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玄「Moira」 -
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1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:35:51.57 ID:lTFbSY2a0
時
を
運
ぶ
縦
糸
|
|
命を灯す横糸――
其を統べる紡ぎ手...其の理を運命と呼ぶならば...
−Moira−
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1357112151
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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寝こさん若返る @ 2024/05/11(土) 00:00:20.70 ID:FqiNtMfxo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715353220/
第五十九回.知ったことのない回26日17時 @ 2024/05/10(金) 09:18:01.97 ID:r6QKpuBn0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715300281/
ポケモンSS 安価とコンマで目指せポケモンマスター part13 @ 2024/05/09(木) 23:08:00.49 ID:0uP1dlMh0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1715263679/
今際の際際で踊りましょう @ 2024/05/09(木) 22:47:24.61 ID:wmUrmXhL0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1715262444/
誰かの体温と同じになりたかったんです @ 2024/05/09(木) 21:39:23.50 ID:3e68qZdU0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715258363/
A Day in the Life of Mika 1 @ 2024/05/09(木) 00:00:13.38 ID:/ef1g8CWO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715180413/
真神煉獄刹 @ 2024/05/08(水) 10:15:05.75 ID:3H4k6c/jo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715130904/
愛が一層メロウ @ 2024/05/08(水) 03:54:20.22 ID:g+5icL7To
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715108060/
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:36:32.28 ID:lTFbSY2a0
【冥王−Θανατος−】
Θανατος――
其レハ冥府ノ支配者ニシテ亡者達ノ王
地上ノ者達ガ【死神】ト呼ビ畏レテイル存在
Θ「我ハ等シク愛デヨウ」
「照……ご覧なさい」
「探したぞ……小鍛冶健夜」
「ほら急がんかい!この無駄飯喰い共が!」
「おねーちゃぁぁん!」「玄ちゃぁぁん!」
Θ「王者モ奴隷モ――」
「わぁーお」「此処がイリオン……?」
「あの変態神官、いつか殺してやる!」
「私の渇きを潤してくれぇ…」「嫌ァァァッ!」
Θ「聖者モ娼婦モ――」
「お入りなさい」
「師弟ごっこはここでお終いよ」「お師匠!」
Θ「老人モ若者モ、詩人モ勇者モ――」
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:37:16.38 ID:lTFbSY2a0
「ヒュドラよ……受け取り給え」
「うわぁぁぁぁぁああ!!!」
Θ「……息仔ョ」
Θ「死ヲ抱ク瞳――彼ハ我ノ器」
Θ「アナタ方モイズレ知ルダロゥ」
Θ「無慈悲ナ女神ガ統ベルコノ世界ニ平等ナドナィノダト――」
Θ「――Θ(ワレ)以外」
Θ「遅カレ早カレ避ケラレヌ別離、ソゥ……我コソガ死ダ」
Θ「母上……貴柱ガ命ヲ運ビ続ケ、怯ェル仔等ニ痛ミヲ与エ続ケルノナラバ、我ハ――」
Θ「生キトシ生ケル全テヲ殺メ続ケルコトデ救ィ続ケヨゥ――」
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:37:47.45 ID:lTFbSY2a0
【神話−Μυθος−】
始源 世界には唯混沌あり 軈て 万物の母なる者の目覚め
母なる者 混沌より子を成さん 其は即ち 創世の三楽神である
母なる者 最後に【死すべき者】――即ち人間を創った
時を運ぶ縦糸...命を灯す横糸...
其を統べる紡ぎ手...其の理を運命と呼ぶならば...
嗚呼... 女神よ... 貴柱はどんな世界を織り上げるおつもりか?
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:38:36.26 ID:lTFbSY2a0
【運命の双子−Διδυμοι−】
後の世に楽園と謳われる 詩情溢れるアルカディアの山々
暮れ泥む秋の日の憧憬――
其れは...未だ世界の悪意を識らぬ幼子の戯れ...
――そして…
縦
糸
は
紡
が
れ
│
│
運命の歯車は再び...静かに廻り始める...
玄「おねーちゃーん!こっちこっちー!」
宥「玄ちゃーん、待ってー!」
玄「ほら、はやくはやくぅ!」
宥「ええ……?」
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:39:15.20 ID:lTFbSY2a0
玄「こっちこっち!この木においしそうな果物がなってる!」
宥「……ホントだ」
玄「ちょっと登ってとってくるね!」
宥「あ、危ないよ……!やめといたほうがいいよ」
玄「だいじょーぶ!おまかせあれ!」
宥「………」
玄「ほらっ、もう二つとれたよ」ポイッ
宥「きゃっ」
玄「……っと〜!?」グラッ
宥「!玄ちゃん!」
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:39:52.92 ID:lTFbSY2a0
玄「わわっ!!」
ドサッ……
宥「あ……く、玄ちゃん……」
玄「……だ、だいじょーぶ…!」フルフル
宥「よかったぁ……」
玄「それより、これ食べてみようよ!」シャクシャクッ
宥「か、かたくて食べづらいけど……おいしい」シャクシャク
玄「えっへん」
宥「ふふ……」
玄「!ね、あっちの景色きれいじゃない!?」ダダッ
宥「ふぇえ……!?ちょっと待ってよ玄ちゃん……」
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:40:33.60 ID:lTFbSY2a0
玄「ほら!夕焼けがすごくきれい!」
宥「わぁ……ホントだ……」
宥「あ、でも夕方だ。もう家に帰らないと……」
玄「よーっし!家まで競走!」ダダッ
宥「ちょ、ちょっと〜!待ってよ〜!」
玄「……ふふっ」
宥「?」
玄「ずっと一緒にいようね!おねーちゃん!」
宥「……うん!」
二度と還らざる 淡き幼少の日々
空を翔る鳥は何処までも 飛べると信じてた
二度と還らざる 淡き少女の日々
水に映る月を何時の日か 取れると信じてた
優しい両親と 可愛い姉と
そんな日々が何時までも 続いてゆくと信じてた
そこに現れる、狡猾な蠍の影...
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:44:54.57 ID:lTFbSY2a0
恒子「あの子たち遅いね」
健夜「もう直ぐ帰ってくるよ」
ガチャッ!
恒子「噂をすれば―― ……!?」
靖子「探しましたよ、小鍛冶さん」
健夜「靖子ちゃん!?」
靖子「アルカディアの双壁と謳われた勇者がこんな山奥で隠遁生活とは……何故剣を捨てたんです?」
健夜「野心家の靖子ちゃんに話したところで理解は得られないよ」
靖子「ふん……」ニヤッ
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:45:42.54 ID:lTFbSY2a0
ガチャッ!
玄「ただいま、健夜母さん!」
宥「ただいま、お母さ……」
靖子「ほほう……?捕らえろ!」
健夜「こーこちゃん!子供達を連れて逃げてっ!」
恒子「玄!宥!こっち!」ダッ
玄・宥「「うんっ!」」ダダッ
靖子「ラコニア軍は既に掌握した。小鍛冶健夜、私の元で働け」
健夜「断る、と言ったら?」
靖子「ならば冥府の王にでも仕えるんだな……!」バッ
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:46:13.94 ID:lTFbSY2a0
靖子「はぁっ!!」
健夜「っ!!」バッ
ギャキィィン!!
靖子「はぁぁぁっ!!」
健夜「くっ……」
靖子「てやぁぁあっ!!」
健夜「せ……せやぁぁっ!!」
ズシャァァッ!!
廻り出した歯車は誰にも止められない......
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:46:48.55 ID:lTFbSY2a0
【奴隷市場−Δουλοι−】
洋榎「はい、出発!」バシィッ
ガタゴト……
玄「………」
宥「………」
帰りたいのに 言えない
帰りたくとも 家無い
廻る廻る車輪は廻る
運命は彼女等を何処へ運ぶ
背中合わせの温もりだけが 双りに灯る唯一の希望......
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:47:38.93 ID:lTFbSY2a0
洋榎「着いたで!ほら降りろ!」
平等なんて嘘なの? 幻想なの?
命に値段をつけられる場所
其れが奴隷市場......
洋榎「ほら急がんかい!この無駄飯食い共が!」
玄「………」
宥「………」
洋榎「はいはーい!生きの良い双子姉妹やでー!誰か買わんか〜?」パンパン
怜「ん〜〜?」クイッ
宥「あっ……」
玄「お、おねーちゃんに手を出さないで!」
怜「あ?」ギロッ
洋榎「あ〜すんません!ほら、静かにしとけ!」ビシッ
玄「うっ……」
宥「玄ちゃん……!」
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:48:08.36 ID:lTFbSY2a0
怜「おっし。茶髪の子買いや。いくら?」
洋榎「毎度あり〜!」
玄・宥「「!!」」
洋榎「お客さん、ちなみに何させるんで?」
怜「ウチの遊女グループに一人欠けてるトコがあってな。それに補充させてもらうわ」
洋榎「あーなるほど!お目が高い!」
玄(ゆうじょ……!?)
宥「く、玄ちゃん……」ガタガタ
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:48:35.11 ID:lTFbSY2a0
玄「ま、待ってください!」
洋榎「おらっ!まだ口出すつもりかっ」
玄「ち、違います!おねーちゃんを連れてっちゃうんなら、私も一緒に買ってください!」
怜「ん〜〜欠員は一人なんやけどな。まぁあんたも中々可愛いし……うーん」
玄「お、お願いしますっ!」
宥「玄ちゃん……」
一「ね、取り込み中?」
洋榎「え?いやそういうわけでは……」
一「その子売ってるんだよね?」
洋榎「はい」
玄(この人……いっぱい人連れてる……。みんな奴隷なの……?)
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:49:13.50 ID:lTFbSY2a0
怜「悪いけどこっちの子は私が先に買っとる」
一「そうなんだ。じゃあこっちの黒髪の子は?」
怜「その子はまだや」
一「じゃあ私に売ってもらえないかな?この通り役人なんだけど、城壁の造営に人手が欲しくてさ」
怜「あぁ、そうなん。じゃあ別にええよ」
一「オッケー」
洋榎「毎度あり〜♪」
玄「そ、そんな!」
宥「く、玄ちゃん……!」
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:49:50.93 ID:lTFbSY2a0
怜「よし、行くでー」グイッ
一「ほら、こっちついてきて」グイッ
玄「おねーちゃん……!」
宥「玄ちゃん……!」
怜「モタモタすんな。ほらっ!」
玄「おねーちゃぁぁぁん!!!」
宥「玄ちゃぁぁん!!」
離れ離れ 繋いだ手と手 遥か遥か 引き裂かれて
巡る巡る季節は廻る 運命は彼女等を何処へ運び
今は見えざる歴史の涯に 舞い降りるのは誰の光......
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:50:39.54 ID:lTFbSY2a0
【雷神域の英雄−Λεωντιυς−】
『雷を制す者 世界を統べる王と成る』
誠子「殿下!」シュタッ
照「何事だ、誠子」
誠子「はっ!殿下の雷槍と我が軍の武勇に恐れを為したのか、神域を侵していたラコニア軍は撤退し始めたようです」
照「ご苦労」
【アルカディア第一王子:Teru Miyanaga】
照(東方では異民族の侵攻が苛烈で、風の都は今難攻不落の城壁を築いているという……)
照(また、北狄の存在も気になる。アルカディアはいつ平和になるのだろうか……)
『青き銅よりも強かな 鉄を鎧う獣が 風の楯をも喰い破り 流る星を背に 運命に牙を剥く』
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:51:20.15 ID:lTFbSY2a0
――十年前
赤ん坊「おぎゃあ おぎゃあ」
母「照……ご覧なさい。雷神の血を分けた貴方の姉妹ですよ」
恒子「おめでとうございます!殿下!」
健夜「殿下。立派な姉君におなりください」
『太陽 闇 蝕まれし日 生まれ堕つる者 破滅を紡ぐ』
健夜「お妃様。件の神託の件で陛下がお呼びです」
母「あぁ……!Moiraよ、何という仕打ちを……!」
健夜「お妃様、ご案じなさらないでください」
母「……?」
健夜「私にお任せください」
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:51:55.71 ID:lTFbSY2a0
【死と嘆きと風の都−Ιλιον−】
詩織「ほらほら急いで貴女達ぃ?風神殿の神官様達がお待ちよ」
憧「グズグズしてると私の鉄拳が火を吹くよ?」
詩織・憧「「ふふふ」」
宥「は、はい……」
【高級遊女:Shiori MizumuraとAko Atarashiとその見習い】
宥(ああホントに……私身体を売るような真似しちゃうんだ……)
宥(お母さん達……ごめんなさい……)グスッ
憧「………」
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:52:52.57 ID:lTFbSY2a0
詩織「私たちには何もないわ」
宥「え……」
詩織「女蛮族のような腕力も、ミホコのような教養も」
詩織「でも、そこらにいる唯の売女とは違うわ」
憧「うん」
詩織「花代と真心を引き換えに麗しの夢を売る……昔は哀れな奴隷の身であったけれど、今は咲き誇る薔薇」
憧「ねえ貴女?」
宥「はい……?」
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:53:23.19 ID:lTFbSY2a0
憧「前を向いて生きなさい。私たちは高級遊女……夢と愛を売る存在」
憧「でも真の愛を見つけることは難しいの。まして憐れみのような愛なんて、そもそもそれは愛じゃない」
詩織「馬鹿にしないでって感じよねぇ」
憧「そんな視線を受けないように……本当の愛を見つけ出すために、貴女は胸を張っていきなさい」
宥「……は、はい」
詩織「ふふっ、まあまだ年端もいかない貴女には難しいかもしれないけどね」
憧「いずれ分かるようになるよ」
宥「……あの」
詩織「何?」
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:53:56.44 ID:lTFbSY2a0
宥「ミホコって……誰ですか?」
詩織「何ぃ?貴女、そんなコトも知らないの?」
宥「ご、ごめんなさい……」
憧「ミホコっていうのは私たちが敬愛する詩人のこと」
詩織「まっ、これから色々と教えてあげるわ」
詩織・憧「「うふふ」」
宥「………」
詩織「そんなこんなしてる内に到着したわ」
憧「わぁーお」
宥「ここが……イリオン……」
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:54:23.57 ID:lTFbSY2a0
一方、双子の片割れは――
ビシィッ!
純「おらっそこ!休むな!」
玄「く……っ」
純「お前らー!さっさと運べ!」
智美「っ……ワ、ワハハ……」ヨロヨロ
純「サボるんじゃない!」ビシィッ
純「お前らはここで、死ぬまでこの城壁を築き続けるんだ!」
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:54:57.95 ID:lTFbSY2a0
純「さぁ運べ!休むんじゃない!」ビシィッ
智美「ご、ごほっ……」
玄「!?」
玄(あの人の後ろに……変な影……?)
純「ええいっ!こいつはもう使い物にならねーな!絶望の谷に捨ててこい!」
玄「……!」
純「お前らも死にたくないなら働けっ!!」バシッ
奴隷達の多くは背後に黒い影を纏っていた...
その影は他の者には視えていないようだったが
少女は何時からかその存在に気付いていた... そして――
その影を纏いし者はそう遠くない内に確実に死んでいったのである......
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:55:39.67 ID:lTFbSY2a0
玄(はあ……やっと今日が終わった……)
玄(……おねーちゃん…)
愛と慈しみだけに 抱かれ育った少女は
怒りと憎しみだけを 抱いて今を耐え忍ぶ
純「あっ、これはこれは神官様!」
玄(……神官?)
浩子「あの子を連れてこい」
純「はいっ、おいそこのガキ!」
玄「え……?」
純「神官様のご指名だ!早く来い!」
玄(指名……?もしかしてこの仕事から逃げられる……?)
浩子「さ、行こう」
玄「は、はいっ!」
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:56:15.28 ID:lTFbSY2a0
風神殿――
浩子「ほぉら……どこが良いんだい……?言ってごらん……?」
玄「あ、ああ……!」
浩子「ここかぁ?!」ビシッ!!
玄「うっ!」
浩子「ここなのかぁ?」ビシィッ!!
玄「嫌ァァァッ!!」
少女の背後――
彼女を見守る黒き冥王の姿――
Θ『息仔ョ...モット生ヲ憎ムガィィ...ィズレ其ノ身ハ我ガモノトナル...』
浩子「ほぉら!ほぉらぁぁぁっ!!」ビシッ ビシィッ
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:56:53.42 ID:lTFbSY2a0
・
・
・
玄「くっ……あの変態神官……!いつか絶対殺してやる……!」
菫「………」ムスッ
玄(……誰だろこの子。私とおんなじ目に遭ってるのかな)
菫「……今日も酷い顔だな、不細工ちゃん」
玄「なっ……!人の事言える顔じゃないでしょう……!」
菫「……ふ、ふふっ」
玄「え」
菫「あははははっ……!違いない……!」
玄「……ふふっ」
玄・菫「「あはははははっ!!」」
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:57:29.20 ID:lTFbSY2a0
いっそ死んだらラクだなんて きっと今よりマシだなんて
酔った譫言繰り返して 去った希望に追い縋った
そんな負け犬のように 運命に飼い慣らされはしない
例え奴隷が犬であれ 剥くべき牙は忘れない
狼は奔る前に 満月に吠える――
菫「玄。ここから脱出する方法を考え付いた」
玄「本当!?」
菫「ああ。但し危険が付き物、それに……」
玄「それに?」
菫「あの変態神官に一泡吹かせてやらないと気が済まない。わざと危険な道を通る」
玄「……全く異論ないです!」
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:58:07.56 ID:lTFbSY2a0
菫「ふふっ……。私、宿舎を抜け出して武器倉庫をよく見にいっていたんだ」
玄「うん」
菫「それで、兵士が食事するときの日が沈む頃には倉庫に見張りがいなくなることがわかった」
玄「じゃ、そのときに……」
菫「ああ、倉庫の武器を奪う。玄、お前は剣。私は弓矢だ」
玄「弓矢?使えるんですか?」
菫「ああ。これだけは自信がある」
玄「………」
菫「その後変態神官を襲い、そこから逃亡。これでオッケーしてくれるのなら海岸に小舟を一つ用意する」
玄「どうやって?」
菫「盗めばいいさ」
玄「……わかりました。私もあいつに一泡吹かせたかったから」
菫「決まりだな」ニヤ
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:58:47.83 ID:lTFbSY2a0
決行の日の逢魔が刻――
浩子「逃がさないよぉぉ、子猫ちゃん」
宥「嫌ぁ……」
浩子「イヒ、イヒ、イッヒッヒッヒッヒ」
宥「嫌ぁ…来ないでぇ!」
浩子「私の渇きを潤してくれぇぇ!」ガバッ
「きゃぁーっ!!」
浩子「!?何事……」
ズシャァァッ!!
浩子「ギャアアア!!」
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:59:15.71 ID:lTFbSY2a0
菫「大成功……!」
玄「大丈夫?ボク」タッ
宥「玄ちゃ……?」
玄「おねーちゃん!?……追っ手が来る前に逃げよう!おねーちゃん!」ギュッ
宥「う、うん!」
浩子「う……うぅ……誰ぞおらぬかあぁぁぁ!」
泉「神官様!?」
菫「!チッ……」ダッ
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 16:59:47.18 ID:lTFbSY2a0
繋いだ手と手 駆け抜ける風の都
降り注ぐ星屑 夕闇の風の都
泉「ま、待てーっ!!」
菫「はぁっ!」ヒュンッ
ドスッ!
泉「は……?」バタッ
菫「つかまるなよ!玄!」
玄「菫さんこそ!」
宥「はぁっ……はぁっ……」
玄「おねーちゃん頑張って!もう城壁を抜ける!」
菫「ほら!頑張れ!」グイッ
宥「は……はい……!」
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:00:30.53 ID:lTFbSY2a0
嘆きと死の城壁 聳え立つ風の都
振り返る背後に 遠離る風の都
菫「早く船に乗り込め!追っ手が来てる!」
セーラ「フネガデルデー!射てー!」
菫「玄、オールは任せる!」
玄「うんっ……!」
菫「必殺……!《弓がしなり弾けた焔夜空を凍らせて》射ち!!」ヒュンッ ヒュンッ!!
セーラ「うわーっ!!」ドスッ ドスッ
玄「技名長いよ!」
菫「黙ってろ!これが弘世流弓術の真髄!」
「「「あはははははっ!!」」」
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:01:02.86 ID:lTFbSY2a0
神域を穢した者を 風神は決して赦さない
その怒りは 雨女神と交わり 娘を生むだろう......
菫「急に嵐が……!?」
玄「おねーちゃん!しっかり掴まってて!」
菫「バランスがっ……」
「「「うわぁぁぁぁあ〜〜……」」」
・
・
・
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:01:36.15 ID:lTFbSY2a0
【聖なる詩人の島−Λεσβος−】
コンコン
華菜「福路先生、華菜です」
華菜「浜辺で女の子が倒れていたから、介抱して連れてきたし!」
美穂子「入って」
ガチャッ
華菜「はい。さ、松実宥さん」
宥「あ、はい……」
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:02:20.66 ID:lTFbSY2a0
【詩を詠む聖女:Mihoko Fukuji】
宥「」ヨロヨロ
華菜「おっと!こっちだし!」ガシッ
美穂子「……目が見えないの?」
宥「……開かないんです」
美穂子「………」
華菜「開かない?縫い付けられた?」グイッ
美穂子「華菜、やめなさい。この子のそれは心因的なものよ」
華菜「心因的……?」
宥「………」
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:02:58.23 ID:lTFbSY2a0
美穂子「きっと、ここへ来るまでに大変な思いをしたのでしょうね」
美穂子「でも安心して。ここは美女神の聖域……絶対安全の場所だから」
宥「……はい」
美穂子「貴方が受けた事について……教えてもらえるかしら?」
宥「」コク
『嗚呼... 哀しみは海の色 蒼く碧く』
『嗚呼... 苦しみは波の音 強く弱く』
『閉ざした瞳は対の闇 暗く冥く』
『鎖ざした菫は終の夢 甘く苦く』
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:04:21.15 ID:lTFbSY2a0
美穂子「………」
華菜「!福路先生!」
美穂子「こんな年端もいかない子がそんな目に……何てこと……」ポロポロ
宥「………」
美穂子「……宥さん。こちらにいらして」ギュッ
宥「は、はい……」
美穂子「……聞こえる?自然の声が」
宥「……はい。森の音……鳥の声……あと、水の匂い。ここは湖ですか…?」
美穂子「ええそうよ。ここはこのレスボス島の中でも最も美しいと言われている場所」
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:04:58.74 ID:lTFbSY2a0
宥「………」
美穂子「貴方が見て来たのも……世の真実」
美穂子「不条理ばかり訪れる、目を背けたくなる嫌な現実」
美穂子「されど世界は其れだけではないのよ。ねぇ宥さん、宜しくて?」
宥「………」
美穂子「辛いし痛いし酷いし嫌だと泣き喚いてみても、運命の白き糸を人は紡げない」
美穂子「怖れず揺るがず妬まず恨まず誰よりも強かに、美しく世に咲き誇る女に成りなさい――」
宥「………」パチッ
華菜「宥さん!目が……」
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:05:28.57 ID:lTFbSY2a0
宥「……きれい」
美穂子「ああ……良かったわ。初めまして、宥さん。私が福路美穂子よ」ギュッ
宥「はい……」
紡
が
れ
る
縦
糸
|
|
聖女は少女の不思議な力を見抜き
彼女が生きる道と術を示した
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:06:04.28 ID:lTFbSY2a0
【記憶の水底】
美穂子「私にもね……かつて愛した人がいたのよ」
宥「先生に……?」
美穂子「ええ。されど……事情があってその人は遠くへ行ってしまったわ」
『愛とは褥に仕える為の 奴隷ではないわ』
『まして子を孕む為の 道具ではない』
美穂子「宥。この詩を貴方に送るわ……」
『嗚呼... 天空を大地を海原を人間を 己が運命を愛し』
『哀しみさえ糧に出来る 女に成りなさい』
宥「――はい!」
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:06:36.34 ID:lTFbSY2a0
【遥か地平線の彼方へ−Οριζοντας−】
玄「おっそいですよおばさん。置いてきますよ!」
久「元気ねえ……それと私のことはお姉さんと呼びなさい」
玄「……おねーちゃんは」
久「そうだったわね……。なら師匠で良いわ」
玄「し、師匠?」
久「あーら?私が拾ったあの時から貴方は既に弟子入りしてるのよ?」
玄「……聞いてないです」
久「別に良いでしょ。それに、色々教えてあげるわよ」
44 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:07:20.49 ID:lTFbSY2a0
【暗誦詩人:Hisa Takeiと其の弟子】
少年の空は旅の空 賢人の詩も上の空
幾年も仰ぐ高き空 詩人は嗤う蒼き空
久「言の葉を操り森羅万象を詠う……詩とはそもそも神の御業なのよ」
久「玄、創世の三楽神って知ってる?」
玄「知りませんよそんなの……」
久「あは」
久「リスモス、メロス、ハルモニアの三神の事よ」
玄「そんな一度に言われても覚えられないよ……」ブツブツ
久「あははっ!そりゃそーね」
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:08:21.30 ID:lTFbSY2a0
『少女を尋ね幾千里 海原渡り征く海里』
『彼女を探す侭山里 高原臨む彼の郷里』
久「万物の創造主たる母なる者……リスモスはミラ、メロスはモイラと呼んだそうよ」
久「前者はパイロン、後者はアルタラーイコンと呼ばれ、それこそが言の葉の起こりと言われ、ごほっ、ごほっ……」
玄「だ、大丈夫ですか久さん?」
久「ええ……。私ももう歳ね……この程度でへばっちゃうなんて」
玄「今日はこのあたりで休みましょう」
46 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:09:11.13 ID:lTFbSY2a0
『天の随に 咲ける星屑』
『運命に惑う一片 寄り添う双星』
久「玄、あれ見て」
玄「?」
久「双星。あれこそ、貴方の星よ……」
玄「……私と、おねーちゃん」
久「ええ。きっとまた会えるわよ」
玄「……あ、ありがとうございます」
47 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:11:21.38 ID:lTFbSY2a0
嗚於...故郷よ 還らざる夢 倖せだった 季節達よ
幼き日々の 残照が尚 未だ眩く 胸を刺す
ガチャッ!
玄「ただいま!お母さん!おかーさん!!」ダダッ
久「………」
玄「……居ない、誰も…」
久「玄、ここに」
玄「……!」
二つ並んだ 野晒しの墓標
朽ちた花飾り 葬ったのは誰ぞ?
玄「あぁ……おかーさん……っ!!」ポロポロ
久「気を落とさないで、玄。私はこの先、雷神殿に行こうって思ってる」
久「師弟ごっこは此処でお終いよ」
玄「お師匠……!」
久「さぁ友よ、立ちなさい!貴方は、貴方の地平線を目指して――!」
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:12:02.64 ID:lTFbSY2a0
青年は今も旅の空
久『玄、困ったときはレスボス島を訪ねなさい』
詩人の島は遠き空
久『私の旧知の友がきっと力になってくれるわ』
聖女を尋ね復千里
久『マケドニア、トラキアは今危険な情勢よ。戦を避けるには海路を行くのが良いわね』
思人と別れ復海里
久『友よ、貴方自身の信じた道を行きなさい。死すべきもの、私は詠うわ……』
久『《エレフセイア》……愛すべき友を……戦いの詩を……』
49 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:12:39.20 ID:lTFbSY2a0
玄(……やっと到着!次の港に着けばリスボス島へ行ける!)
船乗りA「おい知ってるか?アナトリアの武術大会の覇者」
船乗りB「弓の名手、弘世菫だろ?」
玄(……!)クルッ
船乗りA「そう、そのシャープシューター菫。何と蝕まれし日の忌み子だからって捨てられた王子様だったらしいぞ」
船乗りB「へぇ、世の中一体どうなってるんだか」
船乗りA「その真意は……」
A・B「「Moiraのみぞ知る」」
船乗りA「ってかぁ?」
A・B「「あっははははは!」」
50 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:13:29.55 ID:lTFbSY2a0
【死せる者達の物語−Ιστορια−】
旅人「」テクテク
玄(!)バッ
旅人「?何か……」
玄「い、いえ」
玄(貴方の背には黒き闇――死が纏っている)
玄(残された時間も知らずに……一体これから何をするのだろう……)
51 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:14:13.78 ID:lTFbSY2a0
一方その頃――
東方防衛同盟に参加したアルカディア軍は
女王・辻垣内智葉率いる女傑部隊と戦端を開いていた
【女蛮族の女王:Satoha Tsuzigaito】
智葉「やぁぁっ!」
照「はぁっ!」
キィィン!!
智葉「!剣が……」
智葉「私の敗けだ……さぁ殺すがいい!」
照「この宮永照、女を貫く槍など持ってはいない。行け」
智葉「……気に入ったぞ、宮永照。いずれお前は私のものになる、忘れるなっ!」パカラッ パカラッ
52 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:14:50.16 ID:lTFbSY2a0
一方その頃――
尚も戦火は世界を駆け巡り
翻弄される者達 それぞれの季節が過ぎてゆく
玄(……懐かしき故郷)
玄(あの稜線は今も燃えている……)
玄(おねーちゃん……秋が廻れば、おねーちゃんも思い出すよね)
玄「さよならは言ってない。また私たちは出逢えるから――」
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:15:24.16 ID:lTFbSY2a0
【星女神の巫女:Yu Matsumi】
宥「………」
華菜「宥。こんな時間に何してるんだし」
宥「もう、季節も秋だなぁ……って思って」
華菜「秋に何か思い出でもあるんだし?」
宥「はい……」
華菜「……星空が綺麗だな、ここは」
宥(玄ちゃん……同じ空を見上げているのなら、同じ星を見るよね)
宥(寄り添う双星……あの星を貴方も見てると信じて、私は今も玄ちゃんをすぐ傍に感じてるんだよ……)
宥(さよならは言ってないもの……また二人は出逢えるから――)
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:16:35.95 ID:lTFbSY2a0
廻る廻る 運命の回転木馬
菫「聖女さま、私は弘世菫。アナトリアの者です」
美穂子「初めまして。こちらへは何用で?」
菫「貴女の教えを乞いに参りました。是非貴女の詠った詩をお聞かせ願いたい」
美穂子「お安いご用です。宥!こっちに来て」
菫(ゆう……?)
宥「お呼びですか?」タタッ
菫「……!」ガタッ
宥「!貴方は……」
菫「宥!宥じゃないか!」
宥「菫さん……!無事だったんですね……!」
美穂子「あら?」
物語は幾つかの地平を廻り続ける......
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:17:02.76 ID:lTFbSY2a0
【ラコニアの毒蠍:Yasuko Fujita】
靖子「あんな売女の……雷神に連なる血がそんなに大事か……」
靖子「宮永照……貴様さえ生まれてこなければ……」
靖子「……ふふっ、妾腹と蔑むなら蔑むがいい」
靖子「世界の王となるのは……この私だ……!」
56 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:18:02.50 ID:lTFbSY2a0
【アルカディア第一王子:Teru Miyanaga】
照「はぁっ!」ズバァッ
「ぎゃーっ!」バタッ
照(彼らにも……物語があったのだろう)
照(何が欲しいんだ……屍となってまで。握りしめた手に何も掴めないまま……)
照(そして、手を伸ばし掴んだ筈の宝石は掌から零れ落ちるものばかり……)
照(何故命を奪い合い、互いを憎み合い、血を流し続けるのか)
照(私たちは今何と戦うべきで、何を守るべきなのか)
嗚呼... 星空よ 人間は何を畏れるべきで 何を愛すべきなのか?
滅びへ向かう光よ 全ての死すべき者達よ
嗚呼... 同胞よ 人間は何を育むべきで 何を遺すべきなのか?
いずれ歴史は語るだろう
【死せる者達の物語】を......
57 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:18:40.16 ID:lTFbSY2a0
【星女神の巫女−Αρτεμισια−】
いつの世も 星屑は人を導き 人を惑わす
生を憂う娘にも 愛に狂う女にも その光は同様に降り注ぐ......
宥「星女神……神託を……」
『天球の随に...嘆くのは【獅子宮】』
『天球の随に...揺れる【双子宮】』
宥「……!」
華菜「宥……?」
宥(……私たちを試すかのように天は絶えず難事を降らす)
宥(その神意を人は疑わずに……唯受け入れることしかできない)
『運命の随に...揺れる堕ちる【乙女宮】』
宥(嗚呼……悲しい運命だと知っても……)
58 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:21:01.29 ID:lTFbSY2a0
突然の来訪者 招かねざる者達
兵装の闖入者 騒乱の星女神殿
華菜「お前たち、こんな夜分に一体何だし!」
初美「星女神の巫女を出すのですよー」
華菜「……!」
星夏「大変です大変です大変です!」
未春「落ち着いて文堂さん!」
星夏「だ、だって怖くて……」
未春「わ、私だって怖いよ」
星夏「こ……ここは池田先輩に任せて逃げましょう!」
未春「ま、待って!」
59 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:21:53.70 ID:lTFbSY2a0
霞「だんまりって言うのなら実力行使も辞さないですよ」クスッ
華菜「……っ!ここをアストラの神域と知ってのこの狼藉か!無礼は許さ――」
初美「二度目は無いですよー」スチャッ
華菜「……!」
宥「待ってください」ツカツカ
華菜「宥!出てきちゃいけない!」
宥(ごめんね、玄ちゃん)
誰かを犠牲にしてまで私は抗えない...
儘...運命に従うでしょう......
宥「私が星女神の巫女です。さあ、行きましょう」
華菜「宥っ!!」
唯... 星は瞬く
60 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:22:50.61 ID:lTFbSY2a0
【死せる乙女その手には水月−Παρθενος−】
神への供物 生贄という名の因習
加害者は誰で 被害者は誰か?
運命は犠牲者を選び また屠るのだろう......
霞「藤田さん、連れて参りました」
靖子「ご苦労」
宥(ごめんね、玄ちゃん……)
残酷な神が統べる 私が生まれた世界
怖れず 揺るがず 全てを愛す 女に成れたかな......
靖子「ヒュドラよ……受け取り給え……!」
ズシャァッ!!
宥(……っ!!)クラッ
パシャッ……
宥(この……声は………)
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:23:38.06 ID:lTFbSY2a0
・
・
・
美穂子「宥……」
『やがて香しく 花開く乙女達 咲き誇る季節は短し』
『されど燃ゆる唇に 唯 緋き愛の詩』
『美しく散るのも また《花の命》』
美穂子「先刻訪れた少女は、貴方とよく似た目をしていたわ……」
玄「はっ……はっ……!」ダダッ
玄(嘘だ……嘘だ……おねーちゃんが……!)
玄(おねーちゃん……!!)
62 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:24:20.33 ID:lTFbSY2a0
ガサッガサッ
玄「ここが……」
玄(……!)
澄んだ湖の水面には美しき月
そしてそこに浮かぶは蒼白き姉の亡骸
玄「あ……ああ……!!」
玄「うわぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
玄「ああぁぁぁ……おねーちゃん……!!」
玄「うわぁぁぁぁぁ……!!!」
63 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:25:01.44 ID:lTFbSY2a0
宥『揺れる瑠璃色の月……とても綺麗なのに』
玄「………」
宥『悲しまないで、過ぎ去りし灯も……運命の贈り物』
玄「死せる蒼白き乙女……とても綺麗だった」
玄「やっと逢えたね、探したんだよ……君の面影を」
嗚呼... この哀しみは 何に例うべきなのか...
嗚呼... まるで心を 二つに引き裂かれたような 烈しい痛み
宥『ねぇ憶えてる……?』
玄「遠き日の我侭……」
水面に映る月 手を伸ばす少女
宥『終に手に入れたんだよ――』
玄「終に手に入れたんだね――」
宥『嗚呼……さよなら……私の片割れ』
玄「嗚呼……さよなら……私の片割れ」
宥『さよなら……お別れね……もうヒトリの私』
玄「さよなら……お別れだ……もうヒトリの私」
玄「さよなら、おねーちゃん……」
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:25:44.55 ID:lTFbSY2a0
双子の別離から、数日後――
菫「こんにちは」
華菜「………」
菫「?」
美穂子「あら、弘世さん……いらっしゃい」
菫「お久しぶりです。あの……宥は?」
美穂子「………」
菫「……宥に何かあったんですか?」
美穂子「宥は……神託故、神への供物とされました」
菫「……は?」
65 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:26:37.55 ID:lTFbSY2a0
美穂子「言葉通りです。あの子の存在はもはやこの世にはありません……」
菫「ばっ……馬鹿な!そんな筈は……!」
美穂子「」フルフル
菫「う……うわぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
菫「宥……ゆぅぅ……!!何で……何で……っ!!」
美穂子「……弘世さん、貴方が宥に特別な気持ちを抱いていたことは知っています」
菫「ぁぁぁぁぁ……!」
美穂子「これを今の貴方に託すのは残酷かもしれません……ですが、これは貴方が持っておくべき物です」
菫「……?」
66 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:27:16.41 ID:lTFbSY2a0
美穂子「……アストラの聖弓。宥が巫女になったときに授けられた神器です」
菫「……賊について、分かっていることはありますか…」
美穂子「……申し訳ございません」
菫「そうですか……」
美穂子「弘世さん……重ねて申し上げます。本当にごめんなさい」
美穂子「私は……聖女という役割を与えられています」
美穂子「自らの手を汚そうとせず、貴方に託すような卑怯な真似をお許しください……」
美穂子「私も……悔しい、辛いんです……」
67 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:27:50.50 ID:lTFbSY2a0
菫「……この弓は、宥の遺品として貰っておきます」
菫「これから私がこの弓で何をしても、貴方達には何ら関係はありません」
美穂子「……最後に一つだけ」
美穂子「宥は……貴方のことを心から信頼していました。妹が行方不明で居ても立ってもいられない心を慰めてくれると」
菫「………」
美穂子「……御武運を」
天翔る星屑 星女神の憤怒
寵愛する勇者に授けしは弓矢
神域を侵せし賊には神罰を......
68 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:29:19.30 ID:lTFbSY2a0
【奴隷達の英雄−Ελευσευς−】
――自由か死か...
歴史に刻むのは彼等が生きた戦いの証
玄(………)フラフラ
あの日の少女には 空を征く鳥が何よりも自由に見えた
嵐女神の気紛れで 為す術もなく地に墜ちるというのも知らずに
彼女は何処へ征くのだろうか?
玄(あの人も……あの人も、背に影が……)
Θ「ヤァ息仔ョ……」
玄「っ!?」
Θ「喪ゥコトノ堪ェ難キ痛ミニモモゥ慣レタカィ?」
玄「うあ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!!」
69 :
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[sage saga]:2013/01/02(水) 17:30:27.75 ID:lTFbSY2a0
冥王は彼女に取引を持ち掛けた
「運命」を殺す為、お前の身体が欲しいと
Θ「タダデトハ言ワヌ……ォ前ニハ我ノ力ノ一端ヲ貸ソゥ」
玄「……!」
そして彼女は、その申し出を受け入れた――
玄「何もないんだ、希望なんて残されていないんだ……もう、私には……」
あの日の少女――
運命に翻弄され続けし者――
黒き剣を取った彼女の復讐劇が始まる
70 :
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[sage saga]:2013/01/02(水) 17:31:16.98 ID:lTFbSY2a0
舞子「おらっ、さっさと歩け!」
ビシィッ!!
ゆみ「うっ……」
舞子「モタモタするなっ!」
玄(奴隷商人……)
月日流れても 繰り返す愚行
血汐流しても 止められぬ不幸
平等なんて幻想 死以外の約束など 交わせはしない――
舞子「この場で叩き殺してやろうかっ!!」
ヒュッ!
舞子「あん?」
玄「――ィツマデ繰リ返スノダ、Moiraよ!!」
71 :
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[sage saga]:2013/01/02(水) 17:32:19.01 ID:lTFbSY2a0
ズシャァッ!!
舞子「ぎゃぁーっ!!」
ゆみ「……!?」
睦月「な、なんだ……!お前……」
玄「………」
人間は皆 運命の哀しい奴隷だというのに
玄「その奴隷が奴隷を買うなど、笑えぬ喜劇だ――」
スパァッ
睦月「縄を……。解放してくれるのか……?」
諦めるな 抗うのさ 無力な奴隷は嫌だろう?
72 :
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[sage saga]:2013/01/02(水) 17:33:29.62 ID:lTFbSY2a0
玄「剣を取る勇気があるなら……」
チャキッ
玄「――私と共に来るがいい」
ゆみ「……君は」
玄「」クルッ
ゆみ「ま……待ってくれ!」
縦
糸
は
紡
が
れ
|
|
時代は廻る 紫眼の竜と呼ばれし彼女
各地の奴隷達を率いて 異民族が統べる鉄器の国へと奔った
73 :
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[sage saga]:2013/01/02(水) 17:34:34.52 ID:lTFbSY2a0
【風神域の勇者:Sumire Hirose】
菫(宥の仇だ……!)
――ドスッ!
王「ぐあーっ!!」
「王様!?」
「あっちから矢が……!」
「賊だー!追えー!!」
菫(捕まってたまるか……!)タタッ
グサッ!!
菫「――!?」
靖子「ご苦労だったな、勇者さん」
菫「お前は……!」
靖子「お前に『アルカディアの神託が星女神を殺した』と吹き込んだ奴だよ。まんまと引っ掛かってくれたな」
菫「な……!?」
74 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:35:22.34 ID:lTFbSY2a0
靖子「こうも容易く上手く行くとは思ってなかったがな。恋する乙女は盲目……ってとこかねぇ」
菫「き、貴様……っ!貴様が……貴様が宥を……っ!」
靖子「勘がいいな。そう、本当は我がラコニアの為に星女神の巫女は生贄になった」
靖子「彼女を殺したのは……この私だよ」
菫「うわぁぁぁぁっっ!!!」
ズシャァッ!
菫「ぐ――!?」
靖子「ふん。あの世で恋人と逢って来な」
菫「ぐ……あっ」ドサッ
靖子(王が斃れ、アルカディアは混乱するだろう……そこへ攻め込み、今こそ私が世界の王になる!)
靖子(覚えていろ、私を妾腹と蔑み追放した愚かな長老ども……目にものくれてやる……!)
75 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:35:59.36 ID:lTFbSY2a0
【雷神域の新王:Teru Miyanaga】
靖子「ごほっ……!!」
照「観念しろ。お前の野望もここまでだ」
靖子「ぐ……!」
照「……同胞を手に掛けるのは辛いが、父を謀殺した罪は死を以て償え」
グサッ!!
靖子「ごはぁっ……」ガクッ
照(父上、仇は取りました)
神が持つ永遠に比ぶれば 人間は刹那
冥闇は世界を侵し 英雄達は流る星へと消えて逝く
傀儡と化した王 かつての勇者を射た星屑の矢
其の射手を刺したのは蠍の毒針 其の蠍を屠ったのは雷の獅子
死せる英雄達の戦いは未だ終わりを告げず――
東方より来る足音 運命に導かれ やがて二匹の獣は出逢うだろう......
76 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/02(水) 17:36:27.55 ID:lTFbSY2a0
【死せる英雄達の戦い− Ηρωμαχια−】
母「死を招く紫水晶の瞳。あの者と戦ってはなりません」
照「何故です、母上」
母「貴方は平凡な生より、英雄としての死を望むというのですか」
照「母上、死すべき者達が私を待っているのです」
母「行かないでおくれ!あの者は……」
照「はっ!」パカラッ パカラッ
母「照!嗚呼……照……!!」
77 :
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[sage saga]:2013/01/02(水) 17:37:08.71 ID:lTFbSY2a0
【歴史は駆け廻る】
恭子「松実将軍に続けぇーーっ!!」
ワアアアアアーーッ!!!
ゆみ「小雨がチラチラと煩わしいな……」
恭子「安全圏からしか射てへん腰抜けどもが……!」
玄「弓兵は相手にしなくてもいい。菫さんが亡き今、奴等は只の雑魚に過ぎん」
恭子「閣下。敵の指揮官はどうやら……」
ゆみ「猪突猛進しか出来ない馬鹿のようだな」
玄「……末原さん、貴方の部隊は左!加治木さん、貴方の部隊は右から!挟撃するよ!」
「「御意!!」」
78 :
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[sage saga]:2013/01/02(水) 17:37:52.16 ID:lTFbSY2a0
不死なる者が薙ぎ払う 紅い緋い血の渚
今は物言わぬ屍 彼等にも物語があった
されど ささやかな希望さえ 運命は赦さなかった
玄「はぁっ!!」ズバァッ
敵「紫水晶の瞳……!松実玄だー!!」
玄「ふんっ」
ズシャァッ!!
敵「ぎゃぁぁっ!!」
変わり果てた彼等に 接吻する者は
愛する恋人ではなく 飢えた禿鷹のみ......
79 :
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[sage saga]:2013/01/02(水) 17:38:29.54 ID:lTFbSY2a0
玄「久しいなぁイリオン……私たちは、忘れはしないぞ!!」
玄「お前を守る楯が……誰の血によって築かれた物かをなぁ!!」
恭子「閣下ーー!!」
玄「突撃ぃいいいい!!!」
ワアアアアアッッ!!!
誠子「陛下……!イリオンが落ちました!」
照「何……!?」
誠子「件の松実玄率いる奴隷部隊の仕業のようです!」
照「馬鹿な……アネモスの加護篤きあの城壁を……?」
80 :
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[sage saga]:2013/01/02(水) 17:40:14.79 ID:lTFbSY2a0
誠子「アネモスが軍属、英雄・龍門渕透華を打ち倒すほどの武勇!」
誠子「奴もまた陛下と同じく神の眷属なのやもしれません……!」
照「……!よし、みな集まれ!」
淡・堯深「」シュタッ
照「淡は東夷に備えろ」
淡「はい!」
照「堯深は北狄に備えろ」
堯深「はい……!」
照「誠子はイリオンへ供を」
誠子「はいっ!」
照「みな、剣を掲げろ」
カチャッ カチャッ
照「我ら【雷神に連なる者】、みな生きてまた逢おう!」
「「「はっ!!」」」
照「運命は残酷だ、されど彼女を怖れるな。女神が戦わぬ者に微笑むことなど決してないのだから――」
81 :
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[sage saga]:2013/01/02(水) 17:40:54.88 ID:lTFbSY2a0
聖都・イリオン――
玄「人は皆、何時までも無力な奴隷ではない。戦うのだ、気紛れな運命と!未来を取り戻す為――」
【遂に出逢いし二匹の獣】
玄「奴がアルカディアの……憎き地の王……」
照「アルカディアの王、宮永照」
玄「おねーちゃんの仇……!」
照「松実玄、私が相手になろう!」
玄「望むところだぁっ!!」
奪い合う 時代の覇権 永遠なる調べよ
駆け廻る趨勢 背には流星 刹那の煌
82 :
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[sage saga]:2013/01/02(水) 17:42:12.76 ID:lTFbSY2a0
照(くっ……松実玄、やはり只者ではない……!)
キィィィン!!
玄「ふんっ!」
照「はっ!」
玄(この人、強い……!)
照(なぜこれ程の奴が……)
死せる者達が 駆け抜けた 神話の時代よ
屠り合う英雄 死して冥友 去り逝く運命
ギャキィィン!!
照「っ……!」
照(しまった、槍を取られた……!)
83 :
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[sage saga]:2013/01/02(水) 17:42:45.98 ID:lTFbSY2a0
照「松実玄……同胞のお前が何故、東夷の侵略に加担するんだ」
玄「祖国が私に何をしてくれた……?愛する者を奪っただけじゃないか!」
玄「笑わせるなぁっ!!」ゴォッ
母「おやめなさいっ!!」タタッ
照「母上!?」
ドゴォォォン!!!
照・母「「うわぁぁぁぁっっ!!!」」
玄「……!?」
玄(私にも……奴の雷槍が使えた……?)
母「嗚呼……玄……照……おやめなさい……」ガクッ
84 :
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[sage saga]:2013/01/02(水) 17:43:17.71 ID:lTFbSY2a0
照「く……母上……」
照「Moiraよ……!」ガクッ
パカラッ パカラッ
智葉「私を置いて逝くな!許さんぞ、宮永照ーーッ!」
玄「………」スッ
ズシャァッ!
智葉「うっ……」ドサッ
玄「………」
−Thanatos−
85 :
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[sage saga]:2013/01/02(水) 17:44:02.74 ID:lTFbSY2a0
【神話の終焉−Τελο −】
――そして
ある男の手により冥府の扉が開かれる
...其れこそが...永き神話のオワリを告げる
彼の無情な戦い【死人戦争】のハジマリであった
玄「Moiraよ……これが……貴柱ノ望ンダ世界ナノカ!!」
黙したまま何も語らぬ...
歴史の掌の上で、神は生きているのか、死んだのか...
老婆であるとも...少女であるとも...詩人が騙るように...神話は物語る...
残物の母たる創造主
運命の女神
−Moira−
未だその姿を見た者はいない......
86 :
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[sage saga]:2013/01/02(水) 17:45:43.98 ID:lTFbSY2a0
おわり。
元ネタはSound Horizonの「Moira」です。
咲さんとのどっちの配役が決まらなかった…
個人的にキャプテンと部長がハマリ役と思ってます
87 :
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[sage]:2013/01/02(水) 18:57:06.25 ID:yYgXgHDno
最初2レスで心が折れた
なんだこれ
88 :
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:2013/01/02(水) 19:31:01.55 ID:WM1CvzBKo
読んでないがくぅ〜疲が似合いそうなSSだということはわかる
89 :
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[sage]:2013/01/02(水) 20:44:56.50 ID:Oz7ijiESO
サンホラ好きとしては面白かったが、これは知らないと厳しいんじゃないか?
90 :
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[sage]:2013/01/02(水) 21:48:03.91 ID:KYt7ohaqo
わっかんねぇ〜
なんもかもが一切合切これっぽっちもわっかんねぇ〜
91 :
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[sage]:2013/01/03(木) 02:08:00.73 ID:fWliI0aWo
ミラとか懐かしい
92 :
>>1
[sage saga]:2013/01/04(金) 16:52:45.04 ID:/CiwXw3d0
>>73
× 靖子「お前に『アルカディアの神託が星女神を殺した』と吹き込んだ奴だよ。まんまと引っ掛かってくれたな」
↓
○ 靖子「お前に『アルカディアの神託が星女神の巫女を殺した』と吹き込んだ奴だよ。まんまと引っ掛かってくれたな」
ミスったー
93 :
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[sage]:2013/01/05(土) 00:10:27.89 ID:8d6yQMbJ0
サンホラ好きだから面白かったよ
完結したならhtml化の依頼をしよう
94 :
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[sage]:2013/01/05(土) 18:59:20.00 ID:I8iLUISHo
咲でやる必要ねえだろこれ
95 :
>>1
[sage]:2013/01/05(土) 20:37:21.68 ID:r2Q7bBHS0
まあ宥菫が書きたかっただけ感は否めない
96 :
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[sage]:2013/01/07(月) 01:35:00.78 ID:0izF3fnEo
すっげえつまらない配役の学芸会を見てる気分になった
97 :
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[sage]:2013/01/07(月) 02:01:59.57 ID:LNb6ejcBo
世界観、専門用語、それぞれの立ち位置など意味不明な点が多すぎ
49.30 KB
[ Aramaki★
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