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貴音「こひしたふ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 22:04:30.91 ID:TAqxv/he0
















あなたを愛しています。

















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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/28(金) 22:06:48.92 ID:TAqxv/he0


「はい、カット!」

パシンッと威勢のいい音がスタジオに響いた。貴音はその音にさっと身を翻す。
よく知りもしない男に「愛しています」なぞ、いくら芝居だからと言っても気分が悪かった。

「貴音ちゃーん。ちょっとちょっと」

監督に呼ばれ、仕方なく彼の前へ歩み寄る。
名監督だとは言われているが、歳のせいか貴音より頭一つ分も背が低い。結果的に監督を見下ろす貴音はただでさえ不機嫌な表情がますます威圧的に見えてしまうのだろう、監督の表情もきつかった。

「演技はいいんだよね、けどもう少しこう、心は込められない?君のセリフはまるで温かみが感じられないんだよ」
「はあ」
「特に最後のシーンね、君もう少しこう、頼みたいんだけどね」

監督の身振り手振りの嵐が過ぎ去ってゆき、貴音はようやくため息を吐いた。
わかってはいるのだ、わかってはいる。自分はアイドル。プロとしての自覚だってちゃんとある。
だけど出来ないのは自分のプライドというよりももっと別の心が貴音の中に存在していたからだ。

随分前から、何かおかしいことには気付いていた。
男性に対して、他の女性が抱くような気持ちを抱いたことはないのだ。

雪歩のような男性嫌いというわけでもない。
いくら貴音でも、だからこの業界ではよく噂に聞く同性愛者というものなのではないのか、そう悩んだ時期もある。
もちろんアイドルにとって恋愛はご法度なことも承知している。
それだから今はどちらつかずのまま、ぷらぷらと宙に浮いているようなものだった。

ただでさえこの自分のことをきちんと理解出来ていない状態なのに、心にもないことを心を込めて言うなんてこと、貴音に出来るはずもなかった。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/28(金) 22:08:06.43 ID:TAqxv/he0


「ただいま戻りました」

既に深夜だった。

貴音は誰もいないだろうとはわかってはいたものの、どうしても中途半端には出来ない性分のために一度事務所に戻ることにした。拾ったタクシーを降り、真っ暗な事務所の扉を開ける。鍵はかかっていなかった。小鳥や律子が閉め忘れて帰ったのだろうか。不審に思いつつも疲れきっていた身体を一度休めようと事務所に足を踏み入れ――電気をつけ、そして貴音はひっと低く悲鳴を漏らした。

事務所の中はひどい有り様だった。何かのお菓子の袋がいくつも落ちており、空の缶ビールや空き瓶なんかがそこかしこに散らばっている。視線を事務所の中心に持っていくと、そこには泥酔して眠ってしまったらしい響の姿があった。

「響っ」

貴音は慌てて響のもとに駆け寄った。デスクに突っ伏し眠っている響のポニーテールが小さく揺らぐ。
何度も身体を揺すり、ようやく響は目を覚ました。

「ん、貴音……?」

どうやら意識は一応はっきりしているらしい。頭が痛いのか、響は頭を犬のようにぶるぶる回して顔をしかめた。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/28(金) 22:08:56.74 ID:TAqxv/he0
「貴音、自分……」
「何があったのです、響。誰にお酒を飲むように強いられて」
「違うよ、貴音」

響は貴音の言葉をそう言って遮り、「水、くれる?」と手を差し出した。
ちょうど鞄の中に入っていた飲み掛けのペットボトルを取り出し、貴音はそれを響の手に乗せる。
響は礼を言うこともせずに半分ほどあった水を一気に飲み干した。

こくん、こくんと響の灼けた喉がリズムよく音を鳴らす。
二人しかいない深夜の事務所では、それはやけに大きく聞こえた。

「……響」

全て飲み干した響に、貴音はゆっくりと声をかけた。響は躊躇いさえ見せずに答えた。

「自分で勝手にやったことだぞ、これ。だいたい765プロに未成年に飲酒強要するような人、いないでしょ」

響の代わりのように答える言葉を躊躇する貴音に、響は静かに続けた。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/28(金) 22:09:42.12 ID:TAqxv/he0
「ごめんな貴音。いつも自分、迷惑かけてばっかりだ」
「響……」

弱々しい笑みを見せながらそう言う響を、貴音は今の今まで見たことがなかった。
響とはこの世界に入ってからずっと一緒だった。
961プロから765プロに移籍して、新たな仲間が出来てお互い忙しくなっても、響は唯一自分の弱みを見せられる関係であり、響はいつも貴音の戯言を受け入れ聞いてくれた。

響がこんな顔をするのが貴音には信じられなかった。

「……何が、あったのですか」

震える声をなんとか隠し、そう訊ねることが今の貴音の精一杯だった。
自分のことでもない響のことでここまで動揺するなんて、なんて自分は弱虫なのだろう。そんなことを思いながら。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/28(金) 22:10:47.01 ID:TAqxv/he0
「ん?……大してなんでもないぞ」
「ではなぜ……!」
「ただ自分の無能さが嫌になっただけさー」

なんてことはないというような口調で響は答える。貴音はそれでも、というように食い下がった。
それでも、いつもの響ではない。お酒を飲むことも、そんなふうに言うことも、いつものあなたではないのだと今にも泣きそうな声で。

貴音が言葉を発するたびに響の表情は歪んでいった。
貴音には、自分の視界がそうなっているのか、それとも響が泣きそうな顔をしているのかすらもう判断はつかなかった。

ただ、必死だった。怖かったのかもしれない、これまで自分が無意識に甘えていたこの目の前の少女が違う場所へ、遠くへ行ってしまいそうなのが。

「貴音」

響の低い声が貴音の名前を呼ぶまで、貴音は何度も同じような言葉を繰り返した。
まるで壊れかけのラジオのように。ここ最近のこと、今日の撮影のこと、そんな関係のないことまでがなぜか貴音を焦らせた。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/28(金) 22:11:22.00 ID:TAqxv/he0
「響」

はっとしたように、貴音は響を見た。響の瞳は厳しかった。味方でも仲間でもなく、まるで敵を見る目のようだと貴音は思った。

「貴音。貴音は本当に、自分のこと、知ってるのか」

ゆっくりな口調。
ふいに響は貴音の手首を乱暴につかむと、貴音の身体は響のほうへ引き寄せられる。酒臭い息と、響独特の甘い匂いに貴音はくらくらした。

「知ったようなこと、言うなよ」

そして乱暴な、口付け。押し付けられた唇も、囁かれた言葉も乱暴で暗く、貴音は抵抗すら出来なかった。
深夜。765プロ事務所。
貴音が今感じているのは自分のそれを塞ぐ響の唇と、そして胸に突き刺さった響の言葉のみだった。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/28(金) 22:12:39.20 ID:TAqxv/he0
とりあえず今日は以上
ほの暗いひびたかSSです

それではまた
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 22:22:29.98 ID:kL9IKbrvo

珍しい響かも
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/28(金) 23:32:58.93 ID:/OSZE2X3o
大期待
こんな響もいいねぇ

11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 03:04:17.36 ID:7Gmk16axo
眠いせいか
貴音「こしひかり」
に見えたけど乙
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 03:50:21.18 ID:pxCWWE7oo

次はいつごろ?
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 00:17:26.98 ID:x9OhnH1e0
「おお、貴音。すまん、少し社長との話が長引いちゃってな。待ったか?」

貴音は事務所の狭い会議室の机に向けていた視線を慌てたように入ってきたプロデューサーへ向け、「いえ、大丈夫です」と笑ってみせた。
その手元には現在撮影中の映画の台本があったが、一切めくられた様子はなかった。
プロデューサーはそれに気付いているのかいないのか、「すまんな」ともう一度謝って貴音の座る前に腰を下ろした。
貴音はそっと顔を伏せる。今は誰とも顔を合わせて話す自信はなかった。これではアイドル失格。けれど、こんなひどい顔を見せるよりは幾分かましだと貴音は思う。

昨夜遅く家に帰ってから、貴音は結局一睡もできずにいた。
そして普段より遅く事務所に顔を出した貴音は、響が今日、オフでもないのに仕事を休んでいると今さっき知ったばかりだった。
たまたまこの会議室に入る前に、事務員の小鳥と新人プロデューサーの律子が話しているのを聞いたのだ。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 00:18:06.34 ID:x9OhnH1e0
「ええと、今日は新曲のプロモーションについてなんだが」
「はい」
「――あーっと、その前に」

プロデューサーはわざとらしく咳払いをすると、なぜだか黙り込んでしまった。
貴音がそっと顔を上げると、それを待っていたかのようにプロデューサーは「貴音さ」と切り出した。

「なんでしょう」
「いや、なんていうの?俺って、お前たちにとって、その、ただのプロデューサーなわけだよな」
「はあ」
「それ以上でもそれ以下でもないわけで、そのなんだ、俺がお前たちに釣り合うわけはないしだな、ていうかそもそも売り出し中のアイドルであるお前たちに――」

もごもごと、いつになく小声で話すプロデューサーに、貴音は訝しげに首を傾げるしかない。
そんな貴音にプロデューサーもこのままではいけないと腹を括ったらしかった。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 00:19:06.09 ID:x9OhnH1e0
「貴音。その、な。お前、響と仲良かったよな?」

突然の、響の名前。予想だにしていなかったからか、貴音は一瞬自分の心臓が大きく波打ったことを感じた。

「たしかに……そのはず、ですが」

はい、とははっきりと答えられなかった。
昨日のことがすっと頭をかすめて、貴音の口調から自信を奪ってゆく。

「そうか、そうだよな……響な、一週間謹慎処分ってさっき決まったんだわ」

続いてのプロデューサーの言葉に。
いよいよ貴音の思考は停止した、ように思った。しかし頭の中にはどこか冷静な部分があって、「なぜですか」と静かに訊ねる貴音がいた。
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 00:20:13.17 ID:x9OhnH1e0
昨夜、あの後。
貴音は部屋を飛び出した響を追いかけることができなかった。かといって、じっと朝まで事務所に留まっているわけにもいかずに、散らかったゴミや響の残していった缶などを皆片付けた。
その最中はただ呆然としていて、あまり記憶にない。

ただお酒を飲んでいたことを知られて響のアイドルとしての命が終わってしまうことは貴音にも容易に想像できた。それだから、響のステージを守るために、貴音は無意識のうちの行動だったと思う。
たとえそれが間違っていることだったとしても、今もそのことは後悔していない。だというのに。

「いや、なぜって聞かれても困るんだけどな……響、その、色々あって、あ、いや、あったみたいだからさ」

プロデューサーの、さきほどよりもさらに言い辛そうな声。
貴音はそんなプロデューサーの様子を見て、なにか悟るものがあった。

「色々あった、とは」
「えっ、あっ、いやその、お、俺には関係――」
「あるんですね」

なんとも分かりやすい。
もともと顔に出やすいタイプのプロデューサーが、貴音の勘を裏付けるように動揺してパタパタと手と頭を同時に振っていたのを止めて、項垂れるように「ああ……」と頷いた。
そのまま大きな溜め息とともに机に倒れこむ。
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 00:21:11.87 ID:x9OhnH1e0
少なくとも、この様子では昨日の酒がバレたわけではないらしい。
バレていたとしたら、一週間の謹慎なんかで済むはずもあるまい。
しかし、だったら響はなぜ。
一体、プロデューサーとなにがあったというのか。

昨日の響の様子を思い返す。
やはり、貴音にとって、まったく未知の存在に思えた、響のことを。

「あなた様は――」

あなた様は、響をどこへやってしまわれたのですか。
そう、いいかけて。
――知ったようなこと、言うなよ。
響の冷たい声を思い出し、貴音はこぼれかけた言葉を、飲み下した。
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 00:21:58.25 ID:x9OhnH1e0
「……いえ、何でもありません」

今の自分には、もしかするとプロデューサーを責める資格なんてないのかもしれない。
貴音は、そのことが悔しく歯痒く思った。
黙り込んだ二人の間に、双海姉妹の元気な声や美希を叱る律子の声が聞こえてきて、辛うじて居心地の悪さを回避してくれる。

やがてプロデューサーは、「変なとこ見せちゃって悪いな」と顔を上げた。
その顔はもう、いつもの彼の顔だった。
それを見た貴音も、表情を引き締める。
それっきり、響のことは話題に出なかった。
けれど貴音の中で、いつまでたっても響のことが頭から離れそうにはなかった。
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 00:22:40.43 ID:x9OhnH1e0
会議室を去る前に、プロデューサーは貴音を振り向き「響の様子見、頼んでもいいか?」と、そう言った。
その顔は、少し情けないように見えた。
響にこんな自分が会う資格はあるのか。過ぎった思考。
中々答えのない貴音に、プロデューサーはその沈黙をどう受取ったのだろうか、「気が向いたときでいいからな」と付け足したあとに、今度こそ貴音に背を向けた。
貴音はその背中を見送りながら、「響」とそっと口の中でその名を呟いた。

一体、私はどうすればいいのだろうか。
貴音には、まったくそれがわからなかった。
今自分が進むべき道が、見えない。それがこんなにも不安なのだと、貴音は今さらに感じた。
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/12/30(日) 00:23:52.95 ID:x9OhnH1e0
今日は以上です
次いつ投下できるかは約束ができないので明言することはできないです、すみません

それではまた
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/30(日) 00:35:08.16 ID:aIR56WWAo

楽しみにしてる。
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/12(土) 21:24:23.09 ID:NCj+jBW+o
来ないな
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 16:37:04.72 ID:7UwOgTTKo
待ってる
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/16(土) 00:12:23.26 ID:5+7UqKSEo
作者忘れてるな。もう落ちるね。
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