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ヘルメスは空を飛ぶ(Hermes fly in the sky) - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/12(水) 20:18:59.29 ID:tMpdS1yj0


男の名を、津島と言った。

津島は、フリーターだ。

いろいろなバイトを転々としながら、最低限の暮らしをしてきた。


津島(・・・あー、だりぃな・・・・)


コンビニのゴミを片付けている津島は、ふと途方に暮れた。




俺の人生は、こんなもんなんだろうか




高校を中退し、夜の世界に紛れていたときがあった。


俗に言うコソ泥という物だが、津島はそれが快感だった。

色々覚えた。ピッキング、スリ、クライミング・・・。


津島は、鬱屈した日々から解放されていた気分だったのだ。


しかし、4度にわたる逮捕で津島はコソ泥のグループから抜けることにした。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1355311139
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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/12(水) 20:33:34.53 ID:tMpdS1yj0


津島(・・・・)


一般的な生活を送るようになった津島を待っていたのは、苦痛だった。




何もかもが統率され、すべてが時間に制約された・・・退屈。




津島には、人生における限られた時間を無駄に浪費しているようにしか思えなかった。





女性「こんばんわ。」




津島は我に返った。


若い女性が話しかけていた。


黒いロングの髪、小さめの顔に似合わない大きな縁のメガネ、顔とおなじく体も小さく華奢なカラダをしていた。




津島「・・・」



女性の挨拶に、頭だけ少し動かし無言で挨拶を返す



女性「あ、あの・・・」


女性は、うろたえたような感じで津島に話しかけてきた。



津島「・・・はい、なんでしょう?」


女性「えと、えっと・・・・」



しばらく流れる沈黙



女性「やっぱなんにもないです!」




女性は、コンビニの中に入っていった

3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/12(水) 20:50:20.19 ID:tMpdS1yj0


津島「何だったんだ・・・・?」


挙動不審な女性が入っていくのを見届けて、ゴミの片付けを再開した。


もう、十一月も終わり。底冷えする寒さが津島を襲う。



津島(・・・・クソッ・・・)



何もかもが不満まみれだ。




4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/12(水) 21:38:20.24 ID:tMpdS1yj0


コンビニの店内に戻ると、女性がおにぎりやパンを購入しようとしていた。


津島(あの女・・・・知り合いかな・・・)


さまざまに思い巡らしてはみたものの、女性の顔を思い出すことが出来ない。



津島(誰かに間違われてんのか、俺・・・)



スタッフルームに向かう最中に、もう一度顔を確認してみたがやはり知らない人間だ。



津島「ま、いいか。」



スタッフルームに戻ると、津島は椅子に腰掛けた。


しばらくボーっとしていると、香坂が休憩に入ってきた。



香坂「よ、津島。・・・しけた顔してんなーまじで。」



香坂は、津島のバイト仲間で、同じ時期に入ったので仲は良い。



津島「香坂か・・・。」


香坂「なんだよー!その邪魔くせぇ奴が入ってきた、みたいな感じは!」


津島「なんにもねぇよ・・・。」


香坂「あ、そういやさ。さっきのあの子、見た?」



津島「さっきのあの子?・・・でかいフレームのメガネかけてた女か?」


香坂「そうそう!あの子、ちょっと地味だけど可愛くない?」




津島「さぁな。俺は地味だって印象しか無かったけど?」


香坂「ふーん・・・あっそ」


香坂は、壁にもたれかかりました。


津島「あ。」


香坂「ん?」


津島「俺さっき、あの女に声かけられた。」


香坂「マジで!?・・・うわー、ないわー。お前かよ〜」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/12(水) 22:42:02.90 ID:8OeVlzoZ0


津島「何だその言い方。」

香坂「いや、腹立つなと思って。」



津島「ずいぶん正直だなwww」


香坂「で・・・なに話したんだよ。」


津島「何にも。」


香坂「はぁ?」


津島「女から声をかけてきたけど、よくわからねーうちに逃げた。」



香坂「・・・もはやその話の意味がわからねーよ」


津島は立ち上がると


津島「レジ行ってくる。」



香坂「あいよー」



6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/12(水) 23:06:34.39 ID:8OeVlzoZ0


津島はレジの女の子と交代してそこに立った。


しばらくすると、一人の男がやってきた。



黒いスーツをきた男だ。


頭は、オールバックで髪がまとめられている。


津島「いらっしゃいませ」



男は、品物には目もくれず津島の方へ歩いて行く。



津島(・・・・何だ・・・?)


津島の目の前で立ち止まった。


津島「・・・何でしょうか。」


男「ラキスト。」


津島「え?」


男「聞こえなかったか?ラキストだ。」


津島「あ、はい。」


後ろの煙草の棚からラッキーストライクをとると、カウンターにおいた。


津島「440円です。」


男「・・・・高い」



津島「・・・・は?」


男「高い。」


津島「いや、高いって言われましても」



男はカウンターに小銭をおく。

320円。






7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/12(水) 23:13:44.18 ID:8OeVlzoZ0


津島「足りないです」

男「これだけしかだせん。」

津島「・・・なら、無理です。帰ってください。」


男「・・・」


津島「ルールってあるでしょ?」


津島「規律を守れない奴に、物は売れない。」




津島は、男を睨んだ。



男「・・・規律か。いつからそんなクソみてぇなモンに執着するようになったんだ?津島。」



津島「・・・なぜ・・・俺を・・知ってる?」


男「今、暇だろ?」


男は、スラックスから携帯用のナイフをだし監視カメラに映らないように津島に向けた。



8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/12(水) 23:38:58.22 ID:8OeVlzoZ0


今日はここまでです
9 :ネルチー ◆bk8TpmBxRM [saga]:2012/12/12(水) 23:43:51.72 ID:i6cHGoA/0

がんばりなー

期待
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 00:27:26.82 ID:cqaCO2TVo
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/13(木) 07:03:51.61 ID:yEXyVW4q0

バイトを抜け出した津島は、男に連れられて車に乗った。




男が運転席、津島は助手席。



車は、ゆっくりと動き始める。


男「津島。」


口火を切ったのは、男だ。


津島「・・・なぜ俺の名前を?」


男「・・・・コソ泥から足洗ったって、お前の情報は逃げていかねぇんだよ。」


津島「・・・!!お前・・・」


男「・・・デカい仕事がある。」


津島「デカい・・・仕事?」



男「あ、これ被っといて。」


男は思い出したように、黒い頭巾を取り出し津島に渡した。



津島「・・・俺はもう・・・」


男「被っといて。」



津島は少しためらう様子を見せたが、取り敢えず被った。




チクッ




直後に、腕に痛みが走った。



車体が少し揺れる。

男「ふぅん。素人でも打てるんだな、注射って。」

男の声が響く。

津島の意識がゆがむ。

真っ暗な世界で全てが溶け出す。

津島「うぁ・・・・!!」


・・・・・・。



12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/13(木) 07:22:05.70 ID:yEXyVW4q0


津島が感じたのは、頬に感じた鋭い痛みだった。


津島「うわ・・・・・。」


津島が意識を取り戻した瞬間、また痛みが襲った。


男「おい、おーきーろー。」


目の前には男が座っている。


どうやら、男が津島の頬を叩いて起こそうとしていたらしい。


男「お、起きた。」


津島「・・・クソ野郎・・・なにすんだ・・・」


男「いや、ちょいと薬が効きすぎたみてーだったからな。」


津島「薬・・・?」


男「ペントバルビタールナトリウム。知ってる?知らねーよなぁ・・・」



津島「・・・・」


頭がズキズキと痛む。

辺りを見回した。


綺麗な四つ角の部屋だ。


しかし、コンクリートが打ちっぱなしになっていて無機質な感じがする。

津島「・・・あれ?」

津島が体を動かそうとしても動かない。



アクション映画によくあるように、椅子に座らされて手を椅子の後ろで縛られ足は椅子の脚にガッチリ固定されている。


男「なぁ津島。」


男は話を続ける。


男「お前、何回パクられた?」


津島「・・・・」


男「おいおい、つれねーなぁ。言えよ、津島。」



津島「・・・4回」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/13(木) 12:15:34.30 ID:71aaPIBw0


男「4回か・・・」


男は、ラッキーストライクを口に咥えると火をつけた。


男「・・・面は割れてるか。」


津島「警察にか?」


男「あぁ。」


津島「もう・・・足を洗ってから6年だ。誰も覚えちゃいないさ。」


男「成る程ね。」



男は煙を深々と吐き出した。




男「2月のはじめにな。現ナマ積んだ輸送車がカジノに行くんだわ。」







14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/13(木) 13:04:10.82 ID:71aaPIBw0


津島「・・・」


男「金額は4億5000万。」


津島「・・・何が言いたい。」



男「・・・・大体、わかるだろ。」



津島「襲撃して盗めってのか?」



男「違うなぁ、残念だが。」


津島「は・・・?」


男「盗ってきて貰いたいのは、30億だ。」



津島「・・・!?・・・どういうことだ。」

男「カジノの金庫にある金全部。30億を盗むんだよ。」


津島「・・・断る。」


男「あー・・・・クソ。絶対いうと思った。」


男はタバコを咥えたまま、怠そうに立ち上がると




男「俺ぁ、映画が好きでな。」


全身鏡をガラガラと引きずってきて言った。


男「ミッションインポッシブルって映画知ってるか?ガキん時、俺はフィリップホフマンの真似事をしたくてしょうがなかったんだが」



男「まさかこんな形で叶うとはな」


全身鏡には津島が映っている


男「ふっふふーん♪」


男は拳銃を取り出すと津島の鼻に銃口を突っ込んだ


男「ゲーム開始だな。」








15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/13(木) 13:09:17.36 ID:71aaPIBw0




ちなみに過去作です。


キモオタ「よ....余命3ヶ月...?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1354782882/
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 19:44:57.65 ID:dyAZt8MT0

津島「う・・・ぉ・・・」


津島が目を覚ましたのは、知らないアパートのベッドの上であった。


津島「・・・どこだここ。」


津島は起き上がると、部屋を見回した。



丸机の上に『PLAY ME』と書かれたカセットとプレイヤーが置かれていた。


津島「・・・趣味悪ぃな。」


カセットを取ると、プレイヤーの中に入れて再生した。






17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/13(木) 20:40:17.06 ID:TT3Uu/aMo
私はヘルメスの鳥
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 17:47:27.44 ID:0sXg0jx+0


『やぁ、津島。君は泥棒だ。もっとも・・・・過去を清算した気になってるだけのピエロに成り下がったみたいだがね。』



年配の男の声が流れた。


『デイモスには、少しばかり説明をさせているだろうから一体何が起きているかどうか、狼狽えることも無いだろう。』



デイモス・・・。津島のことを知っていた男の名だろうか。



『6年前、君を含めグループの半数以上が検挙されたあの事件以来・・・君は盗みをせず、光の下で真っ当な生活を送っている・・・。』



『だがしかし、思い出して欲しいのだよ。あの・・・非日常の中に身を置いていた時を。』



『君は、検挙数が多いとはいえスキルはある。だから・・・計画に参加して欲しいのだ。』



津島は、プレーヤーを置いた。


津島(バカじゃねぇのか・・・。)





『言っておくが、これは私からの願望では無い。命令だ。』




プレーヤーから、そんな声が聞こえた。



津島(なに・・・?)



『君の頭の中には、爆弾が埋め込まれている』



津島「ばくっ・・・・!?」



『ま、映画では大体そうだろうな』




『だが、発信器が君の体の中にあることは確かだ。』




19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/14(金) 18:05:44.89 ID:0sXg0jx+0



津島「発信器・・・」



『最も君が信じるかどうかは、また別の話だがね。』



一息おいてから、プレーヤーの男は話し出す



『計画の算段を話すのはまだだ。私の話を信じないなら、この部屋から出て行って貰ってもかまわないからな。』



『やる気が無いものに何かを任せると言うことは、非常に愚かなことだ。わかるだろ・・・?津島、いやヘルメス君』





カチッ・・・・・・




カセットはそこで途切れた。



津島(何だったんだ・・・・。クソ、気分わりぃな・・・)



津島は、そのまま部屋を出ようとして気づいた。




ポケットの中に何か入っている。




津島「おい・・・嘘だろ。」




カセットがもう一つ。




そこには、『Paradise Lost 』と書かれていた。



津島「・・・・失楽園。」











20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/13(水) 09:59:30.13 ID:mQkaqLwe0
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