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勇者は死んでしまった! - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 00:47:17.90 ID:vq5rnSGEP
「おお勇者よ死んでしまうとは情けない」

返事がない。ただのしかばねのようだ。

「おお勇者よ死んでしまうとは情けない」

返事がない。ただのしかばねのようだ。

「おお勇者よ死んでしま」

勇者「うるせえぶっ[ピーーー]ぞ」

魔王「生きているなら返事くらいしろ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1361720837
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 00:48:27.11 ID:vq5rnSGEP
魔王「おい勇者よ、奴隷になった気分はどうだ」

勇者「うるせえ、さっさとやれよ」

魔王「気分ではない」

勇者「じゃあ所持金半分やるからさっさと帰らせろ」

魔王「そんな予定調和が成立してたまるか」

勇者「縄をほどけ」

魔王「却下だ」

勇者「お前どうしたいんだよ」

魔王「やる気はないとだけ言っておこう」

勇者「じゃあ帰らせろよ」

魔王(ループ・・・・・・!)
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 00:48:50.29 ID:zn8Lfl/z0
『saga』のほうがいいと思うよ?
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 00:49:24.34 ID:vq5rnSGEP
魔王「倒しにきておいて謝罪もなしか?」

勇者「すみませんでした」

魔王「忍び足で入ってきてさんざん城中の宝箱漁ったあげく?」

魔王「居間の扉ぶち破って?」

魔王「いきなり『魔王覚悟しろ!』とか、なんなのだ貴様は」

勇者「いやあの勇者なんで」

魔王「カーペットとか燭台とか椅子とか、全部ぼろぼろだな?」

魔王「不法侵入に器物破損はおろか殺人まで犯そうとするとは・・・・・・本当に、なんなのだ貴様」

勇者(殺『人』?)
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 00:51:14.11 ID:vq5rnSGEP
魔王「ところで勇者よ、貴様に聞きたいことがある」

勇者「なんだよ」

魔王「好き嫌いはあるか」

勇者「お前だ」

魔王「そんないきなり・・・・・・照れるではないか」

勇者「逆だ逆」

魔王「ちょっとした冗談だ。シチューは好きか?」

勇者「大好きだ」

魔王「そんないきなり・・・・・・照れるではないか」

勇者「お前まじ張り倒すぞ」


--------

>>3
すみません、何分初めてなもので。ありがとうございます。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 00:53:04.21 ID:vq5rnSGEP
魔王「ででん。今日の晩餐はシチューです」

勇者「やけに家庭的だな・・・・・・人の肉とか入ってるんじゃ」

魔王「心配するな、牛肉だ」

勇者「魔物でも人間と同じ物を食べるんだな」

魔王「種族にもよるが、まあある程度知能があって人型ならなんら人間と変わらんと思うぞ」

勇者「殺した人間の生き血でも啜るのかと」

魔王「ああ、家畜を襲って血を吸うやつならいるらしい」

勇者「魔王のくせに"いるらしい"ってなんだよ」

魔王「名前だけは聞いているのだが、目撃証言がなくてな」

勇者「名前は?」

魔王「チュパカブラ」

勇者「俺も見たことないわ」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 00:54:26.99 ID:vq5rnSGEP
勇者「俺にもそれ食わせろよ」

魔王「好きなものを前にして食欲は隠せぬか」

勇者「わざわざ聞いたくせに。いいからさっさとよこせ」

魔王「だが断る」

勇者「は?」

魔王「だ が 断 る」

勇者「・・・・・・はぁ?」

魔王「なんのためにわざわざお前の好きなものを聞いたと思っているのだ」

勇者「そりゃお前、当然俺に食わせるためだろ?」

魔王「貴様はもっと奴隷としての立場をわきまえるべきだと思う」

勇者「どうせ嫌がらせだろうが」

魔王「よくわかっているではないか」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 00:55:27.36 ID:vq5rnSGEP
勇者「奴隷に飯も出さないなんて最低な主人だな」

魔王「今、自分を奴隷、私を主人と認めたこと、わかっているのか?」

勇者「言うは安しだ。餓死するよりましだろう」

魔王「良いことを言うではないか。見直したぞ」

勇者「惚れるなよ」

魔王「少し心揺らいだ」

勇者「落ち着け」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 00:55:57.11 ID:vq5rnSGEP
魔王「貴様の心意気に敬して縄を解いてやろう」

勇者「おい、だからってなんで身包みまではぐ?おいやめろ」


勇者はトロのよろいをはずした。守備力が82さがった。かっこよさが93さがった。

魔王「また襲われたら面倒だからな。ほれ、これでも着ていろ」


勇者はぬののふくを装備した。守備力が4あがった。かっこよさが2あがった。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 00:56:46.13 ID:vq5rnSGEP
勇者「この服少し小さいぞ」

魔王「わがままなやつだ。全裸でいるよりましだろう」

勇者「まあ、そりゃそうだが」

魔王「こうしてみると、勇者のオーラの欠片もなくなったな。まるで百姓」

勇者「なめてんのか」

魔王「言いながらしっかり着ているな。それは由緒あるぬののふくだ」

勇者「おい、これ『マオ』って名前書いてあるぞ」

魔王「私の普段着だ」

勇者「せめてきぞくのふくにしとけよそこは」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 00:57:36.54 ID:vq5rnSGEP
魔王「ほら、貴様の分だ。席はそこな」

勇者「それじゃさっそく」

魔王「食前の礼を欠くのは、勇者云々以前の問題だと思うがね」

勇者「あー、はいはい。いただきます。・・・・・・うまいな、少し肉は硬いが」

魔王「貴様が倒したミノタウロスのタロウくんは筋肉質だったからな」

勇者「ぶっ」

太郎「魔王様、呼びました?」

魔王「タロウくんの料理はいつも美味しいな」

太郎「褒めても何も出ませんよ」

勇者「しれっと嘘つくんじゃねえよ」

魔王「最近の若者は冗談も通じないのか」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 00:58:18.50 ID:vq5rnSGEP
―――食後

勇者「おい魔王」

魔王「食前の礼は言えるのだから食後にはまず何を言うべきかもわかるだろう」

勇者「ごちそうさま」

魔王「ごちそうさまでした。で、なんだ」

勇者「なんであのミノタウロスが生きてるんだ。俺が倒したはずだぞ」

魔王「タロウくんのことか」

太郎「魔王様、呼びました?」

魔王「今日のシチューもおいしかったよ、ごちそうさま」

太郎「どうぞ、食後のプリンです」

勇者(褒めたら出た)
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 00:58:53.52 ID:vq5rnSGEP
勇者「・・・おい、話がずれてるぞ」

太郎「すみません、しんどくなったんで死んだふりしてました」

勇者「なるほど」

太郎「シチューおいしかったですか?」

勇者「ああ、うまかった」

太郎「それはよかった。実はケーキも作ってまして」

勇者(いろいろだめだこいつら)
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:00:16.01 ID:zn8Lfl/z0
投下早いね〜
期待
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 01:00:17.34 ID:vq5rnSGEP
魔王「ところで勇者よ、貴様はどうして勇者になったのだ?」

勇者「俺にもいろいろと事情があるんだよ」

魔王「その事情を聞いているのだ」

勇者「・・・・・・」

魔王「貴様の命は私の気分次第だということを忘れるなよ」

勇者「・・・ちっ。剣の技を競う大会で、俺が一番強かった。それだけだよ」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:01:40.02 ID:vq5rnSGEP
魔王「ほう、人は見かけによらんのだな」

勇者「うるせーな」

魔王「そういらつくな。例え私に一太刀も与えることなく、赤子が手を捻られるように負けたお前でも、一応は一番なのだから」

勇者「・・・・・・」

魔王「ほら、一等賞のお前にハンケチを貸してやろう。悔し涙を拭くがいい」

勇者「泣いてねえよくそが」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:02:55.76 ID:vq5rnSGEP
勇者「だいたい、見た目のことを言うならお前も変わらねえだろ」

魔王「何を言う。立派な角が生えているではないか」

勇者「髪に隠れそうなちっぽけなもんだな」

魔王「いやでもほら一応生えて」

勇者「そもそも体は小さいわ華奢だわ、どう見ても女だし、弱そうなんだよ」

勇者「何よりもその貧相な胸は・・・・・・なあ」

魔王「貴様の命は私の気分次第なのに・・・・・・」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:04:19.14 ID:vq5rnSGEP
勇者「ここは魔王の居城なんだよな」

魔王「外聞ではそういうことになっているな」

勇者「なら、どうしてタロウ君や魔王のほかに魔物がいないんだ?」

魔王「さあな、ここには何もないから外でもうろついているのだろう」

勇者「もっとこう、魔王の城らしくドラゴンとかデーモンとかが城の中にうようよのかと」

魔王「ここはペット厳禁だ」

勇者「格の違いって言葉知ってるか?」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 01:05:54.21 ID:vq5rnSGEP
太郎「お風呂が沸きましたよ」

魔王「ありがとう、さっそく頂くとしよう。勇者、貴様も入るか?」

勇者「え、い、いや俺は後でいいよ」

魔王「何を考えているのかとてもわかりやすい反応だな」

太郎「頭の中が春真っ盛りですね」

魔王「一緒に入るというのなら私は全身全霊で歓迎しよう。なんならこう胸に石鹸つけてぬるぬると」

勇者「洗濯でもするのか?」

魔王「違うだろうが。タロウくん、私の魅力をこのバカに教えてやってくれ」

太郎「洗濯板やらまな板やら、いろいろ使い道はありそうですね」

魔王「敵と味方を見誤ったか」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:07:00.39 ID:vq5rnSGEP
魔王「おい、風呂が空いたぞ。実にいい湯加減だった」ホカホカ

太郎「どうぞ、フルーツ牛乳です」

魔王「うむ、貰おう。んぐ、んぐ、んぐ、っぷはー。やはり風呂上りの一杯は格別だな!」

勇者「風呂上がりだからってタオル一枚で腰に手をあてて飲んでんじゃねえよ」

魔王「貴様はバカか?風呂上がりにフルーツ牛乳を飲むときのユニフォームはこれだと相場が決まっているだろうが」

勇者「何言ってんだ、スポーツじゃあるまいし」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:07:48.96 ID:vq5rnSGEP
魔王「いや、これは列記とした競技だ。みんなで風呂上がりに誰が一番早く飲み終わるか、昔はよくやったものだが」

勇者「みんなっつっても、ここにはお前とタロウくんくらいしか居ないだろ」

魔王「まあ、昔の話だ」

勇者「魔王もずいぶん俗っぽいんだな」

魔王「私とて一人で生きていたわけではないからな」

勇者「それはどうでもいいから、できれば早く服を着てくれ」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:09:06.89 ID:vq5rnSGEP
魔王「体の火照りが空気に触れて冷めていくのが心地良いのだ、仕方あるまい」

勇者「それでもその格好はなんというか、なぁ」

魔王「・・・・・・ふむ、欲情したか」

勇者「してねーよ」

魔王「こんなに薄い布キレ一枚の向こう側にうら若き乙女の濡れた柔肌があるのにか」

勇者「お前、何歳だ?」

魔王「生まれてから経過した年数で言うなら200と余年だな」

勇者「・・・・・・やっぱ無理だな」

魔王「世辞の一つもつかえん男は子孫を残せんぞ」

勇者「勇者と魔王の子孫なんてそれこそこしらえちゃまずいだろ」

魔王「奴隷と子孫を作る気はないから安心しろ」

勇者「くそが」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:10:01.68 ID:vq5rnSGEP
魔王「お前もさっさと風呂に入ってこい。上がる頃には私も服を着ているだろうさ」

勇者「・・・・・・なんつーか、奴隷なのに至れり尽くせりだな」

魔王「なんなら風呂の世話も私がしてやろうか?」

勇者「一人で入れるわ!じゃなくて、奴隷なのに俺はこんな待遇でいいのか?」

魔王「武器も持たん貴様など、元来た道を無事に辿ることも、ましてや私を倒すこともできんだろう?」

勇者「ぐ、歯がゆいがその通りだ」

魔王「それに、奴隷一人いたところでさせる仕事もないしな。大半はタロウくん一人で事足りている」

太郎「むしろ手が余ってるかもしれませんね」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:10:59.47 ID:vq5rnSGEP
勇者「まさかタロウくんも奴隷なのか?」

太郎「そうではなくてですね、まあ世話焼きとでもいいますか」

魔王「執事、というよりは家政夫のほうが近いか」

太郎「炊事や洗濯、部屋の掃除や庭のお手入れが日課ですね」

魔王「まあ、そういうわけだ。さっさと入れ」

勇者「それじゃあ、お言葉に甘えて」

魔王「ここまでの旅路も険しかっただろう。まずはその溜まった垢を落としてこい」

勇者「魔王からねぎらいの言葉が出てくるなんて・・・・・・」

魔王「なにより臭いからな。鼻が折れっぱなしで使い物にならん」

勇者「・・・・・・」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:11:45.80 ID:vq5rnSGEP
カポーン

勇者「な、なんなんだこの大浴場は・・・・・・」

勇者「まるで貴族御用達の高級公衆浴場じゃないか」

勇者「うおおお!お湯が・・・・・・お湯がライオンの口から滝のように出ている!なんだこれは!」

勇者「・・・・・・やばいな、このテンションはやばい」

勇者「もう、なんつーかこう、泳いでいいテンションだよなこれ。泳いでいいよな」

勇者「まさかこんな風呂に入れるとは思ってもいなかった」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:13:20.85 ID:vq5rnSGEP
勇者「町を出てからは宿無しもいいところで、ろくな生活してなかったのに」

勇者「なんだかんだでまともな食事も取れたし」

勇者「にしてもいい湯だな。体の疲れが芯から取れそうだ」

勇者「今までは川で行水でもできれば御の字だったからなあ」

勇者「・・・・・・奴隷のほうがよっぽどまともな生活しているんじゃ」

魔王「おい、勇者」

勇者「ぶっ」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:14:20.38 ID:vq5rnSGEP
魔王「そう慌てるな。どうせ湯気で貴様の姿などうすぼんやりとしか見えんわ。それよりどうだ、我が自慢の浴室は」

勇者「すごいな。さすが魔王の城だ」

魔王「そうだろう、そうだろう。ところでな、その口から水を出している獅子の彫刻だが」

勇者「これか。権力者が何を考えてこんなもん作ったのかは知らんが、とりあえずすごいな」

魔王「私は風呂に入りそれを見る度に思うのだ。さながらここはゲロの海だな、と」

勇者「・・・・・・」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:16:54.45 ID:vq5rnSGEP
魔王「・・・・・・なんだ、もう上がるのか?」

勇者「お前のせいだ。あとこっち見んな」

魔王「ふむ、意思を通わせれば相互理解に繋がると思っての言動だったのだが」

勇者「その内容がひどすぎるんだよ」

魔王「ちょっとした冗談ではないか。やれやれ、これだから都会育ちのぼっちゃんは」

勇者「お城育ちのお前に言われたくねーよ。あとこっち見んなって」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:17:51.31 ID:vq5rnSGEP
魔王「なんだ急に怒鳴り散らして。見られて困るものでもあるのか?」

勇者「いや、こまる・・・というか・・・・・・は、恥ずかしいだろうが」

魔王「・・・・・・女子か?」

勇者「知りもしないやつに裸なんて見せられるか!ましてやお前、お、女じゃ・・・・・・」ブクブク

魔王「なんだかんだで異性と意識しているのだな」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:18:55.20 ID:vq5rnSGEP
太郎「あれ、魔王様は二度風呂ですか?それに勇者さんは?」

魔王「いや、入ってないよ。ちょっと親交を深めにな。でも勇者、私が浴室を出るまで頑として湯船から出ようとしないんだ」

太郎「それは男の親交の深め方では?」

魔王「待て待て。私は断じて裸の付き合いなんてしていない。少し話をしに行っただけだ」

太郎「で、どんな話をしたんです?」

魔王「まともに会話もできなかったよ。何かとすぐに怒鳴り散らしてばかりで」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:19:43.61 ID:vq5rnSGEP
太郎「ちょっとした冗談を何度も繰り返した、とか、そんなことはありませんか?」

魔王「おお、勘が鋭いタロウくん、さすが魔王の右腕といったところか。いっそ左腕もタロウくんにしてしまいたいくらいだよ」

太郎「分担している家事の量的には既にそんな感じですよね」

魔王「これからも魔王代行をよろしく頼むよ」

太郎「牛のスネはおいしいですか?」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 01:21:01.01 ID:vq5rnSGEP
太郎「あ、勇者さん。湯加減はどうでした?」

勇者「魔王さえ来なければ素晴らしかったよ」

魔王「主人に対してその失礼な物言いはどうにかならんのか?」

勇者「原因は全部お前だろ」

魔王「そう言って貴様はなにかと私に噛み付いてくるではないか」

勇者「当然だ、お前は魔王で俺は勇者なんだから」

魔王「貴様はもう奴隷だろう。奴隷は主人の所有物。それを忘れてもらっては困る」

勇者「・・・・・・」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:22:10.60 ID:vq5rnSGEP
太郎「さすがに返す言葉がないみたいですね。まあ、そう気を落とさずに」

勇者「タロウくん・・・・・・」

魔王「まったく、こき使われて文句を吐く奴隷ならわかるが、この待遇で悪態をつく奴隷など聞いたことがないぞ」

勇者「お前が何もしなくていいと言ったんだろ」

魔王「・・・・・・なるほど、わかった。ならば後々仕事を与えよう。今日はもう寝ろ」

勇者「お、おう」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:23:19.48 ID:vq5rnSGEP
―――翌朝

太郎「お早うございます、昨夜はお楽しみでしたね」

魔王「毛布に潜り込むまではよかったんだがな。あと一歩のところで逃した」

勇者「もう少し魔王としての品格を持てよお前」

魔王「勇者から奴隷に転職したやつの台詞ではないな」

勇者「タロウくん、縄を。たのむから縄をくれ。人一人吊り下がっても切れない丈夫なやつ」

太郎「お気を確かに。傷は浅いです」

魔王「まったく、本来なら奴隷がすすんで夜伽に来るというのに。どうして主人の私が自ら・・・・・・」

勇者「いつから俺は性奴隷になったんだ」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:25:19.38 ID:vq5rnSGEP
魔王「貴様が仕事を欲しいと言ったのだろうが」

勇者「奴隷の子供を作る気はないんじゃなかったのか」

魔王「案ずるな、そもそも私は子供を授かれる体ではない」

勇者「・・・・・・まあ、確かに、発育は少し遅れてそうだな」

魔王「胸を見るな胸を。そういう身体の成長の話ではなく、そもそも人の子を孕むことはない、ということだ」

勇者「ああ、わかった。わかったから、とりあえず早くネグリジェの上に何か着てくれないか?」

魔王「私の普段着は貴様が着ているではないか。それにほら、太郎くんなんかパンツ一丁だぞ」

太郎「いいえ、これは水着です」

勇者「お前らの普段着はいちいちおかしい」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:25:46.98 ID:vq5rnSGEP
魔王「ほれ、着替えてきたぞ。これで文句はあるまい」

太郎「また懐かしいのを引っ張り出して来ましたね」

勇者「昨日のいかにも魔王って感じの服じゃないのか?というか、もこもこしてるが、なんかパンツみたいだな」

魔王「ここぞというときの一張羅を毎日着ることなどできるか」

勇者「見栄張ってたのか」

魔王「やかましい」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:26:31.83 ID:vq5rnSGEP
勇者「しかし、見たこと無い服だな。なんていうんだ?それ」

魔王「うむ、『体操服』と『ぶるま』というらしい」

勇者「聞き慣れないな」

太郎「なんでも、ほとんど流通していないロストテクノロジーのレアアイテムだそうです」

勇者「昔の人間の考えることはよくわからん」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:30:22.07 ID:vq5rnSGEP
魔王「さて勇者、待ち望んだ仕事を与えてやる。貴様がさんざん荒した居間の掃除だ」

勇者「だから魔王もそんな服に着替えたのか」

魔王「そういうことだ。これなら動きやすいし、多少汚れても構わんからな」

太郎「しかしこれは・・・・・・嵐でも通り過ぎたような惨状ですね」

魔王「うむ。とはいえ、貴様一人にやらせると何年掛かるかわからんからな。私とタロウくんも手伝ってやる」

勇者「素直にありがとうございますと俺が言いたくなる言い方はないのかお前」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:31:49.63 ID:vq5rnSGEP
魔王「貴様に言葉を選んでやる道理などないわ」

太郎「言い合いは一旦休止して、そろそろ部屋を片付けましょうか」

魔王「だな。ドアや椅子は適当に使われてない部屋のものから拝借するとしよう」

太郎「とりあえず壊れたものや要らないものは全部廊下に出しちゃいましょう」

魔王「それではさっそく始めようか」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:32:28.18 ID:vq5rnSGEP
魔王「・・・・・・そのポーズはなんだ」

勇者「ああ、掃除してたら誰かの冒険の書が出てきてな、それに載ってた」

魔王「生理的に近づきたくない雰囲気が出ているんだが」

勇者「鏡の前でやってみて同じ感想が出た」

魔王「で、いつまで続ける気だ」

勇者「ドドドドドドド」

魔王「どうした」

勇者「攣った」

魔王「貴様、さてはバカだな」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:33:09.04 ID:vq5rnSGEP
勇者「ん、これは・・・・・・写真か」

勇者「魔王が小さい頃のやつか。・・・どう見ても人間にしか見えないな。隣のもそうだし」

魔王「おい勇者、さぼってないでこのテーブルをそっちから持ち上げろ」

勇者「ああ、すまん」

勇者「しかし、このペースで今日中に終わるのか?人手が足りないんじゃ」

魔王「むしろ余っている、と言っていたであろう。見てみろ」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:33:41.47 ID:vq5rnSGEP
太郎「・・・・・・私の顔に何かついてます?」

勇者「あんなでかいもんを背負って平然と走り回るとは」

魔王「よく見ておけ。あれが貴様との戦いでは見せることのなかったタロウくんの本来の力だ」

勇者「お前よりもタロウくんのほうが強そうだな」

魔王「バカをぬかせ。王の側近がこの程度のこと、出来て当然だろう」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:35:11.52 ID:vq5rnSGEP
勇者「じゃあお前は何かできるのか?」

魔王「私が本気を出せばなんでもできる」

勇者「使い古された常套句だな」

魔王「いや、できる。魔王に二言はない」

勇者「じゃあ出せよ本気。ほら、出してみろよ」

魔王「気分ではない」

勇者「働け」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:35:39.07 ID:vq5rnSGEP
魔王「うむ、なんとか日暮れには間に合ったな。上出来だ」

勇者「魔王が不貞腐れて掃除放棄したおかげで倍疲れたぞ」

魔王「貴様の余計な一言が私の逆鱗に触れたのだ」

太郎「まあまあ、いい運動になったじゃないですか。おやつを用意したので、どうぞゆっくりしてください」

勇者「働かざるもの食うべからずだからな」

魔王「奴隷を見張る仕事をしていた」

勇者「寝てたじゃねーか」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:37:07.79 ID:vq5rnSGEP
魔王「ぐちぐちと煩わしいやつだ。全て貴様一人にやらせてもよかったのだぞ」

太郎「すみません、魔王様は昼寝の習慣があるもので」

勇者「昼寝って。200年生きてる魔王のくせに子供と変わらねーな」

魔王「・・・・・・」ドグシャアッ

魔王「おっと、戸棚が壊れてしまった。勇者、片付けておけよ」

勇者「・・・・・・」

太郎「あらら。勇者さん、私も手伝いますから。一人でやるよりも二人のほうが」

魔王「タロウくんは晩餐の用意を頼む。腹の虫がイナゴの群れのようだ」

勇者「・・・・・・タロウくん、気持ちだけ受け取っておくよ」

太郎「う・・・・・・すみません」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:37:38.34 ID:vq5rnSGEP
魔王「まったく。タロウくんは勇者に甘すぎる」

太郎「すみません、そういう性分なもので」

魔王「甘やかしてばかりだとろくな人間にならないと思う」

太郎「・・・・・・なるほど、確かに」

魔王「ちょっと待って、なんで私を見る?こら、目を逸らすな」

太郎「自覚、あるんですね」

魔王「タロウくんはもう少し私の扱いも考え直して欲しい・・・・・・」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:41:10.25 ID:vq5rnSGEP
勇者「つ、疲れた・・・・・・」

魔王「ご苦労。奴隷として働いた実感はどうだ?」

勇者「片付けさせられただけじゃねーか」

太郎「ごはんにします?お風呂が先のほうがいいですか?」

勇者「まだいいよ。それより」

魔王「なるほど、私か」

勇者「それより少し横になりたい」

魔王「そして私が添い寝を」

太郎「だいぶ疲れてるみたいですね。ゆっくり休んでください」

勇者「ありがとう、おやすみ」

魔王「・・・・・・」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:42:46.58 ID:vq5rnSGEP
魔王「・・・・・・突っ込む気力すらないとは。脆弱にもほどがある」

太郎「まあまあ、勇者さんは人ですから」

魔王「むぅ…・・・。でも若かりしタロウくんはもう少し元気だったと思う」

太郎「私はもとからわりと体力には自信がありましたから」

魔王「そういえば体型はあまり変わってないような」

太郎「いや、さすがにもう少しスマートだったかと・・・・・・」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:43:51.90 ID:vq5rnSGEP
太郎「そうだ、片付けしてる最中にこんな写真が出てきましたよ」

魔王「どれどれ。おお、懐かしいなあ。何年前の?」

太郎「まだ他の方々がいる頃ですね。ざっと200年未満ってところですか」

魔王「というと、私がまだこうなる前のときか」

太郎「そうですね、ほら、服もちゃんと神官のやつですよ」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:44:20.24 ID:vq5rnSGEP
魔王「タロウくん、ちょっとそこに写真と同じ姿勢で立ってみて」

太郎「えっと、こんな感じですか?」

魔王「・・・・・・うん、やっぱり体型はあまり変わってないよ」

太郎「・・・・・・昔の甲冑でも着てみます?」

魔王「それだとミノタウロスというより牛魔王な感じ」

太郎「やり切れる自信がないのでやめておきます」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:45:28.92 ID:vq5rnSGEP
―――翌日

太郎「ふんっ!」

勇者「ぐああっ!」

太郎「はっ!」

勇者「や、やめてくれ!かんべんしてくれ!」

太郎「決してやめません、あなたはそれだけのことをしたんですっ!」

勇者「ぐ、ううっ・・・・・・」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:46:09.41 ID:vq5rnSGEP
魔王「ふん、無様だな勇者よ。そうして虫けらのように這いつくばることしかできんか」

勇者「くそがーっ!」

太郎「あーほら、ここもすごいこってますよ。ふんっ!」

勇者「   」

魔王「これが声にならない悲鳴というやつか」

太郎「勇者さん昨日頑張ってましたからねー」

勇者「タロウくん、もう少しだけ優しく頼む。圧されるたび喉まで酸っぱいものがせりあがるんだ」

太郎「え?なんですか?」

勇者「お、お願いだからもう少しだけやさしくぁwせdrftgyふじこlp;」

魔王「え、ちょ、いやああああああ!」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:46:55.24 ID:vq5rnSGEP
勇者「ふー、さっぱりした」

太郎「本当にすみません、まさかこんなことになるとは・・・・・・」

勇者「気にするなタロウくん、でも次はもう少し手加減してくれ」

魔王「筋肉痛の上に吐瀉物まで撒き散らすとは・・・・・・。貴様、それでも勇者か?」

勇者「まあ、成り行きでなったようなもんだからな」

魔王「適当にあてがわれた勇者が魔王を倒せるとでも思っているのか、人の王は」

勇者「太郎くんよりお前のほうが強いっていうなら無理だろうな」

魔王「ふん、私も甘く見られたものだな」

太郎「まあまあ、どっちが強いなんてどうでもいいじゃないですか、穏便にいきましょうよ」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:47:21.06 ID:vq5rnSGEP
勇者「・・・・・・なあ、タロウくん」

太郎「なんでしょう」

勇者「実はきぐるみで中は普通・・・・・・いや、だいぶ良心的な人間が入ってたりとか」

太郎「うーん・・・・・・当たらずも遠からずというかなんというか」

魔王「半分人だしな」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:47:57.88 ID:vq5rnSGEP
太郎「自分で言うのもなんですけど不思議ですよねーこれ」

勇者「俺が言いたいのはそういうことじゃなくて」

魔王「ケンタウロスのケンタちゃんと配合すれば人が生まれるんじゃないか」

太郎「おみあいすれば人と牛が生まれてお得ですね」

勇者「違うだろ?なあ、そういう話じゃないだろ?」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:53:21.43 ID:vq5rnSGEP
魔王「さて、また何もすることがなくなってしまった」

勇者「魔王ってもっとばりばり働いてるのかと思ってたんだが」

魔王「ほう、どんな想像をしていたのだ?」

勇者「そりゃあ魔王っていうくらいだから、人の国を攻める策略とか、より強力な魔物の育成とか、いろいろあるだろ」

魔王「すこぶる物騒な印象だな」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:54:06.62 ID:vq5rnSGEP
勇者「魔物の支配者で人間を苦しめる悪の権化って話だったからな」

太郎「噂って怖いですね」

勇者「そうそう。だから実を言うと少し拍子抜けしてる」

太郎「基本的に魔王様は毒気はあっても実害はないですからね」

勇者「そうなんだよな。捕まったときは食われるかと思ったが」

魔王「仮にも王だぞ。そんな粗野な人間なわけがなかろう」

勇者「人間じゃあないだろう人間じゃ」

魔王「む、そうだったな」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:54:55.27 ID:vq5rnSGEP
勇者「まあ、見た目は確かに人間と大差ないが・・・・・・」

太郎「見た目はそうかもしれませんが、魔法に関して言えば魔王様と肩を並べられる人はいないでしょうね」

勇者「魔王ってそんなに凄かったのか」

魔王「元は神学に務めた身だからな」

勇者「神学っていうと、精霊と対話するっていうあれか?」

太郎「勇者さんは神学をご存知で?」

勇者「ああ、人の国ではもう廃れた学問だよ。今じゃ誰も精霊や神の存在なんて信じちゃいない」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:55:21.36 ID:vq5rnSGEP
魔王「対話しようとしても応じてくれる精霊がいなければどうしようもない、か」

勇者「なんだ、魔王は精霊やら神やら信じてるのか」

魔王「無論だ。見えぬもの、感じぬものを全て否定するのは愚直すぎるとは思わぬか?」

勇者「見えも感じもしないものは無いのと変わらないだろ?」

太郎「勇者さんは現実主義者なんですね」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:55:51.33 ID:vq5rnSGEP
勇者「少なくとも理想論を語る気はないね」

魔王「それなのに単身魔王の居城に乗り込んでくるとはな。貴様の行動は私には理解できん」

勇者「旅の途中の魔物よりも、このあたりの魔物のほうが明らかに弱かったからな。魔王ももしかしたらと思ったんだが」

魔王「ほう、そうなのか」

勇者「そうなのかって、お前は知らないのか?」

太郎「魔王様は全く城を出ませんからね」

勇者「道理で無駄に肌が白いわけだ」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:56:45.89 ID:vq5rnSGEP
魔王「無駄と言うな無駄と。洗練された白さが貴様にはわからんのか」

勇者「たまには外に出ろよ。足腰立たなくなっちまうぞ」

魔王「今私を老人扱いしたな?」

太郎「まあ、勇者さんの言う通り少しは運動したほうがいいかもしれませんね。魔王様も久しぶりに外に出てみては?」

魔王「いや、しかし私はここを離れるわけにはだな」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:57:13.94 ID:vq5rnSGEP
太郎「一日二日程度なら多分大丈夫ですよ、勇者さんもああ言ってますし」

魔王「ふむ・・・・・・なら、ひばりの丘までだ。それ以上遠くには行かんぞ」

太郎「でしたら、せっかくなので私はお弁当作りますね」

勇者「タロウくん、俄然張り切ってるな」

太郎「遠足ってそういうものですよ」

魔王「遠くにはいかないからな」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:57:48.04 ID:vq5rnSGEP
勇者「しかし、丈の足りない服で外に出るのは少し気が引けるな」

太郎「勇者さんが鎧の下に着てた服なら、もう洗濯してありますよ」

勇者「うわ、皺もちゃんと伸ばされてる。まさか洗ってくれてるなんて」

魔王「汚物をそのまま放置するわけにもいかんだろう」

勇者「確かに汚かったけどな、汚物って言うなよ。今からこれ着るんだから」

太郎「武具はさすがに渡せないですけどね。ちゃんと保管していますから安心してください」

勇者「ほとんど手入れらしい手入れもしてなかったから、むしろありがたいよ」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:58:19.30 ID:vq5rnSGEP
太郎「それじゃあ私はお弁当作ってきます。ささっと作ってしまいますので、適当に時間を潰しててください」

勇者「適当に時間潰しててと言われても、特にやることないんだが」

魔王「ならば城を案内してやろうか?」

勇者「珍しく優しい言葉だな」

魔王「知らぬうちに迷子になった奴隷が城内で行き倒れていた、なんて話は御免だからな」

勇者「さすがにそこまではねーよ・・・・・・。でもまあ、せっかくだから頼むわ」

魔王「案内といっても、まともに使える部屋はほとんどないがな」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:58:59.09 ID:vq5rnSGEP
魔王「ざっとこんなところだ」

勇者「思ったよりも簡単な構造なんだな」

魔王「住まいを迷宮のようにしても不便なだけだろう」

勇者「それもそうだ」

魔王「ああ、それとそこの突き当たりの大扉は開けるなよ」

勇者「扉の向こうの部屋はなんなんだ?」

魔王「部屋ではない、中庭だ。ただ、毒を持つ植物や他の生物に寄生する虫がいてな」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 01:59:27.32 ID:vq5rnSGEP
勇者「そんな物騒なもん中庭で育ててるのかよ・・・・・・」

魔王「勝手に自生したのだ、仕方あるまい」

勇者「でも、タロウくんは庭の植物の世話もしてるんだろ?大丈夫なのか?」

魔王「あー、あれはああ見えてすこぶる頑丈だからな。むしろ喜び勇んで食んでいるかもしれん」

勇者「頭は牛だし、違和感はないな」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 02:01:10.67 ID:vq5rnSGEP
魔王「それと最後にもう一つ部屋を教えてやる」

勇者「今度はなんの部屋だ?」

魔王「私の部屋だ」

勇者「お前の部屋は玉座の間の階段上ったところじゃないのか?」

魔王「あれはあれで寝室の体こそ取ってはいるが、どうにも部屋が広過ぎてな」

勇者「ああ、確かに広い部屋は落ち着かない」

魔王「うむ。だから普段はこの部屋を使っている。ここで暫し待て」

勇者「ああ」

魔王「間違ってもノックもなしに入る、なんて愚行は犯すなよ」

勇者「入らねーよ」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 02:02:08.70 ID:vq5rnSGEP
勇者「・・・・・・なあ」

魔王「なんだ」

勇者「お前、いつから魔王をしているんだ?」

魔王「そうだな・・・・・・かれこれ200年くらいか」

勇者「じゃあ、生まれたときからずっと魔王を?」

魔王「先程タロウくんが言っていたように、一応は神官だったのだ。その後一悶着あって、それからずっとだな」

勇者「他にもお前やタロウくんみたいな話せる魔物はいるのか?」

魔王「さあ、どうだろうな。会ったことはないが、もしかしたらいるかもしれんな」

勇者「魔王のわりにはだいぶ適当なんだな」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 02:02:41.04 ID:vq5rnSGEP
魔王「魔王が精力的に働いて困るのは人間なのだろう?私が魔王で良かったではないか」

勇者「確かに、それもそうだな。タロウくんは複雑な気持ちだろうが」

魔王「さて、準備できたぞ。扉を開けろ」

勇者「まったく、お姫様かっての。・・・・・・そういやお姫様だったな。ほらよ」

魔王「・・・・・・」

勇者「・・・・・・ん?どうした?」

魔王「・・・・・・」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 02:03:11.26 ID:vq5rnSGEP
勇者「なんで黙るんだよ」

魔王「『すごく似あってますよ』とか、『素敵です』とか、主人が召し物を変えたのだから先に色々と言うことがあるだろうが」

勇者「あー、はいはい、可愛い可愛い」

魔王「なんだその投げ槍な感じは。それに人と話すときはちゃんと顔を見るものだろうが。おい、聞いているのか、おい!」

勇者(やばいワンピースはやばい顔が熱い完全に女の子だよこれやばい)
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 02:03:37.71 ID:vq5rnSGEP
太郎「これだけあればお弁当は十分でしょうか」

太郎「最初は勇者さんが来てどうなることかと思いましたが」

太郎「いやはや、賑やかになったものです」

太郎「あんなに楽しそうに笑っているのを見るのは何十年ぶりでしょうか」

太郎「さて、二人を呼びに行かないと」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 02:04:06.20 ID:vq5rnSGEP
太郎「お二人とも、お弁当の準備ができましたよー」

勇者「よし、それじゃあ行くか」

太郎「おや、魔王様は着替えられたのですね。とてもよく似合ってますよ」

魔王「うむ、さすが太郎くんだな。よく判っている」

太郎「? なにがです?」

勇者「気にするな、こっちの話だよ。それより凄く良い天気だな」

太郎「ええ、太陽が気持いいですね」

魔王「うう、日光が目に痛い・・・・・・」
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 02:04:35.59 ID:vq5rnSGEP
勇者「で、ひばりの丘ってのはどの辺りなんだ?」

太郎「あそこにやぐらが立っている丘が見えるでしょう?あそこです」

勇者「ほんとに目と鼻の先だな」

太郎「ええ、だからちょっとした散歩のようなものです」

魔王「あまり遠くに離れるわけにも行かないからな」

勇者「なんで魔王はそんなに外に出るのが嫌なんだ?」

魔王「城から出たところで特に何かあるわけでもなし、出る必要もないだろうが」

勇者「いや、だから運動をだな」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 02:05:09.16 ID:vq5rnSGEP
太郎「実は魔王様、極度の方向音痴でして」

魔王「タロウくん?」

勇者「しかしこのあたりには谷や森なんて迷いそうな地形は無いが」

太郎「ええ、私も最初はびっくりしましたよ。城内でもよく迷子になられていたものです」

魔王「ちょ、タロウくん?」

勇者「へぇ、魔王にそんな時期がねえ・・・・・・行き倒れにならなくてよかったな、魔王」

魔王「あー、こんなところに綺麗な花が咲いているなあ」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 02:45:16.49 ID:wbrZFPq7o
タロウ君いいなぁ
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:01:29.62 ID:vq5rnSGEP
勇者「来たときには気づかなかったが、すぐそばに町があったんだな」

太郎「あれは町ではなく廃墟・・・・・・いや、遺跡といったほうが正しいですね」

勇者「ちょっと寄ってもいいか?」

魔王「駄目だ」

勇者「なんでだよ」

魔王「あそこは今やドラゴンの巣だ。もし襲われても、丸腰のお前を守ってやれる保証はないぞ」

勇者「それじゃあ仕方ないか。しかしああいうのを見ると、こう、お宝とかある気がしてうずうずするんだよな」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:02:01.68 ID:vq5rnSGEP
魔王「前々から思っていたが、お前本当に勇者か?」

勇者「なんだよいきなり」

魔王「城の宝箱の中身も盗っていたし、本当は空き巣や泥棒の類ではないのか?」

勇者「そりゃ魔王の城だから立派な盾や剣があるかもと思ってだな」

魔王「どうせ勇者の地位にかこつけて他の人家の壺や箪笥も漁っていたのだろう?この外道が」

勇者「やってない、他の勇者は知らんが俺はやってないからな!」
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:02:27.41 ID:vq5rnSGEP
太郎「勇者さんの他にも勇者がいるんですか?」

勇者「ああ、昔は数撃ちゃ当たるだろうということで大量に募集を掛けていたらしい」

魔王「何処の馬の骨とも知れん勇者が大量にいたわけか」

勇者「ああ、でもやっぱ悪いやつもいてな、立場を利用してやりたい放題だったらしい」

魔王「何年経っても救いようのない人間は涌くものだな」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:03:19.43 ID:vq5rnSGEP
勇者「否定はしない。それで今は勇者を名乗れる者を一人だけ選定しているわけだ」

太郎「その選ばれた勇者というのが勇者さんなんですね。立派じゃないですか」

勇者「少しは見直したか?」

魔王「そのたった選ばれた勇者が魔王と肩を並べてのんびり散歩とは、なんとも世知辛い世の中だな」

勇者「・・・・・・」
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:03:52.14 ID:vq5rnSGEP
太郎「さあ、ここが丘の頂上です」

勇者「けっこう見晴らしがいいんだな。やぐらもなかなか立派じゃないか」

太郎「ええ、これに登ればもっといい眺めですよ」

勇者「このハシゴ、登ってる途中で崩れたりしないよな?かなり古そうだが・・・・・・」

太郎「では、私が最初に登りましょうか。一番重いでしょうし」

勇者「申し訳ないがそうしてくれ」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:04:37.15 ID:vq5rnSGEP
太郎「ここに登るのは何年ぶりでしょうか・・・・・・よいしょっと」

勇者「あの図体であの身のこなしは凄いな」

魔王「我が腹心たる者、あれくらいできて当然だな、うむ」

勇者「じゃあ次は俺の番だな。よっと」

太郎「おお、勇者さんもなかなか」

勇者「ガキの頃はよく木登りとかやってたからな。懐かしいよ」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:05:23.03 ID:vq5rnSGEP
魔王「全く、まるで猿だな。んしょ」

勇者「・・・・・・おい、2歩目はどうした」

魔王「いや、足を上げるとな、スカートの中がすーすーして気持ち良くてな」

勇者「お前本当に恥を知れよ」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:05:54.72 ID:vq5rnSGEP
勇者「しかし、本当にいい眺めだな。あれは魔王の城だよな?」

魔王「ああ、そしてあそこが先程の遺跡、反対側の地平の先がお前らが住む人の地だ」

勇者「随分と遠くまで来たもんだ」

太郎「勇者さんは故郷が懐かしくはないんですか?」

勇者「生まれ故郷はドがつく田舎の農村でな、人の流出が止まらず廃村になっちまった。かといって育った都には大した思い入れもないし」

魔王「それはなんとも寂しい話だな」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:06:34.87 ID:vq5rnSGEP
勇者「なんだ、同情でもしてるのか?」

魔王「お前にではない、村のほうにだ。祀られた精霊もいたのだろう?」

勇者「祠はあったな。あんまり人が訪ねているのを見ることはなかったが」

太郎「では、勇者さんは頻繁に?」

勇者「頻繁といっても週に1度くらいだ。祠の近くはなんとなく落ち着いてな」

魔王「いい場所だったか?」

勇者「まあ、お気に入りだな。今はどうなっていることやら」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:07:57.95 ID:vq5rnSGEP
魔王「では、お前のためにも私の奴隷にその祠の修繕に行かせよう。感謝するがよい」

勇者「つまり俺じゃねーか」

魔王「お気に入りの場所なのだろう?たまには顔を出してもよかろう」

勇者「顔を出すってのは変だろ、誰もいないのに」

魔王「案外お前のことを待っているかもしれんぞ?小人さんとか、妖精さんとか」

勇者「お前バカにしてるだろ」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:08:26.69 ID:vq5rnSGEP
太郎「さて、そろそろお弁当にしましょうか」

勇者「おお、これはまるでサンドイッチのような・・・・・・サンドイッチだな」

魔王「野外で食べる定番だな」

勇者「城の近くに畑なんてあったか?この葉なんか、まるで朝摘みのような瑞々しさだ」

太郎「お城の中庭に畑がありまして。自家栽培なんですけどね、本当に美味しいんですよ」

勇者「・・・・・・おい魔王」

魔王「なんだ」

勇者「中庭の野菜、食べても大丈夫なのか?」

魔王「草食動物が選んだ野菜が毒を持っているわけがなかろう」

太郎「しかも半分人だから間違いありませんよ」

勇者「なんだろうこの妙な説得力は」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:08:55.54 ID:vq5rnSGEP
勇者「うまい」

魔王「うむ、粗野にして美味である」

太郎「口にあったようで、何よりです」

勇者「しかし、魔王の居城の周りがこんなにものどかな所だったとは」

太郎「昔はもっと凶暴な魔物がうようよしてたんですよ。まあ200年も前の話ですが」

勇者「羨ましい話だ。地平の向こうではまだ魔物がうようよしてるってのに」

魔王「これも一重に私のお陰だな」

勇者「お前は何もしてないんだろ」

魔王「何を言うか、今もこうして私が呼吸する度に空気が清浄化されてだな」

勇者「どんな魔王のブレスだよ」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:11:17.57 ID:vq5rnSGEP
勇者「東・・・・・・俺たち人間が住んでいる土地も、剣や盾を持たずに外を出歩ける日は来るのだろうか」

魔王「さあ、どうだろうな」

勇者「魔王には関係のない話、か」

魔王「私にはどうしようもないからな」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:11:50.99 ID:vq5rnSGEP
太郎「話し込んでいるところ申し訳ないのですが」

魔王「どうしたタロウくん」

太郎「実は食事に使う香料が切れかけておりまして、ちょっと採ってきてもいいですか?」

魔王「ああ、存分に採ってきてくれ。今夜の晩餐は期待してもいいのだな?」

太郎「ええ、それはもう腕によりをかけて作りますよ。では行ってきますね。よいしょっ」

勇者「・・・…この高さを飛び降りるとは、本当に脅威の身体能力だな」

魔王「魔物とは本来そういうものだ。常識の範疇に捉えることはできん」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:12:18.19 ID:vq5rnSGEP
勇者「なら、やっぱり魔王も本気を出すと凄いのか?」

魔王「そう言っていたではないか。私が本気を出すと凄いぞ、あの城一帯全て焼け野原だ」

勇者「でも城はまだ立派に残ってるぞ」

魔王「火を起こして風呂を沸かすことができるし風を起こして洗濯物を乾かすこともできるぞ」

勇者「・・・・・・」

魔王「他にも土を動かして地面の凸凹を平らにできるし水を操作して美味しくすることもできる」

勇者「まあ、凄い、というか便利だな」

魔王「そうだろうそうだろう」

勇者「で、いつ働くんだ?」

魔王「時が満ちるのを待て」

勇者「時が満ちる前に俺は死んでるだろうな」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:12:48.63 ID:vq5rnSGEP
勇者「なぁ、思ったんだが」

魔王「どうした、股から棒に」

勇者「出してねえよ」

魔王「いちいち戯言に反応するな小物めが」

勇者「お前ほんとに腹立つな」

魔王「す、すまん、本当に短小だったのか」

勇者「股から離れろ」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:13:23.18 ID:vq5rnSGEP
魔王「いいから続きを早く話せ。聞く耳を持つのも疲れる」

勇者「ああ、俺は今奴隷なんだよな?」

魔王「無論だ」

勇者「奴隷が普通に、魔王と話して、飯食って、風呂に入れて、ゆっくり休めるベッドがあって、散歩して」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:56:30.80 ID:vq5rnSGEP
勇者「まるで俺は、お前らの家族のようじゃないか」

魔王「嫌か?」

勇者「嫌ってわけじゃないが」

魔王「それならば何も問題はなかろう」

勇者「だが、仮にも俺は勇者だぞ」

魔王「ふむ・・・・・・貴様の言いたいことはわかった」

魔王「ならば居候ということで」

勇者「お前何もわかってねーな」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:57:17.11 ID:vq5rnSGEP
勇者「仮にも勇者として、人々の希望を背負った身なんだ」

魔王「物の見事に裏切っているな」

勇者「・・・・・・痛いところを突くな」

魔王「だが、それは人間が全ての責任をお前に押し付けた、とも言える」

勇者「それでも俺は・・・・・・勇者なんだよ」
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:57:44.69 ID:vq5rnSGEP
魔王「で、その勇者というのは具体的に何をするのだ?」

勇者「そりゃまあ、魔王を倒して世界を平和に」

魔王「私を倒したところで、世界は何も変わらんよ」

勇者「え?」

魔王「貴様の国では、王が死ねば盗みや殺人はなくなるのか?」

勇者「それは・・・・・・」

魔王「答えられない、か。まあいい。それは人も魔物も同じこと」

魔王「そもそも、私が魔物を扇動したことなど、ただの一度もない」
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:58:10.16 ID:vq5rnSGEP
勇者「それじゃあ、人を襲う魔物はなんなんだよ」

魔王「より強い者が、自分よりも力の無い者を食う。それが自然の摂理だろうが」

勇者「なら、俺がやろうとしてたことは・・・・・・」

魔王「無駄、の一言に尽きるな」

勇者「・・・・・・」
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:58:37.50 ID:vq5rnSGEP
魔王「少しは喜べ、これで私と貴様が争う理由は無くなったというわけだ」

勇者「そりゃそうだが」

魔王「まだ王族と奴隷という身分の壁はあるが、そんなものはもはやどうでもいい」

勇者「・・・・・・おい」

魔王「いや、むしろあったほうがより燃え上がるというべきか。障害が大きければ大きいほどそれを乗り越えたときの感動は凄まじいだろう」

勇者「おい」

魔王「なんだ、人が気持ちよく能弁を振るっているというのに」

勇者「方向性が少しおかしくなってきてるぞ」

魔王「理想を語るのもまた権力者の務めだからな」
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 04:59:33.98 ID:vq5rnSGEP
魔王「それよりも、じきに日が暮れる。私はそろそろ帰りたいのだが」

勇者「ああ、もうそんな時間か。でもタロウくんがまだ戻ってきてないが」

魔王「タロウくんならさっきから下で草を食んでいるぞ?」

勇者「ぶっ」

魔王「話を割って入れるような性格ではないからな。もう少し図々しくなっても誰も文句は言わんのに」

太郎「おや、もうお話はお済みですか?」モシャモシャ

魔王「ああ、気を遣わせて済まないな。大した話ではなかったのだが」

太郎「ええ、ではそろそろ帰りましょうか。今日の晩御飯、楽しみにしててくださいね」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:00:27.31 ID:vq5rnSGEP
勇者「・・・・・・大した話じゃない、か」

魔王「どうした?そんなに深刻な顔をして」

勇者「確かにお前にとってはどうでもいい話かもしれん。けどな、俺にとってはこれ以上ないほど重要な話なんだよ」

魔王「人の周りに出る魔物のことか?」

勇者「ああ。お前に当たり散らしても仕方がないんだろうが」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:00:53.57 ID:vq5rnSGEP
魔王「どうにかできんこともない」

勇者「え?」

魔王「魔物がいなくなる、とまでは言わんが、少なくともこの辺り一帯のように魔物の凶暴性を抑える方法はある」

勇者「そんな方法があるなら最初から教えてくれれば・・・・・・」

魔王「・・・・・・なるほどな」

勇者「? なんだよ、お前こそそんな顔して」

魔王「気にするな。続きは城に戻ってから話そう。腹も空いたしな」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:01:22.12 ID:vq5rnSGEP
勇者「ごちそうさま」

魔王「ご馳走様でした」

勇者「・・・・・・で、なんなんだよ、その方法ってのは」

魔王「うむ。タロウくん、人造摩渦の資料をここに」

太郎「また随分と古いものをお探しですね」

魔王「ああ、処分せずに取っておいてよかったよ、全く」
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:01:53.62 ID:vq5rnSGEP
勇者「ジンゾウマカ?」

魔王「何百年も昔に使われていた魔法の道具だ。魔素というのを聞いたことがあるか?」

勇者「それならなんとなく。自然界の代謝物で、魔法を扱うためのエネルギー・・・・・・だよな?」

魔王「その通りだ。人造摩渦はそれを蓄えるためのタンクだな」

勇者「それと魔物の被害が減るのと、どんな関係があるっていうんだ?まさかその装置で強力な魔法でも使えってのか?」

魔王「ことはそう単純ではないのだ。ともあれ、お前は初めてその名を聞いたのだろう?使い方について説明するわけにはいかん」

勇者「なんだそりゃ。じゃあなんでわざわざそんな羊皮紙の束を用意したんだよ」
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:02:19.62 ID:vq5rnSGEP
魔王「うむ。これをお前の国の王に渡してほしい。それがお前の仕事だ」

勇者「魔王に渡してくれと頼まれた、なんて言えるわけないだろ」

魔王「ああ、だからこの城はもぬけの殻で、城内を探索してこれを見つけたことにしろ」

勇者「俺に嘘を吐けと?」

魔王「バカ正直に魔王に完膚なきまでやられて奴隷をしていましたと言いたければ言うがいい」

勇者「それは・・・・・・」

魔王「いいか?西の果てには廃墟のような古城があったが、そこはもぬけの空で、お前はこれを見つけて持ち帰った。それで終いだ」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:02:46.15 ID:vq5rnSGEP
勇者「でも、この資料に使われている文字、見たこともないぞ」

魔王「ふむ、それならばこれはどうだ?」

勇者「指輪?お前がはめている指輪がどうかしたのか?」

魔王「・・・・・・お前、自分の国の王の名を覚えているか?」

勇者「・・・・・・」

魔王「少しは自分の国の政治に興味を持とうな」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:04:22.38 ID:vq5rnSGEP
勇者「本当にこの資料さえあれば、魔物の被害が抑えられるのか?」

魔王「あくまでも可能性だがな」

勇者「そうか、これさえあれば・・・・・・」

魔王「今の私にできる手助けはそこまでだ。あとはお前がどうするかだ、勇者」

勇者「ああ、早くこれを持って帰らないとな」

魔王「すぐに発つのか?」

勇者「さすがに日が落ちているから今日は無理だな。お前が許すのなら、明日の朝にでもどうだろう」

魔王「いちいち私の許可を取る必要もあるまい」

勇者「一応俺は奴隷で、お前は主人なんだろう?」

魔王「そうか、そうだったな。うむ、許可する。お前の武具や道中必要なものは用意させよう」

勇者「まさか魔王討伐に来たはずが、魔王の助力を受けることになるなんてな」
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:04:56.50 ID:vq5rnSGEP
魔王「論より証拠、一見は百聞に然ずということだ。私とて平和に暮らせるのならばそうしていたいからな」

勇者「色々と気に食わないことはあるが、本当にこれだけは感謝するよ」

魔王「私はお前のその言い分が気に食わない。明朝に発つのだろう?明日に備えて今日はもう寝ろ」

勇者「ああ、そうさせてもらうよ。本当にありがとうな」

魔王「やめろ気持ち悪い」
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:06:41.81 ID:vq5rnSGEP
―――翌日


太郎「魔王様、勇者さん、お早うございます。朝食と旅路の準備は既にできていますよ」

勇者「ありがとう。タロウくんには本当に最初から最後までお世話になることしかなかったな」

太郎「いえいえ、客人が来ることなんて無かったですからね。私も楽しかったですよ」

魔王「これで洗濯物も食事の準備もだいぶ楽になるな」

勇者「お前は寝てるか冗談かましてるかのどっちかだっただろうが」
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:07:12.08 ID:vq5rnSGEP
勇者「それにしても、これでタロウくんの食事も食べ納めか。しっかり味わわないとな」

太郎「勇者さんが一杯食べてくれるので、私も作り甲斐がありましたよ」

勇者「毎日が騒がしかったから、よく腹が空いたもんだよ」

魔王「これでようやく城にも落ち着きが取り戻されるな」

太郎「ええ、少し寂しくなってしまいますね」

勇者「タロウくん・・・・・・」

魔王「泣くか?泣くのか?ハンケチを貸してやろうか?」

勇者「お前少し黙れ」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:07:46.75 ID:vq5rnSGEP
魔王「ご馳走様でした」

勇者「はあ、美味かったなあ。ごちそうさまでした」

太郎「お粗末さまでした。それはそうとですね」

勇者「ん、どうしたんだ?」

魔王「お、これは流れ的にデザートか?」

太郎「昨晩はお楽しみでしたね」
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:08:18.54 ID:vq5rnSGEP
勇者「?!」

魔王「・・・・・・」

太郎「・・・・・・え、なんですか、なんなんですかその反応は。ちょっと、魔王様?」

勇者「冗談だよ冗談」

魔王「うむ」

太郎「もう、びっくりさせないでくださいよ。それと魔王様」

勇者「今度はなんだ?」

太郎「今日はやけに寝付きが良かったみたいですね。毎日蹴り飛ばされているシーツが今朝は整えたかのように綺麗でしたが」

魔王「・・・・・・」

勇者「・・・・・・」

太郎「・・・・・・」
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:08:59.86 ID:vq5rnSGEP
勇者「ヤってない、俺は何もヤってないからな!」

魔王「タロウくん、そこは一番気を遣うところだと私は切に思うのだ」

太郎「すみません、魔王様が齢200にしてようやく大人の階段を登ったのだと思うとつい」

勇者「だからヤってないって!ちょっと片足乗せたくらいだから!まだ登ってはないから!」

魔王「お前らもう黙れ」
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:09:45.91 ID:vq5rnSGEP
―――その暫く後

勇者「さて、久々に着る鎧だが・・・・・・こう綺麗だと、都を出るときを思い出すな」

魔王「ふん、馬子にも衣装だな」

勇者「確かにな。魔王にはやられるし、むしろ懐柔されてるし」

太郎「いやいや、ここまで一人で来ただけでも十分立派なものですよ」

勇者「しかし、いろいろ揃えてもらった上に馬まで出してもらえるとはな」

太郎「その子も最近は運動不足気味でしたからね、丁度いい機会ですよ」
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:10:21.23 ID:vq5rnSGEP
勇者「あとは無事帰れるかどうかなんだが」

魔王「人々の希望を背負っているのだ、帰るしかあるまい」

勇者「それもそうだな。本当に二人には・・・・・・まあいいか、二人には世話になったな」

魔王「私の顔をみて渋々言うことではないだろうが」

太郎「大丈夫ですよ魔王様、昨晩しっかりとお世話をしているじゃないですか」

勇者「雰囲気間違ってるから。もうちょっとここしんみりするところだから」
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:10:48.97 ID:vq5rnSGEP
勇者「全く、最後の最後までよくやるよ。それじゃあ、もう出るよ。今までありがとうな」

太郎「ええ、勇者さんもお達者で」

魔王「おい勇者、違うだろう」

勇者「なんだよ、まだ何かあるのか?」

魔王「家族。お前が言ったことだろう?忘れたのか?」

勇者「・・・・・・ああ、そうか、そうだったな」

魔王「うむ」
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:11:25.15 ID:vq5rnSGEP
勇者「いってきます」

魔王「いってらっしゃい」





勇者「・・・・・・」

勇者「・・・・・・あー、くそ、ハンカチ借りとくんだったな」

勇者「奴隷だった身で言うようなことじゃないが」

勇者「なんだかんだで楽しかったよなあ」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:11:51.33 ID:vq5rnSGEP
魔王<…者ー! 勇者ー!

勇者「ぶ、まだなんか叫んでやがる」

魔王<勇者ー! おみやげは糖菓子がいいー!

勇者「・・・・・・全く、帰ってるんだか、お遣いに行かされてるんだか」

勇者「・・・・・・」

勇者<覚えてたらなー!
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:12:32.91 ID:vq5rnSGEP
太郎「・・・・・・マオ様、いつまでそこに立っているつもりですか」

魔王「部屋に篭ってばかりだと体に悪いと言ったのはタロウくんではないか。日光浴をしているだけだよ」

太郎「もう少し素直になっても誰も笑いはしませんよ。・・・・・・まだ見えますか?」

魔王「・・・・・・いや、もう見えんな。あのバカ、何度も慣れない馬の上で振り返ろうとするから、落馬しそうになっていたよ」

太郎「それだけここでの生活が名残惜しいんじゃないですか」

魔王「奴隷としての日々が?勇者としてそれはどうなのだ」

太郎「でも、まんざらでもなかったでしょう」

魔王「・・・・・・もしもあいつが帰ってきたら、それなりに出迎えてやらんこともない」

太郎「本当に素直じゃないんだから」

魔王「素直な魔王など、気色が悪いだけではないか」

太郎「まあ、少しひねくれてるくらいが丁度いいかもしれませんね」

魔王「無論だ」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 05:15:51.01 ID:vq5rnSGEP
太郎「で、これからどうするんです?勇者さんが上手く乗ってくれたからいいものの、手をこまねいているわけにもいかないでしょう」

魔王「人聞きの悪い言い方だな。事の流れは、勇者と共に我々ではなく人の手に委ねられた」

太郎「格好いい台詞言ってますけど、要は何もしないってことですよね」

魔王「・・・・・・さて、寝るか」

太郎「まったく、本当にあなたって人は・・・・・・」


---------

書き溜め使い果たしたのでここで一旦〆ます。
まだぐだぐだと続く予感です。
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 05:47:59.22 ID:VwIohpoZ0


好きな雰囲気のSSだわ
それより夜に一体何があったんですかねぇ…
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 10:46:03.35 ID:KmRmMbUDO
乙乙
おもしろい
続き超期待
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/25(月) 14:54:23.23 ID:zn8Lfl/z0
早い!おもしロイ!
支援Now
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 16:29:04.17 ID:/nTzSPnw0
乙!
ちょっと魔王の所に勇者として行ってくる
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 17:38:14.15 ID:3jT+YECCo
面白いよー
頑張って下さい
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/25(月) 23:21:01.12 ID:e/ohjLZSO
タロウくんかわいいよタロウくん
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 04:04:54.29 ID:eRSdjqnno
まだかー?
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 22:04:06.16 ID:3s7a7cIGo
追い付いた

続きはよ
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 11:51:11.37 ID:Q3t0HccDO
小出しで良いから早めにオナシャス
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/12(火) 23:14:41.38 ID:QxC1pRvuo
なんかわくわくするな
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