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唯「1日遅れのハロウィンマジック」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/10/31(水) 23:37:52.92 ID:TtR8CsSAO
【10年前のハロウィンマジック】

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1351694272
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/31(水) 23:39:30.26 ID:Ou5xBGSSO
古手川唯?
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/31(水) 23:40:14.43 ID:q2eGm5Mmo

ハローウィンになるといつもあの景色を思い出すんだよ。
幼い頃の思い出。
石造りのケンタウロスが左右で睨みをきかす門の前にわたしは立っていて、そこから一本の長い舗道が続いていたんだ。
その舗道の横には古びたレンガ造りの家々が建ち並んでね、どの家の庭にもきれいな色の花が好き放題に、でもそれでいてお互いを気づかいあうみたいに咲いていた。
大きな嘴と羽を持った真っ赤な鳥の舞い降りたところに、ふわり広がった風がドアホン代わりの鈴の花を揺らし、おしゃれな帽子をかぶった郵便猿がその鳥の背中から気だるそうに降りてきて自慢のしっぽで黄色の手紙をほうりなげた。
道のずっと先の円形の広場で、噴水から大きな水玉が飛び出し、くるくる色を変えながら漂い弾けるのが見えた。
淡いピンクの空を見たこともないほど大きな鳥の夫婦が横切った。
動物園みたいな不思議な匂い、ホットケーキのような甘い香り。
振り向くと、ぎざぎざした高い山を背景に果てしない草原が広がっていて。
右から左へ草むらをびゅんって切り裂いたあの影はどんな動物のだったんだろう。
風が通りすぎて「ようこそ!」って言った。
鼻頭をくすぐられてつい、くしゅんっ。
風が笑った。
わたしも、えへへ、と照れ笑いしたんだ。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/10/31(水) 23:42:28.89 ID:P0GxVryIO
若干気持ち悪い文章です

でもそれ以前に改行しましょう
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/10/31(水) 23:52:55.50 ID:q2eGm5Mmo

わたしが考えてたのはその頃大好きだった絵本たちのことだった。
きっと、そんなふうに思ったのはそこに住んでいた人々たちのせいなんだよ。
そこには、絵本の中でしか遭うことができないような人たちがいたんだ。
狼男と猫耳の女の人が手をつないで歩いていて、黒いローブを纏った魔法使いが向こうからやってきて二人挨拶したと思ったら、消えた。舗道の端っこではミイラ少年がキャッチボールをしている。ころころ転がったボールを日傘をさしたドラキュラが拾って投げ返した、のーこん。そばの家の窓が開いて美味しそうな匂い。ミイラ兄弟のお母さんが二人を呼んだ。その家の玄関先には3つ首の犬がつながれていてそばを通った白いマルギザお化けに吠え立てる。驚いたマルギザお化けは慌てて逃げ出す。それを見た骸骨がからから笑った。
誰かがわたしのおでこをこづいた。
生意気そうな顔が目の前に。
と思ったらそれはかぼちゃ頭だった。
わたしと同い年くらいの幼い女の子。
ぶかぶかな真っくろい布で体中を覆っている。
それはちょうどマルギザお化けを上からすっぽり被せて頭だけをだしているような格好だった。
かぼちゃ頭はそのままわたしの前で黙っててね。
わたしは言った。

ね、あそぼ。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/11/01(木) 00:31:16.94 ID:iXfwaJquo
期待
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/01(木) 01:57:02.76 ID:O9dM4mN/P
これは縦書で読みたくなるSS
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/11/01(木) 11:51:49.05 ID:8utWAr6+0
平沢もあるぞ
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) :2012/11/01(木) 22:17:36.54 ID:WaI6xSPDo

その光景はすごく懐かしいものだった。
今はもちろんあの時でさえ。
なんでかなあ。
その場所に行った時はわたしはまだ小学生1、2年生くらいで懐かしさなんていう感覚には馴染みがなくてよくわからなかったんだけど、今思えばそれは懐かしさ以外のなにものでもなかったんだ。
いろんな記憶が詰まった箱の中から、シロップみたいに甘くて透明な液体がしみだして頭の中を包んでくれる。
あったかくてぐにゃぐにゃしてふわふわする。
そんな感じがした。
でも、残念だけど、どうやってそこに行ったのかはよく覚えてない。
ただ長い点滅の後、気がついたらそこにいた。
だから、あれは夢だったんじゃないかなあって今はちょっと思う。
その夢がすごくよかったから今も覚えてるってだけで。

まあ、でもね、夢でもいいやって思ってたんだ。
だって、もしかしたら一生に一度もそんなところには行けないなんてこともあるかもしれないもんね。
憂はそんなところ行ったことないって言ってた。
おねーちゃんは昔から絵本とか好きだったからだよって。
しかもさ、わたしはあそこでもうちょっとすごいことまでしてのけたのだ。
つまりね、魔法使いになったんだよ。

10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:18:04.98 ID:WaI6xSPDo

かぼちゃ頭の女の子はわたしの手を引いて急いで駆けてく。
そんなに急がなくても逃げないよってわたしは言った。
ちょうどこんなふうに。
かぼちゃさんいそぐところんじゃうころんじゃうよころぶといたいよ。
思ったとおり、かぼちゃ頭は転倒した。
そして倒れた拍子、彼女の頭、かぼちゃの頭が外れてころころ転がっていってしまった。
とはいっても別に首がすぱーんってとれちゃったわけじゃないんだよ。
ご心配なく。
彼女のかぼちゃ頭は取り外し式だったのだ。
だから、かぼちゃ頭が転がっていった後には彼女の素顔がよく見えた。
左右で縛った黒くて長い髪、やっぱり生意気そうなどこか不貞腐れた表情、ちろちろと揺れる舌。
彼女は慌ててとれた頭を取りに走った。
だけど、ここでわたしはこどもながらの意地悪精神を発揮して彼女のかぼちゃ頭を先に奪った。
かえしてっ、かえしてくださいっ。
彼女が言った。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:18:33.82 ID:WaI6xSPDo

ゆい「なまえ、なんていうの」

かぼちゃ「かえしてよぉかえしてください」

ゆい「じゃあ、わたしのしつもんにいったらかえしてあげるっ」

かぼちゃ「うん」

ゆい「なまえは?」

かぼちゃ「……あずさです」

ゆい「あずさちゃんかあ。わたし、ゆい」

あずさ「それしつもんですか?」

ゆい「ちがうよあいさつ。よろしくしなきゃだめなんだよ、よろしく」

あずさ「よろしく……です」

ゆい「あずさちゃんなんねんせい」

あずさ「なんねんせい?」

ゆい「がっこう」

あずさ「がっこう?」

ゆい「うん」

あずさ「……むむ」

ゆい「がっこう、いってないんだ。じゃあ、わたしのほうがせんぱいだっせんぱい」

あずさ「せんぱい?」

ゆい「としうえ」

あずさ「としうえがせんぱい」

ゆい「せがたかいっ」

あずさ「わたしはせひくいです……」

ゆい「すぐにおっきくなるよー」

あずさ「ほんとですか?」

ゆい「うん」

あずさ「やったあ」

ゆい「はい、これかえしてあげる」

あずさ「ありがとうございます」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:19:01.15 ID:WaI6xSPDo

あずさちゃんはわたしから受け取ったかぼちゃを顔にかぶせた。
かわいい顔が隠れてちょっと残念。
彼女のかぼちゃは普通の楕円形じゃなくて、ちょうど右上と左上が三角に出っ張っていて猫の耳のようになっていたので、だからわたしは、あずにゃんって彼女に名前をつけた。
あずにゃんはわたしの手をまた引いて、どこかへ連れて行こうとする。
今度はもう、急がない。
いろんな景色がのろのろと後ろに流れた。
道端に咲いてた白い花にちょっかいを出したら黄色い花粉がいっぱい飛び出て。

ゆい「……わあっ」

あずにゃん「ぷっ……あははっ」

ゆい「えへへー。まっきっきだー」

あずにゃん「……わっ」

ゆい「あずにゃんにもきいろいのつけてやるー」

あずさ「わー、やめてくださいー」

ゆい「くらえーくらえー」

あずさ「わわっ」

ゆい「あはは、あずにゃんもまっきっきだー」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:19:28.93 ID:WaI6xSPDo

あずさ「むむむ……もうおこったです」

ゆい「あ」

あずにゃんはそこらじゅうのその白い花を叩いてく。
それで自分は走って逃げた。
すべての白い花からいっせいに花粉が飛び散った。
あたり一面に黄色の粉が、真っ黄色の空が落ちてくる。
服も顔も肌も黄色になった。
少し遠くであずにゃんが大笑いした。

あずさ「くくっ……あはははははっ」

ゆい「むうぅ……あずにゃんめー」

わたしはあずにゃんに飛びついた。
あずにゃんは避けようとしたけど、頭が重くて転ぶ。
そこをすかさずキャッチ。

ゆい「あずにゃんに、ぬりつけてやるー」

抱きしめたあずにゃんの小さな身体にわたしの身体をこすりつける。
少し動くたびふにゅふにゅ音がした。
わたしの黄色があずにゃんに移る。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:19:58.04 ID:WaI6xSPDo

あずさ「ふぁ……やめてくださいよぉ」

ゆい「えへー、あずにゃんとおそろいおそろいっ」

あずさ「おそろいなんかやです」

ゆい「でもあずにゃんはなれようとしないくせにー」

あずさ「むぅ……まほうですか?」

ゆい「え、なにが?」

あずさ「だきつかれたのとけないの」

ゆい「わたしまほうなんかできないよー」

あずさ「うそです。ゆいせんぱいはまほうつかいです」

ゆい「そうかな、わたしまほうつかいかな」

あずさ「そうですだってさっきの……」

ゆい「えへへ……わたしまほうつかいだよ。えいっ」

あずさ「ひゃひゃひゃっ……くす、くすぐってるだけじゃないですかあっ」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:21:34.78 ID:WaI6xSPDo

そんなことしているから、あずにゃんがわたしを連れて行こうとした場所にたどり着くまでにはすごく時間がかかった。
空はピンク色から深い緑色に変わっていって、不思議な光の模様を映しだした。
何本かの白い光の線がうにょうにょと形を変えながら、ひとつの謎めいた記号を創りだす。

あずさ「線鳥がとんでますね」

ゆい「線鳥?」

あずさ「しらないんですか?」

ゆい「うん」

あずさ「ああやって夜になるたび空を飛んで光って、ショウをみせるんです。めだちたがりやさんなんですよ」

ゆい「へええ」

あずさ「へんなひとですね」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:22:02.32 ID:WaI6xSPDo

あずにゃんがわたしを連れてきたのは小さな灯台で、そこに登るとずっと遠くまで広がる海のような草原が見えた。
草むらの上で何か光るいくつもの点が見える。
赤、青、黄色、白、紫……カラフルに。

ゆい「あのひかってるのも線鳥?」

あずさ「ちがいますよ」

ゆい「じゃあ?」

あずさ「あれは色虫ですよ」

ゆい「ふうん。きれいだねー」

色虫の一匹が灯台のてっぺんにひらひらと登ってきて、わたしの目の前で、ぱあんっ、光が破裂した。

ゆい「わっ」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:22:30.52 ID:WaI6xSPDo

あずさ「あはは……だいじょうぶですよ。むしさんはときどきそうやってみんなをおどろかせるんです」

ゆい「ふぇーびっくりしたあ」

あずさ「ゆいせんぱいはなんにもしらないんですね」

ゆい「だって、はじめてきたから……」

あずさ「はじめてですか?」

ゆい「うんー」

あずさ「むむむ……よくわかんないです」

ゆい「わたしもだよー。わたしまえはちがうとこにいてね、そっからきたんだあ」

あずさ「どこにいたんですか?」

ゆい「んー。おかーさんとかおとーさんういとかのどかちゃんとかいるとこ」

あずさ「おかあさん?おとうさん?うい?のどかちゃん?」

ゆい「うんー」

あずさ「そこはいいところですか?」

ゆい「うん。すっごくたのしいよ」

あずさ「へええ。まほうつかいのくにですか?」

ゆい「うーんわかんない。みんなはまほうできなかったから」

あずさ「そうですか」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:22:58.21 ID:WaI6xSPDo

ゆい「ね」

あずさ「はい」

ゆい「あずにゃんかぼちゃあたまとって」

あずさ「なんでですか」

ゆい「そのかおすきなんだ」

あずさ「……そんなこといわれたのはじめてです」

ゆい「ね、いいよね」

あずさ「ん……これでいいですか?」

ゆい「あーずにゃんっ。かわいいー」

あずさ「むむ……またまほう」

ゆい「あずにゃんのかぼちゃかぶってみてもいい?」

あずさ「わわっだめですっ」

ゆい「えーなんでー」

あずさ「ほかのひとはかぶれないんです」

ゆい「かぶるとどうなるの?」

あずさ「いたいいたいです」

ゆい「なんで?」

あずさ「わたしのあたまだからです」

ゆい「そっかあ。でも、とれるんだあ」

あずさ「とれますけど」

ゆい「それでなにするの」

あずさ「かぼちゃ?」

ゆい「うん」

あずさ「たいせつなことをいれておくんです」

ゆい「たいせつなこと?」

あずさ「はい。きょうのこともちゃんとたいせつなことです」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:23:24.70 ID:WaI6xSPDo

空では線鳥がつくるパターンがどんどん複雑になってきていて、高いところに青い月が2つ浮かんでいるのが見えた。
ぐぐうううって、誰かの鳴く低い響き。
月の光に、あずにゃんの顔がやけに不思議な色あいをもって見えて、わたしはどきどきした。
ふだんかぼちゃ頭をかぶっているせいなのかな、あずにゃんの顔の肌はまるで生まれたばかりのようにつるつるきらきらしていて、特にその一番潤った部分、つまり唇にわたしは目を奪われた。

ゆい「おいしそう……」

あずさ「へ?」

そこへわたしは口をつけた。

ゆい「んっ」

あずさ「ふぁ……」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:23:52.01 ID:WaI6xSPDo

おーしまい。

わたしが覚えてるのはそこまでだった。
なんていうか残念だけれど、まあ夢はたいてい一番いいところで終わっちゃうしね。
でもね、ちゃんと思い出せるんだよ。
あずにゃんのくちびるの感触を。
なんとなく甘い味がして、ふわりって弾けた。
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:24:19.74 ID:WaI6xSPDo

今もあずにゃんのことをときどき考える。
教科書に落書きしたり、寝る前にあずにゃんとのキス思い出したり、夢に見たり、この角を曲がったらいるんじゃないかって思ったり。
大きくなったあずにゃんの姿もちゃんと思い描くことができたんだ。
なんでかな。
きっと、わたしおかしくなっちゃったんだろうな。
夢を忘れられなくて。
あーあ。
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:24:54.76 ID:WaI6xSPDo

【パンプキン・ヘッド・スプラッター】
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:25:52.70 ID:WaI6xSPDo

唯「うーいー」

憂「どうしたのおねーちゃん」

唯「実は……結婚しましたっ」

憂「け、結婚!? 結婚なんてまだはやいよっ……だっておねーちゃんはまだこどもだしそりゃあわたしより年も上なわけだし17歳だから法律的にもいいんだろうけどほら、だって相手はどうなのそのおねーちゃんは優しいから騙されやすそうだしううんおねーちゃんを悪く言ってるんじゃないよなんていうかあのそのあれだよ、おねーちゃんはやさしいからって……あれれさっきも言ったっけ。とにかくお母さんやお父さんに話さないと、だっておねーちゃんまだこども……って結婚するんってことは……わぁ……もうし、してるんだよね……あははそうだよ……うん………………どうぞどうぞ結婚してくださいおめでとうございます」

唯「じ、じょーだんだよっ!」

憂「……しってた」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:26:25.01 ID:WaI6xSPDo

唯「あのね、この指輪はめたらとれなくなっちゃったんだー」

わたしはそう言いながら、冗談で薬指にはめた指輪を憂にもよく見えるようにする。
小さなかぼちゃお化けの顔がくっついたちゃちな指輪。
部屋の掃除をしていたらさっきたまたま見つけて、試しにつけてみようとしたらうまく指に入らず、それでもなお無理やり押し込んだせいで、はまってとれなくなってしまったのだ。

唯「ちょっとひっぱってみて」

憂「うん…………いくよ」

唯「あ、とれそう」

憂「よしっ……むーーむーー」

唯「……いた、いたいいたいっ」

憂「あ……ごめん」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:26:51.79 ID:WaI6xSPDo

唯「むむ……やっぱとれないね」

憂「うんー。痛かったりしない? 血が止まったりしたら大変だけど……」

唯「それはないんだよねえ。不思議とうまくはまっちゃってて」

憂「そっかあ。じゃあ、今はいいけど、太ったりしたら大変だねー。指がちぎれちゃうかも……」

唯「え、それは怖いよ……」

憂「じょーだんだよー。でもきつくなって痛くなるんじゃないかな」

唯「むむ……夜飯ぬくっ」

憂「どちらかというと、おやつやアイス減らしたほうがいいと思うよ」

唯「それはむりですっ」

憂「あはは。無理なんだ。まあ、まあお風呂とか入った時にとれるんじゃないかな」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:27:18.71 ID:WaI6xSPDo

ぴんぽーん。
ドアホンが鳴った。

憂「ちょっと行ってくるねー」

とたとたとた。
憂が階段を降りる音が聞こえる。
ちょっと後で、おねーちゃんと呼ぶ声が聞こえた。

唯「なにー」

憂「回覧板回してくるねー」

唯「はーい」

憂が家を出ていってしまったあとで、わたしはもう一度指にはまった指輪を眺める。
蛍光灯の光をあびてきらりと鈍色に光った。
それにしてもこんな指輪どこで手に入れたんだっけ。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:27:46.52 ID:WaI6xSPDo

ぴんぽーん。
またチャイム。
憂がいないので、今度はわたしが出る。
がちゃり。
鍵を外して扉を開く。
かぼちゃ頭が。
わぁ!

唯「へ?」

梓「わぁっ!」

唯「…………ハロウィン?」

梓「……わっ!」

唯「お菓子欲しいの?……って、あーーー、あずにゃんじゃんっ!」

梓「…………むむ」

あずにゃんはくるりと振り向いて、たたたと逃げ出そうとする。

唯「ちょっとまってあずにゃん」

梓「ヒ、ヒトチガイデスヨ」

唯「そんな頭してるのはあずにゃんしかいないよっ」

梓「トリック・オア・トリート?」

唯「もうおそいよっ」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:28:13.69 ID:WaI6xSPDo

わたしはあずにゃんのかぼちゃ頭を剥ぎ取る。

梓「……あ」

唯「やっぱ、あずにゃんだっ」

梓「むぅ。あいかわらず強引なんですね」

唯「あずにゃんはあいかわらずかわいいねっ」

抱きつこうとしたら、身を引いてかわされた。

唯「むー。あの時はあんなに抱かせてくれたのに……」

梓「もう魔法はかんべんです」

唯「まあまあ、とりあえずうちに上がってよ。それからお話しようね」

あずにゃんを家に招き入れる。
あずにゃんは、それはもちろん成長したんだろうけれども、ちっちゃいままだった。
その姿はときどきわたしが思い描くあずにゃんの姿とそっくりだった。
お馴染みのかぼちゃ頭に小さなひびが入っているのを見つけた。
まあ、それはもう何年もたつんだもんね、ひびくらい入っていてもおかしくはないよね。
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:28:52.25 ID:WaI6xSPDo

唯「ねえ、わたしあずにゃんとずっと会いたいって思ってたんだよ。
でも、どうしたらいいのかわからなくて。
あずにゃんの方から来れるんだったらもっとはやく来てくれても良かったのにー」

梓「いえ、まあ、その……」

唯「あずにゃんのいたところはどこだったの? あずにゃんなにもの?」

梓「まあ、そっちからすると、幽霊ってことになるんですかね」

唯「幽霊? ハロウィンジョーク?」

梓「いえ、ほんとですよ。別に死んだってわけじゃないんですけどね」

唯「むむ?」

梓「唯先輩のいる世界とわたしのいる世界2つの世界があるんですよ」

唯「あずにゃんの世界はどこにあるの?」

梓「ここに」

唯「えー、じゃあわたしの世界は?」

梓「ここです」

唯「むむむ?」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:29:19.31 ID:WaI6xSPDo

梓「つまりですね、2つの世界は重なってるわけです。そうですね……テレビ、テレビを考えてください」

唯「薄型?でっかいの?」

梓「いえ、それはどっちでもいいですけど」

唯「うん、いいよ」

梓「テレビつけてください」

唯「はい」

梓「なにがやってます?」

唯「うーんと、えーと……」

梓「そこはそんなに考えなくてもいいですけど……じゃあ、ニュースがやってますね?」

唯「わたしニュース見ないよ」

梓「やってるんです」

唯「はい」

梓「消してください」

唯「うん消したよ」

梓「今、そのニュースはどうなってますか?」

唯「そりゃあ、消えちゃったんだよ」

梓「まあ、そうですね。でもちょっと考えてみてください、例えば、唯先輩がテレビを消しても他のと場所ではニュース見てるかもしれませんよね」

唯「うん」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:30:36.80 ID:WaI6xSPDo

梓「すると、唯先輩はテレビを消してしまったけれど、テレビの奥ではニュースが続いてるって考えることできませんか?」

唯「……うーん」

梓「む……じゃあ、テレビつけたり消したりを繰り返してください」

唯「わっ、点滅してる」

梓「ですよね。そうすると消してる間もニュース続いてるって気がしてきません?」

唯「ああっ。うんしてくるしてくるっ」

梓「今度はチャンネルを考えてください。1チャンと2チャン交互に点滅させたら1チャンと2チャン両方同時に続いてるって感じします?」

唯「うんうん」

梓「それがわたしたちの世界ですよ」

唯「え?」

梓「わたしたちひとりひとりが真っ暗なテレビなんです。この宇宙には無数のチャンネルがあって一人は普通ひとつしか受信できないんです。でも、その同じ時、同じ場所で、違う世界が同時に続いてる。例えば、唯先輩のこの世界が1チャンだったらわたしの世界は2チャンというふうに」

唯「なんとなくはわかった……かも」

梓「それならいいんですけど」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:31:34.01 ID:WaI6xSPDo

唯「でも、どうやってその間を行き来するの?」

梓「それは、実はわたしもよくわかんないんですよね」

唯「どうやってあずにゃんはここに来たの?」

梓「あの時、唯先輩の後を追ったんです。そしたらこの世界に迷い込んで」

唯「じゃあ、もっとはやく会えたのにっ」

梓「それがそうもいかないんですよね」

唯「なんでさ?」

梓「見えないんですよ。他人にはわたしのことが。だから幽霊なんですけど」

唯「でも、わたしあずにゃん見えてるよ」

梓「それは今日がハロウィンだからですよ」

唯「え、どいうこと?」

梓「今までもときどき誰かがわたしに気がつく時がほんのたまーにあったんですよ」

唯「うん」

梓「それがいつかわかんなくて、でも去年やっとわかったんです。この世界にはハロウィンって日があるんですね」

唯「うん」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:32:01.59 ID:WaI6xSPDo

梓「それなら説明がつくじゃないですか。お化けがいても。だから見えるんですよ、わたしのこと」

唯「あずにゃんはこの世界でずっとひとりだったの?」

梓「いえ、実は向こうの世界にも戻れるんですよ。なんとなくコツがわかって」

唯「こつ?」

梓「点滅。点滅を見てると戻れるんですよね」

わたしはうまい言葉が見つからなくて、あずにゃんを抱きしめた。
懐かしくて、なのにずっと昔からずっと触っていたような不思議な感触。
これだから唯先輩の魔法は嫌なんですよってあずにゃんが言った。
それから、もうひとりにも慣れましたけどねってさみしそうに笑った。
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:32:28.16 ID:WaI6xSPDo

唯「そういえば幽霊だといろんなところにいけるんだよね、バレずに」

梓「はい」

唯「もしかして、わたしのところにもいた?」

梓「……毎日」

唯「じー」

梓「……はい?」

唯「変なとこ見てない?」

梓「あたりまえじゃないですか」

唯「そっか」

梓「でも、お風呂であんなことするのはやめたほうがいいですよ」

唯「……へんたい」

梓「唯先輩が、ですよ」

唯「むぅ……」

あずにゃんの耳元で言った。
ばあかばあか。
ただいまーって声がして憂が帰ってきた
わたしたちはまだ抱き合ったままだった
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:34:44.52 ID:WaI6xSPDo

憂「あ……間違えました…………ってここわたしの家じゃん」

梓「……あ、うい」

憂「え?」

梓「あ、なんでもないです」

憂「おねーちゃんのお友達?」

唯「あずにゃんだよ」

憂「あずにゃん?」

梓「あ、はい。あずさって言います。よろしくおねがいまします……えと」

憂「憂……憂でいいよ」

梓「うい……」

憂「あ……かわいい」

唯「あ、だめだよっ。あずにゃんはわたしのだもん」

梓「いえ、別に、そんなことはないです」

憂「わかってるよー。だって抱き合ってたもん」

梓「あれは不可抗力っ」

憂「どんな?」

梓「あ、えと、魔法……」

憂「あはは、魔法なんだね」

唯「そうだよ、魔法なんだよ」

梓「なにがそんなにおかしいんですかっ」

憂「ううん。べつにねー」

唯「ねー」

梓「むう」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:35:12.96 ID:WaI6xSPDo

唯「じゃあ、わたし、あずにゃんとちょっと遊びに行ってくるよ。あずにゃんの好きなところに行こうね。なんたって、10年ぶりだもん」

憂「え、10年ぶりなの?」

唯「そうだよー」

憂「それで、そんなに仲いいの?」

唯「でも、毎日会ってたんだ。さあ、行こっあずにゃん」

梓「わわっ、引っ張らないでくださいっ」

憂「……うん?」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:35:48.43 ID:WaI6xSPDo

二人で桜が丘の街を歩く。
あずにゃんとわたしの間にあった時間について少し考えていた。
少なくとも、10年の隔たりは感じないよ。
まあ、待ったことは待ったんだけど、でももうちょっと短くて、例えばその10分の1くらいの時間に。
あずにゃんが幽霊のまま、わたしのそばにいてくれからからだろう、たぶん。
あずにゃんがまたかぼちゃ頭をかぶってるのを発見する。

唯「ね、それとってよ。わたしといる間だけでも」

梓「かぼちゃお化けのアイデンティティですよ。唯先輩はミイラの包帯剥がしてるみたいなものですよ」

唯「えっちだね」

梓「やれやれ」

でも、あずにゃんはちゃんとそれをとってくれるのだ。
わたしはお礼にあずにゃんに抱きついた。
あずにゃん製の無表情。
嬉しくないです嬉しくないです。
はずしたかぼちゃ頭はどうやっているのか、リュックサックみたいにして背負っている。
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:36:22.18 ID:WaI6xSPDo

唯「そういえば、かぼちゃの中には大切なことをいれおくんだったよね」

梓「はい」

唯「それってなに?」

梓「思い出ですよ。頭の中に入る記憶には限界がありますからね。外付けドライブみたいなものですよ。だから、わたしたちかぼちゃお化けは絶対に忘れないんです」

唯「ふむ」

梓「見てみます?」

唯「いいの?」

梓「はい」

かぼちゃ頭の裏側を覗くとそこには不思議なぶよぶよ膜のようなものがあって、わたしはそこをのぞく。
ぼんやりした風景のひとつに焦点が定まって、だんだんとその輪郭がくっきりしてくる。
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:36:49.42 ID:WaI6xSPDo

唯「あ、わたしだ」

梓「それはたぶん中学生の頃ですね」

唯「これは?」

梓「わたしの世界のお祭りですよ」

いろんな映像が映ったり消えたりするのを眺めていた。
どこか見たことない情景も見えた。

唯「あ…………えっち」

梓「……もういいじゃないですか返してください」

唯「……えっちにゃん」

梓「うぅ……見せるんじゃなかった」

唯「へんたい」

梓「うるさいですうるさいです」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:39:05.64 ID:WaI6xSPDo

唯「そういや、あずにゃんいきたいところある?」

梓「特には」

唯「じゃあ、したいことは?」

梓「そうですね……誰かを驚かせてみたいです」

唯「驚かせる?」

梓「はい。幽霊になってからは、一度そうしてみたいと思ってたんです」

唯「そっか。じゃあ、それならいいところがあるよっ」

41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:39:33.13 ID:WaI6xSPDo

ぴんぽーん。
わたしはチャイムを鳴らす。

唯「いい、こっから人が出てきたら、そのかぼちゃ頭で驚かすんだよ」

梓「はい」

がちゃり。

澪「はーい」

梓「わあっ!」

澪「ん…………あ、そっか今日ハロウィン……ちょっと待ってて」

澪ちゃんは一度家の中に入って、また戻ってきた。

澪「はい、これくらいしかなかったけど、どうぞ」

澪ちゃんは板チョコレートの白いやつとポテトチップスをあずにゃんに手渡した。

梓「あ、どうも」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:40:00.75 ID:WaI6xSPDo

唯「澪ちゃん失望したよっ」

澪「わっ、唯?」

唯「澪ちゃんなんで怖がらないのさっ」

澪「なんで怖がらないって言われても……」

唯「失敗しちゃったね、あずにゃん」

梓「そうみたいですね」

澪「この子、唯の親戚か?」

唯「親戚じゃないよあずにゃんだよっ。澪ちゃんを驚かそうとしたのに」

澪「あ……そういうことか。それは悪いことしちゃったな」

唯「澪ちゃんだったら絶対怖がると思ったのに」

澪「このお面はあんまり怖くないんじゃないか。しかも、かわいいこどもだし」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:40:27.40 ID:WaI6xSPDo

梓「あの」

澪「ん?」

梓「わたしもうこどもじゃないです」

澪「え、そうなの」

あずにゃんは、かぼちゃ頭を脱いでみせる。

澪「うーん……言われてみればそうなのかな」

梓「むむむ」

唯「まあ、いいや。わたし、まだあずにゃんと行くとこがあるから、じゃあねー澪ちゃーん」

梓「お菓子ありがとうございます」

澪「ああ、うん。ばいばい」

唯「澪ちゃんチョコレートはほどほどにね。太っちゃうよ」

澪「太らないっ!」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:41:07.54 ID:WaI6xSPDo

澪ちゃん家を後にする。
さて、次はどうしようか。
そんなことを考えてながら、ホワイトチョコレートを食べていたんだ。

唯「作戦、うまくいかなかったね」

梓「なんでわたしがもらったお菓子食べてるんですか」

唯「欲しい? あずにゃんのこどもっぽさで手に入れたチョコレート」

梓「いらないですけど」

唯「うそだよー。ほら、あーん」

梓「あ……もぐもぐ……甘い……わたしってそんなにこどもみたいに見えますかね」

唯「うん。背が低い。あといろいろ小さい」

梓「背が低いのは、かぼちゃお化けの仕様です」

唯「ほんとは?」

梓「別に大きいやつもいますけど」

唯「いっぱい?」

梓「いっぱい」

唯「おっぱいは」

梓「……うるさいです」

唯「でも、わたしちっちゃいの好きだよ。抱き心地もばっちりっ」

梓「ロリコンはしめつしてください」

唯「ひどいっ」

梓「ひどいのは唯先輩じゃないですか」

唯「でも、わたしが好きなのはあずにゃんだよ。ずっと昔から」

梓「……やなこといいますね」

唯「あ、そうだ」

梓「なんですか」

唯「澪ちゃん驚かせる方法わかったよっ」

ほら、行こう。
あずにゃんの手を引いてわたしは駆け出した。
あの時とは、反対だって思った。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:47:00.70 ID:WaI6xSPDo

唯「というわけで、澪ちゃんの怖がらせかたを教えて下さい」

律「なにがというわけでだ。つーか、変なお面もってるのは?」

梓「変じゃないです」

律「親戚の小学生か?」

梓「し、小学生なんかじゃないですっ」

律「すごく……小学生みたい」

梓「むっ」

唯「だめだよりっちゃん。あずにゃんが一番、気にしてるんだから」

律「あはは、ごめんごめん」

梓「でも、この人もあんまり人のこといえないじゃないですか」

律「どこかだ」

梓「胸とか」

律「なにー。こいつ、生意気だぞー」

梓「いたいいたい」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:47:40.25 ID:WaI6xSPDo

唯「それより、澪ちゃんを驚かせる方法を教えてください、りっちゃん師匠」

律「そうだなあ……じゃあ、例えば、怖い話をするなんてどうだ?」

唯「怖い話?」

律「怖い話を聞かされたあとは人は感じやすくなるものなんだよ」

唯「恋人とホラー映画見るみたいな?」

律「ばか」

唯「いちっ」

律「まあ、そういうことでもあるけど……だから、まあ怖い話をした最後に、わあっ!ってやればいいってわけだよ」

唯「でも、でも怖い話なんて思いつかないよ。あずにゃんなんかある?」

梓「いえ……特には」

律「たいしたことないだろー。澪を怖がらせるのは簡単だって。幽霊とか」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2012/11/01(木) 22:48:18.11 ID:WaI6xSPDo

梓「幽霊とかってそんなに怖いものなんですか?」

律「梓って怖いの強い人か?」

梓「慣れてますから」

律「へえ」

唯「あずにゃんは不感症なんだよっ」

律「まじ?」

唯「うん」

律「お前ら、やっぱりそういう関係だったのか」

唯「へ」

梓「唯先輩は絶対、意味わかってませんって」

律「ロリコンはしめつしろっ」

唯「ひどいっ」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/11/02(金) 00:44:29.03 ID:U+bNXf9AO
打ち切りと聞いて残念です。
乙でした。
次回作に期待。
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/11/03(土) 09:28:54.18 ID:0xinig+fo
打ち切りですか、残念です
次を待ってますね
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