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『闘争は平和と幸福の中で』 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆jPpg5.obl6 [sage saga]:2013/01/04(金) 04:46:53.27 ID:UnyDOuql0


ー始まりー


この世界には勇者も魔王もいない、魔族との争いは無くなり、和解とは行かないまでも人々は戦争の真実を受け入れ始め徐々に世界は平穏になっていった。


そして今では街中で魔族を見かける事もある、エルフより閉鎖的で、人間に対して敵意を持っていた頃を考えられば有り得ない光景。


勇者・守り手・剣士・魔王・魔剣士の活躍に因る影響は計り知れない、勿論良い意味で。


魔王は魔族からは聖なる王と呼ばれている、人間にもそう呼ぶ者もいるが、『魔』族なのに『聖王』と言うのはかなり違和感はある。


だが、そう呼ばれてもおかしくない活躍をしたのだから指摘する人は居ない、少なくともオレが知る限りでは…


魔王・勇者の共闘の切っ掛けは、醜い争いの歴史その物が具現化した存在『化身』が『人間』『魔族』関係なく消し去ろうとしたからだ。


『化身』が現れなければ『今』の様な平穏は訪れなかっただろう。



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【安価】上条「とある禁書目録で」鴻野江「仮面ライダー」【禁書】 @ 2025/06/09(月) 21:43:10.25 ID:qDlYab/50
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2 : ◆jPpg5.obl6 :2013/01/04(金) 04:49:28.52 ID:UnyDOuql0

人間・魔族には主だった争いは無いが、小さな諍いなら多々ある、今この瞬間『壱の国・都』でも…


「どこに目を付けてやがるこの野郎!!」


「貴方が前を見ずに走っていたからでしょう? 何に追われているのか分かりませんが…」


「うるせぇっ!! ……あぁ? てめぇ魔族だな?」


「それが何か?」


「けっ…魔族『なんて』化身に滅ぼされりゃ良かったんだ、お前等がッ!!」


言い切る前に男の頬に拳がめり込んだ、ぶつかられた挙げ句に自分の種族を馬鹿にされたのだ…当然の報いだ。


「私は構わないが魔族を侮辱するな…貴様の様な輩がいるから諍いが無くならないんだ」


全く持って正論、だが男の愚行は殴られただけでは止まらない。


「……ッ!! おい皆!! 何もしてねぇのに魔族が襲ってきたぞ!! 見てたろ!? やっぱり魔族は野蛮な奴等なんだ!!」


3 : ◆jPpg5.obl6 :2013/01/04(金) 04:53:15.02 ID:UnyDOuql0


『………………………』


ダメだ…あんな奴の所為で『人間』の品位が貶められるのは我慢出来ない。


「おいオッサン」


「おう坊主、お前も見てたろ? 無抵抗の一般人を殴った魔族を」


「オレが見たのはアンタの卑しさだ、魔族の姉さんが言う通りアンタの様な奴がいるから諍いは無くならない…」


「ッ!! このクソガキが!!」


いってぇ、このオッサンは今まで暴力で話し合ってきたのか? だとしたら良く生きていられるもんだ。


「おい、どんな気分だ? 無抵抗の『人間』を殴る気持ちは?」


「うるせぇっ!!」


「二度も殴られる程、人間出来ちゃいないんだ…」


拳が届く前に蹴りが男のだらしない腹にドブンッと突き刺さる、蹴りだろうが拳だろうが一発は一発だからな?


「げっはァッ!!」


ガクンと膝を付き鳩尾を抑え必死に呼吸しようとする男から目を離し、馬鹿の代わりに謝るのは癪だが、


「魔族の方、『人間』が皆こんな風ではないと分かって下さい」


手段は兎も角場を収めた者として謝罪する。


魔族の姉さんは突然の事に驚いているが、直ぐにオレの目を見て微笑み、軽く頭を下げた。

4 : ◆jPpg5.obl6 :2013/01/04(金) 04:54:31.50 ID:UnyDOuql0


『いいぞ坊主!! 良くやった!!』


いつの間にかぐるりと囲む群衆から拍手と讃辞が降り注ぐ、気分は悪くは無いがオレが飛び出す前に誰かに仲裁して欲しかった。


「いえ、此方も最初から相手にしなければこんな事にはならなかったので…貴方は心の清い方ですね」


この魔族の姉さんは性根が真っ直ぐで真摯な方の様だ、蹴り飛ばした男の様に魔族は野蛮だと言う奴もいるが実際はそうでもない。


「いや、そんな事は……」


「「オイ、何の騒ぎだ!!」」


騎士が来たか…マズいな、買い出しに来ただけだってのに。


「おい、兄ちゃん」


「はい?」


「此処は私らが何とかするから行きな!!」


「あ、ありがとうおばさん!! 魔族の姉さんも行こうぜ!!」


「あ、ああ…」

5 : ◆jPpg5.obl6 :2013/01/04(金) 04:56:43.05 ID:UnyDOuql0


「いやぁ、悪かったな折角来たのに嫌な思いさせちまって…」


群衆を掻き分け暫く走り、『それなりに』美味い店に入って呼吸も落ち着いた所で人として謝罪する。


「いいさ、君の様な人間に出会えたんだ…良しとするよ」


初めて見た時から思ったが本当に綺麗な女性だ……嫌味の無い声色だし瞳も見入ってしまう程に…


「ああ…えぇと、オレの名前はシャノンだ。よろしくな」


「シャノン?」


聞き返すのも無理はない女性に使う名前だからな…


「その…姉が4人いるんだ、親父はまた女が産まれると思って男の名前を考えて無かったんだ…酷い話しだろ? 驚かれるのも馬鹿にされるのも慣れたよ」


その度にぶん殴ったけどな…だから今じゃ此処らでオレの名前を馬鹿にする奴は居ない……筈だ。


「ふふっ、良いんじゃないか? 何と言うか君の中性的な顔立ちと相まって違和感はあまり無いぞ、厳つい男だったら吹き出して笑っていたかも知れんが」


「結構気にしてるんだ…やめてくれ」


「それは済まなかった…ああ、私の名はオリヴィア。宜しくシャノン」


「オリヴィアか…オレもアンタの様な魔族に出会えて嬉しいよ、言いにくいなら良いけど此処には何の用で来たんだ?」

6 : ◆jPpg5.obl6 :2013/01/04(金) 04:58:46.05 ID:UnyDOuql0


オリヴィアには行商・観光や何かで来た魔族とは何か違った雰囲気があった。


「……私は魔族の使者なんだ」


「使者? 何か…あったのか?」


「ああ……詳しくは言えないがな」


そう言って彼女は目を伏せる、その表情からは不安や悲しみ憂いが見て取れた。


その姿すら美しいと感じた自分に驚きながらどんな言葉を掛けるべきなのか迷っていると、店に入って来た一人の男が真っ直ぐ此方に近付いて来た。






彼女に殺意の籠もった視線を浴びせながら……

7 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2013/01/04(金) 05:13:02.72 ID:UnyDOuql0


ー数時間前ー


当主が何者かに暗殺され、以来数十年空き家となった屋敷の中で二人の男が会話をしている。


一人は服装から貴族だと分かるが貴族らしい紳士的な振る舞いでは隠しきれない狡猾さが見え隠れしている、本人が気付いているかは知らないが。


「貴方にはその魔族を始末して頂きたいのです」


「理由を聞いても良いかい?」


もう一人は只の好青年にしか見えない…一見細身で頼り無さそうだが物騒な会話の内容から暗殺者か何かだろう。


「勿論良いですよ、えぇ…私の入手した情報に拠るとその魔族は再び戦争を起こすつもりのようです、平和になったとは言え魔族を恨む者、人間を恨む者は多々居ます。 嘆かわしい事に貴族の中にも…その者達が手を組み戦争の切っ掛けを作ろうと画策しているのですよ」

8 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2013/01/04(金) 05:14:47.04 ID:UnyDOuql0


「んじゃあ、戦争を防ぐ為に『そいつ』を殺ば良いんだな?」


青年はニコリと笑い、問い掛ける。


「はい……私の力ではどうしようも出来ません…どうか、どうか宜しくお願いします」


貴族の男は自分の無力さに涙を流し、声を震わせ深々と頭を下げる…口元をニヤリと歪ませて。


「仕方無いな、泣いてる奴の頼みを断る程オレは薄情じゃない」


この依頼が終わったらどうなるとも知らずに、馬鹿な奴だ…


「じゃあ、直ぐに始末しないと…そんな奴を野放しには出来ないからな」

9 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2013/01/04(金) 05:19:18.84 ID:UnyDOuql0

ーそして現在ー


男が近付いて来る、右手には銀色に光る物を持っていた。


その物の正体に気付いた客達は悲鳴を上げて店から逃げ出し、ある者は何の反応も出来ぬまま席に着いたままだった。


オレは当然の疑問を口にする。


「そんな物騒な物を持って何の用だ?」


「人に頼まれてな…そこの魔族を殺す、それだけだ」


簡潔で単純な動機、しかし場所も選ばず殺すとはコイツは馬鹿か?


「こんな所で私を殺しても直ぐに捕まるぞ? お前は馬鹿か?」


オリヴィアは思った事は直ぐに口に出す性格な様だ、わざわざ挑発しなくても良いのに…


「違う……お前を殺せば英雄になれる…」


もしかしなくてもコイツは間違い無く狂ってる、変な薬でも飲まされたのか?


「お前はそんな言葉を信じて私を殺すのか?」


「オリヴィア、コイツは普通じゃない!!何を言っても無「英雄になるんだ!!」


男は突然叫びオリヴィアの頭を目掛けて思い切り短剣を振り下ろす。

10 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2013/01/04(金) 05:22:22.68 ID:UnyDOuql0


「オリヴィア!!」


が、オレが動くより速く彼女が素早く男の手首をガシリと抑え刃が届く事は無かった。


「シャノン、私は大丈夫だ…さあ、武器を離せ」


「英雄に…なるんだぁ!!」


完全に正気を失っている…手首を強く握られているのにも拘わらず武器を離す気配は無く、男は短剣に思い切り体重を掛ける。


「なっ!?」


オリヴィアはすぐさま頭を反らすが短剣は矛先を変え彼女の胸元に迫る。


「オレは英雄にな「なれる訳ねぇだろ馬鹿野郎ッ!!」


グシャッ!! と前のめりになっていた男の顔面に思い切り拳を叩き込む。


「あがッ!!」


その瞬間オリヴィアは手を離し男は吹き飛び、そのまま背後のテーブルにドガンと突っ込んだ。

11 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2013/01/04(金) 05:27:27.50 ID:UnyDOuql0


「大丈夫かオリヴィア!? 直ぐに動けば良かった…ごめん」


「いや、助かったよ。 だから謝らなくて良い…それに、あの男は異常だった」


「そうだな、なぁオリヴィア……」


「ああ……きっと、今シャノンが考えている通りだろう。使者である私を狙っているのは間違い無い」


「おい!! シャノン!! 大丈夫か!?」


カウンターの陰から出て来たのはこの店の主、ダリオ。


気前の良いオッサンでオレも以前世話になった事がある。


「大丈夫さ、それよりダリオ…居たなら助けてくれよ」


「いやいや、オレが出るまでもないと思ってな…ははっ、ははは……」


太っちょで憎めない性格なのも店が繁盛する理由の一つだろうな。


「全く、店を壊すなよ…ってあれ? まだ騎士は来ないのか? 何時もならすっ飛んで来るのに…」


「騒がせて済まなかったな、店主…」


「い、いやぁ…あんたは悪くないさ、店壊したのはシャノンだからな!! ははは!!」


あの野郎…好き勝手言いやがって。


でもダリオの言う通り此処は都だ、警備はしっかりしている筈なのに…


「シャ、シャノンッ!!」

12 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2013/01/04(金) 05:29:15.07 ID:UnyDOuql0


「ん? 修理代なら…なっ!?」


見渡すと先程逃げず席に着いていた客全てが立ち上がっていた。


殴り飛ばした男と同じ狂った瞳で…


「一人殺すのには流石に多すぎるんじゃないか? それとさっきのは凄かったぞ、シャノン」


だが一人だけ『違う』者がいた、自分より少し年上位の青年だが纏う空気が常人のそれじゃない。


「シャノン…彼は?」


「いや、知らない。 誰だお前……」

13 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2013/01/04(金) 05:35:04.75 ID:UnyDOuql0

ー再び数時間前ー


「じゃあ、直ぐに始末しないと…そんな奴を野放しには出来ないからな」


「有り難う御座います!!」


ふん、確か…『クレイズ』だったか? 自分が利用されてるとも知らず馬鹿な男だ、暗殺者・殺し屋風情が正義感など出しやがって。


「じゃあ早速取り掛かるか…」


        ・・・・・・
そう言って青年は貴族の男の首をギリリと思い切り締め上げた。


「ぁッ!! …にをっ」


青年の突然の行動に驚愕し、事態を理解出来ない貴族の男に青年が語り掛ける。


「だって今の話しは『お前』の事だろ? オレには分かるんだ、嘘を吐いてる奴が…お前が悪党だって事も分かる、なら悪党のお前が殺したがってる魔族はきっと『良い奴』なんだろ?」


青年はニコリと笑い、語り掛ける…締め上げる力は強くなり男の首がギリギリと音を立て段々と顔が紫色に染まっていく。


「グッ…うぁ………」


手足をバタバタと暴れさせ何とか腕を振り解こうとするが青年の腕は微動だにしない。


「死ねよ悪党…」


ミジッ!!…首がぐしゃりと潰れ、男の身体から完全に力が抜けダラリとぶら下がる。


「本音を話していれば……やっぱり殺してたけどな」


青年は片手でブンッと死体を投げつけ、これからどうした物かと思案する。

14 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2013/01/04(金) 05:39:08.05 ID:UnyDOuql0


「何かオレ以外の奴にも声を掛けていたっぽいし……良い奴が死ぬのは嫌だな……」


男に渡された似顔絵もある…


「よし!! 助けに行くか!!」



青年は躊躇い無く人を殺した、悪党だろうが何だろうが人を殺して良い理由は無い。



紛れも無く、考える迄も無く彼も悪党なのだろうが、気に掛けている様子も後悔も一切見受けられない。



それは自分が絶対の正義だと信じているのか、それとも悪党ならば殺しても構わないと思っているのだろうか?

15 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2013/01/04(金) 05:41:39.06 ID:UnyDOuql0


オレはあの貴族を殺した、その死を悲しみ、泣く奴はいるんだろうか? 寂しがる奴は? まぁ、いるだろうな…家族とか恋人とか友達とか……


















「でも、『オレ』は『悲しくない』から良いや」










『それ』が彼の答えだった。

16 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2013/01/04(金) 05:53:12.16 ID:UnyDOuql0


「シャノン…彼は?」


「いや、知らない。 誰だお前……」

その瞬間一人の男がその青年の顔面にフォークを突き立てるが、


「グギャ!!」


身体は一切移動させず、首を傾けただけで避けると同時に背負い投げ、そして倒れた男の顔面をぐちゃりと踏み『潰した』。


「危ないな、自分で言うのも何だが顔は良いんだ。傷が付いたらどうするつもりだ? それにオレが死んだらオレが悲しいだろ? まあ、死ぬつもりは全く無いが」


「ヒィィッ!!」


それを見たダリオは悲鳴を上げて再びカウンターの陰に隠れた、全く…出たり引っ込んだり忙しい奴だ。


「オレはクレイズ。初めまして、シャノン・オリヴィア」



人を殺した直後にニコリと笑い自己紹介。





ああ、確かにコイツは『違う』完全に振り切れてる……正常な人間の精神や心は決して向かわない方向に。


17 : ◆jPpg5.obl6 :2013/01/04(金) 05:58:19.28 ID:UnyDOuql0

投下終了です。

これは、

勇者「あなたはいつでもそうやって」の続き…と言う名の別のお話しです。

少しは共通する部分はあるとは思います…


頑張りますので宜しくお願いします。

18 : ◆jPpg5.obl6 [sage]:2013/01/04(金) 06:16:11.76 ID:UnyDOuql0

後、書き方も何も前とは違うので更新間隔が空くかも知れません。

前と言ってる事が違いますが…すいません。

貼り直しとか無い様にしっかり書きますので宜しくお願いします。
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/04(金) 20:27:27.77 ID:H0PMGANG0
乙です
20 : ◆jPpg5.obl6 [saga]:2013/01/06(日) 01:28:27.75 ID:Ez9i6rVf0

「それで…オレ達に何の様だ?」

「助けに来たんだ、さっきから見てたけどやっぱり良い奴みたいだしな。」

「……クレイズと言ったな、何故私を知っている? 答えろ。」

「勿論いいよ。でも、まずはコイツらを何とかしないとな。」

 そう言うと、凄まじい速さで客…いや、狂人達に迫る。


「シャノン……こっちにも来るぞ。」

「……オリヴィアはオレの後ろに居てくれ。」

「……ああ、分かった。」


 入り口が何人かに塞がれてる…

 全く何がどうなってんだ…? 全然っ分かんねぇ、でも今は彼女を守るだけだ。

「…!? おいおい…」

 先程殴った短剣を持った男が立ち上がっている。鼻は潰れ口から血をダラダラと流しながら…相当な痛みの筈なのに。


 彼女を狙って向かって来る…目には強い殺意。

 クレイズと名乗った男の方を見ると躊躇い無く人を殺している。

 オレはどうする…? 答えは出てる。
 
気絶させるか殺すしか無い…

21 : ◆jPpg5.obl6 [sage saga]:2013/01/06(日) 01:30:06.63 ID:Ez9i6rVf0

ー何でこんな事やらなきゃならないんだよ? 魔物だって少なくなってんのにー


ー守る為だ、必ず来る…いつか必ずー


ー親父は何時もそれだなー


ーお前にも何時か分かる、まだガキだから分かんねぇだけだー


「……『守る』為…」

「う゛ぁぁ!!」

「すぅ…はぁぁ…ふっ!!」

 影断ち…間合いを詰める、そして掌を相手の鳩尾に当て溜めた力を放つ、響掌。

「げはッ!!」

 ズド…と鈍い音と共に男は血を吐き出し倒れる。

「言い訳はしない、オレを恨め。」

 コイツ等は殴ろうが刺そうが向かってくるだろう、覚悟は決めた。

「狂狂うぅ…」


「ああ、お前等は狂ってる…」


22 : ◆jPpg5.obl6 [sage saga]:2013/01/06(日) 01:32:07.41 ID:Ez9i6rVf0

ーーー

ーーーーー

 とある屋敷の一室に屋敷の主と思しき老人とその執事。

 その老人はソファに腰掛け、杖の握りの部分に両手を重ねる…その姿は、貴族と言うより王の風格を漂わせている。

「スヴェン…首尾はどうだ。」

 この男も別の…研ぎ澄まされた異質な雰囲気を放っている。

 彼は淡々と報告する。

「はい、まずクレイズですが従わなかった様です。そしてリーナスはクレイズに因って殺害されました。他の者達は命令に忠実な様です。」

「そうか、ならばこの『壷』の力は本物だ。リーナスが連れて来た者達に壷で集めた狂気を与えたが…少量ならば問題は無い様だ……」

「如何なさいますか? ヴィクター様。」
23 : ◆jPpg5.obl6 [sage saga]:2013/01/06(日) 01:36:35.59 ID:Ez9i6rVf0

「…幾ら狂気を与えたとは言え所詮は只の人間だ。まず、『何処まで』が限界か見極める…死を怖れぬのなら使い道はあるからな。」

「では…」

「うむ、まず多くの人間を集めなければ……魔族では失敗したからな。狂気と憎悪を与えた後、各国に散蒔く。」

「畏まりました。では、例の魔族の使者は如何なさいます? 捕らえる事も出来ますが。」

「必要ない…魔族との衝突はまだ避けたい。騎士達にも構うなと言っておけ。」

「畏まりましたヴィクター様。では…」

「うむ、下がれ。」

「はい、失礼致します。」


 我が祖先・陸の王よ…私が必ずや人間の世にして見せます、人間を犠牲にしてでも必ず…


『化身』が倒され戦は終わり、世に平和が訪れ数十年が経つ。


だが……『私』の戦争は終わっていない。

24 : ◆jPpg5.obl6 [sage saga]:2013/01/06(日) 01:45:59.90 ID:Ez9i6rVf0

店内に居た奴等は全て殺した…運が良ければ生きてる者も居るだろうが、クレイズにやられた奴は間違い無く死んでる…在るべき物が無い姿で。


「答えてくれないか? 私を助けに来たと言っていたが。」

「ああ、レヴァンとか言う貴族にアンタが誰かと組んで戦争を起こそうとしているから殺せと言われたんだよ。」

「ならば何故?」

「何故も何もソイツが悪党だったからさ。」

「悪党? お前、何かされたのか?」

「いや? オレがそう感じたからだ、間違い無い。それでさ、悪党が邪魔な奴って大抵良い奴だと思うんだよ…だから助けに来た。」

 コイツ…自分の考えが絶対だと思っているのか? 

「………助かったのは事実だ、有り難う。そのレヴァンという男は何処に?」

「殺した。アイツの言葉も気配も何もかもが汚くてな、色々聞こうかと思ったんだが我慢出来なくて…悪い。」

「……いや、いい…」

 レヴァン…おそらく偽名だろう、それに私が使者だと知っているのは王と貴族だけだ。

 王との謁見は明日、この国にも…


「オリヴィア? 大丈夫か?」

「ん? ああ…大丈夫だ。」

「いやぁ、良かった。オレはもう用は無いし行くよ、んじゃなシャノン・オリヴィア。」

 何事も無かった様に立ち去りやがった…さっきヒョコッと出て来た店主ダリオも何も言えずに背中を見送っている。

 その直後だ、騎士達が来たのは…だが事情を一切聞かれずに店から出されたのが只々、不気味だった。

25 : ◆jPpg5.obl6 [sage saga]:2013/01/06(日) 01:50:54.96 ID:Ez9i6rVf0

 暫くオリヴィアと歩いていたが会話は無く彼女は何か考えている様だった、オレは遂に聞く事が出来ずにいた。

「済まないシャノン…君に、人を殺めさせてしまった……」

「いや、オレが決めてやった事だから謝らなくて良い。それより…教えてくれ一体何が起きてるんだ?」

「……今から話すのは私の妄想だ…」

「ああ…」

「初代勇者の時代…何百年も前の話しだ、魔族の国を侵略し世界を人間の物にしようとした陸の国、陸の国は人間だけの世にしようと魔族を含めた多種族を認めなかった。」

「それが切っ掛けで長い戦いが始まる…時が経ち二代目の勇者・守り手達が魔王と共闘し『化身』を倒した事で、永い戦いを終わらせたのだが…」

「どうした?」

「数百年経った今頃になって…陸の国の思想を継ぐ者達が現れたのだ…それから魔族の地で不可解な死が目立つ様になった。」

26 : ◆jPpg5.obl6 [sage saga]:2013/01/06(日) 01:53:16.38 ID:Ez9i6rVf0

「不可解?」

「発狂し…その後…」

 震えてる…怖いのか…

「…オリヴィア?」

「その者達は皆、伝承に聞く『化身』の姿に酷似していた…身体に幾つもの人面相が発現し…狂い、死んで行った。」

「…!? 何故、勇者が倒した筈だ…」

「『化身』を倒したのは間違い無い、だが『化身』になった闇神官が所持していた『壷』は行方不明だ…」

「じゃあ…その壷を使って…」

「ああ、だから私を含めた魔族の使者は各国に渡り、諸国王に協力を仰いでいる…と言う妄想だ。ふふっ、あまり私に近付くなよ?」

 そう言って彼女は笑ったが、やはり陰が在るような…そんな笑顔だった。

「オリヴィア…」

「……この話しは終わりだ、私は宿を取ってあるからもう行くよ…シャノン、君に会えて良かった。」

 そう言って彼女は去って行く…何も言えなかった、オレは…彼女に対して何も出来ないのだから……

 何時の間にか陽も暮れている…明日からは昨日と同じ毎日が始まるのだろう、そう考えながら歩き出す。

27 : ◆jPpg5.obl6 [sage saga]:2013/01/06(日) 02:16:06.78 ID:Ez9i6rVf0

『ヘタレが…お前はオレが守る!! とか言えないの?』

またか…指輪から声が聞こえる。

「うるせえぞ、ババア…」

『あ? 指千切んぞ?』

「チッ…ごめんなさい。」

『……………』

「……!? いってぇ!! 分かった、ごめんなさい!!」

『よし…でも、私も何か嫌な予感がするわ』

「アンタ本当に何者なんだよ。」

『賢者様だって言ってるだろうが。』

「それが嘘臭いんだよな…」

『ん?』

「何でもありません。」

『自分の意志で何を守るのか、何を信じるのかを決めなさい。』





「……ああ、分かってる。」

28 : ◆jPpg5.obl6 [sage saga]:2013/01/06(日) 02:17:34.40 ID:Ez9i6rVf0

短いですが投下終了です。

見てくれてる方、レスくれた方、ありがとうございます!!
29 : ◆jPpg5.obl6 :2013/01/06(日) 12:16:30.12 ID:qoWgWN550

オリジナルならオリジナルできちんと書こうと思います。

そこら辺が中途半端なのでHTML依頼出してきます。

投げ出す形になって申し訳ありません。

見てくれた方ありがとうございました。



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