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上条「…お前なんか、嫌いだ」ふぃあんま「…え」一方「帝督、好きだ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/01(金) 15:42:16.71 ID:a/xJs6GAO


前スレ

上条「お名前教えてください」ふぃあんま「うほうのふぃあんま、ななさいです!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1357461565/


・右方のふぃあんま(8)くんと上条当麻くん(16)が暮らすお話

・一方通行君(?)くんと垣根帝督(派生含・?)くんと打ち止めちゃんが暮らすお話

・ホモスレ+おにショタ+一部百合スレ

・時間軸不明、とある平行世界のお話

・一部再構成

・キャラ崩壊注意


※注意※
エログロ・ホモ描写があります。
小ネタを単発で投下するかもしれません。
当スレにおける『番外個体』は垣根君派生のオリキャラです。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1359700936
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713613334/

ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/

旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 15:46:08.40 ID:gZT0z6lt0
アナル開発して
フェラで初射精で
その精液潤滑油にしてアナルセックスはよ
3 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/01(金) 15:46:19.38 ID:0pEnHDPQ0

【暫定登場CP一覧】

□垣一
□一垣
□上ふぃあ
□ふぃあ上
□トーふぃあ
□一ふぃあ
□麦ふぃあ
□オレふぃあ(※親子)
□オッレロキ
□絹滝



※今後増えるかもしれません
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 15:47:01.59 ID:a/xJs6GAO
+
5 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/01(金) 15:47:46.21 ID:0pEnHDPQ0

キャラ紹介


□右方のフィアンマ(うほうのふぃあんま)

世界を救える程の力を持った可愛いショタ。やや成長不良。


□上条当麻(かみじょうとうま)

一度記憶喪失になった少年。幻想殺しを持っている。


□一方通行(あくせられーた)

清く正しいショタコン。学園都市第二位に格落ちした。


□垣根帝督(かきねていとく)

清くも正しくもないショタコン。学園都市第一位になった。


□カブトムシ05(かぶとむしぜろご)

『未元物質』によって造り出された生命体。垣根帝督の善性を司る。


□番外個体(かきねわーすと)

『未元物質』の暴走によって造り出された生命体。垣根帝督の悪性を司る。


□打ち止め(らすとおーだー)

二万人の妹達を率いる最終信号。垣根は恩人、一方通行は大切なお兄さん。


□雷神トール(らいじんとーる)

自らの指針に従い『グレムリン』を脱した。優しい戦闘狂腐男子。


□御坂美琴(みさかみこと)

学園都市第三位、最強の電撃使い。上条当麻に恋愛的好意を抱いている。


□オッレルス(おっれるす)

純粋な魔神にして、息子を溺愛する優しい父親。ヤンデレ。


□ウートガルザロキ(うーとがるざろき)

様々な柵によってオッレルスと共に居る魔術師。ダルデレ。


□オティヌス(おてぃぬす)

魔神のなり損ないの少女。世界を歪めて回りたいと考えている。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 15:48:00.75 ID:gZT0z6lt0
上ふぃあで頼む 
ふぃあんまくんの童貞奪うのも上条さんで
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 15:48:04.85 ID:a/xJs6GAO
+
8 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/01(金) 15:48:43.05 ID:0pEnHDPQ0

起こった出来事

○上条当麻、右方のフィアンマとベランダにて出会う
○右方のフィアンマ、禁書目録を『首輪』等から救う
○右方のフィアンマ、禁書目録の協力により『聖なる右』安定化に成功
○一方通行、右方のフィアンマと街中にて出会う
○上条当麻、『三沢塾』事件により入院
○上条当麻、一方通行と友人に
○一方通行、第00001次実験へ強制参加させられるも傷つけず撃退
○右方のフィアンマ、襲撃してきた天井亜雄を撃破
○一方通行、全妹達の住居等を手配する
○右方のフィアンマ、上条当麻を襲撃
○垣根帝督、右方のフィアンマと街中にて出会う
○垣根帝督、一方通行と戦闘。どちらが真のショタコンか決着をつける
○一方通行、垣根帝督と友人に
○右方のフィアンマ、上条の説得によって自ら行う世界救済を諦める
○『異界反転(ファントムハウンド)』発生
○上条当麻、異世界実家付近にてオッレルスと出会う
○上条当麻、アステカの魔術師と戦闘
○垣根帝督、未元物質による身体再生技術を身につける
○右方のフィアンマ、上条当麻、両名が風斬氷華と出会う
○『法の書』事件発生
○上条当麻、記憶を喪う
○垣根帝督、一方通行と同居を開始

―省略―

○『0930』事件において、垣根帝督が打ち止めを救出
○打ち止め、垣根・一方通行と同居開始
○垣根帝督、学園都市第一位へ昇格
○一方通行、学園都市第二位へ降格
○麦野沈利、右方のフィアンマに母性本能をくすぐられてノックアウトされる
○暗部抗争発生
○垣根帝督、一方通行へ好意を抱き始める
○第三次世界大戦勃発
○右方のフィアンマが左方のテッラを殺害
○垣根帝督、オッレルスの助けによって打ち止めをエイワス顕現負荷から救う
○カブトムシ05誕生
○雷神トール初登場
○垣根帝督、一方通行へ告白
○能力暴走によって番外個体誕生
○雷神トール、上条・フィアンマ両名と同居開始
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 15:48:47.37 ID:a/xJs6GAO
+
10 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/01(金) 15:49:44.03 ID:0pEnHDPQ0

そんな訳で、本編は1スレ目埋めちゃってから投下します。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 15:50:46.10 ID:gZT0z6lt0
埋めるの?埋めて良い?それか小ネタやる?
12 : ◆2/3UkhVg4u1D [sage]:2013/02/01(金) 15:52:41.02 ID:a/xJs6GAO
流石に全部小ネタで埋められる自信は無いので埋め支援お願いします
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 16:16:28.87 ID:gZT0z6lt0
埋めたぞ
14 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/01(金) 17:56:07.05 ID:NAmr+m1x0

埋めありがとうございました! 
当スレではエロを多目に…出来る限り頑張ります。





投下。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 17:56:10.37 ID:a/xJs6GAO
+
16 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/01(金) 17:56:54.19 ID:NAmr+m1x0

暗い路地裏。
垣根帝督の形をした、真っ黒な生き物。
彼は、背後の少女の存在に気がついた。

『……ん?』

彼は、口元を歪ませてのろのろおと振り返る。
緩慢な動作は、自らの力量を把握しているが故の傲慢。
少女は、薄い笑みを浮かべて首を傾げる。
麻薬の売人の様な、裏のあり過ぎる笑みだった。

「学園都市。ひいては科学サイドを壊そうと考えている人間なんだが、協力するつもりはないか?」
『……学園都市を壊す? 愉しそうだな』
「お前の壊したいものを壊すことを手伝おう」
『へえ。なるほど、双方にメリットがあるな』
「悪く無い条件の筈だが」
『まあな。…また何でこの垣根帝督を?』
「スカウトするのなら、強くて悪意ある人間を選ぶ」
『なるほど、暗部ね』

肩を竦め、彼は一歩目を踏み出す。
魔神のなり損ないたる少女は、彼を使う事に決めた。
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 17:56:56.70 ID:a/xJs6GAO
+
18 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/01(金) 17:57:35.08 ID:NAmr+m1x0

フィアンマ、お昼寝開始。
そんな訳で、雷神トールは台所までやって来た。
今日の夕飯メニューは肉じゃがなので、上条は黙々とじゃがいもの皮を剥いている。

上条「手伝ってくれよ」

トール「はいよ」

相槌を打ち、トールは人参の皮を剥き始める。
やや手馴れた手つきに目を瞬き、上条はじゃがいもの皮を剥いて水に浸ける。
トールは白滝に興味を示しつつ、思い出したように胡散臭い口調で言い出した。

トール「上条ちゃん、君に良い薬を差し上げよう」

上条「いらねえよそんなの」

トールが懐から取り出したのは、甘い匂いのする液体の入った小瓶。
毒か何かか、と警戒する上条。
トールはというと、肩を竦めた。

トール「まあ待て。これはだな」

上条「何だよ」

トール「媚薬だ」

上条「び、…ビヤク?」

トール「そうそう」

上条「…い、………らねえし」

トール「滅茶苦茶揺らいでるじゃねえか」

上条「信用ならねえし」

トール「わかったわかった、ちょっと飲むよ」

ほら、と二口飲み込んでみせるトール。
解毒剤を隠し持っている訳もなく。

トール(これ後でヌかないとな)

上条「そんなモンもらっても、…っつか、お前に何の得があるんだよ」

トール「? 決まってんだろ、媚薬いちゃらぶおにショタセックス観察」

上条「」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 17:57:46.62 ID:a/xJs6GAO
+
20 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/01(金) 17:58:21.69 ID:NAmr+m1x0

白い少年が、歩み寄ってくる。
攻撃性が抜け、怯えだけが残る体が震えた。

「帝督」

彼は、垣根の前で地面に膝をつく。
まるで幼児にするように、視線の高さを合わせ。
そうして、困ったように微笑みかけた。

「オマエ、バカだよなァ」

唐突に、罵倒された。
細い毒手が伸び、垣根の身体を抱きしめる。
怯えに固まったまま、垣根はのろのろと首を傾げた。

「な、ん」

で。
追いかけて、きた。

言葉にならない部分を読み取って、一方通行は小さく笑った。

「遠まわしだろォが何だろォが、告白したンなら答え位聞きやがれバァカ」
「だ、って…嫌だろ、お前。……わかりきってる答えなんざ要らねえんだよ」
「別に嫌じゃねェよ」

ぺた。
額と額がくっつく。
極至近距離にある紅い瞳は、優しい色をしていた。

「オマエは、今日まで、俺の為に色ンな事をしてくれた。何の義理もねェのに」
「………」
「本来、俺が直接守るべきものの為にまで、命を張ってくれた」
「……、…」
「最初の印象は、最悪に決まってる。オマエもそォだっただろうしな。だが、感情ってのは変化するモンだ」
「………」
「ンで、俺はお前を追いかけながら考えた。考えて考えて考えて、答えを出した」

そして、打ち出された答え。

「一方通行」

一線を越える。
その恐ろしさに、垣根帝督は制止するかの様に声を上げた。
だが、声は止まらない。もう迷うことはない。
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 17:58:23.20 ID:a/xJs6GAO
+
22 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga !桜_res]:2013/02/01(金) 17:59:06.97 ID:NAmr+m1x0


「帝督、好きだ」


23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 17:59:09.24 ID:a/xJs6GAO
+
24 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/01(金) 17:59:53.76 ID:NAmr+m1x0

垣根が怯えというインクで引いた一線。
それを、一方通行は軽々と飛び越えた。

「オマエが怖がってンなら、何度でも言ってやる。好きだ」
「……、…お前、…馬鹿、野郎」
「結婚もガキも世間体も要らねェ。別れるつもりもねェ」
「………」

聞いていたのか。
あの、カブトムシ05との対話<ひとりごと>を。
垣根は、乾いた笑い声が零れていった事を知覚する。

何だ。

もう、ずっと前に、バレてしまっていたのか。

「は、はは…ははははは…、…俺、馬鹿みてえ…」
「だからバカっつったンだよ」
「……あり、が、…とう」  

安堵して、体から力が抜けた。
今更になって、暴走した羽状の未元物質が突き破った皮膚がじくじくと痛んでいる。

裏路地だから。
暗闇だから。
安心した、から。

理由を自分の心に並べ立て、垣根帝督はぼろぼろと涙を零した。
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 17:59:59.36 ID:a/xJs6GAO
+
26 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/01(金) 18:00:39.71 ID:NAmr+m1x0

雷神トールから媚薬を貰った。
何でも、少し飲むだけで発情する+感度が劇的に上がる代物だとか。
猫耳生えるバージョンも欲しい? と言われたが、断っておいた。

上条(っつーかいつ活用すれば良いんだ、コレ…?)

とりあえず、しまっておこう。
ごそごそこそこそとタンスの裏に隠し、上条はゆっくりと深呼吸する。
フィアンマはというと、トールとあやとりをしている。

上条「あやとりはマイブームか何かなのか?」

ふぃあんま「せいしんてきせぎょうのふせきだが」

上条「…精神的作業?」

ふぃあんま「まあ、きにするな」

トール「ん、」

ぴく、とトールが反応を示す。
まるで、スタートの合図でも示されたかのように。
そんな彼の様子を見て、上条も口を噤む。



もうすぐ、何かが始まる気が、した。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 18:00:41.96 ID:a/xJs6GAO
+
28 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/01(金) 18:01:24.05 ID:NAmr+m1x0

垣根は一方通行に治療してもらい、帰って来た。
自分でも治療を行い、現在は寝室で休んでいる。
そんな折り、打ち止めとカブトムシ05が帰宅した。

打ち止め「ただいまー、ってミサカはミサカは言ってみたり」

カブトムシ05「戻りました」

一方「ン。手ェ洗え」

打ち止め「はーい、ってミサカはミサカは元気に返事してみる!」

カブトムシ05を連れ、打ち止めは洗面所へ消える。
カブトムシ05の首に巻かれていた緑のマフラーは、恐らく打ち止めからのクリスマスプレゼントだろう。
そういえばまだ何も買っていないな、と一方通行は垣根と同じく思う。

打ち止め「あのね、二人にクリスマスプレゼント買ってきたんだよ、ってミサカはミサカはプレゼント!」

一方「長い間戻って来ねェと思ってたらそンな事に金使ってたンかよ」

打ち止め「そんなことって酷い言い草、ってミサカはミサカはむくれてみたり」

差し出された細身の箱。
一方通行は受け取り、綺麗にラッピングを剥がして開けてみる。
中身は細い鎖のネックレスだった。
先端に小さな鍵がついている。

打ち止め「あ、垣根にも渡さなくちゃ、ってミサカはミサカはサンタさんは大変だなあと思ってみる」

慌ただしく、打ち止めが駆けていった。
マフラーを片付けたカブトムシ05が近寄ってくる。

一方「…ン」

カブトムシ05「彼女が垣根帝督に贈るものと対になっているようです」

一方「…へェ」

まあ、着けてやっても良い。

そう思いながら、一方通行は鏡へ向かう。
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 18:01:45.26 ID:a/xJs6GAO
+
30 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/01(金) 18:02:25.33 ID:NAmr+m1x0

打ち止め「たっだいまー、ってミサカはミサカは…あれ? 垣根、怪我してるの?」

垣根「ちょっと路地裏ですっ転んだだけだ。気にすんじゃねえよ。っつか何」

打ち止め「クリスマスプレゼント、ってミサカはミサカは差し出してみたり」

差し出された細身の箱。
中身を見てみれば、開いた状態の扉の形をした飾りつきのネックレス。
細身のチェーンで、なかなかおしゃれだ。
扉は閉じれば開かないようになっているらしい。
そして、中には写真を入れる事が出来るようでもある。

垣根「ロケットペンダントの亜種みたいなモンか」

打ち止め「着けてくれたら嬉しい、ってミサカはミサカははにかんでみる」

垣根「中身決めてから、だな。鍵はあんのか?」

打ち止め「一方通行のネックレスだよ、ってミサカはミサカは答えてみたり」

垣根「ふーん。…ま、ありがとよ」

わしゃわしゃ、と打ち止めの頭を撫で、垣根は中にどんな写真を入れるか悩む。
打ち止めは垣根には安静が必要だと考え、部屋を出て行った。

垣根「…んー」

ごそごそ、とベッドサイドのタンスを漁る。
そして、一枚の写真を取り出した。
打ち止めが写真に興味を持った時、撮ったものだった。

一方通行の寝顔である。

垣根「……これに、するか」

呟いて、垣根は写真のカットを始める。
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 18:02:31.32 ID:a/xJs6GAO
+
32 :次回予告  ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/01(金) 18:03:17.95 ID:NAmr+m1x0




「……アンタ、あん時の魔法使いじゃねえか」  
学園都市第一位の『超能力者』・『未元物質』―――― 垣根帝督



     
『……殺すのか? 殺せるのかよ? 殺せちまうんだ?』
『未元物質』の暴走によって造られた生命体――― 番外個体(カキネワースト)




「ど、ォすれば、良い…ッ」
学園都市第二位の『超能力者』―――― 一方通行




「……俺、…死ぬの、かな」
『幻想殺し』を持つ少年―――― 上条当麻



33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 18:03:21.74 ID:a/xJs6GAO
+
34 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/01(金) 18:03:58.24 ID:NAmr+m1x0

今回はここまで。
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 20:14:55.09 ID:gJnvZoQjo
乙ー
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 20:27:40.34 ID:ApQomOpT0
乙!
トールが媚薬飲んだ…!?
つまりアッー!ということですね
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 20:43:29.78 ID:kW10S7Sio
乙!
垣一が好きな自分にとってはもう・・・(悶)
しかし次回予告が不安すぎる
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/01(金) 23:09:32.30 ID:cvBkg8yG0

ていとくん可愛いよ可愛い可愛い可愛いよ
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 00:46:40.87 ID:+pGqz2fSO
乙ェ
ていとくん可愛すぎワタロwwwwww
はよセックス
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 06:08:22.29 ID:qUtyZ4tT0
1なら一垣も垣一もやってくれると信じてる(確信)
ショタサイドとツートップとの温度差がひどいwwwwwwww
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 19:08:03.32 ID:VC7HAh2T0
ていとくん乙女チックすぎワロタwwwwwwwwww

媚薬飲んだトールは俺が責任持ってかわいがるから上ふぃあは安心しておにショタセクロスしてくれ
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/02(土) 19:39:15.21 ID:FwrCSU4y0
ショタ攻め好きだからふぃあ上もいいね!
一位と二位はどっちが上なんですかね?
43 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/06(水) 02:30:02.65 ID:ZmCwxRdg0

お久しぶりです。

雷神と媚薬セックスだと思った? 残念、もっと後だよ!

>>42
どっちも上でどっちも下です






投下。
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 02:30:09.92 ID:Hy6VqCwAO
+
45 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/06(水) 02:31:34.78 ID:ZmCwxRdg0

朝が来た。
布石が全て敷かれてしまった今、騒乱は回避出来ない。
そうして、その時はやって来た。
眠るフィアンマに睡眠ガスを嗅がせ、更に深い眠りを与え。
雷神トールと上条当麻は、視線を合わせて外へ出た。

「……俺、…死ぬの、かな」
「安心しろ、俺が死なせねえからさ。まだ」


昼過ぎ。
一方通行は、眠気を振り払おうと外へ出た。
外の寒さは心地よく、指先を凍えさせると共に、頭の中をすっきりとさせてくれる。
いつも通りスキルアウトが攻撃を仕掛けてきた為、一旦路地裏へ逃げ込んだ。

そこに居たのは、真っ黒に染まった―――垣根帝督。

『……一方通行。この垣根帝督とさ、鬼ごっこしようぜ。命懸けの、さぁ』
「ど、ォいう…事、だ…?」


残された打ち止めと垣根もまた、別の目的で外へ出る。
垣根から打ち止めへのクリスマスプレゼントを買う為である。

「垣根は一方通行に贈らないの? ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」
「家提供してんだろ」
「それとこれとは別だよ、ってミサカはミサカはむくれてみる」

カブトムシ05は、家の安全を見込んでお留守番。
たまには外出も良いものだ、と垣根は思う。
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 02:31:38.58 ID:Hy6VqCwAO
+
47 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/06(水) 02:32:49.71 ID:ZmCwxRdg0

一方通行は、逃げていた。
反射は出来ない。
出来ないことはないのだが、心理的にする訳にはいかない。
胸元のネックレスのカギが、汗で肌に張り付いている。

率直に言えば、怖い。

これまで相対してきた数多くの襲撃者の内、誰よりも。
明確な殺意を持っている彼は、やけに甘い声で言う。

『一方通行、逃げんなよ。垣根帝督を愛してくれんだろ?』

ミルクジャムを塗りたくったかのような。
それでいて、恐ろしい程に悪意を込められた声。

捕まれば、殺される。
だが、彼を殺す事が、出来るのか。
一方通行は、携帯電話に手をかける。

『無駄だ、一方通行。この垣根帝督は、垣根帝督の能力暴走によって生まれたシロモノ。マスター権はこの垣根帝督自身にある。仮に垣根帝督に頼んで干渉させたところで、この垣根帝督と戦うのがオチだ。最悪、この垣根帝督が勝利する。そうすればあっちは死ぬだけ。消えるだけ。……そもそも、呼べるのか? そして、消すのかよ?』

彼は、言葉を続ける。

『まあ、この垣根帝督も垣根帝督という人間の一部なんだが、消したいなら仕方ねえ。恋人の汚い部分は丸無視したいってんなら。…この垣根帝督の存在は、誰にも望まれなかった。番外個体(カキネワースト)とでも名乗っておこうか。垣根帝督の悪意、悪性を抽出して無理やり固めた存在。邪悪そのもの。戸籍はねえし、存在を知る人間だってほとんど居ない。だからまあ、殺してミンチにしちまえばただの謎のひき肉でオシマイ』

悪意ある言葉を吐きだしながら、彼はダーツのように羽を飛ばした。
鋭く硬質な黒い翼が、一方通行の右ふくらはぎを貫いた。

「ぎ、ッがァ…!!」

呻く。
左足で跳ぶ。
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 02:32:51.57 ID:Hy6VqCwAO
+
49 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/06(水) 02:33:35.09 ID:ZmCwxRdg0

『だけどさァ、そんなのあんまりだろ?』

革靴の音が恐ろしい。
何度も攻撃を受け、ボロボロになりながら、それでも一方通行は反射が出来ない。

「ど、ォすれば、良い…ッ」

助けを求めるように、呟く。
息が切れる。もう、走れない。

『この垣根帝督は―――お前のせいで生まれたのに』

一方通行は、壁際へ追い詰められ、口を噤んだ。

『お前のせいだ』
「…何で、俺のせいになりやがる」
『お前がもっと早く、垣根帝督の想いに応えていたら。お前が垣根帝督を怯えさせなければ。この垣根帝督は生み出されることはなかった。お前のせいで、生み出されてしまった。誰からも望まれない生を持つ男を、一人。この世界に』
「ッッ…」

逆恨みも良いところだった。
だが、しかし、一方通行は反撃出来ない。反論出来ない。
何故なら、妹達を一個人、人間として認めているから。
故に、この垣根帝督だって、人間として認めなければならない。
カブトムシ05のことも、人間として認めているのだから。
都合の悪いものは切り捨てて殺す、そんなことは、出来ない。

「……、…」
『…諦めてくれたか? ……ま、安心しろよ。お前を殺して、学園都市をぶっ壊して、あのフィアンマっつうショタもぶち犯してからぶっ殺して。ぜーんぶ壊して殺したら、お前を死後の世界とやらまで追いかけてやるからさ。さて、"この垣根帝督"の未元物質は世界のどこまで通用するかね。楽しみだ』
「…っ…」
『反射してみるか?』
「………」

一方通行の指先が、怒りに震える。
番外個体は、小さく笑った。
幼い子供のように、首をかしげてみせる。

『……殺すのか? 殺せるのかよ? 殺せちまうんだ?』
「……」
『無理だよなあ! 妹達なんて肉人形一体殺す度胸も無かったテメェには!! なあ!!』

叫んで、彼はしかし、未元物質とは違う技術を用いた。
赤い閃光が、一方通行目掛けて飛んでいく。
一方通行が仮に『反射』設定を施したとしても、まともに反射出来るかどうか、怪しい技術だ。






―――魔術。その技術は、こう呼ばれていた。
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 02:33:36.72 ID:Hy6VqCwAO
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51 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/06(水) 02:34:15.80 ID:ZmCwxRdg0

打ち止めと買い物中。
垣根帝督は、奇妙な人を見た。
というより、雰囲気に馴染んでいる割に、よくよく考えるとおかしい人物が。
彼はきょろきょろと辺りを見回し、困ったようにため息をついている。
垣根は彼に近づき、打ち止めの手を引いたまま声をかけた。

垣根「……アンタ、あん時の魔法使いじゃねえか」  

第三次世界大戦中。
エイワスが顕現した負荷に苦しむ打ち止めを救う手助けをしてくれた青年だった。
今日も今日とて魔法使い染みた服装だが、前回と違い、コートではなくマントのようだ。

オッレルス「やあ。久しいね」

垣根「困り事か?」

オッレルス「連れとはぐれてしまってね。それ自体はそんなに気にしていないんだが…」

垣根「…だが?」

オッレルス「……フィアンマを知らないか?」

垣根「フィアンマくんなら家に居るんじゃねえかな。とはいっても、俺は上条の家知らないんだよな…」

オッレルス「そうか…」

回収運動にしては遅いような。
垣根は首を傾げ、そんなことを思う。
打ち止めは当時の記憶が無い為、垣根を見上げて不思議そうに問いかけた。

打ち止め「このコスプレお兄さんはどなた、ってミサカはミサカはあなたの交友関係に首を傾げてみたり」

オッレルス「コスプ、」

垣根「お前の恩人。半分以上俺の恩人。以上」

簡易的に説明を終え。
垣根はオッレルスの困った様子を見、上条へメールを送ることにした。
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 02:34:18.27 ID:Hy6VqCwAO
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53 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/06(水) 02:34:58.63 ID:ZmCwxRdg0

雷神トールと共に、学園都市内に潜伏しているらしい『グレムリン』メンバーを罠に掛けながら。
上条はふと携帯電話が震えたことに気がつき、取り出す。
メールの内容は、単純なものだった。

『フィアンマの父親と名乗る青年が困っている。本当かどうかはわからないが、お前の家を教えて欲しい』

要約すれば、そんな内容だった。
上条は返信を保留して、トールを見やる。

「トール、魔神…オッレルスが来てる」
「…不味いな」

彼等としては、オティヌス及び『グレムリン』メンバーとオッレルスを鉢合わせにする訳にはいかない。
大きな力と力がぶつかりあえば、その余波で学園都市が破壊される。
無能力者の一般学生は、その余波を防ぐ術が無い。
大変な混乱が起きることは言うまでもない。

「……オッレルス側は、一人なのか?」
「いいや、…恐らく、もう一人幻術使いが居る筈だ。正直、聞いてる情報通りなら、俺とは相性が悪い」

どうにか誤魔化して、最低でも『グレムリン』を外に出さなければならない。

「参ったな…」
「……そもそも、オティヌスは何の為に学園都市に来たんだよ?」
「『素体』の確保だろうな。生憎、詳しくは聞かされてねえが…」
「ちょっと位は聞いてないのか?」
「科学にも魔術にも染まってねえ素材が必要だってのは聞いたな」

上条が殺されない為にも、『グレムリン』メンバーを闇討ちする必要があるかもしれない。
雷神トールは様々な思惑を巡らせ、街中を駆ける。
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 02:35:00.36 ID:Hy6VqCwAO
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55 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/06(水) 02:35:44.58 ID:ZmCwxRdg0

垣根「……あんたも大変だな」

喫茶店にて。
もぐもぐと幸せそうにケーキを食べる打ち止めを横目に、垣根はのんびりと言った。
純粋な魔神である青年は、困ったような柔らかい笑みを浮かべる。

オッレルス「いいや、自分の子供の為の苦労なら苦にならないよ」

垣根「そんなモンかね」

オッレルス「愛とはそういうものだよ」

垣根「よくわかんねえな」

打ち止め「一方通行の為に早起きするのは苦にもならないものねってミサカはミサカはあみゅっ」

垣根「お前は黙ってろ」

オッレルス「…すっかり元気になったようで何よりだ」

垣根「お陰様で」

甘い紅茶を啜り、彼はしばし沈黙する。
そうして考えを複数脳内で展開させた後、視線を横へ向けた。
窓の向こう、細身の軽薄そうな青年が見えた。
視線が合う。咎めるような視線を受け、オッレルスは苦く笑った。

オッレルス「……君に頼みがあるんだけど、良いかな?」

垣根「あん? 頼み?」

あまり恩義や義理にはこだわらない垣根だったが、丸無視という訳でもなく。
自分一人では打ち止めを救えなかった思いがあるため、彼は不思議そうに聞き返した。

オッレルス「臓器を作ってもらっても良いかな。人間の」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 02:35:46.72 ID:Hy6VqCwAO
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57 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/06(水) 02:36:27.42 ID:ZmCwxRdg0

『な、…に?』

番外個体は、自分の脚を見た。
痛みは無い。
そんな、痛覚などという不必要なものの持ち合わせは無い。

これは、何だ。

自分が放った魔術と呼ばれる別技術の一撃が、一方通行の体を通し、跳ね返って。
多少のズレた照準で、自分の脚を掠った。
避けたふくらはぎから、血液染みた未元物質がボタボタとたれていく。
普通の血液よりも、数段上の鉄臭さが、路地裏を支配した。

『何、を…何で、…反射、出来る……?』
「……オマエが、垣根帝督の言わねェ事を言ったからだ」
『何……?』
「アイツは、ショタを殺しはしねェ。むせび泣かせてケツを裂く事はあっても、だ」

一方通行は、ボロボロの体で、前を向く。
もう、逃げはしない。
垣根帝督の醜い部分が自分のせいで生まれたというのなら。
そのケジメを、しっかりと、ここで、自分がつけよう。

「オマエは、俺と垣根帝督が生み出しちまったモンだ」
『……、…』
「なら、帝督と俺のガキみてェなモンだとも言える。だから、キッチリ叱ってやる」

一方通行は、右拳を握った。
それがどれだけ自分に似合っていないものか、自覚しながら。

「一人称を垣根帝督にしたところで。オマエは、垣根帝督自身には、なれねェ」

だって。
自分が愛している垣根帝督は。

カブトムシ05という善性100%でも、番外個体という悪性100%でもない、不安定な少年なのだから。
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 02:36:29.30 ID:Hy6VqCwAO
+
59 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/06(水) 02:37:08.32 ID:ZmCwxRdg0

「―――トール」

呼ばれ、雷神は素早く振り返った。
上条当麻を背後に隠す。
目の前の少女は、無表情でこちらを見ていた。

「上条当麻を持ってくるとは、良い働きだ。評価してやろう」

彼女は、すい、と片手を差し出した。
その瞳には、怜悧過ぎる光。
上条は唇を噛み締め、一歩後ずさった。

「殺らせねえよ」
「…私に歯向かうのか?」
「…ハワイ諸島。バゲージシティ。…弱い者イジメばっかりしやがって、気に入らねえんだよ」
「そうか」

ゴトン、という重い音がした。
トールは、思わず絶叫する。
彼の左腕が、切り落とされていた。
利き腕でなかったのは、温情か、ミスか。

「さあ、上条当麻を明け渡せ。何なら殺せ。でなければ、お前が死ぬ羽目になるぞ」

小さい敵だ、とトールは思う。
負ける訳にはいかない。
自分は上条当麻を守りきり、戦いたいのだから。

「早くしろ」
「ッ、……上条! 走って逃げろ!」
「トール、でもお前が、」
「良いから早く!!」

雷神トールに叫ばれ、上条は弾かれたように走り出した。
右へ曲がり左へ曲がり、走っていく。
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 02:37:10.30 ID:Hy6VqCwAO
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61 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/06(水) 02:37:50.60 ID:ZmCwxRdg0

結局、上条当麻の自宅はサーチ術式で判明した。
サーチ避けがあまりにも多く捜索が難航した辺りは、流石魔神の息子というべきか。
はたまた、世界を救える程の力を持った優秀な魔術師と称えるべきか。
右方のフィアンマはようやっと目を覚まし、インターフォンの音に反応した。     
恐る恐る見てみれば、そこには父親ともう一人の魔術師。
何かがあったのか、とフィアンマは思う。

ふぃあんま「ん」

がちゃ、とドアを開ける。
クーラーボックスを持ったウートガルザロキが、フィアンマを見た。

ウート「よお」

ふぃあんま「ひさしいな」

オッレルス「不安だったから、迎えに来たよ」

ふぃあんま「…まじんのなりそこない、だったか。きているのか?」

オッレルス「ああ」

ふぃあんま「とうまは」

オッレルス「……」

ウート「……」

オッレルスとウートガルザロキがどうしても守りたいのはフィアンマただ一人。
なので、保護しに来た訳なのだが。
上条当麻は、ここには居ない。何をしているかは、わからない。
だが、オッレルスは何となく予想がついていた。

オッレルス「恐らく、雷神トールと共にオティヌスの相手をしているだろうね」

ふぃあんま「……、」

ウート「おっと」

駆け出そうとするフィアンマの身体を、ウートガルザロキが抱き上げる。
フィアンマはじたばたと手足を動かし、ぎろりと睨みつけた。

ふぃあんま「はなせ」

ウート「流石にダメだな」

ふぃあんま「……ぱぱとうとがるでは、おれさましかまもるつもりはないのか」

オッレルス「この切迫した状況では、そうなるね」

ふぃあんま「……、」

右方のフィアンマは、しばし黙り込む。




解決の手段は、幾つかあった。
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 02:37:53.19 ID:Hy6VqCwAO
+
63 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/06(水) 02:38:33.64 ID:ZmCwxRdg0

打ち止め「内臓を作って欲しいだなんて不思議な人だったね、ってミサカはミサカは小首を傾げてみる」

垣根「臓器移植が必要な知り合いでも居たんじゃねえの?」

何も知らないまま、垣根は打ち止めの手を引いて歩いていた。
人ごみの中、はぐれないよう、ぎゅっと強く手を握る。
打ち止めも精一杯ぎゅうう〜、っと握り返してはにかんだ。
どこまでも平常を生きる超能力者は、その陰で沢山の人間が泣いていることを、知らない。

打ち止め「カブトムシ05は今何してるの? ってミサカはミサカは問いかけてみたり」

垣根「ずっと天井見てるな」

退屈だからといって暇潰しをしない辺りが人間らしくない、と思いながら。
垣根は打ち止めに買ってやったプレゼントの入った袋の持ち手を、握り直した。
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 02:38:36.62 ID:Hy6VqCwAO
+
65 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/06(水) 02:39:38.08 ID:ZmCwxRdg0

雷神トールは、地面にみっともなく膝をついていた。
左腕と右脚を切られ、一歩も動けなかった。
善戦をする前に、徹底的にやられてしまった。
回復術式を行おうにも、手元に材料が少なすぎる。






―――このままでは、死ぬ。





「ひゅ、…」

血液が溢れていく。
意識が、だんだんと遠のいてきた。

「……酷いものだ」
「…?」

トールは、血液に染まった金髪を揺らし、上を見上げる。
純粋な魔神と呼ばれる青年が居た。
右手に、真っ白な槍のようなものを持っている。
『主神の槍』に限りなく似せた霊装だろう。
性質を調整することで、多少の成功率を増やしたのかもしれない。

「本当は助ける義理も気持ちも無いんだが、…あの子が助けてやってくれと、言ったからね。仕方がない」

呟いて、彼はトールの手足を再接続する。
雷神は浅い呼吸を繰り返し、ぐらつく頭で状況を認識した。

「あ、いつ…止め、ねえ、と…上条当、麻…が……」
「わかっている。……だから、君は少し休むと良い」

彼の背後に、もう一人の青年が現れた。
いつ現れたのか、トールにはさっぱりわからない。
そもそも、血液を喪い過ぎて意識が朦朧としてしまっていた。

「ウートガルザロキ、当面の保護を頼むよ」
「はいはい。雷神を騙せし巨人の王にお任せあれ」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 02:39:40.27 ID:Hy6VqCwAO
+
67 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/06(水) 02:40:20.24 ID:ZmCwxRdg0

上条当麻は、路地裏を逃げ回っていた。
相手方の少女は、楽しそうな声と共に槍を投げてくる。
御坂美琴の雷撃の槍とは、違う。
そこには、明確な殺意がある。
本当はすぐにでも殺せるだろうに、甚振られていた。

「どこまで持つか、そのペース」
「ッ、」

足取りがおぼつかない。
頭が痛い。酸欠だ。

「っ、はぁ」

槍が飛んでくる。
右手で防ぐが、それは地面に落ちて、衝撃を残していく。
その度に手首が軋んだ。関節が外れるのは時間の問題だろう。

「はぁ、は…」

トールはどうなったのか。
思うも、確かめる術もなく。
どうしようもないまま追い詰められ、上条は右手を構えた。
そんな彼の前に、小さな影が見える。

上条が置いてきたはずの、フィアンマだった。

「とうま」
「…何で、来たんだよ…逃げろ、…流石に、コイツは」
「おれさまもかてるとはおもっていない」

じかんかせぎ。

そう言って、彼は地面に何かを記す。
煙幕が撒かれた。毒素の混じったものだ。
フィアンマはその見目に似合わぬ腕力で上条を抱き上げ、逃亡した。
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 02:40:25.57 ID:Hy6VqCwAO
+
69 :次回予告  ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/06(水) 02:41:28.93 ID:ZmCwxRdg0




「……一方通行、ほん、とに、…悪い……ごめん…」  
学園都市第一位の『超能力者』・『未元物質』―――― 垣根帝督



     
『そもそもテメェが考えたことのある悪意ある事全部が悪い』
『未元物質』の暴走によって造られた生命体――― 番外個体(カキネワースト)




「…カブトムシ05も番外個体も、よくよく考えたらショタかァ……」
学園都市第二位の『超能力者』―――― 一方通行




「…お前なんか、嫌いだ」
『幻想殺し』を持つ少年―――― 上条当麻




「…え」
幼い見目と反対に熟練の魔術師――――フィアンマ
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 02:41:41.41 ID:Hy6VqCwAO
+
71 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/06(水) 02:42:26.71 ID:ZmCwxRdg0

今回はここまで。
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 12:51:53.26 ID:TG/i2tJP0

一方さんが何か新たな悟りを得たような…

>「アイツは、ショタを殺しはしねェ。むせび泣かせてケツを裂く事はあっても、だ」
シリアスシーンだったはずなのに笑ってしまった
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/06(水) 13:28:00.46 ID:UBepGhPIO


殺さなければいいって問題じゃねえだろwwwwww
74 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/07(木) 00:07:36.34 ID:JUd8EGNA0

トールくんをオカズにしてヌく、略してトルニー。使ってください。
上トー要素を入れようか迷っています。

>>73
痔の治療をしてあげればセウトだから…(震え声)







投下。
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 00:07:42.87 ID:Sfrx0PqAO
+
76 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/07(木) 00:08:47.64 ID:JUd8EGNA0

どこからくすねてきたのか、トールと血液型の合致したパックと消毒済みの針による輸血を受け。
トールは廃墟ビルでウートガルザロキに治癒術式を施されながら、ぼんやりとしていた。
意識がはっきりとしてくれるまで、まだまだ時間がかかってしまいそうだ。

「オッレルス…は、…行った、のか」
「だろうな」
「………」
「…オッレルスとオティヌスが正面からぶつかりあえば、直接的な被害は最悪一般人を巻き込む」
「……」
「それを気にしてアンタは暗躍してたんだろうが、…ま、残念だったな」
「……」
「…少なくとも、一般人への被害懸念より先に、上条当麻の生命を気にしちまったんだから」
「仕方ねえだろ、…俺だって『グレムリン』だ」

元とはいえ、とトールは自嘲気味に笑う。
悪人染みた善人と名乗るには、及第点ですらない。
自分が戦いたい『大きな敵』を助ける為に、関係のない一般人を巻き込んでも仕方ないと判断してしまったのだから。
とっさの判断には、最も強く本性や内心が出る。
つまるところ、やはり自分は戦闘狂に収束するのだな、とトールは自嘲して目を伏せた。
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 00:08:49.96 ID:Sfrx0PqAO
+
78 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/07(木) 00:09:33.12 ID:JUd8EGNA0

上条は息切れしている自己を自覚しながら、何度も深呼吸する。
フィアンマの頭を撫で、そうして困った顔をした。

「時間稼ぎって、」
「…ひとまかせはよくないのだが、…ぱぱがなんとかしてくれる」
「トールの話だと、引き分けになっちまうんだろ…?」
「『主神の槍』のれいそう…のれぷりかをつくった。あれでたしょうのちょうせいはなされているだろう」
「どういうことだ?」
「はちわりにわりのかくりつでせいこう、しっぱいのかのうせいがさいはいぶんされた」

つまり、戦えば八割の確率で勝つ。
そういうことを言っているのだった。
しかし、反対に二割の確率で負けることでもある。

そして、フィアンマは立ち止まる。
上条は下ろされ、その場に立った。
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 00:09:38.82 ID:Sfrx0PqAO
+
80 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/07(木) 00:10:17.91 ID:JUd8EGNA0

二人の魔術師が、無表情で対峙していた。
見えない力と見えない力がぶつかり合い、決着がつかない。
オティヌスと呼ばれる少女は、段々と場所を移していく。

「お前の目的は私の殺害、ただそれだけの筈だ」
「そうだとも。だが、その二人を殺した方がお前を傷つけられる」

魔神になり損なった少女は、憎悪の篭った視線をオッレルスへ向ける。
愛情を裏切られたその憎悪は、通常のそれよりもずっと重い。
オッレルスは二人の少年を庇うように立ち、槍を握る。
対して、オティヌスの方も槍を握った。

白と黒。
だが、その物質は、同一のものだ。
威力は、通常の物理法則を超越する。

「どうして、あの女を選んだ」
「……」
「どうして、私ではなくて、…あの女を選んだんだッ!」

フィアンマの母親。つまり、オッレルスの妻のことだった。
今は亡きその女性に、オティヌスはオッレルスを盗られた。
順当に行けば、オティヌスが彼と結ばれる筈だった。

「……愛していたからだよ、彼女を。お前ではなく」

ローマ正教の修道院から攫う程に。
婚約者であったオティヌスを捨てる程に。
ギリ、とオティヌスは歯ぎしりをした。
フィアンマはその会話を聞きつつ、上条から離れた。
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 00:10:33.96 ID:Sfrx0PqAO
+
82 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga !red_res]:2013/02/07(木) 00:11:38.35 ID:JUd8EGNA0


勝負は、一瞬だった。

83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 00:11:40.08 ID:Sfrx0PqAO
+
84 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/07(木) 00:12:31.46 ID:JUd8EGNA0

真っ黒な垣根帝督は。
番外個体と名乗った少年は、路地裏に血まみれで倒れていた。
別に、死んでいる訳ではない。
現に、第三者から見れば苦しそうな呼吸を繰り返していた。
自己修復を行うには、まだまだ時間がかかる。
彼をそこまで追い込んだ一方通行もまた、荒い息を繰り返していた。

『ク、ソ……』
「……来い」

珍しく冷たく言い放って、一方通行は彼の首根っこをつかみあげた。
そのまま、自宅へ向かう。
暴れる気力もなく、番外個体と呼ばれる少年は、ぐったりと息を吐きだした。


垣根帝督は、打ち止めと共に帰宅した。
打ち止めは現在、垣根かtらのプレゼントであるゲコ太ぬいぐるみを抱きしめていた。
彼女の小さい体躯では、抱き枕レベルの大きさに感じられるだろう。

「一方通行はまだ帰って来てないのね、ってミサカはミサカはしょんぼりしてみる」
「散歩にしちゃ長いな…」

ふと不安に思っていると、ドアが開いた。
濃厚な血液の臭いに、垣根は眉を潜める。
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 00:12:33.50 ID:Sfrx0PqAO
+
86 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/07(木) 00:13:45.06 ID:JUd8EGNA0

一方通行は垣根から治療を受け、番外個体について話していた。
殺してしまおうかと思う垣根を制し、一方通行はため息を呑み込む。
そもそも、ある意味、確かに自分にも原因があるのだ。

垣根「……一方通行、ほん、とに、…悪い……ごめん…」  

番外個体を生み出してしまったのは、自分である。
きちんと認識して。
能力暴走によって、結果的に危害を加えてしまったことを、垣根は謝罪した。
一方通行は、黙って首を横に振る。

垣根「テメェも俺の一部なら謝りやがれ」

番外『そもそもテメェが考えたことのある悪意ある事全部が悪い』

見事に責任転嫁(差し戻し?)をし、番外個体はつーん、とそっぽを向いた。
三人の色違い垣根帝督に、打ち止めはアホ毛を揺らしながら首を傾げる。
カブトムシ05はというと、どうにか番外個体を宥めようとしていた。

カブトムシ05「お二人とも落ち着いてください」

番外『この垣根帝督は落ち着いてるけど?』

ふん、と脚を組んであからさまに嫌悪感をアピールする番外個体。
カブトムシ05は、どうにか場を調和させようと諭している。
そんな二人(?)の様子を見ながら、一方通行はふと、思い立ったように呟いた。

一方「…カブトムシ05も番外個体も、よくよく考えたらショタかァ……」

ぺろぺろしても、バチはあたらないのでは。
そんな心の声が、聞こえた気がする。

カブトムシ05「」

番外個体「」

とんでもない新境地が、開かれようとしていた。
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 00:13:56.64 ID:Sfrx0PqAO
+
88 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/07(木) 00:14:33.86 ID:JUd8EGNA0

黒い槍は、フィアンマの腹部を貫いていた。
上条までには僅かしか届かず、貫通はしていない。

白い槍は、オティヌスの右胸元を貫通していた。
息を吸い込む度、肺に穴がある為、空気が抜けていく。

「フィアン、マ……」

角度的に見れば、上条がまともに喰らう筈だった。
フィアンマは彼を庇って前へ出ていた。
自分が貫かれるとわかった上で、上条を守った。
第三次世界大戦の時と、同じように。
オッレルスが治療しようとする腕をすり抜け、フィアンマはそのままオティヌスへ近寄った。
オティヌスはげほげほと血液を吐きだし、フィアンマを見た。
彼は小さい手で槍を引き抜いて放り捨て、オティヌスに抱きつく。
少女は驚愕に目を瞬き、フィアンマを見た。
彼は顔が血液に汚れることを構わず、オティヌスの穴の開いていない方の胸元へ顔を埋めた。

「……ほんとうは、おまえがおれさまのははおやだったのかもしれない」
「……、ふ、…げほ……」
「ぱぱがおまえをえらばなかった。だから、うらんだ。…すうねんまえにも、こうしてさされたな」

幼い手のひらが、ぺたり、とオティヌスの頬へ触れる。
そうして、彼女の本心を見抜いた上で、たった一言こう呼んだ。



「………まま」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 00:14:37.69 ID:Sfrx0PqAO
+
90 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga !蒼_res]:2013/02/07(木) 00:15:36.02 ID:JUd8EGNA0

本当は、後釜に座りたかった。
そうしたら、この子供の母親になれると思った。
オッレルスが選んだあの女が死んだ時。
これで私があの家庭へ入れる、と思ってしまった。
自己嫌悪以上に、恋情が優っていた。

「……ご、めん…ね…」

魔神の座位を盗られたから、憎んでいた訳じゃなかった。
ただ、私を選ばない人間なら、消してしまおうと思っていただけだった。

「ごめんね…」

ママ、と呼んで欲しかった。
今更、何もかも遅いのだろうけれど。

ようやく、呼んでもらえた。
選んで、もらえたんだ。

殺そうとせずに、最初から。
何度拒絶されても、アプローチしていたら。
こんな風にはならなかったのかもしれ、ない。
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 00:15:38.71 ID:Sfrx0PqAO
+
92 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/07(木) 00:16:23.97 ID:JUd8EGNA0

何だかんだで、垣根家の住人が増えた。
このままでは養護施設になるのでは、と垣根はふと思う。
隣の部屋も買い取って増築した方が良いのかもしれない。
カブトムシ05と番外個体は厳密には人間ではないので、排泄や食事の必要はない。
その為、食費などで出費は無いのだが、それにしても何だか狭い。
元々一人で住んでいた場所に五人も住めば狭いに決まっている。

垣根「クッソ追い出してえこのクソガキ」

番外『一方通行、垣根帝督が虐める』

一方「…やめてやれ。仕方ねェだろ」

垣根「だけどよ、」

一方「俺とオマエのガキだと思えばそンなに不愉快でもねェだろ」

垣根「………」

垣根は黙り込み。
そうしてその後、ごにょごにょと呟いた。

垣根「…ヤってねえのにガキがデキたってのはちょっと」

一方「」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 00:16:26.94 ID:Sfrx0PqAO
+
94 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/07(木) 00:17:08.81 ID:JUd8EGNA0

全治二週間。
内臓のダメージと右手首骨折の結果、上条当麻は入院することになった。
魔神オッレルスに治療されたフィアンマは既に元気になっており。
同じく調子を取り戻した雷神トールと共に、上条のお見舞いに来ていた。

トール「俺は此処に居るから、お前が先行ってこいよ」

ふぃあんま「ん」

トールを病室の外に残し。
がらがらがら、とドアを開け、フィアンマは病室へ入った。
上条は患者服でベッドに座ったまま、のろのろとフィアンマを見る。
彼の表情は、酷く落ち込んでいた。

ふぃあんま「とうま」

二週間なんて、あっという間。
そう励まそうとするフィアンマに、上条は無表情になって、告げる。
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 00:17:10.35 ID:Sfrx0PqAO
+
96 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga !red_res]:2013/02/07(木) 00:17:55.06 ID:JUd8EGNA0


「…お前なんか、嫌いだ」


97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 00:18:02.33 ID:Sfrx0PqAO
+
98 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/07(木) 00:19:00.10 ID:JUd8EGNA0

「…え」

思わず、そんな声が出た。
上条が何を言っているのか、理解できない。
いいや、理解したくない。

「……もう二度と俺に近づくな」
「…なん、…で、」
「……うんざりなんだよ。お前のせいで、何で俺が殺されかけなくちゃならなかったんだ?」

少年の声は冷え切っている。
フィアンマは視線を落とし、言葉に悩んだ。
確かに、フィアンマが居なければ、上条がオティヌスに殺されかけることはなかっただろう。

「幾ら不幸だっていっても、限界があるし」
「……」
「お前は俺が居なくても保護者が居るだろ」
「……、」
「……出て行けよ。話すことなんて何も無いから」

フィアンマは、右拳を握り締め。
きつくきつく、血が出る程に強く握り締め。
そうして、曖昧に、力の無い笑みを浮かべた。

「…いままで、めいわくをかけたな」
「……」

上条は、応えない。

「たしかに、…おれさまにはもう、…いまじんぶれいかーはひつようない。せかいをすくうことをやめたのだから」
「……」
「おまえといっしょにくらすひつようだって、どこにもない」
「……」
「おれさまとともにいることで、おまえのせいめいやあんぜんをおびやかしたことは、じじつだ」
「……」
「わかっていてはなれなかったのだから、かがいしゃもいいところだな」

背を向けて、フィアンマは病室のドア、その取っ手に手をかける。

「………それでも、…おれさまは、だいすきなとうまといっしょにいたかったんだ」





そして、出て行った。
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 00:19:54.53 ID:Sfrx0PqAO
+
100 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/07(木) 00:20:32.83 ID:JUd8EGNA0

空虚な病室へ。
雷神トールが、足を踏み入れた。
上条は、折れている右拳を握り締めていた。
そんなことをすれば、骨折が悪化するかもしれないのに。
そもそも、激痛が走っているだろうに。
上条当麻は、表情を変えないでいた。

「……フィアンマ、…出て行った、か?」
「…病院自体から出て行っちまっただろうな」
「そ、っか。…よか、った」
「……あれで良いのかよ?」
「……俺と一緒に居たら、俺を守りに来ちまうから、…いつか、死ぬんじゃないか、って」

上条の瞳から、透明な液体が流れていく。
それは患者服を濡らし、毛布を僅かに濡らした。

「嫌なんだ。怖いんだ。好きだから、傷ついて欲しくないんだ」

傷つかないように、遠ざける。

かつて、フィアンマの父親が選択した方法。
そして、かつての上条当麻がそれで良いのかと糾弾した方法。
かつてのそれよりずっとずっと残酷なセリフで突き放し。
一生後悔する覚悟を決めながら、上条はぼろぼろと涙を流した。

「…拍子抜けだな。テメェがそんなに小さい野郎だとは思わなかったよ」

雷神トールは、拳を握り。
自分を殴れないでいる上条当麻の顔面を、一発ぶん殴った。
上条はベッドに倒れ、歯を食いしばって痛みに耐える。

「傷つけられるのが嫌なら、テメェが守れよ。上条当麻ってのはそういう生き物じゃねえのか」
「こうやって遠ざけんのが確実だろうが」

上条は唇を噛み、眉を寄せる。

「フィアンマは、子供なんだ。魔術師だって何だって、あんなに小さい子供なんだよ。もう、傷ついて欲しく無いんだ。少しだって」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 00:21:38.37 ID:Sfrx0PqAO
+
102 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga !蒼_res]:2013/02/07(木) 00:22:39.17 ID:JUd8EGNA0

たんじょうびはいつだ、ときかれた。
じゅうにがつにじゅうごにち、とこたえた。
かさなったくりすます、たんじょうび。
それぞれべつのぷれぜんとをくれるといった。

だから、ずっといっしょにいたいといった。

『じゅうねんごも、にじゅうねんごも、いっしょにいたい』

といった。

わざわざねがわなくても、いっしょにいられるだろ。

そういってくれた。
なんねんたっても、いっしょにいると、やくそくした。

でも、やっぱり、やくそくでひとのきもちはしばれない。

『……うんざりなんだよ。お前のせいで、何で俺が殺されかけなくちゃならなかったんだ?』

やっぱり、おこっていたんだろう。
とうまがこわいおもいをしたのは、おれさまのせいだ。
ヴぇんとがきたのも、あっくあにきょうしゅうされたのも。

てっらからたすけても。
まじんからこうげきをふせいでも。

なんどたすけたところで、まっちぽんぷにすぎなくて。

そもそも、おれさまがとうまをふこうにしていたのだから。
おもなげんいんをとりのぞきたいというのは、とうぜんなことだ。

ゆるされたとおもっていた。
ゆるされたと、おもいあがっていた。

ずっとうらまれていたんだ。
えがおのうらで、さげすんでいたのかもしれない。

おれさまがわるい。
おれさまのせいだ。
おれさまがいっしょにいなければ、それでさいしょからそうらんなどおこらなかった。


ごめんなさい。
ごめんなさい、

…………ごめんなさい………。
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 00:22:42.17 ID:Sfrx0PqAO
+
104 :次回予告  ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/07(木) 00:23:36.12 ID:JUd8EGNA0




「カブトムシ05、食って良いぞ」  
学園都市第一位の『超能力者』・『未元物質』―――― 垣根帝督



     
「めそついてねえで学校行け」
元『グレムリン』の魔術師にして家庭的雷神――― トール




「……誕生日、お祝いしてあげられなかった」
『幻想殺し』を持つ少年―――― 上条当麻




「…………………………?」
精神を病み気味な子供――――フィアンマ



105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 00:23:38.74 ID:Sfrx0PqAO
+
106 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/07(木) 00:24:18.14 ID:JUd8EGNA0

今回はここまで。
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 01:37:48.57 ID:WtERvIKI0

この場合、処女懐胎ならぬ童貞懐胎なのか…?
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/07(木) 02:18:12.54 ID:YShZ/PvAO

家庭的雷神クソワロタww
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/08(金) 12:56:51.55 ID:lETBYYDN0
家庭的雷神wwwwwwww
上条さんの思いやりが空回りすぎてせつねえ…

上トー要素は入れられるものなら是非ほしかったり
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 14:09:41.59 ID:/Qn23/VSO
乙。話の構成とか持っていき方が本当にうまいよな…

ふぃあんまくんがらぶりーすぎていきるのがつらい
111 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/10(日) 16:18:49.90 ID:AEWr+uLu0

スランプ来てます。ぐぬぬ。
童貞懐胎とはまた新しい…上トー要素はちょっと入れてみました。







投下。
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 16:18:50.82 ID:0yHa/sMAO
+
113 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/10(日) 16:19:32.26 ID:AEWr+uLu0

上条当麻は予定通り、二週間で退院した。
本日、十二月二十六日。
入院してしまったため、その分を取り戻す為に本日、上条には長時間の補習が待ち構えていた。
だが、彼の表情が暗いのは学校に行くのが億劫だから、ではない。

上条「……誕生日、お祝いしてあげられなかった」

ケーキを買ってあげるつもりだった。
何がしかのプレゼントを買ってあげるつもりだった。
喜ぶ顔を見て、頭を撫でてあげたかった。

ずっと一緒に居ると、約束したのに。

約束なんて要らないだろう、と大見得を切って。
或いは、あの言葉を放たれるのが嫌で、フィアンマは約束が欲しいと言ったのか。

上条「……」

ベッドの上。
補習に行く気力もなく、上条は仰向けになる。
不意に、指ぬきグローブから出ている細い少年の指が、上条の頬に触れた。
バチン、という激しい一瞬の痛みに、上条はガバッと起き上がる。

上条「ッ、何すんだよ!!」

トール「めそついてねえで学校行け」

きっぱりと、ともすれば冷たく。
ぴしゃりと言い放ち、雷神トールはやれやれとため息をついた。
右方のフィアンマが出て行って以降、生きる気力をまるで感じられない上条を死なせる訳にいかず、彼は未だ住み込んでいる。
もう一つの理由としては、上条が元気を取り戻した時、戦いたいから、という理由もあるのだが。

上条「…弁当作るの怠いし、買う金無いし、今日は良いよ…」

トール「弁当ならもう出来てる」

ほれ、と顔に押し付けられ、上条は弁当箱を見た。
余っていた賞味期限切れ寸前のパンにチーズとハムを挟み、焼いたようだ。
ぎゅう、と強く押しながら焼いたのか、ホットサンドとしてきちんと形がなされている。
ほかにはツナ缶(使いそびれ)とマヨネーズを混ぜたものが挟まれたホットサンド。
数種類のサンドがきっちりと使い捨て弁当箱に詰めてあり、液漏れの心配が無いよう、アルミホイルを一応挟んである。

トール「これ持って早く行け」

上条「…トール、お前…」

トール「…右方のフィアンマが作るモンには敵わねえが、食えない代物じゃないはずだ」

味見はしてある。
そう言って、トールは風呂場へ消えた。
風呂掃除をしてくれるらしい。
上条は弁当箱を見やり、黙ってしばらく考えた後、学生服に着替え、学校へ向かった。
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 16:19:33.62 ID:0yHa/sMAO
+
115 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/10(日) 16:19:48.51 ID:AEWr+uLu0

番外個体がクソ生意気でムカつく。
垣根帝督はここ数日、そんな一言に集約される数々の出来事にイライラしていた。

番外『なになに、なーに怒ってんの? ははァ、この垣根帝督の存在が鬱陶しいと』

垣根「………」

番外『まぁ? この垣根帝督が居ると一方通行と存分にいちゃつけねえしな?』

垣根「……」

番外『言い返さねえのかよ。つまんねえな』

垣根「カブトムシ05、コイツ食って良いぞ」  

カブトムシ05「口頭オーダーを確認。捕食します」

番外『!? おいやめろテメェバーカクッソ待てコラ!!』

カブトムシ05に抱きつかれ、首筋を噛まれながらジタバタとする番外個体。
鼻で笑う垣根と、心配そうな表情を浮かべる打ち止め。
そして、無関心な一方通行。

今日も今日とて、垣根一家は平和だった。
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 16:19:49.49 ID:0yHa/sMAO
+
117 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/10(日) 16:20:06.32 ID:AEWr+uLu0

ふぃあんま「…………………………?」

気付けば、手が血まみれだった。
果物ナイフを握った記憶はないのだが、自傷行為に及んでいたようである。
フィアンマの手から果物ナイフを没収し、オティヌスはおもむろに水で洗い始めた。
そんな少女を見上げ、フィアンマはぼんやりとした表情で呼吸を繰り返す。
小さい身体を抱き上げ、オッレルスはフィアンマをあやす。

オッレルス「…大丈夫だよ」

ふぃあんま「……うー」

よしよし、とあやされ、フィアンマは大人しく治療された。
上条に嫌いだと言われたことで、彼の心はズタズタに引き裂かれていた。

謝っても許されなかった。
許されたと思っていたが、許されていなかった。
二度と近づくなと言われた。
お前は自分でなくとも良いのだろうと、遠まわしに言われた。

上条の善意による遠ざけは、表面的には悪意で満ちていた。
そして感受性の強いフィアンマは、表面的なものを受け取った。
本来は、その言葉の裏側にある意味も読み取れただろう。頭は良過ぎる程なのだから。
だが、読み取れなかった。
右方のフィアンマをやめたから、ではない。
無条件で信頼している上条当麻から言われたから、だ。

ふぃあんま「…うー」

オッレルス「ん」

治癒を施され、フィアンマは父親に抱きついて甘えた。
上条と同じように、彼もボロボロだった。
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 16:20:07.49 ID:0yHa/sMAO
+
119 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/10(日) 16:20:21.87 ID:AEWr+uLu0

ふてくされた番外個体が家出した。
そんな訳で、垣根はカブトムシ05に捜索してこいと伝令を出した。
本当は連れ戻したくなどないのだが、仕方ない。
彼を放っておくと、最悪一般人が殺される恐れがある。
ミサカも行くー、と言って聞かない打ち止めをカブトムシ05と共に送り出し。
垣根は、一方通行と共に家の中へ取り残された。

垣根「……なあ、」

一方「…何だよ」

垣根「…あのさ、」

一方「…言いてェ事があンなら早く言えよ、オマエらしくもねェ」

垣根は散々口ごもり。
一方通行へ距離を詰めると、ごにょごにょと囁いた。

垣根「…エロいことしないの?」

一方「……仕方、…ねェな」
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 16:20:23.05 ID:0yHa/sMAO
+
121 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/10(日) 16:20:51.20 ID:AEWr+uLu0

絹旗と滝壺はいちゃついている。
その二人の仲の良さから逃げ出して。
麦野沈利は一人、街を彷徨っていた。
一番仲が良かったと言えるフレンダは、垣根に取られて以来見かけない。
殺されてそのままどこぞに埋葬されてしまったのだろう、と勝手に思っている。

麦野「…はー」

左手は義手。
右目は義眼。

垣根に攻撃を加えられ、治療を受けた結果が、コレだ。
お世辞にも、最早普通の人間とは呼べない。

麦野「………」

暗部組織は解体された。
戻るのも面倒臭い。
血生臭いのは嫌いではないが、特別好きという訳でもないのだ。

番外『美人のお嬢さん』

不意に呼びかけられ、振り返る。
垣根帝督にそっくりな真っ黒い少年が、場違いに人あたりの良さそうな笑みを浮かべていた。
その人の良さそうな柔らかな笑みに、それでも悪意のような陰は透けているが。

麦野「あ? …垣根帝督?」

思わず攻撃しそうになった。
無駄だとわかってはいても、ぶん殴りたくなる。

番外『この垣根帝督は、お前の腕と目を奪った垣根帝督じゃねえよ』

麦野「は?」

番外『双子の弟みたいなモンかね。ま、何でも良い。デートしようぜ』

麦野「誰がテメェなんかと」

番外『昔のことは水に流しちまえよー。一人なんだろ?』

麦野「……」

番外『美味い鮭料理の出る店知ってるからさ』

麦野「…仕方ないわね」

真っ黒な垣根帝督と麦野沈利は、夜の街に消えていく。
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 16:20:52.12 ID:0yHa/sMAO
+
123 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/10(日) 16:21:09.88 ID:AEWr+uLu0

カブトムシ05「見つかりませんね…」

はぁ、とため息をつき。
真っ白な垣根帝督は、打ち止めと手を繋いで街を歩いていた。

打ち止め「もしかしたらお家帰ったのかも? ってミサカはミサカは首を傾げてみる」

カブトムシ05「どうでしょうか…」

うーん、と悩み。
カブトムシ05は、垣根帝督の思考パターンを考慮してみる。
しかし、番外個体なら帰っていないだろう、という結果が出た。
そんな折、カブトムシ05へ命令が下った。

『三時間程、家へ帰って来るな。打ち止めの帰宅も阻止しろ』

カブトムシ05「…ひとまず休みましょう」

打ち止め「さんせーい、ってミサカはミサカはプリンをじっと見つめてみたり」

カフェのプリンが気になるらしい。
ねだってくる打ち止めに、垣根のクレジットカードから奢りながら、カブトムシ05は夜の街へ消える。
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 16:21:10.79 ID:0yHa/sMAO
+
125 :一垣エロ  ◆2/3UkhVg4u1D [saga !orz_res]:2013/02/10(日) 16:21:46.17 ID:AEWr+uLu0


上下争いの結果、垣根が受け手側になった。
オナニー用のローションが、たっぷりと垣根の尻へと垂らされる。

「ッ、冷てぇな」
「悪りィ、忘れてたわ」

そういやショタゲでも温めてたっけ。
呟きながら、一方通行はローションを、桶を作った右手へ垂らす。
そうして体温で温めた後、垣根の尻、主に後孔へと塗りつけた。
ついでに指先までしっかりとぬるついた液体に絡ませておく。
爪は、行為の下準備の際にきちんと切りそろえておいた。
いきなり後ろを開発するのは厳しいから、と、まずは男性器に手をかける。
ぬるついた細い指が何度も圧を加えて往復する内、垣根自身は段々と硬く凝っていく。

「は、…ぁ……」

熱っぽい吐息を漏らし。
垣根は、僅かに爪でベッドシーツをひっかく。
二人分の異様な熱気と、そのかりかりという音が、部屋に満ちていた。

くちゅ。

水音と共に。
男性器を扱くのとは反対の手指。
ローションによく絡ませたその指が、後孔へ侵入した。
尻から感じる強烈な違和感に、垣根は脂汗をかきながら耐える。

「は、……ぐ、ぅ…」
「…力抜け。息吐け」

一方通行に言われるまま、力を抜こうと努力する。
やけにぬるつく指が、後孔に侵入したり、撤退したりを繰り返した。

「あく、…せら…」

白い少年の舌が、垣根の首筋をなぞる。
冷たい生ぬるさに、垣根はふるる、と打ち震えた。
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 16:21:47.27 ID:0yHa/sMAO
+
127 :一垣エロ  ◆2/3UkhVg4u1D [saga !orz_res]:2013/02/10(日) 16:22:03.52 ID:AEWr+uLu0

ローションを垂らし。
指を出し入れし、徐々に指の本数を増やしていく。
そうしている内に、後孔へ、酷くぬるつくローションが馴染んだ。
一方通行は自身を扱きながら、口に一つコンドームを咥える。

「は、…エロい絵図だな、オイ」
「オマエ、ヤられる方だってわかってンのかァ?」
「ネコだろうとタチだろうと、性格が変わる訳じゃねえだろ」

ゲームや小説じゃあるまいし、と笑って。
垣根はベッドシーツを鷲掴み、ゆっくりと深呼吸をした。
やがて、細い指が三本全て、引き抜かれる。

「ん、…来いよ」
「…あァ」

頷いて、一方通行は、どうにか勃起した自分自身へコンドームをきっちりと被せる。
そして、垣根の後孔へ、勢いよく挿入した。
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 16:22:04.56 ID:0yHa/sMAO
+
129 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/10(日) 16:22:27.64 ID:AEWr+uLu0

箱庭療法を兼ねた玩具遊びに耽りつつ。
フィアンマは、オティヌスにくっついていた。
懐いているといえばそうでもないのだが、何となく、である。

オティヌス「……私のせいで、幻想殺しがお前を突き放したのだろう。…すまない」

ふぃあんま「…おまえのせいではない。いつか、こうなるようなきはしていた」

オティヌス「……、」

ふぃあんま「……どうしたらゆるしてくれるだろうか」

近づくな、と言われた以上。
直接謝る訳にはいかない。
そんなことをすれば、きっともっと怒らせてしまうに違い無い。
言葉を額面通り受け取っているフィアンマは、酷く落ち込みながら考えている。
オティヌスは玩具を追加してあげながら、優しく言った。

オティヌス「……手紙を書けば良いんじゃないか?」

ふぃあんま「…てがみ?」

オティヌス「ああ。子供からの手紙の内容が謝罪なら、大概許されるものだ」

ふぃあんま「…おてがみ、かく」

オティヌス「わかった」

フィアンマはクレヨンを掴み、お手紙を書く事にした。
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 16:22:28.62 ID:0yHa/sMAO
+
131 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/10(日) 16:22:44.31 ID:AEWr+uLu0

昼食のホットサンドは過分に量があった。
もう時刻は夕方だが、さほど空腹に悩まされていないのはホットサンド効果だろう。
だが、あまりにも炭水化物ばかりなので、バランスは正直良くない。
しかし、上条としてはなかなか良い昼食だったな、と思った。

上条「ただいま」

トール「おう。手紙来てたぜ」

家に帰ると、雷神トールがシチューを作っていた。
ビーフシチューらしい。オムライスにかけるようだ。
やはりパワー重視の戦法を取る彼はカロリー重視らしい。
上条も割と走ったりすることが多いので、大盛り系ごはんはありがたい。

上条(…手紙?)

首を傾げ、トールに言われるまま、自室へ。
食事用折りたたみテーブルの上に、一通の封筒。
中身が沢山入っているのだろうか、重みがあった。

上条「……ミラノ。…フィアンマ、かな」

唇を噛み締め。
どんな内容が書いてあるのかまったく予想出来ないまま、上条は手紙を開封した。
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 16:22:45.36 ID:0yHa/sMAO
+
133 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/10(日) 16:23:08.62 ID:AEWr+uLu0

今回はここまで。
投下量が少ない? 心配するな、自覚はある。
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 16:45:20.55 ID:/Qn23/VSO
乙。クレヨンか…オッさんやオティヌスはちゃんと鉛筆とかで書く事を教えなかったのか…


ぐっじょぶだな
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 17:02:10.08 ID:aFLMNliv0
垣一派だったけど一垣もいいな
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 20:59:56.45 ID:UWZyx1rqo
クレヨンいいね
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 21:17:37.31 ID:VmMLkNlM0

ていとくんが可愛すぎてやばい
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/10(日) 22:49:22.66 ID:s6tBSgiQo
おつ

家庭的雷神に萌えた
ていとくん可愛いよていとくん
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/11(月) 17:48:48.75 ID:mmmfGdvH0
この家庭的雷神はどれだけ強くなったらうちにも経験値求めて住み込みにきてくれるんですか?
一垣いいわーすごくいいわー目覚めるわー
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/12(火) 14:50:10.06 ID:yOeYNpd+o
垣一じゃないところがこの>>1はすごく分かってるわ
141 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/15(金) 13:31:25.68 ID:CRoWlVHH0

おお、繋がった……
という訳でこの物語は終わります。




投下。
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 13:31:30.51 ID:sdIAtOrAO
+
143 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/15(金) 13:31:48.84 ID:CRoWlVHH0

中身を取り出してみた。
折りたたまれた紙。
フィアンマにしては珍しく、平仮名だった。
本来、彼の知識を鑑みれば普通の手紙もかけた筈なのだが。
宛名などはフィアンマでない誰かが書いたのだろう、筆跡が違った。

上条「……、」

上条は、丁寧に紙を開いて見る。

『ごめんなさい』

その一言が。
赤いクレヨンで、白い紙に所狭しと綴られていた。
上条は思わず、紙を取り落としそうになる。

上条「フィアンマ…」

怖いとは思わなかった。
確かに驚いたが、それ以上に。

罪悪感の方が、大きかった。

異常な行動をさせる程、自分が追い詰めたという事実が。
嫌いじゃないクセに、大嘘をついたことが。

上条「…俺、最低だな」

守る自信がないから遠ざけた。
あの時は、あれが最良だと思った。
だが、意味なんて無かった。
どれだけどちらが傷ついても、自分が一緒に居てやるだけで、あの子は幸せだったんだ。

謝るべきなのは、こっちだ。
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 13:31:49.96 ID:sdIAtOrAO
+
145 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/15(金) 13:32:03.40 ID:CRoWlVHH0

食事を運んできたトールに、上条は言った。
手紙一式を握り、真っ直ぐな瞳で。
雷神トールがずっと待っていた、強い敵の素質ある表情で。

上条「……俺、フィアンマに謝るよ」

トール「…そうかい」

上条「それで、…もう一度やり直すよ。やり直したいんだ」

トール「…分かってくれんじゃねえの」

真面目に謝れば、とトールは笑む。
上条は頷き、手紙をしまった後、スプーンを手にする。
たっぷりのビーフシチューがかかったオムライスは、甘い湯気を立てている。

上条「いただきます」

口に含む。
覚悟を決めた後の食事は、色あせた昨日までのそれ以上に、美味しかった。
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 13:32:04.38 ID:sdIAtOrAO
+
147 :一垣エロ  ◆2/3UkhVg4u1D [saga !orz_res]:2013/02/15(金) 13:32:32.95 ID:CRoWlVHH0


ぐちゃぐちゃ、といやらしい音が。
或いは、下劣過ぎる音が、する。
内臓を圧迫されるがまま、垣根は噎せ半分に喘いだ。
苦しい、気持ち悪い、熱い、頭がぼーっとする。
発熱した時のような息苦しさと、やや被虐的な快感。

「ぃ、あ、っあ…ッッ」
「っ、…は、ァ……」

突き上げられる度に。
自分の意思とは反して、反対に。
みっともない喘ぎ声が漏れ出して。
羞恥を感じる余裕すら持たされないまま、快楽に溺れる。
肉欲のまま、僅かに腰を動かせば、排泄時に似た快感。
シーツに爪を立て、枕を噛み、尚漏れ出す甘い鳴き声が、部屋に谺する。

「あく、せ、しぇ、ら、ぁ、イ、く、イっ、あ、まえ、まえいじっ、いじれ、」
「は、命令、すンじゃ、ねェよ」

言いながらも、一方通行の細い指先が、垣根自身の怒張へかかる。
そのまま、溢れる先走りを素直に使って扱きあげた。
くちゅくちゅぐちゅぅ、という音と共に、垣根は脳内が真っ白になったかのような快感を得た。

「ひ、ああ、あぁ、う、………ッッッッは…ぁあああ…」

ひときわ強く突き上げられ。
果てには射精されながら、強く握られ、しごかれて。
とうとう、垣根は熱を帯びた声音と共に、精を吐きだした。
数度に分けて精液が放たれる間、一方通行の手は丁寧に扱いてくれている。

「ん、…ぅん…んん…は…」
「ふ、……ゥ」

ずる、と肉杭が引き抜かれた。
コンドームを処理しているらしい、がさごそという音がする。
垣根はぶるりと身体を震わせ、後孔がひくついているのを感じた。
物欲しそうな動き。まるで、女性器だ。

「もォ一回欲しいンかよ、変態」
「ち、げぇ…し…」

生理的な涙が、静かに頬を流れていった。
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 13:32:33.87 ID:sdIAtOrAO
+
149 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/15(金) 13:32:55.25 ID:CRoWlVHH0

カブトムシ05は、眠ってしまった打ち止めをおんぶして帰って来た。
そっと寝室のベッドへと下ろし、毛布をかける。
入浴については起きてから勧めましょう、と思いやりを発揮して。

と、バスルームのドアが開いた。

一方「よォ、お帰り」

カブトムシ05「はい、ただいま帰りました」

一方「ン。打ち止めは」

カブトムシ05「疲れて眠ってしまわれたので、ベッドへ」

一方「そォか」

ご苦労さン、と労いながら、彼はだるそうにソファーへ腰掛ける。
腰がだるいのだろうか、右手でさすっているようだった。

カブトムシ05「マッサージが必要ですか?」

一方「問題ねェよ」

言って、彼はそのままソファーへ横たわる。
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 13:32:56.10 ID:sdIAtOrAO
+
151 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/15(金) 13:33:15.45 ID:CRoWlVHH0

それから更に数時間経過して。
番外個体が、無事帰って来た。

番外『ただいま。美人ちゃんと遊んで来たぜ』

一方「ふゥン」

番外『何だよ、ローテンションだな。つまんねえの』

カブトムシ05「…」

番外『おい待てよ噛むなってお前本当何な』

の、と言う前に白い垣根帝督が黒い垣根帝督を噛んだ。
グダグダしているなあ、と一方通行は呑気に思う。
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 13:33:16.58 ID:sdIAtOrAO
+
153 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/15(金) 13:33:33.18 ID:CRoWlVHH0

上条がイタリアへ行こうと思った矢先。
雷神トールが、唐突に攻撃を仕掛けてきた。
『人払い』を撒いていた事に気づけなかったのは、上条の落ち度だろう。

トール「そう不思議がるなよ。コイツは俺の目的だ」

上条「何?」

トール「フィアンマに会いに行くんだろ。だったら、俺を倒してから行け」

どこかのアニメの悪役みたいだ、と彼は笑う。
上条は混乱しながらも、彼が戦闘狂であったことを察した。
右拳を握り、仕方なく前を向く。
出来れば魔術師と命を賭けた戦いなどしたくはないが、これは自らの覚悟を示す為でもある。

上条「行くぞ、トール」

トール「おぉ、来いよ」

彼の両手指先から、溶断アークブレードが伸びた。
青い光のそれは、最大2km程の長さを誇る。
勇気を奮い立たせ、自分への勇気の証明として、上条はトールへ、挑んだ。
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 13:33:34.17 ID:sdIAtOrAO
+
155 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/15(金) 13:33:53.17 ID:CRoWlVHH0

真っ青な空。
動けなくなった上条は、空を見上げていた。
雷神トールは、上条へ背を向けて言う。

トール「じゃ、元気でな。上条当麻」

上条「ぐ、……」

トール「それと」

上条「…?」

トール「イタリアに行く必要はねえよ」

言って、彼はてくてくと歩き去ってしまう。
ひんやりとしたビルの壁に背中をぴたりとつけ、上条はゆっくりと息を吐きだした。

「にゃー」

猫の声が聞こえる。
野良猫だろうか、と上条は視線をそちらへ向ける。
近寄ってきたのは、猫ではなかった。

一人の子供だった。

上条「……っ」

ふぃあんま「…にゃ、」

上条「フィアンマっ、」

体の痛みを一切合切無視して、上条は子供を抱きしめる。
そして、何度も何度も、声が掠れきってしまうまで、謝罪した。
フィアンマは安堵してはにかみ、静かに、上条の身体を抱きしめ返したのだった。
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 13:33:54.28 ID:sdIAtOrAO
+
157 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/02/15(金) 13:34:28.03 ID:CRoWlVHH0

雷神トールが去った後の部屋。
上条は擦り傷などをフィアンマに絆創膏などで手当してもらい。
彼の頭を撫でてやりながら、思っているままを告げた。

嫌いになんて、なっていない。
ずっと好きで、ずっと心配だった。
もう傷ついて欲しくなくて、遠ざけてしまった。
でも、それは自分が強くなれば良いだけだと考え直した。
本当に、本当に、ごめん。

沢山謝られ、フィアンマは緩く首を横に振る。
もう拒否されなければそれでいい、そう言って。

「……これからは、もう離れたりしないから」
「…ん」
「何が来ても、誰が来ても」
「…」
「ずっと、ずっと一緒に暮らそうな」

黒髪の少年の問いかけに。

小さくも真っ直ぐな子供は、幸せそうに、頷いた。
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 13:34:29.02 ID:sdIAtOrAO
+
159 :上ふぃあエロ  ◆2/3UkhVg4u1D [saga !orz_res]:2013/02/15(金) 13:34:55.25 ID:CRoWlVHH0


ぎゅう、と強く強く抱きしめてくる腕を撫で。
ふにふにと柔らかな頬へ、口付ける。
くすぐったそうに身じろぐフィアンマに、上条は小さく笑んだ。

「…かわいいな」

好きだよ。

言いながら愛でる手を、小さい手が掴む。
そして、脱がせと言わんばかりに服にかけさせた。

「…フィアンマ?」
「……う」

整った甘い顔立ちが、誤魔化すようにはにかむ。
上条は幸せそうに微笑んで、口付ける。
大人に近い舌と、まだまだ小さな舌が絡み合う。
ぴちゃぴちゃ、と唾液の音が、いやに耳に残った。
ふる、と淫猥さに震える幼い肢体を露にすべく、上条は服を脱がす。
脱がした後の白い身体に、数度キスをした。
フィアンマの細い首筋と、上条の唇との間に銀の糸が引く。

男の手が、尻に伸びた。

自慰用の潤滑油と思われるぬるついた液体を、静かに垂らされた。
やや無骨な指が、まさぐるように触れた。

「…こういうことすんの初めてだから、…下手かもしれないけど」
「…ん、…だいじょうぶだ。ひかくたいしょうがそもそもいない」

でも、あんまり痛いのは好きじゃない。

そう呟くフィアンマに上条はこくんと頷いて、慣らし前戯を始めた。
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 13:34:56.29 ID:sdIAtOrAO
+
161 :上ふぃあエロ  ◆2/3UkhVg4u1D [saga !orz_res]:2013/02/15(金) 13:35:20.39 ID:CRoWlVHH0

ぐじゅぐじゅに蕩けた後孔に、上条の指が挿入る。
やや太い指を抽挿される度に、柔らかくなったそこは反応した。
正確には、そこから早くも快楽を感受した、フィアンマ自身が、だが。
毛も生えていない小さいそこは年相応のものだ。
上条は嫌悪感なく、勃起しているそれを口に含む。
所謂乳臭さと呼ばれる類の良い甘めの匂いと、僅かに残る小便の味。
しょっぱいな、と思いながら、上条は裏筋へ舌を這わせる。
段々と血液の集中してきた自分自身を性急に取り出し、服を脱ぐ。
ぬるりと指を引き抜いて、乾いた唇を舐めた。

「は、……挿れても、いいか?」
「……いたくないか?」
「……自信は無い、かな」
「…だっこ」

言われるまま抱きしめ、寝かしつけるような甘さで、挿入した。
痛くはないものの、内臓を押し上げる圧迫感がある。
咳混じりに息を吐きだし、フィアンマはおずおずと上条に口づけた。

「ん、ん…」
「ん…、…フィアンマ、好きだよ」
「……おれさまも、とうまがだいすきだよ」

ふにゃん、と柔らかい笑顔。
可愛いな、と純粋に思いつつ、上条はほっぺたをすり寄せた。
ぎゅう、と強く強く締め付けられる。
思わず、快感に熱い吐息が漏れた。

「力、抜いてろ、よ」

月並みのセリフをこぼして、上条は腰を動かし始める。
小さい手が、上条の背中を掴む。細い指、爪を立てられた。
痛みに眉を寄せながら、上条は性欲のままに突き上げる。
右手で抱きしめたまま、左手で彼自身を扱いた。
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 13:35:21.44 ID:sdIAtOrAO
+
163 :上ふぃあエロ  ◆2/3UkhVg4u1D [saga !orz_res]:2013/02/15(金) 13:35:35.83 ID:CRoWlVHH0

「あ、っぁっ、ん、にゃ、ん、に、ひっ、ぅあ、っ」
「ぁ、は、何か、猫、みたい、だな」

数度吐き出された精液で、ベッドは汚れていた。
当然ながら上条の手も、フィアンマの腹部も汚れている。
上条のものではなく、精通を迎えたフィアンマのものだった。
熱い切っ先で前立腺をゴリゴリと擦り上げられ、窒息しそうな程の快感に溺れる。
そんなフィアンマの様子を見つつ、上条は数度目かの精液を吐きだした。
どろどろ、と熱い精濁が、直腸を伝った。

「ふ、………ぁ…」
「ッ、…」

ずる、と上条自身が引き抜かれる。
白い粘っこい糸が引く先。
激しい挿入、ピストンによって、幼い後孔は一時的にぽっかりと穴を開けて緩んでいた。
上条はフィアンマを仰向けに押し倒し直し、その自身に口を触れる。
精液に濡れたそこを口内に含み、唾液で苛めた。

「あ、ぅぁ、あ」

甘い声と共に、苦い液体が吐き出された。
上条はゆっくりと呑み込む。
自分のものは飲ませたくはないが、飲むのは別問題。

「んん、…フィアンマ」

口を離し、再度、普通に抱きしめる。
腕の中にすっぽりと収まる小さい体躯が、愛おしいと、思った。
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 13:35:36.83 ID:sdIAtOrAO
+
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 13:37:12.49 ID:dzj5P3UJo
精通おめでとう
166 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga !桜_res]:2013/02/15(金) 13:37:15.98 ID:CRoWlVHH0

朝が来た。
良い匂いがする。
甘い匂いだった。
ホットケーキを焼いているかのような。
上条はのろのろと起き上がり、着衣を正す。

「…ん?」

立ち上がって台所に移動すると、そこにはフィアンマが居た。
真面目にパンケーキを焼いているようだ。
じー、とフライパンを見つめている。

「おはよう、フィアンマ。ありがとな」
「……どういたしまして、だ」

どやー、とやや得意げな表情を浮かべるフィアンマに笑って、上条はフライ返しを取り出す。
何かを任せても、怖いとは思わなくなった。なれた。

「あのさ、」
「む」
「何かドラマとかでありがちなんだけどさ」
「ん?」
「これからも、ずっと」
「ずっと、」
「…一緒に、いような」
「…やくそくだ」

小指と小指を、絡ませる。
拙い童唄を口にした、お互いにはにかむ。








―――十年後も二十年後も、ずっと、一緒に。







                                                          Felice fin.
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 13:40:29.13 ID:9pkig9mC0
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 13:50:08.16 ID:dzj5P3UJo
復活早々おつ
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 15:57:02.81 ID:o3SW3nclo
おつ!
面白かった!
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 15:58:48.62 ID:5tFy7uzSO
乙なんだよ
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/15(金) 23:29:52.17 ID:vfVtDhxbo
乙カレー
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 01:15:23.60 ID:j3azqQLp0
乙!
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