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岸辺露伴 稲羽市へ行く - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/24(日) 03:47:34.21 ID:tJ22BwRf0
「『テレビ』」

「読者の皆さんの家にもきっと一台くらいは置いてあることでしょう」

「貴方はそれで何を見ますか? ニュース、バラエティ、アニメ……はたまた録画しておいた少しエッチな番組か」

「ああ……すみません。何を見ようが余計なお世話ですよね」

「しかし……その『テレビ』が時々、変なものを映すことがあるのはご存知でしょうか」

「例えば、自分の良く知る人物の隠された素顔とか……何かに襲われ苦しみ悶える姿とか」

「そんな番組は見たことない? では見ることの出来る方法を特別に読者の皆さんにだけ教えて差し上げましょう」


「雨の日の夜、時刻は日付も変わろうかという頃」


「電源を落としたテレビをじっと見つめていると……」




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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/24(日) 03:48:26.15 ID:tJ22BwRf0


2011年 岸辺露伴 16歳


ジョジョの奇妙な冒険 × ペルソナ4 IFストーリー


3 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/24(日) 04:07:25.77 ID:tJ22BwRf0
2011 4/11 夕方 稲羽市駅前


スタスタ……


露伴「ここが『稲羽市』か。随分とへんぴな所だな」

露伴「建物はまばらで、人通りも少ない」

露伴「よく、田舎者が都会に来ると上を見上げてキョロキョロするというが、やっとその理由が分かったよ。
   田舎には見上げる程高い建物が無い。高い建造物が無いってことは土地に困ってないということだ」

露伴「土地に困らないということは……必然的に人が居ないということだ」

露伴「親の仕事の都合とはいえ、ここで一年間も暮らさなきゃあいけないなんて憂鬱な気分だよ」

露伴「まぁ、人が少ないのは僕にとっては素晴らしいことだが」


堂島「おう、こっちだ!」


露伴「?」

堂島「よく来たな。俺はお前を預かることになってる叔父の堂島だ」

露伴「ああ、貴方が。初めまして、岸辺露伴です」

堂島「初めましてか。オムツを替えてやったこともあるんだがな」

菜々子「……」
4 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/24(日) 04:14:36.02 ID:tJ22BwRf0
堂島「コイツは俺の娘の菜々子だ」

堂島「ほれ、挨拶しろ」

菜々子「……」

露伴「……」

菜々子「……にちは」ササッ

堂島「なんだ……照れてるのか?」

菜々子「……!」バシッ

堂島「いてっ! ははは」

露伴「(面倒臭そうなガキだな……)」

堂島「さ、挨拶もこれくらいにして家に帰るか。途中、ガソリンスタンドによってくが……」

露伴「構いませんよ」

堂島「そうか。車はあっちだ」スタスタ

露伴「……」

露伴「(これから一年……やっていけるんだろうか僕は)」
5 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/24(日) 04:24:31.17 ID:tJ22BwRf0
4/11 夕方 ガソリンスタンド


店員「らっしゃーせー!」

堂島「レギュラー満タンで頼む」

菜々子「お父さん、トイレ……」

店員「トイレ? トイレは奥を行って左だよ。左って分かる? お箸を持たない方ね」

菜々子「……それくらい分かるよ」

店員「そっか。ごめんね、あはは」

堂島「俺は一服でもしてくるか……」

店員「〜♪」

露伴「……」

店員「おっ!」バッ

露伴「?」

露伴「……僕が何か?」

店員「君、高校生? どこから来たの?」
6 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/24(日) 04:43:36.16 ID:tJ22BwRf0
露伴「(……なんだコイツ馴れ馴れしい。僕の嫌いなタイプの人間だ)」

露伴「杜王町って所から、親の都合で。ここには今日初めて来た」

店員「へえ、大変だね」

店員「ここ、なーんもなくてビックリしたでしょ?
   ここら辺で今の高校生がやることと言ったら、ジュネスでダベるかバイトするくらいだよ」

店員「あっ、ジュネスってのは最近出来た大型スーパーの名前ね。凄いよあそこ。品揃えバッチリ」

露伴「ふーん……」

露伴「(どっか行ってくれないかなあ……興味の無い話を聞かされてもつまらないだけだね)」

店員「……でさ、ウチ今バイト募集してるんだよね」

店員「良かったら考えてよ! 歓迎するからさ」サッ

露伴「(握手を求めてる……どこまで馴れ馴れしいんだ)」

露伴「(もしかして、田舎の人間は皆こうなのか?)」

露伴「ええ、考えておきます」サッ


グッ


店員「それじゃ、僕は仕事があるから」スタスタ
7 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/24(日) 05:03:44.47 ID:tJ22BwRf0
露伴「……」

露伴「気味の悪い笑顔をしたヤツだったな……」

菜々子「お父さ〜ん。あれ? お父さんは……」スタスタ

露伴「菜々子ちゃんだっけ? 君のお父さんならあっちで……」


ユラァ……


露伴「ッ!?」フラッ

露伴「(なんだ? 急に目眩がするぞ……)」

露伴「うう……」

菜々子「?」

菜々子「……具合悪いの?」

露伴「……いや」

露伴「……何でもない。僕に構うな」

菜々子「ご、ごめんなさい……」

堂島「ガソリン入ったか? 行くぞ」

店員「お会計、さーぜっなります!」

堂島「あん? 随分、高いな……」
8 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/24(日) 05:25:37.60 ID:tJ22BwRf0
4/11 夜 堂島家


堂島「腹減ったろ? 遠慮しないで食え」

菜々子「お寿司だ!」

露伴「これは……かなり上等そうだ」

堂島「ま、露伴へのささやかな歓迎だ」

堂島「お前も親の勝手で振り回されて大変だろうが、しっかり頑張れよ」

露伴「はい」

露伴「(一年限りの付き合いだってのに、気を遣う人だ)」

菜々子「いただきます!」

露伴「いただきます」

堂島「おう。……ん?」PRRRR

堂島「もしもし、どうした?」ピッ

堂島「……ふむ、そうか。分かった、今行く」

堂島「酒飲まなくてアタリかよ……」ピッ

菜々子「どうしたの?」

堂島「すまん、仕事だ。ちょっと出てくる」
9 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/24(日) 05:48:27.15 ID:tJ22BwRf0
堂島「多分、遅くなるから戸締まり忘れるなよ」

菜々子「……はぁい」


スタスタ……


露伴「仕事……? こんな時間に?」

菜々子「お父さん、刑事さんだから」

露伴「なるほど、刑事か。公務員は大変だね」

露伴「いつもこうやって一人になるのか?」

菜々子「……時々」

露伴「そりゃあ、可哀相に」パクッ モグモグ

菜々子「……」


『ジュネスは毎日がお客様感謝デー! 来て、見て、触れて下さい!』

『エブリディ ヤングライフ ジュ・ネ・ス♪』


露伴「テレビか」

菜々子「エブリディ ヤングライフ ジュ・ネ・ス♪」

露伴「……」ポカーン

菜々子「……食べないの?」

露伴「食べるよ」
10 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/24(日) 05:50:49.09 ID:tJ22BwRf0
ここまでにします。

書いてから気づいたけどP4って導入部分長いな……
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 09:25:47.66 ID:JMljyv9A0
期待
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 10:53:50.49 ID:VYJjfrMAO
お、露伴SSだ。期待
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 10:57:55.03 ID:x9Ubwx93o
なんか露伴ちゃんばっかりだな
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 12:48:09.29 ID:GO0AAB61o
期待
露伴ちゃん16歳とか書かれてビビったが、よく考えればあれでもまだ二十歳だったわ
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 13:26:16.65 ID:c0tnVscDo
露伴まだスタンドは持ってないのか
いや、それ以前に漫画家デビューもしてないとか?
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 13:32:41.13 ID:1MX5Tx/0o
ルーブルの露伴は17歳のデビュー前でスタンド使ってるよ
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/24(日) 13:41:54.46 ID:YLBiviHAO
原作は16歳でプロデビューじゃなかったか?

期待
18 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/25(月) 02:11:00.96 ID:l/QkJ9jJ0
4/11 夜 堂島家 自室


ドサッ


露伴「……これで荷物は全部か。整理するには時間が掛かりそうだ」

露伴「とりあえず、机と画材道具だけは出しておこう。
   確か、新人漫画家コンテストの締め切りが近かったはずだ」


ガサゴソ……


露伴「あったあった、結構奥に仕舞い込んでたのか」

露伴「紙とペン。この二つが無ければ僕は生きていくことなど出来ないからな」

露伴「さて、取り掛かろう……」


ユラァ……


露伴「う……? また目眩が……」フラッ

露伴「どうしたんださっきから? 風邪でも引いてしまったのか……
   それとも、体が新しい環境にまだ慣れていないのか。僕って、繊細なんだな」

露伴「仕方無い、今は休もう」

――――――
――――
――
19 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/25(月) 02:15:34.80 ID:l/QkJ9jJ0
?/?? ? ???


露伴「……」

露伴「……?」

露伴「ここはどこだ?」

露伴「僕はさっきまで、自分の部屋に居たと思ってたんだが……」

露伴「ふむ……周りは霧だらけで何も見えないな。それに僕以外の誰かが居る気配も感じない」

露伴「夢でも見ているのか僕は? だとすれば不思議な感覚だ。
   夢の中でこれは夢だと自覚出来るとはね……明晰夢と言うんだったか」

露伴「こんな体験は初めてだ。漫画のネタに出来るかもな」

露伴「夢だと分かってんなら、あちこち歩き回ってみるのも悪くない」

露伴「……」キョロキョロ

露伴「進んでみよう」スタスタ
20 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/25(月) 02:18:18.05 ID:l/QkJ9jJ0
露伴「……」

露伴「……何もないな。行けども行けども霧の中だ」

露伴「せっかくの夢なんだから、突拍子も無い派手な『何か』とか期待していたんだけど」

露伴「これじゃあ、何のネタにもならないぜ。雪山で遭難でもしてるようだ」

露伴「そもそも、最初からこれは夢じゃあないとか? まさかな」

露伴「……その場合、僕はどうすれば良いんだ? ここから出ることは出来るのか?」

露伴「困ったぞ……イキナリ不安感が増してきたぞ……」

露伴「この岸辺露伴が迷子の子供のような気分を味わうとは……どうしたものか」


『真実が知りたい?』


露伴「!」

露伴「今どこからか声がしたぞ。僕以外にここに誰か居るのか? 誰だッ!」


『なら……入っておいでよ』


露伴「これは」

露伴「いつの間にか僕の目の前に扉みたいなものが……!」

露伴「正直、アヤシイ臭いがプンプンしているが……なんだか入らないといけないような気がするなあ」

露伴「……行ってみるか」スタスタ
21 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/25(月) 02:21:40.69 ID:l/QkJ9jJ0
露伴「……うっ」

露伴「中は一層、霧が深いな……1m先もおぼつかないぞ」


?『……ようこそ』


露伴「!」

露伴「(コイツがさっきの声の主か? 姿は人のシルエットをしてはいるが……如何せん、霧が濃くてよく見えないな)」

露伴「誰だお前は? これは僕が見ている夢なのか?」


?「へえ……この霧の中なのに、少しは僕の姿が見えるみたいだね」

?「それに、とても面白い力を得ているみたいだ」


露伴「……何を言っているんだ? 僕の質問に答えろよ」


『混迷の霧』


露伴「うっ!?」

露伴「なんだッ!? ただでさえ深い霧がより濃くなっていくぞッ!」


?「フフフ」


露伴「これでは霧と言うより……『真っ白』だッ! 『白』が僕に襲い掛かって来る……!?」

露伴「(意識……が……朦朧と……し)」ガクッ


?「いつかまた……君に会えるのかな……」


――――――
――――
――
22 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/25(月) 02:35:05.08 ID:l/QkJ9jJ0
4/12 朝 堂島家 自室


露伴「おおおおおおおおおおッ!?」ガバッ!

露伴「ハァハァ……ここは僕の部屋……だよな……?」キョロキョロ

露伴「なんだか、変な夢を見たような気がするが……思い出せない」

露伴「まるで、頭の中に霧が掛かってるような……」


コンコン


露伴「! はい?」


『……起きてる? 朝ご飯、出来たよ』


露伴「(菜々子ちゃんか)」

露伴「起きてるよ。叔父さんは?」


『お仕事。朝、早いんだって』


露伴「そうか……なら、今行こう」


『うん、下で待ってるね』
23 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/25(月) 02:41:38.05 ID:l/QkJ9jJ0
4/12 朝 堂島家


菜々子「おはよう」

露伴「……おはよう」

露伴「!」

露伴「この朝食は君が?」

菜々子「うん。朝はトーストと目玉焼き。これくらいなら、菜々子にも作れるから」

露伴「(道理でテンプレートな朝食内容だと思ったよ。まあ、小学生ならこんなものか)」

菜々子「……今日から学校に行くんでしょ? お父さんが言ってた」

露伴「ん? ああ、そうだよ」

菜々子「道、分かる? ……途中まで一緒に行こ?」

露伴「……僕を子供扱いするな。というか、子供は君だ。
   どうして僕が君なんかと仲良く登校しなくちゃあいけないんだ」


『ジュネスは毎日がお客様感謝デー! 来て、見て、触れて下さい!』

『エブリディ ヤングライフ ジュ・ネ・ス♪』


菜々子「エブリディ ヤングライフ ジュ・ネ・ス♪」

露伴「……」

菜々子「……食べないの?」

露伴「食べるよ」
24 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/25(月) 02:57:22.61 ID:l/QkJ9jJ0
4/12 朝 雨 通学路


菜々子「あとはこの道をまっすぐだよ」

露伴「……わざわざどうも」

露伴「(結局、一緒に登校してしまった……本当なら無視を決め込む所だが、
    この子の場合は、な〜んか罪悪感を感じるんだよな……何故か)」

菜々子「それじゃ、私はこっちだから」

菜々子「またね」

露伴「ああ……」

露伴「……」

露伴「どうでもいいか、そんなことは」スタスタ


『よっ……! ちょっ! やべーって!』


露伴「?」


『ちょっ! 誰か、誰か止めてー! チャリのブレーキがー!?』


ドシーン!


『お、おごご……! 当たっちゃいけない所に……!』ピョンピョン


露伴「……」

露伴「面白いな、まるで漫画みたいに流れるような事故だった」

露伴「スケッチしておこう」サラサラ


『うごごご……!』


25 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/25(月) 03:13:22.58 ID:l/QkJ9jJ0
4/12 朝 学校 教室


「はぁ〜あ、今年の担任はモロキンか……マジ最悪」

「俺はもう諦めたよ。一年間、大人しく過ごすっきゃないね」

「ねえねえ、知ってた? 今日、転校生来るらしいよ」

「ウソ!? それって女子?」

「残念、男子っぽいみたい。杜王町? って所から来たんだって」

「なんだ、オトコかよ……」

「おめーはよぉ〜〜ホンット、分かりやすいヤツだよなぁ〜〜」

「それよりさ、知ってっかよ?
 最近、ニュースが議員秘書の生田目とニュースキャスターの山野アナの不倫報道で持ちきりじゃん?」

「その山野アナがこの町に来てるらしいんだって! しかも、その宿泊先がなんとあの天城屋旅……」


千枝「……」

千枝「聞いた雪子? 転校生だって」

千枝「どんな人だろうね?」

雪子「さあ……」
26 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/25(月) 03:35:25.56 ID:l/QkJ9jJ0
ガラガラッ


諸岡「静かにしろー! 着席ー!」

露伴「(うるさいな)」

諸岡「あー……ゴホン。お前達の担任になった諸岡だ」

諸岡「いいか、この私が担任になったからには、不純異性交遊なぞ断じて認めんぞ」

諸岡「学生は学生らしく勉学に励み、清く正しい生活を送るのが本分だ!」

諸岡「その辺の所をよぉ〜く、肝に銘じるように。反抗は許さん」

諸岡「……それと、不本意ながら転校生を紹介する」

諸岡「ただれた都会からへんぴな地方都市に飛ばされた哀れなヤツだ。
   いわば、落ち武者だ! 間違っても、女子は色目など使うなよ」

諸岡「ほれ、とっとと自己紹介しろ」

露伴「……誰が落ち武者だって?」

諸岡「何?」

千枝「うお……」

露伴「いいか、僕には岸辺露伴という、親から貰った立派な名前がある。
   勝手に変な呼び名をつけるな」

露伴「それと、その教育者キャラは素でやっているのか? 今時、古臭過ぎるぜそんなの」

露伴「フン」

諸岡「……その反抗的な態度、よく覚えたぞ。いいだろう、岸辺露伴。
   貴様の名はこの『腐ったミカン帳』に刻んでやるとしよう」

諸岡「貴様の席はそこだ! さっさと座れ!」

露伴「言われなくったって、座るね」ストッ
27 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/25(月) 04:00:20.49 ID:l/QkJ9jJ0
「カワイソー、転校生。来ていきなり『モロ組』か」

「あいつに目ェ付けられると、ヨユーで停学喰らうもんな……」

「転校生が頭に付けてんのヘアバンドか? 変な形」

「……ちょっとカッコいいかも」

「ウソだろ!?」


露伴「……」

露伴「(ぶつくさとうるさいな……担任はあんなだし、面白そうなヤツは居なさそうだし、
    つまらない学校生活になりそうだ)」

露伴「(これなら、家で漫画描いてた方がよっぽど有意義だよ。漫画家という職業に学歴なんて微塵も関係ないからな)」

千枝「……し」

千枝「もしもーし」

露伴「……なんだ? 僕に話しかけてるのか?」

千枝「そうだよ。キミ、凄いね。いきなりモロキンに突っかかるなんてさ」

露伴「思ったことを言ったまでだ。それより君は誰だ」

千枝「ゴメンゴメン、あたしは里中千枝。気軽に名前で呼んでくれて良いからさ」

千枝「モロキン……嫌なヤツでしょ? 実際、凄く評判悪いんだよね」

千枝「ま、このクラスになっちゃったのがお互い運の尽き……一緒に頑張ろ?」

露伴「断る」

千枝「え!?」
28 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/25(月) 04:11:34.81 ID:l/QkJ9jJ0
諸岡「そこ、静かにしろ!」

千枝「わっとと……!」

露伴「(早く帰って、原稿を仕上げたいな)」

千枝「(うーん……気難しい人……なのかな?)」

雪子「(千枝、凄いな。知らない人にもあんな風に話しかけて……)」

陽介「zzz」

諸岡「いいかお前達、社会で最も大切なのは協調性だ。
   どんなに素晴らしいグループでも、そこに一つの腐ったミカンが交じることで……」
29 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/25(月) 04:22:51.33 ID:l/QkJ9jJ0
眠気が限界なのでここまで。
しかし、今日は月曜日という……


岸辺露伴 Status

勇気  まだ自分を乗り越えていない
根気  かなりある
寛容さ 微妙
伝達力 口下手
知識  悪知恵は働く
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 05:43:21.82 ID:PkVN6o1AO
ステが片寄りすぎだwww
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 06:25:45.89 ID:sQeRce8Io
とりあえずはやくじゃんけんしないとな
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 12:25:17.67 ID:SLWKBdMJo
面白い
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 17:52:02.08 ID:2L5SH+1x0
期待
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/26(火) 15:36:09.39 ID:OLEaKYSIO
これは凄いわ。台詞回しとモノローグが上手くて引き込まれるし、キャラも違和感が無い

超期待してる



35 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/27(水) 02:21:30.34 ID:3yxG+1kD0
4/12 夕方 学校 教室


諸岡「では、これで今日の授業を終える」


ピンポンパンポーン♪


諸岡「うん?」


『校内の先生方に連絡致します。至急、先生方は職員室にお集まり下さい。
 また、生徒は教室から出ずに次の放送を待ち、待機するようにしていて下さい』


ピンポンパンポーン♪


諸岡「あーんん、お前達聞いたな? 連絡があるまで教室から出るなよ」


ガラガラッ


「え? なになに? なんかあったの?」

「不審者でも出たとかじゃね」

「おい、外見ろよ! パトカー来てる!」

「本当だ、パトカーだ! ……なんか、やけに霧が出てね?」
36 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/27(水) 02:21:58.64 ID:3yxG+1kD0
千枝「何があったのかな……?」

雪子「……お祭り?」

千枝「いやいや、お祭りにはまだ早いから……てゆーか、お祭りでもパトカー出張んないから」

露伴「……」サラサラ

千枝「?」

千枝「岸辺君……で良いよね、何やってるの? ……絵?」

露伴「勝手に見るな」

千枝「……何これうまっ!? すごっ! 岸辺君が描いたの? この漫画!」

千枝「雪子も見てみなよ、ほら!」

露伴「グッ……」

雪子「本当……凄く上手。漫画家さんみたい」

露伴「みたいじゃなくて、そうなんだ。それに下書きの絵を褒められてもな」

雪子「え、本当に漫画家さんなの?」

露伴「……まだ、卵だが」

千枝「へー! 岸辺君は漫画家目指してるんだ!」

露伴「……子供の頃から絵を描くのが好きでね。いつか、僕が描いた漫画を沢山の人に見てもらうのが夢なんだよ」

千枝「夢かぁ……凄いね、今から将来の夢に向かって頑張るなんてさ」

千枝「きっと、岸辺君なら本当にその夢叶えちゃいそうだよねー。なんか、そんなカンジがする」

露伴「今日会ったばかりの君に、僕の何が分かるんだ」サラサラ

千枝「あ、あれれ……?」
37 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/27(水) 02:22:44.29 ID:3yxG+1kD0
陽介「あ、あー……」

千枝「花村」

陽介「あ、あの……里中さん? これ、この借りてたDVDスゲー面白かったっス!」

陽介「技の繰り出しとか、流石、本場っつーか……」

千枝「はぁ」

陽介「えっと……その……」

陽介「ゴメン、事故だったんだ! バイト代入ったら弁償するから!」ダダダダ!

千枝「待てコラ、あたしのDVDに何した?」


ガッ! ドテーン!


陽介「うごぉっ!?」

露伴「ああっ!?」ビリィッ!

千枝「あー!? ディスクにヒビ入ってんじゃんよー!? あたしの『成龍伝説』があああ!?」

露伴「コイツが僕の机に倒れてきたせいで、ネーム用の紙が……!」

陽介「いてて……」


ピンポンパンポーン♪


『校内の生徒にお知らせします』

『学区内で事件が発生しました。下校する際は寄り道をせず、また警察の方の邪魔にならないように……』


雪子「事件……?」

千枝「外のパトカーはそれかぁ……ねぇ、雪子帰ろ?」

雪子「あ、うん」

千枝「岸辺君も一緒に帰らない?」
38 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/27(水) 02:23:32.06 ID:3yxG+1kD0
露伴「うるさい、僕は今からコイツにネームをメチャクチャにしてくれた『礼』をしなくちゃあならない。
   帰りたければ、勝手に帰ってろ」

陽介「うおええ!? あ、あの岸辺君!? い、今のも事故っつーか、ゴメン! 許して!」

露伴「お前……花村とか言ったな」

露伴「『一回』は『一回』だ」スッ

陽介「ちょ! ダメ! 鉛筆はダメ! 尖ってっから! 刺さっちゃうからー!?」

千枝「岸辺君!」

露伴「!」

千枝「いーからいーから、そんなヤツは……」


千枝「ていっ!」ブン!

陽介「タコス!」ドカッ!


千枝「さー帰ろ」スタスタ

露伴「お、おい離せ! 僕の腹の虫は収まっちゃあ……」ズルズル

雪子「大丈夫? 花村君」

陽介「あ、天城……心配してくれてんのか……」

千枝「雪子も花村なんか放っとく!」

雪子「あ、うん。ごめんね」スタスタ

陽介「え、ちょ……」


陽介「……うそん」ガクッ
39 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/27(水) 02:24:11.00 ID:3yxG+1kD0
4/12 夕方 学校 校門前


千枝「全くもー花村はー!」

雪子「花村君もきっと、わざとやった訳じゃないんだから。ね、千枝?」

千枝「それは分かってるけどさ……」

露伴「わざとか故意かはどーだっていい。問題はそれによって引き起こされた『結果』だ」

露伴「あの男……必ずいつか『一発』喰らわせてやるからな」

千枝「……岸辺君って、もしかして凄く根に持つ人?」

露伴「物事の貸し借りは作らない主義なんだ」


ザッ


露伴「ン……?」


他校の少年「……」

他校の少年「き、君さ……雪子だよね? これから一緒に遊びにいかない?」

雪子「……誰?」
40 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/27(水) 02:25:09.97 ID:3yxG+1kD0
「見ろよ、またどっかの命知らずが天城をナンパしてんぞ」

「『天城越え』の難易度知らねーのか?」


露伴「この気持ち悪い男は君達の知り合いか?」

千枝「いや、全然知らないっす……」

雪子「あの……」

他校の少年「き、気持ち悪い……!?」

他校の少年「ゆ、ゆ、雪子! 行くの? 行かないの? どっちだよ!」

雪子「い、行かない……」


他校の少年「……もういい!」ダダダダ!


千枝「行っちゃったよ……」

雪子「なんだったのかな? 今の……」

千枝「……本気で言ってるの雪子?」

雪子「???」キョトン
41 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/27(水) 02:25:56.72 ID:3yxG+1kD0
陽介「よ、天城! また、悩める男子フったのか?」スタスタ

雪子「そんなつもりは……」

陽介「俺も去年ここに来た時、天城にバッサリ斬られたもんなー、ははっ」

雪子「してないよ、そんなこと」

陽介「お! じゃあ、俺と今からどっか行く?」


露伴「……」ギロリ


陽介「……と、思ったけど、用事思い出したぁー! じゃじゃじゃーなー!?」ダダダダ!

雪子「速い……」

露伴「フン」

千枝「……帰ろうか」
42 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/27(水) 02:27:07.49 ID:3yxG+1kD0
4/12 夕方 通学路


千枝「……でね、雪子ったら、こんな美人なのに彼氏も出来たことないんだよ。おかしいよね?」

雪子「ち、千枝……やめてよ……」

露伴「……そうだな、美人なんじゃあないか」

露伴「(早く帰って、原稿に手を着けたいんだが……何故、女の話はどーでもいいクセに無駄に長いんだ)」

千枝「岸辺君、微妙に話聞いてないすね……」


ザワザワ……


千枝「なんだろ、あの人だかり」


「聞いた奥さん、ここで殺人事件ですって! なんでも、死体が『アンテナにぶら下がっていた』そうよ!」

「まぁ、怖い!」

「皆、来るの遅いんだから! ついさっき、警察と消防で下ろしちゃったのよ〜」


露伴「殺人事件……?」

露伴「放送で言ってたのはこの事か?」

雪子「嘘……」

千枝「死体がアンテナにって……うわ、想像しちゃった」ブルッ


ダダダダ!


若い刑事「う……おえええ……! オロロロロ……」ビチャビチャ

露伴「!」

露伴「(若い刑事と思しき男が道端でゲロを吐いている……)」

露伴「(面白いシチュエーションだ、いつか漫画を描く時に参考になるかもしれん。
    スケッチしておこう……)」サラサラ

千枝「いや、よしなよ……」
43 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/27(水) 02:28:08.17 ID:3yxG+1kD0
堂島「おい、足立ー! 何してる!」スタスタ

堂島「いつまで新米気分だ! 今すぐ本庁帰るか、ああ!?」

足立と呼ばれた若い刑事「す、すいませ……うっぷ。オロロロロ……」ビチャビチヤ

堂島「……ったく」

堂島「!」

堂島「露伴……お前達、ここで何してる?」

露伴「ゲロのスケッチを……これはキャベツか?」サラサラ

堂島「……なんだそりゃ。通りすがりか? それとも野次馬か?」

千枝「と、通りすがりです! 帰り道があっちなので……」

堂島「ふむ……そうか」

千枝「あ、もしかして岸辺君のお父さんですか? さっき、『露伴』って……」

堂島「違うが……まぁ、そんなものか。
   俺はコイツの保護者の堂島だ。その……なんだ、どうかコイツと仲良くしてやってくれ」

露伴「余計なお世話ですね」サラサラ

堂島「……」

堂島「……ここは、事件現場だ。お前達のような子供が遊びで来ていい場所じゃない」


堂島「さっさと帰れよ」スタスタ


雪子「迫力あったね……」

千枝「これがモノホンの刑事さん……カッコいいなぁ〜//」

千枝「あれ、岸辺君が居ない?」キョロキョロ


露伴「現職の刑事さんのお話が聞けるなんてラッキーだ。犯人を逮捕する時とか、どんな気分なんです?」サラサラ

足立「いや〜もしかしてコレ、僕が漫画の主人公のモデルとかになっちゃう感じ? まいったなー、あはは」

足立「警察と言ってもね、実は意外と大したことしないんだよ。
   僕はデキるエリートデカなのに、やることと言えば書類整理ばっかり……」


堂島「足立ィー!!!」


足立「わーわわわ!? すみませんー!」ダダダダ!

露伴「チッ」


千枝・雪子「……」
44 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/27(水) 02:30:37.42 ID:3yxG+1kD0
ここまでで。


岸辺露伴 Status

勇気  まだ自分を乗り越えていない
根気  かなりある
寛容さ 微妙
伝達力 口下手
知識  悪知恵は働く
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 02:31:38.04 ID:b2cM3Md7o
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 03:23:39.60 ID:yvazE2MPo
康一くんのような友達は出来るのだろうか……
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 04:01:31.27 ID:9Rhqx3Uu0
とりあえず今のままだとリスキーモード過ぎるなwwww
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 12:49:10.60 ID:yPjTVDXco

露伴が友達作る図が想像できん
でも、原作でも文句言いつつ仗助ともやっていけてるから大丈夫なのか?
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/27(水) 14:18:20.67 ID:Vysi3Qmeo
千枝あたりが康一君みたいに上手く操って仲良くしそう
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 17:48:24.51 ID:ER+/+7Dg0
露伴もナナコンになる…のか?
51 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/28(木) 01:44:35.13 ID:VcBqEtrw0
4/13 朝 堂島家


トントン……


菜々子「おはよう」

露伴「……」

露伴「……おはよう」


『昨日未明、稲羽市市内で女性の不審遺体が発見されました』

『調べによると、遺体の身元は同局の女性アナウンサー、「山野真由美」さんで……』

『また、遺体の状況から見て、稲羽警察はこれを殺人事件の可能性があるとして捜査に……』


露伴「(昨日の事件のヤツか……遺体の名前は山野真由美?)」

露伴「(確か、中央のアナウンサーで不倫スキャンダルで週刊誌に載ってから、
    どっかに雲隠れしていたんだったな。新聞で何度か見た)」

露伴「(その雲隠れ先がまさか稲羽市だったとはね。知り合いでも居たのかな)」

露伴「(自業自得とはいえ、キャスターを降ろされて田舎くんだりにまで逃げ隠れて、
    隠れた先で『死体』になっちまったなんてな。どれだけ、『運』の悪い女なのやら)」


菜々子「朝ご飯、出来たよ」

露伴「ああ」

菜々子「……トマト、食べれる?」

露伴「……僕を子供扱いするな」
52 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/28(木) 01:45:05.47 ID:VcBqEtrw0
4/13 朝 通学路


スタスタ……


露伴「……?」ピタッ

露伴「道が塞がれている……「立ち入り禁止」」

露伴「ああ、事件があったんで、その周辺を警察が調べるから入るなということか」

露伴「入るなと言われれば入りたくなるのが人の性というものだが仕方ない。
   面倒だが、回り道をするか」

露伴「……とでも言うと思ったか? この岸辺露伴を嘗めるなよ」

露伴「『見たい』と思ったら、何が何でも見たくなるのが僕なんだよ。
   面白そうなネタが転がってそうなら尚更な」

露伴「こんな、紙テープぐらいで僕をどーにか出来るか」ビリビリ

露伴「さて……」


「だ、誰かぁー!? 止めてー!? ブレーキ利かねー!」

「こ、こんなことなら、大人しくチャリ修理に出すんだったー!」


露伴「え?」クルリ


ドシーン!


露伴「うおおおっ!?」ドンッ!

陽介「だーっ!?」ドンッ!

陽介「いつつつつ……あれへ!? ま、前が見えねー! ゴミ箱ん中にハマっちった俺!?」ドタバタ

露伴「くっ……」ムクリ
53 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/28(木) 01:46:45.34 ID:VcBqEtrw0
陽介「ちょっ! 誰か! 誰か助けてくれー!」ドタバタ

露伴「……」

露伴「ふんっ」スポッ

陽介「うおっ!? ぬ、抜けたぁ〜……マジ、ビビったっての……」

陽介「わりーな、助かっ……た……よ……」


露伴「おはよう、花村君……」ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


陽介「ひっ!? お、お前……!」

露伴「なに、目逸らしてんだよ。同じクラスメートなんだから君も挨拶くらいしろよな」

陽介「……オハヨウゴザイマス」

露伴「君はつくづく僕の邪魔をするのが好きみたいだな……僕に恨みでもあるのか?」

陽介「滅相もございませんッ!」バッ

露伴「だよな。僕は一昨日この町に来たばかりで、興味を持たれこそすれ、人から恨みは買われる覚えは無い」

露伴「なのになんで、君は僕にメーワクを掛けるんだ? 同じことをやり返してやろうか?」

陽介「ゴメンッ! ホンットーにゴメンッ! お詫び、お詫びすっからさ!」

露伴「生憎だが、僕は金なんかに困ってないぞ」

陽介「それは俺も金欠だからナシの方向で……」

陽介「あのさ、俺ん家スーパーやってるんだ。『ジュネス』って名前のそこそこ大きいスーパー」

陽介「テレビのCMとかで見たことない? エブリデイ ヤンライ〜♪ってヤツ!」

露伴「知っている」

露伴「(そのCMが流れる度に菜々子ちゃんが口ずさんでいたからな。嫌でも覚える)」

陽介「こんくらいで済むとは思ってねーけどさ、そこのフードコートで何でも好きなの奢ってやるよ。
   俺、店長の息子だから、たまにオマケしてくれるんだ」

露伴「だから、なんだってんだい? 僕はそんなの……」


「その話、あたしも乗ったぁー!!!」


露伴・陽介「!?」
54 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/28(木) 01:47:43.96 ID:VcBqEtrw0
4/13 夕方 ジュネス フードコート


陽介「……なんで、里中まで着いてくんだよ」

里中「『成龍伝説』」

陽介「うぐっ!」

露伴「……なんだ、このジャンクフードは。
   お詫びと銘打つんなら、もう少しまともなモノくらい用意したらどうなんだい」

陽介「スマン岸辺……まさか、里中まで来るとは思わなかったからちょっとランク落とした……」

里中「ケチくさ〜」

陽介「るせーな。俺、マジ金無いんだって。近い内に大きい買い物すっから貯金してる最中なの」

陽介「つーわけでさ、ま、ま、ここは取りあえずコレで押さえってことで何とか……」

里中「いつか、ビフテキね花村。いただきまーす」パクッ

露伴「いつか、僕の絵のモデルになってもらうぞ花村君。そうだな、思いっきり恥ずかしい女装でもしてもらうか」モグモグ

陽介「何それ待って」

露伴「フン」


「……でさぁ、見た? 『マヨナカテレビ』」

「見た見た! 変な女の人みたいなの映ってた!」

「あれって、何なのかな? 放送事故?」

「さあ〜?」


露伴「……マヨナカテレビ?」
55 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/28(木) 01:48:45.82 ID:VcBqEtrw0
千枝「ああ、最近よくウワサんなってるよね」

陽介「なんだそりゃ」

千枝「うーん……都市伝説って言えば良いのかな? 運命の相手が分かるおまじない」

露伴「おまじない?」

千枝「うん。『マヨナカテレビ』って言ってね、
   雨の日の夜中の零時、電源を切ったテレビを見つめてると自分の運命の相手が映るんだとか」

陽介「あー、聞いたことあっかも。この前、隣のクラスのヤツが『俺の運命の相手は山野アナだ!』とか騒いでたわ」

露伴「なんだ……どこにでもある、ただの作り話じゃあないか。馬鹿馬鹿しい」

千枝「それがね岸辺君! 結構、『見た』って人が居るんだよ! きっと、ただのウワサじゃないんだって!」

陽介「里中は見たことあんのかよ?」

千枝「無いけど?」

陽介「無いのかよっ!?」

千枝「だって、夜の零時だよ? フツー、その時間は寝ちゃうって」

陽介「知らねーよ、お前のフツーなんか……久々にアホ臭い話を聞いたぞ」

陽介「なぁ、岸辺?」


「」


陽介「あ、あれ? 岸辺はどこ行った?」キョロキョロ


露伴「ジュネススペシャルバーガーセットを二つ頼む。後はそうだな……たこ焼きも付けてくれ」

露伴「支払いは全部、アイツにツケてくれ」

女性の店員「かしこまりましたぁ〜」


陽介「岸辺くーん!? 何してんのー!?」

露伴「夜食を買ってるんだ。そろそろ、新人漫画家コンテストの締め切りなんでね。
   気合いを入れて仕上げなきゃあな」

陽介「ま、漫画家コンテスト? す、凄いなー、応援する! だから、勘弁して!」

陽介「『小西先輩』も、そんな簡単にツケとかオッケーしないで!」

小西先輩と呼ばれた女性の店員「あははっ、ごめんね陽介」
56 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/28(木) 01:49:40.38 ID:VcBqEtrw0
陽介「〜」

早紀「〜」


露伴「……? あの店員は花村君の彼女なのか?」

千枝「あははっ、そうだと良いんだけど」

千枝「『小西早紀先輩』、私達の一個上の先輩。ここで時々、バイトしてるんだ」

千枝「でも、町の人はそれをあんまり良く思ってないと言いますか……」

露伴「何故だい?」

千枝「……小西先輩の実家、商店街で酒屋をやってるの。でも、あんまし売れてないんだ」

千枝「というか、ジュネスが出来てから商店街そのものがガランとしてさ。
   お店やってる人は大体、苦労してるんだよね……」

千枝「小西先輩、色んな人に
   『こんな厳しい時だからこそ、しっかりお店を手伝ってあげなきゃ』って言われてるみたいなんだけど、
   聞かずに、ここでバイトしてるからさ……色々とこう……ね?」

露伴「なるほど、ふざけてるな」

千枝「うん……町の人も思う所はあるんだろうけどさ、そんなに目くじら立てなくても……」

露伴「僕はどちらに対しても言ったんだ」

千枝「え?」
57 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/28(木) 01:51:16.35 ID:VcBqEtrw0
早紀「……はぁ」

陽介「疲れてるみたいすね……何かあったんですか?」

早紀「うん、ちょっとね……」

陽介「またなんか、誰かにグダグダ言われたとか……」

早紀「ううん、そうじゃないんだ」

早紀「……あーもー、何であの時早退なんかしちゃったんだろ」

陽介「?」


千枝「〜」

露伴「〜」


早紀「あのヘアバンドしてる子、陽介の新しい友達?」

陽介「え、まぁ……杜王町……だっけか、そこから一昨日に転校してきたんですよ」

早紀「ふうん……」


早紀「ねえ、君」スタスタ


露伴「何です?」

早紀「君、転校生なんだってね。知ってた? 陽介も去年、ここに転校してきたんだよ」

早紀「コイツ、おちゃらけてるけど見た目程友達居ないからさ。仲良くしてやってね。
   あ、でもウザかったら素直にウザいって言わなきゃダメだよ?」

陽介「せ、先輩……」

露伴「知ってるよ……花村君、君って凄く『ウザい』ぜ」

陽介「岸辺も乗らなくていーから! ……え? 何その目」

千枝「ぷっ」

陽介「笑うなー!」

早紀「フフッ、面白いね君」
58 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/28(木) 01:51:58.61 ID:VcBqEtrw0
早紀「はぁ〜あ、そろそろ仕事に戻らなきゃ」

陽介「そっすね……バイト中に話しかけてスンマセン」

早紀「別にいいわよ。どーせ、あまりお客来てないし」

陽介「それ、俺の前で言うー!?」

露伴「フン」

露伴「……僕は帰るぞ。帰りに画材道具を買い足さなくちゃあいけないんでね」ガタッ

千枝「あたしもー。見たいテレビ始まっちゃうし」ガタッ

陽介「あ、そーなの? そう……」


千枝「うん、また学校でねー。ごちそーさま」スタスタ

露伴「さよなら、花村君。マズかったよ」スタスタ


早紀「またね、君達」

陽介「あの野郎……最後に捨てゼリフ吐いて行きやがって……」

陽介「うん? 岸辺が戻ってきたぞ」


露伴「忘れる所だった。さっき僕が注文したモノはまだか?」

早紀「あー、そうだったね。少し待ってて」スタスタ

陽介「ちょいちょいちょいちょいちょいちょい!?」
59 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/02/28(木) 01:53:19.09 ID:VcBqEtrw0
投下終わり。テレビに入るのはいつになることやら。


岸辺露伴 Status

勇気  まだ自分を乗り越えていない
根気  かなりある
寛容さ 無い
伝達力 口下手
知識  悪知恵は働く
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 01:55:49.32 ID:dqoNK8Zeo

露伴だんだん馴染んできたな
菜々子にデレるのも時間の問題か
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 02:00:48.05 ID:bjYahqXWo
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 02:08:38.96 ID:QsuZki24o


寛容さが無くなりよったwwwwwwww
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 08:02:40.84 ID:roqAsnfJo
ナナコンに目覚めれば寛容さなんて、すぐに菜々子級さ
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 01:14:40.09 ID:C1XzSUdp0

ラスボスまでにコミュ一つでもマックスできるのかよ……
65 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/01(金) 02:44:54.29 ID:MfGqwFsB0
4/13 夜 雨 堂島家 自室


露伴「……」カリカリ

露伴「良し、後はベタ塗りだけだ。ここまで描けば後は数分も掛からずに完成するぞ」ピシャ……

露伴「……? インクの乗りが妙に悪いな。湿気でも多いのか?」


ガラッ


露伴「!」

露伴「原稿に夢中で気が付かなかったが、いつの間にか外は雨が降っているぞ」

露伴「ベタ塗りは後回しにするか……」


シトシト……シトシト……


露伴「(……雨)」

露伴「(そういえば……)」


千枝『うーん……都市伝説って言えば良いのかな? 運命の相手が分かるおまじない』

千枝『うん。『マヨナカテレビ』って言ってね、
   雨の日の夜中の零時、電源を切ったテレビを見つめてると自分の運命の相手が映るんだとか』


露伴「里中君……だかが、そんなことを言ってたっけな」チラッ


『23:58(44)』ピッ、ピッ、


露伴「……ふむ」

露伴「今夜は雨、時刻は零時間近。『マヨナカテレビ』とやらを見る条件は満たしているな」

露伴「どうせ嘘に決まっているだろうが、寝る前の暇つぶしだ。ウワサの真偽を確かめてやろう」
66 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/01(金) 02:45:26.15 ID:MfGqwFsB0
露伴「……」


『23:59(13)』ピッ、ピッ、


露伴「(後、数秒……)」


『23:59(57)』ピッ、ピッ、


シトシト……シトシト……


『00:00(00)』ピッ!


露伴「さて、どうなる!」

露伴「……」

露伴「……?」


『……』


露伴「……ハァ、だと思ってたさ。所詮、ウワサはウワサか」

露伴「思うに、この『マヨナカテレビ』とか言う都市伝説は、
   あの、『怪人アンサー』や『赤マント』とかと同じ類のものなんだろうね」

露伴「普通に考えれば荒唐無稽な話なのに、
   『テレビ』という身近な存在が話の題材になっているから、奇妙な真実味があるんだ」

露伴「運命の相手が見えるってのも、今の盛ってる中高生のガキが好みそうなポイントだな。
   だから、ウワサは身勝手にどんどん広まっていく」

露伴「このウワサを最初に考えて広めたヤツが、今頃、『してやった』とほくそ笑んでるかと思うとムカつくぜ」

露伴「実に無駄な時間を過ごした……もう寝るぞ僕は」
67 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/01(金) 02:45:52.32 ID:MfGqwFsB0
『……ガッ……ガガッ……キュイィィィン……』


露伴「!!」バッ

露伴「なんだ……? 今、テレビに何か映ったのか……?」


『ィイイイン……ガッ……』


露伴「これはッ!」

露伴「見間違いなんかじゃあない……テレビに『何か映って』いるッ!?」

露伴「テ、テレビの電源は確かに切られているはずだ。するとコレは!?」


『……ガガッ……ガガッ……ガッガガッ……』


露伴「薄ぼんやりしてハッキリは見えないが、映し出されているのは『人』? 女性のようだが……」


『キュイィィィン……プツッ』


露伴「……き、消えた」

露伴「何だったんだ今のは……もしかして、僕は見たのか? 『マヨナカテレビ』を?」

露伴「……」

露伴「……掴んだ」

露伴「僕はたった今掴んだぞッ!? 最高の『ネタ』をッ!」

露伴「『マヨナカテレビ』……確かに僕はこの目で見た! 嘘っぱちじゃあなかったッ!」

露伴「使える……! これは漫画のネタになるぞ……!
   一体、どういう現象なんだ? 何故、電源を切ったのにテレビが映るんだ?」

露伴「し、知りたいなあ……もっと、詳しく……」

露伴「退屈な田舎暮らしが刺激的なものになりそうだよ……ハハッ!」
68 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/01(金) 02:46:25.62 ID:MfGqwFsB0
ピイィィィイン……


露伴「ムッ」

露伴「今……テレビの画面が少し『揺らいだ』ような……」サッ

露伴「ああッ!? な、なんだッ!?」

露伴「テレビの『中』に僕の腕が『吸い込まれて』いくぞッ!?」

露伴「凄い力だッ! 引きずられてしまうッ……!」グググ

露伴「う……おおおおおッ!」バッ


スルッ! ドターン!


露伴「どげっ!?」ガンッ!

露伴「つ、机の角に頭を……うう……」

露伴「ハァ……ハァ……驚いた……ハァ……」


コンコン


「凄い音したけど……大丈夫?」


露伴「菜々子……ちゃん。いや、何でもない。あっち行け」


「……うん」


露伴「(今のも、『マヨナカテレビ』の『何か』なのか?
    幸い、僕の部屋のテレビは小さいサイズだったから引き込まれずに済んだが……)」

露伴「(面白い……俄然、興味を持ったぞ)」

露伴「(『マヨナカテレビ』について色々、調べてみるか)」

露伴「!」

露伴「ああーッ!? げ、原稿にインクがこぼれているッ!?
   さっき、机に頭をぶつけた時に……!?」


「大きい声したけど……」


露伴「うるさいッ! あっちへ行けッ!」
69 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/01(金) 02:47:17.53 ID:MfGqwFsB0
4/14 夕方 学校 教室


露伴「(とりあえず、色んなヤツに片っ端から『マヨナカテレビ』について聞いて回ったが……)」

露伴「(収穫ゼロだ。ウワサ以上の話は何も出てこないな)」

露伴「(僕のように、『テレビに体が吸い込まれかけた』ヤツは他に居ないらしい)」


千枝「岸辺くーん!」

陽介「うーす岸辺!」


露伴「……」

露伴「悪いが忙しい。どっか行ってくれよ」

陽介「とりつく島が無い!?」

千枝「あたしらさっきまで、『マヨナカテレビ』の話してたんだ。
   岸辺君は見た? 『マヨナカテレビ』!」

露伴「!」

陽介「俺さ、昨日試しに見てみたんだよ。里中の言うことだし、どうせウソだろーとか思いつつ」

千枝「コラ」

陽介「そしたら、マジで映ったんだよ! ハッキリは見えなかったけど、『女の子』ぽくてさ。
   スゲー美人だった! ……と、期待を込める」

千枝「あたしも、昨日『マヨナカテレビ』見えたの!
   それでなんと見てびっくり、あたしのテレビに映ったのも『女の子』だったんだよ!」

千枝「『マヨナカテレビ』に映るのって、自分の『運命の相手』なんだよね? どういうことなんだろ?」

陽介「え……里中サンて……アッチ系なの?」

千枝「アッチ?」

陽介「いや、分からねーならいいんだ。うん!」
70 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/01(金) 02:47:47.73 ID:MfGqwFsB0
陽介「……で、岸辺はどうなのよ? 見た?」

露伴「見た。僕のテレビに映っていたのも『女の子』だった」

千枝「! 見たすかー、ウワサはホントだったんだね」

陽介「正直、チビったけどな俺……」

千枝「うわ」サッ

陽介「ロコツに引くな! 傷付いちゃうから! チビったってのは比喩だからな比喩!」

露伴「見た後、テレビの画面に手を触れたら吸い込まれた」

陽介「……は? なんて?」

露伴「言ったままの意味だが?」

陽介「す、吸い込む……???」

千枝「岸辺君、何それ詳しく!」

露伴「だから……」

――――――
――――
――

陽介「あのさ、岸辺。さすがにそれは夢でも見てたんじゃねーかな」

露伴「別に君なんかに信じてもらわなくたってもいいね」

千枝「でも、面白い話だよね。テレビが小さかったから体が吸い込まれずに済んだとか、変にリアルでさ」

露伴「リアリティがあるのは、それが真実だからだよ。実際に体験したからな……」

陽介「なんなら、ジュネス来るか岸辺? お前が楽に入れそーなサイズのテレビ沢山置いてあるぜ」

陽介「最近、買い替え多くてさ。多めに入荷してんだよね」

露伴「(コイツ……いちいちイラつかせるな)」

千枝「あー、もうすぐ地デジに完全移行だもんね。ウチもそろそろ買い替えないとなぁ」

千枝「決めた! 今からみんなでジュネス行こう!」

陽介「え、マジで行く流れ?」

千枝「うん。あたしは新しいテレビ見ておきたいし、岸辺君はテレビの中に入れるかどうか試せるし」

陽介「テレビにゃ、入れねーだろ……ファンタジーやメルヘンじゃねーんだから」

露伴「だったら、君は帰ってろよ。僕は一人で確かめに行く」

千枝「あたしも行くって! ……大画面でカンフー映画見るのが夢なんだぁ〜」


千枝「いよぅ〜し、そうと決まった所でしゅっぱーつ!」スタスタ

露伴「(やかましい……)」スタスタ


陽介「……」ポツーン

陽介「帰れって……いやあの俺ん家……ジュネス……」

陽介「お、おーい!? 置いてくなよー!」ダダダダ!
71 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/01(金) 02:49:09.86 ID:MfGqwFsB0
4/14 夕方 ジュネス 家電売り場


陽介「……」

千枝「……」


コンコン


陽介「……入れるワケないよな、どう考えても。
   大体、入るったって、今のテレビ薄型だから裏に突き抜けんだろ」

千枝「夢オチ確定か」

陽介「だな」

陽介「さーて、お客様? 本日はどのようなテレビをお求めに?」

千枝「えっとねー……安くて大きくて綺麗で安いの」

陽介「とりあえず、安いのね……はいはい。それなら向こうに……」


露伴「……」

露伴「(アレは絶対に夢なんかじゃあない。確かに『体験』したことだ)」

露伴「(その証拠に昨日と同じで、テレビの画面が『揺らいで』いる。不思議だが、『入れる』と感覚で分かる)」

露伴「(手を……入れてみよう……)」サッ


スゥ……


露伴「は、入ったッ! テレビに手が入ったぞッ! しかも、今回は吸い込まれない!」

露伴「この中はどこに繋がっているんだ……? 僕の好奇心がツンツン刺激されるなァ!」

露伴「よし、次は頭を入れるぞ……!」
72 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/01(金) 02:49:57.09 ID:MfGqwFsB0
陽介「な、岸辺。お前ん家はテレビとかもう地デジ対応……」チラッ

陽介「うおわあっ!?」

千枝「花村? いきなり、変な声出さな……」チラッ

千枝「えええっ!?」


露伴「凄い……こんな体験はとても出来ないぞ! テレビの中に入るだなんて、
   まるで小さい頃に読んだ、『水木し○る』の漫画みたいだッ!」


千枝「きききき岸辺君がテレビに刺さってるー!?」

陽介「な、何してんだお前ー!? え? マジで刺さってる!? どんなイリュージョンだよおっ!?」

露伴「うるさい、気が散る。……この様子だと空間はかなり広がっていそうだな」

千枝「空間って、何!?」

露伴「本当にうるせーなあ〜〜、テレビの中だよ!」

陽介「テレビの中って、何ー!?」

千枝「すっ、すげー!」

陽介「やっべ……ビックリし過ぎてチビった……う〜、トイレトイレ!」ダダダダ!

陽介「!!!」

陽介「お、おい! 客! こっちに客来る!」

千枝「ええええ!? ここに、半分テレビに刺さってる人居るんすけど!?」

陽介「き、岸辺を引っこ抜け! 俺も手伝うから!」ガッ!

千枝「う、うん!」ガッ!

露伴「!? 離せ! 僕はまだ満足していない!」

陽介「んなこと、言ってる場合か!」

千枝「わーわー! 岸辺君、暴れたらダメー!?」


ドカッ!


露伴・陽介・千枝「あっ」

千枝「いやぁ〜〜〜っ!?」

陽介「お、落ちるぅ〜〜〜っ!?」
73 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/01(金) 02:51:02.71 ID:MfGqwFsB0

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74 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/01(金) 02:52:54.22 ID:MfGqwFsB0
終わり。次でペルソナ覚醒です。
大事なことなのでもう一回言いますけど、『ペルソナ覚醒』です。


岸辺露伴 Status

勇気  まだ自分を乗り越えていない
根気  かなりある
寛容さ 無い
伝達力 口下手
知識  悪知恵は働く
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 03:35:55.63 ID:KF0lIamko

露伴先生の口の悪さも原作のノリを再現してて良い感じだね
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 06:17:44.03 ID:vdBKCwAHo
寛容させめて人並みになるんだろうか乙
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 12:52:16.70 ID:4dxalprnO
おつー
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/01(金) 13:48:03.21 ID:mZYokAqAO
菩薩になってもジョウスケは許せない
79 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/02(土) 05:07:53.34 ID:qQuAtWUV0
4/14 夕方 テレビの中?


ヒュルルルルル……ドタァンッ!


陽介「だあっ!?」ドガッ!

千枝「わわっ!?」ドガッ!

露伴「痛ッ!」ドガッ!


陽介「つつ……ケツの財布がダイレクトに……!」

千枝「腰打ったぁ……」

露伴「……」キョロキョロ

露伴「僕らはどうやら、『テレビの中』に落ちてしまったみたいだな……」

陽介「マジか……? 俺ら、『テレビの中』に居んのか?」

千枝「ウソ……」

露伴「! お前達、周りを見ろ」

露伴「覗いた時には分からなかったが、『テレビ番組のスタジオ』のような場所に僕達は居るらしい」

陽介「『スタジオ』?」

陽介「ホントだ、あちこちにテレビカメラみてーなのある」

千枝「ここ、どこなの……? 稲羽市にこんなトコあった?」

陽介「あるワケねーだろ……」

千枝「てことは、ホントに『テレビの中』なワケ……?」

露伴「入れる理由は分からないがテレビから入った以上、そういう風に考えるのが自然だろうな……」

陽介「霧だらけで気味ワリーな……なんか、お化けとか居そうなフインキ……」

千枝「や、やだ、やめてよ花村! あたし、帰る!」

千枝「……」

千枝「……あたし達、どっから来たんだっけ?」
80 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/02(土) 05:08:22.75 ID:qQuAtWUV0
陽介「ハァ? そりゃ、『上から落っこちてきた』んだから上に出口が……」

陽介「……」

千枝「……」

露伴「……」

陽介「……どうやって、帰るんだ俺ら? てか、帰れんのか?」

千枝「あたし達、ここで死ぬの!?」

陽介「お、落ち着け里中! そーゆーの今、考えたくない!」

露伴「……」キョロキョロ

露伴「!」

露伴「おい、あれは何だ? 道のようだが」

千枝「……ホントだ! 霧で隠れててよく分かんなかったけど道がある。
   ……どこに続いてるんだろ?」

陽介「よく、見つけたなお前……」

露伴「ちょいと行ってみよう」

千枝「い、行くの? 止しとこうよ! それより、どうしたら帰れるか考えた方が……」

陽介「さ、里中の言う通りだ岸辺! ほら、雪山とかだと遭難した時はその場を動くなって言うだろ?」

露伴「ふ〜ん……もしかすれば、あそこが出口に続いているかもしれないのに?」

露伴「僕の見る限り、僕達が入った所から帰るのは無理だ。
   入ってから落下するまでに、かなりの時間差があったからな」

露伴「僕達は相当、高い所から落ちてきたんだ。ロープでもありゃ話は別だが、普通に考えてこの高さは登れない」

陽介「でも……」

露伴「それでも残るってんなら、別に止めないけどな……僕は助かりたいから、少しでも帰れる可能性のある道を選ぶ」


スタスタ……


陽介「岸辺!」

千枝「……」

千枝「は、花村と置いてかないでー!」ダダダダ!

陽介「ちょっ、おまっ!? どどどーゆー意味だよ!? つーか、俺一人にすんなー!」ダダダダ!
81 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/02(土) 05:08:54.36 ID:qQuAtWUV0
4/14 夕方 テレビの中? ???の部屋


露伴「ここで行き止まりか」

陽介「進んでる時ほかに道は無かったし、ぽいな」

陽介「やっぱ、戻ろうぜ岸辺。なんとか出口まで登る方法を考えるべきだろ」

露伴「……」

千枝「ねえ、なんなのこの部屋……そこら中にポスター貼られてる……」

露伴「女性が写ったポスターのようだが、全て顔の部分だけ切り取られているぞ」

陽介「ナニソレ、怖ぇ……」ブルッ

陽介「ん? このポスターどっかで見たような……」

露伴「部屋の中心にこれ見よがしに椅子が置かれている……」

露伴「その上には……スカーフか? 『輪っか』が括りつけられているな……」

千枝「……あからさまにマズい『配置』だよね」

陽介「あああーっ!?」

千枝「なっ! ナナナナニ花村!? また、何か見つけた!?」

陽介「も、漏れそう……! トイレ……!」

千枝「……そんなことでビックリさせるなぁー!!!」

陽介「言い出すタイミング無くて、ガマンしてたんだよお〜っ!」

陽介「見んなよ? 絶対にこっち見んなよ!」

千枝「ちょっ! ここで『する』気!? やめてよ馬鹿花村! //」

陽介「いいや! 限界だ! 『する』ね!」

露伴「! 待て」

陽介「止めるな岸辺! 俺のボーコーは限界なんだって……!」

露伴「……そこに『何か』居るぞ」


ピョコピョコ


?「さっきから、騒がしいクマね〜……」
82 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/02(土) 05:09:21.62 ID:qQuAtWUV0
陽介「だっ! 誰だ!?」

千枝「……着ぐるみ?」

?「だっ! 誰だ!? と聞かれたら、答えてあげるが世の情け……」

クマ「クマは『クマ』クマ!」

千枝「クマクマ?」

露伴「なんだ君は?」

クマ「ふざけてる場合じゃ無かったクマ! き、君達、どうやってココに入って来たクマ!?」

クマ「ココは今、すごーく危ないクマよ! 『シャドウ』がわんさか、あふれ出してるクマ!」

露伴「『シャドウ』?」

クマ「あああ……もう、すぐそこまで来てるクマァ〜! 早く、コッチに逃げるクマ!」

クマ「そ、そだ! この『メガネ』渡しとクマ! ソレを付けていれば、霧の中でも逃げやすくなるクマ!」

陽介「メガネ? なんで、そんなモン……うおっ!」

千枝「す、すげーっ! 霧が晴れて見える!」

露伴「どんな仕組みになっているんだ? 気になるな」

クマ「いいから、付けたら早くコッチ来るクマ! 追っ付かれたらオシマイクマー!」

クマ「! ひょえー!? ほーら、君達がモタモタしてるから、『シャドウ』が来たクマ!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ……


露伴「!!」

陽介「な、なんだぁ〜!?」


失言のアブルリー「シャアアア……」


千枝「きゃあああああ!?」
83 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/02(土) 05:10:32.11 ID:qQuAtWUV0
露伴「里中君!」

クマ「あ、危ないクマー!」


失言のアブルリー「シャアアァアッ!」ビュンッ!


『アタック』

ドカッ!


千枝「ううっ……!」バタッ

陽介「里中!」

露伴「ば、化け物……!?」

クマ「アレが『シャドウ』クマ! 人を襲うヤバいヤツらクマ……」

陽介「て、てめー! よくも、里中を!」


『アタック』

スカッ


陽介「あ、あれ?」

失言のアブルリー「シャアアアーッ!」ビュンッ!


『アタック』

ドカッ!


陽介「ぐああああっ!」バタッ

露伴「花村君!」

陽介「ち、ちくしょ……」

クマ「あわわ……」

露伴「く、くそっ! 何だっていうんだコイツは!?」

露伴「(立て続けに色々起こったってんで、僕の頭は訳が分からなくなっている……)」

露伴「(だが、少なくとも今一つ分かることは……このままだと僕は『死ぬ』ということだ)」

失言のアブルリー「アアアア……」

露伴「(『マヨナカテレビ』、『テレビの中の世界』、そして目の前に居る『シャドウ』とか言うヤツ……)」

露伴「(せっかく、こんなに面白そうなモノを見つけたってのに……僕は……死んでしまうのか?)」

露伴「(夢だった漫画家にもなれず……こんな所で……)」
84 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/02(土) 05:11:49.10 ID:qQuAtWUV0
露伴「……ふざけるなよ」

失言のアブルリー「シャアアアーッ!」ビュンッ!

クマ「シャドウがめがっさ、襲い掛かって来るクマー!?」

陽介「岸辺ー! 危ないっ!!!」

露伴「そんな屈辱的なことがこの岸辺露伴にあってたまるものかァーッ!」

露伴「貴様程度のスカタンに僕がやれるかッ! やってみろーッ!」

陽介「何、挑発してんだぁー!? 早く避け……」

陽介「……え?」


ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド


露伴「『ヘブンズ・ドアー』ッ!」カッ!


クマ「ひょー!?」

失言のアブルリー「シャ!?」

露伴「フンッ!」


『本にする』


失言のアブルリー「シャアアアアアアアアアアッ!?」パラパラパラ……

クマ「シ、シャドウが……『本』になったクマー!?」

露伴「なんだか、よく分からんが……僕はお前に対抗出来るようだな。不思議な力だ」


『書き込む』


露伴「『お前は僕達に攻撃出来ない。そして、自分が出せる最大限のスピードで彼方まで吹き飛ぶ』」ズキュン


失言のアブルリー「アアァァ……!?」ドォーン!
85 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/02(土) 05:13:11.62 ID:qQuAtWUV0
クマ「シャドウが、かっとビングしてったクマ……」

陽介「す、すげぇ……」

露伴「フム……これは、『ペルソナ』と言うのか」

陽介「ペルソナ? な、なんだよソレ!
   お前さっき、なんか変なの出して化け物追い払ったけど、俺にも出せたりすんのか!?」

露伴「僕に聞くな。なんとなく『そういうモノ』だと分かっただけだ。正直、僕も困惑している」

陽介「……?」

千枝「う……」ヨロッ

陽介「里中!」サッ

千枝「花村……? 岸辺君も……さ、さっきのお化けは!?」

陽介「落ち着け、岸辺が追い払った。怪我はしてねーか?」

千枝「……岸辺君が? 怪我はだいじょぶ……多分」

クマ「君達、もしや結構長い時間ココに居たクマ? その子、とっても疲れてるクマよ……」

クマ「ココの空気はあんまり人の体に良くないクマ。
   いつまたシャドウに襲われるかも分からないし、早く帰った方が良いクマ」

露伴「帰れとただ言われてもな。僕達はどこから帰れば良いんだ?」

クマ「心配は無用クマ。今ならシャドウは居ないから、クマの力で帰せるクマ。ほい!」


ポンッ!


陽介「何も無いトコからテレビが……」

クマ「ここを通れば君達の世界に帰れるクマ。さあ、帰るクマ」

露伴「……お前、何者なんだ?」

クマ「んなこたーいいから、さっさと帰るクマ! 危ないと言ってるでしょーが!」

クマ「入った、入った〜! むぎゅう〜!」グイグイ

陽介「ちょ、押すな!」

千枝「せ、狭いって……ギャー!? 岸辺君、どどどこ触ってんのー!? //」

露伴「お、おい、違う! 誤解だ!」

クマ「とぉー!」グイグイ

露伴・陽介・千枝「わあああああッ!?」
86 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/02(土) 05:14:05.16 ID:qQuAtWUV0

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87 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/02(土) 05:19:25.67 ID:qQuAtWUV0
終わり。ヘブンズ・ドアーがスタンドではなくペルソナなのは外で使用出来なくさせる為です。
ヘブンズ・ドアーがどこでも使えると、即事件解決す……


岸辺露伴 Status

勇気  嘗められまいとする為ならどんな奴にも立ち向かう
根気  かなりある
寛容さ 無い
伝達力 口下手
知識  悪知恵は働く
88 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/02(土) 05:53:36.68 ID:qQuAtWUV0
一つお知らせ。

現状は物語の導入部分が長いのでストーリーをただなぞるだけになってしまっていますが、
コミュ等はオリジナルの展開にしていこうと思います。

また、その際にどのコミュをランクアップさせるかは安価で決める予定なのですか大丈夫でしょうか?
問題が無ければその方針で行こうと思います。

コミュ登場予定キャラ一覧

魔術師 花村陽介
女教皇 天城雪子
女帝  ????
皇帝  巽完二
法王  堂島遼太郎
恋愛  久慈川りせ
戦車  里中千枝
正義  堂島菜々子
隠者  ジョセフ・ジョースター
運命  白鐘直斗
剛毅  運動部の同級生達
刑死者 小西尚紀
死神  ????
節制  ????
悪魔  ????
塔   ????
星   クマ
月   海老原あい
太陽  松永綾音
道化師 足立透
欲望  吉良吉影
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/02(土) 05:54:46.37 ID:p32uwvZSO
乙ッ!
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/02(土) 06:25:28.27 ID:/kMimH74o

ジョセフに吉良もいるのか
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/02(土) 10:55:26.99 ID:v8c4V4M9O
ええで

おつ
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/02(土) 12:10:13.28 ID:gXQjQdLGo
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/02(土) 12:51:28.85 ID:oOkLEapPo

ねたばれ?
94 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/02(土) 16:22:48.71 ID:qQuAtWUV0
>>93
登場コミュはあくまで予定です。
話の本筋にもあまり影響しない予定です。
95 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/03(日) 04:44:27.38 ID:pOzqW5ra0
4/14 夕方 ジュネス 家電売り場


千枝「あいたた……あれ?」

露伴「僕達の世界へ戻れたみたいだな」

陽介「……だな。俺達がテレビに入ってからどんだけ時間経ったんだ?」


『……れより、食品売り場にてタイムセールが始まります』

『厳選された食材から、今晩のおかずまで沢山取り揃えて……』


陽介「え? もう、そんな時間!?」

陽介「ワリーなお前ら、俺バイト入んねーと!」

露伴「あんなモノを見た後でよくそんな気になれるよな」

陽介「いや、なんつーか……見たからこそフツーにしてないとおかしくなりそうっつーか……」


陽介「そゆことで、んじゃ!」スタスタ……


千枝「……あたしも帰る」

千枝「なんか、すっ……ごい疲れた。またね、岸辺君……」スタスタ……


露伴「……」

露伴「僕も疲れたな……帰ろう」
96 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/03(日) 04:46:33.04 ID:pOzqW5ra0
4/14 夜 雨 堂島家 自室


シトシト……シトシト……


露伴「……」


『00:00(00)』ピッ!


『ガガッ……キュイィィィイン……』


露伴「『マヨナカテレビ』!」


『ガガガ……ガガッ……ガガッ……』


露伴「やはり、ぼやけている……しかし、昨日よりは幾らかハッキリしているぞ」

露伴「長い髪をした女性のようだが……どこかで見た気がするな」

露伴「待てよ……確か、昨日の夜……」

――――――
――――
――

4/13 夜 堂島家


菜々子「ご飯、おいしいね」モグモグ

露伴「お惣菜だけどね」モグモグ


堂島「ただいま」スタスタ


菜々子「お父さん!」

露伴「お帰りなさい」

堂島「ああ……すまん菜々子、テレビをニュースにしてくれ」

菜々子「うん」ピッ


『……稲羽市で起こった凄惨な殺人事件』

『我々はなんと、その第一発見者の独占インタビューに成功しました!』


堂島「独占インタビューだあ? どっから、嗅ぎつけてきたんだか……」

露伴「……」
97 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/03(日) 04:48:08.46 ID:pOzqW5ra0
『君が最初にアンテナにぶら下がってる遺体を見つけたの?』

『あ……はい……』

『君はどうしてその時間、そこを通ったの?』

『それは……うう〜ん……』

『こんな静かな町で殺人だなんて、怖いよねぇ〜』

『ええ……殺人なんですか……?』


堂島「……たく、警察でも無いのに要らんこと根掘り葉掘り聞きやがって」

堂島「菜々子、もう替えていいぞ」

菜々子「はぁい」ピッ

露伴「(礼儀のなってないインタビュアーだな……)」


『……デイ ヤングライフ ジュ・ネ・ス♪』

――
――――
――――――

露伴「そうだ、あの時テレビで見た第一発見者に似ているんだ!」

露伴「だからなんだという訳じゃあないが……」


『キュイィィィイン……プツッ』


露伴「もう寝よう。今日は色々有り過ぎた」

露伴「(それにしても……)」

露伴「(今夜の『マヨナカテレビ』に映っていた女性が『苦しんで』いるように見えたのは気のせいか?)」
98 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/03(日) 05:04:19.35 ID:pOzqW5ra0
4/15 朝 学校 体育館


「朝から集会とか、マジだりぃ……」

「見た? 今朝のニュース。稲羽市でまた殺人事件が起こったんだって! しかも、同じような手口で!」

「最近、霧が多いよな。春だってのにさ」


諸岡「お前達、静かにしろー!!! 校長先生のお話だ!」

諸岡「次に喋ったヤツは、『腐ったミカン帳』に名前を書くからなぁー!」


千枝「急に集会だなんて……なんだろ?」

陽介「……」


校長「え〜……今日は皆さんに悲しいお知らせがあります」

校長「三年の小西早紀さんが……」

校長「……亡くなりました」


露伴・陽介・千枝「!」


校長「小西さんは今朝、殺人事件に巻き込まれてしまったようで心無い犯人に……」


「殺人って……もしかして、今朝のニュースの!?」

「ウソ!?」


露伴「殺人……!?」

千枝「は、花村……!」

陽介「……ッ」
99 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/03(日) 05:32:04.15 ID:pOzqW5ra0
4/15 夕方 学校 廊下


陽介「……よっ」

露伴「花村君」

千枝「花村……」

陽介「……」

陽介「……あのさ、お前ら」

陽介「昨日の『マヨナカテレビ』……見たか?」

千枝「な、何言ってんの!? こんな時に!?」

千枝「小西先輩が……殺されちゃったんだよ!?」

陽介「いいから聞け!」

陽介「俺、気になって昨日見たんだよ。映ってたの……多分、小西先輩だと思う」

露伴「!!」

陽介「『山野アナが俺の運命の相手』だーって、騒いでたヤツが居た話をしたろ?」

陽介「小西先輩、山野アナと似たような死に方で発見されたってさっき聞いた……」

陽介「これってさ……偶然か?」

千枝「それって……」

露伴「回りくどい言い方をするな……つまり、あのテレビに映ったヤツは死ぬとでも言いたいのかい?」

陽介「……ああ」

陽介「『テレビの中の世界』で顔の無いポスターがあったよな?
   後で思い出したんだけどあれ、演歌歌手の『柊みすず』のポスターだったんだ」

千枝「柊みすずって……山野アナの不倫相手の生田目太郎の奥さん!」

陽介「それで思ったんだ。山野アナと小西先輩は『テレビの中の世界』に入ってたんじゃないか?
   そして……殺された」

露伴「『テレビの中の世界のあの部屋』は事件と少なからず関係があると?」

千枝「ま、待ってよ……なんか、発想が飛躍してる気が……」

陽介「……そこで、確かめたいことがある」
100 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/03(日) 06:01:54.22 ID:pOzqW5ra0
4/14 夕方 ジュネス 家電売り場


千枝「やめようよ花村! テレビの中にもう一度入るだなんてさ!」

陽介「戻って来れたんだ、大丈夫だよ」

陽介「それに、今回は『秘策』もある」サッ

千枝「……ロープ?」

陽介「コイツを俺の体に括り付ける。里中は外で反対側のロープを持つ。オーケー?」

露伴「命綱って訳か」

千枝「でもぉ……」

陽介「見過ごせねーんだよ!」

千枝「!」

陽介「小西先輩が死んだ原因がテレビの中にあるかもしれないってのに、
   それを見過ごすなんて俺には出来ねえ!」

陽介「……知りたいんだ。なんで、小西先輩が死ななきゃなんなかったのか」

千枝「花村……」

陽介「岸辺、お前はどうするんだ? 一緒に来るのか?」

露伴「当然行く。君のさっきの仮説……あながち、嘘っぽく思えなかったからな」

露伴「(本当は僕には死因なんて知ったことじゃあないが)」

千枝「岸辺君まで……」

陽介「……よし。里中、ロープ頼んだぜ」

陽介「行くぞ!」バッ!
101 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/03(日) 06:03:46.57 ID:pOzqW5ra0

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102 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/03(日) 06:08:11.31 ID:pOzqW5ra0
ここまで。スローペースですみません。


岸辺露伴 Status

勇気  嘗められまいとする為ならどんな奴にも立ち向かう
根気  かなりある
寛容さ 無い
伝達力 口下手
知識  悪知恵は働く
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 08:20:33.73 ID:MPEk8niuO
おつー
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/03(日) 09:53:07.66 ID:/1DztnK60
乙乙!今更ながら、初期の露伴先生は凄く根性悪かったんだなぁ…と思い出した。
再登場以降の露伴先生は凄く丸くなってると思う。(それでも傲岸不遜なのは変わらないけどw)これもひとえに康一くんのおかげなのかな?
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 10:21:04.48 ID:BdVPdgtho

クモ舐めちゃうぐらいだしな
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 18:46:38.05 ID:PUTqMkHS0
乙!
吉良とのコミュがどういう感じなのかめちゃくちゃ気になる
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 19:00:38.78 ID:I58nk+8Ko
108 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/04(月) 05:11:06.10 ID:7TEeeb940
4/15 夕方 テレビの中


ヒュルルルルル……ドタァンッ!


陽介「ってて……」

露伴「前と同じ場所だな」


クマ「君達……また来たクマか!?」ピョコピョコ


陽介「お前、あんときの着ぐるみ!」

クマ「ムムム……なんだか君達、とってもアヤシイ予感……」

陽介「は?」

クマ「最近、霧が晴れる時に『あっちの世界の誰かがこっちの世界に人を放り込んでる』クマ!」

露伴「霧? 分かるように話せよ」

クマ「『君達の世界で霧が出る日は、こっちの世界だと霧が晴れる日』クマよ」

陽介「そういや……山野アナの時も小西先輩の時も事件の日には『霧が出てた』よな?」

クマ「クマの見た所ー! 君達は自分の力でこっちに来れるらしいクマ!
   それなら、人を放り込むことも出来るはずクマ?」

クマ「つまり! 君達が犯人クマね! 真実はひとぉーつ!」

陽介「ふざけんな! 誰がんなこと……!」

露伴「おい、花村君。もしかして、山野アナも小西先輩も『無理やりこちらの世界に放り込まれた』んじゃあないか?」

クマ「だーから、言ってるでしょー? その犯人が君た……」

陽介「てめーこそ! 先輩を無理やりこっちに連れてきた犯人じゃねーのか?
   そんな、着ぐるみなんか着やがって……正体見せろ!」

クマ「クマー!?」

露伴「僕もずっと気になっていた。君はこちらの世界の住人なんだろ?
   だったら、『ただの着ぐるみ』であるハズがない」

露伴「見せてもらうぞ……その中身ッ!」バッ!

クマ「や、やめれー」ジタバタ

陽介「ううあああっ!?」ドタッ!

露伴「こ、これはッ! どうなっているんだ!?」

露伴「コイツ……『中身が無い』ッ! 『空っぽ』だッ!」

クマ「頭、頭……頭はどこクマー? ほいっ!」カポッ

陽介「どやって、動いてんだ……!?」
109 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/04(月) 05:11:40.46 ID:7TEeeb940
クマ「クマ、君達が犯人じゃないって信じても良いクマよ」

陽介「なんだ、いきなり……」

クマ「で、でもその代わり! 本物の犯人を探し出して、こんなことを止めさせてほしいクマよ! よよよよ……」シクシク

露伴「本物の犯人をだぁ?」

クマ「クマはココで静かに暮らしたいだけなのクマ……
   頼めるのは君達だけクマ。約束してくれるクマ?」

陽介「……」

陽介「小西先輩を殺した犯人が居るってんなら……捕まえねーとな」

陽介「良いぜ、クマ公。約束してやるよ」

クマ「ハ、ハナムラー……! よよよよ……」シクシク

陽介「陽介だ。花村陽介」

陽介「岸辺……お前は?」

露伴「イイ子ぶるなよ、花村君。そんなことは警察に任せておけばいいんだ。
   僕達で犯人を探そうだなんて、探偵紛いのことをした所でしんどい目に合うだけだぞ……」

陽介「そ、そりゃ、そうだけどよ……コイツ、なんか放っとけねーつーか……」

クマ「……約束してくれないなら、クマ、君達ここから出さない」

露伴「お生憎様だったな、クマ小僧。僕達はロープを用意して来てるんだ。
   これを辿っていけば、自力で元の世界に……」パラッ

露伴「ロープが切れている……」

クマ「どーするクマ?」

陽介「き、岸辺! 約束しろ! な!?」

クマ「フフン」

露伴「……ッ!?」

露伴「この岸辺露伴……こんな屈辱は生まれて初めてだ……!」

露伴「後で憶えてろよ……貴様……」
110 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/04(月) 05:12:37.17 ID:7TEeeb940
4/15 夕方 テレビの中 異様な商店街


陽介「なあ、ココ……俺達の町の商店街にそっくりじゃね?」

露伴「町の造りに、店の並び……どれをとっても瓜二つだ。
   しかし、所々ぼやけてるというか……あやふやに見えるのは何故だ?」

露伴「(まるで、『記憶の中で思い出される風景』みたいだ……)」

クマ「この前、ここら辺で『女の子』を見かけたクマよ」

陽介「!」

陽介「その『女の子』って……この人か!? 小西早紀先輩!」サッ

クマ「ふむふむ……なかなかの美人さんクマね。多分、この子クマ」

クマ「あの、『店』の中で気配が無くなったクマよ」ビシッ!

露伴「『酒屋』?」

陽介「……小西先輩の家だ!」ダダダダ!

露伴「待て、花村君ッ! ……何か聞こえるぞ」


『ジュネスなんて潰れれば良いのに……』

『聞いた? 小西さんとこの早紀ちゃん……ジュネスでバイトしてるって』

『ジュネスのせいで、商店街が大変なことになってるのに……困った子よね?』


陽介「んだよ、この声……誰が言ってんだよ!」ダダダダ!

クマ「ヨースケー!」ピョコピョコ


露伴「おいッ! 待てと言ったろッ! ……くそっ!」ダダダダ!
111 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/04(月) 05:13:13.57 ID:7TEeeb940
4/15 夕方 テレビの中 異様な商店街 コニシ酒店


ガラガラガラッ


陽介「ッ!」ダダダダ!


『何度言ったら分かるんだ早紀!』

『小西酒店の長女として恥ずかしくはないのか! よりによって、ジュネスなんかでバイトしやがって!』


陽介「な!? この声……小西先輩の親父さんか? なんで、こんな声が聞こえるんだよ……」

陽介「おい! 誰か居んのか!?」キョロキョロ


クマ「ヨースケ!」ピョコピョコ

露伴「花村君ッ! ……なんだ?」ダダダダ!


『ずっと……言えなかった』


陽介「……先輩!? 先輩の声だ! どこだよっ、先輩!」


『私、花ちゃんのこと……』


陽介「俺の、こと……?」


『ウザいと思ってた』


陽介「!?」

露伴「……」


『ジュネスの店長の息子だから仲良くしてたのに……勘違いして盛り上がって、ホントウザい』


陽介「ウザい……」
112 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/04(月) 05:14:12.96 ID:7TEeeb940
『ジュネスなんて、どうだっていい……』

『ウチの店も! 親も! 商店街も! 全部、無くなればいい!』


陽介「やめろ……ウソだ……ウソだ!」ガクッ

陽介「先輩はそんな人じゃねーだろぉ!?」


「プッ……クク……アーハハハハハッ!」


露伴「!」クルッ

陽介・クマ「!?」


「悲しいなあ……可哀想だなあ……」スタスタ

陽介の影「けど、なんもかんもウザいと思ってんのは自分の方だっての……」ピタッ


陽介「はっ!?」

クマ「ひょー!?」

露伴「花村君……君、双子だったのか?」


陽介の影「なあ……『俺』?」


陽介「お、お前……『誰』だ?」

陽介の影「俺は『お前』だ」

陽介「お、『俺』……!?」

陽介の影「俺には全部お見通しなんだよ……」

陽介の影「小西先輩の為にココに来た? カッコつけやがって。
     お前は単にこの場所にワクワクして来たんだ」

陽介の影「ド田舎暮らしにはウンザリしてるもんなぁ……」

陽介「……違う、俺は」

陽介の影「あわよくば、ヒーローになれると思ったんだろ?
     大好きな先輩が死んだっていう、『らしい』口実もあるしさぁ!」

陽介「お前、何なんだ……何、言ってんだ!?」

陽介の影「『俺』は『お前』だよ……お前の『影』だ」

陽介「ふざけんな! お、俺はお前なんか知らない……!」

陽介の影「ハハハハハハハハハハッ!」

陽介「お前なんか……」

陽介「『俺じゃない』!!!」
113 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/04(月) 05:15:57.21 ID:7TEeeb940
陽介の影「クッ……ハハハハハッ! いいぜ! もっと、俺を『否定』しろぉ!」

陽介の影「力が漲るぞぉ!」

陽介「俺は……お前じゃない、お前なんかじゃない……俺は……」

陽介の影「ああそうさ! もう、『俺はお前じゃない』! 俺は俺だ!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


陽介の影「お前なんかじゃなぁああああい!」ドン!


クマ「ひひひ人からシャドウクマー!?」

露伴「カッコ悪いデザインだな……コイツの話を鵜呑みにするなら、
   コイツは元々、花村君の中に居たということか?」

陽介「あああ……」

陽介の影「死んじゃえよ……『陽介』」ブンッ!


『アタック』


クマ「ヨースケが危ないクマー!」

露伴「『ヘブンズ・ドアー』!」カッ!


『本にする』『書き込む』


露伴「『花村陽介はその場から3m後ろへ飛び退く』」ズキュン!

陽介「うあああああっ!?」パラパラパラ……


ドォーン!


陽介の影「……かわしたァ!?」

露伴「フム。改めて僕のペルソナとやらは、
   『対象を本にし、それに命令を書き込むことでその通りに動かすことが出来る』みたいだな」

露伴「シャドウに効くんなら、人間にも……と思って試してみたんだが」

クマ「およ〜、ペルソナって凄いクマね〜」

クマ「……でも、もしヨースケにそのペルソナの力が効かなかったらどうするつもりだったクマ?」

露伴「さあ? 大方、ペシャンコにでもなっていただろうな」

露伴「大丈夫かい、花村君」

陽介「違う……あんなヤツ……俺じゃない……」

クマ「……多分、アレは元々、ヨースケの『心の中』に居たものクマよ。認めないとた……」

陽介「ウソだ!」

陽介の影「アッハッハッハッハッハッ!」
114 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/04(月) 05:16:48.99 ID:7TEeeb940
陽介の影「お前は『孤立すんのが怖い』んだ。だから、いつもヘラヘラしている」

陽介の影「『一人ぼっち』は寂しいもんなぁ……」

露伴「お前、ちょいとばかしやかましいぞ。『本』にされたくなきゃあ、黙ってなよ」

露伴「『ヘブンズ・ドアー』」カッ!


『本にする』


陽介の影「うおりゃアアアッ!」ブンッ!


『アタック』


露伴「何ッ! コイツ、『本』にならないぞッ!?」

露伴「おおおおおおおおおおッ!?」ドカッ!

クマ「直撃クマー!?」

露伴「うっ……ぐ……!」グググ

露伴「何故なんだ……どうして、『本』に出来ない……?」


陽介「あんなの、俺じゃない!」

陽介の影「アーハハハハハハハハハハッ! もっと、『否定』しやがれ!」


クマ「ヨースケが『自分の影』を認めたくない気持ちがシャドウに力を与えているクマ!」

クマ「だから、ペルソナで『本』に出来ないんだクマー!」

露伴「通用しないってのか、僕の力じゃあ……」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


クマ「わわわ! シャドウの力に他のシャドウが共鳴して『惹かれあっている』クマ!」

クマ「は、早いとこ、なんとかしないとシャドウが溢れ出てくるクマ〜……!」アタフタ

露伴「なんとかしろって……僕に言ってるのか」

露伴「『ヘブンズ・ドアー』!」カッ!


『アタック』


陽介の影「へへ、痛くも痒くもないね!」

露伴「まいったぞ……僕の『ヘブンズ・ドアー』に大したパワーは無い」

露伴「『軽自動車で2tトラックに体当たり』してるような気分だよ……!!」
115 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/04(月) 05:19:24.50 ID:7TEeeb940
陽介の影「俺は全部、知ってるぜ? お前が如何に『情けないヤツ』かってな!」

陽介「う……」

陽介の影「本当はみんなからウザがられてるって、分かってるクセにイイ人ぶって自己満足してたんだよな?」

陽介の影「お前はさぁ!!!」

陽介「もう、もう……やめてくれーっ!」

露伴「……」

陽介の影「つまんねー田舎暮らしに飽き飽きしてたんだろ! 刺激が欲しいからココに来たんだろ!」

陽介「違う!!!」

陽介の影「我は影……真なる我……!」

陽介の影「コレがお前の『本心』だよおおおおおおおおおお!!!」


『忘却の風』


クマ「でっかいのが来るクマー!」

陽介「違う違う違う違う違う違う! 俺はそんなこと……!」

露伴「花村君」


ドガッ!


陽介「ぶっ!?」ドタッ!

陽介「き、岸辺……!? 何すんだよっ!」

露伴「今、思い出したんだ。そういえば、君には『借り』があったよな。
   『一発』はちゃんと返したぜ」

陽介「はぁ!?」

露伴「グダグダ言ってないで、『アレは僕です』と言っちゃえよ。
   このままじゃあ、みんなここで死ぬぞ。僕はそんなのゴメンだ」

陽介「アレは……俺なんかじゃ」

露伴「フンッ」

露伴「俺だの、俺じゃないだの……全部ひっくるめて君だろーが。
   『イイヤツ』なんかこの世に居ない。居たらそいつは『嘘』だよ」

露伴「みんな、何かしら汚いモノを腹の中に抱えてるんだ。だから、『リアル』なんだ」
116 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/04(月) 05:20:11.84 ID:7TEeeb940
陽介「お、俺……は……」

露伴「君、小西先輩のことが好きだったんじゃあないのかい」

陽介「!!」

露伴「僕には人を好きになったことなんてないから、よく分からんが……」

露伴「その『気持ち』も君は『嘘』だと言うつもりか?」

陽介「……」

露伴「君の『影』だとかいうアイツは、誰よりも君に『認めてもらいたがって』るように見えるけどね……」

陽介の影「うるせえ! 俺は……!」

陽介「『嘘』なんかじゃ……ない」

陽介の影「!」

陽介「……好きだったさ」


陽介「本当は……全部、分かってた。でも、カッコワリーし……どーしょもなくて……」

陽介「分かんねーフリして……認めたくなくて……みんなと上手くやろうとしてそればっかで……」

陽介「一人でカッコつけて……俺だって、自分で自分のことウゼーと思うさ」

陽介「けど、先輩への『気持ち』だけは……コレだけは……」

陽介「『嘘』ついたら、ダメだよな……」

陽介「『お前』も……『俺』だってことか……『見えてる俺』も、『見えない俺』も」


陽介の影「ウゼー……今更、ウゼーよお前よおおおおおおおおおおお!!!」


クマ「シャドウが弱ってるクマ!」

露伴「『ヘブンズ・ドアー』!」カッ!


『本にする』


陽介の影「なっ!?」パラパラパラ……


『書き込む』


露伴「『お前はもう動けないし、攻撃も出来ない。ただの人の姿に戻る』」ズキュン!


陽介の影「アアアアア……」スゥウウウ


クマ「おおー!」

陽介「……」
117 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/04(月) 05:22:07.45 ID:7TEeeb940
陽介の影「俺は……俺は……」ヨロッ

陽介「……『俺』だろ?」

陽介の影「……」

陽介「全部認めるよ……『俺』は『お前』で、『お前』は『俺』だ……ゴメンな、『俺』」

陽介の影「……へへっ」


ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド


ジライヤ「……」カッ!


陽介「コイツ……もしかして、俺の……?」

露伴「どうやら、助かったみたいだな。僕達は」

陽介「岸辺……」

陽介「……お前が居てくれて助かったよ。ありがとな」

露伴「良い迷惑だよ……くそったれ陽介」

陽介「くそったれ!?」

クマ「プププー!」

陽介「笑うな!」

露伴「もう、帰るぞ。とんだトラブルだ……まぁ、面白い『ネタ』ではあったがな」スタスタ

陽介「お、おい、待てよ岸辺!」

陽介「!」

陽介「なあ、岸辺……」

露伴「うるせーなあ〜〜、この上まだ僕に迷惑を掛けるつもりかい?」

陽介「お前、さっき俺のこと……『名前』で呼んだよな? 『陽介』って」

露伴「呼んでない」

陽介「呼んだだろ」

露伴「呼んでない!」

陽介「呼んだって!」

露伴「知らん!」

クマ「プププー!」

露伴「クッ……僕を笑うんじゃあないッ!」
118 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/04(月) 05:24:30.56 ID:7TEeeb940
終わり。それと>>100修正。

○ 4/15 夕方 ジュネス 家電売り場
× 4/14 夕方 ジュネス 家電売り場

岸辺露伴 Status

勇気  嘗められまいとする為ならどんな奴にも立ち向かう
根気  かなりある
寛容さ 微妙
伝達力 それなりに
知識  悪知恵は働く
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 05:39:37.49 ID:UBLKWnoAo
おつ!寛容さが上がったね!
この露伴なんかかわいいな
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 06:23:51.05 ID:cIWsPAQpo
露伴マジツンデレ
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 07:06:03.87 ID:Vpf31RuUo
勇気なげぇwww
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 07:21:54.04 ID:LwFIJTZfO
寛容さが上がったよ!
やったね露伴ちゃん!

おつ
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 08:56:18.73 ID:HFQgFP0lo
伝達力も上がってるじゃあないか
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 14:26:00.13 ID:p2OvTt0w0
露伴ちゃん、運動部も文化部も入る気がしねぇなあ……
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 17:42:06.94 ID:IzSVEMjtO
しかし凄い完成度だな
露伴かわ自然に溶け込み過ぎててヤバい
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 19:13:08.15 ID:uQI+trIao

ちょっとだけ仲良くなったなww
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 21:59:41.62 ID:jUYQwaXv0
乙乙!
128 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/05(火) 03:52:09.05 ID:oZs9Ilms0
4/15 夕方 ジュネス 家電売り場


ドタッ! ドタバタッ!


千枝「!」


陽介「いってー……もちょっと、優しく帰せねーのかよ、あのクマきち……」

露伴「僕の靴を踏まないでくれるか、花村陽介」


千枝「か……」

陽介「おっ、里中」

千枝「帰ってぎだあああああ〜〜〜!!! ううぅ……!」シクシク

陽介「里中!? どーしたんだよ!」

千枝「どーしたんだじゃないよ!」バシッ!

陽介「あだーっ!?」ドガッ!

露伴「おっと」ヒョイッ

千枝「あんた達が行っちゃった後、何か知んないけどロープ切れちゃうし……
   どうしたらいいか分かんないし……」

千枝「心配したんだからぁっ!」

露伴「……」

千枝「あーもー! あんたらサイッテー! ムカつく! すっごく腹立つ!」

陽介「悪い、里中……」

陽介「……おい、岸辺も一緒に謝れよ」ボソボソ

露伴「この僕に頭を下げろって……うげっ!!」グイッ

陽介「いーから!」ボソボソ

千枝「……ぐすっ……ひっぐ」

千枝「……ビフテキ十皿」ボソッ

露伴「……なんだって?」

千枝「ビフテキ十皿!!! 奢ってくんなきゃ、許さない!」

陽介「へっ? ……あ、ああ、もちろん奢るとも! なあ、岸辺!」

露伴「僕も奢るのかッ!?」

陽介「一蓮托生だ!」

千枝「……岸辺君はスペシャル肉丼」

露伴「(こ、この女……)」

露伴「食わせればいいんだろう、食わせれば……」

千枝「それなら許す!」
129 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/05(火) 03:55:17.11 ID:oZs9Ilms0
4/15 夜 雨 堂島家


『稲羽市にある、由緒正しい温泉旅館。今日は、そこの次期女将候補にインタビューしちゃいます!』

『こんにちは、あなたが次期女将候補の天城雪子さん?』

『別に、次期女将候補なんかじゃ……』


露伴「『天城雪子』……この前、里中君と一緒に居たヤツか」


『和服、とても似合ってるね〜』

『え……ありがとうございます……』

『あなたが旅館を継ぐと、現役女子高生の女将になる訳だけども、その辺とかどう思ってるの?』

『ですから、まだそうと決まった訳じゃ……』

『この旅館、亡くなった山野アナが泊まっていたってのは、本当?』


チーン!


菜々子「お弁当、温まったよ」

露伴「気分じゃあない、君一人で食べるんだな。僕は部屋で食べる」

菜々子「……」

菜々子「一人ぼっち、寂しくない?」

露伴「全然、寂しくなんかないね。僕は一人で居るのが好きなんだ……」

菜々子「ふーん……」

菜々子「菜々子は一人だと寂しいよ」

露伴「!」

菜々子「いただきまーす」

露伴「……」
130 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/05(火) 03:56:25.27 ID:oZs9Ilms0
4/15 夜 雨 堂島家 自室


シトシト……シトシト……


露伴「(あの後、気になって、クマ小僧から聞いた話をまとめてみよう)」

露伴「(テレビの中に居たあの化け物の名は『シャドウ』。人の心から生まれた存在)」

露伴「(テレビの中に入った人間には、くそったれ陽介のように、
    自分の『シャドウ』が現れる。そしてそれは、制御することが出来れば『力』へと変わり得る)」

露伴「(現実の世界で霧が出ると、テレビの中の世界の霧は晴れ、
    その時にテレビの中に居た人間は自らの『シャドウ』が暴走し、『自身』によって殺される)」

露伴「(山野真由美と小西早紀。この両名の死は恐らく、ソレによってもたらされた……)」

露伴「で、それを知りながら悪意を持って、二人をテレビの中に入れたヤツがどっかに居るから見つけろと」

露伴「意味が分からんぞ……実際にあの世界を体験していなければ、誰が信じるんだこんな話」

露伴「これが、漫画の中の話だったら、鼻で笑われるレベルだ。
   僕だって、大笑いしてやったろうね……」

露伴「……しかし、コレは漫画じゃあない。現実に起こったことだ」

露伴「(二人をテレビに入れた犯人か……どうやって、探すんだ?)」

露伴「(テレビのニュースを見る限り、事件に進展があった様子は見られない。
    二人の死因は『不審死』で片付けられているし、犯人を特定出来るような証拠も見つからないんだろう)」

露伴「(堂島さんに情報を聞くという方法もあるが、
    あの頑固というか、堅物加減じゃあ、教えてくれるハズも無いよな)」

露伴「探しようが無いじゃあないか……!
   外に出してもらう為とは言え、やはり、下手に約束なんかするんじゃあなかったぜ」


『00:00(00)』ピッ!


『ガ……キュイィイイイ……ガッ……』


露伴「……マヨナカテレビ!」


『ガガガガガ……ッガ……ガガッ……』


露伴「また、誰か映っている……」

露伴「……顔は分からないな。また、女性っぽいってことだけは、なんとなく分かるけど」


『キュイィイイイン……ガガガ……プツッ』


露伴「……」
131 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/05(火) 03:57:48.54 ID:oZs9Ilms0
4/16 朝 雨 通学路


陽介「おす、岸辺」スタスタ

露伴「なんだい、君か……」

陽介「心底、イヤそうな顔してんな……なあ、昨日のマヨナカテレビ見たか?
   また、誰か映ってたよな?」

露伴「ああ……誰かまでは、僕には分からなかったけど」

陽介「マヨナカテレビに映ったってことは、また、誰かテレビの中に入れられんのかな……」

露伴「犯人が存在していて、もしかすればな」

陽介「……」

露伴「花村君?」

陽介「……その犯人が、先輩達を無理やりテレビに入れたんだとしたら、俺は絶対に許さない」

陽介「犯人を見つけて……こんな、フザケたことはもうやめさせる……!」

陽介「頼む、お前も協力してくれ! お前の力が必要なんだ!」

陽介「事件にテレビが関係してる……なんて言ったって、警察が信じるワケがねえ。
   犯人を本当に追えるのはきっと、俺達だけだ」

陽介「俺さ、お前となら……犯人見つけて、事件を解決出来そうな気がすんだよ。カンだけどさ」

陽介「お願いだ、俺と一緒に犯人を探してくれ!」

露伴「……」

陽介「(ダメか……? 『断る』とか、一刀両断されそーなカンジ……)」
132 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/05(火) 03:59:53.08 ID:oZs9Ilms0
露伴「いいぜ」

陽介「えっ? ホ、ホントか!?」

露伴「別に僕は君のように正義漢ぶってる訳じゃあない。
   ただ、理不尽とはいえ、『犯人を探してやる』とクマ小僧に約束させられたからな……」

露伴「約束を破るのは嫌いなんだよ」

陽介「そーいや、そうだったな……」

露伴「フン」

陽介「へへっ……これから、宜しく頼むぜ、『相棒』!」

露伴「せいぜい、僕の足を引っ張るなよ。『くそったれ陽介』」

露伴「!!」


<岸辺露伴は『魔術師・花村陽介』のコミュを得た>

<ヘブンズ・ドアーは、『魔術師・花村陽介』のイメージを覚えた>


露伴「(なんだ、この感覚は……?)」

陽介「あのさ……ここはビシッと締めるトコじゃね?」

陽介「なんだよ、くそったれって!? 友達同士で使う言葉じゃねーだろ!」

露伴「僕と君がいつから友達になったって?
   はっきり言うが、僕は君が嫌いだ。君のようなヤツと僕の気が合う訳がない」

露伴「大体、こんな雨の日でも、自慢そうにヘッドホンなんかぶら下げやがって。
   イケてないんだよ!」

陽介「今、それカンケーなくね!? てゆーか、そんな風に思ってたのか!」


露伴「〜!!!」

陽介「〜!!!」


露伴・陽介「フンッ!」
133 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/05(火) 04:08:01.68 ID:oZs9Ilms0
ここで終わり。


岸辺露伴 Status

勇気  嘗められまいとする為ならどんな奴にも立ち向かう
根気  かなりある
寛容さ 微妙
伝達力 それなりに
知識  悪知恵は働く



※以下、本編には関係ありません。一瞬だけ、やろうかと血迷ったヤツ。


雪子の影「見えないトコまで、勝負仕様!」

露伴「(み……見たい! 刺激される……好奇心がツンツン刺激される……
    どうしても見てやりたくなるじゃあないか!)」

露伴「(何か無いかなあ、見てやる方法が……)」
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 04:17:55.51 ID:GO5/jLQ6o
鳴神くんみたいだww
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 04:44:31.72 ID:pWYI4wbwo

露伴先生のツンデレっぷりに吹いたww
136 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/05(火) 11:19:16.27 ID:oZs9Ilms0
4/16 朝 雨 学校 教室


陽介「……」イライラ

露伴「……」イライラ

陽介「(せっかく、これから力を合わせて事件に立ち向かえると思ってたのによ。
    前から思ってたけど、コイツかなり態度ワリーぜ)」

露伴「(ことある毎に馴れ馴れしく僕に突っかかりやがって。
    言っておくが、僕は君に対して、全部が全部スッキリした訳じゃあないんだぜ)」


「おい……なんか、あそこだけ雰囲気悪くないか?」

「近寄り難いな……」


ガラガラッ


千枝「雪子!」ダダダダ!


陽介「里中? そんなに慌てて、何かあったのか?」

千枝「雪子は来てる!?」

陽介「天城? いや……まだ、見てないけど」

千枝「ウソ……」

露伴「いきなり、騒々しく教室に入って来たかと思えば……どうしたと言うんだい」

千枝「昨日のマヨナカテレビ……」

露伴・陽介「!」

千枝「映ってたの……雪子だと思う」

陽介「えっ……?」

千枝「マヨナカテレビに映ってた女の子、『着物』を着てた。
   雪子が前に同じの着てたの見たことあるから、一目で分かったの」

露伴「(着物を着ていただと? 僕が見たマヨナカテレビでは、そんなに鮮明には映らなかったが……)」

千枝「心配で今朝から何度も雪子にメール送ってるのに返事来ないし……」

陽介「電話は? 通じないのか?」

千枝「……ずっと、留守電」
137 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/05(火) 11:19:43.11 ID:oZs9Ilms0
露伴「すると、天城君は既に……」

千枝「やめてよっ!!!」


「……」


露伴「……」

千枝「……ゴメン」

露伴「……いや」

陽介「……」

千枝「……大丈夫だよね。きっと、何か他に用事とか、
   ケータイどっかに置き忘れてるだけなんだよ……」

露伴「彼女、天城屋旅館の次期女将なんだろう? 家業が忙しいとか、そういう可能性は無いのかい?」

千枝「!」

千枝「そっか……多分、それだよ! あたし、これから旅館行ってみる!」

陽介「は? 今から? もう、チャイム鳴んぞ!?」

千枝「うん?」PRRRR

千枝「もしも……あ、雪子!?」ピッ

千枝「良かったぁ〜! 居たぁ〜!」

千枝「うん……うんうん……ああ、そっか! ううん、何でもないから!」

千枝「ゴメンね、また後でメールするよ!」ピッ

露伴「僕達の心配は杞憂だったな」

陽介「何よりだよ……ふぃ〜」

千枝「雪子ん家、急に団体の客が入って、てんてこまいなんだって。
   それで、連絡つかなかったみたい」

陽介「じゃあ、マヨナカテレビは? あれに映ってたのが天城じゃないとすると……」

露伴「フム……」
138 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/05(火) 11:20:31.48 ID:oZs9Ilms0
4/16 夕方 雨 ジュネス 家電売り場


陽介「で、クマきちに向こう側に誰か入ってないか、聞こうってワケか」

露伴「そうしようと思っていたんだが……」


ザワザワ……ザワザワ……


千枝「ジュネス、こんな時に限って大盛況すね……」

陽介「在庫処分セール始めたからな。こりゃ、当分ハケねーぞ」

陽介「このまま、テレビの中に入ったら、人目につくしな……
   岸辺、お前、手だけテレビに突っ込んでみろよ」

露伴「もう、やっている」スッ


ガブッ!


露伴「痛ッ!? な、なんだッ? 僕の手に歯形が……!」

陽介「どうした!?」


『その声は……ヨースケと露伴センセイクマ?』


陽介「クマ! お前、何してんだよ……あと、センセイってなんだ?」


『露伴センセイは露伴センセイクマよ?
 なんとなく、そうお呼びした方がしっくり来るかもと思ったクマ』


露伴「僕の手を噛んだのは貴様だな……?
   僕を先生と敬うんなら、そんなことをするんじゃあないッ!」


『クマはクマの本能に逆らえなかったクマ。
 クマの目の前で、ちょーどいい位置で手がおいでおいでしてたら、思わず食べちゃうクマ』

『誰だってそーする、クマだってそーする』


露伴「(許さん。コイツは絶対に許さん)」
139 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/05(火) 11:21:20.25 ID:oZs9Ilms0
陽介「聞きたいことあるんだ、クマ。今、中に誰かの気配あるか?」


『誰かって、誰? クマは一人で寂しん坊だけど?』

『むしろ、寂しんボーイ・U・マンですけども?』


露伴「質問に質問で返すなッ!」


『うひょっ!?』


露伴「そっちで、人の気配はするのかと僕達は聞いているんだ」


『だ、誰も来てないクマよ! クマの鼻に間違いは無いクマ!
 クマの鼻は、どこぞのガオンッ! する甘い名前のヤツの匂いすら、嗅ぎ分けられるクマ?』


陽介「例えがイミフなんだけど……」

千枝「誰も居ない……でも、昨日、マヨナカテレビに誰かが映った……どゆこと?」

露伴「現時点じゃあ、何も分からないな」

陽介「おっ」カチカチ

陽介「天気予報、夜も雨は降るみたいだ」

陽介「今は、今日のマヨナカテレビも見てみるしかないだろ」

露伴「……」
140 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/05(火) 11:21:46.59 ID:oZs9Ilms0
4/16 夜 雨 堂島家 自室


シトシト……シトシト……


『00:00(00)』ピッ


『キュイィイイイン……ガッ……ガッ……』


露伴「マヨナカテレビッ! ……?」

露伴「随分と、映像がはっきりとしているじゃあないか……これは、中世の城か?」


雪子?『こんばんはー!(はぁと)』


露伴「な、なんなんだッ!?」


雪子?『今日は私、天城雪子がー? な・ん・と!』

雪子?『逆ナンに挑戦しちゃおーと思いまぁーす!』

雪子?『題して……やらせナシ! 突撃逆ナン! 雪子姫の白馬の王子様探し! 拍手ー!』

雪子?『もー、超! 本気です! 見えないトコまで……勝負仕様?(はぁと)』

雪子?『私専用のホストクラブをブッ建てるくらいの意気込みで……行ってきまぁ〜す!』


『ガガガガ……ガガガガッ……プツッ』


露伴「……」

露伴「見えないトコ……いや、この好奇心はやめておこう」

露伴「マヨナカテレビに映っていたのは、やはり、『天城雪子』だったッ!
   しかし、様子はヘンだったぞ……」

露伴「僕と彼女は数えるほどしか話したことはないが、あんな、『トんでる』子じゃあなかった。
   どちらかと言えば、大人しめで、いかにもな大和撫子だ」

露伴「……今のは、いったい?」
141 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/05(火) 11:22:40.21 ID:oZs9Ilms0
なんか、いきなり時間が出来たので少しだけ。


岸辺露伴 Status

勇気  嘗められまいとする為ならどんな奴にも立ち向かう
根気  かなりある
寛容さ 微妙
伝達力 それなりに
知識  悪知恵は働く
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 12:48:33.50 ID:75SUkSW7o
おう、乙
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 16:55:13.66 ID:oMzzZ8gso

「くそったれ陽介」呼ばわりワロタ
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 18:17:59.29 ID:ZuggWyE3o
今一番お気に入りスレ
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 19:03:38.13 ID:25yQ1U/5o

「クソッタレ仗助」と同じくらいには存在を認めているんだなww
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/05(火) 19:53:03.68 ID:27RT4s+A0
乙。
ここのクマは中にニャル子でも入ってるんじゃないかってくらいネタを連発するなw
147 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/06(水) 04:01:44.79 ID:yQPBDIHC0
4/17 昼 ジュネス フードコート


露伴「遅い……」

露伴「花村陽介め、寝坊でもこいてんのか?
   僕をこんなに待たせるなんて、本当にムカッ腹の立つヤツだ」


陽介「おーい、岸辺ー!」ダダダダ!


露伴「……」

露伴「待ち合わせに五分の遅刻だ。時間も守れない、イイ加減なヤツでもあったんだな。君」

露伴「遅れた理由は、僕が納得するに足るモノなんだろーな?」

陽介「ワリーな。さっきまで、ウチのバックヤード漁ってたんだ」

露伴「なんだと?」

陽介「そしたらさ、イイモン見つけたんだよなー! じゃーん!」スッ

陽介「剣!!!」

露伴「……?」

陽介「これから、シャドウと戦う時に必要になるかなと思ってさ! あ、刃はニセモノね」

陽介「剣は二本あるけど、岸辺はどっちにするよ?」

露伴「僕にはそんなモノ必要無い。ペンの方が剣より強いからな……」

陽介「それって、そーゆー意味だっけか……? 後で欲しいつってもやらねーぞ」

陽介「お前が要らないってんなら、俺は二刀流でいこっかなぁ〜」

露伴「下らん。もう、その話は終わって良いよな? 昨日のマヨナカテレビのことだが……」


警官「!」スタスタ

警官「挙動不審の少年を二名発見。刃物を複数所持、応援を……」


露伴・陽介「何ィ!?」


警官「はい、動かない。名前教えてくれる?」
148 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/06(水) 04:02:11.58 ID:yQPBDIHC0
4/17 昼 稲羽警察署


堂島「露伴……お前、こういう、『馬鹿』をするような奴には見えなかったけどな……」

露伴「別に僕は何もしていない。コイツのとばっちりだ」

陽介「マジ、すんませんでした……」

堂島「……今、警察全体がピリピリしている。
   こんな、小さな田舎町で悲惨な殺人事件が立て続けに二件もあったからだ」

堂島「町のあちこちで警官が巡回してるのは、それだけ、俺達がこの事件に本気だからだ」

堂島「今回は、たまたま俺が居たから、補導歴も付かずに済んだが……」


堂島「二度とこんなことをするな」スタスタ……


陽介「すんません……」

露伴「君と居ると、マジでロクなことが無いな。背中に何か憑いてるんじゃあないのかい?」

陽介「やめろよ……俺、そのテのヤツ、駄目なんだよ。ブルッとすっから」

足立「全く……君達も人騒がせだなぁ〜。君、堂島さんの甥っ子で良かったね」

足立「じゃなかったら、こんな、口頭注意じゃ終わらないよ?」

露伴「フン」


千枝「花村! 岸辺君!」


陽介「あれ……里中?」

千枝「雪子が……雪子が……!」

陽介「……天城が?」

千枝「い、居なくなっちゃった……」

露伴「!!」
149 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/06(水) 04:03:07.81 ID:yQPBDIHC0
千枝「旅館の人に聞いたんだけど、昨日の夕方までは確かに居たんだって!」

千枝「でも、その後は誰も雪子の姿を見てないって……」

陽介「マジかよ……!?」

足立「天城雪子さん……? そういえば、ご家族の方から捜索願いが出てるよ」

足立「君ら、天城雪子さんの友達?」

千枝「はい……」

足立「じゃさ、居なくなった理由に何か思い当たることは無い? 雪子さん、辛そうだったとか」

陽介「辛そう?」

足立「例の山野アナね、事件の前に、天城屋旅館に泊まっててさ。
   なーんか、色々ヒドい因縁つけられて、女将さんがストレスで倒れちゃったんだって」

足立「んで、雪子さん……えーと……」キョロキョロ

足立「女将さんの娘な訳だし……署内じゃ彼女、
   何か都合が悪いことがあって隠れてるんじゃないかとか……」ボソボソ

千枝「……何よそれ! 雪子が犯人だって、言ってるの!?」

足立「い、い、いや……あくまで、そういうニュアンスなだけで……」

千枝「そんなワケないじゃん! この……!」

露伴「よせよ、里中君。下っ端に文句つけたって、何も変わらないぜ」


堂島「足立、何を部外者とペラペラ喋ってんだ! コーヒー持ってこいと言ったろ!」


足立「た、ただいまー! じ、じゃ……僕はこれで」スタスタ


千枝「くっ……!」

陽介「落ち着け、里中……」

露伴「恐らく、天城君はもう、テレビの中に居るだろうな」

陽介「ああ……間違いねえ。昨日のマヨナカテレビ、突然の失踪、タイミングがドンピシャだ」

千枝「雪子は……テレビの中に……?」

千枝「……助けなきゃ!」
150 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/06(水) 04:03:54.79 ID:yQPBDIHC0

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151 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/06(水) 04:05:23.76 ID:yQPBDIHC0
4/17 昼 テレビの中 雪子姫の城


クマ「クンクン……確かに、ココに人の気配がするクマね?」

露伴「昨日のマヨナカテレビに映っていた所だな」

陽介「里中は戻った方が良いんじゃねーか?
   ここ、シャドウの気配が、かなりウヨウヨしてんぞ……」

千枝「行く! 絶対に行くから!」

陽介「お前、言い出したら聞かねーもんな……」

露伴「僕はそーいう根性、嫌いじゃあないぜ。そーいうのにグッと来るんだ」

陽介「あれ? 岸辺って……もしかして、里中みたいなのがタイプなの?」


千枝「雪子! 今、行くから!」ダダダダ!


露伴「僕達も行くぞ、クマ小僧」ダダダダ!

クマ「れっつらごー! クマー!」ダダダダ!


陽介「ガン無視!? ガンスルー!?」

陽介「置いてかないで! ハートにくっから!」ダダダダ!
152 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/06(水) 04:05:53.39 ID:yQPBDIHC0
ダダダダ……!


千枝「はっ……はっ……!」

千枝「(雪子……!)」


冷静のペーシェ「アアア……」ズズズ


露伴「里中君、自分の目の前以外は見えてないな」

陽介「シャドウすら、ガン無視って……どんだけ、肝据わってんだよ!」

露伴「何かの為に必死になる姿ってのは、なかなか画になるなァ。ますます、気に入ったぞ」

陽介「言ってる場合かよ! 『ジライヤ』!」カッ!

露伴「『ヘブンズ・ドアー』」カッ!


『本にする』


冷静のペーシェ「……!?」パラパラパラ……

露伴「なになに? 物理に対しては強いが、風に対しては滅法弱い……」

クマ「露伴センセイ、何してるクマ?」

露伴「僕の『ヘブンズ・ドアー』は、対象を『本』に出来る。
   『本』にする訳なんだから、何かコイツのことを書いてないかとページを捲ってみたんだよ」

露伴「見てみたまえ。ご丁寧なことに、コイツの『弱点』が書かれていたぞ」

陽介「よぉーしっ! 俺に任せろ!」


『ガル』


冷静のペーシェ「グギャアアア!」ブワアッ!

陽介「どーよ、見たか!」


虚言のアブルリー「ァアアア……」ズズズ

トランスツインズ「……」ズズズ


クマ「シャドウが、ぎょーさんクマ!」

露伴「いちいち、相手をしていたら、キリが無さそうだな……」

露伴「……」チラッ

陽介「?」

露伴「陽介。お前、ヒーローに憧れてんだよな? ほら、カッコつけるチャンスだぜ」

陽介「は? どーゆー意味だよ」

クマ「……クマ、意味分かったぜよ。露伴センセイ」

露伴「そうかい、じゃあ僕らは行くぞ」スタスタ

陽介「お、お前ら!?」

クマ「ヨースケ、露伴センセイはこう仰ってるクマ。
   陽介『ココは俺一人で食い止めるから任せろー!』と。じゃ、そゆことで」スタスタ

陽介「はああああ!? ま、待て、ふざけんな!!!」

虚言のアブルリー「シャアアアアアアアアアア!」ビュンッ!

陽介「ギャー!?」
153 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/06(水) 04:06:43.48 ID:yQPBDIHC0
4/17 昼 テレビの中 雪子姫の城 広間


千枝「はっ……はっ……!」ダダダダ!


ガチャリッ


千枝「……?」


『……赤が似合うねって』


千枝「雪子!?」


『私、雪子って、名前が嫌いだった』

『雪なんて、冷たくてすぐに溶けちゃう、儚くて意味の無いモノ。でも、私にはピッタリな名前……』


千枝「雪子……! どこに居るの!?」キョロキョロ


『旅館の跡継ぎって以外、価値の無い私には……』


千枝「雪子ー!」


『だけど、千枝だけが言ってくれた……雪子には赤が似合うねって』

『千枝だけが……私に意味をくれた』


千枝「……!?」


『千枝は明るくて、強くて、私に無いものを全部持ってる。
 私なんて……私なんて、千枝に比べたら……』

『千枝は、私を守ってくれる。何の価値も無い私を……優しい千枝』


千枝「雪子……わ、私……」


「……『優しい千枝』だってさ。笑える」スタスタ


千枝「だ、誰!?」
154 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/06(水) 04:07:16.28 ID:yQPBDIHC0
「私は……」

千枝の影「『あなた』」

千枝「あたし……!? あ、あんたが……!?」

千枝の影「そう、私は『里中千枝』」

千枝「何言ってんの……!? 何これ、ワケ分かんない……」

千枝の影「フフッ」

千枝の影「雪子が……あの雪子が、私に『守られてる』ってよ?
     自分には何の価値も無いってさ、そうでなくっちゃねぇ……」

千枝の影「雪子ってば、美人で、色白で、女らしくて……男子にいつもチヤホヤされてる」

千枝の影「その雪子が……時々、あたしを卑屈な目で見てくるの。それが堪らなく嬉しい……」

千枝「そんな……っ!」

千枝の影「雪子なんて、ホントはあたしが居なきゃ、何も出来ない」

千枝の影「あたしの方が……あたしの方が……」

千枝の影「あたしの方がずっと、『上』じゃなあああああい!!!」

千枝「違う! あたし……そんなこと!」


露伴「追いついたッ!」ダダダダ!

クマ「チ、チエチャンが二人居るクマ!?」


陽介「ぜー……ぜー……! 死ぬかとオモッタ……」


露伴「割と早かったな、陽介君」

陽介「岸辺露伴……てめーいつか、ブチのめしてやっからな……ぜー……ぜー……」


千枝「み、みんな!? イヤ……来ないで……見ないで!」

千枝「違う、違う……! こんなの、あたしじゃ……?」

陽介「里中!」

千枝の影「……今まで通り、『見ないフリ』で抑えつけるんだ? アタシを」

千枝「うるさい! あんたなんか……あんたなんか……!」

露伴「……!? マズいぞッ! 陽介ッ!!」

陽介「やめろ、里中!」ダダダダ!

千枝「あんたなんか、『あたしじゃない』!」
155 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/06(水) 04:09:23.07 ID:yQPBDIHC0
千枝の影「ウフフ……アーッハハハハハハハハハハッ!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


クマ「シャドウに変化していクマァー!? 」

陽介「里中ー!!!」


千枝の影「我は影……真なる我!」ドン!


千枝「い、いやあああああっ!?」

露伴「『ヘブンズ・ドアー』! 彼女を『本』にしろォーッ!」カッ!


『本にする』


千枝「あ……」パラパラパラ……

露伴「『クマ小僧の所まで、シャドウから離れる』」


『書き込む』


千枝「……」フラッ

クマ「とおっ! チエチャンはクマがナイスキャッチしたクマー!」ガシッ

陽介「ペルソナー!」カッ!
156 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/06(水) 04:10:32.72 ID:yQPBDIHC0
ジライヤ「!」バッ!


『ガル』


千枝の影「……邪魔するんじゃないよッ!」


『緑の壁』


千枝の影「はん!」バシュウゥ……

陽介「疾風が効かねえ!?」

クマ「あの、ヘンテコな壁がヨースケの攻撃をシャットアウトしてるクマ!」

露伴「風の勢いが殺されているんだッ!
   これじゃあ、命中した所で、そよ風程度にしかヤツは感じないぞッ!?」

陽介「だったら、直接ブッ叩く!」カッ!


『スクカジャ』


陽介「うおりゃあああああッ!」ダダダダ!

千枝の影「無駄よ!」


『マハジオ』


陽介「何? うあああああ!」バチイッ!

露伴「陽介ッ! 『ヘブンズ・ドアー』! 僕達を守れッ!」カッ!

露伴「(広範囲の雷ッ! しかも、かなりのスピードだ!
    僕の『ヘブンズ・ドアー』のパワーでは、せいぜい、里中君とクマ小僧くらいしか守れんッ!)」

クマ「露伴センセイのペルソナがー!?」

露伴「うおおおおおおおおおおッ!?」バチイッ!

千枝の影「アハハハハ!」

露伴「グッ……大した痛みじゃあないが……」

陽介「うあ……あ……」

クマ「ヨースケの様子がおかしいクマよ!?」
157 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/06(水) 04:12:05.70 ID:yQPBDIHC0
露伴「陽介ッ!」

陽介「クッソ痛え……なんだコレ……」

露伴「これは……?」カッ!


『本にする』


陽介「露伴……?」パラパラパラ……

露伴「まさかとは思ったが……君のペルソナは『雷』が弱点のようだ」

露伴「なるほど、僕よりダメージが大きいはずだ」

クマ「ヨ、ヨースケと、あのシャドウの相性はメチャ悪クマか!?」

陽介「俺が里中に弱い……!? わ、笑えねえ……」


千枝「違う……違うんだから……」

千枝の影「そうやって、いつまでも逃げてればいい……雪子の面倒はアタシが見てあげるからさ」

千枝の影「『踏み台』としてねぇ?」

千枝「『踏み台』……」

千枝の影「一人じゃ、何も出来ないのは本当はアタシ。どうしようもない『アタシ』」

千枝の影「でも、あの雪子に頼られてる……だから雪子は『トモダチ』。手放せない」

千枝「そんなこと……あたし……!」

陽介「惑わされんな! てて……ソイツの言うことが里中の全てじゃ……」

千枝の影「お黙り!」ブンッ!


『アタック』


陽介「うわあああ!?」ドカッ!

千枝「花村!」

千枝の影「惑わされるも何も、これがアタシの『本音』よ!」

千枝の影「『醜くて』、『妬ましくて』、『誰かを踏みつけて優越感に浸る』!」

千枝の影「これが、『アタシ』! 『里中千枝』なのよおおおおおおおおおお!!!」

千枝「あ……ああ……」

千枝の影「(聞こえたわ……あなたの『心』の『崩れる音』)」

千枝の影「(もう、私は『影』じゃない! アタシはアタシになるの!)」

露伴「『ヘブンズ・ドアー』」カッ!

千枝の影「!?」

露伴「『里中千枝』を『本』にしろ」


『本にする』


千枝「……」パラパラパラ……

クマ「ろ、露伴センセイ!? 攻撃する相手を間違えてるクマー!」
158 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/06(水) 04:46:26.20 ID:yQPBDIHC0
露伴「どれどれ……」ペラッ

露伴「名前は里中千枝。1994年7月30日生まれ、星座は獅子座」

露伴「身長は158cm、体重は(メギドラオンでございます)kg。
   趣味はカンフー映画の鑑賞で、好きな食べ物は肉料理全般……」

クマ「チエチャンのプロフィールが、あられもない姿になってくクマ……」

露伴「明るい性格で、曲がったことが大嫌い。
   そのことから友達の数も多く、中でも一番の親友は天城雪子である……か」

千枝の影「……?」

露伴「一つ聞くが……里中君のどこに、
   『天城雪子を踏み台にして、優越感に浸っている』なんて、書いてあるんだい?」

露伴「僕が彼女を読んだ限りでは、そんな記述は見当たらなかったぜ」

千枝の影「何を馬鹿な……! この、アタシの姿が里中千枝の『本音』そのものよ!」

千枝の影「汚くて、嫉妬にまみれてドロドロで……これこそが、『本音』ッ!」

陽介「『本音』……? 上等じゃねーか」

陽介「天城は里中の親友なんだろ! これだって、紛れもない、里中の『本音』だろーが!」

千枝「!」

千枝「親友……」

千枝の影「黙れ黙れ黙れ!」


『マハジオ』


陽介「危ない! 里中、岸辺!」バッ!

陽介「ぐううううッ……!?」バチイッ!

千枝「花村ー!」

千枝の影「うううううああああああああああッ!」

陽介「お、俺だって……天城ほどじゃねーけど、里中とは仲の良い友達のつもりだし……?」

陽介「友達が苦しんでんなら……俺が助けてやっからさ……」」

千枝「花村……」

陽介「岸辺……いや、『露伴』。お前だって……俺の……」ヨロッ

クマ「ヨヨヨヨースケー! 死んじゃイヤクマー! よよよ……」シクシク

露伴「……」

露伴「フン。ダサいクセに、カッコだけはつけやがって。僕らを庇って、ヒーロー気取りか?」

露伴「……だが、そーいう根性に僕はグッとくるんだ」
159 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/06(水) 05:12:32.61 ID:yQPBDIHC0
千枝の影「邪魔……するなあああああ!」


『底知れぬ妬み』


クマ「クマ達にトドメを刺すつもりクマ!」

露伴「『ヘブンズ・ドアー』」

陽介「……」

露伴「(僕の『ヘブンズ・ドアー』によって描かれる……魔術師のイメージッ!)」

露伴「『マジシャンズ・レッド』!」カッ!


マジシャンズ・レッド「……」ズキュン!


クマ「露伴センセイの……ペルソナ……クマ!?」

陽介「お、お前……ペルソナ二つ出せんのかよ……!?」

露伴「いいかい、僕がちょいとマジになれば……」

露伴「お前なんか、簡単にボコボコに出来るんだぜ」カッ!


『クロス・ファイヤー・ハリケーン』


千枝の影「……ッ!?」ゴオオオッ!

千枝の影「あ、熱い!? いやあああああッ!? あああああッ!」

露伴「ハハハハッ、嫉妬の炎に狂ってるシャドウにはお似合いの姿なんじゃあないか?」

千枝の影「ア……」

千枝の影「アアアアアアアアアアッ!!!」

クマ「シャドウが弱ってるクマ! 今クマー!」

陽介「……『ジライヤ』!」カッ!


『ソニックパンチ』


ジライヤ「!」ブンッ!

千枝の影「きゃああああああああああ……!」ドカァッ!

千枝の影「ァアアアア……」スゥウウウ

陽介「ハァ……ハァ……」

陽介「『マジシャンズ・レッド』は許さねえ」
160 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/06(水) 05:14:12.62 ID:yQPBDIHC0
ここまで。似合わないとかは言わないで。


岸辺露伴 Status

勇気  嘗められまいとする為ならどんな奴にも立ち向かう
根気  かなりある
寛容さ 微妙
伝達力 それなりに
知識  悪知恵は働く
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 05:17:21.47 ID:5CTKgCWvo
ワイルドの特性がこのようになるのは予想外だったなぁ……
他のスタンド(ペルソナ)がどうなるか期待
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 06:43:26.45 ID:mpfUPnzgo
シルバーチャリオッツ!
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 07:14:12.23 ID:Go1O0tH4O
おつ!
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 07:20:27.20 ID:XrneeTj7o
ペルソナ知らんけど楽しい
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 08:06:44.76 ID:r5Jvb3Ceo
乙!

マジシャンズレッドカッケええ!
ワイルドを上手く使ったな、この調子じゃ無敵のスタプラさんも出るのか?
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 08:11:31.68 ID:dktkuheTo
確かに漫画には無限の可能性があるからなwwwwww
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 08:16:22.67 ID:1lPFHSA50
魔術師コミュが始まったから、『魔術師の赤(マジシャンズ・レッド)』が使えるようになったのかな
だとするとクマコミュがスタプラなのか……?
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 14:38:23.78 ID:fRFRxDdRO
今日見つけたがかなり期待してる
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 17:50:52.67 ID:cvY6/JyYo
おーすごい更新されてる
寂しんボーイズUメンは卑怯だww
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 18:22:32.11 ID:iXJBRRxno

複数のスタンドを使い分けるとか万能すぎるww
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/06(水) 18:27:41.29 ID:aG6XZ3DZ0
>>170
ペルソナの主人公として見るならば珍しいことでもなんでもないんだけどなw
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 18:34:25.38 ID:Ehf3F6b1o

かっけえなあ
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 01:00:52.70 ID:GzmjJHfB0
正直この発想はなかった
174 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 01:25:22.84 ID:1tGm46pp0
クマ「チエチャンのシャドウが人の姿に戻ってくクマ! 露伴センセイおみごとクマー!」

陽介「俺にはノータッチかよ!」

クマ「ヨースケは、まだまだクマねー」

露伴「里中君」

千枝「え?」

露伴「後は、自分でやるんだな」

千枝の影「……」

千枝「あんた……」

陽介「ビビるこたねーよ。天城のことは大切な友達なんだって、正直にブツければ良いだけだ」

千枝「……うん」

千枝「雪子……私達、友達だよね」

千枝「『あんた』は……『あたし』。あたしの中に居た……どうしようもない、『あたし』」

千枝「ずっと、『見ないフリ』でごまかしてきた……『あたし』」

千枝「でも……『あたし』は『あたし』なんだよね、他の誰でも無い……」

千枝の影「……ふざけないでよ。アンタ、アタシを認めて受け入れようって言うの!?」

千枝「受け入れるよ」

千枝の影「!」

千枝「みんなのおかげで気付けた……みんなのおかげで『勇気』を出せた」

千枝「『あたし』は『あんた』で……『あんた』は『あたし』だよ」

千枝の影「そっか……」

千枝の影「……ありがとね」


ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド


トモエ「……」カッ!


千枝「これって……」

陽介「『ペルソナ』だ」

千枝「じゃあ、これが……あたしの……」

千枝「うっ……!」フラッ

陽介「里中!」

千枝「ゴメン……ちょっと、疲れた」
175 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 01:25:49.06 ID:1tGm46pp0
陽介「確かに、顔色悪くなってんな……自分のシャドウに向き合うってのは、しんどいよなやっぱ」

クマ「ヨースケの体も、わりかし、ボドボドクマー?」

陽介「そ、そういや……! なんか、静電気で髪が逆立ってる気がすんぞ……」

露伴「ここらが潮時だな。戻るぞ」

陽介「だな……あいたたた」

千枝「ま、待って……雪子はどうなるの?」

千枝「雪子、この先に居るんだよね? 早く、助けなきゃ……!」

陽介「つっても、俺も里中もクタクタだろ。ここは一旦、立て直した方が良いと思うぜ」

千枝「そんなの、どうだっていいよ! 雪子……きっと、今も怖い思いをしてる。
   私達で助けてあげないと!」

露伴「じゃあ、後どれだけ進めば、天城君の元へたどり着けるんだい?」

露伴「この先、さっきみたいな敵が出て来ないという保証は?
   出て来たとして、今の僕達で勝てる可能性はどれほどある?」

露伴「天城君のこと、確実に助けたいんだろう。
   だったら、僕達は万全の状態になってから、臨むべきだと思うが」

陽介「露伴の言うとおりだ。俺達は絶対に失敗出来ない……違うか?」

千枝「……」

千枝「……うん」

クマ「チエチャン、今はしっかり休むクマ。
   コッチの『霧』はまだ、当分晴れそうにないから大丈夫クマよ」

千枝「分かった……」

陽介「……うし、帰るか!」

クマ「クマも帰るクマ!」

陽介「おめーの住処は、コッチだろーが……」

クマ「そういえばそうだったクマ。クマったら、うっかりタカノリさんクマね〜」

露伴「騒いでるんじゃあない……別のシャドウに襲われたらどうするつもりだ」
176 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 01:26:59.89 ID:1tGm46pp0
千枝「……岸辺君」

露伴「なんだい。言っとくが、『帰る』って、僕の意見は変わらないぜ」

千枝「ううん、そうじゃなくて……」

千枝「あたし……一人で突っ走って、迷惑掛けちゃって……」

千枝「その……あ〜//」

千枝「……助けてくれてありがと!」


<岸辺露伴は、『戦車・里中千枝』のコミュを得た>

<ヘブンズ・ドアーは、『戦車・里中千枝』のイメージを覚えた>


露伴「別に良いさ、面白いの見せてもらったし」

千枝「面白いって……いくら、シャドウとはいえ、
   あれもあたしなんだから、面白がられんのは心外なんすけど……」

露伴「それもあるが……とても、参考になったよ。これで、よりリアリティのあるキャラを作れる」

千枝「?」


陽介「にしてもさー、露伴の『ヘブンズ・ドアー』で里中の中身を見た時?」

陽介「びっくりしたよなー、里中って、見た目の割に結構重いんだっつーか……」

クマ「クマ的には細っこい子もイイけど、やっぱり、ムチッとした子が好みクマね〜」

陽介「お、良いこと言うなあ〜クマきち! お前とはウマが合うかもな」

クマ「ウマじゃなくて、クマクマ」


千枝「!?」

露伴「ま、『おあいこ』って、トコかな」

千枝「い……」

千枝「いやああああああああああーっ!? //」
177 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 01:28:41.41 ID:1tGm46pp0
4/18 夕方 学校 教室


陽介「おーす、露伴」

露伴「くそったれ陽介か……」

陽介「……あのさ、そーゆーのはもう少し小さい声で言えよ」

陽介「今日どうする? テレビの中に行っとくか?」

露伴「そうだな……僕は」


・雪子の救出に向かう。

・放課後を陽介と過ごす。(魔術師コミュランク1)

・放課後を千枝と過ごす。(戦車コミュランク1)


>>180
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 01:29:21.39 ID:GOALyzCT0
陽介
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 01:31:01.39 ID:ROnlQ5S40
陽介
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 01:31:29.42 ID:dd3Bhw+ho
え、安価なん?ゲームらしいっちゃらしいけど……
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 01:32:06.82 ID:dd3Bhw+ho
あ、ごめんなさい
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 01:32:28.98 ID:GzmjJHfB0
雪子の救出
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 01:35:55.87 ID:ROnlQ5S40
いや、流石に救出は速いような
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 01:40:45.47 ID:y72DgUoco
まあ、いいんじゃない?取れなかったんだから仕方ないって割り切らないと
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 01:42:12.75 ID:ROnlQ5S40
それもそうか

まあ、ゲーム的にコミュとってたら便利そうだしな。次は取れるように頑張ろう
186 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 01:53:32.85 ID:1tGm46pp0
露伴「テレビの中に行こうと思っている」

陽介「オッケー。一日経ったし、里中の頭も冷えてんだろ」


千枝「……」

千枝「う〜……」ゴロゴロ

千枝「見られた……岸辺君に見られた……//」

千枝「う〜……」ゴロゴロ


「里中さん……どうしたの?」

「岸辺に見られた……? な、何を!?」


陽介「……別の意味で熱くなってんな」

露伴「僕の知ったことじゃあない」


千枝「う〜……」ゴロゴロ

千枝「くそったれ花村とクマ君にも聞かれた……」


「花村にも何かされたのか!」

「里中さんには隠れファン結構多いのに……許さん、くそったれ陽介!」


陽介「え? 流行ってんの? それ……」

露伴「行くぞ」
187 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 01:55:14.80 ID:1tGm46pp0

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188 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 01:57:55.78 ID:1tGm46pp0
一旦、ここまで。
今日は時間に余裕があるので、続きは出来次第投下します。


岸辺露伴 Status

勇気  嘗められまいとする為ならどんな奴にも立ち向かう
根気  かなりある
寛容さ 微妙
伝達力 それなりに
知識  悪知恵は働く
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 02:00:18.80 ID:j5MuC96no
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 02:36:36.35 ID:sUgGEdBxo
いきなり安価はどうなんだろ?
俺は別に構わんけど嫌うひともいるかも
191 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 02:43:23.21 ID:1tGm46pp0
安価の使用については>>88で説明したつもりでしたが、不評でしょうか?
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 02:43:24.08 ID:y72DgUoco
何がどういきなりなんだ、タイミング?
前から安価いれるって言ってたんだからあのタイミングで出すのがいきなりだってのは、ちょっと違うんじゃない?
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 02:53:43.90 ID:sUgGEdBxo
済まない>>88見落としてたよ
安価した
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 02:55:26.77 ID:Yb0o+QSgo
>>88の安価の方法で問題ないよ
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 02:56:00.90 ID:j5MuC96no
特に問題は無いんじゃない?事前に予告もしているみたいだし。
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 03:02:04.46 ID:vu47sqd1o
今回みたいに安価とらなかった時のルールさえはっきりしてもらえれば
197 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 03:09:44.67 ID:1tGm46pp0
>>196

安価先が関係無いレスの場合は、基本的に安価下を取っていこうと思ってます。
198 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 05:28:17.43 ID:1tGm46pp0
4/18 夕方 テレビの中 雪子姫の城


ブラックレイヴン「ガァーッ!」


千枝「『トモエ』ー!」カッ!


『ブフ』


ブラックレイヴン「!?」

ブラックレイヴン「ァァァ……」パキンッ!

千枝「あたたたたたたたたたーッ!」

トモエ「!」バババッ!


『暴れまくり』


マジックハンド「ギャアアア……」ドカッ!

ブロンズダイス「ピキッ!」バキッ!

ファントムメイジ「オオオ」ドコッ!

千枝「うっしゃあっ!」ダダダダ!

クマ「チエチャン、気合い入ってるクマー」

陽介「いや……うん……その気合いの矛先が俺達に向きませんよーに……」

クマ「?」

露伴「だいぶ進んだけど、まだ天城君の所へは着かないのか?」

クマ「クマの鼻には、まだ何も引っかからんクマ」

クマ「……? と、思ってたけど、すぐ近くに気配がしたクマよ!」

陽介「マジか!?」

クマ「あれれ? でも、なーんかヘンな匂いクマね……クンクン」

クマ「ヨースケ、ちゃんと、お風呂入ってるクマ?」

陽介「俺の匂いかよ! 毎日、入ってるわ!」

千枝「雪子……!」ダダダダ!
199 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 05:28:59.02 ID:1tGm46pp0
「うふふふふふ……」


露伴「!」

露伴「あそこに誰か居るぞッ!」

千枝「あれは……!」


雪子?「あら?」


千枝「雪子!」

陽介「いや……様子がおかしい」


雪子?「あらあらあら? サプライズゲスト?
    うふふっ! 盛り上がってまいりましたぁ〜!」

雪子?「というワケで……次はこのコーナー!」

[やらせナシ! 雪子姫、白馬の王子様探し!]


クマ「……なんだクマ?」キョトン

陽介「バラエティー番組のタイトルテロップみたいなのが出て来たぞ……」

露伴「何も無い空間にどうやって、映し出しているんだ……?」

千枝「あんた……雪子じゃない、誰なの!?」


雪子?「なぁ〜にを言ってるのぉ? アタシは雪子……雪子よ?」


千枝「違う! ……本物の雪子はどこッ!?」


雪子?「それでは! お城の奥へ再突撃! 行ってきまーす!」

雪子?「王子様ぁ? 首を洗って、待ってろヨ?(はぁと)」スタスタ……


千枝「あっ、待って!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


征服の騎士「ゴアアアアアアアアアアッ!」ズズズ


クマ「ひょえー! でっかいクマー!?」

露伴「離れるんだッ! 里中君ッ!」

千枝「このぉ……邪魔するなぁ!」カッ!
200 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 05:29:32.31 ID:1tGm46pp0
トモエ「!」ブンッ!


『脳天落とし』


陽介「来いよ……『ジライヤ』!」カッ!

露伴「『ヘブンズ・ドアー』!」カッ!


『突撃』『アタック』


征服の騎士「……!」ズガガガッ!

クマ「大して、効いてないみたいクマ! 物理はイマイチクマー!」

露伴「あの鎧の固さは、厄介そうだぞ」

陽介「なら、次はコイツだ!」カッ!

千枝「カチンコチンにしてやるー!」カッ!


『ガル』『ブフ』


征服の騎士「フンッ!」カキンッ!

征服の騎士「ゴアアアアア!」ブンッ!


『毒串刺し』


陽介「これも、効かねーのぉ!?」

クマ「逃げるクマー!?」


ドゴオオオオオンッ!!!


露伴「何ィーッ!? 床がこなごなに……! まともに受けたらひとたまりも無いぞッ!」

陽介「ほ、ほっぺ! 今、俺のほっぺ、掠ったあー!?」

千枝「魔法もダメだなんて……!」
201 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 05:30:26.92 ID:1tGm46pp0
征服の騎士「ゴアアアアアーッ!」ブンッ!


『アタック』『アタック』『アタック』


陽介「露伴ッ!」

露伴「『マジシャンズ・レッド』!」カッ!


『クロス・ファイヤー・ハリケーン』


征服の騎士「アアアアアアアアアアッ!」カキンッ!

露伴「バッ、バカなッ! 鉄でさえ、一瞬で溶かせる炎だぞッ!」

千枝「守って! 『トモエ』!」カッ!

トモエ「!」ガッ! ググッ……

千枝「ぐううっ!」

陽介「押しつぶされるぞ、里中! ペルソナ戻せ!」

千枝「でっ、でも……このシャドウ!」

征服の騎士「フウウウウウンッ!」グググッ!

クマ「チエチャンが、ペラックマー!?」

陽介「『ジライヤ』ァー!」カッ!


『ガルーラ』


陽介「さっきのより、強力な疾風攻撃だ! 風穴開けてやる!」

征服の騎士「ハッハッハッ……」カキンッ!

クマ「またまた、弾かれたクマ! どーすればいいクマー!?」アタフタ

陽介「しかも、俺の時だけ、笑われたー!?」

千枝「中途半端な攻撃じゃ、ダメージにならない!」

露伴「フン。堅くて一撃は重いとか、シンプルに強いじゃあないか……バトルモノなら、お約束の敵だな」

露伴「だからこそ、ブッ倒し甲斐があるってもんだ」

陽介「強がってる場合か! マジでやべーんだぞ、この状況!」

露伴「僕に作戦がある。里中君、耳を貸せ」

千枝「……?」
202 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 05:31:13.67 ID:1tGm46pp0
千枝「……うん、分かった! やってみる!」

千枝「『トモエ』!」カッ!

露伴「『マジシャンズ・レッド』!」カッ!


『ブフ』『クロス・ファイヤー・ハリケーン』


征服の騎士「フゥン!」カキンッ!

クマ「やっぱり、効いてないクマよ! 露伴センセイ!」

千枝「はぁっ!」カッ!

露伴「まだまだッ!」カッ!


『ブフ』『クロス・ファイヤー・ハリケーン』


征服の騎士「ウウウウゥ……?」カキンッ!

陽介「だ……駄目だ……」

千枝「ペルソナー!」カッ!

露伴「まだまだァーッ!」カッ!


『ブフ』『クロス・ファイヤー・ハリケーン』


征服の騎士「ゴアアアアアアアアアアッ!」カキンッ!

クマ「露伴センセイ〜……! ココは退くクマよ〜……クマ達の力じゃ、叶わないクマァ〜」

陽介「クッソ……! ここまで来て……! 天城が助けを待ってんのに!」

征服の騎士「ゴアアアアアアアアアアーッ!」ブンッ!


『毒串刺し』


陽介「里中! 露伴ー! 来るぞ!」

千枝「……」

千枝「ふふふ……勝ったぞよ」

露伴「僕達の勝ちだ、デカブツ」

クマ「……クマ?」


ピキッ……ミシミシッ……


征服の騎士「……?」ピタッ


パキィイイイインッ!!!


征服の騎士「アアアアアアアアアアッ!?」

陽介「シ、シャドウの鎧がブッ壊れた!」
203 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 05:33:17.10 ID:1tGm46pp0
露伴「『冷却』と『加熱』だ」

クマ「れーきゃくと、かねつ?」

露伴「どれだけ、固い物質だろうと、何度も何度も『冷却』と『加熱』を繰り返せば、
   急激な温度の変化に耐えきれずに変形するんだよ。(例外もあるが)」

クマ「およ〜、露伴センセイは物知りクマね〜」

千枝「簡単な科学の応用でござる」

陽介「里中は露伴の入れ知恵だろ!」

千枝「てへへ……」

征服の騎士「オゴゴゴゴゴ……!」

クマ「鎧が剥がれて、中身が剥き出しクマ! 叩きのめすクマ!」

千枝「おっけー、おっけー!」カッ!

陽介「オイシイ所は任せろ!」カッ!

トモエ・ジライヤ「!」バババッ!


『暴れまくり』『ソニックパンチ』


千枝・陽介「おらおらおらおらおらおらおらおらおらおらぁーッ!」

征服の騎士「ガアアアアアアアアアア……!?」ドカドカドカッ!


キラーン!


千枝「宇宙の彼方まで、ふっ飛べー!」

陽介「俺達は最強のコンビだぜー!」

クマ「勝ったクマー!」

千枝「……って、誰と誰がコンビよっ!」ブンッ!

陽介「あいてっ! マジで怒ることねーだろ!」

千枝「〜!!!」

陽介「〜!!!」


クマ「……露伴センセイのアシストありきの勝利なのに、二人は何してるクマ?」

露伴「付き合っていられるか……天城君を追うぞ、クマ小僧」スタスタ

クマ「ほいきたクマ」ピョコピョコ
204 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 05:34:33.38 ID:1tGm46pp0
4/18 夕方 テレビの中 雪子姫の城 最奥


雪子「う……」

雪子「……ここは?」キョロキョロ


「うふふふふ……目覚めたかしら?」


雪子「誰かの声……どこに居るの……? 姿を見せて」


「ふふふ……『見たい』? 『知りたい』? 私が『誰』なのか……」

「私は……」スタスタ

雪子の影「『あなた』」


雪子「私と……同じ顔……!?」


千枝「雪子!」ダダダダ!

陽介「天城が二人居るぞ!」

クマ「片方はその子のシャドウクマ!」

露伴「天城君! そいつから離れろッ!」

雪子「千枝……!?」

雪子の影「あらあらあら? 王子様が三人も! 雪子、困っちゃあ〜う!」

陽介「何このテンション……」

雪子の影「ねぇ〜、雪子、どっか行っちゃいたいんだぁ〜。誰も知らない、ずーっと遠く」

雪子の影「王子様ならぁ〜? 連れてってくれるよね?(はぁと)」

雪子の影「ねぇ〜、早くぅ〜」

千枝「あの……三人の王子様って、あたしも入ってんの?」

クマ「三人目はクマですからぁー、いいですとも!」

陽介「それはねーな」

クマ「オーノーだクマ」
205 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 05:35:06.74 ID:1tGm46pp0
雪子の影「そうよ、千枝は私の『王子様』! いつだって、私をリードしてくれるの」

雪子の影「強くて、優しくて、素敵な『王子様』!」

雪子の影「……だったわ」

露伴「『だった』?」

雪子の影「結局、千枝じゃ駄目なのよ! 千枝じゃ、私をここから連れ出してくれない!」

雪子の影「『救って』くれない!」

雪子「……!」

雪子の影「『老舗旅館』? 『時期女将候補』?」

雪子の影「そんな、ウザい束縛……まっぴらゴメンよッ!!!」

雪子「何てことを……」

雪子の影「たまたま、そこに生まれついただけで……生き方から死ぬまで、全部決められる」

雪子の影「あ〜……『いやだ』、『イヤだ』、『嫌だ』!」

雪子「そんなこと……思ってない……」

雪子の影「……どこか、遠くへ行きたいの。ここじゃない所なら、どこだって良い」

雪子の影「誰かに『連れ出して』ほしい!」

雪子「……めて」

雪子の影「一人じゃ、出て行けない! 希望も無い! 出て行く勇気も無い!
     誰かが連れてってくれるのを、ずっと、待ってるの……」

雪子の影「いつか、『王子様』が連れ出してくれるのを、ずっと、待ってるの!
     ここじゃない、どこかに連れてってくれるのを!」

雪子「……やめて……お願い」

雪子の影「『老舗の伝統』? 『町の誇り』? クソ喰らえだわッ!」

雪子の影「それが、『本音』……そうよね? 『ワタシ』」

雪子「違う……あなたなんか……」

露伴「おい、この展開は……」

千枝「……ダメ! 雪子、言っちゃダメ!」

雪子「あなたなんか……『私じゃない』!」
206 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/07(木) 05:37:20.21 ID:1tGm46pp0
終わり。クマは書いてて超楽しいクマ。


岸辺露伴 Status

勇気  嘗められまいとする為ならどんな奴にも立ち向かう
根気  かなりある
寛容さ 微妙
伝達力 それなりに
知識  悪知恵は働く
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 06:06:58.82 ID:pRjCczQjo
おつクマー
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 07:10:57.18 ID:Nc2fjrDKO
シルバー・チャリ乙!
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 07:17:05.70 ID:U/JyfNSU0
210 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/08(金) 05:18:47.63 ID:9zFi4UQM0
雪子の影「ふふふ……力が漲ってくる……!」

雪子の影「そんなにしたら、ワタシ……アーハハハハハ!」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


クマ「シャドウが暴走してるクマ!」

露伴「やっぱり、こうなるのかい……」


雪子の影「我は影……真なる我……」ドン!


雪子「あ、ああ……」

千枝「雪子……」

千枝「……大丈夫、あたしが全部受け止めてあげるから!」

雪子の影「本当、千枝? なら……」

雪子の影「ワタシも本気でブツかってあげる!」ゴアアッ!


『焼き払い』


露伴・陽介・千枝「ペルソナ!」カッ!

陽介「って、あっちぃー!!!」メラメラ

クマ「クマのぷりちーなヒップがぁー!!!」メラメラ

露伴「『マジシャンズ・レッド』を相手に炎をかますなんて、
   コバエが夜の街灯の光に向かって、突っ込むようなものだッ!」

マジシャンズ・レッド「!」シュバッ!


『防御』


露伴「!!」

露伴「(思っていたより、ダメージを軽減出来ていない!)」

露伴「(炎の勢いが並みのシャドウのそれとは比べモノにならないぞッ!)」

千枝「『トモエ』!」カッ!

陽介「行け、『ジライヤ』!」カッ!


『アサルトダイブ』『ソニックパンチ』


雪子の影「イヤ!」バッ!


『マハタルンダ』


陽介「な、なんだあ!?」ズゥーン……

千枝「力が……抜けてく!?」ズゥーン……
211 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/08(金) 05:19:30.93 ID:9zFi4UQM0
トモエ・ジライヤ「!」ズゥーン……


ドカッ……スカッ……


雪子の影「それで攻撃したつもり? 雪子、全然物足りな〜い」

露伴「『ヘブンズ・ドアー』!」カッ!


『本にする』


雪子の影「だぁ〜めっ! ワタシの『中』は見せてあ・げ・な・い」

露伴「僕のペルソナの力も封殺されているのか!」

クマ「さっきの、ミョーな魔法のせいクマ! みんなのパワーが、がくっと下がってるクマー!」

千枝「そんなことで!」カッ!


『ブフ』


雪子の影「アハハハハッ!」


『コンセントレイト』『アギ』


千枝「え……? 『トモエ』の攻撃がかき消されてる……!?」

千枝「あああっ!」ゴアアアッ!

雪子「千枝ー!」

千枝「……う、くっ……! コイツ、強い……!」グググッ……

雪子の影「……千枝なら、私を助けてくれると思ってた」

雪子の影「でも、ダメだった! いつまで待っても助けてくれない……私の『王子様』なんかじゃなかった!」


『焼き払い』


陽介「里中が立ち上がれてねえ!」

露伴「『マジシャンズ・レッド』、里中君を防御しろォーッ!」カッ!

マジシャンズ・レッド「!」ゴアアアッ!

雪子の影「ずっと……」

千枝「き、岸辺君……!」ヨロッ

露伴「おおおおおッ!」

露伴「(くそっ! バ火力め……! 『炎で炎を燃やす』など、桁外れにも程がある……)」

雪子の影「ずっと……ずっと、待っていたのに!」
212 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/08(金) 05:20:16.17 ID:9zFi4UQM0
クマ「露伴センセイがコゲコゲになっちゃうクマー!?」

陽介「させるか! 『ジライヤ』!」カッ!


チョンチョン


陽介「なんだよ、クマきち! 後にし……」

白馬の王子「……」ニコッ

陽介「……誰だ、お前?」

クマ「ヨヨヨースケ!? そいつはあの子のシャドウから生み出された、別のシャドウクマ!」

クマ「敵クマー!」

白馬の王子「……」ニコッ


『テラーボイス』


陽介「うっ!?」ガーン!

陽介「違うんだ……あれは調子に乗ってただけなんだ……中学生なら、誰だって通る道なんだ……」ブツブツ

陽介「やめろぉー! 今更、あんな恥ずかしい過去を思い出させないでくれー!?」

クマ「ヨースケが恐怖状態クマー!?」

白馬の王子「……」ニヤニヤ

露伴「何ッ!? どいつもこいつも……」

雪子の影「『王子様』……どこにいるの……? ワタシを助けて……」

雪子の影「ワタシをこんな所に放っていかないで……」

雪子「やめて……やめて……!」

千枝「雪子……!」

雪子の影「アンタはもう、要らないのよ! 大人しく死んでいなさい!」


『戦慄のロンド』


ガラガラガラガラガラガラガラガラ……


陽介「ななななな何の音だ……?」ガタガタ

露伴「ッ! 上だ、陽介ッ!」

クマ「て、天井のシャンデリアが、チエチャンに落ちてきたクマー!? 避けるクマー!!」


ガオォォォオンッ!!!


千枝「……えっ?」

露伴「ペルソナを構えるんだ、里中君ッ!」

露伴「(この距離では、『マジシャンズ・レッド』のスピードでは間に合わんッ!
    『ヘブンズ・ドアー』で命令を書き込もうにも、後一秒足らずでシャンデリアは里中君へ落下してしまうッ!)」


ゴオォォォオッ!!!


露伴「里中くーーーーーんッ!!!」
213 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/08(金) 05:20:55.76 ID:9zFi4UQM0
千枝「雪子……私は……」

千枝「雪子の『王子様』になんか、なれないよ!」

雪子の影「知ってるわ、そんなこと! さっさと消え……!!!」

千枝「だって……」

千枝「私は『王子様』じゃなくて、雪子の『友達』だから!」

千枝「大切な……『親友』だから!!!」

雪子「!」

露伴「……」

露伴「……自分が死ぬかもしれないってのに、
   よく、そんな歯の浮くようなセリフを吐けるな里中君……」

露伴「だが尊敬する」

露伴「『ヘブンズ・ドアー』ッ!」カッ!

露伴「(『マジシャンズ・レッド』一人では進めない。
    ならぱッ! 『ヘブンズ・ドアー』で、描くべきイメージとはッ!)」

クマ「間に合わんクマー!」

陽介「里中ー!」


ドッ!!! ズズズズウゥゥゥウン……!!!


千枝「……ッ!」ビクッ!

千枝「……」

千枝「……?」チラッ


シルバー・チャリオッツ「YEAAAH!」ズキュン!


雪子の影「何ッ!?」

クマ「ろ、露伴センセイのペルソナが、落ちてきたシャンデリアを一瞬でコマ切れにしたクマ!
   チエチャンは無事クマ!」

陽介「また、露伴が新しいペルソナ出しやがった……ずりーぞ!」

露伴「『シルバー・チャリオッツ』か……フン、僕の趣味じゃあないな」

雪子の影「よ、よくもッ!」ゴアアアッ!


『焼き払い』


露伴「『シルバー・チャリオッツ』!」カッ!
214 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/08(金) 05:21:32.24 ID:9zFi4UQM0
シルバー・チャリオッツ「!」ヒュンッ!


『ミリオンスピット』


スパッ! スパスパッ!


雪子の影「私の炎が……当たらない!?」

クマ「分かったクマ! 露伴センセイのペルソナは、
   その剣さばきで空と空の間に溝を作ったんだクマーッ!」

クマ「だから、炎が露伴センセイの所まで届かないクマね!」

陽介「クマ。お前、そのシルクハットどっから……?」

雪子の影「どうして、邪魔をするの!?
     アンタなんて……『王子様』になってくれないなら、要らない!」

雪子の影「全て、無くなってしまえば良い!」

雪子「……」

千枝「雪子……」

千枝「……」

千枝「……あたし、雪子に伝えなくちゃいけないことがあるの。聞いてくれる?」

雪子「千枝……?」

千枝「あたし……ずっと、雪子のことが……羨ましかった」

露伴「……」

千枝「雪子は何でも持ってて……あたしなんて、全然ダメで……」

千枝「だから、そんな雪子があたしを頼ってくれるのが凄く嬉しかった。
   雪子は私が守ってあげなきゃなんて、そう思いたかった」

雪子の影「……そうよ! ワタシは一人じゃ、何も出来ない! 何も無い!」

千枝「そんなことない! 雪子は……本当は強いもの!」

千枝「誰かに連れ出してもらう必要なんてない。雪子には……一人で進んでいける『翼』がある!」

千枝「どこへだって……飛んでいけるよ!」

雪子「違う……! 私は千枝の思うような私じゃない……!」

雪子「強くなんて、ない……」

千枝「そんなの、お互い様だよ……私だって、雪子の思うような私じゃない……見せたくない所はいっぱいある」

千枝「それでも、私は雪子のそばに居たい!」

千枝「もう一度言うよ、雪子」

千枝「雪子は……大切な『親友』だから!!!」
215 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/08(金) 05:22:47.55 ID:9zFi4UQM0
雪子「千……枝……」

雪子の影「やめろ……やめろおおおおおおおおおお!!!」

クマ「シャドウが動揺してるクマ!」

陽介「里中!」カッ!

千枝「うん!」カッ!

ジライヤ・トモエ「!」ババッ!


『スクカジャ』『暴れまくり』


千枝「飛んでけええええええええええッ!!!」ブンッ!

雪子の影「アアアアアアアアアアッ!!!」ドゴオオッ!

雪子の影「こ……の……!?」

露伴「『ヘブンズ・ドアー』、シャドウを『本』にしろッ!」カッ!


『本にする』


雪子の影「!」パラパラパラ……

露伴「『お前は僕達に攻撃出来ない。ただの人の姿に戻る』」ドキュン!


『書き込む』


雪子の影「ァアアアア……」スゥウウウ

クマ「シャドウの暴走が収まっていくクマよ!」

露伴「待ってるだけじゃ、何も変わる訳が無い」

露伴「自分から動いて、自分の目で見て傷つかなきゃあ、分かるもんか」
216 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/08(金) 05:23:38.32 ID:9zFi4UQM0
雪子「……千枝」

千枝「ごめんね、雪子……私、自分のことばっかだった」

千枝「雪子の悩み……全然、分かってなかった。友達なのに……」

雪子「私も、千枝のこと見えてなかった……」

雪子「自分が逃げるばかりで……だから」

雪子の影「……」

雪子「……あなたを生んでしまった」

雪子「ごめんね……認めてあげられなくて……」

雪子「『逃げたい』、『誰かに救ってほしい』、そう……確かに『私の気持ち』」

雪子「『あなた』は……『私』だね」

雪子の影「……うん」


ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド


コノハナサクヤ「……」カッ!


陽介「これが、天城のペルソナか……」

雪子「……」フラッ

露伴「天城君ッ!」

雪子「少し……疲れただけ……」

雪子「みんな、助けに来てくれたのね……ありがとう」

千枝「当たり前じゃん!」

陽介「へへっ」

露伴「フン」

クマ「オホン……オオッホン! ココ……これ、ココよココ! クマ」

雪子「?」

クマ「キミをココに放り込んだのは誰クマ?」

雪子「……あなた、誰? ていうか……何?」

クマ「クマはクマクマ!」

雪子「ごめんなさい、ちょっとよく分からない」

陽介「おめーは、存在そのものがよく分からねーんだよ。少し、黙ってろ!」

クマ「YES! I AM!」
217 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/08(金) 05:25:39.10 ID:9zFi4UQM0
千枝「犯人のこと聞く前にさ、ここから出ない? 雪子、辛そうだし……」

陽介「そうすっか」

クマ「クマー!? クマを置いてくつもりー!?」アタフタ

露伴「置いてく? 君はこの世界の住人なんだろう。
   まるで、僕達がヒドいことをしているみたいな言い種じゃあないか」

クマ「それはそうクマ……でも……」

雪子「……」

雪子「クマさん」

クマ「……クマ?」

雪子「また、今度……改めてクマさんにお礼を言いに来るから。それまで、良い子で待っててね」ナデナデ

クマ「ク、クマァ〜ン// ユキチャンは優しいクマなー」

クマ「分かった。クマ、良い子で待ってる」

雪子「よしよし」

クマ「ムフフ……てゆーかぁ〜、クマ、どっか行っちゃいたいんだ〜。ねえ、早くぅ〜」

陽介「誰の真似だよ! おめーはそこに一生居ろ!」

クマ「嘘だろ、陽太郎!?」

千枝「もう、行こっか……」

露伴「さっさと犯人を見つけて、こんなことはこれっきりにしてもらいたいね」


クマ「クマ、首を長くして待ってるクマー! 首無いですけどもー」
218 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/08(金) 05:26:15.08 ID:9zFi4UQM0
4/18 夜 堂島家


ガラガラッ


堂島「ただいまー」


菜々子「あ、帰ってきた! ……?」

露伴「どうしたんだい」チラッ


足立「こんちゃーっす!」


露伴「(あの時の無能そうな刑事じゃあないか)」

堂島「珍しく、上がりが一緒になったんでな。連れてきた」

足立「この春から堂島さんの『相棒』やってます。足立透です! まだ、名乗ってなかったよね?」

露伴「ええ」

足立「これ、お土産ね。菜々子ちゃんがジュネス好きと聞いて」ガサガサ

菜々子「……ジュネスのお惣菜だ!」

足立「美味しそうでしょ?」

堂島「そんな安物で得意気な顔すんな」

足立「……すんません」

足立「そうだ、君にもお土産があるんだ! お土産というか、お知らせだけど」

露伴「なんですか?」

足立「捜索願いが出てた、天城さん。無事に見つかったって!
   露伴君、同じクラスでしょ? 伝えておこうと思ってさ」

露伴「……」

露伴「それは良かったですね」

足立「ホントに良かったよ……これでもしまた、第三の殺人とか起こった日には……」

堂島「足立、余計なこと喋るな……」
219 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/08(金) 05:26:54.61 ID:9zFi4UQM0
足立「まだ、全てがクリアーって訳でも無くてさ。
   天城さん、居なくなってた間のこと覚えて無いって言うんだ」

足立「なーんか、怪しいと思わない? 実は裏に何か……」


ドカッ!


足立「あだっ!?」

堂島「馬鹿野郎。余計なこと喋るなって、言っただろ」

足立「す、すいません……つつつ」

露伴「僕はやることがあるのでこれで」ガタッ

露伴「(マヨナカテレビでうやむやになりかけていたが、コンテストの締め切りは間近なんだ。
    早いとこ、原稿を書き直さなくっちゃあな……)」

堂島「……」

堂島「露伴……あんまり、驚かないんだな」

露伴「!」

堂島「天城雪子が戻って来ていることを……既に知っていたとかじゃあ無いよな?」

露伴「そんな訳ないでしょう。僕が『ウソ』をつくような、性格の悪いヤツに見えるとでも?」

堂島「……」

足立「なーに言ってんスか、堂島さん。今時の子なんて、そんなもんですって」

堂島「うるせえな……変なこと聞いたな、露伴。もう良いぞ」

露伴「それじゃあ」スタスタ

菜々子「お父さん、お腹空いた」

堂島「ああ、俺もペコペコだ。飯にするか」

足立「(『ペコペコ』? あの、堂島さんが『ペコペコ』だなんて言葉を……に、似合わない……)」

足立「……ぷっ!」

堂島「?」
220 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/08(金) 05:30:05.93 ID:9zFi4UQM0
終わり。


岸辺露伴 Status

勇気  嘗められまいとする為ならどんな奴にも立ち向かう
根気  かなりある
寛容さ 微妙
伝達力 口は悪いが言いたいことは伝わる
知識  悪知恵は働く
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 05:35:43.57 ID:izJvvLvko
おつ
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 05:50:43.90 ID:Xm3EW36Yo
乙、性格の違いは、案外この年の頃にこんなことを経験すると露伴もこうなるかもって思えるわ
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 06:44:39.48 ID:aZRtVs4Oo

露伴先生、漫画書きながら事件捜査やってるんだからマジ努力家だな
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 06:59:00.13 ID:aPEVo+GaO
おちゅん
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 07:28:21.88 ID:qnUQ1Nn0o
ここからコミュに部活にバイトに狐が増えていくとかまじ忙殺
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 23:27:48.97 ID:h6iV6Kfvo

最初はどうなるのかと思っていたが
ワイルドの設定で一気に引きこまれた
これからも楽しみにしてます
227 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/09(土) 04:32:59.62 ID:58d5FYak0
4/19 朝 学校 教室


陽介「天城、学校来てないな」キョロキョロ

千枝「それがさ、朝に雪子からメールあったんだけど、学校はしばらく休むみたい。
   体調を崩しちゃったんだって」

陽介「そうなの? まあ、無理も無いよな。あんな所に一人で居たんだし」

露伴「彼女をテレビの中に放り込んだヤツについて、色々聞きたいことがあったんだが……」

千枝「雪子の調子が良くなるまでは仕方ないね」

陽介「それまでは動きようがないか……雨も降らねーみたいだし」

露伴「僕は僕で勝手に調べるぞ。マヨナカテレビ、犯人の素性、犯行動機。
   分からないことは腐る程ある」

陽介「出来ることはコツコツと、か。俺も時間の許す限り、調べてみっかな」

陽介「『怪しいヤツ見ませんでしたかー!』って」

千枝「花村、鏡見る?」

陽介「どーゆー意味だっ!?」


ガラガラッ


諸岡「貴様ら、席に着けー! 出席をとるぞ!」

諸岡「ケータイを鞄に仕舞え! 制服の乱れを直せ! いいか? 折り目正しく、返事をしろー!」
228 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/09(土) 04:33:48.11 ID:58d5FYak0
4/19 夕方 稲羽中央通り商店街


男「マヨナカテレビ? ああ、最近よく聞くね、そのウワサ。
  いつ頃聞いたかって? さあ、覚えてないけど……でも、本当に少し前くらいだったよ」

男「それがどうかしたの?」

露伴「いえ、貴重なお話をありがとうございました」


「〜」

「〜」


露伴「改めて思うけど、のどかで静かな町だよなァ」

露伴「こうして歩いていると、殺人事件があったとはとても思えないな」

露伴「『テレビ』を利用した殺人……犯人はいったい、どんなヤツなんだろうか?」

露伴「最初の事件が起こったのが『4/12』。
   それから昨日に至るまで、合計で二件の殺人と一件の殺人未遂があった」

露伴「死因はいずれも『不審死』。具体的な死因は何も分かっていない。
   クマ小僧の話では、シャドウに『食われて』しまったとのことだが……」

露伴「調べて分かったことだが、『4/12』より前には、
   稲羽市周辺で、死因が『不審死』の事件は一つも起こっていないんだ」

露伴「この一連の奇妙な死は全て、『4/12』からスタートしている。
   不思議なことに、『マヨナカテレビ』の噂が広まり始めたのも、それの少し前からだ」

露伴「これは『偶然』か。それとも」
229 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/09(土) 04:38:03.98 ID:58d5FYak0
>岸辺露伴は動いた。

>露伴のコミュ予定表を決めて下さい。


>4/21 >>230

>4/22 >>231

>4/23 >>232

>4/24 >>233


・花村陽介と過ごす。(魔術師コミュランク1)

・里中千枝と過ごす。(戦車コミュランク1)

・部屋で漫画を描く。


>同一IDの方による、安価の連続取得はなるべくお控え下さい。

>選択肢に無いレスが安価を取得をした場合は安価下となります。


岸辺露伴 Status

勇気  嘗められまいとする為ならどんな奴にも立ち向かう
根気  かなりある
寛容さ 微妙
伝達力 口は悪いが言いたいことは伝わる
知識  悪知恵は働く
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 04:46:43.82 ID:MTvkaPEZO
花村とコミュ
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/03/09(土) 05:08:20.55 ID:Vf2LGVfc0
乙!
>>230が花村なら

ここは里中とのコミュで
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 05:09:18.18 ID:UZrS1Tgoo
漫画はヘヴンズドア強化かな?

漫画を描く
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 05:23:37.09 ID:JBZ/VHYEO
じゃあ里中
234 : ◆cLJHfc/KSTsm [saga]:2013/03/09(土) 06:12:06.42 ID:58d5FYak0
早朝なのに、レスありがとうございます。

それぞれの話を練るのと少しやるべきことがあるので、
次の投下までは2〜4日程掛かる見通しです。
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 07:07:09.90 ID:L64xXJSfo
面白い
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 09:30:14.16 ID:zDVe39yl0
コミュ自体の取得はどうなるんだ
ストーリー進行と共に増えてく感じかな
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 11:59:06.80 ID:K7G/9IDro
ゲームでも現時点で取れるのは少ないからなあ
本格的に増えてくるのは5月ぐらいからじゃなかったっけ
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 19:57:10.73 ID:/zDD4JUPO
ゲームもう一度したくなるな、スレと同時進行で始めるか
ちょうどvitaも値下げしたしゴールデンでも買うか
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/15(金) 20:59:41.75 ID:zo1gUDhSO
まだー?
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/20(水) 17:20:20.86 ID:/+zGQryRO
面白過ぎるわコレ
続き期待
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/25(月) 22:03:07.04 ID:2qIavl8Xo
まだか
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/28(木) 12:42:34.58 ID:QpJypvTzo
コミュ作るのなかなか厳しいみたいやね
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/04/03(水) 12:19:07.99 ID:82gCVxrx0
まだー?
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/02(木) 23:25:57.93 ID:5GxSWy2Ao
そろそろやばいなあ
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/09(木) 13:04:40.76 ID:DCtZodTQ0
2ヶ月経ってしまったな
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/12(日) 14:15:23.23 ID:cyt7H2XDO
今日見つけて一気に読んでしまった
ワイルドの設定がまさにその発想はなかった!って感じで面白かったです
できるなら続きも読みたいなぁ
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