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ギンコ「よう」 淡幽「ギンコか」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2012/12/29(土) 02:26:48.00 ID:8aJgZLrSO
※ペースは超ゆっくり

※性格、口調等違和感を感じると思います

※安価は、やれたらいいなーという程度です

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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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2 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2012/12/29(土) 02:38:02.00 ID:8aJgZLrSO
淡幽「随分と久しいじゃないか。変わり無いか?」

ギンコ「お陰さんで」

淡幽「そうか。……やはり、狩房文庫だな?」

ギンコ「ま、そういうこった。早速で悪いが、始めて良いか?」

淡幽「そう急くな。……たま」

たま「はい。ここに」

淡幽「茶を頼む」

たま「畏まりました」

ギンコ「お、悪いな」
3 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2012/12/29(土) 02:48:03.91 ID:8aJgZLrSO
ギンコ「さあて、何から話すかな……」

淡幽「ああ……長く聞けなかったのだ。楽しみだ」

ギンコ「そうさね……では、ある男が虹に憑かれた話を……」

――――――――――――

――――――――

――――

ギンコ「……とまあ、こんな具合だな」

淡幽「虹がな……興味深い」

ギンコ「ナガレモノっつーんだが、ま、中にはこう言うヤツもいるのさ」

淡幽「ふむ……」
4 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2012/12/29(土) 02:55:32.73 ID:8aJgZLrSO
淡幽「中々に面白かったぞ、ギンコ」

ギンコ「あん? もういいのか」

淡幽「ああ。また次回にでも聞かせてもらうよ」

ギンコ「ふむ……まだまだ沢山あるんだがな」

淡幽「楽しみはとっておくものだ」

ギンコ「そうかい」ズズ-

淡幽「……」…ズズ

ギンコ「ふう」
5 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2012/12/29(土) 03:01:19.92 ID:8aJgZLrSO
淡幽「さて……始めよう」

ギンコ「アレか」

淡幽「……見ていても楽しくは無いぞ」

ギンコ「駄目か」

淡幽「……まあ別に、お前が構わないなら良いが」

ギンコ「悪いな」

淡幽「さて……っ」サラ

ギンコ「……」

淡幽「…………」サラサラ

―――――――――――――

――――――――

――――
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 03:09:02.95 ID:8aJgZLrSO
淡幽「――……ふう、終了だ」

ギンコ「ご苦労さん。どうだ、足は」

淡幽「悪くない。このまま順調に行けば、痣が消えるのもそう遠くは無いだろうな」

ギンコ「そりゃ良かった」

淡幽「……そうだな」

たま「……失礼致します、お嬢様」スッ

淡幽「たまか」

ギンコ「お、んじゃ、ちょっくら下に邪魔するぜ」

淡幽「ああ、気をつけてな」

ギンコ「おう」
7 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2012/12/29(土) 03:11:51.68 ID:8aJgZLrSO
携帯やりずれえええええ今日はここまで。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 03:35:50.51 ID:t3hK+T1Oo
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/29(土) 09:02:26.48 ID:FPgbh+ZW0
きたい
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 09:09:16.30 ID:618RBN580


まさか蟲師がくるとはな・・・
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 11:19:02.00 ID:HURcNM8AO
期待
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 11:38:51.85 ID:YiHma0xe0
蟲師とか何と言う俺得
期待させてもらう!
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 12:46:53.64 ID:eijEHkWxo
俺得俺得
初めて買った漫画だわ
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 13:41:02.68 ID:E0Opj4uG0
蟲師って雰囲気が最高に良いよな
期待期待
15 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2012/12/29(土) 16:44:54.14 ID:F9M/5Z1Z0
ギンコ「ほー、こいつは……」


狩房文庫には、蟲、特に禁種などの珍しい蟲の記述が多い。
狩房家が代々連ねてきた数々の蟲の退治方法を記したこの文庫は、今まで少なくない数の蟲師が世話になってきた。
ギンコもその一人だ。


たま「お前が来ると、少し……お嬢様の機嫌が良くなる」


蝋燭の灯を揺らし、白髪の老婆が階段から降りてくる。
目元に皺を刻み、気づかず巻物を読みふけるギンコにたまが話しかけた。


ギンコ「うおっ」


驚き、思わずギンコは後ずさった。


ギンコ「なんだ……おたまさんか」

たま「なんだとはなんだい、まったく」


はあ、と、これはたま。


ギンコ「で、今何て言った?」

たま「いや……何でも無いよ」


鼻を摘んだような顔をしながら、たまは言った。
そうかい、とギンコ。


ギンコ「ちいと目的の蟲がいるんだが……この数だ、中々見つからん」

たま「ふむ……それならば、お嬢様に聞いてみるといい。知っている蟲ならばお教えしてくれるかも知れぬ」


狩房淡幽は狩房家四代目の筆記者だ。
身体に封じた蟲の痣を、文字にして封印していく。
封印する際、痣がある足は激痛を発する。
蟲を退治する話を紙に記し、少しずつ蟲を封印していくのだ。


ギンコ「それもそうだな……」


このままでは無駄に時間を浪費すると思ったのだろう、ギンコはたまの提案に乗った。

16 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2012/12/29(土) 17:15:56.82 ID:F9M/5Z1Z0
ギンコは書庫を出て階段を上がると、再び淡幽の元へとやって来た。


ギンコ「わりぃな、何度も何度も」

淡幽 「構わんさ」


淡幽は長煙草を燻らせながら、ギンコの言う『蟲』の話を聞いた。


ギンコ「どうだ?」

淡幽 「ふむ……」


淡幽は顎に手をやり、考える素振りを見せる。
それは実に様になっており、絵になっていた。
が、ギンコはいつも見ているしなれたものなので、気にした事などは無いが。


淡幽 「……すまない、心当たりが無い。恐らく、先代達のいずれかが知っていたとは思うのだが……」


しゅん、とする淡幽。


淡幽は一度自分が記した蟲の話ならば忘れない。
しかし、流石先代達が記した蟲までは把握はしていなかった。


ギンコ「別にお前が悪いわけじゃねぇんだ、気にすんなって」

淡幽 「しかし……」


なおも食い下がろうとする淡幽にギンコは違和感を感じたのか、懐から蟲煙草を取り出しながら言った。


ギンコ「おいおい。らしくないな」

淡幽 「む」
17 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2012/12/29(土) 18:08:04.22 ID:F9M/5Z1Z0
淡幽 「……そうだな。確かに、らしくなかった」


ふう、と煙を吐く淡幽。


淡幽 「何故かな……ギンコ。お前といると、どうも弱い」


指でパイプを弄びながら、淡幽は独白するようにギンコに言った。
縁側に座り柱に寄り添う淡幽。
その黒い瞳は、何かを憂うような色をしていた。


ギンコ「……これは、前にも言ったと思うが」


そんな淡幽に対し、ギンコはだるそうな目で頭を掻きながら淡幽にそっと話しはじめた。


ギンコ「蟲師っつーのは、いつ死ぬか分からん。明日かもしれんし、もしかすると一年後かも知れん。
    ま、そりゃそうだ。俺らは『蟲』という『カタチ』を生業にしてるんだからな」


ギンコの話を静かに聞く淡幽。


ギンコ「ま、ご存知の通り俺は特殊な身の上でな。一所に留まると蟲を引き寄せちまう。
    ……無いとは思うが、俺自身が蟲になっちまう可能性だってある」

淡幽 「……私は」


縁に手を当て、ぐっと力を籠める淡幽。
その顔は柱の影に隠れ、窺う事は出来ない。
だが、それでも。


淡幽 「私はそれでも、お前と共にありたい」


淡幽は思いの丈をぶつけるように、ギンコに言った。
18 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2012/12/29(土) 18:10:30.76 ID:F9M/5Z1Z0
地の文やりずれええええええええええ今回はココまで。
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 18:11:11.39 ID:SetobjhO0
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 18:40:55.94 ID:eijEHkWxo
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/29(土) 20:48:09.79 ID:xfAnoU5V0
乙!蟲師SSとは……期待するっきゃねえ
22 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2012/12/30(日) 01:31:52.39 ID:8/Olxf2g0
時間は既に寅の刻。
青々に色づいた春空の下、二人の間にはゆっくりと時間が流れていた。
先ほどの淡幽の言葉──。
自惚れで無く、ギンコは淡幽に所謂『好意』を向けられていた。
それは純粋な……しかしそれはまだ叶う事の難しい願いだった。


ギンコ「どこにも行きゃしねぇよ」


ギンコはあぐらを解いて立ち上がった。
足が痺れたのか、しかめっ面をしながら言う。


ギンコ「お前との約束も守る。足が治ったら、一緒に旅に行くってな」


そう言うとギンコは蟲煙草の煙をふかす。
その言葉尻に「ただし」と付け加えると、


ギンコ「それまでに無事俺が生き延びられてたらな」


若白髪の下。
その翠の目で話すのは、いつか言ったような台詞。
淡幽は口元に微かな笑みを浮かべると、


「……生きてるんだよ」


二人の間に、不可視の絆があるように見えた。
23 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2012/12/30(日) 01:33:12.02 ID:8/Olxf2g0
暫く他愛の無い会話を続けていると、淡幽が「疲れた。少し眠る」と言い、そのまま柱に寄りかかって眠ってしまった。
どうしたものかとギンコが困っていると、淡幽はふと目を開け、


淡幽 「傍に居てくれないか」


と言った。
それに対しギンコは、


ギンコ「ああ」


と返すだけだった。
しかし淡幽にはそれで十分だったようで、安心したようにそのまま再び瞼を閉じた。


ギンコ「……さて、どうすっかな」


ギンコが気にしているのは蟲の事である。
結局、肝心の蟲の情報が分からず仕舞いだった。
こうなると、狩房文庫の書物を片っ端から読み漁るしかないのだが──


ギンコ「(しかし、この『体質』がなぁ)」


そう、ギンコは蟲を寄せ付ける体質を持っている。
故に一箇所に留まる事は出来ないのだ。
下手に蟲を寄せ付けても碌な事にはならないのを、蟲師であるギンコは知っている。
だが今調べている蟲は、それを『改善』出来る可能性を持っているのだ。
まあ、その情報自体は化野から買ったものだが……。


ギンコ「(ま、焦らずに行くかね)」


その情報が真実だという確証は無い。
ならば確実に行くまでだ。
24 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2012/12/30(日) 01:36:03.90 ID:8/Olxf2g0
淡幽が目を覚ましたのは、それから約二時間後だった。


淡幽 「ん……」

ギンコ「よう」


淡幽の身体からはらりと何かが落ちた。


淡幽 「……これは」


淡幽は、それが毛布だというのに気づくと、寝ぼけ眼を擦りながらギンコに聞いた。


淡幽 「これは、お前が?」


淡幽はギンコにそう聞いた声が、自分でも凄く嬉しそうな声色だったと思い、思わず顔が紅潮した。
が、当のギンコはなんら気が付いていない様子で、


ギンコ「ああ、たまさんが持ってきたんだ」


と言った。


淡幽 「……」

ギンコ「ん、どうした」


淡幽は、ギンコの鈍さにはぁ、と溜め息をついた。
25 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2012/12/30(日) 01:50:06.14 ID:8/Olxf2g0
ふと室内の暗さに外を見ると、空が赤黒く染まっていた。


淡幽 「もうこんな時間か……ギンコ、付き合わせてしまって済まない」


淡幽が申し訳なさそうに聞いた。
狩房家は山の奥深く、容易には来辛い場所にある。
それに、ギンコはその体質の事もある。
明るい時はともかく、既に暗んで来たこの時間に外を歩くのは危険だった。


ギンコ「別にいいさ。このくらい何でもない」


ギンコはそう言うと、帰り支度をしようと荷物をまとめ始めた。
それを見て、淡幽はとある提案をした。


淡幽 「そうだ。ギンコ、今日は家に泊まらないか?」

ギンコ「ああ?」


淡幽の突然の提案に、ギンコは荷物をまとめる手を止める。


淡幽 「そうだ、それがいい。おーい、たま」


淡幽がそう呼んで数瞬の後、奥の襖をたまが開いた。


たま 「はい、お嬢様」

淡幽 .「ギンコを一晩泊めてやってれ」

たま 「分かりました」

ギンコ「おい、俺は……」


ギンコの意見は、反映されそうに無い。
26 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2012/12/30(日) 01:52:41.70 ID:8/Olxf2g0
今回は終わり地の文っていらないですかね
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/30(日) 03:04:43.28 ID:JnluCPdno

セリフだけだと蟲師独特の雰囲気出すのが難しいと思う
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/12/30(日) 03:07:50.36 ID:vFp6eCrho
これは続きが楽しみ
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/01(火) 10:03:48.76 ID:feq9T/ra0
30 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2013/01/06(日) 12:34:22.53 ID:0tHkf8pT0
 夜、屋敷から少し歩いた所にギンコは居た。
 理由は二つ。
 出来るだけ屋敷に蟲を寄せ付けないためと、とある蟲の採取だ。


ギンコ「……」スパー


 心もとない蝋燭の明かりが照らすのは、苔生した岩の隙間。
 ギンコは口に咥えた蟲煙草を手に持つと、煙をその岩の隙間に吹きかけた。


ギンコ「お、来た来た」


 すると何やら隙間から、緑色に発光した棒状のモノがニョロニョロと出てきた。
 すかさずギンコはそれを箸で掴むと、懐から出した空瓶にそれを詰める。
 ビンの中のそれは暫く動き回っていたが、観念したのかやがて活動を止めた。
 それはくるくるとその身体を丸め、ビー玉位の大きさになった。
 ビンの中には、淡く発光する緑色の小さい玉が残った。


ギンコ「しかし、こんな所に居るとはな」


 ギンコが捕まえた『ソレ』。
 皆はもうお分かりだろう、その正体は蟲である。
 名はその通り『発光蟲』。
 数センチから数十センチ程の細長い蚯蚓のような蟲で、身体全体が緑色に淡く発光するのだ。
 本来はその光で寄ってきた生物を、身体から分泌する液で弱らせ、吸収する。
 しかし蟲師はその蟲を別の用途に使っていた。
 

淡幽「どうだ、ギンコ」


 ギンコがビンの中の蟲を眺めていると、後ろから淡幽の声がした。
 ギンコは振り返ると、淡幽は久器用に松葉杖を付きながらランタンを持って歩いていた。


ギンコ「ああ、丁度今見つけた所だ」


 ギンコはビンの中に発光するそれを淡幽に見せる。


淡幽「うん……綺麗だ」


 淡幽はそれをしげしげと見つめると、ふっと笑顔を作った。 
31 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2013/01/06(日) 12:54:47.07 ID:0tHkf8pT0
 ギンコも釣られて笑う。


ギンコ「こいつは中々珍しい蟲だぜ」


淡幽「ほう」

 
 ギンコがそう言うと、淡幽は興味深そうに耳を傾けた。


ギンコ「おたまさんから聞いた時はまさかと思ったがな。蟲師の間じゃ、そこそこ高価に取引されている」


 ギンコはそう語る。
 この蟲、発光蟲は、他の『蟲』もおびき寄せる事が出来るのだ。
 常時蟲を呼んでいる様な状態のギンコとは違い、他の蟲師は蟲を呼べる手段が無い。
 『発光蟲』を除いて。
 説明を聞いた淡幽は、ギンコに質問をした。


淡幽「それを持っていれば蟲をおびき寄せられる、という事か。しかし、常時効果があっては大変ではないのか?」


 それはギンコ自身が証明している。
 蟲が一箇所に集めても、碌な事は無い。


ギンコ「ところが、この状態だと他の蟲を呼ばないんだな。見てろ」


 ギンコがビンの中の蟲を指差す。
 すると淡く発光していた蟲が、その光を段々と失い始めた。
 最後には完全に光を失い、綺麗なガラス玉だけが残った。


淡幽「……なるほど」


 淡幽は納得したように頷く。


ギンコ「ま、こんな感じだが……何で来たんだ?」


 ギンコは疑問に思ったように淡幽に聞く。


淡幽「理由が無ければ駄目か?」


 と、返す淡幽。
 ギンコはぽりぽりと頭を掻いた。
32 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2013/01/06(日) 13:02:38.85 ID:0tHkf8pT0
はい、短いけど終わりです
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/06(日) 21:27:34.53 ID:E6GvxGpA0
乙!

夜の逢瀬ですねワクワク
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 23:47:28.19 ID:D/FMa3yZo
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/19(土) 04:46:07.88 ID:aM9qn98Io
続きはまだかい?
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/20(日) 11:52:59.21 ID:uyzahxbG0
37 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2013/01/20(日) 22:44:22.60 ID:rFxNNA1b0
 蟲の採取を終えたギンコ達は屋敷へ戻り、たまに座敷へと通されていた。

ギンコ「おお」

 言葉を漏らすギンコの前には盆に乗った御飯。
 魚の煮付けにお味噌汁、沢庵等の野菜の漬物にまだ湯気が立つ光る白米と、言うなればシンプルイズベストな晩御飯である。

ギンコ「こりゃ美味そうだ。んじゃ、早速――――」

 早くも箸をつけるギンコだったが、それを隣に居た淡幽が制した。

淡幽 「待て、ギンコ」

ギンコ「あ?」

 声を掛けられ、口元まで運んだ箸が止まる。

淡幽 「まだ、頂きますをしていないだろう」

 と、淡幽が言った。

ギンコ「……」

 ギンコは口元まで運んだ箸をお盆に戻し、崩れた姿勢を戻す。
 
 ギンコは思い出す。
 ――――頂きますなどいつ振りだろうか。
 人生を振り返ってもあまり記憶に無い。
 尤も、幼少の記憶は失っているが。

『頂きます』

 ギンコ達はようやく箸をつけた。
38 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2013/01/20(日) 22:45:09.93 ID:rFxNNA1b0
――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――
――――――――


ギンコ「いやー、食った食った」

 食後、ギンコをたまは寝室へと案内した。
 屋敷は広く、部屋までは長い廊下がある。
 その際、ギンコはたまにこんな事を言われたのだ。

たま 「今夜だね」

ギンコ「は?」

 長い廊下を歩いている時、突然前を進むたまが訳の分からない事を口走る。

たま 「良い機会だと言ったんだ。お嬢様ももういいお歳だ、分かって下さっているのかどうかねぇ……」

ギンコ「おいおい、何言ってんだ」

 何と言うか、意味不明である。
 が、疑問を考えている内に寝室へと到着してしまった。

たま 「今夜はここに止まっていけ」

 襖を開け通されたのは十二畳間の部屋。
 かなり広い部屋の中央に屏風が置かれ、油ランプと二組の布団が――――。

ギンコ「……ちょいと、おたまさんや」

 振り返ると、そこには誰も居なかった。

ギンコ「勘弁してくれよ……」

 珍しい洋服を着ている背中にジットリと嫌な汗が流れた。
39 : ◆IL6dqczzyo [saga]:2013/01/20(日) 22:54:49.02 ID:rFxNNA1b0
書くたびに日が延びている
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 23:11:34.00 ID:XR2zTBhv0
強制お婿さんか

41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/20(日) 23:23:00.04 ID:r8Plrerc0
ギンコさん他に2人以上にフラグ(?)建てていたような……。
いや、1人は惚れっぽいだけだから勘定しなくていいか。
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/29(火) 15:48:23.24 ID:2mUyLhQUo
まだかな
早く来てくれないとスレに蟲が湧いて腐ってしまうぞ
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/04(月) 04:43:11.30 ID:fz+DrbNRo
レスがつかないから不人気、という考え方は改めた方が良い
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/11(月) 06:31:38.23 ID:pwexKKiRo
チラ見する蟲(サブタイっぽく)
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