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途方もない旅の前に勇者が文句をたれはじめたようです。 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 02:10:51.79 ID:mByT71Y60
勇者「魔王討伐って…俺この間まで椎茸栽培してたんだが」

女賢者「御告げがあった以上あなたが勇者様です」

勇者「誰の御告げだよ。そもそも何基準だよ。代々椎茸の栽培を生業にしてきた奴は勇者ってか」

女賢者「そんな事はありません。先代の勇者様はプチプチをひたすらダンボールに詰めるお仕事をなされていたとか…」

勇者「もう何でもいいんだな」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1360516251
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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 02:12:25.55 ID:mByT71Y60
 

勇者「大体、討伐って言葉自体もう野蛮だよな」

女賢者「はい?」

勇者「魔王だよ魔王。俺はじめから乗り気じゃなかったんだよねー。暴力とか嫌いなタイプだし」

女賢者「なに言ってるんですか!魔王を倒さなければ世界が――」

勇者「どうなるんだよ?」

女賢者「えと…こ、壊れます!こう…ドカーンと!」

勇者「……」

女賢者「な、なんですか?その目は」

勇者「いや、なんでもない」

女賢者「あーっ、いま絶対馬鹿にしましたね!?」

勇者「してないって」

女賢者「絶対してましたよ…うぅ」

勇者「そんなことより何かないか?魔王と戦わず、平和的に治める方法」

女賢者「そんなことって…。ぐすっ…そんなの無理ですよ…魔王が善人にでもならない限り、誰も納得…」

勇者「それだ!」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 02:13:41.17 ID:mByT71Y60
 

女賢者「へ?」

勇者「魔王を更正させるんだよ!誰もが納得するようなイイ奴に!」

女賢者「えぇっ?…無理に決まってるじゃないですか!魔王が私達の言う事を聞くわけ…」

勇者「問題ない。奴を…魔王を俺が落とす」

女賢者「落とす?」

勇者「惚れさせるんだよ、俺に。魔王と言えど感情がないわけじゃないんだ。好きな相手の言うことなら聞くだろ」

女賢者「えぇぇぇっ…で、でも、魔王が男だったらどうするんですか!?」

勇者「その時はお前が落とせばいいだろ。男は単純だからな…俺が魔王の好みの属性を見抜いて、ちゃーんとお前にアドバイスしてやるから安心しろ」


女賢者「そんなあ…」

勇者「よし、そうと決まれば魔王城へ急ぐぞ!フッ、待ってろよ魔王!必ず攻略してやるからなっ…だーっはっはっはっ」

女賢者「はぁ、もう嫌…」

 
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 02:14:48.52 ID:mByT71Y60
 

勇者「くそっ、どんだけ人を歩かせれば気がすむんだ!マップにアイコンくらい表示しとけ!」

女賢者「あのー…勇者様?」

勇者「なんだよ!」

女賢者「私達、囲まれてるみたいなんですけど…」


まものが あらわれた!

キラーマシン
グレートドラゴン
サイクロプス


勇者「おい…心なしか、とてつもなく強そうな顔ぶれじゃないか…?」

女賢者「それは一直線に魔王城へ向かってますからね」

勇者「『向かってますからね』じゃねぇ!俺達のレベルって…」

女賢者「ここまで奇跡的なまでに敵と遭遇しなかったので1のままです」

勇者「……」

女賢者「……」

勇者「逃げるか」

女賢者「ですね」

ゆうしゃは にげようと した
しかし まわりこまれてしまった!
キラーマシンのこうげき

勇者「ちょ、待て!話せばわk――ぐはぁっ」ザシュッ

ゆうしゃに85のダメージ
ゆうしゃは しんでしまった

女賢者「いやああああ」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/11(月) 02:16:30.66 ID:J4BXGxOAO
期待
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 02:19:18.12 ID:mByT71Y60
 

【はじまりの町・お城】

王「おお、勇者よ…死んでしまうとは情けない」

勇者「情けなくて悪かったな…くそ!」

ガチャッ

女賢者「はい、失礼します――――あ、勇者様!よかったぁ、生き返られたんですね」

勇者「当り前だ、勇者だからな。それにしても災難だった。まさか、あんな所で死ぬ羽目に――」

王「おお、勇者よ…死んでしまうとは」

勇者「情けないんだろ!?わかったっつの!」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 02:21:16.15 ID:mByT71Y60
 
女賢者「これからどうします?」

勇者「どうするも何も俺は考えを変えるつもりはない」

女賢者「えー…もう普通にいきましょうよ?」

勇者「断る!だが今のままじゃ駄目だな。とりあえずレベル上げするぞ」

女賢者「はぁ…わかりました」

……。
………。

――1時間後――

勇者「ずりゃあ!」

ゆうしゃの こうげき
スライムに11のダメージ
ゆうしゃは まものを たおした
7のけいけんちを てにいれた

女賢者「はぁ、はぁ…これじゃあキリがないですね」

勇者「そうだな…場所を変えるか。あそこに見える橋まで行こう。きっと、あそこなら丁度いい敵が居るだろ」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 02:22:55.09 ID:mByT71Y60
【町はずれの橋】

まものが あらわれた

グレートドラゴンA
グレートドラゴンB
グレートドラゴンC

勇者「いや、おかしいだろ!」

女賢者「ふえぇん…こんなの無理ですよぉ」

勇者「バカっ、泣いてる場合か!ちゃんと前を―――ッ、危!」

グレートドラゴンAのこうげき
ゆうしゃは けんじゃを かばった

勇者「がふっ」

女賢者「勇者様!!」

ゆうしゃに138のダメージ
ゆうしゃは しんでしまった

女賢者「いやああああ」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 02:24:42.24 ID:mByT71Y60
【はじまりの町・お城】

王「おお、勇者よ…死んでしまうとは情けない」

勇者「俺もそう思う」

女賢者「勇者様ぁ」ギューッ

勇者「ちょ、なんだ!抱きつくな!」


女賢者「だって…私のせいで…ぐすっ」

勇者「まったくだ。これに懲りたら戦闘中はもっと気を張れ。お前の代わりはいくらでもいるが、目の前で死なれたら流石に寝覚めが悪いからな」

女賢者「……」ポケー

勇者「?なんだ、俺の顔に何かついてるのか?」

女賢者「い、いえ!なんでもないですっ」アタフタ

勇者「?……!お前まさか!?」

女賢者「なななんですかっ?」

チャラララッチャッチャッチャーン
ゆうしゃは けんじゃの ふらぐを たてた

勇者「やっぱそうかよ!」

女賢者「えと…その…勇者様?」

勇者「さっきの台詞か…いや、かばったのがマズかったのか……くそっ、お前なに惚れてんだよ!ルート確定しちまったじゃねぇか!」

女賢者「ほほ惚れてなんかないですよ!それは、庇ってもらったのは嬉しかったですし、さっきの台詞もちょっとカッコイイなって思いましたケド…だからって、いきなり――」

勇者「…賢者、好きだ」

女賢者「ふえ…?わ、わたひも――」カァァッ

勇者「動揺しまくってんじゃねぇかよ!!」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 02:26:26.89 ID:mByT71Y60
 

勇者「攻略対象キャラなら最初に言え!」

女賢者「そんなのわからないですよっ」

勇者「チッ、てっきり本編では攻略不可だったのが、意外に人気が出て後でスピンオフって感じのキャラだとばかり……見誤ったか」

女賢者「な、何の話ですか?」

勇者「うるさい!お前みたいに、やたらとフラグが立ちやすい奴がいるから――」

王「この町を出て東へ向かった所に橋がある。そこでレベルを上げると良いだろう」

勇者「死地だったわ!!お前俺を死なせてあの台詞言いたいだけだろ!」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 02:28:14.72 ID:mByT71Y60
【酒場】

勇者「……んっ、んく」ゴクッゴクッ

女賢者「……」

勇者「…っぷはぁ!」ダンッ

女賢者「あのぉ、勇者様…?」

勇者「おやじっ、メロンソーダ追加!」

女賢者「勇者様、もうその辺にしておいた方が…」

勇者「あん?」

女賢者「いえ…なんでもない、です…」

店主「にいちゃん、いい加減にしときな。連れのお嬢ちゃんも心配してんじゃねぇか。いくらジュースっつっても、その調子でガブ飲みしてると血糖値上がっちまうぜ?」

勇者「……三代目勇者糖尿で死す、か。椎茸栽培してた俺みたいな奴には、お誂え向きの結末だな」

女賢者「…っ」

店主「おいおい糖尿を舐めてっと――」

パンッ
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 02:30:31.66 ID:mByT71Y60
 

勇者「ッ!!ってぇ…なにすんだよ!グラス、がちゃーんてなるトコだったじゃねえか!」

女賢者「…確かに勇者様は弱くてダメダメで、今までの勇者様の中で一番頼りない方かもしれません…時々言ってる事も気持ち悪いですし」

勇者「いや確か先代ってダンボールにプチプチ詰めてた奴だろ、似たり寄ったりじゃね?つか、最後のただの悪口じゃ…」

女賢者「はじめてお会いした時も『えー、こんな人に勇者が務まんのー?ムリムリぃ、絶対ムリだってぇ。てか髪型キんモーっ、ちょーウケる』と思ってました」

勇者「衝撃の事実!衝撃の事実だよ!なにお前、そんなギャルギャルしたキャラだったの!?それが素!?よく今までそのキャラ装えてたなオイ!」

女賢者「仕事ですので」

勇者「そこは割り切るんだ…」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/11(月) 02:31:08.57 ID:VSAa8yCa0
面白い期待
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 02:31:41.67 ID:mByT71Y60
女賢者「…でも!そんなキモくて頼りなくてキノコ臭い勇者様でも決して弱音を吐いたりはなさらなかった!」

勇者「あーうん、今まさに吐いちゃいそうなんだけどな」

女賢者「それに、私が危険に晒された時、あなたは私を庇ってくださいました…その時思ったんです、『あぁ、こんな奴でも、もしかしたら世界を救えるかも(笑)』って!」

勇者「(笑)って付いちゃってるから!一番付いちゃいけないところに(笑)って付いちゃってるから!!」

女賢者「勇者様…あなたは本当は勇気のある方です。だから、こんなところで諦めたりしないでください…!」

勇者「……」

店主「ちきしょう…泣かせる話じゃねぇか」

勇者「絶句したわ!!」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 02:33:49.29 ID:mByT71Y60
【はじまりの町・出口前】

女賢者「フフっ、よかったです。勇者様がまた旅をする気になってくれて」

勇者「代償として心に消えない傷を負ったけどな」

女賢者「けど、問題は解決されてないんですよね。敵がああも強いとレベル上げどころじゃ…」

勇者「ったく、面倒なバグだ」

女賢者「バグ?」

勇者「いや、なんでもない。賢者、今の俺達のレベルはどのくらいだ?」

女賢者「ええと…勇者様がレベル3で、私がレベル4ですね」

勇者「そうか、こうなったら仕方ない。できれば、やりたくなかったんだが…状況が状況だからな…やるぞ、プランC!!」

女賢者「は、はい!」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 02:52:23.18 ID:IXhf0NBX0
――1年後――

賢者「イオナズン!!イオナズン!!イオナズン!!イオナズン!!イオ――」チュドーンッチュドーンッチュドーンッ

勇者「賢者賢者!死んでる!とっくに塵になってるから!ほら、一回落ち着こう、な!?」

賢者「はっ!すみません、私ってばつい夢中に…あはは」

勇者「いや、いいんだけどさ。ちょっと、こっちまで身の危険を感じるレベルだったから。表情とか」

賢者「そ、そんな怖い顔してません!それはそうと、レベルなんですけど」

勇者「ああ…スライムを葬り続けて1年…賢者、今どのくらいになった?」

女賢者「勇者様も私も共にさっきので99になりました」

勇者「くっ…くっくっくっ。ようやく、ようやくここまできたぞ…」

女賢者「本当に長かったですね…まさかプランCがこんなに地味なものだったなんて、あの時は微塵も思いませんでしたよ」

勇者「スライム以外は極端に強いからな。この1年、町の周りを何周した事か…だが、ようやくその苦労も報われる」

女賢者「あの…勇者様」

勇者「なんだ、いま俺は悦に浸ってるんだ。話なら後にしてくれ」

女賢者「いえ、その…ある程度強くなった時点で橋まで行って強い敵と戦った方が早かったんじゃ…」

勇者「……」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 02:53:36.51 ID:IXhf0NBX0
【魔王城前】


女賢者「いいんですか?こんなにあっさり魔王城まで辿り着いて…」

勇者「いいんだよ。これを見てる連中も、そろそろ飽きてるだろうしな。さっさと行って、さっさと終わらせるさ」

女賢者「はあ」


まものが あらわれた

じごくのもんばんA
じごくのもんばんB
じごくのもんばんC
じごくのもんばんD
じごくのもんばんE
じごくのもんばんF
じごくのもんばんG
じごくのもんb(ry

勇者「おいおい、流石に多すぎだろ。一つの門にどんだけ門番おいてんだよ」

女賢者「勇者様、そんなツッコミ入れてる場合じゃないです!」

勇者「ったく、しょうがねぇな…ギガ―――」

?「待て」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 02:56:31.19 ID:IXhf0NBX0
 

勇者「デイン!!!」

ズガーーーンッ!

じごくのもんばんAに182のダメージ
じごくのもんばんBに188のd(ry)

まものむれを たおした

?「待てと言っただろう!」

勇者「走り出したら止まらない、それがキアヌリーブスのスピード」

?「何を訳の解らぬ事を…」

女賢者「!勇者様、もしかしてこの人…」ヒソヒソ

勇者「あん?なんだよ」

女賢者「魔王なんじゃ…」ヒソヒソ

勇者「そんなわけないだろ。魔王がこんな年増なわけがない。いいか?昔から魔王ってのはな──」

?「如何にも、妾が魔王だ」

女賢者「やっぱり…」

勇者「なん…だと」

女賢者「だって、見た目とか凄くそれっぽいじゃないですか」

勇者「嘘だぁぁぁぁああああ」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 03:00:49.53 ID:eAXMz+l+0
 

魔王「嘘じゃない。そう謂うお前は勇者か?」

勇者「は?!いや俺が勇者かどうかなんてどうでもいいから!!」

魔王「おい、こいつは何をこんなに怒ってるんだ?」

女賢者「えと…わからないです」

勇者「うっわ、マジ裏切られたわ…ここまで来てこんなオチかよ!んな牛みたいな乳した魔王とか誰得なわけ!?ねぇ!」

魔王「なっ…妾も好きでこうなった訳じゃないんだぞ…!」

女賢者「そうですよ、勇者様!いくらなんでも失礼すぎますっ」

勇者「うるせえ!いいか?!昔から魔王ってのはツルペタ幼女と相場が決まってんだよ!そのつもりで俺も今日まで頑張ってきた…そうじゃなきゃ、1年もスライムでレベル上げなんかするか!」

魔王「?」

女賢者「あ、途中バグとかいう物のせいでスライムくらいしか戦える相手が居なかったんです」ヒソヒソ

魔王「そうなのか。難儀だったな」

勇者「難儀だったな…じゃねぇ!!1年だぞ!?エロゲなら30本はクリアしとるわ!」

魔王「…?す、すまない」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 03:03:16.44 ID:eAXMz+l+0
 

勇者「謝ってすめば勇者なんか要らねぇんだよ!!」

魔王「……」シュン

女賢者「ちょ、ちょっと勇者様…言い過ぎなんじゃ…」

勇者「あァ?大体お前もお前なんだよ!賢者なら魔王が幼女かどうかぐらい調べとけ!!ぽこぽこぽこぽこフラグばっか立ちやがって!」

女賢者「ひっ…すみませんっ」

勇者「ぁあああぁぁあ、やってらんねぇぇぇぇ」

魔王「……」

女賢者「……」

魔王「…一つ疑問に思ったんだが、妾を倒さないのか?」

勇者「あ?俺がその気ならお前なんかとっくに灰になっとるわボケ」

魔王「だろうな。見たところお前達の力は妾を遥かに上回っている…なら、どうして倒さない?その苛々した気持ちを…こう、ぶつければいいだろう」

女賢者「勇者様は野蛮な事が嫌いなんです。今の勇者様を見ても信じられないでしょうけど、本当は優しい人なんですよ?あなたとも出来れば争わずに事を治めたいって仰ってました」ヒソヒソ

魔王「そうか…」ツカツカ

女賢者「あ、魔王!いくら優しいと言っても今の勇者様に近付いたら危ないですよ!?無駄にレベルだけは高いんですから!」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 03:06:51.75 ID:QYmbf1360
魔王「勇者」

勇者「あ?まだ彷徨いてやがったか似非魔王。マジで灰にすんぞ」

魔王「…思えば、妾の城に辿り着いたのはお前が初めてだ。先代も先々代も、旅の途中で力尽きたと聞いた」

勇者「まあダンボールにプチプチを詰めてたような奴だからな。俺が言えた事じゃないが…それが何だってんだよ、灰にすんぞ」

魔王「妾は、待っていたんだ。千年の間…この城で。いずれやって来るであろう勇者と何を話そうか、そんな事を考えながら…ずっと」

勇者「…黙れ…灰にすんぞ…」

魔王「お前がどうしてそこまで苛立っているのか、鈍い妾にはいまいち解らないが…最初の言葉は決めていたんだ。言っても構わないか?」

勇者「……黙れ……」

魔王「──…勇者よ」

勇者「…灰に…」

魔王「待っていたぞ」

勇者「……」

チャラララッチャッチャッチャーン

ゆうしゃは まおうの ふらぐを たてた
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 03:08:47.95 ID:QYmbf1360
【魔王城・テラス】


魔王「それで、お前は此処に至るまでどんな冒険をしてきたんだ?」ニコニコ

勇者「気色の悪いデカい乳を押し付けるなっ…冒険も何もほとんどスライムしか狩ってないっつの!さっきも言っただろ」

魔王「そうだったか?妾は忘れっぽいからな。また、はじめから聞かせてくれ」

勇者「あのなー」


―――…。


女賢者「ふふ…魔王さん、本当に楽しそう」

女賢者「……」チクリ

女賢者「?なに…今の。…もしかして、私───嫉妬してる?」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 03:10:41.12 ID:QYmbf1360
 


勇者「それであいつが慌てたせいで俺が火だるまに…──なぁ、そうだったよな?って、アレ?」

魔王「どうした?」

勇者「いや、賢者の奴がいないんだ…さっきまで居たと思うんだが」

魔王「いいじゃないか。大方、城の中を見て回っているんだろう。城の中は珍しい物が多いからな」

勇者「……」

魔王「…勇者?」

勇者「やっぱ少し気になるから、そこら辺見てくるわ。あいつ方向音痴だし」ガタッ

魔王「……っ」キュッ

勇者「…なんだよ、この手?」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 03:18:50.60 ID:DvRsfl6t0
 

魔王「…あの女は、お前の恋人なのか?」

勇者「まさか。俺のストライクゾーンは12歳以下だからな」

魔王「だったら!…だったら、そこまで気にする事ないだろう。ほら、もっと妾に話して聞かせてくれ」

勇者「……」

魔王「…勇者、妾は―――」

勇者「魔王、確かにお前の事は不憫だと思う。千年もの間、この広い城に一人きりだったんだ。同情もする」

魔王「……」

勇者「だけどさ。確かにあいつは恋人じゃないが、ここまで一緒に来た大切な仲間なんだ。だから――悪い」

タッタッタッタッタッタッ

魔王「……同情、か。まったく、妾にこんな思いをさせて。非道いものだな…勇者というやつは」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 03:20:36.28 ID:DvRsfl6t0
【魔王城・城門前】


勇者「賢者っ!」

女賢者「っ!勇者様…どうして」

勇者「どうしてはないだろ。お前こそ、何でこんなところに一人でいるんだよ」

女賢者「それは…勇者様が目標通り魔王さんと仲良くなられたので、お邪魔になる前に帰ろうかと…」

勇者「そうか。確かに、当初の予定通りとまではいかなかったが、目的は達した訳だし…そう言う事なら帰るか」

女賢者「はい……って、えぇ!?勇者様も帰るんですか?」

勇者「当前だろ。自分一人だけ凱旋するつもりだったのか?」

女賢者「だって…」

勇者「魔王は更正するまでもなく、いい奴だったんだ。だから俺が残る必要ないだろ?それに…」


昔 か ら 仲 間 は 一 緒 に 帰 る の が セ オ リ ー な ん だ よ 。



next→epilog
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 03:21:59.77 ID:DvRsfl6t0
 
?epilog?


女賢者「夜が明けますね」

勇者「そうだな。つか何だよ、さっきからニヤニヤしやがって…気持ち悪い奴め」

女賢者「えへへ、ナイショです」

勇者「ふん、言ってろ」

?「おーいっ、ゆーしゃー…けんじゃー」

勇者・女賢者「?」

?「はあ、はあ…やっとおいついたぞ」

勇者「!!」

女賢者「かわいいっ」

勇者「どうしたんだい、お嬢ちゃん?迷子かな?」キリッ

?「む、ばかをゆーな」

女賢者「…まさか魔王さん?」

まおう「そーだ。あまり このすがたで でたくはなかったが どうしても ちゃんと おわかれをいいたかったからな」

女賢者「でも、どうしてそんなに縮んじゃったんですか?」

まおう「まぞくの たいしつだ。よるは まりょくが たかまり、ひがのぼると まりょくは おちる。すがたも、これに さゆうされるというわけだ」

女賢者「なるほど…ふふっ、かわいい」

まおう「むぅ、なでるな!これだから このすがたは いやなんだっ」

女賢者「勇者様も一緒に撫でましょうよー。…勇者様?」

まおう「どうしたのだ?ゆーしゃ」




勇者「……セーブ、どこでしてたっけ?」


       おしまい
 
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 03:28:42.04 ID:4mGg7TgR0
以上です。初めてのSSでしたので至らない部分も多いかと思いますが、ここまでお付き合い頂きありがとうございました。

一応シリーズ化させるつもりですので、続編が完成した際には、また読んで頂けると幸いです。

ではでは。
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/11(月) 05:03:26.18 ID:ae6t2hWuo


これ単品では短くて物足りないけど、続編ありやオムニバス形式ならこのくらいが読みやすくていいね。
まだ50も行ってないし続きはこのスレでだよね?
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/11(月) 09:52:50.21 ID:w6YT63/H0
おもしろかった
こういうの割と好き

>>28そんなルールってあったっけ? 無知ですまん
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/11(月) 13:11:06.79 ID:R9txoHUF0
>>28
ありがとうございます

はい、勇者シリーズは全てこのスレに書きます。一つの話の長さは大体このくらいで全5篇構成の予定です。

レスが付くと尻尾を振って喜ぶので意見や質問等があればバンバンくださいませ。

>>29
ありがとうございます
とても励みになります。なるべくテンポよく、中弛みしないように頑張ります!
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/11(月) 14:20:27.80 ID:ae6t2hWuo
>>29
ルールではないけど50未満で新しいスレを建てると何かしら言ってくる人がいるね。
せっかく面白いスレだから、余計な火種を作りたくないってだけだよ。
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/12(火) 02:34:30.85 ID:pXPe/Nea0
少し書いたので投下します。

※前回女賢者と表記していたのを今回から賢者としていますが同じ子です。
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/12(火) 02:37:43.98 ID:DvzZ5+Zv0

?prolog?



 勇者と賢者が魔王更正の旅に出るずっと以前、遡ること100年前。
かつて、初代勇者が志半ばで倒れ、世界が失意に打ちひしがれていた頃。2人目の勇者として人々の期待を一身に背負った青年がいた。

 何よりも争いを嫌った彼は、結局その生涯でただの一度も剣を握ることなく人生の幕を降ろす。
後に、人々はそんな青年をこう語り継いだ。




―――“腰抜け勇者”と。




これは、臆病者と罵られ、史上最弱の勇者として後世に名を遺した青年の物
語。
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/12(火) 02:42:02.92 ID:DvzZ5+Zv0

『腰抜け勇者と呼ばれても』



【はじまりの町・資料館】


勇者「なあ、賢者。俺って勇者だよな」

賢者「はい、勇者様です」パタパタ

勇者「世界、救ったよな」

賢者「はい、救われました」パタパタ

勇者「……」

パタパタパタパタパタパタパタパタ

勇者「なんでそんな俺が朝っぱらから片付けの手伝いなんかさせられてんだよ!!」バンッ

賢者「仕方がないじゃないですか…ここを管理なされてる方がご高翌齢なんですから。そうじゃなくても、こんな広い場所、一人で整理するなんて無理ですよ」

勇者「だったら業者でも何でも呼べばいいだろ!俺が言ってるのは、どうして勇者である俺が手伝わされてんだって事だ!!」

賢者「それは経費削減の為だと思います。晴れて町が魔物に襲われる心配もなくなりましたし、拡張やら施設充実やらで最近色々と大変らしいですよ?」パタパタ

勇者「ぐぬぬ…あのハゲ親父、ちんけな額ケチりやがって」

賢者「また大臣様をそんな風に呼ぶー。いいじゃないですか。どうせ暇だったんですから」ニパッ

勇者「お前は、だろ!俺は積みゲーを消化するのに忙しいんだよ!!ただでさえ1年も無駄にしてるっつーのに…」

賢者「はぁ……それってこの間お宅へ伺ったときに所狭しと並べてあったえっちなゲームの事ですよね?あんなのただの絵じゃないですか、どうしてそこまで夢中に――」

勇者「おい…賢者。お前今オタクには絶対言ってはならないことを言ったぞ」ゴゴゴゴゴゴ

賢者「え?」

勇者「許さない…絶対にだ」カチャ

賢者「ちょ…勇者様?どうして私、剣を構えられちゃってるんでしょうか?」

勇者「問答無用!己の罪深さを悔いて逝けぃ!!」ヒュンッ

賢者「きゃあああああああ」

35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/12(火) 03:53:27.11 ID:7aK+m8JC0

ガキィィッ

勇者「なっ!…杖!?」

老女「元気がいいのは良いんだけどね…ケンカはよくないよ、お若いの」












賢者「さっきはありがとうございました。もう少しで真っ二つにされるところを助けていただいて……なんてお礼を言ったらいいか」ペコ

老女「お礼なんてよしとくれ、こそばゆい」ニコニコ

賢者「ですけど、もうちょっとで死ぬところでしたし……お婆さんは命の恩人です。まさか勇者様に殺されかけるとは思いませんでした」ジトッ

老女「いいや、それは違うよお嬢ちゃん。さっきの剣には、まるで殺気が籠もっちゃいなかった。はじめから斬るつもりなんてなかったのさ、そこの坊やは」

賢者「え、そうなんですか?」

勇者「…婆さん、あんた一体何者だ?いくら殺気を込めてなかったとは言え、並みの人間が杖一本で止められるほど手を抜いた覚えはない。頭蓋は割るつもりで振り下ろしたし」

賢者「頭蓋って…完全に[ピーーー]気満々じゃないですか」

勇者「……」

老女「……」

賢者「……」

勇者「…死なないだろ」

賢者「いや、フツーに死にますから。私をなんだと思ってるんですか」
 
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/02/12(火) 07:37:58.08 ID:ANd3Z+Dk0
メール欄にsagaって入れるといいよ
殺すとか高齢とか魔力とか色々ちゃんと表示できるから
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/12(火) 19:18:04.03 ID:UnPCyig80
>>36
まさかそんな裏技があったなんて
情報感謝です!
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/18(月) 18:51:50.79 ID:YQItqX2Do
あー無理かな
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 00:10:20.76 ID:yR1lqJzNo
待ってるよ
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