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【海賊戦隊】「本当の歌姫」【アイマス】 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:39:03.52 ID:dwqYDEPBo

 「海賊戦隊ゴーカイジャー」×「アイドルマスター」

 ゴーカイジャーのゲストにアイマスが来たという形で、少し設定弄ったアイドルもいるかも知れません
 ゴーカイ側にも勝手に設定をつけた人がいます
 あと、趣味でレジェンドの皆さんとかその他色々出してますが、スペシャルということで


 途中で休みを入れるかも知れませんが、書き終わっているものを投下してます

 では、

 



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1356511140
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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:40:01.94 ID:dwqYDEPBo

 ここは、ザンギャック地球侵略旗艦ギガントホースのブリッジ。

ワルズ「見るがいい、父上より戴いたこの宝石の美しさを」

インサーン「見事ですわ、ワルズ・ギル様」

ダマラス「ワルズ・ギル様。本星から派遣されたという者がお目通りを願っておりますが」

ワルズ「なに? 本星からだと? 父上か? すぐに通せ」

ダマラス「は、こちらに」

ワルズ「おお、お前は……」

???「お目通り感謝致します、ワルズ・ギル様」

インサーン「何者なのですか?」

???「はじめまして、皆様」

ワルズ「この者の名は、アカベ。銀河の歌姫とまで言われた実力を持つ、父上に仕える歌姫だ」

インサーン「アカベ……聞いたことがある。その歌声は千の艦隊にも匹敵すると」

ダマラス「陛下の寵愛第一とお聞きしたことが……知らずとはいえ、これは失礼した」

アカベ「これも縁、皆様に一曲、献上致しましょう」

 歌い出すアカベ。
 その歌声にワルズ・ギルだけではなく、インサーン、ダマラス、さらにはバリゾーグすら聞き惚れてしまう。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:41:24.08 ID:dwqYDEPBo

ワルズ「素晴らしい……」

アカベ「どうですか? 殿下」

ワルズ「おお……す、すばらしい。褒美を与えようではないか」

アカベ「既に戴いておりますゆえ」

ワルズ「なに? ……ん? ない、ないぞ、父上の宝石が!!」

アカベ「こちらに戴いております」

ワルズ「なんだと? それは駄目だ、返せ!」

 手を伸ばすワルズだが、バリアに弾かれる。

ダマラス「なんだと!?」

インサーン「今のバリアは、まるで殿下ご自身から発生したように見えましたが」

ダマラス「……、い、いかん! これは?!」

アカベ「さすがはダマラス様。お気づきになられましたか」

ダマラス「これは洗脳効果を持つ歌声か……しかもこれほどのものとは……」

アカベ「我が歌声に魅入られた者より、その代償を奪うこと。それが我が歌の力」

アカベ「そして、その代償を我が手より奪い返すことは不可能」

 我に返るワルズ・ギル。

ワルズ「な、なんだと?」

 腕を伸ばし、宝石を取り戻そうとするワルズ・ギル。
 しかし、またもやバリアのようなものが発生する。

アカベ「このバリアは。何者であろうとも突破は出来ません」

アカベ「しかし、この宝石は当然お返し致します。私の意志であれば、代償を返すことも出来ますゆえ」

インサーン「なんと、恐ろしい歌声なの……」

アカベ「そして我が歌声に、ひれ伏さぬ者はおりませぬ。例え、どのような者さえも」

ダマラス「どのような者さえ……だと?」

アカベ「そう。たとえそれが、芸術を解さぬ海賊どもあろうとも……」



4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:42:24.49 ID:dwqYDEPBo


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 地球の平和と、人々の笑顔を守り続けてきた、34のスーパー戦隊。

 宇宙帝国ザンギャックとの戦いで失われたその力を受け継いだのは、とんでもない奴らだった!

「海賊戦隊! ゴーカイジャー!!」 



 ♪〜〜
 進め勇気の旗掲げ 七つの海を駆け抜けろ
 〜〜
 〜〜
 海賊戦隊ゴーカイジャー
             〜〜♪



  第X話 「本当の歌姫」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:43:29.92 ID:dwqYDEPBo

 何の変哲もない街角で、手ぶらでニコニコと歩くルカ・ミルフィ。
 その後ろで重そうな荷物を幾つも抱えてふらふらと歩いているのはドン・ドッコイヤーである。

ドン「ちょ、ちょっと待ってよ、ルカ。荷物重いんだから」

ルカ「はぁ? 何言ってんのよ、男の癖に情けない。第一、アンタの当番である買い出しに付き合ってあげてるのは誰だと思ってんの?」

ドン「……付き合ってくれなんて頼んでない……」

ルカ「なんか言った?」

ドン「いえなんでも……でも、この荷物は殆どルカの私物じゃないか」

ルカ「いいじゃない少しぐらい」

 そこへ、一人の少女がやってくる。
 その手にはうさぎの人形が。

???「あ、あの、すいません。この辺でこんな子いませんでしたか?」

 携帯の画面に映った別の少女の姿を見せる少女。

ルカ「ん? どうしたの?」

???「友達とはぐれちゃって……」

ルカ「もしかして、迷子?」

???「迷子になるような歳でもないんだけど……」

6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:45:16.99 ID:dwqYDEPBo

 ドンは荷物を脇に置いた。
 見ると、少女はまだ十代半ばくらいだ。そうであれば、ルカが放っておく訳のないことを彼はよく知っている。
 そして勿論、彼自身もだ。
 と、そこで携帯画面をを覗き見たドンは首を捻る。
 この少女、何処かで見た覚えが……

ドン「あ、ああああ!!」

ルカ「なに、どうしたのよ、突然」

 ルカを無視して少女に向かって飛び出すドン。

ドン「この子、もしかして、高槻やよいちゃん?」

???「え、あ、そうだけど」

ドン「そうすると……」

ドン「……」

???「……」

ドン「いおりん!? 水瀬伊織ちゃん!?」

伊織「そ、そうよ。スーパーアイドル伊織ちゃんよ!」

7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:46:02.66 ID:dwqYDEPBo

ルカ「知り合い?」

ドン「ルカ、知らないの? アイドルだよ、アイドルの高槻やよいちゃんと水瀬伊織ちゃんだよ」

ルカ「知らない」

 がくん、とこけるドン。

ドン「そりゃあまあ、まだまだマイナーだけどさ。一応テレビにも出てるんだし……」

ルカ「知らないものは知らないわよ」

ドン「もー。そういうのにゼンッゼン興味ないんだから……」

ルカ「そんなことより、結局迷子でしょ?」

ドン「そうだね。えーと……伊織ちゃん、僕たちも一緒に探すよ」


8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:47:15.34 ID:dwqYDEPBo
 
 

 
 その頃、別の街角では

???「伊織ちゃん、何処行っちゃったんだろう……」

???「はぐれちゃったのかな」

大人「……ん、どうしたのかな、お嬢ちゃん」

???「あ、こんにちわ」

大人「はい、こんにちは」

???「あの、お友達を捜しているんですけど……身長がこれくらいで、オデコがこんな風で、うさぎの人形を抱いているんです」

大人「はぐれちゃったのかい?」

???「はい」

大人「よし、一緒に探そうか」

???「え、いいんですか? でもお仕事……」

大人「ん?」

 少女は男の牽いていた荷台に目を向ける。

???「焼き芋屋さん? ……違いますよね」

9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:48:17.59 ID:dwqYDEPBo

大人「ああ、これはアンパンの屋台だよ」

???「アンパンの屋台なんですか? 始めて見ました」

大五郎「おじさんは青海大五郎だ、よろしくな」

やよい「私、高槻やよいって言います」

 大きなお腹の音。

やよい「あ……」

大五郎「はっはっはっ、そうか、お腹減ってるのか。よしこれを……」

やよい「あ、あの、お金……」

大五郎「……実は、今は仕事帰りでね、売り物が余って困ってるんだ。よかったら、食べてくれないかな」

やよい「え……」

大五郎「ほら、子供が遠慮なんかしちゃ駄目だよ。たくさんあるから大丈夫、さ、食べて食べて」

やよい「……いただきます!」

大五郎「うんうん」

 そこへ姿を見せる伊織たち。

やよい「あ!」

大五郎「ん? もしかして、探している子かい?」

ドン「あ、貴方は」

大五郎「よぉ、君たちの知り合いだったのか」

ドン「知り合いって程じゃ」

大五郎「ギャバンを助けたとき以来だな」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:49:30.19 ID:dwqYDEPBo

伊織「やよい、何食べてるの?」

大五郎「ん? いや、これは余って困っていたものを食べて貰ったんだ。君もどうかな、アンパン」

伊織「アン……パン?」

ルカ「ま、とにかく、見つかって良かったじゃない」

やよい「お姉さんも、ありがとうございます」

ドン「あ、あの、やよいちゃん、伊織ちゃん良かったらサインを……」

大五郎「なんだ? この子たち、有名人なの?」

ドン「あはは……デンジブルーさんも知らないんだ」

やよい「あんまりまだ売れてないけれど、アイドルなんです」

伊織「未来のスーパーアイドル水瀬伊織ちゃんよ。いつか、あの伊織ちゃんにアンパンを奢った男!! って有名にしてあげるわ」

大五郎「そりゃあ、楽しみだ」

ルカ「ある意味もうとっくに……そういうのを遙かに超えた有名人よね」

やよい「? おじさんもアイドルなんですか?」

ドン「いや、そうじゃなくて……」

アカベ「あらあら、こんな所で薄汚い海賊と地球のアイドル……それに、ロートル戦士さんに会えるとはね」

ルカ・ドン・大五郎「!?」

 構える三人。大五郎がやよい達をパン屋の荷台の後ろに誘導する。

ルカ・ドン「ゴーカイチェンジ!」

伊織「え? なに、なんなの、この人達」

やよい「はわわわ、スーパー戦隊さん達だったんですか? 伊織ちゃん、凄いよ」

伊織「私だって知らなかったわよ!」

アカベ「あら、私は戦いに来た訳じゃないのよ」

ゴーカイグリーン「じゃあ、何しに来たんだよ!」

アカベ「うふふふ、そうね、そこのアイドルと勝負っていうのもいいかしら」

ゴーカイイエロー「はぁ?」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:50:17.02 ID:dwqYDEPBo
 
 

 
  場面変わり、とある中華飯店。

貴音「らぁめんの大盛りと、餃子を二つ、それから炒飯をお願いします」

響「なぁなあ、貴音のお勧めは?」

貴音「ここはらぁめんだけではなく、餃子も真に美味なのですよ?」

P「ほぉ、貴音がラーメン以外を勧めるなんてな……じゃあ、こっちも餃子と炒飯」

響「じゃあ自分も」

P「あれ、響はこの後、いぬ美のお見舞いに動物病院に行くんだろ? 人に会うなら餃子は駄目だぞ」

貴音「いぬ美は入院しているのですか?」

響「大したことはないんだけど、病院の先生が念のため少し様子を見るって言ってくれたんだ」

P「いい先生だな」

響「うん」

P「それじゃあ、余計に餃子は駄目だろ」

響「ええええーー、酷いさ、自分だけ駄目なんて」

貴音「響とはまた、別の日に参ることにしましょう」

響「うう……しょうがない、自分はラーメンと炒飯で」

 やがて運ばれてくる一同の注文。
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:50:51.51 ID:dwqYDEPBo

ハム蔵「ぢゅっ」

響「はい、餌だぞ」

P「ハム蔵の餌は持ち歩いているのか」

響「ハム蔵は食いしん坊だからな!」

ハム蔵「ぢゅっぢゅっ」

響「食いしん坊と違うって? 違わないぞ」

 Pの携帯が鳴る。

P「はい、もしもし……あ、伊織。どうした? 今は貴音お勧めのラーメン屋……えーと、名前は赤龍軒」

P「はい? おい、話がわからない……おい、ちょっと、あ」

P「伊織? 伊織?」

 携帯を仕舞うP。

響「どうしたの? プロデューサー」

貴音「ズルズル……どうか……モグモグ……なされたのですか?」

P「伊織なんだが、途中で切れた。海賊がどうとか言ってたけど、なんなんだ? それから、貴音は食べるか話すかどっちからにしろ」

貴音「食べます」

P「どうやらこの近くにいるらしいから、伊織の様子見てくるよ。先に事務所に戻っていてくれ。勘定は済ませておくから」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:51:20.62 ID:dwqYDEPBo

響「自分ももう行くぞ」

P「貴音は……ゆっくり食べててくれ」

響「ごめんな、貴音。先に出るさ」

P「すいません、お勘定! 一括でお願いします」

店主「はいよ。ラーメン大盛り一つと普通一つ。餃子三つと炒飯三つで……」

P「あ、領収書お願いします。765プロで」

???「こんにちはー」

店主「いらっしゃい……ああ、アイムくんか」

アイム「先ほど連絡しました餃子のテイクアウトをお願いします」

店主「ああ、ちょっと待ってて。準備してあるよ、取ってくる」

アイム「はい」

 奥に入っていく店主を見送ったアイムが店内を見回し、その視線が一カ所で止まる。

アイム「……あれ?」

貴音「おや?」

アイム「四条貴音さんですか?」

貴音「アイム・ド・ファミーユ殿ではありませんか」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:51:50.54 ID:dwqYDEPBo

貴音「アイム・ド・ファミーユ殿ではありませんか」

P「知り合いか?」

貴音「以前、二十郎で知り合いました」

アイム「あの時はありがとうございました」

アイム「初めて入った私に注文の仕方や食べ方を懇切丁寧に教えていただいて」

アイム「危うく、ギルティとなってしまうところを助けていただきました」

アイム「忘れません。メンカタカラメヤサイトリプルニンニクアブラマシブタトリプル」

貴音「真、良き心がけです」

 二人のやりとりを横目に勘定を済ませ、店を出ようとしたPが立ち止まる。

P「あれ? 伊織?」

 その視線の先、血相を変えて走ってくる伊織とやよい。
 そして、何者かの攻撃によって吹き飛ばされるドンとルカ、大五郎。

貴音「何事ですか?」

P「伊織! やよい!」

アイム「ハカセさん!? ルカさん!?」

アカベ「ほーっほっほっ」

 五人を追って現れたのはアカベとゴーミン達。

15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:52:26.37 ID:dwqYDEPBo

P「お、おい、アレってざ、ざ、ざ……」

アイム「下がっててください! ゴーカイチェ……」

ドン「駄目!」

ルカ「アイム! ストップ! 駄目駄目!」

アイム「え?」

大五郎「気をつけろ! 奴の歌声は、聞いた者の心を掴み、その大事なものを奪い取る!」

ドン「ボクとルカのモバイレーツ、取られちゃった……」

アイム「えーーー?!」

ルカ「ごめん、ドジった」

やよい「プロデューサー、私のべろちょろが……」

伊織「うさちゃんまで、あんなやつに……」

アカベ「これが海賊? これが地球のアイドル? どちらも大したこと無いわねぇ」

 アカベの首にかけられてるのは紛れもないべろちょろ。そして片手にはうさちゃんを抱きかかえている。
 因みに、その後ろに並んだゴーミン達は嬉しそうにアンパンをパクついている。

16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:52:55.16 ID:dwqYDEPBo

P「アンパン?」

大五郎「面目ない」

貴音「やよいと伊織に対するその所行、許されることではありません」

P「おい、落ち着け、貴音。相手はほら、あれ、ざ、ザンギャックだぞ、多分」

アイム「貴音さん、逃げてください! ここは私が」

P「し、しかし、女の子に」

アイム「私、こう見えても宇宙海賊の一員ですから」

貴音「なんと」

アカベ「ほほほっ、見たところそこにいるのも地球のアイドル。それなら!」

アカベ「ゴーミンども! ミュージックスタート!」

 スピーカーを置くゴーミン。
 流れる音楽。歌うアカベ。

貴音「この歌は……」

アイム「まあ……」

P「……素晴らしい……なんて素晴らしい歌なんだ……」

17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:53:36.11 ID:dwqYDEPBo

ルカ「聞いちゃ駄目! アイム!」

ドン「耳を塞ぐんだ!」

 二人に襲いかかるゴーミン。大五郎も加勢するが、変身できない三人は苦戦する。

アカベ「さあ、この私の歌に対して、貴方達は何を渡してくれるのかしら?」

 三つの光がアイム、貴音、Pを覆い、そしてアカベと流れていく。

アカベ「ふふふふ」

 三つの光はモバイレーツ、ラーメン、CDにそれぞれ変わる。

アイム「私のモバイレーツが」

貴音「まだ食べかけでしたのに」

伊織「え、それなの? ラーメンなの? ねぇ、貴音、貴方、ラーメンなの!?」

P「あ、ああああ、新曲のデモテープが!!!」

 思わず追いかけるPを後ろから羽交い締めにする店主。

店主「駄目だ! 近づくな!」

アイム「亮さん」

亮「すまない、出てくるのが少し遅かったようだね」

18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:54:07.20 ID:dwqYDEPBo

大五郎「亮君」

亮「ええ、無関係な人たちをこれ以上巻き込むわけにはいかない。鎧君たちがくるまでは、何とか保たせましょう」

大五郎「ああ」

ドン「ああ、せめて、変身は出来なくてもモバイレーツが使えれば……」

 自分たちが駄目でもデンジブルーとリュウレンジャーの力さえ使えれば……。
 ドンの後悔に、亮と大五郎が言う。

亮「ドン君、出来ることをやるまでだ、いいね」

大五郎「まずは、やよいちゃん達をこの場から逃がす」

アカベ「ほほほほ、大いなる力を失ったロートル風情に何が出来ると?」

亮「地球を守れる力は失ったかも知れないが、人を助けたい心は失っちゃいないさ!」

大五郎「さあ、早く四人とも逃げるんだ!」

P「やよい! 伊織! 貴音! こっちだ!」

 Pは三人を逃がし、自分は残る。

ルカ「え? アンタ残ってどうすんのよ」

アイム「怖くないんですか?」

ドン「逃げた方がいいと思うよ?」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:54:34.71 ID:dwqYDEPBo

P「……怖いですよ。逃げたいですよ。残りたくないですよ。でも……」

P「でも、やよいのべろちょろや、伊織のうさちゃんを取り戻さなきゃならないんです!」

P「そして何よりも、あのデモテープを! 新曲のデモテープを!」

アカベ「……地球人の命まで取る気はなかったんだけどねぇ……そこまで言われちゃあ……」

P「あわわわ」

アカベ「ま、いいわ。海賊どものモバイレーツは手に入れたのだから。アイドルも逃げたし、戦う意味もないもの」

 消えるアカベ達。

P「あわわわわ」

ルカ「敵に向かってる癖にハカセより震えてる人、初めて見た」

アイム「驚きですわ」

ドン「……アイムまで……酷いなぁ」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:55:13.18 ID:dwqYDEPBo
 
 
 
 
 ここは、765プロダクション事務所。
 事務所の小鳥のところへ慌ててやってくる社長。

社長「やよいくん達が襲われただって?」

小鳥「やよいちゃんと伊織ちゃん、貴音ちゃんの三人です。たいした怪我はなく、無事ではあるということですけれど」

社長「大きな怪我がないのは不幸中の幸いか。それで三人は?」

小鳥「奥の部屋で着替えと応急処置を」

社長「そうか。それで、そちらは……」

 ソファに座ってお茶を飲んでいるルカとアイム。ドンは落ち着かない様子でせかせかと歩き回っている。

小鳥「やよいちゃん達を護ってくれた、スーパー戦隊の方々です!」

社長「なに!? それじゃあ君たちが……あの……」

ドン「いやあ、僕たちも地球で有名になっちゃったみたいで、照れるなぁ」

社長「バイオマン!?」

ドン・ルカ・アイム「え?」

小鳥「社長!? 何年前の話ですか? 今は違いますよ」

社長「はっはっはっ、いや、すまない。私が最初に侵略者に襲われたときの戦隊がバイオマンでね」

小鳥「はあ……え? 今、なんて?」

21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:55:43.85 ID:dwqYDEPBo

 小鳥が聞き返した瞬間、

???「小鳥さん、お客さんですよー!」

???「こんにちわー! って、あれ、ちょっ」

???「あ、ちょ、ちょっと」

 事務所のドアが開いて男女二人がもつれ合うように転げて入ってくる。

???「あいたたた……」

???「す、すいません」

小鳥「あー、春香ちゃん、大丈夫?」

春香「は、はい」

小鳥「一人なら転び慣れてるけど、巻き込んじゃうと駄目なのね」

春香「うう、ごめんなさい」

社長「大丈夫かね、天海くん。それで、その方は?」

春香「事務所の場所を聞かれて、案内してきたんですけど」

22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:57:05.46 ID:dwqYDEPBo

???「あ、どうも」

アイム「大丈夫ですか? 鎧さん」

ドン「うわぁああ、天海春香ちゃんとくっつくなんて、何やってんだよ、鎧!!」

ルカ「ハカセ、アンタ今日おかしいよ?」

鎧「先輩三人がお世話になりました」

小鳥「先輩? ということは?」

鎧「はい! 俺こそ海賊戦隊六番目の男! ゴーーーカイ! シルバーーー! こと、伊狩鎧です」

ルカ「他人様の家なんだから、少しは静かにしなさいよ、アンタ」

ドン「迎えに来てくれたのはいいけれど、マーベラスとジョーは?」

鎧「お二人は、ザンギャックを追っています」

アイム「大丈夫でしょうか? 相手はおかしな力を持っています」

ドン「うーん、あの二人なら、相手の搦め手にも対応できると思うけど」

鎧「とにかく、ガレオンに一旦戻って、作戦会議ですよ」

ドン「……他のアイドルにも会いたかったなぁ」

アイム「やっぱり今日のハカセさんはおかしいですね」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:57:37.15 ID:dwqYDEPBo

 そこへ、P達が大五郎と亮とともにどやどやとやってくる。
 最後尾にいるのは菊地真である。

ドン「」

鎧「」

アイム「お二人とも、どうなされたんですか?」

ルカ「嫌な予感がするわ」

ドン「まこまこりーん!!」

鎧「デンジブルーさんとリュウレンジャーさんじゃないですか! なんでアイドル事務所に!? ま、まさか、アイドルデビュー!?」

小鳥「うわ」

春香「小鳥さんが退くって、相当ですよ、これ」

社長「昨今のスーパー戦隊には面白い人材がいるんだねぇ」

ルカ「なんだろう、泣きたくなってきた」

アイム「ファイトですよ、ルカさん」

 二人をあっさり無視する一同。
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:58:21.83 ID:dwqYDEPBo
真「簡単な応急処置だけですいません」

亮「いや、ありがとう。しかし、君がここのアイドルだったとはね」

真「師匠こそ、まさか本当にレジェンド戦隊の人だったなんて」

小鳥「真ちゃん、知り合いなの?」

真「前に公園で簡単な演武をしていたら知り合って。色々教えてもらってたんです」

小鳥「……真ちゃん、本物仕込みなのね」

真「もしかして、他の師匠達もレジェンドなんですか? 漢堂師匠とか」

鎧「え……漢堂って、まさか……」

響「ただいま!」

小鳥「響ちゃん、お帰り。イヌ美ちゃんはどうだった? あれ? そちらの方は」

響「もうすっかり元気だぞ。ああ、病院の先生、お昼の時間だから、美味しいお店があるって貴音たちのいたお店まで一緒に行ったんだけど」

響「お店がなんだか荒らされてたから、物騒だからここまで付いてきてくれるって」

???「失礼します……ああ、やっぱり、ここに来てたんですね、亮さん」

鎧「」

アイム「あ。お久しぶりです先生、その節はお世話になりました」

走「君たちもいたのか。活躍は聞いてる。あいつも、君たちには喜んで協力してるみたいだな」

鎧「」ゲキレッドガオレッド

25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:59:16.37 ID:dwqYDEPBo

アイム「鎧さんが息をしてません」

???「今戻りました。なんだか、沢山いますけど、何かあったんですか?」

???「ホントだ、知らない人ばっかりなの」

???「男の人がいっぱいいます……」

???「大丈夫よ、皆も一緒にいるから」

ドン「」

P「お、千早、美希、雪歩、あずささんも」

ドン「」キサラギホシノハギワラミウラ?

アイム「ハカセさんも息をしていません」

ルカ「もうやだ、この二人……」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 17:59:55.23 ID:dwqYDEPBo
 
 
 
 その頃……
 赤龍軒の前を歩くマーベラスとジョー。そしてナビィ。

マーベラス「どうなってやがる……」

ナビィ「ねえねえ、また病院に運ばれた人がいるみたいだよ」

ジョー「どうやら、ルカ達を襲ったザンギャックが辺りを荒らし回ってるらしいな」

マーベラス「やつら、狙いはなんだ?」

ジョー「無差別に襲っているようにも見えんが」

マーベラス「おい、鳥ぃ! 無線を傍受してんだろ、とっとと被害者の共通点を見つけろ」

ナビィ「やってるよぉ」

ジョー「ハカセの話によると、一緒にいて襲われたのは皆アイドルらしいが」

ナビィ「それじゃないの?」

マーベラス「なんでザンギャックが地球のアイドルを狙うんだ?」

ジョー「さあな」

マーベラス「!!」

 マーベラスが身体を避けると、さっきまでいた場所に着弾。
 ジョーが構えた先には、一つの影。

???「マーベちゃ〜ん、お悩みのようだねぇ」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 18:01:27.26 ID:dwqYDEPBo

マーベラス「バスコ!」

バスコ「おやおや、そんなに怖い顔しないでよ、今日は戦うつもりはないんだから」

ジョー「ふん、先制攻撃してきた奴の台詞か」

バスコ「あれぐらい、避けるっしょ?」

マーベラス「何の用だ」

バスコ「ちょろっとねぇ、ワルズ・ギルの所にお客様が来てるのよ」

マーベラス「客?」

バスコ「そ、そ。あー、そっちの青ちゃんは聞いたことがあるんじゃないかなぁ、アクドス・ギルの寵愛第一の歌姫、アカベの名前さぁ」

ジョー「アカベ、だと? ……地球に来ているのか」

バスコ「あいつ、鬱陶しいんだよねぇ。ねえマベちゃん、なんとかしてよ」

マーベラス「言いたいことがあるならハッキリ言え」

バスコ「殺して済むことなら、あっさり殺しちゃうんだけどねぇ。あいつ殺しちゃうと、お宝は取り返せないんだよねぇ」

マーベラス「なんだとっ?!」

 身を翻し、姿を消すバスコ。

バスコ「じゃ、よろしく、マーベちゃ〜ん」

 バスコの次の台詞は、マーベラス達には聞こえない。

バスコ「ま、とっととモバイレーツを取り返せってことだよ。どーせ、最後はレンジャーキーごとこっちに貰うんだからさ」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 18:02:32.38 ID:dwqYDEPBo

マーベラス「くっ! あいつ、何考えてやがる……」

ジョー「落ち着け、マーベラス。奴の言うことが本当なら、厄介な相手だ」

マーベラス「……こういうことで、奴は嘘は付かねえだろう。それで、アカベってのはどんな奴なんだ」

ジョー「歌に力を乗せ、歌を聴かせた者から相手の一番大事なものを奪うと言われている」

マーベラス「だったら、力ずくで奪い返す」

ジョー「それが、無理だとしたら?」

マーベラス「なに?」

ジョー「詳しいことはわからない。だが、アカベを殺すことは出来ても、一度渡したものを取り返すことは出来ないと言われている」

マーベラス「単純に強いってわけでもないのか」

ジョー「ああ、奴から奪い返すためには、戦って倒すだけじゃ駄目だって話だ」

マーベラス「くっ、それじゃあどうしろって言うんだ」

ジョー「わからん。ただ、ひとつ聞いたことがある。アカベの歌へのプライドだけは本物だと」

マーベラス「歌へのプライド……待てよ、それじゃあ地球のアイドルを狙ったって言うのは」

ジョー「歌、かもしれないな」

ナビィ「マーベラス、この近くの病院にも被害者がいるよ」

ジョー「話を聞いてみるか」

マーベラス「ああ」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/12/26(水) 18:03:28.06 ID:dwqYDEPBo

ナビィ「いきなり行って、話してくれるかなぁ。というか、中に入れるのかなぁ」

マーベラス「俺にいい考えがある」

 二人が訪れたのは病院というより個人の診療所。
 看板に掲げられた名前は双海医院。
 二人は知らないが、とある理由によりこの医院にやってくるアイドルは多い。
 ここならば、アイドルの事情をくみ取ってプライベートをそっとしてくれる、守秘もしっかりしてくれるとわかっているのだ。

マーベラス「あー……その……ゴーカイレッドってもんだが」

受付「はい?」

ジョー「……ゴーカイブルーだ」

受付2「はい?」

 レジェンド戦隊にも認められた名前を使えば、なんとかなるかと思ったマーベラスさんでした。

受付「もしかして、海賊戦隊?」

 なんとかなりました。

マーベラス「あ、ああ」

受付2「マジで?」

マーベラス「マジだ」

受付「嘘。だったらしょーこ見せてよ」

受付2「論より故障だよ」

マーベラス「……ゴーカイチェンジ」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 18:04:03.57 ID:dwqYDEPBo

受付「」

受付2「」

受付「ま、マジだよ、真美」

受付2「……凄いもの見ちゃったね、亜美」

真美「ねえねえ、サイン頂戴」

亜美「あ、亜美も」

ジョー「悪い、その前に聞きたいことがあるんだが」

真美「兄ちゃんも?」

亜美「しょーこ見せてよ」

ジョー「……ゴーカイチェンジ」

真美「うぉおおおお」

亜美「あとでナンジョルノに自慢しよ→ね」

真美「うんうん」

 二人は変身を解除する。
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 18:04:29.60 ID:dwqYDEPBo

マーベラス「おい、こっちの用件を」

亜美「なんだっけ?」

真美「真美達、今日は皆が忙しいからお手伝いしてるだけで、詳しいことはわかんないよ?」

亜美「本業はアイドルだしね」

ジョー「お前たちも狙われるぞ」

真美「だからここから出られないんだYO」

亜美「事務所にもお休みの電話したし」

マーベラス「それで、運ばれてきたアイドル達の様子はどうなんだ」

真美「バケモノに襲われたって言ってたけど、本当だったんだ」

ジョー「おそらくザンギャックだな。詳しい話を聞かせて貰うぞ」

亜美「大した怪我はしてないから、みんな一番大きい部屋に集まってるよ」

ジョー「やっぱり、アイドル達ばかりなのか?」

真美「なんか、売れない俳優さんも一人いたよ。あ、突き当たりの右ね」

マーベラス「わかった」

32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 18:05:14.81 ID:dwqYDEPBo
 


 
 
   「……オンリーワンの着ぐるみを取られちまったんですよ……」

   「かーいいかーいい宝物が取られたんだにぃ……鳥ちゃんきゃわわっ! こっちにおいでぇ」

   「飴……私の飴が……家から出たから罰が当たったんだ」

   「我が魂に共鳴すべし宝珠は、悪しき存在によって永劫の闇へと葬られた(大事なアクセサリーが盗られてしまいました)」

   「お二人は幸運ですね、こんな可愛いボクに事情聴取が出来るんですから」
 
   「俺の……俺のフィギュアがぁあああ」

   「俺の、俺の交通安全紙芝居がぁああああ」
 
 


    
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 18:05:47.99 ID:dwqYDEPBo

ナビィ「ううう、握りつぶされるとかと思った……」

ジョー「地球のアイドルとは変わり者ばかりなのか?」

マーベラス「……俺に聞くな」

ジョー「一人、知っている顔があったような……」

マーベラス「忘れろ」

ジョー「とにかく、或る程度の話はわかった。ルカ達に合流しよう」

マーベラス「ああ。鳥、765プロに案内しろ」

ナビィ「はーい」

亜美「GO!」

真美「早く早く!」

ジョー「待て。なんでお前らが付いてくる」

亜美「765プロに行くんでしょ? 亜美達が案内するよ」

真美「スーパー戦隊と一緒なら安全だし」

亜美「鬼にマル暴だね」

ナビィ「怖いよ、それ」

マーベラス「なんでもいいからさっさと行くぞ!」


34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 18:06:23.26 ID:dwqYDEPBo


休憩する
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 19:45:18.05 ID:dwqYDEPBo

 
  
 一方事務所では、やよいたちの身に起こった事件の説明が終わっていた。

あずさ「そんなことって……」

ルカ「事実よ。現に私たちのモバイレーツもあいつの歌で奪われた」

社長「先ほど亜美君真美君の家からも連絡があった。実際にアイドルが襲われているそうだ。ウチだけではなく、モバプロなども」

春香「怖いですね」

鎧「ということは、その歌をなんとかすれば」

ドン「そうだよ、歌さえ止めてしまえば」

千早「……」

P「千早?」

千早「いえ、なんでもありません」

アイム「歌を止めましょう」

千早「……」

伊織「悔しいけれど、歌は本当に上手かったわ」

貴音「そうですね。そればかりは認めざるを得ません」

ルカ「いくらうまくても、相手はザンギャック。認められないわ」

鎧「とにかく、歌を止めましょう!」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 19:45:46.59 ID:dwqYDEPBo

マーベラス「ちょっと待った!」

亜美・真美「待ったぁ!」

アイム「マーベラスさん、ジョーさん」

P「亜美、真美、お前らまで」

亜美「へへーん、ゴーカイレッドとゴーカイブルーを案内してきたよ」

真美「すごいっしょ〜」

マーベラス「ウチの連中が世話になったな」

ドン「マーベラス、アカベの歌を何とかして止めれば」

マーベラス「いや、それじゃあ駄目なんだ」

ルカ「え?」

マーベラス「ちょうどいい。なあ、ここで一番歌が上手いのは誰だ?」

律子「何をする気かしら?」

マーベラス「歌が上手い奴を聞いているんだ。やることは一つだろう」

律子「まさかと思うけど、ウチのアイドルを危険な目に遭わすつもりなら絶対にお断りよ」

マーベラス「アカベって奴は、歌に関しては本気らしい。だったら、本気で歌える奴をぶつけてやればいい。本気で歌の勝負が出来る奴を」

律子「自分たちだけじゃ勝てないからって、一般人を危険に晒すのが最近のスーパー戦隊なわけ?」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 19:46:12.65 ID:dwqYDEPBo

ドン「マーベラス! 何やってんだよ、そんなの無茶に決まってるじゃないか!」

鎧「そうですよ、危険すぎます!」

ルカ「アイドルに前出て戦えってのはちょっと無茶すぎない?」

アイム「さすがに、賛成できません」

 全員を見渡すマーベラスの視線が一点で止まる。

千早「……」

マーベラス「……」

 視線を逸らし、ふっと笑うマーベラス。

マーベラス「ああ、すまなかった。ちょっと無茶だったな。行くぞ、お前ら」

走「俺たちも行こう」

ジョー「いや、あんたたちは念のためここにいてくれ。万が一の時は頼む」

亮「わかった。ここの人たちは心配するな。俺たちが護る」

 事務所を出て行くゴーカイジャー一同。

真「……いいのかな、本当に」

律子「文字通り、本当の意味で命を懸ける。それが出来るの?」

真「それは……」

律子「軽蔑してくれてもいいわ。だけど、私は貴方達の命を危険に晒すようなことは出来ない。させたくない」

千早「……」

律子「そういうことよ、千早」

社長「……一つ、昔話を聞いてくれるかな」

P「社長?」

38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 19:46:56.28 ID:dwqYDEPBo





  昔、二人の男がいた。
  男達は希望に燃える若きプロデューサーだった。二人はそれぞれアイドルを育てていた。
  しかし、アイドルはなかなか売れなかった。歌は売れなかった。
  なんとかとして歌を売りたい。二人は寝食を忘れ走り回った。
  そこに現れた者がいた。彼らはアイドルの売り出しに協力してくれると言い、不思議な力を見せてくれた。
  あとからわかったことだが、彼らはアイドル達に特殊な歌を歌わせ、それによって世界を混乱に陥れようとしていたのだ。

  ♪ふっしぎしぎ まっかふしぎ ル〜ワ〜 ふっしぎしぎ まっかふしぎ ル〜ワ〜♪

  男達はただ歌が全国に伝わればいい、売れればいいと考え、口車に乗ってしまったのだ。
  気が付いたときには、既にアイドル達はその歌を歌い、テレビに出ようとしていた。
  男達は必死に止めようとしたが、もう既に遅かったのだ……

  その時、

 「焼結!!」

  一人の戦士が現れたのだよ。

 「宇宙刑事! シャイダー!!」





39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 19:47:24.91 ID:dwqYDEPBo


社長「馬鹿だったんだな、二人とも。歌の力を信じていなかった。歌には確かに力がある。だが、それを間違って使ってはいけないんだ」

社長「それは歌い手の心によって間違った力にもなる。しかし、歌に正しい力はある。その力は、確実に存在しているのだよ」

社長「二人は本当の歌の力を信じた。それを全国に伝える方法で仲違いしたものの、二人は今でもその力を信じているよ」

社長「律子くん、ここに、歌の力を信じることの出来る、本当の歌の力を発揮することの出来るアイドルはいるかね?」

律子「それは……」

P「います!」

律子「プロデューサー!?」

千早「います」

P「千早……」

千早「歌は、人を傷つけるために歌うんじゃない。自分のためだけに歌うんじゃない。誰かから何かを奪うために歌うんじゃない」

千早「私はそれをここで知ったんです」 

千早「律子さん、行かせてください」

律子「千早……」

伊織「あいつはね、本当に歌だけは上手かったのよ」

貴音「ええ、確かに歌は見事でした。ですが」

やよい「千早さんのほうが上手です!」

P「ああ、その通りだ」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/26(水) 19:47:51.71 ID:dwqYDEPBo

律子「そんなこと、わかってるわよ」

千早「律子……」

律子「プロデューサー殿が言うのなら、間違いないわ」

律子「だけど一つだけ。無茶はしないで。怪我はしないで」

亮「俺たちが護る。いや、護ってみせる」

走「ああ、任せてくれ」

大五郎「もっとも、彼女一人だけを行かせるようにも見えないけどな、君たちは」

雪歩「当たり前ですっ!」

真「雪歩?」

雪歩「だって、だって、千早ちゃんだけにそんなことさせるわけないじゃないですか!」

春香「そうだよ! 千早ちゃん一人でなんか行かせないんだから」

美希「当然なの。キラキラしない歌なんて、歌じゃないの」

響「自分だって、歌もダンスも大好きなんだからな」

あずさ「プロデューサー、道案内お願いしますね」

亜美「真美、行くよ」

真美「オッケー!」

社長「音無君、君は何を準備しているのかね?」

小鳥「勿論デジタルカメラです。こんな機会、二度とありませんからね」

41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 19:48:29.75 ID:dwqYDEPBo
 
 
 
 
 
 アカベの前に苦戦しているゴーカイレッド、ゴーカイブルー、ゴーカイシルバー。
 ルカ、アイム、ドンは生身の姿でゴーミン達と戦っている。
 
 しかし、三人ではアカベには勝てない。
 アカベとてザンギャックの一員。戦闘能力は決して劣っているわけではないのだ。

アカベ「おやおや、普通に戦ったとしても、たった三人では私には勝てないようね」

アカベ「だけど、お遊びはおしまい。さあ、お聞きなさい。私の歌を」

ゴーカイレッド「くっ……」

 ♪〜〜  ♪〜〜

必死で耳を押さえるゴーカイレッド。ブルーとシルバーは魂を抜かれたように立ちつくしている。

やがて、二人の変身は解除され、モバイレーツとゴーカイセルラーがアカベの元へと引き寄せられていく。

アカベ「耳を押さえたくらいで私の歌は聞こえなくなると思うの?」

 苦しむゴーカイレッド。

ゴーカイレッド「くっ……ぐっ……」

アカベ「ほほほほ、さすがはワルズ・ギル様を苦しめるだけのことはあるようね。そこまで耐えたのは貴方が初めてよ」

アカベ「だけど、歌に耐えながら戦うことが出来るかしら?」

 アカベの怪光線をまともに受け吹き飛ばされるゴーカイレッド。
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 19:48:55.83 ID:dwqYDEPBo

ジョー「マーベラス!」

鎧「くそっ! なんで、なんでザンギャックがあんな歌を……っ!!」

 アカベの攻撃でジョー、ルカ、ドン、アイム、鎧も吹っ飛ばされる。

アカベ「宝を渡してくれないのなら、あっさり殺してしまってもいいのよ?」

ゴーカイレッド「……くっ……ふざけんな……てめえの歌が下手すぎて戦いにくいんだよ、こっちは」

アカベ「……死ねっ!」

千早「待ちなさい!」

アカベ「なにっ!?」

ゴーカイレッド「へっ……遅いじゃねえか、歌姫」

千早「貴方こそ膝が笑ってるわよ、スーパー戦隊さん」

アカベ「地球人のアイドルが、これほど?」

伊織「アンタに言っておくことがあるんだけど」

アカベ「ほお?」

伊織「さっきはアンタの姿でビックリしたけど、よく考えたら貴方の歌って、いまいち気持ちがこもってないのよね」

やよい「音程も外れてました」

貴音「真の良き歌とは、似ても似つかぬ代物でした」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 19:49:22.63 ID:dwqYDEPBo

P「あー、あれじゃあ、いいとこBランクの下、くらいかな」

律子「えー。いくら遠方からのお客様だからって、褒めすぎですよ、それ」

美希「あふぅ、退屈すぎて寝ちゃいそうな歌なの」

亜美「きらりんも杏っちも、歌に感動したんじゃなくて、姿にビックリしたって言ってたYO」

真美「うんうん。あまとうもそう言ってた」

アカベ「貴様ら……ならば、もう一度聞かせてやる。お前達の宝ではなく、命と引き替えにな!」

 ♪〜〜 ♪〜〜

 動じないアイドル達。

アカベ「な、なに?」

あずさ「もう、駄目なんですよ」

響「自分たちはもっといい歌を知ってるさ」

雪歩「こんな歌、駄目駄目ですぅ」

真「僕たちは、もっと本物に近い歌を聴いたことがある」

春香「貴方は、千早ちゃんには絶対に勝てない!」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 19:49:48.98 ID:dwqYDEPBo

アカベ「ぬぅぅううう、ならば、その千早とやらの歌を聴かせてみるがいい!」

小鳥「千早ちゃん、準備はいい?」

千早「はい」

 亮たちの担いできた機材のスイッチを入れる小鳥。
 流れ出す曲は……

 ♪〜〜
 泣くことならたやすいけれど 哀しみには流されない♪

 しっかと前を見つめ、アカベに向かい歌う千早。
 一歩前へ。
 
 それに押されるように一歩下がるアカベ。

アカベ「う……」

 ♪〜〜

 千早の歩みに押されるようにさらに一歩、さらに一歩と下がるアカベ。

アカベ「あ……あ……これが……地球のアイドルの歌……」

 アカベの膝が地に着いた。

 その身体が輝き、光の玉がやよい、貴音、伊織、Pへと飛んでいく。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 19:50:17.98 ID:dwqYDEPBo

やよい「べろちょろが帰ってきました!」

伊織「うさちゃん!」

P「良かった、デモテープが……」

貴音「美味でした」

響「え? 食べたの?」

 そしてさらなる光が各地へ飛び、その内の五つがゴーカイレッド以外のゴーカイジャーの面々へと。

アカベ「認めないっ! 認めないわ! 地球人の歌ごときを私が認めるなどっ!!」

 叫び構えるアカベから放たれる怪光線か千早を襲う。
 走るゴーカイジャー。しかし、一歩届かない。

 と思われたその瞬間、ゴーカイレッドの身体から三つの光が矢のように放たれる。

 千早の姿が爆風に紛れ、アイドル達が叫んだ次の瞬間。

 そこに現れたのは無傷の姿で呆然と立ちつくす千早と、彼女を庇い護った三人の戦士。

「デンジ! ブルー!」

「灼熱の獅子! ガオレッド!」

「リュウレンジャー! 天火星、亮!」 

千早「……え……」

鎧「おおおおおおっ!!?!?」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 19:50:46.36 ID:dwqYDEPBo

ゴーカイレッド「どうやら、レジェンドキーがやってくれたようだな」

鎧「先輩方! アイドルの皆さんをよろしくお願いします!」

ゴーカイレッド「次は俺たちの番だ!」

ジョー・ルカ・アイム・ドン・鎧「ゴーカイチェンジ!」

 ゴーーーカイジャー!!

「ゴーカイレッド」

「ゴーカイブルー」

「ゴーカイイエロー」

「ゴーカイグリーン」

「ゴーカイピンク」

「ゴーーーカイっ! シルバー!!」

「海賊戦隊! ゴーカイジャー!」

ゴーカイレッド「派手に行くぜっ!」

 歌とプライドを失ったアカベは、ゴーカイジャーの敵ではなかった。
 最後の巨大化も、豪獣ゴーカイオーの前に敢えなく敗れ去るのだった。
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 19:51:21.84 ID:dwqYDEPBo

 
 
 
 
ドン「あ、あの……良かったらサイン……」

美希「うん、いいよ。ハカセって書けばいいの?」

鎧「ドンさん、なんだか凄いですね」

ルカ「や、いつもアンタ、レジェンドの前だとあんな風だからね?」

鎧「え、マジ?」

アイム「あ、大変です。餃子を忘れていました」

亮「それじゃあ、店に戻ろうか」

走「我那覇さん、いぬ美ちゃんの退院は明日だからね」

響「はーい」

千早「あの、皆さん、ありがとうございました」

大五郎「礼を言うのはこっちだよ。君たちの……いや、君の歌への想いがなければ、危ないところだった」

ジョー「ああ、その通りだ。そうだろ、マーベラス」

マーベラス「まぁな。俺には歌の善し悪しはわかんねえが、悪くなかったと思うぜ」

P「そうだ、これ、良かったら持っていってくれ。ライブのチケットだ。六枚ある」

ルカ「貰えるものは貰っておきましょうよ、ねえ」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/26(水) 19:52:09.45 ID:dwqYDEPBo

マーベラス「如月千早」

千早「ええ」

マーベラス「世話になったな」

千早「一つ聞いていいですか?」

マーベラス「なんだ?」

千早「どうして、アカベに対抗する歌を歌うアイドルを、ウチの事務所から選ぼうとしたの?」

マーベラス「たまたま、ハカセ達がお前らの所にいたからだ。他に意味なんかねえよ」

 そう言ってマーベラスが千早に背を向け、そのまま立ち去ろうとしたとき、

ナビィ「マーベラス、毎週生っすか、見てるよね」

マーベラス「鳥ぃーーーっ!!!」

 絶叫の後、アイドル達の笑い声が聞こえてきたという。

 







                           終
49 : ◆NOC.S1z/i2 [sage]:2012/12/26(水) 19:54:30.73 ID:dwqYDEPBo
以上お粗末様でした


自分が見たいモノを書いた。

明日くらいにhtml化依頼するために、一応最後だけ鳥つけとく
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 17:59:37.47 ID:6qZF/x0mo
面白かった! 乙乙
あまとうもそうだけどなんかまじってるまじってるwwwwwwいや、カーレンらしいけど
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