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キリカ「電車の窓から」 -
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1 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 13:06:47.76 ID:gRXqkQQAO
小ネタスレに投下していたネタが、量を増してきたのでスレ立てへと相成りました
注意事項があります。
オリジナルのキャラクターが登場します
本編組は一切登場しません
外電組もキリカちゃんしか出ません
基本的に小ネタスレからのコピペになりますので、既読の方は申し訳ありません
では、暖かく見守ってくだされば幸いです
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1355198807
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
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]: ID:???
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】
ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。
バームくんへ @ 2025/06/11(水) 20:52:59.15 ID:9hFPsRzXO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1749642779/
秘境 @ 2025/06/10(火) 00:47:53.81 ID:BDVYljqu0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1749484073/
【安価】上条「とある禁書目録で」鴻野江「仮面ライダー」【禁書】 @ 2025/06/09(月) 21:43:10.25 ID:qDlYab/50
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1749472989/
ツナ「(雲雀さん?!)」雲雀「・・・」ビショビショ @ 2025/06/07(土) 01:30:36.87 ID:AfN9Rsm0O
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1749227436/
【安価コンマ】障害走を極めるその5【ウマ娘】 @ 2025/06/06(金) 01:05:45.46 ID:RaUitMs20
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1749139545/
貴様たちの整備のお陰で使いやすくしてくれてありがとう @ 2025/06/04(水) 20:56:21.03 ID:QjuK6rXtO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1749038181/
阿笠「わしの乳首に米粒をくっ付けたぞい」コナン「は?」灰原「は?」 @ 2025/06/04(水) 04:01:13.39 ID:ZjrmryLdO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1748977273/
レッド(無口とか幽霊とか言われるけどまだ電脳世界) @ 2025/06/02(月) 21:21:00.13 ID:ix3UWcFtO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1748866860/
2 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 13:09:45.26 ID:gRXqkQQAO
いつも利用している電車には
黒い髪をショートボブでそろえた女の子が乗っている
おとなしめで、物静かな子だ
周りの制服から推測するに、彼女もまた近所にある学校の生徒だろう
周囲が友人などとめいめいだべっている中彼女だけ一人、本を読んでいた。
ブックカバーで本の題は読みとれなかったが
ちらりと向こうを見たときに本の内容を盗み見ることができた。
“ニードルフェルト”なる単語が読みとれた
その文字列の意味するところなど自分には知る由もない
得られたのはどうやら彼女が手芸に興味を持っているという事くらいだった
これが彼女――呉キリカ――への自分が抱いた第一印象だった
3 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 13:16:26.44 ID:gRXqkQQAO
―――
今日も彼女は一人で本を読んでいる
相変わらずブックカバーがされていて何を読んでいるのかわからない
しかしその薄桃色の唇をたどたどしく動かしているのを見ると、その本はおおよそ趣味関連のそれではあるまい
舌や唇を噛むような口の動きからするに、日本語の読み物では無かろう。単語帳だろうか。
物の数分で五ページ程を片付けた彼女は、カバンにそれをしまい込んだ。
今の子らしからぬ、パンパンに太ったカバンだった。
そしてしばらく朝のラッシュに揺られ、彼女は降りていった。
明日もまた会えるだろうか。
4 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 13:19:41.97 ID:gRXqkQQAO
―――
晩夏の夕暮れというものは、得てしてもの悲しいものだ
朱い光はものを柔らかく照らす
そしてあれよあれよというまに薄闇に飲まれ、遂には消えてしまうのだ
駅からの家路を辿らんとしていると、聞き慣れないローファーの音がした
彼女だと、なぜか直感的にそう思った
軽く横目で見ると、自分の少し右後ろにやはり彼女はいた
携帯で何やらぽちぽちと打ち込んでいた
ほお、今っ子様なところもあるのだなと、失礼ながらにそう思った
自分が見た中ではまじめな印象だった、そんな彼女の意外なところが見れた気がした。
……あ、角にぶつかった。
そして偶然にも、降りる駅が五郷だということもわかった
私と同じ駅を利用していたのだ。
家もこの近所なのだろうか
彼女はモノレール五郷のターミナルへと吸い込まれていった。
私の心は、次第と彼女に惹かれていったようだった。
5 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 13:25:45.53 ID:gRXqkQQAO
―――
今日は金曜なので学校は早くに上がることにした
時は金なり。早く家に帰って取り溜めた番組を観なくては。
流れるように下駄箱へ直行。
今になって思うが
人はあわてているときに限って大事な物を忘れたり無くしたりしてしまうという。
あのときの私も彼女に出会わずに帰宅しようものなら、家には入れなかっただろう。
尤も、あのときの私はもっともっと、多くのものを忘れていたのだ。
下駄箱の鍵を開けて、靴を放る様に履いて、駆け出した。
駅では今か今かと電車を待った。
片手にはその番組のグッズ本。
お気に入りの登場人物の記述をなめ回さんとばかりにしていた。
五郷。開いた電車のドアから一目散に飛び出し階段を五段飛ばしで駆け上った。
どうやら私は足を四回ほど動かすだけで大人になれたようだ。
あのとき彼女を見た曲がり角を全速力で駆け抜ける。
と、その時。
「あっ、あのっ」
女の子の声だ。なんなんだ、全く。こっちは急いでるというのに!
ややうんざりして、疲れた風に体を裏返して、文句の言葉を―――
―――吐きかけようとして、口が止まった
否、時が止まった。
彼女が目の前にいたのだ。
「さっき、階段でこれを落としましたよ」
!
これは…!
つぎはぎのウサギの小さなぬいぐるみがぶら下がった、鍵。
私の家の鍵だ。
顔から火が出るとはこのことか。
私は彼女に平謝りして、すぐにその場を立ち去ってしまった。
そして走り出してすぐに、お礼を言ってないことに気づいた。
だけども、止まれなかった。
周りは加速した。息が苦しい。何かに締め付けられているようだ。
引き返せばあの子とも話ができたというのに…!
家につく頃にはそんなどんよりと曇った後悔を抱えて、汗とも涙ともつかぬ液体をまとい
ただただうなだれるだけだった。
6 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 13:28:06.52 ID:gRXqkQQAO
―――
エラく顔が火照っている気がした。体がだるいかもしれない。
クーラーの温度を上げ、カーテンを開けて西日を取り込む。
疾うに南中を越えた太陽は、秋分に備えて引っ込みを早めたらしい。
あれから家に帰っても、あまり気持ちは高ぶらなかった
むしろ、気落ちした気すらする
なぜあのとき、彼女を邪険にしてしまったのか
その後悔がずっと頭を巡っていた。
そのうえ、みっともないところを見られてしまった。
第一印象は最悪だろう。
明後日から、もう二度と彼女に口を利いてもらえないに違いない。
私はその最初で最後のチャンスを失ったのだ。
テレビの明かりは、ずっと私を照らしていた。
今日一日はずっと憂鬱だった。
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/11(火) 13:29:12.10 ID:gRXqkQQAO
少し切ります
8 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 13:54:18.17 ID:gRXqkQQAO
―――
せっかくの日曜だというのに早起きをしてしまった
休みは基本遅くまで寝ているのが常なのだが、昨日の早寝が災いしたようだ
一晩寝たらある程度のもやもやは吹き飛んだし、体も楽にはなった
ただ、暗い雲は未だにたちこめている。
午前七時。窓から吹く風は、この時期にしては涼しいものだった
明日の予習や練習は済んでいる
日曜のテレビはつまらない。
と言うより例の番組以外全て唾棄に付されるべきなのだ。
しかし、あの番組の取り溜めも見終わってしまった
故に家で何かをする事はない。
そんなでだらだらしているのも癪なので外出することにした
パッパッと髪と身だしなみを整えて、家族に外出の旨を伝える。
とは言っても遠出の勘があるわけでもなかったので、いつも使っている路線の駅のそのまた8駅ほど先の駅まで乗ってみたのだった。
もちろん道中、心は平穏であり続けたわけではなかった
一昨日の事が電車の中や駅で幾度となく思い出された。
流石に降りてからはそういうことはなくなったが
例えば手前の角から彼女とばったり出会すのではないかと、妙な期待と不安の混ざった感覚でいた。
思えば、彼女を捜している風なのだったろうか。
なぜそうしたのかはわからない。
9 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 14:00:37.16 ID:gRXqkQQAO
大きな建物が見えた。私の町の隣にある町の大型複合商業施設だ。
日曜の開店は早いらしかった。
ショッピングモールを一人でうろつく女子学生というのもなかなか周囲には奇異に映るだろうか
ちらりとそう思ったが、地元を離れているという緊張感と、先の雑念の痕が故に気にしている余裕はなかった。
流石にその上手ぶらで帰ると言うわけにはいかないので、食料品コーナーで冷凍食品を買って明日の昼の弁当のおかずに充てた。
我ながら、なんて妙な行動だろうと思った。遠出してまで、弁当のおかずなんて。しまらない。
帰りの電車のことも考えて、軽めにものを買って帰ることにした。
帰る頃には、彼女のことはすっかり気にしていなかった。
地元の駅に着いてからまた彼女に会うまでは。
日はすっかり高く上っており、夏日さながらであった。
五郷駅バス停に庇があってよかったと思った。
日焼け対策をしているとは言え、直射日光を長時間浴びているとやはりこの時期参ってしまうから。
10 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 14:17:28.76 ID:gRXqkQQAO
冷凍食品の無事を気遣いつつバスを待っていると、不意に肩を叩かれた。
体が少し跳て、後ろを振り向くと
彼女がいた。
否、一人の女性が居て、それが彼女だったのだ。
黒とショッキングピンクと水色の、アシンメトリーな格好だった。
化粧も派手であった。
その方面に疎く、特にめかしたりもしない私にはなんとも奇抜に見えた。
しかし、その特異さの中にもどことない優しさが見えた気がしたのもまた事実だ。
これが彼女の魅力だろうか。
私は彼女にこそ悟られはしなかったろうが、内心かなり動揺していた。
それこそ、先ほどまで彼女が抱いたに違いない悪印象について憂いていたのだから。
「またお会いしましたねっ」
屈託のない無邪気な笑顔だった。
彼女は文字通りきらきらと輝いていた。
「いつも日曜はお買い物なされてるんですか?」
「今日は遠出してみようと思いまして…」
「へぇーっ!そうなんだ!」
「貴女は…えぇーっと」
「私?あぁ、自己紹介がまだでしたね。私、呉キリカって言います!あなたは?」
「苺花(まいか)ユキ……です」
「イチゴの花に雪とかなにそれ、おいしそっ」
「あはは…呉さんは明るいですね」
「キリカって呼んでおくれよユキ!こっから敬語も抜き!」
「き、キリカ…」
「なぁんでそこで顔赤くするのさっ!」
なんだかとても親しげに接してくるキリカに、私の心配は杞憂と昇華してしまったようだ。
キリカは実によくしゃべる子だった。
滑舌もよく、立て板に水だった。
キリカはここから見高、県立見滝原まで通っているそうだ。
制服を見たことはあったが、その高校は近所ではなかった。
また、私とキリカは同じ番組を視聴していることもわかった。
そこからの話といったら、大いに盛り上がった。
楽しいひとときはあっという間に過ぎ、バスが来てしまった。
私は、大いなる充足感を得ていたのだった。
11 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 14:25:46.51 ID:gRXqkQQAO
―――
今日からと言うもの、足取りも気分も最高に軽い物だった
苦もなく早起きはできるし、寝起きのテンションも段違いだった。
なんだって、キリカと話をすることができたのだから。
今日も時間が同じなら、また会えるはずだ。
自分は今、世界で一番のしあわせバカだろう。
朝食を平らげ、身支度と持ち物を確認。
いってきます。
五郷のホーム。
見高の制服はすぐにわかった。
他の見高の制服よりも、なぜかキリカのだけひときわ目立っていた気がしたからだ。
キリカ。
私の呼びかけにキリカは反応して、私に手を振ってくれる。
当然だが一昨日のあの格好とは全く違う彼女の制服姿。
いつも見ていたはずなのに、何故か今日のキリカはとても綺麗に見える。
「おはよう、ユキ」
「おはよう」
「いつもこの時間なんだよね」
えっ。
なんでそれを。
「いつも見てたからさ。」
そういえば。
帰りの電車は私が降りるときも、キリカも降りていたんだっけ。
でも、それを覚えてるなんて。
少し感激してしまった。
それと同時に、驚きと嬉しさは私の顔からあふれ出していたらしい。
「あっ、また赤くなってるー」
つんつん、と私の顔をつついてくるキリカ。
「もうっ、やめてよっ」
「耳までまっ赤ーっ!」
当面はこの赤面症のきらいは直せないだろう。
12 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 14:31:31.08 ID:gRXqkQQAO
―――
今日は雨は降るし気温は高いわで散々な日だった
冷房が苦手でこの時期でもセーターを着なくては寒い私ですら参ってしまうものがあった。
文化祭の準備に追われ、クラスの出し物の準備に追われ、また期末考査の勉強にも追われた。
何だか最近の自分は変わった気がする。
自分でもそう思うのだから、周りから見てもそう映ったに違いない。
学校の友人からも、「ハキハキするようになったね」と言われた。
嬉しいことだと思う。
それもこれも、みんなキリカのお陰なのではと思うことがある。
これこれこうだから、という明白に説明できる理由があるわけではないのだが。
そう思っていたときに、友人の一人からこんなことを言われた。
「ユキ、好きな人でもできたの?」
「まさかー!この私がそんなわけないでしょー!?」
「そういやユキ顔赤くね?」
何故だろうか。必死になって否定している自分がいた。
心当たりが無いわけではないからだ。
――――キリカ。
でも、あの人は友達。
その上同性だ。そんな感情は、抱いてはいけない。
当然、そういう目で彼女を見ていたわけもない。
……なのに、何故だろうか。
そういうものは他人から指摘されて初めて気づくものなのだろうか。
だとしても。
そんな気持ちが万万が一にあったとして彼女が受け入れてくれるはずがないし、先ずそんな感情もないのだから。
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/11(火) 14:32:16.81 ID:gRXqkQQAO
切ります
夜の投下になるかと思われます
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/11(火) 15:02:34.02 ID:UrA7XV0B0
勢いでスレ立てするのは別にいいんだけど
せめて
>>1
の注意書きくらい誤字無く書こうぜ
何にせよ乙
15 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 16:17:48.63 ID:gRXqkQQAO
妙な雑念を抱いてしまったなと思いながら、帰りの電車に揺られていた。
途中の駅でキリカが乗ってきた。
私の隣でだらりと座席にもたれ掛かり、笑顔で今日あったことを話すキリカを見たら
そのような雑念はすべて吹き飛んでいたのだった。
……それにしても、前までに見ていたキリカとは別人みたいに、今日のキリカはルーズっぽく見える。
私の所為で、不良の道に片足突っ込んでなければよいのだが。
考え過ぎだったろうか。
16 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 16:21:26.73 ID:gRXqkQQAO
―――
前日という事もあり、文化祭の準備は更に苛烈を極めた
委員会では校舎を体対角線状に走り回り、クラスでは女子と一部の男子で冷戦状態になっているという始末だ
校内祭とは言え、いよいよ明日が本番だというのに頭が痛い限りである
それもこれも、みな楽観主義的な校風の所為な気がしてならない。
大体からして一週間前から文化祭準備が間に合うと考えてるのはいくら何でもナンセンス極まりない。
愚痴を言っても始まらないが。
体育館で幾度となくリハを繰り返した。運動部顔負けの運動量である。
ヘトヘトになりながら詰所――生徒会室――に戻ると、時間は疾うに九時を回っていた。
携帯を見ると、メールが入っていた。キリカからだ。
内容に仰天した。思わず声が出た。
「実行委員おっつー!いきなりだけど呑まない?五郷で待ってるねーヽ(´∀`*)ノ」
なにを言うか十六歳が。制服着てるんだからアウトでしょーよ。
どうやら私はキリカを本気で不良コースに堕としてしまったのだろうか……
どうしたものか。
そう思案していると、二通目が来た。
「マックでシェイクをさ(´艸`*)」
焦ったよ。本気で。やめてよね。
…でも夜にシェイクは太るなぁ。
キリカとメールしたり、話したりすると本当に心が安らぐ
さっきの疲れだって吹っ飛んでしまった。
キリカ…明後日の公開祭、キリカに来てもらいたいな。
17 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 16:24:33.79 ID:gRXqkQQAO
―――
一年の身分でえらそうなことを抜かすが、勉強しかできない要領の悪い人が多すぎる気がする
結局先生が主導って小学生か。
そして本番だというのに早速トラブった。
どうやら音声機器の不調で吹奏楽部の演奏がマイクで拾えない状況に陥っているようだった。
しかし吹奏楽部の気合いの演奏で、マイクなしでも響く素晴らしいオープニングとなった。
詰所に戻って仕事についた
午前は生徒会の演劇に出演し、その後にクラスの持ち場についた。
縁日という出し物だったがなかなかに儲かり、黒字が出た。
中夜祭も大いに盛り上がった。
出だしが躓いただけで、特に問題はなかったようだった。
仕事をすべて片づけて、今日のやるべきことは終わったのだった。
キリカはまた五郷の駅で待っててくれていた。
とっくに日付が変わろうとしてたのに、悪いことをした。
「ねえ、キリカ。話があるの。」
「なんだい?」
「明日、私の学校で文化祭の公開祭をやるの。よかったら…どう?来ない?」
「いいのかい?是非行かせていただくよ!」
我ながらスムーズに話が出来たと思う。
前の私ならどもってしまったろう。
とにかく、これでキリカに文化祭に来て貰える。やったぁ!
18 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 16:29:02.15 ID:gRXqkQQAO
―――
昨日とは一転雰囲気が落ち着き、公開祭はまた別の盛り上がりを見せた。
また、別の高校に進学した友達にも会えた。
「ユッキーっ!」
「ユウちゃーんっ!」
「ユッキーちょー変わったねー」
「そうー?ユウも変わったよーすっごい大人っぽくなった!」
「ユキって、ユッキーって呼ばれてたんだー」
「中学時代のあだ名…アリね」
いつまで経っても、友達は友達だ。
褪せない楽しさをいつも私にくれる。
ユウと校舎内を回って、案内をした。
文化祭の装いで普段とは趣が大分違うのを別にしても、ユウと過ごした時間は早く流れた。
中学を卒業してからの五ヶ月間、短いようでも存外長いものなのだと感じた。
高校での出来事、勉強が大変なこと、クラスの雰囲気のこと…話は尽きなかった。
不意に携帯にメールが入った。…キリカからだ!
「校門前にいるよーユキー\(*´3`)/」
「ユウ、友達迎えに行きたいんだけど、来る?」
「行く行くー」
ユウにキリカを紹介しようと思った。
「…あ、ごめんユッキー、あたしちょっと時間がないかもしんない」
「えっ、そうなの」
「ほんとごめん。ありがとねユッキー、久し振りにあえて楽しかったよー!」
「バイバイ」
ユウは慌てていた。
中学の時から、何かの定時直前でその用事を思い出すような子だった。
やっぱり、かわってない。
なんとなく心がほっこりしたところで、キリカを迎えに行くことにした。
19 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 16:32:46.90 ID:gRXqkQQAO
今日のキリカは大人しめな装いだった
白をメインにした、まるで雪景色のような雰囲気だ
「そ、そんなに見られると照れるじゃないかユキ」
「あ、今度はキリカが赤くなってる」
「もう、早く案内しておくれよっ」
「わかってるってば」
思わぬ仕返し。今のキリカは白に映えてなおのこと赤く見えた。
キリカは人の目を引くカリスマなのではないかと思った。
校舎内ではすれ違う人の目を独占していた。
明らかに、私とキリカの周りだけ空気が違うのが解る。
クラスTの私が却って悪目立ちしてはいないだろうか。少しそわついてしまう。
「ここがユキのクラスかな?A組…すごい、ユキは優秀なんだね」
「ま、まぁ席次は悪くはないけど…」
こんなにも人に見られているのに、当のキリカは全く気にも留めない。
まるで見られ慣れているようだ。
20 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 16:35:00.12 ID:gRXqkQQAO
……それなのに、『見られると照れる』?
ちらりとそのような考えが浮かんだが、キリカに手を引かれて、それは次第に霧散してしまった。
クラスの出し物を回り、店で食べ物を買って楽しんだ。
ユウの時と同じくらい早く、時は過ぎた。
休憩室の外で、クラスメートの二人にあった。
「おーユキーおっつー」
「ユキちゃんおつかれー」
「おつー」
ふっ、と私の隣に目線を移す二人。
「あれ、彼女は?」
「地元の子?」
まぁ、確かに地元なのだが。
「紹介するよ。彼女は見高の呉キリカさん。」
「はじめまして」
ほんの数日前に見た、他人行儀な態度だった。
「
見高!?うひゃあ参った」
「後光が見える〜」
「そ、そんな。大げさですよ。」
見高はこの地域でも頭一つ抜けている高校。彼女らの反応がスタンダードなのかもしれない。
少し会話を交わして、彼女らと別れた。
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/11(火) 16:41:50.06 ID:gRXqkQQAO
時間が余ったので少しだけ貼り。
>>14
ありがとうございます
誤字はすみませんでした。少し慌てていたようです
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/11(火) 19:09:28.09 ID:FtLae4Nko
さて、今回はどうなることやら……
まあ乙
23 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 20:21:03.93 ID:gRXqkQQAO
その間まで十分にも満たなかったが、キリカはすぐに打ち解けていた
二人はとっても楽しそうにキリカと話していた
キリカもまた、楽しそうに喋っていた。
キリカは話の引き出しも多い
二人のてんでばらばらな話題をすらもすべて拾って展開していく。
私は正直言って話の引き出しは多くない
テレビもあの番組以外全く見ないし、本も教科書や興味を持った特定ジャンルのものしか読まない。
物を書くのが好きではあるが、そのくせ小説すらもほとんど読まない
国語の小説の問題が、辛うじて平均に乗る程度だ。
24 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 20:23:52.57 ID:gRXqkQQAO
二人の話す言葉は正直言って宇宙語だ
それでもキリカはそのすべてに食らいついていき、面白く返す。
とても楽しそうだ。
――――とても。
私なんかと話してるより――――。
……私、もしかして『妬いてる?』二人に?まさか。
変なことは考えちゃいけない。
私は何故か平静を装う風で、彼女らの話を聞いていた。
その状態の私を察してか知らずか
「んじゃそろそろこの辺にしようか、ユキ。」
「へっ?あっ、うん」
不意に話しかけられたので、間抜けな声が出てしまった。
「ごめんねーユキー」
「じゃ、私たち持ち場に戻るからー。じゃーねーユキ、キリカー」
…っ。
「じゃ、続きと行こうか、ユキ」
危なく出掛かった言葉は、キリカが私の手を握ったことで、すんでのところで飲み込まれた。
間もなく三時を過ぎ、文化祭はグランドフィナーレを迎えた。
来場客を体育館に招待し、吹奏楽部の演奏で幕を閉じた。
幸い音声機器の不調は無く、無事に終わった。
一年が言うことではないが、上出来な終わり方だったと思う。
キリカに別れの挨拶を済ませて、撤収にかかった。
25 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 20:29:26.90 ID:gRXqkQQAO
今日は正直、手放しに楽しいと言い切れるような日ではなかったと思う。
もちろんユウにも会えたし、キリカとも文化祭を回れたのだから、不満な訳でははない。
だけど―――
『じゃあねーキリカー』
撤収作業の最中、あの友人の言葉が脳内を巡り、私を呪う。
なんてことのない、ただの友達同士の挨拶じゃないか。
キリカはただ特殊で、誰とでも親しくできるだけ。彼女たちをどうとも思ってないはずだ。
仮に思ってたとしてそれが何だと言うんだ。
それに彼女らは女性だ。同性でそんなこと―――
ガッタン!
「あっ、危ない!」
分解中のセットが傾いだ。
男の先輩の、顔色が変わった。
それが見えたと思った瞬間、怒鳴られていた。
「苺花ぁ!何やってんだ馬鹿やろう!前見ろぉ!!」
「ごめんなさいっ!」
ぼぉっとしていた。前を見ていなかった。
情けない。何たる失態だ。
「苺花…さん?」
「ごめんなさい、惚けていました…」
「怪我ない?大丈夫?」
「大丈夫です…すみません…」
ただ個人のトラブルで、全体に迷惑までかけていたら全く世話無い。
妄想を働かすくらいなら手を動かそう。
撤収が終わる頃には、もう六時を過ぎていた。
制服に着替えを済ませ、帰路についた。
26 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/11(火) 20:43:10.09 ID:gRXqkQQAO
―――キリカが待ってくれていた。
いじっていた携帯から目を外して、にこっと私に笑いかけてくれる。
軽やか。そんな印象を受けた。
いや、それよりも…
閉会式が終わって、もはや三つ分も針が進んでしまっている。
大変待たせたようではないか。
「おっ、もう終わったのかい。んじゃ一緒に帰ろうか」
「ちょ、だ、大丈夫なの?」
「大丈夫だ、問題ない。あ、そうじゃなくって?」
「親御さん心配してるんじゃ…」
キリカは口をあんぐりとさせている。
「……いやいや、なに言ってんのさユキ。日曜の六時だよ?」
きょとんと、キリカ。
「そりゃあ、こないだもすごい遅くなっちゃったし…外出制限がついちゃうんじゃないかって…」
「……ぷふっ!」
「なっ…!」
一昨日あたりも、日付を跨ぐような大凡中高生の出歩かない時間帯にまで待たせてしまったのだ。
私とて、さすがに気を遣ってしまう。
だけど、キリカはそんなことまるで気に留めないようだった。
「いやぁ、ユキはかわいいねぇ」
そういって、私の、あ、頭を…
「…本当にユキは、かわいい。」
全身から汗が吹き出るのがわかる。
反撃の、反撃だ。
「…帰ろう?」
「……うん」
ほんのちょっと、不安が和らいだ気がした。
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/11(火) 23:31:27.13 ID:53A9STL/o
キリカワイイ
28 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/12(水) 14:25:37.71 ID:S/vAWuwAO
―――
文化祭の終わった学校は、本当に寂しく感じる。
それはまるで、日曜日の終わりのようで。
また普通の学校生活に戻った私は、また何時ものふつうの生活を送る。
電車でキリカと話して、そのまま別れた。
キリカは手芸の話をしてくれた。ぬいぐるみづくりに挑戦しているそうだ。
何でも中学の部活から始めたのが高じて、趣味に転化したのだそうだ。
見高には手芸部がないらしい。
だから中学の後輩と、今でも連絡を取り合ったり、実際に会ったりしているとか。
「ユキー、おはよー」
「おはよう」
キリカの降りた駅で友達と会った。
そういえば、もうすぐ定期考査だ。
「世界史ヤバいんだけどー」
「ね。プリント埋まらなくない?」
「うっそー、ユキちゃんなら全部終わらせたと思ってたー」
「ないない。『授業ごとに一枚』とか言ってたのに、週末になっていきなり十枚でしょ?みんな無理だから」
「だよねー」
日常の会話。
キリカはその後輩と、どんなことを喋ってたのだろうか。
手芸。私も手先が器用だったらな。
29 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/19(水) 15:34:57.47 ID:XBB4n3WAO
―――
ここまでしつこい残暑が嘗てあったろうか。
まるで夏が息を吹き返したかのような陽気だった。
生憎、もうお役御免だろうと踏んで
すっかりしまい込んでいた半袖のブラウスをあわてて引っ張り出さなくてはならない羽目になった。
湿度はこの時期なら低いものだろうと予測していたのだが、どうやらそれも裏切られたようだ。
玄関を出てから一番に私に触れた風は、それはそれはねっとりと不快なものであった。
あっという間に額に汗が浮く。
授業が試験前の特別対策仕様日程になった。
朝は遅く、帰りは早いといった具合だ。
でも、私は登校の時刻を遅くしたりはしないのだ。
「おはよう、ユキ」
「おはようキリカ!」
「……○○高のみんなを見ないね」
「テスト準備期間だからね。登校を遅らす人が多いんじゃないかな」
「ああ、なるほど……
あれ、じゃ何でユキ」
「遅起きはなんだか…ね、ほら、あるじゃん」
「真面目だなー。私はたぶんギリギリまで爆睡だよ」
「そんなことないでしょー」
「いやそれがあるんだわ、これが」
ははっ、とキリカがはにかむ。
30 :
◆uCwA0MUuYI
:2012/12/19(水) 15:50:19.81 ID:XBB4n3WAO
「私家だとあんま勉強しないんだ。だから期間中も早くでないと、時間無駄にしちゃうし」
「あー、それは私もだ。家とか寝るよね」
「ね」
そういえば、とキリカ
「昨日さぁ、手芸部の話したじゃん?」
「あぁ、うん」
「作ったもの持ってきたんだ」
「えっ、ほんとに?」
「ほら」
キリカが取り出したのは
白と黒のパーツで構成されたつぎはぎのウサギのぬいぐるみ。
何処か見覚えのあるぬいぐるみだ。
「えっ……あっ。コレってもしかして」
「そ、アレだよアレ。こないだ拾ったげた……」
「キリカ、ストップ。」
「?」
あの黒歴史キーチェーン……
「見て覚えたんだ! どうだい、なかなか上手くできてるとは思わないかい?」
あの一瞬の間に、覚え込んでしまったのだろうか。
だとしたら、スゴいことだ。
普通の人にはなかなか真似が出来ないだろう。
……あ。
「……確かにそっくり。……うん」
「どうかしたかい? ……あっ」
キリカが私の鍵の物と比べる。
大きさやデザインの意匠は、確かにそっくりだ。
でも。
私のは、白と黒ではなく、白と灰なのだ。
「……やらかした。色が違ってるね」
「いや、この際色はどうでもいいよ。スゴいよキリカ! あの時の一瞬で覚えちゃったの!?」
「ふふ、まあね」
「これもニードルフェルトなの?」
「そうだね。縫い目のあたりは手縫い入ってるけど。」
「細かいところを手で?」
「うん、まあね」
「スゴいなぁ……」
少し誇らしげなキリカ。
そうすると、徐に定期入れを取り出して、そのチェーン部分にそれをつけて見せた。
「コレでお揃いだね、ほら!」
「あっ、そうだね!」
キリカとお揃い。
お揃い。その言葉が、なんだかむず痒い。
早起きは、三文以上の徳となった。
キリカは次の駅で降りていった。
なんだかいつも以上にはしゃいでいる様子で、いつまでも私に手を振っていた。……けど。
……あぁ、前を見ないから。
電車は男の人に平謝りするキリカを視界の端っこに追いやり、私を次の駅まで連れて行ったのだった。
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/19(水) 16:45:29.12 ID:lNItM6WDO
乙
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/19(水) 19:02:34.15 ID:5L5Wf6UM0
乙
33 :
◆uCwA0MUuYI
:2012/12/26(水) 18:51:56.52 ID:40l8w/ZAO
―――
図書室という空間は、最も勉強に適していないなとつくづく思う。
周りは静かだし、机は広くて椅子も大きくてフカフカ。
そう、まさに最高の環境なのだ。
―――本さえ置いてなければ。
テストまであと三日。
仕上げの勉強をしに図書室へやってきたのはいいのだが……
隣に積んだ、もうすぐ完全消化される課題の山の、そのまた手前側の山にそれらがあった。
「……」
私の好きな分野の本である。
いわゆる、理系読み物のたぐい。
このような本よりも教科書の方がテストの役に立つものなのに、そんな物をほっぽって読みあさる始末だ。
『家だと勉強しないんだー』
学校でもしてないじゃないか。
チクリと、小さな良心の虫が私を刺した。
34 :
◆uCwA0MUuYI
:2012/12/26(水) 19:08:16.27 ID:40l8w/ZAO
本から無理やり目を引き剥がし、課題を潰していくことにした。
急がなくても間に合う量だが、半端に残すよりも、終わらせてしまおうと考えたのだ。
第一、勉強しにきたのだから……。
閉じかけたページが、名残惜しかった。
数学と世界史の課題が終わった。あのあと、更に五枚もの追加が出されたプリントの束だ。
多くの生徒は提出を誤魔化すことだろう。
課題は多いものから順に消化してゆくのだ。
目が疲れたので、気休めがてら視線を室内中に泳がせてみた。
針は三時を指している。利用の生徒が増えてきた。
その中でも一年生は私だけのようだった。
上履きのラインは、二年生の赤と、三年生の緑。
目立つのはやはり緑ばかりだった。
皆おのおの手を動かしているか、机に突っ伏して寝ているかだった。
埋まったブースの中に、読書にかまけている人は一人としていなかった。
35 :
◆uCwA0MUuYI
:2012/12/26(水) 19:23:41.72 ID:40l8w/ZAO
私はブースがどうも大げさで気恥ずかしく、いつも広いテーブルを使っていた。
おかげで広くスペースは取れるのだが
時々合い向かい側の人と足がぶつかったり、隣の人に教科書の山をなだれさせてしまうことがあった。
後者は床に置くことでどうにか回避可能になったが、足は人によってはどうしてもぶつかってしまう。
合い向かい側が足の長い男性となれば、最早事故だ。
足を下手に伸ばせば
ゴッ
あっ
(すいません……)
また、足を組めば
ガッ
またかよ
(すいませんっ!)
ちっ
合い向かいの人は、席を立ってしまう。
だから合い向かいの居ない、このような窓際端っこの微妙なスペースに落ち着いてしまうわけだ。
足をぶつけたときの私の対応は、あの時のキリカに似ていると思った。
キーホルダーのうさぎを眺める。
遠くを見すぎて、疲れもあってか、ウサギはひどく滲んで見えた。
灰と白が混ざり合う。
36 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/26(水) 19:25:03.80 ID:40l8w/ZAO
細かい訂正
男性じゃなくて男子生徒です
37 :
◆uCwA0MUuYI
:2012/12/26(水) 19:46:21.44 ID:40l8w/ZAO
化学の課題、最後から数えて三つ目の課題を消化しきったとき、短い針はもう真下を指していた。
「閉館時間だよー」
男性の司書の声がした。
気づくと、図書室には私しか残っていなかった。
課題を全部終わらせられなかった悔しさより、読書に時間を割かなかった後悔が先走った。
私は急いでカバンに勉強道具をしまい込んだ。
ちょっと乱暴にしまったせいか、少しいびつに膨らんでしまった。
積んだ本の山から、これと決めた三冊だけを抜き、窓口へと持って行く。
正規図書会員なら、一週間に十冊本が借りられるそうだけど、私はまだ本を四回しか借りていない。
あと十六回は借りなくてはならない。
「あの、これとこれとこれ、借りられますか?」
「生徒証明ある?」
「これで」
「ん」
ピッ
カードをスキャナに通し、生徒証明が完了する。
「出して」
「はい」
ピッピッピッ
三冊をバーコードリーダーに通し、これらも登録を終える。
何度見ても、鮮やかな手さばきだ。
「えーと、ブルバと小説と手芸の本ね、はい登録したよ。一週間後に返却お願いしますね」
「ありがとうございます」
手芸の本は、キリカの持っていたあの本だ。
38 :
◆uCwA0MUuYI
:2012/12/26(水) 19:50:11.89 ID:40l8w/ZAO
私が廊下に出ると、やっと終わったとばかりに図書室の明かりが落ちた。
図書室と廊下の気温差に、思わず汗ばむ。
カバンと小脇に抱えた三冊の本が、くすぐったい。
もうまさに沈もうとする夕日に、紫色に染められた夕空と
蛍光灯の明かりのコントラストに、一日の日の短くなってきたのを感じる。
数こそ少なくて弱くはあれ、秋分を近くしてなおも鳴き続けるヒグラシの音を聞きながら、私は昇降口へと向かった。
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/26(水) 20:49:24.78 ID:4lGBk9WFo
乙
40 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2012/12/28(金) 14:11:36.90 ID:z/05gBEAO
(時期が時期ですので、投下ペースが落ちる可能性があります)
(ご了承ください)
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/12/28(金) 15:18:29.66 ID:TRMDnDtDO
乙
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/01/08(火) 17:41:49.79 ID:gvTbGeb/o
乙
続きを公開した気持ちもわかるけども
そこはグッと堪えて書き溜めという形に落ち着いてはもらえないだろうか
その代わりに、投下は開いた分の補完に充てて欲しい
小ネタに投下してネタバレをしてしまっては読者が離れてしまうよ
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/01/08(火) 17:42:43.09 ID:gvTbGeb/o
誤字
公開した→公開したい
44 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2013/01/09(水) 07:11:03.95 ID:wqeTf7EAO
>>42
おっしゃる通りです
気をつけます
45 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2013/01/09(水) 15:23:12.24 ID:wqeTf7EAO
多忙により、更新を暫く休止したいと思います
本格的な復帰は二月の後半になると思われます
本当に申し訳ありません
46 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2013/01/15(火) 15:02:58.99 ID:g4IlKoVAO
生存報告
お待たせしております
47 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2013/01/21(月) 07:25:30.95 ID:OVaDDECAO
生存報告です
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/01/24(木) 23:01:32.08 ID:uBhD814do
待ってるよー
49 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2013/02/03(日) 00:59:44.13 ID:welrqfaAO
生存報告です
50 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/02/16(土) 03:44:20.83 ID:0PLm1nEDO
待ってる
51 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2013/02/21(木) 20:43:17.34 ID:UDjFvOiAO
生存報告です
52 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2013/03/21(木) 08:31:58.12 ID:6H13HXFAO
一月経ちましたが、まだ仕上がっておりません
申し訳ないです
生存報告です
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/21(木) 20:28:15.94 ID:4gYQnefOo
待ってる
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/29(金) 15:25:12.10 ID:fK0PHh9Po
まち
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/04/07(日) 22:04:25.82 ID:VPKV4hUEo
待ってるよ
56 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2013/05/04(土) 13:22:09.31 ID:6kKl6WAAO
生存報告です
少しずつ、リハビリしていきたいと思います
57 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/05/04(土) 23:45:31.46 ID:H2d1IuBF0
を?
58 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/05/05(日) 01:02:58.78 ID:2bP+7khn0
お?
59 :
◆uCwA0MUuYI
[sage]:2013/05/28(火) 15:29:39.73 ID:sZLQZl2AO
続きが思い浮かばず、今は何も書けない状態です。
一旦このスレを畳みまして、また次の機会に書かせていただきたいと思います。
大変申し訳ありません。
60 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/05/28(火) 18:29:58.50 ID:WSDe2QmSO
残念だけど仕方ないね
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/05/29(水) 22:51:14.94 ID:NzlLoX8no
いつか完結させてくれ
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