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王子「……装備出来ない?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆1ssURPZiGoT5 [saga]:2012/12/26(水) 03:50:17.49 ID:DHZ6mpaPo
国王「……お前もか」

王子「何でだ? 壊れてるのか?」

国王「ふむ……」

考古学者「…………」

王子「おい、学者」

考古学者「……はい」

王子「この剣、本物かよ?」

考古学者「……はい。おそらく」


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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 03:53:19.38 ID:DHZ6mpaPo
国王「では、やはり壊れておるのか?」

考古学者「……いいえ。それは違うかと」

王子「じゃあ、何か呪いとか?」

考古学者「……それも違うと思われます」

国王「ふむ……」

考古学者「…………」

王子「なぁ、学者」

考古学者「……はい」

王子「お前は、この剣を装備出来るのか?」

考古学者「……いいえ。私に装備出来るはずがありません」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 03:55:15.07 ID:DHZ6mpaPo
王子「そうか……」

国王「ふむ……」

考古学者「…………」

王子「なぁ、学者」

考古学者「……はい」

王子「お前、何でか知ってるだろ?」

国王「むっ? そうなのか?」

考古学者「…………」

王子「知ってるだろ?」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 03:58:23.75 ID:DHZ6mpaPo
考古学者「…………」

国王「学者よ。何故、何も言わぬ?」

考古学者「…………」

国王「おい、学者」

考古学者「…………」

王子「…………」

考古学者「…………」

王子「ほらよ。学者」

考古学者「……これは?」

王子「ハンカチだ。汗ふけよ」

考古学者「……王子……様」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 04:00:52.77 ID:DHZ6mpaPo
王子「…………」

考古学者「…………」

国王「……何故言わぬ。何か不都合でもあるのか?」

考古学者「…………」

王子「無いなら、こんな事しねぇよな。学者」

考古学者「…………」

国王「学者よ……」

考古学者「……私の……」

国王「むっ?」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 04:09:53.04 ID:DHZ6mpaPo
考古学者「……私の、身の安全を保証して下さいますか?」

国王「おぅ、言う気になったか?」

考古学者「……身の安全を、保証していただけるなら……」

王子「……身の安全?」

国王「うむ、よいぞ。保証してやろう」

王子「……だとよ。良かったな、学者」

考古学者「……はい。ありがとうございます。国王様。王子様……」

国王「うむ」

王子「…………」

………………
…………
……
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 04:15:43.18 ID:DHZ6mpaPo
……少し前……

━━歴史と伝統だけが売りの小さな国の兵士訓練所━━

王子「ハァッ!」

ドカッ

兵士A「ぐわっ!」

ドサッ……

王子「……次。お前」

兵士B「はい!」

王子「だぁーっ!」

ボコッ

兵士B「うがっ!」

ドサッ……
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 04:17:47.01 ID:DHZ6mpaPo
王子「おいおい。弱いなぁ……」

兵士C「いいえ。王子が強すぎるんですよ」

王子「うむ。それは認める」

兵士C「…………」

王子「しかし、これじゃあ俺様の訓練にならんぞ」

兵士A「うぅっ……。面目無いです……」

王子「ふぅ……」

兵士B「あの……。王子ぃ……」

王子「おぅ。何だ?」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 04:20:42.29 ID:DHZ6mpaPo
兵士B「ハンデつけて下さいよ」

王子「あ? ハンデ?」

兵士B「はい。実力が違いすぎますよ。ライオンとゾウリムシくらい差がありますよ」

王子「情けない事言うなぁ。プライド無いのか?」

兵士B「事実ですし……」

王子「ふぅ……」

兵士C「でも、確かにこのままでは、王子の訓練には……」

王子「……うーむ」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 04:24:09.36 ID:DHZ6mpaPo
兵士A「王子ぃ。今のままじゃ、ただの虐めですよぉ……」

王子「おい。人聞きの悪い」

兵士B「でも実際に、我々サンドバッグですし」

兵士C「どうしますか? 王子」

王子「仕方ないな。サービスしてやるか」

兵士A「え? マジですか?」

王子「あぁ。感謝しろよ」

兵士A「はい。王子!」

兵士B「さすがです! 王子!」

王子「……ふっ」

兵士C「…………」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 04:28:49.38 ID:DHZ6mpaPo
王子「……それで、ハンデの内容はどうするんだ?」

兵士C「うーん……。そうですね……」

兵士A「とりあえず、王子は丸腰でどうですか」

王子「は? 丸腰?」

兵士C「そうですね。いいかも知れません」

王子「おい。丸腰って……」

兵士B「大丈夫ですよ」

王子「あぁ?」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 04:33:05.91 ID:DHZ6mpaPo
兵士B「ほら。王子の鍛えぬかれた拳は、既に凶器ですし」

王子「うっ、うむ……」

兵士A「そうですよ。王子は、素手でも充分に強いんですよ」

王子「……ふむ。まぁ、そうだよな」

兵士C「はい。では丸腰で決まりですね?」

王子「おぅ。決まりだ」

兵士C「わかりました」

兵士A「ありがとうございます。王子」

兵士B「ありがとうございます」

王子「うむ」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 04:38:45.49 ID:DHZ6mpaPo
兵士C「それでは、王子が丸腰で……」

王子「うむ」

兵士C「こちらは……。兵士Aが竹刀で……」

兵士A「はい!」

兵士C「よろしいですね?」

王子「おぅ」

兵士C「では……」

王子「よし。始めるぞ、兵士A」

兵士A「……うーん。王子、ちょっと待って下さい」

王子「ん?」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 04:42:12.81 ID:DHZ6mpaPo
兵士A「あの……。もうちょっとだけ、ハンデもらえませんかね?」

王子「……あぁ?」

兵士A「ほら。王子は、めっちゃくちゃ強いですよね?」

王子「……うむ。俺様は、めっちゃくちゃ強いぞ」

兵士A「だから、もうちょっとハンデ下さい」

王子「……うむ。まぁ、かまわんが……」

兵士A「え? マジですか?」

王子「あぁ、特別サービスだ。感謝しろよ」

兵士A「はい、ありがとうございます。王子」

兵士B「さすがですね。王子」

王子「……うむ」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 04:45:16.14 ID:DHZ6mpaPo
兵士C「それでは、ハンデの追加ですが……」

王子「何を追加するんだ? 兵士A」

兵士A「人数でお願いします」

王子「人数?」

兵士A「はい。挑戦者は、タッグを組むって事でどうですか?」

兵士C「ふむ。いいかも知れませんね」

王子「……つまり、二対一って事か?」

兵士A「はい。そうです」

兵士B「なるほど。では二人目は私が」

王子「…………」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 04:52:24.01 ID:DHZ6mpaPo
兵士B「お手柔らかに願いますよ。王子」

王子「……うっ、うーむ……」

兵士C「どうなされました? 王子」

王子「……ソレ、ちょっと厳しくね?」

兵士C「…………」

兵士B「大丈夫ですよ」

王子「あ?」

兵士A「はい、大丈夫ですよ。ほら、王子はバリバリ滅茶苦茶強いですから」

王子「……うっ、うむ。確かに、俺様はバリバリ滅茶苦茶強いが……」

兵士C「それでは王子は丸腰で、さらに挑戦者はタッグチームと言う事でよろしいですか?」

王子「……うっ、うむ。かまわんぞ。来い!」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 04:56:53.45 ID:DHZ6mpaPo
兵士C「では、その条件で始めましょう」

王子「うむ。さぁ、かかってこい!」

兵士A「……うーん」

兵士B「……うーむ」

王子「ん? 今度はどうした?」

兵士A「いや、えーと。あのですねぇ……」

兵士B「ほら、ぶっちゃけ王子は、超絶バリバリ無茶苦茶ウルトラスゲー強いですよね?」

王子「……あぁ。俺様は、超絶バリバリ無茶苦茶ウルトラスゲー強いぞ。それがどうした?」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 04:59:18.54 ID:DHZ6mpaPo
兵士A「あははっ。そこでですねぇ……」

兵士B「えぇ。ここはですねぇ……」

王子「あ?」

兵士C「……なるほど。防具ですか……」

王子「……うっ、うむ?」

………………
…………
……
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 05:03:45.86 ID:DHZ6mpaPo
━━数分後━━

女僧侶「……ねぇ。女戦士」

女戦士「何ですか? 女僧侶」

女僧侶「……あれ。何に見える?」

女戦士「…………」

女僧侶「……私には、下着姿の王子様が……」

女戦士「……訓練所で、兵士達にフルボッコにされてるように見えますね?」

女僧侶「……うん。そう見える」

女戦士「…………」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 05:07:46.19 ID:DHZ6mpaPo
女僧侶「……女戦士?」

女戦士「あぁ……あっ……あ……」

女僧侶「……女……戦士?」

女戦士「あっ、あんたら! 王子様に何をやってるんですかぁ!!」

兵士ABC「「あっ!?」」

女僧侶「……殺しちゃダメだよ? ……女戦士」

女戦士「ぬがぁぁぁああああああーっ!!」

ドガガガガ ゴゴゴゴゴ ドガッ バキッ

兵士ABC「「ぐっ、ぐわぁぁあああーっ!」」

女僧侶「……あぁ……」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 05:12:32.18 ID:DHZ6mpaPo
女戦士「王子様! 王子様! 王子様ーっ!」

王子「……うぅっ? ……女……戦士?」

女戦士「何ですかコレ? 反乱ですか? クーデターですか? まさかの乱交プレイですか? なんで王子は裸なんですか? ちゃんと説明してくりゃさい!」

女僧侶「……女戦士///」

王子「……おい。……おちつけ」

女戦士「無理です! それは無理です! 目の前に裸の王子様です! これで落ちついてたら女じゃないです!」

王子「……なら死んでくれ」

女戦士「もっと無理です! 無茶言わんで下さい!」

王子「……はぁ……」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 05:18:38.27 ID:DHZ6mpaPo
女僧侶「……あの、王子様。これは?」

王子「あぁ、女僧侶か。これは、ただ……」

女僧侶「……はい」

女戦士「えーと。とりあえず、コイツら殺しますね」

女僧侶「……あっ?」

兵士ABC「「ちょっ!?」」

女戦士「反逆者は死刑ですよね? 今すぐ死刑ですよね? 裁判なんかいりませんよね? 王子を裸にひんむいたら死刑ですよね?」

兵士ABC「「うぎゃぁぁああーっ!!」」

王子「おい……」

女僧侶「……あぁ……」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 05:26:20.26 ID:DHZ6mpaPo
王子「……すまん、女僧侶」

女僧侶「……はい?」

王子「女戦士を止めてくれ……」

女戦士「オラオラオラオラオラ! よくも私の王子様をぉぉおお! 塵になれい!!」

兵士ABC「「ぬわぁぁあああああーっ!?」」

女僧侶「……王子様。それは、とても難しい……」

兵士ABC「「ひぎゃぁぁああああーっ!?」」

王子「……頼む。死人が出る前に……」

女僧侶「……はい……」

………………
…………
……
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 05:28:41.67 ID:DHZ6mpaPo
女戦士「フーッ! フーッ! うがーっ!」

女僧侶「……どうどう、どうどう」

女戦士「フーッ!」

女僧侶「……どうどう、どうどう。もう大丈夫」

王子「ごくろうさん」

女僧侶「……はい」

女戦士「うがーっ!」

王子「やかましいわ」

ボカッ

女戦士「あはん///」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 05:32:56.62 ID:DHZ6mpaPo
兵士ABC「「うぅぅ……」」

女僧侶「……全員、まだ生きてます」

王子「あぁ、よくやった。さすがだな」

女僧侶「…………」

王子「ん? どうした?」

女僧侶「…………あの///」

王子「ん?」

女僧侶「……あの、……服を、着て下さい///」

王子「……すまん」

女戦士「フーッ///」

王子「こっちみんな!」

パコーン

女戦士「あふん///」

………………
…………
……
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 05:50:56.40 ID:DHZ6mpaPo
王子「……終ったぞ。痴女の目隠し外してやれ」

女僧侶「……はい」

モソモソ

女戦士「……うぅっ、なんで私だけ?」

女僧侶「……信頼度の差」

女戦士「私も側近なのに……」

王子「(クビにしたろか)」

女僧侶「……王子様?」

王子「……お前は問題ない」

女僧侶「……?」

女戦士「……え?」

王子「ふぅ……」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 05:52:41.53 ID:DHZ6mpaPo
女戦士「そっ、それより王子様! 説明して下さい! アレは何だったんですか!」

王子「……アレ?」

女僧侶「……王子様。私も説明が聞きたいです」

王子「…………」

女戦士「王子様!」

女僧侶「……王子様」

王子「騒ぐな。アレはただの訓練だ」

女戦士「訓練?」

王子「そうだ。訓練だ」

女僧侶「…………」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 05:55:21.66 ID:DHZ6mpaPo
女戦士「王子様! ごまかさないで下さい!」

王子「そんな事はしとらん」

女戦士「でも、どこの世界に……」

王子「あ?」

女戦士「どこの世界に、王子様を全裸にして! くんずほぐれつゲヘヘヘヘの軍事訓練があるんですか! つーか、するなら私を呼んで下さいよ!」

王子「……お前、やっぱり死んでこい」

女僧侶「……全裸ではなかった///」

女戦士「うぅーっ、うぅーっ……」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 05:57:10.12 ID:DHZ6mpaPo
女僧侶「……女戦士?」

王子「どうしたんだ?」

女戦士「……やっぱり、あいつら殺してきます」

王子「やめろ」

女戦士「でもですねぇ……」

王子「あれは訓練だ」

女戦士「でも……」

王子「あれは、ただの実戦訓練だ!」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 06:00:36.95 ID:DHZ6mpaPo
女僧侶「……かなり本格的な訓練だったんですね」

王子「あぁ。たまにはハードな訓練も必要だろう」

女僧侶「……はい」

女戦士「……また、兵士さん達が悪のりしてただけじゃないんですか?」

王子「断じて違う」

女戦士「……本当にですか?」

女僧侶「…………」

王子「……断じて違う……」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 06:02:56.88 ID:DHZ6mpaPo
女戦士「……言い切れますか?」

王子「……もちろんだ……」

女戦士「……ちょっと揺らぎましたね?」

王子「五月蝿い!」

女僧侶「……王子様?」

王子「……五月蝿い……報復くらい……自分でやれる……」

女戦士「……まぁ、それはそうでしょうが……」

女僧侶「……王子様?」

王子「……冗談だ」

女僧侶「……はい……」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 06:11:05.58 ID:DHZ6mpaPo
王子「ふぅ」

女僧侶「……………………」

女戦士「……?」

女僧侶「……あの」

王子「……ん、どうした?」

女僧侶「……王子様。怪我、治療します」

王子「怪我? あぁ、大丈夫だ。かすり傷だ」

女僧侶「……違います。思いっきり打撲……」

女戦士「……ですね……」

王子「……大丈夫だ。なめときゃすぐ治る」

女戦士「そうですか? それでは私が///」

王子「あっちいけ」

ドガッ

女戦士「ぐはっ///」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 06:15:16.72 ID:DHZ6mpaPo
女僧侶「……治癒魔法。かけます」

ナオレー ナオレー ナオレー

王子「すまんな、女僧侶」

女僧侶「……いいえ。これが私の仕事」

王子「…………」

女僧侶「…………」

王子「……すまん」

女僧侶「……いいえ」

王子「…………」

女僧侶「…………」

女戦士「くっ、微妙に負けた気分ですね……」

王子「……KO敗けだろ?」

女戦士「…………orz 」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 06:22:17.38 ID:DHZ6mpaPo
王子「……ところで、用事は何なんだ」

女戦士「え?」

王子「用事があるから、ここ(訓練所)に来たんだろ?」

女僧侶「……はい」

女戦士「王子!」

王子「ん?」

女僧侶「……?」

女戦士「……王子」

王子「……おぅ」

女戦士「私達は、用事が無いと会えない仲なんですか?」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 06:25:32.73 ID:DHZ6mpaPo
王子「……は?」

女僧侶「……?」

女戦士「用事が無いと、私達は会っちゃダメなんですか? うるうる」

王子「…………」

女僧侶「…………」

女戦士「うるうる、うるうる」

王子「…………」

女僧侶「…………」

王子「……いや、お前とは……」

女戦士「はい。うるうる」

王子「用事があっても会いたくない」

女戦士「」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 06:29:51.04 ID:DHZ6mpaPo
王子「……で、用事は?」

女僧侶「……あれは、ほっといていいんですか?」

女戦士「」

王子「かまわん」

女戦士「」

王子「全くかまわん」

女僧侶「……わかりました」

女戦士「……よよよよ」

王子「それで?」

女僧侶「……はい。国王様がお呼びです」

女戦士「……しくしく」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 06:43:22.79 ID:DHZ6mpaPo
王子「ん? 親父が?」

女戦士「……しくしく、よよよよ……」

女僧侶「……はい。先日の古墳調査中に見つかった宝物の事だそうです」

王子「おっ、初代勇者の剣の事か?」

女戦士「……よよよよ、しくしく……」

女僧侶「……はい。国宝に指定して、国で管理をするそうです」

王子「ぶっちゃけ没収して、親父のコレクションの仲間入りと?」

女僧侶「……王子。言葉を暈して下さい……」

王子「さらに、親父が死んだら俺の玩具と?」

女僧侶「……王子様……」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 07:00:02.89 ID:DHZ6mpaPo
王子「冗談だ。泣きそうな顔するな」

女僧侶「……はい」

女戦士「しくしく! よよよよ! うるうる!」

王子「お前は泣いてろ」

女戦士「……差別反対です……」

王子「ふむ、了解だ。ちょっと親父の顔見て来るわ」

女僧侶「……はい。王子様」

女戦士「あっ!? 王子様?」

王子「何だ? 用事は終わりだろ? ついて来なくていいぞ」

女戦士「そんな冷たい……」

女僧侶「……王子様」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 07:07:56.29 ID:DHZ6mpaPo
王子「じゃあな。伝令御苦労さんだ」

女僧侶「……はい」

女戦士「……よよよよ」

………………
…………
……


……ここで話は冒頭に戻る……
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 07:10:51.97 ID:DHZ6mpaPo
━━歴史と伝統しか売りのない小国の王宮━━

王子「……装備出来ない?」

国王「……お前もか」

…………………………
……………………


考古学者「……私の、身の安全を保証して下さいますか?」

…………………………
……………………


王子「…………」

………………
…………
……
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 07:14:25.32 ID:DHZ6mpaPo
おやすみなさい
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 08:11:15.05 ID:CtHnaeWDO
王子と書いててあったから最初、ベジータの事かと思った……


とりま乙
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 08:45:00.16 ID:fSgJCNDAO
………? 何のための回想だったんだ?
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 15:53:07.45 ID:DHZ6mpaPo
国王「さぁ学者。話せ」

考古学者「……はい」

王子「……」

考古学者「……まず、この剣ですが」

国王「うむ」

考古学者「……この剣は勇者の剣。それも初代勇者の剣です」

王子「おぅ、その辺りは知ってる」

考古学者「……この国の建国神話にも書かれている。……本物の勇者の剣です」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 15:55:20.18 ID:DHZ6mpaPo
国王「建国神話の……」

王子「あぁ、あったなぁ、そんな話。魔王だか竜だか大蛇だかのアレだ?」

考古学者「……はい。勇者が魔王から奪ったとも、巨竜を倒す為に神から授かったとも、大蛇を討った報酬として手に入れたとも……」

国王「ふむ。まぁ、この剣が値打ち物と言う事は分かっておる」

考古学者「…………」

国王「気になるのは、何故、装備出来んかじゃ」

考古学者「…………」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 15:57:18.99 ID:DHZ6mpaPo
王子「……言っていいぞ。何となく予想ついたわ」

国王「むっ?」

考古学者「……王子様……」

国王「ほぅ。やるのう」

王子「たぶんだけどな。そりゃ言いにくいわな。身の危険も感じるわな……」

考古学者「……王子」

王子「安心しろ。約束は守る。守らせる。……言え」

考古学者「……はい。ありがとうございます」

国王「ふむ?」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:01:32.65 ID:DHZ6mpaPo
考古学者「……この剣は間違いなく、初代勇者の剣でしょう」

国王「……ふむ」

考古学者「……そして、理屈は分かっていませんが……一説には初代勇者のY染色体の……」

国王「ワ? ワイ?」

王子「……そこら辺は飛ばせ……」

考古学者「……はい」

国王「…………?」

王子「…………」

考古学者「……そして実際に、初代勇者の剣は、初代勇者の末裔、しかも男系の男子にしか装備出来なかったとの記録も……」

国王「むっ?」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:03:11.29 ID:DHZ6mpaPo
考古学者「…………」

王子「……逆を言えば、初代勇者の末裔の男系男子なら、この剣を装備出来るはずなんだよな?」

考古学者「…………」

国王「……おい?」

王子「つーか。俺や親父が、この剣を装備出来ないってのは、ちょっとマズイわな?」

考古学者「…………」

国王「おい! 待て!」

考古学者「……国王様」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:06:42.09 ID:DHZ6mpaPo
国王「おかしいではないか!」

王子「落ち着けよ。親父」

国王「初代勇者の男系男子だと?」

考古学者「……はい」

国王「ワシはその初代勇者の末裔! 正真正銘の男系男子じゃぞ!」

考古学者「…………」

国王「我が王家の始祖は、その神話に出てくる初代勇者じゃ!」

考古学者「…………」

国王「お主は学者のくせに、その程度の事も知らんのか!」

王子「だから落ち着け……」

国王「ぐぬぬぅ……。誰か来い! 家系図を持ってこい! このド阿呆の学者もどきに、当王家の家系図を見せてやれい!」

考古学者「…………」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:08:58.57 ID:DHZ6mpaPo
女僧侶「……失礼します。王様」

女戦士「ご注文の家系図です」

国王「うむ。御苦労」

王子「……なんで、お前らが持ってくんねん?」

女戦士「たまたま近くにいました」

女僧侶「……暇でした」

王子「……まぁいい。早く帰れ」

女戦士「えー」

女僧侶「…………」

考古学者「…………」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:10:46.66 ID:DHZ6mpaPo
国王「さぁ、学者。これを見よ」

考古学者「…………」

国王「当王家の家系図じゃ。我が国の歴史と伝統の証明書じゃ」

考古学者「…………」

国王「ワシは正真正銘、初代勇者の末裔。勇者の血筋の男系男子じゃ!」

考古学者「…………」

国王「何か言う事は無いのか?」

考古学者「…………」

国王「無いのか!」

考古学者「…………」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:12:22.73 ID:DHZ6mpaPo
女戦士「……あのぅ、王子様?」

王子「まだいたのか……」

女僧侶「……ごめんなさい」

王子「…………」

女戦士「あの人。何で怒られてるんですか?」

王子「お前は知らんでいい」

女戦士「……でも」

女僧侶「…………」

王子「早く消えろ。ややこしくなる」

女戦士「…………」

女僧侶「…………」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:13:59.71 ID:DHZ6mpaPo
国王「……学者よ」

考古学者「…………」

国王「貴様の目は節穴じゃ」

考古学者「…………」

国王「つまり、この剣は偽物じゃ。何の価値もないバッタもんじゃ」

女戦士「え? そうだったんですか?」

王子「お前は口を出すな!」

女僧侶「……帰ろう。女戦士」

女戦士「でも……」

王子「帰れ!」

女僧侶「……帰ろう。帰った方がいい」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:16:51.16 ID:DHZ6mpaPo
国王「ふん……。この駄剣は国を乱す……」

考古学者「……?」

国王「よって、この駄剣は処分する」

考古学者「……!?」

王子「おい親父。処分って?」

国王「溶かして廃棄する……」

考古学者「なっ!? 国王様!」

王子「親父。それはマズイだろ……」

女戦士「えっ? 廃棄? え? 何でですか? え?」

女僧侶「……帰ろう! 女戦士!」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:19:08.73 ID:DHZ6mpaPo
国王「……次に、この節穴学者モドキの処分についてだが……」

王子「ん?」

考古学者「……国王……さま?」

国王「……殺すしかあるまいな……」

考古学者「そっ!? そんな!」

王子「おいおい。親父ぃ……」

国王「ちょうどいい。女戦士よ」

女戦士「はい?」

王子「まだいたのかよ……」

国王「このバカの首をはねよ」

女戦士「え?」

女僧侶「……!?」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:21:19.77 ID:DHZ6mpaPo
考古学者「そんな……。そんな……」

王子「泣くな。約束は守る」

考古学者「おっ、王子さま……」

女僧侶「…………」

国王「ほれ。早う首をはねよ!」

女戦士「え? この人殺っちゃうんですか?」

王子「殺るな」

国王「殺れ! 国王命令じゃ!」

女戦士「……あの? 王子様?」

王子「だから殺るなっての」

国王「女戦士よ! 王命に背くのか!」

女戦士「あの、王子さま……。王命って言われ……」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:23:28.14 ID:DHZ6mpaPo
王子「殺ったら、お前と縁を切るぞ」

女戦士「えっ!?」

王子「二度と口を聞いてやらん」

女戦士「そんな!?」

王子「一生、目も合わせてやらんからな」

女戦士「そんな!? 私、淋しくて死んじゃいますよ!」

王子「じゃあ死ねよ」

女戦士「嫌です!」

王子「じゃあ、学者を殺るな。大人しくしてろ」

女戦士「うぅぅ……」

国王「こら! 女戦士!」

女戦士「……すいません国王さま……。私は、国よりも愛を選んでしまいました……」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:25:54.09 ID:DHZ6mpaPo
国王「このバカモンがぁ!」

女戦士「すいません!」

王子「やれやれ……」

国王「えぇい! では、女僧侶!」

女僧侶「……はっ、はい?」

国王「お主はバカではあるまいな?」

女僧侶「……あっ、あの……」

国王「女僧侶!」

女僧侶「……はい」

国王「このエセ学者の首をはねよ!」

女僧侶「…………」

国王「早くせい! 女僧侶!」

女僧侶「…………」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:28:43.48 ID:DHZ6mpaPo
王子「親父。あんま無茶言うなよ」

国王「何が無茶か!」

女僧侶「……申し訳ありません。国王様」

国王「女僧侶!」

女僧侶「……あの、私は僧侶ですので、人殺しは……」

考古学者「……あぁ、ありがとうございます……」

国王「くっ、どいつもこいつも、国王をバカにしよってぇ!」

王子「バカだからバカにされるんだ。ちったぁ頭冷せハゲ……」

国王「誰がハゲじゃクソガキ!」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:31:34.95 ID:DHZ6mpaPo
女僧侶「……王子様。煽っちゃダメです」

王子「とにかく、テメェが国王だろうが奴隷だろうが、自分がした約束くらい守れってんだよ」

考古学者「……王子様……」

王子「なぁ、親父は二枚舌かよ? 学者の安全は保証するんだろ?」

国王「この、何も分かっとらんガキがぁ……」

王子「ほらほら、約束守れ。出来ねぇってんなら、この場でクーデター起こすぞ? あぁ? このハゲ」

女僧侶「……おっ、王子様!?」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:39:26.33 ID:DHZ6mpaPo
国王「こっ、このバカモン。よりによって……」

王子「親父、人望皆無だろ? たぶん成功するぞ、クーデター。15分くらいで王宮陥落すんじゃね? うわー、カッコ悪りぃ……」

国王「ぐっ、ぐぐぐっ……」

王子「ほらほら。どうすんのよ糞親父? 政変のついでに世界に宣言するか? なんと俺らが偽……」

国王「五月蝿い五月蝿い! もうよい! 知らん! 出て行け! ワシの国から出ていけ! 貴様らまとめて国外追放じゃ!」

女戦士「……え?」

女僧侶「……追放……された?」

考古学者「…………」

王子「……へぇ……。追放ねぇ。じゃあ、学者は殺さないんだな?」

国王「知らん! ワシはそんなエセ学者なんぞ知らんわい! とっとと国外に叩き出せ!」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:41:36.04 ID:DHZ6mpaPo
王子「へいへい。良かったなぁ。死刑にゃならんだとさ」

考古学者「……はい……。ありがとうございます……」

国王「ふんっ」

王子「なぁ、ちなみに俺も入ってんの? 追放メンバー?」

国王「当然じゃ! 貴様が一番腹立たしいわい!」

王子「あらら……。やっぱりか……」

女戦士「王子様……」

女僧侶「……王子様」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:43:11.04 ID:DHZ6mpaPo
王子「ふぅ……。しゃーねーなぁ……」

国王「…………」

王子「じゃあ出ていくよ。元気でな、ハゲ親父」

国王「五月蝿い! 早く消えろ! 血圧が上がるわい!」

王子「へいへい。長生きしろよー」

国王「ふんっ!」

女戦士「…………」

女僧侶「……王子」

考古学者「…………」

国王「……バカが……」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 16:46:37.93 ID:DHZ6mpaPo
王子「ほらほら、行くぜ。国外追放の罪人ども」

女戦士「はい!」

女僧侶「……私……罪人……」

考古学者「……すいません。みなさん……」

王子「気にすんな。悪いのは全部、あの薄らハゲだよ」


国王「……聞こえとるぞ。バカ息子……」

………………
…………

国王「……バカ息子……」

………………
…………
……
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 17:41:40.28 ID:Wrh4WdLjo
うわぁ
女戦士、この上なくうざいわー
きもいわぁ
gdgd
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/27(木) 00:17:05.08 ID:yL13HA4uo
━━兵士訓練所━━

王子「……つーわけで、詳しい理由は言えんが、俺様はめでたく国外追放だ。拍手!」

兵士ABC「「わーわー」」

パチパチ パチパチ パチパチパチ

兵士A「って、マジですか!?」

王子「マジだ。世話になったな」

兵士B「……そんな急に」

兵士C「何をしでかしたんですか?」

王子「だから言えんのだ。スマンな」

兵士A「……王子ぃ」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/27(木) 00:20:49.16 ID:yL13HA4uo
王子「……お前ら強くなって、ちゃんと国を守ってくれよ」

兵士B「……王子」

王子「……平和ボケの時代。もうすぐ終わるかもだぞ……」

平和C「……王子?」

王子「とにかく、訓練だけはしとけ。遊びはほどほどにな」

兵士A「あの。王子……」

王子「何だ? 兵士A」

兵士A「すぐに、帰ってきてくれますよね?」

王子「…………」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/27(木) 00:22:45.74 ID:yL13HA4uo
兵士B「また一緒に、バカな事してくれますよね?」

王子「…………」

兵士C「王子さま……」

王子「あぁ。俺が生きてて、お前らが生きてて……」

兵士A「え?」

王子「この国が、まだあったら……。いつかな……」

兵士B「……つまり、YESを回りくどくカッコよく言いたいなーと?」

王子「……好きに解釈しろ。じゃあ、ボチボチ行く。達者でなー」

兵士C「はい。お元気で……」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/27(木) 00:26:35.46 ID:yL13HA4uo
━━隣の国の国境の村━━

王子「うむ。到着」

女戦士「つきましたね」

女僧侶「……本当に、追放されたんですね」

考古学者「すいません。巻き込んでしまって」

王子「気にするな。悪いのは親父。国王だ」

女僧侶「…………」

考古学者「…………」

女僧侶「……あの、王子様」

王子「何だ?」

女僧侶「……私は、まだ聞いていません」

王子「んっ?」

女僧侶「……国王様が何故、あんなにお怒りになられたのかを、私はまだ聞いていません」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/27(木) 00:29:20.48 ID:yL13HA4uo
女戦士「私も気になります。国王様は、どうして学者さんを殺せと?」

考古学者「…………」

女僧侶「…………」

王子「……フゥ」

女戦士「王子様?」

王子「……御自慢の血統を否定されたからだよ」

考古学者「おっ、王子様!」

女僧侶「……血統?」

女戦士「?」

王子「まとめて追放までされた身だ。こいつらにも知る権利くらいあるだろ」

考古学者「……それは……」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/27(木) 00:31:49.08 ID:yL13HA4uo
王子「大丈夫だ。片方はバカだが信頼は出来る」

女僧侶「……口は固いです」

女戦士「ガチガチです」

考古学者「……そうですか……」

王子「納得したか?」

考古学者「はい。私は王子様の判断に従います」

王子「それでいい」

女戦士「…………」

女僧侶「……それで王子様。血統とは?」

王子「あぁ。親父はコイツに自慢の血統を否定されてブチ切れたんだよ」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/27(木) 00:36:06.63 ID:yL13HA4uo
女僧侶「……血統」

考古学者「わっ。私は別に国王の否定など……」

王子「分かってる。お前は俺たちに本当の事を教えてくれた。ただ、それだけだ」

女僧侶「……!?」

女戦士「それが血統の否定ですか?」

王子「やっぱ、お前の方がだいぶ賢いのな」

女僧侶「……王子……様」

王子「そう。俺は……王家は偽物。……我ハ勇者ノ子孫ニアラズ……ってな」
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/27(木) 00:39:50.37 ID:yL13HA4uo
女戦士「あの? 意味がよく?」

王子「まだ分からんのか?」

女僧侶「…………」

王子「こっちは顔色が悪いな。やっぱビビるよな? 国がひっくり返るレベルのニュースは」

女僧侶「……いえ。大丈夫……です」

考古学者「……すいません。私達が、あんな物を見つけなければ……」

王子「ふぅ……。あんな物か……」

女戦士「……王子様?」

王子「失礼な話だよなぁ」

女戦士「?」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/27(木) 00:47:09.83 ID:yL13HA4uo
王子「本物の勇者の末裔が持ったら、世界を救える伝説の武器だぜ……」

女戦士「ほんもの?」

王子「でも、偽物王家の俺らにとっちゃ、逆に不正の証拠品。まさに、あんな物扱いだ。親父なんざ、溶かして廃棄とか言いやがったしな」

女戦士「にせもの?」

女僧侶「……あの。国王様は、本気なのでしょうか?」

王子「ん?」

女僧侶「……国王様は、本気で勇者の剣を溶かして廃棄するお気持ちなのでしょうか?」

王子「わからん。親父に残された良識に賭けるしかない……」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 03:23:49.43 ID:/RThg/pTo
オチの予想がついたけど胸にしまっておこう
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 04:33:58.31 ID:M/4yGWHgo
女戦士
勇者の剣
継承者
旅にでる
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 05:58:01.16 ID:jSNRLvi/o
>>75
その発言も閉まっておいたら完璧だったのにな
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 08:58:35.90 ID:BRrEc7fbo
マダー
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/27(木) 08:59:16.80 ID:BRrEc7fbo
ごめん、VIPかとおもってた…
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/27(木) 22:02:20.84 ID:eqDZijs9o
考古学者「国王様の良識ですか……」

王子「まぁ、自分を殺そうとした人間に期待は出来んだろうが……」

考古学者「……いえ、そんな事は……」

王子「とりあえず今出来る事は無いだろ? 国外追放の立場だしな」

考古学者「……はい」

女僧侶「……あの、王子」

王子「おぅ」

女僧侶「……もしも、国王様が本気で……」

王子「…………」

女僧侶「……本気で勇者の剣を処分してしまった場合は……」

王子「あぁ。次に魔王だか竜王だかラ王だかが復活でもすりゃ、世界が終わるかもな」

女僧侶「…………」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/27(木) 22:06:44.06 ID:eqDZijs9o
女戦士「大変じゃないですか!」

王子「あぁ、大変だよ。だがなぁ、親父が剣を処分しなかった場合も、ちょっとあるんだよ」

女戦士「え?」

王子「あの剣が、次に歴史の表舞台に出た時にはだな……」

女戦士「……?」

王子「何が終わるか分かるよな?」

女僧侶「……王家の……歴史ですね……」

王子「ピンポーン……だ」

女戦士「え? なんで?」

王子「まぁ、人の道として、どっちを選ぶべきかは考えるまでも無いレベルなんだが……あのハゲは……」

女戦士「あの?」

考古学者「…………」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/27(木) 22:11:26.69 ID:eqDZijs9o
女戦士「あの、すいません」

王子「なんだ?」

女戦士「私まだ、意味がよく……」

女僧侶「……女戦士」

王子「……まだ分からんのか?」

女戦士「すいません」

王子「変だな? そこまでバカじゃなかったろ?」

女戦士「マジですいません……」

考古学者「……おそらくですけど」

王子「ん?」

考古学者「彼女は、何らかのマインドコントロール状態なのかと」

女僧侶「……マインドコントロール?」

考古学者「はい」

女戦士「ほえ?」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/27(木) 22:17:36.91 ID:eqDZijs9o
王子「なに? こいつ洗脳でもされてんの?」

女戦士「せんのう?」

女僧侶「……どう言う事ですか?」

考古学者「もしかして、あなたは士官学校の出身ではありませんか?」

女戦士「はい。ちなみに、首席卒業です」

女僧侶「……首席……だったの?」

女戦士「頑張ったんですよ」

王子「……信じられん……。腕は確かだが、このアホで……」

考古学者「……いいえ、わりといるんですよ。学歴、学力の高いアホの子は……」

王子「うぅむ。あなどれんアホの子だな……」

女戦士「……誉めてくれてるのでしょうか?」

女僧侶「……たぶん……」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/27(木) 22:21:29.00 ID:eqDZijs9o
王子「そんで、士官学校がどうしたんだ?」

考古学者「士官学校出身の軍人さんには、自分の都合の悪い話を聞かない、理解しようとしない人が多いんです」

王子「そうなのか?」

女僧侶「……心当りはあります」

女戦士「え?」

考古学者「しかも、一応の弁舌レベルを持っていて、別の土俵の屁理屈を叩きつけてくる傾向が強くて……」

女僧侶「……一部では、とても煙たがられています」

女戦士「え?」

王子「ほぅ……」

女僧侶「……一部ではですけど……」

王子「うむ」

女戦士「……」

王子「なるほど」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/27(木) 22:28:50.88 ID:eqDZijs9o
考古学者「続けます」

王子「おっ、おぅ……」

考古学者「例えば、強すぎる忠誠心や信仰心を操れば、合理的に考える能力を比較的簡単に奪う事も……」

王子「……おい」

考古学者「外部からの余計な情報を遮断して、国家にとって都合の良い理想的な……」

王子「……おい、ちょっと待て」

考古学者「……規模の大小は別にして、多くの国でも愛国の旗の……」

王子「待てってよ!」

考古学者「はい」

王子「いや……じゃあ何か? こいつを、こんな女にしたのは国の責任だとか?」

女戦士「……こんな女……」

考古学者「彼女が士官学校出身なら、何らかの影響は受けていると思われます」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/27(木) 22:32:26.76 ID:eqDZijs9o
王子「……なんだよ……。じゃあこいつも、ある意味で被害者か?」

考古学者「頭や心の問題は専門外なので、なんとも言えませんが、おそらく……」

女僧侶「……女戦士」

女戦士「あの?」

王子「ハァ……マジかよ……」

女戦士「おっ? 王子様?」

王子「…………」

女戦士「王子様?」

王子「……なんかスマン。女戦士」

女戦士「え?」

王子「お前をポンコツにしたのは俺(の国)らしい。スマン」

女戦士「あっ、あの? ポンコツ?」

女僧侶「…………」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/27(木) 22:36:01.71 ID:eqDZijs9o
王子「すまん」

女戦士「おっ? 王子様!? やめて下さい!」

王子「……悪かったな。……バカとかアホとか痴女とか言って……」

女戦士「こっ、これがデレ? ついにフラグが!?」

王子「…………」

女戦士「うふっ、うふふふふっ///」

王子「(やっぱり殴りたい)」

女僧侶「……あの、学者さん」

考古学者「はい」

女僧侶「……彼女が、恋で盲目になっているだけの可能性は?」

考古学者「……無いとは言えませんが……」

王子「……(ソレだったら殺す)……」

女戦士「王子さまぁ///」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/27(木) 22:45:10.50 ID:eqDZijs9o
王子「しかし、マインドコントロールなぁ……」

考古学者「信じたくない事は信じない。聞きたくない事は聞かない……」

女僧侶「…………」

考古学者「聞いてしまっても無視する。理解しようとしない。そして忘れる……」

女戦士「?」

考古学者「彼女の頭の中の一部が、おそらく、そんな状態なのでしょうね」

王子「ふぅ……」

女僧侶「……コントロールを解く治療などは?」

考古学者「難しいでしょうね。50年物の敬虔な阪〇ファンを、巨〇ファンに改宗させるくらいに……」

女僧侶「……過酷ですね……」

考古学者「ある意味では、彼女のこれまでの人生を否定する行為ですし……」

王子「こいつも人生の否定をくらうのか……」

女戦士「あの?」

王子「ハァ……」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 00:23:24.70 ID:nTZFSiq7o
巨人ファン?
無理に決まってるだろ
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 00:37:11.53 ID:9JUoC1rko
20年物でも無理です
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 02:20:25.30 ID:hC60+h2No
無理なのは確定的に明らか
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 02:40:31.02 ID:fbPpLN5Fo
ちな巨だけど阪神だけは無理だわ
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 09:18:52.07 ID:5NsMTvOMo
そんなもんどっちでもいいだろ
お互い仲良くしろよな
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/28(金) 15:59:18.84 ID:U5ApVrJwo
女僧侶「…………」

考古学者「……とかないと言う選択肢もありますが」

王子「あぁ?」

女戦士「?」

考古学者「健康面での問題ではありませんし、彼女が苦しんでいるわけでもありません」

王子「…………」

考古学者「事実を受け入れるのが辛いなら、騙されながら生きる方が幸せと考える事も……」

女戦士「?」

王子「……それはダメだ」

考古学者「しかし、王子の忠実な部下としての彼女……」

王子「黙れよ糞学者!」
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/28(金) 16:03:23.78 ID:U5ApVrJwo
考古学「……王子」

王子「俺様を悪者にしたいのかよ?」

考古学者「いえ……そんな事は……」

王子「俺様を詐欺師にしたいのかよ?」

考古学者「おっ。王子?」

王子「勘弁してくれよ! 何なんだよそれ! 終わってんだよ! 俺様の王族ごっこは、もう終わってんだよ!」

女僧侶「……王子さま」

王子「もう王子でもねぇんだよ……」

女僧侶「……すいません(王子様)」
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/28(金) 16:05:36.22 ID:U5ApVrJwo
女戦士「王子様……」

王子「だから王子じゃねぇっての……」

女僧侶「でも……」

王子「名前なんか何でもいい。適当に呼べ!」

女戦士「じゃっ、じゃぁ。……だっ、ダーリン///」

女僧侶「…………」

考古学者「…………」

王子「……それは嫌だ」

女戦士「えー……」

王子「…………」
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/28(金) 16:07:26.83 ID:U5ApVrJwo
女戦士「王子さまぁ」

王子「ハァ……女戦士……」

女戦士「はい。王子様」

王子「俺、もう王子じゃないのよ」

女戦士「王子様は王子様です」

王子「だからな……」

女戦士「王子様は王子様です。追放されても王子様です」

王子「…………」

女戦士「きっと、すぐに国に呼び戻してもらえますよ。王子様」

王子「問題はそこじゃないんだよ……」

女僧侶「……人の話を聞かない……」

考古学者「……マインドコントロールの影響でしょうね……」
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/28(金) 16:08:50.47 ID:U5ApVrJwo
王子「なぁ……女戦士よぉ……」

女戦士「はい! 王子様」

王子「……ふぅ」

女戦士「王子様。元気だして下さいよ」

王子「…………」

女戦士「王子さま?」

王子様「……あぁ、もう……」

女戦士「王子様?」

王子「…………」

女戦士「王子さまぁ……」

王子「……俺を追い詰めるなよ。女戦士」

女戦士「王子ぃ……」

考古学者「(悪意の無い言葉の暴力ですね……)」

女僧侶「……(王子様)」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/28(金) 16:10:56.37 ID:U5ApVrJwo
女戦士「……王子……様?」

王子「あぁ、クソッ! ウゼェ!」

女戦士「王子様?」

王子「…………ハァ」

女僧侶「……?」

王子「おい! 元は首席で今はバカの、そこの女戦士!」

女戦士「はい! 王子様」

女僧侶「……?」

王子「マインドコントロールとか、もうどうでもいいから、よく聞け!」

女戦士「はっ、はい!」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/28(金) 16:13:46.51 ID:U5ApVrJwo
王子「今から俺様が親切丁寧に、サルでも分かるレベルで解説してやる! ありがたく思え!」

女戦士「はい、ありがとうございます! 王子様!」

王子「信じたく無くても聞け! 聴くのが嫌でも聞け! 理解出来なくても聞け!」

女戦士「はい!」

王子「聞いたら忘れるな! 元は頭いいんだろ? 忘れそうならメモしとけ! 毎日朝晩読み返せ! お題目みたいに唱えとけ!」

女戦士「はい! 王子様」

王子「いいか! 二度目は無いぞ! 最初で最後だ! 本当は一回だって嫌なんだ! 優しい俺様に感謝しやがれ女戦士!」

女戦士「はい! 感謝します! 王子様!」

女僧侶「……(王子様?)」

考古学者「…………」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/28(金) 16:15:34.49 ID:U5ApVrJwo
王子「いいか! 女戦士!」

女戦士「はい!」

王子「お前は騙されてたんだ!」

女戦士「え?」

王子「お前だけじゃない。国民も全員騙されてたんだ!」

女戦士「え?」

王子「国民だけじゃねーぞ。世界中のやつらが騙されてたんだ!」

女戦士「え? え?」

王子「みんなまとめて騙されてたんだ! 騙してる俺様達も、騙してる事を知らなかったんだよ! チクショウがぁ!」

女戦士「え? え? え?」
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/28(金) 16:17:46.26 ID:U5ApVrJwo
王子「あの国はなぁ、歴史と伝統しかない、あの国はなぁ!」

女戦士「は、はい」

王子「王家が勇者の末裔ってだけで、今まで滅ぼされずに、地味に繁栄してたんだよ!」

女戦士「は、はい?」

王子「国民は、俺ら王族が勇者の子孫だと信じてたから、払いたくもない税金を払ってたんだよ!」

女戦士「あっ、あの?」

王子「親父に人望が無くても、政治力が無くても、王族が税金で女遊びしてるって知ってても……」

女戦士「お……女遊び?」

女僧侶「…………」

王子「ぶつぶつ文句たれながらも、納税の義務だからって諦めて、しっかり金蔓やってくれてたんだよ!」

女戦士「……か……金蔓?」
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/28(金) 16:21:51.18 ID:U5ApVrJwo
王子「外国だってなぁ、軍事力はウチよりずっと強いのに、ここが勇者の国だからって、一目置いてくれてたんだよ!」

女戦士「…………」

王子「あんな吹けば飛びそうな小国なのに、勇者の国って伝説だけで、建国以来ただの一回も戦を売られてねーんだぞ。すげーぞコレ」

女戦士「……は、はい」

王子「あの国こえーよ、勇者の国だよ、喧嘩売ったら祟られちまうよ、船で攻めたら台風来るよ、船が沈んで全滅するよとか言ってんだよ!」

女戦士「は……はい……」

王子「騙されてんだよ。勇者なんかいねーよ。台風なんか来るかよ。つーかウチの国に海なんてねーよ! どうやったら船が沈むんじゃ? 考えろボケ!」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/28(金) 16:23:48.48 ID:U5ApVrJwo
女戦士「あっ、あの?」

王子「とにかくあの国は、何でもかんでも勇者勇者勇者勇者勇者勇者なんだよ! 勇者がおらんと国が成り立たねーんだよ! ボケナス!」

女戦士「お、王子様?」

王子「その勇者以外はスッカラカンの国にだな、今は勇者がいねーんだよ!」

女戦士「……え?」

王子「勇者の末裔じゃーって、ふんぞり返ってた王族様が、いつの間にか偽物になってたんだよ! 勇者の血を受けついで無かったんだよ! 笑えよバカ!」

女戦士「え? あの…… え?」

王子「おいバカ! バカでも分かるだろ? 現実から逃げんなよ! そうだよ、俺は偽物なんだよ!」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/28(金) 16:28:28.26 ID:U5ApVrJwo
女戦士「え? うっ、嘘ですよ……ね?」

王子「嘘じゃねーよ。分かれよ! ガキじゃ無いなら分かるだろが!」

女戦士「……嘘……でも……」

女僧侶「…………」

王子「おおかた、昔どっかで異物が混ざったんだよ……。俺は、その異物の子孫だ。文句あんのかコラ?」

女戦士「そんな……ありえない……です……」

王子「……人間なら浮気の二つ三つくらいするってのよ……アホ……」

女僧侶「…………」
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/28(金) 16:32:40.19 ID:U5ApVrJwo
女戦士「嘘です……。信じ……ませ…ん……」

王子「信じろ。信じてくれりゃ楽なんだよ……」

女戦士「嫌……です……拒否……しま……」

王子「言ってる俺様もダメージくらうんだが、ダメか?」

女戦士「……ごめんなさい……王子……」

女僧侶「……女戦士」

考古学者「…………」

王子「……ふぅ」

女戦士「…………」

王子「続けさせる気かよ?」

女戦士「…………」

王子「……続けるぞ」

女戦士「…………」
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/28(金) 16:35:10.08 ID:U5ApVrJwo
……………………
………………
…………
……

王子「……あのな、女戦士」

女戦士「……はい」

王子「勇者の剣あったろ。この前、学者グループが見つけたやつ」

女戦士「……はい」

王子「あれ、本物だったのよ」

女戦士「……はい」

王子「神話にも書いてある、ものスゲー剣でな。本物の勇者は、それを使って悪いやつを倒すんだよ。分かるな?」

女戦士「……はい」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/28(金) 16:37:53.69 ID:U5ApVrJwo
王子「そんで物欲王の親父がだな、勇者の剣は勇者の末裔が持つべきじゃ! 国で管理するのじゃ! とか言って没シュートしたのな」

女戦士「……はい」

王子「ところがだな。勇者の剣は不思議な剣でな……」

女戦士「……はい」

王子「……勇者の剣は、初代勇者の末裔の、男系男子にしか装備出来ないらしいのよ……」

女戦士「……はい」

王子「……そんでな」

女戦士「…………」

王子「俺も、親父も、その剣を装備出来なかったのよ……」

女戦士「…………」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/28(金) 16:39:47.41 ID:U5ApVrJwo
王子「理由は、もう分かるよな?」

女戦士「…………」

王子「分かるよな?」

女戦士「…………」

王子「分かるよな?」

女戦士「……分かりません」

王子「嘘つくなよ」

女戦士「……分かりたく、ありません」

王子「ワガママ言うなよ」

女戦士「…………」

王子「泣くなよ」

女戦士「ごめんなさい」
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/28(金) 16:42:03.15 ID:U5ApVrJwo
王子「あやまるなよ」

女戦士「……はい」

王子「泣くな……」

女戦士「……はい」

王子「分かったか?」

女戦士「……分かりたく、ありません……」

王子「……ふぅ」

女戦士「……ごめんなさい。王子」

王子「バカ」

女戦士「……ごめんなさい……ごめんなさい……」

王子「バカ……バカ……」

…………………………
……………………
………………
…………
……
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 01:09:26.63 ID:kJddVnZjo
支援
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 02:18:54.28 ID:uQU0ErrMo
青臭くい王子が好きだ
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/29(土) 06:52:51.18 ID:w6YE42Bjo
━━夜・宿屋━━

女僧侶「…………」

女僧侶「……(女戦士)……」

女僧侶「……(王子様)……」

女僧侶「…………」

女僧侶「……(神様)……」

女僧侶「…………」

………………
…………

カタン……

女僧侶「……?」
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/29(土) 06:55:26.46 ID:w6YE42Bjo
王子「……すまん。邪魔したか?」

女僧侶「……王子さ……あっ……」

王子「かまわん。王子でいい。別の名前も思いつかん……」

女僧侶「……はい。王子さま……」

王子「うむ」

女僧侶「……お茶を入れます」

王子「いや、お祈りしてたんだろ?」

女僧侶「……いいえ。ちょうど、終わった所でした」

王子「そうか。なら頼む」

女僧侶「……はい」

王子「…………」
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/29(土) 06:56:49.29 ID:w6YE42Bjo
カチャカチャ トポトポ コトン……

女僧侶「……どうぞ。王子様」

王子「うむ。ごくろう」

女僧侶「……はい」

王子「…………」

女僧侶「……あの。王子さま」

王子「おう」

女僧侶「……女戦士は……」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/29(土) 06:57:51.97 ID:w6YE42Bjo
王子「……うむ。アカンな……」

女僧侶「…………」

王子「なんつーかな? これぞ脱け殻だ! ……みたいな顔でな……」

女僧侶「……そうですか」

王子「……ハァ。 お茶うめーよ」

女僧侶「…………」

王子「ふぅ……」
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/29(土) 07:00:04.80 ID:w6YE42Bjo
女僧侶「……でも、それは」

王子「ん?」

女僧侶「……女戦士が、心の中で何かと戦っていると言う事では?」

王子「ふむ……」

女僧侶「……きっと」

王子「それなら、俺様の努力も報われるな……」

女僧侶「……はい」

王子「ふぅ……お茶うめー……」

女僧侶「…………」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/29(土) 07:02:39.85 ID:w6YE42Bjo
王子「しかし、お前は前向きだな」

女僧侶「……そうでしょうか?」

王子「俺にはそう見える」

女僧侶「…………」

王子「なぁ」

女僧侶「……はい」

王子「神様って、マジでいるのか?」

女僧侶「……います」

王子「マジで?」

女僧侶「……マジです」
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/29(土) 07:09:25.72 ID:w6YE42Bjo
王子「じゃあ、魔王とかドラゴンとかと、どっちが強いんだ?」

女僧侶「……神様です」

王子「マジでか?」

女僧侶「……もちろんです」

王子「そうか……」

女僧侶「……はい」

王子「なら、勇者とか、もういらねーよな……」

女僧侶「……王子様?」

王子「困ったら、神様が助けてくれるんだもんな……」

女僧侶「……王子さま?」

王子「ふぅ……」
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/29(土) 07:15:32.31 ID:w6YE42Bjo
女僧侶「…………」

王子「神様はスゲェな……」

女僧侶「…………」

王子「…………」

女僧侶「……王子様」

王子「おぅ」

女僧侶「……出家なさいますか?」

王子「……え?」

女僧侶「……出家して、神に使えて生きてみますか?」

王子「…………」

女僧侶「……その気が、おありでしたら……」

王子「いや……無い……これっぽっちも……」

女僧侶「…………」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/29(土) 07:23:13.17 ID:w6YE42Bjo
王子「俺に坊主は無理だ。それに俺は、まだ遊びたい……」

女僧侶「……はい。知っています」

王子「あ?」

女僧侶「……王子様は、現実逃避で宗教に走る人ではありません」

王子「…………」

女僧侶「……知っています」

王子「おい。僧侶が宗教に逃げるなとか言ってええの?」

女僧侶「……すいません。でも今は、弱気になっちゃダメです」

王子「…………」
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/29(土) 07:26:18.34 ID:w6YE42Bjo
女僧侶「……お茶。入れます」

王子「おぉ。頼む……」

女僧侶「……神様は……」

王子「おぅ」

女僧侶「……神様は、最後には必ず助けてくれます」

王子「そうか」

女僧侶「……でも、神様は……」

王子「んっ?」

女僧侶「……努力する人や、あがく人を見るのが大好なんです。きっと……」
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/29(土) 07:30:19.37 ID:w6YE42Bjo
王子「…………」

女僧侶「…………」

王子「……そうか。サドの気があったのか……神様……」

女僧侶「……いえ、そうではなく……」

王子「…………」

女僧侶「…………」

王子「……だから、簡単には助けてくれない。魔王や何かも人間に倒させると?」

女僧侶「……はい」

王子「それが、教会の教えか……」

女僧侶「……いぇ。なんとなくです……」
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/29(土) 07:33:31.40 ID:w6YE42Bjo
王子「ふむ……」

女僧侶「…………」

王子「お茶うめーな」

女僧侶「……お茶、好きですね。王子」

王子「あぁ。おかわりくれ」

女僧侶「……おねしょしますよ?」

王子「しねーよ。バカ」

女僧侶「……はい。王子」

………………
…………
……
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/29(土) 13:54:25.81 ID:bEIXnKuV0
乙です!

>王子「……そうか。サドの気があったのか……神様……」

このセリフを見た途端にゲイのサディストなブッダなんてフレーズが浮かんだ俺ニンジャヘッズw
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 00:16:02.57 ID:bBttbpnto
━━朝━━

王子「はぁ!」

ブンッ

王子「やぁっ!」

ひゅんっ

王子「どりゃ!」

ブンブン

王子「でやーっ!」

ブンッ!

王子「ふぅ……」

…………
……

考古学者「……お見事ですね」

王子「……おぅ。いたのか」
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/30(日) 00:17:40.49 ID:bBttbpnto
考古学者「はい。おはようございます」

王子「あぁ。おはよう」

考古学者「剣術の稽古ですか」

王子「まぁ、朝の体操みたいなもんだ」

考古学者「そうですか」

王子「どうだ。手合わせでもするか?」

考古学者「え? 私とですか?」

王子「他に誰がいるのよ?」

考古学者「……いや、あのですね……」
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/30(日) 00:19:36.84 ID:bBttbpnto
王子「んっ? どうしたのだ、学者どの?」

考古学者「えーと。私はほら、文化系でして……」

王子「そんな事は見れば分かる」

考古学者「ですから、私に王子様のお相手は……」

王子「いや、別にかまわんのだ。お前が弱かろうが強かろうが」

考古学者「え?」

王子「俺様はただ、誰でもいいから、タコ殴りにしたい気分なだけでだな……」

考古学者「おっ、王子様?」
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/30(日) 00:21:44.33 ID:bBttbpnto
王子「どうだ? 俺様のサンドバッグになってくれんか?」

考古学者「……すいません。ここは丁重にお断りを……」

王子「なんだよ。ケチな男だなぁ」

考古学者「……いや……あの……」

王子「真に受けるな。冗談だ」

考古学者「……王子様……」

王子「でも、素振りくらいは、やってみんか?」

考古学者「素振りですか?」

王子「あぁ。スカッとするぞ。やってみろ」

考古学者「はっ、はい……」
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/30(日) 00:28:55.79 ID:bBttbpnto
王子「ほら。こうやってだな」

考古学者「……こうですか?」

王子「……なんか違うな?」

考古学者「えーと……」

王子「まぁ、とりあえず振ってみろよ」

考古学者「はい。えいっ!」

ぶーん ぶーん

王子「うーん……。まぁ、いいんじゃね?」

考古学者「えいっ! えいっ!」

ぶーん ぶーん

王子「なんか違う? うーん?」

考古学者「えいっ!」

ぶーん

………………
…………
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/30(日) 00:30:52.77 ID:bBttbpnto
王子「ほれほれ。頑張れ」

考古学者「はい。なんか楽しくなってきましたよ」

王子「だろ? 朝の運動はいいもんだぜ」

考古学者「はい」

ぶーん ぶーん

………………
…………
……

カキーン

考古学者「やった!」

王子「おぉ! ボールが前に飛んだな」

考古学者「ホームランですか!」

王子「甘いわ。平凡なショートフライだよ」

考古学者「あぁ、そんなぁ……」
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/30(日) 00:35:16.10 ID:bBttbpnto
王子「いいじゃねーか。たいした進歩だよ、学者どの」

考古学者「そっ、そうですか?」

王子「あぁ。リトルリーグなら8番を打てるぞ」

考古学者「ありがとうございます。王子様」

王子「……お前、冗談通じないのな……」

考古学者「え?」

王子「何でもない。続けようぜ。俺様は、エースで四番だぞ」

考古学者「はい!」

……………………
………………
…………
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/30(日) 00:39:24.63 ID:bBttbpnto
王子「へぇ。兄貴も学者やってんのか」

考古学者「はい。ちょうど、こっちの国の国立大学に所属してましてね」

王子「ほぅ、たいしたもんだな。兄貴も考古学か?」

考古学者「いいえ。兄は生物学です」

王子「生物学者か……」

考古学者「はい」

王子「……女戦士の脳ミソの解剖とか出来そうか?」

考古学者「……そっ、それはどうでしょう……」

王子「ふむ……。まぁいい……」
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/30(日) 00:41:46.32 ID:bBttbpnto
考古学者「ですから私は……」

王子「あぁ。兄貴の所で世話になるんだな?」

考古学者「はい。しばらくは、そうしようかと」

王子「なんか悪かったな。失業させちまって」

考古学者「いいえ。王子様が止めてくださらなかったら、私は、国王様に処刑されてましたし……」

王子「……まぁ、そうとも言えるが……」

考古学者「…………」

王子「とりあえず謝らせろ。俺の気がすまん」

考古学者「そんな……王子様……」
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/30(日) 00:44:00.57 ID:bBttbpnto
王子「ところで、お前。金とか大丈夫か?」

考古学者「え?」

王子「いやな。いい大人が手ぶらで、しかも無職で兄貴の所に転がり込むって、ちょっとかっこ悪いべ?」

考古学者「いえ……。そんな……」

王子「ちょっと持って行くか? 俺の金……。つーか、向こうの国の国民の血税だけどもさ」

考古学者「……いぇ、お気持ちだけで……」

王子「欲の無いやつだなぁ」
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/30(日) 00:46:29.14 ID:bBttbpnto
考古学者「本当に、大丈夫ですから」

王子「そうか。それならいい」

考古学者「はい」

王子「なんか困ったら連絡しろよ。偽者王子に出来るレベルの事なら助けてやる」

考古学者「……そんな……」

王子「分かったな? 考古学者」

考古学者「……はい。ありがとうございます。王子様……」

王子「おぅ。じゃあな」

……………………
………………
…………
……
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/30(日) 00:51:33.29 ID:bBttbpnto
……ここで時間を>>64まで戻して少し別の話……

━━歴史と伝統しか売りのない小国の王宮━━

王子「ほらほら、行くぜ。国外追放の罪人ども」

女戦士「はい!」

女僧侶「……私……罪人……」

考古学者「……すいません。みなさん……」

王子「気にすんな。悪いのは全部、あの薄らハゲだよ」


国王「……聞こえとるぞ。バカ息子……」

………………
…………

国王「……バカ息子……」

………………
…………
……
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 15:44:42.70 ID:aa+dk1MGo
国王「…………」

国王「本当に出て行きよったか……。バカ息子……」

国王「何も分かっとらん……」

国王「お前は、何も分かっとらんのだ!」

国王「…………」

国王「たかが剣一本じゃ」

国王「こんな一本の古い剣のせいで……」

国王「お主は、全てを捨てられると言うのか!」

………………
…………
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/30(日) 15:48:39.94 ID:aa+dk1MGo
国王「はぁっ!」

ぶーん

国王「だーっ!」

ぶーん

国王「……駄剣じゃ……」

ぶーん ぶーん

国王「……全く手に馴染まん……駄剣じゃ」

国王「これは、ただの使いにくい武器なのじゃ……」

国王「そうに違いない……」

国王「……こんな物が、伝説の武器であってたまるか!」

ガシャーン カラーン……

国王「くっ……。また、落としてしもうた……」
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/30(日) 15:50:30.78 ID:aa+dk1MGo
国王「だーっ! はーっ!」

ガシャーン

国王「くっ……」


国王「やーっ!」

ぶーん ガッシャーン……

国王「おのれ……」


国王「はぁっ! たーっ!」

ぶーん ぶーん

国王「やぁーっ!」

ぶーん ぶーん ガッシャーン……

国王「何故じゃ! 何故、ワシの手を離れるのじゃ!」

カラーン……
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/30(日) 15:52:54.46 ID:aa+dk1MGo
国王「駄剣よ。何故ワシを選ばぬ……」

国王「ワシは、この国の国王なのだぞ……」

国王「伝説の勇者の……末裔なのだ……ぞ……」

国王「…………」

国王「……そんなに、ワシが嫌いなのか?」

国王「ワシからプライドを奪い……」

国王「ワシから、息子を奪い……」

国王「次は、ワシから何を奪う?」

国王「……王位か? 国か?」

国王「……それとも、ワシの命か?」

国王「思い上がるなよ駄剣! たかが金属の塊の分際で!」

バシーン ガシャーン ガチャーン
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/30(日) 15:56:33.11 ID:aa+dk1MGo
国王「へし折ってくれるわ! 叩き潰してくれるわ!」

国王「貴様など鉄屑となり、灼熱で溶かされてしまえい!」

バシーン ガチャーン ガシャーン ガシャーン

国王「えーい! これでもか! これでもか! これでもか!」

バシーン バシーン ガシャーン ガシャーン バシーン

国王「はぁ……はぁ……はぁ……」

国王「……ふっ。ワシに逆らうと、こうなるのじゃ……」

カラーン……
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/30(日) 16:00:02.72 ID:aa+dk1MGo
国王「むっ?」

国王「むむっ?」

国王「くっ……傷の一つも、ついておらんだと?」

国王「…………」

国王「ぐぬぬぬ……ぬぬぅ……」

国王「えぇーい……見れば見るほど腹が立つううぅぅ……」

国王「どこまでワシをコケにする気じゃ! この駄剣がぁぁあああーっ!!!」

ブゥゥウウーン ザクッ ……

国王「ぬっ?」

……………………
………………
…………
……
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/31(月) 01:29:35.79 ID:W6COC5rto
国王「ぬ? 床に突き刺さりよったか?」

国王「……まったく。どこまでバカ固い金属なのじゃ……」

国王「…………」

国王「……折るのは無理かも知れんな……」

国王「やはり、溶かすか……」

ぐっ

国王「むっ?」

ぐぐっ

国王「ふんっ……」

ぐぐぐぐっ……

国王「なっ、なんじゃ? 抜けんではないか?」
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/31(月) 01:32:18.31 ID:W6COC5rto
国王「ふんっ! ふんっ!」

ぐいっ ぐいっ

国王「ぬぉぉおおおー!」

ぐぐぐぐぐーっ

国王「フンガァァアアアーッ!!!」

ぐぐぐぐぐぐぐーっ……

国王「はぁ、はぁ……はぁ……はぁ……」

国王「だっ、駄目じゃ……。装備どころか……今度は床から抜けんとは……」

国王「…………ハァ」

国王「……まったく……」

国王「ワシは、いい年をして、いったい何をやっとるのか……」

国王「…………」

国王「…………ハァ」

………………
…………
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/31(月) 01:35:56.70 ID:W6COC5rto
兵士A「……あのぅ」

兵士B「……失礼します……」

兵士C「……国王様……」

デヤァァアアア…… フンガァァアアーッ……

兵士ABC「「……?」」

国王「ふがぁぁあああーっ! 抜けろぉぉおおーっ!」

ぐいぐいぐいぐい ぐいぐい……

兵士A「…………」

兵士B「…………」

兵士C「…………」

国王「…………ん?」

兵士ABC「「…………」」
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/31(月) 01:37:23.33 ID:W6COC5rto
国王「……なんじゃその目は? お前らもワシをバカにしとるのか?」

兵士A「いえ……」

兵士B「めっそうもないです」

兵士C「はい……」

国王「ふん……」

兵士ABC「「…………」」

国王「まぁよい。おい、お前」

兵士A「はっ、はい?」
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/31(月) 01:39:13.86 ID:W6COC5rto
国王「これを抜け」

兵士A「えーと。この剣ですか?」

国王「そうじゃ。早ようせい」

兵士A「はい。えーと」

国王「…………」

兵士A「やーっ、はーっ……」

ぐぐぐぐぐっ

国王「なんじゃ? 無理なのか」

兵士A「いえ……。そんな事は……」

国王「……ふむ」
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/31(月) 01:40:33.84 ID:W6COC5rto
兵士A「でやーっ! ぐおぉーっ!」

ぐぐぐぐぐぐっ……

国王「抜けんな」

兵士A「なっ、何スカ……これ?」

国王「情けないのぅ。真面目に訓練しとるのか?」

兵士A「いぇ……。これ、めちゃくちゃ固いですよ?」

国王「あぁ、お前はもうよい」

兵士A「……はい。すいません……」
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/31(月) 01:41:57.12 ID:W6COC5rto
国王「兵士B。変われ」

兵士B「はい。やってみます」

兵士A「……すまん。あとよろ」

兵士B「あぁ」

兵士C「…………」

国王「……ふむ」

兵士B「ぬううぅぅっ! ぐぉぉぉぉおおおおっ!」

ぐぐぐぐぐぐっ ぐぐぐぐぐぐっ

兵士B「どっ! どりゃぁぁあああああああああああーっ!」

ぐぐぐぐぐぐっ ぐぐぐぐぐぐっ ぐぐぐぐぐぐっ

国王「うむ……」

兵士C「…………」
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/31(月) 01:43:28.01 ID:W6COC5rto
国王「迫力があるのは声だけか……」

兵士B「すいません……」

兵士C「…………」

国王「お前は出来るか? 兵士C」

兵士C「はい。やらせていただきますが、たぶん無理かと……」

国王「情けない。それでも兵士か貴様ら……」

兵士A「すいません……」

兵士B「申し訳ないです……」

兵士C「…………」

………………
…………
……
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/31(月) 01:45:51.50 ID:W6COC5rto
国王「……これでも、まだ抜けんか……」

兵士A「……これ、マジで無理ですよ……」

兵士B「……三人で引っ張っても、びくともしないんですが……」

兵士C「……普通じゃないですね……」

国王「…………」

兵士C「……国王様」

国王「…………」

兵士C「……国王様?」
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/31(月) 01:48:37.30 ID:W6COC5rto
国王「うっ、うむ。聞いておる……」

兵士A「……すいません。これ、無理っぽいです」

兵士B「職人を読んで、床ごと削る方が早いかもです……。すいません」

兵士C「……あの、国王様……」

国王「……うむ……」

兵士C「……ここは、学者か神官を呼んで、意見を聞いてみてはいかかでしょうか……」

国王「……何故、そう思う」

兵士C「はい。これはもう、力任せでどうにかなる現象だとは思えませんし」

国王「…………」
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/31(月) 01:52:17.18 ID:W6COC5rto
兵士C「何かの魔法や呪いの類いでしたら、我々には、どうする事も……」

国王「…………」

兵士C「……国王様?」

国王「……もうよい。お主ら、この剣の事は、もう忘れよ」

兵士A「え?」

兵士B「忘れる……」

兵士C「……他言無用……ですか?」

国王「そうじゃ。他言無用じゃ」

兵士A「はい」

兵士B「了解しました……」
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/31(月) 01:55:07.01 ID:W6COC5rto
兵士C「…………」

国王「分かっておるじゃろうが、命令違反は……」

兵士C「はい。分かっております……」

国王「うむ。ならばよい」

兵士B「…………」

国王「ふむ。後は……そうじゃな……」

兵士A「……?」

兵士C「…………」

…………………………
……………………
………………
…………
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/31(月) 01:59:30.40 ID:W6COC5rto
おやすみなさい

みなさん、よい年末年始をお迎えください
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/03(木) 02:19:13.29 ID:fs5Xt9Mgo
あけおめ
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/06(日) 01:13:45.76 ID:7ycYRyzOo
━━数日後・隣の国の国境の村━━

女戦士「王子さまー。起きてくださいよー」

王子「ん? なんだ? 夜這いはノーサンキューだぞ」

女戦士「今日は違いますよ。王子様」

王子「ふぅ……。何の用だよ? こんな夜中に」

女僧侶「……伝令です。王子様」

王子「伝令?」

兵士A「はい。王子様」

王子「おぅ。お前かよ」

兵士A「足は早いっすからね。俺」

王子「そうだったな。で、何があった?」

兵士A「……はい。……あのですね」
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/06(日) 01:16:12.38 ID:7ycYRyzOo
王子「……?」

兵士A「……国王様が、お亡くなりにですね……」

王子「あぁ?」

女戦士「え?」

女僧侶「!?」

兵士A「…………」

王子「おっ、親父が死んだ?」

兵士A「……はい」

女戦士「……お亡くなり……」

女僧侶「そんな……」
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/06(日) 01:18:29.16 ID:7ycYRyzOo
王子「……おい。冗談だろ?」

兵士A「こんな冗談言えませんよ」

女僧侶「…………」

王子「でもよ、親父ピンピンしてただろ?」

兵士A「はい。めっちゃ元気でした」

女戦士「それじゃあ、なんで……」

兵士A「……あのですね……」

女僧侶「……まさか……」

王子「……暗殺かよ?」

兵士A「いえ。違います」

女戦士「…………」
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/06(日) 01:20:31.77 ID:7ycYRyzOo
王子「じゃあ何でだ? いきなり死ぬような病気でも持ってたってか?」

兵士A「いえ。病気とかじゃなくてですね……」

女僧侶「……?」

王子「じゃあ何だよ。何でいきなり死んだ? 事故か?」

兵士A「……はい。..…フグに、当たったみたいでして……」

王子「……フグ?」

兵士A「はい。フグです」
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/06(日) 01:22:17.61 ID:7ycYRyzOo
女僧侶「……ふっ、フグ?」

女戦士「お魚……ですか?」

兵士A「はい。そのフグです。大当たりしちゃったそうで……」

王子「…………」

女僧侶「……フグ……」

王子「……何をしとるんじゃ……。あのハゲ……」

女僧侶「……王子さま……」

女戦士「…………」
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/06(日) 01:28:33.02 ID:7ycYRyzOo
兵士A「ですから王子様」

王子「おっ、おぅ……」

兵士A「急いで、城に戻ってですね……」

王子「城か……」

兵士A「国王様は死んじゃいましたから、追放の命令は無効ってことでいいんじゃないすか?」

女僧侶「……兵士Aさん」

兵士A「あっ、スイマセン。なんか言葉を選べなくて……」

王子「まぁ、言葉とかそのへんはかまわんけど……」

兵士A「どうもです……」

女戦士「王子様?」

王子「でもマジで、ただの事故か? ソレ」

兵士A「え?」

女僧侶「…………」
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/06(日) 01:34:31.34 ID:7ycYRyzOo
王子「うーむ……」

兵士A「あの? 王子?」

女僧侶「……王子様。とにかく、一度お城には戻りませんと……」

女戦士「そうですよ。急いで戻りましょう」

兵士A「王子さま」

王子「まぁ確かに、葬式に出るくらいは息子の義務だわな……」

女僧侶「…………」

王子「(親父……)」

兵士A「あの?」

王子「わかった。帰るよ。お前らも準備しろ」

女戦士「はい」

女僧侶「……わかりました」

兵士A「ありがとうございます」

王子「(親父……)」
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/06(日) 15:55:54.20 ID:PDDQ9zgNo
………………
…………
……

━━歴史と伝統しか売りのない小国の王宮━━

兵士B「あっ、王子さま……」

王子「よぅ」

兵士C「……お帰りなさいませ。王子様」

王子「おぅ、ただいまだ。……親父は?」

兵士C「……はい。こちらです」

王子「……うむ……」

………………
…………

国王「」

王子「……マジで死んでんのな……親父……」

兵士C「……はい」

国王「」
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/06(日) 15:58:47.74 ID:PDDQ9zgNo
王子「…………(親父)」

女僧侶「…………」

神官「……王子様」

王子「おぅ、神官か」

神官「はい」

王子「葬儀の事は任せるわ。俺には分からんから」

神官「はい。かしこまりました」

王子「女僧侶」

女僧侶「……はい」

王子「お前も手伝ってやれ。専門だろ」

女僧侶「……はい。王子様」

王子「……おぅ」
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/06(日) 16:01:23.91 ID:PDDQ9zgNo
神官「それでは、葬儀については私共にお任せいただくとしまして」

王子「うむ」

神官「王子様には、戴冠式の準備を……」

王子「……戴冠式か」

神官「はい。通例としましては、葬儀の翌日には戴冠式を行い、新国王の即位となる流れでして……」

王子「…………」

女僧侶「……王子さま」

女戦士「新国王様に……」

王子「…………」

神官「……王子様?」
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/06(日) 16:04:03.15 ID:PDDQ9zgNo
王子「……戴冠式はいらん」

神官「王子?」

女戦士「王子様!?」

王子「俺は、王にはならん」

神官「王子様!」

女僧侶「…………」

王子「……王位は、しばらく空位にしておけ」

神官「王子様。それでは国が成り立ちませんぞ」

王子「俺が国王になっても、どうせ国が成り立たんのだ」

神官「いえ。王子様でしたら必ずや、先代様よりも立派な新国王として……」

王子「無理なもんは無理よ。分かれよ、神官」

神官「いや、しかしですな……」

女戦士「王子様……」
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/06(日) 16:06:37.00 ID:PDDQ9zgNo
王子「とりあえず親父の葬式だけ頼む。死体が腐る前に、ちゃんと送ってやらんとな」

神官「王子様……」

女僧侶「……神官様。ここは、王子様の言う通りに……」

神官「うっ、うーむ……」

女僧侶「……神官様」

王子「これでいいのよ。王族ごっこは、親父の代で終わりでいい……」

神官「……王族ごっこ?」

女戦士「…………」

王子「分かってくれるか? とーちゃん……」

国王「」

女僧侶「…………」
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/06(日) 16:10:03.66 ID:PDDQ9zgNo
王子「そんじゃ、そーゆーことで頼む」

神官「…………」

王子「じゃ、よろしくな」

女僧侶「……はい」

神官「……はい……」

………………
…………
……

王子「さて。俺は俺の仕事でもするか」

女戦士「えーと。今から何を?」

王子「とりあえず、勇者の剣だな」

女戦士「勇者の剣……」

王子「まだ廃棄されてない事を祈ろうぜ」

女戦士「はい……」

兵士C「あの……。王子様……」

王子「ん?」

………………
…………
……
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/06(日) 16:12:58.68 ID:PDDQ9zgNo
━━王宮・玉座の間━━

王子「なるほど……。今度は抜けなくなってると……」

女戦士「不思議な話ですね」

兵士C「こちらです……」

王子「ふむ」

女戦士「えーと。どこに?」

王子「……玉座の位置が変えてあるな」

兵士C「はい」

王子「あそこか?」

兵士C「はい。あそこです」

王子「ふむ……」
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/06(日) 16:16:54.49 ID:PDDQ9zgNo
兵士C「……国王様には、忘れろと言われましたが……」

王子「あぁ。親父が死んだら無効だよ。気にすんな」

兵士C「ありがとうございます……」

王子「しかし、ベタな隠し場所だな」

兵士C「まぁ、見つかっても、床ごと盗む泥棒はいないでしょうし……」

王子「一応確認するか」

兵士C「そうですね」

王子「女戦士」

女戦士「はい」

王子「玉座を動かす。手伝え」

女戦士「はい」

兵士「それでは……」

王子「おぅ」

ズズズズズ ズズズ……
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/06(日) 16:18:56.03 ID:PDDQ9zgNo
女戦士「ふぅ」

兵士C「どうですか?」

王子「あぁ、間違いないよ。勇者の剣だ……」

女戦士「よかった。廃棄されてなかったんですね」

王子「床に刺さって難を逃れたか……。さすがは伝説の剣だよ……」

兵士C「…………」

王子「ん? どうした」

兵士C「いえ……。あの……」

王子「…………」

兵士C「…………」
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/06(日) 16:22:02.32 ID:PDDQ9zgNo
王子「遠慮はいらんぞ。言いたい事を言え。怒らねーよ」

兵士C「……はい。……すいません」

王子「おぅ」

兵士C「……王子さまは……」

王子「おぅ」

兵士C「王子さまは、その剣を床から抜けるでしょうか?」

王子「……すまんな。たぶん無理だ」

兵士C「……あの。……それは……」

王子「あぁ。この剣を抜けるのは、おそらく勇者だけなんだよ」

兵士C「…………」

王子「悪いな。この国の王族はだな……」

兵士C「……いえ。少し驚きましたが、別に私は……」

王子「そうか。話が早いのは助かるよ。協力してくれるか?」

兵士C「はい。もちろんです」
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/06(日) 16:26:52.27 ID:PDDQ9zgNo
王子「よし、女戦士」

女戦士「はい」

王子「お前は、考古学者の所に行ってくれ」

女戦士「考古学者さんですか?」

王子「あぁ。ついでに考古学者のつてで、兄貴の生物学者ってのも呼べれば助かる」

兵士C「生物学者ですか?」

王子「あぁ。そうだよ」

兵士C「…………」

王子「伝統やら歴史書やら家系図なんかは嘘だらけでもな。DNAとか言うのは、嘘をつかないらしいんだよ」

兵士C「……でぃ……でぃーえぬ? 何ですか?」

王子「……俺も詳しくは知らん」

兵士C「…………」

王子「とにかく頼むわ、女戦士」

女戦士「はい。了解です!」

………………
…………
……
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/07(月) 01:19:20.51 ID:b/E2tsPWo
━━十数年後・歴史と伝統しか売りのない小国━━

『玉座の前に突き刺さりし剣を抜いた者を勇者とする。魔王を打ち滅ぼした勇者には、我が娘と、この国の王位を与える』

熟女戦士「どうですか? 次はこの御触書で」

中年王子「……俺に娘はおらんぞ」

熟女戦士「これから作りましょうよ」

中年王子「アホか。間に合わねーよ」

熟女戦士「すぐに出来ますよ」

中年王子「出来ても育つまで時間がかかるだろアホ。ロリコン勇者とか嫌すぎるぞ」
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/07(月) 01:21:58.20 ID:b/E2tsPWo
熟女僧侶「……でも、困りましたね」

中年王子「あぁ。まさか、勇者捜しに十年以上かかるとは思わんかった……」

熟女戦士「大丈夫ですよ。きっと、もうすぐ見つかりますよ」

中年王子「ハァ……。早く出てこいよ勇者。魔王復活したぞ。世界が滅ぶぞ……」

将軍A「でも、マジで人間に抜けるんすかね? この剣」

将軍B「絶滅しちゃってるんですかね? 勇者の末裔って」

中年王子「不吉なこと言うなよ……」

将軍C「あの。そろそろ、今日の勇者候補達が剣を抜きに……」

中年王子「へーい。お仕事お仕事と……」

………………
…………
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 01:22:56.49 ID:bb38PoWdo
中年王子って響きなんか嫌だな…
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/07(月) 01:24:33.49 ID:b/E2tsPWo
中年王子「よぉ。お前らが今日の勇者候補か」

勇者候補達「「はい!」」

中年王子「まぁ頑張れ。剣を抜くだけで勇者だ。いい話だろ?」

勇者候補達「「はい!」」

中年王子「よし、始めろ」

勇者候補達「「おーっ!」」

中年王子「…………」

………………
…………
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/07(月) 01:28:29.08 ID:b/E2tsPWo
大男「ヌガァァアアアアーッ!!」

ぐぐぐぐぐっ

将軍A「……失格」

大男「……ダメか」

中年王子「おつかれさん。次だ」

優男「ぐぉぉおおおーっ!」

ぐぐぐっ

将軍B「残念……」

優男「俺には無理か……」

中年王子「はい、おつかれさん……」

将軍C「…………」

………………
…………
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/07(月) 01:31:56.26 ID:b/E2tsPWo
中年王子「ふぅ……。今日は次で終わりか?」

将軍C「そうみたいですね……」

少年「よっ、よろしくお願いします!」

中年王子「おぅ。頑張れよ、ボーズ」

少年「はっ、はいっ!」

中年王子「んっ? (このガキ……)」

将軍C「……(エルフ? ……いや)」

少年「……あの……」

中年王子「……ハーフか?」

少年「いっ、いいえ。クォーター……です……」

中年王子「そうか。まぁ、とりあえずエルフの混血か。珍しいな」

将軍C「そうですね……」
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/07(月) 01:34:07.46 ID:b/E2tsPWo
中年王子「…………」

将軍C「…………」

少年「あっ、あの……」

中年王子「何だ?」

少年「やっぱり、エルフはダメなんでしょうか……」

中年王子「ん?」

少年「すいません……」

中年王子「……ふむ」

将軍C「…………」

中年王子「……かまわん。試してみろ」

少年「えっ?」
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/07(月) 01:37:23.92 ID:b/E2tsPWo
中年王子「……エルフだろうが、ドワーフだろうが、この際オークでもかまわんぞ」

少年「あっ、あの……」

中年王子「剣さえ抜いたら、お前が勇者だ。ついでに魔王を倒して国王だ。何の問題もねーよ」

少年「はっ、はいっ! ありがとうございます!」

中年王子「ほら、早くしろ。ただし、抜けなくても泣くんじゃねーぞ。小僧」

少年「はいっ。分かりました!」

中年王子「おぅ、元気なガキだな。気に入ったぞ」

少年「あっ、ありがとうございます!」

中年王子「うむ……」
184 : ◆1ssURPZiGoT5 [saga]:2013/01/07(月) 01:42:26.25 ID:b/E2tsPWo
少年「……スーハー……スーハー……スーハー……」

将軍A「よし、始め。頑張れよボーズ」

少年「はいっ!」

ぐぐっ ぐぐぐぐ ぐぐぐぐ……

将軍B「……むっ?」

少年「はっ、はぁぁあああーっ!」

ぐぐぐぐ ぐぐぐぐ ぐぐぐぐ ぐぐっ……

将軍C「……むむっ?」

少年「やぁあああああーっ!!!」

中年王子「おぉっ?」

……………………
………………
…………
……

おわり
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 02:03:20.55 ID:J4FJFvvro
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 02:09:43.45 ID:+Id4cScDo
おぉ…?乙……?
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 08:06:43.23 ID:qyrUIesBo
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 10:14:57.11 ID:qyrUIesBo
あ、これで終わりなの?
てっきりここから物語が始まるのかと
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 02:02:23.71 ID:mG5MpROt0
予想外の終わり方
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