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千早「ノーブルチーム……?」 -
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1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/17(日) 23:55:19.71 ID:YhkjDYuB0
2552/07/24
地球
乱暴な運転が、眠っていた私を揺り起こした。
一瞬、意識が過去に飛び、自分がここにいる理由を見失う。
動揺を抑え、外を見ると、擦れた記憶がチリチリと音を立てた。
あの頃とは何もかもが違って見える。
より鮮明に、より詳細に。
当然と言えば、当然だった。
私は変わってしまったのだから。
別人といって差し支えないほどに。
IM@S×Halo:Reach
Chapter1 千早「ノーブルチーム……?」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1361112919
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/
二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/
佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/
全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/
君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/
笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/
【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:00:59.78 ID:onRvhrVu0
同日 765プロ
時代遅れのロゴが、あの頃と変わらず、大雑把に自己を主張している。
私をここまで送ってくれた運転手は、私を下ろすとそのままどこかへ消えた。
だから、私は今一人。
あの扉を一人で開けなければならない。
とはいえ、開けにくい明確な理由があるかと言われれば、それはまったく無かった。
ただ、どこか気まずさのようなものを感じずにはいられないのも、また事実だった。
「………」
目を閉じ、小さく息を漏らす。
それだけで、今の私は平静を取り戻すことができた。
立ち止まることなく、扉まで近づき、取っ手に手をかける。
26世紀にもなって、なぜ未だに人力で開くタイプの扉を使っているのかと、ふと疑問が脳裏をよぎった。
それも一瞬のことにすぎなかったが。
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:03:49.98 ID:onRvhrVu0
扉の向こうには、多くの人影があった。
「中継ステーションの一つとの交信が途絶えてしまってね」
向かいには、黙々とシャベルの手入れをする少女。
こちらを一瞥するのみで、すぐに視線を落として手入れを再開し始めた。
「昨夜3時以降連絡がまったく取れないんだ」
右手には、眼鏡をかけた黒髪の男と、それに寄り添うように立つ銀色の髪を讃えた少女。
「調査のためにファイアチームを派遣したものの、彼らからの連絡も途絶えてしまった」
彼ら二人は音声通信で誰かと会話しているようだったが、会話に集中しているのか、三人とも私に注意を払う様子はない。
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:06:12.55 ID:onRvhrVu0
「それで我々を?」
「上層部は貴重な君たち≠送り込むほどの事態ではないと考えているようだが、私は違う」
彼らの注意をひこうと、室内にもう一歩踏み込もうとすると、左から伸びてきた手が私の行く手を遮った。
気配をまったく感じなかったことに驚きつつ、その少女を見る。
眼鏡をかけ、髪を後ろで束ねたその少女は、私の上を観察するような視線でなぞった後、隠し切れない驚きに目を見開いた。
私は今、自分ができる精一杯の微笑をその少女に返す。
すると少女は、私を遮ったまま、先ほどの二人のほうを見た。
「プロデューサー殿」
少女の声にプロデューサーと呼ばれた男が一瞬、こちらを見る。
しかし、それ以上は何も言わず、何者かとの会話に戻っていった。
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:08:24.41 ID:onRvhrVu0
代わり、隣に立つ銀色の少女が私を見た。
「まぁ……あなたが新しい『しっくす』なのですね」
穏やかな、しかし、はっきりとした声が耳朶を打つ。
それだけで、心が引き込まれそうになるほどの魅力が、彼女にはあった。
「律子さん、あの、新しいシックスさんのファイルは……?」
向かいの少女が手を止め、律子と呼ばれた私の前に立つ少女に問いかける。
「もちろん、読んだわ。塗りつぶされていたところ以外はね」
私を見る律子の表情には、それが嘘だということがありありと見て取れた。
今のこの環境が嘘をつかざるを得なくしているのだろう。
おそらく、彼女は私に関する全ての情報を既に握っているに違いない。
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:09:59.26 ID:onRvhrVu0
「何者の仕業です?」
律子たちの会話に全く興味をしめさず、プロデューサーはホログラムの向こうの人物に問いかけた。
「情報部は現地の『AI派』と見ている。五ヶ月前にも他の中継ステーションが襲われ、大きな被害が出ている」
そこで、相手は大きくため息をついた。
「現地の住民とはいえ、外部に位置情報が漏れている時点で、かなり危ない状況なんじゃないかと私は思うんだがね」
「……まぁ、言っていても埒があかない。それに、これ以上は我々の活動にも支障が出かねない。そこで君たちには何としても中継ステーションを復旧してもらいたい。やってもらえるかね」
「了解しました、高木社長」
「では、また連絡する。以上だ」
プロデューサーの答えに満足したように、相手は通信を切った。
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:11:31.56 ID:onRvhrVu0
「良く来た」
通信が終わると同時に、プロデューサーがこちらを向く。
私は彼の前に一歩踏み出した。
「着任しました」
プロデューサーは私を見て黙って頷いた。
それは過去を振り切って、漸く765プロに戻ってきた私への労いのように私には思えた。
「俺はプロデューサー。この『ノーブルチーム』のリーダーだ」
私は頷く。
それにしても、彼はあの頃と何も変わっていない。
リーダーとしての責任が、彼に独特の陰を纏わせているが、それ以外は本当にあの頃のままだ。
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:15:15.71 ID:onRvhrVu0
「メンバーの律子、雪歩、貴音だ。……とはいっても、紹介するまでもないか」
プロデューサーが頭をかく。
眉間から皺が消え、本当の彼がちらりと見える。
ノーブルチームのリーダーではなかったころの、ただの一プロデューサーだった頃の彼。
思わず笑みが零れそうになったけれど、それを抑えることは雑作もない。
馴れ合いは、許されないところまで来てしまったのだから。
彼もそれをすぐに理解した。
「俺と同乗しろ、シックス」
そう言った彼の表情は、リーダーのそれだった。
部屋を出て行くプロデューサーを追って、私も部屋を出る。
「…………」
765プロ。
懐かしさは、ここに置いていく。
古びた扉が軋みながら、そっと閉じられた。
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:18:37.86 ID:onRvhrVu0
「呼ばれた事情はわかっているな」
律子、雪歩、四条さんの三人が階段を降りていくのを横目に、プロデューサーと私は階段を登っていく。
「単なる数合わせなら補充など必要ないとメンバーは思ってる」
「だが、メンバーが揃ってこそ真のチームだ」
階段を登りきって、プロデューサーはその先のドアを開ける。
強い風が流れ込み、それに対抗して、彼の声が一段大きくなった。
「お前のファイルは読ませてもらった。情報部が隠したがっているところも含めてな」
屋上には、ヘリが一機アイドリングされて留まっていた。
側には短い髪を横でまとめた少女が立ち、こちらが来るのをじっと見ている。
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:20:33.46 ID:onRvhrVu0
「……優秀なアイドルになったな」
注意を少女に向けていた私は、プロデューサーの一言を聞き取ることができなかった。
プロデューサーがヘリに乗り込み、少女が黙って奥をあごでさす。
彼女は双子のうちのどちらなのだろうか。髪型からして、亜美だろうか。
少女に従って、奥に座ると、プロデューサーがこちらを見ていた。
「だが、言っておく。勝手な判断は許さんぞ」
少女が座ると、パイロットに出発の合図を発し、それから彼は再び私の目を見た。
「いいな?」
「わかりました」
ヘリが屋上を離れ、空へと上昇していく。
隣に座った少女が私を見る。
「よ→こそ、ノーブルへ」
記憶の中の双海真美よりやや低音の声が、ぶっきらぼうに私のチーム入りを歓迎してくれた。
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:21:59.71 ID:onRvhrVu0
同日 中継ステーション
鉛色の建物のそばへ、ヘリが下降し、しかし着陸はせず、土ぼこりを巻き上げつつ静止する。
「亜美は空から見張りを頼む」
「りょ→かい、にーちゃん」
亜美の敬礼に、プロデューサーは頷き、私を見た。
「シックス、俺と来い」
私が返答する前に、プロデューサーはヘリを飛び降りた。
降りる場所を目視し、ほとんど同時に私も飛び降りる。
「警戒しろ」
プロデューサーが手に持ったDMRを構えて、言った。
それに従い、私もMA37アサルトライフルを構え、周囲を見回す。
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:22:59.41 ID:onRvhrVu0
中継ステーションはお世辞にも、綺麗とは言えない外見をしている。
外装はところどころ剥げ、ドアが歪み、風に吹かれて周期的な軋みをあげる様相は端から見れば廃墟同然だった。
人の気配は無く、ヘリが離れていくと、不気味なほどの静けさがのしかかってきた。
プロデューサーは辺りに注意を払いながら、何の変哲もない壁に近づくと、手に持った携帯端末を壁にかざし始めた。
私はその側に立ち、周囲の警戒を引き継いだ。
谷に広がる森林の中に建てられたこの施設の周囲は、正面の乱暴に均された道以外は、深い森に囲まれている。
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:24:10.79 ID:onRvhrVu0
「…………」
何も無い。不審な点はどこにもなく、全てが正常、自然であるように見える。
しかし、何故か、違和感が拭えない。
もう一度、周囲を見直す。
何かが、頭の隅で煌めきかけたその時、正面の道を進む、エンジン音が聞こえ、私の関心はそちらに向けられた。
ライフルを構え、姿が見えるのを待つ。
『りっちゃんたちだよ』
インカムから流れてくる亜美の声を聞き、私はライフルを下ろした。
空から、地上を見張る亜美は、S–99スナイパーライフルを装備している。
本当に敵対者が乗ってきていれば、ここまで近づく前に排除することは容易い。
「プロデューサー、律子たちが来ました」
振り向き、プロデューサーを見ると、壁を向いたまま、右手を上げて応えた。
「こっちも、ちょうど終わるところだ」
プロデューサーが言い終わるやいなや、振動と共に、彼の前の壁が奥へ引っ込み、内側へと開いた。
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:24:57.83 ID:onRvhrVu0
「雪歩は亜美と協力して、周囲の捜索を頼む」
「は、はいぃ」
「他のメンバーで内部を捜索する。目的は、中継ステーションの機能復旧と行方不明のファイアチームの捜索」
「内部の状況はまったくわかっていない。油断するな」
「了解」
皆、口々に了解の意を示し、武器を構えつつ内部へと入っていく。
律子がコンソールを手早く操作し、壁を閉める向こうで、雪歩がお辞儀しているのが見えた。
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:26:21.39 ID:onRvhrVu0
薄汚れた外観とは対照的に、内部は、既存のアイドルを支持する水瀬財閥の力が垣間見え、最先端の技術を用いて作られていた。
襲撃の形跡は特に見られず、綺麗なままだ。
しかし現状、それがかえって、チームの緊張を高めていた。
皆、神経質に武器を構え、微かな音にも敏感に反応する。
私たちは事前に送信された図面に従い、中心部へ歩を進めていった。
それが聞こえてきたのは、中心部へとあと少しまで迫った時だった。
プロデューサーが片手を上げ、『止まれ』と合図する。
これから進もうとする先から聞こえてくるのは、明らかにうめき声だ。
問題は敵か、味方か。
プロデューサーが、角から慎重に頭を覗かせる。
もちろん、武器を構え、いつでも撃てるようにしながらだ。
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:27:28.99 ID:onRvhrVu0
緊張の一瞬。永遠にも等しい一瞬の後、プロデューサーは引き金を引く代わりに、静かに言った。
「生存者を一名発見」
皆、無意識に安堵のため息を吐く。
「罠の可能性もある。気を抜くな」
プロデューサーの後に続き、全員が角を離れ、うめき声の聞こえる通路に身をさらす。
通路の奥に、人影。
装備からして、行方不明のファイアチームの一人だ
私たちが近づくと、手に持った拳銃をこちらに向けたが、反射的に向けられた四倍の数の銃口に不利を悟ったのか、武器を下ろした。
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:28:25.01 ID:onRvhrVu0
「話の通じそうな雰囲気を見るに、あんたら敵じゃないな」
「ノーブルチームだ。ステーションの機能復旧と、行方不明のファイアチームの捜索のために来た」
「なら、その任務の片方は達成されたな。俺がそのファイアチーム、その最後の生き残りだ」
プロデューサーが差し出した手をしっかりと掴み、男は立ち上がった。
「何があった?」
「さぁな。俺にもよく分からん」
「最初は単純な偵察任務だった。静かで、火薬の匂いも無い、平和な任務だったんだ。この奥に進むまではな」
そう言って、男は親指を立て通路の奥を示した。
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:29:03.86 ID:onRvhrVu0
図面によれば、この先が、電波の中継の管理を行う中継ステーションの機能の中枢だ。
生存者がいるとすれば、最も可能性が高い場所だったが、男の口調から察するにすでに全滅しているとみて間違いないだろう。
「先頭を歩いている奴が急に止まったんだ。あんまり黙ってるものだから、ちょっと肩をどついてやったのさ」
「そしたらあっけなく倒れちまって」
「足下にそいつの首があったよ。思わず見つめ合っちまった」
「そっからはもう、がむしゃらに撃ちまくって、気づいたら……」
男は両手を広げ、視線をこちらに向けた。
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:30:06.73 ID:onRvhrVu0
「あんたらが来てくれて助かったよ」
「自分一人で逃げ出して、大した情報はなし。いい気なものね」
律子が明らかな皮肉を込めて呟く。
男のへらへらとした態度が気に食わなかったのだろう。
「あんたの細腕じゃ少し♂ラが重いと思うが?」
「律子」
「……分かってます。先を急ぎましょう」
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:34:11.53 ID:onRvhrVu0
一瞬。
私は律子の理性が何とか拳を解いたのを私は見た。
「おいおい、この先に行こうってのか? 俺はどうなる!」
「俺たちの主任務は中継ステーションの機能復旧だ。それにここから先がお前の言うように危険なら、チーム全員の力が必要になる」
「ここから出口までは俺たちが安全を保証する。出来るなら、出口まで自力で行ってほしい」
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:34:39.16 ID:onRvhrVu0
「じ、冗談じゃねぇ! 敵については何も分かっちゃいないんだ! 姿を消して、俺が一人になったときを狙っているかもしれねぇんだぞ!」
打って変わって、怒鳴り散らす男に律子が静かに頭を振った。
「なら、俺たちと行動を共にするのがベストな選択だと思うが……」
「邪魔はするな」
良いな、と鋭い声で念をおし、男ががくがくと頷いたのを確認したプロデューサーは私たちに『前進』を指示した。
「行くぞ、ノーブル」
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:35:13.30 ID:onRvhrVu0
「ロックされています」
「解除できるか」
「もちろん。それより、この扉をロックしたのが誰なのか考えておいたほうが良いんじゃないんですか?」
悪戯っぽく言いながら、律子は携帯端末を扉の制御装置に接続し、画面を二、三度触れる。
電子音が静かな廊下に響き、律子が私たちを見上げた。
「で、答えはでました?」
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:36:41.59 ID:onRvhrVu0
また。
部屋に踏み込んで、最初に違和感を感じる。
先ほど忘れかけていたものと同種のものだ。
画面が並んだ部屋は、やはり綺麗で、人の気配だけが無かった。
「律子、頼む」
「了解です、プロデューサー殿」
律子は手に持ったM6Gマグナムをしまい、手近なコンソールの前に座った。
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:37:10.58 ID:onRvhrVu0
「面妖な……」
四条さんが厳しい顔で呟く。
彼女も私と同じ違和感を感じ、その正体が分からずにいるようだ。
「プロデューサー」
「あぁ、何かおかしい」
私が言わんとしていることを、プロデューサーは理解していたらしい。
チーム内を、得体の知れない緊張が高まりながら通り過ぎる。
「嫌な予感がする。準備しておけ」
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:38:08.89 ID:onRvhrVu0
四条さんが、抱えるM247H重機関銃を構え直した時、全員の耳に雪歩の慌てた声が響いた。
『ぷ、プロデューサーさぁん! 大変ですぅ!』
「どうした、雪歩」
『亜美ちゃんと辺りの捜索をしていたら』
『ファイアチームを見つけたんですぅ!』
「そうか、こっちも一人……」
『み、みんな死んでて……』
『一人は身ぐるみ剥がされちゃってますぅ!』
「……何だと」
『敵さんが味方さんに成り済ましている可能性がありますぅ!』
『だから、だから……』
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:38:36.81 ID:onRvhrVu0
慌てる雪歩の言葉を聞き終わる前に、部屋にいる全員が動き始めていた。
違和感の正体が唐突に姿を表す。
私たちより先にファイアチームが来ていたなら、彼らの移動手段は一体どこへ消えたのか。
通路で出会った男が言っていたことが本当なら、この部屋がここまで綺麗なはずがないのだ。
火薬の匂いと、血で汚れていなければならない。
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:39:31.60 ID:onRvhrVu0
「ノーブル!」
すぐに銃声が聞こえた。
私ではない。音からして、貴音でもない。
「律子!」
プロデューサーの声で振り向く。
律子が背後に迫っていた男の頭を掴み、コンソールに叩き付ける。
銃を抜き、男の後頭部に突きつけ、引き金を引く。
二発。
一連の動作は滑らかで、一切の迷いが無かった。
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:40:09.51 ID:onRvhrVu0
「……誰の細腕が、何ですって?」
弾倉を抜き、リロード。
コンソールにめり込み、銃創から煙を上げる男を乱暴に払いのける。
人間らしからぬ、重い金属音。
衝撃で男の顔が揺らぎ、のっぺりとした黒い本体が露になる。
人間でいう目にあたる部分に赤く光るセンサーが一つ。
そのセンサーが瞬いて暗くなる。
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:40:48.03 ID:onRvhrVu0
「これは……」
「シックス!」
律子の驚く顔、背後の微かな気配。
振り向いた時には、目の前に赤い光があった。
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:41:32.74 ID:onRvhrVu0
「くっ……」
既にライフルの射程ではない。
向けようとした銃口は容易く撥ね除けられた。
首を掴まれ、足が空をかく。
息が詰まる感覚を確かに感じながら、私は非道く冷静だった。
反射的にサイドアームを掴み、それの頭に突きつける。
表情など無いはずのそれの顔に驚愕が浮かんだように見えた。
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:42:05.99 ID:onRvhrVu0
三発。
赤い光がちらつく。
誰かの手が私を掴むそれの腕を横から握りつぶし、へし折った。
それの頭部がそちらを見る。
鋭く伸ばされた足が、それの膝を粉砕し、体勢を崩したそれの顔を拳が一閃。
吹き飛んでいく頭部を見ながら、私は地面に倒れた。
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:44:33.64 ID:onRvhrVu0
「しっくす! 大丈夫ですか!」
「……えぇ」
四条さんの手を借り、起き上がる。
その向こうに、四条さんが置いた重機関銃を持ち上げようとする敵の姿。
サイドアームを再び、それに向けた。
私が引き金を引く前に、敵の銃口をプロデューサーが踏みつけ、つられてよろけたそれの頭部をDMRから放たれた弾丸が貫く。
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:45:18.63 ID:onRvhrVu0
「クリア」
静けさが戻った後、少しの間、全員がモーショントラッカーに全神経を集中した。
四人を表す光点が周期的に点滅する以外に、動きはない。
『にーちゃん! 大丈夫!?』
「……何とかな。そっちもか?」
張りつめた緊張の糸がほどけ、プロデューサーが武器を下ろす。
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:46:22.80 ID:onRvhrVu0
『うん。いきなり森から飛び出してきて』
『まぁ、らくしょーだったけど』
「よくやった。俺たちはこれからここを復旧できないか試してみる」
プロデューサーが律子を見て頷く。
別のコンソールに向かう律子の背後にそっと貴音が立った。
同じ失敗は二度としない。
メンバーと出入り口、侵入された際に天井に開いた穴を全て視界に収められる位置で壁に寄りかかった。
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:47:09.29 ID:onRvhrVu0
「そっちでこの、鉄クズを一人分回収できるか?」
『あー……』
『私とゆきぴょんで一人ずつ相手にしたんだけど』
『私のは、体は何とか。でもゆきぴょんのは……』
『まぁ、ホントに鉄クズって感じ。現在進行形で』
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:47:36.02 ID:onRvhrVu0
「プロデューサー、頭ならここに」
私は壁際に転がったそれの頭を拾い上げ、掲げてみせる。
多少凹んではいるが、この中では最も良好な保存状態だ。
「それで良い。シックス、持っていてくれ」
「了解」
「亜美、雪歩が落ち着いたら体を車に運ぶよう伝えてくれ」
『りょーかい』
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:48:29.21 ID:onRvhrVu0
「どうだ?」
「すぐに元通りってわけにはいきませんね」
「完全に復旧するには、最低でも二週間ってところです」
「社長に直通回線を開けるか」
「それなら、何とか……」
眉間に皺を寄せながら、律子がコンソールを操作する。
「貴音、シックス、先に行け。頭を忘れるなよ」
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:49:23.70 ID:onRvhrVu0
「できました、プロデューサー殿。シグナルは弱いですが……」
「よくやった」
「……社長、高木社長」
「おぉ、どうしたんだね。プロデューサー君」
「ステーション襲撃の犯人が判明しました」
「961プロです」
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/02/18(月) 00:54:37.87 ID:onRvhrVu0
「……電波が弱いのか、少し聞き取りにくい。もう一度言ってくれるかね」
「あれほどの技術を持ち、私たちと敵対する組織は961プロ以外にありません」
「それは、つまり……」
「えぇ、社長」
「ウィンター非常事態です」
IM@S×Halo:Reach
Chapter1 千早「ノーブルチーム……?」
通信終了
to be continued……
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/02/18(月) 23:20:55.93 ID:ZuW3qRxdo
箱○つながりか
21.88 KB
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