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騎士「女しかいない国?」女騎士「ああ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:14:13.43 ID:DB8WP1wd0

 ちょっと前に落としてしまった為リベンジ。
 違うんだ、そう、これは政府の陰謀なんだマジごめん。

 今年中にはなんとか完結させたい。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1354540453
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:14:51.66 ID:DB8WP1wd0

騎士「んで、お前はそこから来た訳だ」

女騎士「そうだな。そこで騎士をやらせて貰っている」

騎士「……確か、その国ってガチで女しかいないんだよな?」

女騎士「まぁ、基本的に男子禁制だ」

騎士「生まれてから一度も男を見たことがない奴とかも」

女騎士「ウチの国に生まれれば、大体そうだな」

騎士「……」

女騎士「……」


3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:15:20.15 ID:DB8WP1wd0



騎士「……おい」

女騎士「……どうした?」

騎士「そんな女しかいない国から来たお前は、俺を見てなにか思うことはないのか」

女騎士「……?」

女騎士「……おお」

女騎士「魔物に囲まれたところに助太刀して貰い、感謝する。見事な腕前だった。ただ見たところそちらも魔物に襲われていたみたいだし、貸し借りはなしと言うことで」

騎士「違ぇよ!」

女騎士「うお」

騎士「違う、違うんだよ! そんなことじゃないんだよ! ほら、もっとさ、もっとなんか言うことあるじゃない!? 男だよ、俺!」

女騎士「……?」

女騎士「……ああ」

女騎士「中々良い剣を使っているな。さぞ腕の良い鍛冶師に鍛えられたのだろう。私の国ではやはり女性だけだからか、元は男性の職業である鍛冶師になりたがるやつは少なくてな。私の剣も別の国から特注で」

騎士「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

女騎士「おおぅ」


4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:15:50.79 ID:DB8WP1wd0


騎士「お前ちょっとそこに座れ」

女騎士「はい」

騎士「……いいか? 俺は男だ。そしてお前は女だ」

女騎士「はい」

騎士「……魔物討伐任務で一人この森を訪れた俺は、やがて目的の魔物を見つけた」

女騎士「なんか語りだした」

騎士「数は多かったが、だがそれだけだ。俺の敵ではない。剣を振るい魔物を屠る内に、後方から人の声が聞こえた」

女騎士「あ、それ私」

騎士「……金色の髪が輝くその女は、整った顔立ちに僅かに焦りの色を見せ、俺の討伐対象と同じ種族の魔物を狩っていた」

女騎士「あれは焦ったわー。あいつら数に際限ないんだもん」

騎士「……美しかった」

女騎士「ありがとう」

騎士「女が踊るように剣を振るうたび、煌く白刃の閃光と共に魔物が沈んでいく。端整な顔に相応しく揺れる金髪、優美な顔に相応しい、冷徹な光すら感じるサファイアの瞳」

女騎士「お前も銀髪赤目でカッコいいぞ」

騎士「ありがとう。……やがて言葉なく自然と俺たちは背中を合わせていた。二人の息遣いと魔物たちの唸り声だけが静寂に満ち満ちた森に響いた」

女騎士「ドキドキ」

5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:16:17.67 ID:DB8WP1wd0



騎士「出会ったばかりの俺たちだが、この刹那、二人は無敵だった。急造のコンビで、言葉の一つも交わしていないのに関わらず、俺は女に背中を預け、女もまた、俺の剣に賭けてくれた」

女騎士「まぁお前が強いことは見て分かったし」
騎士「女しかいない国から来た美しくも強い女性! それが程々のピンチ! そこで同じく剣を振るっていたイケメンの俺!」


騎士「幾度となく剣戟が繰り返され、やがて俺たちは勝った。魔物の死体で埋まる森で、息を軽く弾ませながら、二人の目線が交じり合う。俺たちは互いに笑った」

女騎士「へへっ」

騎士「……そうして、俺たちはそこで始めてお互いの身の上を話したのだった……」

騎士「だった…………そうしてさぁ……」

女騎士「……?」

騎士「お前の国さぁ、女しかいないんだろ?」

女騎士「そうだ」

騎士「男はいないんだろ?」

女騎士「基本的にはそうだな。国の中には入ってこない」

騎士「だったらもっとなんか言うことあるだろうがあああああああああああ!」

女騎士「ぅお」


6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:17:02.54 ID:DB8WP1wd0


騎士「女しかいない国から来た美しくも強い女性! それが程々のピンチ! そこで同じく剣を振るっていたイケメンの俺!」

女騎士「自分で言うか」

騎士「イケメンで男の俺!」

女騎士「大事なことなのか?」

騎士「イケメンで強い男の俺!」

女騎士「大事なことなのか」

騎士「……」

女騎士「……」

騎士「……なんか、ないの?」

女騎士「なんか、とは?」

騎士「ほら、やっぱさ、女しかいない訳だから、男を見たことがない訳じゃん。つまり、男に対して色々なんか思うことがある訳じゃん! 『男の人って怖い生き物なんだよね|(ビクビク)』とか『ふん、男なぞ下等な存在。さぞ弱く醜いのだろうな』とかさ!」

女騎士「まぁそう言う奴も多いな」

騎士「だろう!?」

女騎士「ああ」

7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:18:07.46 ID:DB8WP1wd0



騎士「……」

女騎士「……」

騎士「……お前は?」

女騎士「ん?」

騎士「お前はそーゆーのないの!? 強くてイケメンな男の俺に対して『こ、これが男の人……か、カッコいい……|(キュン)』とか『お、男なんかに助けられるなんて、くそっ、不覚……! だがなんだ、この胸の高まりは……!』とかさぁ!」

女騎士「……」

女騎士「……おお、なるほど」

女騎士「……うーん」ジロジロ

騎士「……」ワクワク

女騎士「うん」ポン

8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:19:06.58 ID:DB8WP1wd0


女騎士「お前になら抱かれてもいいな。強いし、イケメンだし、金持ってそうだし」



騎士「え」

女騎士「ん?」

騎士「……」

女騎士「……」

騎士「……こ」プルプル

女騎士「こ?」


騎士「コレジャナーイ!」バタン!



女騎士「……」

女騎士「……流石の私も、死体の上に大の字で倒れる男に抱かれたくはないな」

騎士「もおおおおおおおおお! なんなのコイツぅうううううううう!」ジタバタ



9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:19:38.39 ID:DB8WP1wd0



 それから。


騎士「……ふーん。お前、最初からあの国に居た訳じゃないんだ」

女騎士「そうだ。だから男に対して偏見はない」

騎士「ふーん、へー、あ、そう」

女騎士「興味ゼロか」

騎士「いやさ、俺の国にも女は居るけどさ、やっぱお前の国ってこっちの男から見れば憧れなのよ。高翌嶺の花なのよ。穢れなき妖精さんなのよ! それが、こんな、こんな……!」

女騎士「ちなみに私は処女ではないぞ」

騎士「もう俺は驚かないし期待しない」

女騎士「ああ、心配はするな。私の国ではやはり殆どが男を知らない。二つの意味で」

騎士「……キタコレ!」

女騎士「ああ。姫とか凄いぞ? この前私が白いアレが出るタイプのおしべと棒を出し入れするタイプのめしべの話を事細かくしてやったら、顔を真っ赤にして気絶したぐらいだから」

騎士「お前姫に向かって何の話してんのおおおおおおおおおおお!?」

女騎士「ナニだけど」

10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:20:07.65 ID:DB8WP1wd0



騎士「え? は? え、え? お前の国の姫ってあれだろ? その姿を見た人さえ滅多にいないと言う、妖精姫たんのことだろう!?」

女騎士「そうだ。良く知ってるな」

騎士「写真さえないし情報も全く出ないから、ウチの国では神格化されているんだよ、姫たんは」

女騎士「それは良いことを聞いた。今度写真を売りに行こう」

騎士「姫たんを汚すなああああああああああああ! なに!? お前誇りとか忠誠心とかないの!?」

女騎士「そんなもんは犬に喰わせたよ」

騎士「Oh……」

女騎士「世の中金だよね、やっぱり」

騎士「コレジャナーイ!」

女騎士「ちなみに私は映像記録魔法を使える。げへへ。ごれでガッポガッポだぜ」

騎士「笑い方あああああ! つか、え、お前魔法も使えんの?」

女騎士「戦いで使えるものはないが、まぁ嗜む程度には」


11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:20:45.40 ID:DB8WP1wd0


騎士「……お前、かなり強い。剣に隙がないし、おまけに魔法も使える」

女騎士「ああ」

騎士「……お前、美しい。それは俺が保障する」

女騎士「ありがとう」

騎士「……女しかいない国から来たのに男に物怖じしない。かなりの実力者で姫と会えるぐらいの地位にいるのに誇りがない。端整な顔立ちしているのに結構ビッチ」

女騎士「最後のは酷いな。私とて誰でもいい訳じゃない。金持っててイケメンで強い金持ちが好きなだけ」

騎士「お前さっきからコレジャナイ感が物凄いんだよ! どんだけ金が好きなんだよ!」

女騎士「趣味は金稼ぎだ」

騎士「コレジャナーイ!」

女騎士「ああ、ぬいぐるみとかも結構集めている」

騎士「おおおおお! そう! それだよ! そう言うのが……!」

女騎士「それを姫に高値で売る」

騎士「もおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/03(月) 22:21:06.57 ID:wRJqMLb9o
チンポさんおかえり
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/03(月) 22:21:09.81 ID:HMxnntuDO
キタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:22:44.95 ID:DB8WP1wd0



女騎士「そうだ、煙草吸っていいか?」

騎士「あ、俺も吸う。火打ち石持ってる? 俺なくしちゃった」

女騎士「必要ない」ボウッ

騎士「おお、指先から火が……流石だな」

女騎士「これぐらいの火しか出せないがな。……ほら」

騎士「ありがとう」

女騎士「ふぅー」スパー

騎士「ふぅー」スパー

女騎士「……」スパー

騎士「……」スパー

女騎士「……ふぅー」スパー

騎士「……」 スパー


15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:24:01.90 ID:DB8WP1wd0




騎士「なに煙草吸っちゃってんの!?」スパパパパパパー



女騎士「……今更?」スパー

騎士「あまりにも堂々とした吸いっぷりに違和感覚えなかったよ! びっくりした! 普通に仲間と吸ってる気分だったもん!」

女騎士「と言うかお前も吸ってるじゃないか、煙草」

騎士「いや、そうだけど……いや、え、ええー……」

女騎士「あ、そうか」ポン

女騎士「お前どうせアレだろ。またなんか変な期待しちゃったんだろ」

女騎士「妖精さんは煙草吸わないんだー、みたいな」

騎士「と言うより何も期待してなかったところに更に追い討ち掛けられた気分だよ」

騎士「出会った妖精は守銭奴だったんだ。はは、そりゃ煙草ぐらい吸うよな!」

女騎士「ちなみに私はヘビースモーカーだ。煙草がなかったら死ぬ」

騎士「だろうな! スゲェ吸いなれてる感があるからな!」

16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:26:01.30 ID:DB8WP1wd0


女騎士「ただウチの部隊は私以外吸わないからな。肩身が狭くてしょうがない」

騎士「あー、その辺りはやっぱそうなんだな。俺の部隊は男しかいないからか、結構喫煙率が高い。直属のやつらなんか、全員吸っているし」

女騎士「それは羨ましい。全く、隊で一番偉い私が、どうして隅っこで煙草を吸わなきゃならんのだ」

騎士「はははは。それはご愁傷様」

女騎士「……ふぅー」スパー

騎士「はは……」スパー




騎士「お前隊長かよ!」スパパパパパパパパパパー

女騎士「言わなかったか?」スパー


17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:26:42.18 ID:DB8WP1wd0



騎士「初耳だけど納得だよ! そりゃ強いし姫と話す機会もあるだろうさ!」

女騎士「と言うか、お前も隊長だろ?」

騎士「え、知ってたの?」

女騎士「いや、分かる」

騎士「ふ、ふふふふ! まぁ、俺のイケメンで強いこの様を見れば一目瞭ぜ」

女騎士「金持っている気配がするぞ。かの国の騎士部隊の隊長だ。さぞかし給料が良いのだろう」

騎士「ちくしょう!」

女騎士「だから言ったろ? 『良い剣を使っているな』と。それ、かなり高いだろ。特注品の匂いがする」

騎士「ああそうだよ! この剣は凄い業物だよ! 永遠に錆びないし折れないんだぜ!? すげぇだろ!」



女騎士「で、いくらだ?」

騎士「頭の中金だけかテメェ!」

18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:27:43.94 ID:DB8WP1wd0



女騎士「まぁまぁ旦那ー。いくらか教えてくださいよー。げへへ」

騎士「お前な、一回自分の職業を見直した方がいいぞ……まぁいいか。この剣に値段を付けるとすればな」

女騎士「うんうん」

騎士「……多分、10年くらいは遊んで暮らせる」

女騎士「うんう……………………え?」

騎士「この剣は国王から報酬で貰ったもんでな。お前が言った通り特注品だ。昔は良く盗賊とかに剣を狙われたもんだよ。ま、全部返り討ちにしたがな」

女騎士「……」キョロキョロ

騎士「おい、何故辺りに誰もいないかの様な確認をしている」

女騎士「……」ガシャ

騎士「おい、何故剣を構える」

女騎士「……一人の勇敢な騎士は、誰にも知られることもなく、魔物の群れに殺されてしまったのでした。置いてあった高価な剣とあと鎧は何者かに持ち去られていました」

騎士「正気かテメェ!」

女騎士「冗談だ」

騎士「そ、そうか。そりゃそうだよな」

女騎士「ああ」


19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:28:18.37 ID:DB8WP1wd0













女騎士「私は必ず勝てる勝負しかしない主義でな」

騎士「……俺、強くて良かったなぁ」










女騎士「私は必ず勝てる勝負しかしない主義でな」

騎士「……俺、強くて良かったなぁ」







20 :ダイジナコトナノデニカイイッタダケー [age]:2012/12/03(月) 22:29:00.06 ID:DB8WP1wd0



女騎士『私がお前に確実に勝てるようになったら、また会おう。その剣を持ってくるのを忘れるなよ』

騎士『もう日々の鍛錬を欠かせなくなっちゃったよ!』



騎士「……なんてことがあったのが、数ヶ月前」

騎士「あれからあいつに会うことはなかった」

騎士「当然だ。あいつの国は男子禁制。加えほぼ鎖国状態。あの時あいつが国の外に居たのは、あいつが騎士であり、隊長であるが故だったんだろう。よくよく考えてみれば、あの国に住んでいる人に会ったことはなかった。あいつが初めてだった」


騎士「全く持ってあいつのことを偉そうに言えないが、俺も誇りやら国に対する忠誠心はそこまでない。それなりに愛国心はあるが、それだけだ」

騎士「俺が騎士になったのは。俺が強くなったのは。まぁ色々省略すれば、早い話が女にモテる為だった」

騎士「我ながら屑な理由だと思う。だが実際、俺はモテた。一時期は国の英雄とまで言われた俺だ。ルックスも悪くない。あいつの言う通り、金だって持っている。何もしなくても、女が俺に寄って来た」

騎士「……貪る様に女を抱いた。日に三度、別の女を抱いたこともある。俺は満たされた。性欲も。支配欲も」

騎士「だけど心は空っぽだった」

騎士「俺に群がる女は、俺の地位や顔しか見ていない。まぁ俺だって女の顔や体しか見ていなかった訳だから、その点はどうこう言わない」

騎士「だけど無性に虚しくなった」


21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:29:41.81 ID:DB8WP1wd0



騎士「ここで俺がこの地位を失って。ここで俺の顔が醜くなって。ここで俺が弱くなったら」

騎士「女は俺を見てくれるのだろうか」

騎士「俺が強くなったのは、こんなもんの為だったのか」

騎士「違う、と胸は張れない。本来の目的は既に久遠の彼方だ。残ったのは誰の為とも知らない強さと地位だけ」

騎士「ならばこそ答えなんぞ、分かりきっていた」

騎士「だからこそ、神秘に包まれているあの女性しかいない国に憧れたのだろう」

騎士「男を知らない国の住人に、男としての俺を見て欲しかったから」

騎士「あの国はそもそもが鎖国中。俺の知名度なんて、たかが知れているだろう。それもまた、憧れだった。俺の名は、ちょっと売れすぎている」

騎士「……だが出会ったあいつは、結局は国の女と変わらなかった」


22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:30:15.14 ID:DB8WP1wd0



騎士「顔が良く、強く、金を持っている。それだけの理由で、あいつは『抱かれてもいい』と言った」

騎士「だがあいつが他の女と決定的に違うのは」

騎士「抱かれてもいい理由を隠さなかったことだ」

騎士「俺が抱いた女は、皆狡猾だった。愛していると潤んだ瞳で言い、心の底から俺を想っている様に乱れた。本当は、俺の中身には何の興味がないのに。愛してなんかいないのに」

騎士「あいつが本心から抱かれてもいいと言ったかは分からない。もしかしたら冗談だったのかも知れない」

騎士「だけど、俺は。本来の俺なら。たとえ冗談でも。『抱かれてもいい』と言う女を逃がすことはなかった筈だ。しかも、相手は見てくれなら極上だ」

騎士「……俺はかつて女を抱いては一回で捨てた。その悪評が広がってか、無闇に俺に言い寄る女は少なくなった」

騎士「だけどいなくなった訳じゃない。相変わらず地位と顔は良い俺だ。たまに、女を抱く機会がある」

騎士「俺は、そう言う女に対してかつてと変わらない態度で抱いた。頭では虚しいとかカッコつけても、下半身は正直だ。俺は据え膳は喰い散らかす主義なのだ」



23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:30:48.99 ID:DB8WP1wd0


騎士「なぜ、だろうか。あの女を抱かなかったのは」

騎士「無理強いする趣味は俺にはない。『あれは冗談だった』と言われれば、俺は引いていた」

騎士「だがあの時の俺は、口説くことさえしなかった」

騎士「ただあいつのことが気になって、話して、笑って、煙草を吸って……」

騎士「それだけで終わりだった」

騎士「だけどそれだけで」

騎士「何故か俺は満たされていた」

騎士「そうして今、俺は」

騎士「あいつに会いたくて仕方がない」

騎士「あの美しい肢体を、ドロドロに汚してやりたい」

騎士「あの輝くブロンドを濁った白で塗りつぶしたい」

騎士「あの瞳を屈辱で満たしてやりたい」

騎士「ぶっちゃけセックスしたい」





騎士「と言うことなんだけどお前らどう思う?」



24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:31:22.43 ID:DB8WP1wd0



剣士A「アンタ本当に屑だな」

剣士B「貴方は一回死んだほうがいいと思う」

魔法使い「爆発しろ」

弓兵「……貴方に憧れてこの部隊に入ったあの時の僕を殴り飛ばしたいです」

副隊長「今すぐ部隊権限を俺に下さい」



騎士「酷いなお前ら!」



剣士A「いや、アンタの女に対するアレさは知っていたけどよぉ……屑が」

剣士B「まさか、騎士になった理由もアレで、かの国の女性に対してもアレとは……はぁ……屑が」

魔法使い「これでマジで顔が良くて強くて隊長なんだからタチ悪ぃよな……屑が」

弓兵「おまけに仕事も出来ますしね……屑なのに」

副隊長「うわっつらは完璧だよな、この屑野郎は」

騎士「」


25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:32:27.14 ID:DB8WP1wd0



騎士「ぐすっ……綺麗な罵倒だろ? 英雄なんだぜ、俺……ひっく」

副体長「めんどくせぇ隊長だな、このゴミ屑糞野郎は」

騎士「」ブチン

騎士「抜☆剣」シャランラ

副隊長「ちょっ」


騎士「唸れえええええ! 波動天慧輦轂弐式殲滅凌駕マークファイブぅううううううううう!」

副隊長「相変わらずその剣の名前なげぇぐふっ!」



 ばちこーん。



副隊長「」ボロボロ

騎士「……ふんっ」


26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:33:22.65 ID:DB8WP1wd0



剣士A「……まぁこうなるわな。言い過ぎなんだよ、あいつ」

剣士B「最強の名は伊達ではないですからね」

魔法使い「すっげぇ剣の冴え……」

弓兵「ぜ、ぜんぜん見えなかった」

剣士B「あの剣の腕に、『ドラゴンキラー』、『ナイト・オブ・ナイト』、そして『英雄』……数々の二つ名を所持しているのに……」

魔法使い「中身は部下も下半身も管理できてない万年発情期……。未だにモテるのが納得いかない」

弓兵「いや、今でも『英雄』ですよ、隊長は。実際僕ぐらいの年齢の子にとっては憧れの的ですし」

魔法使い「くそっ、これだからイケメンはっ!」

剣士A「つーかよぉ、隊長もそうだけどさ……」



副隊長「ところで隊長。この場に我らを呼んだのはそれだけではないでしょう? 何か込入った事情があると見ました」キリッ

騎士「流石俺の右腕。その通りだ」キリッ



27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:34:05.73 ID:DB8WP1wd0


剣士A「あいつも大概だよなぁ……なんでピンピンしてんの」

剣士B「まぁナンバー2は伊達ではない……ってことですかね?」

弓兵「いや、聞かれても困りますよ……」

魔法使い「一瞬で傷まで治ってるとか。ギャグじゃねぇんだぞ」

剣士A「隊長もなんで何事もなかったように話進めてんの」

剣士B「あの二人は昔から付き合いがあるとのことですが……」

魔法使い「いや、この茶番は付き合いが長いとかとか短いとかじゃないだろ。つーか、それよりさ、おい、隊長!」

騎士「なんぞ」


魔法使い「俺たちをこの場に呼んだ理由はなんだ」

副体長「まさか、恋話をしに来たとかじゃないですよね?」

騎士「それこそまさかだ。任務だよ、任務の話」

弓兵「……任務?」



騎士「うん。今からその女だけの国に行くんだよ、俺たち六人で」




『……はぁ!?』




28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:35:51.87 ID:DB8WP1wd0



 ――女人国、『森の国』、騎士部隊宿舎



女騎士「…………」ガチャガチャ

女騎士「ダメだな。これじゃまだまだだ。もっと、もっとだ。まだ、足りない……」

女騎士「…………」スパー


女騎士「……ふぅー」スパー

女騎士「だが、ゴールは見えたぞ……!」


 ドタドタ!


女騎士「……ん」


 ガチャッ!



29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:37:27.02 ID:DB8WP1wd0



女副隊長「隊長! どう言うことなんで……げほっ、げほっ、煙たい! この部屋煙たい!」

女騎士「どうした、騒がしい」

女副隊長「げほっ、げほ……! た、隊長! あ、貴女はこの国の騎士隊長なんですよ!」

女騎士「うん」ゴソゴソ、ボウッ!

女副隊長「それが、煙草なんかを吸って……新しいのを吸わないで下さい!」

女騎士「いいじゃないか。ここは私の部屋だぞ。……それより何か用があるんじゃないか?」

女副隊長「そ、そうでした……隊長! どう言うことなんですか!?」

女騎士(二回目……)

女副隊長「この国に! よりによって男の! 男の部隊を招くなど! 一体何を考えているんです!?」

女騎士「……それは私の一存ではない」

女騎士「決めたのは王族だ。私にどうこう出来る問題ではない」

30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:39:13.51 ID:DB8WP1wd0



女副隊長「しかし、貴女の進言により決定されたと聞きました!」

女騎士「……」

女副隊長「決定権は確かに王族のものです! しかし、そもそもの発端は貴女の発言にあります!」

女副隊長「答えてください! 貴女は、この国の部隊を、貴女の部下を信用しておられないのですか!?」



女副隊長「私たちでは、駄目なのですか!?」




女騎士「……ふぅ」スパー


女騎士「……私の人生の中で」

女副隊長「……」

女騎士「お前ら程信用できる人間は、いない」

女副隊長「!」



31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:39:48.18 ID:DB8WP1wd0


女騎士「だからこそ、分かる。我々だけでは、あの魔物達には勝てん」

女副隊長「し、しかし! 全部隊を投入して数で押せば……!」

女騎士「無理だ。実際にあの魔物と戦って分かった。少なくとも、私直属のお前達レベルじゃなければ、数を揃えても意味がない」

女副隊長「……直属、と言うと」

女騎士「ああ、私合わせて五人の精鋭、加え、あの『砂漠の国』から来て貰うの精鋭達。これで、彼奴等を討つ」

女副隊長「本気、なんですね……」

女騎士「ああ。納得は出来ないだろうが、何、彼らの実力は保障する。……無意味な犠牲を避ける為だ。……分かってくれ」

女副隊長「……はぁ」


32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:40:41.08 ID:DB8WP1wd0


女副隊長「……ふうっ、そこまで貴女に言われたら、右腕としては何も言えませんね」

女副隊長「……分かりました。私は従いましょう。しかし……」

女騎士「それも分かっているさ。他の連中が、何を言い、どう思うか、だろ?」

女騎士「ま、なんとかしてみせるさ。なに、別に男と仲良くなれ、だとか、そんなことは言わん。会話にしても、必要な分だけでいい」

女副隊長「だとしても、混乱は必須です。生の男を見たことがあるのは、隊長だけなのですから」

女騎士(生の男ってなんかエロいな)

女副隊長「しかし、いくら隊長が認めたと言っても、所詮は男なのでしょう? ふん、男なぞ下等な存在です。会話なぞ、こちらから願い下げですよ」

女騎士(そしてこの台詞。そうかこう言うのが喜ばれるのか)

女副隊長「……隊長?」


33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [age]:2012/12/03(月) 22:45:31.77 ID:DB8WP1wd0


女騎士「なぁ、ちょっと『記録』を撮らせてくれ」カシャカシャカシャ

女副隊長「え、ええ!? な、なんでですか!? と言うかもう撮っているし!」

女騎士「エーテルアクセル! 記録記録記録記録記録」カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ!

女副隊長「魔翌力の無駄使い過ぎます! と言うかなんなんですか! それ何に使うんですか!?」

女騎士「明るい未来の為さ!」キリッ

女副隊長「い、意味が解らない……!」


34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:46:52.58 ID:DB8WP1wd0


女騎士「まぁ任務の仔細は追って説明するさ。それまで待機だ」

女副隊長「……了解しました。……あ、あの、隊長?」チラッ

女騎士「なんだ?」

女副隊長「え、ええと、あの……、ほ、ほら」モジモジ


女騎士「トイレならそこの突き当りを曲がって……」


女副隊長「知ってますし違います! 何で御手洗いの話になるんですか!」

女騎士「いや、そのモジモジは尿意を我慢してるのかなと」

女副隊長「そんな訳ないでしょう!」


女騎士「じゃあ何だ」

女副隊長「あ、あぅ……」



35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:47:35.96 ID:DB8WP1wd0


女騎士「……言わなきゃ分からないぞ?」

女副隊長「……あ、あのですね、ええ、と、私が頼んだ……、あの、あれを……」

女騎士「何のことか分からないので、きっちり説明されるまで私は『外』で買ってきた『恋する私は切なくて、憧れのあの人の寝顔にキスしちゃうの〜五巻〜』でも読もう」

女副隊長「全部分かってるんじゃないですかあああああああああああああああああああああああ!」

女騎士「お金、はよ」

女副隊長「も、もう! ……ほら、これでいいですか!?」ジャラ

女騎士「毎度ありー」

女副隊長「……しかし、何時も思うのですが」

女騎士「んん?」


36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:48:06.30 ID:DB8WP1wd0


女副隊長「『外』は本の値段も高いんですね。この国で売っている物の二倍はしますよ」

女騎士「……ウン、ソウダネー。タカイネー」

女副隊長「……?」

女騎士「……それよりも、早いとこ読んだらどうだ。それ、楽しみにしてたんだろ?」

女副隊長「え、ええ……。恥ずかしながら、もう続きが気になってしまって……」

女騎士「……なぁ、一つ聞いていいか?」

女副隊長「……? なんでしょうか?」



女騎士「……その本は男と女の恋愛物だが……、お前的にはいいのか? 男なんて下等な存在なんだろ?」

女副隊長「二次元は別です」キリッ

女騎士「そ、そうですか……」

女副隊長「よろしければ、この本の素晴らしさをお伝え致しますが?」

女騎士「い、いや、遠慮してお」

女副隊長「いいですか、この話は主人公メアリーの切ない恋心を軸としてですね……」

女騎士「」



37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:49:03.70 ID:DB8WP1wd0


 一時間後ぐらい。


女騎士「酷い目に遭った」

女騎士「あの処女め。処女の癖にペラペラ恋を語りやがって」

女騎士「膜破ってから出直してこいっつーの」

女騎士「妄想の中で男と触れ合うと碌なことになんねーぞ」

女騎士「大体、精液の味も知らないオボコに男の何が分かるんだよ」

女騎士「さぞかしオナニーも小便臭いんでしょーね」



女剣士「……無表情でなにとんでもないこと呟いてんだよ、アンタ」

女騎士「なに、ちょっと愚痴をな。時は金なり。無駄な時を過ごしてしまったものだから、つい」

女剣士「……」



38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:49:49.24 ID:DB8WP1wd0


女剣士「……アタシはよぉ」

女騎士「ん?」

女剣士「ただ戦いたくて、剣を振るいたくて、この部隊に入ったんだけどさ」

女騎士「そうだったな」

女剣士「だからさ、騎士の誇りなんて知らねーし、自分で言うのもなんだが、粗暴で乱雑で、とにかく『らしくない』と思う」

女騎士「……そうか」




女剣士「だけどアンタを見てると、そんな自分がまだマシに思えるよ」

女騎士「何故だ!?」

女剣士「自覚ないのかい!?」



39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:50:57.96 ID:DB8WP1wd0


女騎士「まぁどうでもいいか」

女剣士「……いいのか?」

女騎士「それより、例の話は聞いてるか?」

女剣士「ん……ああ、男の部隊が来るっつーやつか。アタシも魔物討伐のメンバーに入ってるとか」

女騎士「ああ。まぁお前については心配ないな」

女剣士「……なんの?」

女騎士「物怖じしないだろ、男に」

女剣士「ああ。むしろ、手合わせ願いたいね。男って生き物がどれ程強いか、是非知りたいから」ニヤリ
 
女騎士「…………」



女騎士(こいつの写真はいいか。あんまり女らしくないし。売れない気がする)

女剣士「……なんだよ、その目」

女騎士「べっつにー」

40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:51:55.88 ID:DB8WP1wd0



女騎士「それじゃあ、私は行くぞ。他の者も既に知っているだろうが、一応伝えなければならないからな」

女剣士「ちょい待ち」ガシッ



女騎士「な、なに……?」

女剣士「……アンタ、約束忘れたのかい?」

女騎士「やくそくぅ……? ……あ」

女剣士「アンタが『外』から帰ってきたら、アタシと戦う約束だよ。クソ高い金まで払ったんだ。ほら、行くぞ」

女騎士「ああ、私の貴重な時間が……お金が……」

女剣士「ほら、ちゃっちゃっと歩け」

女騎士「うう……」


41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:52:28.84 ID:DB8WP1wd0


そこの時間経過。



女騎士「無駄な時間を過ごした」

女騎士「そもそも私に勝てる訳ねーだろ。仮にも国で一番強いんだぞ?」

女騎士「だけどあいつは無駄に防御力高いから、やたら時間掛かったし」

女騎士「筋肉ばっかり鍛えやがって。訓練用の剣じゃあ中々潰れないし。筋肉に防がれる」

女騎士「さぞかしアソコの締まりもいいんでしょーね」



女魔法使い「なにを無表情でブツブツ言ってますの……?」

女騎士「なに、ちょっと愚痴をな。タイム・イズ・マネー。無駄な時を過ごしてしまったものだから、つい」

女魔法使い「は、はぁ……?」


42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:54:43.43 ID:DB8WP1wd0


女騎士「……それより、あの話を聞いてるか?」

女魔法使い「……ええ。下賎な男がこの国に」



女騎士「お前んちの全財産を私に寄越すと言う話だ」

女魔法使い「それは初耳ですわ!? と言うかなんでですの!?」



女騎士「いいだろうが! お前んち金持ちだろ! 少しぐらい私にくれても良いだろ!」

女魔法使い「全財産は少しとは言いませんわ……」

女騎士「ケチー……」


女魔法使い「とにかく! ……件の討伐ですが、国令です。私はとやかく言いません」

女騎士「……」エーテルアクセル!

女魔法使い「しかし! 私は男などと言う人種と馴れ合うつもりはありませんので、その御つもりで!」

女騎士「……」カシャッ

女魔法使い「男と言うモノは、常に発情している獣だとお聞きしておりますわ! ああ、汚らわしい……! そんなモノと一時的なものとは言え、一緒に戦うなんて……!」

女騎士「……」カシャッ!

女魔法使い「野蛮、下劣、下品。そんなモノと同じ空気を吸うことになるなんて……! 屈辱ですわ……!」

女騎士「……」カシャカシャッカシャッ! キャパオーバー!


43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:55:54.21 ID:DB8WP1wd0


女騎士「……ふぅ、こんなものか」

女魔法使い「……先程から、何をしてますの? 記録魔法なんか使って……」

女騎士「お前は、多分ヒットするな。高飛車で巻き毛ロールだし」

女魔法使い「何の話ですの!?」


女騎士「……それより、まぁ、アレだ。別に無理に仲良くする必要はない。あくまで他所は他所だ。主な作戦交渉も私がやるし」

女魔法使い「……ふんっ」

女騎士「では、私は行くぞ」

女魔法使い「お待ちになって」ガシッ



女騎士「ま、またぁ……?」


女魔法使い「私の魔法研究を手伝う約束……まさかお忘れになってはおりませんよね? そこそこのお金を支払ったんですもの。対価はしっかりと頂きますわ」

女騎士「い、いや、ほら、別に私が手伝わなくても……私、あまり魔法得意じゃないし……」

女魔法使い「確かに隊長の魔力は少ないですが、その代わり知識は群を抜いているでしょう? 加え、私はより実戦で使える魔法を研究したいのですから。そして、それには国で一番強い貴女の意見が欠かせませんわ」

女騎士「た、たいむ、いず、まねぇー……」

女魔法使い「はいはい、行きますわよ」

女騎士「うう……」ズルズル



44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:56:33.79 ID:DB8WP1wd0



結構な時間経過


女騎士「私の時間が……泡の様に消えていく……」

女騎士「大体私じゃなくてもいいだろうが。金持ちなんだから、伝ぐらいあるだろうが。金持ちなんだから」

女騎士「これだから金持ちは嫌なんだ」

女騎士「それにあいつの家は嫌いだ。金の匂いがキツ過ぎる。私はあいつの家が札束にしか見えないんだぞ。どんだけブルジョワなんだ、あいつ」

女騎士「さぞかし喘ぎ声もお上品であそばられるんでしょーね」




女治癒師「た、隊長……? 大丈夫ですか?」

女騎士「ああ、お前は可愛いなぁ……癒されるわぁ……」ダキツキ

女治癒師「うわわわ! く、苦しいですよぉー……」

女騎士「妄想中毒、脳筋、ブルジョワ……もう私の癒しはお前だけだ……」←守銭奴





45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:58:01.40 ID:DB8WP1wd0


女治癒師「隊長……」ギュッ

女騎士「ん?」

女治癒師「……男の人が、来るんですよね……?」

女騎士「……そうだ」

女治癒師「それで……私も、討伐のメンバーに加わっていると聞きました……」

女騎士「……ああ。正直、お前の年齢を鑑みると厳しいのは分かっている。だが、お前の回復魔法は必須なんだ……すまん」

女治癒師「あ、謝らないで下さいよぉ! た、隊長は悪くないんですから!」

女騎士「……怖いか、男が」


女治癒師「……少し、だけ。良い話は聞きませんから……」

女騎士「……そう言う国だからな、ここは。……大丈夫、お前に手を出すやつがいたら、私がもうアレをブッチしてこの国の住民にしてやるから」

女治癒師「……?」

女騎士「要は心配はないと言うことだ。……私が、守るから。お前も……皆も」

女治癒師「……ふふっ、隊長が守ってくれるのなら、安心ですねっ!」

女騎士「ああ、その通りだ」

女騎士(そしてこの良い話をしてる最中にも記録を欠かさない私を許してくれ) キャパオーバー!


46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 22:58:32.56 ID:DB8WP1wd0


 ――深遠の森。


剣士A「はぁーあ、メンドくせー」

剣士B「今日ばかりは同意しますよ……」

弓兵「すっごい遠いとこにありますもんねぇ……」

魔法使い「ダリー。ねみー。帰りてー」

副隊長「隊長がブラック過ぎてウチの部隊はもう駄目かもしれない」

騎士「お前らそれでも誇り高き騎士部隊の一員かっ!」



剣士A「は?(難聴)」

剣士B「あ?(憤怒)」

魔法使い「へ?(困惑)」

弓兵「え?(驚愕)」

副隊長「誇り(嘲笑)」




騎士「うわあああああああん!(号泣)」


47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 23:00:28.91 ID:DB8WP1wd0

剣士B「貴方に騎士の誇りを問われたくありませんよ……」

魔法使い「つーかよぉ、なんでわざわざ俺達が総出しなきゃなんねーんだよぉ」

弓兵「そもそも他所の国ですしね。と言うか、いいんですか? 僕たち、全員男ですけど」

騎士「特例と言うことでなんとかしてくれるらしい」



騎士「あ、言い忘れたけど、お前らくれぐれも女に手を出すなよ。国際問題になるからな」




剣士A「……なるほど、これが俺たちの本当の任務か」

剣士B「……ええ。猛る狂犬の牙から麗しい花を守り抜くこと」

魔法使い「……俺たちに、出来るのだろうか」

弓兵「だけど、やるしかないですよ!」

副隊長「……行くぞ、お前ら! 今こそ、屑野郎をぶちのめす時!」




騎士「高速抜剣」シャランラ



 ばちちちちちちこーん。


剣士A「」ボロボロ

剣士B「」ボロボロ

魔法使い「」ボロボロ

弓兵「」ボロボロ

副隊長「いやまぁ流石に冗談ですけどね。リアル戦争に発展しかねないですよ、手なんか出したら」ケロッ

騎士「お前回復早すぎだろ」



48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 23:01:22.71 ID:DB8WP1wd0


 で。


剣士B「ん、もうすぐ着きますね」

剣士A「ふー、やっとか……」

魔法使い「ってかさー、手を出す云々は置いといてもよぉ。メンドクセーよなぁー、色々制約もあるだろうし、この六人で行くっつーのもなぁ」

剣士A「まぁ今ウチの国は安定してるから、俺達がいなくても問題ねーだろうけど」

魔法使い「いや、それもあるけどよぉ。ぶっちゃけ魔物退治なんて隊長一人いればこと足りんじゃねーの?」

騎士「俺だけ働かす気か」

副隊長「でも、実際どうなんです?」

弓兵「正直、件の魔物がデータ通りの戦闘力なら、問題ない気もしますけど……」



騎士「……数が多い」



騎士「あの魔物の戦闘力は確かにそこそこだ。並みの者ならともかくお前達の敵じゃないし、俺なんかもう楽勝の楽ちゃんだ」

騎士「だが、余りにも数が多い。全滅させるには俺一人じゃ時間が掛かる。加え、そこそこの戦闘力の所為で、並の練度じゃあ返り討ちにある危険性もある」

騎士「それに、あの魔物の正体も謎だ」


49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 23:01:55.61 ID:DB8WP1wd0




剣士A「へ? あんた、あの魔物を調査しに行ったんじゃねーの?」

魔法使い「最近妙に目撃報告が多いとか言うアレだろ、たしか」

弓兵「珍しいですね。隊長が掴め切れないなんて」

騎士「……見たことがない種族だった。おまけに、なんであそこまで数が居るのかも分からん」



剣士B「……魔王が死んで、魔物の動向は大人しくなったのに。なんでまた……」

騎士「その辺の事情も考慮した上でのこの編成だ。何が起こるか分からんからな」

剣士A「なるほど」


副隊長「…………」

弓兵「ん? どうしたんです?」

魔法使い「ボーっとしちゃって。珍しい」

副隊長「……いや、なんでもないさ」




副隊長(……魔王、か)

騎士「…………」




50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 23:02:32.70 ID:DB8WP1wd0


剣士A「いやー、それにしてもダルイなー」

剣士B「ええ、私もですよー」

魔法使い「だよなー、なんで女だけの国なんかになー」

弓兵「しんどいことこの上なさそうですよねー」

副隊長「はーーーーーーーーーーーーあーーーーーーーー!」

騎士「…………」




 
 ―――森の国、門前。



剣士A「うっひょおおおおおおおおおおおお!」

魔法使い「っべー! これっべー! テンション上がって来たぁあああああああああ!」

弓兵「ふわぁー……! 甘い匂いがする……!」

剣士B「この門から立ち込める溢れ出る気品……! ここが桃源郷ですか……!」

副隊長「クンカクンカ! スーハースーハー!」




騎士「お前らのそう言うとこ、俺好きだぜ」



51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 23:03:28.94 ID:DB8WP1wd0
ちょっと休憩。
30分から1時間後ぐらいに再開。
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/03(月) 23:08:22.52 ID:5PgLcfUCo
戻ってきたか
今回は完結させてくれよ期待してるんだから
53 :再開 [saga]:2012/12/03(月) 23:44:41.89 ID:DB8WP1wd0


 ――過去 砂漠の国、王の城にて


王「いいか? 絶対、絶対だぞ? あの国の女に手を出すなよ。絶対だからな!」

騎士「大丈夫さ。避妊はきっちりする。海の国から届いた最新のこれをチンポに被せれば……」

王「何一つ大丈夫じゃねぇーよこのタコ助!」

騎士「おまっ、この国の英雄に向かってタコとか! 何様のつもりだ!」

王「王様のつもりだよクソ野郎!」

騎士「そーいやそうだった。メンゴ」

王「……お前さぁ、昔はそんなんじゃなかったんだろ。品行方正で、豪く真面目と聞いてたんだが」

騎士「人は変わるんだよ」キリッ

王「お前コレジャナイ感溢れまくりなんだよ! もっと誇りに塗れろよ!」

騎士「誇りなんてどっかその辺に落としちまったよ」

王「くそっ、なんでこの男が国中最強なんだ!」

騎士「ふふん」ドヤァ


54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 23:45:34.72 ID:DB8WP1wd0



騎士「……まぁそれはさておき、だ」




騎士「……いくら『要請』が来たと言っても、俺たちがわざわざ行く必要があるのか?」

王「む……」

騎士「……ないだろ、こっちにメリットが。それも、よりによってこの国の最強メンバーで、だ」
 
王「向こうの騎士隊長がお前に会ったみたいだが……それはどうなんだ? お前、あの国の女性に憧れているんだろ?」

騎士「何故知っている」

王「ナターシャたんに聞いたよ」

騎士「一国の王がおっパブ行くなよな……」

王「……行きたくないのか? 『森の国』に」


55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 23:46:48.66 ID:DB8WP1wd0



騎士「…………」

騎士「興味はある。憧れも、確かにあるさ」

騎士「例の女隊長にも、もう一度会いたいとも思っている」

騎士「だけどそれだけだ」

騎士「わざわざ赴く要素がない。それも、戦力を貸すと言う任務で」

騎士「俺個人ならまだともかく、あいつら、引いてはこの国にメリットがない」



王「……任務に関しては、お前は真面目だな」

騎士「見直したか?」ドヤァ

王「むしろ信頼してるよ、英雄殿?」ドヤヤァ

騎士「……はん」



56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 23:47:25.25 ID:DB8WP1wd0


王「……ふー」

王「……件の魔物討伐の要請は」

騎士「…………」

王「確かにメリットは薄い。いくらか報酬はくれるらしいが、はっきり言ってこの国は今、金に困ってない」

王「わざわざ少ない報酬で、保有する戦力を危険な目に会わせ、また周囲の目に晒すのは、正直言って愚策だ」

騎士「……あんたがわざわざそれを言うってことは」

王「そうだ」



王「報酬とは別に、そんなデメリットを覆すメリットが存在すると言うことだ」ニヤッ

騎士「……聞こうじゃん」



57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 23:48:11.46 ID:DB8WP1wd0



…………

……………………

………………………………

…………………………………………

……………………………………………………

………………………………………………………………

…………………………………………………………………………

……………………………………………………………………………………



58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 23:49:27.98 ID:DB8WP1wd0


騎士「―――――っ!」

王「まぁ確証はないがな。あくまで可能性の話だ。だが、堅い話でもある」

騎士「ちょ、ちょい待て!」

王「……ん?」

騎士「どこでそんな話を……! いや、そうじゃない……仮に『そう』だとしたら……なんでこの国に要請をしたんだ!? しかも、殆ど俺を名指ししたようなものだろ!? いくらなんでも知らないわけないだろうが! よりによってこの『俺』を!」

王「……あちらにはあちらの思惑がある、と言うことだろう。それ以上は分からん」

騎士「……チッ」

騎士「……」

騎士「……良いのか?」

王「……」

騎士「……俺の『本当の任務』は、その正誤を確かめることだろう?」

騎士「あんたのその情報が正しいものだとする。それはまだいい。……俺はもう、何も思ってない」

王「ほぅ」

騎士「だが、『あいつ』は別だ。……『あいつ』が『それ』を見たとき、何をするか。……考えるまでもない」

王「……」




騎士「あっち側の思惑なんか関係ない。……戦争になるぞ?」

王「いいぞ、別に」



59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 23:50:16.54 ID:DB8WP1wd0





騎士「―――――っ」




王「俺には俺の思惑がある。どう転んでも、こちら側のプラスにする策がある」

王「仮に『戦争』になったとしても、だ」

王「どうせ勝つのはウチだ。それに、森の国の『秘術』にも興味があるしな」

王「なに、最悪滅ぼせばいいんだ。好きにやれ」

騎士「……手は出しちゃいけないじゃなかったか?」

王「それはお前の女癖が極悪だからだ。あくまで『戦争』の場合は、ある程度は向こう側に責がなきゃいかん」

王「『例の情報』ならともかく、お前が性的な意味で手を出しちまったら、100%ウチが悪いことになるんだぞ、国際的に」

王「お前の悪評は世界中に広がっているからな。誰もお前を擁護してくれん」

騎士「ひでぇ」




騎士「……ま、それもそうか」




騎士「……俺は」

騎士「自分のことを屑だと思っている」

王「よく弁えているじゃないか」




騎士「だがあんたには負けるよ」

王「これくらいの胆力がなきゃお前みたいな奴は扱えないし、国もまた然りだ」


60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 23:51:38.82 ID:DB8WP1wd0



騎士「……お前の息子とは大違いだな」

王「はっはっは。得てしてそんなものだ……調子はどうだ?」

騎士「意外に良く馴染んでいる。正体もバレてない」

王「ふむ、それは予想外だな。堅物なあいつのことだ、もっと孤立しているものだと思ったが」

騎士「初日におっパブに連れて行ったのが効いたのかもしれない」

王「マジか」

騎士「週末は仲間達と一緒に行ってるみたいだぞ……俺を除け者にして」

王「お前ら本当に騎士部隊か?」

騎士「その頂点があんただからだよ。ちなみに、ナターシャたんがお気に入りらしいぞ」

王「……血は争えんな」

騎士「無駄な争いだな、ホント」



61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 23:52:41.44 ID:DB8WP1wd0


 ――現在、森の国、門前


騎士「……お?」


女騎士「……」ザッ


騎士「……来たか」

剣士A「へぇ、あれが……」

剣士B「う、美しい……」

魔法使い「……お前、女を見ると絶対その台詞を言うよな」


弓兵「この前なんか、ナターシャさんに二時間で四度くらい言ってましたよね」

剣士B「な、ナターシャたんは関係ないでしょう!?」

魔法使い「たん言うなや」

剣士A「出会いがしらに
   『私はこの部隊で剣技を磨きに来ました。馴れ合うつもりはありません(キリリッ』
   って言ってたお前はどこに行ったんだろうな……」

副隊長「それもこれも全部隊長が悪いんだ」

騎士(いや、間違いなく血筋の所為だろう……)




62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 23:54:22.03 ID:DB8WP1wd0


騎士「……こほん」

騎士「……久しぶりだな」

女騎士「……」

騎士「……? 今回は魔物討伐の手助けと言うことだが……まぁそっちの国柄ゆえの事情は分かっているつもりだ。ただ、出来るだけこっちが動きやすいように」

女騎士「気安く話し掛けるなこの下郎が」

騎士「」

女騎士「どうせアレだろ? お前らマンコにチンポ突込みたいだけだろ? 男と言うのは常に発情しているからな」フフン

副隊長「」

女騎士「……ったく汚らわしい。半径5m以内に近寄らないで欲しいですわ!」ブルジョワー

剣士A「」

剣士B「」

女騎士「はっ、どうせ男なんて見てくれの筋肉だけだ。アタシの剣の錆にしてくれる」ムキッ
                                                      
魔法使い「」

女騎士「ふぇぇ……男の人のザーメン、怖いよぉ……」ヨウジョー

弓兵「」



63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 23:55:33.18 ID:DB8WP1wd0



女騎士「?」 ドヤヤヤヤヤヤァ……

騎士「……なんとなく、分かった。一つ言わせくれ」




騎士「せめてキャラ統一しろ馬鹿!」




女騎士「……お気に召さなかったか? 色々研究した結果なんだが」

騎士「召す訳ねーだろ! 言ってること意味分かんねーし、大体なんでちょいちょいエロ挟むんだよ!」

女騎士「興奮させてやろうかな、と」

騎士「要らねーよ! なんで魔物討伐任務に性的興奮が必要なんだよ! 勃起したまま戦えってか!? アホか!」

女騎士「酷い。せっかく頑張って考えてきたのに……精神的被害を受けた。これは賠償金を請求しなくては」

騎士「この件に関してはビタ一文やらねーわ! むしろこっちが請求してーよ!」

女騎士「むむ、金はやらんぞ! 実は私は――――」



64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 23:56:05.21 ID:DB8WP1wd0



女騎士「――――守銭奴だ」キリッ

騎士「知っとるわ! 何故溜めて言ったし!」



65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/03(月) 23:56:42.46 ID:DB8WP1wd0


 ギャーギャー!


剣士A「これが、コレジャナイ騎士、か」

剣士B「隊長以上のコレジャナイ感を持った騎士が居ようとは……」

魔法使い「世界は広いな……」

弓兵「でもあの人、すっごい強いんですよね、多分」

副隊長「ああ、隊長とタメ張れるぐらいだからな。色んな意味で」



66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:00:32.18 ID:OVQVjyQ80


 それから。


女騎士「とりあえず、道中疲れたろう。任務中、寝泊りするところに案内する。暫らく休むといい。私も疲れた」

騎士「それは自業自得だろ……」





女騎士「って、やべー。ニコチン切れたわ。タバコ吸っていい?」

騎士「……もうなんでもいいよ」

女騎士「それじゃあ……」ゴソゴソ、ボゥ

女騎士「ふぅー」スパー

女騎士「ところで、何か良い儲け話はないか?」スパー

魔法使い「最早コレジャナイってレベルじゃねぇえええええ!」

弓兵「恐ろしい迄の手際の良さ……!」

剣士B「そして騎士にあるまじき台詞……!」

剣士A「やべぇ、俺、この国なめてたわ……!」

女騎士「中々愉快な部隊だな。だが私の部下も負けてないぞ?」

副隊長「貴女一人で完敗ですよ……」



67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:03:04.98 ID:OVQVjyQ80


騎士「……俺たちもタバコ吸おうぜ。ストレスがヤバい」カチ、ボウッ

副隊長「……そうですね」カチ、ボウッ

剣士A「なんか、ドッと疲れが……」カチ、ボウッ

剣士B「まぁ結構距離ありましたからね……」カチ、ボウッ

魔法使い「いや、この疲れは最後の五分間で蓄積されたものだろうぉ……」ボウッ

弓兵「間違いなく精神的な疲労ですもんね、これ……」カチ、ボウッ



『はぁーあ…………』 スパー



女騎士「……ふむ、本当に全員吸っているのだな。しかし、意外だ」

騎士「なにが」

女騎士「お前は元より、そこの筋肉ダルマ、目つき悪男、地味メンはまぁ吸ってても違和感ないが」

剣士A「おい、なんかディスられてんぞ、目つき悪男」スパー

魔法使い「ああそうだな、筋肉ダルマ」スパー

副隊長「この俺が地味……だと……」スパパパパー

女騎士「そっちの色男とボーヤ迄が吸っているのは何ともな。似合わない」スパパパパパパパパー

剣士B「貴方も大概だと思うのですが……」スパー

弓兵「あはは、似合わないのは知っていますけどね」スパー


68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:03:43.34 ID:OVQVjyQ80



騎士「こいつは俺に憧れて吸い始めたからな。全く、愛い奴め」

弓兵「はん」

騎士「鼻で笑うのはやめてくれよ、俺だって傷つくんだ」

剣士B「私は……」

剣士A「ナターシャが『煙草吸う男の人ってカッコいい!』って言ってたからだろ」

魔法使い「知っているか? あいつんち煙草屋なんだぜ。つまりそう言うことだ」

剣士B「我が身銭が彼女の血肉に成り得るのならば、本望です」キリッスパー

剣士A「気持ち悪いな、お前」


69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:04:24.48 ID:OVQVjyQ80


 ――旧・騎士部隊宿舎


女騎士「今は誰もいない宿舎だ。少し古いが、設備は問題なく使える。ここで寝泊りをしてくれ」

騎士「上等だ。そう長い間居る訳じゃない。寝れれば文句は言わないさ」

女騎士「それで今後の仔細だが、その前に……」 ゴソゴソ

騎士「……?」




女騎士「お待ちかねの写真買い取りタァーイムッ! ポロリしかないよ!」

騎士「は?」



70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:05:26.93 ID:OVQVjyQ80

女騎士「若い男の部隊。……色々溜まってるんだろ? お? お? そうなんだろ? んん?」

女騎士「早く街に出てマンコにチンポぶち込んで子宮にザーメンドピュドピュさせたいんだろ? ったくしょうがねぇなー」

女騎士「だが、それはいかん」キリッ

女騎士「ここは女人国。そう易々と中心地に男をやる訳にはいかないし、強姦などもっての他だ」

女騎士「しかし、何もかも我慢しろと言うのも酷な話」

女騎士「そこで、私が滅多に出さない全力を尽くして取ったこの写真の出番だ」

女騎士「これには我が隊が誇る美しい女性達の肢体や痴態やおっぱいやマンコが映っている」

女騎士「今ならサービス価格で売ってやろう」



女騎士「どや?」


71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:06:17.64 ID:OVQVjyQ80


剣士A「」

剣士B「」

魔法使い「」

弓兵「」



副隊長「今、隊長の屑度を超えましたね」

騎士「ああ、俺も鳥肌が立ったぜ」


72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:06:51.18 ID:OVQVjyQ80



剣士A「い、いやいやいやいや! アンタさぁ!」

剣士B「騎士としてと言うか、先ず人として最低ですよ!」

弓兵「また一つ、僕の憧れが消えましたよ……」

魔法使い「つか、盗撮だろ、それ」

女騎士「バレなきゃいーんだよ、バレなきゃ」




副隊長「逆にこれ隊長とお似合いなんじゃないですか?」

騎士「やめてくれ。俺はここまでじゃない……筈」


73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:08:15.42 ID:OVQVjyQ80



女騎士「ちなみに姫の着替え写真もあるぞ」

剣士B「」ピクッ

騎士「……!」

剣士A「ま、マジかよ!? 姫ってあれだろ!? あの妖精姫だろ!?」

魔法使い「よ、良く手に入れたな……」

弓兵「い、一体どうやって……」

女騎士「秘密だ」

副隊長「……と言うか、貴女、本当に騎士ですか?」

女騎士「残念ながら、私は騎士でおまけに隊長だ。序にこの国で一番強いのも私である」ドヤァ

74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:09:11.60 ID:OVQVjyQ80



剣士B「あ、あああ、あああなたは!」

女騎士「んん?」

剣士B「き、きききき、騎士としてのほほほっほ誇りは、なななないのですか!? よ、よよよよ、よりにもよって、守るべき姫君の、は、ははは破廉恥な写真、を……!」

女騎士「誇りなんて猫に喰わせたよ」

騎士「……犬に食わせたんじゃなかったか?」

女騎士「そうだったかな? まぁどうでも良いだろ、そんなこと」

剣士A「良くないだろ……と言うか」チラッ

魔法使い「なんだろ、この感じ」チラッ

弓兵「ええ、良く感じるアレですね」チラッ

副隊長「国中最強には、ホント碌なやつがいない……」チラッ




騎士「何故お前ら俺を見る」


75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:10:04.75 ID:OVQVjyQ80


騎士「…………それより」


女騎士「なんだ?」

騎士「……その姫の写真を寄越してくれ。買う」

剣士B「た、隊長!? ほ、ほほ本気ですか!? よ、よよよよ他所の国とは言え、仮にも王族の……!」

剣士A「なんだお前、随分突っかかるな」

魔法使い「もしかして、妖精姫のこと、気になっちゃうのかなぁー」ニヤニヤ

剣士B「そそそっそ、そんな馬鹿なななななななな!」

弓兵「声が尋常じゃないほど裏返ってますけど……」

騎士「……どうだ? 売ってくれるか?」

副隊長(……隊長?)


76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:11:19.48 ID:OVQVjyQ80



女騎士「ふふん、いいだろう。だが……」 カキカキ

女騎士「……これくらいは、貰わんとなぁ?」ペラ

剣士A「は、ハァッ!?」

魔法使い「なんだこの値段!?」

弓兵「け、桁がおかしい……!」

副隊長「ヘタしたら安い家が買えるな……」

女騎士「まぁ姫の着替え写真だ。そう簡単に手に入ると思ったら間違いだぞ」

剣士B「こ、この値段なら……」ホッ



77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/04(火) 00:11:41.13 ID:uCgT10Zeo
戻ってきたのか、頑張ってくれよ
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:12:08.91 ID:OVQVjyQ80


女騎士(ふふふふ、この値段なら躊躇う筈。写真自体はあるが、流石に姫のはちょっとな)

女騎士(だがしかし! 最初に手が入らない写真でふっかけておき、その後の部隊員の写真を適正値段で出すことにより、相手の購買意欲を誘う!)

女騎士(ふ、ふふふふゲスゲスゲス! 自分の商才がこわ)




騎士「ほらよ」ジャラッ

女騎士「ふぇぇ?」





剣士A「は?」

剣士B「え?」

魔法使い「ちょっ」

弓兵「こ、これ、全部金貨ですよ!」

副隊長「隊長!? 一体どう言う……!」

騎士「それで十分足りるだろ。ついでに他の写真も買ってやる」

女騎士「…………」


79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:13:08.36 ID:OVQVjyQ80


女騎士(……おかしい)

女騎士(いくら姫の写真だとは言え、ここまで躊躇わずに金を出すものか……?)

女騎士(……姫の顔は俗世に出回っていない。元より、この国の市井の人々さえ知らないくらいだ。もしかして、あいつが必要としているのは、裸の写真と言うより……)

女騎士(……姫そのものの『顔』! これが、あいつが欲しているああもういいやそんなこと)




女騎士「毎度あっりー!」ニッコー

騎士「かつてない程いい笑顔だな。……貰うぞ」

女騎士(ごめんなさい、姫様。私の誇りはカラスに食わせました。恨むのなら、出来れば私以外の全ての人間を恨んでください。姫様の魔力で呪われるのは嫌なので)



80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:14:05.69 ID:OVQVjyQ80



騎士「――――――」




剣士A「ど、どうなんだよ、姫さんは!?」

騎士「……予想通りだ」




騎士「超おっぱいデケェ!」



剣士B「ままままま、マージでぇえええええええ!?」

剣士A「おまっ、口調! い、いやそんなことより、ちょ、ちょっと俺たちにも見せてくれよ!」

騎士「やーだよバーカァッ!」

魔法使い「ハァッ!? いいじゃねーかちょっとくらい! 減るもんじゃねーし!」

騎士「これは俺の金で買ったんだよ! 見たかったら自分で買え!」


81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:15:03.12 ID:OVQVjyQ80


弓兵「いやいや! こんな大金ありませんよ!」

騎士「俺抜きで週一でおっパブ行ってるからだ! ザマーミロ!」

剣士A「くそっ、自分は週四で行ってる癖に……!」

副隊長「大体なんでそんな金を持ち合わせてるんです?」

騎士「備えあれば何とやら、ってな」

剣士B「たいちょぉ……少しだけ、閲覧の許可をぉおおおおおおお!」

騎士「却下だ」

剣士B「う、うううう……」

騎士「あっはっはっはっは!」




騎士(……)




騎士(ビンゴだ)





女騎士「えへへーお金がいっぱぁーい。嬉しいなぁー。えへ、えへへへへへ」



82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 00:16:13.66 ID:DLDI9Q7Lo
前はこのへんまでだっけ?
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:16:53.10 ID:OVQVjyQ80


 ――過去、辺境の村



幼馴染「……ホントに、行くの?」

勇者「ああ、何の因果か、俺達は選ばれちまった……役割は、果たさないとな」

僧侶「だいじょーぶっ! 私達は絶対無敵! 魔王なんかに負けないよっ!」

戦士「にひひ、まぁそーゆーこった。心配要らないよん。あたし達は最強だから」

幼馴染「……でも」

勇者「んー、もしかして、お前、自分が『選ばれなかった』のを……」

僧侶(ちょ、ちょっと!)ボソボソ

戦士(くっ、相変わらずこいつは空気読めない屑だなっ!)ボソボソ



84 :まだ前に追いついてないでヤンス [saga]:2012/12/04(火) 00:18:05.75 ID:OVQVjyQ80



幼馴染「……」

勇者「わ、悪ぃ……で、でもさ、お前は頭良いしさ! わざわざ戦いに参加しなくてもさ! ……それに、俺はお前に戦って欲しくないんだよ」

幼馴染「え……?」

勇者「……そもそもさ、オレは、おんにゃの子とにゃんにゃんしたくて強くなったんだけどさ」

僧侶「うわぁ……」ヒキッ

戦士「変態だ……」ドンビキッ

勇者「うっさい!」


勇者「こほん。……んで、強くはなったけどさ。おんにゃの子にもそこそこモテる様になって、挙句、カミサマに選ばれちまった」



85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:18:50.56 ID:OVQVjyQ80



勇者「強さは自由の証で、だけど自由は責任が伴う。俺は、強い責任を取らなければならねぇ」

勇者「だから、お前は俺が守る。お前には立派な学者になって欲しいんだよ。夢、なんだろ?」

勇者「前、話しただろ? お前は学者になって、俺は騎士になる。……魔王を倒して世界が平和になったら、一緒に夢を叶えようぜ」

勇者「だから、お前は剣なんて握んないで、筆を握っていて欲しいんだよ、俺としては、さ」

幼馴染「…………」

幼馴染「……なんで、そんなにボクのことを?」

勇者「……」

勇者「……さぁ、な。俺にも良く解らん」

勇者「だけど、それが俺の責任だ。お前を戦いに投じさせないのが、俺の責任で、俺の強さなんだ」

幼馴染「…………」



幼馴染(……それでも、ボクは)



86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:19:45.10 ID:OVQVjyQ80


 ――現在、森の国、旧・騎士部隊宿舎


女騎士「――――とまぁ作戦概要はこんなところだ。何か異論は?」

騎士「いいか?」



女騎士「何でしょうか偉大なる我が主よ」

騎士「先ずそれやめろ」



女騎士「あいよ、で、なに?」

騎士「はえーよ……作戦自体はいいが……お前らんとこの連中は? 基本的に別行動の作戦だから、居なくても困りはしないが……顔合わせぐらいはしときたい」

女騎士「ああ、大丈夫だ。今は先行して私だけが来ているが、今日中に会う機会は設ける。ただ、あまり期待するなよ?」

騎士「お前以上のコレジャナイ奴らだったら、もう俺は二度とこの国のことは考えない」

剣士A「仮にも女だけの国なんだろ……そりゃ、俺たちは仕事で来ているけどさぁ」

魔法使い「少しくらい、なんつーか、『らしい』とこみてみたいよなぁ。街に出れないんなら、せめてその部隊の奴らだけでもさぁ」

女騎士「おいおい、私では不服と言うのか」

剣士B「不服と言うかコレジャナイと言うか何と言うか」

弓兵「正直、貴女はウチの国の水系の人と大差ないんですよね」ニコッ

女騎士「なんだこのボーヤ。急に毒舌になったな」

87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:20:45.28 ID:OVQVjyQ80


剣士A「こいつは憧れが崩れると態度が変わるからな」

剣士B「基本的には良い子なんですけどね」

副隊長「隊長のアレっぷりを初めて見た時は酷かったよな」

騎士「ああ、まさか俺も目の前で唾を吐かれるとは思わなかったよ」

魔法使い「あれは、あんたがこいつの入隊時に女を三人も侍らしていたのが悪い」

騎士「正論過ぎて何も言えねぇ」





女騎士「さて、作戦は明日からだが、とりあえず今日は寛いでいて構わない」

女騎士「しかし、こう言う国だ。悪いが行動は制限させて貰う。この川を境界として、ここから出ないでくれ」

騎士「あいよ」

女騎士「何かあったら私を呼んで欲しいのだが……誰か、この中で通信魔法を使える奴は?」

魔法使い「ああ、俺が連絡するよ。隊の皆に何かあったら、俺を通してあんたに伝える」

女騎士「では私の魔力波長を教えておく。宜しくな」

魔法使い「おう」


88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:21:41.71 ID:OVQVjyQ80



弓兵「ウチの部隊、魔法を使える人は一人だけですから、そこは任せるしかないですね」

剣士A「脳筋部隊って言われてるからな、俺たち」

剣士B「そんなものでしょう。通常は肉体の強さと魔力は同一に存在出来ないのですから」

女騎士「そんな中でも私の万能感を見てくれ」ドヤァ

弓兵「はいはい、ちょーすごいですー」




副隊長「…………」

騎士「…………」



89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:22:08.01 ID:OVQVjyQ80



女騎士「さて、私はもう行く。えへ、用事があるからな。えへへへ。気を楽にしていてくれ。えへへへへー。じゃあな」

騎士「あれ絶対金庫か何かに金を入れに行くんだぜ」

副隊長「金貨を見つめながら物凄い二ヤついていましたね」

騎士「見ろよ、この写真。おまけで貰ったんだが、あいつのアへ顔ダブルピースが映ってる」

剣士A「何でもアリかあいつは」

剣士B「あの御方の誇りは、多分もう何処にもないんでしょうね……」

弓兵「もう僕は何にも憧れを抱かない」

魔法使い「そうして少年はまた一つ大人になったのだった」



90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:22:45.51 ID:OVQVjyQ80




騎士「……で、お前らどうするよ?」




副隊長「俺は部屋で休んでます」

魔法使い「同じく。俺も部屋に居るから、何かあったら訪ねてくれ」

剣士A「俺は剣の鍛練でもしてようかね。おい、少し付き合えよ」

剣士B「いいでしょう。色々な鬱憤をぶつけてさしあげますよ」

剣士A「……普通にやろうぜ、普通に」

弓兵「僕は散歩がてら、弓の調子を見てます」

騎士「じゃあ俺は街に…………待て待て、冗談だ。剣を向けるな弓を構えるなエーテルを加速させるな」

騎士「……どっか適当にその辺でもぶらついてくるわ」


騎士「んじゃ、解散」



91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:23:49.49 ID:OVQVjyQ80



 ――森の国、どっか適当なその辺




騎士「…………」カチッ

騎士「ふぅ……」スパー

騎士「……言ったことはないんだけどな」

騎士「俺が魔法を使えない、なんて」

騎士「エーテルアクセル、コンタクト」



王『……え、え? あ、ご、ゴメン、ナターシャたん、ちょ、ちょっと待って!』

騎士「お前マジふざけんなよ」



92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:25:15.73 ID:OVQVjyQ80



王『よ、よし……おいお前! なんだよ! 今ナターシャたんのおっぱいをモミモミしてたんだぞ!』

騎士「昼間っぱらからおっパブいってんじゃねーよ! あ、あれ? あの店もう開いてんの!?」

王『なんか今おっぱい感謝祭とかで、開店時間が豪く早くなっているんだよ』

騎士「ちくしょう! 俺も行きてぇ! つーか、お前公務はどうしたんだよ!」

王『おっぱいに勝る仕事などない……そうは思わんかね?』

騎士「やべぇ……ウチの国、潰れる……おっぱいに潰される……」



王『……で、何の用だ? これで下らないことだったら――――」

騎士「確認した。情報は正しかったようだ」


93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:26:34.05 ID:OVQVjyQ80



王『…………なるほど』

王『……つーか、早くね?」

騎士「俺以上の屑の御陰で、な。まさか本当に金で釣れるとは思わなかった」

王『は……?』

騎士「それで、どうするよ? つーか、やっぱり俺を呼んだ意図が分からん。……もしかして、覚えてないのか……?」

王『可能性としてはあり得るが……接触はしたか?』

騎士「まだだ。そしてこれからも会えないだろうよ。会おうとしない限りは、な」

王『まぁそりゃそうか……ふーむ』


王『……一旦様子見と行こう。あちら側から何か仕掛けてくるかもしれん』



94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:27:05.84 ID:OVQVjyQ80



騎士「了解だ。何もなかった場合は……」

王『吶喊しろ。ただし、魔物討伐が済んでからだ。表向きの仕事もこなせよ?』

騎士「簡単に言ってくれる。あの魔物は数が多いし、なんだかんだで結構しんどくなるぜ? それに、そんなあっさりと『アレ』には会えないだろ。男の俺が、さ」

王『弱気じゃないか、ドラゴンキラー。そもそも、お前の最大の長所は――――――』

王『何であろうが躊躇いなく殺せること、だろ? ま、適当に頑張ってくれや』

騎士「…………ドラゴンを殺したことはないんだけどな」

王『比喩表現に何を今更言ってるんだ、お前は…………あ、ナターシャたん? うん、もう大丈夫。 え? ああ、俺の忠実なワンワンにちょっと仕事の指示をね……』

騎士「もうくたばっちまえよ、お前」


95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 00:27:34.77 ID:HxAUHbRDO
ああそういえば読んでたわこれ

今度は落とさないでよ
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:28:09.19 ID:OVQVjyQ80




 ――森の国、旧・騎士部隊宿舎前



女副隊長「一足先に、き、来てしまった……」

女副隊長「いやいや、これはアレだ。生身の男がどんなか気になったからとか、そんな訳じゃないんだ」

女副隊長「任務。あくまで任務に関わる話だからな」

女副隊長「断じて。断じてだ。男に興味があるとか、そんなんじゃあないんだ」

女副隊長「大体現実の男なんかクソだとママが言っていた。私もそう思う」

女副隊長「この本の様な男なぞ、実際にはいないのだ」ペラ……

女副隊長「…………」ペラペラ……

女副隊長「…………ふふっ」 ペラペラ……

女副隊長「……メアリーの恋人、地味だけど優しくてカッコいいなぁ……私も、こんな恋愛を……」



女副隊長「……はっ!? 私は何を!?」


97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:28:54.15 ID:OVQVjyQ80



女副隊長「い、いかんいかん! 駄目だこれでは!」

女副隊長「今、周囲に魔物溢れるこの状況! 浮ついた気持ちで国は守れない!」



女副隊長「それに!」



女副隊長「私はこの『森の国』の、誇り高き騎士部隊隊員! しかもその2!」

女副隊長「それが、よりによって男に憧れる等……あってはならない!」

女副隊長「うおおおおお! 隊長ー! 私に誘惑を撥ね退けさせる力を!」

女副隊長「私に、騎士としての誇りを!」



98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:29:28.37 ID:OVQVjyQ80


 ――その誇り高き騎士部隊1(笑)の発言語録



女騎士『世の中金だよね、やっぱり』



女騎士『精液の味も知らないオボコに男の何が分かるんだっつーの』



女騎士『お前んちの全財産を私に寄越すと言う話だ』



女騎士『ふぇぇ……男の人のザーメン、怖いよぉ……』



女騎士『早く街に出てマンコにチンポぶち込んで子宮にザーメンドピュドピュさせたいんだろ?』



女騎士『えへへーお金がいっぱぁーい。嬉しいなぁー。えへ、えへへへへへ』



99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:30:28.88 ID:OVQVjyQ80


女副隊長「そう言えばここに隊長も居ると思っていたが、いないな……」

女副隊長「何処に行ったのだろうか……」

女副隊長「……」

女副隊長「…………うう」



女副隊長(す、少し怖くなってきた……)

女副隊長(男なぞ下等な生き物……なんて啖呵切ったけど……相手の部隊はこの国最強の隊長が認める実力を持っている……)

女副隊長(ど、どうしよう……もし、もし男が襲ってきたら……)

女副隊長(この本に出てくる、顔は良いけど女好きの屑でしかも無駄に強い銀髪赤眼の様なやつが居たら……)

女副隊長(メアリーも襲われそうになってたし……その時は恋人が守ってくれたけど……)


女副隊長(……わ、私は今、ひとりだ……)



100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:31:10.30 ID:OVQVjyQ80



女副隊長「か、帰ろう、かな……」

 
 ザザッ


女副隊長「ん、んん? だ、誰か、来る!?」

女副隊長「は、はわわわわわ! どどど、どうしよう!?」

女副隊長「ちょ、と、とりあえず、か、隠れよう!」

女副隊長「これは別に逃げる訳ではない!」

女副隊長「怖い訳でもない!」

女副隊長「戦略的なアレだ!」



101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:32:08.10 ID:OVQVjyQ80



魔法使い「……なんつーか、つくづくコレジャナイって感じだよなぁ……」

副隊長「どうした、急に」

魔法使い「いやぁ、俺が騎士部隊に入った理由……知ってるだろ?」

副隊長「あれだろ? 確か、生意気な貴族を合法的にヘコましたいとか」

魔法使い「ああ。しかも、戦争とかになれば他所の国の貴族サマを殺すことさえ出来る……筈だったのになぁ……」

副隊長「お前が入ったのも『沼の国』との戦争開始の時期だよな、まぁ一瞬で終わったけど」

魔法使い「あんの化け物隊長め……あれじゃあ戦争になんねぇーよ」

副隊長「まぁな。隊長が『沼の国』の主力をあっと言う間に潰して、あっさり降参。はい終了」

魔法使い「剣を抜いたと思ったら、向こうさんの主力が細切れになってんだ。そりゃ、戦意も削ぎ落とされるわ」

副隊長「加え、その前にあった『湖の国』との戦争が効いたんだよ。あの時の隊長は鬼神の様だった。向こうもそれを知っていたんだろう……それより前に、『ドラゴンキラー』と言う異名が浸透した所為もあるがな」

魔法使い「普段はあんだけヘタレてんのになぁ。おかしいよ、あの人は」

副隊長「ははは。隊長は別次元の人間だ。俺が次点なのがおこがましいぐらいだよ」



魔法使い「……変な謙遜は止めろよ。知ってんだぜ、俺は」

副隊長「……なにが?」



102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 00:32:33.42 ID:u6TuCXXJo
ちゃんと猫被ってんのか
意外だな
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:32:41.46 ID:OVQVjyQ80



魔法使い「『アンデッド』」

副隊長「……」




魔法使い「……他の連中は知らねぇだろうが、俺は聞いてるぜ。あんたが居なければ、『ドラゴンキリング』は成らなかったってな」

副隊長「……それは何も俺だけじゃないさ」



副隊長「あの日、あの時、あの場面、誰が欠けても『それ』は成らなかったと俺は思っている」

副隊長「仕留めたのが隊長で……生き残ったのが俺だった。……それだけの話だ」




魔法使い「……ま、そう言うことにしとこうかね」



104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:33:50.76 ID:OVQVjyQ80



女副隊長「あ、あれが男……!」

女副隊長「……」

女副隊長「……思ってたよりも普通だな」

女副隊長「と言うか二人だけ?」

女副隊長「あとの連中はいないのか……」

女副隊長「あのローブの男……目付き悪いな……」

女副隊長「隣の男は随分地味……っ!?」



女副隊長「あ、あれは!?」



105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:34:32.29 ID:OVQVjyQ80



副隊長「……話を戻すが、コレジャナイ、とはどう言うことなんだ」

魔法使い「いやーよぉ、俺はさぁ、要はプライドが高い奴の屈辱的な顔が好きなんだがよぉ」

副隊長「お、おう」




魔法使い「女しかいない国……隊長じゃねぇーけど、俺も憧れてたのよ。なんせ、男が居ないわけで、女が絶対なわけだから」

魔法使い「つーことは、やっぱプライドが高い訳じゃん! しかも国から選ばれた騎士部隊なら尚更だ!」

魔法使い「なのにあの女隊長はなんなんだよ!」

魔法使い「誇りだとか自重だとか、そんなもんを纏めて胎盤に忘れて来たんじゃねぇーの!?」

魔法使い「あんなんじゃチンポも萎えるわ!」



副隊長「しかも、あれ、本当に強いぞ。言動はトチ狂ってたけど、隙が全くなかった」




魔法使い「屑な奴ってーのは皆強いモンなのかねぇ……」

副隊長「……ちょっと違うな」

魔法使い「お?」


106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:34:58.71 ID:OVQVjyQ80



副隊長「屑な奴が強いんじゃなくて、強い奴が屑になるんだ」

副隊長「強さを求めると、どうしても真っ直ぐで居られなくなる。強大な力はその精神を歪ませるんだ」

副隊長「強くある為には……強く生きる為には、大なり小なり、傲慢に、そして自分勝手にならなければ駄目なんだよ」

副隊長「もっと言えば『強くなろうとする』、『強くあろうとする』、そんな綺麗な心情が……」

副隊長「……結局は、隊長みたいな屑の化け物を産むんだろうな」



魔法使い「そんなもんかねぇ……」




副隊長「…………」




107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:35:46.11 ID:OVQVjyQ80


 ――過去、砂漠の国、宿舎



副隊長「……隊長」

騎士「なに」

副隊長「あの『沼の国』の女エルフ……何も殺すことはなかったんじゃないですか?」

騎士「……」

副隊長「国王も仰っていたでしょう。『あの主力の女エルフを倒せば士気は落ちる』と。殺すまでは要らなかったんじゃないですか? 元より向こうはあまり戦争に乗り気じゃないみたいでしたし」




騎士「……」カチッ、ボウッ

騎士「ふー……」スパー

騎士「甘い」




副隊長「……」



108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:36:31.55 ID:OVQVjyQ80


騎士「あの女エルフは、はっきり言ってヤバかった。半ば不意打ち気味の一撃で仕留めることが出来たから良かったが……」

騎士「下手をしたら、細切れになっていたのは俺の方かも知れん。あっちもそれが分かっていたんだろう。俺とあいつが対峙した時点で、どちらかが死ぬのは決まっていたんだ」

騎士「それに……」



副隊長「……それに?」

騎士「……もう俺は躊躇わない。振り向かない。女だろうがなんだろうが、殺す必要があるなら殺す。然るべき時に然るべき決断を……そう決めたんだ」

副隊長「……隊長」

騎士「俺の情けが、甘っちょろい感傷が。結局は『アレ』を取り逃がすことになってしまったんだ……すまない」





副隊長「……謝らないでください」

副隊長「貴方は、見事に仇を打ってくれました」

副隊長「……それに俺、少し喜んでいるんですよ、『アレ』を取り逃がしてくれて」

騎士「……何故だ」




副隊長「だって、直々に俺の手で殺せる可能性があるじゃないですか」




騎士「そんなことより女抱きてぇなぁ」

副隊長「あんたも細切れになってしまえば良かったのに」




109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:37:48.31 ID:OVQVjyQ80



 ――現在


副隊長(しかし、目標は未だ見つからず、相変わらずの生死不明)

副隊長(……潮時、かも知れんな)




女副隊長「あ、あああああ、あの!」




魔法使い「おおお!? 女だ!」

副隊長「……何か?」

女副隊長「そ、そこの貴方!」


副隊長「……俺ですか?」


女副隊長「貴方、もしかして……」



女副隊長「『メアリーの恋人』のモデルになった人ですか!?」 バーン



副隊長「は?」

魔法使い「へ?」



110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:38:40.83 ID:OVQVjyQ80



女副隊長「ほほほほ、ほら、これ、この表紙!」

副隊長(こ、この本は……!)

魔法使い「あー! これ、何年か前にあんたがモデルになって欲しいと頼まれた奴じゃねーか!」

女副隊長「や、やっぱり! 『砂漠の国』に『恋人』のモデルになった人物が居ると聞いていましたが……まさかこんなところで会えるとは!」

副隊長「……見た目だけですよ。中身は俺とは関係ありません」

魔法使い「うひひひひひ! でもよぉ、確かこれ、飲み屋かなんかで作者があんたの地味さを見て、『思い描いていた人物にピッタリだ』とか言ってだやつだよなぁ!」

女副隊長「ええ! この地味さ! 間違いありません!」

魔法使い「ホント、忠実な地味さだよなぁ! ひひひひひ!」

副隊長「あのさぁ……」




女副隊長「あ、あの! さ、サイン下さい! あ、申し遅れました、私、この『森の国』の騎士部隊で隊長の補佐を勤めている者です! 以後、お見知りおきを!」



副隊長「な、2の方っすか……」

魔法使い「……もう俺なんも期待しねー」



111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:40:07.83 ID:OVQVjyQ80

ちなみに前回はここで落としてしまった。
ちょっと休憩、三十分後ぐらいに再開。
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 00:40:32.95 ID:XnJC6ijOo
ついに続きか
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 00:49:40.16 ID:M7gH723AO
待ってた





はよ
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 00:52:06.10 ID:iMUyCd0io
いいチンポだ
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 00:58:46.50 ID:Jan4TQkE0
待ってる
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:58:49.77 ID:OVQVjyQ80
再開ー
ぼちぼち行こうかね。
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 00:59:54.25 ID:OVQVjyQ80



 ――森のちょっと奥の方




剣士A「ぜやっ!」シュバッ

剣士B「……ふっ!」キンッ

剣士A「ぅらぁッ!」ガキィン

剣士B「くっ!」ガキッ

剣士A「しゃあっ! もらった!」バッ

剣士B「何もあげませんよ! はっ!」 キィン!

剣士A「ぬわっ!?」

剣士B「ふふふ、仕切り直しですね。……ちょっと休みましょうか」



118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:00:21.37 ID:OVQVjyQ80



剣士A「ちっ、今のは惜しかったんだけどなぁ」

剣士B「力だけでのゴリ押しが過ぎるんですよ。もう少し小技を使っていけばいいのに」

剣士A「あー前にも言ったけどよぉ、俺そう言うの駄目なんだわ。小技を否定する訳じゃねーけど、俺は押して押す剛剣しか出来ねーの」

剣士B「まぁ、貴方はそれが一番しっくり来ますけどね」

剣士A「お前こそもう少し大雑把でもいいんじゃねーの? つか、そもそも上品過ぎやしねーか、お前の剣」

剣士B「……そうですかね?」

剣士A「ああ。なんつーか、敵を倒す為の剣じゃねーって言うか、魅せる剣っつーか……いや、勿論それが全部じゃねーよ?」

剣士B「……」

剣士A「ただ……んー、実戦向きじゃねー動きがちょいちょいあるような……上手く言えねーけど」



119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:00:59.42 ID:OVQVjyQ80


剣士B「……流石、こと戦いにおける観察眼は、見事なものを持ってますね。他は知性ゼロなのに」

剣士A「てめぇこら」


剣士B「ふふふ、ですが、羨ましいですよ、私は」


剣士A「は?」



剣士B「……私も、下らないしがらみを全て解き放って、自由に剣を振って生きていたかった」

剣士B「剣を振るい、剣に生き、そして剣に死ぬ。現実的にそれが無理だとしても、だけど自由が欲しいんです」

剣士B「純粋な戦いの為の剣を振るい、仲間とふざけ、そして酒を飲み会う。そんな、どこまでも自由な暮らし」

剣士B「今、この部隊で過ごしているような自由。……ふふふ、以前はそれを見下していたのに、手にしてから憧れる、なんて、おかしいかも知れないですね」



剣士A「……お前、やっぱりどっかの貴族なんだな」

剣士A「それも、かなり暮らしを制限されている程の、偉い奴だ」


剣士B「分かり、ますか」

剣士A「立ち振る舞いが上品過ぎるんだよ。まるで、そう言う教育を受けてきたみたいに。他は分からんが、剣技とか対術とか、少なくとも叩き上げのものじゃねー」

剣士B「……気になりますかね、やっぱり。この部隊に貴族はいない。表向きには。そんな中、私の存在は、やはり……」



120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:01:46.76 ID:OVQVjyQ80


剣士A「どーでもいいよ、俺は」

剣士B「……」

剣士A「お前がなんだろうが、どーでもいい。キザで、嫌味なとこがあって、ちょこざいな剣技が多い、ただのおっぱい好きの『仲間』だ。俺にとってはな」




剣士B「……ありがとうございます」

剣士A「ん」



剣士B「ただ一つ訂正させて頂きたいのですが私は女性のおっぱいが好きと言うよりは好意を抱く女性がたまたまおっぱいがでかかっただけですので勘違いなく」

剣士A「えー……今の流れでそこに食いつくかー?」

剣士B「しょうがないじゃないですか私は幼い頃に母を亡くしてしまい母性とかそんなんに憧れてしまうんですよ大体貴方達が私をおっパブに連れていかなければこんなことにはならなかった筈なんですよええそうですよ」

剣士A(こいつ、本当に貴族なのか……?)



121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:02:46.41 ID:OVQVjyQ80


???「おーおー、いたいた」ザザッ


剣士A「あ?」

剣士B「え?」



女剣士「ほーお、これが男かー。ふむふむ、なるほど……へー」



剣士A「……女?」

剣士B「ですね。剣を持っていると言うことは、騎士部隊の方でしょうか……?」

剣士B「……あまり美しくないな」ボソッ

剣士A「お前さぁ……」



122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:04:19.78 ID:OVQVjyQ80



女剣士「おい、アンタ」

剣士A「……俺?」

女剣士「……いい筋肉だな!」

剣士A「お、おう?」

女剣士「……服の上からでも分かるぞ。相当鍛え抜いているな。剛剣を振るえそうな筋肉だ。なるほどなるほど。男はこう言う筋肉の付き方をするのか」

剣士A「……なんだこいつ」

剣士B「さぁ……?」

女剣士「ほぉほぉ! お前は一見細っちい様に見えるが、足腰を中心に鍛えているな。ふーむ。そう言う鍛え方もあるのか! 剣の構えを安定させた上での小技が光りそうだな!」



女剣士「あとおっぱいが好きだろ」

剣士B「馬鹿な!? 何故!?」




剣士A「……いや、それは俺でも分かるぞ。見過ぎなんだよ、お前」

剣士B「う、い、いや、よく見たら顔はまぁそんなんでもないですけどおっぱいはおっぱいは……」ゴニョゴニョ

剣士A「……お前、割と隊長のこと屑呼ばわり出来ねーぞ?」

剣士B「」


123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:05:53.12 ID:OVQVjyQ80



剣士B「おかしい……こんなことはあってはならない……」ブツブツ





女剣士「……大丈夫か、こいつ?」

剣士A「あー……まぁ心配は要らねぇよ。こいつ、見かけによらずタフだから」



剣士A「……それより」

女剣士「……お?」



剣士A「何しに、ここに来た?」カチャ

女剣士「……いいな、その殺気」



女剣士「本当なら様子見だけだったんだが……アンタ達もどうやら訓練中だったみたいだし……」ガチャ

剣士A「……む」

女剣士「はっ、はははは! ……一つ、手合わせ願おうか! 男がどれだけの実力なのか、見せてくれよぉ!」カチャ

剣士A「……いいぜ。はん、後悔、すんなよ?」

女剣士「上等。なぁに、アタシの部隊には腕のいい回復魔法の使い手がいるんだ。あとで見てもらえよ」

剣士A「それはっ、こっちの台詞、だっ!」ガァン

女剣士「はっはー!」ギィン






剣士B「許されない…これは許されない……」ブツブツ



124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:07:08.85 ID:OVQVjyQ80



 ――森の国、市街地



女魔法使い「駄目に決まってましてよ!」




幼女姉「えーなんでー」

幼女妹「いいでしょ師匠ー。私たちも『男』見てみたいよー」


女魔法使い「私は何もその男と馴れ合う訳ではありませんの。あくまで任務で一緒になる。それだけのこと……甚だ不本意では、ありますが」

女魔法使い「それに」

女魔法使い「明確に罰則としては定められてはいませんが、男と接触するのは御法度なのです……知ってますでしょう?」



幼女姉「ぶー! ししょーのケチー」

幼女妹「ちょっとくらいいいじゃーん」


125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:08:02.91 ID:OVQVjyQ80



女魔法使い「駄目です」


幼女姉「ししょーの鬼!」

幼女妹「悪魔!」

幼女姉「貧乳!」

幼女妹「色気なし!」


女魔法使い「あ?」エーテルアクセル!


幼女姉・妹『ごめんなさい』



126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:08:42.52 ID:OVQVjyQ80



女魔法使い「……元より、あなた達にはこの任務は無理ですわ。いえ、男がどうこうではなく……」

女魔法使い「今、この国を囲む魔物……あなた達に一匹でも倒せまして?」


幼女姉「う……」

幼女妹「そ、それは……」

女魔法使い「……だからこそ、隊長は少数での出撃を命じたのです。未だ見習いのあなた達が選ばれなかったのは当然ですわ」

幼女姉「で、でもさ! 私達だって少しは……!」

幼女妹「そ、そうだよ! これでも魔法だって使えるし……」



女魔法使い「お黙りなさい」



幼女姉「ひっ」

幼女妹「う、うう……」


127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:09:42.55 ID:OVQVjyQ80



女魔法使い「身の程を知れ、と言っているのです……あなた達が周りの大人に早く認めてほしいのは知っていますわ」

女魔法使い「ですが、それは『今』じゃありませんの。さぁ、我侭言わないで、魔法の鍛錬でも」


幼女姉「……」

幼女妹「……私たち、だって……」ボソッ


女魔法使い「え?」


幼女姉「いつまでも、子ども扱いしないでよ!」

女魔法使い「!」


128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:10:57.16 ID:OVQVjyQ80



幼女妹「私達だって戦える! この国を守れる! なのに、師匠は全然私達を認めてくれない!」

幼女姉「そんなに、私達を信用してないの? ……私達じゃ、なにも出来ないって言うの!?」


女魔法使い「い、いえ、そ、そう言うことではなく……!」オロオロ



幼女姉「もういい……」

幼女妹「師匠のことなんて、知らない! 嫌い!」

幼女姉「後で吠え面かかせてあげるんだから! 行こ!」

幼女妹「うん! 師匠なんて破門だ!」



女魔法使い「あ! こら、待ちなさい! 破門というのは師匠から弟子に伝えるもので……ああ、行ってしまいましたわ……」



女魔法使い「嫌い……か」

129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:12:04.19 ID:OVQVjyQ80


女治癒師「あ、あのー……」

女魔法使い「うひゅぅ!? あ、貴女!? い、いつからそこに!?」




女治癒師「さっきから居たんですけど……声を掛けるタイミングがなくて……」


女魔法使い「そう、ですか……御見苦しいところを見せてしまいましたね」

女治癒師「い、いえいえ! そんなこと……」

女治癒師「……」


女治癒師「……あ、あの、い、いいんですか?」

女魔法使い「…………なにがですの?」


130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:12:44.30 ID:OVQVjyQ80



女治癒師「あの子達を、そのままで……」

女魔法使い「…………」

女治癒師「あ、あの子達だって、本当に嫌いだとか、そう思っている訳じゃないと思うんです! ただ、ちょっと焦っているだけで、本当は……」



女魔法使い「……わかって、おりますわ」

女魔法使い「あの子達は確かに見習いで、今回の任務には相応しくない、それは間違いありません」

女魔法使い「……ですが、それを差し引いたとしても、私はあの子達を少し、軽んじていたのかも知れません……甘やかしていた訳ではないのですけれど」



女治癒師「……あの二人は、周りに自分の力を認めてもらいたくて、いつも頑張っていて、でも、時々無茶をして……危険な任務に、首を突っ込みたがったりして……だけど」

女治癒師「本当に認めてもらいたい人は、何時だって、何処だって、一人だけなんです……よく私に話してくれてましたよ?」





女治癒師「『早く師匠の役に立ちたい。研究でも、戦いでも、なんでも役に立ちたい』って」

女魔法使い「っ……!」



131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:13:16.69 ID:OVQVjyQ80



女治癒師「だから、だから……!」

女魔法使い「……ふぅ」

女魔法使い「……私は少しやることがありますの。追っ掛けている暇なんて、ありませんわ」

女治癒師「っ、そう、ですか……」

女魔法使い「ですから、申し訳ありませんが、貴女が連れ戻して来てくれませんか? それと、伝言を」


女魔法使い「『師匠が美味しいケーキを作って屋敷で待ってる』 ……そう、伝えてください」

女治癒師「!」



女治癒師「わ、わかりました! ……必ず、伝えます!」



女魔法使い「……宜しくお願い致しますわ」ペコリ



132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:15:21.04 ID:OVQVjyQ80




 ――森の国、なんか奥の方




剣士B「なんであの二人は戦いながら良い雰囲気になっているのでしょうか……」ハァー

剣士B「耐え切れずに逃げてしまいましたよ、この私が」

剣士B「この私が」

剣士B「この私が」

剣士B「……貸しにしましょうか。今度おっパブで奢って貰いましょう」



剣士B「……さて、私は宿舎に戻りましょうかね」

剣士B「今日はもう不貞寝します」





女騎士「おっと、そうはいかん」



133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:16:12.83 ID:OVQVjyQ80



剣士B「っ! 貴女は……どうしてここに? 戻られたのではないのですか?」

女騎士「……まぁそうしたいのは山々だったんだかな。早く金を数えたい」

剣士B「は、はぁ?」

女騎士「……お前が一人になるのを待っていた……あの筋肉フェチが絡むのは予想外だったが、運が良かった。最近の私は超ラッキー」

剣士B「い、いったい、何を……」




女騎士「……いいですね? 私はここまでです」



???「……ええ。ありがとうございます」

女騎士「構いません。御代をはキッチリ貰っておりますので」

???「……貴女はそう言うところを無くせば、無欠の騎士になりますのに」ハァ

女騎士「興味ありません」キリッ

???「……まったく」



剣士B(フードを被った……女性?)




134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:20:16.21 ID:OVQVjyQ80



???「このことは、くれぐれも……」

女騎士「分かっています。相当の金を積まれない限りは言いません」

???「つ、積まれても言わないでください!」

女騎士「じょうだんですよ、じょーだん」

???「……はぁ、お願いしますよ?」

女騎士「かしこまり。では、私はこれで」シュンッ

???「さて……」





女騎士「あ、今の消え方悪役ぼかったので、もう一回やらせてください」シュタッ

???「は、早く帰って下さい!」




女騎士「では!」キュルルルルリーン




剣士B(なんだこれ)



135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:21:16.10 ID:OVQVjyQ80



???「……ん、んん」コホン

???「……さて」

剣士B「あ、あの、貴女、は?」

???「その前に、少し待っていてください……エーテルアクセル」

剣士B(魔法っ!?)

???「……結界」



 ブン



???「ふぅ……これで大丈夫です」

剣士B「……どう言う、つもりですか? 私を閉じ込めたりして」カチャ

剣士B「返答如何によっては、女性とて容赦はしませんよ?」

剣士B(それにしてもおっぱいデカいな。ローブ越しでこの圧力……)


136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:22:28.87 ID:OVQVjyQ80



???「……どうか、剣をお納めください。この結界はあくまで周囲に会話が漏れないようにする為。他意はありません」

剣士B「……」

???「……そうですね。このままでは無礼に当たりますね……先ずは、顔見せから」パサッ

剣士B「っ! あ、あああああ、貴女、はっ!」

???「……お久しぶりです。三年振り、になりますか?」








姫「砂漠の国の……王子様」ニコリ

剣士B「ひ、ひめぇええええええええええええええええええ!?」




137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:23:19.54 ID:OVQVjyQ80



 ――森の国、市街地から外れたとこ


女治癒師「う、うーん? ……ここら辺に居ると思ったんだけど……」

女治癒師「あの二人は変な裏道とかいっぱい知っているからなぁ……」

女治癒師「……でも、私が見つけないと!」フンス



女治癒師「ん、あれ……? あそこに、穴?」



女治癒師「……何時もは草に隠れて見えなかったけど、今は草が分けられてる……」



女治癒師「っ! 人が潜った後がある……! しかも、最近!」

女治癒師「間違いない! この穴の向こうだ! よーし……!」

女治癒師「んしょ、よいしょっ!」ゴソゴソ



138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:24:08.95 ID:OVQVjyQ80



 ――森の国、川の向こう



女治癒師「……よいしょっ! と、ととと……」スポーン

女治癒師「ふぅー、結構長い穴だったなぁ……」

女治癒師「あ、こっちから街が見える! 川を抜ける道だったんだ!」

女治癒師「へぇー……こんな……」





 ――女騎士『いいか、一つ注意事項だ』






女治癒師「抜け道、が……」






 ――女騎士『川の向こうには行くなよ』






女治癒師「あった……ん……だ……」






 ――女騎士『男の部隊が居るからな』







女治癒師「」ガクガク



139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:25:34.75 ID:OVQVjyQ80


女治癒師「う、うわわわわわわわ!」アタフタ

女治癒師「ど、どどどどど、どうしよう!」

女治癒師「た、隊長には『一人では行くな』って言われてるけど、でもでも、あの子達はここにいるみたいだし……」

女治癒師「ううう、私に通信魔法が使えればなぁ……」

女治癒師「だ、だけど、ここで私が探さないと、あの子達は……」

女治癒師「よ、よし!」ズルッ



女治癒師「へ?」





女治癒師(す、滑って、か、川に……!)



140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:26:36.24 ID:OVQVjyQ80






???「おっと、危ない」ガシッ









女治癒師「落ち……あれ?」




???「この辺はイヤに泥濘が多いね。僕もさっき足を取られちゃったよ」

女治癒師「あ、あの……」

???「ちょっとじっとしててね」カカエ

女治癒師「きゃあっ!?」

???「とりあえず、安全なとこまでっ、と!」ヒュッ



141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:27:53.28 ID:OVQVjyQ80



 ――川の辺とかそんなん。



???「とりあえず、ここでいいかな」オロシ

女治癒師「あ、ああああ、あの……」

???「あ、ごめんね。急に抱えちゃって」

女治癒師「え、あ、こ、ここここちらこそ、危ないところを助けていただいて、あ、ありがとございましゅっ!」

女治癒師(う、うう、噛んじゃった……)



???「あははは、どういたしまして」

女治癒師「……あ、あの!」

???「ん?」

女治癒師「お、おおおおお、男の人、ですよね!?」



142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:29:03.75 ID:OVQVjyQ80



弓兵「うん、そうだよ。この国に援軍として来た、砂漠の国の騎士」

弓兵「あ、ちゃん許可も貰っているから。不法侵入とかじゃないよ」


女治癒師「あ、そ、そそそれは私も知っています! 私も、その任務に出ますから!」

弓兵「へー……! 君がかぁ……」



女治癒師「あ、あの!」

弓兵「なに?」

女治癒師「い、今お時間大丈夫、ですか……?」

弓兵「……まぁ、大丈夫だけど」



女治癒師「探している子達が居るんです! ……手伝っては、頂けないでしょうか!?」



143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:30:42.77 ID:OVQVjyQ80


続く。
今日はここまで。
あと、みんな待っててくれてありがとう。
今回は完結させるから。チンコにかけて。
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 01:34:02.66 ID:uCgT10Zeo
おつおつ
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 01:35:07.27 ID:M7gH723AO


実にいいチンコだった
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 01:41:31.29 ID:XnJC6ijOo
相変わらずのチンポだ
期待
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/04(火) 01:41:50.96 ID:OVQVjyQ80


訂正
×チンコ
○チンポ
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 01:44:53.68 ID:sAn4GEUDO
いいチンポだった、掛け値ナシに
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 01:50:32.60 ID:Jan4TQkE0
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 01:57:14.08 ID:HbURMFgho
おつんぽ
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 02:03:24.50 ID:9Xj04vKDO
乙乙
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 02:43:49.33 ID:iMUyCd0io
ないすチンポ
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 03:51:00.31 ID:MHp4rt2IO
うわっまた糞スレだよ
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 07:55:11.54 ID:anrx1NAko
いいチンポだな
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/04(火) 10:01:19.51 ID:HxAUHbRDO
>>1のおテンポしゅごいのおぉ〜!!
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/05(水) 11:16:41.85 ID:tunCjkMX0
たまらんセンス(^^ゞ
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/05(水) 11:38:05.98 ID:6dv5zACXo
マジで>>1をまってたわ。ちゃんっと責任取ってよね///
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/06(木) 12:05:37.07 ID:z/hXNgwSO
今度は頑張れ下さい
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/06(木) 16:07:14.24 ID:k/zgxEvpo
…テンポってなんだけっけ?
160 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:18:49.76 ID:P0NHW6M30
さて、ぼちぼち行こうか
161 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:19:29.95 ID:P0NHW6M30


 ――森の国、川の向こう側、『少女たちの隠れ家』


幼女妹「……ねぇお姉ちゃん」

幼女姉「んー?」カキカキ

幼女妹「本当に、やるの……?]

幼女姉「今更何言ってんの。もう後戻りは出来ないよ?」カキカキ

幼女妹「そう、かもしれないけど……」

幼女姉「……」カキカキ

幼女妹「でも、こんな勝手に……師匠の本を盗って……それに、『これ』、危ない魔法だって、師匠が……」


162 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:20:44.30 ID:P0NHW6M30



幼女姉「……うん、言おうとしてることは、分かるよ」カキカキ

幼女姉「これはししょーに対する裏切りだ。親がいない私たちを引き取ってくれた、優しいししょーに対する、ね」カキカキ

幼女姉「……私たちは弱い。力もない。魔法もまだまだ。親もいないから金がない。他の国のこととかも全然分からないから、多分、他所じゃ暮らしていけない。『騎士見習い』ってゆーのも、結局ししょーにおんぶに抱っこされてるだけ」カキカキ

幼女姉「ししょーはああ言ったけど、私は身の程を知っている。知ってなお、この選択だ」カキカキ



幼女妹「でも、でも! ここまでしなくても、師匠は!」



幼女姉「……ししょーがどうとか、そんな問題じゃないんだよ」カキカキ




163 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:21:45.71 ID:P0NHW6M30



幼女姉「ししょーはこの国でも、かなりの金持ちだ。でもそれは、ししょーが稼いだものじゃない。親の遺産、それを受け継いだだけ」カキカキ

幼女姉「……色々、言ってくるヤツらがいる。隊長とかはせいぜい茶化すぐらいだけど、そうじゃなくて、本気で中傷するヤツらが」カキカキ

幼女姉「でも、ししょーは、実力がある。知識もあって、強い。だから、ししょーを馬鹿にするヤツらは、自分の無能さを棚に上げてるだけさ」カキカキ

幼女姉「……弱点があるとしたら、ししょーの弱いところをあえて突くとしたら……」カキカキ



幼女妹「私、たち……」


幼女姉「……」フッ


幼女姉「……出来た」



164 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:22:29.69 ID:P0NHW6M30


幼女妹「……お姉ちゃん」



幼女姉「……私たちが馬鹿にされるぐらいなら、まだいい。弱いのも、見習いなのも、本当の話だ」

幼女姉「でも! その弱さが! 私たちを拾ってくれたししょーが馬鹿にされる切欠になるのは、耐えられない!」

幼女姉「恩には恩! 仇では返せない! ……ししょーでも扱えない『これ』を私が使えるようになれば、ししょーはもう、馬鹿にされない」

幼女姉「……ししょーの役に立てる!」

幼女姉「だから、私は、私は……!」



幼女妹「……だけど、だけどこれは!」



165 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:23:20.53 ID:P0NHW6M30


幼女姉「そう、かもね」

幼女姉「ししょーでも扱えない魔法……リスクは、知ってる」

幼女姉「……」

幼女姉「……もしもの時は」



幼女妹「……え?」




幼女姉「……我希うは禁戒の呪、拠らば寄れ、喰らえば喰らえ。此処にあるは命の灯火」

幼女姉「……」フゥ



 ――女魔法使い『あなた達は、今日を以ってして、これから――――』


幼女姉「……ししょーに、よろしく!」ニカッ

幼女姉「エーテルアクセル!」ギュルルルル




幼女妹「お姉ちゃん!」


 カッ




166 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:24:18.81 ID:P0NHW6M30




 ――森の国、川の向こう



女治癒師「へー、『外』って、色んな人たちがいるんだねー……」テクテク

弓兵「うん、この間、『畑の国』の王子に会ったけど、面白い人だったよ」テクテク


弓兵「『クソッタレェェェ!』って言いながら、いっぱい野菜を分けてくれた」


女治癒師「あははは! なにそれ!」

弓兵「なんかウチの隊長とライバルらしいよ、『貴様を倒すのはこの俺だ』とか言ってたし」

女治癒師「ふふふ、でもお野菜くれたの?」

弓兵「あはは、くれた。隊長が言うには『あれでも世界で五本の指に入るぐらい強い』らしいけど……とてもそうは見えない」



167 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:24:51.91 ID:P0NHW6M30



女治癒師「ふふ、私の隊長もそうだよ。とっても強いし、優しいけど、だけど、その、ちょっと……」

弓兵「……変わってる?」

女治癒師「………………うん」

弓兵「……」

女治癒師「……」

弓兵「……ぷっ」

女治癒師「……ふふふっ」




弓兵・女治癒師『あはははははは!』



168 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:25:22.41 ID:P0NHW6M30


女治癒師(男の人……みんな、怖い人、野蛮な人、恐ろしい人なんて、言ってたけど……)

女治癒師(同年代だからかな、普通に良い人だ……)

女治癒師(一緒にあの子達を探してくれているし、敬語はいらないって言ってくれたし、話は面白いし……)

女治癒師(……なんで、みんな、男の人を嫌ったり、怖がったり……するのかな)

女治癒師(……そう言えば)

女治癒師(男は狼、って誰かが言ってたけど……どう言う意味なんだろ?)

女治癒師(……実は尻尾が生えてる、とか?)チラッ



169 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:28:42.33 ID:P0NHW6M30



弓兵「……うん、それで隊長が飲み屋でバク宙しながら……」テクテク

女治癒師「ふふふふふ」テクテク




弓兵(……)

弓兵(拙い)





弓兵(勃起した)



170 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:29:43.65 ID:P0NHW6M30


弓兵(違うんだよこれは僕はあの人たちとは違うんだよ)

弓兵(でもしょうがないだろうなんだよこの子可愛過ぎだろそれとなんでこんな甘い匂いするんだよ血に蜂蜜でも混ざってんのか)

弓兵(いや、落ち着け、冷静になれ)

弓兵(この部隊に入って、所謂おさわり出来る系の飲み屋に連れてかれて、早幾年)

弓兵(こう見えて、僕は結構女慣れしてる)

弓兵(そう、隣に居るのは所詮まだ乳臭いガキんちょだ。なにを慌てる必要が)チラッ



女治癒師「?」ニコニコ

弓兵(可愛い)



弓兵(そして)



女治癒師「うーん、いないなぁ……」チラッ

弓兵(なんで僕のケツをちょいちょい見てるのか)



171 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:30:32.38 ID:P0NHW6M30



弓兵(あれか、誘われてるのか?)

弓兵(……こんな国で? と言うか、なんでケツ?)

弓兵(……まぁそれはこの際いいか)

弓兵(……)

弓兵(長い黒髪……整った顔立ち……漂う清楚な雰囲気……甘い匂いに小鳥が囀る様な美しい声……)


弓兵(……)ムクムク

弓兵(おぅふ)



弓兵(拙い。僕の弓が臨戦態勢)

弓兵(……超、好みのタイプだ。やばい)

172 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:31:31.76 ID:P0NHW6M30


弓兵「……ふぅー」

弓兵(……行くか、砂漠の国、騎士部隊が鉄の掟(守らなくてもいい)、その一)



弓兵(良い女は即口説け)




弓兵(……べ、別に手を出す訳じゃないし。僕は悪くないし)

弓兵(…………)

弓兵(……戦闘においては九割くらい役に立たない隊長の教え)


 ――――騎士『女を口説くには、焦りが一番拙い。とにもかくにも余裕をぶっこけ。まぁ後は会話だな。適当な会話の中で、適切な情報を読み取り、そして次の会話に繋げる。女っつーのは口が達者なヤツが多いからな。会話で嘗められたら、口説くなんて夢のまた夢さ』


弓兵(あの時は)

弓兵(憧れの人がこんなんで心底ガックリ来たけど……)


弓兵(隊長、あなたはやっぱり英雄でした)キリ




173 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:32:12.11 ID:P0NHW6M30



女治癒師「あ、そう言えば」



弓兵「ん、うん? なに?」

女治癒師「君は、弓と剣、両方持っているけど……どっちを使っているの?」

弓兵「ああ、弓がメインだよ、基本ね」

弓兵「これでも、結構自信あるんだ、弓には」

女治癒師「へぇー……! あれ、じゃあどうして剣も持っているの?」

弓兵「『弓だけだと、間合いを詰められた時対処出来ないから使えるようにはしとけ』って隊長がね。……まぁ間合いを詰められたことなんて、ないんだけど。他の人、主に隊長が、敵が近づかないようにしてくれるから」


174 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:33:03.01 ID:P0NHW6M30



女治癒師「ふーん……やっぱり強いの? そっちの隊長さん」

弓兵「そりゃ強いってもんじゃないよ……聞いたことない? 砂漠の国の『ドラゴンキラー』って」

女治癒師「ど、ドラゴン!? 『外』にはまだドラゴンがいるの!?」

弓兵「あははは! いないよ。ドラゴンなんて、遥か昔に滅んださ。比喩表現だよ、あくまで」

女治癒師「比喩……?」

弓兵「へー、やっぱり知らないのかぁ、まぁこう言う国だから、仕方ないけど」

弓兵「隊長はね、昔、あの魔王を倒したゆ」



 ズガン!
 キャァアアアアアア!



弓兵「っ!? 悲鳴!?」

女治癒師「こ、この声は……!」ダッ

弓兵「あ、ちょっと待って!」ダッ



175 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:33:43.05 ID:P0NHW6M30



 ――森の国、川の向こう側、『少女たちの隠れ家』


幼女姉「う、うぁ、あああ、ぁああ、あ」

幼女妹「お、おね、おねぇ……」ガタガタ



女治癒師「っ!? な、なに、これ」

弓兵「……っ、な、なんだ……?」



弓兵(女の子が二人……多分、探していた子達だ……)

弓兵(それは、ともかくとして……)


176 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:35:15.42 ID:P0NHW6M30



幼女姉「あ、あああああああ、うあああああああああああああああああ!」ブン!



弓兵(あの子の周りに……沢山の赤い球……なんだこれ、魔法、か? 見たことないぞ、こんなもの……)

弓兵(加え)



幼女姉「あ、ああああああ、ああああああああああああああああ!」ブン! ブン!



弓兵(どんどん増えていく……よく分からないけど、これ、ヤバいヤツだ、明らかに制御出来てない……大木が、何本か倒されてる)


 ブン、ガン!



弓兵(この球か……なんて威力だ……!)


177 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:36:33.35 ID:P0NHW6M30



幼女妹「ぅ、ぁ、おね、おねぇ……」ガタガタ



弓兵(……あの子は……傷つている訳じゃないけど、酷く怯えているな……)


女治癒師「だ、大丈夫!?」

幼女妹「う、うわぁああああああ、おね、おね、おねぇちゃん、がぁ!」ギュッ

女治癒師「……うん、泣かないで、大丈夫、あれ、止めればいいんでしょ? ちょっと待ってて」ナデナデ

弓兵「っ!? ちょ、ちょっと!」



178 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:38:44.79 ID:P0NHW6M30



女治癒師(この魔力……この子の限界を超えている……暴走しているんだ……意識も、多分定まってない……だったら)




女治癒師「……近づいて、沈静魔法を掛けれれば、止まるはず……!」ダッ

女治癒師「エーテルアク……」




幼女姉「あ、ああああああああああああ!」ブン、ブン



 ブン!




女治癒師「え」


女治癒師(球が、こっちに……避け、あ……)



179 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:40:16.98 ID:P0NHW6M30


 パン!


女治癒師「あ、あれ……?」




弓兵「ハァー、ハァっー……」キリキリ




幼女姉「あ、う、ううううううううううううう!」ブン、ブン




弓兵「はぁっ!」ヒュッ


 パ、パパパパ、パン!


女治癒師(ゆ、弓で、全部撃ち落としてる……!)

弓兵「一回戻るんだ! 多分、近づく人を感知して『球』が動く魔法だ!」

女治癒師「う、うん!」


180 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:41:21.26 ID:P0NHW6M30



幼女妹「う、ぐす、おね、お姉ちゃん……」

女治癒師「……」ナデナデ



弓兵「……一旦、引こう」

女治癒師「……」




弓兵「この子はこんなに怯えているし、詳しい状況が分からない……あれは、僕たちの手に負えるもんじゃない」

弓兵「一旦戻って、誰かを呼ばないと、これは……」




女治癒師「うん、そうだね。それはきっと、正しい選択だと思うよ」



女治癒師「だけど、無理……私は、もう一度、行く」

181 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:43:16.84 ID:P0NHW6M30



弓兵「!? しょ、正気!? あんなのが直撃したら、君は……!」

女治癒師「ふふふ、その時は、自分に回復魔法を掛けるよ、結構自信あるんだよ? 回復にはね」

弓兵「そんな……!」



女治癒師「……私もよくこの状況を分かってないけど」

女治癒師「それでも、分かることがある……この状態が続けば……あの子の体は。誰か呼ぶ暇なんて、多分」



弓兵「……それは、でも! そうしたら、君が!」



女治癒師「……私ね、約束したんだ。この子達を連れ戻すって。この子達のお師匠さん……ううん」



女治癒師「この子達の、『家族』と」ニコッ

弓兵「……っ!」ドキツ



女治癒師「約束は、守る! それが、私の道!」ダッ




182 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:46:15.77 ID:P0NHW6M30




幼女姉「あ、あああああ、うううう、ううううううううううううう!」ブン、ブン!




女治癒師(私だって、少しぐらい!)

女治癒師「エーテルアクセル! 魔陣壁!」ブン!




 ガン、ガン!



女治癒師「くっ……うう」




女治癒師(す、凄い圧力……でも!)

女治癒師「ま、ける、もんかぁあああああああああああ!」ズッ




幼女姉「う、あああああああああああああああ!」ブン、ブン、ブン、ブン、ブン、ブン! 




 ガン、ガン、ガン!



女治癒師「く、壁が……!」ピシッ、ピシッ




 ピシッ

183 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:48:09.42 ID:P0NHW6M30



弓兵「……砂漠の国、騎士部隊が鉄の掟(守らなくてもいい)、その三」



女治癒師「……え?」



弓兵「惚れた女には尽くして尽くせ」ボソッ






弓兵「抜剣」キンッ





 パンッ!



弓兵「……ふぅ、剣は本領じゃないんだけど、な」カチャン



女治癒師「あ、あの……」

弓兵「……近づく球は、僕が全部切斬る。……矢だとどうしても対応に限界があるから、こんな拙い剣で申し訳ないけど……」




弓兵「君が、僕を守るから」ニコッ

女治癒師「う、うん! あ、ありがとう!」ニコッ



184 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:50:08.14 ID:P0NHW6M30





弓兵(あ、拙い。また勃起してきた。笑顔超可愛い)




弓兵(……さて置き)


弓兵(……剣を抜くと同時に斬りつける、抜剣術……隊長の基本にして奥義の剣技)

弓兵(……女にだらしなくて、ちょいちょい屑で、いい加減なところがあるけど……)

弓兵(あなたの剣は、今でも僕の憧れです。弓使ってる癖に、あなたの真似する、くらい)

弓兵(だから)




幼女姉「あ、く、ぎ、あああああああああああああああああああ!」ブン、ブン、ブン、ブン、ブン、ブン!

女治癒師「く、うう、くっ!」ピシッ、ピシッ



弓兵(……ちょっとだけ、力を下さい)






弓兵「高速、抜剣」キィン



185 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:52:53.80 ID:P0NHW6M30



 パ、パパパパパパパパパパ、パン!




弓兵「ハァ、ハァッ……」キン




女治癒師「く、う、もう、少し……!」ズツ





幼女姉「う、あ、あああああああ、あああああああああ!」ブン、ブン、ブン、ブン、ブン、ブン!






弓兵「く、あああああああああああああああああああああ!」キィン

弓兵(っ、数が、多すぎる……! 捌き、切れない……!)






幼女姉「あああああああ、あああああああああ!」ブン、ブン、ブン、ブン、ブン、ブン!





女治癒師「く、う、ううう……!」ピシッ、ビキッ!


弓兵(ま、まだ増えるのか……! このまじゃあ……!」キィン!













騎士「高速抜剣」




186 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:54:44.77 ID:P0NHW6M30




 パ、パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパ、パン!



女治癒師「え……え?」

女治癒師(球が……全部……!)ゾクッ






騎士「おいおい、こんなところでナンパか? 手ぇ出すなっつったろ。俺も混ぜろ」






弓兵「……ふぅ」


弓兵「そうですね。でもその前に、落ち着いて話をしましょう。ここはちょっと目がチカチカします」







幼女姉「あああああああ、あああああああああ!」ブン、ブン、ブン、ブン、ブン、ブン



187 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:55:23.61 ID:P0NHW6M30



女治癒師「っ、ま、まだ出るの……!?」



弓兵「あの子を止めて、チカチカ眩しいこの赤い球を無くす……出来ますか?」

騎士「馬鹿野郎、俺を誰だと思ってる」

弓兵「……頼みますよ、隊長」





騎士「まぁこの俺に任せろ」ドゥゥウヤァアアアアアオレカッコイイイイィイイイイイイイ

弓兵「その顔止めて下さい」







188 : ◆O92BkDKqD6 [saga]:2012/12/07(金) 00:55:56.29 ID:P0NHW6M30
続く。
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/07(金) 00:57:56.00 ID:lUAyM/c9o
おつおつ
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/07(金) 00:58:44.45 ID:8i+FRn+qo
おつんぽ
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/07(金) 01:19:04.51 ID:Wgj9XTGFP


>>183
君が、僕を守る…?
192 : ◆O92BkDKqD6 [sage]:2012/12/07(金) 01:26:09.34 ID:P0NHW6M30
>>191

うん、さっき気づいた。
彼まで屑になったら収集つかねぇ……

 ×君が、僕を
 ○僕が、君を

 脳内変換よろしくです
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/07(金) 01:46:37.49 ID:RiUt3QMMo
なんていいチンポおつ
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/07(金) 08:24:29.47 ID:7MfLLo2Io
キリなんとかさんか
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/07(金) 09:48:58.20 ID:Ib4Saw4/o
チンピさん乙^^
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/08(土) 00:49:03.14 ID:4RiW1ogSo
チンポ落ちてるぞ
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/08(土) 18:46:29.12 ID:VSRR5W/uo
コレジャナーイ
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/08(土) 21:24:06.75 ID:qXrMcomZo
これ前回と同じとこまでいってる?
いってるならそこがどこか教えて欲しいんだが
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/08(土) 23:07:16.00 ID:9evAcM/co
>>198
>>111
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 14:59:05.09 ID:g9z3NnE2o
またおちそう
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/20(木) 14:11:06.74 ID:WyqSP9moo
マダー?
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/20(木) 21:09:49.97 ID:6rGEKfxwo
きっとクリスマスまでに書き溜めて終わらせてくれるはず…!
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/21(金) 15:24:50.33 ID:WSTCkugMo
もう全部書き溜めてからやり直せよ
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/22(土) 01:59:43.05 ID:R6zrBxDLo
まだ一ヶ月も経ってないだろ
一回エタってるからなんともいえんが
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 23:25:29.68 ID:qytwehZM0
そろそろかなチラッ
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/30(日) 20:40:36.31 ID:zfLXzIjEo
>>1に書いてある通り明日中に終わらないかな…チラッ
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/31(月) 12:59:43.52 ID:fRH/0MH0o
>>199
亀になったがありがとう
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/31(月) 13:08:48.34 ID:fRH/0MH0o
パンツとか関係なく純粋に面白いのにエタるのは惜しい
チンポに乗っかってみた身としてはこのチンポは気になるな……
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/04(金) 21:36:03.03 ID:S7XF3Dqyo
     ...| ̄ ̄ | < 続きはまだかね?
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210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/10(木) 23:26:14.19 ID:YiDyXGgFo
また逃げるのか?
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/18(金) 13:49:54.03 ID:/Cuio0iSO
また落ちるのか…
話しはちょっとしか進んでないのに
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/21(月) 13:50:30.16 ID:Ts4X7yhc0
続きを切に願います!
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 20:49:44.86 ID:OFPHO6l+o
まだですかい
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/22(火) 09:27:31.32 ID:divqQMflo
またですかい
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/23(水) 17:57:14.67 ID:QUA4MkoIO
またエタるのか
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/23(水) 18:00:46.60 ID:rQWf9tc7o
頼む
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/27(日) 14:49:03.45 ID:/x1RuosIO
まだか
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 02:51:28.99 ID:By2sSNBao
しえん
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/28(月) 13:10:22.03 ID:2p+K98e5o
きてくれよ
頼むよ
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/04(月) 12:41:22.44 ID:f8PGCHX8o
後三日か…
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/04(月) 13:10:17.13 ID:OyoSGUg8o
     ...| ̄ ̄ | < 続きはまだかね?
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