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魔法少女「魔法少女ですが、旅路がキツいです」 -
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1 :
◆1moUPf8RXw
[saga]:2013/01/06(日) 02:31:08.75 ID:D9aVf9cA0
ーー…【第一都市・草むら】
快晴。そよぐ風、揺れる草叢……。
ああ、なんと心地の良い日和だろうか。いま大の字で倒れたならば、きっとそれは一つの涅槃に等しい安らぎを与えてくれるだろう……少々言いすぎたか。
『そっち行ったよー』
間延びした声をかけられハッとした。
文章に起こしてみれば、野球をしている最中で打球が飛んで来たとも想像出来る。しかし、現実はそう長閑なものじゃない。
それこそ野球グラウンドくらいの面積がある草むら。草原とまではいかないが、それなりに広いスペースで現在絶賛鬼ごっこ中である。
「気を付けてー、ソイツに触られると溶けるからー」
目と顎の先に目標がいる。見た目は子犬サイズでスライム状の生き物。要はスライムと呼ばれる低級モンスターらしいのだが。自分にとっては必死で戦うべき相手だ。
理由は簡単。今さっきの注意喚起でわかるように、重篤な損傷を負う可能性があるからだ。
鬼ごっこ中とは言ったが、勿論私が逃げる側だ。残念ながら戦闘力は低い。
スライムが青色とも紫色ともつかない身体をウネウネ動かし、逃げる自分と1メートルも離れていない距離まで詰めてきているのを振り向きざまに確認して、たまらず仲間に応援を要請する。
私「すみません! 少しヤバそうです……というかまじヤバい助けて!」
背後のスライムの手(?)が服の襟を溶かす位まで肉迫したところで、天をガナリ倒すような音が響き渡り、後ろのスライムも胡散霧消……とまではいかないが、プスプスと煙を上げ焦げついている。
『怪我は無かったかしら?』
声は空から聞こえてきた。背の高い針葉樹の枝に、ドレスを着込んだ女性が見てとれる。彼女がスライムを攻撃した本人だろう。両手には何も持っていないようだが、代わりに手のひらからは軽く湯気……煙とも表現出来そうな白靄が出ていた。
怪我の心配をされたので身体をチェックすると、まず焦げたスカートが目に飛び込んできた。白いドロワーズが丸見えだ、これでは草むらから出れそうもない。
そして視線をそのまま下に下ろしていく……そこで私はあるものを目にして卒倒してしまう。
旅に出てから3日目ーー…
……私は、片足を失った。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1357407068
1.5 :
荒巻@管理人★
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/
君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/
笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/
【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/
ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/
2 :
◆1moUPf8RXw
:2013/01/06(日) 02:39:10.63 ID:D9aVf9cA0
進行速度の都合上、地の文は無しか適宜入れていきます。
地の文 頭に空白を入れても反映されないので理解の程を。
魔法少女が溢れかえっている世界なので固有名詞が出てきますが、ご容赦ください。
魔法少女の敵は、魔法少女なのかもしれません。
完結までお付き合いよろしくお願いします。
3 :
◆1moUPf8RXw
:2013/01/06(日) 03:19:20.75 ID:D9aVf9cA0
『足、まだ痛む?』
「いや……痛みは無い。回復アイテムのおかげだな、代わりに膝から下が金属製になってしまったけど」
三人いる旅の仲間。その内の一人が、いま私を心配そうに覗きこんでいる少女……透明人間の○○だ。
実際は名前を呼んでいるが、脳内では能力に変換している。
透明「 ごめんねー、私がちゃんとあのスライムをやっつけてたら……」
「ううん、気にしないで。自分に力が無いせいだから」
透明「でも……女の子なのに足が…」
金属の足も慣れてみるとそう悪いものでもない。魔法で造ったものらしく、具合は大分よろしい。
この義足も家が一軒立つくらいの値段がするらしいが、透明が有り金をはたいて購入にじょりしてくれた。それだけで十二分に感謝している。
ーー…
二週間後、透明が顔に攻撃をくらい片目を失明した。彼女はそれでも旅を続けた。
ーー…
その一週間後。他の魔法少女に喧嘩を売られ、透明が片足を失った。義足を買う資金は無かったので、代わりに安価な鉄屑の塊を魔法で装着した。透明は、毎晩痛みにうなされてろくに寝付けないらしい。
ーー…
それから二週間後、透明の実家から義足の資金が送られてきた。これで毎晩の苦痛が無くなり眠る事が出来ると透明は涙を浮かべながら喜んだ。
ーー…
それから3日後、戦闘中に透明は敵に打たれ、倒れ伏した。
透明化したままで息をひきとったので死体は見つからず……義足や衣服ごと発見が出来ずに、旅が始まって二ヶ月で仲間が一人減った。
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/01/06(日) 09:57:34.73 ID:Qsswg2+b0
これはまどマギとは関係してるの?
5 :
◆1moUPf8RXw
:2013/01/06(日) 12:08:09.23 ID:YbKiCqrB0
第二都市に入って、出てこられる魔法少女の数は全体の5%に満たない。
出てきた魔法少女達は皆、一様に記憶を欠いており、第二都市で起こった事を説明する事が出来ない。いくつかの”必要なこと”だけは忘れず……。
そもそもなぜ命を危険に晒してまで過酷な旅を続けるのか。離島である第二都市へ向かう巡航船に乗りながら、私は再確認した。
1.倒すべき巨悪がいるから。
2.世界には魔法少女と”敵”の二種類しか存在しない。
3.現在、両勢力の均衡が崩れはじめ……魔法少女側が圧されているため、このままだとジリ貧である。
これだけを知っていれば良い。
『旅を続ける理由がある』 それだけで戦い続けられた。魔法少女は逃げる事を良しとしない。
一個大隊は魔法少女に向かない。それぞれ個性が強く、パーティの人数が多ければまず間違いなく仲間割れをした。それは疲労や空腹からか……とにかく、4.5人で行動するのが基本となっていた。
霧の向こうに緑色の群生林が見えてくる。
……潮の匂いが香る中 湿った土壌の臭いが、鼻を衝いたような気がしたーー。
6 :
◆1moUPf8RXw
[sage]:2013/01/06(日) 12:39:36.64 ID:YbKiCqrB0
『あぁああぁあああ……気持ちいいなぁ……』
第二都市の船着場までもう十数分、となった頃。私は仲間の一人をマッサージしていた。肩の凝りをほぐすのは好きだ。達成感がある。
「いつも揉んで貰って悪いね。私は力加減とか苦手だから」
鈴を鳴らしたように楽しそうな笑い声を出して、彼女……音楽家のソングが胡座をかき、上半身を揺らしながら話をしている。名前は適当に名付けた。何だっていい。
「本当、肩揉みが上手いね。”マッサージで疲れを癒す能力”だっけ?」
「そうだね。なんの役にも立たない能力だけど」
正確には、”快楽を与える能力”なのだが。
仲間にも無闇に能力を明かさない。師匠の教えを守っていた。
『見てきましたけど、3人で行動しているのは私達だけでしたわ……あら、またマッサージをしていて貰っていたんですか』
近づいてきたのはトンガリ帽子を被った、魔法少女の典型ともいうべき格好をした少女だ。
「……また、音楽家さんばかり」
面白くなさそうに、整った顔をしかめる。彼女が我がチームのリーダー、得意技が”電撃”の魔法少女。ライトだ。『サンダーちゃん』というアダ名を嫌ったため、これに落ち着いた。
7 :
◆1moUPf8RXw
[saga]:2013/01/06(日) 12:58:13.54 ID:YbKiCqrB0
快楽ならなんだって与えられる。
空腹を抑えてやる事だって出来るし、少しくらいなら寝ないで行動出来るくらいには無理をさせてやることが可能だ。
しかし、空腹を抑えても栄養は与えられないので放っておけば死ぬし。寝ないでいたら当然倒れる。
なので、肩揉みも手を動かさなくても気持ちよくさせてやる事は出来るが、実際には凝りが解れてない。だから実際にも揉んでやる。
不満そうな、雷娘のライトに向かって手招きをする。
「君も腰を下ろしなよ。少しなら時間もあるから、マッサージしてあげられる」
「……では、御言葉に甘え… 』
『まもなく港に到着します。上陸の準備をしてください。繰り返します……』
『御言葉に甘えて』と言い切る前にアナウンスが流れた。ライトはまたも顔をしかめるが、ため息を一つ吐いて踵を返す。
「いきますわよ。ショップで食料品やアイテムも買い揃えたいですし……」
リーダーに促され、私と音楽家が起立する。ソングはというと、マッサージが最後まで終わらなかったことにぐちぐちと不満をもらしていた。
8 :
◆1moUPf8RXw
[saga]:2013/01/06(日) 13:33:22.31 ID:YbKiCqrB0
魔法少女達がぞろぞろと陸に上がっていく。
それぞれがきらびやかなドレスや、フリルのたくさんついたような可愛らしい衣装に身を包んでいる。私はというと、上下ともサンレッドを基調としており、上はノースリーブ。下はスカートに下からドロワーズがチラと見えるような……魔法少女としては大人しめの衣装だ。
リーダーはトンガリ帽子に青色のワンピース。音楽家は黄・青緑色のタータンチェック、ヘソ出しのツーピースだ。総じて色気の薄い、お子様ルック。
『ではこの島でのルールを説明します。案内役は不肖この私、”リリカル・アイリ”が務めさせてもらいます』
最後尾、後方にいた私が地に足をつけると同時にどこからともなく、魔法少女と思われる者の可愛らしい声が発せられた。
『詳しい説明は順次していきますー! とりあえず大まかな事だけ教えるねー!」
ドサッ、と急に音がした。
音源の正体を探ろうと音の聞こえた方をを見ると……私の隣にいた他パーティの魔法少女が一人倒れている。
よく見ると頭が破裂しており…………”中身”が流れでていた。
悲鳴がそこかしこから上がる。魔法少女だったものの周囲から人が遠ざかり、円が出来ていた。
『ごめんごめん。気の早い奴がいたみたいだからさ。ソイツにはお仕置きしておくから許してねー』
不思議と、マジカル・アイリと名乗ったまだ顔も知らない少女の屈託の無い笑顔が頭に浮かぶ。
『それじゃあ第二都市名物、バトルロワイアル。はっじまるよーっ!』
マジカル・アイリの拍手と共に、地獄の一週間が…………幕を上げた。
9 :
◆1moUPf8RXw
:2013/01/06(日) 13:46:46.24 ID:nuQfWntE0
>>4
無いとおもいます。
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/01/06(日) 13:59:40.99 ID:Qsswg2+b0
乙
マジ(リリ?)カル・アイリ…一体何者なんだ…?
そしてロワイアルは、蟲毒の壷みたいなものなのか?
11 :
◆1moUPf8RXw
[saga]:2013/01/06(日) 19:25:06.22 ID:KS172IKf0
【クリア条件】
1.期限である一週間以内に10000L(一万リリ)貯める。※”リリ”は島内通貨である。
2. 1の条件を登録チーム全員がクリアしていること。一人でも足りない場合、一週間経過と同時に全メンバーが死亡する。
【詳細事項】
1.”リリ”の譲渡は可能。
2.”リリ”は島内に生息するモンスターを倒すと入手できる。
3.棄権には応じない。
※ 詳細事項は随時更新していく。
12 :
◆1moUPf8RXw
[saga]:2013/01/06(日) 19:27:31.08 ID:KS172IKf0
. ☆戦闘特化・アイロニーチーム☆
『パロディちゃんが、フライング行為を行いましたので罰を与えまーすっ』
最早、声を追って空を仰ぎ見る事もしなくなった。
漆黒の、タイトなドレスを着た魔法少女……アイロニーは、読書を続けながら興味なさげにリリカル・アイリのお知らせを聞いた。
『パロディちゃんには、罰としてクリアまでの残り3日間、能力の使用を制限します!』
アイロニーが指を鳴らす。すると眼前に電子モニターが浮かんだ、これには”リリ”やアイテムの所持数が入力されている。島内の全魔法少女に与えられた権利の一つだ。
モニターに指を滑らせ、ページを何度かスライドする。するとパロディの所持リリが増えている事がわかる。
パロディの所持リリが『(5327)→8999』と増加していた。
『それではアイロニーさん。後半戦頑張ってくださいねー!』
キュピーンと甲高い音が響いて、通信が遮断された。
ウィンドウを閉じ、読書を再開しようとしたアイロニーに近づく一人の影。
「パロディの能力を失ったのは痛いな」
巨岩に座っているアイロニーを見上げる形で、少女……パスティッシュが言った。
長身の魔法少女だ。髪を後ろ一本に結んでおり、臍や脇。太腿が露出していて扇情的な身体のラインを隠そうとしない。
巨岩に座ったまま、アイロニーは 本の栞が挟んであるページを開いた。変わらずマイペース。
「パロディの能力が欠いて失う戦力は大きいが、代わりに大量の”リリ”が手に入った。あともう一戦も戦えばクリア条件を満たすだろう」
「条件を満たしても一週間を生きられなければ意味がない」
パスティッシュの表情には、不満や焦りが見てとれる。魔法少女は等しく鼻梁が整っているものだが、アイロニーとパスティッシュの二人は平均よりも大分上に位置するだろう。
パロディがはじめ、二人とパーティを結成する際には引け腰であった。魔法少女の世界でも容姿が際立つ者は余裕があるらしい、アイロニーは己以外の全てに興味が無いみたいだが。
アイロニーが本を閉じ、すくと立ち上がる。目は胡乱気で決して眠たいわけではないのだろうが……感情を表情に出さないので、付き合いの長いパスティッシュでも考えが読めない時が多々ある。
「いこうかパスティッシュ、丁度良い獲物を見繕ってある」
巨岩から飛び、ストンと着地する。華奢で身体能力が低そうに見えるアイロニーだが、やはり魔法少女である彼女も御多分に漏れず余裕の表情だ。
「ノースリーブの赤い魔法少女だ。あれは戦闘型ではない」
心なしか口角が上がっているようにも見えた。パスティッシュは細い腰に手を当て、目を閉じたまま空を仰いだ……この漆黒の魔法少女と仲間でいられる幸運を確認し、同時に……
……まだ見ぬ赤い魔法少女への手向けとして、心の中で十字を切った。
13 :
◆1moUPf8RXw
[saga]:2013/01/06(日) 21:14:44.53 ID:qyemDpjq0
. ☆絶対運営/リリカル・アイリ☆
何百、何千という数のモニターがそう広くない部屋を埋め尽くしている。
豪奢な椅子に座って、インカムに向かい声を発している少女がいた。
手入れが行き届いた金色の御髪。目鼻立ちは西洋のそれだが、見なりは純日本風だ。髪の色と同じ金色の巫女服のおかげか、ちぐはぐな印象を受けず自然なものに感じられた。
『リリカル・アイリ? 貴方は一体何者なの?』
「試験をクリアしたら教えてあげます」
『蟲毒の壺? 魔法少女を選び抜いているわけ?」
「難しい言葉を知ってるね。似てるけど、違うのは貴方達のためにしているということ」
なにやら追撃で非難しているが取り扱わず、別のモニターを浮かせ、机の上にフワフワと引き寄せる。
「アイロニーさんのところもアガリが見えてきたなー」
人差し指で液晶を撫でる。画面の中には漆黒の魔法少女が映し出されていた。相変わらずため息が出るほどの端正な顔立ちだ、四六時中眺めていられる。
「……そうだ。アイロニーチームには特別にイベントを用意してあげよう」
「4チームで……くすくす、きっと喜んでもらえる」
アイロニーが聞いたら喜ぶどころかジト目を更に細め、呪詛をぶつけてきそうな提案だ。
回転椅子をニ、三回転させ、適当に3つの液晶を浮上させる。
「ケッテーイ。特別ステージご案内ー」
不幸にもアイロニーチームと同じ不幸を味わう三チームが室内最大のモニターに投影される。
そこには、青いトンガリ帽子。臍出し音楽家……赤いノースリーブの魔法少女の姿があった。
14 :
◆1moUPf8RXw
[saga]:2013/01/06(日) 22:19:01.78 ID:qyemDpjq0
. ☆純粋少女・ラブリーチーム☆
「ラブリー、ラブリー。とんでもない事になったタマ!」
子ダヌキのような黄色い、デフォルメされたキャラクターが体操服にフリルを付けた魔法少女の肩の上で騒いでいる。
「タマりん。落ち着いて、ね?」
黄色い動物は『タマりん』と呼ばれた。対してそのタマりんが『ラブリー』と呼ぶ魔法少女は、見た目は幼いもののしっかりしているようだ。ラブリーがタマりんの頭を撫でながら宥めている。
「でも……これからどうしようか。メイちゃん?」
「……不満はあるけれど、今は従うしかないみたいね」
メイはスクール水着にランドセルを背負っていた。
初めて変身した時からこの衣装だったので、今では違和感なくこの姿でモンスターを薙ぎ払っている。
「メイは冷静タマ……ミキミキも見習うタマ!」
タマりんに言葉を投げかけられたミキミキという魔法少女は一人うずくまり、涙を流していた。
「皆どうして平気なの? さやかが殺されちゃったのに!?」
ミキミキの吠えるような大声に思わずラブリーは身をすくめる。
そんなラブリーを睨みつけながら、ブレザー型の学生服を着たミキミキが黄色い通学用の帽子を脱ぎ、地面に叩きつけた。帽子が落ちたすぐ横に、不自然に膨らんだ土繭がある。
「さやか……痛かったよね…………痛みさえ感じないくらいあっという間だったかな?」
ミキミキが土繭……さやかの遺体が眠っている墓に額を付ける。茶褐色の土が、溢れ出る涙で黒色に染まっていく。
「さやかぁ、さやかあっ……ゴメンね、ゴメンね……」
それは、上陸してすぐに頭を打たれた仲間を助けられなかった事に対する謝罪なのか。未だに仇討をする算段がついていない事に対する無力感からか……まともに弔ってやる事も出来ていない現状からか。
ラブリーも、メイちゃんもタマりんも……誰一人としてミキミキにかける言葉が見つからない。
そんな魔法少女達を嘲笑うかのように、いとも容易く静寂は破られる事になる。
『シリアス中にゴメンなさい! たったいまから貴方達は特別ステージにご案内ーっ』
……突如流れたアナウンス。それが終わると共に、魔法少女3人と一匹の視界がーーーー暗転した。
15 :
◆1moUPf8RXw
[saga]:2013/01/06(日) 22:55:05.76 ID:ZfTWXUPn0
. ☆ サクヤ ☆
一人の魔法少女が立ち尽くしている。
某ファストフード店の制服を黒色に改造し、下半身は黒袴という和洋折衷とは相ならない着物。
右手には長モノの刀が握られていて、刃先からは血が滴っている。
ふと、黒袴の魔法少女が顎を上げる。
すると追ってリリカル・アイリの顔が映し出された。まるで通信がくる事を知っていたみたいに。
『やっほー、サクヤ。あと半時間もしない内にゲームクリアだねー』
少女は微動だにせず、アイリの顔だけを見つめている。
『”リリ”はぁ……すごいっ、20000リリ近く溜まっているね!』
少女……サクヤは、左手を動かし懐からなにやら取り出した。拳銃だ。
『そんなサクヤにお知らせがあります! なんともう一週間延……』
言い切る前にサクヤの銃口が火を吹いた。
硝煙が燻り、土臭い森の中で異質に香る。
サクヤはその場に座り、胡座をかく。
刀を地面に突き刺し……そのまま眠りに落ちた。
…………まるで、これから起こる事が、わかるように。
16 :
◆1moUPf8RXw
:2013/01/06(日) 23:00:36.16 ID:ZfTWXUPn0
. 魔法少女的バトルロワイアルが始まります。
. それぞれが最強クラスに強かったりしますが、生き残る事が出来るのは複数なのかそれとも個人なのか……
. 疑問質問歓迎です。よければ生存者予想をいただけると幸いです、乙です。
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2013/01/06(日) 23:34:47.39 ID:MBdDERDD0
サクヤは多分死ぬ。何かしらの情報をどれかのチームに伝えた後に
18 :
◆1moUPf8RXw
[sage]:2013/01/07(月) 21:49:19.87 ID:tH+0LjlS0
基本 平日に少量、休日それなりに投下していきます。
今週末の三連休は休めそうです。
19 :
◆1moUPf8RXw
[saga]:2013/01/08(火) 23:20:12.77 ID:FXl8XepO0
. ☆ 収集 ☆
気がついたら開けた場所にいた。
瞬きをする前はまだ森の中にいたはずで……しかしこの場は整備されており、地面には砂利が敷き詰められ、腰掛けベンチがいくつか配置されてあった。一見、公園のようにも見える。
そして、次に気になるのは人だ。
雷娘と音楽家、それに私を入れた三人の他にも魔法少女が何人かいた……七人だ。様子を見るに、私と同じく辺りを見渡す人間がひぃ ふぅ……たぶん彼女達も同じ境遇なのだろう。現状の把握に努めている。
それぞれが動揺している中……ベンチに座っていた漆黒のドレスを纏った少女が、一つ息を吐いてから気怠そうに腰を上げた。
「……その様子では、君達も突然ここに呼び出されたんだろう。違うかい?」
ほぼ全員が、彼女の方に目線を送る。漆黒の魔法少女は沈黙を肯定と見なしたようだ。頷き、薄い胸に手を当てた。
「私はアイロニー。君達と同じで、気がついたらこの場所にいた。……まずは自己紹介とでもいこうじゃないか」
自らを”アイロニー”と名乗り、それから両隣にいた魔法少女達も『パロディとパスティッシュだ』と付け加えた。
アイロニーは眼球だけを動かし、ある魔法少女達に目を付けて手の平で促した。
「そちらの可愛い魔法少女さん達もどうぞ」
水を向けられた少女達は確かに可愛らしく、三人が三人とも齢十歳を迎えているかどうかに見える。
20 :
◆1moUPf8RXw
[saga]:2013/01/08(火) 23:24:37.96 ID:FXl8XepO0
桃色の髪をし、肩に狸のような黄色い生き物を乗せた魔法少女が大きく手をあげた。
「は、はいっ。私は”ラブリー”といいます! この子は”タマりん”ですっ」
体操着にフリルをあしらった装いのラブリーが、肩の生物を抱えてそのまま頭の上に置く。
アイロニーがそれに微笑みで返す。
「タマりん君は君の使役獣かい? なにか特別な能力でも?」
狸……ではなく。タマりんが短い手を自慢気に上げた。
「タマりんはラブリーのお友達タマ! ラブリーと一緒ならどんな敵にも負けないタマっ!」
ラブリーが頭上のタマりんを掴み、胸一杯に抱き締める。
「タマりんと二人なら、魔法の力で願い事を叶えられるんですっ」
「それはすごい。願い事は何でも叶えられるのかな」
「死んだ人を生き返らせたりは出来ませんけど、地震や雷、火事を起こしたり……あっ、あと変身したり!」
感心に値する能力だ。彼女一人でほぼ全ての魔法少女をカバー出来る。
アイロニーは再びベンチに体重を預け、足を組んでその膝小僧に頬杖をついた。
「君以外の二人も同じ事が出来るのかな?」
「いえ、メイちゃんとミキミキはビームを出したり……空を飛んだり出来ます!」
「ラブリーとタマりんがいればどんなピンチも乗り越えられるタm……」
瞬間”ぎゅぽっ”という音が聞こえ……タマりんの顔の中心が圧迫され、目玉が飛び出し、顎が外れ……頭部が潰れた。
「…………え?」
ラブリーが、頭の無くなったタマりんの身体から目を離さずに一瞬固まって……
「ゃ、……いやぁああああああああ!!」
絶叫した。
ラブリーの叫き声が響く中、漆黒の魔法少女の小さな笑い声が……やけに、はっきりと聞こえた。
21 :
◆1moUPf8RXw
:2013/01/08(火) 23:27:00.57 ID:FXl8XepO0
淫獣1抜けおめでとうございます。
地の文が不要なようなら簡略化します。
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