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わんこ「わふっ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 19:57:15.94 ID:bltL2SCR0


あるところに、それはそれは大層可愛らしい、わんこがいました。






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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 20:00:11.34 ID:bltL2SCR0


わんこは何時何処で自分が生まれたのかは、覚えていませんでした。


親がどんな顔だったかすら知りません。


でも、わんこはそんなことは気になりませんでした。



へっちゃらだったのです。


3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 20:04:00.62 ID:bltL2SCR0


生まれてしばらくは、一人で過ごしていました。


わんこに兄弟がいたのかも知らないからです。


でも、わんこは小さな足を力一杯踏みしめて街を歩き回りました。


街は、雪が降っていました。



クリスマスだったのです。








4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 20:10:54.47 ID:bltL2SCR0


街は、いつもより活気付いていました。


少し通りのほうへ出てみると、小さなわんこを踏み潰してしまいそうなくらい、怪獣のような大きい人たちが足を早めて歩いています。



クリスマスですから、きっと人々は、愛する人の元へ急いでいたのでしょう。


それぞれがそれぞれの想いをもって。


クリスマスを知らないわんこは、雪の降る街を一生懸命歩きます。

ですが、人々とはまた気持ちは違いました。

何故なら、わんこには愛するものがありませんでしたから。




5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 20:17:30.75 ID:bltL2SCR0


わんこはお腹が減りました。


なにしろ、その日は美味しいものを食べていませんでした。


いつも家であるダンボールにいるとご飯をくれたおばさんが、今日はきてくれませんでしたから。


わんこは、自分でご飯をとってこなければいけなくなりました。


わんこは、今まで人通りの少しあるところでご飯をもらって過ごしていたので


自分でご飯を取るということが出来ませんでした。





6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/17(月) 20:40:30.55 ID:GpkNY1p/0
わんこはどうした
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/17(月) 21:13:08.98 ID:6M8QaTojo
▼o・ェ・o▼
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/17(月) 21:13:11.32 ID:b8e369smo
やめろおおおいいいいいい
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 21:23:30.24 ID:bltL2SCR0


何をしていいかわからないので、とにかく歩き回りました。


でも、わんこに目を留める人はいません。

みんな、早足で去って行きます。


わんこは考えました。


何で、僕にご飯をくれないんだろうと。




10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 21:31:44.46 ID:bltL2SCR0


結局、考えてみてもさっぱりわかりません。

わんこにとって、ご飯をもらうのは当たり前だったのですから。


わんこはまた歩きました。


すると、通りの真ん中までやってきました。


真ん中には、大きなクリスマスツリーがありました。


わんこはツリーを見たことがなかったので、ビックリしてしまいました。


わんこは尻尾を振りながら上を見上げました。


赤、青、色んな光が現れては、消えてゆきます。









11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 21:42:52.08 ID:bltL2SCR0


近寄って匂いを嗅いでみましたが、美味しそうな匂いは、全然しません。


人からみたら綺麗なツリーでも、わんこには食べられないただの大きな物でした。


ツリーに興味をなくすと、わんこはそこに座り込んでしまいました。


お腹が減りすぎて、動くのもイヤになってしまったのです。

わんこがボーッとしていると、レコードショップからおじさんが出て来ました。



「おい、わん公」



おじさんは、わんこに気付くとそういいながらわんこのところに来ました。






12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 21:50:18.12 ID:bltL2SCR0


「どうしたんだ?今日は天下のクリスマスだぜ?」


わんこには人の言葉がわかりません。


「わふっ」


ご飯をもらえそうだったので、鳴いてみました。


「お前の主人はどこに行ったんだい?」



「わふっ」



「・・・・成る程。お前さん、野良って訳か。」


おじさんは、ポケットから手を出すとわんこを拾い上げました。


「おうおう、軽いねぇ。ろくなご飯、食べてねぇだろ。」


わんこはなぜ持ち上げられたのかわかりません。


「おーよしよし、ここで会ったのも何かの縁だ。おじさんが美味いもん、作ってやるからな。」


「わふっ!」




13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 22:08:19.67 ID:bltL2SCR0


おじさんは、レコードショップに戻るとわんこを抱えたまま店の奥に入って行きました。


おじさんの店は家でもあります。


キッチンに着くと、ミルクを温めてくれました。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/17(月) 22:10:25.16 ID:i45zoJsIO
(´;ω;`)ブワッ
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 22:23:15.12 ID:bltL2SCR0


「ほら、あったかいぞ。飲め飲め」


おじさんは、お皿にあっためたミルクを入れるとわんこにそれをあげました。


わんこは一口舐めてみました。


とってもあったかくて、ふんわりとした甘さに、わんこは


「ふっふっ、わふっ」


と喜びました。


「おー、美味いか!今日は寒いもんなぁ・・・」


尻尾を大きく振りながら夢中で飲みました。


16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 22:39:12.20 ID:bltL2SCR0


あっという間に、お皿はカラッポになりました。


わんこは満足しました。


「へっへっ、こいつはおじさんからのクリスマスプレゼントって事にしといてくれよ」


おじさんはお皿を片付けると、居間にわんこを連れて行きました。


「しっかし、お互いひどいクリスマスだなわん公。こうも寒いとイヤになっちゃうな。」


わんこをソファーに座らせ、おじさんはその横に座りました。


「ま、しばらくここで休んでいきな。どうせおじさんも一人だ。」


わんこには、何を言っているかわかりません。


「ちょっと前だったら、お前さんのところにはあのばあさんが座ってたんだぜ。」


おじさんの指を指す方向には、写真立てがありました。


そして、そこには微笑んでいる女の人の写真が一つ。




17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 22:59:38.05 ID:OLGeFbT50


「俺の奥さんだ。・・・一昨年、死んじまったけどよ。」


おじさんは、少しさみしそうな顔をしていました。


「わんっ」


わんこは、おじさんの足に乗っかりました。


「おいおい・・・。慰めてくれんのか。」

おじさんは、わんこの頭をガシガシと撫でました。


「ありがとよ。」


おじさんの手は、少しゴツゴツしていたけれどとっても大きくてあったかかったのです。


「うぅー」


「はっはっ、今年は二人でクリスマス祝おうか!」




雪は、まだ降り続いていました。


18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 23:06:52.20 ID:OLGeFbT50


わんこは、夢を見ました。


女の子が、わんこの事を撫でています。


『うわぁー、わんこのからだって、すっごいポフポフだー』


わんこは、少しめんどくさいなぁと思いながら黙っていました。


『えへへ、あったかーい』


女の子は、わんこにぴったりとくっつきました。


『わぅ』


『ふふっ、わぅ。』


19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 23:16:58.02 ID:OLGeFbT50



ガラガラン・・・・。


店のベルがなりました。


わんこが目を覚ましておじさんのほうをみると、おじさんはもう着替えていて

「はいはい」


といい、レジの方へ行ってしまいました。



わんこは、おじさんの後について行きました。


「おいおい、おじさん今忙しいんだけど・・・・ま、いいか。」



レジにつきました。


「やぁ、おじさん。」


レジの向こうっ側に、背の高い、まるでクリスマスツリーのような人がいました。


「おう。娘ちゃんは、元気かい?」


「えぇ、元気よすぎて家具を壊してしまうんじゃないかといつも心配です。」


おじさんとツリー人間は、笑顔で話しています。


20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/17(月) 23:32:23.74 ID:OLGeFbT50


「そういや、娘ちゃんにプレゼント買ってやったのかい?」


「それが、実はまだなんですよ。言い訳にはならないですが、仕事で遅くなって。」


「それはいけねぇな。」


「えぇ。ですから妻にレコードでもあげようかと思ってるんですが、娘は何が欲しいかさっぱり言わないらしくて。」


「嫁さんにもプレゼントやんのかい」


「えぇ。レコード、好きでして。」


「そっかそっか」


21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/18(火) 00:16:26.40 ID:brP11WJV0


ツリー人間は、おじさんの後ろにわんこがいるのを見つけました。


「あれ、おじさんその子・・・」

「ん?・・・あぁ、昨日そこのツリーの前で見つけてな。野良だったからとりあえず一泊させてやったわけよ。」


「へぇー、まだ子犬なんですね。」


「ん、そうだな。」

「名前とかつけたんですか?」


おじさんは鼻をかきながら言いました。

「いや、つけてねえよ。」

ツリー人間がレジのところに回り込んで

「よしよし、可愛いなお前は。」

おじさんの手とは違って、少し痩せている感じがしました。

でも、あったかさは同じくらいでした。

「うぅー」

「なぁ。」

「はい?」

ツリー人間はおじさんの方をみました。

「パパさんが仕事で忙しいんだったら、寂しいんじゃねーか?だからよ、娘ちゃんの欲しいものって・・・・」

ツリー人間、もといパパさんと呼ばれた人は

「あー・・・・わかりました。」






22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/18(火) 00:31:15.49 ID:brP11WJV0



「『あれ』・・・だったんですかね。」

パパさんは合点がいった顔をしました。

「・・・よし!じゃあ、うちでレコード買ったら今日だけ特別サービス。わん公つけるぜ。」


おじさんがにこやかに言いました。


「え、いいんですか?」

「こいつとはクリスマスを一緒に過ごした仲だ。大事にしてやれよ?」


おじさんはわんこの頭をまたガシガシと撫でました。


「・・・ありがとうございます」



パパさんは、レコードが並ぶところから一枚とってレジのところにおきました。


「ほぅ・・・?」



「どうせなら、今年の贈り物はこれがいいかなって」



『子犬のワルツ』



「へっへっ、いいんじゃねーか?」


おじさんがレジを打ちながらそう笑っていました。


「はい、おつり。」


パパさんはレコードとお釣りを受け取ると、わんこのところにきました。


「よし。・・・名前決まってないけど今日からよろしくな。」


わんこを抱えました。


「おじさん、ありがとうございました。また家族で来ます。」


「おう、二人によろしく言っといてな。」


おじさんは大きく笑いながら、付け足して言いました。


「喜ばせてやれよ、忘れん坊サンタ。」


パパさんも笑いました。


「メリークリスマス」




23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/18(火) 08:03:27.99 ID:lCISmUVx0


レコードショップを出たパパさんは、わんこに話しかけました。


「はぁー、お前のお腹はあったかいなぁ。」


わんこはパパさんの歩く度に体が大きく揺れます。


最初は気持ち良くなかったのですが


しばらく揺れているとそれが心地よく感じられました。


「わふっ、わふっ」


「はっはっ、どこに連れていかれるのか心配かい?」


24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/18(火) 08:13:48.03 ID:lCISmUVx0


何もわからなかったわんこには、どこに連れてかれるかあまり関心はありませんでした。


パパさんの腕の中で、わんこは周りを見渡します。



クリスマスの翌日は、昨日と違ってあまり人通りもありませんでした。


あんなにチカチカと輝いていた、ツリーでさえクリスマスが終わって残念がっているように見えました。



空を見上げると、薄い青の空に大きな雲がプカプカと浮かんでいました。


わんこには、大きな雲は物凄く美味しそうに見えました。


「わん」


「んー?どうしたんだい?」


「ぅふっ」


「女の子みたいに鳴くなー」


パパさんとわんこは、通りをずーっと歩いて行きました。


25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 08:44:24.43 ID:RuBEwkLIO
イイハナシダナー
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 13:37:38.88 ID:28IFrKYMo
;;
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 14:48:13.60 ID:szCM0B5j0
かわいいわんこ

28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 17:01:55.00 ID:VS8fOaR80


通りを抜けてずっとまっすぐ歩いて行くと、二つの道に分かれていました。


パパさんは、左の道に入っていきました。


「散歩とかいったら、どっちか迷っちゃうだろうなぁ」



またまっすぐ歩いて行くと、一軒の家の前で立ち止まりました。



「ほら、ここだぞ〜。今日からお前が住むお家だ!」


パパさんは、家を指さします。



わんこは、あのでっかい建物のなかにご飯が一杯あるのかな、と思いました。



正面の門を開けて入り、玄関の前に来ると



「よし、じゃあちょっと大人しくしといてくれよ・・?」


腕からわんこを下ろしました。


わんこは走り回りたい気分では無かったので、その場でじっとしていました。


鍵をポケットから出して、それを差し込みながらパパさんは


「おぉ、偉い偉い。ちゃんと言うことはきいてくれるのか。」



といいました。



29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 17:17:23.65 ID:VS8fOaR80


ドアを開けると、パパさんはまたわんこを拾い上げてわんこを見ながら言いました。


「ようこそ、我が家へ!!」



ドアをくぐると、


「ぱぴぃ!おかえりーー!」


少女の声と、どたどたという足音が聞こえてきました。



「おー、娘。ただいまー」


パパさんはにっこりと笑いながらいいました。



「ぱぴぃ、クリスマスなんで帰ってこなかったのー!?」



「うっ・・・痛いところをつくなぁ・・・。ごめんね。パパ、仕事で帰れなくなってたんだ。」



「お仕事たいへんなの?」


「うん。でも、娘ちゃんの顔見たらそんなのへっちゃらになっちゃうな。」



「へへー、ぐっどらっく、だね!」


「ははっ、そうだね。」


娘ちゃんとパパさんは握り拳から親指だけ立て、親指同士をくっつけました。



「・・・?ぱぴぃ、それなぁに?」



娘ちゃんは、パパさんの腕の中でぼけーとしているわんこに気がつきました。



30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 17:36:40.65 ID:VS8fOaR80

「ん?あぁ、この子はね。・・・パパがいつも忙しくて遊んであげられないから、この子に相談したのさ。娘ちゃんって女の子が居るってね。」

「うんうん、それでこの子は何て?」


「是非遊んでみたいって。娘ちゃんの友だちになってみたいそうだよ。」



「この子が、私のともだちになってくれるの?」


娘ちゃんは、蒼い目を大きく開いて嬉しそうに言いました。


「そうさ。じゃあ、リビングに行って一緒に遊んで貰おうな。」

「やたー!はーい!!」


走り出そうとして、娘ちゃんは止まって言いました



「あー、ぱぴぃ。おかえりのちゅー」


「えー、今かい?」


「はやく!」


「はいはい。」


パパさんと娘ちゃんは軽く口づけしました。


パパさんは、靴を脱ぐと娘ちゃんの後を追うように、廊下を通りリビングに行きました。




「あら、おかえりなさい。」


リビングでは、ママさんが掃除機をかけていました。



パパさんは、ママさんに近寄ると


「ただいま。ごめんな、取引先とのこじれが大きくなっちゃって・・・」


「うぅん、いいよ。大変なのはわかってるから。・・・って、その子は?」


ママさんもわんこに気がつきました。


「へへっ、レコード屋のおじさんから貰ってきた。通りの真ん中で立ち往生してたんで、保護したんだってよ。」


「レコード屋さんで?・・・へぇ、いいじゃない。子犬なのね、可愛いわ。」


腕に抱えられたままのわんこのほっぺに少し触れると、ママさんは少し笑って


「ロシアに住んでたころも、犬は飼ってたのよ。」


薄い金色の髪の毛を耳にかけて、娘ちゃんと同じ青い瞳をわんこに向けながら言いました。


31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 17:40:32.71 ID:ZO0gdimoo
日本なのか?
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 17:49:50.85 ID:VS8fOaR80


「それは知ってたけど・・・ハスキー?」


「サモエド、よ。」


そんな会話をしていると、娘ちゃんが


「ねーねー、ぱぴぃ!わんこ、おともだちになってくれるんでしょう?」


とパパさんのスーツの裾を引っ張りました。


「ん、あぁはいはい。・・・わんこ?」


パパさんは、わんこを娘ちゃんに渡しながら言いました。


「うん!わんこちゃんでしょー?」


「娘ちゃんが名前、付けたのかな?」


「違うよ、わんこがそう言ったの」



パパさんは不思議そうに、娘ちゃんはキラキラとした目でわんこを見ました。



わんこは、何が起きているのか分からなかったので



「わふっ」


と鳴きました。


「ほら、そうだって言ってるよ−!」


「そうね。娘ちゃんは、わんこのことばが聞き取れるもの。」


「うん!」


「えー、本当かい?そりゃ、すごいぞ!」


「ぱぴぃ、うわーい!」


「娘ちゃん、うわーい!!」

「ふふっ・・・クリスマスの分は返上できたみたいでよかったね。」


「はははっ、本当にそう思うよ」











33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 18:15:13.11 ID:VS8fOaR80


>>31

パパさん→日本人

ママさん→ロシア人

娘ちゃん→日本とロシアのハーフ
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 18:21:50.50 ID:VS8fOaR80


わんこは、困りました。


ご飯があるのかと思ったら、いまや知らない女の子の前に座っているわけですから。


「ねー、わんこ」


「ほんとに私のおともだちになってくれるの?」


「・・・わん」


「ほんとのほんと?」


「わん」


「いやったー!」


娘ちゃんは、自分の手よりもちっちゃなわんこの前足をにぎにぎしながらいいました。


「よろしくねぇ!」


前足をぶんぶんと振られ、わんこはされるがまま、ぐわんぐわんと上下左右いろんな方向に揺れました。


「わふぅ」


35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 18:42:17.36 ID:VS8fOaR80


わんこと娘ちゃんが遊んでいるのを端から見ていたパパさんとママさんはコーヒーを飲みながら話しました。



「娘ちゃん、楽しそうねぇ。」


「あぁ、そうだね。」


「お姫様の気分も良いみたいだし、サンタさんも満足でしょう。」


「まぁね。・・・おじさんが言ってたのさ、あの子が欲しい物はきっと『友達』だって」


「おじさんが?」


「うん・・・。」


「そういえば何でレコード屋さん行ったの?」


ママさんのことばに、パパさんは思い出したようでした。


「そうだ、君にも贈り物があるんだ。」


ママさんは意地悪っぽい笑みを浮かべて言いました。


「あら、私にも?今年は特に良い子でいたつもりはなかったんだけど」


「サンタからの預かり物じゃ無いぜ。僕からのクリスマスプレゼントだ」



パパさんは、『子犬のワルツ』のレコードを机の上に出しました。


「母娘揃った良いプレゼントだと思わないか?」


ママさんはレコードをしげしげと眺めました。


「わんこと、『子犬のワルツ』か・・・。ま、許容出来る範囲かな♪」


「ふっ、なんだよそれ。」


レコードをおくと


「私からも、クリスマスプレゼントがありまーす。」


とママさんは言いました。


「え?」


「あなたの性格だったら絶対買ってくるだろうと思ったから・・・」



「ほんとに?やった。ありがとう。」


36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 18:50:07.89 ID:VS8fOaR80




「じゃあ、今から出すので目をつぶっていてくださーい。」


パパさんはママさんに言われるがまま、目をつぶりました。


「うんうん、期待しちゃうぜ?」


「お金はかかってないんだけどね。」



「ははっ、先にそれいっちゃうのかよ」



「うりゃっ」






パパさんは目をつぶっていたので光景自体は分かりませんでしたが、唇に柔らかい物があたったのは分かりました。




「・・・・。」



目を開けると、白い肌を少し紅潮させたママさんがパパさんの方を向いています。





「わ、私からのプレゼント・・・」



「ママ・・・」



「・・・どう?」


「どうって・・・柔らかかった」


「そんな率直に言われると恥ずかしい。」



37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 20:09:11.94 ID:VS8fOaR80




「でも、キスぐらいだったら夫婦なんだし・・・」




「私の家では、大切な人に、大切な時間にキスをするのが習わしなの。」




「あ、そうなの。」



パパさんは、ママさんに負けないくらいほっぺたが赤かったのです。








38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 20:29:21.39 ID:VS8fOaR80


「わんこ♪わんこ♪」


娘ちゃんは、わんこの小さい体を寝転びながら撫でています。


わんこは、くすぐったいなぁと思いました。



しかし、おじさんでもパパさんでも無い、娘ちゃんのちっちゃな手がわんこのお腹を撫でるたび



うん・・・気持ちいいかも。


とも思いました。



よく考えてみたら、人にこんなに撫でられたのは生まれてからはじめてのことでした。



いままでは、ご飯を貰っていたおばさんにもあまり撫でて貰ったことはありませんでしたから。


39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/18(火) 22:59:12.87 ID:vmY2UDYIo
寝たのか
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/20(木) 19:48:06.25 ID:eithS5+E0
かわいいなぁ
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/23(日) 21:48:45.75 ID:nYl1oBPj0
クリスマスまで焦らされてるんだろうか
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 09:12:32.08 ID:DlDBmktLo
だめか
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/23(水) 15:10:27.23 ID:sNK6O30io
まだか
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/13(水) 13:06:22.87 ID:mQkaqLwe0
もうすぐ2カ月
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/13(水) 13:46:13.53 ID:J9Y6vq+SO
エタらないで欲しいなぁ…楽しみにしてたんだが
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