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響「沖縄ロケだぞゴリ衛門!」ゴリ「はぁ!?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/20(木) 21:02:40.11 ID:ZRoZyxB+o


ゴリ「なんの話か!」

響「だから、沖縄ロケなんだってば!」

ゴリ「具体的に言え。なんで、一緒に行くぞー! ってノリだば?」

響「……?」

ゴリ「なんでやー(おまえ)が不思議そうな顔してる?」

響「話がかみ合わないぞ、プロデューサー?」

P「ゴリさん、話……通ってないんですか?」

ゴリ「だから、なんの話か」

P「ゴリさんの事務所に企画書……渡っているはずなんですけど……」

ゴリ「……はぁ?」

響「あぁ! もう飛行機に間に合わなくなるぞー! ゴリ衛門!」

ゴリ「手短に説明してみ?」

P「えっと、ゴリさんと川田さん、それと我が765プロの合同企画で、沖縄ロケが始まるんです」

響「やさやさ(そうそう)」

ゴリ「なるほど。やしが、初耳やんばーよ(なんだよ)」

響「マネージャーさんに確認してみたほうがいいぞ」

ゴリ「……なんかこれ、ドッキリか?」ピッピッピ


trrrrr

ゴリ「…………俺、俺。今さ、765プロのプロデューサーと話してるんだけどさ、合同……。
   うん…………して、川ちゃんは……?」


響「時間がないぞー!」


ゴリ「先に沖縄に向かってる……?」


P「……」


ゴリ「俺よ、今初めて仕事相手から聞いて……うん、忘れてた? じゃあしょうがないや」


響「プロデューサー! 自分達も早く空港に向かうぞ!」

P「……それじゃ、行きましょうか」

ゴリ「なんでこうなるば……って、もう撮影始まってるのか、プロデューサー?」

P「はい。カメラマンは俺です。これからも常に撮っていると思っていてください」

響「沖縄行くぞー!」




ビューン



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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/20(木) 21:03:10.44 ID:ZRoZyxB+o


前回【暇なときにでも】

響「ゴリ衛門」ゴリ「いい加減にしれよ?」
http://www.logsoku.com/r/news4vip/1352691296/



3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/20(木) 21:04:21.21 ID:ZRoZyxB+o

一日目


―――― 那覇空港前



響「自分の故郷ーッ!!」

P「元気いっぱいだな、響」

響「この太陽の日差し! アスファルトの焼ける匂い! 空の蒼さ!」

響「これがうちなーだよ、プロデューサー!」

ゴリ「コンビニ寄ってこう」

響「ゴリ衛門、気分が台無しだぞ!」

ゴリ「飲まんとやってられんさ。オリオン飲むか、プロデューサー?」

P「い、いえ……仕事中なので……」


亜美「ゴリーも仕事中っしょー? ダメだよオリオン飲んじゃー」

真美「そーだよー! 仕事を放棄してオリオンを飲むなんてダメだよダーメ!」


亜美真美「「 ところで……オリオンってなに? 」」

響「沖縄の地元ビールのことさー」

真美「なんだ、それならいっかー」

亜美「そだねー」

ゴリ「あい、この双子は話がわかるや。おじさんがアイス買ってあげようね〜」

亜美真美「「 わーい!! 」」


伊織「ちょっとちょっと! 聞き捨てなら無いわよ?!」


ゴリ「だいじょーぶ、あんたにもアイス買ってあげるさ〜」

伊織「そうじゃないわよ!」


やよい「あ、あの……! そういうのよくないかなーって」


ゴリ「あんたの分もおじさん、忘れてないよ〜」

やよい「あ、ありがとうございます!」ペコリ

伊織「ちょっとプロデューサー、アンタも止めなさいよ!」

P「ゴリさん、もう本格的に始まってるので、飲酒は控えていただけると……」

ゴリ「じゃあなにか、プロデューサー? しらふでこの子供達の相手しろってことか?」

P「アルコール摂取すると、余計にまずいんじゃ……ないですか……?」

ゴリ「ビールの一本二本で酔うほど弱くない。うちなーんちゅを舐めないでもらいたいね」

P「いや、そんな笑顔で言われても……」

響「ダメだぞゴリ衛門。今すぐにでも移動しなきゃいけないんだからな!」

ゴリ「いいさぁ、ちょっとぐらい」

響「さぁ、車を借りて出発だ! プロデューサー! いぇーい!」

亜美真美やよい「「「 いぇーい!! 」」」

ゴリ「あい、この子、相変わらず俺の話聞かないね」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:05:28.17 ID:ZRoZyxB+o

P「そろそろ迎えに来てくれる手はずなんだけどな」

やよい「誰か来ましたよ?」

伊織「な、なによ、あのいかにも沖縄ですよって服……」

川田「ハイサイハイサイ、ハイサーイ!」

ゴリ「そのかりゆしウェアがわじわじー(イライラ)するやっさぁ!」ドス

川田「あが! なにするか!?」

ゴリ「おまえよ、っていうか、おまえとマネージャーよ! 俺の知らないところで話進めるな!」

川田「この話聞いたら、おまえ嫌な顔するだろ」

ゴリ「当たり前やし……! 765プロとは色々大変だから、できるだけ関わりたくないばーよぉ!」

亜美真美「「 ゴリー、アイスはー? 」」

川田「めんそ〜れ〜765プロのみなさ〜ん!」

やよい「あの、あの! よろしくお願いします!」ペコリ

川田「はいはい、よろしくね〜。礼儀正しいやっさ、さすが765プロだね〜」

伊織「このバスで移動するのね?」

川田「はい、正解〜。乗って乗って〜」

亜美「亜美いっちばーん!」

真美「わっ! 真美にばーん!」

やよい「さんばーん!」

伊織「ま、響の故郷を観光するってのも悪くないわね」

P「伊織……観光だけがメインじゃないぞ……」

川田「はいはい、あんたも乗って」

響「自分、とっても楽しみだぞ!」

川田「ゴリ、さっそく疲れてるな」

ゴリ「……飛行機の中でよ、あの双子と偉そうな子がはしゃいでたからよ……大変だった」

ゴリ「え、プロデューサー……」

P「はい」

ゴリ「マジで、この調子で沖縄ロケ続くば……?」

P「勿論です!」

川田「はいはい、ゴリもプロデューサーも乗りましょう」

ゴリ「……」

5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:09:05.90 ID:ZRoZyxB+o


―――― バス内


川田「みなさん、沖縄へようこそ。司会を務める、か わ た。と申します〜」

亜美「わー! 木の上に家があるよ、いおりん!」

伊織「へぇ……」

川田「これから企画内容を説明したいと思いますのでちゃんと聞いていてくださいね〜」

やよい「車がたくさんですねー」

真美「意外と都会だった……恐るべーしおきなーWA!」

川田「このバスに乗って私たちは沖縄の観光地を巡り、楽しく、和気藹々と、
   面白おかしくやっていこうという企画でございます〜」

ゴリ「zzz…」

響「やっぱり沖縄といったら夏だよね! この季節が一番エネルギーに満ちてて魅力的なんだ!」

P「嬉しいのはわかるが、話聞こうな……響」

川田「カメラマンは、ディレクターを兼ねた、プロデューサーとなっております〜」

P「……どうも」

川田「そして、わたくしと、ゴリのお笑い二人」

ゴリ「zzz…」

響「どうして寝てるんだゴリ衛門! 起きろー!」

ゴリ「……は? 夢か? 夢だったんだよな? 765プロと合同企画とか夢だよな?」

P「……」

響「そんなわけないぞ! ちゃんと目を覚ますんだ!」

ゴリ「ゆくしー(うそー)……」

川田「そして、765プロのお子様チーム〜」

亜美「おぉ、外国人が運転してるよ」

伊織「左ハンドルじゃないのね」

真美「窓開けてみよっか」

やよい「でも、クーラー逃げちゃうよ?」

響「みんなはもう先に着いてるんだよね、プロデューサー?」

P「あぁ、ホテルで準備してるか、ステージに立ってるか……」

川田「お子様チームの他にも、大人チーム、青春チームと別れております。
   紹介は後ほどさせていただきます〜」

ゴリ「ふぁーあっ! 夢なんか覚めなければいいのに! で、どこに向かってるば?」

真美「ねぇ、ゴリー。アイスはー?」

ゴリ「ブルーシールって店があるから、そこで買ってあげるさ」

亜美「プールシー?」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:10:42.87 ID:ZRoZyxB+o

川田「765プロさんが出演している音楽祭が北谷で開催されております〜。
   このバスが向かうのはそこになります〜」

やよい「ちゃたん?」

伊織「きた、と、たに、でちゃたんと読むらしいわ。すでに外国よね〜」

川田「琉球王国時代、薩摩藩による侵攻を受けた際、琉球国王は抵抗をしなかったという」

伊織「国を治めるものとして、それはどうなのよ」

川田「国民の身の安全を第一とした決断だと言われている。ちなみに第二次世界大戦時、米兵の侵略――」

ゴリ「なんの話か!? して、お前は誰か!」ドス

川田「あがっ!? なにするか!」

ゴリ「もう一度聞くよ、なんの話してたか?」

川田「沖縄は昔、日本とは違う一つの国だったって話さぁ」

ゴリ「米兵は関係ないだろ!?」

伊織「国民の身の安全……上に立つものとして忘れてはいけないことかもしれないわね」

ゴリ「意外に真面目だね、この子」

やよい「こくおう?」

亜美「そうだよ、やよいっち。昔、この沖縄に強くて大きな黒い馬がいたんだよ」

真美「その馬に乗る人は大抵、ぬははははっ! って笑うんだよ」

やよい「そうなんだー、亜美と真美はよく知ってるねー」

川田「北谷に向かう途中で腹ごしらえしましょう〜」

響「お昼ご飯だぞ。どこに行くと思う、プロデューサー?」

P「いや、何度も聞いていたんだが……」

ゴリ「エンダーか」

7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:13:40.13 ID:ZRoZyxB+o


―――― ブルーシール・牧港店



ゴリ「アメリカ生まれの沖縄育ちのアイスクリーム。それがブルーシールだ! おじさんの話聞いてるか?」

亜美「真美の紅芋どう?」

真美「めっちゃおいしいよー、食べてみる?」

伊織「二人とも、よくトリプルなんて食べられるわよね」

やよい「おいしいです〜。甘くて冷たくて……ん〜♪」

響「やよい、遠慮しないでトリプル頼めばよかったのに」

やよい「ダブルでも充分ですよ〜?」

ゴリ「待って。買っておいて言うのもなんだけどよ、昼ご飯の前に食べていいのか?」

やよい「はっ!? そうですよ! ご飯が食べられなくなってしまいますよー!?」

伊織「いいじゃない、そんなにガッツリ食べるわけじゃないんだし」

やよい「うぅー、いいのかなー……プロデューサー……?」

P「たくさん食べて、明日のステージ頑張ろう、やよい」

やよい「わかりました!」

ゴリ「問題なかったようで安心さ」

響「うまうま」

川田「相変わらずうまいやっさ〜!」

8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:15:20.30 ID:ZRoZyxB+o


―――― A&W・牧港店


やよい「わー! なんだかアメリカンですねー!」

響「ふふーん、すごいだろー!」

やよい「すごいですー!」

P「余程嬉しいんだな……響……」

伊織「なんなのよ、このゆるキャラっぽいクマは……」

ゴリ「グレートルートベアさんさー。知らんばー?」

伊織「知るわけないでしょ」

川田「あい! 双子がいない!!」

ゴリ「見てみ、もうカウンターで注文してる」




亜美「えっとぉ、このるーとびあって飲み物をお願いします」

真美「えっとね、8人分それで!」

店員「かしこまりました。ご注文の確認をさせていただきます。
   ハムエッグサンドのコンボ、ポテトはスーパーフライ、飲み物はルートビアの8セットですね」

ゴリ「すいません、全部キャンセルで」

店員「え!?」

真美「ゴリー……ひどいよぉ……」

亜美「せ、せっかく……亜美たちがいい事したのに……しくしく」

ゴリ「じゃあ、店員さん、2セットはそれでいいです。後は俺達自分で選ぶんで」

店員「かしこまりました……」

ゴリ「はい、あんたたちも好きなの選んで」

伊織「うーん……なにがいいのかしら……」

やよい「私は、亜美たちと一緒でもいいかなーって」

響「やよい、おすすめは、カーリーフライとオレンジだぞ」

P「なるほど」

川田「エンダーなんて久しぶりやっさ〜!」


9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:17:26.14 ID:ZRoZyxB+o


「「「 いただきまーす 」」」

亜美「もぐもぐ……うん、おいしいね、真美」

真美「もぐもぐ……うん、おいしいね、亜美」

やよい「このポテトフライ、カリカリでとってもおいしいです〜♪」

伊織「日本でこの味を楽しめるなんて、思わなかったわ」

響「プロデューサー、オレンジ飲んでみてよ」

P「うん…………甘っ!?」

ゴリ「子供には大人気だからな。大人が飲みすぎたら大変なことになるから気をつけれよ」

P「は、はい」

亜美「……これ、ドクターペッパーじゃん」

真美「……うん、ドクターペッパーだね」

ゴリ「だから言っただろ。ルートビアは薬草も使ってるから子供には合わないばーよ」

亜美「それをもっとはやく言ってよ、ゴリー……」

真美「兄ちゃん、真美と交換しよ」

P「いいけど、ウーロン茶で我慢できるのか……?」

真美「まずくはないんだよ、……うん……しかしだねぇ」

亜美「おいしくないんだよねぇ」

響「亜美は自分のと交換しようね」

亜美「ありがとー、ひびきん!」

響「慣れない味は誰でも苦手だよね、しょうがないさー」

ゴリ「大人っ! 俺は自分が恥ずかしいよ!」

やよい「コニーチーズバーガーもおいしぃですぅ……♪」

伊織「亜美、真美、こっちのカーリーフライ食べていいわよ」

亜美真美「「 ありがとーいおりん! 」」

P「……この映像は使えないけど、思い出にはなるかな」

川田「まーさん!」

10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:20:30.51 ID:ZRoZyxB+o

P「ごちそうさまでした」

響「くわっちーさびたーん!」

亜美真美「「 ごっちゃんです!! 」」

店員「あ、あの、響ちゃん!」

響「はい?」

店員「サインください!」

響「え? 自分の?」

店員「は、はい……」

響「???」

ゴリ「いや、おまえアイドルだろ」

響「……あ……あはは……忘れてた」

P「響……友達と遊びに来たんじゃないぞー……」

響「え、えっと……うん。いいぞ」

店員「あ、ありがとー!」

響「地元に戻ってくると、こういうの忘れるさー」

スラスラ

響「はい、どうぞ」

店員「ずっと応援してますから!」

響「照れるさー、にふぇーでーびる」

伊織「私のも書いてあげようかしら?」

ゴリ「断ってもいいんだよ、店員さん」

伊織「なによっ!」

店員「それじゃ……お願いします」

伊織「これくらいどうってことないんだから、遠慮しなくていいのよ」

スラスラ

店員「感無量です……!」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:23:30.68 ID:ZRoZyxB+o

亜美「亜美もー!」

真美「真美も書くね!」

スラスラ スラスラ

店員「……」ウルウル

響「せっかくだから、やよいも書くといいさー」

やよい「わ、私なんかでもいいんですか……?」

店員「……ぜひぜひ」

やよい「えへへ」

スラスラ

ゴリ「だぁ、俺が書いてこのサイン色紙の価値を下げようね」

店員「……」

ゴリ「あい、何も言わないと本当に書くよ?」

店員「おねがいしっます!」

ゴリ「素直だねこの店員さん」

P「……」

川田「……俺はいいのかや?」


12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/20(木) 21:26:05.01 ID:ZRoZyxB+o

―――― バス内


川田「はい、時間も押してまいりました〜。これから北谷にまっすぐ、まっすぐ向かいます〜」

ゴリ「あのねぇねぇ、でぇーじ喜んでたね」

やよい「ねぇねぇ……?」

ゴリ「お姉さんの事をねぇねぇって呼ぶわけさ」

やよい「ねぇねぇ……」

真美「千早ねぇねぇ!」

亜美「あずさおねぇねぇ」

ゴリ「お、はいらないさ〜」

やよい「あずさねぇねぇ……ですね!」

伊織「ね…ぇ……ふん」

ゴリ「言ってみ、ねぇねぇ……」

伊織「い、言わないわよ」

響「プロデューサー、その位置、疲れない?」

P「平気だよ」

川田「えー、みなさん左手側をご覧ください」

一同「?」

川田「人が、歩いています〜! あれがうちなーんちゅ!」

亜美「ねぇ、兄ちゃん、亜美たちは明日の出場だよね?」

P「そう、明日の午前だな。今の時間なら……律子達は終ってるころか」

伊織「じゃあ、これからは真達の出番になるのね」

P「そうなるな。……向こうも気になるけど、律子がいるから、大丈夫だろう」

真美「まこちん達のステージ、見たいよね!」

やよい「楽しみー!」

川田「みなさん、右手側をご覧ください」

一同「?」

川田「日に焼けたおじさんが歩いてますね〜、あれはきっと、うみんちゅ!」

伊織「プロデューサー、今夜、私達が泊まるところはホテルになるの?」

P「あぁ。……と、言っても、2チームだけだが……」

伊織「どういうことよ?」

響「プロデューサーは自分の家に泊まるんだよね!」

亜美真美「「 ずるいよ、兄ちゃん! 」」

P「いや、経費削減でな……」

川田「え〜、みなさん、左前方をご覧ください〜」

一同「?」

川田「観覧車が確認できると思います〜、北谷に到着いたしました〜!」

やよい「着いたんですね!」

ゴリ「必ず確認する765プロ……無視されても折れない川ちゃん……。いいバランスやっさ」

13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:28:50.67 ID:ZRoZyxB+o

―――― 北谷・サンセットビーチ



川田「はい、到着しました〜!」

亜美「海だー!!」

タッタッタ

真美「待ってよ亜美ー!!」

タッタッタ


P「二人とも待てー!!」

タッタッタ


伊織「まったく……」

やよい「伊織ちゃん! すぐそこにジャコスがあるよ!」

伊織「そ、そうね」

響「運転手さん、ありがとうございました」ペコリ

運転手「いえいえ」

ゴリ「夕方にはまた来るの?」

運転手「はい。それまでは休ませていただきます」

ゴリ「騒がしかったんじゃない?」

運転手「いえいえ、賑やかで楽しかったです。それでは、後ほど」

ゴリ「はいはーい」

伊織「ステージは海辺になるのかしら?」

やよい「海を見ながら歌うなんて……」キラキラ

響「曲が聞こえてくるぞ……」


『 CHANGE IN MY WORLD!! 』


やよい「この曲……!」



『  止まらない愛探して  』


伊織「真たちじゃないの!」


ハイサイディーサイユイマールー


ゴリ「はい、もしもし〜? あ、プロデューサーか?」

響「ご、ゴリ衛門! 自分達行くぞ!」

川田「待って! プロデューサーから電話って!」

伊織「な、なんなのよ!」

やよい「うぅ、ジッとしていられないですー!」

ゴリ「舞台袖が控え室になってるから、そこに来なさいって」

14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:32:33.55 ID:ZRoZyxB+o

―――― ライブ会場・控え室



『 3・2・1 』


『 CHANGIN' MY WORLD!!

  変わる世界輝け   』



伊織「ハァッ……ハァ……なんとか間に合ったわね…ッ」

やよい「ふぅ……ふぅっ……よ、よかったぁ……」

亜美「いおりん、やよいっち! こっちこっち!」

真美「こっちから見えるよー!」

ゴリ「なんとか間に合ったや……」

「お疲れ様ですっ!」

ゴリ「えっと……ねぇねぇは誰だったかな」

「天海春香ですっ、よろしくお願いします!」

ゴリ「元気があっていいね」

春香「ありがとうございますっ!」

ゴリ「あれ、プロデューサーは?」

「あずささんを探しに出かけました……」

ゴリ「メガネのねぇねぇもプロデューサーだったよな」

律子「め、めが……? そ、そうです」クィッ


『 新しい未来追いかけながら
  私らしい私でもっともっと 』


律子「そろそろ終りますね」

ゴリ「……俺も見てこよう」


『 DREAM COMES TRUE

  I LOVE ALL    』


ゴリ「あい、終った……」


『 ラララ…… 』


ゴリ「待て、観客の端で跳ねてるの……」

亜美「川座衛門だね……」

真美「そだね……」

ゴリ「あのフラー(バカ)……」



\  ワァァアーーー!!  /



川田「イエーイ!」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:34:53.99 ID:ZRoZyxB+o


『それじゃー三曲目ー!!』

『キミはメロディ……ですぅ!』


『 Come out,Spread your heart,You're my melody 』


ゴリ「歓声が凄いな……。あと何曲歌うのか?」

律子「今日の分はこれで終わりです」

ゴリ「このライブは撮らなくてもいいわけ?」

律子「はい。ライブの映像は別で撮っていますので」

ゴリ「あぁ、そうか……。とりあえず、終るまで待つか……」

律子「……」


春香「たしかなものはっ!」


『 キミと紡ぐメモリー 二人で描いたストーリー 』




――…





『 天使も妬いた空を翔るメロディ 』



川田「イエーイ!!」



ゴリ「あそこで、年甲斐もなくはしゃいでるの、俺の……相方」

「し……知っています」

ゴリ「恥ずかしいやつだよな。ねぇねぇもそう思うあんに?」

「い、いえ……」

亜美「ゴリー、千早ねぇねぇが困ってるっしょー?」


『グルーヴィーチューンのみなさんでしたー!』



 \   ワァァーー!!  /


16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:36:56.39 ID:ZRoZyxB+o

ゴリ「プロデューサー帰ってこないやー」

春香「そうですねぇ……どこまで行ったんだろ……?」

真美「あずさねぇねぇとそのままランデブーしてるんじゃない?」

ゴリ「ランデブーの意味、わかってるか?」

真美「バイクに二人乗りっしょ?」

ゴリ「それはタンデムな」

伊織「デートのことでしょ」

ゴリ「はい正解〜、あんたはダメ〜!」

伊織「当てたじゃないの!」

ゴリ「当てたら不正解ってことさ……。ボケないと」

伊織「難しいわね……」

ゴリ「本当に真面目か」

千早「高槻さん、我那覇さんは一緒じゃないの……?」

やよい「あ、あれー?」

17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:38:59.49 ID:ZRoZyxB+o

川田「いやぁ、よかったよぉ。どうね、ウチからデビューしてみないか?」

「申し訳ありません。わたくしはすでに、765プロに身を置いておりますゆえ」

川田「俺はね、君たちの歌声に惚れてしまったわけよー」

「う、うぅ……男の人……っ」

川田「あい、怯えなくてもいいよ〜」

「プロデューサーが来てないの」

「あ、あなたは誰なんですか……って、川田さんじゃないですか」

川田「違います。敏腕プロデューサーのか わ や ま。といいますぅ〜」

ゴリ「誰かおまえはっ!」ペシッ

川田「あがっ!」

律子「貴音、雪歩、美希、真、お疲れ様」

貴音「観客の盛り上がりも最高潮に達し、わたくしも最高のぱふぉーまんすが披露できたと自負しています」

雪歩「うぅ……男の人が二人……っ」

美希「楽しかったよ、律子」

律子「律子さん、でしょ」

真「それで、亜美たちがいるのに、プロデューサーと響……だけじゃなくて……あずささんもいない……」

千早「想像通りよ、真」

真「迷子になったんだ……」

ゴリ「どういう意味か?」

春香「プロデューサーさんを迎えに行ったあずささんを探しに……プロデューサーさんは出て行きました」

ゴリ「わからん」

亜美「なるほどなるほど」

真美「ひびきんがいたら、タンデムできないよね」

伊織「いなくてもできないわよ」

やよい「真さん、お疲れ様です! はい、ターッチ!」

真「へへー」

パァン


川田「うんうん、いいね、若いって」

ゴリ「やばい、でぇじ帰りたい……」

18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:40:47.27 ID:ZRoZyxB+o


――



「……ここはどこでしょう……?」


「映画館……?」


「……」


「プロデューサーさん……」


pipipipipi


「あら……」


ピッ


「はい、もしもし」


「沖縄に着いたと聞きまして、バス停でお待ちしようと……はい」


「今ですか? えっと…………映画館の前です。……わかりました、お待ちしていますね」


プツッ


「……」


「…………そうだ♪」


――



P「もしもし、響! あずささんは映画館に居るって言うんだ! 映画館はどこだ!?」


P「今は……ジャコスの…………えっと、東側にいるぞ!」


P「北に向かえばいいんだな!? ありがと!」


プツッ


P「なんでこんなとこまで……!」


タッタッタ


19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:42:48.59 ID:ZRoZyxB+o

―――― ミハマ 7 プレックス(映画館)前



P「ッハァ……ハァ……ハァ…………?」


P「いない……?」


P「…………ふぅ」


ピッピ


trrrrrr


pipipipipi


スッ



P「っ!?」


「うふふ、だ〜れだ?」


P「あずささん……ですよね」

あずさ「正解です」

P「いや、あずささんを探しにここまで来たんですから……」

あずさ「そうですね」

P「……やっと見つけた」

あずさ「……見つかっちゃいました」


響「……」


P「あの……」

あずさ「は、はい……」

P「いえ……」

あずさ「……な、なんだか暑いですね」

P「夏すぐそこですからね……」

あずさ「そ、そうですよね」



響「…………」


20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:44:13.04 ID:ZRoZyxB+o


P「あずささん、これからデートなんてどうですか?」

あずさ「そ、そうですね……いいと思います」

P「向こう側は、若者向けのお店が並んでいて、楽しそうですよ」

あずさ「本当ですね〜、あの観覧車にも乗ってみたいです」

P「なんて……」

あずさ「うふふ」

P「響」


響「?」


P「どうして話しかけない」

あずさ「ま、まぁ……響ちゃん」

響「いい雰囲気だったから、入り込めなかったさー♪」

P「反応を見たかったのに……」


pipipipipi


P「もしもし……? あ、はい。すいませんゴリさん」


21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/20(木) 21:46:26.64 ID:ZRoZyxB+o


―――― アラハビーチ


響「ここはステージのあるサンセットビーチから少し離れてるだけだよ。周りの目を気にする必要ないさー」

P「……向こうのビーチに人が流れているのか」

あずさ「……」

響「あずささん、ここから見る夕日は綺麗なんだよ」ヒソヒソ

あずさ「も、もぅ……響ちゃん……」

響「へへー。あ、みんないたぞ」


ゴリ「プロデューサー! 俺は怒ってるよ!」

P「すいません……」

あずさ「?」

響「どうして怒ってるんだ、ゴリ衛門?」

ゴリ「くったー(こいつら)に海に落とされたばーよ!」

P「えっ!? 亜美真美!」

亜美「違うよー、ゴリーが自分で海に転がっていったんだよー」

真美「そうだよー。ゴロゴロゴローって自分で海に入って行ったんじゃん!」

ゴリ「はー? 俺は悪くないだろー?」

亜美真美「「 私たちだって悪くないやい! 」」

春香「すいませんでした、ゴリさんっ」ペコリ

P「春香が謝るのか?」

響「解説してほしいぞ?」

川田「はいはい。私が解説しましょう」


22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:50:03.84 ID:ZRoZyxB+o


―― 解説 ――


律子「響が言うには、この先に人気の少ない場所があるとか……」

ゴリ「やさやさ、そこならあんたたちが集まっててもだいじょーぶよー」

雪歩「うぅ……怖いっ」

真「大丈夫だよ、雪歩。ゴリさんは……うん」

ゴリ「うんってなにか? 最後まで言ってくれんか」

春香「あのっ、受身の取り方を教えてくださいっ」

ゴリ「あんたは、いきなりだね」

千早「あ……」

ゴリ「? 後ろになにがあるば――」

亜美真美「「 ダブルキーック!! 」」


ドカッ


ゴリ「あがぁっ!?」


ゴロゴロゴロ ズサーッ


ゴリ「しかまちひゃ!?」

律子「シカマチ……?」

川田「びっくりしたなぁって意味さー」

貴音「今の動き……面妖な……」

春香「凄い受け身だと思います!」

川田「みんなの飲み物でも買ってこようね〜」

律子「あ、そこまでしてもらうわけには」

川田「いいよいいよ、俺も少し歩きたいだけだから。土地勘無いでしょ」

律子「……すいません、助かります」

真「やっぱり運動神経抜群ですね、ゴリさん!」

ゴリ「そうだろ、おまえも見所あるな。……双子! なにか!?」

亜美真美「「 こういうことだよね、はるるん? 」」

春香「そうです! お願いします!」

ゴリ「だから、意味がわからんてば」

律子「えっと、春香は一日に一回必ず転ぶんです。だから、ゴリさんのように受身を取れば……と」

ゴリ「なるほどな。いいだろう。ちょっと、砂の上に移動しようか」

春香「はいっ」

真「ボクもっ!」

タッタッタ

23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:52:43.98 ID:ZRoZyxB+o

千早「みんな楽しそうね」

伊織「おもちゃよ、おもちゃ」

やよい「み、美希さん……起きてください! 私ではもう……!」グググ

美希「くぅ……」

貴音「やよい、わたくしが支えましょう」

やよい「お、お願いします……!」

律子「……撮影してないのに、ゴリさん頑張るなぁ……」


ゴロゴロ ザッ


ゴリ「こうっ!」

春香「はい!」

ゴリ「待って、俺の真似して頭から入ったら危ないからよ。横転からいこうか。砂も着くし」パッパ

春香「わかりました。行きますっ」


ゴロ ザッ


春香「どうですか?」

ゴリ「大分いいな、あんた、転び慣れてるやさ」

春香「そうなんです!」

ゴリ「いや、喜ぶところじゃないだろ。で、足とか怪我してるわけ?」

春香「いいえ……それはなんとか……無事なんです……」

ゴリ「なるほどな。わかったさ」

春香「?」

ゴリ「あんたはよ、安全な箇所を自然に察知できるわけさ」

春香「???」

ゴリ「転び慣れることで、体が安全な転び方をマスターしてる」

春香「??????」

ゴリ「百聞は一見にしかずだや。じゃあ、俺が走って転んでみるよ?」


ザッザッザ

ゴリ「いっけなぁ〜い! バスに乗り遅れちゃ〜う」キャピ


伊織「キモっ!」

千早「……」スッ

やよい「あ、あれ……視界が真っ暗に……」


ゴリ「キャァッ!」


ズサッ


ゴリ「……ほら、膝に砂がたくさんついてるさ?」

春香「は、はい……」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:55:18.24 ID:ZRoZyxB+o

ゴリ「次、あんたの番」

春香「は、はい」


春香「いっけなーい! バスに乗り遅れちゃうー!」


律子「よくある日常の光景に見えるわね」

貴音「真に、背景が通学路に変わりました」


春香「うぉわっ!」


ザッ


春香「いたたたた」

ゴリ「砂を確認してみ」

春香「均一……ですね」

ゴリ「そういうことさ。俺の場合は重点的に衝撃が走ったから、膝を中心に砂が纏わり付いた。
   地面がアスファルトだったら怪我をしてたな。
   だけど、あんたはさ、足の全部分で衝撃を分けたから、怪我もすることないわけよ」

春香「!」

ゴリ「早い話が、受身を覚える前に転ばないようにしろってことさ」

春香「……うぅ」

ゴリ「身も蓋もないけどよ、俺が教えることは最初から無かったってことだな」

春香「……」

ゴリ「大丈夫、あんたならどんなに転んでも、怪我しないよー!」

春香「……面倒くさがっているような?」

真「ゴリさん! ボクのも見てください!」

ゴリ「ついでだ。いいだろう。やってみ」


真「いっけなぁ〜い、バスに乗り遅れちゃ〜う!」キャピリン


雪歩「そうじゃない、そうじゃないよ真ちゃん……」

美希「くぅ……すぅ……」


真「きゃっ、躓いちゃった〜、とうっ!」


クルッ


ザッ


「「「 おおぉーー!! 」」」


パチパチパチ


ゴリ「みんなから拍手を貰うほど、立派な前宙転だったさ。
   ちなみに、転んだ女の子は『とうっ』って絶対に言わないからな」

真「うぅ……失敗したなぁ……」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:57:01.55 ID:ZRoZyxB+o

ゴリ「凄いな、足場砂なのに……ありえんやっさ……」

亜美「いっけな〜い! せいやー!」


バシャッ


ゴリ「海水をかけるな! なにがしたいばーッ!?」


真美「バスを止めるんだー!」


バシャーッ


ゴリ「意味が解らん!」


春香「やっぱり、向上心は持っていろってプロデューサーさんも言ってたから……もう一度!」

亜美「そーれっ!」

真美「それそれー!」


バシャバシャ


ゴリ「こういうのはプロデューサーとやれ!」


春香「えいっ」


ゴロゴロ ザッ


春香「あれ……できた?」

真「凄いよ春香!」


ゴリ「俺も軽く避けるっ!」


ゴロゴロ ザッ


真美「なんのっ!」


バシャ


ゴリ「俺は止まらん!」


ゴロゴロ


亜美「そこだー!」


バシャッ


ゴロゴロ

26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 21:59:44.69 ID:ZRoZyxB+o

春香「ゴリさんっ」

真「そこは――」


ゴロゴロジャブジャブ


ゴリ「あげ……」


亜美真美「「 あははははっ 」」


川田「はい、飲み物買ってきたよ〜」




―― 解説終わり ――


律子「と、いうわけです」

P「……」

川田「やさ」

ゴリ「おまえ説明してないだろ」

P「あの、ありがとうございます」

ゴリ「お礼じゃなくてお詫びだろ?」


亜美真美「「 兄ちゃーん! こっち来てー! 」」


P「今の話を聞いて、行ける訳が無い……」

川田「プロデューサー、陽が傾く前に今回の企画のおさらいをしとこう」

律子「そうですね。みんな揃ったことですし」

P「それじゃ、律子と川田さんで簡単に説明と紹介をお願いします」

律子「わかりました」

川田「まかせなさい」

P「……どうぞ」

川田「ハイサイハイサイ、やってきましたよ、北谷の海! 
   ここでライブを終えたばかりの765プロのみなさんと合流しました〜」

真「いやぁー、ライブの熱気は凄かったなー」

雪歩「う、うん……初夏の陽射しに負けないくらい……観客のみなさんも楽しんでくれたと思う」

貴音「わたくしの胸にまた一つ、良き思い出が刻まれました」

美希「このおにぎりおいしいのー」モグモグ

川田「あいっ!? 俺が買ってきたバクダンおにぎり! なんであんたが食べてるか!?」

律子「み、美希!」

伊織「今日は参加出来なかったけどぉ、明日からは私達が頑張りますぅ」

やよい「真さん達のステージを観て、私もやる気がぐーんとアップしましたー!」

律子「あ、あれ……響がいない……?」

千早「律子、あっち……砂浜を見て」

P「?」

27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 22:01:14.30 ID:ZRoZyxB+o


ゴリ「エンダンス」

亜美「こうかな、えんだんす!」

ゴリ「違う、もっと右足を伸ばせ!」

亜美「は、はいー!」

ゴリ「エンダンス」

真美「えんだんす」

ゴリ「そうそう、おまえは飲み込み早いやっさー」

真美「へへーん」

響「二人とも上手さー」



貴音「はて……?」

あずさ「あらあら、まぁ。……レッスンを受けているのね」

雪歩「なんだか、みてるだけで力が抜けるよぉ……」フラリ

真「あわわ! 雪歩!」

美希「うぅん……とってもジューシーなのぉ」モグモグ



ゴリ「もうお前達に教えることは何も無い!」

亜美真美「「 ありがとうございます、ゴリラボス! 」」

ゴリ「よし、やってみせろ」

亜美真美「「 あいさー! 」」


P「?」


亜美「えんだんす」

真美「えんだんす」

亜美「えんだんす、えんだんす……」

真美「えんだんす、だんす、だんす、だんす」

亜美真美「「 え、えんじょい…ぷれい 」」カァァァ

ゴリ「なんで恥ずかしがるか!?」

亜美「あー! 亜美、もうお嫁に行けないよー!!」

真美「恥ずかしいよー!!」

ゴリ「なんだば!? さっきまで真面目にやってたやし!?」

響「やっぱり沖縄の海はいいなー」

28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 22:05:16.56 ID:ZRoZyxB+o

P「……」

律子「こっちに背を向けて海を眺めている響、屈んでいる亜美、真美、それと、
   やよいと伊織がファンキーノートチームになります。このチームで――」

川田「お子様チームさ〜」

律子「お、お子様……?」

伊織「ちょっと、なんなのよ、お子様って」

川田「バス内でそう紹介したから、しょうがないさ〜」

やよい「うぅー……」

貴音「しかし、それではあまりにも……」

真「そうですよ、川下さん! なんだか酷いと思いませんか!?」

川田「名前、間違えてるよ」

ゴリ「なにか、空気が張り詰めてるけどケンカか? 上等上等、意見交換にぶつかり合いは必要さー」

亜美「喧嘩上等! おうおう、兄ちゃんよぉ、なにを撮ってやがんでぃ!」

真美「カメラ止めやがれぃ! 与呂詩句ぅ!」

P「それはただのチンピラだ……」

あずさ「あの、私達のチームは……?」

川田「大人チームになります〜」

真「ボクたちは!?」

川田「青春チームとなります〜」

真「うわー、いい響ー!」

響「単純だなー、真は」

真「な、なんだよ。いいじゃないか、甘酸っぱいって感じで」

雪歩「そ、そうかなぁ……」

律子「えっと、それじゃあ、青春チームの真、雪歩、貴音、美希。
   大人チームのあずささん、春香、千早、私……ということになりますね」

ゴリ「おっけぃ、俺は覚えたよ」

春香「あ、あの、異議を唱えたいと思います!」

ゴリ「はい、どうぞ」

春香「私はどちらかと言うと、青春チームに入るのではないでしょうか」

貴音「そうですね。わたくしもどちらかというと、大人ちーむかと」

律子「どうします、プロデューサー?」

P「ステージのメンバーは変えられないけど、撮影は混ぜてもいいからな。交代してもいいよ」

律子「それじゃ、春香と貴音は撮影の時だけ交代――」

千早「ダメっ、ダメよ春香っ!」

春香「え? どうしたの、千早ちゃん……」

千早「くっ……」

春香「千早ちゃん……?」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/20(木) 22:07:14.07 ID:ZRoZyxB+o

千早「と、とにかくダメなものはダメ! 春香はこっちに……大人チームに居て欲しいの!」

あずさ「まぁまぁ……」

律子「どうしたのよ、千早……」

貴音「千早……わたくしは……」

千早「し、四条さんが嫌だとかそういうのじゃなくて……!」

P「どうしてそんなに必死なんだ……?」

千早「ひ、必死とか言わないでください!」

ゴリ「なるほどな。物静かなねぇねぇが葛藤してる理由、俺にはわかとーさ」

響「ゴリ衛門にはわかったんだ、どういうこと?」

ゴリ「周りは自分を大人と崇めるだろう。だが、ねぇねぇ自身が胸に秘めた――」

千早「くっ」ゲシッ

ゴリ「あがぁっ!?」

P「ち、千早!?」

ゴリ「蹴られたけど……悪いこと言ったか?」

貴音「千早……それほどまでに思いつめていたのですね」

伊織「そうね……千早は歌に関して譲れないものがあるから……」

やよい「もう、後戻りはしたくないって……なんだか寂しいかもですけど……」

響「……自分……そういうの考えたことなかったぞ……」

春香「そうだったんだね、千早ちゃん……。うん、私、大人チームに残るよ!」

千早「ありがとう、春香。……少し、複雑だけれど」

川田「よくわからんけど、物静かなねぇねぇが胸に秘めた――」

千早「……っ」ゲシッ

川田「あがひゃ!?」

P「もうこの話はストップだ。千早がなぜか情緒不安定になる」

真「……千早の葛藤ってなんだろう」

雪歩「ち、千早ちゃん……怖くないのかなぁ……」ブルブル

P「こっちも……なんとかしないとな……」

響「自分に任せてよ、プロデューサー」

P「どうするんだ……?」

響「このバナナを使っていい?」

川田「おう」

ゴリ「さっき買ってきたのか……」

響「雪歩、これを持って」

雪歩「え、えぇ……?」

響「大丈夫さー、ゴリ衛門はゴリ衛門……」

雪歩「ゴリ……衛門……?」

響「そうさー。楽しい仲間達の一員だよー」

雪歩「ゴリ……衛門……」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 22:09:30.22 ID:ZRoZyxB+o

ゴリ「なにかあれ、催眠術か?」

律子「いえ、響はそういうの使えないと思います……」

響「観客はパンプキンだと思えって言うでしょ?」

雪歩「バナナをどうぞ、ゴリラちゃん」

ゴリ「あげっ、この子が一番ひどい!」

響「この人は飼育員さんだよ」

雪歩「う、うん……」

川田「飼育員って俺か……」

ゴリ「……」

雪歩「や、やっぱりダメだよぉ……!」ササッ

真「ゆ、雪歩……」

ゴリ「怯えてくれて、俺は逆に安心したよ」

川田「飼育員でも男は男だからな」

P「雪歩、大丈夫だから……」

雪歩「うぅ……っ」

亜美「ゴリーは無傷だよ、雪ぴょん!」

伊織「それを言うなら無害でしょ」

ゴリ「エンダンス」

川田「エンダンス」

ゴリ「エンダンスダンス」

川田「ダンスダンス」

雪歩「ひゃぁ……」

響「怖がってるぞ!」

ゴリ川田「「 愉快な踊りだろ! 」」

美希「ねぇ、おにぎりのお代わりはないの?」

ゴリ「あんたはマイペースだね」

川田「そろそろ運転手さんが戻ってくるね。はい、みなさん! 移動しましょ〜!」

春香「はい!」

千早「……ホテルに戻って、今日の反省をしましょう」

ゴリ「少年老い易く学成り難しっていうけどよ、遊べるうちに遊んでおかないと遊べないよー?」

千早「私達は遊びに来たのではありません。それに、昨日は充分に遊びましたので」

ゴリ「ほぅ……どこへ行った?」

千早「……海とか……ホテルのプールとか……おいしい料理も……たくさん」

ゴリ「海にプール……おいしい料理ねぇ……」ニヤニヤ

伊織「な、なによ、その含み笑いは……」

やよい「わ、私も……その……たくさんの思い出を残せたらいいなーって」

ゴリ「違う違う、まだまだ楽しめてないなぁって思ったわけよ」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 22:11:13.76 ID:ZRoZyxB+o

真「響とゴリさんがボク達を楽しい観光地へ案内してくれるんですね!」

ゴリ「俺に、任せなさい」

川田「おまえ、ハードル上げすぎだろ」

千早「ですから、私達は遊びに来たわけじゃ……」

貴音「如月千早、何事にも楽しむという心の余裕は必要ですよ」

千早「……」

ゴリ「あ、ごめん。やっぱり各自で楽しんできて」

春香「ど、どうして急にやる気が下がったんですか?」

ゴリ「765プロの大変さを……忘れてたやっさ……」

千早「私達を楽しい場所へ連れて行ってくれると、仰いましたね」

ゴリ「口だけな。てーげーだから、間に受けんで」

真「?」

川田「口だけだから、適当に言っただけだから間に受けないでーって」

伊織「沖縄の訛りはたまにわからなくなるわね」

千早「いいえ、そこに沖縄の歌の秘密があると思います。ですからお願いします」

春香「千早ちゃんも乗り気だ……♪」

ゴリ「藪をつついたらハブが出てきた……」



響「ほら、ね?」

雪歩「…………」

P「ちょっと前に、響がお世話になって以来、なにかと縁があるんだ。
  だから、絶対に悪いことではないぞ、雪歩」

雪歩「ぜ、絶対……ですか?」

P「あぁ。絶対だ」

亜美「おいしいアイスクリームも食べたよ」

真美「カーリーフライも教えてくれたよん」

亜美「それはひびきんだよ、真美」

真美「あ、そっか」

雪歩「……」

あずさ「うふふ。行きましょう、雪歩ちゃん」

雪歩「は、はい……!」

律子「……よし」


32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/20(木) 22:13:30.65 ID:ZRoZyxB+o


―――― バス内


川田「みなさん、揃いましたでしょうか〜」

亜美「あれ、兄ちゃんとあずさねぇねぇがいないよ?」

律子「落し物を探してるから、もう少し待っていましょ」

響「へへー、いいよねー」

ゴリ「……」ウトウト

春香「えんだー?」

真美「おいしかったよー」

美希「あふぅ」

雪歩「……」

真「ボクも……眠くなってきた……」

貴音「西の空が……なんとも美しい……」

やよい「綺麗ですねー……」

伊織「……この景色を見てるのね」

千早「うん……きっとね……」




――…



ゴリ「zzz…」

川田「おい、ゴリ」

ゴリ「……ん……?」

川田「着いたぜ」

ゴリ「お台場に着いたか……ふぁぁ……!」

川田「珍しく深く寝てたな」

ゴリ「なんかよ…………疲れてるみたいでさ」

川田「みんな降りたからよ」

ゴリ「嫌な夢をみたやっさぁ……」

川田「俺達も降りよう」

ゴリ「……765プロと沖縄ロケ……っていう……」


P「……」

ゴリ「あきさみよい(悲しくて驚いた)……夢じゃなかった……」

P「あの……ゴリさん、トイレで顔を洗ってきてください」

ゴリ「は?」

P「おでこに……落書きされてます」

ゴリ「どうせ、『中』とか『肉』とかだろ。構わないさ」

川田「『ら』だけどな」

ゴリ「あったー(あいつら)よ……じゅんに(本当に)……」

33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/20(木) 22:31:25.16 ID:ZWhzaBtW0
あれの続きか

期待しないはずがない
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/21(金) 09:20:39.69 ID:6/UBqG5no

―――― ホテルロビー



律子「それじゃ、各自割り振られた部屋で過ごすように。
   あと、外に出るときは、必ずプロデューサーか私に声をかけてねー」

「「「 はーい 」」」

律子「それと、単独行動は慎むように、美希、聞いてる?」

美希「ちゃんと聞いてるよ」

律子「なら、いいんだけど。それじゃ、みんな、今日はお疲れ様!」

「「「 おつかれさまでしたー 」」」



P「……」

ゴリ「あの、メガネのねぇねぇに任せっぱなしか?」

P「今日は律子一人に任せます」

律子「……それはいいですけど。青春チームが響の実家にお世話になりますから、ご同行お願いしますね」

P「……悪いな」

律子「いえ。これくらいへっちゃらですから」

P「ありがとう」

響「それじゃー、真、雪歩、美希、貴音ー! 自分に付いて来るさー!」

真「やったねー!」

雪歩「う、うん!」

貴音「楽しみですね」

美希「ミキ的には、安眠が出来ればどこでもいいんだけどね」

やよい「うぅー、プロデューサー、行ってしまうんですか……?」

春香「一緒にご飯……」

P「律子がいるから平気だろ、やよい? 沖縄の料理には違いないんだ。春香も楽しんでくれ」

やよい「はい……」

春香「せっかく久しぶりにみんな集まったのに……」

P「俺達はここには泊まれない。そこは我慢だ」

春香「……はい、わかりました」

千早「それではプロデューサー、明日」

P「うん。また明日な」

伊織「じゃあね」

亜美真美「「 兄ちゃん、お疲れー! 」」

P「今日の疲れはちゃんと取るんだぞ」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:21:54.99 ID:6/UBqG5no

あずさ「あの、響ちゃん」

響「ん? どうしたの、あずささん」

あずさ「私も響ちゃんの実家に伺ってもいいですか?」

響「うーん……でも、部屋が足りないさー……」

あずさ「プロデューサーさんと、同じ部屋でいいですから」

響「わかったぞ」

ゴリ「カメラ止めれ」

P「もう……手遅れです」

ゴリ「川ちゃん、ちょっとこい、会議しよう」

川田「おう」

ゴリ「どうする。今のシーン……放送できないだろ」

P「……すいません」

ゴリ「撮ったものはしょうがないよ。だけどよ、カットすると、
   『なんであのねぇねぇがいるば?』 って視聴者は思うだろ?」

川田「そうだよな。じゃあ、テロップで、【勝手に付いてきた】って矢印つけるってのはどうか?」

ゴリ「……そうだな。それもありか」

P「それは、不自然じゃないですか……?」

ゴリ「じゃあ撮り直すか?」

P「いえ、自然にあずささんが民宿へ行くという会話を組み込んでくれれば……」

ゴリ「これまた難題を言うね……」

川田「撮り直しってヤラセっぽくなるからな、……よし、やってみるか」

ゴリ「……しかたないや」

P「すいません、お願いします」

川田「俺達ベテランの腕の見せ所さ、任せなさい」

響「会議終ったー?」

P「さて、私達一同はこれから響の実家が営んでいる民宿へ移動することになります」

ゴリ「え、プロデューサー、説明口調になってるから」

P「す、すいません」

川田「……」

ゴリ「ねぇねぇも民宿に行くのか?」

あずさ「はいはい。お邪魔します〜」

ゴリ「こっちのホテルのほうが料理豪華だはずよ〜」

響「ゴリ衛門! 失礼だぞ! おかーが作る料理は……ここより華やかじゃないかもしれないけど、
  でも、負けないくらいおいしいんだぞ!!」

あずさ「それは楽しみですね〜」

ゴリ「食べてみるまでわからんさー?」

響「うぅー!」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:22:40.84 ID:6/UBqG5no

真「ゴリさん、そうやってお膳立てをしておくわけですね!」

ゴリ「それを言ったら台無しだろ?」

真「あ……あはは、そうですね」

雪歩「……うぅ……っ」

川田「……」

美希「ふぅん……響のお母さんの料理……楽しみなの」

貴音「響……わたくしも……おりますが」

響「大丈夫さー、さっき連絡したら、アニキが大漁だったって言ってたからね」

ゴリ「こんな感じか」

P「……オッケーですね」

川田「こんなもんさ」

ゴリ「おまえ、一言も喋ってないよ?」

P「響、タクシーで行ける距離なのか?」

響「そうだぞ」

37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:23:24.11 ID:6/UBqG5no


―――― タクシー内



ゴリ「え、なんて?」

響「おかーが是非泊まっていけって」

川田「帰れないのか?」

響「アニキが二人のファンだから、別にいいさー」

ゴリ「いやいや、帰りたいよ」

川田「して、民宿はどこか?」

響「読谷だぞ」

P「よみたん……?」

川田「……」

ゴリ「じゃあいいか。飲んでも帰れる距離だし」

38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:24:46.96 ID:6/UBqG5no


―――― 我那覇邸



響「とうちゃーく!」

P「ここが響の実家……」

響母「遠いところからよく来てくれました。私、響の母をやっています」

P「初めまして、私、765プロで我那覇響をプロデュースしている者です」

響母「話は響から聞いていますよ」

P「響は単身で上京してきたにも関わらず、元気で明るく、事務所のみんなと楽しく過ごしています」

響母「……」

響「コケ麿〜!」

コケ麿「コケー!!」

響「会いたかったぞ〜!!」

コケ麿「コケー!!」

ゴリ「感動の再会だよな、あれ」

川田「一人と一羽は盛り上がってるけどな……次元が違うやっさ」

P「仕事現場でも今のように、誰にでも温かく接しているので、潤滑油のような存在ですよ」

響母「え、響」

響「うん?」

響母「絶対に逃がすんじゃないよ?」

響「はぁ?」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:25:49.77 ID:6/UBqG5no


ブロロロロロロ


響「あずささん達が到着したね。おかー、アニキにみんなを紹介したいぞ」

響母「ニィニィは畑かねぇ?」


真「よいしょっと」

雪歩「ここが……」

貴音「響の育った家、なのですね」

美希「意外と近かったね〜」

P「みんな、挨拶をちゃんとしておくんだぞ。……運転手さん、これで支払いお願いします」

あずさ「まぁまぁ……素敵なお家ですね〜」

響母「さぁさ、みなさん上がってくださいね〜」

響「遠慮することないぞー」

真「友達のお家にお邪魔するってなんだか緊張するなぁ」

雪歩「う、うん……」

貴音「……」

美希「お邪魔するの〜」

あずさ「あ、プロデューサーさん」

P「はい……?」

あずさ「背中に糸くずが……はい、取れました〜」

P「ありがとうございます」

あずさ「いえいえ」

響母「……」

響「おかー? はやく、夕飯の――」

響母「響、あんた、諦めなさいね」

響「はぁ?」

40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:26:48.96 ID:6/UBqG5no


―――― 仏間


響「おとー。プロデューサーとみんなを連れてきたよー」

P「響、俺も線香をあげてもいいかな」

響「うん。おとーも喜ぶさー」

ゴリ「俺もあげていいか?」

あずさ「私も、失礼して」

響「……うん!」

P「――。」

あずさ「響ちゃんのおかげで、私はいつも楽しく過ごせていますよ。
    元気な、その姿をいつまでも見守っていてください」

ゴリ「あなたの娘さん、私に迷惑をかけています」

真「ここでなにを?」

川田「ウートートーしてるわけさ」

貴音「響のお父様にお祈りを捧げているのですね」

雪歩「わ、私の家にある仏壇より広いです……」

美希「ミキもいいかな?」

響「うん……挨拶してくれると……嬉しいな」

貴音「では、わたくしも」

真「えっと……この鉢でいいのかな」

雪歩「し、失礼します……」

川田「――。」

P「……」

あずさ「……」

ゴリ「……」

貴音「――。」

美希「誰にでも優しく接している響はみんなに好かれているの、
   だから安心してゆっくり休んでね、響のお父さん」

P「美希……」

貴音「言葉には力が宿ります。きっと、美希の想いは届いていることでしょう」

真「そっか……。響のお父さん、響はいつも一生懸命に頑張っています、見守っていてください!」

雪歩「響ちゃんは、いつも私を励ましてくれてます……今日は挨拶ができて嬉しいです……」

響「……」グスッ

P「……」

響母「…………」

41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:28:13.53 ID:6/UBqG5no

―――― 居間



ゴリ川田「「 いただきまーす 」」

響母「あい? ひょっとして、ゴリさんと川田さんね?」

ゴリ川田「「 今気付いたば!? 」」

響母「響のペット――家族かと思ったさー」

ゴリ「この親にしてこの子あり、だね」

響「照れるさー」

ゴリ「褒めてないよ。もう一度聞こえるように言ってあげるよ、褒めてないからな!?」

P「……」

真「プロデューサー?」

P「え……?」

あずさ「どうかされたんですか?」

P「あ……いえ」

雪歩「ボーっとしてます……」

貴音「ぱくぱく」

響母「お姫さまみたいだねー」

貴音「ぱくぱく」

P「た、貴音っ」

貴音「はて?」

P「話しかけられてるぞっ」

貴音「?」

響母「刺身、たくさんあるからどんどん食べてねー」

貴音「真に、お魚の新鮮な味わいに舌鼓を打ち、わたくしは至福の一時を堪能しております。
   響のお母様、わたくしの胸は感謝の気持ちでいっぱいです。真にありがとうございます」

響母「〜っ!」

響「そんなに嬉しがらなくてもいいさー! なんか恥ずかしいぞっ」

ゴリ「あい、照れてるねー」

響「ゴリ衛門もどんどん食べるさー!」ドン

ゴリ「えー! こんなに海ぶどう食べれんどー!」

響「ゴリ衛門が飲みたがってたオリオンもあるぞー?」

ゴリ「だぁ、ちょーだい♪」

響母「なんね、可愛いつもりね?」

ゴリ「可愛く言った方が確実に貰えるって思うさー」

響母「ルートビアならあるけど、どうする?」

ゴリ「いらん! この子供達にあげれ!」

美希「ジューシーってご飯……おいしいの……♪」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:30:57.55 ID:6/UBqG5no

P「なぁ、響……ゴリさんとお母さんって初対面だよな」

響「そうだぞ?」

真「その割にはフレンドリーだよね?」

響「ゴリ衛門は誰でもあんな感じだからね。沖縄の雰囲気だから余計そう感じるんじゃないかな?」

P「へぇ……」

雪歩「……そうなんだ」

川田「このタコも……まーさんッ!」

ゴリ「感想に力入れすぎだろ」

「ただいまー」

響「おかえり、アニキー」

響兄「帰ってたか、響」

真雪歩「「 ぷ、プロデューサー!? 」」

P「……!」

ゴリ「あい!? 瓜二つ!?」

響兄「あ! 来てくれたんですね、ゴリさん、川田さん!」

川田「このグルクンのから揚げ……匠の技やっさぁ!」

ゴリ「会話に参加しれ!」ペシッ

美希「……そうかなぁ? それほど似てないと思うけど?」

あずさ「……」コクリ

P「初めまして……響の――」

響兄「あ、あなたが……。響から伺っていますよ。俺に似つかないくらいのいい面構えしてますね」

P「は、はぁ……」

響「並んで見たら……そうでもないかも」

真「……そうだね……パッと見たら……似てたけど」

雪歩「薄目で見たら……似てるような……」

響母「似ても似つかないよー」

貴音「ぱくぱく」

響兄「プロデューサーさん、ゴリさん。お酒、すぐ出しますからね」

ゴリ「待ってました。沖縄に到着してようやく……。私はこの時をとっても待っていましたよ〜」

響「ゴリ衛門はバナナジュースで充分さー!」

ゴリ「なんでよっ!?」

雪歩「響ちゃん……とっても楽しそう」

真「……うん。いいよね、こういうの」

あずさ「うふふ」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:31:45.15 ID:6/UBqG5no

美希「お肉もおいしいの〜」

川田「それは三枚肉っていうさー」

美希「ご飯が進むの……ミキ、食べ過ぎちゃうよ、プロデューサー」

P「……今日は頑張ってたみたいだから、栄養はたくさん摂っていて構わないぞ」

美希「わかったの♪」

あずさ「……これと、これですね?」

P「よくわかりましたね……俺が食べたいと思っていたもの……」

あずさ「ずっと見ていましたから、はいどうぞ」

P「あはは……子供ですね俺は……」

響「おかーの料理久しぶりだから、とってもおいしいさー」

響母「……」ウルウル

響「え?」

響母「あんたには、他に幸せにしてくれる人がいるさ……」ポンポン

響「はぁ?」

44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/21(金) 09:33:30.87 ID:6/UBqG5no

――…



雪歩「プロデューサー……響ちゃんのお母さんが作ってくれたおつまみですよ」

響兄「ありがとう」

雪歩「ひゃぁ!?」

響兄「?」

P「……間違えたか」

美希「雪歩、失礼なの」

雪歩「ごごごっごごごめんなさい〜!」ササッ

真「うわっ! 危ないよ雪歩!?」

雪歩「うぅ……」

貴音「プロデューサー、明後日のセットリストをわたくしなりに考えてみました。
   目を通していただければと思い、こうして――」

響兄「いや、俺に見せられてもなぁ」

貴音「はて?」

響「貴音……メガネ買ったほうがいいぞ……」

P「……」

真「プロデューサー、明日はどこへ連れてってくれるんですか?」

響兄「うぅーん、俺に聞かないでくれんかぁ」

真「あ……!」

P「真、それはわざとだよな、な?」

真「もちろんですよー、プロデューサーに意地悪してみたかっただけです」

P「……そうか」

ゴリ「プロデューサーが寂しがってるだろ。こいつらは本当に、人を間違えるなんて酷いやー?」

響兄「そうですねぇ」

ゴリ「あげっ!? プロデューサーと間違えてにぃにぃに話しかけてたやっさ!」

P「……いいですけどね」

川田「この島ラッキョウ……まぁさん……!」

美希「ふぅーん……沖縄ってチャンネル少ないんだね」ピッピ

響「ローカルCM見てると面白いと思うぞ」

美希「CMかぁ……、チープかもしれないけど、それはそれでいいって思うな」

P「こういう勉強の仕方もあるんだな……」

あずさ「プロデューサーさん、かんぱ〜い」

P「かんぱーい……って、あずささん、飲んでいませんよね?」

あずさ「はい、お茶ですよ」

P「そ、それならいいんです。明日のライブに差し支えないようにしてくださいね」

あずさ「はい〜、それはもちろん……あら?」

P「どうかしたんですか?」

あずさ「いえいえ〜、なんでもありませんよ。気のせいですね」

P「?」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:36:03.92 ID:6/UBqG5no

雪歩「な、なんだか、こうやってみんなで輪になって……畳の上に座ってお喋りするなんて……」

真「のんびりしてていいよね」

貴音「開かれた窓から流れる風、とても心地よいものです」

響兄「プロデューサーさん、飲んでますか?」

P「はい、おいしくいただいてます。といっても、一杯だけですけど」

響兄「仕事で来てるんだから、しょうがないよね。じっくりと飲みたかったさぁ」

ゴリ「プロデューサーが、義弟になればいいんじゃないか……うん?」

川田「おまえは親戚のおじさんか?」

響「どれどれ、どんな味?」

雪歩「ひ、響ちゃん、ダメだよっ」

響「うぇー、まじゅい……」

貴音「……」

美希「どうしたのー?」

真「響がプロデューサーのお酒を……」

Pゴリ川田「「「 うわっ! 飲んだのか!? 」」」

響兄「どうしたんですか? 味見くらいなら問題無い……でしょう?」

あずさ「響ちゃん……?」

響「ぅ……?」

響兄「眼が据わってるな……触らないほうがいいよ、ねぇねぇ」

あずさ「はぁ……」

響「あずさしゃんに触るなー! 馬鹿アニキー!」

ゴリ川田「「 始まった! 」」

響兄「この距離だと手が届かないだろ……お?」

響兄「一般人とアイドル……手が届かない……どうですかね、プロデューサーさん」

P「上手いこと言ってるかどうかより、妹さんの心配をしてください……」

美希「どうしたの、どうしたの?」ワクワク

P「響はアルコールを微量でも摂取すると性格が……野生化するんだ……」

あずさ「まぁ……!」

ゴリ「プロデューサー、早くなだめれ!」

響「プロりゅーサーに触るなゴリ衛門! スーパーメーゴーサー!」バシッ

ゴリ「いたっ……くないけど! 落ち着け! 触ろうともしてないさ!」

響「フカーッ!」

P「いかん……」

あずさ「大丈夫ですよ〜、怖くありませんよ〜、響ちゃん」ナデナデ

響「フーッ! フー……ふー……ふ?」

雪歩「あわわわ……真ちゃん……!」

真「響……今回のロケ……常にプロデューサーと一緒だよね」フラリ

響「うーん……頭がクリアになるさー……」

貴音「覚醒の時ですね」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:37:43.23 ID:6/UBqG5no

真「ボクね……思ったんだぁ……この撮影ってこれからも楽しいんだろうなぁってぇ……」

美希「ま、真君……?」

雪歩「きょ、興味本位で……お酒を……!」

ゴリ「未成年の飲酒は法律で禁止されてるだろぉ!」

川田「おまえがいうか!?」

ゴリ「俺達の時代はほら、法律なんてあってないようなもので」

P「わー! わー!! うちのアイドル達の前でそんなグレーゾーンを言わないでください!」

ゴリ川田「「 すまん 」」

真「いいなぁいいなぁ……ってぇ……思ったんだぁ……」フフフ

美希「こ、怖いのぉ……」

響「なにが言いたいんだ、真?」

真「ちょっと、庭に出ようか?」ニコッ

響「そうだなー、決着をつけとくさー」ニカッ

P「待て待て待て!」

響「止めても無駄だぞ、プロりゅーサー」

真「そうですよ。漢には退けない時があるんです」

P「こんな時にだけ漢になるな……!」

あずさ「あらあら……どうしましょう」


真「稽古つけてもらおうかな……響」ザッ

響「ふふん、琉球は自分のホームだってこと、忘れてるみたいだね……真」ザッ


貴音「今宵、ついに雌雄を決する時が訪れました。いざ、尋常に……始めっ!」


真「先手必勝ッ!」シュッ

響「甘いさ!」サッ


雪歩「真ちゃんの鋭い突きを響ちゃんは軽いステップで右に躱したっ!」

ゴリ「実況入ったけど、どうするば、これ」

川田「一応、撮っておこう」

P「や、やめろ、二人とも!」

響兄「響にあの攻撃には当たらないさ……相手も当てるつもりはなさそうだね」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:40:14.78 ID:6/UBqG5no

真「まだまだぁ!」シュ バッ

響「へへーん、当たらないさー!」サッ シュゥッ



美希「左ジャブからの上段回し蹴りなのっ!」

雪歩「それを上半身で躱しながら一定の距離を保つ響ちゃん!」

あずさ「そうですね、お水を貰ってきます」

響兄「響の身体能力を知っているからの攻撃だね……だけど響はこんなもんじゃない。
   どうなるかわからないさ」

ゴリ「まだ始まったばかりだからな」

川田「二人とも凄いな」

P「なぜ誰も止めない……!?」



真「あの攻撃を躱すなんて、さすが……」

響「当たったら大変さ……」

真「少し、本気を出していいかな?」ニヤリ

響「全然余裕だから、いいよ?」ニヤリ

真「フフッ」ザッ

響「こっちも防戦は飽きたさ……!」ザッ


真響「「 やぁーッ! 」」


響母「いい加減にやめなさい!」ペシッ


真響「「 あいたっ!? 」」


美希「二人の間に入って止めたの!」

雪歩「ダブル突っ込み……! す、すごいですぅ……!」



響母「あんたたちも止めなさいね!」


ペシ ペシ ペシ ペシッ


ゴリ「いっ!」

川田「つっ!」

響兄「たっ!」

P「すいません……!」


あずさ「はい、お水ですよ」

真響「「 ごく……ごくごく 」」


貴音「月を望みながら食す西瓜もまた、夏の趣があるというものですね」シャクシャク

P「けしかけたの、貴音なんだぞ……」

48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:42:09.17 ID:6/UBqG5no

――…


響「うぅ……頭痛い……」ズキズキ

真「ボクは頭が回ってる……」グルグル

雪歩「……」ウトウト

美希「あふぅ」

貴音「就寝の時間となりましたね」

あずさ「真ちゃん、響ちゃん、お母さんがしーくゎさーを飲めば治ると仰っていましたよ。どうぞ」

真響「「 ありがと、あずささん…… 」」

P「雪歩、美希、部屋で寝ような」

雪歩「は……はい…………」

美希「プロデューサー、今日はありがとうなの……」

P「俺じゃなくて、響とお母さんに、な」

美希「はぁい……」

あずさ「プロデューサーさんは……?」

P「明日の予定をゴリさん達と確認してから寝ますよ」

あずさ「その……どちらで……?」

響母「男どもはこっちで寝たらいいさー」

あずさ「ま、まぁ……すいません、勝手に付いて来て……」

P「気にしないでください」

ゴリ「ねぇねぇ」

あずさ「はいはい……?」

ゴリ「ねぇねぇはしっかりしてるほうね?」

あずさ「はいはい。しっかりしてると思います〜」

P「ッ!?」

ゴリ「だったら明日の事だけ考えていればいいさ。プロデューサーと俺たちはもう少し飲んでるから」

響兄「やさやさ」

響「アニキ……プロデューサーに迷惑かけるなよー……?」

響兄「今のお前に言われたくないけどな。早く寝て来い」

響「うぅ……」

真「ボクも寝てきます……おやすみなさい、プロデューサー」

響母「案内しようね。付いてきて」

雪歩「おねがいしますぅ……」

P「お疲れ様、真、雪歩、貴音、美希」

美希「お休みなさいなのぉ」

貴音「それでは、失礼いたします」

雪歩「おやすみなさぁい……」

川田「いい夢みろよー!」

響兄ゴリ「「 ゆくいみそ〜れ 」」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:43:46.99 ID:6/UBqG5no

響「あずささんは自分と同じ部屋だぞ」

あずさ「わかりました。それでは、プロデューサーさん、おやすみなさい」

響「おやすみー」

P「おやすみ、響、あずささん……」



P「…………」

ゴリ「…………」

川田「…………」

響兄「急に黙りこくって……どうしたんですか?」


Pゴリ川田「「「 つ、疲れた……! 」」」


響兄「それだけ響たちは楽しめたんでしょうね、にふぇーでびるさ」


ゴリ「やばい、帰るのあんまさい……」

川田「……同感やさ」

P「ゴリさん、川田さん」

ゴリ「なにか?」

川田「?」

P「ありがとうございます。ここまで付き合ってもらえるとは思っていませんでした」

ゴリ「俺自身ここまで付き合うとは思ってなかったよ……」

P「みんな、ゴリさんを信頼してるようで、楽しんでますよ」

川田「俺は!?」

P「もちろん、川田さんもです」

川田「言わせたみたいになったさ、俺は横になろうねー」

ゴリ「……その言葉、本当なら嬉しいってなるんだろうけど、大変ってしか思えんやっさ」

P「ははは……」

ゴリ「笑い事じゃないけど?」

響兄「……俺も部屋に戻ろうね。寒かったらタオルケット持ってこさせるさ」

P「今日はありがとうございました」

響兄「響の楽しそうなところ見れただけ充分さ。おやすみ」

P「おやすみなさい」

ゴリ「もう寝てるよや、こいつ」

川田「くかー」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:46:20.96 ID:6/UBqG5no

P「楽しそう……か……。よかった」

ゴリ「……気になることでもあるのか?」

P「あ……はい。競争の激しい世界ですから、彼女達も追い抜かれないよう、走って走って頑張っています」

ゴリ「……」

P「だけど、やっぱり、俺でもフォローできないところが出ているみたいですね。
  だから、今回みたいな仕事が楽しいみたいで……良かったな、と思っています」

ゴリ「……大変だや」

P「いえ、みんなが頑張ってるのに、俺が弱音を吐くわけには……って、
  こんなこと言ってる時点で頼っちゃってますけど」

ゴリ「あんたの倍生きてるから、そんなこと気にしないでいいさー」

P「……」

ゴリ「こんなおじさんだけど、聞けることは聞くから、あんたはあんたでやったらいいよ」

P「……はい」

ゴリ「……」

P「もう一つ、聞いてもらってもいいですか?」

ゴリ「なんね?」

P「ドラマの仕事を貰ってきました。内容は、
 『療養生活を支える物語』です」

ゴリ「ふぅん」

P「……」

ゴリ「……は?」

P「誰が適役かな……と」

ゴリ「知るか!」

川田「な、なにか?」

ゴリ「あ、ごめん。寝ていいよ」

川田「くかー」

P「あはは……って、笑ってる場合じゃないですよね……どうしようかな」

ゴリ「それがあんたの仕事だろ」

P「……そうですね」

P「こんな話を聞いてくれてありがとうございました」

ゴリ「それは全然いいけどさ……候補は?」

P「響の持つ暖かさに注目しています……」

ゴリ「暖かさ?」

P「沖縄の暖かさを感じましたよ」

ゴリ「ほぉ……」




一日目終了

51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:48:52.42 ID:6/UBqG5no


二日目



チュンチュン


ゴリ「いつの間にか……寝てたのか……」

P「すぅ……」

ゴリ「……背中が痛い」ギシギシ

川田「くかー」

ゴリ「え、川ちゃん、起きれ」

川田「ん、うん?」

ゴリ「朝だぜ、帰ろう」

川田「……そうだな……ふぁぁ」

ゴリ「マネージャーからメール来てるな……」

川田「プロデューサーはどうする?」

ゴリ「一応起こしておくか」

P「くぅ……すぅ……」

あずさ「おはようございます」

ゴリ「丁度いいところに。ねぇねぇ、俺達一度帰るから、プロデューサーに伝えておいてな」

あずさ「はいはい。……わかりました〜」

川田「やばい、体が堅い……」

ゴリ「だからよぉ……」


スタスタスタ


あずさ「お気をつけて〜」

P「くぅ……」

あずさ「……」

52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:51:11.26 ID:6/UBqG5no


P「――……ん……?」

あずさ「すぅ……すぅ……」

P「ッ!?」

あずさ「すぅ……」

P「あずささん……か…………ゴリさんが美女になったのかと……って、近い……」

あずさ「……む…ぅ」

P「あずささん、こんなところで寝ないでください」

あずさ「……は…はい……プロデューサーさん……?」

P「ダメですよ、美希以外は不用意に寝てはダメなんです」

あずさ「……あ、あら?」

P「ゴリさん達もいない……?」

あずさ「ここは……私の部屋じゃなくて……沖縄でしたね……ふぁ」

P「そして、どうしてここで寝てるんですか……?」

あずさ「朝起きて……プロデューサーさんが気になって…………ゴリさんたちが帰られて……」

P「一度帰ったのか……」

響「くー……すー」

P「な、なんで響まで!?」

あずさ「プロデューサーさんの寝顔を見ていたら……私も眠くなって…………?」

P「響、起きるんだ」ユサユサ

響「んー!」バシッ

P「いた……寝起きが悪いのか……?」


「あぁ、もうっ……響が邪魔だなぁっ」

「き、聞こえちゃうよ……!」

「中々縮まらない距離……。気付かれぬよう、引き返しましょう」

「「 はぁーい 」」


P「……聞こえてるんだが」

響「……二人とも起きたね……ふぁ」

P「お願いですから、これからは不用意に寝ないよう心がけてください……お願いだから」

あずさ「今日も……いい天気になりそうですね…………」ボケー

響「ライブ日和さー」ボケー

P「お願いだから俺の話を聞いてくれ……!」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 09:52:54.74 ID:6/UBqG5no

――…


美希「おはよぉなのぉ……あふぅ」

響母「おはよう、美希」

美希「あれ……みんなは?」

響母「近くの畑で野菜の収穫に行ってるよー」

美希「ふぅん……。ミキも行ったほうがいいかな?」

響母「もうすぐ戻ってくる時間だから待ってましょ。それより、顔洗ってきなさいね」

美希「はぁい」


スタスタ


ジャー


美希「……っ」


バシャバシャバシャ


美希「……ふぅ」


フキフキ


美希「今日も頑張るのっ」


スタスタ


美希「……あ、今日はミキの出番は無いんだっけ」

響母「すぐ朝ご飯にするからね〜」

美希「響のお母さん、ミキも手伝うよ」

響母「いいよ〜、これはおばさんの仕事なんだから」

美希「気にしない気にしない。このお皿を運べばいいんだよね?」

響母「それじゃ、お願いね」

美希「任せるの〜」


スタスタ


美希「恋を夢見る〜律子さんは〜♪」


美希「いつか〜素敵な王子様に巡りあえる〜♪」


美希「はやくそんな日がきますように〜♪」


美希「ミキからもお願いするの〜♪」

律子「……」

美希「……」

律子「…………」

美希「…………ミキはね、魔法をかけられただけなの」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 10:14:42.16 ID:6/UBqG5no

―――― 外


P「バスが来てる……」

響「はいたーい、運転手さん!」

運転手「今日もよろしくお願いします」

響「一緒に朝ご飯食べない?」

運転手「いえ、私は食べてまいりましたので、ここでお待ちしています。ごゆっくり」

P「……そうですか」

響「残念さー」

真「プロデューサー、野菜運び終わりましたよー」

P「それじゃ、手を洗って……雪歩、顔に土が付いてるぞ」

雪歩「そ、そうですか……えっと」ゴシゴシ

P「あ、広がった」

雪歩「あぅ……」

響兄「悪いね、アイドルに土いじりなんてさせて」

貴音「いえ、土に触れることで人の心は和らぎます。一日の始まりに良い経験を積めました」

響兄「そういってくれると嬉しいさ」

響「ご飯の前にシャワー浴びたほうがいいよね」

あずさ「……あら?」

P「どうしたんですか?」

あずさ「律子さんの声が……?」

P「律子が迎えに来てくれたのか……」


ガチャ


真「ただいまー!」

雪歩「ただいま戻りましたぁ……」

貴音「……」

真「……」

雪歩「……」

響「どうして固まっているんだ?」


美希「これはプロデューサー、これは雪歩、貴音……あ、真君の分が足りないの!」


響「……」

P「どうしてみんな固まっているんだ?」


美希「響のお母さん! 卵焼きがあと二皿足りないの!」


P「……」

あずさ「あら……どうしたんですか?」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 10:15:42.88 ID:6/UBqG5no

美希「真君、響……と、あぁ、響のお母さんの分を考えてなかったの!」

響母「あとで食べるから気にしないでもいいさ」

美希「そ、そうなの? それじゃ、サラダを用意するね!」


P「美希がテキパキと……積極的に働いている……!?」

あずさ「あら、律子さん」

律子「変な替え歌してたので、注意をしようと思ったら、自ら働きだした、ということです」

あずさ「?」



――…


雪歩「……ふぅ……シャワー気持ちよかったぁ」

美希「雪歩、早く座るの」

雪歩「う、うん……」

美希「それじゃあ、いただきまーすなのー」

「「「 いただきまーす 」」」

P「どんな替え歌をしていたんだ?」

美希「……聞かないで欲しいの」

真「テンションの浮き沈みが激しいよね、美希……?」

律子「すいません、私まで……」

響母「気にすることじゃないさ」

響「どうしてここに律子が?」モグモグ

律子「響とあずささんを迎えに来たのよ」

あずさ「……」

真「プロデューサー、観光地へはいつ出発するんですか?」

P「ゴリさん達と合流しない限り撮影はできないんだ……」

律子「連絡待ちですか?」

P「そうなる」

56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 10:16:54.79 ID:6/UBqG5no

――…


雪歩「ご、ごちそうさまでした。とてもおいしかったです」

響母「は〜い、お粗末さま〜」


ジャー


あずさ「はい、真ちゃん」

真「うん」

響母「洗い物をさせるなんて、やっぱり悪いねぇ……」

律子「気にしないでください。私達がのんびりするわけにはいきません」

響母「宿泊費だって、本当は要らないんだよ? 響がお世話になっているんだから」

律子「いえいえ、それでも勉強させてもらった額ですので。お気になさらず。はい、あずささん」

あずさ「は〜い」


ガチャガチャ



響「自分の仕事取られたぞ……」

美希「響も、せっかくの休暇なんだからゆっくりするの」

57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 10:22:14.07 ID:6/UBqG5no


P「はい。来週には戻ります。……はい、わかりました。よろしくお願いします」


ピッ


響兄「仕事の電話ですか?」

P「そうです。沖縄から帰った後、過密なスケジュールが待っていて」

響兄「忙しそうですね」

P「忙しくなるのは来週からで、今は休暇みたいなものですね。これくらい忙しいうちに入らないですよ」

響兄「……」

P「今のうちに英気を養わないと……いけませんね。あの……なにか?」

響兄「響のこと、よろしくお願いしますね」

P「それはもちろん、全力でプロデュースします」

響兄「……うん」

P「……?」

響兄「いえ、それだけです。これからも宿泊されるんですよね?」

P「後三日、お世話になりますっ」ペコリ

響兄「そんな、改まって言わなくても……はい、わかりました」

P「今日はお子様チー……じゃなかった、騒がしくなると思いますが、重ね重ねよろしくお願いします」

響兄「プロデューサーさんは一緒じゃないんですか?」

P「今日はホテルに泊まりますので」

律子「プロデューサー、そろそろ」

P「そうだな。それでは失礼します」

響兄「はい、頑張ってきてください」



響兄「誰かに雰囲気が似てるな……?」

響「じゃあ、アニキ、自分行って来るからな!」

響兄「あぁ、しっかりな」

58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 10:23:26.70 ID:6/UBqG5no


―――― バス内


律子「ゴリさんから連絡はありましたか?」

P「午前中に仕事が入ったみたいで、午後から合流するそうだ。
  だから、みんなで北谷に向かうことになったな」

律子「そうですか。結果論ですけど、ちょうど良かったですね」

P「……」




あずさ「……」

響「あずささん?」

あずさ「はい?」

響「どうしたの? ぼんやりしてたけど」

あずさ「響ちゃん、プロデューサーさんが……食後に何か飲まれていましたよね。何か解りますか?」

響「うん……ビタミン剤って言ってたけど……?」

あずさ「……そうですか」

響「?」

あずさ「いえ、気にしないでください」

59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 10:25:18.05 ID:6/UBqG5no

―――― 北谷・サンセットビーチ


春香「おはようございますっ、プロデューサーさん!」

亜美真美「「 おはよー、兄ちゃん! 」」

千早「おはようございます」

やよい「おはようございます!」

P「みんなおはよう! 今日も頑張って行こうな!」

「「「 はいっ! 」」」


P「お子様チー……ファンキーノートチームは午前の出番だから、気を引き締めていけよ!」

伊織「ちょっとアンタ! お子様って言ったわね!?」

P「さぁ、観客が待ってるぞ! 舞台袖で準備だ!」

やよい「はい!」

響「やるぞー!」

亜美真美「「 おーっ!! 」」

伊織「勢いで誤魔化したわね……。それより、ゴリはどうしたのよ?」

P「午後から来ると連絡があった。それまで撮影はストップだな」

伊織「ふーん……」

P「どうした?」

伊織「別に、ただ参考に聞きたいことがあっただけ」

伊織「ほら、アンタも行くわよ!」グイッ

P「あ……っと、律子、みんなのこと頼んだぞ」

律子「はい、任せてください!」


あずさ「……」

律子「大人チームは一度部屋に戻って打ち合わせしておきましょうか」

春香「そうですね! 午後から頑張るぞっ」

真「律子、ボク達はどうしよう……?」

律子「そうねぇ……こういうときの為の観光地巡りなんだけど。どこか行きたい所ある?」

真「うーん……雪歩はある?」

雪歩「観覧車のところに行きたいな」

貴音「それは名案ですね」

律子「いいけど、ちゃんと変装していきなさいよ?」

貴音「心得ております」

律子「お店で食べ過ぎたりして変に注目を集めないようにしてよ?」

貴音「……」

律子「なんで返事しないのよ……あぁ、不安になってきた……」

千早「私達も同行すれば、律子の不安も無くなると思うけれど」

律子「……困ったわね」

春香「あれ、美希がいない……?」

律子「うぅ……! あずささんもいない……!」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 10:26:57.48 ID:6/UBqG5no

―――― ライブ会場・控え室


pipipipipi


P「はい、もしもし、どうした律子?」


P「……えぇ!?」

やよい「プロデューサー、着替えてきましたよー!」

P「なんてことだ……また迷子に……」

やよい「?」

P「俺も一緒に探したいけど……」チラッ

やよい「? どうかしたんですか?」

P「悪い、ここを離れるわけには…………うん」

亜美「兄ちゃん! みてみてー亜美の衣装!」

P「……わかった。俺からも電話かけておくから。頼んだぞ」


ピッ


亜美「兄ちゃん……事件だね……」

P「あぁ……あずささんと美希が……迷子に」

亜美「どうして……現場には悲しい涙がこぼれるんだろうね……」

P「いや、こぼれてないぞ……」


ピップッ


trrrrrr


P「頼む……出てくれ……あずささん……!」

やよい「プロデューサー……」

真美「なんか、シラスだね」

P「それをいうならシリアス…………あずささん!?」

やよい「繋がったよ! 真美!」

真美「やったね! よくわかんないけど!」

亜美「こうして、事件は幕を下ろしましたとさ……」

P「ロビーにいるんですか!? ……うわ……盲点だった……」

伊織「騒がしいわね。なんなのよ」

やよい「美希さんが迷子なんだって」

伊織「あずさじゃなくて……? 珍しいわね」

P「そこから動かないでくださいね。律子に連絡しますから。はい、お騒がせしました」


プツッ

61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 10:30:03.80 ID:6/UBqG5no

P「あとは美希か……」


ピッピップ

trrrrr


P「……みんな、緊張はしてないか?」

伊織「私を誰だと思ってるのよ」

亜美「誰なの?」

伊織「ぇ……って、なんだか不安になったじゃないの、亜美!」

真美「水瀬グループのおんぞーしだよね」

伊織「御令嬢よ!」

P「律子、あずささんはホテルのロビーにいるぞ。
  ……考え事してたらしくて、マナーモードで気付かなかったと。
  あとは美希だけど……うん。悪いけど、頼んだ……」


プツッ


P「……ふぅ」

やよい「ハッ!」

パン

P「?」

やよい「プロデューサー、ため息をつくと幸せが逃げちゃいますよ?」

P「そうだな……」

真美「やよいっち、兄ちゃんの幸せを掴んだんだね! 見せて見せてー!」

伊織「目視できるものなの?」

亜美「そーっと開くといいよぉ」ワクワク

響「バッタでも捕まえたのかー?」

やよい「でも、両手開いたら逃げちゃうよ……」

亜美「だいじょうぶ、逃げ出したら亜美が掴まえるよ!」

真美「真美だって!」

P「俺の幸せはバッタと同じ扱いか。やよい、ありがとな」

ギュ

やよい「はい! 返しました!」



スタッフ長「今日も頑張るぞ、お前達ー!」

スタッフ一同「「「 おぉー! 」」」



伊織「なんだか知らないけど、スタッフの士気が上がったようね」

P「やよいの優しさはみんなに伝わるんだ。うん」

やよい「……」

やよい「えへへ、なんだか照れちゃいますね」テレテレ
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 10:31:24.13 ID:6/UBqG5no

――…


響「この次だよね、プロデューサー!」

P「あぁ、みんな気合入ってるな?」

やよい「はい!」

伊織「任せて」

亜美真美「「 おいっす! 」」



『――ありがとうございました!』



\ ワァァァーー!! /



「うぉぉぉ、みらいちゃーん!」

「お、おちついてお姉ちゃん!」


P「凄い歓声だな……」

伊織「一番前の姉妹……やたら気合入ってるわね」


『それでは次、765プロさんでーす!』


P「よし、行って来い!」


「「「 はいっ! 」」」


タッタッタ



\ ワァァァアアアア!!! /




『お待たせー! みんなのアイドル水瀬伊織ちゃんよ!』

『『 双海 』』

『亜美!』

『真美だよん!』

『我那覇響だぞー!』

『高槻やよいですー! それではー、一曲目行きますよぉ!!』


『『『『『  Honey Heartbeat!! 』』』』』


63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 10:39:48.90 ID:6/UBqG5no

――…



『『 ズン ズン ズン ズン 』』

『 ムーディーR&B 』

『『 気付かず 』』

『 月灯りの下で 君がとるリズム 』


P「ステージはもうマスターしてると言っていいかもしれないな……」


ピッピップ


trrrrrrr



P「……もしもし、美希か? 今どこにいる?」


P「…………なんだ、そうか……わかった」


プツッ


P「……」


P「ふぅ…………ハッ!?」


パン


P「……って、何をしてるんだ俺は?」


「クスクス」


P「う゛……」

「こんにちは」

P「……こんにちは。えっと……さっきステージに立っていた」

「あ、一曲目が終りますよ」


『 Please,please me now 』



P「……よし、上手く終らせたな」

「……」


64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 10:42:16.17 ID:6/UBqG5no

『いやー、沖縄の熱気は凄いね、真美』

『ほんとほんと、会場の兄ちゃんや姉ちゃん達の熱気も凄いよー』



\ オオォォーー! /



『……』


P「響っ前を見ろ!」


『?』

『みんなごめんねぇ〜、響ったら、熱気にやられちゃったみたいなの〜』

『……あはは、自分うちなーんちゅなのに熱さに弱くて参るさー』

『へえー、そうなんですかぁ』

『そうだぞ、やよい。うちなーんちゅでも、泳ぐのが苦手な人だっているんだ』

『そうなの!? 真美、沖縄の人はみんな50kmは軽く泳げると思ってたよー!』

『そんなわけないでしょ、真美ったらぁ』

『えっと、私気になることがあるんですよ』

『どうしたの、やよいっち、この際だから、聞いてみな?』

『この会場のみなさんは、沖縄の人なんですかぁ?』


P「観客いじりまで覚えたか……」

「クスクス」


『わぁ、沖縄以外から来てる人って結構いるんですねー!?』

『どうしてそんなことを聞いたんだ、やよい?』

『えっとぉ、響さんと、ゴリさんに進められたお店……えっと、お店のお名前は……』

『エンダーだぞ。A&Wだ』

『そうです、そこのカーリーフライと言うポテトがとってもおいしくてぇ……♪』

『あぁ、やよいっちが味を思い出して飛んで行っちゃったよ』

『戻ってきなさい、やよい』

『はっ! そうです! そのお店おすすめですから、ぜひ寄ってみてくださいねー!』


P「観客にはウケてるみたいだけど……毎度ハラハラさせられるなぁ……」

「……」

65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 10:43:53.90 ID:6/UBqG5no

『それじゃー次の曲、どれにしようかひびきん』

『そうだなー、Do-Daiなんてどうだい?』

『おう、いいですねぇ。いおりん、Do-Daiでどうだい?』

『いいんじゃないかしら、亜美、Do-Daiでどうだい?』

『うん、そうだね』

『あらやだぁ、私が滑ったみたいになっちゃった♪』

『自分、そういうの嫌いじゃないぞ』

『そういうフォローもいらないのよぉ?』

『それでは、Do-Daiですー! 行っきますよぉー!』



『『『 本日はみんなに私のとっておきの 』』』

『『 恋バナを聞かせてあげちゃうよ 』』


P「アドリブだったけど、なんとかつなげたか……伊織も上手く乗ってるみたいだ……」

「私も、負けていられませんね」

P「……こっちも、負けませんよ」

「ふふ、それじゃ、失礼します」

P「はい、お疲れ様でした」

「また、どこかでお会いしましょう」

P「……?」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/21(金) 11:06:06.96 ID:6/UBqG5no


―――― カーニバルパーク・ミハマ


あずさ「……あら、律子さん……?」

外国人「HEY」

あずさ「私ですか……?」

外国人「ソウデス、イマオヒマデスカ?」

あずさ「えっと……探している人がいまして……」

外国人「オネエサン、カワイイデスネ」

あずさ「えっと……」

外国人「モシヨケレバ、コレカラアソビニイキマセンカ?」

あずさ「その、ごめんなさい……」

外国人「ソンナコトイワズニ、タノシイトコロイッパイアリマスヨ」

あずさ「あ、あの……」

外国人「サァサ、エンリョシナイ」ガシッ

あずさ「っ!?」

外国人「イキマショウ」

あずさ「あ、あのっ」

外国人「ダイジョウブデスヨ」

あずさ「……ッ!」

ゴリ「ヘイヘイヘーイ」

外国人「?」

ゴリ「This person has a fiance. 」

外国人「oh...sorry...」

ゴリ「気にするな、間違いは誰にでもある」

外国人「see you!」

ゴリ「じゃあな!」


スタスタスタ


ゴリ「で、なんでこんなとこに、ねぇねぇがいるば?」

あずさ「……」

ゴリ「あい……放心状態だね……」

67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 11:08:03.03 ID:6/UBqG5no

―――― ライブ会場・控え室


『次は三曲目だね!』

『みんなとお別れをするのは寂しいけど、伊織、頑張りますぅ』

『最後まで頑張りまくるからねー!』

『私も頑張っちゃいますよー!』

『あ、ゴリー!』

『伊織ちゃんを見ててねー! それじゃ、SMOKY THRILL!』


『 知らぬが 仏ほっとけない 』


P「ゴリさんが来てるのか……?」


pipipipipi


P「もしもし、どうした、律子…………えぇ!? またまた迷子!?」


P「美希とは合流してるんだよな?」


P「……わかった。今の曲が終ったらすぐに探しにいくから…………うん」


ゴリ「プロデューサー、ねぇねぇ見つけたんだけど」

あずさ「……」


P「律子、見つかったから、心配しないでくれ。……ゴリさんが見つけてくれたみたいだ。
  ……うん。それじゃ後で」


プツッ


P「はぁ、良かった……いくら変装してるからって」

あずさ「……っ」

P「あ、あずささん……?」

あずさ「少し……怖いと思いました……っ」

P「……」

ゴリ「外国人に絡まれてたからよ……」

P「え……」

ゴリ「ずっと、放心状態だったからさ、連れてきたわけ」

P「本当に……ありがとうございます」

ゴリ「俺はステージ見てるから」

P「……あずささん」

あずさ「プロデューサーさん……手を…握っていてもいいですか……っ」

P「はい」

あずさ「ありがとう……ございます……」

ギュ


『 手がかりにI wanna 恋どろぼOh! 』
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 11:10:49.91 ID:6/UBqG5no

――…


亜美真美「「 ゴリー! 見てたー!? 」」

ゴリ「あぁ、ちゃんと見てたぜ! もう教えることはないさー!」

伊織「なにも学んでないわよ」

やよい「うっうー! 楽しかったですー!」

響「プロデューサー! あずささんという人がいながら――あれ?」


あずさ「……」

P「……」


亜美「どうして握手してるの?」

真美「んー?」

ゴリ「で、見てたけど、なんだわけ?」

伊織「後で聞きたいことがあるから、その時ね」

ゴリ「……今でいいさぁ」

伊織「こっちにも都合があるのよ」

ゴリ「俺の都合はどうでもいいわけな」

響「どうしたんだろ?」

ゴリ「カチャーシー取り入れるなんて斬新だな」

響「あ、あれはカチャーシーじゃないぞ! ……自分もそう思ったけど」

真美「川座衛門は?」

ゴリ「コンビニに寄るって言ってたから置いてきた」


あずさ「もう大丈夫です」

P「……そうですか」

あずさ「うふふ、すいません、少し驚いちゃって」

P「俺達から離れないでくださいね」

あずさ「はい」


響「仕事早めに終わったの? ゴリ衛門」

ゴリ「那覇でラジオ出演してたわけよ。移動に時間がかかっただけさ」

亜美「そんなことより、亜美お腹すいちゃったよぉ」

真美「真美もぉ」

P「それじゃ、早く着替えて、昼食を取りにいくか」

「「「 はーい 」」」


ゴリ「プロデューサー、これ、ラジオ局のディレクターが」

P「名刺……ですね」

ゴリ「ラジオ出演しないかって」

P「ほ、ほんとうですか!?」

ゴリ「とりあえず、電話して聞いてみ」

P「ありがとうございます!」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 11:13:23.29 ID:6/UBqG5no

―――― ドラゴンプレス前


真「クッ……」

男「くっくっく……鍛え方が違うんだよ……」

千早「ごめんね…真……私……!」

真「待ってて、千早……ッ!」

男「無理するんじゃねぇよ……足がガクガク震えてんじゃねえか」

真「ボクは……こんなところでッ!」

千早「真……! もう……!」

真「大丈夫だから、ボクが必ず君を――」

男「口だけは立派だが……、体は付いてこれてねえみたいだぜ?」

真「うッ……」ガクッ

男「たった一撃で崩れるなんてな……最初の気迫はどこへいったよ」



雪歩「ま、真ちゃん……!」

春香「大丈夫だよ雪歩! 真の目はまだ諦めていないから!」

貴音「しかし、後がありません」

美希「ピンチなの!」



川田「人が集まってるね。美味しい店でもあるのかもしれん。行ってみよう」



千早「真……! これ以上、私のために傷ついて欲しくない……!」

真「ごめんね……千早……、だけど、必ず……君だけは……」

男「さっさと寝ろやぁー!!!」


シュッ


真「――!」


『おぉっと、足のダメージで立てないヒーローに悪の拳が襲い掛かるーッ!』


真「最後の賭けだッ」


バッ


男「なッ!?」


雪歩「バク転で躱した!」

美希「それだけじゃないの! 真君の右足が決まるの!」

貴音「熟練された動きですね」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 11:14:57.53 ID:6/UBqG5no


『カウンターで悪の顔面に――』


男「ッ!」サッ


雪歩美希「「 躱されたッ!? 」」


真「ッ!」

男「終わりだぁーー!!」

真「うぉぉおおお!!」


ガッ


男「――!」ガクン



『左足の踵が顎を揺らしたーッ!!』



男「うぐッ!」


真「ハァッ……ハァ…!」

千早「ま、真〜!」

真「ボクのお姫様は返してもらうよ」

男「ぐぅ……!」


カチャ


真「チェックメイト」




\  きゃー! 真様ー!! /




『銃口を突き付けられたことで、悪は観念したようです!』



雪歩「うんうん。真ちゃんはこうでなくっちゃ」ウンウン

美希「カッコ良かったの〜!」

貴音「美しき逆転劇でした……」

春香「瞬きしてる間に形勢逆転してたけど……なにが起こったのかな……?」パチクリ

ゴリ「昨日の方が動きが良かったけど、まさか……酔えば酔うほどってやつか?」

響「昨日ってなんだ、ゴリ衛門」

ゴリ「やっぱり記憶飛んでるのか……」

響「?」

律子「どうやら上手くいったみたいですね」

P「これは……一体どういうことだ律子……?」

律子「とりあえず、舞台袖にいきましょう」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 11:18:03.27 ID:6/UBqG5no

真「あ、プロデューサー! 見ててくれましたか!?」

P「最後だけな。でも、凄かったじゃないか」

真「へへー」

P「千早も」

千早「何も……言わないでください……」

P「いや、結構良かったと思うぞ。千早の演技が真をさらに引き立てていたんだから」

千早「あれは……私じゃありません……」

ゴリ「現実逃避してもしょうがないさ。演技をすることで胸に秘めた小さな――」

千早「くっ」ゲシッ

ゴリ「あがぁ!? だからなんで蹴るか!?」

千早「私の……秘めた小さな葛藤を曝け出さないでください」

ゴリ「お節介かもしれんけどよ、いつかその小さな葛藤が大きく――」

千早「真、相手を気絶させるにはどうしたらいいの?」

真「教えられないよ!?」

ゴリ「もうお節介やめます。もう知りません」

男「お疲れ様です、真さん」

真「お疲れ様です! あの……結構手応えがあったんですけど……大丈夫ですか?」

男「はは、柔な鍛え方はしてないつもりだよ」サラサラ

監督「いやぁー、よかったよー、プロデューサーさん」

P「あ……以前お世話になった」

ゴリ「プロデューサー、顔が広いな」

律子「私がアイドルをやっていた時に、とてもお世話になった方なんです」

監督「ヒーローショーの合間の時間に、なにかやってみたいなと思っていたんだよ」

監督「そこへ、律子君を見つけて、歌でも……って思ったら、アクションものをやりたいっていうからね」

P「真の提案ですね……」

監督「そういうわけなんだ。今の私では765プロに見合うギャラが出せなくて心苦しいんだが」

P「いえ! 真も千早も楽しんでいましたから。監督への恩返しだと思ってください!」

監督「恩返しなんて大げさな……。まぁ、そういってくれるとこっちも助かるよ」

P「いい経験になったと思います。ありがとうございました!」

律子「少しでもお役に立てたのなら、嬉しいです」

監督「礼を言うのはこっちなんだけど……。また機会があったらよろしくね」

P「はい!」

律子「こちらこそ、よろしくお願いします!」

真「ありがとうございましたー!」

千早「それでは、失礼します」

ゴリ「若いって素晴らしいさぁ」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/21(金) 11:21:04.47 ID:6/UBqG5no


美希「上機嫌だね、響」

響「北谷が賑わってたなんだか楽しいぞー」

貴音「わたくしも心が躍るような気持ちです」

春香「その落ち着きで……」

雪歩「あ、プロデューサー達が戻ってきたよ」


P「アドリブだったのか、本当に凄いな」

真「昨日の夜、ボク、何かしましたっけ? おかげで体が調子いいような」

ゴリ「こっちも飛んでるな」

千早「?」

真「楽しかったなー」ルンルン

P「真は期待に応えられる強い人になったな」

真「……」

響「真?」

真「今の言葉、胸にズシンと……」

P「そ、そんなに深く取らないでくれ……」

美希「……」

雪歩「こ、これから観光ですよね、プロデューサー」

P「うん。さぁ、バスに乗って移動だ」

73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/21(金) 11:21:58.41 ID:6/UBqG5no
投下終了しました
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/21(金) 14:44:30.75 ID:iKWBuI+0o

めっちゃあずねぇねぇ推しやん
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 21:02:37.23 ID:+GFhj82Ao

―――― バス


川田「まぁさんまぁさん」モグモグ

やよい「なにを食べているんですかー?」

川田「あい、一人で食べてごめんね。屋台で買った焼き鳥だよー」

やよい「うわー、私も屋台に行きたいですー! ね、伊織ちゃん!」

伊織「それはいいかもしれないけど、できれば落ち着いて食べたいわね」

真美「ちゃたんがお祭り騒ぎだよねー」

川田「はい、飲み物あげるさ。勝手に取って」

亜美「亜美、オレンジもーらい!」

真美「……霧の紅茶?」

川田「やさ。今は沖縄にしか売られてないよ」

伊織「ふぅん……色々あるのねぇ」

やよい「アップルティーを貰いますね!」

川田「で、ゴリとプロデューサーは?」

亜美「ひびきんと…えっと…どっか行ったよ」

川田「そうね。はい、ねぇねぇも取って」

あずさ「はいはい〜、ありがとうございます〜」

川田「なんね、いいことでもあった?」

あずさ「うふふ」

ゴリ「おまえ、どこに行ってたか?」

川田「コンビニに行くっていったさ」

ゴリ「フラフラするなって意味さ」

川田「さっさと移動しようぜ、時間がもったいない」バシーン

ゴリ「なんのポーズか?」

亜美「もったいない!」ズギーン

真美「もったいない!」ズドドド

ゴリ「よくわからんけど、格好いいな。いや、格好いいかこれ?」

P「さて、昼食を取ってから観光地巡りだ」

やよい「私達のチームも一緒でいいんですかー?」

P「うん。午後から暇を持て余すのももったいないからな」

ゴリ「いいよ! お子様チームは置いていこう! お願いだから!」

伊織「どうしてそこまで悲しそうなのよ」

ゴリ「青春とお子様のコラボとか、絶対あってはならんどぉ!」

律子「それじゃ、私達大人チームは午後に備えておきましょうか」

春香「うぅ、私もバスに乗りたいです……!」

律子「諦めなさい」

春香「……はい」
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 21:03:04.97 ID:+GFhj82Ao

千早「あの……プロデューサー。今日の予定にセイファーウタキは入っていますか?」

P「……せいふぁーうた……?」

響「おぉーあそこかぁ」

千早「セイファーウタキです」

ゴリ「なんね、行きたいの?」ニヤニヤ

千早「な、なんですか、その表情は……!」

ゴリ「どうしようかなぁ、今日行っておこうかなぁ」ニヤニヤ

千早「な……ッ!」

川田「斎場御嶽は明日行くから心配しないでいいよ」

ゴリ「ネタバレ早さよっ!」

千早「ほっ……」

あずさ「千早ちゃん、そこは……?」

千早「パワースポットと呼ばれているそうです。写真で見て、行ってみたいと……」

律子「昨日読んでいた雑誌のことね。……あの無関心の塊の千早が……」

P「明日、大人チームと行こうか」

千早「は、はい!」

ゴリ「俺はあんたに二回も蹴られてるからなぁ……今日みんなで行っておこうかなぁ」

千早「……」ゲシッ

ゴリ「無言で三回目ッ!?」

春香「うーん……いいなぁ」

律子「すいません、話が長くなるので行ってください」

P「そうする」

響「れっつごー!」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 21:29:43.52 ID:+GFhj82Ao

―――― バス内


川田「はい、みなさん〜。これからどこに向かうと思いますか〜?」

真亜美真美「「「 首里城ー! 」」」

川田「違いますぅ〜、お昼ごはんを食べに行くんですぅ〜」

ゴリ「腹立つやっさ……」

雪歩「あ、あの! どこのお店へ向かってるのでしょうか……!」

川田「……」

ゴリ「なんで黙る?」

雪歩「あ、あれ……っ?」

川田「実はこのバス……」


伊織「ブレーキが効かなくなったのよぉ!」


雪歩真「「 わぁー!! 」」


伊織「にひひっ、驚いた?」

美希「でこちゃんの表情が怖かっただけなの」

伊織「それも演出よ♪」


響「運転手さん、どこへ…………え?」

P「どうした響……?」

響「え……えぇ……!?」

P「響……!?」

響「ど、どうしようプロデューサー!!」

亜美「またまたそんな……――え」
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 21:31:55.44 ID:+GFhj82Ao

貴音「緊急事態のようです、プロデューサー」

P「なにがあった、亜美」

亜美「に、兄ちゃんっ……!」

真美「亜美ってば、そういうノリ…………え」

やよい「うぅー」

川田「……ゴリ、諦めれ」

ゴリ「変な芝居するなぁ、読めてるばーよ。運転手が倒れたーって言うんだろ」

響「……」

亜美「……」

真美「……」

川田「……」

伊織「そ、そんな訳無いじゃないの! 私が確認してくるわ! 空気とか読まないんだから!」

美希「よろしくなのー」

真「え、え……?」

雪歩「な、なんだか……怖いですぅ」


伊織「……そ、そんな……信じられない」


雪歩「い、伊織ちゃんまでぇ……っ」

真「うぅ……プロデューサー! 何が起こっているんですか!?」

P「わからない……」

美希「楽しみなのー」

貴音「このバスは一体、どこへ向かっていると言うのでしょう」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 22:15:04.20 ID:+GFhj82Ao

―――― A&W・牧港店


ゴリ「二日連続なぁ……信じられん……」

響「うぅん……自分も違うの食べたいぞ……」

美希「ミキが運転手さんにお願いしたの!」

伊織「昨日で堪能したっていうのに……」

P「お子様チームが引くわけだな……」

亜美「お米、お米を食べさせてください〜」

真美「真美もどう意見です〜」

やよい「今日もカーリーフライをいただけるんですねー!」

真「やよいの話を聞いてボクも食べたかったんだー、やーりぃ」

雪歩「うぅ……あの恐怖感はなんだったんだろう……」



店員「あ、響ちゃん! いらっしゃいませー!」

響「ま、また来たさー!」

ゴリ「店員のねぇねぇは嬉しそうだな」

P「響は気まずそうですね……」

美希「あれ、おにぎり無いんだね……」

伊織「あたりまえでしょ。おすすめはルートビアよ」

亜美「いおりん、お主も中々の悪よのぅ」

伊織「ヒッヒッヒ、後悔させてあげるわぁ」

真美「いおりん、魔女役も様になってますのぅ」

伊織「イッヒッヒ……って、なにをやらせるのよ」

美希「おにぎり……。ねぇ、プロデューサー」

P「ん?」

美希「コンビニ行ってきていいかな?」

ゴリ「おまえが行きたいって言ったんだろ! 俺達の注文終ったけど!?」

美希「しょうがないなぁ、もぅ……。プロデューサーと同じのでいいや」

ゴリ「あい、とんでもない爆弾がいたんだね」

P「すいません。世間知らずなので……」

川田「俺はいつものやつね」

店員「かしこまりましたー」

80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 22:16:56.28 ID:+GFhj82Ao


やよい「いただきまーす!」

真雪歩「「 いただきまーす 」」

亜美「おいしいねぇ」

真美「うんうん。おいしいねぇ」

P「食べてみたら意外と楽しめるもんだな」

ゴリ「どうせだったら違う店がいいのによ……なんでエンダーか……」

川田「おまえはまだそんなこと言ってるわけ? ほら、みんなでゴリのチーズカーリー食べよう」


バサッ


ゴリ「いいけどよ、パーティーみたいに広げないでくれるか?」

響「自分の分もみんなで食べようー」


バサッ


亜美「じゃ、亜美もー」


バサッ


真美「そーれ」


バサッ


やよい「それー」


バサッ


美希「えーい」

伊織「ちょっと、それ私のなんだけど」


バサッ


真「それじゃボクも――」

ゴリ「冷えやすくなるから、気をつけないとな」

真「う……!」

雪歩「だ、大丈夫だよ、四条さんがいるから冷える前に無くなるよ……」

貴音「ぱくぱく」

P「どうだ、貴音」

貴音「ぽてと、美味」

P「なんでカタコトなんだ……」

貴音「ぱくぱく」

ゴリ「この薄くなってる部分が旨いわけよー」

やよい「そうなんですよねー!」


81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 22:20:59.16 ID:+GFhj82Ao

――…


P「ほら、亜美、真美。フロートだぞ」

亜美真美「「 ありがとー、兄ちゃん! 」」

伊織「まったく、貴音が全部食べるからよ」

貴音「わたくし自身、消費されないぽてとの量に不審を感じておりましたが、
   どうにもやめられず、気が付いたら食べつくしていました」

貴音「心からのお詫びとともに、また、沖縄の美味しい一品を食してみたいという気持ちも生まれ――」

伊織「反省してるのかどうかわからないわね。ほら、美希」

美希「サイン? いいよー」

ゴリ「なんでか?」

伊織「あの店員さん、765プロのファンみたいだから。ファンは大事にしないとね」

ゴリ「おじさん、あんたのこと見直したよ」

伊織「これくらいで見直されても困るけど。やよいは私とマフィンを食べましょ」

やよい「ありがとう、伊織ちゃん」

P「伊織は高いところから見渡すいい視野を持っていますから」

伊織「……」

ゴリ「第三の目ってやつだよな。やっぱりそうか」

伊織「無いわよそんなの。やっぱりってどこ見て言ってんのよっ」

美希「『でこちゃんへ』と……はい、でこちゃん」

伊織「あんた、話聞いてなかったの!?」

響「真たちはワッフルサンデーだぞー」

真「ありがとー、響!」

貴音「ぱくぱく」

雪歩「ワッフルサンデー……まで……食べてる……」

川田「さすがにチキンは欲張りすぎたやっさ」

ゴリ「フラーや(バカだろおまえ)」

82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 22:29:40.60 ID:+GFhj82Ao

―――― バス内


川田「それでは、首里城へ向かいたいと思います〜」


美希「おにぎりの次においしかったかな」

真「ボクのサインであんなに喜んでくれるなんて」テレテレ

雪歩「て、照れちゃうよね」テレテレ

貴音「是非、らいぶ会場に足を運んでいただきたいものですね」


P「……」

響「どうしたの、プロデューサー?」

P「なんでもない。ほら、カメラ回すぞ」

亜美「さぁー始まりました! 世紀の瞬間!」

真美「ゴリーがダイナミックにバスから身を投じますよん!」

ゴリ「命に関わる無茶振りするな!」

響「そうだぞ、真美。いくらゴリ衛門でもそれは……無理なんだから」

ゴリ「ちょっと間があったや、ひょっとしたら? って思ったのか」

ゴリ「とにかく。洒落にならないことは、見てる方も引くことがあるんだからな」

真美「……はい」

ゴリ「わかればいいさ」

真美「ごめんなさい……」ションボリ

P「真美が落ち込んでる……!?」

川田「命に関わらない無茶振りはオッケーってことさぁ、気にするなー」

真美「そっかー!」

ゴリ「復活しよった!」

響「そうだなぁ……どんな無茶振りがいいんだろ?」

伊織「あれじゃない、あいうえお作文ってやつ」

やよい「あいうえお?」

伊織「言葉遊びの一つよ。例としてやってみるわね。
   私から『あ』で始まって、順に真、雪歩、貴音、最後にプロデューサーが『お』で閉める」

P「俺もやるのか……というかオチ……」

やよい「楽しそうですねー」

伊織「じゃ、行くわよ」

83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 22:31:52.16 ID:+GFhj82Ao

伊織「『あの言葉』」

真「『いつも聞いていたあの言葉』」

雪歩「『うしろから優しくあの言葉』」

貴音「『えいえんに忘れられないあの言葉』」

P「お……『オムレツ』……」

響「オムレツ……」

ゴリ「反省会始めるか。まず、おまえが悪い」

伊織「なによっ! 真が『あの言葉』を引っ張ったのが悪いんでしょ!」

真「なんだよ! 韻を踏むっていうだろ!」

雪歩「う…うしろから『オムレツ』って優しく……っ」

貴音「確かに、永遠に忘れられない言の葉かと」

P「苦手なんだよこういうの……嗚呼、沖縄の海に飛び込みたい……!」カァァ


やよい「なんだか……みんな苦しそうです」

川田「スッキリさせるには、次に行きましょう〜第二弾!」

亜美「次は『か行』でやろー!」

真美「それじゃ、ミキミキが『か』で、亜美、川座衛門、真美、『こ』のゴリーね!」

響「あれ、自分は……?」

真美「第三弾を待っててね」

ゴリ「よぉし、やってやろうじゃないかぁ」

亜美「じゃあ、ミキミキ、行ってみよー!」

美希「『かくれんぼ』」

亜美「『きみと一緒に』」

川田「『くらくなるまで』」

真美「『けーさつ沙汰』」

ゴリ「『ごめんなさい』」

伊織「反省会ね」

ゴリ「お前で落としてどうするば!?」

真美「えぇー、人のせいにするの、ゴリー?」

ゴリ「暗くなるまで二人で隠れてて、警察沙汰になってるだろ! 謝るしかないだろうが!」

真美「きしかいせーのチャンスを活かせなかっただけっしょ!?」

美希「着いたら起こしてね」

亜美「いまいちスッキリしないねぇ……」

川田「そろそろ着きますよ〜、第三弾どうしますか、やりますか〜?」

響「自分、まだやってないぞー」

やよい「わ、私もやってみたいかなーって」

P「……」

貴音「プロデューサー、春香からいただいた飴を」スッ

P「……ありがとな」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 22:33:52.19 ID:+GFhj82Ao


―――― 首里城


川田「『しゅ』『り』『じょ』『う』いってみましょう」

やよい「『しゅれいの門』」

響「『りゅう球から伝わりし』」

やよい「『じょうとうな』」

響「『うちなーの心』」

貴音「二人の深い言の葉が無数の解釈となり、わたくしの心に響いております」

やよい「やりましたね、響さん!」

響「やよいのパスがよかったさー」

やよい「はい、ターッチ!」


パァン


伊織「それに比べて、あんたたちは」

Pゴリ「「 ごめんなさい 」」


川田「さぁ! 気を取り直して参りましょう〜!」

85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 22:36:09.01 ID:+GFhj82Ao

―――― 首里城


川田「……と、いうわけで、首里城でした〜」

亜美「もうちょっとゆっくりしたかったねー」

真美「そうだねー。急ぎ足だったから、満足に観てないよねー」

響「初めての首里城だったのに……」

P「真が気付かれて騒がれ始めたからな……迷惑かけるだろうし。
  少し残念だけど、これはしょうがない」

ゴリ「一人ずつ感想言え」

雪歩「きょ、強制……っ!?」

真「変わったお城だなって思いました!」

ゴリ「いい着眼点さ」

伊織「確かにそうね。今まで見てきた日本のお城は争いを考慮して造られたらしいじゃない。
   でも、ここは城と言うより……」

ゴリ「城と言うより?」

伊織「寺?」

やよい「お寺のこと?」

美希「攻撃的じゃないから、のんびりできるってことでしょ、でこちゃん」

伊織「そうなんだけど、美希に言い当てられると釈然しないわね」

美希「またそうやってミキに意地悪するんだから」

亜美「門が多かったねー」

真美「色々歩いたもんねー」

ゴリ「狭い敷地をいかに広く見せるか……って、知恵さ」

雪歩「ど、どうしてですか……?」

ゴリ「国王の見栄だな。他の国からきた人に、
   『琉球たいしたことないぜ』って言わせないためよ」

雪歩「な、なるほどぉ」

響「守礼の門ところにいたねぇねぇ達さ、ないちゃーだよね」

ゴリ「うちなー訛りがなかったな。……そうだ、用意しておいた。これ、見てみ?」

亜美「おこづかい? これでアイスを買ってくるね、ゴリー!」

ゴリ「違う。二千円札って気付け」

真美「あんまり出回ってないお金だよね」

亜美「知ってるよ亜美、おのののいもこだよねー」

ゴリ「それも違う。紫式部だろ。のが一個多い」

真美「これがどうしたの?」

やよい「あ! 守礼の門!」

ゴリ「やさやさ」

川田「で、なにがしたいば?」

ゴリ「実物と比較して欲しかっただけさ! 真意が伝わらないのはなんでか!」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 22:39:11.68 ID:+GFhj82Ao

P「話が纏まらないな……貴音、頼む」

貴音「僭越ながら、わたくしに与えられた役を全うしてみせましょう」

P「頼りになる」

貴音「此処、首里城は祭事に関し、芸能や音楽が盛んに演じられ、
   美術・工芸の専門家たち、文化芸術の中心でもあったと云われています」

貴音「伝統芸能である沖縄の踊りが守礼門の下にて優美に披露されております。
   その光景は時が経つのを忘れるほどに魅了され、
   独特なりずむがゆるやかな空間を演出し、らいぶすてーじとの相異を感受致しました」

貴音「しかし、そこは音楽というもの。共通する点も幾つか見つけることができ、
   わたくしの胸に新鮮な風が吹き込んだように爽やかな感触を手にしました。
   この体験は必ずやわたくしが追い求めている高みへの足掛かりとなるでしょう」

貴音「そしてわたくしは思うのです、沖縄に来て善かったと……。
   皆と共に訪れた、この地へ感謝する日が来るのだと……!」グッ

P「貴音、ありがとう」

貴音「ちゃんと伝わりましたでしょうか」

P「いい感想だった。いいコメントをしてくれて本当にありがとう」

P「その高みにある景色を、いつか俺にも伝えて欲しい!」

貴音「……」

貴音「はて? どうしてそこまで、わたくしに気を遣うのです?」

P「みんな……バスに向かったんだ……」

貴音「なんと……」

響「貴音にそう言ってもらえて自分、とっても嬉しいぞ!」   

87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 22:41:34.75 ID:+GFhj82Ao


―――― バス


P「お前達……」

亜美「ゴリーが『お姫ちんのコメントは後でじっくり聞くさー、はやくバスに乗ろうぜベイベー!』って」

ゴリ「……」

真美「『ひゃっほぅ、次は水族館だぜ、俺のドキがムネムネさー!』って」

ゴリ「……」

やよい「『プロデューサー達の邪魔にならないように先に行こう』って」

ゴリ「あんたは偉いさぁ、希望通り美ら海水族館には絶対に行こうね」

やよい「ほ、本当ですか!?」

ゴリ「もちろんさ。やしが、双子は置いて行こう」

亜美真美「「 えー! 」」

美希「水族館があるの?」

貴音「北部に大規模な施設があり、甚平鮫が有名だとか」

美希「ミキも絶対に行くの!」

響「子供チームと青春チームが被ったぞ、プロデューサー」

P「……大人チームが言い出さないことを祈ろう」

川田「えー、次は〜公設市場になります〜」

真「市場って付くから……」

雪歩「野菜や果物、お魚なんかが並んでいるんだろうね。楽しみだなぁ」

川田「首里城楽しかったですね〜。はい、出発です〜」








―――― ライブ会場・控え室


春香「見てくださいあずささん! 水族館ですよ! 水族館!」

あずさ「まぁ、いいわねぇ〜」

千早「……これは、行くべきですね」

律子「私も行きたかったのよね。……って、そうじゃなくて。ほら、行くわよみんな!」

「「「 はいっ! 」」」

88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 22:47:36.50 ID:+GFhj82Ao

―――― 牧志公設市場


ゴリ「はい、チラガー!」

雪歩「……ふぅ」フラリ

やよい「ゆ、雪歩さん……気をしっかり……!」グググ

亜美「やよいっち、ナイスフォローだよ」

響「ゴリ衛門! それはよくないさ! ないちゃーにはインパクトがあるんだぞ!」

伊織「確かに、衝撃的よね」

ゴリ「なんでよー、公設市場といったらこれだろー。チラガー」

響「あれがイラブチャーでしょ、ミーバイ、グルクン、アカジンミーバイ」

美希「華やかなお魚たちだね」

ゴリ「怒っておいて放置か……?」

真「うわぁ、なにこの黒くて渦巻きなの」

ゴリ「それはイラブーって……蛇さぁ!!」

真「うわぁー! プロデューサー!」

P「大丈夫だから……」

川田「さぁどんどん奥へ進みましょう〜」

ゴリ「なんで俺だけはしゃいでるば……」

貴音「……」

ゴリ「チラガーが怖いか?」

貴音「…………」

P「た、貴音……?」

貴音「…………」

伊織「豚の頭をみて、失神してるんじゃないでしょうね」

貴音「…………」

ゴリ「え、プロデューサーなんとかしれ」

P「な、なんとかって……」

真美「うぅ、ちょっと怖いね…ちらがー……」

貴音「…………」

雪歩「……ご、ごめんね、やよい…ちゃん……」

やよい「だ、大丈夫ですよー」

美希「あれ、みんなまだここにいたんだ?」

P「貴音が動かなくてな……」

貴音「…………」

響「豚は鳴き声以外全部食べるんだぞ」

貴音「……そうですか」

亜美「川座衛門が悲しそうな顔で戻ってきたよ」

川田「なんで誰もついてこないの? 振り返って誰もいなかったときの寂しさわかりますか?」

伊織「にひひっ、寂しいわねあんた」

響「プロデューサー、こっちに面白いものがあるぞー!」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 22:50:32.67 ID:+GFhj82Ao


―――― 牧志公設市場・2階


川田「ひーじゃー汁といいます」

「「「 うぅっ……匂いがっ 」」」

ゴリ「予想通りの反応だや。
   ヒージャーはうちなーぐちでヤギだから覚えておくように」

響「フーチバーが入ってないさー。匂いを抑えないといけないぞ」

川田「最初は無いほうがいいと思ったわけさ〜。はい、入れました」

伊織「は、はによほれ」

やよい「ふむぅ〜」

美希「はなはふふれふのぉ〜」

真「ひふいにほいでふね」

P「これは……撮らない方がいいかな……」

ゴリ「え、プロデューサー。こういう扱い俺は見逃せないさ」

P「そうですね……撮ります」

ゴリ「あんたたち、意外と真面目だよね……」

貴音「皆に聞いて欲しいことが……」

亜美「はに? ほひめひん……」

貴音「わたくしも、この刺激の強い匂いに、一つ退がりたい気持ちを隠せません」

P「……」

貴音「しかし、それではこのひぃじゃぁに対して、誠意を失うのではないか。そう思うのです」

雪歩「……!」

貴音「皆にそれを強いるのではなく。少しだけでもその誠意は持っていて欲しいと……」

真「……そうだね」

やよい「うぅ……私……食べ物で遊んだらダメだって言ってたのに……」

貴音「いえ、申し訳ありませんでした。今のはわたくしの我儘でしかありません。どうか、聞き流してください」

P「……ぱく」

響「プロデューサー……」

P「…………コメントできないっ」

ゴリ「当たり前さ〜、一口目でおいしい、なんて言う人いないよー」

貴音「これは美味ですね」

ゴリ「マジか!?」

貴音「コクがあって……お肉も柔らかい……手の込んだ料理なのでしょう」

美希「ぱくっ」

真美「ミキミキ……!」

美希「……うん、無理なの」

貴音「……」

雪歩「……ぱく」

真「雪歩!」

雪歩「……わ、私も……一口だけで……」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 22:51:41.39 ID:+GFhj82Ao

真「ぱくっ」

亜美「あ……亜美も……食べるよっ……ぱく」

真美「ぱく」

真「……はい。ボクも……無理かな」

亜美真美「「 クセが強いよ…… 」」

伊織「あら、イケるわね」

やよい「あれ……私も……?」

ゴリ「意外!?」

貴音「ふふっ、……みんな、わたくしの我儘を聞き入れてくれて、感謝していますよ」

響「ゴリ衛門とプロデューサーで全部食べるさー」

P「え……」

響「健康とスタミナには最適な料理なんだぞ、プロデューサー」

P「そ、そうか……よし。食べようじゃないか」

ゴリ「無理して食べようって人は一人もいないな。やっぱり凄いさ765プロ」

P「……それは光栄です」

川田「うん〜まーさん!」


91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 22:53:32.53 ID:+GFhj82Ao

――…


Pゴリ「「 うぅ……食べ過ぎた……! 」」

やよい「プロデューサー、これをどうぞー、おいしいですよー」

P「ありがと、やよい……」

ゴリ「待て! それはサトウキビジュースだろ!」

やよい「は、はい。川田さんがこれを買ってくれました」

ゴリ「素人には無理ど! しかもヒージャー汁のあとに!」

P「……わかりました」

ゴリ「生臭いからよ……」

やよい「そうですか? 甘さと喉越しが良くて、おいしかったですよ?」

ゴリ「あんたはヒージャー汁も完食したし、見所あるね」

やよい「えへへ」

P「やよいが美味しいって言うのなら……俺も飲めるのでは……?」

伊織「無理よ無理。素直にマンゴージュースにしときなさい。ほら」

P「ありがと……伊織もさとうきびジュースを飲んだのか?」

伊織「無理よ無理、無理。無理無理」

ゴリ「凄い拒絶だな」

美希「目の前でさとうきびが搾られてるの! おいしかったよ!」

真「凄かったね。ボクも伊織と同じで飲めなかったけど」

貴音「視覚と味覚で楽しめました」

雪歩「さとうきびジュースは飲めたんだけどなぁ」

亜美「亜美も四角と三角で楽しめたよー!」

真美「えぇー?」

P「意見がバラバラ……ゴリさん、俺も飲んでみます」

ゴリ「うん……止めないさ」

やよい「はい、どうぞ」

P「ごくごくご……ッ!?」

響「わー! プロデューサーの顔色が変わったぞ!!」

川田「そろそろ北谷に帰りましょうね〜」

92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 22:55:14.53 ID:+GFhj82Ao


―――― バス内


P「悪いな……響」

響「今だけさー、自分にまかちょーけー」

亜美「ひびきんが撮ってるの?」

響「そうだぞー」

真美「あらー、兄ちゃんクロッキーですなぁ」

P「……グロッキー……な」

やよい「プロデューサー、大丈夫ですか?」

P「ちょっと……気分が悪いだけだから」

伊織「だらしないわね」

P「面目ない……」

美希「大丈夫? お水がいい?」

P「水はあるから、ありがとな」

真「きつかったらすぐに言ってくださいね」

P「うん」

雪歩「えっと……その……」

P「ありがとう、雪歩」

貴音「皆、プロデューサーを休ませましょう」

P「うぅ……すまん」

ゴリ「……」

川田「愛されてるな〜、プロデューサー!」


93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 23:27:02.15 ID:+GFhj82Ao

―――― ホテル・ロビー


春香「お帰りなさいっ!」

亜美「お出迎えごくろー様ですっ、はるるん隊員!」

伊織「さて、どうしようかしら」

律子「お子様チームは響の実家にお世話になることになってるの、だからそのままバスに乗って――」

伊織「今すぐ?」

律子「それもそうね、まだ時間はあるし。
   運転手さんの休憩も必要でしょうから、少しゆっくりしてていいわよ」

伊織「わかったわ」

春香「楽しかった?」

真美「とっても楽しかったよ!」

春香「いいな、いいなぁ! 明日が楽しみだなぁ!」

P「ライブの方は……どうだった?」

春香「大成功ですっ! ……って、プロデューサーさん……顔色が優れないみたいですけど」

P「律子、悪いけど、部屋で少し横になってくる……後は頼んだ」

律子「わ、わかりました。……どうしたの?」

やよい「それが……」

伊織「ただの食べすぎよ。情けないわね」

真「食べ残したボクは伊織に文句を言えない……」

雪歩「わ、私も……プロデューサーに食べてもらったから……うぅ……」

貴音「わたくしも、三杯で満足してしまいました」

律子「???」

ゴリ「……」

川田「俺達も帰るか?」

ゴリ「プロデューサーいないからなぁ」

響「帰るのかー、ゴリ衛門」

ゴリ「まだ撮ってるのか?」

響「カメラマン響だぞ」

あずさ「あらあら、みなさん戻られたんですね。お帰りなさ〜い」

真美「ただいまー!」

響「あれ、プロデューサーは?」

ゴリ「部屋に戻ったさー」

響「このカメラどうしよう」

やよい「あれ? あずささん、なにかいい事でもありましたか?」

あずさ「うふふ、ありましたよ〜」

雪歩「わ、私達のいない間に……? 気になります……」

やよい「私も気になりますー!」

94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 23:27:37.17 ID:+GFhj82Ao


※ ― 千早 ― ※


※ ― 千早 ― ※


95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 23:30:06.09 ID:+GFhj82Ao

――…


伊織「どこに行ってたのよ」

ゴリ「ちょっと話してきたさー。プロデューサーと川ちゃんは?」

伊織「プロデューサーはまだ部屋じゃない? あんたの相方はあっち」

ゴリ「ロビーで新聞広げてるのか……客じゃないのに溶け込んでるな」

伊織「それより、聞きたいことがあるから付いて来なさい。外に出るわよ」

スタスタ


ゴリ「……足が重いから、ごめんな」

P「ごりさん……?」

あずさ「こんなところでどうしました?」

ゴリ「俺も色々とかき回されてるってだけさ。体の調子はどうね?」

P「はは、なんとか……」

あずさ「ゴリさんも一緒にお食事を」

ゴリ「いやー、帰るさー! 帰らせてもらうさ! 帰ってゆっくりするさー!」

あずさ「ま、まぁ……力強く断られました」

P「本当に、お疲れ様です」

ゴリ「これぐらい大したことないよーって言えないのが怖い」

P「あはは」

ゴリ「笑い事じゃないってば……。しかし、こうやってのんびり話するのもいいもんだや」

P「いつも響がいて賑わいでいますからね」

あずさ「昨日の夜ものんびりとお話をして楽しかったですよ〜」

ゴリ「のんびりしてなかっただろ……」

P「あ……伊織が……凄い表情でこっちに……」


伊織「ちょっと! なにしてんのよあんた!」

ゴリ「なにかー?」

伊織「なにかー? じゃないわよ! 私、あんたが付いてきてると思ってずっと喋ってたのよ!?」

伊織「すれ違う人に怖いものを見るかのように距離を取られたんだから!」

伊織「後ろ見たらあんたがいないじゃないの! 寂しかったわよ!! そんな気持ち味わいたくなかった!」

ゴリ「……」

伊織「なにか言いなさいよ! 跪いて謝りなさいよぉ!」

P「お、落ち着くんだ伊織……」

ゴリ「靴紐が解けてて、結びなおしてただけさー、怒るなー」

伊織「あんたサンダルじゃないのよ! 酷い言い訳するんじゃないわよぉ!!」

響「どうしたの? 伊織の声がロビーに響いてるぞ」

あずさ「それが……」

ゴリ「プロデューサーの靴紐を結んでいたばーよ」

伊織「どこまで世話焼きなのよ! プロデューサーは子供じゃないのよ!!」
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 23:30:53.40 ID:+GFhj82Ao

春香「落ち着いて伊織、水だよ」

伊織「ふぅっ……ありがと。ごくごくっ」

ゴリ「ここまで怒られるって思わなかったさー」

伊織「足りないわよ! 大体あんたのその格好はなんなのよ! 私達アイドルと並んでいい格好じゃないわよ!」

ゴリ「沖縄スタイルでいこうと思っていました。明日からスーツでビシッと決めます」

伊織「極端すぎるじゃないの! 言ったからにはちゃんと着なさいよ! 着なさいよねぇ!!」

亜美「なになに? どーしたのー?」

P「どうしたんだろうな、伊織は……」

響「伊織、そろそろ自分の家に向かわないと……」

伊織「そ、そうね。ほら、時間が無いんだからさっさと来なさいよ!」

ゴリ「……」

伊織「また私だけ歩かせようって考えでしょ! 今度は前を歩きなさい!」

ゴリ「……バレたか」

スタスタスタ


響「ゴリ衛門……悲しそうな顔してたぞ」

P「伊織はゴリさんに任せよう。それより、亜美は真美とやよいを探してくれ」

亜美「了解だよん!」

97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 23:31:58.73 ID:+GFhj82Ao

―――― 外


伊織「ここでいいわね」

ゴリ「おまえ、基本的に元気だよな」

伊織「私達のライブ、観てたでしょ?」

ゴリ「仲間だな、と思いました」

伊織「モンキーじゃなくてスモーキーよ。それで、どう思ったのよ」

ゴリ「なにかこの冷淡なツッコミ……真面目な話か?」

伊織「そうよ」

ゴリ「……」

伊織「前に、あんたが女装したバラエティがあったわよね」

ゴリ「あるな」

伊織「その番組をお父様とお兄様と一緒に観ていたのよ」

ゴリ「……」

伊織「家族で過ごす滅多に無い時間だったの」

ゴリ「……そうか」

伊織「だけど、あまり会話が無くて……どう話をしたらいいかわからなくて、
   困って、テレビをつけたらあんたが映ってて」

伊織「お兄様が『面白い人だな』って。それから少しずつ会話が弾んで」

ゴリ「俺はお前達の救世主ってことか」

伊織「私が仕事と今の私を使い分けているの知ってるでしょ?」

ゴリ「知ってるな」

伊織「最近わざとらしいんじゃないかって思うのよ」

ゴリ「わかっててやってるんだろ?」

伊織「でも、これじゃ後一歩足りないの。もう少しで届きそうなのに……」

伊織「だから、アドバイスさせてあげるわよ。私に足りないのはなんなのよ」

ゴリ「……」

伊織「あんたの女装は……少し品位に欠けてたけど、お兄様に『面白い人』って言わせたのよ。 
   だから、その足りないのはそれなんじゃないかって」

ゴリ「プロデューサーとメガネのねぇねぇには相談したば?」

伊織「…………したけど……まだ答えに辿り着いてないわ」

ゴリ「じゃあ、俺が言うことじゃないさー」

伊織「真面目に聞いてるの」

ゴリ「俺のはお笑い、あんたのはアイドル。この違いが最初にあるでしょ」

伊織「私とあんたの【わざとらしさ】っていう共通点があるじゃない」

伊織「なんでもいいの、後一歩で掴めるんだから、なんだって吸収しなくちゃいけないの」

ゴリ「なにを掴む?」

伊織「トップに決まってるじゃない」
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 23:32:54.33 ID:+GFhj82Ao

ゴリ「…………」

伊織「な、なによ」

ゴリ「急ぎすぎじゃないか?」

伊織「……」

ゴリ「プロデューサーと一緒にゆんな〜やればいいさー」

伊織「この業界、そうも言ってられないでしょ」

ゴリ「おまえ、楽しんでるか?」

伊織「もちろんよ。みんなと一緒に仕事したり、練習したり、こうやってバカみたいに騒いだり」

ゴリ「……」ニヤニヤ

伊織「は、早く答えなさいよ!」

ゴリ「ハッキリ言うけどよ、おまえには必要ないよー」

伊織「なによそれ」

ゴリ「例えばよ、誰かを好きになったことの無い人が、恋の歌を唄ってみ?
   なんか違うなーってなるだろ?」

伊織「……」

ゴリ「そういうことさー」

伊織「訳わかんないわよ」

ゴリ「難しいやっさ……」

「おうおう、ゴリやんけぇ」

ゴリ「あ……ちっす」

「なんや、今度は違う娘つかまえたんか?」

ゴリ「違いますよ、親友の子供みたいなもんっす」

伊織「誰が誰の子供なのよ!」

「……ん? あ、あんたは確か、水瀬グループの!?」

伊織「……」

「わいはなんもしてへんでぇ!」

タッタッタ
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 23:33:35.75 ID:+GFhj82Ao

伊織「なによ、あれ」

ゴリ「凄いなおまえ」

伊織「凄いのは私の後ろにいるお父様とお兄様でしょ。私のこと見てないわよ、あの人」

伊織「あの慌て方……なにか後ろめたいものでもあったのね、どうでもいいけど」

ゴリ「その冷静さも凄いさー。俺がおまえくらいの歳は鼻水流してザリガニ取ってたよ」

伊織「この歳で鼻水ってどうなのよ」

ゴリ「俺のアドバイスとしては、やっぱり今のままでいいと思う。うん、そうしよう」

伊織「そんな悠長なこといってられないって、さっきも言ったでしょ」

ゴリ「なんで焦ってる?」

伊織「……わからないけど、どうしてか焦ってしまうの」

ゴリ「エンダーで聞いた視野ってやつかや……」

伊織「?」

ゴリ「大丈夫よー、プロデューサーには味方が多いから。なんくるないさーさ」

伊織「響の口癖ね……。味方ってなによ?」

ゴリ「仕事仲間に決まってるさー」

100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 23:35:18.87 ID:+GFhj82Ao

―――― ホテル・ロビー


P「戻ってきた」

響「なんだか様子がへんだぞ?」


伊織「誰がお子様よ!」

ゴリ「あんたたちに決まってるさ」

伊織「むきーっ!」ゲシッ

ゴリ「あんたの子供よ、モンキーになってるよ」

P「なんというか、ありがとうございます」

ゴリ「お礼じゃなくてお詫びだろ? 俺は今、蹴られたんだよ?」

真美「右ストレート!」バシッ

ゴリ「え、俺は遊園地の着ぐるみじゃないんだから、殴るな」

真美「大丈夫だよー、これグローブだから」

ゴリ「本当に、あんたの子供達よ!」

P「重ね重ね、ありがとうございます」ペコリ

ゴリ「謝れって言ってるだろ!」

川田「はい〜、綺麗にオチが着いたところで俺たちは帰ろうね〜」

響「今日も一緒じゃないの?」

ゴリ「ないない。絶対にない。俺は一刻も早くお前達から離れたい」

伊織「私達アイドルを前によくもそんなことが言えるわね」ゲシゲシッ

亜美「そーだよ、ゴリー酷いよー、ジャブジャブ」バシバシッ

ゴリ「じゃあな! プロデューサー!」

P「はい。明日の朝にラジオ局で」

川田「おやすみさ〜」

タッタッタ


響「走って出て行ったぞ……」





―――― タクシー内


ゴリ「普通蹴るか?」

川田「普通と思ってるば?」

ゴリ「そうだったな、765プロは普通じゃない」

川田「なんの話してたば?」

ゴリ「大人の知らなくていい世界の話さ」

川田「よくわからんな」

ゴリ「子供の【わざとらしい】と大人の【腹黒い】は似てるけど、違うよな」

川田「明日は何を食べようかやー」

ゴリ「おまえ……765プロと化してるな……」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 23:37:50.33 ID:+GFhj82Ao

―――― ホテル・ロビー


亜美真美「「 えー? 」」

やよい「ぷ、プロデューサー…一緒に来てくれないんですかぁ……?」ウルウル

P「う……」

伊織「う……じゃないわよ。ハッキリしなさいよ」

響「…………」

あずさ「やよいちゃん達の熱いまなざしに、プロデューサーさんも困り果てています。どうしましょう?」

律子「……うーん……私が行くべきなんですけど」

千早「律子、私がみているから」

律子「…………そうね。プロデューサー」

P「?」

律子「私が行きますから、プロデューサーは今日、ここで休んでください」

伊織亜美真美「「「 えぇー!? 」」」

律子「なによ、その悲鳴は」

響「律子は自分の仕事を取るからなー」

律子「大丈夫よ。ちゃんと分担するから」


伊織「冗談じゃないわよ、律子がいたら絶対にのんびりしてられないわ」ヒソヒソ

亜美「ど、同感だよ。勉強もさせられるよー」ヒソヒソ

真美「に、兄ちゃんに来てもらわなきゃ真美達のあんねーの日々が……」ヒソヒソ

律子「 聞 こ え て る ん だ け ど 」

伊織亜美真美「「「 ひぃっ!? 」」」ビクッ


やよい「それじゃ、プロデューサー! 行ってきまーっす!」

P「あぁ、あまり騒がしくしないようにな」

響「賑やかでいいさー」

亜美「に、兄ちゃーん!」

真美「真美ここにいるよー、絶対に離れたくない!!」

P「……すでに騒がしい気がするんだけど、大丈夫か」

伊織「さようなら……安寧の日々……」

律子「ほら、行くわよ」グイグイ

亜美真美「「 あいるびーばーっく 」」ズルズル

響「行ってくるね、プロデューサー!」


P「明日な……」

千早「……」
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 23:39:25.43 ID:+GFhj82Ao

あずさ「それはそうと、せっかくですから、海辺を歩くのはどうでしょう」

P「すいません、俺はいくつか打ち合わせがあるので、部屋に戻ります」

あずさ「それは残念ですね〜」

千早「それでは、夕食の時間になったら迎えにいきますので」

P「結構食べたから、お腹空かないと思うけどな……」

千早「……」

あずさ「ちゃんと食べないと、ダメですよ〜」

P「……はい。それじゃ、後で」

スタスタスタ


あずさ「私達は、明日の予習でもしましょうか、千早ちゃん」

千早「あの、あずささん」

あずさ「はい?」

千早「ステージでも感じたのですが、今日はなんだか……とても嬉しそうですよね」

あずさ「うふふ」

千早「差し支えなければ、教えてくれませんか?」

あずさ「手を失礼しますね」


ギュ


千早「……」

あずさ「こういうことですよ〜」

千早「……?」

あずさ「あ、真ちゃんが帰ってきました」

真「ふぅ〜……あれ、こんなところでどうしたんですか?」

あずさ「なんでもありませんよ〜」

真「いやー、綺麗な夕陽を眺めながら海辺を走るのもいいですね〜」

春香「お疲れ様、真」

真「気持ちよかったよ……って、ゴリさんたちは?」

あずさ「帰られましたよ。響ちゃん達も移動しました」

真「そうですか」

春香「雪歩達は?」

真「そろそろ戻ってくるよ」

103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 23:39:58.85 ID:+GFhj82Ao


―――― プロデューサーの部屋


コンコン


千早「プロデューサー、私です……」


コンコン


千早「……」


コンコン


千早「…………?」


千早「寝てるのかしら……」


ガチャ


P「……ちょっと待ってて」

千早「電話中でしたか、失礼しました」

P「……はい、…………落ちていません」

千早「?」

P「……今のところは。……はい、それでは」


プツッ


P「どうした? って、夕食の時間か」

千早「あの、今の……仕事の電話ですか?」

P「いや、他のところだよ。レストランだよな?」

千早「……こっちです」

104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/22(土) 23:41:47.08 ID:+GFhj82Ao

―――― ホテル・レストラン


「プロデューサーさーん! こっちですよ! こっち!」


千早「春香……」

P「注目集めてるな……すぐ見つかったからいいけど……」

千早「プロデューサー、さっきの電話先は……?」

P「友達だけど……なにか気になるのか?」

千早「少し、表情が硬かったので」

P「内容が内容だったからだけど」

千早「そうですか。詮索するようなことをして、すみません」

P「……」


真「ささ、どうぞ」

P「あ、ありがと」

あずさ「バイキングですので、プロデューサーさんの分、私が取ってきますね」

P「あ、あの、あずささ――」

P「あぁ……行ってしまった」

春香「何か食べたいものでもありますか?」

P「いや、量を少なめに……」

春香「わかりました、伝えておきますね」

真「春香、楽しそうですね。ボクも行ってきます」

P「……美希は行かないのか?」

美希「雪歩にお願いしたの」

P「そうか……って、自分で行かないとダメだろ?」

美希「むぅ、あずさに行って貰ってるのにぃ」ジー

P「そうだな……じゃあ、飲み物でも取ってくるよ。何がいい?」

美希「オレンジをお願いするのー」

P「千早は?」

千早「私は、プロデューサーと同じもので」

P「わかった」

美希「ふぅー、砂浜を走るのって疲れるね……」

千早「美希、今日の撮影でプロデューサー……なにか変わったことなかった?」

美希「特になかったけど……どうしたの?」

千早「いえ、無いならいいの。私達もお皿を取りに行きましょう」

美希「おにぎりあるかな〜」

千早「…………」


105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 23:42:24.89 ID:+GFhj82Ao

――…


春香「ごちそうさまでしたっ」

貴音「大変美味しゅうございました」

雪歩「四条さん……よくあれだけ食べましたね……」

美希「スタッフさんが慌ててたの」

貴音「星三つといったところでしょうか」

あずさ「まぁ、満点ですね〜」

真「おいしかったけど……なにか物足りないなぁ……?」

千早「……」

P「さて、デザートも食べたことだし、部屋に戻るか」

雪歩「あ、あれ……?」

P「ん?」

真「お喋りとか……しないんですか?」

貴音「わたくしもそれを楽しみにしておりました」

美希「解散はつまんないって思うな」

あずさ「そうですね、せっかくの時間ですから」

春香「お喋り?」

千早「でも、ここだと、邪魔にならないかしら」

P「それじゃ、どこか適当な場所で…………どこで?」

106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 23:43:50.19 ID:+GFhj82Ao

―――― 海辺


美希「海風が気持ちいいの〜」

あずさ「本当に……」

貴音「月の光が海に反射して……善き時間が流れていますね」

雪歩「……疲れが心地良いね」

真「…………うん」

美希「あずさ、膝枕してほしいの」

あずさ「いいですよ〜」

真「食べてすぐ寝るなんて……」

春香「あれ、プロデューサーさんと千早ちゃんは?」




P「ごくごく……」


P「……ふぅっ」

千早「プロデューサー」

P「っ!?」

千早「こんなところで何を……?」

P「ビタミン剤を補給してただけだよ。最近疲れが溜まってるみたいで」

千早「……」

P「今日はどうかしたのか? なんというか、珍しいな」

千早「いえ、探していただけです」



ザザァーン



春香「……」

あずさ「……」ナデナデ

美希「すやすや」

P「美希……潮風に当たりながら寝ると風邪引くぞ……」

真「……」

千早「ここ……静かでいいわね……」

貴音「真に……」

雪歩「……」

P「…………」



ザザァーン

107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 23:45:42.67 ID:+GFhj82Ao

あずさ「プロデューサーさん」

P「?」

あずさ「レストランでも思いましたけど、少し寂しそうですね」

P「え……? そうですか?」

春香「?」

あずさ「ひょっとして……」

P「ひょっとして?」

あずさ「響ちゃんが恋しいのでは?」

P「…………」

真「……」

美希「すやすや」


ザザァーン



pipipipipi


ピッ


P「もしもし」

『もしもし、私です。食事は取られましたか?』

P「あぁ。今は、みんなで海を見てるよ。そっちはどうだ?」

『海って、青春してますね。こっちは――』

『プロデューサー! こっちは勉強しかしてないぞー!』

『『 助けてよ兄ちゃーん! 』』

『ちょっと、しずかにしなさい! すいません、騒がしくなるので切りますね』

P「響に明日のラジオ出演の件、再確認しておいてくれ」

『はい、わかりました。それでは』


プツッ


P「俺が行かなくて正解だったな……」

千早「律子からですか?」

P「あぁ、あっちは勉強中だそうだ」

春香「顔が綻んでますよ、プロデューサーさん」

P「響の声を聞いたからな。あずささんの言ったことがわかりました」

あずさ「まぁまぁ」ナデナデ

美希「むにゃむにゃ」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 23:47:10.81 ID:+GFhj82Ao

P「思えば、ゴリさんを迎えに行ってから、さっき別れるまで、ずっと響と行動を共にしていたんですよね」

P「響が俺を呼んで、沖縄の魅力を一つ一つ、教えてくれて」
  俺が響を呼んで、新しいことを一つ一つ、教えてもらって」

P「沖縄の暖かいイメージがそのまま響なんだなぁって」

あずさ「……」

貴音「告白ですね」

P「そうだけど、違う。俺は賑やかな方が好きみたいです」

あずさ「なんだか、羨ましいです」

真「じゃあ、賑やかにしましょうか!」

P「こういう静かな時間があるから、それも感じられるって話だな。無理に賑やかにしないでいいから」

真「……そうですか」

春香「私も、告白しちゃいますけど」

春香「プロデューサーさんが恋しかったんですよ?」

P「……律子に任せっ切りだったからな」

春香「本当ですよ。亜美達から撮影の話を聞くたびにいいなぁって、
   響ちゃんが楽しそうなのを見てると羨ましいなぁって」

P「そうか……」

真「うわぁ……なんかいいですねぇ、こういう告白大会」

P「大会……?」

真「雪歩は何か無いの? 今がチャンスだよ」

雪歩「え、えぇ!?」

貴音「これも無茶振りですね」

千早「無茶振り?」

美希「プロデューサーがね」

P「やめろ美希!」

あずさ「あの、美希ちゃん、脚がしびれてきました……」

美希「それじゃ、反対に移動するね」

あずさ「あらあら、まぁ」

春香「ねぇ、美希……何を言いかけたの?」

美希「プロデューサーの名誉に関わることなの」

千早「それは聞いてみたいわね」

真雪歩貴音「「「 ………… 」」」

あずさ「真ちゃん達が遠い目を……」

P「それより、大人チームは明日一日オフだけど、どこに行きたいとか決めてるのか?」

あずさ千早春香「「「 美ら海水族館へ 」」」

美希「ミキも行くの!」

P「そうか。青春チームも午後からオフで、丁度いい……」

P「…………」

P「……」

P「え」

109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 23:47:43.31 ID:+GFhj82Ao


―――― 我那覇邸


律子「ほら、いつまでも騒いでないで、寝るわよ」

亜美真美「「 はぁーい 」」

やよい「いつ行けるのかなー、美ら海水族館」ワクワク

伊織「そうね、明後日が一日オフだから、その時じゃない?」

やよい「とっても楽しみー」ドキドキ

響「みんな、おやすみぃー」



二日目終了


110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/22(土) 23:57:36.21 ID:+GFhj82Ao
投了

コメディパート……
ギャグが滑ってるのはしょうがないとしても、まだまだありますし、どうしよう(>'A`)>
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/23(日) 00:52:49.84 ID:D+PJb3ZD0
期待
Pどうなってまうん?
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/23(日) 07:16:45.81 ID:7+JtyoaAO
あずささんってアイドル達には敬語使わなくね?
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 21:31:43.62 ID:BBYQna03o
色々と悩みましたが、このスレ(コメディパート)での伏線回収は止めたいと思います。
書き直して別スレにて回収させてください。これ以上の続行は不可能だと感じました。

実在人物と二次創作の限界です……。
勝手ですいません。

このノリがあと3分の2続きます。
すでにgdgdですがこのパートは全て投下しますので、
こういうノリが嫌いじゃないという方、付き合ってくれると嬉しいです。
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 21:34:32.38 ID:BBYQna03o
>>112
指摘ありがとうございます
一応伏線のつもりだったんですが、冷静に考えて意味が無いと気付きました

ついでにあずささんの口調も忘れてるし……
クォリティ低くて……申し訳ない……
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 21:35:24.90 ID:BBYQna03o


三日目


―――― ラジオ局


『『 はいさーい! 』』

『それでは自己紹介をお願いします』

『自分、我那覇響だぞ!』

『ゴリです』

『珍しい組み合わせですね。どういうつながりなんですか?』

『俺達は兄妹のような関係さ、な?』

『違うぞ』

『え』

『自分、アニキがいるし、兄のような人がいつも隣にいるから、ゴリ衛門は兄じゃないぞ』

『ちょっと待って、今まで見た事が無い真剣な顔で否定されてるから、おじさん結構傷ついてるよ?』

『ゴリ衛門はゴリ衛門』

『どういうこだわりなのか知らんけど。なんか、ごめんな』

『急にブース内が重い空気に包まれましたけど……』


P「響ぃ……!」

あずさ「まぁまぁ、響ちゃんったら……」

116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 21:37:22.04 ID:BBYQna03o

『ゴリ衛門の衛門ってなんですか、響さん』

『えっと……なんだろうね?』

『俺に答えを求めるなよ? お前が最初から言い出したことなんだからな?』

『愛称ですよね?』

『そうだぞ。自分ね、動物と一緒に暮らしてて、家族として名前付けてるんだ。
 ハム蔵、いぬ美、へび香、シマ男、オウ助』

『凄いな。名前聞いただけで種別が解ったさ』

『ということは、ゴリさんも家族ということ?』

『そうなの?』

『さっき兄妹じゃないって言っただろ、統一しとけ。というか、この流れでわかるでしょ?』

『どういうことですか?』

『最初会ったときさ、この子は俺をゴリラと識別してたわけよ』

『あ、あぁ……そういう……』

『ゴリ衛門は家族とか友達とかじゃなくて……ゴリ衛門っていう……そう! 種族だぞ!』

『え、生放送中だけど、俺は説教するよ。言葉選べ!』

『凄いですよリスナーのみなさん。これ、打ち合わせには無かった内容なんですよ』

『そ、そうだぞ。自分達765プロは北谷の音楽祭に』

『待って、いきなり打ち合わせ通りに進めないで』



P「うぅ……胃が」キリキリ

春香「響、いつも以上に自然体だよね……」

千早「……そうね」



『音楽祭の話の前に……二人は一緒に仕事をしているそうですね』

『そうです。765プロの企画で、私と川ちゃんと合同で沖縄の観光地を周って、
 面白おかしくやっていこうという内容ですね』

『それを収めたDVDを発売するんですか?』

『そうだぞ。一昨日から撮影を始めていて、色々周ったさー。きっと面白い映像が撮れてるよね』

『やさ……』

『それは楽しみですね。今までどこを観光してきたんですか?』

『えっとね、北谷のビーチでしょ、首里城、牧志公設市場…………エンダー?』

『それは観光地じゃないな』

『うわー! 全然周ってないぞー!』

『やっと気付いたか。二日もいてたったの三箇所だからな。これは没かもしれん』

『今日を含めて後三日しかないぞ、ゴリ衛門!』

『待って、その話は後でしよう』

『なんだか慌しくなってきました』


P「直視したくなかった問題が……」

あずさ「困りましたね」

117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 21:39:09.41 ID:BBYQna03o

『音楽祭の話に移りますが、北谷で行われている世界の音楽祭ですよね』

『去年も招待されたんだけどね、今年は全員での出場が決まったんだ』

『765プロさんの総出演ということですが、出場日程はどうなっているんですか?』

『午前と午後に分かれていて、今は青春チームの美希、真、雪歩、貴音の4人がステージに立ってるぞ。
 午後は自分、亜美、真美、やよい、伊織のチームが出場する予定!』

『俺も舞台袖から観ていたけど、中々のもんだったさー』

『ゴリ衛門、ありがとね! あとでバナナをあげるぞ!』

『いつもいつもバナナをありがとうねー!』

『いい関係なんですね、二人とも。それでは時間となりましたので曲紹介をお願いします、響さん』

『私たちはずっと...でしょう? だぞ!』

『今日はありがとうございました〜』

『自分達、みんなが楽しんでくれるように、頑張りまくるからねー!』

『応援ゆたしくうにげーさびらー』



〜♪




P「ふぅ……」

千早「最後のは……うちなーぐちですか?」

P「よろしくお願いしますって意味だそうだ」

あずさ「まぁまぁ」

春香「ゴリさんって……素晴らしい人ですね」

P「うん」

春香「響ちゃんと追加のバナナを買いに行かなくちゃ!」

P「……うん。……好物ってわけじゃないらしいんだけど、気持ちは大事だよな」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 21:40:50.66 ID:BBYQna03o

―――― A&W・牧港店


川田「はい、到着しました〜。三日続けて三度目のエンダー!」

春香「やよいの話を聞いて来てみたかったんです!
   エーアンドダブリューですよ! エーアンドダブリュー!」

ゴリ「略さないのか、この子……」

響「ごめんね、千早……」

千早「べ、別に我那覇さんが謝ることではっ」

響「でも斎場御嶽に行きたかったでしょ?」

千早「そ、それはそうだけど……でも……水族館にも行きたいし……だから…っ」

ゴリ「明日の午後に行けばいいさぁ。今日は名護の周りを案内しようねぇ」

響「自分も行きたいのにーっ!」

ゴリ「ライブで、みんなが待ってるよ?」ニコ

川田「この微笑みイラッてする」

響「うぅ……」


律子「ラジオ、聞いていましたよ、プロデューサー」

P「どうだった?」

律子「ハラハラさせられましたけど、及第点だと思います」

P「……そうだな。青春チームを連れてきてくれたのか」

律子「そのまま撮影に行けたらと思って」

P「助かる。……で、やよいの様子はどうだ……?」

律子「それはもう……見ているこっちの心が痛くなるくらいの空元気で……」

P「楽しみにしていたからな。ポテトで元気出るといいが……」

119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 21:42:55.55 ID:BBYQna03o

店員「店内でお召し上がりですか?」

あずさ「はい」

ゴリ「待って店員さん。お持ち帰りでお願いします、俺達急いでいます」

あずさ「まぁ、そうでしたね。すいません。お持ち帰りでお願いします〜」

店員「はい、かしこまりました」キラキラ

春香「これでいいの?」

響「うん。千早もお願い」

千早「えぇ」スラスラ

あずさ「まぁ、せっかくですから、私も書きますね〜」

律子「なるほど、765プロの全員のサインが揃ったわけですね」

P「書き終わったら、バスに乗って待っててくれ」

春香「わかりましたっ」

千早「それでは、先に」

あずさ「……はい、どうぞ律子さん」

律子「わ、私もですか?」

あずさ「そうですよ」

律子「……なんというか」

スラスラ


P「律子、やっぱり俺がライブ会場に残るよ」

ゴリ「嘘でしょ!?」

川田「なんでお前が誰よりも悲しそうだば?」

P「その代わり、カメラ頼むな」

律子「それはいいんですけど……」

あずさ「……お先に……バスに……乗っていますね」

フラフラ

律子「うーん……あずささんが放心してしまった……でもやよいも気になるし……」

P「律子も行きたかっただろ?」

律子「それはそうですけど」

響「こうなったら、自分に任せるさ! 律子!」

律子「え……?」

ゴリ「いい案でもあるのか!? プロデューサーと離れなくてもいいんだな! よし!」

川田「なんでお前が誰よりも嬉しそうだば?」

響「地元パワーを発揮する時だぞ!」

店員「お待たせしました、響ちゃん!」

響「はーい」

店員「あれ、あずささんがいない……!」

P「店員さん、サインと、この最終日のチケットを。予定が空いていればぜひ」

響「見にきてくれると嬉しいから来てよね!」

店員「」
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 21:45:09.29 ID:BBYQna03o

―――― バス内


ゴリ「店員さん気絶に近い状態だったけど、大丈夫かや」

P「そうですね……仕事の邪魔になったのではないかと……」

響「喜んでくれたみたいだぞ」


川田「はい〜、このバスは二人を降ろした後、高速に乗って名護へ向かいます〜」

千早「二人?」

春香「響と誰が降りるんですか?」

ゴリ「プロデューサーが降りるってよ!」

真雪歩美希春香「「「「 えぇー!! 」」」」

貴音「真に、残念です」

P「お子様チームを放っておけないんだ。色々と動きづらいかもしれないが、分かってくれ」

雪歩「うぅ……やっぱり、私が……ライブで失敗したから……」

律子「違うのよ雪歩、午前のライブは問題なかったんだから」

あずさ「そうですよね…プロデューサーさんは…! みなさんの為に…しょうがないんです…!」

律子「あぁ、空元気だ……」

響「ふっふっふー」

真「どうしたの、響?」

響「現代の護佐丸とは自分のことさー!」

真「船の名前かな?」

貴音「人ではないかと……」

ゴリ「人気のある武人の名前さー。頭がいいってことだな」

響「でもまだ内緒ー」シー

121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 21:46:32.38 ID:BBYQna03o

―――― ライブ会場・控え室


やよい「あ…! プロデューサー…! 来てくれたん…ですね…!」

P「これは危険だな……」

伊織「どうするのよ、これほど落ち込んだやよい、みたことないわよ?」

やよい「伊織ちゃん…! 私…! 大丈夫…だよっ…!」

亜美「うぅ、やよいっち……それほどまでに水族館が楽しみだったんだね」

真美「なんだか、真美の胸が痛いよ、兄ちゃん」

P「……俺もだ」

やよい「よぉし…! ライブ……! がんば…る…よ…ぉ……」

伊織「あぁ! 電池が切れたみたいになったわ!」

響「やよい、大丈夫だぞ」

やよい「……わかってます……山があって谷がある…………それが人生ですよね……」

P「悟ったやよいなんて見たくない! 響!」

響「アニキに車を出させるからっ、だからライブに集中するんだ、やよい!」

やよい「ほんとうですか……?」

響「うん! 絶対だぞ!」

やよい「わっかりましたー! 私、頑張っちゃいますねー!!」キラキラキラキラ

伊織「よかった……本当に…よかった……!」

亜美真美「「 うんうん 」」

P「感動するのはあとだ。みんな最高のステージにしてこい! 美ら海水族館が待っているぞ!」

「「「「 はいっ! 」」」」


スタッフ長「私達も気を取り直してがんばるわよ!」

スタッフ一同「 はい! 」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 21:52:41.05 ID:BBYQna03o

―――― 海洋博公園


川田「はい、到着しました〜、ここが海洋博公園になります〜」

真「あれ、水族館は?」

川田「少し奥に行ったところになります〜」

美希「えー? ここから歩くの〜?」

川田「そうでございます〜」

美希「ミキやだ。歩きたくない」

律子「ちょっと、駄々こねないの」

美希「プロデューサーがいないし、ゴリィはいつもより静かでつまんないし。おにぎり食べてないし」

ゴリ「……今からはしゃげないだろ……地獄が待ってるんだからな」

律子「地獄……?」

ゴリ「なんでもないよ、なんでもない」

川田「おまえ、さっきの電話で大人しくなったよな」

ゴリ「プロデューサーからで、ライブが終わり次第こっちに向かうって」

川田「それのどこが地獄だば? ラッキーだろ?」

ゴリ「子供チームも一緒ってことさ……!」

川田「じゅんにな!?」

ゴリ「声が大きい。まだ黙っていよう」

川田「わかったよ」

ゴリ「聞き逃すとこだったけど、ゴリィってなんか」

美希「そのままの意味だよ」 

ゴリ「どういう意味か……お土産屋にジンベエザメのぬいぐるみがあるから、見てこれば?」

美希「ほんと!? 行ってくるね!」

ゴリ「メガネのねぇねぇ、よろしくな」

律子「は、はい。カメラお願いします」

雪歩「わ…私も……」

あずさ「見てください、千早ちゃん……道の向こうの海が綺麗ですよ」

千早「あの、あずささん……」

あずさ「海の向こうには何があるのでしょう……」フラフラ

ゴリ「伊江島だけど、その向こうまで見てるんだな……」

真「一人にならないでください! あずささん!」

千早「私もあずささんと一緒にいますから、あとはお願いします」

川田「はいはい、任せてね〜」

ゴリ「なにをお願いしたのか?」

春香「私達のことかな?」

貴音「……」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 21:53:39.70 ID:BBYQna03o

ゴリ「この時間だとイルカショーやってるけど、見てくるか?」

春香「ぜひっ!」

貴音「わたくしも拝見したいと」

ゴリ「よし、向こうにあるから行って来い!」

春香「え……? 指をさすだけで案内はしてくれない……?」

ゴリ「こんなおじさんと見ても楽しくないだろ〜」

川田「だからよ〜」

春香「そんなことないと思いますけど……」

貴音「春香、今は思い思いに過ごすことに致しましょう」

春香「そうですね……。わかりました。私達で探してみます!」

ゴリ「おじさんたちはここにいるからな」

春香「はーい!」



川田「……」

ゴリ「……」

川田「午後に入ってた仕事、時間ずらさなくてもよかったんじゃないか……?」

ゴリ「だからよ……俺達はここになにしに来たば……」

124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 21:56:42.58 ID:BBYQna03o

―――― 海岸遊歩道


真「コバルトブルーですねー!」

千早「仕事で何度か綺麗な海は見ていますけど、飽きることはありませんね」

あずさ「本当に……空が高くて、蒼くて」

千早「…………」

あずさ「……ふぅぅぅ」

真「ため息が深すぎるよ……!」

あずさ「そうですね…! せっかく、みんなと交流できるんですから…! 気を取り直して…!」

真「空元気が胸に痛いですよ!」

千早「あずささんもそうですけど、プロデューサーはいつも目の届かないところにいますからね……」

真「? どうしたの、千早」

千早「ううん、なんでもない」

あずさ「大丈夫ですよ、千早ちゃん」

千早「そうですね。最近のプロデューサーは私たちの方にも足を運んでくださりますから」

あずさ「そういう意味ではないのですけど」

千早「……あずささん」

あずさ「うふふ、今は観光を楽しみましょう。せっかくみんなと一緒にいられる時間なんですから」

千早「そうですね」

真「……」






―――― おみやげショップ


美希「ふぅーん……色々あるんだねー」

雪歩「こ……これ……可愛いですぅ……!」ギュウ

律子「……」

美希「律子…さん?」

律子「い、いいえ。可愛いなんて……思ってないわよ?」

美希「ミキ何も言ってないの」

律子「……そうよね」

雪歩「ウミガメですよね、律子さん」

律子「マナティでしょう」

美希「ふぅん」

125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 21:58:46.24 ID:BBYQna03o

―――― 響兄の車内


響「やよいのキラメキラリは最高だったぞ!」

やよい「響さんもとーってもよかったですよー!」キラキラ

P「今日の5人はいつもより乗ってたな。観客も楽しんでいたようだ」

伊織「当然よ」

響「やよいにつられて張り切ったさー」

やよい「えへへー、響さん! はい、ターッチ!」キラキラ

パァン

やよい「いぇい!」キラキラ

響「あはは、やよいは元気だなー」

亜美「飛ばしすぎて疲れちゃったよぉ」

真美「真美もぉ」

伊織「確かに、いつもより飛ばし気味だったけど、二人が疲れるほどじゃなかったでしょ?」

真美「いおりんも元気だねぇ、どうしてぇ?」

P「亜美と真美が疲れてるのも珍しいな……」

響兄「昨日、ヒージャー汁を食べたそうですね」

P「あ……もしかして、それで?」

響兄「三人はエネルギーが溢れてきているんでしょう」

126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:00:00.38 ID:BBYQna03o

―――― 海洋博公園


P「忙しい時間の中、本当にありがとうございました」

響兄「いえいえ。それじゃ、俺はこれで」

P「はい、お気をつけて」

やよい「ありがとうございました!」キラキラ

響「ありがとー、アニキ!」

響兄「思う存分楽しんで来い」


バタン


ブロロロロロロ



P「さて、どこに向かおうか」

やよい「うっうー!」キラキラ

真美「やよいっちのキラメキがとまらないよ!」

亜美「ミキミキのいる水族館か、はるるんのいるイルカショーだよね」

伊織「なにをしてるのよ、春香たちは……」

P「そうだな。春香たちから行くか」

響「イルカショーに参加するってどういうこと?」

127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:01:12.99 ID:BBYQna03o

―――― オキちゃん劇場


『ハイサーイ!!』


亜美「ゴリーなにしてんの!?」

やよい「ゴリさんがイルカに乗ってますよー!」キラキラ

川田「仕事さ〜」

P「春香もなんとかこなしているみたいだな」


『うぉわっとととっとっと――』


ザブーン


貴音「落ちました」



\ わはははは /



伊織「まぁ、笑いが取れたからいいんじゃない?」

響「イル斗! 春香を助けるんだ!」


イルカ「ケェッケェッケェッ」


響「そうだぞ! 自分の大切な仲間なんだ!」


ザブン


『ハァッ! あ、ありがと〜、イルカちゃん』

『観客からイルカに指示を出してた人がいたね』



響「イル斗偉いぞ〜」ナデナデ

イルカ「キュ〜ッ!」


ザワザワ


真美「会場の注目が集まっちゃったよ〜……」

P「まずい……飼育員に迷惑がかかるな……」


128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:01:52.04 ID:BBYQna03o

――…


P「ご迷惑をおかけしました!」ペコリ

飼育員「いえ。確かに予定とは大きく外れましたけど、観客も満足していたみたいですから。
    依頼に快く引き受けてもらえましたので、結果オーライってことで」

P「そう言ってくださると助かります」

飼育員「ただ……」

P「はい……重ね重ね」



響「イル斗、ここでお別れだぞ」

イルカ「カッカッカッ」

響「自分だって別れたくないんだぞ!」

イルカ「キュ〜」

響「ごめんよイル斗ッ!」

タッタッタ


イルカ「キュ〜ッ!!」


飼育員「オキちゃんなのに……」

P「勝手に名付けてすいませんっ!」

129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:03:04.37 ID:BBYQna03o

―――― 美ら海水族館


やよい「ついに……ついに来ましたぁ……!」キラキラ

貴音「長い道のりでした」

春香「楽しみだねー!」キラキラ

真美「いいなーはるるん」

亜美「楽しそうだったなー」

春香「私、イルカに乗ったこと、絶対に忘れない」キラキラ

伊織「なんだか鬱陶しいわね」

ゴリ「僻むな、あんたでは身長が足りないのに」

伊織「僻みじゃないわよ、入場制限なんてどうでもいいわよっ」

響「プロデューサーは来たことないよね?」

P「あぁ、資料やテレビでしかないから、少し楽しみだったりするんだ」

響「きっと驚くぞー」

川田「はい、入りましょう〜」









―――― 美ら海水族館・大海への誘い



春香「見て見てやよい! あのモニュメント!」キラキラ

やよい「わぁー! わぁー!!」キラキラ

貴音「甚平鮫ですね。真に威厳のあるお姿です」

川田「はいはい、どんどん進みましょう〜」

伊織「へぇ……いい造りじゃない」

ゴリ「うみんちゅロードって言うんだぜ、知ってたか?」

伊織「ウミンチュゲートでしょ、間違えるんじゃないわよ」

ゴリ「ひっかからなかったか……おじさんの完敗さ」

亜美「海が見えるよ兄ちゃん!」

真美「マンタのもけーだよ兄ちゃん!」

響「プロデューサー! こっちには珊瑚の海が見えるぞ!」

P「す、凄いな……サンゴの……」

春香「水槽……」キラキラ

やよい「キレイですぅ……」キラキラ

伊織「へぇ……」

川田「はい、順路に戻りましょう〜」

130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:05:20.73 ID:BBYQna03o

―――― 美ら海水族館・サンゴ礁への旅


やよい「ここはリューキューセッカイガンで造られてるんですよねー」キラキラ

ゴリ「詳しいな!?」

伊織「せ、説明いらないのね……」

響「隠れて勉強してたのに……残念だね、伊織」

伊織「くぅ……どうしてそれを知ってるのよ……!」

P「はい、入場券」

春香「ありがとうございます!」キラキラ

亜美「よぉし、準備はオッケー」

真美「行こうか、亜美」

貴音「どうしたのです、二人とも……?」

亜美「亜美たち一足先に行ってるねー!!」

真美「みんなを見つけてくるよー!」

P「こ、こらっ!」

川田「あい、さっそく団体行動無視だね」


やよい「私達はゆっくり行きましょうね、春香さん!」キラキラ

春香「そうだね、やよいっ!」キラキラ

ゴリ「しずかなねぇねぇがいるね」

P「あ、千早」

千早「待っていました」

P「どうしたんだ、こんなところで……」

千早「その、出るわけにもいかず、どうしようかと」

P「?」

千早「美希とあずささんが心を奪われているので……」

P「美希はともかく、あずささんも?」

響「プロデューサー、こっちで触ることができるぞ!」

千早「タッチプールと呼ばれていて、海の生き物に触れることができます」

P「……へぇ、小さな海ってところか」

響「浅い海で生息している生き物だね」

ゴリ「はい、ナマコ!」ジャン

伊織「や、やめなさいよ」

やよい「はい、ヒトデ!」キラキラ

伊織「ちょ、ちょっとやよいまで」

春香「はい、これはなんですか?」キラキラ

伊織「し、知らないわよ。係員、ちょっと来てくれるかしら」

係員「春香さんが捕まえたのはハゼですよ。触れてはいけない種類なんですけど」

P「す、すいません」
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:07:11.58 ID:BBYQna03o

係員「それと、触れるコーナーであって、捕まえるコーナーでもありません」

Pゴリ川田「「「 すいません 」」」

春香「えへへ」キラキラ

P「春香を知ってるってことは……」

係員「応援してますから」

P「これからもよろしくお願いします」

春香「よろしくお願いします」キラキラ

伊織「握手ぐらいしてあげたら?」

春香「ハゼを捕まえた手ですけど、いいですか?」キラキラ

係員「ぜひ……」キラキラ

P「春香、あっちで、手を洗ってこような」


千早「高槻さん、あっちはサンゴの海といって――」

やよい「世界で初めての大規模な飼育をしているんですよねー」キラキラ

千早「そう、屋根がないから――」

やよい「時間によって色合いが変わるんですよねー」キラキラ

千早「この時間だと――」

やよい「アサヒガニ、あ、あれですねー! 見つけちゃいましたー」キラキラ

千早「う…うぅ……うん! 見つけられてよかったわね」キラキラ


響「隠れキャラを見つけて嬉しそうだぞ」

伊織「千早も勉強していたのね。だけど、やよいにことごとく覆されて……、
   最後には、まぁいっか、みたいになったわ」

響「そんな心の動きまで読めるなんて……凄いぞ伊織」

真「プロデューサー、来ていたんですね」

P「どうしたんだ、真一人か?」

真「はい。あずささんと美希は黒潮の海で止まってて、雪歩は深海の海で動かなくて」

真「だから引き返してきちゃいました」

P「……そうか」

春香「見てください、プロデューサーさん! 熱帯魚ですよ!」キラキラ

P「うん……あれ? 貴音はどうした?」

春香「わぁーきれいだなぁー」キラキラ

やよい「プロデューサー! 光の柱ですー!」キラキラ

P「あ、……おぉ……」

響「綺麗だよねー」

真「なんだか、二人とも様子が変だね……」

千早「楽しくてしょうがないみたいね」キラキラ

真「千早もね」

P「ちょっと、戻ってみる。先に進んでいてくれ」

132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:10:51.99 ID:BBYQna03o

貴音「……」ツンツン

P「……やっぱり触れ合ってたか」

係員「ずっと、ヒトデを」

P「はい、連れて行きます」

貴音「……」ツンツン

P「あのな、貴音」

貴音「なんでしょう」ツンツン

P「好きなのは分かったが、いつまでもここにいるわけには……」

貴音「動きを観察していましたが、中々進んでくれず、ならばこちらから、と」ツンツン

P「そ、そうか……」


亜美「兄ちゃんまだこんなとこにいたのー?」

真美「真美たちひととーり見てきたよん!」

P「じゃあ、今度はゆっくり行こうな」

亜美真美「「 りょーかい! 」」


貴音「ここは……?」

P「えっと……響か千早がいれば説明してくれるんだけど……」

亜美真美「「 さぁ、次行ってみようー 」」

テッテッテ


P「……了解したんじゃなかったのか」

貴音「わたくしはやよい達と熱帯魚を観察しております」

P「わかった。自分のペースでいいからな」

貴音「心得ました」

響「ここは珊瑚の部屋だね。あっちに危険な生物がいるんだよ」

P「あれは……クラゲか」

響「そうだぞ。ハブクラゲ」

ゴリ「毎年これが大量発生したら海で泳げないからよ、観光客が可哀相になる」

P「迷惑ですね」

真「こんなヤツ、ボクがバシーンとやっつけてやりますよー」

P「いや、触れるなって書いてあるぞ。そのジェスチャーでは危険だ」

P「小さい水槽がいくつもあって、別々の種類がいるんだな……」

真「美希が一つ一つじっくりみてましたよ」

P「美希も楽しんでるようだな」
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:16:52.27 ID:BBYQna03o

ゴリ「次は海辺の……あれだな、自然環境の現状を知っておこうってコーナー」

P「興味あるんですよね……どれどれ」

やよい「プロデューサー、次ですよー」キラキラ

P「ちょっと待ってて、沖縄の在来種について読んでから」

春香「私、もうドキドキが止まらないんですっ」キラキラ

P「大迫力なんだよな、俺も楽しみなんだ。ちょっとだけ、外来種の危険性という箇所を読ませて」

千早「とりあえず、高槻さんの期待に応えましょう」キラキラ

P「それはそうなんだけど、絶滅危惧種という点から守り抜く生命の」

伊織「諦めなさい」キラキラ

P「伊織は俺の邪魔をしたいだけだよな……」

真「巨大水槽が観たくてしょうがないんです。行きましょう!」

P「……うん」

貴音「わたくしも、胸の鼓動が早まっているようです」


律子「あ、やっと来ましたね。迎えに行こうと思っていたんです」

P「?」

律子「進んでください、期待以上の迫力ですよ」

P「律子がそこまで言うほどのものか」

真「美希とあずささんがここで止まっているんですよ」

律子「確かに気持ちは分かりますが、1時間以上ずっと」

P「それは……考え物だな」

律子「進んでいって、右側です。私も大迫力にしばらく固まってしまいました」

やよい「うぅー!」ドキドキ

春香「楽しみだねーっ!」ドキドキ

千早「ふふ」ホンワカ

響「いやーここまで期待してくれると嬉しいさー」

貴音「それでは、しばしの時を忘れることにいたしましょう」

P「そうだな。俺もドキドキしてきたぞ……」

伊織「ふん、期待しすぎてガッカリしないことを――」

134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:18:38.41 ID:BBYQna03o

―――― 美ら海水族館・黒潮の海


やよい「うわ」

春香「わぁ」

貴音「……お見事」

P「あ、いた」

千早「プロデューサー、どこを――」

律子「世界最大級の水槽より、そこですか」

千早「なんだか、当てられた気分ね」

律子「まったくだわ」

響「プロデューサー、どこを見てるんだ? ジンベイザメはこっちだぞ」

P「……ん? おぉっ!?」

やよい「ふぁー……」

春香「はぁー……」

貴音「言葉など無用……」

響「いつみても感動するんだよね」

真「凄いよなぁ……こんな大きな鮫がこんな大きな水槽を泳いでいるんだもんなぁ」

律子「そろそろ餌の時間ですよ。魚が活発に動くので見応えありだそうです」

P「凄いな……海が目の前にある……」

やよい「はい……海をそのまま運んできたんですね」

春香「……ここは間違いなく海の中だよ」

響「伊織……?」

伊織「…………うん」

135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:22:19.02 ID:BBYQna03o

P「あずささん」

あずさ「……プロデューサーさん……?」

美希「……」

P「何を考えていたんですか?」

あずさ「……?」

P「美希は目を動かして魚を追っていますけど、あずささんは一点を見ていますよね」

あずさ「……はい」

あずさ「ある人の事を考えていました」

P「?」

あずさ「その人は、最近、なにか様子が変わっていて。でも気付かれまいと普通に振舞って。
    周りに迷惑を、心配をかけまいとそれを隠しているつもりなんです」

P「……」

P「誰のことですか?」

あずさ「プロデューサーさんの知らない人です」

P「……そうですか」

美希「……」

P「少し妬けますね」

あずさ「……」

亜美「兄ちゃんやっとみつけたー!」

真美「こんだけの人の中から見つけるのちょー大変だったよー」

P「美希とあずささんがいるんだから、すぐ見つけられるだろ?」

美希「……」

あずさ「……」

真美「げーのうじんのオーラだね。でも兄ちゃんがそれをマイナスにしてたんだよー」

P「そういうことってあるのか……」

亜美「ねぇねぇ、サメ博士のとこいこーよー。面白いよー」

P「いや、戻って水辺の――」

亜美真美「「 さぁさぁ 」」グイグイ

P「お、俺の意思を少しは尊重してくれ……!」


あずさ「…………ふぅ」

美希「ミキがいるのに、そんな話しないでほしいの」

あずさ「うふふ、ごめんなさい」

美希「いいけどねー。素敵な世界ってあるんだねー」

あずさ「そうですね……素敵な時間ですね……」

律子「しばらくしたら、移動しましょう。次は雪歩が居るところですよ」

あずさ「いつまでも止まってはいられませんね」

美希「ずっと観ていたいな」

律子「観ていたでしょ、美希は」

美希「そうなんだけどね、もっといたいの。……この時間の中で」

136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:23:13.88 ID:BBYQna03o

―――― 美ら海水族館・深海への旅



雪歩「ふふふ……ふふ…♪」


P「……」

響「……」

ゴリ「……」


137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:25:47.82 ID:BBYQna03o

―――― 美ら海水族館・外


やよい春香「「 すごかったぁ 」」


雪歩「あ、あんまりですぅ……」シクシク


やよい「とぉーってもとぉーっても大きかったですー!」

春香「そうだね! そうだね!! 大迫力の海があったね!」


雪歩「わ、私…………深海は……落ち着くなって……っ」シクシク


やよい「見てください春香さん!」

春香「道の向こうの海だね!」

やよい「あの海があの水槽と同じ……ううん、それ以上に広がっているんですよ!」

春香「そうだね、綺麗な海が、素敵な生き物達が、生命の神秘がそこに……あるんだよね!」



雪歩「そんな……落ち着いている私を……みなさんに……見られていたなんて……」シクシク


雪歩「…何も…見ていないと……目を逸らされたとき……とっても……胸が痛かった…ですぅ…!」シクシク


やよい「私、この気持ちを忘れたくありません!」

春香「私もだよっ、やよいっ!」

雪歩「誰か……私を…深海の底に……連れて行って……くださいぃ……!」シクシク

138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:28:08.98 ID:BBYQna03o

伊織「……明暗が分かれてるわね」

真「……コントラストがハッキリと」

千早「どうするの?」

律子「どうするのって…言われてもね……しばらくはそっとしておくしか」

P「それはなんだ、律子?」

律子「こ、これは……小鳥さんと社長へのお土産ですよ」

P「包装紙に包まれていて、分からないんだけど、ぬいぐるみだよな?」

律子「ぎくっ」

P「小鳥さんはともかく、社長に?」

律子「いえ、私のです。悪いですか? マナティとウミガメですけど、悪いですか?」

美希「認めたの」

P「良いと思う。隠すのを止めた素直な気持ちは良いと思う」

律子「そうですよね。私がぬいぐるみを買うことに問題はないですよね」

貴音「律子、プロデューサーはぬいぐるみに関して認めていませんよ」

川田「うまいやっさ、紅芋アイス」

ゴリ「おまえはまた、一人で食べてからに!」ペシッ

亜美「一人でずるいよー川座衛門!」

真美「真美達にも買ってくれないとダメっしょー?」

川田「はいはい、そういうと思って買っておきました」

亜美「持ってないじゃん」

川田「溶ける前に食べました!」

真美「なんで急いで買ったのさー」




響「この時間だと、どこがいいかなー」

あずさ「候補があるんですか?」

響「えっとね、古宇利島でしょ、嵐山展望台、フクギ林、世界遺産の今帰仁城跡」

あずさ「……」

響「でも……今の時間だとフクギか今帰仁城跡が良いと思うんだよね」

あずさ「フクギ林はどういうところですか?」

響「集落なんだけどね、フクギという防風林でできた迷路なんだぞ」

あずさ「迷路……」

響「奥にビーチがあって、夕陽が綺麗に見えるはず」

あずさ「……」

響「備瀬のフクギ林、行ってみる?」

あずさ「はい」

139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:31:24.24 ID:BBYQna03o

―――― 備瀬のフクギ林


伊織「ど、どこなのよここは?」

真「か、勝手に入っていいのかな……?」

ゴリ「住民に迷惑をかけなければいいだけさー」

貴音「……」

真美「なにか出そうですな」

律子「というより、異世界への入り口のような雰囲気ね」

P「……そうだな、不思議な雰囲気だ」

千早「……」

やよい「どーんと大きな魚が泳いでいて、ビックリしました〜!」

春香「私もだよー! 大きな海に触れることが出来た、貴重な一日だよね!」

千早「ここに来るまでずっと同じことを……」

P「本当に、やよいを連れてきてよかったよ……」

亜美「はい! 亜美にみょー案があります! ゲームしようよ!」

川田「ゲーム?」

亜美「ここ迷路なんだよね、ひびきん!」

響「そうだぞー。あずささんは特に迷うぞー」

あずさ「まぁ〜」

P「それを期待してるような表情ですけど」

亜美「三人一組でチームを組んで、なにかしようよ!」

伊織「亜美……その、何かを考えなさいよ」

ゴリ「迷路でゲームといったら、鬼ごっこか?」

亜美真美「「 それだよっ! 」」

ゴリ「待って、誰か時間を戻して。無し無し今の無し」

亜美「鬼チームを三人……えっと、ここには何人いるの?」

P「律子含めたアイドルが13人、俺とゴリさん川田さんで16人」

亜美「3で割ると……あぁーめんどいよっ!」

真「それじゃ、チームを作りましょう」

ゴリ「鬼ごっこに決まったわけな……」

川田「……」


140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:33:56.44 ID:BBYQna03o


〜 作成中 〜


真「運動能力を考慮してこうなりました」


真「お星様チーム!」

千早「如月の月……」

律子「秋月の月」

美希「あふぅ」



真「竜宮チーム!」

亜美「双海亜美です!」

伊織「水瀬の水ね」

春香「海っていいよね」


真「ボクのいるチーム!」

やよい「頑張りまーっす!」

真美「ボクのいるチームって変じゃない?」


真「そして、沖縄チーム!」

響「なんくるないさー!」

あずさ「頑張ります〜」

貴音「必ずや、仕留めてみせましょう」


真「……あれ、割り切れちゃった」

亜美「一人……足りない……」

P「雪歩連れてくる……」


伊織「ちょっと、沖縄チーム、響しか沖縄人がいないじゃないの。ゴリ達はどこへ行ったのよ」

真「……いつの間にかいなかったんだ」

伊織「逃げたわね……!」

律子「真、竜宮チームはあずささんが適役じゃないの?」

真「どうして?」

律子「亜美と春香は海が被ってるわ。三浦の浦島太郎で竜宮と繋がるでしょ?」

真「うわー! 律子頭良いね!」

律子「なるほど……竜宮なんとかってユニットもいいわね」

春香「私もユニットに入るんですか?」

律子「そうなる、かな」

真美「律っちゃーん! 真美も海が入ってるよー!?」

あずさ「……」

律子「まぁ、仮の話よ。ユニットを作るなら……のね」

真美「なぁーんだ。じゃあさ、かいざん(海三)っていうユニットはどうかな」

律子「あまり良い響きじゃないみたいだけど」
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:35:18.18 ID:BBYQna03o

雪歩「私なんて……私なんて……ブラックホールに吸い込まれて違う世界へ跳んじゃえばいいんだ……」シクシク

美希「スケールが大きいの」

P「真、どうする?」

真「そうですね。よく考えるとあずささんが一人で走るのって危険ですよね」

真「と、いうことで、あずささんと雪歩を入れ替えて」


響「沖縄チーム!」

雪歩「漆黒の闇に溶け込んでしまえばいいんだ……うぅ……自分で言って怖くなった」ブルブル

貴音「新生沖縄となりまして。仕留めて見せます」

P「誰をだ……貴音……」


真「残ったプロデューサーさんはあずささんとペアで。そのペアをジャンケンで取り合いしましょう」

貴音「代表者、前へ」

千早「お星様チーム代表です」

亜美「竜宮の使いだよん!」

真「ボクが大将だね」

響「負けないぞー!」


「「「 じゃーんけーん 」」」


142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:38:06.31 ID:BBYQna03o

――…


P「『人数が多いから鬼』って、俺たちは完全にババじゃないか……!」

あずさ「うふふ、仕方ありませんね〜」

P「見つけたら、俺が追いかけますから、後ろから付いてきてください」

あずさ「はい、わかりました」

P「絶対ですよ?」

あずさ「はい」

P「ここは本当に迷路なんですから。見失わないようにしてください」

あずさ「――大丈夫です」

P「一応、俺も離れないようにしますけど」

あずさ「――私が」

P「とりあえず、歩きますか。これだけ人数がいるんですから、鉢合わせもすぐでしょう」

あずさ「――。」

P「……? あずささん、今なんて――」


スッ

真「うわっ!?」

P「捕まえ――」スッ

真「甘いですよッ!」サッ

タッタッタ


P「惜しい……! 待て真!」

ダッ


真「捕まえてごらんなさ〜い」

P「くっ……余裕じゃないか!」

ダダダダッ


真「さすが成人男性ですねー!」

P「女の子の真に負けてられないからなッ!」

真「あ、今つかまってもいいかなーなんて思いましたよー!」

P「そんなことで……ッ……捕まったら許さないからなッ!」

真「へへーっ、そうこなくっちゃ!」

P「あずささん! 付いてきてますよね!?」

「はーい」


真「それっ」スッ

P「曲がったか……ッ! あずささんが迷子になるの……ッ……知ってて……やられた……ッ」


143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:39:44.69 ID:BBYQna03o

P「ハァッ……ハァッ」

「捕まえました」

P「え……?」

やよい「うぅー、プロデューサーが走って行ったから、良かったーと思っていたんですー」

あずさ「うふふ、油断大敵、ですね」

P「こういう利点もあるのか……ふぅ〜」



ゴリ「ハイサイハイサーイ」

牛「モォー」

P「え? 水牛車……!?」

ゴリ「4人まで乗せられるよ〜。はい、あんた乗って〜」

やよい「うわー! なんだか得しちゃったかもですー!」

あずさ「あの、プロデューサーさん」

P「わかってます。余裕だな、亜美」

亜美「えへへ、ゴリーに乗せてもらってたよん!」

P「観念するんだ」

亜美「やーだよー!」ピョン

タッタッタ

P「待てッ!」

ダッ


亜美「あー! あっちにいおりんがー!」

伊織「ちょっ!? 亜美! 仲間でしょ!?」

亜美「かくらん作戦だよーっ!」

P「いや、俺は亜美を追いかけるぞッ!」

タッタッタ


亜美「いやーん!」

「ちょ、ちょっと! それはそれでどうなのよ!?」

「伊織ちゃん、後ろですよ〜」

「確保」

「た、貴音!?」

亜美「いおりんの犠牲は無駄にはしないよー!」スッ

P「また……ハァッ……やられた……ハァ……!」

「はっ……はっ…………ふぅ……」

P「このパターン……これからも続きますね……ふぅ」

あずさ「そうですね」
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:42:50.47 ID:BBYQna03o

P「……」

あずさ「……」

P「あずささん……」

あずさ「は、はい……?」

P「動かないでくださいね……肩、失礼します」

あずさ「あ、あの……!?」

P「捕まえ――」スッ

美希「見つかったの!」サッ

ダッ 


P「くっ!」

あずさ「あ、あの……プロデューサーさん……!」

P「……逃げられました…………って、どうして目を瞑っているんですか……?」

あずさ「あ……れ……?」

P「あずささんの後ろにくっついていましたよ……美希が」

あずさ「……そ、そうですか」

P「舐められてるな……。また適当に歩きましょう」

あずさ「……っ」

P「ここ、昼間でも暗くて……夏の陽射しを完全に遮るらしいですよ」

あずさ「…………」

P「コントラストが綺麗なんだそうです。今は陽が傾いていますから少し明るく感じますけど」

あずさ「あの、プロデューサーさん」

P「……はい」

あずさ「プロデューサーさんは……私に――」

P「……」

あずさ「…………」

P「あれは……」

あずさ「千早ちゃんのシルエットですね」

P「太陽を背にしてるから、表情が見えないな……どうしたんだ?」

あずさ「……この距離で追いかけても逃げちゃいますよね」

P「味方の誰かがいれば……」

あずさ「プロデューサーさん、私がまっすぐ進みますから」

P「わかりました。まっすぐですよ?」

あずさ「……はい」

P「……ッ」サッ

あずさ「……」

「あずささん、千早はどっちに進みましたか?」

あずさ「動きません……」
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:46:20.57 ID:BBYQna03o

「読まれてるのか……!?」

あずさ「そうみたいです」

「俺はこのまま迂回しますから、5秒後に、まっすぐ、走ってください。まっすぐですよ」

ダッ


あずさ「……」


あずさ「私に――触れてもどきどきしないんですか?」



タッタッタ

P「……ハァッ……ハァッ………息が切れるの……早くなってるな……ッ」


千早「……」


P「あれ……!?」

千早「……あずささんは動いていません」

P「ど……どうして……ッ?」

千早「そういう作戦……でもない、と」

P「あずささん……?」

千早「体力が落ちていますね、プロデューサー。私はこれで失礼します」

ダッ


P「ま、待て!」


千早「あずささんを置いて行くんですか?」

タッタッタ


P「ひ、卑怯なり……!」

「ひゃぁ!?」

「ゆ、雪歩!?」

P「雪歩、捕まえるんだ!」

「は、はいぃー!」

「くっ」

P「……だよな」

「ま、まてー!」



P「今どういう状況なんだ……?」


P「……それより」

146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:48:14.08 ID:BBYQna03o

P「どうして、動かなかったんですか……?」

あずさ「え、えっと……千早ちゃんが動かないので、そのままでいいかなと」

P「……そうですね。俺も……そのまま捕まえればよかっただけの話」

あずさ「その、すいません」

P「いえ……俺がしくじっただけなので……あずささんのせいではないですよ」

あずさ「……」

P「…………歩きましょうか」

あずさ「……はい」


ゴリ「ハイサイハイサーイ!」

亜美「はいさーい!」

P「亜美、また、遊んで!」

亜美「ちがうよー? ホラ、ふめーよのピンバッチ付けてるっしょ?」

P「あぁ……誰に捕まったんだ?」

亜美「ひびきんだよ」

やよい「プロデューサー、このピンバッチ、貰ってもいいですか?」

P「元々お土産用に買った物だから、気に入ったのならあげるよ」

やよい「ありがとーございます!」

P「状況を知りたいな……」

ゴリ「そのための俺さー。はい、なんでも聞いて」

P「残ってるのは誰ですか?」

ゴリ「星三。竜一。ボク二。さー」

あずさ「えっと、竜宮は春香ちゃんですね」

P「ボクは……やよいがここにいるから、真と真美で……全然捕まえていないじゃないか……」

あずさ「困りましたね〜」

ゴリ「時間が無いよぉーどうするねー」

P「そうですね、作戦が必要かと……。伊織はどこだ?」

亜美「お姫ちんと一緒だよ」

P「どうして一緒にいるんだ……?」

ゴリ「はい、急ぎなさい」

P「川田さんは?」

ゴリ「さぁ、どこに行ったかね、あのフラーは」

牛「モォー」

やよい「もぉー!」

亜美「もぉぉー!」

P「行きましょうか」

あずさ「そうですね」

147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:51:47.47 ID:BBYQna03o

―― お星様・律子 ――


律子「ここ、本当に暗いんだから……なにか出そうで」


スッ

春香「うぉわっ!?」

律子「うわっ!」

春香「り、律子さん……!」

律子「驚かせないでよ春香……」

春香「えへへ、すいません……ピンバッチ付けてないってことは、まだ捕まっていませんね」

律子「えぇ。……このまま、あと30分逃げ切れば私達の勝ちね」

春香「ゴリさんが言うには、やよいが一番に捕まったそうです。
   真チームが罰ゲームになっちゃいますね」

律子「それじゃ、逃げ切らないとね」

春香「やよいの為にも……り、律子さん後ろですっ……」

律子「……こっちに気付かないで行ったわね。…………待って、一人で歩いてる時点で怪しい」

春香「本当だ…………それじゃあ、少し離れてあずささんがいるわけですね」

律子「そういう作戦ね、きっと」

春香「律子さん、私達も共同戦線と行きませんか?」

律子「いいわよ。リスクはお互い様だし、鬼も文句は言わないでしょう」

春香「それでは提案です。プロデューサーさんの後を付けましょう」

律子「私も同じことを思ってたわ」

春香「これが罠だったら、どうします?」

律子「春香、冴えてるじゃない」

春香「なんだか楽しくって」

律子「罠に飛び込むのも一興よね」

春香「それでは行動開始ですっ」



「……」


律子「春香、後ろ、誰か居る?」

春香「いいえ、地元のおじぃさんだけです」

律子「そのまま後ろを警戒してるのよ」

春香「了解ですっ」

148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:53:16.57 ID:BBYQna03o

「……」


律子「妙ね」

春香「どうかしたんですか?」

律子「あずささんが居ないのもそうだけど、ただ歩いているだけなのよ」

春香「……あ、本当だ。鬼なのに、私達を探す素振りがないです」

律子「……春香、プロデューサーの後をお願い、私は周りを確かめてみる」

春香「了解ですっ」


「……」


春香「あずささんを放っておくプロデューサーさんじゃないよね……? どうしたんだろ」


律子「春香、やられたわっ!」

春香「や、やっぱり罠だったんですね!」

律子「そうじゃないんだけど。伊織が寝返った」

春香「そ、そんな!? 私達竜宮チームは解散ですか!?」

律子「そういうことね。貴音と一緒に真を追いかけてたわ」

春香「…………」

律子「ショックなのはわかるけど、気をしっかり持つのよ」

春香「は、はい……」

律子「貴音と伊織だけなら、真は振り切れるだろうけど、それに響が加わると危険ね」

春香「あの、律子さん……」

律子「……どうしたの?」

春香「プロデューサーさんが角を曲がりましたっ!」

律子「これで罠の確率が高くなった…けど、守ってばかりじゃトップに立てないわ! 行くわよ春香!」

春香「攻めの気持ちですね!」

タッタッタ


律子「……よ、よし……ここからゆっくり様子を――」

春香「そぉーっと――」


雪歩「わっわわわ! つ、捕まえた――」スッ


春香律子「「 甘いッ! 」」ササッ

タッタッタ



「うぅ……やっぱりこうなるんだ……こんなダメダメな私なんて……」シクシク


律子「雪歩ー! そんなこと言ってたら陽が暮れるわよー!」


「っ! そ、そうです! ま、待ってくださいぃー!」

タッタッタ

149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 22:55:02.63 ID:BBYQna03o

春香「はっ……はっ……り、律子さんっ……おかしくないですか!?」

律子「そうよねっ……っ…………プロデューサーの姿っ……無かったものね!」


P「……いたっ!」


春香「うわーっ!?」

律子「プロデューサー!?」


P「雪歩ーッ! 頑張れッ!」


「は、はいー!」


律子「まずい、挟まれた! 春香は左へ!」

春香「共同戦線はここまでですね! 必ず生きて帰りましょう!」スッ

律子「えぇ! 故郷で待つ婚約者の為にも!」

「はいー! えぇー!?」


「り、律子さ〜ん! そういう素敵な方がいらっしゃったんですね〜!?」


律子「適当ですよー!」


タッタッタ


律子「え……あずささんが……居て……プロデューサー……?」

伊織「きゃー! キジムナーよー!」

律子「妖怪はあんたでしょうが!」

伊織「だ、誰がよっ!?」

律子「って、あんたに構ってる暇は――」

伊織「にひひっ」

貴音「確保致しました」ギュウ

律子「っ!?」

伊織「あらー、残念ねー♪」

律子「……私はここまでよ……さようなら、愛しき誰かさん」


150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:03:08.51 ID:BBYQna03o

キジムナー参考画像
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/ja/9/97/Sakaiminato_Mizuki_Shigeru_Road_Kijimuna_Statue_1.JPG

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/c0/Gpzagogo_kijimunaanzen.jpg
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:04:39.87 ID:BBYQna03o

やよい「伊織ちゃんがきじむなーって叫んでいたけど、きじむなーってなんだろう?

亜美「ひびきんが作った合図だよね。亜美もそれでやられたよー」

ゴリ「キジムナーはガジュマルの木に棲む子供の妖怪さー。
   座敷わらしに似ているけど、悪戯するところが違うとこだな」

やよい「そーなんですかー」

ゴリ「いや、キジムナーって合図はどうだば?」

真美「失礼するよーん!」

亜美「真美、ピンバッチ付けてないんだね」

真美「こんなん楽勝っしょー♪」

ゴリ「後ろ見てみ?」

真美「え?」

雪歩「捕まえたー!」ギュウ

真美「雪ぴょん!?」

雪歩「やった……やりましたよ……プロデューサー……」シクシク

真美「ど、どうしてここが分かったんだい!?」

雪歩「プロデューサーが、そろそろ真美ちゃんが牛車に乗る頃だろうって」

真美「うあー、やられちった……」

雪歩「はい、ピンバッチ」

真美「はーい」

やよい「これで、あとは……?」

ゴリ「星二、竜一、ボク一だな」

152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:05:35.69 ID:BBYQna03o

―― お星様・千早 ――


千早「律子が犠牲に……」

春香「わ、私のために……っ……」シクシク

千早「そう気を落とさないで……きっと本望だったと思う」

春香「でもっ、律子さんが……っ」シクシク

千早「春香、ここで泣いていては律子の犠牲が無駄になってしまう」

春香「千早ちゃん……」

千早「私達にできることは何?」

春香「律子さんの言葉を……故郷で待つ婚約者に届けることだよねっ」

千早「そうよ。必ず、生きて国に帰りましょう」

春香「わかったっ!」

律子「こら」

千早春香「「 あ…… 」」

律子「なんだか寂しくなったじゃないの」

春香「えへへ」

千早「状況は?」

律子「美希、真、あなた達の4人が残ってる」

千早「……大詰めね」

律子「伊織が完全に敵に回ってるわ」

春香「伊織……どうして……」

律子「追うのが楽しいからでしょ。それより、作戦があるの」

千早「さ、作戦?」

153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:17:07.80 ID:BBYQna03o

―― 沖縄・貴音 ――


「きゃ、きゃー、きじむなーよー!」


貴音「はて?」

伊織「千早の声ね。何してるのかしら」

貴音「居場所を報せることに違和感を覚えますが、
   わたくしは追う側の身……その挑戦、乗りましょう」

ダッ


伊織「にひひっ、次は千早ね♪」

タッタッタ


貴音「たぁげっと、補足」

伊織「た、貴音っ! あんたサイボーグ化してるわよ!?」


千早「来た……」

春香「反対から雪歩も……!」

律子「プロデューサーとあずささんも来たわね……これで他が動きやすく――」


「もぉー! 響しつこいのー!」

「まてまてー!」



律子「み、美希!」

千早「我那覇さんまで来るとは……」

春香「ど、どうしよう挟まれちゃった……!」



貴音「美希は――」

貴音「……」

伊織「ど、どうしたのよっ? 急に黙らないでよね!」

貴音「彼女に任せましょう。わたくしたちは千早に専念致します」

伊織「了解よ。彼女って響でしょ?」



律子「この状況で生存率が高くなるのは……」

千早春香「「 雪歩 」」

タッタッタ


「ど、どうしてこっちに向かって来るのぉ……!」

154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:18:51.01 ID:BBYQna03o

千早「春香ッ!」サッ

春香「うんッ!」サッ

タッタッタ


雪歩「え、えっ!?」


「雪歩! 千早を捕らえるのです!」


雪歩「わ、わかりましたぁ!」ササッ


千早「なっ!?」


「ち、千早ちゃーん!」


「振り向いちゃだめよ、春香ー!」


「うわぁ! プロデューサーさん!?」

「待て春香ッ!」

「ま、待ってくださ〜い!」


雪歩「か、観念するんだよ、千早ちゃん」ジリ

千早「私は……こんなところで……諦めたくない……」ジリ

貴音「その心意気、真に天晴れです。しかし、後がありませんよ」

千早「くっ……」

雪歩「……!」

貴音「雪歩、落ち着きましょう。急いては事を仕損じる、ですよ」

雪歩「は、はい!」

千早「一縷の望みが……でもそこしかないッ」

ダッ


千早「通して、雪歩ッ」

雪歩「きゃっ!?」

貴音「冷静に、雪歩!」

雪歩「は、はいッ!」スッ

千早「――ッ!」


スゥ――



雪歩「き、消え……!?」

貴音「……なんと」


千早「ふぅ……、起死回生、ですね」

伊織「はい、そこまで」ギュウ

千早「きゃっ! きじむなー!?」

伊織「誰がよ!?」
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:20:59.29 ID:BBYQna03o

―― お星様・美希 ――


美希「……っ」


ザッザッ

「どこ行ったー?」

ザッ


美希「ふぅ〜、響しつこいのぉ……どうしてミキばっかり……」

春香「美希……」コソコソ

美希「春香、どうしたの?」

春香「私もここに隠れさせて」

美希「分かったの」



「あ……ッ」

「また見失ってしまいましたね〜」

「ハッ……ハァッ……ッ……」

「だ、大丈夫ですか、プロデューサーさん」

「だ……大丈夫……です……ッ」



美希「ドキドキするの」ヒソヒソ

春香「……」コクリ



「少し、休みましょう」

「で、でも時間が……っ……はぁ…ふぅ……」

「罰ゲームは私が受けますから」

「いやいや、それでは俺が情けないじゃないですか……」



美希「……」

春香「……」



「情けないなんて……そんなことないですよ」

「え……?」

「いつも、私達を支えてくれたじゃないですか」

「あ、あずささん……?」



美希「……!」

春香「……!」

156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:23:09.17 ID:BBYQna03o

「私を……私達をここまで連れてきてくれたんです……とても感謝しています」

「……」

「一昨日、一緒に見た夕陽……綺麗でしたね」

「……はい」



美希「……」ドキドキ

春香「……」ドキドキ



「私、プロデューサーさんと一緒にあの夕陽を見ていて、決心したことがあるんです」

「決心……?」

「プロデューサーさんのおかげで、私は……私達は……」

「……」


美希「……」

春香「……」


「……トップに手が届くところまできました」

「そうですね……後少しで、俺の夢も叶います」

「……」

「この休暇が終わって沖縄から帰れば、忙しい日々が待っています。ラストスパートですよ」

「どうして、ラスト、なんて言うんですか……」

「……」

「最後……なんですか?」

「……」


春香「!」スッ

美希「……っ」クイッ

春香「……?」

美希「……」フルフル



「プロデューサーさんが最後というなら、私にも考えがあるんです」

「……?」

「ある人に告白をします」

「え……!?」


美希「ッ!?」


ガサッ


春香「〜ッ!?」

美希「にゃ〜う」

157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:23:55.48 ID:BBYQna03o


「……猫さんですね」

「あの……とりあえず、歩きましょう」

「…………はい」

「……」


ザッザッ


美希「こうしちゃいられないのっ」

春香「だ、ダメだよ、美希!」



ガサガサッ



P「はい捕まえた」

美希「にゃっ!?」

あずさ「うふふ」


ガサッ

タッタッタ


「芝居の稽古なんてずるいですよー!」



P「春香もいたのか!?」



「気付いてなかったんですかー!?」

158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:26:23.34 ID:BBYQna03o

―― 沖縄・響 ――


響「ま……ッ……待てぇ……! 真ぉ……ッ!!」

「し、しつこ……いな……響ッ!」


響「つ、疲れたぞ……ハァ……ハァッ」

真「ぼ、ボクも……ちょ、ちょっと休憩……」

響「ハァ…ッ……ハッ……ッ……ハァッ……」

真「ど、どうしてボクばっかり……!」

響「真は自分が捕まえないと……ダメ……ッ」

真「ふぅ……はぁ……っ……はぁっ……」

響「プロデューサーに他は任せて、自分は真に専念するのがっ……一番だよね」

真「それじゃあ……時間も無いし、最後の勝負といこうか……」

響「見て、真」

真「?」

響「ここから真っ直ぐ行ったら、ビーチに出るんだ」

真「そこに早く着いたほうの勝ちだね」

響「そうだぞ」

真「チーム戦はいいの?」

響「プロデューサー達がちゃんと捕まえてるからね」

真「へへー、ボクもこういうの嫌いじゃないよ」

響「それじゃ、この木の枝を投げるから」

真「それが地面に着いたと同時にスタート」

響「行くよー」

真「来い」


ポイッ


響「……」

真「……」


ダッ――

159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:27:58.53 ID:BBYQna03o


春香「どうして私がいると周りが捕まっちゃうんだろう……」


「キジムナー!」


春香「伊織!? キジムナーってなに!?」


「「 はるるんみーっけ! 」」

「見つけましたー!」

「春香、待てー!」

「待ってくださ〜い!」

「頑張れー、春香ー!」


春香「わわわっ! プロデューサーさん!?」

タッタッタ



.........ダダダダダッ


春香「わわわっ、つ、捕まるー!!」



ダダダダダッ


響「……ッ!」

真「……ッ!」



ダダダダダッ.........


ビュウウゥ



春香「え、えぇー!? なんで仲良く走ってるのー!?」


「二人とも、無事のようでなにより……」

「春香! 後ろ、プロデューサーが来てる!」

「春香ちゃん! 待って……!」


春香「うぅー!」

タッタッタ


「あのねぇねぇが向かってるのはビーチだぞー!」


春香「あ、あれ!? 響ちゃんの声!?」


「春香! ちゃんと前を向いて走るの!」


春香「は、はいーッ!」

タッタッタ

160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:29:55.10 ID:BBYQna03o


響「グッ……!」

真「ウゥ……ッ!」


ズサーッ


ゴリ「ゴール! はい、お疲れさま〜」


響「ハァッ……もう……ッ……ダメ……」バタリ

真「ぼ、ボクも……!」バタリ


ゴリ「判定は〜」


響「判定は……?」

真「はっ……はぁっ……判定は……?」



ゴリ「CMの後」

響「ゴリ衛門!」

ゴリ「はい、あんたの勝ち」

響「ほ、本当!?」

ゴリ「間違いないさ」

響「やった、やったぞプロデューサー!!」

真「ま、負けたぁ……」


ゴリ「しかし、後……5秒前」


「まずい……逃げ切られる!」

「は、春香ちゃ〜ん!」

「ちょっと! はやく捕まえなさいよ!」

「「 行けーっ! はるるんー!! 」」

「頑張ってくださーい、春香さーん!」

「逃げ切るのー!」


ゴリ「……4」


「……」

「春香、逃げ切って……!」

「ま、待ってぇ〜!」


ゴリ「……3」



「ねぇねぇ、運がいいさー!」

「逃げ切りなさい春香ー!」


ゴリ「……2」

161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:31:16.39 ID:BBYQna03o

ダダダダダッ


あずさ「プロデューサーさん!」

P「くぅ……もうちょっと……!」

春香「うぅ……ここまで来たのに……!」



ゴリ「……1」


P「……よし、捕まえ――」スッ


春香「うぉわっ!?」


P「え!?」スカッ


春香「いたたた」



ゴリ「ゼロ……はい、終了ー!」



亜美真美「「 逃げ切ったー!! 」」

やよい「やりましたー!」

美希「やったのー!」


伊織「……そんな……春香に逃げ切られるなんて……」

貴音「この敗北を糧といたしましょう」

雪歩「うぅ……わ、私がもう少し……」メソメソ

あずさ「うふふ、負けちゃいました〜」

P「ハァッ……ハァ……ッ」

千早「プロデューサー、やはり……」


律子「お疲れ、春香」

春香「えへへ、最後、転んだだけですけど……勝ちましたよね」

律子「ええ、立派な勝利よ」


響「あぁー、敗けたぞー!」

真「試合に勝ったけど、勝負には負けた……悔しいなぁ」



ゴリ「お前は海を見ながら黄昏か!?」ペシッ

川田「沖縄、最高」

162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:31:45.53 ID:BBYQna03o

※ ― 迷路と迷子 ― ※



※ ― 迷路と迷子 ― ※

163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:33:24.00 ID:BBYQna03o

―――― バス内


響「自分、バッチを落としたから、真だけを追いかけてたんだぞ」

亜美「またまたそんな」

美希「……」

P「美希、顔色が悪いけど、どうした?」

美希「プロデューサー、ミキね、白昼夢を見ちゃった」

P「美希にそれを言われると真実味が増すから……冗談だよな?」

春香「今日はイルカに乗って歌も歌ったから、忘れられないよ絶対」キラキラ

千早「春香、そういうことはあまり人に言わないほうが」

春香「妄想だと思われてる!?」ガーン

伊織「証拠の映像があるでしょ、出しなさいよ」

ゴリ「人使い荒いね……」

ゴリ「ほら、みてみ、ねぇねぇ。川ちゃんが撮った証拠」


『 私 マーメイド♪ 』


千早「……そんなっ!?」

ゴリ「なんでショック受けてるば?」

やよい「春香さんはイルカショーでも凄かったですよねー!」キラキラ

春香「楽しかったよー♪ ジンベイザメも海の神秘も凄かったよねー♪」キラキラ

真「……春香が今日一番輝いてるなぁ」


貴音「面妖な」

雪歩「え?」

伊織「どういうことよ」

響「だから、自分は真しか追いかけてないんだぞ?」

律子「そういえば、最後、私と一緒に走ってたはずなのに……真の隣で倒れていた……?」

伊織「キジムナーって合図、あんたが決めたんでしょ」

響「キジムナー?」

雪歩「あはは」

真「雪歩、しっかり」

亜美「どういうこと!? 亜美を捕まえたのは誰なの! 亜美にこのピンバッチを渡したのは誰なの!?」

響「みんな、キジムナーに悪戯されたのかー」

亜美「えぇえぇぇ!?」

真美「凄い体験しちゃったね、亜美!」
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:35:22.78 ID:BBYQna03o

あずさ「不思議な出来事ですね〜」

響「みんなと遊んで楽しかったと思うぞ」

貴音「……」ジーッ

響「どうした、貴音?」

貴音「貴方は響なのですか?」

響「え?」

伊織「そうね。偽者かもしれないわ」

響「な、なにを言っているんだ? 自分は我那覇響だぞ?」

伊織「確かめるためにほっぺたをつねってもいい?」

貴音「その役はわたくしめに……」

響「だ、ダメだぞっ!」

貴音「……」スッ

響「ダメだってばっ」ガシッ

貴音「……観念するのです」グググ

響「この執念はなにさ……!」グググ

ゴリ「質問すればいいだろ」

雪歩「し……しつもんですか……?」

ゴリ「あんた達しか知らない質問に答えられたら本物さー。偽者だったら急いで引き返さないと」

真「そ、そうだね」

美希「ねぇ、響」

響「?」

美希「プロデューサーの言った『あの言葉』ってなにかな?」

響「『オムレツ』」

「「「 あ、本物だ 」」」


あずさ「プロデューサーさん」

P「聞かないでくださいっ!」


川田「はい〜、これから帰りましょうね〜」

165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:37:49.30 ID:BBYQna03o

貴音「伊織、気付きましたか」

伊織「なにをよ?」

貴音「響の証言によって、ある矛盾が生まれました」

伊織「……あ!」

伊織「わ、私達が追いかけた……真は……!?」

貴音「悪意を感じられなかったので、見逃すことにしましたが……」

伊織「あんたあの時には知ってたのね!?」

貴音「世の中は不可思議な出来事に包まれ――」

響「貴音……それだったら、自分が偽者じゃないって気付いてたよね?」

貴音「はて?」

響「誤魔化されないぞっ!」

伊織「こ、怖くなかったの?」

貴音「もしものことがあったら、と思うと」

伊織「……そうね」

伊織「響、心配かけたんだからほっぺた差し出しなさいよ」

響「じ、自分悪くないぞ? 真にやるべき――」

貴音「……」スッ

響「だからっ!」ガシッ


千早「四条さんはどうしたのでしょうか」

あずさ「安心しているのだと思います〜」
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:40:54.57 ID:BBYQna03o

―――― 我那覇邸


「おかえりなさい」

律子「どうしますか? みんなが寝ている内に移動させたほうが」

P「俺がホテルに行くか……」

「あ、あの〜」

律子「こんなこと、言いにくいんですけど……」

P「……?」

律子「私も大人チームとして、のんびりしたいと思ったりなんかして」

P「そうだな、律子も休めてないもんな……」

律子「すいません……なんだか子供染みたこと言ってしまって」

P「こういうとき、あの人がいてくれれば……って、無い者ねだりはダメだな」

「あの〜、あの人とは私の事だったら嬉しいな〜と」

律子「愚痴になっちゃいましたね。幻覚が見えちゃってるので少し疲れてるみたいです」

P「いや、気にしないでくれ。実は俺もなんだ」

「……」

ゴリ「あんた誰ね?」

「ゴリさんですね。我が765プロの子達がお世話になっております」ペコリ

ゴリ「765プロ!? まだいたわけ!?」

「……え?」

ゴリ「いや、なんでもないさ。ねぇねぇは落ち着いているみたいで良かったさぁ」

「ね、ねぇねぇだなんて」テレテレ

ゴリ「あい……」

「……はっ!? わ、わたしゴリさんより年上じゃないですよ!?」

ゴリ「やっぱり765プロやっさぁ……危険な空気持ってる」

川田「帰ろうぜゴリ……今日は本当に疲れた」

ゴリ「おまえ、今日は本当に何もしてないよ?」

P律子「「 小鳥さんですか? 」」

小鳥「はい。私、765プロの事務員をしている、音 無 小 鳥 と申しますぅ」

律子「本物じゃないですかっ」ヒソヒソ

P「疑ってたのは律子も同じだろっ」ヒソヒソ

小鳥「コホン」

P「あ、えっと……めんそーれ」

ゴリ「訛りがなってないな。めんそ〜れ」

P「めんそ〜れ」

ゴリ「やさ」

小鳥「ようやく歓迎されたところで……話を続けますね」

P「はい」
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:42:17.40 ID:BBYQna03o

小鳥「今日は私が、ファンキーとグルーヴィーのチームを見てますから」

律子「……ありがとうございます」

小鳥「いえいえ。律子さんも今日はゆっくりしてください」

P「……響を起こすか」



P「響、……響」

響「……ん……」

P「ひびきー……」ユサユサ

響「んー!」バシッ

P「いて……」

千早「なにを……しているんですか?」

P「見ての通り、起こしているんだが……」

千早「……先に降りてます」ジー

P「……軽蔑の視線を受けた?」


P「春香、あずささん」

春香「……ん……なんですか?」

P「着いたから、し ず か に降りてくれ」

春香「はぁい……」

P「あずささん」

あずさ「…………はい……?」

P「し ず か に降りてください」



P「それじゃ、小鳥さん、よろしくお願いします」

小鳥「はい。任せてください」


プシュー


ブロロロロロロ

168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:44:44.64 ID:BBYQna03o

響母「今日は遅かったねぇ」

川田「名護まで足を伸ばしていたからね」

ゴリ「じゃ、帰ろうね」

P「帰る……?」

ゴリ「夜から仕事が入ってるわけよー。残念さー」

川田「また明日や〜」

P「あ、あぁ……笑顔で行ってしまった」

響「くぅー……すぅ……」

響母「起きなさい、響」ユサユサ

響「んー……? あれ?」

響母「いつまでも背中で寝てたら大変でしょ」

響「んー……ごめんね、プロデューサー……降りる」

P「いいけど……どうして俺が起こすと不機嫌になるんだ……?」

千早「……」ジー

あずさ「……」

春香「……」

律子「あずささんも、春香もぼんやりしてないで、目を覚まして」

あずさ春香「「 ……はい 」」

響母「はいはい、早く中に入ってねー」

春香あずさ「「 失礼します…… 」」

響「ふぁぁ……! 懐かしい夢見たなぁ」ノビノビ

169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:45:15.22 ID:BBYQna03o

pipipipi


P「誰から……う」

千早「誰からですか?」


ピッ


P「亜美から…………もしもし」

『兄ちゃんひどいよー!!』

P「……」

『そーだよっひどいよー! 真美寂しかったんだからねー! はい、いおりん』

『ちょっと! 黙って降りないでよ! はい、やよい』

『え、えっとびっくりしましたー! どうぞ、雪歩さん』

『あ、あの……ひどいですぅ……! はい、真ちゃん』

P「なんだこれは……」

『プロデューサー、酷いじゃないですか! はい、美希』

『ミキ、ご飯いっぱい食べてやるんだから! はい』

『プロデューサー達の居ない車内はしずかで、少し寂しさを感じました。小鳥嬢、どうぞ』

『……あの』

P「はい……」

『とりあえず、不満をぶつけておきたいとのことでした』

P「そうですか……。ちゃんと受け止めましたので」

『それでは失礼します』


プツッ


P「……よし。ご飯を食べて寝よう」

千早「……」

170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:46:27.26 ID:BBYQna03o


―――― 仏間


響「おとー、春香と千早が来てくれたぞー」

春香「――。」

千早「――。」

律子「先日はお騒がせしました」

あずさ「今日もお世話になります〜」


P「……」


171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:50:31.86 ID:BBYQna03o

―――― 居間


律子「もぐもぐ」

響「プロデューサー、醤油とって……」

P「……はい」

響「ありがと」

千早「もぐもぐ」

P「……今日、美ら海水族館に行ってきました」

響母「そうね。どうだった?」

P「楽しかったです」

響母「小学生か、あんたは」

P「すいません…………」

春香「あずささん、七味唐辛子を取ってくれますか?」

あずさ「はい、どうぞ」

春香「ありがとうございます」

響母「みんな疲れてるねー。なにしてたの?」

P「海洋博で結構歩いて……水族館の後に備瀬のフクギ林で鬼ごっこを」

響「楽しかったぞー」

響母「はしゃぎ疲れたってわけね。明日のためにもどんどん食べてねー」

春香「はいっ! おいしいですよっ、響のお母さん!」

響母「嬉しいさー」

千早「我那覇さんが時々ちゃんぷるー料理を作ってくださるので、それと同じくらいおいしいです」

響母「ねぇねぇ、私も我那覇だわけさ」

千早「?」

響「何が言いたいのおかー?」

律子「えっと……名前で呼んでと……いうことですか?」

響母「そうさー。響に我那覇さんって言わなくていいよー」

千早「えっ……えぇっ!?」

響母「あんた可愛いねー。響って言ってごらん」

千早「あ、あのっ……」

響「なにを言ってるかー」

あずさ「ふふ」

P「……沖縄の血ですね」

千早「えっ……っと、……えっと……」

あずさ「響ちゃん、この刺身のお魚の名前、教えてくれますか?」

響「カンパチだぞ。アニキが獲ってきてくれたさー」

春香「響ちゃん、ゴーヤちゃんぷるーおいしいね」

響「ゴーヤーはスタミナ料理だからね、たくさん食べてね」
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:52:27.51 ID:BBYQna03o

律子「響、この小さな魚は?」

響「スクガラスだぞ。お酒の肴にいいらしいんだけど、ご飯にも合うよね」

P「響、これは初日の夜にもいただいたけど……俺、結構好きになったよ」

響「中身汁という沖縄料理には欠かせない一品で、自分も大好物だよ!」

響母「はい、あんたの番」

千早「ひ…っ……くっ」

響母「恥ずかしくないさー」

響「おかー、もういいでしょ、困ってるさー。自分もなんだか恥ずかしいぞ」

春香「ふふっ」

響母「響、あんた嫌われてるみたいだね」

千早「ち、違います! 我那……っ……響のことは……好…きですよっ」

響「て、照れるさー」

千早「うぅ……」カァァァ

あずさ「うふふ」

響母「意地悪して悪かったさ。食後にアイスあるからねー」

春香「やった♪」

律子「中身汁……しいたけも自然と食べられるわ……」

響「少しくすぐったいけど、嬉しいぞ、千早」

千早「……ぅ……うん……」

響「ご飯おかわりだよね?」

千早「……うん……ありがとう、響」

響「大盛りにするさー!」

千早「そこまでしなくてもっ」


P「……」

あずさ「……」

173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/25(火) 23:54:00.20 ID:BBYQna03o
投下終了です おやすみなさい
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/01(火) 10:34:18.75 ID:HVZHOeQdo

まぁ楽しみにしてるから
ほかでやるなら誘導よろ
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/04(金) 22:08:24.85 ID:u8MfD43Fo
立て直しました。

あずさ「約束を」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1357300955/

このスレは向こうが終わり次第、少しずつ投下して以降と思います。

ありがとうございました。
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:03:54.56 ID:06fO7EOoo

―― 縁側 

P「……」

響兄「いい月ですね」

P「あ、今までお仕事ですか?」

響兄「そうです。……今日は静かですねぇ」

P「みんな疲れてますから、降りてこないところをみると、すぐに眠れたみたいですね」

P「昨日はどうでした?」

響兄「少し騒がしい程度で、一昨日よりは落ち着いてましたよ」

P「……そうですか」

響兄「…………」

P「……?」

響兄「朝のラジオ、聞きましたよ」

P「あはは…………どうでした?」

響兄「ゴリさんがフォローしてくれてるな、と」

P「いつもはもっとしっかり……って言ったら変ですけど」

響兄「アレの兄だからって、気を遣わなくてもいいですよ」

P「いつもはちゃんと段取りを組んで、丁寧にこなしていくんですけど、今日は正直危なかったです」

響兄「はは……、そうですかぁ」

P「気が緩んでいるというか……。でも、楽しそうなのは感じ取れたので、リスナーにも伝わればと」

響兄「……」

P「響の新しい持ち味が見れたので、それを引き出していくのも面白いかと思います」

響兄「一杯どうですか?」

カランカラン


P「すいません、明日もありますから」

響兄「医者に止められてるとか?」

P「……え?」

響兄「……普通に喋ろうね。プロデューサーさんは一歩退がってしまうみたいさー」

P「……そんなことは」

響兄「はい、このグラス持って」

P「う……俺の分、作ってきていたんですね」

響兄「一人で寂しく月を眺めてるなぁって思ってさ」

P「あはは」

響兄「はい、乾杯」

P「乾杯」


カキン


響兄「……ごくごく」

P「……ふぅ」

響兄「……ふぅっ」
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:05:14.89 ID:06fO7EOoo

響兄「ゴリさん達とまた飲みたいねぇ」

P「そうですね。のんびりと……」

響「ごくごく……ふぅ〜」

P「このゆっくりと流れている時間は……とっても好きです」

響兄「余生はここで暮らすね?」

P「…………」

響兄「……」

P「……そうだ、お兄さんに聞きたいことがあるんですけど」

響兄「なんね?」

P「響を起こすとき、バシッと手を弾かれるんですけど、お兄さんもそうされます?」

響兄「……いや」

P「……俺だけなんですね」

響兄「……」

P「無意識に嫌われてるのかな……?」

響兄「ラジオで、兄のような人がいるって、プロデューサーさんのことでしょ?」

P「ちょっと嬉しかったりするんですけど……うぅーん?」

響兄「……あぁー……」

P「?」

響兄「手を弾かれるのって、沖縄に着いてから?」

P「……そうです……かね? 響が寝てるとこってあまり見たことなくて……、
  起こすのは俺じゃない時もあるし……」

響兄「……十中八九だけど、心当たりあるさー」

P「教えてくれますか?」

響兄「おとー、さ」

P「え……、えぇー……」

響兄「ショックだわけ?」

P「いえ、光栄なんですけど。……兄を通り越して親……複雑です……」

響兄「真面目な話、響を女性として見たことあるね?」

P「えっ!?」

響兄「……」

P「真面目な話……ですよね」

響兄「そうさ」

P「…………」
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:06:47.26 ID:06fO7EOoo

P「ステージや、仕事で輝く響にドキドキすることはあります。
 それは、響だけじゃなく……。はい」

響兄「……ふむ」

P「……だけど、それはアイドルとしての魅力なのかな、と」

響兄「……」

P「苦しくても努力して、今までの自分を乗り越えていく姿を見てるから、
  人として、とても尊敬する部分があります」

P「だから、女性というより、まず先にくるのがアイドルなんですね」

響兄「難しいさ」

P「そうですね。難しいなぁ……」

P「人として尊敬している部分を好意に変えてしまうと、
  アイドルとしての彼女達を上手く引き出せないような気がするんです」

響兄「……」

P「俺は……不器用なので、みんなに苦労かけています……。
  だから、アイドルとしての彼女達を見守っていることが成功の近道なのかと」

P「これは……彼女達に一番失礼なことをしているかもしれない」

響兄「いや……」

響兄「娘のいいところをたくさん見つけて……ってヤツじゃないかな。だからお父さんだわけさ」

P「そ、そうなんですか……」

響兄「響が小さい頃におとーが亡くなってさ。
   それまでおとーが響を起こす度に、うるさいなぁーって感じで手を払ってたよ」

P「……!」

響兄「だから、雰囲気が似てたんだねぇ」

P「雰囲気?」

響兄「なんでもないさ。プロデューサーさん、今の話聞いてて思ったけど」

P「は、はい」

響兄「それ、事務所の子達、全員に当てはまってないでしょ」

P「え……?」

響兄「最初の――それは、響だけじゃなく――の後に、誰かの顔が浮かんだよね」

P「……」

響兄「その人がプロデューサーをアイドルとしてじゃなく、
   一人の女性としてもドキドキさせてるんじゃない?」

P「――!」

響兄「図星みたいだね。沖縄方言で胸(チム)どんどんって言うさー」

P「ち、違っ……」

響兄「早く飲んで、グラスを空にしないと寝かさないよ」

P「うぅ……ゴリさんと同じだ……!」

響兄「そうね?」

P「そうですよ……!」

響兄「響には可哀相だけど、強制はできないさ」

P「……」

響兄「俺は安心したよ。これからもよろしくね、プロデューサーさん」
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:10:03.73 ID:06fO7EOoo

P「…………」

響兄「酒が美味しいさ……ごくごく」

P「忘れて進んでいて欲しい……かな」

響兄「ん? なんて……?」

P「いえ、なんでも……ごくごく」

響兄「変なこと聞くけどさ」

P「?」

響兄「プロデューサーさん、健康診――」

「んー、アニキー?」

響兄「響か……?」

響「プロデューサーに迷惑かけるなー」

P「起こしてしまったか……?」

響「ううん……そんなにうるさくないけど、気になって眠れな……ふぁぁ」

響兄「明日もライブだろ? 早く寝ろよ」

響「明日は一日オフさー……たくさん遊ぼうね、プロデューサー……」

P「そんなとこに座らないで、部屋に戻るんだ、響」

響「まだ日付越えてないからいいさー」

P「目が半分閉じてるぞ」

響「大丈夫だぞー」

律子「ちょっと、響……こんなところで寝ないの……!」

響「寝てないぞー」

P「律子まで降りてきたのか……」

千早「……」

春香「なんですかっ、まだなにかあるんですねっ?」

P「千早と春香まで……。大人チームは午前のライブがあるんだから、体を休めないと」

律子「ほら、起きて」

響「自分は明日オフだぞ律子ー」

律子「夜更かししないっ」

千早「響が出て行って話し声が聞こえたから……」

春香「同じくっ」

P「春香、落ち着こうな。起きてたのか?」

律子「しずかに寝ようとしていたんですけど……」

春香「なんだか、疲れてるのに目が冴えちゃって……」

P「あずささんは寝てるんだな……ほら、部屋に戻って――」

あずさ「すいません、降りてきちゃいました」

P「あぁ……!」
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:10:44.16 ID:06fO7EOoo

響母「なんね、まだ起きてたの?」

あずさ「すいませんお母さん、中々寝付けなくて」

千早「私もです……」

響母「クワンソウ茶淹れようね」

律子「あ、すいません」

春香「くわんそう……って、なんですか?」

響兄「寝付けない時に飲むお茶さ」

律子「昨日、お子様チームはこれを飲んで静かになったの」

P「ぜひっ!」

響母「はいはい、あんたにも飲ませてあげるさ〜」

P「あ、いえ……俺にはお兄さんが作ってくれた……」

響「どれどれ、どんな味?」

P「待てっ!」グイッ

響「うがっ!」

P「こんな時間に野生化は困る」

響「野生化ってなんだ?」

あずさ「ごくごく」

P「えぇー!?」

千早「あ、あずささんっ!?」

律子「……明日……大丈夫かしら」

P「あ、ああ……あずささん……」

あずさ「ふぅっ」

P「どうして……!?」

あずさ「うふふ、プロデューサーさんが遠慮してらっしゃるので〜」

P「意味がわかりませんよ……!」

あずさ「……ちょっと、強いですね」

P「日本酒とは違うんですよ?」

あずさ「あらあら〜」ポワァー

P「律子」

律子「はい、任せてください」

響兄「……プロデューサーさんにはそっちが必要みたいだねぇ」

P「え……?」



三日目終了
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:14:08.89 ID:06fO7EOoo

四日目


―――― 律子・千早・春香・あずさ・響の個室


チュンチュン

 チュンチュン


律子「ん…………」

千早「すぅ……」

律子「メガネ……」

春香「すやすや」

律子「……あれ?」



―――― 台所


律子「……おはようございます」

響母「はい、おはよう」

律子「響とあずささんを見ませんでしたか……?」

響母「あい……、さっき起きてきて…洗面所から戻ってきて……どこか行ったね」

律子「……どこへ……行ったの……あの二人……?」

182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:15:24.52 ID:06fO7EOoo

―――― 個室


律子「千早、春香」

春香「ぅ……ん……おぁぃぉざい…す……」

千早「すぅ……」

律子「千早……、ほら千早」

千早「……う……ん」

律子「……ふぁぁ…………眠くなってくるわね」

春香「くぅ……」

千早「すぅ……」

律子「あ、あれ……? ほら起きなさい!」

春香「ふふふ……すぅ」

千早「やっ…た……すぅ」

律子「笑ってるし、何を達成したのよ……起きるの!」

春香「……え? …………ゆ…め……?」

千早「…………」

律子「はい、おはよう」

春香「なんだ……夢か……」

千早「くっ……」

律子「どんな夢だったか、忘れないうちに聞かせてもらいましょうか」

春香「プロデューサーさんがオムレツを食べてました」

律子「どこが面白いのか理解しかねるわね……。千早は?」

千早「……今日も頑張りましょう、律子」

律子「わかった、聞かないでおくわ」

183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:20:27.97 ID:06fO7EOoo

―――― 台所


春香千早「「 おはようございます 」」

響母「おはよう、千早、春香」

春香「えへへ、なんだかお家にいるみたいですね」

千早「二人はまだ……?」

響母「外に出てはいないと思うんだけどね」

律子「まさか……!」

春香「まさか?」

律子「いや……まさかね」

千早「……」




―――― プロデューサーの部屋


「そんな……まさか」

「そのまさかかもしれないじゃない」

「いくらなんでもそれは……」


P「……ん……? 律子たちか……廊下で何を……」

響「くぅー」

あずさ「すぅ……」

P「……」

184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:22:50.38 ID:06fO7EOoo

コンコン

「プロデューサー、起きてますか?」

P「あ、あぁ」

「失礼しまーす」

「ちょ、ちょっと春香」

「春香、いくら私達の間柄でも、勝手にドアを開けるのはよくないわよ」

「そ、そうですね」


あずさ「くぅ……すぅ……」

響「すぅー」

P「???」


「あの、つかぬことをお伺いしますが」


P「あぁ、あ? え?」


「プロデューサーさん、どうしたんですか?」 

「まるで現状を把握するのに時間がかかってるみたいな声ですけど……」

「やけに的確な表現ね千早……」


響「すやすや」

あずさ「すぅ……すぅ……」

P「俺……クビ……だよな……うん」


「なんだか様子がおかしいですよ、律子さん」

「あの、開けてもいいですか?」

「予想はほぼ的中……」


P「待ってくれ。あずささんと響がいるんだけど、引かないでくれ」

ガチャッ!


律子春香千早「「「 …… 」」」


あずさ「……ん……ん?」

響「くぅー」


P「長い間ありがとうございました。
  765プロで培った経験をこれからの人生の柱にしていきたいと」

春香「……うん、見なかったことにしよう」

律子「あずささん、しっかり起きてください」

あずさ「あ、あら……ここは……?」

P「ほら、響……俺の退職挨拶を聞くんだ」ユサユサ

響「んー!」バシッ

P「はい……このような結果になってしまったことを深く反省し」

律子「寝ぼけてるのと若干のパニックとが混ざってる……」
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:24:30.87 ID:06fO7EOoo

―――― 居間


響母「あんたよ、もっとしっかりしなさい」

P「……はい」

響母「ほら、たくさん食べて、今日も頑張りなさいね」

P「いただきます」

「「「 いただきまーす 」」」

響「プロデューサーが寝ぼけてるところ初めてみたさー」

あずさ「私もです〜」

律子「あの、二人のせいでパニックになったんですけど……」

春香「起こしに行って寝ちゃうなんて、ミイラ取りがミイラになっちゃいましたね」

千早「夢を見ましたか?」

P「いや、二人の顔をみた瞬間忘れた」

響「どうして夢の話を聞いたの?」

千早「二人の間で見る夢はとてもいい夢に違いないと」

P「……」ズドーン

律子「ちょっと、千早! 精神に負担をかけること言わないのっ」

あずさ「うふふ、私もいい夢を見ることができました〜」

春香「このアーサー汁、とってもおいしいですっ、お母さん!」

響母「おばぁ直伝の味さ、たくさん食べてねー」

響「ぬちぐすいだよね!」

律子「?」

響母「美味しい料理を食べたときのうちなーぐち。命の薬って意味さ」

P「命の薬……」

あずさ「……」

千早「……」

P「……うん、おいしい」


――…



P「さて、出発するけど、忘れ物無いな?」

千早「大丈夫です」

あずさ「はい、……えっと……はい」

律子「春香は?」

春香「一度、ホテルのフロントへ行って来ます」

律子「わかったわ」

P「それじゃ、北谷に戻って、一日のスタートだ!」

「「「 はいっ 」」」

響「今日もみんなと遊びまくるぞー!」

186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:25:45.62 ID:06fO7EOoo

―――― 北谷


春香「急がなくちゃ!」

タッタッタ


春香「プロデューサーさんに電話――」ガサゴソ


ドンッ


春香「ふぎゃぅ」

「……っとぉ?」

春香「いつつ……」

「……テメエ」

春香「す、すいません」




ゴリ「こんな早くに北谷に来なくてもよかったんじゃないか……」

川田「俺も今思った……」

ゴリ「ところでよ、宜野湾に上陸するって話聞いたか?」

川田「あぁ、聞いた聞いた。全国展開するって噂だったけど、マジだったんだな」




春香「本当に本当にすいません!」ペコリ

「……謝ればいいってことじゃねえんだよ」

春香「うぅ……」

伊織「春香、あんたは控え室に急ぎなさい」

春香「伊織…………本当にっ! すいませんでした!」

タッタッタ


「……ちっ。……ろくでもねえな」

伊織「……」

「前見て歩くよう、注意しとけ」

伊織「……なによ」


ゴリ「地元企業も頑張ってるな」

川田「だからよ、サンエー、かねひで、メイクマン、いいよいいよー」

ゴリ「俺達も頑張ろうって気になるからな。……メイクマン?」

川田「やさ」

187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:27:05.35 ID:06fO7EOoo

「ぶつかってきたのはあっちなんだよ!」

伊織「どうせあんたもボンヤリしてたんでしょ!」



ゴリ「……ケンカか?」

川田「みたいだな」


ゴリ伊織「「 …… 」」

「てめえ……いい加減にしろよな……!」



ゴリ「して、今日はどこいくか?」

川田「午後から斎場御嶽だろ。ひめゆりの塔に行くか?」



「おい! 聞いてんのか!?」

伊織「ちょっと待ってて」

「は?」



タッタッタ

伊織「ねえ、ちょっと」

ゴリ「なにか?」

川田「……?」

伊織「私、男の人に絡まれてるんだけど」

ゴリ「……うん」

伊織「男の人に怒鳴られているんだけど」

川田「……うん」

伊織「…………」

ゴリ「垣花樋川もいいあんに?」

川田「ああ、いいな。そこで涼んでいけるし」

スタスタ


伊織「ちょっとちょっと」

ゴリ「なにか?」

川田「朝の挨拶か? 礼儀正しいさ」

伊織「そうじゃないわよ。……助けなさいよ!!」

ゴリ川田「「 必要ないだろ 」」

伊織「か、か弱い女の子に向かってそれはないでしょ!?」

ゴリ川田「「 …… 」」

伊織「面倒って顔してるんじゃないわよ!!」
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:28:18.24 ID:06fO7EOoo

「おい、アンタら」

ゴリ川田「「 なにかー? 」」

「765プロと仲良くしてるじゃねえか」

ゴリ「あー、そういうことか……はっさ、にぃにぃ、大変だけど、頑張ろうね」

「はぁ?」

「僕たち先に行ってるからねー」

「チャオ☆」

伊織「なによ、頑張ろうって」

ゴリ「にぃにぃも俺達の撮影に参加したいんだろ?」

「……撮影だと?」

川田「細かい事はマネージャーを通せばいいさ。俺達は大歓迎よ」

ゴリ「プロデューサーは分かる男だから問題ないさ。1時間後にジャコス前に集合な」

「話進めてんじゃねえ!」

ゴリ「友達になりたいんだろ? 恥ずかしがることないさー!」

「勝手に俺の性格を作ってんじゃねえよ!」

真美「ゴリー! なにしてんのー!?」

亜美「あまとうも一緒だー!」

甘党「あまとうって呼ぶな!」

ゴリ「じゃあ後でやー」

スタスタ


甘党「おい、話はまだ終わって……!」

亜美「あまとう達はどこのステージなのー?」

真美「ルートビアって差し入れ持って行くよー!」

甘党「あれよりオレンジだろ!」



伊織「かきのはなひーじゃーってなによ、ヤギの料理?」

ゴリ「日本名水百選に選ばれている湧き水さーって、なんでここにいる?」

伊織「後は亜美達に任せるわよ」

ゴリ「あの子寂しそうだから、友達になってあげなさいね」

伊織「余計なお世話よ。あんた私の親なの?」

川田「平和記念公園を歩くのもいいか……うーん」
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:30:26.58 ID:06fO7EOoo


―――― ライブ会場・控え室


響「金木犀……?」

亜美「そうだよー、あまとうとお喋りしてたんだよん」

P「あぁ……木星……じゃなくてジュピターな」

ゴリ「プロデューサーとあのにぃにぃは仲がいいだろ? 何度か話してるの見てるさ」

P「いえ……仲がいいわけでも」

川田「これを機に仲良くなればいいさー」

伊織「……」

小鳥「どうしたの、伊織ちゃん」

伊織「別に。バカ二人に付き合ってると、こっちまでバカらしくなってきただけよ」

小鳥「?」


『『『『 迷わず歌えPrime word 』』』』

『『『『 Vault that borderline 』』』』



\ ワァァアアアア!!! /



P「一曲目が終わったか……」

響「みんな楽しそうだぞ」



『ふぅっ、暑いですね〜』

『本当に。会場のみなさんも、水分補給忘れないでくださいねー』

『律子さん気が回りますねー』

『……この熱気は凄いです』

『えっと、私も水分補給をしてきます。ちょっと待っててくださいね〜』

『ちょっ、ちょっとあずささん!?』

『わざわざ控え室に行かなくても……』



P「……え」

あずさ「会場は凄い盛り上がりですよ〜」

P「どうぞ」

あずさ「ありがとうございます〜」


ゴリ川田「「 自由だな 」」
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:31:17.36 ID:06fO7EOoo

あずさ「それでは、行ってきますね、プロデューサーさん」

P「は、はい」

やよい「頑張ってきてください! あずさねぇねぇ!」

あずさ「はいはい〜、頑張ってきます〜」







『美ら海水族館で、私、イルカに乗せてもらっちゃいました♪』

『春香、イルカショーは海洋博よ』

『あ……そうでした……えへへ』

『お待たせしました〜』

『それでは、あずささんも戻ってきたことですし、二曲目いきましょう!』

『聞いてください! 自分REST@RT です!』



P「小鳥さん、午後の青春チームのライブ、よろしくお願いします」

小鳥「はい、分かりました。私も青春時代を思い出して……」

P「……」

小鳥「あぁ! 逆算しないでくださいプロデューサーさん!」

P「してません……」

響「ライブが終わったら、お昼ごはんを食べて観光地に行くぞー」


ゴリ「……嫌な予感がするんだけど」

川田「口にするな」

191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:32:26.50 ID:06fO7EOoo

―――― A&W・牧港店


川田「はい予感的中! 四日連続、四度目! エンダー!」

ゴリ「おまえのせいだろ!」

冬馬「お前達が行きたい店を聞いたんじゃねえか!」

亜美「もぉー! なんであまとうに聞いちゃったの真美ー!」

真美「亜美も聞いたっしょー!」

伊織「というより、どうして同行してんのよ……」

あずさ「まぁまぁ、いいではありませんか。たちつてとうま君もご一緒で」

春香「さっきはすいませんでした、たちつてさん!」

冬馬「いい加減名前覚えろよ、お前ら!」

ゴリ「名前は合ってるさ」



店員「響ちゃん!」

響「あはは…はは……また来たさー……」

P「響、笑顔がぎこちないぞー……」

やよい「私は全部のメニューを制覇したいくらいですー!」

千早「昨日のバスで食べたもの以外を……。その……や、やよい……?」

やよい「なんですか、千早さん」

千早「くっ……」

やよい「?」

律子「やよい、耳を貸して」

やよい「なんですか?」

律子「ごにょごにょ」

やよい「わかりました」

千早「どうしたの?」

やよい「フレッシュべジバーガーがお勧めですよ、千早ねぇねぇ!」

千早「店員さん、それをお願いします!」パァァ

P「華やいだな……」

192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/30(水) 21:33:59.87 ID:06fO7EOoo

冬馬「おい……!」

P「四日連続はどうかと思ったけど、結構楽しめるもんだな」モグモグ

やよい「私は毎日でもいいかもですー!」

千早「そうね、そうよね!」キラキラ

あずさ「伊織ちゃん、それは?」

伊織「オニオンリングよ。食べたかったら、どうぞ」

あずさ「それではお一つ」

律子「私ももらうわね」

冬馬「ちょっと待て……!」

ゴリ「うるさいやっさ。なんね?」

亜美「うっしっし」

冬馬「俺は……オレンジを……頼んだはずだ……!」カァッ

響「顔真っ赤だぞ……それほど怒ってるのか……」

P「いや、恥ずかしいんじゃないかな」

冬馬「どうして……ルートビアなんだ……!」カァァ

真美「説明しよう!」

春香「お願いします」

真美「私があまとうの分を注文したからであーる!」

冬馬「くぅ……やっぱりお前か……!」

ゴリ「あとでブルーシールアイスを食べさせてあげるさー。怒らんで」

冬馬「トリプルだからな」

ゴリ「おまえ甘党か!?」

川田「765プロより扱いやすいやっさ……」

193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/31(木) 23:12:17.02 ID:Dw1c6S8jo
おつ

もしかして嘘つきの人か
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/31(木) 23:45:07.21 ID:sM2ZVjxAo
レスがあるなんて、誰もいないと思っていただけにビックリしました。


時系列がバラバラで解り辛いのですが、

立てた順としては以下の通り↓


あずさ「嘘つき」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1353412950/

あずさ「約束を」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1357300955/

美希「忘れてた想い出のように」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1359217722/


「嘘つき」の続編で本スレを纏めたものが「約束を」、美希「忘れてた〜」はプロローグになります。
本スレはグッダグダな為、沖縄観光だけをメインにしており、
この後の伏線回収などは控えさせていただきます。

読者に負担をかける構成・文章で申し訳ないです。

195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 00:22:20.46 ID:HN39irsNo
別にgdgdじゃないと思うから好きなように書いてほしいな
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:01:49.14 ID:ROsQ0okFo

―――― バス内


冬馬「なんだよ」

P「……いや、別に」

冬馬「それなら撮るんじゃねえよ」

P「いや、これも仕事なんだ。わかってくれ」

冬馬「ふん……」

亜美「亜美はダブルで精一杯だよー」

真美「真美なんてシングルだよー」

亜美真美「「 それなのに…… 」」

千早「トリプルなんて……よく食べられますね」

冬馬「うるせえ」

千早「プロデューサーですらシングルアイスなのに、恥ずかしくないんですか?」

冬馬「恥ずかしいと思うから恥ずかしいんじゃねえか」

千早「どうして同行してるんですか?」

冬馬「金持ってきてねえんだよ、帰れないんだよ。忘れたんだよ」

千早「バス内の空気が変わってることに気付いてますか?」

冬馬「変えてるのはお前だろ?」

千早「そうかもしれませんね。率直に言いますと、あなたがここにいるからなんです」

冬馬「俺を拉致したプロデューサーに言えばいいだろ」

千早「言葉が悪いと思います。控えてください」

冬馬「生まれつきなんだよ」

千早「どうしてここにいるんですか」

冬馬「こっちが聞きてえよ。なんで俺がここにいんだよ」

千早「歩いて帰ればいいと思います」

冬馬「午前のライブで疲れてんだよ。というか、土地勘が無いんだから無茶言うな」

千早「タクシーに乗って、到着先で払ってもらえばいいじゃないですか」

冬馬「……」

亜美「ここで試合終了! あまとうのケーオー負けです!!」

真美「いやー、千早ねぇねぇの弾丸攻撃に怯むことなくげーげきしておりましたがー」

亜美真美「「 あえなく撃 沈! 」」

ゴリ「解決策見つかって終わったな」

川田「なんであんなに攻撃的か?」

ゴリ「あぁ……週刊誌にあったな……」

川田「あれか……確かにそう簡単には解決できないな」

P「……そうなんですけど。でも、今の千早はそれじゃなく、今が問題なんです」

やよい「わぁー、伊織ちゃん! いろんなお店が並んでるよー!」

冬馬「うまいなこれ」

千早「替わってくださいっ」
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:02:42.19 ID:ROsQ0okFo

律子「やよいの隣に座ってるからなんです」

P「本人たちはあまり関係ないので……」

ゴリ「……ふむ」

川田「はい〜! ただ今このバスは国際通りを進行中です〜! 降りてみたいですか〜?」

伊織「面白そうな店があるわね」

響「いろんなお土産があって楽しいぞー」

あずさ「あらあら、赤ちゃん」フリフリ

春香「プロデューサーさん、ハブ酒ですよ! ハブ酒!」

P「……おぉ、ハブがそのまま……って、よく見えるな」

川田「はい〜! 停まることなくこのバスは世界文化遺産の斎場御嶽へ走ります〜!」

198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:04:45.44 ID:ROsQ0okFo


―――― 斎場御嶽・入り口


川田「はい、到着しました〜! ねぇねぇの憧れの場所!」

千早「ここが……」

P「入場券買って来る」

あずさ「あの入り口にあるのはなんでしょう?」

ゴリ「世界遺産に登録されましたって記念碑さ」

冬馬「まるでブランドだな」

春香「駐車場は車がいっぱいだね〜」

伊織「結構人気スポットなのね」

響「全国放送で紹介されたりしてるからね」

やよい「あ、プロデューサーが呼んでますよー」

亜美「それじゃーパワーを貰っちゃおうかな?」

真美「これからの真美達の活躍のためにもメッチャ吸収しちゃうかんね!」

律子「……聖域なのに、こんなに賑やかでいいのかな」

199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:07:14.80 ID:ROsQ0okFo

―――― 斎場御嶽・御門口


川田「天気雨があったみたいですね〜、滑るので足元に注意ですよ〜」

千早「……」

伊織「石の階段のくせに、どうして滑るのよっ」

冬馬「特にお前、気をつけろよ」ジロ

春香「うわわわっ」

律子「は、春香っ」

冬馬「言った傍からかよ」

ゴリ「はい、お子様チームは手を繋ぎなさい」

亜美「一人が転んだら全員転んじゃうよ?」

ゴリ「大丈夫、他人を巻き込むほどの滑りじゃないから」

やよい「はい、真美」

真美「はいよー、はい、ひびきん」ギュ

響「うん。はい、亜美」ギュ

亜美「はいよん。はい、いおりん」ギュ

伊織「こ、これくらい平気なんだけど……しょうがないわね」ギュ

冬馬「ふん……足腰を鍛えないから滑るんだろうが」

伊織「うるさいわね。さっさと歩きなさいよ」

P「こうして……」

律子「後ろから見ていると……」

ゴリ「お子様チームの追い込み漁だな」

あずさ「まぁまぁ、大物ですね〜」

冬馬「誰が獲物だよ!」

伊織「余所見してると滑るわよ」

冬馬「おまえらと一緒にする……うぉッ」ズルッ

ゴリ「……」

亜美「……」

真美「……」

やよい「え、えっと……」

伊織「ひ、響、あれはなんなの?」

響「あ、あれがガジュマルだぞ」

P「き、キジムナーを思い出すなぁ」

冬馬「笑えよ……頼むから……!」

あずさ「きゃっ」ズルッ

P「あずささんっ」スッ

あずさ「は、はいっ」ギュ
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:08:05.43 ID:ROsQ0okFo

あずさ「ふぅ〜……ビックリしましたぁ」

P「こっちは血の気が引きましたよ……」サァー

あずさ「うふふ、すいません」

P「いえ……」

響「なるほどなるほど」

伊織「……ふん」

真美「きゃあ、にいちゃん」

P「いや、棒読みなんだが……」

真美「りありてーが足りなかったかー」

律子「ほら、向こうから人が来たわよ、遊んでないで道を開けなさい」

真美「はーい」

P「千早の姿が見えなくなった……」

律子「置いて行かれましたね。プロデューサーはあずささんのエスコートをお願いしますね」

P「あ、あぁ……」

あずさ「お願いしますね」ギュ

P「……はい」

201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:09:56.78 ID:ROsQ0okFo

―――― 斎場御嶽・大庫理(うふぐーい)


川田「ここがうふぐーいといいます〜」

千早「あの、私だけでしょうか」

川田「?」

千早「空気が重いというか、なんというか……」

川田「斎場(せいふぁー)とは『霊威の高い聖なる場所』という意味です〜」

千早「霊威……」

川田「青森の恐山をイメージするといいよ」

春香「あ、パンフに書いてあるよ、千早ちゃん」

千早「春香、現地の人の言葉で聞いたほうがいいと思う」

春香「……そうだね……うん、そうだね!」

川田「待って、俺もそのパンフで得た知識だから」

千早「沖縄の訛りで解説してくださると、この場の雰囲気が増して、とても有難いのですが」

川田「おじさん、張り切って解説しようねぇ!」ウキウキ

ゴリ「川ちゃんが乗ってるさぁ。解説聞きたい人はー」

亜美「亜美にも感じるよ……この……えっと……えっと……あれが!」

伊織「どれなのよ」

律子「鬱蒼としてるわね……」

やよい「まるでジャングルですよね……」

真美「あまとう、どうしたの、あまとう?」

冬馬「二回も呼ぶんじゃねえ……なんだか、重くねえか?」

真美「この星が?」

冬馬「そこまで壮大な話じゃねえよ」

P「……あずささんはどうですか?」

あずさ「そうですねぇ……空気が重いのは感じます」ギュ

スタスタスタ


ゴリ「はい、素通りでした」

川田「御嶽(ウタキ)は女性しか入れない聖域ってのは知ってるさ?」

千早「はい」

春香「書いてありました!」

川田「神の声を聞く神女として、琉球国王より権威があったわけですね〜」

千早「それほど、沖縄の……琉球の信仰心は深く根付いていたわけですね」

響「ふむふむ」

202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:11:35.22 ID:ROsQ0okFo

―――― 斎場御嶽・砲弾池


やよい「池がありますよ」

ゴリ「戦争の砲弾で大きく窪んだところに出来た池さぁ」

亜美「大きな窪みだね……」

律子「そうね……」





―――― 斎場御嶽・寄満(ゆいんち)


真美「ここは特別な場所っぽいね。どういうとこなのかな?」

冬馬「俺が知るかよ……ちょっと待ってろ」ペラペラッ

伊織「えっとね……首里城に行ったでしょ?」

真美「うん」

伊織「この場所と同じ名前の部屋、まぁ、台所ね。首里城の台所ってわけ」

真美「うん?」

冬馬「パンフレットによるとだ、このセイファーウタキという場所は……」

冬馬「琉球王国でも……首里城と同じくらい重要な場所とされていたらしい。まぁ、今もか。
   それで首里城内と同じ部屋の名前が付けられてるんだとよ」

真美「ほぉ」

伊織「む……。えっと、ここには国内外の美味しい食べ物が集まったからユインチといったらしいわ」

真美「ゆいんち?」

冬馬「寄り満つるって意味だ。寄ってきて集まるんだよ、沢山の食べ物がな。
   台所には食べ物が集まってくるだろ? だからここもそう名付けたんじゃねえかな」

真美「なるほどね!」

伊織「なんなのよあんた!」

冬馬「なんでキレてんだよ!」

P「どうしてケンカしてるんだ……」

あずさ「まぁまぁ、勉強になりますね〜」ギュ

203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:13:54.20 ID:ROsQ0okFo

―――― 斎場御嶽・三庫理(さんぐーい)


P「あずささん、そろそろ……」

あずさ「……?」ギュ

P「……手を」

あずさ「あ……」

P「……」

あずさ「うふふ、ありがとございました」

P「いえ……」

亜美「激写!」


ピロリン♪


P「こら!」

亜美「あら、決定的瞬間が撮れてないですぞ」

響「本当だ、ただ並んで映ってるだけだぞ」

あずさ「うふふ、よく撮れてますね〜」

真美「さぁ、もういっちょいこうか、兄ちゃん」

P「神聖な場所なんだから、遊んでちゃダメだぞ」


伊織「す、凄いわよ! 早くこっちに来なさいよプロデューサー!」

P「ど、どうした!?」

伊織「ほら見なさいよ!」

あずさ「まぁ……」

P「……岩が真っ二つ……!?」

伊織「綺麗に割れているわ……!」

あずさ「岩と岩が寄りかかるように……素敵です〜」

千早「岩と岩の三角の洞門……やはり、実物と写真では違いますね」

川田「あい、あんまり感動してないね」

律子「いえ、表情を見慣れてないと気付けませんが、かなり感動していますよ」

川田「じゃあ、おじさん、張り切って解説しようね!」ウキウキ

やよい「よろしくお願いしまーっす!」

川田「この洞門は約1万5千年前に起こった地震の断層のズレからできたと言われています〜」
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:15:13.35 ID:ROsQ0okFo

亜美「これやったの……亜美なんだよね」

ゴリ「すごいなぁ。どうしてこんなことしたんでしょぉ」

亜美「ちょっとね、真美とケンカしちゃってさぁ」

ゴリ「八つ当たりはいけないさぁ」

亜美「ほんの出来心というやつでさぁ」

ゴリ「1万5千年前にそんな力を持っていたのかぁ、ほぉぉ」

真美「真美、その時生まれてないよ?」

亜美「そう、真美はその時生まれてないんだよぉ」

ゴリ「じゃあおまえも生まれてないなぁ」

亜美「ところがだぁ、ゴリー君」

ゴリ「なんでしょぉ」

亜美「ふかのーをかのーにする装置を来年開発する予定でさぁ」

ゴリ「そりゃすごいぃ……にぃにぃ、代われぇ」

冬馬「あぁ? 何で俺が」

亜美「おっとぉ、これはまだ極秘じこーなんで、あんたも狙われることになりやすぜぇ」

冬馬「まだ続けるのか、はやくオチを言えよ……」

亜美「もぉ! やっぱりあまとうはダメだよダーメ!!」

タッタッタ


冬馬「な、なんだよ……」

ゴリ「はっさ、もっと頑張りなさい」

冬馬「…………釈然としねえ」


亜美「兄ちゃん、これやったの……亜美なんだよね」

P「いや、聞いていたが……」

あずさ「うふふ」


「おーい、プロデューサー!」


やよい「あ、響さんが手を振ってます。奥に行けるみたいですよ」

P「行ってみるか」

川田「奥に行くと、ある島を見ることができます〜」

伊織「島……?」

真美「凄いねー」

亜美「凄いよねー、本当に三角のくーかんだもんねー」

あずさ「岩のトンネルですね〜」

律子「本当に……凄い場所なのね……」

205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:17:17.58 ID:ROsQ0okFo

―――― 斎場御嶽・久高遙拝所


響「ここ、ここから久高島が見えるんだぞ」

P「くだかじま?」

響「神の島って呼ばれてるんだ。ほら、あの島!」

P「あれが……神の島」

亜美「ほぉーあれが、かの国ですかぁ」

真美「昔はもっと大きかったんじゃがのぉ」

律子「何を言ってるのよ」

やよい「み、見えないです、プロデューサー……!」ピョン

P「こっちの石に……これ踏んでもいいのかな……」

響「うーん……拝所は石が重要だったりするから、踏まないほうがいいぞ」

P「うがんじゅ?」

響「神様を拝む場所のことだぞ」

亜美「ほら、兄ちゃん、屈んでよ」

P「う、うん……?」

真美「ほら、やよいっち」

やよい「え?」

伊織「肩車よ」

Pやよい「「 ゑッ!? 」」

あずさ「やよいちゃん、失礼するわね〜」ギュッ

やよい「あ、あずささん!?」

あずさ「プロデューサーさん、いきますよ〜、よいしょっ」

P「…………大丈夫か、やよい」

やよい「うぅー、恥ずかしいですー」

伊織「あれが神の島……ねぇ」

P「ど、どうだ?」

やよい「はい、見えます」

P「そうか」

やよい「……」

P「……」

やよい「……海が綺麗です」

P「そうだな……」

やよい「……なんだか、不思議な気持ちになります」

P「……そうか」

響「あ、向こうから春香たちが手を振ってるぞ」

亜美「おーい!」

真美「こっちおいでよー!」

律子「千早の視線がいささか鋭いのは気のせいかしら」
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:19:51.76 ID:ROsQ0okFo

やよい「プロデューサー、行きましょー」

P「こ、このままか?」

やよい「えへへ、なんだか楽しいです」

P「やよいがそれでいいなら……」

あずさ「うふふ」

亜美「兄ちゃん、あずさお姉ちゃん、こっち向いてー!」

響「あはは、なんだかおかしいぞ!」


P「?」

あずさ「うふふ」

やよい「あ、いぇい!」ブイッ


ピロリン♪


冬馬「なにやってんだ、あんた……」

川田「あいえーなー」

ゴリ「親子だな」

やよい「視線が高くて、面白いですー!」

P「……まずい、他の観光客にも笑われてる」

千早「……」

P「……」

千早「私達も見てきましょう、春香」

春香「う、うん……どうしたの千早ちゃん、溜息交じりなんだけど……」

P「また軽蔑された……?」

伊織「ここで終わりなの?」

ゴリ「まだ奥にあるわけさー」

伊織「寄満(ゆいんち)よね?」

ゴリ「あ、行ってきたわけ? それじゃー全部回ったことになるや」

亜美「そっかー」

律子「それじゃ、しばらくはのんびりしますか」

やよい「プロデューサー、あっち、あのショウニュウセキのところお願いします!」

P「……そろそろ降りないか、やよい」

やよい「えへへ、もう少しだけお願いしますね!」

P「……珍しいな」

真美「これは何?」

響「チイタイイシだって」

あずさ「壺の水量によってその年の豊凶を占っていたそうですよ」

亜美「水占いですな」

響「沖縄は水が生命線だからね、水にまつわる話はたくさんあるよ。羽衣伝説も!」

伊織「羽衣伝説は日本全国にあるわよね」
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:21:46.46 ID:ROsQ0okFo

やよい「もう少しで触れそう」

律子「や、やよい、ダメよ?」

やよい「はい、止めておきますね」

真美「あずさねぇねぇもなにか水で占いできるのー?」

あずさ「いえ、もう占いはいいんです」

P「え……」

亜美真美「「 えぇ!? 」」

律子「……」

あずさ「なんて、言ったらどうしますか?」

P「……亜美真美と同じくらい……それ以上にビックリします」

あずさ「……そうですか」

P「…………そういえば、占い雑誌を見てないですよね」

あずさ「うふふ」

P「え……本当に占いを当てにしなくなったんですか?」

あずさ「はい。しばらくは当てにしないでみようかと」

P「それはまたどうして」

あずさ「運命を自分でつかまえるためですよ」

P「……」

やよい「あの、プロデューサー、手を貸してくれますか?」

P「あ、あぁ。降りるのか?」

やよい「はい」

P「屈めばいいだろ……?」

やよい「真さんのようにアクロバティックに降りてみようかと」

律子「だ、ダメよやよい!?」

P「あ、あずささん、やよいを」

あずさ「は〜い、失礼〜」ギュッ

やよい「うぅー」

伊織「どうするつもりだったの?」

やよい「プロデューサーの手を合わせて前転するの」

伊織「やよいは真や響とは基本的に違うんだから」

響「プロデューサー、今度は自分を肩車して欲しいぞ」

P「いくら響でもそれはさせないって……」
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:23:56.04 ID:ROsQ0okFo

春香「プロデューサーさん、ユインチに行きませんか?」

P「いいよ、行こう」

川田「しずかなねぇねぇは?」

ゴリ「まだ久高島を眺めてるさぁ」

やよい「私もユウエンチに行きます!」

P「やよい、全然違うから、千早に解説してもらってきなさい」

やよい「わかりました!」

亜美「亜美もー!」

伊織「しょうがないわね」

冬馬「俺らここで待ってるからな」

P「わかった。少し待っててくれ」


あずさ「律子さん、綺麗な蝶々が飛んでいますよ」

律子「あ、本当ですね」

響「あれはオオゴマダラと言うんだぞ」


春香「プロデューサーさん……、ハブですよ……、ハブ……」

P「何を言って……え――」

ハブ「シュルルルル」

春香「」

P「」


「プロデューサーさ〜ん」

P「!」

P「あずささん、来ないでください」

「は、はい……?」

響「ハブ太郎……大人しく帰るんだ」

ハブ「シュルルルル」

春香「」

P「は、春香……少しずつ、俺のところに移動してこい……」

春香「」

P「春香……!」

響「怒っちゃ駄目だぞ……ハブ太郎……いい子だから、ね」

ハブ「シャー!!」シュッ

P「春香ッ!」ガバッ

春香「!!!」


ゴリ「マングース!」ブンッ

バシュッ


ハブ「シャー……」

キラン
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:26:21.21 ID:ROsQ0okFo

P「……え?」

春香「あわわわ、プロデューサーさーん!!」ギュ

P「飛んで行った……!?」

響「とても興奮してて……あ、危なかったぞ……」ヒンヤリ

ゴリ「よかったさ……この聖なるガジュマルの枝で九死に一生を得たね」

P「大丈夫だから、……ゴリさんが追い払ってくれたから」

春香「ここ、怖っ、こここ怖かったですよーっ」ガクガク

ゴリ「間に合わなかったからフルスイングさぁ……逆にそれが良かったかもしれん」ブンッ

律子「なにがあったの……?」

響「ハブが春香を狙ってて……プロデューサーが庇ったけど、ゴリ衛門が追い払ったんだ」

律子「は、ハブ……」サァー

響「……なにもできなかったぞ」ションボリ

P「いや、響が声をかけてくれたから冷静になれた……」


「きゃー! ハブよー!」

「あまとうー! なんとかしてよー!」

「犠牲はつきものだよ!」

「押すな! ってか、逃げろよお前ら!!」

「だぁ、人類のマングースを連れてこようね」



ゴリ「あっちにも出たのか!?」

響「自分も行くぞ、ゴリ衛門!」

タッタッタ



春香「うぅ……! あずささん、怖かったよぉ!」ブルブル

あずさ「だいじょうぶよ〜」ナデナデ

P「……ハァ……本当に危なかった……」

律子「何も無くて本当に良かった……」

P「あずささんも、ありがとうございます」

あずさ「……?」
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:27:42.03 ID:ROsQ0okFo

「どこか!?」

「あっちよ!」

「ハブ三郎〜、あれ?」

「よし、このマングースに任せれ……って、これ偽者やし!」

「へへー、ドッキリでしたー」

「おまえら!」

「まぁ、あんたは私達を庇ってくれたわよね。少し見直してあげなくもないわ」

「あまとう株が急上昇だよー」

「うるせえよ! 犠牲にされるってすげえ嫌だぞ!」

「ゴリさん何を持っているんですかー?」

「ハブさぁ」

「あー、真美達が買ってたおもちゃですねー!」

「神聖な場所で、遊ばないでください」

「そうだぞ、ゴリ衛門」

「遊んでたの、俺じゃないだろ……」


P「騒がしくなってきたか……」

律子「サッと行ってサッと帰りますか」

あずさ「そうですね〜」

春香「……ぐすん」

211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:30:18.37 ID:ROsQ0okFo

―――― 駐車場


やよい「楽しかったですね、プロデューサー!」

P「うん。……どうした、やよい?」

やよい「なにがですか?」

P「肩車してから、様子が変と言うか……」

やよい「えへへー、ほーむべーしっくなのかもしれませんねー!」

P「ホームシックか……全然そうは見えないが……」

千早「……」

亜美真美「「 またまたぁ〜、はるるんったら、もぅ 」」

春香「ほんとにハブがいたんだよー!」

冬馬「おい、携帯電話貸してくれ」

P「いいけど、お前の仲間の番号知らないぞ」

冬馬「いや、俺の電話にかけるんだ」

やよい「あ、落としたんですねー」

冬馬「ちげえよ。そうだとしたら引き返してるだろうが」

やよい「あぅ……そうですよねぇ……」ションボリ

千早「……」カチン

P「ケータイも忘れてきたのか」ピッピッピ

冬馬「悪いかよ」

P「悪いだろ……貴重品持たないってどうなんだ、ほら」


trrrrr

冬馬「……北斗か? 俺だ。……今、どこにいるんだ?」

千早「もしもし、真? 忙しいところ悪いんだけど……」


響「どうしたんだ、千早……真に電話?」


冬馬「コザ? ……遊んでんじゃねえ……いや、すまん。俺も遊んでたわ」

千早「ほら、前に見せてくれた映画で……そう、首をトンとやって気絶……、
   違うの、ゴリさんに試すわけじゃないから安心して」


P「ちょっと待つんだ千早」


冬馬「……そうだな、打ち合わせは夜に……あぁ、すまん。まぁ……なんだ、そっちも楽しんでくれ」

ピッ
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:33:17.54 ID:ROsQ0okFo

千早「……そうね、私が悪かったわ。……えぇ。でも一矢報いるつもり」

ピッ


冬馬「ほらよ」

P「……」

冬馬「どうした?」

千早「――!」


トン


冬馬「……? なんだ今の?」

千早「やはり、今の私では……」

P「ほら千早、見てみろ」

千早「はい……」


やよい「凄かったよねー、岩が綺麗に割れているなんてー!」

伊織「地震の断層……とても神秘的だったわね」

ゴリ「早くバスに乗れ」

亜美「それっ、ひっつき虫アタック!」シュッ

真美「それっ」シュッ

ゴリ「……早く、乗れって……言ってるだろっ」シュッ

亜美「なんのっ」サッ

やよい「わっ……な、なんですか、これ?」

ゴリ「センダングサの種、別名ひっつき虫……いいから早く乗って」

伊織「なんでそんなに付いてるのよ、的なの?」

ゴリ「そうです、って、そんなわけないだろ。……はい、乗って乗って」

やよい春香「「 それーっ 」」シュッ

ゴリ「乗れって言ってるだろ、おまえ達よ!!」

律子「春香、一応命の恩人なのよ……?」
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:34:11.25 ID:ROsQ0okFo

千早「……すいません。私……怒りに我を忘れていたようです」

P「仲間想いの千早だから、その気持ちはわかる。……けど、それじゃ駄目なんだ」

千早「…………」

P「千早の歌声をみんなに届けることで、その想いを伝えていって欲しい」

千早「……」

千早「はい!」

P「……よし。もう悪い心は捨て去ったな」

千早「私はセイファーウタキへ来て、また一つ大切なものを見つけられたようです」

P「そうか……!」

響「感動したぞ、自分っ」

冬馬「こんなところでもミュージカルの稽古か?」

P「やよいはお前の口の悪さに慣れてないんだから、もう少し優しくしてやってくれないか」

冬馬「……善処する」


pipipipi


ピッ


P「もしもし……大丈夫だ、真」

やよい「プロデューサー、行きましょー!」
214 :【プロデューサーがアイス代を支払いました】 [sage saga]:2013/02/09(土) 00:35:53.92 ID:ROsQ0okFo

―――― バス内 


冬馬「ほらよ」

やよい「え?」

冬馬「さっきは悪かったな。その侘びだ」

やよい「えっと……プロデューサー……」

P「……またアイスだけど、気持ちも一緒に受け取ってやってくれ」

やよい「あ、ありがとうございます」

冬馬「……ふん」

やよい「……」

千早「……」

やよい「あの、一人じゃ食べきれないので、一緒に食べてください、千早ねぇねぇ」

千早「うんっ」パァァッ

あずさ「まぁ……!」

律子「何か掴んだわね、千早」


川田「はい、ここで選んで貰います〜!」

伊織「なによ、いきなり」

川田「玉泉洞と、平和記念公園&ひめゆりの塔、どっちに行きたいですか?」

亜美「ぎゅくせんどーってどこ?」

ゴリ「ギョクセンドウ、鍾乳洞で有名。この時間ならエイサーも間に合うさー」

律子「えいさー……?」

ゴリ「旧盆の先祖供養の集団舞踊さー。太鼓持ってドンドンするよー」

亜美「亜美センサーは玉泉洞が一歩リードしました」

真美「ひめゆりの塔は……あれだよね、さとうきび畑の唄」

響「ひめゆり学徒隊の慰霊碑がひめゆりの塔、
  戦争の犠牲者が眠るのは平和記念公園だね。二つを同じにしてさとうきび畑の唄かな」

真美「そっか」

伊織「戦争とテーマパークね……」

春香「うーん……」


あずさ「プロデューサーさんはどちらに行きたいですか?」

P「…………」

あずさ「……」

P「そうだな、テーマパークに――」

ゴリ「沖縄の死生観を知っておいたほうがいい」

P「……え」

律子千早「「 ――! 」」

ゴリ「……と思っただけさー。自分で決めて」

P「…………」

あずさ「……」
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:36:25.32 ID:ROsQ0okFo

亜美「に、兄ちゃん?」

真美「どうしたの?」

やよい「?」

P「死生観……」

ゴリ「てぃだの光に照らされた所ばかりが沖縄じゃないよ。戦争の悲惨さも含めて今の沖縄さー」

響「……」

P「…………」

ゴリ「どうするね?」

P「俺は――」




※ ― プロデューサーの選択 ― ※


※ ― プロデューサーの選択 ― ※

216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:37:00.72 ID:ROsQ0okFo


―――― 駐車場


美希「バスはどこ……?」

小鳥「えっと、ここでいいのよね」

真「あ、あれ?」

雪歩「ど、どうしてっ?」

貴音「なんと……」

冬馬「なんだおまえら」

真雪歩「「 えぇーっ!? 」」

P「みんな揃ったな」

217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:39:48.45 ID:ROsQ0okFo

―――― おきなわワールド


ドォン! ドォン!!


P「……」

響「自分も踊りたくなってくるさー!」

やよい「……」

伊織「……」

亜美「……」

真美「……」

冬馬「まぁ、しょうがねえか」

ゴリ「おじさんも若い頃は青年会に入って踊ってたさー!」

小鳥「……えいさーですか」

貴音「勇ましいですね」

美希「お子様チームがしずかなの」

雪歩「ど、どうしたのかな……っ…」

律子「色々あってね。……これがエイサーなのね」

真「かっこいいなぁ……なんだか勇姿って感じで!」

千早「活力が漲って……」


ドォン! ドォン!!


川田「季節限定の踊りだけど、ここは毎日披露されてるさー」

春香「なんだか、太鼓の音が胸に直接響いてくるよね、やよい」

やよい「……そうですね……」

伊織「先祖供養の舞踊って言ってたわよね」

ゴリ「やさ。送迎の心をもって旧盆時期に踊って、先祖の霊に見てもらうわけよ」

響「自分も上京するまでは毎年踊っていたんだぞ」

春香「響ちゃんも太鼓を持って踊ったの?」

響「そうだぞ。手踊りでもよかったんだけど、太鼓を叩きたかったからね!」

真「響のイメージ通りだよね」


ドンドン! ドンドンッ!


真美「……ひびきんの踊ってるところ見てみたいな」

亜美「…………うん」

響「自分も見てるとなんだかウズウズしてきたぞ」

やよい「胸にどんどんっって……響いてくる」

春香「……うん!」


P「……太鼓の力強い音を受けていると、勇気付けられるな」

あずさ「……」

218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:42:12.04 ID:ROsQ0okFo

―――― 鍾乳洞・入り口


ゴリ「何人いるば?」

P「全員で18名です」

ゴリ「団体だな……全員が同時に入れないさ」

川田「じゃあ、グループに別れて入るか」

P「そうですね」

冬馬「どうやって決めるんだよ?」

ゴリ「……任せなさい」


亜美「暑い……暑いよゴリー! アイス買ってよー!」

ゴリ「一日に何度も食べると虫歯になるでしょ、我慢しなさい」

真美「虫歯はやだよねー」

伊織「中は涼しいんでしょ? 時間も無いんだからさっさと案内しなさいよね」

ゴリ「ここには18人いるからよ。全員が同時に入ったら大変さ」

響「じゃあ、どうするの?」

ゴリ「グループに分けます。お子様、青春、大人、後は……事務員のねぇねぇを加えた男性チーム!」

小鳥「え!?」

「「「 えぇーッ! 」」」

亜美「ちょっと待ってよゴリー!」

伊織「私達から離れて楽しようってんじゃないでしょうね」

ゴリ「当たり前さ!」

伊織「開き直るんじゃないわよ!」

美希「なになに、どうしたの?」

真美「ゴリーが兄ちゃんを独り占め!」

真「ゴリさんには譲れませんよ!」

貴音「真に、真に同意です」

ゴリ「ふざけるな! たまには男同士でのんびりゆっくりさせて! 楽しそうだからお願い!」

伊織「どうしてそこまで必死なのよ」

雪歩「そ、それじゃあ、あみだくじかなにかで……」

ゴリ「ならんならん! 時間もないから! 俺は譲らん! 早く入れ!」

雪歩「うぅ……そ、それならじゃんけんで」

ゴリ「時間が無いってば! 17人でプロデューサーの取り合いとかしてると閉店するだろ!」

雪歩「そ、それじゃ、えっと……えっと」

春香「雪歩、頑張って!」

真「頑張れ雪歩ー!」

冬馬「なんで俺もプロデューサーの取り合いに参加してんだよ」

雪歩「そ、それなら――」

ゴリ「ダメ! もう時間切れ! 受付は終わりました!」

雪歩「ひ、ひどいですぅっ!」
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:44:48.68 ID:ROsQ0okFo

あずさ「あの……非常に言いにくいことなんですけどぉ……」

ゴリ雪歩「「 ? 」」

あずさ「プロデューサーさん、小鳥さんと響ちゃん、やよいちゃんを連れて入りましたよ」

「「「 えぇーッ!? 」」」

真「今までの言い争いってなんだったの……」

雪歩「がーん……」

律子「あ、あずささん……どうして黙って見送っているんですか……?」

あずさ「やよいちゃん、少し怖がっていました」

律子千早「「 あ…… 」」

あずさ「小鳥さんは話があるそうなので……。そういうわけで……えっと……」

ゴリ「はい、適当に入って」

伊織「さっきまでの熱意はどこにいったのよ!」

亜美「えっと、14人を三チームでいいのかな?」

春香「あの……たちつてさんも……一人で中に……」

真美「それじゃ、13人だね」

春香「あ、そこは重要じゃないんだね……」

川田「俺はパス。目がかゆい」

ゴリ「じゃあ出口で目薬さして待っとけ!」

伊織「しょうがないわね。私が選んであげるわ」

美希「それじゃあね、春香と、真美、律子…さんは私と行こ?」

春香「うん」

真美「あいあいさー」

律子「そうね、時間も無駄にできないわ」

スタスタ


伊織「……そ、それじゃあ次は」

真「貴音と千早、亜美はボクと一緒でいい?」

貴音「承知しました」

千早「えぇ」

亜美「まこちんなら、たとえショウニュウセキが落ちてきても守ってくれるよね!」

スタスタ

220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:46:23.37 ID:ROsQ0okFo

伊織「……」

ゴリ「……どんまい」

伊織「うるさいわよ」

雪歩「うぅ……選んでくれなかった……っ」

あずさ「えっと、ゴリさんと雪歩ちゃん、伊織ちゃんは私とお願いしますね」

伊織「ふん、それじゃさっさと入るわよ」

ゴリ「待って、リーダーはねぇねぇだから。勝手に仕切らないでいただきたい」

あずさ「はいはい〜、頑張らせていただきます〜」

伊織「リーダー?」

あずさ「そうですねぇ、やはり最年長ですから。うふふ、リーダー、お引き受けいたします」

ゴリ「最年長って、俺を無視してるところが気に入った。じゃあ入ろう」

伊織「何言ってんの? リーダーは私に決まってるじゃない」

ゴリ「は?」

伊織「みんなのアイドル伊織ちゃん♪ かしこく綺麗で何でもできちゃう」

ゴリ「……」

伊織「なんなのその顔文句あるわけ?」

ゴリ「当たり前さ」

雪歩「あ、あの、私ダメな娘ですけど、お茶と仕事のことは真剣です!」

ゴリ「はぁ?」

雪歩「み、みんなのリーダーとしてがんばります!」

ゴリ「いや、なに? 撮影してないところで頑張らないでくれんか?」

あずさ「まぁ、どうしましょう?」

伊織「にひひっ、私がリーダーなのは当然よね」

雪歩「あのぅ、私は」

ゴリ「じゃあ、俺がリーダーな」

伊織「あんたは黙ってて!」

ゴリ「時間の無駄やっさぁ!」

あずさ「そうですね、みんながリーダーですね」

伊織雪歩「「 みんな? 」」

あずさ「はい」

伊織「なるほど」

雪歩「みんな同じだね」

あずさ「一致団結したところで」

あずさ雪歩伊織「「「 さあ、行きましょう 」」」

ゴリ「俺だけ団結から外れてるだろ」

221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 00:47:26.35 ID:ROsQ0okFo


あずさ「長い階段ですね」

伊織「絶対に転げ落ちないでよね」

ゴリ「おう」

伊織「絶対だからね」ワクワク

ゴリ「命に関わる無茶振りは止めろって言ったよな?」

雪歩「降りるにつれて、冷たくなってきました……」

あずさ「あ、ヒンヤリとしてきたわ」

伊織「外はそれなりに暑いっていうのに……地下は凄いのね」

ゴリ「水も流れてるからな」

雪歩「見てください。東洋一洞という場所です……」

あずさ「綺麗ね〜」

222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 22:52:00.10 ID:BwYxpTVpo

―― 小鳥 ――


P「……そうなんですか」

小鳥「はい」

P「千早にとっても、重要な分岐点ですね」

小鳥「このことは?」

P「今は伏せて……明日の最終日までは今のままでお願いします」

小鳥「いいんですか? 千早ちゃんの尊敬してる方が近くにいるんですよ」

P「千早は、今、沖縄の文化をたくさん吸収しています。それがステージにも反映されてて、
  それをストップさせてしまうのはもったいないと思います」

小鳥「……わかりました」

P「二人とも、このことは千早だけじゃなく、他のみんなにも内緒な?」

やよい「わ、わかりました」

響「……うん」

P「イヤか?」

響「ううん……ちょっと寂しいかなって……思っただけだぞ」

P「……そうだな」

P「よし、仕事の話はお終い。観光を楽しもう」

やよい「は、はい」

小鳥「やよいちゃん大丈夫……?」

やよい「だ、だいじょうぶです。もう怖くありません」

響「入り口付近の東洋一洞も凄かったけど、この昇龍の鐘も凄いよね」

やよい「あ、あの大きなのがそうなんですか?」

小鳥「そうよ、看板がほら」

P「龍が昇っていく様……ということか」

小鳥「くしゅっ!」

P「だ、大丈夫ですか?」

小鳥「汗で体が冷えちゃったみたいで」

やよい「失礼しますね」ピト

小鳥「ありがとう、やよいちゃん。暖かいわ」

やよい「私もです」

小鳥「嗚呼……」ホンワカ

響「あ、真たちも来たぞ」

真「追いつきましたよー。いきなりいなくなるんですからビックリしましたよ」

P「長くなりそうだからさっさと入ったんだ」

千早「それが賢明かと」
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 22:55:17.70 ID:BwYxpTVpo

貴音「福徳の百年目。ここでげぇむをしましょう」

亜美「どーすんのお姫ちん!」

貴音「お互いのちぃむから一人だけ、とれぇどをいたしましょう」

P「さっきチームを作ったばかりじゃないか……」

小鳥「はないちもんめの要領ね」ワクワク

響「それやってる時間もスペースも無いぞ……?」

貴音「それぞれのちぃむから、掛け声とともに求める人物を掌で向けるというるぅる」

真「たなごころ?」

千早「手の平のことね」

貴音「それではよろしいですか?」

P「半ば強制なんだな」


P「それじゃ……貴音の掛け声とともに、いいな」

響「わかったぞ」


貴音「決〜まった」


千早「やよ――小鳥さんが欲しい」

真「小鳥さんが欲しい」

亜美「兄ちゃんが欲し……あれ?」

貴音「小鳥嬢を希望します」


小鳥「亜美ちゃんが欲しい……私ですかっ!?」

P「真が欲しい……」

響「千早が欲しい!」

やよい「貴音さんが欲しい」


貴音「こちら側は決まりましたが、そちらは分かれましたね」

P「この場合は?」

貴音「非常に名残惜しいですが、流れ試合となりました」

亜美「兄ちゃんじゃないの?」

千早「小鳥さんと話をしたかったから」

貴音「わたくしもです」

真「うん……ボクも」

小鳥「あ、あれ? なんだか……せつない……」

224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 22:59:08.46 ID:BwYxpTVpo

―― 冬馬 ――

冬馬「あいつら、……いつまで駄弁ってんだよ……」

「あ、あのすいませんっ」

冬馬「?」

「わ、私、あなたのファンなんですっ」

冬馬「……そうか。……ありがとな」

「しゃ、写真を撮ってもらってもいいですかっ!?」

冬馬「あぁ……」

「そ、それじゃこのケータイでお願いしますっ」

冬馬「いいけど…………って、俺が撮るのかよ!?」

「綺麗に撮ってよあまとうっ!」

冬馬「あまとうって呼ぶやつは二人しかいねえ……。ふざけやがって」

真美「ふはは! かかったな、このあまとうめー!」

冬馬「てめえ……!」

真美「あまとうが怒ったー」ササッ

律子「そりゃ怒るわよ……」

春香「あ、あはは……真美は私の上着と帽子被ってますし……薄暗いから気付きませんよね」アハハ

冬馬「気を遣うのは止めろ……!」

美希「あふぅ、……あれ? プロデューサーたちだ」

P「長居して悪かったな、俺達進むから」

律子「あ、いえ……ごゆっくり」

響「はないちもんめ、しないの?」

真美「面白そー、やろやろー! あまとうは観客ね!」

冬馬「誰が観戦するかよ……」

スタスタ


美希「はないちもんめ?」


〜 解説中 〜


小鳥「きーまった」


やよい「律子さんが欲しい」

P「春香を希望」

響「美希が欲しい!」

小鳥「律子さんが欲しい」


美希「やよいが欲しいの!」

春香「小鳥さんが欲しいっ!」

真美「兄ちゃんが欲し……あれ?」

律子「小鳥さんが欲しい……」


P「今度は成立したな。律子さんと小鳥さんをトレードか」
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:10:25.73 ID:BwYxpTVpo

―― あずさ ――


あずさ「ここは初恋広場というんですね……」

伊織「ねぇ、昇龍の鐘……忘れてるんじゃないの?」

雪歩「あ……そ、そうかも……っ」

ゴリ「ねぇねぇの言うとおり右に行ったのが間違いだったな」

あずさ「初恋は実らないっていいますよね。はい」

伊織「なにを納得してるのよ?」

あずさ「私の初恋は高校時代の先輩だったんです」

伊織「へ、へぇ……」

あずさ「先輩に告白をされて……一度だけ交際をしたことが」

ゴリ「なんで語り始めたば?」

雪歩「わ、わかりませんっ」

あずさ「でも……緊張のせいで……上手く喋ることができず……一日で振られちゃいました……」

伊織「その男が果てしなくバカなのよ」

あずさ「……」

ゴリ「えー、好きな人だったんでよ? 言いすぎだろぉー?」

伊織「な、なによ」

あずさ「結局、私の初恋は実りませんでした」

雪歩「…………」

ゴリ「プロデ」

伊織「ッ!」ゲシッ

ゴリ「あっがぁ……なんねぇ?」

伊織「考えなさいよ……! 男は本当にバッカよね!」

ゴリ「……すいません」

雪歩「あ、あの……あずささんは……」

あずさ「はい?」

雪歩「……その……今…誰か……好きな人って……」

あずさ「…………えっと」


響「あずささん達見つけたぞー」

P「……あ、あれ? どうして追い越されてるんだ?」

律子「階段を降りてきて右に曲がったようですね」

P「あずささんの意思ですか」

ゴリ「やさ」

あずさ「……」

やよい「……あずささん?」

あずさ「な、なぁに?」

やよい「手であおいでますけど、暑いんですか?」

あずさ「えっと、違うのよ〜?」
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:12:34.44 ID:BwYxpTVpo

響「はないちもんめするさー!」

あずさ「はないちもんめ?」


〜 解説中 〜


響「決〜まった!」


P「雪歩を希望」

やよい「あずささんが欲しい」

律子「あずささんが欲しい」

響「あずささんが欲しい!」


あずさ「ぷ……ぷろりゅ……っ」

伊織「律子が欲しい」

あずさ「さ…サー……さんが……っ」

ゴリ「プロ」

伊織「ッ!」ゲシッ

ゴリ「あがっ…………自由が欲しい」

あずさ「ほ……ほしっ……いっ」

雪歩「り、律子さんが欲しい……!」



伊織「はい決定」

律子「あっちへ行ったり、こっちへ来たり」

伊織「ねぇ、律子……昇龍の鐘は見たの?」

律子「見たけど。あなた達はまだなのね……一度戻りましょうか」

ゴリ「……面倒見がいいね、メガネのねぇねぇは」

雪歩「そ、それでは……失礼します……」

あずさ「雪歩ちゃん」

雪歩「は、はい?」

あずさ「……」コクリ

雪歩「ふふ、やっぱり」

スタスタ


やよい「どうしたんですか、あずささん?」

あずさ「うふふ、今はまだ内緒〜」

やよい「?」

響「あずささんも昇龍の鐘、見てないよね」

あずさ「そうなのよね〜」

P「俺達も戻るかぁ……」

冬馬「まだこんなとこに居たのか、おまえら」

227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:15:01.18 ID:BwYxpTVpo

―― 真 ――


真伊織「「 あ…… 」」


貴音「あずさは……?」

律子「うまくトレードしてきたわ」

貴音「もう少し時間がかかると思いましたが、殊の外……」

雪歩「そ、そういう計算だったんですね……!」

ゴリ「はい! はないちもんめしよう!」

千早「すいません。もう必要ないのでやりません」

ゴリ「そうか、うん……。やっぱりにぃにぃを引き入れればよかったさぁ」

亜美「あれ? 兄ちゃん達も引き返してきたよ?」

伊織「追いつかれる前に、さっさと行きましょ」

律子「そうね。……それじゃ、足元に気をつけてね」

貴音「はい。そちらもお気をつけて」

雪歩「し、失礼しますぅ……」

ゴリ「ここって入り口が近いんだよな……」

伊織「あんた地上に戻る気!? いい加減楽しみなさいよ!」

ゴリ「……ごもっともです」

スタスタ


真「なんだかんだで、伊織も楽しそうだなー」

P「い、伊織……」

亜美「どうして戻ってんのー?」

あずさ「私が……えっと、鐘のなんとかを見過ごしてしまって」

千早「昇龍の鐘ですね」

あずさ「そう、それね」

P「あずささん、興味無かったり……するんですか?」

あずさ「いえいえ、長い時間をかけて生まれた物には興味ありますよ〜」

P「……これから何を見に行くんでしたっけ」

あずさ「え〜と……そうですね……龍の鐘ですよね」ペラペラッ

P「パンフレット見て確認しないでください……!」

響「うーん……噛み合わないなぁ」

やよい「……」

千早「行きましょう」

貴音「そうですね。亜美、真、わたくしたちは参りましょう」

亜美「はいよん」

真「それじゃあね、響」

響「うん、後でね」
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:16:05.88 ID:BwYxpTVpo

―― 美希 ――


美希「あれ、響達も戻ってきたんだね」

響「うん」

小鳥「仲睦まじい親子ですか!?」

P「違います」

あずさ「うふふ」

やよい「えっと……」キョロキョロ

やよい「私が子供ですか!?」

響「プロデューサーとあずささんの間に居るから、そう見られるのも当然だぞ」

やよい「当然なんですか!?」

春香「元気でてきたね、やよい」

小鳥「ほんとに、良かった」

真美「よーし、今度こそ兄ちゃんをいただくよん!」シャキーン


P「決〜まった」


真美「兄ちゃんが欲しい!」

春香「やよいが欲しい!」


P「美希が星井……なんて」

あずさ「美希ちゃんが欲しい……ほしい……星井!」

やよい「あずささんよく気が付きましたねー! 私気付きませんでしたー!」

響「……プロデューサー」

P「いや、その」カァァ

真美「行こうか、はるるん」

春香「そうだね。みんなゲームのことなんて、どうでもいいんだよね」

美希「この温度、冬眠には丁度いいの」

小鳥「ダメよ、美希ちゃん。夏はすぐそこなんだから」









―― 冬馬 ――


冬馬「……」

スタスタスタ


冬馬「…………」


冬馬「ここ、一人で歩くとこじゃねえよな」

229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:18:19.64 ID:BwYxpTVpo

―― 真 ――


亜美「あまとう発見……」

真「あれ? あんなところでなにしてるんだろ?」

千早「動かないところをみると……気に入った風景があるのかもしれない」

貴音「それでは、邪魔をせずに通り抜けましょう」

亜美「いつも絡んでばっかりじゃ悪いもんね」

千早「そんな事は無いと思うけど」

真「今はそっとしておこうか」

貴音「……」



―― 美希 ――


真美「あまとう発見……」

春香「どうしたんでしょう?」

小鳥「じっと見つめてるから……お気に入りの景色なのかもしれないわ」

美希「誰かを待ってるんじゃないの?」

春香「声をかけてみようか?」

真美「いつも絡んでばっかりじゃ悪いもんね」

春香「あ、そっか……そうだね」

小鳥「今はそっとしておきましょうか」




―― 伊織 ――


伊織「なにしてるのよ、あれ……」

ゴリ「にぃにぃか?」

雪歩「う…動きませんけど……」

律子「気に入った場所なのかもしれないわ。そっとしておきましょう」

ゴリ「いやいや、俺達を待ってたのかもしれないさ」

律子「……今回の撮影に無理やり付き合せている形なので。一人の時間が欲しいのかもしれません」

ゴリ「一言くらい声をかけたほうがいいんじゃないか?」

雪歩「で、でも……楽しい時間なのかも……」

ゴリ「あぁ、深海みたいな?」

雪歩「うぅ……! それを言わないでください!」

伊織「バカやってないで、進むわよ。もちろん無視ね」

230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:19:32.85 ID:BwYxpTVpo

―― あずさ ――


あずさ「どうしたんですか?」

冬馬「くぅ……心が痛え……!」

P「なにがあったんだ……」

響「どうしたー?」

やよい「嫌なことでもあったんですか……?」

冬馬「一人で歩くのもつまらないから、一緒に行ってやるよ」

あずさ「そうね、一緒に行きましょう〜」

冬馬「こういう時だけ気を遣うんだよな……あいつら」

P「?」

冬馬「いや……なんでもねえ」

響「プロデューサー、あれが身代わり観音だぞ!」

やよい「気が遠くなるほどの時間が……ですよね」

P「そうだな。ずっとここで……」

あずさ「……悠久の……時の流れですね」

冬馬「人間には耐えられねえ時間だな」

P「悟った……?」




―― 真 ――


真「結構歩いたね〜」

貴音「真に、どれほどの距離を歩いたのでしょうか」

千早「5千メートルと、パンフレットにはあるけど」

亜美「そんなに歩くの!?」

千早「そろそろ、白銀のオーロラにたどり着くから……出口は近いと思う」

亜美「よかったぁ。綺麗なんだけど、喉が渇いちゃったよ〜」

貴音「ここは水分補給ができませんから、潤すのも困難ですね」

真「時間が創り出した芸術……だよねぇ……!」

亜美「まこちん、それお姫ちんが言った台詞っしょー?」

真「いやー、その言葉通り、芸術だよなーと思ってさ」

千早「本当に……」

231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:20:36.78 ID:BwYxpTVpo

―― 美希 ――


美希「す、すごいの」

小鳥「これは……絞り幕と呼ばれているそうよ」

春香「自然が作り出した……」

真美「ひほーだねぇ」シミジミ




―― 伊織 ――


伊織「ここは?」

ゴリ「見ての通り青の泉さぁ」

雪歩「さ、魚が泳いでますよ……」

律子「あら、本当」

伊織「ふぅん」

ゴリ「ほら、あれ見なさい」

伊織「なによ? ひねくれ地蔵?」

ゴリ「あんたのことさぁ」

伊織「……?」

ゴリ「……」

伊織「どういう意味よ?」

ゴリ「……」

律子「……」

雪歩「……」





―― あずさ ――


あずさ「あら、ここで終わりでしょうか?」

P「そうみたいですね。あとは階段を上って、地上へ戻るだけのようです」

響「暗くて、結構歩いたけど楽しかったさー」

やよい「たくさんのショウニュウセキがありましたねー!」

冬馬「5キロも歩いたのか」


232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:23:08.67 ID:BwYxpTVpo

―――― お土産屋


P「ここに繋がっているのか……」

千早「来ましたね」

響「お待たせー」

春香「はい、やよい。さんぴん茶だよ」

やよい「ありがとうございます。喉がカラカラでしたー」

雪歩「プロデューサーもどうぞ」

P「ありがとう」

真「あずささんも、はい」

あずさ「ありがとう、中は涼しいけど結構歩くからね」

伊織「響もほら」

響「ありがとー、伊織」

亜美真美「「 あまとうもどうぞー 」」

冬馬「……おう」

やよい「ごくごく」

あずさ「ふぅ〜」

響「やっぱり沖縄といえばさんぴん茶だよね!」

P「喉が潤ったな」

冬馬「もぐもぐ……これ、ただのクッキーじゃねえな」

ゴリ「ちんすこうさ」

貴音「渇きが加速されたことでしょう」

冬馬「……おい」

亜美「はい、パイナップルだよ。潤うよん」

冬馬「爪楊枝で持ってくるなんて、意外といいとこあるじゃねえか……ぱくっ」


冬馬「――ッ!?」

真美「パイナップルのカステラだよ」

冬馬「パイナップル入ってねえじゃねえか……!」
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:24:04.47 ID:BwYxpTVpo

冬馬「ッ……けほっ!」

ゴリ「口の中の水分、全部奪い取っただろうな……」

伊織「ほら、武士の情けよ。これを飲みなさい」

冬馬「ミルクコーヒー、練乳入り……!」

伊織「嫌なら飲まなくてもいいのよ〜?」

P「……すまん、これを飲んでくれ」

冬馬「……ありがとよっ。敵しかいねえ!」

P「水を欲してる人になんてことするんだ」

亜美「いやぁ、カステラをそのまま食べるとは思わなかったよ」

冬馬「色だけで判断してしまったぜ……なんてことしやがる」

真美「真美たち、意外と信用されてるんだね」

律子「その信用を裏切ったのよ?」

美希「おいしいね」モグモグ

千早「試食品、食べすぎよ美希……」

小鳥「あ……」

響「ピヨ子、どうしたの?」

小鳥「シロ蛇との記念撮影に間に合わないかも……」

234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:25:39.69 ID:BwYxpTVpo

―――― 白蛇記念撮影場


P「す、すいませーん!」

係員「はい……?」

P「……さ、撮影…っ……間に合いましたかッ!?」

係員「はい、大丈夫ですよ」

P「す、すいません、引き上げていたところを無理に」

真「ふぅー、ぎりぎりセーフ!」

響「間に合ったぞー」

係員「いえいえ。えっと……三名様ですか?」

P「…………18名です」

係員「じゅ、18……?」

響「ダメ…?」

係員「いえいえ、どうぞ〜」

春香「ふぅっ、ま、間に合ったぁ」

亜美「とうちゃーっく!」

雪歩「はぁっ……はぁっ……!」

律子「だ、大移動ね……はぁっ」

真美「まるでムーだよね!」

やよい「それをいうなら……はぁー」

伊織「ヌーでしょっ……どうして昨日に続いて走っているのかしら……」

美希「もぅ! 疲れたのぉー!」

貴音「おや……?」

千早「ふぅ…………プロデューサー」

P「あぁ…分かってる。あずささんが居ないんだな!?」

小鳥「付いてきてるものだと……」

235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:26:48.56 ID:BwYxpTVpo

―――― お土産屋


店員「ありがとうございました」

あずさ「うふふ」

ゴリ「え、なんで買い物してるか?」

あずさ「シーサーですよ」

ゴリ「何を買ったのか、じゃなくてさ……、みんな走っていったよ?」

冬馬「のんびりしてていいのかよ」

あずさ「そうですね。そろそろ向かいましょう」

スタスタ


ゴリ「待って! そっちじゃない!」

あずさ「あら?」

川田「ふぅ〜、まーさん、まーさん」

ゴリ「して、お前は一人で何を食べてたば?」

川田「沖縄ソバをずるずるっとな!」

ゴリ「わじわじぃするやっさぁ」

冬馬「さっさと行こうぜ」

ゴリ「だから、ねぇねぇ! そっちじゃないってば!」



あずさ「……えっと、撮影所は……?」



冬馬「帰りてえ……」

ゴリ「俺達の気持ち分かってくれたか。俺はとても嬉しいよ」

川田「やさやさ」

236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:27:59.31 ID:BwYxpTVpo

あずさ「……?」

P「はぁっ……はぁ……ここにいたんですか、あずささん……ふぅ」

あずさ「探しに来てくれたんですね、プロデューサーさん」

P「あれ、ゴリさん達と一緒じゃ……?」

あずさ「そこのお土産屋さんに……あら」

P「いませんよ……?」



冬馬「ちっ、早く行けよ」

川田「記念撮影に邪魔はできんさぁな」

ゴリ「だからよ、若い者同士写ればいい。にぃにぃ、犠牲になれ」

ドンッ



冬馬「お、おい!」

P「そんなところにいたのか、みんな待ってるぞ」

冬馬「俺は写らない方がいいだろ」

P「そういうな。みんなでここに来た記念だ」

冬馬「……」

P「ゴリさん達は?」

冬馬「あっちに隠れてる」


「えー! にぃにぃ、ばらさんけー!」


冬馬「俺だけ写れるかよ」

P「あずささん、俺達も急ぎますよ……!」

あずさ「変わった石ですね〜、いし……がん……とう……? (石敢當)」

237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:29:29.81 ID:BwYxpTVpo

―――― 白蛇記念撮影場



響「へび五十郎は大人しくていい子だね」ナデナデ

へび「シュルル」

春香「ひ、響ちゃん……よく首に巻けるよね……!」

やよい「うぅ、怖くないのかなー……」


係員「すいません、もう少し中心に寄っていただけますかー?」


千早「……っ」

真「ほ、ほら、伊織っ」

伊織「ちょ、ちょっと! そう言うなら代わりなさいよ!」

真「へ、へびは苦手なんだよっ」

伊織「大抵はそうよっ」

響「大丈夫だぞ、ほら、触ってみて」

真「う、うわ、近づけないでよっ」

美希「……」ソォー

へび「シュル」

美希「うぅ……無理なの」

小鳥「白蛇は縁起のいい動物として信仰の対象になっているのよ?」ナデナデ

へび「シュルルルル」

律子「小鳥さん……意外と度胸ありますよね」

小鳥「765プロのみんなが平穏無事に過ごせますように」ナデナデ

へび「……」

小鳥「今回来られなかった社長にもいい事がありますように」ナデナデ

へび「シュル」

響「う、うん……もう少し我慢して欲しいぞ」

小鳥「みんなの健康を第一に」ナデナデ

へび「シュルル」

小鳥「ついでに私の……ごにょごにょ」ナデナデ

雪歩「こ、小鳥さん……」

小鳥「今年こそは……今年こそは……」ナデナデナデナデ

へび「シュルルー」

響「あ、あのね、ピヨ子……」

小鳥「……え?」ナデナデ

響「他人の為の願いは届きやすいって」

小鳥「私利私欲に走ると碌なことにならない……これは教訓よ小鳥……!」ガクッ

あずさ「プロデューサーさんがいつまでも健康でいられますように」ナデナデ

響「……」
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:31:02.05 ID:BwYxpTVpo

あずさ「うふふ、届いてくれると良いわね」

響「絶対届くぞ、きっとだ……!」

美希「プロデューサーを含めたみんなの夢が叶いますように」ナデナデ

春香「みんながいつでも明るく、楽しんでいけますように」ナデナデ

貴音「皆の不安が取り除かれ、健やかな日々を送れるよう願いを込めて」ナデナデ

亜美「ずっとみんなといられますよーに」ナデナデ

真美「これからも楽しく遊べますよーに」ナデナデ

やよい「……みなさんが幸せでいられますように」ナデナデ

伊織「世界征服できますように」ナデナデ

真「伊織、私利私欲は駄目だって言ってただろ?」

伊織「ふん。武器を捨てさせて平和にしてやるわよ」

真「それじゃボクも……世界の争いが一つでも減りますように」ナデナデ

律子「いきなり規模が大きくなったわね……」

雪歩「うぅ……っ……怖くない……怖くない……」

律子「誰一人欠けることなく、トップに立てる日が来る事を信じて」ナデナデ

雪歩「暖かい日々がこれからも続きますように……っ」ナデッ

千早「みんなの願いが届きますように」ナデナデ

へび「シュルル」

響「それは……あんまりだぞ……へび五十郎」

千早「なんて言っているの、響?」

響「……未来は自分で切り開くものだ、って」

へび「シュル」

一同「ごもっともです」


冬馬「へびに諭されてんじゃねえよ……」

ゴリ「……」

川田「時間無いよ、プロデューサー」

P「そ、それではお願いします」

係員「は、はい……」



係員「撮りまーす」


一同「はーい!」


係員「……華やかさが凄い」


カシャッ

239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:31:49.03 ID:BwYxpTVpo

―――― バス内


川田「はい〜、陽が沈む前に、このバスは帰路に就きます〜」

ゴリ「今日はたくさん周ったなぁ……」

P「そうですね、時間的にはキツキツでしたけど。なんとか」

伊織「ねえ」

川田「はいはい、なんですか〜?」

伊織「かきのはなひーじゃー、行ってないわよね?」


ゴリ川田「「 ……あいっ! 」」

伊織「やっぱり忘れてたのね……」

240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:34:17.78 ID:BwYxpTVpo

―――― 垣花樋川


伊織「ちょっと、まだ歩くの?」

ゴリ「駐車場にバスが入らないんだからしょうがないさー」

響「あ、あのさ……貴音」

貴音「安心してください、わたくしがお守りいたします」

響「う、うん……。って、そうじゃなくてね」

貴音「逢魔時。昼から夜へと移ろうこの時刻。闇より出でし物の怪が――」

P「ちょっと落ち着こうな、貴音」

貴音「可笑しな事を仰います。まるでわたくしが何かに怯えているかのような、そんな言い回しを」

P「いや、そこまでは言ってないんだけど」

響「あのね、歩きにくくてね」

貴音「響、先日の一件。お忘れですか?」

響「うん。キジムナーに悪戯されたよね」

貴音「また、起きるやもしれない。……そう思い、わたくしはこうして傍を離れず、歩みを共にしているのです」

響「うん。それはいいんだけどね、自分ももう少し自由を利かせたいかなーなんて」

貴音「油断大敵ですよ」

響「周りにみんないるし、大丈夫だぞ。それより……ハッキリ言うとね、近いんだぞ」

貴音「初夏の沖縄とはいえ、夜に向けて気温も下がるでしょう」

響「うん。暑いってものあるんだけどね、歩きにくいし、少し迷惑かなって」

貴音「例え響に迷惑がかかろうとも、わたくしは貴方に近寄る悪霊を退治してください」

冬馬「なんだ、詰まるところ怖いってだけかよ。最後、本音が出たな」

貴音「そそれは、ごご誤解」

冬馬「動揺してるじゃねえか、そんなもん――」


ドス ドス トン


冬馬「――」

冬馬「あ、あぶねえ、軽く意識が飛びかけたぞ……誰だ背中に二発、首に一発くれたやつは……」クラクラ

雪歩「……?」

真美「……にやり」

千早「……」

冬馬「おまえらか……? 馬鹿にするつもりはなかったんだ。……すまん」

雪歩「え? えぇ? ど、どうして謝られているんですか……?」

亜美「あまとうに一発おみまいいしたのは亜美だよん!」

小鳥「……真ちゃん、遊びで教えてくれたんじゃなかったのね」

真「あの、本当に人にやるとは思ってなかったんで……」

美希「あはっ☆」ブイッ

P「やってやったぜ、みたいなサインいらないぞ美希……。雪歩が疑われたままなんだが……」
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:35:20.65 ID:BwYxpTVpo

律子「仲間想いなのはいいけど、力で解決してはいけないの」

美希「……はい」

亜美「……はい」

小鳥「……すいません」

響「貴音〜、へび大丈夫だったじゃないか〜、キジムナーも怖くなかったでしょ〜?」

貴音「善い蛇・善い妖怪というだけで、全てがそうだとは限りません」

響「離れてよ〜」

貴音「わたくしは、貴方を守ると誓いました」

響「誰に〜」

貴音「己に」

響「うぎゃーっ! 話が噛み合わないぞー!」

貴音「春香からいただいたきゃんでぃですよ」スッ

響「ありがと……どうして突然……?」


やよい「えへへー、なかよしさんですねー」

春香「ほんとだねー」

真美「ひびきんが迷惑ってはっきり言ってたのに、お姫ちん、押しが強いねぇ」

あずさ「そうですね〜、見習わなくてはいけませんね〜」

冬馬「……」

P「どうした?」

冬馬「もうあいつ等に背中を向けるのは嫌だ」

P「貴音の恐怖心を払おうとしたのか?」

冬馬「……まぁな」

P「口の悪さで損をしてるよな、おまえ」

冬馬「……」

千早「あ、ゴリさんが茂みに入って行きました」

川田「あれが入り口です〜、看板がそこにあるさ〜」

P「一応、撮っておこう。花垣樋川……」

242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:37:26.48 ID:BwYxpTVpo


伊織「ふぅ……涼しいわね」

ゴリ「水があるからな」

伊織「そういえば、水場には幽霊が集まるって……聞 く わ ねぇ」ドロドロ

真「ま、また……! 伊織、やめてよ!」

伊織「ここで有名な心霊体験の話……ゴリに聞いたのよねぇ」イヒヒ

雪歩「伊織ちゃんから離れるっ」

貴音「……っ」スッ

響「いだっ!? た、貴音っ! 自分の足を踏んでるぞっ!」

貴音「響、ここは危険です。バスに戻りましょう」ギュ

響「来たばっかりなのに!?」


ゴリ「言って無いけど」

伊織「話合わせなさいよっ」

美希「ねえ、水瀬伊織」

伊織「フルネームで言うな!」

川田「ここは近所に住む子供たちの憩いの場になっています〜」

やよい「そういうのいいですよねー、ここで水浴びなんかしてるんでしょうね、プロデューサー」

P「そうだな……、もう少し早ければその風景も見られただろうな」

春香「今日も暑かったから、いっぱい遊んでいたのかも」

律子「それがここの日常なのね」

亜美「あれ……、亜美達……沖縄に来たのに海で泳いでないよね?」

小鳥「どうして……?」

P「時間のロスになるためです……。ゴリさん達が頑なに嫌がっていたわけではありません」

小鳥「そうですか」

ゴリ「そういうのは、ねぇねぇ含めた若い者同士でするべきさ」

小鳥「そうですね!」キラキラ

P「ここの感想が欲しいな」

ゴリ「そうだな。ほら、なんか言え」

千早「コメントですか……」

あずさ「夕陽が差して……」

春香「いい雰囲気ですね。誰かが忘れていった草履とか。
   生徒が帰った学校みたいで少しセンチな気分に……」

川田「草履……?」

春香「そこに……。慌てて帰っちゃったんだろうなぁ」

美希「どこ?」

春香「ほら、そこだよ。右足の青い草履」

ゴリ「……まー(どこ)よ?」

春香「見えにくいのかな……」

タッタッタ
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:39:29.38 ID:BwYxpTVpo

春香「ほら、これですよ」ヒョイ

P「正直者にしか見えないって……やつか?」

春香「やだなぁ、違いますよぉ」

伊織「あんた、何も持って無いじゃない」

春香「も、もぉー、そんなこと言ってぇ」

あずさ「……えっと、どうしましょう」

やよい「あ、あの……春香さん」

春香「どうして、みんな……戸惑ってるの……」

亜美「……ッ」

春香「亜美……どうして……目を逸らしたの……」

小鳥「あの……ね、落ち着いて欲しいんだけど……」

春香「そういわれると……逆に不安になっちゃうんですけど……っ」

千早「ごめんね、春香……私には……何も出来ない」

春香「なにかしてくれなくちゃいけない状況なの……?」

真美「あ、あはは、はーるるん♪」

春香「無理に明るくしてるよね……真美」


春香「なんですか……これ……この草履……ハブなんですか?」

真「プロデューサー、春香が変ですよ……?」

春香「ま、真……変って言わないでっ」

ゴリ「いや、待って。落ち着け、な?」

春香「た、貴音さんなら……きっと……見極めてくれるっ」

美希「響と……バスに戻ったきりなの……」

春香「なんで寂しげな説明口調なの美希!」

P「いや、待ってくれ春香」

律子「春香、深呼吸よ、深呼吸」

春香「と、とりあえず落ち着かせようってことですか!?」

P「違う、違うんだ」

冬馬「俺には見えるぜ。その青い草履」

春香「急に話を合わせないでくださいっ! なんなんですか私にしか見えないこの草履は!」

川田「あい、パニックになってるね」

雪歩「ど、どうしたの春香ちゃん……?」

春香「ゆ、雪歩には見える? この草履!」

雪歩「え、えっと……」チラッ

P「……」コクリ

伊織「正直に言いなさい」

雪歩「み、見えないよ」

春香「え、えぇーっ!?」

P「雪歩……最悪のタイミングで空気を読まないでくれ」

春香「わわわっ! 捨てたほうがいいんですかねこのハブ!」
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:41:10.52 ID:BwYxpTVpo

男の子「わー! なんか人がいっぱいいるー!」

女の子「ほんとだー……」

男の子「あのねぇねぇが持ってるのお前のだろ、早く取って来いよ」

女の子「う、うん」

春香「……え?」

女の子「それ私のなの」

春香「見えてるの?」

女の子「?」

春香「あ、ううん。返すね」

女の子「春香ちゃん?」

春香「……うん」

女の子「わぁー! にぃにぃ! 春香ちゃんだよ!」

男の子「すげぇー!」

春香「あ、えへへ、私のこと知ってるんだ」

女の子「うん、でーじ好きだよー!」

春香「そっか……嬉しいな」

女の子「ありがとねー! じゃあねー!」

男の子「ばいばーい!」

春香「ばいばーい!」


春香「……」

P「みんな戻ったことだし……俺達も、バスに戻ろうか」

春香「私……一人で空回りしていたんですねぇ……」

P「すまん。ちょっと驚かせてみようかなーって」

春香「やよいの真似ですか」

P「怒ってる……ッ」

春香「いいですよ、いいですよー、私なんてデージからかわれやすいんですから」

P「拗ねてる……。でーじ、って、とてもって意味だよな。うちなーぐちマスターしたじゃないか」

春香「一つ使っただけです……褒められても嬉しくありませんよ……偽者ですよ……」

P「悲しんでる……」

春香「……」

P「悪ノリを始めたのは俺だ……。悪かった、春香」

春香「いえ……」

P「どうした?」

春香「みんなに置いて行かれて……プロデューサーさんと二人っきりで……」

P「?」

春香「夕陽が沈んで……静かな雰囲気で……センチメンタルで……」

P「幽霊が出るかもな」

春香「……ふふ……そうですね…………フフフ」

P「は、春香……?」
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/20(水) 23:42:23.96 ID:BwYxpTVpo

春香「うしろ」

P「ん?」

春香「ウシロ」

P「……?」


あずさ「わっ!」


P「…」

あずさ「……」

春香「…………」




伊織「春香の前振りが悪いわね」

美希「そうだね。あずさももう少し工夫した方がよかったかも」

亜美「甘いよね、あずさねぇねぇの驚かせ方」

真美「うんうん。真美達なら、兄ちゃん、腰抜かしてたかもだよねー」







―――― バス


響「うぅ……ここになにしに来たんだ……自分……」

貴音「……」

千早「ここが最後の観光地になるのかしら」

小鳥「明日のこの時間には飛行機に乗ってるのよね」

ゴリ「さぁ、早く帰ろう、急いで帰ろう」

246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:04:24.64 ID:/weuc6Mno

―――― ホテル


律子「――と、いうわけで。はい解散!」


「「「 ………… 」」」


シ ィ ー ン


律子「まぁ、納得しないでしょうね……」


春香「異議を申し立てます裁判長!」

律子「はい、天海弁護人、発言を許可します」

春香「私達、青春チームも響ちゃんのお家に行きたいであります!」ビシッ

律子「弁護人なのか、軍人なのか、ちゃんとキャラを固めなさい春香」

伊織「あんた達はホテルで優雅に過ごせばいいじゃな〜い。にひひっ」

真「ずるいよ、伊織……!」

雪歩「わ、私も響ちゃんのお家に……行きたいのに……」

美希「響のお母さんの料理、ミキもまた食べたいのー♪」

貴音「わたくしも、あのゆるりとした時間をまた堪能したいと」

律子「しょうがないじゃない。行ける人数は最大で6人。
   響のいるお子様チームとプロデューサーで丁度いいの」

春香「異議あり!」

律子「ちょっと、裁判長に異議を唱えないの」

あずさ「あの〜、みんな一緒というわけには?」

律子「いきません。最初に予約を取れていればよかったんですけど、向こうにも都合がありますから」

千早「他にも宿泊客がいるから、迷惑をかけることになるわね」

小鳥「みんな……一緒……ふむふむ」

やよい「小鳥さん?」

小鳥「裁判長、この事態を収拾させる案があります。発言の許可を」

律子「音無弁護人、発言を許可します」

春香「弁護人が二人……?」

小鳥「決められたチームで行動する必要は無いということ……。すなわち……」

亜美「なんだか、嫌な予感がするよぉ……」

小鳥「一つ確認しますが、あずささんが付いて行った日は7人になりますよね」

律子「そうです」

小鳥「なるほど……」チラッ

P「いや、あの……俺はゴリさん達と雑魚寝をして……」

小鳥「7人を13人から選出してはどうでしょう」

真「そ、それは名案ですよ!」

雪歩「うぅ…私…こういう時に……負けちゃう……っ」
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:05:31.19 ID:/weuc6Mno

春香「どうですか、裁判長!」

律子「それで落ち着くのなら、いいでしょう。その案を認めます」

千早「負けられませんね」

貴音「真に」

美希「ミキも頑張るのー」

伊織「こんなことになるなんて、予想だにしなかったわ……!」

亜美「予感てきちゅーだよー」

やよい「か、勝てるかなー」

真美「だいじょーぶ。半分は行けるんだから、楽勝っしょー♪」

律子「公平にジャンケンで決めましょう。時間はかかるけど、文句をいわないようにね」


「「「 はーい 」」」


響「みんなが自分の家に行きたいって言ってくれて……なんだか嬉しいぞー♪」

伊織「まるで他人事ね……」

真「こっちに来て、響も参加するんだよ」

響「え、えぇ!? 自分の家だぞ!?」

律子「この際、それは関係ないわ。ほら、参加する」

響「うぅ……こんなの聞いてないぞ……」

P「俺も参加するか」

律子「それじゃー、恨みっこ無しの真剣勝負」


「「「 じゃーんけーん、ぽいっ 」」」


「「「 おぉー! 」」」


あずさ「まぁまぁ!」

響「かかか、勝った……!」

律子「とりあえず、響とあずささんが決定。それにしても」

小鳥「一発で勝つなんて……す、すごい……」

P「それじゃー、あと五人!」


「「「 じゃーんけーん 」」」

248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:06:22.95 ID:/weuc6Mno

〜 2分経過 〜


小鳥「か、勝っちゃった……!」

律子「や、やっと一人抜けた……」

伊織「な、長すぎるのよっ」

千早「あいこばかり……時間がかかるわね」

P「あと、四人!」




〜 3分経過 〜



美希「やったのー!」

真美「まだまだよゆーだよ。イケるっしょー♪」

真「よぉし、気合入れるぞー!」

貴音「いざっ」

P「あと三人!」




〜 5分経過 〜


やよい「うっうー! やりましたねー! 雪歩さん!」

雪歩「や、やったぁ……」

律子「やよいと雪歩ね」

P「休憩入れてジャンケンするって……おかしいよな……」

亜美「右手に力が入らなくなってきたよ……」

律子「さぁ、笑うのは後一人よ」

真美「あれ、もう……余裕無いじゃん」



「「「 じゃん……けん……ほい 」」」


律子「あらら、勝っちゃったわ」

春香「」

P「よし。そうと決まったら、移動する人は荷物をまとめてバスに乗ってくれ」

響「はーい!」

やよい「わかりましたー!」

美希「はいなのー!」

雪歩「わ、分かりましたぁ」

あずさ「……」
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:07:21.34 ID:/weuc6Mno

小鳥「あの、いいんですか?」

P「? 俺がここにいるから、平気ですよ?」

小鳥「そういう意味ではないんですけど……」

ゴリ「なんね! プロデューサーが行かないんだったら俺も行かないよ!?」

川田「だからよ! 裁判長、上訴するやっさ!」

律子「認めません」

ゴリ川田「「 あきさみよい! 」」

響美希やよい「「「 あー! プロデューサーが一緒じゃない! 」」」

伊織「今頃気付いたのね……ゴリ達よりも後ってどうなのよ」

雪歩「う、嬉しさのあまりに……忘れるなんて……」シクシク

春香「うぅ……みんなでご飯……」シクシク

真「はぁ……しょうがないか……」

亜美「むむむ……」

真美「……むむむ」




律子「あずささん、小鳥さん、千早。三人に話があります」

あずさ「……」

千早「……」

小鳥「……はい」

貴音「律子、わたくしも参ります」

律子「……それじゃ、外へ」

250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:10:07.17 ID:/weuc6Mno

※ ― 律子 ― ※


※ ― 律子 ― ※

251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:16:47.15 ID:/weuc6Mno

あずさ「そうでしたね……そうですよね。プロデューサーさんは行かないんですよね……忘れていました……」ズドーン

小鳥「……えっと、元気を出してください、あずささん」

P「どんな話をしてきたんだ……あずささんの落ち込みようが……」

律子「私に考えがあるから大丈夫です。プロデューサー」

P「ん?」

律子「じゃんけん、ほい」パー

P「いきなりだな」グー

律子「……もう一度、じゃんけん」

P「うん……」チョキ

律子「……」グー


律子「まだです。じゃんけん」

P「ほい……」パー

律子「……」チョキ


律子「プロデューサー、いいですか? 私は『チョキ』を出します」

P「わかった」

律子「じゃんけん」

P「……」パー

律子「……」チョキ

伊織「弱ッ!」

律子「プロデューサー、私を信用してなかったんですか?」

P「いや、裏を読んでだな」

亜美「なになにー?」

真美「ジャンケン大会二回目?」

律子「もう一度『チョキ』を出します。裏とか読まなくていいです。私を信用してください」

P「俺は律子を信用してるぞ……?」

律子「あー、うるさい。じゃんけん、ほい」

P「うるさいって……」グー

律子「……」チョキ

律子「はぁ……やっと負けた……」

P「このじゃんけんは?」

律子「私の代わりに行って来てください」

P「う、うん……。わかった」

亜美真美「「 えぇー!? 」」

P「あずささん、律子の機嫌が悪いのはどうしてですか?」

あずさ「すいません、私のせいです」

P「?」


ゴリ「わったー、帰ろうなー」

川田「おつかれ〜」
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:21:06.76 ID:/weuc6Mno

―――― 我那覇邸


響「自分の家なのに、帰って来れなかったかもしれないんだよね。……勝ってよかった」

雪歩「うぅ……良かった……一生分の運を使い果たしたけど……悔いは無いよ……」

美希「それでいいの、雪歩?」

響母「今日はなんだか、いつもと違うね?」

ゴリ「かしまさい双子も偉そうな子もいない……良いメンバーさ」

P「お世話になります」

やよい「うっうー! すぺしゃるなメンバーですよー!」

ゴリ「プロデューサーも来るんだったら、最初から言えばいいやし」コノコノ

P「その大学生の飲み会みたいなノリはなんですか……」

ゴリ「は? 飲み会だろ?」

P「違います。本当に違います」

川田「帰るところだったよやー」

あずさ「うふふ、私も明日はオフですから」

P「待ってください、確かに午前中はお子様チームだけの出番ですけど、午後も出場できるかもしれないんですよ?」

あずさ「まぁ、そうでしたね〜」

P「…………」

小鳥「大丈夫です、あずささんの代わりに私が……!」

P「私が出場?」

小鳥「飲みますから〜♪」

ゴリ「あい、いいね、ねぇねぇ。じゃあ、最後の沖縄の夜を満喫さー」

小鳥「はいっ!」

スタスタ


P「ちょっ…小鳥さん!」

川田「大丈夫よ、そんなに飲めないだろ?」

P「……」

川田「なにか、この沈黙は」

あずさ「私達も入りましょう〜」

P「……はい」
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:22:06.74 ID:/weuc6Mno

ブロロロロロ


キキッ


P「?」


ガチャ

伊織「プロデューサー、代金よろしくぅ」

P「伊織!?」

亜美「ヒトサンナナマルマル、予定通りに現場にとーちゃく」

真美「これより我が部隊……海三チームは極秘にひびきんのウチにセンプクする」

亜美「らじゃっ」

P「いや、もう見つかってるんだが。どうしてここにいる!?」

伊織「もっと嬉しそうにしなさいよね。ちなみに律子の指示だから」

P「律子の……?」

254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:24:09.27 ID:/weuc6Mno

―――― 仏間


響「おとー、みんながまた来てくれたぞ」

亜美「ひびきんのおっとさん、今日も遊びに来たよん」

真美「今日もひびきんと一緒で楽しかったよん」

やよい「今日もお邪魔します」

伊織「私達を見守っていてくださぃ」

小鳥「初めまして、響ちゃんと同じ事務所の音無小鳥と申します。お世話になります」

あずさ「今日で三度目ですが、お世話になります〜」

P「……」

255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:26:30.38 ID:/weuc6Mno

―――― 居間


ゴリ「え、プロデューサー。またキジムナーに憑かれたのか?」

P「……」

伊織「私に変なあだ名付けるのやめなさいよっ」

亜美「悪いごはいねーがー」

真美「がははは、良い子にしてる子食べちゃうぞー」

ゴリ「かしまさい……」

P「すいません、急に三人も増えちゃって」

響母「いいよいいよ、ゴリさん達が来るって聞いて、たくさん作ってるから」

P「ありがとうございます」

響母「もう一人、男性が来るって聞いたけど?」

川田「あのにぃにぃは仕事の打ち合わせがあるから来れないってさ」

響母「そうねぇ、残念さぁ」

響「ゴリ衛門、もっと寄ってくれないとみんなが座れないぞ」

ゴリ「わかとーさー」

あずさ「どうぞ〜」

川田「ありがとうね〜」

響母「手伝うの響だけでいいよー」

雪歩「い、いえ……手伝わせてくださいっ」

響母「観光で疲れてるだろうに……良い子達さぁ」

ゴリ「……ってよ」

伊織「わ、分かったわよ。亜美、真美、私達も座ってないで手伝うわよ」

亜美真美「「 はいよん! 」」

P「俺もなにか手伝うか……」スクッ

ゴリ「多分怒られるよ」

P「?」




P「あの、俺にもなにか」

響母「邪魔だから座ってなさい」

P「……はい」



響「はい、ゴリ衛門のだぞ」

ゴリ「おう。バナナを三房もありがとうな!」

256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:41:14.22 ID:/weuc6Mno

――…


亜美「もずくだよ、もずく」

美希「昆布を食べるなんて、カルチャーショッキングな私なの」

小鳥「異文化なのね……」

やよい「野菜もお魚も新鮮でおいしいです〜♪」

伊織「もぐもぐ……そうね、とてもおいしいわ」

ゴリ「いいな、おまえはおいしい料理にありつけて」

伊織「なに言ってるのよ、意地張ってバナナを食べ続けてるあんたが悪いんじゃない」

ゴリ「じゃあ意地を張るのやーめた」

響「さーたーあんだぎー持ってくる?」

ゴリ「ご飯食べさせれ!」

川田「なーべーらーがないね」

響「うーん……最初に出されるとやっぱり困ると思うぞ」

美希「なぁに、それ」

響「ヘチマを使った味噌炒め」

小鳥「糸瓜も料理の材料になるのね……」

真美「白いご飯おいしいね、兄ちゃん」

P「うん……魚もおいしい」

あずさ「どうしたんですか、雪歩ちゃん?」

雪歩「あ、いえ……」

あずさ「……」

雪歩「な、なんでもありませんから……本当に……」

あずさ「わかりました。それじゃ、後で聞かせてくださいね」

雪歩「うぅ……なんでもないって言ったのにぃ……」



響兄「こんばんはー」


響「おかえりー、アニキ」

亜美真美「「 でたなっ、兄ちゃん2号! 」」

P「こらっ!」

小鳥「2号……? はっ!?」

やよい「や、やっぱりプロデューサーとそっくりですー」

雪歩「……うん」

美希「ヘチマかぁ……どんな味がするんだろうね」

あずさ「キュウリのような味かもしれないわね」

伊織「この二人は無関心なのね」
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:42:41.36 ID:/weuc6Mno

響兄「今日もまた、出しましょうね」

ゴリ「待っていました」

川田「待ち続けて1時間ちょっと。いいですね」

小鳥「ビールですか? オリオンですか? クースですか?」

ゴリ「全部です」

伊織「ちょっと、ウチの事務員を巻き込むんじゃないわよ」

亜美真美「「 そーだよー 」」

ゴリ「あんた達は早く、帰りなさい」ニコッ

響兄「プロデューサーさん?」

P「は、はい?」

雪歩「ボーっとしてますよ……」

あずさ「……」

P「あ、はい。一杯だけ」

響兄「……何か、迷ってる?」

P「……そうですね。あずささんを止めたのに俺が飲んで良いのかどうか」

ゴリ「構わん!」

響「ゴリ衛門! ダメだぞ、プロデューサーは明日、自分達とライブに参加するんだからな!」

響兄「そっちじゃないんだけど……」

小鳥伊織「「 ――! 」」

P「?」

あずさ「……」

ゴリ「にぃにぃ、後で、三人で話ししよう」

響兄「そうですね。それじゃあとで……」


美希「ねえゴリィ、なんの話するの?」

川田「俺は?」

ゴリ「教えん。お前はたくさん食べてれば良いさ」

川田「やさや」

美希「ケチ」

ゴリ「あい、なんかいいね。小悪魔っぽくて。こうやってファンをゲットしてるわけだな」

伊織「喜んでるんじゃないわよ」

ゴリ「あんたはキジム――」

伊織「このっ!」プシュッー

ゴリ「うぐっ!? シークヮサーで目潰しとか! ありえんどー!」

P「なんてことするんだ伊織ッ!」

ゴリ「目が痛い、目が痛いー!」

響「洗面所は分かるよね」

ゴリ「わかとーさー!」

ダダダッ
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:45:16.75 ID:/weuc6Mno

川田「思い切ったことするね……皮で目潰しとか……しかも、おじさん相手に」

伊織「いつかまとめて仕返ししてやろうと思ってたのよね」

美希「仲いいよねー、でこちゃんとゴリィ」

伊織「退屈はしないけど、たまに腹が立つのよね……まったく」

P「ほぉ……」

真美「あらまぁ……」

亜美「認めたねぇ……」

伊織「な、なによ?」

あずさ「仲がいいことには否定しないのね〜」

伊織「プロデューサー……あなたの目を、もっとよく見せて♪」

P「待て、目潰ししたからといって、俺と伊織の仲が良い証明にはならない」

伊織「ほら、メガネを取ってぇ……」スッ

P「やめ、やめろ……! やよい、伊織を止めるんだ」

やよい「んー、伊織ちゃん楽しそうですよ?」

P「俺の危険度はどうでもいいのか!?」

伊織「さぁ……私の目を見て……」

真美「ち、近いよいおりん! な、なんだかどきどきしてきちゃった」ドキドキ

雪歩「わわわっ」

P「伊織、怒るぞ」

伊織「一つだけ……」スッ

P「?」

亜美「いおりんの両手が兄ちゃんの頬を」ポッ


伊織「……アンタ、何か隠してない?」

P「…………は?」

伊織「私の目を見て」

P「……」

伊織「……答えて」

P「あるに決まってるだろ?」

伊織「……」

P「……」

小鳥「伊織ちゃん」

伊織「……まぁ、私にもあるから、当然よね」スッ

P「……」

美希「なにそれ」

伊織「べつに。ほら、メガネ返すわ」

P「ふざけが過ぎるんじゃないか?」

伊織「最初はね」

P「……」
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:46:11.72 ID:/weuc6Mno

響「……ん? なんだ、この空気……変だぞ?」

真美「そうだねー、いおりんのツヤっぽさから、ミキミキのシリアルまで……変だよねー」

亜美「兄ちゃん、なにか隠してるの?」

P「あ、当たり前だろ? 俺も……みんなに言えないことの一つや二つ」

やよい「私もありますよー。長介が赤点取ったこととか、かすみの嫌いな食べ物とかー」

小鳥「それは……やよいちゃんの言えないことじゃなくて……ね」

雪歩「言っちゃったよね……」

川田「俺にもあるさ。朝、目覚ましに起こされたけどまぶたは開かないとかな」

美希「すっごくわかるのぉ」

小鳥「深く共感をしたようです」

伊織「ごめんね、あずさ」

あずさ「どうして私に謝るのかしら?」

伊織「私が知らないと思ってるの?」

あずさ「まぁ……うふふ」

伊織「余裕ね……」

あずさ「大丈夫ですよ。きっと」

伊織「…………」


響母「ほら、さーたーあんだぎー」ドンッ

ゴリ「今出すわけ?」

響母「あんたのご飯でしょ?」

ゴリ「この親子よ、本当に!!」

260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:47:29.01 ID:/weuc6Mno

――…


伊織「そろそろホテルに戻りましょうか」

亜美真美「「 泊まっていくんじゃないの? 」」

伊織「私達は来る予定がなかったんだから。他のお客さんの邪魔になるわ」

真美「そだね……」

亜美「大人だよね……いおりんは……」

伊織「私だって……ずっとのんびりしていたいわよ。でもジャンケンに負けたからね」

亜美真美「「 はい 」」

やよい「あぅー……」

伊織「やよいは気にしないで、存分に楽しんじゃいなさい。明日のこの時間にはもう沖縄にいないんだから」

やよい「うん……」

亜美「そんじゃー、兄ちゃんとひびきん、おっかさんに挨拶してかえろー」

真美「あ、兄ちゃん達はゴリーと一緒にお話してるんだよね」

伊織「……どんな話をしてるのかしらね」

やよい「気になる?」

伊織「とってもね……」

亜美「いおりんが素直だね」

伊織「あずさは?」

やよい「縁側にいるよー」



雪歩小鳥「「 ふぅ…… 」」

あずさ「いいですね〜。こう……のんびりしていて」

小鳥「本当に……。風の流れや、空気の落ち着き……いいなぁ……」

あずさ「ゆっくりのんびりまったり〜」

伊織「ちょっと、お酒飲んでないでしょうね」

小鳥あずさ「「 …… 」」

伊織「否定するか、その持ってるコップを隠すかしなさいよ」

雪歩「わ、私は口にしてないよっ」

261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:50:33.43 ID:/weuc6Mno

―――― 仏間


ゴリ「あのにぃにぃも一緒に来て飲めれば良かったや」

P「いえ……あいつはまだ未成年です……」

川田「そうなのか。初めて知ったさ」

響兄「じゃあ、乾杯」


「「「「 乾杯 」」」」


ゴリ「いいね! こういうの! いいね!」

川田「嬉しそうだな」

ゴリ「いつもあいつ等がいるさ……」

P「一応アイドルなんですけど……」

ゴリ「大変だわけよ……それを差し引いたらマイナスにしかならん……」

P「そ、そうですか……複雑だ」

響「おかーがスーチカー作ってくれたぞー」

美希「おいしいの」モグモグ

P「こら……つまみ食いしてるんじゃない」

美希「だって、おいしいんだもん。ここで何をしてるの?」

ゴリ「女性禁止の聖域だから、入ってくるな」

響「ミミガーもあるぞ、プロデューサー」

P「あ、ありがとな」

ゴリ「やっぱり話聞かないね」

美希「ミキも邪魔するの」

ゴリ「短い春だったさぁ……」

川田「私が〜、あなた〜にぃ〜惚れたの〜は〜♪」

響兄「十九の春ですね」

川田「乾杯」

カキン


響兄「おとーが好きな曲でした」

ゴリ「ほぉ、良い話が聞けそうだね」

響「そうだったの?」

響兄「うん。おかーとの惚気話を聞かされたさー」

美希「なんかいいね、そういうの」

P「へぇ……」

美希「どうしたの?」

P「こういう話に乗るのって珍しいと思って」

美希「そうかな……好きだよこういうの」

響兄「三線を弾きながら歌ってたんだ」

響「……」
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:52:16.53 ID:/weuc6Mno

P「響も三線、弾けるのか?」

響「……うん…………」

P「響?」

響「最近、よく……おとーの夢を見るんだよね」

響兄「……」

ゴリ「実家に帰ってきたからじゃないか?」

響「でも、自分……そんなに思い出ないんだぞ。……だから、去年帰ってきても、夢は見なかった」

P「……」

響兄「響、ちょっと話があるから、俺の部屋に来い」

響「うん? ……待っててね、プロデューサー」

P「……うん」

美希「どうしたんだろ」モグモグ

ゴリ「えー! 俺達の肴を食べるな!」

美希「ケチ」

ゴリ「食べ物の恨みはそんな小悪魔風で誤魔化されないよ」

美希「別にそういうんじゃないよー、ぱくっ」

ゴリ「だから、食べるなってば!」

響母「はっさ、ケチンボだね、このゴリ……ラ」

ゴリ「え、一度遠慮したんだから、ちゃんと止めれ。失礼だろ」

P「仲いいですよね」

響母「そうじゃないさー。ねぇ?」

ゴリ「そうそう。飼育員とゴリラさー。この親子よー、本当にー、失礼極まりないー」ニコニコ

響母「美希がおいしそうに食べてたから追加で持ってきたさ」

美希「ありがとーなのー♪」

P「小鳥さんは?」

美希「あずさと一緒に縁側に居るよ。気になってるのはあずさでしょ、ぱくっ」

ゴリ「そうだ、プロデューサーに沖縄の文化を教えよう」

P「それは嬉しいです」
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:54:10.95 ID:/weuc6Mno

――…


P「面白いですね……」

ゴリ「沖縄の死生観だな」

亜美「ねえ、兄ちゃん」

P「?」

亜美「ひびきん知らない?」

ゴリ「さっきまで一緒に話してて……にぃにぃの部屋に行きよったけど」

真美「ひびきんの兄ちゃん? お話してるの?」

川田「そうさー」

亜美真美「「 ふーん 」」

P「どうしたんだ?」

亜美「亜美たち帰るから挨拶を――」



「アニキの馬鹿ッ!」


「なんでそんなこと言うんだ!!」




真美「ひびきん……?」

ゴリ「兄妹げんかだねー」

P「響……」


ドタドタドタ



響「最低だぞっ!! 馬鹿馬鹿! バカアニキッ!」

P「響、どうした?」

響「うぅッ! プロ…デューサー……ッ!」ジワァ

P「響……!」

響「〜ッ!」

ドタドタドタ


亜美「ひびきん! どこ行くの!?」

響「散歩っ!」



ガチャ

バタン

264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/04(月) 00:36:22.45 ID:YwnEUh4to

響母「ケンカはしょっちゅうだけど。今のは珍しいさ、余程の事があったに違いないねー」

P「お母さん……」

響母「行き先は決まってるから、大丈夫よ」

小鳥「どうしたんですか?」

あずさ「響ちゃんの声がしましたけど……」

響兄「ちょっと、喧嘩しまして」

P「行ってきます」

響母「座喜味城に行ってるよー」

P「……わかりました」

響兄「プロデューサーさんは行かない方がいいよ」

P「え……?」

あずさ「それじゃ、私が行ってきますね」

伊織「ちょ、ちょっと! あずさが行ったら迷子じゃないの!」

やよい「わ、私も」

小鳥「私とあずささんで行くから、待っててね」

やよい「……わかりました」

P「お願いします」

あずさ「はい」


ガチャ

バタン



ゴリ「プロデューサー、こっちで飲もう」

川田「やさ、スーチカーもあるよー」

真美「もぉー! のん気なこと言ってぇー!」プンスカ

雪歩「美希ちゃん……ここで寝てたんだね」

美希「うん……? なにー?」

P「……響、どうしたんだ」
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/04(月) 00:37:36.15 ID:YwnEUh4to

※ ― 響 ― ※



※ ― 響 ― ※

266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/04(月) 00:39:34.05 ID:YwnEUh4to

響「二人とも……探しに来てくれてありがと……」

小鳥「ううん……」

あずさ「大丈夫ですよ、響ちゃん」

響「……うん」


カンカラカン カンカンカラ


小鳥「この音……」

響「三線の音だぞ」

あずさ「まぁ、誰が弾いているのかしら」

響「アニキ!?」

タッタッタ


ガチャ


カンカラカカカン カカカンカラカラ



響「誰が弾いて――」


ゴリ「む?」


響「ゴリ……衛門……」

ゴリ「なにか、その信じられないって顔は!?」

響「信じられないぞ」

ゴリ「失礼やっさ。俺はもう弾かん」

美希「拗ねちゃダメなの」

ゴリ「うるさい」

亜美「ふっ、まるで子供だよね」

ゴリ「何とでも言え」

川田「長髪の似合わない男」

ゴリ「えー! 気にしてるから言うな! マジでよ!」


P「響、弾いてみてくれないか?」

響「え……?」

P「上京するまで、弾いていたんだろ? 聞かせてほしい」

やよい「私も聞いてみたいですっ、響さんのサンシン!」

響「でも……ずっと弾いてないから……」

響兄「響、おまえが小さい頃、よくおとーに聞かせてもらってたんだぞ」

響「おとーの三線……?」

響兄「あぁ。今度はお前がプロデューサーさんに聞かせてあげてみ。おとーにも聞かせるようにさ」

響「……」

267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/04(月) 00:47:15.20 ID:YwnEUh4to


―――― ホテル・春香達の部屋


春香「うぅー! どうしてあの時チョキを出さなかったんだろぉ!!」ジタバタ

千早「枕に顔を埋めて……気持ちはわかるけど、そのまま表現するなんて春香らしいわ」

律子「気持ちは分かるんだ……」


pipipipipi


春香「千早ちゃんのケータイじゃない?」ジタバタ

千早「うん……。プロデューサーから……?」

律子「あ……伊織たちの事すっかり忘れてた……」


ピッ

千早「もしもし……はい。今は部屋にいます。……え? 響の三線……?」

268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/10(日) 23:33:04.48 ID:pei3nRECo

―――― ホテル・ロビー


真「急にどうしたの?」

春香「響ちゃんの三線だって」ワクワク

貴音「さんしん……? ばったーぼっくすに響が立つのですか?」

律子「アウト決定なのね……」

千早「テレビ電話……?」

春香「そうだよー。顔を見ながらお話できるの」ワクワク

千早「科学の進歩はそこまで……」

真「千早が思っている以上に進んでるけどね……」


pipipipipi


春香「来たっ」


ピッ


春香「はい、こちら天海春香ですっ」


『みんな揃ったのか。これから、庭で演奏するから。聞いていてくれ』


千早「……はい」


『いよっ、ひびきん!』

『 パチパチパチ 』

『なんだか恥ずかしいさー。それじゃ弾くね。十九の春』


貴音「?」

千早「沖縄の民謡曲……」

律子「詳しいのね」

千早「響のお母さんに少し聞いたから」

春香「……」

真「……」

千早「なに?」

春香真「「 いえいえ 」」

律子「もう始まってるわよ」


『 カンカラカカカン 』
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/10(日) 23:33:57.95 ID:pei3nRECo

『   わたしが〜 あなたに〜 ほれたぁ〜 のぉは〜 

    ちょうど 十九の春でしたぁ〜        』


千早「え――!?」

貴音「このような唄い方……今まで……」

真「聞いたことない……」

律子「へぇ……」

春香「……」


『   もとの〜 十九に しておく〜れ〜  』

『 カンカラカカカン 』


千早「……」

律子「サンシンという楽器も弾きこなして……」

貴音「……」

真「……」

春香「……」


『   主さん 主さんと 呼んだとて〜

    主さんにゃ 立派なかぁたがある〜

    いくら主さんとぉ 呼んだとてぇ

    一生 忘れぬ 片想い〜       』
  


千早「響……」

律子「どうしたの?」

千早「いえ……なんでも……」

真「?」

貴音「……」

春香「……」



『 春がくるような〜 夢を見て

  ホケキョ ホケキョと 鳴いていた〜 』


『 カカカン カン カン カン...... 』  

270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/10(日) 23:35:56.42 ID:pei3nRECo

『ブラボー! ひびきーん!』

『凄いですぅー!』

『 パチパチパチパチ! 』


春香「なんだか……圧倒されちゃった……」

律子「もったいないことしたわね……」

真「あぁ、どうしてあの時パーを出さなかったんだろう」

貴音「千早?」

千早「え、あ、うん……凄かった」


『照れるぞー!』

『凄く良かった。感動したよ、響』

『えへへ、ありがとー、プロデューサー!』


千早「……」


『響……よかったぞ』

『アニキ、おとーもこの曲をおかーに聞かせたんだよね』

『そうさ。……技術は落ちたけど、気持ちは比べ物にならないな』

『当たり前さー! 自分は完璧だからね!』

『あのさ、響……』

『うん……? どうしたプロデューサー……って、なんで携帯電話置いてるの?』

『あんたの演奏、数キロ先の千早にまで届いてるわよ』

『『 んっふっふ〜 』』

『……え?』

『ぐろーばるすたんだーど、ですよねー!』


律子「ん?」

貴音「やよいはなんと……?」

真「さ、さぁ?」

春香「響ちゃーん! 私達も聞いてたよー!」


『は、春香!?』

『テレビ電話で中継を……な』

『うぎゃーっ! 自分! 演奏ダメダメだったぞー!?』


千早「ひ、響……とても良かったから!」


『おかけになった電話番号は現在使われておりません。
 ピーという発信音の後にメッセージをお願いします。ピー!』

『あらあら』

『喋っちゃダメだぞあずささん!』


律子「使われてないのに留守電に繋がってるわよ響……」
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/10(日) 23:37:24.93 ID:pei3nRECo

千早「あ、あのっ、あずささん」


『は〜い、なんでしょう〜』


千早「響を……その……抱きしめてあげてください」


『ち、千早!? なにを言って――』

『わかりました〜』

『――ふぎゅ!?』


律子「千早、どういうこと?」

千早「多分、何かあったんだと思う……プロデューサーのことで……」

律子「…………え」

貴音「なんと……」

真「……」

春香「響ちゃん、顔が真っ赤だよ〜! あはは」


『はるるん、さっきねー、兄ちゃんといおりんがラブラブだったんだよー』


春香「は……」ピキーン

千早「……は?」

律子「今、なんて……?」

貴音「真、貸切り自動車の手配を」

真「かし……? あぁ、タクシー…駆けつけてどうするの!?」


『ちょっと! なに言ってんのよ!?』

『うふん、兄ちゃんの目見せてぇん』

『真美、いおりんは兄ちゃんのこと兄ちゃんって呼ばないよー?』

『あ、そっか。うふん、プロデューサーさぁん、メガネを取りますわぁん』

『いおりんの目綺麗だぜ、ベイベー』


千早「プロデューサー、これは事実ですか?」


『なんで信じるんだよ!?』

『事実ですよ〜』

『いや、違うでしょあずささん!?』

『でも、伊織ちゃんにメガネを取られましたよね?』

『空気が全然違いますから!』

272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/10(日) 23:38:54.69 ID:pei3nRECo

千早「……」

春香「……」

貴音「……」

律子「……」

真「現場のプロデューサーさぁーん……ここの空気、張り詰めてまぁーす」


『ま、真は信じてくれるんだな!』


真「当たり前じゃないですか! たとえ事実でも、ボクはプロデューサーを信じてますって!」


『そうか……!』


真「それに、伊織にそんな度胸無いですからね!」


『煽りよったな』

『なんですって……!?』


真「ボクだってラブラブしたことないのに、伊織にそんな経験あるはずないでしょ」


『軽く凄いことカミングアウトしよった』

『かみんぐすーんってなに? ゴリー?』

『早く来いって意味さぁ』

『プロデューサーの一人や二人、どうってことないわよ! 私の魅力でイチコロなんだから!」


律子「伊織……その表現」

春香「楽しそうだなぁ……」

貴音「真に」

千早「……」

真「はいはい」


『むきーっ!』

『プロデューサーは一人なの、二人もいないのぉ』

『あんたは寝てなさいよ!』

『響のサンシン良かったのぉ』

『あとね、ゴリーがさーたーあんだぎー占いをしてくれたんだよ〜』

『不肖、音無小鳥、来年はいい年だそうです!』

『やったね、ピヨちゃん!』

『あれ、適当だったけど』

『えぇー!?』


律子「小鳥さん……」

春香「楽しそうだなぁ……!!」
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/10(日) 23:40:01.13 ID:pei3nRECo

『ゴリ衛門がサーターアンダギー転がして食べただけだぞ、ピヨ子……』

『そういう占いがあってもいいじゃない……がくっ』

『プロデューサー! あずさとお喋りしてないでこっちにきなさいよ!』


真「邪魔をするなよ、伊織!」


『うるさいわよ、見てなさい真』

『そろそろ切るぞ?』

『プロデューサー……少ししゃがんで頂戴』

『……なにをする気だ』

『警戒するんじゃないの。……ほらッ』

『うぐっ!?』


千早「何を?」

律子「はぁ……なにやってんだか……」


『プロデューサー……、さっきも思ったんだけど、あなたの目……私気に入っちゃったみたいなの』

『は、離せ……』

『暴れないの……、素直にならないとご褒美あげないわよ?』

『まぁまぁ、伊織ちゃん大胆ですね〜』


真「……」

貴音「……」


『うふふ、吸い込まれそうになる……素敵な瞳……』

『亜美、真美。協力してるんじゃない』

『どきどきしてきたよー』

『うぅー、伊織ちゃん、楽しそうですー』

『ほら、じっとして……私をみつめてほしいから』

『あのなぁ……』

『うふふ、まるでドラマのようですね〜』


律子「……」

千早「……」

春香「えっと……なんだろう、これ?」
274 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/10(日) 23:41:10.78 ID:pei3nRECo

『教えてあげる。メガネを取ると、アンタの目、とっても可愛くなるの』

『伊織、怒るぞ』

『二度も通用しないわ。ほら……私に映るあなた……見えるでしょう?』

『……』

『息遣いまで……伝わってくる……ふふ……』

『……伊織』

『あずさがたまにやってるわよね、こうやって額を合わせて……』

『俺がやられてるみたいな言い方するな』

『それはどうかしら、いつも二人一緒だから、知らないところで……』

『おい』

『これは冗談。怒ったりしたら雰囲気が台無しよ?』

『……』

『……』


律子「お……?」

貴音「あずさの様子が……」

千早「さすがに近い」

真「……悔しいな、どきどきしてきた」


『ずっとこうしていましょうか……』

『……』

『それとも、少しだけ進んでみる?』

『伊織』

『な、なに?』

『冗談だとして、何の意味があるんだ?』

『……』

『もういいだろ』

『冗談で、こんなことできると思ってるの?』


千早律子真「「「 っ!? 」」」

275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/10(日) 23:42:30.61 ID:pei3nRECo

『アンタも、もう亜美達が抑えていないんだから、逃げられるでしょ?』

『やっぱり……何か試しているんだな』

『さぁ……それはどうかしら』

『……』

『少なくとも私は、ドキドキしてる』

『そうか……』

『くしゅっ』

『私の胸に、手を当ててみればわかるわよ?』

『いや……』


律子「くしゃみしたの……あずささん?」

真「……」

貴音「そのようで……」

千早「……」


『くしゅっ』

『キス、してもいい?』


律子千早「「 ! 」」

真「……」


『……』

『なによ、その目は』

『俺は伊織のことを分かっているつもりでいた。だけど、これがどういう意味なのかが分からない』

『……それで?』

『それが少し悔しい』

『……』

『……』



『アンタ、私達に吐いてはいけない嘘、吐いてない?』


律子「伊織!」

千早「何を言ってるの!」


『俺は、嘘は吐いていない。みんなに隠すことはあっても、騙すことは絶対にしない』

『本当に?』

『あぁ』

『……』

『疑うなら、なにをしてくれても構わない』

『……』
276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/10(日) 23:43:34.66 ID:pei3nRECo

『今、この場で――』

『うるさいバカッ!』

『 コンッ 』

『いてっ!?』

『あらあら、いい音が鳴りました』

『いつっ……まったく、石頭なんだから……っ、あんた達も止めなさいよね……』

『何か本気なんだなーと思ったぞ、自分』

『どうせ止まるんだろうな、と思いました』

『ごごにじゅうご、ごろくさんじゅう、ごしちさんじゅうご』


真「雪歩ー! 九九の練習してないで戻ってきてー!」

貴音「……」

律子「まったく、ギリギリでやることじゃないでしょうに。焦りすぎよ……」

千早「……ふぅ」

真「あずささん、余裕ですよね。伊織はそれも試したっぽいなぁ……」

律子「そうね。私も伊織に一杯食わされた感があるのに」

貴音「春香は……?」

千早「飲み物買ってくる、と」

律子「一番の大物は春香よね……」

277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/10(日) 23:44:42.13 ID:pei3nRECo


―――― 我那覇邸


伊織「ごめん」

あずさ「何か考えがあってのことなのよね?」

伊織「……」

あずさ「どうでしたか?」

伊織「さっぱりよ……どうしてあそこまで冷静でいられるのかしら」

あずさ「……」

伊織「やっぱり、魅力が無いの?」

あずさ「いいえ。そうじゃないと思う。伊織ちゃんは魅力的よ」

伊織「そういう割には、あずさも余裕だったじゃない」

あずさ「なにか考えがあるのだと」

伊織「……ハァ」

あずさ「あら、どうして溜息を?」

伊織「バカは私よね……何も収穫が得られなかった……」

あずさ「……」

雪歩「……」

伊織「き、聞いてたの雪歩?」

雪歩「…………うん」

278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/10(日) 23:46:09.08 ID:pei3nRECo


P「悪い、よく分からないことにつき合わせて」


『気にしないでください』

『響』


響「どうしたの、千早?」


『とても、胸に響いた』


響「えへへ、千早にそう言ってもらえるとすっごく嬉しいぞー!」


『ここでスペシャルゲストでーす』

『春香どこに行って……なぁっ!?』


響「どうした千早! しっかりしてよ千早! 千早ー!」

ゴリ「かしまさよ」


『よぉ』

『チャオ☆』

『こんばんはー。面白いことしてるねー』


P響「「 たちつてとうま! 」」

亜美真美「「 あまとぅー! 」」

『『 たちつてとうま! 』』


『いい加減にしろ! 俺の名前は――』

『あのねー。昼に冬馬君がお世話になったでしょー?』

『そのお礼だそうですよ、プロデューサーさん!』

『てか、おい、プロデューサー』


P「ん?」


『こいつ! 何度も俺にぶつかってくるんだが! あんたの指示か!?』


P「そんなわけないだろ」


『本当にっ、毎度毎度すいませんっ』

『だから、毎回毎回同じやりとりしてんだよっ! 飽きてんだよこっちは!』

『うぅ……』


やよい「あ、あのっ春香さんも悪気があるわけじゃないんです!」


『事故ってわけか……それじゃあしょうがねえな』


P「えっ!?」
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/10(日) 23:49:34.53 ID:pei3nRECo

『冬馬君が平和的解決を!?』

『土産を買ってきてもらったんだ。みんなで食ってくれ。じゃあな』

『チャオ☆』

『あ、ありがとうございましたー』

『最後に言っておくが、馴れ合いは今後一切無しだからな』


P「あぁ、わかってる。……またな」


『あぁ、またな……って、こういうのを止めるって言ってんだよ!』


P「……」


『宴もたけなわですが、これでお開きといたしましょう』


P「そうだな」

響「春香ー」


『なに、響ちゃん?』


響「もしかしたら、二人は磁石のように引かれ合うのかもしれないねー」


『え?』


亜美「おぉー! あまとぅーとはるるんがですかー!」

響「なんてね、冗談だぞー、にゃはは」


『……え』


あずさ「あの……春香ちゃん?」


『え……え……そういう……え……』

『春香? ちょっと、しっかりして!』


ゴリ「マブイが落ちたや……」

美希「まぶい……? 眩しさを失くしたの?」

ゴリ「魂のことさ……吃驚した時とかに落とす……こんな落とし方、初めて見た」

響「うわー! ごめんね、春香ーッ!」


『あ……そう……なんだ……N極とN極なら決してくっつかないよね……どうすればいいかな……千早ちゃん』

『えっと……エヌ……北極に行けばいいのかしら?』

『それしか道は無いのかと』

『N極は南極だからね。S極の北極に行くと更に引き合うからね、注意してね』

『どうしよう!』

『すいません、カメラ止めます。すぐに伊織たちを迎えに行きますから』


P「あ、それなら平気だ。お母さんから特別に泊まってもいいと――」
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/10(日) 23:51:52.41 ID:pei3nRECo

『なんと……!』

『くっ……!』

『ボクも行けばよかった!』

『伊織、ずるいよ!!』


伊織「沖縄最後の夜、いい夢を♪」


『い、伊織ー!!』

『お願いします、プロデューサー』



プツッ



P「さて、寝るか」

響「口は災いのなんとかだね……春香もマブイを取り戻してよかったよ」


川田「くかー」

響兄「今までで一番の演奏でしたよ」

小鳥「はい〜、私も初めて聞きましたけど、なんだかせつなくなって〜」

亜美「ピヨちゃんの顔赤いよ〜」

真美「お酒は人を酔わせる飲み物なんだね」

美希「くぅ……すぅ……」

あずさ「プロデューサーさん、どこでお休みになるんですか?」

P「響のお父さんのところで、です」

やよい「……」

雪歩「……」

響「大変だったけど、楽しかったぁ……」

響兄「……いい経験を積んでいるんだな」

響「……うん!」

281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/10(日) 23:52:27.10 ID:pei3nRECo


―――― 仏間


ゴリ「沖縄のお墓は大きくてよ。お墓の前にスペースがあるわけさ」

P「……」

ゴリ「そこで旧暦の三月になると清明祭が行われる」

ゴリ「親戚一同集まって、料理並べて……お墓でピクニックだな」

P「……どうしてそんな行事が?」

ゴリ「先祖を大切にする習慣があるから、そこで楽しく過ごすってことさ」

P「沖縄の文化ですね」

ゴリ「報告も兼ねてるわけよ。家族が増えましたよー、子供が内地の学校に行きましたよーって。酒も飲みながら」

P「本土とは全然違いますね……」

ゴリ「沖縄の死生観の面白いところだや」

P「……」

ゴリ「迷ってるね?」

P「……響のお兄さんにも言われましたけど、どういう意味ですか?」

ゴリ「いや、なんでもないさ。俺のやるべきことじゃないからな」

P「…………」

ゴリ「みんな寝たようだから、俺も帰って休もうやっさ」

P「……はい。今日はお疲れ様でした」

282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/10(日) 23:53:00.52 ID:pei3nRECo


※ ― 小鳥 ― ※



※ ― 小鳥 ― ※




四日目終了

283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 17:27:02.11 ID:D6WlPvRyo

最終日



―――― 座喜味城跡


響「ん〜! 朝の風が気持ちいいぞー!」

タッタッタ


亜美「待ってよ、ひびきーん!」

やよい「待ってくださーい!」

タッタッタ


P「こ、転ぶなよーッ!!」


「「「 はーい!! 」」」


P「や、やよいは高所恐怖症なんだから、もう少し慎重に歩いてくれないと……」ハラハラ

小鳥「城壁の上を歩くなんて……不思議ですね……」

あずさ「そうですね……おかげで景色が広がって見えますけど……」


「ここここ、怖いですーっ!」

「プロデューサー、やよいが怖がってるぞー!」


P「だから止めたのに!」

タッタッタ


あずさ「まぁまぁ」
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 17:28:43.09 ID:D6WlPvRyo


亜美「だいじょーぶだよ、やよいっち」

やよい「きゅ、急に高くなってて……」ガクガク

P「いや、外観を見たらわかることだろ?」

やよい「ひ、響さんが……景色がいいって……風が気持ちいいって……」ブルブル

P「……朝の景色と空気だから気持ちがいいのはわかるけど」

響「プロデューサーにくっ付いていれば安心さー」

あずさ「そうですね」

やよい「お、おねがいしますプロデューサー」クイッ

P「ずうずうしいとは思うが、俺はあくまで、やよいのお兄さん的役割だからな。父親ではない」

亜美「なにゆってんの、兄ちゃん?」



雪歩「クスクス……プロデューサー、お父さんみたいですね」

真美「ほら、見てよ雪ぴょん」

雪歩「?」

真美「昨日撮った兄ちゃん達の写真だよ」

雪歩「わ、わぁ……!」

真「なになに? 見せて」

貴音「やよいを肩車したプロデューサー、その隣で微笑むあずさは一つの家族ですね」

美希「ふぅん……」

小鳥「真美ちゃん、これを私に送信してくれないかしら!!!」

春香「わ、私も!」

真美「そうは問屋がおろさないぜ!」

春香小鳥「「 どうして!? 」」

真美「あ、ごめんね。言ってみたかっただけ……」

285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:03:10.90 ID:D6WlPvRyo

律子「寝不足って顔してるけど、大丈夫、伊織?」

伊織「なんとかね……」

律子「それじゃ、遠慮なく」


ビシ コンッ


伊織「――ふぎゅぅ!?」


伊織「な、なにするのよッ!?」

律子「昨日のあれはなんなのよ……!」

伊織「チャームポイントに傷がついたらどうしてくれんのよ!?」

律子「たかがデコピンくらいで……いいから答えなさい」

伊織「た、試しただけじゃないの……」

律子「デリケートな問題なんだから……もう少し考えなさいよ。らしくないわね」

伊織「…………」

千早「でも、私も伊織の気持ちが分かる」

律子「まぁね。帰ったら帰ったで忙しくなって……またプロデューサーが目の届かないところに行くから」

伊織「……今日の夜にはもう帰るのよ?」

律子「わかってる」

千早「律子、午後のアンコールライブの出演者は昼の投票によって決まるのよね?」

律子「そうだけど……?」

千早「仮に、私達がエントリーされたら……チームごとになるの? それとも総出演でステージに?」

律子「子供、青春、大人と分かれているから、別々になるわ」

千早「一つのチームとして出演できないかしら」

伊織「千早、それって三チームが通ればの話でしょ?」

千早「……そうだけど」

伊織「お子様チー……むっ!?」ムカッ

律子「自分で言って怒るんじゃないの。……お子様チームだけが通ったらって言いたいのね?」

伊織「……そうよ」

千早「私は、一つのチームになって、みんなで歌いたい。そして、最後の観光地へみんなと行きたい」

律子「そういうことなのは分かるけど……。あのね、千早」

千早「?」

律子「あぁ、待って。話がごちゃごちゃになってきた」

律子「整理すると、三チームが通れば、千早は全員で立ちたいと」

千早「えぇ」

律子「だけど、一チームだけが通った場合、それをどうするのか、と伊織は気になるわけね」

伊織「そうよ。私のチームだけ出場して、あんた達だけで観光というのも、腑に落ちないわ」

律子「そうよね……。セットリストの問題も出てくるから……これは賭けになるわね」

律子「ステージを優先か、プロデューサーを優先か。千早の提案が両方取れるんだけど」

千早「……」
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:04:43.44 ID:D6WlPvRyo

伊織「……」

美希「律子…さんはどのチームが出るのか予想できてるの?」

律子「私達以外の事務所もかなり手強いから……ジュピターも再起したばかりと言っても侮れないし」

美希「他はいいの。ミキ達のステージの出来が知りたいの」

律子「言ってくれるわね……。観光ばかりで碌に研究できてないけど。
お子様チームはこの後のステージをいつものように発揮出来れば確実ね」

伊織「残り二つは?」

律子「私達、大人チームも……問題は無いとみてる」

伊織「765プロの看板がいるから、順当ね」

千早「青春チームは……?」

美希「……」

律子「今日、この後のステージ、お子様チームじゃなくて青春チームが出場できていれば……確実だった」

伊織「どういうことよ」

律子「雪歩の成長にかかっていたから」

千早「……」

287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:05:27.93 ID:D6WlPvRyo

pipipipi

ピッピ


雪歩「わ、わぁ! 文明って凄いね真ちゃん!」

真「写メが初めて届いたみたいなリアクションだけど……」

雪歩「これ……すっごくいいよ真美ちゃん!」

真美「そうでしょー! 撮ったの亜美だけどね」

雪歩「待ち受けにしよう」

ピッピッピ


春香「ねぇ、雪歩」

雪歩「うぅ〜! やよいちゃん可愛いし、あずささん落ち着いてて素敵だし、プロデューサーが」

真美「変な顔してる!」

雪歩「優しい表情してる!」

真「そ、そうかな? ボクも変な顔に……って、失礼だけど」

雪歩「ほ、ほら、よく見て」

小鳥「どれどれ?」

雪歩「肩車してるからの表情なんだよ、振り向きながら重心を保つために……!」

真「読みが深すぎるよ雪歩……」

小鳥「そういわれてみれば」

真美「いやいやー、ピヨちゃんはすーぐ合わせちゃうんだから……本当だ!?」

貴音「真美の流れに乗る技術はいつみても鮮やかですね」

春香「ねぇ、雪歩……いいことあったの?」

雪歩「え、うん……あったよ?」

真「ごく自然に答えたけど、なにがあったの?」

雪歩「私、頑張るって決めたの!」

春香「う、うん……それで、なにが雪歩をそうさせたの?」

雪歩「この写真かな?」

真「数分前なの!? その変化によく気付いたよね春香! ボクには分からないよ雪歩がー!!」

小鳥「ま、真ちゃん落ち着いて!」

貴音「今までの不安は取り除かれたのですか?」

雪歩「まだだけど、この写真に写った、暖かい場所を守りたいって昨日思ったんだ」

真「え……?」

雪歩「その為には、頑張らないとっ」グッ

春香「そっか……!」
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:06:03.44 ID:D6WlPvRyo


律子「……昨日とは別人だから」

伊織「そうね……私が小鳥に捕まってる間、何かがあったのね」

千早「え?」

伊織「まぁ、隠すことじゃないから言うけど。
   私と小鳥以外、プロデューサーはみんなと朝まで共にしたわ」

千早律子「「 それ、本当なの? 」」

伊織「そうでしょ、美希?」

美希「そうだよ」

千早「はぁ……呆れた……」

律子「まぁ、聖人君子のプロデューサー殿だから……信じるけど。……あぁ、もうっ!」

千早「律子、気持ちは分かるけど、過ぎたことはしょうがないわ」

律子「そ、そうね……」

美希「悪いことじゃないと思うけどな」

律子「プロデューサーだから悪くないの。それが普通だと思い込むのが悪いことなの。この違いなのよ!」

伊織「いいから、早く話を戻しなさいよ」

律子「……今の雪歩なら投票数を稼げる。三チーム同時出場も確実だった」

千早「それじゃ、律子の見込みでは……」

律子「……」

美希「でも、律子は昨日の私達のステージ、見て無いよね」

律子「えぇ……そうね」

美希「雪歩、成長してるよ?」

律子「……え?」

美希「だって……ゴリィと――」

律子「あ! そうか、ゴリさんが誰に対しても自然に接してるから見落としてた」

伊織「昨日の地底探検でも、同じく行動してたわ」

千早「それに気付かないなんて、律子も焦ってるのね」

律子「……ッ!」

伊織「デコピン、してもいいかしら?」

律子「……どうぞ」

伊織「するわけないじゃないの。早く、プロデューサーとセットリスト組んできなさいよ」

律子「……面目ない」

タッタッタ


美希「でこちゃんが優しいの……台風が来て沖縄は荒れるね」

伊織「あんた失礼よ!?」

千早「…………」

美希「どうしたの、千早さん?」

千早「……あの、ね。歌いたい曲があって――」

289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:07:01.80 ID:D6WlPvRyo

律子「プロデューサー、お話があります」

P「?」

律子「午後のアンコールライブのことで」

P「わかった。セットリストのことだな?」

律子「そうですけど……」

やよい「?」

あずさ「どうしたんですか?」

亜美「ヤッホーー!!」


シ ィ ー ン


亜美「返ってこないよ……」

響「当然だぞ、山が無いんだから」

律子「こら、これからステージなんだから、無意味に叫ばない」

P「出場するとしても、セットリストは決まったはずだけど?」

律子「それがですね。三チームが合同でステージに出るという案があります」

P「……なるほど」

律子「それを提案したのが千早です」

P「わかった。えっと、あずささん、やよいをお願いします」

あずさ「……はい」

やよい「こここ、怖いですーっ!!」クイッ

P「ひ、響」

響「なにー?」

P「やよいを頼む」

響「うん……でも、自分じゃ無理だぞ」

やよい「だ、駄目ですっ、動けないですっ!」

P「……うーん」

亜美「どったの?」

律子「うーん……」

あずさ「……」
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:08:06.66 ID:D6WlPvRyo

「プロデューサーさーん!」


P「……ん?」

亜美「どーしたの、ピヨちゃん!」


「そろそろ戻りましょうー!」


亜美「そだねー!」

P「戻るか……お母さんにも挨拶したいからな」

律子「そうですね。その為に私達も来たわけですから」

響「亜美、競争するさー!」

亜美「上等さー!」

P「こら、走るな危ないから!」

「「 はーい 」」


P「千早が提案したなら、それでいいんだが」

律子「えっと、話を続けても?」

P「やよいも知ってるし、あずささんなら一緒に考えてくれるだろう」

やよい「?」

あずさ「?」

P「あずささん、千早にイタリアから移籍の話が来ています」

あずさ「え……」

律子「この音楽祭で何かしらの変化をアピールできれば、との条件付きですけど」

あずさ「すぐに……というお話なんですか?」

P「こっち……千早の気持ちを考えてくれてます」

P「だけど、俺としては千早自身の為にも送り出すつもりでいます」

やよい「……」

律子「プロデューサーの意向で千早には伏せてはいますが……」

あずさ「そうですね、私もその方がいいと思います」

律子「…………」

P「律子としては、三チーム合同で出場しないで、アピール効果の高い各チームでの出場が望みだよな」

律子「さっきまではそう思っていたんですけど……」

P「?」

律子「あずささんは、どう思います?」

あずさ「?」

律子「千早はみんなと一緒にステージに立って、歌いたいと提案しました」

あずさ「……」

律子「千早にこの件を伏せている以上、この判断を誤れば千早の夢を遠ざけることになります」

やよい「……」

P「……」
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:09:23.96 ID:D6WlPvRyo

あずさ「どうして、私に?」

律子「プロデューサーと同意見だと思っているからです」

あずさ「まぁ……!」

律子「いや、喜んでいないで……意見を聞かせてください」

あずさ「うふふ。それなら、やよいちゃんに聞いてみましょう」

やよい「わ、わたしですか!?」

あずさ「そうですよ。どうですか?」

やよい「こ、この話を聞いて、私が決めちゃっていいんですかぁ!?」

P「多分、みんなと同じ判断だと思う。決めてくれやよい」

やよい「えー!?」

律子「あの、二人とも……私の台詞に恨みでもあるんですか」

Pあずさ「「 いいえ 」」

律子「あーもう! 調子狂うなぁ!! 私は千早に伏せている事に不満を持っているんです!」

律子「だから、嫌味っぽく言ったのに! それをやよいに聞かせた後で判断させるって、ずるいじゃないですか!」

P「律子の考えが正しいと思う。けど……」

律子「あー、うるさい」

P「うるさいって……」ションボリ

律子「やよいの気持ちを言ってみて?」

やよい「……私は」


やよい「私は……千早さんに行って欲しくないです」


やよい「だけど、それは私のわがままですから」


やよい「ただ……一緒に歌いたいと思います」

律子「……わかった。だけど、それはお子様チームが今まで以上のライブにしないと実現しないんだからね」

やよい「うっうー! 任せてください律子さん!」

律子「え……?」

やよい「私も、頑張りますからね!」

律子「ど、どうしたのよ、やよい」

P「城壁から降りて恐怖がなくなったか……」

あずさ「違いますよ。昨日の夜にプロデューサーさんが言ってくれたからですよ」

P「……あー、その……恥ずかしいから言わないでください」

律子「……なにがあったのよっ! もうっ! 知らないところで話が進んでてモヤモヤするっ」

やよい「律子さん! あずささん! プロデューサー!」

P「?」

あずさ「はい」スッ

律子「……はい」スッ

やよい「はい、ターッチッ!」

パン パン パァンッ

やよい「とりぷる、いぇい!」
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:10:28.44 ID:D6WlPvRyo

―――― 我那覇邸


響兄「色々と大変だろうけど、ちばりよー」

響「……うん。自分には、みんながいるから……」

響兄「あの頃、おまえは小さかったからあまり覚えていないだろうけど」

響「…………」

響兄「真剣に聞いている響の前で、おとーはとっても楽しそうに三線を弾いてた」

響「……っ」

響兄「昨日の夜は逆だったけど、俺はそれを観てとても誇らしいと思ったよ」

響「うん……っ」

響兄「……自慢の妹さ」

響「ありがと、アニキ」

響兄「自分を信じれな、響」

響「うん! なんくるないさー!!」





「「「 お世話になりましたっ! 」」」

小鳥「お世話になりました」

響母「五日間とても楽しかったさ〜、また来てね〜!」

美希「ご飯おいしかったの〜、またね、響のお母さん」

やよい「おいしい朝ごはんありがとうございましたー!」

あずさ「それではお元気で、またいつの日かお会いしましょう〜」

響母「はいはい、元気でね〜」

律子「ありがとうございました!」

P「それでは、また」

響母「あんまりみんなを心配させるんじゃないよ、本当に」

P「……は、はい」

響母「響のこと、よろしくね」

P「はい!」

響「それじゃーね、行って来るさー!」

響母「ちばりよー、響!」

293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:10:59.02 ID:D6WlPvRyo

―――― バス内



響「最後の一日ゆたしくうにげーさびらー!」

運転手「はい。責任を持ってみなさんをお運びします」


伊織「……」ウトウト


川田「はいー! 今日で最後ですよー! みなさん張り切って行きましょー!」


「「「 おーっ! 」」」


伊織「!」ビクッ

小鳥「ごめんね、伊織ちゃん」シクシク

伊織「いいの……小鳥は……悪く無いわ……」

P「北谷に着くまで少し時間があるが、寝てるか?」

伊織「そう……する…………」ウトウト

ゴリ「なんでね?」

P「それが……」

小鳥「私が私が悪いんです……ッ」シクシク

伊織「チャタン……チャンタ…………」ウトウト

ゴリ「あいえーなー」

294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:11:28.98 ID:D6WlPvRyo

―――― 残波岬


亜美「おぉぉ!!」

真美「大きいー! シーサーが大きいよ兄ちゃん!」

P「……うん、凄いな」

千早「時間は大丈夫なの?」

律子「えぇ。みんな早起きしたから、1時間の余裕があるわ」

貴音「このしぃさぁ……魔除けとしてとても心強いですね……」


……


春香「水平線が見渡せて……いい眺めだよねー」

ゴリ「崖の方に行くなよー、落ちても知らないよー」

やよい「えぇー、落ちちゃうんですかー!?」ブルブル

雪歩「や、やよいちゃんこっちに……!」


……


タンッ...タタンッ!

響「……どうかな?」

真「うん、いいよ響!」

美希「いつもより動きがいいの」

響「よぉーし、頑張りまくるぞー!」

あずさ「…………」




……



295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:26:14.18 ID:D6WlPvRyo

P「よし、みんな集まったな」

真美「いおりんがいないよ?」

P「伊織は寝不足でバスで寝ているから、後で直接伝える」

春香「どうしたの、伊織は?」

亜美「ピヨちゃんの抱き枕になってたからねー」

真「……それで、小鳥さんが付き添っているんだね」


P「去年出場した音楽祭での成績によって、今年はウチの事務所から全員が参加することができた」

ゴリ「はい、先生! 質問があります!」

P「ど、どうぞ」

ゴリ「去年は誰が参加したのでしょーか! 気になって夜も8時間しか眠れませんでした!」

P「律子、真、伊織、あずささんの4人です。快眠できてますね」

ゴリ「ありがとーございます! これでぐっすり眠れます!」

P「話を続けます。午前のライブが全て終わり次第、ファン投票が行われます」

ゴリ「質問です!」

P「どうぞ」

ゴリ「ファン投票は事務所毎の投票なんでしょーか! 気になってご飯が3杯しか進みません!」

P「各グループによって投票されます。その結果によって午後のライブ出場者が決定します。健康的ですね」

ゴリ「他の参加者は一日一回ずつ、つまり五日連続の出場ですね!」

P「そうです」

ゴリ「不利ではないのでしょーか! 気になってお酒が1升しか飲めません!」

P「そうですね。765プロのチームは五日間の内、三回ずつしかステージに立っていません。飲みすぎです」

ゴリ「果たして勝てるのでしょーか! 気になって鼻歌が40分しか歌えません!」

P「みなさんも感じていたとは思いますが、他の参加者は実力もあり、レベルが高いですね」

春香「はい! そう思います!」


律子「青空学校になってる……」


P「私が検討した結果、みなさんはそれでも負けていません。むしろハンデと言っていいでしょう」

ゴリ「大きく出ましたね!」

P「すいません、少し調子に乗りました。反省します」

P「負けていないという気持ちは本気です。歓声を聞いてそれは確信に変わりました」

響「やさやさ」

296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:26:58.76 ID:D6WlPvRyo

P「そこで、三チームがアンコール投票に通った場合について、如月千早君から提案があります」

千早「えっ!」

P「千早君、前へ出て発表してください」

千早「は、はいっ」

真「提案?」

貴音「はて?」

千早「え、えっと……き、如月千早ですっ」

ゴリ「知ってるさー! ねぇねぇよ、面白いやっさー!」

亜美「ゴリー! うるさいよー!」

真美「しずかにしないと、めーごーさー(拳骨)だよ!」

ゴリ「…………はい」


千早「……私が……提案したのは、三チーム合同、みんな一緒にステージに立つことです」

春香「……」

千早「各チームで参加した方が、事務所やみんなにとってメリットが大きいのは分かっています」


千早「でも、私は……みんなと一緒に歌いたい」

雪歩「…………」

千早「決して思い出作りじゃなく――」

響「じぶんも!」
雪歩「わたしも!」

響雪歩「「 あ…… 」」

律子「どうして、そう思うの?」

千早「今のみんなで歌わなければいけないと感じたから」

律子「……」

千早「だから、私はどうしてもあの曲をみんなと歌いたい」

春香「……」

P「千早」

千早「……はい」

P「午後のライブは千早の将来を左右することになるだろう」

千早「……え?」

律子「……ッ!」

P「最高の舞台にしなければ、千早の夢は――」

千早「――今は」

297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:27:31.57 ID:D6WlPvRyo

千早「私の将来より、事務所みんなの未来を優先したい」

P「……そうか」

律子「プロデューサー、後でお話が」クイッ

P「……そうか……っ」ブルッ

春香「千早ちゃん……どうして……」

千早「みんなで、歌って……ある人にそれを届けたいから」

あずさ「私も、千早ちゃんと同じです」

千早「あずささん……」

あずさ「私も、ある人に聞いて欲しい歌があります」

美希「ミキもそれが一番だって思うな」

真「そうだね! 燃えてきた!」

雪歩「わたしも!」
響「じぶんも!」

雪歩響「「 ……あ 」」

あずさ「プロデューサーさん、セットリストを私達で決めてもよろしいですか?」

P「は、はい……」

春香「よーし、私も頑張るぞっ」

貴音「わたくし達の節目となりますね」

響「伊織がいないから、自分が言うね!」

響「やよい! 亜美! 真美! 自分達もがんばるぞー!」

やよい「うぅー!」ウズウズ

亜美真美「「 あいあいさー! 」」



川田「ホットドック、美味いやっさ」モグモグ

ゴリ「……ッ!」ペシッ

298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:28:58.59 ID:D6WlPvRyo


―――― 北谷


『それじゃー、一曲目行くぞー!』

『伊織ちゃんについてきてね、みんなー!』


ワァァァアアア!!!


店員「響ちゃぁぁあん!!!!」

ゴリ「……早く行け!」

店員「ゴリさんすいません! あとお願いしますッ!」

ダダダダダッ


ゴリ「俺は765プロのスタッフか……!?」

ピッピッピ



『『『 ビジョナリー!! 』』』



ゴリ「もしもし……プロデューサー、ちょっと駐車場まで来てくれんか」


『   もしもピサの斜塔がまっすぐ建ってたなら 名前変えなきゃダメね

     だったらピサの塔でいいっかな?     』


ゴリ「……今日で最後か……」


『   もしもムンクの叫びは歯が痛いからなら 名前変えなきゃダメね

     だったらムンクの虫歯でいいっかな?   』


ゴリ「嬉しくてすでに達成感が沸いてきてるな……」シミジミ

P「いつもありがとうございますっ! って、何がですか?」

ゴリ「反射的に礼を言うのやめれ。これ、店員さんの……の差し入れって」

P「こ、こんなに……ッ!?」

川田「五日連続、エンダー!」

ゴリ「詳しくは後で、店員さんに聞いて」

P「は、はい。……とりあえず、控え室まで」
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:30:25.84 ID:D6WlPvRyo

『   変えちゃうよ色んな世界 ちょっと想像するだけだよ

    ほら不思議な出来事がたくさん     』

『   イクシアダーツサムロディーア…    』


ゴリ「なんの呪文か」

川田「台風来るあんに?」

ゴリ「やばいな、765プロ! あっはっは」

川田「あっはっは だからよー!」

P「実際、去年の冬に吹雪呼びましたけど……」

ゴリ川田「「 洒落にならんな765プロ 」」


『   魔法の言葉唱えましょ     』

300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:30:54.42 ID:D6WlPvRyo


―――― ライブ会場



『   チョチョチョイ チョロイよチェンジザワールド

       勝手にルール作っちゃお (オー!)    』


ゴリ「お、いつも以上に張り切ってるな」

川田「ティダに負けて無いよー」

P「おかげさまで……」


『    お菓子は二千円までオッケー!

     バ ナ ナ パスー!      』


ゴリ「……」


『『『『   含まれずー!   』』』』


ゴリ「なんでか、なんで俺に向かってバツサイン出したばーッ!?」


『   ホホホイ ホントの本気テンション みんながギョエ〜ってドン引き (エー!)

     そんなに食べちゃマジヤバイったら この世界ってば私だけ!

      全部叶っちゃう 大好き!        』



P「…………」

301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:31:20.69 ID:D6WlPvRyo

―――― ライブ会場・控え室


P「……ちょっと出てます」

小鳥「は、はい……」

ゴリ「はい、差し入れー。エンダー!」

春香「あ……!」

美希「あ……」

貴音「おや」

ゴリ「嬉しそう、ガッカリ、表情読めず……深いなぁ」



『  ナナナイ 内緒のチャンスナイト 今だけ袋詰め放題 (ヤッター!)

    おもちゃもお洋服もありったけ ゲットしろー! (ウォー!)   』



千早「プロデューサーと一緒では……?」

川田「あい? さっきまで一緒にいたのに」

ゴリ「観客側から観てるのかね」

真「……どうして?」

雪歩「いつもここから見守っているのに……」

あずさ「……」

302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:33:10.12 ID:D6WlPvRyo


―――― ライブ会場



『 プププイ ブットび無敵タイム  誰にも邪魔はさせないぞ! (ガオー!)
  
   ヨヨヨイ 世の中おめでてーな  この世界ってば私だけ   』
  

『 や〜だ起きないっ!

   怒られたぁ…    』




ワァァアアアッッ!!



P「…………」



『熱気が凄いさー!』

『伊織ちゃんへの声援ありがとぉ〜!」

『うっうー! この調子でどんどん行きましょー!』

『続いてー…………ぁ』

『どしたのん、真美?』


P「っ!」フルフル


『……あ、えっと……次はなんだっけ?』

『これだよ〜』

『そうそう、最初はL!』

『L……とな?』

『それでー、次はこれ!』

『ふむふむ……O……ですな?』

『と、来たらぁ〜?』

『V.E……LOVE! ラヴ〜!』

『ち、違うわよぉ〜そんなタイトル知らないわぁ〜』

『お、いつもクールな伊織が焦ってるぞ〜!』

『こういうときこそフォローしなきゃダメじゃなぁ〜い、ねっ♪』

『ねっ……といえば、 L・O・B・M ですな!』
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:33:51.11 ID:D6WlPvRyo

『私、この曲で大好きなふれーずがあるの!』

『聞かせてもらおうぞ、やよいー』

『 みんなこの世界の中で、いがみ合わずにいたいよ、
  さあ歌を歌おう、そしたらもっと優しくなれるよ。ってところ!』

『やよいらしいなー、自分、やよいのそういうとこ好きだぞ』

『えへへー』

『そうねぇ、私はぁ』

『おっと、時間切れ。さぁ歌に戻りましょう』

『ちょ、ちょっとぉ、私にも――』


〜♪


『イントロ始まったよん、いおりん』

『スタッフさんも気が利いてて困っちゃうなぁ♪ さぁ、楽しんで行くわよーッ!』

『『『『 おぉー! 』』』』



オオォォォッ!!



P「……」


『 アッ!とね 言わせてみたい
  
    いっぱい愛があふれる  ウットリするような世界創ろう 』


P「ずっと……見て」ホロリ

あずさ「プロデューサーさん」

P「――ッ!」

あずさ「どうして、涙を零していたんですか」

P「少し、感動しちゃっただけですよ」


『 ガッカリするのまだだよ きっとね チャンス来るから
  
   グッドタイミング絶対ある かけてみようよ 』


あずさ「……真美ちゃん、ステージの上から心配しています」

P「う……。少し、隠してください」

あずさ「はい」

P「……情けない」ゴシゴシ

あずさ「…………」

P「もう大丈夫です、あずささんは控え室に戻ってください」


『 サン. ニー. イチ 』

『 アイコンタクトをしようよ それで伝わることがあるハズさ
  
   手をつないで行こうよ  それで迷子にならずに進めるハズだから 』
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:35:26.61 ID:D6WlPvRyo

あずさ「一人では迷子になります」

P「そんなハッキリと……」

あずさ「手を繋いでいれば、大丈夫ですよ」

P「幾ら変装しているからって、これだけの人がいるんですから、そういう発言は――」

ギュ


あずさ「響ちゃん達から目が離せないみたいですから、平気ですね」

P「……あずささん、本当に控えてください」

あずさ「プロデューサーさんの、不安を拭えるかと思って」

P「……さっきの千早といい……社長から聞きましたか……?」

あずさ「いいえ。まだ誰も知りません。誰かさんが話してくれませんから」


『 みんなこの世界の中で いがみ合わずにいたいよ

   さあ この歌を歌おう そしたら もっと優しくなれるよ 』


P「…………」

あずさ「私の不安も無くなりますから、もう少しお願いします」ギュ


『『『 ねっ! 』』』


あずさ「ねっ?」

P「合わせないでください……」


『 さっそく始めてみよう ジッとして待っちゃダメだよ

   スッと立って勇気出して声をかけよう 』


あずさ「……」

P「……なさ…け……ない…………な……」


『 たっぷりパワーたくわえ 小っちゃなこだわり捨てて

   突っ走れ! 愛のために前に進もう! 』


......スタスタスタ

律子「……」


あずさ「……」

P「……」

律子「……」スッ

P「……」

あずさ「……」


律子「……」

スタスタスタ......


P「俺も一応変装しておけってことか……」ポフッ

あずさ「律子さんの帽子ですね」
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:36:59.28 ID:D6WlPvRyo

―――― ライブ会場・控え室


『『『『『 わおーーん!! 』』』』』


ゴリ「…………」

川田「真剣な表情」

ゴリ「……ここまで来たか」

川田「彼はステージを見つめ、そう呟いた」

ゴリ「…………だが、ここで終わりじゃない。ここからやさ」

川田「右手を固く握り締め、決意を新たにする。彼の果てなき挑戦は続く」



P「ドキュメンタリー?」

真「プロデューサーごっこだそうです」

ゴリ「ごっこって言うな、こっちは真面目に撮影してるのに」

真「なにを果てなく挑戦するんですか」

ゴリ「お笑いさー」

真「ライブを見てお笑いの決意を新たにしないでください!」プンスカ

律子「……」ジー

P「……帽子ありがとな、返すよ」

律子「…………」ジィーッ

P「……えっと、お子様チームのラスト曲は……」

あずさ「すいません、律子さん」

律子「本当に、この迷コンビは……!」プンスカ



『亜美は沖縄どうだったー?』

『すんごい楽しかったよー! まさに楽園だよねー!』

『楽園といえば、響さん、ゴリさんから聞いたんですけど、ニラ炒め辛いってなんですか?』

『ニライカナイだぞ……やよい……』

『ふぅん、それはなんなの?』

『……』

『それはね……おっと、今の内に水分補給だぞ真美』

『……あいあいさー! さくっと行ってくるかんね! 先に歌っちゃやだよん!』

『ニライカナイは、桃源郷のことさー』

『トウゲンキョウですかー?』

306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:37:38.31 ID:D6WlPvRyo


あずさ「プロデューサーさん」

P「あ、はい」

真美「兄ちゃん……」

P「研究のために観客側から観ていたんだ」

真美「泣いてたよね……」


千早「――!」

律子「……」

春香「プロデューサーさん……?」


P「恥ずかしいな……。感慨深くなって、油断しただけだ。亜美には内緒――」

亜美「聞いたよん! 寂しがり屋ですな、兄ちゃんは!」

P「それを言うんじゃない!」

真美「……」

P「ほら、二人の元気を観客のみんなに渡して来い! ついでに思いっきり遊んでくるんだ」

亜美真美「「 了解! 」」

タッタッタ


『遥か東の海の底にニライカナイはあるんじゃないかって云われてるさー』

『海の底……竜宮城ですね!』

『そういう説もあるね、やよいは鋭いぞ!』

『沖縄の知識に関しては目を見張るものがあるわね……』

『おっまたっせ〜!』

『エネルギーじゅーでん完了! 飛ばして行くかんね!』

『さぁ、三曲目ですよー!』

『最後、盛り上がっていこうねー!』

『『 私たちずっと…でしょう? 』』



『 本気が見たい?”Ah,an!!” 本音で今日も踊ろう

   指を動かしたら…ちいさく I love you 』



ゴリ「ニライカナイ、全然関係ないや……脈絡が一切無い」

川田「だからよ……」

P「……」
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:38:10.34 ID:D6WlPvRyo


『 上手になれる?”Ah,an!!” 上昇どんどん進もう

   腕は羽みたいに…とおくへFly with you 』


小鳥「プロデューサーさん、寂しがり屋なんですか?」ヒソヒソ

美希「そうなの。昨日の夜に聞いたから間違いないの」ヒソヒソ

真「へぇ……プロデューサーが……」ヒソヒソ

春香「は、初耳です……ちょっと意外です」ヒソヒソ

あずさ「そうでもないんですよ。仕事以外の電話がかかって来ると――」

P「あずささん、あずささん、それ以上はストップですよ。解釈がズレてますから」


『 選ばれてみたい 光のステージ 努力は魅力? がんばれ私! 今!! 』


あずさ「以前、携帯電話は『楽しい事や幸せを運んでくれる窓口』だと……」

P「言ったのはあずささんです。俺ではありません。共感はしましたけど……」

あずさ「春香ちゃん達から電話が来ると嬉しそうにしてました」

P「それだけでは証明になりませんよ。ライブを見ましょう」


『 でしょう?きっと輝いて でしょう?どこまでまでも

   でしょう?夢のはじまりは ふとした偶然でしょう! 』


pipipipipi

P「……なにをしているんだ、春香」

春香「証人になれるかと……」

貴音「春香、時間を置いてもう一度です」

律子「あのね、あんた達……」


『 この憧れはもっと いつまでまでまでも
 
   希望のせて微笑みを届けに行くのでしょう! 』

308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:39:01.62 ID:D6WlPvRyo

――…


『 希望のせて微笑みを届けに行くのでしょう! 』


『 ”Ah,an!!” 』



P「……よし」


『ファンキーノートチームでしたー!』



ワァァァアアア!!



『これにて音楽祭のプログラムを終了! これからファン投票に入りまーす!』



亜美「楽しかったー!」

響「最高だったね!」

やよい「うっうー!」

真美「ずぎゃーんばごーんどかーん!!」

真「お疲れ伊織」

伊織「ストレッチに付き合ってくれたから、なんとか行けたわ。ありがと、真」

真「……」

伊織「……」

真「…………」

伊織「なによ?」

真「伊織が素直にお礼を言った……?」

伊織「……」

千早「真、伊織が少しショックを」

伊織「う、受けて無いわよ!」


『会場を大型ステージに移動し、結果発表、その後アンコールライブとなります!』


ゴリ「ほら」

響「やっぱり店員さんも来てたんだね、見間違いじゃなかったさー」

亜美「oh...ender...」

真美「真美たち……五日続けてだよね……」


やよい「……」

ゴリ「いつも喜んでいたけど、さすがに違うものが食べたいよな、うん……分かる」

やよい「これを食べちゃうと……もう……味わえなくなるんですよね……」

ゴリ「違う落ち込みだったようさぁ」


律子「どこでいただきましょうか」

響「あのビーチへ行こう!」
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:40:13.63 ID:D6WlPvRyo

―――― アラハビーチ


店員「な、なんなんですか? ここ、どこですか?」

ゴリ「いや、知ってるだろ」

店員「そ、そうですけど……どうして私がここにいるんですか?」

P「店長さんにもお礼を伝えてください」

店員「いえ……嬉しい悲鳴を上げてるので、気にしないでくださいと……」

亜美「このオレンジが無いと沖縄に来たって気がしないよね」

真「そこまで浸透しちゃったんだ」

P「嬉しい悲鳴?」

店員「四日続けて来店されてるので、色々と噂が立ちまして……」

P「そ、そうなんですか……」

春香「今回のロケ、結構周ったよね」モグモグ

響「そうだね。もう数えて無いけど」モグモグ

貴音「ぱくぱく」

千早「周った観光地は他にもあるのよね……」

響「そうだぞ。中部のコザ、勝連城。
  北部の比地大滝、辺戸岬、茅打バンタ、タナガーグムイ、安須森御嶽」

千早「あすいむぃ……?」

響「登山になるんだけど、頂上に御嶽があって見晴らしがいいんだぞ。
  茅打バンタも景色が良かったさー」

ゴリ「おまえ、意外と知ってるな……」

響「自分が上京する前に、アニキがドライブに連れてってくれたからね」モグモグ

P「へぇ……」

真美「てながーぐむりはどんなとこ?」

響「タナガーグムイ。滝つぼがあって、そこで泳げるんだぞ。秘境だね」モグモグ

真美「兄ちゃん!」

P「北部か。……残念だけど、無理だ」

真美「もう一泊していけばなんとかなるよ!」

小鳥「なんとかなるけど、もう飛行機の予約取っちゃったから……」

千早「そう……」ズドーン

あずさ「…ですか……」ズドーン

真美「……ですよね」ズドーン

小鳥「悪いことしちゃったみたいで苦しいっ!」ズキズキ

律子「はい、それはまた今度。食べ終わったら戻るわよ」

真美「次はあるの、律っちゃん……」

律子「うっ……軽はずみな言動が人を傷つける……」

P「…………」

あずさ「……」
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:40:48.29 ID:D6WlPvRyo

やよい「おいしぃですー♪」

店員「……うぅ! 友達に話しても信じて貰えないんだろうなぁ……!」

あずさ「うふふ、喜んでくれると嬉しいです〜」

店員「あの、あずさ……さん……」

あずさ「はい?」

店員「響ちゃんを応援しようと思ったのは……あずささんがッ……きっかけなんです……ッ」

あずさ「……?」

店員「『9:02pm』を聴いてッ……たちまちゅファンになって……ッ……それからっ」

ゴリ「落ち着け、落ち着くんだねぇねぇ!」

店員「は、はい!」

ゴリ「ハブが一匹、ハブが二匹……数えて」

店員「……ハブが三匹……ハブが四匹……どうしてハブ?」

春香「ハブはもう嫌……!」フルフル

真「春香、いないから……。どうしてハブに心の傷を持っているんだろう……」

あずさ「私のデビュー曲ですね」

店員「は、はいッ……だから……その曲に出会えたおかげで……響ちゃんを好きになれました……!」

響「ありがとー。えへへ、なんか照れるね」

あずさ「そうですね……」

P「……」

あずさ「なんだか、懐かしいですね、プロデューサーさん」

P「はい」

あずさ「私のデビューが決まって……二人三脚で……たくさんの苦難を乗り越えてきましたね」

P「…………」

伊織「今や、765プロの看板アイドルだからね。驚きよ、ほんと」

あずさ「プロデューサーさんのおかげです」

P「……いえ、俺は幸運だっただけ――」

あずさ「これからも、よろしくお願いしますね」

P「…………」

あずさ「……」

P「最後まで、全力でプロデュースします。みんなも、俺の夢に付き合ってもらうからな!」

亜美「……」

真美「……」

やよい「……」

P「ど、どうして返事をしないんだ……恥ずかしいじゃないか……!」

春香「プロデューサーさん……どうして、最後なんて言うんですか?」

あずさ「……」

P「トップに立てるその日までって意味だ。他意は無い」

貴音「真ですか?」

P「……」
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:41:26.90 ID:D6WlPvRyo

伊織「アンタ、そろそろ限界なんじゃないの?」

P「……なにがだ」

真「ボク達だって、あずささんのようにいつも一緒に居るわけじゃないですけど、わかりますよ」

P「……」

美希「プロデューサーがとっても大切な事を隠してるってこと」

P「…………」

千早「今はまだ、聞きません。午後の私達のライブをみていてください」

P「……」

小鳥「……」

律子「話はその後に。みんな、午後のライブに集中するわよ」

やよい「あ、あの……律子さん!」

律子「どうしたの?」

やよい「ほんとーに、私たち全員がステージに立てるのでしょうか!?」

律子「大丈夫、私とプロデューサーの分析力を信じなさい」

亜美「でも……不安だよー」

真美「……」

響「なんくるないさー」

春香「そうだね、なんとかなるよね!」

律子「そろそろ結果発表ね。みんな、戻るわよ!」


「「「 はいっ! 」」」


あずさ「プロデューサーさん、私の決心。聞いてくださいね」

P「…………わかりました」

312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:41:52.99 ID:D6WlPvRyo


響「あれ、店員さんは?」

ゴリ「先に会場に戻ったさ」

響「?」

ゴリ「あーぁ、ファンに気を遣わせてー」

川田「だからよー」

響「むぅー!」

あずさ「あの……」

ゴリ「なんね?」

あずさ「ライブ後の観光地はどこへ……?」

ゴリ「それはよ――」

響「神々が住む神秘の島。そこに行くんだぞ!」

あずさ「では、そこが最終地点ですね」

響「そうさー! 行こう、あずささん!」

あずさ「うふふ、少し緊張してきました」

スタスタスタ


ゴリ「俺に聞いたんじゃないば……」

川田「もぐもぐ」

P「…………」

313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:43:10.06 ID:D6WlPvRyo

―――― 北谷・陸上競技場


『 ハローエブリバディ! それではお待ちかね! 
  今回のファン投票の結果、アンコールライブの出場者五組を発表するぜ!!ヒュー! 』


『 この5日間で、みんなが最も愛した、最高にホットなアイドルは…………? 』


雪歩「ぅ……〜っ」


『 765PRO ALLSTARS! ブラボー! 』


雪歩「よ、よかったぁ……」グスッ

律子「出場が決まっただけじゃない。本番はこれからよ、雪歩!」

雪歩「は、はい!」

亜美「こ、こんな大規模なんて聞いて無いよー!」

真美「真美も聞いて無いよー、知ってたけどー!」

亜美「真美知ってたの!?」

真美「だって、資料にあったよ?」

真「目を通してなかったんだね、亜美……」

伊織「まぁ、去年よりは小さいけど、悪く無いわ」

貴音「静かな闘志を燃やしていますね、千早」

千早「……はい」

やよい「うぅー! むしゃぶるいですー!」ブルブル

春香「頼もしいよやよい!」

美希「ミキもやってやるの!」

律子「それじゃ、急いで着替えるわよー」

あずさ「うふふ、行ってきますね」

P「はい……」

ゴリ「わったー観客席に行って来ようなー」

川田「後でな、プロデューサー」

P「……はい」

ゴリ「どうした?」

P「雛鳥の巣立ちを見送る親鳥のような……そんな気分です」

ゴリ「あんたも覚悟を決めないとね」

P「ゴリさん……どうして知っているんですか?」

ゴリ「いや、知らんよ。ただ、あんたがまとめに入ってるから、なんとなくさー」

P「みんなにもそれを気付かせてしまったんですね……」

ゴリ「違うだろ。俺は人生経験みたいなもん。あの子たちは……わからん」

P「……」

ゴリ「むるかんげーするな。素直に受け取ればいいだけさー」

P「…………」
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:44:30.77 ID:D6WlPvRyo

―――― 舞台袖


P「……」

律子「一曲目はあずささん、真、響、貴音、千早。二曲目から全員ね」

伊織「無難な選曲な気がしないでもないけど……」

あずさ「素敵な曲目ですよ〜」

伊織「それは分かるわよ……」


スタッフ「スタンバイお願いしまーす」


P「あ、はーい!」

真「それじゃ、あずささん、いつものアレを」

あずさ「アレ?」

春香「コレですよ!」


スッ


あずさ「はいはい〜」

亜美「メラッてきたよー!」

真美「うーし、やってやろうじゃんかー」

やよい「うぅー!」

伊織「……通過点に過ぎないけど、手を抜くつもりは無いわ」

雪歩「よ、よぉし!」

真「バシッと決めてやりますよー!」

響「負けないぞー!」

千早「……ふふ」

あずさ「それでは〜、765プロ〜〜!」

貴音「……?」

あずさ「ファイトォ〜!」


あずさ「おぉ〜〜」

一同「……」


あずさ「あら」

真「あの、あずささん。いつもの気迫はどこへ……?」

あずさ「そうですか? いつもと同じだと思いますが……」

伊織「ちょっと! デビューした時に戻ってるじゃないの! プロデューサー!」

P「いや、俺に言われてもな……」

響「えっと、どうするんだ?」

あずさ「それでは、もう一度〜、765プロ〜〜!」

春香「ファイトーッ!」


「「「 おーっ!! 」」」

315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:45:00.98 ID:D6WlPvRyo

P「あずささん! 真! 響! 貴音! 千早!」

「「「 はいっ! 」」」

タッタッタ


律子「ふぅ……空気読めてないのが逆に空気を読んでて……助かったかな」

春香「え……」



『みなさんこんにちは〜』

『こんにちはー!』

『はいさーい!』

『……』



\  ワァァァアアア! /



『あらあら、凄い歓声……うふふ』

『あずさ……?』

『ちょ、ちょっとあずささんどこへ行くんですか!』

『舞台を通りこしちゃダメだぞー!』


P「あぁ……それをまた見るなんて……」

やよい「また、ですか?」

P「あずささんの最初のステージ、緊張しすぎて同じことしたんだ……」

亜美真美「「 あはははっ 」」

P「笑い事じゃないんだが……」

律子「さっきの掛け声といい、今のあずささん、少し変ですね……」

伊織「なにか、あるわね」キラン

美希「でこちゃんのおでこが光ったの!」

伊織「鋭い目が光ったのよ!」


『三浦あずさと申します〜』

『菊池真ですッ!』

『我那覇響だぞー!』

『四条貴音』

『如月千早です』

『それでは、さっそく。一曲目ですね〜』

『響、曲紹介よろしくね!』

『まかちょーけー! それじゃーみんな、行くよー!』



『 THE IDOLM@STER !! 』


316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:45:28.50 ID:D6WlPvRyo


※ ― あずさ ― ※



※ ― あずさ ― ※

317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:46:33.49 ID:D6WlPvRyo


―――― 那覇空港



「「「 ありがとうございましたっ! 」」」

運転手「私も無事に仕事を全うできて良かったと思います。お気をつけて」

響「本当に、ありがとね!」

運転手「いつも、お土産を持ってきてくれたこと、とても嬉しかったですよ」

響「えへへ、それじゃー、バイバーイ!」

P「ありがとうございました!」

運転手「はい。それでは、さようなら」

318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:48:06.19 ID:D6WlPvRyo


ダダダダッ

伊織「な、なんで私達はいつも全力疾走してるのよ……ッ!」

あずさ「私が……っ……しるみちゅに行きたいって言ったから」

やよい「で、でも、私は……た、楽しいかなーって……」

真「乗り遅れるー!」

響「楽しいけど、体が重いぞ……!」

亜美「兄ちゃんおんぶしてー!」

P「無理だー」

美希「もぅ! のんびりしたいのー!」

律子「小鳥さん発見!」

真美「ピヨちゃーん!」


小鳥「あ、あのっ、みんな落ち着いて!」


P「そうだな、落ち着いて搭乗口へ向かおう」

貴音「周りの目もあります。わたくし達はあいどるなのですから」

小鳥「そ、そういうわけじゃなくてっ」

律子「やよいストップ! 航空券を小鳥さんから受け取って!」

やよい「あ、そうでしたねー!」

亜美「はい、姉ちゃん」

検査員「はい、通ってください」

亜美「ピーッ!!」

検査員「?」

亜美「えっと、亜美は何に引っかかったのかな?」

真美「大人へのパスポートを持ってないからだよ」

亜美「それじゃ帰れないね……亜美、まだ子供でいたいもん」

検査員「えっと……」

ゴリ「検査員のねぇねぇが困ってるだろ! 早く行け!」

真美「そんなに怒んなくても……」

亜美「あれ、ゴリーは行かないの?」

川田「俺達は明日の便で帰るからな」

伊織「ここでお別れなのね」

ゴリ「残念……残念さぁ……」

伊織「心底嬉しそうねっ」ゲシッ

ゴリ「あがひゃ」
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:49:17.86 ID:D6WlPvRyo

やよい「ゴリさん、川田さん、ありがとうございましたぁ!」ウィング

ゴリ「あんたは本当に、765プロのオアシスだね」

川田「違いない」

千早「……それでは」

ゴリ「静かなねぇねぇも、あの子を見習って、胸に秘めた小さな――」

千早「きゃっ、遠心力で荷物の自由が利かないっ」ブンッ

川田「あぶなっ!?」サッ


ドス


ゴリ「あ…がぁ……」

千早「……すいません。失礼します」

スタスタスタ


ゴリ「え、765プロぉ……」

P「ありがとうございましたゴリさんっ!」

貴音「小鳥嬢、わたくし達も急ぎましょう」

小鳥「そ、そうなんだけど」

律子「ほら、真も挨拶して」

真「あ、そうでした。ゴリさん、山下さん。お疲れ様でした!」

ゴリ「はい、お疲れ」

川田「山下って誰か……俺の変わりにその山下が視えているのか……?」

貴音「面妖なっ」

タッタッタ


『 ピーッピーッ! 』

貴音「はて?」


律子「引っかかった……。それでは、また」

ゴリ「はいはい、お元気で」

雪歩「あの、これをどうぞ」

ゴリ「……」

雪歩「ま、また仕事ができる日を楽しみにしていますっ」

ゴリ「…………」

雪歩「ゴリラちゃん」

ゴリ「このバナナ握り潰してやろうか!?」

川田「粗末にするな」モグモグ

ゴリ「食べるな!」
320 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:50:34.89 ID:D6WlPvRyo

春香「ゴリさん、私……ゴリさんに教えてもらった受け身を忘れませんっ」

ゴリ「アドバイスするけど、あれを使うなよ、日常で」

春香「え……それじゃ、教えてもらった意味が」

ゴリ「だから、転ばないようにしろって言ったさ」

春香「えぇー……」

ゴリ「……俺は悪くないよ」

あずさ「あの、色々とありがとうございました」

ゴリ「なにもしてんさ。ねぇねぇも頑張ってな」

あずさ「はいはい、頑張ります〜」

ゴリ「気になってたけど、なんで二回返事するば?」

あずさ「?」

P「ねぇねぇ」

あずさ「はいはい?」

P「ねぇ」

あずさ「はい?」

P「です」

ゴリ「……おっけ。謎が解けた」

響「ゴリ衛門……」

ゴリ「……なにか」

響「自分……とっても楽しかったぞ」

ゴリ「……」

響「ゴリ衛門…………本当は嫌だったの……?」

ゴリ「……なんでよ?」

響「だって……いつも困ってたから……」

ゴリ「大変だったけど、楽しかったさ」

響「……そっか……よかった」

ゴリ「早く行かないと乗り遅れるだろ」

響「じゃあ、第二弾だね」

ゴリ「……なにが第二弾よ?」

響「沖縄ロケだぞゴリ衛門!」

ゴリ「はぁ!?」
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:51:02.76 ID:D6WlPvRyo

響「まだまだ行ってないところあるから楽しみさー! じゃあねー!」

ゴリ「ふざけ…るなー……」

小鳥「そ、それじゃ失礼しますッ!」

ゴリ「……」

川田「じゃあね〜」

P「お二人には、本当にお世話になりました」

ゴリ「本当にな! 迷惑とは言わないけどよ! ……迷惑やっさ!」

川田「それしか言えん」

P「俺も、沖縄に来れて良かったです」

ゴリ「それを言ってくれたら、嬉しいさ。ちばりよー、プロデューサー」

川田「ちばりよー」

P「はい。頑張ります。なんくるないさーですよね」

ゴリ川田「「 やさ 」」

P「それでは、また」

ゴリ「おう」

川田「じゃあね」


「バイバーイ、ゴリ衛門!」

322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:51:31.04 ID:D6WlPvRyo

―――― 那覇空港・屋上



ビューン



ゴリ「あの飛行機だな……」

川田「あぁ……」

ゴリ「大変だったけど」

川田「大変だったな」

ゴリ「大変だったという思い出しか残ってない」

川田「俺達も帰るか」

323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:51:58.14 ID:D6WlPvRyo


―――― 那覇空港・カウンター



スタッフ「はい、どうぞ」

ゴリ「ありがとうねー」

スタッフ「ゴリさん嬉しそうですね」

ゴリ「あ、分かるね? 人って嬉しいと顔に出るもんだねー」

スタッフ「いいことでも?」

ゴリ「今のこの自由な時間がいいことさー。人間は自由が一番だよな。じゃあね!」

スタッフ「お気をつけて」

324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:52:49.40 ID:D6WlPvRyo

―――― 那覇空港・手荷物検査


検査員「はい、どうぞ」

ゴリ「ありがとね!」

検査員「ゴリさん、765プロの方と仲が良いんですね」

ゴリ「知らないよ。俺は765プロなんて知らないよ」

検査員「はぁ……そうですか……?」

川田「早く帰ってゆっくりしたいさぁ」

325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:54:09.36 ID:D6WlPvRyo

―――― 那覇空港・東京行き搭乗口


ゴリ「東京まで一休みするかぁ……」

川田「そうだな……疲れが溜まってる」

ゴリ「この疲れ、半端な――」


伊織「まったく……早くシャワーを浴びたいわね」


ゴリ伊織「「 …… 」」


ゴリ「キジムナー!」

伊織「なんでここにいるのよ!」

川田「……」スゥ


ゴリ「東京行きの飛行機に乗っただろ!?」

伊織「誰がキジムナー……ははぁん……あんた達、次の便で帰るのねぇ」

ゴリ「違う、ちょっと友達の見送りでよ……じゃあな」

伊織「亜美ー、真美ー、響ー! ゴリラのおもちゃがあるわよー!」

ゴリ「呼ぶな!」

響「ゴリ衛門……?」

亜美真美「「 ゴリー! 」」

ゴリ「ニテル、ヨクイワレル。ブラジルカラキタ。ハジメマシテ、サヨウナラ」

亜美「もう兄ちゃんに負担かけられないから、丁度よかったよー! ジャブ」バシッ

真美「いえーい」バシッ

ゴリ「ボウリョクイクナイ。ニンゲンコワイ」

貴音「やはり、人類では無いと……面妖な」

春香「あれ……?」

やよい「どうしてここにいるのかな?」

伊織「時間をわざとずらしたんでしょ。小鳥のドジでそれが無意味になったけど」

千早「……ふぅ」

小鳥「本当に、ごめんなさい」シクシク

律子「いえ、ホウレンソウを怠ってた私にも責任はありますし」

あずさ「プロデューサーさん、もう一度、ねぇねぇと呼んでみてください」

P「な、なぜですか……」

あずさ「新鮮でしたから、もう一度だけですよ」

P「さ、さっきも言ったじゃないですか」


店員「はい、月見ソバです!」

川田「ありがとね! いただきまーす」


雪歩「なんだか、ゴリラちゃんの顔色が……」

真「雪歩失礼だよ……でも、ゴリって名前だからいいのかな?」

美希「意味は同じだから、たいして変わらないの」
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 18:54:37.71 ID:D6WlPvRyo


響「ゴリ衛門、大変だな」

ゴリ「お前に関わったばかりによ……」

響「酷いぞ、ゴリ衛門!」

ゴリ「765プロ……もういやだ……!」






End

327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/15(金) 19:12:19.10 ID:D6WlPvRyo

ようやく終わりました。


本スレの足りない部分は以下のスレで補足しています。
煩わしい思いをさせたこと、誠に申し訳ありません。

あずさ「約束を」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1357300955/


少しずつ前作「嘘つき」の補足をして行こうと思ったら、思いのほか身動きできず、
両方とも中途半端な出来になってしまいました。とても悔やまれます。

読んでくださった方、ありがとうございました!
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/16(土) 16:56:42.90 ID:EeAu9ZZ5o
乙!
出来れば完全版が読みたいかなーって
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/17(日) 23:16:43.58 ID:H1WPBXuto
おぉ、反応ありがとうございます。

出来れば、自分でも書いてみたいと思うんですけど、「嘘つき」シリーズのあずささんはもう書けません。
主人公なのになぜかとても動かすのが難しかった……。

書き直ししたい部分は沢山あるんですけど、それをやるなら新しく書いたほうが楽しいかなって思います。
すいません。




美希「忘れてた想い出のように」   ― プロローグ・前編
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1359217722/

春香「これからのきみとぼくのうた」 ― プロローグ・後編
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1363397719/


あずさ「嘘つき」          ― 本編
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1353412950/


あずさ「約束を」          ― 補足編
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1357300955/

娘「アイドル人生、スタートです!」 ― 完結編(未投下)


本当に、全作読んでくれている人には感謝の気持ちがいっぱいです。
普遍的で特別な作品でもないのに付き合ってくれてありがたいです。

娘編を終わらせて、プロデューサーの未来を円満にするんだ俺……
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/19(火) 14:37:04.87 ID:qAHgj5CSO
乙!

完結記念age
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