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P「貴音・十三夜」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/23(土) 23:58:36.36 ID:xelpnz+30
第一夜


小鳥「それでは先に失礼いたしますね?」

P「はい、お疲れ様です」

カチ、カチ、カチ…




P「…んー、よし終わりだ」

貴音「プロデューサー、もう良いのですか?」

P「ああ、あとは帰る準備をするだけだ。車で先に待っててもいいぞ?」

貴音「ではそうさせて頂きます」


P「よし、行こうか」

貴音「ええ」


―――――――――――――――――……。

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【安価】上条「とある禁書目録で」鴻野江「仮面ライダー」【禁書】 @ 2025/06/09(月) 21:43:10.25 ID:qDlYab/50
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ツナ「(雲雀さん?!)」雲雀「・・・」ビショビショ @ 2025/06/07(土) 01:30:36.87 ID:AfN9Rsm0O
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阿笠「わしの乳首に米粒をくっ付けたぞい」コナン「は?」灰原「は?」 @ 2025/06/04(水) 04:01:13.39 ID:ZjrmryLdO
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レッド(無口とか幽霊とか言われるけどまだ電脳世界) @ 2025/06/02(月) 21:21:00.13 ID:ix3UWcFtO
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2 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/23(土) 23:59:18.40 ID:xelpnz+30
そして気付けば河原に来ていた。

そうだ、天体観測に来たのだ。

車のトランクを開ければほらシートと防寒用の毛布、そして望遠鏡。

そして簡易的なキャンピングセットの中から小さな三脚と固形燃料を取り出し、火をつけて鍋を乗せ湯を沸かす。

今日は月が青い日で、それを見ようと二人でここへ来た。

貴音「今日は晴れていますね」

そうだな、雲がそれなりに出てはいるが観測にはあまり問題ではないだろう。

貴音「それに…今日はとても大きい」

…あまり意識をしたことはないが確かに月を大きく感じる。

なんというか、不安になるような気分だ。

ジャガイモのポタージュを啜る貴音がこちらを見て軽く笑いかける。
3 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 00:00:30.26 ID:ItWhThLv0
沸騰していたことに気付かなかったのだろう、少し湯が減ってしまった鍋からお湯をカップへ注ぎこんだ。

固形燃料に点いている火を消して鍋を冷ます、そしてまた月を見る。

先ほどよりも青く感じる月、まるで血の通ってない肌、そう青白いと表現できるその色は―――

貴音「先程から色は変わっていませんよ」

…だが月は青い、時にさっきよりも綺麗になったみたいだ。

貴音「……」

貴音は何も言わない、俺も何も言わずに二人で月を見ている。

カップの中のポタージュは冷めていて、ドロリとした液体を喉へ流し込んだ。
4 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 00:01:08.38 ID:ItWhThLv0
月が光るのは太陽光を反射しているからだそうだ。

だが青く光る現象についてはさすがに俺もわからない。

だが思うのは一つだ。

―――月が綺麗だな。

貴音「おや、プロデューサーは私の事をそのように思っていただけていたとは」

…ああ、昔の人ははそう訳したそうだな、アイラブユーを「月が綺麗ですね」と。

まあ残念ながら…いや残念なのかは知らないがそういう意味じゃない、ただ純粋にそう思っただけだ。

貴音「ええ、分かっています。それでも言っておくのはお約束というものでは?」

まあ…お約束でも簡単に言わないほうがいいな。

貴音「…ふふ」

笑われてしまった。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 00:01:25.90 ID:cnHy3cfDo
支援
6 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 00:01:38.00 ID:ItWhThLv0
貴音「それにしても今日は真にキレイに晴れていますね」

先ほどと比べ少し雲は増えただろうか、それに少し寒くなったようだ。

貴音「そう言えば、月の石を貴方に渡そうと思っていたのです」

…月の石?万博とかのアレか?

貴音「確かに万博でも飾られたそうですね…でもその月の石より遥かにホンモノで偽物です」
 
…?どういう事だ?

そして渡されたのは本当にどこにでもありそうな、石。

貴音「もう一個渡しましょうか?」

そういって足元にあった石を拾い上げ俺の前に持ってくる。
7 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 00:02:12.82 ID:ItWhThLv0
俺は貴音に遊ばれているのだろうか、一瞬そう思ったのだが。

貴音「ふざけたり、遊んでいるつもりはありませんよ」

すぐさま言われてしまう。

貴音「ここは月ですから」

…最初は何を言ってるか理解が出来なかった。なんだ、俺たちはテレポートしたとでも言うのか?

貴音「いえ、元よりここは月なのです」

そして月に向けて指をさす。

貴音「蒼き衛星、地球」

…本気でいっているのだろうか。

でも彼女は楽しげで、美しかった。
8 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 00:02:55.04 ID:ItWhThLv0
貴音「私は真面目です」

そう前置きしてスルリと話し始める。

貴音「私たちは星に生まれ、星は二つに分かれ、私たちの末裔はその星に乗って旅立ってしまった」

………。

貴音「そして末裔たちは自分の住む世界を地球と名付け、生まれ故郷である星を月と名付けた。そして私たちは衛星である地球、惑星である月に分かれました」

……逆じゃないのか?

貴音「わかりましたか?ここは月なのです」

…さっぱり意味が分からない。例えばの話、ここが月だったとしてそれがなんだというのか、星の名前が違うだけという話か?

貴音「…そして長い時をかけて地球は終わってしまいました、海は枯れ、大地は死に、空は隠れてしまった」

……。
9 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 00:03:23.94 ID:ItWhThLv0
貴音「…月の石があったと思います」

…ああ。

貴音「あれは地球から月へ移動するための道具、元は月にあったもの」

…それは、この星の石って事か?

貴音「そういう事になりますね、何よりもこの地へ縁を持つ「モノ」だったそれはホンモノの「月の石」でした」

…おや?でもその言葉を信じるならその石は俺たちにとっては偽物だよな?

貴音「ええ…でもあなたが言う処の月の石、異星の地より手に入れた岩石もありました。ですがすり替えました」

すり替えた?

貴音「四条の家、と言えば解りますか?…まあその辺りはご想像にお任せしますが実際石はすり替えました、この星にとっては無価値な石に」

何故?

貴音「私には月の石は必要なものでした、そしてもう一つ必要なモノがあるのです」

…それは?

貴音「地球の石、私が地球へ赴くためのモノ」
10 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 00:04:07.19 ID:ItWhThLv0
何故そんな話を俺に?

貴音「…私は向かわなければなりません、あの星を月にするために」

…意味がわからない、月はここなんだろ?

貴音「いえ、違います。あなたの記憶が、あなたの知識が信じる月へと戻さねばなりません」

…だから…訳が分からないんだよ…。

貴音「…月は、末裔達によって奪われました。月の民は地球の石で地球へ逃げ、そこで繁栄しました。でも、それが終わる時が来ました。月はこの星を、私を殺すために来ます」

……

貴音「…上を」

そこには夜空を切り裂くような彗星、だが貴音が指をはじいた瞬間に彗星は砕けた。

貴音「…さあ、腕を」

…言われるままに体が動く。

次の瞬間には貴音は俺の前からいなくなる。


―――――――先ほどは私を綺麗と言ってくれてありがとうございました。
11 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 00:04:44.23 ID:ItWhThLv0
P「…ああ、…どこだ、ここ」

辺りを見回せば事務所、小鳥さんもアイドルも、貴音もいない。

P「何だ…夢か?」

夢、そう夢なんだろうな。

P「でも、胸が軽くなったような…モヤモヤするような」

そして外を見ればまだ夜で

P「月が…赫いな」

青い月はどこにもなく、思考は止まり、何を思ったか棚を漁るとジャガイモのポタージュが出てきたのでそれを少し冷ましてから飲み干した。
12 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 00:12:51.78 ID:ItWhThLv0
夢、なのだろうか。

夢にしてはリアルに感じたような。

…でもあれが夢でも本当でもいみがわからない夢だった。

ただ解るのは皆に話しても意味がないこと。

きっとその場には貴音もいて、はて?等と言いながら首をかしげるんだ…。


それだけがわかる。

なんであんな夢を見たのか。

それもわからない。



そうだな、疲れているんだ。

帰ろう。


P「…あれ?ストラップの石の部分が千切れてなくなってる…」



第一夜、終わり。
13 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 00:26:39.88 ID:ItWhThLv0
夢十夜 第三夜を読んで書きたくなった。
貴音とは一体何か。

次はおそらく千早編。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 01:22:26.71 ID:S/AanPC5o
いいね
支援
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/24(日) 04:53:17.62 ID:hFcP1a75P
千早編期待
16 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 13:16:44.06 ID:LKBSMpbP0
第二夜

歌のレッスン、体力基礎、ボイストレーニング、歌の為に生きると思うようになって早数年。

もうこうして何度も練習を重ね、事務所の自主トレーニング室で夜遅くまで残る事もしばしばで同僚のアイドル達にも少々呆れられてる感じもする。

小鳥「お疲れ、千早ちゃん。先に帰るから終わったら警備員さんに言ってから出てね?」

千早「あ、はい…小鳥さんもお疲れ様です…Pさんの分まで仕事していたんですか?」

小鳥「まあね…プロデューサーさんが風邪で一日居ないだけでこれだけガタがくるのねー…ビックリしたわ」

千早「…お疲れ様です」

小鳥「ん?いいのいいの、それよりも頑張りすぎないようにね」

千早「はい」


………


貴音「おや、千早ではないですか」

千早「…あれ?四条さん?」

なんでこんな時間に…?

貴音「おかしいでしょうか…もう夜ですよ?」
17 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 13:27:01.65 ID:LKBSMpbP0
貴音「おや?」

……おかしい。

貴音「……」

私の目の前で驚いた様な顔をしているこの人は本当に「私が考えている四条貴音」なのだろうか。

貴音「素晴らしいですね…如月千早」

千早「…さっきまで声も出なかったのは…何でかしら」

貴音「…さて、何のことやら」

千早「それで?今日は何の演技の練習かしら」

貴音「…いいですね、今日は貴方にお話を持ってきました」

千早「…?」
18 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 14:31:47.74 ID:LKBSMpbP0
貴音「時間は常に存在します。貴女には、他の人には理解できないかもしれない。でも時間は常に一定の範囲で存在します。」

千早「…それが?」

貴音「興味ありますか?過去に関して」

千早「…タイムスリップ出来るって事?」

貴音「それとはまた違いますが…ええ、過去に向かうことが出来ます」

千早「それで?」

貴音「はて?」

千早「それが仮にできたとして、何が目的なんですか?」

貴音「…どうも冷静ですね、千早は」

千早「ええ、いい機会なので演技の練習のつもりでやってますから」

貴音「……」

千早「……」
19 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 15:23:43.22 ID:LKBSMpbP0
貴音「…では、話させていただきます」

千早「…」

先程までの表情は全て消え失せ、ただただ流れるように続ける。

貴音「過去へ、行きませんか?」

千早「…だから何故ですか?」

貴音「過去へ私が行く必要があるからです、そして過去へ行くには貴女が必要だから」

千早「……私の得する事はなんですか?」

貴音「…ふふふ」

可笑しそうに楽しそうに、嬉しそうに、笑って、笑って――――


あれ?


少し待って私、なんで


―――――信じてるの?
20 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 15:49:57.79 ID:LKBSMpbP0
貴音「では、一歩進めば過去へ進みます」

……過去へ進む、変な感覚。

貴音「そうですね、ですが注意してもらいたい事があります。…3つ数えた後に私の手を離さないままで後ろに振り向いてください」

3、2、1…後ろを振り向く。


たくさんの私。
私、私、私私ワタシ、私、わたし、私、私、わたしわたし、私、私、ワタシ、私。

―――いっぱいのワタシ。


貴音「もう前を向いてもよいですよ」

――…あれは…何?

貴音「未来の貴女です。「Ifのスープ」と言った処でしょうか」

…未来の…私、あれが?

貴音「勘違いしないでほしいのですが未来は「無数に分裂する決定された可能性」のいづれかに収束するということです。可能性とも言えますが」

……(あの中に首から血を流したり、腕がなかったり、首を吊ったりしてる私が居たのは…)

貴音「そういう可能性もあるという事でしょう、ですがそれ以外にもあったはずですよ。笑ってる姿もありました。これはそういうものなのです」

……
21 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 16:03:26.77 ID:LKBSMpbP0
貴音「さて、そろそろ過去へ行きましょうか。固定された過去へ向かうのは難しくありません、ただ真っ直ぐに進むだけなのですから」

…なるほど。

貴音「さて注意することは3つ、私の手を離さない、後ろを振り向かない、眠らない。…守れますか?」

…破ったら?

貴音「さて、どうなるでしょうかね…まあ時によっては死ぬことも認識できないのではないでしょうかね」

……

貴音「行きましょうか」


一歩は思ったよりも小さかった。
22 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 16:24:58.33 ID:LKBSMpbP0
貴音「可能性とも言えますが」



貴音「運命とも言えますが」

に修正よろし、あと出かける。
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 16:27:34.94 ID:G0TbI5euo
おつ
24 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 18:42:53.89 ID:LKBSMpbP0
それはまるで箱庭のような世界、しかも全ての光景にピントをかけた様な曖昧さだ。

細かい凸凹はボケて滑らかになり、電信柱はただの円柱、家の様なモノも車の様なモノも全部が積み木のように思えた。

…これはなんなの?

貴音「先ほど未来に貴女が見えたように、過去にも過去の風景が存在します」

…過去の風景。

貴音「はい、ただし構成しているのは人の思い出。過去の光景を覚えてる人はあまりいない、故に人は形を持ってここに表れることが出来る人は少ないのです」

……どういう事?

貴音「…貴女にも思い出があるでしょう?そしてまるで映画を見ているような感覚でその光景を見ている。ここはそのイメージが実際に構築される場所でもあるのです」

……

貴音「まあ解らないのなら夢を見ていると考えるのもよろしいかと、そして昔を思い出そうと脳が頑張っていると考えれば…どうでしょうか」

…わからないです。

貴音「…そうですか、ではもう少し先に行きますよ」

25 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 19:11:02.26 ID:LKBSMpbP0
進めば進むほど、視界が狭まっていく感覚。

隣から聞こえる小さな息遣いと手の暖かさだけしか感じることが出来ない。

…そしてさらに先に進めば進むほど周りの色が薄れていく気がする…いや、灰色に近づいてる…?

貴音「ええ、物質を支える仕事量が減少すればこの様に崩壊の一歩手前、過去を留めようとする最小限の仕事量のみで形を保つだけの空間」

……

貴音「さあ、ここまで来ましたよ」

もう言われなくてもわかる、ここはあの子が死んだ場所だ。

…でも、意味がない。

ここは箱庭なのだから。


貴音「そうですね、過去はもう凍り付いて動かせない、なら」

―――溶かすだけで十分です。


手が離れる。


―――ご安心を、あなたには未来がある。笑顔を浮かべる未来がある。
26 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 19:14:32.55 ID:LKBSMpbP0
貴音「さて、細工も済ませましたし。行きましょう」

どうしてもここへ来たかったのだ、必要なものを得るために。

そして見つけた。

貴音「…これで、二つ。ああ、なんと幸いな事か」

とは言え手に入れたのではない、必要な事なのだ。


貴音は過去へと戻れたということが。


あとは貴音がやってくれる。


貴音は微笑みながら道路に横たわり、その後紅くなった。
27 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 19:37:05.94 ID:LKBSMpbP0
千早「…ん、あれ?」

気づけば事務所にある仮眠室で、横になっていた。

しっかり毛布も掛けられていて、水の入ったペットボトルが視界に入った。

小鳥さんの残した書置きと一緒においてある荷物の中の一つの携帯がライトを点滅させている。


それは死んだはずの弟からのメール、無理はしないでね、とたった一言のみが送られて来ていた。


…あれは、夢か、現実か。

どうでも良かった。

そして、この今が現実であろうと夢であろうと興味はなかった。


ただもう一度眠りに就き、恋する乙女の一人として愛しの彼が自分を起こしに来てくれる事を心の隅で望みながら眠りに落ちた。


第二夜の終わり。
28 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 19:38:03.57 ID:LKBSMpbP0
多分、次は春香編。
答えは貴音だけが知っている。
29 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/24(日) 19:46:53.09 ID:LKBSMpbP0
今日の分はおわりー、ていうか出かける
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 19:50:42.04 ID:bP3lYnaUo
十三だと一人出ないことになるわけだが誰だろうか
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 20:20:35.41 ID:WOzJmwIZo
>>30
貴音を引け
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 20:28:31.66 ID:bP3lYnaUo
>>31
最初から読みなおしてこい
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 20:55:49.48 ID:55+7ES9Zo
やっぱお姫ちんにはこう言う役が似合うなぁ
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 03:55:27.85 ID:irF57Te2o
Rewriteのmoonを思い出した
35 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/25(月) 21:53:21.55 ID:JpQ86aU80
第三夜


私と貴音さんは電車に乗って移動している。

私は帰宅するため、四条さんは何処かへ行く為だそうです。

いつもなら音楽を聞いたりして時間をつぶすのだが生憎電池切れ、そんなわけで暇になって色々考えてしまう。

それにしてもこの時間には珍しい程空いているなーとか。とは言え席は全部埋っているけど。

他には隣に座っている四条さんの事を少し気にしたりもするわけだ。

銀色の髪、凛々しくも美しい端整顔立ち、見事な程のプロポーション。

ああ…なんというか…すごいなぁ…

貴音「……?何か?」

春香「……い、いえ、何にも」
36 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/25(月) 22:38:16.14 ID:JpQ86aU80
ガタンゴトンガタンゴトン


―――例えばの話です。

春香「え?えーと…」

他の乗客も乗っているので四条貴音の名前は控えたほうが良いだろうかと思案したその瞬間、視界は暗転した。

春香「…あ、れ?」

この電車の進行方向にトンネルなどあったか?いや、ない。

春香「停電…?いや、それにしては暗いような…」

―――暗いですか?

春香「ええ…もしかして貴音さんは見えるんですか?」

―――いえ、見えません。

春香「あはは…謎かけですか?所謂ミステリアスな――――」

…彼女はどこにいる?

私の右側にいる、席は全部埋っていて不自然な程気配を感じなかったのに彼女は左側にいる。
37 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/25(月) 22:52:39.38 ID:JpQ86aU80
春香「…あれ?」

…さて始めましょう。

春香「…何を」

―悪夢を

春香「意味が…わからない…」

――3

春香「…も、もしかしてドッキリですよね…?」

――2

春香「貴音さん…?」

――1

春香「…やめて!!」

光が戻る。
38 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/25(月) 23:01:05.21 ID:JpQ86aU80
そして名前も知らない乗客は全て消え失せ、残ったのは

春香、春香、春香、春香、春香、春香、春香、春香。

貴音の姿は霧のように消え失せ、私だけが残る。


外を見れば私が乗り込んだ駅に戻って来ていた。

そんなに長く乗っているわけがない、おかしい。


ふと駅のホームを見れば駅員の様な仕草を取る貴音の姿。


私は何処へ行くのか。

止めて

降ろして

呼吸が、止まりそう

扉が閉まる

再び電車は動き出した。




あれ?やっと電車が動いた。

まったく、あんなに長い間止まるなんて何があったんだろう。
39 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/25(月) 23:24:48.95 ID:JpQ86aU80
この私が見ている夢の中では私が色々存在する。

小さい頃の私、ぼろぼろの私、男の私、背の高い私、背の低い私、偉そうな私、泣き虫な私。他多数

全部違う私なら、私はこの人たちとは違うって事?

私はこの人たちのどれでもないって事?

私は何処?

私は春香


貴女も春香


皆、春香


私は春香
40 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/25(月) 23:36:26.07 ID:JpQ86aU80
がたん ごとん がたん ごとん

電車が揺れて、私が明りに照らされて、皆下を見ている。

皆は確かに春香。

でも私は唯一、そう唯一。

私はこの中で唯一、唯の春香。

他の皆が持ってないものを持っている。

アイドルの私だけが前を向ける、アイドルであることは誇り。


それが違い。


皆、元の場所に戻っても大丈夫だよ。

前向くことは、出来るんだから。


電車が止まり、春香たちが降りていく。


電車には二人が残る。
41 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/25(月) 23:56:35.64 ID:JpQ86aU80
私と、小さい頃の私。

「こんにちは」

「…こんにちは」

「貴女は降りないの?」

「…降りる必要があるの?」

「…うーん、どうなんだろう」

「まあ解らないならいいんじゃないかな」

「…それもそうだね」

「今は楽しい?」

「楽しいよ」

「そっか、それじゃあ次で降りるよ」

「うん」


―――気は済みましたか?
42 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/26(火) 00:02:05.54 ID:gG31i8l/0
頭の中でカラン、と音が鳴るように私の右側に座っていた少女が目の前で四条貴音に変わる。

貴音「独り言は、充実しているのですか?」

春香「…夢?」

貴音「さて?わかりません」

春香「…ねえ、四条さん。その手は何?」



貴音「…せめて、この者に現実を…」



春香「…あ、ガッ…あ…!…!!」

首をゆっくり絞める。

血を止めるのではなく、気道を潰す。


春香の意識は溺れる感覚ととも意識を手放すことが出来ず。

自身の状況と結末を認識しながら

眠る。
43 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/26(火) 00:15:36.25 ID:gG31i8l/0
小鳥「さて…これで三人…あと何回を夢を見るのかな?」

春香の体を優しく抱きかかえながら、事務所のソファーに寝かせ、毛布を掛ける。

小鳥「…お休み」




春香は朝になって目をさまし、首に触れたことで夢を見たことを思い出した。

だが事務所に泊まってしまった為に、親へ連絡を入れたり仕事の準備をしている内に夢の内容を忘れてしまった。

夢はそんなものだろう。

夢なのだから。


そう、夢だったのだ。


第三夜の終わり。
44 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/26(火) 00:19:01.86 ID:gG31i8l/0
貴音は知らないのだ。
次は誰だろうね…。

寝る。
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/26(火) 00:20:38.16 ID:WarP1mqGo

小鳥さんは何者⁈
46 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/26(火) 00:39:27.68 ID:gG31i8l/0
>>24
それはまるで箱庭のような世界、しかも全ての光景にピントをかけた様な曖昧さだ。

それはまるで箱庭のような世界、しかも全ての光景がカメラのピントをずらした様な曖昧さだ。

に修正。
47 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/26(火) 21:54:43.68 ID:3xw2MlNP0
さて次は誰にしようか…

まだ出ていない765プロアイドル
>>49
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/26(火) 21:56:48.99 ID:F8rBenfeo
ゆきぽっぽ
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/26(火) 21:59:47.56 ID:er0tHVdyo
小鳥君

駄目なら亜美
50 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/26(火) 23:30:32.97 ID:3xw2MlNP0
第四夜


音無小鳥は知っている。

四条貴音を知っている。


小鳥「ねえ、貴音ちゃん」


返事は遅れて帰ってくる。

貴音「如何なさいました?小鳥嬢」

小鳥「いや…少しそこに座っててくれる?」

貴音「はぁ…わかりました」

不思議そうな顔をしてソファへ移動していく姿を視界にいれながら飲み物をついだ。
51 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/27(水) 00:00:37.02 ID:/Zf+pfl70
小鳥「お待たせ」

貴音「いえ、構いません。それでこんな時間に呼び出して何の御用でしょうか」

小鳥「…いやー最近プロデューサーさんが疲労で倒れたのは知ってるでしょ?」

貴音「ええ、どうやらそうらしいですね…心配です」

小鳥「それでさ、どう?」

貴音「…どう?とは」

小鳥「いやぁ…プロデューサーを見舞いに言ったら貴音ちゃんの名前を呼んでたからちょっと気になって…」

貴音「…特に、思い至ることはありませんね」

小鳥「そう、分かったわ。こんな時間に呼び止めちゃって御免ね、なんなら車を出すわ」

貴音「いえ、迎えの者を呼びます」

小鳥「ん、分かったわ」



貴音「さて、今日は諦めましょうか。小鳥嬢を相手するにはまだまだ至りません…。ここはちょっとした嫌がらせで引きましょう」
52 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/27(水) 00:27:41.43 ID:/Zf+pfl70
小鳥「…むう、こんなことはありえないと思うんだけどなー」

私はPCを眺めながらひとり呟く。

小鳥「卵が先か、鶏が先か…ね、これはちょっと嫌がらせをしておこうっと」
53 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/27(水) 00:28:49.92 ID:/Zf+pfl70
帰り道

貴音を乗せた一台の乗用車、幾らか値の張るその車が夜の暗闇を走る。

運転手「…」

貴音「…」

キキー!!ドン!!


貴音「…ケフ、…ッヒ、ゴホッゴホッ……痛い…いたい…」

血の海、運転手がハンドル操作を誤ったことによる衝突事故。



貴音「…何が嫌がらせですか、確実に殺しにかかってましたね…」

少し真っ青な肌を月の光がさらに蒼くする、その姿は誰が見ても美しいと零すだろう。

例え、目の前の事故現場で同じく血を流して大けがを負って死にかけている少女を見たところで同じ感想なのは間違いない。



貴音「3、2、1…梵」

次の瞬間、車は爆発した。
54 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/27(水) 00:37:09.64 ID:/Zf+pfl70
小鳥「…何々、住宅地で事故発生…まあ運転手さんの目を潰すだけなら簡単ね」

そう言って私はPCに向きなおす。

小鳥「…派手にやってくれちゃって」

私の個人用ノートPCがめちゃくちゃになっていた。

調べてみたらそれ以前にBIOSも壊れてるし、OSのデータもおかしくなっていた。PCのパーツもHDD等を含めていくつか足りなくなっていた。

小鳥「…まあ、しばらく様子を見ましょうか」

コーヒーを入れるために給湯室へ向かう小鳥。


テレビ番組には奇跡的に事故を逃れた四条貴音がインタビューを受けていた。
55 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/27(水) 00:39:29.16 ID:/Zf+pfl70
第四夜の終わり。

夜は明るく、貴音は夜に表れる。


寝る。
56 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/27(水) 01:18:18.80 ID:/Zf+pfl70
さて、貴音は何者でしょうね。

次のアイドルはどうしようかな…
57 : ◆3bOfTDjlYY [saga]:2013/02/27(水) 01:33:40.48 ID:/Zf+pfl70
というか傍からみたら意味不明だなこれ、そういう事意識して書いてるとはいえもう需要ないだろ。
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/27(水) 02:25:10.36 ID:LPFj+XNSo
最後に伏線回収してくれるだろうから
意味わかんないけど読んでる
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 13:23:57.89 ID:9BD9eVubo
最後に全部解ればそれで良いと思う
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 09:15:26.01 ID:IwnLXQDYo
意味なんてどうでもいいんだ。続けてくれたまえ
61 : ◆y9s8Xupzj. [saga]:2013/03/02(土) 15:22:59.04 ID:5uTunQ6y0
第五夜

ふわり、ふらりと空を舞う夢。

これが夢で無ければなんであろうか、この身の軽さに翼はいらず、この身の行方に風はいらぬ。

貴音は浮いていた

貴音「ところで私は誰でしょう」

貴音「私は私、貴女は私、私は貴女」

貴音「なれば、私は何処にもおらず」

貴音「そう、私は何処にもおる」


可笑しかろう

可笑しかろう
62 : ◆y9s8Xupzj. [saga]:2013/03/02(土) 15:34:53.83 ID:5uTunQ6y0
貴音「私はホンモノでしょうか?」

貴音「ホンモノは既に亡くなった」

貴音「いつ」

貴音「生まれた時には既に」

貴音「何故」

貴音「生まれたが故に」

貴音「何処へ」

貴音「月へ」

貴音「「流れ星の如く、ソラへ」」


あの月へ
63 : ◆y9s8Xupzj. [saga]:2013/03/02(土) 15:49:48.51 ID:5uTunQ6y0
目覚めることなく舞う私

ふわりふわりと霧の蝶

濃霧に濡れて水面で揺れて

羽が千切れて千羽に増えて

水底に闇と枯葉を残します

霧が晴れれば人が出で

わたしゃ孫だと嘯けば

耳も貸さずに夢と成す

あらら、私は夢なのか

ならば私は人と成り

夢から覚めてみようかと

銀の蝶は、肩にて囁く夜の風



ああ、私はなんなのか。


私の 夢


第五夜の終わり
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 19:42:58.63 ID:Dt36qmNVo
乙。
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