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梓「5億年ボタン? 」〜続き〜 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/12(水) 20:12:25.24 ID:yriWrl7AO
てす

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VIPでTW ★5 @ 2024/03/29(金) 09:54:48.69 ID:aP+hFwQR0
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小テスト @ 2024/03/28(木) 19:48:27.38 ID:ptMrOEVy0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/zikken/1711622906/

満身創痍 @ 2024/03/28(木) 18:15:37.00 ID:YDfjckg/o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1711617334/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part8 @ 2024/03/28(木) 10:54:28.17 ID:l/9ZW4Ws0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1711590867/

旅にでんちう @ 2024/03/27(水) 09:07:07.22 ID:y4bABGEzO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1711498027/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:18.81 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459578/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:02.91 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459562/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:25:33.60 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459533/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/12(水) 20:25:02.95 ID:yriWrl7AO
梓「…ああぁ…あああぁ…あああああ!」

梓は再び絶望した。そしてズレが生じていた精神は完全に壊れる

梓「……く………くく…」

梓「…くくく……あーはっはっはっ!」

当然だ。これから長い。恐ろしく長い孤独な戦いは永遠と続く

梓「……あは……あはは…」

純「…大丈夫か梓?」

憂「梓ちゃん、私たちがついてるからね」

たまにいかいはずの友達が話しかけてくる。少し嬉しかった。一人でいるよりずっといい。梓は人間の性質に感謝した。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/12(水) 20:33:54.32 ID:yriWrl7AO
梓「はは………」

梓「………」

梓「………」

梓はしばらく黙り込みうずくまった

――――
―――
――――

どのくらい立っただろうか。梓はうずくまったまま何も考えないでいた。

梓「………」

梓「………」

この時点で思考回路はめちゃくちゃだった。1+1が5になったり文章の構成もでたらめだ。

梓「………………………………ん!」

梓「……よいしょ………これは………そう……」

梓は突然起き上がり、意味不明な行動を取り始めた。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/12(水) 20:48:19.33 ID:yriWrl7AO
梓「……んしょ………※■#……それは■@」

端から見れば理解出来ない行動だが、本人にとっては意味のある行動らしい

律「…おーい!何やってんだ梓?」

梓「…律先輩は何でそこに、やらないんですか?」

律「……あぁ」

やはり会話はままならい。相手にまで影響を及ぼしてしまう。

梓「……ぶつ…ぶつぶつ」

梓「………んしょ」

梓は楽しく会話しながら作業している。いかれたせいもあって時間の流れになれ、時間という概念さえ薄らいでいた。

そしてここに来て一年が立った。あと499999999年、頑張れ梓。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/12(水) 20:53:47.01 ID:j/uv1OvC0
一番最初から仕切り直した方が良かったんじゃない?
ニャル速にあったけど。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/12(水) 20:59:12.54 ID:yriWrl7AO
>>5
すいません、携帯なんで不便なんですww

とりあえず適当に投下していきます
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 04:15:34.82 ID:y6Uk1xTpP
応援してるよ
過去スレのurlとログ速のurl貼っとく
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1355134662/
http://www.logsoku.com/r/news4vip/1355134662/
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/13(木) 19:11:17.19 ID:a9zP1qJAO
そして途方もない時間がまた流れる

梓「………」

梓「………」

梓はじっと遠くを見つめていた。独り言は消え、黙り込んでいる。

梓「………」

さわこ「梓ちゃん?お話ししましょ、ずっとそうしてるのも難だし」

梓「………」

さわこ「何ならコスプレとかどう?いいのあるわよ〜」

梓「………」

さわこの問いかけに対して梓は無反応だ。どうせいないんだから反応しても意味がない。梓はそう思っていた。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/13(木) 19:25:08.22 ID:a9zP1qJAO
さわこ「ねえ、聞いてるの、梓ちゃ…」

梓「……もう、いいです。私のことは放っておいてください。」

さわこ「…………そう」

梓「………」

さわこ「………ひとつだけ」

梓「……え?」

さわこ「…ひとつだけ…ヒントをあげる」

梓「ヒ、ヒント!?」

さわこの言葉に梓は興味をひかれる。同時に心の一筋の光が差し込んだような気もした。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/14(金) 00:31:06.76 ID:LM3ek8gAO
梓「ヒ、ヒントって何ですか!?」

さわこ「………」

梓「先生!」

さわこ「………考えるのよ」

梓「か、考える?」

さわこ「そう、考える。皮肉にも時間はたっぷりある。だから考えるのよ」

梓「考える…」

さわこ「………」

梓「……考えぬいた先にあるものとは?」

さわこ「………」

梓「…先生?」

さわこ「…それはあなた次第よ。人それぞれに違った結果がもたらされると思うわ」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/14(金) 00:59:07.27 ID:LM3ek8gAO
梓「……先生」

さわこ「何?」

梓「先生はここにはいない、私の幻覚または妄想のはずなのに何でそんなアドバイスを出来るんですか?」

さわこ「私のアドバイスなんかじゃないわよ」

梓「?」

さわこ「…すべてはあなたの発想よ、あなたは既に考え初めてる」

梓「………」

さわこ「……じゃあね、梓ちゃん。また遊びにくるわ」

スッ

そう言ってさわこは消えてしまった
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/14(金) 21:45:43.66 ID:LM3ek8gAO
梓「あっ!」

梓「消えちゃった…」
梓「………」

梓「考えるって一体…」

さわこの言っていたことの今はこの時点では分からなかった

―――――
――――
―――――

梓「……うぅ」

梓「…はぁ……はぁ…」

長い。ただただ長い。梓はまた暇つぶしのようなことをしていたがやはりつまらない。

梓「………うぅ何で私こんなところに」

梓「…うぅ、ひっぐ…ひっぐ」

あの時は戻れたと本当に思った。この時点で3年経過していた。
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/14(金) 21:51:50.79 ID:LM3ek8gAO
梓「………」

梓「………」

唯「あーずにゃん♪」

梓「………」

唯「あずにゃん!」

梓「………」

唯「…もーあずにゃんってば!」

梓「…何………dすか」

唯「あずにゃん元気ないよ!そんなのいつもあずにゃんじゃない!」

梓「……そう…………ですか……すいません…」

唯「あずにゃん…」

梓「………せ、先輩」

唯「な、何あずにゃん!?」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/15(土) 18:39:50.58 ID:GGF+jSpAO
梓「…一つ………聞きたい…ことが…」

唯「何っ!?」

梓「…はい、あの……さわこ先生が…」

唯「うんうん」

梓「…考えろって」

唯「考える?何を?」

梓「…はい……それを唯先輩に聞きたくて…」

唯「えっ!?私にっ!?」

梓「はい…」

唯「…う〜ん」

梓「…やっぱり……分からないですよね」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 19:37:03.23 ID:hjEyiRbAO
唯「……なんとなくだけどさ」

梓「はい?」

唯「簡単なことからでいいんじゃないかな」

梓「簡単なこと?…と言いますと?」

唯「うん…例えばここはどこなんだろうとかさ」

梓「どこ…」

唯「そう!時間は一杯あるんだし!」

梓「………」

唯「あずにゃん、とにかくめげてちゃ駄目だよ!いつものあずにゃんみたいに元気出して!」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 19:45:40.41 ID:hjEyiRbAO
梓「はぁ……」

唯「じゃあねあずにゃん、また合おうね」

スッ

唯先輩が消えた。またいもしない人にアドバイスを貰った。結局自分で思いついたことなのに。

梓「…考える…考える…考える」

梓「………考える考える考える考える考える」

梓はしばらく考えこみだした。そんなことは無意味だともどこかで感じながら

梓「…………考える考えるぶつぶつぶつ」

梓「………」

梓は考え続けた。それから二年が経過した
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/19(水) 00:34:48.01 ID:UgdkMVkAO
梓「………」

梓「……あ……あぁ」

結局進展はなかった。考えたところで高校生ぐらいの知識じゃどうにもならなかった

梓「……あう………ううう」

梓「……うぐ……ひぐひぐ」

それよりも長い長い時間の恐怖が押し寄せてくる。1秒1秒をひしひしと感じていた

梓「うぅ………」

梓「………」

梓「………」

梓「…………あっ!」

梓は突然何かを閃いた
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/20(木) 00:12:04.89 ID:OWlX1smAO
梓「………」

梓「……うぐ」

梓は突然歯を手をかけた

梓「……んっ!」

ズボッ

梓は歯を抜いた

梓「よ、よしっ!これで…」

梓「………」

カキカキ

梓は突然床に何かを書き始めた。頭で考えて駄目なら、書いて考えようとしていたのだ

梓「………」

カキカキ
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/20(木) 00:19:23.59 ID:OWlX1smAO
―――――

月日はさらに流れ五年が経過し、気づけばここに来て5年が経過していた。

梓「……ん〜」

梓「これは…こうかな…」

カキカキ

梓なり試行錯誤して床に書き続けていた。何を求めてるかなんて正直定かではなかったが、ボーと過ごすよりは全然マシだった。

梓「……あっ!ここはこうかな」

梓「ふむふむ…」

カキカキ

梓は書き続ける。あと499999990年、頑張れ梓
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/21(金) 18:50:56.65 ID:f3nky4mAO
それからまた月日は流れ気づけば30年の年月が経過していた

梓「………」

カキカキ

梓「………」

カキカキカキカキ

澪「……よう梓」

梓「………」

カキカキ

澪「梓?」

梓「……何ですか澪先輩」

澪「何だ聞こえたのか。梓元気だったか?」

梓「……元気………ではないですね」

カキカキ

澪「………そっか」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/21(金) 19:55:25.95 ID:9cUeJGjM0
kち(期待)
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/22(土) 18:18:39.06 ID:IOJDKdqAO
梓「………何か用ですか?」

澪「え?あ、あぁ、まぁその…」

梓「?」

澪「…どうせ私の聞きたいことなんて分かってるんだろ?」

梓「………まぁ、そうですね」

澪「………」

梓「私、大分勉強しました。今なら結婚良い大学にもはいれそうです」

梓はぎこちない笑顔で言う

澪「…そうか、良かったな梓」

梓「はい、ただ私なりに考えてることなので内容は正しいのかどうか分かりませんけどね」

澪「ははは…」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/22(土) 18:19:47.31 ID:IOJDKdqAO
結婚→結構
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/22(土) 18:26:36.98 ID:IOJDKdqAO
梓「………じゃあ私作業に戻ります」

澪「あぁ、頑張れよ梓」

梓「はい」

澪「じゃあな」

スッ

梓「………」

梓「………うぅ」

澪が消えてから突然深い悲しみにおそわれた。本当の皆と会いたい。ただそれだけだった

梓「…うぅ……ひぐひぐ」

カキカキ

梓は泣きながら作業を続ける。答えの見えない追求がまた始まった

梓「うぅ…………」

カキカキカキカキ

あと499999970年。
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/22(土) 18:39:29.37 ID:IOJDKdqAO
ーーー70年後ーーー

とうとうここに来て100年が経過した

梓「………」

梓「………」

梓は微動だにしていなかった。考えたり勉強するのは意味がないと思い、50年目くらいで止めた。

梓「………」

梓「………」

最早感情も失いかけていた。仰向けになり、ボーと上を見つめている。

梓「………」

それでも一秒一秒をしっかりと感じていた。時間というものをこれほど意識したことはない。

梓「………」

最近は誰も遊びに来ない。一周して正気に戻ったんだろうか。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/22(土) 18:52:18.12 ID:IOJDKdqAO
>>19
5年→10年
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/22(土) 23:33:30.09 ID:IOJDKdqAO
梓「………」

梓「……?」

気のせいか遠くに人影のようなものが見えた。久しぶりのお客様だろうか

?「おーい!梓ー!」

梓「………」

律「おい梓!だいじょぶか!?」

梓「………」

律「おい!梓!」

梓「…………なん…………何で…………すか」

律「梓っ!?しっかりしろ!お前はここで答えを追求することに決めたんだろ!?」

梓「………追…………求?」

律「そうだよ梓!簡単に諦めるな!何か分かるかもしれないじゃないか!」

梓「…………あ…………………うぅ…………」

最早言葉を話す気力でえ薄らいでいた
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/22(土) 23:41:21.08 ID:IOJDKdqAO
律「梓っ!」

律の言葉で思い出す。確かに50年くらい前に自分なりで勉強していたのだ。

梓「……………そう…………でした………ね」

律「梓っ!もう一回頑張るんだよ!けいおん部の部員だろ?なら意地を見せてみろ!」

梓「…………うあぅ…………は…………はい」

梓は力を振り絞り、起き上がって作業を再開しようと試みる

律「頑張れ梓っ!」

スッ

梓「………うぐ…………あうう………」

カキカキ

梓は再び作業を始めた。未知の領域を求めて
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/23(日) 03:22:11.29 ID:jw+R2kS/o
見てるよー
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/23(日) 21:35:55.15 ID:pTwbhBEAO
――――――――

梓「……………」

カキカキカキカキ

随分時間が立っていた。梓は無心で床に文字やら計算式を書き続けている

梓「………ありがと」

梓「……ズズズ」

梓「…ここを……こう組み立てて」

時にはお礼を言って、時には差し出されたお茶を飲みながら、時には作業を中断して何か組み立てるような素振りを梓は見せていた

梓「よしっ……」

梓「………」

カキカキカキカキ

そしてまた作業に戻る。そんなことをずーと繰り返していた。

ここに来て何と500年が経過していた。
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/23(日) 21:46:56.25 ID:pTwbhBEAO
梓「………ん!」

カキカキ

梓は自分でも驚いたような表情を見せていた。明らかに知的レベルが向上しているのを梓は実感する。それも最早頭が良い、天才と言ったレベルではなかった。

純「あーずさ♪」

憂「梓ちゃん、お久しぶり!良かったらこれから遊ばない?」

梓「………」

カキカキカキカキ

純「……梓?」

憂「い、忙しかったかな…」

梓「………」

カキカキカキカキ

梓は二人に耳を貸さず、とにかく書き続けている。何もないと思っていた世界に梓は楽しさを見出していた。
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/24(月) 18:55:44.51 ID:K2xYCcHAO
梓「………」

カキカキ

純「……もういいや、行こう憂」

憂「う、うん…」

スッ

梓「………」

梓「………ごめんね二人とも」

梓は意味のない謝罪をした

梓「………」

カキカキカキカキ

梓「………」

カキカキカキカキ

梓は一心不乱に書き続ける。答えが出る可能性を信じて
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/24(月) 19:07:27.85 ID:K2xYCcHAO
―さらに500年後―

時はとめどなく流れる。最初はあまりにも非現実的だと思えたことだったが、梓は最早気にもとめなくなっていた

梓「………」

梓「………」

梓は遠くを見つめていた。思考に行き詰まり、手が止まっていた

梓「………」

さわこ「梓ちゃん?手が止まってるわよ?」

梓「………」

さわこ「……梓ちゃん?」

梓「…………詰まりました」

さわこ「え?」

梓「詰まったんです、追求に」

さわこ「詰まった?」

梓「はい…ここと、ここと、ここが分かりません」

梓はビッシリ文字が書かれた床を指差して言う。
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/24(月) 19:17:47.28 ID:K2xYCcHAO
さわこ「………そこが分からないの?」

梓「…はい、先生は何か分かりますか」

さわこ「私に聞いても無意味だってことはずっと昔から知ってるじゃない」

梓「……そうですね、すいません」

時々妄想と現実の区別がつかない。そしてそれを繰り返している。

さわこ「………」

梓「………」

さわこ「………あ!そうだ」

梓「何ですか?」

さわこ「瞑想なんてどうかしら?」

梓「…瞑想?」

さわこ「そう、瞑想。もしかしたら何かわかるかも」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/25(火) 19:32:36.74 ID:rTMZJSZAO
瞑想、梓はいつか授業で聞いたことがあったような気がした

梓「どうやるんですか?」

さわこ「うんとね、まずこうしてアグラをかいて、そして両手はおへそのあたりに置く」
さわこは自ら実践して説明する

梓「そして…どうするんですか?」

さわこ「うん、この状態で目を閉じる。そして集中力を高めて物事を考える。これが瞑想よ」

梓「へぇ…」

さわこ「何よぉ、随分疑わしそうな目で見て。とりあえずあなたもやってみなさい」

梓「はぁ…」

梓は言われるがままに瞑想のポーズをとる。そして目をそっと閉じた

さわこ「そう、そのまま集中するのよ」

梓「はい……」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/25(火) 19:40:42.04 ID:rTMZJSZAO
梓「………」

さわこ「…じゃあね梓ちゃん。答え、見つかるといいわね」

スッ

梓「………」

―――――――――
――――
―――――――――
梓「……………」

梓「……………」

集中力が高まってきているのを感じる。最初は慣れなかったが、1ヶ月ほど経つと大分慣れてきていた

梓「……………」

梓「……………」

尚も梓は瞑想を続ける。端から見れば彼女はとても異様な雰囲気を醸し出していた。

梓「……………」

梓「……………」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/25(火) 19:53:13.61 ID:rTMZJSZAO
―1千年後―

梓「……………」

紬「梓ちゃん♪美味しいお菓子があるわよ♪」

梓「……………」

紬「………梓ちゃん?」

梓「……………」

菫「せ、先輩!お姉ちゃんに反応してあげてください!」

梓「……………」

菫「先輩……」

紬「…いいのよ菫、梓ちゃんは今集中してるのよ。だから私たちが邪魔しちゃ駄目、行きましょ」

菫「う、うん……」

梓「……………」

凄まじい集中力だ。最早誰の声も届いていなかった。梓は空間との一体化を目指していた
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/25(火) 20:12:53.65 ID:rTMZJSZAO
―――――――――
そしてさらに月日は流れた。ここにきてとうとう一万年という膨大な時間が経過した。

梓「……………」

梓は無我の境地に達していた。誰も近づくことを許さない、そんなオーラを放っている

梓「……………」

梓「………!!!」

パッ

梓は長年閉じていた目をいきなり見開いた。久しぶりに開いた目はとても恐ろしく、狂気を感じさせている。

梓「…………あっ」

梓「ああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!」

梓は突然思いっきり叫ぶ。その雄叫びは空間のずっとずっと置くまで響き渡りそうなくらい大きなものだった
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/25(火) 20:14:19.74 ID:rTMZJSZAO
>>38
置く→奥
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/26(水) 15:39:46.88 ID:xQQiBs0T0
待ってるってばよー
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/26(水) 23:52:42.69 ID:fBUgRgzAO
梓「ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ」

梓「あああぁぁぁ………」

ひとしきり叫んだあとに数秒間黙りこんだ。そして梓は異常な行動に出る

梓「………あうっ…」

梓「………ううぅ!!!痛いっ!!!」

ズリズリズリズリ

梓は突然自分の足を思いっきり、かきむしり始めた

梓「……うああああああああ!!!痛いいいいいい!!!」

ズリズリズリズリ

梓「……あうっ!…………痛いよぉ……」

梓「………ウグ……ううう…」

ズリズリズリズリ

ひたすら太ももあたりをかきむしっている。意図は分からない
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/27(木) 00:01:47.02 ID:lTFwPS6AO
―3日後―

ブチッブチッ

梓「…ひぐっ!………ああああぁぁぁ………」

ズリズリズリズリ

肉がえぐれている。それでも梓はかきむしっており、血管や神経の切れる音が微かに響く

ブチッブチッ

梓「………ぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」

ズリズリズリズリ

梓はあまりの激痛に失神しそうだった。目が完全にイッてしまっている

ブチッブチッ

梓「……あ………ああぁ………」

ズリズリズリズリ
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/27(木) 00:10:33.39 ID:lTFwPS6AO
―2週間後―

梓「………」

梓は最早動くことのない自分の両足を見つめている。2週間かけて両足を切断した

梓「………」

梓は無言だ。再び魂が脱け殻のようになっている

直「…せ、先輩!なななな何やってるんですか!?」

梓「………」

直「先輩っ!!?」

梓「………えへへ」

直「!?」

梓「あは、あはははは」

梓は笑っている。その様子は自分を完全に失ってようにも見えた

直「………」

直は言葉を失っていた。いやむしろ梓が喋らせなかった
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/27(木) 00:12:47.29 ID:lTFwPS6AO
>>43
魂が脱け殻→魂のない脱け殻
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/27(木) 00:18:50.31 ID:lTFwPS6AO
梓「あははははは」

直「先輩っ!しっかりしてください!」

梓「……えへっ…………えへへへ」

直の呼びかけにもまともに反応しない

直「………」

梓「……くくく………くくっ……」

イカレタ目で直を見つめている

直「……ひ、ひいっ!」

スッ

直は恐怖を感じとうとうその場から消えてしまった

梓「………くくく………けけけ」

梓は不適な笑みを浮かべ続けていた
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/27(木) 17:45:19.48 ID:lTFwPS6AO
―さらに3日後―

ブチッブチッ

梓「……うっ………いだっ!」

梓は自分の髪を抜いていた

ブチッブチッ

梓「……うぐっ………あうっ…」

足を切断した時ほどではないが、これも流石に微かな痛みは走る

ブチッブチッ

梓「……くっ………うぅ…」

梓は抜き続ける。端から見れば完全な異常者だった
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/27(木) 17:54:03.87 ID:lTFwPS6AO
―1週間後―

梓「………」

ガチャガチャ

梓は着ていた服を脱いで、切断した足と抜いた髪の毛、そして自分の服を使って何かを作っている

梓「………」

ガチャガチャ

ここに来て時々何かを組み立てるような素振りを見せていたが、それを思い起こさせる作業だった

梓「………」

梓は無言のまま、ただひたすら作業を続けていた
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/27(木) 18:05:11.27 ID:lTFwPS6AO
―2週間後―

梓「……や、やった!できた!」

梓が作っていたもの、それはギターだった

梓「……やった……やった……ううう」

ボロボロのギターだった。髪の毛を弦にして作ったギター、骨と肉を上手く利用し、形を整えるために包んだ服は血で滲んでいる

梓「……こ、こうしちゃいられない!早速作業しなきゃっ!」

梓はこの膨大な時間を活かして作曲しようと考えていた。そのために身を削ってまでギターを作ったのであった

梓「……ふ〜ふ♪……ん〜ん♪」

ジャンジャン

梓は久しぶりの作曲に取りかかった。響くギターの音色はどこか不気味さを醸し出していた
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 18:16:50.71 ID:Lz6Ym4kro
後のサベルである
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/28(金) 19:30:36.62 ID:dfU4Kl3j0
なんか吐き気してきた・・・
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/28(金) 19:55:15.96 ID:q3hhhXdAO
梓「……ふんふん♪……ここは、こうした方がいいかな」

ジャンジャン

梓は以前、作曲に没頭している。自分の体の一部を犠牲にしてギターを作るというのは瞑想中に生まれた案だった。

梓「………あ〜あ♪……ららら♪」

ジャンジャン

梓「…ふ〜、ちょっと休憩しようかな。そうだ!研究の続きをしよっと」

カキカキカキカキ

梓は自分の身を犠牲にした割には妙に落ち着いていた。そして作曲、研究、瞑想と交互に繰り返して時間を潰していく。

梓「………」

カキカキカキカキ
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/28(金) 20:03:46.89 ID:q3hhhXdAO
―10万年後―

梓「………」

カキカキカキカキ

唯「…あ、あずにゃん!?」

梓「あぁ、せんぱぁあい、お久しぶりでぇす」

澪「久しぶりって…その足はどうしたんだよ!?」

梓「…えへへぇ……き、切っちゃいました」

梓は不気味な笑みを浮かべながら言う

律「切ったって…何でそんなことしたんだよ!?」

梓「……ギターあが、ほしかたんでぇすぅ」

紬「つ、作ったの!?自分の足で!?」

梓「はあぁい、作りましたぁあ…」

律「……何……何やってんだよ馬鹿!!」

唯「あずにゃん……ひぐ……何で…」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/28(金) 20:11:52.22 ID:q3hhhXdAO
梓「……どぅしてもぉ、欲しくてぇえ」

澪「だ、だからって自分の足を……」

紬「そ、そうよ梓ちゃん!何でそこまでギターを!?」

梓「……えへへぇ」

律「梓!ちゃんと答えろよ!」

梓「……先輩たちにはぁ、ないように見えますか?」

唯律澪梓「え!?」

梓「…私の足がなあぃなんて、嘘ですよぉ」

澪「な、何言ってんだ梓?」

梓「私、頭がおかしくなちゃって……つまり先輩たちの発言はぁ、意味がないんですぅ。現実と妄想の区別がぁ、つかなぃんですう」

唯律澪紬「………」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/28(金) 20:19:03.73 ID:q3hhhXdAO
梓「………そんなことより先輩方ぁ」

律「何だ?」

唯「な、何あずにゃん?」

梓「聞いて、ほしいぃ歌がぁ、ありましてえ」

澪「歌!?」

梓「はいぃ、5万年かけて作った初めての曲でぇすぅ」

紬「ご、5万年……」

梓「……天使にぃ、ふれたよのお返しですぅ、では聞いてくださあぁい!」

ジャンジャンジャンジャン

―――――――――

梓「※★*#〜♪」

ジャーン

唯律澪紬「………」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/28(金) 20:27:42.81 ID:q3hhhXdAO
梓は先輩達へ向けたアンサーソングを送った

律「………う、ううう」

唯「……うう………ひぐひぐ」

澪「……ぐす………ううう」

紬「……ううっ……ひっぐ」

唯たちは泣いていた。曲はとても洗練されていた。メロディーラインは素晴らしく、隙がなかった

梓「……えへへ…私のぉ……アンサーソング気に入っていただけぇましたかぁ?」

律「……あぁ、ありがとう……ありがとう梓」

唯「……すごかったよ、あずにゃん!」

澪「あぁ、素晴らしかった」

紬「私、驚いたわ!ここまでのモノが作れるなんて!」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/29(土) 18:44:31.44 ID:KPO9dgbAO
皆、梓に賞賛の声を送る

梓「………えへへ、良かったぁでえすぅ」

唯「……とっても良か*#」

律「あぁ!最高※☆£」

先輩達の声が遠のいていく

澪「私、久しぶりに感動※*#」

紬「私もっ!梓ちゃん§@&※」

梓「………」

もう先輩達の声は完全に聞こえない。梓の見えない観客への演奏会は終わった。

梓「……さ、また時間潰さなきゃ」

そう言うと梓は再び作業に戻った
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/30(日) 20:09:00.32 ID:xycC97PAO
ー100万年経過ー

梓「………」

カキカキカキカキ

随分時間が経った。慣れとは恐ろしいものだ、今の梓には1秒も1万年も変わらない。

さわこ「……梓ちゃん」

梓「………」

カキカキ

さわこ「梓ちゃん、久しぶり」

梓「……£%#※?」

さわこ「……えぇ、私よ」

梓「塘Ж♯?*¢#?」

さわこ「………」

梓「………?」

さわこ「………ねぇ、梓ちゃん………早いわ」

梓「♯※☆?」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/30(日) 20:22:00.44 ID:xycC97PAO
さわこ「えぇ、早いのよ」

梓「☆※♯?」

さわこ「私の質問に対するあなたの回答が早い。約2300先の会話の返答になってるわ」

梓「☆§*¢?」

さわこ「そうよ、だから私と話す時ぐらい普通に話しましょ」

さわこの言うことは本当だった。梓はわけの分からぬ言語で随分先の会話での返答をしていた。

梓「……すぁ……すいません」

さわこ「いいのよ、ここに来ればみなそうなる」

梓「何故か先が読めるんです。色々な会話のパターンが頭に浮かんできて…それで…」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/30(日) 22:06:37.69 ID:BGcSWR6L0
初めてリアルタイムでss見た
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/31(月) 04:38:56.01 ID:PJmWq4Wx0
おもしろい
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/31(月) 20:00:47.39 ID:a0YOhGMAO
さわこ「そうね、それにその言葉はどの言語よりも効率的で物事を進めやすい」

梓「はい。……ところで先生、私一つ気になってることがあるんです」

さわこ「何?」

梓「先生、あなたは私の幻覚や妄想の範囲を超えた存在なのでは?」

さわこ「……どういうこと?」

さわこはしかめ面で問いかける

梓「あなたはあなたでこの空間にいるのではないですか?あなたの発言や思考は私の能力の範疇を越えてる気がします」

さわこ「………」

梓「……先生?」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/31(月) 20:07:57.38 ID:a0YOhGMAO
さわこ「……そんなこと……そんなことないわ」

梓「………」

梓にはさわこが一瞬動揺したように見えた。

さわこ「…気のせいよ梓ちゃん、ここは一人で5億年間過ごす場所でしょ?」

梓「……はい」

さわこ「じゃあ私が存在するわけないわ、あなたの生み出した幻想よ」

梓「……そう………ですか」

しかし梓は心の片隅にある違和感を拭えない。

さわこ「………じゃあね、梓ちゃん。また会いましょ」

スッ

梓「………」

さわこはいつも通り消えたように見えた
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/31(月) 20:24:32.81 ID:a0YOhGMAO
―1千万年経過―

梓「………」

梓は新たなモノを求めて瞑想を続けている

■「……あず?§&☆?」

○「そこは、#%@こうせう!」

最近見知らぬ何かが話しかけてくる。人間ではない気がした。

梓「………」

しかし梓は集中力を切らさない。瞑想をモノにしている。

◆「あっちから!※&§$!」

▼「そんなとこ、分かれだよ!?」

梓「………」

これは幻聴だろうか。しかしどこか言ってることが的確なような気もした。

◎「……あば……ななな!!」

□「やーやーや、………」

次第にそいつらの言葉は遠のいた。別にそのぐらいの騒音は屁でもなかったがやっと静寂が訪れると梓は思った。
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/01(火) 20:06:05.13 ID:aV0DAUmAO
梓「………」

唯「…あずにゃん、ここに来て大分経ったね」

梓「………」

律「あぁ、すげーよ梓!私だったら1日でギブ!」

梓「………」

澪「さすが私たちの後輩だ!」

梓「………」

紬「うふふ、自慢の後輩よ〜」

梓「………」

梓はもういちいち反応しない。それよも早く本当の先輩たちと会いたいと思っていた。

律「でさー、唯は………」

唯「えー私はそう………」

いつも通り先輩たちの声は遠のいていく。内心は寂しいがしょうがない。
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/01(火) 20:21:21.91 ID:aV0DAUmAO
―1億年経過―

梓「………」

カキカキカキカキ

床に書かれてる内容は完全に人類の英知を超えた内容であった。見知らぬ言語、新たな計算式、はたまた絵のようなものが床一面びっしりと書かれている。

梓「……ふ〜」

梓は一息つく。1億年という節目、そして追い求め続けていた答えはあと2、3歩先にあるというような感じだった。

梓「………」

梓は遠くを見つめる。ここに来てからたくさんの曲を作り、真理なるものを膨大な時間をかけて追求した。

梓「私、これから先………」

梓は何か言いかけたが、途中で止めた。

梓「……さっ、あと少し!」

カキカキカキカキ

そう言うと再び梓は作業に戻った。
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/01(火) 20:33:09.07 ID:aV0DAUmAO
―3億7千万年目―

梓「……や、やった!」

梓は喜びの表情を見せている。

梓「やった…やった…とうとうここまで…」

この世界の答えまでとうとうあと一歩のところまで梓はきた。

梓「………でも」

梓「ん〜〜〜」

梓「えーと……」

おかしい。最後のパズルのピースが埋まらない。頭脳は人知を超えたレベルのはずなのに。

梓「……ど、どうしよう」

梓「分からない……」

突然の戸惑いだった。今まで比較的スムーズにいっていたものが最後の最後で詰まってしまった。

梓「何で…何で……」

カキカキカキカキ

どれだけ考えても、どれだけ書いても最後の答えは分からなかった。
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/01(火) 20:46:10.99 ID:aV0DAUmAO
―4億5千万年目―

梓「…何で何で何で何で」

あれからも考えたり、瞑想をして、最後の答えを求めたが結局分からずじまいだった。

梓「何でええええええええええええええええ!!」

梓「………」

梓「………ん?」

不意になしかしらの気配を感じた。距離感は分からない。しかしその気配は近づいてきてるような気がした。

梓「……な、何?」

梓「……!?」

また唯先輩たちだろうか。はたまたさわこ先生だろうか。

梓「………」

梓「……んっ!?」

近づいてきたのは人ではなかった。しかし形というものもない。だが今の梓にははっきり見えていた。
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/02(水) 02:02:47.62 ID:N6y55fEfo
見てるよ
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/02(水) 17:28:21.79 ID:VPYUnmQZo
俺も見てるよ
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/02(水) 19:55:27.76 ID:yU9ckZ7V0
お前ら正月から2chかよ!
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/02(水) 20:31:17.16 ID:c+fXFExHo
えっ
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/02(水) 21:18:31.06 ID:ZwJ+fgpp0
2chでは無いなvipserviceだな
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/02(水) 22:08:31.16 ID:7KFny1WAO
梓「…な、なななななな何!?」

梓の顔が強張る。体も小刻みに震えている。

?「………」

梓「………」

得体の知れぬソレは黙りこんでいる。そしてしばらくの間、梓を見つめていた。

?「………$¢£#*§☆※∝」

梓「!?」

口がないように見えたが、いきなりしゃべり始めた。梓の見つけた効率的な言語で。

?「Å♯ΕΨΠχЖЛ、◇$☆&#£」

梓「……あ………ああぁ」

梓の中に今までにない衝撃が走る。目の前にいるソレは、とんでもなく恐ろしいことを喋っていた。

?「仝ゞ△*※£?§§§§!!」

梓「ぁぁぁ……」

ジョーーー

梓は恐怖のあまり失禁する。動くことも出来なかった。
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/02(水) 22:17:41.15 ID:7KFny1WAO
?「………」

スッ

梓「……はぁはぁはぁはぁ」

ソレはひとしきり喋った後消えてしまった。梓は走ってもないのに息切れをしていた。

梓「はぁ、はぁ、はぁ………」

少し落ち着いてきた。しかしまだ足が震えている。

梓「……………」

梓は目を見開き呆然と立ち尽くしている。最後のパズルのピースは埋まった。しかしあまりにもショッキングな情報であった。

梓「……………」

梓は動き出すことが出来なかった。
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/02(水) 22:35:06.17 ID:7KFny1WAO
ー4億9千5百万年目ー

梓「…………」

梓はあれから動くことが出来ないでいた。もはや時間など気にもしていない。結果的に真理なるものを知ることは出来た。しかし到底受け入れられる内容ではなく、衝撃的なものだった。

梓「…………」

?「………梓ちゃん」

梓「………?」

久しぶりに声を掛けてくる者がいた。梓は振り返る。

さわこ「久しぶり梓ちゃん」

梓「……さ、さわこ……先生」

さわこ「……何か分かったみたいね、その顔は」

梓「……せ、せせ、先生!私どうしたら!」

さわこ「………心配ないわ」

梓「え?」
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/03(木) 02:23:43.34 ID:zFu13ChAO
さわこ「………」

梓「…な、何ですか先生!?」

さわこ「……梓ちゃん、この空間は何のためにあるか分かる?」

梓「え?」

さわこ「この空間よ、何のためにあるか」

梓「……ひゃ、百万円を貰うために用意された空間…ですよね?」

さわこ「…それだけ?

梓「え?」

さわこ「………」

梓「先生?」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/03(木) 02:29:56.54 ID:zFu13ChAO
さわこ「…ここにはね、ここには色々な人が来たわ」

梓「………」

さわこ「単純に欲にくらんで来る人が大多数だったけど、一方で違う人もいた」

梓「ち、違う人とは?」

さわこ「時間よ」

梓「は?」

さわこ「5億年という膨大な時間に惹かれてここに来る人もいたのよ」

梓「ど、どういうことですか!?」

さわこ「彼らはね、とっても頭の良い人たちだった」

梓「………」
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/03(木) 02:41:04.53 ID:zFu13ChAO
さわこ「ノーベル賞受賞者、並外れたIQの持ち主、国一の天才、本当に色んな人間がきたわ」

梓「そ、その人たちはどうなったんですか!?」

さわこ「………無意味だったわ」

梓「無意味?」

さわこ「そう。帰るとここの記憶は消えるって書かれてたでしょう?だから彼らは二度とここには来なかったのよ」

梓「……り、利益を求めてなかったからですか?」

さわこ「鋭いわね。そうよ彼らは地球に帰り、記憶がなくなり、そこで歩みを止めてしまった。このボタンを押しても何も起こらない、と思ってね」

梓「………」

さわこ「……でもね」

梓「?」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/03(木) 02:55:36.04 ID:zFu13ChAO
さわこ「ずーーーと昔にある?が来たのよ」

梓「はい?」

さわこの言葉が途中聞こえなかった。

さわこ「?はね、知能レベルが群を抜いてた。そして?は膨大な時間を求めて幾度となくここに来たの」

梓「じ、時間の方を求めて何度も!?」

さわこ「えぇ、私もビックリだったわ。そして?は150回目くらいで真理なるものを修正しようと試みたの」

梓「え!?」

さわこ「…信じられないわよね。私も唖然とする一方だったわ」
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/03(木) 20:16:14.79 ID:zFu13ChAO
梓「ちょ、ちょっと待ってください。私もここであらゆる側面から真理なるものを追求してきました。それを修正だなんて…」

さわこ「いいえ、それは間違っているわ」

梓「え?」

さわこ「あなたの求めていたものは一つの形にしか過ぎないのよ」

梓「…一つの……形?」

さわこ「えぇ、そうよ。結局、それは既存のものでしかない」

梓「き、既存……」

さわこ「そう、そして?はそれを変えようと試みたの」

梓「そ、そんなこと…」

さわこ「……そして?はこの空間からあるものを生み出したわ」

梓「…生み出した?何をですか?」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/03(木) 20:36:16.00 ID:zFu13ChAO
さわこ「宇宙よ」

梓「う、宇宙!?」

さわこ「えぇ、とても素晴らしい創造物だったわ」

梓「…ちょ、ちょちょちょっと待ってください!それはいつの話ですか!?」

さわこ「……確か…1千7百億年くらい前だったかしら」

梓「!?…そ、それって私たちが知ってる宇宙誕生の話より大分前じゃないですか!?」

さわこ「そうよ、今の宇宙は初めてじゃないもの。確か……3度目の宇宙のはず」

梓「そ、そんなめちゃくちゃな……」

さわこ「事実よ、そしてこの世界はその決められたら法則に基づいて動いているわ」

梓「………」

さわこ「無理もないわね、いきなりこんなこと聞かされて。でもあなたに近づいてきた?も似たようなことを喋ってたはずよ」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/03(木) 20:37:44.10 ID:zFu13ChAO
>>81
決められたら→決められた
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/03(木) 22:15:47.59 ID:zFu13ChAO
梓「そ、そういえば…」

さわこ「ねっ。そしてそれが?の功績でもあり、負の遺産でもあるわ」

梓「……神様ですか?」

さわこ「え?」

梓「その?は神様なんですか?」

さわこ「………違うわ」

梓「じゃ、じゃあ…」

さわこ「神様なんてこの世界にいないわよ、きっと」

梓「………」

さわこ「………私、そろそろ行くわね」

梓「え?ちょ、ちょっと先生!」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/03(木) 22:24:54.06 ID:zFu13ChAO
さわこ「後は自分でどうするか決めるのよ梓ちゃん」

梓「き、決めるって何を……」

さわこ「………じゃあね」

スッ

梓「あっ!消え……ちゃった……」

梓「………」

梓は謎だった。なぜさわこ先生が自分にあんな話をしたのか、そしてなぜ自分の頭にないようなことを言ってきたのか、これだけはいくら考えても分かりそうにないと梓は感じていた。

梓「………」

梓は再び遠くを見つめ、まるで振り出しに戻ったかのように途方に暮れている。
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/04(金) 20:34:16.62 ID:ghVVwTKAO
ー499999999年と365日目ー

梓「………」

とうとう最終日まできた。梓は一つの形として物事を理解した。しかしさわこ先生の言葉がどうしても引っかかる。

唯「す、凄いよ!あずにゃん!」

律「さっすが私の後輩だな〜」

澪「梓、よく頑張ったな!」

紬「お祝いに美味しいケーキなんてどう?梓ちゃん」

憂「おめでとう、梓ちゃん!」

純「正直梓がここまでやるなんて…」

菫「…わ、私感動しました!」

直「お疲れ様です、先輩」

存在しない外野が梓に向けて賞賛の声を送る。
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/04(金) 20:49:52.14 ID:ghVVwTKAO
梓「………」

しかし梓にその声は届いていない。梓は何も考えず、心を無にしている。

梓「………」

刻一刻と終わりの時が近づいていた。解放されるという喜びの一方で、どこか名残惜しいという気持ちがあった。

梓「………」

梓はジッとしたまま終わりの時を待っている。気のせいか白くもやもやしたようなものが梓を包んでいるように見えた。

梓「………ふぅ」

梓は最後に一息漏らす。とうとう終わりの時がきた。5億年間、終了。

梓「…ん!?きゃあああああぁぁぁぁぁぁあああああああ!!」

最初に引っ張られた時と同じような感覚が梓を再び襲った。

――――――――――
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/04(金) 21:19:31.23 ID:ghVVwTKAO
―――――――――

梓「………んっ!」

梓「………」

梓は帰ってきた。あの空間にいた記憶はない。

ガシャ

梓「あっ」

純「あっ!や、やっぱり百万円が出てきたよ梓!」

梓「ほ、本当にボタン押すだけで百万円が…」

憂「こ、怖いねこのボタン…」

純「何言ってんのさ!それ、連打しちゃえ!」

ポチポチポチポチ

梓「あっ!ちょっと純!」

ガシャガシャガシャガシャ

純「やったー!四百万ー♪」

菫「す、凄い…」

純「ほらほらー、梓も連打しちゃいなよ♪」

梓「……あ………ああ」

目の前の誘惑に理性がきかない。
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/05(土) 18:42:44.50 ID:efNY4gdAO
純「ほらほら梓〜♪」

純が札束をちらつかす。さらなる誘惑の波が押し寄せてきた。

梓「……あぁ………あああああああああ!!」

ポチポチポチポチ

梓は耐えきれずボタンを数連打した。

梓「…………んっ!?」

梓「……きゃ、きゃああああぁぁぁぁぁ!!!」

―――――――――

梓「………ンッ」

視界がぼやている。周りがはっきり見えない。

梓「………」

梓「……あ………あぁ!」

視界が徐々に慣れてくる。目の前にはあのおぞましい空間が広がっていた。

梓「……い、嫌ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

―5億年ボタン10往復コース、スタート―
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/05(土) 18:51:35.95 ID:efNY4gdAO
―――――――――

梓「………はっ!」

ガシャガシャガシャガシャ

純「……す、すすすす凄いよ梓!!一気に一千万!!」

憂「い、一千万………」

菫直「………」

みな唖然としている。夢か現実か区別がつかなかった。

純「と、とりあえず私たちこれでお金持ちだよ!やった―!」

憂「う、うん、でも何か…」

菫「い、いいじゃないですか!ただで大金貰えたんですから!」

梓「………」

ガチャ

ふと扉の開く音がする。誰か来たようだ。

さわこ「……あら、あなたたち」

一同「先生!!」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/05(土) 19:00:43.92 ID:efNY4gdAO
さわこ「どうかしたの?皆真剣な顔しちゃって」

直「あの、それが変なボタン…」

さわこ「ボタン?」

憂「は、はい、何かおかしなボタンが…」

その時だった。

?「きゃああああああああああああああああああああ!!」

いきなり部室に悲鳴が響き渡る。みないっせいにその声がする方を振り向いた。

純「きゃああああああああああああああああああああ!!」

梓「じゅ、純!?」

菫「純先輩!?」

悲鳴を上げていたのは純だった。狂ったように叫んでいる。

憂「ど、どうしたの純ちゃん!?」

純「ああああああああああああああああああああ!!」

純は叫びながら窓を指差している。一同はいっせいにその方向に目を向けた。
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/05(土) 19:10:27.57 ID:efNY4gdAO
梓「………あっ!?」

憂「………あっ」

菫「………あっ」

直「………あっ」

皆、「あっ」とだけ呟き窓を見つめている。

梓憂菫直「…………………………」

ドサッドサッドサッ

彼女たちは持っていた札束を落とした。まるで価値のないものであるかのように。

梓「…………う、ううう」

憂「あは、はははははは」

純「嫌ああああああああああ!!」

菫「……んん………んんん」

直「………」

少しして、それぞれが色々な感情をあらわにした。ある者は笑い、ある者は泣いて、ある者は叫んでいる。
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/05(土) 19:17:26.99 ID:efNY4gdAO
梓「ううぅ………ううう……」

ジャンジャン♪

憂「あはは、はははははは」

ジャンジャン♪

純「嫌…嫌ああぁ……」

ジャンジャン♪

そして彼女たちはいきなり楽器を演奏し始めた。まるで何かを確かめるかのように。

菫「……んあ……ああぁ」

ジャンジャン♪

直「………」

ジャンジャン♪

さわこ「…………」

さわこはその様子を神妙な面もちで見つめている。彼女たちの演奏している曲はあの空間で作った曲と、どこか似ているような気がした。



おわり
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/05(土) 19:18:42.36 ID:efNY4gdAO
一応終わりです、途中まででも読んでくださった方々ありがとうございました!
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/05(土) 22:26:17.15 ID:7aqERXd80
狂気を感じる。
とりあえず乙。
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/06(日) 07:09:41.54 ID:Op+q2UB5o
だ、誰か解説を...
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/06(日) 14:28:01.97 ID:iLm6kG7E0
俺からも願します。
誰か「?」の解説ください。
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/06(日) 14:33:57.39 ID:gZqTwt1h0
なるほどわからん
150回目のチャレンジで真理の修正を試みた人がいるってことは記憶のリセットは完全なものじゃなかったのかな
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 17:06:32.45 ID:JUt0VQTho
と言うか>>97+外を見たらあの白い部屋だったとかそんなオチを予想
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 17:16:02.34 ID:5Wi8WG7Ao
ラストもだけど先生がなんだったのかわかんねぇ
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/09(土) 12:44:41.10 ID:r03kn+qu0
誰か解説を頼む
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 13:28:57.45 ID:YGxEdIb20
いい加減、>>1は依頼出しておけよ。
さもないと、変なマジキチ文の荒らしに乗っ取られるぞ。
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