男「しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃん」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 ：Ryu ：2012/12/24(月) 23:58:32.30 ID:t4pCuK610

男「しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃん」

男「しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃん」

侍「すまぬがそこの御仁」

男「なんでしょうか？」ﾋﾟﾀｯ

侍「面妖な格好をしているな」

男「そうでしょうか」

侍「もしや異国の者か」


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2 ：Ryu ：2012/12/24(月) 23:59:06.93 ID:t4pCuK610

男「そうですね」

侍「まぁそれは良い、それよりも傘を持ってはおらぬか？」

男「傘ですか」

男「ポケットに飴ならありますよ」

侍「雨とな、お主は拙者を謀っておるのではあるまいな」ﾁｬｷ

侍「今、拙者はころりのせいで気分が悪い」ｽｩｩ

侍「ころりで妻も二人の子も死んだ」ｷﾝ

侍「その雨を拙者に見せてみろ」

侍「あのような水の数がお主の小さな袋に入るとは思えぬ」ｶｯﾁｬ

3 ：Ryu ：2012/12/24(月) 23:59:39.01 ID:t4pCuK610

侍「見せろ、切るぞ」ﾁｭｷ

男「解りました」

男「ただ一つ、その前に」

侍「なんだ、いまさら怖くなったのか」

男「ころりで死んだのはいつですか？」

侍「知らぬ」

男「解りました」ｽｯ

男「では、どうぞ飴です」

4 ：Ryu ：2012/12/25(火) 00:06:17.16 ID:DtkouIdv0

侍「これはなんだ、光るな・・・」

男「きれいでしょう」

侍「金剛石の類かなにかか？」

男「食べてみれば解るでしょう」

侍「これを食べろと」

侍「やはりお主、拙者を謀っておるな」

男「僕には、そんなことを考える脳はありません」

侍「僕とやら、その飴をたべろと」

男「そうですそれが飴です」

5 ：Ryu ：2012/12/25(火) 00:07:10.38 ID:DtkouIdv0

侍「ふむ、ならば」ﾋｮｲ

侍「見聞を広めるのもよいであろう」ﾊﾟｸ

侍「甘いな」

男「でしょう、それが飴です」

侍「気に入った」

侍「お主に問おう」

男「なんでしょう？」

侍「拙者の右腕の愛刀の錆がよいか、持っているものを置いて行くか」

男「雨です」

侍「どうした」

6 ：Ryu ：2012/12/25(火) 00:07:50.40 ID:DtkouIdv0

男「しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃん」

侍「歌い始めおって、何事だ」

男「しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃん」

侍「さてはお主逃げようとしているのではあるまいな」ﾁｬｷ

侍「悪いが拙者はこれでも一流だ、畦に死体がころがる」

男「今がいつだか解りますか？」

侍「知らぬ」

侍「面妖なやつだ、よもやお主物の怪の類ではあるまいな」

男「今はいつでしょうね」

7 ：Ryu ：2012/12/25(火) 00:08:17.85 ID:DtkouIdv0

侍「」ﾊﾞﾀｯ

男「飴に毒はまずいですよね」

男「飴はオレンジ味が好きです」ｽﾀ

男「さて、早く先に進むか」ﾃｸﾃｸ

男「なぜあの人は死んだんだ」ﾃｸﾃｸ

男「毒の入ったまずい飴なのに、まずいだけなのに」ﾃｸﾃｸ

女「あのぅ」

男「なんでしょうか？」

女「すいませんが飴を知りませんか？」

8 ：Ryu ：2012/12/25(火) 00:08:53.48 ID:DtkouIdv0

男「飴ですか」

女「はい、雨が降りその飴ができるという飴です」

男「雨飴でしょうか？」

女「はいおそらく」

女「なにせ私たちの国では雨が降りその飴ができるという飴としか言わないもので」

男「そうですか、ですが今雨は降っています」

女「お互い濡れていますね」

男「濡れるのはあなたです」

男「この飴をあげます、きっとおいしいですよ」

女「そうですか」

9 ：Ryu ：2012/12/25(火) 00:09:30.33 ID:DtkouIdv0

男「はい、さっき会ったお侍さんも濡れずに舐めていました」

女「はぁ、そうですか」

男「なにせ、天にも昇る味ですね」

女「そんなにおいしいんですか？」

男「いえ、まずいです」

女「ならなぜ天にも昇るような味と？」

男「たぶん、そうなのではないのかと」

男「まぁ、食べれば解りますよ」

女「そうですよね」

男「そうですよ・・あっ」

女「どうされました？」

10 ：Ryu ：2012/12/25(火) 00:10:08.48 ID:DtkouIdv0

男「傘はありませんか？」

女「生憎、この降りしきる雨を小屋の陰でしのぐ始末で」

男「では、なぜ濡れているのですか？」

女「小屋の陰では限界があります」

男「ならその濡れ衣は捨てなさい」

女「解りました」

男「ころりはすぐ雨が洗い流します」

女「そうですか」

男「飴でも舐めて落ち着いてください」

女「そうしますね」

男「では、私はこれで」

女「また、お会いしましょうね」

男「はい」ｽﾀｽﾀ

男「では少し急ぎ足で向かうとしますか」ﾀﾞｯ

11 ：Ryu ：2012/12/25(火) 00:11:05.58 ID:DtkouIdv0

警官「ちょっと待ちなさい」

男「はい、なんでしょう」

警官「いやね、ここらへんで殺人事件が起きて」

男「殺人事件ですか」

警官「そうなんだよ、それで君なにか不審な人物は見かけていないかな」

男「わかりません」

警官「そうか、そうか」

警官「ならいいんだ」

男「そうですか」

警官「あっそれと」

12 ：Ryu ：2012/12/25(火) 00:11:32.17 ID:DtkouIdv0

男「またなにか？」

警官「個人的なことで悪いんだけどいいかな？」

男「僕にこたえられる範囲であれば」

警官「しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃんって歌聞いたことあるかい？」

男「はい、少しなら」

警官「その続きってわかるかな」

男「知りません」

警官「そうか、いやごめんね引きとめちゃって」

警官「では、本官はこれにて」

13 ：Ryu ：2012/12/25(火) 00:11:59.30 ID:DtkouIdv0

男「あっ待ってください」

警官「なにかな？」

男「お仕事ご苦労様です、飴でもいかがですか？」

警官「おお、ありがとう」

男「お仕事がんばってくださいね」

警官「では」ﾀｯﾀｯﾀ

男「服が濡れていて重そうだ」

男「あと少しですね」ﾃｸﾃｸ

男「着きましたか」

14 ：Ryu ：2012/12/25(火) 00:12:56.27 ID:DtkouIdv0

男「こんにちは」

子供「こんにちは」

男「はじめまして」

子供「はじめまして」

男「突然ですが飴は要りませんか？」

子供「要りません」

男「そうですか、解りました」

男「私の仕事の引き継ぎお願いしますね」

子供「ところで、少しいいですか？」

男「はい、なんでしょう？」

15 ：Ryu ：2012/12/25(火) 00:13:25.38 ID:DtkouIdv0

子供「死神さんはなんで僕の周りにいるの？」

男「死神という仕事の引き継ぎを探していたのです」

子供「じゃあなんでお父さんを侍にしたのですか？」

男「あなたに包丁を向ける姿が堂に入っていたので」

子供「じゃあなんでお母さんは女なの？」

男「あの方は常に女の顔をしていたからです」

子供「お兄ちゃんはなんで警官なの？」

男「まるで正義の様に二人を睨んでいたからです」

子供「そうですか」

16 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします ：2012/12/25(火) 00:14:06.98 ID:DtkouIdv0

子供「僕は死にました」

子供「任せてください、立派に仕事をこなして見せます」

男「ほぅ、それはこちらとしても嬉しいですね」

子供「では、仕事をしますね」

男「はいはい」

子供「ここに飴があります」

子供「天にも昇るようなまずい雨です」

子供「お一ついかがですか、愛人さん」

男「一つもらいましょうか」

子供「舐めれば消えます」

子供「しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃん」

子供「しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃん」

17 ：Ryu ：2012/12/25(火) 00:17:32.76 ID:DtkouIdv0

これで終わりです。
最後に完とか了と付けるのを忘れちゃいました。

それと口調がちょくちょく変わりますが仕様ですので悪しからず。

18 ：VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]：2012/12/25(火) 00:33:16.82 ID:FHcnR2+Go

どういうことだってばよ