお願いします」

ミーシャ「は? させんし…当麻君とイチャイチャするまで帰らんし」※天使語(略)


神裂「『一掃』を行うまでの執行猶予は30分…あの子を救った時と同様に、今度は私を救って下さい」///


ミーシャ「はぁ? 何言ってんのこの爆乳…すぐにでもいけるよ『一掃』。当麻君がいるから行なわんけど、当麻君がいるから行わんけど!」天使語(略)


上条「解ったよ…頼んだぜ、火織! お前は絶対に死なせねえからな!」


当麻は刀夜の腕を掴んで、半ば引きずるように海の家へと走って行く。


ミーシャ「あっ! 待って当麻きゅん///」天使語(略)

神裂「おっと。あなたの相手は私です……当麻の元へは行かせません!」チャキ


ミーシャ「あっ…コイツしれっと当麻って呼び捨てにした。調子のんなや爆乳! 足止めできると思ってるとかマジ愚劣〜!」天使語(略)


ズバン!! と天使の背中が爆発し、水晶を削って作ったような粗削りな翼が飛び出した。


―――
――
42 :第四巻 [sage saga]:2012/10/25(木) 21:22:47.72 ID:KA8xofyDO

〜わだつみ2階〜


土御門「簡単に言えば、後30分もしない内に、大勢の人が死ぬ。上条刀夜、全てお前のせいでな…」

刀夜「なっ!!!」

土御門「さあ、どうする? 止めるか、否か」

上条「…止めるに決まってんだろ」

上条「認めない。誰かが犠牲にならなきゃいけないなんて残酷な法則があるなら、まずはそんなふざけた幻想をぶち殺す!!」



土御門「そっか…それではこうしよう、カミやん」


土御門「10秒。耐える事ができたら、誉めてやる!」

―2秒後―


土御門「ゴフォ…おぇぇ…」

上条「…ったく」


―――
――
43 :第四巻 [sage saga]:2012/10/25(木) 21:23:59.88 ID:KA8xofyDO

〜わだつみ2階〜


土御門「? カミ…やん…何をする気だ…」

上条「お前言ってただろ?『御使堕し』を止める方法は二つある。術者を殺す事と、その魔法陣を完全に破壊する事」

土御門「……あぁ」

上条「だから…今から魔法陣を破壊する」

土御門「!!! どうやってだ! 今からじゃフェラーリ乗り回したってカミやん家まで辿り着くのは不可能だぜぃ」


上条はわずかに微笑み、こうやってだ、と。歌うように右手を天高く振り上げた


上条「……『幻掃』」



上条が右手を振り下ろしたその時…


遠く離れた上条家に…一つの小型隕石が直撃した


ただそれだけの話…



第四巻

〜完〜
44 :>>1です [saga]:2012/10/25(木) 21:27:21.36 ID:KA8xofyDO
これで今日は投下終了です

四巻のオチが全く考えつきませんでした…大変申し訳ございません


ここまで見て頂き、本当にありがとうございました


次の投下は出来次第です
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/10/25(木) 21:29:13.88 ID:GUV5+qK80
乙!上条さんパネェ!
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/10/25(木) 21:30:51.75 ID:6mnoXPfD0

発電所で我慢できなくなったww
上条さんマジパネェっす!!
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/25(木) 21:36:53.64 ID:TLHP/aT30
パネェ!!
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/25(木) 22:41:36.88 ID:c2SAWWtWo
ビンタだけで一方さんも完落ちか…パネェ!
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/10/26(金) 02:58:29.16 ID:FfZEQSS1o
発電所のくだりで某うおォんを思い出してしまったwww
パネェ……
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/10/26(金) 11:07:25.59 ID:WsxjwFgAO
乙です。
なんでスフィンクス普通に喋ってんだよ。
しかもしれっとダミーの方がついてきてるし。
この上条さんの幻想はなんなんだ?
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/26(金) 14:06:49.46 ID:8PU6gGSIO
黒子だけはこの世界の速度に着いてこれていないようだな
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/26(金) 20:27:27.70 ID:06p0SJ/co
         ____         
       /   u \  
      /  \    /\    僕は ついてゆけるだろうか
    /  し (>)  (<)\  
    | ∪    (__人__)  J |
     \  u   `⌒´   /  
    ノ           \ 
  /´               ヽ
     l              


         ____      
       /      \    
      /  rデミ    \  君のいない世界のスピードに
    /     `ー′ でン \ 
    |     、   .ゝ    |
     \     ヾニァ'   /  
    ノ           \ 
  /´               ヽ BLEACH49 The Lost Agent
 (´(     ,r―――‐-y .,--,   r----y r----, ,-----、 ,r-ァ ,r-y     ) ヽ
  ヽ、`ヽ __ 一7 /'7  } / /  / / ̄  .//l  l´ / / 7 // /_/ / _  ,r´,r´
   ,/ / l (  /   ̄ <´/ /  / └‐ァ //_l  l / / '--' / _. / )ヽ ヽ ヽ、
  / (  ) ヽ, / /'7 / / /  ./ / ̄ //~~l .l / /./ ̄// / / ./ ノ (  )  ).
./l ヽ-、`''´ /___ー'_,ノ /__'--ァ/___'--ァ/_/  l_-'_'-'__ノ/__ノ/___'--y__ `~ ,--' lヽ
.l ヽ_ノ   .7∠ニニニニニニ フ--y〃/ / _ _┬∠ニニニニニニニフ/  ヽ,_ノ/
 ヽ,__,,,,,,7∠ニニニニニニフ  /   /    / ̄∠ニニニニニニフ /,,___,ノ
53 :>>1です [sage]:2012/10/28(日) 21:14:52.94 ID:KXvGs7LDO
今から第5話を投下します


誤字、脱字は気にせずにお楽しみ下さい
54 :第5話 [sage saga]:2012/10/28(日) 21:15:26.47 ID:KXvGs7LDO

〜常盤台寮・入口前〜


御坂(ちょっと待ってちょっと待ってアレが恋人役なの? 何にも知らない海原にはホントに私の恋人に見えちゃうんだけど!)


美琴は頭を抱え、もう一度辺りを見回したが。


御坂(駄目だわ…アイツら以外に誰もいない。恋人役はアイツらの中から選ぼう! うん!)


御坂(まず一人目、何か緑の髪にスーツの男――はダメだぁ! 何かダミーっぽい)

御坂(次に二人目。はいダメ次! って言うか何でニ足歩行で八頭身なのよあの三毛猫!)

御坂(んで三人目。……ってアイツはまさか。や、やだ! こんな所で会えるなんて! これは、もう運命よね、抱き着いてもいいわよねぇぇぇぇぇ!!)///


海原「あっ、ちょっと御坂さんどちらへ!?」


美琴は標的に向かい走り出す。

もう、アイツとの距離はおよそ2メートル。


ドゴォ!

御坂「ごめーん、待った〜♪」


―――
――
55 :第5話 [sage saga]:2012/10/28(日) 21:16:40.28 ID:KXvGs7LDO

〜常盤台寮・入口前〜


御坂「(あっ海原忘れてた。お願い、少しだけ話合わせて)」ヒソヒソ


すると、御坂の背後で固まっていた海原が引き攣った笑顔で声をかけてきた


海原「あ…あの……御坂さん。そちらの方はお知り合いですか?」

御坂「ええ、そうよ。私…彼が大好きで、もう子供の頃からの付き合いよ」


海原「はぁ…そうなんですか?」

ゲコ太「……」ウン


御坂「さて…と。ごめん海原さん。私達、これからデートだから……行きましょゲコ太」

ゲコ太「……」ウン


ゲコ太は美琴をお姫様抱っこして歩きだすと、海原の横で立ち止まった。


ゲコ太「……」ジー

海原「何でしょうか?」ニッコリ

ゲコ太「お前、笑顔に余裕が無いな……。疲れてるみたいだし今日はゆっくり休んで、気持ちを切りカエルことをオススメするぜ」ボソ

海原「…は?」イラッ


ゲコ太「……今日の所は諦めて、大人しく家にカエルんだな」ボソ


ゲコ太はそれだけを言い残し、美琴を連れ、海原の前から去って行った。


海原「……あの蛙!!!」



―――
――
56 :第5話 [sage saga]:2012/10/28(日) 21:19:04.25 ID:KXvGs7LDO

〜とある広場〜


店員「お二つで4000円になります」

御坂「あ…はい」ゴソゴソ


御坂が財布からお金を取り出そうとすると…


ゲコ太「……」スッ

御坂「えっ、ちょっと」

店員「はい、4000円丁度お預かりします。こちら、ホットドッグお二つです」

ゲコ太「……」コクリ


ゲコ太はホットドッグを二つ受け取ると、やや不満げ顔をした美琴と共にすぐ近くのベンチへ移動する


御坂「もう! ゲコ太ったら、私が払うって言っ」

ゲコ太「……」サシダス

御坂「……」

御坂「ゲコ太ったら、誰にでも両生類なんだから」///


―――
――
57 :第5話 [sage saga]:2012/10/28(日) 21:20:07.77 ID:KXvGs7LDO

〜とある路上〜


海原「どうも、ゲコ太さん。お一人ですか?」


ゲコ太「ああ、御坂ならハンバーガー屋の人山の中で格闘中だ。…まあ、会わせる気は無いけどな」

海原「何故…でしょうか?」

ゲコ太「とっくにお見通しなんだよ…偽物」

海原「おやおや……これは酷い。フフ…僕が偽物。何か証拠でもあるんですかゲコ太さん?」


ゲコ太は左拳を広げ、手の平を海原に見せる


ゲコ太「…ここに5円玉がある、お前の能力で浮かせてくれないか?」

海原「……」

ゲコ太「どうした? LEVEL4の念動力なら、朝飯前だろ?」

海原「今日は朝から体調が悪くて、暴走する恐れがありますので能力は使えないんですよ」ニッコリ

ゲコ太「そっか。話は変わるけど海原、この5円玉…をさ」

海原「? はい」

ゲコ太「……」ピン

ゲコ太は左手に持つ5円玉を親指で上空に弾いた

人間の性なのか。海原はつい、5円玉の軌道を目で追ってしまう


それが…罠だと知らずに


バキィン!

偽海原「な…に!!」


ゲコ太「なんだ……」


化けの皮が剥げた偽海原の背後には…先程まで正面にいたはずのカエルが立っていた!

ゲコ太「素顔の方が二枚目じゃねえか」
58 :第5話 [sage saga]:2012/10/28(日) 21:21:10.68 ID:KXvGs7LDO

〜とある工事現場〜


エツァリ「ノーバウドンっ!」

ゲコ太「勝負…合ったな」

エツァリ「…恐ろしい、本当に恐ろしいカエルですね…あなたは…」

ゲコ太「……」

エツァリ「……ハァ」


エツァリ「……、完敗です。二度と御坂さんの前に姿を現しません」

エツァリの言葉を聞くと、ゲコ太は間を空けずに口を開いた


ゲコ太「? これからも会いに行けばいいじゃねえか」


エツァリ「え?」

ゲコ太「だって、審判を下すのは御坂自身だしな。あいつ的には私の知らない所で勝手に殴りあって、勝手に決着つけてんじゃないわよ、って感じじゃねーかな」

御坂「ゲコ太…凄い」///

ゲコ太「お前さ…次に御坂に会う時は、ちゃんと素顔で行けよ」


ゲコ太「偽りの仮面を被ってる様な奴には、いつまで経っても金星(ヴィーナス)の光は届かねえからな」


エツァリ「はい…ありがとうございま…すゲコ太さん」

ゲコ太「おいおい、泣くには早くないか?」

エツァリ「グス…これは涙じゃありません……目から…エツァリが…とまらない」


ゲコ太「はは……頑張れよ、アステカ仮面」


ゲコ太が工事現場を去った数秒後

常盤台の匿名希望さんの通報により、風紀委員白井が駆け付け

エツァリは逮捕された
59 :第5話 [sage saga]:2012/10/28(日) 21:22:10.67 ID:KXvGs7LDO

※その頃の一方通行

一方通行は空腹で目が覚めた

時計を見れば午後2時を過ぎ。すでに昼食の時間を過ぎている


一方「……ねむ…ん?」


ふと床を見ると、打ち止めがテーブルクロスで身を包み涙目で座っていた


一方「……」ニヤリ


―――
――



一方「ハァァ…いいねェ…最高だねェ」カチャ カチャ

ラストオーダー「うわぁ…こんな大きいのがミサカのお口に入るのねってミサカはミサカは興奮してみる」///

一方「クカカ…下品に涎たらしやがって、いいぜェ…望み通りぶち込ンでやるよォ」

ラストオーダー「もう我慢できないのぉ早く早く、ってミサカはミサカはお口を開けてあーんしてみたりぃ」///

一方「ギャハ! 学園都市最強をじっくりと味わえやァ!!!」


一方通行は右手の苦手に細長い『アレ』を持ち、打ち止めの口の中へ荒々しく突っ込んだ!


ラストオーダー「んぐっ! むっ…んぐ…ぷはぁ、てミサカはミサカはとろけてみたりぃ」///


一方「どうだ、うめェだろォ!」

ラストオーダー「うん、流石は学園都市生産A5ランクの和牛だね、ってミサカはミサカは餌を待つ雛のようにもう一切れ要求してみる!」


一方「あァ…切り分けっからちょっと待ってろォ」カチャ カチャ


―――
――
60 :第5話 [sage saga]:2012/10/28(日) 21:23:13.42 ID:KXvGs7LDO

〜とあるマンション〜

闇咲「風魔の弦」カシン

闇咲は弓を撃つと空気の塊が出現した。彼は空気の塊に飛び乗ると塊が弾け、闇咲の体が勢いよく飛び上がった

彼の目的の階――学生寮7階、上条当麻の部屋まで飛び上がるとベランダの手摺りを掴んで体の動きを止め、手摺りの上へと着地。そして同時に弓を引いた


闇咲「衝打の弦」カシン!


見えない衝撃波が窓を粉砕しガラス片が部屋の中に散らばった。部屋の中には少年少女が座っていた


闇咲「……見つけたぞ、禁書目録」

禁書「……ケーキが…ガラスまみれ…ふえ」ジワッ

アウレオルス「……」

ステイル「……」

神裂「……」

闇咲「動くな。邪魔をすれば…容赦しない」

轟!!!

闇咲から見えざる殺意が吹き荒れる!

それもそのはず彼は既に一戦交えた後で、殺気だっていた。相手は学園都市の周囲を守る警備隊である。

闇咲は彼らを殺してはいないが、しかし倒した敵の中には後遺症に悩まされる者も出るかもしれない。


けれど立ち止まる事は出来ない。ここまで来て諦めるのでは、犠牲になった人達が可哀相だ。

闇咲「(……やるからには、徹底しなければな)」チャキ


闇咲は涙目の禁書目録へ向かい、右腕に装着している梓弓を構える


全ては、呪いで苦しむ『とある女性』を救うために!!!


第5巻

〜完〜
61 :第5話 [sage saga]:2012/10/28(日) 21:24:03.41 ID:KXvGs7LDO

〜とあるビルの屋上〜


屋上へ入った瞬間、上条は『何か』に気づいた

全裸の状態のまま、全身をロープで縛られた男が顔をくしゃくしゃにして涙でいっぱいになっていた


闇咲「うぉぉぉん! おぉぉぉぉぉぉぉん!!」


闇咲「きっかんもぉぉぉぉん! あいっちゃきかんもぉぉぉぉん! あんなんかてぇんもぉん!!」

上条「……」

その大男は、興奮していて全身の血管が皮膚上に浮かび上がっていた。

雨に打たれたようにびっしょりと汗に濡れていて、閉じた両目からは大粒の涙が頬を伝い、両鼻からは大量の鼻水が滝のように流れていた

上条は名も知らぬ魔術師に近づき、右手でロープに触れると頑丈に縛られていたはず拘束はアッサリと解けた

闇咲「ふぉん?」///

上条「大丈夫か? アイツラから話は聞いたよ。ついさっき呪いを解除してきてやったから、早く会いに行ってやれ」ニコ

闇咲「!!! それは…本当の弦か…」

上条「ああ…お前に会いたがってたぞ」


闇咲「感謝の弦、少年よ。この借りは…いずれ」


闇咲は立ち上がり、駆け出した。今の彼は誰にも止められない!


上条「彼女さんと幸せにな、闇咲」


この後、闇咲逢魔は途中で鉢合わせた風紀委員白井の手により逮捕された


第5巻

〜完〜
62 :第5話 [sage saga]:2012/10/28(日) 21:25:43.54 ID:KXvGs7LDO

※その頃の一方通行


天井「」ピク ピク

一方「おい芳川ァ! クソガキが苦しんでンぞ!」

芳川『ハァ…もうすぐワクチン持って到着するから、大人しく待ってなさいな』

ラストオーダー「ハァ…ハァ…」


『BC稼動率』――脳細胞の稼動率が見える

42%…43%…その数値は徐々に伸びていく


一方「やべェ…やべェよォ」

芳川『一方通行、話し聞いてる?』

一方「ハッ…待てよ…このデータスティック…電子ブック…閃いたァ!」

一方「俺なら出来る…出来るに決まってんだろォが。クカカ…俺を誰だと思ってやがる」ブツブツ


彼は一人、力なく笑うと、データスティックを電子ブックへ差し込んだ!


〜♪

一方「ったく、なンだってんだァ 後悔なンてガラかよくだらねェ」

一方「ったく、うっとうしいぜェ とっくに諦めてンだァ 光の在処に目を逸らす〜」

一方「ぜンぜン気持ちイイぜェェェェェェ」

一方「悲鳴はノイズへ変化していくゥゥ」

でっでっでん

一方「GA!GA!GA!GA!Noisy♪」

ラストオーダー「み、サ――…カミサ。カはミサ。カはミサミサカはミサカはミサカミサカミサカミサミサミサミサミサミサ」

一方「オォイ悪化してンじゃねェかよォォ! 助けてくれェェヒーロォォォォ!!」


芳川『ハァ……頭痛い』


〜完〜
63 :>>1です :2012/10/28(日) 21:29:24.57 ID:KXvGs7LDO
これで第5話投下終了です

ここまで見て頂き、本当にありがとうございました



次こそは2話分投下出来るよう頑張ります
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/28(日) 21:34:28.55 ID:2feaJiNqo
パネェ!
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/28(日) 21:35:48.70 ID:MWNyDYji0
おつ
なんで上条さんゲコ太の格好なんだよパねえwwつーかスフィンクスきめえwwww
上条さんだけじゃなく周りも壊れ始めたな
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/28(日) 22:35:29.18 ID:N1ypA5IDO
このスレのスフィンクスのイメージが完全にAAの八頭身になりました

乙。
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/10/28(日) 23:04:40.44 ID:15LPpL3AO
猫だって、スフィンクスだけは猫だって信じてたのに。
黒子が何気に活躍してるけど、闇咲さんあの状況でケーキ潰してインさん泣かして、命があっただけ良かったな。
>>1乙です。
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/28(日) 23:41:29.30 ID:xTbKBiYDO
御坂のセリフが秀逸すぎて腹筋がヤバい
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/10/30(火) 23:24:17.85 ID:cMOeSS1AO
なんてスレを開いちまったんだwwww
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/05(月) 10:18:51.15 ID:1PRj7mRDO
>>56
> 御坂「ゲコ太ったら、誰にでも両生類なんだから」///


(゚д゚)
71 :>>1です :2012/11/05(月) 14:35:38.67 ID:LrY6hJdDO
お久しぶりです。

先程まで肺炎で入院。先程帰宅しました

遅くなってしまい大変申し訳ございませんでした

今から8話までを投下させて頂きます
72 :第6話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:36:14.09 ID:LrY6hJdDO

〜窓のないビル〜


赤い液体に満たされた円筒の中には緑色の手術衣を着た人間が逆さで浮いていた

彼の名は学園都市統括理事長、『人間』アレイスター。

(……、さて。そろそろか)

アレイスターがそう思った瞬間、タイミングを合わせたように二つの人影が現れた。一人は小柄な空間移動能力者の少女、もう一人は学園都市の手駒である土御門元春


土御門「警備が甘すぎるぞ。遊んでいるのか」

土御門の口調は突き放すような響きがあった。

しかし自分の不満を隠そうとしない土御門に、アレイスターは淡く淡く笑って


アレイスター「がばばぶぼじんぶうばのじょざびばごぶばでぼぶいべびぶべぶ」

土御門「は? 何を言っているアレイスター」

アレイスター「ぼうびびぼぶぼぅ。がばばぶぼじんぶうばのじょざびばごぶばでぼぶいべびぶべぶ」

土御門「はぁ?」

アレイスター「」イラッ

土御門「…まぁいい。とにかく俺はシェリーを討つぞ。さっさと結標を呼べ」

アレイスター「ばればよぶばばーば」※(誰が呼ぶかばーか)

土御門「あぁん! さっさと呼びださねーと、そこらのコード全部引っこ抜くぞ」イラッ

アレイスター「ばべば? ばぁびびばばいべぼぼ」※(やれば? まぁ意味はないけどのぉ)

土御門(殺す)


―――
――
73 :第6話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:37:19.28 ID:LrY6hJdDO

〜とある食堂〜


上条「で、インデックス。そっちの子は誰?」

禁書「友達。ひょうかって言うんだよ」

風斬「は、はい…風斬氷華って、言います……、あなたは?」


上条「ああ、俺は上条当麻だ」

スフィンクス「へへ、スフィンクスだ。気軽にフィンって呼んでくれ」

何気なく言ったつもりだったが、何故か風斬の肩がビクリと震えた。


禁書「そんなに怖がらなくても大丈夫だよひょうか。……そうだ! スフィンクス貸してあげる。猫に触ると体のガチガチが取れるかも」


風斬「え…猫?」チラ

フィン「へへ…姉さんの頼みだ」ギシ


三毛猫は一切ためらいも見せずに丸テーブルの真ん中で仰向けになってお腹を見せると、むしろ紳士的な顔つきで


フィン「…」バッ


『さあお嬢さん、私の胸で存分にお泣きなさい』とばかりに前脚を大きく広げてバンザイを始めた


風斬「……」


数秒後、風斬は食堂から姿を消していた
74 :第6話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:38:19.89 ID:LrY6hJdDO

〜とある路上〜

ベキベキゴキゴキ!と

何か不気味な音が大きく響き渡る

それは、白井の足首の骨が噛み砕かれた音…ではない!

それは、何者かが『腕』を切断した音だった!


エツァリ「…フフフ」キラッ

白井(な……、え……?)

急に枷が外れて、彼女の体は思わず後ろへ転がった


手首を切断された腕は、もはや地面に生えたゴミ山の塔と化していた。そしてその『塔』は自ら倒壊するように

白井「!! しまっ」

白井黒子に向かって思い切り殴りかかろうとする。


その時…白井の真横でキン、という小さな金属音。


「ふむ、昼間から拘束の弦……畳み掛けて掌打の弦とは…、うらや…許せん」


闇咲「掌打の弦!」カシン

轟!!!

その異名、『悪魔に出逢い拘束された闇の徒花』の所以となった原因の一撃が、解き放たれた!!

音速の三倍の速さには程遠いが、まぁ結構凄い風が『塔』の中心に突き刺さり、あまりの衝撃に『塔』は折れ、繋がっていた頭部を巻き込み、粉々に吹き飛んでしまった。


エツァリ「フフフ、お見事です。『タートル・シェル・バインダー闇咲』…その異名は、伊達じゃありませんね」パチパチ

闇咲「ふむ、当然の弦だ『アステカ仮面』」

黒子「…」

闇咲「少女よ、危機は去った。もう…安心の弦」ニコ


この後、風紀委員白井の手により二人の犯罪者は再び逮捕された
75 :第6話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:39:19.05 ID:LrY6hJdDO

〜学食レストラン〜


禁書「とうま。これ何でも選んじゃってもいいのかな?」

上条「ああ、何ならおかわりしていいぞ」ニコ

禁書「ほんと! じゃあ、店員さん常盤台中学給食セット三つかも」

セットミッツ! ハッハイカシコマリマシター

風斬「え…それって」チラ


風斬はインデックスの注文したセットが気になり、恐る恐るメニューを開くと

常盤台中学給食セット…¥40000円


風斬「え! ちょ…あ…あの…これ、見て下さい」

上条「ん? 風斬もそれ食べたいのか?」ニコ

風斬「や、じゃなくて……値段…その…お金、大丈夫なんですか」ヒソヒソ

上条「夏休み中バイトしてたし、金の方は気にすんな」

風斬「でも…」

上条「じゃあ、お前もインデックスと一緒のやつな…すみませ〜ん」


上条は店員を呼び、風斬の分を注文した

ふと…風斬は疑問に気づき、口を開こうとした瞬間


上条「さて…と」ガタ

風斬「え…あ、あの…まだ…注文してない…ですよね? なのに…何処へ?」

上条「決まってんだろ」ニコ


上条「ちょっと幻想を…体で稼いでくる」


風斬にその一言を告げると、上条当麻は厨房の中へ入って行った

因みに、このレストランの料理長は高校生とのこと
76 :第6話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:40:16.27 ID:LrY6hJdDO

〜とある廃墟〜


空気どころか空間すら押し潰そうとする一撃を前に、少女は小さく息を呑み一言告げた

禁書「左方へ歪曲せよ」

スフィンクス「ハッ!」シュッ


瞬間、ゴーレムが真っ直ぐ放ったはずの拳が、突然蛇のように左に逸れた。


続けて石像がさらなる拳を放とうとした所で…


禁書「左脚を後ろへ」

スフィンクス「へへ」スッ

バランスを無視して石像の足がいきなり後ろへ動いた

禁書「右方へ変更。両脚を交差、首と腰を逆方向に回転!」

スフィンクス「…ぐ!ぼぇ!」グキ

次々と繰り出される石像の攻撃に対し、インデックスは矢継ぎ早に叫ぶ。

まるで目隠しされた酔っ払いが闇雲に手を振り回すように、ゴーレムの拳は全く関係ない所へと飛んでいく。

禁書(さばくだけじゃ……足りない!)ブチブチ

スフィンクス「フヒュ〜姉さんチラセクシ〜」フス-フス--


風斬「…」イライラ


―――
――
77 :第6話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:41:25.81 ID:LrY6hJdDO

〜とある地下鉄〜


シェリー「ふ。うふふ。うふふうふ。エリスなら先に追わせているわよ」

上条「悪い、急いでんだ…奥義! 実幻!」バッ

シェリー「」ビクッ


…しかし何も起こらない


シェリー「…どうしたの幻想殺し? 気でも狂ったのかしら?」

上条がニヤリと笑い、人差し指を立てた


上条「壁や天井にある魔法陣よ……そげぶ」ビシ

バッキィン

シェリー「なっ!?」

上条「お前が持つオイルパステル……ゲンコロ」ビシ

バキィン

シェリー「なぁっ!!?」

上条「そして最後は、お前に贈る別の幻想だ」

上条「今からエリス本人に逢わせてやる…お前を止めれるのは親友の言葉のみ!」バッ


上条が右手を前に突き出し、掌をシェリーに見せつけると

シェリー「!? 体…が動かない!」グググ

上条「…夢幻想」グッ

上条が突き出した右の掌を握るとシェリーは眠りについた。

地面に倒れ込むシェリーは上条が優しく支え、そのまま抱きかかえて安全な場所に運び、寝かせた。

シェリー「え…りす」スースー

上条「久しぶりに良い夢みろよ」ニコ


―――
――
78 :第6話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:42:32.16 ID:LrY6hJdDO

〜とある廃墟〜

ゴーレムの腕が狙いを定めるように中空の一点でピタリと制止する。

一秒後に確実に襲いかかる破滅を前に、風斬は思わず目を閉じようとして…


上条「か、ざ――――風斬ィィいいいいいいいいいいい!!」


聞き慣れた少年の声が耳に届いた


姫神「あれは!? 当麻君。ついに。あれを使うのね」

カエル顔「だね? 幻想殺しが幻想を破壊する『拳』なら、あれは幻想を断ち切る『剣』」

小萌「幻想剣……イマジンブレード」ゴクリ

上条「はぁぁぁぁ!」


上条が恐ろしい跳躍力を見せた、その高さ30メートル!

上空に飛んだ上条は幻想剣を両手に持ち、その力を解放する!

神浄「幻想剣…奥義!」

轟!!

幻想剣から黒い波動が吹き出し、エリスの巨大な体を完全に覆い隠し拘束した


エリス「ゴォォオオオオオ!!!」

神浄「End Of Imagine!」

― ※ ―

神浄から放たれた幻想剣による一撃は、エリスの体をこの世から消した。


御坂「凄い技ね、『End Of Imagine』私の超神雷砲と互角…ってところかしら。ふふ、威力は互いにBig Bangだけど……生き残るのは私よ!」

白井(……、お姉様が壊れ始めましたの)


―――
――
79 :第6話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:44:13.25 ID:LrY6hJdDO

〜とある廃墟〜


風斬(これでもう……優しい幻想はおしまい、だよね……)


今、後ろにいるインデックスがどんな顔を浮かべているのか、風斬には確かめる度胸がなかった

すると突然、背後から優しく肩に手を置かれる


禁書「ひょうか」

風斬「!!」

禁書「助けてくれてありがと。私達…これからもずっと…ずっと友達だよね」ニコ

風斬「!!…う…あ…」

ギュ!

堪らなくなった風斬は、涙を流しながら抱きしめていた。とても柔らかく、優しくて、暖かい…


スフィンクス「へへ」///

風斬「……………………………………………………」





――――
―  ――
-/⌒  ̄ ̄ ̄
| (´Д)、____/⌒)
-ヒミ)   )  _三≡;;
―- \/ // ̄  ∵∴ )
―― / / ヽ _  /⌒ ヽ
_ 巛_ノヽノ(ミ\/ / ノ ハ
―― _ _   \_/  /ノ
 ̄ //| |ロロ  / ノ )
 <_/ |_|  / //
   __  \ \
   └┐| _/(_ノ
   ┌┘|(_ノ
    ̄ ̄



第6巻

〜完〜
80 :>>1です :2012/11/05(月) 14:46:17.67 ID:LrY6hJdDO
続きまして、第7話投下します
81 :第7話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:46:49.15 ID:LrY6hJdDO

〜パラレルスウィーツパーク内〜

蜃気楼

ステイルの幻像が、ゆらりと虚空に消えた。

二人の姿はどこにもなく。四人の刺客の視線が残る上条へ集中した。


上条「…」

上条は敵に背を向けると全速力で走り出した。突然の行動で、天草式の判断は揺らいだようだ。

上条が走りながら背後を見ると、刺客の内の三人があちこちへ散開するのが分かった。

そして残る一人、ドレスソードの少女が一人だけ上条を追撃してきた。

上条「かかったな」ニヤリ


―――
――



浦上「? あれ見失った?」

カサ

浦上「!! 見つけた」チャキ

少女の背後の屋台に人影がいた。その人影は見失った獲物、上条当麻だった

しかし

上条「罠にかかったな、らっしゃい!!」スッ


少女にクレープを差し出す上条

浦上「ふざけてるんですか! そんな物!」


浦上「おいひい〜」モグモグ

上条「幻想クレープ…匂いを嗅いだら最後、食べてしまう」ナデナデ

浦上「次は、幻想チョコクレープ食べたいです」///

アンジェレネ「私もおひとつ」

上条「あいよ!!」


―――
――
82 :第7話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:47:44.63 ID:LrY6hJdDO

〜パラレルスウィーツパーク内〜


建宮「武術の構えもなければ霊装もなし。衣服に隠された魔術的記号などもなし。本当の意味で丸腰、と。ふん、素人とは剣を合わせるつもりもなかったんだが……お前さん、その剣は浦上から奪ったもんか?」


ざわざわと、建宮の輪郭が歪んで膨らむような、見えない圧力が噴き出した!


上条「お前の部下ならそっちで寝てんぞ」


浦上「むにゃむにゃ〜お腹いっぱい」zzZ

アンジェレネ「げふぅぅ食べすぎました〜」///


建宮「……、死ななきゃ良いって訳じゃねえのよ。ナメてんのかテメェは!」


建宮の口調から、ふざけたような色が消える


上条「テメェがまだそこで誰かのために戦えるような人間なら、剣を引いてくんねえか?」

建宮「そうしたいのは山々なんだがなぁ…すでにお前さんも攻撃対象という訳よ。もっとも、今すぐこの場で膝をついて降参するというのなら余計な血を見る必要もねえんだけどよ」


それを聞いた上条はドレスソードを横へどけた


上条「引く気は……ねえんだな」ゴキン ゴキン

建宮「はっ、やるってんなら仕方がねえのよな。残念だか……今日がお前さんの命日だ!!!」


〜2秒後


建宮「ゴフ…グエェェ…」

上条「ったく」


―――
――
83 :第7話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:48:51.29 ID:LrY6hJdDO

〜オルソラ教会〜

アニェーゼ「おも、しろい、ですよ。あなた」

アニェーゼは、ぶるぶると声と体を震わせて

アニェーゼ「200人以上を相手に、この状況、あなた一人に何ができんのか! 見せてもらうとしましょうか!」

その声を合図に、黒いシスター達は各々の武器を構える。

対して上条はたった一人武器を持たず拳を握り締めるだけ。

そんな両者が激突する寸前で。唐突に、教会の奥、説教壇の背後にある壁が吹き飛んだ


エリス「かみじょ…たすけ…きたよ」

上条「エリスか!」

アニェーゼ「チィッ!一人が一人と一匹に増えたところで、何が……!?」

「そいつだけじゃねえよ」

アニェーゼ「!?」

今度は横合いの壁が爆弾で吹き飛ばされたように砕け散った


イノケン「久しぶりっす」

ミーシャ「久しぶり上条君」天使語(略)

風斬「その…助けに…きました」

上条「魔女狩りの王! ミーシャ! 風斬!」


更に木の床が吹き飛び、複数の影が飛びだした

上条「? 誰だ」

火野「エンジェルさま〜」ガリガリ

エイワス「エイワスです」

上条「力を…貸してくれるのか…ありがてえ!」


アニェーゼ「……、人間…少なくねえですか?」

不条理なお話に決着を着けるために集まった者達の戦いが、今、始まる!!
84 :第7話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:49:55.12 ID:LrY6hJdDO

〜オルソラ教会・中庭〜

中庭には『婚姻聖堂』と、斜めに配置された『洗礼聖堂』がある。その二つの聖堂のわずかな隙間の奥に、白い修道服を着たイギリス清教のシスターがいた。

彼女はローマ正教のシスター達から逃げてきたようだが、別方向からの集団とぶつかったらしい。


建宮「くそ。この俺につまらん場面を見せつけんじゃねえのよ!!」

ステイル「よせ! 今のあの子の元へは不用意に近づくんじゃない!!」


は?と建宮が訝しげな声をげた瞬間!

でんっでんっでれっでん

禁書『てっくてく歩いてこ〜頑張って〜♪ イイコトが待ってる〜そんな気がしてるんだよ〜♪』

ゴッ!!と、インデックスのいた辺りから、爆発が起きた。


建宮「な、何なのよ、こりゃあ」

ステイル「あれは信仰の…ゲフゥ…矛盾点を…ゴハァ…徹底的に糾弾する『魔滅の声』さ…」ハァハァ

アウレオルス「グハァ!当然! 神きょ…ゴバァ!!」


禁書『そこはか〜となく幸せなんだね だって側に君がいる♪』


イノケン「ぐおぉぉ」シュウウ

ミーシャ「またかよちくしょおおぉぉ」天使語(略)

エリス「からだ…きえる」シュウウ

エイワス「わたしを消滅させるとは…ふふ、面白い」シュウウ

建宮(…仲間?の被害の方がデカイのよな)


禁書『大きく背伸び太陽にご挨拶♪ とびっきり甘い予感つかまえたら 笑顔あげるね〜♪』

風斬「うん、上手上手」パチパチ
85 :第7話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:51:04.47 ID:LrY6hJdDO

〜婚姻聖堂内〜

アニェーゼ「ふん、努力しようと頑張ってる最中申し訳ありませんけど、もう終わっちまったみたいですよ」

上条「……」

アニェーゼ「どうも、彼らが囮となって粘っている間に、あなたが司令塔たる私を倒して話を収めるつもりだったようですけど」

アニェーゼ「あなたの描いた幻想(よそう)より、あっさりコトは終わっちまったようですね」

上条「ああ、その通りだ」

上条当麻は白いシャツの第4ボタンまでをはずし、胸ポケットからメガネを取り出すと、スタイリッシュにかけた!

アニェーゼ(ん? 軽快なギター音が…)

上条「お前の幻想は終わっちまったよ、アニェーゼ=サンクティス!」

カッ!

上条の頭上から二枚のカードが出現し、胸の前で止まった

上条「ハイパー魔女狩りの王!」バキィン

ハパケン「ゴォォォォォォォ!!」

一枚のカードを砕くと炎の巨人が出現した。その体は全長30メートル。翼を生やした魔女狩りの王が出現した。

上条「まだだ! グランドエリス」バキィン

グラエリ「がぁぁぁあぁぁぁぁ!!」

更にカードを砕くと、全長40メートル。巨大な腕を6本、巨大な足を6本生やしたゴーレム・エリスが出現した

アニェーゼ「ひぃ…あ…」ガタガタ

上条「…まだやるのか?」

アニェーゼ「むり…むりむり」ブルブル

神裂「当麻…天草素敵」///

―――
――
86 :第7話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:52:02.72 ID:LrY6hJdDO

〜ロンドン〜

ステイル「――以上が本件の概要となります。ローマ正教側は、この件はアニェーゼ=サンクティス以下250名による武装派閥の独走、という形でケリを着けるつもりですね。ローマ正教全体としてはオルソラを暗殺する気はなかったと弁明したいようです」

ローラ「内の部下の手綱を掴みきれねばりけるお咎めナシとはいかないはずなんだけどねりける」


ローラは苦笑しながら指先で髪をいじっていた荘厳と呼ぶべき美しい髪は、雨滴を受けた蜘蛛の糸のような妖艶さを醸し出している

ステイルはチラリと目だけを動かして隣のローラの顔を見ながら

ステイル「……はぁ」

ローラ「んふふりける。気になりたるのかい、ステイル。私がオルソ」

ステイル「別に」

ローラ「……」

ステイル「……」

ローラ「私とし」

ステイル「別に」



ローラ「…」ショボン

土御門「…」ショボン


第7話

〜完〜
87 :>>1です :2012/11/05(月) 14:54:01.36 ID:LrY6hJdDO
続けて、第8話投下します
88 :第8話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:54:30.52 ID:LrY6hJdDO

〜学舎の園〜


白井「はい白井ですのよー。今日はせっかくお姉様とお買い物できて結構イイ所まで進んでいましたのに邪魔を入れるとは何事ですの?」

初春『白井さん。やばい問題に当たっちって。御坂さんとちょっぱやで支部まで来て下さい』ヒソヒソ

白井「……はぁ?」

御坂「はっ、黒子。今日は固法先輩の誕生日を風紀委員支部お祝いする約束…」

白井「げっそういえば…完璧に忘れておりましたの」

初春『早くケーキとプレゼントを! 今は佐天さんが必死に話題をそらしてますが…必死すぎて私、みてられません。もう…限界です!!』プスス-

御坂「状況は、一刻を争うようね」

白井「お姉様。確かこの御祝いパーティー。ケーキ担当はわたくし黒子。プレゼント担当はお姉様ですの」ピッ

御坂「ゴクリ…まだよ…まだ間に合うわ! 全力で行くわよ、黒子!」


白井「はい、お姉様!」



学園都市は今日も平和です


第8巻

〜完〜
89 :第8話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:55:57.83 ID:LrY6hJdDO

〜上条家〜






スフィンクス「はぁ…はひ、ほふほふ唐揚げ…唐揚げふぁぁぁ」




スフィンクス「むしゃああ唐揚げあついあつい唐揚げほぉおん」




第8巻

〜完〜
90 :第8話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:57:04.52 ID:LrY6hJdDO

〜とある路地裏〜


黄泉川「くっ! この辺りのはずだ。もっと奥まで探すじゃん」

結標「はぁ…はぁ」

黄泉川「見つからない?…ちゃんと良く探したじゃんか?」

結標「はぁ…はぁ…はぁ」

黄泉川「そうか。こうなったら虱潰しじゃん…草の根を分けてでも探し出すぞ!」

ザッザッザッ

結標「ふう…あらかた片付いたわね、草毟りとゴミ拾い」

結標「さっきの人達、何だったのかしら? 残骸がどうとか言ってたけど」ガサガサ

結標は燃えるゴミと燃えないゴミの袋を分けて置き、携帯している軍用の懐中電灯を片手に持つ


結標「よし、燃えるゴミはいつもの焼却所へ、燃えないゴミは近くのゴミ捨て場に座標移動っと」ブン

ヒュン

結標「さっ帰ろ…ってあら?」

路地裏の隅にキャリーケース

結標(誰かの忘れ物かしら…。なんにせよ、警察には届けたほうがいいわよね)

結標はキャリーケースを片手に持ち、近くの交番へ向かい歩きだした


ボランティア少女結標淡希

彼女はこの後、白い髪の少年に襲われる事となる


―――
――
91 :第8話 [sage saga]:2012/11/05(月) 14:58:10.80 ID:LrY6hJdDO

〜とある路上〜


結標「ううぅ〜痛い、痛いよ〜」グス グス

上条「大丈夫ですか。すぐに救急車がきますから…ヒデェ…女の子に顔面パンチなんて男のすることじゃねえよ! 一体、誰がこんなこと!」

結標「わかんない。私は、ただボランティアでゴミ拾いしてたらキャリーケース見つけて。それを警察に届けようとしたら、届けようとしたら!!」

結標「白い髪の人が突然襲ってきて、怖かったから空間移動で上空に逃げたら『あはぎゃはっ!無様なローアングルのサービスさらしてくれてアリガトウ!!』って…下着見られて…殴られて…こんな顔。もうお嫁にいけない!!」

上条(くそ…、どこの第1位のナニセラレータだよ…そのクズ野郎は!!)


結標「もうダメ。私、死んでしまいたい」

上条「馬鹿野郎! 死ぬなんて簡単に言ってんじゃねえよ!」

結標「昔のトラウマに、更にトラウマを刻まれたのよ。もう一人じゃ…、座標移動しきれ…ない」ポロポロ

上条「俺がいるから…お前の心に残った残骸(レムナント)。少しずつでいいから座標移動してこうぜ。そうしたらきっと、元のお前に戻れるさ」ギュ

結標「ありがとう…私の座標…あなたに固定しちゃった。もう、移動できないんだからね」///

上条「その幻想を…ぶち殺す」


一方「こっから先は…侵入禁止ってなァ」

御坂妹「全く、やっぱりとうまはとうまなんだから、とミサカは夫の浮気現場を目撃してぷんぷんします」プンプン

禁書「ぷんぷんしますなんだよ」プンプン


第8巻

〜完〜
92 :>>1です :2012/11/05(月) 14:59:56.53 ID:LrY6hJdDO
これで投下終了です


ここまで見て頂き、本当にありがとうございました


次の投下はなるべく早くします
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/05(月) 15:05:55.61 ID:weqhjYi40
おつ
序盤のかわいかった御坂はいったい何処へ…ww
そしてここまでスフィンクスに殺意を憶えるSSもないな
料理上手の上条は超素敵です
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/05(月) 15:09:44.44 ID:8eTPnJWD0
上条さんあわきんもオとしたか
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/11/05(月) 15:52:31.33 ID:rUre/LPAO
腹痛ぇwwww
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/05(月) 16:46:45.90 ID:qK0agWoIO

フィンさんはいったいなんなんだよww
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/05(月) 17:44:42.29 ID:MYD4pSzAO

野郎には容赦しない上条さんマジパネェっす!

しっかし肺炎とはきつそうですな。>>1は無理しねえでくだせえ。
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/11/05(月) 17:46:17.65 ID:xFbfqtRAO
あわきんとばっちりってレベルじゃねぇぞ!
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/05(月) 18:13:25.58 ID:fVmWRfd50


誤解で殴られる善良なあわきんもいいかもしれない
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/05(月) 20:00:05.14 ID:OM7LL/XSO
100げと

だがそんなあわきんも好きだ
101 :>>1です :2012/11/09(金) 21:53:05.07 ID:go53FHCDO
第9話と第10話を投下させて頂きます

誤字、脱字はあまり気にせずお楽しみ下さい
102 :第9巻 [sage saga]:2012/11/09(金) 21:54:17.70 ID:go53FHCDO

〜とある街中〜

詩菜「あら。あれは当麻さんじゃありません?」

刀夜「ん?」

美鈴「あっあれがウチのミコトです。良かった良かった。大学忙しくてろくに集合場所とか話し合ってなかったから」

間に雑踏を挟んでいるため、向こう側にいる子供達は親の姿に気づいていない。

美琴「ねえねえ、結局アンタって赤組と白組どっちなの?」

当麻「白組だけど?」

美琴「……、裏切ったから罰ゲーム」

当麻「へ?」

美琴「罰ゲームったら罰ゲームなの! 大覇星祭が終わったらさ…あ、あの…私と…デート…しな…さい」///

当麻「ハァ……何言ってんだよ、お前。そんなの受ける訳ねえだろ」

美琴「……アハハ…そ…そうよね……うん」グス

当麻「大体、罰ゲームになってねえじゃねえか。そうだな……俺の学校がお前の学校に総合で勝ったら、お前には罰として上条さんと一日デートしてもらいます」

美琴「グス…ふぇ?」

当麻「そして、もし俺が総合で負けたら。その時はお前の言うこと何でも聞いてやるよ……どうだ?」

美琴「え、それって…」

当麻「…」ニコ

美琴「ふに…!? ふ、ふん!! 罰ゲームが嫌なら精々頑張んなさい! まあ、最後に笑うのはこの私だけど」///

美琴(優しさの磁力が強すぎなのよ、この馬鹿。もう私の右手が、アンタの左手から離れられなくなっちゃたじゃない///)ギュ


刀夜「」

詩菜「あらあら」

美鈴「……、これ報告したらパパ泣くわね」
103 :第9巻 [sage saga]:2012/11/09(金) 21:55:17.96 ID:go53FHCDO

〜とある校庭〜

最初の競技は『棒倒し』――敵対する二組のグループが、それぞれ長さ7メートルぐらいの棒を立て、自軍の棒を守りつつ敵軍の棒を倒しに行く、といった内容である。

今回の相手はスポーツ重視のエリート校であり強敵、なのに対し上条達の高校は

上条「…」ゴキン ゴキン

上条が一人、棒を支えていた…仲間はいない

上条「小萌先生を泣かした罰だ…クラス全員の希望により、お前らの幻想はここでぶち殺させてもらうぜ」

今、競技開始の合図が鳴った!

火、水、土、風、雷、氷、人間、その他色々の能力が一斉に上条に向かい襲いかかる!!

しかし

上条「おおおおおおおおおおおお!!! ゲンコロゲンコロよよいのよい! ゲンコロゲンコロそっげぶぶぶ!!!」

右拳一つを振り回し襲いかかる脅威を撃墜する。幻想殺しの打ち消し音が、幻想音頭のリズムで辺りに響き渡る

上条「ゲンゲンゲンコロそっげぶっぶぶ! ゲンゲンゲンコロそっげぶっぶぶ!!」

10分後…相手が攻め疲れて一瞬、間があいた瞬間、上条が右足を高く上げた


上条「ククク……さらばエリートよ、……震幻!」


上条が右足を振り落とし地面に足がついたと同時に

┣"ゴン!!と地面を突き上げる音が響き、校庭に震度8強の大地震が起きた

勿論、相手チームは立っていられず棒とともに地面に倒れ、上条のチームの勝利となった!


上条「残念だったな、エリート。恨むなら…小萌先生を泣かせたお前らの先生を恨むんだな」
104 :第9巻 [sage saga]:2012/11/09(金) 21:56:18.99 ID:go53FHCDO

〜とある大通り〜

白井黒子という学生がいる。

彼女は数日前に起きた、とある事件で受けた傷が完治しておらず、今も体のあちこちに包帯を巻いている状態だった

そんな絶対安静な彼女は現在、車椅子に乗り病院を抜け出していた

白井「あー……初春、ちょっと」

初春「どうしましたか、白井さん」ニコニコ

白井「わたくし、なんで車椅子に乗ってますの?」

初春「えっ! 忘れたんですか白井さん、あの激闘を!」

白井「はい? 激闘?」

初春「そう…あれは正に群奏活劇でした。学園都市SNS ロンドネットのクーポンを利用し、スイーツ店をまわる白井さんと私、風紀委員初春……時々、佐天さん」

初春「しかし、とある情報により動き出した物語! 現れる魔術師と名乗る能力者! 油断した白井さんは倒れ、激怒する御坂さんと私、風紀委員初春!……時々佐天さん」

初春「流星と衛生…この関係性に気づいた風紀委員初春と上条さんと御坂さん。三人の活躍により、物語は解決……。しかしそれは、大事件の序章に過ぎなかったんです」キリッ!

初春「数日後、完成間近の地上エレベーター…ここで私達は…ウンヌンカンヌン」

白井(初春が壊れま…あ〜、元からこんな感じでしたわね)ハァ


初春「燃えさかる地上エレベーター! 迫りくる時間制限!! 学園都市は、かつてない危機を迎え…」

白井「はいはい、もういい、もういいですの」


―――
――
105 :第9巻 [sage saga]:2012/11/09(金) 21:57:22.37 ID:go53FHCDO

〜とある大通り〜

白井「お姉様 嗚呼お姉様 お姉様! やはり圧勝という形で、その躍動する肢体を皆へ見せつけていますのね!」キラキラ

『一緒に走ってもらった協力者さんを労わる所も好印象でしたね。この辺りが名門常盤台中学の嗜みと言った所でしょうか』

なんだと?と白井の頭に疑問符『?』が浮かんだが

白井(んな……ッ!?)


次の瞬間、彼女は見た。

御坂美琴が男子生徒と腕を組んで競技場を歩いているのを。

御坂美琴が男子生徒の体をスポーツタオルで丁寧に拭い、お返しに全身を丁寧に拭われているのを。

御坂美琴が男子生徒と仲良く一つのスポーツドリンクを分け合っているのを!

白井(あんの若造が……ッ! お、おねっ、お姉様の純真な乙女心を逆手に取って公衆の面前でイチャイチャしやがって、この上級者がぁぁぁぁぁ!!!)

超ぶるぶると小刻みに震える超白井は、幸福過ぎる男子生徒の顔を見ます。

超見覚えがありますね

というか、数日前に会った超上条ですね。

上条「大丈夫か白井? ほらスポドリ」

白井「あっどうも」

受け取ったスポーツドリンクを、ちゅーっと一口

白井「……」

上条「落ち着いたか? じゃあ、俺行くわ」テオフル

初春「さらばです」テオフル


白井「ハァ…ハァ……殺す…殺す…殺す!!! 小僧、生きて帰れると思うなですのーー!!」


この瞬間…Levelの壁を越えた白井黒子は…

『Last Judgment』の異名を手に入れた!
106 :第9巻 [sage saga]:2012/11/09(金) 21:58:19.71 ID:go53FHCDO

〜とある自動車工場〜


ステイル「ごっ、がァあああああああああ――ッ!!」

いきなり、ステイルがボディブローでも浴びたように体をくの字に折り曲げた

バギン!! という物音と共に、地面に描かれつつあった地図のラインが全て四方八方へ飛び散った。

まるで砂で描いた絵画をくしゃみで吹き飛ばしたように。べきべきごきごき、と何かを砕くような音が響く!!

土御門「魔力の暴走で空間がたわんだ音――単なるラップ音だ! カミやん、ステイルを殴れ、多分それで止まると思うぜい!」

上条「歯ぁ食いしばれステイル! ハァァァァァァ!!!」

ドン!!と上条の加速をつけた右拳がステイルの腹に突き刺さった!

ボディブローを浴びたステイルの体がくの字に折れ曲がり、べきべきごきごきと骨の折れたような音が響く!!

バキィン

ステイル「げ…ぼぉ…!!」

ステイルは脱力したように地面に倒れ込んだ。


土御門「!? まだだカミやん! まだ全然解けちゃいねえ。俺が抑えているから、へい、腹にもう一発だ!」

ステイル「げ…ほ…やめ」

上条「ちくしょう、ステイル! 堪えてくれぇぇぇ!」

轟!!!

ステイル「ごばぁぁぁぁぁ!」

土御門「チッ! まだか…カミやん、拳を止めるな! くそっ! ブフ…オリ…アナ…トムソンめ!」ニヤニヤ

上条「ちくしょう! ゲンコロ! ゲンコロ! そげぶ! ゲンコロ!!」ドス…ドス…ドス…ドン!


ステイル(…つぅちぃ……御…門ぉぉぉ…!!!)
107 :第9巻 [sage saga]:2012/11/09(金) 21:59:20.02 ID:go53FHCDO

〜とある通り〜

上条「分かっては……いるんだな。分かっていて、それでも反省する気はないんだな、トム?」

オリアナ「(…トムって)今さらどうこう言う気はないけど、あの子を傷つけるつもりがなかったのは本当だよ? お姉さんだって、一般人を傷つけるのはためらうもの。こういうのとは違って」

言って、オリアナは単語帳の一ページを口で破った

カキン、とグラスとグラスの縁をぶつけたような、澄んだ音が響く。

瞬間!

土御門「が……ッ!!」

上条「土御門!!」

上条は慌てて駆け寄る。傷口が開いた様子はないが、土御門の顔は青白くなっている。

上条「何だ? お前、土御門に何をした!?」

オリアナ「再生と回復の」

ステイル「上条さぁぁん!!」

ステイルが待ってましたと言わんばかりに、路地から飛び出してきた!

ステイル「それは僕が喰らった魔術と一緒だ! 僕が土御門を抑えるから、その右拳で! 腹を!!」

上条「なんだって! なんて外道なんだ。『追跡封じ』のトム!!」

オリアナ「……」

土御門「…や…め…」

ステイル「へい! 上条さん! へいへい上条さん!」

上条「いくぞ! 歯ぁ食いしばれ土御門ォォォ!」

上条は助走をつけ、幻想を打ち砕くその右拳を土御門のボディに突き刺す!

土御門「ごぇぇえぇ!」

ステイル「へい、もう一発! 上条さんの拳、フォルティス効いてるよ!」

上条「任せろ! おいそげぶっ! おいそげぶっ!」ドス…ドス…

オリアナ「…トムて」シュン
108 :第9巻 [sage saga]:2012/11/09(金) 22:02:37.41 ID:go53FHCDO

〜とある街中〜

時刻はお昼。種目が終われば選手も観客も競技場から追い出されてしまうため、『お昼ご飯を食べる席』を確保しなければならない。

刀夜「……ふむ。この辺りはお店もベンチもほとんど取られてしまった後みたいだ。こちらで穴場を探すという手もあるが、それならいっそ――っと、おや?」

長考していた刀夜は、ふと人込みの向こうから、見覚えがある人間がこちらへ歩いてくるのを発見した。

開会式の前に出会った、大学生ぐらいの女性と隣にもう一人、中学生ぐらいの少女だ。

美鈴「さっきはどうもありがとうございました。おかげでこの通り、美琴とも合流する事ができまして……」

女子大生に対して、女子中学生は眉を寄せて…

美琴「……ちょっと、この人達ってどちら様? また仕事先の人?」

美鈴「んふーん♪ 美琴ちゃんの気になる男の子の親御さんだよー。ほら美琴ちゃん、アピールアピール!!」

美琴「ええっ!! は、初めまして、あの御坂美琴です。アイツには…その…色々助けてもらったりして…あの」

詩菜「あらあら当麻さんったら」

刀夜「当麻のやつも隅に置けないな、母さん」

美琴「関係はまだ友達ですけど、えっと、最近はアイツから手を握ってくれたり、その優しくハグしてくれたり…」

美鈴(初々しいわね〜頑張って〜美琴ちゃん)

美琴「……、さっき強引に押し倒されました」///

刀夜「」
詩菜「」
美鈴「」


第9巻

〜完〜
109 :>>1です :2012/11/09(金) 22:04:18.95 ID:go53FHCDO
第9巻投下終了です。

続いて第10巻を投下します
110 :第10巻 [sage saga]:2012/11/09(金) 22:05:12.60 ID:go53FHCDO

〜とある路上〜

当麻「お〜い御坂。飲み物買ってきたぞ〜って…あれ?」

美琴「……ん? ああ『一応』同級生。名前は…」

食蜂「か…上条…さん」

美琴「?」

当麻「あれ? どこかで会ったっけか?」

食蜂「え、えっとぉ『一応』…初対面だゾ☆」

当麻「そっか、俺は上条当麻だ。宜しくな」ニコ

食蜂「ーー!!!」///

当麻「? 顔赤いけど大丈夫か?…えっと」

食蜂「あの、食蜂操祈でぇす☆ 好きな物は甘い物と……上条さん…」///

当麻「へ?」

美琴「アンタ! また人をおちょくるような発言して!」

食蜂「ムカッ……御坂さんは黙っててくれないかしらぁ」ピッ

食蜂はバックからリモコンを取り出し、ボタンを押す…。精神系最強の能力者が、美琴に向けて能力を発動させた…が、しかし

美琴「っ痛!!」バチン

美琴の電磁バリアが自動で発動し、食蜂の精神操作を防いだ。


美琴「アン…タねえ!」

食蜂「なぁに〜その目ぇ…喧嘩なら買うわよぉ」

当麻「…いい加減にしろ」

美・食「「!!!」」ビク

当麻「お前達二人は、俺が原因でいがみ合ってんだよな? なら、話は簡単だ…」

上条は二人に背を向け、ゆっくりと歩きだした。そして、振り返らずに二人に告げる

当麻「もう二度と、お前達の前には姿を現さないから安心してくれ……じゃあな」

美・食「「…へ…嘘…」」
111 :第10巻 [sage saga]:2012/11/09(金) 22:06:48.54 ID:go53FHCDO

〜とある公園〜

人気の少ない公園の一角にに、ベンチが置いてある

ベンチの前にはインデックスと同じチア衣装を着た小萌先生が座っていた。

一方、隣で拘束されているのは魔術師・ステイル=マグヌスだ。説教を喰らってションボリしているというよりも…

ステイル「ハァ…ハァ…吸わせてくれぇ」

少し危ない人間へと進化していた。

それもそのはず、なんと小萌先生はステイルが持つ煙草の箱を全て没収していたのだ!

小萌「ふふふ、神父ちゃん…これが…先生の持つ、これが吸いたいんですか〜?」ニヤニヤ

ステイル「はいぃ! 吸いたいですぅ〜」

小萌「しょうがないですね〜? じゃあ〜」

小萌先生は煙草の箱をトントンと叩き、煙草を一本取り出すとフィルター部分を口にくわえる

今の小萌は先生ではない…その姿は一人の妖艶な女だった。

妖艶な幼女は短いスカートのポケットからライターを取り出すと、くわえた煙草に火をつけ、軽く吸った

小萌「神父ちゃぁん」フー

ステイル「ごっがぁぁん! ニコチンの…ニコチンの香りがぁ。先生…先生の炎剣を、僕に苦痛の贈り物をぉぉ」

小萌「クスクス…あ〜ん」

ステイル「ハァ…ハァ…アーン」

小萌はゆっくりとステイルの口元に煙草のフィルター部分を持っていくが…

小萌「はいダメです〜」

ステイル「うおおおおん! 紅十字ぃぃん」///


姫神「当麻君。止めなくていいの?」

当麻「ああ、ほらステイル顔見てみな、凄く…凄く嬉しそうだろ?」
112 :第10巻 [sage saga]:2012/11/09(金) 22:07:53.14 ID:go53FHCDO

――

少しでもヒントが欲しい上条達としてはどんな内容でも構わない。

果たして携帯電話から聞こえてきた声は!

オルソラ『マフィンもふもふ』

当麻「!? オルソラか!」

オルソラ『そうなのでございますよ。英国図書館の記録を当たってみた所、ペテロさんが6月29日にマフィンもふもふで弟子とともにウォータールー駅から徒歩5分でシースーベーターでございます』

当麻「!!」

土御門「は?」

オルソラ『簡単に説明いたしますと…ペテロさんが夜空を見ながら88のスシネタでソシルミ。バチカンにシースーを広めたくて使徒十字でアガリでございます』

当麻「ゴクリ……なんて恐ろしい霊装だ…おのれ、魔術師!」

土御門「え? お前ら、なに語でしゃべってんの?」

当麻「今のが分かんねえのかよ、この馬鹿御門!」

土御門「……」イラッ

当麻「術者が使用エリアの特徴・特色・特製を詳しく把握して、さらに使用エリアに対して最も効果的な星座を88の中から選択する事で、一地方につき年に一回、世界全土どこでも使えるって事だよ! このスシ御門!」

スシ御門「ほー、ふーん、すっげーにゃ〜」イライラ

当麻「で、オルソラ。今日9月19日に日本で使徒十字を使うためのポイントってのは、もう分かってんのか?」

オルソラ『はい』


オルソラは迷わず答えを返した!


オルソラ『ザギンとギロッポンでございますよ』
113 :第10巻 [sage saga]:2012/11/09(金) 22:08:51.30 ID:go53FHCDO

〜第23学区〜


オリアナ(おかしいわね……)


かなりの数の警備員が配置されていたターミナル駅だったが、彼らの配置場所が急に移動したのだ。

オリアナは少し考えて、単語帳を唇へ運び噛み千切った

オリアナ「リドヴィアそっちも気を引き締めて。そろそろ仕上げの準備よ」

リドヴィア『……まだ定刻までには時間があるのでは?』

オリアナ「警備状況が不自然に変動してる。おそらくこちらがこの近くにいる事は掴まれているはずよ」

食蜂「正解よぉ」ピッ

オリアナ「がっ!!」

美琴「アンタらが何を企んでいるかなんてホンットにどうでもいいんだけどさあ……アイツが迷惑してんのよねえ」バチ バチン

オリアナ(くっ! 体が動かない…何よ、この子達…)

食蜂はオリアナの頭に手を乗せ、記憶を読み取る


食蜂「御坂さぁん。学園都市外周北部、1700メートルの場所に十字架を持った修道服の女の人がいるみたいよぉ」

オリアナ(な…記憶が読まれた!)

美琴「そいつさえ止めれば……きっと!!」

食蜂「ええ、でもその前にぃ…この人どうするのぉ?」

美琴「適当に私たちの記憶を消してそこらへんに捨てましょ…どうせコイツはデコイな訳だし」

食蜂「はぁ〜い☆」


―――
――
114 :第10巻 [sage saga]:2012/11/09(金) 22:09:48.48 ID:go53FHCDO

〜第23学区・空港〜

オリアナはニヤニヤと、ニタニタと、薄く薄く薄く笑う

オリアナ「あはは! あははは! あはははははははは見えるわぁ! 世界の皆が手を取り合って笑顔! 笑顔なのぉ…あははは」ニヤニヤ

ステイル「狂ってるな……一体何があったんだ?」

土御門「さあな、取りあえずオリアナから使徒十字の場所を吐かせないと…もうあまり時間がない」

オリアナ「クスクス…ざぁんねぇんでしたぁ、使徒十字はぁ、学園都市には持ってきてないのぉん」///

土御門「なっ!!」

オリアナ「学園都市のそ・と・よぉん。範囲は大体200キロ四方でえ。残り時間は3分ねぇん」ケラケラ

当麻「土御門。場所の特定を頼む! 俺が『幻掃』で使徒十字ごと消滅させる!!」バッ

上条は右手を天高く掲げた。場所が特定され次第、即『幻掃』が放てるよう、今の体勢を維持する


すると闇の中から、白い修道服を着た女が千鳥足気味に歩いてきた

リドヴィア「うわ〜、金髪の長髪に美しくてスタイル抜群で常盤台の女王のような女の子と貧相なちっぱいを持つちっぱいびりびりにやられたましたので〜後、使徒十字は発動しませんので〜…ェ…………」

何故か説明口調のリドヴィアは全てを喋り終えると、突然意識を失い、顔から地面にダイブした


土御門「一体全体、何がどうしてこうなったんだ? …意味が分からんぜい」


当麻「ハァ…悪い…土御門。コイツらの後始末頼む」

土御門「? 急にどうしたんだカミやん」

当麻「ああ、ちょっと…な」
115 :第10巻 [sage saga]:2012/11/09(金) 22:10:54.51 ID:go53FHCDO

〜第23学区〜

美琴「ア…ンタねぇぇ! どこの誰が貧相なちっぱいだゴラァァ!」

食蜂「だって事実じゃなぁい…私ぃ嘘は嫌いなんだゾ☆」テヘペロ

美琴「……ねえ、超神雷砲って知ってる?」ゴソッ


すると二人の背後から…


当麻「……また喧嘩してんのかよ」

食蜂「!? 上条さん」

美琴「いっ、アンタ!…あ…えっと…これは」

当麻「分かってるって。二人で協力して学園都市を救ってくれたんだよな?」

美琴「あー…まあ…うん」

食蜂「私ぃ…上条さんに言われて反省したのぉ。それで、御坂さんと話し合ってぇ、謝りに行こうって話になったんですよぉ」

美琴「で、アンタを探してたら調度あの変な格好の金髪女とアンタ達が追いかけっこしてたのを目撃したって訳」

当麻「…そっか」

美琴「で…さ、その…」

食蜂「明日は御坂さんの友達の記憶改竄と精神操作しかしないからぁ…」モジモジ

当麻「美琴…操祈」

上条は不意に二人を引き寄せ、力強く抱きしめた

美琴「電磁!!」///
食蜂「掌握!!」///

当麻「もういいよ…ありがとな、二人とも」ギュッ


食蜂「上条さんの包容力ってぇ、羽毛布団並よねぇ///」スリスリ

美琴「例えるなら、マザーグースダウンプレミアムゴールドラベル羽毛布団よねぇ///」スリスリ

姫神「私も。便乗」スリスリ


第10巻

〜完〜
116 :第10巻 [sage saga]:2012/11/09(金) 22:12:25.18 ID:go53FHCDO

〜第23学区〜


禁書「ふおお! なんで正妻なのに最初から最後まで出番がなかったのかな!? いや、今からでも遅くはないかも、私もとうまの胸に飛び込むんだよ!!」

一方「おおっとォ、こっから先はァ!」

打ち止め「通行止めだぁ〜ってミサカはミサカはシスターさんの進行を妨げてみたりぃ〜」


吹寄「……」
青ピ「……」

黄泉川「……」

カエル医師「……」

スフィンクス「へへ、姉さん。残念だが……もう、後の祭りだよ」

イノケン「ハハ…だな」


ローラ「ねえ。あの少年がりける何であんな目に遭ってまで戦ってるのか。あなたに分かりける?」

シェリー「さ、さあ。幻想殺しのことが私に分かるわけないだろうが」///


アレイスタ-「ふむ、前に聞いた時は、自分のためだとか言っていたが。恐らくは、プランのため……だな」ニヤリ


第10巻

〜完〜
117 :>>1です [saga]:2012/11/09(金) 22:15:37.29 ID:go53FHCDO
これで投下終了です


ここまで見て頂き、本当にありがとうございました


第11話は明日の21:00に投下させて頂きます
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/09(金) 22:40:06.46 ID:eVeDSoOt0

よよいのよいと全身を拭うで果てた、あと時々佐天さん。

しかしLV5女子組の言い回しがおもしろすぎる
このパターンだと麦野もこうなるのかな…ww
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/10(土) 00:24:08.22 ID:HCGEzijDo

便乗してんじゃねえよwwww
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/11/10(土) 01:15:37.98 ID:clHHY4Bco
姫神どっから出てきた!?www
乙!
121 :>>1です :2012/11/10(土) 18:17:51.96 ID:cU+kcErDO
今から第11巻を投下させて頂きます


誤字、脱字はあまり気にせずお楽しみ下さい
122 :第11巻 [sage saga]:2012/11/10(土) 18:19:02.74 ID:cU+kcErDO

〜オルソラの家〜

オルソラが食器皿をたくさん載せたトレイを両手で持ってキッチンから出てきた

メインとなるのがアサリの入ったパスタで、その他にはほぐしたカニの身が入った冷たいスープや、お皿に真っ黒いイカスミスープがあった

上条「美味そうだな〜」

上条が席に着こうとすると、オルソラと一緒に料理の乗った食器を運んでいた天草式の女の子が…

五和「使います?」

と白いおしぼりをこちらに差し出してきた

上条「お、ありがとな」ニコ

五和「いえいえ」///

女の子がそそくさと部屋の外へ向かい歩き出した

その時、床にあった木の出っ張りに足が引っ掛かりバランスを崩すと

五和「へ!? きゃあ」

ドターン! と大きな音が家中に響いた

五和「……あれ? 痛…くない…って!」

上条「っ痛〜! 大丈夫か?」

五和「えっええ!!」///


女の子がこける瞬間、上条は椅子から飛び出し、下敷きになるよう滑り込んだのだ!

上条「よかった、その様子だと大丈夫そうだな」ニコ

五和「はわわわわわ」///

上条「ん? 少し汗かいてるな、拭いてやるからじっとしてろよ」

上条は右手に持っていたおしぼりを使い、女の子の顔を優しく拭いてあげた

上条「よし、もういいぞ」ナデナデ

五和「ふえぇえ〜」///

女の子は上条の胸の上に倒れ込み、そのまま意識を失った

浦上「……」ギリッ
123 :第11巻 [sage saga]:2012/11/10(土) 18:20:02.65 ID:cU+kcErDO

〜オルソラの家〜


禁書「きゃあああッ!?」

上条「インデックス!!」

ズバーン!! と勢いよく左のドアが内側から開け放たれた!

禁書「な、なんか『どらいや』からブオーンって襲い掛かってきたんだよ!」

上条「な…」

上条が見上げた先には…顔に二本の角に三つの目、背中には巨大な翼を生やした

ブオーン「ブウウイーッ まったくよく寝たわい」


山よりも大きな体躯の持つ魔獣が立っていた!!

ブオーン「さて……ルドルフはどこだ。隠すとためにならんぞ?」

上条「インデックス逃げろ!!」

禁書「でも!」

上条「いいから早く!!」

ブオーン「まあよい、肩慣らしに貴様らから血祭りにあげてくれるわー!!」


ブオーンが巨大な口からもえさかる火炎を吐いた!

上条「くそっ幻想剣!!」

上条は右手で空間を叩き割り、そこから幻想剣を引きずり出した!!

そして迫りくる業火に向かい、幻想を断ち切る一撃を放つ!

神浄「はぁぁ!!」

バギン!!

神浄「ハァ…ハァ…」

ブオーン「ほう…やりおるな小僧。次は、本気でいくぞ!!!」

神浄「はぁあああああ!!!」


幻想殺しと伝説の魔獣…その死闘は半日ほど続いた


死闘の末、勝利したのは


……一人の少年だった
124 :第11巻 [sage saga]:2012/11/10(土) 18:21:13.51 ID:cU+kcErDO

〜女王艦隊〜

アニェーゼ「グダグダ言ってるようなら大声出しちまいますよ。ここから逃げたいなら私の機嫌は損ねない方が良いと思いますけどね。この『女王艦隊』からの脱出を知りてえなら」

オルソラは、ギョッとした顔でアニェーゼを見た

オルソラ「魚だけに」

アニェーゼは大して気にせず

アニェーゼ「ま、嫌なら良いですけど、こっちは素直に人を呼びますから後はご自由に。勝手に海にでも飛び込んで陸まで泳いでみたらどうです?」クスクス

上条「別に大声出してもいいぜ。そのかわり、俺も前みたいに仲間を呼ぶぞ?」

アニェーゼ「はんっ、あの火の巨人や石の巨人ですか? こんな海の上で呼んだら船が沈んじまいますって。貴方は、んなことも分かんねえほどの馬鹿なんですか?」

上条「いいのか? ……呼ぶぞ、ブオーン」

アニェーゼ「? ブオーン?」

上条「そこらに浮いてる氷の船全部。ものの数秒で沈めるぞ? いいのか?」

アニェーゼ(!! また、どこからともなく軽快なギター音が!!)


上条は胸のポケットからオサレ眼鏡を取り出し、スタイリッシュに掛ける!

それと同時に、頭上からはタロットカードがゆっくりと回転しながら舞い降りてきた。


タロットカードは上条の胸の辺りで落下を止め、その場で横回転している


上条「さあ、選べよ……戦うか、それとも協力するか」

カッ!!

アニェーゼ「スイマセンゴメンナサイ協力しますから、ブオーンを召喚すんのはマジで止めてください」
125 :第11巻 [sage saga]:2012/11/10(土) 18:22:41.63 ID:cU+kcErDO

〜上下艦〜

アンジェレネ「え、ええとですね。私達にはまだ目的があって、できればシスター・アニェーゼの事を説明……うぁー」

……、誰もアンジェレネの話を聞いていない。

アンジェレネのそわそわのペースが次第に速くなっていく。

アンジェレネ「えーっと、ええーっと、そのうー……ッ!!」

そのピークが最高潮に達した途端に彼女は両目を、くわっ!! と見開いた。

意を決したアンジェレネは、隣にいたルチアのスカートを両手でグッと掴むと


アンジェレネ「ほ、ほらーっ! ちゅうもーく!!」


ルチアの修道服のスカートを、ブワサァ!! と勢い良く持ち上げた。



ピタリと。



会話が止まった。




皆の視線の先にはシスター・ルチアの姿はなかったのだ。




そう……シスター・ルチアは飛んだ





彼女は人類で初の生身で成層圏を越え、ついには宇宙まで到達した人間となったのだ



佐天「」ニッコリ


―――
――
126 :第11巻 [sage saga]:2012/11/10(土) 18:24:00.54 ID:cU+kcErDO

〜アドリア海の女王〜


自分は、まだ誰かにすがっても良いのだろうか。


自分は、まだ希望を抱いても良いのだろうか。


(……)


ぼんやりとした頭で考え


それから、首を横に振った。


がちゃん、という音が聞こえる。


それはこの不自然なまでに完璧な四角錐の部屋を閉ざしていた、両開きの氷の扉が開け放たれる音だった


オルソラ「アニェーゼさん!」


オルソラの視線の先には、氷の球体に寄り添うような形でこちらを見つめる


ビアージオ「アニェーゼかと思ったか! 残念。正解はこの私、ビアージオ=ブゾーニぃ!!」


ビアージオ=ブゾーニ、ただ一人!!
127 :第11巻 [sage saga]:2012/11/10(土) 18:24:58.82 ID:cU+kcErDO

〜四角錐の部屋〜

ビアージオ「あの女を迎え入れる場所などないのだ。それが何で分からねえんだよ異教のクソ猿がぁ!!」

上条「……、分かって、たまるか!!」

佐天「あんたのふざけた幻想は……」

上条「俺達がぶち殺す!」

ドン!! 同時に二人はビアージオに向かい距離を詰めるべく、走る!

ビアージオ「シモンは神の子の十字架を背負うッ!!」

ビアージオは胸元にある十字架の一つを引き千切り、頭上に掲げた瞬間、佐天の身体に凝縮された『重量』が襲い掛かった!

佐天「ぐ、あっ!」

上条「はあぁぁぁ!!」

上条はその右手を頭上に掲げ、上から下に襲い掛かる重量攻撃を吹き飛ばした

しかし、ビアージオは首元から十字架を七ツ外し、上条に向かい、放り投げた

ビアージオ「猿が、――十字架は悪性を拒絶する!」

上条「しまっ!」

上条の目の前で十字架が膨張する……瞬間!

ギギギギギギギン!

佐天「天棒 ティアーズバット!!」

彼女が持つ銀色のバットが、十字架を全て弾き飛ばしたのだ!

佐天はそのままビアージオに突撃し、司祭服のスカートを両手で掴んだ!

佐天「これが必殺のU・PHKだぁぁ!!!」

ブワサッ!!

ビアージオ「いやんジオ=ブゾーニぃん」///

上条「終わりだ、ビアージオ! 幻想衝撃・イマジンインパクトぉぉぉ!!」

ドゴン!! と上条の全力の右拳がビアージオの腹に突き刺さった。

司祭の身体は成層圏を越え…対に、宇宙に到達した
128 :第11巻 [sage saga]:2012/11/10(土) 18:26:25.04 ID:cU+kcErDO

〜イギリス清教女子寮〜


神裂火織…彼女が向かっているのは人ではなく電話機だ。

古風なダイヤル式のもので、赤い陶器に金箔で縁取りされた、完璧にアンティークな一品だった

ちなみに電話の相手は同僚の土御門元春である。


土御門『……神裂火織…まだ、悩んでいるのか』

神裂「……」

土御門『何故だ…その強化霊装を着る事により、お前は新たなる境地へ足を踏み入れることができるんだぞ!!』

神裂「分かっています…しかし、私は怖いのです。Follen angelフォーム…アレになれば、私は!!」

土御門『……最悪、死ぬかもな』

神裂「……」ギリッ


土御門『まあいい、ねーちんにはもう少し考える時間が必要かもにゃー』

神裂「…はい」


土御門『……だが、覚えておけ、いずれ決断しなければいけない時がくるぞ。…必ず、な』


ぶつッ、と土御門との通話が途切れた

神裂は目を瞑り、大きく溜め息をつくと、そっと受話器を置く


神裂「……当麻さん…私は……これを…」///


―――
――
129 :第11巻 [sage saga]:2012/11/10(土) 18:27:31.68 ID:cU+kcErDO

〜聖ピエトロ大聖堂〜

闇に包まれた聖堂の中を歩く、二人の男女


ヴェント「コイツに目を通してサインをしなさい」

教皇「ハァ……教皇である私に命令形、か」

ヴェント「私がやれっつったコトはやるの。ほら、アンタはさっさと書類にサインをする。分かった?」


老人は書類を手に取り、小さく頷いた

僅かに苦い色が受け取れる

ヴェント「よろしい♪」


告げると、女性のシルエットは闇に


教皇「ん? ちょっと待て、この書類、お前の名前が書いてないじゃないか」

ヴェント「うぅっ!! いいじゃない『前方のヴェント』で!!」

教皇「ダメだ…ほら、お前の名前。ここにちゃんと、荒れ狂う黄色の暴風、前方のハリケーンヴェントとサインするんだ」

ヴェント「ムウウ……ねえ、この名前どうにかなんないの?」

教皇「私に権利はない。文句なら名前をつけた『アイツ』に言ってくれ」


ヴェント「ハァァア…やだなぁ、この名前」///



第11巻

〜完〜
130 :>>1です :2012/11/10(土) 18:30:20.47 ID:cU+kcErDO
これで第11巻は投下終了です

ここまで見て頂き、本当にありがとうございました


ブオーンを知らない方は、Google先生でブオーンを検索してみて下さい。

ブオーンが出ます
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/11/10(土) 18:33:13.70 ID:CX/hWXf50

そういや浦上にもフラグ建ててたな
しかしなぜ佐天さんがwあとブオーンが予想外すぎるww
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/10(土) 20:49:52.58 ID:fQjvOdoV0
もうなんて言ったらいいかわからねえwwww
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/11/12(月) 00:00:33.89 ID:s7Xc9Wy/o
前から思ってたけどなんでペルソナ使えるんだよ上条www
134 :>>1です :2012/11/13(火) 18:07:30.17 ID:nVi+ha4DO
今から第12巻を投下させて頂きます

今回は特に文字が詰められていて見づらい所もありますので、お気をつけ下さい
135 :第12巻 [sage saga]:2012/11/13(火) 18:08:11.59 ID:nVi+ha4DO

〜常盤台女子寮〜

午前5時20分

そんな、誰もが眠りこけてる常盤台中学『学外』学生寮の中

白井黒子だけが目を覚ましていた。

そして、ベッドとベッドの間隔は50センチもないその近距離には、ぐっすりと寝ている少女がいる

御坂「…んふふ……。罰ゲームなんだから何でも言う事聞かなくちゃいけないんだからねー」

何だか御坂美琴の可愛らしい唇からそんな寝言が飛び出した

白井(ぐわー気になる! お姉様ってば、夢の中ではどちら様に向かっ)

「いや、やっぱりマズイって。隣に白井が寝てんだからさ…」ヒソヒソ

白井(…………んん?)」

御坂「黒子ならぐっすり寝てるから大丈夫だってば。……さて、まずは何してもらおうかなー///」ヒソヒソ

「おい!そこは!!」ヒソヒソ

御坂「やん! ちょっと急に腕を動かさないでよ……んん!…ちょ…いにゃん!///」ハァハァ

白井「オオオオォオォオイちょっと待てやごらぁぁぁ!!!」

白井はベッドから飛び起きると、隣で眠る御坂の上布団を引きはがす!!

御坂「」zzZ

白井「……って、あら?」

…がしかし、布団の上にはぬいぐるみの『きるぐま〜』を抱いた御坂美琴が眠っているだけだった

御坂「……ん〜、黒子〜さむい〜〜」ブルブル

白井「はっ! お姉様、申し訳ございませんの!」

白井は引きはがした上布団を、再び御坂の身体へ丁寧にかけ直した。

白井「お姉様。ゆっくりとお休みなさいませ」ニコ


きるぐま〜「……」
136 :第12巻 [sage saga]:2012/11/13(火) 18:09:45.46 ID:nVi+ha4DO

〜とある学校〜

上条当麻は窓枠に肘を突き、残暑の厳しさも引いた秋の初めの緩やかな風を浴びつつ、ポツリと呟いた。


キルグマー「はぁー……出会いが欲しい」

告げた瞬間に、上条のこめかみ目掛け右と左の両サイドから正拳突きが襲い掛かる!!

キルグマ-「!!!」

グシャア!! という壮絶な音が響く

右に立っているのが土御門元春

左に立っているのが青髪ピアス


土御門「…ぐ…はぁ…」

青ピ「…ぢぐじょ…う」

エツァリ「…ぐぞぉお……」


ドサ…ドサ、と彼等は泡をふきながら、冷たい廊下の上に倒れた……


キルグマ-「安心してくれ……みねうちだ」ニコ
137 :第12巻 [sage saga]:2012/11/13(火) 18:10:50.10 ID:nVi+ha4DO

〜とあるマンション〜

オンボロのエレベーターに乗って7階に着くと、後は真っ直ぐの通路を歩けば、ズラリと並ぶドアに混じって上条の部屋がある。

御坂「た、ただいま〜///」

鍵を開けて中に入ると、空腹少女インデックスが床の真ん中でバタリと仰向けに倒れていた

キルグマ-「おう、おかえり。もうすぐ昼ご飯できるからな」

御坂は鞄をその辺に置くと、

御坂「今日のご飯は…え〜またそうめん」

キルグマ-「我が儘言わないほらできたぞ」

上条は両手に皿を持ち、四角いテーブルの上に作った料理を置いた

禁書「やだぁ!! ここの所…ングングずっと日本製の麺類ばっかりだよねズズ-! んま〜!!」

御坂「はあ、バジルとトマトのサラダをそうめんで絡めて、オリーブオイルと塩、胡椒で味付けなんてもう…おいし〜!!」モグモグ

キルグマ-「今日のはイタリアン風そうめんだ。明日はお前達の大好きな上条風だからな」ニコ


スフィンクス「へへ」ニコ
138 :第12巻 [sage saga]:2012/11/13(火) 18:11:46.20 ID:nVi+ha4DO

〜黄泉川の部屋〜

黄泉川、芳川、一方通行、打ち止めの四人はお昼ご飯を食べていた


芳川「……」


目の前には一人一台の電子炊飯機


一方「はふはふ…ほふゥ!白米!白米ほふほふ白米ほふゥ」

黄泉川「じゃんじゃんじゃん、おかわり炊飯機はまだあるじゃん、じゃんじゃん食べるじゃん」

打ち止め「ほふほふ…ふりかけ、ふりかけを所望する! 、てミサカはミサカは手を伸ばしてみたりぃ!」ムグムグ

一方「胡麻塩とォ……シャケとォ……オカカとォ……のりたまァァァ!!!」

打ち止め「のりたまァァァァァァ!!!」


芳川「ハァ……頭痛い」


―――
――
139 :第12巻 [sage saga]:2012/11/13(火) 18:12:41.30 ID:nVi+ha4DO

〜とあるサービス店〜

美琴と上条は腕を組みサービス店の中に入る

カウンター前に座っていた店員のお姉さんはやや笑みが崩れかけていたが、それでも対応マニュアルは忘れなかった。

店員「い、いらっしゃいませ」

御坂「コイツとペア契約を登録したいんですけど」

店員「あ、はい…」チラ

キルグマ-「……」

御坂「? あの」

店員「は! や、すみません。え〜っと、こちらにあります書類の作成にあたって写真が必要なんですが、お持ちでしょうか」

御坂「えっと、そこらの証明写真用のボックスでも大丈夫ですか?」

店員「いえいえ。これはペア契約でして、登録に当たって『このお二方はペアである』事を証明して欲しいだけなんです。お二人がツーショットで写っているものであれば携帯電話のカメラでも大丈夫です」ニッコリ

御坂「ええ! つつーしょっと……って」

キルグマ-「?……」ボソッ

御坂「うう……分かったわよ」///

美琴は携帯を取り出すと、二つ折りの携帯を開いて、そのまま店員に差し出す

御坂「あの…これしかないんですけど///」モジモジ

店員「はいお預かりしま」

店員が美琴から渡された携帯の画面に映っていたのは…

ベッドの上で、きるぐまーに腕枕をされているパジャマ姿の美琴の写真だった

御坂「やだ! 超電磁恥ずかしい///」

キルグマ-「……///」ハズカシイ!

店員は、携帯を美琴に返して笑顔でこう告げた。

さっさとそいつの着ぐるみ脱がして、二人で写真撮ってこい、と
140 :第12巻 [sage saga]:2012/11/13(火) 18:13:36.54 ID:nVi+ha4DO

〜黄泉川の部屋〜

一方通行は寝転がっていたソファーの上でうっすらと目を開けた。

小さく舌打ちする。

一方「……寝ちまったか」

時計を見ると、ほんの15分ぐらいのものだ。

テレビが点けっ放しになっていたため、おそらくそちらからの音で目が覚めたのだろう。

一方「……」

一方通行はソファーから立ち上がる。

気分を変えたい。


一方通行は思う。どいつもこいつも学園都市最強の能力者というものを信用しすぎている…


そういった想いに必ず応えるなど誰が言った…


黄泉川や芳川はその恐ろしさの方が理解できていない。


一方通行は脱衣所へ繋がるドアを開ける。

そこには。

打ち止め「!!!」

芳川「……」

黄泉川「ん?」


一方「いゃっほゥ! いいねいいねェ、サイッコゥだねェ! ちっぱい並ぱい巨ぱいのトリプルテンパイ! こりゃあ、立直せずにはいられねェなァ! 俺のベクトル千点棒も、そろそろ混ぜろよコラァァァ!」


一方通行は音速の速さで脱衣所のドアを閉めた。


ため息を一つ。


一方「……だからちっとは警戒しろっつっただろォが」
141 :第12巻 [sage saga]:2012/11/13(火) 18:21:59.38 ID:nVi+ha4DO

〜とある地下街〜

御坂美琴は顔を真っ赤にして怒っている

何だか良く分からないが御坂妹や彼女と一緒にいた小っこいのを見た途端に機嫌が悪くなってしまった。


御坂「ねえちょっと、今日は誰の罰ゲームとしてここにいると思ってんのよ!! 私のために一日働くんじゃなかった訳!?」

上条「それはそうなんだけどさ、御坂妹も困ってたんだししょうがねえだろ?」

と答えた所、何故か美琴は自分の唇を小さく噛んで

御坂「……ッ!! もういい! ゲコ太とピョン子が手に入ればアンタなんかもう用済みのポケベルよ! 何が罰ゲームよ、この馬鹿ぁ!!」

美琴は叫んで走り出そうとした

その時! 

上条が美琴の腕を掴んだ

上条「ちょっ、待てって!何で怒ってんだよ、理由ぐらい聞かせ」

御坂「離してよ! この誰とでも定額!!」

バシン!! と美琴の平手打ちが上条の頬を叩いた


上条「……っ!!」

御坂「……」

数秒間、お互いの間に沈黙が訪れる…そして

御坂「もう、ほっといて…アンタ……迷惑メールなのよ」


美琴は俯きながら掴まれた腕を振りほどき、猛ダッシュでどこかへ走り去ってしまった…


上条「……」


学園都市は既に最終下校時間…

真っ暗になった街に、パラパラと小粒の雨滴が降り出していた
142 :第12巻 [sage saga]:2012/11/13(火) 18:23:11.42 ID:nVi+ha4DO

〜とある路上〜

打ち止め「痛っ!!……転んだー、ってミサカはミサカは地べたで状況報告してみたり」

一方「……」

打ち止め「すりむいたから消毒が必要かも、ってミサカはミサカはちょっと涙目になってみたり」

一方「……ハァ…ハァ」

打ち止め「消毒が必要かもーって!! ってミサカはミサカは全く同じ台詞を号泣気味に絶叫してみたりー!!」

一方「クソッたれがァァァ!!!」

一方通行はチョーカーのスイッチを入れ能力使用モードになると200メートル先にある薬局へ向かい

ガシャァン! 薬局の自動ドアに一方通行のダイナミックお邪魔しますが炸裂した!!


一方「サッサと打ち止めのすり傷をしゅっしゅする薬を用意しろやゴミクズがァァァ!!!」


店員「ひっひぃぃぃ!!」


―――
――
143 :第12巻 [sage saga]:2012/11/13(火) 18:24:19.71 ID:nVi+ha4DO

〜とある路上〜

ドッ!! という爆風と熱波が四方八方へ撒き散らされ、辺り一帯を飲み込んだ

一方「演出ゴクロー。――華々しく散らせてやるから感謝しろ」

一方通行はザクロのように赤く開いた火炎と残骸の中から悠々と歩を進める。

すると

『だから言ったであろう』

一方「!!!」

『一方通行を倒すには小細工は不要。小僧相手だからと手を抜きおって…最初からこの俺が出ると言ったであろうが!!』

一方通行は声の主の顔を知っている

一方「キハラくンよォ、ンだァその思わせぶりな登場はァ」

木原数多。かつて、学園都市最強の超能力者の開発を行っていた男だ。

身長は2メートルを越す体格に、鉄の肩パッド付きの白衣を羽織っている

木原「ふん…上の命令だ」

木原数多が、3メートルを越す巨大な馬から降りてきた

木原「すまんが、死んでもらうぞ」ゴキン ゴキン

一方「死ぬのはオマエだろ? 時代遅れの世紀末野郎が」

一方通行はベクトルを制御し、木原数多に襲い掛かる

今の彼は、能力使用モード。制限時間は15分だが、いかなる攻撃も『反射』する!!

一方「ギャハァ!!!」

ゴン!! と。

木原数多の拳が一方通行の皮膚を削り取り、頭蓋骨を揺さぶった。

一方「が……ぃ…ッ!?」

木原「小童が…木原神拳の前には、ベクトル反射など意味を為さぬのが分からんのか」
144 :第12巻 [sage saga]:2012/11/13(火) 18:25:48.12 ID:nVi+ha4DO

〜とある路上〜

一方「ナメ、てンじゃ」

一方「……ねェぞ三下がァあああああああッ!!」

轟!! と風が渦を巻く

ベクトルで制御された風速120メートルの暴風は、竜巻としても最大級のM7クラス。

逃げ場のない暴風の塊が木原数多に迫る!!

だが、

木原「そよ風だな」

ピーッ、と妙に乾いた音が周囲へ響いた思った途端に、一方通行が制御していた暴風の塊が吹き消された

そう、口笛を吹いたのだ

一方「ッ!?」

必殺と思っていた攻撃が、あまりにもあっけなく打ち消されていく。

愕然を通り越し、もはや呆然とする一方通行に…

木原「終わりだ」

木原は右手に力を込めると赤色のオーラが吹き出した。

それは武術を極めし者が操る力、身体に眠る闘気である!!

木原「木原神拳奥義…木原剛衝波!!」

轟!! と回避不能の巨大なオーラが、棒立ちの一方通行の体を吹き飛ばした

一方「ごっがァああああああああああああ!!!」

一方通行の体は竹トンボのように回転しながら何棟ものビルを突き破り、窓のないビルに衝突するとようやくその動きを止めた

部下「ヒャッハー! 流石は拳王様だぜぇ〜!」

木原は無視して、愛馬あまたん号に跨がると

木原「……、回収は完了したのか」

部下「は、はい! 最終信号はここにぃ」


そこには黒ずくめの男に二の腕を掴まれ、意識を失った小さな少女がいた……
145 :第12巻 [sage saga]:2012/11/13(火) 18:27:18.64 ID:nVi+ha4DO

〜とある道路〜

カツン、コツンという細々とした足音が鳴る


濡れた路面をゆらりゆらりと細い女のシルエットが、雨天の街を歩いていた。


ヴェント「も〜!! だから科学は嫌いなのよ〜」


彼女は『神の右席』

世界最大宗派ローマ正教の闇の闇の闇の闇の闇の闇の闇の闇の果てに沈んでいる一つの名前。


ヴェント「えっと……アッチが23学区で、コッチが〜って、ええ!! も〜真逆じゃ〜ん。あー憎い! 科学ちょー憎いわ〜」イライラ


ローマ正教20億の中の最終兵器は、既に学園都市を襲撃していた!!


ヴェント「うう〜!! 第7学区ってどこよーーー!!!」


荒れ狂う黄色の暴風、前方のハリケーンヴェントの襲来

新世紀覇王、木原数多による、打ち止めの誘拐


物語は、最悪な方向へと進み出していた



第12巻

〜完〜
146 :>>1です :2012/11/13(火) 18:29:18.92 ID:nVi+ha4DO
これで第12巻投下終了です

ここまで見て頂き、本当にありがとうございました


次の投下は出来次第します
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/11/13(火) 18:44:45.07 ID:cHn9ffg80

美琴のテンションがおかしいw上条さん七変化はもっとおかしいww
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/11/13(火) 19:48:39.24 ID:heFSFBlAO
迷惑メールわろた
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/11/13(火) 20:14:43.84 ID:2aXnSunAO
乙です。
一方サイドがカオスすぎる。
でもよく考えたら上条さんそのものがカオスすぎる存在だった。
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/13(火) 21:16:02.05 ID:0RBAM7SW0
木ィィィ原くンがなぜか無敵超人風林寺隼人でイメージされてしまうwwww
これは上条さんと戦えばとんでもないカオスを生み出しそうだwwww
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/13(火) 21:50:10.11 ID:vo+wY3oDO
この作風のまま新約までイッちまうってェのかァ…?

この>>1ッ…ただもンじゃねェぜェ…
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/14(水) 21:40:20.24 ID:zK+sIw1t0
>>1 乙
続き楽しみだ
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/11/15(木) 09:31:02.94 ID:Pd0PZ9vJo
御坂「やだ! 超電磁恥ずかしい///」 で声出してワロタww

>>1乙!
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/16(金) 11:12:11.68 ID:Eaorljz9o
こやつなかなかやりおる
155 :>>1です :2012/11/17(土) 17:18:31.73 ID:B40aSgmDO
今から第13巻を投下させて頂きます

誤字、脱字はあまり気にせずお楽しみ下さい
156 :第13巻 [sage saga]:2012/11/17(土) 17:19:06.96 ID:B40aSgmDO

〜とあるオフィス〜

木原数多は暗い一室にいた

今は使われていないオフィスだ。仕事に使われる機材の大半は消えていて、大量の事務机と玉座が一つ取り残されていた

木原「おお…ぅ」

木原は玉座に腰をかけ、両足を組んでくつろいだ。

周囲には装甲服に身を固めたモヒカンの男達が控えている。

木原「一方通行の回収に行かせた『猟犬部隊』からの連絡はまだか」

部下「複数の斑から連絡が途絶えました。……おそらくは」

木原「ふむ、まだ生きておったか……。まあよい、一方通行の方はこの数多が仕留めるとして、問題は…」

部下「進入者…ですね」

木原数多は玉座に腰をかけたまま足を組み直すと、ジロリと辺りを見回した

木原「ふん、アレイスターの奴もやかましい、直ちに計画を実行するぞ。学習装置の用意は出来ておるな?」

部下「はっ、こちらに」

部下が、銀色のアタッシュケースを事務机の上に置いた。

アタッシュケースのロックを外し、ガチャガチャと機材を組み立てていく部下を眺めながら、ふと木原はポツリと呟いた。


木原「さあ、上条当麻よ……うぬと死合う舞台を用意しようぞ」
157 :第13巻 [sage saga]:2012/11/17(土) 17:19:58.59 ID:B40aSgmDO

〜学園都市外周部〜


※天の声 佐天涙子


土御門元春さんは、沢山ある廃校場の一つでザザガリとブレーキしました

床はボコボコでそこら辺が錆びてて杭の木がズド!

うねる土御門さん、バックステップバックステップ! それでも杭の木がドッ! それでも土御門バックステップ!

土御門(なるほど。学園都市もこ)

気づいたら気配が複数、これはマジでヤバ御門さん…

でも余裕でニヤリとフフ御門さん!


もう凄い角度から杭と杭が襲いかかってきたから、魔術使って避けてみたら

血が出てた…あちゃ〜

んで、ナンやカンやあって通路がドガバギミシミシッ!!って危ない!

土御門「残念だな繊細な術し」


なんと、弱点の杭を一本折りました。さっすがぁ!


ただいまスッゴいドヤ顔中の土御門ですが、実は妹思いの優しいお兄さんなんですよ。

妹さんを守るために頑張った土御門! いや〜、カッコイイですね



でも残念! 風斬さんの衝撃波ドーン!!


土御門「ごっがァあああああああああああああ!!」


  〜土御門編〜

    〜完〜
158 :第13巻 [sage saga]:2012/11/17(土) 17:21:02.81 ID:B40aSgmDO

〜とある路上〜

御坂美琴はコンビニで買った傘を差し、雨に打たれた街の真ん中に立ち尽くしている。

完全下校時刻をとっくに過ぎてるせいか、誰もいない大通りで。

御坂「?」

携帯に着信があった。『上条当麻』……無視無視

時間も遅くなったし、雨脚も洒落にならなくなってきたし、もう引き上げようと思った矢先だった

突然、街の一角のビル群が粉塵を上げて崩れていき、尖った翼のようなものが数十本も飛び出したのだ。

御坂「……」

無視無視

その直後、翼は放電に似た現象を起こし、学園都市外周部を破壊し尽くした

……はいはい

そして美琴の目の前から放電のような光が瞬き…

ゴッ!! と。

破壊の一撃が襲いかかった


バキィン!

御坂「……」

まあ、こうなるって知ってた。だってアイツは、ピンチになったら助けてくれる私のiコンシェルだから

上条「間に合って良かった…怪我は…ねえよな」ニコ

御坂(もう駄目ね。私、一生コイツから機種変更できないみたい)

上条「あの…さ、美琴。このまま迷惑メール設定されたら俺の言葉は一生スパム扱いだ…頼むからお客様サポートで」

ギュッ!

御坂「…私ね、さっきまで心の電池が切れてたの」


御坂「だから少しの間だけ、アンタで充電させて」

先程まで圏外だった二人の距離が……今では、アンテナバリ3になっていた
159 :第13巻 [sage saga]:2012/11/17(土) 17:21:58.30 ID:B40aSgmDO

〜風紀委員第一七七支部〜

初春「白井さーん、中華丼とお魚弁当、晩御飯はどっちにします?」

白井「……」

スフィンクス「はむぅ…お魚!…このお魚おいひいん!!」モグモグ

スフィンクス「ふほほ…カツオくぅんこの中華どぅん! うずらの卵とあんかけがうまひぃ!!」モグモグ

白井「……」

初春「? じゃあ私が中華丼もらっちゃいますからね」ニコニコ


初春はソファーから立ち上がり三毛猫の頭を掴んで持ち上げると、そのまま数回ほど壁に叩き付けて窓の外へ放り投げた


初春「さて、いただきます」


白井「……」


―――
――
160 :第13巻 [sage saga]:2012/11/17(土) 17:23:02.47 ID:B40aSgmDO

〜とある鉄橋〜

ヴェントは鉄橋にいた

ヴェント「ぐっ、げほっ、げほっ……」

水っぽい咳き込む音が連続する。

ヴェント「体だる〜。熱っぽくはないんだけど…フラフラしてき…た」

ヴェントの体はガタガタと震えていた

ヴェント(これは……一体、何だ……。)

げほげほと、汚い音が続く

ヴェント(……私の、カラダは、特殊な作りをしているとは、いえ……。今までは、こんなコトは、なかった。コレは、そっちのせいじゃ…な……い……)

フラフラと鉄橋の手すりに両手をつき、ヴェントは遠くにある物を食い入るように睨み付けた。

ヴェント「やっぱ、そう言う、ことか……ゴホッ、アレイスター!!」

ヴェントの視界は徐々にぼやけていき、ついに雨に濡れる路面に倒れ込んでしまった


ヴェント(……く…そ…)


―――
――
161 :第13巻 [sage saga]:2012/11/17(土) 17:24:09.30 ID:B40aSgmDO

〜とある路上〜

100メートル先の曲がり角から、白い修道服の女の子が大通りに出てきた

禁書「!? とうま!!」

上条「インデックス!」

禁書「お願い、とうま。あそこには行かないで。街に現れた『天使』あれはきっとひょうかなんだよ。とうまが触ったら、善悪なんて関係なくひょうかが消えちゃうんだよ!!」

雨水を吸い込んだ上条のシャツを掴んで、インデックスは切実に訴えてくる。

禁書「とうま、ひょうかは私がなんとかするから。だから、ひょうかに手を出さなむぐ!」

上条はインデックスの唇を右手の指先で触ると、静かに目を瞑った

上条「……、大丈夫だインデックス。あれは打ち止めが学習装置でウイルスを流されて、世界中の妹達を利用して学園都市中のAIM拡散力場を操作、そして利用した結果、風斬がああなっちまったんだ」

禁書「おおぅ…急に何を言ってるの、とうま」///

上条「『幻視』を使ったんだよ」ニコ

姫神「幻視。それは見たい過去を覗く幻想神技。ただ。当麻君の幻想力の消費も激しいんだよね。大丈夫?」

上条「ん、心配してくれてありがとな秋紗」ナデナデ

姫神「うん。私。できる嫁」///

上条「で…だ、インデックス、美琴。二人に頼みたいことがあんだけどさ」

禁書「なにかな?」
美琴「なによ?」

上条「二人で『とある場所』に行って『打ち止め』って子を救ってやってくれないか。それが、結果的には風斬を救うことにもなるんだ」

美琴「別に良いけど、と…アンタはどうすんのよ」


上条「俺は……拳王を倒す」
162 :第13巻 [sage saga]:2012/11/17(土) 17:25:08.06 ID:B40aSgmDO

〜とある爆心地〜

木原数多は一人、爆心地の中心点に佇んでいた

そして近くには、一人の天使…

木原「……、む」

突如、巨大なコンクリートの塊が飛来し、恐るべき速度で木原に直撃した!

木原は両腕を交差してガードしたが、身体は大きくよろめき、体勢を崩す。

木原「お…う」

そして灰色の粉塵が撒き散らされる中、一つの影が飛び出した!

一方「が、ァァああああああああ!!」

標的の頭上に飛び出した一方通行は、惑星の回転エネルギーを利用し、右手に持つショットガンを木原の頭に叩き付けた!…が

木原「……キサマァァ」

額から血を流す程度のダメージに一方通行は僅かに舌打ちすると。すぐさま木原の目掛けて突撃…

木原「調子にのるな、小童ァァァァァ!」

ガシッ! と一方通行は顔が掴まれ、華奢な体は天高く持ち上げられる。

一方「ッッ!!!」ピピッ!

木原「貴様では役不足なのが、まだ分からんか!」

木原は一方通行の体を空中に放り投げると、必殺の両拳を握り締めた!!

木原「木原神拳奥義! 木原 百 烈 拳!!」

一方通行に向けて放たれた両腕の剛拳は無数に増え続け!

その無数の剛拳を、一方通行の体に余すことなく叩きこむ!!

瞬間

木原「!!!」

ガシィッ!! と一方通行の両手が木原数多の剛拳を受け止めた

一方「op死pai」

―――
――
163 :第13巻 [sage saga]:2012/11/17(土) 17:26:18.89 ID:B40aSgmDO

〜とある鉄橋〜

土砂降りの雨の中、夜の鉄橋で意識を失い倒れたヴェント。

ふと、誰かに呼ばれているのに気づき、目を開けると

上条「!!! 大丈夫か!?」

『幻想殺し』上条当麻。

ヴェント「なっ……テメェ!!」

ヴェントが吼えると、すぐさま右手に巨大なハンマーを……呼び出せない

ヴェント(しまった! コイツの右手)

ゴホッゴホッ、と咳き込むヴェント。それを見た上条は右手でヴェントのおでこに触れると…

上条「…肺炎…か、すぐに病院へ!」

ヴェント「!!! ふざけんな! 病院なん…ゲホッゲホッ!」

上条「我が儘言ってんじゃねえ! お前がなってる肺炎は、風邪とは違って自然には治らねえんだぞ!」

ヴェント「弟を見殺しにした科学に助けられるくらいなら死んだほうがマシよ!」

上条「!!!」

ヴェント「私の弟は科学に殺された! 遊園地のアトラクションが誤作動を起こしたおかげで、科学的には絶対に問題ないって言われてたのに!!」

ヴェント「そして病院は弟を助けなかった。私達の血はかなり珍しいから、一人分しか輸血を用意できなかったって! だからどちらか片方しか救えないって!」

ヴェント「たった10歳にも満たない子供が、目の前に傷ついた肉親がいて! ソンナ状態で決断しろと言われたら誰でも首を縦に振ってしまうでしょ!!」

ヴェント「なんで私を助けた……血が足りなければ弟の方に回せば良かったのよ! 何なら私の血も使ってしまえば良かったんだ!!」


上条「……」
164 :第13巻 [sage saga]:2012/11/17(土) 17:27:16.84 ID:B40aSgmDO

〜とある鉄橋〜

上条「……、ふざけんじゃねえ」ギリ

土砂降りの雨の中、上条はヴェントの顔を正面に見据えて、告げる

上条「お前の弟がどんな人間かは知らない。でも、そいつは誰にもできない世界で一番凄い事をしたんだ! そこに泥を塗るのだけは絶対に許さねえ!!!」

上条は右の掌をヴェントに見せると

ヴェント(体が…動かない!)

上条「今から本物の弟に会わせてやるよ。そして世界一の弟に説教されてこい!!」

上条が右の掌を握り締めると、ヴェントの体から力が抜け、深い眠りへと落ちた

姫神「……当麻君。この子に。『夢幻』を使ってあげたんだね」

上条「ああ。けど、目が覚めた後にどうするかはコイツ次第だけどな」

上条は、ヴェントを両腕で抱きかかえると

上条「悪い秋紗、コイツを病院に運んでやってくれないか?」

姫神「……うん。任せて」

姫神は二つ返事で頷くと、ヴェントを背中に背負い、上条に告げる

姫神「当麻君。気をつけてね」

上条「おう!」

上条は微笑みながら姫神の頭を優しく撫でると、再び爆心地へ向かい走りだした。

そして頭を撫でられ、はにかんだ顔を戻すと姫神も病院へ向けて歩き出す。


ヴェント「……ね」


姫神の背中で夢を見るヴェント……

その目には……


ヴェント「……ごめ…んね」
165 :第13巻 [sage saga]:2012/11/17(土) 17:28:25.42 ID:B40aSgmDO

〜とある爆心地〜

木原に殴り飛ばされ、一方通行の体が地面に転がる

木原「どうした小僧。その翼は見かけ倒しか?」

一方通行は胸倉を掴まれ、地面から引きずり起こされる

一方「mgdk殺gkbr!!」

ドォッ!! と、黒色の翼が爆発的に噴射する。

掌から噴き出した、説明不能の不可視の力が木原のへ襲い掛かった!

彼の手が一方通行の頭から離れ、恐るべき速度で瓦礫の山に突っ込んだ

一方「mik殺oto殺wat殺hit殺tpai!!!」

一方通行は両手の掌を交互に突き出し、不可視の力を木原が吹き飛んだ場所へ放ち続ける

音速の数十倍の速度で幾度となく放たれる不可視の力は。あまりの速度に、プラズマ化したオレンジ色の残像が尾を引いていく。

しかし…

木原「響かん、響かんぞ小僧ォォォ!!」

ズドン!! という轟音が響いた

それは、拳王 木原数多が一歩、また一歩と、一方通行に向かい大地を踏む音だった

一方「op殺pa殺io殺pp殺ai殺op殺pa殺ii!!」

一方通行の激しい猛攻により、木原の全身は既に鮮血にまみれ、所々から血が噴き出していたが

木原「ゴオオオオオ!!」

最早、拳王の進軍は止められない

木原は両手の拳を握り、ゴキリと間接を鳴らす。

鋼鉄のように拳を握り締めると、数メートルに迫った距離を一瞬で0にし…


木原「天に滅せい、一方通行ァァァ!!」

一方通行の顔の真ん中へと容赦なく剛拳を叩き込んだ!!
166 :第13巻 [sage saga]:2012/11/17(土) 17:29:33.45 ID:B40aSgmDO

〜とある爆心地〜

土砂降りの雨が更に強まった学園都市

爆心地に辿りついた上条が目にしたのは

数十メートル先でコチラを睨む、拳王 木原数多。

爆心地の中央で巨大な翼を生やした風斬氷華。

そして雨に濡れた大地にしずむ、一方通行の姿だった

木原「この瞬間を待ちわびたぞ、上条当麻よ」

上条「……」

木原「さあ、神をも殺す力とやらを、この拳王に見せてみよ!!!」

┣"ゴォン!! と、もの凄い轟音が響いた。

木原「むうぅおお!!」

それは、さきほど一方通行がずらした自転が元に戻った音だった

神浄「そっか…、そんなつまんねえ理由で一方通行を苦しめたのか…」

そして、大地が震えは激しさを増し、それに呼応するように上条の体から幻想力が溢れ出す!!

神上「そして、風斬をこんな風にしたのもテメェだったよなぁぁ!!!」

木原「ぬうぅぅ! 食らえ、木原神拳奥義! 数多奔烈!!」

木原は両腕に闘気を限界まで込め、最強の奥義を神上へ向かい放つ!!

木原「………な…にが」

しかし…その両腕からは最強の奥義が放たれる事は無かった

神上「幻想神技…『無想幻生』……テメェの力は全て、『無力』と化す」

木原「ぬぅぅお…おぉおおおおおお!!!」

木原は右拳を硬く硬く握り締め、神上へ向かいその剛拳を放つ!

木原「死ねェ小僧ォォ!」

その剛拳を神上の顔へ叩き込むと! ぽふ、と全く力の無い音が鳴った
167 :第13巻 [sage saga]:2012/11/17(土) 17:30:27.13 ID:B40aSgmDO

〜とある爆心地〜

木原「何故だ…何故、我が剛腕に力が入らんのだ」

神上「もう、お前の幻想は終わっちまったんだよ」

木原「!!!」

神上「一回死んで…また生まれ変わってこい」ニコ


神上「…其牙無ノ幻殺」

パァン!! と何かが破裂したような音が辺りに鳴り響いた時には、既に神上の右拳が木原数多の体を貫いた後だった



そして、その右拳に触れられた時には…もう


木原数多の存在は、この世から消滅していた……


神上「……」


神上はその場で眼を瞑ると、精神を集中…

神上「神薬伍勧出…巫杯ヲ幻殺」ボソ

そして謎の言葉を呟き、左手を天高く掲げると。

一枚のタロットカードが、空から舞い降りてきた

上条「……。俺の中で生きろ、木原数多」

上条は、タロットカードが顔の辺りまで降りてきた所で、左手を伸ばして掴む

するとカードから光が溢れ出し、彼の全身を優しく包み込むと…やがて光は消えていった。


【愚者】木原数多

Lv99 NEXT EXP 0

属性 物 火氷雷風光闇
耐性 耐 耐耐耐耐弱弱

力99
魔99
耐99
速99
運 5

―――――――――――
木原百烈拳| 木原剛掌波
チャージ | タルンダ
武道の心得| 不屈の闘志
数多奔烈 | 不動心
―――――――――――
168 :第13巻 [sage saga]:2012/11/17(土) 17:31:28.28 ID:B40aSgmDO

〜とある爆心地〜

上条は風斬氷華に視線を向けたが

上条「……、まだか」

反応は無かった。彼女の様子に変化はない。

何だか虚ろな目で、背中に巨大な翼をいっぱい生やしている。

翼の輪郭は時間が経つにつれて少しずつ曖昧になり、比較的短い翼は、ほとんど形状を失いつつある。

上条(どうやら、インデックス達の方も上手くいってるみたいだな)

その時、

ゴン!! と。コンクリートの山が砕け、上条の視界が灰色の粉塵で覆われた

上条「!?」

上条は目を庇うように手を当てて、思わず後ろへ下がった

『失礼』

『この子を助けてもらった礼を言おうと思ってな』

上条「誰だ!!」

アックア「気分爽快 弾ける青色『後方』のスプラッシュアックア。この子…ヴェントと同じく『神の右席』の一人である」

上条「つまり保護者ってことだな。そいつ肺炎にかかってんだ、無理に動かさねえ方がいいぞ」

アックア「ふ、心配しなくても良い。今までヴェントを苦しめていた、肺炎になる魔術は既に効果を失った。時期に治るのである」

上条「そっか。別に礼なんていいからさ、早くソイツを布団で寝かせてやってくれ」ニコ

アックア「ふん。一つだけ、貴様に教えてやる」


アックア「……、超電磁砲の二期が、決定した」ドヤッ

ダン!! という地面を蹴る凄まじい音が聞こえた

上条が瞬きした時には、もうアックアとヴェントはどこにもいなかった。
169 :第13巻 [sage saga]:2012/11/17(土) 17:32:25.68 ID:B40aSgmDO

〜とある爆心地〜

上条当麻は大天使の方を見た。

インデックスの処置が終わったのか、風斬の背中に接続されていた何十本もの翼が完全に消え去った

上条「やった……。インデックスと美琴のヤツ、ちゃんとやりやがった!!」

そして風斬が地面に崩れ落ちそうな所を、両腕で抱きしめ受け止める。

上条「良かった……無事だったか」

風斬「だめ…良かったなんて、思えないです……」

ガタガタと震えながら、風斬の唇が動く

風斬「せっかくあの子に『友達』って言ってもらって、それで少しは人間らしくなれたと思ったのに。あんな羽が生えて、凶暴な火花を散らして、みんな叩き壊して! もう嫌なんです。私を殴って全部終わりにして下さい!!」

上条「悪いな、お前の申し出は受けられない。自分の『友達』を消しちまうぐらいなら、こんな役立たずの右手なんてここでぶった切った方がマシだ」ニコ

その言葉に風斬は目を見開き、顔を上げた。

友達、そう言われた事に

風斬「…………」

スフィンクス「友達…へへ」///


      ___
     / __⌒ヽ
     / // \」」
    / //
    | ))
    \  \/\
    i⌒\  ヽ|
    | ノ\_ く_
    (_)  (   )
      ∴\|\|
        _;∴
      _= ̄`;
    / ̄ _≡:;
   /  ―ニ ̄"'.
   /  /)
  /  _ \
  | /\ \
  | /  ヽ |
 / ノ   | |
/ /   ( ヽ
ヽ_〉     ̄ ̄

第13巻

〜完〜
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/11/17(土) 17:36:21.40 ID:fuIPerxB0
スフィンクスまじうぜえw
美琴の携帯ネタまだ生きてたのかww
一通さんの小文字はとにかくおっぱい
171 :>>1です :2012/11/17(土) 17:37:29.41 ID:B40aSgmDO
これで第13巻の投下は終了です

ここまで見て頂き、本当にありがとうございました



次に書く話は、14巻ではなくSS1とステイルSSになります

投下は出来次第投下させて頂きます
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/17(土) 18:32:11.33 ID:BalhFp3e0
一方さんおっぱいおっぱい言ってるけど途中で震えててワロタwwww
そしてスフィンクスオチの安定感wwww
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/17(土) 18:59:40.95 ID:DjQ+bHuIO
さりげなく美琴はちっぱい発言する一方さん
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/17(土) 20:11:25.25 ID:SQSkwzMp0
つっこみが追い付かない
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/17(土) 22:44:35.31 ID:vgciDn7DO
もう「パネェっす!>>1さん」でいいよwwww
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/18(日) 01:32:47.07 ID:dw1t2CjDO
一方通行wwwwwwww
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/18(日) 05:54:31.04 ID:4SVdEuHn0
>>1おつ
これだけ言いたい
上条さんマジパネェっす
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/18(日) 23:17:57.24 ID:4N3LlyQA0
野暮なツッコミだけど、役不足の使い方が間違ってるよ。
ほかに適当な言葉が思いつかないからやむを得ず使ったなら、力不足を進呈します
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage saga]:2012/11/18(日) 23:21:24.94 ID:W2S5peeuo
>>178
合ってね?
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/18(日) 23:28:02.82 ID:Giind0H6o
『役不足』→力量のある人物に対し、とるに足りない役や仕事が割り振られた状態
『役者不足』→重要な役や仕事が、力量の不足した人物に割り振られた状態

らしいよ
181 :>>1です [saga]:2012/11/19(月) 10:27:42.57 ID:V+++wCHDO

>>178-180さんの書き込みを見た後……。

>>1です「……oh」

一方「役不足ゥ」ボソ

>>1です「!!!」ビクッ

一方「……」

>>1です「……」


一方「間違ってンじゃねェよバァァァァカ!!」

>>1です「う…ぬ、がぁあああああぁあ!!!」 


一方通行による言葉のアームロックが完全に決まった。

その言葉は、>>1ですを精神崩壊の一歩手前まで追い詰める!

一方「アハギャハ! 役不足役不足ゥ、貴様では役不足ゥゥゥ!!」

>>1です「(心が)い、痛いィィ!お、折れるぅ〜〜」


『あ、やめて一方お兄ちゃん』

一方「!!!」


>>1ですの前に一人の救世主が現れた!!


円周「……それ以上、いけないよ」

>>1です「……え、円周…ちゃん! 木原円周ちゃん、木原円周ちゃんだ! 本物の木原円周ちゃんだ! 木原としては及第点とは言えないけど、可愛さでは100点満点の木原円周ちゃんだ!!」

少女の瞳の中でグラフが蠢く。

円周「うーん。こんな時は乱数おじちゃん、混晶お姉ちゃん……。だめだめ、違う違う。そう、そうじゃない。ええと、ええと、うん、病理おばさん!!」


円周「……1話1話に誤字、脱字が多すぎですねえ。いっそSS書くのやめたらどうですかね?」ニコ


>>1です「ハイ……スイマセン」
182 :>>1です [sage]:2012/11/19(月) 10:30:45.20 ID:V+++wCHDO
いや、もう本当に申し訳ございませんでした

恥ずかしいので穴掘ってきます
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/11/19(月) 10:50:28.76 ID:uVAQ3xGAO

こんなとこでも笑わせてくれるなんて>>1さんマジパネェっす!この役不足!(褒め言葉)
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/19(月) 17:01:15.77 ID:6t7SbEfQ0
そもそも役不足って意味からして誉め言葉だよな。
この役不足!
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/11/19(月) 18:16:42.92 ID:DDmSlpvko
褒め言葉ではあるがこの場で使うと同時に>>1が書いたSSを下げることになるぞww
186 :>>1です :2012/11/20(火) 21:17:34.04 ID:iiDX0EbDO
今から第SS巻を投下します

誤字、脱字はあまり気にせずお楽しみ下さい
187 :第SS巻 [sage saga]:2012/11/20(火) 21:18:16.01 ID:iiDX0EbDO

〜黄泉川家〜

早朝、目を覚ました黄泉川がリビングへ移動すると

黄泉川「ん?」

一方通行がソファーに座り、何かの雑誌を見ながら頭を抱えていた。

良く見るとテーブルにも色んな雑誌が散らばっている

一方「……はァ」

黄泉川「こんな朝早くに何見てんじゃん?」

一方「あ〜求人雑誌ィ」

黄泉川「? Level5が求人雑誌って…一体どうしたじゃんよ」

一方「この前、めちゃくちゃ暴れてビルとか色々壊したら。いつの間にか借金8兆円だとよォ」

黄泉川「ふ〜ん」

黄泉川はテーブルにある求人雑誌を適当に一つを取り、パラパラと適当にめくる

一方「少しずつでも返してかねェと、恐いお兄さンが取り立てに来るってテレビでやってたしなァ…稼げるバイト探してたワケよ」

黄泉川「……お、ならこれなんてどうじゃん?」

一方「?」

黄泉川が開いた求人ページを覗いて見ると…そこには

『貴方もグループでお仕事しませんか? 主な作業内容は簡単なボランティア活動です。初めての方でも頼りになる先輩方が優しくサポートしてくれますよ。 Level4〜5は即日採用!来たれ、若人!!』


一方「パネェ、週休5日で時給一千万……昼に電話してみるか」
188 :第SS巻 [sage saga]:2012/11/20(火) 21:19:11.83 ID:iiDX0EbDO

〜上条家〜

早朝

上条当麻は台所で呻き声を上げていた

上条「……うーむ。どうすっかな〜」

賞味期限が本日10時ジャストのちくわが一本だけ余ってしまったのだ。

ちなみに、同居人のインデックスは早寝早起きが信条なのか、この時間だけはシャッキリと背筋を伸ばし、床に膝をついて、両手を組んで静かに朝のお祈りなどを行っている

禁書「……」

スフィンクス「へへ」

台所スペースに三毛猫が突撃してきた

上条「? ちくわ食べたいのか?」

へへ、それより俺のちくわ…どうっすか!! と三毛猫が大きな声で叫ぶ

嬉しさMAXという感じでちくわ? をピンと立てている愛玩動物に下段の幻想殺しを食らわせると、上条はちくわを一本丸ごと押し付ける。

三毛猫はちくわの真ん中辺りをがぶりとくわえると、まるで犬が骨を貰ったような格好で、お祈りしているインデックスの下へ走り去ってしまった。

スフィンクス「へへ、姉さん姉さん! 二本、ちくわが二本!!」ヒソヒソ

禁書「……」

スフィンクス「姉さぁん!姉さぁぁぁん!! どっちのちくわにするぅ? 俺的にはこっちのち」

インデックスは、右手で三毛猫の頭を鷲掴みすると、頭蓋骨が嫌な音を立てるほどの握力で圧迫。

そのまま頭を床に何度も何度も叩きつけ、ベランダまで引きずると、7階の高さから勢いよく放り投げた

禁書「とうま、お腹へった。朝ごはんは?」グ-

上条「もう、用意出来てるよ。早く食おうぜ」ニコ

スフィンクス「へへ」ニコ
189 :第SS巻 [sage saga]:2012/11/20(火) 21:20:18.93 ID:iiDX0EbDO

〜とある高校〜

そんなこんなでお昼休み

いただきます、をした所で、ポケットの中の携帯電話がぶるぶると震えた

上条「ったく『我が儘言わない。弁当は美琴が高校に入ってから!!』っと」

姫神「? 当麻君。お弁当。一緒していい?」

上条「おう、いいぞ」ポチ

上条がメールを送信して、携帯電話をポケットにしまうと。姫神はその辺にあった椅子をずずずと引きずってきた

姫神「今日も。当麻君のお弁当。美味しそう」

それを聞いた上条は、少し考えて

上条「じゃあ、お互いの弁当を交換してみるか?」

姫神「…うん。いいよ」///

やや口元が緩んだ姫神が、自分のお弁当を上条に差し出した……その時!

『いただき〜』サッ

姫神「あ……」

青ピ「ざまみろ上やん。姫神ちゃんの弁当は僕が頂きました〜」アハハ-

上条「なあ、青髪……モノを食べる時はさ。誰にも邪魔されず、自由で…なんというか、救われなきゃ駄目なんだ…」

上条「このままじゃ、秋紗が食べる飯がマズくなっちまうだろ? 大人しく、その弁当を返してくれないか?」ニコ

青ピ「う、うっさいわリア充! この弁当は絶対渡さへんで!!」

青髪は、弁当片手に教室から走り去って行った

上条は溜め息をついてゆっくりと席を立つと、涙目の姫神に笑顔で告げる

上条「待ってろ。一分で戻ってくるからな」ナデナデ

姫神「うん。止めない」ニコ


この後、上条に捕まった青髪の悲鳴が学校中に響き渡った
190 :第SS巻 [sage saga]:2012/11/20(火) 21:21:46.76 ID:iiDX0EbDO

〜とある路地〜

結標淡希は暗い路地の中を歩いていた。

空気の流れは滞り、ゴミや埃の匂いも沈殿しているようだ。路地にはATMの残骸や歯の折れた鋸、砕けた木材などのゴミが転がっていた

結標「あら? 集合場所に誰もいない。グループでボランティアって内容で求人に書いてあったのに…余程人手が足りないのかしら」

結締は、持参した愛用の手袋をポケットから出して両手にはめる。そして燃える、燃えないゴミ袋の両方をひろげると、戦闘準備は完了した!!

結標「大体、私は仕事初日の新人なのよ。なのに先輩が一人も出勤してないなんて。なにがグループよ、全く!」プンプン

まあ、いない人の事を考えてても仕方ない。とりあえずは近場の燃えるゴミを片付ける! ボランティア少女結標は、そう心にキメた……。



だが彼女は、この後すぐにゴリラのような大男とスキルアウト複数人に襲われる事となる


―――
――
191 :第SS巻 [sage saga]:2012/11/20(火) 21:22:39.17 ID:iiDX0EbDO

〜とある路地裏〜

一方通行は助手席のドアを開けると現代的なデザインの杖を地面について、やや薄汚れた路上へ靴をつける。

後ろから声が聞こえた

『指示通り、20分後に回収に来ますんで』

一方「任せろ、路地裏のゴミ共を残さず綺麗に掃除してやンよォ!!」

一方通行は振り返らずに、小さく笑ってそう答えた。背後から収集車が走り去る。そちらを無視して、彼は路地の入り口に立つと

一方(警備ロボット対策か、こンなンぶっ刺してたらロボットがお掃除出来ねェだろォが!)

入り口から1メートル奥の路面までびっしり刺さってあった無数の鉄杭は、地面を蹴って、ベクトル操作で一気に引っこ抜いた

一方「さて」

行くか、と思った所で携帯電話が鳴った。

一方「センパイか」ピッ

土御門『そろそろ初陣だと思ってな。仕事を始める前に、お前に忠告しておく事がある』

一方「内容は何だよ、センパイ」

土御門『オレ達の事を信じるな』

土御門『オレにしてもお前にしても、「グループ」のメンバーは存在が表に出ただけで問題になるような連中ばかりだ。そういう人間を選んで作られた「グループ」に抜け穴はないぞ』

一方(簡単には辞めれねェってことか?)

一方「用件はそれだけか」

土御門『そうだな、それだけだ。早い所終わらせて帰って来い。結標の方も、そろそろ仕事始めてるだろうしな』

一方「ハァ?」

いやーー!! と。

細い細い路地の向こうから、甲高い声が響き渡ってきた
192 :第SS巻 [sage saga]:2012/11/20(火) 21:23:46.78 ID:iiDX0EbDO

〜とある裏路地〜

狭い路地の袋小路に追い込まれた結標淡希。彼女の前方10メートルの位置に、ゴリラのような大男が立っていた

だが、結標を取り囲んでいたスキルアウトの面々は、なぜかいなくなっている

駒場「座標移動か……。厄介な力だ」

結標「ややや厄介程度で収まるとおお思う」ガタガタ

駒場「ああ、まぁ……そうだな。だが、厄介以上に……愛らしい///」ハァ ハァ

無能力集団スキルアウトとしての特製か、駒場の言葉に暗い感情が混ざる!!

結標「ひぃぃ!!」ゾワ

結標は右手に持つ懐中電灯を振って、護身用に持っていたコルク抜きに命令を飛ばす

コルク抜きは空間を渡り、駒場利徳の右足へと

刺さらなかった

駒場「……遅いぞ」スッ

結標「!!!」ビク

平淡な声と共に、結標淡希の下腹部、お尻に何かが触れた。あのゴリラに触られたのだと、涙目の結標は揺らぐ意識でそう思う。

結標「こ、の…変態!!」

彼女は振り向きざまに軽自動車を呼び出し、駒場の立っている位置へ叩き込む

しかし駒場はそこにはいなかった

駒場「その尻…たまらんな…能力者」ハァ ハァ

その場から真上に7メートルほど跳躍していたからだ!!

彼は懐からスプレー缶のような物を取り出すと、それを鞭のような蹴りで空中に弾き飛ばした

結標「!?」

駒場「『攪乱の羽』、電波攪乱兵器の一種だ」

たん、と駒場は地面に着地した

駒場「さあ、早急に始めようか」ハァ ハァ
193 :第SS巻 [sage saga]:2012/11/20(火) 21:24:53.47 ID:iiDX0EbDO

〜とある路地裏〜

結標「い、いやぁぁ!……こないで!!!」

結標は右手に持つ懐中電灯を振り回し、ごみ箱や鉄屑などを空間移動

結標「!?」

駒場は自分の人差し指で、首筋をトントンと叩くと

駒場「その電極。大方、能力の補助装置のためなんだろう?」

にやりと笑みを浮かべた

駒場「ふ…その体を見てると俺の下半身の『発条包帯』がはち切れそうだぞ能力者」ハァ ハァ

ダン!! という轟音が響く。

駒場は音速の速さで移動すると、結標の体を片手で掴み、行き止まりの壁に磔にした。

結標「ぐぅッッ!!」

駒場「……刮目せよ、これが発条包帯により封印されし演算銃器!!」カチャカチャ

結標(…やだぁ、怖いよ…助けて、当麻君!!)

駒場の魔手は、もうあと一歩の所まで迫っている!

顔を俯け、目に涙を浮かべながらも。彼女は一人の少年の顔を思い浮かべる

どんな時でも、上条当麻は必ず助けにきてくれる。そう信じて祈り続けた


その時、奇跡は起きた

『ベェェクトルスロォォォォ!!!』

突如、音速を越える速度で拳銃が飛来し、ガァン!! と、駒場の後頭部に直撃した

駒場「ご……あ」

駒場の体から力が抜けていき地面に膝をつけると、やがて意識を失い地面に倒れた

拘束が解けた結標は腰が抜け、その場に座り込む


彼女が見た視線の先には……
194 :第SS巻 [sage saga]:2012/11/20(火) 21:25:54.13 ID:iiDX0EbDO

〜とある路地裏〜

一方「ったく。汚ェ下半身に『発条包帯』巻いてンじゃねェよ。発情すンなら動物園の嫁にしろやクソゴリラァァァ!!!」

100メートルほど先の路地から。こちらへ近づいてくる 白く、白い少年

結標「あ…あ……」

あの顔には見覚えがある

とある夜に、意味不明な事をぶつぶつ言いながら突然襲いかかってきて、ローアングルから下着を覗き、感謝のお礼を言った後に結標の顔面に握りこぶしを突き刺したあの白い変態だ

一方「ったく。なンだ、なンだよ、なンですかァ、その小っせェスマートウェポン! こンなの、スマート過ぎてウェポンがどこにあンのか分かンねェだろォが。上手い具合にチャフシードしてンじゃねェぞ!」

ドス、ドス! と駒場の演算銃器に、何度も何度も蹴りを食らわせ続ける

駒場「ひゅ、ひゅんっ!」

一方「クカカ、チェックメイトだよなァ! もう下半身の感覚ねェだろ?」

駒場は下半身の演算銃器を両手で抑え、疼くまる

一方「……こォなっても演算銃器から手を離さなかったのは褒めてやるよ。まァ、二度と使い物にはならねェがなァ」ニヤニヤ

駒場「ふ…ん。場違いな行動を取り続ければ、いずれこういう結末を招くとは分かっていた」プルプル

秋なのに冷や汗をかく駒場は、のろのろとした動きで演算銃器から発条包帯を取り、一方通行に銃口を突き付けた!

その顔に、迷いやためらいは……ない!!

駒場「手土産だ。この無様な光景を胸に刻!!」

ドン! と一方通行のベクトルキックが、既に死んでいる演算銃器に炸裂した


これで仕事は終わり…。

初陣は、滞りなく完了した
195 :第SS巻 [sage saga]:2012/11/20(火) 21:26:55.19 ID:iiDX0EbDO

〜必要悪の教会・女子寮〜

朝食にウーメボシを食べ、その酸っぱさにひっくり返ったアンジェレネ

今は、その手に生チョコの入ったチューブを持ち、トコトコ歩いていた


アンジェレネ「うう…まだ口の中が酸っぱいです。許すまじ、天草式!!」

完全に自業自得なアンジェレネがぶつぶつ言っていると玄関に人影が立っていた


その人物は



アンジェレネ「シスター・ルチア!!」


アンジェレネは涙を浮かべ駆け寄り、その胸に飛び込んだ!!


ルチア「……ただいま、アンジェレネ」ニコ



今、一人のシスターが


……宇宙から帰還した
196 :第SS巻 [sage saga]:2012/11/20(火) 21:27:54.09 ID:iiDX0EbDO

〜とある夜の路上〜

美鈴「あーあーあっ! アンタは確か上条くんだ上条くん」

上条が改めて酔っ払いを見てみれば、それは大覇星祭の時に出会った女性御坂美鈴だった

上条「ハァ…美鈴さん、こんな所で何やってるんですか」

一方、タクシーの運転手は『た、助かったーっ! やっと酔っ払いの保護者が出てきたか!!』という目でこちらを見ている

美鈴も美鈴で、ターゲットを運転手から上条に移そうとしているらしく、上半身だけ路上にはみ出ている格好から起き上がろうとしている

上条「…しょうがない」

上条は両腕で美鈴を抱きかかえると、運転手に一礼しタクシーを行かせた

美鈴「や〜だ〜上条くん。まさかお持ち帰り! 美琴ちゃんより美鈴さんがいーんだ〜この浮気者〜!」

上条「はいはい、美鈴さんの方が魅力的ですから。今から、俺の家にお持ち帰りしますよ」

美鈴「おっしゃーっ! 年下の坊やげっとーっ!」

美鈴は上条の首に手を回し思い切り抱きついた。

上条はフラフラとよろめきながらも、ゆっくりと帰路を歩き出す

美鈴「こーんな時間にぶらぶらしちゃってえ、美琴ちゃんはどうしたのよー? ぶはー」

上条「……酒臭い。美琴なら俺の家で待ってますよ。はいはい、いきなり暴れない暴れない」

美鈴「うほ〜包容力あるね〜上条くん。こりゃたまらんね〜」

上条「で、美鈴さんはどうして学園都市に?」

美鈴「それがさ〜レポートを書くために断崖大学の………」

この日、みすずは断崖大学のでーたべーすせんたーに行くことはなかったんだよ
197 :第SS巻 [sage saga]:2012/11/20(火) 21:29:52.02 ID:iiDX0EbDO

〜断崖大学〜

浜面仕上は苛立っていた

当初の計画では、暗闇に紛れて逃走車で施設に近づき、手製の焼夷ロケット砲を8発撃ち込んで逃げ…

浜面「いやいや、いないんだよね? この顔写真の女」

? はい、中に誰もいませんよ

浜面「え…なんで俺ここにいるの? 普通におかしくねえ? だからいないんだよ、ターゲット」


……、浜面は抵抗も虚しく警備員に捕まった


浜面「ちょ、まだ捕まってないから! 話し聞けって!!」

……チッ

一人虚しくお家でテレビゲームして、ガンコンでバンバン敵撃って『楽勝だLevel5(キリッ』ネタします?

浜面「へ?」

一応、お家でぶぉんぶぉん言いながらバイクゲームでドラゴンライダーネタもありますけど…

多分、ネタ的に寒いと思いますよ。自分で書いてて「あ、無いな」って思いますし

浜面「……」

…で? どうします? 言っておきますけど上のやつ高確率でボツります

浜面「捕まります」


禁書-SS巻

〜完〜
198 :>>1です :2012/11/20(火) 21:33:14.94 ID:iiDX0EbDO
ここまでで第SS巻は投下終了です


ここまで見て頂き、本当にありがとうございました


今回の最後の落ちは自分の力不足です。大変申し訳ございませんでした


次の投下は出来次第します
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/11/20(火) 21:38:56.74 ID:MZu0u+/50

この駒場さんはどう考えてもマイナスですw
そして美鈴さんがすげえかわいい。スフィンクスはくたばっとけww
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/20(火) 22:15:22.86 ID:yDcPfNtn0
ここまで駒場に殺意を抱いたのは初めてである
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/20(火) 22:28:33.69 ID:riGCcQrDO
スフィンクスがツボ過ぎるwwwwwwww
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/21(水) 03:05:06.17 ID:cvs4vxAIO
浜面そげぶ回避でこれからもただのチンピラA確定おめでとう!!
あとあわきんのお尻prpr触った駒場[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/24(土) 01:25:13.34 ID:3wFR7GOx0
そーいやweaponって単語にはマジでアレの意味もあるんだったな。
204 :>>1です :2012/11/27(火) 23:04:52.81 ID:bnIlX55DO
第14巻の出来た所まで投下します


ステイルSS…できませんでした…力量不足で、すみません
205 :第14巻 [sage saga]:2012/11/27(火) 23:05:33.08 ID:bnIlX55DO

〜聖ピエトロ広場〜

バチカンの聖ピエトロ広場にいた。広場は幅240メートルくらいの楕円形で、中心からやや外れた所に噴水がある。

神の右席の一人、テッラはその噴水の縁に腰を掛け、安物の赤ワインを右手に頭上の星空を見上げていた

すると背後から低い男の声が聞こえた

アックア「…また飲んでいるのか、テッラ」

テッラは噴水に腰を下ろしたまま、首だけをそちらへ向ける

教皇「パンに葡萄酒か、ミサの仕組みだな」

テッラ「……」

テッラは足元に視線を落とし、中身のなくなったボトルを左手に掴むと、ゆっくりと腰を上げた

瞬間!

ゴギン!! とアックアの頭に左手のボトルを叩きつけた

教皇「!? なにを!」

テッラ「あーあー! うるさいですねー。人が気分良く飲んでる時に……ヒック!」

テッラはローマ教皇の正面に立ち、右手に持つ赤ワインをドボドボと頭からかけた

テッラ「くっさいオヤジ二人が、高貴な私に話かけてんじゃないですねー!!」ヒック

教皇「……信徒の指導者として、派手な飲酒は控えてくれな」

ゴギン!! と、今度は右手に持っていたワインのボトルを教皇の頭に叩きつけた!

教皇「…っ、がぁ……ああああああ!」

テッラ「うるさいですねー! 私の場合は儀式として必要に迫られているだけだと何度も言ってますがねー!!!」

アックア「……」ギリッ!

彼の名は、『悪酔いの緑…左方でカピパンのテッラ』

神の右席の一人である
206 :第14巻 [sage saga]:2012/11/27(火) 23:06:41.03 ID:bnIlX55DO

〜とある高校・体育館裏〜

上条、吹寄、土御門、青髪ピアスは放課後に体育館裏の草むしりを命じられた

しかし現場にいるのは、草むしりを命令された4人の内、上条と吹寄しかいない。

上条「ったく、土御門と青髪ピアスめ……雲隠れしやがったな……」ブチッ ブチッ

吹寄「いないヤツのことを考えても仕方ないわよ。どうせ全部抜く前に完全下校時刻になって追い出されるだろうし。時間までまったりと草むしりやってればいいのよ」ブチッ ブチッ

上条「吹寄」

吹寄「何よ?」ブチッ ブチッ

上条「後は俺一人でやっとくからさ、お前はもう帰っていいぞ」ブチッ ブチッ

吹寄「?」

上条「ほら、お前は俺達を止めようとしてくれただけだしさ。先生には上手く言っとくから、暗くなる前に帰っとけ」

吹寄「……」

吹寄は、草むしりをしている上条の隣に屈み、肩と肩をくっつけた

上条「? 吹寄?」

吹寄「……一緒にした方が効率いいでしょ…ほら、続けるわよ///」ブチブチブチブチブチブチ


上条「……ありがとな、吹寄」ニコ

吹寄「……///」ブチッ ブチッ
207 :第14巻 [sage saga]:2012/11/27(火) 23:07:53.91 ID:bnIlX55DO

〜処刑(ロンドン)塔〜

処刑塔はイギリスの観光名所としても知らされている

かつては囚人達の末路として知られ、この門をくぐった者は生きて出る事はできないとまで言われた血と拷問と断頭刑の施設だった

ステイル「……、相変わらず、重苦しい空気だ」

すると、ステイルの隣を歩いている少女が声をかけてきた

アニェーゼ「あの、尋問対象あの二人という事ですけど……、しゃべると思ってんですか? あの神職貴族達が」

ステイル「ま、その辺も含めてイギリス流のやり方を見学させてあげようという訳だ。君の部隊一人一人にレクチャーするのも面倒だし、後の事はそちらに任せるけどさ」

軽口を叩くステイルは、一つの扉の前で立ち止まった。

ノックもせずに開けると、その先にあるのは3メートル四方の、とても狭い小部屋だった。

固定されたテーブルを挟んで床に直接ボルトで固定された椅子が二つずつ設置されている

向かって右側の椅子には、大きなクッションがついている。

対して、左側の椅子には肘掛けの部分にベルトや金具があり、人間の腕を固定できるように作られている

そして左側の二脚には二人の人間が拘束されていた

リドヴィア「……」

ビアージオ「……」

ステイルは面倒臭そうな調子で声を放ち、右側の椅子に座った

その時!!

ステイル「こちらが聞きたいこ」

ぶうっ!! とステイルから爆発音が響いた

アニェーゼ「!!!」

そう、ステイルは屁をこいたのだ!!
208 :第14巻 [sage saga]:2012/11/27(火) 23:08:46.84 ID:bnIlX55DO

ステイル「……」

リドヴィア「…」ニヤニヤ
ビアージオ「…」ニヤニヤ

アニェーゼ「ククク…これがイギリス流なんすか?」ニヤニヤ

ステイル「……立ってないで君も座れよ」

アニェーゼ「いやです」

ステイルは椅子から立ち上がると、アニェーゼの肩を強く掴んで強引に座らせようとする

アニェーゼも必死に抗うが、抵抗も虚しく……

アニェーゼ「ちょっ…やめ!」

ぶうう!! と着席したアニェーゼから爆発音が響いた!

そう、アニェーゼは(ry

アニェーゼ「……」///

復讐を果たしたステイルは、いまだニヤニヤ笑っているビアージオの頬に思い切り平手打ち

ビアージオ「痛ぁい!!」

リドヴィア「ゾーニン!!」

ステイルは煙草の煙りをうっすらと吐きながら、笑う。

ゾッとするほど酷薄に。

ステイル「僕達『必要悪の教会』をナメるなよ!」

バチンッバチンッ!! と非情なステイルの平手打ちがビアージオの頬を何度も叩く!

ビアージオ「ふええ、痛ぁい痛ぁいよぅリッちゃあん」

ビアージオが目に涙を浮かべているのを見たリドヴィアは…

リドヴィア「もう、止めて下さい! 神の右席のことなら話しますから!!」

暗い尋問室に、リドヴィアの言葉が響く。

アニェーゼは、興奮するステイルを抑え椅子に座らせると

ぶうう!!

自らも再び椅子に座って

ぶうう!!!

記録用の用皮紙を広げた
209 :第14巻 [sage saga]:2012/11/27(火) 23:09:57.17 ID:bnIlX55DO

〜とある児童公園〜

親船最中が腹を撃たれた

上条が気づくまで、数秒の時間が必要だった

土御門元春が撃った

そう気づくまでさらに、数秒の時間が必要だった

上条(つ、ち、みか、ど)

上条は倒れ込んだ親船から、ゆっくりと視線を移していく

土御門元春の顔に、変化はない。

神浄「土ぃ御ぃ門ォォおおおおおおおおおッ!!」

神浄はゆっくりとベンチから立ち上がり、土御門のシャツを掴み上げた

土御門(死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬけどしーーーーーなない!!!)

それでも変化がない事を知ると、神浄はほとんど反射的に拳を握り締め、




土御門「アハギャは! こいやァァああ!!!」




ナニカが壊れた土御門の顔面を思い切り殴り飛ばした


―――
――
210 :第14巻 [sage saga]:2012/11/27(火) 23:10:56.37 ID:bnIlX55DO

〜とあるフランスの橋〜

川に学生服を着た誰かが落ちた

天草式の五和は橋に荷物を置き、すぐさま川へ飛び込んだ

そして水中に沈んでいた人物を、水面に引きずり上げ意識を確認する

五和「だ、大丈夫ですか」

土御門「」

五和「意識が…大変、早く岸へ!!」


―――
――



川岸……というか底の浅い河原の方まで近づくと少年を砂の上に寝かせた

五和「えっと、こういう時は〜……」ハッ!

五和は気づいた。大量に水を飲み、意識を失って、呼吸をしていない少年を蘇生させるためにしなければいけないこと……それは


『人工呼吸』


五和(どうしよう、でも早く助けないと、けど初めてはあの人にああどうしようどうしようああああああああああ!!!)


ブンブン!! と物凄い速度で首を横に振った五和は、意を決して土御門の口元に顔を近づけ……


―――
――
211 :第14巻 [sage saga]:2012/11/27(火) 23:11:56.01 ID:bnIlX55DO

〜フランスの河原〜

五和「……?」

ドォン!! と、突然、近くの砂の上に何かが落下してきた

神浄「……」

五和「へ? 上条さん?」

上条「天草式の五和、だっけか。ここに金髪グラサンの学生服着たヤツが降って来なかったか?」

何か嫌なことを思い出したのか、五和は顔を俯けて目を逸らし、小さな声で…はい、と返答した

上条「本当か! で、土御門のヤツはどこにいるんだ? アイツには色々聞かなきゃいけないことがあるんだ」

五和「それが……あ…の、フラフラと! そう、フラフラと一人どこかへ歩いて行きました!!」

上条「…そっか。話は変わるけどさ。世界中のデモとか講義行動に、ローマ正教が関わってるらしいんだけど。五和は、なにか知らないか?」

五和「はい、それはローマ正教が扱う霊装が…」


五和(言えない…その人は河原を散歩していた白人のおじさんに人工呼吸されて、そのままお持ち帰りされたなんて…絶対に言えない!!)


―――
――
212 :第14巻 [sage saga]:2012/11/27(火) 23:13:02.80 ID:bnIlX55DO

〜ドローリコーヒー店内〜

上条は商品の乗ったトレイを受け取ると、先にテーブルを確保しておく。少し遅れて五和がやってきた

五和は最初にテーブルの上に自分のトレイを置いて、次に肩に引っかけていたバッグを足元へ置いた

五和「その、ツチミカドさんとは連絡ついたんですか?」

上条「いや」

上条はズボンから携帯電話を取り出して

上条「俺がぶっ飛ばしてそれっきり。どうも連絡つかないんだよな。一応、通話はできる状態だから、土御門の方が電話切ってるか、地上のアンテナから離れたトコにいるか……まぁ、あいつなら何が起きても大丈夫な気がするけど」

試しにもう一度かけてみるが…

????『オームッシュ、トレビアン! ムッシ』ハァ! ハァ!

ピッ!

圏外なのかコールする気配もない。

とりあえずサンドイッチでも食べながら五和と作戦会議だ。

上条「うわ、どうしよう。食べる前に手を拭いておきたかったんだけど…」

五和「!!! そっ、そそそそそれならですね、私が―――」///

五和が顔を赤くして足元のバッグを漁り始めたが、上条達のテーブルの横を通った女の店員さんが、ドン! と、ぶつかった

五和「あ、ごめんなさ」

浦上「……チッ」

女の店員さんはソーリーのフランス語的な言葉を短く告げると、上条の両手を自分が持つ紙ナプキンで丁寧に拭いて、早歩きでスタスタと去って行った

上条「そういやさっきの続きだけど、…って、あれ? どうした五和?」

五和「…イ.イイエ…ナンデモナイデス」
213 :第14巻 [sage saga]:2012/11/27(火) 23:14:24.95 ID:bnIlX55DO

〜アビニョン市街〜

教皇庁宮殿までの道のりは険しすぎた

上条達のいるアビニョン旧市街は全長4キロ程度の小さな街であるにも拘わらず、一向に目的地に辿り着けない。

道の幅はたったの3メートル前後、その道の左右には、高さ15メートル以上の集合住宅がそびえ立っている

五和「またですか……」

その細い道のあちこちが、人の波によって塞がれた

そして正面には、何百人、何千人の暴徒の群れが待っている

暴徒A『日本人だ!』
暴徒B『学園都市か!?』
暴徒C『あのツンツン頭、リア充やねん! ぶっ殺してもかまへん!!』

暴徒D『それは許せませんねー! 優先する。リア充を下位に、テッラを上位に!!』

大量の暴徒が雪崩のように上条に向かい襲いかかる

上条「ゲン!」

暴徒ABCD『ぐああああああ!!』

上条「コロ!!」

暴徒EFGH『ぎゃああああああ』

上条「そげ!!!」

暴徒lJKL『がぁああああああああ!!』

上条「ぶん!!!!」

暴徒MNOPQRSTUVWXY「なぁああああああああああああああああ!!!」


上条「……」


五和「凄い…右拳一つで…こんなに」///
214 :第14巻 [sage saga]:2012/11/27(火) 23:16:06.64 ID:bnIlX55DO

上条は考え、覚悟を決めた

目の前の人の山の流れに逆らって突破しない限り、教皇庁宮殿へは辿り着けない。

そして、どのみちそこへ行かなければ問題は解決しない。時間が長引けば長引くだけ、みんなが傷ついていくのだ!!

神浄「幻想奥義……」

神浄が弓なりに右腕を引くと、体から黒い波動(幻想力)が飛び出し、手の平の真ん中に凝縮していく

暴徒Z『ヤツは、テッラ兄さんと青髪兄さんの仇だ! リア充ツンツン頭を殺せぇぇ!!!』

暴徒×700『わああああああああああ』

正面にいた暴徒が一斉に動いたその時!!

神浄「幻想放射!!(イマジンブラスター)」

掛け声と共に右手を前に突き出し、凝縮した幻想力を全て解き放った

暴徒Z『ちっくしょおおおお!!』

暴徒×700『ちっくしょおおおお!!!』

放たれた力は、神浄のいる場所から扇形に数キロ先まで広がり、正面にいた暴徒の大群を全て吹き飛ばし、神浄の左右にあった建物や離れた教皇宮殿も全て破壊しつくすと…

神浄「よし!」

放出する手の平を、グッ! と握り、放出をやめた

上条「行くぞ、五和」

五和「え……?」

上条「背後の暴徒はまだ何百人も残ってんだ。アイツらが怖じけづいてる内に、さっさとC文書を壊さねえとキリがねえだろ」

五和が振り向くと、大規模な暴動の渦がゆっくりと迫ってきていた

五和はわずかに逡巡したが、やがて上条に向かって頷くと、二人は教皇宮殿へ向かい走り出した。

五和・浦上(上条さん……天草素敵)///
215 :第14巻 [sage saga]:2012/11/27(火) 23:17:15.26 ID:bnIlX55DO

〜教皇宮殿だった場所〜

上条「教皇宮殿が……くそっ! ローマ正教!!! アビニョンに住む人をなんだと思ってやがる!」ギリ

五和「上条さん」グス
浦上「優しくて天草カッコイイ」グス


『こーっこっ小麦粉。こーっこっ小麦粉!』


上条「!!! 誰だ!」

上条は声が聞こえた方へ振り向くと、緑色のエリマキトカゲが立っていた!

テッラ「私は『神の右席』の一人。癒しの緑、左方のクリーンテッラ」ニヤリ

五和「かm」
浦上「神の右席!」

上条「五和、浦上!お前達はC文書を探して破壊してくれ。コイツは、俺が」

浦上「一人じゃ危ないですよ、当麻さん。後は、五和に任せて、私達はイチャイチャしましょう!」

五和「ええっ!!」

上条「いや、アイツはお前達でどうにかなる相手じゃない。俺に任せてくれ」

テッラ「はーっはっ薄力粉! 言ってくれやがりますねー。異教のサルごときが」


テッラ「……優先する」


テッラ「幻想殺しを下位に、左方のテッラを上位に!!」

ゴキ、ゴキ と不気味な音が響かせながら、テッラの体が徐々に巨大化していき、体長が10メートルにまで膨れあがる

さらに

テッラ「きーききききききき強力粉ーーー!!!」

バン!! とテッラの背中から巨大な天使の翼が生えた!
216 :>>1です :2012/11/27(火) 23:20:25.64 ID:bnIlX55DO
もの凄い中途半端ですが投下終了です

ここまで見て頂き、本当にありがとうございました

明日か明後日までには14巻の最後までを投下します

ステイルSSは、本当にすみませんでした
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/27(火) 23:22:52.77 ID:KDNWyuuz0
テッラの笑い声クソワロタ
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/27(火) 23:26:41.44 ID:FYUWkszZo
ぶっ飛び感がいいな、おつ!
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/27(火) 23:38:05.72 ID:SM/v0w330

矛盾と理不尽の塊だよこの上条さんwwでも素敵。抱かれてもいい
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/11/28(水) 19:22:58.03 ID:KIBFhPhb0
乙です

浦上こぇー
221 :>>1です :2012/11/29(木) 20:49:56.84 ID:R6iZm4iDO
第14巻>>215の続きを投下させて頂きます

誤字、脱字はなるべく気にせずにお楽しみ下さい
222 :第14巻 [sage saga]:2012/11/29(木) 20:50:39.70 ID:R6iZm4iDO

――

テッラ「パンパカパーン粉! どうです、これが神上の力…貴様を越えた力だーーー!!!」

ダン!! と物凄い威力で地面を蹴り、数十メートルの高さまで飛び上がると、天使の羽を羽ばたかせてその場に留まる

テッラ「いきますよー!」

轟!! と、テッラは物凄い速度で垂直落下し、上条に向かい突撃してきた!

神浄「クッ!!! 幻想衝撃・イマジンインパクトォォ!!」

ド ゴン!! と神浄の右拳とテッラの体当たりがぶつかり合うと、近くにいた五和と浦上が数メートル吹き飛ばされる

ビキ!!

神浄「っっが、ぁああああ!!」

神浄の右拳からゴキ ベキ! と骨が折れる鈍い音がした

テッラ「私の今の小麦粉力は53万です。暴徒の大群に力を使い、疲弊したアナタなど敵ではないですねー!!」

神浄「!!!」

テッラは両手で神浄の体を掴み

テッラ「水溶きカタクリコーーー!!!」

轟!! と空高く放り投げた!!

テッラ「優先する! 人肉を下位に、小麦粉カッターを上位に!!」

掛け声と同時に両手を肩より高く上げると、手の平から10センチほどの白い円盤が大量に出現する

テッラ「パパウパウパウ小麦粉カッター!!」

ゴバッ!! と空気を裂きながら両手から放たれた無数の小麦粉の円盤が、放り投げられ落下中の神浄の体を切り刻んだ

神浄の全身は鮮血で染まり。

意識を失っているのか、そのまま頭から地面に落ちた
223 :第14巻 [sage saga]:2012/11/29(木) 20:51:36.38 ID:R6iZm4iDO

〜教皇庁宮殿だった場所〜

神浄とテッラとの衝突で放たれた衝撃波を受け、少しの間気絶していた五和

覚醒した後、意識が朦朧とする中で体を起こし、自分が何をしていたのかを考え

五和「……上…条さん、上条さんは!!」


『こちらですよお嬢さん』

五和は声がした方へ振り向くと空に浮き、羽を羽ばたかせるテッラと

五和「!!!……上…条さん」

そしてテッラの右手には、全身血まみれの上条が掴まれていた

テッラ「ショーはココからですよ…お嬢さん」ニヤリ

言うと、テッラは口を180度まで開き

五和「やめ!!!」

ゴキッ!!

グチャ、バギ、ぼりグチャグチャぼり!

グチャぼりグチャグチャグチャグチャグチャグチャ…


ごっくん
224 :第14巻 [sage saga]:2012/11/29(木) 20:52:37.07 ID:R6iZm4iDO

五和「あ」

五和「ッッあああああああああああああああ!!」

叫び声をあげ発狂した五和は、側にあった海軍用船上槍を掴み、雷のような速度で突撃すると、鋭い穂先をテッラの額にめがけ突き出す!!

テッラ「『無力』」

ギィン!! と、金属と金属がぶつかり合ったような高い音が辺りに響いた

かすり傷一つ付いていない

五和「あああああああああああああああ!!!」

しかし、今の五和にそんな事は関係ない

そして

浦上「殺す」ボソ

ドレスソードを片手に持ち、五和と共にテッラの体を切り付ける浦上にも…

ギギギギギギギ!! と鳴りやまない斬撃の音が響き続ける中

浦上「五和!!!」

浦上が叫び、五和に向けてアイコンタクトをすると

五和「はい!!!」

二人は別々の方向に着地した

テッラ「カーッカッカッ片栗粉。おやおや? もうおしまいですか」

チカッ、と

テッラの顔の横で、小さな光が瞬いた

浦上「んな訳ないでしょ」

五和「バラバラのバラの細切れになって、さっさと死んで下さい」

光の筋の正体は綱糸。

五和「七教七刃!!」
浦上「七教七刃!!」

ゴバッ!! と空気を裂きながら、テッラを囲むワイヤーが凄まじい速度で襲いかかる。

七方向と七方向。合わせて十四方向から同時に攻める極細の刃は、テッラの足首から心臓までありとあらゆる箇所を切断した
225 :第14巻 [sage saga]:2012/11/29(木) 20:53:33.25 ID:R6iZm4iDO

〜教皇庁宮殿だった場所〜

五和と浦上は教皇宮殿があった場所で瓦礫を退かしていると筒状の物が出てきた、古い羊皮紙でまとめられたそれは、通称『C文書』と呼ばれる巨大な霊装だった

五和「……」

浦上「……ッッ!!」

浦上は奥歯を噛み締め、C文書を上へ放り投げた

浦上「こんな物があったからぁぁ!!」

斬!! とドレスソードを横に一降りすると、C文書は粉々に砕け散り粉末状に形を失っていく

五和「……」ギリ

それは、あまりにあっけなかった


『おやおや…せっかくの霊装が。復活に時間をかけすぎましたねー』

五和・浦上「!!!」チャキ

二人は再び武器を構え、背後から感じる気配に体を向ける

聞き覚えのある声


『左方のテッラ』

テッラ「てーってっ天麩羅粉、てーってっ天麩羅粉。いや〜、残念でしたねー。私が神上になっていなければ、さきほどの技で即死だったのに〜。てーってっ天麩羅粉」ケラケラ


テッラ「『動くな』、異教の猿」

五和・浦上「!!!」ガクッ

五和と浦上の全身が石になったかのように動かない

テッラ「さて、異教の猿がいくつの懲罰を耐えれるのか楽しみですねー」ニヤニヤ


五和「ぐ…ぅぅ!!!」

浦上「う…くぅ!!!」

テッラ「まずは…けしからんその胸を…」ハァハァ


―――┣"ン!!―――
226 :第14巻 [sage saga]:2012/11/29(木) 20:54:49.44 ID:R6iZm4iDO

――

テッラ「は」

テッラの腹から人間の両手が飛び出した

『はぁあああああああ!!!!』

ドドドドドドドドドドドドドドド! と、強大な腹に次々と穴が開いていく

テッラ「蕎麦蕎麦粉! 蕎麦蕎麦蕎麦蕎麦蕎麦蕎麦粉ォォォォ!!」

そして、穴の一つから血まみれの両手が飛び出すと

『そげンコロムッコロス!!!』

テッラ「いぎゃああメリケン粉ーーーー!!!」

バリッ!! と、テッラの腹が真っ二つに裂かれ、中から黒い影が勢いよく飛び出した!

村人D「忽然! あれは何なのだ!!」

村人A「クックック、当然! アレは!!!」

村人E「フフフ、あれは!」

村人Y「上条当麻の弦!!」カシン!

村人S「初春、上条さん、上条さんだよ!!」

村人U「しかも真っ裸ですね、佐天さん!!」フンフン///

村人H「当麻君。私は生きてるって。信じてたよ」ニコ

村人I「おう、あいむはんぐりーなんだよ」グー

村猫S「へへ、涙で前が見えねえや」グス

村人K「え、と……ここは…何処ですの?」


スタッ、と華麗に着地した上条は、強大で壮大な敵を睨みつけ…


上条「さあ、終わらせてやるよ……お前の、そのふざけた幻想をな!!」キリッ


神すらも殺す、右の拳を見せるように突き出した!


浜面「パネェっす!上条さん」
227 :第14巻 [sage saga]:2012/11/29(木) 20:57:18.53 ID:R6iZm4iDO

〜教皇庁宮殿だった場所〜

テッラ「ちくしょーちくしょうちくしょうちくしょー!! 俺はテッラ様だぞ、宇宙最強のテッラだぞ〜たかがサイヤ…異教の猿ごときに負けるわけがないですねー!!」ワナワナ

ドオン!! 大地を蹴って遥か上空まで跳ね上がると、テッラは怒りに震えるその顔で地上を見下ろす

テッラ「残念でしたねサイヤ…異教の猿。貴様では、絶対に私に勝つことはできないですねー。そう『永遠』に」

上条「? なに…」

テッラは両手を掲げると

テッラ「圧縮、圧縮、世界中の小麦粉を圧縮ゥゥ!!」

何処からか飛来してきた白い粉が空を覆い隠す。それはテッラの頭上へ向かって集まっていき、一つの巨大な球体となっていく!

上条「!!! アイツ、地球をぶっ壊すつもりか!!」

村人I「とうまとうま、あれでお好み焼き作ってほしいかも!!」グゥー

上条「そうはさせねえぞ、テッラ!! 後、インデックス。ご飯はアイツを倒してからな」

上条はその右拳で時空間を叩き割ると、中から一本の大剣を引きずり出す

そして、両手で大剣を握りしめると

神浄「はあぁぁあ!!」

ダァン!! と、遥か上空にいるテッラに向かい、音速を超える速さで飛び上がった!!

村人I「いってらっしゃ〜い」テオフル

五和「上じ」
浦上「当麻さん…死なないで、私との…未来のために!」
228 :第14巻 [sage saga]:2012/11/29(木) 20:58:16.62 ID:R6iZm4iDO

〜アビニョン・上空〜

物凄い速度で向かってくる神浄を見下ろしながら、テッラは笑う

テッラ「太陽系の惑星、全てを吹き飛ばすほどの小麦粉は集まった」

テッラ「貴様の抵抗は無意味なのですがねー!!」

轟!! と、テッラの両腕が振り下ろされると、地球全体が震える音と共に、

直径数千キロの白い球体が地上へ向かい進みだした

それを見た神浄はニヤリと笑って、両手に持つ幻想剣を握りしめ、迫りくる白い球体に目掛け突き出した

神上「幻想神技」

そして幻想剣の切っ先に触れた瞬間!!

神上「最終幻想(FinalFantasy)!!!」

バキィィン! とガラスが割れたような音が世界中に響いた

テッラ「!? な、なにぃ、私の『ホワイトデスボール』が消えただとぉ!」

なんと、消えた小麦粉は一瞬の内に元の場所へ戻ったのだ!

神上「歯ぁ食いしばれ、神の右席、最弱(テッラ)」

神上「俺の最強は、ちっとばかし響くぞ!!」

ギギギギギギギン! と一瞬でテッラの体を切り刻むと

神上「まだまだぁぁ!」

バン! と幻想剣が弾け13本の剣へ姿を変えた!

12本の剣はテッラの体を取り囲み、

テッラ「ぎゃああぁぁぁぁ………   」

超高速の速さで細切れにした

そして、片手に持つ1本の剣に全幻想力を注ぎ込み、今、止めの一撃を放つ!

神上「ジ・エンドオブイマジン!!」

キ  ン…、と音が鳴った時、既にテッラの存在はこの世から消えていた
229 :第14巻 [sage saga]:2012/11/29(木) 20:59:23.83 ID:R6iZm4iDO

〜聖ピエトロ大聖堂〜

バチカン、聖ピエトロ大聖堂にペタ、ペタ、と足音が響く。

足音が、不意にピタリと止まった。

足音の主の前に、人影が現れたからだ。

アックア「テッラ」

テッラ「ああ。アックアですか……」ハァハァ

足音の主――左方のテッラは、目の前に現れた後方のアックアをジロリと睨みつけて短く言った。

アックア「あの攻撃を受けてよく無事だったな」

テッラ「……女共に細切れにされた時に、細胞の一つを隠していたのですよ」ハァハァ

アックア「? どうした、随分キツそうだな…テッラ」

テッラ「ええ『神の血』が不足してましてねー。早く補充しないと、この腕も再生できませんし」ハァハァ

アックア「……そうか」ニヤリ

テッラ「さあ、そこをどいつくださいアックア。私はいまから朝まで飲みまくるのですから」

アックア「その前に…一つだけやっておく事がある」

は?、という言葉をテッラは口に出せなかった

轟!! という凄まじい音と共に。

左方のテッラの体が、今度こそ本当に粉々に砕け散ったからだ


教皇「ざまあww」

アックアは絶命したテッラの上半身と下半身を両手で掴むと

アックア「グループ宅急便!」

一方「はァーい呼ンだかよ三下ァァァ!!」

アックア「これを冷凍保存して、この手紙と一緒に学園都市に直送するのである」

一方「任せろや三下ァァァ!!!」

―――
――
230 :第14巻 [sage saga]:2012/11/29(木) 21:00:38.86 ID:R6iZm4iDO

〜常盤台・女子寮〜

御坂美琴は携帯電話を手にしたまま硬直していた


冷や汗が全身から吹き出しているのが分かる

美琴「……」

「パネェっす!上条さん」第14巻のどこを見ても、自分が出ていないのだ

震える手を動かし、何とか携帯電話の電源を切って、繋がりの絶たれた電話をしばらく眺める。

体の震えが収まるまでじっとしていようと思ったのだが、いつまで経っても収まる様子はなかった。

それでも少しずつショック状態から脱してきた美琴は、今度こそ唇を動かす。

意図していないのに、不気味なぐらい掠れた声が自分の口から放たれるのが分かる

彼女が放ったのは、小さな声だ。


美琴「……もしかして、忘れ、られてた……?」


言葉に出してから、御坂美琴はその意味についてもう一度考えてみる


次の巻は、出番あるわよね?


第14巻

〜完〜
231 :>>1です :2012/11/29(木) 21:04:00.51 ID:R6iZm4iDO
これで第14巻投下終了です

ここまで見て頂き、本当にありがとうございました


今回は投下が遅れて大変申し訳ございませんでした。次の投下はなるべく早くできるよう努力します
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/29(木) 21:21:48.35 ID:dMA9/ELa0

テッラの声が大塚さんではなくバイキンマンになってしまったぞww
美琴はなんかマトモで安心した
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/29(木) 22:01:25.44 ID:rC8upuWu0

ほーちゅーに不満があるわけじゃないけど、フリーザ様を諦めきれない気持ちはよくわかる
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/29(木) 23:55:26.12 ID:19+C5GNn0


相変わらずぶっ飛んでるっすなぁ
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/11/30(金) 07:48:02.23 ID:vAY7XZff0
やべーな上条さん
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/01(土) 21:01:29.37 ID:x40fdDcq0
パネェ
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/01(土) 23:57:35.64 ID:mwgCkKC9o
パネェっす
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/02(日) 00:00:27.05 ID:x9zakIG80
>>237

あげんなよクソやろうパネェなこら
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/02(日) 00:07:15.67 ID:0zcWgmgAO
だが全裸である
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/02(日) 09:11:13.58 ID:iLxDrMlL0
次はいよいよレベル5第二位第四位の面々か
楽しみ
241 :>>1です :2012/12/03(月) 21:03:56.10 ID:4w8DAn/DO
またもや長くなりそうなので、今回は半々に分けさせて頂きます

では、第15巻を投下させて頂きます
242 :第15巻 [sage saga]:2012/12/03(月) 21:04:26.87 ID:4w8DAn/DO

〜とある部屋〜

海原光貴は第七学区にあるとある部屋の一室にいた

海原は携帯電話を使って土御門と話をしながら、調べ物をする

エツァリ「……とりあえず、『人材派遣』の部屋へ到着しました。今から捜索を始めます」

土御門『わずかでも可能性があるものなら、片っ端から回収しろ』

エツァリ「了解」

狭い室内を歩き、ベッドの下やお風呂場、机の上のパソコン等の匂いを嗅いでいく。目当てのブツの、めぼしい物だけを厳選しておいて頂戴するのだ

(まぁ、こんな所ですか)

あらかたチェックを終えた海原は、気になるものを見つけた

アタッシュケースだ

それ自体に不自然さはない…が、ズボンの中に隠してある黒曜石のナイフが告げているのだ

金星の光はそこにある

カシンカシン! …カチャ

エツァリ「…土御門さん。お子様ブランドのパンツとブラを5枚ほど発見しました。至急、御坂さんのベッドでアステカの儀式を開始しますので電話を切ります」

土御門『おいお前、今どこにいる。『人材派遣』の部屋にいるんじゃなかったのか!』

エツァリ「フフフ、どこにいるか、ですか? 当然、夢の国ですよ」

土御門『キサm!』

ピッ! と携帯電話の通話を断つ。土御門の声は、最後まで聞こえなかった

エツァリ「ふふふ。さて…まずは」カチャカチャ

下着を両手に持ち、御坂のベッドの上に座った海原は、アステカの儀式を行うために腰のベルトを外し…

エツァリ「!!!」

バタバタバタ! という複数の足音が入り口の方から響いてきた
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/03(月) 21:04:46.52 ID:9EV7dljS0
気にしないで全部投下すればいいのに
244 :第15巻 [sage saga]:2012/12/03(月) 21:07:12.57 ID:4w8DAn/DO

ガチャ

美琴「さ、適当に座って」

御坂妹「お邪魔します、とミサカは丁寧におじぎして入室します」ペコリ

10039号「お邪魔します、とミサカは更に深々とおじぎして入室します」ペッコリ

13577号「お邪魔します、とミサカはしゃなりしゃなりと舞妓さん風に入室します」シャナリシャナリ

19090号「あの…お邪魔します、とミサカもおじぎして入室します」モジモジ

御坂美琴と妹達が部屋に入ってきた。美琴の両手にはお菓子やジュースの入った袋がぶら下がっている

エツァリ(うっ……ふう。)

海原光貴はそれらの様子を眺めてため息を吐く。

彼はベッドの下に潜りこみ、観察していたのだ

右手にズボンの中にある黒曜石のナイフを掴みつつ

御坂「ちょ、なによコレ…。どうしてベッドの上に私の下着と歯ブラシがあんのよ…」

御坂妹「空き巣…ですか、とミサカはアサルトライフルを片手に警戒態勢に入ります」チャキ

19090号「しかも、普通の空き巣ではなく、お姉様が大好きな変態の犯行ですよね…コレ、とミサカは推理しますが怖いよぉ…」チャキ

10039号「ベッドが温かいですね…犯人はまだ近くにいるのでは、とミサカは自身の考えを皆に伝えます」

13577号「10039号の考えが正しければ隠れる場所は二つ…ですね、とミサカはお姉様のベッドに銃口を向けます」チャキ

エツァリ(おやおや、どうやら手詰まりのようですね)

海原光貴は黒曜石のナイフを握り直す。

いつの間にか、掌には汗がびっしょりとついていた

エツァリ(お……ふう。)
245 :第15巻 [sage saga]:2012/12/03(月) 21:08:48.41 ID:4w8DAn/DO

メタルギアスナッチ

Mission.1

親船最中への狙撃


〜とあるホテル〜

スナイパー、砂皿緻密。

彼がいるのはホテルの一室だ。チェックインはしておらず、電子ロックを勝手に解除して侵入した。

ピリリリ! ピリリリ!

砂皿「……こちらスナッチ」カチッ

キャンベル『無事、狙撃ポイントへ潜入できたようだなスナッチ』

砂皿「ああ、続けて磁力狙撃砲によるターゲットの狙撃を開始する」

キャンベル『……スナッチ。任務が終わったらお前に一杯奢ろう。行きつけの店に、旨いハイボールを出す店があるんだ』

砂皿「またか大佐…大佐が飲むと、いつも朝まで飲み続けるからな。付き合わされる身にもなってくれ」

キャンベル『ハッハッハ、スマンかったな……おっと、どうやら無駄話はここまでのようだ。死ぬなよ、スナッチ…メリルの為にな』

ピシュン、と通信が切れた後、砂皿は窓際の近くで磁力狙撃砲を装備。

砂皿「ん? この窓ガラス、邪魔だな」

砂皿は窓ガラスに向けて磁力狙撃砲を撃つと、パリィン!! と、ガラスが割れる音がした

ボーイ「誰だ!!」バタン

砂皿「しまった!!」

デッデッデデレ♪

ボーイ「怪しい侵入者がいたぞ! こっちだ!!」

デレレッデッデデレ♪

砂皿「くっ、早くレーショ…ぐわあああぁぁぁ!」

デッデッデデレ デッデッデ!

キャンベル『どうした! 返事をしろ! スナッチ! スナッチーー!!』

Game Over
246 :第15巻 [sage saga]:2012/12/03(月) 21:10:18.76 ID:4w8DAn/DO

〜とある車内〜

部下の運転手が回してきたキャンピングカーの中に、一方通行、土御門、結標の三人は乗り込んでいた。

時間は昼時。

一方「熱っ、ほふほふはは…白米うめェ!!!」

土御門「…なんでお前、炊飯器で飯食ってんの?」

一方「?…知らねェのか、オマエ。コレはなァ、いつでもどこでも暖かい飯が食える、学園都市最新のおべンとゥ箱だよォ。ちなみに今日の中身は、白米と辛口チキンのおべンとゥだよォ」ニッコォォォォォ

土御門「さいですか」

結標「ハンバーガーに、炊飯器でご飯…か、早死にするわね、貴方達」ヤレヤレ

土御門「にゃー? そういう結標は昼飯忘れたのかにゃー? 絶食ダイエットだったら体に毒だぜい」

結標「別に、ダイエットなんてしてないわよ?」

コンコン、とキャンピングカーのドアをノックする音がすると

ガチャ

上条「淡希〜ごめんな遅れて」

声が聞こえた瞬間、結標は自分の体を座標移動して、上条の胸元に飛び込んだ

結標「当麻君!! ううん、待ってない。全っ然待ってないから///」スリスリ

上条「これ、今日の弁当な。淡希のリクエスト通り、野菜多めにしといたぞ」

上条が右手に持つは紫色の布に包まれた四角い弁当箱、それを結標に手渡すと

上条「じゃあ、俺行くな。仕事頑張れよ、淡希」ニコ

結標「…うん。当麻君も今日からお仕事よね、頑張って」ギュッ


土御門「……」チラッ

一方「ほふ、ほっほふ、うンめ! この白米うンめェェ! フリカケ!フリカケェェェ!!」ガツガツガツ

土御門「……」モグモグ
247 :第15巻 [sage saga]:2012/12/03(月) 21:11:40.53 ID:4w8DAn/DO

〜第四学区・冷凍倉庫〜

『スクール』所属の超能力者・垣根帝督は第四学区にいた

垣根はステーションワゴンの後部扉を開け、その中身を確認する

運転手「……これが、『ピンセット』っすか……」

スクールの下部組織の一員である運転手が、呻くように呟いた

垣根は口元に笑みを浮かべ

垣根「やっべー『ピン』チで『切』羽つまった時でも細かいものが『取』れる機械の指。だから略して『ピンセット』なんだ」ニヤリ

運転手「パネェ…でも垣根さん、こんなものを強奪して、一体何をするつもりなんすか?」

垣根「何ってそりゃお前、そのまんまだよ」

運転手は訳が分からなそうな顔をしていたが、垣根は説明を追加しなかった

ステーションワゴンの荷台にあった工具箱を開けると、中からドライバーを取り出して、ピンセットを分解していく

運転手「こ、壊してしまうんすか?」

垣根「組み直すんだ」

ガチャガチャという音がしばらく続いた。

ピンセットはすぐに組み直され、金属製のグローブのようなものに変化する

人差し指と中指の二本にはガラスでできた長い爪のようなものがついていて、手の甲の部分には携帯電話のような小さいモニタがあった。


垣根はグローブを右手にはめて見せびらかす

垣根「どうよ…名付けて、『垣根ルシファーデスクロー』!!」ドヤァ

運転手「かっけぇ〜! 垣根さん、垣根ルシフ…フ…何かもうマジかっけぇっす!!」


心理(もう、帝督ったらおバカ可愛い)///
248 :第15巻 [sage saga]:2012/12/03(月) 21:12:54.29 ID:4w8DAn/DO

〜とある避暑地〜

馬場「ぶ、ぶひぃぃあの野郎……真っ先に死んでんじゃねえよ!!」

豚…馬場芳郎は舌打ちすると、撤収の準備に取り掛かった。

ここは第二二学区――地下数百メートルまで開発が進んだ地下市街にある、『避暑地』と呼ばれるVIP用の核シェルターだ。

馬場(じきにここも勘付かれるぶひぃ。その前にここを離れるしかねえ!!)

豚は死亡フラグを立てつつ、ノートパソコンを中心とした機材のいくつかをバッグへ詰め込み、ついでに避暑地内に保管されていた札束を掴んでから出口のエレベーターへ向かう

馬場「ぶひ?」カチ…カチカチ!

だが、ボタンを押しても反応はなかった

その時

馬場の耳に、ドドドドドドド、と妙な音が聞こえてきた

馬場「水…だと…ッ!?」

馬場は急いでバッグからノートパソコンを取り出して起動させるとネット会議用の通信回線に接続し、同じメンバーの仲間に連絡を取る

もう仲間はただ一人。博士が魔術師と呼んでいた少女しかいない!

ショチトル『ざまぁww』

閉じ込められた()

豚「馬場ったれが!!」

ぐるぐると想像の中だけで焦りを加速させていく馬…豚は、やがて抱えていたバッグを床に叩きつけ、髪の毛を両手で掻き毟り、動物のように絶叫した

馬場「ううぅぅんぶひぃぃぃぃぃぃ! こん、なの、どうすんのぉもぉぉぉぉぉぉ!!!!」ゴロンゴロン


―――
――


泡浮「さあ、帰りましょうか」クスクス

湾内「そうですね」クスクス
249 :第15巻 [sage saga]:2012/12/03(月) 21:14:06.01 ID:4w8DAn/DO

〜第10学区・少年院〜

佐久「……結標淡希。例の『座標移動』だな」

佐久は爆弾を吹き飛ばすために無線機を握り直し、ニヤリと笑う。

佐久「良いね、手間が省けた。人質も、取り引き相手も、全部整った。ここで直接交渉しようか。窓のないビルの案内人だったお前にな」

結標「? 窓のないビル? ああ、アレ・イ・スターさんの仕事場よね」

手塩「…まあ、そうだが」

結標「ちょっと待ってて」ピッピピ

結標は携帯を操作し誰かに電話をかけた

結標「もしもし、あ、どうも淡希です。え、お昼の見てたんですか! …ちょ、なにを言って! 彼とはまだそんな関係じゃないですよ!」プンプン

結標「もう、全く…あ、はい、あのアレさん少しお願いがありまして、『ブロック』の方々がアレさんと話したいって……はい…はい」

手塩(……、軽)

結標「……はい、本当ですか! はい、じゃあそう伝えておきますね。は〜い」ピッ

結標は携帯の通信を切り、スカートのポケットにしまう

手塩「……、で?」

結標「あわきんの頼みじゃ断れんな…家狭いから300人までならいいよ☆、ですって」

手塩「……、軽」
佐久「……、軽」
250 :第15巻 [sage saga]:2012/12/03(月) 21:15:07.04 ID:4w8DAn/DO
メタルギアスナッチ2

Mission.2

アイテム戦闘員への狙撃


〜とある高層ビル〜

スナイパー、砂皿緻密。

今、彼がいるのは空き部屋の一室。

ピリリリ! ピリリリ!

砂皿「オタコン、ターゲットを発見した」カチッ

オタコン『やったね。でも、気をつけてくれ。彼女達はアイテム、一人一人が超能力を持っているらしい』

砂皿「超能力だと…、サイコマンティス級のか?」

オタコン『おそらく…ね』

砂皿「分かった、念の為にコントローラーは2コンにしておく」

オタコン『慎重派だなスナッチは…あ、それは僕もか…ハハハ じゃ、頑張って』

ピシュン、と通信が切れると砂皿は磁力狙撃砲を装備し、窓ガラスを一部を四角く切り抜くと、そこから磁力狙撃砲の銃口を伸ばした

ターゲットを発見、距離はおよそ500メートル

当たる。砂皿緻密は自然にそう思い、リラックスした様子で引き金を引いた!

砂皿「…当たっ…なに、生きているだと!!」

デッデッデデレ♪

更に額、肩、胸、額に磁力狙撃砲の弾が直撃。しかし、少女は死なない

デレレッデッデデレ♪

そして、スコープの先にいる少女が武器を取り出す

砂皿「!!! しまっ、レーションを装b」

ドゴォン!! と砂皿のいた高層ビルに4発のミサイルが激突し、ミルフィーユを潰すように爆破した

デッデッデデレ デッデッデ♪

オタコン『どうしたんだい、返事をしてくれ! スナッチ…スナッチーー!!』

Game Over
251 :第15巻 [sage saga]:2012/12/03(月) 21:16:07.73 ID:4w8DAn/DO

〜窓のないビル・内部〜

本当にあっさりと内部へ座標移動してもらった『ブロック』御一行

アレイスタ-「おやおや、こんな大人数は初めてだな。いらっしゃい」

手塩「あなたが、統括理事長、アレイスターね」

アレイスタ-「いかにも、この私が君の会いたがっていたアレイスターだ」

手塩「あなたに、聞きたいことがある」

アレイスタ-「知らんよ」

手塩「!!!」

アレイスタ-「知らん、と言ったのだよ。私は、その件については関与していない」

手塩「!! ふざけないで。あなたの許可なしに、あんな研究が、できるわけない!!」

アレイスタ-「さて…ね。『木原幻生』辺りが研究のために勝手に利用したのではないか? まあ、私は知らんがね」

佐久「……キリがねえな、…おい!」バッ!

佐久は傭兵に合図を送ると、アレイスターが浮かぶ生命維持装置に大量のプラスチック爆弾と電気伸管を取り付けていく

アレイスタ-「……、ここでそれを使えば、真っ先に君達が粉々になるが」

手塩「火薬の量と、指向性は、調整している。これが最後よ。あなたの知っていることを、全て教えなさい」

アレイスタ-「何度、同じことを言わせるのかね…その件に私は関わっていな…」


ドドドドドドドン!! と、物凄い爆音が室内に響き、全てのプラスチック爆弾が起爆した
252 :第15巻 [sage saga]:2012/12/03(月) 21:17:23.33 ID:4w8DAn/DO

手塩「……」

佐久「はは、やった、死んだ! ざまあみろアレイスターのくそ野ろu!」

轟!! と、

暴風が吹き荒れ、アレイスターの生命維持装置を隠していた黒い煙りが吹き飛んだ

手塩「な、…」

アレイスタ-「無駄だ。そんなモノでは傷一つ付かんよ」

佐久「……マジ、かよ」

アレイスタ-「さあ、そろそろ帰りたまえ。私からは、君達が知りたい情報は得られんよ」

尚も、冷淡な言葉を放つアレイスターに、手塩の怒りは頂点に達した

手塩「!! くそお、おおぉぉおおおぉぉお!」

ガン!ガン!ガン! と、手塩の全力の拳がアレイスターの浮かぶ生命維持装置を、何度も、何度も叩き続ける

佐久「手塩!!!」

室内に暴力的な音が響き渡り、鳴り止む気配がない。それを察したアレイスターはゆっくりと口を開いた

アレイスタ-「全く、あまり煩くするとフロイライン=クロイトゥーネがこちらに……どうやら、もう手遅れのようだ」

突如、ドゴン! と『窓のないビル』の床の一部が崩れ落ち、数十センチほどの穴が開いた

手塩「!!!」ハァ ハァ

佐久「何、だ?」

佐久は背後で崩れた床へ目を向けると、先程開いた穴の中から…

フロイライン「……」

一人の女性が飛び出した


アレイスタ-「ふむ、残念だが…君達の人生はここで終わりのようだ。なに、痛みはない。一瞬で意識を刈り取られるから安心したまえ」


―――
――
253 :>>1です :2012/12/03(月) 21:20:07.80 ID:4w8DAn/DO
取りあえずここまでで投下と終了させて頂きます

ここまで見て頂き、本当にありがとうございました


第15巻の続きは、明日か明後日までには投下させて頂きます
254 :>>1です [sage]:2012/12/03(月) 21:27:29.49 ID:4w8DAn/DO
>>243さんすみません

実はまだ最後の垣根戦を書き終えていないのです

明日か明後日までには確実に書き終えますので、本当に遅筆で申し訳ございません
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 00:09:02.22 ID:dt6ShOxIO

馬場ざまああああああwwww
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 00:37:44.60 ID:nIJbe+6i0

メタルギアわろたww
お粥はもう二度と黒曜石のナイフを使えないよう上条さんに砕き割ってもらおう
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 23:13:01.21 ID:q7wT2kBl0
帝督ったらお馬鹿可愛い乙///
258 :>>1です :2012/12/05(水) 21:15:26.04 ID:+U7oZBEDO
今から第15話の残りを投下します

誤字、脱字はあまり気にせずにお楽しみ下さい
259 :第15話 [sage saga]:2012/12/05(水) 21:16:06.97 ID:+U7oZBEDO

〜とある路上〜

やっと、ターゲットを発見したショチトルだったが

ショチトル「……」

目の前にいる男は何故か焦げ臭く、そして全裸だった

エツァリ「……!! ショチトルだと! 何故あなたがこんな所にまで……。おのれ組織!!」ブルンブルン

動揺し、震えが止まらないエツァリ

自然と彼は、黒曜石のナイフを右手に持ち、強く、強く握り締めていた!!

ショチトル「……汚いモノを握るな」スッ

途端に、エツァリの右手首から肘にかけてが硬直した。

彼が驚きに声を上げるより前に、握りしめた黒曜石のナイフが、自分の意思とは関係なしに自分の顔へ向かってくる!

エツァリ「な、にっ!?」

とっさに左手で自分の右手首を掴む

ギリギリと少しずつ、ナイフの切っ先がエツァリの顔に迫ってくる、利き手の関係か、それとも今が赤ん坊がオムツを変えてもらっている時の体勢だからなのか、このままでは…抑え切れない!!

エツァリ(く……ッ! こ、のまま、では――ッ!!)

エツァリ「おおおおおおおおおおおおッ!」

エツァリは叫ぶと、左手を強引に動かして、右手に掴んでいた黒曜石のナイフを…(※書きたくないので以下省略

エツァリ「……ふう。」

賢者へ進化した彼は、見せつけるようにバク転しながら大きく後ろへ下がる

ショチトル(……もうやだぁ…アステカ帰りたいよぉ)グスッ グスッ

エツァリ「ハァ…ハァ…ショチトル!……あなたに一体何があったのですか!?」

ショチトル(それは、こっちのセリフだよ……エツァリお兄ちゃん)グスッ
260 :第15話 [sage saga]:2012/12/05(水) 21:17:03.09 ID:+U7oZBEDO

〜とある橋〜

麦野「……はまーづらあ」

突然、後ろから声が聞こえた

彼が振り返ると、短い橋の向こうに、血まみれの麦野沈利が立っていた。

自分の血もあるし、他人の返り血もある。右手に引きずっているボロ布のようなものに、見覚えがあった

滝壺「フレンダ……」

より正確には、その上半身(フレ)だけ

一体どこへ行ったのか、下半身(ンダ)はなく、断面からボトボトと赤黒いものが垂れている

麦野「そうそう。ウチら『アイテム』を裏切って潜伏しようとしてたみたいだったからね。さっくり粛清しておいた」

麦野が手を離すと、ボトリという音と共にフレが落ちた

『……なにしてんだよ、沈利姉ちゃん』

麦野「!!! この声…」

上条「フレンダはあんたの妹だろ。確かに俺達は血が繋がってなかったよ。けど、仲の良い家族だったじゃねえか!! みんなで回転寿司行って、みんなで鍋囲んで…それなのに、それなのにどうして殺した! 答えろ!!」

麦野の体が震えあがった。それは初めて見る義弟の…いや、当麻の怒りを目の当たりにしたからだった

麦野「当…麻…違うのよ…フレンダが…フレンダが裏切ったから」

上条「!? そんなつまらねえ理由で殺したのか」

一歩、上条当麻は義姉へ歩み寄る

麦野「!!!」ビク

上条「そんなくだらねえ理由で義妹を殺したのか!!」ギリ!
261 :第15話 [sage saga]:2012/12/05(水) 21:18:06.90 ID:+U7oZBEDO

麦野「グチグチとうっせえんだよ裏切り者がぁぁぁ!!」

ズバァ!! という光線の雨を義弟に向けて放つ!

バババキィン!

上条「……効かねえよ」

麦野「くそ、クソクソクソォォおおぉぉお!!関係ねえよカァンケイねェェんだよォォォ!!」

バババババババババババババババババキィン!

麦野「何がフレンダを殺した、だ!! そんなの私達家族を裏切ったテメェに言われる筋合いはねえんだよ!!」

バ キィン!

上条「ああ……そうだな」

麦野はフーフーという荒い息を吐きながら、目の前に迫った義弟を睨みつける

上条「……」

パチン!! と義弟の平手打ちが麦野の頬を叩いた

そして

ギュッ!

麦野「!!!」

強く、強く抱きしめた!

上条「ゴメンな姉ちゃん」

上条「確かに先に裏切ったのは俺だ。姉ちゃんが今日は石狩鍋がいいって言った時に、フレンダが、結局、鯖鍋がいいってわけよってわがまま言ってさ。喧嘩を収めるためにすき焼きにしちまったんだもんな…怒って当然だよ」

麦野「……」

上条「けど…さ…すき焼きって似てんだよ、俺達家族にさ。肉が沈利姉ちゃんで白滝が理后姉ちゃん、長ネギがフレンダで、最愛が…………? 

上条「沈利姉ちゃんにとって、裏切り者の俺は割り下かもしれねえ…けど、俺達は『みんなですき焼き』なんだよ! 鍋の中では平等で、自由で…一人でも欠けたら駄目なんだっていう俺のメッセージを……なんで分かってくれなかったんだよ沈利姉ちゃん!!」

麦野「!!!」
262 :第15巻 [sage saga]:2012/12/05(水) 21:19:17.59 ID:+U7oZBEDO

――

麦野「そんな……ゴメ…ン…ゴメンね当麻。私、そのメッセージに気づけなくて……取り返しのつかない事!!!」ポロポロ

ようやく自分の犯した罪の重さに気づいた麦野。……、その瞳からは、大粒の涙がこぼれ落ちた……。

上条「姉ちゃん!」ギュッ!

滝壺「麦野!」ギュッ!

絹旗「超麦野!」ギュッ!

フレ「結局麦野!」ギュッ!

麦野「みんなも…ごめんね…次からは、内臓破裂キックまでで抑えるから…だから…だから」グス グス

絹旗「ええ、その時は浜面に超お願いしますね、麦野」ニコ

滝壺「うん、浜面になら大丈夫だよ、麦野。私はそんな女の子らしい麦野を応援してる」ニコ

フレ「けど結局、私には効かないわけよ。何故かって? 内臓がないからだぞう〜なんちゃって〜!」

あっはっはっは! と、フレの体を張ったギャグに一同爆笑すると

上条「じゃあ、腹がぺこちゃんだし帰るか。すき焼きも温めなおさないといけないしな」ニコ

麦野「そうね、……じゃあ家までの間だけ、手を繋いで帰りましょ……家族なんだしね///」キュッ

絹旗「あ、麦野超ずるいです! じゃあ、お兄ちゃんの左手は…」

滝壺「残念、絹旗。当麻の左手は私のもの///」キュッ

絹旗「ムキー!!」

フレ「結局、私は二足歩行じゃないから手を繋げないってわけよね」テケテケテケテケ


浜面「パネェっす!上条さん」


こうして、上条当麻の『アイテム』で一週間だけ家族役を演じる、アルバイトは終わりを告げた
263 :第15巻 [sage saga]:2012/12/05(水) 21:20:27.42 ID:+U7oZBEDO

〜スクールの隠れ家〜

ドレスの少女は1時間ぐらいホテルの一室にこもった後、再び『スクール』の隠れ家に戻ってきた。そこには超能力者の垣根帝督がいる

垣根「あれ、お前どこ行ってた訳?」

心理「ちょっとお小遣稼ぎに。やっぱり学者はダメね。基本料金をきっちり計算していて、ちっともチップを弾んでくれない」

垣根「ふーん。1時間って時間が生々しいな」ニヤニヤ

心理「別にやましい事はしていないんだけど。ホテルの一室に入ったって言っても、雑誌をめくりながら少し話をしたぐらいだし」

垣根「? やましい事?」

心理「? ん? そういう意味で言ったんじゃないの?」

垣根「いや、だってお前。1時間も一緒に同じ部屋にいて、話すことって言ったら。普通、恋ばなだろ? 別にやましくねーし」

心理「あ〜、うん、そうよね、変な事言ってごめんなさい」

垣根「で、お前何て言ったの? キメゼリフの、「あなたとその娘の距離は…心の定規じゃ計れないわね」ドヤアアアアアアア!!!、は炸裂したのか!?」

心理「もちろん、炸裂したわよ。科学者の男なんか心理さんパネェっす!! って言って何度も頭下げてたわよ」フフン

垣根「おおお。やっぱすげえ! ホントお前には常識は通用しねえな。さすが、未元定規だわ」

心理(なにこの人、私より年上なのになんて純粋!! ああもう、我慢できないわ…隙があったら絶対に抱きしメルヘン///)キュンキュン
264 :第15巻 [sage saga]:2012/12/05(水) 21:21:55.36 ID:+U7oZBEDO

〜オープンカフェ〜

そんなこんなで大型甘味パフェのアイスクリームゾーンへ突入した初春だったが

垣根「失礼、お嬢さん」

不意に横からそんな事を言われた

初春(ナンパ…かなぁ。私、かわいいですし)

やたらと小さいスプーンの動きを止めてそちらを見ると、何だかガラの悪そうな少年が立っていた。右手には、機械でできた怪しげな爪のような装飾をつけている

初春「はぁ。どちら様ですか」

垣根「垣根帝督。人を捜しているんだけど」

言いながら、垣根と名乗った少年は一枚の写真を取り出す

垣根「こういう子知らないかな。最終信号って呼ばれているんだけど」

初春「……、」

垣根と写真を何度か見比べ、ああ…そっち系か、と理解してそれから首を振った

垣根「そうか。もう少し自分で捜してみる。ありがとう」

にっこりと垣根は言って、そこから立ち去った

初春「ああそうだ、垣根さん。言い忘れた事がありまして」


垣根「?」

垣根が体を振り向かせる前に、次の言葉が来た

初春「ピンセットの窃盗犯ですよね。風紀委員として拘束します」ヒュン

ゴン!! という衝撃がこめかみの辺りに走り抜けた

殴られた、と気づく前にすでに体は吹き飛ばされていた。乱暴に振り回された垣根の足が、椅子やテーブルを倒してしまった
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/05(水) 21:22:08.14 ID:+ChQSZ8d0
フレとンダの結合くらいパネ条さんなら出来るだろ!
266 :第15巻 [sage saga]:2012/12/05(水) 21:23:16.44 ID:+U7oZBEDO

――

周囲から、通行人の悲鳴が響く

垣根は地面に唾を吐き、ゆっくりと起き上がった

垣根「あー、痛ってえな。風紀委員がいきなり暴力振るってんじゃねえよ。大体、善良なイケメルヘンであるこの俺の、どこが窃盗犯なんだよコラ!」

それを聞いた初春はニヤリと笑い、右手の人差し指をピンと立て、垣根の右手を指をさした!

垣根「!!!」

初春「フフン……他の人の目はごまかせても、私の『風紀委員の眼』(ジャッジメントアイ)はごまかせませんよ!」

垣根「風紀…委員の眼! 垣根ルシフェルフラッシュアイと同等…か!」ゴクリ

垣根帝督はしばし無言になった

垣根「……良いだろう」

垣根「俺は一般人にゃ手を出さないが、自分の敵には容赦はしない。それを理解した上で挑むってんなら、それはもう仕方がねえ」

垣根「お前とはここでお別ゲブォ!!」

垣根が何かを言い終わる前に、こめかみ辺りに金属バットが直撃した

垣根「痛…おぐおおぉぉ」ゴロンゴロン

初春「!?…金属バット」

金属バットは孤を描きながら持ち主の手元に戻った

佐天「……ナンパなら余所でやってくれませんか? カッコイイお兄さん」パシ

初春「佐…佐天さん!!」

佐天「初春は、私の嫁なんでね!!」

佐天涙子は、右手に持つ金属バットを強く握り締め、垣根に見せるようにして前に突き出した!!


垣根「ぐうぅぅ、こめかみが痛ぇよぉぉぉ」グス
267 :第15巻 [sage saga]:2012/12/05(水) 21:24:46.12 ID:+U7oZBEDO

――

垣根「痛ってえな」

垣根帝督は視線を初春から佐天へ向けると、静かに言った

垣根「んな、貧相なお花畑に興味ねえよ。大体、俺の好みはバリボーなセクシー系だコラ!!」

轟!! と爆風が吹き荒れ垣根の背中に6枚の天使の翼が生えた

佐天「くっ!!」

巻き起こった爆風の余波で吹き飛ばされそうになりながらも、何とか堪えた佐天…風に揺れる初春のスカートを見ると、ついでにめくり上げた

佐天「似合いませんね、メルヘン兄さん」

初春「いやいや、似合ってますよメルヘン兄さん」

垣根「心配するなお花畑、自覚はある」


言葉と共に三人は動き出した!!
268 :第15巻 [sage saga]:2012/12/05(水) 21:25:45.25 ID:+U7oZBEDO

――

佐天「はあぁぁぁ!!」

コンクリートの地面を思い切り蹴って真っすぐ突っ込む佐天に対し、翼で空気を叩いた垣根は真横へ飛んだ

一息に数十メートルも突き進んで大通りの中央分離帯の上に着地した垣根に対し、佐天は腕を振って金属バットを物凄い勢いでぶん投げた

垣根「ッ!!」

器用に翼を動かしてこれを垣根が避けた所で、

カツッという音を彼は聞いた。見れば、垣根の立つ中央分離帯のすぐ横の路面へ、初春飾利が足を乗せた所だった

初春「もらいました!」

初春は勢い良く垣根帝督の懐へ飛び込んで右拳を突き出す!

垣根はニヤリと笑い

垣根「絶対防御! 垣根ルシファーデスウイングシーールド!!」

そうしながら、彼は翼を使って身を守った。初春の右拳が翼に突き刺さると同時、自ら翼の一枚を無数の羽に変換してばら撒く事で、衝撃が自分自身の体へ伝わるのを阻害する。

初春「くっ!!」スタッ

垣根「ふっ俺の未元物質に…常識は通用しねえ」ドヤァァァァァァ!!!

轟!! という風の唸りと共に、キメゼリフにキメポーズを完璧にキメた垣根帝督の背中から再び6枚の翼が生えた

物理法則を無視し、まるで異世界から直接引きずり出してきたような白い翼に、しかし二人の少女は少しも動じない

佐天「おっけー。その未元物質、初春の花飾りと一緒に庭へ埋めてあげますよ」ブン!ブン!

初春(常識が通用しない人か……白井さんと佐天さんみたいな人って事かな)
269 :第15巻 [sage saga]:2012/12/05(水) 21:26:51.54 ID:+U7oZBEDO

――

垣根帝督へ向かい、さらに踏み込む二人の少女。

しかし、

垣根「力の差ってやつが分かってねえな、テメェら」

垣根が言った途端に、彼の白い翼が、ゴバッ!! と凄まじい光を発した

初春「う、目が!」

佐天「ま、眩しい」

垣根は6枚の翼へ、弓をしならせるように力を加えていく

垣根「垣根ルシファーウイング・デスツイスター!!!」

ズァ!! と6枚の翼が勢い良く羽ばたいた。巻き起こる烈風は二人の少女の体を浮かせ物凄い速度で吹き飛ばされ、

初春「ぐふッ!!」
佐天「がッッ!!」

10メートル先にある街路樹に激突し、太い幹を一発でへし折った!

垣根「どうした、寝てる暇はないぞ」

垣根の翼が音もなく伸びる

20メートル以上に達した翼は巨大な剣のように変化した

佐天「初春!!!」

初春の盾になるように前に出た佐天、垂直に構え振り下ろされた垣根の翼を金属バットで受け止めたが

垣根「かかったな…垣根デスハーミットブレード!」

今、受け止めている翼とは別の、もう片翼の剣が佐天と初春を薙ぎ払った

初春・佐天「ご、がぁぁあああああああ!!」

轟!! と二人はノーバウンドで数メートル吹き飛ぶと、地面に叩きつけられ、ゴロゴロと転がってようやく止まった


垣根「これが…『未元物質』だ」ドヤァァァァァァ
270 :第15巻 [sage saga]:2012/12/05(水) 21:27:57.22 ID:+U7oZBEDO

――

初春「ぐぅ…」グググ

佐天「この人…強い!!」グググ

垣根「もう、俺を捕まえるのは諦メルヘン…。テメェらじゃ何度やっても俺には勝てねーよ」


佐天「ふふ、それはどうかな〜」

できるだけ人を馬鹿にしたように、舌まで出して佐天は言った

初春「たかがこの程度で、私は諦めません!」


垣根「……、なに……?」


初春「私は、風紀委員初春。学園都市の治安を護る『守護神』ですから!」

初春は右腕に付けている風紀委員の腕章を垣根に見せつけるように構えた

それは風紀委員に伝わる正義のポーズである!!

佐天「さあ、初春! 様子見は終わり! リミッターを外すよ!」

初春「はい、佐天さん。天罰解放、コード『Black Child、風紀委員死駄目』!!」

突如、轟!! と二人の体から見えざる力が溢れ出す

初春・佐天「「はあぁぁぁ!!」」

┣"┣"…ン

そして今、垣根帝督の目の前に二人の超能力者が現れた

最強の風力使い『暴風打撃』佐天涙子!


そして『温度掌握』初春飾利!


垣根「……、面白れぇな、テメェら。これなら退屈はしなさそうだなコラ!」


学園都市に君臨する超能力者達が今、激突する!!

次回

『新劇場版・とある科学の超能力者・破』


御坂「続きは、劇場で見てね! びりびりびりびり」
271 :第15巻 [sage saga]:2012/12/05(水) 21:29:01.71 ID:+U7oZBEDO

〜とある大通り〜

灰色の粉塵が晴れ、二人の少女が目にしたのは…

初春・佐天「!!!」

打ち止めを守るように天使の翼で覆う、垣根帝督の姿だった!

しかし、垣根の腹部には数十センチほどの大きさの貯水タンクの残骸が体に突き刺さっている

垣根「ぐ…げぼぉ!!」

初春「な…んであなたがアホ毛ちゃんを…」


垣根は震える手で上着のポケットから『何か』を取り出すと…打ち止めの小さな手にそっと置いた

垣根「最終信号…これ…無くしたって言ってたゲコタストラップだ…ピンセットで探すのに手間取っちまったから、来るの遅れちまっ…ごほ…ごほ…!」

打ち止め「しゃべらないでメルヘンお兄ちゃん、てミサカはミサカは涙目で心配してみる!!」

垣根「俺は大…丈夫だ、それよりも、もう無くすんじゃ…ね……ぞ」ニコ

膝が崩れ落ち倒れ込む垣根を、打ち止めが小さな体で受け止めた

打ち止め「お兄ちゃん死なないで、てミサカはミサカはメルヘンお兄ちゃんを励ましてみたりぃぃ!!」

垣根「ごほっ…あったけえな…お前…。…俺…も、お前…が側にいたら……このくそったれ…の…闇の中から……抜け…だせ……た…………………」

ガクッ!! と垣根の全身から力が抜けた


受け止め「お兄ちゃん…お兄ちゃん! メルヘンお兄ちゃぁぁぁん!!、ってミサカはミサカは号泣するぅぅぅうわああああん!」


一方「……op糞pai…op奴pai褒op弐pai…」


こうして…激しかった超能力者同士の戦いは第2位の敗北により終結した……
272 :第15巻 [sage saga]:2012/12/05(水) 21:30:02.73 ID:+U7oZBEDO

登場人物

上条当麻 御坂美琴

御坂10032号 御坂10039号

御坂13577号 御坂19090号

一方通行 打ち止め

垣根帝督 心理定規

初春飾利 佐天涙子

結標淡希 土御門元春

エツァリ ショチトル

麦野沈利 絹旗最愛

滝壺理后 フレ

ンダ   砂皿緻密

死角移動 手塩恵未

佐久辰彦 山手

鉄網   黄泉川愛穂

豚    わっか君

博士   オジギソウ

ロイ・キャンベル

ハル・エメリッヒ

スクールの運転手

警備員の皆さん

傭兵の皆さん

学園都市の学生の皆さんと浜面仕上


天の声

ビアージオ・ブゾーニ

監督・脚本

アレイスター・クロウリー

   ―終劇―
273 :第15巻 [sage saga]:2012/12/05(水) 21:30:55.44 ID:+U7oZBEDO

〜上条家〜






禁書「まだ何かあると思ったのかな? でも残念、インデックスがこの第15巻をしめるだけなんだよ」フフーン



第15巻

〜完〜


スフィンクス「へへ」///
274 :>>1です :2012/12/05(水) 21:34:25.03 ID:+U7oZBEDO
これで第15巻の投下終了です

ここまで見て頂き、本当にありがとうございました


ちなみに劇場版はありませんです

第16巻は出来次第投下します
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/05(水) 21:50:27.49 ID:bRMdZftk0

フレンダが何と言うホラーテケテケ
イケメルヘンはただのいいメルヘンだったww
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/05(水) 21:58:35.30 ID:UWRkJA5i0
キャストでフレとンダに分けるなwwww
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/06(木) 01:00:56.21 ID:oapPtRlAO
メルヘンさん死ぬ必要あったのか……?
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/06(木) 20:29:16.80 ID:GL7dGH+T0
メルヘンさん死んでないっしょ
なんせ新劇場版・とある科学の超能力者・破らしいから映画なんだよ15巻は、多分
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 12:27:45.19 ID:Ak35h15I0
まだかいのー
280 :>>1です [sage]:2012/12/13(木) 18:05:56.10 ID:JoRrRM0DO
遅くてすみません

必ず投下致しますので
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 23:18:30.04 ID:02m6dIR60
まだ10日だ
ゆっくりまってる
282 :>>1です :2012/12/15(土) 22:20:52.58 ID:+K/9mVCDO
出来た所まで投下します

誤字、脱字がありましたら大変申し訳ございません
283 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:21:36.70 ID:+K/9mVCDO

※一週間前

〜イギリス清教・女子寮〜

一方「ここか」

ビピピピピピピピピピピピピピピピンポーン

チャイムを鳴らすと、入口のドアの向こうからパタパタと足音が聞こえた

ガチャ

オルソラ「はい、どちらさまでございましょう」ニコ

一方「ベクトル急便でェす。ローマ正教のウィリアムさンからお届けもンでェす」スッ

オルソラ「まぁまぁ、遠路遥々ご苦労様でございます。私はオルソラ・アクィナスと申します」ペコリプルン

一方(……黄泉川級……Level5…)ジー

一方「じゃあ、ここにハンコかサインお願いしまァす」

オルソラ「はあ、ローマ正教のウィリアムさんでございますか? 聞いたことのない名前でございますね」

一方「ハンコかサインお願いしまァす」

オルソラ「ここでございますね」サラサラ

一方「ありがとォございまァす。これ荷物でェす、重いンで中まで運びますよォ」

オルソラ「まあ、ご親切にありがとうございます。サインはどちらにしたらよろしいのでしょうか?」

一方「はァい、これ玄関に置いときまァす。じゃあな、三下ァァァ!!!」

ドォン!! とベクトル操作で飛び上がり、背中に暴風の翼を作ると、一方通行は物凄い速度で飛んで行った

オルソラ「じゃあな〜でございます」フリフリ
284 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:22:53.75 ID:+K/9mVCDO

〜イギリス女子寮・食堂〜

ドスン! と誰もいない食堂のテーブルに荷物を置いたオルソラ

オルソラ「ふう、結構重たかったのでございますよ」

早速、荷物を包む包装紙をペリペリ外すと、大きな桐の箱が現れた

オルソラが、可愛らしく首をかしげ、箱の中身はなんじゃろなでございます、と桐の箱の蓋を外したその時!

オルソラ「!!!」

彼女が目にした中身……それは間違いなく人の遺体

……『左方のテッラ』の上半身(左方のテ)だった

『それ』は最高級のビロードに優しく包まれた上で、ほのかに木の香り漂う桐の箱に詰められていた

オルソラ「まあまあ。これは、エリマキトカゲのお肉でございますね」ニコニコ

遺体の顔の隣に、アックアからの手紙があることに全く気づかないオルソラ。

しかし、ハッ! と、彼女の頭の中の豆電球が輝いた

オルソラ「今日のアニェーゼさん達の夕食は、エリマキトカゲのシチューに致しましょう。きっと喜んでくれるのでございます」ニコニコ

言うとオルソラは、桐の箱を持ち上げキッチンへ持っていき、『左方のテ』の肉を、肉切り包丁を片手に解体しだした

バギン! ドゴン!!

オルソラ「ふふふ。ふふふふふふふふふふふふ」

ドゴン!! ブチッブチブチ! ブチン!!


この日、ローマ正教組に振る舞われた夕食は、みんな大好きオルソラ特製シチューだった

特に、アニェーゼとアンジェレネは、美味しい美味しいと何杯もオカワリをしていたそうな
285 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:23:59.12 ID:+K/9mVCDO

時は戻って

〜とある高校〜

金属のフェンスが見えた

辺りには誰もいない。ネックとなっていた購買部のおじさんも見当たらない

上条「ようし! 青髪、土御門、吹寄、このまま一気に脱走するぞ!!」

上条は勢い込んでフェンスを乗り越えようとする。

その時だった。

ブッブー、というけたたましいクラクションの音

振り返れば、そちらには今ファミレスで外食してきた所ですと言わんばかりの災誤先生が車に乗っていた

吹寄「まずい!! パターン青、レッドサイクロンよ!!!」

チッと舌打ちした吹寄は別ルートへ逃走、上条、土御門、青髪ピアスは金属のフェンスを乗り越えて外へ飛び出した

コンクリートの地面に着地した三人。しかし、その中の一人が災誤先生へ向かい構える

上条「ちょ、何やってんだ青髪! 早く逃げねえと捕まっちまうぞ!」

青ピ「ば、馬鹿カミやん。早く行け! ここで捕まったらみんなのお昼はどうなるんや!!」

青髪ピアスの叫びで上条はハッとする

しかし車を降りて、猛スピードで迫り来る赤いパンツの教師・災誤先生

青ピ「こいやぁ! ここはそう簡単に通さへんで!!」バッ!

両手を広げ、立ち塞がる青髪ピアスに対し、災誤先生は光りのオーラを纏った左手を振り下ろす!

しかし、青髪は両腕でしっかりとガードして、それを耐えた

青ピ「はっ! そんなん効かへん――」


上条「青髪!! それは囮だ!」
286 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:25:13.22 ID:+K/9mVCDO

――

……、上条の叫び声が聞こえた時には既に遅かった

背後に回り込んだ災誤先生は両手を青髪の腰に回してジャーマンスープレックスを叩き付けた

青ピ「グハァ!!」

更に流れるように高々と青髪の体を抱え上げ、膝のバックブリーカーで背中をへし折り、力任せに空高く放り投げる

青ピ「グブォ!! ぐ、う…受け身が取れへん!」

キリモミしながら落下してくる青髪を確認した災誤先生は、ダァン!! と地面を蹴り、その体を掴まえると、そのままスクリュー回転しながら落下する

青ピチ「う、うわぁぁああああああああああ!!」

今、災誤先生のフェイバリットホールド!

┣" ゴ ン!!

スクリューパイルドライバーが炸裂した!!

上条「あ……青…髪……青髪ピアスーーー!!!」

土御門「……あのゴリラ、A・A・B(アルティメット・アトミック・バスター)を使いやがったにゃー」

コンクリートにクレータが出来上がり、無惨にもその真ん中に頭から突き刺さった青髪ピアス

それを見た上条は自分の無力さに怒り、震えた。

しかし尊い犠牲を無駄にしないため、上条と土御門は涙をこらえ敷地外の道路を全力疾走する。

土御門「にゃーっ!! ザン〇エフが前レバー二回ダッシュでこっちに走ってきたにゃーっ!!」

上条「マジでが!? 土御門とにかく二手に分かれよう! ここで全滅する訳にはいかんのだよ!!」

上条と土御門は頷き合うと、生き残る可能性を高めるために、十字路をそれぞれ左右へ突き進む


ニャ---ッ!!!
287 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:26:14.02 ID:+K/9mVCDO

〜とある路上〜

香焼「このままでいいんすか? 五和のやつ、まだおしぼり作戦続けるみたいすよ」

諫早「ふぅうむ、確かに五和しゃんは奥手のねんねすぎぃぃる。これでは乳…埒が明かぁぁんなぁぁ…」

建宮「ふっ。問題ないのよ」

ニヤリと笑いながら、建宮が素敵なバッグから取り出したのは、

香焼「サッカーボール?」

建宮「このフィールドの狙撃手・建宮斎字がフリーキック大作戦を提案するのよな!」

牛深「!? そ、その作戦内容とは…!!」

建宮「まあまあ、落ち着くのよな。簡単に説明すると下記のようになるのよ」

@ボールを蹴る

A上条の頭に直撃する

B上条は五和へダイブ

Cいっぱい、おっぱい!

D僕、元気!!


一方「……、Dの後は、ヒーロォの息子さンがTo LOVEると遊ぶ やンちゃBoyになンのか……パネェな」

香焼「いける! これはいけるすよ教皇代理!!」

建宮「さあ、キックオフなのよ!!」

アスファルトの地面にサッカーボールボールを置いた建宮。

牛深「頑張って下さい!」

対馬「……ハァ、どうなってもしらないわよ」マッタク

諫早「対馬しゃぁん…飯はまだかねぇぇ?」ブルブル
288 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:27:18.62 ID:+K/9mVCDO

――

建宮は天草男組の同士と頷き合って、二歩、三歩と短い助走をつけると、そのまま思い切りフリーキックを放つ!

建宮「岬君直伝! ブーメランシュートォォォ!」

※消費350ガッツ

実況「でたーっ! たてみや君のブーメランシュート!! ドゴン!! と大きく蹴り飛ばされたサッカーボールはギュルギュルと横回転しており、スピンによって鋭い孤を描くー!」

美琴「させない!!」バッ!

実況「おおーっと! みこと君飛び出したーっ。だが胸がな〜い」

浦上「まだよ!!」

ドッ!!

実況「うらかみ君に当たってボールの勢いが弱まった〜!!」

轟! 轟! 轟!! 

実況「今、かみじょう君の、側頭部に、突き刺さっ…」

上条「ゲンコロ」

┣"ゴン!!

実況「ゲンコロだ〜〜!! 跳ね返ったボールが物凄い速度でたてみや君の顔面へ」

諫早「のう、のうのうたてみや、飯はまぶっ! ぅうぁぁぁあぁぁ!!!」

実況「違ったーー!! 初老のいさはや君が吹っ飛んだ〜〜!! 決まったーーゴーーール! いさはや君があっちの世界へゴーーーーール!!」


―――
――
289 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:28:20.21 ID:+K/9mVCDO

〜上条の部屋〜

禁書「……で、とうま。何で天草式のいつわが隣にいるの?」

ちなみにいつもインデックスと一緒にいる三毛猫は、五和の周りをぐるぐる回りながら、鼻をひくつかせて匂いを嗅いでいる。

スフィンクス「へへ、猫ですけど。こんな三ツ星プラチナランク食べて良いんですかにゃ〜?」スン…スンスンスン

五和「わわわわわわわわわわわわわわわわっ!?」

上条「でぇやあ!!」

上条が突然大きな声を出すと、三毛猫の首筋にチョップ。

ガハァ!! と言葉を詰まらせた三毛猫の後ろから上条は腕を伸ばして首に巻き付かせると、インデックスから急速に離れて、そのまま腰を捻るようにしてぶん投げた。

ドォン!! とフローリングに衝突した音が部屋の中に響くと、上条は立ち上がり軽く手を叩く

上条「インデックス、五和は仕事で学園都市に来たらしくてさ。良かったらって俺から夕飯誘ったんだよ。な、五和?」

禁書「ふ〜ん…いつわ、本当?」ジト

五和「あ…ああ……えっと、はい」

五和はバッグからスーパーの袋を取り出すと、インデックスに見せるように持ち上げた

スフィンクス「…………それは食料か? 人間の女よ」

五和「……あ、……はい」

スフィンクス「分かった。部屋へ上がる事を許そう。ゆっくりと寛ぐがよい」


言うと、スフィンクスはベッドの上に乗り、仮眠をとるため横になった
290 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:29:50.14 ID:+K/9mVCDO

〜上条の部屋〜

静けさ漂う上条の部屋

お風呂が故障したため、上条、インデックス、五和の三人は、外にあるレジャーお風呂へ出かけていた


部屋に残っているのは、先程の首投げで頭を打ち、失っていた全ての記憶が戻った一匹の獣


スフィンクス「……」


カリ……カリカリ


スフィンクス「かつて……、あの聖人を追い詰めたこの俺様に捧げる貢ぎ物が、よもやひのきの爪研ぎボードとは………、舐められたモノだなぁ!!!」


バリ! バリバリ!! バリバリバリバリ!!!


スフィンクス「ハァ…ハァ…今に見ていろ人間共! この獣王!! 力が回復次第、キサマラヲこの世から消し去ってくれるわーー!!!」



三毛猫は現在、五和の持参した超高級爪研ぎボードの前で怒りに震えている事に、誰も気づいていない
291 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:31:11.65 ID:+K/9mVCDO

〜第22学区地下市街〜

そんなこんなで楽しいお風呂タイムは終わった

上条はレジャーお風呂のビルから出て、正面入り口に突っ立っていた

上条「……地下市街だっつーのすっかり忘れてた」

しばらく経ってから完全な無風状態である事に気づき、肩を落とす上条の隣に、何だか湯上がりで良い匂いがする五和が近づいてきた

五和「そんな所にいると湯冷めしてしまいますよ」

上条「……いや、ちょっとのぼせちまってな、よかったら少し歩かないか?」


五和「へ? は、はい」///

そんなこんなで夜の地下市街を散策する事にした二人

たわいのない話をしながら並んで歩いていると、青色にライトアップされた鉄橋に差し掛かった

鉄橋の長さは50メートルほど

橋のサイズとしてはそれほどでもないが、川全体が人口的なものである事を考えると、それはそれでちょっと感慨深い

五和「(気を緩めちゃいけないのは分かっているんですけど、二人っきりだ、うわぁ……)」///

そんな事を考えながら、二人は鉄橋に足を踏み入れた

と、ふいに

上条「……来たな」ボソ

五和「?」///

何を言っているのか理解できなかった五和の耳に、足音が聞こえた

ズン……ッ!! ズン……ッ!!

しかしそれは、まっとうな人間の出す音ではない。一歩一歩踏み出すごとに、鉄橋から低い震動が伝わってくる

五和「気分爽快、弾ける青色! 後方の…スプラッシュアックア!!」ガクガク
292 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:32:09.13 ID:+K/9mVCDO

――

上条「宣言通り、って事か」

アックア「全ての元凶であるその右腕を差し出せ。そいつをここで切断するなら、命だけは助けてやる」

五和「天草式の本隊は…」

その時、五和がポツリと呟いた

それが何らかのサインなのだろう、五和は周囲に目配せするが…

アックア「無駄である」

言いながら、アックアの体がふらりと動くと

アックア「奴等がここに駆け付ける事はない」

五和「ッ!?」

真横。

すでにアックアは五和の真横へ飛び込んでいた。
消えた。そう判断するしかないほどの速度で懐深くへ潜り込んだアックアは、五和の頬を横から殴るように肘を放つ

神浄「……、標的は俺だろうが、いきなり五和を狙ってんじゃねーよ」ギリギリ

五和の耳に、ゴキゴキゴキッ!! と音が響いた

アックア「ここは既に戦場である…私に刃向かう輩は誰とて容赦はせん」

それが、先程の攻撃を受け止めた神浄の右腕の骨が砕けた音だと気付いた時には、既に二人の姿は五和の目の前から消えていた

五和(!? どこへ…)

ドォン!! という重たい音が連続して五和の周りに鳴り響く。

しかし、彼女の目には僅か数メートル先で戦っているハズの二人が確認できない

五和は立ちすくみ、そして理解した

これは、人と人の戦闘ではない。…と
293 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:33:14.65 ID:+K/9mVCDO

――

轟!! という音が聞こえた。音源はアックアの足から伸びる影。

そこから巨大なシャチが海面を跳ねるように、莫大な金属の塊が飛び出した

全長5メートルを越す、騎士が馬上で使うランスに似た撲殺用の金属根棒だ

アックア「さて、小手調べは終わりである」

神浄「くっ!!」

神浄が空間を割って、武器を取り出すよりも早く、アックアの筋肉が爆発的に膨らんだ

神浄「っそおおぉ!!」

残像すら渦巻かせて真上から『五和』目掛けて巨大なメイスが振り下ろされる

五和「あ」



アスファルトで固められたはずの鉄橋。

それが、ズドン!! と一撃で揺さぶられた

あちこちで鉄橋を留めるボルトが破断していく不気味な音が響き、ライトアップに使われていた青白い明かりのいくつかが不自然に消えた

上条「ご…………は」

割り込むように五和に覆いかぶさった上条の体が決定的に圧迫された。肺から全ての空気が吐き出され、そこに鉄臭い味が混じる。

まるで地球の重力が数倍に増したようなダメージに教われ、上条は膝を落とした

上条(ぐ……五……和)

先程の衝撃で意識を失っているのか、地面に倒れた五和は動かない

朦朧とする意識、背後に迫った後方のアックアが上条へ向けメイスを構える

アックア「弱き者を狙い、それを庇う者のスキを突く。これぞ、『傭兵の流儀』」

アックア「さて、我が一撃を何発まで耐えれるか試して見るのである」ニヤリ
294 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:34:13.99 ID:+K/9mVCDO

その頃、インデックスは


〜食べ物空間・試食コーナー〜

禁書「ねえ、すている。このお肉美味しいね。後、百個は食べたいな」ニコ

ステイル「金は出す…そこの肉残らず焼いてくれ」

禁書「わああ。すている、大好きかも///」ギュッ

ステイル「ふ、ふん」ニヤニヤ

アウレオルス「……」イライラ

クイックイッ

アウレオルス「ん?」

禁書「ねえ、あうれおるす。やっぱりお肉には熱々の白いご飯だよね」ニコ

アウレオルス「当然! 我が右手に丼と白米を、数は五つで十二分!!」ブス

禁書「きゃああ! あうれおるす大好きかも///」ギュッ

アウレオルス「全然」フフン

ステイル「……」ギリギリ

禁書「あ…しおだれーとごまだれーがないんだよ」ショボン


ステ・アウレ「!!!」


―――
――
295 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:35:15.56 ID:+K/9mVCDO

〜第22学区・鉄橋〜

五和(う……)

五和の意識は少しだけ断絶していた

滲むように戻った意識は、まず始めに鉄臭い匂いを感じ取った。次に痛み、頭の芯がそれを知覚した途端、全身から津波のように激痛が押し寄せた。

そして意外にも普段最も頼っているはずの視覚や聴覚が一番遅くにやってくる

『傭兵の流儀傭兵の流儀傭兵の流儀傭兵の流儀傭兵の流儀――』ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン

薄暗い闇。……肉が潰れ……骨が砕ける音

五和「ッ!?」

ようやく状況を思い出した五和は慌てて手をついて起き上がろうとする

そこでぬるりとしたものを掌に感じた

『傭兵の流儀傭兵の流儀傭兵の流儀傭兵の流儀傭兵の流儀――』ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン

鮮血…これは誰のものだ、と考えようとして、意識は即座に否定しようとした

考えるまでもなかった

上条当麻だ。

五和「ぁ……ぁ……」

五和はカタカタと肩を小刻みに震わせ、ゆっくりと、ただゆっくりと自分の顔を上げる

目の前に立っている少年はぐったりと手足の力が抜けていた。顔は赤く染まっていおり、瞳は開いてるとも閉じているとも取れない


生きているのか、死んでいるのか


それすらも分からなかった


アックア『傭兵の流儀傭兵の流儀傭兵の流儀傭兵の流儀傭兵の流儀!!』ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン!!
296 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:38:03.97 ID:+K/9mVCDO

――

五和「うわああああああああああああああああああああああああああッ!!」

五和は絶叫し、アックアに撲られ続ける上条の服を右手で引っ張り、自分の後方へやると

アックア「む?」

近くにあった自分のバックを掴み、アックアの顔目掛け投げた

アックア「…ふん」

しかし、アックアのメイスによりバックは薙ぎ払われ、空中に浮いた五和のバックを軽々と引き裂き、おしぼりや服などの中身が飛び散ると

ドバン!! と、バックを目暗ましに五和が飛び出した

五和「あああああッ!!」

そして、いつの間にか組み上げた海軍用船上槍の切っ先は雷光のような速度で一直線にアックアへ突き進む!!

、が…

アックア「ふん」

五和の体は歩道へ吹き飛び転がった

五和「…ゴフッ!! あ……ぐ………………」

アックア「そのまま寝ていろ」

地面に転がった五和など目も向けず、アックアは地面に倒れている上条の右腕を掴み持ち上げる

本来の仕事

狙うは上条の右腕。

アックアは右手に持つメイスを影の中に収納し、両手で上条の右肩と右手を掴むと、退屈そうに息を吐いた

五和「ぐっ、ォォおおお」

何も言わないまま背後から放たれた五和の槍を躱し、腹にカウンターの膝蹴りを食らわせた

ベゴォ!! という轟音と共に絶叫が止まる

暴力的な音と共に彼女の手足から力が抜け、海軍用船上槍が地面に落ちる。意識が断たれたようだった
297 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:39:03.96 ID:+K/9mVCDO

アックアは右膝に乗った五和の服を掴み、引き剥がそうとするが…

アックア「む?」

五和「うううぅうううう!!!」

口から血の塊を吐き、体の芯までダメージを蓄積し、意識を失っていたはずの五和が、アックアの右足を掴みしがみつく

内臓を震動させるその叫びはまさしく死力だった。血走った目を見れば、そんな余裕は残っている訳がないのは容易に想像がつく

死なせたくない

奪われたくない

ただそれだけで動いているだけだ

アックア「………邪魔である」

アックアの右腕の筋肉が爆発的に膨れ上がると、その拳を五和の体目掛けて物凄い速度で振り下ろした!


ボギ!! と骨が砕ける音が響いた


それは五和の体の骨が砕けた音ではなく

上条「させねえよ」

上条当麻が五和を守るために全力の蹴りを放ち、アックアの拳を止めた反動で、その右足の骨が砕けた音だった

そして、

神浄「魔女狩りの王! ブオーン!! 木原数多!!!」バババキン!


┣"┣"ォン!! 大地震が起きたかの如く橋が大きく揺れた

アックア「む…お、う!!」

バランスが崩れよろめくアックアの背後に

『…ヘイ、糞聖人』

アックア「!!!」

イノケン「大恩人上条さんに何かましてくれとんじゃボケェ!!!」

ドゴン!! と魔女狩りの王が両手に持つ炎の十字架をアックアに叩き付けた
298 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:40:07.34 ID:+K/9mVCDO

――

轟!! と、アックアの体がノーバウンドで数メートル吹き飛んだが、魔術で勢いを軽減し、軽やかに受け身を取り道路へ着地した

アックア「ぐ、お」ジュウウ

背中に炎の十字架が直撃してしまった時に左手に掴んでいた上条を離してしまったらしく、先程アックアがいた場所の近くに五和と一緒に転がっている

『木原神拳奥義』

アックア「!!!」

木原「木原、百烈拳!!」

突如、背後から迫る剛腕の壁に

アックア「う、おおぉおおおおおおおおおおお!!!」

アックアも無数の拳で応酬する

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!

木原「ほう、さすがは聖人、この技を防ぐとはやりおる。が、しかぁし!!」

ゴォン!! と拳王の剛拳がアックアの腹に突き刺さった!

アックア「おっ……ふ!!」

木原「傭兵の流儀など、真・木原神拳の前ではビリーに教ったブートキャンプでしかない事と知れぇぇい!!」

その剛拳を強引に振り抜き、アックアの巨体を空高く吹き飛ばすと

木原「木原、剛掌破ァァ!!」

右腕に溜めていた全闘気をアックア目掛け放った!!
その闘気の波動は直径20メートル!

その速度は超音速!

そして、威力は富士山を丸ごと吹き飛ばす!!

アックア「ぐうああああああああああああああああああぁぁぁ……… ・ ・ 」


直撃したアックアの体はくの字に折れ曲がり、物凄い速度で上空7000メートルまで吹き飛んでいった
299 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:41:00.17 ID:+K/9mVCDO

その頃、インデックスは


〜マッサージ空間〜

3台のマッサージチェアーに三人の美女


禁書「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"こ"く"ら"く"こ"く"ら"く"」///


美琴「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"て"ん"こ"く"た"わ"ぁ"ぁ"」///


姫神「ふ"ふ"ふ"と"く"へ"つ"し"ゅ"つ"え"ん"」///



―――
――
300 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:42:09.55 ID:+K/9mVCDO

〜学園都市上空〜

闘気の波動からどうにか逃れたアックア

アックア「ハァ…ハァ…!!」

木原の闘気が直撃する瞬間防御魔術を使いダメージを軽減していたのだが

しかし全裸である

アックア「直撃していたら危なかったのである」



学園都市に向け、自然落下していると

轟!!!

アックア「!?」

何やら山のような巨大な影が、物凄い速度で接近してきた

ブオーン「ブウウーーーいいぃぃぃぃ!!!」

アックア「ふむ、伝説の魔獣か…。久しぶりに血の滾る楽しい戦場である!!!」ニヤリ


学園都市遥か上空で聖人と魔獣が激突する!!


―――
――
301 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:43:11.46 ID:+K/9mVCDO

〜第22学区・鉄橋〜

五和「上条さん! 上条さん!!」

上条「…い……つ…わ…」

上条が目を覚ますと、目の前に涙を流す五和の顔があった

五和「上条さん!!」

側には、おしぼりやサイフなどの日用品が散らばっていた。どうやら日用品を使った回復魔術を使用してくれたらしい

上条「……ありがとう、五和…………お前の回復魔術のおかげで、ちょっと元気出たよ」ニコ

上条が木原数多と視線を交わすと、軽く頷き、上条を起き上がらせた。瞬間、木原と、その近くにいた魔女狩りの王が姿を消す

上条「!? おっ、と…」

右足が折れているため左足に体重をかけ、なんとかバランスを取った

五和「!? 何…やっているんですか…早く逃げ」

五和の声を遮るタイミングで、ドッパァァン!! と巨大な物体が川に落下し、数十メートルほどの水の柱が立ち上がった

五和「!!!」

上条「………」

そして、上空から道路へ着地した一つの影

アックア「覚悟は出来たかね」

五和「アッ…クア!!!」

五和は歯を食いしばり、限界に近い体を強引に起き上がらせる。しかし、両手に持つ海軍用船上槍の切っ先がふらふら揺れて安定しない

それでも切っ先を明確にアックアへ突き付けた

死地へ挑む者が放つ、ただ純粋な宣戦布告

五和の中に残されたわずかな力が、一カ所へと集約されていく!

……そんな五和の肩に、そっと手が置かれた


上条「サンキュな、五和」
302 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:44:02.30 ID:+K/9mVCDO

――

五和の小さな体が、その言葉にビクリと震えた

彼女は振り返れない

肩に置かれた手はボロボロのはずだ

何故、あのタイミングで立ち上がったのか

指先を動かす事すら難しい状況で、どうして無理に立ち上がったのか

そして、後方のアックアへ飛び掛かろうとした五和を引き止めるように肩へ手を置いた上条の真意は。


五和「待っ――ッ!!」
303 :第16巻 [sage saga]:2012/12/15(土) 22:45:47.48 ID:+K/9mVCDO

――

上条は五和の肩に置いた手に力を込めると、

上条「おおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」

まるで五和と立ち位置を交換するように、一気に前へ飛び出した

五和が何かを叫んだが、上条は振り返らなかった

振り返らないまま、一直線に、一っ飛びでアックアの元へ飛び込んだ!!

アックア「いい度胸である」

言うと、アックアは足から伸びる影からメイスを取り出し

ガシッ

アックア「!?」

フレ「…」ニコ

上条「この一撃に全てを賭ける! 燃えろ幻想!! 燃え尽きるほどゲンコロ!!!」 

上条の右手に全幻想力が集まり、巨大な拳となった!!!


『幻走・イマジンソゲブレイカァァァァ!!!』


アックア「ぬ、おおおおおおおおおおおおッ!!!」


―   ―


ゴ ォ ン!! と、地球を震わす衝突音が響き渡った


その音を聞いた、ブラジルに住む魔法使い『ホセ・サンタナ(30歳)』は、こう呟いた


『ダレカガ、オレヲヨンデイル』ゴクリ
304 :>>1です :2012/12/15(土) 22:48:31.02 ID:+K/9mVCDO
出来た分の投下はここまでです

お待たせして大変申し訳ございません。ここまで見て頂き、本当にありがとうございました


次の投下は出来る限り早くします
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/15(土) 22:56:21.51 ID:zyKZ//Ido
ぶっ飛んでんなーおつ
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/15(土) 23:00:25.95 ID:J+/Wa9340
ゴリラ「祖国の為に!」
オルソラが一番頭おかしい気がしたがみんなおかしかった
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/15(土) 23:02:43.72 ID:+Rv4qHoV0

フレどっから沸いてきたwwww
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/15(土) 23:53:39.79 ID:/T4kXbuAO
オルソラ・・・
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2012/12/18(火) 00:34:58.87 ID:6e+huPDi0
ガクガクブルブル・・・
おつ
310 :>>1です :2012/12/27(木) 21:32:32.08 ID:DJpQOnGDO
再び大変遅くなりまして申し訳ございません

今から第16話の出来た所までを投下します

誤字、脱字はあまり気にせずにお楽しみ下さい
311 :第16話 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:33:22.63 ID:DJpQOnGDO

〜とある海外の家〜

何だ眠れないのか。

それじゃじーちゃんが話でもしてやろうな。ん? じーちゃんの話は長くてつまんないって。はっはっはっ…こやつめ!(スパン!

ええと、それじゃ占星施術旅団について話すか。

そうそう昔はそういう名前で呼ばれていたんだよ。お前がガキんちょなりに人の手伝いしている、あれと一緒。

十字教系の魔術結社で、あっちこっちで人から相談聞いて、状況に合わせ…あん? つまらん? 簡潔に話せだ? …こやつめ!(スパン!スパン!

トラブルでロシア成教の戦闘集団に追われて、

『がばやべえ、こら国外に逃げなほんなごつ死ぬばい!』 

※がば=かなり

って、なんていうか、もう必死! 皆で極寒の地を徒歩で歩いたよじーちゃんみたいな老人や、お前よりも小さなガキんちょも、みんな平等に。

で、ロシアの追っ手が八本足の金属の馬に乗ってきたんよ

視界の先には国境

後ろに迫るロシア成教

もう見えてるのに届かない希望

みるみる近づく背後は絶望

諦めるしかないって思うだろ

無駄な努力をするぐらいなら膝をついた方が楽だって思うだろ

だが…じーちゃん達の前にヤツが現れたんだ。

ウィリ

zzZZ

……ん?

……そっかそっか。やけに静かだと思ったら…コイツ、寝ちまったか(ニッコリ


こやつめ!(スパン!
312 :第16話 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:34:23.68 ID:DJpQOnGDO

〜第22学区・病院〜

夜の病院に慌ただしい音が響く

患者を乗せたストレッチャーの小さな車輪がガチャガチャと鳴る。複数の救急隊員がそれを取り囲みながら進み、音の塊は救急外来から建物の中へ。

ストレッチャーを押す手が救急隊員から医師や看護婦へバトンタッチされ、集中治療室へ入り、さらに手術室の扉の中へと消えていく

五和「……」

対馬(……五和)

現在、薄暗い廊下には複数な人影がいた。

『天草式』老若男女、合わせて50人前後の人間がソファーに座ったり、壁に寄り掛かったりして手術の結果を待つ

香焼「……」

牛深「……」

野母崎「……」

建宮「……」

彼らのその大半が衣服のあちこちを破き、包帯を巻いていた。しかも白い包帯の上からじわりと赤いものが滲み出ている者も多い


諫早「あああ…腹減ったのぉぉぉ」ブルブルブルブル
313 :第16話 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:35:28.46 ID:DJpQOnGDO

〜1時間後〜

手術室から出てきたストレッチャーが、再び集中治療室へ戻っていくと。手術室から若い男の医者がこちらに歩いてきた

建宮「……、先生」

医者「……」

医者は俯き、軽く首を横に振った

そして彼等に告げる…最悪な宣告

医者「医者としてあらゆる手を尽くしましたが……おそらく、もってあと数時間かと……」

建宮「……」ギリ

対馬「そ……んな」

愕然とする天草式の面々

そして打ち砕かれた自分達の信念。中には膝が折れ、顔を両手で覆う者や、悲しみに涙を流す者もいた

五和「……」スッ

対馬「!? ちょっと、どこへ行く気なの五和!」

対馬が、静かに立ち上がりこの場を去ろうとした五和の肩を掴む

……、掴んだその小さな肩は、小刻みに震えていた

五和「離…して…下さい」ボソ

対馬「離さないわよ…今の状態のアンタを放っておけるワケないでしょ!」

五和「……私、守るって……そう言って。槍だって、魔術だって……何の役にも、立たなかったのに……ありがとうって、言ってくれて……。立ち去るアックアに一矢報いる事もできなかったのに……」

ボタボタ、という音が聞こえる。

それは涙かもしれないし、握り締めた掌から血がこぼれているのかもしれない

五和「私なんて死んだほうがいいんですよ……あの人の何の役にも立てなかった…私……なんて!!」ギリギリ

すると、対馬の肩に手が置かれた

建宮「退け」
314 :第16話 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:36:37.31 ID:DJpQOnGDO

――

五和の肩に手を置き強引にこちらへ引き寄せ、胸倉を片手で掴み上げた


浦上「ざけんじゃないわよ」

周りが何か言うより前に、恐るべき筋力で吊り上げると、そのまま手近な壁に勢い良く叩きつける

建宮「あ……」

五和の背中に衝撃が走り、呼吸がおかしくなる。だが五和は、抵抗らしい抵抗を何もしなかった。ただあえぐように酸素を求め、涙に濡れた瞳で浦上を睨み返している

五和「……さん、だって」

五和「浦上さんだって、負けたじゃないですか」

浦上「……」

パァン! と、浦上の平手打ちが五和の頬を叩く。それでも彼女は生気の抜けた表情のままだった

その表情を見た浦上は大きく溜め息を付き、五和の体を廊下へ放り投げると

浦上「……あーあ。こんな馬鹿女を助けるために、あの人は体を張ったんだ」

五和「!!!」

……、壁に叩きつけられた時も平手打ちを食らった時にも苦痛を表現しなかった顔が、

浦上「自分の身内を目の前で痛めつけられて、ボロボロになった命の恩人を前にして……考えた結果が自殺?」

浦上の言葉でグシャグシャの痛みを表していく

浦上「本当、こんな馬鹿女のために命を投げ出したとか、正に正真正銘の犬死に。……結局シンプルなのよね。馬鹿が馬鹿を助けて馬鹿をやったって事。ねえ…五和」
315 :第16話 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:37:52.56 ID:DJpQOnGDO

――

その無情な言葉で五和の頭にカッと熱が籠った

五和「がぁあアあああああ!!!」

獣のような叫び声をあげて浦上の頬に、ゴン!! と全力の右拳を突き刺す、が

浦上「ッッ!! 効ィかねえェんだよォォォ!!」

浦上は再び胸倉を掴み上げ、五和の体を思いきり床へ振り下ろした

ズン!! と地響きすら錯覚させる大音響だった

再び呼吸困難に陥る五和の上へ馬乗りになり、浦上は彼女の目を見る

浦上「ハァ…ハァ…良い? 分かんないようなら教えてあげるわ」

低く、ただ低く…浦上の声色には、怒りの火が灯る

浦上「上条さんは、まだ死んでない」

浦上「そして、後方のアックアは上条さんの右腕を奪うために必ず来る」

ピクリと五和の体が震えた

浦上「私達がこうしてグダグダウジウジ悩んでる今も、上条さんは必死で生きようとしてる。まだ可能性が残っているのに、たとえどれだけ少なくても確実に残っているのに、アンタそれをつまんない後悔や罪悪感で全部捨てるの!?」

浦上「あの人を守るために、今ここで戦えるのは私達だけなの。惨めだろうが何だろうが、今ここにいる私達が動かなかったら、今も麻酔で眠らされているあの人は一体誰に守ってもらうのよ!! アンタ、そいつが分かってんのか!!」

五和の胸倉を掴む浦上の手が、ギリギリと音を立てた

本当に、自分の手を壊してしまいかねないほどの力だった。

そして、五和は知る

怒りを覚えているのは、己を恥じているのは、自分一人ではない事に
316 :第16話 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:39:22.54 ID:DJpQOnGDO

――

五和(わ、たし……は…)

浦上「あの人に謝りたい?」

目を見て語る

浦上「あんな風にしてしまった『守るべき者』を、最後の最後の時がきたとしても守り通したいわよね?」

五和は咳き込む事も忘れて、小さく頷いた

浦上「……なら戦いなさい。アンタが最高に良い女である事を証明して、こんなヤツのために命を張って良かったって思わせましょ?」ニコ

浦上は五和の胸倉から手を離すと、ゆっくりと起き上がった

周囲を見渡し、確認を取るように言う

浦上「……この中に、五和と同じ事を言う馬鹿いる?」

後悔と無力感によって徹底的に沈み込んだ空気を打ち破るように、浦上の声が通る

浦上「いるって言うんなら、前に出なさい。目を覚ましてあげる」ゴキ…ゴキ

浦上「!? お前かぁ!」

パァン!! と建宮の頬に平手打ちが炸裂した

吹き飛ばされ廊下で女の子座りをした建宮が目を潤ませ、何で? と言う顔で浦上を見ている

浦上は薄暗い病院の廊下に佇む50人近い仲間を改めて眺めて、こう言った

浦上「いないって言うならそれで良いわ。後は全力を尽くすだけよ!」


天草十字凄教の面々は振り返らない

集中治療室に一人の少年と一人のフレを残し、彼等は再び強敵と立ち向かうため戦場へ戻っていく

やるべき事はただ一つ

王手のかかった盤をひっくり返し、少年を守り抜く事のみ!!

建宮「グス…ふぇぇ」
317 :第16巻 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:40:56.99 ID:DJpQOnGDO

〜第22学区・自然公園〜

夜の闇の中に、後方のアックアは佇んでいた

第22学区第3階層の市街地からやや離れた一角にある、自然公園だ

だが、今も全裸である

アックア「よもや足元に伏兵がいようとは、嫌な汗をかいたのである」

アックアは公園の噴水で水浴びをし、返り血や泥を洗い流すと。魔術で体についた水分を飛ばし、昔イギリスの第3王女の浴室から頂戴したタオルを腰に巻いた

アックア「……それにしても」

アックアは思い返す

幻想殺しが玉砕覚悟で放った技。もし、アレが直撃していれば間違いなく自分はこの世を去っていただろう

しかし、幻想殺しの漆黒の拳が眼前まで近付いた瞬間、足元にいた妖怪テケテケ(フレ)の体を強引に持ち上げ、盾にしたのだ

アックア(……)

幻想殺しの拳はテケテケの体に突き刺さった…が、アックアの体にも軽減した衝撃が襲いかかった。

彼の体はくの字に折れ曲がり、ノーバウンドで橋から数キロ先にあった高層ビルの壁に突き刺さり、そして意識を失ったのである


アックア(……先程から、私は誰に説明しているのであるか??)

アックアは頭の上に(?)のマークを浮かべながら、上条当麻の探索に足を踏み出した

その時!

アックア「!?」

アックアは危険を察知すると、気軽に飛び下がる

すると、空気がひとりでに渦を巻き、つい先程までアックアの立っていた空間が、地面ごとまとめて刔れて消えた
318 :第16巻 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:41:59.08 ID:DJpQOnGDO

――

アックアが見えない魔手に警戒していると、甲高いブザーと共にアナウンスが流される

『第3階層全域で無酸素警報が発令されましたァ。住民の三下共は速やかに災害対策指定を受けた建物に避難すっか、各家庭に設置された酸素ボンベを装着しやがってくださァい。……繰り返す…の面倒くせェ。息を止めろォ、そしてその場で死――』

アックア「……なるほど」

アックアは不敵に笑う

アックア「どうやら向こうはこの階層全域に攻撃用の微粒子を散布し、私の逃げ場をなくすつもりであるな」


アックアが口の中で唱えると、空気中の水分が彼の味方となる。水分に触れる動きを察知し、彼は大雑把に魔手の正体『オジギソウ』の散布パターンを推測していく

すると今度は周辺の木々の合間から駆動鎧の集団が現れた。

アックア「?……この音…」

少し離れた所からは別種の駆動も聞こえる。ガソリンエンジンと電気を使い分ける、都市型短期警戒用の装甲車も用意してきたらしい

アックア「ふむ……戦力調査の小手調べ、か」

アックアが足元の影から5メートル以上の全長を誇る特大のメイスを取り出した

アックア「ならば、傭兵の流儀というものを紹介してやるのである!!」


『神の右席』弾ける青色、後方のスプラッシュアックアが動く

轟音と破壊が…全てを支配する


―――
――
319 :第16巻 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:44:16.26 ID:DJpQOnGDO

〜第22学区・裏路地〜

ジャリ!…ジャリ!!

五和「……」

ジャリ!ジャリジャリジャリジャリジャリジャリ

浦上「……」

ジャリジャリジャリジャリジャリジャリジャリ

…と不気味な音が辺りに響く。ただ、武器を強化する為に紙ヤスリをかけ、形を整えたり、装飾剣を砥石で研いだりなどの作業をしているだけなのだが…


建宮(うわぁ…人食い山姥より怖えのよ……。二人の体から殺意の波動が吹き荒れてるのよな)ヒソヒソ

牛深(……、今のあの二人ならわざわざ難しい漢字の言葉を選んで、背中に天か滅の文字が浮かびそうですね)ヒソヒソ

浦上「……」

浦上「ねえ…そこの二人」

ボソリ、と声が聞こえ、男二人はビシィ!! と直立不動になった

五和は俯いたまま首だけを動かし、表情の読めない顔でこう言った

五和「気が散るんで――ちょっと、息止めるか静かにするか、どっちかにしてもらえます?」

のっぺりと、物凄く平坦な声だった

言葉はそれっきりで、二人は再びジャリジャリと武器強化を再開しだした


牛深(……ふぇぇ)ジワ

建宮(……)ヨシヨシ

その時、建宮斎字の携帯電話が着信音を鳴らした

背後から突き刺す二つの視線。

彼女達の口からボソボソと『言った側から…このクワガタ』とか『いつか私が縦/宮に切り裂きますね』とか聞こえたような気がしたが気の性気の性
320 :第16巻 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:45:26.74 ID:DJpQOnGDO

――

オルソラ『あらあら。そちらは建宮さんでございますか?』

建宮「うわあオルソラ嬢!! この声すごく癒されるのよーっ!!」

オルソラ『まあ、人違いでしたら申し訳ございませんでした。私はこれで――』

ブツ!…ツー…ツー…


建宮「」


建宮「……」

ピッピッピッカチッ

プルルブツ!…ツー…ツー…ツー…

建宮「………」

建宮「……」

建宮「…」

ピッピッピッ…カチッ

プルルルルルプルブツ!…ツー…ツー…ツー…


建宮「」orz

この後、浦上の携帯電話にメールが届いた

内容は、

『後方の傭兵、ウィリアムアックアは百戦錬磨で涙の魔法名を持つ、ゴボウで戦う一部賢者であり聖人でございますよ』

…と物凄く意味不明に簡略された文章だった


―――
――
321 :第16巻 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:46:32.30 ID:DJpQOnGDO

〜とある集中治療室〜

医者「……」

医者が腕時計を見て、その場にいる皆に聞こえるように死亡した事を宣告した

禁書「そ……んな」

ステイル「……」ギリッ


すると集中治療室のドアが開き、勢い良く複数の人間が入ってきた


麦野「フレンダ!!」

絹旗「超フレンダ!!」

麦野・絹旗・滝壷の三人は、インデックス達を押し退け、ベッドに眠るフレンダの隣に立つ

滝壷「!!……ふれんだから…AIM拡散力場が感じられない」

絹旗「そんなの滝壷さんの能力が超絶不調なだけです!! どうせ超演技で私達を超驚かせようと!! そうですよね超医者!?」

超医者「……残念ですが」

医者の言葉を聞いた絹旗は顔を青ざめ、膝を落とす

隣にいた滝壷は膝をつき。フレンダの左手を取って、それを自分の両手で包むように優しく握った

滝壷「……ふれんだ」

麦野「……」

悲嘆に暮れる『アイテム』メンバー…

部屋の隅で松葉杖を支えに立つ少年が口を開いた

上条「……」

上条「……フレンダを殺したのは、……俺だ」

麦・絹・滝「!!?」
322 :第16巻 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:47:54.09 ID:DJpQOnGDO

――

麦野「なによ…それ…どう言う事」

上条「…言葉の通りだ。俺が、この右拳でフレンダを……」

麦野「ッ! テメェ!!」

ガッ!!

絹旗「待って下さい麦野!! 上条は超理由もなく殺すような奴じゃありませんよ!!」

麦野「離せ絹旗!! フレンダをあんな惨い…下半身のない体にして殺しやがったコイツを!! 同じ目に合わせねェと気が済まないんだよォォォ!!」

滝壷「むぎの。かみじょうはそんな人じゃないよ。冷静になって、ちゃんと話を聞いてみよう?」

麦野「!!……」

麦野の体から力が抜けていくのを確認した絹旗は、羽交い締めしていた腕の拘束を解いた

麦野は大きく深呼吸をすると、冷静な口調で上条に問い掛ける


麦野「…当麻、聞かせてもらえる? どうして…フレンダを殺してしまったのかを……」
323 :第16巻 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:48:56.36 ID:DJpQOnGDO

――

上条は小さく頷くと、あの時に何があったのかを語りだした

上条「事の始まりはカクカクシカジカ…ゲンゲン…コロコロ…ソゲ!ソゲブンブン!!……あの時に俺が止めていればフレンダは…ッ!!」

顔を俯け、歯を食いしばる上条

悔しさのあまり力が入り、両手に持つ松葉杖の取っ手をいつの間にか握り潰してしまっていた。

彼の拳からは血の雫が、まるで涙のようにポタポタとしたたり落ちる

ギュッ

上条「?…沈利姉ちゃん」

麦野「ごめんね、当麻…辛かったわね」ナデナデ

上条「いや、謝まらなきゃいけないのは俺の方だよ…フレンダを守れなくて…無力で」

ギュッ

滝壷「それは違うよ、かみじょう」

上条「理后姉ちゃん」

滝壷「ふれんだはきっと、あっくあから守りたかったんだよ。…『大好きなお兄ちゃん』をね」

上条「……そっか」

ギュッ

絹旗「お兄ちゃん元気出して下さい。今日は超特別に超美少女であるこの私が窒素装甲で包んであげますから」ギューー

上条「最愛……それにみんなも、ありがとな」ニコ

絹旗「えへへ」///

禁書(? そういえばこの人達誰なのかな? とうまの知り合い?)ボソボソ

ステイル(さあ、上条さんはパないからね。噂では下は0歳の幼女、上は80歳以上の老婆にまで好意を持たれているらしいよ)ボソボソ

アウレオルス(愕然…最愛ちゃんの可愛さにマジ愕然)ブス…ブス

ダミー(慨然! 最愛ちゃんが上条さんに…くそっマジ慨然!!)ゴン!ゴン!
324 :第16巻 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:52:45.64 ID:DJpQOnGDO

――

麦野「さあ、そのアックアって奴の事は私達に任せて。あんたは病室に戻りなさい」

上条「……」

麦野「へ・ん・じ・は?」

上条「……ああ、分かったよ。気をつけてな…姉ちゃん」

滝壷「かみじょう……大丈夫?」

上条「ハハ…大丈夫だよ理后姉ちゃん」

上条は松葉杖を突き、滝壷と共に集中治療室から出ていった



その10分後…


病院のロビーにある椅子で熟睡した滝壷を発見した


そして


上条当麻の病室のベッドに彼の姿は無かった



―――
――
325 :第16巻 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:55:24.82 ID:DJpQOnGDO

〜第22学区・鉄橋〜

深夜3時…第22学区第3層にある鉄橋では、既に天草式とアックアとの戦闘が始まっていた

アックア「ふん!」

大地を軽々と叩き割りそうなアックアのメイス

五和「……くっ!!」

しかし五和の槍が応じた。様々な術式で肉体を補強し、聖人の動きについていくための努力を重ねているのだろう

一撃、二撃、三撃と、アックアに対して半テンポほど遅れる挙動で、かろうじて五和は攻撃を弾き返している

アックア「良い動きである」

アックアは高速でメイスを降るいながら、素直に敵を称賛した

アックア「しかし良いのであるか。徐々にリズムが遅れているようであるが」

五和「ッ!!」

アックアが息を吸い、さらに強力に踏み込もうとした時、五和が動いた

彼女は前に出たのではなく、アックアの攻撃から逃れるように、思い切り後ろへ下がったのだ

ほんの数メートルのなけなしの逃避。

アックア「……ふん」

アックアはつまらなそうに息を漏らし、とどめを刺すべく前へ。

空気を引き裂き、ジェット戦闘機のような速度で飛び込もうとしたアックアは

五和「……」ニヤリ

ガクン!! と。

その動きが何かに縫い止められるように停止した
326 :第16巻 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:56:37.46 ID:DJpQOnGDO

――

アックア「な……っ!」

アックアは驚いて自分の足元に目をやると

諫早「…スキだらけじゃ」

天草式の諫早が、アックアの足にしがみついていたのだ!!

諫早「奥義…影縫い」

ドスッ!! と諫早が自分の武器である刀をアックアの足の甲に突き刺す

アックア「むぅっ!!!」

諫早「五和しゃん!!」

五和「ふっ!!」

言うと、諫早は素早くその場を退く。そして、入れ替わるように地面に縫い付けられたアックアに向けて、五和の槍が容赦なく突き入れられた

ここに来てようやく放たれた雷光の速度の反撃!

アックア「くっ!? おおおおお!!」

アックアは足の甲を貫通した刀を強引に引き抜き、そのまま目前に迫った槍に打ち合わせる…と

五和「……」ニヤ

海軍用船上槍の刃先にある『冷たい夜気』を利用して作り上げた術式を一気に発動し――そして起爆した

スバァ!! と閃光が吹き荒れ、爆風が直撃したアックアは衝撃で大きくよろめき、2,3歩後ろへ後退…しかし

もうもうと立ち込める粉塵を目隠しに。突如、彼の頭上から、轟!! と装飾剣が振り下ろされた!

アックア「!!?」

ガギィン!! と装飾剣が地面にぶつかり、辺りに金属音が響き渡る

そこに、先程までいたはずアックアの姿はない

浦上「チッ!! 五和、上!」

浦上の声を合図に、周囲に散らばっていた天草式が動く

五和「はい! みんな今こそ『本命』を!!」チャキ
327 :第16巻 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:58:10.68 ID:DJpQOnGDO

――

アックアはたった一歩で5メートル近くまで一気に突き進み、鉄橋を支える柱の上に着地する

アックア(油断した…あの老兵、油断ならぬ相手であるな)」

先程の爆発でボロボロになった諫早の刀を適当に放り投げると、敵に動きがあった

アックアの眼下で、天草式の集団が五和を中心軸に備えたものへと陣形を作り上げていく

なにやら、意志や魔力といったものが五和に向けて一斉に集中していくのを感じた

それは前兆。何か巨大な事が起きる手前の第一波!

アックア(来るか……ッ!!)

アックアが言葉を出す前に、五和が動いた

ガァン!! という爆音が炸裂する

それが人間の足がコンクリートの地面を蹴った音だと知覚した時には、既に五和はロケットのスペースシャトルのような勢いで夜空を突っ切っていた

アックア「!? 管槍!!」

槍と掌の間におしぼりを挟み摩擦を軽減することで、槍を突き出す速度と威力を倍加させる

だが五和のそれは本来の用途とは違う

これから放つその一撃

自身の掌を守るために細工しなければ、魔術の途中で手首を失う羽目になる

五和「聖人崩し!!」

ドバァ!! と五和の手の中で槍が爆発し雷光と化した。

一直線に飛び出した鋭利な一撃がアックアの腹の真ん中に容赦なく突き刺さり、青白い紫電がその背中から噴き出して、深夜の闇を引き裂いた
328 :第16巻 [sage saga]:2012/12/27(木) 21:59:48.30 ID:DJpQOnGDO

――

アックア「良い術式である」

五和「!!!」

雷光と化した海軍用船上槍が、いつの間にか元の形に戻っていた

なんと、槍の穂先がアックアが左手に持つ『何か』によって防がれていたのだ

アックア「普通の聖人なら、ここでやられていたかもしれないな」

アックアの唇が歪む

アックア「だが惜しい」

ギィィン!! と五和の槍が、アックアの右手に持つメイスによって弾かれた

そしてスキだらけになった五和の頭上から全長1メートルを超す――

アックア「私は聖人であると同時に『神の右席』であり……『ゴボウの使い手』でもあるのだよ!!」

――『ゴボウ』が超高速で振り下ろされた!!

ペシィン!! という爆発音が、第22学区に炸裂した

衣服を利用した身代わり術式を使う暇もなかった

五和「がっ、ァァあああああああああああッ!!」

それが自分の体の出す音だと気づいた時には、既に20メートル下のアスファルトに叩きつけられた
329 :第16巻 [sage saga]:2012/12/27(木) 22:00:55.13 ID:DJpQOnGDO

――

建宮「!! いつ…」

アックア「人の心配をしている暇があるのであるか?」

パァァン!! と炸裂音が鳴った時には、既に建宮の体は宙に舞っていた

牛深「教皇代理(元)!!」

アックア「この聖剣を抜いた今、メイスなど不要」

アックアは自分の影にメイスをしまうと

ペシン!!

諫早「ご」

ゴッ!!

香焼「ッ」

パァン!!

浦上「が」

パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパァァァァン!!

天草式「ァァああああああああああ!!」

それは僅か、ほんの一秒の間に出来事であった

目にも止まらぬ速度で動き、繰り出されるアックアの『ゴボウ』に、天草式の集団、数十名が成す術もなく空中に舞い上がり

やがて大量の鈍い衝突音と共に、天草式は冷たいコンクリートの上に体を叩きつけられた

アックア「つまらん……数を揃え、策を練ってこの程度であるか」ブン!

アックアが『ゴボウ』を軽く振ると爆風が吹き荒れ灰色粉塵が吹き飛ばされた

五和「うっ…ぐ……」

ボロボロになった五和は、砕けたアスファルトに埋もれながらも、起き上がろうとしている

アックア「……、見上げた女である」

アックアは、ほとんど潰れかけた五和に近づき、すぐ近くのアスファルトに足を乗せると、静かに語る

アックア「選択を与えよう。あの少年の右腕を差し出すか、ここで路上の染みとなるか」
330 :第16巻 [sage saga]:2012/12/27(木) 22:03:49.24 ID:DJpQOnGDO

――

五和「……」

行動があった。砕けたアスファルトの破片を掴み、なけなしの力でアックアの顔にぶつけると、口元を緩めながら唇だけを動かしアックアの問いに答えた


五和(死 ん で も お 断 り で す)パクパク


アックア「……ならば仕方ない」

アックアは特大のゴボウを構え直し、静かに語る

アックア「死を望むなら、波間に消えると良いのである」

ゴボウの先端が頭上を指し示す

ドォ!! という爆音

鉄橋の下に流れる川の水が空中に舞い上がり、アックアの意志に応じて大きくうねる。

サイズは全長20メートル弱。まるで建設重機についているアームような間接を持つ水のハンマーとなり、地上に這いずる五和を大地ごと狙う

五和「…ゴホ…ゴホ」

五和は最後まで目を暝らなかった


アックア「止めである」


だからこそ、彼女は気づいた

アックア「……?」

ふと、アックアの手が止まった事に。

アックア「……なるほど」

後方のアックアは僅かに呟き、そして笑った

一度は五和も間近で見た、強敵を前にした時の表情

……だが今回は、五和に向けられたものよりも何倍も何十倍も、深く深く刻まれていた


―――
――
331 :>>1です [saga]:2012/12/27(木) 22:11:04.54 ID:DJpQOnGDO
中途半端ですがここまでで今日の投下終了です


早く投下したいと言いながら、かなり遅くなってしまいまして大変申し訳ございません

後、最近文章と話が長すぎてすみません…出来るだけ短く簡潔に出来るよう努力します


次回の投下は出来次第です

ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 22:15:35.10 ID:JYKB8yQR0
おつ

フレンダェ…
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 22:20:29.82 ID:iip8xDjs0
フレェ……
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 22:21:30.77 ID:lFam9Fcoo
ンダェ……
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 22:33:24.07 ID:onCnlHOK0
復活するのは新約5巻までお預けかにゃーん
336 :>>1です :2013/01/04(金) 15:20:05.06 ID:J4GfKH7DO
すいません携帯がそろそろ限界に近いらしく、画面がついたり消えたりで中々書けませんでした

今から出来た所まで投下します

誤字、脱字がありましたら申し訳ございません
337 :第16話 [sage saga]:2013/01/04(金) 15:21:00.46 ID:J4GfKH7DO

〜第22学区・鉄橋〜

先程の激戦が嘘のような静けさの鉄橋…、

五和「………」

五和は呆然と、誰もいない前方を眺めていた。


生き残った


アスファルトもコンクリートも砕け、爆撃直後のようになった瓦礫に大量の水をかけたような惨状の中でその事実を噛み締めても、嬉しさはなかった

五和は、この場を去る直前にアックアが残した言葉を頭で繰り返す

五和(……貴様の、主に、感謝しろ……? ……主…女教皇……!!)

五和は首だけを動かし、辺りを見る


アックアが直前に見ていたであろうモノを追いかけたかったが、そこにはただの暗い闇が広がっているだけだった


―――
――
338 :第16巻 [sage saga]:2013/01/04(金) 15:22:12.93 ID:J4GfKH7DO

〜第22学区・河原〜

天草式との戦闘があった鉄橋から200メートルほど離れた場所

コンクリートによって固められた河原は、小さな展望台になっていた

『人払い』によって完璧に人気のなくなった冷たい施設に、二人の聖人は立っている

アックア「……」

一人は後方のアックア

そしてもう一人は……

神裂「私の『仲間』達が、世話になりましたね」

アックア「……そういえば、極東には一撃必殺を信条とする聖人いたのであるな」

アックアは満足そうな頷く

アックア「だがその格好は」

神裂「ぐだぐだと口を動かすのはやめましょう。彼らの無念を晴らすためにも貴方を倒す……それだけで十分です」スッ

彼女は握り潰すように、刀の柄へ手を伸ばす


アックア(?? この極東の聖人…何故あのような姿なのであるか?)

首を傾げながらも彼は、改めてメイスを握り直す


二人の『聖人』の眼光が、正面から激突した

それが合図


世界で20人といない怪物と堕天使メイドの聖戦が、ここに幕を開ける!!


―――
――
339 :第16巻 [sage saga]:2013/01/04(金) 15:23:42.64 ID:J4GfKH7DO

〜数年前・フランス〜


オルレアン騎士団

フランス最大の魔術結社。それが少年に絶望を与えた名前だった

少年「うおぉおおん!うおぉおおん!!」ゴロンゴロン

この魔術結社。相当に熱狂的なジャンヌ・ダルクのファンで、

「ダルクが聞いた『特別な声』が聞けたら君もダルク!!」

というキャッチフレーズを掲げて、人工的な『ダルク量産化計画』という『できるはずのない実験』を未だ繰り返していた

少年「うおぉおおぉおん!勝てんもおぉおん!数が多過ぎるもうおぉうおおぅん!!!」ゴロンゴロン

そんな中で巻き込まれたのが、一組の少年と少女

『ダルクの神託』の『素体』として一人の少女が半ば強引に選ばれ、少年はそれに抵抗した

だが今、少年の側に少女はいない

少女を逃すためにありとあらゆる策を講じ、持てる力を総て使って奮闘し――そして敗北したからだ

腐った路地の中、少年は汚い地面に倒れていると

『そこで這いつくばって、なにをしているのかね?』
声が聞こえた

少年「ウ、ウィリえもん!?」
340 :第16巻 [sage saga]:2013/01/04(金) 15:34:55.62 ID:J4GfKH7DO

――

少年「助けてよウィリえもぉん!! オルレアン騎士団があの子を攫っていったんだよぅ」

アックア「なら、もう一度立ち上がればよいではないか…手を伸ばせばまだ間に合うのである」

少年「僕は…僕は、ウィリえもんみたいな特別な人間なんかじゃない。その場にある物だけで、どんな危機でも乗り越えられるような人間じゃない! 勝てる訳ないじゃないか。相手はフランス最大の魔術結社なんだ! そんなの相手にどう戦えって言うんだよ!」

ウィリアム「……くだらん絶望など、している暇はない」

ウィリえもんはいつまで経っても少年が拾おうとしない、鞘に収まった剣を手に取り、

ウィリアム「選べ。乗るなら早くしろ…でなければ帰れ」

少年「…僕は…」

少年「…僕は…ッ!! エヴィリアンゲリオンパイロット! イカジリ・シンです!!!」

イマーワタシノーネガーイゴトガー♪

少年は立ち上がる

満身創痍の全てを無視して、傭兵が持つフランス製の剣の柄を掴み取り、ウィリアゲリオンの肩に跨がった!!

ウィリアム「――良い選択である」ニヤリ

少年の表情は変わっていた。彼は最終人型聖人に跨がり、共に暗い路地の出口を――倒すべき敵と、救うべき少女のいる『隠れ家』のある方角を見据える!

シン「アナミヤを……」

少年は静かに告げた。

シン「アナミヤを…返せ!!」クワッ!!

敵はフランス最大の魔術結社、オルレアン騎士団

プロの戦闘集団相手に、これより本当の反撃が始まる!!

ミサット「行きなさいシン君! 誰の為でもない、自分自信の為にッ!!」クワッ!!
341 :第16巻 [sage saga]:2013/01/04(金) 15:36:12.33 ID:J4GfKH7DO

〜第22学区〜

神裂「おおおァあああッ!!」

裂帛の気合と共に放たれるのは、神速の抜刀術『唯閃』。

何人にも受け止める事のできないはずの斬撃を、しかしアックアは巨大なゴボウで弾き返す

ガガガザザザギギッ!! と互いに武器の火花を散らしながら行われる聖人同士の戦い

1メートル強もの野菜を木の枝のように軽々と振り回しながら、アックアは言う

アックア「……素晴らしい。たった一人の危機にこれほどの人員・戦力が駆け付けるとは、大した人望。あの少年、敵ながら見事である」

アックア「しかし覚悟しろ。我が戦場に立つと言うのなら、蹴散らす他に道はない!!」

ゴァ!! という新たな爆音が炸裂する

神裂の背後は暗い川。その暗い水面が揺らいだと思った時には、20メートル近い水柱が上がっていた

それは間接を持つ巨大なハンマー。

恐るべき鈍器は、そのまま頭上から神裂を叩き潰そうと迫る!!

神裂「七閃」キン!

ドバッ!! という切断音が響いた。死闘を繰り広げる神裂の周囲で何かがキラリと光った瞬間、迫りくる水のハンマーを七つの斬撃が切断し、海面に帰した


神裂「…この程度で全力と思われるのは心外です」


神裂「七百七十七閃」キィィン!
342 :第16巻 [sage saga]:2013/01/04(金) 15:37:23.73 ID:J4GfKH7DO

――

アックア「!!!」

神裂の唇が動いた途端、七百七十七の斬撃が、様々な角度から一斉にアックアを襲う

連続した音は鳴らなかった

あまりにも素早すぎて、音は数をなくした塊となる

バァン!! と空間そのものを巨大な腕で引き千切るような轟音!

神裂「……」


しかしアックアはそこにいなかった

神裂の視線が正面から遠方へと移る。10メートルほど離れたコンクリートの地面に、アックアは飛び退いていたのだ

その頬に、一筋の切り傷

笑みを作りながら流れる血を人差し指ですくい

アックア「……」ペロ

アックア(……甘い)パア

神裂「……、」スッ

神裂は手にした刀を鞘に納め、重心を低く落とし抜刀の準備に入る

アックア「いいだろう…見せてみろ、極東の聖人」

それを見たアックアは、己の血で素早くゴボウに紋様を描き、ゆっくりと構え直した

アックア「口先だけの言葉ではない。その恰好に籠めた理由を示してみせろ!!」チョイチョイ

神裂「――、」フッ

ガッキィィン!! という甲高い金属音が炸裂した
343 :第16巻 [sage saga]:2013/01/04(金) 15:40:45.94 ID:J4GfKH7DO

――

神裂とアックアの得物がぶつかり合い、二人は至近距離で睨み合う

神裂「貴方に言われるまでもありません…」

神裂「堕天使…冥土解放!!」

神裂の全身が、秘める気配が、一気に二回りも膨れ上がる!!

その背後には巨大な光の翼が生え、頭上には白く丸い輪っかが浮いている

アックア「むっっおぉおおお!!」ギリギリ!

神裂「この力を発動した私の聖人力は53万です…。最早、ただの聖人である貴方に勝ち目はありませんよ」

アックア「ッッ減らず口をッ!!」

見下したような神裂の言葉にアックアが吠えると、鞭のようにしなる水の尾が様々な角度から神裂に襲いかかった

神裂は鍔ぜり合うアックアを力技で吹き飛ばし、鞘に刀を納めると

神裂「七閃」キン

パァン!

弾けた水の塊が瞬時に凍りついていき、一つ一つが30メートル近い無数の氷の槍となり全方向から迫る

神裂「七閃…"円"」キン

ギギギギギギギギギン!

砕けた氷のかけらが撒き散らされ、それらは再びアックアの手に操られ、キラキラと輝くダイヤモンドダストへ変貌した

神裂「…七千七百七十七閃」キキキン!!!

次々と形を変える水の魔法陣に対し、神裂は七本の綱糸を超高速で操作

水と綱糸。世界が無数の光線に染まる

『やるな極東の聖人!!』
344 :第16巻 [sage saga]:2013/01/04(金) 15:42:33.59 ID:J4GfKH7DO

――

神裂「!?」

神裂が頭上を見上げると。アックアの体が真上に20メートルほど飛び上がっていた

アックア「我が最強の奥義、受けるがよい!!」

夜空を映す、プラネタリウムのスクリーン

アックアは天井近くで体を反転させると、作り物の天蓋へ足を乗せる

アックア『――聖母の慈悲は厳罰を和らげる』

ささやきに応じて、青白い閃光を受けたゴボウ全体に莫大な力が集まっていく

アックア『時に、神の理へ直訴するこの力。慈悲に包まれ天へと昇れ!!』

怒号と共に天井を蹴飛ばし、勢い良く下降するアックア

一直線の落下!

そして振り下ろされる巨大なゴボウ!!

神裂「!!! 唯せ」

そこから放たれたのは、斬撃や刺突や射出や爆発や破裂や分断や粉砕ではない

ただ重圧。

神裂「ぐっお」ギギギギギギギギギ

上から下へと突き進む圧倒的な破壊力は、小惑星との激突すら凌ぐ

アックア「ヌッオォォオオ! ファイブスティック! アックアルマゲドン!!」

―  ―

その時、世界から音が消えた


―――
――
345 :>>1です :2013/01/04(金) 15:49:41.21 ID:J4GfKH7DO
今回はこれで投下終了です

ここまで見て頂き本当にありがとうございました


この文を書いてる間や投下の最中にも何度も何度も電源が切れてました…もういい加減に携帯買い換えてきます


新春そうそうに不幸ですorz
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/04(金) 23:54:34.22 ID:7g8+IFRDO
>>345
相変わらずのブッ飛び具合乙なんだよ!

ドンマイwwww
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/08(火) 13:13:10.74 ID:ojtmE1rDO

〜第22学区・下り坂〜

美琴は第22学区のお風呂に入った後、第7階層にあるグレードの高めなホテルへ足を運んでいた

御坂(無酸素警報とかツイてないわー。正月早々に携帯が壊れた>>1よりツイてないわー)

そんなこんなで螺旋状の下り坂を降りていると

その時だった

上条「ごっがあぁ」ズザー

上条当麻が前方の暗がりから現れ、盛大に転んだ

御坂「ちょ、アンタ何やってんのよ!?」

慌てて美琴は駆け寄る

上条「ハァハァ…美…琴、か……?」

御坂「そうよ! アンタの正妻でLevel.5で常盤台のエースで原作では看板ヒロインで外伝では主人公、このラノヒロイン部門人気No.1の4連覇でゲームや映画でも大活躍の御坂美琴よ! しっかりしてぇぇ!」

上条「……行か、ないと……あいつら…今も戦ってる。だから俺も行かないと……」グググ

御坂「アンタが死んだらあの子は…麻琴ちゃん(娘)はどうするのよぉ! パパがいなくなって、毎晩夜泣きして、夜中に『ママぁ、パパはいつになったら帰ってくるの?』って涙目で言われて、私はグッと涙を堪えて『麻琴ちゃん。パパのお仕事はね、みんなの幻想をそげぶしなきゃいけないの…だから…だ…から……』で麻琴ちゃんが『ママぁないちゃやだぁ』と(ry」

上条「……」

上条の声は、美琴の耳には聞き取れなかったようだ…


―――
――
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/08(火) 13:14:24.45 ID:ojtmE1rDO

――

上条「ハァ…ハァ」

上条は街灯の柱に体を預けると、折れてない足に体重を掛けて一気に立ち上がる

そしてゆっくりとした動作で街灯の柱から手を放すと、再び歩き出した。

御坂「マコちゃん…今日は大人しくネンネしましょ? はい、ゲンコロゲンコロヨヨイのヨイ♪ゲンコロゲンコロそっげぶっぶぶ♪」ブツブツ

いまだ妄想の世界から抜け出していない美琴の横を通り抜けようとして、そこで膝から力が抜けた

ガクン、と地面に崩れそうになる上条を美琴が慌てて支える

御坂「パp…とu…アンタ! その怪我どうしたのよ!? そっちについている電極コードとか……、まさか、どっかの病院から抜け出してきたとかって言うんじゃないでしょうね!?」

上条「……離し…てくれ…俺も…行かないと…」

御坂「!?」

間近に接近したからか、ようやく上条の声が聞こえた

断片的な言葉を聞いただけで、美琴は全身が震えるのが分かった

止めるべきだ、と美琴は思う

今にも死にそうな体を引きずって、それでも何らかの危機に立ち向かおうとするこの少年を…
349 :第16話 [sage saga]:2013/01/08(火) 13:15:32.59 ID:ojtmE1rDO

――

上条「……?」

上条は、いつまで経っても自分の腕を掴み続ける美琴を、不思議そうな目で見ていた

すると…

御坂「何で……言わないのよ」

御坂「助けてほしいって、力を貸してほしいって! ううん、そんな具体的な台詞じゃなくて良い。もっと単純に!! 怖いとか不安だとか、美琴愛してるとか美琴結婚してほしいとか、そういう事を一言でも言いなさいよ!」

上条「美琴……。なに、言って……」

御坂「知ってるわよ」

この期に及んでごまかそうとするように……いや、美琴を巻き込ませないように演技?を続ける上条に、美琴は切り捨てるようにこう言った

御坂「アンタが私を好きだって事ぐらい、私は知ってるわよ!!」///


その瞬間、上条の肩がビクンと大きく動いた


大きな――それこそ人生を左右するほど大きな揺らぎが見えた気がした

御坂「……ん?」
350 :第16巻 [sage saga]:2013/01/08(火) 13:16:33.73 ID:ojtmE1rDO

――

上条(痛〜! なんか腕にビリビリッときたのですが!?)

戸惑っている上条を見て、美琴の方も衝撃が走る

御坂(へ? ええっっ!!ホントに!? 物凄く適当に言ってみただけなんだけど……そっかぁ…そうだったんだぁぁ///)フニャフニャ

上条「…ん?」

気がつけば、いつの間にか美琴の手が離れていた

御坂「もう相思相愛だったわけだし…いっそ下の名前で呼んでみよっかなぁ…でもぉ当麻って呼んだらあのシスターと微妙にキャラ被るし、でもでもいつまでもアンタって呼ぶのは正妻的にはどうなのかなぁ…///」バチバチフニャフニャブツブツブツ

姫神「残念。正妻は。この私」

どうやらふにゃった美琴は再び妄想の世界へ旅に出たようだ

上条「あー悪い姫神…後頼むな」

姫神「うん。当麻君。…気をつけてね」テヲフル

上条は姫神と美琴に背を向けて、再び歩き出す

御坂「エヘヘ結婚はお互いが納得してからかしらぁ。私としてはすぐにでも……っていやいやなにを考えてんのよ私は! こう言うのは先ずお互いの両親に報告を…」スッ

美琴がポケットのゲコタ携帯に手を伸ばすと

ガシッ!

美琴「?」


姫神「させない。正妻は。この私」


―――
――
351 :第16巻 [sage saga]:2013/01/08(火) 13:17:33.45 ID:ojtmE1rDO

〜第22学区・5階層〜

アックア「クックックである! ハァッハッハッである!!」

高らかに笑うアックア

神裂「ぐッ……アックアぁぁあああああああッ!」

そして、敵を前にしても棒立ちし、ただ睨みつけ吠える神裂…

ドバァッ!! という激突音が炸裂する

ゴボウの直撃を受けた神裂の体はくの字に折れ曲がりノーバウンドで数メートル吹き飛んで、アスファルトの地面に叩きつけられた

神裂「グ…ガハ…ゴフ!!……」グググ

神裂は食いしばり、立ち上がる

建宮「女教皇!!」

だが、受けたダメージが大きく、両手で構えた七天七刀はふらふらと揺れていた

アックア「……我が一撃をこれだけ受けてまだ立ち上がるとは…堕天使冥土、大したモノであるな」

五和「くっ!!」チャキ

アックア「おっと…動くなである」スッ

打ち止め「離して離してってミサカはミサカはジタバタと暴れて抵抗してみる」ジタバタ

アックア「この小娘の命が惜しければ大人しくしておくのだな」ニヤリ

一方「打ち止めァァ!打ち止めァァァ!!」

浦上「そんな小さな子供を人質にしてまで勝ちが欲しいなんて…本っ当に最っ低のクズね、アナタ」ギリッ

アックア「そこで怒りを覚えるとは手緩いな。既に此処は戦場なのだよ。そして、この領域に踏み込んできた以上…」ブン

ゴォン!! と再び激しい衝撃音が響き、神裂の体がコンクリートの地面に減り込んだ

アックア「逃げ場や安全地帯、まして紳士のマナーなど存在しないのだよ」
352 :第16巻 [sage saga]:2013/01/08(火) 13:18:44.61 ID:ojtmE1rDO

――

神裂「ごっ、ふ」

既に限界を迎えている神裂の口からは断続的に血がこぼれる

アックア「終わりである」

神裂「ッ!!」

アックアの右足が振り下ろされる前に、神裂は倒れたまま真横へ転がった

地面に落ちていた七天七刀を強引に掴み取る

同時、アックアも1メートルを超すゴボウを真横に振るった。瓦礫も地面もまとめて薙ぎ払うような、強引極まりない一撃だ

ゴボウと刀がぶつかり、ガッギィィ!! と轟音が鳴り響く。

神裂「ぐッッ!」

ゴボウの勢いに押される前に吹き飛ばされそうになる神裂だが、刀を地面に突き刺す事で威力を殺す。

それでも10メートル以上地面を滑ってようやく動きを止めた

アックア「……まだ諦めないのであるか」

アックアは感心したように告げる

神裂「……そうですね」

神裂は血まみれの両手で七天七刀を構えながら、言った

彼女の口元には、笑みすらあった

神裂「救いを求める者を前にして…そう簡単に死ぬわけにはいけません」


神裂「そして私を信じて待ち続けてくれた天草式の皆の為にも、もう二度と自分から逃げるようなことはしません!」
353 :第16巻 [sage saga]:2013/01/08(火) 13:26:47.46 ID:ojtmE1rDO

――

アックア「……集団心理でも働いたのであるか。動けずにいる貴様が、さてどうやってこの娘を救うと言うのである」スッ

ギリ…ギリ、と左手を万力のように徐々に力を込め、ゆっくりと嬲りながら打ち止めの体を圧迫していく

打ち止め「うわああん痛い痛ぁぁい助けてアナタァァってミサカはミサカは涙を流しながら救いを求めてみたりぃぃ」

神裂「アックア!!」ギリ

一方「チックショウがァァ!! 千回ぶっ殺してミンチで愉オブにすンぞこの筋肉ゴルファァァ!!」

アックア「クックックであぁる。クックックであるなぁぁぁ!」ギリギリ

打ち止め「が…ぁ…ア…ナタ…って…ミサ…カはミサ…」ガク

一方「!!! グ…ギ…ガァァァァ!! rolich打it止paiii!!!」ブワ!!

五和「!?」

アックア「む?」

一方「rori打chitp止aiwaju離stis!!」

轟!!

アックア「ふん」スッ

一方「!!!」

ガギン!! と、アックアが盾にした打ち止めの体の数センチ手前で、超音速で放たれたはずの黒翼が停止した

瞬間…アックアに僅かなスキが生まれたのを神裂は見逃さなかった

神裂「はァああ!!」

アックア「!!!」
354 :第16巻 [sage saga]:2013/01/08(火) 13:32:33.24 ID:ojtmE1rDO

――

ドォン!! と破壊音が辺りに響く

神裂の一撃はアックアに向かわず、彼の背後にある物を破壊した

神裂「……」キン

アックア(!? 一体、何処を狙って――)

瓦礫の山に埋もれていた背景の一つ、錆び付いた有刺鉄線を!

アックア(……なるほど、そう来るか……ッ!?)

アックアが頭上を見上げた時、千切れて空を飛んだ鋭い針金が、ちょうど円の形になった所だった

さらに神裂のワイヤー、七閃が周囲一面を改めて切断する。瓦礫の山から次々と魔術的な意味が抽出され、彫刻のように出現する

現れたのは巨大な十字架であり、鋭い鉄杭のような釘であり、そしてイバラの冠だった

すなわち、

アックア「"神の子"の処刑であるか!!」

アックアという中心核に重なるように存在する、聖人と聖母の力。

アックア「!? ぐっっごっがああああああ!!!」

それらが外からの圧迫を受けて互いに競合を引き起こし、ギシギシと嫌な悲鳴を上げている


訪れた勝機

神裂は腹の底から力を込めて叫ぶ!


神裂「準備は整いました! 槍を持つ者よ、今こそ処刑の儀の最後の鍵を!!」
355 :>>1です :2013/01/08(火) 13:34:47.77 ID:ojtmE1rDO
携帯に残っていたやつを全部投下しました

ここまで見て頂き、本当にありがとうございました
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 14:30:22.06 ID:Q2ONozoAO

上条正妻戦争勃発か。相変わらずパネェぜ
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 17:47:39.79 ID:9w9gwzVDO
相変わらずの一方wwwwwwww
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/08(火) 18:58:14.24 ID:p3LLdXV4o
妄想が残念過ぎるが実際新約に入ってから指輪買ったりと割とそれくらいの妄想はしてそうなところが痛々しいな
あとくっくっくであるなとは言わないだろwww
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 01:37:18.33 ID:2jo5iMKz0
一方通行の安定感wwww
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 01:46:34.30 ID:Oub2aERV0

みこっちゃん残念かわいい
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 08:59:19.21 ID:MJQqSk23o
美琴wwwwwwww
362 :>>1です :2013/01/18(金) 21:34:34.21 ID:AvdhNV/DO
遅くなってしまい大変申し訳ございませんでした

第16巻の最後までを投下させて頂きます

誤字、脱字は出来ればあまり気にせずにお楽しみ下さい
363 :第16巻 [sage saga]:2013/01/18(金) 21:35:09.22 ID:AvdhNV/DO

――

五和「ッ!!」コク

『聖人崩し』の鍵を握る五和は、神裂の言葉を汲み取り、即座におしぼりを取り出し、それで柄を包むように海軍用船上槍を構えた

アックア「グ…お…面白い」

しかしそれ以上に早く、アックアが動いた

アックア「天草式十字凄教であるか。たかが一人に集団で暴行する卑怯者の集まりなのだと我が胸に刻み込んでやろう。ついでにこの事実を"アレちゃん"(※アレイスターちゃんねる)と"トゥウィットァー"のコンボで世界中に拡散してやるのであぁる!!」ブン

アックアの全身の筋肉が膨れあがり、左手に掴んでいた打ち止めを『聖人崩し』の準備を進める五和に目掛け投げつけた!

五和「……ッ!!?」
浦上「くっっ!!」
香焼「ちょっっ!!」

不意をつかれた五和達は咄嗟に衝撃緩和の魔術を使用し受け止めた…がしかし

アックアの体は既に20メートル近く――いや、第4階層と第5階層を繋ぐクレーターを突き抜け、二倍以上も飛び上がっている!

円形のクレーターの奥から街の光が漏れるため、まるで巨大な月のように見えた

その人工的な月を背に、アックアがゴボウを構える

アックア「聖母の慈悲は厳罰を和らげぇぇぇぇる!!」

以前、あの一撃は小惑星の激突にも似た破壊力で神裂火織を襲った

万全の堕天使冥土での神裂ですら跳ね返すのがやっとの破壊力。それが、今回は単純に2倍の滑空距離!

神裂(!?)

神裂は聖人の脳をフル回転させ、一瞬の内に計算した

あの時×2倍の滑空距離×追い詰められた時に体内から発する聖人の小宇宙=

神裂(まずい!? 今の"アックアルマゲドン"の威力はビッグ・バング!!)
364 :第16巻 [sage saga]:2013/01/18(金) 21:37:16.48 ID:AvdhNV/DO

――

あらかじめ配置された無数のワイヤーが防護の陣を築き、神裂自身が魔力を通し、その鉄槌を防ごうとする。

だが足りない。アックアの一撃はBIG BANG…神裂の『GOD Split Wireless』ではあの威力を防ぐことなど『月詠小萌先生』が『エイワスの一撃』に堪えるくらい不可能!!

アックア「時に、神に直訴するこの力。慈悲に包まれ天へと昇れぇぇぇい!!」

ドゴォン!! 第3階層の天井の崩壊と同時にアックアが超加速した

莫大な速度で、一直線に落下するアックア。夜景の光を浴びたゴボウが青白い尾を引いていた。

直にそれを受けた神裂だから分かる。あれをもう一発受ければ命はない。神裂はおろか周辺にいる天草式の全員が殲滅されてしまう

神裂(頼みの綱は――ッ!?)

歯噛みする神裂の前で五和が槍を構えた。『聖人崩し』しかし術式の下準備が終わっていない。このままでは間に合わない

神裂(諦めて……)

破壊の塊と化するアックアの一撃が神裂の防護術式を容赦なく食い破り…そして

神裂(諦めて、たまるか!!)


アックア「我が全身全霊の一撃! アックアルマゲドォォン!!」

―   ―


光が吹き荒れた


神裂火織の目が、耳が、鼻が、舌が、肌が、全ての感覚が消えてなくなった
365 :第16巻 [sage saga]:2013/01/18(金) 21:38:32.82 ID:AvdhNV/DO

――

破壊

そのたった二文字の単語すら、理解できなかった

神裂(………)

五感が死んでいる。あるのは白。瓦礫の吹き飛ぶ音も、吹きすさぶ衝撃波も、舞い上がる粉塵も、鉄臭い匂いも、何かの潰れる感触も、何もかもが脳まで入ってこない

神裂(……、っ?)

そして神裂は気付く

少しずつだが、五感は戻りつつある事実に!

失われたのではなく、回復しつつあるという事は……。

神裂「ま、さか!」

五感が戻る。自分の言葉が耳に入り、それをきっかけにするように、全ての感覚が息を吹き返した

そして神裂の目に映る一人の少年…

上条「……」

上条当麻がアックアの魔術攻撃を正面から押さえつけ、握り潰すような勢いでゴボウを掴んでいた!

アックア「な……にッ!!」

上条「幻想衝撃……」

驚愕するアックア。上条は右手に力を込めゴボウを握り潰すと…

上条「……」

そのまま、力尽きたようにアックアのいる方向へ前のめりに倒れ込んだ

いや、違う

上条は一撃を放つために骨折した足で地面を踏み締め、体の軸を固定したのだ!!

上条「イマジン・インパクトォォ!!」

掛け声と共に勢い良く放たれた右拳がアックアの腹の中心に突き刺さり、┣"ォン!! と言う重低音が学園都市中に響いた
366 :第16巻 [sage saga]:2013/01/18(金) 21:40:09.01 ID:AvdhNV/DO

――

アックア「ぐおっっ!」

物凄い衝撃を受けたアックアの体は、一気に数メートルほど浮き上がった

上条はそれを確認すると、そっと目を閉じ、両腕を左右に広げ、握り締めていた拳を開いた

上条「……俺の中に残っている全幻想力は、あと2幻想……神浄化はおろか…一撃の幻想奥義を放つ力も残っちゃいねえ」ボソ

一方「!?」

上条「けど! テメエを倒す力は残っちゃいねえけど!……俺には……力を貸してくれる……仲間がいる!!」クワッ!

上条の両手の平に一枚ずつ光り輝くタロットカードが空から舞い降りてきた

上条「悪いな二人共、俺に力を…貸してくれ」ニコ

そして両手のタロットカードから細く白い光線が飛び出し、上条の目先の中心でぶつかり合うと、光と光が重なり一つになった

準備は整った

上条「二身幻想融合」

そして今!


上条「『フレ』×『ッラ』!!」


上条が両手を勢い良く交差したと同時。光り輝く二枚のタロットカードが上条の手の動きに合わせるように動く。

そして白く細い光線のレールを辿り、その中心で重なり合い、そして音を立てて砕けた


瞬間


神裂火織と天草式は、幻想が創り出した奇跡を目の当たりにした!!
367 :第16巻 [sage saga]:2013/01/18(金) 21:41:27.85 ID:AvdhNV/DO

――

五和「……あの娘は…」

????「……ふう」コキッコキッ

上条が力を使い生み出した『何か』はふわふわした長い金髪に白い肌、青い瞳で小柄な体躯に頭にはベレー帽を被った女の子だった

…が、何処かが違う

その『何か』を知る者なら違和感に気づいたはずだ

現に『何か』を目撃したことのある五和が『あれ?あの女の子って下半身…それにあのエリマキトカゲの服何処かで見たような…』と首を傾げている

すると

フレッラ「パンパカパーン粉! 科学と魔術の融合体『神の血』のフレッラ! 参上ってわけですねー!!?」

フレッラと名乗るエリマキ女が解き放たれた開放感からか両手を天高く上げ、高らかに笑う

五和「!?『神の血』」

上条「じゃあ、後は頼んだ……………」ドサ

全幻想力を使い果たした上条は路上に倒れ込んだ

それを見たフレッツは口元を緩めると、倒れ込んだ上条に向け口を開いた

フレッラ「当麻お兄ちゃん。結局、あの時は役に立てなかったわけだけど…」

フレッラ「今度こそは、大好きなお兄ちゃんを守ってみせますからねー!」

言うと、フレッラの足元からパン粉が噴射し、そしてロケットのように一気に上空へ飛び上がった!


その速さを、青髪ピアスはこう語る


青ピ「パン屋さんの仕込みってのは朝早いんよ、カミやん」ニカッ
368 :第16巻 [sage saga]:2013/01/18(金) 21:43:34.32 ID:AvdhNV/DO

――

上条の一撃を受け、地上から数メートル吹き飛ばされたアックア

その口元からは赤い鮮血が垂れていた

アックア「肋骨を何本かやられたか…、…む??」

すると正面から

フレッラ「アックアァァァァアアアア!!」

フレッラの右手の平に小麦粉が集まり、巨大な白い拳になった

アックア「何者かは知らんが、正面から私に挑むとは良い度胸であるな」

アックアは何もない闇夜に向け手を伸ばすと空間が捩曲がり黒い渦の中からメイスの柄が出現した

それを勢い良く引き抜くと、地上から飛んでくる小娘を迎撃する体制に入る

既にお互いの距離は、後1メートル

アックア「ふん!」

ボッ!! とアックアがメイスを軽く横に薙ぎ払うと

フレッ/ラ「………ッ…」

彼女の体は再び、上半身と下半身がお別れをした

が、しかし!!

アックア「なに!?」

フレ「てへっ☆結局、勝利を核心したやつを騙し討ちするこの瞬間がサイコーなわけよねー!」

フレの上半身がアックアの懐に飛び込んだ!

フレ「くらえぇぇ! 暗!半!千ぃぃ!」

ドゴォン! とフレの白く巨大な右拳がアックアに直撃した

物凄い速度で更に上空へ吹き飛ぶアックアを、

フレ「まだまだ、『ッラ』! 暗切躯!!」

アックア「!? グハァ!!」

既に待機していた『フレ』の『ッラ』が飛んできたアックアを蹴り落とした!
369 :第16巻 [sage saga]:2013/01/18(金) 21:45:06.48 ID:AvdhNV/DO

――

フレ「地味巨乳! 止めはくれてやりますってわけね!」

アックア「ぐ…ふッ! 貴様らぁぁぁ!」

受け身も取れず、ただ落下するアックアは叫ぶ

五和「任せておいて下さい……」

五和がおしぼりで柄を包むように握った槍を構え直すと、他の天草式の面々も特殊な術式の起動に入った

五和「――必ず当てます!!」

咆哮と共に、五和が爆発した

複数の術式の保護を受けた少女の小柄な体が、一気に加速しアックアに突き進む


身動きの取れないアックア

アックア「おおおおおおおおおおおおおおッ!?」

直前、アックアが放ったのは雄叫びだった

それは恐怖によるものではない

次の一撃を避けられぬと分かり、なお己の内に信念を揺るがせず、むしろ突撃してくる五和に見せつけるように、下半身の巨大なメイスに力を加えるための戦意ある雄叫び!

五和「」

アックア「うおぉぉおお! 猛ろ!聖剣ヴィィリアァァァァァァァァン!!」ブンブンブンブン

五和「……『変人崩し』」

五和の槍が分解され、一本の雷撃へと形を変えると、ドバン!! という空気の震える音が炸裂した

アックア「おおおぅふッ!!」

雷光はアックアの股関に突き刺さり、尻から飛び出し、今度こそ彼の彼の全身を蝕む!

アックア「はあぁあんであある! ふあぁああんでああるぅうぅ///」ビクッビクッ

五和「……」
浦上「……」
神裂「……」
370 :第16巻 [sage saga]:2013/01/18(金) 21:46:22.28 ID:AvdhNV/DO

――

アックアの尻から、火花とも違う光の十字架が上下左右へ爆発的に伸びた。

しかし、その十字架の中心点、交差するポイントを貫くように衝撃を受けたアックアの体が

アックア「はっはあああん!」ビクン!

大きく飛ぶ!

『変人崩し』を受けたアックアは自分でコンクリートのタイルの上を数十メートルも転がり、その右手で聖剣ヴィリアンを握り、アックアはそのまま第5階層に用意された人工の湖へダイブした

砲弾のように水中を進んだ彼の体が完全に見えなくなった所で、更なる変化が起きる!

アックア「ハァハァハァハァ! 今すぐヴィリアァァン姫の服をヴィリヴィリアアァァァァンしたいのであある!!」クネクネ

変人の絶頂

後方のアックア自身の起爆!!

ビクビクン!

アックア「ッッ!!……ふう」


カッ!! と深夜の暗い湖が真昼のような閃光に包まれ…

神裂「っっ!?」


神裂達の視界が真っ白に塗り潰された
371 :第16巻 [sage saga]:2013/01/18(金) 21:47:33.87 ID:AvdhNV/DO

――

大量の水が丸ごと蒸発する不気味な音が耳についた


神裂火織が再び目を開けた時、アックアは存在しなかった

いや、、違う

アックア「そう、か…そう、であるか」

アックア「そうである」

アックア「今の私は……神の右席のアックアでも……ごろつきの傭兵でもない」

アックア「な、に?」

アックア「私は」

ウィリアム「私は……聖人であり賢者…"賢人"ウィリアム・オルウェルである」ニッコリ

アックア「貴様!? 何を言っっ!ぐわああああ! か…体が崩れるのであある!!」

一方「……訂正してやる」

一方「聖人と変人…後方のアックアの力は大したモンだ。オマエなンかにゃもったいねェチカラだよ。明らかに制御出来る範囲を越えてやがる」

アックア「あ、あ…」

アックア「あああああ!! あああああああああああああ!!」ボロボロ


『変人崩し』を受けたアックアの体からもう一人のアックアが現れ。聖人の枠を越えた新たな力! 『賢人』のウィリアムが誕生したのだ!!

一方「後方のアックア」

一方「……オマエは、オレが戦った中で最強の宿敵だった」


五和「」


―――
――
372 :第16巻 [sage saga]:2013/01/18(金) 21:48:51.49 ID:AvdhNV/DO

〜聖ピエトロ大聖堂〜

交渉人『アックアマケタ。サアアナタ、エラブ。ドゲザかセップク。ドチヲエランデモマケイn…』ブツ

戦略交渉人と呼ばれる者は、いくつかの資料と、降参するためのプラン?をいくつか提示してきたが。

ローマ教皇はそれらを半分も聞く前に、連絡を断ち切っていた

ローマ教皇「ガッデム!!」ドン!

ローマ教皇(そもそも、一体何をどうすればアックアが敗れるのだ……)

ローマ教皇は静かに思う

確かに、あの少年は強敵だ

真剣な表情で考え込むローマ教皇の耳に、コツ…コツと一つの足音が聞こえてきた


????「くっくっくっ。そろそろ俺様の出番のようだな」

ローマ教皇「ま、さか、『奥』から出てきたのか…」ブルブル

????「ん? これはこれは、険しい顔を浮かべているな」ニヤニヤ

????「指導者の資質は窮地にこそ露になるって言うのに。いかんな、そういう反応は…」ヤレヤレ

ローマ教皇「くっ…ならばお前には有ると言うのか? 科学サイドの総本山、学園都市の動きを封じるだけの圧倒的な策が!!」

????「安心しろ…策はある」

男は右拳を前にやり、人差し指を立てると、軽い調子でこう言った

????「まずは――」


―――
――
373 :第16巻 [sage saga]:2013/01/18(金) 21:49:49.80 ID:AvdhNV/DO

―5分後―

ゴツン!! という音が聞こえた

よろめいたローマ教皇の後頭部が、聖ピエトロ大聖堂の太い柱に頭をぶつけた音だ

ローマ教皇「oh…、my…oh my conbu」ブルブル


かろうじて、絞り出すようにローマ教皇は告げる

ローマ教皇「貴様、本当に十字教徒なのか……?」


????「? うん。そうだけど…」

ローマ教皇「あっそうなんだぁ、脅かすなよ」ニッコリ

????「はは! メンゴメンゴ」テヘペロ

……

????「馬鹿め! かかったな!! フィアンマミカエルゴッドアップハンドレクイエム!!」

ローマ教皇「!! しまったおのれイギリスにある『遠隔霊装』を奪い、『ベツレヘム』で『幻想殺し』とは正に鬼畜! 神の右席消えぬバーニングレッド 右方のゴッドハンドフィアンぐわああああああ!!!」


ゴバッ!! という爆発音が炸裂した


その瞬間、全てが消失した


????「くっくっく。さて、先ずはイギリスだな」


―――
――
374 :第16巻 [sage saga]:2013/01/18(金) 21:51:21.49 ID:AvdhNV/DO

〜第22学区・第4階層〜

人工的に作られた闇夜の街で舞い踊る二つの影

ゴゴォォン!! と衝突音が響くと同時に、二つの影が左右別々に吹き飛んだ

御坂「くっっ!」ズザァ

姫神「…くう!!」ズザァ


肩で息をしながら睨み合う二人の少女…その視線には殺気が篭っていた

御坂「…ったく! アンタがあの有名な『魔法祈祷少女』だったとはね…初めて会った時に気づくべきだったわ」ハァハァ

姫神「……。」ハァハァ

御坂「大覇星祭の時…アンタは誰にも気づかれずアイツの胸に飛び込んでた。私と第5位が同時に抱きしめられた時に、私達のド真ん中に…いつの間にかね。素人の、ましてや女子高生が出来る芸当じゃないわよ」


美琴は額から流れる血を拭い、そのついでに髪をかきあげる

姫神「だから何。私が魔法祈祷少女であったとしても。あの人の『正妻』である事に変わりはない」スッ

御坂「ほざいてんじゃないわよ。アンタには…学園都市の風力発電の風車に顔を隠されるのがお似合いなのよ!!」ダン!

姫神「!!……それは。一番言ってはいけない事!」ダン!


上条当麻の知らない所で衝突する『嫁』と『嫁』

吹寄「……」 禁書「……」

結標「??」 五和「……」

食蜂「……」 神裂「??」

妹達「……」 浦上「……」


……嫁と嫁が交差する時『正妻戦争』が始まる!


   第16巻

    〜完〜
375 :>>1です :2013/01/18(金) 21:54:14.68 ID:AvdhNV/DO
ここまでで第16巻の投下は終了です

かなり長い時間がかかってしまい大変申し訳ございません

次からは、なるべく早く投下出来るよう頑張ります

ここまで見て頂き、本当にありがとうございました
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/18(金) 22:12:12.58 ID:RkEJDDcSO

新約6巻ネタ入ってるwww
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/18(金) 22:20:32.03 ID:qWibJUyto
一方通行新ネタwww
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 08:36:02.89 ID:J9asL096o
ていとくんネタ混ぜんなwwwwwwww
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/19(土) 17:33:26.77 ID:JDnxppyDO
乙なんだよ!

アニメ、漫画しか見てない俺的には
大雑把に補完できるこのスレは大いに助かるぜ
380 :>>1です :2013/01/29(火) 23:11:20.40 ID:8xfbU0jDO
今から第17巻の途中までを投下させて頂きます

誤字、脱字がありましたら「コイツまたやりやがった」と心の中で笑って下さい
381 :第17巻 [sage saga]:2013/01/29(火) 23:12:17.26 ID:8xfbU0jDO


――昔々、とある所に二つの町があったという


町は城壁に囲まれ、その中には王と民が暮らしていたそうだ


アレ・イスター「……ふむ、今日も私のプランどうり…か…。たまにはイレギュラーな事でも起きなければ退屈してしまうな」ヤレヤレ

暗い部屋の中央にある赤い液体の入った巨大なカプセル。その中に浮かぶは『ガク・エントシ』の王様、アレ・イスター

余談であるがこの王。趣味は盗撮である

すると、バタン!! と扉が乱暴に開かれ、黒いレンズを目に掛けた金髪の男が険しい形相でアレ・イスターに詰め寄ってきた

モットハル「おい、イスター! 今、町の外に巨大な悪竜が!!」

アレ・イスター「ふむ、悪竜か。では猟犬部隊に悪竜退治に向かわせよう」ピッピッピッ


〜5分後〜

ジリリリリン♪ジリリリリン♪

ガチャ

部下『報告!全滅です!』

モットハル「なっっ!? アレ・イスター!!」

アレ・イスター「慌てる必要はない。全て、私の描いたプランどうりだ」ピッピッピッ

モットハル「な…んだと」

瞬間、ドォン!! という破壊音と共に入口の扉が吹き飛び、

ヒトカタ「はァい、呼ンだかよ王様」

白い髪に赤い瞳の少年が、まるで友人と接するかのような軽い態度で、王室に足を踏み入れてきた

アレ・イスター「ふふ、さあ出番だヒトカタミチユキ。我が町の7人の騎士の中で最強の君なら…悪竜ごとき敵ではない」

ヒトカタ「ヘェ、悪竜か…イイネイイネサイッコゥだねェ! 軽くバラして今日の夕飯のメインディッシュにしてやンよォ」ジュルリ
382 :第17巻 [sage saga]:2013/01/29(火) 23:13:44.72 ID:8xfbU0jDO

――

意気揚々と、町の外で暴れ回る悪竜に挑んだヒトカタミチユキだったが…

デックスペン「『神よ何故私を見捨てたのですか』即発動します」カッ!

ヒトカタ「!? ぐお…お…ごっっっがああァァあああああ!!」


悪竜の前には赤子も同然だった

デックスペン「対象の撃破を確認。『自動書記』を休眠します」バチ


デックスイン「ふう…この町最強の騎士も大したことないかも」

デックスインは地面に倒れたヒトカタに近づくと、白い髪を強引に掴み、持ち上げた

ヒトカタ「ッッぐあ、あ…」

デックスイン「ねえ、白い人。今、デックスインはお腹が空いてるんだよ。この町特産の羊料理をお腹一杯食べさせてくれるとうれしいな」ニコ

ヒトカタ「ケッ…知るかボk!?ぐあああああ!!」

デックスイン「……ふーん」ギリギリ

デックスイン「負けたっていうのに頑なちゃんだね。羊の代わりに、この町の人間全てを食らい尽くしてしまってもいいんだよ?」

ヒトカタ「!!!」

デックスイン「その反応。この町にはあなたの大切な人がいるんだね。家族?恋人? 私に教えて欲しいな」ニコ

ヒトカタ「い、いねェ! そンなヤツ、オレにいるわけがねェだろォが!!」

デックスイン「……、ふーん」


デックスイン「……じゃあ、そこにいる女の子、食べちゃってもいいのかな?」
383 :第17巻 [sage saga]:2013/01/29(火) 23:14:53.85 ID:8xfbU0jDO

――


ヒトカタ「は、はァ…何言っ…て…」

ヒトカタは、髪を掴まれたまま、ゆっくりと後ろを振り向くと…


オーダーラスト「そ…その人を、その人を離して! ってミサカはミサカは悪竜に向かって憤慨してみたりぃぃい!!」ブルブル

一人の小さな少女が、両目から涙を流しながら、震える両手で木の棒を持ち、デックスインを睨みつけていた

デックスイン「……」

デックスインはニヤリと笑うと、掴んでいたヒトカタを適当に放り投げ、ゆっくりと少女に近づいていく

悪竜の唇の端から、薄い薄い、それでいて熱い吐息がこぼれている


ヒトカタ「…に…逃げろ」


その、端が。


オーダーラスト「あ…あ…」


するり……と音もなく、チーズが溶けていくように。横へ横へと大きく鋭く裂けていった

ヒトカタ「逃げろォォ! 止め打ちォォおおおお!!」


―――
――
384 :第17巻 [sage saga]:2013/01/29(火) 23:16:32.16 ID:8xfbU0jDO

それから…案の定プランが失敗に終わった王は、悪竜を静めるため、毎日二頭の羊を捧げる事にしたそうだ

しかし羊の数は限られている

羊が足りなくなってくると、毎日一頭の羊と一人の子供を捧げる事になったという

町からは子供が消えていった。

そして、とうとう王の娘――姫君が捧げられる事になった

ラーロ「ああ…ついに私が生贄になりけるとは!! 先立つ不幸をゆるして…父上!」ヨヨヨ

デックスイン「ジュルリ…オ腹が空イたンだよオ腹が空イたンだよ。デックスイン、オマエ、マルカジリなンだよォォおお!!」ガァー!

大口を開け、ラーロに飛び掛かる悪竜!!

ラーロ「ああれえ!!」


????「その幻想をぶち殺す!!」


ガブリ!! と歯が肉に食い込む音が辺りに響いた
385 :第17巻 [sage saga]:2013/01/29(火) 23:19:13.62 ID:8xfbU0jDO

――

ラーロ(おや? 悪竜に噛まれたはずなのに痛みが無きにつき)

ラーロが恐る恐る閉じていた目を開けると、

ラーロ「!!!」

目の前に一人の少年が、自らの頭でデックスインの噛み付きを押さえ込んでいた!

デックスイン「グルル! まうと! "また"私の食事の邪魔をするとは良い度胸なんだよ!!」

????「はっ、させねえよ! カミジョージさんがいるかぎり、テメエにこの町の人達を食わせたりはしねえ!」

ラーロ「ああ、私を守りし騎士殿! 名は…名は何と申すのか?」

カミジョージ「あ痛たた…ん? 俺? 俺の名前はカミジョージ・マウト。ジョージって呼んでくれ」キリッ

デクスイン「むうう、まうとー! これで何度目か数えてみるといいかもー!!」ガブガブガガブガブガブ

カミジョージ「ごっっがあああああああ!!」

姫君の元へやってきた放浪の騎士

一本の槍と聖なる拳を携えた、騎士の中の騎士。

この後、見事に悪竜を退治した救世主を、民は讃えこう呼んだ


そう、『聖(カミ)ジョージ』…と


〜おわり〜
386 :第17巻 [sage saga]:2013/01/29(火) 23:20:16.46 ID:8xfbU0jDO

〜黄泉川家〜

一方「めでたしめでたしってなァ……? なンで泣いてンのオマエ?」パタン

ラストオーダー「うう…悲しいお話しなのねってミサカはミサカは頬を伝う涙を拭ってみたり。ねえアナタ、ヒトカタと止め打ちは二人とも悪竜に食べられちゃったのかな?ってミサカはミサカはアナタに質問してみる」

一方「あァ、そりゃあねェな」

ラストオーダー「? どうしてどうして?ってミサカはミサカはアナタの返答に可愛らしく小首を傾げてみる」

一方「絶対にありえねェ。ジョージさンはこの物語の主人公…つまりヒーロォだ。クソガキが危ねェ→クソッタレの悪党…その幻想をぶち殺す→パネェっす!! なンだよ」

ラストオーダー「あれ?でも、物語では生贄の子供達はみんな悪竜に食べられちゃったから、最後にお姫様が捧げられたんだよってミサカはミサカはアナタが思い描く『幸福の結末』のシナリオに矛盾を発見」

一方「あァ、そこ。悪竜の食事の度にジョージさンが全員助けてっから。理解したらさっさと絵本片付けろクソガキ」グリグリ

ラストオーダー「むぎゅっ!! なんで、絵本を、ぐりぐりと顔に押しつけるの!ってミサカはミサカは怒りを力に変えてアナタに飛びかかってやる!!」ウガー!

一方「ごっっふ!! いいぜェ、アホゲチルドレン(リング名)! このホワイトアスパラ(リング名)がプロレスのいろはを体で教えてやンよォ!!」


芳川「ほら、アナタ達。遊んでないで朝ごはん食べなさいな……後、愛穂。炊飯ジャーに直でみそ汁かけるのは行儀が悪いわよ」ハァ

黄泉川「ほふ!? ほふほふみそ汁白米じゃんじゃんじゃん」ガツガツ

―――
――
387 :第17巻 [sage saga]:2013/01/29(火) 23:21:13.29 ID:8xfbU0jDO

〜イギリス・とあるアパート〜

五和「……」カチッカチカチッ


五和「……ふぅ」


五和「大精霊…かぁ…」


―――
――
388 :第17巻 [sage saga]:2013/01/29(火) 23:22:11.90 ID:8xfbU0jDO

〜とある高校〜

パネェ高校生、ツンツン頭の上条当麻は本日最後の授業を終え、ホームルームが始まるまでの短い時間を満喫していた

上条は土御門達との談笑を終えると、何となくだが午前中から負のオーラを放っていた姫神秋沙に話し掛けるべく席に近づく

上条「?……なあ、秋沙」

姫神「……」ブツブツ

上条「……」

上条(……本読んでんのか? 一体何を読んで…)

姫神「攻撃力。そう。あの時の私には攻撃力が足りなかった…」ブツブツ

上条は何とも微妙な視線で、姫神の後頭部に目をやった

上条「……なぁ。何か悩みがあるようなら、相談に乗るぞ」

姫神「いい。一人で頑張るから」

上条「そうか」

姫神「…うん。心配させてごめんなさい」

上条「はは、いいって別に……けど」

上条は席に座る姫神を背後から優しく抱きしめた

上条「怪我するような危ないマネだけは絶対にすんなよ。俺で良かったら何時でも相談に乗ってやるからな」ナデナデ


姫神「……。はう///」キュンキュン


―――
――
389 :第17巻 [sage saga]:2013/01/29(火) 23:24:12.20 ID:8xfbU0jDO

〜とある繁華街〜

御坂美琴は考え事をしていた。

彼女が考え事をしている理由は明白だ


御坂(……とんでもないヤツだった。魔法祈祷少女…あの夜はどうにか退けたけど。次はどんな手を仕掛けて来るのかしら…)ウーン

とりあえず上条とは問題に決着がついてから、いつも通りいつもの感じで顔を合わせようと考えているのだが…

上条「ん? よう、美琴。お前ここで何やってんの?」

……、かなりあっさりと見つかってしまった
390 :第17巻 [sage saga]:2013/01/29(火) 23:25:45.59 ID:8xfbU0jDO

――

御坂「何って…べ、別に…えっと、そう! いつも通り自販機を曙に見立ててレミー・ボンヤスキーしてんのよ。ほら、いつ学園都市に曙が来るか分かんないし、練習よ練習!」

上条「そっか、でもなるべく人前でスカートのままでピーター・アーツは自重しとこうな。下が短パンだからって太股の根元まで見えてんのに変わりはないんだからさ」ニコ

御坂「あ……うん、分かった気をつける。で? アンタは、ここで何してんのよ」

上条「ん、俺? 俺は帰る前にスーパーに寄ろうかなって。夕方から卵がお一人様2パックまで78円らしくて、わざわざここまで足を運んだわけですよ」

御坂「ふーん。なら…私もついてこっかな。アンタもその方が助かるでしょ?」

上条「エッ!? マジ。サンキューな美琴。ご褒美に今日のお前のオムライスは鶏肉多めにしてやるからな」ナデナデ

御坂「へへ、そっか。今日はオムライスなんだ〜…」///

二人は繁華街の奥にあるスーパーへ向け歩き出す

御坂「…あっそうだ、今回こそはちゃんとケチャップでゲコ太マークとみことって書きなさいよね。前は普通過ぎてがっかりだったんだから」マッタク

上条「へ? えっと姫、実は今日のソースはデミグラスの予定なのですが……」

御坂「……ダメ?」

上条「……ダメじゃない」

姫神「……」ギリギリ

―――
――
391 :第17巻 [sage saga]:2013/01/29(火) 23:26:51.29 ID:8xfbU0jDO

〜上条の部屋〜

上条「ただいまでごんす」

御坂「お邪魔しま〜す」

禁書「お帰りーがるマンモスなんだよとうま。みこともいらっしゃい」ニコ

スフィンクス「おい娘よ諦めるな! この缶切りは我が手では肉球が邪魔をして掴めんのだ! 貴様が頑張らねば豚の角煮の缶詰が、再びあのトゲ頭によって封印されてしまうのだぞ!」ペチペチ

上条は食材の入った買物袋をキッチンに置き、薄っぺらな学生カバンをその辺の床に置くと、角煮の缶詰を奪い取り、適当にテレビのスイッチを点ける

スフィンクス「ああん」

美琴も適当に学生カバンを置き、上条のベッドに腰を下ろすと

御坂「ん〜、なんかちょっと肌寒いわね」

上条「そうか? …じゃあもうすぐ冬だし、そろそろアレを出す時がやってきたかな」

禁書「アレ?」

スフィンクス「人肌に決まっておろう? くく、懐かしい。寒い夜の日は毎晩、就寝前に家来を呼び出し夜のビーストになったものだ」シミジミ

上条は窓際の小さな収納スペースから布団とテーブルが合体した例のアレを持ち上げ、ガラステーブルの変わりに部屋の中央に設置した


上条「なあ、お前ら…コタツって知ってるか?」
392 :第17巻 [sage saga]:2013/01/29(火) 23:27:56.83 ID:8xfbU0jDO

――

禁書「こたつ?」

御坂「アンタ、コタツ知らないんだ。まあ、とりあえずそこに足を突っ込んでみなさい」

禁書「?」

首を傾げつつも、両足をズボッと布団の中へねじ込むインデックス

と、

禁書「」zZZ

御坂「早っ!? もう寝ちゃったの」

上条「はは。まあ美琴も飯ができるまでの間、コタツに入ってテレビでも見ててくれ」ナデナデ

御坂「う〜んなら私も手伝おっかな。話し相手のこの子が寝ちゃってるから暇になっちゃったし」

上条「寒いって言ったのは美琴だろ? 大人しく座って待ってなさい」

そう言うと、上条はキッチンへ向かった

御坂「むう、分かったわよ。ゲコ太マークと名前書くの忘れないでよね」

少しむくれた美琴も観念して両足をコタツに突っ込む、と

御坂「」zZZ

そして獣王はコタツを見下ろし、やがてテーブルの中央に両足を乗せ、あぐらをかいた

スフィンクス「ふむ気に入った。今からこのテーブルの中央は我が城としよう。くく、ツンツン頭よ! 褒めて遣わす!!」

禁書「」zZZ

御坂「」zZZ
393 :第17巻 [sage saga]:2013/01/29(火) 23:29:21.38 ID:8xfbU0jDO

――

トントンジュージュージャッジャッジャと、手際良く料理を進める上条

すると家の電話がプルルルルと着信音を発した

緊急の連絡網かも……と思った上条は料理を中断し、電話の受話器を掴む

上条「はい、上条です」

土御門『にゃー。カミやん、長話するけど今は大丈夫かにゃー』

上条「はぁ。隣に済んでるのに何で電話使ってんだよ? てか今夕飯作っててあんまり長話に付き合ってられねえんだけど」

土御門『そうかー。それは申し訳なかったにゃー。じゃあ用件だけを手短に話すかぜい』


土御門『今からイギリス行ってこい』ブッ

上条「…………は?おい土御か…」

土御門からの連絡が途切れたと同時に上条の耳に鉄パイプが地面に落ちるような、カコーンという甲高い音が聞こえてきた。

どうやら隣の部屋のスペースからベランダに何かを投げ込まれたらしい

上条(あれ…は!! 吸引性の昏倒ガス!?)バッ

気づき慌てて口を塞いだ上条。しかし、部屋全体に充満する昏倒ガス

すると、コタツの上であぐらをかいていた獣王が静かに立ち上がった

スフィンクス「ハッ…人間風情が小癪なマネを。この獣王が部屋に充満するガスを全て吹き飛ばしてくれるわァ!!」バッ

獣王が吠えると、全てのガスを吹き飛ばすために大きく息を吸い、

スフィンクス「」バタン

そのまま昏倒した

―――
――
394 :>>1です :2013/01/29(火) 23:34:12.19 ID:8xfbU0jDO
とりあえずここまでで投下終了です

日に日に投下速度が遅くなってしまい申し訳ございません

ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました

次こそは一週間以内に投下してみせます
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/29(火) 23:39:33.71 ID:LRJQeQqko
止め打ち読みにく過ぎwww
おつ!
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/29(火) 23:53:24.06 ID:hiUBFn3H0
上条さん以外のパナさも極まってきてるなww
やっぱり美琴可愛い。そして最後のスフィでツボッた
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/30(水) 01:22:27.39 ID:LJFrJmNDO
乙ですの


スフィンクスさんwwwwwwwwwwww
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/30(水) 02:42:35.07 ID:Fqkd5lOSO
おいこれまさか上条さんの新たな使い魔フラグじゃないだろなwwwwwwww
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/30(水) 04:36:39.89 ID:20JbjYqSO
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/30(水) 13:21:05.10 ID:+n3zmKkHo
スフィンクス役立たずすぎワロタwwwwwww
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/30(水) 22:31:36.69 ID:sSZ3+8Im0
スフィンクス噴いたwwwwww乙
402 :>>1です :2013/02/06(水) 16:46:10.19 ID:ho7cGsLDO
今から第17巻の途中までを投下させて頂きます

誤字、脱字がありましたらまたやったか…こやつめと心の中で笑って下さい
403 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 16:46:47.37 ID:ho7cGsLDO

〜学園都市空港・ロビー〜

「ックス…インデックス」

禁書「んん? む、むおお……。何だかこのまま三日ぐらいは眠ってられそうな感じなんだよ」ノビー

上条「まあ、眠っている間に更に昏倒ガス吸ってたからな…ほらおにぎり」

禁書「あ〜む! んぐんぐ? ??ほうま。今日のオムライスはほんのり塩味なんだね。本当はケチャップ味の方が好みだけど、この塩おにぎりも絶品なんだよって、あれ?これ塩おにぎりだね? あれ? ぬくぬくのこたつがないんだよ? みことはどこ? そもそもココはどこなのかな」モグモグ

上条「やっと起きたか。ここは空港のロビー。土御門が言うには、なんかイギリスでデカい魔術のトラブルが起こったから、インデックスを国家公式に召集したいってさ。後、美琴は家のコタツで爆睡中だ」

簡単に説明を終えると、インデックスの横で前足をひくひくさせて夢を見ていた三毛猫を起こすべく、鼻を左手でつまみ、右手で口を塞いで覚醒完了。

上条は、おにぎりを片手に、相変わらずぐにょぐにょになっているインデックスを強引に引っ張り、指示された第3受付へと足を運んだ


―――
――
404 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 16:50:15.35 ID:ho7cGsLDO

〜約1時間前〜

〜上条の部屋〜

御坂「」zZZ

禁書「」zZZ

スフィンクス「んごっ……ごっ……んごおおぉお」zZZ

昏倒ガスが充満する室内

酸素マスクを付けた土御門と暗部の下っ端数名が、昏睡する上条とインデックスを回収しに玄関から侵入した…

瞬間! ガンゴンバキンドゴンガンゴングシャ、と室内に暴力的な音が鳴り響き

上条『……』

僅か1秒で侵入者達は残らず全滅した

土御門「ゴハッ……クソ! カ…ミやんが化け物だってのをちゃんと計算に入れてガスを多めにしていたのに…何で眠ってないんだにゃー」ゴホッゴホッ

上条『……、誤算だったな土御門。わたくし上条当麻! イタリアでの厳しい修業により、10分間息を吐き続け、10分間息を吸い続けることが可能になったのだ』ポキッポキッ

土御門「なん…だ…と」

上条『さて、いきなりこんな事したんだ……文句はねえよな?』ニコ


<ギ…ギ…ギニャ---!!

―――
――
405 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 16:51:20.84 ID:ho7cGsLDO

――時間は戻って

〜とある空港〜

禁書「とうま、私達が乗るひこーきってどこにあるの?」

スーツケース内の激安着替えの一着である簡素なワンピースを着たインデックスがそんな事を言った

上条「んー? 土御門のヤツが特別に手配しているって」

発着ロビーの一面はガラス張りで、その先は夜の滑走路が広がっている。

大きな旅客機がいくつかあった。作業用の自動車がそれらの間をくぐるように進んでいる

上条「ええーと、四番ゲートで待っている0001便だって言ってたけど……………」

禁書「? どうしたのとうま」

スフィンクス「おいトゲ頭。そんな所でぼんやりするでない。サッサと我をファーストクラスへ案内せよ」ヤレヤレ

上条「じゃあ……お前らはどっちに乗りたい。1、人は多いが足を伸ばせて。ゆっくりと時間をかけてマッタリと旅する大型旅客機+機内食付き」

禁書「ふんふん」

上条「2、待遇はファーストクラスで、しかも貸し切り。物凄い速度で目的地へ到着する超音速旅客機…さあ選んでくれ」

禁書「うーん。とうま、私はご飯も食べれてぐっすり眠りたいからマッタリひこーきがいいな」

スフィンクス「ククッ…、所詮は小娘か。獣の王である我は、当然ファーストクラス。さあツンツントゲ頭よ、案内いたせい!!」バッ


上条「ああ、こっちだ」ニコ


―――
――
406 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 16:52:40.79 ID:ho7cGsLDO

〜音速飛行機・機内〜


スフィンクス「ンゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!」

スフィンクス「う…うえ…おうええッッ!! おうンゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!」

―――
――



〜とある空港〜

上条とインデックスは超音速飛行機を静かに見送ると

上条「よし! じゃあ、俺達も行くか」ニコ

禁書「うん」ニコ


―――
――
407 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 16:53:49.35 ID:ho7cGsLDO

〜スカイバス365・機内〜

スカイバス365は無事に離陸した

飛行機の角度も安定し、乗客に対するシートベルトの制限も解かれる

大型旅客機は、快適な天空のサービスを提供する

禁書「ねえねえ、とうま。ひこーきのビーフオアフィッシュはいつになったら届くの?」

上条「ん〜、夕食の時間は終わってるし。多分、次の機内食は9時間後ぐらいかな」

禁書「……騙した…とうまが私を騙したぁ!!」

上条「騙してねえよ。機内食はちゃんと出るし、足だって伸ばせるだろ?」

禁書「むう〜! とうまの言い訳なんて聞きたくない! 私のお腹は既にビーフオアフィッシュがないとデッドオアアライブなんだよ!!」ウガー!

ビーフオアフィッシュ!ビーフオアフィッシュ!!と腹ぺこ抗議をするインデックス。

それを見た金髪ナイスバディのフライトアテンダントさんが『お、お客様どうなさいました』と、丁寧な日本語で話しかけてきた

上条「あ…すみません、クレームとかじゃないんで。ほらインデックス、うるさくしたら他のお客さんに迷惑だろ」

禁書「だってお腹空いたんだもん! 私は、お腹が、空いたんだもん!!」

上条「ハァ…しょうがない。すみませんフライトアテンダントさん。機内への食べ物の持ち込みとかは大丈夫ですか?」

ナイスバディ「あ、はい大丈夫ですよ」
408 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 16:55:02.09 ID:ho7cGsLDO

――

禁書「? とうまが持ってきたおにぎりは私が全部食べちゃったけど、どこに食べ物があるのかな?」

上条「まあ、見てな」グッ

上条は右手に拳を作り、それを前の座席目掛けて思い切り叩きつける!

ナイスバディ「ひっ…!?」

瞬間。金髪ナイスバディは見た。思い切り突き出したはずの上条の右拳は、前の座席には叩きつけられなかったのだ……

いや違う

少年の右拳は、次元の壁を突き破っていた!!

上条「次は左だ!」パリン

ついには左拳までも次元の壁を貫き。苦悶の表情を浮かべながら両腕を動かす

上条「ハァ…ハァ…幻想…その幻想をぶち殺す…」

……、上条が次元の壁を突き破り三分が経過した

球のような大粒の汗が弾け飛び、口からは熱い吐息が漏れる。その姿を見たスカイバス365の乗客全員は涙を流し、ナイスバディは見惚れてしまっていた

上条「ぐっ…これ…で…出来上がりだぁぁああ!」

禁書「!? まさかとうまは!!」

上条は気合いを込め、次元の間から一気に両腕を引き抜く。すると、破壊された次元の壁がゆっくりと元に戻っていった

上条「ハァ…ハァ…インデックス」スッ

上条が差し出した右手にある物…それは…

禁書「あ…ああ…」ゴクリ

上条「たんと…召し上がれ」ニコ

禁書「ふおおおおお☆ ちゃーはんにゃんだよおおお☆☆☆☆」ガツガツガツガツ

ナイスバディ「……グス」パチパチパチパチ


―――
――
409 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 16:56:06.94 ID:ho7cGsLDO

〜イギリス空港〜

五和「……」

浦上「……」

スフィンクス「はっウプッッ! あ、のトゲ頭め! 知ってて乗せおったな。この恨み、必ずや晴らしてくれるうぅおえええ!!」ビチャビチャ

五和「……」

浦上「……」


―――
――
410 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 16:57:13.51 ID:ho7cGsLDO

〜スカイバス365・コックピット〜

機長「なん…だと」

呟いたのは、白を基調した軍服のようなものを着込んだ大男

この旅客機の機長を務めるパイロットだ

短く刈った黒髪に、わずかに浅黒い肌。わざとなのか服の胸元が見えるようにはだけている

その言葉が示す通り、彼は日本人だった

航空警備『最悪な内容だろう?』

機長「確かに、最悪だ。こんな要求を呑むヤツはいない」

航空警備『ただし、その場合はその機に『口撃』が加えられる恐れがある訳だ』

機長「フランス系の反イギリス組織。ペロリスト…か」ゴクリ

航空警備『ああ、機内に潜むペロリスト共が一斉に動けば、逃げ場のない機内で混乱と暴動が起こり、やがて地獄と化す』

機長「要求が呑まれなければ墜落させる…か、ナメたペロリストだ…」

航空警備『彼らの目標はあくまでもマスターレコーダーの破壊だ。こちらが交渉を長引かせる間に潜伏者を発見し、確保してくれ』

機長「チッ……こっちは素人の集まりなんだぞ」

機長がそう言った時だった

ヘッドセットに、航空管制官以外のチャンネルが割り込んだ

乗務員『機長! 緊急です。動きがありました。おそらくは変態。例のペロリストです!!』

機長「ッ!?」

乗務員『被害者は乗組員一名。意識はあります。背後から突然襲われたらしく、襲撃者の詳細は見てないとの事です』

―――
――
411 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 16:58:16.71 ID:ho7cGsLDO

〜スカイバス365・機内〜

禁書「きーないーしょく、きーないしょく、びっ、ほぁ、ふぃっ! きーないしょく、きーないしょく、びっ、ほぁ、ふぃっ!!」ギュムギュム

インデックスはフライトアテンダントさんから去り際に貰った笛のおもちゃをぎゅむぎゅむ握ってぴーぴー鳴らし、暇を潰していた

現在、彼女の右隣の席に座っていたはずの上条当麻はフリードリンクコーナーへ飲み物を取りに行っている


禁書(むー、とうまが遅い。私は一刻も早くこの渇いた喉を潤したいというのに。一体なにをやってるんだよう)ギュムギュムギュムギュム

もしや、とうまは迷子になっているのでは? と考えたインデックス

捜しに行こう

もしかしたら、とうまは涙と鼻水を垂らしながら号泣しているかもしれないし

……などと考えていたインデックスだったが、早々に探索は難航する

禁書「? …あれ?」

上条は直線の通路を歩いて、『壁』となるブロックへ入っていったはずだ。大した距離ではないのだが、何故か上条を発見する事ができない

首を傾げつつも、来た道を引き返すインデックス

と、ここでも彼女は足を止める事になる



上条当麻の席に誰かが座っているのだ


禁書「……、ねえ、そこはとうまの席だよ」


―――
――
412 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 17:00:20.14 ID:ho7cGsLDO

〜スカイバス・小部屋〜

上条「……ペロリストの目的はイギリスの空路の完全封鎖、か」

誰もいない小部屋で、上条は思わず呟いた

上条は現在、犯行現場の目撃者として、口封じのために機内食スペースの小部屋に閉じ込められていた

上条「要求を呑めばマスターレコーダーは破壊されちまうし、…かと言って拒めばスカイバス365は地上に墜落。どっちにしても、イギリスの航空業界には痛手だな」

まして、ユーロトンネルという『唯一の陸路』を潰された現状で、そんな事になれば……。

上条(となると、やっぱり『陸路』にもペロリストが関わっているって事なのか?)

上条は少し考えたが、やがて首を横に振った

情報が何もない状況で、素人があれこれ考えた所で真実が分かる訳もない

狭い小部屋に放り込まれた、という現状についても

上条(……客の扱いとしちゃ最悪の一言だけど、でもまぁ、確かに500人の命を抱えられるかって尋ねられると……、あれ? 俺の力なら案外いけるか?)


上条が、ふっと肩の力を抜いた

その時。

上条「ん?」

ドアの向こうから、二つの足音が聞こえた

一体誰だろう、と思う上条の耳に、更なる音が届く

上条(……これ、インデックスの?)

それはぴーぴー、という笛のような音だった


―――
――
413 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 17:01:27.29 ID:ho7cGsLDO

〜スカイバス365・区間〜

ここはエコノミーとビジネスクラスの間にある『壁』の区間……機内トイレやフリードリンクコーナー、機内食エリア、他階層への急な階段など、複数の設備が集まった場所だ

ペロリストを名乗るフランス人の男が、人気のない部屋の扉を静かに開く

ペロリスト「……入れ、刺されたくなかったらな」

フランス人の男の手には動物の骨を削って作ったナイフがあった

インデックスは警戒しつつ部屋の中に入ると、

ペロリスト「そら!!」

ドンッ!! と背後から突き飛ばされた

禁書「ッッ!?」

ペロリスト「黙らせるために殺そうと思ったが。……その前に」フヒヒ

体制を崩しながらも逃げようとするインデックスの肩を掴んで強引に押し倒すと、ペロリストは仰向けに転がる彼女の腰の上に馬乗りした

ペロリスト「ハァ…ハァ…清純で無邪気な純白シスターたんとかタマンネェな! ククク…その体、全身くまなくペロペロしつくしてやる! まずは可愛いプニプニほっぺをペロリンチョしてやんよォォおお」

禁書「やあ、離しっ!! いやぁぁあ! 助けてとうまぁぁ!!」

ペロリスト「チッ…暴れられると面倒臭ぇな。まずは大人しくさせるとするか…」

ペロリストの手がすぐ近くにあったゴムホースを掴むと、暴れるインデックスを力ずくで抑えつけ、首元にゴムホースを巻き付ける

禁書「かッ!! ひ……あ…」

ペロリスト「ハァハァ…安心しな。俺は死んだ女の子をペロペロするようなクズなんかじゃあねえ。気絶した後でゆっくりペロペロする、紳士なペロリストなんだぜぇ」
414 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 17:02:53.00 ID:ho7cGsLDO

――

禁書「……と…ま……」ガクッ

抵抗も虚しく、ついにインデックスの意識は途切れてしまった…

ペロリスト「おっと、フヒヒ…まずは、その大きなお目々から流れる涙をペロリンチョしてあげるよォォ」

インデックスに迫るペロリストの舌! その舌の先が数cm手前まで近づいた

その時!!

神上「ハネトベェェ!!」

ペロリストの耳に『言葉』が届くと同時に、ドゴォォン!! と物凄い衝撃音が鳴り響いた

ペロリストの体が、まるでスーパーボールのように天井と地面と交互に何度もバウンドし、奥の鋼鉄製の壁が窪む程の勢いで衝突した

ペロリスト「」ピクッ…ピクッ

神上「……」

口からは血の泡が溢れ、既に気絶したペロリストに、神上は超音速の速さで近づく

そして、幻想を殺す右手をペロリストの頭部に置き、低い声で呟いた

神上「……メザメロ」

神上の右手が僅かに光る。すると完全に意識を失っていたはずのペロリストの目に生気が戻った
415 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 17:03:54.69 ID:ho7cGsLDO

――

ペロリスト「う……あ? ここは…」

神上「ダマレ」

ペロリスト「 …… ?……!?」

神上「…ハジケロ」

神上の言葉によりボン…とペロリストの腕と足が弾けた

ペロリスト「!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

神上「…モドレ」

そして失ったはずの四肢は神上の言葉により完全に再生された

ペロリスト「!!!……!? !?」

神上「クク…魔堕オワッチャイネーヨ。……地獄ハコレカラ堕」

神上の口元が釣り上がる

ペロリスト「!? …! ……!!」

神上の右拳が、ゆっくりと振り上げられる

彼は言う

伝わらないだろうと分かっていながら、敢えて日本語で

神上「モンクハ、ネエヨナ?」


フランス人のペロリストには日本語は分からなかったが、まだこの地獄が繰り返される事だけは伝わった

ペロリスト「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

ガンゴンバキンドゴンガンゴングシャガンガンガンガングチャベキブチャベチャ!! と、神上にしては珍しく、拳を振り下ろす音が連続した

この後、約1時間に渡り、ペロリストの全身は破壊と再生を繰り返した


―――
――
416 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 17:06:56.48 ID:ho7cGsLDO

〜スカイバス365・機内〜

……インデックス……インデックス…

禁書「…ん?…とうま……?」

上条「ったく。お前が飲み物欲しいって言うから取ってきてやったのに…ほら、紅茶」

禁書「あれ? さっき、男の人に首を絞められて……??」

意識を覚醒させたインデックスは、とりあえず上条に差し出された紅茶が入った紙コップを受け取った

上条「ハァ…どうせ夢でも見てたんだろ。お前は俺が戻ってきた時には、スヤスヤと寝息を立ててたよ」

禁書「むぅ、あれは夢…なのかな…勝手にとうまの席に座ったフランス人が『ふじちゃくあんていそーち』に干渉させる『ぷろぐらむ』を流すって言って。でも、『ソレ』をかちゃかちゃしてたら急に怒りだして…」

インデックスが指さす『ソレ』とは、

上条が慌ててに蓋を閉めたために、蓋と内壁の間に挟まってしまい破損してしまった、窓際の内壁に設置されている『メンテナンス用ケーブル』の、ケーブルとケーブルを繋ぐ『コネクタ』の事である!

※その時の描写はDVDにて加筆修正されていますの、もし宜しければご購入して下さいな 

第17巻 定価7980円

初回特典には、なんとあのモ〇ゲー『とある魔術の禁書目録 頂上決戦』で使用できる人気キャラクターの共通コードが2つも! そして貰える二枚のカードを進化させると…!?

LRカード【力】

【真っ二つ】建宮/斎字

「よ、よーし建宮さん内に秘めた才能とか掴み取って新たな主人公になるために頑張っちゃうぞーなのよなーっ!!」
417 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 17:07:53.57 ID:ho7cGsLDO

――

上条「インデックスさん?……旅客機のハイジャックとか映画の観すぎかなんかじゃないですかね?」

禁書「うん…だといいんけど…なんか気になるんだよ…」

あれは本当に夢だったのだろうか…考えこむインデックスの表情は、いつもの彼女ではない

上条「……、さて…と。インデックス、俺ちょっとトイレ行ってくるな」

禁書「? うん…」

上条は窓際の席からインデックスの膝の上を大きく跨ぎ、通路へ出ると

上条「……、言っておくが、絶対に席を立つなよインデックス。お前の言ってた事が正夢ならペロリストってヤツがお前の首をペロペロとぉぉ!!」ニヤニヤ

禁書「///!? ふんっ! 馬鹿にして! とうまなんかだいっきらい!!」フン!

上条「ははは、ゴメンゴメン。戻ってくる時になんか買ってきてやるから怒りを静めてくれよ、インデックス姫」ナデナデ

禁書「怒ってない! とうまの無神経にムカムカしてるだけだもん!!」フン!フン!

上条(インデックスを襲ったペロリストの計画には第二候補(スペア)があったと考えた方が良さそうだな…そして武装したペロリストの仲間が既に機内に侵入していて、合図があるまで何処かで待機中って感じか…)


上条(……)ゴキッ…ゴキッ


―――
――
418 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 17:08:58.44 ID:ho7cGsLDO

〜スカイバス365・貨物室〜

貨物室には四角いコンテナがいくつも並べられている

といっても、港町のタンカーに乗せられるような、細長いものではない。一辺が2メートル程度の、サイコロのような立方体だった


それらのコンテナの一つだけ、扉が開いていた

そして、開いたコンテナの壁に背中を預けるように、一人の男が佇んでいた

エーカー「……」

彼の名はエーカー=ルゴーニ

パリ国際空港の作業服を着込んでいるものの、その手には最新の拳銃が握られていた。足元のバッグの中には、手榴弾やプラスチック爆弾などの爆薬も詰まっている

薄暗い貨物室で、エーカーは太い腕に巻いた腕時計に目をやる。

そろそろエジンバラ空港に着く計算になるが、未だに客室にいるはずの仲間のミュッセに動く気配はない

エーカー(遅いな、ミュッセの野郎…しくじりやがったのか?)

エーカーは、後5分、と己に定めた。動きがなければ、貨物室の壁に風穴を開け、後は空気の力でスカイバス365を破壊するのだ!!

エーカー(……)チャラ

エーカーは首にかけているペンダントを胸元から取りだし、蓋を開けた

中には金髪に笑顔の女性の写真があった

エーカー(ジェシカ…待っててくれ。この仕事が片付けば俺は自由になる。そしたら二人だけで結婚式を挙げて、スイスの山奥でのんびり暮らそう)チャラ

エーカーは、ジェシカ…アイラービュと呟き、ペンダントに軽く口づけすると

エーカー「……さあ、時間だ」

ついに、もう一人のペロリストが動きだした!!
419 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 17:10:08.49 ID:ho7cGsLDO

――

その時だった

エーカー「…?」

エーカーの耳に、ベコン、という音が聞こえた。

金属をへこませるような音だった。それは1回ではない。2回、3回と音は連続している

音源を探したエーカーは、やがて頭上に顔をやった

音源は、天井に張り巡らされる『ダクト』からだ

エーカーはニヤリと笑い、頭上に拳銃を向けた

エーカー「Good Night Baby」

彼は狙いを定め、金属板が歪んだその一点へと立て続けに銃弾を放つ!

ダンダンダダダンダンダダダン!!

エーカー「Hey!」

ダダダダダダダンダダダダダダン!!

エーカー「Foo!!」

ダン! ダン! ダンダンダン!!

エーカー「Jackpot」

ダンダンダン!!



ダクトの壁はやたらと薄かった。そして、風穴だらけのダクトから、熱い液体がこぼれてきた

エーカー「……ッ!?」

そう、熱い!

ただし、人間の血液にしても熱すぎる!!

そしてエーカーは気づいた

人間の通るにはあまりにも小さく、そして薄いダクトから、一人の人間がズルリと出てきた

エーカー「あ……あ……」


エーカーの近くに着地した人間なのに人間と思えない『生物』

この時エーカーは、…彼の事を『メキシコに吹く熱風』と言う意味の『サンタナ』と呼ぶことにした
420 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 17:11:51.34 ID:ho7cGsLDO

――

上条「よう、ペロリスト。ちょっと喧嘩しようぜ?」

エーカー「ッ!?」

自分に向かって放たれた声に対し、エーカーは迷わず銃口を向けた

上条「遅えよ! 食らえ、カミジョージア!!」

上条の手の平から黒い液体が飛び出した。大量の液体はエーカーの頭上から降り注ぐ

エーカー「ぐああああああおいしぐああああああ!!」

絶叫し、のたうちまわるエーカーに、上条は笑う

上条「お望みなら…BOSSもあるんだぜ」

そしてエーカーが手放した拳銃を、軽く蹴飛ばす。銃は熱湯のような黒い液体の水溜まりの中へと沈んでいった

しかしエーカーはそこで止まらなかった

彼は絶叫しながら両手で上条を

上条「ゲンコロ」

エーカー「ぐぶえええぇえええ!!」

エーカーの体はくの字に折れ、数メートルほどノーバウンドで吹き飛ぶとコンテナの壁に叩きつけられた

ドパァン!! という轟音と共にエーカーの体に衝撃が走り、彼の口から空気が漏れる!

エーカー「ごっ、ぶ……ッ!!」

しかし、それがエーカーにとって好機となる

この吹き飛ばされた場所の近くには、黒い液体の水溜まりがあった。そして今も湯気を出し続けている水溜まりの中央には、上条が先ほど蹴った拳銃が沈んでいた
421 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 17:12:53.90 ID:ho7cGsLDO

――

エーカー「おっオォォオオ!!!」

エーカーは拳銃を迷わず掴んだ

一口に拳銃の材料と言っても色々だが、エーカーが持っていたのはステンレス製だ。当然、熱を良く通す

エーカー「ごっがぁぁああ!」ジュウウ

熱湯に沈んでいた銃は、まるで灼熱の石のようになっているはずだったが、エーカーはそれを強く握り締めた

上条「……打てんのかよ。カミジョージアに沈んでいた銃だぞ」

エーカー「ハァ…ハァ…残念だったなサンタナ! 近頃の拳銃は、泥水の中に30分浸け込んでも、そのまま取り出して発砲できるんだよ!」

言いながら、エーカーは迷わず引き金を引いた

そして、

ダンダンダン、と貨物室内に渇いた音が連続で鳴り響いた
422 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 17:14:01.10 ID:ho7cGsLDO

――

エーカー「…………は?」

上条「熱膨張って知ってるか?」

返事を待つより早く、上条の拳が飛んだ。ゴリッゴキゴキゴキ!! という鈍い感触が、エーカーの顔から全体へと拡散した

エーカー「な……ぜ…銃弾は確かに貴様の体を貫いたはずなのに!!」

上条「だから熱膨張だよ。確かにテメェの銃弾は俺に突き刺さったよ」

だけど、と上条は言葉を繋げる

上条「インデックスを傷つけたテメエらペロリストに対する沸き上がる怒りが! 俺の筋肉を熱膨張し、体内で銃弾を止めたんだァァああ!!」

上条「体が熱い!血が滾る! うおお、これが熱膨張だァァァァああ!!」

ボン!!ボン!!と上条の全ての筋肉が次々と盛り上がり体格が変化していく

エーカー「oh…oh…my…god」ガクガク

この時、エーカーは生まれて初めて絶望し、そして死を覚悟した

彼の目に映る絶望は、全長6メートルの体格を持つ筋肉の巨人

上条「フシュウウ」

エーカー「ノーウ…ノーーーウッッ!! ジェシカ…ジェシカジェシカジェシカアイラービュー!!ジェシカーー!!!」


ドッッゴォォォン!! と物凄い破壊音と共に、大型旅客機スカイバス365全体が激しく揺れた


―――
――
423 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 17:15:21.80 ID:ho7cGsLDO

――

上条の一撃で開いた横穴から、ゴッ!! と空気が荒れ狂った

上条「……」

そして上条の右手には、涙を流しながら驚きの表情を浮かべるペロリストが胸元を掴まれていた

エーカー「  …? !? 何故だ! 何故殺さない!!」

上条「死を間近にして最後に叫んだ名前…テメエには、大切な人がいるんだろ。……テメエは、こんな所でなにやってんだよ!!」

エーカー「お…俺は、フランスのために……イギリスに…報復を…」

上条「この馬鹿野郎が!! テメエらがやり返すと、また違った形で報復されんだよ!! そんな、いたちごっこを続けていけば、被害を受けるのは、弱く、罪のない人達なんだって事になんで気づかねえんだテメエは!!」

エーカー「そんなことは分かっている! イギリス国民の全てが悪いやつらだとは思っていない!! ……それでも……どこにでも馬鹿はいる。善良な民衆の中に混じっているからと言って、その馬鹿を見逃してやるつもりはない!!」

上条「……」

エーカー「ハァ…ハァ…」

上条「……お前は、この旅客機を落とすつもりなんだよな」

エーカー「そうだ! この信念を曲げるつもりはない! 俺は…この仕事を成功させて自由になるんだ!」

上条「……テメェは、アレを見て…まだそんなこと言えんのか」

エーカー「ハァ…ハァ……?」

上条が見つめる先をエーカーも視線で追う


そこには、貨物室の入口があった。扉は開け放たれ、一人の女性がこちらを見据えていた
424 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 17:16:44.41 ID:ho7cGsLDO

――

エーカー「……あ……」

ナイスバディ「エーカー! エーカーーー!!」

エーカー「ジェ…シカ…ジェシカーー!!」

上条「テメェは皮肉にも、自分の恋人が乗る旅客機を落とそうとしてたんだな」

上条は左手の指を2本立て、二つの選択肢を告げる

上条「俺はペロリストを許しはしない…もし、それでもスカイバスを落とすつもりなら、今すぐこの拳を振り下ろす」

上条「けど…ペロリストを辞めて彼女と二人で逃げるつもりなら俺は…」

ステイル! と上条が大声で呼ぶと、貨物室に開いた穴に輸送機が近づいてきた

ナイスバディ「エーカー…ペロリストなんて辞めて! 人を傷つけるあなたなんてあなたじゃない。私の知ってる……優しいエーカーじゃない!!」


エーカー「ジェシカ…俺は…俺は……ッッ!!」


上条「……」

上条の手が、掴んでいた服の胸元を離した
425 :第17巻 [sage saga]:2013/02/06(水) 17:18:13.83 ID:ho7cGsLDO

――

カツ…ン…と、エーカーが握り締めていた拳銃が床へ落ちた


そして今、エーカーとジェシカの距離が0になった


エーカー「俺が…俺が間違っていたよジェシカ! もう絶対に君を離さない。アイニージュジェシカ!!」ギュッ!

ナイスバディ「ああ、エーカーアイラービュ! ああ、エーカーアイニージュ!」ギュッ!

上条「さあ、行けよエーカー! 此処は俺に任せて、彼女と二人で何処でも好きな所に行っちまえ」ニコ

貨物室に開いた横穴から輸送機が横付けし、エーカー達が乗り込むのを待っている

エーカー「……あなたの名は…最後にあなたの名前を教えてくれ」

上条「……俺は、上条…上条当麻だ」

エーカー「Thank you…Thank you Thank you! my God…カミジョージサンタナ!」

ナイスバディ「……さあ、行きましょうエーカー。私達の未来を創りに!」ダッ!


言うと二人は輸送機の機内へ飛び移った


離れていく輸送機を見送る上条は、笑顔でこう呟いた

上条「頑張れ」


大型旅客機スカイバス365は現在、上条が開けた横穴により落下している最中である

―――
――
426 :>>1です :2013/02/06(水) 17:21:07.70 ID:ho7cGsLDO
中途半端ですが投下終了です


ここまで見て頂き、本当にありがとうございます


次の投下は……頑張ります
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 17:27:44.36 ID:1RwpXGJTo
頑張ってくれー!おつ
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 21:34:17.76 ID:+3URznba0
自分のフラグを建築するのみならず他人のフラグまで完工しちまう上条さんマジパネェ。
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 21:57:57.25 ID:oZjsHqGw0
激昂上条さん魔王マジパネェ。
6mのって飛行機の貨物室に入るのか?
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 22:45:43.78 ID:qrYDPQiIO

パネェ上条さんの熱膨張はやっぱりパネェかったww
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 12:47:12.00 ID:OIdxfA3AO
波紋の修行といい、柱の男化といいカミジョウサンタナは既に完全生物だな?
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/30(土) 17:27:23.87 ID:+QfI7/HNO
まだですか?
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/31(日) 21:11:47.62 ID:9yn0TFqz0
そろそろこないと落ちるぞ
337.63 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)