らき☆すたSSスレ 〜そろそろ二期の噂はでないのかね〜

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469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/25(土) 13:53:59.21 ID:6jJwiiZ40
おっすお願いします
470 :あぼーん :あぼーん
あぼーん
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/03(日) 10:28:06.44 ID:dn3EXBV2O
テスト
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/14(木) 00:24:19.02 ID:Gr7It1Vj0
テスト
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/05/26(火) 20:10:00.83 ID:7H8AceKh0
保守
474 :saga :2015/06/03(水) 07:16:10.96 ID:oJmifakKO
保守
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/07(日) 23:50:46.98 ID:YpOAYuhg0
それでは「こなたの旅」のつづきを投下します。

半年ぶりくらいかな?

14レスくらい使用します。
476 :「こなたの旅」 33  1/14 [saga sage]:2015/06/07(日) 23:54:46.07 ID:YpOAYuhg0
33

 私は神社の入り口で待っていた。
そう、すべてが始まった神社。つかさが狐にお弁当と取られた神社。真奈美さんがつかさを守った神社。かえでさんの親友が眠る神社。
かがみが呪いと闘った神社。あやめさんを散骨して弔った場所。
そしてつかさがひろしに告白をした場所……
いろいろな事があった神社。
ここ意外に告白する場所を思いつかなかった。
『ピッ!!』
スマホの停止ボタンを押してイヤホンを耳から外した。店で買ったラフマニノフ前奏曲23の4番……
これで何回目かな……
そしてそのついでに時間を確認した。
まだ約束の時間まで30分以上ある。
まだ音楽を聴いている時間があるけど……ああ、もうスマホの電池が残り少ない。
やれやれ……ちょっと聴きすぎたかな。

今までこんなに早く待ち合わせ時間に来た事なんかなかったのに……
イヤホンをポケットの中に仕舞った。
何度聴いてもまなみちゃんの演奏はプロの演奏と比べても引けを取らない。
そういえばまなみちゃんの演奏を聴いてからもう一ヶ月も経ってしまった……
477 :「こなたの旅」 33  2/14 [saga sage]:2015/06/07(日) 23:56:14.03 ID:YpOAYuhg0
こなた「ぶらぼー!!」
私は心から拍手をした。まなみちゃんは照れくさそうにして私にちいさくお辞儀した。
こなた「やっぱり凄いや……みなみ先生のより良いよ……い、いや、これは本人には言わないでね……」
なまみちゃんは笑った。
まなみ「ふふ、どうしようっかな〜」
こなた「え、マジ?」
まなみ「うっそだよ〜」
こなた「む、むぅ……」
まなみ「どうだった、勇気出た?」
まなみちゃんは私に近づき顔を覗き込むように見た。
まなみ「私もボス倒すところみたいな〜」
こなた「あ、それは出来ないよ」
まなみ「え〜何で〜?」
どう言おうか悩んだ。下手な事を言えば余計ややこしくなる。それは分っていた。子供に誤魔化しは通用しない。
こなた「ん〜なんて言ったらいいのか……ラスボスは目に見えないから、私以外の人には見えないんだよ……だからまなみちゃんが一緒に来ても見えない」
まなみちゃんはしばらく私の顔を見ていた。
解ってくれただろうか……。
まなみ「見えない敵……あっ!! それならもっと勇気が必要だね」
何かを思いついた様に喜びながらピアノの前に座った。
片手を鍵盤に乗せると低い音から高い音へと手を滑らすように奏でた。そして最後の鍵盤で動きを止めた。
まなみ「こなたお姉ちゃんに勇気が出る曲……思いついたから……」
こなた「思いついた?」
まなみちゃんは何も返事をせず両手を鍵盤に乗せた。

 まなみちゃんはピアノを演奏し始めた。
聴いたことがない曲……
思いついた曲、まなみちゃんはそう言った。つまりまなみちゃんが即興で曲を作ったことになる。
もちろん私はそんなに音楽を聴いている訳じゃない。
今聴いている曲がオリジナルなのかどうかなんてわかるはずもなかった。
だけど……
ロールプレイングゲームでフィールドを歩いている時の様な……
行進曲みたいな……堂々としていて、それでいてわくわくするような……これから何があっても大丈夫って安心感。
標題を付けるなら『勇気』って感じ。まさしく応援歌。
そんな曲だった。
もうこの曲がオリジナルかどうかなんてどうでもよかった。それよりもまなみちゃんが私のためにピアノを弾いている。
小刻みに鍵盤をたたく小さな手、一所懸命に弾いている。それだが熱く私に語りかけてくる。
そして曲は堂々と終わった。
478 :「こなたの旅」 33  3/14 [saga sage]:2015/06/07(日) 23:57:26.79 ID:YpOAYuhg0
こなた「……すごい……凄いよ、まなみちゃん!!」
私は思わず立ち上がった。まなみちゃんは恥ずかしそうに顔を赤らめた。
こなた「ありがとう、もう大丈夫」
まなみ「がんばってね……」
そう言うとピアノに置いてあったノートを手にした。
こなた「なに?」
まなみ「さっき演奏した曲を書いておかないと……忘れちゃうから……」
ノートの中身を見ると五線譜におたまじゃくしを書いていた。
これでまなみちゃんが弾いていた曲はオリジナルなんだなって判った。
まるで文章を書くみたいにスラスラと……
まなみちゃんにとっては文章を書くみたいなものかもしれない。
こなた「それじゃ私は行くよ……かがみが待っているから」
まなみ「かがみおばさん、まだ居たの?」
こなた「うん、今回は私の参謀になってもらう……」
まなみちゃんは立ち上がった。
こなた「いいよ、そのまま続けて、その曲、忘れないように、ちゃんと書いて、そして、全てが終わったらもう一回聴かせて」
まなみ「う、うん……」
まなみちゃんは座るとノートを手に取った。そして私は部屋を出た。

かがみ「いい顔になったわね、勇気を貰ったな」
部屋を出るとつかさとかがみが居た。
こなた「まぁね……お互いかもしれないけどね。」
かがみ「もう私なんか必要じゃないんじゃないのか?」
私は首を横に振った。
こなた「うんん、この前そう思っていたら全く何も出来なかった……だからお願い」
かがみは少し驚いた顔をした。
かがみ「……てっきりもう大丈夫って言うのかと思った……いいわ、それならやりがいがあるってもの」
こなた「行こう」
私は玄関に向かって歩き出した。
かがみ「その前に一つ言っておく」
こなた「ん?」
かがみ「私は恋愛経験がそんなにある方じゃない、いや、むしろこなたに近い方かもしれない、
見当違いや方向違いもあるかもしれない、それでもいいか?」
こなた「……他に誰に頼む、つかさ?」
つかさは目を真ん丸くして激しく首を横に振っていた。
こなた「私に近いなら、どうすれば良いのかわかるよね?」
かがみ「……それならもう何も言わない……あとはやるだけね……」
こなた「うん」
私達はお互いに頷き合った。
そしてかがみはいやな笑い方をした。
かがみ「まぁ、結果は目に見えている……心配するな、自棄食い、自棄酒くらいならつきあってやるから、もちろんこなたの奢りで」
つかさ「お、お姉ちゃん、そんな事言って……」
デジャブ……成るほどね、今まで気付かなかったけどつかさがかえでさんをあんなに慕っているのかかが解った。
そう思った一瞬だった。
こなた「そう思えば気が楽になる……でしょ?」
かがみ「え、あ……」
かがみの言おうとしていたのを先に言った。
かがみはキョトンとして私を見た。
こなた「さぁ行こう、一世一代の大作戦のはじまりだ」

 この後かがみは私を車で家まで送ってくれた。
そこでかがみは作戦を説明してくれるかと思った。だけどそれは違った。
その前に二人の人物と会ってほしいと言われた。
本当は作戦なんか無くて時間稼ぎしているだけじゃないのか。
そう思ったけど。今はそうは思っていない。
ゲームで例えればラスボスに戦いに挑む前に遣り残したサブイベントをクリアして
強い武器や防具を手に入れるようなもの……。
479 :「こなたの旅」 33  4/14 [saga sage]:2015/06/07(日) 23:58:57.82 ID:YpOAYuhg0
 その二人の内の一人、ひより……
演奏会から一週間後。私はひよりに会いに行った。
ひよりは潜入作戦が終わってから一回も会っていなかった。
いつもなら新しいネタを見せにどんなに忙しくとも週に一度くらいは顔を見せていた。
私の方から出向くのは滅多にない。
仕事場と兼ねているせいかひより達の家ではゆっくりと出来ないのもあったのかもしれない。
家に着くと漫画のスッタッフに案内させてひよりの部屋に向かった。
ゆたかは丁度出かけていなかった。私にとってはそっちの方がよかった。
部屋に入るとひよりは何をするわけでもなく机にすわってモニターを眺めていた。
何か絵をかいていた途中なのかボーとしている。それに私が居るのに気付いていない。
こなた「おっふぉん!!」
何度か咳払いしても気付く様子はない。よ〜し、そらなら……
こなた「それは何、新しい作品のキャラクター?」
ひよりはゆっくりと私の方を向いた。
ひより「いず……み…先輩……泉先輩!!! い、何時から此処に???」
こなた「何時からって……さっきから此処にいるよ」
ひよりは辺りを見回した。
こなた「スタッフの人に案内された、その人も出かけるって言っていたから今居るのは私達だけかな」
ひより「そ、っそっすか……」
ひよりはその場で俯いてしまった。まったくもってひよりらしくない。
こなた「それより新しいキャラクター見せてよ、最近遊びに来ないと思ったら何か企んでるな」
私はひよりを押しのけてモニターの前に立ってマウスを操作した。
こなた「可愛いね……二人並んでいるね……友人って設定なの?」
ひより「いや……双子の姉妹っス……」
こなた「双子ね〜全然似ていないじゃん、まるでかがみとつかさみたい……かがみとつかさ……もしかして?」
ひよりは頷いた。
ひより「もしかしてじゃなくその二人がモデルっス」
こなた「へぇ〜今度も私達がモデルって訳ね……」
ひより「前回は一部をちょっと貰っただけ……今回は私達とお稲荷さんの出来事をそのまま物語りに……」
こなた「そのままって……」
ひよりは私が言おうとしているのにに割り込んで話し始めた。
ひより「この話しをまともにノンフィクションだなんて誰一人思わない……当事者以外は……」
こなた「そりゃそうだけど……ゆたかはそれを承知してるの?」
ひよりは小さく頷いた。ゆたかも承知ってことはこの二人は本気だって事だな。
ひより「泉先輩は反対っスか……一人でも反対者が居たら止めようと……」
私は……どうなんだ?
こなた「……でも、かがみやかえでさん辺りが反対するんじゃないかな、それと元お稲荷さんとか?」
ひより「かがみ先輩、かえでさんは裁判が終わるのを条件で承認してくれた……元お稲荷さん達もメモリー板を処分するなら問題ないって……」
こなた「そ、そんなところまで進んでいたんだ……いやだな〜いつもならそう言う話は真っ先に私にしてたでしょ?」
ひより「え、ええ、そうでした……」
この時、ひよりの煮え切らない返事が引っかかった。その理由に心当たりが何個かあったけど教えてくれそうに無い雰囲気だった。
こなた「私がお稲荷さんと色々関わっているから?」
だから私は鎌をかけてみた。
ひより「……」
ひよりが口を閉じた。図星なのか。それなら……
こなた「もしかして潜入作戦の移動中、ひよりが私に話した事を気にしているの?」
ひよりは私の目を見たが何も話さない。
こなた「神崎あやめの正体が真奈美さんって話……違ってはいたけどお稲荷さんだったのは正解、それに随分前に私だって……」
ひより「違う」
こなた「違う?」
みなみが言っていたのと様子が違う。あの時の話しを気にしていたんじゃないのか。他にひよりが落ち込む理由が思い浮かばない。
こなた「違うって……他に何があるの?」
ひより「先輩は神崎さんを……その、何ていうのか……好意に思っていると言うのか……」
こなた「神崎さんね、うん、好きだよ、かがみからもう聞いているとおもったけど?」
ひよりはびっくりして飛び跳ねた。
こなた「なにをそんなに驚くの?」
ひより「え、い、いや、先輩から直接その様な返事が来るとは……」
こなた「返事?」
その時初めて気付いた。他人に誰かが好きなんて言ったのは。
無意識に近かった。何のためらいも無かった。
こなた「ふふ、まなみちゃんの勇気が少し効いて来たかな……」
でもそれは本当の勇気ではないって事はひよりと別れてから直ぐにわかった。本人に言わなければそれはただの会話にすぎない。
それでも私にとっては大きな飛躍だった。
ひより「好き……ですか……私はそれすら気付かなかった……」
こなた「ん、何のこと?」
ひよりはそれ以上言おうとはしなかった。
こなた「いやいや、神社の娘にお稲荷さんのカップル、どうあがいても勝てない」
ふざけ半分の私にひよりは珍しく私を睨んだ。
ひより「先輩は何を知ってるっスか?!!」
こなた「……あ……ご、ごめん、もう終わった事だから、もう済んだ事だと思って……
    まだ引きずっていたなんて……婚約したからてっきり……」
そして珍しく感情的になるひよりに謝るしかなかった。
ひより「婚約……なぜ知ってるんです?」
こなた「え、ゆたかから聞いたけど……あっ!!」
しまった。もしかしてこれは言ってはいけなかったのか。いや、それならゆたかは内緒にして言うはず……
ひよりは少し顔を赤らめた。
ひより「別に秘密にするつもりはありません、何れバレますから」
私はホッと胸を撫で下ろした。そんな私をひよりはじっと見つめた。
ひより「……今の先輩を見ていると、昔の自分を思い出してしまって……」
こなた「昔のひより? それって」
ひよりは頷くと昔の失恋の話しをしだした。
480 :「こなたの旅」 33  5/14 [saga sage]:2015/06/08(月) 00:01:27.21 ID:b7iGww1s0
「お稲荷さん、まなぶさんとの恋、その中でゆたかとすすむさんとの恋も語られた。
もちろんこの話の大筋はかがみから聞いている。
だけど本人から聞いたのは初めてだった。
初めてのデート。かがみを助けようとした事……
私達が以前にいろいろな事件に巻き込まれていた頃、
同じようにひより達にもいろいろな事件があった。それもお稲荷さん絡みの事件……
かがみが詳しく話さなかったのは私が興味を示さなかったからもあるかもしれないけど。
かがみなりのひよりとゆたかへの配慮があったのかもしれない。
確かに失恋話は本人が語るべきもの……なのかもしれない。この時そう思った。
詳しくは「ひよりの旅」を参照
なんてね……

  話が終わっても暫く私は何も言う事はできなった。
ひより「……ふふ、おかしいでしょ、鈍感すぎでしたよね……チャンスはいくらでもあったのに……」
こなた「そうかな、結果とか時期はどうであれ……ひよりは彼に告白したんでしょ」
ひより「でも……」
こなた「でももへちまもない、それは紛れも無い事実、凄いよ、ひよりもゆたかも、勇者って言ってもいい」
ひより「そ、そうでしょうか?」
私は椅子に腰掛けた。
こなた「花言葉って知ってる?」
ひより「花言葉って……いきなりなんです?」
こなた「花に言葉を込めて人に贈る……」
ひより「……そんなの知っています……」
こなた「そう知っている、だけど何でわざわざそんなまどろっこしい事するのかなって思った事ない、
そんな事するなら直接言っちゃえば簡単じゃない?」
ひより「……そう言えばそうですけど……」
こなた「真意を相手に伝えるってのは誰にとっても大変、だから花に言葉を付けて贈るんだよ、
    これは古今東西老若男女関係ない……」
ひより「そう言われると……」
こなた「ふふ、かがみがそう説明したのをそのまま言っただけだけどね」
ひより「かがみさんとそんな話を……」
こなた「彼と……神崎さんと会う前にひよりに会えなんて言うから……」
ひより「神崎さんと会う……まさか」
こなた「そう、そのまさか、さてさてさ〜て、どうなるかな……まぁ、ひよりがとっておきの話を
    聞かせてくれたから、また少し勇気が湧いたかな……」
この時かがみが私をひよりに会わせた理由が分かった。
ひよりは少しの間黙っていたけど溜まった物を吐き出すように話し出した。
ひより「神崎さんの何処が好きなんです?」
直球できた。なら直球で返すのが礼儀。だけど、そう言われると直ぐに思いつかない。
こなた「ん〜何処だろうね……」
ひより「彼は泉先輩を騙して、命の危険に陥れたのに、憎くはならなかった?」
こなた「そのセリフ何度も聞いた……確かにその話だけなら嫌いにもなるけどね」
それだけじゃないから好きになった。
ひより「それじゃそれは何でデス?」
気付くとひよりはネタ帳を片手に私の前に立っていた。
私はひよりを指差してこう言った。
こなた「ふふ、それそれ、そうでなきゃひよりじゃない」
ひよりは自分自身の身体を見回して手に持っているネタ帳とペンに気付いた。
ひよりは慌ててネタ帳とペンを背に隠した。
ひより「こ、これは……いや、何ていうのか……習性といいますか……」
私は笑った。
こなた「別に隠さなくていいよ、今度の作品のネタにするつもりなんでしょ」
ひよりが私に会わなかったのはこれがしたかったから。それが分った。
ひより「え、ま、まぁ……」
ひよりは苦笑いをした。
こなた「私をネタにするならもう少し待って、もうすぐ結果がでるからそうしたら……」
ひより「きっといい結果になるっス、そう信じています」
私は立ち上がった。
こなた「ありがと、それまでお預けだね、それからデッサンとかネタは最初に私に報告すること、いいね!!」
ひより「は、はい」
481 :「こなたの旅」 33  6/14 [saga sage]:2015/06/08(月) 00:02:59.92 ID:b7iGww1s0
 それから私達はひよりの彼氏の話になった。
結婚話をもちかけたのは彼の方だったそうだ。
職場結婚といっていいのかもしれない。
ひよりが彼の話しをしている姿をみていると、
リア充爆発しろ!!
言葉にこそ出さなかったけどなんて思ったりもしてみた。
だけどお稲荷さんとの出来事がなければひよりも彼に巡り逢えたかどうか分らない。
それはゆたかも同じなのかもしれない。
そして私も……
ひより「ところでまだ返事を聞いていませんが……」
こなた「ほぇ?」
ひより「神崎さんを好きなった理由っス」
こなた「理由……」
私は直ぐに答えた。
こなた「皆は私達を騙したなんていっているけどそうじゃない、彼は神崎あやめ成り切ろうとした、うんん、
    神埼あやめに本人になったんだ、だから騙していない、それに皆は私を危険な目に遭わせたなんて言ってけど
    彼は私を助けてくれた、守ってくれた」
ひよりは私をじっと見ていた。
こなた「な、なに……??」
そしてひよりはクスっと笑った。
ひより「……これは相当のお熱のようですね……聞いているこっちが恥ずかしくなるくらい」
ひよりはおもむろにネタ帳を取り出しページを開いて書き出した。
ひより「……先輩は神崎さんに大層ご執心っと……」
顔が熱くなってきた。恥ずかしさが込み上げてきた。
こなた「り、理由を話せって言ったから話したのに……」
ひよりはネタ帳を閉じた。
ひより「さっきの話、彼が聞いたら喜ぶと思いますよ」
こなた「話すって……ちょっと無理っぽ」
ひよりは笑った。
ひより「ふふ、告白するよりよっぽど楽じゃないかと?」
こなた「え〜無理だよ……」
ひより「でもさっきちゃんと言ったじゃないっスか、好きな理由」
そう確かに言えた。でもそれはひよりが自分自身の体験を話してくれたから。
だからその勢いで言えたにすぎない。
そう、勢い。勢いが大事。
その時はそう思わなかったけど、今ならはっきり分る。
ひより「でも羨ましいっス、かがみ先輩が作戦に加わって……」
こなた「いや、ひよりだってかがみが絡んでいたでしょ」
ひよりは首を横に振った。
ひより「肝心要の所で絡んでいません……私が気付くのが遅すぎたから……」
こなた「ひよりが早く気づいてその恋敵が自分の姉だって分ったらどうだろう、ちゃんと作戦立てられたかな、
    いくらかがみでもそこまで冷徹じゃない、作戦にも隙ができるかも」
ひより「流石先輩……かがみ先輩を知り尽くしています……」
こなた「……いや、今回の私だって……どうなる事やら……」
ひより「え、まだ作戦を聞いていないっスか?」
私は頷いた。
こなた「全貌はまだね……この後みゆきさんに会わないといけないし……」
ひより「え……ど、どうして?」
こなた「かがみの作戦の一環らしい……」
ひより「……そうですか……」
こなた「さてさてさ〜て、ひよりも大丈夫そうだしそろそろお暇しようかな」
ひより「あの……私と会って何か変わりました?」
こなた「変わった様な、変わらない様な……」
ひより「……そうっスか……」
私は帰り支度をした。
ひより「ところでさっきからさてさてさ〜てって何です?」
こなた「あれ、知らないの、薄い本では腐要素たっぷりの漫画なのに」
ひより「……漫画、いや、最近の漫画は忙しくてなかなか見られません」
こなた「まぁ、暇なときにでも見てみるんだね」
ひより「……何か懐かしいっスね……覚えていますか10年前」
こなた「かがみのコミケ事件でしょ」
ひよりは頷いた。
ひより「確かつかさ先輩の一人旅をした頃でした、それが始まりです」
こなた「いや、始まりはあやめさんからかもしれない、あやめさんと真奈美さんが逢ったから今のつかさが居る
    私はそう思っている」
ひより「そうだとしたら……先輩はその集大成っスね」
こなた「私が?」
ひより「はい、ですからその想いを是非神崎さんに伝えてください」
その言葉を最後にひよりと別れた。
それはそうとひよりはもう腐らなくなったのかな……

集大成。事実上地球上最後のお稲荷さんとの片想い……か。ひよりも私にプレッシャーをかけてくれたな。
こうしている間にも約束の時間は刻一刻と近づいてきている。
この胸の高鳴り……かがみの作戦を携えてきているのになんだろうこの不安な気持ちは……
落ち着け……
そうだ。
もう一人、みゆきさんと会ったんだ。
482 :「こなたの旅」 33  7/14 [saga sage]:2015/06/08(月) 00:04:23.51 ID:b7iGww1s0
 かがみはみゆきさんとひよりの順番はどっちでも良いって言っていた。
でも結局ひよりが先に会う事になってしまった。
みゆきさんには正直いってあまり会いたくなかった。今まで会わなかったのは私の意志があったかもしれない。
みゆきさんが職を失ったのも。研究が駄目になってしまったのも一部は私が原因だから……
そう思うと会うことなんてできない。
いったいどんな顔をして会えばいいのか。それさえも戸惑ってしまう。
それを知っていてみゆきさんに会わせるかがみの気持ちがわからなかった。
それでも作戦には必須だって言われたら行かざるを得ない。

確か一週間まえだったかな。
いつも見慣れたみゆきさんの家の玄関。
これほどインターホンのボタンが重く感じた事はなかった。
ボタンを押すと本人が出てきた。家族の誰かが出てくると思っていたから驚いた。
いきなりだったので挨拶もろくに出来ずにまごまごした。
そんな私を見ると。
みゆき「泉さん、こんにちは、どうぞ」
いつもの笑顔で私を迎えてくれた。
こなた「え、あ、え〜と、こ、こんにちは……」
まるで初めて会った時みたいな受け答えだった。
居間に通されるとみゆきさんはお茶を準備しに台所に向かった。
他に人は居なかった。みゆきさんだけ、それはひよりの時と同じ。
今気付いたけどかがみがもう私が会いに来るって連絡してあった。そう違いない。
私がアポを取らないで行くのを知っていて……
まったく余計な事を……なんてね。事前に人払いが済んでいれば込み入った話もできる。
その時の私はそんな事を思っている余裕もなかった。
483 :「こなたの旅」 33  8/14 [saga sage]:2015/06/08(月) 00:06:04.37 ID:b7iGww1s0
みゆき「どうぞ」
こなた「どうも」
みゆきさんは私の前にお茶を置いた。私はお茶を一口飲むと辺りを見回した。
みゆき「どうかしましたか?」
こなた「……い、いや、なんて言うのか、誰もいないのかなって、いつもならゆかりさんとか……」
みゆき「母は外出中です」
そういえば旦那さんはどうしたのだろう。まさかあの件で関係が悪化して別れてしまったなんて……
その時そう思った。
こなた「そ、そう……あの……」
みゆき「はい?」
聞けるわけがないよね、そんな事。でもそれが事実だったら。
こなた「ごめん……」
みゆき「どうしたのですか、急に謝るなんて……?」
こなた「なんて言ったら……巻き込んじゃって……」
みゆきさんは不思議そうに首を傾げた。
言いたくなかったけど……
こなた「作戦で使った融資したお金はあの事件で株は暴落したから1円も戻ってこない、
    貿易会社に融資したせいで研究成果も評価されず……挙句の果ては解雇……だなんて……
    一番の貧乏くじ引いちゃったよね」
みゆきさんは静かに話した。
みゆき「私が失った物は代わりがありますが泉さんの失ったものは代替がありません、気にしないで下さい」
こなた「私が……失ったもの、そんなのあったかな?」
みゆきさんはあまり言いたくなかったのか少し間が空いた。
みゆき「……神崎あやめさん…さん、違いますか?」
こなた「あやめさんは……確かにそうかもしれないけど……私の場合、あやめさんはとっくに亡くなってたし、
    神崎さんが代役をしていたから諦めもつく、だけどみゆきさんは……今回の件で旦那さんの仲だって悪くなっちゃったでしょ??」
みゆきさんは静かに立ち上がった。
みゆき「彼は……私達以外でお稲荷さんを理解してくれた数少ない一人……です」
こなた「え?」
みゆき「彼がいなければ研究すら出来なかった……」
 そういえば……お稲荷さんの秘薬はつかさの料理の技術でも出来る。それに材料にとかげの尻尾もあったような気がする。
2年間の熟成とかもあったっけ。普通考えたらそんな物をまともに研究するって言ったら冗談かなんかと笑われるくらいのレベル。
お稲荷さんの秘薬だってしらなければ私だって何かのジョークだって笑っちゃう。
それでもみゆきさんは研究をつづける事ができた。それはこの研究を本当に理解できる人が居たって事……
こなた「さすがみゆきさんだね、トカゲの尻尾とかふざけているとしか思えない」
みゆき「トカゲの尻尾は手に入れるのがかなり大変でしたので鶏の軟骨で代用できるのではないと思いまして」
こなた「まさか、それが出来るならお稲荷さんがとっくにやっていると思うけど……」
みゆきさんは微笑んだ。
みゆき「実はこの前の臨床試験で使用したのがそれです」
こなた「え、って事は?」
みゆき「トカゲの尻尾の場合と同じ効果でした」
こなた「回復した井上さんを見ればそれは分る……すごい」
私が褒めるのを気にも留めずみゆきさんは話し続けた。
みゆき「薬を作る際、恐らく鶏の軟骨が正解だったのかもしれません、これは私の憶測ですが
    つかささんに素直に薬の製法をただ教えるのが気に入らなかったのかもしれません、だからわざと手に入れ難い
    材料を言ったのではないかと……教えた本人に聞けないのできませんので確かめられませんが……」
こなた「まぁ……つかさがトカゲを捕まえるのを想像するとそれは納得できるかもね……
    みゆきさんはつかさとそんな話しをしたの?」
みゆき「いいえ、つかささんのあの当時の出来事に対して水を差すような話はしない方が……トカゲの尻尾でも
    効果は同じなのですから……」
こなた「相変わらずだね、みゆきさんは、それならもう2年の熟成は要らないとか?」
みゆきさんは更に話しを続けた。
みゆき「いいえ、それだけは省けませんでした、酵母によるアミノ酸合成で……」
こなた「いや……そこは言われても解らないから……」
みゆきさんは私にも解る言葉で言い直した。
みゆき「つかささんが残してくれた秘薬の中に酵母ありまして、それが最終的に秘薬を合成します、どこにでも居るわけでもない
    特殊な酵母です、遺伝子から見て地球由来のものではないかと推察します、おそらくたかしさん、もしくは真奈美さんが
    この日本で発見したのではないかと」
こなた「凄いね……そこまで調べつくしているなんて、しかもこのメモリー板を使わなくて……」
私はメモリー板をポケットから出した。
484 :「こなたの旅」 33  9/14 [saga sage]:2015/06/08(月) 00:07:33.83 ID:b7iGww1s0
みゆきさんは私の持っているメモリー板をじっと見た。
みゆき「そのメモリー板にはお稲荷さんの故郷の星、途中で立ち寄った星々の知識や技術はあってもこの地球
    の知識は無いと思います、お稲荷さんの秘薬は今の人類の技術では合成できません、そして、この酵母は地球で生まれた
    ……とすれば、そのメモリー板をいくら調べても薬は出来なかったと思います」
こなた「研究員か……みゆきさん、天職って言っていいよね、かがみにしろつかさにしろ……それに引き換え私って……」
みゆきさんは首を傾げた。
みゆき「そうでしょうか?」
解っている。みゆきさんは私に気を使っている。
こなた「私は成りたくてこの仕事をしたわけじゃないし……」
みゆき「天職……ですか、神から授かりし職業……」
みゆきさんは笑った
みゆき「泉さん、天職を英語で訳すとなんでしょうか?」
こなた「え……な、何で……いきなりクイズ?」
みゆき「何て言いますか?」
みゆきさんは更に念を押した。
こなた「うんん、知らない……」
みゆき「calling……」
こなた「コーリング……?」
みゆきさんは頷いた。
みゆき「呼ばれた……神に呼ばれし職業……しかし神の声を聞けるのは預言者のみです、
そこでもう少し簡単に考えます、泉さん、今の仕事をする切欠は?」
こなた「切欠は……つかさに誘われたから……って?」
みゆきさんは再び笑った。
みゆき「はい、呼ばれましたね、泉さんの今の職業は天職です」
こなた「い、いや、つかさは神様じゃないし……」
みゆき「呼ばれたのであればそれは泉さんにとって天職と言っていいのではありませんか、
    英語圏と東洋の職業に対する考え方の違いかもしれません、でもこの件に関して言えば
    英語の方がより現実的ではないしょうか……」
こなた「……そうしたとしたら、つかさはかえでさんに誘われた、私はあやのを誘った、かがみはだんなさんのひとしさんに
    誘われて弁護士に……」
みゆき「そうですね、そして私も……」
そう、その時わたしがあやめさんに対するコンプレックスみたいなものがスーと消えたような気がした。
こなた「なんか勇気が湧いてきた」
これは全てに当てはまる訳は無い。たまたま私にうまくはまっただけの話し。言ってみれば方便みたいなもの。
私はそう理解した。だけど……なんか嬉しかった。
かがみが聖人君子と言わしめた人だけのことはあるね。
みゆき「さて、いよいよですね……」
こなた「……いよいよって……まさかかがみから聞いたの?」
みゆきさんはにっこり微笑んだ。
そうあからさまにされると照れてしまう。
こなた「本当はさっさと済ませればいいんだけどね、思うようにいかないよ……」
みゆき「躊躇うのはそれだけ泉さんが本気だと言う事です」
こなた「……そうかな、本気なのかな……」
みゆき「二度に渡る潜入……それもかなり危険で犯罪にもなりうる事でした、それを引き受けるなんて
    よっぽどの信頼と正義感がなければできません」
こなた「信頼はともかく……正義感ね〜確かに危険な作戦だったけど正義感なんてこれっぽっちもなかった、それを言うなら
    いのりさん夫婦やみゆきさんの方がよっぽど正義感あったんじゃないかな」
みゆき「それではなぜあんな危険な事を……?」
こなた「……何でかな……つかさの影響があったかもしれない、でもそれだけじゃない……それだね……
やっぱりゲーム感覚、そうそう、ゲームなんだよ……うんうん、それで決まり」
みゆき「ふふ、泉さんらしいですね」
言ってみればそれは好奇心。それだけだったかもしれない。
こなた「それはそうとこれからみゆきさんはどうするの?」
みゆき「どうするとは?」
みゆきさんは不思議そうな顔をした。
こなた「このまま秘薬を秘薬のままにしちゃうの?」
みゆきさんの顔が曇った。
みゆき「受け入れられなかった……結果は出ても認められなかった……ただそれだけが残念です……」
こなた「ふふ、諦めるのはまだ早いよ、あんな万能薬をこのまま捨てちゃうのは勿体無い、それは私でも分かる、
    百年、うんん、千年経ってもできるかどうか分らない代物だよ」
みゆき「し、しかしもうあれは認可されない、世には出せません」
みゆきさんはこうゆう考え方はしない。
こなた「そう、薬としては認められない、だけど私が知っている限りあの薬の材料はみんなただの食材、トカゲの尻尾が
    鶏の軟骨に交換できるのならそれはただの食べ物、料理だよ、なんだかんだ言って最初にそれを作ったのはつかさだからね……
    まして発酵させるのなら味噌とか醤油と同じだよ」
みゆき「はい?」
みゆきさんはキョトンとしていた。
こなた「分らないかな、薬が駄目なら食べ物で出しちゃえばいいんだよ、発酵健康食品ってね」
みゆき「発酵……食品?」
さらにキョトンとするみゆきさん。
こなた「病気を治すのは薬だけじゃないって事、目的が達成できるならなんでもいいじゃん?」
みゆき「し、しかし……」
こなた「しかしもへちまもないよ、みゆきさんは病人を助けたいたいんでしょ、それでいいじゃん、
    いざって時は私も使わせてもらいたいしね、それとも何か問題があるの、法律とか?」
485 :「こなたの旅」 33  10/14 [saga sage]:2015/06/08(月) 00:08:51.20 ID:b7iGww1s0
みゆきさんは首を横に振った。
こなた「それなら問題ナシ」
みゆきさんの顔が悲しそうになった。
みゆき「なぜ……なぜです」
こなた「え?」
みゆき「……泉さんはどうしてそんな考えができるのですか……」
こなた「へ、なに、急に……そんな事を言われても?」
みゆき「神社の奪還、お稲荷さんの救助船の誘導……そして今回も……私には到底思い浮かびません」
こなた「いや……今回の件はともかく救助船の誘導はつかさがヒントをくれたから……」
みゆき「ヒント?」
こなた「通信ができなくてもう諦めかけた時、つかさは懐中電灯を空に向けて呼ぼうとしたんだよ……それがヒントになった」
みゆき「そんな話はつかささんはしていませんでした……」
こなた「つかさは自分が切欠になったんて気付いていないから」
みゆき「そうでしたか……ふふ、やっぱり敵いませんね……」
こなた「敵わない?」
みゆきさんは今まで見たことの無い苦笑いをした。
みゆき「けいこさんの企画に参加した時でした……つかささんの行動、態度、姿勢……どれを取っても非の打ち所がありませんでした
    私は只の傍観者でしかなかった、ですから私はせめて……せめて秘薬を再現させたいと思ったのですが、
    結局それも再現したにすぎませんでした……」
こなた「みゆきさんに「なぜ」なんて聞かれたのはじめてかもね、いつもは私がそうしていたのに、それにつかさにライバル心をもって
    いたのも意外だったかも……」
みゆき「え?」
こなた「だからみゆきさんに凄い親近感が湧いてきた、今頃になってね、もっと早く言ってくれればよかったのに、
実は本当の事言うとお稲荷さんに関して言えば私の行動は全てつかさのせいだから、
「つかさのくせに」そう思っていたけどいざやろうとするとつかさの様に
    うまく行かない、嫌になっちゃうよね……そう、つかさは本当に勇者だよ、勇者は自分が勇者だって自覚していないからね、
    本当にピンチになった時、その勇気が試される……つかさはその試練に全て勇気とやさしさだけで立ち向かった……知恵や力なんて
    ……その勇気のほんの少しでもあれば私はこんな所に居ないのに……」
みゆき「い、泉さん……」
こなた「いや、これは過大評価じゃないから、むしろそれを一番実感しているのはかがみじゃないかな?」
みゆき「そうかもしれませんね……」
こなた「ってこと」
私は立ち上がった。
みゆき「も、もうお帰りですか?」
こなた「みゆきさんの意外な一面が観られてすごく参考になった、ありがとう」
みゆき「ま、待って下さい、本当にそれだけで大丈夫なのですか?」
こなた「かえでさん、まなみちゃん、つかさ、ひよりからも勇気をもらったしね……
    いいや、みんなからいろいろ貰った
    それにかがみの作戦もあるしなんとかなるでしょ」
みゆき「あ、あの……躊躇うのは神崎さん……神崎あやめさんが原因ですか?」
私の動きが止まった。
みゆき「すみません……こんな切羽詰まった時に……」
あやめさんが一つの原因なのは分っている。
こなた「あやめさんか……神崎さんはあやめさんが好きだった……それは本人から聞いたから真実だよ、
だけどあやめさんがどうだったかは分らない、今となっては確かめようがないしそれを知ったところで
どうなるわけでもないから……」
みゆき「神崎さんはそれを知っていると思います」
こなた「……そうだよね、お稲荷さんだし、あやめさんの心を見るくらい造作もないよね……
    てか彼はあやめさん本人に成っていたくらいだから」
みゆき「もちろん泉さんの真意も……」
こなた「え?」
それは盲点だった。
みゆき「きっと既にご存知だと思います」
なんだか身体が熱くなってきた。顔が赤くなっているのが自分でも分った。
こなた「そ、そうだった……もうとっくだった……ははは、今更だよね……
    つまりもう知られているから告白は簡単だって言いたいんだね」
みゆきさんは首を横に振った。
みゆき「どうですか、神崎さんを目の前にして言えますか?」
こなた「え〜と…………」
例えそれを知られていたとしても言うのはやっぱり……
みゆき「先ほどの表情を見れば分ります、どんな状況であれ告白はそれなりに大変です
    普段感情を表に出さない泉さんが赤くなってしまったのですから」
こなた「むぅ……それじゃ何が言いたいの?」
みゆき「泉さんの告白はつまり神崎あやめさんの真意を確かめる事でもあるのです」
こなた「あやめさんの真意って……私に関係ない……」
みゆき「そうでしょうか、神崎あやめさんに何の感情もありませんか、友情とかは?」
こなた「感情って……私は彼女の死体を利用したし、もう彼女はとっくの昔に亡くなっていたから
    もうどうでもいいじゃん……」
みゆき「いいえ、亡くなっていません、彼女はまだ生きています、神崎さんの記憶の中で、
    神崎さんがお稲荷さんで居る限り彼女は行き続けている、泉さんが告白すれば
    神崎さんの中の神崎あやめさんにも伝わります、そして……脳内で二人の
    会話が始まります、そして……」
こなた「そして?」
みゆき「そして結論が出るでしょう……いえ、もう結果は出ているかもしれません、
かがみさんがどんな作戦を立てているのかは存じませんが告白する心構えとして贈りたいと思います」
こなた「あ、ありがとう……」
みゆき「いいえ、礼を言うのはこちらの方です……諦めかけていた秘薬……もう一度……挑戦してみます」
こなた「あ、あれは半分冗談のつもりだったけど……」
みゆき「冗談……冗談なのですね……泉さん、やはり敵いませんね……」
みゆきさんは大笑いした。

486 :「こなたの旅」 33  11/14 [saga sage]:2015/06/08(月) 00:10:03.69 ID:b7iGww1s0
今まで見てきたみゆきさんの笑いの中で一番の大笑いだった。
そして目から涙が出てきて、いつの間にか泣いていた。
どんな対応していいか分らなかった。なにもしないでただ
みゆきさんを見ていた。
やっぱり研究室を追われて研究成果まで反故にされたのはさすがのみゆきさんもかなりのショックだったのかな。
そんなみゆきさんに私が「冗談」なんて言ったから……
ちょっと酷すぎた……かな
っと言っても後悔先に立たずか……
こなた「ご、ごめん……」
みゆき「……到底私には泉さんのその発想には至りません、冗談……遊び心が私にはありません……」
こなた「ん……そうだよね」
私はスマホにイヤホンを付けてみゆきさんに渡した。
みゆき「これは?」
こなた「いいから、付けてみて」
みゆきさんは耳にイヤホンを取り付けた。
スマホの再生ボタンを押した。
みゆきさんはその再生された音楽を聴いていた。
そして再生が終わるとみゆきさんはイヤホンを外した。
みゆき「この曲は……誰の作曲ですか?」
こなた「みゆきさんでも曲名が分らないのか……これは本物だ」
みゆきさんは首を傾げた。
こなた「作曲、演奏とも柊まなみ、まなみちゃんだよ」
みゆき「え……?」
こなた「私のために作曲してくれた、それをかがみが録音してくれたのてね、みゆきさんが聴いた曲がそれだよ」
みゆき「泉さんのために……ですか」
こなた「ピアノの演奏が凄いのは分っていたけど、まさか作曲までできるとは思わなかった、ねぇ、作曲できるって
    凄いと思わない、ピアノの演奏が出来る人はクラスに一人はいるよね、でもさ、作曲ともなると
    学年に一人いるかどうかだと思うんだけどどうかな?」
みゆき「……もっと少ないかもしれません……オリジナルともなるとそうは居ないと思います」
こなた「みゆきさんは作曲できる?」
みゆき「いいえ……」
こなた「そうそう、私なんか作曲どころかおたまじゃくしさえ読めない」
みゆき「それは泉さんは音楽に……」
こなた「そうそう、幼少時に音楽に触れる機会がなかった、そもそも楽器に興味がなかった、才能もなかったかもしれない
    だけど、まなみちゃんの演奏を聴くといいな〜なんて思ったりもする……憧れだよね……そう、憧れ……
    でもまなみちゃんになれないし、つかさに成れる訳でもない……じれったいし、もどかしいよね、
    で、思ったんだけど……ヴァイオリンの音にあこがれてピアノでどんなに頑張ってもヴァイオリンの音は出せない、
逆もまた然り、だけどその憧れがその楽器の音色をより美しく奏でさせる……それでいいじゃん、まぁ私は
ヴァイオリンでもピアノの音色もないから差し詰め打楽器って所かな……」
みゆき「……打楽器は人類が一番初めに作った楽器……リズムを刻み時には音に破壊的な効果をもたらします、
    管楽器、弦楽器とてもそのような効果は期待できませんね……」
こなた「い、いや、これは例え話で」
みゆきさんは首を横に振った。
みゆき「たとえ話ではありません……それぞれの特色を活かして一つの大きなシンホニーを……私も参加したいです」
こなた「うんにゃ、もうとっくに参加しているよ」
みゆき「そうでしょうか……私は何も」
こなた「なにせみゆきさんはお稲荷さんを理解している数少ない一人だからね」
みゆきさんが一番理解している。私はそう思った。
みゆきさんは真剣な顔になり私の前に立った。
みゆき「それならば私も手伝わせてください」
こなた「な、何、何なの?」
こなた「それならば、私を神崎さんに見立てて告白の練習をしましょう……」
こなた「え?」
……
……
時間だけが過ぎていく。
みゆき「どうしたのですか、私の前で言えなければ本人の前にすら立てませんね」
こなた「ちょ、ちょっと待った、そんなのしなくても、子供じゃあるまいし、それにかがみだってそんな練習は一度も……」
みゆき「かがみさんは自分の出来ない事を他人に強要しません、優しすぎるのです、でもそれでは成功しません」
こなた「わ、私は本番に強いからそ、んなの、は……」
みゆきさんの目がいつになく怖く睨みつけてきた。
これは言うまで帰してもらえない。そう思った。
……
………
…………
487 :「こなたの旅」 33  12/14 12/12でした [saga sage]:2015/06/08(月) 00:11:32.38 ID:b7iGww1s0
 言えなかった。冗談でも言えなかった。
みゆきさんの言うとおり。みゆきさんの前で言えなければ本人の前でなんて言えるわけない。
そんなのは分っている。解っているけど……言えなかった。
これじゃこの前と全く同じ。何も変わっていない。
まさかこんな事って……
有り得ない。
だけどこれは現実だ。夢じゃなかった。
こなた「は、はは、はははは……」
みゆき「い、泉さん?」
笑うしかないこれは笑うしかなかった。
こなた「こりゃ傑作だね、笑っちゃうよね〜」
私は帰り支度を始めた。
みゆき「泉さん、ですから私の前で……」
こなた「いいから、もう」
みゆき「いいから……とは?」
こなた「お邪魔しちゃったね、もう帰るから」
私は部屋を出ようとした。そうしたらみゆきさんは立ち上がって素早く私の前に回り込んでドアの前に立ちはだかった。
みゆき「まだ終わっていません、このままでは本番で失敗します」
こなた「本番はもうないから……」
みゆき「無とはどう言う意味です?」
こなた「言ったままの意味だよ……もう終わり、これじゃ何をしても無駄だよ」
みゆき「……どうしてです、まだ諦めるのは早すぎます、何かの落ち度があるのでしたらかがみさんともう一度作戦を練り直す時間くらいは……」
こなた「もう何をしても同じだよ」
みゆき「いいえ、違います」
こなた「……同じだよ、もう帰るからそこを退いてくれるかな……」
みゆき「これまで協力してくれた方々の想いが……分っているのですか、つかささん、かがみさん、まなみさん、田村さん……
    ……それに、此処に来たは泉さん自身の意思ではなかったのですか」
いつになく真剣なみゆきさんだった。
こなた「うんん、かがみが行けって言うから来ただけだから……」
私はみゆきさんの向こうにあるドアのノブに手を伸ばした。
みゆきさんは私のその腕を掴んだ。
みゆき「終わりとは、そのまま神崎さんを故郷の星に帰していいと言うのですか」
私はノブの方に向けて少し力を加えた。みゆきさんの腕はは押し返す力が加わった。
みゆき「本当にそれで良いのですか、私の目を見て言って下さい」
みゆきさんの手が更に強く握る。
みゆきさんに言われなくてもそんなのは解っている。分っているけど、身体が言う事を聞かない。
私は更に力を入れてドアを握ろうとした。
みゆき「このまま帰っても何も変わりません……」
変わらない。そう何も変わらない。私は腕の力を抜いた。それに気付いたみゆきさんは腕を放した。
こなた「そう、そうだよ、何も変わっていない……可笑しい、可笑しいよね……」
みゆき「い、泉さん?」
こなた「実はね……以前にも告白しようとしたんだよ……全くその時と同じ……うんん、言い出そうしただけ
    その時の方がよかったかもしれない……まったく変わっていない」
私は顔を上げてみゆきさんの目を見た。
こなた「全く変わっていない、つかさにまなみちゃんにかがみ、ひよりにみゆきさんまで勇気を貰ったのに……
    これじゃ何をしたって同じだよ……つかさの様な勇気があれば私は今此処に居ないよ……
    まなみちゃんの様にピアノが弾けたら想いを全て音楽にできるのに……何もできない私は直接話すしかないから、
    どうしようもないよ……言えないものは言えない、弱虫って言われてもしょうがないよ、言えない、
    言いたくても言えない……言えない」
みゆき「例えそこで諦めたとして、何れ来る別れの時、泉さんはどうするのですか、会わずにそのままお別れするのですか
    その時も何もしないつもりですか」

そう、そうだった。かがみもそんな事を言っていたし今回の作戦もそれが肝になっている。
そんな事は分ってた。いずれにせよ別れの時が来る。
つかさは別れの時に会えなかった。だけどそれが結果的に再会の切欠になった。
でもつかさは必死になっていた。
私だって必死だよ。つかさ以上にやっているつもり……つもりじゃ駄目なのかな……
私の場合会えない訳じゃない。会わない……会わないのか。
こなた「考えれば考えるほど言えなくなるよ……神崎さんが好きなんて……」
みゆきさんは一歩横に移動してドアを開けた。
みゆき「……確かに聞きました、本番はその調子で行けば大丈夫です」
こなた「え?」
みゆき「しっかり聞こえました、告白」
こなた「い、いやあれは独り言みたいなものでみゆきさんに言ったわけでも神崎さんに言った訳でも……」
みゆきさんは笑った。
みゆき「どちらでも良いではありませんか、泉さん自身の口から出たのは間違えないのですから」
こなた「みゆきさん……」
みゆき「ファイトです」
みゆきさんは小さくガッツポーズを取った。
みゆき「私に出来るのはこのくらいですが」
こなた「うんん、なんかすっごく勇気が湧いた様なきがした、ありがとう」
みゆき「いいえ、勇気をくれたのは泉さん、貴女ですよ……お互い頑張りましょう」

 そしてみゆきさんと別れた。
今思えばあれは誘導だったかもしれない。だけどそれで私はこうして此処に居る。神崎さんと待ち合わせまで漕ぎ着けた。

もうそろそろ時間かな。
『ピピ』
頭の中で神崎さんの気配を感じた。メモリー板の機能が働いたみたいだ。もう彼はすぐ近くにいる。
もう後戻りは出来ない。
もうやるしかないんだ。

つづく
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/06/08(月) 00:15:28.03 ID:b7iGww1s0
以上です。 全部で12レスでしたね

忙しくて投下が遅れてしまいました。
え?これで終わりじゃないのかって?
残念でしたもう少し続きます。

お題の「街頭インタビュー」……
まったく考えていませんでした……
七夕ネタと一緒にするかもしれません。

この後すぐに纏めますので報告は省略します。

489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga ]:2015/06/13(土) 13:29:20.11 ID:c1Wlv7n+0
保守
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2015/06/22(月) 02:36:33.80 ID:1CTQy7qSO
保守
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga ]:2015/06/23(火) 20:45:16.34 ID:0ymscn3l0
う〜ん
何も思い浮かばない

「街頭インタビュー」
かなり難しい……
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/06/27(土) 23:20:54.69 ID:fGhy2yEj0
保守?
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/07/04(土) 21:00:07.85 ID:Bf7RVCnN0
保守
494 :今日は何の日? [saga]:2015/07/06(月) 21:53:48.92 ID:1EliAjqc0
こなた「今日は何の日だか知っている?」
かがみ「唐突に何を言う」
つかさ「え、七夕……」
こなた「それは明日だね……かがみは?」
かがみ「そんな急に言われて思い浮かぶか」
みゆき「……思い当たるのは……サラダ記念日ですが……」
こなた「さっすがみゆきさん!!」
つかさ「サラダ記念日???……何でサラダなの?」
こなた「ん……何でだろう」
かがみ「問題を出した本人が知らないでどうする……「この味がいいね」と君が言ったから7月6日はサラダ記念日……俵万智さんの短歌よ」
こなた「かがみ、知ってるじゃん?」
かがみ「みゆきが言ったから思い出しただけよ」
つかさ「どう言う意味なの?」
かがみ「恋人に出したサラダ、美味しいって言われたのが嬉しかった……そんな感じ」
つかさ「恋歌なんだ……何だかかロマンチックだね」
みゆき「鶏の唐揚げを工夫して出したら思いのほか好評だったのが実際だったようです、しかし歌にするのに唐揚げでは重いのでサラダに変えたようですね」
かがみ「それは初耳だわ」
つかさ「でも唐揚げとサラダだとサラダの方がしっくりくるかも」
かがみ「そうね……さすがベストセラー作家は違うわ」
こなた「そうりゃそうだよ、かがみならローストビーフでも足りないじゃないの?」
かがみ「それどう言う意味よ」
こなた「言った通りの意味だよ」
かがみ「なんだと!!」
みゆき「かがみさん、つかささん、少し早いですがお誕生日おめでとうございます」
つかさ「あ、ありがとう……お姉ちゃん?」
かがみ「……ありがとう……」
みゆき「今日は私のおごりで夕食はどうです?」
こなた「いくいく!!」
みゆき「それでは予約をするので手伝ってくれませんか?」
こなた「うい〜」
みゆき「それでは後ほど……」


かがみ「ふぅ〜」
つかさ「どうしたのおねえちゃん?」
かがみ「さっきのみゆき……私とこなたが喧嘩するのを見越していたな……」
つかさ「え、そうなの?」
かがみ「……あのタイミングで私達の誕生日を持ち出して更にこなたを私から離した」
つかさ「そういえば……私、全然気付かなかった……」
かがみ「敵わないな……」
つかさ「敵わないって、お姉ちゃん、ゆきちゃんと争ってたの?」
かがみ「え、い、いや、私が勝手に争っているだけ、向こうはそんなの毛ほども感じていない、頭にくるわ……」
つかさ「え、でもゆきちゃんはゆきちゃんだよ」
かがみ「……そうよ、親友であるのは変わらないわよ、そんな悲しそうな顔をするな」
つかさ「……それを聞いて安心した……それで……こなちゃんは?」
かがみ「こなた……あいつは自分勝手でお調子者で遅刻をするはすぐに弄ってくるは……」
つかさ「ふふ、それでも親友なんだよね?」
かがみ「……つかさ、あんたもでしょ?」
つかさ「うん」
かがみ「永い付き合いになりそうだ」
つかさ「うん」
『ピピピ』
つかさ「あ、ゆきちゃんから着信だよ」
かがみ「……さて、行くか」
つかさ「うん」




以上です。1レス物です。

ついでに少し早いけど誕生日ネタもまぜました。

お題の方は考え中です。(っと言っても全く思いつかない)
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/07/06(月) 21:59:23.63 ID:1EliAjqc0
ここまで纏めた
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2015/07/08(水) 13:36:09.58 ID:csV16xuSO
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2015/07/17(金) 01:31:11.10 ID:A5rgB9oSO
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/07/26(日) 20:37:46.15 ID:gkyjtLgH0
保守
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/08/11(火) 04:41:37.22 ID:SVYntfNi0
保守
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/27(木) 21:41:47.77 ID:hQ4HgPRzO
保守
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/09/05(土) 06:28:49.90 ID:lF2P/prF0
保守
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2015/09/12(土) 18:19:13.27 ID:ELpSLT8SO
保守
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/14(月) 20:22:36.01 ID:hu+Qlw2KO
「こなたの旅」の作者です。
忙しくて書き込み出来ません。
最近やっと書き始めたばかりです。
待っている人は居ないでしょうけどもう少し時間が掛かりますので、よろしくお願いいたします  


保守を兼ねての書き込みでした。


504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/15(火) 06:57:53.61 ID:QSilfFdy0
乙 待ってる
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/09/23(水) 05:22:56.59 ID:rGwZU6kQ0
>>504
待っている人が居るとは思いませんでした。ありがとう
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/02(金) 18:59:18.02 ID:pVYEasBAO
保守
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/10/10(土) 05:15:55.17 ID:sqrTFP1/0
保守
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/18(日) 22:56:09.07 ID:KjhcMMsn0
保守
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/10/29(木) 21:24:40.74 ID:2bDtNU5Y0
保守
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/05(木) 05:27:04.93 ID:eUh0Q4DHO
保守
511 :どうする? [sage saga]:2015/11/09(月) 00:43:31.43 ID:+VfAkJDs0
こなた「なんか静かだね」
かがみ「そうね、静かだわ……」
つかさ「静かってレベルじゃないよ……」
こなた「いったい何時からこんなになった……」
かがみ「このスレが立ち上がったのが2013年……
    この前のスレから随分減ったわよね、コンクール参加者も0になったくらいだし」
こなた「そうだね〜」
つかさ「人気なくなっちゃたのかな……」
こなた「確かに全盛期と比べれば……」
かがみ「人気云々は置いておいて、このスレをもう少し活気付けたいわね……」
こなた「どうすればいい?」
つかさ「別のサイトで宣伝してみたら?」
こなた「それはもうやってる……」
つかさ「以前投下してくれていた作者さん達は?」
かがみ「それは向こうから来なければ私達は何もできないわよ」
つかさ「……何もできない……ね」
こなた「なんかダラダラ長編を書いている気まぐれな作者が一人いるだけっぽい」
つかさ「もしかしてその作者のせいで……他の人が書き込めないとか?」
かがみ「投下が不定期だからその間に書き込めるでしょ……批判している人も居なければ
    賞賛している人も居ないから無視すればいいだけ」
こなた「そうだよ、無視しちゃえばいいだよ!!」


現在このスレは殆ど一人が投下していますがどなたでも自由にssを投下できるスレです。
>>1 が基本なのでよろしくお願いします。

つかさ「なんかどこからか声が……誰?」
こなた「このスレを愛する一人のファンからのメッセージだね」
かがみ「何故そんな事がわかる?」
こなた「だってそれ以外に考えられる?」
かがみ「……」
こなた「っと言う事なのでよろしくお願いします」
かがみ「お、おい、勝手にまとめるなよ……」
つかさ「よろしくお願いします」
かがみ「つかさまで…………よろしくお願いします……」
こなた「結局まとめるんじゃん」
かがみ「う、うるさい……」

512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/10(火) 08:51:55.75 ID:EUYIuQec0
そんな哀しい事いうなよ(切実)
513 :ごめんなさい [sage saga]:2015/11/14(土) 03:06:28.82 ID:Fm5w/2Pu0
こなた「やったー 書き込まれたよ!!」
つかさ「……ほんとうだ、やったね」
こなた「ふっふっふ、不安を煽って書き込ませる作戦、大成功だよ」
つかさ「え? 作戦って……」
こなた「ちっちっち、つかさ、今の時代、正攻法で攻略できるほど甘くはないのだよ」
つかさ「で、でも……」
かがみ「でももへちまもないよ、現にかきこまれたじゃん?」
つかさ「たしかにそうだけど……お姉ちゃんは知ってるの?」
こなた「知らないからこそだよ、知ってたら絶対に止められてた」
つかさ「え〜」
こなた「だから……つかさ、解ってるよね」
つかさ「わ、分ってるって、何を?」
こなた「この事は絶対に内緒だから」
つかさ「内緒……」
こなた「知ってしまったからにはつかさも共犯だからね、だいたい只でさえつさはおしゃべりだから……」
つかさ「……」
かがみ「作戦の次は脅しか……」
こなた「ひぃ……その声は……か、かがみ様……いつからそこに……」
かがみ「何かおかしいと思っていたら、他にも共犯居るでしょ」
こなた「い、いいえ、私の独断と偏見で……」
かがみ「あんたがそんな回りくどい事考えるわけない」
こなた「えっと…その……あの……」

ごめんなさい

つかさ「あ、どこからか声が……」
かがみ「やっぱり、呆れたわ……これじゃファン失格ね」
こなた「ごめんなさい……もうしません」
つかさ「そうだよね、私達はもっと楽しく、面白く……時には感動を」
かがみ「そうそう」
こなた「そして、もっとゆるゆるで……」
かがみ「お前が言うな!」

514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/19(木) 06:30:06.85 ID:BNWbOzDOO
保守
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/02(水) 01:12:59.11 ID:dNHmN12u0
保守
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/10(木) 20:36:26.23 ID:cJkbksQT0
保守
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/19(土) 02:32:03.88 ID:Y1es8DR40
保守
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/27(日) 20:45:50.61 ID:QHBA//0T0
保守
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/31(木) 02:43:40.37 ID:1xzOTzkh0
もう今日で今年は終わり。
思い返せばあっと言う間に過ぎてしまったような気がします。
今年で終わらそうとした物語手付かず、そろそろ本腰をいれて書こうかなと思います。


来年は良い年でありますように。
520 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/01(金) 01:27:04.50 ID:WDWY44i50
あけおめ、ことよろ
521 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [saga]:2016/01/11(月) 19:17:13.18 ID:4AVEsaG80
保守
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/01/21(木) 22:19:00.57 ID:svqyhU4R0
保守
523 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/01/25(月) 00:22:36.52 ID:D5eWvsr20
まとめサイトが見れない?
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/25(月) 00:30:50.29 ID:7EhJJSbD0
すみません
スマホだと死ぬほど見づらいです
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/01/26(火) 23:35:04.31 ID:+P+T+w2n0
もともとpc用の表示だからね

スマホ表示にすれば多少は読みやすくなるのでは?

メニュー画面がないから作品を探すのがめんどいかな
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/02/01(月) 00:03:12.63 ID:1ih/slNA0
保守
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/06(土) 07:26:47.36 ID:mMx2JB8QO
保守
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/06(土) 10:03:02.28 ID:Gq+MUPQro
ガラケーの俺に隙はなかった
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/06(土) 22:06:02.21 ID:zRwKeruAo
なんかいろいろと切なくなるスレだな……
530 :無題 :2016/02/15(月) 00:25:07.91 ID:hF0TPQyv0
こなた「ねぇねぇドラ○エの天○の花嫁ってやったことある?」
かがみ「ん? 唐突になにを?」
こなた「まぁ、まぁ、それで、やったことある、つかさは?」
つかさ「あるけど……」
こなた「かがみは?」
かがみ「ある……それがどうかした?」
こなた「例の婚約シーンの選択で浮気度がわかるんだけどね……」
つかさ「婚約……って花嫁を誰にするって」
こなた「その通り!!」
かがみ「はぁ、なにを言い出すかと思えば……」
こなた「つかさは何を?」
つかさ「私は……フローラかな」
こなた「かがみは?」
かがみ「ふふ、つかさ甘いわよ、断然ビアンカ、それ以外ない
    幼馴染を選ばずして浮気なんか語るな」
つかさ「そ、そうなの、その時好きじゃなければ意味ないような……」
こなた「ほぅほぅ、お二人の恋愛観が分っちゃったね」
かがみ「そう言うあんたはどうなのよ! さしずめデポラって落ちじゃないの?」
こなた「チッチッチ、分ってないなお二人さん、あの場面で誰を選んでも
    浮気度なんて分らないよ」
つかさ「え?」
かがみ「な、なんだよ、分るって言ったじゃないか、からかってるのか!」
こなた「問題は誰を選ぶではなくその前の行動だよ」
つかさ「その前の行動って……選ぶ前に誰と話したとか?」
こなた「うんんちがう」
かがみ「もういい、どうせ下らない答えに決まってる、もう帰るわよ」
こなた「……それはね、選ぶ前にセーブをしたかどうかなんだよ」
つかさ「セーブ? どうして???」
こなた「それじゃ聞くけどどうしてセーブするの?」
つかさ「それは……電源が切れた時とか……失敗しちゃった時とか……」
こなた「はいはいそれそれ、誰かに決めて失敗しちゃったらやり直そうなんて浮気そのものじゃないの?
    一途ならセーブなんかしないで進める……でしょ?」
つかさ「そう言われると……私……セーブしちゃったかも……」
かがみ「バカバカしい、そんなんで分ったら苦労しないわよ」
こなた「で、かがみはしたの、しなかったの?」
かがみ「そんなの忘れたわよ、そう言うあんたはどうなのよ!!」
こなた「私はもちろんセーブしたよ、選択肢の前のセーブは基本」
かがみ「ほうほう、それは大した浮気性だ!!」
こなた「ふむ、正直に言わない人は影でコソコソして泥沼化する……いやいやかがみは……」
つかさ「お姉ちゃん……」
かがみ「う、うるさ〜い!!!!」

終わり


531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2016/02/15(月) 20:40:05.50 ID:hF0TPQyv0
ここまでまとめた
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2016/02/27(土) 07:19:21.44 ID:aNTcKgCv0
保守
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/03(木) 05:26:21.28 ID:4prSPmLYO
保守
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/11(金) 12:56:45.51 ID:X9t8e/BiO
保守
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/03/17(木) 18:27:04.33 ID:9G3BTEjm0
hosyu
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2016/03/29(火) 06:28:57.14 ID:Uwx4HFhcO
保守
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/31(木) 09:40:21.66 ID:Dn78j9i4O
http://i1.wp.com/img.grotty-monday.com/wp-content/uploads/gotokill003.jpg
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2016/04/02(土) 16:30:18.25 ID:zKsZvhFsO
保守
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/02(土) 17:20:26.28 ID:yEyxyGra0
>>537
グロ
540 :保守 [sage saga]:2016/04/11(月) 20:50:27.75 ID:JgJvu66p0
どうも「こなたの旅」の作者です。
最後に作品を書き込みしてからもう1年近くも経ってしまった。

読む人も居なさそうだしこのまま消滅でも……と思ったりもします。

「つかさの一人旅」のまとめで「おもしろくない」と書き込まれてヤケクソで
続きを書いた訳で……とても不純な動機でした。
よくここまでだらだら続けたなと思っている程です。


一人でも続きが読みたい人がいれば書くかもしれませんが……


保守だけだと勿体ないから書き込んでみました。
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/13(水) 19:42:09.01 ID:SkONvZoQ0
書き続けることができるなんていいことじゃないか
らき☆すたのSSは読みたいと思うしこのスレがあればまた新規の作者も現れるかもしれない
書こうと思えるなら書くべきだと思うよ
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/25(月) 23:14:08.11 ID:mzE9F7rJO
これは偽物
http://www.asyura.us/bigdata/up1/source/38552.jpg
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/01(日) 21:33:28.53 ID:yeB5k04t0
「こなたの旅」の作者です。
忘れてしまった人もいるとは思いますが続きを投下します。
5スレくらい消費します。
544 :こなたの旅 34 1/5 [sage saga]:2016/05/01(日) 21:35:22.16 ID:yeB5k04t0
34

 彼が、神崎さんが近づいてくるのが分る。どうしよう……
どうしようじゃない。かがみの作戦通りやるしかない。そう心の中で何度も言う。
そうじゃないか。普段は普通に話せているじゃないか。そうの様にすればいいだけの話。
よ〜し。
神崎「待たせたかな……まさか先に来ているとは思わなかった」
こなた「あっ!!」
神崎「ん?」
不思議そうに私を見ながら首を傾げる神崎さん。私の奇声がよっぽど珍しかったのか。
そんな事を考えている暇は無かった、もう作戦は始まっている。
……もう……いやいや、まだまだ……
とにかく落ち着け、そして動作はゆっくり、慎重に。
私は徐にポケットに手に入れてメモリー板を取り出し彼に差し出した。
神崎さんはさらに首を傾げる。
こなた「はい」
神崎「どう言う意味なのか?」
こなた「もう返すよ……」
神崎さんはとても驚いた顔をした。
神崎「返す……何故だ、まだ裁判は終わっていないのに?」
こなた「裁判はどうあがいても有罪は確定しているからね、もう終わったのと同じだから」
私は一歩進んで更に彼に近づいた。
だけど神崎さんはメモリー板を受け取ろうとしない。
神崎「……裁判はいいとして、君にもそれは必要ではないのか?」
こなた「もう私の仕事は終わっちゃったしね、もうこれ以上これを持っていても意味ないし」
神崎「……貿易会社が読み取ったメモリー板の情報を全て消したと言うのか?」
私は頷いた。
こなた「敵もいろいろ工夫していて骨は折ったけどね、これでお稲荷さんの情報は少なくとも彼らのサーバには一切残っていないよ」
神崎「ばかな……君には基本的な使用方法しか教えていない」
私は人差し指を立てて舌を鳴らした。
こなた「チッチッチ……私にはもう一つの秘密兵器があるのだよ」
もう一つ、そうUSBメモリーを取り出しメモリー板の上に重ねて置いた。
神崎「それは……」
こなた「めぐみさんがくれたUSBメモリー、これでこの地球上ある全てのPCは私の手の中にあるのと同じ、それにね
    メモリー板の使い方もこのUSBメモリーが翻訳してくれてね、仕事が捗ること捗ること」
神崎「……それがあったのか……メモリー情報は確かにそれで翻訳できるな……」
私は更に一歩彼に近づいて渡そうとしたけど彼は受け取ろうとはしなかった。
神崎「本当に良いのか、私がこれを使ってあの殺し屋に復讐するとしたらどうする、それを使えば刑務所だろうが軍隊の施設だろうが
   容易に侵入できるぞ」
こなた「うんん、メモリー板が無くったって復讐する気ならとっくにやっていたでしょ?」
神崎「言い切るじゃないか、メモリー板を持った途端に気が変わるかもしれないぞ、それに今まで何もしなかったのは
   君の持っているメモリー板で私の居場所を特定されてしまうのを恐れていたからかもしれない」
こなた「そんな事言ったら私がメモリー板を渡さないよ、それにね、そう言うのは渡されてから言うもんだよ」
神崎さんは苦笑いをした。
神崎「私を試すのか、メモリー板のおかげなのか知恵がついたな……それとも誰かの入れ知恵なのか」
こなた「そんなのどっちでもいいじゃん」
確かにこのメモリー板のおかげで神崎さんと同等な話が出来るしついてもいける。
だけどこれはメモリー板でも誰かの……ましてはかがみの入れ知恵でもない。
つかさとお稲荷さんとのやり取りをずっと観ていれば出来ることだよ。
私はさらに近づいてメモリー板を彼の間の前にかざした。
神崎さんはじっと私の手にあるメモリー板を見ている。
545 :こなたの旅 34 2/5 [sage saga]:2016/05/01(日) 21:36:26.74 ID:yeB5k04t0
神崎「確かにそれは私にとってどっちでもいい……それより本当にそれでいいのか、それを私に返せば二度と
  その力を使うことは出来ない、知識も技術もすぐに忘れてしまうのだぞ、その気になれば株価の操作だって可能、
  貿易会社の様に技術を売れば富も思うがまま、それにかつて君がこの神社を買い取った様にね……惜しくないのか?」
こなた「ふふふ、今度は私を試すの……確かに惜しいと言われれば惜しいけど……やっぱりこれは私達が持つには
   危なすぎるよ……数学で1+1が2になるって理解できて始めて計算が出来るようになるよね……
   あとは掛け算、割り算、関数とか微分や積分だってその延長だよ、
   メモリー板の中身が分るようになって分っちゃった、私達ってその計算すらまだ理解出来ていないレベル
   だって……だから宝の持ち腐れになる」
神崎「確かに今の人間にはその積み重ねがなるかもしれない……それでも何人救えるか分らないぞ」
こなた「うん、同時に何人不幸にするか分らない」
神崎「……冷静な判断だな」
こなた「こう言うのはよくゲームやアニメで題材になるからね」
神崎「そこでそれが出てくるか……」
神崎さんは笑った。そして、さらに話しを続けた。
神崎「今まで永い間、人間と関わってきた、君が知っている様に私達はどんなに頑張っても一ヶ月の内数日は
  狐の姿になって生活するしかない、それで何度信頼していた人に裏切りられたか……
  一番弱くなっているところを狙われる、技術や知識を教えてもそれでいつも裏切りられ、争いが始まり、
破壊の限りを尽くし、そして……
  元に戻ってしまう、それの繰り返し、何度命を狙われ、何度生死の境を行き来したことか……」
少し間を置いて神崎さんは更に話しを続ける。
神崎「それでも助けられたのも人間だった、傷ついた私を何度救われたか、中には裏切ったはずの人物に
   助けられた事もあった……いったいどっちが人間の本性なのだ?」
何万年も生きていればいろいろな事があったのは分るけど。
私にはその問いの答えを持っていない。だけど……
こなた「何も知らない友人が一人旅で理不尽にも生贄にされそうになったよ、挙句の果てに逆恨みでもう一人の
   友人にも呪われちゃってね……何度か殺されそうになった……」
神崎「…それは……」
私は少し間を置いて更に話した。
こなた「でもね、その友人を殺そうとした人自分の命を引き換えにに友人は助けられた、
更に私達と一緒になって私達を呪おうとした人達と仲直りしようとしてくれた人もいたっけな……
お稲荷さん……一体どっちが本性なの?」
神崎「……その話しをするのか」
こなた「このメモリー板の知識だってお稲荷さんに出来たのだからきっと私達だって同じ事が出来るようになる」
神崎「私達と同じと言いたいのか……」
こなた「うん」
神崎「いや、地球での私達の行為は生きる為に止むを得ず行ってきた事だろうに」
こなた「それじゃ多分私達も同じだよ、このメモリー板の中にある歴史って殆ど戦争だよね、地球と同じじゃん?」
私を見て急に笑い出した。
神崎「メモリー板の歴史も解読したのか、ふふ、なるほど、君はもうそれを使いこなしてしまった……そう言う事か……だから見つからなかった訳だ」
こなた「ん?」
なんの事を言っているのかな?
神崎「確かに彼女の言ったとおりになったな」
こなた「へ?」
今度は私が首を傾げた。
神崎さんは黙って考えているみたいだった。
こなた「話したくない事なの、それより受け取ってくれないと腕が疲れちゃうんだけど」
神崎「そ、そうだな……」
神崎さんは腕を伸ばしてメモリー板をUSBメモリーを受け取ろうとした。
さけどさっきの話が気になってきた。
私はメモリ板とUSBメモリーをポケットに戻した。
546 :こなたの旅 34 3/5 [sage saga]:2016/05/01(日) 21:37:28.72 ID:yeB5k04t0
神崎「え?」
こなた「さっきの話の続きを聞きたい……誰の言う通りになったって?」
神崎「……そうだな言いかけてそれはないか……」
神崎さんは振り返って私に背を見せた。そして神社の下を見下ろした。
神崎「ワールドホテル社長と秘書の突然の消失……そしてこの神社の買い取りと寄付をした謎の人物……
  レストランかえでが一番怪しいと彼女は言っていた」
こなた「その彼女って……もしかして?」
神崎「そう、神崎あやめだ」
あやめさんは最初から私達の店を疑っていた。でも、そうだとしたら。
こなた「それじゃなんで今になって私達の所に来たの、もっと、もっと早く来てもおかしくないじゃん」
少なくともあやめさんが亡くなる前には会えたはず。
神崎「私にもそう言っていた、彼女の読みを信じていればこうはならなかったかもしれない……死ぬ必要もなかったかもしれない」
こなた「それじゃどうして!!」
思わず声が裏返った。
神崎「……私が反対した」
こなた「反対したって……私達は、特につかさはワールドホテルと深く関わっていたよ、少し調べればそのくらいは直ぐに……」
神崎さんは首を横に振った。
神崎「いいや、調べてもそれは分らなかった、ワールドホテルの情報は殆どあの社長と秘書が持っていたらしいからな……」
私を見る神崎さん。
神崎「その情報を消したのも君か?」
こなた「まさか、私はほとんど何もしていないよ、多分消したのは秘書の……」
神崎さんは手を私の目の前に出して止めた。
神崎「もういい……情報を消すのは私達のしてきた事を考えれば当然の事……そう、君たちはお稲荷さん仲間と協力して
   母星と交信をし、そして故郷に帰した……何千年、何万年経っても出来なかったことを君たちはやってしまった」
こなた「うんん、つかさが90%以上やったこと、そんな事よりあやめさんがよく神崎さんの反対に納得できたのか……
    あの強引な性格じゃぜったいに折れないよね?」
神崎「強引? そうだな、仕事はいつもそうだった、しかし私の言う事にはあまり反論はしなかった」
反論しなかった……?
こなた「仕事って、貿易会社の秘密を探す仕事をしてたでしょ……それに仲間を探していたって……
彼女のライフワークみたいなもんじゃなかったの?」
神崎さんは黙っていた。話そうとしないから私から言った。
こなた「ずけずけ店に入ってきたりしたしたり、私を潜入操作のメンバーにしたり……そんなの考えられないよ」
それでも神崎さんの言う事に従ったってことは……
神崎「反論はしなかったが彼女従ってはいない」
こなた「え、言っている意味が分らない……」
神崎「彼女は私と仕事をした後から自分の仕事をしていた、私に気付かれないように」
そんなまどろっこしい事を何で?
私が話しださないのを確認したのか神崎さんは話しだした。
神崎「彼女は私と大学や企業を調べている合間を見ては君達の店を調べていた、店の経歴、店長、
従業員、店の移転に至るまでね、もちろんその中に君の名前もあった、泉こなた……」
そこまで調べていたなんて……
神崎さんは一呼吸すると再び話しだした。
神崎「私との仕事と自分の仕事の両立……その負担は心身共にかなりのものとなる」
こなた「負担……」
神崎「そしてその結果があの事故だ……」
私はなんていって良いのか分らなかった。
神崎「ふふ、あいつを、あやめを死に追いやったのは私だ」
こなた「あやめさん、調べていたんだったらちゃんと言えばよかったのに……なんで……」
神崎「……さあな……」
さあなって、神崎さんはあやめさんの記憶の全てを知っているんじゃないの?
だから……それは無いよ。絶対無い。神崎さんは絶対にその理由を知っている。知ってきゃおかしいよ。
547 :こなたの旅 34 4/5 [sage saga]:2016/05/01(日) 21:38:23.83 ID:yeB5k04t0
神崎「今までの私はその償いの為にこうしてきた……それももう終わる……」
でも聞けない……その理由が怖くて聞けない。
こなた「償いって、約束じゃなかったの?」
神崎「ふふ、そう言わなかったら君は協力してくれまい?」
こなた「え……?」
神崎「貿易会社に潜入した時警備員に襲われた……本当は君を助けるつもりは無かった」
こなた「な、なにを突然……」
神崎「君が囮になれば私達は逃げられた……それだけの話だ」
こなた「それじゃなんで私を助けたの?」
神崎「神崎あやめがそれを許さなかっただけの話だ……あやめに感謝するんだな」
違う。直ぐにそう思った。
あの時、囮になって皆を逃がしてそれで自分も助かる可能性があるとしたら狐になれる神崎さんしか居ない。
こなた「……そうだね……」
それでもこう答えるしかなかった。
神崎「さて、もういいだろう」
神崎さんは手を伸ばしてきた。
メモリー板……これを渡してしまったら……もう……
こなた「ちょっ…ちょっと待って……な、何も今更母星に帰らなくたって……もう4万年もここ(地球)に居たんだし……」
神崎さんの手が止まった。
神崎「この私に留まれと言うのか?」
こなた「う、うん……」
私は力なく答えた。
神崎さんは私の手に持っているメモリー板を見ながら話した。
神崎「それを機能停止させるにはかなりの危険、それに費用が必要になる……それとも人類がそれを使うに値するまで守り続ける覚悟があるのか、
   10年、100年、1000年……君達の子々孫々……少なくとも全人類が一つに纏まるまではこれは渡せないだろう」
こなた「何もそこまで待たなくても……」
神崎「ほぅ?」
その理由を聞きたそうな目をしている。
こなた「この状況は小さい頃から擬似的に体験しているから……もっと早く分ってくれるかなって……」
神崎「小さい頃?、擬似的?……ん……具体的になんだ?」
私は小さな声で答えた。
こなた「ドラ○もん……」
嗤われる
そう思った……だけど私と思ったのと違った反応をした。
神崎「未来から来たロボットが主人公に秘密の道具を貸す漫画か……」
こなた「し、知ってるの?」
神崎「知ってるも何も、彼女が話してくれてね……」
彼女……あやめさんか……
548 :こなたの旅 34 5/5 [sage saga]:2016/05/01(日) 21:39:31.72 ID:yeB5k04t0
神崎「主人公が大失敗をして終わるのが殆どだってな……確かにあの漫画は今の状況に当てはまる内容だな……
   あの教訓が活かせれば君も私もこうして苦しむこともないのだがな……ヨーロッパでも魔法使いの弟子と言う話が……」
なんだろう神崎さんのあの表情。昔を懐かしむように……そんな風に見える。
そういえば漫画やアニメのネタの話しをしても神崎さんは嫌がらなかった。それどころか
積極的に話していたよ。
そうか……分っちゃった……
あやめさんは神崎さんの事を……
分るのが遅すぎたかな……
神崎「泉さん!?」
神崎さんの声にハットした。
こなた「あ、は、はい?」
神崎「なんだ聞いていなかったのか?」
こなた「え、えっと聞いてますよ、魔法使いの弟子……うんうん随分古いアニメだよね」
神崎「その話はしていなかったが?」
こなた「え、あ……」
神崎さんは笑った。そして私は苦笑いをした。
神崎さんは私の手に持っているメモリー板を見ている。
確かにもうこれを持っている理由はないよね。
え、
これで、終わり?
うそ……まだなのに……こっちの要件はまだ終わっていない。
でも、もう終わり?
どうしよう。
何もできなかった。
これじゃこの前とおなじじゃない。
神崎「確かにこの地球は母星よりも遥かに永く滞在している、もう第二の故郷と言ってもいいくらいだ、
   そして……最後に君に会えて良かったよ」
こなた「あ、そうだね、こっちも……」
そんな私の思いも束の間、話はどんどん進んでいく。
私はメモリー板とUSBメモリーを神崎さんに手渡した。
何故……言えない……
私って……
神崎さんはメモリー板とUSBメモリーを大事そうにポケットに仕舞った。
こなた「あれ、使わないの、仲間を呼ばないの?」
そんな事を言いたいんじゃないのに……
神崎「もう私が手にしたのなら改めてその操作をする必要はない」
こなた「そうだったね……」
神崎「それでは、さようなら」
こなた「さよう・なら……」

あっけない。これが最後の別れなの……

 神崎さんは私に背を向けると神社の階段を折り始めた。
私はその姿をずっと見ていただけだった。
彼の姿がぼやけて見える。
これって涙なのかな。

ごめん……かがみ……折角の作戦だったのに……大敗だったよ……

つづく
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/05/01(日) 21:50:00.97 ID:yeB5k04t0
以上です。

久々に投下したのでドキドキしてしまった。初めて投下した頃を思い出す。

しかし1年もかけて書いてたったこれだけとは……


次の投下でおそらく最後になると思います。

この後こなたがどうなるのか お楽しみを。


>>541
あまりにも反応がなかったのでモチベーションが落ちていました。
プロでもない素人には反応だけが肥やしみたいなものなので……
励みになりました。
ありがとう。

この後纏めるので報告に替えさせて戴きます。
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/05/04(水) 07:36:22.81 ID:3S1c0E5U0
まとめサイトのカウンターが機能していない
何か設定が間違っているのだろうか?
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/05/12(木) 00:24:53.10 ID:6V2ntczx0
保守
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/13(金) 02:18:25.14 ID:RSTkZY+aO
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/05/22(日) 14:09:45.05 ID:/KNv+mep0
まとめページの「メニュー」を修正しました。
554 :saga sage :2016/06/06(月) 08:58:02.51 ID:atk+5RgpO
保守
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage ]:2016/06/06(月) 09:05:11.97 ID:atk+5RgpO
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/15(水) 22:13:03.82 ID:ptz9vbDvo
こなた
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/06/24(金) 22:06:46.50 ID:F5mG9rAN0
保守
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/07/04(月) 21:14:06.77 ID:lGyJ67DR0
保守
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/15(金) 14:00:58.86 ID:EoTJwZOLO
保守
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/07/22(金) 22:18:46.65 ID:oss0WUKI0
保守
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/03(水) 09:04:12.54 ID:NIfFVqHYO
保守
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/08/13(土) 07:02:56.71 ID:KQGA1EGl0
保守
563 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/21(日) 00:02:03.04 ID:rFZvrIaU0
こなた「何にしようかな〜」
かがみ「さっさと決めなさいよ、あんただけだぞ!」
こなた「う〜ん、だって食べられるのは一つだけ……だけど食べたいのは二つもあるからね〜
    かがみみたいに両方なんて……迷うよ……」
かがみ「一言多いぞ……」
つかさ「そうだよね、こう言う時迷っちゃうよね」
みゆき「人間は意思決定をすると脳にかなりの負担になると聞いています」
こなた「意思決定?」
みゆき「はい、意思決定をすると脳の全ての機能を使用するので、どんな
    意思決定でも……例えば今朝はどの服を着るとか、朝食は何にしようかといった
    ものでも、仕事の結果を左右するような判断でも脳は同じ労力を使ってしまうようです、
    ですからあの有名なスティーブ・ジョブズはプレゼンテーションの時などの服装は
    同じ物にして他の重要な意思決定に脳の力を集中していたようですね」
こなた「ふ〜ん、かがみはいつも同じ色のリボンしてるけど、それを意識してたの?」
かがみ「……学校に派手なのは合わないでしょ、それだけよ
    それよりあんたはゲームに意思決定を集中しすぎだ、すこしは別のことに廻したらどうなんだ?」
こなた「私はゲームも現実も全力なのだよ、だから問題なし」
かがみ「あんたみゆきの話聞いていたのか?」
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/08/21(日) 00:56:38.08 ID:rFZvrIaU0
まとめた

久しぶりに1レスものを投下してみました。
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/25(木) 05:21:20.43 ID:Xlih6YxIo
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/09/03(土) 12:41:22.74 ID:V2KKGcS90
保守
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/09/10(土) 09:03:06.95 ID:pG7d1nbp0
保守
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2016/09/21(水) 23:08:31.54 ID:Y3NjDOxP0
保守
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