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一方通行「こっから先は侵入禁止ってなァ!!」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/07(月) 03:42:36.62 ID:3dYkGxYAO
※垣根×百合子
※キャラ崩壊
※R-18(多分)
※トンデモ妄想科学
※トンデモ妄想科学


ギャグです。
そして短いです。
生暖かい目で見ていただけたら幸いです。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1357497756
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 03:47:59.88 ID:3dYkGxYAO


「今日どうするんだ?」


 晩御飯を食べ終えて、ソファーでゴロゴロしている彼女に声を掛ける。


「うン?」

「泊まってくか?」

「あァーどォしよ」

「泊まってけよ、明日何も無いんだろ?」

「朝飯、肉にすンなら考える」

「朝から重いな……まーいいや。了解、決まりだな」ニヤニヤ


 ニヤけ顔隠そうとせず、彼女が寝転がっているソファーに近づいた。


「きめェ」

「うるせ」


 寝転がっている彼女を起こして抱きしめる。
 ちょうど後ろから抱きしめている体制

白い肩に顔を乗せる
 重いだ暑いだ聞こえた気がするが、流しておく

 本当に嫌なら反射するはずだから。

 (態度で)抵抗されないことを良い事に、今度はサササラとした白い髪に顔を埋める。

いい匂い


「犬かよオマエ」クスクス

「わん」


 犬なので、もう少このままでいさせてね。



3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/01/07(月) 03:49:50.63 ID:vG/KZwmS0
>>3以降の方へ
申し訳ございませんが、この度は私が「2ゲット」させていただきました。
多くの方が2を希望しておられたと存じますが、誠に申し訳ございませんでした。

私は「2ゲット」の為に、これまで多くの苦労を積んで参りました。
「2!!!!!」と気合を入れてカキコしたものの、「16ゲット」だった事もございました。
このような失敗談も、今では良き思い出。
2ゲッターの為の修行を1年以上積み、これだけの長文を記しても
なんら問題無く皆様の憧れである「2」をゲット出来るまでに至りました。
これも>>3以降の皆様のお陰でございます

それでは、2をゲットさせていただきます。
「2」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 03:51:03.31 ID:3dYkGxYAO

髪に顔を埋めてモフモフしていたところで ふと 彼女の白い髪の隙間から覗いたこれまた白い耳が目に入る

ふつふつと湧き上がる悪戯心。

良いよな?犬だし


べロリ。

耳を舐めてみる


「うひゃァ!?」
  
   バチン

反射されました。


 抱きついていたので、腕等も弾かれたのだが、

何より舌が痛い。


「痛ってぇ」

「あ、悪ィ、平気か?」

 彼女が心配そうに顔をのぞいてきた


「ん、平気」


ホラと、わざとらしく舌を出す

少しの間ののち、その意味が分かったらしく彼女は少し眉間に皺をよせた、そして諦めたようなため息のあと、俺の舌に吸い付いてきた
舌と舌を絡めるようなキス。




5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 03:53:31.51 ID:3dYkGxYAO

 コイツからこういう事をしてくるのは、本当に珍しい。

ま、誘ったのは俺なんだけど。
しばらくして唇が離れる

 二人とも息が荒い

彼女の赤い目が少し潤んでいる、顔も赤い

しばらく見つめあった後、耐えきれなくなった彼女が、おもむろに目をそらした

その仕草が可愛くて、つい吹き出してしまった。


「……チッ、何だよ」ギロ

「べっつに〜」クク


誤魔化すかのように、また抱き寄せる。

今度は横から抱き締めている形

彼女から舌打ちが聞こえたが、大人しく腕の中に収まってくれている

いい雰囲気。

いい雰囲気だよな?これ。

いいよな?コレいけるよな?!



6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 03:56:13.74 ID:3dYkGxYAO

彼女とは付き合い始めて、結構たつのだが。

“最後”まで行ったことはまだ無い

デート(?)をしたり、さっきみたいにイチャついたり。同じベッドで眠ったりもしたのだが……

俺がヘタれたり、彼女の気分が乗らなかったり、
彼女の親代わりのヤクザに乗り込まれたり。

理由はまぁイロイロと……


今日こそはイケるよな?

イヤ、行く。



7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 03:57:58.15 ID:3dYkGxYAO


「なぁ……」

「うン?」

「俺らさ……付き合って結構経つじゃん」

「まァそうな」

「その……さ」

「……」

「あ〜の……そろそろ……さ」

「……」

「……つまり」

「ヤりたいのか?」
「はい」

「……」

「……」


しまった……

ちょっと食い気味に返事をしてしまった……

がっつきすぎとか思われていないよな?

引かれて……無いよな?


8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 04:01:07.34 ID:3dYkGxYAO


「返事、早ェよ ばァか」クスクス

セーフ!!

「こっちはいい加減、我慢の限界なんだけどなぁ」

「ンー……」

 もう一押しか?

「なぁ……ダメ?」

「……ダメ、じゃ……無ェ、けどォ」

「やっぱ怖いか?」

「正直、それもある……」


それ“も”?
と 聞き返す前に彼女が顔をこちらを向けた


「反射」

「あん?」

「オマエと居るとき、反射切ってるだろ?」

「あぁ」ニヤリ

「お陰でお前に触れられるんだよな」


そう言いながら彼女の手に自分の手を絡める

いわゆる恋人つなぎ


「オマエっ……」カァァ

「それで?」ニヤニヤ

   バチン

反射されました。


「痛ってぇ」ヘラヘラ

「ふン」


話を続けるぞ?と睨まれる

「で……俺は、その……そォいう刺激に、弱い……方だと、思う」

「うん」

知ってる

「……それで……つい反射が出てしまうンだけど……」

「……」



9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 04:02:21.25 ID:3dYkGxYAO



「ち○こ突っ込んだ時に反射したらどォなると思う?」


「」




10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 04:04:44.96 ID:3dYkGxYAO


「うわぁ……聞いただけで……うわぁ」ガタガタ

「男の子は大変ですねェ」ケラケラ


なんて事だ

 反射を切ってもらえないと、彼女には触れられない。

 そして、もし反射を切ってもらい触れられたとしても

 少しの刺激でその反射が出てしまう……

俺は少し考えて一つの考えにたどり着いた。つまり……

「お前、処女って事だよな?」

「[ピーーー]」

「いや、別に気にしてないからな?処女とか非処女とか、処女の方が嬉しいって「ンなこたどォでもいい……それで?」

「あ?」

「どォする?」


“どうする”


『ヤるのか』


『ヤらないのか』



「……一方通行」

「ン?」



11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 04:06:29.48 ID:3dYkGxYAO




「ちょっと考えさせて」


 答えを予想していたらしい彼女から、ケラケラと笑い声が聞こえた。



12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 04:10:25.45 ID:3dYkGxYAO


「実際どうなるんだろうな」

「……ン」


手を差し出された、握れって事?
こちらも手を伸ばす。


   バチン

反射されました。

「これが通常の反射な」
「あぁ」

「それで、反射を切ると」

彼女の指が俺のにふれる
今度は反射されない
そのまま俺の指が握られた
つまり、俺の指が俺のソレ
彼女の手が彼女のソレと言う事だろう


「この状態から反射すンぞ?」

   バチン

「つっ」

 あまりの痛さに、つい手を振りほどいた。

「何かさっきより痛かったんだけど!?」

「俺が握った事に対する反発、オマエが指を引いた時に掛かった摩擦、そのあたりを反射したンだと思う」

「まァ、イロイロと条件は変わるだろォが、大雑把に言えば、コレと同じ事が起こるンじゃねェの?」

「ヒュンってなった。」


13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 04:13:08.93 ID:3dYkGxYAO


 その後、やってみたら意外と最後までいけんじゃね?と、事に及んでみたが、

 やはりイロイロ耐えられなくなった彼女に反射されました。

 ちなみに服すら脱がせられませんでした。


「あぁーもぉ何だよお前、体触る度にびくついてんじゃねーよ!」

「いちいちネチっこいンだよオマエ!まどろっこしい事して無ェでさっさとぶち込めば良いだろうが!」

「お前、ソレ無理だから、痛くて反射されるオチだろ絶対。反射される“コッチの身”にもなれよ!」



14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 04:16:33.70 ID:3dYkGxYAO


「ハァ……もう今日はいいや」


 そう言いながら彼女の腕をひっぱり抱き寄せる。今度は正面から。


「もォいいンじゃねェのかよ?」

「ヤるのはな、今日はただひたすら、ただひたすらイチャイチャする」

「……そォかよ」


 うんざりした様な顔の彼女だが、腕からは逃げない。そのまま押し倒してキスを落とす。溜まったものを吐き出すように噛みつくように貪るように……

されるがままの彼女。

気が済んだ所で解放する

あれ?

ふと疑問がよぎる


「そういやキスしているときって反射されたこと無いよな?」

結構乱暴にした気がするけど。

「あァ〜……その」
「……嫌いじゃ無ェからな……」カァァ

「へぇ」ニヤリ

「つまり、お前がエッチ大好き淫乱一方通行ンになれば反射されずにヤりたい放題ってことか」

  バチン

「[ピーーー]」


反射されました。

今度はあまり痛くなかった。



15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 06:54:21.11 ID:S/LXIKAl0


頑張れ垣根君(棒
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 10:45:04.62 ID:4tpKS8A5o
なんかワロタ

期待してるぜ
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/07(月) 19:48:47.63 ID:AhBuf3Jd0
なんだこれ……ニヤニヤしちまうじゃねーか!
頼むから続けてくれよな
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 03:34:16.97 ID:40mDVhIAO
マジか。
まさか読んで下さる方がいらっしゃるとは……

ありがとうございます。
ぼちぼち書いていきます。
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 03:36:40.73 ID:40mDVhIAO


次の日……


律儀に守られた、約束の肉料理(ハンバーグ)を朝から平らげてご満悦な少女。

そんな彼女を睨みつける少年


「……」

「……」ブツブツ

(反射、ベクトル操作、……考えれば考えるほど忌々しい能力だな……)

(いっそ、反射切ってもらって居る時に気絶させるか?いや、それじゃあ意味がない)

(出来れば普通にイチャイチャしてヤりたい)

(反射って無意識に使えるみたいだけどアレ演算必要なんだよな?)

(あーいっそ演算出来なくなるくらい無茶苦茶にしちゃうとか?)

(……)

(……無理だよ、出来無ぇよ、俺童貞よ?んなテク無ぇよ、そもそもそこに行くまでに反射出るよ……)

(やっぱり無難に少しずつ慣れさせていく方向で……)

「……」チラ

「……」ブツブツ

「……」ハァ

(なァに考えてンだか知らねェが)

(どォせロクでも無いこと何だろォなァ……)



20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 03:39:24.53 ID:40mDVhIAO


「ククク……」

「ン?」

「なんだ、簡単な事じゃねぇか……ははっ」

「どうした?ついにイカレたのか?」

「待たせたな、一方通行!」キリッ

「は、はァ?何が?」

「俺の未元物質に常識は通用しねぇ」バッサァ

「おい、室内で羽出すンじゃねェ」

「お前、今 反射は?切ってるなら戻せ」

「聞けよ人の話」


反射している事を確認し、彼女に手を伸ばす。
その手は反射されずに彼女の肌に触れた


「?!」

「やはりな」ニヤリ

「お前の反射は完璧ではない、何でもかんでも反射していたんじゃあ呼吸をする事も、物を見ることも出来やしねぇ。つまり酸素や光は、あー重力もか?無意識に反射を通している事になる」

「そして……お前が許容している物に俺の未元物質を疑似化させてまとえば……」


再び頬にふれる


「お前に触れられるってワケだ」

「ふゥン……成る程ねェ」




21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 03:41:23.73 ID:40mDVhIAO


「さて、確認だ」


彼女の顎に手をかけ、強引にこちらを向かせる。

「いいんだよな?」

「……」


少し頬を染めた彼女が小さく頷いた。



22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 03:43:00.62 ID:40mDVhIAO


「ちょっと待て」


 彼女を寝室に運ぼうと、抱き上げようとしたところで“待った”が入った。


「何だよ」

「『何だ』じゃ無ェよ。ソレ、しまえ」


 目線の先には三対の羽。

「オマエ……まさかソレ生やしたままヤるつもりじゃ無いだろうな」ギロ

「え?ダメ?」

「いや、ダメだろ。何のギャグだよ……笑え無ェし」

「ホラ、天国に連れてってやるぜ的な?」

「……手伝ってやるから独りで行って来い。そンで帰って来ンな」スッ

「待て、仕舞う、仕舞うからっ」アセッ


目がマジだった、そんなに嫌か。

羽、出してた方が能力安定するんだけどなぁ
渋々と羽を仕舞う。
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 03:50:38.88 ID:40mDVhIAO


「で、最後に確認するが、本当にに良いんだよな?」


 ベッドに移動して彼女に問いかけた


「……さァな」プイ


 顔ごと目を反らされたが、その顔は赤い

 否定らしい否定も無いので、ベッドに押し倒し、乗りかかる。

そのまま彼女の細い首筋に吸い付き舌を這わせた

「……っ」


びくりと身体が跳ねる
本当、いい反応するよなコイツ。

 シャツの裾から手を入れる、昨日はこの辺りで“反射”に拒まれたのだが、今日は直接手で止められた。


「おい」

「……」


俺の腕を掴んだ手が、少し震えている。
彼女の緊張が腕を通してこちらにも伝わった。


「無理そうなら、止めようか?」

「……大丈夫。無理、じゃ無ェ」

「……そうか」


彼女を落ち着かせる様に抱き寄せる
縋る様に俺のシャツを握りしめる彼女に自然と頬が緩む



24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 03:53:42.30 ID:40mDVhIAO


 彼女の緊張が解けたのを確認し
再度シャツに手をかける

が、その手に再び白い手が重ねられた。


「?」


 白い手の持ち主の顔を見ると、何か言いたげな彼女と目が合った


「どうした?」


やはり、不安なのだろうか。


「ァーその……」

「?」


彼女は不安そうと言うよりは、どちらかというと、バツが悪そうだ。


「悪ィ、垣根」







「解析……終わった。」



25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 03:59:19.79 ID:40mDVhIAO



「……」

「……」

「……解析?」

「……うン」

「……何の?」

「……オマエの……未元物質の」

「……つまり?」

「反射、適用されると思う」


「……」


「……」


「っつつざけんなぁ!!!テっメェヤる気あんのかぁああ!!?」

「なっ無かったら、ココに居ねェよ……バカ」プイ

「可愛い…く無ぇよ馬鹿が!!つーか何で解析してんだよ?!」

「だ、だってェ……恥ずかしくて死にそうだったからァ……意識しないように?別の事考え様としてェ……」カァァ

「くっそ……そんな片手間感覚で俺の未元物質が敗れたと言うのか……」

「でも……やっぱ、面白れェわ、オマエの能力。」

「あぁ?」

「“未元物質”って言うだけのことはあるわ。マジでこの世に存在しないのな。さすがの俺も解析すンのに骨が折れたぜ?」

「お前なぁ……」ビキビキ


26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 04:02:24.50 ID:40mDVhIAO


「ムカついた。こうなりゃとことんヤってやる」バサァ


新しい未元物質をまとう


「羽出すんじゃねェ」ギロ

「はい」シマイシマイ

「……」

「……」

「……こっ」

「……」


「こうなりゃとことんヤってやる」


 新しい未元物質をまとい彼女に触れる


「……ヘェ、再生成したか」

「正解」


 そのまま彼女を押し倒した


「今度は何を言っても途中で止めないからな?解析する暇も与え無ぇ」


 押し倒された彼女はニヤリと笑い


「おもしれェ、格の違いって奴を分からせてやるぜ?格下くン?」


「目的変わっちゃったよ!?何で解析する気 満々なんだよこらぁあああ!!!」


あ、結局、反射されました。






27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 04:05:04.34 ID:40mDVhIAO



一方通行「悪ィが、こっから先は一方通行だ、侵入はお断りってなァ!!」キリッ

垣根「俺の未元物質に、その常識は通用しねぇ!!」バッサァ


二言で終わる話でした。


処女を貫くゆりこたんと
処女を貫くていとくん

そんなお話。


もう少しだけ続きます。
多分、全部で40〜50レスくらいで終わる予定。

28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 08:58:21.66 ID:pAgCylVfo
つまりこの世に存在しない性質を持ったちんこ…か…
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 10:03:33.83 ID:CyLczlrDO
能力発動しないから幻想通行のがスムーズにいくよな
打ち止め助けた後ならON・OFFできてなんとかなるよな

けど…それでもっ!! 平和にイチャラブしてる未元通行が見たいんだ!
てなわけで乙でした、楽しみに待ってる
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/08(火) 19:54:02.11 ID:Zta/ZVkI0
童貞とくん×処女百合子ちゃん
どっちも可愛い
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 17:36:51.24 ID:mdoaK78AO
>>28
wwwwwwww
「ンなもン突っ込まれてたまるか、全力で反射するわ」

>>29
うっかり最中に右手離してしまう不幸に期待。

>>30
帝督って名前カッケーのにね。


「こいつらバカやってるなぁ」っていうのが伝われば幸いです。


今回は小ネタ



32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 17:39:40.43 ID:mdoaK78AO



「ン?なんだソレ」

「『キャパシティダウン』演算を妨害する音を流すんだと」

「ヘェ、どうしたンだ?コレ」

「パクってきた」

「返してきなさい」

「これでお前の反射、どうにかなんないかな?」
「返してきなさい」

「まぁまぁ、使ってみようぜ」


カチ

キィィィン……


「……」

「……」

「……」←防音物質生成中

「……」←音反射中


カチ


「……」

「……」

「返して来るわ」

「おゥ。」




33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 17:41:22.75 ID:mdoaK78AO



「そうだ、幻想殺しに協力してもらおう。」

「はァ?」

「まず、右手でお前を抑えてもらいます。」

「……」

「で、ヤります。」

「何のプレイだよ……」ハァ

「んー和姦プレイ?いや、疑似輪姦プレイ?」

「嫌に決まってンだろ、つーか、巻き込まれる三下の身にもなれよ」

「もちろん、上条には拘束した上で耳も目も塞がしてもらうがな。」

「……本当、何のプレイだよ(上条が)」




34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 17:43:13.85 ID:mdoaK78AO



「……」ジー

「……」

「……」ジー

「……」

「……」ジー

「……何だよ」チッ

「……んー……いや、いい方法が思い浮かばないからさ。」

「?」

「視姦している」

「は……はィ?!!」

「……」ジー

「ェ……オイ」

「……」ジー

「ま、マジで?」ゾワッ

「……」ジー

「……ゥあ」カァァ

「……」ジー

「や、やめろ」カァァ

(見てて飽きねぇなぁ)ホノボノ




35 :たのしそうだけどね。 [sage]:2013/01/09(水) 17:46:02.43 ID:mdoaK78AO



「……あまり気は進ま無ェが」ハァ

「?」

「俺の触覚や痛覚辺りを遮断すれば、反射も出ないし、普通にヤレるンじゃ無ェかな」

「!」

「どォする?」

「あー……それだとお前不感症みたいになるんだろ?俺に人形抱く趣味なんざ無ぇよ」

「……そォか」

「……」

「……」

「一方通行」

「あン?」

「……一回試してみて良いか?」

「……了解」クスクス



そして



「……」サワサワ

「……」

「……」モミモミ

「……」

「……」ペロペロ

「……っ」ピク

「!!な、何か感じたか?」

「いや、何か今のオマエすげェまぬけっぽくて笑える」クク

「くそぉ、全然楽しくねぇよ……」

「垣根」ネーネー

「あ?」

「へたくそォ」ニヤニヤ

「オイやめろ」






36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 17:48:15.51 ID:mdoaK78AO



「恥ずかしいから反射が出るのか?」

「ゥ……それもある」

「他には?」

「くすぐったいつーか、何か慣れ無ェっつーか……」

「やっぱ、徐々に慣れていくしかないのかねぇ……」

「なァ」

「ん?」

「何つーか……そンなヤりたいモンなのか?」

「愚問だろ、こちとら思春期真っ只中だぞ?」

「発情期の間違いだろォが……」ハァ

「何だよー好きな女が居たら触れたい抱きたい泣かしたい無茶苦茶にしたいって思うのが普通だろ?」

「普通ねェ……普通か?」ウーン

「お前は思わないのかよ……」

「……俺は」

「こォやって……居られるだけで、イイ」プイ

「そ、そうかよ」カァァ

(ちょっれェ…





    …けど、両刃の剣だなコレ)カァァ




37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 17:53:07.23 ID:mdoaK78AO

終わりです。

次はちょっと時間かかるかもしれません。



オマケ↓



「好きな奴が居たら触れたい抱きたい泣かしたい無茶苦茶にしたいって思うのが普通だろ?」

「ンー」

「お前は思わないのかよ……」

「まァ、泣かしたいって気持ちは分かるかなァ……」

「へぇ?泣かしたい?俺を?」ニヤ

「ンだよ、出来ないとでも?」ニヤリ

「『好きな奴』を泣かしたい?」ニヤニヤ

「!?」

「……」ニヤニヤ

「……チッ」プイ

(勝った)




38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 18:17:40.22 ID:vY8+aR/AO
おつんこ
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/09(水) 18:47:17.37 ID:Y+ZLToHDO
全部面白いが最後のおまけが今回の投下の一番お気に入りだぜぃ
乙でした
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/10(木) 00:57:05.26 ID:nc+yxXlb0

百合子かーわーいーいー!
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/12(土) 22:02:23.70 ID:vnygBmYAO
赤いきつねと緑の[たぬき]
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/12(土) 22:04:59.29 ID:vnygBmYAO
その幻想をぶち[ピーーー]け
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/12(土) 22:11:35.59 ID:vnygBmYAO
ちくしょうこうか?
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/12(土) 22:25:28.56 ID:vnygBmYAO
もういいやちくしょう


誤字脱字改行ミスその他諸々多いですね、申し訳ございません。これからは気を付けます。


そして短い小ネタです


45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/12(土) 22:34:44.34 ID:vnygBmYAO





遠くで何やら音が聞こえる。



何だっけ? 水音だろうか、


あぁ、雨の音だ。



「……?」



ガバッ



突然現実に引き戻された。



(えっと……俺、何していたんだっけ?)

「起きたか」

「!?」



え、あ、そうだ。

今日は、彼女が家に来ていて……そのくせコイツは実験の資料やらに目を通していて……構ってもらえないからちょっかい出していて……そのまま寝ちまったのか?



(ていうか……)



彼女の体制と俺の今居る位置……



(膝枕……してもらってた?)

「まだ寝てンのか?」

「あ、……おはよう?」

「もォ昼だがな」



窓の外に目をやると、
雨が降っているのが分かる。

空が曇っているからであろう、
部屋の中も薄暗い。







46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/12(土) 22:39:19.39 ID:vnygBmYAO




「オイ」

「!?」

「ちょっとコッチ来い」


チョイチョイと手招きをされる


「?」


彼女に近寄ると
こちらに白い手を伸ばしてきた


「……っ」ドキ


髪の毛を手ぐしで解かされる


「……なに?」ドキドキ

「オマエが寝ている間、三つ編みしてたから……」


彼女の手が撫でるように編み込んだ髪を解かす

白い指からサラサラとこぼれ落ちた髪は

三つ編みの形に癖がついていた


「跡、ついちまったな」クス


目を細めて、ふわりと笑う。


(う、わ)


不意打ちだった




47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/12(土) 22:44:33.97 ID:vnygBmYAO





(こいつ、反則だろ)カァァ


顔が熱くなるのを感じ
いたたまれなくなる

赤くなったであろう顔を隠すように、
彼女の膝に顔を埋めた


「オイ」

「もー少しだけ」

「……チッ」


許可が降りた。

まだ顔の熱が収まりそうもないので、
もう暫くこのままにしてもらおう


薄暗い部屋の中
静かな部屋に囁く雨の音

さっきまで眠っていたというのに
すぐに近づいて来る眠気の波

夢うつつにぼんやりとしていると、
優しく頭を撫でられた

心地よい夢への誘いに足掻く事も無く
静かに瞳を閉じる


それにしても、


俺の髪を三つ編みにしている彼女の姿を思い浮かべる。

女の子らしいことも出来るんだなぁ、

つーかお前の方が似合うだろ。

起きたら、髪いじらせて貰おうかな……


まどろみの中そんな事を考えながら再び眠りにつく………

……











目が覚めたらドレッドにされていた。





48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/12(土) 22:54:35.74 ID:vnygBmYAO

以上です。



ちくしょう……
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/13(日) 00:52:58.65 ID:ar9sEBBto
おつ、
そしてメ欄にsagaだよ
いれれば死ねでも魔力でも使えるからさ
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/13(日) 11:41:59.08 ID:i5Udqrp60

ほぁぁ……垣百合に荒んだ心が癒されるぜい
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/01/21(月) 01:34:08.26 ID:B8E+DR0AO
>>49
理解しました、ありがとうございます
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 01:38:22.73 ID:B8E+DR0AO




髪を触りたい


そう思った時には既に
手をのばしていた。


サラリとした白い髪に触れる。


彼女は少しくすぐったそうに身をよじるが、
それ以上は逃げない。


髪を撫でていた手を首の後ろに回し、
肩を抱いてこちらへ引き寄せる。


近くなった二人の距離


ジロリと赤い目に睨まれた
潤んだ瞳は
不安そうとも挑発的ともとれる。


負けずとこちらも見つめ返すと、
舌打ちと共に目を反らされた。



こういった空気はまだ慣れない様で
初々しい



けれど、




53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 01:41:34.62 ID:B8E+DR0AO




バチン




反射の膜に弾かれる、




「……痛ってぇ」

「……悪ィ」


そろそろ、慣れて頂きたい……


「……全然先に進まねぇじゃねぇか」

「ゥ……しようが無ェだろっ、“そういうこと”してるって意識すると……なんて言うか……」カァァ

「余裕が無くなる?」

「……ン」コクン

「……まぁ、テメェのそーゆうとこ、嫌いじゃ無ぇけどよ」

「……」プイ

「抱きついたりするのは割と平気っぽいのにな」

「そォいう時と全然違ェよ」

「どういう風に?」

「オマエ、手付きがヤらしいンだよ」

「そりゃそうだ、ヤらしい事してるんだもの」






54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 01:44:43.39 ID:B8E+DR0AO




「……じゃあ、どういう風に触って欲しい?(あ、このセリフ何かエロい)」

「……出来れば」

「うん」

「触らないでほしい」

「オイ」

「ベタベタされるの苦手なンだよなァ」

「ドキドキしちゃうってか」ニヤニヤ

「うン、まァそンな感じ」ウン

「あら素直」ドキ

「オマエに触られると、ドキっとするし、ゾクッとくるし」

「うん」

「鳥肌立つしィ」

「うん?」

「虫唾が走る」

「え? 何? お前俺のこと嫌いなの??」

「……」

「オイ」

「……冗談だ」

「目を見てもう一回いいなさい」


「まァ、そォいう訳なんでェ、触らない方向で行けば上手くいくと思うンだ」ウン


「斬新なプレイだな、却下だ」








55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 01:47:10.20 ID:B8E+DR0AO




「そういえばさぁ」

「うン?」

「前々から思っていたんだけど、お前の能力で避妊とかできるの?」

「オマエは前々から何を考えてンだ……」

「どうなんだよ?」

「まァ俺の能力にかかれば?避妊どころか、一発命中、下手すりゃ産み分け、意図的に双子を作り出すっつー事も可能なンじゃねェの?」

「……恐ろしい能力だな」

「今までンな事に使ったこと無ェけどな」

「当たり前だアホ」

「それがどォした?」

「つまり中出しOKって事だよな?」

「入れる前から出した後の心配かよ?」

「うるせぇ」

「……確かに、オマエの言う通り可能だろォな、能力が使えれば、だが」

「使えれば?……あぁそうか」




56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 01:50:06.03 ID:B8E+DR0AO




「コッチは反射の設定すりゃマトモに出来てない状況なンだぜ? 他に演算回せる余裕あるかボケ」

「確かに……ん?」

「ン?」

「つまり、お前マトモに演算出来ない状況で、未元物質だけはキッチリ解析して反射に組み込んでるって事か?」

「……あァ〜、うン、そうね」

「余裕じゃねぇか、いい加減ブチ切れるぞコラ」

「初めはな、『なァンか良く分かんねェ能力だな、きめェ』ぐらいに思っていたンだが」

「オイ、いや、いい続けろ」

「何回か解析している内に、オマエのクセ?みたいなの見つけて」

「……」

「最近は解析すンの、ちょっと楽しいわ」

「やっぱりか、お前解析スピードちょっと上がってんだよ」

「どンなに難しい問題も、出題者の考えている事をちゃンと理解すれば、簡単に解ける物なンだな!」

「うん、俺の考えている事を本当に理解しているなら、解析なんかしないと思うんだ」




57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 01:53:20.18 ID:B8E+DR0AO




「ったく、能力制御出来無いとか、大した“第一位”様だよなぁ」チッ

「何かご不満でもォ?“第二位”さン?」チッ

「お陰様で欲求不満だよ畜生」

「オマエさァ……」

「あ?」

「ヤりたいンだよな」

「ヤりたいですよ」

「だったら、前も言ったけど、俺 感覚遮断すっから、その間にヤればいいだろォが」ハァ

「……分かって無ぇなぁお前……」

「あン?」

「俺はな、そう言う殺伐としたプレイじゃなくてな、もっとこう」

「『は、初めてだから優しくしてほしいなァ……』
とか
『電気消してよ……えっち』
とか
『……恥ずかしいけどォ、私、帝督の為にがんばるね』」

「みたいな、キュンキュンとしたプレイがしたいんだ」

「……垣根」

「……何だよ」

「……」

「……」

「……」

「……何か言えよ」

「……」

「何か言えって」

「……」

「オイ」

「……」

「……ごめん」

「……」

「……」




58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 01:56:15.88 ID:B8E+DR0AO




「分かった……」

「?」

「ちょっと恥ずかしいけど、オマエの為だもンな……」

「え? 何? 何?」

「俺、頑張って演技するよ」キリッ

「いや、駄目だろ、演技するって言ったら駄目だろ、てか演技止めろ」

「オマエ馬鹿だし、バレ無ェ自信あるンだ」キリッ

「馬鹿はお前だ、この馬鹿」

「ダメか」クスクス

「大体な、演技かどうかなんて見りゃ分かるんだよカイワレ大根め」

「童貞の癖にィ?」

「うるせぇ」

「俺さァ……」

「うん?」

「ここぞって時に反射出るじゃン?」

「うん、出るな」

「あれ、演技だっつったら、どォする?」

「え」

「……」

「え? えぇ? え?」

「……」

「じょ、冗談だよな? 冗談だよな!?」


「……さァな」クスクス


「オイ、コラ 冗談って言えやぁあ゛あ゛ぁあ!!!!!」





59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 02:21:20.84 ID:B8E+DR0AO
終わりです。

次回、恥ずかしいけど百合子がちょっと頑張る話です。

ありがとうございました。
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/21(月) 03:53:20.24 ID:fDaiaqZDO
あーもうかわいい奴らだな!
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 11:35:08.74 ID:/OpKGQNDO
続き待ってる
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 02:01:56.60 ID:taSK0Q8AO
※メルヘン注意
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 02:05:36.94 ID:taSK0Q8AO



白い肌を撫でる度に、噤んだ唇から抑えきれない声が漏れる。


声を聞かれたく無いのだろうが、
お互いの顔が近くにあるため、彼女の努力は無駄となる。


彼女の顔は耳まで赤く、
先程から合わせてくれない紅い眼からは、
今にも涙がこぼれそうだ。

その姿を見て彼は、
しょうがねぇなと、小さく息を吐く


(無理してるのバレバレだっての)


呆れたといった態度だが、
彼の彼女を見るその眼は優しい。


――今日はここまでだな

そう思い
彼女から体を離し、触れていた肌から名残惜しそうに手を退ける。

退かした手を追うように、
白い手が弱々しく重ねられた。


「……?」

「へェき……だから」


彼女は自分の手より大きなその手を取り、そのまま自らの胸の上にそっと乗せた。

伏せられた顔を上げ
見つめられる。
震える紅い瞳からは
涙がこぼれた。


息を呑んだ、
目が離せなくなった、
先程まで逃げていたはずの紅い眼に、
捕まったのは彼の方。


――平気だから


薄い唇が音を出さずに言葉を繋ぐ。


『つづけて?』


ゆっくりと、


そう形どった唇に、


彼は誘われるまま食い付いた。



64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 02:07:32.58 ID:taSK0Q8AO



 瞼を上げると、知っている天井が目に入る。


 目から一筋の涙が流れた


 何か、幸せな……とても大切な夢を観ていた気がする。

切なる想いを感じて、自身の分身である息子からも一筋の涙が……ってやかましいわ。


 隣に視線を移すと、涙の理由が静かに寝息をたてている。


可愛い可愛い僕の恋人。
軽い口溶け、
上品な甘さの白い恋人。

 可愛くて、触れたくて、でも触れたら壊れそうなほど儚くて、っていうか触れさせてくれなくて……


現在絶賛おあずけ継続中なのだ。


 夢で逢えたが、夢にまで“おあずけ”されなくてもいいんじゃねぇの?


65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 02:09:40.69 ID:taSK0Q8AO



 今から寝ても、また夢の続きが見られるだろうか。


窓を方を見る。


カーテンの隙間から見える空はまだ暗い。
起きるにはまだ早い時間なのだろうが、すっかり目が覚めてしまった。


横で眠る彼女に視線を移す。


髪が掛かっていて顔がよく見えない。
髪を払おうと手を伸ばすが、その手は乾いた音と共に弾かれてしまった……


 彼女は眠ってしまうと反射の設定がデフォルトに戻る、そうなってしまえば、俺はもう彼女に触れることは出来なくなる。


夢に描いたその姿も
触れられぬのなら夢も同じで


手を伸ばせば届く距離も
今は遠い。



66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 02:12:34.95 ID:taSK0Q8AO



しばらく彼女を眺めていると、俺の願いが届いたのか偶然か、彼女がほんの少し身じろいだ。

顔に掛かっていた白い髪が、サラリと横に流れる。

現れた顔は、普段のどこか不機嫌そうな顔と違い、子供の様にあどけない。


――いつもそんな顔してりゃいいのにな。


何気なしに眺めていたが、やはりというか不可抗力というか。
つい目が行ってしまう……


きめ細やかで、透きとおるようなその白い肌。
華奢な身体を引き立たせるようにほっそりと長い白い首。
その首もとに、はっきりと浮かびあがる鎖骨。
呼吸と共に上下する、夢に現れた彼女よりも慎ましい胸。

鎖骨。


視線でなぞる彼女の肢体……


ふと、


目の前の無防備な彼女と夢の中の彼女の姿が重なる。

今までの、中途半端に繰り返した行為の一つ一つが頭に浮かぶ。

腹の下辺りに、何やらどす黒い感情が渦巻いていくのが分かる。


あぁ



コレマズいわ



67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 02:14:17.25 ID:taSK0Q8AO



気がつくと、感情と本能と下半身をむき出しにして、おもむろにしごいていた、

目の前の、いつ起きるかも分からない彼女の前で、妙な背徳感に背筋がゾクゾクする


正直限界だった。


目の前にご馳走チラつかせて、
散々焦らされて、
それでも、よだれ垂らして見る事しか出来ないなんて、拷問じゃないか。
普通の犬なら飼い主噛み殺して居るんじゃないだろうか。


俺はいつも生殺し状態ってのに、自分は素知らぬ顔で隣に寝ていることにも段々腹が立ってきた


あんな夢を見てしまったのも、
俺がこんな行動に出てしまったのも、

全部お前が悪いと、

溜まりに溜まった思いの丈をぶちまける。



68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 02:16:35.43 ID:taSK0Q8AO



 吐き出した白い想いは、
彼女の白い顔には届かず……


「……」

「……馬鹿か…俺は」


白い想い
突き返されました。

彼女に注いだ筈の愛情を、そっくりそのまま受け止める、自分で。


「……」


うん、だよね。
分かってた。
ハイハイ分かってましたよ?
こうなるって分かってましたぁ、
ただちょっと忘れていただけですぅー。


ただちょっとテンション上がってて忘れてただけだっつってんだろクソッタレがぁああ゛あァ!!!!!!!!!!!


「……」


ぁー……うん。


「……」


 目の前で起きた悪夢を知らず
未だ茨姫は眠りの中………眠り姫の方がいいか? どーでもいいか。

頼むから寝てろ
お前は何も知らなくて良い。

まだ夢の中の彼女を起こさない様に、
静かにかつ速やかに寝室を後にする。


白いモノの処理が終わった頃、
東の空はすでに白んでいた……



69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 02:19:33.00 ID:taSK0Q8AO
――――
――



 彼女がのろのろと起きて来たのが正午前。

少し遅めの朝飯にと、冷蔵庫から缶コーヒーを取り出す。

ふかふかのソファーに体を沈め、
寝ぼけまなこでコーヒーを一口。

少々眠りすぎてしまったか、
少し気だるげだが、
それが心地良くもある。
窓から差し込む日差しも暖かくて柔らかい

気を抜くとそのまま眠ってしまいそうだ。

のんびりとした空気。

どんよりとした垣根。


(……うぜェ)


視界の隅に落ち込んだ垣根の姿が見えた。
一方通行はガシガシと頭を掻き
見てしまった物はしょうがないと彼に声を掛ける。


「オイ」

「……」

「……どォかしたのか?」

「…………別に」ボソッ

「……」


理由を話したくないなら仕方ない。
触らぬ天使に祟り無し、放っておこう。

一方通行はそれ以上は追求せずに残りのコーヒーを一気に煽る。



70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 02:23:04.37 ID:taSK0Q8AO



ゆっくりと時間の流れる部屋に響く電子音。

彼女の携帯が鳴ったのだ。

無言で携帯を開き画面を眺める彼女、
メールなのだろう。
基本、知り合いの少ない彼女の携帯が鳴るのは珍しい。


「誰?」

「木原」

「げ」


垣根のテンションが更に下がった。


「な、何だって?」

「オマエの事じゃ無ェよ」ハァ


本文を確認し終わったのか、パタリと携帯を畳む。
彼女は少し考えた素振りを見せ、こう続けた。


「俺、今から出るわ」

「あ? 何処に?」

「研究所、顔出せってさ」

「ふーん、珍しいな? お前 いつもならシカトするのに」

「まァ、ちょと……な」チラ

「……?」

「何でもねェ、じゃあな」

「……おう」


彼女は立ち上がり部屋を後にする。

それを見送りながら垣根は彼女が最後に残した視線の意味を考える。


――まさか


「今朝の事、……バレてねぇ…よな……」ダラダラ




71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 02:25:23.60 ID:taSK0Q8AO
――――
――



場所は変わって
とある研究所。

廊下を歩く一方通行に、女性研究員が話しかける。


「あら、久しぶりね一方通行。珍しい 何か用なの?」

「呼ばれたンだよ、木原の野郎は居るか?」

「……本当に珍しいわね、アナタ 木原さんがいくら呼んでも来ないじゃないの」

「……」

「まぁいいわ、木原さんなら資料室の方にいるはずよ?」

「ン」


研究員と別れ資料室へと向かう。


『珍しい』


垣根と研究員に言われた言葉。

確かに、らしくないのは自分でも分かっている。
それでも、一方通行がわざわざここに来たのには勿論理由があった。



72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 02:29:12.68 ID:taSK0Q8AO



一方通行と垣根帝督

これまで、ただヤる為だけに、(主に垣根が)いろいろと努力をしてきたのだが、
一方通行自身、実は、どーでも良い。と思っている。

元々、性欲も無いに等しい。


……ただ、


必死になっている彼を見て、
少し前までは

『童貞乙wwww』

ぐらいに思っていたのだが、
最近では何の気の迷いか……ほんの少し、
本当に少しだけ可愛く思えてきた。

今では可哀想だと思っている。


(何とかしてやりてェとは思うンだが……)


木原数多、研究者、能力開発のスペシャリストであり能力『一方通行』の開発者。


奴なら、

木原なら、

自分も知らない反射の抜け道を知っているのかもしれない。

と、頼って来てみたのだが。


……良く良く考えてみれば


(この俺があの野郎に頭を下げて教えを乞うだァ?)


……しかも


『男とエロい事したいんで、反射どーにかして下さい』


なんて……





73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 02:32:14.56 ID:taSK0Q8AO



「言える訳ねェだろ」

「何が?」

「!?」


突然の声に振り向けば、
そこには金髪に顔面刺青と、とても研究者には見えない人物。

『木原 数多』

お目当ての人物がそこに居た。
出来れば会いたく無かった。


「んで? 何の用だよ? わざわざ俺の顔見に来たってこたねぇんだろ?」

「……オマエから呼び出したンだろォが……」

「あー? お前いつもならシカトすんだろ、用があるから来たんじゃねぇの?」

「……」


自分の行動はそんなに分かりやすい物なのか……
やはり、慣れない事はするものではない。


「あー……ちょっと確認、つーか……」

「あん?」

「俺の反射の設定って今からでも変えられンの?」

「はぁ? んなもん自分で分かるだろ、つーか変えるって何?」

「……意識している時は自分で変えれるンだが……問題は咄嗟に出てしまう反射の方」

「だから、分かんねーって、具体的に何をどうしたい?」

「あー……」


なんと言えば良いのだろうか……



74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 02:34:44.60 ID:taSK0Q8AO



「……人間を、反射しないようにしてェ」

「馬鹿か、んな事したらお前その辺のゴロツキにぶん殴られるぞ?」

「……それもそォか」

「はぁ、平和ボケしてやがんなぁ……大体何でそんな事になってんだ?」

「……人混みで人とぶつかった時とか、あぶねェだろ。」

「確かにな、つーかお前、その理由で人混み嫌いじゃなかったか? 行かなきゃ良いだけの話じゃねぇか」

「俺が行きたい訳じゃ無ェ、たまに連れて行かれ……」

あ、しまった。

「へぇ、誰に?」

「……」

「だ れ に?」

「……友達」

「嘘付け、お前友達いないだろ」

「居るわ、……第四位とか」

「第二位か……」

「……」ピク

「咄嗟に反射が出て危ないねえ……?」

「……」

「ふぅん?」ニヤニヤ

あ、バレたわコレ

「まぁ、反射がぁ? キチンと機能している様でぇ? アンシンしましたよぉ?」ニヤニヤ

「……チッ」


大失態だ



75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 02:37:20.73 ID:taSK0Q8AO



「久し振りに顔見せたと思ったら……」


木原はヤレヤレと頭を振る


「『男と乳繰り合いたいから能力どーにかしろ』だぁ? ふざけんな」

「言って無ェ」

「聞け、一方通行」

「……あァ?」

「良いから聞け、悪いことは言わねーから、止めとけ」

「何を?」

「ナニを」

「……」

「いいか?お前の身体は普通なら第二成長期だ、ヤりたい盛りだわな」

「女なら胸もでかくなるし、月経も始まる」

「それがどうだ?」

「胸はごらんの通り、それに どーせお前、生理どころか下の毛も生え揃って無いんだろ?」

「……」

「……どうなんだよ?」

「……答える必要、あンのか?」

「チッ……まぁいい」

「……」

「とにかく、お前の身体は真っ当な育ち方してねぇってのは自分でも理解してんだろ?」

「ふン」

「男を知るにはちぃーっと早ぇんじゃねーのかなぁ? 一方通行ぁちゃん?」

「……キっメェ」ペッ

「ククッ……まぁ? お前の身体がどーなろうが、それこそ今更ってかぁ? 」

「……チッ」



76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 02:40:02.16 ID:taSK0Q8AO



「それだけじゃねぇぜ?」

「……」

「万が一ガキでも孕んでみやがれ」ククク

「第一位と第二位のガキ」

「研究者共がよだれ垂らして大喜びしそうなモルモットだよなぁ? ぎゃははははっ」


お前等はどう足掻こうが所詮は“モルモット”……卑下た笑いがそう言葉を付け足した。


「……」ギリッ


いつもそうだ、この男は呼吸をするように、自分の痛いところを的確にえぐってくる。

一方通行はこの男が苦手だった。


「第一位のガキって事はつまり……あー…そうか……お爺ちゃん、かぁ」ボソ

「……ン?」

「コイツにソックリな女の子……いや、もし第二位に似たガキが出てきたら女でも殴るな……」ブツブツ

「……はィ?」

「ガキがガキ産むなんざ何の冗談……いつまでもガキだガキだと思っていたのにな……そうか……」

「き、木原くン?」

「一皮剥けちゃって……ははっ、ヤべぇ、涙出てきたわ」グスッ

「……うっわァ」ヒキッ


一方通行はこの男が苦手だった。



77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 02:42:50.84 ID:taSK0Q8AO



「……ダメだ、もうダメ、無理」

「あ、うン…」

「物わかりの良いお父さんとか俺には無理」

「え?…え、……えェー??」

「なあぁにが悲しくて娘の性事情に父親がアドバイスしなきゃなんねぇんだよ!!!!」

「何かスイッチ入ったァーー!!」

「俺はなぁ!!お父さんは、テメェを簡単に股開く様な売女に育てた覚えはねぇんだよっ!!!!」バンッ

「やっべ……どっからツッコんで良いかわっかンねェ……」

「突っ込ませ無ぇよ!!突っ込ませない!!手塩に掛けて大事に育てた娘を……よりにもよって…あんのチャッッラそうなチンピラにぃいい」

「ざっけんな!!何が未元物質だ!テメェの存在をこの世から消してやろうかあぁあ゛あ!!!!!!!」

「いい加減うっせェえェェェェ」

「黙れ!!不純異性交遊取り締まりだクソッタレがぁ!!まずはテメェからだ!この性根の腐った淫売がぁあああ!!!!!」


娘を想う父と、その想いごと反射したい娘。

それは、不器用な親子の、ちょっとしたすれ違い。


「一方通行ああぁぁぁぁぁぁあ!!!」

「木ィィィ原くゥゥゥゥゥゥゥン!!!」


反射しました。
が、何故か殴られました。



78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 02:46:02.70 ID:taSK0Q8AO
――――
――



木原が血に染まり床に沈んだ頃、
街は茜色に染まり夕日は沈みかけていた。

一方通行は殴られた頬をさすりながら家路につく。


「クソが、何で反射破ってンだよ……」


あの野郎、やはり反射を破る方法を知っていやがったか。

木原の拳は一方通行に届いた。
拳が届いたと言うよりは、
衝撃が届いた?
反射を逆手にとられたって事は理解出来たが、正直 食らった方は何が何やら訳が分からない。

もし仮に、木原が垣根にその技を伝承したとしても、垣根が望む事には使えなさそうだ。


使ったら使ったで、どえらいシュールな光景になるだろう。
そんな協力プレイしたくないし。
もうそれ、セッ○スじゃあないよね。
突っ込めてないし。


何にせよ、無駄な時間を過ごしたらしい。


いや本当に。



79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 02:48:14.13 ID:taSK0Q8AO



何だかんだ考え事をしている間に、住んでいるアパートの前に着いた。

もう今日はさっさと寝てしまおうと、足を早める。


「……」ピク


一方通行は自分の部屋の前に着く前にその異変に気がつく。

遠目にも分かるほど、部屋のドアが破壊されている。


(またか……)


ドアがあの有様ならば、部屋の中も荒らされている事だろう。

一方通行は『第一位』という立場から、
度々部屋を襲撃される。
いくら部屋を荒らした所で、彼女が傷つく事は無いというのに……


(毎度毎度 無駄な努力、ご苦労なこって)


うざったくはある。
引っ越したところで、今度はその引っ越し先が調べ上げられ襲われる。


小さなため息がでた。


そのため息は、荒らされた部屋に対してか、無駄な努力をする馬鹿共に対してか。

それとも、この状況に慣れてしまった自分に対してなのか。


その瞳からは読み取れない。



80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 02:50:57.91 ID:taSK0Q8AO



部屋に入り、荒らされた部屋を見渡す。
元々、何も無いシンプルな部屋だったハズだが、
随分と派手な部屋になったものだ。


垣根の部屋にでも行こうか……


そう思い携帯を取り出すと、着信ランプが光っている。
そういやマナーモードにしたままだったな、と携帯を確認する。


受信メール‐‐158件

着信 ‐‐371件


「うわァ……」


軽く確認してみると、その殆どは木原からであった。


(復活早ェなアイツ)


一方通行は静かに携帯を閉じる。

面倒だった、
何もかもが面倒になった。


浴室へ向かう
ドアや壁は壊されているが、
水道は生きている様子。


服を脱ぎ捨て頭から水を被る。
頭がスッキリするかと思ったが、あまり効果は無ない。



81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 02:53:06.71 ID:taSK0Q8AO



脱衣場に出る頃にはすでに
髪や肌は乾いていた、
彼女の能力だ。


着替えを……

と考えた所で、部屋が荒らされていた事を思い出す。

先程脱ぎ捨てた服を横目に見るが、
何となく、一度着た物に再び袖を通すのは気が引ける。


「……めんどくせェ」


ぽつりとそう漏らすと、そのまま脱衣場を後にした。

ベッドがあったであろう場所から、毛布を引っ張り出す。

所々破れてはいるが、使え無い程では無い。
能力でホコリを払いそれにくるまる。

周りを軽く見渡し、まだ辛うじて原型を留めているソファーに横になった……



82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/09(土) 02:55:39.29 ID:taSK0Q8AO



頼りない毛布の上から、
反射をまとう。

まだ少し肌寒い外気からも
まだ騒がしい街の騒音からも

瞳を閉じ、光すらも


荒らされた部屋
向けられた悪意
保護者面した刺青面
メルヘンな羽
さっきから鳴り止まない携帯

煩わしいのもの全てから隔離させた反射の壁の中で、

今だけは全て忘れて。
彼女は眠りに落ちた……

茨に覆われ
廃墟に眠る眠り姫の様に。




――
――――
83 :おわり [sage]:2013/02/09(土) 03:02:17.17 ID:taSK0Q8AO
深夜のテンションって怖い、改めてそう思った。

>>60、61
ありがとうございます。

ひどい話でスミマセン。そして、遅くてスミマセン。本当は一月中に完結させるつもりでしたが、上手く行かないものですね。

ありがとうございましたー
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 11:11:01.86 ID:2pddNVUDO
木原くンはやっぱ過保護なんだな
二人のやりとりおもしろかった
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/09(土) 14:05:30.61 ID:ADkIU+c2o

孫の想像までするあたり一番メルヘンなのは木原くンなのかもな
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/16(土) 02:40:07.88 ID:w2NjrDA00
これ垣百合だったのか。
今まで気がつかずにスルーしていた
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 01:18:34.30 ID:fL8TehJAO
レスありがとうございます!
励みになります、本当に

※オリキャラ注意
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/18(月) 01:22:24.13 ID:fL8TehJAO

――とある病室


木原「……」ピッピッ

木原「……」prrr…

木原「……」タダイマデンワニ…

木原「……」ピッ

木原「……」

木原「……」ピッピッ

木原「……」prrr…

木原「……」タダイマデンワニ…

木原「……チッ」ピッ

木原「……」

木原「クソ、あのガキ…全然電話取りゃしねぇ……」ピッピッ

研究員「木原さん、病室で携帯電話は使用禁止ですよ?」

木原「あん?…………テメェか、研究所ほっぽりだしてココで何してやがる、油売ってる暇なんざねぇだろ」prrr…

研究員「完全にコッチのセリフですよ、この忙しい時期に何 入院しているんですか」

木原「ちょっと不良娘に制裁食らわしてたんだよ」タダイマデンワニ……ピッ

研究員「それで、返り討ち、と……」

木原「でぇ? 何しに来やがった」ギロ

研究員「簡単な身の回りの物と木原さんのパソコンです」ガサッ

木原「おぉ、悪いな」ピッピッ


研究員「いい加減、携帯電話 置いてもらえませんか?」


89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/18(月) 01:26:17.48 ID:fL8TehJAO



「クソガキが電話取らねーんだ、仕方ねぇだろ」

「……放っといてあげたらどうです?」

「あぁ?」

「えっと、第二位との事…」

「あ"ぁん?」ギロ

「ナンデモアリマセン」

「…………俺が放っておいても、上が放っとかねぇよ」

「え?」

「考えても見ろ、学園屈指のバケモノ 二匹が仲良く連んでんだぜ? 上層部としては面白くないだろうさ」クク

「……」

「第二位はアレで暗部のリーダーだ」

「クソガキは今の所、ギリギリ表のニンゲンだが、周りはそうは見ねぇ」

「第一位と第二位が繋がっている事で、暗部同士のパワーバランスは目に見えて崩れるだろうし」

「なにより」

「『一方通行』と『未元物質』、この街でそれなりに地獄を見てきた身」

「その二人が結託して学園都市に噛みついて来やしないか……上の奴らは心中穏やかじゃあ無いだろうなぁ」ククッ


「……もしかして、木原さんは上からの指示で?」

「ううん、違う、全然違う」

「そうですか」


「勘違いすんなよ? 別に、心配している訳じゃ無ぇよ、これは親としての最低限の義務なんだからね」

「あ、いらないです。そーいうの」


90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/18(月) 01:29:39.40 ID:fL8TehJAO



「なぁんで あんな風に育っちゃったのかなぁ…」ハァ

「第一位ですか?」

「アイツはな、小さい頃は本っ当可愛いかった、もー天使だった、一方通行マジ天使」

「第二位は現役天使()じゃあないですか」

「あ"ぁ"ん?」ギロ

「ナンデモアリマセン」

「チッ……続けるぞ?」

(続けるのか……帰りたいな)

「可愛くて、照れ屋で、白くて、あ、写真見る?」ホレ

(持ち歩いているのか…)
「あ、可愛い」

「まぁな」フフン

「……」

「この頃が一番可愛かったなー、研究所に来たばっかの頃でさぁ」ペラペラ

(…やべ、スイッチ入った)

「何か“自分以外の全てが敵”みたいな目で周りを見ててさ〜、それでも俺には懐いてて、いっつも俺の後ろから付いて来て欲しかった」

「欲しかった…ん?」

「この頃から俺の事は『木原くン』って呼んでたなー、素直にパパって呼びゃあいいのに……」

「…最近では呼び捨てですね」


「大きくなったら、絶対お父さんのお嫁さんになるんだって言って聞かせてたのに……」


「言ってたんですね? 言ってたんですね? 木原さんが」



91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/18(月) 01:32:26.09 ID:fL8TehJAO



「実験に疲れて、俺の膝の上で眠っちまうなんて事も 一回や二回じゃなくて全く無かった」

「そうですか」

「そういや、 夜一人で眠れなくて、暗い廊下を泣きながら俺の所まで来た事も無かったわ」

「無かったんですね」

「手の掛からねぇ良い子だったんだよ」ハァ

「……」


「手塩にかけて薬品と愛情注ぎ込んで、脳に電極ぶち込んで、それこそ目に入れても痛くないほど可愛がっていたのに……」

「彼女の方は痛かったんじゃないですかね」

「教育にも気を使ってさ、テレビ、ネット、ゲーム、漫画、娯楽雑誌、アイツに悪影響与えるもの全てから遠ざけて育ててた」

「なるほど、つまりアレは完全に木原さんの悪影響なんですね」

「女の子は父親に似るって言うしな」フフン

「……」





92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/18(月) 01:35:40.71 ID:fL8TehJAO



「それなのに……それなのに……」

「あんのチンピラホスト崩れに持って行かれるなんてぇぇぇぇええ」

「第一位も十分チンピラっぽいですけどね」

「アレはダメだ、派手に登場して場を温めるだけ温めててサクッとやられる三下臭がハンパない」

「それは人の事……いえ、何でもありません」

「何なの? あの年頃の女は、あーいう頭弱そーなのが好みなの?」

「頭弱そうって…、一応、第二位なんですけどね『未元物質』は」

「あ"あ? うちの子は第一位だぞ?」ギロ

「知ってますよ」


「……」


「……」


「俺、育て方間違ったかな」ハァ

「育て方は確実に間違っているでしょうねぇ」

「片親なのがいけないのかな」

「片思いなのがいけないんじゃないかと」


「……所詮は親の心子知らず、か」


「一方通行ですねぇ……」



93 :おわり [sage]:2013/02/18(月) 01:38:24.89 ID:fL8TehJAO
次は多分、暗部のお話し。

ありがとうございました!
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 02:48:38.44 ID:+SKX+vxDO
今回もおもしろかった!
木原くン報われないな
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/22(金) 20:21:48.32 ID:VcfZ7gcZ0
モノを反射膜に当てる

引く

反射されて入る

っつう木原神拳ならぬ垣根神挿を考えてみたが、入った後が恐ろしいな。うン。
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/23(土) 04:13:23.27 ID:jKzDuMoho
それでもていとくんなら…ていとくんなら何とかしてくれる…!

反射されて折れたら未現物質で復元すればいいんだようん
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/24(日) 22:13:04.37 ID:0Kjig25AO
まだ書けていませんが、レス返しに。

>>94
おもしろいって言ってもらえて少し報われました。良かったね木原くン。

>>95
反射膜にち○こをつける

引く

引いたことによって出来たベクトルのみがゆりこに行く

・ていとくん腰引いただけ。
・ゆりこ下手したら突っ込まれないまま処女喪失

だと思うんだけど、違うかな…?
どっちにしろ痛そうだね。
というか、シュールだよなぁ。

>>96
垣根「ち○こ折れたら演算どころじゃねーだろっ!テメェ、男のシンボルを何だと思っていやがる!常識で物言いやがれ!」ガタガタ…


こんな下らないことを、一緒になって考察してくれて嬉しかったです。
水曜日には来れるようにしたい。
あざっしたー。
98 :番外編? [sage saga]:2013/02/24(日) 23:51:42.60 ID:0Kjig25AO

その昔、木原一族に伝わる恐るべき暗殺拳……その名を『木原神拳』
人間は脳の70%を云々……


アマタ「見事だ、テイトクよ…、これより、そなたを『木原神拳』伝承者とする」


テイトク「長かった……しかし、これで、ユリコをこの手で抱くことが出来るっ」


ユリコ「……」


テイトク「ユリコ……!!これは……人形!?」

ユリコ(人形)「……」


アマタ「甘い、甘いわっ!テイトクよ」


テイトク「!?」


アマタ「『木原神拳』の極意は一方通行を直接殴ることに有らずっ」


テイトク「!!」


アマタ「反射膜の性質を理解し、拳を引く事により衝撃のベクトルのみを一方通行に向けて反射させる事!それこそがその神髄っ」


テイトク「!!…つまりっ」


アマタ「『木原神拳』では貴様のち○こはユリコのゆ○こには届かぬと言うことだ…」


テイトク「貴ぃ様ぁあああそれを知っていたのか!!!」


アマタ「ふははははは!嘆け、嘆いた所でユリコのゆ○こには響かぬわ」


テイトク「俺は…、俺の力ではっ、愛する女を抱くことすらできないのかぁあああ!!」


研究員「右だっ」

一方通行「左よっ」



ごめん、もう少し上手く説明出来るかと思ったけど、ちょっと良く分かんなくなった。説明下手でごめんね。モルダー、私疲れてるのよ。
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/26(火) 09:17:53.15 ID:RjAdAhrIO
ワロタwwwww
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:22:18.99 ID:Bs2btrTAO



何とも言えぬ疲労感で、目が覚める。

ちらりと時計に目をやると、やれ、随分と早い時間に起きたものだ。

いや、普通の学生なら、遅刻ギリギリといった時間か? 生憎、こちらは普通でも学生でも無い。


そういえば、俺はいつの間にか寝てしまったのだろうか。

服は普段着のまま、
右手には携帯電話。


……携帯か。

ベッドに寝転がったままそのままの手で操作し、待ち受け画面を開いてみる。

着信やメールは無いようだ。


「……」


それから、いくら睨みつけても、
彼の携帯はいっこうに鳴る気配が無い。

 昨日、彼女は研究所へ出かけた、その後の予定を聞き忘れていた。
俺の家に来るのなら、連絡が来るかと思ったのだが……

 おそらく、昨日は研究所に泊まるか、
自分の部屋にでも戻ったのだろう。


「……どっちにしろ、連絡寄越せよな」


ため息と共に携帯を放り投げた。


身体をを起こし、
部屋をだらりと眺める……


何かが足りない。


ここにあるベッドは、一人で眠るには少々広すぎる。


「お前がここに居ないってのも久しぶりだな……」


誰かに投げかけたような言葉も、拾う相手が居なければ だだの独り言。


深いため息を残し、寝室を後にする。


101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:24:45.01 ID:Bs2btrTAO
――――
――


(あァー気分悪ィ)


一方通行はご機嫌斜めだ。

まず、寝起きが悪い。
起きたら起きたで着る服が無い。
携帯を開けば、履歴一面『木原』の文字。


仕方なく昨日着た服(能力で洗濯済)をもう一度着るハメになり。
折りたたみ携帯を、もう一段階 折りたたむハメになった。


コンビニへ行けば
お気に入りの缶コーヒーは売り切れ。
ファ○チキ売り切れ。
月曜日だと言うのにジャ○プ置いてない。


代わりのコーヒーを買おうと思うがブラックが無い。全く無い。
何だよ“微糖ブラック”って
黒糖か? 黒砂糖の事か?

異物の混じったコーヒー。ソレはもはや俺の知るブラックじゃねェよ。


コンビニを後にしても、ブラックを諦めきれず、やっと見つけた自動販売機には、一万円を飲まれ、今に至る。

不幸だ。


神様って奴が存在するなら、ソイツはきっと俺のことが嫌いに違いねェ。

一方通行はこの時、自分以外の全てが敵に見えた。


102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:26:55.94 ID:Bs2btrTAO


ここでのコーヒーは諦めて
大人しく、垣根の家にたかりに行くか。
ここからだとアイツの家は近いはずだ。


(……)


一方通行はここで初めて気が付いた。

家を出て、コンビニを出て、ブラックを求め、フラフラと宛もなくさまよって居たつもりだったのだが、

その足は自然と垣根の家に向かってたらしい。

そりゃ近いはずだ。


「……チッ」


これが、習慣ってやつなのか?

あー…クソ
随分と気安い仲になっちまったもンだ。



103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:29:51.48 ID:Bs2btrTAO


一方通行にとって垣根帝督は、
初めてケンカをした相手だ。

コレは垣根にも言えることだが、今までケンカが“できる”相手なんて居やしなかった。

『嬉しかった』

……と、思う。

それが、初めての友達になり


そして、初めての恋人となった。


 彼女は向けられた感情(主に木原の)を全て反射して育った。
ゆえに、感情が乏しく、考え方がひどく幼い所がある。

 垣根に恋人になりたいと告げられたとき、正直、困惑した。
 垣根の事は嫌いでは無かった。では好きかと問われると、分からなかった。

そもそも、“好意”という感情が良く分からない。

でも、一緒に居たいとは思った。

嫌いではないし、一緒に居たい。
それでいいと思い、垣根の想いを受け入れた。


昔は。


では、今は?

今、俺は垣根の事をどう思っている?


「……」


「………」


「…………チッ」


急にくすぐったいような、歯がゆいような、何とも言い表せない思いに駆られ、思考を無理矢理停止させる。


104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:32:31.17 ID:Bs2btrTAO


「……クソがっ」


――ガァンッ


行き場の失った想いを込めて、一万円を飲み込んだままの自動販売機に蹴りをぶち込んだ。


半ば八つ当たりの暴力を受け、自動販売機は不幸だと言いたげに缶ジュースを一つ吐き捨てた。


「お」


出てきた物はブラックコーヒー。


釣りは出てこねェのな、
まァいいさ、ヘコンだボディの修理代にでもあてておけ。


少し気の晴れた彼女は、
缶コーヒーを拾い、歩き出す。

目的地は垣根の部屋だ。




嫌いではないし、
一緒に居たい。

それでいい。



今も昔も。




105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:34:42.35 ID:Bs2btrTAO
――――
――



垣根の部屋の前に着いた、

気配はある。インターフォンを鳴らしてもいいが……
この時間だと、アイツは寝ている可能性が高い、と考えを巡らせ……


「……チッ」


本当に、気安い仲になったものだ。

もういい、うだうだ考えることはヤメだ。と、
あらかじめ渡されていた合い鍵で部屋に入る。

中に入ってみると、何やら音がする。

何だ、この時間に起きているのか珍しい。いや、それは人のこと言えないか。

声を掛けようとしたところで、向こうもこちらに気が付いたようだった。

驚き、目を見開いた彼の顔は、少し珍しいかもしれない。



「……」


「……」



時が止まった。



106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:41:36.80 ID:Bs2btrTAO


垣根は、いつもよりもラフな格好でダラリとテレビを見ていた。

それは、普段と何ら変わらない光景に見える。


……画面の中で女がエロい事になっていて、垣根の垣根がエラい事になっている以外は。



「……」


「……」


時も止まったが、
思考も止まった。

互いが何も言えずに見つめ合う、
実際は非常に短い時間だったが、
二人にはとても長く感じられた。

その間も流れる、乱れた女性の悲鳴にも似た声が空間を乱す。



「……」


「……」


先に動いたのは一方通行だ、第一位の演算能力を遺憾なく発揮させ、
素早くこの場の状況を打破すべく、最善の行動を取る。

第一位の導き出した答え。


「悪ィ、邪魔した」


そう言い残し、
第一位は、

逃げた。


107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:45:04.63 ID:Bs2btrTAO



……えーっとォ?アレはつまり、ナニしてたんだよなァ?

あー悪い事した。
一人遊び人に見られるとか自殺モンだよなァ…


よし、仕切り直そう。
見なかった事にしよう。
それが、お互いの為だ。

取りあえず、事が済むまでネカフェにでも行くか。

…そういや、アレってどの位時間掛かるンだ?
1〜2時間位でいいのだろうか?
余裕を持って3時間位 時間潰してくるか。


今週号のジャ○プ置いてるだろうか? と ネットカフェへ出るためにドアノブに手をかける、そのとき。

その手を強くつかまれた。


「待て!!アレは違うんだ!!」


あまりの勢いに、『うォ』と情けない声をあげてしまう。


「頼む!!説明させてくれっ!!!」


説明? ナニの?
いやいや、説明されても困るンですけどォ…
あ、でも終わる時間は知りた――


「……っ」


掴まれた腕に力を入れられた。
痛ェよ、ボケ。

……ン?

あれ? ちょっと待て、この男。

さっきまでナニしてた?


俺の腕を掴んでいるその手でナニを握っていた?

「……っ」ゾワワワ

「離せっ」バッ

「!?」


思わずソノ手を振りほどく。


108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:48:52.13 ID:Bs2btrTAO



掴んだ手を……強引にふりほどかれた。

一瞬、何が起こったのか分からなかった。
いや、認めたく無かった。

突き放されたのだ。



「あ、違う……違うんだ……」


突き放された手を、再び彼女に伸ばす。

ゆらゆらと、
救いを求めるように、
許しを乞うように。

俺の手が彼女の細い肩に触れる、

――その時


「ひっ」


バチン


「痛っ……」

「……ァ」


反射。


彼女を守る為にある能力の壁。

普段 それは、一緒に居るときは切って貰っている。
俺が彼女に触れるために、
彼女が俺に触れるために。

今のは……切るのを忘れていた訳ではない。
とっさに出てしまった反射でもない。


拒絶。


目の前が暗転する錯覚に落ちる。


「違、……違うんだ」


まだ上手く回らない頭を使い、離れゆく彼女をつなぐ為の言葉を探す。


「アレは、浮気じゃなくて男の生理現象っていうか男の嗜みっていうか」

「確かにお前以外の女で抜いたのは確かだが、ソレとコレは全くの別物っつーか感情のベクトルが違う訳で!!」

「もし!お前がどーしても嫌だってんなら厳選して数減らすし、あ、いや!何なら全部捨てても」

「イイからさっさと手ェ洗って来やがれェェェェ!!!!!」



109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:51:07.35 ID:Bs2btrTAO
…―――
――


「……朝っぱらから盛ってンじゃねェよ」


「……ハイ」


「違ェな、……何つーか、勝手に入ってきて悪かった」


「!!…あ、いや、鍵 渡してたの俺だし」


「呼び鈴ぐらい鳴らせば良かったわ、勝手に入るのに慣れちまってた」


「いや、気配感じ取れなかった俺も……ていうか」


「ン?」


「……怒ってないのか?」


「ムカついちゃいるさ、汚ェ手で触りやがって……」チッ


「あー…それはゴメン。……じゃなくて」


「ン?」


「AVとか……見てたの、怒らないの?」


「怒る? 何で?」キョトン


「何でって……嫌じゃねぇの?」


「別にィ? まァ、目の前でヤられちゃ流石に引くが、それ以外ならお好きにどォぞ?」


(それはそれで寂しいな……)
「……つーか、出来れば連絡して来て欲しかった」


「あァー…うン、悪ィ」

「何で今日に限って、して来なかったんだよ……いつもはして来るのに……」


「……今朝、携帯 壊しちまってなァ……ま、すぐ買い換えるさ」ハァ


「壊した? 壊れたじゃなくて?」


「コッチの話だ」ハァ


「?」



110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:53:43.19 ID:Bs2btrTAO


「……はぁぁあああぁぁ」


「? どうした?」


「なんつーか、お前にだけは見られたく無かったっつーか……」


「『心理定規』とかに見られるよりマシなンじゃねェの?」


「……あぁ、確かにそっちのが死ねるな」


ケラケラ笑う彼女を横目にし、
ほっと胸を撫で下ろす。


「……本当に怒ってないんだな」


「ン?……まァ、木原くンも似たよォなの持ってたしなァ、必死に隠してたけど、今更ンなモンにビビりゃしねェよ」


「そ、そうか」


……よかった。のか?
彼女はこーいうことに割と理解がある方らしい。見られた事は、少し、いや、かなり痛いが、

あー、でもコイツの中の俺のイメージ、今のでかなり下がったよな……
出来れば誠実なイケメンのままでありたかっ……


「でもオマエが、中学生モノを持っているのを見た時は、流石に引いたけどな」



111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:55:29.39 ID:Bs2btrTAO



「…………へ?」


「人の性癖の事、とやかく言いたかねェが、中学生はなァ……」

「いや、待て、え?!ちょっと待って!!」


「つーか、オマエの持ってるモン、中学生モノって言うか、高校生モノも多いな、制服が好きなンか?」

「待て待て待て待て待て待て待て待て」


「いや、学生モノだけじゃ無ェか……痴漢モノや盗撮モノ……、あ、でも確かコレも女優さン制服着てたかァ」

「ストぉオオーップ!!!タイム!!!タイム!!!タイム!!!」


「あとはァ、風紀委員モノや警備員モノ……」

「オイ、マジで黙れ!!!仕舞いにゃ手がでるぞコラ!!」


「そういやァ…警備員モノって、言ってみりゃ教師モノって事になンのか……」

「   」ダラダラ



「随分と学園生活に未練があるようでェ? スクールの垣根帝督くゥン?」ニヤニヤ


「やぁめろぉおお!!!!!ここでスクールの名前を出すんじゃねぇぇえええ!!!!!」



112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 23:59:13.94 ID:Bs2btrTAO



「違うぞ!!スクールは自分から入った訳じゃねぇぞ?!入れられたんだからな!名前に騙されて入った訳じゃ無ぇからな?!」


「まァ俺も学校行って無ェしなァ……興味位はあるかなァ、オマエ程では無ェが」


「聞けぇぇえええ!!!!」


「っつーか、お前 何で俺の秘蔵ラインナップ知ってんの??」

「まさかテメェ……俺の居ない間に……」ギロ


「ガサ入れなンざしてねェからな?」


「……なら何で?」


「……あれはオマエが俺を部屋に置いて、『スクール』の仕事に出た時だったかなァ」


「スクール強調してんじゃねぇよ、ぶっ殺すぞ!」


「テキトーにくつろいでて良いって言われてたしィ?」

「この部屋にある漫画は殆ど読んじまったンで、今度はDVDでも見せて貰おうかと思ったンだ」


「……」


「さァーて、問題でェーす」

「『深海の神秘、海底に広がる宇宙空間、エイリアンは本当にいた!』
『メーカー別、トランスフォームしそうな家電ベスト30』
『生態模倣学〜身の周りに生きるカブトムシ〜』」


「  」ピク


「なァンの事だか分かるよなァ?」ニヤニヤ


「まさか……」ダラダラ


「見た」


「きゃああああああああああ!!!!」


「家電がトランスフォームするのが見れるかと思ったらァ、女と男がドッキングするのを見せられるとは思いませんでしたァ」


「嫌あああああああああああ!!!!」



113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/04(月) 00:03:01.97 ID:c9dPNvVAO



「ダミージャケットにすンのはイイ。その辺にオープンに出されるより全然イイ」


「ハイ」


「ただちょっと面白そうなタイトルにしてンじゃ無ェよ!興味示しちゃうだろォが」


「……スミマセン」


「まァ、大人しくベッドの下にでも隠しとけや、流石にそこまで詮索しやしねェから」


「……ハイ」


「……」


「……」


(……ちっと、言いすぎたかなァ)


すっかり俯き、黙りこくってしまった垣根に、少し悪ノリしすぎたか? と、罪悪感を覚える。



それから、しばらくして、
垣根の方からその重たい口を開いた。

114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/04(月) 00:06:05.36 ID:c9dPNvVAO



「……正直に言う」

「……ン?」

「学校…とか、興味…あった、と思う」

「…でっしょうねェ?」
「…茶化すなって」

「……」

「……俺さ、『普通』ってやつが、分からないんだよな……」


それは、お前もだろ? と言われた気がしたが、一方通行は何も返さず、その後の言葉を静かに待った。


「ガキの頃から実験漬け、物心付いた時にゃ周りはすでに闇の中、足掻くことは出来なかった、いや、足掻き方すら分からなかった……」

「……」

「笑いたきゃ笑えよ、自分でも分かってる。所詮は無い物ねだりだ」

「……」

「でもさ、羨ましいとか、妬みとかじゃ無いんだよ」

「やっぱりさ、長いこと暗い所に居ると、光ってやつが直視できねぇんだよな……」



『眩しくて、さ』



自分を嘲り笑うような、少し悲しそうな笑顔で、垣根はそう呟いた。




……なるほど、それでAVか。
それなら直視できるのね。


115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/04(月) 00:09:05.86 ID:c9dPNvVAO



「そんな目で見るなよ!!」


「うォ!?」ビクッ


「ああそうだよ!悪いかよ!制服とか大っ好きだよっ!!」

「そーいうシチュエーション大っ好物だよっ!!」

「それが何かぁ? 何か俺、お前に迷惑かけましたぁ?」


「い、いやァ、えっとォ……」
(急にスイッチ入るなァ…)


「ふざけんなよ!何が『学園都市』だ!言葉だけで飾り立てやがって!この街は腐ってやがる!」

「……その言葉には同意するが……何だかなァ……」


「『学園都市』…その甘美な響きが俺をどれだけ惑わしているのか、分かっているのか総括理事長!!これがテメェのやり方かぁああ!!」


「うン、取り敢えず一回落ち着こうな」ヨシヨシ


「因みに、最近のもっぱらの妄想は 万引きした一方通行ん(学生)を補導して更正させていくシチュエーションです。あ、俺 警備員ね、風紀委員でも良いけど」


「知らねェよ、知りたくもねェよ」


「でも、やっぱり学生同士が良いです。先輩後輩で、あ、俺 先輩ね、同級生でも良いけど」


「知るかァァああああ!!!!」



116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/04(月) 00:11:19.46 ID:c9dPNvVAO



「学校行ってさ、普通にイチャコラしたかったよ!!」

「保健室で保健体育してぇし!!深夜のプールで愛と性に溺れてぇよ!!!」


「……うーン?」


「音楽室で『だめェ///ヴェートーべンがこっち見てる////』プレイとか!!!」

「奥から三番目のトイレを五回ノックして『ア・イ・シ・テ・ルのサイン』とかやりてーじゃん!!!!」


「…ェーっとォ?」


「俺だって登りたいよ!!!夜な夜な段数が増えてる大人の階段登りてぇよ!!」


「そ、そォか」


「廊下は走らないから!!!!俺、図書館では静かにできるからぁ!!!!」


「コレはアレか? オマエが何を言ってるのか理解出来ないのは、俺が学校を知らないからか?」


「テメェは知らねぇかもしれねぇが、今の学校はイロイロと進んでんだよ」


「俺としたことが、どこに進ンだか方向がまったく見えねェよ……」



117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/04(月) 00:13:34.60 ID:c9dPNvVAO



「別にエロいイベントだけが欲しい訳じゃねぇんだよ」

「何か、ホラ、キュンとするような…甘酸っぱい感じの……誰も居ない教室でキスとかしてぇじゃん」キャッ


「え……、オマエ誰も居ない教室で、一人でナニしてンの?」ウワァ


「一人じゃねーよ!!そこは流れで察しろ!!!」


「大体さァ…オマエ、ガッコーをナニする場所だと思ってンだ?」


「そりゃお前……」

「学校では教えてくれない事を教わる場所だろ?」キリッ


「ちょっと、何言ってるか分かンねェ」





『分からない』と彼女は言ったが、実際の所、本気で分からなかった。理解し難かったし、する気も無い。

 だか、彼の思いはホンモノなのだろう……と思う。
 学校について語る垣根の瞳は、若干血走っていたが確かに輝いていた。……目を背けたくなるくらいに。


彼の魂の叫びにも似た声に触れ、
彼女は心の内でそっと思う。


『あァ、コレやっちまったわ』




118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/04(月) 00:16:38.88 ID:c9dPNvVAO



一方通行は、とても後悔している。

 俺は何か、開けてはいけない“パンドラの箱”を開てしまったのではないか、と。


『人の性癖暴露』


 彼女のしたことは紛れもなくマナー違反だ。
見て見ぬ振りも出来た。スルーしてやるのが思いやりだ。


しかし、

 彼女は見てみたかったのだ、いつもどこかスカしたような、キザったらしいの垣根の表情が、ほんの少し崩れる所を、そんなちょっとした悪戯心。


 友達だろうが、恋人だろうが、おかんだろうが、軽はずみに人のプライベートに触れるべきでは無い。


自分の軽率な行動が、彼を暗い暗い闇の中へと突き落とす結果となってしまった。



……あの話には続きがあったはずだ。



箱を開けてしまったパンドラが、カラッポになったの“箱”の中で、最後に見つけた物はなんだったっけ……





119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/04(月) 00:19:40.72 ID:c9dPNvVAO



「一方通行」

「!?」

「頼みが、あるんだ……」

「…?」



それは、箱の隅で怯えるように、最後に残った たった一つの希望。



「ちょっと、制服 着てみてくれない?」

「  」

「で、俺のこと『先輩』って呼んでくれる?」

「  」



無理。

俺にはこの男を、
この暗い闇の中から……
底知れず深い闇の底から、
引き上げンの無理。

手遅れだろコイツ。



 一方通行はこのとき、己の無力さと愚かさを呪った
目の前の男一人救えなくて何が最強だ。


 たが、目の前に広がる闇はとてつもなく広大で、とてつもなく深い。
 つーか この闇、何か俺まで巻き込もォとしているンですけどォォ?!




『学園都市』


 その言葉だけで飾り立てられた箱庭の中で、努力や希望を信じた少年少女が無様に踊り狂い、絶望の淵へと転げ落ちる。



この街に希望なんてものは存在しない。




120 :おわり [sage]:2013/03/04(月) 00:25:44.41 ID:c9dPNvVAO
あ、100レス超えた!ワーイ!

どうもありがとうございましたー
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 02:36:10.64 ID:oKzSwY9I0
あ、うん
「○○して欲しいです」ってのも確かに「希望」だな…
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 19:28:56.17 ID:3np8L2ML0
dreamじゃなくてhopeの方だけどな……

でもまぁ乙!
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 15:29:00.51 ID:IQZFckno0

確かに先輩呼びはいいよな…… 
ところでこのスレはわざとあげてないの?
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/17(日) 01:11:16.37 ID:tvnsT7SAO
プライベートじゃなくてプライバシーでした。間違い多くてヘコむなぁ……申し訳ございません。

>>123
ひっそりとやらせて頂いてます。


全然書けないので小ネタっす。
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/17(日) 01:13:43.24 ID:tvnsT7SAO


「そういやお前、中学生モノに引いたって言ったげどよ」


「あン?」


「お前 年いくつだ?」


「ンー…、その辺ちょっと曖昧なンだよなァ」


「……」


「確かな事は分かンねェが、オマエと余り変わらねェンじゃねェの」


「見た感じ、俺よりは下だよな?」


「……どォなンだろォなァ…」


「16才以下って可能性もあるんだよな?」ワクワク


「ニヤけてンじゃねェよ、ナニ? オマエ マジでロリコン?」


「お前にロリコンって言われると何かムカつくな。じゃなくて、年下の方が嬉しいのは確かだ」


「うわァ」


「男なら一度くらいは光源氏に憧れるものさ」フッ


「……ローラースケートかァ」


「……お前、本当にいくつだよ」

126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/17(日) 01:17:20.51 ID:tvnsT7SAO


「あと、アレ引いたわ、女同士で絡んでる奴、レズ物っつーの?」


「レズ物? あぁアレか……。アレは違ぇよ、前に暗部の仲間から借りたやつだ、俺の趣味じゃねぇ」


「ふゥン、まァ、どーでもイイけど」


「あと、コレだけは言わせてくれ」


「うン?」


「レズじゃねぇ! 百合だ!!」


「はいィ?」


「レズと百合は別物!そんな事も分からないのか第一位のくせに!」


「知らねェよ、その鳥頭にナニ詰め込ンでンだよ第二位……」


「いいか?百合ってやつは、ただの女の子同士の同性愛では無く、友情と恋愛の狭間に揺れる乙女心の……」


「……」


「……って、貸してくれた奴が言ってました」


「あ、うン」


「俺は百合とかレズとかどうでもいいし、本当に興味無いんだけどね」


「あ、ハイ」



「……」


「……」



「ときに一方通行」


「あン?」


「話変わるんだけどさぁ…」


「何だよ?」


「お前の事『百合子』って呼んでいいか?」


「は? …はァァァ?!!」
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/17(日) 01:21:45.05 ID:tvnsT7SAO


「オイ、マジか、オマエそれマジで言っているのか?」


「マジだ、大本気だ、お前に似合うピッタリな名前だと思うぞ?」


「似合う、似合わないの話じゃねェ!!何だ? 俺にレズビアンになって欲しいンかオマエ?」


「レズじゃねぇ百合だっつっとるだろうが!!!…………あと、俺が好きな訳じゃないからね?」


「知るかァァ!! つーか、マジか? ……いいのか? この流れで命名イベントこなしちゃって本当にいいの?」


「何だお前、結構ムードとか気にすんのな」ハハハ


「ムードの問題じゃねェよ! オマエ最悪のタイミングで俺に名前付けようとしてるの分かってンの?」


「心配すんな、自覚はある」


「自覚あンのかよ!! 馬鹿かオマエ!! いや、コレは俺が馬鹿にされてンのか?」


「馬鹿になんかするものか、お前のその白百合の花弁を思わす、滑らかでしっとりとした汚れを知らぬ白い柔肌。…儚げで、それでいて足場の悪い崖の上でも凛々しく咲き誇るその芯の強さ。……お前には百合の花が良く似合うよ」


「いやいや、無理だろ、どンなメルヘン並べても、立て直しは無理だろコレ、」


「『強いから美しい』……姫百合の花言葉だ、燃え上がるような美しい、朱い色をした百合の花、…まるでお前の瞳のようだと思わないか?」


「思わねェよ、何言われても無理だよ、つーか、何キャラだよオマエ!!」


「無理じゃねぇよ! お前は俺の前ではただの女だ、強いけど弱い、そんな一人の女の子なんだよ、一方通行……いや、百合子」


「その名で呼ぶンじゃねェェ!!!!何だこの空気はァァああ!!!!」





「異物の混じっ「言わせねェよ」


「……」


「……」

128 :おわり [sage]:2013/03/17(日) 01:27:03.62 ID:tvnsT7SAO
少ないですが、ここまで。
ありがとうございました。
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/17(日) 01:45:14.92 ID:hSG6SWSwo
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/26(火) 01:26:19.56 ID:YFA7zRi10

ここが理想郷か
垣百合可愛いよ
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