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ファイブレッド「放課後ティータイム?」 さわ子「地球戦隊ファイブマン?」 -
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1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 00:55:20.46 ID:+drJMBu80
スレタイ通り、『地球戦隊ファイブマン』と『けいおん』のクロスSSとなります。
以下、このSSの注意点です。
・
>>1
はゴーカイジャーのレジェンド大戦設定が大好きです。
・時代設定は、けいおんの時代にファイブマンが銀帝軍ゾーンと戦っているものとします。なので、その前にはターボレンジャーが、その後にはジェットマン、ジュウレンジャーと続いていく設定です。
・
>>1
は。ファイブマンとオーレンジャーが戦隊ものの中では大好きです。
・cp有なので苦手な方はバックを。
・書き上がって入るので、金曜の夜には投稿し終わると思います。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1360252498
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/
笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/
【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/
トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/
【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/
ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/
【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713613334/
ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 00:56:28.35 ID:+drJMBu80
文化祭1日目終了後・放課後。
唯「うい〜。練習疲れたよ〜」
律「だな。明日が文化祭が近いからついついやる気出ちゃうよな」
梓「そうですね。やぱり、軽音部はこうじゃないと。……最初の一時間のティータイムは長すぎると思いますけど……」
律「なんだと〜。私はな演劇のジュリエット役を熱演したんだぞ。ちょっとくらい休んだっていいじゃないか。それに、梓は紬のお菓子が美味しくなかったって言うのかよ!!」
紬「えっ、もしかして美味しくなかったの?」
梓「い、いえ……そんな事ないです。紬先輩の淹れるお茶はとても美味しいです。放課後ティータイムには必要不可欠だと思います」
さわ子「そうよね〜。ついつい、音楽室に入り浸っちゃうのよね〜」
律「うわっ!? さわちゃん居たの!?」
さわ子「も〜う!! 最初からいたわよ〜」
梓「相変わらず神出鬼没ですね」
さわ子「なによ〜、ひどいじゃな〜い」
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 00:58:04.21 ID:+drJMBu80
唯「でも、明日が最後なんだね……」
澪「そうだな。一年の頃はまだまだ最後の分開催の事なんか考えられなかったけど、もう最後なんだな……」
梓「……先輩たちと、高校での最後の舞台なんですね……」
先程までの和やかな雰囲気から一転して、悲しい雰囲気に包まれる。
律「な、な〜に、しんみりしてんだよ。ほら、始まりは終わりの0だって言うだろ!!」
紬「律ちゃん、それ逆よ」
律「そんな細かい事はいい〜の。そんなしんみりした気分じゃ、ゾーンに襲われるぞ〜。……澪が」
澪「こ、怖いこと言うなよ。なんで私限定なんだ!!」 ポカッ
律「いった〜」
ハハハハハハハハハッ!!
さわ子「けれども、人生は終わりと始まりの繰り返し。始まりがあれば終わりがあるのは必然よ。大切なのは、今を大切にすることじゃないかしら? 高校時代に皆で過ごせる今を」
唯「うぉっ、さわちゃんが真面目なこと言った!?」
律「こりゃあ、明日は雪だな」
さわ子「なっによ〜。私だってたまには教師らしいことするわよ」
澪「でも、今の言葉素敵でした。私達は、今を大切にするってところが……。そうだ、これを歌詞に……」
律「あぁ〜、やめとけ澪。結構使い古された言葉だし。それに、大切にした結果があれだぞ……」
こっそり耳打ちする。
唯「デスデビルだね」
さわ子「あぁ〜ん、何か言ったかしら」
唯・律「「ひぃ〜」」
さわ子「そういえば、二人とも〜。大学に合格しても、教師の最終選考で卒業できないって知ってるかしらぁ〜」
唯「ま、まさか、さわちゃん!?」
律「わたし達を卒業させない気じゃ……」
さわ子「さぁ〜、ど〜う〜か〜し〜ら〜?」
律「それだけは、勘弁を〜」
唯「さわちゃん、お願いします」
さわ子「さぁ〜て、どうしようかしらね〜」
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 00:59:07.54 ID:+drJMBu80
北極・銀河戦艦バルガイヤー。
北極に浮かぶオーロラに、巨大な女性の顔が映る。
メドー『いつになったら、ファイブマンを倒すのだ。シュバリエ、次の策は打っておるのか?』
シュバリエ「ご安心ください、メドー様。次の作戦は既に打っております」
銀帝軍ゾーンのガロア艦長に代わり、新たにゾーンの指揮を執ることになった初代館長シュバリエは余裕な表情で答える。
メドー『ほ〜う、それはなんだ?』
シュバリエ「宇宙の死の演奏というのをメドー様はご存知でしょうか?」
メドー『死の演奏? あの、幾つもの宇宙を演奏により破壊してきたという、あ奴らの事か?』
ドンゴロス「せやけど、あの演奏の指揮者は、自由気ままなやっちゃでぇ。そんな奴らが地球に来てくれるんかいな?」
似非関西弁で話すのは、銀河商人ドンゴロス。
ゾーンの中でも、かなり大きな頭と、そろばんのような武器が特徴的である。
シュバリエ「ふん。安心しろ。俺は一度、奴と一緒に1つの星を滅ぼしたことがある。今回も、話を持ちかけたら喜んできてくれた」
ドンゴロス「そ、それじゃあ……」
シュバリエ「あぁ、既に地球に来ている」
杖を振るうと、何もない空間に地球の様子が映される。
映し出されたのは、体の至る個所にギター、ベース、バイオリン、フルート、鍵盤、ドラム……。
様々な楽器を装着しており、腕にはトレンドマークと言わんばかりの指揮棒を握っている女性の怪人、銀河指揮・コマンドギン。
ドルドラ「しかし、演奏という名のわりには指揮者しかいないではないか?」
ゾーンの女科学者である銀河博士・ドルドラがそう言うと、銀河剣士・ビリオンはシュバリエを睨みつける。
ビリオン「どういうことだ? まさか、音楽隊を解散してしまったのではないだろうな?」
馬鹿にした様に不敵に笑う。
ザザ「死の演奏も、とんだお笑い草だ」
頭に卵を被った女性、銀河の牙・ザザがそれに続く。
シュバリエ「ふ、ははははは」
ビリオン「!? 何が可笑しい?」
シュバリエ「いや、失礼。あまりの無知ぶりについ笑いが漏れてしまった」
ビリオン「何だと!!」
ドルドラ「貴様、私達を馬鹿にするのか!!」
剣を引き抜こうとするビリオンであるが、シュバリエは逆に専用武器であるタクトをその首元に当てる。
シュバリエ「コマンドギンは、その星で自分の気に入った演奏家(ミュージシャン)を仲間として引き入れる。つまり、人間は自分たちの星を、自分たちの愛した音楽で破壊するというわけだ」
ドンゴロス「あぁ、なるほど。それは、ごっつ残酷な作戦ですな〜。さすが、シュバリエ様や〜」
メドー『面白い。シュバリエ、今度こそ、この星を……999の星を滅ぼし、1000個目となる地球を滅ぼすのだ。そして、我に永遠の命をもたらすのだ』
シュバリエ「はっ、承知しております」
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 00:59:48.76 ID:+drJMBu80
再び、桜が丘。
澪「買い出しも終了。これ食べたら、また練習だな」
唯「えぇ〜、もうちょっとゆっくりしてからにしよ〜よ」
律「そうだ、そうだ!!」
澪「そんなこと言ったて、明日が本番なんだぞ」
梓「そうですよ。唯先輩も、律先輩も最後の練習くらい真面目にやりましょうよ!!」
唯「うぉっ、あずにゃんが怒った!?」
紬「ふ、ふふふふふふ……」
律「ん、どうしたんだ、ムギ? 急に笑い出して」
唯「もしかして、何か悪いものでも食べたの? はっ、まさかお饅頭を拾って食べたんじゃ」
梓「そんなこと、唯先輩しかしませんよ」
唯「あ、あずにゃん、ひ、ヒドイ……」
紬「ううん。なんだか可笑しくて。みんながあんまりにも普段と変わらないから」
言われてみて気付く。
明日で最後だと分かっているのに、特に意識することなく、普段と同じように接している。
律「確かに……そうだな」
澪「うん、明日が最後だってわかってるんだけどな」
梓「なんていうか……」
言葉が出ない。
言ってしまったら、全てが終わってしまうような気がする。
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 01:04:43.81 ID:+drJMBu80
さわ子「ちょっと〜!! 置いていくなんて酷いじゃないの〜!!」
唯「あっ、さわちゃん、忘れてた」
律「デザートコーナーで何分も粘ってたからな」
梓「ムギ先輩がお菓子持ってきてるのにまだ食べるんですね」
両手いっぱいに袋を持ちながら、何とか5人に追いつく。
梓「凄い量ですね。それ全部、デザートやお菓子なんですか?」
さわ子「当然よ」エッヘン
唯「見てみて〜あずにゃん。このプリン、ケーキとかフルーツが一杯乗ってるよ〜。凄い美味しそうだよ〜」
澪「凄い量……それ全部食べたら体重が……でも、でも……」
律「お〜い、澪〜、帰ってこ〜い」
さわ子「明日が本番なんだから、今日は甘いもの食べて体力つけないとね。だから、今日は私の驕りよ」
唯「おぉ〜、さわちゃん、太っ腹〜」
律「いやいや、明らかに今までムギがさわちゃんに恵んできたお菓子の方が高いからな」
さわ子「だったら、りっちゃんはこれいらないわね」
律「え?」
さわ子「あぁ〜、もったいないな〜。ドヤ顔シェフプロデュースの、ゴージャスチーズケーキが食べれないなんて〜」
唯「その分は私が食べるよ〜」
さわ子「そうね〜、りっちゃんがいらないんだものね〜」
意地悪そうに笑う。
不思議と眼鏡が光っているように感じた。
律「ははぁ〜山名さわ子大先生〜。さわちゃんが、軽音部の顧問で本当に感謝感激雨あられでございます」
さわ子「はははははは、そうでしょう、そうでしょう!!」
大人気もなく高笑いするさわ子。
梓「あっ、そろそろ、戻らないと。楽器が使えなくなりますよ」
さわ子「あっ、そうね。練習したいなら、早く戻りましょうか?」
唯「ほえ、楽器って今日一日中使っていいんじゃないの?」
澪「それじゃあ、近所迷惑になるだろう。だから、決まった時間しか演奏できないんだ」
唯「えぇ〜、それじゃあ。ギー太、全然弾けないよ〜」
紬「大丈夫よ、唯ちゃん。ギー太はアンプさえ繋げなければ長い時間まで弾けるから」
律「問題は、私やムギだよな〜。よっしっ!!」
梓「練習するんですね」
律「取り敢えず、お茶でも飲んで考えるか」
唯「そだね〜」
梓「なんでそうなるんですか!! いいですか」
唯「大丈夫だよ〜。何とかなるって〜」
梓「なんとかって、そんなアバウトな……」
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/02/08(金) 01:05:17.00 ID:DJt7F+Et0
ひょっとしたら、レミ先生が軽音部の代理顧問になるのかな?
期待。
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 01:05:37.73 ID:+drJMBu80
高校の目の前。
唯「あれ? あそこに誰かいるよ〜」
律「えっ? 本当だ。よく見えるな〜、唯は」
唯「いや〜、それほどでも〜」
照れたように頭を掻く。
学校の前にいる、赤いジャケットを着た190センチはある長身の男は、腕に装着した奇妙なブレスレットに何か語りかけていた。
「確かに、ここらへんで銀河闘士の反応があったんだが……分かった、取り敢えず一回集まろう。俺は、桜が丘高校って場所の近くにいる。そこで、あぁ、じゃあ」
梓「何か話しているようですね? あの……時計?に向かって……」
紬「時計に話すって、もしかして何処かのスパイなのかしら?」
律「いやいや、そん筈はないって。多分、ちょっと危ない人……なぁ、澪?」
澪「スパイ、もしかして、私達が何かしたんじゃ。はっ、もしかして音楽室でお茶をしていたから……律、逃げよう。今なら、まだ間に合う」
律「いや、いや。落ち着けって。さわちゃん、なにか言ってきてよって。……さわちゃん?」
隣を見てみると、さわ子は驚いたようにその男を見ていた。
さわ子「もしかして……学(がく)君?」
呟くように言う。
その声は男にも聞こえたようでさわ子の方を振り向く。
学「……君は……さわ子ちゃん?」
学と呼ばれた男も、驚いたようにその名前を呟いた。
さわ子と学は互いに向かって走り出す。
さわ子「嘘、本当に学君? すっごい久しぶりね」
学「いやー、本当に驚いたよ。まさか、さわ子ちゃんに会えるなんて。中学校卒業以来だけど、全然、変わってないね」
さわ子「そーかしら? でも、それを言うなら、学君もよ。変わってないというか、格好良くなったわね。あの、お化けが怖かった学君とは思えないわ」
学「その話はよしてくれよ」
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 01:06:26.77 ID:+drJMBu80
久しぶりの再会を楽しむ2人に、軽音部の面々は不思議そうに近づく。
梓「2人は知り合いなんですか?」
恐る恐る、梓が質問する。
ジャンケンで負けてしまったからであるが、本来なら先輩たちが聞く筈ではないだろうか?
学「さわ子ちゃん。この子達は?」
さわ子「あぁ、紹介するわね。私の教え子たちで、軽音部の部員達よ」
律「部長の田井中律です」
唯「平山唯です。ど〜も〜」
澪「あ、……アキヤマミオ……です」
紬「琴吹紬です」
梓「あっ、2年の中野梓です。よろしくおねがいします」
順番に挨拶をしていく。
その個性豊かな挨拶の姿に、学は笑みがこぼれる。
その笑みは、軽音部に学が悪い人ではないという印象を与えた。
学「俺は、星川学。さわ子ちゃんとは、小学校、中学校と同じクラスだったんだ。よろしくね」
律「ほほ〜、ということはさわちゃんの幼馴染って事ですか〜」
にやにやと笑いながら聞く。
学「幼馴染っていよりも、何ていうか……小学時代、途中で転校してきた俺と仲良くしてくれたのがさわ子ちゃんだったんだ。だから、幼馴染とは違うよ」
唯「へ〜、転校生だったんだ。親の都合が〜って奴ですか?」
学「ん? ……ま、まぁ、そんなところかな……」
何故だか、少し言い難そうに頭を下げる。
学「それよりも、驚いたよ。さわ子ちゃんも教師になってたなんて」
さわ子「私“も”……それって、もしかして学君も?」
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 01:08:04.60 ID:+drJMBu80
「あっ、いたいた!! 兄貴、やっと見つけたぜ」
「も〜う、結構探したんだから」
「あら、今日ってこの学校の文化祭だったのかしら?」
「そういえば、そんな事書いてあるな? あっ、明日もやってるみたいだぜ」
こちらに近づいてくる、男2人と女2人の集団。
兄貴と呼ぶことから、恐らくは学の兄弟なのだろう。
学「健、数美、文也、レミ、彼女のこと覚えてるかい?」
青いジャケットを着ているのは次男の健。
ピンクの服を纏っているのは長女の数美で、お揃いの黄色と黒のジャケットを着ているのは双子であるレミと文也である。
文也「この女性って……こっちの高校生たち?」
学「違うよ。こっちの眼鏡をかけた女性だよ」
健「この女性……あれ? 何処かで見たことがあるような……」
数美「あっ、もしかして!!」
レミ・文也・健「さわ子お姉ちゃん!!」
指をさしてそういうと、文也と健も驚いたように叫んだ。
さわ子「せいかーいよ!! 久しぶりにね、健君、文也君、それに、数美ちゃんとレミちゃん」
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 01:09:05.86 ID:+drJMBu80
レミ「うわぁー、本当にさわ子お姉ちゃんなんだ〜!! どうしたの? どうしてこんな場所にいるの?」
嬉しそうにさわ子に抱きつく。
文也「レミ、落ち着けって!!」
さわ子「あら〜、良いわよ別に。文也君だって、昔はよく抱きついてきたじゃない」
文也「ちょ、それは昔の話で……何も今、言わなくても……」
会話に夢中になっているさわ子達と、距離を取り、近くでそれを眺めていた学のもとへと健は近寄る。
健「兄貴、何で、さわ子姉さんがいるんだ?」
学「あつ、さわ子ちゃんとはここでたまたま会ったんだ。どうやら、彼女達の先生……らしい」
数美「彼女達のって……それって、ここの制服よね? ってことは、もしかしてこの学校の先生なの?」
律「うっひょ〜。さわちゃん、大人気だな〜。男の知り合いがいただけでも驚きなのに、何か5人も来るなんて」
梓「なんか、意外な過去があるって感じですよね」
唯「えぇ〜、そうかな〜。さわちゃんは、今だって人気だよ〜」
律「まぁ、他の先生に比べたらそうだろうけど……、って、ムギ、何処に行くんだよ!!」
梓「もしかして、先生達の関係を聞くんじゃないでしょうか?」
唯「さっきから、ムギちゃん、積極的だよね。人見知りとかしないのかな〜」
律「いや、お前だってしないだろ」
梓「どっちが部長だかわかりませんね」
律「なんだと、中野〜!! お前なんて、こうだこうだこうだ」
梓「や、止めてください。律先輩!!」
力任せに、梓の頬を揉む。
この後、さらに唯までも梓に抱きついて頬を摺り寄せたりするのだが……まぁ、それは取り敢えずいいだろう。
ついでに言えば、澪は相変わらず自分の世界に籠っているようである。
紬「あ、あの!!」
学たち兄妹とさわ子のもとへと近づき話し始める。
紬「ここじゃあ、なんですから。音楽室で話しませんか?」
その微妙にずれた言葉に、背後の方で律が盛大にずっこけた。
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 01:10:21.82 ID:+drJMBu80
音楽室。
先程、さわ子が買ってきたスイーツを広げ、紬の淹れたお茶を飲みながら、星川兄弟とさわ子の関係を話す。
先程話していた通り、転校生である学にさわ子が話しかけ仲良くなり、両親がとある事情でいない星川兄妹と遊ぶようになり、弟妹とも仲良くなったということであった。
そして、星川兄妹も学校の教師であるということを知った。
さわ子「へぇ、まさか学君だけじゃなくて、レミちゃんや、文也君も教師になってたなんてね〜。なんていうか、意外ね」
文也「いやいや、以外と言ったらさわ子姉ちゃんだってそうだよ。昔は、ミュージシャンになるとか言ってたのにまさか、先生になってるなんて」
健「そうそう、よく父親のギター持ってきて、弾き鳴らしてたもんな。で、後で父親に怒られたって、よく兄貴に泣きついてたもんな」
律「……さわちゃん、そんな事してたのかよ?」
唯「ほえ、私も憂の服とか勝手に借りるけど、そんなに怒られないよ?」
梓「物が違いすぎますよ。普通、小学生とか中学生が勝手にギター持ちだしたら怒りますよ」
唯「そなの?」
さわ子「あなた達、それ以上余計なこと言わないでくれるかしら?」
一瞬だが、さわ子の顔が般若の様になったかのように感じた。
文也と健にはただ頷くことしかできなかった。
澪「で、でも、学校の先生って大変ですよね。よく、五人とも教員免許取れましたね」
数美「う〜ん、大変というよりも、皆得意分野を生かしただけだから、そうでもなかったかしら」
澪「そうなんですか? あれ、でも……5兄妹で教師って事は、文也さんとレミさんって22歳なんですよね?」
レミ「ううん、私と文也は20歳よ」
澪「えっ、22歳じゃないんですか?」
文也「なんでそんな事になるんだよ。俺もレミも正真正銘20歳だよ。ほら」
財布から免許書を取り出し、澪に渡す。
澪「ほ、本当だ。だけど、教師って確か……」
文也・レミ「「????」」
澪「……」
何故だかわからないが、それ以上は言ってはいけないような気がした。
この話は、それで打ち止めにしておく。
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 01:11:50.84 ID:+drJMBu80
唯「先生か〜。良いな〜、私も幼稚園の先生とかになりたいな〜」
さわ子「そのためにも、絶対に大学に受からなきゃいけないわね。ねぇ、唯ちゃん、りっちゃん」
律「うっぉい、何でピンポイントで私達? 普通、澪とかムギにも言うでしょ!!」
梓「当然ですよ。普段から真面目にしている人より、普段真面目じゃないほうを心配するに決まってるじゃないですか?」
唯「なんか、今日のあずにゃんヒドイよ〜」
律「本当だな。なんか、やたら毒舌の様な気が……」
学「はははは。何だか、とっても面白い生徒たちだね」
さわ子「でしょ? でも、毎日退屈はしないわよ」
学「わかるよ、その気持ち。俺もそう思ってるから……」
さわ子「そうでしょ。そういえば、学君って何処の学校でやってるの?」
その言葉で、学達の顔が曇る。
学「……ニュータウン小学校……だった」
律「ニュータウン小学校? 確か、それってゾーンの襲撃を喰らったていう」
澪「バカ、少しは空気よめ」
空気を読まない発言をした律に鉄拳を喰らわせる。
さわ子「そう……あそこだったの……」
数美「でも、子供たちは全員無事だったから……。だから、大丈夫よ」
紬「それは、不幸中の幸いでしたね」
さわ子「それじゃあ、今はみんなはどうしてるの? 別の学校でやってるとか?」
学「いや、実をいうと。俺達……やることがあるから、今は休職中なんだ」
唯「給食? 皆、給食センターのおばさんになったの?」
文也「はは、違うって。休職中っていうのは、休みの期間って事だよ。こんな簡単な言葉も解んないんじゃ、小学生の勉強からやり直してやろうか〜」
唯「ふえ〜。私も、勉強を休職中に出来ないかな〜」
暫し笑いに包まれる。
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 01:13:02.19 ID:+drJMBu80
唯「先生か〜。良いな〜、私も幼稚園の先生とかになりたいな〜」
さわ子「そのためにも、絶対に大学に受からなきゃいけないわね。ねぇ、唯ちゃん、りっちゃん」
律「うっぉい、何でピンポイントで私達? 普通、澪とかムギにも言うでしょ!!」
梓「当然ですよ。普段から真面目にしている人より、普段真面目じゃないほうを心配するに決まってるじゃないですか?」
唯「なんか、今日のあずにゃんヒドイよ〜」
律「本当だな。なんか、やたら毒舌の様な気が……」
学「はははは。何だか、とっても面白い生徒たちだね」
さわ子「でしょ? でも、毎日退屈はしないわよ」
学「わかるよ、その気持ち。俺もそう思ってるから……」
さわ子「そうでしょ。そういえば、学君って何処の学校でやってるの?」
その言葉で、学達の顔が曇る。
学「……ニュータウン小学校……だった」
律「ニュータウン小学校? 確か、それってゾーンの襲撃を喰らったていう」
澪「バカ、少しは空気よめ」
空気を読まない発言をした律に鉄拳を喰らわせる。
さわ子「そう……あそこだったの……」
数美「でも、子供たちは全員無事だったから……。だから、大丈夫よ」
紬「それは、不幸中の幸いでしたね」
さわ子「それじゃあ、今はみんなはどうしてるの? 別の学校でやってるとか?」
学「いや、実をいうと。俺達……やることがあるから、今は休職中なんだ」
唯「給食? 皆、給食センターのおばさんになったの?」
文也「はは、違うって。休職中っていうのは、休みの期間って事だよ。こんな簡単な言葉も解んないんじゃ、小学生の勉強からやり直してやろうか〜」
唯「ふえ〜。私も、勉強を休職中に出来ないかな〜」
暫し笑いに包まれる。
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 01:14:05.14 ID:+drJMBu80
文也「いいか、今から話すのは宇宙語で」
唯「宇宙!?」
律「うぉ、なんかスゲー!!」
唯と律は文也と国語の勉強(というよりは面白い言葉を教えている。中には宇宙語も教えていたり)。
澪「だったら、これも知っていますか? これは……」
レミ「うんうん、知ってる、知ってる。私もその曲は大好きなんだ」
澪はレミと音楽の話。
梓「それで、大変なんですよ。唯先輩ったら」
数美「はははは、でも、梓ちゃん嫌そうじゃないわよね」
梓「え!? えぇ、まぁ……そうですけど」
梓と数美は世間話。
健「うぉっ、っていう力強ッ!? 本当に、これが女子高生の腕力かよ」
紬「健先生も……なかなかやりますね……」
健と紬は何故か腕相撲をしていた。
椅子に座って、紬の淹れた紅茶を飲むのは学とさわ子。
軽音部と星川兄妹の楽しそうな姿を見ながら、学は紅茶を啜る。
学「懐かしいな。まさか、さわ子ちゃんとこんな所で会えるとは思えなかったよ」
さわ子「それを言うなら私もよ。懐かしいわね、私達の出会い……まだ覚えてる?」
学「忘れるはずがないよ。両親を失ったばかり俺に手を差し伸べてくれたのはさわ子ちゃんだったんだから……」
そうね、とさわ子も紅茶を啜る。
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 01:15:15.89 ID:+drJMBu80
さわ子「それにしても、中学校卒業してから会いに来てくれないなんて酷いじゃない。文化祭の日程、手紙教えたのに、私……待ってたのよ」
高校1年の時の事を思い出す。
軽音部に入部し、初の舞台を星川兄妹にも見てもらいたく手紙を送った。
結局、学がさわ子の前に現れる事はなかったのだが……。
さわ子「ねぇ、どうして?」
学「……行ったよ」
さわ子「え?」
学「文化祭には行ったし、ステージも見たよ。……だけど、会えなかったんだ」
さわ子「そう……」
思い出すのはあの時の記憶。
文化祭のステージで一心不乱にギターを弾く彼女を見て気付いた。彼女は既に、別の人を見ていた。
そう思うと……会いに行けなかった。気づいたら、家に戻っていた。
そして、ずっと……会えないままでいた。
17 :
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[saga]:2013/02/08(金) 01:15:56.69 ID:+drJMBu80
そんな二人を、先程まで別の話で盛り上げっていた他の面々は何故かソファーの陰に隠れながら見つめていた。
律「なんか、アダル〜トな雰囲気ですな〜」
健「文化祭って……多分、兄貴が黙って帰ってきて部屋に籠って泣いていた……あの日だろうな」
数美「あぁ、あったわね。そんな日」
紬「あの真面目そうな学さんにそんな過去があったんですか?」
レミ「私も兄貴にそんな過去があるなんて聞いたことが無いんだけど」
健「いや、そりゃあ、レミと文也はまだ小っちゃかったしさ。まぁ、何ていうか……あんな兄貴、俺達も初めてだったしさ」
梓「でも以外に、さわ子先生ってモテたんですね。先輩たちから聞いた話だと、そんな印象なかったですけど」
澪「でも、確か先生って好きな男子の為にヘビメタに走ったんだよな。それって、学さんの事振ってるって事だろ」
紬「まさに大人って感じね」
律「いや〜、びっくりな事実だな。実は、さわちゃんの本性を知らないからとかじゃないよな」
文也「いやいや、知ってるって。さわちゃん、怒るとめっちゃ怖いんだぜ」
数美「多分、兄さんのお化け嫌いってさわ子さんの影響よね……」
律「まぁ、あの変貌はまさに山姥だしな」
文也「そうそう」
ハハハハハハハハハっ
さわ子「誰が山姥ですって〜」
律「ひぃー、や、山姥だぁぁ!!」
文也「で、でった〜!!」
鬼のような形相でいつの間にやら近づいてた。
まぁ、あんなに大声で話していれば気付かれない方が無理なのであろうが……。
18 :
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[saga]:2013/02/08(金) 01:16:46.16 ID:+drJMBu80
学「よしっ、それじゃあ、俺達もそろそろ行こうか。皆、明日は発表なんだし、いつまでもこうしてるわけにはいかないだろう」
唯「えぇ〜、もっと話してようよ〜」
梓「無茶言っちゃダメですよ、唯先輩。それに、私達も練習する時間、本当になくなっちゃいますよ」
唯「でも〜。あっ、そうだ。皆にも私達の演奏聞いてもらおうよ」
律「おっ、良いな。それ、予行練習って奴か」
唯「そう、それ。律ちゃん、正解」
律「やっりー!!」
唯「ねぇ、いいよね、澪ちゃん、ムギちゃん、あずにゃん」
紬「いいわね〜、それ」
澪「そうだな……練習にもなるしな」
レミ「えっ、本当にいいの?」
唯「勿論だよ〜。あっ、でも本番も来てもらいたいんですが〜」
レミ「行く行く、絶対に行くわよ。ねぇ、姉さん、それに兄貴達」
数美「そうね、行けたらいいわね」
唯「行けたらじゃなくて、本当に来ていいんだよ」
健「よしっ、だったら絶対に行くぜ。唯ちゃんたちのステージの本番をみんなで見るよ」
文也「兄貴、そん約束して」
唯「本当? 約束だよ」
健「あぁ」
学「本当にいいのかい? 練習……しなきゃいけないんだろ?」
梓「大丈夫ですよ。先輩達も誰かが見ているとやる気のでる様ですし。是非、聞いて行ってください」
さわ子「そうよ、あの子達もやる気満々なんだから、水を差しちゃダメよ」
学「ははは、さわ子ちゃんにはいつになっても敵わないよ」
さわ子「ふふ、当然でしょ」
19 :
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[saga]:2013/02/08(金) 01:17:41.87 ID:+drJMBu80
演奏をするために、唯達は楽器の準備をして配置につく。
準備が終わると、唯は大きく息を吸う。
唯「それじゃあ、こんにちは〜放課後ティータイムです。今から、さわちゃんのお友達のために演奏をしたいと思います」
律「えらく、上から目線だな」
唯「えへへへ、だってカッコいいところ見せたいじゃん」
梓「それよりもはじめましょうよ。本当に時間なくなっちゃいますよ」
唯「も〜う、あずにゃんはせっかちだね〜。よし、それじゃあ聞いてください。一曲目は」
演奏が始まる。
先程とは打って変わって、一生懸命に、そして楽しそうに演奏をする。
その姿から、彼女達がこの文化祭に懸ける思いを……。
今まで一生懸命頑張っていたことが分かる。
文也「へぇ〜、上手いもんだな」
レミ「ご飯はおかずって、なんだか楽しくなっちゃうわね」
数美「皆、本当に楽しそ〜う」
健「いいぞ、放課後ティータイム!!」
学「凄いな……彼女達」
さわ子「普段はフワフワしてるけど、やる時はやる子達だからね」
20 :
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[saga]:2013/02/08(金) 01:18:14.06 ID:+drJMBu80
―聞こえたぞ!!―
―この音だ。地球最後の演奏をするのは貴様らだ!!―
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 01:19:27.86 ID:+drJMBu80
唯「1.2.3.4.ごっはん!!」
演奏が終わると、学達は自然と拍手を送っていた。
唯達はどうも〜、顔を赤くしながら拍手を受けた。
澪「ふ〜、中々上手くできたな」
梓「そうですね、本番でもこの位出来ればいいですね」
健「いや〜、凄かったぜ。健先生もびっくりだぜ」
律「そこまでほめられると、なんか照れるな〜。なぁ、ムギ」
紬「えぇ、嬉しくなっちゅう!!」
唯「それじゃあ、次は……」
続いての演奏をしようとした瞬間。
学「!?」
さわ子「どうし」
学「危ない、伏せろ!!」
何かを感じ取った学は、さわ子の言葉を遮って叫ぶ。
その直後、窓ガラスが破壊される。
唯「キャァァぁ!!」
律「うわぁっ!!」
文也たちは咄嗟に彼女達の前に立ち、飛び散るガラスから守る。
22 :
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[saga]:2013/02/08(金) 01:20:11.55 ID:+drJMBu80
何が起こったのか分からないさわ子を含む、軽音部の面々。
すると、割れた窓からゆっくりと巨大な影が入ってくる。
「失礼、今のはちょっとした挨拶よ」
学「貴様は、銀河闘士!!」
コマンドギン「正確には違うわ。シュバリエに依頼を受けてこの星を消しに来た銀河指揮のコマンドギンよ」
律「銀河闘士っていうか、それって、ゾーンの怪人だろ!? 何でこんな場所にいるんだよ!!」
唯「はっ、まさか本当に澪ちゃんを?」
澪「そ、そんなわけないだろう。わ、私は普通の高校生だぞ!!」
学「さわ子ちゃん、皆を逃がすんだ」
さわ子「学君たちは?」
学「大丈夫だよ、俺達は……」
コマンドギン「邪魔者たちはどけっ!! ピック爆弾!!」
学達に向かってピック状の爆弾を幾つも投げつける。
学「みんな、行くぞ!!」
健・文也「「おぉ!!」」
数美・レミ「「OK」」
学、健、それに文也は腕に装着されたブレスレット・Vチェンジャーブレスを、数美とレミは首に下げたVチェンジャーコンパクトを天に掲げる。
―ファイブマン!!―
眩い光が彼等を包み込み、一瞬のうちにその姿を変える。
23 :
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[saga]:2013/02/08(金) 01:21:16.01 ID:+drJMBu80
学はファイブレッド。
健はファイブブルー。
文也はファイブブラック。
数美はファイブピンク。
レミはファイブイエロー。
彼等こそ、地球をゾーンの間の手から救うために立ち上がった戦士。
地球戦隊ファイブマンである。
唯「変身した……」
梓「えぇ!! レミさん達が噂のファイブマンだったなんて」
紬「驚きね……」
律「さわちゃん、知ってたの?」
さわ子「知るわけないじゃない。今初めて知ったわよ」
24 :
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[saga]:2013/02/08(金) 01:22:37.45 ID:+drJMBu80
ファイブレッド「唯ちゃんたちに手を出させるものか!!」
コマンドギン「そうか、貴様らがファイブマンか。ついでに葬ってくれる!!」
コマンドギンは指揮棒の形をした剣を取り出す。それをファイブレッドに向かって振り下ろす。
ファイブマン「Vソード!! くっ……皆、ここでは危険だ!! こいつを外に放り出すんだ!!」
Vソードで剣を受け止める。その力強い一撃を長くは受け止められない。
ファイブレッドの言葉に、他のメンバーは頷く。
ファイブイエロー「メロディータクト!! ハァッ!!」
タクトから伸びたリボンがコマンドギンの体を縛り付ける。続くように、ファイブブルーとファイブブラックが駆け出す。
ファイブブルー「ツインアレイ!!」
ファイブブラック「パワーカッター!!」
それぞれの個人武器でコマンドギンの腹部を殴りつける。剣を落とし窓へと後ずさる。
ファイブピンク「キューティーサークル!!」
コマンドギン「キャッ!!」
コマンドギンへとファイブピンクがキューティーサークルで突く。
ファイブレッド「今だ!! ハァッ!!」
最後にファイブレッドがキックを浴びせる。
コマンドギン「ウワァァァァァァ!!」
兄弟の見事な連係プレーによってコマンドギンは窓から外へと放り出される。
レッドを除くファイブマンは、窓から飛び降りて後を追う。
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 01:23:28.63 ID:+drJMBu80
ファイブレッド「みんな、今のうち逃げるんだ!!」
唯「おぉ、カッコいい。正義のヒーローみたい!!」
律「見たいじゃなくて、本物な」
澪「それよりも早く逃げよう、また来るかもしれない」
さわ子「ねぇ、学君!!」
唯たちに逃げるように促し、同じように窓から飛び降りようとするファイブレッドをさわ子が引き止める。
さわ子「……後で……ちゃんと話してくれるのよね」
ファイブレッド「……」
何も答えず、今度こそ窓から飛び降りる。
窓の外からは金属がぶつかり合う音や、爆発音が聞こえてくる。
さわ子「……学君……」
律「こんな時にさわちゃんがこんな状態だし……取り敢えず、どこに逃げようか?」
梓「あの怪人、狙いは私達だって言ってましたよね? それって、下手に逃げるのも危険なんじゃないですか?」
唯「大丈夫だよ〜。だって、ファイブマンがいるんだからさぁ」
澪「で、でも、もしファイブマンが負けたら、私達はゾーンに捕まって一生奴隷として生きていくしかなくなるんだ。そして、使い終わったら、宇宙区間に捨てられてそのまま、そのまま……」
律「あぁ、やばいなこれ。ていうか、さわちゃんもいい加減戻って来い」
さわ子「はっ、そうね。取り敢えず、ゾーンが攻めてきたこと他の生徒にも伝えましょう」
紬「そうですよね。それじゃあ、放送室に」
「その必要はないぞ。あいつの狙いは御嬢さんたち5人だけ。ほかの生徒には危害は加えない」
さわ子「誰!? この子達には指一本触れさせないわ!!」
「名前、俺の名前はバルガイヤー初代艦長、銀河のヒーロー、シュ〜バ〜リエ〜ンだ」
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 01:24:51.19 ID:+drJMBu80
桜ヶ丘高校・裏庭。
コマンドギンと激闘を繰り広げるファイブマン。
幾多の星を滅ぼしてきたコマンドギンの実力は本物であり、ファイブマンは苦戦を強いられる。
コマンドギン「喰らえ、ラッパマシンガン!!」
ファイブレッド「うわぁぁぁっ!!」
ブルー・ブラック「「うおぁぁぁぁぁ!!」」
ピンク・イエロー「「きゃぁぁぁぁぁ!!」」
ラッパから放たれた無数の弾丸がファイブマンを襲う。その威力を物語るかのように強化スーツに焼け跡が残る。
立っている事すら困難になり、ファイブマンは地面に倒れ伏す。
コマンドギン「はははは、どうした? ファイブマンとはこの程度なのか?」
高笑いをするコマンドギン。
ファイブマンは必死に立ち上がる。
ファイブブラック「兄貴、こいつ強い……」
ファイブブルー「こんな奴……どうすれば?」
ファイブレッド「諦めるな、ファイブテクターを使うんだ!!」
ファイブイエロー「そうよ、ファイブテクターを使えばあんな奴に負けない!!」
激化するゾーンとの戦いの中で開発された強化装備・ファイブテクター。
それさえ使えば、コマンドギンを倒すこともできるはず……。
ファイブレッド「行くぞ!! ファイブテク」
「そこまでだ、ファイブマン!!」
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 01:26:17.76 ID:+drJMBu80
突如として聞こえてくる声に、ポーズをとるのを止める。
声の方を振り向くと、校舎の陰から人影が現れる。
シュバリエ「それ以上の攻撃は無用だ。彼女達を殺すことになるぞ」
ファイブレッド「シュバリエ!! それはどういう意味だ!!」
シュバリエ「これを見てみろ」
パチンッ
シュバリエが指を鳴らすと、後に続くように5人の銀河闘士・銀河戦隊ギンガマンが現れる。
彼等の腕には、軽音部5人が捕らわれていた。
梓「は、放して下さい!!」
律「そうだっ、私たちを食べてもおいしくないぞ!!」
紬「私、悪の組織に捕らわれてみるのが夢だったの〜」
唯「うぅ〜うぅ〜」
澪「やっぱり、このままゾーンの下っ端として……」
シュバリエ「この子達がどうなってもいいなら、コマンドギンを倒すがいい」
ファイブレッド「くっ、卑怯だぞ!! 関係ない、彼女達を人質にとるなんて!!」
シュバリエ「卑怯はゾーンの専売特許だ。それに、彼女達は無関係などではない。コマンドギン、こいつらでいいのだな?」
不敵な笑みを浮かべながらコマンドギンはシュバリエの言葉に頷く。
コマンドギン「そうだ、シュバリエ。お前たちも感謝するがいい。名誉ある、私の演奏係に選ばれたのだからな。ハァッ!!」
コマンドギンから発せられる青白い光。
それは、5人の軽音部の体の中に入っていく。
律「うわっ!? なんだこれ?」
唯「なんか、変な気分になって来たよ……」
梓「うっ、きゃああっ!!」
ファイブブルー「や、止めろぉっ!!」
それを阻止しようと、ファイブブルーが跳びかかる。
シュバリエ「邪魔をするな、ファイブブルー!!」
ファイブブルー「うわあぁっ!!」
だが、跳びかかったところを逆にシュバリエに斬り付けられ吹き飛ばされる。
ファイブレッド「健っ!!」
吹き飛んできたブルーを受け止める。
スーツには痛々しい傷跡が残っていた。
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 01:28:09.96 ID:+drJMBu80
――キャアアアアアアアアアッ!!――
唯達5人が眩い光に包まれる。
光が晴れると、そこには黒い鎧のような衣装に身を包んだ唯達の姿があった。
その目には生気が宿っていない。
ファイブレッド「唯ちゃん!! 澪ちゃん!! 紬ちゃん!! 澪ちゃん!! 梓ちゃん!! 彼女達に何をした!!」
コマンドギン「何をしただと? ふふ、彼女達には私の操り人形になってもらったのよ。死の演奏のためのね」
ファイブイエロー「死の演奏? なによ、それ!!」
シュバリエ「お喋りはここまでだ。お前たちと遊んでいる暇はないのでな。それでは、失礼するよ。行こうか、コマンドギン」
コマンドギン「えぇ、シュバリエ。行きましょう。お前たちも後に続け」
ファイブマンに背を向けて歩きだすシュバリエとコマンドギン。その後をゆっくりと、唯達とギンガマンが続く。
ファイブレッド「ま、待て!!」
レッドが追いかけようとするが、突然として姿が見えなくなる。
ファイブレッド「逃げたか……」
やり切れないように、悔しそうに呟いた。
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 01:29:47.83 ID:+drJMBu80
一応、ここまでがテレビなどでいうAパートです。
続きは、朝か昼に載せます。
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/02/08(金) 01:35:27.56 ID:wzxBYqWU0
乙です。
あちゃー、僕の予想外れちゃったか。
鬱展開にはならないと思うけど、ハラハラしてきた。
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/02/08(金) 01:57:35.50 ID:wzxBYqWU0
あ、
>>28
のレスに気になる所が一つだけ
ファイブレッド「唯ちゃん!! 澪ちゃん!! 紬ちゃん!! 澪ちゃ ん!! 梓ちゃん!! 彼女達に何をした!!」
学先生、澪の事を二度呼んで起きながら、律の事を忘れるとは何事ですか。
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 08:55:20.86 ID:+drJMBu80
>>31
。報告ありがとうございます。
やってしまいました。
取り敢えず修正したのを上げます。
――キャアアアアアアアアアッ!!――
唯達5人が眩い光に包まれる。
光が晴れると、そこには黒い鎧のような衣装に身を包んだ唯達の姿があった。
その目には生気が宿っていない。
ファイブレッド「唯ちゃん!! 律ちゃん!! 紬ちゃん!! 澪ちゃん!! 梓ちゃん!! 彼女達に何をした!!」
コマンドギン「何をしただと? ふふ、彼女達には私の操り人形になってもらったのよ。死の演奏のためのね」
ファイブイエロー「死の演奏? なによ、それ!!」
シュバリエ「お喋りはここまでだ。お前たちと遊んでいる暇はないのでな。それでは、失礼するよ。行こうか、コマンドギン」
コマンドギン「えぇ、シュバリエ。行きましょう。お前たちも後に続け」
ファイブマンに背を向けて歩きだすシュバリエとコマンドギン。その後をゆっくりと、唯達とギンガマンが続く。
ファイブレッド「ま、待て!!」
レッドが追いかけようとするが、突然として姿が見えなくなる。
ファイブレッド「逃げたか……」
やり切れないように、悔しそうに呟いた。
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:02:25.93 ID:+drJMBu80
これよりBパートを投下します。
>>30
さんの期待に答えられるかわかりませんが頑張ります。
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:03:34.40 ID:+drJMBu80
音楽室。
学「さわ子ちゃん!!」
音楽室に戻ってきた学が見たのは、荒らされた室内と倒れるさわ子の姿であった。
学はさわ子へと駆け寄る。
彼女達の楽器などは無事である。恐らく、最後まで守ったのだろう。
明日の文化祭を必ず成功させるために……。
レミ「なんてことなの。こんなの酷すぎる!!」
健「畜生。俺達が……あいつを倒してれば」
奥歯を噛みしめる。
血の味が口の中に広まった。
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:04:10.29 ID:+drJMBu80
学「さわ子ちゃん!! さわ子ちゃん!! さわ子ちゃん!!」
必死にさわ子の名前を呼ぶ学。
声に反応し、ゆっくりとその瞳が開く。
さわ子「……皆は……?」
学「……」
自分の心配よりも、まず生徒の心配をする。
その姿に、学達は何も言う事が出来なかった。
さわ子「ねぇ、学君。答えてよ、皆はどうしたの!! ねぇ!!」
痛々しい傷跡が付いた腕で学に掴みかかる。
自分達も同じ教師であり、さわ子の気持ちは痛いほど分かる。
さわ子「そ、そんな……わたし、わたし……あの子達を……」
学「……ごめん……」
これしか言えない自分が情けない。
さわ子は学の腕を掴みながら崩れるように泣き出した。
月明かりが音楽室を照らした。
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:05:10.66 ID:+drJMBu80
戦艦・バルガイヤー。
シュバリエ「戻ったぞ」
コマンドギンと、その演奏隊に選ばれた5人を引き連れて戻ってくる。
シュバリエ「メドー様。彼女達こそ、コマンドギンが選んだ者たちであります」
メドー『その小娘たちがか? そんな奴らで大丈夫なのか?』
高校生の女をメンバーに選んだことに、メドーは顔をしかめる。
だが、コマンドギンは不敵に笑う。
コマンドギン「心配いりません。彼女達の演奏には心の闇が含まれていました。その闇があれば、破壊の演奏は完璧な物へとなります」
メドー『そうか……。シュバリエ、お前はいつも私の予想の上を行くもの……信じるぞ』
シュバリエ「ご安心ください。明日……地球の最後を見せてあげましょう」
シュバリエの高笑いがバルガイヤー内に響く。
その様子をモップ片手に見ている男が一人。
かつてはバルガイヤー艦長であったが、度重なる失敗により掃除係へと降格された、ガロア艦長である。
ガロア「精々余裕面こいて、失敗してしまえ〜シュバリエ〜!!」
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:07:16.68 ID:+drJMBu80
音楽室。
攫われる前、学校に宿泊許可を取っていたことが幸いし、唯達がいなくても不審がる者はいない。
様子を見に来た生徒会長であり、唯の幼馴染である真鍋和が不審がったものの、スタジオで練習していると無理やり言い聞かせた。
まぁ、納得はしてないようだったが。
さわ子「……ねぇ、教えてくれない? ファイブマンの事……」
既に深夜となった時間。
目元を真っ赤にしたさわ子は学にそう尋ねた。
別に隠す理由もなく、学はさわ子の向かい側へと座る。
学「すべては、20年前から始まったんだ……」
自分達の両親が死を迎えた星を蘇生させる研究をしており、家族皆で惑星シドンを移住し緑で一杯にしていた最中にゾーンによる襲撃を受けたこと。
両親が子供たちと人工ロボ・アーサG6を自分の命を犠牲にして地球に逃がしたこと。
ゾーンがいずれ地球を攻めてくると考え、ファイブマンとなるべくトレーニングしていたこと。
そして、20年後ゾーンが攻めてきて、地球戦隊ファイブマンとなったこと。
淡々と話す学の言葉を、さわ子は黙って話を聞いていた。
全てが話し終えると、ファイブブレスを握りしめて立ち上がる。
学「父さんと母さんは自分の命もかえりみず必死に俺達を逃がしてくれた。だから、今度は俺達が命の張って、銀河でただ1つの虹の降る星、地球を守る番なんだ」
ファイブブレスは誓いの証。
今までも何度も危険な目に遭ってきた。しかも、学に限っては実際に死んだこともある。
それでも立ち上がり、必ず地球を守ると誓ったのだ。
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:08:01.97 ID:+drJMBu80
さわ子「……昔から不思議な人だって思ってた。友達と遊ぶよりも弟妹を優先させて、休みの日も剣道とか武術ばかり……。友達なんかいらない……そんな感じだったわよね」
あの時の学は必死だった。
小学生ながらもゾーンの恐怖を知り、親の代わりに弟たちを守ろうとしていた。
当然、友達などできなかった。
そんな時、話しかけてくれたのがさわ子だった。
さわ子「……そうか、学君たちがファイブマンだったのか……」
学「さわ子ちゃん、ごめん……。俺達のせいで唯ちゃんたちが」
さわ子「止めて!!」
学の言葉を遮る。
さわ子「謝らないで……学君たちのせいだなんて思ってないし、思いたくないの……だから、謝らないで……」
誰でもいいから八つ当たりが出来れば楽だった。
お前のせいだ、と罵倒が出来れば楽だった。
彼女達は明日のために必死に頑張ってきたのだ。明日は唯達にとっては最後の、梓にとっては先輩達との最後お文化祭なのだ。
なのに、なのに……。
悔しい……。
教師として何もできなかった自分が……。
気づいた時にはさわ子に何かが覆いかぶさっていた。
それは、学の大きな体であった。
学「約束する。彼女達は絶対に助ける。そして、文化祭に間に合わせてみせる。だから、もう自分を責ないで」
さわ子「学君……」
再び涙が溢れ出そうになるのを堪える。
感情が溢れ出しそうになる。
高校に進学して、遠くの学校に行ってしまった学を忘れようとしていたことを……。
音楽にのめり込み、そして、学の事を忘れるために別の男性を好きになったが、自分は……やっぱり……。
あの時、文化祭に誘ったのだって……。
さわ子「約束よ……絶対に、唯ちゃんたちを助けてね」
学「あぁ、分かったよ……」
さわ子「それと……今だけこうさせて……」
学「……」
学の思いは昔から変わってはいなかった。
どうやら彼女の事を大切に思っているらしい……。
だけれども。だからこそ……。
彼女の思いには答えてはならないのだ……。
少なくとも、今はまだ。
学はそれ以上何も言うこと出来なかった。
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:09:15.39 ID:+drJMBu80
翌日。
採掘場。
採掘場に姿を現す、シュバリエとゾーンの幹部達。
そして、コマンドギンと、死の音楽衣装を身に纏った軽音部の5人。
彼等の背後には、ギンガマンが急遽設置したライブステージが出来上がっていた。
シュバリエ「運がいいな、地球人達。なんたって、コマンドギンの死の演奏であの世に送られるのだからな」
ドンゴロス「ほんまでんな。これ、普通なら大金ガッポガポ貰ってもええもんやで」
ビリオン「御託はいい。とっとと始めたらどうだ?」
ドルドラ「死の演奏。聞かせてもらおうではないか」
シュバリエ「我慢弱い奴等だ。コマンドギン、準備はいいか?」
コマンドギン「えぇ、いつでも。最高の天気に、最高の観客。悪いわけないじゃない」
唯達がステージに立つ。
彼女達の腕にはコマンドギンが作り出した楽器が握られている。勿論、その種類は普段使ってるものと同じである。
コマンドギン「さぁ、ここに死の音楽隊による演奏を開幕します。指揮はこの私、コマンドギンが、演奏はこの可愛いお嬢ちゃん達により行われます。では……」
コマンドギンがゆっくりと指揮棒を振るうと、唯達が合わせるように演奏を始める。
楽器から放たれるのは特殊な破壊音波であり、コマンドギンの指揮と合わさる事によりその威力は数倍に膨れ上がる。
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:10:14.09 ID:+drJMBu80
街。
突如として割れる窓ガラス。
次々と爆発していく民家に、地面には亀裂が走る。
「うわっ、何だ!?」
「家が!?」
「何だ!? ゾーンの侵略活動なのか!?」
「でも、何処から!!」
街は一瞬のうちでパニックに陥る。
採掘場から離れた距離のあるこの場所での破壊活動が、まさか音によるものだとは考える者はいなかった。
41 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:11:05.60 ID:+drJMBu80
アーサー『皆、唯ちゃん達を見つけたよ。今から言う地点に向かうんだ!!』
夜通し捜索をしていた、健達4人にアーサーからの通信が入る。
教えられた地点はここからそう遠くはない。
健「よし、行くぞ」
レイ「でも、兄貴は……」
数美「大丈夫、兄さんはきっと来てくれるわ」
文也「……そうだよな、兄貴は絶対に来てくれる」
学の到着を信じて、5人はそれぞれのバイク・ホークアローを飛ばし、採掘場へと向かう。
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:14:39.15 ID:+drJMBu80
アーサー『皆、唯ちゃん達を見つけたよ。今から言う地点に向かうんだ!!』
夜通し捜索をしていた、健達4人にアーサーからの通信が入る。
教えられた地点はここからそう遠くはない。
健「よし、行くぞ」
レイ「でも、兄貴は……」
数美「大丈夫、兄さんはきっと来てくれるわ」
文也「……そうだよな、兄貴は絶対に来てくれる」
学の到着を信じて、5人はそれぞれのバイク・ホークアローを飛ばし、採掘場へと向かう。
ファイブブレスからの通信は学にも届く。
アーサー『学、健達はもう向かってるよ。学も急ぐんだ』
あの後、さわ子は一睡もせずに被服室で何かの制作に取り組んでいた。
その間、学は唯達の無事を祈りながら、荒らされた音楽室の整理をしていた。
学「分かった。俺もすぐに向かう」
通信を切り、音楽室からから出ようとすると、扉の近くにさわ子がいる事に気づく。
さわ子「行くの?」
学「うん、唯ちゃん達を助けに行く」
さわ子「だったら私も連れて行きなさい。あの子達は私の教え子なのよ」
真赤にした目を見開きながら学に迫る。
学「分かった。だけど、絶対に俺から離れないでくれ」
さわ子「分かってるわ」
今気づいたがさわ子は大きな段ボールを持っていた。
それが何であるか聞こうとすると、別の生徒が部屋に入ってくる。
「あっ、先生。唯達は何処にいるんですか? 携帯に連絡しても誰も繋がらないんですけど……何かあったんじゃないですか?」
さわ子「真鍋さん」
和「先生、教えてください。本当は何があったんですか? それに、昨日音楽室の方で爆発音が聞こえたって生徒がいます。もしかして」
さわ子「大丈夫よ。あの子達は絶対にライブまでには来るから。……信じて」
和「……分かりました。ですが、ライブ開始の時間を遅らせるのにも限度があります。だから、絶対に間に合ってください」
さわ子「勿論よ。あ、そうだ、真鍋さん、これ皆に配っといてくれるかしら」
先程から持っていた段ボール箱を和に渡す。
和「これって」
さわ子「それじゃあ、頼んだわよ。行きましょう、学君」
今度こそ音楽室から出る。
ライブまでの時間は、後一時間。
43 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:16:58.90 ID:+drJMBu80
採掘場。
「「うわぁぁぁぁぁ!!」」
「「キャァァァァァ!!」」
採掘場に大きな爆発が巻き起こり、4人のファイブマンはそれにより吹き飛ばされる。
彼等のスーツは既に黒く焼け焦げ、戦いの壮絶さを物語っていた。
シュバリエ「どうした、ファイブマン。いや、今はフォーマンと呼んだ方がいいのかな?」
挑発するかのようにシュバリエが言う。
コマンドギンによる演奏は未だに止まってはいない。
ファイブマンは、シュバリエ、ビリオン、ドルドラ、ザザ、それにギンガマンとバツラー兵に苦戦を強いられていた。
ドルドラ「5人揃わぬファイブマンなど相手ではないわ。死ねっ、ファイブマン!!」
止めを刺そうと近寄ってくるドルドラ。
ファイブブラック「くっ、あの音が……頭が割れるように痛い」
ファイブブルー「まだだ……くっ」
ファイブイエロー「悔しい……私、悔しいわ」
ファイブピンク「皆……頑張って……」
ドルドラ「戯言を、止めだ!!」
最後の一撃が放たれようとした瞬間。
「待てっ!!」
採掘場に力強い声が聞こえてくる。
ブル・ブラック・イエロー「「「兄貴!!」」」
ピンク「兄さん!!」
専用バイク・ホークアイの後ろにさわ子を乗せ、こちらに向かってくるのは学である。
学はバイクを停止させる。
学「さわ子ちゃん、ここから離れないでくれ」
44 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:17:52.22 ID:+drJMBu80
学「ファイブレッド!!」
Vチェンジャーブレスを高く上げ、ファイブレッドへと変身する。
ファイブレッド「ファイブラスター!!」
腰のホルスターに収められていたファイブラスターをドルドラ達に向けて放つ。
ドルドラ「ウワァッ!?」
ドルドラは爆発に巻き込まれ、ファイブマンへの止めを刺す手が止まる。
ファイブレッド「大丈夫か? みんな!!」
ファイブレッド「兄貴、先ずはあの演奏を止めないと……」
ファイブレッド「分かった」
単身、敵に向かって走り出す。
それをみすみす逃すゾーンではない。
シュバリエ「ファイブレッドを通すな。ここで仕留めろ!!」
バツラー兵とギンガマンがファイブレッドに向かって走り出す。
ファイブレッド「ファイブテクター!!」
走りながら肩、肘、腕に強化装備・ファイブテクターを装着する。
この状態のファイブマンは通常の何倍もの力で戦う事が出来るのだ。
ファイブレッド「ふんっ!! とりゃあっ!!」
バツラー兵を次々と倒していき、そのうち一体の肩を踏み台にして高く跳びあがる。
そして、Vソードを取り出し、指揮に夢中となっているコマンドギンへと振り下ろす。
ファイブレッド「Vソード!! アタック!!」
コマンドギン「く、キャアッ!!」
コマンドギンがステージから離れ、指揮が止まったと同時に演奏も止む。
ファイブレッドは唯達のもとへと駆け寄る。
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:19:19.36 ID:+drJMBu80
ファイブレッド「唯ちゃん、澪ちゃん、梓ちゃん、律ちゃん、ムギちゃん……駄目だ、反応が無い」
コマンドギン「無駄だ、ファイブレッド!! この娘たちは、もはや元に戻る事はない。何故だかわかるか? この娘たちの演奏には闇があったからだ」
ファイブレッド「闇だと?」
コマンドギン「そうだ。気づかなかったか、彼女達は文化祭を怖がっていた。これが最後になるなんて嫌だ。皆でもっともっと演奏していたいとな。その闇の部分を私は引き出したに過ぎない。見ろ。こ奴らを、その願いがかなって幸せそうではないか!!」
ファイブレッド「そんな事はない。確かに、別れは怖いものかもしれない。でも、君達の絆はその程度で壊れるものじゃない筈だろう!!」
ビリオン「そこまでだ、ファイブレッド!!」
ファイブレッド「ビリオン!? ぐわぁっ!!」
ビリオンに斬り付けられて、ステージから飛ばされる。
片膝を付くファイブレッドに、他のファイブマンが駆け寄る。
ファイブブルー「兄貴、大丈夫か?」
ファイブレッド「大丈夫だ」
ファイブイエロー「みんなの音楽をそんな事に使うなんて、許せないわ!!」
コマンドギン「黙れ。音楽をどのように使おうが私の勝手だ!!」
シュバリエ「ファイブマン、貴様らの命もここまでだ。コマンドギン、あれを頼む」
コマンドギン「あれか? わかった、それはいい考えだ」
ファイブレッド「何をするつもりだ!!」
答えるより早く、コマンドギンはステージに立ち次の演奏を始める。
その演奏が始まった途端、倒れていたバツラー兵が雄叫びを上げながら立ち上がり、ファイブマンに襲い掛かってくる。
46 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:21:07.06 ID:+drJMBu80
ファイブブラック「何だこいつら? 倒し筈なのに、また蘇りやがった!?」
ファイブイエロー「きゃぁっ!? 何か……凄い強い」
ファイブピンク「気を付けて、さっきより強くなってる!!」
前よりも明らかに強くなっているバツラー兵に苦戦を強いられる。
シュバリエ「どうだ、ファイブマン。音というのは不思議な力を秘めている、この演奏はバツラー兵たちを強化させる演奏だ。この演奏を聴いたバツラー兵はいつもの10倍の力を引き出せるのだ」
ファイブレッド「何だとっ!? うわっ、皆、ファイブテクターだ!!」
「「「「ファイブテクター!!」」」」
レッド以外もファイブテクターを装着する。
これを装着したことにより、何とか攻撃を防ぐことはできているが、力が強すぎる……。
このままでは。
ブゥゥゥゥゥン!! ブゥゥゥゥゥン!!
ファイブレッド「この音は……さわ子ちゃん!!」
ホークアローを猛スピードで走らせ、ステージへと向かうさわ子。
それをも見逃すゾーンではない。
ドンゴロス「あかんな、ここから先は通せんのや。ソロバン爆弾!!」
さわ子の周りで爆発が起こるが、それでもスピードを緩めない。
ドンゴロス「あら? あぁぁぁぁ!?」
そのままのスピードで突っ込み、立ちふさがったドンゴロスを吹き飛ばす。
47 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:21:47.56 ID:+drJMBu80
さわ子「!? キャァァ!!」
ファイブレッド「さわ子ちゃん!!」
馴れない運転のせいで、石に躓き横転する。
肘はすりむけ、服は破け、眼鏡は吹き飛んだがそれでも諦めない。
さわ子「放課後ティータイム!!」
髪を力強く揺らしながらステージに向かって叫んだ。
48 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:22:35.55 ID:+drJMBu80
さわ子「てめーらいつまでそうやってんだよ!! いつまでこんなことやってんだよ!! お前らにとっての文化祭ってのはそんなもんだったのかよ!!」
さわ子「違うだろ!! こんなで終わりじゃねーだろ!! 何のために今まで頑張って来たっていうんだよ!!」
さわ子「田井中律!! てめーは部長だろ!! 部員たちを引っ張らねぇーでどうすんだよ!! お前が率先して、文化祭が終わっても自分たちは一緒だって態度を見せねーといけねぇんじゃねーのかよ!!」
さわ子「秋山澪!! 普段は怖い怖いって言ってるくせに、破壊活動だけはいっちょまえにやんのかよ!! そんな勇気があるなら文化祭で発揮しやがれよ!! このメンバーで成功させてみろよ!!」
さわ子「琴吹紬!! てめーはこいつらとの今までが楽しくなかったていうのか? 違うだろ!! 楽しかっただろ!! こんな事してる場合じゃないだろう!! 文化祭は最高に楽しい!! 私が保証する!!」
さわ子「平沢唯!! てめーはいつもいつも、受験に対しても私の見た中では不真面目な方だったけど、だけど、軽音部でのお前はいつも本気だっただろ!! お茶を飲んでた時も、演奏していた時も!! っ本気の本気だっただろ!! なのに、文化祭にでねーでどうすんだよ!!」
さわ子「中野梓!! 確かに先輩達との文化祭は最後だよ!! だけどな、それで関係が終わるわじゃねーだろ!! お前たちはそんな簡単に途切れる絆じゃねーだろ!! 最後の文化祭を大事にしようとは思えねーのかよ!!」
唯「さ、……わ……ち……ゃん」
律「文か……さい」
澪「さ……いご」
紬「楽……し……か……た」
梓「き……絆……」
コマンドギン「どうした? どうしたというのだ!!」
突如演奏が崩れ始める。ライブで言うなら酷くグタグタな演奏である。
これに焦りを見せたのはシュバリエである。
シュバリエ「その女を黙らせろ!!」
ファイブレッド「させるか!!」
シュバリエ「くっ、ファイブレッド!?」
ボロボロの体でVソードを振りかざす。咄嗟に、自分の剣で受け止めたが動きが封じられる。
周りを見てみると、他の幹部達もファイブマンに喰い止められていた。
ファイブレッドはシュバリエを喰い止めながら、さわ子に向かって頷く。
49 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:23:35.65 ID:+drJMBu80
さわ子「いつまでそんな事してんだよ!! それでいいのかよ!! このままでいいのかよ!! おぉい!! 何か言ったらどうだ!!」
さわ子「皆で文化祭を成功させて、何年経っても出会ったら笑って話せるような思い出にしようじゃねぇかよ!!」
さわ子「お前たちならそれが出来んだろ!! 私はな、おめぇらの顧問だから何度だって叫んでやるよ!! だから、いい加減目ぇ覚ませよ!!」
さわ子「放課後ティータイム!!」
唯「放……か……」
律「……ご……」
澪「ティ……」
紬「タ……イ……」
梓「…………ム」
瞬間、唯達の体を覆っていた黒いオーラが消滅すし、コマンドギンが作り出した楽器が消滅する。
それと同時に、体を覆っていた衣装も消滅し、制服の姿に戻る。
コマンドギン「馬鹿な……何故……?」
この状況に一番驚きを隠せないのがコマンドギンである。
こんな事一度もなかった。
ファイブレッド「今だ!! 必殺!! ファイブテクター!!」
シュバリエ「なにっ!?」
ファイブテクターのエネルギーを全身に纏い炎の塊となり、シュバリエもろともコマンドギンへと体当たりする。
強力な必殺技であるがシュバリエがそれを全エネルギーで防ぎ、威力を中和させたため、コマンドギンには大きなダメージを与える事が出来なかった。
それでも、ステージから引き離すには十分すぎる。
50 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:26:43.85 ID:+drJMBu80
さわ子「みんなぁぁ!!」
唯・律「さわちゃん!!」
澪・紬・梓「「「先生!!」」」
さわ子は唯達へと駆け寄り力強く抱きしめる。
その温もりを感じ、唯達もさわ子を抱きしめ涙を漏らす。
唯「ごめんなさい……ごめんなさ〜〜い!!」
律「ごめ〜ん、私達……グスッ……わたし」
さわ子「もういいのよ、泣かないで……泣くのは文化祭が終わってからでしょう」
指で涙を拭く。
ファイブレッドは彼女達に近づく。
澪「……学さん……」
さわ子「学君、ありがとう……」
ファイブレッド「俺は何もしてないよ、さわ子ちゃんの思いが、そして、彼女達の絆が闇に打ち勝っただけだよ……。それよりも時間が無い。アーサー、スターキャリアーを!!」
ファイブレッドの呼び声と同時に飛んできた、ファイブマンが使う2号ロボであり、宇宙飛行用を可能とする巨大な戦闘機・スターキャリアー。
51 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:30:21.46 ID:+drJMBu80
スターキャリアーはファイブレッドの前に着陸し、中からロボットが出てくる。
アーサー「さわ子ちゃん!! 速くこれに乗るんだ!!」
澪「ひぃ、ロボットが喋った!?」
さわ子「アーサー!? 久しぶり、元気だった?」
アーサー「話は後だ!! 速く!!」
アーサーは久しぶりの再会よりも、速く乗ることを促す。
さわ子「わかったわ。みんな!!」
律「これって、ファイブマンのロボットの……スターキャリアーじゃ……」
紬「これに乗れるなんて夢みた〜い」
梓「なんか、色々とぶっ飛んでますね」
唯「えぇ〜、速く乗ろうよ〜」
それぞれ色々な事を言いながらスターキャリアーに乗り込もうとする途中で気付く。
ファイブレッドのスーツの損傷を。
スーツは黒き焼け焦げ、斬り裂かれ……スーツから滴る血が痛々しい。
いや、ファイブレッドだけじゃない。ほかの4人も同じような状態である。
52 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:31:04.36 ID:+drJMBu80
唯「さわちゃん!! ファイブマンは!? 何で逃げないの!!」
唯はファイブレッドを引っ張ろうとする。
律「唯……無理言うなよ」
澪「そうだ……だってファイブマンは……」
今まではファイブマンの活躍をテレビで見ても何も感じることはなかった。
けれども気づいてしまった。
地球を守る戦士の宿命を……。
どんなに傷ついても、ファイブマンは逃げることはできない……。
平和のために戦い続けなければならない。
唯「だって、だって……」
ファイブレッドは唯の頭を撫でる。
ファイブレッド「唯ちゃん、俺達は大丈夫だ。だから、文化祭を絶対に成功させるんだ」
優しく語りかける。
唯「でも……」
さわ子「さぁ、行くわよ!!」
それでも退こうとしない唯をさわ子が引っ張る。
唯「どうして、さわちゃんは心配じゃないの!?」
さわ子「心配に決まってるわよ……でも、私達がいたら戦えないのよ……」
そして気付いた、さわ子の瞳が赤くなっていることに。
もうこれ以上に何も言えなかった。
ファイブレッド「アーサー。後は頼んだ」
アーサー「分かった」
全員が搭乗するとスターキャリアーが発進する。
ファイブレッドはそれを見送る。窓からは心配そうに見つめる彼女達の姿が見える。
気丈に振る舞い手を振る。
彼女たちが見えなくなるまでは、決して弱い姿を見せてはならない。
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:32:36.61 ID:+drJMBu80
ドガーン!! バーン!!
背後から爆音。
レッドと同じように、傷だらけのスーツを纏っている4人のファイブマン。
ファイブレッド「健、数美、レミ、文也、大丈夫か?」
ファイブブルー「何とか……まだ大丈夫……かな?」
ファイブイエロー「でも……」
彼等の視線の先には、銀帝軍ゾーンの幹部達の姿が。
シュバリエ「くっ、己……ファイブレッド……やはり、我がライバルとして十分な奴だ」
必殺・ファイブテクターを受けたシュバリエは暫くの間動く事が出来なかったが、どうやら持ち直したようである。
シュバリエ「だが、お前たちは眠れる獅子を起こしただけにすぎんのだ」
ファイブレッド「なに?」
シュバリエの隣には、ファイブレッドの技により破壊されてしまった楽器を身に纏ったコマンドギンの姿が。
その体は、怒りオーラに包まれていた。
コマンドギン「よくも、私の演奏を邪魔してくれたな!! 貴様らは殺す、殺して、貴様らの骨を楽器の一部としてくれるわぁ!!」
コマンドギンだけではなく、それぞれの武器を構えるビリオン、ドルドラ、ザザ、ついでにドンゴロス。
シュバリエ「ファイブマン、今日こそお前たちの命日となるのだ!!」
ファイブレッド「負けるものか!! 行くぞ!!」
ボロボロの体を動かしてゾーンの怪人たちに向かっていった。それが勝ち目のない戦いと知りながら。
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:33:55.59 ID:+drJMBu80
―桜が丘高校・講堂。
生徒会「会長、もうこれ以上軽音部を待つことは無理ですよ」
和「分かってるわ……でも、後ちょっとだけ待って、唯達は……今年が最後の演奏なのよ」
生徒会「それは、そうですけど……でも、もう時間が」
和「そう。だから、軽音部が今やらないと本当に中止になっちゃうの。だから、もうちょっと待って」
既に講堂はたくさんの生徒で賑わっている。
和は時計を見る。既に十分開始が遅れている。
こちらではさわ子に頼まれた全てを済ませたというのに……いったい何を。
唯「あぁ!! 和ちゃん!!」
澪「はぁ……はぁ、何とか間に合ったかな?」
梓「やっぱり、音楽室に戻ったのが……はぁ、不味かったんじゃ、はぁ……ないですか?」
紬「でも梓ちゃん、このTシャツとか、さっきの決意表明とかよかったじゃない」
律「うぉっ、もう楽器がセットしてある!? ついでに、まだ大丈夫だよな?」
遅れて舞台裏にやって来た放課後ティータイム。
先程、スターキャリアーから降りた後、音楽室へと戻り、そこでさわ子から受け取ったお揃いのシャツを着ている。
和「みんな、遅刻よ。早く初めて」
律「りょーかい」
唯「ありがとうね、和ちゃん」
和「いいから早く」
全員それぞれの位置に着く。
これで準備は万全である。和は幕を上げるように指示する。
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 09:34:42.52 ID:+drJMBu80
『大変長らくお待たせしました。ただいまより、桜高祭のメインイベント放課後ティータイムによる演奏です』
律「ハードル上げるなよ、和〜」
歓声と拍手と一緒にゆっくりと幕が上がる。
彼女達が最初に驚いたのは自分達と同じTシャツを着ている生徒たちの姿であった。
唯「なに、なにこれ〜?」
梓「みんな、私達と同じTシャツ着てる」
律「もしかして、さわちゃん!?」
さわ子の方を見てみると、Vサインを返してきた。
それで分かった。さわ子は自分たちが帰ってくるのを信じていた。
だからこそ、Tシャツを配るように頼んでいたのだ。
さわ子が無理に笑顔を作っていることが分かる。
ゾーンと今も戦っているであろう、ファイブマンの事を思っているのだ。
自分達に出来る事は……。
律「唯……一曲目、変更だな」
澪「そうだな、先ずは予定になかったけどあれからだな」
紬「こういう土壇場の変更って何かいいわよね」
梓「いいんじゃないですか……私達らしくて」
唯「うん、じゃあ、行くよ」
唯「皆さん聞いてください。実をいうと、今日私達はある人達に助けれられました!!」
「助けられたって?」
「いったい何の話なんだろう?」
「お姉ーちゃん。何があったんだろう。怪我とかしてないかな?」
唯「今もその人たちは私達、ううん、地球のために戦っています。どんなに傷ついて、倒れても、何度でも立ち上がって」
さわ子「あの子達……何をする気なの?」
56 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/02/08(金) 10:28:01.99 ID:n0d1z+3Y0
前にゴーカイ×アイマス書いてた人?
57 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 12:34:30.60 ID:+drJMBu80
>>56
いいえ別人です。
ただ、あの作品と同じで一話の放送時間を意識して作っております。
唯「いろいろ考えたんですけど、私達に出来る事は歌を送る事だと思います。よかったら、皆も一緒に歌ってください!!」
「勿論だよ〜、唯」
「澪先輩と一緒に歌えるなんて〜」
「がんばれ〜放課後ティータイム!!」
唯「それでは、一曲目行きます!! 地球戦隊ファイブマン!!」
曲名を言うと、それぞれ頷きあい確認する。
律「1,2,3,4!!」
唯「1・2・3・4・5!! ファイブマーン!!」
58 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 12:35:30.45 ID:+drJMBu80
採掘場。
爆音が響き渡り、地面に叩き付けられる5人。
それと同時に、ファイブマンの姿が維持できなくなり、変身が強制的に解除してしまう。
もはや、目を開く力さえ残っていない。
シュバリエ「ここでお終いだな……ファイブマン。どれ、止めは俺が刺してやる」
―危険に今、命を張れ!! 地球が危ない!!―
学「……聞こえる……」
健「この歌は……」
―銀河でただ1つきりの 虹が降る星―
レミ「唯ちゃん……ううん、もっと沢山の声」
数美「不思議……力が湧いてくる」
文也「……もう一度戦える……」
59 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 12:36:39.68 ID:+drJMBu80
「「「「「うぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」」」
シュバリエ「何だ!? この光は!!」
光に包まれながら立ち上がる5人。
眩い光が辺りを包むと、体の傷が癒え、自然とファイブマンへと変身が完了する。
「地球戦隊!!」
「「「「「ファイブマン!!」」」」」
スーツの傷も消え、力強く名乗りを上げる。
シュバリエ「馬鹿な、何故再び立ち上がれる!?」
ファイブレッド「分からないのか? 歌が聞こえたんだ」
シュバリエ「歌だと……そんなもの聞こえないではないか?」
ファイブレッド「いや聞こえる、俺達を応援する歌が。それが、俺達に力を与えたんだ!!」
ファイブイエロー「どんなに離れていても、私達を思う声は聞こえるのよ.!!」
突然のファイブマン復活にうろたえるゾーン。
ファイブレッド「行くぞっ!!」
ゾーンに向かって走り出す。
シュバリエ「怯むな、やれ!!」
60 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 12:37:07.09 ID:+drJMBu80
―奇跡の絆で―
ファイブイエロー「メロディタクト!! はぁ!!」
ザザ「うわっ!!」
華麗なカンフー技から流れるように、メロディタクトでの攻撃。
ギンガイエローとザザをタクトのリボンで捉える。
ファイブイエロー「メロディパワー!!」
ザザとギンガイエローはリボンから流れるエネルギーを浴びる
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 12:37:36.24 ID:+drJMBu80
―結ばれた―
ファイブピンク「キュティサークル!! サークルフィニッシュ!!」
得意のフェンシングを応用した必殺技をドルドラとギンガピンクに浴びせる。
62 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 12:38:51.44 ID:+drJMBu80
―熱い熱い 熱い炎を 上げろ―!!―
ファイブブラック「スピンカッター!!」
ビリオン「ぐぉっ……」
パワーカッターから繰り出される円盤状のカッターがビリオンやギンガブラック、それにバツラー兵を襲う。
63 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 12:40:04.65 ID:+drJMBu80
―Wow Wow Wow マイブラザー―
ファイブブルー「ツインアレイ!! ハァッ!!」
シュバリエ「何だ、この力は……?」
バク転からのツインアレイにより力強い一撃がシュバリエに決まる。
続けざまに宙返り気味の足蹴りが浴びせられシュバリエは吹き飛ぶ。
ファイブブルー「お前もだ!! とりゃっ!!」
続けざまにギンガブルーにも喰らわせる。
戦車さえも破壊する威力のそれを喰らっては、銀河闘士と言えども一溜りはなかった。
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 12:41:43.04 ID:+drJMBu80
―Wow Wow Wow マイシスター―
ファイブレッド「はぁっ!! とりゃっ!!」
Vソードでギンガレッド、ドンゴロスを斬る。
コマンドギン「己ぇ、貴様さえ邪魔しなければ!! ピック爆弾!!」
怒りに任せ、ピック爆弾を繰り出すがVソードで全て弾かれる。
65 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 12:44:12.48 ID:+drJMBu80
―救えよ 美しい 星の命を―
ファイブレッド「Vソード!! アタック!!」
コマンドギン「ぬっ、うわぁァァァァァァ!!」
咄嗟に指揮棒状の剣で受け止めたが、今のファイブレッドのパワーはそれさえも破壊してコマンドギンの体を斬り裂く。
切り傷から火花があふれ出る。
66 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 12:47:11.26 ID:+drJMBu80
―Wow Wow Wow マイブラザー Wow Wow Wow マイシスター―
ファイブレッド「スーパーファイブボールだ!!」
「「おぉ!!」
「「OK」」
何処からもなく取り出したのは赤いボール状の爆弾である。
ゾーンの幹部はその威力を知っているからこそ、一歩下がるが、怒りに身を任せたコマンドギンは突っ込んでくる。
コマンドギン「おのれぇぇぇ!! ファイブマァァァァァァン!!
67 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 12:47:44.30 ID:+drJMBu80
―守れよ その愛で 大切な人を―
ファイブレッド「行くぞ!! 健!!」
まずはファイブブルーに向かって投げる、ファイブブルーはそれを受け取る。
ファイブブルー「数美!!」
続いてはファイブピンクに。
ファイブピンク「レミ!!」
次はファイブイエロー。
ファイブイエロー「任せたわよ、文也!!」
続いてはファイブブラック。
ファイブブラック「よっしゃぁ!! 兄貴!!」
5人のエネルギーが充電されたファイブボールを構える。
68 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 12:49:54.48 ID:+drJMBu80
―大切な 人の未来を Wow Wow Wow―
ファイブレッド「とっりゃあぁっ!!」
最後にファイブレッドがファイブボールをコマンドギンに向かってぶつける。
69 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 12:50:37.58 ID:+drJMBu80
―1・2・3・4・5―
コマンドギン「う、うわぁぁぁぁァァァァァァ!?」
レッドが正面へと振り返ると、背後でコマンドギンが大爆発を起こす。
―地球戦隊 ファーイブマーン!!―
銀河の死の指揮者・コマンドギンにファイブマンが勝利したのであった。
70 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 12:51:20.35 ID:+drJMBu80
ュバリエ「まだだ、黒ゴルリン!!」
シュバリエの声と同時に採掘場へと発してくる黒の巨大ロボット。
それは、本来なら銀河闘士を窮して巨大化するロボットであるが、シュバリエがその能力を廃棄し、戦闘面に強化されたゴルリンである。
そもそも、コマンドギンが爆発してしまった時点で吸収は不可能なのであるが……。
ファイブレッド「ファイブロボ!! 発進!!」
レッドの声と同時に飛んできたのは、ファイブマンが操る巨大マシン・ファイブロボである。
本来は、3つのマシンがトリプルジョイントして合体するのであるが、今回は合体してからの登場である。
ファイブマンはファイブロボに乗り込む。
71 :
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[saga]:2013/02/08(金) 12:52:24.88 ID:+drJMBu80
ファイブロボと黒ゴルリンが対面しながら構える。
先に動いたのは黒ゴルリンの方であり、肩のバルカンから無数の弾丸を飛ばすが、ファイブロボはそれを横に飛んで避ける。
そして、逆に両腕に装備されたツインカノンを黒ゴルリンに放つ。
ツインカノンが直撃してしまった黒ゴルリンはよろけてしまう。
ファイブレッド「今だ、超次元ソード!!」
異次元空間から現れたのは、ファイブロボの専用武器である・超次元ソード。
超次元ソードを構えながら走りだし、黒ゴルリンを斬る。
ファイブレッド「正義の剣を受けてみろ!!」
全エネルギーを開放して超次元ソードを黒ゴルリンへと振り下ろす。
必殺技を受けた黒ゴルリンの体から火花が生じる。
シュバリエ「くっ、撤退だ!! 黒ゴルリン!!」
シュバリエの言葉を受けて、黒ゴルリンは逃げるように去っていく。
シュバリエ「おのれぇ、ファイブマン。次こそは」
シュバリエ達も姿を消す。
72 :
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[saga]:2013/02/08(金) 12:53:21.72 ID:+drJMBu80
桜が丘高校。
コマンドギンを倒すと、学達は急いで講堂へと向かった。
文也「もう、終わったんじゃないのかな?」
レミ「大丈夫よ、きっとまだ」
学「よし、入るぞ」
講堂の扉を開けた瞬間、大きな歓声が響き渡った。
唯「みんな、次が最後の曲です。聞いてください!!」
「えぇ〜、もっと聞かせてよ〜」
「まだ終わらないで〜」
唯「ごめんなさい。私達もまだやりたいんですけど、これが最後なんです!! だから聞いてください。最後の曲は……」
その時、唯と学達の視線が合う。
学が笑顔で手を振ると、唯は嬉しそうに笑う。いや、唯だけじゃなく、律たち他の部員も同じであった。
唯「U&I!!」
大歓声に包まれる講堂で最後の演奏が始まる。
学達はその演奏を嬉しそうに聞き続けた。
73 :
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[saga]:2013/02/08(金) 12:58:41.66 ID:+drJMBu80
ライブ終了後。
ライブが終了し、講堂では楽器の片づけが始まる。
学達はこっそりと舞台袖に上がる。
そこでは、さわ子が待っていた。
さわ子「おかえりなさい。どうだったあの子達の演奏?」
学「とっても良かったよ。唯ちゃん達は?」
さわ子「部室に言ったわよ。最後の文化祭だしね……今はあの子達だけにした方がいいわ」
学「そうだな……」
袖口にドラムなどの楽器を運ぶ運営委員の生徒達。
健は彼女からドラムセットを奪うように取る。
健「こういうのは男たちの仕事。健先生に任せなさい」
女子生徒「で、でも……部外者に……」
さわ子「大丈夫よ。この人たちは私の知り合いだから。それに、安全も保障するわよ。みんな、先生だしね」
健「そうそう、そういうこと。音楽室まで運べばいいの?」
女子生徒「え、はい」
重いはずのドラムセットを楽々と持ち上げながら音楽室へと向かっていく。
流石、体育の教師だけはある。
74 :
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[saga]:2013/02/08(金) 13:01:52.71 ID:+drJMBu80
学「俺達も手伝うよ。これをどこに」
文也「あぁ!! 兄貴はいいって。さわ子姉ちゃんとちょっと話してきなよ」
学「でも……」
文也「いいから、いいから」
レミ「さわ子お姉ちゃんも!! ほらっ!!」
さわ子「ちょっと、止めなさいよ」
和「だったら、文化祭を回ってはどうでしょうか? といっても、どこも片づけだともいますけど。展示品などは見れると思いますよ」
さわ子「真鍋さんまで!?」
数美「いいじゃないですか。行ってきてくださいよ」
女子生徒「そうですよ、先生」
運営委員「これが最後のチャンスかもしれませんよ!!」
弟や妹、それに和率いる女子生徒にも後押しを受けて学とさわ子は講堂から追い出される。
75 :
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[saga]:2013/02/08(金) 13:03:38.69 ID:+drJMBu80
外に出たはいいが何をするべきか……。
学「取り敢えず、少し見て回ろうか……」
さわ子「それじゃあ、エスコート……お願いできるかしら」
学「勿論」
外の展示品を見て回る。
和の言っていた通り、もう終わりの時間のためどこも片づけに入っているが……それでも展示品は見て楽しむ事が出来た。
どれも、生徒の努力と思いでの結晶である。
見ていて、それが感じられる。
ただ気になった点は、やたら生徒たちの視線が2人に集まっていたことであるが……。
ついでに、これは運営委員の生徒がメールで『山中先生に彼氏が!?』と送ったからであるが、それを知るのはもう少し先の話である。
何分くらい見て回ったのか……。
時間にすると30分も回ってはいない。
それでも、時間が永遠に感じられた瞬間だった。
腕時計を確認する。
もうそろそろ、音楽室に向かった方がいいだろう。
76 :
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[saga]:2013/02/08(金) 13:04:39.00 ID:+drJMBu80
学「そろそろ、行くんだろ?」
学もそれは分かっているようだった。
音楽室には学は行かない。あくまで学は部外者である。行くのは顧問である自分一人だ。
別れる前に言いたいことがあった。これだけでも言わなければならない。
さわ子「あの子達ね、あなた達の為に一曲歌ったのよ。そりゃあ、予定になかった演奏だから、音が外れたりして酷かったけど……ちゃんと聞こえたかしら?」
学「聞こえたよ、その演奏が聞こえたから俺達は勝てたんだ」
さわ子「あら? そんな夢みたいな話し、本当かしら?」
学「本当だよ。みんなの思いが届いたよ。皆に、ありがとうって伝えといてくれないか?」
さわこ「貴方が自分で言いなさいよ」
そう言われると学は、頭を下げる。
学「駄目だよ。俺達と一緒にいるとまたゾーンに狙われるかもしれない。だから、会わない方がいいんだ」
さわ子「……そうよね、あなた達はヒーローだものね」
唇を噛みしめる。
わかっていたのだ、彼等が自分達と違う世界に生きていることを……。
恐らく、もう会えないだろうということを……。
さわ子「それじゃあ、さようなら」
背を向けて歩き出す。
もう振り返りたくはなかった。
77 :
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[saga]:2013/02/08(金) 13:06:10.59 ID:+drJMBu80
学「あの、さわ子ちゃん!!」
大声で引き止める。
さわ子は振りかえらない。
学「もし……全部が終わったら、また会いに来てもいいかな? 今度は、伝えたいことがあるんだ!!」
世界が止まったように感じられた。
自分勝手だとはわかっている。だけれども、それも手放したくはなかった。
さわ子「……約束だからね」
それだけ言い残すと、さわ子は音楽室に向かって走り出す。
学は嬉しそうに頷いた。
健「いや〜、兄貴がまさか告白するなんてな〜」
数美「本当、驚いたわ」
学「み、皆……見てたのか?」
文也「う……えぇと……まぁね」
レミは「悪気はなかったのよ。でも……」
申し訳なさそうに言う5人。
学はそんな彼等の姿を見て笑顔になる。
78 :
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[saga]:2013/02/08(金) 13:07:06.38 ID:+drJMBu80
学「さぁ、皆、帰ろう。ゾーンとの戦いはまだ終わっていないんだ」
夕陽に向かって歩き出す。
ファイブマンの戦いはまだ終わってはいない。平和になるその日まで、戦えファイブマン。
ゾーンの野暮を打ち砕き、地球に平和をもたらすのだ。
数か月後。
ゾーンとファイブマンによる最後の闘いがあった。
激戦の末バルガイヤーを破壊し、長き戦いに勝利したファイブマンは、使命を終え両親の待つ星へと旅立った。
そんな、情報がさわ子の耳にも入った。
79 :
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[saga]:2013/02/08(金) 13:09:02.69 ID:+drJMBu80
1年後・2月。
―桜が丘高校・音楽室。
『危険に今、命を張れ、地球が危ない!! 銀河でただ1つきりの虹が降る星〜♪』
純「う〜ん……」
菫「あれ、何見てるんですか?」
純「いや〜さ、澪先輩たちの最後の文化祭のDVD見つけたんだけどさ。なんで、一曲目に澪先輩達らしくない演奏をしたのかなって?」
憂「でも凄かったよね。皆その歌知ってたから会場全員で歌ったよね」
純「そうだけど〜。うーん。ねぇ、梓、この時って本当に何があったの? 梓達は遅れてくるし、一曲目はこんなんだし」
梓「えぇ〜と、それは秘密かな。やっぱり、それは言えないよ」
純「えぇ〜、なんで〜。いいじゃん。それじゃあ、憂は何か知らない? 唯先輩が何か言ってなかった?」
憂「うーん、私も分からないんだよね。お姉ちゃんは文化祭からファイブマンの大ファンになってたけど」
純「大ファンか〜。何となく、ファイブマンの活躍を嬉しそうにはしゃぐ唯先輩の姿は想像できるけど……まぁ、私はジェットマンの方が好きだけどね、戦う女性ブルーとか最高じゃん」
菫「え、えっと、私はターボレンジャーです。なんか、レッドが格好良くて……」
純「へぇ〜、レッド派か〜。直は?」
直「サンバルカンですね。3人っていうのが斬新で素晴らしいと思います」
純「サンバルカンって渋っ。私そこら辺よく分からないんだよね……なんだっけ、1+2……」
直「サンバルカンです。レッドの動きが途中から変わったんですよ、今まで日本刀なんて使わなかったのに急に」
純「あぁ。わかった、わかった。憂は?」
憂「う〜、わたしもお姉ちゃんと一緒でファイブマンかな。なんか、好きになっちゃって」
純「梓もファイブマンだよね。ってことは、梓と憂以外バラバラか〜」
梓「勝手に決めないでよ」
純「違うの?」
梓「……合ってるけど……」
80 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 13:09:34.35 ID:+drJMBu80
純「あっ、そういえばさ、この文化祭の時期にさ、山中さわ子先生・結婚かっ!? って噂が流れたよね」
梓「!? ……っ、ケッホ、ゲッホ……」
憂「大丈夫、梓ちゃん?」
菫「え、え、まさか私のお茶が不味かったんじゃ」
梓「いや、そうじゃくて」
純「でもさ、結局結婚はしてないし……やっぱり噂だったのかな〜? う〜ん」
そんな事を話していると、音楽室の扉が開く
さわ子「おい〜す。あら、また憂ちゃん達来てるのね」
憂「えへへ、お姉ちゃんたちもよく部室に通ってたから、私達もって思って」
さわ子「いいわね〜。大学も決まって、後は卒業するだけで……私なんか大変よ」
直「担当クラス持ってないのにですか?」
さわ子「うっ、それはそうだけど。卒業が近くなると何処の先生も大変なのよ!!」
菫「先生、お茶です」
さわ子「ありがとう、菫ちゃん。あら? その映像って」
純「あぁ、これですか。去年のライブのDVD見つけて流してたんですよ。さっきまで何で一曲目がファイブマンなのか、梓に聞いてたんですよ」
さわ子「去年の……そうね」
梓「し、しまった」
明らかに、後ろに真っ黒なオーラが見えるほど暗くなる。
もっと早くにこの話題を止めるべきだった
81 :
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[saga]:2013/02/08(金) 13:10:26.92 ID:+drJMBu80
さわ子「ファイブマン……色々あったわよね……。色々」
梓「(や、やばい。先生がどんどん……)え、えっと、そ、それよりも、今日は皆でどこか行かない。ほら、時間もあるし」
純「おっ、梓から誘うなんて珍しいじゃん。行く行く、憂達も来るよね」
憂「うん、あんまり遅くならなければ大丈夫だよ」
菫「私も……遅くなりすぎなければ」
直「夕飯に間に合えば大丈夫です」
梓「だったら、行こう。一刻も早く行こう。せ、先生はどうします……?」
さわ子「私はいいわよ。楽しんでらっしゃい」
梓「そ、それじゃ行こう。速く、速く……」
菫「でも、カップの片づけが……」
梓「明日で大丈夫だから、はやく」
純「分かった分かったって、なんか、今日の梓、やけに怖いんだけど……」
先生さようなら〜の声とともに出ていく部員達。
それを確認すると、さわ子は大きく溜息を吐く。
さわ子「そんなに、気を使ってくれなくてもいいのに」
82 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 13:11:18.22 ID:+drJMBu80
ファイブマンが地球を去ったという噂を聞いた時、それが信じられずにさわ子は再建されたニュータウン小学校まで赴いた。
そこの生徒たちに学の友人であることを話すと、噂通り両親の待つ宇宙に旅立ったということを聞いた。
ショックだったが、まだ学を待っている自分がいる。
いつか迎えに来てくれるということを信じていた。
さわ子「なんていってる間に一年が過ぎたんだけどね〜」
溜息を吐きながらDVDを最初から再生しなおす。
ファイブマンの歌がやたら胸を締め付けた。
83 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 13:11:52.46 ID:+drJMBu80
夜。
帰り道。
さわこ「うぅ〜、寒い。ガソリン代高騰で節約の為に歩いてきた来たけど、失敗だったかしら……」
手袋とマフラーをしっかりと付け直しながら呟く。
最近、独り言が多くなったような気がする。
さわ子「年は取りたくは……ん、あれって?」
さわ子の目の前ではこんな時間まで遊んでいたであろう女子高生の姿が。
だが、何か可笑しい。
まるで、誰かに追われているような……。
「た、助けて……」
「だ、だれか……」
グリナム兵「黙れ、地球人ども。貴様らはここで死ぬのだ」
さわ子「あれって、バイラム!?」
バイラムとは、ゾーンに代わって地球制服を宣戦布告してきた組織である。
その作戦も次第に激しいものへとなっているらしい。
84 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 13:12:28.00 ID:+drJMBu80
その下端であるのがグリナム兵である。
近くに、ボスらしき次元獣は見えないので、戦闘員だけらしいが。
教師として、生徒のピンチを黙って見過ごせない。
近くにあった、石を思いっきり投げつける。
グリナム兵「誰だ!?」
さわ子「あら、ここよ。丁度いい的があったから投げたくなっちゃったの」
グリナム兵「何だと、貴様。バイラムに逆らうのか」
さわ子「あなた達、速く逃げなさい!!」
叫ぶより早く彼女達は既に逃げていた。
桜が丘の生徒ではなかったが……もう少し、躊躇う姿を見せても……。
グリナム兵「まずは、お前だ!!」
握りしめていた武器から弾丸を発射する。
普通の人間であるさわ子に、それを避ける術などはない……。
さわ子(あぁ、死ぬんだ、私)
不思議と恐くはなかった。
後悔はあったが……。
85 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 13:14:38.90 ID:+drJMBu80
「Vソード!!」
刹那。
何かがさわ子の目の前に立ちふさがり、弾丸を叩き落とす。
体にVの模様を刻んでいる赤き戦士。
赤き戦士はグリナム兵に向かって走る。
「Vソードアタック!!」
敵が反応するより早く、グリナム兵が爆発する。
赤き戦士は変身を解き、さわ子に向かって歩いてくる。
さわ子「遅いじゃないの、ずっと待ってたんだから」
学「ごめん……やっと全部終わったんだ。行方不明だった父さんと母さんに会って、宇宙の色々な星を再建させてた。時間はかかったけど、父さんに怒られてさ。教師を放り出すとは何事かって」
照れたように笑う。
生徒を置いてきて、女性まで置いて来て何事だ、とどやされた。
学「俺達兄妹は、もう一度地球で教師をやる。だから……えぇ……と」
恥ずかしそうに言葉が詰まる。
さわ子はそんな姿を見て笑う。
86 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 13:15:22.46 ID:+drJMBu80
学「取り敢えず、今度うちの両親に会ってみないかな? 多分、2人共さわ子ちゃんのこと気にいるんと思うんだ」
さわ子「あら、そこで一年以上放ったらかしにされたっていってやろうかしら」
学「はは、勘弁してくれよ」
2人で笑う。
そして、次第に抱きしめあった。
さわ子「もう、放さないでよ」
学「勿論……」
その数か月後、盛大な結婚式が開かれた。
放課後ティータイムとわかばガールズの合同ライブや、覚醒したさわ子率いるデスデビルのライブで会場が盛り上がったり。
と、沢山のハプニングはあったが……。
それは、また別の話。
87 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2013/02/08(金) 13:19:37.43 ID:+drJMBu80
一応これで本編は終了です。
個人的には本当に『地球戦隊ファイブマン』は良作だと思うんですよね。
色々と新しい要素も入れてましたし、何よりも本当にレッドが死んだ話には衝撃を受けました。
少しでも多くの人がファイブマンを知ってくれると幸いです。
番外編は希望があればやります。
88 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/02/08(金) 13:32:00.52 ID:3QwDgzUt0
乙でした。
もし、また戦隊×けいおんを書くのであれば、これとは別の世界観、高校生繋がりでターボレンジャー、メガレンジャー、マジレンジャーのうち、いずれかとのクロスを希望します(マジレンは魁が高校生だったので)。
89 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/02/09(土) 22:54:00.92 ID:qPjwqJqQ0
<<88
ありがとうございます。
高校生戦隊ってブルースワロー、ブルーマスクとか以外に多いんですよね。
機会があればまた書きたいと思います。
今回はありがとうございました。
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[ Aramaki★
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